大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2012年01月

都会の穴場

※ 若干ホラー風味

俺の従兄は三流ゴシップ誌のライターで、口を開けばおよそいつも下らない話ばかりしている。
ただ、時々は面白い話が混じっている事もあった。
特に風俗関係の話には、大学生である俺の興味をそそるものが多い。

『ハイレベルな正真正銘の風俗素人が、いかがわしい事をする店』

とっておき、と言いつつ今回奴が持ってきたネタはそれだった。
事前に情報を得ていないと風俗店とは解らず、告知などもないため、存在を知る者は殆どいないそうだ。
俺は発信源が発信源だけに眉唾物だと思いつつ、確認するだけなら……とその店の地図を受け取った。




特急も止まるそこそこ規模の大きな駅で降り、より栄えた方の出口へ。
地図を頼りに、パチンコ屋やカラオケボックスが立ち並ぶ大通りを突き進む。
かなりの繁華街だ。こんな場所の風俗店など、すでにどこもかしこも踏破され尽くしているのではないか。
そう猜疑心が持ち上がるが、ともかく行ってみなければ始まらない。

迷いながらも通りを進むうち、ようやく地図に記された建物へと辿り着いた。
裏通りへ一歩踏み入れた所の古い雑居ビルで、錆びた看板に居酒屋の名前などが雑多に並んでいる。
ここで『偶然』足を止める人間は、なるほど100人中1人いるかどうかだろう。
気分よく遊ぶ事を考えれば、誰もが本能的に通り過ぎるような小汚い路地の一角なのだから。

俺はともかくもビルに入り、地図にメモされてある通りにエレベーターで8階へ向かう。
扉の閉まる早さ、階移動の妙な軽さがいかにも安っぽい。
まるで貧乏学生の住むマンションについているような……。
その俺の考えは、8階に到着し、扉が空いた瞬間に比喩ではなくなる。
まさに安普請のマンションだ。
エレベーターを降りてすぐに見える、ペンキの剥げかけた扉。
『801』の号室表示もそのままに、『エクール企画 資材倉庫』と印字して貼り付けられたシール。
他の扉も似たようなものだった。
合計5つのドアのうち、4つが聞いたこともない会社の倉庫として使われている。

建物を間違えたか、さすがにこんな場所に目的の店はないだろう。
そう思いながら一番奥の扉を見た時、俺の微かな希望は打ち砕かれた。
そこの表示が、探していた店の名前と一致していたからだ。
“Rubelite(ルーベライト)”
……店の名前でネット検索してみて知ったが、赤い色合いのトルマリンを差す言葉らしい。
その店名が、確かに目の前のドアに張られている。
ただしドアには磁石もついていて、そこから細いチェーンで「CLOSE」という小さな看板がぶら下げられてもいた。

時間は夜の6時を少し回ったところ。
共有廊下から遥かに見下ろせる街並みも、すっかり夜の模様になっている。
風俗店でもそろそろ開いていておかしくはないはずだった。
今日がたまたま休業日だったのか、或いはとうに警察に摘発されて営業停止を喰らったのか。
いずれにせよ致し方ない。俺は渋々とエレベーターへ引き返す。

しかし下行きのボタンを押す段階になって、手が止まった。
何の為にここまで辿り着いたのだろう。
ここまで延々と来ておいて、このまま帰ってしまっていいのだろうか。
本当にあの店はやらないのか?ネットにも載っていない無銘店だが、休みかどうか調べる術はないか?

そう思い悩んでいた時だ。俺の目の前にエレベーターが到着した。
ああ、来たか。 ……いやでも待て。まだ俺は、ボタンを押してないぞ。
戸惑っている間にも、エレベーターのドアが開いて中から人が降りてくる。

俺は目を見開いた。

出てきたのは若い女の子だ。制服を着ている。門限間近であるように、ひどく息を切らせてもいた。
胸の下辺りまで長く伸ばされた、艶やかに光の輪の揺れる黒髪。
少しハーフっぽい、すっきりと整った涼やかな顔立ち。
何より目を引くのは、紺のチェックスカートとハイソックスに挟まれた太腿だ。
驚くほど鮮やかなピンクの肌をしている。
変態じみた表現をすれば、『美味しそうなフトモモ』というやつだ。
最近は街を歩く女性にも白い肌は多いが、こうも瑞々しく、観ただけで触り心地の良さが伝わってくる娘は中々いない。

「…………!」
彼女は俺の存在に気がつくと、気まずそうに目を伏せ、足早にエレベーターホールを出ていく。
若い後ろ姿。あの細い肩やすらっとした腰のラインは、いかにも現役の女子高生だ。
ほんの数年前まで高校にいた俺がいうのだから間違いない。
肩から提げている鞄から、楽譜のようなものが覗いている事も見て取れた。
音楽をやるのか。確かに品がある、いかにもそんな感じはする。

そんな事をつらつらと考えているうちに、彼女の姿はホールから見えなくなる。
俺は息を吐いた。
最後にいい物が見れたもんだ。その為にここへ来たと思うのもいいだろう。
そう思って今度こそエレベーターに乗ろうとした瞬間、俺は気付く。

――待て。
彼女は今、どこへ向かった?
一見普通のマンションに見えるために見過ごしかけたが、ここがどんな場所かは今見てきた通りだ。
ここにあるのは、どこかの会社の倉庫と俺の探していた風俗店のみ。
学校帰りの女子高生が、制服姿のまま会社倉庫に来るか?……考えづらい。ならば。

この考えに、俺の願望が多分に含まれていた事は否定できない。
それでも確信に近いものがあった。
すれ違った時に感じたあの妙な色気。それとはまた別に感じた自然な女子高生っぽさ。
あれこそはきっと、間違いなく……俺の探していた風俗店の匂いだ。

かくして、その俺の読みを祝福するかのごとく、突き当たりの看板は変わっていた。
細いチェーンが8の字に絡まるような形で捻られ、「OPEN」を示している。
急いで変えたことは明らかだ。
俺は感動にも似た悦びにうち震えた。
自分の勘が珍しく当たった事もひとつ。そして今店にいるのは、さっきすれ違ったあの子だ。
従兄の話が正しければ、あの子が何か性的なサービスをしてくれるかもしれない。
その普通なら甘すぎる夢も、今なら実現しそうな気がした。

しばらく息を整える。いきなりチャイムを押すのは勇気が要った。
何しろ、たった今エレベーターですれ違ったばかりなのだ。
すぐにチャイムを押せば完全にストーカー紛いだし、
そうでなくともドアを開けて怪訝な顔をする彼女の顔がありありと目に浮かぶ。
しかし、いずれにせよここで帰る訳にもいかない。

俺は意を決し、チャイムを強く押し込む。
部屋の中にチャイムが鳴り響く音がし、続いてしばしの無音。
長く感じられる重い時間だった。
この間にも、彼女が覗き穴から俺の姿を発見し、顔を引き攣らせているのでは。
後ろめたさからそんな懸念を抱く。
そんな中、「OPEN」札の下がったドアは勢いよく開かれた。


ドアから覗く姿を見た俺は、本日二度目に目を見開く羽目となる。
そこには居たのは当然に先ほどの彼女だが、その制服は実にだらしなく乱れていた。
首のタイは解かれ、ブラウスの襟は第二ボタンまで開けられて、薄い水色をしたブラジャーが薄っすらと覗いている。
彼女はドアノブに手をかけ、こちらを見上げたままぱちくりと目を瞬かせた。なにやらリスのようだ。

「あ、さっきの……」
彼女がそう声をかけてきたのをきっかけに、俺も声を出す。
「ああ、さっきはどうも。えっと……知り合いから、ここが風俗系のお店って聞いてきたんだけど」
相手が無銘の店ゆえに、慎重に言葉を選ぶ。
というより、見た感じいかにも清楚な部活帰りの少女を前に、風俗店という自信がなくなったのも理由のひとつだ。
すると彼女は、急に笑顔になった。
「……あ、“ご存知”の方なんですね?」
俺を訳知りと判断し、警戒を解いたようなその囁き。その笑顔が安心をくれる。
やはり従兄の情報も嘘ばかりではない。さらにどうやら彼女は、少なくとも俺を不審がっていない。

しかし彼女は、すぐに照れくさそうな顔になった。
「えっと、じゃちょっと待ってて頂けますか?
 予約はないんですぐにご案内できるんですけど、私まだ、シャワー浴びてなくて」
そういう彼女をよく観てみると、額や首筋に細かな汗の粒が見える。
まるで一駅ほどの距離を走ってきたように。
そう思い至ったちょうどその時、ほのかに漂っている彼女の汗の香りにも気付く。
新鮮かつ少々尖り気味な新玉葱のような匂いと、さわやかな制汗スプレーの匂いが混ざりあっている。
嫌な匂いではない、かといって良い匂いと断じる事もできない。
それは反則的な程にそそるものだった。
股間に響く。この美少女がこの匂いをさせているのか、そう考えるとにわかに勃起してくるようだ。

「いいよ、そのままで」
気がつけば、俺は自分でも気がつかないままにその言葉を発していた。
「えっ!?」
女の子は当然驚いたような顔をしたが、ちらりと腕時計に目を落として笑みに戻った。
「……い、いえ、わかりました。実は私、今日ちょっとだけ遅刻してるんですよね。
 時間割ったのは私のせいですし、お待たせもしちゃったみたいなので、すぐにご案内します。
 ただ、ちょっと匂うかも……」
「良いよ。その匂いすごく好きだし」
俺がいよいよ変態めいた発言をすると、彼女ははっきり解るほどに頬を紅らめながら、俺を室内へと招き入れた。


外から見ると安普請に見えたマンションだが、中は意外と広かった。
7畳ほどのキッチン兼リビングの奥に、左右ひとつずつまた7畳ほどの部屋がある。
壁際に置かれている備品のために目測は多少誤っているかもしれないが、それなりに広いのは確かだ。
眺めもかなりいい。
最近は夜でも暖かいためか、窓は奥のどちらの部屋も開け放されていて、薄手のカーテンを靡かせている。
地上8階ともなれば同じような高さのビルもそう多くはなく、遠くの山稜までがよく見える。

人気は無い。
あの女子高生の子が帰ってくるまで「CLOSE」となっていたのだから、当然といえば当然だが、
このがらりとした空間に彼女と2人きりとは、まるで同棲のような妙な気分になる。
物を弁えない人間なら、この時点で彼女に襲い掛かるのではないか、とすら思う。
「お茶、冷たいのでいいですか?」
彼女が声を掛けてきた。俺はあわてて頷いた。
同棲、などというやましい考えをしていたのが見透かされた気がしてくる。
なぜだろう、急に余裕がなくなってきた。
先ほどまで半信半疑だった店に実際に踏み入り、しかも相手はあれほどに可愛い女の子だ。
その事実を脳がようやく受け入れ始めているということか。

やがてコップに入った麦茶と共に、メニュー表らしきものが運ばれてくる。
中身はプレイの一覧だが、その種類の豊富さは驚くばかりだった。
即尺やアナル舐めなどのヘルスでもありそうなものから、
イラマチオ・アナルファックなど普通の風俗店では滅多にできないものまで。
ただし、メニューの下に大きな赤字で、
『初回は担当嬢のオナニー鑑賞のみ、お選び頂けます』
と記されていた。
どうやら最初はごくソフトな物のみで、そこから回数を重ねるごとにハードなプレイが可能になるらしい。
どこか江戸時代の遊郭を思わせる、数を通うことを前提とした店のようだ。

「……ちなみにここのプレイ、君は全部できるの?」
俺が聞くと、女子高生は首元のボタンを留めなおしながらこちらを向いた。
「いえ、まだ全部は。私は……というかここの店に来る子はみんな風俗未経験なんで、
 風俗店に出向いてそこの店長さんに研修を受けるんですけど、私はまだアナル開発の段階なんです。
 結構多めに浣腸されて、お風呂場で正座したまま、お尻の中でバルーンを膨らまされるんですが……つらくって。
 すぐに音を上げては中止にしてしまって、もう一週間くらい講習を受けてるんですが、全然先へ進めません」
彼女は臀部を振り返るような仕草で告げる。
俺は、そんな講習は完全に店長の個人的趣味だろうと感じたが、波を立てないために適当に頷いておく。
そしてメニュー表を閉じ、唯一出来るらしい『オナニー鑑賞』に期待を寄せた。


「それでは、改めて……里穂(りほ)です、よろしくお願いします」
女の子は里穂と名乗り、恭しく頭を下げた。高校生らしからぬ整った頭の下げ方だ。
雰囲気といい、もしかするとかなり育ちのいい子なのかもしれない。
そう思い、少し探りを入れてみる。
「さっき帰ってきた時、鞄から楽譜みたいなのが見えたんだけど、楽器でもやるの?」
俺が問うと、彼女は一瞬しまった、という顔になり、頷いた。
「……ピアノを、小学校の頃から」
「へえ、コンクールなんかには出たの?」
「はい……一度だけ、優勝したことがあります」
あまり身元を明かしたくないのか、言いづらそうにする彼女。その様子で、俺の中での彼女は令嬢と決まった。

そして彼女の言葉を照らしてよく観れば、里穂の指は実に綺麗なのがわかる。
雪のように白いうえ、すらりと細長く、関節間の長さも曲げた時にちょうど美しく映えるもの。
ピアノを弾く時に限らず、今のように身体の前で組まれているだけでも、男の胸をくすぐる妖艶さがある。
その指で行われる彼女の自慰。俺はそれを、早く見たくて仕方がなくなった。

「はじめましょうか」
里穂は俺の意を察したかのように告げ、奥の部屋へと歩いていく。
そして部屋の中央で俺のほうを向き直し、胸のボタンへと指をかけた。
美しい指は、まるで鍵盤を弾くような滑らかさでワイシャツのボタンを外していく。
その動きも幻想的だが、ワイシャツがはだけた下から現れたピンク色の肌はさらに凄い。
初見で目を奪われたフトモモの鮮やかさが、より広い範囲で目に飛び込んでくる。

腰が細い。
臍周り以外がすっきりとくびれ、腰骨などの位置もわかる。
後ろに回った手でブラジャーが外されると、胸も推定Dカップほどはある事がわかった。
腰を捻るようにしてスカートが脱ぎ捨てられた時には、ショーツのみを纏ったその身体はモデル級に見えた。

これほど可愛い娘が目の前でショーツ一枚になっているのも中々考えづらい事だが、
さらにその白い指はショーツへ掛かる。
それなりに高価なのだろうと解る、薄いシルクの生地に花柄が刺繍されたショーツ。
その両端へ細長い指が滑り込み、布地を捲り返しながら、少しずつ摺り下げていく。
ショーツは太腿の半ばほどで紐のようになりながら、脱ぎやすいよう浮かせた右足の膝をまず抜ける。
そしてハイソックスに包まれたすらりとした膝下を通り、足首をから引き抜かれた。
続いて左脚も同じように。

「……ソックスは……残しておいた方が、いいですか?」
里穂が俯きがちだった顔を上げ、俺に問う。
おそらくは朝から履き通しで、かなり蒸れてしまっているのだろう。
だが俺は、あえて履いたままを命じた。
すると、よくある需要なのだろう、さほどの抵抗もなく里穂の手がソックスから離される。

靴下だけを身につけた里穂の身体は、本当に眩いほどだった。
里穂はそれを隠そうともせずに俺に晒している。
そのように教育されているのか、あるいは裸を晒すことで、これから行う自慰に向けての興奮状態を作ろうというのか。
俺を見上げる濡れたような瞳を覗き込んでも、そのどちらかが解らない。

里穂はしばし俺の前で舞うようにして身体を晒し、そのまま窓際にある黒い革張りのソファに座り込んだ。
「おさわりは禁止ですけど、近づいて観るのは大丈夫なので、よぉく観ていてくださいね」
里穂はそう俺に告げ、ゆっくりと脚を開き始める。
白い腹部の下、徐々に露わになっていく繁みと、赤い割れ目。
すらりとした脚は順調に開いていき、やがては大きなMの字を描いて秘部の全てを俺に晒す。
中々に綺麗だ。
陰唇には多少の色素沈着があるが、形はそれほどには崩れていない。
さすがに処女ではないだろうが、経験は多く無さそうだ、と感じられた。

「どうですか? 私のあそこ」
突然掛けられたその声に、俺は視線を上へ向ける。
里穂は俺の方を見下ろしてはいるが、焦点がこちらにあっていない。
見ているようで見ていない、かなり恥らっている様子だった。
服を脱ぐあたりではかなり場慣れしているかに見えたが、そんな事もなかったらしい。
「綺麗だと思うよ」
俺は余計な事を言わずにシンプルに答えた。里穂の目尻がかすかに緩む。

「……ありがとうございます」
彼女はそう囁くように言い、左手を秘部に宛がって、中指と薬指で秘唇を割り開いた。
陰唇より数段鮮やかな、ピンクの粘膜が露わになる。
次いで里穂の右手も滑り降り、中指でその粘膜を上下に擦りまわし始めた。
「あ、ぅ……」
里穂の唇から小さな声が漏れる。
瞳を閉じかけ、薄い唇を半開きにしたその顔は、改めて間近で見ても可愛いものだ。
「……えへへ」
俺が熱心に見上げているのに気付くと、こちらへ細目で笑みを投げかけてもくれる。
その笑い顔はあまりにキレイすぎ、一歩間違えれば本気の恋に落ちかねなかった。

本当にハーフでは、とテレビタレントを基準にして思ってしまう。
体型もモデル系だし、こんな子がクラスにいれば、まず隠れファンクラブが出来ていておかしくない。
なぜそんな子が、このような場末の風俗をやっているのか。
俺は幸運を感じつつも、それが不思議でならなかった。
だが彼女の自慰の様子を延々と観察し続けるにつれ、その理由は明らかになっていく。


秘部を中指で擦りまわすだけだった右手は、やがてクリトリスの辺りで止まり、
そこを小さな動きで押し潰すようにしはじめた。

「はーっ、はーっ」
長い呼吸の音が聴こえてきた。
初めに性器を擦っていた時には、彼女もこちらに向けて綺麗な笑みを見せてくれたりもしていたのが、
そうしてクリトリスを弄くりはじめてからは余裕が無くなっている。
視線は局部に落とされたまま動かず、唇は白い歯をわずかに覗かせる半開き。
明らかに感じている顔だった。
身体の方に視線を落とせば、かすかに波打つ乳房の間が濡れ光っているのが見えた。
さらに目を凝らせば、それが細かな汗の粒で、ごく細い雫が幾筋か伝い落ちているのもわかる。
右手指の下で捏ね回されるクリトリスも、最初よりはっきりと視界に映るようになってきたようだ。

クリトリスが指の腹で弾けるほどに膨らんだ頃、また指先が秘部へと戻り、延々と刺激を始める。
そうやって充分に秘部の粘膜を慣らした辺りで、里穂は親指以外の4本指を揃えた。
そしてその揃えた4本指の腹で擦りまわす。
「うーん……っ!!」
その瞬間漏れた声は、明らかに今までで一番快感の色の濃いものだった。
徐々に里穂の脚が開いていく。
「はっ、ああっ、はっ、はっ……あ!!」
どこか苦しそうな息を吐きながら、里穂は徐々に高まっていく。
やがて感じすぎたのか、ソファの背もたれに黒髪を流すようにして頭を預けた。

「はっ……、はぁっ……!!!」
柔らかそうな乳房が上下し、その形に沿うようにして汗が流れる。
その様子は何とも艶かしい。
少し離れた場所で膝をついている俺の所にも、意識せずとも嗅げるほどのその汗の匂いは届き始めていた。
もはや制汗剤の匂いよりも、里穂自身のにおいの方が強い。
それもなお悪臭ではなかった。
ひどく艶かしい匂い。きっと里穂に少なからず好意のある俺だから、そう感じるんだろう。

