「ねぇ聞いた?亜由美先輩引き抜きだって」
「え、どこに!?」
「海外のかなり大きい会社らしいよ。造船から製薬から、何でも手がけてるってさ」
「でもさ、ネットで見たんだけど、なんか裏の企業とも繋がってるって噂あるよ?
子会社がAV撮ってるとか……」
「所詮ネットの噂でしょ。亜由美さんがそんな怪しい所行くと思うの?」
「あそっか、ウチで一番縁遠いよねぇ」
「…縁遠いっていえば、別の意味で真琴さんもそういう事に無縁そうだったけど…」
「うん。でも今は、なんか雰囲気違うよね……」
女子社員の噂する中、真琴は颯爽とオフィスを歩く。
少年のように貧相な身体と黒縁眼鏡は変わらないが、その顔には笑みが零れていた。
「あっ、真琴さん!おはようござぁーっす!!」
「はよござーぁーっっすっ!!」
真琴を見つけた男性社員がやはり満面の笑みで頭を下げる。
一人ではなく、その後ろの者も。
真琴はその彼らに意味深な笑みで応えつつ、美穂のデスクの前で止まる。
「あ……おはよう、ございます……」
美穂は脅えた様子で真琴を見上げた。つぶらな瞳の下にはくっきりと隈ができている。
「おはよう美穂。あのDVDの続き、持ってきたよ」
真琴はそう言い、美穂の机の上にディスクの入った袋を置いた。
「ありがとう、ございます…」
美穂は一応の笑みを浮かべる。しかしその笑みには影があった。
「今じゃもうすっかり良い先輩よね」
「ホント。あれも亜由美先輩がガツンと言ったかららしいよ」
「やっぱり亜由美さんって凄いよねー。あたしも亜由美派、入ろっかな…」
・・・・・・もう、やめて・・・・・・・。
活気づくオフィスでのたった一言。
美穂のその呟きを聞いたものは、居なかった。
*
金曜の22時。
誰もいなくなった社内では2人だけが居残るのが常だった。
人事部の真琴と美穂だ。
人事部では週末の仕事が多く、その居残り自体は奇妙なことではない。
だが彼女らのすることは業務ではなかった。
「この間の連休は長かったでしょう。たっぷり楽しめたわ」
会議室の革椅子に腰掛け、素の声になった真琴がぽつぽつと呟く。
聞く者まで沈痛な気分にさせる重いトーンだ。
美穂は真琴の隣に腰掛け、その話に耳を傾けながらも正面のスクリーン映像から目を離せずにいた。
映像の中では亜由美のむちりとした太腿がのたうち回っていた。
丸裸だ。
肉感的な桜色の身体を仰向けに横たえたまま、首を真琴に抱えられ、腹部を脚で締められていた。
両腕は床と彼女自身の背に挟み潰され、豊かな胸を迫り出させている。
極まっていた。
亜由美の顔は真琴の肩に隠れて顎しか見えないが、それでも苦しんでいるのが解った。
「ドラゴンスリーパー……胴を挟んで動けなくして、頚動脈を圧迫するの。
真綿で首を絞めるような技ね。カエルみたいにひっくり返すから見応えあるでしょう」
真琴は淡々と解説した。映像の中の彼女も実に冷ややかだ。
逆に亜由美は苦渋の極致にいるようだった。
足を壊れるほどにばたつかせ、隠すもののない若草を覗かせる。
右足首に絡みついたショーツがやけに艶かしい。
亜由美がレイプされている。
美穂には想像だに出来なかった情景が、その絵からは容易く想い起こされた。
しかし亜由美の苦しみは、スリーパーによる窒息だけではないらしい。
おそらく主たる要因は、真琴の足で絞められた胴から響く、ごるる…という雷轟にも似た音だ。
『抜いて、抜いてえええぇっ!!トイレに…もおトイレに行かせてよおおぉっ!!!』
突如、映像の中で亜由美の叫び声がした。
「浣腸してやったの、ムカついたから2リットル以上はぶち込んだかな」
真琴が言う。その「ムカついた」を証明するように、映像内の真琴がドスの聞いた声を発した。
