大樹のほとり

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二度と出られぬ部屋 第四章 オーガズム・クライマックス(後編)

※更新が遅くなってすみません……。4章最終部分です。



■第四章 オーガズム・クライマックス(後編)

 12人目の男が持参したディルドーの特徴は、何といってもその柔らかさにあった。男が持ち手を左右に揺さぶるだけで、中央部分が鞭のようにしなる。となれば当然、先端部は膣奥を錐揉み状に刺激するはずだ。
 実際、桜織の反応は大きかった。
『うぅくっ! はっあ……ああっ!! ああぁぁ……あぁんっ、ああぁっ!!』
 艶のある声を上げながら、上下左右に腰を揺らす。明らかに、ディルドーによる抉り回しから逃れようとする動きだ。
 性経験の少ない子にとって、膣奥を刺激されるのは痛いらしい。だが性感帯を絶え間なく刺激され、脳内麻薬が出続けている桜織は、その痛みすら快感になってしまうようだ。リンリンと鳴る鈴の音が、それを証明している。
『ふふふ、暴れてる暴れてる。性経験の少ない子っての奥刺激されると痛いらしいけどさ。イキまくって脳内麻薬出まくりのキミなら、そんな痛みも全部快感になっちゃうでしょ? 僕が観たAVでも、イキすぎた女優が止めて止めてって叫んでたんだよね。それに比べたら、やっぱり君は品がいいよ、必死に声殺そうとしてるもん。女の子は清楚が一番だよね』
 男は頬を緩めると、手首を大きく使い、ディルドーのグリップ部分を激しく回しはじめた。連動してディルドー本体も円を描く。もはや大縄跳びの動きだ。
『ああいやあっ、深いいぃ゛っ!!!』
 圧に耐え切れなくなったのか、桜織の白い歯が噛み合わされる。腰がぐうっと持ち上がり、シーツとの間に枕ひとつ分ほどの隙間が空く。
 男として客観的に見れば、快感に耐える桜織の顔は“そそる”。この上ない清楚さが崩れる瞬間に、カタルシスを感じてしまう。だから男が、余裕をなくした桜織の唇を奪ったのも、一概に批難はできない。ただし、それはあくまで俺の感想。極限状態で呼吸を遮られ、軽蔑する相手とのキスを強いられる桜織本人からすれば、地獄以外の何物でもない。
『んぶっ!? ぷはっ! や、やめて、くださ……んむっ、むうう゛っ!!』
 頭を振って口づけから逃れようとする桜織。だが上から密着する男を拒むのは容易じゃない。
 おまけに彼女は、首から上の抵抗に専念できる状態でもなかった。唇を奪おうとする中でも、ディルドーを操る男の手は止まらない。体勢が体勢だけに、責め方自体も変わっていた。正面からディルドーを突き込む動きから、桜織に覆い被さったまま、ディルドーを引き寄せる動きに。あの“引き寄せる”やり方は、より強く、よりピンポイントに奥のスポットを刺激することだろう。
『えくっ、えくぅうう゛っ!!!』
 男に舌を奪われながら、桜織が叫ぶ。リン、と響く機械音はいつも通りだが、今回の絶頂は一際深いに違いない。
 ディープキスの音に混じって、何度も鈴の音が鳴り響く。やがて男が、引き寄せる動きのままでディルドーに円運動をさせはじめると、桜織の下半身の反応も極まった。腰を浮かせ、足指でシーツを掴み、果てにはぷしゅっと潮を噴く。
『はぁっ、はぁっ……へへへ。桜織ちゃん、唾の量が凄いよ。見て、俺の顎まで垂れてきてる。イクと唾が出るからかな。それとも下品モードに入っちゃった? 俺的には、それでも全然いいんだけど』
 男は桜織から顔を離し、嬉々として謗りの言葉を投げかける。桜織は唇を結んだ。彼女がよく見せるこの表情は、実に清楚だ。Mの字に開脚したまま、割れ目をひくつかせる下半身とは対照的に。

 男はここで、愛液で濡れ光るディルドーを投げ捨てた。そして代わりに、同じくベッド上に放置されていた電気マッサージ器を拾い上げ、先端にアタッチメントを取り付ける。
『……っ!!』
 凶器に近い形状となったマッサージ器を前に、桜織の目が見開かれる。彼女はマッサージ器の暴力的な威力を知っている。アタッチメントは、その威力をさらに増すために取り付けられたに違いない。となれば、恐怖して当然だ。
『お、お願いします! そんなもの使わないでください……。それなら、挿入された方がましですっ!』
 桜織は細い身を掻き抱いて叫ぶ。相当な怯えぶりだ。貞操観念の強い彼女がレイプを許容するなんて、並大抵のことじゃない。
『そう焦んないでよ。ハメんのも後でたっぷりしてあげるからさ。その前に、もっと奥をほぐして感度を上げよう?』
『い、嫌! これ以上なんて、今でも感じすぎてます!』
『ダーメ。そうやって普通に喋れてるってことは、まだ余裕あるってコトじゃん。片言でしか喋れなくなるまで、思いっきり追い込むから』
 男の指がマッサージ器のスイッチを入れた。重い羽音を伴うアタッチメントが、充血した割れ目へと潜り込み、桜織が腰を跳ね上げる。
『くあっ! こ、これ、刺激が強すぎますっ!!』
『知ってるよ、だから良いんじゃん。どうせイキまくるしかないんだからさ。そんなお股に力入れないで、リラックスしてな』
 男は鬼気迫る表情で、マッサージ器を奥に固定しつづけていた。相手には弛緩を求めながら、自分の手首には血管を浮かせて。
『いっ、いくーーううっ!!』
 さすがに機械の威力は半端じゃなかった。桜織が歯を食いしばって絶頂するまでに、10秒もかからない。男はその反応を眺めながら、マッサージ器を上下に揺らして責めを強める。
『っくぅ……だめ、だめいくっ、またいく!!!』
 桜織の腰が持ち上がり、リンリンと鈴の音が響く。桜織は何度も絶頂を訴えていたが、その回数が増すほど、声のトーンは低くなっていった。聴くだけで痛さが伝わる悲鳴があるように、その低い呻きは絶頂の深刻さを生々しく伝える。
 脚の反応も正直だった。指先でシーツを掴むだけでは飽き足らず、シーツに足裏を叩きつけて暴れはじめる。苦しみの源を遮断するように、内股に閉じようとする動きも見えた。
『閉じるな閉じるな。脚開くことだけに専念してろ!』
 男はやや口調を荒げ、左の腕と膝を使って桜織の股をこじ開けながら、右手で掴んだマッサージ器を揺らしつづける。ぶるぶると細かに痙攣する様から、2人のどちらもが全力で力を篭めていることがわかった。優勢なのは、当然ながら男の方だ。
『うう゛っく、くはぁあっ!! ああ、あ、いっくう……っ!』
 桜織の喉からはいよいよ切ない声が漏れ、腰が大きく反ってはドスンとベッドを揺らした。何かに憑かれているような動きだ。それでも、男はマッサージ器での圧迫を緩めない。
『そろそろホントの限界か? よーし、じゃあこっから30回連続だ。30回連続でイッたら一度休ませてやる! ほーら1回! 2回!』
 そう叫んで桜織の脚を大きく広げさせ、鳴り響く鈴の音をカウントしはじめる。
『もう無理ぃっ!! あっく、はっくっ!んんあああっ!! ご、ごめんなさい、ごめ……んんん゛っ!! はっはっは…………っくいっくう゛う゛っ!!!』
 桜織の反応は、折檻を受けて親に謝罪を繰り返す子供そっくりだった。涙を流し、喘ぎ、震えながら謝る。しかし親役は、そんな少女の反応を愉しむばかりだ。
『18回、19回、20回! もっともっともっと、イけるだけイけっ!!』
 桜織の腰が頭より高く持ち上がっても、左右に激しく振られても、マッサージ器は執念じみた動きで追随する。地獄のチェイスだ。
『いっくいく、いきゅううう゛っ!! も゛れるぅっ、もれぢゃううう゛っ!!!!』
『いいぞ漏らしても、全部出せ! あと3回! 28、29……ラストォ、30ッ!!!』
 男はラストスパートとばかりにマッサージ器を小刻みに動かし、30回目の鈴の音と同時に一気に抜き去る。
『ひいいぐううう゛ーーーーっ!!!』
 金切り声を上げながら、腰をベッドに叩きつけた桜織。その割れ目から、透明な飛沫が勢いよく噴き出す。
『はーっ、はーーっ。あっはっはっは、すごい。完全に中イキと小便がセットになっちゃってんね。俺としちゃエロくていいけど、スゲエ下品だよー委員長?』
 男はどこまでも性根が腐っているらしく、放心した桜織に追い討ちの言葉を投げかける。
 桜織の頬をまた一筋、涙が伝い落ちた。


 桜織の苦しみは続く。
 次の場面では、桜織は床に立ち、ベッドに手をつく格好でディルドー責めを受けていた。さっきの映像でも使われていた、非常に柔らかいディルドーだ。
『さっきより感じてるね。立ってる状態って、下半身に一番力入るからね』
 男の言葉通り、桜織の反応は激しい。深々と入り込んだ黒いディルドーが蛇のようにのたうつたび、太腿が引き締まっては緩む。愛液の量も相当で、内腿に垂れるのはもちろん、ディルドーが抜かれるたび、カメラに映るほどの水滴が飛び散ってもいる。桜織が足を踏み替えるたび、みちゅりと音が鳴るほどだ。
『うわ、見てよ桜織ちゃん、下びちゃびちゃ。これ全部、桜織ちゃんの本気汁でしょ? すっごいね』
 男は笑いながらペットボトルの水を煽り、その飲みかけを桜織の口に宛がう。桜織が一瞬顔を顰めたところを見ると、匂うようだ。だが、彼女は脱水症状を避ける為にもそれを飲み下すしかない。汗に涙、愛液……体液は失われる一方なんだから。

 12人目の男はここで休憩を挟んだ。ただし、休むのは自分だけだ。
『次は、オナニーしてみせてよ。これ使ってさ』
 奴はベッドで寛いだまま、桜織にバイブを投げ渡す。
『なっ……!』
 桜織は息を呑んだ。それまでのような受身の態度が許されず、自ら快感を貪らなければならない。そんなことは、彼女の倫理観にそぐわないだろう。
 それでも、彼女は従うしかない。羞恥で眉を潜め、唇を噛みしめ、耳までを赤く染めて、自ら割れ目にバイブを差し込む。
『ほら、脚開いて! バイブが出入りするところを俺に見せてよ』
 男の要求を受けて足の幅を広げつづけた結果、桜織の格好は足を外向けに開いたがに股となってしまう。
『あっはっはっはっ、いいねいいねぇ! 清楚娘のガニ股バイブオナニーとか、お宝級の映像だよこれ!! しかもさぁ、なにこれ、お汁の量が凄いじゃん! まさか興奮してるの、そんな浅ましい状況で!? ホントかよ、ムッツリのド変態じゃん!!』
 男は桜織の自慰を眺めながら、好き放題に野次を浴びせまくる。言葉が重なるたびに、桜織の表情は歪み、頬を涙が伝う。
 だが、小さな手がバイブのグリップを前後させるたび、愛液が溢れているのは事実だ。どうやらかなり感じてしまっているらしい。
『はぁっ、はぁっ……! はぁっ、はあっ! うっ、く……あ、はぁっ!!』
 荒い呼吸の中、足が細かに震えはじめる。リン、と無慈悲な鈴の音が鳴る。
『あ、イッた! イク時はイクって言わないと。オトナの前でオナニーする時のマナーだよ?』
『あ、あ……はぁ、ぁっ!! い、イキますっ! イキます、イ……ぃいっ!!』
 絶頂を宣言させられるようになってから、さらに鈴の音の間隔が狭まった。脚の震えも病的になっている。かなり深く絶頂しているようだ。
 痛々しい。だがそれだけに、サディストにとってはこれ以上ない興奮材料だろう。
『ほんとエロいなぁ、桜織ちゃん。勃ってきちゃったよ』
 男は勃起した逸物を誇示しながら桜織の背後に回り、手でバイブを払いのけると、齧りつくように挿入する。
『ん゛っ!』
『んー、イイ声。バイブで慣らされてても、生のチンポだとまた違うんだ? バイブのツルッとした表面と違って、人の肌って結構摩擦強いもんね。俺の方も、結構擦れて……ああああすっごい、襞が絡み付いてくるぅ! イキまくりで、すっかりオマンコが敏感になってるみたいだね』
 男は桜織の反応を楽しみながら、荒々しく腰を打ちつける。一方的に欲望をぶつけるセックスだが、最初の頃ならいざ知らず、“出来上がった”今の桜織はそれでも感じてしまうらしい。
『んっ、んんっ!! ふっく、んんっ……ん、ふう゛っ!!』
 左手で膝を掴み、右手で口を押さえる桜織。余裕のない中でも清楚さを保とうとする仕草が健気だが、背後から犯す男はその健気さすら許さない。
『今さら声抑えなくてもいいじゃない』
 激しく腰を前後させながら、桜織の両手首を掴んで後ろに引き絞る。桜織の顔が引き攣った。声を抑えきれない確信があるんだろう。
『ふッ……く、く……んふっ、ふんんん! あ、ああっ!! うぁあ、あ……っ!!』
 手の平という覆いを失った桜色の唇は、男が腰を打ち込むたびに開き、艶のある声を漏らす。
『どう、がに股で犯されると興奮するでしょ? キミこういう下品なの好きだもんね? ほら、どんどん逝っちゃえ!!』
『はぁっ、はぁっ……こ、こんな格好、好きな、わけじゃ……! はああっ、うあっ、あ……あいぐ、いっぐうっ!!』
 男の謗りを否定してみせても、絶頂が止められない。あらゆる自由を奪われた桜織は、浅ましい格好のまま、愛液を散らして喘ぎつづけるしかなかった。

 割れ目に溢れるほどの精液を流し込んだ後も、男の欲望は萎えない。むしろ逸る気持ちがなくなった分、より陰湿なものになった。
『おーっ、イってるイってる!!』
 桜織の両足首を纏めて肩に担ぎ上げ、アタッチメントつきのマッサージ器で執拗に膣奥を刺激し。顔を両手で覆いながら絶頂していた桜織が反応を見せなくなると、バイブに持ち替えて気付けする。だらしなく開かれた脚の間に深々とバイブを押し込んだまま、下腹を手で圧迫するやり口だ。
『あ゛っ、かはっ……あ゛、ああ゛!! だめ゛、またイク、だめ゛っ!!』
 意識を取り戻した桜織は、男の手を払いのけようとしていた。だが何度も絶頂させられるうち、両手でシーツを掴みながら、脚を激しく暴れさせる抵抗に変わっていく。男はそんな桜織の膝裏を抱え込み、あられもない姿で開脚させながら責め立てた。
『あははっ、凄い凄い。必死じゃん!』
『いや゛っ、い゛や゛ぁいや゛ああ゛ーーーっ! いぐっ、イグイグううッ!!』
 男の愉快そうな笑い声とは対照的に、桜織の叫びは悲痛だ。
 歯を食いしばり、大きく開き。瞳孔を開いたかと思えば、涙ながらに白目を剥きかけ。
 そうした激しい反応の果てに、状況はいよいよ極まっていく。
 絶頂の現在カウントが130を超えた頃、とうとう桜織は最大の恥辱を晒した。
 ぶううっ──という音。
 放屁だ。それは激しい水音と鈴の音にも掻き消されることなく、残酷なまでの明瞭さで響きわたる。
『お?』
『ぁ……!!』
 男は固まり、バイブを操る手を止めた。桜織自身も眼を見開いて硬直する。
 そして、鬼の首でも取ったような大笑いが始まった。
『ふはっ、あは、あはははっ! ひいっ、ひいいっ!! お前、気持ちいいからって、屁、屁をこくなよ、委員長!!』
 バシバシと膝を叩く小太りの体の下で、桜織の顔が歪む。死を望むかのような痛切さで。

『はーっ、笑った笑った。さて、んじゃ屁コキ委員長にお仕置きといくか!!』
 男はそう言って逸物を扱き上げ、横たわった桜織の右腿を掴み上げて挿入を果たす。挿入部分からは泡が膨らみ、ぶじゅうっ、という水音が漏れた。
『ふぁうぐっ!!』
 桜織が目を見開く。
『おーっ、また中のうねりが凄いね。挿入しただけでイッちゃった?』
 男は笑いながら腰を振る。斜め上から体重をかけて圧し掛かり、奥を押し込む突き方だ。それを受ける桜織の表情は、辛そうだった。眼を閉じて眉間に皺を寄せ、薄く開いた唇の間で歯を噛み合わせている。男の腰が股座に密着するたびに、う、う、と呻きを漏れてもいた。さらに、男がにやけながら下腹を擦りはじめれば、歯を噛み合せることすらできなくなる。
『どう桜織ちゃん、イってる?』
 鈴の音が鳴り響く中で、男はあえて問いかけた。征服者として、言葉で聞きたいということか。
『いっ、いひいいっ!! い、イッてます、イッてますっ!!』
 桜織からすれば、正直に答える以外にない。自分の絶頂は、脳の機械によって余さず暴かれているんだから。
『そうか、よーし。もっとイこう、2人でもっと気持ちよくなっちゃおう!!』
 男は前屈みになり、抱えた桜織の右腿に腹を乗せる。小太りの体の下敷きになれば、桜織も横ざまの体勢を保てない。背中をシーツに押し付け、大きく脚を広げる。それは、男にとって深く挿入しやすい格好だ。抜き差しが目に見えてスムーズになる。
『あああいやっ、いくうっ!! いくううぅっ!!!!』
 桜織の脚が筋張り、すらりと細い手足がバタバタと暴れた。
『ふーっふーっ、へへ、えへへへっ!!』
 男は汗みずくで笑い、桜織の手を掴んで背を仰け反らせる。そのまま何度か力強く挿入されれば、桜織の腹筋に縦線が走った。
『いやあああっ、やめてっ! やめてくださいっ!!!』
 桜織が大口を開けて叫んでも、男の腰は止まらない。肩に担ぎ上げられた桜織の足先が強張り、男の肩口で爪先立ちをする。男がそれを痛がって右脚を放り出せば、横向きに脚を重ねたまま、やはり艶かしく蠢かす。
 それらはすべて、桜織の意思ではないだろう。恥じらいのある彼女の行動らしくないし、何より、彼女には見るからにそんな余裕がない。
『あっ、はっ!! はっ、はっ!! ああんっ、あ……んああ!!』
 目を見開いたまま虚空を見上げ、短い呼吸を繰り返す。そんな、茫然自失の状態だ。
『すっごい、キマってきたね。そろそろ時間なのが惜しいよ。次の奴らは、この状態から君をイジメ抜けるんだよねぇ、あー羨ましいなあ!!』
 男はそう言って逸物を引き抜き、手で扱きながら白濁を桜織に浴びせかける。自分という存在をアピールでもするように、たっぷりと。白濁は腹、胸と飛び散り、一部は桜織の顔にも浴びせかかる。
 それでも、桜織は反応をしない。シーツに頭頂部をめり込ませ、顎を天井に向けたまま、気を失っているようだった。


 12人目が部屋を退出した後は、3度目の食事の時間だ。
 失神から引き戻された桜織は、膝にスープの皿を置かれただけでぶるりと震えた。それを見て手越が噴き出す。
『すっかりポルチオ性感が目覚めたって感じだな。もう全身がクリトリス状態ってか? その状態でソレ食ってみな、もっと新しい世界に行けるぜ』
 手越はスープを指し示しながら告げる。
『新しい、世界……?』
『ああ。“オーガズム・クライマックス”──逝き続けた果てにある、究極の快感だ。そのスープ飲んで発情したまま逝きまくりゃ、じきにその境地に辿り着く。もっとも、99%の女は、その前に脳が焼き切れて狂っちまうがな』
 物騒な言葉を口にしながらも、手越に悪びれる様子はない。あくまで真実を述べているという風だ。それは逆に、どんな脅しよりも心に突き刺さる。
『…………私は、耐え抜いてみせます』
 桜織は表情を引き締め、濁りのない瞳で手越の顔を見つめる。手越の唇の端が持ち上がった。
『イイ眼だ、そうこなくっちゃな。まだたったの12人目。ようやっとスタートラインから一歩踏み出したとこなんだからよ!』


              ※


 手越の言葉通り、ここからが本格的な地獄の始まりだった。
 執拗に開発され、剥きだしの急所と化したポルチオ。それを男共が見逃すはずもない。単に快楽を貪る上でも、清楚な桜織の顔を歪ませる上でも、借金の棒引き額を稼ぐ上でも、最適なポイントなんだから。

 圧倒的に多いのは、マングリ返しの桜織に対し、膝立ちをした男が斜め上から挿入する体位だ。マングリ返しというあられもない格好を取らされると、桜織は耳まで赤らめて恥じ入る。その顔を正面から拝む事ができ、なおかつ奥まで突きやすい。それが人気の秘密だろう。
『はっは、スゲー顔。俺も結構ハメてきたけど、そんなツラしてる女見んの初めてだわ。子宮イキの快感って、そんなスゲーの? マンコの奥も太腿もピクピクしっぱなしだしさぁ。電気流れてるみてぇ』
 男共は腰を振りながら、嬉々として言葉責めを浴びせつづける。
 対する桜織は、恥を晒さないように必死だった。目を瞑り、口を結び、シーツを鷲掴みにして快感に耐える。だが、そうして我慢を続けられるのも、ほんの僅かな間だけだ。しかもその間隔は、映像が進めば進むほど、確実に短くなっていく。
『はぁっ、はぁっ……! お、お願いしますっ、休ませてください! 奥は、奥は、もうっ……!!!』
 息を切らしながらのこんな哀願を、何度耳にしたことだろう。犯す男は交替制でも、犯される桜織に休みはない。シャトルランを何千回も繰り返しているようなものだ。音を上げるなというには無理がある。
『ほう、休みてぇか。じゃあ今どんな感じが、自分の口で説明してくれや』
『ハッ、はっ、はっ……ど、どんなって……。お、奥に、あそこの奥を硬い物で突かれて、潰されて……深い所が、ジンと疼いて! そっ、その疼きが、足の、指先にまで……ふっぐ!?ううんっううんんイクっ!!!』
 男が促すままに、快感の流れを語る最中。変に意識したのがまずかったのか、桜織は足先を強張らせながら絶頂に至る。別方向を向いた親指と人差し指の間に膜が張り、太腿が横に膨らみ、腹筋が浮き出るほどの反応。リン、と響く機械音こそそれまでと同じだが、どう見ても格別に深い絶頂だ。
『ははっ、また顎の皺がすんげぇな! んで? ジーンとした痺れが広がって、そっからどうなる?』
『ぜっ、はーっはーっ……!! そ、その後は……か、快感が……いえ、快感なんて言葉じゃ表せないぐらいの感覚が、ずっと続いて……はっ、はっ……頭に、霧がかかっていくんです! 真っ白になって、何も解らなくなって……ある瞬間に、足を踏み外したみたいに深い快感に沈んで……っ!!』
『ふーん、スゲーな。で、一回イッても終わりじゃないっしょ? マンコん中、ずーっとヒクヒクしてんじゃん』
『はい、イッても、収まりません!! イッた直後は、少し波が収まりますが……んん゛っ、すぐに、ぶり返してきます! 前のよりずっと大きくて、お、溺れそうなぐらい……っ!』
 そう語る桜織は、まさに快感の大波に足を掬われている最中らしい。短い呼吸と共に、上半身が仰け反って痙攣し、見開かれた瞳がトロリと蕩ける。男はその反応を前に目を細め、更に腰の振りを早める。
『うあっ!! どうして……や、休ませて、くれるんじゃ……!?』
『いやぁ? ンな約束はしてねぇし、してたとしても守れねぇなあ! こっちは一ヶ月以上も女抱いてねぇもんで、金玉がパンパンなんだよ! 一発二発出したぐらいじゃ収まんねぇ、ガンッガンいかせてもらうぜぇっ!!』
『あがっ、ふ、深いぃっ!! は、激しくしないで……あぐうっ!! い、ああああぁっ!!!』
 容赦ないピストンを受け、桜織が悲鳴を上げる。しかもそれが延々と続いた。30分もすれば、男は膝が擦れて痛いとぼやきだすが、だからといって止めはしない。桜織の股間を跨ぐように足を開き、改めて力強い抜き差しを始める。薄汚い尻穴の下には膨らんだ睾丸があり、そのさらに下に覗く逸物は、未だに硬さを保っているのがはっきりと見てとれた。
『おおっ、この体位気持ちいいわー、すっげぇ射精しやすい! 今度から女抱く時ゃこれにすっか。お前のおかげで、意外に早くタコ部屋から出れそうだしよ!!』
 男はカウントの増えるモニターを眺め、上機嫌で叫ぶ。膝裏に溝を刻み、確かな腰遣いで奥を突きながらだ。
 対する桜織は、悲惨だった。
『ふぐううっ!! んうっ、ふううっ!! や、やめっ……んんん゛、いくっ! い゛……ッ!!!』
 押し潰される姿勢で膣奥を突かれる中、時々荒い呼吸が途切れる。そういう時、桜織は決まって顎を浮かせ、頭頂部をシーツに埋めていた。そうしないと耐え切れないほどの快感なんだろう。
『うは、締まるぅーっ!!』
 男は嬉しそうな声を漏らし、奥まで挿入したままで腰を止めた。
『はあっ、はあっ、また……! な、何度出せば気が済むんですか!』
 男は繰り返し膣内射精しているらしく、桜織が非難の声を上げる。その最中、割れ目からドロリと精液があふれ出すのは、いやらしいと同時に悲劇的だ。

