大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

止まらないカメラの向こうで  第2話

第1話の続きです。


 監禁開始から、ついに2週間が過ぎた。
 不気味なことに、まだ明日香の失踪を報じるニュースはない。それどころか、テレビCMでは依然として明日香当人が笑顔で会社のPRをしているし、式田証券のホームページにリンクされている明日香の個人ブログ『明日へ繋がる今日のわたし』は、拉致の後2日ほど間が開いたものの、その翌日からは何事もなかったように更新が続いている。
 信じがたい事だが、式田証券は明日香の失踪を隠蔽しようとしているようだった。個人ブログを別の人間の手で更新させてまで。
 最初俺は、これが不思議でしかたなかった。社長の一人娘で、役員待遇でもあり、なおかつ社の顔である女性の失踪をなぜ隠すのかと。でもよくよく考えてみれば、だからこそ、なんだ。あの式田 明日香が行方不明になったと知れれば、間違いなく式田証券の印象は悪くなる。たとえ会社に非がなくても、明日香の笑顔で築いてきたブランドイメージが悪化するのは避けられない。だから、隠す。テレビやマスコミ、ひょっとすると警察にすら根回しをして、式田 明日香の失踪をひた隠しにする。もちろん、裏では捜索願を出してるだろうけど、それはあくまで一般人に悟られないよう、極秘での捜査に違いない。
 なんて皮肉だろう。皆に愛されるアイドルだからこそ、明日香の悲劇は世の中に届かない。大きなヒントになりうる草の根の目撃証言も集まらず、捜索は難航し、明日香はそれだけ長くホテルへ囚われることになる。何も積み上げてきていない、ゴミみたいな連中のザーメン便器として。

「んっ、んぐっ、ぐううっ……むぐ、ふっ、ぐ…んん゛っ」
 明日香は来る日も来る日も、不良連中に交替で犯され続けた。汚れてくればシャワーで洗われるから、今はそこまでの不潔さはない。でも、初めて見たとき黒髪にあったほどの艶はなくなっている。
 そもそも彼女はここへ監禁されて以来、ろくな睡眠が取れていないはずだ。限界が来て気を失うように眠っている間も、犯されるのは変わらないんだから。

 今も彼女は、ベッドの上で寝そべった一人にフェラチオをしつつ、バックスタイルで犯されている。
「うっは、キモチいいー! 久々にしゃぶらせたが、えれぇ上手くなってんなコイツ。もうプロの泡嬢並みだぜ? どんだけ仕込んだんだよお前ら」
 フェラを受ける刺青塗れの一人が、上機嫌に口笛を吹いた。
 確かに、明日香のフェラはかなり手馴れているように見える。唾液を絡めつつ、角度をつけた指でしっかりと扱き、頬を複雑に動かし……。しかも、ただ漫然とテクニックを使うわけじゃない。相手の微妙な反応を見て、効くとわかったやり方だけで責め立てる。その結果、今では大半の人間が数分ともたず果てるようになっていた。
 勿論これは、明日香が好き好んで奉仕してるってことじゃない。彼女なりの目論見があっての行動だ。
「イヤそれがよォ、別に仕込んだワケじゃねぇんだ。この女、一人で勝手に上手ぇやり方を覚えてくんでよ。たぶん、毎日マンコばっか使われてちゃもたねぇってんで、なるべくクチで処理しようって腹みてぇだな。ズルい女だぜまったく!!」
 後ろから犯すチンピラはそう言いながら、腕に血管を浮かせて激しく腰を打ちつけ、小さなうめきと共に射精する。抜かずの数発をできるような性欲の権化が、たっぷりと腰を遣い、溜めに溜めた上でのフィニッシュだ。当然、射精に掛かる時間は長く、出す量も多い。
「っし、やっとハメられるぜ!!」
 また別の一人が、逸物を扱いて挿入準備を整えていた。こいつのモノも相当でかい。というより、この部屋に呼ばれる奴は、どいつもこいつも冗談みたいにでかいんだ。俺は日本人の平均サイズだが、その俺より下のサイズというのが、本当に一つもない。
 明日香のすらっとした足の合間へ、完全勃起のデカブツがねじ込まれる。
「むぐうっ!!」
 明日香の喉から、くぐもった悲鳴が漏れた。
「くそ、待ちきれねぇ……!」
「ああ、俺も早くハメてぇぜ!!」
 ベッドの周りでは、さらに何人もが勃起した逸物を持て余している状態だ。盛りまくった男10人前後に対して女1という比率では、口とアソコ、両手まで使ったとしてもスムーズには回りきらない。
「ヘヘッ。ならよ、そろそろコッチ……行ってみねぇか?」
 現行で犯している一人が、そう言いながら明日香の尻を掴む。そして尻肉を割り、親指をその中に潜り込ませた。横からの撮影だからはっきりとはわからないが、親指の狙いはどうやらアソコじゃない。それよりもずっと背中側だ。だとすれば…………肛門か。
「あっ!? ど、どこを触ってるの!!」
 明日香は唾液塗れでペニスを吐き出し、後ろへキツい目を向ける。どうやら本当に肛門を触られたらしい。排泄物を出すためだけに存在する穴。明日香が令嬢である限り、チンピラに弄られるなんて、本来なら一生なかったはずの場所だ。
「決まってんだろ、ケツの穴だ。マンコも最初は絶品だったが、四六時中使いっぱでユルくなってきやがったからな。代わりにこっちでも咥え込めるようになれや! ね、イイっしょ藪っさん!」
 その言葉で部屋の入口を見れば、瓶ビールをラッパ飲みで煽る藪岡さんがいた。だいぶ酔いが回っているらしく、顔全体が赤い。デカすぎて逆光を受けている上に、人相の悪さも相まって、不動明王を思わせる表情だ。
「あんだ、ケツかぁ? ……ふーん。あんま興味ねぇけど、その女がどういう反応すんのかは気になんな」
 藪岡さんは、呂律の回っていない口調でそう言いつつ、また瓶ビールを煽る。
「うし、やれや。わかってんだろうが、使うのは俺が最初だ。裂けて血だらけになると萎えっからよ、しっかり拡げとけ」
「おおぉ、あざまーす!!」
「へへへ、天才お嬢様のアナル開発か。こいつは楽しみだ」
 大将の許しが出て、場は一気に沸く。鬼畜行為に引いている俺と、悪意の標的である明日香だけを取り残して。

 そして宣言通り、この日の夜から明日香のアナル開発が始まった。場所は2階の212号室。白を基本にしたビジネスホテル風の1階とは打って変わって、2階は特殊プレイを前提としたマニアックな部屋が多いようだ。212号室は、その中でも一番奥まった場所にあった。
 広さは10畳程度。壁も床も一面が黒いタイル張りで、どれだけ汚れても水で洗い流せる造りになっている。さすがに道具の揃えもいい。拘束具、縄、蝋燭、ディルドウにバイブ、電気マッサージ器。壁際にはX型の磔台と三角木馬まで見えた。
 明日香はその部屋の中で、『マングリ返し』の格好を取らされている。今となっては珍しい話じゃない。アソコと肛門が丸見えで屈辱的な上、道具責めもしやすいこの体勢は、がに股での指マンと並んでよく撮影してきたポーズの一つだ。
 明日香の顔の横にまで下げられた足首を、一人が両手で掴んでいる。さらにそれと向かい合う形で一人が膝立ちになり、アソコに入れたバイブを上下に揺らしながら、肛門を指で弄くりまわしていた。
 昨日まで黒く生い茂っていた明日香のアソコの毛は、いつの間にか綺麗に剃り上げられている。いわゆるパイパンという状態だ。だから、割れ目に入り込むバイブの動きも、愛液が腿を伝っていく様子も、はっきりと見えた。愛液の量からして、もう何度となくイっているらしい。たぶんシラフの状態じゃない。そう当たりをつけて周囲を見れば、やっぱりあった。膝立ちでアソコを責める男から少し離れた場所に、シャブ用の注射器。
 そして、さらにその向こうには、茶色い液体の入った洗面器も見えた。横にはピストンが半端に押し込まれた中身入りの浣腸器があり、濡れたアナルビーズとアナルストッパー、陰毛の絡みついたカミソリが転がってもいる。そういう物があるだけで、明日香が受けた恥辱の行為が目に浮かぶようだ。
 でも、明日香の目は死んでいない。屈辱的な格好を取らされたまま、目の前で肛門を嬲る男を力強く睨み据えている。
「相変わらず怖い目しやがって。ケツ穴ヒクつかせながらカッコつけんなよ」
「あなた達に馬鹿にされる謂れはないわ! 人を笑う前に、自分達の姿を客観的に見てみなさい。排泄の穴に群がるなんて、まるでハエよ!」
 男の詰りに、明日香が眉を吊り上げて叫んだ。薄暗い部屋の中に、そのハイトーンの声はよく反響する。くっくっ、という押し殺したような笑い声も。
「まったく、口の減らねぇお嬢様だな。また“こいつ”で、無理矢理メスにするしかねぇらしい」
 肛門に指を入れる一人が、傍の一人から注射器を受け取る。
「っ!!」
 明日香の表情が強張った。何度もシャブセックスを味わわせられ、その抗いきれない快感を知っているからこその反応だ。男はその反応を楽しみながら、肛門に針を刺し、肛門の四箇所に少しずつ内容物を注射していく。
「そんなものに頼って……情けないわね」
 憎まれ口を叩く明日香だが、段々と呼吸が荒くなり、汗が噴き出してくる。
「便利なもんはドンドン使うってのが、後から生まれた人間の特権だ。おかげでお前みたいな強情女も、楽に堕とせるぜ」
 明日香の正面に座る男が、割れ目のバイブを掴み直した。
「んじゃ、まずは軽くイッとくか。もっともお前にとっちゃ、軽くねぇかもな!」
 バイブが上下に動かされると、明日香が目を見開く。
「う、うあっ!! あっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!!」
 まるでジョギングでもするような、短く鋭い呼吸。シャブを打たれた直後に絶頂すると、明日香はいつもそんな反応になる。
「おーっ、イッてるイッてる。さすがゴルフやってただけあって、脚の力つえーな」
 明日香の両足首を押さえる一人が、身体ごと浮きかけながら笑った。それにつられ笑いしながら、正面の一人は肛門に指を入れる。
「あっ!?」
 当然、悲鳴が漏れた。責める側が期待する通りの反応だ。
「シャブを直に打ったんだ、指で嬲られるだけでもたまんねぇよな。マンコはマンコで、子宮口叩かれるたびにイクぐらい敏感になってっしよ。まぁ、しばらく浸っとけや。今はケツの違和感が強ぇだろうが、こうして前と同時に可愛がってやると、そのうちその違和感とポルチオの気持ちよさがごっちゃになるんだ。そうなったら最後、前でも後ろでもイキまくれるぜ?」
 肛門を指で嬲る一人は、一旦指を引き抜き、今度は口をつけた。
「あうっ!? くっ……き、気持ち悪い、やめなさい!!」
 明日香は否定の言葉を口にする。でもその表情は、肛門を舌がなぞるたび、内部に舌が侵入する度に、戸惑いの色を濃くしていく。膣の快感を覚えこまされた時も、彼女はその表情を見せていた。感じているんだ、間違いなく。
 結局この日明日香は、『マングリ返し』の格好のまま、自分の愛液で首元まで濡らすまでイかされつづけた。そして、この一回だけで終わるはずもない。前後の穴の同時調教は、何日もかけ、色々な体位で続けられた。

 特に印象深かったのは、ソファに腰掛けた一人へ口で奉仕しながら、突き出した尻を責められていた日だ。この時も割れ目にバイブが入り込み、肛門にはマニアックな道具が色々と使われていた。中でもアナルパールは、特に明日香の反応が大きい。
「どうした、ご自慢のテクが全然じゃねぇか。そんなにケツが気持ちいいのかよ?」
 フェラを受ける一人は、明日香の頭を押さえ込みながら笑う。
「ああ、だと思うぜ。この女、延々とウンコする感覚の虜になっちまいやがった。ほら、また行くぜ。いい声で啼けや!」
 背後の一人が、そう言いながらアナルへ埋め込まれたアナルパールを引き抜く。連なったパールの大きさは一つずつ違い、小さいものではビー玉程度、大きいものとなればゴルフボールほどの大きさがある。
「んもお゛ぉおっ…………おお゛ぉお゛お゛んお゛…………!!!」
 パールが抜けていくたび、くぐもった呻きが漏れた。もし口に何も咥えていなければ、甘い喘ぎになっていただろう。そう思えるような切ない呻きだ。
「へへ。チンコに来る声出しやがって、このメスブタが! いいぜ、今日はとことんやってやる!!」
 肛門を責めている一人は、そう言って馬鹿みたいに笑う。そして実際、この日は延々と責めが続いた。
 第二ラウンドは、ソファの男をなんとか射精させ、ぐったりした明日香の体をひっくり返しての指責めだ。
 ソファへ肩をつけさせたまま、無理矢理大股を開かせ、割れ目と肛門にそれぞれ2本指を入れて掻き回す。それと平行して、しこり勃った乳首もひねり潰す。それを、明日香が失神するまで続けたんだ。
「ひいっ……や、やめて、やめてえっ!! ああ熱い、熱いぃっ!!!」
 この時の明日香は、そんな事を何度も叫んでいた。
「あんだぁ、熱い? ケツとマンコのどっちが熱いんだ!?」
「おーおーすげぇすげぇ、潮噴きまくりだぜこの女。壁まで飛んでやがる」
「そりゃ、ケツが気持ちいいからだろ。さっきから俺の指、折れそうなぐらい締め付けてきやがんだよ」
「お、顎がガクガクしてきやがった。そろそろトぶぜ、この女!」
 心底楽しそうにいじめ抜く3人の間で、明日香はあえなく気を失う。それでも、終わりじゃない。
「ほら、呑気に寝てる暇ァねぇぞ。次だ次!!」
 その声で、明日香はソファから完全に降ろされ、タイルの上で這う格好を取らされる。
「今度は口にしとくか。かなり溜まってきたからよ、ザーメンで溺れさせてやる」
 そう言って一人がイラマチオを強い、
「俺は指マンの続きだ。この女のツボも解ってきたしな」
 一人が割れ目への指入れを続け、
「じゃ、俺がケツだな。こんだけほぐれてんだ、このサイズでもいけんだろ」
 最後の一人が、500ミリのペットボトルよりやや細い程度のバイブへローションをまぶす。
「むぶぉおあおう゛っ!! おぶっ、ふぉいい゛っ! はけ、はけぇあう゛っ!!」
 極太のバイブが肛門へ宛がわれ、無理矢理に挿入されていく間、明日香は何かを叫んでいた。でも喉までペニスで塞がれている以上、はっきりとした声にはならない。
「おー、すっげぇな。そのバイブのせいで、マンコが潰れてんぜ」
「口の方もいい具合に何か喋ってて、最高だわ。もっと虐めてやれや」
 割れ目を刺激する一人と、口で奉仕させる二人は機嫌がいい。勿論、アナルを嬲る一人も満面の笑みを浮かべている。苦しむのはただ1人、玩具にされる明日香だけだ。

 こうして肛門はほぐれ、ついに明日香のセカンドバージンが奪われる。
「いや、いやあっ!! お願いやめてっ、やめなさいっ!!」
 必死に拒もうとする明日香だが、床に這いつくばったまま尻だけを高く掲げ、なおかつ両手首を押さえ込まれるという状態では何の抵抗もできない。
「よく拡がってるじゃねぇか。ケツにゃ興味なかったが、いざハメるとなりゃ興奮するもんだな」
 藪岡さんは、明日香の腰をでかい左手で掴み、右手を逸物に添えながら笑みを浮かべる。そして、挿入がはじまった。
「い゛っ!! いやア、いやいや……やめてぇえええっ!!!!」
 明日香は唇を開ききり、大声を張り上げる。じっくりと拡張したとはいえ、藪岡さんの凶器を捻じ込まれる苦痛や恐怖は相当なものだろう。そして、もう一つ。肛門に挿入される――その事自体が、プライドの高い明日香には耐え難いことなんだ。
「おおっ、さすがによく締まるな。マンコよりいいかもしれねぇ」
 藪岡さんは、明日香の叫びに眉一つ動かさない。亀頭部分が菊輪を通り抜けた後は、両手で明日香の腰を掴み、さらに深く剛直をめり込ませていく。
「ああ゛あ゛あ゛……あああ゛!! 抜いで、抜いてッ!!!!」
 太腿をこれでもかというほど強張らせたまま、必死に叫びを繰り返す明日香。でも彼女の想いは、誰にも届かない。場にはただ、メリメリと音のしそうな挿入と、それに伴う非日常的な筋肉の蠢き、そして泣くような声だけが木霊する。
 その空気は、見ているだけの俺にとっても地獄だった。

 肛門が解禁になると、他の連中も膣そっちのけでアナルセックスに拘るようになった。
「おー、いいねぇ、このヌメっとしたのが吸いつく感じ。俺、こっちのが好きかも」
「悪くねぇよな。マンコの方はやり過ぎてだいぶ緩くなってっし、締まりが戻るまではケツ中心でいこうぜ!」
 チンピラ連中は、薄いマットレスの上で肛門を犯し続ける。時には正常位のまま、時には右脚を掴みあげ、大股を開かせた格好で。その時の明日香の表情は、アソコを犯されている時とは全く違っていた。顎を浮かせたまま目をぎゅうっと瞑り、本当につらそうに耐えている。いつもの『減らず口』もない。
 そして、背後からアナルを犯しつつ、前からもアソコへ挿入する二穴責めともなれば、いよいよ明日香の余裕はなくなってしまう。
「はぁっはぁっはぁっ……あああ、うううああぁぁ…………!!」
「コイツ、すげぇツラしてんな。これ泣いてんのか? 笑ってんのか?」
 アソコを犯す男が、明日香の表情に気付いて笑う。その時の明日香の表情は、俺から見ても捉え所のないものだった。眉を垂れ下げたまま、薄く目を開き、口を半開きにしている。普通に考えれば苦しんでるんだろうけど、未知の快感に笑っているんだと思って見れば、そっちもしっくり来る。
「しっかし、すげぇ締まりだなオイ。ミミズ千匹が完璧に復活してんじゃねぇか!」
 前から犯す一人は、いよいよ笑みを深めながら腰を打ち込んでいる。明日香はその男の両腕にふくらはぎを乗せたまま、足指の先まで使って快感を訴えている。そう、快感だ。信じたくないのに、そうとしか見えない。
「……はぁ、はぁ……いや、やめてっ……!! だめぇっ!!」
 二穴責めが始まってから数分経った頃、ようやく明日香が声らしい声を出す。弱々しい声。いつもの彼女が出す、魔を祓うような凛とした声とは似ても似つかない。そして悪党とは、相手の弱みにつけ込む生き物だ。
「何がダメだ、まだまだこっからだぜ!」
 1人は明日香の頭を掴み、横を向かせて怒張をしゃぶらせる。
「だいぶ参ってきたな、こりゃ頭がパアになんのも時間の問題かもな……おらっ!!」
 また別の1人は、両の乳首を引き絞りながら追い討ちをかける。
「んもぅううーーーっ!!!」
 逸物を咥えさせられたまま、明日香は呻き続けた。
 何時間も、何時間も。


        ※           ※            ※


 明日香に対するアブノーマルプレイは、当然アナルセックスだけじゃない。
 部屋の対角線上に張った縄を、割れ目に食い込ませながら何往復もさせたり。
 天井から縄で吊るしたまま、溶けた蝋を垂らしたり。
 乳首とクリトリスに結びつけた縄を引いて、何度となくイかせたり。
 そしてこういう責めは、厳ついチンピラ連中よりも、噂を聞いて遊びに来た女の方がえげつない。
 制服をだらしなく着崩したミキという女子高生は、明日香が膣もアナルも開発済みと聞くと、狙いをクリトリスと尿道に絞った。
 ミキの責めは、単に苦痛や快楽を与えるだけでなく、プライドをも傷つける。例えば、実際にリモコンを振ってスイングするタイプのTVゲームで、一定のスコアを出せなければ罰ゲーム、という風だ。
 明日香だって、大学時代にはプロから勧誘がきたほどの腕。普通にやれば、相当の好成績を残せるに違いない。でも、ミキは普通にプレイなどさせなかった。アソコと肛門へいくつも遠隔操作のローターを入れ、明日香がスイングしようとする瞬間にスイッチを入れるんだ。そんな事をされて、普通にショットを打てるわけがない。当然、スコアは悲惨なものになり、そのたびに罰ゲームが課せられる。
 罰ゲームは、尿道へ一本ずつ綿棒を差し込んでいくこと。
「あーあ、やっちゃった-。これでもう5本目だよ、ほんと欲しがりだよねぇお嬢様ぁ。ほら、自分で開いて」
「くっ……!!」
 明日香はミキに向かって股を開き、自分の指で尿道を開いてみせる。その表情は歪んでいた。年下の同性に嘲られる屈辱は、俺にもわかる。最悪な気分だ。
「アハ、すごい目。いいよぉそれ。ずっとそうやって睨んでなよ」
 ミキは笑いながら、尿道へすでに入っている4本の綿棒を指で端に寄せ、開いたスペースへ5本目を挿入していく。
「んぐっ……!!」
 明日香は眉を顰めながら、必死に恥辱に耐えていた。
「すごいすごい、入っちゃったぁ。でもキツそうだね、ちょっと慣らしてあげるよ。あ、だからって感じちゃダメだよー?」
 5本目の綿棒が中ほどまで入り込んだあと、ミキは綿棒の頭を指で掴む。そして、強引に前後へ揺すりはじめた。
「んっ!! くっ……ぐう、んんっ…………!!」
「ほら、声漏れてるよ。お姉さんってさぁ、超頭イイ大学出たエリートお嬢様なんでしょ? だったら、おしっこの穴なんかで感じちゃダメじゃん?」
 苦しむ明日香の様子を眺めながらも、ミキの指は止まらない。じゅくっ、じゅくっ、という音が部屋に響く。その尿道責めがよほど効くのか、開いた明日香の脚が次第にがに股になっていく。特に左足は、爪先立ちになって痙攣を始めているほどだ。
「なーにこの脚。キモいんだけど」
 ミキが笑いながらその左足を叩いた、次の瞬間。
「あううっ!!!」
 明日香が小さく呻いた。そしてミキが顔を上げる前で、尿道から何かが噴き出す。どうやら、尿道責めに耐え切れず失禁してしまったらしい。
「ううわっ! ちょっとぉ、こいつションベン漏らしてっし、サイアク! んもーキレた、徹底的に躾けてやる!」
 凶悪な面構えで明日香を睨み上げるミキ。明日香はその視線を受け、苦々しい表情で俯くしかなかった。

 そして、その夜。
 明日香は両足首を吊り上げられたまま、大股開きで恥じらいの場所を突き出すポーズを取らされていた。ちょうどマングリ返しになる途中、という感じだ。
 さらに、高く掲げられた足の親指には、左右2つずつ鈴が結わえ付けられてもいる。明日香が足を動かすたびに、鈴がうるさく鳴る仕組みだ。
 その上で、明日香は嬲られる。
「ほーら、気持ちいいでしょこれ。またお漏らししちゃいそう?」
 ミキが明日香に問いかける。左手で尿道バイブを抜き差しし、右手に持った筆でクリトリスの根元をくすぐりながら。
「あぁ……ぁ、あぁぁあっ!! ……はっ、はぁ……い、いい加減にして……」
 明日香は息を切らせ、疲れきった表情でミキを睨む。でも、ミキの責めは緩まない。
「いや、止めないよ? だって面白いもん、オマエ虐めんの」
 ミキはそう言って、筆を床に置いた。そして自由になった右手で、直に明日香のクリトリスを弄びはじめる。
「ん、あああっ!!」
「うは、すごい。石みたいにギンギンに固くなってる。そっかぁ、そんなに気持ちよかったんだぁー。あたしみたいなガキに嬲られてさぁ」
 ミキの言葉責めは、着実に明日香のプライドを傷つけていく。
「んん、んん゛ん゛っ!!!」
 明日香はミキを睨みながらも、反論ができずにいた。というより、できる状態じゃないんだ。尿道を刺激しながらのクリトリス責めは、クリトリスの根元から刺激されてものすごく効く……そんな話を、前にネットで見た覚えがある。
「あ……ッは、あう、うんんん゛っ!!」
 ミキの右手がクリトリスを転がすたび、明日香の太腿が強張り、鈴が鳴る。さらにクリトリスを包皮ごと揉み上げる責めになれば、鈴の鳴りは一気に騒々しくなった。
「んっぐうっうう゛う゛う゛っ!!?」
「あはっ、すっごい声。お尻の穴もヒクヒクしてるし。もう何百回クリでイってるの、お嬢様?」
 ミキはそこで一旦言葉を切り、明日香の鋭い視線を引き出す。そしてその視線を受け止めながら、尿道のバイブを笑顔で引き抜いた。
「でも、まだまだ。もっともっと逝かせてあげる。ね、お兄さん。さっき頼んどいた“アレ”ちょうだい」
「おお、そらよ。しかし、お前ェも容赦ねぇな」
 ミキがそうねだると、針の取り付けられていないシリンジが手渡される。中身は透明な液体。嫌な予感がする。明日香も同じらしく、ミキの手元を睨んでいる。
「その目、もう何するかわかってるみたいだね。そ、こうするの!!」
 ミキは、シリンジを明日香の尿道へと宛がうと、一気に中身を注ぎ込んだ。
「うんっ!!」
 明日香の身が強張り、足指の鈴が鳴る。顔にじわりと汗が浮き、何も触れていないはずの太腿がピクピクと痙攣を始める。もう嫌と言うほど見てきた、シャブ中毒の症状だ。ミキはその変化を楽しみながら、新しいバイブを拾い上げる。
「そろそろ、細いのにも慣れちゃったでしょ。今度はこの太いのにしてあげるね」
 そう言って明日香の目の前に差し出されたのは、ミキ自身の小指よりも太いバイブだった。しかもバイブの先端部分はかなり大きめのゴム級になっていて、本物のペニスさながらの雁首まで備えている有様だ。
「なっ!? そ、そんなもの……!!」
 さすがに明日香も、そのサイズを尿道に入れられる事実に恐怖する。でもミキは、あくまで薄ら笑みを浮かべながら、ゴム球部分を尿道に宛がった。そして小さな手に力が入り、尿道へミチミチとバイブが入り込んでいく。
「ああ……あ、お゛……っ!!」
 明日香は目を見開き、息の詰まった呻きを漏らす。
「あーいい声。じゃ、トドメね!」
 ミキはそう言って、右手でまた道具を拾い上げた。肩こり解消のために使われる、電気マッサージ器だ。ミキはそのスイッチを入れ、轟音を鳴らしながらクリトリスへと近づけていく。左手では、ようやく挿入しきった尿道バイブを握りしめながら。
 そして、天国のような地獄が始まる。
「あ、ああぁあ……っお、お゛っ! おお゛お゛、おほっ!! はぁっはあっ…おおお゛お゛っ、くふぁああああっんおぉお゛お゛お゛っ!!!」
 シャブで蕩けきった尿道を小指大のバイブで抉られ、同時にクリトリスを電気マッサージ器で責められる。こんな無茶をやられれば、いかに明日香でも品のよさなど保てるはずがなかった。息の詰まった声で叫び散らしながら、病気のように腰を跳ねさせ、鈴を鳴らしまくる。まるで電気責めを受ける囚人だ。
「アハハハハ、暴れる暴れる! 大丈夫お嬢様、こんなに暴れて腹筋攣らない? ま、攣ったら攣ったで、握り潰して思っきし追い込んでやるけど!!」
 一方のミキは上機嫌で、激しく尿道バイブを突き込みながら、マッサージ器をクリトリスに宛がいつづける。じゅぷじゅぷという尿道の攪拌音と、マッサージ器の駆動音、蛇口を塞いだように愛液が散らされる音、そして悲痛な明日香の叫び。部屋内にはそれらが絶え間なく反響しつづけた。聴いているこっちの頭が、おかしくなるほどに。


