大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2011年11月

くノ一 夕霧への尋問

※スカトロ注意


夕霧(ゆうぎり)は困惑していた。

くノ一として菱堀の城に潜入し、狙い通り密書を盗み出したまでは良い。
脱出する過程で敵の忍に勘付かれ、追われる羽目になった事も、
上手くはないにせよ不可解ではない。
しかし、その忍達の動きが夕霧の不審を煽った。

手練である事はその些細な挙動から見て取れる。
しかし、彼女らは夕霧の行く手を阻むばかりで、討ち取ろうとする気配がない。
攻勢に出てくれれば夕霧としても返り討ちにする機を得やすいのだが、
多勢で守りに入られるのは実につらい。
より地の利が活かせる日没を狙っているのか。
焦れる夕霧はそう読みをつけ、戦局を切り開くべく手近な1人に斬りかかった。
剣客にも劣らぬ不可視の一閃。
「あっ!!」
狙われた忍は鎖帷子の効能で命こそ落とさないものの、胸元を紅く染めて倒れ込む。

「……まったく、何をしておるのじゃ!狙いづろうて敵わんぞ」

その夕霧達の戦いを、遠くから弓を構えて見つめる少女がいた。
菱堀の城が姫、八千代だ。
彼女にとって、城に忍び入ったくノ一を射抜く事は鷹狩りと同じ。
菱堀の忍が夕霧を霍乱するのは、この八千代の道楽に付き合わされてのものだった。
特に今日は難度が高い。
八千代は矢じりに神経毒を塗った矢を掠めさせ、敵を生け捕りにする心積もりなのだから。

「大人しくさせましょう」
八千代の苛立ちを感じ取った護衛が、夕霧を取り囲む忍に向かって手を上げる。
すると、それを見取った1人が死角から夕霧に斬りかかった。
「っ!」
今の今まで膠着を保っていた中での急襲。しかも複数いる中でも、恐らく一番の使い手だ。
夕霧は刀でかろうじて防ぐが、体勢を崩した事で脚が止まる。
その瞬間、八千代が引き絞っていた弓を放った。
道楽の一環とはいえ中々の腕だ。
放たれた矢は斜め上方から夕霧の首筋を舐め、畳に突き刺さる。
「ぐっ!?」
夕霧は不覚と言わんばかりに目を見開き、両の手で忍者刀を握りしめたまま内股に堪えた。
「あ、…… あ゛……!!!!」
しかし毒には抗えず、やがて白目を剥きながら横様に倒れ込む。
取り囲む忍達から安堵の息が漏れた。

「射取ったぞ!どうじゃ、見事な腕じゃろう!!」
そう能天気に誇る姫君の声だけが、嘆息混じる屋敷に吸い込まれる。



数時間の後、拷問蔵に厳しい水責めの音が響き渡っていた。
夕霧は捕縛された時のまま、黒装束に篭手や脛当だけを身につけた出立で逆さ吊りにされている。
その足首には幾重にも縄が巻かれ、天井からの滑車に連なっていた。
手首もやはり頭の下で縛られ、水を吸って海草のようになった結い髪を絡みつかせながら雫を垂らす。
「沈めな」
1人の女が告げると、滑車が回転し、夕霧の身体が木桶の中に沈む。
人の背丈よりも高さのある、水責め用の本格的な桶だ。
腰までが水に浸かった後、女の厳しい目つきが夕霧を捉える。
水面に泡の浮く音。
荒縄のギシギシと鳴る独特の音。
初めは何の動きもない夕霧の脚線が、やがて細かに震えだし、ついには滑車を軋ませるほどの激しい痙攣となりはじめる。
そこに至ってようやく、女は頭上に手を振り上げた。

「ぶはぁっ!!あはぁっ、ああ゛っ、あ゛え゛っほえ゛ほっ、あはあっ、はあっ!!!!!」

命の危機を感じさせる勢いで夕霧が空気を求め、咳き込み、空気を求める。
どれほどつらいのかがその息遣いだけで伝わってきた。
よく注意すれば、桶の周辺からはかすかに小便の匂いが漂ってさえおり、
この容赦の無い水責めが相当な時間続けられている事も窺い知れる。
「いい加減に素性と、盗んだ密書の隠し場所を吐け」
女が夕霧を見上げて問う。
だが夕霧はひとしきり咳き込んだ後は、貝のように口を閉じて語らない。

「……按配はどうじゃ」
拷問蔵の扉を開け、従者を従えた八千代が姿を現した。
女は苦い顔で首を振る。
「相当な調練を受けた忍です。捕らえてより、『鞭打ち』、閉所に閉じ込めて薪を焚く『地獄蒸し』、
 そしてこの『水責め』と続けていますが、碌に声すら発しません」
女がそう告げるのを聞き、八千代が口端を吊り上げた。
「ほう、それは責め甲斐のある女じゃ。
 素性はともあれ、あの状況でくノ一が物を隠すとなれば、体の内と相場が決まっておる。
 その女を降ろし、口の中を調べよ。指を突き込んでな」
「は!」
八千代の言葉に従い、すぐに夕霧の縄が解かれはじめる。
八千代自身は項垂れた夕霧を見下ろせる位置に移り、興味深げに状況を見守った。



夕霧は正座する格好のまま、腕を高手後手に縛られている。
その夕霧の顎を先ほどの女が掴んだ。
朦朧としていた夕霧の瞳が、微かに意思を宿す。
「……いいかい、これからお前の口に物が隠されてないかを調べるよ。
 もしこの指を噛んだりしたら……そうだね、足の指を切り取るとしようかね」
開かせた夕霧の口内に指を差し入れながら、女は淡々と継げた。
命に関わらない足指を指定する辺り、ただの脅しではないだろう。
「ぐぐ……!!」
夕霧はこめかみに汗を伝わせながら、口を開いて指を迎え入れるしかない。

「……ぐ、ぉぐ、ぐえ!!えお゛っ、おおお゛ぇっ、ぐええっ!!!」
拷問蔵に苦悶の声が響く。
夕霧は喉奥深くに指を捻じ込まれて身悶えていた。
吊り気味の瞳は固く閉じて涙を溢し、薄い唇からは幾筋もの唾液を垂らしている。
責め手の女はそんな夕霧を満足げに見ながら、顎を掴む手で顔を上向けさせ、
喉奥をコリコリと刺激しつづけていた。
「とーうとうお前の声が聞けたよ、薄汚い声だねぇ」
上機嫌でそう告げながら、琴を弾くように指を蠢かす。
そのたびに喉奥からクチャクチャと粘り気のある音がし、夕霧の閉じた瞳が震える。
 ――やがて。

「ゴぇ、ぉぉお゛っ……!!!!」

夕霧の眉が地図のように深く顰められ、顔が一段と上向きになる。
それを見て取った女は、満面の笑みで涎まみれの指を引き抜いた。
同時に下を向く夕霧の顔。
「ぐボっ……げぇっ、おげろ゛っ……!!!!」
嘔吐だ。
その吐瀉物の線は、下を向く過程で一部前方へと投げ出され、次いで正座した太腿へと堆積していく。
白く美しい太腿が卵のようなものに穢されていく様、
引き締まった身体を持つ黒髪の美女が、痙攣しながら嘔吐するその様は、背筋を刺すような凄みがあった。

吐瀉物が粗方吐きだされた後、責め手の女は薄笑いを浮かべながら夕霧の顔を上向かせる。
「あ…………あ、 う …………」
涙の線と吐瀉物の跡をはっきりと残す夕霧。
だが女の指が再び喉奥を狙って入り込むと、その虚ろな瞳は驚愕に見開かれる。
「えお゛っ!?」
「ふん、一度や二度で済むとでも思ってんのかい。
 何か隠してやしないか、おまえの胃臓が空っぽになるまで続くんだよ」
嗜虐心に満ちた女の指が、再び夕霧の口内で踊り出す。
「ごげ、……お゛っ……!!」
夕霧の瞳が閉じられ、後ろ手の縄が音を立てる。

拷問蔵に、ぐえ、おえっ……という呻き声は、それからかなりの時間続く事になった。



胃の中に何もない事が明らかとなっても、夕霧への責めが終わるわけではない。

とうに夜も更け、拷問蔵の中には幾本もの蝋燭が灯されている。
その蝋燭の灯に照らし出され、柱に結わえ付けられた夕霧の裸体は白く浮かび上がっていた。
太い木の柱に腕を回すようにして後ろ手に縛られ、脚を大きく開かされる格好だ。
大きな汗の珠が全身を伝ってもいる。

「はぁ、はっ……はっ、はっ…………!!」

縄の軋む音に混じり、粘つくような呼吸がなされていた。
それは瘤つきの猿轡を噛まされた、夕霧の口から発せられているらしい。
興奮している。
その原因は彼女の股座を見れば明らかとなった。
幾つも瘤を作られ、膏でなめされた縄が、夕霧の女の部分を責め立てているのだ。
柱の下部に開いた穴を通して扱かれるその縄には、夕霧の蜜が濃厚に纏いついている。

「愉快じゃな。ぬしの柔肉の感触が、縄越しに手の上へ伝わってきおるわ」

八千代が縄尻を引き絞りながら笑うと、夕霧の口からはつらそうな呻きが漏れた。
尻肉を引き締め、たたらを踏みながら悶える夕霧。
秘所を巻き込むようにしながら縄が前後する。汁気が縄を伝い、夕霧の腿全体へと拡がっていく。
その異常ともいえるような濡れようは、股縄による刺激によってのみではない。
夕霧の秘所には、あらかじめ女の指で薬が塗り込められている。
色修行を修めたくノ一でさえ狂わせる、強めの薬が。

縄で心ゆくまで夕霧を悶えさせたあと、八千代は縄を捨て、従者に夕霧の両脚を抱えさせる。
秘部が自分に向けて露わとなるように。

「……ふん、女陰を間近で見る事もそうはないが、何とも奇怪なものよ。
 馬肉のような下品な赤さに、弄くるほど奥から溢れる生ぬるい液。
 斯様なものが己の下についておるなど、卒倒しそうじゃ」

まだ幼さの残る八千代が、夕霧の秘唇をつぶさに観察し、詰りながら弄繰り回す。
それが耐えがたいのか、夕霧の猿轡から悲痛な呻きが漏れた。
八千代は愉しげに笑うと、傍らの女性から男性器を模した極太の道具を受け取る。

「さて、女穴の中に何かを隠しているか確かめるにしても、ただ手で弄るのでは面白うない。
 ゆえに、この『随喜』で悦ばせてやる事にしよう。
 わざわざ肥後から取り寄せている一級品ぞ、心して味わえ」

八千代はおよそ子供とは思えない残忍な笑みを浮かべながら、随喜に薬を振り掛ける。
そして逃れようと身を捩る獲物を愉しみながら、その開かれた脚の間に随喜を捻じ込んだ。
「あっ、ああ、いああああっ……!!!!」
八千代の小さな掌に蜜を垂らしながら、随喜の抽送が開始される。
八千代は相手の様子を見ながら、容赦なく、蕩けきった最奥を穿ち始めた……。



八千代にとって、夕霧は大層お気に入りの玩具となったようだ。
今までにも幾人かのくノ一を生け捕りにしては嬲ってきたが、夕霧はそれとも違うらしい。
凛とした目元や後ろで結われた艶やかな黒髪が、彼女の姉である登世(とせ)に近いからだろうか。
全てに秀で、名家に嫁いで八千代の嫉妬の対象となっていた登世に似ているからだろうか。
ともあれ八千代は、夕霧を弄び続けた。

夕霧は今、石抱き責めの拷問を受けている。
それもただの石抱きではない。『半日は下痢が止まらぬ』という腹下しを呑まされた上で、だ。
膝の上に乗った石の重みで、膝下の波打つような突起が食い込んでくる。
そのつらさの中、彼女の限界を迎えた肛門を八千代の指がほじくり返していた。

