大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2012年12月

仙の霞

乾正(かんせい)は、『譜』の国が誇る益荒男だった。
身の丈や身の幅こそ並外れているという程ではないが、その腕力たるや凄まじく、
太刀を振り下ろせば受け止めようとした相手の矛ごと兜を叩き斬るような有様だ。
その乾正ほどの男を留めておくには、譜という国は小さく、貧しすぎた。
それゆえ、譜が新たに同盟を結んだ『庚』の国の将として乾正が引き抜かれたとき、
文句を言うものは出なかった。
庚は譜とは比較にならないほどに栄えている都だ。
その庚の国の将には、それぞれ一人ずつに副官が宛がわれる事を、乾正は王の言葉で知った。

「お前の副官となるのはこれだ。自分の為に、好きに使え。自分の為にな」

庚の王はそう告げ、部屋の傍らに立つ一人を示す。
それは何とも線の細い男に見えた。背丈も小さく、肩も華奢なものだ。

「杷采(はさい)に御座います」

男は落ち着いた声で告げながら、顔に掛かった布を僅かに持ち上げた。
肌は白磁のように美しく、艶やかな黒髪を頭の上に纏め、穏やかな瞳がやや切れ長に走る。
麗人という表現が相応しい、中世的な顔立ちの持ち主だ。
しかし、武こそ全てと考える乾正には優男という印象が強い。
乾正はずいと立ち上がり、杷采と名乗る者に歩み寄った後、やおら太刀を振り上げた。
刃は風を切りながら杷采に迫り、彼の首の皮一枚でようやく止まる。

「…………っ!!」

しかしこの行為で顔色を変えたのは、仕掛けた乾正の方だった。
端正な顔が恐怖に引きつるという予想は覆され、目の前の男は瞬きすらしていない。
湖のように静かな瞳で、乾正の瞳を見上げているだけだ。
ごくりと歴戦の猛者は喉を鳴らした。この男、底が知れない。

「はっはっは、肝が据わっておろう。そう見えても色々と頼りになる奴だ」

庚王の笑い声がする。そこで、乾正はひとつ思い出す。
先ほど庚王は、目の前のこの副官を“好きに使え”と表現した。
故あってであろうその言葉選びが、どうにも引っ掛かる。
また、自分の為にと強調していたのも気がかりだ。
ともあれ乾正は、こうして将の地位と、一人の底知れない腹心を得たのだった。


宛がわれた屋敷に移って杷采と話すうち、乾正は内心でその頭の良さに感服した。
杷采は乾正の身の上話をいくつか聞く内に、その人となりを正確に分析してしまった。
その分析には、彼の十年来の友ですら気づいていない気質も含まれている。
また古今東西の兵法書にも通じており、乾正がかろうじて名前を知る程度の奇書についても、その内容を諳んじてみせた。
さらに知識があるばかりでなく、それを活かすだけの頭も持ち合わせている。
事実、杷采は乾正が直前に行った戦について言及し、中盤で後手に回った軍略の甘さを指摘した。
その指摘には一部の隙もなく、乾正としてはぐうの音も出ない。
少なくとも策士としては得がたい存在である事を、この益荒男ですらも認めざるを得なかった。
しかし彼にとって本当の驚きは、その日の夜に訪れる。


「酒を、お持ちしました」

夜、窓から月を眺めていた乾正の元に、引き戸を開いて一人の娘が現れた。
肩に垂らした柔らかそうな黒髪、白磁のような肌、瑞々しさを感じさせる瞳。
それまで戦にかまけて女というものを知らなかった乾正は、思わず生唾を呑み込む。

「……名は、なんと申す」

杯に酒を注ぐ娘を見やりながら、乾正は問うた。
すると娘はふわりと笑いながら乾正を仰ぎ見る。

「これは異なことを」

鈴を揺らすような声が、桜色の唇から漏れた。

「昼にもお会いした、杷采に御座います」

その言葉に、乾正はいよいよ目を丸くする。
馬鹿な。杷采は優男風でこそあったが、声も、居姿も、男と見て違和感のないものではなかったか。
しかしながら、言われてみれば目の前のこの娘と顔の輪郭が一致する。
声もよくよく思い出せば、男と女のちょうど中間、どちらとも言えないものだったように思える。
と、すれば、目の前のこの美女然とした姿も偽りに思えてくる。
その実は男なのか、女なのか。

「何者だ、お前は」
「あなたの副官です、乾正様」
「そうではない。…………何者だ」

重ねて素性を問い質す乾正に、杷采は軽く微笑みを向け、

「“仙”です」

と答えた。聞き慣れない言葉に乾正がそれを繰り返す。

「仙とは、仙道を会得した者を指す言葉です。仙道を修めれば、男や女、老いや若きという別は無くなります。
 あなたが昼間に会った男も、今ここに女として居る私も、いずれも同じ杷采なのです。
 ただ、あなたの求める者に応じて姿を変えるだけの」

その言葉は乾正にとって、解るような解らぬような、霞の如く実体の掴めぬものだった。
しかし、薄衣で座する娘を前にして、確信めいたものもある。

「……なるほど。では今のお前は、おれの夜伽の相手をする為にここに居る。そうだな、杷采」

女を知らぬ者に特有の焦りを孕みながら、乾正は絹に包まれた杷采の肩を掴んだ。
杷采はそれを嫌がる素振りもない。
いつしかその身体からはほのかに甘い匂いが立ち上っている事に、乾正は気がつく。

「左様に御座います」

杷采は、女の表情を作って吐き出すように告げた。




杷采の性技は実に巧みなものだった。
およそそれは、性経験のない乾正などが抗えるものではない。
手指で形作った擬似の性器で柔らかく締め上げ、指の腹で敏感な粘膜を撫で回す。
そうして血管が浮き出るほどに隆起した怒張を、馬乗りになったまま杷采の肉の裂け目が咥え込む。

「ううっ!」

乾正はその心地よさに、意識せず声を漏らしていた。
猫の舌のような襞が怒張を擦り上げ、また強烈に絡みつく。
その未知の快感の前には、乾正など数分ともたずに精を搾り取られる。
しかしあまりの心地よさのせいか、あるいは生来の絶倫であるのか、乾正は一度果てた後もまだ余力が滾っていた。
杷采はそれを見通したかのように、引き続けて彼の身体を求める。

杷采はあらゆる面で巧みだった。
経験の少ない乾正を導くばかりでなく、その矜持を傷つけぬように彼に責めさせる事もする。
情欲の燃えるままに乳房を揉みしだかせ、秘裂への口づけを許した。
乾正の拙い技術ゆえに痛みを伴うこともあっただろうが、顔を顰めるような事はひと時たりともない。
あくまで男であり、主人である乾正を立てながら性の快楽を教え込む。
それによって乾正の初夜は、最高の気分で終わりを迎えたのだった。


その日より杷采は、昼は端正な副官として乾正の戦を助け、夜は美しい女として臥所を共にするようになった。
杷采が女である事を知るものは乾正の周りにはおらず、むしろ麗人として婦人の間でばかり人気を得ているとも聞く。
それが夜となれば、道行くどんな女よりも艶めく女体を晒すのだから、乾正としては不思議なものだ。
そして得体が知れないのは、男女の別ばかりではない。
乾正は杷采を様々に責め立てながらも、彼女が本当に感じているのか疑わしく感じる事があった。

征服欲を満たすべく背後から抱くと、杷采は艶かしい喘ぎを上げる。身体が汗で光ってもいる。
けれども乾正が果てて休息している折に、ふと背を向けたままの杷采に軍略についての問いを投げると、
杷采は理路整然とそれに答える。
そこには激しく交わって疲労困憊のはずの女の姿はなく、涼やかな昼の顔があるのみだ。
それを目の当たりにする時、乾正は今までの彼女の全てが演技だったのではという疑心に駆られる。


改めて見れば、杷采の底の知れなさは尋常ではない。
まず彼女は、物を食べるという事への執着がまるでないようだった。
無論、乾正に付き合って食べる事はする。しかしそれ以外で、彼女が個人的な食事を摂る姿は見かけたことがない。
また、澄まし顔が歪む姿を見たいという悪戯心から、彼女が飲む茶に強烈な腹下しを混ぜた事もある。
しかしその後に何時間軍議を重ねようとも、彼女は席を外すことはおろか、顔を顰める事すらしなかった。
それ以外にも、杷采がやや離れた部屋で話をしている姿を見かけた数秒の後、彼女自身に背後から声を掛けられた事もある。
まるで、数十間という長さの廊下を一瞬の内に移動したかのごとく。

それらを目撃するうちに、乾正は彼女のことを、白昼から目にする幽霊の類ではと思うことすらあった。
あるいは、彼女が問うたびに答えるように、仙人のようなものなのか。
しかし、夜になって彼女を抱くたび、乾正はそれを否定したくなる。
抱きしめれば吸い付くような柔らかな肉肌は、幽霊のものではあるはずがない。
仙人なる存在が、乾正の愛撫で昂ぶった折に、若干の生臭さを感じさせる吐息を吐くはずがない。

あれは人間なのだ。それで間違いないはずなのだ。
ではなぜ、彼女に関する数々の不可解さが解消しない。
乾正は幾度となくそう苦悶し、時には杷采自身にもその疑いを打ち明けた。
杷采はそのたびに、正体を追求してくれるな、自分を所有物と割り切って“使えば”いいと答える。
それは、初めに庚の王が告げた言葉と同じだった。
乾正は生来負けず嫌いだった事もあり、人から与えられるその結論で良しとはしない。
何とかして杷采という人間の底を見ようと、思いつく先から様々な奉仕を行わせた。

この時代においてはまだ不浄の行為として忌み嫌われていた、口で逸物を舐めしゃぶらせる事もさせた。
しかし杷采は一切嫌な顔をする事もなく、喉の奥深くまで無理矢理に咥えさせられても奉仕を続けた。
杷采とて、声を出す喉構造をもった一人の人間だ。
喉奥を逸物で抉られれば、嘔吐を思わせるような呻き声が漏れる。涎も次々に溢れ出てくる。
しかしながら、屈する様子はまるでない。事が終われば、顔をつるりと拭って涼しい表情に戻る。

「一晩中、俺の尻穴だけを舐ってろ」

乾正は自分が命じられては困ることと考え、このように告げもした。
しかしやはりこの場合も、杷采は粛々と言葉に従う。
寝台の上に寝そべった乾正の足の間に屈み込み、舌先のみでもって延々と尻穴を嘗め回す。
細い指で尻肉を分けながら、尻穴に吸い付き、嘗め回し、舌を入れ、啜り上げる。

「ああ、お……うう!……ぁあ…………ああ、お…………うう…………」

それは乾正自身が思っていたよりも、遥かに心地のいい事だった。
彼は完全にされるがままになりながら、その刻一刻と高まる未知の快感に声を漏らす。
そうして一晩どころか一時間と経たない内に、勃起した怒張を痙攣させ、白濁を三度、四度と噴き出して果ててしまった。

乾正が相手をするやり方では翻弄されるばかりと悟り、杷采を膝立ちで拘束したまま、女官三人に責めさせた事もある。
赦しを請わせる事ができれば金子をやる、と言い含められているため、女達は必死に杷采の細身を責め上げる。
耳元で何事かを口々に罵り、乳首を指で挟み潰し、秘裂に指を入れて水音も高らかにかき回す。

しかし、隣室で酒を喰らって一眠りした乾正が翌朝部屋に入ると、杷采は疲れきった女官の中心で平然としていた。
乳房は女の無数の手形で赤らみ、膝立ちになった秘裂からは夥しい愛液が溢れて床に滴っている。
床には様々な太さの張り型や芋茎が転がっており、女達が総力を挙げて責め立てていた名残が残っている。
それでも杷采は折れていなかった。

「この私がお仕えするのは、『あなただけ』です。乾正様」

静かな瞳でそう告げる杷采。
その言葉を聞いて、乾正はひとつ新たな責めを思いついた。それで本当に最後にしようと考えていた。
しかし何の因果か、最後と決めたその責めこそが唯一、杷采に激しい動揺をもたらす事となるのだった。



