大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2013年02月

アイスピックの震え

※ いつになくスカトロ注意!『強制食糞』があります!


「待ちかねたぜ、美人刑事さん。ようこそ俺達の巣へ」

閑散としたバーの中、人相の悪い男が入り口へ視線を向ける。
場には他に似た印象の男達が数名おり、口元に薄笑いを浮かべていた。
彼らの視線を集めるのは、ひどく鋭い印象を与える女だ。
嘉川冴月(かがわさつき)。
濃紺のトレンチコートを羽織り、薄手のセーターとジーンズを覗かせている。
やや固い格好ながら、極上の女であることは一目で見て取れた。

櫛の通りの良さそうな、肩甲骨までの黒髪。
変化の解りやすい、柳のように細い眉。
意思と責任感の強そうな瞳。
控えめな鼻梁に、物事を細かく追求しそうな薄い唇。
同僚からさえ『アイスピック』と揶揄される、その潔癖で緩みのない雰囲気は、誰が見ても警察の女だと気付くだろう。

「まずは、捜査協力に感謝するわ」

冴月は後ろ手にドアを閉めて歩を進め、脱いだトレンチコートをカウンターの椅子に置いた。
薄手のセーター越しに、豊かな乳房が露わになる。
腰のくびれ具合も、そこから下に広がる安産型のヒップも、思わず男の生唾を誘うものだ。

「…………約束通り、見返りに何でもする。今夜一晩、好きにしなさい」

屈辱的な瞳で告げる冴月。
本来、身体で情報を得る類の女ではないが、状況はそれほどに逼迫していた。
タイムリミットはあと二日。
それまでに、現時点で何の手がかりもない犯人像を特定できなければ、首都圏で途方もない数の人命が犠牲になる。
その中で特捜部として事件を追っていた冴月が、有力な情報源としてついに探り当てたのが、バーにいる男達だ。
圧倒的優位に立つ相手に、まともな交渉は成立しない。

『……どうしてもってんなら、アンタ一人で俺達の元へ来な。そして一晩、“何でも”俺達の言うことを聞くんだ。
 特捜の嘉川冴月がそれを呑むってんなら、特例の特例として、ネタを提供してやってもいい』

そのような条件にも、冴月は断るという選択肢を持ち得なかった。
警察と裏社会の情報を網羅しているような相手だ。下手に策を弄せば、すぐに悟られる。
『アイスピック』の冴月とて、嫌悪感を押し殺して要求を呑むしかない。

「……へへ、そうかい。こんな極上の女に、そうまで言われちゃあ悪い気はしねぇな」
「うひひひ、見れば見るほどに、イイ女だなァ。評判の美人刑事のカラダ、たっぷりと堪能させてもらうぜ」

男達は下卑た笑みを浮かべたまま、冴月の身体を取り囲む。
顎を掴まれて口づけを強いられ、背後から乳房を揉まれながら、気高い女刑事は静かに拳を握り締めていた。





床には男女の衣類が散乱していた。
冴月が来店時に着用していたものも混じっている。全てが脱がされているようだ。
薄暗いフロアとは対照的に、スタッフルームには灯りがともっており、奥からギシギシと木の軋む音がする。

中では、冴月が男の一人に抱かれていた。ベッドの上で太腿を掴まれ、正常位で貫かれている。
シーツへついた右肘を支点に、半身を起こす格好の冴月。
その唇にブランデー入りのグラスが近づけられた。やや強引に押し当てられる。
冴月は、その頬の紅潮からするとすでにかなりの量を飲まされているようではあったが、グラスが傾く動きに逆らわない。
グッ、グッと喉を鳴らして飲み干していく。
空になったグラスが離されると、鼻から深く息を吐いた。唇が僅かに震え、瞳がとろりと潤んでいる。

「酒は最高の媚薬ってなぁ、本当だな。この女、かなり感じてきてるようだぜ。
 膣ヒダは膨らんで締め付けやがるし、子宮口もすっかり固くなってよ。顔は澄ましてやがるがな」

冴月を抱く男が笑った。
冴月は酔いの回った状態で抱かれながらも、視線を虚空に泳がせ、無表情を保っている。喘ぎ声すら漏らさない。
男達は各々に酒を呷りながら、そうした女刑事の意地を面白がっている。
男は冴月の左脚を持ち上げて側位に移り、そこからさらに脚を下ろさせて後背位になった。
ゆったりと腰を使いながら、男の親指はふいに冴月の尻肉を割る。
指先が捉えるのは、その合間にある菊のような蕾だ。

「くっ……!」

冴月が、初めて小さく声を漏らした。
親指が前後に揺れながら浅い侵入を果たすと、屈辱に耐えかねたように振り向いて男を睨む。
男は優越感を感じさせる笑みを見せた。

「もう一つの条件の方も、守ってきてるんだろうな」
「……当然よ。今日から遡って一週間、排便をしていないわ。食事もしっかりと和食を摂った。文句ないでしょう」

冴月が答えると、性交を横で見守っていた男が彼女の腹部を撫でる。

「なるほど、確かに張ってやがるな。良いだろう」

そう言いながら、銀のトレイに入ったある物を冴月の視界に入れた。
ピンク色をしたイチジク型の容器。イチジク浣腸と呼ばれるものだ。それが10個入っている。
それを見た瞬間、冴月は表情を強張らせた。

「クソを溜めとけと言われた時点で、予想はついただろう?
 こいつを自分の手で注入して、腹の中のモンをひり出してもらうぜ」

男が容器の一つを取り上げ、冴月の顔の前に翳す。
冴月は額に一筋の汗を流し、形のいい唇を噛みながら、渦巻く悪意に晒されていた。



「へぇ、頑張るじゃねぇか。特捜の美人刑事さんよ」

壁に寄りかかって立つ冴月を肴にし、男達は美味そうにグラスを傾ける。
冴月は真裸のまま、壁に手を突いていた。
その足元には、すでに注入の役目を終えた浣腸の容器が転がっている。
一週間便を溜め込んだ上で、10個のイチジク浣腸。
それは冴月の腹部に狂おしいほどの便意を催させ、尋常でない腹鳴りを引き起こす。
しかし、冴月は耐え忍んでいた。

「はっ、はぁっ、くっ……あ、うっく、あ゛……っく…………!!」

荒い呼吸を繰り返し、苦しさに喘ぎながら。
美脚はひどく痙攣しており、肩幅に開いた状態から、ともすれば内股に崩れそうになる。
括約筋にも明らかな決壊の兆しが見えており、蕾から溢れた茶色の筋が、白い内股を汚している。
それでも冴月は、必死に噴出を堪えていた。
男達は二台のハンディカメラでその様子を撮影していた。
流通させる気はなく、あくまで仲間内で愉しむ為だと言うが、本当の所など解ったものではない。

どれほどの時間、冴月は耐え忍んだことだろう。
やがて冴月は、誰の目にも明らかなほどの限界を見せ始めた。
上半身が壁に貼りつくようになり、膝が落ちるのをかろうじて押し留める。
口から漏れる声はもはや意味を成しておらず、弱弱しい音でしかない。

「そろそろか……おい、受け止めてやれ」

カメラを回す一人が命じ、冴月の近くにいた男が巨大なガラスボウルを美脚の間に差し出した。
それを視界の端に捉えた瞬間、とうとう瓦解が始まる。
茶色い汚物が堰を切ったようにあふれ出し、ガラスボウルの丸い底を滑って跳ね上がる。
その液黙りの中へさらに本流が続き、飛沫を上げる。
液の噴き出しが止まれば、次に肛門を押し拡げるのは固形物だ。
浣腸液に溶かされて半ば液状となった黄色い便が、まずはあふれ出す。
続いて、なお固さを残したままの茶色い便、そして塊になったままの浅黒い便。

「おお、すげぇすげぇ!!どんどん出てきやがるぜ!!」
「ひひ、しかもえれぇ匂いだ!評判の美人刑事でも、一週間も溜め込めばこうなるんだな」
「すらっとした脚が、震えながらクソをひりだしてやがる。こいつぁ抜けるぜぇ」

様々に罵詈雑言が交わされる中、冴月は羞恥に耐えながら排便に意識を集中する。
恥を晒すのは一時でも短くしたかった。
やがて排出が一通り終わった後、男が冴月の肩を押し込んで身を沈めさせる。

