※ 前作『AV女優 冴草 里奈』最後のシーンの加筆。
若干NTRに類する表現があるかも。
『冴草 里奈 地獄イカせ20時間』
AVのタイトルにはそうある。
丸々4時間の映像を写したDVD五枚組みで、
それぞれのパッケージ表面に里奈の四時間刻みでの姿が印刷されている。
それを見るだけでも、中身の壮絶さが十分に予想できた。
最初のまるで聖母のような慈しみの表情が、一枚ごとに崩れていく。
髪はしなびたまま海草のように乱れ、体中がしとどな汗にまみれ、表情に正気は無くなり。
最後の一枚などは、涎を垂らしたまま完全に白目を剥いており、
言葉が通じるのかさえ疑わしい有り様だ。
「……凄い、里奈さん……」
駿介は、その壮絶な有り様を脳裏に刻み、想像という形での覚悟を決めた。
そして今一度生唾を飲み込んだ後、最初の一枚を取り出してデッキにセットする。
しばしの後、黒背景に白文字でタイトルが表示された。
続いて、やや小さめの文字で注釈が付けられている。
『※本作は、AV女優 冴草 里奈 自らの希望により、
女の性感の限界を追及するべく作り上げた作品である。
何十時間でも休むことなくこの大女優を責め続け、イカせ続ける。
その果てに失神しても決してやめないよう、彼女自身が切望している。
この究極の記録がどれだけの長さになるのかは、誰にも解らなかった。
そして全てが終わった今になって、私たちは自信を持って言える。
これは、AV界に革命をもたらす映像である、と……』
白文字は、BGMも環境音さえない無音の中で、無機質に表示されていた。
まるで、一切の演技を排したドキュメンタリーである事を強調するかのように。
白文字の次の場面では、里奈が早くもショーツ一枚の姿となり、
ベッドの上で仰向けに横たわっていた。
ショーツは青い華の描かれた、どこかティーカップの柄を思わせるような優雅なものだ。
それは若々しく整った里奈の肢体と合わさり、異様なほど色めいて映る。
本当に優れた身体だ。
仰向けになっていてもなお張りを保つ乳房、すっきりと締まった下腹。
かと思えば尻の肉付きは年相応の安定感があり、
また全体に伸びやかでありながらも男心をくすぐる太腿は芸術的だ。
現代版のヌードモデルとしてでも一世を風靡する事は間違いないだろう。
その里奈の身体がしばらく映された後、画面の端から2人の男の手が迫る。
浅黒く、血管の浮き出た老いを感じさせる手。
だがAV男優の物である以上、それだけ技巧を身につけた神の手ともいえる。
特に片方は現人神と言われる増谷準なのだから、半端であろうはずがない。
その2本の神の手が、里奈の身体に纏わりついて円熟の性感マッサージを施す。
一本は肩から腕へと揉み下ろし、腋の下をくすぐり、胸を愛しつつ、腹部の各所をほぐしていく。
一本は太腿から始まって内腿、膝、脛、くるぶし、足裏、そして足指の一本一本までを愛撫する。
初めは指のみで、やがてオイルを塗った状態で。
仰向けで身体の前面を丹念に愛撫し、やがてうつ伏せにして後ろ側を。
さらには里奈をベッドの上に座らせ、一方が胸を揉みしだき、もう一方が内腿を解していく。
見た目にはオイルのてかりがいやらしいだけの普通のマッサージだ。
しかし、熟練のAV男優2人によるマッサージが並であるはずがない。
事実、里奈の唇からは徐々に甘い声が漏れはじめていた。
「あっ……はっ、あん……くゥ……ん、あ、はぁっ…………!!」
熱い息を吐きながら、時おりぶるりと身もだえする里奈。
やや俯きがちな横顔は髪に隠れてよく見えないが、恐らく真剣な表情になっているだろう。
豊かな胸を、餅をこね回すように揉まれ、肉感的な腿は男の手の中で幾度も強張る。
その迷いのない手指の動きを見るだけでも、里奈の感じように説得力が出てくるかのようだ。
何十分かは続いただろうか。
里奈の身体に塗られたオイルが乾いた頃、彼女はベッドから椅子の上に移される。
それは肘掛けのない、背もたれだけのガラス椅子だった。
里奈はその座部に足裏を乗せるようにして座り込む。
すると画面の下から、マッサージ器が姿を現した。
一見すると何の変哲も無いが、駆動音がやけに騒々しい。
男がマッサージ器をガラス椅子の端に当てると、耳障りな音が響いた。
通常のものよりも威力が強く、また振動が細かになるよう改造されているらしい。
男の手はそれを見せつけたあと、焦らすようにしながら里奈のショーツへと押し当てる。
「んうっ!!」
里奈はぞくりと背筋を伸ばし、目を見開いた。
しかし逃げることなど許されない。
一人の男の手が、里奈の右脚を折り畳んだ状態のまま押さえ込む。
同じく左の膝にも男の手が置かれ、別の手が巧みにマッサージ器を操る。
「んんんんっ…………ふ、ううふんんんっっ……!!!!」
映像の中に、里奈の快感の呻きだけが響いた。
男優はしばし器具で里奈の恥じらいの場所を刺激すると、数秒の間器具を放す。