        ※           ※            ※


 ミキの責めは、女同士という新鮮さもあって藪岡さん達の受けがよく、何日にも渡って続いた。そしてそのどれもがえげつない。

「ほら、もう一回膨らませちゃうよー?」
 ミキがそう言って、両手にアナルバルーンのポンプを持つ。
「ほら、ほら! どう、堪んないでしょ?」
「はうううっ! うっ、ふうっ……ふうっ…………」
 遊ぶように両手のポンプが握りこまれれば、シュッ、シュッと空気の送られる音がし、そのたびに明日香は呻きを上げた。
 この時の明日香の格好は、手首足首を左右それぞれ一纏めに拘束され、かつその拘束部分を下にしてのうつ伏せだ。その無防備な彼女の肛門には、4つのアナルバルーンが詰め込まれている。それをミキが遊び半分に膨らましていくんだから、明日香の腸内はすでにかなり圧迫されていることだろう。事実、明日香の身体は、寒さに震えるような細かい痙攣を続けていた。
「さて。じゃ、そろそろコレ、いっちゃおっかなー」
 ミキはそう言って、床からバイブを拾い上げる。辺りに転がるバイブやディルドーの中で、唯一まだ愛液塗れではない1本だ。
「ほら。すっごいよねコレ?」
 ミキが俺の構えるカメラへと向き直り、手にしたバイブを見せつけてくる。確かにすごい。指5本使ってようやく底を鷲掴みにできる程度の太さ、ゴツゴツした無数の突起、そして凶悪な反り。あの藪岡さんのモノにすら負けていない、黒人サイズのジョークグッズだ。
「こーんなぶっといのが、ホントにお嬢様のオマンコに入るのかなぁ?」
 ミキはあくまでカメラを見て笑いつつ、バイブの先で明日香の割れ目をなぞり出す。
「……っ!!」
 明日香の口の方から、緊迫した吐息が漏れた。でも、それだけ。股座越しにバイブを覗き込むような真似はしない。普通、わざわざ『太い』アピールまでされた凶器がアソコに擦りつけられれば、多少下品な事をしてでも見ようとするものだ。それを、しない。どことも知れぬ場所に監禁され、羞恥心など知るかとばかりに丸裸で輪姦されまくり、日々ザーメンと体液に塗れる環境にありながら、なお最低限のプライドは捨てていない。俺はそんな明日香の事を、心の底から格好いい女性だと思う。助かってほしいと思う。でも、ミキやギャラリーはそうじゃない。
「ほら、入れるよー」
 あくまで軽い口調のまま、ミキはバイブのスイッチを入れ、明日香の割れ目へとめり込ませていく。
「んっ……!!」
 明日香から声が漏れ、震える腰が持ち上がった。わかりやすいその反応を、ミキが鼻で笑う。
「すごーい、どんどん入ってく、こんなペットボトルみたいなのが。あたし結構ヤリマンとか言われるけど、こんなの絶対入んないよ。って事はさぁ、お前のがあたしよりよっぽどヤリマンって事じゃん。だよね、お嬢様ぁ?」
 お嬢様。チンピラ連中も嫌味交じりによく使うフレーズだが、ミキのそれは特別に悪意がこもっていた。見るからに素行不良な女だ。そもそも毎日こんな場所に入り浸っているんだから、高校の卒業すら覚束ないだろう。もはや輝かしい人生へのレールなど望むべくもない。だからこそ、そのレールの先にいる明日香が妬ましくて仕方ないんだ。
「じ、自分で望んで、こうなった訳じゃないわ……!」
 ヤリマン呼ばわりには、さすがの明日香も唸るように反論する。
「あっそ、だから何? 好きで不良やってるあたしより上等って言いたいわけ?
 お前さぁ、ホントむかつくんだよね。ぶっ壊れちゃえば?」
 ミキは不愉快そうに眉を吊り上げ、手首に筋を浮かせて強引にバイブを捻じ込んでいく。
「んぐううっ!!」
 明日香の腰がまた跳ね上がり、色白な太腿の痙攣が激しくなった。
「ほーら、一番奥まで入っちゃった。凄いでしょ、どんな感じ? 奥までギッチリ詰まってんの?」
 ミキは性質の悪い笑みを浮かべながら明日香に尋ねる。
「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ…………」
 明日香は俯きがちになり、肩で息をしていた。答えなくないのか、それとも答える余裕がないのか。どちらにせよその反応は、ミキの逆鱗に触れた。
「ねェ、返事ぐらいしようよ」
 ミキが左手でバイブを押さえながら、右手でアナルバルーンのポンプを拾い上げ、何度も素早く握りこんだ。シュシュシュシュッ、と空気の送り込まれる音が立て続けに響く。
「あぐうううっ!!!」
 明日香から悲鳴が上がった。床に額を擦りつけているため、顔はよく見えないが、強く握りこまれた両手が苦痛をよく表していた。
「……っつらい、つらいわ! 決まってるでしょう!?」
 息苦しそうな絶叫が続く。
「だよねー、良かった。じゃ、もっとつらくしてあげる。あたしの腕が乳酸でパンパンになんのが先か、お嬢様のマンコがぶっ壊れるのが先か……勝負しよ!」
 ミキは、奥まで入り込んだバイブの尻を掴み、ゲーム感覚で宣言する。相手に拒否権すら与えないその強引さは、まさにイジメそのものだ。

 バイブの羽音に混じり、ぐちゅっ、くちゅっ、という音が響く。もう何本かのバイブを使われた後だけに、明日香の中はかなり濡れているらしい。
「うわキモーい、マン汁どんどん出てくる。手首までドロドロだよー!!」
 ミキは手の平でバイブを打ち込みつつ、悪意を込めた実況で周りの笑いを誘う。俺には何が面白いのかひとつも理解できないが、どいつもこいつも手を叩き、膝を打っての大笑いだ。
「う゛っ、う゛っ、う゛、う゛っ…………!!」
 クズの標的にされた明日香は、小さく呻き続けていた。脚の合間、勃起した乳首の向こうに、食いしばられた白い歯が見える。それこそ、明日香が見せる凛とした意思だ。俺は、あえてミキの姿を映さず、その白い歯を映しつづける。
「ハハハッ! おいおい、カメラちょっと近すぎねー!?」
「こいつスゲーな。毎日生ハメ撮ってるくせに、まだマンコ接写できんのかよ。俺ならいい加減気持ち悪くなって無理だわ」
「ああアイツな、だいぶ性癖歪んでんぜ。俺らがバテてる時にハメていいっつっても、絶対やんねーんだ」
「え、じゃ盗撮オナニー専門っスか? ガキの癖にマニアックっすねー」
「いやいや。ガキっつってっけど、アイツ確かお前の一コ上だぜ?」
「え、マジっすか!? んー、でもあん人弱そうっつーか、凄み感じねぇっスもん。もしキレて突っかかってきても、絶対ワンパンですし」
「ひゃひゃっ、ひでーなお前!」
「や、でもホント人間って、何年生きてるかより生き様っすよ。俺、藪岡サンとか高根沢サンだったら、もし年下でもリスペクトしますもん。俺も先輩らみたいに、やりたい事やって太く短く生きてぇっすわ!」
 俺にまで悪口が飛んでくる。この部屋の連中に比べればガタイは貧相だし、そもそも藪岡さんの名前でカツアゲを乗り切っていた小物なんだから、舐められるのも当然だ。それに今では、こいつらに評価されたいとも思わない。蔑んでくれていい。爪弾きにされればされるほど、自分が人間の側にいるんだと実感できるから。

「ほーらぁ、キモいからマン汁垂らすなっつってんじゃん。そんな気持ちいいの? しょーがないなぁ、じゃあもっとやったげる!! ほらほら、どう? お前いま、あたしに犯されてんだよ? あたしみたいなクソガキにさぁ!!」
 このミキという女も、女子高生の皮を被った畜生だ。畜生だから、人の気持ちがわからない。畜生だから、平気で人の嫌がることばかりする。
「く、くっ……あああぁっ、あぁっ……あぁぁ、っはあああああ…っ!!!」
 食いしばられていた明日香の口が開き、喘ぎが漏れた。黒人並みに太いバイブ、人間では真似できない速さでのピストン。それが合わさって、とうとう堪えきれなくなったんだろう。
「あーあ、みっともない声。こんだけ言ってもマン汁垂らすし。あたしさぁ、センコーとか親によく言われるんだよ、マトモになれって。でもさぁ、超マトモに生きた結果がお前なわけじゃん? そのお前が、こうやってくっさいマン汁撒き散らしてんだからさぁ。マトモって何?って言いたくなるよねー」
 ミキの心無い煽りに、チンピラ連中が腹を抱えて笑う。俺はそれがムカついてムカついて、カメラが震えそうになる。そして、憤っているのは当然ながら俺だけじゃない。
「……あああぁ…………は、はあっ……な、情けないわね…………!!」
 明日香から漏れた一言に、ミキ達は笑ったままの表情で固まる。
「……は?」
「……情けない、と言ったの。努力をしていない人間が、努力した人間を笑うなんて、この世で一番……惨めなことよ。あなた達が、私を笑うように……んんっ、あなた達も、世の中から笑われてるのに、気付かないの……?」
 明日香は喘ぎながら、でもハッキリと言い切る。ぐうの音も出ないほどの正論。だからこそ、人の道から外れてくすぶっている連中には格別に効く。ミキも、周りの刺青連中も、額に青筋を立てんばかりに殺気立つ。
「……へえー、面白いねぇ。こんだけやられても、まだそんな綺麗事言えるんだ?」
 ミキはひどく冷たい口調でそう言うと、左手でバイブを押さえたまま、右手でバルーンのポンプを探り当て、4つすべてを滅茶苦茶に握り込む。
「あぐっ、ぐううううっ!!!」
 明日香から悲鳴が漏れた。それを聞いてミキは少し笑い、思いっきりバイブを押し込んでいく。直径こそあるがそこまで長くないバイブは、完全に割れ目の合間に収まってしまう。ミキはそれを確認すると、膝でバイブの底を押さえ込んだ。
「ガムテちょうだい、なるたけ強いのっ!」
 そう叫び、ガムテープを渡されると、バイブの底から膝を離してすぐにテープを貼り付ける。まず縦に1本。その上からX字に2本。これでバイブは、最奥まで貫いたまま固定されてしまう。膨らんだ4つのアナルバルーンと合わさって、圧迫感は洒落にならないレベルだろう。
「…………ぐ、くっ…………!!」
 明日香から苦しげな声が漏れ、拘束された手が握りこまれる。ミキは、そんな明日香の顔に歩み寄った。
「ねぇお嬢様、さっきは随分カッコいい事言ってたじゃん。あんなの、あたしには絶対言えないよ」
 ミキの細い手が、明日香の前髪を根元から掴み上げる。
「い゛っ!!」
 これにはさすがに明日香も、苦痛の声を漏らした。
「あんなセリフ吐ける人って、よっぽど汚いところのない人なんだろうね。それこそ口の中から、喉の中、胃の中までキレイなんでしょ? じゃあさ、あたしらにも見せてよ。お嬢様の中に、どんなキレイな水が入ってるか!!」
「えお゛ぅっ!!!」
 ミキの腕が動き、明日香の足が浮く。何か聞き慣れない声もする。
「あは、すっごい、死にかけのビーバーみたい。カメラさーん、これ撮って撮って!」
 ミキが俺に声を掛けた。呼ばれた以上は行くしかない。ひどく足取りが重い。きっと行った先には、また胸が痛くなるような光景が待ってるんだから。
 やっぱり、そうだ。
 髪を掴み上げられた明日香の口に、ミキの指が入り込んでいる。親指と小指以外……つまり、左手指の真ん中3本が。そんな事をされたら、いかにハーフといえども美貌は保てない。大口を開けていることで豊齢線が浮き出し、形のいい鼻は斜め上を向いて鼻の穴を晒す。ミキがビーバーと揶揄していたのは、白い前歯が覗いているせいか。
「ほらほらぁ、出して出して出してー。キレイ事大好きなお嬢様のゲロは、何色なんだろー。可愛いピンク? それともやっぱゴールドかなあ?」
 ミキはショーツが丸見えになる事も厭わず屈みこみ、明日香の喉奥へと指をねじ込んでいく。
「ぶふっ、ぶふっ、ぶほっ! ………っぉ゛!!」
 明日香は小さく噎せながら、何度も眉を顰め、顔を上下左右に振って指イラマから逃れようとする。でも、笑顔のミキがそれを許さない。明日香の動きに合わせて手首を動かし、あくまで喉奥で指をキープする。首と手とでは稼働域に差がありすぎて、明日香に逃げ切る術はない。
「どーしたの-? さっさと吐いちゃいなってば!」
 ミキはそう言って、一旦明日香の前髪を放した。そしてその右手指を明日香の歯の裏に引っ掛け、無理矢理上顎を開けさせる。狙いはもちろん、左手をさらに喉奥へ進めることだ。
「カァァァ……ッァ゛がっ!ぅうお゛、おぶっ!うぶ、う゛っ……ごっ、おぉォォウウウ゛ッ…………!!!」
 絵面も強烈なら、明日香の喉から発される音もやはりえぐい。痰を吐くような音、咳き込む音、えづき、うがいをするような音。それらがほんの数秒の間に、怒涛のごとくあふれ出る。音を聞いているだけで、喉奥がどれだけ強烈な刺激を受けているのかが解る。
「うわ、キモーい。マン汁の次はヨダレ? ちょっと品なさすぎだよー、お嬢様ぁ」
 嬉々として喉奥を弄っていたミキが、ここで一旦指を引く。
 俺は目を疑った。ミキの3本指に絡みつく、えづき汁の量に。
 指の1本1本と口内を、はっきりと視認できるレベルの糸が繋いでいる。ちょうど納豆を素手でかき混ぜた後、手を引き抜いたような状態だ。指が抜けた後、明日香は反射的にか口をパクつかせたが、その口の中にも4本ほどの太い縦糸が引いていた。
 ほんの数十秒喉を刺激しただけとは思えないほど、多すぎるえづき汁。今でこれなら、ここから一体どうなるんだ。明日香はどこまで無様を晒し、俺はどれだけそれをカメラに残せばいいんだ。そう思うと、膝立ちになった脚が震えそうになる。
「ま、こんだけヌメってたらローションは要らないか。さ、続けよお嬢様。今度はもーっと奥まで行くよ?」
 ミキはそう言って、また指を明日香の口へと潜り込ませる。ただし、今度は3本じゃない。小指も揃えた、4本指だ。
「んも゛っ!?」
 一度目以上の圧迫感に、明日香の目が見開かれる。シャブを使われていない時の、どこまでも澄み切った眼だ。でもその眼は、ミキの指が喉奥へ入っていくたびに細まり、ついには完全に閉じてしまう。同時に眉根がきつく寄り、頬が膨らみ、地獄の苦しみの表情が浮き出てくる。
「あ、これ喉チンコだ。ね、お嬢様。このプルンプルン触れるの、そうだよね?」
 ミキは指の付け根までを完全に口内へ潜り込ませ、そのまま手の甲をピクピクと動かした。
「も゛……ぶふぉあっ!! ァ、カハッ……けへっ、けっはぇかあはっ!!!」
 明日香は首を左右に振りながら、何度も眉を顰め、瞬き、咳き込み、鼻腔を目一杯に開いて酸素を求める。
「あははっ、何それブタの真似? ウケるー。でもそういうお茶目って、人にケンカ売る前にやった方がいーよ? コミュ症のお前じゃ、その辺わかんないかもだけど」
 ミキは言葉責めを加えながら、限界まで強張った明日香の顔へ、さらに深く指を突っ込む。明日香の桜色の下唇から次々に涎があふれ出し、形のいい顎を濡れ光らせる。
「カッ、カハァッ……うっむむぅうう゛…………!!」
 明日香の限界が近づいているのがわかった。少しでも呼吸をしたいからだろう、ついさっきまで清楚そうだった唇は、無我夢中で横へ開いている。噎せかえる動きは肩まで動くほど大きくなり、ついには豊齢線の溝に沿う形で、一筋の涙すら零れていく。
「あーあ、泣いちゃった。これだから温室育ちのお嬢様は……」
 ミキは反射的に茶化そうとし、途中で何かに気付いて言葉を切った。
 何か――その正体は、俺にも判る。明日香の様子を見ていれば、誰だって『その時』が来たんだと察しがつく。
「むがっぉ゛……!! ぶふっ、ぶほっ!んんんぶほ、お゛っ!!」
 明日香は最初に妙な声を発し、焦点を結ばない目を見開いた。続いて頬を膨らませ、何度も咳き込みながら、ミキの4本指へ吸いつくように唇を尖らせる。ミキの手首を凄まじい量の唾液が流れていく。
「さぁっ、見せなよ皆に!」
 ミキが叫びながら指を引き抜いた、直後。
「ぉおおお゛お゛ぉおろ゛ろ゛…………っ!!!」
 声にならない声と共に、とうとう茶色いものがあふれ出した。俺は咄嗟に目を瞑る。でも、無駄だ。びちゃびちゃとタイルに液体が叩きつけられる音と、酸っぱい匂い、手にしたカメラの重量感……視覚を遮断したところで、結局そういう情報が入ってくる。締めつけるような胸の痛みは避けられない。
「ほらカメラさん、なに目ぇ閉じてんの? ココ、映してよ!!」
 ミキの声で、俺はゆっくりと目を開ける。まず見えるのは、大量の涎を垂らしながら激しく喘ぐ明日香の表情。そしてその涎が滴る先を見れば……誤魔化しようもない、歴とした吐瀉物が広がっている。
「はい、録画完了ー。なーんだ、お嬢様っていっても、ゲロはそこらの酔っ払いのオッサンと変わんないじゃん。恥ずかしくないの、こんな汚いの吐いて?」
 ミキは勝ち誇ったような笑みで明日香を見下ろす。吐いたばかりの明日香は、為す術もなく俯……いては、いなかった。
「……はぁ、はぁ……喉をこれだけ掻き回されれば、吐きもするわ……。
 私は、何も間違った事なんてしてない……だから、恥じる必要なんてない!!」
 人前での嘔吐。普通の人間なら取り乱して当然の状況でも、明日香は我を通す。自分に非はない、だから恥じない。恥じるべきは相手だ。そんな信念をこの状況でなお持てる人間が、一体どれだけいるだろう。本当の意味でのプライド、本当の意味での自尊心。明日香には間違いなくそれがある。俺にはそれが輝かしく見えるが、ミキ達にとってはひたすらに眩しく、不愉快なものらしい。
「ほんと、カッコつけだよねお前。いいよ、じゃあどこまで恥ずかしくないって言ってられるか、試したげる」
 ミキが指についた汚れを、明日香の唇へ塗りつける。明日香は目で殺せそうなほどミキを睨みつけたまま、ゆっくりと口を開いた。

「うう゛……う゛っあ゛、う゛えぇ゛っ…………!!」
 一度吐いた後は、喉が敏感になるんだろうか。二度目の指入れが始まって以来、明日香は常に嘔吐寸前の状態にあった。おまけにミキの責め方も容赦がない。
「これ面白-い、Gスポ責めてるみたい! お前も気持ちいでしょーこれー、あははっ。何それ、潮噴いてんの?」
 手の平を上にしたまま、人差し指・中指の2本を挿し込んでの刺激。それは確かに、潮噴きさせる時の形にそっくりだ。ただし、アソコと喉奥とでは勝手が違う。やっている方は楽しいだろうが、受ける側となれば堪ったものじゃない。
「うグ、ぐぐぐうじゅっ……ぎぅいじっ、んんもお゛ろお゛……っ!!」
 明日香の発しているものは、もう声ですらなかった。クシャミをした時に出る鼻水の音と、不明瞭なえづきが混ざり合っているだけだ。
 当然、えづき汁の量も半端じゃない。ミキの手の甲と下顎の間、ちょうど舌の辺りから、泡まみれの唾液があふれては顎へと流れていく。
 ひどく惨めな有様だが、あくまでこれはミキのお遊びでしかない。
「さーて、じゃあそろそろ本番いこっか」
 ミキはそう言って、指の角度を変えた。その瞬間。
「ふうっ!?」
 明日香の喉から、それまでより明らかに余裕のない呻きが漏れる。ミキの手の向きは横……たぶん、喉奥を無理矢理横へ押し込んだんだ。
「あーわかった、ここだここだ。ほーら、いくよー!!」
 ミキは親指を明日香の頬に宛がい、それを支えに2本指で力強く喉奥を掻き回す。
「ぐ、むっ!? ふぅ……うう゛う゛っ!!!!」
 明日香はもう、ほんの一秒も耐えられなかった。低い呻きと共に俯き、ミキの細い指が誘導するままに吐瀉物を吐きこぼす。
「あー、出た出た。」
 ミキは可笑しそうに笑いながらも、指を止めない。今まさに嘔吐している明日香の喉を、さらに虐め抜く。今度は支えの親指を鼻頭に移動させ、縦に喉奥を吊り上げた。横向きの刺激に備えていた明日香は、それに対応しきれない。
「おぶ、う゛ぇ……っ!! がはっ、ごほっごほっ!!!」
 吐瀉物がミキの手の平に沿って、横へ拡がりながら流れていく。その流れが一旦止まった時点で、ミキがさらに指を曲げた。
「うお゛ぉええ゛っ……!!」
 おそらくミキの気まぐれだろう駄目押しは、決定的に効いたらしい。明日香はこれ以上ないほど眉間に皺を寄せ、目を見開いたまま、男そのもののえづきを漏らす。
「はははっ、すんげぇ声!」
「今の、完璧に野郎の声だろ!!」
 周りのギャラリーが大笑いする中で、明日香は吐瀉物を吐きこぼす。今度は口だけでなく、鼻からも黄色いものがあふれ出す。俺も経験があるが、吐いたものが鼻から出ると痛いんだ。明日香もその痛いケースに当たってしまったらしく、何度も咳き込みながら、大粒の涙を溢しはじめた。
 ミキはそんな明日香の前で、悠々と指を引き抜き、わざとらしく吐瀉物を切ってみせる。
「あーあ、タイルがゲロまみれ。今朝何食べたか、ぜーんぶわかっちゃうね」
 ミキの手が吐瀉物を掬い上げた。
「ねぇ。これでも、まだ恥ずかしくないの?」
 掬われた吐瀉物は、嘲るように明日香の顎へ塗りつけられる。明日香は涙を湛えた赤い目で、ミキを力強く睨み上げる。
「……はぁーっ、はぁーっ……何度も、言わせないで…………!!」
 呼吸こそ荒いものの、明日香の意志に翳りはない。ミキはその気丈さに一瞬凍りついたものの、すぐに不敵な笑みを浮かべてみせる。
「…………ああ、そう。じゃ、もっと遊ぼっか。次は指だけじゃなくて、いろーんな道具も使ったげる。あたしとお前、どっちの体力が先に尽きるかのデスレース! 勝ち目があるといいねぇ」
 そう言うミキの表情は、華の女子高生とはとても思えないほど、凄みのあるものだった。

 タイル張りの部屋に、明日香のえづき声が響きつづける。由々しき事態だ。でも俺はその中で、もっと気になる言葉を耳にした。
「イラマか……面白ぇな」
 ぼそりと呟かれた一言。それが藪岡さんの声だと気付いた瞬間、嫌な汗が背中を伝う。そしてそれは、杞憂じゃ済まなかったんだ。


        ※           ※            ※


 ミキは結局、明日香の心を折ることはできなかった。責め続ければ涙も流すし、気絶もする。でも最後には決まって冷ややかな視線を寄越す明日香に、完全に気迫負けした形だ。
『こいつ、キモイ!!』
 その捨て台詞を残して、ミキは212号室を後にした。ただし、ホテルそのものから出たわけじゃない。どうやら、今ではあまり使われなくなった101号室へ篭もり、明日香のハメ番からあぶれた連中とキメセクに興じているらしい。実際、飯を食いに出るついでに101号室を覗いてみれば、ガタイのいい男2人に前後から貫かれ、泣き笑いの表情を浮かべるミキがいた。

