大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

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ブログ開設。

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【告知】新作最終話書き直し&ボツ案FANBOX有料公開

皆さん、お久しぶりです。燻製ねこです。

だいぶお待たせしてしまっている『二度と出られぬ部屋』最終話ですが、
どうしても自分の中で納得いかない状態なので、一度すべて書き直すことにしました。

ただ、現時点でかなりお待たせしてしまっている状態であり、
またせっかく書いたものを完全にお蔵入りさせてしまうのも勿体ないため、
私のFANBOX
にてボツとなった分を公開しております。

有料会員様への限定公開のため、月額100円~掛かりますが、クライマックス直前までの6万字超を格納しています。
もし宜しければ、最終話公開までの間、こちらをお楽しみいただければ幸いです~。

何卒、よろしくおねがいします(*_ _)。

二度と出られぬ部屋 第五章 “先生”

※実に4ヶ月ぶり……遅くなってすみません。本当にすみません。ようやっと復活しました。
 今回は処女ビッチとのイチャラブ回中心。残りはあと1話+エピローグです。




■第五章 “先生”


 レストランでの食事は、相変わらず味がしなかった。あの日エレベーターで居合わせた5人娘のうち、4人の崩壊を目の当たりにした。その後味の悪さが、味覚を邪魔している。
 ボーイッシュな祐希。天使のような千代里。大和男児の魂を持つ藤花。大和撫子そのものの桜織。どの娘も気高く、眩かった。ケダモノ共に掴まりさえしなければ、どれだけ輝かしい未来が待っていたことだろう。
 後はあの、小悪魔じみた雰囲気を持つ少女のみ。彼女もどこかで凌辱を受けているんだろうか。いや、間違いなくそうだろう。類稀な美少女5人の中でも、一際目を引く容姿だ。ケダモノ共に放っておかれる筈がない。
 と、ここで俺は、逸物が頭をもたげている事に気がついた。
「……嘘だろ」
 思わず一人ごちる。
 興奮しているのか? あの少女の陵辱シーンを想像して? ……有り得ない。4人の少女が犯されるところを見て、あれだけ胸が痛んだんだ。その俺がなぜ、畜生の行為を夢想して興奮するんだ。だが、現に俺は勃起している。血の巡った亀頭部分が石のように硬くなり、ズボンのチャックを押し上げている。
 異常だ。だが思えば、初日からそうだった。エレベーターであの子を見た日から1週間近く、猿のように自慰に耽ったのを覚えている。あの小悪魔じみた少女には、尋常でなく心を揺り動かされるらしい。
 確かに格別の美少女ではあった。極上のスタイルで、“そそる”のは間違いない。だがそうだとしても、まだ熟してもいない未成年の小娘一人に、ここまで執着するなんて。
 彼女は今、どこでどうしているんだろう。
 俺はベッドに横たわってからも、次の日に目覚めて朝食を摂る間も、ずっとその思いに囚われていた。

「お早うございます」

 俺の思考を途切れさせたのは、端塚の声だ。奴はいつも通り、白髪混じりの頭を深々と下げる。最初こそ面食らったものの、今や疎ましい日課でしかない。その礼を見た後には決まって、見知った顔が泣き叫ぶ場面に出くわすんだから。
「昨日は、地下18階に居られましたな。あそこの調教は見応えがあったでしょう。女という生物は、ああして繰り返し絶頂させられ、オルガスムスの波に溺れれば、たちまち一匹の豚に変わるのです。蝶よ花よと大事に育てられた娘ほど堕ちやすい。元が白い布ほど、泥へ浸せば汚れやすいように」
 端塚は得意げに語る。罪も無い少女を不幸のどん底に突き落とし、なお恍惚の表情を浮かべる神経は、俺には到底理解できない。
「実に悪趣味だったよ、反吐が出るぐらいにな。大体、快楽に溺れるというなら、男の方はどうなんだ。あれこそまさに、堕落した豚だろう」
 俺がありったけの敵意を含ませて言い放つと、端塚の表情が強張った。雰囲気も変わったようだ。
「……本気で、仰っておられるのですか?」
「本気だ。俺に、ああいうもので喜ぶ趣味はない!」
 不穏さを感じながらも、はっきりと拒絶の意思を示す。答えをはぐらかし、奴らのペースに流されてはいけない。俺の中の何かがそう訴えていた。
 端塚の表情は複雑だ。敵意や憤りよりも、落胆の色が濃いように見える。だとするなら、奴は俺なんかに何を期待していたんだ。
「変わってしまわれましたな」
 皺を波打たせながら口が動き、そんな言葉が吐き出された。変わってしまった……過去の俺を知らなければ出てこない言葉だ。やはり、俺とこいつには過去に接点があるのか。
「致し方ありません。こうなったからには、極限状況下での覚醒に賭けるとしましょう」
 端塚はそう言って、パチンと指を鳴らす。すると壁際に控えていた数人のセキュリティーが一斉に動き出し、瞬く間に俺を包囲する。明らかに俺を捕らえようとする動きだ。
「なっ……どういうつもりだ!?」
 端塚に問うも、返答はない。代わりに眼帯で覆われていない右目が、レストランの入口を指し示す。
「くそ……っ!」
 逃げ場を塞がれた今、選択肢などない。セキュリティーに包囲されたまま、エレベーターでフロアを移動させられる。
 行き先は、一つ上のフロアだ。

              ※

 地下19階……そこは、異様だった。他のフロアであれば、エレベーターから出た場所にはまず高級ホテルさながらの煌びやかなエントランスが広がり、その奥は壁で仕切られている。その壁にたった一つ設けられた扉を開けば、ようやく阿鼻叫喚の地獄に辿り着く。そういう構造だった。
 だが、ここは違う。エレベーター前は停電でもしているように暗い。そしてその闇の向こうには、逆に煌々と照らされた空間が広がっていた。ライトアップされた生活感のない部屋にベッドやテーブルが並んでいる様は、ショールームを思わせる。眩い部屋とこちらは、透明なガラスで仕切られているらしい。
「お召し物をここへ。時計なども全てお預かりいたします」
 端塚がバスケットを床に置く。服を脱げというのか。承服しかねる横暴だが、やはり拒否権はない。
 生まれたままの姿になった俺の前で、明暗を隔てるガラスの一部が開かれる。
「では、ごゆっくり……」
 端塚の言葉と共に、俺の体はガラスの向こうへと放り込まれた。
 背後で入口が閉じられる。慌てて振り返ると、そこには巨大なミラーが広がっていた。一糸纏わぬ男が、膝立ちになって映り込んでいる。外からは中が透けて見えたんだから、マジックミラーというやつか。
 背後だけじゃない。四方の壁もすべて鏡張りだ。天井の過剰な照明がミラーに反射していて、ダイアモンドにでも閉じ込められている気分になる。上を向いていると頭がクラクラしそうだ。

 部屋そのものは、少々広さのある独房という感じがする。中央にベッドが鎮座し、その近くにテーブル1つと椅子2つ。東の壁際に木製の棚。西の壁際には簡素な洗面台と洋式便器が設けられ、北西の隅にはシャワーと排水溝。あるものといえばそれぐらいだ。
 調度品はほとんどが簡素だが、ベッドだけは立派だった。大人2人が余裕をもって寝られるクイーンサイズ。ボードは赤で、シーツはピンクだ。掛け布団は見当たらない上に、シーツはマットレスに固定されている。休息用の寝具ではなく、セックスを前提とした舞台装置ということか。であれば、ど真ん中に鎮座しているのも頷ける。
「ふざけやがって……」
 俺がぼやきながらベッドに近づいた、その瞬間。ベッドの向こう側……俺からも外からも死角になる場所で、何かが動いた。あれは、人の素足か。
「誰かいるのか!?」
 そう呼びかけると、足の指がピクリと反応する。俺はその相手とコンタクトを取るべく、また一歩ベッドに近寄った。だが。
「来ないでっ!!」
 響き渡ったのは、拒絶の言葉。声の感じからすると女だ。それも相当若い、ティーンだろうか。そんなことを考えている間に、ベッドの陰から顔が覗く。
「あっ!?」
 思わず声が出た。
 あの子だ。
 エレベーターでの一瞥で俺の心を惑わした、淫魔を思わせる少女。涼やかな目元、形のいい鼻、薄く血色のいい唇、すっきりとした顎のライン……どれもが脳に焼きついた情報と合致する。
「あんた、あの時の!」
 向こうも俺の顔に覚えがあるらしい。互いに見知った仲というわけだ。だが小悪魔じみた吊り気味の瞳は、安堵するどころかむしろ警戒の色を強めた。
「あんたもココの連中の仲間だったの!? 私をこんな所に閉じ込めて、何するつもり!?」
 敵意を込めて叫びがぶつけられる。どうやら誤解を受けているらしい。
「違う! 俺もいきなりここに閉じ込められたんだ。施設側の人間じゃない!!」
 必死に弁明するが、相手の警戒は解けない。年頃の少女がいる部屋に、丸裸で侵入した男──それが不審者めいているのはわかる。だが、俺に責があるわけでもない。
 互いに沈黙したまま睨み合い、一分も過ぎようかという頃だ。天井近くに設けられたスピーカーから、ザザッというノイズが漏れた。

『御機嫌よう、お二方。居心地は如何ですかな?』

 端塚の声が聴こえてくる。いきなり裸で放り込んでおいて、居心地も何もあるか。
「良いわけないでしょ! ってか、この部屋なんなの!?」
 例のあの子も声を荒げる。するとその問いに答えるかのように、またマイクのノイズが走った。

『そこは……“セックスをしたら最後、二度と出られぬ部屋”です』

 予想外の答えに、俺達は固まった。
「え……?」
 今、何て言った。セックスをしたら最後、二度と出られぬ部屋……?

『お二方には、そこでしばし共同生活を送っていただきます。その間一度も性交渉がなければ、解放して差し上げましょう。逆に一度でも性行為が認められれば、二度と外に出る事は叶いません。オスとメスに成り果てるも良し、苦境を耐え凌ぐも良し。選択はご自由に……』

 その宣言の後、ブツッという音を最後にマイクのノイズが消える。
「ま、待て! いつまでここに閉じ込める気だ! おい!!」
 外に向けて叫ぶが、返事はない。こっちの声が届いていないのか、あるいは聴こえているのに答えを寄越さないのか。

 密閉された空間に、静寂が満ちる。
 …………いや、違う。音は微かにしている。シューッという、ガスの漏れるような音が。静まり返った状況でないと聴こえない音量な上に、抑揚やリズムがないから判りづらかっただけだ。
 音の出所は、スピーカーと同じく天井近くらしい。細いパイプからドライアイスのような気体が噴き出しては、空気中へ拡散していく。その光景には見覚えがあった。桜織がプレイルームへ連れ込まれる前、50人の肉体労働者の逸物をしゃぶらされている時に見たものだ。

『煙っつうか、ガスだな。ま、媚薬の類と思えばいい。シャブみてぇに即効性はねぇが、このガスを吸い続けりゃ、どんな人間でも確実に色狂いになる。神経をやられて、男なら女を抱くこと、女なら男のイチモツにしゃぶりつくことしか考えられなくなる』

 手越の言葉を思い出す。そして同時に、その後の光景も。
 嘘じゃなかった。あの清楚な桜織が、恥垢まみれの逸物を舐めしゃぶるだけで愛液を滴らせ、純潔を失ったばかりのセックスで何度も達していた。あんな事は、薬か何かで理性を狂わされない限り起こりえない。
 悪趣味なことだ。あのガスをたっぷりと吸わせて、閉じ込めた人間を発情させる。その上で“セックスをしたら最後、二度と出られない”という制約をつけ、実験体が理性と衝動の板挟みで苦しむ姿を愉しもうというわけか。
 これまでのパターンからすれば、じきにマジックミラーの向こうに変態客が招き入れられ、こっちを観察しはじめるんだろう。その中には、ここ数日で顔を合わせた人間がいる可能性も高い。
 堕ちる祐希を眺めていた時、周りでニヤけていた連中。
 苦しむ千代里を見ていられず、一悶着起こした相手。
 藤花の被虐シーンに動揺する俺を目撃した客達。
 桜織の崩壊をモニタ越しに眺める部屋の同席者……。
 あんな外道共に、苦悶する姿を観察されるのか。そう思うと腸が煮えくり返りそうだ。
 だが、煮えくり返りそうなのは腸ばかりじゃない。そこよりやや下……男の象徴もまた、熱と共に硬さを増してきている。この部屋に入ってから僅か数分で、早くもガスが効いてきたらしい。桜織という前例を見て、頭では理解していたつもりだったが、いざ自分で体験すると恐ろしいものだ。