「姫様、いけませぬ!そのような所、汚のうございます!!」
周りがどう騒ごうとも、八千代は夕霧の肛門を責め続ける。
夕霧には堪ったものではなかった。
普通でもつらい石抱き責めだが、その責めを軽くしようと腰に力を入れれば、
たちまち腹下しの効果で下痢便をもらしてしまう。
しかし下痢便に気を取られて重心を前に置くと、今度は膝が潰されそうに痛む。
どちらに転んでも地獄だった。

「女よ。着ておった装束の染めを見る限り、ぬしは越中辺りの出であろう。
 越中の女は油虫でも喰ろうて暮らしておるのか?貴様の糞は、匂うて敵わんわ。
 おうお、次々と出てきおる。密書を斯様な所に隠しておらば、即座にその首叩き切るぞ」

激しい腹鳴りと共にひくつく肛門を、さらに指でほじり返しながら八千代が蔑む。
その指には、抗いようもなく下痢便がこびりついていた。
「や、やめ、ろ……!!み、密書など、知らぬ…………!!!」
夕霧は、八千代が肛門をひらく動きに導かれるように下痢便を漏らしつつ、必死に白を切る。
だがその顔は耐えがたい羞恥に歪んでいた。
もしも密書を持ち帰るという任務が無ければ、即座に舌を噛み切るところだ。
密書は追われている最中に屋根裏へ道具を使って隠したが、絶対に見つからないという仕掛けでもない。
何とかあれを奪還される前に、この窮地から抜けださなければ。
夕霧はその使命感によってのみ、生き永らえていた。

だが脱出の目処は立たない。
常に手か脚を縛られており、絶え間ない責めで体力は消耗するばかり。
夜になれば、逃げ出せないよう蛸を秘裂と肛門にねじ込まれ、空が白むまで犯され続けた。
八千代は、蛸によって妊婦のように腹が膨らみ、絶頂に踊り続ける夕霧を飽きもせず観察する。
どの夜も、どの夜も。
その歪んだ笑顔を毎晩見続けるうち、夕霧は、
『自分がもう助からないのでは』……と、そう思うようになりはじめていた。



                         終わり
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世紀末女弁護士クレカ

『何だお前、クレカも持ってないのか?』


そんな言葉が聞こえるようになったのは、今から半世紀ほども前の話だ。

家庭用女性ヒューマノイド“クレカ”。

その身体は最先端科学の粋を凝らした人工骨および人工筋肉で形作られ、
見た目には普通の人間と変わりない。
いやむしろ、人間に好かれるべく作られるゆえ、並の人間アイドルよりよほど愛くるしい。
また複雑な電子回路は、人間の脳内神経と同等以上の機能を有し、
膨大な記憶の蓄積のみならず『感情』さえ生じさせる。

美貌、肉体強度、思考演算能力、忠誠心、どれを取っても生身の人間に勝る“クレカ”は、
富裕層を中心として瞬く間に広まった。
やがて量産体勢が整い、生活家電と同じ感覚で購入できるようになって以来は、
“クレカ”を保有しているかどうかが生活水準のバロメーターになる。

或いは家政婦として、或いは携行用データバンクとして、或いは夜の慰みとして。
人々は様々な用途でクレカを使役し、その利便性を謳歌していた。

だが、高すぎる技術は悲劇を生む。
完全に人になりきれるクレカを、戦術兵器として利用する者が現れたのだ。

スパイとして送り込んだクレカを敵国要人の側近とし、要職の集う会議にて起爆させる……。
始めは爆弾を仕込んだテロ行為に過ぎなかった。
しかし陰謀の応酬はエスカレートし、やがては“核”に至る。
平穏な繁華街の中心で、ごく普通に交差点を渡り、次の瞬間全てを灰燼に帰す人型核兵器。
それが全世界で、同時多発的に繰り返された。

無残にも核の炎に包まれた世界では、やがて法が意味を失う。
歴史としての世紀が終わった、世紀末の世界。
生き残れるのは真に強かな者だけ。
略奪し、勝ち残り続けられるだけの腕力か狡猾さを有する人間だけだ。


 @                  @              
          v


アキヨシ ミオリは、その地獄のような世界を前に立ち尽くす。
生まれて以来の17年をシェルターで過ごしてきた彼女にとって、その現実は直視しがたいものだった。
そこにはシェルター内の資料で目にした青い空も、雄大な緑も、爽やかな風もない。
空は赤黒く染まり、地平線は毒々しい紫の霧に歪み、砂塵は刺激臭を孕んでいる。

世界の荒廃ぶりを頭では理解していたつもりだが、さらにその認識を改めなければならない。
ミオリはそう決意を固め、すでに機能を失いつつあるシェルターから外に踏み出した。
しかし、荒廃しているのは環境だけではない。
数時間ほどかつての街跡を彷徨ったのち、ミオリはそれを思い知る。

「オイオイ、こりゃいつの時代のお嬢さんだぁ?
 キレーな色の服着て、ツヤツヤの髪で、肌に垢もねぇときてやがる」
「へへっ、大方シェルターから出てきたいいトコのガキだろ。極上のカモって奴だ!」

ミオリは、数人の無法者によって囲まれていた。
いずれもこの世情で生き残ってきただけあり、獣じみた荒々しさを持つ男だ。
ミオリに対する慈悲など欠片も無く、当然の如くに犯すつもりでいるのが眼で解った。
「い……嫌……ッぁ…………!!」
ミオリは恐怖に震える。護身用の拳銃を手にする事さえできない。
下手に抵抗しても、後の扱いがより惨くなるだけだろう。

「しっかしイイ女だなぁ。肌が白くて、やわらかそーなお肉しててよォ」
男の1人がミオリの髪を掴み、強引に顔を覗きこんだ。
肉くさい息が鼻先をくすぐる。
「やめて……やめて、ぇ………!!」
ミオリは命の灯の揺らぎを感じながら、ただ震えるしかなかった。
その華奢な獲物へ、さらに別の男が手を掛けた、その時だ。



「そこまでですッ!!」



上空から鋭い声が降り注いだ。
思わず居竦んだ男達が仰ぎ見ると、ビル跡の瓦礫上に1人の少女が佇んでいる。
威圧感とはかけ離れた風貌。
だがその少女が降り立った時、ミオリは危機的状況を一時忘れてそれに見入った。

あまりにも好ましい。
アーモンド型の虹彩も鮮やかな瞳、長く整った睫毛、小さな鼻梁に、ふっくらとした唇。
陽光に艶めく赤銅色の髪。
輪郭も、首から鎖骨へと下る線も、全てが眼に心地良い。
パーツのひとつひとつは人間らしいが、それら全てが完璧となると不自然になる。
まるで人形だ、ミオリはそう感じた。

「ほぉ……またえれぇ可愛いのがよ、今日は入れ食いだなァ。
 どうした?お前も大人になりてぇのか?」

男の1人がニヤけながら少女の肩へ手を置く。
すると少女は、音を立ててその手を掴み、事も無げに引きはがす。
「お?」
男が不可解そうに声を上げた、その直後。
「ふっ!」
少女は男の腕を引き、前傾になった男の股間を蹴り上げた。
少女へ覆い被さるような形のまま、男が一瞬宙に浮く。
「ッオ……ごげ、あ゛ッッ…………!!!??」
その靴が再び地面へ降りたとき、男は奇声と共に下半身を痙攣させ、倒れ伏した。

「…………な…………」

ミオリも、男達も眼を剥く。目の前の異常に脳が反応できない。
だが一瞬の後、ようやく男達は状況を把握した。

「何しやがんだ、テメェ!?」

男の1人が銃を構える。脅しではない、荒廃したこの世界では、人命は紙より安い。
引き金は当然躊躇いなく引かれた。
絶世の美少女だが、息絶えてすぐ、まだ暖かいうちに愉しめば良い。そう考えての凶弾だ。

だが当の少女は、薄く目を閉じて小首を傾げただけだった。
彼女が反応したのは銃声とほぼ同時。しかしその頭に咲くはずの血の華は、何秒経っても現れない。

「……効きやしませんよ。」
少女が片目を開けてそう告げた瞬間、場の総員が寒気を覚える。
避けたのだ。銃弾を、至近距離で。
緊張が走る。男達が遊びから闘争の気構えに変わったのがミオリにさえ感じ取れ、
事実男は各々の獲物を手にしようとする。

しかし、その動きも少女の前では遅すぎた。

少女はボクシングに似た駿足の踏み込みで男の1人に肉薄し、肘を叩き込んだ。
小柄な体躯での肘打ちは、しかし男を小銃で撃たれたかのように吹き飛ばし、泡と共に気絶せしめる。
「クソが!」
そのすぐ後ろから放たれた銃弾は、風に靡く少女の赤髪をすり抜けた。
一瞬深く沈んだ少女の身体が起こり、男の脇腹を突き上げる。
「う゛ぉあ゛はっ!!」
男は銃を取り落としながら内股に崩れ落ち、痙攣し始める。

他の数名も、女の舞うような動きで反撃の余地もなく昏倒していく。

「……ほら、何ぼっとしてるんです。今のうちに逃げるんですよ!!」

ミオリが我に返った時には、件の少女に手を握られていた。
そのまま彼女に連れられて逃げる中、ミオリは少女が1人の命も奪っていない事に気付く。
凶器を携えた男達に囲まれる、あの状況下で。



   @                 @             
           v



「……どうして、助けてくれたの?」

ミオリは焚き火にあたりながら、傍に座る少女に語りかけた。
「整いすぎてる見た目に、あの身のこなし……あなた、“クレカ”でしょう。
 主人でもない私を助ける義理なんて、無いはずなのに」

ミオリに問われると、少女……クレカはミルクの入ったカップから口を離す。

「助けた理由は……あなたが、弱っちそうだったからです」
「弱っ……!?」
事実には違いないものの、あまりに明け透けな物言いに動揺するミオリ。
一方のクレカは悪びれもせず続けた。

「クレカの以前のマスターは弁護士先生で、いつも言っていたのです。
 “弱きを助け、不条理を挫くべし”……と。
 あいにくそのマスターも世界規模の不条理で亡くなりましたが、遺志はクレカが継いでいる。
 そんなとこです」
クレカの口調は飄々としたものだった。
しかし焚き火に煽られるその横顔は、ミオリにはどこか寂しげに映る。

「…………で、そっちはどうなんですか」

薪が小さな音を立てた頃、逆にクレカが問うた。
「色褪せてない着物に、真っ白い肌。どう見てもコッチの人間じゃありません。
 どうしてこんな野蛮な所に出てきたんですか」

クレカの宝石のような瞳に見つめられ、ミオリはすっと襟口に手を伸ばす。
襟口を弄った後、引き抜かれた指には袋に入った種のようなものが握られていた。
「花の種、ですか?」
クレカが見たままを述べると、ミオリが頷く。

「……世界が核で汚染される以前から、何百年も研究を重ねてきた成果よ。
 この種は、本来は害にしかならないはずの汚染物質を糧に、急速に成長するの。
 そしてすぐに繁殖して森を作るわ。
 地下深く根を広げた森は、大気と土壌を浄化しながら、この星の自浄作用に呼びかける。
 そうしてひとつの地域にでも自然が戻れば、そこに安心して暮らせる集落を作って、
 少しずつ、少しずつ、元の平和な世界に戻していくの。
 この種を、できるだけ自然が拡がりそうな場所に撒きさえすれば、そこからまた……」

ミオリは慈しむように種を撫でながら語った。
まるで、ケーキ屋になるという夢を語る少女のように。
クレカはそうした話を苦手とするのか、こめかみに指を当てて呻く。

「うーーん、前のマスターがしてたみたいに小難しい話ですねぇ」

しかし、すぐにふっと口元を緩めた。

「……でも、クレカにもそれが夢のある話だって事はわかります。
 ミオリはその夢のために、危険を冒してまでシェルターを出たんですね」
クレカの言葉に、ミオリが頷く。クレカは笑みを見せた。