「ちゃんと全部出し切ってるのか?一週間分のクソってなぁ、浣腸した所でそう一気に出せるもんじゃねぇぞ」

そう諭すように言い聞かせながら、がに股の格好で腰を落とす冴月の尻穴へ指を入れた。
今度は以前のように浅くではなく、第二関節のさらに先まで、深く潜り込ませる。

「お、お゛っ!!」

冴月の声が漏れ、それに続いて尻肉の合間からぐちゅぐちゅと水音が漏れ始めた。
ほら、まだ出るじゃねぇか。
男が小さく囁いた直後、ガラスボウルに水の跳ねる音がする。
そこから二度ほど途切れがちに水の流れる音がし、さらにまた固形物が水へ落ちる音。

「どんどん出てきてるようだな。はしたねぇこった」
「へへへ、特捜の美人刑事がガニ股でクソ掻きだされる姿なんざ、人生で二度見られるもんじゃねぇ。
 オイ、カメラしっかり回しとけよ!」

冴月は、しばし恥を忍び続けた。
屈辱は相当なものだったが、排便まで晒したのだ。これ以上は無いだろうと思っていた。
ようやくに汚物のこびりついた指を抜かれた後、冴月は床に腰を下ろして息を吐く。

「…………さぁ、言う事は聞いたわよ。後はそっちの番、情報を頂戴」

仕事用の鋭い瞳に戻って告げる冴月。
しかし、男達はそんな彼女を見下ろしながら口元を緩めていた。

「オイオイ、何を言ってやがる。夜はまだ長ぇんだ、本番はこれからだぜ?」

男達はそう言いながら、汚物の入ったガラスボウルを冴月の鼻先に突きつけた。
冴月は立ち上る臭気に美貌を歪める。
こいつを、喰ってもらう。
間近で囁かれた言葉に、冴月は一瞬表情を凍りつかせ、耳を疑うように男達の顔を見つめた。

「聴こえなかったのか? 喰うんだよ、一粒も残さずに。
 潔癖で知られる特捜の美人刑事が、自分のひり出したクソを喰わされる所が見てぇんだ。
 嫌なら別に、このまま帰ってもらってもいいんだぜ。アンタさえ良けりゃあな。
 ただ、警察の人間がわざわざ俺達に協力を請うんだ、事態はかなり差し迫ってると見えるが。
 お前の覚悟の弱さのせいで、一体何人が死ぬのかな」

男達は巧妙だった。痛いところを突き、冴月の逃げ道を塞いだ。
冴月は、彼女にしては珍しく狼狽を露わにする。
瞳孔が開き、視線が定まらないその様は、何とも嗜虐心を煽るものだ。

しかし、数秒の後。彼女は決意を固めた。

「…………わ、わかったわ…………」

正義感に燃える瞳で男達を睨み上げ、強い口調で自己犠牲の道を選び取る。
男達は、その気丈さに手を打って喜んだ。





男は、座ったままの冴月の首を左手で抱え込み、右手を別の男が支えるガラスボウルに浸す。
そして中身を手でかき混ぜ、一掬いして冴月の顔に近づけた。

「抵抗すんなよ」

そう釘を刺してから、汚物の付着した手で冴月の口を塞ぐようにする。
冴月は目を閉じたまま、されるがままになっている。
口を開けろ、と男がドスの利いた声を上げた。
冴月は薄っすらと目を開き、続いて閉じていた唇を開く。
男は間髪入れず、その口の中に糞便を塗り込んだ。

「む゛っ!!」

噎せるような声が漏れる。しかしそれを意に介さず、男は汚物を擦り付ける。
一旦手の平が離されると、冴月の冷ややかな美貌は、その唇から下が無残に茶色く汚れていた。

「はははは、美人刑事さんのキレーな顔が台無しだ!!」
「相変わらず澄ました顔しやがって。オイ構うこたねぇ、ドンドン喰わせてやれ!」

男達の野次が飛ぶ。
冴月を抱える男は、言われるまでもないとばかりに次の汚物を手に取った。
今度は、小さな塊ともいえる便だ。
それを開かせた冴月の口の中へ押し込む。
ピンクの舌の上に、茶色い塊を乗せたままの顔。
しかし冴月は、薄く開いた視線を横に投げ、健気に涼やかな表情を保っている。

男はそれに嗜虐心を煽られたのか、次々と汚物を手にとって冴月の口内に押し込んでいく。
泥のような半固形物と、その溶け出した汚水、碁石ほどの大きさの汚物塊。
それを口一杯になるまで押し込んでから、男は冴月の顎を掴んで咀嚼を強制する。

「よぉーく味わえよ、自分の腹にあったクソなんだからな」

嬉しそうに言いながら、咀嚼させる。その最中、ついに冴月が一線を超えたのか低く呻く。

「うむ゛ぐ゛っ!!!」

目を見開いて吐き出そうとするが、男の手が唇をしっかりと押さえつけてそれを阻む。
逃げ場所を失った汚物が口内へ戻り、冴月の呻きを一層哀れなものに変える。
男達は、それを可笑しそうに見下ろしていた。


「おら、我慢して呑み込め。お前のひり出した一週間分のクソは、まだまだ、まだまだあるんだ。
 全部喰わねぇと、いつまでも終わんねぇぞ?」

男はそう言いながら、眉を顰めて悶え苦しむ冴月を追い込んでいく。
それでも冴月は大したものだった。

「お、おえ゛っ!!おおえ゛っ、ご、ぐぉっ……!!!……あ、はっ、はあっ……ろ゛あ、あ゛っっ!!!!」

糞便を口に押し込まれ、生理的嫌悪から苦しみつつも、その腕はだらりと床に垂れたままだ。
本当に抵抗するならば、糞塊を押し付ける男の手を払いのける事もできるだろうに、それをしなかった。
あくまでもされるがままになっている。その心意気は、並ではない。

「最近はアダルトビデオでも食糞ってヤツをよく見かけるようになったがよ、ありゃあ殆どが紛いモンだ。
 こうして正真正銘ひり出したクソを喰うとなりゃ、到底ヘラヘラ笑ってなんぞいられねぇ。
 横にいる俺まで、気を緩めると吐いちまうほどだからな。
 お前ら、気合入れて撮っとけよ。モノホンの美人刑事が、ハードなスカトロで悶絶してる様をなぁ!!」

男の言葉を受け、二台のカメラは一つは上空から、もう一つは前方から、食糞の様子を余すところなく撮り続ける。

「う゛っ!!」

ある時冴月は目を見開き、身体を大きく前傾させて息を詰まらせた。

「オイオイ、今にも吐きそうだなぁ。つらいんならギブアップして帰るか、刑事さんよ?」
「……っ…………い、いいえ。続けるわ」

男が試すように問うと、冴月は無理矢理にこみ上げるものを飲み下して続行の意思を示す。
男達はその気高さに気を良くしながら、汚物をボウルの中で捏ね回した。

「へーぇ、『続けるわ』ねぇ。ご立派だけど、なんか偉そうな言い方じゃねぇか?
 こっちはテメェのひり出したクソを掴んで、喰わせてやってる身だぜ。せめておねだりしろよ。
 おら、何ていえば良いんだエリート刑事さんよ?」
「ぐ……っ!!…………お、お願いします……。わ、私の出した、べ、便を…………食べさせて下さい」
「だから気取るなって。便じゃなくて、ウンチって言え」
「う……うんちを、食べさせて……くだ、っさ……い…………」
「ふん、どうした、そんな人生の終わりみてぇな深刻そうな顔してよ。まぁいいや、喰えやおら」

男は満面の笑みを浮かべながら、大量の汚物を掬い上げて再び冴月の口へと押し込み始める。
冴月は決死の表情で大口を開き、それを受け止めた。
男達に容赦はない。
再度小さな嘔吐の予兆が起きても、両の手の平で完全に口を包み込むようにして無理矢理に飲み込ませてしまう。
冴月は脂汗にまみれながらそれに大人しく従うが、そこにはやはり無理があり、生足がびぐん、びぐんと苦しげに痙攣した。
床に垂れていた手が持ち上がり、つい男達の腕を掴もうとする寸前で、震えながら床へ戻される事もある。
それらのいじましい葛藤は、彼女を囲む男達にとって最高の肴となった。

男達の手で無理矢理に押し込まれる糞便は、幾度も冴月の薄い唇からあふれ、彼女の美しい顎や鼻筋、首に至るまでを少しずつ茶に染め上げていく。
それはまるで、彼女の体内が汚されていく様を象徴するかのようだった。

「しっかし量の多いクソだな、ボウルの三分の一ぐれぇ埋まってるじゃねぇか。本当に全部喰えんのかよ」
「バーカ、喰えるかどうかじゃなく、喰わせるんだよ。ああして無理矢理突っ込んでよ。
 はははは、またすんげぇ声が出てるな、低すぎだろ。…………っと、あーあーあバカだね、吐きやがった」