『だから、嫌なら自力で逃げなさいって何度も言ってるじゃないですか。
理解力ない女って嫌いなんです、心底』
『無理、無理よおっ!!出来たらしてるわよ、なんでこんなに……強い、のよぉ……!』
亜由美は泣いているようだった。心はもう折れているように見えた。
「一応フェアな戦いだったのよ。だいぶ調教も進んでたんだけど、一度アイツがブチ切れてね。
、…何だったかしら。
ああ、営業課のあいつの椅子に縛り付けて、綿棒で徹底的に尿道を開発してあげたときよ。
面白かったわ。初めの、痛いんだけど唇噛んで堪えてるブッサイクな面も傑作だったし、
だんだん感じてきたらしくてクリトリスがビンビンに勃ちあがっちゃったりもしてね。
自分の席ってことでプライドでもあるのか、背筋しゃんと伸ばして凛々しい顔してんだけど、
愛液なんか駄々漏れだし、そのうち私もコツ掴んで潮噴かせまくって、机の書類全部だめにしてやった。
これは契約書だから粗末にしちゃダメですよ、って念押して机の前に貼り付けるんだけど、
それでもびゅっびゅ潮噴くんだもん。自業自得よね。」
真琴はそうまくし立て、情景を思い出したように陰惨な笑みを浮かべた。
「……とにかく、それでアイツが文句言ってきたわけ。
もうこりごりだ、殴り飛ばして白黒つけてやる、ってヤンキー臭い言い分でね。
でもアイツその時調教のせいでフラフラで、そんな奴に勝っても嬉しくないじゃない。
だから一週間猶予を与えたの。
私にとっても、の猶予だけどね。苛ついたから鍛えまくったよ。血が出るまで鍛えた。
そして一週間後が、コレ」
真琴はそう言ってスクリーンを指す。
そこでは変わらず、亜由美が鳴動する腹を真琴に締め上げられ悶絶している。
「コレは2回ほど殴り倒して意識飛ばした後、引き摺り起こして浣腸したあとよ。
圧勝だった。初戦で感じた不安がバカみたいに思えるほどにね。
自惚れじゃないけど、私才能があるよ。亜由美をギタギタにする才能」
真琴は椅子に腰掛けたまま拳を握る。
美穂は息を呑んだ。
真琴は相も変わらず小柄で、病的に色白く、眼鏡をかけた陰気な女だ。
しかしその拳は、手の甲側の指付け根に分厚い血ダコが出来ていた。
殺せる、と美穂は思った。この拳は女を充分に殺しうる。
亜由美もそれを知らなかったわけではないだろう。
彼女は本当に、よくやった。
『お願いよおぉっ!!お、お腹が苦しくて、おかしくなっちゃいそう!!
もう離してぇ、ぜったい逆らわない、何だってします!!だから、だから……』
『だから?』
『と、トイレに……!』
『トイレ?…ねぇ何ですかそれ、別の言葉で言うようにって教えましたよね』
『…………っ!!』
『嫌ならいいんですよ、本当に限界を超えたならどうしたって溢れるものですし。
でもそこまで膨らませたエネマバルーンだと、おしりは引き裂けるでしょうね』
『……う、うっ……!!おね…がい、です……!!う、
…………うんち、させてくださぃ……!!!』
亜由美は、堕ちた。その瞬間、映像内の真琴が亜由美の首を絞める手を緩め、
自由になった左手で風船のようなものを握り込んだ。
しゅううっと何かが抜ける音がする。驚くほど勢いよく、長く。
『あああっ、だめっだめえぇーーー!!我慢できない、で、出ちゃう―――――!!!!』
亜由美の叫びも同じほど悲痛で長い。
その叫びが尻切れになり、腹筋が緩んだ瞬間。
バスッという音と共に黒いゴム製のアナルプラグが亜由美の股座から弾けとび、
続いて透明な放物線がフローリングの床に露の線を成した。
その線は次第にうっすらと色がつき、気付いた時には茶色に濁りきった汚液と化していた。
ぶりゅいいいっ!!びちっ、ブビィイイィッッ!!!!
