※ 和姦系アナル物です
現金書留なるものを受け取ったのは、22年の人生でそれが初めての事だった。
見慣れない緑淵の封筒を開けると、中からは千円札二枚と五百円玉一つ、
そしてピンクの罫線が透けて見える愛らしい手紙が姿を見せる。
『ハカセ、久しぶり。元気にしてる?』
出だしの一文を目にした瞬間、俺には手紙の差出人が特定できた。
俺は名前の読みこそ“ひろし”だが、博士という字ではない。
その俺をハカセなどと呼ぶ人間は一人だけ。
山瀬 愛美(やませ あゆみ)、中学の時のクラスメートだ。
山瀬の事は思い出深い。
最初の印象は、いかにもなお嬢様というものだった。
肩までの長さの、毛先がふんわりと柔らかくカールした黒髪。
頭に乗せた、日によって色と形状の異なるカチューシャ。
喋り方や歩き方、鞄の開き方に至るまでのあらゆる動作も落ち着いていて、品がある。
女子中学生ならクラスにもまだ清純派は多いものの、山瀬の場合は纏う雰囲気からして違った。
それもそのはずだ。
山瀬自身は全く語ろうとしないが、彼女がお嬢様だったのは間違いない。
雨の日には必ず、校門から一つ角を曲がった先で高級車に迎えられる所が目撃されたからだ。
とはいえ、山瀬がその育ちの良さを鼻にかける事はない。
むしろ人当たりは良い方で、話し友達は男女を問わずかなり多かったように思う。
ただ、彼女について一つ噂されていることがあった。
Hな話だけはNG、というのがそれだ。
友人間で話をしている時、話題がいわゆる下ネタになると明らかに山瀬の乗りが悪くなるという。
今でもまだ、当時のクラスメートは誰もが『山瀬は潔癖』というイメージを持ったままだろう。
俺だけはそれが、とんでもない誤解だと知っているけれども。
あれは中学2年の秋頃のこと。
くじ引きの結果、文化祭のポスター係に偶然選ばれた山瀬と俺は、
放課後の遅くまで巨大な画用紙を相手にペンキで格闘していた。
山瀬はこういった行事にはかなり積極的で、普段淑やかに振舞う反面、
やるとなれば勢いよく腕や裾を捲って取り掛かる。
俺はその細い二の腕や脹脛についたペンキを視界の端に捉えて、ひどく心臓を高鳴らせていたものだ。
俺は当時、マンガの影響でバスケットに熱中するスポーツ少年で、
男とならともかく女の子と話をする事など大の苦手。
だから、山瀬が話しかけてくる事に歯切れの悪い返事を返すばかりの体たらくだった。
やがて会話もほとんどなくなった頃だ。
さすがに山瀬に悪いと思った俺は、息抜きついでに自販機のジュースでも奢ろうと思って鞄を漁っていた。
しかし目当ての財布には中々手が届かず、代わりに一冊の本が転げ落ちて山瀬のすぐ横に落ちてしまう。
物理の教科書か?
そんな事を思いながら本に目をやった瞬間、俺は息を呑む。
それは今朝方、近所の本屋で買ったSM本だ。
正直に白状すれば、俺は純真なスポーツ少年などではない、当時から生粋の変態だった。
初めは父親の書斎にあった大人向けの小説を見てだったが、そこからどんどんとエスカレートし、
小遣いの全てをそうしたコアなエロ本に費やしていたのだ。
俺は、自分の学校生活が終わったと確信した。
山瀬にHな話は厳禁。その噂は、女子グループと接点のない俺でも知っていた。
その山瀬の目の前に、とびきりのSM本を落としたのだ。
悲鳴で済むならいいが、それからどんな拡がり方をするのか、考えただけで嫌な汗が噴き出した。
「…………っ!!」
山瀬は、落ちた本の表紙に視線を落として眼を見開いた。
その視線は緩慢な動きで俺の顔へと這い上がる。
「ち、違、これはっ!!」
俺は震えながら身を屈め、素早く本を回収する。その時、耳元で囁かれた。
「…………すごい…………」
その言葉の意味を量りかねた俺は、山瀬の方へと目を向ける。
彼女は普段からぱちりと開いた瞳を、さらに一回り大きく輝かせていた。
「ねぇ、その本SMマニュアルでしょ?もっとよく見せて!!」
そう続ける山瀬。
俺は困惑しながらも、少なくともそこに非難の色がない事を感じ取る。
本の表紙を再び凝視した山瀬は、次第にうっとりとした表情を作り始めた。
「やっぱり……見間違いじゃなかった。
綺麗に胸を搾り出した菱縄縛りに、つらそうな胡坐縛り、大きな浣腸器!きゃあ、本格的!!」
片手を頬に宛がいながら囁く山瀬は、噂とはまるで違う。
「……む、六ツ傘駅の前にある本屋で、買ったんだ。あそこエロ本の品揃えいいし」
俺は恐る恐るそう言葉を掛ける。
すると山瀬は俺の方を振り向いて笑顔を見せた。
「そうなんだ……。中学生でこんなに凄いエッチな本持ってる子がいるなんて、思わなかった!」
結論から言えば、山瀬はいやらしい話が嫌いな訳ではない。むしろ大好きだ。
潔癖という噂の原因となった、猥談で乗りが悪かったというのも、
中学生の年相応の下ネタが馬鹿らしくて反応もしなかった、というだけに過ぎない。
こと性的な知識に関しては、山瀬は意外なほどに貪欲で求道的といえた。
そしてそれは、俺としても全く同じこと。
それからというもの、俺と山瀬は授業の合間などにこっそりと紙の受け渡しをし、
他人に知られれば卒倒されるような濃厚な猥談を交わすようになった。
当時はすでに携帯電話もそれなりに普及してはいたが、そんなメールの履歴を見られては大変だ。
だから紙の受け渡しという古典的な方法を取り、その悪戯じみた秘密の共有もまた心地の良いものだった。
山瀬が俺を『ハカセ』と呼び始めたのは、その手紙の中でのことだ。
幼稚園の頃から親父の本で培ってきた俺の性知識は、彼女を大層感心させたらしく、
それがエロ博士という敬意と茶化しの混じった渾名となったらしい。
メモ紙のやり取りは一日3通ほど、全て合わせればどれだけの数になるだろう。
山瀬の書く字はミミズののたくるような俺のものとは違い、筆記ドリルの見本を写したような精緻なものだった。
秘密を共有するという高揚感からか、俺と山瀬は紙の上でかなりプライベートな部分までを曝け出した。
自惚れるわけじゃないが、当時の山瀬の事について俺以上に詳しかった奴はいないだろう。
苺が好きだとか、胸の大きさがBカップだとかいう情報を知っている奴はいても、
トイレの後はいつも後ろから前へ拭いていること、
入浴の際には浴槽の淵で腰を上下して陰核を押し潰し、絶頂を迎えなければ入った気になれないこと、
洋式便所で用を足す際には必ず便座カバーに足の裏を乗せ、公開排泄をさせられる妄想に浸っていること、
などを知る人間は俺以外にはいなかったはずだ。
住んでいる家には広い庭があってプールと喫茶セットが備えられ、家政婦も数人いる。
本当は雨の日にも高級車での送り迎えなど恥ずかしくてしてほしくないが、
両親が風邪を引いてはいけないと過保護気味に迎えに来てしまうとも綴られており、
やはり本物のお嬢様なんだと実感させられた。
そのお嬢様と、俺は今考えてもとんでもない事をやった。
とんでもない事とは、親が外出している俺の部屋でのAV鑑賞。
それもただのAVではなく、川原に捨てられていた相当にドギツイSMものだ。