「決めました。クレカもミオリにお供します。
 世紀末女弁護士として、邪魔する敵からミオリを徹底的に肉体弁護しますよ!」
「……なんなの、肉体弁護って…………」

クレカの放つ不可思議な言葉にたじろぎつつ、ミオリも知らず笑顔を溢す。

「でも、助かる。さっきみたいに誰彼構わず襲ってくる人達とか、
 無秩序な世界を望んでこっちを妨害してくる人間は沢山いるはずだもの。
 これからよろしくね、クレカ」
「はいです、マイマスター」

クレカとミオリは小さな手を取り合い、誓いを立てた。
世界再生への誓い。


それから2人は、種を植えるに相応しい場所を求め、街から街へと流離った。
道中には幾度もの妨害が入ったが、クレカは人造ゆえの卓越した能力でその全てを跳ね除ける。
2人で越えられない障害はない。

互いの信頼も旅を通じていよいよ深まり、再生への旅はつつがなく終わる…………


はず、だった。



  @                @
          v


「マ……ス……ター…………
   は、はやく…… 逃げて…………ください…………」

クレカは、唇の端から血を垂らしながら呟いた。
左目は腫れ、左右の腕は痛々しく鬱血し劣勢にある事がありありと見て取れる。
そのクレカを見下ろすのは、こちらも人ならぬ美貌を持つ女性だ。

「あら、健気ですわね。力が及ばない事はとうに思い知ったでしょうに。
 クレカ Type-VISA(ヴィーシャ)、プラチナランクの私が相手なのですよ?
 雑種にすぎない貴方は今、人間のような僅かな戦力でも無駄にできない筈です」

ヴィーシャと名乗った相手は、余裕綽々という態度でクレカの髪を掴む。
「人の……勝手ですっ!!」
クレカは苦痛に顔を顰めながら拳を突き出した。
しかしその拳は軽々と弾かれ、逆にヴィーシャの指がクレカの肩に突き刺さる。
「あぐっ!?」
鎖骨の下へ深々と突き刺さった指に、目を見開くクレカ。

「……仕方がありません。しばし、お人形遊びに興じましょう」
ヴィーシャは寒気のする笑顔で指を蠢かす。
クレカの腕に異変が起こった。
指に弄くられた部分を中心に血管が蠢き、片腕がありえない方向に捻じ曲がっていく。
肘が上を向き、下に戻り、指先が螺旋を描いて。

「あ、……っがああ゛ああ゛ぁぁああ!!!!」

腕を突き抜ける稲妻のような痛みに、クレカは悲鳴を上げた。
ヴィーシャは息絶えた蛇のようになったクレカの右腕を見て、口端を吊り上げる。

「これで片腕損傷……いえ、“使用期限切れ”と表現すべきでしょうか。
 廉価版は身体構造もシンプルで助かりますわ」
ヴィーシャは右腕を押さえて蹲るクレカを見下ろし、その腹部に蹴りを見舞う。
「はぐぉッ……!!」
クレカは目を見開き、くの字に折れた身体で地面を数度飛び跳ねた。
「クレカッ!!」
ミオリは腰に差した銃を引き抜き、ヴィーシャに銃口を向ける。
しかしヴィーシャは、興味なさげに一瞥をくれる。

「……自分の身を守る力さえ無いというのに、この私に牙を剥くとは……
 貴方には生き永らえる価値を感じません」

冷たい言葉を吐いた後、ヴィーシャは無造作に腕を振るった。
その一撃はミオリの乳房の下に入り込み、感覚ではっきりと解るほどに肋骨を粉砕する。
「 あ゛ッ ?」
ミオリは一言そう発したまま、身体が膝の高さほどまでに浮き上がるのを感じていた。
空中で、腹部の痛みが臓腑中に響いていく。
赤黒い色を思わせる、絶望的に毒々しい痛み。黴のように、こびりついて取れないであろう疼き。

マリオネットが地面に叩きつけられるような動作で落下したミオリは、開ききった口から液を溢れさせる。
かつてないほど粘ついた唾液、黄色い胃液……
「がッ、あっがっぇ゛ほ!!ええ゛え゛っぼ、ぐあごぉふっ!!!!」
発作的に咳き込むうち、吐き出す液の中に赤さえ混じり始める。
輪切りになったアバラへ金網が食い込んでいるかのごとく、細かに枝分かれした壮絶な痛みが襲う。

涙に滲む視界の中、緑の物体が見えた。
クレカと再生を誓い合った約束の種。2人の希望だったもの。
それはクレカへと近づくヴィーシャによって、無残にも踏み潰される。
「……そちらの方は、もう結構です。皆様でお好きになさって下さい」
後姿のヴィーシャから声がすると、ミオリの身体はたちまち周囲の荒くれ達から鷲掴みにされる。

「っしゃ、待ってたぜ!!こんな色白の女を犯せるなんざ、夢みてぇだ!!」
「おーお、血やらゲロやら吐きまくりやがって。この眼じゃあ、長くは持ちそうにねぇな。
 お前ェら、くたばる前に早いとこ愉しもうや!」
「ほら脚開けよ、内出血しまくりの腹ァ、もっとボコボコにすんぞコラ!!」

荒くれ達の声が耳元で反響し、痛みの渦に飲まれている腹部へまた拳が叩き込まれる。
「あ゛がおっ!!かはっ、も、もぅお゛、おだかは……やめ、やめ゛でえ……!!!!」
ミオリはさらなる胃液を吐き出しながら、細い腕で腹部を庇う。
だがその姿は、男達に嗜虐心を煽るばかりだった。

「何かおもしれーな……よしお前ら、ヤるのは最後だ。いい加減女ァ普通に犯すのも飽きたしな。
 内臓クチャクチャにしたら、色白のお嬢様がどんな有様に成り果てるのか見てやろうぜ」
「いいねいいねぇ。どうせ俺達がこの世界で必死こいて生きてる中、安全なシェルターに籠もってたんだろ?
 なら俺達が今まで味わってきた苦痛や恐怖を教えなきゃあ、フェアじゃねえよな」
男達の獣じみた眼が、拳が迫る。
「いや……ぁ、やめ…………!!!!!」
ミオリの懇願の言葉は、一つ目の拳で封じられた。
肺の空気を押し出すような息は、すぐに次の拳によって掠れた悲鳴に。
掠れた悲鳴は、三発目の蹴りによって布が地面を擦るような雑音へと変わっていく。



「マ、マスターーーッ…………!!!」
男達の下でボロ雑巾のようにされていくミオリを眺め、クレカは叫ぶ。
だがその視界を、すらりとした桃色の美脚が遮った。
「さぁ、今度は貴方です」
ヴィーシャはよろめくクレカの服を掴み、一息に破り去る。

白い腹部が露わになった。
膨らみかけた胸から下るボディラインは、括れながらもしっかりとした腰つきを有している。
正中線を中心として自然に隆起した腹筋は、戦う女としての力強さと、女性としての艶かしさを両立する。
子供じみた見掛けに反した、なんともそそるクレカの腹部に、周りの男達から歓声が上がる。

「くうっ!!」
クレカは羞恥に顔を赤らめながら、ヴィーシャに対して蹴りを放った。
軸足でしっかりと地面を抉り、鎌のように振り下ろす上段蹴り。
今まで大の男を何人も沈めてきた蹴りだが、それはヴィーシャの腕に易々と止められてしまう。
そして片脚を浮かせた状態のクレカの腹へ、ヴィーシャの一撃が見舞われる。
掌底だ。
虎の爪のように固められた掌底がクレカの腹部へ沈み込んだ。
「がはあっ!!!」
ヴィーシャの掌は、クレカの腹筋を易々と打ち破り、内臓を皮一枚隔てて握り込む。

「どうしたのです?仮にも人工的に作られた筋肉が、このように柔らかいとは。
 抱き枕目的ででも造られた、特注品なのですか?」

ヴィーシャは嘲りながら、手の甲までが沈み込んだ腕でクレカを吊り上げる。
「お゛げぇえああ゛……っ!!!!」
鷲掴みにされた内臓で吊られるクレカは堪らない。
無事な左手でヴィーシャの腕を掴み、徐々に地表から離れていく脚をばたつかせる。

「があァ、ああ……ア゛……!!!」
やがてクレカの脚は、空に爪先立ちするような形で痙攣を始めた。
左手は握力でもってヴィーシャの手を離させる事を放棄し、掻き毟るようになっていく。
「痒いですね。引っ掻くしか出来ないとはいえ、力で対抗する事を放棄しては、クレカの名が泣きますわ」
ヴィーシャは嘲るように告げ、腕の先をハンバーグを捏ねるように動かし始める。

「げぇあっ……!!ごはあっ、あごっ……おげえええっ!!!!!!」
クレカのあどけない表情がいよいよ引き攣りはじめた。
横向きに開いた口元に皺を寄せ、目元をひくつかせ、眉根を寄せて。
だがそれでも臓腑を揉み潰される感覚に耐え切る事など叶わない。
クレカの口元が縦に開き、空気を求めた1秒の後、その喉奥から破裂音が響く。

げぇれぽっ……

形容しがたい、水気のある音と共に、クレカの胃の中のものが溢れ出す。
まるで、パック飲料を握り潰して中身を飛散させたかのように。
おえ゛っ、お゛え゛っとクレカは何度も吐き戻し、やがてはホットパンツの裾から透明な液さえ漏れ始める。
白い脚を伝って足先から滴る失禁は、クレカの惨状を決定付けるものといえた。



  @                @
          v

ようやくにヴィーシャの凶手から解放されたクレカの腹部には、痛々しい手の後が深々と残っていた。
特に指の先に当たる部分は5つ全てが杭を打たれたように抉られており、掴みがどれほどの力であったかが伺い知れる。
よほど徹底的に内臓を握り潰されたのだろう。
倒れたクレカの周りには、吐瀉物の白線がいくつも文様を描いていた。
赤らんだ瞳は涙さえ枯れ果てたかのように虚ろだ。

「……無残なもんだな。自分と同じタイプの兵器に一方的に叩き伏せられ、嘔吐ばかりか失禁まで。
 この界隈で俺の部下共が散々可愛がられたっつうから、どれほどのモンかと思ったが」

ヴィーシャの後ろから、小悪党風の男が姿を現す。
男は無遠慮にヴィーシャの尻を揉みしだき、強い女を従えている事を誇らしげに示す。

「よくやったぞヴィス、いい女だ。後でまた愛してやる。こっからは俺が愉しむから、下がれ」

男がそう囁くと、ヴィーシャは恭しく頷いて後退した。
それと入れ替わり、男がクレカの顎を掴みあげる。汗と垢の匂いが強烈にクレカの鼻腔を突いた。
男は眉をしかめるクレカを可笑しそうに眺め、やおら腹部に一撃を見舞う。

「がぁっ……!!!」

ヴィーシャの握りで内臓に多大なダメージを負った今、クレカには例え人間の力でも堪えすぎる。
糸のように細めた目から涙を溢し、腹部を猫のように丸めて、クレカは男の打撃を嫌がった。

「へへっ、いい肉じゃねぇか。人間の女の腹肉とは違うぜ、なんつーか、張りがあらぁ。
 普通なら人間のパンチなんざ簡単に吸収するらしいが、今は最高の具合にこなれてやがるぜ!!」

男は拳に感じる未知の感覚に打ち震え、クレカに馬乗りになって腹部を殴りつける。
クレカは勿論抵抗を見せるが、もはや体力が尽きかけている今では万全の男を跳ね除けられない。
結果、まるで強姦されるように、嫌がる手足を押さえつけられ、腹部に乱打を見舞われていく。