「感じてるんだな、里穂。そういう匂いがしてきたぞ」
ソファに後頭部をつけて休んでいる里穂へ、俺は声をかけた。
里穂が長い髪の擦れる音をさせながら顔を上げる。
「ええ、すごく……感じてしまいました」
緩慢な喋り方でそう答え、里穂はさらに身を起こす。
先ほどと同じように脚を大きくひらく形に戻り、さらにそこから腰を浮かせた。
「んっ……!!」
恥じらいからか、あるいは快感を堪えているのか、口を引き結びながら。

出来上がったのは蹲踞の格好だ。
柔らかいソファに座っている時と比べ、腹圧がかなり大きくかかる格好といえる。
里穂は蕩けるような瞳をしながら、その蹲踞の姿勢で秘部へと指を挿し入れた。
初めての指の挿入だ。
とはいえ秘裂の中では、すでに充分なほどの潤滑があったらしい。
指はかすかな潤みの音をさせながら、一度の引っ掛かりもなく奥へと入り込んでいく。

「あっ、ああっ、あっ……」
里穂の実に気持ちの良さそうな声と共に、細長い指は前後する。
「……ゥんッ!!」
やがて、里穂が急に切羽詰った呻きを上げた。
その直後だ。
彼女の手首の後ろから前方へ向けて、ついに透明な飛沫が飛び散った。
夜空をバックに秘部を見上げていた俺には、その瞬間が銀色に煌めいて幻想的に見えていた。
飛沫は俺の頬を掠めるように飛び散り、床のカーペットに転々と黒ずみを作る。
「あっ、あぁあー……っは……」
一度目の潮噴きを経験して力が抜けたのか、里穂は椅子の座部に片腕を乗せ、寄りかかるような格好をしていた。
品ある見た目からすると意外なほどの乱れようだ。

里穂は目頭に汗の溜まるような有り様だったが、まだまだその自慰は終わらない。
再度、湿り気を帯びた秘部にその手を置くと、少し曲げた手で性器一体をぐいっぐいっと擦りあげるような動きを始める。
「はっ、はぅう……うあっ」
漏れる声も中々自然な気持ちのよさを表していた。
実際、かなり気持ちいいだろう。あの周辺には肛門、会陰、陰唇、陰核と性感帯が密集しているというから。

しばしそうした刺激を続けた後、にわかに指の動きが早まってくる。
そこから里穂は、蹲踞の格好を保ったままソファの背もたれに左手をつき、残った右手で秘裂を割った。
まるで探るように浅くで右手が蠢いたその直後、声もなく里穂の顔が天を仰ぎ、2度目の潮吹きが訪れる。
今度は男の小便のように、まっすぐ遠くまで飛び散るものだ。
蹲踞の姿勢のまま絶頂を迎えたために固く強張ったすらりとした脚、割れ目から放たれる擬似射精。
その中世的なエロさは、ますます俺の興奮を狂おしく炙っていく。


やがて里穂は崩れ落ちるようにソファの座部へと背中を預け、斜めに寝転ぶような格好に変わった。
「んぁ、はんぁ……ぁあ」
同時に、今までハッキリとした「あ」の発音だった喘ぎ声が、鼻にかかったような不明瞭さを帯び始める。
それにより、彼女もいよいよ本格的に気が入ってきたのだと理解できた。

ソファの座部へと背中をベッタリ付けるようにし、限界まで開ききった両脚は、くびれた腰に太腿をつけるようにしてある。
その姿勢は、最初の『ソファに座って脚をM字に開く』形が、そのまま快感で崩れ落ちたもののようにみえた。
見るからに快感が余すところなく巡りそうな格好だ。
事実、里穂にとってもその格好の安定性は抜群らしく、今までよりも明らかに丁寧に、秘部への指嬲りを進めていた。

中指の腹に人差し指を引っ掛けて反らせたまま、ミキサーのように潤みの中をほじくり回す事もあり。
奥の奥までを俺に晒すかのごとく、左右の指を秘唇に引っ掛け、目一杯に拡げてしまったり。
オーソドックスに2本指でGスポットらしき辺りをいじめ抜く事もあり。
潮吹きこそ起こらなかったものの、それらは着実に彼女を小さな絶頂へと導き、潤みから露を溢れさせ、
淡いピンク色をした美味しそうな内腿あるいは尻肉を、いよいよ艶かしく濡れ光らせていく。

俺はもう興奮のし過ぎで息も苦しく、黙って観ているばかりでは襲い掛かりかねないため、時おり彼女に質問を投げた。

「女子高生とは思えないくらい、色んなやり方知ってるんだね。家でも結構オナニーしてたの?」
そう問いかけると、彼女は意外なほど穏やかな瞳を寄越した。
「いえ……私の家では、自慰をしちゃいけなかったんです。将来の夫を欺く行為、って宗教上の理由で。
 始めてこういう事を知ったのは、友達に誘われて受けたここの研修で……。
 初めてのお客さん相手にしなければならない基本中の基本だから、って、女の先輩に教えられたんです」

里穂はそこで言葉を切り、遠い昔を思い出すようにして続ける。

「全身の映る大きな鏡の前で膝立ちにされて、先輩にあそこを触られて、何度も……いかされました。
 どんなに気持ちよくても、よすぎておかしくなりそうでも、先輩の手つきを観て覚えなきゃいけなくて。
 膝立ちを崩すだけでも怒られちゃうので、脚の全部が私の愛液でぬるぬるになるぐらいまで、
 ずっと……倒れないようにしてました。
 でも、それが全てじゃないんです。そこから経験を積んで、今は自分にとって一番良いやり方を見つけ……!!」

その言葉が終わらないうち、また大きな快感の波が来たらしい。
「はぐうぅううっ!!!」
理穂は快感で開く口を、握りかけた手の平で隠しながら絶頂を迎える。
開かれた両脚がかすかに痙攣してもいた。

改めて今の里穂の周囲を見れば、すでにソファの座部には愛液によるテカリがそこかしこに見て取れる。
カーペットの惨状は更にひどく、彼女の座っている場所を中心にして、小雨が降ったように黒ずみが広がっていた。

それでもなお、里穂の性欲は衰えを見せない。
彼女の白い腕は、上から秘部を覆い隠すようにし、長い指を深くまで入れてグッポグッポと水気たっぷりの攪拌を再開する。
指が深くへ入り込むたび、両の脚がびくんびくんと跳ねている。
俺はその様子をよく見るべく身を乗り出した。

肛門の上に位置する秘部へ、右手の中指と薬指が侵入している。
余った人差し指を真っ直ぐに立てたまま、入り口近くをぐちゅぐちゅと刺激しているようだ。
よく見れば、左手の方が包み込むようにして陰核をこね回しているのもわかる。
そこからしばらくすると、とうとう人差し指も含めた3本指がまとめて割れ目へ入り込んだ。
視界に映るその手はお嬢様らしい上品なもので、腿も気品あふれるピンク色、指の間から見える秘部も初々しい。
それだけに、その3本指の並列挿入は不安になる。大丈夫なのか、と。

「んん、んあぁーー……っん…………!!」

だが当人は気持ちがいいようだ。
3本どころか時には固く曲げた4本指で、膣内の汚れを掻きだそうとでもするかのように痙攣させながら引き抜きもする。
また本当に気持ちのいい場所となれば、指を抜かずに何度も何度もその場所を深く抉っているのも窺えた。
プロのAV男優でも女優の身を案じてやらないような、徹底したGスポット責めだ。
自分の身体だからこそ、限界のギリギリが解るのだろう。

「あ、あっ……あ!!」
里穂は、しばらく3本指で中を拡げるかのようにかき回した後、
クリトリスを弄くっていた左手を右手の手首に重ね、自らの秘部へ引き込むようにして深く挿入し始める。
「ふああああんんっ!!!!!」
甲高い叫び声と共に、腰がビクンビクンと跳ねる。
自分自身の指で性感帯を弄くっているのに、腰が跳ね回ってしまうという異常性。
その光景は、俺を呼吸さえ忘れて見入らせた。
もう声も掛けられない。この、目の前の可愛らしい少女が、どこまで性を貪るのか。それを見ていたいだけだ。

里穂の指はピアノ弾きに相応しい、細長くて綺麗なものだった。
その繊細で芸術的な指が、4本纏められ、ぶちゅうっと凄まじい音を立てながら秘部へ突き刺さる。
薄桃色の内腿を筋張らせる。
ようやくにその指が抜かれたかと思いきや、抜かれたのは人差し指の1本のみで、
他の指はその抜けた人差し指が作る隙間の向こうで、わななく陰唇を虐待するかのように責め苛む。
指の暴れる先から、どろっ、どろっと蜜がこぼれては、美しい尻肉を流れていく。
散々そうして蜜を吐かせた後には、また4本指が揃えられ、秘裂を深々と抉りこむ。

内腿はそのあまりの激しさに、胎盤の形そのままに歪に強張り、
責める手の平もまた、拳を握るかのごとく拳頭を浮き上がらせてその先の指を力強くうねり狂わせる。
それは柔肉への繊細な指の侵入……というにはあまりにも痛烈で、重厚なものだった。

当然、その激しさの中で理穂は何度も達していた。
「ああ、いくっ、いくうううぅうっっ!!!!!!」
笛の音を思わせる高らかな叫び声の後、秘裂から潮が噴き上がった。
一度だけじゃない。彼女自身の腹部へ向けて、びゅっびゅ、と四・五回、間欠泉のように。
「あ、ああう……ああ…………」
その連続の絶頂は流石に応えたのだろう。
理穂はしばらく寝転んだまま、ガクガクと余韻に浸っている。

俺はそれを目にして、充分に自慰を堪能した、と自分の中で締めに入る。
充分に満足だ、と。
……ところが。里穂は、まだ立ち上がる気配を見せはじめる。

座部に片膝をつき、肘掛けに別の脚を乗せる形への姿勢変え。
両脚の高低差で大きく開く形となった秘部ははっきりと見え、
微妙に力の入る姿勢からむちりとした太腿がより肉感的に視界に映る。
ハイソックスも実に映え、女子高生なのだと言う事を改めて生々しく認識させる。

「はっ……はっ……。えへへ、すごいえっちでしょ、この格好?」
肘掛けに乗せた脚の下から蕩けた顔を覗かせるようにし、秘部を弄り始めた。
少し刺激し、やがてびくりとして手を引っ込める。
そして両脚の位置を調節し、慎重に再び刺激し始めた。
おそらく思っていたよりもずっと刺激が強く、本格的にやろうというのだろう。

俺はその気迫に押されながらも、下から覗き込むようにしてその部分を凝視した。

中指薬指で「キツネ」を作るようにして秘部を刺激し続けているのが見える。
初々しかった秘部は、もはや原型もないほどに蕩けていた。
見えげる俺の顔に、かすかに白濁した雫が幾滴も垂れ落ちてくる。まるで、雨だれのように。
かすかに暗がりになっている里穂の表情も、かなり余裕のないものである事が窺える。

「ねぇ、もっと見て?私がぐしょぐしょになっていく所、もっと見てよ。ねぇ」

理穂は快楽に蕩けた顔で訴えてくる。俺はそこで始めて、ぼんやりと気がついた。
おかしいじゃないか。
こんなに可愛い娘が、こんなに激しいサービスをしてくれる店。
しかもこれは、はじめて来た客用の、あくまで初歩的なサービスだという。
なら当然、いくら知るものぞ知るとはいえ、予約の取り合いになっておかしくないはずだ。

かつてこの店に訪れた先客達は、この娘のような子に骨抜きにされたはずの彼らは、
今どうしているんだ?

「ね、ほらお兄ちゃん、もっと見て。もっと……わたしみてよぉ……」

恐ろしいほど整った顔の里穂を見つめながら、俺はぼんやりと、従兄の顔を思い起こした。




                        終わり
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The Edge 外伝  安息の場所

※ 本編終了後、しばらく経った後のお話です。

1.

中華風の趣を湛えた部屋で、一人の女が黒鍼を磨いている。
美しい女だ。
くっきりとした切れ長の瞳に、左右に垂らした三つ編み、艶やかな肌。
その瑞々しい魅力は、普通に見ればせいぜい20代に差し掛かろうかといったところだ。
彼女が実はとうに30を越えると言って、信じられるものだろうか。
そこには奇跡の業と言ってもいい、薬事・美容の粋が見て取れた。
「……!」
彼女、香蘭(シャンラン)は、ふいに油断のない視線を後方へ投げる。
身体の線に隠すように鍼を持ち、窺った先にいたのは、こちらも目の覚めるような美女だ。
香蘭の冷徹な瞳が解りやすいほどの動揺を示した。

「今日は面会の予定などなかった筈だが……何用だ」
香蘭が背後の女性に向けて問う。
女性は形のいい唇を吊り上げ、一流の女優さながらに品よく笑った。
「あら。でもあの子達は、あっさり通してくれたわよ」
女性が示す先では、頭にシニヨンを作った中華娘達がはにかんでいる。
たまらず香蘭の口元も綻んだ。
「全く、困ったものだ」
言葉とは裏腹にまるで迷惑がっていない香蘭は、静かに立ち上がって女性に近づく。
「……久しいな、悠里」
香蘭は、旧知の友の姿を改めて視界に収めた。

キリリと整った眉。
猫のように好奇心に満ち、かつ相手の顔が映りこむほどに虹彩の輝く瞳。
光の加減によっては見えなくなるほどすっきりと通った鼻筋。
ルージュいらずのふっくらと艶やかな唇に、日本人離れした洗練されすぎている輪郭。

無駄な肉のない魅惑的な首筋に鎖骨が続き、胸の膨らみが南国の果実を思わせる。
腰は思い切ったほどに細く絞られ、尻からのボリュームをいよいよ艶かしく目に焼き付けさせる。
そしてその起伏も鮮やかなボディラインを締めくくるのは、思わず何度も視線を下ろしてしまう脚線美だ。
並大抵のレースクイーンなら恥じて足元を隠すほどのその脚は小気味いいほどに長く、
どのようなポーズを取っても絵になるだけの非凡さがあった。

体中から『新鮮』と『自信』のイメージを振りまくような彼女が長い黒髪を揺らして歩けば、
その姿はまさに不可侵の女王と呼ぶに相応しい。

香蘭は、久々のその魅力にごくりと喉を鳴らしてしまっていた。
一目見ただけで視界に映る日常が薄皮を剥いだように色鮮やかになる美女が、
自分に向けて気心の知れた笑みを向けているという至福。
「久しぶりね、香蘭」
『至福』の元凶は、思わずつられて笑うような艶やかな微笑を浮かべた。



「……なんだこれは、体中が古いゴムのように凝り固まっているぞ。
 ストレッチを怠ったのか、悠里」

体調把握のために悠里の身体へ触れた香蘭が、驚きの声を上げる。
肘の内側を押し込み、首元を揉み解してみると、ゴリゴリと音のしそうな反応が返ってきていた。
悠里が桜色の唇を尖らせる。

「仕方ないじゃない。先週までいた北欧じゃあ、それは大変な目に遭ってたのよ。
 着いてすぐ女の子と知り合って、その子を狙う密売組織からろくに寝る間もなく逃げ回って。
 おまけにいつの間にか、裏で名の通った暗殺者とかいうのにまで付け狙われてて。
 十年分の不幸がいっぺんに降りかかってきたみたいだったわ」

こめかみを押さえて呻く姿を見る限り、相当に参ったらしい。

「……なるほど、やはりか。こちらにも噂話というレベルでの情報は回ってきていたぞ。
 貴様、『叫喚の音叉』ビルギット・ヒリンズとやり合っていたな?」
「へぇ、さすがに詳しいわね」
「さすがと言うべきはこちらだ。あの『叫喚の音叉』が数週間にも渡って殺害依頼を受けないなど、
 “こちら側”でも噂の種だったものだぞ。
 だがその間、遂行中の依頼を達成できずにいたとすれば得心も行く」
「裏社会のウワサの種、ねぇ……確かにあれはとんでもなかったわ。
 手足を吹き飛ばされそうになった事は何度もあったし、おまけにもうしつこいったら。
 ホラー映画の中に入り込んだのかと思ったぐらいよ」

そうした穏やかでない会話が進む間にも、香蘭の手は悠里の身体を把握していく。

「ふむ……ここまで凝り固まっているとなれば、鍼よりもマッサージだな。
 先に施術部屋へ行っていろ、悠里。私も追って向かう」
「マ、マッサージ……?あんまり痛くしないでね」
何か思うところがあるのか、少し気後れした表情を見せる悠里。
しかし香蘭は厳しい顔だ。
「そこまでガタが来ていては、痛む程にしなければ効かん。とっとと行け!」
「うう……し、しょうがない……か……。」
香蘭に追い立てられ、中華娘に腕を引かれて先導されながら、悠里は観念したように首を垂れた。



2.

カーテンで外と仕切られた施術室には香が焚かれていた。
炬燵の中を思わせるオレンジの照明や、床に広げられた柔らかな毛布もまた、心を穏やかにする効果がある。
悠里はその中で中華娘達に促され、着ていた服を脱ぎ捨てた。
途端にわぁ、と起きる感嘆の声。
水を弾くようにつややかな桜色の肌は、同性の、悠里より遥かに年下の少女の目をも釘付けにする。

「枕に顎を乗せて、うつ伏せになれ」
香蘭が命じると、悠里は言葉通り裸のままうつ伏せになり、枕と顎の間に重ねた掌を挟みこんだ。
すらりとした身体が横たわっているさまは中々の絶景だ。
肩甲骨の隆起、S字を描く背筋のライン、豊かに盛り上がった尻肉。
思わず抱きつきたい気分を見る者に湧き起こさせる。

香蘭は開かせた悠里の脚の間に、陶器で出来た深めの器を置いた。
そしてそこからオイルを掬い取る。
「さて、いくぞ」
掌を擦り合わせてオイルを馴染ませ、いよいよ香蘭のマッサージは始まった。

「……ぎゃあっ、あ゛う!い、いた、いぃ……!!!」
悠里が枕の上で歯を喰いしばる。その目はつらそうに閉じられている。
「酷いものだな。体中がガタガタだぞ」
香蘭は呆れたように告げ、両の親指で悠里の土踏まず周辺を何度も押し込んでいく。
その度に悠里の身体が跳ね、細い悲鳴が上がるのだった。
「あ、あう、あうう!!きゃうぅっっ!!!」
オイルによってテカリを帯びていく足裏と、悠里の甲高い悲鳴。
それは妙に艶かしく見えた。

足裏を散々に刺激したのち、香蘭の手は踵を越えて悠里の脹脛へと至る。
伸びやかな脚がオイルのテカリに塗れ始めた。
「よく凝っているな、『カーペントレス(木こり娘)』に酷使された脚は」
香蘭の手が脹脛を揉み潰す。枕に沈んだ悠里の口から、く、く、と押さえ切れない悲鳴が漏れる。
さらに指先が膝裏、そして内腿へと這い上がると、悠里は堪らずに身を捩った。
「い、嫌っ!!」
「暴れるな、それだけ効いているという事だ」
香蘭は叱りながら、悠里の尻肉へと手をかける。
そのまま餅をこねるように力強く揉み込めば、悠里の腰が妖しくうごめいた。
「はあ、ぁんっ……」
桃色の息を吐くような様子で声が漏れる。
「気持ちよさそうだな、悠里」
「……お、お尻揉まれると……やっぱり凄いわね。恥骨にまでジンと響いてくる……」
ただ快感に酔いしれる悠里。
それを見やりながら、香蘭は次の治療に向かった。
悠里の腿の裏側を膝で押し込み、刺激しながら、その背中へ肘をつける。

ぐりり、と背骨の側部に肘が入り込むと、悠里の目が見開かれた。
「かっ、……あぐっ……!!」
枕を掴む腕が細かに痙攣するのを横目に見つつ、香蘭は背中の肘を移動させる。
筋肉へと筋をつけるかのように、脇腹へと。
「ァぐぅうううあ゛っ!!!」
「ふ、凄い声が出るな悠里?お前とリングで戦った娘達にも教えてやりたい所だ。
 元女王・悠里は、こうして組み敷いて背中を肘で抉れば、あられもない声を出すぞ、とな」
香蘭に茶化され、悠里は目の端に涙を浮かべながら後ろを見上げる。