当然その間は、里奈のショーツの股布が晒されるままとなった。
内腿の窪みの中央、土手の部分の盛り上がったショーツ。
そこは器具が放されるにつれ、僅かずつ、僅かずつ透けていく。
愛液が溢れているのは間違いなかった。
あれだけ丹念にマッサージを受け、器具の振動を加えられれば当然のことだ。
けれどもショーツ以外の部分……艶かしい脚や、締まった腹部や、品のある顔が、
それを異常なほど淫靡な事態であるかのように錯覚させる。
“これほど清楚で良い女が濡らしているのか”という共通認識をもたらすのだ。
「んんっ……あうう、うんっ……あう、あっ……うんんんんむっっ……!!!!」
里奈の嬌声は、次第に間隔が短く、余裕の無いものに変わっていく。
やがて男の手に押さえつけられる両の膝が痙攣するようになり始め、
ある時ついに左脚が滑るように床へと降りた。
右脚はなお折り畳んだまま、左脚をカメラへ向かって突き出すような格好。
それは里奈の美脚をこれでもかとアピールする結果となり、観るものの興奮を煽る。
そしてこうなった時の里奈は、すでにある程度出来上がっていた。
マッサージ器の下からかすかに潤んだ音が漏れ、
露わになったショーツは桜色の割れ目をうっすらと透けて見せる。
伸ばした左脚がマッサージ器の振動に併せて震え、右の足指が椅子を掻くような仕草を見せる。
そうして散々に嬲った後で、ついにショーツが取り去られた。
「ひゅう、すげぇ……」
男優が思わず呟いたのも納得で、ショーツには股布へかすかに粘性の糸が引いていた。
秘裂は無論のこと蕩けきっており、男優は里奈に股を開かせた状態でそれをカメラに捉える。
椅子に腰掛けたまま、180度ほどの大股開き。
男優の手が、十分に湿った里奈の陰毛を掴むようにして弄くり、秘部を2本指で広げる。
「やっ……」
里奈は嫌がって脚を閉じようとするが、別の男が膝を押さえてそれを制した。
さらに先ほどの男優が、里奈の腿の上下から腕を回し、両手の2本指でしっかりと秘部を割りひらく。
ごく薄いモザイクが掛かっているとはいえ、赤い媚肉の有り様が露わとなっていた。
モザイクの関係なのかは定かでないが、赤い肉の中にかすかに白いものが映ってもいる。
「いや、映さないで!」
里奈も状況が解っているのだろう、小さく抗議を口にした。
しかし許されようはずがない。むしろ撮影は、ここからが本番と言ってもよかった。
ベッドに戻された里奈は、丸裸のまま、増谷準によって捕食された。
桜色の肌を晒した里奈が片脚を上げている。
その片脚は増谷の腕に抱え込まれ、腿の裏に口づけの雨を降らされている。
それだけではない。
増谷は脚を抱え込む腕で里奈の陰核を刺激し、さらに別の手で秘部を責め苛んでいる。
世界最高の技術を持つと言われる増谷による『手マン』。
この牙に捕らえられて、たとえ大ベテランンの里奈とて逃れる術などあろうはずもない。
「ああっ!!ああう、いやっ!!ああ、はあああううううっっ!!!!!」
里奈は叫びを上げながら、増谷の技術に溺れていた。
片脚を高く掲げたまま、陰核を中指と人差し指に挟まれて転がされ、
秘部を抉り込むように2本指で穿たれる。
2分ともたなかった。
瞳を閉じ、唇を半開きにしたまま耐えて一分余り、里奈は一度目の潮を噴く。
この撮影でのベッドシーツは紫色のものが用いられており、
豪奢で妖艶な空間を作り出すと共に、体液を撒き散らした部分が黒ずんではっきり解るようになっていた。
そのシーツへ飛沫が飛び、いくつかの黒い斑点を形成する。
「あっ、はぁっ、い、いっちゃ……った…………」
里奈が喘ぎながら声を漏らす。しかし、それで終わるはずがない。
増谷は里奈が潮を噴いた直後から、再び黙々と指を繰り始めた。
「ふぅうあああああっ!!?」
里奈は驚きの声を上げるものの、すぐに快感に呑まれ、同じ姿勢のまま2度目の潮噴きを迎えさせられる。
二度目は最初よりも勢いがよく、シーツの遠くに広範囲の斑点を残した。
「あ、すごっ……い……」
里奈がさらに荒い喘ぎで呟いた。
しかし、増谷の指責めはなお終わらない。
増谷は、捕まえていた片脚をさらに前方……里奈の胸へ付くほどに倒す。
さらに別の脚も同じようにし、紅い秘部が真上を向く格好を取らせた。
愛液が尻の割れ目を伝い、紫のシーツへと立て続けに滴る。
「あ……う……!」
里奈が小さく声を漏らす中、別の男優が彼女の足首を掴んだ。
そうして姿勢を戻せなくなった所で、再び熟練の指責めが彼女を襲う。
「ああ、あ、ひゃあああああっ!!?」
弱いながらも悲鳴がと呼ぶべきもの上がっていた。
愛液が次々と尻肉を伝っていく様が、カメラにはっきりと映り込んでいる。
やがて為すすべも無く三度目の潮噴きを迎えた里奈は、自らの顔に盛大に体液を浴びた。
自分自身の潮が滴り落ちる顔は、何ともいえず惨めで性的だ。