音にすればそんなもの、いや、もっとおぞましく複雑だ。
『おお臭い臭い。涼しい顔して、目元もぱっちりで、すらっとしたスレンダーな体つきで、
そんなあなたでも中身はこんなものなんですね。まるで本物の畜生です。
不細工な私だってここまで臭い排泄は経験がありませんよ。』
真琴はなじりながら、再び亜由美の首と胴を締め上げる。うえっと亜由美の声がする。
腐りきりドロドロになった熱い臓腑を全てぶちまけるかのように、排泄は長く続いた。
汚液は四方に飛び散り、汚物は場の寒さに逆らって湯気を立ち昇らせる。
その排泄は相当に苦しいのだろう、亜由美の桜色の脚は尻を突き出したまま爪先立ちになり、
両足の指はぶるぶると震え、内腿からは降るような汗が滴っていた。
「汚いもの見てショック受けた?」
現実の真琴が椅子を軋ませて笑みを浮かべる。美穂は言葉もなかった。
「…ちなみに、これが昨日の“亜由美”よ」
真琴がパソコンを操作すると、映像は汗まみれで失神する亜由美から別の場面に移った。
次に映ったのは女性の下半身だ。
「あんたなら解るでしょ、亜由美よ。あんたも社内の男連中も、ミニスカから覗くこの脚をよく見てたものね」
真琴は自嘲気味に言った。
美穂は導かれるままに画面を眺める。
映像では背景に石灰の壁があり、その中心にある穴に亜由美の括れた腰が収まっている。
まるでギロチンかマジックショーだ。
「ちなみに、壁の向こうじゃ亜由美、口を使って奉仕してるの。
外人に負けないディープスロートの練習ね。
フェラチオって嫌いだから映してないけど、そっちも苦しいはずよ。
手首壁に繋がれて口枷まで嵌めてるから抵抗できないし、客人はウチの男共。
単に惚れてる位ならいいけど、腕相撲で負けた、セクハラ摘発された…とか恨みある奴も多いしね。
今朝も報告が来たよ。えづくときの喉奥が最高だったとか、初めて涙流すところ見たとか」
よく聞けば、カメラは確かに微かなえづき声を拾っているらしかった。
壁に阻まれ、映像からは亜由美のすらりとした下半身しか見えない。
だがそれで充分な衝撃だった。
女である美穂が見惚れるほど綺麗なヒップ、だがその中心にはバルブのようなものが埋め込まれており、
聞くだけで不安になる重い音で唸っている。
「この映像を撮る代わりに、って借り受けた米産のヘビーアナルファックマシンよ。
迫力あるでしょ。30歳からって年齢制限ついてるぐらいだしね。
ゆくゆくは亜由美も海外に出す気だから、今のうちにアナルに慣らしとかなきゃ。
洋物っていえばアナルにディープスロートだもんね」
真琴が淡々と解説する間も、それをかき消すようにマシンは唸りを上げる。
マシンは馬が駆けるように凄まじくうねりたくっているが、外れる事は望めない。
マシンの淵からは幾本ものゴム帯が伸びており、亜由美の腰ベルトにしかと繋がれているからだ。
尻穴に刺さる突起部は異様に太い、直径6cmは下らないだろう。
それを埋められた菊輪は皺もなくなるほど伸びきりピンク色に充血していた。
そして穿たれている。
「太くて長くて適度に堅い。黒人の勃起しきったペニスを型にしたらしいよ。
本当に大きいから、直腸ってあるじゃない。MAXだとあれより奥に入るんだって。
アメリカ女でそれなんだから、日本人にはどうなんだろうね。
ああ、当たり前だけど亜由美には、慣れない程度にMAXを堪能して貰ってるわ」
真琴は舐めるように語る。
映像では確かにマシンが暴虐的な唸りを見せていた。