男達の見守る前で、何十度目かの咀嚼を繰り返していた冴月が、堪らずといった様子で嘔吐する。
素早くガラスボウルが差し出され、口内からあふれる夥しい量の汚物と、白い吐瀉物の流れを受け止めた。

「せっかく半分ばかり喰えてたってのに、全部戻しちまうとはお前も好きモンだな、しかも、量が増えちまった」

男はそう言いながら、再度汚物を手の平一杯に掬い上げて冴月の口内へ押し込む。

「ガッ、ああ、あ゛っ……!!!ふんむ゛ぅうう゛う゛うあ゛っっ!!!!!」

苦悶の極みといった表情で呻く冴月。
その左の目尻から一筋の雫が流れていくのを、カメラが小憎らしいほど的確に捉えていた。






「…………ふぅ、ようやく全部喰いきったか。何時間かかったんだ?」
「さぁ、いつ始めたのかも見てなかったからな。だが最後の方はすっかりグタっちまってたな」
「そりゃ、男に押さえつけられてあんな量のクソ喰わされたんだ。元がどんだけ気の強い女だろうが、従順にもならぁ」
「一時間ばかし前の狂乱振りは、中々に凄かったからなぁ。鬼気迫るっつうか、女の力じゃなかったぜ。
 刑事を組み伏せるにゃ並の覚悟じゃ無理だって、思い知らされたぜ。ッ、まーだ痛みやがる」

男達は、首を抱えられたまま気を失ったような冴月を見ながら語る。
彼女は、その顔はおろか上半身至る所が、糞便と吐瀉物の混合物に塗れていた。
口内には歯茎にまで隙間無く汚物が詰められ、口を開いているにもかかわらず歯が見えないほどだ。
瞳はうすく開いてこそいるが、何かを見ている様子はない。
彼女はまるで壊れた人形のように、男にもたれ掛かっているだけの状態にあった。

「さて、まだ朝までは時間があるな。ビデオも残ってる事だ、次はこいつのアナルでも犯してやるか。
 残ってる下痢便を掻きだしながらのアナルファックだ。
 こいつはスタイルがいいから、クソ塗れでも映像的に映えるぜ」
「ほう、そいつはいい。たっぷりと喰わせた糞が、身体ン中通ってケツから出てくるかもな!」

力なく倒れ付す冴月の遥か情報で、男達は楽しげに悪意の相談を交わす。
冴月は滲む視界でかろうじてその姿を捉えながらも、赦せない、という気持ちにならない自分に気付いていた。
恐ろしい。身体が動くならば這いずってでも逃げ出したい。そうとしか思えなくなっている。
そのような弱った心で、これからの責めに耐え切れるのか。

朝はまだ遠い。
冴月は、『アイスピック』とも喩えられた鋭利な女刑事は、身体が小さく震えだすのをどうしても止められずにいた。


         
                          END

腹肉萌芽

  
打ち放しのコンクリートに、簡素なパイプベッド、椅子と机。
室内にあるのはその程度で、およそ生活臭というものはない。
獄中の独居房の方が、まだ柔な印象を受けるほどだ。
それが女……特にまだ20前後の若い女の部屋だとは、にわかには信じがたい。

その殺風景な部屋に、これもまた風変わりな人影が踏み入る。
着古した作務衣に、鼻緒の変色した下駄、拳へ幾重にも巻かれた包帯。
背は低く寸胴な体型だが、作務衣より覗く身体の部位は鋼のように鍛え上げられている。
眼光も人を射るほどに鋭く、何らかの武の心得があることは疑う余地もない。
その男の姿を目にした瞬間、部屋の主である女は目を見開いた。
そして、額を床へ付ける。

「申し訳もございません、竹ノ谷先生。」

女は平伏したまま、言葉を続けた。

「この美冬、碑功流空手の名を…………汚しました」

竹ノ谷と呼ばれた男は、その言葉には反応を示さない。
ただ頭陀袋を灰色の床に落とし、静かに唇を開く。

「服を脱げ」

短く一言を紡いだ。
男が女に脱衣を命じる。本来性的な意味を孕むそれが、この鋼の肉体を持つ益荒男から漏らされれば、意味が異なって聞こえた。
事実、命ぜられた女も嫌な顔一つせず、すくと立ち上がって服の裾に手をかける。
白いシャツが、煤けたジーンズが、淡色の下着が床へ落ち、なま肌が露わになっていく。
江園美冬。それが彼女の名だ。
名は体を表すと言うが、彼女の容姿もまた名を意識させるものだった。

顔立ちは端整だが、どこか陰のある幸薄そうな表情が、彼女を実年齢以上に大人びて見せた。
肌は美しく、雪のように白く透き通っている。
身体は細く絞り込まれ、随所によく鍛えられた跡が見えながらも、女の柔らかさを失っていない。
特にうっすらと六つに割れた腹筋は、雪の積もる石畳のように芸術的だ。
竹ノ谷は、その身体つきを静かに観察していた。


「ふむ、よく鍛えてあるようだな。肉体的には問題ない……となれば心だ。お前は、あの野試合に心で負けた」

竹ノ谷はそこで、かつて美冬を襲った悲劇を思い出す。
竹ノ谷が教え込んだ一子相伝の『碑功流』空手を以って、最大流派である顕武会を次々に破って大会制覇を果たした美冬。
しかしその一週間後、顕部会女子部の数名に襲われ、背後から羽交い絞めにされた上で執拗に腹部を打ちのめされた。
用いられた凶器は拳ではなく、木製のバットだったという。
胃液と血を吐くほどに殴られ、二度と大会に出ない事を誓約させられ、栄養剤の瓶で純血さえ奪われた悪夢のような夜。

後に美冬は、その首謀者を一人ずつ捜し当てて屈服させたが、それで心の傷が完全に払拭された訳ではない。
深層心理に腹部殴打への恐怖が刷り込まれており、無意識に腹部を庇う戦い方を選んでしまう。
先日、路上で行われた賭け試合では、その癖を利用されて腹部以外を滅多打ちにされた。
そうして消耗した挙句に、必死に守ってきた腹部のガードをこじ開けて散々に打たれ、大観衆の前で泣き喚きながら敗北を宣言する醜態を晒してもいる。
これが52戦を通して初の敗北であり、公での『碑功流』不敗神話が音を立てて崩れ去った瞬間だった。

「人間、戦っていればいずれは負ける。だが、あの一敗はそうした類の物とは違う。
 原因を根絶せん限り、何度でも繰り返される敗戦だ。
 お前はまず何よりも、腹への打撃に対する恐れを克服する必要がある。
 叩かれても耐えられる……という程度ではぬるい。叩かれる事そのものを悦楽と感じるまで、振り切れさせる」

竹ノ谷はそう諭しつつ、胸元から縄を取り出して美冬の手首に巻きつける。
美冬は表情を強張らせながらも、師のする事に黙して服従していた。
両手首が錠にかかったように縛められた後、彼女の身体は床に寝かされる。
豊かな弐つの乳房を天に向け、縛められた手首を頭上に奉げる様にして。
その姿を見下ろしながら、竹ノ谷は拳に厚く巻かれていた包帯をゆっくりと解きはじめた。
一巻き剥かれるごとに、岩塊のような拳の隆起が浮き彫りになっていく。
そうして露わになった拳は……およそ人間の肌色ではなかった。真紫と深紅が混ざり合ったように爛れている。
それを目の当たりにし、美冬も冷徹な相貌を崩して目を剥いた。

「……この拳を見せるのは、弟子であるお前が初めてだ。
 以前、毒手というものを教えた事があっただろう。数種の毒を混ぜた壷と、擂り潰した薬草の入った壷を交互に突き続け、
 長い年月をかけて徐々に拳そのものを毒の塊と化す修練法があると。
 これはその亜種だ。人間の精を高める強壮剤を数百種に渡って配合した薬を突き続け、活法の極みとするはずの拳だった」

竹ノ谷はそう告げながら、歪に変形した拳を撫でる。

「もっとも、半ば失敗したがな。中和の必要性を軽んじ、連日強壮剤を取り込んだ果てに、精嚢が膨れ上がって腐り落ちた。
 だがその代わり、この拳で肉を打てば、痛みと同時に性的な高揚を呼び覚ます事が出来る。
 漢方由来だけに、薬物検査にもまず引っかかる事はない。
 毒手ならぬ“艶手”とでも名づけたい所ではあるが……外法に名を付ける事そのものが馬鹿げているか。
 この拳で、一晩をかけてお前の腹を打つ。痛みと共に多大な快楽を刷り込み、トラウマを残らず払拭してやる。
 もはや闘士としてお前が再起するには、これしか手はない。そう自覚して耐え忍べ」