増谷は、自らの技巧の極みを里奈の身体で表現しようとするかのごとく、
その後も立て続けに里奈に潮を噴かせ続けた。
様々な体勢が取らされた。
里奈は絶え間なく悲鳴を上げ、唇の端から涎を垂らしてその責めに晒され続ける。
特に最後、大股を開いたまま腰を浮かせる姿勢で潮を噴かされるシーンは凄まじかった。
口内一杯に快感の唾液を満たし、それを溢れさせながら、いくいくいくいく、と必死な声を絞り出していたのだから。
とはいえ、両脚は中腰の姿勢でガクガクと震え続け、
ベッドシーツも潮の噴きすぎで一面小雨にあったようになっていたため、当然の事ではある。
増谷の腕にしとどな愛蜜を伝わせ、十数度に及ぶ立て続けの潮噴きを経た後、
ようやくに里奈は一旦解放される。
しかし豊かな胸を上下させて喘ぐ彼女には、間髪与えず次の責め苦が課せられるのだった。
幾度もの潮噴きを迎えた里奈を待っていたのは、無機質な機械だ。
遠慮もなく、容赦もなく、蕩けきった里奈の柔肉を責め苛むマシンディルド。
初めはソファに深く腰掛けた状態で、足の裏が上向くように脚を持ち上げられ、
むき出しの秘部にハンディサイズのマシンが押し込まれた。
しかし、サイズは小さくとも振動は人間の受容力を凌駕している。
当然里奈は、あっあっと震えるような声を上げながら、断続的に小さな絶頂に至らしめられた。
「ほぉーらどうして、あそこがもうグチャグチャじゃねぇか。
男優泣かせの冴草 里奈ご自慢の持ち物がよ!」
機械を操る男が、どこか真に迫った様子で罵りながら機械の引き金を引く。
奥の深くでディルドに暴れられ、里奈は苦しげに目を細めながら震え上がるしかない。
そのまま何度絶頂を迎えさせられただろうか。
やがて里奈は、別の一人掛け用の革椅子に移され、いよいよ本格的に緊縛された。
大きく股を開かされたまま、座部の下を通る縄で太腿の数箇所を結わえられ、
両足の裏も椅子の根元に密着させたまま、草鞋でも履くように幾重もの縄で結び付けられる。
さらには両腕も腋を完全に晒す形で、背もたれの後ろに回されてしまう。
それはまるで、相当に強く暴れる事があらかじめ想定されているかのように。
「やだ、これ動けない……!」
里奈もこの窮屈さには驚きの声を上げた。
そしてその瞳は、目の前に現れたマシンを見て、一際大きく見開かれる。
まるで映画に出てくるエイリアンだ。
物々しい骨組みに、無数の配線、六つ脚で地面に根ざす異形。
それは舌を突き出すようにゆっくりとアームを伸ばし、先端の責め具を里奈の潤みに沈み込ませる。
膣だけでなく、陰核部分にも柔らかなブラシが宛がわれているようだ。
その極楽への責め具は、いくつかの稼動部を唸らせながら厳かに動作を始めた。
「うぁああああああああ、あっああああっ!!!
はぁあああああうあああああ゛あ゛あ゛あ゛う゛っっ!!!!!」
里奈の叫び声が響く。
彼女は顔を引き攣らせ、脚を強張らせて深くを抉る機械責めに反応していた。
拘束に携わった男達が彼女を取り囲み、至近距離でその狂乱を見下ろしている。
まるで処刑か、何かの儀式のように。
里奈の反応は大きかった。
しかし身体は厳重に拘束されているため、その感覚は頭の振りによってのみ表される。
初めこそ歯を喰いしばって高貴さを残していた里奈の表情は、
10分を過ぎる頃には大口を開けて涎を垂らすだらしのないものに変わっていった。
艶やかな黒髪を振り乱し、右へ左へ、天を仰ぐようにと乱れ狂う。
秘部からは機械の強烈な抜き差しに合わせ、しとどな愛液が飛沫いている。
里奈を取り囲む男優達は、彼女の身体から発散されるあらゆる体液を口に受けながら笑った。
男を手玉に取るクイーンのあられもない姿が、よほど珍しいのだろう。
里奈はその好奇の視線に囲まれながら、幾度も、幾度も繰り返し極まっていた。
そのまま、実に50分。
里奈は、椅子の背もたれに肩を預け、上体が半分ずり落ちるようになりながら責め苦を受け続けていた。
顔をアップに捉えた映像には、泣き腫らした涙まみれの表情が映り込んでいる。
秘部周辺を捉えるカメラは、夥しい愛液の飛沫に塗れ、ほぼ映像機の役目を果たしていない。
それでも水滴の間から、悲惨な状態と成り果てている椅子の下部が覗き見えた。
ぽたぽたと滴る愛液の雫だけが、唯一平和に見える光景。
「おおおおおおお゛お゛っ、あああお゛っ!!!!
んおおおおお゛あぐおおおお゛おお、はああああおおお゛お゛お゛お゛っ!!!!!」
里奈の叫び声も、およそ美しい女が発するものとは思えないものになっている。
余りにも異質すぎる咆哮は、どれほどの快感が巡っているのか想像する事も困難にする。
「凄いよね。もう完全にポルチオ性感が極まっちゃってるんだよね、あれ。
男じゃ一生味わえないような深い快感が、津波のように襲ってるの。
でも多分、それでも自我を保ってるよ、彼女。女ってホントに強いよね」
増谷による、独白のようなカメラへの語りかけが印象的だった。