どちゅ、どちゅ、どちゅっ………
マシンはローションでも使っているのだろうか、やけに湿った音で抽迭を繰り返す。
亜由美の後孔はそれに追従するように喘ぎ、接合部から黄色い液を噴き出していた。
その尿か糞便か判別のつかない汚液は、亜由美がトイレに行くことも赦されぬまま穿たれ続けている事を如実に物語る。
「すごい画だよね。上場企業の看板嬢になれそうな上玉が、暴走した機械にアナル責めされて汚物を漏らしてる。
音も凄いし、所在無く踏み変えられる脚だって、悔しいけどそそるじゃない。
これ、試しにビデオに撮って海外サイトに乗っけたんだけどさ、もう5万アクセス超えてるよ」
「…これを……流したん、ですか……。」
「ええ。でも、そんなに酷い事でもないわ。撮るって言うのは本人も了承済みよ。その上で、ほら」
映像では、ちょうど真琴が現れ、何か声をかけながら亜由美の秘部に手を差し伸べていた。
美穂は息を呑む。
散々に使い込まれたらしいそこは、だらしなく襞を開いて汁を泌ちさせていた。
そして蕩けるように真琴の指を飲み込み、手の甲を迎え入れ………手首までの蹂躙を赦した。
「すごいでしょ、このとき子宮に触ってるのよ。でも、痛がらない。
想像できた?…あなたには無理でしょう、美穂。
もう亜由美は、あなたの知っている亜由美ではないの。」
真琴はそう言うとぷつりと映像を止めた。あ、と美穂が声を上げる。
真琴はそれを見て、笑った。
それはいわゆる人間の笑みではなく、もっと何か異質の、蝙蝠の啼きような。
「可愛そうねぇ美穂、じゃあせめて、あなたには昔の亜由美をあげるわ。
まだ私と並び立てたころ……たぶん、一番美しかったころの映像をね」
真琴は今まで見ていたディスクを取り出し、代わりに古いディスクを差し込んだ。
日付は2ヶ月前の金曜日。あの、決闘の日の夜だ。
暗い画面が映る。どこかの家の風呂場だろうか。
そこには2人の女がいた。スーツ姿の真琴と、全裸の亜由美。
左足の包帯が痛々しい。あの日の彼女だ。
亜由美は後ろ手に縛られ、その縄の先をフックに通して宙吊りにされている。
そしてその細い身体はやや前屈みになっていた。
『んっ……っは………………っぁ、ぁっ…………は…ぁっ………!』
荒い息に混じり、微かな、微かな声が漏れ聞こえる。
『いい声が出てくるようになりましたね、先輩、ね』
淡々とした口調で言うのは真琴だ。
彼女は左手にローションのボトルを持ち、それを手袋をした右手にたっぷりと注ぎつつ
事務的に亜由美の秘所への愛撫を続けていた。
それは音もなく、激しい動きもない単調なものだ。
しかし見ている美穂は体中が痒くて仕方なかった。それほど女にとって恐ろしい嬲り。
女の身体を知る女だからこそ為しえ、女を心底憎む女だからこそ徹底できる地獄の責め。
亜由美の両脚の内側が余すところなく濡れ光っていることからも、それがとうに常識的なレベルを超えているのがわかる。
それでも、亜由美は屈していなかった。
『思ひ知らせてやる……!!……ッ……んたに、かららず……思ひ知らせてやる………ッ!!!』
淫核の皮をやわらかく剥かれながら、身体をぐらつかせ、唾を一杯に垂らし、
それでも亜由美は闘っていた。
オフィスレイブ END
「え、どこに!?」
「海外のかなり大きい会社らしいよ。造船から製薬から、何でも手がけてるってさ」
「でもさ、ネットで見たんだけど、なんか裏の企業とも繋がってるって噂あるよ?
