※前作に引き続きスカ・拷問注意
静かに雪の降る夜だった。
冷やかな夜空の下、銃口は凍りつき、そして仲間一人一人の心臓もまた凍り付いていった。
「アルマンド、アルマンド!!目を開けろよ、こんな所でくたばるのかよ、おいっ!?」
幼さの残る少年が、足のない男を抱いて叫ぶ。
アルマンドというその男は、小隊において少年の兄のような存在だった。
作戦がうまくいけば髪を撫でてくれ、誕生日には必ずプレゼントをくれた。
「エル……ノ……幸せに、なれよぉ……」
男は少年の手の中、つらそうに目を閉じ、項垂れて二度と動かなくなる。
「っ!!!」
少年――エルノは義兄の死を察し、唇を固く結ぶ。
「……アルマンドも、逝ったか」
暗闇の陰から女の声がした。エルノはそちらにゆっくりと目線を向ける。
ショートブロンドの髪を持つ美女がいた。
年は20代前半だろう、ロシア系の透けるような白肌に、軍服越しにも解る女性らしい体つきをしている。
しかし鼻筋の通ったその美貌は擦り傷と泥に塗れ、目は軍人らしく鋭い光を放っていた。
「はい。……たった今」
女の質問に少年が答える。
暫しの沈黙があり、彼女――小隊の長であるイリーナは大きく息を吐いた。
40人と1人の小隊も、これで残るはあと5人だ。
「……見捨てられたのだろうな、私達は」
少年がイリーナの言葉に驚愕の表情を見せた。
敵軍との雪原戦が始まり、一週間。
本来の作戦通りであれば、とうに援軍が敵の背後から迫り、挟撃で決着がついている筈だった。
だがいくら待てども援軍はおろか補給すら来ない。
無線で要請を出しても歯切れの悪い答えが返ってくるばかり。
戦況の芳しくない地域で孤軍奮闘するイリーナ隊が見捨てられた。
それはもはや疑いようのない状況だった。
退路も弾薬も断たれて戦い続けるイリーナの小隊は、敵軍に包囲されたまま、一人また一人、銃弾や寒さに倒れていく。
「このままじゃ埒があかねぇ。一か八か闇に乗じて突っ切りやしょう、中尉!」
小隊軍曹であるアントニーがイリーナに告げる。
「しかし、軍曹……いや、危険などとは言っていられないか。ここにいても死ぬ事は変わらない」
イリーナの答えに、アントニーが頷いた。
この2人の付き合いは長い。
イリーナが分隊の指揮をまるで知らぬ小娘であった頃から、場数を踏んだ下士官であるアントニーが彼女の補佐に回っていたのだ。
当時は侮られていたイリーナも、今ではアントニーの強い信頼を得ている。
アントニーに限らない。エルノも、死んでいった仲間達も。
小隊の者は皆、イリーナを頼れる姉として、或いは気の強い妹として心から慕っていた。
「……っ! 俺が殿を勤めやす、中尉達は先に!」
闇の中に敵影を見つけ、アントニーがまだ銃身の凍っていない小銃を構えて告げる。
他の2人の隊員もイリーナ達の傍に並んだ。
「中尉の身は俺達が身体張って守りますんで、中尉はエルノの奴を守ってやって下さい。
まだ小さいんだ、せめて恋ぐらいしてから死なせてやりたい!」
そう言ってイリーナを闇の中へ押しやる。
「お前達……。……済まない…………済まない!!!」
イリーナは素早く踵を返すと、エルノを抱えるようにして雪の中を駆け出した。
「待ってくれ、3人じゃ無茶だ!アントニー! レスター!! フィリッーツ!!!」
エルノが必死で兄達を呼ぶ中、彼らは背を向けたまま手を翳す。
立て続けに掃射の音が鳴り響いたのは、その数秒後の事だった。
夜を徹して雪山を駆け下り、凍った川を走って、イリーナとエルノは小さな小屋に逃げ込んだ。
途中何度か銃声を聞いたが、タイミングよく出た霧で敵を撒くことが出来たらしい。
周囲から見えない場所である事を確認して暖炉に薪をくべ、凍りついた身を暖める。イリーナの手で長椅子に寝かされたエルノは、疲れから高熱を出して寝込んでしまった。
どのくらい経ったのか、エルノが目を覚ますと、額に濡らした服の端切れが置かれていた。
毛布のかかった腹部にはイリーナが倒れるように突っ伏している。
隈のできたその目元からは、彼女が眠りもせずに見張りと看病をしてくれていたのがわかった。
「……うむ、眠ってしまったか」
エルノがイリーナに毛布を掛け返すと、彼女が目を覚ます。
「お前もようやく目が覚めたらしいな、エルノ。寝続けて腹が減っているだろう。
野菜とレーションがいくらかある、スープでも作ろう」
イリーナはそう言って流し台に行き、土のついたジャガイモを洗い始めた。
「……皆は、あの3人はどうなったんでしょうか」
エルノは俯きがちに言った。
「解らない。しかしあの状況で、生きていると思うべきではないな」
「そんな!上手く逃げ延びてて、今にこの小屋に来るかもしれないじゃないですか」
「来ない」
イリーナは冷たく言い放つ。
「たった一夜で、どうしてそんな事が!」
「……一夜ではないんだ、エルノ。おまえはもう3日も寝込んだままだったんだよ」
「え?」
「3日だ。それで来ないなら、もう期待はできない。敵も来る気配がないのが、せめてもの救いだ」
ナイフで人参の皮を剥きながら、イリーナは淡々と語った。
エルノは絶句し、叫びを上げようと口を開いた。しかしふと、小隊長であるイリーナ自身の悲しみを思い、その叫びを押し殺す。代わりに涙が溢れた。
「おまえは優しいな。エルノ」
イリーナも野菜を切る手を止め、かすかに肩を震わせる。エルノは長椅子を降り、その背中を撫でた。小隊で寂しがっている者が居た時、誰かがやった事だ。
するとイリーナは急にエルノの方を振り向き、痛むほど強く抱きしめた。
「…………おまえは、よく死なずにいてくれた。小さいのに、よくぞ、生き残っていてくれた……!!」
その夜、エルノは15にして初めて女を知った。
誘ったわけではないし、誘われたわけでもない。
しかし死線を抜けた男と女、例えそれが上司部下や義姉弟の間柄にあったとしても、求め合うのは自然なことに思えた。
エルノは床に敷いた毛布の上に腰掛け、イリーナがその足元に屈みこんで逸物を口に含む。
イリーナは頬を赤らめながら、必死に口を窄めていた。
「すまないな……不慣れなんだ。こういう事は」
イリーナが言う。初体験であるエルノには、それが不慣れなのかどうか判別できない。
ただイリーナの口内はぬるりとして暖かく、やけに情感を煽る。
何より、憧れの人であったイリーナに性器を舐めしゃぶられている、という夢のような事実が、彼の下半身にたちまち血を漲らせた。
「凄いな……子供でもこんなに大きくなるのか」
イリーナが口から抜き出した逸物を見て呟く。エルノは少し恥ずかしく、また誇らしくもあった。
「こ、今度はぼくの番です。僕が中尉を気持ちよくして差し上げます」
エルノが体を入れ替え、イリーナの脚の間に頭を差し入れて言う。
イリーナは少し恥ずかしそうに身悶えた。
「うっ!えぇと、な。風呂に入れていないから、ほんの少し匂うかもしれない。無理にしなくていいぞ」
イリーナが言う通り、エルノが初めて嗅ぐ女性器は強い香りがした。
いい香りかといえば明らかに違う。ワインと一緒に供されるチーズのような芳香だ。
しかし血と硝煙に慣れた鼻には新鮮な生々しさで、それがイリーナの物であると思えば、これほど性欲を煽る匂いは無かった。
「ぼく、この匂い好きですよ」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら、エルノはイリーナの秘部に舌を這わせた。
イリーナの秘部は初々しい桜色をしており、薔薇のように肉びらが重なり合っている。
「……うんんっ……」
ややぬめった襞に舌を這わせるとイリーナの腰が揺れ、割れ目の奥が強く窄まる。
割れ目の上、金色の茂みの中に小さな突起があり、そこに鼻先が触れると特に強く身悶えるようだ。
「気持ち良いですか、中尉?」
秘部に舌を這わせながらエルノが問うと、イリーナは少し困惑したような顔でエルノを見下ろした。
「……あ、ああ、とてもいい。子宮の奥が疼いてしまう。それに何だか……凄く、抱きつきたいんだ。
良いのかな、おまえにこんな気持ちを抱いてしまって」
「いいですよ。ぼくも嬉しい」
エルノは身体を起こし、イリーナの背を抱えて抱き寄せた。そしてその温かな身体を強く抱きしめる。
「ああ……!」
イリーナが心地良さそうに声を上げた。
心地が良いのはエルノも同じだ。イリーナの体は、その毅然とした態度とは裏腹に、骨がないのではないかと思えるぐらい柔らかかった。
いつか兄貴分だったアルマンドが言っていた「女の子の体は柔らかい」という噂を、エルノは憧れの女性の身体で確かめる事ができた。
「中尉。ぼく、中尉が好きです」
「そうか。だがエルノ……私はもう、中尉などではないよ」
「……え?」
アルトの見つめる先で、イリーナはぞっとするほど美しい笑みを湛えていた。
「イリーナだ。イリーナと、そう呼んでくれればいい」
「い、イリーナ、さん……好きです」
エルノは抱きついたまま、イリーナの身体と自らを擦りあわせる。
豊かな乳房が胸板に弾み、経験したことの無い快感が生まれた。
首筋に口付けすればイリーナが甘い吐息を零し、自分が快感を与えているのだと実感できる。
互いに抱きしめながら、エルノとイリーナは何度も秘部を擦りあわせた。
割れ目をなぞる様に何度も亀頭が滑り、ある時ずるりと中に入り込んでしまう。
ああ、と叫んだのは同時だった。エルノはその暖かく潤んだ中に、また新しい快感を見出した。
それに夢中になって腰を進めると、ある所で急にイリーナの背が仰け反る。
「い、ぎっ……!!!」
歯を食いしばり、眉を顰めてつらそうな顔をしている。ナイフで刺された時のようだ。
「イリーナさん!?」
エルノは相手の不可解な反応に狼狽する。自分はこれほどに心地良いのに、受け入れる方は痛いというのか。
エルノが焦って腰を引こうとすると、イリーナがエルノを腰を掴んで引き留めた。
「い、いいんだエルノ。女は、その、初めて……の時は、どうしても痛いんだよ。大人になる痛みだ。
ありがとう。おかげで私は今、本物の女になる事ができた」
イリーナは額に汗を浮かべながら、精一杯の笑顔を作る。
「初めて……ぼくが……」
エルノはそれが驚きであり、また嬉しくもあった。
「そうだ。さぁ、腰を動かしてみるぞ。心地良いだろう」
イリーナはエルノの腰にややのしかかる様にしながら、ゆっくりと腰を使いはじめる。
「ああっ、あそこが絞られるみたいで、凄いです!!」
エルノはうねるような締め付けに声を上げる。
イリーナは少年のあどけない顔に満足そうに笑いながら、何度も腰を使った。
時折りエルノの小さな上体を抱き寄せ、愛おしそうに口づけを交わす。
「ああ、イリーナさん、イリーナさんっ!!」
「エルノ、エルノっ!!」
2人は、何度も何度も結合し、やがて窓から朝日が照らしこむまで、覚えたての快楽を堪能した。
朝、イリーナはとろとろと眠りに落ちたエルノの頬に唇を触れさせ、静かに戸を開いて外へ出た。
エルノが目を覚ました時、部屋には誰もいない。
「中……あ、と、イリーナさん……?」
室内を見回すと、夕べのスープ鍋の横に一枚のメモが置かれている。
イリーナの字だ。そこにはこう記されていた。
『 私の最後の宝 エルノへ。
この小屋を山伝いに歩けば、我が軍の西方司令部に辿り着く。そこに向かいなさい。
あの激戦区から生還したとなれば、軍に重用して貰えるはず。エルノ、お前はそこで立派にお国の役に立つんだ。
私はこれより、自軍敵軍問わず銃を向ける反逆者となる。
軍に裏切られて死んでいった軍曹達の弔いをしなければならない。
だがそれは、私の小隊長としての勝手だ。お前はついて来てはいけないよ。
……一つ、頼みがある。
いつか私が殺されず捕らわれたなら、きっと激しい尋問を受けるだろう。
それによって、もし私が私でなくなった時には、どうか存在全てを忘れて欲しい。
勝手な願いで済まないが、宜しく頼む。
第1歩兵隊 B中隊 第3小隊隊長 イリーナ・アラルースア』
※
それから4年の月日が経ち、19歳になったエルノは西方司令部に勤務していた。
どこかあどけない面影も残っているが、背はすらりと伸びている。
彼はこの4年を苦悩と共に生きてきた。
戦火は依然収まることを知らず、それどころか緩やかに広範囲へ飛び火していく。それはまるで両国が領地を侵略しあうゲームをしているようだった。
戦争が長引くにつれ、軍のモラルは崩壊していった。当たり前のように敵軍の衛生キャンプを破壊し、無抵抗な村人を蹂躙し、そして味方さえも偵察隊と称して使い捨てにする。
思えばイリーナの隊を見殺しにしたあの頃から、その兆候が見えてはいた。
イリーナはいち早くそれに気付いていたのだろう。
(こんな軍の為に尽くすべきなのか?)