 そして、責め役はまた藪岡さんに戻る。
「そこへ横になれ。仰向けだ」
 藪岡さんは、いつも通りの横柄な態度で明日香に命じた。横になれとはいうものの、212号室にベッドや布団の類はない。タイル張りの床へ、申し訳程度の防水マットが敷いてあるだけだ。
「今度は、何なの?」
 明日香はマットへ仰向けになりながら、藪岡さんに警戒の視線を向ける。藪岡さんはマットの端へ屈み込むと、半勃起状態の逸物で明日香の頬を叩く。
 最近はミキの調教ばかりで藪岡さんのモノを見る機会がなかったが、久々に見るとやはりでかい。長さは明日香の小顔とほぼ同じ。太さは半勃起の今ですら、俺の手では掴みきれないほどだ。完全な勃起状態になれば、500ミリのペットボトルサイズにまでなるんだから、まさに凶器としか言いようがない。
「……っ」
 そんな凶器を顔に宛がわれれば、さすがの明日香も表情が強張る。
「なに、大した事じゃねぇ。そろそろイラマチオをやろうと思ってよ」
「イラマ……チオ?」
 藪岡さんの言葉に、明日香は怪訝な表情を浮かべた。すでに行為としては何度かやっているものの、名前までは知らないんだろう。
「ノドで扱けってこった」
 藪岡さんが人相の悪い笑みを浮かべながら言うと、明日香の目が見開かれる。そしてその目は、ゆっくりと頬に宛がわれた凶器を捉えた。怖いんだろう。怖いに決まってる。あんなものを喉まで咥えこめと言われれば、もう男も女もない、ただひたすらの恐怖だ。
「そう固くなんなよ、ミキの奴にだいぶ拡げられてたじゃねぇか。
 要は慣れだ。仕込むのは俺がやるから、お前はそこで大人しく寝てりゃいい」
 藪岡さんは事も無げに言う。藪岡さんサイズの物を喉に突っ込まれ、大人しく寝ていられる人間がこの世のどこにいるだろう。
「へへ。大人しく、だってよ」
「それが至難、ってな。想像しただけでゲー吐きそうだぜ」
 ギャラリーの何人かが、俺と同じ事を思っていた。とはいえ、その声色はひどく明るい。奴らにとっては、所詮他人事。明日香がどれだけ苦しもうと……いや、むしろ苦しめば苦しむほど、いい酒の肴になるとでも思ってるんだろう。
 気付けば俺は、カメラを構えていない左拳を握りしめていた。そして、はっと我に返る。マズい。今は藪岡さんの正面。もし握り拳なんて見られたら、それだけで因縁をつけられかねない。そう思って恐る恐る顔を上げれば、藪岡さんとは目が合わなかった。藪岡さんの目は、明日香の喉を向いているだけだ。
 でも。
 その明日香の顔が、俺の方を向いていた。睨んでいるわけじゃない。澄んだ湖のような瞳で、俺が作る握り拳を見ている。俺が慌てて拳を開くと、明日香も静かに目を逸らす。
 今のは、なんだろう。なんで俺を、俺の握り拳を見ていたんだ。たまたま視線が向いただけ? それとも、本心を見透かして?
 わからない。俺ごときに明日香のような天才の心理が読めるはずもない。でも理由はどうであれ、俺には今の一瞬が、何だかすごく嬉しかった。

「口開けろ」
 俺のささやかな幸福感は、藪岡さんのドスの利いた声で塗りつぶされた。
 現実が戻ってくる。薄暗い部屋、黒いタイル、青いマット。そして狼と、哀れな子羊。
 藪岡さんは、その大きな両手を明日香の顎に添えていた。マットの端から明日香の頭を垂らさせ、強制的に顎を上向かせながら。
「あも゛っ……」
 明日香の白い顎が蠢き、藪岡さんの亀頭が隠れていく。最初の内はいい。問題は、半ばほどまで入ってからだ。
「ん゛、ん゛…………んふぉうっふっ!!!」
 明日香が苦しそうに噎せる。どうやらデカブツが喉奥まで達したらしい。
「喉開け、入んねぇぞ!」
 藪岡さんが凄む。でも明日香は激しく首を振り、唾液を散らしながら逸物を吐き出す。
「ぁくあっはっ!はぁっ、はああ゛っ……!!」
 呼吸の荒さからして、相当に苦しかったらしい。可哀想なほどの反応だ。でも、藪岡さんは気にしない。他人の苦しみに配慮なんてしない。
「吐き出してんじゃねぇよ。オラ、もう一回だ。上手くできるまで、何時間でもしゃぶらせんぞ!!」
 太い指で明日香の喉を押さえ、強引に腰を進めていく。そしてさっきと同じ位置までくると、そのまま有無を言わせずめり込ませていく。
「んぶっ……うお゛、ごォっ!!」
 明日香の両手がマットを引っ掻く。苦しみぶりはさっき以上だ。
「よーし、ノドを通ったな。なんだ、いけるじゃねぇか!!」
 藪岡さんは逆に笑みを浮かべ、腰を前後に揺らしはじめた。
「お゛う゛っ、う゛ぇおおお゛あ゛っ! お゛ア゛っ……ぉ゛お゛うお゛ぁあ゛お゛っ!!!」
 明日香の喉から只事じゃないえづき声が漏れる。でも、藪岡さんの腰は止まらない。
「ははは、よく締まりやがる! なんだよ、喉マンコも意外と良いじゃねぇか!!」
 上機嫌で笑いながら、あくまで自分本位に腰を振る。アソコを使うセックスとほぼ変わらないピストン速度だ。当然、明日香からはえづきが漏れ、涎が溢れる。涎はとうとう顎を越え、首元を流れはじめていた。
「くく、すげぇヨダレ」
「いいねぇあのえづき声。チンポに来るぜ」
 周りのギャラリー共は、藪岡さんと同じく明日香の反応を楽しんでいるようだ。
「……ねぇ、藪さん。マンコって空いてますよね。使っていいスか?」
 ギャラリーの1人がそう切り出した。聞き覚えのある声。それもそのはず、発言者はユウトだ。
「ア? オウ、好きにしろや」
 藪岡さんは返事もそこそこに明日香を追い込む。喉を親指で圧迫し、カコカコと攪拌音をさせるのが今の目的らしい。
「よっしゃあ!! おら、久々の俺のチンコだ、嬉しいだろ明日香! またイカセまくってやんぜぇッ!!」
 ユウトは明日香の両足を持ち上げ、Mの字に開脚させてから一気に挿入を果たした。
「んん!!」
 明日香の喉から呻きが漏れる。
「うは、いつも以上にきついぜ! 藪さんの太いの咥えさせてるからっスかね!?」
「おっ、ノドも良い感じにうねりだしたぜ。マンコに挿れたのが効いたんだな。
 なら、こうすっともっと良くなんだろ!!」
 藪岡さんは笑みを深め、明日香の喉の真ん中を親指で押し潰す。
「ごぉおおあ゛っ!!!!」
 明日香から、本当に危険なえづきが上がった。
「はははっ、スゲー締まるぜ。おまけに今の、ホントに人間の声かよ!」
 ゲラゲラ笑う。部屋の誰もが。明日香があんなに、苦しんでるのに。
「ぐぉ、ごっ……ぅ゛っ、ぅお゛ぇあおお゛え゛っ!!!!」
 とうとう、明日香が限界を迎えたようだ。
「うおっ、こいつ吐きやがった!!」
 藪岡さんが顔を顰め、唾液まみれの逸物を引き抜きながら拳を振り上げる。

 それを見た瞬間、俺の中で何かがキレた。

「も、もうやめましょうよっ!!!」
 胸の中から湧き出た思いを、そのままに叫ぶ。
「ア?」
 藪岡さんの不機嫌そうな顔が俺を向いた。完全に人殺しの顔だ。怖い。でも、言いたいことがある。
「こ、こんな事、いつまで続けるんですか!? 監禁しだして、もう3週間ですよ、洒落になってませんよ!! だ、だいたい彼女、俺らになんにも悪い事なんてしてないじゃないすか!? それなのにこんな、毎日毎日リンチみたいな……か、可哀想って思わないんですかっ!!」
 恐怖と怒りで声が震える。肝心な所が強く言えていないかもしれない。それでも俺は、思いの丈をぶちまけた。
「……オイ」
 藪岡さんは、ゆっくりと立ち上がる。そしてタイルを鳴らしながら俺に近づき、何の躊躇もなく殴り飛ばした。
「ぶあっ!!」
 右目の辺りに、痺れるような感覚が走った。それはすぐに耐え難い痛みに変わり、脳全体を支配する。左目は何とか開く……でも、視界が霞がかったようにぼやけている。
「オイッ!!」
 藪岡さん……いや、『藪岡』が凄みながら、腹を蹴ってくる。
「うごぉあっ!!」
 内臓がせり上がり、堪える暇もなく熱い物が喉を通り抜ける。突き刺すような酸っぱさが鼻を満たす。ああ、そうだ。これが、吐くってことだった。つらくて、苦しくて、嫌なことだった。
「監禁してもう3週間? ああそうだな。だから何だ?」
「げほっ……なに、って……」
「関係ねぇんだよ、ンな事ァ!! 別に街中で掻っ攫ってきたわけでもねぇ。あの女がテメェの車で、このホテルに着いてきたんだ。事件性なんぞありゃしねぇ。この女さえパアにしちまやぁ、誰にもバレやしねぇんだよ!!」
 威圧的な語気で凄む藪岡。俺は今までずっとこれが怖くて、怖くて、こんな所まで堕ちてきてしまった。でも、それも今日で最後だ。
「に、日本の警察を甘く見すぎです!! そのうちきっと、この犯罪はバレます。逃げ切れっこない!!」
 息の限りに精一杯叫ぶ。藪岡1人に対してじゃない、この場にいるクソッたれ共全員への主張だ。
「テメェ、いつから俺に意見できるほど偉くなった!? ちっと甘ぇ顔すりゃ、のぼせ上がりやがって!! テメェ、さてはあれだな? 八木やらがコソコソ仕組んでやがったあの話、テメェも1枚噛んでやがったんだな、この野郎ッ!!」
 藪岡が俺の髪を掴み、顔面に膝蹴りを喰らわせる。前歯がぐらつき、鼻の中の酸味が一瞬にして鉄に変わる。鼻の下をぬるっとしたものが通り抜け、下唇に触れて血の味になる。
「古い付き合いだ、俺に上等かました時点で、こうなる事ァ解ってたよなあ!? いいぜ、望み通りぶっ殺してやるよオラッ!!」
 唸るような叫びと共に、鉤突きがこめかみに叩き込まれた。ミシッと頭の隅で音がする。
「あがああアアーーーッ!!!」
  いたい。 いたい。 いたい。
「あーあ、先輩ドンマイ。俺は嫌いじゃなかったっスよ、また縁あったら来世でー」
 近くにいるはずのユウトの声が、ひどく遠い。

  意識が薄れる。

   殺 …… される。



「――――――もうやめてっ!!!」


 音も光もぼやけた世界で、その声はよく通った。
「   」
 藪岡が何か低い声を出し、俺の胸倉を放す。

「 …………恥  …………  くも …… い人に …… 脅し……  理矢理 …… 撮影 ……んて!」

「・ メェ ・・ 立場 ・・ 女だ ・・・・ 殺 ・・・ か!!」

「 うせ ……  て帰す気 …… しょう!? …… 彼 ……  で  る必要 て …いわ!!」

 崩れ落ちた俺の遥か上空で、ドスの利いた声と澄んだ声とが言い合っているようだ。殴られたショックでよく聞こえないが、俺の処遇について話している事はわかる。
 藪岡は、俺を殺すつもりだ。だったら、それに反論している明日香は、俺を生かすべきだと言っている?
 何故だ。俺だって、クズの中の一匹なのに。最後の最後にボスへ吼えてみたものの、あえなく踏み潰されたゴミムシだっていうのに。
   
     
      明日香。

            明日香。


「ふー。ったく、口の減らねぇオンナだな」
 ようやく、その声が鼓膜に届いた。左の視界はまだ暗いが、右がぼんやりと戻ってきてもいる。
 藪岡が俺を睨み下ろしていた。殺人を何とも思っていないような、濁りきった目だ。その目は次に、明日香の方へ向けられる。明日香はマットの上で半身を起こしたまま、毅然とした態度で藪岡を睨みつけていた。俺にはそれが、守護の女神のように見えた。本当だったら、男である俺が守らなければならないのに。
「くくっ……」
 ふと、藪岡から笑いが漏れる。普通笑いというものは、空気を和ませるものだ。でもこの悪魔じみた男が笑うと、ろくな事が起こらない。
「ま、アレだ。結局んとこお前の主張は、このガキを殺すなって事でいいな?」
 藪岡がまた俺の腹を蹴りながら言う。
「ええ」
 明日香は目つきをさらに強めながら、はっきりと答えた。
「なるほどな、わかった。その提案呑んでやる」
 藪岡のこの言葉は、かなり意外だった。奴はとにかく、他人から意見されるのが嫌いだ。自分と方向性の近い考えならともかく、真逆の主張は絶対に聞き入れない。その奴があっさり引き下がったとなれば、『何か』ある。そして明日香は、すでにその『何か』に気が付いているようだった。
「ただし」
 案の定、藪岡が条件を付け加える。
「この俺が泣く泣く譲ってやったんだ。だったらお前にも、相応のペナルティを受けてもらわねぇとな」
 藪岡は静かに明日香へと近づいていく。
「……何をさせる気?」
 明日香の額に汗が伝う。藪岡は、明日香まであと一歩という所で止まり、ふてぶてしく腕を組む。
「今後一切、俺らのやる事に抵抗するな。拒むのも無しだ。
 テメェが『いや』だの『やめて』だのと抜かした時点で、あのガキは殺す」
 その言葉に、俺と明日香が凍りつく。
 無茶苦茶だ。ここまでだって、リンチ同然の事をやってきてるんだ。嫌で当然、やめて欲しくて当然だ。その主張が、できない? 俺のせいで?
「………………わかったわ………………」
 重い沈黙の中、静かに明日香の声が響く。
 俺よりもずっと頭のいい彼女のことだ。拒絶と抵抗の放棄――それが意味するところを、充分に理解した上での答えなんだろう。
 だから、俺はもう何も言えない。何も言う権利がない。
「よし。その言葉ァ忘れんなよ?」
 藪岡がほくそ笑みながら、ユウトの方を向く。藪岡が笑う時は、悲劇が生まれる時だ。
「おい、お前ションベン出るか? そこのゲロ女に飲ませてやれ」
「!!」
 藪岡がさらりと放った一言で、場が凍りつく。ユウトも一瞬呆気に取られた顔をしたが、すぐに緩さを取り戻す。
「え、スカトロっすか? まぁ、いいっすけど。ちょうど催してっし」
 あくまで軽くそう言うと、マットに座り込んだ明日香に近づいていく。
「っつーわけだ。こぼすなよ、汚ェから」
 ユウトは8分勃ちの逸物を明日香の唇に押し付ける。
「…………。」
 明日香は表情を引き締め、意を決した様子で口を開いた。

「おーおー、いきなし飲尿とはねぇ。こりゃ、ソッコーで死もあるぜ?」
 チンピラの一人が、俺の肩に手を回してきた。指の間ではバタフライナイフを弄んでいる。多分こいつも、本気で人を殺す奴だろう。藪岡と同じように。
 これでいよいよ本当に人質だ。女を助けたいなんて格好をつけた結果がこれとは、笑い話にもなりはしない。
 明日香の視線が、ちらりと俺を向く。でも、それはほんの一瞬。すぐにユウトの足が視線を遮る。
「お、出るぜ出るぜ!!」
 ユウトが足を開き、小便の体勢を整えた。足の間には、正座したまま両手を床につく明日香の姿が見えた。
「……おおお……」
 ユウトの息を吐く声がする。どうやら放尿を始めているらしいが、ペニスを咥えさせての飲尿だから水音はしない。
 ただ、よく見れば明日香の喉が動いていた。そして耳を澄ませば、んっ、んっ、と何かを飲み込む音も聴こえる。
「スゲー。この女、ホントに飲んでやがる。もう人間便器だなコイツ」
「ハハハッ、人間便器か。お前上手い事言うな」
 悪趣味な会話の最中、ユウトが尿を出しきる。逸物が口から抜かれた瞬間、明日香の身体がぶるりと震えた。
「んん゛!!」
 頬が膨らみ、吐き出す寸前にもなる。だが。
「吐くなよ。吐いたら、拒絶したとみなすぜ?」
 藪岡に釘を刺されれば、目を見開きながら強引に飲み下すしかない。
「ほー、耐えやがった」
 俺の肩を抱くチンピラが、バタフライナイフを遠ざける。
「……これで、良いんでしょう」
 明日香は胸を上下させながら、藪岡達を睨み据える。
「ああ。だが、今のはほんの余興だぜ。
 おーしテメェら、ションベン出る奴からドンドン飲ませてやれ!
 せっかく人間便器が出来たんだ、使ってやらなきゃよお!!」
 藪岡は、部屋の人間全てにそう号令をかける。およそ人の心があるなら、絶対にできない命令を。
「へへへ。MIT出のお嬢様に、俺らの小便飲ますってか。興奮するぜ」
「クソ、俺ァまだ出ねぇな。ビールでも補給してくっか!」
 そしてギャラリーもまた、人の心など持っていない。
 ここは、畜生の檻だ。


        ※           ※            ※


「おら、口開けとけよ。こっちも今から出すんだからよ」
 蛇の刺青のチンピラが、明日香の口で用を足しはじめる。
「あがっ、あががっ…………」
 明日香は上を向いたまま、これで連続6人の小便を飲み下したことになる。
「すぐ飲み込むなよ、そのままうがいしてみろ」
 遊び半分にそう言われても、拒否はできない。口一杯に溜まった汚液で、ガラガラガラガラと音を立てるしかない。罵声と嘲笑を一身に浴びながら。
 でも、そういうプレイならまだマシな方だ。鬼畜共は普通に飲尿させることに飽きると、さらに悪質な遊びをはじめた。
 明日香をマットに仰向けで寝かせ、木枷で首と両手首を横並びに拘束する。さらにその上で開口マスクを着けさせ、正真正銘の『人間便器』にしてしまうというものだ。
 端から見ているだけでも、この責めの恐ろしさは充分理解できた。
 ランプに照らされた薄暗い調教部屋の真ん中で、一人不自由に横たわる。丸裸の身体は、性欲の滾った10人ほどの異性に視姦されつづけ、気まぐれに蹂躙される。
 どんな責めがくるのかはわからない。女の反応を示すまで執拗に愛撫されるかもしれないし、筆や指先でくすぐられるかもしれない。無防備なアソコと肛門はいつでも犯され得るし、開口マスクのせいで閉じられない口に至っては、小便を流し込まれようがイラマチオを強いられようが、一切拒む術がない。
 前後の穴がザーメンで汚れてくれば、ホースを突っ込んで乱暴に水で流され、肌が汚れてくれば便所ブラシで擦られる。まさに便器そのものの扱い。
 これを、昼夜の別もない部屋で丸一週間続けられるんだ。
 並の人間なら、数日ともたず発狂してもおかしくない。でも明日香は、これを不安そうな顔すら見せずに耐え切った。二穴をハイペースで使い回されようが、乱暴にホースの水で洗われようが、まどろんでいる時にいきなりマスクの中へ放尿されようが。静かに目を閉じているか、どこでもない虚空を見つめながら、無機質な便器となってみせた。
「チッ、つまんねーな」
 俺の監視役は、ナイフを持て余しながら腐る。その横には、同じくつまらなさそうにカメラを回す男がいる。俺が降ろされてからは、部屋にいる人間が持ち回りで撮影役を担当しているらしい。
 一方の俺は、手錠を嵌められたまま、肝を冷やしつづけていた。自分の命が掛かっているということもある。でもそれと同じくらい、明日香が心配だった。無理をしているのは明らかだ。その無理が、どれだけ彼女の心を蝕むかと思うと、居たたまれない。

 明日香への責めは、日を追うごとに激しくなっていく。責めるアイディアが尽きれば、ホテルのロビーでSM系AVの上映会をやっていたようだ。ロビーから漏れ聞こえるAVの音声は、初めこそ日本人女優の可愛い喘ぎだったが、そのうち悲鳴の比率が増え、ついには外国語の絶叫ばかりになる。
 そして藪岡達は、それを躊躇なく明日香に行うんだ。日本人よりも遥かに強い筋肉や粘膜を持つ外人女優が、それでも泣き叫んでしまうようなハードプレイを。

 監禁開始から33日目の責めともなれば、いよいよ拷問じみていた。
 明日香のスレンダーな腹が変形しきるまで、3リットル近くも浣腸し、極太のアナル栓を捻じ込む。アソコにも同じく太いバイブを嵌め、胡坐縛りを施す。その上で柱を背にして座らせれば、もう自力での排便は叶わない。
 解放条件はただ1つ、俺を除いた部屋の全員を、イラマチオで射精させることだ。ただし、明日香にはあらかじめ目隠しがされているため、部屋に何人いるのかはわからない。そして、責め役も実に狡猾だ。
「んも゛ぉお゛お゛ろお゛ええ゛っ!!!!」
 右側の男から根元までのイラマチオを強いられ、明日香がまた限界を迎える。前日まで『人間便器』として腹が膨れるまで小便を飲まされ続けていたため、吐くペースはかなり早い。吐かれた小便と僅かな胃の内容物が、明日香自身の初雪のような肌を汚す。
「おら、誰が休んでいいって言った? “反抗的”だなオイ」
 右の男にそう囁かれれば、明日香は肩で息をしながらも、自ら口元の逸物を咥えるしかない。
「くくっ、夢中だな。そんなに欲しがんなよ」
 右の男はしてやったりという笑みを浮かべ、明日香の頭を掴んで腰を振る。
「んんごむうおおっ!!!」
 明日香から苦しそうな声が漏れた。今咥えさせられている逸物も、普通に黒人並みのサイズだ。充分な準備もなしに、そうそう根元まで咥えこめるものじゃない。
「んぼろえろ゛っ!!」
「はは、まーた吐いてやがら。吐いてばっかじゃなく、たまには喉でも扱けよ。俺ら全員をイラマ抜きするまで、クソできねーんだろ?」
 クソ。その言葉で、明日香の足首が揺れる。もうだいぶ時間も経っている。便意はかなり強まっているはずだ。でも、目標達成までは遠い。
「おっ、おっ……!?」
 右側の男は、明日香が好調な喉奉仕を受け、少しずつ射精へ近づいているようだった。でも、近づくだけでしかない。いよいよ射精間近となれば、奴は正面の一人に目配せする。するとその相手……つまり左の男が、明日香の髪を掴んで強引に自分への奉仕に切り替えさせるんだ。このやり方を守る限り、連中は射精しないまま延々と喉奥を責められる。
 哀れなのは明日香だ。部屋の全員どころか、ただの一人も射精へ導けないまま、いたずらに喉奥をかき回される。終わりのないイラマチオで何度となく嘔吐し、その吐瀉物を自分の身体で受けて嘲笑の的になる。
 いや……むしろ、吐くものがある時の方が楽かもしれない。吐くものもないのに嘔吐感だけがある、空嘔吐になってからが苦しみの本番だ。
「かっ、かアッ……かああっ、かはぁッ……!!」
「ははは、なんだこれ。カアカアカアカア、カラスかっつーの」
 そういう心ない揶揄も、もう明日香の耳には入っていないだろう。何しろ明日香の目隠しの下からは、とうとう太い涙の線が伝いはじめているんだから。
 あの気丈な明日香が本格的に泣いてしまうほど、空嘔吐というのは苦しいんだ。だが、責める方はそんな事に同情などしない。涙と鼻水、えづき汁に塗れた明日香を、ひたすら笑い者にするだけだ。

 ただし、この日の『底』は、空嘔吐の苦しみでもなければ、嘲笑でもない。本当の地獄は、ようやくにして排便の許可が出た後に始まった。
 「そら、出していいぞ! ひり出せ!!」
 明日香は胡坐縛りのまま男2人に抱え上げられ、ビニールシートの上で公開排便をさせられる。いくら恥ずかしくても、限界を超えた便意は止まらない。
「ふんんんんっ…………!!!」
 明日香が息む声に合わせて、ぶびゅぶびゅと汚物が噴き出していく。さすがの明日香もこの時ばかりは、耳まで真っ赤にして横を向いていた。
 恥辱の排泄が終わり、ようやくこれで一息つける……はずだった。今までなら。
 でも、この日は違った。竿役の中に、生粋のスカトロマニアがいたんだ。
 奴は肛門から汚物を垂らす明日香を、妙にギラついた目で凝視していた。そして、ゆっくりと明日香に近づいていく。
「なぁ、この調教ってよ。この女に『嫌』とか『やめて』とか言わせりゃ勝ちなんだよな?」
 そう呟きながら、足元の汚物を掬う。
「とっておきの方法があるぜ」
 奴はそう言ってボロボロの歯を覗かせ、明日香の前に立つ。何をしようとしているのかは、誰もが察していた。標的となる明日香自身も。
「…………っ!!」
 さすがの明日香も、表情が強張る。
「口を開けろ」
 男が命じても、すぐには動けない。
「開けろ!!」
 さらに男が怒鳴れば、緊張で震えながら命令に従う。その明日香の口へ、やはり汚物が塗りつけられた。
「う゛ぶっ!? うむ、ふおううぇ゛っ!!!!」
 汚物を口にした時の反射として、明日香は激しくえづく。
「吐くな、口を開けてろ。便器なんだろ!!」
「か、かぁっ……ふぅぁああ゛っ……!!」
 でも、男は反射行動すら許さない。明日香は涙を溜め、嘔吐寸前という様子で頬を膨らませたまま、大口を開けているしかなかった。
「おいおい、カンベンしろよ! 便器っつっても公共物だぞ!?」
「ンなもん食わして病気になったらどうすんだ。ハメる俺らまでアウトだぜ?」
 さすがに他の竿役連中も暴走を窘める。だが、スカトロマニアに悪びれる様子はない。
「なに、飲み込まなきゃ大丈夫よ。それに、見ろよこの女。あとちょっとで折れそうじゃねぇか」
 胡坐縛りのまま、汚物を掬っては口に入れられる明日香は、確かに極限状態だった。表情はミキに喉奥を弄られていた時よりひどく、全身の痙攣はシャブを打った直後のようだ。
 それでも、明日香は耐え切った。スカトロマニアが拾い上げた最後の固形物を口に押し込まれてもなお、涙ながらに憎い相手を睨み吸えて。
「チッ、生意気な……こうなりゃ」
「いや、もうやめろって気色悪ぃ! 誰かもう吐き出させろよ!」
「つっても、こんなウンコとションベンまみれの女、触りたくねぇよ……」
 何人かの視線が彷徨い、その結果俺に気付く。
「そうだ、今だけ手錠外してやっからお前やれ!」
「だな。掃除やらも全部頼むわ。俺らは外で待ってっからよ!」
 結局連中はすき放題やり、汚れ仕事を押し付けて部屋を出ていく。でも、そんな事はどうでもいい。
「明日香!!」
 俺は目の前で震える明日香に飛びつき、急いで口の中の物を掻き出していく。
「ぶはっ!! はっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ…………!!」
 ずっと息を止めていたのか、明日香は激しく喘ぐ。ここまで苦しそうな姿は初めてだ。
「明日香、ごめん!! お、俺のせいで、俺のせいでこんな目に……!!」
 俺は、思わず涙を流しながら明日香に謝る。ずっと、謝りたかった。謝りきれるようなことじゃないと知ってはいたが、それでもだ。
「…………はぁ、はぁ…………あ、あなたのせいじゃ、ないわ…………」
 明日香は疲れ切った様子で喘ぎながら、確かにそう言った。
「……え?」
「あの男達が、勝手にエスカレートしてるだけ。あなたは関係ないわ。
 それに……」
 明日香はそこで一旦言葉を切り、俺の方を向く。
「私を助けようとしてくれた時は、本当に、本当に嬉しかった。あなたは、あの男達とは違う。あなたは、絶対に死なせない。」
 汚れた顔。でも俺には、その顔が女神にも見えた。
 