「っぐええええ、ごぉええええっ!!!!!あおごっ、ぐあああああおおおおごおおおお!!!!!!!!」

クレカの健康的な手足が跳ね、強張り、痙攣する。その被虐の美に、見守る男達は狂ったような歓声を上げ続けた。

「があ、ああ!!!ぐくぅ!あああ゛あ゛もう゛、もう……やめてええええ゛え゛っ!!!!!!」

歓声と、悲鳴。それが毒々しい朱の空の下、延々と繰り返される。
何度も何度もクレカの華奢な身体を殴りつけ、完全に無抵抗になった所で犯し、また嬲り者にする。
その終わることの無い繰り返し。
いつの間にか全ての男がクレカに群がり始めたところからして、ミオリはすでに動きを止めたか。
クレカの混濁した脳裏は、かろうじてその絶望的な現実を認識していた。


「…………へっ、すっかり動かなくなっちまったな」
宴の終わりに、小悪党じみた男がクレカを足蹴にして呟く。
クレカはもはや体内あらゆるものを出しつくし、虚ろな瞳で虚空を眺めるばかりとなっていた。
「もう少し、長く愉しむべきだったか。また退屈が始まっちまうぜ」
男は物憂げに言いながら、ふと足元にある緑色のものを拾い上げる。
「んだ、これ?見たこともねぇ……」
男はそれが植物の種だと認識できず、ただその瑞々しい外見に惹かれて口に含もうとする。

「…………!!!!」

だが。
それを曇った視界で捉えていたクレカが、突如身を起こす。
「うあああああ!!!」
まさに最後の力を振り絞り、クレカは男に掴みかかった。記憶に深く根付く、大切な種を奪い返すために。
「うああ、何だこいつ!?急に甦りやがった!!」
男が錯乱してクレカと揉みあいになる。
「お止めなさい!!」
ヴィーシャも驚きに目を見開きながら、クレカを押さえ込んだ。
だがまさにそのさ中、クレカは男の手から緑の種子を奪い取る。
そして自分に馬乗りになり、今まさにとどめを刺そうと振りかぶるヴィーシャの臍の穴へ、深々と種子を埋め込んだ。

「くあっ!!?」

予想外の行動に、さしものヴィーシャも驚きを露わにする。
だがすぐに気を取り直し、クレカの喉元へ両手を掛けた。
「か……は…………」
ぎしぎしと首の骨が鳴り、クレカの最後に残った命の灯が揺らぎはじめる。
しかし、その灯が掻き消えるより僅かに早く、ヴィーシャの首締めが力をなくした。

「…………な、なによ…………これ」

ヴィーシャは自らの腹部に手をあて、顔面を蒼白にして震え始める。

「おのれ!…………い…………一体、一体何をッ…………!!!!!!!
 ぐ、ぉえ゛、ぐおおおおえええええええあああああああああああああ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!」

場の誰もが耳を疑った。彼らはヴィーシャがそのような咆哮を発する所を、見たことが無かった。
その異常性は、すぐに眼に見える形で現れる。
ヴィーシャの腹筋が波打ち、美貌が内臓を押し上げられる苦悶で引き攣っていく。
そして数分の後、その麗しい耳から、鼻から、唇から、見たことも無いほど青々とした木々が生え始める。
ヴィーシャの身体を器として形成された大樹は、養分を求めるかのように慄く男達を巻き込み、幹の中へ取り込んでいく。



「…………あはは…………マスターの、言った通りです…………。
 地球の害になるものを養分として成長する。
 あの醜い女の中に植えてやったら、こんなにすくすくと育って、ますよ…………。」



クレカは白く霞んでいく世界の中、自らも大樹へと取り込まれながら、愛しい主に話しかける。
その主もまた、この樹で自分と共に世界を再生する糧となるのだろう。
そこには善も悪もなく、ただ存在の一つとしての意味しか持たない。
人間も、その人間に作られた生命も。


クレカは言いようもない開放感を感じながら目を閉じる。

そして、すべてを世界の根幹へと投げ出した。永久に、主と共にあるために……。




                                END
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ジヒョンの悲劇

李 珠泯(イ スミン)の父親は警官だった。
幼いスミンの記憶にあるのは、子供を食い潰す麻薬組織に敢然と立ち向かう父の姿。
優しくて頼りになる自慢の父だった。
追っていた麻薬組織に捕まり、その死体が海に浮かぶまでは。

スクールを卒業した後、スミンもまた麻薬捜査官を志す。
名前をありふれた知賢(ジヒョン)と偽り、血の滲むような訓練を積んで。
有能で見目麗しい彼女には次々と任務が与えられた。
その中には性行為を要するものも当然あり、『ジヒョン』の純潔は訓練員によって無機質に散らされた。
それでも彼女は父の誇りを追う。

今回のターゲットは麻薬の密輸組織だ。
表向きは法人の有する海洋調査船だが、それが東南アジアからの薬の密輸手段になっているという。
ジヒョンに課せられたのは、その船へ新米乗組員として潜入し、搭載されている全種類の麻薬のサンプルを持ち帰ること。
ジヒョンにとって、さほど難しい仕事ではない、はずだった。




「……こいつが新入りか?」
作業着に身を包んだ色黒の男が、訝しげに目を細める。
その周りにいる男達も同じくだ。

だが疑問が浮かぶのも当然の事だった。
彼らがいる場所は、巨大な船の艦橋内部。
何週間もかけて洋上を漂い、場合によっては潜水しての調査を行う調査船だ。
当然その過程での作業は体力勝負になる。
大の男でも音を上げるというのに、その志願者がよりにもよって“女”とは。

「李 知賢(イ ジヒョン)です、よろしく」
女は腰に手を当て、男に囲まれる状況下にありながら全く臆さず名乗りを上げた。
気が強いのは間違いないだろう。
身体つきも悪くない。
背丈こそ小さいが、肩幅は女にしてはしっかりしており、ほどよく日に焼けてもいる。
ショートに切り揃え、前髪が自然に目元を覆うさまは、男性アイドルと言っても通るほどだ。
それは可憐というよりは精悍と表すべき容姿といえた。

しかし、それでも男達に違和感を植えつけるのは、その豊かな乳房だ。
作業着として支給されたタンクトップが、唯一女性らしい胸の膨らみに押し上げられている。
それは女日照りの乗組員達にとって、極めて異質なものと映った。
女だ。この目の前にいる精悍なチビは、紛れもなく『割れ目』を持つメスなのだ。

男の1人が口元を緩め、ジヒョンの背後から肩を抱く。
「なるほどなるほど。まとにかく、今後とも色々ヨロシクなぁ、お嬢ちゃん?」
そうジヒョンにいやらしく囁きかけた瞬間、その手首はジヒョンに掴まれた。
そして密着したまま、腰を切る動きで男を投げる。
男は何とか受身を取るが、よろよろと立ち上がったその隙に、胸倉を掴まれたまま壁に押し付けられる。
「こう見えても荒事は得意なの。覚えておいて?」
鋭い目線を向けるジヒョンに、男はただ頷く。
他の男達も、その一連の動作を見ては苦笑するしかなかった。


ジヒョンは船の乗組員として十分な働きをした。
船内の清掃など雑用は勿論、鎖を引いたり木箱を運んだりといった力仕事も。
拒む仕事といえば、酒が入るたびに繰り返される夜の誘いぐらいのものだ。

ジヒョンは男達から異様なほどの執心を受けた。
男勝りとはいえ、やはり男所帯に1人だけの女というものは特別だ。
海が荒れて船体維持に奔走し、疲れ果てたジヒョンがソファに寄りかかっている時などは、
必ず数人の男が汗まみれのジヒョンに纏わりつき、そそる匂いだ、などとのたまいながら腋や膝裏などを嗅ぎまわる。
シャワーを使った時、脱衣所から脱いだばかりのシャツやショーツが消えている事も何度かあった。
「……下衆め!」
誇り高いジヒョンはそのたび怒りに打ち震えながら、任務の為に耐え続ける。
そしてある夜、ついに機会は訪れた。





その日はある島の港から積荷を受け取る仕事が主だった。
重い木箱のラベルには、食料や酒類のほか、調査に要する資材入りと印字されているものが複数ある。
ジヒョンはすぐにそれこそが麻薬だと当たりをつけた。
わずかとはいえ調査作業に従事し、現時点で消耗品が全く不足していない事を知っている。
念の為大目に用意しておくにしても、箱をいくつも積み上げるほど……というのは過剰に思えた。
さらにその箱が、普段自分の立ち入りを禁じられている倉庫に運ばれるのを知った時、疑惑は確信に変わる。
カードキーと、パネル上でのパスワード入力。
厚い鉄の扉で幾重にも守られたその倉庫は、たかが消耗品を収納しておくには厳重に過ぎるからだ。

「皆、今日は本当にお疲れ様。さ、呑んで呑んで」
その日の夜、酒の席でジヒョンは積極的に酌をして回る。
言うまでもなく、全員を酔わせるためだ。
普段は澄まし顔で手酌ばかりしているジヒョンには珍しい事だったが、
補給直後で新鮮な肉や果物の並ぶ食卓を前にしては、多少浮かれても不自然ではない。
寝食を共にするようになって3週間、ようやくジヒョンも打ち解けたか。
せいぜい思うのはそれぐらいのものだろう。
事実、ジヒョンも今日ばかりは胸を揉まれたり、腿を撫でられても拒絶しなかった。
ゆえに全員が気持ちよく酔い潰れ、無防備な船内が完成する。
酌をしていたジヒョンを除いては。
「……頂いてくわよ、犯罪者の親玉予備軍さん。」
ジヒョンは船長の胸元から難なくカードキーを抜き取り、悠々と部屋を後にした。

厳重なセキュリティを抜けた先の倉庫で、ジヒョンの鼻をつくのは埃の匂い。
換気が申し訳程度にしか為されず、秘匿され続けた空間。
ジヒョンは顔を顰めながらも、その中を探り始める。
「……ビンゴ」
電池、とラベリングされた箱を開封し、中からビニール入りの白い粉を発見した時、
ジヒョンは笑みを浮かべた。
その袋の一つをポケットから取り出した薄紙で丁寧に包むと、ジヒョンはそれを口の中に放り込む。
「ンっ……グ!!」
固く目を瞑って苦しげに飲み下し、安堵の溜息を吐くジヒョン。
気分は悪いが、これで突然の身体捜査をされてもサンプルを発見される事はない。
最初に袋を包んだのは胃液で溶ける事のない特殊な合成繊維で、胃の中に物を溜め込む事が可能になる。
無論いずれは腸から排泄されるため、全てのサンプルを回収した暁には速やかに本部へ連絡し、救援を呼ぶ必要がある。
「早く終わらせないと……」
ジヒョンは確認するように呟き、すぐに次の箱を降ろしにかかる。
しかし、そのジヒョンを突如光の輪が覆った。




「新入り、そこで何をしてるッッ!!」
ジヒョンが目を細めながら振り返ると、1人の男がライトを手にして立っていた。
先ほどまで、執拗にジヒョンの胸を揉みしだいていた男だ。
「今日はやたら乗りが良かったから、そろそろヤラせてくれんのかと追いかけてみりゃあ、
 とんでもねぇモン見つけちまった。
 ……一体ここで何をしてるんだ、えぇ?」
男は弱みを握ったと言わんばかりに口元を緩ませ、一歩ずつジヒョンに近づく。
ライトで照らされるジヒョンの額に汗が浮かんだ。