乾正には、同じ庚の国の将に仲間がいる。名を軒句(けんく)という。
乾正と軒句とは、仕官し始めた時期も近ければ、宛がわれた屋敷も隣同士。
軒句とその副官が揃って屋敷から出てくる姿を、乾正は幾度か目にしていたし、その逆も然りだ。
軒句もまた、彼の副官に関して疑いを抱えているらしく、それゆえに乾正の企みには易々と乗った。

企みとはすなわち、互いの副官を入れ替えて交わること。
お互いにたっぷりと酒を入れた後、目隠しをして一旦放置する。
そして部屋を出た主が再び帰ってきたと見せかけて、そこに現れるのは隣の屋敷の主だという寸法だ。
勿論、あらかじめ門番や使用人には話を通しておき、無用な混乱は避ける。
兵は拙速を尊ぶとばかりに、二人はこの計画を話し合ったその日の晩、お互いの副官に酒を入れた。

「さて、今日は目隠しをするぞ。視覚を遮る事で、感覚が鋭敏になると聞く」

乾正はそう言いながら、杷采の目に細長い布を巻きつけ、後頭部で結び合わせた。
さらに、暴れる事を予想してその手首を後ろで結わえもする。
こうした事は、夜の営みに飽きが来ないよう、杷采自らが薦める事でもあった。
その辺り、彼女は乾正という武将の征服欲の強さをよく理解していたといえる。

準備を整えた後、乾正は障子を開け放って隣の屋敷を見やった。
軒句の屋敷とはさほど離れておらず、その気になれば屋根伝いに飛び移れるほどの距離しかない。
ゆえに、軒句の家で行われている夜の営みの声が、一息ついている乾正達に聴こえる事もしばしばあった。
開け放った障子の向こうには、窓越しに軒句の臥所の様子が伺える。
そちらでも副官を後ろ手に縛り上げており、乾正に向けて準備万端という合図を送っている所だった。

二人の男は小便がしたくなったと言って部屋を抜け出し、互いの門の前でほくそ笑む。
いつもの相手と交わると思っておいて、全く別の男に抱かれるとなれば、これは仙人を名乗る彼女らとて取り乱すだろう。
今までの彼女らの余裕は、あくまでその主人が相手だと解っていればこその物であったに違いない。
そう確信めいたものを感じ、かつこれが上手くいかなかったとしても、どのみち最後の悪戯だと腹を決めて屋敷へ入る。
見慣れない屋敷を通り、見慣れない部屋に入り、見慣れない女の裸体を前にする。
そしてその白い腰を掴み、エラの張った逸物の先を柔肉へと押し当てた。

「いっ、いやぁあああああああっ!」

その叫びは、乾正の部屋から沸き起こった。
見れば、後ろ手に縛られた杷采が身を捩りながら、軒句から逃れようとしている。
挿入された瞬間に替え玉に気づいたらしい。
軒句の体格は乾正よりも数周り大きく、巨人とも言うべき恰幅の良さだ。
はっきりと見た事はないが、逸物も乾正のものより立派だろうと予想された。
それゆえすぐに解ったのだろうか。

「誰です、おまえは!!おまえは一体、誰ですっ!!ああ、乾正様、……乾正様っっ!!!!」

そう叫びながら床を這いまわり、しかし軒句の剛力に引き寄せられる。
そしてその様子は、乾正の場合も同じだった。
乾正は、あらかじめ軒句から副官の尻穴を念入りに調教している話を聞いていた為に、
興味本位でその尻穴に挿入していた。
膣とはまた違う、怒張の根元を食いちぎるかのような締め付けが面白く、夢中になって抜き差しを繰り返す。
しかしその腕の下では、子供のように胸から何からが平坦な身体が暴れまわっている。

「やめてぇっ、おやめくださいっ!!わ、わたしの全ては、軒句様の為のもの!
 軒句様以外の方と交わっては………………っ!!」

何という忠誠心だろう。
主人でない者の逸物に貫かれて狂乱する副官を見ながら、乾正は思った。
そして同時に、今自分が抱いている女が、あの杷采に比べて何と物足りなく思える事か。
単に尻穴と膣の違いというだけではない。身体のサイズ、成熟度、肌触り、汗の匂い。それら全てが違う。
まるで杷采とは、自分にとって理想の女性が体現したものではないか。そう思える。
そしてそれは、軒句とて同じようだった。
しかしそう気づいた二人が逸物を抜こうとした、その瞬間。
彼が今の今まで触れていた女体が、急にその質量を失っていく。
まるで濃厚な霞が四散していくように、手足を柔らかに通り抜けていく。

「…………っ!?な、何だこれは……お、おい!!」

二人の主は、思わず遠くにいる自らの従者を見やった。
そしてそのいずれもが白い霞になって消えていくのを見たとき、彼らは涙を流していた。


   ――――乾正様

淡々とした、低く落ち着いた男の声が呼びかけてくる。


     ――――乾正様……。


鈴を揺らすような、甘く澄み切った女の声も呼びかけてくる。
そしてそれを最後に、毎夜の如く耳にしていた声は二度と聴こえなくなった。


「杷采!杷采、どこだ!!戯れはもう良い、姿を現せ、杷采!!」

すでに霞の欠片も見えない部屋の中、乾正は叫ぶ。
一度姿を見失っても、また不意に後ろからでも声を掛けてくるかもしれない。そう希望を持った。
しかしどれだけ待とうとも、声を掛けられる事はない。
彼自身の部屋へ戻り、確かに杷采が身を横たえていたはずの布団を手にしても、
その温もりはおろか匂いまでもが綺麗に消え去っていた。

彼らはこの時、ようやくにして気がついた。
自分達がどれほど意味の無いことに執着を燃やしていたのかに。
自分の正体に興味を持つな、ただ道具として使っていればいいと言われた意味に。
二人の主は、愛していた女性の名残さえ残っていない部屋の中で、男泣きに泣いた。


後に、この乾正・軒句は名を改めながら、庚の領土拡大にめざましい貢献をする。
情を置き捨て、盤上の駒を動かすが如く冷徹に戦局を動かすその様は、広く他国に恐れられた。
しかし妙な事に、稀代の覇者として名を馳せる彼らは、どちらも生涯一人しか副官を置かず、伴侶と結ばれる事もついに無かったという。




                         終
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極上の獲物

※性奴隷調教モノ。アナルとスカトロに特化気味です

複数の未成年者誘拐罪・暴行罪等で逮捕された大貫幹一は、その犯行の仔細を武勇伝でも語るように声高らかに供述した。
それは極上の獲物を存分に愉しんできたがゆえの、現世への未練の無さからだと思われる。

彼らは年若い娘を拐して海を渡り、そこで性奴隷として調教して好事家に売る、という悪行を働いていた。
ターゲットは、黒髪で真面目そうな日本人少女……それが最も高い値がつくからだという。
特に蔵本愛純(くらもとあすみ)という女子高生に関して、大貫はよく舌が回った。
彼女は前後に例がないほどあらゆる点で質高く纏まった、“極上の逸品”だったと大貫は語る。

一度も色染めした事が無さそうな、艶めく背中までの黒髪。
すらりとしたスレンダーなボディライン。
スカートから伸びる、ごく緩やかな瓢箪型を描く美脚。
校則通りといった風にたるみなく引き上げられた紺のハイソックス。
コツコツと規則正しくアスファルトを鳴らす、磨かれた革靴。
キーホルダーの少ない質素なスクールバッグ。

その絵に描いたように生真面目そうな後姿は、獲物を物色する大貫の視線を一瞬で攫った。
それとなく前方に回りこんでみれば、顔立ちも期待以上に良い。
浮ついた気配がまるでなく、くっきりと見開いた瞳で前だけを見据えている。
その鼻筋の通り具合といい、引き締められた口元といい、
『清楚』や『理知的』という言葉の見本として教則本に載せたいぐらいだった、と大貫は語る。
そして大貫とその仲間は総員一致で蔵本愛純をターゲットとして定め、その身辺を探り始めたという。

以下は、大貫自身の証言に基づいた状況再現である。



大貫らは帰宅する蔵本愛純の後をつけ、まず家の所在を突き止めた。
さらに仲間との交代制で家を見張り、家族構成やその外出スケジュール、合鍵の隠し場所などの情報を集める。
大貫の仲間は元が空き巣であり、こうした下調べには慣れていた。
ある程度情報が揃うと、あらかじめ隠す所を見ていた合鍵を植木鉢の下から取り出し、
家人がすべて出払った隙をついて屋内に盗聴器を仕掛けもした。
盗聴器を介せば、家の中の会話は筒抜けになる。
それにより、一家の主は証券会社のかなり高い地位の人間であること、母親は専業主婦である事、
愛純は受験を控えた高校三年であり、下に二人の妹を持つ長女である事などが知れる。
愛純は見た目通り勤勉で、有名私立のいずれもが合格圏内という好成績を修めているようだ。
小学生の妹二人も、学習塾の鞄を背負って家を出る所が見かけられ、英才教育を施されている事が伺える。
見方を変えれば、それだけ金をかける余裕のある、裕福な家の箱入り娘達だと言えた。

行動は、愛純の家族が一泊二日の旅行に出かける日を狙って起こした。
受験が迫っている事を理由に一人家に残った愛純は、昼の一時過ぎ、昼食を買いに家を空ける。
大貫ら四人はその隙に家へと忍び込んだ。
家に侵入した大貫らは、屋内を物色する。狙いは金品ではない。
いくつもの部屋のうち、『愛純』と書かれたプレートのある一室が目当ての場所だ。
大貫らはその中へ踏み込み、愛純の自室で彼女の“匂いを嗅いだ”。
中央部の沈み込んだ枕に顔をうずめ、花のようなシャンプーの匂いを胸に吸い込んだ。
勉強の為に座り通しとなっている、まだ温かみの残る椅子から、やや汗の匂いの混じる甘さを嗅いだ。
タンスの中にある、モノトーンが主の生真面目そうな下着を取り出しては、そのクロッチ部分に鼻先をつけた。
この変態じみた行為は、ターゲットの日常を侵食する第一歩だ。
まず初めに獲物の生活臭を嗅ぐ事で、小さく征服欲を満たす。
あたかもそれは、大食いの前に少しだけ食物を腹に入れ、胃の容量を膨らませておくかの如く。
そしてその儀式が一区切りつく頃、当の獲物が帰宅する。

ブーツを脱ぎ、買い物袋から取り出したいくつかをキッチンの冷蔵庫にしまい、自室へ向かう愛純。
見知らぬ男達が自室にいる事を知った時、彼女は悲鳴を上げた。
実にすばらしい叫びだ、とこの時大貫は打ち震える。
弱弱しすぎず、かといってがなり立てるでもない。芯の通った叫び声だ。
そして、芯が通っているのは声だけではない。
大方の女性であれば叫んだ後に恐怖で立ち尽くすところを、蔵本愛純は即座に玄関へ取って返し、まず逃走を図った。
洗い場で下着を物色していた一人に退路を塞がれれば、今度はリビングに飛び込んで椅子を掴み、応戦の構えを見せる。
しっかりとした木造りの椅子だ。それは無造作に振り回すだけでもかなりの抑止力になった。
惜しむらくは、彼女が非力な女高生であった事。
大きな木の椅子は、彼女が武器として扱うには重すぎ、結果として背後からスタンガンを当てられる隙を作る。
けれども結果として、大の男四人のうち二人が打ち身という奮戦の痕を刻まれる事となった。
何より、ただのお嬢様でなく気丈な娘というのが、獲物を狙う男達を喜ばせた。
伊達に三人姉妹の長女ではない。
大貫らはそうほくそ笑みながら、気を失った愛純を黒ワゴンの後部座席へと運び込んだ。



ワゴンで港まで走った後、大貫らは迎えに来ていた漁船に乗り込む。
船には大貫達とは別の誘拐グループがおり、それぞれに昏睡した獲物を囲んでいた。
そのまま、船は本州を離れる。