 圧し掛かる体位には、もう一つのパターンもあった。男が挿入したまま、足をシーツに密着させるやり方だ。その状態で円を描くように腰を動かされれば、膣奥を最大限圧迫された状態で擦られることになる。
『んぐうっ! また、奥の奥まで……んぐっ、んぐぅうあああっ!!』
 桜織の楚々とした顔が歪み、やがて膝下が跳ねる。男共は、いつもその頃合いでピストンを仕掛けた。
『あ、あ!! はっ、はっっはっ……ああ、はぁあ! あっ! あっ! あっ!!』
『おーっ、すげぇ反応。犯されて感じてんだな、お嬢ちゃんよ!!』
『はぁっ、あ! か、感じて、なんか……!!』
『ウソつけ。お前が感じてんのもイッてんのも、全部わかんだよ。おら見ろよ、これで700回目だ!!』
 男がモニターを見上げながら腰を突き入れる。リン、と音がし、累計絶頂カウントが700を示す。
『くふっ、んん……!!』
『へへへ、キリのいい数字だぜ……ん、おっ!?』
 男が奥まで腰を沈めたまま、ひと息ついている最中。また鈴の音が鳴り響き、モニターの数字が801に変わる。
『おいおい、絶頂の余韻でイクのかよ。どこまで変態だオメー!?』
 そう嘲笑われても、一番ショックを受けているのは桜織自身だ。小さく開閉する口で、嘘、嘘、と繰り返す様を見ると、精神面が不安になってしまう。

 有り余る欲望と野心で少女を犯す畜生共。その体格や性的嗜好は色々だが、東南アジア系の人間は特に異様だった。燃費がいいのか、細身からは想像もつかないほどの耐久力がある。日本人や中国人が愛撫やフェラチオを挟んで体力を回復しつつ犯すのに対し、連中は2時間フルで桜織を犯しぬく。バックスタイルから始まり、側位、正常位……様々に体位を変えながら。
 桜織の苦しみぶりは相当だ。タイ語なのかインドネシア語なのか、俺にとって馴染みのない言葉で何かを訴えながら悶え続ける。犯す男が囁き返すのも同じ発音だが、こっちの言葉はひどく耳障りだった。理解できない言語でも、悪意というものは通じるらしい。その悪意で、桜織は刻一刻と狂わされていく。見開いた目から涙を零し、食いしばった口から涎を垂らし、海老のように背を反らせて痙攣しながら。

 そして、50人の相手が終わる。一人につき2時間としても、100時間。実に丸4日以上に渡り、中年男の脂ぎった欲望をぶつけられたわけだ。
 ベッドに横たわる桜織の見た目は、変わり果てていた。
 キリリとしていた顔は、鼻水や涙、涎に塗れ、だらしなく白目を剥いている。
 お椀半分ほどの大きさにまで膨らんだ乳房、木の実のように赤く尖った乳首。そのどちらにも、初めの頃の面影はない。
 そして一番悲惨なのが、下の性器だ。陰唇は腫れ上がったまま外に開き、内から白濁を溢れさせている。
『ヘッ。あの小便臭ぇガキが、一端の女になってやがる』
 扉を開けて姿を現した手越は、桜織を一瞥して嘲笑った。本来は4人周期で食事の機会を与えるはずだが、50人が一巡し終えるタイミングにずらしたらしい。
 その手越の声を耳にした桜織は、ベッド上でゆっくりと身を起こす。瞬きで涙を切ると同時に、呆けた目にも力を取り戻す。凌辱側の元締めである手越にだけは、弱みを見せない──そう言わんばかりに。
 ただし、その見た目は依然として性的だ。
『は、あ……はぁっ……』
 熱に浮かされたような赤い顔といい、屹立した乳首といい、汗まみれの肌といい。落ち着いた雰囲気も相まって、凌辱を受けた人妻にしか見えない。
『メシだ。もうそろそろ、コイツなしじゃいられなくなってきたろ?』
 手越はそう言って、スープ皿の載った盆を桜織の膝に置いた。桜織は唇を噛みしめる。不本意の極みという風だが、食事を拒むという選択肢はない。セックスはカロリーを消費するため、栄養の補給は必須だ。そして、避妊薬もこのスープを通してのみ与えられる。望まぬ妊娠を避けるためには、どんな副作用にも目をつむって飲み下すしかない。
 桜織は銀食器を掴み、中身を口内に注ぎ込んでいく。だが、初めの頃のようにスムーズに飲み下すことはできなかった。すぐに激しく噎せ、口にしたものを吐き戻してしまう。
『ぐぶっ!! げほっ、えはあっ!!』
『どうした、しゃんとしろ。別のフロアでご学友も頑張ってんだからよ。特にあの、蒼蘭の剣姫とか持て囃されてたガキな』
 手越は扉に寄りかかったまま、桜織に意味深な言葉を投げかけた。桜織が顔を上げる。
『……藤花の、ことですか?』
『ああ、そんな名前だったか。奴はお前と同じように、一番きつい責めを引き受けるって豪語してな。一番きついコレはすでにお前が選んでたから、二番目にきつい責めの担当になったんだがよ。結果あいつは、汚辱責めを味わうことになった』
『汚辱責め?』
『おう、ウンコやションベンを絡めた責めだ。ゾッとすんだろ? 実際きついぜ。あそこの調教師は、オンナ嬲るのが生き甲斐っつうサディスト揃いだ。昨夜なんぞは、風呂桶サイズの肥溜めに、頭から膝まで漬けたってよ。完璧に失神するまで、何遍もな』
 さらりと発される、おぞましい言葉。昨日の映像でカットされていた責めだろう。確かにえげつなかった。自我が崩壊してもおかしくないほどに。
 桜織もその異常性を察したらしく、青ざめた顔で絶句する。手越はその反応に満足げな笑みを浮かべ、さらに言葉を続けた。
『ああいう芯の強ぇ奴ほど、一度折れれば脆いからな。お前は、是が非でもこの快楽地獄を耐え抜いて、あいつらのアフターケアに回るべきだと思うぜ。なぁ、委員長さんよ?』
 悪魔の囁き。奴はさっき、この絶頂耐久プレイが一番きつい責めだと口にした。つまり、このプレイが最上の地獄と知りながら挑発してるんだ。
 1巡しただけの今でもすでに、桜織は普通でなくなりつつある。その上でさらに続ければ、より狂っていくのは確実だ。ともすれば、二度と真っ当には戻れないかもしれない。
 当事者である桜織自身も、それは充分に承知しているはずだ。だが、彼女は退かなかった。大きく息を吸ってから食器を掴み直し、再びスープの中身を口に流し込む。今度もまた噎せそうになるが、眉根に皺を寄せて強引に飲み下す。盆に食器が戻された時には、その中身は綺麗に空になっていた。
『私たち女は……あなた方が考えているほど、弱くはありません!』
 澄んだ瞳で言い放つ桜織。その気迫を前に、手越が口笛を吹く。
『そりゃ結構。食事でも勝負でも、多少の歯ごたえはあった方がいいからな。んじゃ、2周目だ。せいぜい楽しめや』
 手越はそう言って部屋の外に姿を消し、入れ替わりで1人目の男が部屋に踏み入ってくる。
『よう、100時間ぶりだな。また死ぬほどハメまくってやるぜ』
 相も変わらず品のない口調に、桜織の表情が強張った。


              ※


 2巡目のプレイは、単なる1巡目の再現にはならなかった。
 前よりも格段に酷い。

 1人目の男は、1巡目と同じく正常位を要求した。
『足を開け』
 その言葉を受け、桜織は明らかに渋る。だが男は、膝を掴んで強引に股を開かせた。そして、隠されていた部分を見て大いに笑う。
『かははははっ!! ナマで拝むとすげーな。最初と全然違ぇじゃねぇか! あの思わず舐めたくなるような、キレーなピンクの筋はどこいった? まさかこの、ルージュ塗りたくったババアの唇みてぇなのか!? ったく変わりゃ変わるモンだよな、流石は50人のチンポを咥え込んだヤリマンのマンコだ!!』
 そう罵声を浴びせて、桜織の恨みを買う。当然、生真面目な桜織はそれを受け流せない。
『そうしたのは、あなた達です。休まず擦られ続ければ、誰の性器でもこうなります』
 顔の筋肉を引き締め、人形のような美貌を取り繕う。それを見下ろす男は、満足げに逸物を扱き上げた。
『そうかよ。こっからまた2巡して、最後にゃどこまで変わるか楽しみだな。ま、ともかく挿れるぜ』
 男は逸物の先を割れ目に擦り付け、そのまま挿入を果たした。割れ目から溢れる愛液が潤滑油になって、挿入は実にスムーズだ。その勢いのまま、逸物は7割ほど入り込み、一旦そこで止まる。
『おーっ、もう奥か。マジで子宮が下りてきてんな。中も随分とこなれてるじゃねぇか。ヌルヌルの襞がチンポに纏わりついてくんぜ? 前んときの固くて狭ぇ穴も新鮮だったが、こっちのが断然気持ちいいぜ!』
 驚きの声を上げた男は、ゆっくりと腰を引き、再び突き込む。引いて、突き込む。それを4度繰り返しただけで、桜織の背中が小さく仰け反った。
『ん、ああっ!!』
 熱い吐息とほぼ同時に、鈴の音が鳴り響く。桜織の視線が揺らぐ。
『はっ、これでイクのかよ? ポルチオ開発されるってなぁスゲーんだな。しかもイッたら締まりが増しやがった。歓迎してくれてありがとよ!!』
 嫌味を交えながら、軽快に腰を振る男。その下で、桜織はじっと耐えていた。されるがままだ。だが、それも前とは違う。人形のように無反応でいられた1巡目に比べて、足先の反応が激しい。指を開き、反ったかと思えば内向けに折れ。そうした反応は、鳴り響く鈴の音と連動していた。望まぬ凌辱を受けながら、何度も絶頂させられているのは明らかだ。
『こりゃ面白ぇわ! あの音が鳴ってるって事ぁ、演技じゃなくマジでイッてるってことだもんな。電マや指マンならともかく、チンポでこんだけマジイキさせるなんざ初めてだぜ!!』
 男はいよいよ興奮し、激しくベッドを軋ませながらピストンを早めていく。じゅぱっ、じゅぱっ、という水音が立ち、交換されたばかりのシーツが瞬く間に変色していく。
 一方で桜織も、確実に『押し上げられて』いた。
『あっ、はぁっ……はあっ、あ、あ!!』
 荒い呼吸を繰り返しながら、何度も腰を浮かせ、腹部を激しく力ませる。
『おーおー。見るからに文化系のくせして、一丁前に腹筋浮いてんじゃねぇか。ここでイッてんのか? ここが子宮の入口なんだろ!?』
 男は面白がって、桜織の臍の下を指で押し込んだ。
『くはああっ!? や、やめっ、くだ、さいっ!!』
 桜織は大きい。悲鳴に近い声を上げながら、必死に男の手を除けようとする。だがその最中にも絶頂し、ついには顎を浮かせたまま、いくいく、と呻くようになる。
『かあーっ、最高だぜ! 膣でジュボジュボフェラされてるみてぇだ!!』
 男は上機嫌で腰を振り、その果てに腰を止める。射精、当然ながら生中出しだ。
『はーっ、はーっ……』
 軋みも鈴の音も消えた映像内で、桜織の荒い呼吸が繰り返される。1巡目の彼女は、中出しされた部分を困ったように見下ろしていた。だが今の彼女には、その余力もない。顎を天に向け、喉を蠢かして痙攣している。
 壁のモニターに光る数字は32。華奢な少女を無力化するには、充分すぎる絶頂回数だった。
『おら、ノビてんじゃねーぞ』
 男は一度の射精では満足しない。なにしろ1巡目に7発射精した奴だ。ぐったりとした桜織の手首を取って強引に引き起こすと、ベッド上で別の体位を強いる。膝立ちになった男に女が跨り、抱き合う形でのセックス。
『あああっ!!!』
 挿入の瞬間、桜織は顔を歪めた。逸物の先が子宮口を突くだけでなく、自重でより深く食い込ませる形になったからだろう。そしてそれは、今の彼女にとって快感になるらしい。鈴の音が鳴り響いたのがその証拠だ。
『はっ! 挿れただけでイッたのかよ、スケベ女め!』
 男は罵りながら、桜織の尻を掴んで上下に揺らす。深々と挿入されている今は、それだけで膣の奥を抉られることだろう。
『ふぐ、うっ!! んん、んっあ! あ、あ!』
 桜織は目を瞑って喘ぐ。そのまま何度も絶頂すると、男の肩を掴むだけでは上半身のバランスを保てず、男の首にしがみつくようになる。まるで恋人のように。
『オイオイ、耳元にエロい声吹き込むなよ。興奮すんじゃねぇか』
 男が笑い声を上げ、桜織の尻を掴みなおす。これまでは下から支える形だったが、鷲掴みにして下へ押しつけているようだ。同時に腰を突き上げる動きも見せている。つまりそれは、上下からの圧力で子宮口を刺激するということ。散々絶頂させられ、蕩けきった場所でその刺激を受けるとなれば、堪ったものじゃない。
『いぐふぅ゛っ!!!』
 すごい声が出た。切実で低い呻き声。直後、結合部から小さく飛沫が上がる。ごく僅かではあるものの、潮を噴いたらしい。
 それ以外の反応も激しかった。特に目立つのは脚だ。ベッドに対して水平な太腿が、信じられないほど太く筋肉を隆起させている。膝下もやはりふくらはぎが盛り上がり、足指が深々とシーツにめり込んでいる。まるで拳法家が必殺の一撃でも放とうかというほどの力み具合。その力みはすべて、絶頂を耐えるために生み出されたものなんだ。
 リン、と鈴の音が鳴る。いつもと同じ調子で。
『ううおおお、すっげぇ締まってる……お前、運動音痴そうなのに8の字筋やべーな。それともアレか? 火事場の馬鹿力ってやつか?』
『あっ、かはっ……!! はあっ、はあっ、は、あっ!!』
 嬉しがる男とは対照的に、桜織は止めていた息を吐き出して激しく喘ぐ。
 そんな桜織と触れ合いながら、男はしばらくセックスの快楽に浸っていた。だが人形のように愛らしい顔が傍にあると、妙な気分になってしまうのか。そのうち、喘ぐ桜織の唇を奪おうとしはじめる。
 当然、桜織はそれを拒絶した。
『あ、やっ……キスは、嫌ですっ!!』
 彼女にとって、口づけは第二の貞操なんだろう。頭を左右に振り、ついには両手で男の胸を突き放しながら、背を大きく仰け反らせて拒む。
『今更カマトトぶんなよ。人の足にマン汁垂らしてやがるくせに』
 男は呆れたように笑い、またセックスに専念しはじめた。
 危機は去った……ように見えた。この時は。
 だが、この選択はまずかったのかもしれない。顎を浮かせ、背中を仰け反らせる体勢。それは桜織が、特に深く絶頂する時の反応そのものだ。それをなぞることは、かえって彼女は自分自身を追い込むんじゃないだろうか。
 実際、ここから桜織は乱れはじめた。
『あっ、ああっ!! はぁあっ、あ、あっあ!! ぎぃっ、い……いくーっいく!!』
 仰け反ったまま、喘ぎ、歯を食いしばり、足を強張らせる。その間にも、鈴の音は狂ったように蓄積しつづける。
 明らかにつらい状態だ。そんな状態を10分以上も続ければ、桜織は男の肩を掴んだまま、俯くばかりになってしまう。髪の間から覗く顔は、到底具合が良さそうには見えない。
 相手がそんな状態になったのを見て、男は膝立ちでゆっくりと移動し、ベッドを降りる。結果として出来上がったのは、抱き合う格好をそのままに、男が桜織の膝裏を抱える体位だ。ベッド上にいた時より体格差が判りやすい。父親が幼い娘を持ち上げ、あやしているように見える。
『あ、なに!?』
 呆然としていた桜織が意識を取り戻す。そして地に足がつかない事を悟ると、表情を凍りつかせた。
『こんなの、力の篭めようが……!!』
『篭めなくていいじゃねぇか、大人しく俺のチンポサックになっとけ。アタマ真っ白にしてよ!!』
『あ、あっ!! こんな、深すぎる! 怖い、こわいっ!!!』
 半狂乱の桜織を尻目に、男は腰を振りたくる。パンパンという肉を打つ音と共に、桜織の腿が波打つ。かなりの力強さだ。
『っく、いくっ、ああ!! ふああっ!! は、離して! 下ろして、くださいっ! これは、む、無理ですっ! くぅ、あ……んんあああぁっ!!』
 身体の揺れにあわせ、喘ぎ声までも揺れている。桜織は何の抵抗もできないまま、ただ絶頂に追い込まれ続けた。何度も小さく潮を噴き、全身を痙攣させて。絶頂カウントが60を超える頃には、明らかに意識が朦朧としていた。
 男は、そんな状態の桜織に改めてキスを迫る。そして、今度は桜織も拒絶しきれない。
『う、うむ…っ!? ううううむ、むう、う゛っ…………!!』
 目を見開き、愕然としたままキスを強要される少女。やがてその目からは、大粒の涙が流れていく。

 胸を抉る、光景だった。


              ※


 2番目は、中国語を話す巨漢。奴もまた桜織を追い込み続けた。
 1巡目は正常位を保てずに圧し掛かっていたが、今度は違う。桜織にマングリ返しの格好を取らせ、その股に屈み込むように犯す。1人目のセックスが突き上げる形での“串刺し”だとすれば、こっちは真上からの“杭打ち”だ。
 相手の体重が体重だけに、桜織からは瞬く間に余裕が奪い去られた。中国語で何かを絶叫しながら、唯一自由になる足先をばたつかせる。聴きなれない言語だからか、叫び声は悲痛に感じられた。だが、男の心には響かない。奴はやはり中国語で叫びながら、肥大した下半身で押し潰すように犯しまくる。
 そして桜織は、そんな状態でも絶頂に追い込まれていた。痛みか、恐怖か、屈辱か……いずれにしろ、彼女にとって望ましくない感情と共に。

 こうした獣じみたセックスを強いる奴もいれば、フェチを反映した変態プレイに興じる奴もいる。ノーマルなセックスを1巡目で堪能した分、その頻度も高くなった。

 3番目の男は、その典型だった。1巡目では、猫撫で声を発しながら『駅弁』の体位で桜織を犯し、視覚、音、言葉、感覚の4重責めを仕掛けた変質者。奴は2巡目で、桜織相手にソーププレイを堪能した。
 プレイ開始後にいきなり浴槽へ向かい、桜織の股に石鹸を塗りたくる。そして、その部分で自分の体を洗わせるんだ。
『不潔です。こんな場所を、擦り付けるなんて!』
『いやいや。女子高生のお股が汚いなんてこと、あるはずないって。スベスベで最高だよ。強いて言えば、毛が薄いせいであんまり泡立たないことぐらいかな』
 渋る桜織にそんな言葉を返し、相手の引き攣った表情を愉しんだりもする。そうして身体を隅々まで清めさせれば、次は入浴だ。
『うひひ、幸せだなぁ。オジサンねぇ、若い娘と一緒に温泉行くのが夢だったんだよ。狭いお風呂だけど、なんだかそれが叶ったみたいだなあ』
 気色悪い声で桜織を抱き竦め、その細い身体を弄る。
『う、ふうっ……』
 水面を見つめ、小さく息を吐く桜織。まるで凍えているようだ。男のあまりの気色悪さに、悪寒がするんだろう。
 それでも、湯の中で性感帯を刺激されていれば、意思とは裏腹に反応が表れる。
『乳首がピンピンだ。こんな小さな胸でも、ちゃんと感じるんだねぇ』
 桜織のしこり勃った乳首を指で転がしつつ、囁く。そうして少女の瑞々しい肌を堪能した後、男は湯船に浸かったままで挿入を果たした。
『あっ! お湯が、入って……!!』
『うーん、いいねぇ。ぬるくて気持ちいいよ』
 桜織が迷惑そうに眉を下げるが、男は夢見心地とばかりに顔を緩ませる。そのまま水面に波を立てて行為を続け、射精まで至ってからも、奴は湯船から出ようとしない。
『舐めて』
 浴槽に横たわったままそう命じ、湯から逸物の先を覗かせた。桜織は渋々ながら、それに従うしかない。
『ひひ、慣れてない感じがまた新鮮だなぁ。知ってる? これねぇ、ソープじゃ“潜望鏡”っていうプレイなんだよ』
 そんな事を誇らしげに語りながら、また逸物を硬くし、やがて二度目の性交に移る。今度は、1巡目と同じ駅弁、鏡のある洗面台の前でだ。
『見てみなよ桜織ちゃん、前とは全然違うよ? おっぱいの先っちょも、クリも、ビラビラも、まるで別人みたいだ。恥ずかしいでしょ、こんなになった自分の身体見るの』
 男から猫撫で声で囁かれ、桜織は頷く。
『……はい』
 そう答えはするものの、腹圧のかかる体位で犯される中で、彼女は絶頂に至ってしまう。冷たい鈴の音がその証だ。
『あれえ、機械の故障かな? 変だよねぇ。こんな恥ずかしいセックスで、真面目な委員長ちゃんが感じるわけないもんねぇ?』
 してやったりという笑顔で囁かれ、桜織の赤ら顔が悲痛に歪む。
 奴は持ち時間の大半を、こうしたプレイに費やしていた。

 4番目の男は、桜織を中学時代の片思い相手に見立てていた。わざわざピンク色の服を持ち込んで桜織に着させ、ベッドに手を突かせたまま後背位で犯す。
『どうだ椿、大嫌いな俺に犯される気分は? ええっ!?』
 そんな言葉を吐きながら。しかも、それだけじゃない。奴は相手が泣く事を望んでいるらしく、桜織の尻を叩き、太腿をつねりまわす。
『い、痛い、痛いっ!!』
『痛ぇか。だがそれが興奮するんだろう、この変態女! 学校じゃお高く留まっといてよ? ははっ、またイッたな変態!!』
 桜織が涙目で訴えるのを笑顔で眺め、絶頂しようものなら鬼の首を取ったように罵倒する。実に時間一杯、それを繰り返していた。