子会社がAV撮ってるとか……」
「所詮ネットの噂でしょ。亜由美さんがそんな怪しい所行くと思うの?」
「あそっか、ウチで一番縁遠いよねぇ」
「…縁遠いっていえば、別の意味で真琴さんもそういう事に無縁そうだったけど…」
「うん。でも今は、なんか雰囲気違うよね……」
女子社員の噂する中、真琴は颯爽とオフィスを歩く。
少年のように貧相な身体と黒縁眼鏡は変わらないが、その顔には笑みが零れていた。
「あっ、真琴さん!おはようござぁーっす!!」
「はよござーぁーっっすっ!!」
真琴を見つけた男性社員がやはり満面の笑みで頭を下げる。
一人ではなく、その後ろの者も。
真琴はその彼らに意味深な笑みで応えつつ、美穂のデスクの前で止まる。
「あ……おはよう、ございます……」
美穂は脅えた様子で真琴を見上げた。つぶらな瞳の下にはくっきりと隈ができている。
「おはよう美穂。あのDVDの続き、持ってきたよ」
真琴はそう言い、美穂の机の上にディスクの入った袋を置いた。
「ありがとう、ございます…」
美穂は一応の笑みを浮かべる。しかしその笑みには影があった。
「今じゃもうすっかり良い先輩よね」
「ホント。あれも亜由美先輩がガツンと言ったかららしいよ」
「やっぱり亜由美さんって凄いよねー。あたしも亜由美派、入ろっかな…」
・・・・・・もう、やめて・・・・・・・。
活気づくオフィスでのたった一言。
美穂のその呟きを聞いたものは、居なかった。
*
金曜の22時。
誰もいなくなった社内では2人だけが居残るのが常だった。
人事部の真琴と美穂だ。
人事部では週末の仕事が多く、その居残り自体は奇妙なことではない。
だが彼女らのすることは業務ではなかった。
「この間の連休は長かったでしょう。たっぷり楽しめたわ」
会議室の革椅子に腰掛け、素の声になった真琴がぽつぽつと呟く。
聞く者まで沈痛な気分にさせる重いトーンだ。
美穂は真琴の隣に腰掛け、その話に耳を傾けながらも正面のスクリーン映像から目を離せずにいた。
映像の中では亜由美のむちりとした太腿がのたうち回っていた。
丸裸だ。
肉感的な桜色の身体を仰向けに横たえたまま、首を真琴に抱えられ、腹部を脚で締められていた。
両腕は床と彼女自身の背に挟み潰され、豊かな胸を迫り出させている。
極まっていた。
亜由美の顔は真琴の肩に隠れて顎しか見えないが、それでも苦しんでいるのが解った。
「ドラゴンスリーパー……胴を挟んで動けなくして、頚動脈を圧迫するの。
真綿で首を絞めるような技ね。カエルみたいにひっくり返すから見応えあるでしょう」
真琴は淡々と解説した。映像の中の彼女も実に冷ややかだ。
逆に亜由美は苦渋の極致にいるようだった。
足を壊れるほどにばたつかせ、隠すもののない若草を覗かせる。
右足首に絡みついたショーツがやけに艶かしい。
亜由美がレイプされている。
美穂には想像だに出来なかった情景が、その絵からは容易く想い起こされた。
しかし亜由美の苦しみは、スリーパーによる窒息だけではないらしい。
おそらく主たる要因は、真琴の足で絞められた胴から響く、ごるる…という雷轟にも似た音だ。
『抜いて、抜いてえええぇっ!!トイレに…もおトイレに行かせてよおおぉっ!!!』
突如、映像の中で亜由美の叫び声がした。
「浣腸してやったの、ムカついたから2リットル以上はぶち込んだかな」
真琴が言う。その「ムカついた」を証明するように、映像内の真琴がドスの聞いた声を発した。
『だから、嫌なら自力で逃げなさいって何度も言ってるじゃないですか。
理解力ない女って嫌いなんです、心底』