大貫達は船倉のソファに愛純を寝かせ、念の為に手首を腰の後ろで縛り合わせた。
そうして彼女が目覚める素振りを見せるたびに、薬品を染みこませた布を嗅がせ、都度昏睡させる。
無論、その寝顔をただ眺めるだけでなく、その身を弄びもした。
大貫は船倉の入口に腰掛けて見守り、残る三人が眠る愛純を取り囲む。
黒いキャミソールを、ゆとりのある桜色のカットソー越しに透けさせた、私服姿の愛純。
男達はその上着をたくし上げ、ブラジャーを取り去って乳房を零れさせる。
桜色の乳輪も鮮やかなその乳房は、高校生としては十分過ぎる豊かさをもって胸の前面に突き出していた。

「おおー、すらっとしたスタイルの割にでけぇなぁ。Dはあるか」
「いや、これはEだろう。へ、たまんねぇ。やっぱ女子高生だけあって張りがあらぁ」
「こんだけのデカチチ、体育やら水泳やらの時間に、同じ高校の野郎共にもさぞや視られてただろうな。
 このルックスで胸がでかいなんざ、思春期のガキがほっとく訳がねぇ」
「そういや、こいつの妹がチラッと言ってなかったか?小学校にまでお姉ちゃんの噂が~とか何とか」
「ああ、言ってたな。こいつなら、別の学校にまで遥々見にいく価値もあるってもんだ」

男達は様々に口走りつつ、背後から前方から、愛純の乳房を弄ぶ。
また別の男は彼女のスカートを捲り上げ、ショーツの中に指を入れて弄りはじめた。

「お、中指一本でも中々きついぜこの女。ひょっとすりゃバージンかもしれねぇ」

指を蠢かしながら男が笑う。遠くで見守る大貫の口元にも笑みが浮かぶ。
両乳房と秘裂への嬲りは、船が海を漂う間、数時間に及んで続けられた。
初めは気絶のためかほとんど反応のなかった愛純も、長時間に渡って嬲られるうち、少しずつ、少しずつ反応を始める。

「ん……ふぅ、んっ…………」
「おぅ、お前ら聞いたか?いやに色っぺぇ声でたぞ、今。
 やっぱチチをここまでにされると、真面目なお嬢様とはいえ感じちまうんだろうなぁ」

今や円錐状にしこり立った乳首を口で吸い上げ、指で挟み潰しながら二人が言う。
その下方ではまた別の一人が、緩く股を開かせたままショーツの下で指を蠢かしている。
すでにショーツの下部は何らかの液で濡れ、愛純のさほど濃くはない茂みを透けさせていた。
指が蠢くたびに柔らかさのある水音が立ち、手をショーツから引き抜くと、その指先は明らかに何らかの液体で光っている。
それが少女の蜜である事は疑いようもなかった。

「こっちも、随分と時間はかかったがちゃんと濡れるようだぜ。ま、こんだけやりゃあ小学生のガキでもこうなるがな。
 うひひ、こんな美少女お嬢様のオマンコ汁となりゃ、蜂蜜より旨く感じるぜ」

男は指先の艶を舐め取りながら告げる。
彼らが自らの“戦果”を語り合う手の中で、愛純はなお目覚めないままに眉根を顰めていた。
淫夢に苛まれているだろう彼女は、これから船が陸に着くまでさらに数時間、男達の欲情を浴び続ける事となる。





掠れたネオンの売春宿が立ち並ぶ街に着けば、いよいよ大貫の本業が始まる。
彼は調教師と呼ばれる人種だった。
彼にはもう逸物がない。調教師になる際、決まりに従って切り落とされた。
彼が女を嬲るのは単なる欲情ではなく、心のさらに深い部分から沸き起こる嗜虐心ゆえだ。
特に、この大貫は好色の気が強かった。
調教師といえば、普通は他人が浚ってきた女を調教する事だけが仕事だ。
しかし大貫の場合、自ら獲物を厳選するところから始める。相手に執着の念を燃やしてから仕事に入る。
サングラスを取ると露わになる瞳は、まさに彼の特異さをよく表していた。

鏡を見るたび、大貫は他人と自分との違いを痛感する。
ぎょろりと丸く剥いたまま、ほとんど瞬きをしない眼。眉は太く、目元には皺が多く、かなりの年季を感じさせる。
一目見た印象は猛禽類だ。
共に誘拐に及んだ男達も、その大貫の相貌に改めてという風で息を呑んでいた。

大貫は調教室に入るとまず、彼ら三人に愛純の服を脱がせるよう命じた。
瑞々しい肢体のすべてが光の下に露わになると、次いで分娩台に拘束させる。
さらにはクスコを取り出し、愛純が目覚めないよう注意を払いながら膣内を覗き込んだ。
処女であるか否かを確かめるためだ。
攫った娘を性奴隷として調教するに当たって、処女であるかどうかは一つの大きなポイントになる。
あえて膣性感までを仕込んで完璧な性奴隷とする手もあるが、やはり処女性を保っていた方が後の売値は跳ね上がる。
得意客も年若い少女を求める以上は、自らその純潔を奪いたいと思う人間が多いからだ。
クスコを覗き込んだとき、愛純の色鮮やかな粘膜の奥には、確かに問題の処女膜が視認できた。
であれば、生娘のままにしておくのが良い。大貫はそう判断する。
何も処女膜を破らずとも、女を淫乱に開発する手段は多種多様にあるからだ。

「元より、気の強い女はアナルで屈服させるに限る…………」

大貫は、自分がいよいよ目を見開いていくのを悟りつつ、くつくつと沸き起こる笑いを堪えきれずにいた。


大貫が愛純を『目覚めさせた』のは、真裸のまま宙吊りにしてからの事だった。
愛純の身体は縄で戒められ、天井の梁から吊られている。
縄は彼女の豊かな乳房を上下と中央の交差で搾り出すように打たれ、手首を高手後手に拘束する。
さらにその縄尻は、彼女の膝周りにも数周巻きつけられていた。
すなわち、上半身の自由はほぼ完全に奪われながらも、胸元近くまで掲げた膝から下はぶらぶらと自由に動かせる状態といえる。
ただその姿を見られるだけでもそれなりの羞恥が伴う格好だが、この後に『ある瞬間』を迎えたとき、その恥辱は限りなく高まる事となる。

「……お目覚めかな」

縄に吊るされる愛純を見やりながら、大貫が口を開いた。
愛純はしばしつらそうに眼を瞬かせていたが、細く開いた瞳で数度辺りを見回すと、はっとしたように目を見開いた。
過去の例と照らし合わせても、状況判断の力はかなり高いといえる。

「馬鹿な真似はやめて、すぐに開放して……でないと、父に言いつけるわ!
 父は娘想いだから、どれだけのお金を使ってでも、どんな人脈を頼ってでもあんた達を追い詰めるはずよ」

愛純は毅然とした瞳で大貫を睨み据えて言った。
猛禽類のような大貫の相貌を前にしても、それに臆する気配はない。心の底から助かると信じ、交渉を掛けている様子だ。
大貫には、その気丈さがとても好ましかった。
すでに失ったはずの男根が、臓腑の奥から鎌首をもたげるかのようだった。

「今から、お前の調教を始める。まずはアナルからだ」

相手の交渉に答えを示す事も無く、大貫は宣言した。
愛純の表情が変わる。恐らくは、会話の通じる相手ではないとこの一会話で悟ったのだろう。

「……アナ……ル……?」

恐ろしげに聞き慣れない言葉を繰り返す愛純。
その初々しさを愛でる様に、大貫は目を見開いたままで視線を和らげる。

「尻の穴さ」

そう告げた瞬間、ひゅっ、と鳴った愛純の喉笛は、大貫の泥の心を爽やかに吹き抜けていった。


「やめっ、やっ、やめて、嫌ぁッ!!!!」

愛純はよく通る美声で叫び、腰を揺らした。
しかし二人の男に両脇から腰と足首を掴まれている為、大した動きにはならない。
大貫は人差し指の先で桜色の菊輪にワセリンを塗りこめ、次に浣腸器を掴んでシリンダー内の空気を追い出す。
大きなガラスボウルに湛えられた薬液から、ぽごりと小さな泡がいくつか立ち上った。
浣腸器の尻を引き、薬液を少しずつ吸い上げる。きゅぅぅ、という水分子の潰れたような音が耳に心地いい。
浣腸器が満たされた。200mlだ。
それを緩慢な動きで愛純の眼前に掲げ、反応を愉しむ。
頭の良い娘だ、皆まで言わずともそれが今から自分の腸内に注がれるものだと理解するだろう。

奥歯を噛み締めるような表情を愉しみながら、その白く素晴らしい脚の間へ。
極上の霜降り肉のように鮮やかな花園、その下に息づく排泄の穴。
さすがに全くのピンクという訳ではないが、褐色でもない、ちょうどその中間の色。
今まで大貫が眼にしてきた様々なアナルの中でも、五本の指に入れていい慎ましさだ。
その穴へ、浣腸器の先を触れさせる。
怯えるように、あるいは拒絶するように引き締まる蕾。
しかしそのように必死の抵抗をした所で、柔な筋肉の集まりがガラスの嘴管の侵入を防げるはずもない。
ワセリンの助けも借りて、浣腸器の先端は容易く菊の輪を通り抜けた。
大貫の手の平が、舐めるように薬液を送り込む。

「あうっ……!!」

愛純は眉根を寄せて呻いた。

「今までの人生で出すだけだった穴に注ぎ込まれる不快感は、耐え難いだろう。
 初めての感覚だな……初めてだ……そうでなくては困る」

大貫は自分でも意識しない言葉を呟きながら、薬液の空になった浣腸器を抜き去り、ボウルに浸す。
さらに200mlを吸い上げ、窄まりの奥へ。さらに、もう200mlを。

「う、う……ぐく、うっ……!!」

愛純の顔の歪みが増していく。おぞましさに、苦しさが加わったか。
浣腸の全くの未経験者が耐え切れる量は、おおよそ400mlだと言われている。
だが大貫は、その量を遥か超える苦しみを獲物に課していた。
悪魔的な笑みを浮かべながら、1000ml……すなわち一リットルという量を注ぎ終える。
その終盤ともなれば、浣腸器で薬液を注ぎ込む端から薬液が溢れており、現段階での本当の限界量である事が見て取れた。
そして大貫は、その限界量をすぐに排泄させる事はしない。
一リットルを入れた浣腸器を奥や否や、すぐに愛純のひくつく菊の輪へ肛門栓を嵌めてしまう。
元よりそれなりに太さのあるそれをねじ込んだ後、底部にある螺子を数度捻ると、そのまま肛門栓はしかと固定された。

「ぐ、うううっ……は、っぁあ゛っ…………!?」

愛純の顔に、明らかな焦りが見えた。限界の排泄感から、どれだけ息んでも開放されない。肛門栓が外れない。

「無駄だ。その栓は、底の螺子を操作する事で中央部が極端に膨らむ……どれだけ息んでも構造上外れんよ。
 ……さぁ、限界を迎える姿を見せて貰おうか」

大貫はほくそ笑みながら告げた。




「はっ……はぁっ…………はああっ……はっ………………!!!!