「はっ……はあっ……し、試合でなら、とっくに返してるわ、こんな体勢……」
「ほう、それは大したものだ。では今やって見せてくれ」
香蘭は笑い、悠里の右手首を掴んで後ろへ引いた。
その状態で腕の付け根を押し込めば、悠里の肩からはバキバキと骨の折れるような音がする。
「あ゛ッぐあぁああああぁぁぁああッ!!!!!」
悠里はその整った横顔を枕に押し付け、眉間に皺を寄せて叫ぶ。
その姿はまるで、組み敷かれたまま関節技を掛けられているかのようだ。
上体は深く毛布に押し付けられており、潰れたような乳房が実に艶かしい。

「その激痛は、そのままお前の肩関節の凝りだ。我が身が可愛ければ耐え忍ぶがいい」
香蘭はそう言いながら、さらに手首を引きつつ付け根を押し込む。
ゴリ、ゴリと骨の動く音がし、悠里は唇を噛んでそれに耐えた。
数度の刺激の後、ようやく手首を離された悠里の右腕は力なく毛布に沈む。
「はっ、はぁ、はぁ……」
「ふん、ようやく解放されたとでも言いたげな顔だな。だがもう片方もいくぞ」
香蘭は嗜虐的な笑みで告げ、悠里の左手の手首を取る。
「あがあっ!!」
左右対称の同じ治療が課せられた。
「右腕より、こちらの方が酷使されているようだな」
ゴギゴギと凄まじい音を響かせる左腕に、香蘭が呟く。
悠里はされるがままに腕を引かれながら、その白い乳房を身体の横から零していた。
中華娘達がそれに気づいて頬を赤らめる。



背面へのマッサージが一通り終わったあと、次に悠里は仰向けにさせられた。
重圧から解放された零れんばかりの乳房が、悠里の胸板の上で柔らかに揺れる。
形が溶けたように崩れないあたり、驚異的な張りといえた。
目を引くのは乳房ばかりではない。
背中側も肩甲骨やS字を描く背筋のラインが実に眩かった悠里だが、
前身となればいよいよ理性を試されるほどの悩ましい形をしている。

「いや、そんなに……見ないでよ」
身体を凝視してくる香蘭に、悠里は手で胸を覆い隠した。
自分の身体に絶対の自信を持つ悠里は平素、裸体を晒すことを恥とは思わない。
しかし官能の炎が芽生え始めた時だけは別だ。
逆をいえば、悠里が肌を隠す時は、少なからず『感じ始めている』……ともいえる。
香蘭はそれを汲み取りながら、悠里の身体に指を這わせた。

首元から、乳房の間を抜けて肋骨へ、そして薄っすらと6つに割れた腹筋へ。
さらに下って安産を約束する見事な腰つきへ流れ、閉じた股下に逆三角の隙間ができる締まった太腿へと至る。
「はっ……いひ、うぅふっ……!!」
皮膚の敏感な悠里は、その動きだけで細かに身を捩らせた。
香蘭はそれに笑みを浮かべつつ、手を悠里の下腹へと添える。

腰骨の両端に掌底を宛がい、ぐいと押すと、悠里の太腿が跳ね上がった。
「ふ、痛むらしいな」
「ん……っ!!!」
香蘭が訊ねるが、悠里は下唇を内へ巻き込んだまま、視線を横に逸らして耐えていた。
うつ伏せの時と違って香蘭と向かい合う格好のため、乱れる所を見せまいとしているのだろう。
含み笑いの後、香蘭は刺激を続ける。
腹筋中央の縦線を指先で揉み込み、また掌の底で腹部を平らにならす様に磨り潰す。

この治療に至って、いよいよ香蘭は他の患者と悠里との違いを顕著に感じていた。
腹筋の硬さがまるで違う。
普段なら餅をこねるように内へ内へと沈み込ませるマッサージをする所だが、悠里に対してはそうはいかない。
見た目はやや筋肉質といった程度だが、その腹筋は巨木の幹、あるいはゴムタイヤのような硬さと弾力を兼ね備えている。
おそらくは一般人がバットで殴りつけても、数発であれば問題なく吸収してしまうだろう。
事実、香蘭が渾身の力と体重を込めて圧し掛かってみても、スプリングのようにあっけなく弾かれてしまうのだった。

並みの施術者であれば、その力んだ腹筋の前にマッサージは至難だ。
しかし香蘭は、両の掌を腹部の上で重ね合わせ、勢いよく悠里の腹部へ沈み込ませる。
「う゛ぉううえっ!?」
途端に悠里が目を剥き、呼吸の苦しげな呻きを漏らした。
その腹部は香蘭の掌を飲み込むように深く沈みこんでいる。
「私を相手に腹筋を固めても無駄なことは、よく知っているだろう?」
香蘭の切れ長の目がほくそ笑んだ。
悠里は苦しげに息を吐きながら、少しずつ腹部の力を抜き始める。

浮き上がった腹筋と細く締まった腰つきの上で、香蘭の白い手が踊りまわる。
腰を掴み、腹筋を押し潰し、アバラの部分をなぞって。
「……ン、はっ……は、ぁ……はあ、あッ……う、はあっ…………!!」
悠里は出産を思わせるような吐息を吐きながら、少しずつ、少しずつ、その顔に官能の色を浮かべていく。
香蘭が悠里の脚を平泳ぎをするように開かせ、足の付け根を刺激し始めた時、その頬はいよいよ赤く染まり始めた。



オレンジの灯りに照らされた悠里の内腿を、香蘭の白い手が揉み解す。
その過程で、香蘭はちらりと局部の下へ視線を落とした。
「悠里、どうした事だこれは。尻の穴がヒクヒクと物欲しそうに蠢いているぞ。
 指でも捻じ込んで欲しいのか?」

かつて古武道の門下生らの手によって開発された経緯のある悠里の尻穴は、普段からぴちりと閉じてはいない。
綿棒数本をそのまま飲み込める程度には開いているものだが、今はそれが更なる開閉を繰り返している。
「ちょ、ちょっと、お尻なんて見ないで!!」
悠里は狼狽した声を上げる。
彼女は元女王らしくプライドが高く、また処女でこそないものの、未だに性への耐性が低い娘だ。
耳まで赤らめながら脚を閉じようとするのを、香蘭が笑って封じる。
「はは、悪かった、許せ。だが少々心地よくなってきたのは事実だろう?そのように解しているからな」
香蘭はそう言いながら、三度悠里に姿勢を変えさせる。

今度は悠里に胡坐を掻くように座らせる格好だ。
背後から香蘭の細い身体が覆い被さり、悠里に前屈みを強要した。
「うい、ぃっ……!!」
腰がパキパキと鳴るのを感じながら、しかし悠里の背筋にじんわりと快感が生じる。
さらに香蘭が、悠里を抱え起こしながら背後に身体を反らせると、その快感ははっきりと背筋を走り抜ける物に変わった。
「ああ……!!」
初めて悠里の唇から、完全な心地よさからの声が上がる。
香蘭はそれを聴きながら、おもむろに悠里の乳房を鷲掴みにした。
「きゃっ!?」
「身体の凝りも相当に解れて、いい気分になってきた頃のはずだ。仕上げをしてやろう」
香蘭は悠里にそう囁きかけながら、張りのある乳房を揉みしだく。
「うわ……!!」
施術を見守っていた中華娘の何人かが手で顔を覆い、しかし指の間から官能の瞬間を目撃する。

「あ……んあ、あふぅ、うっ…………」
悠里は背後から香蘭に胸を揉まれながら、心地よさに身を委ねているようだった。
房事に慣れた手つきが純粋に心地よいのもあり、また相手が心を許す友人という事も大きいだろう。
桜色の形のいい唇から漏れる息遣いは、次第に熱を帯び、熱く吐き出され、
ついには唇の端から銀色の線さえ零すようになっていく。

「随分と心地良さそうだな、悠里。それほどに良いのか?」
確かめるように香蘭が問うと、悠里はやわらかく目を閉じたまま頷いた。
香蘭の顔が嬉しげに綻ぶ。
「ふ、そうか。 ……お前の細い身体を抱いたのは、これで何度目になるか。
 身体を癒すためと言っては、こうして身体を蕩けさせ、私の愛撫で最も感じるように刻み込んだ。
 お前は私で、私はお前のひとつだ。
 心ではあの茜という小娘への想いに敵わんだろうが、お前の身体は私のものだ、悠里」
香蘭は悠里の身体を抱きしめながら告げる。
悠里の眉が困ったように垂れた。

「……そ、そんなこと……。わ、私は、茜も大好き、でも香蘭の事も大好きなのよ。
 あ、あっ……ど、どっちも、どっちのことも大好きじゃ、いけないの……?」
悠里は潤んだ瞳で香蘭を振り返る。
その顔はいつもより幼く見え、しかしいつになく女らしく、堪らず抱きしめたくなってしまう。
そんな風だから、他の人間に渡したくないのだ。
香蘭は胸の内でそう叫びながら、悠里の脚の間へと手を滑り込ませる。
「ん!!」
悠里の目が閉じられ、柔らかな内腿が震えた。



「随分と気持ちよさそうに濡れているな。いつ頃から感じていたんだ?」
悠里の淡いをくじりながら、香蘭が問う。
悠里は目を細めて答えた。
「うつ伏せで、太腿の裏を触られたあたり、かな……。お尻を揉まれるのも凄かったし。
 お腹をしつこく潰されるのも……何だか、じゅんと来てたのかも」
その答えをしっかりと聞きながら、香蘭は桜色の秘裂の奥をかき回し続ける。
かすかに水音がしはじめた。
その頃になってふと、香蘭の顔に怪訝さが浮かぶ。

「悠里。先ほど胸を触っていた時から気にはなっていたが……最近、相当男と交わったな。
 初めに聞いた苦労話では省略されていたようだが、貴様、複数人に犯されたのではないか?」

その洞察に、悠里の肩が跳ねる。
さらに追求するがごとく、香蘭がその肩を掴む。
すると悠里は、しばし視線を泳がせた後、観念したように頷いた。

「……さすが、誤魔化せないわね。その通りよ。
 ビルギットに追い詰められて、最後の最後、もう逃げようもないから真夜中の埠頭で戦ったの。
 相手は依頼を受けるたびに殺す人数を増やして遊ぶような狂人だし、出来ればやりたくなかったんだけどね。
 何とか倒せはしたけど、私の方だってもう限界で、そのまま海の方へ倒れこんで。
 死にたくなかったからもがいて、何とか岸まで泳ぎ着いたら……運がないわよね、そこって密売組織の本拠地前だったのよ。
 もう失神寸前だった私は奴らに捕まって、それからずっと、ずっと、玩具にされてた。
 途中まで協力して捜査してた地元警察が乗り込んで来なかったら……今頃は、中東でセックスドールにされてた頃かしら」

屈辱に肩を震わせ、絞り出すように告げる悠里。
彼女は以前にも、古武術の道場に捕らえられて辱めを受けた経験がある。
それに似た事がまたとは、何とも不憫な星の下に生まれたものだ。

香蘭は震える悠里を、背後から抱きしめた。そしてその肩を、背を、髪を撫でつける。
「…………辛かったな」
そう囁いた後、先程よりも優しさを込めて悠里の中をくじり回した。
「ん、んん!……ぁはっ……ッあ……」
悠里の口から心地良さそうな声が漏れる。
香蘭の指が襞を撫でるように踊ると、やがてその顔が天を向き、秘部からは透明な飛沫が上がった。
潮吹き、と呼ばれるものだ。

「……お前達、すまんが外してくれ。ここからは、2人だけでしたい」
香蘭が中華娘達に告げた。
中華娘達は、悠里の姿がもう見られなくなる事を惜しみながらも、言われるままにカーテンの外へ出ていく。
それを見届け、香蘭は悠里を押し倒した。



口づけの音が響く。
焚かれた香の薫りに包まれながら、香蘭は悠里に覆い被さる。
慈しむように、愛するように、癒すように。
白く細い指で、悠里の敏感な部分を刺激していく。

それがよほど気持ち良いのだろうか。
悠里は仰向けに身体を投げ出したまま、長い黒髪を毛布の上に広げ、恍惚の表情を浮かべていた。
は、はぁっ……と唇から小さな息遣いが盛れてもいる。
広げられたその内腿には、何度も飛沫を迸らせていると思しき無数の水滴が貼り付き、
脚の震えとともに雫となって流れ落ちてゆく。

ぬちり、と音が立ち、淡いの中で香蘭の指が曲がった。
そのまま臍側へと擦りつけるように指の腹を宛がい、優しく押し込む。
「ひぁ、あ……ま、またイくっ…………!!」
悠里の涼やかな顔が歪められ、後頭部を毛布に擦り付けながら天を仰いだ。
爪の綺麗な足指の先がきゅ、と内へ曲げられた直後、膣内が一分の隙もないほどに香蘭の指を締め付ける。
それに負けじと香蘭が指先で円を描けば、その締め付けがふっと緩み、やがて快感の涙を流すような潮を噴き始める。
「あ、でてる……でちゃ、ってる…………」
悠里はうわ言のように呟いた。
その様は普段の女王然とした姿には程遠いが、香蘭に慈しまれながら抱かれる今は、ひどく自然なものに思える。

香蘭はその悠里の脚を大きく広げさせ、自らも下に穿いていたものを脱ぎ捨てて重なり合う。
すべらかな太腿と、柔な恥じらいの部分が触れ合うように。
「ぁ……」
悠里が声を上げた。香蘭が腰を動かして秘部を擦り合わせると、その声も立て続けに発せられる。
「フッ、フゥッ…………どうだ、感じているか悠里」
自ら動くせいで息を早めながら、香蘭が悠里に問うた。
湿り気を帯びた繁みが擦れ合うたび、興奮で小粒に立ち上がった陰核が刺激される。
柔らかな腿の感触も、包み込むように相手の脚に絡み合う。
「……ええ。気持ちいいわ、香蘭」
悠里は蕩けたような視線で香蘭を見上げた。香蘭の口元が優しく微笑む。

香蘭はそこで銀色の糸を引かせながら腰を離し、部屋の隅にある箱から道具を取り出す。
男根を模した双頭の張り型。
普段あまり使われるものではない。女と女の交わりは、舌と指、そして秘部の触れ合いだけで充分と思うからだ。
しかし今日は、あえてその男への憧れを身に纏う。
悠里を満たすために。しっかりと奥の深くまで愛を伝えるために。

「いくぞ、悠里。」
張り型にオイルを塗りこめながら、香蘭が悠里に覆い被さった。
悠里は少し恥ずかしげに膝を閉じたが、香蘭がその膝へ手を置くと、少しずつ股座を露わにしていく。
桜色をした秘部に、張り型が沈み込んだ。
「うんんっ……!!」
悠里の声がする。
つらそうでもあり、しかし待ち侘びたものが来たという悦びのようでもある、不思議なものだった。
香蘭は悠里の肌に手を置きながら、ゆっくりと、丹念に、その身体の奥を愛していく。
慈しむように。悠里が今までに受けた傷を、ひとつ残らず癒すかのように。
じゅく、じゅくっと結合部から音がする。
充分に愛液で満たされたという証拠の、心地の良さそうな音が。
「香蘭……香蘭っ!!!」
悠里は叫びながら、覆い被さる香蘭の首元に手を回し、その腰へも伸びやかな脚を回す。
ふぅと甘い匂いが香蘭の鼻腔を突いた。
香蘭は膝に力を入れ、いよいよ注意深く悠里の膣の敏感な部分を愛しながら、その綺麗な黒髪を掻き揚げた。
濡れた目線が合う。

「…………おかえり、小悠」
今さらながらに、精一杯の愛情の笑みを浮かべながら、香蘭が囁く。
悠里もそれに笑みを返した。
「…………ただいま、香蘭」
そう息も触れ合うような近さで微笑みあい、やがて本当に口づけを交わしあう。

日々様々な苦難に見舞われる女闘者の、束の間の情愛。
それはいつまでも、いつまでも、暖かに続いていた……。



                              END

人情定食

※ エロ無し注意


ぶらりと駅前を歩く。
時間はちょうど昼飯時、目に付くどこの定食屋も、すでに人でごった返していた。
人の波を避けるようにして裏通りへ。
腹の減りを自覚しながら辺りを窺っていると、ふと一軒の飯屋が目に止まった。

それなりに高いビルの合間に隠れるように存在する、二階建ての小さな店。
黒ずんだ木造りの戸がひどく時代を感じさせる。
表には粗末な看板があり、紙に手書きでメニューが記されていた。

焼き魚定食、スタミナ定食、チキンライス 各880円

日替わりのような洒落たものもない、無骨なメニュー。
880円という値段設定も、ランチが平均500、600円台で食えるこの界隈では特に安くもない。
しかし、俺はそれが妙に気に入った。
店をちらと覗くと、中は異様なほどに空いている。客は一人しかいないようだ。
あれだけどこかしこも人に溢れている中で、この寂れ様。相当に不味いのか。
俺はどこか怖いもの見たさに似た感情と共に、店の戸を開ける。

戸を潜るとさらに狭苦しく感じられた。
入り口へ迫ってくるようなカウンター、粗末な木机。
壁のポスターには、わざとらしいほど青い海をバックに、よく日焼けしたセパレート水着の女が横たわっている。
東京オリンピックの時代に舞い戻ったか、そう錯覚するほどの昭和臭さだ。
「ぃらっせい、ゥンターどぞォー!」
微妙に聞き取りづらい声で、店主らしき男がカウンター席を勧めてくる。
まるでその筋の人間と思えるようないかつい男だ。

「……スタミナ」
俺は真っ直ぐにその男を見上げながら注文を出す。
するとその男は、にいと頬の肉を歪ませた。意外なまでに人懐こい笑顔。
「スタミナー、ありゃあーッす!!!」
威勢のいい掛け声と共に、やや若い男がカウンターから小走りに出てくる。
男はやはり気分いい笑顔で水をこちらの前に置いた。
大きなグラスだ。
明らかに『お冷や』目的のものではない。酒を入れるための、手を広げて握るような気前いい大きさ。
俺はこれに並々と注がれた水を見て、この店に対する評価が変わっていくのを感じていた。

よく注意を向ければ、カウンター前のガラスケースには、鮮度の良さそうな肉のぶつ切りが無造作に飾られていた。
あえて客の目に晒せるほど、肉の質に自信があるのだろう。
さらに厨房では、やはり体格の良い男が、コンロに叩きつけるが如くに騒々しく中華鍋を振るっている。
浅い俺の人生経験に照らし合わせれば、ああしてやかましく鍋を振るうラーメン屋の焼き飯は美味い。
ならば俄然、これから出される料理にも期待が募ろうというものだった。



スポーツ新聞の一面を読み終えた頃、料理が運ばれてくる。
水を運んできた時と同じ男は、新聞を畳む俺に配慮するかのように注意深く皿を置いていく。

「ご飯はお替り自由ですから。」

逞しい顔に白い歯を覗かせて笑う姿は、随分と好ましい。
彼に一礼をくれて料理に視線を落とす。
瞬間に鼻を支配する胡椒の薫り。食欲をそそる油に混じり、それは空き腹を著しく刺激する。
『スタミナ定食』メイン料理の見た目は野菜炒めだ。
山盛りのキャベツ・もやし・人参のざく切りから、細切れのロースが顔を覗かせていた。

涎が溢れそうになる。
その涎を押し戻すような気負いをもって、まずロース一切れを摘み上げて口へ放り込む。
良い。
ロースという言葉から期待する通りの、ザクリと確かな歯ごたえ、肉汁の旨味、そして絶妙な胡椒の利き具合。
たまらず箸で掴めるだけ白米を掴んで口へ放り込む。
これだけ旨味の濃厚なものを、コメと味わわずして何とする。そう本能が命じたからだ。