 果たして俺は、この出口の見えない地獄に耐えられるんだろうか。


              ※


 閉じ込められてから、どれぐらい経ったんだろう。この密室に時計はないし、腕時計も取り上げられているから、正確な時間を知る術はない。ただ、1秒1秒ははっきりと感じられる。どくん、どくん、と秒刻みで鼓動が響き渡るからだ。
 天井から噴き出すガスは、着実に俺に効いていた。刻一刻と動悸が早まり、汗が滲む。睾丸がむず痒くなり、射精管が疼く。逸物は何の刺激もなしに勃ち上がり、石のように硬くなっている。オスとしての機能が目覚めているのは、今更疑う余地もない。
 俺を狂わせる材料は、ガスの他にも存在する。壁際の俺から数メートル離れた豪奢なベッド……その陰に隠れる形で座り込む娘の存在だ。
 彼女はベッドに背を預ける形で膝を抱え、俯くかこっちを睨むかを繰り返している。俺のことをかなり警戒しているようだ。
「……ちょっと」
 その彼女が、ベッドの端から憮然とした表情を覗かせた。俺はその表情を見てハッと息を呑む。老若男女誰であれ、敵意を露わにした表情は醜く見えるものだ。だが、彼女はキツい表情でも不快感がない。まるで一流の彫刻のような、信じがたいほどの美貌だ。
「なんだ」
「トイレ行くから、下向いといてよ」
 なるほど。見た目は芸術品のようでも、やはり生理現象はあるらしい。普通なら後ろを向けと言うところだが、四方を鏡で覆われたこの部屋では、結局鏡越しに見えてしまう。だから床を見ていろというわけだ。
「顔上げたら殺すから」
 そう念押ししてから、彼女はゆっくりと立ち上がる。その瞬間、“みちゅり”という微かな音が聴こえた。水気のある音。汗で床に張り付いた尻肉が離れる時のものか。そう理解した途端、逸物が大きく脈打つ。睾丸が収縮し、硬い棒が上下する。まるで思春期の中学生だ。
 その中学生さながらの欲望に抗いきれず、少し目線を上向ける。
 俺に背を向ける形で歩く彼女の、太腿から下が視界に入った。まさにモデル級の脚線美。この数日で裸体はいくつも目にしたが、その記憶が消し飛ぶほどのインパクトがそこにはあった。やっぱり、彼女は別格だ。男の情欲を問答無用に掻き立てる淫魔だ。
「ふう……んっ」
 その淫魔が洋式の便器に跨り、小さく息む声が聴こえてくる。そしてその直後、じょぼぼぼ、という音が響いた。所詮はただの排尿だ。だがそれが、俺の性欲を刺激する。背筋にぞわりとした興奮が這い上る。

 ( ──子供相手に何を考えてる。落ち着け、自我を保て! )

 そう自分に言い聞かせるが、興奮は収まりそうにもない。
 用を足し終わったあの子が立ち上がり、ベッドの方へ戻っていく。とてもティーンエイジャーとは思えないスタイルを覆い隠すのは、彼女自身の両手のみ。固定されたベッドシーツを始めとして、この部屋では体を隠せる類のものは徹底して排除してある。あくまで互いの肉体を意識させ、セックスに誘導しようということか。悪趣味なことだ。

 それから、さらに経ったころ。東側の壁で物音がした。見ると、ミラーの中央部分が小窓のように開いている。そしてその僅かな隙間から人の腕が覗き、食器を載せたトレーが棚に置かれた。
「お食事です。食器とトレーは、棚の上にご返却ください」
 トレーを差し入れた人間は、そう言い残して小窓を閉じた。
 献立は、グリーンピースが乗ったオムライスに、付け合せのポテトサラダとコーン、そして大きめの器に入ったオニオンスープ。桜織が食わされていた物よりは随分と真っ当だ。
 腹も減っているし、早くありつきたいところだが、その前に問題がある。部屋にテーブルが一つしかないことだ。
「言っとくけど、一緒に食べるとかありえないから」
 小悪魔じみた少女は、冷ややかな目でそう告げた。まあ確かに、狭いテーブルで向かい合って食事ができるほど親密でもない。
「俺は床でいい。テーブルを使え」
「へっ!?」
 俺がトレーを手に胡坐をかくと、切れ長の目が縦に開く。多分、テーブルの取り合いになることを覚悟していたんだろう。
「ふ、ふーん、そ。じゃ、遠慮なく」
 そう言って足早にテーブルへ向かう彼女の声は、ほんの少し柔らかいように思えた。

 気前良く譲ったのはいいが、やはりスープつきの食事を膝に乗せての食事は不自由だ。床に座り込んだ俺の食事は、さぞ不恰好なことだろう。それを見かねてなのか。
「え、……っと、さ」
 上空から、戸惑いがちな声がする。顔を上げれば、小悪魔娘が開いた口の手前でスプーンを止め、俺を見下ろしていた。
「その、やっぱ、一緒でいいよ」
 そう言って皿を引き、テーブルの片側にスペースを作る。有り難いことだ。

 正面に座ってそれとなく観察してみると、彼女は見た目こそ今時の女子高生という感じだが、食事マナーはちゃんとしていた。スプーンで物を掬い、口に運び、咀嚼し、飲み込む。その一連の所作は令嬢のそれだ。
 ただ、全てが完璧なわけじゃない。オムライスの頂点に乗っていたグリーンピース3つが、さりげなく皿の端によけてある。なんでも残さず食べる、という流儀ではないらしい。
 ……あまり見るものでもないか。彼女に不審がられるのもあるが、俺自身が妙な気分になる事の方がまずい。今の俺は、性欲が芽生えたての中学生も同然だ。顔立ちの整った少女が、物を口に運び、咀嚼する……その様子を見ているだけで、逸物がいきり勃ってしまう。硬くなった物の先は斜め上方向に反り返り、常にテーブルを押し上げている始末だ。いよいよ、やばい。
 その発情ぶりは、食事が済んでも収まらなかった。風船のように膨らんだ性器の内で、沸騰した血が氾濫している。桜織のケースと同じく、食事に何かが盛られているのかもしれない。
 俺はこのザマだが、彼女はどうなんだろう。彼女もこの密室の中でガスを吸い、俺と同じ食事を摂ってるんだ。何らかの変化があってもおかしくない。そう思って意識を向けると、彼女にも異変が起きていることがわかる。息が荒い。汗の量が尋常じゃない。胸の先がかすかに尖っている。それらの特徴は、あの4人の少女達が昂ぶった時のそれと同じだ。
 そして、二回目の食事を受け取りに行く最中、俺はさらに決定的な異変を目にした。愛液だ。すらりとした脚の内側を、透明な雫がいくつも伝い落ちている。彼女の歩いた後に点々と残っているんだから、見間違えということはありえない。
「ジロジロ見ないでってば!」
 彼女は俺を睨みながら叫んだ。その目尻には涙が滲んでいる。彼女もつらいんだろう。意思とは無関係に発情し、おまけにそれを見知らぬ男に見られてしまう。年頃の少女にとっては、耐えがたい恥辱に違いない。
「すまん」
 俺は相手から視線を外し、テーブルでの食事に専念する。最悪、という小さな呟きを耳にしながら。
 ああ、最悪だ。良識ある大人であれば、未成年の裸を興味本位で眺めたりはしない。上のフロアでひしめいている外道共を笑えない。俺は自分にそう言い聞かせ、できうる限りの自制を試みた。
 だが、興奮は収まらない。鉄の棒のように硬くなった逸物の先からは、とうとう先走りの汁まで溢れはじめている。
 
 (なんだ、この反応は。そうまでしてあの子を抱きたいのか。孕ませるつもりなのか。この畜生め!)

 俺は自分が恨めしくなり、膝を抱える手の甲に噛みついた。強烈な痛みが走り、ほんの少し気が紛れる。だが、あくまで少しだけだ。2秒もすれば、また鼓動が俺を支配する。原始的な欲求が、下半身の先端で力強く脈打つ。

 暑い。

 熱い。

 汗が止まらない。
 雄の匂いが身体中から立ち上っている。

 痛い。逸物の表面が痛い。
 射精管が灼ける。睾丸がはち切れる。

 狂いそうだ。

 密室の中、足元から徐々に水位を上げてきた“苦痛”は、今や顎の上に差し掛かっている。気を緩めればすぐにでも溺れかねない量だ。
 俺は、随分とそれに抗ったと思う。正確な時間などは知る由もないが、食事が7回差し入れられるまでは耐え抜いた。だが、8回目。音をきっかけに、高熱にうなされるような状態で配膳場所へ向かった直後、それは起きた。
 普通であれば何でもないこと。トレーを掴もうと差し出した俺と彼女の手の甲が一瞬触れただけの、ごく小さな接触。その瞬間、痺れるような感覚に襲われた。皮膚の内側にビリビリと電流を流される感じだ。そしてその感覚は、ダイレクトに俺の脊髄と下半身までを貫いた。
「な、何……?」
 不審がる声に、俺は横を見やった。そこにあるのは、俺と同じく、熱に浮かされた顔。汗が浮き、頬が上気して……いやらしい。

 気付けば俺は、彼女を床に押し倒していた。
 実は、あまりこの瞬間の記憶がない。いつの間にか床に這う格好を取り、彼女を組み敷いていた。
「ハア、ハア、ハアッ……!!」
 自分の呼吸音が煩い。両腕の下から甘酸っぱい香りが立ち上ってきて、硬くなった逸物に血管が浮き立つ。若々しい肌も、腕を掴み上げる事でとうとう拝めたピンクの乳輪も、堪らなく興奮を煽る。気が強そうな顔だって、こうなってしまえば追い込まれた兎も同然だ。俺は妙な充足感に酔いしれながら、両腕に力をこめた。
「いや、ぁ……!!」
 少女の表情が恐怖に凍りつき、涙を湛えた目尻から、一筋の雫が伝い落ちる。
「!!」
 それを見た瞬間。さっ、と血の気が引いた。一瞬遅れて、自分のしている事に気がつく。
 何をしてるんだ、俺は。欲望のままに女を押し倒し、犯すつもりか? 獣のように?

『ヒトとしての心は、無くすなよ。絶対にな』

 いつだったか、電話越しに聞いた言葉を思い出す。
「があ゛ぁっ!!」
 俺は喚きながら、自分で自分の頬を殴りつけた。その衝撃は思った以上に大きく、体勢を崩して床を転げ回る。這う格好で動きを止めた時には、口一杯に鉄の味がしていた。だがその甲斐あって、少し冷静さを取り戻せたようだ。唖然とした表情で見下ろす全裸の少女を前にしても、本能のままに貪ろうとは思わない。
「す、すばん……」
 口から血を滴らせながら一言詫びを入れ、深く頭を下げる。
 あの子は何も言わず、俺が頭を下げる動きに反応して、怯えるように足を閉じた。彼女からすれば今の俺は、狂人以外の何者でもないだろう。


              ※


 また、退屈な時間が過ぎていく。
 以前との違いは2つ。1つは、自分で殴った右頬がジンジンと痛むこと。そしてもう1つは、例の彼女との物理的な距離だ。
 彼女は今、ベッドに背を預け、俺の方を向いている。
 あんな事があった後だから、俺は彼女の方を向かないようにしていた。だが彼女の方は、時々俺の顔を盗み見ているようだった。怪我の心配でもしてくれてるんだろうか。
 いや、それは都合良く考えすぎだ。ガスで発情させられたとはいえ、自分をレイプしようとした相手の身を案じる道理はない。奇行を重ねた俺を警戒しているからこそ、俺を正面から監視しているんだろう。
 俺にできるのは、耐え忍ぶことだけだ。己の中の本能を抑えつける。何日でも、何週間でも……。

「ねぇ。あんたさ」
 そう声を掛けられたのは、唐突だった。
「え?」
 想定外の事に、間の抜けた声が出る。すると彼女の口元が、ほんの少し斜めに歪んだ。だがそれもほんの一瞬で、すぐにまた表情が引き締められる。
「あんた、名前なんていうの?」
 尋ねられたのは俺の名前。興味を持ってくれたことは嬉しいが、残念ながら答えようのない質問だ。
「わからない。地下に来るまでの記憶がないんだ」
 正直にそう答えると、彼女は目を見開いた。
「……マジ?」
「ああ。自分が誰なのか、何の為にここに来たのか。何もかもサッパリだ」
「そう、なんだ……」
 彼女はそう言って、何か考え込む素振りを見せた。俺の言葉を疑っているのか、それとも何か思うところがあるのか。
 いずれにせよ、この会話の流れは貴重だ。俺の方としても、彼女の名前ぐらいは知っておきたい。
「名乗りもせずにあれなんだが……そっちの名前も、聞いていいか?」
「ん? 別にいいけど、たぶん聞かないほうがいいと思うよ」
「え、なんでだ?」
「聞いたら、皆ドン引きするから」
 そう答える彼女は、不思議な表情をしていた。どこか投げやりな目つきだ。
「ま、でもいっか。私の名前は、沙綾香。で、苗字は……」
 彼女──沙綾香は、そこで一旦言葉を切り、意味深に溜めてからこう続けた。
「『八金(やつがね)』」
 満を持して明かされた苗字は、不思議な響きだった。記憶が朧な俺でも、それがありふれた姓でないことは解る。
「ヤツガネ……? 変わった苗字だな」
 俺が思ったままを口にすると、沙綾香が目を丸くした。
「反応うすっ!」
 素っ頓狂な顔から、それに見合った声が発される。どうやら彼女は、もっと大きなリアクションを想定していたらしい。
「な、なんだよ……そんなに有名なのか? その苗字」
「いやいや、有名とかってレベルじゃないから。戦前から続く財閥だよ? おっきい銀行とか証券会社とか外食チェーンとか、みーんなウチの系列なんだから!」
 沙綾香は、腕を目一杯に広げて企業の規模を示してみせた。目を見開き、両手を上げて威嚇するその様子は、直立する猫を見ているようで癒される。
 ただ、そこには癒しだけじゃなく、いやらしさもあった。興奮のあまり、それまで頑なに胸をガードしていた腕が外れてしまっている。結果、想像以上のボリュームのある二つの膨らみが、モロに俺の視界に入ることになった。
「おい、胸……」
 俺が指摘すると、沙綾香は威嚇するような格好のまま固まり、見開いた目で下を見る。
「えっ……きゃーーっ!!」
 沙綾香の顔が、みるみる赤くなる。人間の顔色っていうのは、あんなに判りやすく変わるのか。遊び慣れていそうな見た目に反して、相当な初心らしい。
「み、見た!?」
 涙まで滲ませて睨んでくる沙綾香。
「お……おぉ」
 あれだけ露骨な状況だと否定もできず、ただ事実を認めるしかない。
「うーーっ」
 沙綾香は立てた膝を抱え、完全なガードを抱えながら俺を睨む。
「なんか、悪いな」
「ぐうううう…………っ」
沙綾香はまた呻いてから、ふうっと息を吐いて肩を竦めた。
「でもさ。八金って苗字聞いてもその反応なあたり、記憶喪失ってのはホントみたいだね。フツー顔が引き攣るもん」
「すごい財閥なんだったよな。……あれ、ってことは、ひょっとしてお嬢様?」
 今さらながらに気付いて、沙綾香を指差す。
「そ。超が5コつくぐらいのね」
 沙綾香は、目を細めて頷いてみせる。噂に聞くドヤ顔というやつか。
 しかし、そこまでのお嬢様とは。なるほど、食事作法も綺麗なわけだ。エレベーターで感じた妙な品のよさは、育ちのせいだったか。
 ただ、
「それにしては…………」
 俺は、目を細めて相手を見つめる。
「ちょっ、なに、なに!?」
 俺の視線を受けて、沙綾香は身を縮こめた。その細い腕では隠しきれない乳房を見て、改めて実感する。