  ………………ねぇ、もう…………もう、ねぇ、お願っ…………トイレ、に、行かせ、て…………」


これまでに何度、同じような乞いが繰り返されただろう。
どれだけ、惨めな腹鳴りが響いただろう。
初めこそ恥辱に屈するまいと耐え忍んでいた愛純も、10分が過ぎた頃から折れ始めていた。
それは決して、彼女の忍耐が弱い訳ではない。
彼女の腸へ注がれた薬液は、初めて受けるには中々につらいグリセリン溶液だ。
市販のイチジク浣腸よりは緩く作られているとはいえ、一リットルという量は生半可ではない。
通常五分もすれば、日常生活において脳が危険信号を鳴らすほどの領域に入る。
その倍……10分あまりも黙って耐え忍んだというのは、十二分に忍耐力が強いと言える。

しかしながら、その懇願、あるいは哀願が何度繰り返されても、大貫は薄い笑みを浮かべて凝視するのみだった。
彼は対象が極限に至る時を待っている。
誰しも経験があるだろう。便意の極地……冷や汗と妙な身体の火照りを越え、幾度もの便意を越えた先。
理詰めの思考やまともな会話などもはや吹き飛び、単純な開放欲と片言のみが残った極限。
大貫は、愛純のその瞬間を待ち望む。

宙吊りになったまま、幾度も幾度も便意の津波に晒され、しかし救いが得られず、荒れ狂う下腹を持て余す。
愛純の美貌は脂汗に塗れていた。
額に汗の粒が浮かび、鼻の下にも浮かび、生え際からこめかみを伝い落ち、顎から滴る。
肩にも背中にも、はっきりそれと解るほどの汗が濡れ光っている。
むうっとする、彼女の自室で嗅いだものより数倍も濃厚な、ともすれば男のものとすら紛う悪い汗の臭いが発散される。
下腹部の鳴りは、いよいよ猛獣が唸りを上げるような異様なものと化している。

「ひっひっ、ひっ、ひっ……。ひっ、ひぃっ、……ひっひっ、っひっ……」

ひきつけを起こしたかのような呼吸がなされ始めた。
気の強い瞳は瞳孔が開き気味になり、小刻みに揺らぎながら前方のどこかを見つめ、時折りは縋るように大貫の方を向く。
剥き卵を思わせる尻は、なおも硬く嵌った肛門栓を中心に絶え間なく引き締まり、緩み、引き締まった。
尾骨のあたりに溝ができ、『尻えくぼ』が深く刻まれる様は、妙なほど艶かしかった。
唯一自由にできる脚は、しかし最初の頃のように激しく動く事はもうない。
ある時には耐え難そうに足指を丸め、またある時にはこむら返りを起こしたように強張ったまま、八の字を描いて宙に突き刺さる。

さらに、三分の後。
ぐゅっと音が鳴って、美しい鼻腔から鼻汁が垂れた直後、ついに愛純の様子は一変した。
身体中が瘧に掛かったかのようにガクガクと痙攣を始め、半開きの唇から涎と共に上ずった声が漏れ始める。


「だしたい……したい、したいしたいしたい……したい、したいうんち…………
 うんち、だす、だしたい…… だしたいだしたいだしたい……うんちでる、でる……うううしたいしたいしたい…………
 もぉ、おか、おかしく……うんち、うんちしたい、したいしたいしたいだしたい…だしたいだしたいぃぃ……っっっ!!!」


気が触れたかのように、あるいは幼児のように、感覚的に発された単語を繰り返し呟き続ける。
そこへ来てようやく、大貫は彼女の傍に歩み寄った。

「そうか……そんなに出したいのか」

ようやくもたらされた救いの言葉に、愛純は飢餓状態で餌を与えられた犬のように幾度も頷く。
俯いている間は良く解らなかったが、その目頭からは尋常ならざる苦しみを感じさせる涙の線が零れていた。
大貫はその瞳を覗き込みながら、満足げに頷く。

「なら……ひり出すがいい。美しいだの良い子だのと持て囃されてきたお前の、皮膚の下一枚にある本当の中身をな」

あくまで淡々と語り聞かせながら、大貫は肛門栓の底を開く方に捻る。
瞬間、手指に膨大な圧力が感じられ、吹き飛んだ肛門栓と暖かみのある液が指に掛かった。
指よりもさらに先には、男の一人が掲げたガラスボウルがある。


「あああ……あ……あああああああああっっっ!!!!!!」


愛純は瞳孔を狭めながら、現実を直視していた。
トイレで排泄するというマナーを念頭にも置かず、ただこの場で、抗えない排泄欲に喜んで従っている現実を。
溜めに溜めに溜めに溜めた排泄を、何の気兼ねもなしに、好きなだけ放っているこの瞬間は、どうしようもなく心地良い。
彼女の表情は、間違いなくそうした喜びの表情を伴っていた。
それこそ大貫が浣腸責めの果てに求め……否、強いていたものだ。

だが無論のこと、愛純を満たすのは喜びだけではない。恥もある。
初めの頃の怒涛のような放流が緩めば、その後に続くのは身も震えるような屈辱だ。
恥じらいの部分を公然に晒したまま、その後ろの穴から止められない汚辱の滾りをぶちまけている。
ぶりゅぶりゅという凄まじい音は、誤魔化しようも無く彼女の腰の下から響いている。
今さらながらに奇声を発し、唯一自由になる膝下をばたつかせてみせるが、それも滑稽にしか映らない。
その滑稽さに自ら気付いた時、愛純はせめて表情を見られないよう俯いて膝の間に顔を隠し、歯を食い縛っているしかなかった。

気張ればその分だけ、破裂音と共に熱い汚辱が吐き出される。
出てくる。まだ出てくる。終わらない。
注がれた量は所詮ボウル一杯なはずなのに、自らの腸内で無限に増殖したかのように、排便が終えられない。
ぶりゅぶりゅという音が鳴る度に、気力と体力が腐って剥がれ落ちていくように、愛純は感じているに違いない。
そういう身の震わせ方だった。

すべてを出し終えたのは、一体何分の後になったのだろう。

「はぁっ……はぁ、はぁ、はっ……はぁっ……」

愛純は荒い息を吐きながら俯き、汗を滴らせ、膝下を垂らし、なお細々と汚液の滴る肛門をひくつかせていた。
大貫は汚物の並々と溜まったボウルをわざわざ抱え上げ、愛純の目線の高さに合わせる。

「よく視ろ……美しいお前から出た、腹の中身だ」

ボウルを揺らし、ちゃぷちゃぷと音を立てて愛純の顔を上げさせる。
やつれ果てたような相貌が、さらに一段と苦しげに歪む。

「お前はやはり逸材だった、最高の汚辱を見せて貰ったよ。
 言っていなかったが、今の様子はすべてビデオに撮っていてな、ゆくゆくのお前の主人も気に入るだろう。
 ……無論、そのうちお前自身にも嫌というほど見せてやる。
 拘束して、自分が糞をぶち撒ける姿を何時間も繰り返し見せられれば……どの女も、本当に良い叫びを上げるものだ」

大貫は痛んだ愛純の心に駄目押しをするつもりで語り聞かせた。
この辺りで獲物のすすり泣く声が聴こえてくるのが、今や大貫にとっての決まり事となっていた。
……しかし、愛純は鳴く事をしなかった。
一度は不可抗力で泣き乱れたとはいえ、今や早くも瞳の力を取り戻し、大貫を睨み返している。

「……あんたなんか…………地獄に、堕ちればいいのよ…………」

掠れた声で恨み言を呟くその姿に、大貫はしばし呆け、そして珍しく瞬きを繰り返した。
一度瞬く度に、えも言われぬ喜びが駆け上がってくるのを感じる。
充分愉しんだのに、この美しい娘はまだ折れていない。まだ嬲れる。まだまだ新鮮に遊べる。
ただのか弱い令嬢では、ない。
大貫は心の中で状況を把握したのち、瞼の裏の世界から現実に立ち戻る。

「 タノシイナァ 」

再び目を見開いたとき、彼の唇の両端は、完全に吊りあがっていた。





愛純へのアナル開発は、じっくりと、丹念に進められた。
排泄を終えた愛純は一旦床に下ろされ、上半身の後ろ手縛りはそのままに、膝の縄だけを解かれる。
ひと時のみ自由となった下半身は、しかしすぐに新たな拘束を受ける。
取り出されたのは8の字を描く拘束帯で、膝を折った愛純の太腿と脛半ばを繋げるように縛り上げる。
両脚にそれを施された状態で股を開かされれば、もはや彼女はその秘裂も肛門も、完全に晒すがままになってしまう。

「いい眺めだ」

大貫は二人の男にそれぞれ愛純の膝頭を押さえさせ、その中心をわざとらしく覗き込んで呟いた。
そして軟膏の入った小瓶を片手に膝をつく。
男の節ばった中指が軟膏をうすく掬い取り、浣腸責めでやや緩んだ菊輪へ入り込む。
指は充分な潤滑を得て、さほどの労もなく第二関節までが沈んだ。

「くっ……」

生まれて初めて腸内を襲う異物感に、柳眉を顰める愛純。
大貫はその表情を愉しみながら、何度か中指を出し入れした。
そして充分に余裕があると見るや、その中指に人差し指を加え、二本でもって肛門を穿つ。

「あ!」

一気に挿入感が増したのだろうか、愛純はぞっとしたように下方へ視線を落とした。
しかし笑みを浮かべる大貫と目が合うと、視線を移して遠くの壁を睨み据えるようにする。
以後、肛門への指責めが続く間中、彼女の視線はそのまま動く事はなかった。

大貫は二本指で、愛純の後ろの穴をゆるゆると穿り返す。
それは何の派手さもなく、大きな変化もあるわけではなく、実に淡々とした作業だった。
けれどもそれゆえに、着実に積み重なっていく快感を、傍らで見守る男達は感じ取っていた。
二本指は緩やかに抜き差しする動きを基本としつつも、よく見れば慣れさせぬよう細かに動きを変えている。
揃えた指の先を小刻みに動かして内部を刺激したり。
二本分の第二関節の膨らみで、菊の輪を扱くようにしたり。
指先を鉤のように曲げ、腸壁に引っ掛けながら穴の外部にまで通り抜けさせたり。

そして、尻穴を嬲るばかりではない。
大貫のもう一方の指は、同時に愛純の陰核を捉えていた。
こちらの責めは極めてソフトだ。指先が触れるかどうか。
薄絹を一枚ずつ掬い取るかのように、ごくごく柔らかな手つきで表皮を撫でる。
かと思えば、急にその肉芽を指先で弾いたり、指の腹で押し潰すという不意を突くやり方も織り交ぜる。
見守るのは陰核を持たぬ男ばかりだが、その彼らにさえ、抗いようのない心地よさが見て取れただろう。
実際、視線を壁から逸らさずにいる愛純自身も、何ともない筈がない。
その証拠に彼女の脚は、押さえつける男達の掌の下で幾度も強張り、跳ね上がろうとしていた。
股座を見やるだけでも、彼女の白い内腿が、まるで表情を変えるかのようにぴくんぴくんと脈打っているのが解った。
時としてまだ腸に残っていた浣腸液が零れだすのも、まるで肛門がだらしなく涎を垂らすかのように見えた。
それらすべての反応を視界に収めながらも、大貫はただ淡々と、逸る事もなく指責めを繰り返す。


実際、それは凡庸な男がやろうとして真似できる行為ではない。
只でさえ、目の前にいるのは美しい令嬢なのだ。
普通であればその尻穴に指責めを課すうち、情欲が先走ってまずは猛りを沈めようとするだろう。
それが大貫には一切無い。逸物を捨て去った人間ならではの境地だ。
その代わり、彼は指責めを繰り返しながら、頃合を見て二本指を抜き去っては口に含んだ。
そして旨そうに指先を舐めしゃぶる。
腸液の分泌具合を確かめる目的もあるが、何より趣味としての行為だった。
そうして唾液に塗れた指を、彼はまた獲物の肛門へと送り込む。
再びゆったりと責めはじめる。

ゆったりと、ゆったりと。
繰り返し、繰り返し、焦らず、繰り返し、繰り返し。

その延々とループするような責めの中で、愛純の身体は僅かずつ変わっていく。
最も解りやすいのが陰核だ。
初めは粒ほどの大きさで探し当てるのさえ苦労したそれが、今や赤らみ、しっかりと我を主張して震え立っている。
包皮は半ばまで捲くれ上がり、全体が艶に塗れている。
間違いなく彼女の人生で、陰核がここまで膨らんだ経験はなかったことだろう。
本日この時が、蔵本愛純という少女の性感のピークだ。
そしてそのピークは、これから次々と更新されていく事となる。