ふっくらと炊かれたコメの甘みと、肉汁のまた趣の違う甘みが口の中で溶け合う。
噛みしめると、それがさらに糖の甘さと肉の香ばしさにはっきりと分たれ、舌の頂きに至福をもたらしてくる。
呑み込むか、否、味わう。呑み込むか、否、まだ味わう。……もはや粥状だ、口内に留めてはおけない。
その葛藤をもって、ようやく味わいつくした一口目が喉を通り過ぎる。
何と美味い肉だ。
俺はしみじみそう感じたが、その感慨にも碌に浸れぬまま、箸はもう二口目を求めている。

次は野菜だ。
キャベツでその他を包み込むようにし、塊を口へ放り込む。
シャキッと音もしそうな歯応え。野菜独特の瑞々しい甘さ、ほのかな青臭さ、そしてやはり胡椒が美味い。
先の肉ほどの量ではないが、やはり米を掬って口へと放り込んでしまう。
俺が野菜炒めを喰らうとき、野菜部分でもコメに手をつけるのはこれが初めてのことだった。
いつもなら、野菜の部分はイヤイヤながらに単独で平らげ、肉の部分をコメの楽しみにするところ。
それが今回は、野菜を食している時でさえ、自然にコメを添えてしまっている。

肉、野菜と来て次はまた肉へ。肉汁を堪能しつつ、大掴みのコメを同じく口へと放り込む。
初めに見たときには野菜に埋もれて肉が少なく思えたものだが、掘り返してみると肉の量も半端ではない。
そしてこの二度目の肉を口に運んだとき、俺はある事実に気がつきつつあった。
山のように盛られた白飯。
普通の定食ならその椀一杯で十分な量だが、このペースで米を食っている今日に限っては、
その量ですらまるで足りないのではないか……と。
それは疑惑というより確信に近い。
事実、そこからさらに取り憑かれるように肉・野菜を口に運び続けた末、あっという間に茶碗が空になってしまう。

『お替り自由ですから。』

若い男の発した言葉が、救いのように脳裏に甦る。


替わりの米を待つ間は、一転して地獄のように感じられた。
胡椒の利いた肉や野菜をついつい摘みたくなるが、やはり本当に美味いものはコメと共に喰らいたい。
ここで僅かでもその至福を削るような真似は慎むべきだ。
俺はそう自分を諭し、代わりに定食のその他、味噌汁と小鉢に箸を伸ばした。

まず味噌汁を啜る。
あれだけフワリと白米を炊き、本格的な炒め物を作るのだ。味噌汁もさぞや美味かろう。
その憶測は、意外にも破られた。まるで美味くない、まるでインスタントだ。
次に小鉢。シイタケと切干大根の煮付け、これも……美味くない。安い惣菜のように無駄に甘たるい。
やや肩透かしな副菜を処理する気分で平らげる。

その過程で、俺はまたある確信を得ていた。ここは、『特化させている』のだ。
この副菜や味噌汁は、あくまで定食としての体を保つための添え物。
本来そこにも注がれるべき力を、この店ではあえてコメと主菜に注ぎ込んでいるに違いない。
実際にその2つだけは、他の店では滅多に出会えない目の覚めるような美味さなのだから。
そうなればいよいよ、その主役の再登場が待ち遠しくなり始めた。

焦れる気持ちで、店の端に置かれた空茶碗へと視線を投げる。
よく見ればこれも中々洒落た器だ。まるで茶会に用いられる椀のように思える。
黒に近い濃紺の下地へ、指で白波の渦を塗りつけたような、何とも趣深い文様。
なるほど、この器に盛られればコメも美味く感じるものだ。

さらにメインの乗った皿へと視線を移す、いや、移してしまう。
刻一刻と冷めていく料理が惜しい。早くがっつきたい。
そのような事を考えながら眺めていると、ふと皿の淵に何かがこびり付いていることに気がついた。
赤い、唐辛子を思わせる薬味……。
何ということだ!このような薬味が添えてある事に、今の今まで気がつかなかったとは。
しかし、まだ次がある。次こそはこの薬味を使い、また違った楽しみが出来るではないか、
なんと素晴らしい。

そのような事を考えていると、ついに替わりの白米が運ばれてくる。
店主は米を盛った茶碗を、カウンター越しでなく、わざわざ横から回ってきて俺の前へと置く。
その細やかな気遣いには、思わず感嘆せざるを得なかった。
見た目はいかついが心優しい。俺は思わず口元を緩ませながら、いよいよ箸を動かし始める。


肉を口へ放り込む。続いて今度は、赤い薬味を追って含み、さらに白米。
期待通りに美味い。最初に比べれば冷めてはいるが、美味さになお陰りはない。
コチュジャンを思わせる辛味は、香ばしい肉と白米の甘みの調和に刺激を加えた。
先ほどまでのじわりとした甘みがキリリと引き締まり、唾液の分泌を促進させる。
ほんの僅かに感じていた油っぽさも完全に払拭され、純粋な旨味群だけが口内へ拡がり続ける。
野菜に添えてもそれは同じ。青臭さを消し、サラダの如き清清しさを口に残していく。
無論この唐辛子由来の辛さは、コメとの相性も悪いわけがない。

こうなるともはや止まらなかった。
肉、野菜、肉、野菜、肉と次々に口に放り込み、再び盛られたコメを何の心配もなく大口で掻きこんでいける。
正直二杯目も大盛りというのは多いようにも感じたが、こうして喰っているとまるで問題なく完食できそうに思う。
事実、そこから考える事も億劫になって無心に食べ続けるうち、二杯目の白米も空となった。

肉はまだある、三杯目にいけそうな気もある。
しかしあえて俺はそれを避けた。
満腹だからではない。『あまりにもこの料理が美味すぎるから』だ。
本当に美味いものは、満腹まで食べてはならない。もう少し、やや物足りない所で止めてこそ記憶に残せる。
俺はそれを強く意識し、コメの誘惑に耐えながら、皿に少量残った肉を平らげた。
最後の一片を掬う時、皿に残った胡椒風味の汁もできるだけ絡めるようにして口に運ぶ。
締めに相応しい、胡椒と肉汁の味の濃厚に乗った最後の一口。
俺はそれをよくよく噛みしめ、噛みしめ、汁を絞り出すようにして味わいつくして嚥下した。
溜め息が出る。
とうとう至福の刻が終わったのだ。
氷がひしめき合うグラスの水を飲みながら、俺は静かに現実世界へと舞い戻った。

「880円です」
その声に、俺は千円札を出す。あれを食べて、なお120円が戻ってくるのが信じられない。
「ぁいどぉー、またよろしくぅー!!」
店主と若い男が声を揃え、人懐こい笑顔を見せた。
額に汗して鍋を振るっていた料理人もまた、帰りかける俺に笑みを見せる。
強面な見た目ばかりながら、なんと心優しい人間達なのか。
そのような人情溢れる人間であればこそ、あれほどに美味いものが作れるのだ。
あれはただのスタミナ定食ではない、『人情定食』とでも言っていい。
俺はそう感じながら、軋みを上げる木の戸を開ける。

外の空気を吸った瞬間、腹の張る感覚が襲った。
やはり流石に喰いすぎたか。これはまた今晩から、減塩低脂肪を意識した食事だな。
そう考えはするが、しかしあれだけ美味いものを喰った以上は後悔もない。
また来よう。
俺はそう心の中で呟きながら、再び路地をぶらつき始めた。



                          終
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美月

今になって思えば、妻の美月は私には過ぎた女性でした。

初めて彼女を見かけたのは、幼稚園で保母をしていた姿です。
子供ひとりひとりに分け隔てなく穏やかな笑みで接し、しかし甘やかすばかりでなく、
必要とあらばしっかりと叱りもする。
ちょうど結婚を考えている頃だった私は、その慈しみに満ちた母親像に、つい見惚れてしまったものです。
この女性に、私との子供を育てて欲しい。
自分でも驚くほど積極的にアタックし、いざ彼女との同棲を始めてから、その想いはますます強まりました。

美月の人徳は、私の物差しでは測ることのできない域にありました。
近所の子供が怪我をし、入院した時には、自分の子でもないのに夜一睡もせずに心配してしまったり。
着払いの荷物を頼んだ時などは、どの配送業者も、美月が払ったお金を確認もせずに仕舞います。
「確認しなくても大丈夫なんですか?」
美月が心配して訊くと、彼らはみな良い笑顔で答えるものです。
「いえ。西原さんのお宅は、大丈夫だと信じていますから。」
彼らドライバーにとって、美月は最上のお客なのです。
「そんな……。そう仰られると、ますます気をつけて用意しないと」
そう恥ずかしそうに笑う妻を見れば、それも当然の事だと思えてしまうのですが。

その優れた人格が滲み出るかのように、美月は器量にも恵まれています。

瞳はやや垂れぎみで、整形をしたかのように綺麗な一重です。
なんとも優しげな目尻をしており、目線を合わせて話をしているうち、
かなり気難しい保護者でさえ自然に笑顔になっていくほどでした。
鼻は正面から見るとあるかないか、控えめな鼻梁がわずかに影を作る程度ですが、
下から見上げれば実に整った三角形をしているのが解ります。
その下にはやや上唇の薄めな口があり、こちらも微かに微笑んでいるかのよう。
輪郭も顎のすっきりした美人型。
腰の辺りまで伸ばした髪も若々しく、歩く後ろ姿はよく私服の女子高生に間違われるそうです。

贔屓目に見ずとも優れたルックスなのは、彼女が朝すっぴんでゴミ出しをしているとき、
出勤途中のサラリーマンが何人も振り返っていくことからも解ります。
そんな彼女と契りを交わせたのは、私の人生で最も喜ばしい出来事と言えました。



私は美月にとって、できるだけ良い夫であろうと努めました。
休みができればデートに誘い、共に晩酌をしたり、料理を作ったりする機会をなるべく多く取りました。
その甲斐あり、夫婦仲は良好だったと自負しています。

……ただ、ひとつだけ、私には彼女の力になれない事がありました。
私はセックスが苦手なのです。
それに気付いたのは、恥ずかしながら彼女との初夜を迎えた時でした。
肝心な時に勃起しないのです。初めは緊張からかと思いましたが、どうやらそれだけではありません。
極めて勃起力が弱く、美月の懸命な口奉仕でようやく勃ったとしても、挿入時には柔らかくなってしまう。
性欲がない訳ではありませんが、不能に近いと言わざるを得ませんでした。
笑うしかない話です。
自分の子を育てて欲しい、と美月に求婚した男が不能とは。
私は己を恥じ、営みが上手くいかないごとに美月に『もう別れよう』と訴えたものです。
しかし、心優しい美月が見捨てる筈はありません。
大丈夫、どんな風でも愛している、気長にいきましょうと、言葉を尽くして励ましてくれました。

しかしながら、美月は内心では欲求不満であったようです。
今になって解る事なのですが、彼女はどちらかといえば性に貪欲な方です。
当時の私がそれに気付いたのは、彼女の寝室の枕元に隠されていた、一冊の教養本がきっかけでした。
『女がほんとうに気持ちよくなる瞬間』
本の題にはそうありました。

いざ本文を追うと、そこには私の知らない様々な性知識が溢れています。
『夫に元気がない時』という項目もあり、該当箇所には健気なほどのマーカーが引かれていましたが、
本の折り目の強さからいって本命はそこではありません。
もっとも頻繁に開かれていると思しきページは、
『クリトリス、Gスポット、ポルチオ性感の違いとその開発方法』
でした。
そこは明らかに何度も繰り返し読み込まれており、また注意深く見れば、本の横、
ちょうど指を添えるあたりに濡れて乾いた跡があります。
これは何か。私はしばし考え、気付きました。
恐らく美月はこれを参考に、自らの指でクリトリスやGスポットを刺激していたのでしょう。
そうして愛液にまみれた指でこの本を参照したとき、端が濡れたに違いありません。

思えばそれも当然の事です。
夫である私は頻繁に肌を合わせはするものの、いざ良い雰囲気になった時に不能。
女性にも、男ほど頻繁ではないにせよ性欲が溜まる事はあるといいますし、
また彼女と普段付き合いのある若妻達の定番の話題といえば、やはり夫とのセックス体験です。
そもそも美月は今年で26。
20代半ばのちょうど熟れつつある身体を持て余すのは、さぞかしつらいでしょう。
それらが重なり合って、欲求不満が募らない方がおかしいのです。


私は悩みました。
教養本を見つけた夜から、意識して彼女を愛撫するようにしましたが、明らかに足りません。
やはり性行為とは子作りの為のものである以上、挿入がなければ完全たりえないのです。
美月を本当に満足させるためには、挿入が必要でした。
私も時おりできる事はありますし、美月の初めてを奪ったのも私ですが、
今の彼女にはもっと渇きを癒しきるほど、けだもののように突ける雄が必要なのです。

スワッピング、つまり他のカップルの男に美月を抱かせる事も最初は考えました。
しかし、やはりそれは許せません。
何者とも知らない男に美月が抱かれた、と明確に意識してしまうからです。
では他にないのかと様々に捜し求めた末に、私はそれを見つけました。

アダルトビデオ撮影のリハーサル、です。

私も多少は触れて知っていますが、今やアダルトビデオ業界の競争は苛烈で、
少々見目のいい女優を使ったりハードなプレイをするぐらいでは、さして売り上げは伸びません。
しかしその中でも社の垣根を越えて好調なのが、『ポルチオ開発もの』です。
近年になってようやく知られ始めたこの性感プレイは、まさにブームの渦中といえます。
ゆえに資金力のある大手ビデオメーカーは、こぞってポルチオ責めのための独自の機械を製作しています。

しかしそうした機械が完成したとしても、いきなり実用とはいきません。
何しろ未知の機械であり、どれほどの強度でどれだけ運用するべきか、どの角度から撮れば映えるのか、
それらを撮影前に下調べしておく必要があるそうです。
そこで募られるのが、素人の女性被験者に謝礼を払ってのテストプレイ。
私はこれに惹かれました。

テストプレイは実際の撮影とほぼ同じように撮影されるといいます。
すなわち、美月をAV男優という本職中の本職とセックスさせる事ができ、さらにお金まで貰えるのです。
無論これとて、妻を他の男に抱かせる事には違いありません。
しかし、どこの馬の骨とも知れない男にさせるよりは、その道で金を稼いでいるプロに、
ビジネスとして抱かせる方が随分とましに思えたのです。



『湯けむり若女将、煉獄イカせ4時間』
それが撮影予定のビデオのタイトルだと、スキンヘッドの監督は言いました。もちろん社外秘だと付け加えて。

「……しかし、直に拝見すると本当に若々しく見えますね。
 写真に騙されてばかりのこの業界ですが、ひとつ価値観が覆りましたよ」
彼は満足げに美月を眺め回します。
美月は恥ずかしそうに俯きながら、控えめにその視線を受け止めていました。

美月ははじめ、この出演にかなり難色を示したものです。
それは当然ですし、むしろ嬉しくもありましたが、私は根気強く説き伏せました。
ふとした弾みで美月が枕元に隠していた本を見てしまったこと。
自分でも欲求不満になって当然の状況だと思うこと。
美月にも、一度くらい我慢せずに女の喜びというものに浸ってもらいたいこと。
それらを告げると、美月は次第に反論を控えるようになりました。
その言葉は紛れもなく私の本心なのですから、それなりの重みがあったのだろうと思います。

応募の方もつつがなく進みました。
応募方法は、ビデオ会社宛に応募女性の全身写真、性病検査の結果、略歴を郵送するというもの。
返事はかなり早かったのを覚えています。
会社帰りに電話が鳴り、広報担当だという男が意外に丁寧な口調で結果を述べました。
素人女性相手という事で士気を下げていた男優達が、総員一致で美月を指名している、是非にお願いしたい。
そんな内容だったように思います。
それを伝えた時の美月の顔は、困ったような、しかしもう覚悟を決めたような、不思議な表情でした。
私自身が妻の美しさを認められた事に相当舞い上がっており、もはや何を言っても無駄だ、と思ったのかもしれません。

かくして美月はテストプレイに参加することとなり、監督との面談と誓約書への署名を経て、
いよいよ車で撮影現場へと向かいます。
ビデオの題名に湯けむり~とあるだけあって、撮影は会社所有の小さな温泉宿で行うようです。
「ささ、旦那さんもどうぞ」
配偶者である私にも特別に撮影現場への同行が許可されました。
私は、あくまで傍観者であるにもかかわらず、まるで主演のごとく緊張して車に乗り込みます。
別の車に乗りこむ美月の表情はよくは見えませんでしたが、私よりは落ち着いていたような気がしました。





現場に着いた後、美月は専属のメイクに連れられて控え室へと姿を消します。
次に現れたときには、その顔には薄く化粧がなされ、服は着物に変わっていました。
物語の舞台が温泉宿なので、若女将といった所でしょう。
着物と言っても本格的なものではなく、あくまで撮影用の安価で脱がせやすい代物ですが、
美月自身の穏やかな表情が装いに格調を与えます。
「おお……!!!」
男優達が着物姿の美月を見て感嘆の声を上げました。

男優は3人おり、いずれも鍛え上げた逞しい身体つきと、ムラなく小麦色に焼けた肌をしています。
全国へ流通するビデオへ『映るための』身体。間近で見れば、その事がよく実感されます。
強面で女慣れしていそうな彼らは、気のせいか色白痩身な私を見下しているようにも見受けられました。

「奥さんとは、結構ヤッてるんスか?」
一人が私に対してぶしつけに尋ねます。
私は愛撫などはよくする事、しかし肝心な部分が上手くいかず、美月の経験は少なめである事を説明しました。
すると彼は、コップの水と共にいくつかの錠剤を美月へ渡します。
ひとつが経口避妊薬……いわゆるピルである事は解りましたが、もう一種は見慣れません。
「ちょっとした強壮剤っす。変なのじゃないっすよ」
男はそう笑いました。

しかし今では、この独特の形状をした薬をネットで調べ、男の言葉が嘘であった事が解っています。
それは女性を妊娠しやすくする薬でした。
強い興奮作用と共に、子宮の入口が妊娠時のようにふっくらと解れる効果があるといいます。
避妊薬を同時に服用したとはいえ、そのような薬を併用するのは危険です。
しかし無知な私はその時、何の疑問も抱けませんでした。



男優の位置取りや女優の座らせ方を検証する意味もあり、撮影は本番さながらに進みます。
『経営難からの借金に苦しむ若女将』を演じる美月は、脱衣所で3人の男優に着物を剥ぎ取られました。
「い、いや!やめてぇっ!!」
帯を取られ、乳房を零れさせながら叫ぶ美月。
女優にありがちな演技めいた悲鳴ではなく、かなり真に迫って聴こえます。
その初々しい反応は、男優達をよく焚きつけたようでした。
男達は上機嫌で着物を取り去り、裸を露わにした美月を浴室に連れ込みます。
そして洗い場にて、いやらしく触れながらその裸体を泡まみれにしはじめました。

「うへぇ、すげえな。乳プリップリじゃん!女子大生みてえ」
「ほんとこの身体つきはヤバイわ。ホントに26の人妻か?
 胸はでかいけど、腹回りは肉が垂れてるどころか、膝立ちになったら腰骨浮くレベルじゃん。
 スレンダーだぜスレンダー。やべぇ、超好みなんだけど」
「マジすげぇな。あのよ、りさちーいんじゃん、あの元芸能人で売ってる『秋原りさ』。
 なんか身体あれクラスなんだけど。しかも粗食で案外肌荒れてるあっちと違って、
 こっちはお肌もっちもちだぜ。マジで年齢詐称だろこれ」