竹ノ谷の刺す様な眼光に覆い被さられながら、美冬はいよいよ表情を凍りつかせる。
しかし、数秒ばかりの沈黙の後、彼女は静かに頷いた。



「もっと口を開けろ。奥の歯で噛め」

丸めた手拭いを噛ませながら、竹ノ谷が言う。
美冬は歯の奥で強く手拭いを噛み、頭上で縛られた手を握り締めて耐える姿勢を作る。
竹ノ谷は、その手首を縛る縄にさらに縄を通し、パイプベッドの脚に括り付けた。
そうして準備を整えてから、ようやく竹ノ谷は美冬の側方に膝をつく。
腹部に手の平を当て、円を描くように撫で始める。
撫で回し、感触を確かめるように押し付け、そして揉む。
岩のような指でなされる揉み込みは、容易に美冬の力の込められた腹筋を変形させてゆく。

「ん゛っ」

美冬の眉がかすかに顰められた。
痛みもあり、またそれとは別に、じわり、じわりと赤紫の手から薬の成分が滲み出てもいるのだろう。
竹ノ谷は腹部を撫でていた手を止め、離す。
表皮の下に軽く薬が浸透したのか、それともこれから行われる事への恐怖からか。
六つに薄らと分かれた美冬の腹筋は、、かすかにうち震えていた。
その腹部へ、とうとう岩のように固められた拳が宛がわれる。
拳は力強く引き絞られ、音も鳴るほどに握り締められ…………打ち下ろされた。

「ん゛む゛ぅうっ!!!」

美冬の目が見開かれ、手拭いの奥から呻きが漏れる。
伸びやかな右脚は苦しげに膝を上げた。
その様子を視界の端に捉えながら、再び拳を引き絞った。そして、叩きつける。

「ふんくぅうう゛うっっ!!!」

二度目の拳は、深々と美冬の腹直筋を抉りこんでいた。
陥没が物語る、竹ノ谷という男の拳の重さ。
竹ノ谷は二度目に拳を引いたところで、一旦膝立ちを改め、そこからいよいよ本格的な突きを繰り出し始めた。
美冬は手拭いを噛みしめ、目をきつく閉じて耐え忍ぶ。

肉を打つ音が、響く。



「…………傑物と言われる人間には、色気というものがある。
 男の色気は無骨さだ。片目を失い、利き腕を失い、女を失い、それでも道を求める男などは色気の極みだ。
 だが、女の場合となれば話は違う。女は無骨さでは輝かん。
 女の色気とは、『艶』そのものだ」

重い突きを打ち込みながら、その合間に竹ノ谷は言葉を漏らす。
口数の多い男ではないだけに、その言には重みがあった。
美冬は苦悶しながらも、言葉を受けるたびに薄目を開いて反応を示す。
彼女の腹部は随所が赤く変色していた。
鋼のような肩と背筋を使い、岩塊の如き拳を叩きつけられているのだ。
いくら鍛え上げられた腹筋とはいえ、無傷でいられる道理もない。

作務衣の生地が擦れる音に続き、肉を打つ鈍い音が響く。
短いながらも悲痛な呻きが漏れる。
手首の縄が軋み、すでに初期位置から斜めにずれていたパイプベッドをさらに僅か揺り動かす。
両のふくらはぎが、踏みとどまるような強張りを見せる。

美しい顔にも変化が見られた。
柳眉は顰められ、瞳がかすかに潤んだような色を孕んでいた。
手拭いを噛む唇からは、顔の傾斜に合わせ、右にだけ細い唾液の筋が伝い落ちていた。
額といい鼻の下といい、細かな汗の粒が霧吹きで吹きつけたように張り付いている。
苦しげだ。
しかし同時に、それは女が性的快感を得た時の表情にも見えた。
丹念に愛撫を続けられ、挿入を心待ちにするかのように。
そう思って見れば、彼女の発する呻きも違った印象を与えるものだ。
その呻きが異常に聴こえるのは、鼻にかかっているゆえ。そしてそれは、女の甘い鳴き声にも共通する。

「どうだ、苦しいだけではなくなってきただろう」

竹ノ谷は一旦拳を緩め、手の平を美冬の腹部へ押し当てる。
熱い。温飲料の缶を思わせるほどに温まり、そして呼吸による上下とはまた違うリズムで細かく痙攣してもいる。
拳に打ち据えられた紅色の部分以外も、入浴したように桜色に上気しており、異常に血色が良い。
地の肌が雪のごとく白いだけに、その艶やかさは格別だ。

ふと竹ノ谷の太い指が動き、美冬のデルタゾーンよりさらに下へと滑り降りた。
肉感的な太腿は一瞬内股になって抵抗を示したが、手の甲が煩そうにそれを払うと、静かに左右へと開いていく。
茂みの奥、桜色の淡いへと太い指が入り込む。
ちゅち、と水音がした。
別の手は、美冬に噛ませた手拭いを取り去る。手拭いは濃厚な唾液に塗れ、中空で数度煌く。

「この様子では、かなり感じていたようだな」
「……禁欲が足りず、汗顔の至りです。二度ばかり、絶頂に至るような感覚に見舞われておりました」

竹ノ谷の問いに、美冬は喘ぎながら答える。
未亡人のような陰のある美貌を持つ彼女が、頬を染めながらそう告白する様は、何人の男を狂わせることだろう。


竹ノ谷の拳が唸り、再び腹筋を打ち据え始める。

「ぐはっ!!……っあ、あぶぐっ……は……っぐっ…………!!」

美冬の苦悶の声も再開する。それは苦しげな呻きではあったが、同時に色香を漂わせる喘ぎでもあった。
か弱く泣くような、ある人種にとっては大変に嗜虐心を煽る声。
拳が振り下ろされるたび、美冬の腹部は幾度も陥没する。
上半身が跳ね上がっては豊かな乳房が揺れる。
脚の動きもいやらしく、伸ばしきったまま親指を重ね合わせて気丈に耐えている事もあれば、ブリッジのように爪先立ちにもなる。
また膝を合わせたまま、無意識に腹部を庇うように動く事もある。
そのいずれもが、彼女の苦悶を実に解りやすく反映していた。

しかし打ち据える方とすれば、その脚の暴れようが邪魔になったのだろう。
竹ノ谷は汗に塗れた拳を止め、胸元から木炭を取り出す。
そして軽く膝を曲げたままで美冬に脚を止めさせ、その足裏の形に添って木炭で縁取りをしていく。

「今描いた線から足の裏が出ないよう、踏み堪えろ」

竹ノ谷は、美冬の瞳を覗き込みながら命じた。
美冬はその残酷な命令に顔を強張らせながらも、はい、と気丈に返事をする。
そして再び、岩のような拳は腹筋を叩き潰しにかかった。
切ない呻きが上がり、手首の縄が軋み、身動きを禁じられた脚の腿からふくらはぎにかけてが、尋常でない筋肉の躍動を見せる。
下半身に力が篭もれば、それだけ腹筋を固さを増した。
今までの打撃で散々に蕩かされていた腹筋が、しかし、遠目にもはっきりと解るほどの弾力を取り戻している。
パンッと音もしそうなその隆起を打ち込むのは、さぞかし心地の良いことだろう。
竹ノ谷は感情の動きをあまり見せない男だが、その彼でも所作でもって腹責めへの熱中振りを示した。

「ごぉっ!!が、あっぐ……!!い、いがっ……!!あ、ああ゛、おああ゛……あ゛っ!!!」

美冬の声が絶え間なく続く。それは竹ノ谷の打撃に切れ間がない事を表してもいる。
筋肉質な男の身体が蠢き、女の体内に熱を叩き込む。
女はそれを受け入れながら喘ぎ、脚線に尋常でない筋肉の躍動を見せて悶える。
それはまるで、人間の性交にも見まごうほどの濃密な繋がりだった。


「……………………!!」

汗とほのかな湯気に塗れながら、竹ノ谷は目を見張る。
そして桜色に上気しきった腹筋に指を添えた。
二つの腹直筋に挟まれるようにして存在する『白線』を上からなぞり、その左右の盛り上がりを愛でる。
それはまるで、ふっくらと膨らみを増した陰唇を撫でるかのようだった。
腹肉に紅く咲く花。