( ってことは俺、さっき財閥のお嬢様のナマ乳を拝んだんだよな )

 そう思うと、ただでさえ発情している身体にいよいよ血が巡る。常時勃起状態の逸物が、ずぐりと脈打ちながら上向く。その勃起は、どうやら沙綾香にも悟られたらしい。目を細めて俺を睨んでから、彼女は肩を竦めた。
「ふーっ。記憶喪失っての、ホント納得だよ。あんたって、見た感じと中身がチグハグだもん」
「え? チグハグって、どういうことだ?」
「私ら、エレベーターで会ったでしょ。ここ来る途中」
 確かに、俺と沙綾香はエレベーターで初めて顔を合わせた。マイクロミニのスカートと黒ニーソックスで壁を足蹴にする姿に、視線を奪われたのを思いだす。あれから衝撃的なものを見すぎたせいで、遠い昔のことに思えるが。
「その時のあんたの印象ってさ、『意識高い系のナルシー男』だったんだよね。スーツも靴も時計も、いかにもな高級品で、金持ちアピールしたいんだろうなって感じだった」
 ああ。だからあの時、ふっと鼻で笑ったのか。逆に俺は、あの冷ややかな嘲笑のせいで、沙綾香という存在が頭を離れなくなったんだが。
「確かに、大層なもんばっかり身につけてたな」
「でしょー?」
 沙綾香はそう言って肩を竦める。
「私、財閥の一人娘だからさ。小さい頃から色んなパーティーに顔出させられて、エライ人と話させられてたんだ。特に、結婚相手になりそうな若手社長とか、実業家とかとね。でもそういう若い内に成功した人って、プライド高くてナルシーなのが多いんだよ。こっちに興味あるように見せといて、結局は自分が一番!みたいな。そういうのの相手をほとんど毎週末させられたらさ、ウンザリするよ。全寮制の高校入ってからは、ようやく逃げられたけど」
 なるほど。今“ビッチ”に見えるほど奔放に振舞っているのは、そうして窮屈に育てられた反動か。
「で、さ。あんたも最初はそういう系に見えたわけ。でも今のあんた、全然そんな感じしないじゃん? 自信満々どころか、常にキョドってる感じだし。仕事バリバリこなしてますって雰囲気でもないし。見た目と中身がチグハグってのはそーいう意味。それで記憶喪失って聞いたら、あー、ってなるでしょ?」
「うーん……そう言われると複雑だな。どうせなら、デキる男に見られたいもんだが」
「そう? 今のあんたの方が、いいと思うけど」
 俺の目を覗きこんで語る沙綾香の表情は、柔らかい。これだけの美少女に褒められて、悪い気はしないものだ。
「……そうか?」
 俺の表情も、自然と和らいでしまう。

 この会話をきっかけに、俺達は少しずつ打ち解けていった。会話の数も増えた。ただ、そこで問題になるのが俺の呼び方だ。本名が判らないなら判らないなりに、何かしら呼び名を決める必要がある。
「やっぱネーミングの基本は、見た目の印象だよね……ふぅむ」
 沙綾香はそう言って、顎に手を当てながら俺を観察する。
「……『社長』?」
 シャチョー。その響きに、なぜか全身の毛がざわついた。若い女の子にそう呼ばれると、なぜか罪悪感が凄い。
「い、いや。他のにしてくれ」
「ダメ? じゃあ、えーっと……『勃起おじさん』」
「もう少し愛情のある名前で頼む」
「えーっ!? ワガママだな~……」
 俺を見つめたまま眉を顰め、首を傾げる沙綾香。かなり難儀しているようだ。

 ( よっぽどアレじゃなきゃ、次のを受け入れるか )

 俺はそう考えつつ、沙綾香の結論を待つ。そして、数秒後。沙綾香が目を輝かせて手を叩いた。
「そだ! 『先生』とかどう?」
 沙綾香の口からでた呼び名は、覚悟していたよりずっとマシだった。先生──これなら、この年頃の女の子に言われても違和感は少ない。
「ああ、いいけど……なんで『先生』なんだ?」
「ん? 見た目がそれっぽいのと、先に生まれた……から?」
 先に生まれたから先生、か。なるほど、間違いじゃない。
「じゃ、それで頼む」
 俺がそう言って笑うと、沙綾香も笑顔を見せた。
「あいよーっ、セーンセ!」
 白い歯を覗かせて叫ばれるその言葉は、微妙にさっきと違っていたが、なんだか嬉しい。あんなに遠かった沙綾香との距離が、ぐっと縮まった気がした。

 距離が縮まったのは好ましい事だが、それには弊害もあった。警戒心が解けるにつれ、お互い無意識にガードを緩めてしまう。つまり、裸体を隠さなくなっていく。
 例えば、食事を取りにいく時。少し前の沙綾香なら、俺の方を睨みながら身を縮こまらせ、両手で頑なに乳房とあそこを覆っていたものだった。それが今では、割と普通に歩いている。俺の方へ正対しないように気をつけてはいるらしいが、食事のトレーを取る瞬間やテーブルに着く瞬間などに、見えてはいけない部分が視界に入ってしまう。
 俺自身もそうだ。『勃起を見せまい』とする意識が薄れ、気がつけば、屹立した部分を横目に覗かれている、という場面が何度もあった。

 いや。
 ガードが甘くなっているのは、心の距離のせいではないかもしれない。
 俺達は今、着実に理性を削られている。もう随分と長い間、セックスドラッグ同然のガスを吸い、強い照明を浴び続けているんだ。その状況はいわば、高熱にうなされたままサウナに閉じ込められているに等しかった。
 汗がひどい。心臓が破裂しそうに脈打つ。斜め上に反り返った逸物の先からは、先走り汁が溢れつづけ、玉袋どころか内腿にまでヌルヌルと絡み付いてくる。当然、沙綾香も同じような状態だ。
「はっ、はっ、はっ…………」
「はぁ、はぁ、はぁっ…………」
 荒い息を吐きながら、相手の性器を凝視し、ゴクリと喉を鳴らす。何度も、何度も。

「…………ね、手でしよ。お互い限界でしょ、正直」
 ある時、沙綾香がそう提案してきた。確かに限界は近い。性欲の発散を目的とするなら、いい案だと思った。
 ベッドの脇に立ち、初めて真正面から向かい合う。
 落ち着いてじっくり見ると、沙綾香のスタイルの良さに改めて驚かされる。
 まず、背が高い。175センチある俺とほぼ目線が変わらないんだから、170以上は確実だろう。
 身体の各パーツも極上だった。
 重力を無視して前を向く、お椀型の乳房。
 見えない帯で締め付けたような、驚くほど細い腰周り。
 それとは裏腹に肉感的な尻と太腿。
 そして何より印象的なのが、ウエストラインの高さだ。肩から腰、腰から踵までの比率は3:7……あるいはそれ以上か。
 祐希も、千代里も、桜織も、それぞれ咲き始めの花として魅力的だった。だが、沙綾香の肉体はその記憶を暴力的なまでに上書きしてくる。日本人離れしているのは確実だが、果たして世界にも、ここまで視線を釘付けにする裸体が存在するものだろうか。
 初めて会ったとき、サキュバスの類だと思った感覚は正しかった。彼女は人ではなく、男を誑かす淫魔だ。そう思った方がよほど納得できる。
 ただその淫魔も、今やすっかり興奮状態にあった。
 鎖骨から胸元にかけてがうっすらと赤らんで、大粒の汗が伝っている。頻繁に膝をすり合わせる両脚の合間は、相も変わらず愛液で濡れていた。もはや軽い失禁を疑うレベルだ。
「センセ、目つきやらしいよ?」
 沙綾香はそう言って目尻を緩め、伸びやかな脚を前後させて俺に歩み寄る。そして、ちらりと俺の下半身に視線を落とした。
「近くで見ても、やっぱりデカ……」
 呟くようにそう言うと、手の平でいきなり逸物を握りしめてくる。
「おまけに、カタっ。もう骨じゃん。すっごい脈打ってるし……」
 自覚はある。ガスに晒され続けた今、俺の勃起度合いは通常ありえないレベルに達している。太さは普段の勃起より2割増し、硬さときたら薄皮の中に石柱を詰め込まれているようだ。
 それを扱かれれば、思わず声が出る。
「うあっ!!」
 そしてそんな俺の反応は、随分と沙綾香を面白がらせてしまったらしい。
「あははっ、なぁにその声? まさかセンセ、ドーテーなの?」
 意地悪そうに目を細めながら、親指と人差し指・中指で狭い輪を作って扱きたててくる。その所作はまさしく淫魔そのものだ。
「し、知るか……。記憶がないって、言ってん、だろ……」
 あまりの気持ちよさに、ただでさえ荒い息がますます乱れていく。このまま一方的にイカされるというのも情けない。だから俺の方からも手を伸ばす。すでに愛液があふれている沙綾香の割れ目へ。
 小陰唇は柔らかく、蜜のおかげでぬるぬるとしていた。指を沈めることも難しくはなかった。ただ、指先がごく浅く内部へ入り込んだ瞬間、感触が一変する。狭い。握り拳の隙間に、無理矢理中指を捻じ込んでいるようだ。
「いっ!!」
 沙綾香が片目を閉じ、小さく叫ぶ。この膣のきつさに、その反応。まさか……いや、まさか。
「お前、処女か!?」
 制服姿であれだけ妖艶なオーラを発する娘が、未経験であろうはずがない。相当遊び慣れているはずだ。暗にその気持ちをこめて尋ねるが、沙綾香の顔が横に振られることはない。
「……し、しょうがないじゃん。中学までは箱入りだったし、高校だって女子校だよ? “する”機会なんて、ないって」
 赤ら顔のまま、眉を下げて呟く沙綾香。どうやら本当に無垢らしい。
「なに? ビッチだとでも思った?」
 俺が何も言わずにいると、彼女は拗ねたような表情を見せる。何だろう、さっきまでよりもっと愛らしく思える。どこか幻想的に思える少女の、人間臭い部分を知ったせいだろうか。
 俺はそんな彼女の頬を撫でる代わりに、割れ目の中で指を動かした。なるべく痛くないように。だがポイントは押さえるように心がけて。
 挿入した中指に、みっしりと粘膜が纏わりついてくる。その中で指の関節を曲げながら、慎重にスポットを探っていく。
「ん、あ!!」
 膣のごく浅い部分、やや膨らみのある箇所に触れた瞬間、明らかに沙綾香の反応が変わった。もしや、ここがGスポットというやつか。そう思い、指の腹を擦り付けるように左右に動かす。
「ああ、あっ! はぁっ……あ! な、なにこれ…っ!!」
 どうやら当たりらしい。すらりとした脚が痙攣し、愛液が溢れてくる。
「気持ちいいか?」
 念押しで囁きかけると、沙綾香は目を閉じたまま頷いた。なるほど、黙って真剣な表情をしていれば、疑う余地もなく令嬢の顔だ。
「せ、センセ、もうだめ。私、立って、らんない……」
 沙綾香が熱い吐息と共に囁き返してくる。その表情も、声色も、俺を狂わせるのに充分だ。横ざまにベッドへ倒れこむ沙綾香を、無意識に押し倒す格好になってしまう。腕の下には、上気した顔で喘ぐ沙綾香。まただ。また欲望に呑まれそうになっている。俺は頭を振って煩悩を払い、身を起こそうとする。
 ところが、その俺の手を沙綾香が掴んだ。
「行かないで。しよ、このまま……」
 潤んだ瞳が俺を見つめ、誘いの言葉を投げかける。この誘いを拒めるオスは少ないだろう──そう確信できるほど、魅惑的だ。
「だ、駄目だ。一度でもセックスしたら最後、二度と出られないんだぞ!?」
「そんな約束、本気で信じてるの? ここの奴らが、言葉通りガマンしてるだけで出してくれるわけないじゃん。私らが『する』まで、いつまででもこのまんまだよ」
 俺がかろうじて搾り出した理性の言葉を、沙綾香はバッサリと切り捨てる。その言葉に、俺は目が覚める思いがした。言われてみればその通り。他の4人をああも無慈悲に壊した連中だ。律儀に約束を守るとは思えない。初めから解放するつもりなどなく、俺達が限界を迎える瞬間を、ガラスの外で今か今かと待ち構えているに違いない。
 ここでセックスするのは、奴らの術中に嵌まる事を意味する。だがこのまま無意味に耐え続け、完全に理性をなくして沙綾香を襲うよりは、自分達の意思で求め合った方がずっとマシだ。
「初めての相手が、俺でいいのか?」
 小悪魔じみた美貌を見つめながら、改めて問う。すると、沙綾香はむくれ顔になった。
「む。他に選択肢がないこの状況で、そういうこと聞く?」
「いや、でもな……」
「しつこいなあ! じゃ、本音を言ったげる!!」
 睨みながら詰め寄られ、俺は生唾を飲み込む。沙綾香は、そんな俺の顔を凝視しつつ、ふっと口元を緩めた。
「いいよ、センセなら」
 その言葉の後、目尻が下がる。芯の強そうな吊り目が見せる慈愛の笑みは、なんともいえず魅力的だ。
「センセ、この部屋に入ってから、ずっと沙綾香のこと気にかけてくれてたでしょ? 裸、なるべく見ないようにしたり、食事の時にテーブルも譲ってくれたし。ガスで理性が飛びそうになっても、それ跳ね除けてまで襲わずにいてくれた。そういう気遣い……すごい、嬉しかったんだよ」
 沙綾香はそう言って微笑み、
 俺の呼吸を遮った。