男優達は口々に驚きの言葉を発しながら、美月の身体を触りたくります。
「あっ、はっ……!!」
美月は、もともとかなり敏感なほうです、その手つきにビクビクと細かな反応を示していました。
やがて泡が流され、美月は男の1人と湯船の中に入ります。
その湯の中でもさらに後ろから抱え込むように弄られたあと、男は美月を浴槽の淵に掛けさせました。
当然、男へ向けて股を開く格好で。
「指入れるぞ」
男は短くそう告げ、美月の恥じらいの部分へと手を触れます。
「んっ……!!」
美月は小さく呻きました。その声と同時に、男の太い指が白い脚の間へと隠れていきます。
「お、やっぱ人妻はエロいなー。見た目とかいかにも清楚真面目ですって感じなのに、
 いきなり2本呑み込みやがる」
男は嬉しげにそう囁き、そのまま潤みの中で指を蠢かしはじめました。
ぬるっ、ぬるっと見るからにいやらしい指の動きです。

「うん、……っあ、んんんっ……!!!」
美月は後方に手をついてそれに耐え、かすかに声を漏らしていました。
恥ずかしいのか、顔は横を向いています。
すると、男はその美月の頭に手を置き、力づくで自分の方を向かせました。
「こっち見てなよ。本番でもそう撮るんだから」
男はさも大事なことのように言いますが、本心は美月の恥じ入る顔を見たいだけでしょう。
しかし美月は、男の方を向くしかありません。
男は美月の前髪を軽く握り、顔を覗きこみながら秘部に指を差しては抜きます。
「み……見ないで、ください……」
美月は、顔を男から遠ざけるかのごとく、少しずつ少しずつ、身体を斜めに倒していました。
しかしそれは、指での嬲りをより深く受けることにもなるのです。

はじめ無音だった股座の指は、いつしかにちゃにちゃと水っぽい音を立てるようになっていました。
「…………っ!!」
美月の頬が微かに染まっています。
「へーえ。あんたみたいな清楚さんも、やっぱりこうすると濡れてきちゃうんだ?
 腰を変に動かしだした辺りから、こうなっちゃうの解ってたんだよねぇ」
男はいよいよわざとらしく水音を立て、美月の瞳を覗き込んで笑いました。



そこで一旦場面は切り替わり、撮影の場所はサウナルームに映ります。
サウナルームへは美月と男優3人、そしてカメラが入るだけで精一杯で、
私達部外者は別室のモニターから撮影中のライブ映像を見ることとなりました。

サウナらしく、黄金色に煌めく怪しげな室内で撮影が開始されます。
美月は腰にタオルを巻いた男優達に囲まれ、両腋を晒したまま手を頭後ろに組む格好を取らされました。
隠すものもなく、前へと零れるように突き出す乳房がエロチックです。
男優からしてもそれは同じなのでしょう。
一人が背後からその乳房を鷲掴みにし、形が変わるほどに強く揉みしだきます。
「ふぁうぐっ!?」
美月が息を噛み潰したような悲鳴を上げました。
私は驚きます。それは普段、私が丹念に愛撫を尽くした最後の方でようやくに漏れる声。
その声がもう美月の口から出てしまっているのです。

「ほうーらどうだ美月?オッパイの下側が、えらく無防備じゃねえか。
 解されてねぇなあ。あんまこのやり方でチチ揉まれる事ないのかよ、え?」
男優はあろう事か私の妻の名を呼び捨てにし、下劣な言葉を囁きます。
「あの馬鹿……。すいませんね、撮影で女の名前呼ぶのがクセになってるんですよ」
監督がそうフォローを入れるが、正直心のざわつきは止まりません。
私は嫉妬しているのです。背後から荒々しく乳房を揉みしだき、美月の身体を揺らす若い男に。

乳房を揉む男がいる一方で、正面の男は美月の顔を蹂躙します。
頬を掴んで両側から押し込み、鼻の穴を親指で押し潰して豚のようにへし曲げさせ。
それは元の造りがいいからこそ、異様に興奮する絵面でした。
普段おっとりとして見える美月が、苦しみに目を細めながら相手を見上げる様は、
一瞬とても妖艶で意地の悪い女に見え、また時には幼い少女のようにも映り、そのギャップが堪りません。
AVパッケージのキャプチャに優先的に選ばれそうな部分だと感じました。
特に後半、口に侵入した男優の2本指が美月の舌を挟み出し、光る唾液に塗れていく様は、
下手なフェラチオシーンよりも遥かに官能的に映ります。
えあっ、ええああっ、という舌足らずな美月の呻きも、その美貌と相まって異常にそそるものがありました。

乳房と顔だけではありません。それ以外の様々な場所にも、残る一人が舌を這わせていました。
掲げた腋の下、長い髪を掻きあげた下のうなじ、緩やかなカーブを描く腰に、その下の剥き卵のような尻たぶ。
美月はそのたび、当該箇所に繋がる筋肉を震えさせて悶えます。
そうやって嬲り者にされるうち、当然ながらその肌にはうっすらと汗が浮き始めていました。
つるりと汗の流れ落ちる動きから、改めて美月の肌の若々しさが見て取れます。
「ほーら、熱くなってきたでしょう。体中が汗でヌルヌルになってますよ。
 下のほうはもっとすごいですけど」
男が美月の片脚を抱え上げ、その秘部に指を差し込みました。
じゅちっ、と鳴った粘り気のある音が、その言葉を全面的に肯定します。
「ああ……。」
美月は細めた瞳に恥じらいを浮かべながらも、ただ男達に導かれるまま、室内の段差へと腰掛けていきました。


美月は、最上段に座った男によって両の手首を掴み上げられ、正面に膝を突いた男に脚を開かされます。
そして秘部へと容赦なく指を捻じ込まれました。
先ほどは正面から2本指で中をくじられる浅いものでしたが、今回は大陰唇を手の平全体で覆うようにし、
直角に曲げた人指し・中・薬指の3本指で中を掻き回す深いもの。
AV用語で言うなら、『手マン』と称されるものです。
当然、愛液はだだ漏れになっていきました。

「あああああっ!!!はああうっ、ふあう、ううあああああふぁううぐううううっっ!!!!!」
美月は恥じらいを飛ばしたかのように大きな声で喘ぎ、太腿を痙攣させます。
吐息を噛み殺すような例の感じ声も、幾つも織り交ぜられています。
それも仕方のない反応でした。
もともと半端な熟れ方のまま身体を持て余していた美月が、小さく音がなるほど湿らされていたのです。
『ああああいやっ、あああいやあっ!!!!!」
美月はあまりの激しさに暴れ、何度も内股に脚を閉じようとします。
しかしそれを、背後から乳を揉む男、前から秘部をくじる男に片腿ずつ押さえつけられて阻まれていました。

「ほぅら気持ちいいんすかオバサン?気持ちイイっすよね。
 完全に膨れたGスポットキャッチできたんで、好きなだけコリコリコリコリしててあげますよ。
 サウナの熱気で頭ぼーっとしてるとこにコレやられちゃ、堪んないっスよねえ。
 ……あ、旦那さんも見てる事ですし、やっぱ無理に言わなくてもいいっす。
 オレ昔ホストやってたからこういうの慣れてて、大体解っちゃうんすよね。
 フトモモの強張りとか指先のGスポットの感覚とかで、どれくらいキテんのかなって。
 オバサンは余計な事考えずに、そのかわいー顔でただ感じまくってて下さい」

まだあどけなさの残るその若い男は、美月をオバサン呼ばわりしながら指を繰り続けます。
女性を罵って興奮させるタイプのサディストでしょう。
性格はともあれ、その技術は同じ男としても目を見張るばかりでした。
「あああっ!!!はあああああっっ!!!」
声を上げ続ける美月の秘裂から透明な雫が溢れ、男の手首を血管と平走するように流れていきます。
その手は一段上の男に掴みあげられたまま、たまらなそうに小指を握りこむばかりです。
ぷしっ、ぷしっと何度も飛沫を上げているのが見て取れました。

「オバサン結構わかりやすいっすね。もう堪んないよーって顔してるじゃないスか。
 ね、今で何回ぐらいイッてるんすか?」
男は美月を見上げたまま問います。
美月は答えづらそうにしていましたが、手を休めない男に折れる形で口を開きました。
「あっ……は……8回、くらい…………」
驚くべき数字でした。
「えっマジ8回っすか!?オレてっきり5回だと思ってたんすけど。
 じゃあひょっとしてあれだ、今みたいに足の裏がヒクンッ!って横向くのが全部、イッたって合図なんだ。
 すげえなぁ、思った以上にエロエロじゃん。いや可愛いなー美月さん」
男はいよいよ気をよくして指を蠢かします。
それに操られるように、美月の腰つきもいやらしいものになっていきました。

「でさ、美月さん。お愉しみ中悪いんだけど、そろそろ潮でも噴いてくんないかな。
 このシーンって、女優が潮噴いて終わりってシナリオになってっからさ」
背後から胸を揉みしだく男が囁きかけます。
どうやら潮噴きを強いているようです。しかし、今まで美月はそんな体験がないはず。
教養本のおかげで知識としてはあるはずですが、出せと言われて出せるものではありません。
「んー、この格好じゃ出しづらいかもな。ちょっとポーズ変えようぜ」
腕を掴みあげる男が言い、美月を床に降ろします。
壁に手をついたまま膝立ちになる格好へ。

「うひ、やっぱりスレンダーな娘はこの格好が最高だな。腹筋に腰骨に繁み、細いけど強張った太腿。
 エロすぎるラインだぜ」
「ああ。でもこりゃ別格だ。キレーな黒髪と白い肌でやたら清楚っぽいし、顔なんて典型的なお嬢様タイプじゃん。
 さっきから触りまくっててなんだけど、いつお偉いさんのSPとかが飛び込んでくるかってスリルすら感じるわ」

男達は口々に言いながら、膝立ちになった美月の秘部を嬲り始めます。
「はっあ、いや……あ……こんな格好…………!!」
3本の手で代わる代わる秘唇の中をまさぐられる感覚に、美月は艶かしく腰を前後させるばかりでした。
それがどれほど続いたのか。やがて男達の指の繰りが激しくなり、美月の腰が上下に揺れ始めます。
「あっ……あうッく、ああ、あああ゛あ゛、んあああああっあーーーーーーっっ!!!!!」
その美月の凄絶な叫びと共に、木床をも抉ろうかというほど踏みしめられていた膝から力が抜けました。
筋張っていた太腿が曲線に戻り、ゆったりと腰が浮きながら、小水のような潮を床に飛び散らせていきます。

「おー出た出た、すごい勢い。なんか美形の女優って勢いある潮吹きしやすいイメージあるよな」
「ホントすげぇ。美月さん今まで潮吹きってしたことある?これが初だよね?
 そうやって『信じられない』っていうだらしなーい顔してるって事はさ」
「完全に誘ってるよな、この唇とか。あーもうそろそろ勃起しすぎてチンポいてーわ」

秘裂から粘液まみれの指を抜いた男達は、天を仰ぐ美月を見下ろし、勝ち誇ったように笑い合っていました。
その笑いは、目の前の美月とモニター前の私、果たしてどちらに向けられたものだったのでしょうか。



執拗な『手マン』シーンも終わりを迎え、次は構成上、いよいよ『カラミ』のシーンです。
男達は腰のタオルを取り去り、勃起しきった逸物を露わにしました。
不能の傷を抉られる気がして、今まであえて目を向けないようにしてきましたが、驚くべき大きさです。
プロのセックス男優なのですから当然ですが、私が奇跡的に勃起した時より、さらに2周りは上とみて間違いありません。
3人それぞれ大きさは違いますが、そのうち最大のものは、今まで銭湯などで見かけたどれにも劣らぬ立派さでした。
美月も布団の上でその剛直に囲まれ、明らかな狼狽を見せています。

「本来ならこの間に化粧直しの時間が取られますが、今回はその必要なしとの事で省略します」
監督がメガホンを手にそう告げました。
しかし、それは建前です。本音はといえば、すでに勃起しきっている男優に早くセックスをさせるためでしょう。
美月はメイクに着物を渡され、ごく簡単に身なりを整えます。
浴衣の帯をはだけ、白い足袋をつけただけの格好。
本番での浴衣や足袋の滑りやすさ・肌の隠し具合を確認するためにのみ着せられたのでしょう。

3人の中で一番逸物の小さい――とはいっても人並み以上はありますが――男優が、布団の上に寝そべります。
そして膝を突く美月をに向けて、自らの腰を叩いて見せました。
「しゃぶってくれ」
男が告げます。美月は一瞬だけ躊躇いましたが、今さら拒むわけにもいきません。
浴衣の前をはだけた格好のまま男の足の間へ屈みこみ、赤黒い逸物を掴みます。
「おおー気持ちいい……」
美月が逸物の先を咥え込むと同時に、男優が声を上げます。
同じ男である私には、よほど限界近くまで溜まっていたのだろうと理解できました。

一方の美月はといえば、今まで口に含んだことのない大きさに大苦戦です。
慣れ親しんだ私のものは、粗末な上に柔らかく、舌の中で容易に転がせる程度であったのだから無理もありません。
「ぐっ、あう゛……!!」
眉を顰め、唇を斜めにへし曲げてでも剛直を口の中へ押し込もうとする様は健気です。
それはまるで、すでに満腹な子供が、なお親に怒られてステーキを口へ押し込んでいるかのようでした。
「もっと深く」
男優が容赦なく命じます。
美月はその男の方を上目遣いに伺いながら、逸物の根元を握り、口を縦に開いて呑み込みはじめました。
角度が上手くいったのか、今度はなんとか極太も口の中へ入っていきます。
「んっ……んんっ……ふむう、んっ…………」
妙に艶かしい、口の中に籠もるような声で行われる口戯。
頬をへこませて逸物に吸い付く顔は、美しいとはいえませんが、変にそそるものがあります。

美月の後ろへ回り込んだ男優が、彼女の美しい横髪を掻き上げ始めました。
耳を隠さないようにうなじで髪を纏められると、少々野暮ったい印象のあった俯き顔が一気に垢抜けます。
田舎娘から都会の美少女へ、という所でしょうか。
アダルトビデオとしては明らかに実用性が増しており、細かな印象の違いを気にかけるそのプロ意識には、
少々悔しいながらも舌を巻くばかりです。

しかし男優がやりたかった事は、ただ髪を後ろに纏める事だけではありません。
彼はそのまま美月の後頭部を押さえつけ、力づくで逸物へと押し込み始めたのです。
「おう゛っ!?う゛っ、おお、お゛……!!あっ、あはっあ、ゴっ……お゛あ!!!」
美月の喉奥からはっきりと苦しげな声が漏れ始めます。
私は驚いて隣の監督を見ましたが、彼はごく自然なことのように場を眺めていました。

「おーっ、すげぇ。先っちょが喉の奥に入り込んでら。気ん持ちいいー!」
男優は上機嫌で、腹筋をするように身を起こしながら美月の様子を眺めていました。
美月は背後の男優に頭を掴まれたまま、されるがままに首を上下させています。
尋常でなく苦しいのでしょうが、それを無理矢理にでも拒めないのが彼女らしくもあります。

整った顔で大きく口を開け、その中で赤黒い怒張が唾液で濡れ光っている。
それははっきりいえば、かなり淫靡な光景に見えました。
やはり鼻の形の整っているハーフめいた顔ならば、ああした『イラマチオ』でも絵になるのだ。
私は自分の妻の問題でありながら、不謹慎にもそのように考えてしまいます。
それほどに官能的だったのです。

1人が美月の口腔奉仕に酔いしれ、1人がそれに被虐美を加えている頃、もう1人も動きを見せていました。
浴衣をはだけた美月の足元に屈みこみ、その秘部へ触れ始めたのです。
「ん、んうんんっ!!!」
男の姿はちょうどカメラから美月を隔てた所にあり、何をしているのかはおおよそにしかわかりません。
しかし美月のトーンの違う呻きを聞けば、ちょうどその瞬間に指を入れられたのだと想像できます。
「へへ、もうすっかりドロドロになってやがる。
 素直でいいねぇ。ぶっといの咥えさせられて濡らすのは、女の本能だぜ」
男はそう言いながらやや上方へと指を滑らせ、どこかに押し当てて沈み込ませました。
その瞬間、美月の腰が跳ね上がります。
「い、いやっ!!そっちは違いますっ、お願いやめて!!!」
咥えていた怒張を吐き出して乞う様は必死でした。
男が笑います。

「尻の穴はイヤか。ぴっちりと閉じて桜色してるが、まだ一度もやった事ないのか?
 なんならこの撮影後にでも俺が開発してやってもいいが、どうだい。
 浣腸で中身を全部出しきったあと、3時間ばかりかけてこってりと指入れして拡げてやる。
 ものすげぇぜ?特にあんたみたいに本音を内に押し留めるタイプほど、どっぷりハマっちまう」
「……おい。私語が過ぎるぜ」
図に乗って話し続ける男を、さすがに監督が制します。
私は安堵しました。これ以上あの言葉を続けられては、気分を害するどころではありません。

男は、口を閉じた代わりに自ら逸物を扱きはじめました。
「あーもう限界だ。はじめっぞ」
そう短く告げるや否や、美月の腰を上げさせて逸物を押し当てました。
「っあ!!!」
美月が口の怒張を吐き出し、口の端から唾の線を垂らしながら叫びます。
「ああああっ!!!」
私の妻が苦しげに眉を顰めるまさに今、極太の逸物がその割れ目の奥へと入り込んでいるのです。
「うう、すっげぇ……蕩けた襞が、奥から入り口まで満遍なく締め付けてきやがる……。
 くそ、もう何もかも限界だ、このナカぶっ壊すぞ!!!」
男は吼えるように叫び、強く美月の尻肉を掴んで腰を打ちつけはじめました。
ぶちゅっぶちゅっと凄まじい粘りの音がします。
そうしていよいよ、“けだもの”と美月とのセックスが始まりました。

「ああうっ、お、大きっ……!!!くぁあああううっ!!!!」
美月はバックスタイルで突かれながら、布団に手を突いて身体を揺らします。
私自身も試みた事はあるものの、外から見るのは初めての美月の後背位。

これほど美月の太腿が素晴らしいとは、私はもう随分と感じた事がありませんでした。
波打つほどの無駄な肉がなく、健康的に引き締まった太腿。
極太の挿入がよほど凄いのか、地面に足がつっぱり、大腿部を膨らませています。
その足の開きはがに股で、抱かれている体位からしてそれ以外に動けないのでしょうが、
それは清楚な見目である彼女にあって異常なほどいやらしく映ります。
音もそれは凄まじいもので、ぶちゅう、ぶちゅうっと何ともいえないものが断続的に続きます。

美月はそれでも耐えているようでした。
引き抜かれるごとに目を疑うような剛直を叩き込まれながら、歯を食いしばって。
「ふーっ、ふーーっ……!!」
目元は髪に隠れて見えませんが、口元は険しく引き締まり、時に細い息を吐いてはフェラチオの名残である唾の線を垂らします。
今までにみたことのない必死な表情。
なぜそんな顔をするのでしょうか。私が見ている前だからなのでしょうか。
それは健気ではありますが、痛々しくもあり、また決壊する事が解りきっているほど儚いもの。
事実、男がほくそ笑みながら美月の腰を掴み、自らの局部へと叩きつけるようにしはじめたとき、
喰いしばられた口は簡単に開いてしまいました。

カメラがその崩壊の瞬間を捉えるべく下へ潜り込みます。
モニターにはしっかりと映し出されました。
男の手で腰を掴まれ、一分の隙もないほど腰を密着させられたまま、喰いしばった口を歪ませる美貌。
その状態のまま、さらにぐぽっぐぽっぐぽっと3度ほど音が立つると、薄い桜色の唇は空気を求めるように開かれます。
風邪を引いた少女が、粥を求めるような顔。
頬は赤らみ、目は力なく閉じられ、この上なく性的です。
「ぁぁ、ぁ、おくで……すごく奥で、イッちゃ………た……………」
零れでた声は掠れたように小さなものではありましたが、だからこそ真に迫っていました。
結合部から下のほう、すなわちモニターに映る映像のレンズへと数滴の雫が滴ります。
かすかに白く濁ったその液は、より解りやすく美月の状態を私達に伝えてきます。