「はぁっ、はっ……あっ、ふぅ、う…………ッ!!」

その持ち主である美冬自身も、首をもたげて自らの腹筋を信じがたいように凝視していた。
表皮下の筋繊維の一つ一つまでが、発情しきったようにうち震えているのが自覚できるのだろう。
その腹部にほど近い子宮も存分に熟し、卵巣は子種を吐くべく、ふくふくと活性化しているに違いない。
竹ノ谷は親指を下腹部に宛がった。
恥骨の外側……まさに卵巣の部分へ。

「あっ、せ、先生そこは……っ!!か、堪忍して頂けないでしょうか……
 く、あッ……、んァアあんっぐうう゛う゛っ!!!!」

嘆願の言葉も終わらぬうちに、節ばった指が卵巣を押し込み始める。
充分すぎるほどに蕩けている状態だ。美冬は不自由な格好で身もだえ、動かす事を禁じられた踵を上下させる。
性的な信号が生々しい身体中から発せられる。
そうして極まりへ至ろうとしたまさにその瞬間、竹ノ谷は鋭く拳を振るった。
快感にひくつく腹筋の、その中心部へ。

「ごぉおおおおああぁあおお゛お゛っ!!!!!!!」

痛み、苦しみ、悦楽。それまでのあらゆる感覚を総括するような、凄まじい叫びが沸き起こった。
美しい唇からは唾液と共に胃液があふれ出し、力なく崩れた脚の間からは、透明な飛沫が噴き上がって壁を染める。
絶頂。その言葉がはっきりと想起されるような反応だ。



数度大きく酸素を求めた竹ノ谷は、ゆっくりと立ち上がって美冬の顔を覗き込む。
美貌は、快感に焼ききれたかのように白目を剥いていた。
竹ノ谷が数発頬を張ると、美冬は激しく咳き込みながら意識を取り戻す。

「気分はどうだ、美冬。腹を殴られる恐怖はあるか」

そう問いかけると、蕩けきった瞳を向けながら唇を開いた。

「…………いえ……。……とても……暖かいです………………」

異様なほど妖艶なその顔は、さしもの竹ノ谷でもしばし硬直するほどのものだった。
彼は美冬の手首の縄を解きながら囁きかける。

「とりあえずは感じたようだが、これで終わらせるつもりはない。
 明日もまた同じ事を繰り返すぞ。せいぜい休息をとっておけ」

そう言い終えて縄を解いた瞬間。彼は肩を強張らせた。
自由になった美冬の手首が、彼の手を掴んでいたからだ。
その美しい指の主は、蕩けた瞳の奥を爛々と光らせて師を見上げている。

「…………あし、た…………?……嫌です、先生。今日、もっと……もっともっと、私のお腹を抉って下さい!
 もっとわたしを…………私の身体の奥を、満たして下さい………………先生!!」

竹ノ谷は、弟子の顔から、その身体から、視線を外せずにいた。
その『色気』は、彼自身をも拳から侵食し、理性のない一匹の獣へと変えていくようだった。
彼は躊躇する。
そこへ落ち込めば、正気を取り戻せるのがいつになるのか……否、そもそも元へ戻れるのかすら、定かではないからだ。

「ね、先生ぇ……?  はやく、 はぁやくぅ………………っっ!! 」

雪の積もった石畳のようだった腹部は、今や世にも鮮やかな桜色に染まっている。
まるで雪の下に、一面の朱の華が咲き誇っているかの如く……。


                      
                                    終わり

快感の海

『優勝賞金300万円!どこまでイクのを耐えられるか!?』


そう記されたチラシを眺めながら、山辺沙喜(やまのべさき)は溜め息をついた。

「……ねぇ、あんた達さ。本気で私に、この大会へ出ろって言うの?」

沙喜は傍にいる少年達に問いかける。
まだ高校生である彼らは、純真そのものの瞳を輝かせて沙喜を見上げた。

「おお、だって300万だぜ!? クルマ買えんじゃん、やってよ!」
「そうだよ、サキねーちゃんなら優勝できるって!」
「もし断ったら、今までねーちゃんが俺達に教えたこと全部、母さん達にバラすぜ!」

一丁前に脅しまでかけて、沙喜を冒頭の大会へ出場させようとしてくる。
この少年達は、沙喜と同じ田舎町の生まれだ。
子供が少ない町であり、沙喜は4つ5つも下である彼らの姉代わりとしてよく遊んだ。
大学入学を機に上京してからも、固まった休みが取れるたびに田舎へ戻り、彼らに都会仕込みの情報を教えている。

 ――サキねーちゃん、女ってクリトリスがすっげー感じるって本当?

少年達が思春期に入ってからは、そうした性的な質問が増えた。
沙喜は、内心で教えるべきでない事とは思いつつも、結局は子供達の好奇心に押し切られ、
女の快感や都会カップルのセックス事情、『オトナの玩具』についてを説く。
そしてそれらの話でことさらに良い反応が得られた時、沙喜は妙な高揚感を覚えた。
心地いい。
元より、幼少期を少年達のボスとして過ごしてきた沙喜だ。
たとえ邪な釣り方だと理解していても、少年達からの羨望の眼差しが堪らない。

それ以来、沙喜は積極的に少年達に性の話を振った。
自分があたかもセックスに慣れているかのように見栄を張り、時に想像を交えながら性体験を語った。
実際には、性経験など人並み程度にしかなく、むしろ友人から『どっかお堅いよね、沙喜は』と茶化されるほどだ。
田舎育ちらしく、黒髪の手入れを怠らない純朴そのものの素肌美人は、都会育ちの娘からすればさぞ真面目に映るのだろう。
しかし沙喜はそうした事はおくびにも出さず、少年達が憧れるままの虚像を造り続けた。
ある意味、淫靡な大会へ出るよう強いられている現状も、自業自得といえるかもしれない。

「…………はぁ……わかったわよ。出るわ、出ればいいんでしょ。優勝できるかは知らないけどさ」

沙喜はついに観念し、モノクロの粗末なチラシを折り畳む。
辺鄙な田舎での話にしても、怪しい催しもあったものだ。けれども出ると決めた以上は、優勝を目指す。
親分肌の女子大生は、気だるげな表情の裏で、密かにそう決意していた。




大会は、沙喜の故郷から四駅ほど離れた隣県で催された。
多少は栄えている街であり、駅前にたむろする若者の外見も垢抜けている。
会場はその駅前にほど近いフィットネスクラブを、閉店後の一夜貸切として設営されていた。

会場に集まった人数は、沙喜が考えていたよりも多く、40以上はいる。
300万円の為にあられもない姿を晒そうというだけあり、水商売らしい女性が多く見受けられた。
無論普通の化粧をした女性もいるが、明らかに少数派だ。
今の沙喜にとっては、そうした水商売の女性こそが難敵だった。

 (水商売とか……つまりはプロじゃん。なんか不公平…………負けたく、ないな)

沙喜は仄かに負けん気を燃やす。ガキ大将魂というものだ。
いずれにせよ、この大会の様子は録画された上でDVD化され、参加者に記念品として贈与される。
沙喜の場合はそれを子供達にも見せる約束をしており、無様な結果は残せない。

参加者が揃い、開始時間が来たところで大会主催者の挨拶が始まる。
大会には、某大手製薬会社がスポンサーとしてついているらしい。
副作用のない女性用精力剤の開発に成功したため、その治験のアルバイトを兼ねて大会を開いたのだという。
異議のある者は、参加賞として交通費を含めた金一封を出すので即時退出して構わない、
また薬自体がまだ試作段階にあるため、ここでの事はすべて口外無用とする、というのが説明の主旨だった。
無論、300万円を目当てにここまで来て、今さら退出する女性などいない。
沙喜を含む40人あまりの女達は、順にシャワーを浴びてからフロアに用意された椅子へ腰掛けた。


真裸のまま椅子に腰掛けるのは、たとえ周りも同じ女ばかりとはいえ気恥ずかしい。
沙喜が俯きかけると、不意に目の前に一人の男が現れた。
顔を上げると、小麦色に日焼けしたサーファータイプの男が爽やかな笑顔を見せている。

「や、俺が君の担当、健也って言うんだ。宜しくね」

健也は人懐こく歯を見せて笑った。健康的な肉体に、柔らかそうな金髪が眩しい。
アイドルグループの一員といっても通じるようなルックスだ。
癖のない万人受けするタイプの相貌で、これを生理的に嫌う女性などまず居ないだろうと思える。
辺りを見渡せば、他の女性にもそれぞれ似たような男が一人ずつ付いているようだった。
夢のように格好良い男性が、自分の為だけに奉仕してくれる。
なるほど、女性が喜びそうな事だ。