 6番目のホスト崩れは、レイプの真似事を望んだ。仰向けになった桜織の口を手で塞ぎ、荒々しく犯す。
『いいか、声を出すんじゃねぇぞ? テメェの妹にバレたら、あっちも犯らなきゃならねぇからよ』
 そう静かに脅す口調は、やたらと真に迫っていた。真似事と言っているが怪しいものだ。以前にやった強姦を再現してるんじゃないか……そう思えるほどに。
 犯される桜織も、同じくそう感じたんだろう。最初こそ怯え交じりで見開かれていた彼女の目は、男の迫真の演技を前に、段々と鋭くなる。そして男が果て、口から手を離された瞬間、彼女はすぐに問いを発した。
『……これは、演技ですよね? 本当にやった事じゃ、ないんですよね?』
 控えめな彼女には珍しい、毅然とした問いかけ。まるで不良息子を諭す母親のようだ。
『どうかな』
 男は歯を覗かせながらはぐらかす。その堂に入った悪党ぶりを見れば、かえって疑いが強くなろうというものだ。
『……そうですか』
 桜織はそう答えたが、その後も男に対して警戒を解くことはない。明らかに毛嫌いしている様子だ。それでも彼女は、絶頂を止められない。歯を食いしばって相手を睨みつけても、リン、リン、と達した証が鳴り響いていては台無しだ。
『はっはっ!! おいおいイクなよ、レイプごっこって言ってんだろ。こうもイキまくってっと、和姦みてぇじゃねえか! それともなんだ。女ってやつは、こうやって荒っぽく犯されっと感じんのかよ!?』
『はあっ、はぁっ……! ち、違います、馬鹿にしないでください! 女性は、レイプされると怖いんです、嫌なんですっ!! 犯されて……んっ、か、感じたりなんか、しません……っ!!』
『んな事言ってもオメー、さっきからイキまくってんじゃねぇか。シーツもマン汁でビショビショにしてっしよぉ? じゃあなんだ、オメーが特別淫乱なだけかよ、ええ!?』
 刻一刻と余裕をなくしていく桜織に対し、男は槍で刺すように侮蔑の言葉を投げかける。桜織はいよいよ顔を歪ませながら、足指の先まで痺れさせて絶頂に至っていた。

 9人目に至っては、桜織を犯しながら、電話で誰かに自慢していた。
『今ねぇ、女子高生を犯してるんですよ』
 正常位で突き込みながら、携帯を桜織の口元へと近づける。相手に声を聞かせようというんだろう。
『…………ッ』
 桜織は頬を染めながら、必死に口を噤む。
『おやおや、無駄なことを』
 男は苦笑しながら、親指でクリトリスを刺激しはじめた。
『ふ、んっ!!』
 桜織の身体が小さく跳ねる。すぐに手の甲が口に宛がわれ、必死に声を殺そうとするが、殺しきれない。
『くぅっん、んん……ん!!!』
 桜織の細長い脚に筋が浮く。
『ほらほら、どうです。もう気持ちよさの限界でしょ?』
 男が皮を剥く要領でクリトリスを刺激しつづけると、ついに鈴の音が鳴った。敏感な部位だけに、リン、リン、と連続で。
『ん……っく、ふぁ! あ、あ!!』
『聴きましたか? かわいい声でしょう。この子は顔もいいんですよ。いかにも清楚な感じで、でもエロエロでねぇ。小さな身体ピクピク震わせて感じてるんです。私ももう興奮してしまって、抜かずの4発目ですよ』
 男は電話相手に自慢を続けながら、激しく腰を打ちつける。そんな極限状態が、我慢を難しくさせるのか。桜織の喘ぎは、刻一刻と大きくなっていく。
『あぁ! んんっ、あ、ああっ!! うっ、くあああぁぁっ!!!』
『ははは。ええ、清楚だったんですよ、本当に。今はもう変わってしまったというだけで』
 受話器を片手に腰を打ちつけながら、男は桜織の右乳首を捻り上げる。桜織の背中が浮く。
『ん、くああぁぁっ!! ひっ、ひいいっ……! こ、声、聴かないでえっ!! こんなの、わ、普段の、私じゃ……!!』
『いいや、これが今の君ですよ。クリトリス、Gスポットから始まって、ポルチオまで開発されて! 全身が性感帯みたいになってるから、こんな酷い事をされても感じてしまうんでしょう!?』
 男の指は、桜織の体中至るところに伸びた。時にはつねり、時には叩き、時には擦り。そうした刺激を受けるたびに、桜織はのたうち回った。
『はぁ、はぁっ!! いっいぐっ、いっくううう゛っ!!』
 激しく叫びながら、絶頂に至る桜織。その様は、全身が性感帯という男の言葉を見事に裏付けていた。


              ※


『少し、本当に少しで構いませんから、休ませてくださいっ!!』
 繰り返し男に抱かれながら、桜織は何度そう叫んだだろう。涙、鼻水、涎で顔を濡らし、震える全身にじっとりと脂汗が滲ませながら。
 そういう時、相手が取る行動は2つだ。黙殺してさらに悶え狂わせるか、口での奉仕を強いるか。口で奉仕する方が楽に思えるが、そうとも言い切れない。
『う、ぐっ、う……!!』
 桜織は、自ら逸物をしゃぶる時、舌を噛んで死にかねないほどに顔を歪める。おまけに、技術も拙いようだ。躊躇いがあるせいか、それとも体力が限界だからか。男を勃起させることはできても、射精には導けない。必死に口を窄めて顔を前後させ、いよいよ限界となれば、口を離して手で扱く。
『はぁっ、はぁっ、はぁっ……! お、お願い。イってください!』
 だが男は、そうした手の奉仕を嫌った。あくまで口での奉仕を強い、大抵は手で頭を押さえつけて喉奥まで咥えこませる。そうして散々に追い込んだ後、咽び泣く桜織を改めて犯すんだ。

 それは、11人目の男も同じだった。11人目といえば、後背位に絶対の自信を持っていた男だ。絶え間なくポルチオ絶頂を迎え続け、さらに感度が上がった桜織にとっては、絶望的な相手と言える。
 実際、セックスの映像はひどかった。
『んむ゛ぉおお゛え゛っ、ほごお゛っ!! ごも゛っ、ほんんおお゛えろえ゛っっ!!!』
 凄まじいえずき声が響き渡る。ディープスロートを強いられた桜織のものだ。他の人間のそれよりも声が酷いのは、逸物が独特の反り方をしているせいか。
 咥えるにはいかにも不向きな、上反りの“曲刀”。それを根元まで出し入れされる桜織の顔は、苦悶に満ちていた。逸物を吐き出して息継ぎをする時には、口の端から胃液が垂れていくのも映っていた。苦しいはずなんだ、間違いなく。
 だが、その地獄のようなディープスロートの最中、無情にも鈴の音が鳴り響く。咥えさせる男も、咥える桜織も、その音に反応を示した。
『ふむうごお、ぉ゛……っ!!!』
 半ば白目を剥きながら、不自由に何かを訴えようとする桜織。
『ははははっ、イキやがった! おいおいマジか委員長? 食道までチンポ突っ込まれて胃液吐かされて、それで気持ちいいんかよ!? ンな女子高生、ありえねぇだろ!!』
 大笑いしながら、清楚な少女の精神を引き裂く男。
 目も耳も塞ぎたくなる光景だ。桜織の心中を思うと、こっちまで胸が痛む。

 ねっとりと糸を引きながら逸物が抜き去られると、男は桜織に後ろを向かせた。また後背位だ。桜織も当然それを悟ったらしく、悲痛な表情で壁に手をつく。
『んふう……ン゛んーっ…………!!!』
 挿入を果たされただけで、桜織からは鼻を抜ける嬌声が上がった。そう、嬌声。そう表現せざるを得ないほどの甘い声だ。
『相変わらずのイイ声だな。さ、動くぜ』
 男は腰を引き、ゆっくりと腰を動かしはじめる。あれだけ歪に反った逸物なら、膣内のスポットをこれでもかと擦りながら最奥を叩くはずだ。そうなれば、今の桜織に耐え凌げるはずがない。
『……あ、駄目、駄目えぇっ!!』
 男が腰を使いはじめてからものの数十秒で、桜織は音を上げた。絶頂を示す音が響き、内股に閉じた脚がカクカクと震える。
『なにが駄目だ、まだまだこっからだぜ?』
 男はしゃんと立てと言わんばかりに、両手で桜織の下腹を抱え込む。
『あ、はぁう゛っ!?』
 鈴の音が鳴り、桜織が歯を食いしばる。もはや子宮付近を圧迫されただけで達してしまうらしい。さらに男が腰を打ち込み、パンパンという音が響きはじめると、噛み合わされた歯が上下に離れていく。歯を食いしばるのは耐える動作。大口を開けるのは放心の動作だ。
『どうだ、気持ちいいだろ!? バックからハメられて、もう堪んねぇんだろ!?』
『ふぐううっ!! た、堪りません……だから、だからやめてっ! 膨らんだ部分が、敏感なところに、擦れて……ふんぐうう゛っ!!』
『だろうな。イキまくって敏感になったスポットをたっぷり刺激してやれるぜ、俺のブツならよ! おらイケ、イケえッ!!』
 笑みを浮かべながら腰を打ちつける男。腹部を抱える手を必死に外そうとしながら、全身を震わせる桜織。完全に食う側と食われる側だ。
『はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!』
 肉のぶつかる音、湿った何かが掻き回される音。そこに混じる桜織の呼吸は荒い。まるで出産寸前のように。そして彼女は、思い切り背中を退けぞらせて天を仰いだ。
『あ、ふあ…………ああ゛っグウウゥウッッ!!!!』
 歯茎までも見えるほど歯を食いしばっている。どう贔屓目に見ても清楚な感じじゃない。だが、そう考える事自体が失礼に思えた。今の彼女に“らしさ”を保つ余裕がないことぐらい、子供だってわかるだろう。
『すっげぇ、子宮自体が動いてねぇかこれ? それともマンコイキの痙攣がココまで届いてんのかよ?』
 男は桜織の下腹を左右に撫で擦りながら、顔を横に向ける。桜織の唇が奪われたのは、その直後だ。
『あも゛ぅっ!? れあっ、あえ! ぃすあいやっ!!』
 舌を絡まされながら抗議する間にも、彼女は絶頂に追い込まれつづける。ようやく口を解放されれば、彼女は身体をくの字に折った。キスから逃れたい気持ちもあるだろう。だがそれ以前に、そういう動きをしないと耐えられない──そういう状態だったんだと思う。
『ひぃいいっぐいぐっ!!! イッでるい゛っでる゛!!!』
 総身を強張らせながらの絶頂。言わばそれは、悲鳴の嘔吐だ。それをするためには、人間は前屈みになるしかない。そしてそこから、大人びた雰囲気を持つ可憐な少女は、生き恥を晒しつづける。
 救いを求めるように壁についた右手、血管を浮かせて相手の腕を掴む左手。内向きに膨らんだまま痙攣する太腿に、水気の飛び散る股ぐら。どれもこれも悲惨といえば悲惨だが、一番心に来るのは声だ。
『はああっ!! くるし、苦しいっ!! ふうっ、ふうっ、はーっはーっ、はーっ……ッぐいくいくっ、ひぎいっ、いっでるううっ!!!』
 緊迫した呼吸音や悲鳴は、溺死寸前の記録かと思うほどだった。

 浴槽で溺死に近い姿を見せた桜織は、ベッドに移されて更に地獄を味わわされた。
 尻だけを高く掲げ、這い蹲る姿勢でのセックス。祈りでも捧げるようにシーツを掴む手を触れ合わせている様は、本当に育ちのいい少女という感じがする。だが下半身はそうじゃない。パンパンと肉のぶつかる音がするたびに腰が跳ね、腿の肉が膨らむ。その様は清楚どころかむしろ、セックス好きの娼婦という風だ。
『へへへ、身体は正直だな委員長。腰がびっくんびっくん動いてんぜ? 膣内(なか)も俺のチンコをぎゅうぎゅう締め付けてくるしよ。チンポの反りを、マンコにフィットするように矯正しようってのか? ったく呆れるな。突っ込まれるだけじゃ満足できずに、テメェ専用の肉バイブこさえようとするなんてよ、それでよく清楚ぶれたもんだぜ!!』
 男は桜織の腰を掴んで軽快に腰を打ちつけながら、上ずった声で謗る。慎ましい少女を狂わせている現状が、楽しくて仕方ないという感じだ。
 果たしてその悪意ある言葉は、桜織本人に届いているのか。
『あっ、駄目、駄目えっ!んあっ!あっ!あっ!あっ!!』
 腰を打ち込まれるたびに、どこか掠れた声で叫ぶ。時々はシーツを離し、顎から伝う涎を掌で掬って、どうしたものかと迷う仕草も見られた。だが、そのまま何度か絶頂させられれば、迷う余裕すらなくなる。せっかく上品に掬った涎をシーツに塗りつけ、這ったまま犯される獣に戻る。
『んんんっ、はぐぅううっっ!!!』
 ベッドでの絶頂回数約40回……トータル1804回目の絶頂を迎え、桜織はとうとうベッドに顔を伏せた。
『む゛う゛っ、ふむう゛う゛う゛ーーーっ!! ふむうう゛う゛ぅ゛う゛っ!!!』
 シーツに顔を密着させているらしく、呻きは押し潰された感じだ。その異様な呻きを発しながら、全力で頭上のシーツを掴み、全身を震わせる……その姿は、ひどく感情に訴えてくるものがある。悲痛だが、同時にひどく性的だ。
『おいおい、隠すこたぁねえだろ。皆大好物なんだぜ、オメーのアヘ顔とヨガり声が!』
 男はそう言って、桜織の三つ編みを引っ張る。シーツと太い唾液の糸で繋がれたまま、桜織の顔が持ち上がっていく。
 その顔を見て、俺はゾッとした。柔和な雰囲気を持つ大和撫子──そのイメージと、あまりにかけ離れていたからだ。柔和どころか、おどろおどろしい。青ざめた顔のまま上方を睨み上げるその面持ちは、幽鬼の類に見えてしまう。
『おねがい・・・もうイカさないで、ください・・・。イってると、息ができなぃ・・・しっ、死んでしまいます・・・・』
 声も普段とはまるで違う。テープに残された死者の声、という風だ。彼女は、本当に死と生の境目にいるのかもしれない。
 だが11人目の男は、そんな命乞いに耳を貸そうともしなかった。
『俺にバックでやられまくると、ウチの嫁もよく言ってたわ。死んじゃう死んじゃう~ってよ。だがアイツ曰く、そこ超えたら一気に天国が来るらしいからよ、まあ辛抱しとけや』
 あくまで落ち着いたままそう給うと、桜織の両手を掴み上げ、馬の手綱のように引き絞る。
 奴はとぼけているんだろうか。何度となく発情料理を食わされ、膣内外の性感帯を嫌というほど開発された上で、50人に休まず犯される。その快感を、単なる夫婦間のセックスと比較できるわけがない。あの慎ましい桜織が死ぬと騒ぐなんていうのは、紛れもなく一大事だ。
『ああ゛、あ゛!!はあ゛あ゛っ!! すっ、すごい波が……! こ、こんなの私……いく、いく……ひいいっぐいぐ!!!』
 血走った目で虚空を睨み上げ、涙を零しながら悶え狂う桜織。異様には違いないが、その瞳には妙な光が生まれはじめていた。不健全な顔色に、ギラついた瞳……まるで薬中だ。立て続けの絶頂で脳内麻薬が出すぎているんだろうか。
 “オーガズム・クライマックス”──逝き続けた果てにある、究極の快感。手越のその言葉が頭に浮かぶ。
『あぐううっ、んぉおっ!! はああぁーーーあアアッ!!!』
 桜織から、また“らしからぬ”声が上がる。両腕を引き絞られて前を向かされる彼女は、10秒以上にも渡って白目を剥いていた。あまりに膨大な快感で脳が焼ききれないよう、自ら気絶しようとしているんだろうか。
『おぉい、シャンとしろよ嬢ちゃん!!』
 男が怒鳴りつける中、桜織は顎をベッドに沈み込ませる。失神したように見えるが、どうやら気を失いきれていない。カクカクと全身を震わせて過呼吸に陥った末に、とうとう頬を膨らませる。
『はっはっはっ!はーっ、はーっ……っぐ、ごほっ…ええお゛っ!!』
『お、オメー吐いてんのか!? はっは、どんだけだよ! 走りすぎてゲロった奴なら見たことあるが、イキすぎて吐く女は初めて見るわ!』
 男は、桜織の嘔吐を重くは捉えない。ゲラゲラと笑いながら、汗みずくで腰を振りたくる。
『ま、イキっぱってのはキツいだろうがよぉ。俺らも借金の棒引きが掛かってんだ。ガンガン逝ってもらわねぇと……なあっ!!』
『ふん、はぐう……っ!!!』
 男は今一度奥を突いて桜織を絶頂させると、逸物を引き抜いて精液を撒き散らした。何度も射精しているせいで、色はない。透明な飛沫が、肉付きのあまい尻に浴びせかかる。
『ふーっ。どれどれ、カウントはっと……お、100超えてんじゃん! 50万ちょいの減額ってとこか。はははっ、いいねいいねぇ。ご馳走さーん!!』
 モニターを見てほくそ笑む男と、虚ろな瞳で横たわる桜織。それは、肉食獣と草食動物が居合わせた結末さながらだった。