一流の男優達による、まるで容赦のないセックス。
それは息を呑むほどの激しさをもって、休む事もなく続けられました。

今は2人目が正常位を行っています。
この男もやはり残酷でした。両の足首を掴み、美月の自由を奪っていい様に貫いているのです。
美月が膣の下側を突かれるのを嫌がっていると見れば、美月の脚を閉じ気味にさせ、
掴んだ足の裏を自分の腹部へと付けさせながら、狭くなった秘裂を下向きに抉りこむ。
上側を嫌がっていると思えば、今度は逆に蛙の様に大股を開かせたまま、無防備になった膣を臍側へと突き上げる。
こんな事をされては、耐え凌げようはずもありません。

「いやあああっ!!!やあっ、イグッ!!やめてぇっ、今そっち側はやめてくださいぃっ!!
 どうして、どうして私が今一番嫌なところがわかってるんですか……ああああっ!!!!
 せ、せめて、その足首掴むのだけでもやめてくださいっ!!
 それされるとっ、膣が勝手に一番ひどいほうに沿って……うあああああ、だめええっっ!!!!!!」

美月が哀願する間にも、男は彼女に胡坐を組ませるように足裏同士を重ねさせ、
相当な強張りの見える内腿の中央部へと極太を叩き込んでいきます。

「はあああっ、いぐっ、いぐいぐいぐっ……!!どうして、今度は物凄い奥に来るっ……!!
 こ、これが子宮が下がるってこと?……ああああダメっ、もうこれ、耐えられないっ……!!!」

胡坐をかく格好のまま、頭の下の枕を堪らず腕でかきむしる美月。
男はその美月を面白そうに眺めながら、さらに体位を変えます。
掴んだ足首を美月の胸の遥か上にまで押し上げての結合……屈曲位という形です。
右肩へ美月の両足首を重ねて乗せ、その表情を楽しみながら、力強く腰を浮き沈みさせはじめます。

「あぐ、うううああっ……!!!ふ、深すぎ、る……!!」
「そうだろ。しかも脚を閉じて膣ん中がぎゅうっと締まってる状態だ、俺の太さが嫌ってほど感じられるよな」

美月はすでに涙を流してしまっており、淑やかそうな瞳の下辺に溜まった雫が鼻梁を伝って唇へ。
その唇からは顎にかけて幾筋もの涎の線が走っており、喘ぎに口を開くたび、唾液の線が口内に光ってもいます。
突かれるたびにぶるりと上下する乳房も汗にまみれ、
震源地と呼ぶべき結合部などは、くとっくとっと粘土が圧縮されるような何ともいえない音をさせる始末。
並みのアダルトビデオであればもうクライマックスと呼んでいい乱れようですが、
これがまだ地獄の一丁目だというのが何とも末恐ろしい。
美月は、その有り余る快感を何とか受け流そうとするように、髪の下で弾む枕を強く強く握りしめていました。


セックスはそこから、時おり男を変えながら、側位、再びの後背位へと続いていきます。

突かれるごとに湯気の立ちそうな熱い息と、あ゛っ、あ゛っという押し殺した声をあげるものの、
それでも美月はよく耐えている方だと言えました。
やはりこういう時にだらしがないのは男で、男優は逸物を彼女に叩き込みながら、
うあああ、ああああ、と耳障りな声を上げはじめています。
その声と狂ったような腰の動きは、彼がどれほど快感に浸っているのかを物語ると同時に、
美月の受けている快感の凄みさえも解りやすく代弁する事にもなりました。

もはや見ている私でさえ夢か現実かの区別がつかなくなり、モニターから離れてふらりと撮影現場へ赴きます。
誰も止める人間はいませんでした。
むせ返るような雄と雌の匂いにまみれ、乱れきった妻の姿はありました。

その時の男優は、騎乗位で、美月の脚を自分の開脚へ絡めるようにして限界まで開かせ、
さらに後ろで掴んだ腕を引いて、美月の背を弓なりにさせていました。
ただでさえ蕩けに蕩けきっていた所へ、開脚と弓なりという不自然な姿勢での挿入。
こうなると、もはや美月も如何ともしがたかったのでしょう。

「あ゛ーーーーっ、んあああああ゛ーーーーーーーーっっ!!!!
 いくいくイクいぐ、いぐいくいくいくいっぱいイッてるうううううーーーーーーっ!!!!!」

美月は天を仰ぐようにした口を何度も大きく開き、それまでが嘘のような大声で叫び続けていました。
その声と、カメラの真正面で踊り狂う餅のような乳房は実に映像栄えし、
また怒張が奥を突く度に引き締まる腹筋や、結合部を中心に筋張る内股は、
彼女が何度となく絶頂に達している事を窺わせます。

夫としては恥ずべきことながら、私はその彼女を、怖い……と思ってしまいました。
もはや人の言葉が通じないかもしれない。私とは別種の生物かもしれない。
一瞬そのように考えた事は事実です。


ゆうに十を超える体位を完遂したのち、ようやくにセックスは終わりを告げます。
美月はぴたりと折り重ねられた両脚をくの字に曲げ、その股の間から大量の白濁液を溢れさせていました。
私はひどく疲れきった気分で、彼女を助け起こそうと近づきます。
しかしそれを、監督が遮りました。
「ちょっと。まだ撮影は終わってないですよ」

……私は、そこで気がつきました。
この企画は本来、ポルチオ責めの機械のテストプレイが主目的であったはず。
つまり今までのセックスは、あくまで慣らしにすぎないのだ、と。
「まあ、どうしてもやりたくないってんなら考えるけど……どうします」
監督はスキンヘッドを撫で回しながら訊いた。
私にではなく、美月に。

私は、美月ならば当然これ以上を拒否すると思っていました。
先ほどあれほどにやめて、と叫んでいたのは他ならぬ彼女です。
しかしその美月は続行の意思を問われ、言葉を選んでいました。
「美月?」
私の呼びかけに、やや脅えたような視線を向けます。
そこへ男優の1人が言葉を重ねました。

「もうやめちゃうんですか?ここからが本当に凄い所なのに……。
 さっきまでの堪らないって感覚を、今度こそ突き抜けられるんですよ。
 イキすぎてイキすぎて、窒息しそうに苦しいのに頭が蕩けて仕方ない。
 そんなの体験できる機会、もう二度と無いとおもうけどなぁ」

男優が美月の肩を撫でながらそう囁いたとき、その身体が震え上がったのを私は見逃しませんでした。
恐怖に、ではありません。彼女は明らかに期待をしているのです。
本を見て憧れたポルチオ開発が、自分の指ではどうしても敵わなかった夢が、実現しつつある。
好きなだけその極感に浸れるチャンスにある。

「美月……お前まさか、まだ…………?」
私は、自分の声が震えているような気がしました。
そんな、まさか。そういう答えを期待している自分がいました。
しかし。

「・・・・・・・・ごめんなさい。」

美月は紛れもなく彼女自身の穏やかな瞳で私を見つめ、はっきりと告げます。
それはおそらく結婚して以来初めてになる、彼女自身の願望です。
彼女は私が思っていた以上に快感に飢えていたのです。
「……だ、そうだ。もうしばらく待ってくださいよ、旦那さん」
監督に力強く肩を叩かれ、私はただ、男優に抱き寄せられる美月を呆然と見守るしかありませんでした。





一度男優と美月が混浴で汗を流した後、湯上りに撮影が再開されました。
設定は変わらず、借金を抱えた若女将が得意客に嬲られるというものです。

「次、右足 緑!」
先ほどの寝室の隣にある和室では今、丸裸の美月がツイスターゲームをさせられています。
「う……!!」
美月は腰を捻る不安定な格好のまま、必死に何かに耐えていました。
浴衣姿の男達に囲まれてのこの遊びは、ただのツイスターゲームではありません。

美月の腰にはカボチャパンツのような、金属製の巨大な貞操帯が嵌められています。
中から響くのは、機械独特の重々しい駆動音。
美月はツイスターゲームで様々なポーズを取りながら、その機械責めに耐えているのでした。
駆動音と共に見られる腰のうねりから察するに、かなりきついのは明らかです。
「次、左手 赤ね」
またスピナーが回され、美月は体勢変更を余儀なくされていました。
今度は両手両脚を広げたまま、ブリッジをするような格好。
待っていたとばかりに男優達の視線が美月の股座へ集中します。

「おおすげぇ、もう愛液で腿の内側濡れまくってんぞ。
 へへ、しかも見ろ。でかい一筋が背中の方にまですーって垂れていってらぁ」
「うわホントだ、やらしー。腰がすっげーヒクヒクしてっけど、ああ見えて結構強力なのか?」
「強度は5段階中の3だぞ。まぁどのくらい凄いかなんて、女になってあのベルト嵌めてみないと解らんけどな。
 ただ音は中々容赦ないんじゃないか?ギシュッギシュッて、ベルト越しにでもロボットが歩くみたいな音してっし」

男達はブリッジの姿勢で秘部を見せ付ける格好の美月を見世物にしていました。
美月の顔は苦しそうに歪みます。
「……は、はやく、はやく次の指示をください…………」
「ん、なんで?早くしなかったらどうなっちゃうの?」
男優達は意地悪く罵ります。
そのままブリッジ状態での駆動音がしばし続いた後。
「うんんっ!!」
小さなうめきと共に、美月の土踏まずがシートから離れます。

「あー、イッちゃったイッちゃった」
「おいおい、まだゲーム始まってそんなに経ってないぜ?
 もうイッてたら、これからいきっ放しになってつらいよぉー?」
男達が口々に囃したてる中、美月はブリッジの頭で大きく口を開けて目を見開いていました。
ひょっとすると相当に深く逝ってしまったのでしょうか。
何しろ得体の知れない機械による絶頂ですから、どのようなものかはそれこそ本人にしか解りません。

「ほれ、じゃあ望みどおりさっさと次いくぞー。左足 青!……うわー遠いねぇ、頑張れ~」
男達はろくに休む間も与えず、またしても美月の体勢を変えます。
「うっ……く、うう……あ」
美月は呻きを上げていました。青を踏みにいくのが体勢的にきついのもありますが、
それ以上に逝ったばかりの身体で崩れないようにするのに必死なのでしょう。
「あうああっ!!」
そしていざ青に到達しても、やはり地獄でした。
まるで股割きのように大きく脚を開かされた状態で、秘部を機械に突き上げられる羽目になったのです。
両手は後ろ側についているので、またしても男達に見せ付ける格好。

「あっ、あうあっ、これ、つらい…………あ、あ、あああっ……!!!」
「おい、イク時はちゃんと言うんだぞ」
「う、うっ……!!い、イきまっ……す、あ、あ、やだまた、またイっ……ああ、はああああっ!!!」
「もう言えてねーじゃんかよ。でもカウントできないくらい細かに逝ってるみてーだし、しゃあねえか。
 俺ら人間と違って機械って容赦ねえから、イッてる最中の膣奥でも思いっきり突きやがるだろうしな」
「ああ……にしても、股の辺すんげぇ匂いになってきたなぁオイ。風呂入ったのが完全にパーだ。
 顎の辺りも涎で光ってるし、舌出してハァハァハァハァ喘ぐとか、アレほとんど犬だろ」

男優達は、今まさに絶頂の渦中にいる美月を好きに罵りながら、またスピナーを回転させます。
「ほーら次の指示出てんぞー、右足 赤!さっさとしろー」
残酷なその指示に、美月は瞳を潤ませます。しかし男優達に容赦などありません。
「ほら、10秒以内に動かないとキッツイ罰ゲームさせっぞー。いーち、にーい」
そのカウントを聞き、美月は震え上がる脚をなんとか上げて赤を探します。
すでに美月の視界はしとどな汗で遮られているのか、うまく探せていないようです。

何とか時間内に赤へ右足を置いても、状況が改善するはずもありません。
今度はしゃがみこむような姿勢での機械責めに遭います。
「あっあ、いやこれいやっ!お尻まで震えて、はやく、はやくつぎ……っく、ああ、あっは……あう!!」
虚ろな視線を上向きに投げ出し、絶頂を見せる美月。
絶え間なく滴る愛液が、シートのあちこちを濃い色に染め、
不安定な姿勢のまま秘部を責められて痙攣する脚が、シートを煩く鳴らしてもいます。
すでに両脚の内側は、しとどな愛液で足首までが濡れ光っている有り様です。

「じゃあ次、左手 緑!」
次の指示が出たときには、すでに美月は限界だったのでしょう。
左手を遠くへ放り出したまま、感じすぎて力が入らないという風にシートへ倒れこみます。
「オイオイ終わりかよー、ツイスター最低記録じゃねーの?……罰だなこりゃ」
男優達はそう言い、美月の膣内に入った機械の操作盤を弄くります。
その瞬間、美月の腰が跳ね上がりました。
「あっ、うあああああああうあーーーーっ!!!!や、やめて、これ許して!!
 腰が、腰がバラバラに……だめっ、いい、イクううううううううううっ!!!!!」
いきなり機械の強さが二段階上げられ、這い蹲ったまま腰を跳ね上げて絶頂を迎え続ける美月。
やがてその腰から黄色いせせらぎが漏れ始め、シートを流れていきます。

「くっさーい。なに、幼稚園のガキでもいんの?」

その時、場に唐突に女性の声がしました。美月ではありません。
彼女の事は一応は聞いています。実際にこの撮影を行う本物の女優、豊杉あいりです。
ルックスは近くで見ても掛け値無しにアイドル級ですが、底意地の悪さが透けて見えるようでもありました。
「お、お疲れっす……」
先ほどまで威勢のよかった男優達が頭を低くしている事も、彼女の特異性を際立たせます。



実際に本番を撮影する女優もようやく到着し、ついに責めは最期に入ります。
すでに涙や鼻水にまみれ、目も虚ろとなっている美月が今、その仕掛けの上に移されました。
ソファの中心からディルドーが覗いている形の責め具です。

「うわぁー、なぁにこれ?滅茶苦茶太いし、長いし、それでいてこのカリ首と幹の反りって……。
 これ作ったの絶対女でしょ?あたし解るもん。滅茶苦茶性格悪い女が、女壊すために作ったようなディルドーだよこれ」

豊杉あいりは、これから使用されるディルドーを間近で眺めて顔を顰めました。
それほどに女からみておぞましい逸品なのでしょう。
それが今から、私の妻に対して使用されるのですが……。

「ほら、しゃんとしろよ」
美月はソファの背もたれに手を突き、両の足を真横に広げて肘掛けへ乗せる形にされます。
その両足首が肘掛けのベルトで固定されると、ソファの上で尻を突き出す格好が出来上がりました。
そのまま、秘部を降ろしてディルドーを呑み込むよう指示が出されます。
「う、うんん……はっ、く……」
美月はかなり恥じらいながらも、言われた通りにします。
秘部がディルドーを飲み込んだのを確認し、今度は両脚の付け根がディルドー脇のベルトで座部に括りつけられました。
「え、そんな……!!」
これには流石の美月も狼狽します。
しかし、男優達が今さら慈悲をかける筈もありません。
「ほらいくぞ、天国に行ってみろ」
機械の始動スイッチは、呆れるほどに軽く押されました。

「う゛ああ、ひあ゛あああぁッ!!!!いや、いやいや、もうこんなに奥いやっ!!!!
 たすけて、とめて!!何秒かでいいから止めてくださいっ!!!
 おくが、奥が何度もつぶされてて、もぉだめっ!!!すごいの、すごいの来るうううッッ!!!!
 あああああああああああああああまた凄いのきちゃうううううううううっっっ!!!!!!」

凄まじい勢いでソファが揺れます。
その中心部分では、私の妻が獣のように狂乱していました。
「ヤバ、ほんとにすっごぉ……。グッポグッポいいながら、あのでっかいのがほとんど根元までいってるし……」
豊杉あいりが、美月の中へディルドーが入り込む瞬間を間近で見上げつつ呟きます。

「あああああぇぇっ、きた、きらぁあああっ!!!!!いくっ、イくいくいくイクイクいくうううっ!!!!!
 アアアあぁああ、あッあっあ、くううあーーーーーーッ!!!!!!
 こんなの、あっアタマが、頭がほんとにおかしくなっちゃううーーーっ!!!」

その狂乱振りに、かつての淑やかな美月の影はありませんでした。
全身を痙攣させ、汗を振り乱し、おそらくは女性が受けうる最大の快感に呑み込まれています。
私は当然、言いようもない危機感の渦中にいました。この状況はいけない、と思っていました。
それでも、あまりに異常が大きすぎるとき、人は身動きができなくなる事もあるのです。
監督も男優も、ただその破滅への一大芸術に見惚れています。

滅茶苦茶になっている美月の前に、豊杉あいりが回り込みました。
そして美月の顔を覗きこみながら口を開きます。
「ねーぇ、今どんな感じなのぉ?あんたモニターなんだから、ちゃんとどんな風かあたしに伝えてよ」
その口調は、まさに真性のサディストのものでした。
今の状態の美月にそんな質問をするなど、まともな神経ではできません。

「ふあぁあっ、凄い、凄いです、あそこの奥がゴリゴリ突かれて、
 おまんこの奥が、無理矢理押し込まれて、もぉ……たまんないっ!!!
 ああまた、おなかに、おなかのおくにずんずんくるっ。
 これイヤ、いやな電気が頭に走り続けてて、もぉ、もぉまともでいられな……!!!!」
その美月の答えを聞き、女優はぞっとしたように肩を竦めます。
「ねー、こいつ何言ってるのかよくわかんないんだけど。アタマおかしくなってんじゃないの?
 よーしじゃどうせならぁ、徹底的にオカシクなっちゃう美人の姿見せてよ」
豊杉あいりは冷ややかな視線のまま、ソファの背もたれに掛けられた美月の手を持ち上げました。
「あ、いやあああっ!!」
美月が目を見開きます。
「いやあ、じゃないでしょ、期待してるんでしょ、こんなとこ来るエセ清純の変態女!
 ほーらソファから手が離れちゃったぁー。もうその極太を、おまんこの奥だけで支えなきゃいけないねぇ。
 あんたについた肉の重さ分だけ、お腹の奥に堪らないのがきちゃうんだぞぉー。
 あはっ、すっごい。お臍の辺りがゴンゴン突かれてるのがちょっとだけ浮いて見えてる。
 さすが痩せてるだけあるねー、永久保存版だねこりゃ」

豊杉あいりに追い詰められ、美月の様子は刻一刻と変わっていきました。
顔は涙と涎、鼻水で無残に汚れ、また顔自体もほぼ常に白目を剥いて大口を開ける危険なものとなっています。
ソファの座部がしとどな愛液で水をこぼしたようになっている事も、異常性に拍車をかけました。
さらには、ぶすっ、という音と共に、美月の桜色の蕾から空気が漏れもします。

「あははっ、何いまの、オナラ?AV女優のアタシでも撮影中にオナラなんてしたことないよ。
 あんた昔はちっちゃい子供を教育する保母さんだったんでしょ?
 今のオナラばっちり撮られちゃってたけど、それでいいの?」
豊杉あいりは美月に恨みでもあるのか、口汚く罵ります。
やがて彼女も同じ責めにかけられ、あるいは同じような状況になるかもしれないというのに。

ソファの肘掛けの上で、快感に堪りかねた美月の足指が蠢くと、
「あーらお上手ね、いつもお遊戯会じゃ、足の指でピアノ引いてるの?
 足でピアノ弾いて屁ひりだして、これは大物な保母さんねぇ。
 普段は淑やかそうで通ってるんだろうけど、本性でちゃったねえ」
そのように罵ります。
その他、惨めな格好の美月のあらゆる言動をあげつらっては貶め続け、美月に涙を流させました。

「ああああぁもう、おかしくなっちゃうううううっ!!!!イッてる、今いってる最中に、またっ!!!
 ああいく、イっくううっ!!!、もぉ、あたまのなかぐちゃぐちゃで、わけ……わかんな…………
 あ゛っ、あッあッ……うんんんあああああああああ゛あ”ぁぁ゛ーーーーーーーーっ!!!」