「今日運んだ荷物が何なのか、気になって。それだけよ」
努めて冷静を装うジヒョンだが、背後にある口の開いた箱は隠しようもない。
男の濁った瞳が、じっとりとその箱に注がれる。
「船長のカードキーを盗み出してまでか?」
「よ、酔ってちょっと大胆になっちゃって。悪かった、すぐに返すわ」
いつもの強気な態度はなく、焦りを浮かべるジヒョン。
男は笑みを深めた。
「もう終わりだなぁおめぇも。だがどうだ、俺に一発だけやらせねぇか。
 そうすりゃ黙っててやってもいい」
ジヒョンに息もかかりそうなほど接近しながら、男が提案する。
いや、提案ではなく脅しだ。
男の中には今、肉欲が渦巻いている。ジヒョンを好きに嬲れるチャンスだ、と。
本当にそれで見逃して貰えるならジヒョンにも譲歩の余地はある。
だがこういった下衆は、願望を満たして冷静になった後、簡単に約束を反故にする事をジヒョンはよく知っていた。
ここで口止めするしかない。

「うあああぁあっ!!」
ジヒョンは覚悟を決めて男に掴みかかった。
男の襟首を掴み、抵抗する相手の重心移動を読んで床に引き倒す。
そして開いた相手の股へ膝蹴りを叩き込んだ。
「ぐぁあおおおぉっ!!?」
ジヒョンより遥かに大柄とはいえ、最大の急所を強打されては男も無抵抗になる。
ジヒョンは男に馬乗りになって脚で相手の腕を押さえ込み、首に掛けたタオルを男の首に巻きつけた。
「がごひゅッ……」
男の喉から呼吸の断ち切られた妙な音がする。
「う、ぐぅううッ……!!」
ジヒョンはそのまま狂ったように暴れる男の首を絞め続けた。
何度も跳ね飛ばされそうになるのを、圧し掛かる体勢の有利さで制し続ける。
やがて男の抵抗が弱まりはじめた頃、ジヒョンは安堵しはじめる。
男の御し方にも慣れ始め、じわじわと場所が移動している他は何の問題もない。
……しかし、彼女は気付けなかった。
男がただ無闇に暴れている訳ではなく、ある場所を明確な目的地としている事に。
それに気付いたのは最後の瞬間。
男が壁際に置かれた箱を渾身の力で蹴り飛ばし、壁に隠されたスイッチを押した瞬間だった。

「しまっ……!!」
ジヒョンの悪寒が命じる通り、船内に警報が鳴り渡る。
ジヒョンはまだ息のある男を睨み付けた後、すぐに身を起こして逃げ出した。
しかし所詮は密閉された船内。
三つ目の隔壁を通りぬけた所で閉じ込められ、銃を構えた数人に取り囲まれる。
「くっ!」
「終わりだ小娘。両手を挙げて壁に手をつけ」
男の1人にそう命じられると、ジヒョンは口惜しげに唇を噛んだまま従うしかない。
小麦色の細身は数人の手で壁に叩きつけられ、後ろ手に荒々しく拘束された。






「……長い小便だな」
小便器で隣り合った男を見て、別の1人が声をかける。
男は嬉しげに笑った。
「ああ。久しぶりに女ァ抱いた後の小便は、昔から長ぇんだ」
男のその言葉を聞き、問うた男も下卑た笑みを浮かべる。

「確かに、ありゃあ良かったなぁ。
 俺は最初の頃にマングリ返しで犯ったんだが、まだ唾で濡らした程度にしかこなれてなくてよ。
 挿れるたんびにキツい眼の目元がひくっひくってなってな。
 あぁまだ痛ぇんだなぁなんて同情しながら、奥を突きまくってやったさ」

「へっ、ド鬼畜だねぇお前は。そんなだから嫁にも娘にも逃げられンだよ。
 俺ん時は逆でよ、もう粗方の奴がヤり終わった後で、中がドロドロになってやがった。
 アレは黒髪のキレーなタイプだからよ、バックでやりまくったよ。
 普段はチチ以外は男みてぇな奴だと思ってたが、中々どうしてやらしい腰つきしてやがんなぁ。
 アナルもぴっちり閉じててよ、両の親指でグリグリ蕾こね回しながら突くと、
 『やめてください』なんざ絶対に言わねぇが、膣の締めが違うから感じてんのが解るんだよな。
 バックで突いてた俺は知らねぇが、前から見てた奴によるとツリ目が何度も飽和したみたいに垂れてたらしいしよ」

「何だ、自慢か?……まぁともかく、あんなイイ女と何発か出来てスッキリしたな。
 どっちみち近いうちに数人で押さえ込んで犯るつもりだったから、手間が省けたぜ。
 ……にしても、ありゃただの女じゃありえねぇわな。
 少なくとも膣は、誰かしらから専門的に訓練されてたように思うぜ。
 かといって娼婦にしちゃあ雰囲気がパリッとしすぎてやがるしな」

「ま、十中八九どっかの組織の回し者だろ。いずれにせよ、今船長達が吐かせてる最中だ。
 マス掻きついでに様子でも見てみようぜ」

男達はそう語りながら階段を降り、パイプやバルブの並ぶ場所に降りる。
騒音の鳴り止まないその場所の最奥……『尋問中』という紙の貼られた部屋の中から、
トーンの高い叫び声が響いていた。
それは艶やかな異性の声。この船に2人として居ない、女の発する声だ。



「んぶぁあああっ!!げぇほっ、えぼえごっ、んごぉぉろおおええええっほ゛!!!!」

男達が扉を開けた瞬間、ジヒョンの苦しげな声に迎えられた。
空気を求める声と、咳き込む音、そしてうがいをするかのような喉からの水音。
「水責めか」
男が問うと、入り口近くの1人が頷く。
ジヒョンは縄で後ろ手に縛られ、胡坐を掻く姿勢で足首を結ばれる、いわゆる『胡坐縛り』を受けていた。
ただでさえ横に転がるしか出来ない縛りで、さらに両肩を押さえ込まれ、完全に身動きを封じられている。

取り押さえられた際に着ていたタンクトップはそのままだが、それは首元から胸にかけて薄い赤に染まっていた。
血ではない。もっと薄く鮮やかな、食紅の汁のようなもの。
それはジヒョンの脚の間に設置された木桶に光を反射しながら揺れており、
かなりの直径をもつ浣腸器で吸い上げられては、ジヒョンの鼻の穴へと注入されていく。
その鼻の穴自体もフック付きの器具で豚のように吊り上げられ、精悍な美貌を惨めに歪まされている有様だ。

「ぶあっ、うううえほっ、ふんんげぇぇぇええぼおおお゛っ!!!
 げほっ、えほっぐごごごぼっっ!!!!!!」

薄紅色の水をその水を鼻の穴から注がれた瞬間、ジヒョンの眉が顰められた。
目袋も深く閉じられた瞳から数滴の涙が零れる。
水を注がれる方とは別の鼻の穴から、鼻水のような粘液がどろりと垂れ落ちる。
縦長に限界近くまで開かれた口からは、悲鳴と共にVの字に折れた舌が突き出され、
やがて喉奥からその舌の上を伝うようにして大量の唾液があふれ出す。
それら赤い水、鼻水、涎、唾はジヒョンの容のいい顎から渾然一体となって伝い落ち、洗面器に戻る。
わずかに粘り気を増したそれを浣腸器が吸い上げ、ジヒョンの鼻へと注入する。
その繰り返しだ。

「おい、そりゃ何だ?ちと赤い上に、ただの水でアレほどには唾をぶち撒かんだろ」
男が聞くと、浣腸器で水を吸い上げる男が顔を上げぬまま答える。
「四川で造られる、数種の“醤”を溶かした水だ。匙一杯で辛いスープが作れるほどのな」
男の言葉も終わらぬうちに、ジヒョンが再び咳き込み始める。
ゲボゲボと喉奥を鳴らしながら、薄く目を開く。
だが驚いた事には、その薄っすらと開いた瞳の奥では、なお責める男を睨みつけていた。
何度も泣き腫らし、すでにウサギのように赤らんでいる瞳で。

「いい加減に吐け。鼻と喉の奥が焼け爛れるように痛むだろう」

男が浣腸器を水に浸しながら問うが、ジヒョンは屈しない。
「はぁっ……こんな、こと、いくら……やっても……!!」
男は溜息をつきながら浣腸器を持ち上げると、太さのある嘴管をジヒョンの鼻腔深くにねじ入れた。
「あ゛…………!!」
ジヒョンは鼻の奥に勢いよく液を浴び、精悍な顔を歪めながら大量の涎を吐き散らして悶え苦しむ。
それが延々と続けられた。



「……しぶとい女だ」

責め手の男が浣腸器を投げ出し、くたびれたように近くの毛布に横になる。
責めを受け続けた側のジヒョンは、天を仰いだままぐるりと白目を剥き、
大きく開いた口からなお涎を溢しながら、短い呼吸を繰り返していた。
明らかに限界と思える状態だ。
にもかかわらず、その悲惨な顔を覗きこむ男達は性欲に滾っていた。

「エロい顔しやがって。グズグズに泣き崩れた女の顔ってなぁ、そそるもんだな」
男の1人が堪らずといった様子で逸物を取り出し、開かれたジヒョンの唇に近づける。
ジヒョンと倉庫内でやりあった男だ。
しかしそれを1人が制した。
「待て。いくらボロボロとはいえ、この女ならお前の物を噛み千切りかねんぞ。
 やるなら道具を使った方がいい」
そう言ってビニール袋からある物を取り出した。
リングギャグと呼ばれる口枷の一つで、口に噛ませる部分に逸物を通せるほどの穴が空いているものだ。

「お、ありがとよ。確かにこれがありゃあ安全だ。
 ヤクだけじゃなく、こういう如何わしいモンも運んでるお陰で色々と楽しめるぜ」
男はジヒョンの口に枷を嵌めこみ、いよいよ逸物をその円の中に差し入れた。
それはギャグで開かされた口の中を難なく進み、ジヒョンの喉奥を突く。
「おごぉっ!?」
喉奥への衝撃で目を覚ましたジヒョンは、すぐに口内に逸物を入れられている現状に気付く。
しかし歯を立てようにも、ギャグの輪が邪魔をして口が閉じられない。

「へへ、お目覚めかい。俺もちょうど今日、動けるようになったとこだ。
 何せあとちょっとで、お前にタオルで絞め殺される所だったからな。
 怖かったぜぇ、息が出来ない恐怖ってのはよ。お前も知らなきゃいけねぇよなあ」
男は勃起しきった逸物を浅く引き、すぐに喉奥深くに押し込む。
「ごぉぉぉえおえ゛お゛っ!!!!!」
ジヒョンの喉奥から濁りきった声が発せられた。そのさらに奥から水の跳ねるような音もする。
「ガっ…………ぶ、ふッ…………!!!」
ジヒョンは苦しげにしながら、しかし男を射殺しそうな目つきで睨み上げた。
男がぞくりと震え上がる。
「さて、じゃあいくぜ」
睨まれながらも一方的に有利な男は、至福の笑みを湛えながらジヒョンの側頭部を掴んだ。



散々に鼻から水を入れられているジヒョンのイラマチオは、それは凄まじいものとなった。

「う゛ん゛んぅむお゛ええ゛!!!
 お゛う゛んんん゛、っうむ゛ぐぉおおお゛お゛えお゛!!!!!」

喉奥深くで逸物を留められ、ジヒョンは幾度も頬を膨らませながら苦悶の声を上げる。
それは全てが濁音と言ってもいい声ならぬ声で、彼女の苦悶がどれほどのものかを解り易く伝えた。
しかしその状況になってなお、ジヒョンは強い目の光を失わない。
涙に塗れる瞳を見開き、男を睨み上げている。
その彼女らしさこそが、咥えさせる男にとって何よりのスパイスとなるようだった。

「あああ最高だ、喉奥が熱い。人肌にあったけぇんじゃねえ、辛し水で焼けるように熱くなってやがる。
 一番奥の方まで、変にねっとりしたローションみてぇな痰も絡みついてくるしよ、止められねぇよ!!」
男は興奮気味に叫び、ジヒョンの頭を掴んで腰を前後させる。
「う゛ぉっ、おおおぇお゛え゛え゛っ!!!!!」
当然にジヒョンの苦悶の声が上がる。
男はそこで一旦、逸物をリングギャグから引き抜いた。