男同士というならともかく、まだ付き合ってもいない中学生の少年少女が一つ部屋でAVを鑑賞する。
さらにはただ鑑賞だけもつまらないと、お互いが下を脱ぎ去って自慰までも見せ合いながら。
この辺りはさすが未熟ゆえのブレーキの壊れ具合。
俺達は映像の中の中年女性が縄を打たれ、浣腸を施され、男達の前でブリブリと惨めたらしく排泄を晒し、
数人の男達に揉みくちゃにされながら犯され回すのを、固唾を呑んで見守った。
山瀬は俺のベッドに腰掛けたまま脚を開き、秘部の中に間違いなくその細い指を差し入れていた。
指に光を反射する液体が纏い付いている映像は、今でも俺の脳裏に焼きついているほどだ。
薄い繁みの奥から響くぬちゃぬちゃという音が、間違いなく自慰をしている最中なのだと伝えてくる。
「すごい音してるよね……興奮しちゃってるみたい」
山瀬は俺が秘部を凝視しているのに気付くと、やや恥ずかしそうに微笑んだ。
性に潔癖なお嬢様として知られ、誰一人告白さえ出来ずにいるというあの山瀬愛美が、
俺の目の前で自慰をしている。
俺はもうビデオの内容だとそっちのけで、その事実を糧に痛いほど勃起しきった逸物を擦り上げた。
山瀬が珍しいものを見るように目を輝かせているのが、どこか誇らしくさえあった。
自慰をしている所を見せ合いはしたが、流石に絶頂の瞬間を冷静に観られるのは恥ずかしい。
さらにはお互い異様なほど昂ぶっていた事もあり、俺は気がつけばさらに問題になるような行為に及んでいた。
ベッドに腰掛けた山瀬の足元に跪くようになり、脚を手で押し開いたのだ。
中学生のそれに相応しい、色素沈着のない桜色の縦筋。
自慰によってかすかな乱れの見えるそこを指先で割り開き、口をつける。
「あっ!!」
山瀬は一瞬驚きの声を上げたが、それ以降は抵抗するどころか、身体を反らし気味にして舐めやすいようにしてくれた。
産まれて初めて味わう女の秘裂は、予想よりもずっと生肉臭く、年齢のせいか酸っぱくもある。
ただ、それが同級生達が夢にまで見る山瀬愛美のアソコだと考えれば、もはや興奮しかない。
俺は潤みの中に舌を捻じ込み、味わいつくすように舐り回しながら、役得とばかりに太腿を揉みしだく。
山瀬の女の子の太ももは、まるで骨がないのではと思えるほどに柔らかかった。
「ああっ……き、気持ちいいっ……!!こ、こんなになんて……あ、あ…………いくっ!」
山瀬はあらかじめ昂ぶっていたせいか、数分ともたずに身体を震わせた。
同時に両の太ももが俺の頭を挟みつけ、あれほどに柔らかかったにも関わらず鈍い痛みを与えてくる。
山瀬が達した後、今度は仁王立ちになった俺の前に山瀬が膝立ちになってのフェラチオ。
勿論、一度されてみたかったという俺の願望と、経験してみたいという山瀬の希望あってのことだ。
それは夢のように気持ちよかった。
柔らかい唇に亀頭が包まれ、意外なほど弾力のある舌が裏筋をなぞり、啜り上げられる。あの山瀬愛美によって。
それらの刺激で、俺のほうも一分ともたずに射精を迎えてしまう。
それまでに経験のないほどの大量の精が山瀬の口内へと注ぎ込まれ、山瀬はそれを飲み下そうと頑張ってはいたが、
やがて眉をしかめたままティッシュの中に大量に吐き出した。
「けほっ……!け、経験に一度飲んでみたかったんだけど、ハカセのすごく喉に絡んできて、無理みたい」
山瀬は軽く汗を掻いた顔で俺を見上げる。
その瞬間俺は、まるで恋人になったかのような幸せな錯覚に陥った。
実際、ここまでの事をしておきながら付き合う訳でもなく、セックスさえしなかったのは異常ともいえる。
ただ山瀬は子供ながらに、そこまでやってしまうともう遊びではなくなると理解していたんだろう。
俺達がやっていたのは、酒や煙草に手を出すのと同じ、あくまで知的好奇心を満たすための悪戯。
それゆえ、中学卒業を期に行く先が分かれてからは、山瀬は嘘のように俺との関係を断った。
俺がハカセと呼ばれることは二度となくなった。
そこから8年の年月を隔てて届いたのが、あの現金書留。
習字の手本のように綺麗な字でしたためられた、紛れもなく山瀬本人からの手紙だ。
手紙には、無事に四年制大学を卒業した山瀬が一人暮らしを認められ、
桜上水に高級マンションを買い与えられた事が綴られていた。
越したばかりの頃こそ両親の世話焼きがあったが、今は完全に一人で暮らせている、と。
『昔は親や家政婦さんの目を盗んでお風呂でしか出来なかったオナニーも、
今では好きな時に好きなだけ出来るの。憧れるだけだったお尻でだって。
でもね、お尻を弄くってると、どうしてかいつもハカセのこと思い出しちゃうんだ。
ませてた中学生の頃に、ちょっと変わった話とかしただけなのにね。
……一緒にエッチなビデオを観たこと、ハカセは覚えてるかな。
あの時のこと、最近よく夢に見るんだ。あれがきっと、人生で一番ドキドキした日だったよ。
気持ち悪いって思われちゃうかもしれないけど、ハカセと別れたあの日から、まだ誰とも付き合えてないんだ。
アナルだって、まだ指を入れたぐらいで固いまんまなんだよ。
また、久しぶりに会って話がしたい。今度は大人と大人として、堂々とHな事に浸りたい。
この現金書留の2500円は、友達に教えてもらったハカセの家から、私のマンションまでの往復の電車賃。
迷惑じゃなかったら、また暇な時に遊びに来てほしいな。
でももしハカセに、他にもっと大切な人がいるなら、本当に少ない額だけど感謝の気持ちとして役立てて』
その文面の後に、マンションの詳しい住所と電話番号、そして山瀬の署名が続き、懐かしい文字は終わる。
変わっていない。
俺に対して甘えるようにワガママな所がそのままだ。
こっちだって新社会人としてやる事が多いというのに、自分都合で呼び出す身勝手さ。
俺との関係を一方的に終わらせ、失恋の痛みを味わわせておいて平然と便りを寄越す奔放さ。
そして、行間から滲み出る愛くるしさ。
断るなどという選択肢は端からなかった。
俺はつい昨日別れた友人と再び待ち合わせるような気楽さで、手紙の住所へと辿り着く。
軽く考えなければ、夢のような興奮に卒倒しそうだったから。
三重のセキュリティに護られたマンション16階、一戸建てを彷彿とさせる巨大な扉の奥に山瀬はいた。
「久しぶり、ハカセ!変わらないね」
俺を招き入れ、山瀬は微笑む。こちらとしてもほぼ印象通りだ。
昔よりやや伸びて腰近くまでを覆い、柔らかなウェーブを描く黒髪。
シンプルな藍色のカチューシャ。
白のワンピースと薄桃色のキャミソールに包まれた、スレンダーに整った身体。
胸や腰周りに落ち着きが加わったことで、昔よりもさらに令嬢らしさが増したように思える。
「そっちも、相変わらずだな。結構男に振り返られたりするだろ」
俺はそう問う。
答えを聞きたいというよりは、振り返られるような令嬢と話している、という現実を再確認するためだ。
本来、俺などには分不相応もいいところなのだから。
山瀬は口に手を当てて笑った。