              ※


 次は12人目。1巡目では特殊なディルドーを持ち込み、ひたすら道具責めを仕掛けていた男だ。こいつは2巡目でも、やはり道具責めに拘った。
 ベッドに突っ伏す桜織の背後に回り、その割れ目へとディルドーを沈み込ませる。その状態でさらに、ディルドーの底の部分へとマッサージ器を宛がう。それはつまり、マッサージ器の圧迫でディルドーを固定しつつ、その強烈な振動を敏感な部分に浴びせる事を意味する。
 桜織の表情が、恐怖で凍りついた。
『あア゛ーーっ!! あぐ、ぐひいいっ! 奥がっ、奥が痺れるうっ! いっぎぃい゛い゛っ!!イグゥーーッいぐっ、駄目ええ゛え゛っ!!!』
『あはははっ、すごい反応! あの清楚で物静かな子が、こんなにギャンギャン騒ぐようになるなんてね。所詮、高潔だの何だの言ったって、快楽に勝てる人間なんていないんだろうね。ほーら、どんどんイっちゃえ! 女のコとしての価値は下がっちゃったけど、キミがイクたびに俺らの借金が減ってくんだよ、金の卵ちゃん!』
 男はクリトリスを撫でたり太腿に触れる嫌がらせを交えながら、マッサージ器でディルドーの至る所を刺激しつづける。そしてそれは、桜織を絶え間ない絶頂へと導いた。鈴の音はリンリンリンリンと立て続けに鳴りっぱなしだ。もはや音というより警報に近い。ある意味、桜織という少女が壊れる予告か。
 かなり前から余裕を失っていた桜織は、ここでまた正常から遠ざかる。
『イグイグイグイグッ!!! だめ、駄目駄目ええっ!!!』
『ふーん、何がどうダメなの? キモチよすぎちゃう?』
『はっ、はっ、はっ、はっ……い、イってる最中、まだイッてる最中なんです! イッてる最中にイッたら、息、できないって……言ったじゃないですか!!』
『いや、それ言ってたのさっきの奴じゃん。なに、相手が変わったのも気付いてないの? なんかショックだなあ、存在否定されてる感じ。ムカついたから、ちょい休憩させてあげようかと思ったけどナシね!』
『そ、そんな! お願いです、休ませてください!! 本当に息が苦しくて、頭真っ白で……おかしくなりそうなんです!』
『別になってもいいじゃん、エロそうだし。ほーらほら、ここでしょ? 不良になっちゃえよ、委員長!!』
 男には一片の情けもない。桜織の腰の動きを観察し、巧みにマッサージ器を宛がう角度を変える。それは見るからに効果的だ。ボロボロに腐食した桜織の『芯』を突き崩すには、充分すぎるほどに。
『はお、おおお゛っ!! いぐっいぐ……んひいいい゛い゛ぃ゛ッ!!!!』
 馬の嘶きのような声がした後、桜織が暴れだした。
『ちょっ!!』
 男が手で抑えようとするが、死に物狂いの脚力にあっさりと弾き返される。細長い足は、宙を掻き、ベッドを蹴りこんで凹ませ、反発の勢いで身体そのものをベッドから転落させてしまう。尻から床に落ちた後には、綺麗な放物線を描いて失禁が始まった。カメラの死角でよくは見えないが、放心したまま鼻水を垂らす、ひどい表情をしているようだ。
『スゲー! ションベンが洗面台にホールインワンだ!』
 12人目の男は手を叩いて笑い、桜織を引き起こすために右腕を掴む。その瞬間だ。
『いぃいひっ!!』
 桜織が妙な声を出し、同時に鈴の音が鳴り響く。桜織が絶頂したんだ。腕を掴まれただけで。
『……え、今イッた!? イッたよね、腕掴まれて! ははははっ、そんな敏感になってんの? やらしすぎでしょ委員長ぉ!!』
 男の口元に笑みが広がった。奴は桜織をベッドに引き上げると、背後から抱きつく形で身体中を弄りだす。尖った乳首を指で挟み、太ももを擦り、脇腹を指先でなぞり。
『ふあ、はっく! へ、変な所を触らないでください!!』
 桜織の反応は大きかった。身体中のどこを触られても、艶かしく身体をくねらせ、眉根を寄せる。性的に昂ぶっていることは疑う余地もない。
『嘘ばっかり。嬉しいくせに!』
 男がそう言って片手を掴み上げ、晒された腋に口をつけた。さらにそのまま、ちゅうちゅうと音を立てて吸い付けば、
『んゅいいっ!!』
 初めて耳にする喘ぎ声と共に、リンと鈴の音が鳴る。
『ほーら、イッた。気持ちいいんじゃん、腋マンコ!』
『ち、違いますっ!!』
『違わないって。だってイッたじゃん、汗まみれで本物のマンコ並にくっさい腋舐められてさぁ!』
『い、嫌ああああっ! 違う、私……違うっ!!』
 桜織は顔を覆って泣き出した。最初の頃の彼女では考えられない反応だ。小柄でおっとりしているが、芯の強い大和撫子。だがその芯が、もう支えの役割を果たせていない。カメラの向こうで肩を上下させて涙しているのは、見た目相応の幼い少女だ。
 嘆く少女を前にしても、やはり男に同情の色はない。それどころか、震える華奢な身体を見て、生唾を呑む。
『あー、ダメダメ。涙は女の武器とかいうけどさぁ。俺みたいなのは、カワイイ子が泣いてると……興奮しちゃうんだよね』
 奴はそう言って桜織を突き倒すと、洗面台の下から布巾を取り出した。さらにその布巾で桜織の股を覆い、マッサージ器のスイッチを入れる。
『うあっ!!』
 布巾越しにマッサージ器を宛がわれた瞬間、桜織が悲鳴を上げた。
『ひひ、凄いでしょ。こういう風にやると、振動がアソコ全体に伝わるんだってさ』
 男は笑みを浮かべたまま、マッサージ器で割れ目をなぞっていく。菱形を作る桜織の足が、ピクピクと強張る。
『はああっ、ダメ!これ、全部痺れて……い、いい゛っちゃう゛……!!』
『おーっすごい、もう布巾が濡れてきたよ』
 男の言葉通り、布巾はほんの数十秒で鼠色に変色していく。布巾が乾いているうちは、マッサージ器の音もかなり殺されていたが、濡れてくるとビジジジジという妙な音が響き渡る。その音がさらに酷くなる頃、布巾の下から急にせせらぎのような音がしはじめた。
『うーわ、また漏らしてんじゃん!!』
 事実に真っ先に気付いたのは、責めている男だ。割れ目から布巾が取り去られれば、黄色く染まった布から無数の雫が滴り落ちた。
『はぁっ、はぁっ……も、漏らして、ません……。』
 桜織にはもう、愛液があふれる感覚と失禁との区別もつかないらしい。赤らんだ顔で大真面目に否定してみせる。
『いやいや、ジョバジョバ出てんじゃん。これマン汁っていうのは無理だよ? 広範囲が痺れてフワーッとなっちゃうのは解るけどさ、ちょっと緩すぎじゃないの』
 そう言いながら奴は、濡れた布巾を改めて割れ目に宛がい、マッサージ器でなぞりはじめた。途端に飛沫が上がり、ぶじゅるるぶぶじゅうっ、という酷い音が立つ。
『うくうっ!! び、敏感になってるのに……っ! はぁあっ、だめ! また、出てしまいそう!!』
『おっ、また腰がビックンビックン跳ねだした。足がスラッと細長くて小学生っぽいから、背徳感がヤバイなこれ』
 男は上機嫌でマッサージ器を動かしつづける。
『いくうっ、いぐいぐいぐっ!! はーっ、はーっ……イッてるっ、またすごいイッでる゛う゛っっ!!!』
 桜織は、早くも余裕をなくしていた。何度もダウンしたボクサーが打たれ弱くなるように、何度も限界に追い込まれた桜織は、今やほんの数秒で顔を歪ませる。身体の反応も惨めなもので、潰れたカエルのように広がったまま痙攣する脚は、直視が憚られるほどだった。そんな桜織に、男が囁きかける。
『どう、気持ちいい? 口に出して言ってみなよ、気持ちいいんでしょ? クリも、ビラビラも……オマンコ全部でイッちゃうんでしょ!?』
 桜織は前後不覚に近い状態だ。判断力はほとんどない。だから彼女が口を開いたのは、ほとんど反射に近い行動だったはずだ。
『んぎいっ、ひいいぃっ!! は、はい、オマンコでイキます!!』
 その言葉が叫ばれた瞬間、男の顔には満面の笑みが浮かんだ。桜織はしばらく喘ぎ、数秒ほどしてから、はっと目を見開く。自分の行動にようやく気付いたという風だ。
『あっはははっ!! そっかそっか、“オマンコ”でかぁ! やー、まさかキミからそんな言葉が聴けるなんてなあ!!』
『ち、違うんですっ! 私は、あそこと言いたくて……!』
『いいや、確かにオマンコって言った。隠さなくていいじゃん、オマンコでしょ? オマンコでイキます、ホラもう一度言ってみな!』
 男はしてやったりという笑みを浮かべながら、桜織を追い込んでいく。
『…………いぃいぎ、ひぎい……いいっ!!』
 桜織は歯を食いしばるが、絶頂を止められない。
『ほらほら、言うまでやめないよ! オマンコでイキます、って言ってみな!!』
『はぉおおんっ、わ、わかりました、わかりましたっ! お、オマンコでイキます、ずっとオマンコでイってますっっ!!』
 鈴の音、水しぶきの音、バイブの羽音。もはや環境音と化したそれらに混じって、恥辱の宣言がはっきりとマイクに捉えられる。
『そっかそっか、オマンコでか、あははははっ!!! よーし、じゃあそろそろナマのチンポもやるよ。結局セックスってのは、性器同士の触れ合いだからね。オマンコイキするには、チンポが一番でしょ!』
 男はマッサージ器の電源を切り、雫の滴る布巾と共に放り捨てて、桜織の足首を掴み上げた。そして刺激の余韻で開閉する割れ目へと、反り勃った逸物を沈み込ませていく。
『ひいっ、お、奥っ……!!!』
 桜織は歯を食いしばり、挿入部分を見上げる。引き攣った表情ばかりの中で、久々に愛らしいと思える表情だ。だがそれは、間違っても状況が改善したということじゃない。女性器の表面を嬲る責めから一点、子宮口を突く責めに変わり、表情が凍りついただけだ。
 入口付近への嬲りが一種の“焦らし”となったのか。奥を突かれはじめてからの桜織の反応は、それまでにも増して激しかった。
『はぁっ、はぁっ、はぁっ! へぇっ、へぇっ、へええっ……!! えへえぇっ、えく、いきそ、いきそう、イくっ! いいいイグウうう゛ーーーっ!!!』
 荒い息を吐くだけに留まらず、犬のように舌を突き出し、ぼうっとした顔で絶頂を宣言する。ほとんど思考が働いていない様子だ。
『はっは、いい顔だ! よーし、どんどんイけ。イってイってイきまくって、俺の借金減らしてくれよ!!』
『へぇぇっ、へえぇぇっ……! お、犯してもいいから……少しだけ、寝かせてください。あ、頭が、ぼやけて、ガンガンして……ほ、本当に……おかしくなる……』
『だからぁ、なっていいんだってば。そこ頑張んなくていいから。オマンコで絶頂する事だけに集中しときなー。それ以外の事なんて、考えなくていいの。ほーら、オマンコでイクって言ってみな。オマンコでイク、はい!!』
 男は桜織の哀願に耳を貸さず、ひたすらに自分の都合を押し付ける。ずっとそうやって自分本位に生きてきたんだろう。だから借金を背負って底辺にいるんだ。その点、桜織は違う。優秀で、真面目で、誠実で。間違いなく上流のレールに乗れる、宝石のような子供だ。いや、子供“だった”。
 だがその彼女も、とうとう壊れはじめている。
『へぇっ、へぇっ、へぇっ……お、おまんこで……オマンコで、イキますっ!! オマンコでイってますっ!!』
 舌を突き出し、眉を下げ、媚びるような表情で上目遣いになりながら、相手の要求に粛々と従う。
『いいねぇ、メス犬って感じ。お勉強ができる優等生だけあって、よく似合ってるよ? ほーら犬、“待て”だ。勝手にイクんじゃないぞ?』
 男はいよいよ調子付き、奥まで挿入したまま腰で円を描きはじめる。
『ひぐっ、う゛ん゛っ! や、襞が、捩れて……!』
『気持ちいいんでしょ? さっき気付いたんだ。マッサージ器でディルドーの底押し込むより、ディルドーの横っ腹に宛がってる時のが反応良かったからね。こりゃ、チンポでねっとり掻き回したら相当効くなって。ほぉらイクなよ? イっていい時はイっていいって言うから。勝手にイったらお仕置きだぞ!?』
 そう釘を刺されても、桜織の引き攣った顔が限界を物語っている。結合部から粘ついた音が立つ中、硬く閉じあわされた口が開く。
『ひいい、いい……も、もうだめ!! いく……お、お……ぉほお゛お゛お゛っ!!!』
 清楚さとも愛らしさとも程遠い、「おお」という声。快感の凝縮した、これ以上なく正直な喘ぎ声だ。
 ここしばらく無音だったモニターから、リン、と冷たい音が響く。
『あーあ。“待て”って言ったのに、勝手にイっちゃって』
 男はわざとらしく舌打ちして桜織を睨む。
『はぁ、はあ……すみません、我慢、できなくて……』
 桜織は鼻の横に珠の汗を伝わせ、申し訳なさそうに弁明する。
『ダメだ、お仕置きいくぞ。ハンバーグみたいに捏ね回してやる!』
 男はそう言って桜織の足首を離し、両脚を自分の左右に下ろさせる。その状態で腰を掴んで、改めて腰をうねらせはじめた。音が変わる。みちゅう、むちゅう、という、まさしく挽肉を捏ねている時の音が立ちはじめる。粘膜が密着しあう膣奥の状況を、生々しく伝える音だ。
『おーっ、すごい。改めてじっくり触ると、子宮口が開発されまくってぶよぶよだなあ。これさぁ、ちょっと子宮の口開いてない? さっきから、先っちょが穴みたいなのに嵌まるんだけど。子宮口の横に嵌まってるだけかな』
 男はのんびりとしたもので、ひたすらに感想を呟きながら腰を蠢かす。逆に桜織の方は息つく暇もない。
『おほおおぉっ、お、おく、おくうッ!! んぐっ、い、イクッイクーッ!!』
 口を尖らせたまま目を見開き、腰をカクカクと上下させる。細い手足はしっかりと曲線に膨らみ、蜘蛛の足のようにシーツを掴んでいる。そうしないと激流に流されるとでも言わんばかりだ。
『うわああ気持ちいいーっ、襞がめっちゃ絡み付いてくる! 逃がさないって感じ? 嬉しいけどさぁ、間違えて消化しないでよ、俺のチンポ』
 男は歓喜の声を上げながら腰を揺らす。責めというより、あまりの快感に腰が震えたという風だ。それがトドメになったのか、男は桜織の腰を掴んだまま、目を瞑って天を仰ぐ。
『あ、中にっ! 子宮の中に、入ってくるぅ……っ!!!』
 桜織の言葉から察するに、子宮入口に亀頭を宛がったまま射精しているようだ。
『あー、ホント? やっぱここ子宮口なんだ、俺のションベンの穴くらいは開いてるよやっぱ。ああーー、すうっげぇ気持ちいい。出し入れしなくてもこんな気持ちいいんだな、襞が絡み付くと……』
 男はうっとりとした口調と顔で、射精の快感に浸っている。奴にとっては極楽だろうが、桜織にとっては地獄そのものだ。
 そしてその地獄は、まだ終わらない。未だ2巡目の12人目。折り返し地点すら、遥かに遠いんだから。


              ※


 12人目の男を迎えた後は、5分の食事の時間が挟まれる。そこでの桜織は、“かろうじて”時間内にスープを飲み干せた感じだった。
『はぁ、はぁ、はぁ……げほっ、ごほっ!!』
 常に息が荒く、何度も噎せる。そもそも全身が凍えるように痙攣していて、銀食器を掴むことすらままならない。しかもその痙攣は、スープを飲み干した直後から更に酷くなる。
 そんな桜織を相手に、男共は一切容赦をしなかった。正常位、騎乗位、後背位、側位、駅弁……各々がやりたい体位で桜織を犯し抜く。桜織が過呼吸に陥っても、意識を失っても腰は止めない。
『悪いねぇお嬢ちゃん。オジサンもこんな事したくないんだけどさ。お嬢ちゃんをイカせまくらないと、借金が減らないんだよ!』
 そう嘯く奴もいたが、その表情を見れば、桜織とのセックス自体を愉しんでいるのが丸解りだった。
 一方で、受ける桜織も必死だ。
『口でしますから! 気持ちよくなるように、頑張りますから!』
 そう哀願して、自ら逸物をしゃぶる場面も多く見られた。ポルチオばかり責められてはもたないため、口を使うことで少しでも負担を減らそうというんだろう。だがそれも大した効果はない。散々喉奥を使われて呼吸を乱された上、相手が完全な勃起状態を取り戻し、もっとも硬く大きい状態で膣を犯されるだけだ。
 しかも男共は待機中に酒盛りをしているらしく、動画が進むにつれ、酔いの回った赤ら顔が多くなっていく。女日照りの連中が酔って理性を無くすということは、ますますセックスに容赦がなくなるということだ。

『ほぉらあ、この角度で責められるのがイイんだろぉ? 腰逃がすんじゃねーぞ、突き込みは全弾子宮の入口で受け止めるんだぞぉ!!』
20番目の男は大声で叫びながら、桜織の両脚を抱え上げた。背面騎乗位でそれをやられれば、結合部しか接点がなくなる。1人目の男の時と同じく、膣奥への圧力に自重がプラスされてしまう。
『あぐうっ!! ふ、深いっ!!』
『はははははっ、すんげぇ締まりだ! 気持ちいいんだろ、ええ? 自由が利かねぇまんまハメられて、感じちまってんだろ!? いいぜ、好きなだけ感じろよ! 良い子ちゃんのレールに乗ってるより、コッチのがよっぽど刺激的だぜ!?』
 泥酔時特有の大声で喚きながら、桜織の腰を上下させる男。その腰の上で桜織は、また断続的な絶頂へと追い込まれていく。
『ひっ、ひっ……! いぎっ、ぎいぃぃっ……あああああっ!!!』
 恐怖に顔を歪ませていたのは、最初の数十秒だけ。そこを越えれば、桜織の顔は弛緩していく。
『ひいっ、ひいぃっ!! お、奥が、潰れてっ! いくイクっ、ふぐうぅっ!!!』
『くひひひっ、いいぞおっ、どんどんイケ! 自分を解放させてみろ! ほら、ばんざーい、ばんじゃーい!!』
 男は呂律も回らないほど酔いながら、桜織の両手を掴んで上へ持ち上げた。それによって、前屈みだった桜織の背筋が伸びきる。直後、桜織はぐるりと白目を剥いた。
『ひいいっ! あ、頭が、また……白んで……!!』
 うわ言のようにそう呟きながら痙攣する様は、本当に見ていて不安になる。脊髄をスムーズに駆け上った電流が、彼女の尊い脳を焼き焦がしている。そんなイメージが浮かんだ。
『いいぞ、そのまんま狂っちまえ!!』
 男は天を仰ぐ桜織の顔を横向かせ、唇を奪う。桜織にはもうそれを拒む元気がない。ちゅっ、ちゅるっ、という音が新たに加わり、桜織の全身が痙攣した。
『あっ、はっ、はぁっ、あっ!! かっ、感じすぎちゃう! もう本当に、休ませて、寝かせて、くださいっ!』
 絶え間なく男に抱かれ、休む間もなく絶頂し続ける桜織。その顔は、ある瞬間には安らかだが、また別の瞬間には恐怖に歪む。
『もう無理もう無理もう無理いい゛い゛っ、いいいやああ゛あ゛あ゛っ!!!!』
 桜織の背中が仰け反った。彼女の顔はこの瞬間、決定的に崩れる。見開かれた瞳が上瞼に隠れ、ヒューヒューと細い息の漏れる口が縦に開く。挙句に全身の痙攣もベッドを軋ませるほど激しくなるんだから、どう見ても普通じゃない。 
『そうか無理かよ! ここが弱点か、ポルチオが気持ちいいのか、ええ!?』
 男は激しく腰を突きあげながら、桜織の下腹に手を宛がってグリグリと押し込んだ。桜織の細い腰が揺れ、白い歯が噛み合わされる。
『んぎぃいっ、ひきいいいいぃぃーーーーっ!!!』
 部屋に響き渡る絶叫は、もう人間の悲鳴と思えない。古い木のドアが軋む音のようだ。
 そうして壊れつつある桜織を前にしても、男共がブレーキを踏むことはない。


 次の番の奴は、カメラに見せつける体位を選んだ。2人して床へ立ったままでの開脚セックスだ。この体位なら股が180度近く開くから、結合部が丸見えだ。赤黒い逸物が真っ赤な割れ目に出入りする様、愛液が桜織の軸足を伝う様。どちらにも息を呑むような生々しさがある。
 桜織にしてみれば、片足首を担ぎ上げられてY字バランスを強いられる形だ。どう考えてもキツいに決まっている。だが彼女の反応を見る限り、股裂きの苦しみは二の次のようだった。
『あああっ、そこ、奥!奥ぅっ!!だめ、感じちゃう……くはあぁっ!! ほっ、ほっ、ほっ、ほっ……おおおっ!おほっ!ほぉおおおうっ!!!』
 瞳孔が開き、短く速い呼吸を繰り返しながら喘ぐ桜織。口の端から垂れる涎も凄い。明らかに普通じゃない。桜織に近しい友人にこの場面を見せても、彼女だと気付けるかが怪しいほどに。
 飲精の時にも、そう感じたことはあった。だがあの時は、力任せに顔を変形させられたり、顔中が精子塗れだったから彼女と判らなかったんだ。今とは意味が違う。今の桜織は、誰かに顔を掴まれているわけでも、顔が何かに覆われているわけでもない。彼女の表情筋そのものが、不自然に変形しきっているんだ。
 と、ここで、入口のドアが開く。姿を現したのは手越だ。
『え、もう時間っすか!?』
 男が目を丸くするが、手越は笑いながら首を振る。
『いいや。いい頃合いだったんでな、直で見たかっただけだ』
 手越はそう言って、洗面台にしがみつく桜織に視線を移す。
『すげえツラしてやがる。芯の強ぇガキでも、この歳で快楽漬けにされりゃこうなるか』
 その言葉に、桜織が反応した。眼球を横に動かし、鏡越しに猿山のボスを見つめる。だがよく見ればその視線は、正確に手越を捉えてはいなかった。見つめる先は、その後ろ……開け放たれたドアだ。
『別に、逃げても構わんぞ』
 手越は鏡の中の桜織を見つめながら、そう告げた。
『え……?』
『な、ちょっと!』
 桜織と男が目を見開く。だが男の方は、手越の顔を見て何かを悟ったようだ。
『ああ、確かにそうだな。トンズラこくのもいいんじゃねえか? こうやってハメられんのが、そんなに嫌だってんならよ!!』
 そう言いながら、繋がったままで床を移動する。向かう先は出入口の間際だ。
『ほら、手越の旦那からも許可出てんだ。逃げてもいいんだぜ?』
『くぅあっ!!』
 男が腰を打ち込むと、桜織は悲鳴を上げながらドア枠にしがみついた。その足は床を踏みしめ、出入口の境界線を越えようとはしない。いや、できない。耐え抜いてみせる──彼女はそう宣言し、級友の身代わりになる道を自ら選んだんだから。
『なんだ、逃げねぇのか? ってこたぁ、もっともっとハメられてぇって意味だよなあ!!』
 桜織を犯す男は叫びながら、後背位で激しく腰を使う。
『はぐうっ、んぐうっ! かはっ、アッ……ぁがあああっ!!』
 悲痛な呻きが漏れた。密室ではなくなった以上、反響してはいないのに、はっきりとマイクに拾われている。
 その声量も、彼女の足元を見れば納得できた。男との体格差か、異常なまでの突き込みのせいか。伸びきった桜織のつま先は、完全に床から浮いてしまっている。
『すげぇ、カラダ浮いちまってんじゃねぇか。そこまでになっても逃げねぇなんて、よっぽど気持ちいいんだな』
 手越はドアの外から痴態を眺めつつ、さらに煽る。鈴の音が鳴り響く。
『きおちよくなんれ、ありまぁせん……。ら゛ってわらひは、きもちよくなってひるばあいれあ、ないんれす…………!! みんなを、たすけ、ないと……きもちおくらんか…………おく、らんか…………』
 桜織の反論は聴き取りづらい。口から絶えず零れる唾液のせいならいいが、脳が焼き切れつつあるのかもしれない。なにしろ、決死の覚悟を口にする彼女の顔は、どう見ても引き攣った笑みを浮かべているんだから。

『ほおっ、おっほおおおっ…………!!』
 その次の映像では、桜織の声はさらに清楚さからかけ離れていく。彼女が強いられているのは、開いた入口の間際での立位。挿入したままアソコを擦りつけあうようなセックスだ。
 不自然な体勢だけに、挿入は浅い。男の逸物がだいぶ外に露出しているのがその証拠だ。いくら子宮が下りているとはいえ、ポルチオまで届いているとは考えづらい。にもかかわらず、桜織は狂うのを止められていなかった。
『いひいっ、ひいっ!! その角度ぉっ……だめえっ!! あぐうっイク、またいくうっ、いっくぅうっ!!!』
 ぐじゅっ、ぐじゅうっという音を立てながら腰を擦り付けられるたび、桜織の腰もうねる。うねりの幅は大きい。反射で腰を引くというレベルを超え、自分から快感を貪るような、ゆったりとした円を描いている。そうとしか見えない。
『はははっ、こりゃスゲェな、10コぐらいの舌でチンポ全体を嘗め回されてる感じだ! 高ぇソープでもこんなの経験ねぇや。どうやったらここまでヤラシーまんこ使いができんだよ? そんなに気持ちいいのか、オイ!!』
 男は興奮気味に叫びながら腰を蠢かす。むしろこっちの方が快感に対する反射反応に近い。
『はぁっ、はぁっ……き……気持ちいい、気持ちいいですっ!! こ、こんないやらしいセックスで、嫌なのに……ダメなのに!こ、こんなに良いなんて……!ふぁあああ、あーーーっ!!』
 桜織は、見開いた瞳からボロボロと大粒の涙を零していた。快感を訴えているが、内容的に言わされたものとは思えない。鈴の音の狂ったような鳴り方からも、実際に絶頂し続けているのは確実だ。言葉も身体も、抵抗を諦めた。遅い来る快感の大波に、流されることを受け入れた。そう見える。
 ただしその小さな手はドアを掴み、外に出ることだけは防いでいた。
 他人を巻き込まないこと。
 責任感の強い少女が、自分よりも優先させたのは、その矜持だったらしい。


              ※


 彼女は狂っていく。
 部屋の外にぞろぞろと集まる男達に、快感の声を届けながら。
『はっ、お……おオオ゛ッ、あああおお゛オ゛オ゛っ!!!』
 これは、正常位で男と交わっている時の声だ。男と向き合いながら、声を殺し、澄んだ瞳で相手を見据えていた少女はもういない。
 声楽の、それも低音部を担当するような声を響かせ、全身を痙攣させるばかりだ。多分この時の彼女は、また全部を諦めきってはいなかったんだろう。そうやって喉も裂けんばかりの大声を出すことで、蓄積した何かを発散させようとしていたんだと思う。
『あーっもう、うるせーよ!!』
 犯す男は顔を顰めながら、右手で桜織の口を塞ぐ。それは大量に噴き出す炭酸ガスを、強引に閉じ込めるに等しい行為だ。その結果行き場を失ったエネルギーは、桜織の肉体を駆け巡る。
『んもぅうう゛、うむ゛っ!! うむ゛ぅうう゛おおあ゛お゛ーーーっ!!!!』
 桜織は暴れた。大股開きの腰を跳ねさせ、シーツを鷲掴みにし、脳天を深々とベッドに擦り付けて。窪んだような眼光の中、ギラギラと光る黒い眼差しは、脳内麻薬で深くトリップしていることを窺わせる。
 モニターの数字に目をやって、俺は目を疑った。
 現在カウント116、トータルカウント5403。
 それがすべて正確にカウントされているなら、人間の脳が焼ききれたとしても、何の不思議もない。

 口を覆う手が離された時、桜織の顔には微笑が浮かんでいた。和やかな顔に見えた。だがそれは、痩せた土地にいきなり一輪の花が芽生えたようなもの。事情を知る人間から見れば、不気味でしかない。
『なんだ、笑ってんのか? 俺のがそんなにいいのかよ? ま、気持ちよくて気持ちよくて、今までにねぇぐらいバキバキに勃起してっからな、ヤリマンにゃ堪らねぇかもな!! ほら。俺のデケェのが、今どこまで入ってんだ?』
 桜織を食い物にする男は、軽薄な笑みを浮かべながら腰を使いつづける。
『あっ、はっ、はっ……こ、ここ!! ここまで、入っれるぅ……!!』
 桜織も笑みを浮かべたまま、臍より上を人差し指で押さえた。ありえない。そこは子宮口どころか、子宮そのものの位置よりも上だ。男の逸物のサイズから考えても、そんな場所まで到達するはずがない。頭の良い彼女らしからぬ答えだが、彼女は本気でそう感じているようだった。
『ああっ、イク……おまんこでイクッ!! あはぁっ、はああっ!! また、またきたあっ!! おくっ、奥でいくう゛う゛っ!!!』
『へへ、すんげええ! こんな嬉しそうにマンコ舌で舐りまわされちゃ、俺も限界だ。6発目、また中に出すぞっ!!』
『はっ、はっ、来て! どろっとしたの、流し込んで!! 奥にどろどろ来ると、膣が勝手に動いてすごいの! 頭ビリビリして、まっしろになっちゃうぐらい、気持ちいいからぁっ!!』
 顔中に汗をかき、目だけを爛々と輝かせながら、2人の動物が快感を貪りあう。そして桜織は、笑顔のままで受精した。
『きた、きらあぁっ!! はぁ、はぁ……はああぁああっ!!』
 歯を食いしばって白目を剥く。脳髄までを白く染め上げられる喜びに、彼女は涙を流しながらうち震えていた。そしてその頭上では、無機質なモニターが絶頂数をカウントしつづける。4桁におよぶトータルカウントの先頭は、とうとう8に変わっていた。