陰核を弄ぶ指は、いつしか蜜に塗れていた。
一旦手を離して指同士を擦り、離せば、にちゃりという粘ついた音がする。
大貫に聴こえるならば、愛純自身にもその音は届いているはずだった。
大貫は半ば確信を得ながらも、陰核の眠る茂みのさらに下へ視線を落とす。
そこはすでに、桜色の秘肉が堪らなそうにひくつき、肛門に垂れ落ちるほどの愛液を吐いている。
何も驚くことはない。大貫が陰核を柔らかく弄くり続ければ、女は一人の例外もなくそうなってしまう。
愛純がいかに清楚なお嬢様とはいえ、身体構造までもが他の女と違うわけもなかった。

そして何より重要なのは、秘裂が蜜を零すまで陰核を喜ばせることと平行し、肛門を嬲り続けた事実にある。
まだ肛門性感の未熟な愛純にとって、尻穴への指責めは不快感の方が大きいはずだ。
しかしながら、女性器周辺の性感というものは、筋肉の関係で密接に関わりあっている。
すなわち、肛門を嬲る傍らで陰核を悦ばせ続けた結果、愛純の脳内では本人さえ意識しないうちに、二つの快感が混ざりあう。
それを長らく続ければ、肛門を弄くられることそのものが快感だ、と錯覚するようになる。
大貫の狙いはこれだった。
彼は駄目押しとばかりに、すでに愛蜜を垂らしている愛純をさらに嬲った。
横を向いた彼女の顔はよくは見えないが、頬は赤らみ、眉は下がっているのが解る。
となれば正面から見たとろけ顔も、おおよそ予想がつこうというものだ。

「今日のところは、この位にしておいてやろう」

愛蜜塗れの指を陰核から離し、肛門からも明らかに軟膏とは違うぬめりを感じ取りながら、大貫が告げる。
一息に肛門性感を目覚めさせる必要もない。じっくりと、やる。
彼は手を拭いながらほくそ笑む。
愛純はひとまず全ての拘束を解かれ、男達の手でゴム製の下着を穿かされる。
陰核と陰唇へ触れる部分に凹凸が、肛門部分には内部に入り込む形でのバイブレーターが内臓されたものだ。
愛純はその特製の下着によって、疲れ果て眠っている間でさえ、無意識下で性感を開発される事となる。

「…………悪趣味ね…………」

低く呟かれたその一言が、大貫にはまるで労いの言葉のように響いた。



翌日も、朝の一番から愛純には浣腸責めが課せられた。
前日にも勝るほど恥辱的な方法でだ。
広げられたバスタオルの上で三角座りをしたまま、手首と足首を何重もの縄で拘束される。
さらに膝で乳房を潰すほどに前傾させられ、膝裏と首後ろを縄で結ばれる。
加えて腿と背中にも縄が回される。
すなわち、両膝の間に顔を埋めた三角座りのまま、ほぼ全く身動きの叶わない格好といえた。
その状態で、浣腸される。
エネマシリンジを用いて、薬液は昨日以上に腸壁への浸透圧が高いものだ。当然、耐える事も難しくなる。
洗面器一杯の薬液を注がれた後、エネマバルーンで栓をされる。
そしてまた限界まで我慢をさせられた。
理性が吹き飛び、身体中に痙攣が起こる。肌という肌が粟立ち、脂汗が流れる。

「……うんち……ち、させぇ……うんち、うんちでる、だめ、でる、う、あ……あ……!!!」

愛純は、膝の間から籠もり気味の声で幼稚な単語を繰り返した。
丸裸のまま前傾の三角座りで震える姿は、思わず同情を誘われるほどに惨めだ。
そしてエネマバルーンが縮められ、排泄すると惨めさはさらに増す。
バスタオルに茶色い染みを作りながら、彼女は小さな背を振るわせる。
恥辱も屈辱もあるだろう。けれども、快感もある。
愛純の足元に設置したビデオカメラを拾い上げ、排泄の瞬間の表情を確認した時、大貫はそう看破した。
それは女がクリトリスでの絶頂時に見せる表情と、まるきり同じであったからだ。

二度目の公開排泄で呆然とする愛純を前に、ここで大貫は他の三人の男にも楽しみを与える。
フェラチオを仕込ませたのだ。
男のペニスを口で悦ばせる技術は調教に不可欠だが、大貫自身には成し得ない。
その点、他の三人の男は目を見張るほどの剛直と精力の持ち主だ。
彼ら三人がへたり込んだ愛純を取り囲み、剛直を口に宛がうと、彼女は異臭に顔を顰める。
しかしさらに逸物を突き出されれば、大人しく唇を開いた。

「……んっ、んむっ!……んっ……え゛っふ、うん…………!!」

男に後頭部を抱え込まれたまま、口一杯の剛直を咥えて顔を前後させる愛純。
大貫は椅子に掛けて茶を愉しみながら、興味深げにそれを眺めている。

「へへ、こんな可愛いガキにしゃぶって貰えるなんざ、役得だぜ。
 ぎこちねぇ動きがまたそそりやがる……おら、その笠の張った所を舐めな。歯ぁ立てんなよ」

男が言うまでもなく、愛純に抵抗する気配はない。
頭のいい彼女は、この男達を相手に噛み切るような真似をしても無駄だと気付いているのだろう。
調教の主たる大貫であればともかく、その他の男であればいくらでも取替えが利く。負傷しても調教が滞らない。
ゆえに、彼女はただ拳を握り締めて従うしかなかった。


男達は愛純の頭を抱え込んで腰に引き付け、逸物全体が涎に塗れる頃に別の一人と交代した。
それは時計回りに幾度も繰り返され、順番が回るたびに仕込みは容赦のないものとなっていく。

「オゥコラ、ちゃんとこっち見上げてしゃぶれっつってんだろ。
 舌ももっと上手く使え。上手くできるようになるまで、何時間でもしゃぶらせんぞ」

男の一人が、愛純の黒髪を鷲掴みにしながら告げる。
彼は力任せに愛純の頭を引き付け、かなり長さのある極太を根元近くまで咥えさせていた。
少女の唇からは涎が垂れて顎を伝い、乳房の方にまで垂れ落ちている。
気丈な瞳は目を剥くようにしながら男の顔を見上げ、かすかに充血を見せつつ目尻から涙の跡を伝わせていた。

「むグっ、ごえ゛っ……!!お゛え゛っ、ええええお゛お゛っっ……お゛ごげっ…………!!」

今や彼女の発するのは、えづき声ばかりとなっていた。
慣れない喉奥への蹂躙は、気丈な彼女から容易く涙を搾り出し、華奢な手で赦しを乞うように男の毛だらけの腿を掴ませる。
だが男達は容赦しない。むしろその様子に一層嗜虐心を煽られ、涎の線を煌めかせながら次の番の一人へと回す。
そして、その一人がついに欲情のラインを超えた。

「おおおお良いぜ、おら、奥の奥まで咥え込め!!」

はち切れんばかりの征服欲に煽られ、愛純の頭を本当の根元部分にまで強引に引き付ける。

「う゛ろ゛っっ!!」

その瞬間、愛純の喉の奥から妙な音が漏れた。
目が見開かれ、根元まで咥え込まされたままの口から小さなうめきが漏れる。
さらに喉のラインが泡を浮かせるように蠢き、ぶふっと鼻水が吹き出た直後、彼女の手は驚くべき力で男の腰をはね除けた。

「ゲッ……ゲエエッ…………!!ゲホッ、んおおお゛え゛えぇ゛っっ!!!!」

床に両手をついたその間から、吐瀉物があふれ出す。
目を硬く瞑り、舌を突き出したまま何度も背を上下させ、黄色い液体を滴らせる愛純。
男達はそれをどこか満足げに見下ろしながら、傍らのテーブルから酒瓶を拾い上げた。

「おーお、調教部屋の床をゲロで汚しやがって。こういうブタには、“迎え酒”しかねぇなあ」

男の一人が嘲笑いながら、無理矢理に愛純の顔を上げさせる。
酒瓶を視界に捉えた彼女が暴れると、他の二人も前髪を掴み、鼻を摘んで無理矢理に飲ませる状況を作り上げる。
そして息苦しさに口を開いたその中へ、瓶の中身を注ぎ入れた。

「げはっ、がぼっ!!」

当然、そのような飲み方では噎せ返ってほとんどを零してしまう。
しかしそれでも構わず酒は注がれ、そのうちに愛純は頬が赤らみ、目は潤みを湛え始める。

「色っぽい顔になりやがったな、酒は最高の媚薬ってか。……さ、じゃ続けるぜ」

酔いの回った少女を前に、男達はある程度量の減った酒瓶を置くと、再び怒張を咥えさせる。
しゃっくりと始めた愛純は訳もわからず、ただ男の求めるままに従う。
口淫調教は、男達三人共が満足しきるまで、呆れるほどに長く続けられた。
それに時に苦しみ、特に涙を零しながら、しかし愛純の顔には、次第にどこか陶然とした表情も見受けられるようになっていった。



一時間以上にも渡り口淫を仕込まれた愛純は、酔いもやや醒めたように見える。
けれども身体はぐったりとし、男達に抱えられて椅子に腰掛ける際も、抵抗などはしなかった。
開脚したまま手首や足首、腰周りを椅子の各所に結びつけられる間も。
椅子に腰掛けるという新たな体勢により、今時の女子高生らしく締まった腰や、すらりと伸びたモデルのような脚が改めて晒される。

「おお……っ」

男達は、思わずその姿に感嘆の溜め息を漏らした。
幾度も射精をした直後であるため勃起こそしないが、その瞳は獣のそれに成り果てていた。
無論、それは同じ男である大貫とて同じだ。ただ彼の場合、興味の先が性行為という直接的なものではない。

「さて。肛門の次となれば、尿道辺りを開発するか」

大貫は口の中で噛むように呟くと、手際よく尿道責めの準備を進めていく。
用意されるのは、カテーテルの片側に小ぶりな注射器がついたものと、キシロカインゼリー、そして極細い責め具の数々だ。
大貫はまずカテーテルの片方にゼリーを塗布してから、愛純の秘裂上部……針穴ほどの尿道を指で拡げつつ、挿し入れる。
眠るようだった愛純が小さく呻く。
そして大貫の指は浣腸器の尻にかかり、ゆっくりとそれを押し込んでいった。
注射器の中身が減っていく。その減った分は、愛純の膀胱に注ぎ込まれている。

「うあ、うあっ!」

膀胱が膨らむにつれ、愛純は声を上げた。
これまでの責めより声が幾分大きい事を鑑みれば、やはり彼女はまだ酔いが残っているのかもしれなかった。
薬液が全て入った所で、大貫の指は注射器の尻を押し留めたまま止まる。
膀胱を満たされたままの少女の腰が蠢いた。

「どうだ、出したいか」

排便の限界を見定めていた時と同じ声色で、大貫が問う。
愛純は恨めしそうな瞳を見せるだけで答えなかったが、小刻みに震える腿を見れば是非は明らかだ。
大貫はしばし意地悪く焦らし、焦らしてから、ゆっくりと注射器の末端を開放する。
その動きに合わせて、注射器の中に液が戻り始めた。
薄めたビールのようにほんの少し泡立ち、黄ばんでいる。
それはまさに、愛純という少女が注射器の中に放尿している瞬間だった。

「はぅう……っ」

放尿する間、愛純は赤らんだ頬を膨らませながら呻きを上げた。やはり少々大きな声だ。
大貫はその様子を眺めながら、また注射器の中身を少しずつ膀胱へと送り返す。そして、放出させる。
それを幾度か繰り返した。愛純の尿道を緩めるために。


ある程度強制排尿を愉しむと、大貫はカテーテルを尿道から抜き去る。
そして僅かに口を開いて外側に捲れた尿道口を前に、道具を手に取って直接的に嬲り始める。
責め具は綿棒という見慣れたものから始まり、次第に尿道責め専用に作られたと思しきものへと変わっていく。
例えば見るからに硬さのありそうなガラスの棒、それも側面に数多くの小さなイボが散りばめられている。
それが尿道へゆったりと抜き差しされる様を、周囲の男達は若干の引き笑いで見守った。
当の愛純はといえば、まるで信じられないものを見るように、自らの茂みの下へ異物が入り込む様を凝視している。