「ふふ、ハカセも女たらしっぽいこと言うようになったね。
でもそうだね、大学ではお淑やかに振舞ってたから、色々と勘違いさせたかも」
山瀬は優雅に微笑みながら告げる。
確かに何も知らない状態でそれを見れば、穢れを知らない天女のようにも見えるだろう。
ただ、俺は何も知らない訳じゃない。
「リビング行こ」
山瀬は自然に俺の手を引き、部屋を奥へと進んでいく。
5人家族でも充分に暮らせそうな広さだ、一人暮らしでなら使わない部屋が幾つあることか。
「広い家でしょ」
俺の心を見透かしたかのように、先導する山瀬が声を投げた。
「………………寂しいんだよ」
山瀬はそう続け、リビングに入った瞬間に熱っぽい視線で俺を見上げる。
鼻の呼吸が阻害され、唇が柔らかなものに圧され、甘い香りが脳を突き抜けた瞬間、
ようやく俺は唇を奪われたのだと理解した。
胸が甘たるく蕩ける。キスをせがまれては仕方がない。
ここからは、この無防備すぎる令嬢を、好きなように穢していい時間のはずだ。
いい加減に気持ちを押し殺すのにも疲れた。
俺に対してだけ奔放なこのお嬢様があからさまな好意を向けてくるなら、
俺だって8年前から、山瀬愛美に抱いていた欲望のありったけをぶつけてやる。
今度はもう、“遊び”じゃない。
※
「……さあって。こんだけ浣腸すりゃあ、中は綺麗なもんだろう」
俺は凝り固まった肩を回し、山瀬の手足の縄を解きにかかった。
「う……ああ…………」
断続的な浣腸責めで蕩けたような顔をしたまま、山瀬の手足はだらしなく浴室のタイルに垂れる。
口の端にかすかな涎の跡が見え、乳首が角ばりはじめている。
かつての同級生にこれが山瀬愛美だと言って見せても信じないほどのだらしなさだ。
だがこのお嬢様にはこれから、もっと乱れて貰うことになる。
「ほら、寝室行くぞ」
器具の散乱した浴室の片付けは後回しにし、俺は山瀬を助け起こして寝室に向かった。
ダブルベッドの上に山瀬を寝かせ、俺も寝台に上がる。
「尻を上げてみろよ」
正座を崩す山瀬に、あえて高圧的に命じると、彼女は当惑するような瞳で這う格好を取った。
俺はその尻肉を掴んで押し広げ、窄まりに目をやる。
綺麗だ。
膣のように桜色とはいかないものの、やや濃い肌色で、浣腸によってかすかに開いている。
俺はそこに口をつけた。
「あっ!」
期待通りに上がる驚きの声。
浣腸した時にも思ったが、山瀬は中学の頃から変態じみた知識を備えていて、
なおかつそれから8年が経っているにも関わらず、肛門性感は初心なままだ。
指ぐらいは入れているかもしれないが、本格的な拡張は間違いなくやっていない固さ。
俺を想って取っておいたのであれば涙ぐましいものだが、いずれにせよ好都合だ。
俺は肛門の皺の周辺を舌で舐めまわしながら、じっくりと肛門性感を目覚めさせていく。
浣腸液で執拗に洗われたせいか、ほぼ無味無臭の肛門。
しかしそれが山瀬の、視界のすぐ横に伸びる美脚の持ち主の物だと思えば、美味に思えるのが不思議だ。
「ひゃっ……!!」
舌を蠢かすたび、山瀬は可愛らしい悲鳴を上げながら尻を震わせた。
俺はその反応を愉しみながら、さらに皺の一本一本までを舐め取り、
あるいは活火山のように盛り上がった尻孔そのものを強引に横断するかのごとく舌でなぞり上げる。
「はっ……う!!」
山瀬の声は明らかに感じているものだった。
俺はそんな山瀬に問いを投げる。
「なぁ山瀬。前に本で見たんだけどさ、女って、こうして四つん這いで尻穴を舐められたら、
色んな妄想を掻きたてられて異様に興奮するんだってさ。
丁寧に尻穴を舐められたら、クリトリスが熱くなって濡れてくるんだと。本当だと思うか?」
俺が問うと、山瀬は這ったまま身体を震わせて答えた。
「はっ……はっ……ほ、ほんとだと、思う…………。
犬みたいなこの格好も、おしり舐められてるのも、あそこ丸見えなのも、死ぬほど恥ずかしい。
おまけに、おしり自体もすごく気持ちよくて……ハカセがいなかったら、変な声いっぱい出しちゃうよ」
「どんな声なんだ?聞かせてみせてくれよ」
「嫌、絶対幻滅させるから……本当、そんな風な声なの……あぁおううっ!!?」
言葉の最中に、山瀬は妙な叫びを上げた。
俺が尻穴の隆起の真ん中に、尖らせた舌先を突き入れたからだ。
尻穴ではこれが一番気持ちがいい。そうアナルセックスの本にあった通りのようだ。
そこから俺は、山瀬の尻肉を掴んだまま尻穴を舐り続けた。
時に陰核にも刺激を与えつつ、尻の孔を丹念に唾液でふやかすように。
山瀬は何度も尻を振り、身を震わせて反応してくれた。
幻滅させるような変な声、というのが具体的にどれなのかははっきりしないが、
本当に気持ちいい時に脚の筋肉を引き締めながら『おおお』と呻きかけ、しかしそれを必死に堪える事から、
おそらくはそれを幻滅されると思っているらしい事が窺えた。
責め手としては、それほどに快感の凝縮された呻きなど、嬉しくこそあれ幻滅などする筈もないのに。
肛門の華が舐りで開いた頃、俺はようやく舌を止める。
山瀬は腰だけを高く突き上げたまま、上体をベッドに沈ませるだらしのない格好になっていた。
「はぁ、はぁ、へへ、どうだ。舌だけで、何回くらいイッたんだ?」
俺は息を荒げながら、山瀬が確実に達していた事を前提に訊く。
「……はーっ、はーーっ……さ、3回は、確実に……。で、でも、弱いのもいっぱい……」
余裕がないのか、曖昧な答えを返す山瀬。
これでも中学の時には、模試で全国12位を取った事もある才女だというのに。
俺はその山瀬の乱れっぷりがむしろ嬉しく、さらに壊したくなってくる。
すでに息は荒く、胸は興奮でつまり、勃起もかなり痛いほどになっているが、
それでもまだまだ山瀬の肛門を嬲ってふやかし、徹底的に快感を刷り込んでやりたかった。
「……次は指でやるぞ」
俺が興奮も露わに告げると、山瀬は力なくシーツへ身を沈ませたまま、かすかに期待するような瞳で見上げてくる。
俺は一旦ベッドを降り、部屋の隅にあった姿見を山瀬の正面に引きずってくる。
目的はもちろん、肛門への指責めを受ける山瀬の顔を拝むことだ。
「やだ……映っちゃう」
鏡に顔を映された山瀬が恥じらう表情を見せたが、俺は構わずワセリンを中指に付ける。
そうしてゆっくりとその中指を山瀬の尻穴へと送り込んだ。
「んふっ……」
山瀬は声を上げたが、舌で充分にほぐれた菊輪は易々と指の第一関節を呑み込んでしまう。
俺はそのまま菊輪を纏いつかせるようにして中指を前後させ、感触を確かめてから人差し指を添えた。
2本指での挿入。さすがに今度は、指を握りしめるような圧迫感が返ってくる。
「ふんんんっ……!!」
山瀬の声が鼻にかかったものに変わった。
「気持ちいいか?」
俺がそう聞いた時、鏡の中で動いた視線にどきりとする。
とろんとしながらも鋭く見上げるような、不思議な眼。
ただ解るのは、山瀬が催促しているという事だ。
「じゃあ、いくぞ」
俺は左の手で山瀬の左の尻肉を押し開き、右の2本指を動かし始める。
指先で腸の入り口の際を擦りあげるように。