痙攣する勃起しきった肉棒が口内から姿を現す。
それには夥しい量の粘液が膜状に絡み付いており、逸物が完全に抜けるのに併せてカーテンのように垂れ拡がった。
「おお、すげぇ……っ!!」
その異様な光景を目の当たりにした者は、口々にそう漏らす。
「こ……ころ、げす、やおう……!!!」
何とか空気を吸ったジヒョンの口から、すかさず言葉が吐き出された。
口枷に阻まれて明瞭ではないが、悪態に違いないだろう。
男はそれを愉しげに聞きながら、小休止するようにしばし逸物を空気に晒し、
その後に再度ジヒョンの口内へと戻しに掛かる。
「げおぉっ!!!?」
ようやく解放されるのかと安堵していた美貌に絶望の色が浮かんだ。
男はその苦悶に酔いながら、いよいよ軽快に喉奥の柔な部分へと打ち込み始める。

「どうだ、美味しいだろうジヒョン?きっちり喉の奥で味わってくれてるか?
 お前が初めて俺の前に現れてから3週間……ずっと溜め込んで濃縮した、俺の愛の味だぞ。
 ずっとお前を愛してた……俺は、何度拒まれてもお前に本気の告白をしたよな。
 お前がシャワーを浴びるのに脱ぎ捨てた下着を拾って、お前のナマの肉体を何度も妄想してた。
 お前の裸を、貫いた時に上げる声を、絶頂の時の顔を何十回何百回妄想してたんだ!
 こんな風に純粋な俺そのものの味を味わわせてやりたかった……声を上げさせたかった!!!」

男は気狂いのような台詞を叫びながら、ジヒョンの喉奥を容赦なく責め立てる。
身動きの取れないジヒョンは為す術もなくそれを受け入れるしかなかった。
ごえっごえっという呻きの声が部屋に響き続ける。
やがて小さなせせらぎの音と共に、胡坐を掻いたヒジョンの割れ目から小水が迸りもする。
「おい見ろよ、コイツついに小便まで漏らしやがったぜ!!」
その恥辱の指摘がジヒョンの頭の中で意味を為したころ、最悪の事態が訪れる。

「おごぇっ……えごっ、んも゛ぉぉおお゛お゛う゛えええ゛え゛え゛っ!!!!!!!」

嘔吐だ。
何十という回数、水責めでふやけた喉奥を掻き回され、とうとうジヒョンの喉が限界を迎えたのだ。
「うわっ、きったねぇ!」
「後片付けはお前がやれよ!!」
様々な野次が飛び交う中、ジヒョンはリングギャグの形に沿うようにして胃の中の物をぶちまける。
そう。胃の中にあるもの、全てを。


「…………あ?」


それまで笑っていた男達が真顔に戻り、ジヒョンの喉奥から最後に吐き出された物を凝視する。
ビニールに包まれた白い粉。自分達の犯罪の決定的な証拠。
「おい、どういうコトだこりゃあ……?」
初めに水責めを課していた男が、ビニール袋をジヒョンの目の前に摘み上げて凄む。
これまで常に強気でいたジヒョンの瞳も、流石に怖れの色を含んだ。

「どうやら、お前は思っていた以上に危険な女らしい。
 他にどんなものを隠し持ってんのか、体中を徹底的に探るしかなさそうだな!!」
男はそう告げ、袋の中の道具を残らず床にばら撒いた。






ジヒョンは今、首後ろで2本の竹を×の字に組み合わされ、
そのそれぞれに手足の関節を二箇所ずつ結び合わされる格好を取らされていた。
腋を晒し、大股を開く惨めな格好だ。
その状況下、彼女の尻穴には大きな真珠をいくつも連ねたような責め具が挿入されていた。
責め自体は単調なものだ。
ジヒョンの股の間に座った男が、責め具の持ち手を浅く握り、ゆるっゆるっと抜き差しするのみ。
「んーっ……!!んあっ、あう、……んっっ…………!!!」
しかしジヒョンはその責めに対し、時に唇を引き結び、時にあの字に開くという、明らかに感じ入る反応を見せていた。

「どうした、随分と感じているように見えるが?こちらはただ排泄の孔を穿っているだけだがな。
 そのような変態じみたマゾヒシズムを見せるサービス精神があるなら、
 早く腹の中に隠しているものを排泄したまえ。こちらはそのために刺激してやっているのだ」

研究者然とした男が、淡々とした口調でジヒョンに告げる。
言葉こそ事務的だが、その顔は陰湿な笑みで満たされていた。
彼は言葉を発する間にも、抜き差しする責め具へボトル容器に入った粘液を注いでいる。
それが興奮剤や精力剤の類である事は問うまでもない。

この淫靡な尻穴嬲りは、公衆の面前でもう小一時間以上も続けられていた。
「んっ……あ、ああっ…………!!」
薬を塗りたくられた淫具で、排泄の穴の中をいやらしく捏ねくり回される。
裸のまま大股開きを晒すだけでも耐えがたい羞恥だというのに、さらに尻穴へ器具が出入りする所まで、
何十という男に見られているのだ。

薬の効果もかなり高いらしい。
小一時間ばかり尻穴の中へ塗りたくられ、秘部が濡れているのがジヒョン自身にも解る。
男達には、秘裂からとろとろと愛液が溢れ出し、内股までを濡れ光らせている様までが丸見えだろう。
意地の悪い事に、男達は誰一人としてそれを指摘しない。
何もかも見えているにもかかわらず、ただジヒョンを好奇の視線で見下ろすばかり。
それはジヒョンにとって、罵られる以上に心に刺さる行為だった。

「……ふむ、やはりこんな細い棒では掻き出せんか」
研究員風の男はそう呟いて、ジヒョンの尻穴から棒を抜き出す。
長きにわたって尻穴に出し入れされていた棒だ。
当然の事ながら、その各所には直視しがたい穢れが纏いついている。
特に先端近くに位置する数個の真珠の裏には、今にも零れ落ちそうな大粒の汚物が見受けられた。
「へっへ、しっかり付いてやがるぜ。ジヒョンちゃんが最後にトイレ行ったのは、今日の朝だもんな!
 みーんな知ってるぜ、『ジヒョンがトイレ行った時間』はよ。何せ皆のアイドルだからなぁ!!」
下卑た叫びと笑いが起きる。
その中心で耳まで赤らめながら、ジヒョンは恥辱に打ち震えた。
だがその恥辱は、まだ平穏な部類でしかないのだ……と、ジヒョンはこの後に嫌というほど思い知る。






「あえ……あうう、あ…………っは、ああっ…………!!」

ジヒョンの顔は恐怖に引き攣っていた。
格好は先ほどと変わらない。だがその腹は妊娠初期のように膨らみ、浣腸液によって絶えず音を立てている。
またその尻穴には限界まで膨らませたバルーンとゴムの貞操帯が嵌められており、
どう足掻こうとも排泄が叶わない状況にあった。
それだけでも充分につらい状況ながら、さらにジヒョンはそれ以上に精神を削り取られる仕打ちを受けてもいた。

彼女の足元には一面ぬめった異臭を放つ液体が撒かれている。
色と感触からして、ガソリンと考えて間違いなかった。
その上で、ジヒョンは口に燃え盛る蝋燭を咥えさせられているのだ。
浣腸のつらさに耐えられなくなり、口から蝋燭を落とせば一気に身体が炎に包まれる。
その極限状態で、ジヒョンは濃厚な恐怖に煽られていた。
浣腸のつらさ、死の恐怖。それが一瞬の休みもなく襲い来る。冷や汗が体中を多い、緊張で吐き気がする。

その様子を、部屋の外から男達が監視していた。
彼らは、床に撒いた液体がガソリンではない事を知っている。
密輸した本人だからこそ解る、ガソリンそっくりに作り上げた紛い物だ。
元々は詐欺目的で造られた精巧なものゆえ、第三者には実際に燃やしてみないと判別できない。
ゆえに当然、ジヒョンにそれを知る術が無いことも知っている。
彼女の中で、自分達が容易にジヒョンを殺しうる下衆な人間だと認識されている事も。
だからこそ追い詰める。
死の恐怖で衰弱させ、公衆の面前での限界を超えた品のない排泄で心を痛めつける。
それを繰り返して隷属させ、あわよくば情報も引きずり出すつもりだ。

「あ゛……ああああ゛…………!!!!」

極限の恐怖で目を泳がせ、短い息を繰り返すジヒョン。
その姿をモニター越しに眺めながら、男達はさらなる責めを話し合う。
いつまでも、いつまでも……。



                        終
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澄んだ肖像 8話

■  1  ■


まるで魔女狩りだ。

カーネの目に、澄泉に対する責めはそう映った。
事実、澄泉は今も容赦のない“水責め”に掛けられている。




かつて拷問部屋であったという地下室に、鋭い水音が響き渡った。
石造りの本格的な水槽に、澄泉の頭が沈められたのだ。
ごぽっ、ごぽぼっ……と泡の浮く音がする。
うなじを境に左右へと垂れ落ちた黒髪。
肩甲骨のすっきりと浮かび上がった背筋。
その華奢な後ろ姿からは、被害に遭っているのが間違いなく澄泉本人だと窺い知れる。

彼女の両腕は後ろ手にアームバインダーと呼ばれる拘束具で締め付けられ、
苦しい水責めのさ中でも一切の抵抗を封じられていた。

黒髪の下から泡が浮かばなくなった頃、さぱっ、という水切り音と共に澄泉の頭が引き上げられる。

「ぶはっ!!はっあぁっ、はああっ!!げほっ、え゛えぇほっ!!!」

たまらず空気を求める澄泉。
日本人形のように整っていたその美貌は、無残にも乱れきっていた。

アーモンド型の小生意気そうな瞳は、力なく眉を垂れ下げ。
容のいい鼻は鼻腔を膨らませ、鼻水をつんと尖った上唇へと垂らし。
白い歯の覗く口からは舌が飛び出して、その舌先と頬の片側を弧を描く唾液で繋いでいる。
さらには海草のように顔へ貼り付く黒髪、酸欠による頬の紅らみ、しとどな汗が奇妙な妖艶ささえ加える始末。

それを真正面から眺める男女数名は、皆が口元を引き攣らせていた。
それは笑いだ。
ただの嗜虐の笑みではない。天使のような浮世離れした美貌が歪み苦しむ、という奇跡を前に、
『腹の底からの充足感』を得ての笑み。
男ならば狩猟の本能を、女ならば嫉妬の本心を満たしうるだけのものがそこにはあった。



「スズミちゃん、苦しいでしょ?死んじゃうかと思ったでしょう?
 だったらぁ、そろそろ良い子になって言いなさいよ。
 “男の人の精子、全部飲ませていただきます”、って」

澄泉の髪を掴む女が、苦悶する美貌を揺らして問い詰める。
彼女も元は恋人に鞭打たれて喜ぶマゾヒストであったが、男の興味を澄泉に奪われて以来、
こうして嫉妬に狂っていた。

女が要求しているのは精飲だ。
澄泉は連日何人もの男に犯される生活を延々と続けながらも、口に出された精液を飲もうとは決してしない。
たとえ喉奥で発射されようとも、銃を突きつけられて飲むことを強制された時でさえ、
床へ吐き出して挑むような視線を向けるのだった。
まるで、絶対に胸の内までは穢させない、と主張するように。

犯しぬかれ、ボロ雑巾のように横たわったある夜、澄泉は息も絶え絶えながらカーネに囁いた。
『男のあんなもの、飲むことないよ』……と。
その時カーネは気づく。
澄泉が意地でも精液を飲もうとしないのは、自らのプライドの為だけではない。
カーネという幼い少女が慰み者になる現状に、今なお憤っているからだ。
私の心は絶対に穢されたりしない。
カーネのただ一人の味方である澄泉は、まだ理不尽に屈してなどいない。
その姿を見せ、犬と名づけられたカーネに“人として”生きるよう訴えかけているのだ。