        ※           ※            ※


 明日香の言葉通り、藪岡達の鬼畜行為は、俺の存在とは無関係にエスカレートしていった。『抱く時に萎える』という理由で体の欠損に繋がる責めはされないが、それ以外でなら相当な無茶をする。

 例えば監禁40日目は、延々とフィストファックが続けられた。
「しっかしこいつ、タフな女だなー。もう一時間だぜ?」
 這う格好の明日香に腕を捻じ込みつつ、白石がぼやく。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ…………」
 明日香は全身にひどい汗を掻き、顔を紅潮させながら、短い呼吸を繰り返して暴行に耐えていた。
「なら、ちょっとアレンジといくか」
 1人がそう言って、明日香の前に座り込む。そして明日香の肩を引き寄せ、強引に逸物を咥えこませる。
「えごぉお゛っ!?」
 明日香からえづき声が漏れた。
「なーるほど。確かに効くかもな、それ」
 白石は心得たとばかりに、腕ごと明日香の身体を持ち上げる。それまでの横の突き込みから、斜め下への突きに変えたんだ。そしてその真っ直ぐ先では、根元まで咥えこまされるイラマチオ。当然、きつい。
 浮き気味になった明日香の膝が、ガクガクと痙攣を始める。そして床についていた手は、多分無意識にだろう、イラマチオを強いる男の腿に置かれた。男は、その動きを見逃さない。
「お、なんだこの手? まさか、俺の足を押しのけようってんじゃねぇだろうな?」
 相手の身体を押しのけるのは、禁止されている『拒絶』にあたる。だから明日香は、急いでその手を下ろすしかない。つらくて堪らないから、救いを求めて置いた手だったろうに。その微かな救いすら、丁寧に潰されていく。
 すべては、明日香に音を上げさせるために。

 41日目は、とうとうフィストファックのみならず、アナルにまで手首が捻じ込まれはじめる。
「かはっ……あ゛……!!」 
 これには明日香も、全身に脂汗を垂らし、目を見開いて悶絶した。
「くくく、すげぇ。女の身体ぶっ壊してるって感じがたまんねぇな」
「ああ、病み付きになりそうだ」
 前後に拳を捻じ込むサディスト二人は、苦しむ明日香を見下ろして笑った。
「どうだ、こうされると堪らんだろう」
 肛門を責める一人が、埋め込んだ拳をグリグリと回転させる。
「うっ、くく、くっ……!!」
 明日香は目と口を固く閉じ、床へへばりつくようにして苦痛に耐える。
「では、こっちはこうだ」
 さらに割れ目側の一人も、激しく手首を前後させる。
「ぐはあっ!! くーっ、くぁ……あっ!!!」
 明日香は反射的に顎を上げ、固く歯をかみ合わせた。そうする意味は、俺にもわかる。歯が離れていると、つい言ってしまいそうなんだろう。『いたい』『やめて』と。だから、歯をかみ合わせているしかないんだ。当然、その間荒い呼吸は鼻が担当することになり、鼻腔が開閉を繰り返す。するとその反応を、ブタだのなんだのと詰る奴が必ず出てくる。明日香は物理的な苦しさだけでなく、そういう精神的な圧迫にも耐える必要があった。
「うっ、うぐううっ…………!!」
 耐えに、耐えに、耐えた果てに、とうとう明日香は内股になる。理由は、彼女の脚の間に飛び散る水飛沫が物語っていた。
「また漏らしたか。何回漏らすんだ、このお嬢様は」
「さて、今でもまだお嬢様を気取れるものかね。こんなガバガバのケツとマンコで」
 前後の穴をこれでもかと蹂躙する二人は、明日香の失禁を前に大声で笑った。

 監禁開始から、46日目。
 この日は竿役じゃなく、明日香自身に自分を追い込ませる責めだった。
「はっ、あっ、あっ、あ……ああっ!!!」
 明日香が天を仰ぎ、上ずった声で叫ぶ。
 がに股になった彼女の下には、悪い冗談としか思えないサイズのディルドーが直立している。身近なものでそのディルドーに近いサイズといえば、2リットルのペットボトルか。もっともそれは直径の話で、高さとなればペットボトルの1.5倍はあるが。
 明日香はその拷問器具のようなディルドウに跨ったまま、スクワットの要領で自らの膣を責めつづけることを強いられていた。
「ちっとでもへばってみろ、このガキの指が1本ずつ飛んでくぜ!!」
 チンピラの一人が、俺の指にナイフを宛がって野次を飛ばす。この場合のへばるとは、床に膝をつくということ。つまり明日香は、座り込んで休むことが許されない。

 もう何十回、明日香の割れ目がディルドーの形に膨らんだことだろう。
 延々と屈伸を続けていた明日香の足から、ある一瞬だけ力が抜ける。
「あっ!!」
 すぐに明日香は足に力を込め、かろうじて膝をつく事は免れた。だが、その代償として、深く腰を落とすことになってしまう。つまり、それまでにないほど、深く膣奥を突き上げられたということだ。
「いぎっ!? ……ふうああああああっ!!!!」
 明日香は、普段のクール振りが嘘のように絶叫した。そして臍の辺りまで歪に膨らんだ下腹から、盛大に失禁する。いや、もしかしたらそれは、潮噴きだったのかもしれない。
「はははっ、アイツまたイキやがったな!」
「おーおー、派手に撒き散らしやがって!!」
 周りで見ている連中も、明日香の快感を確信していた。

 何しろ明日香はこの責めの前に、シャブを打たれているんだ。普通なら痛みや苦しみと感じるものさえ、快感にすり替わる。
 明日香はあの歪な拷問器具に割れ目を貫かれながら、何十回、何百回と絶頂しているに違いない。すでに足はガクガクで、ともすれば今すぐ崩れ落ち、半日は快感の余韻で歩けなくなることだろう。明日香の強靭な意思力がなければ。

 精神的超人。
 いつかどこかで聞いたこの言葉は、明日香にこそ相応しい。彼女は、常人では考えられないほどの精神力を持っているから。
 でも、それも絶対じゃない。というより、この世に絶対なんてない。どんな大きな岩だって、雨風に削られて少しずつ小さくなり、いつかは消える。それは、人間の精神力も同じだ。
 明日香の精神を大きな岩とするなら、風雨はシャブだ。薬物で高揚感を得たり、神経が過敏になったりするのは、鋼の精神でも防げない。

「おらイクぞ、出すぞっ!!!」
 下から突き上げる男が叫ぶ。
「んあ、ああああーーーっ!!!」
 明日香は射精を受けながら、自分も盛大に潮を噴き散らす。
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
 荒い息を吐く明日香の身体は、凍えるようにぶるぶると痙攣していた。目は眠たそうにぼうっとし、口は半開きのまま涎を垂らすままになっている。
 薬物中毒の顔。毎日のようにシャブを使われ、ハメられ、快楽を刷り込まれたんだ。もう逃れられない。明日香だって人の子、一人の女なんだから。
「はは、こいつイッたあともアソコが締め付けてくんぜ。物足りねぇってか? いいぜ、じっくり可愛がってやる!!」
 明日香に挿れている男が、下からの突き上げを再開する。
「ああ、うあっ! ま、また……ぁ……!!」
 明日香は背を弓なりに仰け反らせ、天を仰いで喘ぐ。どうしようもないほど気持ち良さそうに。
「こっちも寂しそうだぜ、嬢ちゃんよお!」
 缶ビールをテーブルへ叩き付けた一人が、明日香の背後に回りこむ。そして、弓なりの明日香の身体へ抱きつくように密着しながら、アナルへ剛直を捻じ込んだ。
「ああぁ……は……ァ…………!!」
 ここで、明日香の表情がまた決定的に変わる。焦点を結ばない目が上向き、半ば瞼へ隠れるようになる。
「へへ、今日もイイ顔になってきやがった」
 下から抱く男が笑みを深めた。
「いや、これからだ。この女は!」
 背後から抱きつく男が、すでに痛々しいほどしこり勃っている乳首を摘み上げる。
「ンあああああぁーーーっっ!!」
 明日香の喉から、絶叫が迸った。
「いひひ、出た出た、このボリューム馬鹿になった叫び声! こっからだよなー、この女」
「ハーフだからかね、こいつ色々と外人寄りだよな。マンコとケツの筋肉やたらつえーし、この絶叫してスイッチ入るとことかもよ」
「ああ。ルックスは日本人の好みドンピシャだがな」
「今のこの顔みてそれ言うか? もう完全にビッチの顔じゃねーか」
「つーか、俺らがそうしたんだろ。しかし皮肉だね。SMとかフィストとか色々やったが、結局このキメセクが一番効くんだからよ」
「案外そんなもんだろ。ヤクザの王道サマサマってもんだ」
「うーし、じゃあ今日も、その王道をガンガン叩き込んでやろうぜ!」
「ああ、夜通しハメてやる!」
 チンピラ連中は口々に好き勝手を言い、入れ替わり立ち代わり明日香を犯しぬく。
「あっ、あ……あっ…………くうう、う…………!!」
 明日香は正気を失った表情のまま、何度となく絶頂に追い込まれ、やがて白目を剥いて失神する。
 でも、俺は知っている。彼女はそこまでになりながら、まだ最後の矜持を残していることを。
 膨大な快感に煽られ、無意識に腰を振っている事はある。突かれて快感に悶えることもある。でも、彼女は決して自ら『欲しい』とは口にしない。それが明日香の最後の矜持だ。
 果たしていつまでもつものか。それは誰にもわからないが。



                                 (続く)

止まらないカメラの向こうで  第1話

※当初は読み切りの予定でしたが、あまりにも長くなったので分割します。
 全体で13~14万字程度になる予定です。
 飛び級でMITを卒業した21歳の秀才お嬢様が半グレ集団に拉致られて、
 プライド崩壊を前提にメタクソにやられまくる話。
 ダーク寄りの話で、過去作と比べてもかなりハードめ、かつ悲惨。
 輪姦・アナル・尿道・レズいじめ・イラマチオ・NTR要素あり。
 スカトロ(嘔吐・大・小)あり。
 特に一部、飲尿や口に便を詰められるハードコアプレイもあるため、ご注意ください。




 いわゆるワルの世界では、喧嘩の強い奴ほどデカイ顔ができる。本人は弱くても、バカみたいに強い奴を味方につけていれば、それだけで幅を利かせられる。そういう意味では、俺達も藪岡さんのおかげで随分と甘い汁が吸えた。
 藪岡さんは、俺の3つ上の先輩だ。197センチ140キロという関取級のガタイに加え、フルコンタクト空手の大会で二連覇するほどの実力もある。当然、喧嘩では敵なしだった。俺の地元は相当治安が悪いが、藪岡さんの後輩と名乗りさえすれば、カツアゲには遭わない。そういう意味じゃ、この上なく心強い先輩だ。
 ただしそれはあくまでも、適切な距離を保っていればの話。一旦身近になってしまえば、逆のこの上なく厄介な存在だ。暇つぶしに万引きを命じられ、変なものを食わされ、機嫌が悪いと殴られる。
 頼みの綱である喧嘩にしたって、噂を聞く分には爽快だが、実際の現場はえげつない。藪岡さんはとにかく容赦がないんだ。不良の喧嘩は普通、一方が立てなくなった時点で「二度と舐めた真似すんじゃねーぞ」ぐらいの捨て台詞が吐かれて終わる。でも藪岡さんの場合、相手が降参しても攻撃の手を止めない。馬乗りになったまま、相手の顔の形が変わるまで殴りまくる。それも、キレて歯止めが利かないからじゃない。「殴られて苦しむ相手が面白い」と言って、ゲラゲラ笑いながら殴り続けるんだ。
 高校以来、もう5年近く藪岡さんを見てきて、はっきり言えることがある。あの人は、他人の苦痛を面白がるタイプなんだ。何をしても罪悪感を感じないから、普通の人間なら躊躇う一線をあっさりと越えてしまう。噂では、藪岡さんはもう何人も殺していて、何度も少年院送りになっているらしい。その内の何件かは地元の新聞にも載ったから、少なくとも潔白という事はありえない。
 そういうヤバい部分が見えてくると、引っ越すなりして距離を取りたくなる。でも、できない。中途半端に不良へ染まったせいで、気がつけば付き合いのある人間は、みんな藪岡さんの息のかかった連中になっていた。同級生も、バイト仲間も、先輩も。妙なマネをすればすぐ藪岡さんの耳に入るし、そうなれば殺されてもおかしくない。親や警察に相談って手もあるにはあるが、どっちも不幸な前例がある。親に泣きついた奴は、最終的に50人に輪姦される母親の姿を、気が狂うまで見せられることになった。警察に駆け込んだ奴は、藪岡さんがシャバに出た翌日から姿を消した。
 そういう事情もあり、俺を含めた何人もが、不本意ながら藪岡さんのパシリを続けているのが現状だ。

 そして、運命のあの日。俺は町で偶然藪岡さんに出くわし、二度と後戻りできない道へと引きずりこまれることになる。


     ※               ※             ※


 紫のカラーに、龍を描いた金メッキ、トラックのような大径ホイール。その悪趣味なエルグランドを見た瞬間、すぐに藪岡さんの車だと判った。
「オウ、ちょうど良いトコ来たな。今暇だろ? 乗れや。」
 藪岡さんは車を俺の横につけ、問答無用で誘ってくる。断れば鉄拳が飛んでくるから、俺はその後の予定をすべて諦めて、悪趣味な車に乗り込むしかない。
 7人乗りの車内には、俺以外に5人が乗っていた。助手席で肘をついている細身の人は、藪岡さんの右腕である高根沢さん。他にも、よく藪岡さんと一緒にいる戸梶さんや白石先輩の姿も見えた。この辺りは全員が俺より年上だ。グループ内で『兵隊』とか呼ばれてる連中に比べれば見た目こそ普通だけど、なにしろあの藪岡さんと学生時代からつるんでるような人達だ。当然、生半可な不良じゃない。
「あー、健史センパイ。意外っスね、センパイがこーいう集まり来んの」
 車内で唯一年下なのは、今声を掛けてきたユウトだけだ。俺と同じ高校出身で、歳は一個下の20歳。もっともコイツはコイツで、逆立てた金髪に無数のピアスという可愛げのない見た目をしている上、明らかに俺のことを軽んじているが。
「あの、これからどこ行くんですか?」
 俺はユウトの横に掛けつつ、藪岡さん達に尋ねた。幹部と言ってもいいこの顔ぶれが揃っていて、単にカラオケやボウリングというのは考えにくい。大抵ろくでもない事をしに行くんだ。放火や窃盗、リンチ……そういう、洒落にならない事を。
「今日は、コレだ」
 俺のすぐ前に座る白石先輩が、人差し指と中指の間に親指を挟みこむ。女のアソコになぞらえたハンドサイン。女とヤる……いや、女を犯る。目ぼしい獲物をどこかに連れ込んで、無理矢理レイプでもするつもりか。なんて車に乗り込んでしまったんだ。
「っしゃ、一狩り行くぞ!!」
 俺の不安をよそに、藪岡さんがギアを操作する。そして毒々しいエルグランドは、鼓膜が痛むほどの騒音を撒き散らしながら走り出した。


     ※               ※             ※


 土曜の昼前だけあって、国道はかなり混んでいた。どの車にも着飾った家族連れや若い女の子の姿がある。
「おい、アレとか結構良くねーか?」
「まあまあかな。俺はアッチ派」
「んー。悪くねぇけど、最近ああいう系多くねぇ? 今日はもっと堕とし甲斐あるっつーか、ピシッとしたのがいいわ」
 藪岡さん達は、道を走る車に併走してはその車内を覗き込み、若い女を見つけると口々に値踏みする。今視姦されているのは、白ニットにホットパンツを合わせた女子大生風の娘。それなりに垢抜けてはいるものの、スレた感じのない純朴系。そんな子が立て続けに毒牙にかかっているなんて、何とも胸糞が悪い話だ。
「ピシッとしたのっつっても、土曜じゃ……ん? お、おい、アレどうよ!?」
 助手席の高根沢さんが、ふと対向車線のセダンを指差した。車を運転しているのは若い女だ。車内の全員が何とはなしにその女を眺め、そのまま視線を釘付けにされる。
 とんでもない美人だった。遠目にも整った顔立ちが判る。それも女子アナのような、世間一般とはレベルの違う垢抜け方だ。白いワイシャツに黒一色のジャケットという格好も、できる女という感じで実にいい。
「おいおいマジか、えれぇ上玉じゃねえか!? 決まりだ、アレにすんぞ!!」
 藪岡さんが叫び、強引にハンドルを切る。周りの迷惑なんて考えない、危険すぎるUターン。そしてそのまま、追い越し車線を爆走してさっきのセダンを追いかける。相手はきっちり法定速度を守っているらしく、追いつくのに時間はかからない。
「しかしスカイラインたぁ、いいクルマに乗ってやがんな」
「どこぞのお嬢様か、バリバリのキャリアウーマンってとこだろ。どっちにしてもそそるじゃねえか!」
 藪岡さん達は笑いながら、露骨にセダンを煽りはじめた。車間距離を詰め、狂ったようにクラクションを鳴らしまくる。周りの車が驚いたように距離を取り始めた。当然だ。こんな明らかにヤバイ族車が危険運転をしていたら、関わろうと思うわけがない。前のセダンも、車を左側に寄せ、どうぞ追い越してくれという素振りを見せる。でも、藪岡さんは煽りをやめない。
「逃がすかよ、馬鹿が!!」
 今にもぶつかりそうなほど車間距離を詰め、クラクションとハイビームを狂ったように連打する。この行為に腹を立てたのか、運転席の女が一瞬こっちを向いた。日本人離れした、思わず背筋が伸びるような眼光だ。ミラー越しではなく、あえて振り向いて拒絶の意思を示す辺りに、相当な気の強さが窺えた。俺なら無理だ。怖くてとても振り向けない。
「おっ、睨んできやがるぜあのアマ!」
「良いね良いね、あのキツい感じ……って、よく見りゃ外人か?」
「いや、ハーフかクォーターだ。俺ァ100パーの欧米女じゃ絶対に勃たねぇからよ、間違いねぇ」
「なんにしても最高だな。犯されながらでもあの澄まし顔が続けられるか、見てみてぇぜ!」
 車内は下品な会話で大盛り上がりだ。その最中、セダンの後部で何かが光った。
『ドライブレコーダー搭載車両 後方録画中』
 そう書かれたプレートのランプが赤く点滅している。俺はそれを見てギクッとした。こんな警告を受ければ、大抵の悪質ドライバーはすぐに煽り運転をやめるだろう。頭に血が上った相手に冷や水を浴びせるような、効果的な対策だ。
 ただ、今は相手が悪い。
「ンだありゃ。挑発してやがんのか? 上等だぜ……なら全部撮れや、テメェの最期の瞬間までよぉ!!」
 藪岡さんは逆にヒートアップし、煽りをやめるどころかアクセルを踏み込む。直後、ガンッ、という衝撃と共に、セダンが前へ飛び出た。ぶつけたんだ、バンパーか何かを。セダンの中の女が、驚いたように肩を竦めるのが見えた。
「はははっ、ビビってやがる!!」
「あの程度で脅しになるって、本気で思ってたみてぇだな。これだからぬるま湯で生きてるホワイトカラー様は!」
 逆に、こっちの車内はますます盛り上がっていく。
「ちょ、ちょっと! ぶつけるのはマズイですって!!」
 俺は藪岡さんに向けて叫ぶ。相手ははっきりと撮影の意思を示してるんだ。事故を起こして警察沙汰になれば、言い逃れができない。遊び半分で好き勝手やっている人間はともかく、俺まで巻き込まれるのはゴメンだ。
「センパイ、落ち着きましょーよ。こーなったら、後はヤるだけなんスから」
 隣でイヤホンの世界に浸っていたユウトが、いきなりそんな事を言いはじめる。
「ヤる、だけ……?」
 正直、その言葉の正確な意味はわからなかった。でも本能的に、嫌な感じはした。俺は藪岡さんの性格を知っている。相手が苦しんでいればいるほど、焦っていればいるほど、嬉しそうに笑いながら追い込む人だと。だからこそ、この後の展開にもうっすらと見当がついていたんだろう。
「聴こえるか? 獲物見つけたぜ。今位置送るからよ、球技場側から来て挟めや」
 助手席の高根沢さんが、そう言ってアプリで位置情報を送る。するとその数分後、脇道からさらに2台の車が突っ込んできた。このエルグランドに負けないほど悪趣味なアルファードとセルシオ。アルファードは前のセダンの前方を塞ぎ、セルシオは左側を塞ぐ。そんな事をされたらもう逃げ場がない。右左折で逃げることも、速度を上げて振り切ることも、一旦停車して警察を呼ぶことさえできず、族車の誘導するままに見知らぬ町まで運ばれていくしかない。

 悪夢のようなツーリングの目的地は、古いラブホテル跡だった。
 この場所は俺も見覚えがある。というより、地元のワルなら大抵の奴が知っているだろう。経営不振からとっくに廃業したにもかかわらず、なぜか未だに電気も水道も通っていて、昔から族の溜まり場になっている場所だ。県内でも特に治安が悪い駅南西部の真ん中にあるせいで、パトカーの巡回経路から外されているという噂もあり、実際この辺りでサイレンを聞くことはない。事実上の無法地帯だ。
 セダンがホテル前に停車すると、他の2台から次々に厳つい連中が降りてくる。全員がプロレスラーかラガーマンかという体格で、それぞれ武器まで手にしていた。金属バットに、バール、メリケンサック……。
「俺らもいくぞ」
 後ろにそう呼びかけながら、高根沢さんも車を降り、セダンに近づいてサイドガラスをノックする。
 セダンの中では、女がスマホを握りしめたまま固まっていた。そこへ、追い討ちをかけるように高根沢さんのノックが続く。さらに他の連中も、手にした凶器でガラスを軽く叩きはじめる。その状態がしばらく続いた後、女は諦めたようにシートベルトを外し、ドアを開けて車外に出た。
 この状況になったら、それしかないんだ。警察に通報したら最後、確実にこの場の人間を逆上させることになる。というより、通報すら無理だ。助けを呼ぶにしても、まずここの現在地を知らなきゃならない。悠長に場所なんて確認していれば、その間にサイドガラスを割って車外へ引きずり出され、最悪殺されるだろう。となれば、大人しく従うしかない。
「おーっ!!」
 女が車を降りた瞬間、歓声が上がった。
 遠目に見ても相当な美人だと思ったが、近くからだとさらに凄い。欧風少女と和風美人の長所だけを選りすぐったような、とんでもなく整った顔立ち。艶の輪が光る、肩甲骨辺りまでの長い黒髪。
 スタイルにしてもモデル級だ。小顔で、たぶん8頭身ほど。黒いジャケット越しにもウエストの細さが見て取れるし、薄いタイツに包まれたすらっと長い脚線に至っては、テレビで見たレースクイーンすら敵わない。
「悪ふざけが過ぎるわ。こんな所に連れてきて、何のつもり!?」
 女は、右手を腰に添えて言い放った。やっぱりハーフなんだろうか。何気ない仕草が、まるで映画のような格好良さだ。でもその凛とした態度も、氷のような冷ややかな視線も、常識のネジを外している連中には通じない。
「仮にもラブホの前で、何をするつもりもねぇだろ」
 エルグランドを大きく揺らしながら、藪岡さんが姿を見せる。その藪岡さんに鋭い視線を向けた直後、
「…ッ!?」
 女の表情が固まった。
 無理もない。ツッパリを自称していた俺達だって、初めて藪岡さんに遭った時には一発で心が折れた。とにかくでかいんだ。縦にも、横にも。普通に眼球を動かすだけじゃ全身を見ることもできない、視界を覆い尽くすほどの肉の壁。
「お前は、俺らの玩具になるんだよ」
 その巨漢から、有無を言わさぬ宣告が下される。この絶望感はよく知っている。俺だって、それに逆らえなかったから今ここにいるんだ。


     ※               ※             ※


 ラブホテルの一室、101号室。
 ロビーから入ってすぐのこの部屋は、思ったよりも広さがあった。俺の借りているアパートが6畳で、その2倍はありそうだから12畳ぐらいか。
 天井の照明がスタジオのように部屋を照らし、部屋の中央ではキングサイズのベッドが存在感を放っている。奥のシャワールームは全面ガラス張りで、何もかも丸見えになる仕様だ。
「……いかにも、あなた達が好きそうな場所ね」
 部屋へ連れ込まれた瞬間、女は冷たい声でそう呟いた。