              ※

 舌を絡ませる熱いキス。爽やかで好ましい香りが鼻腔を通り抜けていく。
「ふはっ」
 呼吸の限界を迎えたところで口を離せば、すぐ目の前には、沙綾香の顔。こうして間近で見ても、本当にアイドルと見紛うばかりの美貌だ。
「センセの眼、キラキラしてる」
 沙綾香が、笑みを湛えたまま囁きかけてくる。その言葉が妙に嬉しい。彼女を組み敷く時に、血走った眼をしていたくはなかったから。
 ただ、紳士的でいるのも限界だ。流石にガスを吸いすぎた。俺の理性は薄皮のように剥がれ、性的な欲求が剥きだしになっている。そこへ来て、極上の裸がすぐ傍にあるんだ。
 全体がピンクに染まった、色白な肌。乳首が勃っているし、乳房そのものも膨らんでいるようだ。俺は、吸い寄せられるようにその胸に触れた。
「んっ!」
 沙綾香の肩が跳ね、声が漏れる。彼女も相当感じやすくなっているらしい。もっと反応を引き出したくて、乳房を揉みしだく。外から、内へ。瑞々しい少女の皮膚は、尋常でなく肌触りがいい。
「あ、あっ!!」
 桃色の唇が開き、熱い吐息が漏れはじめた。
「気持ちいいか?」
「う、うん……。胸触られるのって、こんなにいいんだ……」
 うっとりとした表情でそんな事を言われれば、ますます昂ぶってしまう。
 俺は右の乳首を放し、くっきりと浮き立った蕾を口に含んだ。弾力のあるそれを舌で刺激しつつ、指も沙綾香の下腹を経由させて、割れ目へと沈み込ませる。
「あああっ! は、あ……すご……っ!!」
 身を強張らせて喘ぐ沙綾香。指の腹で膣のざらついた場所を押し込めば、今度は背中が反り返る。
「くんんんっ!! はっ、はっ……な、なんで弱いとこ……一発で、わかんの……!?」
 どうやらGスポットを探り当てたらしい。運がいいのか、それとも体がコツを覚えているのか。いずれにしろ、沙綾香には喜んでもらえているようだ。あふれる愛液も、筋肉の強張りも、押し殺すような喘ぎも、全てが気持ち良さを訴えていた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。せ、センセ……も、だめ……我慢できない。い、挿れて……」
 沙綾香が俺の耳元で囁きかける。艶やかで愛らしい、小悪魔の誘い。今更拒む理由もない。真剣な瞳を覗きこみながら、俺は小さく頷いた。
 膝立ちになり、沙綾香の太腿の合間に腰を割り入れる。張り詰めた逸物を掴み、濡れ光る粘膜に亀頭を宛がえば、それだけで痺れが走った。さらに腰を押し込み、肉の合わさりに入り込めば、いよいよ快感は増していく。
 膣内は熱い。愛液のおかげで挿入こそスムーズだが、四方からみっしりと絡み付いてくる粘膜の圧迫感は、いかにも“こなれていない”感じだ。
「はっ、はぁっ、はぁっ……」
 沙綾香の息は荒い。湯気が立ちそうなほど暖かい太腿が、俺の腰に密着し、やわらかな肉の感触を伝えてくる。
 そして、逸物が半ばほど入り込んだ頃だ。
「っ!!」
 沙綾香が急に息を詰まらせ、俺の手首を掴んだ。柔らかかった太腿も一気に強張り、俺の腰を圧迫してくる。相当な痛がりようだ。その反応には見覚えがあった。桜織が純潔を失った時の反応にそっくりだ。
「一度抜くか?」
 左手を沙綾香に掴ませたまま、右手で汗に濡れた前髪を払う。すると沙綾香は、固く瞑っていた目の片方を開き、つうっと涙を伝わせながら笑った。
「……続けて。痛いけど、嫌じゃない。センセと、もっと深く繋がりたい」
 そう囁く沙綾香の健気さは愛らしく、ありがたい。性欲が限界の今、腰を引くのは相当な精神力が必要だから。
「じゃあ、いくぞ」
 沙綾香の言葉に甘えて、さらに腰を押し進める。ぬるりとした襞が根元の方にまで絡み付いてくる。気持ちいい。その気になれば、すぐにでも射精できそうだ。ただ、それでは勿体ない。ある程度奥まで押し込んだところで、少し腰を引き、また押し込む。なるべく沙綾香に負担をかけないように。
「は、はっ……はっ……」
 沙綾香は荒い息を吐きながら、結合部を凝視していた。『あんなに太い物が入るなんて信じられない』とでも言いたげだ。その初々しさは、堪らなく可愛い。興奮で射精感が一気に分水嶺を越える。
「ううっ!!」
 俺は呻き、熱い粘膜の中で欲望を解き放った。どくどくと脈打ちながら溢れ出る精液の量は、自慰の時の比じゃない。腰が抜けそうな気持ちよさだ。これが、セックスの快感か。

 ゆっくりと逸物を抜き出すと、かすかに開いた割れ目から白濁があふれ出した。一部がうっすらとピンク色なのは、目の前で喘いでいる少女が純潔を失った証。
 俺が、奪ったんだ。大財閥の令嬢にして、奇跡的な美少女の初めてを。
「んー。抜けた、んだよね……。まだ何か、挟まってる感じする」
 沙綾香は熱に浮かされた顔で半身を起こし、自分の脚の間を覗き込んだ。俺はその動作を見ながら、はっと気がつく。コンドームを使っていない。雰囲気に流されるままに身体を重ね、直に中出ししてしまった。
「す、すまん。勢いで中に出しちまった!」
 俺がそう言って頭を下げると、ふふっと笑い声がする。
「ん、なーに? そんなに沙綾香のナカが気持ちよかった?」
「ああ……」
「ぷっ。そんな深刻な顔しないでよ。どうせ桜織ん時みたいに、食事にピル混ぜてあるって」
 俺がよほどしょぼくれた顔をしていたのか、沙綾香はそうフォローを入れてきた。なるほど、確かにその可能性はある。そう納得しかけ、俺は耳を疑った。
 “桜織の時みたいに”?
「って、お前、あの子の状況知ってるのか!?」
 そう訊ねると、沙綾香の顔が曇る。
「知ってるよ。この一週間、ずーっとどこかの部屋に監禁されて、友達が『調教』されてる映像見せられてたから。祐希に、千代里、藤花、桜織。4人が滅茶苦茶にされて、気が狂ったみたいになって──」
「……えぐいな」
「でしょ? たぶん、苦手意識を植え付けたかったんだと思う。セックスって怖い、嫌だ、って思わせた上で閉じ込めてさ、男に犯されて泣き叫ぶトコが見たかったんじゃない? ほんと、相手がセンセでよかったよ。一歩間違えたら、あいつらの思い通りだったかもだけど……嫌じゃないもん、センセとエッチするの」
 そう囁きながら、俺の頬に触れる沙綾香。濡れた瞳で甘い言葉を吐かれると、中身を出したばかりの息子がまた硬くなる。
「そりゃ嬉しいこった。なら、たっぷり見せつけてやるか。連中の想定外のセックスを」
 俺は甘く囁き返しながら、沙綾香の黒髪を撫でた。


              ※


 一度目の挿入時、沙綾香は抜き差しのたびに全身の筋肉を強張らせていた。心では俺とのセックスを受け入れていても、身体はまだ緊張しているようだ。
 だから2回戦目は、まず彼女をリラックスさせる。ベッドの上で後ろから抱きすくめ、髪を撫で、乳房を揉みしだき。
「あひゃんっ! もーっ、くすぐったいよぉ!!」
 沙綾香は身を捩りながらも、上機嫌に笑った。さらに耳や腋、太腿に舌を這わせてやれば、次第に息が甘くなり、筋肉の強張りも解けていく。その状態で改めて割れ目に触れれば、すでにかなりの蜜が伝い落ちていた。緩く開いた蛇口のようだ。実際、割れ目に口をつけて啜れば、ごくごくと愛液を飲めてしまう。
「や。センセ、飲まないでよお……」
 その声に顔を上げれば、上気した顔を手で覆う沙綾香がいた。その仕草は何とも微笑ましく、俺はついその細腕を払いのけて、唇を奪ってしまう。
「んんんっ!!」
 ほのかに甘酸っぱいような匂いが鼻腔を満たす。同じ生物なのに、俺からは絶対にしない匂い。新鮮な果実のようなフェロモン。それに焚きつけられて、俺は沙綾香を押し倒す。
 桃色のシーツの上で折り重なったまま、激しく舌を絡め、熱い吐息を交換しあう。さらに左手で乳房を包み、右手を女の部分に沈み込ませる。
「んっ、ふんっ! んんっ、んっ!!」
 指で性感帯を弄るたび、沙綾香の息が弾んだ。形のいい太腿もピクピクと反応している。かなり気持ちよさそうだ。
 そんな中、沙綾香の手が俺の体を撫でた。肌が敏感になっているせいか、妙にくすぐったい。
「ぷはっ……」
 一旦口を離し、息を荒げたまま見つめあう。
「ふふ。感じるっしょ?」
「ああ。すっかり敏感になってる」
 俺はそう言って、下半身の物を奮い立たせた。今度はちゃんと、寝台のヘッドボードにあったコンドームを装着済みだ。
 俺の意図を汲んだのか、沙綾香がじっと俺の目を見つめる。俺はそんな彼女の右脚を肩に担ぎ上げ、ピンクの割れ目に逸物を沈み込ませた。熱さが四方から押し寄せる。生挿入よりやや刺激は弱いが、敏感すぎる今はむしろ好都合だ。
「んっ、はあ……」
 呼吸の荒い沙綾香に気を配りつつ、ゆっくりと腰を使う。
 勃起しきった逸物は、少し勢いよく突けば簡単に膣奥まで届いた。だがセックスに慣れていない沙綾香は、奥を突かれると痛いらしい。となれば、狙うべきはGスポットだ。沙綾香の右足を抱え上げて腰に角度をつけつつ、亀頭で丹念にGスポットを突き上げる。
「あ、あっ! んああっ……!!」
 沙綾香の唇が開き、声が漏れる。気持ち良さそうだ。だったら、もっと良くしてやろう。
 俺は一旦沙綾香の右足を解放し、代わりに両手で腰を抱え上げる。俺の腰を沙綾香の太腿が挟み込む形。この体勢の方が腰を振りやすい。となれば当然、Gスポットをより集中的に責められるわけだ。
 膝立ちのまま腰を使う。やはり格段にスムーズだ。ギシッギシッというリズミカルなベッドの軋みが、それをはっきりと裏付けている。
「はあっ、あ、あ!! や、ヤバ……これ、ヤバいっ……!!」
 沙綾香が目を見開き、腰をひくつかせはじめた。いちいち素直な反応をしてくれるから、責める側としては大助かりだ。