エルノは一日の終わりに必ずそう自問する。
司令部にいると時おりイリーナの噂が入ってきた。
彼女は両軍の脱走兵や民間の自衛団員を率い、正規軍による衛生キャンプの破壊や無関係な民間人への暴行を阻止して回っているらしい。
現地の者からは涙ながらに感謝されているようだが、軍上層部はイリーナをゲリラの首謀者と定め、その捕獲を各軍に命じていた。
奇妙なのは、ゲリラ扱いにも関わらず『標的の命は奪わず、拘束せよ』との命が発せられていることだ。
エルノは何度、イリーナの元へ助太刀に行きたいと思ったか解らない。だがその度にイリーナの書置きを思い出し、その思いを呑み込んだ。
ゲリラとなって復讐に身をやつすのは自分だけでいい。将来のあるエルノは軍で終戦まで生き抜け。
それがイリーナの最後の命令であり、死んでいった仲間達も同じ事を言うはずだった。
エルノは彼女や仲間達の為に、ただ死なないように日々を過ごす。苦しい日々だったが、エルノはその毎日がどうか終戦まで続いて欲しいと願っていた。
そんな願いを打ち砕くかのように、ついにある日、エルノは噂を耳にする。
「おい聞いたかよ。あの“イリーナ様”、南の方でとうとうとっ捕まったんだってさ」
「おっ、マジかよ。いやァしかし長かったなあ」
「ああ。大体このご時勢に、軍を抜けた中尉ぐらいで騒ぎすぎだよな。
何でも将官クラスの人間が何人も作戦に関わってたらしいぜ」
「そりゃあれ、名門アラルースアの生まれだし、しかも知ってっか?実物はすんげぇ美人なんだぜ」
「へぇ。じゃあ少将中将のジジイ共は、殺すのが惜しいから穴奴隷にでもしようってのかよ」
「殺すなっつってる所見ると、そうだろうな。しっかしかなり軍の邪魔してたからなあ、えらく辱められると思うぜぇ?」
「ひひっ、たまんねぇなあ!」
同僚たちが笑い転げる中、エルノは持っていたスープ皿を取り落とした。
反逆者・陸軍中尉イリーナの尋問は、西方司令部の地下尋問室で行われる事となった。
西方司令部は収容所と繋がるようにして建っており、他国の要人など特別な人間の尋問は司令部の地下で行われる。
壁に浮かぶ赤黒い染み、天井から下がる無数の鎖。尋問室とは名ばかりの拷問部屋だ。
今その特別な部屋には、尋問官を除けば大佐以上の身分を持つ人間しか入室を許されていない。しかし1人だけいやに歳若い男がいた。エルノだ。
エルノは元イリーナ隊である事を口実に尋問に立ち会おうとした。しかしそれを嘆願するまでもなく、逆に将官の方から是非にと声がかかったのだ。
エルノは暗がりに起立し、目深に帽子を被り直す。
(イリーナさん……)
4年ぶりに見るイリーナは、気の強そうな青い瞳はそのままに、長いブロンドの髪が美しく背に垂れかかっていた。彼女が真っ直ぐで勇敢な女兵士である事がその顔だけで窺い知れる。
昔よりさらに凛々しく強かになったようにエルノは感じた。
イリーナは軍服姿で後ろ手に縛られ、猿轡を噛まされて椅子に腰掛けている。
普通、尋問は囚人服や拘束服でなされるものだが、それをあえて正装である軍服でする。
軍に背いた者の尋問としてはかなりの皮肉といえた。
イリーナの前に、肩幅の広い壮年の陸軍中将が歩み寄る。
尋問官がイリーナの猿轡に手をかけた。
「いいか。もし舌を噛み切ったりしたら、一緒に捕らえた仲間を公然でバラすぜ」
尋問官の囁きに、イリーナは小さく頷く。
尋問官は用心深く猿轡を外した。猿轡の瘤と桜色の口内が唾液で結ばれている。
「……君が生きていると知った時には驚いたよ、イリーナ・アラルースア中尉。
あの雪原での連戦で、よもや生存者がいようとは」
中将は髭を撫でながら告げた。
イリーナがその顔を激しく睨み上げる。
「あれは、そちらの援軍とで挟み撃ちにする計画だったはず。なぜ我らの要請に応えて下さらなかったのです」
イリーナの瞳は怒りの炎を滾らせていた。身の凍るような迫力だが、美しさもまた増している。
中将はそのイリーナを眩しそうに見下ろした。
「ああ、あの時は別件がゴタついてな、君達の方へ戦力を割く余裕が……」
「ふざけるなっ!!」
イリーナの顔はいよいよ怒りに歪む。
「私がこの4年、あの時の戦いについて調べなかったとでもお思いか!
あなた方は私達の数個小隊を敵大隊の囮にし、手薄になった北東に過剰な戦力を集めていた。
始めから私達を捨て駒にするつもりだったのだろう!!」
イリーナは中将へ襲い掛からんばかりに身を乗り出した。尋問官がそれを羽交い絞めにする。
「なるほどな」
中将が1人頷く。
「デコイに使われた恨みで、我が軍の邪魔をしていたわけか」
「私だけではない、死んでいった仲間達の無念もだ。あなたには理解できない事かもしれんがな」
イリーナが中将を睨み上げながら答えた。
「貴様!先程から中将殿になんたる口の利き方だ!!」
将校達が銃を構えるが、イリーナは中将を睨んだまま微動だにしない。
それを嬉しそうに見下ろし、中将が手を翳した。
「なに、構わん。このぐらい気の強い女軍人がおってもよかろう。
……さて、ところでイリーナ。君がなぜ戦場で射殺されず、こうして尋問を受けるかわかるかね」
その言葉に、初めてイリーナの目の鋭さが翳る。
「ふん。仲間の居所か、アジトの場所でも聞き出すつもりだろう?」
「そんな事はどうでもいい」
「なっ……!?」
中将に言葉を流され、イリーナが狼狽を示した。
「それは君よりも、他の構成員共に吐かせた方が楽だ。君を捕らえたのは、謝罪と誓約をさせるためだよ」
中将は美しく整ったイリーナの顎を持ち上げる。
「謝罪と、誓約……?」
「いかにも。軍を裏切ってすみません、これからは軍のために私の身を捧げます、とな。
無論、身を捧げるとは文字通りの意味でだ」
中将、そして四隅に座る将校達がイリーナにぎらついた目を向ける。女を食い物にする雄の目だ。
誇り高いイリーナは恥辱に頬を染めた。
「どこまで腐りきっている……!謝れだと、謝るのはそちらの方だ、死んだ部下を返せッ!!」
イリーナが憤怒の形相で叫ぶが、彼女に臆するものはいない。
「我々とて、貴様のような女が簡単に転ぶとは思っていない。だからこその尋問だ。なぁ」
将校達が尋問官の肩を叩く。
「そういうこと。ま、こっちもプロだからね。観念しなよ」
尋問官はイリーナの肢体を眺め回し、待ち遠しそうに笑った。
(なんだよこれ、無茶苦茶だ……!こんなのが軍の幹部だっていうのかよッ!!)
エルノは怒りで腰に当てた手を握りしめる。隣に座る少将が横目にそれを見つめていた
「さて、と。じゃあ皆さん、とりあえず彼女をうつ伏せにして下さい。尻は高く掲げる形で」
尋問官が命じると、将校たちはイリーナの身体を床に寝かせる。
見事な臀部とスカートから覗く脚線が露わになった。
「おお……よく鍛えられて、これは……!」
男達は誰からともなくその下半身へ触れ始める。イリーナが眉を顰めた。
「それは何をしておるのかね?」
中将が尋問官の手元を見ながら訊ねる。尋問官はブリキのバケツに水を汲み、その中に透明な薬液を溶かし込んだ。
そして風船のようなゴム球が3つ付いたチューブを取り出す。
「浣腸の準備ですよ。気の強い女を服従させるには、何といってもコレが一番なんです」
浣腸。その言葉に将校たちが目をぎらつかせ、イリーナが表情を強張らせる。
「い、いやっ!!」
イリーナが叫ぶと尋問官がその顔を覗きこむ。
「尻から水入れられて糞をぶちまけるのは嫌かい?だったら、
『逆らってごめんなさい、こんな私でよければ、身体を好きにお使い下さって結構です』
と皆さんにお願いするんだ」
尋問官の言葉に、イリーナは顔を背けて拒否の意を示す。
「ノーか。まぁ、そうこなくっちゃな」
尋問官は嬉しそうにイリーナの背後に回った。
そして彼女のスカートを捲り上げると、その下のショーツもずり下げる。
イリーナの白い臀部が露わになった。
中心には、皺の放射状に並んだ肌色の窄まりが隠れている。尋問官はそれを両の親指で押し開いた。
「色素も薄くて綺麗な形をしている、とても排泄の穴とは思えないな」
「い、ひぃっ!!」
尋問官が指に油をつけてゆっくりと菊の輪を擦ると、イリーナは声を上げて背を仰け反らせる。
「うん、可愛い声だ。真面目で実直なイリーナ中尉は、本来なら一生こんな所を触られる事のない人生を送ったんだろうにな」
尋問官はイリーナの反応を楽しみながらたっぷりと油を塗りこめ、チューブを手に取る。
そしてチューブに付いた3つのゴム球のうち、最も大きなものをイリーナの尻穴に押し当てた。
「ぐっ……!?」
イリーナは尻の穴に何か触れる感覚を必死に堪える。
ラグビーボールの形をしたその風船は、尋問官の押し付けと油の潤滑でぬるりと奥へ入りこむ。
風船が根元のストッパー部分だけを残して全て埋まると、尋問官は別のゴム球を強く握りこんだ。
その瞬間、イリーナの体が強張る。
「っ!?何だ、肛門の中で、膨らんで……!?」
「新鮮なもんだろ、お尻の中を拡げられるのは。今、腸の中でゴム風船が膨らんでるんだぜ。
これが膨らんじまったが最後、もうどんなに息んでも追い出すことはできねぇんだ」
尋問官の言葉に、イリーナが歯を食いしばりながら腹部に力を込める。
しかし一瞬の後、すぐに息を吐き出した。
「ほら、もう無理だ」
尋問官はさらに一度ゴム球を握りこみ、膨らませてから手を離した。
「面白い道具だな。まだ一つ風船のような球があるが、それを押すとどうなるんだ」
中将が聞くと、尋問官は笑みを浮かべながらチューブの先を水の入ったブリキバケツに浸す。
「まあ、やってみれば解りますよ」
尋問官が言いながらゴム球を押し込むと、バケツの水の中で気泡の生まれる音がした。
と同時にイリーナが声を上げる。
「く、つ、冷たいっ……!!貴様、私の腸に何を入れている!?」
「と、言うわけです。このゴム球を一度握れば、バケツの中の水が彼女の腸内に流れ込む」
尋問官はそう言ってさらに何度もゴム球を握りこみ、イリーナが息を呑んだ。
「コレのいい所は、じっくりと時間を掛けて少しずつ、好きなだけ浣腸できる事です。
あまりやりすぎると腹が破裂してしまいますが、その限界まで、様子を見ながら一押しずつ。
浣腸しながらも流れ込む管以外は塞がれているので、絶対に漏らせません。
時間を掛けて屈服させるにはもってこいなんです。
ちなみに、バケツの中には便意を呼び起こすグリセリンが溶かしてあります」
尋問官がそう言う間にも、何度も水を送り込まれたイリーナはその未知の感覚に震えていた。
歯の根が合わない、という様子だ。
「さぁ、まだまだ入っていくぞ中尉殿。どこまで我慢ができるかな」
尋問官はさらにゴム球を握りこみながら、他の将校達を振り仰いだ。
「どうです、皆さんもこの女の腹に水を流し込みませんか。ホンの一握りするだけですよ」