「あ、あの、大丈夫なんですかね? こんな事して……」
 俺はホテルのロビーから部屋を覗き込み、近くにいた白石先輩に話しかける。
「あ?」
 白石先輩は女のバッグを大理石のテーブルに置き、中身を物色していた。
「心配すんな。県跨いで引っ張ってきてんだ。サツってなぁ自分の管轄でしか仕事しねーから、ここまで出張っちゃこねぇよ。それに、言ってもたかがオンナ拉致って犯るだけだぜ。仮に捕まっても、ちっと臭ぇメシ食って終いだ」
 これだ。こういう人らの厄介なところは、逮捕を恐れないこと。もちろん捕まらない工夫はするが、やりたい事をやった挙句に最悪捕まっても、『かえって箔がつく』と涼しい顔をする。そしてそういう人間に限って、なぜか裁かれない。たまに捕まってニュースになっているのは、あくまで氷山の一角でしかないんだ。
「これもだ。GPS入ってるかもしんねーから、どっか遠くで廃棄しろ」
 白石先輩は鞄を漁り、いくつかの物を周りの人間に手渡していく。そしてその手は、何かを取り出しながら止まった。顔写真のついた白いカード……免許証だ。
「ふーん。式田 明日香ってんだ、このオンナ。21っつーと、お前とタメじゃね?」
 白石先輩が、俺の方を向く。先輩のクズっぷりに引いていた最中の俺は、慌てて表情を柔らかくした。ガンを飛ばしてるなんて知れたら、根性焼きでは済まない。
「えっ? あ、はい……。」
 俺は返事をしながら、ちらりと女の方を見る。同い年にしては、随分大人びているものだ。スーツのせいだろうか、それとも人生経験の違いだろうか。
 名前は、式田 明日香。なんだろう、聞き覚えがある気がする。
「ん、待てよ、式田……?」
 先輩の中にも何か思い当たる人がいたようだ。彼はすぐにスマホを取り出し、何かを検索しはじめる。
「うお、やっぱそうだ! こいつ、コレでしょ!!」
 興奮気味の叫びと共に、ある動画が再生された。何かのCMだ。軽快な音楽に乗せて笑顔で社のPRをする女は、芸能界ですら滅多に見かけないほどルックスがいい。
 思い出した。これは、証券会社『式田証券』のテレビCMだ。社長の娘が直々に広告塔となり、「美人すぎる社長令嬢」として世間の注目を集めた。この事で式田証券は、一気に全国区の知名度を誇るようになったんだ。元々業界の注目株と言われていた会社だから、サービス自体にも特長はあったんだろうけど、このCMが社の発展に与えた影響はでかい。なにしろ式田証券をネットで検索すると、未だに『アスカちゃん証券』という関連キーワードがトップに出てくるんだから。
 俺も去年、たまたまCMを見て彼女に一目惚れし、ネットで個人情報を漁った覚えがある。その末にまとめサイトで見つけた経歴は、凄まじかった。
 青年実業家の父とスイス人女優の母の元に生まれ、高級住宅街の一等地で裕福な幼少期を過ごす。やがて渡米し、飛び級で入ったMITで金融工学を学んだ後、19で卒業して父親の会社へ役員待遇で迎えられる。その役員としての最初の仕事が、社の躍進に繋がるイメージガール戦略だ。
 しかも、飛び級できるだけの頭脳を持ちながら、運動神経も抜群。特に大学時代に遊びでやっていたゴルフの腕前はプロ顔負けで、何度も業界からスカウトが来たほどらしい。
 文武両道かつ才色兼備、そして優れた血統。まさに一流の女。
「スゲーな、お前」
 経歴を一通り読み上げた白石先輩が、両腕を捕まれた明日香に話しかける。すると明日香は、鋭い目線を返した。相当な気迫だ。
「そうよ、私の価値を理解した? だったら、今こうしている事のリスクを真剣に考えるべきね。私には今日、ミーティングの予定が入っていたの。それに連絡もなく顔を出さなかったとなれば、私の身に何かあったんだと関係者が気付くわ。今この瞬間にも、捜索願が出されているかもしれないのよ!」
 ホワイトカラー特有の、ピリッと張り詰めた茶化せない雰囲気。スイス人の血を感じさせる整いすぎた顔立ちが、余計にその凄みを増してもいる。お嬢様はお嬢様でも、屋敷で甘やかされて育った姫じゃない。10代の半ばで単身留学し、MITを卒業してみせ、帰国後間もなく日本の金融界にショックを与えた行動力の塊なんだ。
 ただ、それに気圧されているのは俺だけらしい。俺の背後や周りにいる先輩達からは、獣じみた空気が発されている。
「そう冷たくすんなって、お嬢様。これからこのホテルで、たっぷり愛し合う仲なんだからよ?」
 頭を剃り上げた一人が、ジャケットの上から明日香の乳房を揉みしだく。それと同時に、髭面の一人がスカートの裾をめくり上げた。薄い黒タイツ越しに、薔薇の刺繍が施されたショーツが覗き、どこかで口笛が吹かれる。
「は、放しなさいっ!!」
 明日香は内股になって抵抗するが、ベンチプレス百数十キロを上げるような男の腕力には敵わない。
「さすがお嬢様、趣味のいい香水つけてやがんなぁ。銀座にいる女みてぇだ」
 髭面が力づくで明日香を抑え込みつつ、指でショーツをなぞる。
「っ!!!」
 明日香は、肩幅に開いた足をかすかに強張らせた。こういう事に慣れている感じじゃない。まさか……
「くくっ、ウブな反応だな。まさか処女かよ」
 髭面が笑みを浮かべて囁くと、明日香の表情がいよいよ硬くなる。
「だから何? 猿のように貪りあった経験がない事が、そんなに可笑しい事? 
 あなた達ケダモノと違って、私は生まれてからずっと有意義に生きてきた。それだけよ!」
 相当な負けず嫌いらしく、明日香は気色ばむ。白人並みに綺麗な頬を、わかりやすいほど紅潮させながら。
「有意義、ねぇ……セックスだって有意義なんだぜ、他に何もいらねぇってぐらいによ。お前にも、それをたっぷり教えてやる」
 二人は笑いながら囁きかけ、黒いタイツを膝までずり下ろした。そして丸見えになったショーツの中へ、スキンヘッドが手を滑り込ませる。
「やめて! やめなさいっ!!」
 明日香の声がサイレンのように響くが、誰からも相手にはされない。
「うお、えれぇキツイぜ。こりゃ下手すっと指すら入れたことねぇんじゃねえか?」
 ショーツへ手を潜り込ませたスキンヘッドは、指を曲げた後に驚きの声を上げた。
「くくっ、バージンな上にオナニーの経験すら少ないときたか。こりゃ調教のしがいがあるぜ」
 悪意ある囁きに、明日香が表情を引き締める。ゲス共め――言葉にせずとも、表情がはっきりとそう宣言していた。
「おいおい、反抗的だなぁその目ェ?」
「まあいいじゃねぇか。ツンツンしてんのも悪くねぇ」
「だな。アイサツ代わりだ、このままたっぷりと愛撫してやろうぜ。自分から欲しがるようになるまでよ?」
 悪意が、明日香を取り巻いていく。そして、明日香にはそれを跳ね除ける術がない。この状況を打破できるのは腕力だけ。それがないなら逃げられない。どれほど頭が回ろうと。外の世界でどれだけ価値のある人間だろうと。
「オイ」
 穢されていく明日香を眺める俺に、いきなり藪岡さんが声を掛けた。
「は、はい!」
 俺は弾かれたように声を上げる。もう21なのに、藪岡さんを前にすると、中学生のガキと同じような反応しかできない。
「コレで、あの女のこと撮っとけ。充電器やら替えのメモリーやらは八木が管理してる」
 藪岡さんは、俺に黒いハンディカメラを渡して言った。
 なるほど、そういうことか。こんな幹部のパーティーに俺みたいな下っ端が呼ばれるなんて不自然だと思ったが、撮影役ということなら納得できる。そして藪岡さんの命令である以上、断るという選択肢はない。俺はカメラを起動し、明日香の方へ向けて録画モードに入る。内股気味のすらりとした太腿が液晶に映し出される。
「えっ!? な、何を映してるの、やめてっ!!」
 明日香はすぐにこっちに気付き、よく通る声で叫んだ。申し訳ない気分になる。こんな犯罪行為を見過ごしているだけでも心が痛むのに、撮影までなんて。
「よく言うぜ。お前だってドラレコで俺らのこと撮ってただろうが。同じ事をやってるだけだ。もっとも、こっちのはドライブじゃなくてファックレコードだがな!」
 藪岡さんは悪びれる様子もなく、大声で冗談を飛ばす。
「な、何を滅茶苦茶なこと……ん、んんっ!!」
 明日香は何か反論しかけるものの、ショーツ越しに割れ目を擦られて言葉を呑み込んだ。スポーツもこなす健康体だけに、血の巡りもよく、そのぶん敏感なんだろう。
 俺は明日香が哀れになり、カメラをそのままについ視線を落としてしまう。すると、いきなり藪岡さんに胸倉を掴まれた。
「テメェ、ちゃんと見て撮れや!! 俺らの一生のズリネタになるかもしれねぇ映像だぞ。いい瞬間撮り逃がしやがったら、テメェのリンチ動画で上書きすんぞコラッ!!」
 至近距離で凄まれると、本当に漏らしそうになる。襟を掴んでいる手にしても、とにかく拳頭のブ厚さが普通じゃない。怖い。
「す、すんません!! すんませんした!!」
 俺は息苦しさも忘れて、必死に謝り倒す。この人の熊みたいな力で殴られたら、頬骨ぐらいは軽く折れてしまう。実際、何度も折れたことがある。一発も殴られちゃいけない。一発も。
「…………っ!」
 必死に命乞いをする俺を、横から明日香が見ていた。頭のいい子だ、すぐに俺の惨めな立ち位置を理解したことだろう。彼女は俺と同じ歳で、人の上に立ち、証券会社のミーティングをこなしながらバリバリ働いているのに。俺はこんな、チンピラ集団の下っ端。情けない。本当に、情けない。
「チッ……次、腑抜けてたら殺すぞ」
 藪岡さんは乱暴に俺を投げ捨て、腕を組みなおす。そして、すぐに薄ら笑みを浮かべはじめた。すでに注意は明日香に向かっているようだ。極上の獲物を捕まえたおかげで機嫌がよく、だから殴られずに済んだのか。俺は、明日香という犠牲のために助かったのか。そう思うと、居たたまれない気持ちになる。でも俯いて撮影していると今度こそ殴られるから、恩人を見据えながら必死にカメラを構えるしかない。
「………。」
 明日香は、一瞬だけ俺の方に視線を向けてから、ふっと目を逸らした。もう見るのも嫌ってことか。俺だってそうだ。俺だって、俺が嫌いだ。


     ※               ※             ※


 明日香への愛撫は、ひどく念入りに続いていた。
 上半身のワイシャツやジャケットはあえて脱がさず、スカートだけを捲り上げて刺激を加えていく。ショーツ越しに割れ目を、クリトリスを。タイツ越しに太腿を……。
「んっ、く……はっ、はぁ、はぁ…はぁ……っ!」
 明日香は、腕を掴みあげられたまま、必死に足を踏み変えての抵抗を続ける。額に薄く汗を掻き、横を見つめる目が不定期に揺れる。男に触れられる場所すべてがピクピク動いてもいる。屈辱的だが、どうしようもなく気持ちいいんだろう。今彼女に触れている人間は、合意非合意は別にして、何十人もの女を喰ってきた人間ばかり。愛撫ひとつにしても、相当手馴れているはずだった。
「おーおー、とうとうパンティ越しに汁が垂れてきたぜぇ、お嬢様よ?」
 ショーツにぴたりと張り付くような陰唇をひたすら刺激していた一人が、嬉しそうに言う。
「だ、だから、何だっていうの……!?」
 明日香は目元を引き攣らせた。そんな彼女に、他の何人かも追い討ちをかける。
「太腿もヒクついてんぜ。おら、こうされると堪らねぇんだろ?」
 そう言いながら、一人が腿の内側を鷲掴みにした。
「ん゛っ!!」
 明日香から濁った呻きが漏れる。
「クリもでかくなってきたぜ。最初はどこにあんのかサッパリだったのによ」
 これは、ショーツ前面を擦りたてる人間の言葉だ。
「はっ、あう、う…んっ!!」
 クリトリスといえば、女の弱点の一つ。そこを集中的に弄られたら、いくら意志の強い人間でも腰を揺らすしかない。
「俺らだって童貞のガキじゃねぇんだ、感じてんのはバレバレなんだよ。いい加減素直になれって。オトコが欲しいんだろ?」
 勝利を確信しているような、にやけた口調。そんな言い方をされて、気の強い女が大人しく折れるはずがない。
「あ、あなた達が、したいだけなんでしょう? だったら、勝手にすればいい。私はただ、あなた達の、あさましい欲望の、捌け口になるだけ。助けが来たら、しかるべき報いを、ふっ…受けて……んんっ、もらうわ……っ!!」
 愛撫に敏感な反応をしつつ、はっきりと主張する明日香。自分は欲していない、ケダモノが群がっているだけ。効果的な煽りだ。
「ほぉー、まだ頑張るか。いいぜ……なら、とことんまで焦らしてやるよ!」
 5匹のケダモノが、明日香へ苛立ち混じりの視線を向けた。

 そこからは、ショーツを取り去り、ワイシャツのボタンを荒々しく引きちぎっての愛撫が続けられた。
「ひひ、いいチチしてやがるぜこいつ。プリップリだ」
 ブラジャーが押し上げられ、乳房が鷲掴みにされる。乳房も乳首も感動的なほどに綺麗だ。大きさはCカップぐらいだろうか。
「くっ……!!」
 明日香は痛みとも屈辱ともつかない、苦い表情で耐えていた。そんな明日香を、先輩達はさらに追い込んでいく。
「ん……はっ……」
 乳房の外周から乳首へと吸い付かれると、明日香の細い肩が震え、小さく声が漏れた。
「ひゃっ、あ!」
 うなじの辺りを舐められると、肩が竦まり、普段とは違う童女の顔が現れる。
「ふんん……あ、はああっ!?」
 下腹部への舐めを嫌がって腰を逃せば、待っていたとばかりに肛門へ口づけする人間が出て、かなりの声を漏らすことになってしまう。
 俺も女に舐められたことがあるが、舌の刺激というものは凄いんだ。指とは全然違う。生暖かくてヌルヌルしていて、何ともいえない。それを慣れた人間にやられるんだから、涼しい顔なんてできるわけがない。

 さらに20分ほど経った頃には、明日香は完全に逃げ道を失くしていた。両足を膝から抱え上げられたまま、執拗なキスと愛撫、アソコへの指入れを強いられる。
「はぁっ、はぁっ………あんっ、はああんっ、ああ……んっ!!!」
 明日香は、もう全く喘ぎを堪えられなくなっていた。緊張と快感で息が上がっているから、酸素を取り込むためにも喘ぐしかない。
「おおー、もうグッチョグチョだよ。完璧にGスポの急所捉えてるわこれ」
 指入れを繰り返す一人が言う。よほどGスポット責めが効くのか、指が動くたびに明日香の腰は上下左右に揺れ、モデル級の太腿が痙攣する。
「ひひ、すげぇや。ストリップでもこんなやらしい腰つきってないぜ」
「あの式田証券のお嬢様ともあろうお方が、みっともねぇもんだ!」
 少し離れて小休止していた先輩達も、明日香の惨めな格好に野次を飛ばす。確かに色っぽい腰つきだ。雪のように白い肌に加え、デルタゾーンの毛もよく手入れされているから一見清楚そうなのに、動きだけがいやらしい。
「ほらお嬢様、カメラ小僧が撮ってやがんぜ? その恥ずかしいカッコをよお!!」
 一人がそう続けた。俺の蚤の心臓が騒ぐ。
 そして明日香は、まっすぐに俺の方を見た。正確にはカメラをだが、顔が俺を向いていることには変わりない。目の覚めるような美人なのに、いや、だからこそ、ひどく怖い。
「そう睨むなって。メスブタのくせに、いっぱしに格好つけやがって!」
「ほぐれろほぐれろ、また潮吹き地獄いくぜ?」
 明日香を囲む数人が、焦れたように責めを再開した。
 乳房を揉みしだき。親指で開いたビラビラの表面を、指の腹で丁寧に刺激し。2本の人差し指を割れ目に沈め、好き勝手に内を刺激する。
「あふ、ぅんっ……はぁ、あああっ!! はあ、あう、うんんっ!!」
 明日香は目を細め、必死に快感に抗おうとしていた。でも、すぐに限界が来る。ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ、という異様に水っぽい音でアソコを掻き回された果てに、太腿を激しく強張らせる。そして。
「あ、あ、あ……あああああぁぁーーーっ!!!」
 天を仰いだまま大口を開け、明日香は”また”潮を噴いた。割れ目に入り込んだ指の動きに合わせ、ぴゅ、ぴゅ、ぴゅっと小刻みに噴出し、プレイルームのタイルに飛び散って行く。
「オイオイ、品がねぇなあお嬢様!」
「また潮吹きか。清楚なタイプだと思ったのに、指でちっと弄っただけで逝きまくりだな」
 容赦なく浴びせられる、罵詈雑言。明日香はなおもGスポットを激しく刺激され、潮吹きの第二波へと追い込まれながら、薄らと涙を流していた。

 結局明日香は、俺のカメラの中で7回潮を噴いた。
「よう。朝からぶっ通しでハラ減ったろ。何人かでメシ行くっつってっから、一緒に食って来い。しばらくは俺が代わってやるよ」
 カメラの充電器を借りに八木さんに声を掛けると、下卑た笑みと共に休憩を勧められた。どうやら、自分でも撮ってみたいらしい。俺もさすがに疲れてきたから、その言葉に甘えることにする。
 外に出ると、もう日が沈みかけていた。エルグランドで“狩り”をはじめたのは昼過ぎだったから、もう5時間位は経ってるのか。
 結局、連れと約束してた映画は観られなかった。バイトも無断欠勤になってしまった。でもそれより、明日香のことで胸が痛む。頼んだ牛丼の味さえわからないぐらいに。
 俺達がこうして休憩している間にも、明日香は嬲られ続けてるんだろう。もしかして、もう処女を奪われているかもしれない。そう思うと、早くあの場に戻りたくなる。俺が見ていたところで何が変わるわけでもないが、誘拐の片棒を担いだ人間として、せめて見届けなければという妙な使命感があった。
 ただその一方で、もう関わりたくないと思っている自分もいる。どうせあの場に居たって何もできない。俺が主導した犯罪でもない。なら、関係ないじゃないか。このままどこかへ逃げて、忘れ去っちまえよ。そう悪魔が囁く。
 どっちの心に従うべきだろう。俺は、先輩達の下らない武勇伝に相槌を打ちながら、しばらく悩んでいた。でも、本当はわかってるんだ。どうせ最後には、あの場所に戻る道を選ぶんだと。そしてその理由は、使命感からでも、罪悪感からでもない。
 藪岡さん達から、逃げる勇気がない。ただ、それだけだ。


     ※               ※             ※


 ホテルに戻ると、ロビーで何人かが気だるそうに休憩していた。煙草をふかしながらテレビを見ている人間もいれば、缶ビール片手に宅配ピザを齧っている人間もいる。全員が毒々しい刺青入りで、まるでスラムにでも来たようだ。
「はうっ、あ、あひっ……お、うぅ……ああ、あ、あっ…………」
 101号室からは、喘ぎ声が漏れていた。ぐちゅ、ぐちゅっ、という音もするし、汗の匂いもする。セックスの最中なんだろうか。そう思って部屋に踏み入ると、そこには意外な光景が広がっていた。
 服を取り去られ、生まれたままの姿を晒したまま、ベッドへ仰向けになった明日香。その明日香に、5人の男が群がっている。ただし、挿入している様子はない。乳房を舐め回し、持ち上げた足指を丹念にしゃぶり、両腿を抱え込むようにしながらアソコに顔を埋めて舌を遣い。そういう焦らしを、延々と続けているようだ。
「へへ、最高だ……っと、やっと帰ったかよ」
 ニヤけながらカメラを構える八木さんが、俺に気付く。
「待ち侘びたぜ。俺もあの女ァ嬲りたくなってたとこだ。特にあのチチをよ」
「はは……遅くなってすんません」
 俺は、それに愛想笑いを返すのが精一杯だった。俺の意識はすでに、明日香の方を向いているんだから。
 カメラを構える。液晶に明日香の美貌が映りこむ。
 彼女は嬲られながらも、必死で耐えているらしかった。両手が頭上で縛られているから、両腋は晒すがままだ。その腋に白いパウダーのようなものを擦りつけられ、吸い付かれれば、体は大きく反応を示した。でも、顔はそれほど崩れない。「あ」の形に小さく口を開いたまま、充分に綺麗と思える表情を保っている。
 とはいえ、『出来上がっている』のは明らかだ。
 まず汗の量が凄まじく、手も足も腹も、薄いオイルを塗りたくったかのように濡れ光っている。二人の男に持ち上げられた脚は痙攣を繰り返す。しつこいぐらい舐められる乳首に至っては、AVですら見たことがないほどの円錐形に尖りきっていた。なにしろ、男が口にくわえたまま、上下に扱けるぐらいなんだ。ベッドの上に乳首クリップが転がっているところから見て、相当激しく引き伸ばされたに違いない。

 明日香の白い肌の至るところに、舌と指が這い回る。
「はうっ、あうっ……! んあ、ああ、あ……っあ…………!!」
 よっぽど堪らないのか、明日香は喘ぎを殺せていなかった。俺のカメラは、気持ちよく喘ぐ明日香の姿を淡々と映す。
 と、左右から胸を舐めしゃぶる二人に変化があった。口を離し、歪んだ笑みを浮かべながら乳首を摘む。そして痛々しいほど勃起しきったそこを、思いっきり引っ張ったんだ。
「んあ゛あああぁぁぁっっ!?」
 これには、明日香もかなりの声量で悲鳴を上げた。見た目通り、異常なほど乳首が敏感になっているらしい。
「イイ声だ。もっと聴かせろ」
 二人は満足げな様子で、さらに乳首をいじめ抜く。それと同時に、アソコへ顔を埋める一人も責めを変えた。ぐちゅぐちゅと舌で中をかき回す動きから、ずずーっと露骨に汁を啜る動きへ。
「はあ、くっ!!!」
 明日香の忌々しげな視線が下腹の方へ下る。
 数分に渡って汁を啜り続けた男は、鼻と口の一面を濡らしながら顔を離す。ただし、休憩するためじゃない。それまで掴み続けてきた腿から手を離し、右手親指で膨らんだクリトリスを押さえつけ、左手人差し指を割れ目の中へと差し込んでいく。たかだか指1本での攪拌。でも円を描くようなその指の動きで、俺の想像を遥かに超えるいやらしい音が立ちはじめた。ぬちゃ、ともくちゃ、ともつかない粘ついた音。
「あああ、あぁ…………ぁぁああぁぁ………………っ!!」
 これに対する明日香の喘ぎもまた、予想外だ。我慢できず漏れ続ける声は、やたらに子供っぽい。目を閉じれば、小学生が発している声に聴こえる。その鼻にかかった甘い喘ぎは、たった指1本での攪拌がとんでもなく気持ちいいことを表していた。
「すっかり声が抑えられなくなっちまったな。男なんていらねぇってカッコつけてた割にゃ、随分と欲求不満そうじゃねえか」
 そう茶化して明日香の息を詰まらせてから、割れ目への責めは変化した。
 左手人差し指で膣の入口を無理矢理に拡げつつ、クリトリスに宛がっていた指を下ろし、左右の人差し指を割れ目に差し入れる。そして膣壁の左右を擦るようなやり方で、二本指を激しく動かしはじめた。音がまた凄い。ちゅぴちゅぴちゅぴちゅぴ、という絶え間ない水音が、指の動きと同じハイペースで漏れていく。
「あ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……………!!」
 明日香の喘ぎも同じく激しい。二人の男に足首を掴みあげられたまま、すらりとした太腿を何度も何度も筋張らせる。頭上で結ばれた手首にしても、持ち上げるでもなく下ろすでもなく、中途半端に浮かせた状態になっている。
「おお、すげぇすげぇ。また本気汁があふれてきたぜ」
 割れ目を責める男が嘲り笑った。見てみると、割れ目からは妙に泡立つ白い液が垂れ落ちている。あれが本気汁…………なんだろうか。
「ふう、ふうっ…………あ、はあっ!! あうんっ、あっ!!!」
 嘲笑を受けた明日香は、一瞬口を噤んで淑やかさを取り戻そうとする。でも、その努力も一瞬だけの事。また割れ目に口づけされ、本気汁を啜られはじめると、あえなく声が漏れる。

 悪夢のようなねちっこい責め。プライドにかけて感じまいとしても、火照った性感帯がそれを許さない。傍観者である俺にさえ、その事実がはっきりと見て取れた。
 それでも、明日香は音を上げない。抱いて欲しいとは絶対に口にしない。本当に、見上げるほどの意思の強さだと思う。
「さーて、そろそろ効き目が薄まってきた頃だろ。また『アレ』やるか」
 一人が発したその言葉に、5人全員が下卑た笑みのまま頷く。
 そして、明日香は仰向けの状態からひっくり返された。乳房を押し潰すようなうつ伏せで、尻だけを高く掲げる格好だ。さらにその明日香の背後で、何かが用意され始める。漆塗りの器に入った透明な液と、そこに浸された5本の筆。かすかにアルコールの匂いがする。器の中身は、多分酒だ。
「またそれなの? 工夫がないのね」
 液と筆を睨みながら、明日香が溜め息を漏らす。すでに何度も使われているらしい。
「ああ、お前も随分気に入ってるみてぇだからな。もっとも、勘弁してくれというなら止めるが?」
「………使えばいいでしょう。好きなだけ」
 当然、明日香は受け入れるしかない。後戻りのできない沼へ、さらに深く沈みこむ行為だと知っていても。
「ん……ふうんん、んっ……ふ」
 5本の筆が、器の中身をたっぷりと掬いながら塗り込められる。狙いはかすかに口を開いた割れ目と、菊の輪そのものの肛門だ。
「ほぉーら、ケツがヒクついてるぜ、お嬢様。カアッと熱くなってたまらねぇんだろ」
「マンコの方もヨダレたらしまくってよ、すっかり娼婦って風情だ。さっさと吐いちまえばいいのに、デカマラが欲しいですってよ」
 筆で前後の穴を嬲りつつ、言葉責めも欠かされることはない。
「はぁっ、はぁっ……はあっはっ、はあっ………!!」
 明日香は敷布団を握りしめて必死に声を殺す。大きく開いたその股座からは、酒か愛液か、絶え間なく透明な雫が垂れているのが見えた。
 飽きるほど長く筆責めが続いた後、ようやく筆が置かれる。でも、断じて休みが与えられるわけじゃない。アルコールの効果で火照った身体を、また5人の指と舌で刺激され続けるだけだ。
「はっ、はっ、はっ………あっ、あっ!! ふあああっ!!!」
 片足を肩に担ぎ上げられた状態で秘裂を舐められ、胴の下へ潜り込んだ一人から乳首を吸われ。この波状攻撃を前に、明日香は声を殺しきれなくなる。モデルのような細身を震えさせ、熱い息と声を吐き続ける。
 そして。そうした焦らしが続いた果てに、とうとう運命の瞬間が訪れた。