その行為は、カーネの胸にいつからか諦めていた希望を植えつけた。
だがその頑なな態度が、ますます澄泉自身の立ち位置を悪くしているのも事実だ。



「精液飲むなんて絶対にイヤ、って顔ね。……カマトトぶりやがって!!」
髪を掴む女は、そう叫ぶと水槽の中にしっかりと立ち、澄泉の頭を再び水に沈めていく。
軋むアームバインダーが澄泉の苦しみを代弁していた。
「ほぅら美味しい?清純なスズミさんは、綺麗なお水しか飲みたくないんですもんねぇ。
 なら 腹いっぱい味わって下さいよぉ!!」
女は澄泉の髪を掴みながら水に沈め続け、苦しみの余り痙攣が起きる頃に引き上げる。

「はあああ゛っ、はああぁぁあ、うあ゛っ……ああっ、うおおお゛ぇっ……!!!!」
澄泉はいよいよ苦しげに目を細め、薄く開いた唇から涎を垂らす。
意識が朦朧とし、限界も近いといった様子だ。
「はぁーい、もう一丁っ!!」
女は澄泉の苦悶をたっぷりと堪能しつつ、嗜虐の笑みと共に水面へ叩きつけた。



澄泉への苛みは水責めだけではない。
その脚もまた、跪く格好のまま膝裏に鉄の棒を結わえ付けられ、閉じられないようにされている。
そして背後に突き出す形となった尻穴には、ローションを纏いつかせたディルドウが深々と差し込まれていた。
責め具の太さは中々にあり、引き抜かれる際には菊輪がクレーターのように纏いつく。

色こそまだ鮮やかさを残すものの、連日の肛虐によってふっくらと厚みを増した少女の菊門。
対して尻の肉づきはまだまだ甘く、恥じらいの場所を隠す事はない。
その可憐な尻穴に艶めく責め具が入り込む絵は、何ともいえぬ背徳の美に溢れていた。

「苦しそうだねぇ、この太いのを抜けないぐらいに締め付けちまって。
 でもそうして締め付けた分、コレのぶっとさやイボイボが感じられて良いだろう?」
娼婦でもしていそうな婀娜な女が、責め具をぬるりと引き抜きながら囁く。
彼女は女を知り尽くしているような手つきでもって、緩やかに、丹念に、尻穴の開発を進めていた。
よく見ればクリトリスにも指が添えられており、尻穴深くを抉るのと同時に明確な快感を刷り込んでいる。

「穴という穴で狂うほど感じられるように、ちまい身体を作り変えてやるよ。
 金取っても恥ずかしくないぐらいにね」
女はそう告げ、遠くで見守るブロンドの女性に視線を向けた。
ブロンドの女……ラウラは満足げに頷く。

やがて女は粘ついた音で責め具を引き抜き、澄泉の排泄の穴を外気に晒した。
今の今まで太いディルドウに拡げられていた菊輪は、呆けたように口を開けて喘いでいる。
そのいやらしさに、見守る男達が生唾を呑んだ。

「さて、クールダウンといこうかい」
女はそう言って傍らのクーラーボックスを開く。
中からは大振りの氷が冷気を溢れさせながら現れる。
女はその一つを拾い上げ、皮膚に貼り付くそれを指の熱で少し溶かしてから、澄泉の桜色の肛門へと押し当てた。
「あ゛っ、い、いや あ……!!」
空気を求めている最中だった澄泉も、排泄の穴に感じた冷たさには非難の声を上げる。
だが女は、構うことなく氷の一つを中へと押し込んだ。
さらに2つ目、3つ目……と続けざまに呑み込ませてゆく。

「あ゛あ゛あ゛っ!!」

澄泉の声は、その身のつらさをはっきりと伝えるものだった。
天使の唇から紡がれる濁音は、それだけで聞く者の脈を速める効果がある。
嗜虐という禁忌に人を迷い込ませる効果も。

「ほぅーら、腸の奥まりでゴリゴリと蠢いて、凄いだろう。
 あんたの可愛らしい腹ン中がひどいことになってるのが、感触で解るんだよ」
女は氷を入れた腸内へディルドウを捻じ込み、意地悪く掻き回す。
澄泉はまた顔を水に漬けられたために泡を吐くばかりだが、それまで床にぴったりと付いていた足の甲が、
やがて爪先立ちするように石床にぴんとそそり立ち、痙攣を始めていた。
「ははっ、凄いみたいだねぇ。流石にこうまでされちゃ堪らないか。興奮するね」
女はそう良いながら、氷が溶けて滑らかさを増した抜き差しを繰り返す。

「もっともっと、もっともっと苦しんであたしらを愉しませとくれ。
 今で食後約3時間……このぶっといのと氷に刺激されて、うんちが出てくるようになるまで止めないからね。
 この大人数の面前で、最後の一かけらまで全部掻きだしてやるよ。
 あくまで従う気がないってんなら、それなりの恥を掻いてもらうまでさ」
女は嗜虐の快感に酔いながら、いよいよ熱を込めて澄泉の白く若い尻を嬲りまわす。
周りで見守る男も、女も、その行く末を呼吸さえ忘れて見守っている。

カーネは、欲情した男達の性欲処理をこなしながら、泣きたいような心持ちでそれを見守っていた。
悪魔だ。
赤の他人ならいざ知らず、澄泉をこの穴蔵へ連れてきたブロンド女まで何故笑えるのか。
澄泉の大切な友人ではなかったのか。
カーネの言葉なき非難をよそに、ラウラは調教されてゆく澄泉を見て目を細める。

ローストビーフが良い色に焼けてきた、とでも言いたげに。



■  2  ■


澄泉への肉体開発は、ろくに休む間も与えられず連日続けられた。
女のみならず、粘着質な責めを施す悪徳警官や、野戦帰りで女日照りの兵士達からも嬲られる日々。
日の感覚も、時間の感覚さえ失くし、暗い地下室で輪姦され続ける日々。

その積み重なった果てには、いかな澄泉とて変わらずにはいられない。
未だに男の言うままになる事はなく、小生意気な瞳の色も健在だ。
だが胸を揉まれると、すぐに熱い吐息を吐き始める。
男の濃厚な匂いを鼻先に突きつけられると、反射的に唾液を滲ませてしまう。

澄泉の妖精のごとき白い身体は、しかし確実に『男』を覚え始めていた。




「ああ、あ、あああっ……く、んああぁああっ……!!」

色めいた声が拷問部屋に漏れる。
澄泉は今、両腋を晒したまま腕を頭後ろで縛り上げられ、男達から愛撫を受けていた。
すらっとした太腿は鷲掴みで左右に拡げられている。
がに股のあられもない格好だ。
筋張ったその内腿の中には男の手が入り込み、潮を噴かせる要領で性器を掻き回す。
その手首にはすでに幾筋もの愛液が溢れ伝っており、一度や二度ではきかぬほど絶頂を迎えさせている事が窺い知れた。

さらに背後から澄泉を抱く男は、露わになった腋をさすりあげながら小ぶりな乳房を揉みしだき、
時に先端の尖りをも捏ね回してしこり立たせる。
挙句には別の1人の指が、澄泉の尻穴へと入り込んで攪拌の音をさせてさえいた。
複数人の男による愛撫地獄。
さらに澄泉には目隠しがされており、それらの感覚を必要以上に感じるようにされている。

「あ、あ……っあ……。……あああ、ううんんっ…………!!!!」

澄泉はだらしなく開いた口から、首元へ涎を垂らすままになっていた。
それを拭うための手は、頭上で幾重にも布を巻きつけた状態で固く縛られている。
長時間吊るしたままで嬲っても、腕が鬱血しないようにだろう。


「……そろそろ良いぜ」
不意に低い声が部屋の入口から発せられる。
筋肉質でよく日焼けした、いかにも健康そうな男だ。
澄泉を嬲っていた男達が手を休めた。
「ようやくお出ましか。
 昼過ぎから始めて、かすかに痙攣するまで暖めてある。これで良いんだな」
男の1人が薄笑いを浮かべながら相手に告げた。
新たに入ってきた男は、その報告に満足げな笑みを浮かべる。
「ああ。ご苦労さん」
一言そう言うと、脚を閉じたまま恥じらいを見せる澄泉の前に立つ。
「…………っ!!」
澄泉は表情を強張らせた。
目隠しをしていても解る、自分のあられもない姿。
それを新たに現れた人間に見られる恥辱は耐えがたい。
しかし逃げる事など叶わない。

「へぇ、本当に上玉なんだな。ここまでのは滅多には見ない」
男の声がそう囁いた直後、急に澄泉の顎が摘み上げられ、唇を奪われた。
「んっ……んふうっ……!?」
舌を濁流のように巻き込まれ、むりやり唾液を交換させられる。
さらに首筋、腋の下、乳房へとその口づけが滑っていく。
「あ、あんんっ…!!」
「清純な見目通り、汗まで旨いもんだ。成人してない日本人か?
 一度抱いてみたかったんだよな」
男は澄泉を称え、乳房から唾液まみれの口を離した。
そして澄泉の背後に回って掻き抱く。

「いい匂いだ。口でさせるまでもなく勃起してきやがった」
澄泉のうなじに鼻を埋めながら、男は細い腰に手を回した。
そして剛直を澄泉の股の間へ擦り付ける。
驚くべき大きさを持つその怒張は、澄泉の内腿をすり抜け、陰核側から亀頭部分を覗かせた。
「すげぇだろ。ここまでデカいのは経験あるか?
 まぁいずれにしろ、嫌というほど可愛がってやる。せいぜい楽しみな」
男は澄泉の腰を掴み、剛直を潤みへと押し当てる。

「あ……ああ、 あ …… 」
恐怖から掠れたような声を出す澄泉。
その彼女の脳に、ぐ、ぐ、と押し入ってくる極太の熱さが刻み付けられていく。
入りっこない。初めて肛門を犯された時と同じ言葉が浮かぶ。
膝が笑い始めた。
尻肉を万力のような力で掴まれ、無理矢理に男の腰へと引きつけられている。
吊り下げられた腕の痛み、弓なりに沿った腰の痺れ。
そしてそれ以上に鮮やかな、骨盤を砕かれるような太さの苦しみ。
熱さがメリメリと身体の中心へ入り込んでくる。

「おーお良い締りだ、大した名器だぜこりゃあ。
 子宮も蕩けて、良い具合に下りてきてるし、良い仕事してくれたぜ」
極太がついに産道の奥を突いた時、男は嬉しげに言った。
「あ あ、あ、、んん… ! 」
挿入された。ただそれだけで、澄泉は脂汗を垂らして身を強張らせる。
信じがたい質量に頭が凍りつく。
「さ、動くぜ……?」
笑いを含んだ男の言葉にも返しようはなく、ただ口を開いて悲鳴を上げる準備をする他なかった。




澄泉は慎み深く、意志の強い少女だ。
それが彼女を調教してきた人間の持つ共通認識だった。
抱かれても易々とは声を上げない。
きつく口を結んで、快楽の声を届かせるかと言わんばかりに堪えているのが常。
……その、はずだった。

「ああああっ!!ああ、ん…ああ、ああ……ん゛、あああ゛ぁぁッ!!!!」

しかし今の澄泉は、色黒の男に背後から犯され、声を張り上げるままにしている。
華奢な腰を、逞しい手に鷲掴みにされて。
繁みの奥に冗談のような太さを抉りこまれて。
抜き出された部分の圧倒的質量だけでも、澄泉の中にどれだけの大きさが収まっているのか容易に想像できる。
だがその大きさは、明らかに白く華奢な腰とは不釣合いだ。
どうやって入っているのか、いやそれが入ってしまった今、どうなってしまうのか。
それを否応なく観る者に考えさせる。