 その後も映像は続いているが、もはや観る価値もない。すでに点と点はすべて繋がっている。過去記録の下段、『LIVE』と銘打たれた映像は、今の流れの延長上でしかない。

『おほっ、お……おおぉっ!! おっほぉっ、んおおお゛お゛おお゛っ!!!』

 這う格好で犯されながら、桜織は凄まじい雄叫びを上げつづける。格好も、声も、舌を突き出した顔つきも、どれもが人間よりケダモノに近い。
 いっそケダモノだと断じられれば楽だが、そうもいかなかった。産まれてからずっと丹念に磨かれてきた珠の肌は、くすんだとはいえ綺麗だ。
 おまけになんだか、ボディラインまで官能的になっている。最初の動画では、よく言っても華奢、悪く言えば貧相という感想しか抱けなかった身体。だが今、ベッドに這う彼女の肢体は、少女趣味ならずとも勃起させる妖しさがある。手足が細長いのは変わらない。胸が劇的に膨らんだわけでもない。だが、そこにあるのは紛れもなく“肉”。すごく柔らかそうで、掴んで貪りたくなる“肉体”だ。
 それを実際に貪る男もまた、理性は溶けているようだった。半開きの口から涎を垂らしながら、言葉とも喘ぎともつかない声を発し、ひたすらに腰を打ち込んでいる。まるで女に飢えきっていた1巡目への逆戻りだ。



 ディスプレイの世界から現実に戻り、耳からイヤホンを外すと、映像内の声がそのまま聴こえるようになった。

『もっと犯してっ、もっと突いてっ!疼いて疼いて、堪らないの!犯されてる時だけが幸せなのっ!!あっ、あ、また……イクッ!!くんんっ、いくいくいく!!イグーーーッ!!おまんこでイっちゃう゛う゛うう゛う゛ーーっ!!!』

 下劣な言葉を叫び散らしながら、擦りガラスの向こうで影が動く。犯している男のシルエットは変わっているが、這い蹲る女に変わりはない。男のそれよりも遥かに華奢で、小柄で、艶かしい動きをする影だ。
 俺がこの施設に来てから、今日で10日目と少し。今は250時間強というところか。336時間耐え切るには、あと80時間……丸三日以上もあのままでいなければならない。
 そして彼女は、それをやりきるだろう。部屋から引きずりだそうとしても、全力で抵抗するに違いない。彼女の願いはきっと果たされるはずだ。


 その根底にあるものは、責任感とも、悲痛な覚悟とも違うだろうが。
 
 
 

二度と出られぬ部屋 第四章 オーガズム・クライマックス(中編)

※長いため、前・中・後編に分割します。こちらは中編です。



■第四章 オーガズム・クライマックス(中編)


 最初の動画を見終えた俺は、ひどく喉が渇いていた。緊張かストレスのせいだ。モニターのコップアイコンからドリンクメニューを開き、コーラを頼むと、わずか一分ほどでグラスが運ばれてくる。
「お待たせしました」
 マイクを介さない肉声など、ずいぶん久々な感じだ。コーラを煽ると、刺激的な冷たさが喉に染みるが、その感覚すら懐かしい。たかだか2時間あまりの映像を見ただけだというのに、もう何日もここに座り続けている気がする。
 加虐映像を娯楽と捉えられない俺に、【ノーカット版】は毒だ。俺はひと息つくと、【ダイジェスト版】の2番目の動画をタッチする。動画タイトルは『0:00~8:00』。336時間に及ぶ絶頂耐久動画の一本目だ。


              ※


 動画の最初に映ったのは、何十人もの男に囲まれた桜織だ。休憩用のスペースらしく、背景には精力ドリンクの自販機や椅子、ソファが無数に見える。だが男共は椅子に腰掛けもせず、立ったまま桜織を包囲していた。
『どうした、早く脱げよ!』
 一人が痺れを切らしたように叫ぶ。どうやらこれから行われるのは、公開ストリップのようだ。
『わかり、ました……』
 桜織は唇を歪め、震える指で制服を脱ぎはじめた。皺やヨレのない、新品同然の制服。細やかな手入れぶりが窺えようというものだ。
 そして丁寧に扱われているのは、服だけじゃないらしい。次第に露わになっていく彼女の素肌は、桜織という名前に相応しく、艶やかな桜色をしている。花ざかりの女子高生でも、ここまで瑞々しい肌の子は滅多にいないだろう。
 ただし、女としての成熟度はまだまだだ。胸は控えめで、下から掴めばかろうじて隆起が作れるかというレベル。脚はすらっと伸びやかだが、曲線に乏しい。『華奢』や『可憐』というイメージが先行する、未熟な蕾。
 だがどうやら、50人の男共はそれこそが好みらしい。
『へへッ、キレーな肌だなオイ! こんなの見たことねーぞ!?』
『おお。人形みてぇだな!!』
『浴衣とか着たら似合いそうだよな。小学生用の、だけどよ!』
 それぞれに言葉を投げかけながら、桜織の裸体を凝視する雄共。その視線を、桜織は黙って受け止めていた。澄んだ瞳で、真っ直ぐに前を見据えたまま。

 そうして桜織の裸がひとしきり堪能された後、誰かが手を叩いて場の注意を引く。カメラが左に振られると、ホワイトボードを背にした手越が映り込んだ。
『スッパダカ堪能すんのは後にしろ。テメェらはこれから、順番にあのガキとハメるわけだがよ、その上でのルールだ。よーく聞けよ。あんま自分勝手な事やってっと、寒ィ夜にドライブするハメになんぞ?』
 奴はそう言って場を引き締め、ホワイトボードに文字を書き始める。
 内容をざっくり纏めるとこうだ。

・桜織を一回絶頂させるたびに、五千円の借金が棒引きされる。
・絶頂の定義は、プレイルーム内に設置されたモニターのカウントが1増えること。
・常にカウント0から始められるよう、プレイルームから退出する時は、必ずモニターのリセットボタンを押すように。
・責め方や使う道具は自由。ただし、桜織に傷の残る行為はするな。
・一回のプレイ時間は2時間強、チャイムが鳴れば交代となる。
・4人がプレイを終えるたびに、食事とシーツ交換の時間を挟む。ただしそれ以外でも、必要に応じて桜織に水分を摂らせること。
・セックスの機会は全員3回ずつ。それを踏まえてプレイに臨め。

 そうした説明が日本語と英語の2パターンで行われた後は、いよいよプレイの準備に入る。まずは当然、順番決めだ。
『言っとくが、早くヤりゃあ良いってもんでもねぇぞ。なんせ時間が経てば経つほど、あのガキの性感は開発されてくんだ。さんざっぱらイカされてな。絶頂カウントを稼ぎやすいのは、断然後ろの方だぜ?』
 手越のその言葉で、男達は揺れる。
『なるほど。言われてみりゃ、確かにそうだな……』
『だがよ、俺ァ早くやりてぇぜ。もうすでに勃起してんだ、何時間も我慢できねぇよ!』
『ああ。他の野郎に抱かれまくった後より、ちっとでも新品に近い方がいいしな!』
『くっそー、悩むぜ!!』
 早く犯したいという、雄としての本能。一円でも多く借金を減らしたいという、債務者としての打算。その板挟みで、50人の男が苦悶する。
 路線を決めたら決めたで、次は“椅子”の取り合いだ。
『俺が初っ端だ、いいな!』
『ざけんな、最初にやんのは俺だ!テメェは俺の後でやれ!』
『あ!? 舐めてんじゃねぇぞ!!』
 こんな具合で、自分がこれと決めた順番を巡って争う。おまけに場にいるのは、日本人ばかりじゃない。中国や韓国、東南アジア系の奴もいる。そいつらは日本語が上手くないらしく、ジェスチャーや暴力で主張を通そうとしていた。
 そんな阿鼻叫喚の有様を前に、焚きつけた手越は膝を叩いて笑う。
『はははっ、えれぇ騒ぎになってやがる! テメェも罪作りな女だよなあ、お姫さんよ。あいつら、テメェを抱く順番で喧嘩してやがんだぜ。どんな気分だ、50人のオスに奪い合われるってのは?』
 手越はそう言って、部屋の端に視線を送った。そこには丸裸のまま、直立不動を保つ桜織がいる。軍隊でもそのまま通用しそうな、理想的な『気をつけ』だ。
 彼女は口を噤み、複雑な表情を浮かべていた。ひどく居心地が悪そうだ。それはそうだろう。彼女は騒ぎの原因であると同時に、ケダモノ共の欲望を一身に受ける立場なんだから。
『けっ、ダンマリか。まあせいぜい、期待して股ァ濡らしとけや。あいつらは全員、スケベ心で身を滅ぼした連中だ。ソープ狂いに援交マニア、強姦魔……まさに性欲の塊よ。おまけに奴ら、女子高生ってやつが大の好物でな。そりゃあもう、ねちっこく愛してくれるだろうぜ』
 手越の言葉に、桜織の表情が硬くなる。腰の左右で握られた手が痛々しい。それでも、彼女は逃げようとはしない。くっきりとした菱形の瞳で、襲い来る悪夢に備えている。

 そして、直後。数秒の暗転を挟んで、とうとう悪夢の記録が始まった。


              ※


 プレイルームは、まさに『セックスをするための場所』だった。
 壁際にベッドがあり、その脇に棚つきの洗面台。さらにその奥に、大人二人が悠に入れる大きさの丸い浴槽が設けられ…………それだけだ。ドアを開けて入室すると、いきなりベッド・洗面台・浴槽に3方を囲まれる。狭い部屋というより、バスルームに粗末なベッドを置いたという方が近い。
 桜織はその空間で、飢えた男に犯され続けた。
 順番争いを制した先頭集団は、まさにケダモノだ。ローションや唾を逸物に塗りたくり、ひたすらに性欲を発散する。カメラはその様子を、ベッド右側から定点で映しつづけていた。

『へへへ、あったけぇ! やっぱハメんのはマンコに限るよな!』
 1人目の男は、まさに下品の極みだ。桜織の脚を開かせて挿入するなり、興奮気味に喚く。
『おまけによく締まりやがる、ったくJKマンコは最高だぜ。お前も興奮すんだろ、親父とヤッてる気分でよ?』
 侮辱しつつ腰を振りたくる男に対し、桜織は冷静そのものだ。乱れた姿を見せるのは女の恥とばかりに、仰向けでされるがままになっている。
『へへへ、ツンと澄ましてんのが余計ソソるぜ。マジで人形みてぇだな。……つってる間に、もう限界来ちまった。おら、出すぞ嬢ちゃん! 優等生マンコに、俺の子種をタップリくれてやっからな!!』
 奴はそう言いながら、腰を震わせながら射精に至った。部屋に入るなり挿入したんだから、当然、生中出しだ。
『はーっ、はーっ……』
 男が白濁まみれの逸物を抜くと、桜織は困り顔を見せた。仰向けで控えめな胸を上下させながら、股ぐらを見下ろす。本当に中に出すなんて……と、声なき非難をしている感じだ。男はそんな反応を見て、唇を吊り上げる。
『くくっ、スゲー出たぜ。どうだ、俺みてぇなクズの精子を、大事な所に注がれた気分は?』
 桜織に不快感を与えるためなら、自分を貶めることも厭わない。というより、自分が底辺だと自覚した上で、純粋無垢な桜織を犯す背徳に酔っている様子だ。
 だからなのか。奴は精液まみれの割れ目に、勃起したままの逸物をまた突き入れる。
『えっ!?』
 桜織が驚きを露わにした。男が果てた以上、状況がリセットされるはずだと思っていたんだろう。普通ならそうだ。男女が行う普通のセックスなら。だが、これは違う。これは、盛りのついた獣による蹂躙だ。
『くくくっ。ザーメンってのは優秀な潤滑剤だよな。マンコん中がヌルヌルになってんぜ。こんだけスムーズに抜き差しされんだ、お前も気持ちいいよなあ?』
 警戒に腰を振りながら、下劣な台詞が囁かれた。すると、桜織の視線が上を向く。
『……いいえ。不快です』
 どこまでも澄んだ瞳で相手を見据えながら、ハッキリと否定する桜織。そんな桜織を前に、男はますます陰湿な笑みを深めていく。

 その後も男は、ほとんど休む間もなく性欲を満たし続けた。性欲旺盛な奴で、発射回数は実に7回。そうして2時間を少し過ぎた頃、チャイムが鳴り響く。現役高校生である桜織を意識してか、学校でよく耳にするものだ。
『チッ、もうかよ! ヤリ足りねぇな。次は何時間後だ!?』
 終了の合図を耳にした男は、舌打ちしながらモニターのリセットボタンを押し込み、乱暴に股間を拭って部屋から出て行く。
 入れ替わりに部屋へ押し入って来た2人目は、ドアを通るのがやっとという巨漢だった。
『我等不及了!!』
 奴は中国語で叫びながら、ベッドに桜織を押し倒す。体位としては正常位だ。だが奴の場合、体重が重すぎるために前傾の姿勢を保てない。すぐに両肘を曲げ、桜織に体重を預けはじめる。自分の3~4倍はありそうな重みに押し潰されては、桜織も堪らない。
『痛苦! 承受不了……、多的痛苦与圧力……っ!!』
 桜織の口から流暢な中国語が発される。プロフィール通り、外国語には堪能らしい。そしてそれは、きっちりと相手にも通じたようだ。男は何か謝罪めいた囁きをしながら、ゆっくりと上半身を起こす。だが、それも僅かな間だけだ。奴はすぐにまた上体を沈ませ、楽をしたまま性欲を満たしはじめる。桜織が何度嫌がり、叫び、暴れても。言葉に不自由しながらも力で2番を勝ち取っただけあって、かなり傍若無人な性格らしい。
 奴は気付いただろうか。普段は垂れ気味な桜織の目尻が、この時ばかりは吊り上がっていた事に。

 3人目は、小柄で軽い桜織を抱え上げて犯していた。それも、わざわざ鏡のある洗面台の前でだ。
『い、いやっ!!』
 鏡を見た瞬間、桜織は悲鳴を上げながら顔を覆った。ともすれば芝居がかって見える初心さだが、桜織に限っては違和感がない。昭和じみた雰囲気を持つ少女に、貞淑な仕草はよく似合う。
『くふふっ、そんなに恥ずかしがるコトないじゃない。ほら、顔隠してないで鏡見て。綺麗なピンクのビラビラが開いて、エッロいよー?』
 男は気色悪い猫撫で声を出しながら、抱えた桜織に腰を打ち込む。桜織の脚が強張った。
『あは、すーごい締まるねぇ。この格好だと腹圧がかかるから、そのせいかな?』
 男はそう囁きながら、抜き差しを繰り返す。膣の中には前2人の精液が残っているようで、ぎゅぷっ、ぎゅぷっという音もしていた。つまりは、視覚、音、言葉、感覚の4重責めというわけだ。
『知ってる桜織ちゃん? これ、“駅弁”っていうんだよ。駅弁売る姿に似てるから、そう呼ばれるんだって。興奮するでしょ。それとも、ちょっと刺激が強すぎるかな? 君みたいに純粋な子にはさぁ』
 切り揃えられた前髪の下で、桜織の目が揺れる。涼しい顔をしていたいが、どうしても視線が鏡に向いてしまうようだ。
『まだ、出そうにありませんか……?』
『んー、まだだよ。どうしたの、気持ちよくなってきちゃった?』
『……そんな事、ありません』
 男の嘲りを受けて、桜織は表情を引き締め直す。口を噤み、澄み切った目を菱形に戻して。
 本当に芯が強い。そして、だからこそ悪い虫を集めてしまう。夜に光る誘蛾灯のように。

 男共はこんな具合に、それぞれの欲望を満たしていった。ズボラなのか、それとも後の人間に向けてのアピールなのか。連中は、セックスの痕跡をそのままに残していくことが多い。4人がやりたい放題にやった後……『8:01~16:00』の中盤では、早くも絵面が酷いことになっていた。
『はぁー……っ、はぁーっ……』
 荒い呼吸を繰り返す桜織は、髪から太腿まで精液まみれだ。染みだらけのシーツの上には、丸めたティッシュや濡れ光るローターが散乱している。ただし、コンドームだけは別だ。たっぷりと精子を包んだまま口を結んだそれは、桜織の頭の横に11個、勲章のように並べられていた。それはまるで、砂場で遊んだ子供が、自分達の作った砂の城やトンネルを誇示するかのように。
『ったく、いい歳してガキみてぇな連中だな』
 部屋に入るなり、手越が呆れた声を出す。奴は食器の乗った盆を手にしていた。
『メシだ。座れ』
 手越が命じると、桜織はゆっくりと身を起こす。開いた脚の間から、膣に収まりきらない白濁がどろりとあふれ出した。
 食事メニューは一皿、銀食器に入った灰褐色のスープのみ。何か具も浮いているが、こちらも色味に乏しく、とても美味そうには見えない。
 桜織は浮かない表情のままスプーンを手に取り、スープを掬って口に運ぶ。食事作法の教本にでも載せられそうな、理想的な所作だ。だがスープを口に含んだ瞬間、桜織の動きが止まる。
『ハハッ、不味いだろ。クスリみてぇなもんだからな』
『……どういう、意味ですか?』
『言葉通りよ。そいつは、発情したメス牛の脳と子宮を、じっくり煮込んだシロモノだ。そういうモンを口にすると、食った人間にも発情の効果が表れる。スープを飲み干す頃にゃ、子宮がじんわり熱くなって、男とヤりたくて堪らなくなるらしい』
 手越はそこで言葉を切り、モニターに目を向けた。モニターのカウントは、現在・累計共に0のままだ。男から一方的に欲望をぶつけられる状況では、感じる余地などなかったんだろう。
『お前にゃ、うんとガンバってもらわねぇといけねぇからよ。4人相手するたびに、そいつを食ってもらうぜ』
 その言葉で、匙を持つ桜織の手が震えはじめた。当然の反応だ。彼女にしてみれば、唯一の食事が毒入りだと宣言されたに等しいんだから。
『おら、手ェ止まってんぞ。まだまだ後はつかえてんだ、5分で平らげろ』
 腕組みしたまま扉に寄りかかった手越が、冷徹に命じる。桜織は表情を曇らせつつも、スプーンで掬っては口に運ぶ。だが、やはりスムーズには飲めない。
『う゛っ!げほっ、えほっ!!』
『噎せてていいのか、時間ねぇぞ?』
 手越は時計を見てそう呟き、陰湿な笑みを浮かべた。
『そうそう。言い忘れたが、それにゃ避妊薬も混ぜてあるんだ。スープに溶けた分まできっちり摂取して、ギリギリ次の投与までもつって量がな。定期的に完食しねぇと、ガキが出来ちまうかもしんねぇぞ?』
『えっ!』
 手越の言葉に、桜織が目を見開く。それを面白そうに観察する手越の表情は、悪魔じみている。いや、まさに悪魔そのものだ。
『……こんな事ばかりしていると、いつか罰が当たりますよ』
 桜織が手越を見上げる。珍しく眉を吊り上げて。対して手越は、その視線を遮るように腕時計を見せつけた。
『残り2分だ、時間が来たら没収すんぞ。クズ共のガキを孕みてぇんなら、そうやって格好つけてろ』
 淡々とそう告げられれば、桜織もそれ以上恨み事は吐けない。
『……く、う゛……っ!!!』
 鼻頭に皺を寄せ、悔しそうに呻く桜織。だが、その後の決断は早かった。意を決して息を吸うと、両手で食器を掴み、中身を口に流し込んでいく。
『おーおー、豪快なこった。あのタコ部屋連中と食い方が変わんねぇぜ』
 当然、手越はここぞとばかりに煽った。それでも桜織は、頬を膨らませたまま喉を蠢かし、無理矢理に嚥下していく。飲めば発情し、飲まなければ妊娠する、悪夢の汁を。


              ※


 食事を終えた後、桜織の様子は明らかに変わった。熱に浮かされたような顔で、息も荒い。
 その変化を感じ取ってだろうか。5人目の男は、それまでの4人のように桜織を押し倒すのではなく、まず前戯から入った。桜織の背後から抱きしめるように腕を回し、割れ目に指を入れるやり方だ。
『懐かしいよ。私も十年近く前までは、嫁をこうして可愛がっていたものだ』
 そう嘯くだけあって、手つきは手馴れていた。元々興奮状態だった桜織の割れ目からは、数分と立たずに濡れた音がしはじめる。
 そして、リン、と鈴の音が響いた。モニターのカウントが、とうとう0から1に変わる。
『嬉しいよ。気持ちいいんだね』
 男は甘い声で囁く。若い色男ならいざ知らず、髭面の親父がそんな声を出しても気色悪いだけだろう。事実、彼女は俯いたまま何も答えない。
 男は溜め息をつき、また指を動かしはじめる。しかも今度は、空いている左手の指を、桜織の首に這わせながらだ。
『嫁は、こうして首を撫でられながら手マンされるのが好きでね。ソフトタッチがゾクゾクするんだとか』
 また、甘い囁き。
『…………っ!!』
 桜織の顎が浮きはじめた。それだけじゃない。脚の開き具合が増し、内腿がヒクヒクと動いてもいる。感じているのは明らかだ。
『ふふふ。どうやら、君もそうみたいだね』
 男が耳元にそう吹き込んだ、まさに直後。リン、という鈴の音がまた響いた。桜織の顔が歪む。
 現実は残酷だ。いくら心で拒んでも、巧みな指遣いで刺激され続ければ、やがては絶頂に追い込まれる。しかもそれが、いちいち鈴の音という形で示されるんだから、尚のこと屈辱的だ。
 リン、リン、と冷たい音が響く。それが4回を超えた頃だ。
『ん、あっ……は、あっ……』
 ずっと閉じあわされていた桜織の口から、とうとう甘い吐息が漏れはじめた。背後の男が嬉しそうに頬を緩める。
『イイ声だ、アソコもぐちゅぐちゅになってきたしねえ。若い子をここまでイカせられるなら、私もまだまだ現役かな』
 奴はそう言って、ますます調子づきながら指を蠢かす。
 ここからは見た目に変化が乏しいらしく、編集で大幅にカットされていた。だが、施された指責めはかなり入念だったようだ。最後の最後に男が挿入し、果てた時の絶頂カウンターは『14』だったんだから。
『減額は7万か。ま、満足できたから良しとしよう。まだチャンスは2回あるらしいしね』
 男はティッシュで股間を拭いながら、指についた愛液を舐める。品のある桜織とは真逆の、おぞましい所作だ。
『次に、君がどれだけ淫乱になってるか……楽しみだよ』
 奴はそう言い残して部屋を去る。他の人間が、きっと桜織を色狂いにする──そう信じている様子だ。