 ピストンを繰り返していると、色々な事がわかってくる。
 俺が逸物を引けば、沙綾香は顎を浮かせ、何かを我慢する顔を見せる。
 逆に逸物を突き込めば、大きなよがり声を出す。
 グッグッグッと素早くGスポットを突き上げれば、喘ぎも小刻みなものになる。
 俺の腰遣いで反応が変わるのは、楽しいし嬉しい。ピストンを続けながら覆い被さるようにキスを求めたのは、ほとんど無意識だ。
 そして沙綾香は、俺の口づけを拒まない。それどころか、熱心にキスに応じながら、俺の背後で足首を交差させてくる。真正面からしがみつく格好だ。
 そんな事をされれば、自然と挿入は深まってしまう。奥まで当たる頻度が高くなる。だが、そろそろ沙綾香も膣がほぐれてきたようだ。奥を突いても痛がらなくなってきた。俺は一旦キスをやめ、沙綾香の耳元に口を寄せる。
「だいぶ良くなってきたみたいだな。俺の硬いのが、出たり入ったりしてんのがわかるか?」
「はぁ、はぁ……わかるよ。センセの、おっきいもん。沙綾香のあそこ、センセの形に、作りかえられちゃいそう」
 囁き返される声色は、掠れながらも澄んでいる。ゾクゾクする声だ。俺はますます気分が昂ぶって、何度も沙綾香の耳に言葉を吹き込んだ。
 愛液があふれてくるぞ。
 締まりが良くなってきた。
 あそこの奥がヒクヒクしてる。
 そういう言葉に、沙綾香は一々反応する。戸惑い、恥じらい、うっとりと快感にうち震えながら。
 それを眺める俺自身もまた、快感に酔いしれていた。みっしりと絡み付いてくる襞の中で腰を振るのが、気持ちよくて仕方ない。なるべく優しくしなければと思うものの、下半身が勝手に前後する。
「あああっ、いいっ!! いいよぉっ!!」
 沙綾香も激しい突きに快感の叫びを上げるものだから、ますます枷が外れていく。
 射精感を堪えながらがむしゃらに腰を打ちつけていると、ある瞬間、ふっと膣の締まりが緩まった。急激に冷めたように。だが、沙綾香の顔は快感で呆けたままだ。どうやら絶頂の間際らしい。となれば、後はスパートをかけるのみだ。
 腰を抱え直し、一心不乱に股間を打ちつける。パンッ、パンッ、パンッ、と、肉のぶつかる小気味いい音が響き渡る。
「あああ、はぁ!! あ……んんーー……っ!!!!」
 沙綾香の鼻から、堪らないという感じの息が漏れた。割れ目の入り口がヒクヒクと蠢き、太腿から背中にまで震えが走っている。
「せ、センセ、せんせ……っ!! くるっ! なんか、きちゃうううっっ!!!」
 最後の瞬間。沙綾香は絶叫しながら、俺の首にしがみついた。上半身から腰までがぴったりと触れ合い、素肌を通じて沙綾香の痙攣が伝わってくる。機械で脳波など測るまでもない、明らかな絶頂。それを感じながら、俺もようやく、膨れに膨れ上がった射精感を解放した。射精管が痺れ、薄いゴムの先へと中身が吐き出されていく。相当な量だ。
 はぁーっ、はぁーっ、という荒い呼吸が耳元で反響する。
「……イッたみたいだな」
「うん……。これが、“イク”って感覚なんだ。クリいじって気持ちよくなるのとは、全然違うんだね」
 何気ない答えが妙に生々しくて、俺の逸物が反応する。たった今二度目の射精を終えたばかりだというのに、まだまだ鎮まる様子がない。
「あっ!? もー、センセのヘンタイ!」
 あそこの中で『そそり立った』のが判ったらしく、沙綾香が吹き出す。

 そして、彼女は小悪魔だ。やられたままで黙ってはいない。腰を浮かせて逸物を割れ目から抜くと、萎びたゴムを取り去り、脈打つモノを直に掴む。
「今度は、手で搾り出したげる」
 そう囁き、逸物を掴んで擦りはじめた。さっき出した精液を指に絡めての扱きはなかなか刺激が強いが、単調なだけに射精と結びつくものでもない。
「どう、センセ? イッちゃいそうなんじゃないの?」
「そんなんじゃイケないな」
 俺が余裕の笑みでそう言うと、沙綾香は──笑みを浮かべた。
「ふーん、やっぱそうなんだ? じゃ、凄いことしたげる」
 そう言うと、直立した逸物を両の掌で挟み込んだ。
「おっ……!?」
 思わず声が出る。片手で扱かれるのとは全然違う感覚だ。暖かな肉が四方からブツに密着するこの感じは、挿入にすごく近い。そのまま、先走り汁を絡めてヌルヌルと上下されれば、ついつい腿に力が入る。
「う、ぐっ……!!」
「あはっ、センセ余裕なくなってる! じゃ、これはー?」
 沙綾香は悪戯っぽい笑みを浮かべながら、逸物の包み方を変えた。左手で幹を握りしめながら、右手で亀頭部分を上から包み込む形。その感覚は、まさしく膣奥への挿入そのものだ。オスの本能が呼び覚まされる。
「く、ぁ……で、出るっ……!!!」
 我慢できなかった。逸物が何度も硬く跳ね上がり、少女のきめ細かな手の中に作られた空間へ、あえなく遺伝子を注ぎ込んでしまう。
「おっ、すご……めっちゃ出てる! やだ、沙綾香の手、妊娠させる気?」
 息を荒げる俺を前に、沙綾香は白い歯を見せて笑った。その下方……俺の視界の下ギリギリでは、まだ手が動いている。射精で感覚の鈍った中でも、確かな刺激を感じる。
「お、おい、やめろ! イッたばっかだぞ!?」
「さっき沙綾香がそう言った時、やめてくんなかったのは誰だっけ? ジゴージトクだよ」
 沙綾香はいよいよ小悪魔じみた笑みを深め、俺の逸物を嬲り回した。玉袋を揉みしだき、中指でカリ首の境目をなぞり、人差し指で鈴口を弄り……。
「お、おまえ、処女だろ。どこでそんなテクニック覚えたんだよ……!?」
「んふー。今ドキ、雑誌に乗ってるよ? 手コキとフェラのテクぐらい」
 沙綾香と会話を交わすうちにも、またどうしようもない射精感がやってくる。膣内射精とは全然違う。屈辱的で……でも、身悶えするぐらい気持ちいい。
「んうううっ!!!」
 俺は唇を噛んで呻きながら、あえなく射精した。飛沫になった精液が、シーツに鈍い音を立てる。
「んふふふ、気持ちよさそーな声。女の子みたい」
 沙綾香はそう言いながら、俺の顔を覗きこむ。そしてしばらく俺の目を見つめてから、ゆっくりと頭を下げてきた。
 唇がこじ開けられ、舌を絡め取られる。唾液を交換するディープキス。甘い香りが鼻腔を抜け、荒い呼吸が顔をくすぐる。
「ぷはっ……」
 顔を離した沙綾香の顔は、紅潮していた。そして、本当に愛しそうに俺を見つめていた。その表情を見ていると、また下半身が硬くなる。
「あっは、復活した」
 沙綾香は視線を俺の股間に落とし、片目を閉じて可笑しそうに笑った。そして、また虐め抜く。左手で輪を作って根元を扱き、右手で亀頭部分を握りしめてゆるゆると扱き。そんな事をされると、心が腰砕けになる。
「うあああっ、だめだ、ダメっ……び、敏感に、なってるから……っ!!」
 かろうじて絞り出した俺の声は、情けなく震えていた。
「こんな短い時間で2回もイって、まだ勃起したまんまとか、エロすぎだよセンセ。沙綾香の手にレイプされるのが、そーんなに嬉しいの?」
 乳房を揺らしながら、白い歯を覗かせて笑う沙綾香。それを見ながら俺は、されるがままになるしかなかった。ぼんやりとした恍惚感に、全身を腐食されながら。
 それから何度、搾り取られたことだろう。少なくとも7回か8回。腰砕けでベッドに横たわる俺に圧し掛かるようにして、沙綾香は淫魔の手戯を披露し続ける。
「うがあああっっ!!あがぁっ!!むむ、無理だっ、もお無理いい゛っ!!!」
 歯を食いしばって絶叫する俺の反応を、沙綾香は明らかに愉しんでいる。決して悪い子ではないんだが、子供ゆえの無邪気さは時として残酷だ。
 負けを認めるようで癪だが、これ以上責められるのは辛すぎる。俺はその結論に至り、脱力して気を失ったフリをする。
「センセ、センセー? ……カンペキにノビちゃったか」
 沙綾香が俺に呼びかける声がする。俺があくまで気絶した演技を続けると、勝ち誇ったような鼻息とともに、ようやく逸物が解放された。完全に小休止に入る雰囲気だ。心の底からほっとする。
「あーあ、手がドロドロ。キモチ悪ぅ。さっさと洗わないと」
 沙綾香は俺を見下ろしてそう言い、くるりと背を向ける。薄く開いた瞼の間から確認すると、彼女は……すぐには洗面台に向かわず、少し前屈みになっていた。手を覗き込んでいるような格好だ。
 そして、直後。ずずっ、という音が聞こえた。粘り気のある何かを啜る音。まさか、俺の精液を?
「る゛っ!?」
 沙綾香は、一瞬妙な声を発した後、咳き込むように首を上下させる。どうやら口にしたものを吐き出しているらしい。「にが」という小さな声も聞こえる。俺は思わず噴き出しそうになったが、沙綾香が急に振り向いてこっちを確認してきたので、大慌てで気絶の芝居を続けた。
 沙綾香の事を、いよいよ愛おしく思いながら。


              ※


 水分補給と休息を挟み、4戦目。
 お互いセックスに慣れてきたため、今度は正常位で深く繋がりつつ、より気持ちのいい体位を探る。足を開かせたまま、両の膝頭を掴んで抜き差ししたり。逆に足を閉じさせたまま突いたり。
 体位を変えるたびに、沙綾香の反応も変わった。どちらかといえば、足を閉じたりして膣圧を上げた方が、快感も強まるようだ。
「んんっ、んっ、んっ……!! んああぁああっ、あっ……ん!!」
 甘い声で喘ぐ沙綾香が、俺の腕を掴む。昂ぶると相手にしがみつく癖があるらしい。なら、もっと密着するとしよう。俺はほくそ笑み、沙綾香の腕を引きつつ、背中を引き起こす。
「なにー、また? めっちゃ体位変えるじゃん」
 沙綾香は苦笑しながらも俺の首に縋りつき、太腿の上に乗ってくる。よいしょ、と掛け声を発しながら。
「オッサンみたいだな」
「う、うるさいな! しながら膝に乗んのって、結構気合いいるんだよ?」
「へぇ。腰砕けだからか?」
「う、うっさいし! 勝ち誇った顔すんなぁ!!」
 そんな軽口を叩きあいながらも、腰の動きは止めない。いや、止められない。硬く反った逸物が、熱く蕩けた肉に包まれ、柔らかに咀嚼される。その快感は何にも勝った。猿のように腰を上下させ、ひたすらに快感を貪る。ギシギシとベッドが軋み、粘ついた水音が繰り返される。
「あ、あっ、す、すごっ! なにこれ、なにこれっ!!」
 気持ち良さそうに腰を上下させていた沙綾香が、急に声色を変えた。
「どうした?」
「せ、センセ、沙綾香の事、振り落とさないで! ちゃんと、支えといてねっ!」
「落ちるかよ、ベッドの上だぞ?」
「そ、そうだけど、そうだけどおっ!!」
 沙綾香は不安そうな声を漏らしつつ、両手両足で俺にしがみつく。遠巻きに見るとスレンダーな身体も、こうして密着するとその肉感は圧倒的だ。十分に膨らんだバストに、むちりと弾力のある太腿、柔らかい腹筋。熱い汗と共に押し付けられるそれらは、否応なく男の理性を狂わせる。
 俺は沙綾香の身体を強く抱き返しながら、腰の動きを止め、また唇を奪った。舌を絡ませあうディープキス。腰を振りたくる時とは違う、ゾクゾクするような甘い快感が背筋を走り抜ける。精液こそ先走り程度にしか出ていないが、俺は、精神的に射精していた。
 結果、今度は俺が腰砕けになる。後ろに身体が傾ぎ、抱きついたままの沙綾香に押し倒される格好になる。
 上から覆い被さられると、相手の温かさがますます良く感じとれた。胸の圧も凄い。大きい上に張りがあるから、俺の胸板の上で巨大なグミのように存在を主張してくる。
「んんんっふん、んーんんんっ! あああ……っは……!」
 沙綾香は俺に覆い被さりながら、前後左右に腰を揺らしていた。その動きで、ぎゅうっと締め付けられたままの逸物が揺さぶられ、射精しそうになる。というより、しているのか。股間の感覚がハッキリしない。温泉にでも浸っているように、漠然とした暖かい快感だけがある状態なんだ。そして、それが心地いい。ずっとでも浸っていたい。
 そんな俺の陶酔は、遠くから響いた硬い音で遮られた。音の出所は東側の壁。食事が運ばれてきたらしい。
「んっ、ふうんんっ!! せ、センセ……ご飯きちゃったよ」
「ああ」
「取りに、行かないと……」
「……ああ」
「ね、冷めちゃうって!」
 食事がきた事を認識しながらも、お互いセックスをやめない。ぬるま湯の中でのたうつように、緩く結合し続ける。ようやく腰を離したのは、食事が運ばれてから数十分後だったかもしれない。
 にちゅり、という粘り気のある音と共に、皺だらけのゴムが外気に晒される。
「はぁ、はぁ……。あ、そういえばゴムしてたんだっけ。なんか、ずっとしてたらわかんなくなってくるね」
 逸物からゴムを引き抜いて笑う沙綾香。重みで垂れ下がるゴムの先は、大量の精子でピンポン玉のように膨らんでいる。それは、俺の得た快感の大きさをよく表していて、なんだか気恥ずかしかった。