第二関節で菊輪を刺激するように。
奥の深くで2本指を開き、腸粘膜を外気へ晒すように。
考えつく限りの心地よさを与えるべく、ぬめった山瀬の腸内で指を蠢かす。
効果はそれなりにあるようだった。
「あっ、ああっ、あうっ!!」
山瀬の唇から声が漏れる。
鏡には、柔らかく目を閉じたまま口を開き、何とも美人らしく喘ぐ顔があった。
改めて本当に可愛いと思う。お嬢様である事を差し引いても、そのルックスだけで特別たりえる。
それを意識すると、俄然指にも力が籠もった。
何度も何度も、呆れるほどに指を抜き差しし続ける。
その俺の動きに併せて、山瀬からああ、と声が漏れ、尻肉が引き締まり、すらりとした脚が強張る。
女らしいふくらはぎが盛り上がり、足の指がつらそうにシーツに沈み込む様は、何ともエロかった。
「どうだ、感じてるか?」
あえてそう問うと、山瀬は首を揺らして喘ぎながら頷いた。
「う、うん……す、凄く興奮して、もうクリトリスも痛いくらいに勃起してるの。
それがシーツに擦れて……もう何回も、いっちゃってる」
山瀬はそう言いながら、また反則的な背筋のラインを震わせる。
顔もまた色っぽいものだ。
目を閉じ、薄く開き、見開いて、様々に変化させながら瞳を惑わせる。
唇もパクパクと開閉しては涎を垂らすがままだった。
声はあっ、あんと甘たるい響きを漏らすのが基本だが、時おり俯くようにしながら「いくっ」と小さく呻くのが、
思わず抱きしめたくなるほど可愛らしい。
その声をもっと引き出したくて指を抜き差しし続ける。
腕が疲れると一旦動きを止めながら山瀬の身体のあちこちを愛撫し、また再開する。
それを繰り返すうち、やがて尻穴からぬちゃぬちゃと異なる音がし始めた。
おそらくは腸液が充分なほどに溢れ始めてきたのだろう。完全に感じているわけだ。
俺は肛門から、異様な粘液に塗れた指を引き抜いた。
菊輪がめくり返り、山瀬の桜色の唇がああっと艶めいた息を吐く。
指という責め手を失い、宿主の吐息に併せて喘ぐようにひくつく肛門。
それを見るうち、俺の興奮もいよいよ限界が来る。
「…………挿れて、いいか?」
俺はトランクスを脱ぎ捨てながら山瀬に訊いた。
鏡には、すでに惨めなほどに勃起しきり、先走りに濡れた欲望が映り込んでいる。
山瀬はそこに視界を向け、とびきりの優しい笑みをくれた。
「いいよ……はやく来て」
その声の響きさえ、首筋を羽毛で撫でられるようにこそばゆく、俺の理性を消し飛ばす。
俺はもう余裕もなく、山瀬の下半身を横向きに抱えるようにして亀頭を肛門へと宛がった。
すでに舌と指によってほぐれるだけほぐれた肛門。
そこは、亀頭を押し付けると、まるで優しく包み込むように俺の物を迎え入れた。
しかしそれでも、並ではないほど入り口の締め付けが強い。
「うっ!!」
挿入時のその呻き声は、俺のものか山瀬のものか解らなかった。
そのぐらい、どちらにとっても衝撃的だったから。
不安定な姿勢のまま挿入を迎え、そのまま射精感を堪えながら奥へと押し進む。
幸いというべきか、腸の奥へと入ってしまえば締め付けは緩い。
根元をリング状の菊輪で締め付けられる状態にすれば、とりあえず一息つけそうだ。
「あっ……い、今、は、入ってるんだよね……。
ハカセの熱くて硬いのが、私のおしりの穴に入っちゃってるんだよね?」
山瀬は鏡の向こうで、肩越しのこっちを振り返りながら言った。
夢にまで見た、とばかりの陶然とした表情で。
「ああ。あんだけほぐしたのに、反射で物凄い締め付けてきて射精ちまいそうだ」
俺は答えながら、文字通り体勢を立て直すべく山瀬の腰を抱え上げる。
そうして再び四つん這いの姿勢に戻すと、ゆっくりと逸物を引き抜き始めた。
「ぃひっ!……そ、その引かれるの、すごいぃ……!!」
山瀬が声を上げる。どうやら、カリ首が菊輪を抜け出る瞬間が効くらしい。
俺としてもその瞬間は刺激が強く射精の危険があるが、五分五分というところか。
「そんなにこれがいいのかよ?」
俺はあえて肛門付近で亀頭部分を抜き差しし、山瀬に声を上げさせる。
姿勢を安定させるべく山瀬の腰を掴むと、これがまたしっとりと手に吸い付くような肌触りで、
おまけに柔らかく暖かな極上の肉だ。
さらにはその奥、艶やかな黒髪の流れる白い背中にも汗が光っていて異常に艶かしい。
「くっ!!」
思わず幸福からの射精感を覚えて目線を伏せれば、山瀬の脚の間が視界に入った。
指での嬲りの最中、何度も絶頂を訴えていたそこからは、確かに銀の糸が垂れてシーツに蜜溜まりを作っている。
間違いなく俺が感じさせた証だ。俺が今、尻を犯しているこの高嶺の花に。
そう考えた瞬間、凄まじい射精感が玉袋を押し上げた。止めようもない。
「うううっ!!」
俺は呻き、亀頭を山瀬の菊輪に挟み込んだまま、動かすこともなく射精を迎えた。
「あっ、出てる……すごい出てるよ!」
山瀬が解りきったことを親切にも解説してくる。
俺は今までの人生でもかつてなかったほど強烈な射精感を浴びながら、陶然としていた。
「……お?」
しかし一連の濁流が過ぎ去った後、俺は違和感を覚える。
萎えない。一度射精をしたにも関わらず、ほとんど逸物の硬度が失われていない。
興奮しすぎているからか。射精までに溜め込んだ鬱憤が膨大すぎたからか。
ともかく、これでまだ楽しめる。心置きなく山瀬を犯せる。
「さて、まだまだこっからだぜ」
俺は山瀬の腰を掴みなおし、力強く腰を打ちつけた。
パンッ、パンッと肉を打ち付けあう小気味良い音が響く。
俺の強張った太腿と、山瀬のしなやかな裏腿がぶつかって生まれる音だ。
その音が鳴っているということは、俺の逸物が根元まで深々と山瀬の肛門に入り込んでいるということ。
「うう、うううっ……!!」
山瀬は胸の前に揃えた両手でシーツを掴みながら、歯を喰いしばって呻いていた。
苦しそうにも見える、けれども快感を必死に堪えているようにも俺には感じられた。
都合のいいように考えるしかない。どの道、もう止まれない。
バックスタイルで深く繋がったまま、俺は自ら寝台に尻餅をつくようにして山瀬の身体を抱え上げる。
俺の脚の間に山瀬が座り込み、後ろから抱きしめるような格好だ。
肛門の紅い輪が捲れ上がり、深々と突き刺さった逸物が引きずり出される様。
それに併せて熟れきった果実のような割れ目が嬉しげにひくつく様。
深く突きこまれるたびに引き締まるしなかやな腹筋に、波打つ太腿、弾むように上下する乳房。
それらの何もかもが鏡によって丸見えになってしまう。
「ふああ、ああ……あ…………!!!」
山瀬はそのあられもない姿を自分の目に焼き付けながら、何ともいえない悦びの声を上げた。
俺は自らベッドの上で跳ねるようになりながら山瀬の肛門を責め苛み、
どうしようもないほどの絶頂感が来ると深々と突き込む事で、奥の空洞で熱を冷ました。
そうして長く長く、山瀬お嬢様の汚らわしい部分を愛しぬいてやる。
彼女が悦ぶように。
「あああーーーっ!!!おおあああああああっっーーーーーー!!!!