 実際、奴に続く人間も、性感開発に積極的だった。
『観てたぜ、さっきの。指マンで感じまくってたじゃん』
 6人目の男は、桜織と向き合うなりそう切り出す。
『えっ!?』
『なに、知らないの? ここの映像って、オレらの待機スペースに垂れ流されてんだぜ。他にやることもないから、みんな釘付けになってる。キミはどこが弱いのか、どうされたらヨガんのか……そーいうのが全部共有されてんだよ』
 奴はそう言って、桜織の脚を開かせる。
『あ……!!』
 桜織は困ったような顔で脚を閉じようとする。だがそれは、弱点だと自白しているに等しい。
『無駄な抵抗すんなって』
 男は強引に脚を割りひらき、割れ目へと指を沈み込ませる。後ろから手を回していた5人目とは逆で、前から指責めを施す形だ。
 男は、指を臍側に曲げて何かを探っているようだった。そして、探し物はすぐに見つかったらしい。
『お、ここだ。解りやすいぐらい膨れてんな。解るっしょ、ココ性感帯なの』
『う、あっ!?』
 男が指を動かすと、桜織の腰が跳ねる。男が笑った。
『あはは、ウブい反応。“Gスポット”ってんだ。まずは、ここでイク感覚を覚えこませてやるよ。病みつきになるぜ?』
 陰湿な笑みと共に、手首に筋が浮く。
『んんんっ……!』
 桜織からまた声が漏れた。ちょうどカメラから見切れているから、顔は見えない。だが、愉快な表情をしていないのは確かだ。

 そしてまた、指責めが始まる。
 ベッドを横から撮る映像だと、太腿に邪魔されて指の動きが判らない。だが、その太腿の蠢きを見ているだけでも気持ちいいのがわかる。
『結構締まんなー、指動かしづらい。アソコが小さいだけか? まぁ何にせよ、突っ込むのが楽しみだ』
 男は手首を筋張らせながら、下卑た言葉を囁き続ける。勿論その間も、指は休めない。奴の指責めに激しさはなかった。ねっとりと、という表現がぴったりだ。
『ん、んん……っ!!』
 3分と経たないうちに、桜織から鼻を抜けるような声が響く。男の笑みが深まった。
『どう? 同じ指責めでも、さっきのとは違うっしょ。あのオジサンのも慣れてる感じはしたけど、身内ウケ止まりの雑な責めだったからね。Gスポ責めって、こうやってスポット一点集中でグッグッと押し込むのがイチバン効くんだよ。でしょ? さっきのとコレと、どっちが良い?』
 前の順番の奴を貶め、自分を称えさせようとする男。どちらかを選ぶということは、その相手を賞賛するということだ。となれば当然、桜織は答えない。
『ほら、言ってみなって。オレのがいいっしょ?』
 男はニヤけながら、さらに手首に力を込める。奴自身の言葉にもあった通り、Gスポットを指先で押し上げているんだろう。その結果、また桜織の太腿が強張る。

 リン──

 鈴の音が響き渡ったのは、その時だった。一瞬にして無音と化す空間の中、モニターの数字が0から1に変わる。そして、男が噴き出した。
『ぎゃはははっ! んだよ、シャレの利いた返事じゃん!!』
 男のヒイヒイという笑い声が響く。カメラに見切れるギリギリの場所で、桜織の白い喉が動いた。顎を引き締める動きだ。彼女は、その真面目そうな顔を強張らせ、困ったように眉を下げているに違いない。
 男は一通り大笑いした後、桜織の左膝に手を置いた。
『よーし、じゃステージ2だ。こっちの脚、伸ばしてみな』
 膝を押し込みながらそう命じられると、桜織は躊躇いながらも従うしかない。それでも怖いのか、膝がある程度伸びた辺りで、桜織は動きを止めた。
『どうしたの、早く。今より、もっと感じられるようになるんだよ?』
 男は促すが、逆効果だ。桜織は感じてしまうことを恐れているんだから。それでも、男の手がさらに膝を押し込めば、左脚は伸びきってしまう。
『そのまま伸ばしときな。痛くしないから』
 男は念を押しつつ、指責めを再開する。
 今度はカメラ側の脚が下がっているから、指の動きがよくわかった。中指と薬指を割れ目の中に埋もれ、第二関節がゆっくりと曲げ伸ばしされている。ぐうっ、ぐうっ、と押し込む動きをしているようだ。かなり力強く。
『ふ、ん……っ!!』
 桜織がまた反応する。しかも今度は、さっきより判りやすい。
 伸ばされた左脚の腿がピクピクと蠢く。垂直に立てた右膝が前後に揺れる。
 腹筋も動いていた。無駄肉のないスレンダーな腹が波打つ様子は、妙に印象的だ。
『感じるっしょ。片足とはいえ、こうやって足をピーンと伸ばしてっと、筋肉がいいカンジに緊張して感度が増すんだよ。50人ちょいの女イカせまくった経験則。オレ、これでも元ホストだから』
 男は指を動かしながらそう語った。元ホストといえば、そういう感じもする。髪色はプリンのようだが、それは元々明るい色に染めていて、長いタコ部屋暮らしで染め直せなかった証拠だろう。無精髭を剃れば、見られる顔にもなりそうだ。ただし、それは『たられば』の話。今の奴は、他の大多数の男と同じく、浮浪者同然。女性に触れれば、それだけで通報されそうな見た目だ。
 改めて考えても、狂っている。そんな奴が、とびきり清純な女子高生を、指責めで悶えさせているなんて。
 動画内では、リン、リン、と音が鳴り響いていた。モニタのカウントは5。少し意識を逸らしている間に、桜織は追加で4回もイカされたらしい。しかも、男の責めは緩まる様子がない。
『知ってる? 膣のスポットって、何個もあんだぜ。例えば、ここが“裏Gスポット”ね』
 奴はそう言って、掌を反転させた。臍側を押し込んでいた動きが一転、尾骨の方を押し下げる動きに変わる。
『ふあっ!?』
 完全に不意を突かれたんだろう。我慢強い桜織から、素っ頓狂な声が漏れる。
『はははっ!! ホント、いちいちリアクション可愛いわ。ウブっつーか。いるとこにはいるんだな、清純派って!』
 男は大喜びで、裏Gスポットを責めつづける。桜織の反応は大きい。左腿の強張りも、右膝の揺れ方もさっき以上だ。
『ん、んっ!!んっ!!』
『どう、新鮮でしょ。オナる時でも、自分の指じゃこんなトコまで刺激できないしね。どの女も、コッチのが反応でかいんだ。ま、キミの場合は指入れしてたのかすら怪しいけど。ね、教えてよ。オナった経験ぐらいはあんの?』
 ホスト男が興奮気味に投げかけた問いは、桜織に通じていないようだ。
『お、おなる……の意味が、わかりません……』
 ある意味、生活圏のギャップか。男の慣れ親しむ下劣な言葉が、清く正しい世界で生きてきた桜織には通じない。
『は?』
 男は一瞬、呆気に取られる。そして状況を理解して、また大いに笑った。
『くっ、はははっ!! 悪い悪い! そうだよね、ウブなキミに“オナる”なんて言っても通じないよねぇ!! よし、教えてやるよ。オナるってのは、オナニー……つまり“自慰”するってこと。これなら知ってるっしょ? 国語辞典引けば出てくる、真っ当な言葉なんだからさあ!』
 そう叫ぶ男は、心から愉快そうだ。新雪に初めて足跡をつける気分なんだろう。
『…ッ!』
 自慰という言葉なら、桜織にも通じたらしい。息を呑む音がはっきりとマイクに拾われていた。
『で、どう? “オナった”経験はあんの?』
 男は刺激を続けながら、さらに問う。わざわざ自分寄りの下卑た言葉に戻している辺りに、底意地の悪さが窺える。
『…………』
 桜織は、答えない。下卑た問いに軽々しく答えるほど、恥知らずな子じゃない。それでも、男は諦めなかった。
『言えよ』
 脅すような声色でそう呟き、責め方を変える。割れ目の中でグリグリと手を回転させ、上と下のスポットを交互に刺激していく。その効果は顕著だった。にちにちと粘ついた音がしはじめ、桜織の下半身の反応すべてが激しくなる。リン、リン、と鈴の音が鳴り、ついには喘ぎ声が漏れはじめる。
『あ、あっ……い、いや、ぁっ…………!!』
 伸ばした左膝が何度も浮き上がるようになった頃、とうとう桜織が音を上げた。それでも、男は手を止めない。
『言えって。言うまでやめねーぞ!?』
 そう宣言され、さらに数分ばかり追い込まれた果てに、とうとう桜織の顎が浮く。
『くはっ! はぁっ、はぁっ、はぁっ……! あ、あり、ます…………っ!!』
 荒い息と共に発されたその言葉で、男が目を細めた。
『へーぇ、マジ? 真面目そうな優等生でも、やる事はやるんだな。で、どうやるんだ。マンコに指突っ込んでか?』
『い、いえ……く、クリトリスを、指で擦って……』
『ウソつくなって、ガキの性欲がそんなんで解消できっかっての! 本当はどうやったんだ、ええ!?』
『ん、くうっ……ほ、本当です! 本当、ですが……その……』
 桜織は弁明してから、何かを言い淀む。そんな弱った雰囲気を、男が見逃すはずもない。
『その、なんだよ?』
『んくっっ!! その、ゆ、指だけじゃなくて、時々は、筆箱や……下敷きの、端も、使って……!!』
 桜織が躊躇いがちに自白すると、男が大仰に目を見開く。
『はあぁっ、マジ!? 勉強道具をンな事に使ったって、大人しい顔して立派なワルじゃん!!』
『う、うううっ……!!』
 桜織の声が震えはじめた。生真面目な彼女だけに、後ろ暗い部分があったんだろう。その僅かな傷口を切り開かれて、涼しい顔などできるはずもない。
『はははっ、涙目になんなって! いいじゃんか、エロに興味あったってよ。俺もお前も、父ちゃんと母ちゃんがケダモノみてぇにサカりあって出来たんだ。俺らみーんな、エロい事から生まれたんだよ。こんな感じのな!』
 男は上機嫌で手首を回す。
『んぁああっ!! や、やめっ……や、あ……あ!!』
 桜織は、翻弄されていた。水音、喘ぎ、鈴の音……あらゆる音の間隔が狭まり、やがて太腿が強張りに強張った挙句、腰そのものが浮きはじめる。
『んんんんーーーっ!!!!』
『おおおっ、いいねいいね、だいぶ出来上がってきたじゃん。ついでだ、もう一個言葉覚えな。キミが今経験してんのは、“イク”って感覚だ。言ってみ?』
 男は桜織を追い込みながら、また下卑た知識を教え込む。その言葉が上品でないことぐらい、桜織も解っているだろう。だが言わないと苦しみから逃れられない以上、彼女に選択肢はない。
『い、いっ…………く…………!!』
 背中を弓なりに逸らしながら、掠れた声が発された。その言葉尻を、リンという鈴の音が引き継ぐ。何度となく耳にしたその音色が、今は妙に物悲しく聴こえた。


 ここからしばらくは大きな変化がなかったのか、編集でばっさりとカットが入る。再開した時には、部屋内の時計の針が30分以上も進んでいた。
『すげー、ビショビショだ』
 再開後間もなく、男が指を引き抜く。指先からは水滴が滴っていた。その滴る先では、シーツが広い範囲で変色してもいる。直前にシーツを替えたばかりだというのに、早くも寝小便をしたような有様だ。
『はっ、はっ、はっ…………!!』
 桜織は短い呼吸を繰り返していた。半端に膝を立てた両脚は痙攣し、ほとんどない筈の胸が膨らんで見える。そしてその頂点では、2つの蕾が尖ってもいる。性的に昂ぶっていることは疑う余地もない。
 壁のモニターには、23という数字が光っている。累計カウントとなると37だ。9時間程度の間にそれだけイカされるのは、どれほどきついだろう。
 しかも、まだ終わりじゃない。男は桜織の変わりぶりを満足げに眺めつつ、一旦ベッドを降りる。奴の狙いは、洗面台下の棚に置かれたピンクバイブだ。
『今度は、コレでイカせてやる』
 奴はそう言って、桜織にバイブを見せつけた。桜織の顔はギリギリ映らない。だが男の見せた楽しげな表情で、おおよその察しはつく。
『それは……?』
『バイブだよ。細かく振動するから気持ちいいぜ。さ、脚開いて、自分で足持って。そう、いいぞ』
 男は笑いながら、桜織の脚をMの字に開かせ、さらにその膝裏を桜織自身に抱えさせる。
『いくぞ』
 バイブのスイッチが入れられ、重苦しい羽音がしはじめる。男はまずそれを割れ目に近づけ、大陰唇をなぞった。
『ひっ!!』
 悲鳴が上がり、桜織の腰が跳ねる。未亡人のように落ち着いた雰囲気を持つ彼女だが、未知の感覚に触れた時の反応は、やはり少女そのものだ。
 男はバイブでゆっくりと性器周りを刺激してから、割れ目の中に先端を沈めていく。桜織の太腿が強張る中、ピンク色の異物は半ばほどまで飲み込まれた。ここで、バイブに角度がつけられる。先が臍側のGスポットへと触れるように。
『あ、あっ!! し、痺れる……!!』
 桜織から切ない声が漏れた。
『すげぇだろ。こればっかりは、指じゃ真似できねー』
 男は自嘲気味に笑いつつ、バイブの角度を保ちつづける。絵面でいえば、指責め以上に変化がない。だが編集でカットされないのは、桜織自身に変化があるからだ。腰がうねり、両膝を立てた足が揺れ。指責めの時とはまた違って、堪らない感じが強い。

 リン───

 鈴の音が鳴るのも、不思議と予測できた。そういう身体の反応だった。
『はは、また早いな。ま、イっちまうよなーバイブだと』
 男は笑いつつ、ここでバイブを動かしはじめた。前後左右に揺らめかしながら、Gスポット周辺をなぞっているようだ。そしてそれは、確実に桜織を追い詰めていく。
『あ、あ、ああ駄目っ、来るっ!!!』
 悲鳴に近い声がした直後、またリンと鈴の音が鳴った。バイブ責めが始まってから、まだ3分も経っていない。それで2回の絶頂だ。
『来るじゃない、“イク”だろ。ちゃんと覚えなよ、お勉強得意なんだろ?』
 男は罵りながら、同じ調子で責めつづける。逸物は硬く勃起しているというのに、がっつく様子がない。この辺りは、さすが女慣れしているホストというところか。
 桜織にしてみれば、相手の落ち着きぶりは厄介だ。男が下手を打ってくれれば、冷める事ができる。だが腰を据えて責められればそうはいかない。コップに一滴ずつ水が溜まるように、着実に快感が蓄積していく。
 さらに2回、鈴の音が鳴ったころ。桜織に変化が起きはじめる。腰が上下に動きはじめたんだ。
『お、腰ヒクヒクしてきた。メチャクチャ気持ちいいんだろ、今?』
 男はそう言って、またバイブに角度をつける。最初と同じく、Gスポットを狙い打ちにするために。僅か20度ばかりのその角度変更が、桜織にとっての分水嶺だった。
『い……っく、い、い、い……ッ!!!』
 針でも刺されたような短い悲鳴のあと、呻きが続く。ここで桜織の身体が大きく揺れ、口元が映像に映り込む。
 彼女は、上の歯で下唇を噛んでいた。他の今風娘ならいざ知らず、清楚という言葉を体現するような彼女がするそれは、明らかに異様だ。
 そして、異様な事はもうひとつ。ここへ来て、鈴の音の鳴るペースが急に上がった。リン、という音の余韻が消えるより早く、次の音が鳴る。モニターの数字も次々に形を変えていく。
『おー、イってるイってる!』
 男は半笑いのまま、他人事のように呟いた。その足元で桜織の細い腰が上下し、ベッドをギシギシと軋ませる。
『と、とめてっ……ください!!』
 桜織の左手が膝から離され、男の腕を掴んだ。だが男は動じない。
『あー、やっぱそうくる? だよね、大体そうだ。まぁガサツな女だと腕に爪立ててくるんだけど、さすがに上品だな。好きだぜ、そういうトコ』
 甘い言葉を掛けながら、あくまでバイブの先端を押し付ける。密かに圧を強めてもいるのが、バイブから漏れる音が鈍さを増した。そうされ続けて、受け側が平気でいられる筈もない。
『ん……んーんっ! はあっはあ、あ……あああ、ああ゛っ……!!!』
 とうとう桜織の口が開き、舌を覗かせた。腰はガクガクと上下に揺れ、足指がシーツに食い込む。ギシギシとベッドが軋む。そんな中でも、鈴の音ははっきり聴こえた。そこから、さらに数分後。
『あ、だめっ……出るっ!!』
 悲鳴のような叫び声がした後、割れ目から何かが噴き出した。
『うおっ!?』
 男は咄嗟に横へかわし、太い奔流がそのままシーツへと浴びせかかる。バタタタ、という重い音を立てながら。一瞬呆けていた男の口元が、また吊り上がる。
『おーい、ションベン漏らすんじゃないよ。Gスポ刺激されまくって、尿道が敏感になったからってさぁ!!』
 男は大笑いしながら清楚な少女の失禁を見守る。そして流れが止まったあと、駄目押しとばかりにバイブで割れ目の中を掻き回してから、勢いよく引き抜いた。瞬間、リンと音が鳴る。また男が噴き出した。
『あっはっはっはっ、お前、オレのこと笑い死にさせてぇの!? バイブ抜いただけでイクとか、さすがに予想できんかったわ!!』
 男が膝を叩いて笑う傍らで、桜織は呆然としていた。その目尻から涙が零れると、小さな手で拭う。それでも涙がまた溢れた。
 そんな傷心の桜織を、男はさらに追い詰める。
『ほら立って。2時間しかないんだから、寝てる暇ないよ』
 奴は桜織を無理矢理引き起こすと、ベッドの上で深く腰を落とした姿勢を取らせる。相撲でいうところの蹲踞だ。
『バイブだと刺激強すぎたみたいだし、また指で可愛がってやるよ』
 その言葉と同時に、指が割れ目の中へと入り込む。
『ん……っ』
 ただ指を挿れられただけで、桜織の口から吐息が漏れた。

 ねちっこい指責めが再開される。
 男は指を蠢かしながら、面白そうに桜織の顔を覗きこんでいた。一方の桜織も、喘ぎながらその視線を受け止める。
 本当に生真面目な子だ。彼女はいつも、真っ直ぐに相手の言動を受け止めようとする。それは本来尊い行為だが、悪意の渦巻くここでは褒められない。深淵を覗く者が深淵に覗かれるように、悪を受け止める者は悪に染まるんだ。
 ぐちゅぐちゅという水音に混じって、何度も鈴の音が鳴る。
『ふうあ、あっ……!!』
 桜織から、また吐息が漏れた。彼女の太腿は何度も強張った末に、早くも痙攣を始めている。そしてついには、身体全体がグラグラと前後に揺れだした。
『なに、イキすぎて重心保てない? しょうがねぇな、オレの肩掴まれよ』
 男は薄笑みを浮かべながら、桜織に肩を突き出した。
『……すみません。失礼します』
 桜織は済まなそうな顔をして、男の肩に手を置いた。ただし、右手だけ。左手は口に宛がわれる。つい漏れてしまう甘い声を、少しでも抑えたいんだろう。どこまでも誠実で、どこまでも淑やか。そんな彼女に、男の目がますますギラついていく。
 奴は絶え間なく指を動かしながら、桜織の乳首を舐めはじめた。びくんと桜織の身が強張る。膣の締まりも増したのか、ぐちゅぐちゅという水の音も少しだけ変わったようだ。
 リン、と鈴の音が鳴る。桜織の反応を見ていれば、充分に予想できた音色。むしろ遅いぐらいだ。
『しっかし、すげぇマン汁の量だな。手首までドロドロだ』
 鈴の音をきっかけにか、男がそう詰る。その言葉が、さらに桜織を追い詰めたのか。
『ふんんん……っ!!!』
 桜織はつらそうな声を漏らし、左手の指を噛む。完全にお嬢様の仕草だ。それを生で拝んだ男は、もはや満面の笑みと化していた。
『へへへ……ホンット可愛いなキミ。ホスト時代に会ってたら、意地でもモノにしてたわ』
 そんな事を嘯きながら、奴は指責めの速度を上げていく。グチュグチュという水音も、鈴の音のペースも早くなる。
『ふくっ、う、うあ、んんあ、あ……っ!!!』
 桜織は必死に指を咥えているが、半ば声が漏れている。男はそんな桜織の手を掴み、口から引き剥がした。
『我慢してないで、思いっきり声出してみな。気持ちイイから!』
『そ、そんな……あ、あああーーっっ!!』
 桜織には、すでに耐え凌ぐだけの余裕がない。自由になった口からはっきりとした喘ぎを漏らしながら、全身を震わせていた。
『そうだ、もっと出せ!!』
『ふあ、はうぁっ!! はああ……ぁ……っ!!!』
 桜織の唇の端から、とうとう涎が垂れはじめた。
『いいぞ、そのまま浸ってろ。思いっきりイカせてやるっ!』
 男はそう宣言しつつ、桜織の乳首に噛み付いた。その、次の瞬間だ。
『んあああぁーーーーっ!!!!』
 絶叫と共に、割れ目からぷしゃっと飛沫が上がる。裏で鈴の音を響かせながら。
『はぁっ、はぁっ……おいおい、またか。誰が漏らせっつったよ?』
 男はやりきった様子で喘ぎながら、時計に目をやる。男が入室してから、そろそろ1時間半。残りは30分程度だ。
『うーしっ、そろそろハメっか!』
 奴はそう言って、ベッドに横たわる。桜織はそんな男を訝しげに眺めていた。
『どうした? 早く跨んなよ。自分でチンポ飲み込むんだよ』
『えっ!』
 男の言葉で、桜織が目を見開く。彼女にとっては初の経験だ。これまでの男は、自分から積極的に桜織を襲っていた。顔の見える正常位、獣のような後背位、片足を担ぎ上げられての側位……桜織からすれば、どれも屈辱的ではあるものの、されるがままでいられる体位だった。だがこの男は、あくまで桜織自身に奉仕させようとしている。元ホストとしての余裕を見せているつもりだろうか。逸物は固く勃起しきり、先走りまで滲んでいる状態だというのに。
『……わかりました』
 桜織は表情を引き締め、ゆっくりと男の上で脚を開く。性器を男に見られるのを、ひどく恥じ入りながら。
 スレンダーという表現がぴったりな、細い腹部、太腿、膝下が、横からカメラに接写される。ゆっくりと腰が沈んでいけば、程なくして男が息を吐き出した。
『おおおすっげぇ、マジで締まんな。あったけぇし、ヌルヌルグチョグチョで気持ちいいし……やっぱ女のマンコは堪んねぇ!』
 男はひどく嬉しそうだが、桜織の表情は硬くなる一方だ。
『へへ、すげえじゃん。んな小さいカラダで根元まで飲み込んで。オレの、バキバキに勃起して、すげぇデカくなってんのにさ』
 桜織の腰が降りきったところで、男が茶化すように囁く。そうして桜織の表情をさらに固くさせてから、奴は続けた。
『じゃ、動いて。オレを気持ちよくさせてよ』
『……はい』
 短い返事に続いて、ゆっくりと桜織の腰がうねり始める。その瞬間、彼女の太腿がピクリと強張った。
『んっ!』
 短い悲鳴も上がる。散々開発された膣内のスポットに、逸物が擦れたんだろう。
『どうした、もっと動けって。そんなんじゃ気持ちよくねぇぞ?』
 男は笑いながら続きを促した。性感帯を開発した張本人であり、粘膜で触れ合ってもいる奴には、桜織が動きを鈍らせる理由など手に取るように判るはずだ。
『んっ、んっ……!』
 桜織は小さく呻きながら腰をうねらせる。腰を密着させたまま円を描く、控えめな動き。それでも今の彼女には快感らしく、リンと鈴の音が鳴る。
『っ!』
 桜織の目元が引き攣った。自分で腰を動かして達する──そのはしたなさを、絶頂の音で自覚させられたせいだろう。
『ははは、イッちまったか。いいぜ、どんどんイケよ!』
 男は可笑しそうに笑いながら、桜織の手を取り、踵を掴ませる。
『次は、上下に動いてみろよ。スクワットするみてーに』
『…………わかりました』
 桜織は命令を拒否しない。覚悟を秘めた瞳で両の踵を握り、ゆっくりと腰を上下させる。にちっ、にちっ、という粘ついた音が響きはじめた。
『おぉーっすげぇ、出入りしてるとこが丸見えだ! 濡れ濡れの粘膜が捲れ上がってて、超エロい。毛が薄いから、余計よく見えるわー』
 男はどこまでも底意地が悪い。明らかに桜織が隠したがっている結合部を凝視しながら、大声で煽り続ける。
『はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!』
 桜織の呼吸が荒くなってきた。
『いいぞ、いい具合だ。キミ才能あるよ、淫乱の才能が!』
『わ、私は……淫乱なんかじゃ……っ!!』
 男の煽りを聞き咎め、桜織が反論しようとした瞬間。変に力が入ったからか、下半身がびくっと震えた。
 リン──と、鈴の音が鳴る。
『あっはっはっは、ほら見なよ! 罵られてイクとか、完璧に淫乱じゃん!!』
 男が勝ち誇ったように笑う中、桜織は唇を噛みしめた。