「はーっ……はぁっ…………や、やめてよ……そこ、おしっこの穴…………
 はっ、はあっ……も、おしっこ、はぁっ……できなく、らっちゃう…………」

充分に呂律の回らない口ぶりで、やめるよう呼びかける愛純。しかし大貫それを聞き届けるはずもない。
彼はまるで米粒に字を書くような手つきで、慎重に細い棒をつまみ、前後に揺らしていた。
その指はこまめに道具を変えるが、ただ太くするばかりでもなく、時にごく細いが反りの強い道具で掻くようにし、
再度同じ太さに戻して責め嬲ったりもする。
それが確かな快感を与えているのは、愛純の腿の波打ちを見ていればおおよそ解った。
また不思議な事に、尿道よりやや上にある陰核が、いつの間にか明確なほどに膨らみを見せている。

「尿道をほじくっていれば、豆も膨らむ。尿道の奥とクリトリスの根は、薄皮一枚挟んでいるだけだからな」

不思議がる男達に、大貫は言ってきかせた。
そして彼自身も下準備充分と見たのか、片手に筆をもって柔らかに陰核周りを撫で始めた。
もう片手では相変わらず尿道を扱きながら。

「あ、そこらめっ!!」

愛純の反応も早かった。彼女の陰核は前日にも、肛門と並行して散々に指で開発されている。
ただでさえ敏感な器官である上に、清純な真面目娘が自慰で触れるのも陰核が主たる箇所だろう。
弱点になりうる要素は数多くあった。
しばし尿道責めと筆での陰核嬲りを続け、いよいよ陰核が半ばほど包皮を捲り上げるほどに膨らむと、
大貫は本格的に陰核責めに取り掛かる。
まずはサージカルテープで包皮を完全に剥いたまま肌に固定し、陰核を完全な剥き出しにした。
そして陰核の付近、さらには内腿に至るまでを巧みに指先で撫でまわし、外堀から埋めるように陰核の感度を高めていく。
さらには陰核にメンソールを塗り、息を吹きかけただけで震えるほどに感覚を研ぎ澄ませもする。

「ん、くんんん……っ!!」

愛純も陰核の嬲りは格別に耐えづらいのか、下唇を噛み締めてかろうじて甘い声を押し殺している有様だ。
やや離れて見守る男達にさえ、陰核を嬲るにつれて秘裂が戦慄き、蜜を吐くのが見える。
何より陰核自身の赤く膨らんでいくさまが、愛純の快感のよい指標となった。
大貫もこの辺りは調教師の本領とばかりに、舌や指、筆を用いて陰核がまさにはち切れる寸前にまで責め立てていく。
そして痛々しいほどに勃起しきったところで、彼はマッサージ器を手に取った。
さほど大掛かりなものでもないが、スイッチを入れた時の駆動音は相当に大きい。
愛純の顔が強張った。
彼女は目にしたのだ。はち切れそうな自らの陰核に、唸りを上げるマッサージ器が押し当てられる瞬間を。
  
「おおおぉおおおお゛……っ!!!おおおお゛、ほくぉおおっ!!!
 おおおぉおおおお゛お゛ーーっっ!!!!!」

調教部屋に、快感のこびり付いた少女の叫びが響き渡る。声量は相当に大きく、にわかに酔いが戻っているように思える。
散々舐られ、目覚めさせられた陰核にマッサージ器が宛がわれてから、どれほどが経っただろう。
愛純の反応は、見守る男達の予想を超えるものだった。
椅子に拘束された身体は幾度も拘束帯を軋ませながら跳ね上がり、悶え狂う。
桜色の秘裂からは幾度も潮が噴き出し、少女の腰掛ける座部から二メートル余りの床には、隙間なく愛液が散らされていた。
何より異様なのが愛純の顔だ。
椅子の背に深く頭を預けたまま、天を仰ぐようにして低い叫びを張り上げる。
眉は垂れ下がり、気の強い瞳は涙を零しながら力なく白目を剥きかけている。
その表情もまた、大貫に『作られた』ものだ。
マッサージ器を一旦離してほしいという願いを七度ばかりも蹴られ、快感の波で冷静さを失わされた。

「なぁ、そろそろヤバいんじゃねぇか……?」

さすがに愛純の表情に危険なものを感じた一人が、大貫に声を掛ける。
しかし大貫は、左手で愛純の内腿を愛撫し、右手で下方からマッサージ器を押し当てる動きを止めない。

「いいや、まだまだ、まだまだ逝かせる。今日で徹底的に逝き癖をつけてやる」

大貫の左手はその言葉の間も内腿を這い回り、ひくつく菊輪を捉えた。
そして当然のような動きで二本指がその穴の中に入り込み、蠢き始める。
昨日に続いての、陰核と肛門の同時調教。快感のすり込みだ。

「あーーーーっ、あ゛ーーーーーっっ!!!!」

肛門への指責めが関連しているのかは解らない。
だがそれとちょうど機を同じくして、愛純の口は「お」の形から「あ」へと変わり、大きく開かれた。
幾度も幾度も、喉奥を震わせて叫び、乱れた。

呆れるほど長い潮吹きと共に、完全に白目を剥いて気絶するまで。



蔵本愛純はその日、完全に陰核快感を刷り込まれてしまった。
調教から丸一日経った晩、丸裸で眠りながら、陰核を無意識に自ら指でこね回しているのは傑作だった。
下劣な笑い声で目を覚まし、自らの行為に気がついた瞬間の、どこにも怒りのぶつけようのない表情は最高だ。
愛純の身体は着実に性奴隷へ近づいているといえる。
しかし、心は気丈なままだった。
暇を見ては大貫が尻穴を調教し、彼が休んでいる時には男三人からフェラチオを仕込まれる中でも、凛とした瞳をしたままでいる。
大貫と男達は、殊更にその心の強さを喜んだ。

今も愛純は、大貫から粘質な肛門責めを受けている。
後ろ手縛りで天井から吊られ、かろうじて爪先立ちができる中腰の姿勢を取らされている。
足裏が床に着くでも着かないでもなく、腹圧が掛かりにくい……つまり肛門に何か入れられるのを拒みにくい体勢だ。
彼女を中心とする床には、注入の役目を終えた20ものイチジク浣腸や、先端の汚れた長いアナルバイブ、
後半はゴルフボールほどの大きさになるアナルビーズなどが転がっており、すでにかなりの時間尻穴を嬲られているのが解る。

そして、愛純の脚の真下……まさに今用いられているのは、ガラスボウルに山盛りになった玉蒟蒻だった。
大貫はそれを一つ手に取っては、なお眼光鋭い愛純の前に晒し、尻穴へと運んでゆっくりと押し沈める。
愛純は顔を顰めこそするが、黙って異物の挿入を受け入れる。
そこには少女の意地が試されている空気があった。
大貫は徐々に抵抗の強まるのを愉しみながら、玉蒟蒻を押し込んでいく。
彼は、柔らかな手触りもさることながら、蒟蒻の独特の臭気がいかにも女を辱めているようで気に入っていた。
十九個が呑み込まれた頃、愛純の顔がいよいよ苦しげに歪む。

「…………もう………………無理よ………………」

そう大貫を睨みながら告げるが、嗜虐心の滾る調教師はまるで意に介さない。
それまでと変わらぬ動きで玉蒟蒻を取り、すでに肛門から半ば顔を出している直前の一つごと無理矢理押し込んでしまう。
ボウルに入っていた玉蒟蒻は合計30個。彼は当然のごとくに、その全てを愛純の腸内に詰める気でいるようだった。
幾度も抵抗と押し込みを繰り返し、相当な時間の後に、ついに30個の玉蒟蒻は残らず愛純の細い腹部に収まった。
大貫はいつもの如く目を見開き、片手の指で肛門を塞ぎながら、もう片手で愛純の下腹を撫でる。

「ふふ……皮膚の上からでも、中に詰まっている蒟蒻の形がわかるぞ」

無数の粒がうっすらと浮き出る下腹部を撫でながら、大貫は嬉しげに囁いた。
愛純はその彼を軽蔑するように見下ろしながらも、苦痛に表情を支配されている。

「さぁ、ひり出せ。何度も受けた浣腸責めを思い出しながらな」

大貫はそう告げながら、愛純の肛門に嵌めていた指を離す。その瞬間、堰を切ったように異物があふれ出す。
それは大貫が差し出したガラスボウルに、硬い音を立てながら叩きつけられて滑り回る。

「ぐく、ぅう……っ」

愛純は整った顔を歪めながら、腸にごろごろと詰まった質量を吐き出していく。
両足の親指で床を掴むように立ち、内股から次第に外開きのがに股になり。
およそ令嬢がするものではない浅ましい格好だが、そうしなければ思うように排泄が叶わないのだろう。
いかに男達から嘲りの笑いを受けようとも、目頭が潤むほど口惜しかろうとも。
しかしそれだけ工夫を凝らしても、腹圧の充分に掛からない中腰では、腸の奥にまで入り込んだ蒟蒻が取りきれない。
一、二、三と、大貫がわざとらしく声に出しながらボウルの中の数を数える。
しめて二十四、六つ足りない。
大貫は嘲るように笑い、傍らの太いアナルバイブを拾い上げた。

「何だ、まだ六つも未練がましく咥え込んでいるのか。仕方がない、ひり出す手伝いをしてやる」

そう言葉が続けば、愛純にもその意図する所が読み取れる。
大貫は内股に戻る少女の生脚を押しのけ、肛門にアナルバイブをねじ込んだ。
あらかじめ使用されていたものであるから、挿入自体に無理はない。
しかし問題は、六つの玉蒟蒻が中にある状態で、腸を埋め尽くすそれが暴れまわっている事だ。
これは相当に効くらしく、愛純は再び浅ましいがに股になり、その脹脛を硬く筋張らせながら、あッ、あッと鋭く声を上げた。
そして大貫が抜刀するようにバイブを素早く引き抜けば、まるでそれを追うようにいくつかの球が零れだす。

「……ぅふっ………………」

その瞬間。
常に恥辱に負けまいと輝いていた愛純の瞳が、一瞬だけどこをも捉えないぼやけた眼になるのを、大貫は見逃さなかった。

「ふふ、一瞬だけいい表情が出たな。糞をひり出しながら軽い絶頂に至る変態女の顔だ」

大貫はそう言いながら、ボウルに戻った30個の玉蒟蒻のひとつを再び摘み上げる。
そして否定の叫びを上げる愛純の肛門に咥え込ませた。

無理矢理に30個すべてを呑み込ませ、しばらく我慢させ、ひり出させる。呑み込ませ、ひり出させる。
一息に出せなければ様々な肛門責めの道具を用いて蹂躙し、無理矢理にすべて吐き出させる。
その日、それが呆れるほど幾度も繰り返された。
大貫は愉しんでいるようだった。ひりだされるたびに腸液に塗れる蒟蒻を、愛でるように指で扱いた。
一方の愛純は……初めの頃は、ただ嫌がっているだけに見えた。
しかしよくよく排泄の瞬間を見れば、恍惚とした表情がより鮮明に、長く続くようになる。
そして、実に16回目の排泄の際。


「 …………………… もう、 見ないで …………………… 」


すらりとした両脚を硬く閉じ合わせ、真下を向くよう俯きながら、やっと聴き取れるほどの小声で愛純は呟いた。
嗜虐心を煽られた男達が無理矢理股を開かせれば、脚の内側はすっかり愛液で濡れ光っている。
その日は一日、肛門だけしか嬲っていなかったにも関わらず。