『無理、無理よおっ!!出来たらしてるわよ、なんでこんなに……強い、のよぉ……!』
亜由美は泣いているようだった。心はもう折れているように見えた。
「一応フェアな戦いだったのよ。だいぶ調教も進んでたんだけど、一度アイツがブチ切れてね。
、…何だったかしら。
ああ、営業課のあいつの椅子に縛り付けて、綿棒で徹底的に尿道を開発してあげたときよ。
面白かったわ。初めの、痛いんだけど唇噛んで堪えてるブッサイクな面も傑作だったし、
だんだん感じてきたらしくてクリトリスがビンビンに勃ちあがっちゃったりもしてね。
自分の席ってことでプライドでもあるのか、背筋しゃんと伸ばして凛々しい顔してんだけど、
愛液なんか駄々漏れだし、そのうち私もコツ掴んで潮噴かせまくって、机の書類全部だめにしてやった。
これは契約書だから粗末にしちゃダメですよ、って念押して机の前に貼り付けるんだけど、
それでもびゅっびゅ潮噴くんだもん。自業自得よね。」
真琴はそうまくし立て、情景を思い出したように陰惨な笑みを浮かべた。
「……とにかく、それでアイツが文句言ってきたわけ。
もうこりごりだ、殴り飛ばして白黒つけてやる、ってヤンキー臭い言い分でね。
でもアイツその時調教のせいでフラフラで、そんな奴に勝っても嬉しくないじゃない。
だから一週間猶予を与えたの。
私にとっても、の猶予だけどね。苛ついたから鍛えまくったよ。血が出るまで鍛えた。
そして一週間後が、コレ」
真琴はそう言ってスクリーンを指す。
そこでは変わらず、亜由美が鳴動する腹を真琴に締め上げられ悶絶している。
「コレは2回ほど殴り倒して意識飛ばした後、引き摺り起こして浣腸したあとよ。
圧勝だった。初戦で感じた不安がバカみたいに思えるほどにね。
自惚れじゃないけど、私才能があるよ。亜由美をギタギタにする才能」
真琴は椅子に腰掛けたまま拳を握る。
美穂は息を呑んだ。
真琴は相も変わらず小柄で、病的に色白く、眼鏡をかけた陰気な女だ。
しかしその拳は、手の甲側の指付け根に分厚い血ダコが出来ていた。
殺せる、と美穂は思った。この拳は女を充分に殺しうる。
亜由美もそれを知らなかったわけではないだろう。
彼女は本当に、よくやった。
『お願いよおぉっ!!お、お腹が苦しくて、おかしくなっちゃいそう!!
もう離してぇ、ぜったい逆らわない、何だってします!!だから、だから……』
『だから?』
『と、トイレに……!』
『トイレ?…ねぇ何ですかそれ、別の言葉で言うようにって教えましたよね』
『…………っ!!』
『嫌ならいいんですよ、本当に限界を超えたならどうしたって溢れるものですし。
でもそこまで膨らませたエネマバルーンだと、おしりは引き裂けるでしょうね』
『……う、うっ……!!おね…がい、です……!!う、
…………うんち、させてくださぃ……!!!』
亜由美は、堕ちた。その瞬間、映像内の真琴が亜由美の首を絞める手を緩め、
自由になった左手で風船のようなものを握り込んだ。
しゅううっと何かが抜ける音がする。驚くほど勢いよく、長く。
『あああっ、だめっだめえぇーーー!!我慢できない、で、出ちゃう―――――!!!!』
亜由美の叫びも同じほど悲痛で長い。
その叫びが尻切れになり、腹筋が緩んだ瞬間。
バスッという音と共に黒いゴム製のアナルプラグが亜由美の股座から弾けとび、
続いて透明な放物線がフローリングの床に露の線を成した。
その線は次第にうっすらと色がつき、気付いた時には茶色に濁りきった汚液と化していた。
ぶりゅいいいっ!!びちっ、ブビィイイィッッ!!!!