「楽しそうだな。どれ」
陸軍大佐がそのゴム球を受け取り、強く握りこむ。イリーナの腸に勢いよく水が噴き出した。
「うぐ……っ!」
「ほう、鳴きおるわ。これは愉快だ」
「俺にもやらせてくれ」
代わる代わるゴム球が手渡されていく中、腸に水を湛えたイリーナは、ただ歯を食い縛って耐え忍ぶしかなかった。
「うく、く、苦し、い……!」
10度ほどゴム球が握り回されたところで、イリーナが小さく呻く。
尋問官がうつ伏せになった彼女の前を肌蹴た。白い下腹部が膨らんでいるのがわかる。その中からはぎゅるぎゅると低い唸りが響いていた。
「だんだん腹が膨れてきたな。中で大量の水が渦巻いてるのが解るだろう」
「あ……は、あっ……!!」
尋問官が腹を撫でると、イリーナが苦しそうに顔を歪める。
「どうだ、出したいか?出したければ許しを請え。惨めったらしくな」
将官達がゴム球を握りこみながら笑う。イリーナは床につけた頬を捻って彼らを睨みあげた。
「誰が、許しなど!謝るのはそちらの方だ……!!」
「なるほど、気が強い。だが抵抗するとますます苦しみが長引くぞ」
将官達がさらに液を流し込み、イリーナは歯を食いしばって呻きをあげる。
それが幾度も繰り返され、やがてどれだけゴム球を握りこんでもチューブに液が逆流するようになってしまった。
容量一杯と見た尋問官は、チューブの根元をコックで止めて流出を阻む。
「うぐぐぐ、ぐふうんぐうう……!!」
髪を掴んで引き起こされたイリーナの腹は、妊娠何ヶ月目かのように歪に膨らんでいた。
「2リットルは入っただろうな、腹がちゃぷちゃぷいってるぜ。どうだ?苦しいだろう」
そう問われ、イリーナは荒い息のまま薄目を開ける。
眉は垂れ下がり、下唇は噛み締められ、普段の顔からは考えられない弱気な表情だ。
「ほう、いーい表情だ。勝気な女性の見せるこの顔は堪りませんな」
「どれだけ戦場で雄雄しくいようとも、糞がしたくてたまらないだけでこの顔になる。脆弱なものだ」
将校たちは口々にイリーナの顔をなじった。
「く、うう……ふ、ふん、鏡を見ろ。貴様らの好色面の方が、よほど見るに耐えんぞ」
イリーナが気丈に切り返しても、軍服の前を肌蹴たまま尻に栓をされる状況は変わらない。
「何とでも言え、女」
将校たちはイリーナの軍服の胸元に手をかけ、力任せに引き千切る。
イリーナの前身が完全に露わになった。手のひらでは到底掴みきれないほどの見事な乳房が零れだす。
「見事なものだ。合同訓練の際に何度か目にしたが、軍服を着ていてもこの大きさが分かったよ」
陸軍大佐が興奮気味にその乳房を鷲掴みにする。
イリーナが小さく声を上げると共に、その腹部が激しく鳴り始めた。
「ふぐううう、う!!」
「ほう、胸が感じるらしいな。20代も後半に差し掛かろうという歳で戦争に身を捧げる女は、
性欲が溜まっているのか?」
男達が乳房を揉みしだきながら詰った。
「本当に良い表情になってきたな。どれ、乳を揉みながら、じっくり観察するか」
中将が苦悶に満ちたイリーナの顔を眺めて言う。
そこからイリーナは、排泄を必死に堪えながら男達に顔を覗きこまれ続けた。
羞恥に顔を伏せても、顎を掴んで無理やり前を向かされる。
イリーナは全身に凄まじい脂汗を掻き、後ろ手に縛られたまま腰をくゆらせた。
その乳房を女の扱いに慣れた将校達が嬲る。
ある者は膨らんだ腹部を残酷に揉みしだいた。
その刺激でイリーナは、真っ赤にした顔を崩さざるをえない。
「はぁ、ああああ、あぐっ、うう、ああぐう、はぁ、はぁああ……っ!!」
イリーナの口が大きく開き、その口の端から涎が垂れる。
それは陸にいながらにして溺れているような有り様だ。
「苦しいか?服従するならすぐに楽になれるぞ」
「はぁ、はぁ……だ、誰が……!このぐらい、何時間でも耐えてみせる……!」
「そうか、ならば何時間でも耐えてもらおう」
イリーナの負けを認めない姿勢は、ますます男達の嗜虐心を煽り立てた。
「や、やめ、ろぉ……!!」
膨れた腹を掴まれ乳首を摘まれると、イリーナの眉が垂れ下がる。
地下には腹の鳴る低い音が響き続けた。女の生々しい呻きもそれに重なった。
イリーナの汗まみれの顔から血の気が失せ、目も虚ろになった辺りで尋問官が立ち上がる。
「限界のようです。これ以上はこの後の調教に差し障ります」
尋問官がイリーナの尻の下にブリキのバケツを置き、チューブについたボタンを押す。
しゅうっと空気の抜ける音と共に肛門のゴム球が萎んでいく。その直後だ。
「あああああ゛っ!!見るな、見るなあああぁぁぁあっっ!!!!」
イリーナの叫び声が終わらぬ内に、柔らかくおぞましい音を立ててバケツに黄色いものがぶち撒けられる。
「おうおう、細い体でまた大量に出るもんだ。収容所じゃ勝手な用足しが禁止されてるらしいからな。
数日分のクソってわけだ!」
「あれだけ水を流し込まれて我慢したのを解放してるんだ、気持ち良いだろう。
どうだ?この人数の前でクソをひりだすのはどんな気分だ、中尉!」
男達のなじりを受けながら、イリーナの排泄は続く。
後ろ手を縛られた蹲踞の格好で、1人に顎を持ち上げられ、その時の顔を見られながらだ。
「いやぁ、ああああああ゛!!……とまらない、どばらないい゛……!!!!」
イリーナは細く涙を流し、口を開けながら腸に溜まった水を勢いよく放つ。
妊婦のように膨らんでいた腹がへこんでいき、引き締まった腹部が表れてくる。
側筋の浮いた腹は豊かな胸によく似合った。
長い長い排泄だった。何度もバケツの淵に飛沫を上げながら、窄まりを一杯に開いて噴き出していく。
ようやく全てを出し切った時、イリーナは床にへたり込んでいた。
「う、ぐぐ、く……ゥッ……!!」
その汗まみれの顔は射殺すように将校達を睨み据える。
将校たちは勝ち誇ったように見下ろしていた。
「無様な姿だったな、イリーナ中尉。美しい君が大量のクソをひり出す光景は、生涯私の脳裏に刻まれたままだろう」
中将が満面の笑みを浮かべて告げると、イリーナは弱りきったような顔のまま、力なく項垂れる。
ぎりりっ。
かすかに歯軋りの音がした。音を立てたのはエルノだ。
彼の指は静かに胸のポケットに触れ、その内側にある拳銃を指でなぞった。
(まだだ……まだ、だ)
エルノは息を整えながら拳銃から指を離す。
怒りに震える彼の前では、尋問官に担ぎ上げられたイリーナがまた新たな責め苦を受けようとしていた。
※
イリーナは分娩台に酷似した開脚台に手首・足首を繋がれた。
格好は前を大きく肌蹴られた軍服の上衣と、恥毛の上にたくし上げられたスカート、そして腿までのガーターストッキングだ。
秘部は大きく開脚したまま男達の好奇の視線に晒されている。
そのような屈辱的な状態に置かれながらも、イリーナの目はなお軍人らしい凛とした光を放っていた。
「いい絵だな。毅然とした顔に浅ましい格好……最高だ」
尋問官が楽しそうに言いながら、イリーナの秘部にライトを向ける。
開かれた割れ目が奥のほうまではっきりと見えるようになった。
さらには彼女の全身を捉える形でビデオカメラまでがセットされる。
「ほう、撮影するのかね」
中将が問うと、尋問官はよくぞ聞いたとばかりに微笑む。
「ええ。これからする責めは、女をそれはそれは恥ずかしい姿にしますから。映像に残す価値はありますよ、と」
カメラとライトを微調整した後、尋問官は嬉しそうに警棒のようなものを手にする。
「さて中将殿。これから自分が何をされるのか、理解しているか?」
棒をイリーナに見せ付けながら尋問官が問うた。
怒りに目を剥いたイリーナが鼻で笑う。
「電気責めだろう。たとえ焼き殺されようとも、断じて貴様らの言いなりにはなら……」
そう言いかけたイリーナの脇腹へ、尋問官がおもむろに電気棒を押し付ける。
「ぎゃあうっ!?」
イリーナの肩が跳ね、目が白黒と彷徨った。
「そうだ、電気責めだ。電気責めは素晴らしいぞ。電流を抑えて適度に電圧をかければ、
外傷を一切与えることなく苦痛だけを感じさせる事が出来るんだ。
感電死なんて楽はさせないぜ。死どころか気絶すらできない、しかし痛くてたまらない電圧を使う。
じっくりと、とろ火で炙るように調理してやる」
軽く息を乱したイリーナを眺めながら、拷問官は告げる。
尋問官はまず、慣らしと言ってイリーナの膣と肛門に弱電圧を流した電気棒を挿入し、30分ほどかけてゆっくりとピストン運動を施した。
時に陰唇やクリトリス、尿道孔など周辺にも刺激を与えながら、イリーナの性器を電気に慣らしていく。
「ああああ……あ、ふああぁああうう……!!」
気持ちいいのだろう。イリーナは亜麻色の髪を台に擦りつけ、白い顎を晒しながら細かに震わせている。
「中将殿はよっぽど男日照りだったのか?えらく感じまくってるな」
周りから野次が飛ぶとすぐに顔を引き締める。
だが尋問官が秘部から引き抜いた電気棒には相当な粘度の愛液が纏わりついており、それを鼻先に晒されると口を噤むしかなくなってしまう。
「はぁっ、ん、ふんんんん……!っは、ゥん……うんん、あぁ」
イリーナの艶かしい喘ぎがビデオに収められる。
乳輪は収縮して盛り上がり、乳首は尖って上を向き始める。
クリトリスも色づき始め、イリーナから女の匂いが漂い始めた辺りで尋問官は手を止めた。
「さぁて。いよいよ本番だ」
「あああああーーーッ!!あッアっ、はあッ!く、ひいいあぁあああ゛あ゛!!!!!」
ビデオカメラは女の狂乱する顔を捉えていた。
それは映写機を通じて尋問室のスクリーンに大きく映し出される。
女は目鼻立ちの整った涼しげな美人であろうと窺えた。
しかしその美貌は、目を見開いた次の瞬間には涙混じりに細められ、鼻水に塗れてグズグズになっている。
天を仰いだ口からは、だらだらと絶え間なく涎を流しつづけている。
「ははは、凄い顔だぞ!糞を我慢している時も傑作だったが、ここまで崩れるとはな!」
スクリーンの映像を見て、将校たちが口々に笑いあった。
イリーナの両耳と乳首、クリトリスは鰐口のクリップで挟み込まれ、膣と肛門には深々と電極棒が埋め込まれている。さらに脇腹や内腿にも無数の電極が取り付けられている。
そんな状態で電流を流されるのだから堪ったものではない。
コードにまみれたそのえげつなさは、紛れもなく拷問のそれだった。
一旦電流が止められ、海老反りになっていたイリーナの体がどすんと台に落ちる。
「あッ、あ……あッあッ、んうッあァ……はぁッ、はぁあッ……!!!」
イリーナは小刻みに喘いだ後、肩を震わせて大きく息を求めた。
「何だ、まだ10分ほどしか経っておらんぞ。これが我が国の陸軍中尉を務めていた女かね。
いささか鍛錬が足りんのではないか」
「お恥ずかしい限りです。しかしこれで照明されたでしょう、この女は戦地に置いても駄目です。