「ごぉおおおおお゛ぉおおほおおう゛う゛っっ!!!!!」
さらに五分後。
里奈は絶え間ない突き込みの果てに小便を噴き零し、それと共に失神した。
背が反り返り、椅子の背もたれに手首だけで引っ掛かるようになった里奈。
背後のカメラで映されたその顔は、鼻水と涎の混合液が逆立った髪の間を滴り落ち、
両の眼が上を剥いた凄まじいものだ。
美しいとは到底言いがたい。しかしそれは芸術的で、心に直接染みてくる何かがあった。
機械で散々に快楽を仕込まれた里奈は、それでもなお休めない。
満を持してといった様子で、水分を補給する彼女の傍に東南系の顔をした青年が座り込む。
ポリネシアンセックスを身につけた男優として、数は少ないがコアなファンのいる男だ。
彼はすでに快楽に蕩けきっている里奈へ、蕩けるような口づけを与える。
未熟な男ならキスだけで射精に導く里奈は、しかしその口づけに翻弄されていた。
瞳を合わせながら、鼻息を通じさせ、唾液を交換し、熱い吐息を送りあう。
やがて自然な動きで男が身体を重ね、里奈の中へと挿入を果たす。
しかし動かさない。
あくまで里奈と唇を貪りあい、その肉感的な身体を愛撫する。
繋がりあったまま局所のみを微動だにさせず、それ以外の里奈の全てをほぐしていく。
「……あつい……」
やがて、里奈の唇からその言葉が漏れた。
まるで性の快感を初めて仕込まれた生娘のように、澄みきった瞳で吐息を吐きだす。
そして数秒後、彼女の腰がびゅくんと跳ね、何もしない内に絶頂を迎えた事を明らかにする。
「はぁ、はぁ、はッ、はぁっ……!!!」
里奈は男に抱きしめられたまま、汗をびっしょりと掻き、ひたすらに荒い息を男の耳に吐きかけていた。
ただ奥深くで繋がっているだけの、何の変化もない光景。
しかし里奈と男は、その最中に何度も不意の射精と絶頂を繰り返しているようだった。
ただ呼吸だけが、荒くなる。
やがて耐え切れなくなったのか、里奈の尻肉がシーツに音を立てた。
「動いちゃだめだよ」
男が優しくその尻肉を押さえて囁く。
里奈はつらそうに何度か首を振り、伸びやかな脚の先でシーツを掴むような仕草を見せる。
やがて男が口の端を緩め、ゆっくりと逸物を抜いた。
すると抜け出る瞬間、里奈の秘部から夥しい量の潮があふれ出す。
理解に苦しむ現象。
しかし潮吹きは、それが現実だと主張するかのごとく長く続いた。
コップ一杯ほどの量。
それが終わった後、青年は再び表情を無にして里奈の奥深くへ入り込む。
しばらく深くで交わったまま髪やうなじを愛し、ほんの少し腰を動かす。
ちゃぷっちゃぷっとカメラにも拾われるほどの水の音がした。
そして抜き出されると、長い失禁。
「あ……ああ、はぁあああっ…………」
里奈にも自分の身体の現状が理解できないらしく、目を見開いたまま秘部を凝視する。
この不気味ともいえる結合は、やがて里奈が昂ぶりの末に過呼吸を起こし、
もうやめてくれと言わんばかりに青年の腰を押しのけるまで続けられた。
明らかにひどい状態だった。
しかし、地獄はまだ終わらない。
女の真の限界を追究することが目的のこのビデオは、これでもなお彼女を許さない。
これまでの焦らしに次ぐ焦らしで暴発寸前となっている男優の数は、10人ではきかないのだから。
「ああああ゛あ゛おおお゛お゛お゛、
ッはぉあああああ゛あぐんはあああおおうう゛っっ!!!!」
ベッドの上に狂乱の声が響き渡っていた。
寝そべった男に跨り、彼の膝に後ろ手をつきながら腰を上下させ続ける里奈。
完全に快楽の虜となった彼女は、いくら酷い状態になると解っていても腰を止められない。
豊かな乳房を上下させ、はしたなく開いた脚の先で、さも心地良さそうに足指を広げ、快楽の深層に入り浸る。
無論、彼女が跨るばかりではない。
ある時は脛が頬につくほどの深い屈曲位で、子宮の深くを掘り下げられる。
ある時は両脚を天へ向けて伸ばした状態で、狭くなった膣の中を太い物で抉り回される。
ある時には犬のように這わされ、ガクガクと痙攣を続ける下半身を何の容赦もなく突き込まれる。
男の首に腕を回してなんとか姿勢を保ちながら、中腰で繋がり続けもした。
背面座位で弱い部分を突き上げられ、何度も潮を放出もした。
「こっちも綺麗にしてるだろうな」
その言葉と共に後ろの孔を犯され、前後から挟み込まれた上に口にまで男の猛りを咥えさせられることさえあった。
何十という逞しい男が里奈に群がり、四方八方から絶え間なく犯し続ける。
ギシギシという安物のベッドの軋みは、数秒たりとも止むことがない。
紫のシーツは、いつしかまるで濃い染みの部分が基調であるかのようになっている。
大股を開いて突かれ、やわらかな身体の脚の部分にだけ、たまらなさそうに筋肉を盛り上げる里奈。
「んんあああ、ああっあ゛あ゛あ゛もうっ、もうだめえええぇっ!!!
うあああくるうっ くるっちゃうう゛っ!!!