音にすればそんなもの、いや、もっとおぞましく複雑だ。
『おお臭い臭い。涼しい顔して、目元もぱっちりで、すらっとしたスレンダーな体つきで、
そんなあなたでも中身はこんなものなんですね。まるで本物の畜生です。
不細工な私だってここまで臭い排泄は経験がありませんよ。』
真琴はなじりながら、再び亜由美の首と胴を締め上げる。うえっと亜由美の声がする。
腐りきりドロドロになった熱い臓腑を全てぶちまけるかのように、排泄は長く続いた。
汚液は四方に飛び散り、汚物は場の寒さに逆らって湯気を立ち昇らせる。
その排泄は相当に苦しいのだろう、亜由美の桜色の脚は尻を突き出したまま爪先立ちになり、
両足の指はぶるぶると震え、内腿からは降るような汗が滴っていた。
「汚いもの見てショック受けた?」
現実の真琴が椅子を軋ませて笑みを浮かべる。美穂は言葉もなかった。
「…ちなみに、これが昨日の“亜由美”よ」
真琴がパソコンを操作すると、映像は汗まみれで失神する亜由美から別の場面に移った。
次に映ったのは女性の下半身だ。
「あんたなら解るでしょ、亜由美よ。あんたも社内の男連中も、ミニスカから覗くこの脚をよく見てたものね」
真琴は自嘲気味に言った。
美穂は導かれるままに画面を眺める。
映像では背景に石灰の壁があり、その中心にある穴に亜由美の括れた腰が収まっている。
まるでギロチンかマジックショーだ。
「ちなみに、壁の向こうじゃ亜由美、口を使って奉仕してるの。
外人に負けないディープスロートの練習ね。
フェラチオって嫌いだから映してないけど、そっちも苦しいはずよ。
手首壁に繋がれて口枷まで嵌めてるから抵抗できないし、客人はウチの男共。
単に惚れてる位ならいいけど、腕相撲で負けた、セクハラ摘発された…とか恨みある奴も多いしね。
今朝も報告が来たよ。えづくときの喉奥が最高だったとか、初めて涙流すところ見たとか」
よく聞けば、カメラは確かに微かなえづき声を拾っているらしかった。
壁に阻まれ、映像からは亜由美のすらりとした下半身しか見えない。
だがそれで充分な衝撃だった。
女である美穂が見惚れるほど綺麗なヒップ、だがその中心にはバルブのようなものが埋め込まれており、
聞くだけで不安になる重い音で唸っている。
「この映像を撮る代わりに、って借り受けた米産のヘビーアナルファックマシンよ。
迫力あるでしょ。30歳からって年齢制限ついてるぐらいだしね。
ゆくゆくは亜由美も海外に出す気だから、今のうちにアナルに慣らしとかなきゃ。
洋物っていえばアナルにディープスロートだもんね」
真琴が淡々と解説する間も、それをかき消すようにマシンは唸りを上げる。
マシンは馬が駆けるように凄まじくうねりたくっているが、外れる事は望めない。
マシンの淵からは幾本ものゴム帯が伸びており、亜由美の腰ベルトにしかと繋がれているからだ。
尻穴に刺さる突起部は異様に太い、直径6cmは下らないだろう。
それを埋められた菊輪は皺もなくなるほど伸びきりピンク色に充血していた。
そして穿たれている。
「太くて長くて適度に堅い。黒人の勃起しきったペニスを型にしたらしいよ。
本当に大きいから、直腸ってあるじゃない。MAXだとあれより奥に入るんだって。
アメリカ女でそれなんだから、日本人にはどうなんだろうね。
ああ、当たり前だけど亜由美には、慣れない程度にMAXを堪能して貰ってるわ」