「へへ、すらっーとしたガキの脚が床に突っ張ったまま、筋肉グニグニ蠢かせてやがる。そそるねぇ」
「それだけキツいんだろ。観ろよあそこ、ビラビラが押し込まれちゃ捲れ上がって、1ミリの隙間もありゃしねぇ」
「あの野郎、えれぇデカイもん持ってんな。軽く自信喪失だぜ」

数人の男が感想を述べていると、別の1人が話に割り込んだ。

「お前ら知らないのか? ありゃ、ちょいと前には結構有名だったAV男優だぜ。
 ものすげぇ逸物とテクの持ち主で、一緒に撮影した女優がみんな骨抜きにされちまってよ。
 プライベートでもやりまくって肝心の撮影に支障をきたすもんだから、業界から干されちまった。
 特に清純派の女優にゃあ熱の入れようが違ってな、ついたあだ名が“乙女殺し”。
 野郎にマジで抱かれたが最後、正気を保てた女優はいない……って噂まであるぐれぇだ」

男の語りに重なる嬌声が、妙な説得力をもたらす。
ああっ、ああっと歌い上げるようなソプラノは、普段耳にする澄泉の声とは明らかに違っていた。

「奴に狂わされた女共は皆、『身体が作り変えられるようだった』と言うそうだ。
 規格外の剛直で奥を限界以上に拡げられて、捏ねくり回されるらしい。
 信じがたいほどの腕力とスタミナで、延々とな。
 あの東洋人のガキが一突きごとに声を出すのも、まさに『作り変えられ』てるからだろ。
  ……にしてもよ。あのガキは事前に俺らの愛撫を受けて、肉体を蕩かされてる。
 その上で手を縛り、目隠しまでした状態で“乙女殺し”の男優を宛がうたぁ。
 アンタご友人を、白痴の娼婦にでも仕立て上げるつもりかい」

男は淡々と告げながら、近くで狂乱を見守るラウラに問いかけた。
ラウラは恭しく頭を下げる。

「……ええ、最高の肉壷に育てあげるつもりでいます。
 どんな人間からでも精を搾り取れるような。
 どんな人間が抱いてもオスの心が満たされるような。
 元より外見は奇跡的なほどに恵まれていますから、後は肉体の慣れだけですわ。
 その結果心が壊れようとも、今さら気にかけるつもりはありません」

そう語るラウラの瞳は、まっすぐに澄泉を見据えていた。
伊達や酔狂ではない。そこには恋する女特有の、何を言っても揺るがない決意が感じられる。
男はそれを悟り、開きかけた口を噤んだ。



「ああああんっ!!!あ、ああ……ふあああっ!ああ、あ、ああっ!!!
  んーーーッ、あ、あうぁあああ゛っ!!!」

澄泉は、自分が淫らな声を上げすぎている事を自覚していた。
しかしどうにもならない。
男の剛直は割れ目に一分の隙も残さないほどの太さだ。
その巨大すぎる亀頭でもって、挿入時には丁寧にGスポットを擦り上げ、抜き出す際には押し潰される。
この繰り返しが絶望的に心地よかった。

男は明らかに女の抱き方を知り尽くしている。
逃げられないよう腰を強く掴んだまま、的確にGスポットのみを責めてくる。
あらかじめ指責めでぷっくりと膨れるほどにされていた部分だ。
そこを亀頭で擦られると、股座から足指の先まで、下半身すべてに快感の痺れが走った。
脚が勝手に強張ってしまう。まるで小水を出す瞬間のように。
実際その感覚は、体内に快感でできた放尿をするに等しい。それが抜き差しのたびに生まれるのだ。
声などいつまでも殺せるわけがなかった。
愛液も開いた脚の間からぼたぼたと垂れ落ちており、外から見守る人間には丸見えだろう。

「ああ、奥までやわらけぇ、それでいて女の子が思いきり握るくらいに締め付けやがる。
 ムダ肉のねぇ背筋やら細っこい腕、痩せた尻も、抱きながらの眺めとしちゃソソるもんだ。
 興奮するぜぇ……アレがますます硬くなってきやがった」

男はそう褒め称えつつ腰から手を離し、澄泉の両の太腿を掴んだ。
澄泉の身がびくりと震える。
男の大きな掌で太腿を握られ、脚を支配される恐怖。
さらにその腕で股を閉じられ、剛直の太さをよりはっきりと感じさせられた。
「あっ……ああ……!!!」
今度は亀頭だけでなく、カリ首や肉茎に至るまでがGスポットを刺激しはじめる。
密着性が増したため、その刺激自体も先程より深い。
「いやぁああっ!!!!」
再び抽送が始まると、澄泉はたまらず拒絶の叫びを上げた。
一瞬で解るほどに快感が大きすぎる。
Gスポットをごりごり、ごりごりと間断なく擦られ続け、狭窟の奥まりから愛液が溢れてくる。
せせらぎのように。
「ひいいっ!!ああ、いやあああっ、こ、こんな、こんなの嫌よっ!!!」
異常すぎる愛液の分泌に、頭を振って嫌がる澄泉。
それでも抽送は緩まない。腕を吊られた黒髪の少女は、ただ男の為すがままになるしかなかった。


狭まった淡いへの突き込みを受け続けるうち、澄泉はやがて新たな感覚に囚われる。
これまで下半身を痺れさせるのみだった快感が、時に脊髄を駆け上って脳を炙るのだ。
それは突きこまれた逸物がやや上向きに反り、ぐにゅりと最奥の突き当たりに沈んだ際に生じるようだ。
クリトリスやGスポットとは明らかに別次元の心地よさ。
強く突かれれば痛いだけだった奥まりが、この徹底的な蕩かしによって目覚めはじめている。

「ふぁ、あ……ああ……ッ」

澄泉がだらしなく下方に開いた口から涎を垂らし、思わず漏らした声。
それを聞いた途端、数名の女が笑みを浮かべる。
ラウラの笑みは格別で、期待通りといったものだった。
「とうとうポルチオまで開発されちゃったみたいねぇ。
 さすがは“乙女壊し”の男優さん……売春させた稼ぎの殆どを費やして呼んだ甲斐があったわ」
ラウラは嬉しげに語る。
その視線の先で、澄泉の乱れようはますます激しさを増していた。



「うああぁああーーーっ!!!ああっ、ふああ、“いく”!“いく”、ぅぅうううッっ!!!!」

澄泉はまさしく鈴を揺らすような清冽な声で、何度も絶頂を訴える。
腕をなお天井から吊るされたまま、大股を開き、極太を受け入れる華奢な身体。
男の腰がその桃尻へ打ち付けられるたびにパンッパンッと小気味良い音が鳴り響き、
男がプロのセックス男優である事を周囲に思い出させた。

「うーわうわ、あれはキツそう。何十回もご立派に突かれて、完全に中逝きを覚えこまされちゃったかぁ。
 中逝きの快感って体中に広がるし、頭ん中もすぐドロドロになっちゃうから、
 上手い男に持続させられるとホントきっついんだよねー」

「そうねー。観てよアレ、開きっぱなしの口からダラーって涎垂らしててさぁ。
 いっつもの『私可愛いですから』って感じの澄ました顔と比べると、ケッサクよねぇ」

「うんうん、抜かれるたびにあの彼の玉袋からおツユ飛び散ってるけど、
 あれってあのマセガキが垂らした蜜でしょ?
 ちっちゃい胸だってほら、乳首ビンビンに立たせちゃってさぁ、どんだけ気持ちいいのって話よ。
 あの状況とは代わりたかないけど、ちょっとだけ羨ましいかも」


女達は乱れ狂う澄泉を指差し、口々に嘲り合う。
「……お、おねえ、ちゃ…………!!」
カーネは胸が張り裂けそうだった。
外から見るだけでも、澄泉が追い込まれていくのがはっきりと解るからだ。

カーネの宝石のような瞳の中で、澄泉は壊されていく。
天井から吊るす縄を解かれ、横たわった男に突き上げられる形での騎乗位。
澄泉は子宮の入り口をいよいよ容赦なく押し潰され、天を仰ぎながら幾度も絶頂を訴えた。

「ああああーーっ!!あっあ、 ……んあっ………………!!!!!!」

か細い叫びと共に、後方へと力なく倒れこむ澄泉。
その目隠しを取り去ったラウラは笑みを深めた。
澄泉の涙に濡れた瞳は、あまりにも多すぎる快楽に飽和し、白目を剥いたまま何をも捉えずにいたからだ。
「あらあら、気失っちゃって」
ラウラが澄泉を起こそうとした瞬間、男優が動きを見せる。

「……どけ」
彼は荒い息を吐いたまま、倒れ込んだ澄泉の脚を持ち上げ、屈曲位での性交を再開した。
ラウラ達はその様子に顔を強張らせる。
「この娘を壊してもいい。初めからその約束で呼ばれたはずだぜ」
男が告げると、ラウラは表情を戻して頷いた。
「……そうね。やるからには徹底的にやってちょうだい。何度気絶させても構わないわ」


それからまたしばらく、拷問部屋に初々しい少女の叫びが響き渡った。

「ああああ゛あ゛あ゛、やめでっ、もぉ本当にやめでぇええええっ!!!!
 ずっと前から、いっでばっ、かりで、いきが、れきてな……い…………!!!
 あっ、あ、あああ゛あ゛っ!!!!!あたまが、はぁっ……しろく……
 耳のおく、ぶちぶち言って…………もぉ、ほんとに………こわれ、、ちゃ…………!!!!!」

澄泉の叫びが空しく木霊する。しかし男は気にする素振りもない。
もはや肉欲にしか意識が向かないかのように、澄泉の脚を押さえつけて極太を叩き込み、唇を吸い尽くす。
辺りの床は少女の出すあらゆる体液で濡れ光っている。
それは性交というにはあまりに無慈悲で、苛烈に過ぎるものだった。





何時間が過ぎただろうか。
ようやくに男優が疲れ果てて眠り始めた頃、澄泉もまた幾度もの失神の末に意識が朦朧としていた。
その顔のパーツは愛くるしい天使のままだが、身体に残る性交の後が生々しい。
彼女は変わった、徹底的に雄を刷り込まれた。
それは誰の目にも明らかだ。


「……さぁ、澄泉。あなたは満足したみたいだけど、周りの殿方はそうじゃないみたいよ。
 今から貴方に向けて男の遺伝子を注いでくれるわ、全部飲み干そうね」
ラウラは澄泉の頭を起こし、逸物を取り出した男達の前に向かわせる。
「散々目の前でセックス見せられて、もう我慢の限界だぜ!!
 カクベツに濃いのぶちまけてやるからよ、ちゃんと飲めよ!!!」
男達は視姦ではち切れんばかりになった逸物を擦りたて、たちまちに白い精を吐き溢す。
それは放射線を描いて開かれた澄泉の口内へと降り注いだ。
「……さ、澄泉」
ラウラに静かに促され、澄泉はぼんやりとした瞳のまま、口内の男を味わい始める。
もはや何も考えられないといった様子で咀嚼し、少しずつ嚥下する。
「ひょー、飲んでるぜ、あのクソ生意気なガキがよ!!」
「ああ、あのちっちゃいお口の中に俺のが……うう、また勃ってきちまったぜ」
男達が歓声を上げた。
ラウラも目論見通りとばかりに微笑む。

「…………あ、う あ、 …… んぐっ ………… 」
真っ白な世界で男の精を飲み下しながら、瞳の端から涙を伝わせる澄泉。
あれほど気丈に抗い続けた気高い少女が、今ここに屈服したのだ。
「おねえちゃん……」
カーネは彼女の心中を思い、同じく涙を溢れさせる。
そして彼女にとっては、それが澄泉を見る最後の姿となった。



                               続く
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