いい、いいよおっ、はかせ、ハカセえぇっ!!!!」
山瀬はいよいよ喉の奥からの嬌声を吐き出しながら、俺の頭へ腕を回して口づけを求めてくる。
俺はそれに応えつつ、さらに激しく腰を打ち付ける。
まだまだ、まだまだ、今日という日は長い。
このセックスに精も根も尽き果てれば、今度は玩具を使って山瀬を愉しませてやる。
そうしてまた浣腸し、狂うほどに犯し抜いてやる。
あの頃の俺達が貪るように追い求めた、すべての知識を確かめ合うように……。
終わり
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現金書留なるものを受け取ったのは、22年の人生でそれが初めての事だった。
見慣れない緑淵の封筒を開けると、中からは千円札二枚と五百円玉一つ、
そしてピンクの罫線が透けて見える愛らしい手紙が姿を見せる。
『ハカセ、久しぶり。元気にしてる?』
出だしの一文を目にした瞬間、俺には手紙の差出人が特定できた。
俺は名前の読みこそ“ひろし”だが、博士という字ではない。
その俺をハカセなどと呼ぶ人間は一人だけ。
山瀬 愛美(やませ あゆみ)、中学の時のクラスメートだ。
山瀬の事は思い出深い。
最初の印象は、いかにもなお嬢様というものだった。
肩までの長さの、毛先がふんわりと柔らかくカールした黒髪。
頭に乗せた、日によって色と形状の異なるカチューシャ。
喋り方や歩き方、鞄の開き方に至るまでのあらゆる動作も落ち着いていて、品がある。
女子中学生ならクラスにもまだ清純派は多いものの、山瀬の場合は纏う雰囲気からして違った。
それもそのはずだ。
山瀬自身は全く語ろうとしないが、彼女がお嬢様だったのは間違いない。
雨の日には必ず、校門から一つ角を曲がった先で高級車に迎えられる所が目撃されたからだ。
とはいえ、山瀬がその育ちの良さを鼻にかける事はない。
むしろ人当たりは良い方で、話し友達は男女を問わずかなり多かったように思う。
ただ、彼女について一つ噂されていることがあった。
Hな話だけはNG、というのがそれだ。
友人間で話をしている時、話題がいわゆる下ネタになると明らかに山瀬の乗りが悪くなるという。
今でもまだ、当時のクラスメートは誰もが『山瀬は潔癖』というイメージを持ったままだろう。
俺だけはそれが、とんでもない誤解だと知っているけれども。
あれは中学2年の秋頃のこと。
くじ引きの結果、文化祭のポスター係に偶然選ばれた山瀬と俺は、
放課後の遅くまで巨大な画用紙を相手にペンキで格闘していた。
山瀬はこういった行事にはかなり積極的で、普段淑やかに振舞う反面、
やるとなれば勢いよく腕や裾を捲って取り掛かる。
俺はその細い二の腕や脹脛についたペンキを視界の端に捉えて、ひどく心臓を高鳴らせていたものだ。
俺は当時、マンガの影響でバスケットに熱中するスポーツ少年で、
男とならともかく女の子と話をする事など大の苦手。
だから、山瀬が話しかけてくる事に歯切れの悪い返事を返すばかりの体たらくだった。
やがて会話もほとんどなくなった頃だ。
さすがに山瀬に悪いと思った俺は、息抜きついでに自販機のジュースでも奢ろうと思って鞄を漁っていた。
しかし目当ての財布には中々手が届かず、代わりに一冊の本が転げ落ちて山瀬のすぐ横に落ちてしまう。
物理の教科書か?
そんな事を思いながら本に目をやった瞬間、俺は息を呑む。
それは今朝方、近所の本屋で買ったSM本だ。
正直に白状すれば、俺は純真なスポーツ少年などではない、当時から生粋の変態だった。
初めは父親の書斎にあった大人向けの小説を見てだったが、そこからどんどんとエスカレートし、
小遣いの全てをそうしたコアなエロ本に費やしていたのだ。
俺は、自分の学校生活が終わったと確信した。
山瀬にHな話は厳禁。その噂は、女子グループと接点のない俺でも知っていた。
その山瀬の目の前に、とびきりのSM本を落としたのだ。
悲鳴で済むならいいが、それからどんな拡がり方をするのか、考えただけで嫌な汗が噴き出した。
「…………っ!!」
山瀬は、落ちた本の表紙に視線を落として眼を見開いた。
その視線は緩慢な動きで俺の顔へと這い上がる。
「ち、違、これはっ!!」
俺は震えながら身を屈め、素早く本を回収する。その時、耳元で囁かれた。
「…………すごい…………」
その言葉の意味を量りかねた俺は、山瀬の方へと目を向ける。
彼女は普段からぱちりと開いた瞳を、さらに一回り大きく輝かせていた。
「ねぇ、その本SMマニュアルでしょ?もっとよく見せて!!」
そう続ける山瀬。
俺は困惑しながらも、少なくともそこに非難の色がない事を感じ取る。
本の表紙を再び凝視した山瀬は、次第にうっとりとした表情を作り始めた。
「やっぱり……見間違いじゃなかった。
綺麗に胸を搾り出した菱縄縛りに、つらそうな胡坐縛り、大きな浣腸器!きゃあ、本格的!!」
片手を頬に宛がいながら囁く山瀬は、噂とはまるで違う。
「……む、六ツ傘駅の前にある本屋で、買ったんだ。あそこエロ本の品揃えいいし」
俺は恐る恐るそう言葉を掛ける。
すると山瀬は俺の方を振り向いて笑顔を見せた。
「そうなんだ……。中学生でこんなに凄いエッチな本持ってる子がいるなんて、思わなかった!」
結論から言えば、山瀬はいやらしい話が嫌いな訳ではない。むしろ大好きだ。
潔癖という噂の原因となった、猥談で乗りが悪かったというのも、
中学生の年相応の下ネタが馬鹿らしくて反応もしなかった、というだけに過ぎない。
こと性的な知識に関しては、山瀬は意外なほどに貪欲で求道的といえた。
そしてそれは、俺としても全く同じこと。
それからというもの、俺と山瀬は授業の合間などにこっそりと紙の受け渡しをし、
他人に知られれば卒倒されるような濃厚な猥談を交わすようになった。
当時はすでに携帯電話もそれなりに普及してはいたが、そんなメールの履歴を見られては大変だ。
だから紙の受け渡しという古典的な方法を取り、その悪戯じみた秘密の共有もまた心地の良いものだった。
山瀬が俺を『ハカセ』と呼び始めたのは、その手紙の中でのことだ。
幼稚園の頃から親父の本で培ってきた俺の性知識は、彼女を大層感心させたらしく、
それがエロ博士という敬意と茶化しの混じった渾名となったらしい。
メモ紙のやり取りは一日3通ほど、全て合わせればどれだけの数になるだろう。
山瀬の書く字はミミズののたくるような俺のものとは違い、筆記ドリルの見本を写したような精緻なものだった。
秘密を共有するという高揚感からか、俺と山瀬は紙の上でかなりプライベートな部分までを曝け出した。
自惚れるわけじゃないが、当時の山瀬の事について俺以上に詳しかった奴はいないだろう。
苺が好きだとか、胸の大きさがBカップだとかいう情報を知っている奴はいても、
トイレの後はいつも後ろから前へ拭いていること、
入浴の際には浴槽の淵で腰を上下して陰核を押し潰し、絶頂を迎えなければ入った気になれないこと、
洋式便所で用を足す際には必ず便座カバーに足の裏を乗せ、公開排泄をさせられる妄想に浸っていること、
などを知る人間は俺以外にはいなかったはずだ。
住んでいる家には広い庭があってプールと喫茶セットが備えられ、家政婦も数人いる。
本当は雨の日にも高級車での送り迎えなど恥ずかしくてしてほしくないが、