「うし、ヤるか!!」
 ソファに腰掛けてビールを煽っていた藪岡さんが、そう叫んで立ち上がる。その瞬間、部屋の空気が引き締まった。全員の背筋が伸びた気もする。
「よく拝めよ。テメェを女にする男根だ」
 そう言って藪岡さんは、着ている物すべてを脱ぎ捨てた。露わになるのは、俺達のボスの逸物。そのサイズを前に、同じ男である俺達さえ言葉を失った。
 いくら何でもデカすぎる。ぶらんと垂れ下がっているんだから、勃起すらしていないはずなのに、すでに平均的なサイズの1.5倍はある。生い茂った陰毛から伸びる幹は真ん中だけがやたらめったら太くて、3本ほど血管が浮いてもいる。挙句その幹には、真珠まで埋め込まれているようだった。一体いくつ入ってるんだろう。雁首から根元まで、不規則な位置と大きさでビッシリと埋め込まれていて、もはや恐怖でしかない。
 ベッドから身を起こしたまま、凍りつく明日香。
「お、親から貰った体をそんな風にして、負い目はないの!?」
 言葉を詰まらせながら何とか批難してみせるが、それで怯む藪岡さんじゃない。
「むしろ誇らしいぐらいだ。手間暇かかってっからな。その甲斐あって、今じゃヤクザの情婦も俺のチンポのが良いっつって涙流すんだぜ。おら、しゃぶってカタチ確かめてみな」
 そう言って藪岡さんは、凶器のような逸物を明日香に近づける。
「ん……!!」
 明日香が険しい表情を見せると、次は亀頭部分が鼻先に擦りつけられた。咄嗟に口を閉じ合わせる明日香。だがそんなものは、無意味な抵抗でしかない。
「男がしゃぶれっつってんだ、大人しくしゃぶれや!! 力づくでアゴ外されてぇかっ!!」
 確実に『やる』目をした藪岡さんに凄まれれば、悔しそうに睨み上げながら、ゆっくりと唇を開いた。
「…………ん…っ、ぐっ!!」
 薄桃色の唇へ、浅黒い怒張が入り込んでいく。小顔な明日香が自然に口を開けられるサイズと、逸物の太さはあまりにもアンバランスすぎた。横から撮っていると、今にも顎が外れるんじゃないかと心配になるほどに。
「ん゛っ、ぐふっ!! ごほっ!!」
 亀頭がすっかり口に収まり、とうとう幹を飲み込む段階になると、明日香の呻きが相当苦しそうなものになる。藪岡さんはそんな明日香の反応を知りながら、両手で頭頂部を押さえ込むようにしてさらに深く咥えさせていく。
「歯ァ立てんじゃねーぞ。もしやったら、前歯全部折ってフェラ専用の口にするからな」
 苦しむ明日香を見ながら、藪岡さんの笑みは深まっていく。
「ぐふっ、んン゛ーーっ!!! んんン……、ぐふっ!!」
 一方の明日香は何度も咳き込んだ。藪岡さんの太腿を掴む手がブルブル震えていることから、そこに普通じゃないほどの力が込められていることも想像できた。
 十数秒か、それとも数十秒か。ひどく長く感じられる鬩ぎ合いの果てに、藪岡さんが腰を引いた。
「あがああっ…………げほっ、ごほっ!! かはっ!!!」
 明日香は俯いたまま床に手をつき、はっきり見えるほど太い唾液の線を撒き散らしながら咳き込み続ける。いつものように品よく口を押さえる余裕はないようだ。怒張から滴る唾液の量を見れば、それも無理のないことだと思う。
「なんだよ、先っぽ舐めただけで限界アピールしやがって。まあいい、よく言うよな。上のクチで無理なら、下のクチで咥えさせるまでってよ!!」
 藪岡さんは明日香を突き飛ばすようにして、強引にベッドへ横たわらせた。
「くっ!!」
 明日香の凛とした瞳が、藪岡さんを貫く。藪岡さんはその気丈さに笑みを浮かべつつ、すらりとした両足の間へ腰を滑り込ませる。
「良かったなぁお前、ここいらで一番強ぇヤツ相手に処女喪失できるんだぜ!」
「藪岡さんのチンポはすげぇんだ。テメェみてえなガキ、あっという間に狂わされちまうぜ?」
 周りで見守る人間が、ゴマすりを兼ねた野次を飛ばした。
「はぁ、はぁっ……格好つけないで。結局、交尾がしたいだけなんでしょう?」
 明日香は四肢を掴まれた無様な格好で、それでも強がってみせる。いよいよこれから犯されるんだと察した上での、精一杯の虚勢。
「ああ、ハメてぇってだけだ。テメエにそれ以上は求めねぇ」
 藪岡さんの分厚い手が明日香の両腿を掴み、ついに『その時』が訪れた。

「そら、入ってくぜ」
 浅黒いペニスが、紅い肉を割り開きながら沈んでいく。俺はそれを間近で映す。この見せ場をアップで撮らないと、また後で殴られるからだ。
「お。あんだけ手マンされてた癖して、よく締まるじゃねえか」
 藪岡さんが漏らした感想を聞き、俺は無意識に明日香の顔を窺った。すると、明日香と目が合う。明日香も俺とカメラを見ていた。
「…………ッ」
 体にナイフを突き立てられるような、真剣そのものの表情。祭りのような空気のこの部屋で、彼女だけは心が冷えている。その温度差に心が痛む。
「うし、ぼちぼち膜いくぜ。舌ァ噛むんじゃあねえぞ……おら、よッ!」
 じわじわと腰を進めていた藪岡さんは、ある時点でそう宣言し、一気に腰を突き入れた。
「あっ!? ………っふ、ぐ、ううぅぅっっ!!!」
 破瓜の瞬間、貞淑な令嬢である明日香が出した声は大きかった。太い逸物が、よほど痛かったのかもしれない。あるいは、こんな状況で処女を失う事への悔しさからかもしれない。シーツを握りしめ、下唇を噛み、薄く開いた目から瞬きのたびに涙をこぼす姿は、ひどく弱弱しく見えた。
「なにベソ掻いてやがる。涙流すほどいいのか? なら、もっとしてやるぜ!」
 藪岡さんが、手の位置を変える。右手で明日香の太腿を抱え、左手は臀部の下へ。つまり、明日香の腰を自分の腰へと引きこみやすいように。ここからが本番だ。場の誰もがそう確信した。
 そして、腰が動きだす。ギシッ、ギシッ、とリズミカルにベッドが軋む。巨漢の藪岡さんだけに、軋みの音も普通じゃない。いつベッドが壊れるか、という音に聴こえる。それほどの衝撃、受け止める側はどんな気分なんだろう。そう思って明日香の顔を見ると、彼女は自分の腕で目を覆い隠していた。相変わらず歯を食いしばっていて、並大抵じゃない悔しさが伝わってくるようだ。
「ほおー、大したもんだ。こりゃ『ミミズ千匹』だな。顔にも頭にも恵まれて、マンコまで当たり引きやがったか。ちっと出来すぎだな。ま、だからこそ帳尻合わせでこんな目に遭ってんのかもしんねぇがよ!」
 藪岡さんが腰を打ち込みながら、上機嫌に笑う。
 ミミズ千匹の話は聞いた事がある。しっとりとしたヒダが、千匹のミミズがうねる様に絡み付いてきて、あっという間に射精させられてしまうんだそうだ。
「マジか! へへ、やったぜ。ミミズ千匹のマンコは気持ちいいんだよな!!」
「肉便器としちゃ上等だな。まあマンコが駄目でも、ケツ穴やら喉マンやらで楽しませてもらうつもりだったがよ」
 ケダモノの会話。一人の女を、喋る肉の袋ぐらいにしか思っていない鬼畜集団。そして俺は、そいつらにこき使われる撮影係ときた。なんだろうな、この人生は。

「おら、いつまでも顔隠してんなよ。藪岡クンに可愛がられて、感じまくってんだろ? イキ顔見せてみろや!!」
 ギャラリーの一人がベッドに近づき、明日香が目隠しがわりにしていた腕を掴み上げる。その下から現れたのは、薄目を開いたまま涙を溢す彼女の姿。色白な顔が、頬から耳まで赤に染まりきっている。まるで何度も頬を打たれたように。
「ははっ、こいつボロ泣きしてやがらぁ! こんなケダモノに逝かされるのはイヤーってか?」
「いい加減、現実認めろよお嬢様。アタマ良いんだろ?」
 すかさず悪意ある言葉が叩きつけられる。一番痛いところ、一番嫌なところを狙いすまして。
「くぅ、うっ……!!」
 嘲り笑われた明日香は、すぐに何度も瞬きし、顔を振って涙を散らす。そして凌辱者である藪岡さんを、改めて睨み据えてみせた。
「そのツラなら、もう一踏ん張りやれそうだな。スパートかけるぜ!」
 そして藪岡さんは、また手の位置を変えた。明日香の太腿を下から持ち上げ、腰を膝立ちになった自分の腰丈にまで上げさせる。
「おおーっ!」
 周りから歓声が上がった。理由は明日香のボディラインだ。腰を浮かし、肩と足の踏ん張りだけで体勢を保とうとすれば、自然と腹筋から太腿のラインがくっきりと浮かび上がる。スポーツ万能らしい明日香の腹筋は、想像以上に健康的でかっこよく、いよいよスーパーモデルじみていた。
「くそ、たまんねぇ……」
 明日香のボディラインを見て、衝動を抑えきれなくなったんだろう、逸物を扱いて準備する連中も出はじめる。その中心で、藪岡さんは激しく腰を遣い続けた。ぐちゅっぐちゅっ、という水音と肉の弾ける音が、ハイペースで混ざり合う。見るからに気持ち良さそうなセックスだ。
 そして事実、明日香がかろうじて辛抱できるのもここまでだった。
「う、ううっ……ふん、っくう……あ、あ、っうう………!!!」
 体勢が変わってからもしばらく藪岡さんを睨んでいた明日香は、やがて後頭部をシーツに押しつけ、顎を突き出すようにしながら歯を食いしばりはじめた。そして、駄目押しとばかりにさらに30回ばかり腰を打ち込まれた時。
「あああああぁっ!!!」
 明日香はとうとう口を開き、高らかな喘ぎを漏らしはじめた。
 そこからは、もう坂道を転がり落ちるよう。何度も潮を噴いていたときと同じく、太腿が凍えるような痙攣を見せ、更には愛液があふれ出す。愛液は結合部から直に垂れ落ちたり、あるいは尻肉に沿って滴り、すでに濡れているシーツへ、ボダッ、ボダッ、という鈍い音を立てる。
 感じてるんだ。誰が見ても、どう見ても、それ以外にない。
「ああ、あああ!! ああぁっ……っく、あああぁぁっ、ひ、ひいっ!! はぁっ、はあっはあっ……ああぁぁああーーーっ!!!」
 明日香は、後頭部を布団に押し付けたまま何度も頭を振り、髪を海草のように振り乱して叫び続けた。熟練の竿師を前に、まったく抵抗らしい抵抗ができていない。まるで、ライオンに首後ろを噛まれた小鹿のように。
「おおおお、いい締まりだっ!! いいぞ、逝くぞっ!!」
 そして、藪岡さんは絶頂した。一番の深くまで挿入したまま。
「あっ! な、中に出したの………!?」
 射精の熱を感じたんだろうか。されるがままだった明日香が首をもたげ、信じられないという表情で藪岡さんを見つめる。
「当たり前だ。避妊してもらえるとでも思ったか?」
 一方で藪岡さんは涼しい顔で、最後の一滴まで精を注ぎ込む。配慮なんてするわけがない。藪岡さんには、他人の苦痛がわからないんだから。
「とことん、下衆ね……」
 明日香は不愉快そうに呟いた。だが彼女を囲む人間は、笑みを浮かべるばかり。
「下衆で結構。どうせテメェら上流の人間にとっちゃ、俺らなんぞ下水道のネズミみてぇなもんだろうよ。だが、せっかくテメェもその下水道に落ちてきたんだ。仲良く泥まみれになろうぜ」
 先輩達が包囲の輪を狭めれば、明日香の細い身体は黒い影に覆われる。

 そして、輪姦が始まった。
 布団の上へ仰向けになり、大股を開かされた明日香へ、一人が挿入する。別の4人は、乳房やクリトリス、太腿など好きな場所を刺激するか、あるいは口に咥えさせる。
「んむ、むぐっ……むごっ…………」
「なんだコイツ、ヘタクソだな。カマトトぶってねーでクチ開けろや!」
「もっと舌ァ使えってんだよ舌をよお!!」
 口で奉仕させている人間は、全員が不満を漏らしていた。お嬢様だけに大口を開ける習慣がないのか、それとも嫌悪感のせいか。明日香は先輩達のでかいイチモツを、咥えこむことさえ満足にできない。
「クチ狙ってる奴は大騒ぎだな。こっちは絶品だぜ。マジでミミズ千匹だ、グニュグニュ纏わりついてきやがる。ぼーっと腰振ってっと、一瞬で暴発しちまいそうだ!」
『膣を使っている』一人は真逆で、大喜びだった。明日香のアソコは本当に名器らしい。女慣れした先輩達から絶賛されるなんて、どんな具合なんだろう。カメラの向こうでは、一人また一人とそのアソコを使い回していく。好き勝手に腰を使った挙句、最後は徹底して中出しだ。
「ん、んんんんっ……!!」
 明日香は中出しのたびに目元を吊り上げるが、口の処理が忙しなくて言葉を出す余裕もない。

 先輩達は、明日香だけは休ませず、自分達はたっぷりと休憩をとりながら責め続けた。一通り射精し終えて打ち止めになったなら、バイブやローターのような小道具を使いもする。
 実に5時間に渡って潮噴きや濃厚なセックスを続けられ、明日香は肩で息をしている状態に追い込まれていた。そのボロボロの状態で、マングリ返し……つまりアソコを天に向け、両足を肩につくぐらいまで上げる姿勢を取らせ、徹底的にバイブで責める。これがとにかく効いた。
「へへ、いいカッコだなお嬢様」
「マンコがまだヒクヒクしてやがる。見られて興奮してんのか?」
「安心しろよ変態。これからたっぷりと、長くて硬ぇのを咥え込ませてやる」
 責めが始まる直前。マングリ返しという屈辱的な格好を嘲笑われ、明日香は力強く先輩達を睨み上げていた。
「はぁ、はぁ……はぁっ…………」
 呼吸すらままならない状況だから涙目なものの、気迫は充分だ。だが。拘束ピストンが始まってからわずか数分で、その威勢のよさは崩れ去る。
 なにしろ小さな道具だから、バイブの尻の部分を掴んで激しく上下させるだけで、人間では到底真似できないような超高速ピストンが実現できてしまうんだ。そして受ける側の明日香にしてみれば、ほぐれきって急所中の急所になっているポルチオを、凄まじい速さでノックされていることになる。となれば、もう絶頂なんていう生易しい次元の話じゃない。もう、本当の逝き続け。手マンによる潮吹きの快感なんて目じゃない。

「はっはっはっ、はあっはっ……はあっ、はっはっはっ…………!!」

 顔中に汗をかき、瞳孔を開き、細く開いた口から犬のような呼吸を繰り返す。下腹が何か別の生き物のように激しく蠢く。俺はそんな明日香の様子を、ゾッとしながらビデオに撮っていた。女が逝き続けている時の反応なんだろうが、ひどく怖い。死体の一歩手前ぐらいに生気がないんだ。
 この時の明日香は多分、ほぼ一突きごとに逝っていたんだと思う。荒い呼吸だけで耐えているのは、本当に『かろうじて』だったんだろう。
「おらおら、どうだ!? イキっぱはきついだろ!?」
 先輩達はバイブを突きこむ手を緩めない。蹂躙を受ける割れ目には、不思議と動きがなかった。責めの直前まではあれほどいやらしく開閉していたというのに、蝋で作られた紅い華のように、ビラビラが常に同じ角度で開いている。
 一方、割れ目の中は常に変化し続けていた。沸騰しきったミルクが跳ねるように、バイブの蹂躙にあわせて真っ白い液が飛び散る。あれも本気汁、なんだろうか。その噴出し方は段々と大きくなり、そのうち必死に自我を保とうと喘ぐ明日香の顔まで汚しはじめた。明日香がとうとう喘ぎはじめたのは、ちょうどその頃だ。
「あ、あああ、ああああっ!!はあっ、はあっ……ああぁああんっ!!ああっ、はああっ……うぁああああっ!!!」
 なんとも切なそうな叫び声は、聴いているだけで胸がしめつけられるように痛む。だが、先輩達は手を止めない。
「いきが、でぎ……ハッハッハアッ……かはっ、あああ……ひっ、ひ…い、いぎ……が…ぁ………あ………!!!」
 結局、辿る道は一つ。絶頂続きでの呼吸困難による、失神。
「うっは。こいつ、イキすぎて気ィ失いやがった」
「なんかヤバそーだったしな、さっきから。っと、あーあーコイツ、漏らしやがって」
 失神に気付いた先輩がバイブを引き抜いた瞬間、大量の液体が割れ目の外へと流れ出し、明日香の身体全体を流れ落ちていく。
「アヘりまくった挙句にお漏らしとか、アホ丸出しだな。エリート中のエリートって話だったが、一皮剥きゃこんなもんか」
「大学なんて所詮、流されるだけのバカが行く所だしな。しっかし、この責め結構効いたな。これからもちょいちょい混ぜるか」
 自分の小便にまみれた明日香を囲み、勝ち誇ったように笑う先輩達。その刺青の入った後ろ姿は、まるで鬼のようだった。


     ※               ※             ※


 一夜明けても、俺が撮影役から解放されることはなかった。多分、俺が一番カメラマンとして都合がいいからだ。不良とつるむあまり、親と疎遠になっている21歳のフリーター。学生でない以上、夜遅くまで連れ回しても問題がなく、家族構成も割れているから、いざとなれば『姉ちゃんを輪姦す』という脅しが使える。
 実際俺はその可能性を恐れて、ずるずるとカメラマンを続ける選択をした。無断欠勤直後にまた不定期の休みがほしいとバイト先に言うと、当たり前だがクビにされてしまったから、今ではホテルでの撮影役が唯一の収入源だ。
 そういう経緯を高根沢さんに話すと、口止め料も兼ねてバイトと同格の金を貰える事になったが、犯罪の片棒を担ぎつづける事には違いない。気分は重い。でも、そんな俺の苦悩なんて、明日香に比べれば微々たるものだ。

 明日香は、101号室で延々と輪姦され続けていた。
 食事やトイレの時間さえ、充分には与えられない。
 水分補給が必要なら、誰かが口に含んだ水をディープキスで口移しするか、無理矢理顎を掴みあげ、真上からペットボトルの中身を流し込む。
 固形物を食べさせる時には、箸でアソコに突っ込んだザーメンまみれの宅配寿司を食わせたり、グチャグチャに握りつぶしたコンビニおにぎりを口へ詰め込み、ダブルフェラで喉まで押し込む。
 “大”をする時は、ガラス張りのバスルームでの公開排便。“小”に至ってはする機会さえない。なにしろ普段から、猛烈な指マンで潮と共に撒き散らしているんだから。
 正直、撮っているだけで気が滅入った。もはやクソったれたイジメだ。ホテルのロビーで仮眠を取ろうとしても、目を閉じれば瞼の裏に浮かんでしまう。けして声には出さないものの、明らかに『いや』『やめて』と訴えている、明日香のピンク色の唇が。気丈に周りを睨みながらも、時々泣きそうに垂れる眦が。
 さんざん不良(ワル)を気取っておきながら、こんな事をウジウジ悩む俺がおかしいのかもしれない。どうせ外道の世界に生きるなら、いっそ染まりきってしまった方が得なのかもしれない。後輩のユウトを見ていると、そんな風に思えてくる。奴は俺とは違って、この状況を心底楽しんでいるから。

 カメラ小僧の俺とは違い、ユウトは竿役として『活躍』していた。
 理由は3つ。女を食いまくって経験が豊富なこと。日に何度出しても、勃起を継続できる旺盛な精力。そして、日本人離れしたペニスのサイズ。
「要は、コレが認められたんスよ。でけぇっしょ? あんまデケェから、一回ソープでも断られたんスよ、痛いーっつって。ま、そん時ゃ顔ガツガツに殴ってムリヤリ犯したんスけど」
 ろくでもない武勇伝と共に、勃起したブツが俺に向けられる。
 確かに、薄々俺よりデカい気はしていた。ただ年下にサイズで負けてるなんて認めたくなくて、今まではあえて見ないようにしてきた。だが、改めて見ると確かにすごい。
 皮は完全に剥けていて、サイズは洋物ビデオでよく見るクラス、かつ血管が浮いていて滅茶苦茶固そうだ。全体的に厳ついが、特に亀頭が妙にゴツくて、俺の握り拳の2/3ぐらいはある。
「あーやべ。話してるうちに興奮して、なんか痛くなってきました」
 ユウトはそう言いながらブツを扱き、薄ら笑みを浮かべた先輩達の方へと歩き出す。
「オイオイ、おっ勃ててんなぁ。もうヘソにつきそうじゃねーか。楽しみにしすぎだろこの猿め!」
「うっへ。マジですげーな、そのカリ。おら嬢ちゃん、見てみろよ。今からあれブッコむってよ? あいつ若ぇから、チンコもカテェぞ?」
 ほぼ無視されている俺とは違い、ユウトは随分先輩から可愛がられているようだ。
「…………ッ!!」
 そしてフェラを中断してブツを見せ付けられた明日香は、これまででも指折り数えられるぐらいに険しい目つきでユウトを睨み上げる。負の感情とはいえ、俺よりもよっぽど意識されている。あの明日香に。
 なんだろう、この疎外感は。これが、のし上がっていくヤツと、いつまでも半端なヤツの違いか。こんなに人間力に差があるのか。俺とあのチンピラとでは。
「……っ最低ね、あんた! そんなんじゃ絶対に、ロクな大人にならないわ!」
 ユウトに何か耳打ちされた明日香が、頬を赤らめて叫ぶ。あの近さ。ユウトにはきっと、明日香の口の匂いすら届いているだろう。
「別にいいぜ。ロクな大人じゃ、ここでアンタみてーな上玉は犯せねーだろうからよ。
 …っし、センパァーイ、ちゃんと撮ってますー!? ハメますよー!!」
 ユウトがこっちを振り向き、大声で宣言した。その声をきっかけに、場の注目が俺に集まる。ユウトと楽しげに話していた時とは打って変わって、死んだような目を向ける先輩達。心の距離が遠い。俺はただ、『カメラを持つ台』としてここに立っているだけ。手足さえあれば誰でもこなせる、安価な代替パーツだ。
「…………ああ、撮ってるぞ…………」
 そう答えるのが精一杯だった。
「っし。んじゃいくぜ明日香ァ!!」
 俺の呻きを聞き届けると、すぐに場の注意は俺から離れていく。俺の生意気な後輩を中心にして。

「………っあ、ぐッ………!!!」

 ユウトの腰が沈み込む動きをした直後、明日香から呻きが漏れる。輪姦されまくって、並大抵のサイズじゃ声を上げなくなっていたのに。そんなに、ユウトの物がでかいのか。存在感があるのか。俺の心は乱れていた。カメラを構える手の震えで、それがはっきり自覚できた。
 心が痛い。まるで初恋の相手が、部室で後輩に犯されているのを見るような苦しさだ。つりあわないし、そもそも碌な接点もない。向こうは俺を『ケダモノの取り巻き』としか見ていないのに。