              ※


 沙綾香は、本当にいちいちエロい。
「セーンセ、食べさせたげよっか?」
 切り分けたハンバークをフォークでつつき、俺に目配せする。その仕草だけで、理性が吹き飛びそうになるほどに。
「いらん」
「いいからいいから。ほら、目ぇ閉じて。あーん」
 しつこく誘ってくるから、仕方なく言われるままに目を閉じる。
 口の中に、パサついた感触が触れた。ソースの味がしない。そもそも肉の食感じゃない。これは……
「ブロッコリーじゃねぇか!」
「あはははっ、引っ掛かった! 誰もお肉あげるとは言ってないよ~」
 真相に気付いた俺を見て、けらけらと笑う沙綾香。どうやらこの小悪魔に、体よく嫌いなものを押し付けられたらしい。
「超が5つつくぐらいのお嬢様が、食いモンを選り好みするなよ」
「今はお嬢様じゃなくて、ただのJKだし。それに昔から、青臭いのは嫌いなんだよねー」
 そういえばこいつ、オムライスのグリーンピースもよけていたな。
 それと……
「ああ、だからザーメンも無理だったわけか」
「そーそー。興味本位で挑戦してみたけど、あれはホーント無理!」
「なるほどなぁ」
 何気ない会話を交わしつつ、食事を進める。カチャカチャという音が響く。
「え……ってか、ちょっと待ってセンセ」
 ふと、沙綾香の手が止まる。
「ん?」
「なんで、沙綾香が精液飲もうとしたこと、知ってんの……?」
 ……。
 …………。
 ………………。
 しまった。
 あの時は、気絶しているフリをしていたんだった。
「~~~~…………!! センセのバカ!!」
 沙綾香が目尻を吊り上げ、フォークで刺したブロッコリーを投げつけてくる。
 理不尽だ。なぜ怒られないといけないんだ。

 食事の後は、交替で歯磨きをする。
 洗面所の鏡を覗き込みながら、すらりとした美脚をクロスさせる沙綾香の後姿は、じっと見ていると鳥肌が立ってくるほど綺麗だ。肉体を構成するパーツ全てが、奇跡的に整っている。世界に冠たる天才芸術家が完璧な裸婦像を作ろうとしても、ここまでの完成度には到達出来まい。
 太腿の肉付きといい、膝裏の形といい、足首に至るまでの下腿部のカーブといい。ああ、これが男を欲情させる女体の“答え”なのか。ついつい、そう思わされてしまう。
「なーにセンセ、沙綾香のことじろじろ見て。洗面所(ここ)使いたいの? それとも……またシたいの?」
 鏡越しに俺の姿を見つけた沙綾香が、振り返って口元を吊り上げる。世のオスというオスを誑かす、魔性の笑み。
 およそ男である限り、その魔力に抗うことはできない。心臓が早鐘を打つ。逸物周りの血管が熱さを増す。汗が噴き出す。まるで思春期の性欲だ。
「ああ……シたいな」
 俺は吸い寄せられるように沙綾香に近づき、背後から抱きしめた。彼女は本当に足が長い。身長は俺の方が高いはずなのに、腰の高さがほぼ同じだ。背後から密着すると、勃起した逸物がちょうど股の間に入り込んだ。
「うぅわ! もうちょっと、デカイよぉ」
 白い歯を見せて苦笑する沙綾香。アナウンサー並みに綺麗なその表情に、また股間が持ち上がる。亀頭が愛液まみれの柔肉に触れ、堪らなく心地いい。
 歯止めは利かなかった。両親指で沙綾香の尻肉を割り広げ、合間から覗く割れ目へと、いきり立った逸物をこじ入れる。
「あっ、ちょっと待っ……あ、んああっ……!!」
 歯ブラシを咥えたままの沙綾香が、非難の声を上げる。だが彼女の身体は、すぐにセックスに適応したらしい。熱い粘膜が俺の分身に絡みつき、無数の舌で舐ってくる。
 パンッ、パンッ、パンッ、という肉のぶつかる音が耳に心地いい。視界も最高だ。
 視線を下げれば、沙綾香の背中が見える。強い照明を受けて艶めく、若々しい肌。うっすらと浮いた肩甲骨に、背中の中心を走る一本筋。本当に内臓が詰まっているのかと不思議になるほど細い腰と、それとは裏腹に安産型の尻。まさにモデル級の、世界最高クラスの背中だ。その末端に俺の赤黒い逸物が出入りしている光景は、都合のいい夢にすら思える。
 一方で視線を前に向ければ、こっちも眼福と言う他ない。歯ブラシを咥えたまま喘ぐ前傾姿勢の美少女を、筋肉質な男が背後から犯している。前後に揺れる乳房が素晴らしい。俺は俺自身の裸体を見慣れていないから、まるで他人のハメ撮りでも見ている気分だが、それはそれで興奮するというものだ。
「ふんっ、んっ……んっ」
 鼻を抜けるような喘ぎ声。口に咥えた歯ブラシの横から、泡だった唾液が伝っていく。
「き、気持ちいい……いくっ、ダメいくっ!!」
 眉間に皺を寄せながら、沙綾香が絶頂を口走る。アソコの痙攣具合からして、本気の絶頂なんだろう。
 彼女は目を見開いていた。口もぱっくりと空いていた。ずっと咥えていた歯ブラシが、硬い音を立てて洗面台を転がる。沙綾香の視線がそれを追い、そのまま恥じ入るように目を閉じた。
「目ぇ開けてみろ。自分が犯されてるところ見とけ」
 つい意地悪心が出て、そう囁きかける。沙綾香の目がうっすらと開かれ、鏡の方を向く。
「あん、きもち……ぃっ……。あっ、あんっ!! んー、ん、んんっ!!」
 絶頂直後で敏感になっているのか、沙綾香はますます艶かしい反応を示しはじめた。何度も快感を訴えながら、目元をひくつかせ、唇をきゅっと引き結ぶ。真剣な表情をしていると本当にお嬢様そのものだ。
 俺はそのお嬢様を、一心不乱に突き回した。相手の弱い場所は何となくわかる。深く挿入したとき、沙綾香の腰が逃げる場所。そこがポイントだ。そのポイントをいくつか見つけておき、時にはフェイントを織り交ぜて虚をつき、時にはただひたすらリズミカルに追い込んでいく。
「はっ、はっ、はっ……!! だ、ダメ、それだめぇっ!! せ、センセ、上手すぎる……よぉ……!!」
 所詮は素人技術に過ぎないはずなのに、沙綾香はひどく喜んでくれる。俺は、セックスの才能があるのか。思わずそう有頂天になってしまうぐらいに。
 自信というものは素晴らしい。自信があれば、行動に迷いがなくなる。記憶をなくして彷徨う俺でも、セックスでならこの美少女を満足させられるんだ──そう思えば、ますます堂々と腰を使うことができる。
「ああ、あああ! あぁあ、あ……いっ、く……また、いくぅっ…………!!」
 沙綾香の膣が喘ぐようにひくつき、逆に喉からの息が止まる。桜織の映像でもさんざん目にした、深い絶頂時の反応だ。洗面台に手を突いていた沙綾香が、がくっと崩れ落ちた。腕を枕にして突っ伏すような形だ。
 膝も崩れかけているが、へたり込むのは許さない。左腿を前から押さえつける形で、挿入を継続する。
「やぁあ、いや、いやっ!! いまイッてるから、イッたばっかだからぁっ!!」
 沙綾香の声は悲鳴に近いが、腰は止めない。太腿に愛液が流れるのを感じながら、グチュグチュと水音をさせていると、そのうち沙綾香がまた顔を上げる。完全な泣き顔で、髪を振り乱しながら顔を左右に振っている。だが、目元が笑っていた。堪らなく幸せだという風に。
「センセ、センセ……ま、待って! ちょっ、ホントに……あ、あ、ああぁっ!! 自分がどんだけすごいか、わかってないでしょ……!!」
 鏡越しに俺を見ながら、沙綾香が必死に訴えてくる。だが俺は、すっかりハイだ。
「イク顔見ててみな、ほら凄いぞ。あんな顔してイってる」
 ガクガクと痙攣する沙綾香の膝裏を持ち上げ、大股を開かせた状態で激しく突き上げる。
「あ、ああ、あっ……やあああっ!!!」
 自分のイキ顔を直視したことで、沙綾香の中の何かが切れたんだろう。彼女は全身を震わせ、絶叫しながら潮を噴いた。鏡にもハッキリ映るほどの量だ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」
 全身を細かに震わせながら、洗面台周りに飛び散った潮を呆然と見つめる沙綾香は、堪らなく可愛かった。


              ※


 ベッドに戻ってからは、さらに徹底的な性感開発を進めることにした。
 まずは丁寧なクンニ。半勃ちのクリトリスを皮ごと舌で転がし、硬さを増してきたところで、ブドウの実を吸うように皮を剥き上げる。その上で乳首へと指を伸ばし、同時に刺激する。
「んっ、あ……はっあ! あんっは……ぁ、んんっ……!!」
 沙綾香から切ない呻きが漏れる。クリトリスと乳首の同時責めが効いているようだ。特に2箇所の責めを連動させてやると、反応も大きい。クリトリスを縦に舐めながら、乳首を縦に弾き。クリトリスを吸いながら、乳首を摘み上げる。こうしてやれば、沙綾香の細身は面白いように仰け反った。さらに空いた手でGスポットも刺激してやれば、喘ぎ声が一気に大きくなる。
「やああぁっ、い、イッ、いーーっ!!」
 首を振りながら、何度も絶頂を訴える沙綾香。その果てに、とうとう割れ目から飛沫が上がった。
「ふっ、盛大に噴いたな」
 俺はそう指摘しながら、手の形を変えて本格的に潮を噴かせにかかる。Gスポットを指の腹で弄ってやれば、ぷしゅっ、ぷしゅっ、と面白いように噴き出てくる。
「はぁ、はぁ……すごい、どんだけ出るの……!? ちょっとタンマ、脱水症状になっちゃう……っ!!」
 やめてと言っても、止めてはやらない。シーツが水浸しになり、沙綾香が腰を抜かすまで。

 沙綾香がぐったりとしてからも、俺の責めは終わらない。入念な前戯をしているうちに、俺の分身はまた臨戦態勢に入ってしまった。猛りを鎮めるには、セックスしかない。ベッドに寝そべったまま、沙綾香を腰の上に乗せる。
「や……ちょっと! まさか、まだ……!?」
 焦りが伝わってくるが、容赦はしない。強引に安産型の尻を持ち上げ、突き立った逸物の上に跨らせる。
「あ、かはっ……は、入って、くる、ぅっ……!!」
 掠れ声が漏れた。黒髪が背中を覆ったところから見て、天井を仰いでいるらしい。
「ああ、まだまだこっからだぜ!」
 俺がそう言って腰を突き上げると、沙綾香の顔はさらに上向いてから、がくりと項垂れる。脱力、とは違う。前屈みになりつつ俺の膝付近を掴み、腰を浮かそうとしているらしい。実際、沙綾香の脚は細かに震えながら、何度も浮上を試みていた。ただ、完全に腰を浮かすことはできない。その前に絶頂し、脱力して尻餅をつくからだ。
「いっ、いっく……ぃ、いっちゃう、う…………っ!!」
 沙綾香は小さい声で、何度もそう繰り返していた。いく、という呟きの直後、重みのある尻肉が圧し掛かってくる。少し浮いたかと思えば、また落ちてくる。この繰り返しだ。それは結果として、騎乗位で力強く腰を振るのと同じだ。俺はそれに射精感を煽られながらも、沙綾香の腰の動きに合わせて突き上げる。
「あぐうっ!! ふ、深いいっ!!!」
 沙綾香から悲痛な声が漏れ、腰がぐらぐらと揺れ、体勢が斜めに崩れても、構わずに下から突きつづけた。
「うんんんんっ、んやぁあ……あっ、っくいく、ひぐ……っぅ…………!!」
 沙綾香の声がか細くなり、全身が震える。完全に俺優位で追い詰めている──はずだった。ある瞬間、沙綾香の背が仰け反るまでは。
 身体全体を弓なりに反らせたまま、円を描くように腰を使い、体内の逸物を絞り上げる。その刺激はあまりにも強い。
「くあっ、締まる……うねるっ!!」
 思わずそう叫んでしまうほどに。そして直後、状況はさらに変わる。支えを求めるように、沙綾香の手の掴む位置を変えたんだ。脛から、膝へ。
「うあっ!?」
 瞬間、俺のうなじに電気が走った。
「えっ、なにセンセ、いきなり?」
 よほど俺の反応が激しかったのか、余裕がないはずの沙綾香にも勘付かれてしまう。
「いや、なんか、膝掴まれるとヤバい」
「…………ふーん?」
 俺の答えに、沙綾香が口元を吊り上げる。しまった、弱みを握られた。そう思う間もなく、小悪魔の手がまた俺の膝を押し込む。シーツに埋まる形で両足がビンと伸びきり、快感が足指の先まで走り抜ける。まるで射精する回路が繋がったような感覚だ。
「あはっ、すごいどうしたの? 中でビクンビクン暴れまくりじゃん。なんか、センセのことレイプしてる感じ」
 沙綾香が俺の方を振り返り、勝ち誇ったように笑う。確かに犯されている気分だ。だが、いつまでもいいようにされているのは癪に障る。
「調子に乗ったな!」
 俺は、反撃に出た。両手を伸ばして沙綾香の腰を掴み、動きをコントロールする。逃げられないように。
「あっ、腰……!?」
 沙綾香の瞳に焦りの色が浮かんだ。予想通りだ。沙綾香が腰をくねらせるのは、俺を追い込む事だけが目的じゃない。膣のウィークポイントを突かれた時、左右に腰を振ることで絶頂の波を乗り切っているようだ。それを封じれば、余裕は消える。
「ひぃいうううっ!!!」
 Gスポットをなぞって奥を突くと、甲高い悲鳴が上がった。喜びの色が混じった悲鳴だから、耳に心地いい。それをもっと聴きたくて、俺はさらに腰を使う。
「うあっ、ヤバッ……どんどんイっちゃううっ!!」
 沙綾香はまた天井を見上げた。安産型の尻の向こうに、たるみなく張った、それでいて柔らかそうな太腿が見えている。もう何度思ったかわからないが、素晴らしい下半身だ。俺はそれを堪能しつつ、沙綾香の腰を自分の腰に打ちつける。そうしてたっぷりと快感を貪ってから、満を持して溶岩のような精を吐き出した。
「はっはっはっはっ……!! し、死ぬかと思った……。息、できなくて……」
 俺の上から解放された途端、沙綾香は横様に倒れこんで喘ぐ。全身をピクピクと痙攣させ、半ば白目を剥いた姿は中々に壮観だ。俺も疲労困憊の状態ではある。だが、勃起は収まらない。また少しすれば、俺達は互いの体を求め合うんだろう。