ああ゛あ、おぐ、おぐがっ、お゛ぐがすごひいいいい゛い゛い゛っっ!!!!!」
そこには微塵の余裕もない。欠片ほどの正気もない。
ただ快楽の果てにある者を疾走して追い求めるかのように、一心不乱の性交を続けている。
それは何時間続いていただろう。
脱水症状を起こしかければペットボトルの水を飲ませ、
セックス地獄のあまりの快楽に気を失えば、やはり激しい犯しをもって目覚めさせる。
涙を零し、涎を垂らし、失禁し、失神し。
その全てを、あます所なく数台のカメラが捉えていた。
やがて飽和しすぎた快楽で艶かしい身体が痙攣を起こし、泡を噴いて昏倒するその瞬間まで。
最後は男優達と救急隊員の喧騒の中、白目を剥いた里奈が担架で運ばれる姿が映り、20時間に及ぶ映像は幕を閉じる。
あまりにも、あまりにも凄まじすぎる状況。
丸一日をかけてそれを観終えた駿介は、ただ言葉を失っていた。
幾度も幾度も自ら慰め、逸物が痺れるほどになっている。それでも興奮が収まらない。
これが、里奈の本気。
彼に示したかったという、AV女優としての頂の光景。
駿介はそれを、一度の鑑賞では受け止め切れなかった。波に呑まれるがままだった。
「もう一度だ……」
彼は再び一枚目を手に取り、再生を始める。
映像の全てを咀嚼しきり、里奈という女性の価値観を、真に共有できるようになるまで……。
終わり
続きを読む
若干NTRに類する表現があるかも。
『冴草 里奈 地獄イカせ20時間』
AVのタイトルにはそうある。
丸々4時間の映像を写したDVD五枚組みで、
それぞれのパッケージ表面に里奈の四時間刻みでの姿が印刷されている。
それを見るだけでも、中身の壮絶さが十分に予想できた。
最初のまるで聖母のような慈しみの表情が、一枚ごとに崩れていく。
髪はしなびたまま海草のように乱れ、体中がしとどな汗にまみれ、表情に正気は無くなり。
最後の一枚などは、涎を垂らしたまま完全に白目を剥いており、
言葉が通じるのかさえ疑わしい有り様だ。
「……凄い、里奈さん……」
駿介は、その壮絶な有り様を脳裏に刻み、想像という形での覚悟を決めた。
そして今一度生唾を飲み込んだ後、最初の一枚を取り出してデッキにセットする。
しばしの後、黒背景に白文字でタイトルが表示された。
続いて、やや小さめの文字で注釈が付けられている。
『※本作は、AV女優 冴草 里奈 自らの希望により、
女の性感の限界を追及するべく作り上げた作品である。
何十時間でも休むことなくこの大女優を責め続け、イカせ続ける。
その果てに失神しても決してやめないよう、彼女自身が切望している。
この究極の記録がどれだけの長さになるのかは、誰にも解らなかった。
そして全てが終わった今になって、私たちは自信を持って言える。
これは、AV界に革命をもたらす映像である、と……』
白文字は、BGMも環境音さえない無音の中で、無機質に表示されていた。
まるで、一切の演技を排したドキュメンタリーである事を強調するかのように。
白文字の次の場面では、里奈が早くもショーツ一枚の姿となり、
ベッドの上で仰向けに横たわっていた。
ショーツは青い華の描かれた、どこかティーカップの柄を思わせるような優雅なものだ。
それは若々しく整った里奈の肢体と合わさり、異様なほど色めいて映る。
本当に優れた身体だ。
仰向けになっていてもなお張りを保つ乳房、すっきりと締まった下腹。
かと思えば尻の肉付きは年相応の安定感があり、
また全体に伸びやかでありながらも男心をくすぐる太腿は芸術的だ。
現代版のヌードモデルとしてでも一世を風靡する事は間違いないだろう。
その里奈の身体がしばらく映された後、画面の端から2人の男の手が迫る。
浅黒く、血管の浮き出た老いを感じさせる手。
だがAV男優の物である以上、それだけ技巧を身につけた神の手ともいえる。
特に片方は現人神と言われる増谷準なのだから、半端であろうはずがない。
その2本の神の手が、里奈の身体に纏わりついて円熟の性感マッサージを施す。
一本は肩から腕へと揉み下ろし、腋の下をくすぐり、胸を愛しつつ、腹部の各所をほぐしていく。
一本は太腿から始まって内腿、膝、脛、くるぶし、足裏、そして足指の一本一本までを愛撫する。
初めは指のみで、やがてオイルを塗った状態で。
仰向けで身体の前面を丹念に愛撫し、やがてうつ伏せにして後ろ側を。
さらには里奈をベッドの上に座らせ、一方が胸を揉みしだき、もう一方が内腿を解していく。
見た目にはオイルのてかりがいやらしいだけの普通のマッサージだ。
しかし、熟練のAV男優2人によるマッサージが並であるはずがない。
事実、里奈の唇からは徐々に甘い声が漏れはじめていた。
「あっ……はっ、あん……くゥ……ん、あ、はぁっ…………!!」
熱い息を吐きながら、時おりぶるりと身もだえする里奈。
やや俯きがちな横顔は髪に隠れてよく見えないが、恐らく真剣な表情になっているだろう。
豊かな胸を、餅をこね回すように揉まれ、肉感的な腿は男の手の中で幾度も強張る。
その迷いのない手指の動きを見るだけでも、里奈の感じように説得力が出てくるかのようだ。
何十分かは続いただろうか。
里奈の身体に塗られたオイルが乾いた頃、彼女はベッドから椅子の上に移される。
それは肘掛けのない、背もたれだけのガラス椅子だった。
里奈はその座部に足裏を乗せるようにして座り込む。
すると画面の下から、マッサージ器が姿を現した。
一見すると何の変哲も無いが、駆動音がやけに騒々しい。
男がマッサージ器をガラス椅子の端に当てると、耳障りな音が響いた。