潜水艦にでも放り込んで、兵士の慰安に充てるのが関の山かと」
将校たちの蔑みの発言に、イリーナが怒りを露わにする。
しかしまた電流が流されたことで、その身体は大きく仰け反りながら痙攣を始めた。
「貴様っ……あッ、ううああああああ゛!!!!あああああう、あッ、うくぅはあああ゛あ゛っあぐ!!!」
スクリーンに白目を剥いて大口を開ける表情が映し出される。
絶叫が、彼女の身体を駈け巡る電流の激しさを表していた。
電流はイリーナの白い腹部や内腿の随所を震え上がらせ、ほっそりと伸びた手足の先に至るまで小刻みな痙攣を及ぼしている。
エルノはその光景を悪夢のように感じていた。
気高く美しく、自分の軍人としての理想であったイリーナが、踏みにじられていく。
「どうだね、エルノ」
隣に立つ少将がエルノの肩に手を置いた。
「かつての上司なのだろう、あの女は?一時でも“あれ”の下で動かされていた気分はどうだね。
男としてやり切れなかろう。見たまえ、まるで家畜だ」
少将はスクリーンを指す。そこにはイリーナの腹部が映し出されていた。
ライトに照らされた白い腹は汗で油を塗ったように光っている。
豊かな乳房と引き締まった腹が濡れ光る様は異様にエロチックだったが、エルノは心臓を突き刺されるようだった。
カメラがさらに下を映すと、将校達から歓声が上がる。
映ったのは大きく開かれたイリーナの秘部だ。
2穴に電極棒を呑み込んだそこからは、夥しい量の液が漏れて開脚台の座部を滴り落ちていた。
「おや、失禁しているのかね」
「いえいえ、それだけじゃありませんよ」
尋問官が膣に入った電極棒を静かにゆっくりと抜き取り、中を開いてみせる。
開かれた秘裂はずぶずぶに濡れそぼち、奥から新たな愛液が溢れて床に滴り落ちていく。
「おおお、いやらしく濡れておるわ!あの電流で感じてしまうとは、どうしようもない淫売だな!!」
「うむ、しかし凄い匂いがするものだ、男を誘う女の香だな」
将校たちになじられ、イリーナはいよいよ顔を赤く染め上げて顔を背けた。
尋問官が笑いながら補足する。
「感じている訳ではないんです。全身を巡る電流で脳の神経がやられて、
小便や唾液、愛液といった体液が垂れ流しになってしまうんですよ。
さっき浣腸をしたのも、下痢便を漏らされちゃあ敵わないからです。
でも感じてないとはいえ、体液垂れ流しのこの姿、精神的にかなりきつい筈ですよ」
尋問官はそう言って、イリーナのあられもない姿をスクリーンに映し続ける。
「どうだ、恥ずかしかろう。謝罪するか?軍の性欲処理道具になると誓うか?」
中将が顔を覗きこみながらイリーナに問うた。
「こ……断る……っ!!」
イリーナは汗まみれの顔のまま首を振る。中将が尋問官に合図をした。
「ぎいゃああああああッあ、あうっぐああぃあああっはあぁぁあああああッ!!!!」
イリーナの身体が反り返り、汗を飛び散らせる。豊かな乳房が上下する。
その美しい体を眺めながら、尋問官は笑った。
「長期戦でいきましょう。この失神できない電流拷問は、しばらく繰り返すと精魂尽き果てる。
体力がなくなってからあの拷問に耐えるのは、大変ですから」
その言葉に将校達も待ち遠しそうな笑みを浮かべる。
「だそうだ。楽しみだな、エルノ」
少将がエルノの隣で言った。
エルノは痙攣を続けるイリーナを見ながら、小さく喉を鳴らした。
電流責めはどのくらい続いただろうか。窓のない地下室では、時間の感覚は全く分からない。
責めを受けるイリーナには永遠にも近い時間に感じられただろう。
ようやく開脚台から下ろされた彼女は、その瞬間にがくりと気を失った。
伸びやかな肢体は湯上りのように火照り、汗に塗れている。秘部は開ききり、尻肉に到るまで愛液で濡れ光る。
将校達の目がイリーナのの恥じらいの部分に集まっていると気づき、尋問官が秘部に触れた。
「如何です、どなたかここを試してみませんか。気絶しているので膣も肛門も締まりがありませんが、
電気ショックの影響で中が痙攣しています。具合のよさは保証しますよ」
尋問官の言葉に将校達は顔を見合わせて囁きあう。
そんな中、中将が歩み出た。
「ならば遠慮なく使わせて貰おう。そろそろ辛抱も限界だったところだ」
中将はそう言ってチャックを下ろし、隆起した逸物を取り出す。かなりの大きさだ。
亀頭はイリーナの後ろの窄まりに押し当てられた。中将が腰を進めると、亀頭はずぐりとさしたる抵抗もなく沈み込む。
「ほう、確かに締まりが緩くなっておる。易々と入っていくわ」
逸物が根元までイリーナの直腸に入り込むと、中将はゆっくりと腰を動かし始めた。
「中将殿もお好きですな、いきなりアナルですか」
「若い頃に村娘を輪姦した時、使った事があってな。それ以来癖になっておるのだ。
あの時は貧相な娘の上、腸奥に何か詰まっておって全て入りきらんかったが、これはいい」
「なるほど。まあ中将殿のご立派な物は、後ろでないと長さが入りきらんのでしょうな」
将校達が騒ぎ立てる。
尻穴に抜き差しをされながらも、気絶したイリーナが気がつく気配はない。
うつ伏せのまま抽迭に合わせて床に身体をこすり付ける。
「ふむ。中々良いが、締まりが足らんな。おい君、目を覚まさせてやってくれ」
中将が命じると、尋問官がバケツに入った水をイリーナの頭に浴びせかけた。
「げほっ、げほっ……あ、ああう、い痛いっ!?何、おしりが痛い!!」
気がついた瞬間、括約筋が戻ってイリーナが悲鳴を上げた。
「おお、締まりおる、締まりおる。菊輪が根元にぎちぎちと食いついてきて痛むほどだ」
中将が歓声を上げながら腰の振りを大きくした。
「く、う!!はぁ、はぁ……し、信じられん、そこが何の穴か解っているのか貴様っ!!」
イリーナは目を吊り上げて中将に叫ぶが、手足は力なく床を叩くだけだ。
「全身が痺れて身動きが取れないだろう。抵抗も出来ずに糞の穴を犯される気分はどうだ?」
中将が楽しげにイリーナの腰を掴み、剛直を叩き込む。
「痛いっ!!やめろ、早く、早く抜けぇっ……!!」
イリーナは目から薄く涙を零しながら力なく訴えかけた。
それは彼女がこの4年掛けて守ろうとした、強姦される無力な少女の姿そのものだった。
尻穴を無抵抗に犯される様を、将校達が楽しそうに見下ろしている。
イリーナはどうしようもなく、口惜しさに歯を噛み締めて泣いていた。
どうしようもなく、ただ無力に……。
「もう……もう、やめろおおおおおっ!!!!!」
うら若い男の叫び声が響いたのは、その直後だった。
エルノが銃を構えていた。セイフティーは外れ、その銃口はイリーナを犯す中将を狙っている。
場が凍りついた。
「……どういうつもりだ、若造?」
中将は余裕の笑みでエルノを見やる。
エルノは震えた。自分でも己のしている事が把握できないでいた。
元々彼がここに来たのは、イリーナを殺す為だったのだ。
軍に反逆したイリーナは嬲り殺しにされるに違いない。ならばその前に、自分の手で殺そうと思っていた。
しかし出来なかった。代わりに何故かこうして、中将に銃を向けている。
「うああああ!!!」
もう退けない、せめてこの悪の根幹と相打ちになろう。エルノは覚悟し、銃の引き金に力を込めた。
しかし次の瞬間、銃を握っていた右手が弾け飛ぶ。
痺れるような痛みと共に銃が宙を舞い、乾いた音を立てて床に転がる。
「あっ、ぐ……!!」
エルノは右手を押さえて呻いた。その瞬間、今度は左足首の腱を鋭く切り裂かれる。
「うう!!」
エルノが左に顔を向けると、少々がサーベルを凪ぐ形で構えていた。
腱を切ったのは少将で、銃を弾き飛ばしたのはその奥の大佐らしい。
エルノは立っていられずに地面に膝をつく。
「ご苦労、少将」
中将が笑みを浮かべた。それに一礼を返し、少将が膝をついたエルノに語りかける。
「お前がこうする事は解っていたよ、元第3小隊のエルノ」
その言葉にイリーナが目を見開いた。
「エル……ノ……?」
イリーナは遠くで顔を顰める青年を見つめる。懐かしい髪の色、顔の造り。
随分と精悍になってはいるが、紛れもなくあの時の少年だ。
「…………エルノ、エルノッ!!!」
イリーナは叫びながら青年に手を伸ばした。しかし中将に組み敷かれ、その手は届かない。
「イリーナさ……!!」
エルノも将校達に床に押さえつけられ、呼びかける言葉を途切れさせる。
「安心しなさいエルノ。お前を殺しはしない。お前は、その特等席で見ているといい。
己のかつて従った隊長がどうなっていくのか。軍に従えなかった者の末路はどうなのか。
すべて見届けるんだ」
少将がそう告げると共に、イリーナの呻き声が響き始めた。
中将が尻穴への突き込みを再開したのだ。
「あっ、あぅ、あぁッ!!エ、エルノお願いだ、私を見ないでくれ。私のこの声を聞かないでくれ!」
イリーナが金色の髪を振り乱してエルノに懇願する。
床に押さえ込まれたエルノが目を背けようとすると、その鼻先の床をサーベルが叩いた。
「見たまえ、エルノ。目を瞑ったり背けたりすれば、その不要な瞳を抉り出す」
サーベルの剣先が目袋をなぞり、エルノは震えながら顔を戻す。
イリーナが悲しげに目を細めた。
※
「ん……ん、んはっ、はあ、あん……んン!!うん、あっ、ああッ……!!」
尋問室には女の艶かしい呻きが響いていた。
女――イリーナは這い蹲った格好のまま手首を拘束され、背後から犬のように犯されている。
「すげえや。ガキの頃から田舎で色んな女とヤッたが、こんなに具合のいいのは初めてだぜ!」
イリーナを後ろから犯す男が言った。階級章を見る限り伍長だ。
「そりゃあ、よく鍛えてるからだろう。それによ、何しろ誇り高い中尉様だぜ?
そんなご立派な方を犯せるってだけで、愚息がおっ勃っちまうよ」
上等兵らしき男が射精を終えた逸物を弄くりながら言う。
「全くだな。しっかし、いきなり尋問室へ来いなんて少将に呼ばれた時は驚いたが、
こんないい思いできるなんてな。レーションは不味いが、この軍で働いてて良かったぜ」
「にしても、すげえ精液の量だな。いつから輪姦されてるんだ、この中尉サマは」
「さあな。まあ、今日が初めてってわけじゃあるまいよ……おお、締まってきた」
伍長が腰の角度を変えると、イリーナの喘ぎ声が一段階上がる。
「ふあああああ!!!」
伍長は構えた自分の腰にイリーナの腰を擦りつけるようにして浅くじっとりと結合していた。
イリーナの内腿が強張り、足の指が快感に開いて踏みしめられる。
「しかしお前、うめえな。中尉殿も相当感じてるんじゃねえか」
男たちが伍長の腰遣いを褒める。伍長は誇らしげに腰を突き出した。
「伊達に田舎生まれじゃねぇよ。娯楽といや女を抱くばっかりだったからな。
今はほれ、Gスポットをゴリゴリと愛してやってるんだ。声がすげえだろ?