「……よ、よろしくお願いします」

沙喜は眼前の女慣れしていそうな男に、若干気後れしながら挨拶を返す。
都会に揉まれたとはいえ、未だに沙喜はそうした押しの強いタイプを警戒する傾向にあった。
恐らくはそれが、友人の言う『どこかお堅い』部分なのだろう。
しかし健也と名乗る男は、その沙喜の反応に喜ばしそうな表情を見せた。

「何か、正直こういう所来るのが意外なタイプだな。見た目すげぇ真面目そうだもん。
 なんつーか、雰囲気とかからしてカワイーしさ」

健也はそう褒めちぎりつつ、沙喜の頭頂部にカチューシャ状の器具を乗せた。
開始前の説明にあった、被験者の脳波を測定する器具だ。
女性がオーガズムを示す際、必ずある特定の脳波が検出されるらしく、それを以って絶頂の数をカウントする。
カウントされた数値は各被験者の後ろに設置された電光掲示板に表示される。
当然ながら、今は全員の電光掲示板が『0』表示になっていた。

「…………ごめん、ちょっとこれ呑んで」

頭の器具を取り付けた後、健也は袋に入った錠剤を沙喜に手渡す。
実験のメインともいえる興奮剤だ。
それは口の中に放り込んだ瞬間に溶け出し、ラムネに似た後味を舌に残す。
薬は即効性で、一分もせずに効果が出る。
健也がそう語った通り、沙喜は自分の胸が時めくように軽くなるのを感じていた。
興奮してきている。
その効果は噂に聞いたドラッグの如く劇的と思えるもので、脳裏に一抹の不安を過ぎらせる。
しかしそんな沙喜をよそに、健也は沙喜の太腿を割って秘部に口をつけ始めた。


やはり慣れているらしく、舌先で陰核を転がされ、陰唇をなぞられているだけで、たちまち快感が沙喜の背を駆け上る。
沙喜は唇を引き結んで声を殺すが、秘裂の内部に舌が入りこむと、つい太腿を内に閉じようとしてしまう。

「ホント、君って初々しいよね。アソコもあんまり開いてないみたいだし」
「……あ、あんまり言わないで下さい。知り合いにはエッチに慣れてるって事にしてるから……」

沙喜が若干の恥じらいを見せながら答えると、健也は物珍しそうに目を丸めた。
しかしすぐに茶目っ気のある笑みを浮かべ、舌の代わりに指を秘裂へと沈み込ませる。
早くも潤み始めた秘裂の中で、指はすぐに二本に増え、陰唇を割り開きながらGスポットを捉える。

「ああっ!!」

この時には、沙喜も堪えきれずに声を漏らしてしまった。
健也の指先は、薬によって膨らみを見せ始めたGスポットを的確に捉え、別の指で陰核を蕩けるようにやさしく捏ね回している。
それで声を殺せという方が難しかった。
健也の指が容赦せずGスポットを責め抜くたびに、沙喜は、あ、あ、と声を絞り出されてしまう。
感じつつ周りに注意を向ければ、あちらこちらでも女達が歓喜の声を上げていた。
人によって特徴があり、アダルトビデオさながらに演技じみた声を出す者もいれば、純粋な快感から叫ぶ者もいる。
それらを見るうち、沙喜は声を出すことがはしたない事に思え、下唇を噛んで再び声を殺した。

「へぇ、Gスポ責めてもそんな頑張るんだ? やっぱ何か、女の子として純粋にカワイイよな、君」

健也は嬉しそうに言い、さらに責め立てる。
その最中、不意にホイッスルが吹き鳴らされた。健也を始め、男達の動きが一瞬止まる。
休憩か、と沙喜は安堵したが、実情はまるで逆だった。

「…………わり。笛鳴ったら、容赦なく責めろって言われてんだわ。ちっと、我慢してね」

そう健也の声が聴こえた直後、膣の中の指が猛烈に動き出す。
チュクチュクチュクチュク、と鋭い水音を立てながら、膣の中を擦り回す。
陰核も押し潰され、開放され、摘み上げられ、と散々に苛まれる。

「う、ああああぁああ゛お゛お゛っ!?」

沙喜は堪らずに濃厚な快感の呻きを上げた。彼女に限らず、周りの女性達も同時に似たような声を発している。

「ああっ、あ、あああお゛っ!!イグッ、だめああ、いぐ、イグいぐいぐっ!!!や、めて、はげ……っし……!!!」

沙喜は健也の腕を無意識に掴みながら、内腿を震わせた。
視界の下方で水溜りを蹴ったような水飛沫が飛んでいる。
薬の効果で散々に昂ぶらされ、緩い刺激で表面張力のギリギリまで追い込まれた快感が、一気に押し出されていくようだ。
快感の電気が下半身の指先まで走る。
血管の中を、血の代わりに快感が走っているように思え、意思とは関係なく脚のあちこちが快感に強張る。
自分の細い脚にこれほどの筋肉があったのかと、沙喜自身が驚くほどに。


涙で霞む沙喜の視界に、赤い電光掲示板の光が見えた。

26 28 36 31 ・・・・・

どうやら他の女性達も、今この瞬間に次々と絶頂を重ねているらしかった。
そして、早くも脱落者が出る。

「やめてぇーっ!!もうやめてっ、やめてやめてやめてぇえええええっっーーーーーー!!!!」

そう絶叫する人間がいると、担当している男の指がぴたりと止まった。
そして彼が手を上げると、叫んだ女性の後ろにある電光掲示板が点滅しはじめる。
脱落、という事だろう。
二人、三人。三人が脱落した。

「うぐぐぐぐぐ、ぅううっぐ…………!!!」

沙喜は健也の腕を両手で握りながらも、必死に歯を食い縛って耐えていた。
あまりいい表情とは思えない。
それを異性、それもかなり好ましい美男子に見せる事は憚りがあったが、脱落するよりましだ。

そして五分ほどが経った頃。
再びホイッスルが鳴らされ、男達の指が止まる。
その瞬間、緊張しきっていた女達が一斉に椅子の腰掛けに倒れ掛かる。
誰もが荒い息を吐き、顔中に汗を垂らしていた。
沙喜もそうだ。彼女は秘裂がドロドロと蕩けるような感覚を覚えながら、大きく胸を上下させていた。

「……スゲェな、君。耐えちゃったよ」

健也の声がする。

「正直、君みたく清楚そうなタイプは大体この一回目で脱落しちゃうんだけどさ。
 途中からは声まで我慢してたし、俺があんだけ責めても腕掴むだけで爪立てなかったしな。
 ああすると皆嫌がって、俺の腕に思いっきり爪立ててくるんだよ。それしなかったの、君がはじめて。
 優しいんだな。結構マジで興奮してきたよ、俺」

その言葉を聞きながら、沙喜は呼吸を整える。
健也の指は再び秘裂を割り開き、優しく内部を愛撫しはじめる。
しかし、それもホイッスルが鳴るまでだ。
優しく、激しく。優しく、激しく。その繰り返しが五回続けられた。
一回ごとに脱落者が現れ、鶏を絞めるときのような凄まじい快感の呻きが場に響いた。
沙喜も三度目の時点からは声を抑えきれず、鼻水さえ垂らしはじめる。
潮吹きに至ることも幾度もあり、そうした時には唇をへし曲げて極感を顔一杯に示してしまう。
何ともあられもない表情ながら、それでも健也は、その表情を愛らしいと評した。
それはリップサービスに過ぎないのか、それとも彼女にだけ耳打ちする本心なのか。
いずれにせよ、沙喜はその指先に翻弄されるばかりだった。


40名いた被験者も、気がつけば半分を割った18名。
そこへ来て、残った参加者達は一旦シャワーと水分補給の時間を経た後に、次の段階へと移る。
床全体にマットレスを敷いた上での、担当男性とのセックスだ。
新たに二錠の薬を追加された上で、服を脱ぎ捨てた健也が沙喜を抱き寄せる。

「挿れるよ」

しばし軽いキスを混ぜて愛撫を続けた後、彼はそう耳元に囁きかけた。
沙喜は今さら抵抗する気もなく、ただされるがままに脱力している。
慈しむようにゆっくりと脚を開かされ、固さのある亀頭が薄いゴム越しに感じられた後、
かなりの質量感を伴って熱さが入り込んでくる。

「……ふぅ……っ!!」

沙喜は小さく息を吐きながらそれに耐えた。
迎え入れた物は、男であるとはっきり感じさせるほどに逞しい。
けれども潤滑が充分すぎるゆえか、あるいは相手の技巧ゆえか、負担にはならない。
ゆっくりとした動きで熱く蕩けた膣奥を叩かれると、沙喜の腰は艶かしく動いてしまう。
次第次第にその動きが早まるにつれ、甘たるい声を絞り出されもする。