 スサッ、スサッ、とシーツの擦れる音がする。あっ、あっ、という女のややハスキーな喘ぎがそれに混じる。
 俺のカメラは、金髪のガキを背後から捉えていた。蛇みたいに細い、喧嘩すれば俺でも簡単に勝てそうなその背中と腰は、リズミカルに動き続けている。
「うひょー、こりゃスゲェ! 俺、ミミズ千匹の女とやったことあるんスけど、これそんなレベルじゃねーっすよ!? うわーこれたまんねえ!!」
 ユウトは嬉しそうに明日香の具合を語っていた。ヤツの背中が邪魔で、明日香の表情は見えない。カメラで捉えられるのは、ユウトの腰を挟むようにして開かれ、突き込みに応じて力なく空を蹴る両足だけ。でも、それで充分だ。もう何時間も、カメラと肉眼で眺めてきた美脚。それが揺れているだけで、あの明日香がユウトに犯されているんだという事実が理解できてしまう。
「あああやべっ、出るっ!! 出していいっすよね。俺、このまま抜かずの10発できるんで!!」
「へっ、好きにしろよ。この猿め」
「抜かずの10発かー。いいねぇ、俺もできっかな?」
 砕けた会話が交わされた直後、それまで正座に近かったユウトが膝を立てる。そして、尻肉が何度も引き締まる。射精してるんだ、明日香の中に。
「おら、どうだ嬢ちゃん。活きのいいザーメンだぜ。こりゃ孕んじまうかもなぁ!!」
 先輩の一人がそう言って体を揺らした時、ちらりと明日香の顔が覗く。
 明日香は、横で膝立ちになった先輩のモノを咥えさせられていた。黒髪を鷲掴みにされて、根元近くまで。
「んむ、んんっ……!! んんんんんっ…………!!!」
 その苦しみの中でも、明日香は横目でユウトを見上げる。今この瞬間、明日香の心に一番大きく存在しているのはあの無礼なガキだ。
「うっおー、スゲーでたぜ明日香ぁ。俺がイク瞬間にマンコひくつかせんのは反則だろ。どんだけザーメン欲しいんだよ」
 ユウトはそう言って息を吐く。さすがセックス慣れしていると豪語するだけあって、妙に余裕のある態度だ。明日香に睨まれても、その余裕は消えない。
「ま、そうねだるなって、まだまだガンガンやってやっから。お前も楽しみなんだろ? 腰がヒクヒク動いてんぜ」
言葉責めを交えつつ、ユウトは体位を変える。自分は本格的な膝立ちになり、明日香には脹脛に手を添えてまっすぐに伸ばさせる。その上で、再び腰を遣いはじめた。
「うああっ!?」
 直後、明日香から新鮮な悲鳴が漏れる。ユウトの耳障りな笑い声がそれに続いた。
「へへ、スゲーだろ。こうやって足ピーンと伸ばした状態でハメっと、どの女もビビんだよ。俺ってカリでけーからさ、圧迫感が半端ねーんだろうな。深すぎるぅー抜いてぇーっつってよぉ、腰振りまくんだ。ま、嫌がってんのは最初だけで、すぐに離れらんねーようになるんだけどな」
 ユウトの手は、明日香の足から離れてとうとう腰を鷲掴みにする。そして自分の方へ引きつけるようにして、ぐうっ、ぐうっ、と深くハメ続ける。
「う、う、ううっ!! ぅく、あう、ううう……あ…………うっ!!」
 明日香が歯を食いしばっているのが見えた。年下のガキにいいようにされるのは耐え難いんだろう。でも身体を開発されまくった彼女は、もう感じてしまっている。
 ピンと伸ばした足の先、足指が震えていた。時には布団へしがみ付くように爪先立ちになり、時には5指で虚しく宙を掻いて。それは、快感に翻弄される彼女そのものだ。
「う、ああっ……! あ、あっ……あっ!!」
「とうとう喘ぎはじめやがったな。こんなガキに良い様にされてアヘってやがんのか? 恥ずかしくねーのかよ、人生の先輩としてよ!」
 俺は、心が腐ったように痛むのを感じた。明日香が快感の反応を見せるたびに。誰かがそれを嘲笑うたびに。

 結局ユウトは、側位、後背位と体位を変えながら、本当に10発以上ハメ続けた。ただの一度も休まずに。
「ふいーっ、出た出た…………金玉カラッポだわもう」
 最後に正常位でたっぷり数秒かけて射精し、ようやくユウトはモノを引き抜く。すると真っ赤になった明日香の割れ目からは、驚くほどの量の白濁があふれ出した。恐ろしく濃い。先輩達の精も濃いが、一切膣の粘膜が透けて見えない白さはそれ以上だ。
「おいおい、スゲー量出したな!? これ、俺ら全員が中出しした分とタメ張んじゃねぇか?」
「ガキっつっても、ここまで出せんのは大したもんだわ」
 先輩達に絶賛され、ユウトは誇らしげに笑いながらこっちを向く。
「さーて先輩、アップ、アップ!」
 挙句には、先輩である俺に向けての手招きだ。腹立たしいが、調教師側になったヤツには従うしかない。その俺の前でユウトは、明日香に何かを耳打ちする。
「なっ……!!」
 明日香はすぐに怒りを露わにした。だが、今さら何言ってんだ、とユウトがさらに囁くと、静かに瞳を閉じる。
 そして、明日香は顔をこっちに向けた。そして正常位の名残として足を開いた格好のまま、指でゆっくりと割れ目を左右に拡げていく。当然、ザーメンがあふれ出た。牛乳のように白い男の精が、次々と。
「目ェ開けろよ、ザーメン袋の明日香オバサン♪」
 ユウトが耳元で囁きかけると、明日香は一瞬肩を強張らせ、一度大きく息を吐いてから、目を開いた。まるで親の仇へ向けるような鋭い目。でも、それさえ俺個人に向けられたものじゃない。この恥辱の撮影を強いるユウトへの怒り……そのお零れのようなものだ。
「くくっ、ホントすごい量だな、なあ明日香。お前最高だったぜ。お前もよかっただろ、腰カクカクしてイキまくってたもんなぁ!? ね、センパイも見ましたよね? 全部バッチシ撮ってましたもんね?」
「…え? あ、ああ……」
 いきなりのフリに、俺は短く呻くしかできない。どこかで嘲笑が聴こえた気がする。
「ほら、カメラマンもああ言ってんぜ」
 ユウトは至福の笑みを浮かべたまま、明日香の頬にキスをし、肩に手を回し、乳房を揉みしだく。
「………………。」
 明日香は俺の持つカメラに真っ直ぐな視線を向けたまま、難しい顔をしていた。怒りを必死で抑えているような。泣き出す寸前のような。あるいは、深い絶望に沈んでいるような。
 俺は、唯一の役割としてその顔にカメラを向けつづけた。


     ※               ※             ※


 その事件が起こったのは、監禁開始からちょうど1週間後のことだった。

 入れ替わり立ち替わり輪姦される明日香は、段々とセックスに慣れてきたらしい。犯されても喘がず、気丈な目でじっと耐えるばかり。いわゆるマグロだ。
 ただしそれは、あくまで俺が撮影している間の話。

『こんな事をしていて、あなたの人生に一体何が積み上がるというの?』

『あなたの目を見ればわかる。あなたはまだ、後戻りができる所にいるわ。目を覚まして!』

 俺が休憩している間……つまり八木さんが撮っている時、明日香はこういう問答を仕掛けていたようだ。
 普通なら頬でも張られて終わるところだが、そこは飛び級できるほどの頭を持ち、若くして人の上に立つ女。とにかく駆け引きが上手い。
 わざと貶して激昂させてから、優しく部分的に同意していく事で、自己肯定感が低い人間を虜にしたり。含みを持たせた物言いで興味を惹き、壊すには惜しい相手だと思わせたり。
 恐ろしいのは、僅かな触れ合いで相手の知能レベルを推し量り、絶妙な言葉選びで相手に会話そのものを楽しませることだ。この罠に掛かって、何人もが彼女に靡いた。違和感を覚えた高根沢さんが容疑者を締め上げた時には、すでに5人も明日香寄りの人間がいたようだ。
 その5人の中には、当然ながら八木さんも含まれる。八木さんは人間性にこそ問題があるものの、意外に頭がキレるという噂があった。どうも明日香が懐柔した5人は、全員この八木さんに近い人間らしい。つまり、智恵が回り、グループ内での影響力もあり、かつ善人とは言い難い人間だ。そういう中堅どころを誘惑してグループ内の結束を乱しつつ、隙を突いて脱出の手引きをさせる……という算段だったと思われる。

 俺は騒ぎを聞いて仮眠から覚め、事情を聞かされて驚いた。そんな計画は寝耳に水だったから。俺が撮影している時は、交渉している素振りはなかった……というより、明日香が誰かと話し込んでいる所すら見かけなかったんだ。
 その理由はわからないが、仮説なら立てられる。俺が撮影している間は、大抵藪岡さんを始めとする幹部の目があるんだ。でも八木さんは、グループでも古株。当然、俺よりずっと信頼されているわけで、八木さんが撮影している間は幹部連中の監視も緩かった可能性が高い。つまり、明日香にとっては狙い時というわけだ。
 そして俺の頭にはもう一つ、別の理由も浮かぶ。
 もしかして明日香は、わざと俺がいる時間を避けたんじゃないか?
 頭のいい明日香のことだ、俺がムリヤリ撮影役をさせられていることに気付いたかもしれない。だから俺を巻き込まないよう、八木さんのいる時間にだけ交渉を……
 そこまで考えて、俺は自己嫌悪に陥った。
 ムシの良すぎる考えだ。明日香の立場から見て、俺達に善も悪もあるか。どんな事情があれ、悪に加担している時点で悪なんだ。善を気取りたいなら、今この場で藪岡さんを殴るぐらいしてみろ。そんな意気地もないくせに、のぼせあがるな。俺は、甘い夢を見た自分をそう戒める。

 意を決して101号室の扉を開けると、ちょうど高根沢さんが八木さん達5人を殴りつけている所が見えた。
「テメェら……揃いも揃って絆されやがって!!」
「す、すんません!! 勘弁して下さい!!!」
 八木さん達は、ネックレスを千切られ、前歯を折られ、鼻から大量の血を流して怯えきっている。高根沢さんはそんな5人に向かって唾を吐き棄て、顎で出口を指し示した。すると何人かが八木さん達の腕を掴み、出口へと引き摺っていく。野太い悲鳴が虚しく響く。
「……お前は? 何か知ってたンか」
 次に高根沢さんが睨むのは、俺だ。俺はすばやく首を振った。
「フン、どうだかな」
 高根沢さんは溜め息をつき、最後に明日香の方を向く。うろたえる俺とは違い、明日香は覇気を失っていない。目の前で流血沙汰があり、自分も頬を張られた形跡があるというのに。
「しかし、これでハッキリしたぜ。コイツは、シラフのまま泳がせると厄介だ。
 本格的にパアにしなきゃならねぇ……どんな手ェ使ってでもな!!」

   ―――どんな手を使ってでも。

 高根沢さんの声が心に響く。嫌な予感がした。
「オイ、“冷たいの”持って来い」
 それまで腕を組んで様子を見ていた藪岡さんが、近くにいた先輩に命じる。
「えっ! “冷たいの”……っスか?」
 先輩は一瞬驚くが、藪岡さんが頷くと、意を決したように部屋の隅へ向かう。トランクケースが漁られ、数分後、小さなプラスチックの容器が藪岡さんに差し出された。藪岡さんはその中から1本の注射器を取り出す。状況からして間違いない、シャブだ。藪岡さんがヤクザと繋がっているという話は有名だが、まさかシャブにまで手を出していたなんて。
「こいつは雪ネタっつってな、ヤクザから仕入れた純度の高ぇヤツよ。せっかくシャブを覚えるんだ、本物を味わわせてやる」
 明日香の表情が凍りつく。頭がいいだけに、薬を使われた結果自分の身に起こる事を、リアルに感じ取っているんだろう。
「……私にそれを使ったら、もう本当に後戻りはできないわよ。自分が何をしようとしているのか、冷静に考えなさい!」
 明日香は、内心では震えているだろうに、あくまで毅然とした態度で諭してみせる。でも、そんな説得に意味はない。
「ああ、考えたぜ。テメェをシャブセックス漬けにして、そのよく回る頭をオシャカにする。それが俺らにとっての最優先だ」
 その言葉と共に、注射器が明日香の首筋に宛がわれる。
「首に打つと効くからよ。トぶ覚悟しとけ」
 針が首筋へと潜り込めば、さすがの明日香も震えはじめた。
「あ、あなたのお母様は、こんな事をさせる為にあなたを産んだわけじゃないはずよ……!」
「どうかな、オフクロもシャブは好きだったぜ。お前もすぐにそうなる」
 藪岡さんの太い指がピストンを押し込み、明日香が目を見開く。
「はっ ………く、ウっ…!?」
 瞳孔が開き、汗が滲み。毒でも飲んだような反応。
「どうだ、世界が変わってきたろ? 初っ端が雪ネタなんて幸せな女だ。
 ……おいお前ら、ちっと可愛がってやれ」
 藪岡さんが注射器を放り捨てながら、周りの先輩達に呼びかけた。
「ウス」
 先輩達は面白そうに笑いながら、明日香を囲む円を狭め、明日香の体に触れはじめる。
「ひゃっ!!」
 首筋と腕を軽くさすっただけで、明日香から悲鳴が漏れた。
「ひひ、カワイイ反応しやがって!」
「シャブ打たれっと、息吹きかけられるだけでもイッちまうぐらい敏感になるからな。こうしてくすぐられんのは堪んねぇだろ?」
 先輩達は明日香の反応を楽しみながら、ひたすらにソフトタッチを繰り返す。
「ひゃ、ひゃあ……あ、ひゃうっ!!くあ、あ、あひゃひゃ……や、あひっ、んく、くひいっ……あひひい、いひっ、や…い、いっ!!」
 無数の手で二の腕や太腿、腋を指でくすぐられる明日香は、激しく身を捩りながら笑い続けるしかない。笑い声には、何度も『や』という音が混じった。『やめて』と言いかけては、必死に飲み込んでいるんだろう。くすぐられて許しを求めるのは自然なことだ。でも、明日香はその言葉を口にしない。ここまで理不尽な事をされておきながら、惨めに許しを乞うのは我慢ならない。多分、そういうプライドだろう。
「ひひっ、あひゃひひっ!いぃっ、いひああぅ、はぁっぐ!!……はぁ、はぁ……あははははっ!!」
 荒い息で叫び続ける明日香。普段なら動作一つ一つに淑やかさがある優等生も、こうなっては品性もクソもない。涙と鼻水、涎で顔を汚し、手足をばたつかせて暴れ回る。
「ふんんん……ん、あ、やぁっ!? あひゃ、ひゃはははっ!! はぁっはぁっはっ、ひひあはははっ!! や……はっ、んあぁあああ゛ーーーっっ!!!」
 笑い声とも泣き声ともつかない叫び声が、部屋に反響していた。聴いているこっちの耳までおかしくなりそうなほどに。

 脱力しきるまでくすぐり責めを受けた後も、明日香は休む事を許されなかった。膝を開いて深く曲げた、相撲でいう蹲踞の姿勢でのフェラチオを命じられる。
「おら、次はこっちだ。ボーッとしてる暇ァねえぞ!」
「こっちもちゃんと扱けよ、ウスノロ!」
 明日香を取り囲んだ先輩達が、ドスの利いた声を上げる。明日香は腰を深く落としたまま、突き出された2本の剛直を左右交互にしゃぶりつつ、両の手の平でまた別の2本を刺激し続けなければならない。
「ほら出るぞ、こぼさず飲めよっ!!」
 一人が明日香の頭を掴んで激しく腰を振りつつ、スパートをかける。
「んぶっ、おっ………!!」
 明日香は眉を顰め、露骨に嫌がりながらも口内射精を受け入れるしかない。ここ数時間ばかりセックスをしていないせいで、だいぶ精液も溜まってきているんだろう、射精はたっぷり数秒続く。
「う゛、げほっ!!」
 ようやく射精が終わって逸物が引き抜かれた直後、明日香は手で口を覆って咳き込んだ。そのいかにもお嬢様っぽい動作にそそられるのは、当然俺だけじゃない。
「俺のもしゃぶれ、早くだ!」
 別の一人が、ギラついた目で怒張を突き出す。
「もう我慢できねぇ、こっちもだ! 2本咥えるんだよ、出来んだろォ!」
 令嬢特有の小さな口に、血管の浮いた太いブツが2本同時に入り込む。
「んぶうっ!! んむっ、ん、れあ、えろっ…………」
 明日香は困った表情で、口一杯の異物を嘗め回すしかない。何本もの逸物を、額や鼻先に突きつけられながら。
「ハァ、ハァ……ハッ、ハァー………」
 逸物を吐き出すたびに、息が荒くなっていく。何徹もしたような表情の中で、目だけが変にギラついている。全身の汗がひどい割には、凍えるようにガタガタと震えてもいる。
「だいぶシャブが効いてきたみてぇだぜ、この女」
「ずーっとクチで処理させてっからな。俺らのオスの匂いにあてられたんだろ」
「マンコもかなり濡れてるみてぇだしよ。おら、見せてみろ!」
 一人が明日香の膝を蹴り、足をさらに開かせる。すると、前に見たときよりかなり濃くなった茂みから、ポタポタと愛液が垂れているのが見えた。垂れた先には大きめの液溜まりが出来てもいる。発情していることは否定のしようもない。
「ヤブっさん、いい感じっスよ!」
 先輩の一人が叫ぶと、ソファに深く腰掛けた藪岡さんがようやくスマホから目を放した。藪岡さんの基本スタンスは、他人のために奉仕をせず、おいしい部分だけをぶんどるというもの。それはセックスの時も同じだ。自分で前戯はしない。他の人間にお膳立てをさせて、ハメる部分だけを最初にやる。その身勝手が許されるんだ。誰よりも腕っぷしが強いから。
「オウ」
 藪岡さんは短く返事をし、のっそりと立ち上がる。なぜか不機嫌そうな感じで、部屋の空気が冷え込む。藪岡さんの機嫌はよく解らない。本人は別に怒っていないと言っていても、明らかに殺気のようなオーラが漏れている時がある。
「へっ、もうマンコがグチョグチョじゃねーか。コレが欲しくてたまんねぇんだろ?」
 ベッドに押さえつけられた明日香を見下ろし、藪岡さんが逸物を見せつける。確かに明日香の内腿は、一面が濡れ光っていた。ただくすぐられて、フェラをさせられただけなのに。
「……別に。動物みたいに性欲を満たしたいなら、好きにするといいわ」
 明日香はあくまで冷たい態度のまま、顔を横向けて目を閉じる。こんな言い方をされれば、普通ならヤる気が削がれる。普通の人間の心を持っていれば。
「言うじゃねえか。ならその言葉通り、好きにするぜ」
 でも、藪岡さんの心には響かない。相手の心情なんてまるっきり無視して、真珠入りの太い逸物を割れ目に擦りつける。
「んっ……ふ、ふん……んんっ」
 明日香は頬をシーツに埋め、顎を浮かせながら小さく鼻を鳴らす。シャブのせいで、皮膚を撫でられるだけでも震えるぐらい敏感になってるんだ。性感帯であるラビアへの刺激ともなれば、余計に感じることだろう。
「マン汁がどんどん出てきやがる。ついこないだまでバージンだった癖に、すっかり変わっちまったなあ、お嬢様よう」
 藪岡さんは割れ目の表面を刺激しながら、明日香の自尊心をも傷つける。
「あなた達が、そうなるようにしただけでしょう!!」
 どこまでも生真面目な明日香は、藪岡さんの挑発に乗って睨みつけてしまう。だが藪岡さんは、それを待っていたらしい。
「おら、もう一度オンナにしてやる!!」
 そう怒鳴りながら、ついに亀頭を割れ目の中に押し込んでいく。
「あっ!」
 明日香が目を見開いた。
「あ゛あ゛ああっ!!!」
 普通サイズのペニスではもう喘ぎもしない明日香だが、さすがに藪岡さんサイズとなると悲鳴を堪えきれない。目を閉じ、眉を苦しそうに顰め、大口を開けて苦痛を訴える。
 挿入の速度は遅い。亀頭から幹にかけて、一秒ごとに数ミリという進みで少しずつ埋没していく。ミチミチ、ミリミリ、という音さえ聴こえてきそうなほど、筋肉を痙攣させて。改めて見れば、挿入時に明日香の内腿にできる筋の深さも、他の先輩達の時とはまったく違う。どれだけ無茶なサイズを迎え入れているのかという事が、その筋の深さからも見て取れる。
「おー、すげぇ声。やっぱあんだけデケェと痛いのかね?」
「いや、気持ちいいんだろ。膣の形変えられるぐらい太ぇ上に、粒々が擦れるんだぜ。おまけにシャブで敏感になってる粘膜だ。挿れられただけでイってもおかしくねえ」
 先輩達は、明日香の反応を淡々と解説する。一方で俺は、口の中の生唾を飲み込むことさえできずにカメラの液晶を眺めていた。
「おー、よく締まるな。バージンだった時より締まってんじゃねえか?」
 藪岡さんは、亀頭部分が露出するまで腰を引いてから、もう一度腰を沈めなおした。すると一度目とは違い、かなりスムーズに半ばほどまで一気に入っていく。
「ああ……あ、あ……!!」
 ここでまた、明日香の表情が変わった。布団に後頭部をつけ、目を見開いたままで天を仰ぐ。口も大きく開いていて、舌さえ覗いてしまっている。まるで首を絞められたよう。あまりに太い物を強引に挿入されて、呼吸が上手くできてないんだろう。
「いい顔だ。もっとよく馴染ませてやる」
 かなり深くまで入った時点で、藪岡さんは動きを止めた。のしかかる格好で密着したまま、外から見る限り動かなくなる。でも、繋がりあった割れ目の中では色々とやっているようだ。
「う、動かさないで、気持ち悪い……!」
 苦しそうな表情で耐えていた明日香が、藪岡さんの肩を掴むようにして囁く。
「気持ちいい、の間違いじゃねぇのか? 濡れたヒダでキュウキュウ締め付けてきやがって。このままイッちまいそうだぜ」
 藪岡さんは笑みを浮かべ、ごく浅く腰を動かした。それだけで明日香の足が、全力で走るように緊張と弛緩を繰り返す。
「いい具合になってきたな。じゃあ、本番といくか!」
 藪岡さんはそう言うと、一旦割れ目から逸物を抜き、明日香の足を掴んでうつ伏せの姿勢にさせた。そして細い腰を分厚い手の平で掴むと、改めて背後から挿入していく。
「ううう……うぅ…………ああああ゛あ゛…………!!」
 藪岡さんの腰が前に進むほど、明日香の呻きがはっきりとしたものになっていく。挿入はかなりスムーズなようだ。
「うし、動かすぜ」
 藪岡さんが念を押すように唸り、明日香の腰を掴み直してから、とうとう本格的に腰を遣いはじめた。ギィッ、ギィッ、ギィッ、と最初の3回ほどベッドが重々しく軋み、その後はギシッギシッと連続して軋むようになる。同時にパンパンと肉の打ち合わされる音もしはじめ、セックスが始まったんだという実感が沸いてくる。
「うおおおっ、気持ちいいぜ! なんだお前、シラフの時よりよっぽど具合がいいじゃねえか! オイ、カメラ。正面から映せ正面から!!」
 藪岡さんは上機嫌で腰を振りながら、横から撮影していた俺に叫ぶ。
「は、はいっ!」
 俺は背筋を伸ばし、二人のベッドの正面に移った。普通ラブホテルのベッドは壁際に枕が来るものだが、今は上下が逆だ。
「おら、カメラ来たぜ。ツラ見せろや!」
 藪岡さんは自分もカメラを見ながら、明日香の黒髪を掴み上げる。
「くうっ……!!」
 髪の痛みか、恥からか、明日香がカメラに向ける視線は鋭い。外人の血が入っているから、凄みが強い。でも、それも最初だけ。藪岡さんに突かれ続けるうちに、段々と目から強さがなくなり、視線が泳ぎ、ついには俯いてしまう。
「なんだよ。レイプされときながら、カメラ睨み続ける根性もねぇのか」
「ば、馬鹿にしないで…………!!」
 藪岡さんが勝ち誇ったように笑えば、明日香も負けじと顔を上げてカメラを睨む。でも、その顔は普通じゃない。凄まじい汗をかきながら、疲れきった表情をし、目だけが爛々と輝いている。口での奉仕を強要されている時にも目にした、シャブ中毒の顔だ。
「おーう、気持ちいい気持ちいい。最高だぜ」
 藪岡さんはさらに激しく腰を打ちつける。ベッドの軋み、肉の弾ける音、そして粘ついた水音……それが延々と続く。
「はぁ、はぁ、はあっ……はぁあ、ああ……あっ!!」
 明日香は必死にカメラを睨みながら、細く開いた口で荒い息を繰り返す。しばらくはそうして耐えていた。耐えられていた。でも、セックス開始から10分ほど経った頃。
「うんんっ……!!」
 たまらない、という感情をはっきりと表したうめきと共に、明日香は足を閉じた。それまでは両脚を肩幅以上に開いて、バックからの突き込みを受け止めていたのに。誰の目にも明らかなほど、明日香は弱っている。当然、その弱みを肌で繋がっている藪岡さんが見逃すはずもない。
「そら、ハメ方変えんぞ!!」
 藪岡さんが唸り、明日香の下腹部を丸太のような腕で抱え込んだ。そして細身ごと持ち上げるようにして、明日香を膝の上に乗せてしまう。
「はうっ!!」
 明日香は普段の落ち着いた声より、かなり高い声を出した。ひょっとして、この幼さを感じる声が地声なんだろうか。
「自分の体重で深く入ってくだろ。俺の太ぇのでコレやると、気持ちいいぜぇ?」
 藪岡さんの腕がまた明日香の腰を掴み、抜き差しのリズムを作っていく。
「はあっ、ああ、ああは……っぁ!!」
 さっきのバックスタイルより喉が自然に開くからか、明日香の喘ぎはかなりトーンが高い。
 藪岡さんの膝の上で犯される明日香は、初めのころ、品の良さを保っていた。膝を閉じ合わせた、いわゆる女の子座りで挿入に耐える様子も、シーツを見つめる憂いを帯びたような表情も、まさに深層の令嬢という感じだった。
 でもその品のよさは、唐突に崩れ去る。
 変な音がした。じゅぶっ、じゅぶっ、という水音が発していたアソコから、ある瞬間『ぎゅじゅっ』という、濡れた雑巾でも絞るような音が聴こえた。その直後だ。
「はあっ!?」
 明日香が目を見開いて叫んだ。致命的、という響きの声だった。同時にそれまでぴったりと閉じていた膝が開き、左足が跳ねる。
「おら!!」
 その瞬間、藪岡さんも大きく動く。体を後ろへ反らすようにして、明日香のバランスを崩したんだ。
「あ、あっ!!?」
 明日香は、大きく足を開いてバランスを取るしかない。その状態で藪岡さんの巨体が突き上げを再開すれば、体位は開脚のままで固定されてしまう。
「く、く……うっ!!」
 明日香は体勢が変わってから、しばらく歯を食いしばって耐えていた。でも、それもほんの1、2分のこと。苦しさで喘ぎはじめれば、そのまま口を閉じられなくなる。
「あっ、あっ、あっ……うあっ!!はあぁ、あっ……あ!!」
 明日香の声は、かなり大きかった。快感が大きいだけならいいが、ひょっとして声を抑える機能がバカになってきてるのでは、と思えてしまう。抑えきれなかった大声と、抑えずに漏らした大声は聴いた感じが違うんだ。もちろん、人一倍しっかりした明日香が、俺達の面前で恥じらいを捨てるなんて考えられない。でも、今この時に限って、自制するだけの余裕をなくしているように見えてならない。
「へへっ、また気持ち良さそうにうねらせやがって! 子宮口ゴツゴツ突かれんのが、そんなにたまんねぇかよ!?」
 藪岡さんは腹を波打たせながら、かなり大きく腰を突き上げていた。明日香が足を開いているから、結合部は丸見えだ。初日よりやや濃さを増した茂みの下、紅い割れ目の間に、黒人並みのデカブツが出入りしている。デカブツの幹には相変わらず無数の真珠が埋め込まれていて、逸物が抜けるたびに外へ露出した。その露出の仕方は、すでに目一杯開いている割れ目をさらに変形させながらつるりと生み出される感じで、ものすごく不自然だ。明らかに逸物のサイズと、華奢な明日香の身体の釣り合いが取れていない。
「はあっ、はあっ……ああっく、あああ……! ……っくあああ!!」
 明日香は、困惑するような表情でカメラの方を眺めたまま、声を上げ続ける。彼女は今、どれほどの息苦しさと、どれほどの快感に襲われてるんだろう。俺が知りうるヒントは、彼女の声と、表情、そして艶かしい肉体の蠢きしかない。一方で、明日香の身体の内部に触れている藪岡さんには、身体が発する本当の感情がすべて伝わっているはずだ。
「そら、次だ!!」
 藪岡さんは、明日香を膝の上に乗せたままゆっくりと立ち上がり、またバックから犯す体勢を取る。ただし、今度は二人してベッドの上に立ち上がり、明日香の腕をしっかりと掴んだ上での立ちバックスタイルだ。
「あっ!? い、いやあ、こんなっ…………!!」
 立ち上がったことで、改めてギャラリーの視線を感じたんだろうか。明日香は内股になり、必死にアソコを隠そうとする。でも、もう脚を閉じただけで隠しきれるような痴態じゃない。
「ひゃひゃっ! いまさら足閉じても遅ぇんだよ、マン汁ダラダラ垂らしやがって!」
「まったくだ、乳首もピン勃ちだしよ」
 この野次は的確だ。確かに明日香の両脚は、すっかり愛液で濡れているし、乳首の勃起具合も感じていることをよく物語っている。そして、偶然シーツを撮影して気付いたことだが、明日香はとうとう口から涎まで垂らしてしまっていた。
「またイキやがったな、明日香! さっきからイキまくりじゃねえか、オイ!?」
 藪岡さんは明日香の細腕を掴んだまま、激しく腰を打ちつける。
「あああぁっ、あああうあっ!! う、うでぇっ、うでを、はなひて…………!!」
 虚ろな顔の明日香は、涎まみれのまま、必死にそう訴えていた。
「なんだ、犬みてぇなカッコになりてぇってか!? いいぜ、そらよ!!」
 藪岡さんが深く突き込みながら腕を解放すれば、明日香はまさしく四つん這いのドッグスタイルになる。バランスを取るために大股を開く必要もあり、こうなると見た目の惨めさはさっきの比じゃない。
 後ろから突きこまれるたびに波打つ尻、病的な痙攣を続ける脚。前後に激しく揺れる大きな乳房に、必死にシーツを掴む細い腕。そして、首を絞められているような必死の形相。それら全てがレンズ一つに収まってしまう。そして当然この惨めな有様は、ギャラリーの笑いの種にもなった。
 でも、明日香にそれを気にする余裕はないようだった。
「あのアマ、しんどそうなツラしてやがんな。酸欠か?」
「いや、逝きっぱなんだろ。シャブ打たれたまま、こんだけ藪岡クンとヤッてんだ。多分もう頭ァドロドロで、一突きごとに逝ってるような状態だぜ」
 先輩の一人が、そう言って明日香の足元を指す。強張ったまま痙攣する、レースクイーンより綺麗な脚。その間には、抜き差しのたびに何かの液体が滴っていた。失禁にも思えるほどの量だが、あれは間違いなく愛液だ。
「最高だぜ明日香、このムッツリ女が! シャブセックスがキマるたびに具合が良くなってやがるじゃねぇか!!」
 背後から力強く極太を打ち込む藪岡さんが、満面の笑みを浮かべた。
「もう辛抱しきれねぇからここで一旦出すがよ、終わりじゃねぇぞ。今日はとことんまでヤる。嫌ってほどイカせまくってやるよ!」
 藪岡さんは、明日香の腰をしっかりと掴んだまま中に出す。
「あーー……あっあ…………あ」
 明日香は、大きく開いた口からなおも涎を垂らしつつ、静かに目を閉じていた。どんなに疲れていても、膣内射精の瞬間には気丈に相手を睨んできた彼女が、初めて、そしてとうとう、抗議をしなかった瞬間だ。
 代わりに彼女は、涙を流した。開いた目に湛えた涙の粒を、ぷつりと決壊させる形で。