通常のものよりも威力が強く、また振動が細かになるよう改造されているらしい。
男の手はそれを見せつけたあと、焦らすようにしながら里奈のショーツへと押し当てる。
「んうっ!!」
里奈はぞくりと背筋を伸ばし、目を見開いた。
しかし逃げることなど許されない。
一人の男の手が、里奈の右脚を折り畳んだ状態のまま押さえ込む。
同じく左の膝にも男の手が置かれ、別の手が巧みにマッサージ器を操る。
「んんんんっ…………ふ、ううふんんんっっ……!!!!」
映像の中に、里奈の快感の呻きだけが響いた。
男優はしばし器具で里奈の恥じらいの場所を刺激すると、数秒の間器具を放す。
当然その間は、里奈のショーツの股布が晒されるままとなった。
内腿の窪みの中央、土手の部分の盛り上がったショーツ。
そこは器具が放されるにつれ、僅かずつ、僅かずつ透けていく。
愛液が溢れているのは間違いなかった。
あれだけ丹念にマッサージを受け、器具の振動を加えられれば当然のことだ。
けれどもショーツ以外の部分……艶かしい脚や、締まった腹部や、品のある顔が、
それを異常なほど淫靡な事態であるかのように錯覚させる。
“これほど清楚で良い女が濡らしているのか”という共通認識をもたらすのだ。
「んんっ……あうう、うんっ……あう、あっ……うんんんんむっっ……!!!!」
里奈の嬌声は、次第に間隔が短く、余裕の無いものに変わっていく。
やがて男の手に押さえつけられる両の膝が痙攣するようになり始め、
ある時ついに左脚が滑るように床へと降りた。
右脚はなお折り畳んだまま、左脚をカメラへ向かって突き出すような格好。
それは里奈の美脚をこれでもかとアピールする結果となり、観るものの興奮を煽る。
そしてこうなった時の里奈は、すでにある程度出来上がっていた。
マッサージ器の下からかすかに潤んだ音が漏れ、
露わになったショーツは桜色の割れ目をうっすらと透けて見せる。
伸ばした左脚がマッサージ器の振動に併せて震え、右の足指が椅子を掻くような仕草を見せる。
そうして散々に嬲った後で、ついにショーツが取り去られた。
「ひゅう、すげぇ……」
男優が思わず呟いたのも納得で、ショーツには股布へかすかに粘性の糸が引いていた。
秘裂は無論のこと蕩けきっており、男優は里奈に股を開かせた状態でそれをカメラに捉える。
椅子に腰掛けたまま、180度ほどの大股開き。
男優の手が、十分に湿った里奈の陰毛を掴むようにして弄くり、秘部を2本指で広げる。
「やっ……」
里奈は嫌がって脚を閉じようとするが、別の男が膝を押さえてそれを制した。
さらに先ほどの男優が、里奈の腿の上下から腕を回し、両手の2本指でしっかりと秘部を割りひらく。
ごく薄いモザイクが掛かっているとはいえ、赤い媚肉の有り様が露わとなっていた。
モザイクの関係なのかは定かでないが、赤い肉の中にかすかに白いものが映ってもいる。
「いや、映さないで!」
里奈も状況が解っているのだろう、小さく抗議を口にした。
しかし許されようはずがない。むしろ撮影は、ここからが本番と言ってもよかった。
ベッドに戻された里奈は、丸裸のまま、増谷準によって捕食された。
桜色の肌を晒した里奈が片脚を上げている。
その片脚は増谷の腕に抱え込まれ、腿の裏に口づけの雨を降らされている。
それだけではない。
増谷は脚を抱え込む腕で里奈の陰核を刺激し、さらに別の手で秘部を責め苛んでいる。
世界最高の技術を持つと言われる増谷による『手マン』。
この牙に捕らえられて、たとえ大ベテランンの里奈とて逃れる術などあろうはずもない。
「ああっ!!ああう、いやっ!!ああ、はあああううううっっ!!!!!」
里奈は叫びを上げながら、増谷の技術に溺れていた。
片脚を高く掲げたまま、陰核を中指と人差し指に挟まれて転がされ、
秘部を抉り込むように2本指で穿たれる。
2分ともたなかった。
瞳を閉じ、唇を半開きにしたまま耐えて一分余り、里奈は一度目の潮を噴く。
この撮影でのベッドシーツは紫色のものが用いられており、
豪奢で妖艶な空間を作り出すと共に、体液を撒き散らした部分が黒ずんではっきり解るようになっていた。
そのシーツへ飛沫が飛び、いくつかの黒い斑点を形成する。
「あっ、はぁっ、い、いっちゃ……った…………」
里奈が喘ぎながら声を漏らす。しかし、それで終わるはずがない。
増谷は里奈が潮を噴いた直後から、再び黙々と指を繰り始めた。
「ふぅうあああああっ!!?」
里奈は驚きの声を上げるものの、すぐに快感に呑まれ、同じ姿勢のまま2度目の潮噴きを迎えさせられる。
二度目は最初よりも勢いがよく、シーツの遠くに広範囲の斑点を残した。
「あ、すごっ……い……」
里奈がさらに荒い喘ぎで呟いた。
しかし、増谷の指責めはなお終わらない。
増谷は、捕まえていた片脚をさらに前方……里奈の胸へ付くほどに倒す。
さらに別の脚も同じようにし、紅い秘部が真上を向く格好を取らせた。
愛液が尻の割れ目を伝い、紫のシーツへと立て続けに滴る。
「あ……う……!」
里奈が小さく声を漏らす中、別の男優が彼女の足首を掴んだ。
そうして姿勢を戻せなくなった所で、再び熟練の指責めが彼女を襲う。
「ああ、あ、ひゃあああああっ!!?」
弱いながらも悲鳴がと呼ぶべきもの上がっていた。
愛液が次々と尻肉を伝っていく様が、カメラにはっきりと映り込んでいる。
やがて為すすべも無く三度目の潮噴きを迎えた里奈は、自らの顔に盛大に体液を浴びた。
自分自身の潮が滴り落ちる顔は、何ともいえず惨めで性的だ。
増谷は、自らの技巧の極みを里奈の身体で表現しようとするかのごとく、