両親が風邪を引いてはいけないと過保護気味に迎えに来てしまうとも綴られており、
やはり本物のお嬢様なんだと実感させられた。
そのお嬢様と、俺は今考えてもとんでもない事をやった。
とんでもない事とは、親が外出している俺の部屋でのAV鑑賞。
それもただのAVではなく、川原に捨てられていた相当にドギツイSMものだ。
男同士というならともかく、まだ付き合ってもいない中学生の少年少女が一つ部屋でAVを鑑賞する。
さらにはただ鑑賞だけもつまらないと、お互いが下を脱ぎ去って自慰までも見せ合いながら。
この辺りはさすが未熟ゆえのブレーキの壊れ具合。
俺達は映像の中の中年女性が縄を打たれ、浣腸を施され、男達の前でブリブリと惨めたらしく排泄を晒し、
数人の男達に揉みくちゃにされながら犯され回すのを、固唾を呑んで見守った。
山瀬は俺のベッドに腰掛けたまま脚を開き、秘部の中に間違いなくその細い指を差し入れていた。
指に光を反射する液体が纏い付いている映像は、今でも俺の脳裏に焼きついているほどだ。
薄い繁みの奥から響くぬちゃぬちゃという音が、間違いなく自慰をしている最中なのだと伝えてくる。
「すごい音してるよね……興奮しちゃってるみたい」
山瀬は俺が秘部を凝視しているのに気付くと、やや恥ずかしそうに微笑んだ。
性に潔癖なお嬢様として知られ、誰一人告白さえ出来ずにいるというあの山瀬愛美が、
俺の目の前で自慰をしている。
俺はもうビデオの内容だとそっちのけで、その事実を糧に痛いほど勃起しきった逸物を擦り上げた。
山瀬が珍しいものを見るように目を輝かせているのが、どこか誇らしくさえあった。
自慰をしている所を見せ合いはしたが、流石に絶頂の瞬間を冷静に観られるのは恥ずかしい。
さらにはお互い異様なほど昂ぶっていた事もあり、俺は気がつけばさらに問題になるような行為に及んでいた。
ベッドに腰掛けた山瀬の足元に跪くようになり、脚を手で押し開いたのだ。
中学生のそれに相応しい、色素沈着のない桜色の縦筋。
自慰によってかすかな乱れの見えるそこを指先で割り開き、口をつける。
「あっ!!」
山瀬は一瞬驚きの声を上げたが、それ以降は抵抗するどころか、身体を反らし気味にして舐めやすいようにしてくれた。
産まれて初めて味わう女の秘裂は、予想よりもずっと生肉臭く、年齢のせいか酸っぱくもある。
ただ、それが同級生達が夢にまで見る山瀬愛美のアソコだと考えれば、もはや興奮しかない。
俺は潤みの中に舌を捻じ込み、味わいつくすように舐り回しながら、役得とばかりに太腿を揉みしだく。
山瀬の女の子の太ももは、まるで骨がないのではと思えるほどに柔らかかった。
「ああっ……き、気持ちいいっ……!!こ、こんなになんて……あ、あ…………いくっ!」
山瀬はあらかじめ昂ぶっていたせいか、数分ともたずに身体を震わせた。
同時に両の太ももが俺の頭を挟みつけ、あれほどに柔らかかったにも関わらず鈍い痛みを与えてくる。
山瀬が達した後、今度は仁王立ちになった俺の前に山瀬が膝立ちになってのフェラチオ。
勿論、一度されてみたかったという俺の願望と、経験してみたいという山瀬の希望あってのことだ。
それは夢のように気持ちよかった。
柔らかい唇に亀頭が包まれ、意外なほど弾力のある舌が裏筋をなぞり、啜り上げられる。あの山瀬愛美によって。
それらの刺激で、俺のほうも一分ともたずに射精を迎えてしまう。
それまでに経験のないほどの大量の精が山瀬の口内へと注ぎ込まれ、山瀬はそれを飲み下そうと頑張ってはいたが、
やがて眉をしかめたままティッシュの中に大量に吐き出した。
「けほっ……!け、経験に一度飲んでみたかったんだけど、ハカセのすごく喉に絡んできて、無理みたい」
山瀬は軽く汗を掻いた顔で俺を見上げる。
その瞬間俺は、まるで恋人になったかのような幸せな錯覚に陥った。
実際、ここまでの事をしておきながら付き合う訳でもなく、セックスさえしなかったのは異常ともいえる。
ただ山瀬は子供ながらに、そこまでやってしまうともう遊びではなくなると理解していたんだろう。
俺達がやっていたのは、酒や煙草に手を出すのと同じ、あくまで知的好奇心を満たすための悪戯。
それゆえ、中学卒業を期に行く先が分かれてからは、山瀬は嘘のように俺との関係を断った。
俺がハカセと呼ばれることは二度となくなった。
そこから8年の年月を隔てて届いたのが、あの現金書留。
習字の手本のように綺麗な字でしたためられた、紛れもなく山瀬本人からの手紙だ。
手紙には、無事に四年制大学を卒業した山瀬が一人暮らしを認められ、
桜上水に高級マンションを買い与えられた事が綴られていた。
越したばかりの頃こそ両親の世話焼きがあったが、今は完全に一人で暮らせている、と。
『昔は親や家政婦さんの目を盗んでお風呂でしか出来なかったオナニーも、
今では好きな時に好きなだけ出来るの。憧れるだけだったお尻でだって。
でもね、お尻を弄くってると、どうしてかいつもハカセのこと思い出しちゃうんだ。
ませてた中学生の頃に、ちょっと変わった話とかしただけなのにね。
……一緒にエッチなビデオを観たこと、ハカセは覚えてるかな。
あの時のこと、最近よく夢に見るんだ。あれがきっと、人生で一番ドキドキした日だったよ。
気持ち悪いって思われちゃうかもしれないけど、ハカセと別れたあの日から、まだ誰とも付き合えてないんだ。
アナルだって、まだ指を入れたぐらいで固いまんまなんだよ。
また、久しぶりに会って話がしたい。今度は大人と大人として、堂々とHな事に浸りたい。
この現金書留の2500円は、友達に教えてもらったハカセの家から、私のマンションまでの往復の電車賃。
迷惑じゃなかったら、また暇な時に遊びに来てほしいな。
でももしハカセに、他にもっと大切な人がいるなら、本当に少ない額だけど感謝の気持ちとして役立てて』
その文面の後に、マンションの詳しい住所と電話番号、そして山瀬の署名が続き、懐かしい文字は終わる。
変わっていない。
俺に対して甘えるようにワガママな所がそのままだ。
こっちだって新社会人としてやる事が多いというのに、自分都合で呼び出す身勝手さ。
俺との関係を一方的に終わらせ、失恋の痛みを味わわせておいて平然と便りを寄越す奔放さ。
そして、行間から滲み出る愛くるしさ。
断るなどという選択肢は端からなかった。
俺はつい昨日別れた友人と再び待ち合わせるような気楽さで、手紙の住所へと辿り着く。
軽く考えなければ、夢のような興奮に卒倒しそうだったから。
三重のセキュリティに護られたマンション16階、一戸建てを彷彿とさせる巨大な扉の奥に山瀬はいた。
「久しぶり、ハカセ!変わらないね」
俺を招き入れ、山瀬は微笑む。こちらとしてもほぼ印象通りだ。
昔よりやや伸びて腰近くまでを覆い、柔らかなウェーブを描く黒髪。
シンプルな藍色のカチューシャ。
白のワンピースと薄桃色のキャミソールに包まれた、スレンダーに整った身体。
胸や腰周りに落ち着きが加わったことで、昔よりもさらに令嬢らしさが増したように思える。
「そっちも、相変わらずだな。結構男に振り返られたりするだろ」
俺はそう問う。
答えを聞きたいというよりは、振り返られるような令嬢と話している、という現実を再確認するためだ。
本来、俺などには分不相応もいいところなのだから。
山瀬は口に手を当てて笑った。