子宮は下がってきてるし、愛液は逸物を包んでくるしでもう感じまくりだな」
伍長のその言葉を裏付けるかのように、イリーナは口を開き、その端から涎を垂らしていた。
「うう、いく!出るぞ!!」
伍長がイリーナの腰を強く掴み、奥まで突きこんでから動きを止めた。
陰嚢が収縮しており、中に大量に射精している事が解る。
「いや、あ……中に、は、入って……くる……!!」
イリーナはもう何度目か解らない膣奥への中出しに眉を垂れた。
長い輪姦が終わると、イリーナは拘束服を着せられて収容所の檻に入れられる。
隣の檻には、同じく拘束服を着せられた青年がいた。
「エル……ノ……!」
イリーナは乾ききった声で青年を呼ぶ。
「イ……リーナ……さん」
エルノもやつれた顔でそれに応えた。
2人は、鉄格子に阻まれ、手足の自由もないまま、舌だけを絡ませて朝まで愛を交わし合う。
イリーナの舌には他の男の精液が絡みついているが、それでも僅かな時間を愛おしむ。
朝までの、僅かな時間。
次の朝、イリーナはまた別の男に犯され、目を蕩けさせては首を振って振り払う。
しかしそのサイクルは次第に短くなってきている。
手足に包帯を巻いたまま、エルノはそれをただ見つめていた。
足首からは血が流れ、首元にはサーベルの刃が当てられている。
尋問官が体力の尽きかけたイリーナへ与えた最後の拷問。それは快楽拷問だ。
女に飢えた兵士達を使って好きなだけイリーナの身体を使わせる。
飢えた男達に辱められ、尋問官たちによって穴という穴を開発されていく中で、イリーナはやがて快楽を自然に受け入れるようになっていく。
人は苦痛には死ぬまで耐えられても、快楽には耐え切れない。
「ほらどうした、イクんならイクって言えよ!?」
少佐の階級章をつけた男が抱きかかえたイリーナを突き上げる。
「い、いくっ、ああっ、んうあああああいぐうぅうううっ!!!」
イリーナは天を仰ぎながら、叫び声を上げた。
彼女はやがて潮を噴き上げ、エルノの頭上に浴びせかけていく。
( あの日の雪みたいだ )
エルノは思った。
体が、ひどく寒い。
END
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静かに雪の降る夜だった。
冷やかな夜空の下、銃口は凍りつき、そして仲間一人一人の心臓もまた凍り付いていった。
「アルマンド、アルマンド!!目を開けろよ、こんな所でくたばるのかよ、おいっ!?」
幼さの残る少年が、足のない男を抱いて叫ぶ。
アルマンドというその男は、小隊において少年の兄のような存在だった。
作戦がうまくいけば髪を撫でてくれ、誕生日には必ずプレゼントをくれた。
「エル……ノ……幸せに、なれよぉ……」
男は少年の手の中、つらそうに目を閉じ、項垂れて二度と動かなくなる。
「っ!!!」
少年――エルノは義兄の死を察し、唇を固く結ぶ。
「……アルマンドも、逝ったか」
暗闇の陰から女の声がした。エルノはそちらにゆっくりと目線を向ける。
ショートブロンドの髪を持つ美女がいた。
年は20代前半だろう、ロシア系の透けるような白肌に、軍服越しにも解る女性らしい体つきをしている。
しかし鼻筋の通ったその美貌は擦り傷と泥に塗れ、目は軍人らしく鋭い光を放っていた。
「はい。……たった今」
女の質問に少年が答える。
暫しの沈黙があり、彼女――小隊の長であるイリーナは大きく息を吐いた。
40人と1人の小隊も、これで残るはあと5人だ。
「……見捨てられたのだろうな、私達は」
少年がイリーナの言葉に驚愕の表情を見せた。
敵軍との雪原戦が始まり、一週間。
本来の作戦通りであれば、とうに援軍が敵の背後から迫り、挟撃で決着がついている筈だった。
だがいくら待てども援軍はおろか補給すら来ない。
無線で要請を出しても歯切れの悪い答えが返ってくるばかり。
戦況の芳しくない地域で孤軍奮闘するイリーナ隊が見捨てられた。
それはもはや疑いようのない状況だった。
退路も弾薬も断たれて戦い続けるイリーナの小隊は、敵軍に包囲されたまま、一人また一人、銃弾や寒さに倒れていく。
「このままじゃ埒があかねぇ。一か八か闇に乗じて突っ切りやしょう、中尉!」
小隊軍曹であるアントニーがイリーナに告げる。
「しかし、軍曹……いや、危険などとは言っていられないか。ここにいても死ぬ事は変わらない」
イリーナの答えに、アントニーが頷いた。
この2人の付き合いは長い。
イリーナが分隊の指揮をまるで知らぬ小娘であった頃から、場数を踏んだ下士官であるアントニーが彼女の補佐に回っていたのだ。
当時は侮られていたイリーナも、今ではアントニーの強い信頼を得ている。
アントニーに限らない。エルノも、死んでいった仲間達も。
小隊の者は皆、イリーナを頼れる姉として、或いは気の強い妹として心から慕っていた。
「……っ! 俺が殿を勤めやす、中尉達は先に!」
闇の中に敵影を見つけ、アントニーがまだ銃身の凍っていない小銃を構えて告げる。
他の2人の隊員もイリーナ達の傍に並んだ。
「中尉の身は俺達が身体張って守りますんで、中尉はエルノの奴を守ってやって下さい。
まだ小さいんだ、せめて恋ぐらいしてから死なせてやりたい!」
そう言ってイリーナを闇の中へ押しやる。
「お前達……。……済まない…………済まない!!!」
イリーナは素早く踵を返すと、エルノを抱えるようにして雪の中を駆け出した。
「待ってくれ、3人じゃ無茶だ!アントニー! レスター!! フィリッーツ!!!」
エルノが必死で兄達を呼ぶ中、彼らは背を向けたまま手を翳す。
立て続けに掃射の音が鳴り響いたのは、その数秒後の事だった。
夜を徹して雪山を駆け下り、凍った川を走って、イリーナとエルノは小さな小屋に逃げ込んだ。
途中何度か銃声を聞いたが、タイミングよく出た霧で敵を撒くことが出来たらしい。
周囲から見えない場所である事を確認して暖炉に薪をくべ、凍りついた身を暖める。イリーナの手で長椅子に寝かされたエルノは、疲れから高熱を出して寝込んでしまった。
どのくらい経ったのか、エルノが目を覚ますと、額に濡らした服の端切れが置かれていた。
毛布のかかった腹部にはイリーナが倒れるように突っ伏している。
隈のできたその目元からは、彼女が眠りもせずに見張りと看病をしてくれていたのがわかった。
「……うむ、眠ってしまったか」
エルノがイリーナに毛布を掛け返すと、彼女が目を覚ます。
「お前もようやく目が覚めたらしいな、エルノ。寝続けて腹が減っているだろう。
野菜とレーションがいくらかある、スープでも作ろう」
イリーナはそう言って流し台に行き、土のついたジャガイモを洗い始めた。
「……皆は、あの3人はどうなったんでしょうか」
エルノは俯きがちに言った。
「解らない。しかしあの状況で、生きていると思うべきではないな」
「そんな!上手く逃げ延びてて、今にこの小屋に来るかもしれないじゃないですか」
「来ない」
イリーナは冷たく言い放つ。
「たった一夜で、どうしてそんな事が!」
「……一夜ではないんだ、エルノ。おまえはもう3日も寝込んだままだったんだよ」
「え?」
「3日だ。それで来ないなら、もう期待はできない。敵も来る気配がないのが、せめてもの救いだ」
ナイフで人参の皮を剥きながら、イリーナは淡々と語った。
エルノは絶句し、叫びを上げようと口を開いた。しかしふと、小隊長であるイリーナ自身の悲しみを思い、その叫びを押し殺す。代わりに涙が溢れた。
「おまえは優しいな。エルノ」
イリーナも野菜を切る手を止め、かすかに肩を震わせる。エルノは長椅子を降り、その背中を撫でた。小隊で寂しがっている者が居た時、誰かがやった事だ。
するとイリーナは急にエルノの方を振り向き、痛むほど強く抱きしめた。
「…………おまえは、よく死なずにいてくれた。小さいのに、よくぞ、生き残っていてくれた……!!」
その夜、エルノは15にして初めて女を知った。
誘ったわけではないし、誘われたわけでもない。
しかし死線を抜けた男と女、例えそれが上司部下や義姉弟の間柄にあったとしても、求め合うのは自然なことに思えた。
エルノは床に敷いた毛布の上に腰掛け、イリーナがその足元に屈みこんで逸物を口に含む。
イリーナは頬を赤らめながら、必死に口を窄めていた。
「すまないな……不慣れなんだ。こういう事は」
イリーナが言う。初体験であるエルノには、それが不慣れなのかどうか判別できない。
ただイリーナの口内はぬるりとして暖かく、やけに情感を煽る。
何より、憧れの人であったイリーナに性器を舐めしゃぶられている、という夢のような事実が、彼の下半身にたちまち血を漲らせた。
「凄いな……子供でもこんなに大きくなるのか」
イリーナが口から抜き出した逸物を見て呟く。エルノは少し恥ずかしく、また誇らしくもあった。
「こ、今度はぼくの番です。僕が中尉を気持ちよくして差し上げます」
エルノが体を入れ替え、イリーナの脚の間に頭を差し入れて言う。
イリーナは少し恥ずかしそうに身悶えた。
「うっ!えぇと、な。風呂に入れていないから、ほんの少し匂うかもしれない。無理にしなくていいぞ」
イリーナが言う通り、エルノが初めて嗅ぐ女性器は強い香りがした。
いい香りかといえば明らかに違う。ワインと一緒に供されるチーズのような芳香だ。
しかし血と硝煙に慣れた鼻には新鮮な生々しさで、それがイリーナの物であると思えば、これほど性欲を煽る匂いは無かった。
「ぼく、この匂い好きですよ」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら、エルノはイリーナの秘部に舌を這わせた。
イリーナの秘部は初々しい桜色をしており、薔薇のように肉びらが重なり合っている。
「……うんんっ……」
ややぬめった襞に舌を這わせるとイリーナの腰が揺れ、割れ目の奥が強く窄まる。
割れ目の上、金色の茂みの中に小さな突起があり、そこに鼻先が触れると特に強く身悶えるようだ。
「気持ち良いですか、中尉?」
秘部に舌を這わせながらエルノが問うと、イリーナは少し困惑したような顔でエルノを見下ろした。
「……あ、ああ、とてもいい。子宮の奥が疼いてしまう。それに何だか……凄く、抱きつきたいんだ。
良いのかな、おまえにこんな気持ちを抱いてしまって」
「いいですよ。ぼくも嬉しい」
エルノは身体を起こし、イリーナの背を抱えて抱き寄せた。そしてその温かな身体を強く抱きしめる。
「ああ……!」
イリーナが心地良さそうに声を上げた。
心地が良いのはエルノも同じだ。イリーナの体は、その毅然とした態度とは裏腹に、骨がないのではないかと思えるぐらい柔らかかった。
いつか兄貴分だったアルマンドが言っていた「女の子の体は柔らかい」という噂を、エルノは憧れの女性の身体で確かめる事ができた。
「中尉。ぼく、中尉が好きです」
「そうか。だがエルノ……私はもう、中尉などではないよ」
「……え?」
アルトの見つめる先で、イリーナはぞっとするほど美しい笑みを湛えていた。
「イリーナだ。イリーナと、そう呼んでくれればいい」
「い、イリーナ、さん……好きです」
エルノは抱きついたまま、イリーナの身体と自らを擦りあわせる。
豊かな乳房が胸板に弾み、経験したことの無い快感が生まれた。
首筋に口付けすればイリーナが甘い吐息を零し、自分が快感を与えているのだと実感できる。
互いに抱きしめながら、エルノとイリーナは何度も秘部を擦りあわせた。
割れ目をなぞる様に何度も亀頭が滑り、ある時ずるりと中に入り込んでしまう。
ああ、と叫んだのは同時だった。エルノはその暖かく潤んだ中に、また新しい快感を見出した。
それに夢中になって腰を進めると、ある所で急にイリーナの背が仰け反る。
「い、ぎっ……!!!」
歯を食いしばり、眉を顰めてつらそうな顔をしている。ナイフで刺された時のようだ。
「イリーナさん!?」
エルノは相手の不可解な反応に狼狽する。自分はこれほどに心地良いのに、受け入れる方は痛いというのか。
エルノが焦って腰を引こうとすると、イリーナがエルノを腰を掴んで引き留めた。
「い、いいんだエルノ。女は、その、初めて……の時は、どうしても痛いんだよ。大人になる痛みだ。
ありがとう。おかげで私は今、本物の女になる事ができた」
イリーナは額に汗を浮かべながら、精一杯の笑顔を作る。
「初めて……ぼくが……」
エルノはそれが驚きであり、また嬉しくもあった。
「そうだ。さぁ、腰を動かしてみるぞ。心地良いだろう」
イリーナはエルノの腰にややのしかかる様にしながら、ゆっくりと腰を使いはじめる。
「ああっ、あそこが絞られるみたいで、凄いです!!」
エルノはうねるような締め付けに声を上げる。
イリーナは少年のあどけない顔に満足そうに笑いながら、何度も腰を使った。
時折りエルノの小さな上体を抱き寄せ、愛おしそうに口づけを交わす。
「ああ、イリーナさん、イリーナさんっ!!」
「エルノ、エルノっ!!」
2人は、何度も何度も結合し、やがて窓から朝日が照らしこむまで、覚えたての快楽を堪能した。
朝、イリーナはとろとろと眠りに落ちたエルノの頬に唇を触れさせ、静かに戸を開いて外へ出た。
エルノが目を覚ました時、部屋には誰もいない。
「中……あ、と、イリーナさん……?」
室内を見回すと、夕べのスープ鍋の横に一枚のメモが置かれている。
イリーナの字だ。そこにはこう記されていた。
『 私の最後の宝 エルノへ。
この小屋を山伝いに歩けば、我が軍の西方司令部に辿り着く。そこに向かいなさい。
あの激戦区から生還したとなれば、軍に重用して貰えるはず。エルノ、お前はそこで立派にお国の役に立つんだ。
私はこれより、自軍敵軍問わず銃を向ける反逆者となる。
軍に裏切られて死んでいった軍曹達の弔いをしなければならない。
だがそれは、私の小隊長としての勝手だ。お前はついて来てはいけないよ。
……一つ、頼みがある。
いつか私が殺されず捕らわれたなら、きっと激しい尋問を受けるだろう。
それによって、もし私が私でなくなった時には、どうか存在全てを忘れて欲しい。
勝手な願いで済まないが、宜しく頼む。
第1歩兵隊 B中隊 第3小隊隊長 イリーナ・アラルースア』
※
それから4年の月日が経ち、19歳になったエルノは西方司令部に勤務していた。
どこかあどけない面影も残っているが、背はすらりと伸びている。
彼はこの4年を苦悩と共に生きてきた。
戦火は依然収まることを知らず、それどころか緩やかに広範囲へ飛び火していく。それはまるで両国が領地を侵略しあうゲームをしているようだった。
戦争が長引くにつれ、軍のモラルは崩壊していった。当たり前のように敵軍の衛生キャンプを破壊し、無抵抗な村人を蹂躙し、そして味方さえも偵察隊と称して使い捨てにする。
思えばイリーナの隊を見殺しにしたあの頃から、その兆候が見えてはいた。
イリーナはいち早くそれに気付いていたのだろう。
(こんな軍の為に尽くすべきなのか?)