              ※


 ガスで発情させられてのセックスは“底”がない。
 手を繋ぎ合わせながらの正常位。
 熱いキスを交わしながら、胸板と乳房を押し付けあう体面座位。
 獣のような格好で、一心不乱に深く突く後背位。
 この辺りのオーソドックスなプレイは、それこそ何十回と繰り返した。灼熱の砂漠で水を欲するように、どれだけ求め合っても、何度絶頂しても満たされない。むしろ、肌を合わせるほどに体の内外の熱が増していくようだ。
 思春期入りたての子供のような、制御不能の性欲。俺はそれに駆られ、アブノーマルなプレイにも手を出しはじめた。
 最初のきっかけは、シックスナインで求め合っていた時だ。
 沙綾香の学習能力は高く、スポンジが水を吸うように、俺を悦ばせるテクニックを身につけていく。指で睾丸を刺激しながらのねっとりとしたフェラは、今や超一流の娼婦を思わせるレベルだ。それを、血管まで浮いたペニスにやられるんだから堪らない。ぼーっと浸っていれば10秒もかからず射精してしまう。ただ、そうなってしまえば、あの小悪魔に勝ち誇った笑みを向けられることだろう。だから俺は、太腿に力を入れて必死に射精を堪えつつ、逆に沙綾香の割れ目を刺激していた。
 だが、その状況もまた股間に悪い。ヴィーナスさながらの理想的な脚線と、それに挟まれた桃色の性器。そこから漂うフェロモンの香り。そのどれもが魅力的で、つい生唾を呑みながら見入ってしまう。そこで俺の目が捉えていたのは、割れ目だけじゃない。その上に息づく、菊の輪のような窄まり……そこにも惹かれていた。藤花の調教を目にしたのが悪かったんだろう。あの一連の映像のせいで、俺はそこを『使える』ものと知ってしまっている。
 あの気丈な“大和男子”をよがり狂わせるほどの、第二の性器。そこに挿入すれば、どんな感じがするんだろう。そこを開発すれば、あの小悪魔じみた沙綾香がどんな反応を見せるだろう。一度そう思ってしまうと、もう戻れない。気がつけば俺は、両の親指で沙綾香の尻穴を押し拡げ、楕円形に伸びた蕾に舌を近づけていた。
「ひゃんっ!?」
 ひと舐めした瞬間、沙綾香が奇声を上げる。唾液を散らしながら逸物を吐き出し、こっちを振り返る顔は、困惑に満ちていた。
「せ、センセ……そこ、お尻だよ……?」
「ああ。こっちも使ってみようぜ」
 俺がそう言うと、沙綾香の表情がさらに複雑なものになる。眉の角度がさらに下がり、そこだけを見るなら嫌そうだ。だが一方で、口元は僅かに緩んでいた。年頃の少女として、排泄の穴を性器扱いされるのは抵抗がある。しかし、藤花の例を見ているだけに、まったく興味がないわけでもない。そんなところか。
 俺は、そんな沙綾香をリードすることにした。彼女が嫌そうに腰を振っても、尻穴を舐めるのはやめない。菊の花びらの一枚一枚を舌先で捉え、丹念に舐めあげていく。
 沙綾香はかなり反応していた。視界の両端で、理想的な太腿がピクピクと強張っているのが見えた。
「うあっ……せ、センセ、アナル舐めるの上手過ぎ。なんか、ヘンな気分になってきちゃう……」
 ついには頬を赤らめたまま、そんな告白までされた。女子高生の尻穴を舐る才能があるというのも、素直に喜びにくいことだが。

 これ以降、俺は事あるごとにアナルを刺激するようになった。『駅弁』の体位で抱き抱えながら、指先で入口付近を弄ったり。後背位で突きながら、中指を浅く挿入したり。
 一番効果的だったのは、クリトリスを責めながら肛門を弄るやり方だ。沙綾香曰く「クリで感じてるのかお尻で感じてるのか、わかんなくなる」らしく、クンニを始めてから僅か数分ほどで甘い声が漏れはじめる。ガスで発情しきっているから、余計に感度が高いんだろう。その事が関係しているのか、アナルがほぐれるのも早い。指3本の挿入がスムーズになり、アナルセックスが出来るようになるまでに、それほど時間は掛からなかった。
「あ、は、入ってる! お尻に……入って、くるっ……!!」
 正常位でアナルに挿入する最中、沙綾香は全身を強張らせながら声を震わせた。その緊張ぶりは処女を失った時以上だ。そして、俺の分身が感じる抵抗感も、膣とは比べ物にならない。膣への挿入がみっしりと合わさった肉襞に分け入る感覚だとすれば、肛門への挿入は、ごく僅かな凹みのある粘土板に逸物を押し付けているに等しい。抵抗が半端じゃなく、本当にここは挿入できる場所なのかと不安になる。それでも、渾身の力を込めて沈み込ませれば、根元までがすっぽりと腸内に包み込まれた。そこまで入りきっても、亀頭が奥に当たる感触はない。膣とは違う場所に入っているんだということを、嫌でも理解させられる。
「痛いか?」
 そう訊いてみるが、沙綾香の反応は薄い。
「なんか、ヘンな感じ……」
 視線を左右に揺らしながら、それだけ呟いて押し黙る。かなり緊張しているようだ。アナルセックスがストレスなのかとも思ったが、腰を使いながら観察してみた限り、どうもそうではないようだ。
「うっ、あ……あっ! あいっ、い……いぃあ、っは!!」
 吐息を噛み殺し、時々嗚咽のような声を漏らす沙綾香。俺がその顔をじっと覗きこんでいると、彼女は泣き笑いのような表情を浮かべて顔を覆い隠す。
「やっぱ、は、恥ずかしいよ。センセ、沙綾香がおしりで感じてても、キライになんないでね……」
 小さな声でそう囁くにも聴こえる。その反応は、正直、理性が飛びそうなぐらい愛らしかった。
「なるわけないだろ」
 俺は自然と笑みを零しながらそう答え、アブノーマルな快感に身を任せる。
 沙綾香が言うところでは、直腸の奥を突くと、膣の突き当たり──ポルチオに衝撃が伝わって、相当気持ちいいらしい。実際、沙綾香の下腹を手で抑えながら何度も腸奥を突きこめば、痙攣しながら絶頂していた。
「せ、センセ……ほんと、前も後ろも、上手過ぎるよぉ! な、なんで、沙綾香の弱いとこ、わかんの……っ!?」
 アナル経由で何度もポルチオ逝きさせると、沙綾香が過呼吸になりながら恨み事を吐いてくる。不思議な感覚だ。俺にしてみればこれがセックスの初体験なんだから、やり方を必死に模索しているに過ぎない。

 ただ、その一方で、俺は自分の『肉体の記憶』に戸惑うこともあった。クンニの時の舌遣いや、潮を吹かせる時の指の形は、意識するまでもなく体が覚えていた。沙綾香の反応を見る限り、クリティカルなやり方を。
 腰遣いにしても、俺の思考とはまた別の本能が働いているらしい。抜き差ししながら沙綾香の反応を窺い、弱点を見つけたと思った時にはすでに、腰がその弱点を責めるように動いている。そんな事が何度もあった。
 気味の悪い話だ。俺の肉体を、俺の意識でない『何か』が動かしているなんて。だが、だからといって止めようもない。なにしろ無意識の行動だ。俺が何を考えようが、肉体は勝手に手練手管を披露し、沙綾香を悶え狂わせる。そして、そんな彼女の反応は、とてつもない快感となって俺をも狂わせるんだ。その快感の連鎖から逃れる術はない。動物の究極の目的が、生殖である限り。


              ※


 この部屋に閉じ込められてから、何日が経ったんだろう。
 媚薬ガスを吸い続け、欲望のままセックスを繰り返す俺達は、快感というプールの底にいるようだった。身体は湯気が出そうなほど熱いし、実際汗が滝のように流れているのに、ふとした瞬間に肌を見れば、お互い鳥肌が立っている。凍えるように痙攣してもいるが、それが寒さによるものか、快感によるものかすら判らない。
 ここまでの状態になれば、もはや腰を振る必要さえなかった。挿入したまま一切腰を動かさず、口づけを交わしたり愛撫しあったりするだけで、じんわりと暖かいものが体の中を這い登ってくる。そしてそれが脊髄を経由して脳に届くころ、逸物が勝手に強張って射精してしまうんだ。しかも、その射精量がまた凄まじい。壊れたポンプのようにドクドクと流れ出ていく。
 沙綾香も似たようなものだ。
「ああイってる……あそこが勝手にヒクヒクしちゃう……!!」
 沙綾香がこの台詞を漏らした時、俺は一切動いてはいなかった。背面座位で挿入したまま、じっと膣襞の感触に浸っていただけだ。それなのに、彼女の膣内は独りでに蠢き、かなりはっきりとした絶頂の反応を示す。まるで逸物に甘え、頬ずりでもするように。その愛おしさが、解るだろうか。
 当然、腰を動かし始めれば、お互いの反応はさらに激しくなる。
「ふううう゛っ、ううう゛っ!!! ふむ゛ぅうう゛うう゛っ!!!!」
 一番腰を動かしやすいバックスタイルでスムーズに突きこんでやれば、沙綾香はシーツに顔を埋めたまま、嗚咽するような声を上げた。事情を知らない人間が見れば、スタイル抜群の少女がレイプされ、泣きじゃくっているようにしか思えないだろう。だが粘膜で繋がっている俺には、彼女が昂ぶりきっているのがよくわかった。女性はつらくても泣くが、気持ち良すぎても泣くんだ。
 沙綾香は俺の責めで何度も何度も絶頂する。その度に左右の手がシーツを握りしめ、ついには腕立てをするようにぐうっと上半身を持ち上げてしまう。
「んああああぁぁんんっっ!!!!!!」
 沙綾香の背中が弓なりに仰け反った直後、咆哮が響き渡った。ライオンや狼が吠えるように。その野性味あふれる行動に、一切の嘘はない。本気で感じているとき、人間の仕草は動物と変わらなくなるらしい。
「へへへっ。凄い声だな、今の」
 俺はそう茶化しながらも、さらに壮絶な声を上げさせるべく体位を変えた。もう俺は、沙綾香のウィークポイントを把握しきっている。どんな体勢で、どれだけ脚を開かせ、どの角度で挿入すれば、どういう反応を引き出せるのか。それがはっきりと頭に思い描けるし、何十何百の試行を経た今、そのイメージと現実に乖離はない。もし一切の容赦なく『一番きついやり方』だけを繰り返せば、快感で沙綾香の脳を焼き切ることさえ可能な気がする。何よりも愛しい彼女相手に、間違ってもそんな事をしはしないが。
 俺の望みは、ただ彼女を満足させることだけ。無理をしきらない範囲で、できるだけの至福を与えることだけだ。
 側位のまま左脚を上げさせ、その腿を掴んで支えにしつつ、100度ほど開いた股座に力強く腰を打ち込む。沙綾香が最も感じるやり方の一つだ。ポルチオへの刺激が半端ではないらしく、奥まで突く度に抱えた左脚が強張り、う、う、という泣きそうな本気声が漏れる。さらに、左脚を引きつけて強引に密着し、グリグリと奥を虐めてやれば……彼女は即座、100パーセント絶頂する。
「ああああ……お、奥、潰れるっ……! いく、いくーいっぢゃふううう゛っ!!」
 案の定、沙綾香が悲鳴に近い声を上げた。首でも絞められたように顔が赤く、汗がひどく、瞳孔は開いている。挙句には鼻提灯まで膨らんでいる始末だ。
 素面で見れば恐怖すら感じる反応かもしれない。だが今の俺には、その反応はむしろ好ましかった。感じてくれている。俺の責めで達してくれている。それが嬉しくて仕方ない。そんな沙綾香が、愛おしくて仕方ない。もはや俺の意識に存在するものは、沙綾香だけ。延々と粘膜で触れ合っているこの少女だけが、俺のすべてだ。