真琴は舐めるように語る。
映像では確かにマシンが暴虐的な唸りを見せていた。
どちゅ、どちゅ、どちゅっ………
マシンはローションでも使っているのだろうか、やけに湿った音で抽迭を繰り返す。
亜由美の後孔はそれに追従するように喘ぎ、接合部から黄色い液を噴き出していた。
その尿か糞便か判別のつかない汚液は、亜由美がトイレに行くことも赦されぬまま穿たれ続けている事を如実に物語る。
「すごい画だよね。上場企業の看板嬢になれそうな上玉が、暴走した機械にアナル責めされて汚物を漏らしてる。
音も凄いし、所在無く踏み変えられる脚だって、悔しいけどそそるじゃない。
これ、試しにビデオに撮って海外サイトに乗っけたんだけどさ、もう5万アクセス超えてるよ」
「…これを……流したん、ですか……。」
「ええ。でも、そんなに酷い事でもないわ。撮るって言うのは本人も了承済みよ。その上で、ほら」
映像では、ちょうど真琴が現れ、何か声をかけながら亜由美の秘部に手を差し伸べていた。
美穂は息を呑む。
散々に使い込まれたらしいそこは、だらしなく襞を開いて汁を泌ちさせていた。
そして蕩けるように真琴の指を飲み込み、手の甲を迎え入れ………手首までの蹂躙を赦した。
「すごいでしょ、このとき子宮に触ってるのよ。でも、痛がらない。
想像できた?…あなたには無理でしょう、美穂。
もう亜由美は、あなたの知っている亜由美ではないの。」
真琴はそう言うとぷつりと映像を止めた。あ、と美穂が声を上げる。
真琴はそれを見て、笑った。
それはいわゆる人間の笑みではなく、もっと何か異質の、蝙蝠の啼きような。
「可愛そうねぇ美穂、じゃあせめて、あなたには昔の亜由美をあげるわ。
まだ私と並び立てたころ……たぶん、一番美しかったころの映像をね」
真琴は今まで見ていたディスクを取り出し、代わりに古いディスクを差し込んだ。
日付は2ヶ月前の金曜日。あの、決闘の日の夜だ。
暗い画面が映る。どこかの家の風呂場だろうか。
そこには2人の女がいた。スーツ姿の真琴と、全裸の亜由美。
左足の包帯が痛々しい。あの日の彼女だ。
亜由美は後ろ手に縛られ、その縄の先をフックに通して宙吊りにされている。
そしてその細い身体はやや前屈みになっていた。
『んっ……っは………………っぁ、ぁっ…………は…ぁっ………!』
荒い息に混じり、微かな、微かな声が漏れ聞こえる。
『いい声が出てくるようになりましたね、先輩、ね』
淡々とした口調で言うのは真琴だ。
彼女は左手にローションのボトルを持ち、それを手袋をした右手にたっぷりと注ぎつつ
事務的に亜由美の秘所への愛撫を続けていた。
それは音もなく、激しい動きもない単調なものだ。
しかし見ている美穂は体中が痒くて仕方なかった。それほど女にとって恐ろしい嬲り。
女の身体を知る女だからこそ為しえ、女を心底憎む女だからこそ徹底できる地獄の責め。
亜由美の両脚の内側が余すところなく濡れ光っていることからも、それがとうに常識的なレベルを超えているのがわかる。
それでも、亜由美は屈していなかった。
『思ひ知らせてやる……!!……ッ……んたに、かららず……思ひ知らせてやる………ッ!!!』
淫核の皮をやわらかく剥かれながら、身体をぐらつかせ、唾を一杯に垂らし、
それでも亜由美は闘っていた。
オフィスレイブ END