 この後も、状況は変わらない。桜織が腰を動かし、男が喜ぶ。
 桜織は終始恥らっていた。彼女の貞操観念では、女が男に跨って快楽を貪るなど、あってはならない事なんだろう。だが同時に、彼女は何度も達してもいた。
『ん、んふっ……ん、んんんっ……!!』
 左手で口を覆っても、甘い声を抑えきれない。汗で濡れ光る身体が上下に揺れる中で、何度も鈴の音が鳴り響く。
『へへへ、イキまくりだ。やっちゃ駄目な事だって解ってると、余計興奮するよな。ほら、もっと声出してみな。指マンの時、声出すとすげー気持ちよかっただろ?』
 男はそう言って桜織の左手を掴み、強引に口から引き剥がす。右手をバランス保持に使っているから、桜織にはもう声を抑える手段がない。
『ふあ、あっ……あ!!』
 桜織の口から、とうとうはっきりとした声が漏れはじめた。右手が男の太腿をぎゅうっと握り、直後、桜織自身の太腿も震えはじめる。
『あっ、ああっ!!はぁっ、はぁっ……あああっ!!!』
『いいぞ、エロい声出てる! もっとだ、我慢すんな。思いっきり喘いでみろ!!』
『あああっ、あっ、あっ……あはっ、あっはあぁぁっ!!!!』
 男に洗脳同然に焚きつけられ、桜織から漏れる声がどんどん大きくなっていく。その声の大きさは、性的な反応の激しさと比例していた。腹筋の動きに、太腿から下の強張り具合。男の膝辺りを掴む手の力強さ。
 そのまま何分が経っただろう。結合部から漏れる音が、ぎゅぽぎゅぽという得体のしれない音色になった頃、とうとう男の表情が変わった。眉を顰め、歯を食いしばり。明らかに射精を堪えている顔だ。
『うあ、すっげぇ! ヒダが動いて、搾り取られ……あ、ああああっ!!!』
 その言葉の最中、男の両膝が浮いた。両足が強張り、シーツに押し付けられた尻肉が引き締まる。男なら誰でも本能で理解できる、射精の動きだ。
『はぁっ、はぁっ……あっ、で、出てるんですか……!?』
『ああ、スゲー出てる。だって、絞り取られてんだもん』
 性器で繋がりあった男女2人が、肩で息をしながら言葉を交わす。その光景は、まるでカップルのそれに思える。
『ほら、休むな。溜まってるんだ、もっと気持ちよくしてくれ』
 男は射精してからも、桜織に引き続きの奉仕を求めた。桜織は生真面目にそれに応え、そして“崩れていく”。前後にぐらぐらと身体を揺らした挙句、ついには深く前傾してしまう。男に寄りかかるように。
『へへ、なんだよ。甘えてんのか?』
 男は笑いながら、桜織の背中から尻にかけてをいやらしく撫で回す。かなり敏感になっているらしく、桜織の身体はビクビクと反応していた。男はその反応を楽しんだ後、両手で桜織の尻肉を掴む。
『さて。そろそろ、俺も愉しむか!!』
 奴はそう言うなり、大きく腰を浮かせる。
『あっ!?』
 桜織から悲鳴に近い声が上がる中、男の腰はシーツに沈んだ。そしてまた押し上げられる。沈んでは浮き、沈んでは浮く。ベッドをギシギシと揺らしながら、何度も、何度も。
 女を堕としまくったと豪語するホストのセックスは、実に手馴れていた。突き上げのスムーズさも驚異だが、もっと酷いのは尻を掴む両手だ。
『ああっ、いや! そこは、あっ……!!!』
 桜織があまりの快感に腰を逃がそうとしても、男の手はそれを許さない。
『ああ、キミの弱点ってここ? 教えてくれてありがとー!』
 男は嫌味を交えながら、両手で桜織の尻をコントロールする。膣内のスポットに対し、一番致命的な角度で逸物が擦れるように。
『んああああっ!!!』
 桜織の背中が弓なりに反る。同時に鈴の音が鳴り響く。あまりにも判りやすい絶頂だ。
『あはははっ! 気持ちイイんだねぇー、俺も超いいよ。な、また言葉にしてみろよ、イク時。もっと良くなるぜ』
 男は笑いながら桜織に囁きかける。桜織の眉根が寄る。
『ほら、言ってみなって!』
『ん……っっ!!!』
 男の手がぐうっと尻を押し下げると、桜織から声にならない声が漏れた。喉を閉じたまま搾り出された、快感の呻き。よっぽど余裕のない時でないと、そんな声は出ない。これは男の脅しだろう。自分の言う通りにしないと、何度でも余裕を失くさせるという。
『あっ、あ!!ああっ……はっ、はっ…い、イキ、ます……!!!』
 桜織が、切なそうな声で男に囁きかける。その直後、また鈴の音が鳴った。
『もっとだ。外の連中にも聴こえるぐらい、思いっきり声出してみろ!』
 男は桜織の尻肉を掴み直し、角度をつけながら腰を叩き込む。
『んんぐううっ!!!』
 桜織の歯が食いしばられ、目が閉じられる。
『いっ、イキます……! イキ……い、イキますっっ!!!』
 男に顔を覗きこまれながら、桜織は何度も声を張る。その宣言で彼女自身の快感も増すのか、鈴の音の鳴る感覚は狭まっていった。リン、リンという音が煩いほどだ。
『ははははは、いいぞいいぞ、アソコん中がすげーうねってる!!』
 男は愉快そうに笑いながら、ベッドを軋ませ続ける。
 チャイムが鳴り響き、男が持ち時間を使いきった時のカウントは実に56、累計では70にまで伸びていた。
『あはっ、すっげぇグショグショ。俺の番が来る前に替えたばっかなのに』
 ベッドから降りる時、男はシーツに触れながら笑う。その横では、桜織が脚をくの字に折り曲げたまま、横様に倒れこんでいる。紅潮した頬、唾液の伝う顎、細かに痙攣するすらりとした脚。その全てがいやらしい。


              ※


 5番目の妻帯者と、6番目のホスト崩れ。この2人による徹底した性感開発は、後に続く連中にも大きな影響を与えた。奴らは発情した桜織に血走った眼を向けながらも、まずは前戯を繰り返す。

 7番目の男は、まだ脚の震えている桜織に這う格好を取らせ、洗面台の下からマッサージ器を取り出した。
『今度はコイツで可愛がってやる。バイブより凄いぜ、これは』
 奴はそう言ってマッサージ器のスイッチを入れ、重苦しい羽音で桜織の表情を強張らせてから、脚の間をなぞりはじめる。あの我慢強い藤花も苦しんでいたように、マッサージ器の刺激は強烈だ。
『んんん……っ! ん、はぅっ……ん、んっ……!!』
 マッサージ器が割れ目を往復するたび、桜織からつらそうな声が漏れる。這う格好のまま背中を仰け反らせ、また俯き。絶頂の最中、彼女はそれを延々と繰り返していた。
 そんな調子で昂ぶっていれば、すぐに限界が訪れる。絶頂カウントが10回を超える頃には、桜織の呼吸はゼヒューッ、ゼヒューッという妙な音になり、全身が震えるようになっていた。
『も、もうやめてください! が、我慢が、何かが我慢できなくなってしまいます!!』
 やがて桜織は、男の方を振り返りながらそう訴える。
『へへ、限界ってか? いいぜ、じゃ止めてやる』
 奴はそう言って、マッサージ器のスイッチを切った。耳障りな羽音が消え去り、桜織は大きく息を吐き出す。だが、安心するにはまだ早い。
『そら、足開け!!』
 男は桜織の細い身体をひっくり返すと、その股座に逸物を押し付けた。
『えっ!? は、話が違……!!』
『話って、何の話だ? 俺はマッサージ器を止めてやるっつっただけだぜ。玩具で遊べねぇ間は、物をハメさせてもらうまでよ!!』
 男はそう言って、荒々しく桜織を貫いた。
『く、うっ!!』
『へへへ、前の連中の言ってた通りだ。何人かにやられた後だってのに、まだまだよく締まりやがる。おまけにヌルヌルで、気持ちいいぜ!!』
 眉を顰める桜織とは対照的に、男の顔は緩みきっていた。
 奴もまたケダモノだ。ひたすらに腰を振りたくり、快楽を貪る。それを受ける側の桜織は、しばらくは必死で快楽に耐えていたようだ。だが、立て続けに何十度と絶頂させられた彼女は、敏感になりすぎている。
『んっ、ああ……あはっ、あ…………あっ!!』
 血色のいい唇が開いて喘ぎが漏れるまでに、長くは掛からなかった。
『気持ち良さそうな声が出まくってんなぁ、お嬢ちゃんよぉ!』
 男はますます機嫌を良くして、腰を打ちつける。二発、三発と精を流し込み、桜織の内側を穢しながら。


 続く8人目も、ベッドに放り出された愛液まみれのマッサージ器を拾い上げる。
 コイツの場合、責め方がさらに悪質だった。まず桜織を仰向きに寝かせ、ベッドの左端から頭を垂れさせる。その状態で開いた脚の間にマッサージ器を宛がいつつ、逸物を咥えさせるんだ。
 顔を上向けた状態でのイラマチオは、千代里もが本気で嫌がっていたぐらい苦しいものだ。その上でマッサージ器責めまで受けては堪らない。
『んぐっ、ぐお゛っ……ごほっ、お゛っ……!!』
 勃起した物を奥まで咥えながら、桜織は何度も噎せていた。最初こそ祈るように胸の前で組まれていた手は、そのうち男の太腿を押し返すようになる。だが、男は悪意の塊だ。そんな桜織の抵抗を嘲るように、ストロークを大きく取って喉奥を蹂躙する。
『うっは、キモチいいー! イクたびに喉の奥がグニグニ動いて、マンコよりいいかも! お前もイイんだろ、イキまくってんもんな!!』
 奴はそう叫びながら、得意顔でモニターを見やった。カウント数は着実に増えていく。マッサージ器で敏感な部分を刺激されてるんだから当然だ。
『こんなヒデー事されてイクなんて、立派な変態だなぁ委員長さんよ!』
 その言葉と共に、マッサージ器が下からクリトリスを撫で上げる。
『むぉ゛お゛う゛おっっ!!!』
 恐ろしく低い呻きが上がり、膝を立てた桜織の足がバタバタと暴れる。両手は相手の太腿を激しく叩いてもいる。奥ゆかしい淑女らしからぬ動作。本気で余裕がないんだろう。
 ここで、男が腰を引いた。これでもかというほど唾液に塗れた逸物が抜き出される。最初から勃起してはいたが、今はかなり太さが増している。今の行為がよほど気持ち良かったんだろう。だが逆に、桜織は相当苦しかったはずだ。
『ぶはぁっ!! はぁーっ、はっ、はっ……!!』
 桜織は激しく酸素を求め、先端の尖った胸板を上下させる。男はそんな彼女の顔に、唾液塗れの逸物を叩きつけているようだ。
『どうだ、気持ちいいだろ。もう10遍ぐらいイッてるもんな、オマエ』
 モニターを顎で指しながら、男が笑う。桜織の呼吸が一瞬静まった。
『き、気持ちよさ、なんて……。性感帯を刺激されて、機械的に達しているだけです……!!』
 桜織の話し方は怒気を孕んでいる。こうも無茶をやられれば、苛立ちもしようというものだ。男はそんな桜織を、緩んだ笑顔で見下ろしていた。
『ああそう。なら感じられるようになるまで、タップリとほぐしてやるよ! 口も、マンコもな!!』
 そう叫ぶと、また逸物を桜織の口へと捻じ込んでいく。
 一度状況がリセットされると、喉奥の耐性も戻るのか。それとも男が責め方を変えたのか。ここから桜織の反応が、また一段と激しくなる。
『う゛ぇお゛っ、お゛え゛っ!! ぶふっ、ごぼふっ……んお゛も゛ぇ゛おえ゛っ!!!』
 えずきや咳き込みが酷い。喉の蠢きも。カメラは桜織の足側から状況を映しているから、白い喉へ芋虫が入り込んだような有様はことさら印象的だ。
『うわ、すげぇすげぇ! ツンツンしてるくせに、どんだけサービスしてくれんだよ委員長さんよ!!』
 男は大笑いしながら桜織の口内に腰を打ちつける。腰の動きは完全にセックスのそれだ。そして女に飢えた男がその動きをすれば、数分ともたずに限界が来る。
『あああそろそろ出そうだ、そろそろイッちまいそうだ!!!』
 男は興奮気味にぼやきながら、徐々にスパートを掛けはじめた。桜織の顎が陰毛に埋まるほど、深く腰を打ち込んでいく。男の股座が、おそらくは桜織の顔面とぶつかって、パンパンという音を立てる。
『ぃごぇお゛え゛っ!! うお゛ごえ゛いお゛お゛え゛っっ!!』
 桜織のえずきが酷くなり、足裏がシーツを叩きはじめた。まさに苦しみの極地というところだ。だがそんな中でも、鈴の音は鳴っている。モニターのカウントも増えていく。
『ああああイクッ、イクぞおおおぉっ!!!』
 男がそう言って腰を止め、荒い息を吐きながら下半身を緊張させる。その緊張のリズムと桜織の喉の蠢きは連動していた。食道に精液を流し込まれている様子が、そのまま目に見えるようだ。
『他の奴も言ってたが、スゲェ量出んな。キモチよかった分、昨日より出てるかもしんねー』
 男は満足そうに息を吐きながら、細かに腰を震わせる。その最中、また鈴の音が鳴った。桜織の太腿がびくんと震え、男が吹きだす。
『ぶはっ! お前、胃に直接ザーメン流し込まれながらイったんかよ!? いくらなんでも変態すぎんだろ!!』
 容赦なく言葉で追い討ちを掛けながら、マッサージ器でグリグリと割れ目を刺激する男。奴は桜織の脚がどれだけ暴れても気にかけず、むしろ片膝を掴んで、不自然な体勢にしたまま責めを継続した。もちろん、しつこいぐらいに逸物をしゃぶらせながらだ。
 それがどれほど辛いのかは、見ているだけの人間に解ろうはずもない。だが、ヒントは無数にあった。上下に跳ね、ベッドを軋ませる腰。あられもなく開脚したまま、激しくシーツに叩きつけられる右脚。膝を掴み上げられ、空中で足指を強張らせる左足。何度も浮く顎。
 そして残り時間が僅かとなった頃だ。
『ふわぁああっ、えぐっ、えぐぅーえぐうっ!!!』
 逸物を咥えながら、桜織が叫んだ。その直後、桜織の割れ目から黄色い液があふれ出す。失禁だ。
『うは、ションベンかよ。ったく、お上品なツラしてやりたい放題だな!』
 男が嘲る中、汚液は桜織の内腿を濡らしていく。水分補給が足りていないのか、汚水の色は濃い。その事実は、失禁という惨めな光景を、より印象的なものにした。
 チャイムが鳴ったのは、そんな中だ。
『おいおい泣くなよ。俺がイジメたみてーじゃねぇか』
 男が逸物を引き抜きながら、桜織の顔を見下ろして嘲る。桜織の顔はカメラに映らないが、鼻を啜り、しゃくり上げるような音が聴こえるのは事実だ。
『うひっ、射精したばっかのカリに触るとくすぐってぇな。そういや、クリ責めされてるお前も同じ状況か。今さらだが同情すんぜ。お前のクリ、さんざんマッサージ器でイジめられまくって、チンポの先そっくりの色になってんもんな!!』
 男はティッシュで亀頭を拭きながら身震いし、桜織への言葉責めに繋げる。桜織の反応は薄いが、細長い足が少し内股に閉じたのは、恥じらいのためか。


 8人目が退出し、そしてここで2度目の食事休憩が挟まれる。
『かーッ、ションベン臭ぇなオイ!』
 盆を手にした手越が、ドアを開けて現れた。全身にびっしりと墨を入れたコイツは、他の連中と比べても異様だ。カメラに姿が映った瞬間にそれと判る。まさに群れのボスという感じだ。
『……すみません』
 桜織は半身を起こし、手越に向かって頭を下げる。理不尽と感じながらも、己の僅かな非を認めて謝罪する──それは、心の豊かな人間だけができることだ。実に尊いが、この地の底でそれが賛美されることはない。
『いい歳して漏らすんじゃねぇよ。貧相な身体の上に、中身までガキのまんまか? ったく。これでも食って、ちったぁ女らしくなれや!』
 手越は嫌味を交えながら、桜織の膝に盆を置く。盆には食器が乗っていて、中身は前と同じ物。ぶつ切りの内臓が浮いた、灰褐色のスープだ。
『う…!』
 桜織の口元が引き締まる。それはそうだろう。彼女は最初にこのスープを飲んでから、明らかに感度が高まった。あの時0だったモニターのカウントは、今や3桁の大台に乗っている。その上でまたスープを口にすれば、結果は明らかだ。
『どうした、随分と余裕じゃねぇか。前と同じく5分で下げるぜ。それとも何だ、あの連中に愛着でも沸いたか? ガキが欲しくなるぐらいによ!!』
 動きの鈍い桜織に対し、手越が煽り言葉を浴びせかけた。流石ヤクザというべきか、言われると嫌な事をよく知っている。見ず知らずの相手、それも下衆と呼んで差し支えない相手の子供など、欲しいはずがない。結局桜織は、また浅ましく犬食いするしかない。その選択でまた一歩、正常から遠のくとしても。


              ※


 9人目を迎えても、性感開発の流れが途切れることはない。
 小太りで縮れた髪の毛の、冴えない中年男。奴は桜織に『マングリ返し』の格好を取らせたまま、マッサージ器で割れ目を刺激していた。
『どう? 気持ち良いでしょ』
 桜織の顔を覗きこみながら、何度もそう尋ねる。一方の桜織は、いかにも余裕がなさそうだ。
『ふうっ……ん、ん……んっ!!』
 口を手で覆っても、甘い声が殺せない。頭の横で高く掲げられた両足は、空を掴むようにピクピクと反応する。割れ目からは愛液があふれ、桜織自身の腹部へと伝い落ちていく。
『おっとと、勿体ない勿体ない!』
 愛液が伝うのを見ると、男はマッサージ器を退けて割れ目に口をつけた。
『ひあっ!?』
 桜織から悲鳴が上がる。それまでとは全く違う種類の刺激に、反応しきれなかったんだろう。あるいは、気色の悪さから出た声かもしれない。
 男は割れ目に吸い付き、ずずーっと音を立てて愛液を啜り上げる。見た目が不快・不衛生の極みなだけに、犯罪的な画だ。
『ふはっ、飲みきれないよ。凄い量だ!』
 口元を濡れ光らせながら叫び、また吸いつく。
『いやらしい匂いだ。それにすっごい美味しいよ、やっぱり女子高生の蜜は最高だあ。ずーっと欲求不満だったんだ、これが舐めたくって舐めたくってさぁ!!』
 割れ目に何度も舌を這わせ、唾液塗れになる頃にまたマッサージ器を宛がって愛液をあふれさせる。奴は飽きもせずこれを繰り返した。その顔は実に幸せそうだ。
 だが、受ける桜織はといえば、常に顔が引き攣っている。どれほど心の清い人間にも、生理的に受け付けない人間というものは存在する。桜織にとっては、この男がそうなんだろう。男に悪意がない事を悟ってか、睨んだりはしていない。ただひたすらに困惑し、怖気だっているだけだ。
 彼女にとって最悪なのは、それだけじゃない。マッサージ器で散々に絶頂させられ、彼女の性器は敏感になっている。そこを舌で丹念に舐められれば、どれほど気持ちが嫌がっていても、意思に反して絶頂してしまうしかない。
 男が3回目に口づけし、舌先で割れ目をなぞった瞬間。冷たい鈴の音が鳴り響いた。男は驚いたように顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。
『えっ!! あはっ、あははははっ!! イッた、ねぇ今イッたよね!? そっかぁ、僕の舌がそんなに良かったんだぁ。嬉しいなあ、これで相思相愛だねぇ、桜織ちゃぁん!!』
 その言葉で、桜織の表情が凍りつく。
『い…………いやああああぁーーーーっ!!!』
 桜織の絶叫が響き渡る。両手で目を覆い、歯並びまで見えるほどに口を開いて。大人びた雰囲気を持つ彼女だけに、その歳相応の行動が痛々しい。
『あははははっ、すごい! そんな大声出せるんだね桜織ちゃん。新しい一面引き出しちゃったかな』
 男は笑みを浮かべ、ベッドの上で立ち上がった。そして桜織の尻を掴むと、勃起した赤黒い逸物を割れ目へと宛がう。割れ目は執拗な責めですっかり口を開いているため、挿入はスムーズだ。
『ああっ!? やめてくださいっ、こ、こんな格好でっ……!!』
 当然、桜織は焦りを見せた。清楚な彼女からすれば、マングリ返しという体勢だけでも頭が茹るほどの恥だろう。その上でセックスまで強要されて、受け入れられるはずもない。
『あああ、気持ちいい。これ一度やってみたかったんだ、キミみたいに小っちゃい子相手にさぁ。膣も小っちゃいから、簡単に奥に当たるねぇ。それとも、クリでイカされまくって、すっかり子宮が下りてきてるのかな?』
 男は甘い声で囁きながら、不自然な体勢で抜き差しを始める。
『いいねぇ。コリコリした子宮口が先っちょに当たって、スゲー射精感煽られるよ。ほーらわかるでしょ、コリッコリッて俺のが当たってんの?』
『う゛、う゛っうう゛!!』
 マングリ返しの格好だと喉が圧迫されるから、喘ぎはくぐもった感じで聴こえづらい。その代わり、宙に投げ出された二本足が雄弁だった。足指がぎゅっと縮こまったり、足の甲が反ったり……刻一刻と表情を変える。恥辱や不満を常に訴えている感じだ。
 だが何より屈辱的なのは、望まない行為でも昂ぶってしまう事実だろう。
『うひひ、アナルがヒクヒクしてきたよ。中もすごい動いてるし……やっぱり感じてるんだねぇ桜織ちゃん!』
 アナルを凝視しながら男が囁く。その言葉が耳に届いたのか、桜織の尻周りが強張った。それから、ほんの数秒後。リンと鈴の音が響く。
『あははははっ、イッたイッた! こーんな体勢でイッちゃうなんてさ、真面目そうな顔して変態だなぁ桜織ちゃんも!! いいよ、2人でどんどんイッちゃおう!!』
 有頂天になって快楽を貪る変態男。その下でシーツを握りしめる少女。まさに天国と地獄という言葉が相応しい。鳴り響く冷たい鈴の音が、余計に悲劇性を際立たせている。