その後も立て続けに里奈に潮を噴かせ続けた。
様々な体勢が取らされた。
里奈は絶え間なく悲鳴を上げ、唇の端から涎を垂らしてその責めに晒され続ける。
特に最後、大股を開いたまま腰を浮かせる姿勢で潮を噴かされるシーンは凄まじかった。
口内一杯に快感の唾液を満たし、それを溢れさせながら、いくいくいくいく、と必死な声を絞り出していたのだから。
とはいえ、両脚は中腰の姿勢でガクガクと震え続け、
ベッドシーツも潮の噴きすぎで一面小雨にあったようになっていたため、当然の事ではある。
増谷の腕にしとどな愛蜜を伝わせ、十数度に及ぶ立て続けの潮噴きを経た後、
ようやくに里奈は一旦解放される。
しかし豊かな胸を上下させて喘ぐ彼女には、間髪与えず次の責め苦が課せられるのだった。
幾度もの潮噴きを迎えた里奈を待っていたのは、無機質な機械だ。
遠慮もなく、容赦もなく、蕩けきった里奈の柔肉を責め苛むマシンディルド。
初めはソファに深く腰掛けた状態で、足の裏が上向くように脚を持ち上げられ、
むき出しの秘部にハンディサイズのマシンが押し込まれた。
しかし、サイズは小さくとも振動は人間の受容力を凌駕している。
当然里奈は、あっあっと震えるような声を上げながら、断続的に小さな絶頂に至らしめられた。
「ほぉーらどうして、あそこがもうグチャグチャじゃねぇか。
男優泣かせの冴草 里奈ご自慢の持ち物がよ!」
機械を操る男が、どこか真に迫った様子で罵りながら機械の引き金を引く。
奥の深くでディルドに暴れられ、里奈は苦しげに目を細めながら震え上がるしかない。
そのまま何度絶頂を迎えさせられただろうか。
やがて里奈は、別の一人掛け用の革椅子に移され、いよいよ本格的に緊縛された。
大きく股を開かされたまま、座部の下を通る縄で太腿の数箇所を結わえられ、
両足の裏も椅子の根元に密着させたまま、草鞋でも履くように幾重もの縄で結び付けられる。
さらには両腕も腋を完全に晒す形で、背もたれの後ろに回されてしまう。
それはまるで、相当に強く暴れる事があらかじめ想定されているかのように。
「やだ、これ動けない……!」
里奈もこの窮屈さには驚きの声を上げた。
そしてその瞳は、目の前に現れたマシンを見て、一際大きく見開かれる。
まるで映画に出てくるエイリアンだ。
物々しい骨組みに、無数の配線、六つ脚で地面に根ざす異形。
それは舌を突き出すようにゆっくりとアームを伸ばし、先端の責め具を里奈の潤みに沈み込ませる。
膣だけでなく、陰核部分にも柔らかなブラシが宛がわれているようだ。
その極楽への責め具は、いくつかの稼動部を唸らせながら厳かに動作を始めた。
「うぁああああああああ、あっああああっ!!!
はぁあああああうあああああ゛あ゛あ゛あ゛う゛っっ!!!!!」
里奈の叫び声が響く。
彼女は顔を引き攣らせ、脚を強張らせて深くを抉る機械責めに反応していた。
拘束に携わった男達が彼女を取り囲み、至近距離でその狂乱を見下ろしている。
まるで処刑か、何かの儀式のように。
里奈の反応は大きかった。
しかし身体は厳重に拘束されているため、その感覚は頭の振りによってのみ表される。
初めこそ歯を喰いしばって高貴さを残していた里奈の表情は、
10分を過ぎる頃には大口を開けて涎を垂らすだらしのないものに変わっていった。
艶やかな黒髪を振り乱し、右へ左へ、天を仰ぐようにと乱れ狂う。
秘部からは機械の強烈な抜き差しに合わせ、しとどな愛液が飛沫いている。
里奈を取り囲む男優達は、彼女の身体から発散されるあらゆる体液を口に受けながら笑った。
男を手玉に取るクイーンのあられもない姿が、よほど珍しいのだろう。
里奈はその好奇の視線に囲まれながら、幾度も、幾度も繰り返し極まっていた。
そのまま、実に50分。
里奈は、椅子の背もたれに肩を預け、上体が半分ずり落ちるようになりながら責め苦を受け続けていた。
顔をアップに捉えた映像には、泣き腫らした涙まみれの表情が映り込んでいる。
秘部周辺を捉えるカメラは、夥しい愛液の飛沫に塗れ、ほぼ映像機の役目を果たしていない。
それでも水滴の間から、悲惨な状態と成り果てている椅子の下部が覗き見えた。
ぽたぽたと滴る愛液の雫だけが、唯一平和に見える光景。
「おおおおおおお゛お゛っ、あああお゛っ!!!!
んおおおおお゛あぐおおおお゛おお、はああああおおお゛お゛お゛お゛っ!!!!!」
里奈の叫び声も、およそ美しい女が発するものとは思えないものになっている。
余りにも異質すぎる咆哮は、どれほどの快感が巡っているのか想像する事も困難にする。
「凄いよね。もう完全にポルチオ性感が極まっちゃってるんだよね、あれ。
男じゃ一生味わえないような深い快感が、津波のように襲ってるの。
でも多分、それでも自我を保ってるよ、彼女。女ってホントに強いよね」
増谷による、独白のようなカメラへの語りかけが印象的だった。
「ごぉおおおおお゛ぉおおほおおう゛う゛っっ!!!!!」
さらに五分後。
里奈は絶え間ない突き込みの果てに小便を噴き零し、それと共に失神した。
背が反り返り、椅子の背もたれに手首だけで引っ掛かるようになった里奈。
背後のカメラで映されたその顔は、鼻水と涎の混合液が逆立った髪の間を滴り落ち、
両の眼が上を剥いた凄まじいものだ。
美しいとは到底言いがたい。しかしそれは芸術的で、心に直接染みてくる何かがあった。
機械で散々に快楽を仕込まれた里奈は、それでもなお休めない。
満を持してといった様子で、水分を補給する彼女の傍に東南系の顔をした青年が座り込む。