「あっ!!ああ、あくっ!!」
「あ、あ、あ、あぐううっ!!!あうやあぁあああっ!!!」

気がつけば、フロアの各所で悲鳴のような嬌声が上がっていた。
点滅していない電光掲示板は、どれもすでに60を越える数字が光っている。
巧みな男達の指で散々に蕩かされ、膣の奥までを蕩かされているのだ。
女の誰もが『絶頂に慣れた』状態にある。
そこに男達の巧みな技術が加われば、緩やかに緩やかに、断続的な絶頂地獄へと追い込まれていく。

沙喜自身も、快感のあまり子宮が下がってきている事をはっきりと自覚していた。
健也はそんな沙喜を自らの腰の上に跨らせ、騎乗位で突き上げてくる。
グチュグチュと耳を疑いたくなるほどの水音が結合部から漏れ、羞恥を煽った。
平均以上に逞しい怒張が子宮口を突き上げ、しかも熟練の技術で的確に弱点を責めてくる。
臍側の膣壁を擦られてぞくりとした瞬間、腕を引いて背を仰け反らされ、弱いとわかった臍側を丹念に扱き上げられる。
膣の左側ばかりを突かれ、右が物足りないと感じた瞬間に強く右向きに突き入れられる。
そうした動きは、“頭の中が読まれているのでは”と本気で沙喜に考えさせた。

「あうっ!あう、あ、あっ……!!は、あっ……あう、あゃ、あ……!!い……っくっ…………!!」

小さく声を漏らしながら、沙喜は絶頂に至った。
その表情を柔らかな微笑で見つめながら、健也が掴んだ腰を上下させる。うう、と桜色の唇から呻きが漏れる。

「すっげぇ締め付け、根元から先っぽまで吸い付いてくるみたいだわ。完全に名器だよ、これ。
 子宮の入り口も、先っぽではっきり感じ取れるくらいにヒクヒク閉まったり開いたりしてるし。
 クスリのせいもあんのかなぁ、こんなエロい膣の女、ほとんどないよ」

健也は、賛美とも本音ともつかない独特の口調で囁きかけた。
そうした些細な呼びかけがまた、沙喜の女の心を悦ばせてしまう。


果てしない性交の過程で、幾人もの女が絶頂の反復に耐え切れず脱落していく。
しかしその周りでは、変わらずに女の悩ましい喘ぎが漏れていた。
最後の一人が決するまで、この競技は続くのだ。

体力が限界となれば、汗まみれのまま、深く結合して抱き合う格好で呼吸を整える。
水を欲する者がいれば、監視する女性スタッフがスポーツドリンクのボトルを手にして向かう。
そうして小休止を挟みながら、交わりは延々と続いた。
見た目には淡々としているが、これは地獄のように辛い。

「ああ、あ、あぁあああっ!!ふぁあああぐ、あぐうぅううっっ!!!」

沙喜の耳元に、自らの苦悶の声が届いた。
彼女は開脚した膝立ちのまま、背後から左腕を絡め取られるようにして健也に抱かれている。
視界に映るのは、床についた自らの細い右腕と、むちりとした白い太腿、それを割るように入り込む色黒の逞しい脚。
白黒二つの脚が強張る度に、沙喜の背筋を電流のような快感が走り抜ける。
かつて無かったほどの興奮度合いだ。
精神はまるで酔ったように高揚し、身体中が静電気を帯びるかのように微弱な快感の膜で覆われていた。

「どう、深いだろ?」

それを攻め立てる健也も、脱落させる事で褒賞があるのだろう、まるで容赦がない。
固い亀頭が子宮口を突き上げ、引き抜かれる際に太くエラを張ったカリ首がGスポットを擦って、また突き込まれる。
それらの動きひとつひとつで、沙喜の細い腰は震え上がった。

「あ、あ、あ、あ゛っ…………!!!!」

感じまいとすればするほど、より深い快感に囚われる。そうなれば声を抑えきれない。
溢れるのは声ばかりではなく、水滴もそうだ。
頬を流れ、顎から滴り落ちる『汗』。
喘ぐたび惨めたらしく滴る『涎』。
恥じらいの部分から刻一刻と溢れ、内腿をとろりと流れる『蜜』。
宙に煌きながらマットレスへ滴るそれらの液体を眺めていると、沙喜には視覚的に快感が実感できた。
傷口の惨状を見て痛みが増す場合と同じく、溢れた液体を見る事で、いよいよ沙喜の興奮が高まっていく。

ぶるり、と彼女が背を震わせたのを見て取ったのか。
健也はそこへ来て、後背位で繋がったまま大きく反り返るように体勢を変えた。
開脚した部分を外に晒しながら、深々と繋がる格好だ。

「あ、あ、いやっこんなの、は……恥ずかしい…………!!!」

結合部を他人に見られる羞恥から、沙喜は声を上げた。
しかしその羞恥さえもが興奮材料となり、いよいよ昂ぶっていく感覚がある。


「ああああ゛やめでっ、はなしでっ!!!降参、降参っ!!も゛う突かないでええ゛ぇぇっっ!!!」

まともではない声が上がり、また一人の脱落者が出る。
集団セックスが始まってから、もう二時間ほども経っているだろうか。

 (……ふん…………だらしない……)

沙喜は座位で抱かれながら思った。
すでに身体中が汗にまみれ、太腿は意思にかかわらず痙攣し続けている。
膣奥を突かれる度に背筋を快感の電流が走りぬけ、それが絶え間なく襲ってくるために、
常時絶叫マシンで駆け下っているような鳥肌の立つ感覚に支配されている。
しかし、耐えられないほどではなかった。
その薬による日常ならざる快感を、沙喜は今でもなお堪能している。

フロアでセックスを続けている『残留者』は、残すところ六人のみ。
その中でも沙喜を除く五人は、眉を顰め、歯を食い縛る決死の形相といった様子だ。
脱落は時間の問題だろう。一方で沙喜には、まだ幾分かの余裕がある。
他者よりも快感の許容量が大きい事は、もはや疑う余地もなかった。

さらに阿鼻叫喚は続き、開始から三時間近くが経った頃。

「……う、く、ぅっ…………!!も、もう、限界だ…………!!!」

顔中に苦しみを表して、健也がついに身体を離した。
逸物を引き抜くと同時にゴムの中に大量に射精し、項垂れる。
するとそれをきっかけとしたように、他の男達が沙喜を取り囲んだ。
早々に相方を果てさせ、すでに痛々しいほどの勃起力を漲らせている男達だ。

「まだまだ満足してないんだろ。俺達もだ、続けようぜ」
「え、あっ!?」

男達に腕を取られ、沙喜は易々と乱交の輪の中心に引き込まれる。
突かれ慣れた健也の物とは、また違った形のペニス。
さらに人数の利があるために、ペース配分というものも考えられない。
常に全力で沙喜を責め立てる。

「あ、ああああぐっ!!ああっ、ふぁあああっ!!!ああ、イぐっ、はぁああ゛いっぐうぅううっっ!!!!」

蕩けきった膣を力強く貫かれ、沙喜は堪らずに叫んだ。
背筋を駆け上がった電流が脳で弾ける。それも、今までよりもよほど鮮烈に。
獣のような格好で抱かれながら、沙喜は涙の滲む視界を動かした。
まさに今、別の一人が半狂乱で脱落したようだ。
残っているのは、どうやら沙喜の他にはあと一人だけ。
一見すると品があるが、水商売独特の匂いもする、恐らくはカリスマホステスとでも呼ばれる類の人間だ。
色事に通じているという自負から、この大会での優勝を狙っているのか。
彼女もまた、幾人もの男から激しく抱かれ、艶やかな黒髪を振り乱して悶え狂っていた。
その乱れようは、沙喜の心にそら恐ろしささえ感じさせる。

同じ女でも見惚れるほどのスレンダーな肢体は、ただ事でなく痙攣していた。
基本は吊り目であろう瞳は、発情に潤みきって涙を零し、ときには病的に瞳孔を開きもする。
すっと通った鼻筋からは鼻水が垂れている。
桜色の唇は薄く開いたまま息を吐き、時に大きく開いて快感の呻きと共に涎を散らせる。
呻き自体も凄まじい。
お゛お゛お゛お゛お゛、という、喉の奥から搾り出すような、日常ではおよそ耳にしない女の低音。
その感情の純度たるや凄まじく、快感の槍で脊髄から脳天までを串刺しにされたように聴こえる。
と、女の瞳がぐるりと上向いた。