 9人目が退出した時の累計絶頂カウントは、実に132。それだけの絶頂となれば、肉体への負担は半端じゃない。
「はーあっ、はああーっ、はぁぁあっ……』
 『マングリ返し』から解放され、ぐったりと横たわる桜織の息は不規則だ。それでも恥じらいは失くしていないらしく、10人目が部屋へ入ってくると、さりげなく両足を揃えていた。
『今さらカマトトぶんな。マングリ返しでヨガってた変態のくせしてよ』
 10人目は嘲りながら桜織の隣に腰を下ろすと、いきなり割れ目に指を入れる。『んっ!』
『おー、確かに子宮が下りてきてんな。“発情スープ”のせいか、結構弾力ある感じになってっし』
 男は一人で納得しながら指を引き抜き、ベッドに転がっていたローションボトルを拾い上げた。そして中身をたっぷりと桜織の恥部に垂らすと、手で丁寧に塗り伸ばしていく。
 そうして下準備を整えたあと、奴は洗面台の下からディルドーを取り出した。「とりあえず用意はした」という感じの、平凡な責め具だ。強いてペニスとの違いを挙げれば、作り物だけに反りがなく、根元から先まで真っ直ぐな事ぐらいか。だがそれを誇示する男の顔は、妙な自信に満ちていた。
『今からコレで、じっくりポルチオを刺激してやるよ。期待してろ、スゲー気持ちよくなるから』
 男はそう言って、ディルドーを桜織の割れ目に沈み込ませた。まずはGスポット狙いらしく、ディルドーを浅く挿入したまま、上下に揺らしはじめる。
『ふ、んんっ……!』
 今の桜織にはそれだけで気持ちいいのか、鼻を抜ける声が漏れた。さらに男の指がクリトリスを刺激すると、あ、という喘ぎも混じる。
『昨日まで処女だったくせして、すっかり出来上がってんな』
 男は楽しそうに言いながら、バイブを一気に奥深くまで押し進める。
『んふっ!!』
 桜織の腰が小さく跳ねた。その反応を見ながら、男はディルドーの尻に指をかけ、ぐうっ、ぐうっ、と何度も押し込む。
『はっ、ん……んんっ!!!』
『へへ。なんだ、口閉じて声出さないつもりか? 無理に決まってんだろ』
 男は笑みを浮かべながら、バイブを小刻みに動かしはじめた。
『んん、んっ……っは、はっあっ、あはああぁっ!!』
 頬に皺を寄せて声を我慢しようとする桜織だが、耐え切れない。一分もすれば、白い歯を覗かせて喘ぐようになる。あの桜織が喘ぐほどなんだから、身体の方も無反応ではいられない。細い腰は跳ね、太腿の肉は盛り上がる。
 リン、と音が鳴った。
『イッたか。こうやって奥を刺激されると、つま先から頭まで感電したみたいになるだろ。それがポルチオの快感だ、よぅく覚えろよ』
 男はそう諭しながら、ゆっくりと顔を桜織に近づける。どうやらキスを迫っているようだ。
『あっ!? ん、んっ!!』
 桜織は顔を逸らして男のキスから逃れる。貞淑な彼女のことだ、口づけも認めた相手としかしたくないんだろう。
『はっ、ガード固ぇな』
 拒絶された男はむしろ嬉しそうだ。キスは諦め、代わりに桜織の肩を抱くと、その流れで乳首を摘みあげる。
『くんんんっ!!!』
『へへへ。こんだけピンピンになってんだ、痺れる気持ちよさだろ。乳首とポルチオをたっぷり可愛がってやるからよ、せいぜい頑張ってみせろや。ヘバッたらキスすんぜ、舌まで入れてよ』
 男はそう宣言して、ディルドーのグリップを掴み直した。

 そこからの男の責めに、派手さはない。ディルドーでトントントントンとリズミカルに膣奥を叩きながら、桜織の膝裏を持ち上げたり、乳首を責めるばかり。だがそれは、決して責めがぬるいわけじゃない。桜織の反応を見ればそれが解る。
 ぎゅぷっ、ぎゅじゅっ、という水気たっぷりにディルドーを締めつける音。栓を越えてあふれる愛液。挙句に内腿の筋肉や足裏の落ち着きのなさと来たら、プロレス技でも掛けられているかのようだ。
 落ち着きがないといえば顔もそうで、顎を引いたり浮かせたり、唇を引き結んだり喘いだりと実に忙しない。
 そして、極め付けが鈴の音だ。リン、リン、リン、と一拍置く程度の間隔で音が響き渡る。長く動画を見続け、鈴の音に慣れた耳にも異常と思えるペースだ。
 そうやって絶頂を重ねるほどに、桜織の反応は激しくなっていく。
『ひうぃい゛っ!!!』
 決定的な変化の先触れは、口が三角にへし曲がったことだ。慎ましい彼女らしからぬ表情。多分それは、必死に歯を食いしばった結果だったんだろう。だがそうまでしても、沸き起こる反応を抑え切れない。
 腰がガクガクと上下に揺れ、力みのあまり太腿の上辺が角張る。腹筋も内から押し上げられるように何度も盛り上がる。
『イク時はちゃんと言えよ!』
 男のこの恫喝に誘導されたんだろうか。
『あっ、あい……い、いく…ぅ゛………ッ!!!!』
 首元に皺を刻みながら、一言が搾り出され、また鈴の音が鳴り響く。何度となく耳にした音。だがこの時の絶頂は、それまでと比べても格段に深いものだったんだろう。実際そのあと桜織は、ぐったりと脱力してしまった。それまでの力みが嘘のように、顔も首も太腿も弛緩させ、穏やかな表情を浮かべる。
 そして男は、その隙を見逃さない。すかさず桜織の肩を抱き寄せると、斜めに唇を重ね合わせる。
『んっ!? んも゛うっう゛っ、う゛うう゛ーーーっ、んぐっ!!!』
 桜織はすぐに状況に気付いて叫ぶが、もう遅い。宣言通りに舌まで入れるディープキスを強いられ、ついには悲鳴さえ上げられなくなる。
 ぐちゅぐちゅと音をさせるキスを強いつつも、男の手は止まらない。それどころか、いよいよコンパクトかつ徹底的に膣の奥を苛め抜く。
『あえ゛ーーっ、あえ゛っ、えぐう、えぐううっ!!!』
 桜織は、舌を絡め取られながら絶頂の訴えていた。そしてそれを証明するように、リン、と鈴の音が鳴る。鳴ったと思えば、また鳴る。モニターのカウントアップもいつになく激しく、心霊現象のようで怖いほどだ。
『んぶっらァ゛っ!!』
 ようやく口が離された時の汚い声は、男と桜織、どちらのものだろう。下品だから男だと思いたいが、涎を垂らしながらゼエゼエと荒い息を吐く少女もまた、気品溢れるとは言いがたい。
 そんな状態の桜織を、男はさらに責め立てる。それまで真っ直ぐ突っ込んでいたディルドーに角度をつけ、上から下からズルズルと出し入れするやり方だ。これはかなり効果的らしく、桜織の小さな尻が何度も跳ね上がった。
『あ……っは、ぁいく、いくっ……!!』
 泣きそうな声がして、桜色の唇が三角にへし曲がる。何かを振り払うように何度も頭が振られ、最後には天井を仰いだままで動きが止まる。
『へへへ、グッタリしやがって。いただき~』
 男は満面の笑みを湛えて前傾し、桜織の唇を奪った。これで二度目になるが、インパクトはさっきに劣らない。
『んっ、んんっ……あぁっ、んんん……ふっ、んっ…………』
 濃厚に口づけを交わしては、熱っぽい吐息を吐き出し、また舌を絡ませあう。それはまるで、恋人のするキスのようだ。そしてその中で、また桜織は鈴の音と共に身体を震わせる。確実に何かを喪失しながら。

『へへへ、すんげぇ締めつけだ。すっかり奥でイク癖がついちまったな。さすが優等生、飲み込みが早ぇぜ!』
 持ち時間の最後、男は成果確認とばかりに桜織の膣を堪能した。枕を敷いて腰を浮かせ、両足を肩に抱え上げた上で、奥までの挿入を繰り返す。それ自体は前にも散々目にしたプレイだ。だが、桜織の反応は一段階変わっていた。
『ああっ、あっ……んあああっ!! おっ奥、奥は、ぁっ……!!!』
 シーツを掴みながら顔を歪める桜織。その様はまるで、二度目の処女を失っているかのようだ。抱えられた脚の強張り具合も異常で、陸上で鍛え上げられたとしか思えないほどの筋肉の盛り上がりを見せている。
 そして、鈴の音。ペースこそ不安定だが、男が腰を2回振れば1度は鳴った。
 結局この10人目を相手に、桜織が達した回数は実に56回。しかもその一回一回が、クリトリス逝きよりもずっと深い絶頂だ。
 結果として、桜織の性感のステージはまた一段階上がってしまった。この後に続く映像を見れば、嫌というほどそれが実感できてしまう。


              ※


『どうだ、俺のバックは良いだろ? 俺のチンポの反りはバック向きらしくてな。前のオンナ抱いた時も、正常位じゃ全然なのに、バックでやると途端にヒイヒイよがるんだ』
 そう豪語するだけあって、11人目は何度も桜織を絶頂させていた。「主導権は自分にある」と言わんばかりに、桜織の両手首を後ろへ引き絞ってのバックスタイル。やられる側の桜織は、膝立ちになったまま、ベッドに頬を預ける格好で喘ぐしかない。
『うあ……うう゛あ゛っ! うあ……あ゛っ!!』
 桜織から漏れる喘ぎは、聴いているだけで妙な気分になった。我慢しようとしても、どうしようもなく漏れてしまう、という風だ。
 それほどの喘ぎが漏れる状況なら、肉体の反応も生々しい。腰が打ちつけられるたびに、桜織の尻肉が震え、太腿が強張る。シーツに深々と沈み込む膝とつま先が、全身にどれだけの力が入っているのかを物語る。
 鈴の音も鳴り続けで、モニターのカウントはとうとう200の大台に乗った。
『しっかし、俺の前に10人ヤッてるとは思えねぇ締まり具合だな。最初はどんだけキツかったんだ? 子宮口もほぐれてブニブニしてっし、奥突くたびにヒダが吸い付いてくるし……いやらしいマンコになっちまってんなぁ、委員長さんよぉ!!』
 男は激しく犯しながら、隙あらば罵声を浴びせていた。そうすることで桜織が恥じ入り、反応が良くなると知っているからか。
『うううう゛んっ!!!』
 くぐもった悲鳴が上がり、掴み上げられた桜織の手が、相手の手首をぎゅっと握りしめる。直後、リンと鈴の音が鳴った。
『ぐうっ!! すんげぇ締め付けだ、たまんねぇ……出るぞっ!!』
 男は歯を見せて笑いながら、ラストスパートとばかりに強く腰を打ちつけ、一番の奥で精を放つ。
『う゛ああっ、はぁっ、はぁっ……! やめて、ください……こんな、奥……し、子宮に、入っちゃう……!!』
 桜織から、掠れたような声が漏れた。
『ふうっ、ふうっ……なに言ってんだ。マンコの奥ヒクつかせて精子を吸い上げてんのはオメーだろ。この変態が!』
 男はそう言って、数十分ぶりに桜織の手首を開放した。相当な力で握られていたのか、赤い手形のついた細い手首は力なくシーツに落ちる。その脱力ぶりは、まさにレイプ後という感じがした。
 男がゆっくりと腰を引くと、太腿の合わさった部分から“みちゃっ”という音がした。お互いにどれだけの汗を掻けば、そんな音が出るんだろう。
『はぁーっ、はぁーーーっ、はぁーーーっ…………』
 桜織はベッドの上に突っ伏し、荒い呼吸を繰り返していた。男はそれを見下ろして、意地の悪い笑みを浮かべる。
『おら、いつまでもヘバってんじゃねぇ。延々と善がってられるオメーと違って、こっちにゃ2時間しかねーんだ。水飲んだら再開すっぞ』
 奴はそう言ってベッドを降りた。

 ここで一旦カットが入り、暗転を挟んで映像が再開される。
 プレイはやはり後背位だが、今度は体位が違った。ベッドを降り、シーツに手をついた桜織を背後から犯す形だ。桜織の顔がカメラの方を向いているから、さっきとは打って変わって表情がよく見えた。
『ふっ、く……んん、んん゛んん゛っ! くはっ、はあっ、ああああっ!!』
 下唇を歯で噛んで声を殺そうとし、絶頂で息を吐き出す。また声を抑えようとするが、抑えきれずに喘ぐ。その繰り返しだ。そのまま何度もイカされれば、肩幅に開いた脚が細かに震えはじめる。それを目敏く見つけた男が、嬉しそうに笑った。
『くくっ、脚がガクガクんなってきたな。ま、そうだろうな。ベッドで散々イカせてから立ちバックすりゃ、どのオンナも音を上げたもんだ』
 男はそう言って桜織の腰を掴み直し、いよいよ力強く腰を打ちつける。肉のぶつかるパンパンという音が小気味良いほどだ。
『ああああっ!!』
 桜織の腰がぶるりと震え上がり、口が大きく開く。追従するように鈴の音が鳴り響く。
 ここへ来て、とうとう桜織は開脚状態を保てなくなったらしい。膝頭をすり合わせるように、すらりと長細い脚が閉じられる。男が鼻で笑った。
『今さら内股とか、無駄な抵抗すんなよ。それとも何だ、こうやってマタ広げてハメられんのが怖ぇのか? すげぇ深くイッちまう確信があるとか?』
 そう言って脚の間に掌を割り込ませ、強引に脚を開かせていく。我慢ができないから足を閉じたというのに、それを開かれては堪らない。
『や、やめて、ください……。せめて、少し休ませて……!!』
『休みてぇんなら、次の奴にオネダリしろ。こっちは随分お預け喰らってんだからよ、気ィ済むまで愉しませてもらうぜ!!』
 奴はそう言って、また激しく腰を打ちつけはじめた。
『ああああ゛っ、はああっ!! い、いや、いやああぁっ……!!』
 細い腰が震え、鈴の音が響く。桜織の声が、段々とか細くなっていく。俯きがちで表情はよく見えないが、鼻を啜る音もしているようだ。
『んだよ、泣いてんのか? オンナ嬉し泣きさせるとか、俺もまだまだ現役だな』
 桜織の異変に気付いても、男は責めの手を緩めるどころか、ますますリズミカルに腰を打ち込みつづける。
『う゛ぅーう゛っ、う゛っあイク、ううう゛っっ!!!!』
 桜織の細い手が強張り、シーツを掴んで皺だらけにする。太腿にも、円錐状の異物を捻じ込まれたように肉が盛り上がっている。死を前にしてベッドに縋りつく少女……そんな感じで、恐怖さえ感じてしまう。
『だいぶ腰砕けになってきたな』
 男はそう言って、ずるりと逸物を抜き出した。いつのまにか射精もしていたらしく、半勃ちでぶらさがる逸物からは、白い糸が垂れ落ちている。
 ここで、桜織の身体が前に崩れた。尻を高く掲げ、シーツに突っ伏して。モニターのカウントは230回。いよいよ体力も限界なんだろう。だが、それを見ても男に同情の念は沸かないらしい。
『うへぇ、マン汁でヌルヌルんなっちまった。おい、フロ入んぞ!』
 足を見下ろしながらぼやき、桜織の腕を掴んで浴槽へ向かう。力なく引っ張られていく桜織の顔は、涙と鼻水で濡れていた。

 男は、浴槽内でも散々に桜織を嬲っていた。泡まみれの手で割れ目を擦ったり、クリトリスにシャワーを当てたり。特に湯を張っている待ち時間での『手マン』は、今の桜織にとっては地獄だろう。
『脚ガクガクんなってもへたり込むなよ。意識飛ぶまで続けてやる』
 男はそんなことを囁き、大きく開かせた脚の間で指を動かしつづける。
『ひいっ、くっんんんーん……くうぅっ!!』
 桜織の声はか細い。左手で浴槽の縁を掴みつつ、右手の指を噛んで声を殺しているからだ。だが、そうして声を殺していられるのも最初の内だけだった。何度も指で絶頂させられれば、そのうち両手で縁を掴まなければ姿勢を保てなくなる。そうなれば声を抑えきれない。
『っくいくっ、あああぁっ、ああっ、んああああっ……!!!!』
 こういう艶かしい声が出続けになる。
 男が桜織の余裕のなさを面白がり、浴槽の縁に片足を乗せるよう命じてからは、特に悲惨だった。上げた左脚が病的なほどに強張り、腹筋が凹んでは戻る。愛液のあふれ方も普通じゃなく、少し切れが悪い小水といった風だ。
『こんな……こんなの、いやあああぁぁっっ!!!』
 桜織の顔も引き攣り、とうとう悲鳴さえ上がりはじめる。
『すげー、どんどん出てくる』
 一方の男は呑気なもので、その温度差はホラーじみてすらいた。

 散々に桜織を追い詰め、浴槽に湯が満ちた頃、男は悠々と風呂場の縁に腰掛けた。とはいえ、足湯をするわけじゃない。湯船の中で桜織に這う格好を取らせ、逸物をしゃぶらせるためだ。
『相変わらず下手だなオメー。思い切りが悪ィんだよ思い切りが。今さらお上品ぶってもしゃあねぇだろ、あんだけマン汁撒き散らしといてよ。見ろよ、湯がすっかりオメーのマン汁で濁ってやがる。脚にもヌルヌル絡みついてきやがるしよ。ホント汁の多い女だぜ!!』
 隠語を繰り返し、羞恥を煽ることも欠かさない。徹底した性格の悪さだ。そうした悪意を、桜織はもう何度も受け止めている。そろそろ受け流せてもいい頃だが、彼女はやはり羞恥に耳まで赤らめて恥じ入っている。
 それが、桜織という女性なんだろう。生真面目すぎるがゆえに、何でも正面から受け止めてしまう。心が壊れるほどの恥辱でも、気が狂うほどの快楽でも。

 逸物が上反りするまでに回復したところで、男はセックスを再開した。浴槽の縁に桜織の手をつかせてのバックスタイル。
『駄目押しの風呂場ハメってな。俺のチンポは、身体が温まってっと余計に気持ちいいぜ?』
 男はそう語り、水面に波を立てながら腰を振る。
 都合3度目の後背位だが、これが一番強烈だった。男の言う通り、身体が温まっていることが仇となったのか。
『あ…だめっ!!!』
 挿入からほんの数十秒で、桜織が顎を跳ね上げた。余裕なく視線を惑わせながら、腰に添えられた男の手を掴む桜織。だが男は構わず、激しく腰を打ち込みつづける。入浴で肌がふやけたせいか、パンパンという肉のぶつかる音は重厚感を増していて、そのぶん迫力もすごい。
『やだめ、だめ……いっちゃうっ!! だめ、いぎ……っ!!!』
 背中が弓反りになり、歯が食いしばられる中で、また鈴の音が鳴る。今回でちょうど250回目の絶頂だ。
 そこからは、順調に絶頂回数が積み重なっていく。桜織は手の甲に筋を浮かせて男の拘束を外そうとしていたが、力比べで敵うはずもない。結局は腰砕けになり、浴槽の縁に両手で掴まるしかなくなる。
 一方の男は落ち着いたものだ。あああ、あああ、と心地良さそうに喘ぎながら、堂々とした姿勢で相手を責め抜いている。よほど後背位に自信があり、かつ経験も豊富らしい。
 そこからさらにセックスが続き、絶頂回数が260回を越えた頃だ。
『あっ、で、出ちゃうっ!!』
 急に桜織が叫び、激しく身を捩った。火事場の馬鹿力というやつか、これでとうとう男の手が外れる。
『おい、暴れんな!』
 男が怒声を浴びせる中、桜織の腰が震える。そして直後、じょぼじょぼと風呂の水面に向けて液体の注がれる音がしはじめる。
『なっ……』
 男は目を丸くし、怒りの表情から一点、してやったりという笑みを広げた。
『はははっ!! んだよお前、良すぎてションベンか!? ったく、下品なガキだな。よくもまぁそれで品行方正ぶれたもんだぜ!!』
 男はそう言って、桜織の尻を叩く。
『ぐっ……す、すみません、でも!』
『でももクソもねぇんだよ。オラ続けっぞションベン垂れ!』
 男は桜織の弁明を無視し、腰を掴んでプレイを再開する。パン、パン、パン、パン、と一回一回着実に奥までを貫く突き込みだ。
『かはあっ!! も、もう、無理です……っ!!』
 桜織は身体中を強張らせながら、がくりと項垂れた。それをきっかけとしたように、突き込みのペースが上がる。機関車が速度を上げるように、徐々に、徐々に。
『だめ、駄目ダメっ!!いきますっ、いってます!!!』
 桜織の手が、また男の手に重なった。腰を掴まれているのがそれほど致命的なのか、あるいは錯乱状態で同じ行動を反復してしまっているのか。
『ああああぁぁっ、はああっ!! はぁっはぁっ……うああ、ああああぅあ゛ーーーっ!!!』
桜織の反応が悲惨さを増していく。浴槽の縁に両手でしがみついたまま、叫び、泣き、身悶え。まるで下半身を貪り食われているかのようだ。強烈な快感は痛みと同じというから、実際似たようなものかもしれない。
『すげぇなお前、ここまで意識保てた女はそういねぇよ。案外、快感の耐性強ぇのかもな。ま、それならそれで愉しませてもらうまでだ。これが終わったらまたベッドだぜ。持ち時間ギリギリまで、バックを堪能させてやるよ!!』
 男はそう囁きかけ、恐怖に引き攣る相手の表情を愉しんでいた。



『ぜぇっは、ぜはっ……はーっ、はひっ、はっ……!!』
 11人目が部屋を出ていった後、桜織はベッドの上でひどい呼吸を繰り返していた。溺死からかろうじて生還したばかり、という風だ。小学校高学年かと見紛う小柄さだけに、余計痛々しい。
 そして、やはり彼女に充分な休息は与えられない。ドアが開き、逆光の中で12人目のシルエットが浮かび上がる。線は細く、ケダモノのように犯すタイプには見えない。ただし、眼鏡奥の細い瞳からは、ひどくマニアックな印象を受ける。事実として奴は、これまでの12人のうちで唯一、外から責め具を持ち込んでいた。
『お願いします。10分でいいから、休ませてください……』
 桜織はベッド上で半身を起こし、12人目の男に乞う。だが男は、爬虫類を思わせる瞳で少女の裸体を舐め回すばかりだ。
『まるで人形みたいだね、綺麗だ。さっきまであんなにギャンギャン泣いてた子とは思えないよ。ま、だからこそ興奮するんだけどね。あんな反応見せられたら、もっともっと開発したくなるじゃないか』
 奴はそう言ってベッドに腰掛け、持参した道具を桜織に見せ付ける。
 長さがあり、かつ柔らかそうな黒いディルドー。手でちょうど握れるサイズの、ピンク色のキャップ。
 桜織が怪訝な表情を浮かべる。見慣れない道具を前に、その用途を必死に考えているようだ。
『さっきのセックスで、だいぶポルチオの開発が進んだみたいだからさ。次はこれで、もう一段階感度を上げてあげるよ。もう身に染みて解ってるかもしれないけど、ポルチオの快感って、クリやGスポの比じゃないからね。身体の端まで響く深ーい快感が、ずっと続くらしいよ。ま、ネットの聞きかじりだけどさ。それがホントなのか、そのカワイイ身体で実験させてよ』
 12人目の男はそう言って、ディルドーを指で弾く。一方で、桜織はシーツを握りしめていた。その心境はよく解る。
 もはや対話など不可能。そう、悟ったんだろう。


 
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