エルノは一日の終わりに必ずそう自問する。
司令部にいると時おりイリーナの噂が入ってきた。
彼女は両軍の脱走兵や民間の自衛団員を率い、正規軍による衛生キャンプの破壊や無関係な民間人への暴行を阻止して回っているらしい。
現地の者からは涙ながらに感謝されているようだが、軍上層部はイリーナをゲリラの首謀者と定め、その捕獲を各軍に命じていた。
奇妙なのは、ゲリラ扱いにも関わらず『標的の命は奪わず、拘束せよ』との命が発せられていることだ。
エルノは何度、イリーナの元へ助太刀に行きたいと思ったか解らない。だがその度にイリーナの書置きを思い出し、その思いを呑み込んだ。
ゲリラとなって復讐に身をやつすのは自分だけでいい。将来のあるエルノは軍で終戦まで生き抜け。
それがイリーナの最後の命令であり、死んでいった仲間達も同じ事を言うはずだった。
エルノは彼女や仲間達の為に、ただ死なないように日々を過ごす。苦しい日々だったが、エルノはその毎日がどうか終戦まで続いて欲しいと願っていた。
そんな願いを打ち砕くかのように、ついにある日、エルノは噂を耳にする。
「おい聞いたかよ。あの“イリーナ様”、南の方でとうとうとっ捕まったんだってさ」
「おっ、マジかよ。いやァしかし長かったなあ」
「ああ。大体このご時勢に、軍を抜けた中尉ぐらいで騒ぎすぎだよな。
何でも将官クラスの人間が何人も作戦に関わってたらしいぜ」
「そりゃあれ、名門アラルースアの生まれだし、しかも知ってっか?実物はすんげぇ美人なんだぜ」
「へぇ。じゃあ少将中将のジジイ共は、殺すのが惜しいから穴奴隷にでもしようってのかよ」
「殺すなっつってる所見ると、そうだろうな。しっかしかなり軍の邪魔してたからなあ、えらく辱められると思うぜぇ?」
「ひひっ、たまんねぇなあ!」
同僚たちが笑い転げる中、エルノは持っていたスープ皿を取り落とした。
反逆者・陸軍中尉イリーナの尋問は、西方司令部の地下尋問室で行われる事となった。
西方司令部は収容所と繋がるようにして建っており、他国の要人など特別な人間の尋問は司令部の地下で行われる。
壁に浮かぶ赤黒い染み、天井から下がる無数の鎖。尋問室とは名ばかりの拷問部屋だ。
今その特別な部屋には、尋問官を除けば大佐以上の身分を持つ人間しか入室を許されていない。しかし1人だけいやに歳若い男がいた。エルノだ。
エルノは元イリーナ隊である事を口実に尋問に立ち会おうとした。しかしそれを嘆願するまでもなく、逆に将官の方から是非にと声がかかったのだ。
エルノは暗がりに起立し、目深に帽子を被り直す。
(イリーナさん……)
4年ぶりに見るイリーナは、気の強そうな青い瞳はそのままに、長いブロンドの髪が美しく背に垂れかかっていた。彼女が真っ直ぐで勇敢な女兵士である事がその顔だけで窺い知れる。
昔よりさらに凛々しく強かになったようにエルノは感じた。
イリーナは軍服姿で後ろ手に縛られ、猿轡を噛まされて椅子に腰掛けている。
普通、尋問は囚人服や拘束服でなされるものだが、それをあえて正装である軍服でする。
軍に背いた者の尋問としてはかなりの皮肉といえた。
イリーナの前に、肩幅の広い壮年の陸軍中将が歩み寄る。
尋問官がイリーナの猿轡に手をかけた。
「いいか。もし舌を噛み切ったりしたら、一緒に捕らえた仲間を公然でバラすぜ」
尋問官の囁きに、イリーナは小さく頷く。
尋問官は用心深く猿轡を外した。猿轡の瘤と桜色の口内が唾液で結ばれている。
「……君が生きていると知った時には驚いたよ、イリーナ・アラルースア中尉。
あの雪原での連戦で、よもや生存者がいようとは」
中将は髭を撫でながら告げた。
イリーナがその顔を激しく睨み上げる。
「あれは、そちらの援軍とで挟み撃ちにする計画だったはず。なぜ我らの要請に応えて下さらなかったのです」
イリーナの瞳は怒りの炎を滾らせていた。身の凍るような迫力だが、美しさもまた増している。
中将はそのイリーナを眩しそうに見下ろした。
「ああ、あの時は別件がゴタついてな、君達の方へ戦力を割く余裕が……」
「ふざけるなっ!!」
イリーナの顔はいよいよ怒りに歪む。
「私がこの4年、あの時の戦いについて調べなかったとでもお思いか!
あなた方は私達の数個小隊を敵大隊の囮にし、手薄になった北東に過剰な戦力を集めていた。
始めから私達を捨て駒にするつもりだったのだろう!!」
イリーナは中将へ襲い掛からんばかりに身を乗り出した。尋問官がそれを羽交い絞めにする。
「なるほどな」
中将が1人頷く。
「デコイに使われた恨みで、我が軍の邪魔をしていたわけか」
「私だけではない、死んでいった仲間達の無念もだ。あなたには理解できない事かもしれんがな」
イリーナが中将を睨み上げながら答えた。
「貴様!先程から中将殿になんたる口の利き方だ!!」
将校達が銃を構えるが、イリーナは中将を睨んだまま微動だにしない。
それを嬉しそうに見下ろし、中将が手を翳した。
「なに、構わん。このぐらい気の強い女軍人がおってもよかろう。
……さて、ところでイリーナ。君がなぜ戦場で射殺されず、こうして尋問を受けるかわかるかね」
その言葉に、初めてイリーナの目の鋭さが翳る。
「ふん。仲間の居所か、アジトの場所でも聞き出すつもりだろう?」
「そんな事はどうでもいい」
「なっ……!?」
中将に言葉を流され、イリーナが狼狽を示した。
「それは君よりも、他の構成員共に吐かせた方が楽だ。君を捕らえたのは、謝罪と誓約をさせるためだよ」
中将は美しく整ったイリーナの顎を持ち上げる。
「謝罪と、誓約……?」
「いかにも。軍を裏切ってすみません、これからは軍のために私の身を捧げます、とな。
無論、身を捧げるとは文字通りの意味でだ」
中将、そして四隅に座る将校達がイリーナにぎらついた目を向ける。女を食い物にする雄の目だ。
誇り高いイリーナは恥辱に頬を染めた。
「どこまで腐りきっている……!謝れだと、謝るのはそちらの方だ、死んだ部下を返せッ!!」
イリーナが憤怒の形相で叫ぶが、彼女に臆するものはいない。
「我々とて、貴様のような女が簡単に転ぶとは思っていない。だからこその尋問だ。なぁ」
将校達が尋問官の肩を叩く。
「そういうこと。ま、こっちもプロだからね。観念しなよ」
尋問官はイリーナの肢体を眺め回し、待ち遠しそうに笑った。
(なんだよこれ、無茶苦茶だ……!こんなのが軍の幹部だっていうのかよッ!!)
エルノは怒りで腰に当てた手を握りしめる。隣に座る少将が横目にそれを見つめていた
「さて、と。じゃあ皆さん、とりあえず彼女をうつ伏せにして下さい。尻は高く掲げる形で」
尋問官が命じると、将校たちはイリーナの身体を床に寝かせる。
見事な臀部とスカートから覗く脚線が露わになった。
「おお……よく鍛えられて、これは……!」
男達は誰からともなくその下半身へ触れ始める。イリーナが眉を顰めた。
「それは何をしておるのかね?」
中将が尋問官の手元を見ながら訊ねる。尋問官はブリキのバケツに水を汲み、その中に透明な薬液を溶かし込んだ。
そして風船のようなゴム球が3つ付いたチューブを取り出す。
「浣腸の準備ですよ。気の強い女を服従させるには、何といってもコレが一番なんです」
浣腸。その言葉に将校たちが目をぎらつかせ、イリーナが表情を強張らせる。
「い、いやっ!!」
イリーナが叫ぶと尋問官がその顔を覗きこむ。
「尻から水入れられて糞をぶちまけるのは嫌かい?だったら、
『逆らってごめんなさい、こんな私でよければ、身体を好きにお使い下さって結構です』
と皆さんにお願いするんだ」
尋問官の言葉に、イリーナは顔を背けて拒否の意を示す。
「ノーか。まぁ、そうこなくっちゃな」
尋問官は嬉しそうにイリーナの背後に回った。
そして彼女のスカートを捲り上げると、その下のショーツもずり下げる。
イリーナの白い臀部が露わになった。
中心には、皺の放射状に並んだ肌色の窄まりが隠れている。尋問官はそれを両の親指で押し開いた。
「色素も薄くて綺麗な形をしている、とても排泄の穴とは思えないな」
「い、ひぃっ!!」
尋問官が指に油をつけてゆっくりと菊の輪を擦ると、イリーナは声を上げて背を仰け反らせる。
「うん、可愛い声だ。真面目で実直なイリーナ中尉は、本来なら一生こんな所を触られる事のない人生を送ったんだろうにな」
尋問官はイリーナの反応を楽しみながらたっぷりと油を塗りこめ、チューブを手に取る。
そしてチューブに付いた3つのゴム球のうち、最も大きなものをイリーナの尻穴に押し当てた。
「ぐっ……!?」
イリーナは尻の穴に何か触れる感覚を必死に堪える。
ラグビーボールの形をしたその風船は、尋問官の押し付けと油の潤滑でぬるりと奥へ入りこむ。
風船が根元のストッパー部分だけを残して全て埋まると、尋問官は別のゴム球を強く握りこんだ。
その瞬間、イリーナの体が強張る。
「っ!?何だ、肛門の中で、膨らんで……!?」
「新鮮なもんだろ、お尻の中を拡げられるのは。今、腸の中でゴム風船が膨らんでるんだぜ。
これが膨らんじまったが最後、もうどんなに息んでも追い出すことはできねぇんだ」
尋問官の言葉に、イリーナが歯を食いしばりながら腹部に力を込める。
しかし一瞬の後、すぐに息を吐き出した。
「ほら、もう無理だ」
尋問官はさらに一度ゴム球を握りこみ、膨らませてから手を離した。
「面白い道具だな。まだ一つ風船のような球があるが、それを押すとどうなるんだ」
中将が聞くと、尋問官は笑みを浮かべながらチューブの先を水の入ったブリキバケツに浸す。
「まあ、やってみれば解りますよ」
尋問官が言いながらゴム球を押し込むと、バケツの水の中で気泡の生まれる音がした。
と同時にイリーナが声を上げる。
「く、つ、冷たいっ……!!貴様、私の腸に何を入れている!?」
「と、言うわけです。このゴム球を一度握れば、バケツの中の水が彼女の腸内に流れ込む」
尋問官はそう言ってさらに何度もゴム球を握りこみ、イリーナが息を呑んだ。
「コレのいい所は、じっくりと時間を掛けて少しずつ、好きなだけ浣腸できる事です。
あまりやりすぎると腹が破裂してしまいますが、その限界まで、様子を見ながら一押しずつ。
浣腸しながらも流れ込む管以外は塞がれているので、絶対に漏らせません。
時間を掛けて屈服させるにはもってこいなんです。
ちなみに、バケツの中には便意を呼び起こすグリセリンが溶かしてあります」
尋問官がそう言う間にも、何度も水を送り込まれたイリーナはその未知の感覚に震えていた。
歯の根が合わない、という様子だ。
「さぁ、まだまだ入っていくぞ中尉殿。どこまで我慢ができるかな」
尋問官はさらにゴム球を握りこみながら、他の将校達を振り仰いだ。
「どうです、皆さんもこの女の腹に水を流し込みませんか。ホンの一握りするだけですよ」
「楽しそうだな。どれ」
陸軍大佐がそのゴム球を受け取り、強く握りこむ。イリーナの腸に勢いよく水が噴き出した。
「うぐ……っ!」
「ほう、鳴きおるわ。これは愉快だ」
「俺にもやらせてくれ」
代わる代わるゴム球が手渡されていく中、腸に水を湛えたイリーナは、ただ歯を食い縛って耐え忍ぶしかなかった。
「うく、く、苦し、い……!」
10度ほどゴム球が握り回されたところで、イリーナが小さく呻く。
尋問官がうつ伏せになった彼女の前を肌蹴た。白い下腹部が膨らんでいるのがわかる。その中からはぎゅるぎゅると低い唸りが響いていた。
「だんだん腹が膨れてきたな。中で大量の水が渦巻いてるのが解るだろう」
「あ……は、あっ……!!」