「ふふ、ハカセも女たらしっぽいこと言うようになったね。
でもそうだね、大学ではお淑やかに振舞ってたから、色々と勘違いさせたかも」
山瀬は優雅に微笑みながら告げる。
確かに何も知らない状態でそれを見れば、穢れを知らない天女のようにも見えるだろう。
ただ、俺は何も知らない訳じゃない。
「リビング行こ」
山瀬は自然に俺の手を引き、部屋を奥へと進んでいく。
5人家族でも充分に暮らせそうな広さだ、一人暮らしでなら使わない部屋が幾つあることか。
「広い家でしょ」
俺の心を見透かしたかのように、先導する山瀬が声を投げた。
「………………寂しいんだよ」
山瀬はそう続け、リビングに入った瞬間に熱っぽい視線で俺を見上げる。
鼻の呼吸が阻害され、唇が柔らかなものに圧され、甘い香りが脳を突き抜けた瞬間、
ようやく俺は唇を奪われたのだと理解した。
胸が甘たるく蕩ける。キスをせがまれては仕方がない。
ここからは、この無防備すぎる令嬢を、好きなように穢していい時間のはずだ。
いい加減に気持ちを押し殺すのにも疲れた。
俺に対してだけ奔放なこのお嬢様があからさまな好意を向けてくるなら、
俺だって8年前から、山瀬愛美に抱いていた欲望のありったけをぶつけてやる。
今度はもう、“遊び”じゃない。
※
「……さあって。こんだけ浣腸すりゃあ、中は綺麗なもんだろう」
俺は凝り固まった肩を回し、山瀬の手足の縄を解きにかかった。
「う……ああ…………」
断続的な浣腸責めで蕩けたような顔をしたまま、山瀬の手足はだらしなく浴室のタイルに垂れる。
口の端にかすかな涎の跡が見え、乳首が角ばりはじめている。
かつての同級生にこれが山瀬愛美だと言って見せても信じないほどのだらしなさだ。
だがこのお嬢様にはこれから、もっと乱れて貰うことになる。
「ほら、寝室行くぞ」
器具の散乱した浴室の片付けは後回しにし、俺は山瀬を助け起こして寝室に向かった。
ダブルベッドの上に山瀬を寝かせ、俺も寝台に上がる。
「尻を上げてみろよ」
正座を崩す山瀬に、あえて高圧的に命じると、彼女は当惑するような瞳で這う格好を取った。
俺はその尻肉を掴んで押し広げ、窄まりに目をやる。
綺麗だ。
膣のように桜色とはいかないものの、やや濃い肌色で、浣腸によってかすかに開いている。
俺はそこに口をつけた。
「あっ!」
期待通りに上がる驚きの声。
浣腸した時にも思ったが、山瀬は中学の頃から変態じみた知識を備えていて、
なおかつそれから8年が経っているにも関わらず、肛門性感は初心なままだ。
指ぐらいは入れているかもしれないが、本格的な拡張は間違いなくやっていない固さ。
俺を想って取っておいたのであれば涙ぐましいものだが、いずれにせよ好都合だ。
俺は肛門の皺の周辺を舌で舐めまわしながら、じっくりと肛門性感を目覚めさせていく。
浣腸液で執拗に洗われたせいか、ほぼ無味無臭の肛門。
しかしそれが山瀬の、視界のすぐ横に伸びる美脚の持ち主の物だと思えば、美味に思えるのが不思議だ。
「ひゃっ……!!」
舌を蠢かすたび、山瀬は可愛らしい悲鳴を上げながら尻を震わせた。
俺はその反応を愉しみながら、さらに皺の一本一本までを舐め取り、
あるいは活火山のように盛り上がった尻孔そのものを強引に横断するかのごとく舌でなぞり上げる。
「はっ……う!!」
山瀬の声は明らかに感じているものだった。
俺はそんな山瀬に問いを投げる。
「なぁ山瀬。前に本で見たんだけどさ、女って、こうして四つん這いで尻穴を舐められたら、
色んな妄想を掻きたてられて異様に興奮するんだってさ。
丁寧に尻穴を舐められたら、クリトリスが熱くなって濡れてくるんだと。本当だと思うか?」
俺が問うと、山瀬は這ったまま身体を震わせて答えた。
「はっ……はっ……ほ、ほんとだと、思う…………。
犬みたいなこの格好も、おしり舐められてるのも、あそこ丸見えなのも、死ぬほど恥ずかしい。
おまけに、おしり自体もすごく気持ちよくて……ハカセがいなかったら、変な声いっぱい出しちゃうよ」
「どんな声なんだ?聞かせてみせてくれよ」
「嫌、絶対幻滅させるから……本当、そんな風な声なの……あぁおううっ!!?」
言葉の最中に、山瀬は妙な叫びを上げた。
俺が尻穴の隆起の真ん中に、尖らせた舌先を突き入れたからだ。
尻穴ではこれが一番気持ちがいい。そうアナルセックスの本にあった通りのようだ。
そこから俺は、山瀬の尻肉を掴んだまま尻穴を舐り続けた。
時に陰核にも刺激を与えつつ、尻の孔を丹念に唾液でふやかすように。
山瀬は何度も尻を振り、身を震わせて反応してくれた。
幻滅させるような変な声、というのが具体的にどれなのかははっきりしないが、
本当に気持ちいい時に脚の筋肉を引き締めながら『おおお』と呻きかけ、しかしそれを必死に堪える事から、
おそらくはそれを幻滅されると思っているらしい事が窺えた。
責め手としては、それほどに快感の凝縮された呻きなど、嬉しくこそあれ幻滅などする筈もないのに。
肛門の華が舐りで開いた頃、俺はようやく舌を止める。
山瀬は腰だけを高く突き上げたまま、上体をベッドに沈ませるだらしのない格好になっていた。
「はぁ、はぁ、へへ、どうだ。舌だけで、何回くらいイッたんだ?」
俺は息を荒げながら、山瀬が確実に達していた事を前提に訊く。
「……はーっ、はーーっ……さ、3回は、確実に……。で、でも、弱いのもいっぱい……」
余裕がないのか、曖昧な答えを返す山瀬。
これでも中学の時には、模試で全国12位を取った事もある才女だというのに。
俺はその山瀬の乱れっぷりがむしろ嬉しく、さらに壊したくなってくる。
すでに息は荒く、胸は興奮でつまり、勃起もかなり痛いほどになっているが、
それでもまだまだ山瀬の肛門を嬲ってふやかし、徹底的に快感を刷り込んでやりたかった。
「……次は指でやるぞ」
俺が興奮も露わに告げると、山瀬は力なくシーツへ身を沈ませたまま、かすかに期待するような瞳で見上げてくる。
俺は一旦ベッドを降り、部屋の隅にあった姿見を山瀬の正面に引きずってくる。
目的はもちろん、肛門への指責めを受ける山瀬の顔を拝むことだ。
「やだ……映っちゃう」
鏡に顔を映された山瀬が恥じらう表情を見せたが、俺は構わずワセリンを中指に付ける。
そうしてゆっくりとその中指を山瀬の尻穴へと送り込んだ。
「んふっ……」
山瀬は声を上げたが、舌で充分にほぐれた菊輪は易々と指の第一関節を呑み込んでしまう。
俺はそのまま菊輪を纏いつかせるようにして中指を前後させ、感触を確かめてから人差し指を添えた。
2本指での挿入。さすがに今度は、指を握りしめるような圧迫感が返ってくる。
「ふんんんっ……!!」
山瀬の声が鼻にかかったものに変わった。
「気持ちいいか?」
俺がそう聞いた時、鏡の中で動いた視線にどきりとする。
とろんとしながらも鋭く見上げるような、不思議な眼。
ただ解るのは、山瀬が催促しているという事だ。
「じゃあ、いくぞ」
俺は左の手で山瀬の左の尻肉を押し開き、右の2本指を動かし始める。
指先で腸の入り口の際を擦りあげるように。
第二関節で菊輪を刺激するように。
奥の深くで2本指を開き、腸粘膜を外気へ晒すように。
考えつく限りの心地よさを与えるべく、ぬめった山瀬の腸内で指を蠢かす。
効果はそれなりにあるようだった。
「あっ、ああっ、あうっ!!」
山瀬の唇から声が漏れる。