美月は部屋に響き渡るほどの絶叫を最期に、がくりと首を垂れます。
もはや顔を見るまでもなく、完全に失神しているようでした……。



まさしく狂乱と呼ぶに相応しい撮影の後、私は予定通りの謝礼を受け取りました。
美月は、さすがに直後は集中力の無い時期が続いていましたが、今では特別には以前と同じく、
優しくて穏やかな妻でいます。
しかし……変わらない訳がないのは、私とてどこかでは解っていました。

ここ最近になって、妻と共同で使用しているパソコンに謎のメールが来る事がたまにあります。
メールは美月宛で、パスワードが掛かっており私では見れませんが、どうやら裏の関係らしいことは解りました。
美月に訊いてもはぐらかされるばかりで、私自身も真実を知る事を恐れてあえて追及はしません。
しかし先日、ふとしたことで会社の同僚が、その送られてくるメール元と同じサイトを利用している事が発覚しました。
躊躇った末にそのサイトにログインしてもらい、サイトに隠されていた動画を見た瞬間……
私は真実を知ってしまいました。

あの調教以来、美月は時おりビデオ撮影を行い、その動画は小さな会員制動画サイトで期間限定で公開されていたようです。
登録されている女優の中でも飛びぬけてルックスのいい美月にはかなりのファンがおり、
私の同僚も新作がアップされるのを日々心待ちにしていたクチだといいます。

動画は様々なものがありました。
浣腸を施された後、様々な格好を取りながら3時間という時間一杯に指で肛門をくじりまわされ、
腸液を滴らせながら緩やかな絶頂状態にあり続ける動画。
大柄な黒人に2穴を犯され続け、白目を剥いて前後不覚に陥りながら絶頂を極め続ける動画。
スローセックスという、二枚目の男優と濃厚なキスをしながら延々と肌を触れあわせ、
何十分もかけてゆっくりと挿入し、美月が勝手に腰を動かすまで何時間でも動かずに性器の深くで繋がりあい、
やがては男優が逸物を抜くたびに潮噴きが起きるまでにされてしまう動画……。

私はそれらの動画をひとつひとつ鑑賞しながら、泣くことも出来ずにいました。
美月。私の人生を照らしてくれる穏やかな光。
それは今や、私ではない誰かの手によって輝いているのです。
私のせいで全てが変わってしまったのは事実でしょう。
しかし、今の状況が美月にとって良い事なのか悪い事なのか、それは私には解りません。
美月自身に尋ねても、答えが得られはしないでしょう。

私達は、おそらくそれぞれの墓場にまで、この不明瞭な迷いを持ち込むのだろうと思います。



                      終わり
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魔の苗床 後編

※ 魔の苗床 前編 の続きです。


また同じ夢を見る。
セニアが騎士団を抜けた日の夢。

「一緒に来て……くんないかな」

聞き慣れた問いに、やはりティルは首を振り、赤髪の幼馴染に悲しい表情をさせる。
その痛々しい表情が心から離れず、少年は遅まきながらに手を伸ばす。
何度も見た夢。
しかし、そこからがいつもと違った。
いつも娘の後姿を包んでいる陽光は、今は赤い炎に見えた。
おぼろげなそれに目を凝らすうち、いつしか娘の姿は掻き消え、『地獄』が広がる。
崩落する教会。炎を天に巻き上げる牧草地。倒れた牛舎の下敷きとなった家屋。
緩やかに崩壊していく世界を眺めながら、ティルは不意に足を滑らせる。
そして深い深い闇の中へ引きずり込まれ……



「う、うああああぁあっっ!!!!」

ティルはそこで目を覚ました。
跳ね除けた掛け布団が、ぶわりと重厚な風を起こす。
どうやらベッドで寝ていたらしい。
ほのかに漂う薬の香りから、そこが診療所である事も解る。

「ようやく目が覚めたか、ティル」
街の薬士が、ティルにコップの水を差し出した。
手に取るとそれがぬるま湯であると解る。
溜息をつきながら椅子に腰掛けた薬士は、ひどく憔悴しているように見えた。
かなりの患者を診ても、中々疲れた様子を見せない彼には珍しい。
それは肉体的な疲れだけではないように思えた。
ティルにおぞましい予感がよぎる。

「先生。状況は……街は、どうなっているんですか」

ティルは震える声で薬士に問うた。
できうる事なら、彼は薬士に、何でもないよと笑い飛ばして貰いたかった。
自分が気を失う前に見た地獄絵図が、悪夢の一環だと思いたかった。
しかし薬士は笑わない。
「…………自分の目で見たほうが早いだろう」
彼は窓際に立ち、朽ちかかった木枠を軋ませながら押し開いた。
露わになった窓ガラスから外の様子が見えるようになる。



ティルは目を疑った。
眼下には、かつてティルが生まれ育った故郷の面影などない。
あらゆる建物が倒壊し、木造部分は燃え尽き、金属部は黒く焦げ付いている。
草木もなく、砂漠のように乾燥した土がむき出しになっている。
いつも人に溢れていた王宮前の通りには、呆然と立ち尽くすまばらな人影があるばかり。
何より異様なのは赤紫の空で、まるで流血と毒々しい怨嗟が交じり合い、空を渦巻くかのようだった。

「これは、一体何が……?」
ティルが問うと、薬士は涙を堪えるかのように目頭を揉んだ。
「魔物だよ。空を覆いつくすような数の魔物が、一瞬にして街を焼き尽くしたんだ。
 あそこに見える王宮前が最激戦地でね、あの日休養を取っていた君以外の騎士は皆、あの場所で……」

薬士が指を差して語る言葉を、ティルは絶望的な心持ちで受け止める。
皆、やられたのか。あの強くて逞しい同僚達が。
一人一人の顔を思いながら悲しみに暮れていた時、ティルはふとある人物が気にかかった。
街がこのような状況に陥っている時、何を置いてもまず話題に出されるべき人物。

「セニアは?セニアはどうしたんです!?」
ティルがそう声を張り上げた瞬間、診療所の空気が明らかに変わった。
薬士は何かを窺うように後方を振り返る。
視線の先にいるのは、ティルと同じように包帯を巻いてベッドに横たわる少女達。
彼女らは、怒りに震えるような瞳でティルを睨み据えている。
その気迫にティルが息を呑んだ、その時だった。

『 おい隠れろッ、ラファトが来たぞ!!! 』

男の焦りを帯びた叫びが外から響く。
「いかん!」
その叫びを耳にした瞬間、薬士は素早く立ち上がって窓に木枠を嵌めた。
それはまるで、外から室内を隠そうとするような動きだ。
この状況下で、一体何から?
ティルは不審でたまらず、曲がった木枠の隙間から外を覗き見ようとする。
「ティル……見ないほうがいいぞ。特に君はな」
薬士は険しい表情でそう告げるが、力づくで止める事もしない。
ティルは異様さを感じながらも、なお外の様子が気がかりで仕方がなかった。


人々が逃げ惑う先から、2つの影が姿を現す。
片方は背が高く、明らかに人ならぬ歪な身体つきをした化け物だ。
顔は虫のように表情が読めず、頭から足の先まで、鈍く光る外殻で覆われている。
恐らくはこの化け物が『ラファト』だろう。
その手には鎖が握られており、もう一つの影の首輪へと繋がっていた。
首輪を嵌められ、犬のように四つ足で這う哀れなその人間へ目をやった瞬間、ティルは目を見開く。

「セニア!?」

それは、紛れもなくティルの勝気な幼馴染だ。
背中に流れる赤銅のような髪。
女にしてはやや幅のある肩に、馬鹿力が嘘に思えるほど細い腕。
たわわに実った乳房に、肉感的でありながらも垂れる部分のない締まった太腿。
見間違える訳がない。間違えられる筈がない。
その身体は、まだ彼女が言葉も喋れなかった頃から、誰よりもティルの眼に一番多く触れてきたものだ。

彼女の格好は、彼女が騎士であった頃から変わらない。
動きやすさを重視し、フリルのついた半袖シャツの上に柔らかな革製のコルセットを身につけ、
腿丈のピンクスカートを合わせている。
動き回る過程でちらりと覗く腋や太腿の色気、コルセットで見事に強調された腰のくびれが眩しい。

しかし今やその格好も、激しい戦闘の後を思わせる無残なものとなり果てていた。
シャツの袖は焼け焦げ、コルセットは胸元を中心に引き裂かれて腰横の紐を半ば千切れさせ、
スカートなどはもはやコルセットの下部に押さえつけられた一部を除いて見る影もない。
当然下着も破られており、もはやセニアの恥じらいの部分、両の乳房や股下の繁みを隠すものは何もなかった。

「どうしたニンゲン共よ。近くに寄って、この女がこれからする事を観るがいい。
 忘れた訳ではなかろう?
 見物する者の数が20を下回れば、無差別に隠れている何匹かを殺すぞ」

ラファトが声を張り上げると、逃げ惑っていた者達が困惑の色を浮かべ、渋々とセニアの周りに戻り始める。
その数、およそ30余り。
それだけの民衆が、丸裸のまま魔物の足元へ跪くセニアを凝視している事になる。
ティルにはそれが居たたまれない。

ラファトは集い始めた人間に満足げな笑みを浮かべ、王城正門前の石段に腰掛けた。
そして荒々しくセニアの髪を掴みあげる。
「くわえろ」
冷たい宣告と共に、セニアの鼻先へ異形の生殖器が突きつけられた。
遠目にもグロテスクとしか言いようのないものだ。
色は空の赤紫とよく似た毒々しさで、全体に虫の分泌物さながらの奇妙なヌメリを帯びている。
形こそ人間のそれに近くはあるが、そのサイズたるや尋常ではなかった。
直径は、口を指を4本縦に入れた開き具合で、何とか受け入れられようかというほど。
長さなどは、目の前にいるセニアの頭の奥行きとさして変わらない。

「う……!」
そのおぞましい怒張を咥え込む事に、当然ながら抵抗を見せるセニア。
するとラファトは、そのセニアの後頭部にひたりと掌を重ねた。
「どうした………… まだ反抗する気か?」
先程より重々しい口調でそう告げられた瞬間、セニアの身体が震え上がる。
瞳は恐怖に見開かれて小粒な涙を零し、唇は半開きのまま戦慄く。
それを目にした瞬間、ティルは理解した。
セニアが、かつてラファトから想像を絶する苦痛を与えられた事を。
頑健な心を徹底的にへし折られ、屈してしまった事を。

「んっ……」
ティルの想像を肯定するかの如く、セニアは命ぜられるままに怒張へ舌を這わせはじめる。
控えめに鈴口にあたる部分を舐め清め、さらに大きく口を開いて、突き出した舌で亀頭部分を嘗め回す。
そうして自身の唾液で十分に潤滑性を与えたところで、覚悟を決めたように目を見開き、
自ら前方へ倒れこむようにして剛直を迎え入れた。
その慣れた一連の動きは、口唇奉仕が初めてのことではないと如実に物語る。
「んぉおうえ゛っ!!!!!」
逸物がちょうど喉奥へ達したらしき頃、えづき声が響き渡った。
それは今までにティルが一度も聞いた事のないほど、生々しいセニアの声だった。


「ああやって、毎日見せしめにしているんだ。二度と反抗する者が出ないようにな」
薬士が、窓の外を眺めながら淡々と述べる。

「……初めは抵抗する者もいたさ。だが、騎士団の団長が宝剣『エルシェド』を手に切りかかり、
 それでも掠り傷さえつかなかった時……皆が理解してしまった。
 岩をも切断するあの銘剣を、剛力無双の団長が使っても歯が立たないんだ。
 挙句にその団長の体を、塵一つ残さず消し飛ばす魔法まで見せられては……」

そう語る薬士の声には、明らかな諦めの色が浮かんでいる。
やはり看病疲れなどではない。絶望的な現実を、意識があるまま見続けた末の憔悴だ。
気付けばその憔悴は、薬士だけでなく、部屋の全ての人間に見て取れる。
彼らの虚ろな視線が集まる先では、なおセニアの屈辱的な口唇奉仕が続けられていた。

「ん……ん、んんっ……んぐっ………んん…………!!!」

セニアは固く目を瞑ったまま頭を前後させ、斜めに反り立ったラファトの剛直を咥え込む。
口元はあまりにも巨大すぎる剛直に隠れてよく見えないが、ほぼ真上を向く鼻の形から、
セニアが限界近くまで口を開いている事が窺い知れた。
ほとんど閉じられない口からは当然ながら唾液が溢れ、剛直の幹を伝い落ちていく。
「もっと深くくわえろ!!」
ラファトはその懸命な奉仕にも不服があるのか、セニアの後ろ髪を鷲掴みにし、
拳でセニアの首を自らの腰へと押し込んでいく。
「ごぉっ!!?」
セニアの喉奥から再び苦悶の声が上がった。
首を無理に押し込まれるため、肩甲骨が歪に浮き上がり、肩までも痙攣して苦しみを表す。

「まだ半ばほどしか口に入っていないぞ。いい加減に根元までくわえ込め」
ラファトはなおセニアの頭を押さえつけて前後させる。
セニアは喉奥への断続的な苦しみに、白目を剥きかけながら苦悶していた。
顔全体に薄く影がかかる中、額や頬を流れる光は汗か涙か。

「んんん゛……んんんむうおええ゛っ、ん゛おおおォえ゛っ!!!」

以前の押し殺した声に、明らかな苦悶の声が加わっている。
唾液の量も、その苦悶の大きさを代弁していた。
セニアの桜色の唇から漏れる唾液は今や、怒張だけでなく彼女の顎を覆い尽くしている。
ある筋は顎からそのまま地面に滴り、ある筋は首輪を通り抜けて豊かな乳房にまで滴っていく。

「そうだ、その調子で呑み込んでゆけ」
苦悶するセニアを見下ろしながらラファトが告げた。
ラファトの表情は虫特有の極めて異質なものであり、何の感情も見出せない。
その不気味な支配者になされるがままのセニアは、時おり頬を膨らませながら苦悶の声を上げ続ける。
いつしかその口内から分泌される液は、さらさらと流れ落ちるものだけではなく、
どろりとした粘り気のあるものに変わりはじめていた。

「うぅむ!!うん、んあああうううむう!!!!」

ある時、ついに苦しみの限界を迎え、セニアが目を見開いて叫ぶ。
上唇は尖り、頬は膨らんだまま痙攣を始めている。
「ふん、どうした?」
ラファトが緩慢な口調で問うが、セニアにもう余裕はない。
しとどな唾液の潤滑を利用し、剛直を口の横から滑らせるように抜き去る。
その瞬間にはもう、セニアの口内は黄色いもので満たされていた。
「……おえっ!!えおっ、うえぇ゛っ……カハッ!!」
苦しそうに咳き込みながら、口の中の吐瀉物を吐きこぼすセニア。
あれほどの異形の物を咥えさせられていた以上、仕方のない生理現象といえる。
ただつらいのは、その嘔吐を何十という人間に見られている事だ。
顔を押さえて横を向く人々の反応は、さぞかし彼女の心を抉ることだろう。
しかし生理現象は止まらない。
大量の吐瀉物は地面のみならず、這う格好をした彼女の美しい太腿までを汚していく。

「ふん、吐いたか……汚らわしい。もういい、こちらに尻を向けろ」
ラファトは些か気分を害したように言い放った。
嘔吐のショックから立ち直れていないセニアは、潤んだ瞳で言われるがままに腰を上げる。
しかしやはり羞恥心が邪魔をするのか、小さく縮こまるように這った状態で止まってしまう。
「もっと尻を上げろ!」
ラファトがさらに命じると、セニアは俯いたままその言葉に従った。
土のついた片膝を上げ、内股で腰を高く掲げてから、ゆっくりとその伸びやかな両脚を開いていく。
背後のラファトには、その恥じらいの場所が開いていく様がすべて晒されている事だろう。

ラファトは両手を静かにセニアの尻肉へ添え、腰を定めて一気に挿入を開始した。
「はぁぐっ……!!!」
セニアの薄い唇から声が漏れる。
「あっ、あ……ああ、あっ……あっ、あ…………!!!」
ラファトが腰を使い始めると、その声はやがて女の感じる時の声になっていった。

「・・・・セニア・・・・・!」

ティルはその絶望的な現実を前に、全身から力が抜ける。
今まで想像だにした事のない光景。
彼の中でのセニアは、いつでも溌剌とした声で自信に満ちた発言を繰り返す女傑だ。
あのような声を上げるなどとは考えもしなかった。
もっとも、彼女も美しい女性騎士だ。百歩譲って嫁いだ先の名門貴族との営みでその声を上げるならば解る。
だがよもや、普段彼女自身が何百と狩り屠ってきた魔族に犯され、女の声を上げてしまおうとは。

「イヤ……もう、こんなのイヤよおぉっ!!!」
診療所の奥で、一人の少女が耳を塞ぎながら叫びを上げた。
「どうして!?どうして私を助けてくださったセニア様が、あんな目に遭わなければならないの!!
 ねぇ、ティル!!あんた今生き残ってる最後の騎士なんでしょう、セニア様を助けに行ってよっ!!」
騒ぎ立てる少女の口を周りの数人が押さえつける。
彼女らの視線は脅えたように外を窺っており、ラファトに見つかる事を極度に恐れているのがわかった。

薬士が狼狽するティルの肩を叩く。
「……ジェシカ、誰か一人を責めるような真似はもうやめるんだ。
 『我々では勝てない』それだけが真実だよ。
 これ以上、いたずらに人が死んでいくのはもう見たくない」
諭すような薬士の言葉に、少女はようやく口を噤み、しかし言葉もなく嗚咽しはじめる。
それを押さえていた少女達も、同じく顔を覆っていた。
英雄、セニア・シュミットの隷属。
それは街を壊されるより、家を燃やされるより、人々の心に深く闇を落としている。



何度となく突き込まれ、身体を前後させ、豊かな乳房を揺れさせるセニア。
その瞳は奥を突かれる瞬間に見開かれ、引き抜かれる時に力なく細まる。
あっあっ、という喘ぎ声は、そのどちらにも発せられた。
声はさほど悲痛なものではなかったが、だからといって感覚が穏やかなわけではないだろう。
何しろ、口を目一杯に開けてようやく咥えられようという剛直を捻り込まれているのだ。
何ともないはずがない。
それを踏まえてよく観察すれば、彼女が眉根を寄せる様、鼻頭に皺をつくる様の全てが悲劇的に見えてくる。

パンパンと肉を打つ音が規則正しく続いた後、やがてその結合部に水音が混じり始める。
愛液の溢れる音だ。女性経験のないティルにさえ、それがはっきりと解った。

「毎日こうしてまぐわっているだけあって、徐々にこなれてきたらしいな。
 ……覚えているか?あの場所を」
ラファトがセニアの腰から手を離し、石段の端を指し示す。
セニアは疲労したような横目でそこを眺めた。
その石段の一角には、かすかに黒ずんだ血のような跡がある。

「お前が純潔を失った跡が、今でもああして残っているぞ。
 大観衆の前で私に貫かれ、痛い痛いと泣き叫ぶ様は中々に傑作だったな。
 今ではそのような素振りのない所を見ると……初回に限った現象か。
 まことニンゲンの雌というものは不可思議な生き物よ。だがゆえに面白い」

ラファトはそう言いながら、セニアの腿肉を掴んで持ち上げる。
結合部がはっきりと衆目に映るように。
「あ、いやっ!!」
セニアは頭を振って拒絶するが、両脚を抱え上げられた状態ではもはや抵抗も叶わない。
ぐじゅりぐじゅりと艶かしい結合の音がする。
背後から突かれていた時は、『挿入するふりをしているだけ』とも思えた結合の瞬間が、
今や一切の誤魔化しようもなく視界に飛び込んでくる。