ポリネシアンセックスを身につけた男優として、数は少ないがコアなファンのいる男だ。
彼はすでに快楽に蕩けきっている里奈へ、蕩けるような口づけを与える。
未熟な男ならキスだけで射精に導く里奈は、しかしその口づけに翻弄されていた。
瞳を合わせながら、鼻息を通じさせ、唾液を交換し、熱い吐息を送りあう。
やがて自然な動きで男が身体を重ね、里奈の中へと挿入を果たす。
しかし動かさない。
あくまで里奈と唇を貪りあい、その肉感的な身体を愛撫する。
繋がりあったまま局所のみを微動だにさせず、それ以外の里奈の全てをほぐしていく。
「……あつい……」
やがて、里奈の唇からその言葉が漏れた。
まるで性の快感を初めて仕込まれた生娘のように、澄みきった瞳で吐息を吐きだす。
そして数秒後、彼女の腰がびゅくんと跳ね、何もしない内に絶頂を迎えた事を明らかにする。
「はぁ、はぁ、はッ、はぁっ……!!!」
里奈は男に抱きしめられたまま、汗をびっしょりと掻き、ひたすらに荒い息を男の耳に吐きかけていた。
ただ奥深くで繋がっているだけの、何の変化もない光景。
しかし里奈と男は、その最中に何度も不意の射精と絶頂を繰り返しているようだった。
ただ呼吸だけが、荒くなる。
やがて耐え切れなくなったのか、里奈の尻肉がシーツに音を立てた。
「動いちゃだめだよ」
男が優しくその尻肉を押さえて囁く。
里奈はつらそうに何度か首を振り、伸びやかな脚の先でシーツを掴むような仕草を見せる。
やがて男が口の端を緩め、ゆっくりと逸物を抜いた。
すると抜け出る瞬間、里奈の秘部から夥しい量の潮があふれ出す。
理解に苦しむ現象。
しかし潮吹きは、それが現実だと主張するかのごとく長く続いた。
コップ一杯ほどの量。
それが終わった後、青年は再び表情を無にして里奈の奥深くへ入り込む。
しばらく深くで交わったまま髪やうなじを愛し、ほんの少し腰を動かす。
ちゃぷっちゃぷっとカメラにも拾われるほどの水の音がした。
そして抜き出されると、長い失禁。
「あ……ああ、はぁあああっ…………」
里奈にも自分の身体の現状が理解できないらしく、目を見開いたまま秘部を凝視する。
この不気味ともいえる結合は、やがて里奈が昂ぶりの末に過呼吸を起こし、
もうやめてくれと言わんばかりに青年の腰を押しのけるまで続けられた。
明らかにひどい状態だった。
しかし、地獄はまだ終わらない。
女の真の限界を追究することが目的のこのビデオは、これでもなお彼女を許さない。
これまでの焦らしに次ぐ焦らしで暴発寸前となっている男優の数は、10人ではきかないのだから。
「ああああ゛あ゛おおお゛お゛お゛、
ッはぉあああああ゛あぐんはあああおおうう゛っっ!!!!」
ベッドの上に狂乱の声が響き渡っていた。
寝そべった男に跨り、彼の膝に後ろ手をつきながら腰を上下させ続ける里奈。
完全に快楽の虜となった彼女は、いくら酷い状態になると解っていても腰を止められない。
豊かな乳房を上下させ、はしたなく開いた脚の先で、さも心地良さそうに足指を広げ、快楽の深層に入り浸る。
無論、彼女が跨るばかりではない。
ある時は脛が頬につくほどの深い屈曲位で、子宮の深くを掘り下げられる。
ある時は両脚を天へ向けて伸ばした状態で、狭くなった膣の中を太い物で抉り回される。
ある時には犬のように這わされ、ガクガクと痙攣を続ける下半身を何の容赦もなく突き込まれる。
男の首に腕を回してなんとか姿勢を保ちながら、中腰で繋がり続けもした。
背面座位で弱い部分を突き上げられ、何度も潮を放出もした。
「こっちも綺麗にしてるだろうな」
その言葉と共に後ろの孔を犯され、前後から挟み込まれた上に口にまで男の猛りを咥えさせられることさえあった。
何十という逞しい男が里奈に群がり、四方八方から絶え間なく犯し続ける。
ギシギシという安物のベッドの軋みは、数秒たりとも止むことがない。
紫のシーツは、いつしかまるで濃い染みの部分が基調であるかのようになっている。
大股を開いて突かれ、やわらかな身体の脚の部分にだけ、たまらなさそうに筋肉を盛り上げる里奈。
「んんあああ、ああっあ゛あ゛あ゛もうっ、もうだめえええぇっ!!!
うあああくるうっ くるっちゃうう゛っ!!!
ああ゛あ、おぐ、おぐがっ、お゛ぐがすごひいいいい゛い゛い゛っっ!!!!!」
そこには微塵の余裕もない。欠片ほどの正気もない。
ただ快楽の果てにある者を疾走して追い求めるかのように、一心不乱の性交を続けている。
それは何時間続いていただろう。
脱水症状を起こしかければペットボトルの水を飲ませ、
セックス地獄のあまりの快楽に気を失えば、やはり激しい犯しをもって目覚めさせる。
涙を零し、涎を垂らし、失禁し、失神し。
その全てを、あます所なく数台のカメラが捉えていた。
やがて飽和しすぎた快楽で艶かしい身体が痙攣を起こし、泡を噴いて昏倒するその瞬間まで。
最後は男優達と救急隊員の喧騒の中、白目を剥いた里奈が担架で運ばれる姿が映り、20時間に及ぶ映像は幕を閉じる。
あまりにも、あまりにも凄まじすぎる状況。
丸一日をかけてそれを観終えた駿介は、ただ言葉を失っていた。
幾度も幾度も自ら慰め、逸物が痺れるほどになっている。それでも興奮が収まらない。
これが、里奈の本気。
彼に示したかったという、AV女優としての頂の光景。
駿介はそれを、一度の鑑賞では受け止め切れなかった。波に呑まれるがままだった。
「もう一度だ……」
彼は再び一枚目を手に取り、再生を始める。
映像の全てを咀嚼しきり、里奈という女性の価値観を、真に共有できるようになるまで……。
終わり
続きを読む