 とことんまでヤる。この藪岡さんの言葉は本気だった。
 立ちバックでの射精の後、膝から崩れ落ちた明日香に覆い被さるようにしての後背位。最初との違いは、明日香が肘と膝をベッドについたまま、犬のように喘いでいることだ。
 この図は正面から撮っても見所がないため、俺はまた横からの撮影に戻る。
 凄まじかった。
 二つの体が揺れるたびに、体の陰になったシーツへ体液が撒き散らされていく。涙が。涎が。汗が。そして、結合部からの汁が。
 モデル級の脚の中に入り込む凶悪な怒張は、さらに太さを増していた。下手をすれば、明日香の引き締まったウエストと大差ないように見えるほどだ。
「うう……うゥんんウう゛……ッ!!!」
 挿入直後は、俯いた明日香の喉から必ず悲痛な呻きが漏れた。そして、足腰が強張る。必死にシーツへ膝をついて、無理な挿入に耐えている……最初はそう思った。でも液晶越しによくよく観察していると、そうじゃない事に気付く。
 浮いているんだ、膝が。つまり明日香は、細い身体の細い膣を馬鹿みたいな極太で杭打ちされたまま、爪先立ちでその衝撃に耐えていることになる。
 なぜそうしているのかは解らない。膝が擦れすぎて痛いのかもしれないし、140キロの藪岡さんの突き込みが、両膝だけでは止められなかった結果かもしれない。ただいずれにせよ、足指の先までをこれでもかと強張らせた爪先立ちで突き込みに耐える明日香は、本当につらそうだったし、本当に……気持ち良さそうだった。

 俺はこの直後に休憩を命じられ、先輩達と一緒に食事に出た。せめてこの状況を見届けたい、離れている場合じゃないという気持ちはあったが、他の奴のスケジュールもある手前、断れない。でも驚いた事に、ステーキを食って先輩の駄弁りに付き合い、たっぷり2時間ほど経ってから戻ってきた時も、まだ明日香は藪岡さんに犯されていたんだ。
 体位は、ひっくり返った蛙のような明日香へ、背後から挿入するというもの。ほとんど180度まで開いた脚へ極太が出入りする様がどこからでも丸見えで、淑やかさも何もありはしない。
 行くところまで行っている。そういう雰囲気だった。
「なんか、凄いですね……」
 ハンディカメラを起動しながら近くの一人に話しかけると、その人も状況を解説したくて疼いてたんだろう、かなりのテンションで会話に応じてくれた。
「オオ、すげぇよ。マジの逝きっぱになっちまってる。なんつっても、『ユキネタ』の深いエクスタシーだからよ、あの強情な嬢ちゃんも相当参ってるぜ。ほら、あれ。見えっか、あれ」
 指差す先は、ベッド脇の床。そこには、ジョッキ入りのビールでも溢したかのような、うっすらと黄色い液が拡がっていた。よく見れば、床の真上にあるベッドシーツも広範囲に濡れていて、今もなお雫が滴り落ちている。
「あれ、なんだか解るか? ションベンだよ。あのアマ、イカされすぎてとうとう漏らしやがったんだ。お前惜しかったなあ、ついさっきまで祭りだったんだぜ、この部屋ン中よ。ま、ちっと野次りすぎたせいで、あんなになっちまったがな」
 今度は、明日香の顔が指差される。明日香は、自分の手で目を覆い隠していた。そしてその指の間から、次々に涙が零れ落ちる。
 そして勿論、藪岡さんはそんな明日香に配慮なんてしない。乳房を揉みしだきながら、最高に悪い顔で割れ目へと腰を打ち込んでいく。
「また黙ってイキやがって、この馬鹿が! イク時にゃイクって言え!!」
 やたらと生々しい音で割れ目の中を掻きまわしながら、藪岡さんが怒鳴る。どうやら明日香は、最後の抵抗を見せているらしい。
「あああ、ぁああ……っは、は、はっ…………ぁああーーーああ、ああああーーーっ!!」
 苦しそうな声だった。腹に刺さったナイフを抉り回される声に聴こえた。でも多分それは、俺の経験が足りないせいだ。
「ははっ、気持ちよさそうな声出しやがる!!」
「そろそろまたションベン漏らすんじゃねーか、あのお嬢様!?」
 何人もの女をイカせまくってきた先輩達には、ちゃんと快感の声に聴こえているらしい。
「ほらイケ、イケっ!!」
 藪岡さんは左手で明日香の脹脛を持ち上げ、突き上げをさらに激しくする。ベッドの軋みは軋みとも思えないほど重さのあるものになり、結合部からの音もじゅぐるっ、じゅぐるっ、というような粘土を掻き回すようなものに変わる。これに、明日香が反応した。
「はあっ、はあっ、ああああーっ!! や、やめ、て……もう……!!」
 本当に苦しそうな声。でも、藪岡さんは動きを止めない。
「やめて欲しけりゃ、イクって言え!! ほら、どうしたオラっ!!」
 あくまで絶頂を自分の口で宣言させる気だ。そんな屈辱的なこと、普段の明日香なら絶対にしない。でも彼女は、すでに追い詰められている。どうしようもなく。
「あああ、ぁああ……はあぁあんんあっ……!!」
 激しく突き上げられるうちに、明日香は目を覆うのをやめ、代わりにシーツを掴みはじめた。ゴルフで鍛えた下腕の筋肉を盛り上げて、必死に。でも、それでも快感の波に抗いきれない。
「あああ、あはっ……はぁっ、あ、お……あはぁっ、はあお………お゛っ」
 とうとう、明日香の声に『お』という響きが混じりはじめた。まさについさっき、先輩から聞いた話だ。女は本当に快感が極まると、ああ、なんて可愛くは喘がない。おおお、という快感の凝縮された、女らしさの欠片もない呻きを出すものだと。
 でもまさかそれを、あの明日香が出すなんて。妖精のような見た目で、クールで、理知的で、生々しい人間感情とは程遠いあの明日香が。ショックではあるが、仕方ない。そう思えるほど、ベッドの上は乱れきっていた。
「うううーっ、うんんーーーっうんぁあああっ!!」
 皺だらけのシーツを掴み、頭を左右に振って必死の抵抗を続ける明日香。
「おら、言え!!言ってみろ!!!」
 藪岡さんは、極太のストロークを小刻みにして追い込む。それが効いた。
「あ、あ゛っ!? …………ぅ………」
 小さな悲鳴と共に、それまで耐えていた明日香の首がカクンと落ちる。
「ぶはっ!! あ゛っ、うあ、あううあ゛っ!!」
 すぐに首の位置は戻り、喘ぎが再開されるが、何が起きたのかは明らかだ。彼女は、失神しかけたんだ。あまりの快感に。その体験は、端から見ていてもゾッとしたが、本人にとってはそれ以上の恐怖だったんだろう。正面を見つめたまま、真っ青になっている。そしてその鼻からは、とうとう鼻水まで垂れてしまっていた。
「……う。ううう…ぅ………う……く、く………………っあ、はあああーーっ!!」
 涙、鼻水、涎、そして汗。あらゆる体液で顔を汚し、野次を受け。それでも明日香は、最後の意地を貫き通す。
「チッ、強情張りやがって! 終いにゃマジでぶっ壊すぞオラッ!!」
 藪岡さんは苛立ちを見せながら、太い足で明日香の体を持ち上げ、自分の腹に乗せる。その上で、真上へ突き上げるようにしてのスパートが始まった。
「あ、はぐっ!? あああ、うぁ……ああ、あお゛…………はおおおっ!!」
 極太の逸物が反りかえりながらGスポットとポルチオを刺激し、さらにクリトリスまで指で刺激する。その三所責めに、明日香は悲鳴を上げた。汗まみれの身体を藪岡さんの上に預け、天を仰ぐようにして快楽に震える。
「あー、いいぜ、変な角度で締まってて新鮮だ……お前もイイよな、明日香ァ! もうイッちまいそうなんだよなあッ!?」
「ああ、はおっ……はあおお、お…………はぐっ、ぁ……ぉ゛っ!!!」
 明日香は、完全にされるがままだった。乳房を頂点にした弓なりで、張りのあるボディラインをピクピクと痙攣させるだけ。見た目には地味だが、凄まじい快感が巡っているのは想像できる。強すぎる電流に打たれている人間は、一見動いていないように見えるものだ。
「いひひ、エロいなー。ホントいい身体したオンナだぜ!」
「ああ。また犯したくなっちまう!」
 ギャラリーが興奮気味に囁きあう中で、とうとう明日香が最後の瞬間を迎えた。
「おお゛……ぉ゛っ!!……はっ…………ぉ゛」
 小さな呻きが聴こえ、極太が少し抜けた直後。結合部辺りから、大量の失禁がはじまった。
「はははっ、またやりやがった!!」
「おいおいこのオンナ、エリート様じゃねーのかよ。まるで幼児だぜこりゃ!!」
 野次が飛ぶ。その中心で、藪岡さんが俺にサインを出していた。下にした親指で、明日香を指し示すハンドサイン。意味は、『ココを撮れ』だ。
 その指示通りにベッドへ上がり、藪岡さんへ近づく。すると、明日香の顔が見えた。完全に白目を剥いている。前髪は乱れてでたらめに顔を隠し、涙や鼻水、涎で美貌の跡形もない。こんな姿を撮るのが残酷だと思えてしまうほどに。
 俺が明日香の顔を撮り終えると、藪岡さんは満足げに息を吐いて体を起こした。藪沼さんの上に乗っていた明日香はその際に滑り落ち、シーツに突っ伏す。がに股のまま、ヒクつきの止まらない割れ目から大量のザーメンをこぼし、汗まみれの身体には湯気さえ立てて。
 その姿は惨めだが、妙にそそるものがあった。そして周りを囲む先輩たちも、その色気にあてられて目をギラつかせている。
「さすがに疲れた、寝る。後はテメェらで好きに犯れや。シラフん時より、だいぶイイぜ?」
 藪岡さんが缶ビールを煽りながら言うと、地鳴りのような歓声が上がる。その声でかろうじて意識を取り戻した明日香は、すぐに手足を掴み上げられて目を丸くする。
「あ、なにっ!? いや、やめ……っ!!」
「なんだぁ? 強情オンナのくせに、カワイイ反応するじゃねえか!」
「いいねぇ、もっと嫌がれ! 怖いです、やめてくださいーってよ!!」
 咄嗟の反応を茶化され、明日香は表情を引き締める。
「…………馬鹿みたい。こんな事で、女が参ると思わないで!!」
 プライドの高い彼女は、下劣な煽りに対してそう答えるしかない。直前に無様を晒しているからこそ、余計に。

 壊すと決めた以上、輪姦に加わるのは部屋に残った幹部連中だけじゃ済まない。藪岡さんは、子分に電話を掛けてはホテルに呼び出し、一万円ずつ徴収して輪姦させるようになった。この連中がまた、レイプの常習犯やらサディストやらのケダモノ揃いだ。最初に万札を払う時には渋い顔をするものの、いざ明日香を見れば目の色を変える。
「オイオイオイ、マジかよ!? このオンナが一万とか、安すぎっしょ!!」
「うわ、またスゲェ上玉っすね……女子アナとかっすか!?」
「こりゃすげぇ、写真で見せられたら加工疑うレベルだわ! 顔も体も100点の女とか、ヤバすぎんだろ!!」
 そんな風に鼻息を荒くしながら、喜んで輪姦に加わっていく。

 そして、明日香はハメられ続けた。
 正常位で。後背位で。騎乗位で。手足に力がなくなれば、ベッドに仰向けで寝転んだままでも犯される。Mの字に大股を開かされ、両手を引き絞られる、抵抗のしようもない格好だ。俺はその姿を、最前列で淡々と撮り続けた。
 改めて見れば、あれだけ綺麗だった明日香の黒髪は、すっかりくすんでしまっている。肌にしても精液まみれで、とても清潔そうには見えない。後光の差すような令嬢が、すっかり下水のネズミにされている。少なくとも、外見は。
 そんな明日香に、蛇の刺青を背負った先輩が腰を打ちつける。
「おら、子宮の入口に当たってんのがわかんだろ? 奥までヒクつかせやがって、いやらしい女だぜまったく」
「………ふっ、ふっ……ふう、ふうっ……」
 明日香は相手を見つめながら、細い息を吐き続けていた。昂ぶる呼吸を無理矢理鎮めようとしているようだ。
 前に喧嘩自慢の先輩から、呼吸の大事さについて聞いた事がある。セックスでも喧嘩でも、呼吸さえ乱れなければ、簡単に相手のペースに乗せられることはないと。どうやら明日香は、これまでのセックス経験でそれを悟ったらしい。口八丁で相手をコントロールする傍ら、少しでも色狂いにならずに済む方法を模索していたということか。
 本当に、寒気がするほど抜け目がない。そしてそれが、どこか頼もしくもある。
「うお、出るぜ……っ!!」
 蛇を背負った先輩が腕に血管を浮かせ、射精の準備に入った。そして足の筋肉を蠢かせ、深く繋がったままで、たっぷりと精を注ぎ込む。
「んう゛っ!!」
 明日香から小さな声が漏れた。
「よ、っ……と」
 たった今射精を終えた一人は、割れ目から逸物を抜きながら、近くに転がっていたペンを拾い上げる。そして明日香の右腿に書かれた正の字へ、新しい一画を加えた。これで正の字はちょうど9個。中出し一回が一画だから、もう45回もされていることになる。
「おい、コイツまた気ィ失いやがったぜ」
 一人の先輩が声を上げた。その視線の先では、明日香が瞼を閉じて静かな息を繰り返している。相変わらず全身が凍えるように震えているが、意識しての動きではなさそうだ。
「確かに気絶してやがんな」
「かーっ、面白くねぇアマ! せっかく可愛がってやってんのに、ヘバりやがって!」
「舐められたもんだ。もっともっと追い込む必要がありそうだな」
 先輩達は気絶した明日香の元を一旦離れ、それぞれ道具を手にして戻ってくる。バイブにローター、電気マッサージ器……。

「まーたガッツリ責めてますね。もうボロボロじゃないっスか、その子」
 俺からカメラを受け取ったユウトが、煙草を咥えたまま笑う。今の奴は竿役であり、かつ俺の交代要員……つまり、準幹部だった八木さんの代役だ。そこまで幹部連中の信頼を得てるのか、コイツは。俺はまた先を行かれたのか。そう思いはするものの、不思議と焦りはない。どうでもいい。
「オウ。シャブ打って輪姦してたらバテてきやがったからな、折檻してるとこだ。 ちょうど今からマンコに2本挿しするトコだからよ、バッチリ取れよ!」
「任せてくださいよ。俺、本物のAV撮ったことあるんスよ!」
「けっ、そりゃ聞いたよ。三流AV屋のカメアシだろ、偉そうに!」
 最後の最後。部屋のドアが閉まる間際に、悪趣味な言葉と笑い声が聞こえた気がした。でも、それに反応する気力がない。
 ひどく疲れていた。犯されているのも、犯しているのも、俺じゃないのに。


     ※               ※             ※


 監禁開始から10日目。
 101号室の扉を潜ると、相も変わらず水音と喘ぎ、汗と愛液の匂いが押し寄せてくる。
「あ、センパイ、見てくださいよ。スゲーっしょあれ。ビラビラに直でシャブ打たれてんすよ!?」
 俺の姿を見つけたユウトが指差す先では、巨漢の男に背を預けるようにしてM字に足を開く明日香がいた。アイマスクで目隠しされているため、快感に集中せざるを得ない状態で。
 肝心のアソコは、対面に座る男の手で激しく擦り立てられている。指の腹を激しく左右に動かし、割れ目の入口部分だけを集中的に責める、AVでもよく見るやり方だ。カメラ映えがいい上に、効果そのものも絶大らしい。
「ううぅ、あはっ!!うううぅーーぁああっ!!」
 明日香は心底恥ずかしそうに顔を横向けたまま、甘い喘ぎを漏らし続ける。そして肝心の割れ目は、辺りに潮を撒き散らしていた。
 よく見れば、キングサイズのベッドシーツはかなり広範囲に渡って変色しきっている。きっと何度も体位を変えながら、延々とこうして潮を噴かされているんだろう。
「お、一匹目のカメラ小僧が帰ってきてんぜ?」
「ふー。じゃ、そろそろ追加いっとくか」
 明日香の対面に座る刺青男が合図を出し、シャブ入りの注射器が入ったケースを引き寄せる。そして中身の1本を手に取ると、クリトリスを親指で押さえつけ、その根元へ針を突き刺した。
「うあっ! ま、また……っ!!」
 目隠しのせいで状況が掴めない明日香は、突然の刺激に足をバタつかせる。
「オウ、まだまだ行くぜ」
 刺青男は顔色ひとつ変えず、2本目の注射器を手に取った。そして充血しきった明日香のラビアを乱暴に掴み、
「オマケだ。堪能しろや」
 一切の躊躇なく針を打ち込んでいく。
「はぐうう゛っ!」
 明日香の呻きを楽しみながら、刺青男は脇に置いてあった缶ビールを拾い上げ、喉を鳴らして一気に飲み下した。
「あ、はぁっ、ハアッ、ハアッ……ハア…………!!」
 明日香の呼吸がますます乱れていく。ここまでに、一体どれだけのシャブが打たれたんだろう。
「おっ、もうヒクヒクしてやがる」
 親指と人差し指で押し開かれたアソコを注視しながら、先輩達は笑う。確かに明日香の割れ目は、喘ぐ唇そっくりに開閉を繰り返していた。
「こ、こんな事をされたら、誰だってそうなるわ……!」
 明日香は肺を震わせ、強い憎しみを吐き出した。完全に女の反応を示しているアソコを、何人もの男に観察される。それは常にエリートコースを歩んできた令嬢にとって、どれだけ耐え難いことだろう。もっとも、そういう恥じらいが余計に、先輩達の嗜虐心を煽るんだが。
「もっともだ。だが、あれだけ偉そうに説教カマしてた女が、そこらの人間程度とはねぇ」
「な……っ!」
 挑発的な言い分に、言葉を詰まらせる明日香。
「ま、いい。今はただ、快感だけに集中しろ。また天国に連れてってやる」
 その言葉をサインに、明日香が背を預ける男と、対面に座る刺青男が目配せしあう。

 そして、怒涛の追い込みが始まった。
 背後の男が左手で明日香の乳房を捏ね回しつつ、右手の指で陰核をつまみ、転がす。対面の刺青男は、人差し指と中指、そして薬指すら加えた3本指で、ひたすらにアソコの中をかき回す。
 音が凄かった。前に潮吹きした時も凄い音だったが、今度のはその比じゃない。ぶじゅぶじゅぶじゅぶじゅ、という水音の合間に、かすかな屁のような音が混じり続けている。アソコの中にたっぷりと空気が入り、それが愛液と混ざり合うように攪拌され続けているせいだろう。
「くくっ、マン屁がえれぇ事になってんぜぇお嬢様ァ!?」
「ああ。こんなきったねぇ音の潮吹きはそうそうお目にかかれねぇ!」
 当然、明日香に叩きつけられる言葉責めは音についても触れた。だが、果たしてそれは明日香の耳に届いているだろうか。
「あっ、あっあっあっあっあっ!! あっあ……あああああぁぁっっ!!!」
 クリトリスとGスポットという二大性感帯を、発情しきった状態で責め抜かれる。これを受けて、明日香からは余裕というものがまるで無くなっていた。明らかに息継ぎができていない様子で喘ぎ続け、目隠しの上で眉根を寄せて本当につらそうにしている。乳首をこね回す男の腕にしがみつくような左手、何度も何度も内股に閉じようとしては、血管の浮いた男の手で押さえ込まれる両膝。それらの情報すべてが、彼女の狂乱ぶりを物語っていた。
 性器へ何本もシャブを打たれ、一切容赦せず潮噴きを強いられていれば、乱れるのも当然だ。でも、初めて目にした時の凛とした彼女と、今目の前で喘いでいる女の印象はあまりにも違いすぎ、俺は改めて背筋が寒くなった。
「ほーら、全部カメラに撮られちまってんぞー、この恥ずかしい姿」
 一人が言葉責めの一環で、明日香に俺のカメラを意識させた。
「っ!!……はっウ、ぐふっ、う……ん…………!」
 明日香ははっとした様子で、最後の抵抗として歯を食いしばる。噛み合わされた歯の並びは素晴らしく綺麗だ。でもその必死すぎる表情は、到底美人とはいえない。そして、そうまでしても快感の大波には抗いきれない。
「ぁあ、ああああっ!!ああああーーーーっ!!!!」
 やがて明日香は、大口を開けた。舌まで見えるほどに口を開き、そしてとうとう、口の端から涎まで垂らしはじめる。
「おうおう、イイ表情になりやがって」
 無理をしたツケは、当然ながら先輩達の笑いの種になった。
 こうして明日香は、シャブを打った上での快感を順調に刷り込まれていったんだ。



                                 (続く)


新作、もう少しだけかかります……><

こんばんは、燻製ねこです。
日曜目標といっていた新作ですが、もう少しだけ掛かります。すみません……。

現在進捗95%というところで、最後の部分だけが残っています。
ただ、今回は最後の最後までエロぎっちりにする予定なので、締めの部分にも力を入れたく思います。
平日に時間が取れれば、明日か明後日に出せるかも……?無理かも……

ちなみに、今回の作品には嘔吐シーンがいくつかあります。原因は指イラマとイラマです。
また、一部にヒロインが排泄物を口に詰められてしまうシーンができてしまいました。
シーンとしては一瞬なので、苦手な方は該当シーンを流し読みしてください。

ちなみにヒロインは、前回更新時に書いた通り『飛び級でMITを卒業した21歳の令嬢』になりました。
そしてもう一つ、ヒロインという意味では終盤に若干のサプライズ要素もあるのですが……詳しくは秘密で……。

時間をかけただけあり、相当読み応えのある作品になっていますので、何卒ご期待ください!
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