目を背けたくなるような赤紫色の極太が、朱色をしたセニアの秘部に呑み込まれていく。
抜き出され、叩き込まれ。抜き出され、叩き込まれ。
蜜をいやらしく吐きこぼすその産道入り口を中心に、健康的な太腿が強張り、腹筋が締まり、
豊かな乳房が震え……凛々しかったセニアの声色で喘ぎ声がする。
もはや誤魔化しではない。偽者でもない。
紛れもなくセニア・シュミットその人が犯されている瞬間、瞬間だ。
街の絶望の空気が濃厚になる。

「よく目に焼き付けておけ、人任せに平和を求める虫ケラども。
 この女が、我ら魔族の精で作り変えられる様を。
 本来異種族のまぐわいで子を孕む事はありえんが、同種の雌を持たぬ我らの繁殖力は高い。
 その強き遺伝子を身体の内より刷り込み続け、こちら寄りに染め上げる。
 そうして我らが次代のための苗床とせしめるのだ。
 不満があるならば歩み出よ。己が意にそぐわぬこの世界から、解放してやろう」

ラファトは高らかにそう謳いながら、見せ付けるようにセニアを犯し続ける。
セニアは口元でうるさく首輪を揺らし、頬を赤らめてその突き上げに耐えていた。
目尻は垂れ、そこにかつての猛々しさは見当たらない。
自力での脱出はもはや不可能なようだった。ならば誰かが救い出さねば。しかし誰が。
ティルは拳を握りしめた。
何とかしたいという想い、どうにも出来る訳がないという冷静な判断がせめぎ合う。
自分を糾弾した少女の言い分は全く正しい。
結局彼は、騎士足り得ないのか。幼馴染ひとり救えないのか。


ラファト達が引き上げた後の城門前に、ティルは一人佇んでいた。
染みのできた石段から、セニアの匂いがしている。
剣の稽古をした後、かすかに薫って彼の心をときめかせた汗の匂い。


「……っ………………く…う…………うおおおおおぉぉッッッッ!!!!!!!」


頬へ溢れる涙を舐めながら、石段に膝を突きながら、ティルは今度こそ意を決する。
セニアを救い出す。
たとえ己の人生全てと引き換えにしてでも…………。





古城の壁高くに設けられた窓から、欠けた月が覗いている。
どこか侘しさを感じさせるその光景をなぞるが如く、部屋に響く呻きも悲しみを帯びていた。

「んぐっ……うん、んっ……。
 ……んううっ……ん……んぐぅ………………!!」

セニアは、自分の発する呻きが耳元で反響するのを自覚する。
夜風がやや肌寒い。何しろ、首輪と後ろ手の銀手錠しか身につけていない。
しかし、そんな不満を口に出来る状況にはなかった。
彼女は今、死人のように青白い肌をした化け物の前に跪き、その逸物を咥えさせられている。
頭は化け物の掌に掴まれていた。
掌は、片手だけでセニアの頭を包み込めるほど大きい。
その大きく力強い掌で、頭を無理矢理に逸物へと押し付けられる。

「ったくよォ。なんで俺様が、ニンゲンの口の調教をしなけりゃならねぇんだ?
 大体ニンゲンなんぞ、どいつもこいつもサルみてぇで違いがねぇじゃねぇか。
 まぁコイツに関して言やぁ、身体の窪みからソソるいい匂いさせやがるし、
 クソ生意気な顔してるらしい事は何となく伝わってくっから、嬲り甲斐はあるけどなぁ」

青白い化け物は独り言を零しながら奉仕を続けさせる。
逸物の大きさはラファトの物よりも格段に小さく、また堅さも少々柔らかめだ。
しかし長さがひどくあり、手の使えない状況で呑み込ませられると、喉のかなり深くまで入り込んで実に息苦しい。
そして何よりも、匂いがひどかった。
獣臭などというものではない。まるでチーズに青魚を加えたような臭気が、咥え込むたび鼻に充満する。
それを延々と続けさせられているのだ。
すでにセニアの口内からは夥しい量の唾液が溢れ、怒張を伝い、化け物の脚の間に泡立つ水溜りを作っている。
息苦しさに俯きがちになるたび、その唾液溜まりが視界に入り、セニアの心を羞恥に染める。
ゆえにセニアは、なるべく俯かず、むしろ奉仕させる相手をできるだけ睨み上げる事にしていた。

「オラ、気合入れて舐めろよ。また床にふん縛って、上から圧し掛かるみてぇに喉へ入れてやろうかァ!?
 すぐ吐いちまうからもうやめてくれ、って惨めったらしく哀願してきたのはドコのどいつだよ?」

青白の化け物が頭の揺らしを速めつつ、小馬鹿にしたように問う。
睨み上げるセニアの瞳がまた戸惑いを見せた。
ラファトへの口唇奉仕で嘔吐してしまったあの日から、セニアは徹底的に口戯を仕込まれていた。
朝から晩まで一日中、化け物の逸物を咥えさせられてきた。
元より人間サイズの物自体が少ない中、それはどれほど苦しいか。惨状を呈した事も一度や二度ではない。
そして魔物達は、そうしたセニアの苦しみこそを愉しみとしているようだった。


膝を開いたまま淡々とセニアに奉仕させていた化け物も、ようやく極まりに達しかけているようだ。
「ぐぅっ……!!!」
セニアの首元を両側から鷲掴みにし、意思を一切無視した前後運動を開始する。
これにはさすがのセニアも相手を睨み上げる余裕がなく、苦しげに目を閉じて為されるがままになる。
口惜しいが、手が使えない状況下ではどうする事もできはしない。
「んっ……んん、んっ!!ん……ん、んっ…………うんんっ!!!」
喉奥への断続的な侵入の後、一番の奥で頭を押さえつけられる。
「いくぞ、いくぞッ!!全部飲めよ!!!」
「んんっ!!」
喉の奥で逸物が跳ねた後、ついに射精が開始される。
極太のチューブを喉へ通されているような状態のため、当然その精は直に食道へ。
セニアには、異様な重さのある粘液が、胃へと滴り落ちていくのが解った。
魔物の射精は総じて長く、セニアの口内を満たしてなお続く。
ようやくに止まったと思えばまた間欠泉のように噴出し、窒息しそうになる。

腹が膨れるほどになった後、ようやく逸物が口内から引き抜かれた。
それだけ出してなお、抜けた途端に顔面へ向けて白濁の飛沫が浴びせかけられる。
「うっ、げほっ、げほっ……!!!げはっ!!」
セニアは堪らず噎せ返った。
ただでさえ逸物以上に濃厚な臭さの精液を、窒息しかけながら飲み続けたのだから当然だ。
セニアは閉じた目の端に涙を浮かべ、荒い息を吐く口の端から白濁を垂れさせる。
すると、唐突にその頬が張られた。
「あっ!!」
セニアは小さく叫び、横ざまに倒れこむ。
その華奢な身体を化け物が掴みあげた。
「テメェ何吐き出してんだ?全部飲めっつったろうがよ。
 俺様のありがてぇ精液を腹一杯飲んで、魔族の子供を孕めるようになるのが目的なんだぜ?
 吐き出しちまったら意味がねぇだろうがよ!解ってんのか!!」
砕かれそうなほど腕を掴まれて恫喝されながらも、セニアは相手を睨み返す。

彼女にしてみれば、魔族の仔を孕むなど冗談ではない。
身体が作り変えられないならば、それに越した事はないのだ。
とはいえ、それでもすでに彼女は相当量の精液を飲まされている。
そして魔族は人間の雄と違い、一度二度の射精では果てる事がない。

「オラ、もう一度だ」
青白い化け物は床に仁王立ちになり、セニアの頭を掴む。
仁王立ちした相手への奉仕は、先ほどの段差でのものよりかなりきつい。
セニアは相手をなお睨み上げつつも、その形の良い睫毛を震わせた。


無理矢理に全ての精を飲まされた後も、それでセニアが解放される事はない。

「さて、と……んじゃ、お待ちかねだ。やってやるから、自分で脚を開きな」
青白の化け物は、肩で息をしているセニアを見下ろして告げる。
セニアが目を見開いた。
「なんだぁ?まだやるんですか、とでも言いたげな目だなァ。
 お前が街や城ン中で俺の兄弟達を殺して回ったのは知ってるんだぜぇ。
 そうやってお前が殺してきた兄弟の分くらいは、産んで貰わなきゃなぁ。
 ……ま、まだ俺の仔を孕める段階かは解らんが、いずれにせよ中に出せば調教は進むわけだ。
 理解したならさっさと股を開きな。
 あんまり反抗するようなら、そこらの村の娘にでも代わらせるぜ」
化け物がそう囁くと、セニアは口惜しげに眉を顰める。
そして床に寝転がり、化け物に向かって小さく股座を覗かせた。
「これで……いいんだろ」
「ダメだ、もっと大きく開くんだよ!」
化け物が首を振ると、セニアは唇を噛み、膝頭を抱えながらさらに脚を開いていく。
赤い身が露わになった。

「入れてください、ってお願いしてみろよ」
セニアの誇りの高さを感じ取ったのか、化け物はさも可笑しそうに告げる。
セニアは答えない。
しかし、化け物が少し低いトーンで再度呼びかけると、渋々と口を開く。
「…………い、いれて…………くださ、い」
「どこにだ?」
「…………あ、あたしの…………穴、に」
「穴だぁ?穴は色々あるじゃねぇか。耳、鼻、口に臍。もっとはっきりと言えよ」
化け物は嘲り笑いながらセニアを見下ろす。
普通に女性器と言っても満足はすまい。恐らくは、もっと屈辱的な表現を望んでいるのだ。
「お、おまんこ……に」
「ハァ?まるで聞こえねーなぁ」
セニアの頬まで赤らめた一言を、青白の化け物は無下に斬り捨てる。
セニアはいよいよ顔を歪ませ、息を吸い込んだ。

「あ、あたしのおまんこに、……入れてくださいっ!!」

押し殺しつつ叫ぶような声。そこには尋常ならざる怒りが込められていた。
だが化け物は、満足げな顔で逸物を扱き始める。
「へいへい、解ったよ。しかし参ったね、人前で股おっぴろげてその言葉とは。
 恥じらいってモノがないのかねぇ、ニンゲンの雌にはよ」
自らさせた事をあえて詰り、セニアの顔が憤死しそうに歪むのを愉しみながら、化け物は挿入を果たす。
そして怒りで指を食い込ませるセニアを組み敷き、その柔肉の中を夜が明けるまで堪能するのだった。





セニアへの調教は、様々な手段を以って行われた。

ある時には、セニアは膝立ちの格好で拘束され、両の乳房を触手型の魔物に陵辱された。
触手は太い一本を起点に繊毛のように細かに枝分かれし、乳腺の中にまで入り込む。

「ああああっ、ああっ!!!んんんぁああああ、あああうっ、ああううっ!!!!!」

部屋にその魔物と2人残されたセニアは、身も世もなく悶え狂う。
それもその筈だ、散々に乳腺を開発され、挙句その根元に胞子を撒かれたセニアの乳房は。
触手が風になびくように蠢くたびに白い母乳を噴きこぼしているのだから。
あまりに鋭い快感に、セニアはもう何度も触手の根元を掴み、引き抜こうと試みていた。
しかし一度入り込んだ細い触手が抜け出ることはない。
むしろセニアの与えた刺激によって一層微細な蠢きを呈し、

「あ゛ーーーーーっ、はんあああ゛あ゛あ゛ーーーーっっ!!!!!!」

セニアは天を仰いだまま、部屋に響き渡るような嬌声を上げてしまうのだった。
そして悪い事には、そこまでの嬌声は他の魔物にも聴こえてしまう。

「おいおい、何だ今の声は?」
「すげぇミルクの匂いだ。おっ見ろよコイツ、足元まで真っ白に飛沫飛ばしてやがる!」

猪や蟷螂に似た魔物達が背後から集まる中、セニアはその集団を鋭く睨み据える。
しかし、一回り大きさを増した乳房からまさに母乳を噴きこぼしている状態では凄みもない。
むしろ魔物達の嗜虐心を刺激し、周りに集めてしまう。
「おいニンゲン。キツい目してるが、何だこの濡れ方は?もうグショグショじゃねえかよ」
一匹がセニアの脚の間に指を挿しいれてくじりまわす。
水音が立ち、女くさい匂いが漂い始める。
「…………ッ!!」
セニアは堪らず横へ視線を外して恥じ入った。
魔物達はそんなセニアを可笑しそうに取り囲み、拘束されたまま挿入しようとし始める。

「よ、よせ!!今は……頼むっ、今は勘弁してくれ!!!」
頭を旋回するような快感がある今、女の部分まで犯されてはまずい。
蕩けているという事は、子を宿しやすい状態にあるという事。
本能的にそう察したセニアは必死に暴れるが、元より自由のない身だ。
どれほど拒もうが罵ろうが、その蕩けきった秘部を犯されてしまう。
入れ替わり立ち替わり、夜が明けるまで。


腸奥を目覚めさせられた事も、セニアにとって致命的な出来事だっただろう。

「そのままの格好でいろ」

ラファトは、四つ足で這ったまま尻を高く掲げたセニアを前にして告げる。
そして足元の水槽から、奇妙な粘液に沈んだ卵を拾い上げた。
蛙の卵を大きくしたようなものだ。
ラファトはセニアの尻肉を広げ、その卵を押し込んでいく。
卵を包む膜は意外に弾力があり、括約筋の締め付けでも破れない。
「うう……!!」
ぬめる質量の気味悪さと単純な苦しみで、セニアは顔を顰める。
しかしラファトはそれに構わず、さらに一個、もう一個と菊輪の中に押し込んでゆく。

「この卵を腸の奥で温めておけ。卵は、孵化する瞬間に最高の媚薬を撒き散らす。
 人間にとっての消化器である腸ならば、たちまちのうちに吸収できる事だろう。
 もし孵化の前にその卵をひり出したり、その格好をやめたりしたら……
 どうなるか解っているだろうな」

ラファトは言外に他の娘への危機を仄めかし、セニアの一切の抵抗を封じ込める。
セニアはそのまま、魔物の見世物となっていた。
卵を限界まで押し込まれた肛門は、未使用にも関わらず2本指が入るほどに開いている。
そのこれ以上なくみっともない場所を、這う姿勢のまま見せ付ける屈辱は耐えがたい。
セニアは顔を紅く染め、目の前の床を睨み据えて時を待った。

卵は孵化の瞬間以外にも微かに媚薬効果を発しているのか、
セニアは化け物達に尻穴を見せ付けるその間に、少しずつ変化し始めていた。
『湿り』が『濡れ』に変わり、やがて滴るまでに。

「う、うそだ……」
這う姿勢のまま内腿を覗き見たセニアは、そこに愛液が滴っていくのを見て目を見開く。
いかに卵に興奮作用があるからといって、観られるだけで濡らしてしまうとは。
だが、原因は解った。
毎日毎日、血肉の中で踊るような魔物の精液を飲まされ、膣内に出され、
犬の餌のような食事の中にさえその精が混ぜ込まれている。
もはやセニアの血中には、かなりの割合で魔の種子が含まれている事だろう。
順調に躾けられている。それがまさに今、照明されたようなものだった。

もしそれで、卵が孵った暁には…………。
セニアは、かつて誇り高い救世主だった娘は、近いうち必ず訪れるその時にうち震えた。
何十という獣の視線を浴びながら。


「だめ、ダメええええぇっ!!!
 おしりなんて、おしりなんてやめてええええぇぇぇっ!!!!!」

セニアが上げる悲鳴は悲痛なものだった。
もはやその叫びに、普段の勇ましい言葉の影はない。
まるで村の娘と同じく、尻穴を穿つ魔物に哀願する。
それも仕方のない事だった。卵が孵った瞬間、腸内が荒れ狂ったのだ。
凄まじい発情の熱さが腸の至る所で刺すように発生し、薄肉を越えて子宮にまで伝播する。

もはや腰砕けのセニアへ、魔物が殺到する。容赦はなかった。
卵が孵り始めるにつれてひくつく尻穴、誘うような腰つきを観て我慢の限界に至ったのだ。
普段セニアの見目に興味を示さない種の魔物さえ、不可思議なフェロモンを振りまく身体にむしゃぶりつく。
その結果が、あの悲痛な叫びだ。

「あああうっ、あたしのっ、あたしのおしり……あ、熱いいいっ!!!
 ど、どうなって、んうううゥうッ……!!!!」

セニアは必死に歯を喰いしばりながら、まるで沸騰した排便のような肛門性交に抗う。
頭が芯から蕩けていきそうだ。
尻穴を深く抉られながら、さらに前の穴にも挿入が始まる。
「いやあっあああああっ!!!!!」
そうなると、もはやセニアは前後どちらにも気を発散させる事ができず、
涙ながらに腰を動かすようになってしまう。

「おいコイツ、勝手に腰を振りはじめやがったぜ!!」
「へっ、他愛ねぇもんだな」
嘲笑が続く。セニアの意識の遥か外で。



  ……もう、いや……

         …………………もう、こんなのいや………………。



セニアは白目を剥き、涎を垂らし、正気と異常の狭間を激流に乗ったように彷徨っていた。







セニアの髪は、いつしか腰を覆うほどの長さになっていた。
その背後から犬のような魔物が覆い被さり、セニアを犯している。
セニアの目に光はなく、一見するとすでに失神しているようにも見えた。
だが別の魔物がその口元へ耳を寄せ、かすかな喘ぎを耳にしてほくそ笑む。
「あ、あっ……あっ…………あっ……あっ…………」
感情のない、まるでただ快感の告げるままに発せられる声。

椅子に腰掛けたラファトが、その様子を静かに見下ろしている。
しばしセニアと数匹の魔物との交わりを観察した後、ラファトが指を鳴らした。
するとセニアを犯していた魔物がその場に直り、解放されたセニアは力なくラファトの元へ歩み寄る。
「くわえろ」
ラファトが命じると、セニアは言われるがままに跪き、口を目一杯に開いて咥え込む。
無理矢理に喉を開き、首に極太の膨らみを見せながら剛直を全て飲み込む奉仕だ。
ラファトはその素直さに微かな笑いを示し、セニアの腹部を撫でる。
その腹部は、すでに自然ではないほどに膨らんでいる。
水や精液で満たされているのではない。
長い長い肉体調教を経て、ついに魔の種子を宿したのだ。
ラファトはその次世代の女王に手を貸して立たせ、唇を重ねる。

「…………セニア。最近この界隈で、我が同胞が次々と打ち倒されている事を知っているか?」

ラファトは静かにそう告げた。
セニアはその彼の瞳を覗きこみ、不思議そうに首を傾げるだけだ。
ラファトは続けた。

「……その者は近く、この場所に乗り込んでくるだろう。
 かつてのお前の志を継ぎ、命を犠牲にしてでも私を滅しうる力を携えてな。
 私はそれに対して容赦をせん。我が全霊を賭して、私の描く次代を守り抜く。
 その時にはセニア、お前が世界の分岐点を見届けるのだ」




風が吹き抜ける。
カテの村に棲む少女は、古城へと歩を進める、やつれきった男を呼び止めた。

「……おじちゃん、どこ行くの?そっちは危ないよ」

危ない、と少女が言う古城と同じほど、男が危険なのは明らかだった。
どう見てもまともに生活をしている人間の雰囲気ではない。
何百という殺戮を繰り返した殺人鬼でさえ、もう少し人間味があるだろう。

男は少女を見下ろした。
まばらなその髪は一本残らず白く染まり、瞳孔には光がない。
肌は砂漠のように乾き果て、血管をむき出しにしている。
そして、それら人間らしさをすべて注ぎこんだかのごとく、携えた剣だけが精気に満ちていた。
男はその剣を引きずるようにしながら、少女の傍を通り過ぎる。
そしてかすれた声で言葉を残した。


「昔、大切な人に言われたんだ。『一緒に来てくれ』って。
 …………随分、時間はかかったけど」

男は刃の形状さえ見極められない黒剣を手に、古城の門を踏み越える。
夥しい数の魔物を往く道に打ち倒し、乾ききったその足は、白金の扉の前で揃えられた。




                                END
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