尋問官が腹を撫でると、イリーナが苦しそうに顔を歪める。
「どうだ、出したいか?出したければ許しを請え。惨めったらしくな」
将官達がゴム球を握りこみながら笑う。イリーナは床につけた頬を捻って彼らを睨みあげた。
「誰が、許しなど!謝るのはそちらの方だ……!!」
「なるほど、気が強い。だが抵抗するとますます苦しみが長引くぞ」
将官達がさらに液を流し込み、イリーナは歯を食いしばって呻きをあげる。
それが幾度も繰り返され、やがてどれだけゴム球を握りこんでもチューブに液が逆流するようになってしまった。
容量一杯と見た尋問官は、チューブの根元をコックで止めて流出を阻む。
「うぐぐぐ、ぐふうんぐうう……!!」
髪を掴んで引き起こされたイリーナの腹は、妊娠何ヶ月目かのように歪に膨らんでいた。
「2リットルは入っただろうな、腹がちゃぷちゃぷいってるぜ。どうだ?苦しいだろう」
そう問われ、イリーナは荒い息のまま薄目を開ける。
眉は垂れ下がり、下唇は噛み締められ、普段の顔からは考えられない弱気な表情だ。
「ほう、いーい表情だ。勝気な女性の見せるこの顔は堪りませんな」
「どれだけ戦場で雄雄しくいようとも、糞がしたくてたまらないだけでこの顔になる。脆弱なものだ」
将校たちは口々にイリーナの顔をなじった。
「く、うう……ふ、ふん、鏡を見ろ。貴様らの好色面の方が、よほど見るに耐えんぞ」
イリーナが気丈に切り返しても、軍服の前を肌蹴たまま尻に栓をされる状況は変わらない。
「何とでも言え、女」
将校たちはイリーナの軍服の胸元に手をかけ、力任せに引き千切る。
イリーナの前身が完全に露わになった。手のひらでは到底掴みきれないほどの見事な乳房が零れだす。
「見事なものだ。合同訓練の際に何度か目にしたが、軍服を着ていてもこの大きさが分かったよ」
陸軍大佐が興奮気味にその乳房を鷲掴みにする。
イリーナが小さく声を上げると共に、その腹部が激しく鳴り始めた。
「ふぐううう、う!!」
「ほう、胸が感じるらしいな。20代も後半に差し掛かろうという歳で戦争に身を捧げる女は、
性欲が溜まっているのか?」
男達が乳房を揉みしだきながら詰った。
「本当に良い表情になってきたな。どれ、乳を揉みながら、じっくり観察するか」
中将が苦悶に満ちたイリーナの顔を眺めて言う。
そこからイリーナは、排泄を必死に堪えながら男達に顔を覗きこまれ続けた。
羞恥に顔を伏せても、顎を掴んで無理やり前を向かされる。
イリーナは全身に凄まじい脂汗を掻き、後ろ手に縛られたまま腰をくゆらせた。
その乳房を女の扱いに慣れた将校達が嬲る。
ある者は膨らんだ腹部を残酷に揉みしだいた。
その刺激でイリーナは、真っ赤にした顔を崩さざるをえない。
「はぁ、ああああ、あぐっ、うう、ああぐう、はぁ、はぁああ……っ!!」
イリーナの口が大きく開き、その口の端から涎が垂れる。
それは陸にいながらにして溺れているような有り様だ。
「苦しいか?服従するならすぐに楽になれるぞ」
「はぁ、はぁ……だ、誰が……!このぐらい、何時間でも耐えてみせる……!」
「そうか、ならば何時間でも耐えてもらおう」
イリーナの負けを認めない姿勢は、ますます男達の嗜虐心を煽り立てた。
「や、やめ、ろぉ……!!」
膨れた腹を掴まれ乳首を摘まれると、イリーナの眉が垂れ下がる。
地下には腹の鳴る低い音が響き続けた。女の生々しい呻きもそれに重なった。
イリーナの汗まみれの顔から血の気が失せ、目も虚ろになった辺りで尋問官が立ち上がる。
「限界のようです。これ以上はこの後の調教に差し障ります」
尋問官がイリーナの尻の下にブリキのバケツを置き、チューブについたボタンを押す。
しゅうっと空気の抜ける音と共に肛門のゴム球が萎んでいく。その直後だ。
「あああああ゛っ!!見るな、見るなあああぁぁぁあっっ!!!!」
イリーナの叫び声が終わらぬ内に、柔らかくおぞましい音を立ててバケツに黄色いものがぶち撒けられる。
「おうおう、細い体でまた大量に出るもんだ。収容所じゃ勝手な用足しが禁止されてるらしいからな。
数日分のクソってわけだ!」
「あれだけ水を流し込まれて我慢したのを解放してるんだ、気持ち良いだろう。
どうだ?この人数の前でクソをひりだすのはどんな気分だ、中尉!」
男達のなじりを受けながら、イリーナの排泄は続く。
後ろ手を縛られた蹲踞の格好で、1人に顎を持ち上げられ、その時の顔を見られながらだ。
「いやぁ、ああああああ゛!!……とまらない、どばらないい゛……!!!!」
イリーナは細く涙を流し、口を開けながら腸に溜まった水を勢いよく放つ。
妊婦のように膨らんでいた腹がへこんでいき、引き締まった腹部が表れてくる。
側筋の浮いた腹は豊かな胸によく似合った。
長い長い排泄だった。何度もバケツの淵に飛沫を上げながら、窄まりを一杯に開いて噴き出していく。
ようやく全てを出し切った時、イリーナは床にへたり込んでいた。
「う、ぐぐ、く……ゥッ……!!」
その汗まみれの顔は射殺すように将校達を睨み据える。
将校たちは勝ち誇ったように見下ろしていた。
「無様な姿だったな、イリーナ中尉。美しい君が大量のクソをひり出す光景は、生涯私の脳裏に刻まれたままだろう」
中将が満面の笑みを浮かべて告げると、イリーナは弱りきったような顔のまま、力なく項垂れる。
ぎりりっ。
かすかに歯軋りの音がした。音を立てたのはエルノだ。
彼の指は静かに胸のポケットに触れ、その内側にある拳銃を指でなぞった。
(まだだ……まだ、だ)
エルノは息を整えながら拳銃から指を離す。
怒りに震える彼の前では、尋問官に担ぎ上げられたイリーナがまた新たな責め苦を受けようとしていた。
※
イリーナは分娩台に酷似した開脚台に手首・足首を繋がれた。
格好は前を大きく肌蹴られた軍服の上衣と、恥毛の上にたくし上げられたスカート、そして腿までのガーターストッキングだ。
秘部は大きく開脚したまま男達の好奇の視線に晒されている。
そのような屈辱的な状態に置かれながらも、イリーナの目はなお軍人らしい凛とした光を放っていた。
「いい絵だな。毅然とした顔に浅ましい格好……最高だ」
尋問官が楽しそうに言いながら、イリーナの秘部にライトを向ける。
開かれた割れ目が奥のほうまではっきりと見えるようになった。
さらには彼女の全身を捉える形でビデオカメラまでがセットされる。
「ほう、撮影するのかね」
中将が問うと、尋問官はよくぞ聞いたとばかりに微笑む。
「ええ。これからする責めは、女をそれはそれは恥ずかしい姿にしますから。映像に残す価値はありますよ、と」
カメラとライトを微調整した後、尋問官は嬉しそうに警棒のようなものを手にする。
「さて中将殿。これから自分が何をされるのか、理解しているか?」
棒をイリーナに見せ付けながら尋問官が問うた。
怒りに目を剥いたイリーナが鼻で笑う。
「電気責めだろう。たとえ焼き殺されようとも、断じて貴様らの言いなりにはなら……」
そう言いかけたイリーナの脇腹へ、尋問官がおもむろに電気棒を押し付ける。
「ぎゃあうっ!?」
イリーナの肩が跳ね、目が白黒と彷徨った。
「そうだ、電気責めだ。電気責めは素晴らしいぞ。電流を抑えて適度に電圧をかければ、
外傷を一切与えることなく苦痛だけを感じさせる事が出来るんだ。
感電死なんて楽はさせないぜ。死どころか気絶すらできない、しかし痛くてたまらない電圧を使う。
じっくりと、とろ火で炙るように調理してやる」
軽く息を乱したイリーナを眺めながら、拷問官は告げる。
尋問官はまず、慣らしと言ってイリーナの膣と肛門に弱電圧を流した電気棒を挿入し、30分ほどかけてゆっくりとピストン運動を施した。
時に陰唇やクリトリス、尿道孔など周辺にも刺激を与えながら、イリーナの性器を電気に慣らしていく。
「ああああ……あ、ふああぁああうう……!!」
気持ちいいのだろう。イリーナは亜麻色の髪を台に擦りつけ、白い顎を晒しながら細かに震わせている。
「中将殿はよっぽど男日照りだったのか?えらく感じまくってるな」
周りから野次が飛ぶとすぐに顔を引き締める。
だが尋問官が秘部から引き抜いた電気棒には相当な粘度の愛液が纏わりついており、それを鼻先に晒されると口を噤むしかなくなってしまう。
「はぁっ、ん、ふんんんん……!っは、ゥん……うんん、あぁ」
イリーナの艶かしい喘ぎがビデオに収められる。
乳輪は収縮して盛り上がり、乳首は尖って上を向き始める。
クリトリスも色づき始め、イリーナから女の匂いが漂い始めた辺りで尋問官は手を止めた。
「さぁて。いよいよ本番だ」
「あああああーーーッ!!あッアっ、はあッ!く、ひいいあぁあああ゛あ゛!!!!!」
ビデオカメラは女の狂乱する顔を捉えていた。
それは映写機を通じて尋問室のスクリーンに大きく映し出される。
女は目鼻立ちの整った涼しげな美人であろうと窺えた。
しかしその美貌は、目を見開いた次の瞬間には涙混じりに細められ、鼻水に塗れてグズグズになっている。
天を仰いだ口からは、だらだらと絶え間なく涎を流しつづけている。
「ははは、凄い顔だぞ!糞を我慢している時も傑作だったが、ここまで崩れるとはな!」
スクリーンの映像を見て、将校たちが口々に笑いあった。
イリーナの両耳と乳首、クリトリスは鰐口のクリップで挟み込まれ、膣と肛門には深々と電極棒が埋め込まれている。さらに脇腹や内腿にも無数の電極が取り付けられている。
そんな状態で電流を流されるのだから堪ったものではない。
コードにまみれたそのえげつなさは、紛れもなく拷問のそれだった。
一旦電流が止められ、海老反りになっていたイリーナの体がどすんと台に落ちる。
「あッ、あ……あッあッ、んうッあァ……はぁッ、はぁあッ……!!!」
イリーナは小刻みに喘いだ後、肩を震わせて大きく息を求めた。
「何だ、まだ10分ほどしか経っておらんぞ。これが我が国の陸軍中尉を務めていた女かね。
いささか鍛錬が足りんのではないか」
「お恥ずかしい限りです。しかしこれで照明されたでしょう、この女は戦地に置いても駄目です。
潜水艦にでも放り込んで、兵士の慰安に充てるのが関の山かと」
将校たちの蔑みの発言に、イリーナが怒りを露わにする。
しかしまた電流が流されたことで、その身体は大きく仰け反りながら痙攣を始めた。
「貴様っ……あッ、ううああああああ゛!!!!あああああう、あッ、うくぅはあああ゛あ゛っあぐ!!!」
スクリーンに白目を剥いて大口を開ける表情が映し出される。
絶叫が、彼女の身体を駈け巡る電流の激しさを表していた。
電流はイリーナの白い腹部や内腿の随所を震え上がらせ、ほっそりと伸びた手足の先に至るまで小刻みな痙攣を及ぼしている。
エルノはその光景を悪夢のように感じていた。
気高く美しく、自分の軍人としての理想であったイリーナが、踏みにじられていく。
「どうだね、エルノ」
隣に立つ少将がエルノの肩に手を置いた。
「かつての上司なのだろう、あの女は?一時でも“あれ”の下で動かされていた気分はどうだね。
男としてやり切れなかろう。見たまえ、まるで家畜だ」
少将はスクリーンを指す。そこにはイリーナの腹部が映し出されていた。
ライトに照らされた白い腹は汗で油を塗ったように光っている。
豊かな乳房と引き締まった腹が濡れ光る様は異様にエロチックだったが、エルノは心臓を突き刺されるようだった。
カメラがさらに下を映すと、将校達から歓声が上がる。
映ったのは大きく開かれたイリーナの秘部だ。