 俺は、そんな彼女をさらに満たす。
 潰れたカエルのように大股を開かせ、正常位で突きこみつつ、子宮の辺りを両親指で指圧するようにグッグッと押し込む。沙綾香を絶頂させるマニュアルを作るとすれば、赤文字で記述したいほどに効果的な手段だ。
「いっく、いっくっ!いっく!いっくぅっ!!!」
 俺の突き込みと完全に同じペースで、息を詰まらせ気味の悲鳴が上がる。こっちのやり方だと、沙綾香の太腿はそこまで硬くならない。クラゲのように柔らかなまま、俺の鼠径部に貼りついている。だが逆に、上半身の強張りが尋常でなくなる。万歳をするように両手を上げて頭上のシーツを掴んでいるが、腕の筋肉はパワーリフトでも上げるように盛り上がっているし、腋の窪み具合も肉が抉れたかのようだ。肩甲骨の辺りは呼吸と共にベッドへめり込んでいくが、その際のギミイイイッという音は、とてもスレンダーな少女が響かせるものとは思えない。完全に力のリミッターが外れている。
 それだけの力も、俺の責め方ひとつで簡単に性質を変えられるのが面白い。俺は下腹から一旦両の親指を離し、代わりに右掌の付け根辺りで、ぐうっと子宮を押し上げる。
「かはあああっ!? しっ、し、子宮が、ぁ……っ!!?」
 大きく開いた口から息を吐き出し、沙綾香は弓なりに仰け反った。あれだけシーツを鷲掴みにしていた手もぱっと開き、女の子らしい細腕に戻りつつ、顔の横で空気を握る。
 こうして腰が浮いてしまえば、いよいよ俺の独壇場だ。膝立ちになり、両手で腰をがっしりと掴んだまま、空中で力強く腰を送り込む。接地面に力を逃がせないぶん、こういう時の反応は凄まじい。
「んおおおお゛っ、おおお゛っ!! んおおお゛お゛お゛っ!!!!」
 腹の底からの声で呻きながら、腰を左右に振りたくリ、両足で爪先立ちになる沙綾香。ビッチめいた雰囲気を持つ今風女子だが、根っこの部分では乙女らしい恥じらいをちゃんと備えている子だ。その彼女でも、この責めの前では恥も外聞もなく狂わざるを得ない。清楚さの結晶のような桜織でさえ、そうであったように。
 ぐちゃあっ、ぐちゃあっと音をさせながら抜き差しを繰り返せば、沙綾香は感電したかのように激しく反応しつづける。爪先立ちになった両足指は深々とベッドにめり込み。細腕は胸を張るように大きく広がったかと思えば、顔の前で肘を打ちつけるほどに閉じあわされる。口の開閉も恐ろしくハイペースだ。
 そうした狂乱を散々繰り返した果てに、とうとう結合部から何かが飛び散りはじめる。逸物を引き抜けば、遮られることのなくなった液体は勢い良く俺の腹に浴びせかかった。潮吹きだ。それも、相当勢いのいい。
「あああ、で、でてるっ……いってる……!!」
 視線を惑わせながら、呆然とした様子でうわ言を呟く沙綾香。
「ははは……はは」
 俺は愉快になり、意味もなく笑いながら、また沙綾香の中に入り込む。蕩けるような感覚の中、痙攣し、絶頂し、何度も体勢を変えながら求め合う。
「せ、センセ……センセ……いく、いくううう゛っ!! きもちいい、きもちいいよおおおっっ!」
 沙綾香が俺の上に跨り、気持ち良さそうに腰を振っている。俺はそんな彼女の手を取って、両手でも絡み合った。
 幸せだった。何も考えられなくなるぐらい。何も考える必要などないと思えるぐらい。
 だが。その至福の時間は、唐突に終わりを迎えた。天井のスピーカーからの、聞き覚えのある声によって。

『とうとう、仕上がったようですねぇ』

 快感に蕩けた頭でも、その嗄れた声の主はすぐに判った。端塚だ。
「何のことだ!」
 俺は憤りつつも、頭のどこかで理解していた。仕上がった、という言葉の意味。それは多分、今も俺の上で一心不乱に腰を降り続ける沙綾香のことだろう。予想以上に快楽の虜になっているらしく、スピーカーからの声にも気付いていない様子だ。彼女にとっても端塚は、度し難い親友の仇だろうに。
 俺が、そこまでにしてしまったのか。調子付いて開発するあまりに。

『いい加減、お気づきなのではありませんか? ご自分が何者なのか』

 俺の心を見透かしたように、端塚はそう続けた。
 自分が何者なのか……そんなもの、解らない。この部屋に来て、ますます解らなくなった。ここまで女を意のままに感じさせ、狂わせるなんて、普通じゃない。
「知ってるなら、いい加減教えろ! 俺は、何なんだ!?」
 俺は、端塚に向かって不安を爆発させる。すると奴は、スピーカーを鳴らしながら、驚くべき言葉を寄越した。

『──我が倶楽部の創設者にして、皆から“先生”と慕われる最高の調教師。
 それが、貴方です』

 告げられたその言葉を、俺の脳はしばらく理解しなかった。
 今、奴はなんと言った?
 ──俺が、この悪趣味な倶楽部を作った?
 ──調教師の“先生”と呼ばれていた?
 バカな。有り得ない。有り得るわけがない。そう拒絶してみるが、一方で腑に落ちる部分もあった。

 肉体に染み付いた、女を悶え狂わせる手腕。

 夢に見た、俺の目の前で狂っていく見知らぬ女。

 俺を見て「せ……」という言葉を発し、病的に怯えはじめた受付嬢。

 この施設における、不自然なまでの厚遇ぶり。

 心に引っ掛かっていた幾つものピースが、今の端塚の情報に合致する。

『その娘が“先生”という呼び名をつけた時には、心底驚きましたよ。やはり貴方には、その名こそが相応しいようですねぇ。突然私共の前から姿を消され、記憶喪失の状態で発見された時は肝を冷やしましたが……杞憂でしたな。やはり、貴方は一流の調教師だ。ご記憶がなくとも、しっかりと調教を成し遂げてくださる!』

 端塚はそう続け、さも可笑しそうに笑った。その言葉を聞いて、俺は改めて沙綾香を見る。彼女はまだ快楽に囚われたままだ。蕩けたような表情のまま、腰を上下に振り続けている。

『さあ、もう一歩です先生。その娘に駄目押しで快楽を刷り込み、意のままに従う人形に作り変えてください!!』

 端塚は笑いながら俺に要求を突きつける。
 なるほど……朧げながら、奴の目的が理解できた。俺に沙綾香を抱かせることで、俺の中に眠る調教師としての血を目覚めさせる腹積もりだったわけだ。そして同時に、沙綾香を俺の虜にさせようとした。世に名だたる八金財閥の令嬢を、だ。最終的な目的は、それを交渉材料に八金財閥を支配する事か。
 
 だとしたら、残念なことだ。
 俺の中には、確かに調教師としての本能が眠っているのかもしれない。だが今は、女が泣いている姿を見ると心が痛む。前はどんな男だったか知らないが、今の俺は、ケダモノじゃない。
「沙綾香、沙綾香! しっかりしろ!!」
 俺は騎乗位で腰を振る沙綾香を押し倒し、その頬を張った。一度では目覚めないようだったから、何度も、何度も。

『な……何をしておられるのです、先生!?』

 端塚が慌てている。いい気味だ。俺はそうほくそ笑みながら、沙綾香の頬を叩きつづけた。すると、そのうち彼女の目に光が戻る。
「…………ふぁれ、センセ…………?」
 寝惚けたような口調で、沙綾香は目を覚ます。
「おはよう、沙綾香」
 俺はそう言って、彼女に笑いかけてみせた。
 端塚は、押し黙っている。かなり長く。取った行動に後悔はないが、冷や汗が背中を伝う。

『………………残念です』

 端塚が沈黙を破った、その直後。部屋の四方の壁が開き、そこからセキュリティが雪崩れ込んでくる。
「えっ! な、なに!? いやあっ!! やめて、触んないでよぉ!!」
 沙綾香が本気の悲鳴を上げながら、セキュリティに手足を掴まれた。
「沙綾香ッ!!」
 彼女の事は心配だ。だが、セキュリティ連中の手は俺をも捕らえようとしている。俺は右から迫りくる男の腕を取り、無意識に投げ飛ばしていた。まただ。セックスの時と同じく、『何か』が体を勝手に動かしている。だが、今はそれが心強い。
「く、クソ! コイツ強ぇぞ!!」
 セキュリティの焦る声を聞きながら、敵の耳を引っ掴み、肩を押さえ込む。記憶を失くす前の俺は、荒事にも通じていたのか。相手は俺以上に体格のいい連中だったが、面白いぐらい容易く制圧できた。
 押し寄せる相手を捌きながら、沙綾香の方へにじり寄る。一人、そしてもう一人。男の急所を打って怯ませ、沙綾香を拘束から抜け出させる。ちょうど今は入り口が開いていて、逃げ出すには絶好のチャンスだ。
「沙綾香、俺が食い止めてる間に逃げろ!」
「そ……そんな! センセを置いてけないよ!!」
「いいから、早く!!」
 お互いがお互いを案じるあまり、俺達には隙が生まれた。そして敵は、その隙を見逃してはくれない。背後に気配を感じた直後、全身に激痛が襲った。
「ぐあ!!」
 思わず叫び、ベッドから転げ落ちるた。眼球を上に動かすと、セキュリティの連中が警棒を握っているのが見えた。さっきの衝撃を考えると、スタンガン内蔵か。
「センセ!!」
 何人ものセキュリティに抑え込まれる最中、遠くで俺を呼ぶ声がする。

『おっと、貴女はこちらです』

 またスピーカーが鳴り、端塚の声がした。その直後、床の一部が落とし穴のように開く。さらにセキュリティの一人が、そこに向けて沙綾香を突き飛ばすのが見えた。
「きゃっ!!」
 短い悲鳴と共に、沙綾香は為す術なく床の穴へと落ちていく。
「沙綾香ぁっ!!」
 俺は愛する少女の名を叫んだ。だが、俺を呼ぶ声は返ってこない。代わりに、穴の遥か下で、ひっ、という叫び声がする。胸がざわついた。
「どうした、沙綾香、沙綾香っっ!!」
 さらに叫んだ、その直後。俺のすぐ目の前で、床の様子が変わっていく。
 間近で見て初めて気付いたが、この部屋の床は3層に分かれているらしい。1層目と3層目は透明なガラス張りで、2層目に色つきの層が挟み込まれていたために、普通の床のように見えていたんだ。
 そして今、その色つきの2層目が、シャッターでも開くように収納されていく。ガラスの床を通して、階下の様子が透けて見えるようになる。

 下には、こことはまた別の部屋があった。真ん中には、先ほど突き落とされた沙綾香が蹲っている。そして、その彼女を10人の男が囲んでいた。全員が2メートルはあろうかという巨漢の黒人で、ボクサーパンツだけを身につけて鍛え込まれた肉体を誇示している。
 そして、その輪から少し離れた壁際に、見覚えのある2人が寄りかかっていた。
 上半身を和彫りで覆い、突起だらけの逸物をぶら下げた奴は、桜織の純潔を奪った手越。その横にいる、ローストターキーを思わせるペニスを持つ大柄な黒人は、あの藤花から一切の余裕を奪い去ったロドニーだ。

『どうです、先生。見事な肉体ばかりでしょう。そこに集まっているのは、我が倶楽部の擁する、超一流の調教師達です。いずれも、貴方の元教え子ですがねぇ』

 端塚の声だ。
 調教師。連中の異様な雰囲気に、その言葉はしっくりくる。あんな奴らを俺が育てたなどとは、認めたくもないが。

「な、何……よ、あんた達…………」
 調教師に囲まれた沙綾香は、凍りついたまま動く事もできずにいた。怖くて堪らないんだろう。

『始めなさい!』

 端塚の号令を受け、10人の調教師が沙綾香ににじり寄る。
「い、いや! センセ、た、助けてっ!!」
 沙綾香は怯えきり、俺を見上げて助けを求めた。
「さ、沙綾香! 沙綾香ぁああっ!!!」
 俺は必死に叫び返すが、どうすることもできない。スタンガンで痺れたまま、セキュリティに組み伏せられたこの状況では。

 
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