鏡には、柔らかく目を閉じたまま口を開き、何とも美人らしく喘ぐ顔があった。
改めて本当に可愛いと思う。お嬢様である事を差し引いても、そのルックスだけで特別たりえる。
それを意識すると、俄然指にも力が籠もった。
何度も何度も、呆れるほどに指を抜き差しし続ける。
その俺の動きに併せて、山瀬からああ、と声が漏れ、尻肉が引き締まり、すらりとした脚が強張る。
女らしいふくらはぎが盛り上がり、足の指がつらそうにシーツに沈み込む様は、何ともエロかった。
「どうだ、感じてるか?」
あえてそう問うと、山瀬は首を揺らして喘ぎながら頷いた。
「う、うん……す、凄く興奮して、もうクリトリスも痛いくらいに勃起してるの。
それがシーツに擦れて……もう何回も、いっちゃってる」
山瀬はそう言いながら、また反則的な背筋のラインを震わせる。
顔もまた色っぽいものだ。
目を閉じ、薄く開き、見開いて、様々に変化させながら瞳を惑わせる。
唇もパクパクと開閉しては涎を垂らすがままだった。
声はあっ、あんと甘たるい響きを漏らすのが基本だが、時おり俯くようにしながら「いくっ」と小さく呻くのが、
思わず抱きしめたくなるほど可愛らしい。
その声をもっと引き出したくて指を抜き差しし続ける。
腕が疲れると一旦動きを止めながら山瀬の身体のあちこちを愛撫し、また再開する。
それを繰り返すうち、やがて尻穴からぬちゃぬちゃと異なる音がし始めた。
おそらくは腸液が充分なほどに溢れ始めてきたのだろう。完全に感じているわけだ。
俺は肛門から、異様な粘液に塗れた指を引き抜いた。
菊輪がめくり返り、山瀬の桜色の唇がああっと艶めいた息を吐く。
指という責め手を失い、宿主の吐息に併せて喘ぐようにひくつく肛門。
それを見るうち、俺の興奮もいよいよ限界が来る。
「…………挿れて、いいか?」
俺はトランクスを脱ぎ捨てながら山瀬に訊いた。
鏡には、すでに惨めなほどに勃起しきり、先走りに濡れた欲望が映り込んでいる。
山瀬はそこに視界を向け、とびきりの優しい笑みをくれた。
「いいよ……はやく来て」
その声の響きさえ、首筋を羽毛で撫でられるようにこそばゆく、俺の理性を消し飛ばす。
俺はもう余裕もなく、山瀬の下半身を横向きに抱えるようにして亀頭を肛門へと宛がった。
すでに舌と指によってほぐれるだけほぐれた肛門。
そこは、亀頭を押し付けると、まるで優しく包み込むように俺の物を迎え入れた。
しかしそれでも、並ではないほど入り口の締め付けが強い。
「うっ!!」
挿入時のその呻き声は、俺のものか山瀬のものか解らなかった。
そのぐらい、どちらにとっても衝撃的だったから。
不安定な姿勢のまま挿入を迎え、そのまま射精感を堪えながら奥へと押し進む。
幸いというべきか、腸の奥へと入ってしまえば締め付けは緩い。
根元をリング状の菊輪で締め付けられる状態にすれば、とりあえず一息つけそうだ。
「あっ……い、今、は、入ってるんだよね……。
ハカセの熱くて硬いのが、私のおしりの穴に入っちゃってるんだよね?」
山瀬は鏡の向こうで、肩越しのこっちを振り返りながら言った。
夢にまで見た、とばかりの陶然とした表情で。
「ああ。あんだけほぐしたのに、反射で物凄い締め付けてきて射精ちまいそうだ」
俺は答えながら、文字通り体勢を立て直すべく山瀬の腰を抱え上げる。
そうして再び四つん這いの姿勢に戻すと、ゆっくりと逸物を引き抜き始めた。
「ぃひっ!……そ、その引かれるの、すごいぃ……!!」
山瀬が声を上げる。どうやら、カリ首が菊輪を抜け出る瞬間が効くらしい。
俺としてもその瞬間は刺激が強く射精の危険があるが、五分五分というところか。
「そんなにこれがいいのかよ?」
俺はあえて肛門付近で亀頭部分を抜き差しし、山瀬に声を上げさせる。
姿勢を安定させるべく山瀬の腰を掴むと、これがまたしっとりと手に吸い付くような肌触りで、
おまけに柔らかく暖かな極上の肉だ。
さらにはその奥、艶やかな黒髪の流れる白い背中にも汗が光っていて異常に艶かしい。
「くっ!!」
思わず幸福からの射精感を覚えて目線を伏せれば、山瀬の脚の間が視界に入った。
指での嬲りの最中、何度も絶頂を訴えていたそこからは、確かに銀の糸が垂れてシーツに蜜溜まりを作っている。
間違いなく俺が感じさせた証だ。俺が今、尻を犯しているこの高嶺の花に。
そう考えた瞬間、凄まじい射精感が玉袋を押し上げた。止めようもない。
「うううっ!!」
俺は呻き、亀頭を山瀬の菊輪に挟み込んだまま、動かすこともなく射精を迎えた。
「あっ、出てる……すごい出てるよ!」
山瀬が解りきったことを親切にも解説してくる。
俺は今までの人生でもかつてなかったほど強烈な射精感を浴びながら、陶然としていた。
「……お?」
しかし一連の濁流が過ぎ去った後、俺は違和感を覚える。
萎えない。一度射精をしたにも関わらず、ほとんど逸物の硬度が失われていない。
興奮しすぎているからか。射精までに溜め込んだ鬱憤が膨大すぎたからか。
ともかく、これでまだ楽しめる。心置きなく山瀬を犯せる。
「さて、まだまだこっからだぜ」
俺は山瀬の腰を掴みなおし、力強く腰を打ちつけた。
パンッ、パンッと肉を打ち付けあう小気味良い音が響く。
俺の強張った太腿と、山瀬のしなやかな裏腿がぶつかって生まれる音だ。
その音が鳴っているということは、俺の逸物が根元まで深々と山瀬の肛門に入り込んでいるということ。
「うう、うううっ……!!」
山瀬は胸の前に揃えた両手でシーツを掴みながら、歯を喰いしばって呻いていた。
苦しそうにも見える、けれども快感を必死に堪えているようにも俺には感じられた。
都合のいいように考えるしかない。どの道、もう止まれない。
バックスタイルで深く繋がったまま、俺は自ら寝台に尻餅をつくようにして山瀬の身体を抱え上げる。
俺の脚の間に山瀬が座り込み、後ろから抱きしめるような格好だ。
肛門の紅い輪が捲れ上がり、深々と突き刺さった逸物が引きずり出される様。
それに併せて熟れきった果実のような割れ目が嬉しげにひくつく様。
深く突きこまれるたびに引き締まるしなかやな腹筋に、波打つ太腿、弾むように上下する乳房。
それらの何もかもが鏡によって丸見えになってしまう。
「ふああ、ああ……あ…………!!!」
山瀬はそのあられもない姿を自分の目に焼き付けながら、何ともいえない悦びの声を上げた。
俺は自らベッドの上で跳ねるようになりながら山瀬の肛門を責め苛み、
どうしようもないほどの絶頂感が来ると深々と突き込む事で、奥の空洞で熱を冷ました。
そうして長く長く、山瀬お嬢様の汚らわしい部分を愛しぬいてやる。
彼女が悦ぶように。
「あああーーーっ!!!おおあああああああっっーーーーーー!!!!
いい、いいよおっ、はかせ、ハカセえぇっ!!!!」
山瀬はいよいよ喉の奥からの嬌声を吐き出しながら、俺の頭へ腕を回して口づけを求めてくる。
俺はそれに応えつつ、さらに激しく腰を打ち付ける。
まだまだ、まだまだ、今日という日は長い。
このセックスに精も根も尽き果てれば、今度は玩具を使って山瀬を愉しませてやる。
そうしてまた浣腸し、狂うほどに犯し抜いてやる。
あの頃の俺達が貪るように追い求めた、すべての知識を確かめ合うように……。
終わり
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