「……へへ、しっかし夢みてぇだなあ、こんな清楚で糞真面目なお嬢様のケツを犯せるなんてよ」

男の一人が、愛純の肛門に勃起しきった逸物を抜き差ししながら笑う。
愛純は、何人もの男からアナルを犯されていた。
格好は初めてアナル責めを受けた時と同じ、後ろ手拘束で床に寝そべり、太腿と脛半ばを繋げるように拘束帯を嵌められた状態だ。
アナル調教を受ける時、多くはその格好だった。
同じ格好で調教を続ける事で、条件反射のように『より感じやすく』なるのだという。
それが関係してかせずか、愛純は顔にうっすらと汗を掻き、火照るような頬の紅潮を見せている。

「すげぇ、根元までキュンキュン締め付けてきやがる。ケツ穴で感じてんのかあ、お嬢様よぉ?」

男がタトゥー入りの舌を見せながら問うと、愛純は閉じていた瞳を開き、眉を吊り上げた敵意剥き出しの表情を向ける。

「お尻の穴で感じるなんてこと、ある訳ないでしょ」

荒い呼吸を交えながらも、はっきりとした口調で答えた。しかし男は薄笑いを浮かべるばかりだ。
彼は女子高生の吸い付くような腿裏の感触を手の平で愉しみながら、数度腰を打ち込んで調子を整える。そして。

「そうかい、でもいつまでそんなすまし顔ができるかな!」

そう叫ぶように言うと、剛直の根元までを一息に沈み込ませ、そこで動きを止める。
打ち込まれた瞬間もさる事ながら、そこから一秒、二秒と経てば、愛純の足指が堪らなさそうに蠢く。

「んぅうう゛っ…………!!」

間もなく愛純は、弱ったように顔を顰めた。笑いが起きる。

「へへ、見ろよ。今の顔、絶対イッたぜ!」
「あー、間違いねぇな。最初は抜く時だけが気持ちいいのかと思ってたけど、今は奥が弱点か。
 さんざ尻ばっか嬲られて子宮辺りが蕩けてるんだろうな、それを腸から抉られてイッてるんだろ」
「コイツ、逝き顔マジで可愛いな。なぁ、早く代わってくれよ」

男達のがなり立てる声に包まれながら、愛純は延々と尻の穴を犯され続ける。
あ、あ、あ、あっ、あっ、と、次第に艶めいていく若い喘ぎ声が響く。
女の穴はその処女性を保ったまま、けれども尿道と腸奥から薄壁越しに開発され、後戻りのきかないほど蕩かされていた。
肝心の尻穴などは、今や排便するだけで濡れるほど鋭敏に仕込まれている。
屈するまいと必死に自我を奮い立てても、逞しく硬いもので穿たれれば、どうしようもなく感じてきてしまう。
叫ぶか。叫ぶまいか。
愛純は極限状態を彷徨いながら、肛門に肉の杭を打たれて悶え続ける。
しかし投げ出した視線の先に大貫の笑みを捉えた時、彼女は、最後の何かが切れたのだろうか、
疲れ果てたような顔をして瞳から光を失った。


「………………い、いい…………おしり、いい………………いい、の………………」

堕ちた。
大貫はそう思うと共に、出来上がった作品の美しさに初めて眼を細める。
これならば誰にでも、自信を持って薦められると確信した。
彼の想い通り、愛純はその後に極めて高い値で性奴隷として競り落とされる。
大貫はその法外な値そのものよりも、むしろ極上の獲物を調教しきった満足感を胸に、しばし最高の酒を愉しんだという。

         
                        終
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隷属のシエナ

※殴り書き。スカトロ、拷問成分注意


「……やれやれ、やっと大人しくなりおったか。この暴れ馬め」

甲冑に身を包んだ男が、顎の汗を拭いながら呟いた。
その見下ろす先には、膝をついた一人の女性が苦しげに眉を顰めている。
シエナという名を持つ彼女は、全国を旅する経験豊かな女冒険者だ。
かつては傭兵として武勲を挙げた事もあり、浮浪の身として軽視されがちな冒険者の中でも、
特別にアニキリア王国国王への謁見さえ赦されている女傑だった。

彼女は数年前、このゴヴィシの街へも訪れた経験がある。
しかしそれは、まだこの一帯が長閑で平和な炭鉱の街だった頃の話。
隣国に征服され、男は死ぬまで鉱山送りに、女は残らず奴隷にされる属国と化す前の話だ。
シエナが街に入った瞬間、軽鎧と剣を帯びたその姿を占領軍兵士が見咎めた。
元より直情径行、人が人を隷属させる事を良しとしないシエナと兵士達は、当然の如くに刃を交えた。

所変われば国の英雄とすら称される女だ、そう易々と止められたものではない。
竜巻のように鋭く腰を切って振りぬかれる大剣は、鉄兜を根菜の如くに容易く裁断し、兵の腰を砕けさせる。
二人の兵が諸手でもって腰を抱え込んだが、それでも踏み込む勢いを殺しきれない。
炎の走る銅のような赤髪を靡かせて、シエナは暴れ狂った。
叩き割られた盾や兜が街道に転がり、耳を突くような剣戟の音が明けの空に響き渡った。
シエナに隙を作ったのは、けして兵士達の武の力ではなく、多勢に無勢という状況からくる疲労に他ならない。
全身に無数の切り傷を作って奮戦するシエナは、迫る刃を弾き返した姿勢そのままに崩れ落ちる。
弓兵の放った毒の矢が、その脇腹を掠めていたのは事実だ。
しかし居並ぶ兵士達の眼には、その姿が極限の疲労からようやくにして力尽きたようしか映らなかった。

「……くそっ……毒……か…………!!!」

立てた剣を支えに片膝を突き、忌々しげにシエナが呻く。
兵達はしばしその姿を恐ろしげに観察していたが、時が経ち、シエナがもう立つことも叶わぬ状況にあると知るや、
俄然その加虐心を剥き出しにして取り囲んだ。

「へっ、手こずらせやがって。こんな暴力女は、まず従順にする調教が必要だな」
「ああ。奴隷にして下さいって懇願するようになるまで、何日でもかけて嬲り抜いてやる」

兵達のその様子に、なお光を宿すシエナの瞳がぎらつく。

「何を……!!」
「おお、おっかねぇ。だがじきに解るさ、昼も夜もなくここの全員に嬲られ続けてりゃあな。
 奴隷の心構えって奴を、身体の芯にまで叩き込んでやる」





囚われたシエナは、傷を治すハーブエキスに身を浸されながら、兵士達に輪姦された。
ハーブエキスには麻酔効果があり、そこに何時間にも渡って浸かれば身体の自由は利かない。
意識だけがはっきりしている状態で、シエナは口を、女の穴を犯し抜かれた。
粘性のあるエキスの中、ガラスの壁に両手を付いたシエナの身体が揺れる。
キッキッキッキッと独特の音がし、押し殺すような喘ぎが響く。
何時間に渡ったのだろう。
最後にはさしものシエナも虚ろな瞳になり、食い縛った歯の間から荒い息を吐くばかりとなっていた。
しかしそれでも、奴隷となる事を承諾する様子は微塵もない。
そこで彼女の身は地下牢に移され、悪趣味な元尋問官へ貸し与えられる事になったのだった。



「……どうだ、様子は?」

尋問官の食事を届けにきた兵士が、カンテラを片手に告げる。
昼なお暗い地下牢には、申し訳程度の蝋燭が灯ってはいるものの、目が慣れない人間には見えづらい。
今日で使用三日目になる地下室には、前日よりもさらに酷い匂いが満ちていた。
拷問官の趣味で、ここにはトイレが設置されていない。
ゆえにシエナは、その美しい身体から排される糞尿を垂れ流しにするしかなかった。
またそうでなくとも、失禁や脱糞なしには耐えられない責めが繰り返されているようだ。

部屋の隅にある水を湛えた一角には、赤みを帯びた茶色い髪が幾本も浮いている。
一度や二度では済まない水責めを、シエナが受けた証だ。
後ろ手に枷を嵌められて床にへたり込むシエナの脚には、白い部分を探すのが困難なほどの笞痕が残っている。
肩には未だ落ちぬ白蝋の層がこびりついており、床には先の煤けた鉄の棒が五本ばかり転がってもいた。

今日になって新たに増えているのは、石床に座するシエナの両乳房を挟み潰す、金属製の責め具だ。
その責め具によって張り切った乳房の先へ、ごく細い棒状のものが刺さっている。
拷問官の過去の責めから考えれば、そうして女冒険者の乳腺を嬲っているのだろうと見当がついた。

 はーっ、はーーっ、はーっ、はーーっ……

暗闇の中から、シエナの荒い息が繰り返されている。
彼女は長い前髪を垂らし、乳房の枷に涎を垂らすようにして俯いているようだ。
前髪に隠れて表情は読み取れないが、体力を消耗しているのは明らかだった。
おそらくは糞尿が垂れ流しになっているのみならず、この三日の間に睡眠すら与えられていないのだろう。
乳房責めは昨夜はされていなかった筈だが、かなり執拗に課されているようだ。
乳房の先、細い棒を伝うようにして母乳の雫が零れ、下方の石床へと振り落とされてゆく。



「よう、随分と淑やかになったもんだな」

食事のトレイを置いた兵士が、靴を鳴らしながらシエナの前方に歩み出し、髪を掴んで顔を覗き込む。
案の定眼の下に隈を作ってやつれ果てたシエナは、それでも眼前の男に鋭い視線を向けた。

「………………。」

離せ。眼光でそう言い放つ姿に、尋問官が面白そうに笑った。

「ひょ、ひょ、まだ、まだそんな眼をを。じゃあお仕置きだでぇ、おー仕置き受けよぉうでぇ」

そう生き生きと喋りながら、シエナの乳首とその付近を紐で縛り上げる。
シエナの表情が強張った。
さらに尋問官が、縛り上げた乳房の先端で細い棒をくゆらした時……シエナの唇が開かれた。

「うああああああっあ、あああああうあああああっ!!!!」

高らかな叫びだ。
紐で縛ることによって狭められた乳腺を、恐らくは何かの薬を打たれた上で掻き回されているのだろう。
乳房の先から、闇に白く煌めく母乳が飛沫を上げる。
シエナは苦痛からか悦楽からか、凄絶に顔を顰めながら笞痕だらけの太腿を暴れさせる。
一方の尋問官は、自らの前後させる棒の下へと顔を潜り込ませ、さも旨そうに母乳を口に受けていた。
その狂った責めは、まだまだ終わりそうにない。

兵士は再びカンテラを手に取ると、女の叫びがこだまする地下牢を後にした。



地下牢を出てからも、シエナへの責めは続けられた。
ある時には、彼女は裸のまま街の中央にある広場に引き出される。
手足を伸ばしたまま前屈みになり、その手首足首を地面に拘束された。
挙句には、そのままで浣腸が施される。
兵士二人がかりでやっと持ち上がる家畜用の浣腸器でもって、腹が膨らむまで薬液を注ぎ込まれる。
そして肛門栓を嵌められ、裸のまま見世物となるのだ。
観衆は兵士達と、すでに奴隷と化している街の女達。

「う、う……くうぅ、うう……う…………!!」

シエナは兵士や街の女の前では恥辱を見せまいと、必死に耐えた。
手足を震えさせ、歯を食い縛って耐え忍んだ。
しかしながら、限界はやってくる。
やがてシエナは、幾度もかぶりを降りながらその時を迎えた。

「う、うあ……あああああああーーーっっ!!!」

太い肛門栓を弾き飛ばし、茶色く濁った汚液を広場にぶちまける。
視界を遮る物は何もなく、その排泄のすべてが場の者達に見届けられた。
その恥辱は如何ほどだっただろうか。
すべてを観衆の視線に晒した後、シエナは俯いて頬に涙の線を零していた。
気の強い女冒険者の心が今まさに引き裂かれていくのが、見守る人間には読み取れた。