「ほぉおおおお゛お゛イグぅううう゛う゛っ!!!!!!」

全身を痙攣させながら、声が響き渡る。
恐ろしいのは、その現象はきっと、沙喜自身にも起こっているであろう事だ。
正常位で大きく脚を開かされ、強く腰を掴まれて逸物を叩き込まれる。
亀頭が女体最大の性感帯であるポルチオに達する。
すると、沙喜の身体は意識せず大きく背を仰け反らせた。
疲労困憊も極まった身体がなお震え上がり、喉の奥から純粋な快感の呻きが搾り出される。
瞳孔が開き、涙が零れていくのが自覚できた。
その間にも、さらに突きこみは続く。危険な快感がじわりと脳の内側へ染みこむ。

まもなく男が入れ替わり、身体を反転させて四つに這う格好で抱かれた。
太く、カリ首逞しく、熟練のテクニックでのセックス。
沙喜は両手でシーツを握り締め、太腿を強張らせる事しかできない。

「いぐ、いぐっ、イグ、いぐいぐいぐっ、ああ、いぐ、いっぐううううっっ!!!!!!」

突かれる度に叫ぶのは、無意識にそうしてしまう半分、非難の訴え半分だ。
これだけ絶頂しているのだから、リタイアこそせずとも少しは休ませて欲しい。
その気持ちから大声で絶頂を宣言しているのだが、男達が責めの手を緩める事はない。

『こんだけヤラれてんのに、すっげぇ締まり。陸上部かなこの子』
『そうそう、根元まで締まるんだよな。一生懸命感じてますって感じで、超可愛いんだよ』

そのように話の種にさえしている始末だ。
配慮されないのはもう一人の女も同じらしく、彼女は正常位で突かれながら幾度もギブアップを問われ、
蒼白な顔を振りながら耐え忍んでいる。


沙喜の性交は正常位から大きく脚を持ち上げられ、屈曲位に移った。
膝から滴った雫が顔にかかる。
愛液だ。後背位で抱かれていた時の愛液が膝下まで溢れ、それが滴ってきている。
屈曲位の今もやはり愛液はあふれ、会陰部を伝って背中にまで伝っていく。

沙喜の身体は、すっかり男の物に慣らされていた。
この大会に出る前は、ほとんど経験がないと言っても良いほどであったにもかかわらず、
ともすれば彼女の一生分に当たったかもしれない数のセックスを、この数時間でこなしている。
普通であれば痛むばかりで耐え難い断続的な性交を、薬の効果が可能にしていた。
際限なく膣分泌液を溢れさせ、子宮を蕩かせる。
そうなれば、快感は止め処がない。
奥への軽い一突きでも容易に達してしまい、頭の中で閃光が瞬く。
腰が淫靡に浮き上がる。

『すっごい。ねぇあの子、ストリッパーみたいに腰うねらせてる。まだ女子大生くらいだよね?
 肌ツヤ良いとエロいわー、あの腰つき』
『それより、顔だよ。最初見たとき、また真面目そうなのが来たなって思ったけど……それがあんなに……』
『もう100回以上イってるみたいだよ。大丈夫なのかな』

すでに脱落した女達が、口々に沙喜を噂する。
それらの言葉は沙喜の耳に入ってはいたが、快感で満たされた脳では処理できない。

「あっ、あっ、あーっ!!!おおおおお゛いく、いくいく、いくっ、ひっちゃうううっっ!!
 はっ、あ、ずっと……イッて……ほぉおおおあ゛あ゛ッッ!!!」

絶叫を繰り返し、痙攣する。快感の波に頭まで呑まれ、溺れていく。

『へへ、すげえ。子宮の入り口が、亀頭にきゅうきゅう吸いついてきてる。っら、奥まで突くぞ!』

抱いている男の声が遠く聴こえ、バリバリという耳鳴りに変わる。その後は鼓動しか聴こえない。
さらに男が一度強く突いて逸物を引き抜いた瞬間、沙喜はそれを追うようにして潮を噴いた。
『お』の形に開いた喉と唇から、快感に染まりきった呻きが漏れる。
その潮噴きから間を空けずに再び貫かれれば、快感はいよいよ最高潮に達した。

「いぐううううぅうっっ!!!!」

沙喜は奥歯までを噛みしめて、純粋そのものの快楽の声を出す。
自分では苦悶の表情のつもりだったが、どうやら笑みになってしまっているらしい事が、男達の反応で解る。
そうして何もかもが遠い世界で起きる事のようになった頃、一際大きな絶叫が響き渡った。

「もう、ゆるしてッ!!!もうやめッ、やめて!!あたま、があぁッ…………!!」

もう一人の残留者が陥落したようだ。
正気を保っているのか疑わしい声色で、限界を訴えている。
この瞬間、沙喜の優勝は決した。





沙喜は一度だけ、少年達の元に姿を現した。
そして優勝賞金である300万を渡した後、用事があると告げて姿を消す。
彼女の大学の友人も、行方を知らない。
『自分向けの、割のいいバイトを見つけた』……そう言い残した事だけは解っている。


……彼女は、大手製薬会社の臨時社員として雇われた。
その業務は、主として新薬の治験要因だ。
例の大会で優勝を果たした沙喜は、その快感への耐性を高く評価された。
そもそもにしてあの催し自体が、快感に高い耐性のある女性を探し出す為に開かれたものだ。
沙喜には、報酬として耳を疑うほどの金額が示されつつ、臨時社員の話が持ちかけられた。
しかし正直な所、沙喜を動かしたのは報酬ではない。

『もう一度、あの天国のような体験がしたくありませんか?』

その、悪魔のような誘いだ。
沙喜は一週間思い悩んだ末に、その話を受け入れた。
そして。


「…………さぁ、その位でいいだろう」

白衣を着た男の言葉で、沙喜から電動のマッサージ器が離される。
彼女は椅子に座らされ、暴れぬよう手首足首を拘束されていた。
その恥じらいの部分は、相当な時間をかけて昂ぶらされたらしく、愛液に塗れている。
その秘裂に器具が取り付けられ、冷ややかな音を立てながら開かれる。
クスコと呼ばれるその器具により、沙喜の膣の中までが晒された。
案の定内部は愛液があふれ、子宮頚部がひくつき、中心にある子宮口は息をするように僅かに開閉している。

「では、投薬するよ」

ラテックスの手袋を嵌めた一人が、トレイから錠剤をひとつ摘み上げる。
そしてクスコの奥に開閉する子宮口へ近づけ、ずぐりと差し込んだ。

「ん……!!」

沙喜は反応こそするが、痛みとは違うようだ。陶然とした色を瞳に浮かべ、何かを待っている。
じわりと新たな汗を滲ませ、唇を期待するように噛みしめて。

数分後……彼女の様子は変わった。

「お、おお゛お゛、おお゛お゛ぉお゛お゛っ!!!!!」

快感の叫びが響き渡る。
実験に立ち会った若い研究員達は、その様子に息を呑んだ。
大股を開かされた沙喜は、その子宮口に細いバイブレーターをねじ込まれていた。
出産経験のない女性の場合、本来は小指の先ほども開かない子宮口。
それは度重なる投薬とトレーニング、そして先ほど子宮頚部に挟み込ませた錠剤によって、
指の二本ばかりを飲み込めるほどに緩みきっている。
バイブレーターは、その中に咥え込まれて前後に動かされているのだ。

「あぐぅっ!!い、いくっ……いぐいぐいぐっ!!こ、こんなっ、子宮直接ゴリゴリされてっ……!
 ぐうううぅう、はぁああぐうううんああああ゛あ゛あ゛ーーーっっ!!!!!」

細かに振動する擬似男根は、透明な蜜に塗れながら子宮入り口のさらに奥を掘り進む。
その度に沙喜の内腿に深く溝が刻まれ、足指が伸びる。
研究員達は喉を鳴らしながらも、被検体の示す反応のすべてを淡々と記録していた。

「い、イギすぎて……お、お゛…………んんんぉおおおおお゛お゛っっっ!!!!」

白目を剥き、痙攣を始める沙喜。手足の拘束帯からミシミシと音が鳴る。
しかし、研究員達は手を止めない。まだ今日の実験は始まったばかりだ。
今日はこれから、挿入する道具をさまざまに替え、延々と責め続けることになっている。

「…………あは……あはは、は…………。」

沙喜は絶叫を続けながらも、快感の海に溺れる未来を期待してか、口元に妖艶な笑みを浮かべはじめていた。




                         終わり
続きを読む
アクセスカウンター

    ありがたいコメント
    さくさく検索
    Amazonライブリンク
    メッセージ

    名前
    メール
    本文
    プロフィール

    kunsecat

    • ライブドアブログ