2穴に電極棒を呑み込んだそこからは、夥しい量の液が漏れて開脚台の座部を滴り落ちていた。
「おや、失禁しているのかね」
「いえいえ、それだけじゃありませんよ」
尋問官が膣に入った電極棒を静かにゆっくりと抜き取り、中を開いてみせる。
開かれた秘裂はずぶずぶに濡れそぼち、奥から新たな愛液が溢れて床に滴り落ちていく。
「おおお、いやらしく濡れておるわ!あの電流で感じてしまうとは、どうしようもない淫売だな!!」
「うむ、しかし凄い匂いがするものだ、男を誘う女の香だな」
将校たちになじられ、イリーナはいよいよ顔を赤く染め上げて顔を背けた。
尋問官が笑いながら補足する。
「感じている訳ではないんです。全身を巡る電流で脳の神経がやられて、
小便や唾液、愛液といった体液が垂れ流しになってしまうんですよ。
さっき浣腸をしたのも、下痢便を漏らされちゃあ敵わないからです。
でも感じてないとはいえ、体液垂れ流しのこの姿、精神的にかなりきつい筈ですよ」
尋問官はそう言って、イリーナのあられもない姿をスクリーンに映し続ける。
「どうだ、恥ずかしかろう。謝罪するか?軍の性欲処理道具になると誓うか?」
中将が顔を覗きこみながらイリーナに問うた。
「こ……断る……っ!!」
イリーナは汗まみれの顔のまま首を振る。中将が尋問官に合図をした。
「ぎいゃああああああッあ、あうっぐああぃあああっはあぁぁあああああッ!!!!」
イリーナの身体が反り返り、汗を飛び散らせる。豊かな乳房が上下する。
その美しい体を眺めながら、尋問官は笑った。
「長期戦でいきましょう。この失神できない電流拷問は、しばらく繰り返すと精魂尽き果てる。
体力がなくなってからあの拷問に耐えるのは、大変ですから」
その言葉に将校達も待ち遠しそうな笑みを浮かべる。
「だそうだ。楽しみだな、エルノ」
少将がエルノの隣で言った。
エルノは痙攣を続けるイリーナを見ながら、小さく喉を鳴らした。
電流責めはどのくらい続いただろうか。窓のない地下室では、時間の感覚は全く分からない。
責めを受けるイリーナには永遠にも近い時間に感じられただろう。
ようやく開脚台から下ろされた彼女は、その瞬間にがくりと気を失った。
伸びやかな肢体は湯上りのように火照り、汗に塗れている。秘部は開ききり、尻肉に到るまで愛液で濡れ光る。
将校達の目がイリーナのの恥じらいの部分に集まっていると気づき、尋問官が秘部に触れた。
「如何です、どなたかここを試してみませんか。気絶しているので膣も肛門も締まりがありませんが、
電気ショックの影響で中が痙攣しています。具合のよさは保証しますよ」
尋問官の言葉に将校達は顔を見合わせて囁きあう。
そんな中、中将が歩み出た。
「ならば遠慮なく使わせて貰おう。そろそろ辛抱も限界だったところだ」
中将はそう言ってチャックを下ろし、隆起した逸物を取り出す。かなりの大きさだ。
亀頭はイリーナの後ろの窄まりに押し当てられた。中将が腰を進めると、亀頭はずぐりとさしたる抵抗もなく沈み込む。
「ほう、確かに締まりが緩くなっておる。易々と入っていくわ」
逸物が根元までイリーナの直腸に入り込むと、中将はゆっくりと腰を動かし始めた。
「中将殿もお好きですな、いきなりアナルですか」
「若い頃に村娘を輪姦した時、使った事があってな。それ以来癖になっておるのだ。
あの時は貧相な娘の上、腸奥に何か詰まっておって全て入りきらんかったが、これはいい」
「なるほど。まあ中将殿のご立派な物は、後ろでないと長さが入りきらんのでしょうな」
将校達が騒ぎ立てる。
尻穴に抜き差しをされながらも、気絶したイリーナが気がつく気配はない。
うつ伏せのまま抽迭に合わせて床に身体をこすり付ける。
「ふむ。中々良いが、締まりが足らんな。おい君、目を覚まさせてやってくれ」
中将が命じると、尋問官がバケツに入った水をイリーナの頭に浴びせかけた。
「げほっ、げほっ……あ、ああう、い痛いっ!?何、おしりが痛い!!」
気がついた瞬間、括約筋が戻ってイリーナが悲鳴を上げた。
「おお、締まりおる、締まりおる。菊輪が根元にぎちぎちと食いついてきて痛むほどだ」
中将が歓声を上げながら腰の振りを大きくした。
「く、う!!はぁ、はぁ……し、信じられん、そこが何の穴か解っているのか貴様っ!!」
イリーナは目を吊り上げて中将に叫ぶが、手足は力なく床を叩くだけだ。
「全身が痺れて身動きが取れないだろう。抵抗も出来ずに糞の穴を犯される気分はどうだ?」
中将が楽しげにイリーナの腰を掴み、剛直を叩き込む。
「痛いっ!!やめろ、早く、早く抜けぇっ……!!」
イリーナは目から薄く涙を零しながら力なく訴えかけた。
それは彼女がこの4年掛けて守ろうとした、強姦される無力な少女の姿そのものだった。
尻穴を無抵抗に犯される様を、将校達が楽しそうに見下ろしている。
イリーナはどうしようもなく、口惜しさに歯を噛み締めて泣いていた。
どうしようもなく、ただ無力に……。
「もう……もう、やめろおおおおおっ!!!!!」
うら若い男の叫び声が響いたのは、その直後だった。
エルノが銃を構えていた。セイフティーは外れ、その銃口はイリーナを犯す中将を狙っている。
場が凍りついた。
「……どういうつもりだ、若造?」
中将は余裕の笑みでエルノを見やる。
エルノは震えた。自分でも己のしている事が把握できないでいた。
元々彼がここに来たのは、イリーナを殺す為だったのだ。
軍に反逆したイリーナは嬲り殺しにされるに違いない。ならばその前に、自分の手で殺そうと思っていた。
しかし出来なかった。代わりに何故かこうして、中将に銃を向けている。
「うああああ!!!」
もう退けない、せめてこの悪の根幹と相打ちになろう。エルノは覚悟し、銃の引き金に力を込めた。
しかし次の瞬間、銃を握っていた右手が弾け飛ぶ。
痺れるような痛みと共に銃が宙を舞い、乾いた音を立てて床に転がる。
「あっ、ぐ……!!」
エルノは右手を押さえて呻いた。その瞬間、今度は左足首の腱を鋭く切り裂かれる。
「うう!!」
エルノが左に顔を向けると、少々がサーベルを凪ぐ形で構えていた。
腱を切ったのは少将で、銃を弾き飛ばしたのはその奥の大佐らしい。
エルノは立っていられずに地面に膝をつく。
「ご苦労、少将」
中将が笑みを浮かべた。それに一礼を返し、少将が膝をついたエルノに語りかける。
「お前がこうする事は解っていたよ、元第3小隊のエルノ」
その言葉にイリーナが目を見開いた。
「エル……ノ……?」
イリーナは遠くで顔を顰める青年を見つめる。懐かしい髪の色、顔の造り。
随分と精悍になってはいるが、紛れもなくあの時の少年だ。
「…………エルノ、エルノッ!!!」
イリーナは叫びながら青年に手を伸ばした。しかし中将に組み敷かれ、その手は届かない。
「イリーナさ……!!」
エルノも将校達に床に押さえつけられ、呼びかける言葉を途切れさせる。
「安心しなさいエルノ。お前を殺しはしない。お前は、その特等席で見ているといい。
己のかつて従った隊長がどうなっていくのか。軍に従えなかった者の末路はどうなのか。
すべて見届けるんだ」
少将がそう告げると共に、イリーナの呻き声が響き始めた。
中将が尻穴への突き込みを再開したのだ。
「あっ、あぅ、あぁッ!!エ、エルノお願いだ、私を見ないでくれ。私のこの声を聞かないでくれ!」
イリーナが金色の髪を振り乱してエルノに懇願する。
床に押さえ込まれたエルノが目を背けようとすると、その鼻先の床をサーベルが叩いた。
「見たまえ、エルノ。目を瞑ったり背けたりすれば、その不要な瞳を抉り出す」
サーベルの剣先が目袋をなぞり、エルノは震えながら顔を戻す。
イリーナが悲しげに目を細めた。
※
「ん……ん、んはっ、はあ、あん……んン!!うん、あっ、ああッ……!!」
尋問室には女の艶かしい呻きが響いていた。
女――イリーナは這い蹲った格好のまま手首を拘束され、背後から犬のように犯されている。
「すげえや。ガキの頃から田舎で色んな女とヤッたが、こんなに具合のいいのは初めてだぜ!」
イリーナを後ろから犯す男が言った。階級章を見る限り伍長だ。
「そりゃあ、よく鍛えてるからだろう。それによ、何しろ誇り高い中尉様だぜ?
そんなご立派な方を犯せるってだけで、愚息がおっ勃っちまうよ」
上等兵らしき男が射精を終えた逸物を弄くりながら言う。
「全くだな。しっかし、いきなり尋問室へ来いなんて少将に呼ばれた時は驚いたが、
こんないい思いできるなんてな。レーションは不味いが、この軍で働いてて良かったぜ」
「にしても、すげえ精液の量だな。いつから輪姦されてるんだ、この中尉サマは」
「さあな。まあ、今日が初めてってわけじゃあるまいよ……おお、締まってきた」
伍長が腰の角度を変えると、イリーナの喘ぎ声が一段階上がる。
「ふあああああ!!!」
伍長は構えた自分の腰にイリーナの腰を擦りつけるようにして浅くじっとりと結合していた。
イリーナの内腿が強張り、足の指が快感に開いて踏みしめられる。
「しかしお前、うめえな。中尉殿も相当感じてるんじゃねえか」
男たちが伍長の腰遣いを褒める。伍長は誇らしげに腰を突き出した。
「伊達に田舎生まれじゃねぇよ。娯楽といや女を抱くばっかりだったからな。
今はほれ、Gスポットをゴリゴリと愛してやってるんだ。声がすげえだろ?
子宮は下がってきてるし、愛液は逸物を包んでくるしでもう感じまくりだな」
伍長のその言葉を裏付けるかのように、イリーナは口を開き、その端から涎を垂らしていた。
「うう、いく!出るぞ!!」
伍長がイリーナの腰を強く掴み、奥まで突きこんでから動きを止めた。
陰嚢が収縮しており、中に大量に射精している事が解る。
「いや、あ……中に、は、入って……くる……!!」
イリーナはもう何度目か解らない膣奥への中出しに眉を垂れた。
長い輪姦が終わると、イリーナは拘束服を着せられて収容所の檻に入れられる。
隣の檻には、同じく拘束服を着せられた青年がいた。
「エル……ノ……!」
イリーナは乾ききった声で青年を呼ぶ。
「イ……リーナ……さん」
エルノもやつれた顔でそれに応えた。
2人は、鉄格子に阻まれ、手足の自由もないまま、舌だけを絡ませて朝まで愛を交わし合う。
イリーナの舌には他の男の精液が絡みついているが、それでも僅かな時間を愛おしむ。
朝までの、僅かな時間。
次の朝、イリーナはまた別の男に犯され、目を蕩けさせては首を振って振り払う。
しかしそのサイクルは次第に短くなってきている。
手足に包帯を巻いたまま、エルノはそれをただ見つめていた。
足首からは血が流れ、首元にはサーベルの刃が当てられている。
尋問官が体力の尽きかけたイリーナへ与えた最後の拷問。それは快楽拷問だ。
女に飢えた兵士達を使って好きなだけイリーナの身体を使わせる。
飢えた男達に辱められ、尋問官たちによって穴という穴を開発されていく中で、イリーナはやがて快楽を自然に受け入れるようになっていく。
人は苦痛には死ぬまで耐えられても、快楽には耐え切れない。
「ほらどうした、イクんならイクって言えよ!?」
少佐の階級章をつけた男が抱きかかえたイリーナを突き上げる。
「い、いくっ、ああっ、んうあああああいぐうぅうううっ!!!」
イリーナは天を仰ぎながら、叫び声を上げた。
彼女はやがて潮を噴き上げ、エルノの頭上に浴びせかけていく。
( あの日の雪みたいだ )
エルノは思った。
体が、ひどく寒い。
END
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