そこからさらに三日……拘束されたまま広場で輪姦され続けた後、
彼女の口から赦しを乞う情けない声が上がる。

奴隷の身分となった彼女には、街で最も高い値がつけられたという。


                        終
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壊れた関係

※ 腹責めモノです。若干の嘔吐描写注意。


今しみじみ思い出しても、あれは妙な体験だった。

その日僕は、彼女である大里真美と町の祭りに参加していた。
田舎町の、神社と公園にかけて屋台が並ぶ小規模な祭りだ。
真美は大学のサークルの先輩で、とにかく押しの強い人だった。
子供の頃から空手をしていて、僕よりもよっぽど腕っ節が強い。
僕と付き合っていたのも、けして好き合ってではなく、丁度いい遊び相手だったからに過ぎないんだろう。

その真美から、殆ど飲めないビールを何倍も勧められ、その時の僕はかなり酔っていた。
もう帰ると何度もぐずりながら、真美に追い回されていた最中。
まるで喧騒から外れるように建つ、一件のサーカス小屋のような青いテントに辿り着いた。
暗闇の中にひっそりと浮かび上がるそこはどうにも不気味で、普段の僕なら関わろうとはしなかっただろう。
けれどもその時は酒の勢いもあり、追ってくる真美から身を隠すにはうってつけという計算もありで、テントの中に踏み入った。

入った瞬間に鼻を突いたのは、酸い汗の香り。
そして、聞き慣れない女性の荒い息遣い。
外から見るより広さのある内部には、手足を枷でX字に拘束された女性が数人いた。
健康的に日焼けした上半身にはスポーツブラを着け、下半身には迷彩色の長ズボンを履いている。
足には、たまに危険な工事現場で見かける、ブーツタイプの安全靴を着用しているようだ。
そして何より印象的なのは、そのくっきりと割れて盛り上がった、逞しい腹筋だった。
それらの情報から、僕はそこにいる女性達が自衛隊員であると判断した。

「いよぅ、お客さんかい」

僕にそう声を掛けたのは、たった今導き出した答えを肯定するような、ガタイのいい男だった。
頭は清潔感のある角刈りに整えられ、タンクトップの下には浅黒い筋肉が盛り上がっている。

「ここって、何の店なんですか」

酒の力とは恐ろしい。
普段なら怖気づくような状況も、この時の僕はあっさりと受け入れていた。
逞しい男が笑みを見せる。



「ここはな兄さん、悪ーいオトナの為の出し物よ。
 あそこに繋がれてる女の中から一人を指名して、この球を投げつける」

男は、分厚いゴムで包まれたボーリング球大の物を拾い上げて言った。

「これを思い切り腹に投げつけて、制限時間の三十分以内に参ったと言わせればお客の勝ち。
 ああして屈服させた女を好きにできるって寸法よ」

男がそう目配せした先には、薄いカーテンで区切られた急ごしらえの寝室がある。
煎餅布団に膝を突くようにして、男の尻が蠢いている。
さらにその尻を挟み込むようにして、毛のない女のものと思われる足が揺らめいている。
薄いカーテンから透ける、布団に背をつける一人と、それに覆いかぶさる一人の上半身。
部屋へ入った瞬間に感じた、汗の匂いや聞き慣れない声も、どうやらそこが元凶のようだ。

それがセックスである事は、さすがの僕でも知っている。
ではそれを先程から目にしている、あの女性達はどんな反応だろう。
僕は急にそれが気になって、例の拘束された女性達を見やった。
案の定、彼女らも痴態を横目に見やりながら頬を染め、脚を内股にもじつかせている。
ただ一人を除いては。
その唯一の例外である中央の女性は、痴態から全く目を逸らさない。
かといって凝視している訳でもなく、ただ真正面を向いたままきりりと表情を引き締めていた。
瞳を正面から覗き込まなくとも、それが並ではなく気の強い女性である事が解った。
なぜなら僕は、日常的にそれと似た女性を目にしているからだ。
粗暴で、豪快で、性根が悪くて……

「へぇー、面白そうじゃん」
「ひあっ!!」

突如、真後ろから掛けられた声に、僕は頓狂な声を上げた。
ゼンマイ仕掛けのように寸刻みで振り向くと、そこには満面の笑みを湛えた真美がいた。
彼女はずかずかとテントの中に踏み入り、中央の女性を指しながら財布を取り出す。

「じゃ、あたしコイツね」

初対面の、それも恐らくは年上であろう女性自衛官をコイツ呼ばわりとは。
角刈りの男も苦笑いだ。

「あー……嬢ちゃん、こういうのも何だが、その女は止めといた方がいいぜ。
 どいつも仕事柄よく鍛えちゃいるが、そいつは別格だ。
 訓練の合間でも暇がありゃ腕立てと腹筋を繰り返してるような、病的な筋トレマニアでな。
 今まで泣きを入れた例がねぇ。
 もっととんでもねぇ化け物が挑戦するってんならともかく、姉ちゃんの細腕じゃ……」

彼の言う通り、真美の目の前で吊り目をぎらつかせる女性は、見たこともない腹筋をしていた。
それは人間の筋肉というより、皮膚の下に六つの金塊を潜り込ませたという風で、僕が殴った所で手を傷めるだけに思える。
けれども真美は、さも可笑しそうに唇を曲げるだけだった。

「だから面白そうなんだってば。あたし以上のS女とか許さないし。絶対屈服させて、嬲り者にしてやるんだから」

肩を怒らせてゴムボールを掴む彼女に、角刈りの男は肩を竦める。

「やれやれ、やんちゃな彼女だな。しゃあねぇ、特別だ。兄さん、御代はいいから加勢してやんな。
 二対一なら、ちっとは希望も見えるだろ」

彼はあろう事か僕の肩に手を置き、ゴムボールを握らせる。
その瞬間僕は、自分が傍観者の席から引きずり下ろされた事を知った。



手にしたボールは、トイレのスッポンのように分厚いゴムに包まれていた。
形は完全な円ではなく、一方が吸盤状になっている。
何となく思いつく事があって、僕はその吸盤面が当たるように壁へ投げつけてみる。
ボールが壁に吸い付いてひしゃげ、中の球はたぶん慣性の力に従って壁へぶつかった。
ごぼん、と鈍く重い音がする。

「ふぅん、グローブ着けてぶん殴るようなもんね」

真美が僕に目配せして言う。
遊びと称して僕をボクシンググローブで叩いた経験があるから、という意味が一つ。
それと、逃げた罰として後でぶん殴る、という意味もあるだろう。
このとき僕の喉から出たしゃっくりは、酔いではなく、後々の恐怖からのものだった。

「ま、とにかく始めるわよ」

真美はボールを胸元に抱えて告げる。
そして足を大きく開いて踏ん張り、充分に肩を入れて押し出すようにボールを投げた。
素人目にだけれども、中々のフォームだと思う。
ボールは真っ直ぐに飛び、拘束された女性の逞しい腹筋に沈み込む。

「ふむ゛っ……!!」

女性は口元を引き締めて堪えた。
彼女の腹筋はボールの侵入を浅くしか許さず、まるで弾き飛ばすように押しのける。
ごどん、と床に重く鈍い音が響く。
鍛え上げられた腹筋は見掛け倒しじゃなく、実際に鉄壁のようだ。

「へぇ、やるじゃん」

真美は呟きながら、僕に指で『すぐに続け』と指示を出した。
間髪入れずに責められるのは、二人でプレイする最大の利点だ。
自衛官の女性には悪いけれども、真美の機嫌を損ねるのはもっと悪い。
僕はボールを両手で握り締め、叩きつけるように放り投げる。
ボールが手を離れる瞬間、世界がスローになって女性の顔がはっきりと見えた。
真美の一発を耐えしのぎ、空気を求めていた所への追撃に驚愕する顔が。

「お゛ごっ!?」

金塊のような腹筋が布団のように沈み込む。
ボールの中身が移動し、さらにその窪みを深める。
女性の眉間の皺も一気に深まった。

「げはっ、えほっ……!!えはぁっ!!」

女性は苦しげに呼吸していた。
角刈りの男が驚いたような声を上げているのが聴こえた。
そして、真美が満面の笑みで床を踏みしめる音も。


「ぐっ!!」

女性は真美の二発目を、歯を食い縛って耐え忍んだ。
ちっ、と舌打ちする僕の彼女。そしてそれを正面から睨み吸える迷彩ズボンの女性。
僕はそれを見た時、妙に気分が高揚するのを感じた。
だいぶ酔いが回ってきたんだろうか。
僕はそれから何度か、真美の指示によって投擲した。
けれども四回、五回と投げるうちに、真美の指示もない内から投擲のモーションに入っている自分がいた。

迷彩ズボンの女性は逞しく、こちらの球を盛り上がった腹筋で幾度も弾き返す。
凛々しい表情も保ったままだ。
けれども上手く時間差で責めてやれば、面白いように悶絶してしまう。

「ぐぬぅうううっ……!!」

例えば今、真美の一発が唸り声と共に止められた。
けれどもその球が腹筋を押し込んでいる丁度その後ろから、もう一発をお見舞いするとどうだろう。

「っ!?え、う゛ろぁ゛っっ……!!!」

女性の顔が天を仰ぎ、大きく開いた口からうがいをするような音が漏れる。
そして驚いた事に、迷彩柄のズボンの股部分に、かすかなシミができ始めてもいた。
真美がそれを目敏く見つけ、僕に報告してくる。
僕は普段なら引いてしまうそんな情景を、この時ばかりはより一層の興奮状態にしていた。
この強そうな女性が悶絶している。真美の一発より、明らかに僕の一発の方が効いている。

『僕が』苦しめているんだ。

そう感じたとき、僕のボールを握る手は、音がするほどに強く握られていた。
唇の端から涎を垂らす迷彩ズボンの女性に向けて、嗜虐心を迸らせる。

「え、ちょっと……それは不味くない? ね、ね、ちょっとぉ……」

真美の当惑か歓喜か解らない、上ずった声がする。
その声を聞いてやっと、僕は自分の行動に気づく。
まるでハンマー投げのように、ボールを掴んだまま脚を軸に回転しているんだ。
角刈りの男と真美が、こちらへ両の掌を差し出しながら腰を引くポーズを取っている。
まったく妙な応援の仕方だ。
僕はしばし、身体が勝手に織りなす心地良い回転に身を任せていた。
高揚した気分がさらに高揚していく。
気分までもが錐揉みして上昇していくみたいだ。
最後に、拘束された迷彩ズボンの彼女が目を剥いている姿が見えた瞬間、僕は笑った。


「   ぶ ち 壊 し て や る よ ォ  ・・・・   」


誰のものかも解らない低い声が耳元でした直後、僕は肩の筋肉を盛り上がらせる。
爽快なまでに腕を伝って走り抜けていくエネルギーが、空中へと放り投げられる。
それは痙攣する肌色の壁へ、迷いなく吸い込まれた。
女性の左目が固く閉じられ、唇が歪にへし曲がる。
自ら腰を壁へ押し付けるように身を折っている。
そしてその血色の良い唇から、吐瀉物があふれ出して……僕はそれを、とても綺麗だと感じていた。





気がついた頃には、僕は神社の境内で横になっていた。
祭りはとうに片づけまでもが終わっていて、辺りには誰もいない。
若干の頭痛と酒臭さから、ビールをかなり飲んだ事だけは確かだけれども。

こんな風だから、僕はこの時の妙な経験を、今でも夢か何かだと考えている。
この地域の自衛隊は、確かに昔から変わった訓練をするという噂もあったけれど、
それにしたってあんな屋台があるのは現実的じゃない。
だからきっと、夢なんだ。

ただ一つだけ気になるのは、その日を境に真美の態度が激変した事だ。
一日前までは僕を見かけるたびに酷くからかい、笑いながら殴ってきた彼女。
それが今ではすっかり淑やかになり、常に僕の機嫌を伺うように下から覗き込むような仕草をし、
お気に入りだった臍だしルックも一切やらなくなった。
それどころか、僕と居る時はそれとなくお腹を隠すように抱える事すらある。
これについて言及しても、真美は『泥酔させて放置したのは、さすがに悪かったから』と弁明するばかり。

真相は未だ、闇の中だ。



                  終わり
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