大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2014年01月

苦楽の果てに (フェアリーテイル二次創作)

※フェアリーテイル365-366話にかけての、エルザ全裸拷問を読んで衝動的に。


キョウカは腰に手を添えたまま、囚われのエルザを眺めていた。
冥府の門(タルタロス)の地下。
石壁は苔生し、柱の合間には蜘蛛が巣を張る。
さほど頻繁に使われる訳でもなく、また使われるべきでもない階層の最奥……
二重の錠が護る石牢に、エルザは繋がれていた。

身に纏うものは何もなく、生まれたままの姿を晒している。
服を剥がれた理由は、一つには彼女が鎧を換装して戦う魔導士である事が関係していた。
とはいえ、彼女を繋ぐ拘束具はあらゆる魔法を封じる鉱石でできている。
それを手足に嵌めている以上、魔法の使用を危惧する必要などない。
すなわちこれは建前。
真の理由は、何といってもエルザの羞恥心を煽る事にある。
今からキョウカが行おうとしているのは尋問だ。
尋問において、相手が服を纏っているにも関わらず、自分だけが裸を晒すという状況は耐え難い。
無意識のうちに相手との格差を感じ、屈服しやすくなる。
特に、対象が美しく誇り高い女であればあるほど、劇的な効果が期待できた。

「……これが、妖精女王(ティターニア)か」
獲物の目覚めを待つ間、キョウカは誰にともなく呟く。
最強ギルドである事を改めて世に知らしめた『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の中でも、
さらに頭一つ抜きん出たS級魔導士。
パンデモニウムにて、100の魔物をたった1人で倒しきったその実力を、もはや疑う者はいないだろう。
「なるほど」
エルザの裸体に今一度視線を這わせ、キョウカは続ける。
成熟と若々しさが絶妙に入り混じる肉体だ。
凛然と整った顔立ち。
スカーレット(緋色)の名に恥じぬ、紅蓮のような長い赤髪。
零れるほどによく実った乳房、肉の張りと筋肉の締まりの申し分ない脚線。
妖精女王の名にこれほど相応しい女も他に居まい。
「!」
その妖精女王が、ついに眠りから目覚める。
「目が覚めたかな」
キョウカは間髪を入れず告げた。
相手の意識も定まらぬ内に存在を示し、主導権を握る。些細ではあるが重要だ。
ギシッ、とエルザを拘束する頭上の鎖が軋む。続いて、両足首の鎖も。
「これは……!」
エルザは鎖を軋ませながら、己の置かれた状況を把握しつつあるようだった。
「ようこそ 冥府の門(タルタロス)へ」
淡々とした口調で、相手に現状把握のための材料を与えるキョウカ。
エルザの目を見開く様が滑稽だ。
いかな妖精女王とて、この急転直下の窮地は受け入れ難いらしい。
特に、その原因が意外な人間の裏切りとあれば。
「バカな!!!!元議長が裏切るハズなどっ!!!!」
ギシギシと激しく鎖を揺らすエルザに、キョウカは冷笑を投げかける。
魔法を封じられた魔導士は無力。それが世の理だ。
たとえ、噂に聞くS級魔導士であろうとも。

  
「そなたには聞きたい事がある」
キョウカはエルザの顎を掴みあげながら、静かに告げた。
「ジェラールの居場所だ」
尋問の意図を明らかにした瞬間、エルザの顔色が一変する。蒼白、と言うべきか。
そしてその反応は、キョウカが期待した通りのものでもあった。
「そなた等が親密な関係なのは知っている」
エルザの戸惑いを覗き込むように、キョウカは追求を続ける。
「な…なぜジェラールを?」
顎を引き、敵意を剥き出しにしながら問うエルザ。
しかし、キョウカに答えるつもりはない。
問うのは自分で、相手は答えを返すだけの木偶。その逆は赦さない。

エルザの顎先から離された指が、そのまま彼女の身体を滑る。
「どこにいるか言え」
キョウカはエルザの急所を摘み上げた。
狙うは女の芯。女性器の上端に息づく、小さな肉の芽だ。
「あ あ ぁ あ ぁ !!!」
気丈だったエルザの相好が瞬時に崩れ、苦悶の叫びを上げ始める。
「 あ あ 、 あ …… あ  !!!! 」
ぐっ、ぐっ、とキョウカが指先へ力を込めるたび、悲痛な叫びが石壁に響く。
「此方の“魔”は人の感覚を変化させる。
 そなたの痛覚は今、限界まで敏感になっている」
肉体の現状を知らしめつつ、今一度陰核を捻り上げるキョウカ。
「ふぐ…… ん!!」
エルザは歯を食い縛って悲鳴を堪えるが、波打つ身体が如実に痛みを訴えていた。
激痛が脊髄を駆け上っているのが見て取れる。
陰核を捻り潰されたのだから当然の反応だ。
薄皮の下に無数の神経が張り巡らされた陰核は、人体の中で最も敏感な箇所といえる。
しかし、エルザは理解しているだろうか。
たった今キョウカが明かした事実、“痛覚が極限まで敏感になっている”ということの意味を。
それはすなわち、エルザの皮膚という皮膚……顔に手足、腹部に乳房、そのすべてが陰核と化したも同然なのだと。
「言え」
今一度、キョウカが問う。軽い問いであった。キョウカはこの問いで、エルザが折れることを望んでいない。
「知ら……ない……」
眼に大粒の涙を湛え、唇の端から唾液の線を垂らし、汗に塗れ。
その状態でなお、エルザは毅然とした態度で答える。
これこそがキョウカの望み。エルザに本当の意味で現状を教えるための、最後の条件がクリアされた。

 
キョウカは薄い笑みを浮かべながら、人差し指を変質させて一振りの鞭を形作る。
太さはわずかに女の指ほど。
しかし鞭とは、操り方次第で容易く人間の肉を裂く凶器だ。
こと、皮膚とその直下に対する痛みにかけては人類史上あらゆる武器にも並ぶものはない。
ヒュン、と風を切りながら、キョウカの指先が宙を舞う。
竜の尾が巻くように一度円転させ、その運動エネルギーを余さず乗せて指を振り抜く。

スパァンッ!!

肉の爆ぜる音がした。狭い石牢に、けたたましくその鋭い音が反響した。
しかし余韻には浸れない。
「う あ あ あ ぁ あ あ あ あ ! ! ! ! 」
絶叫。
まさしくそうとしか形容しえない声が、エルザの喉奥から迸る。
鳩尾に一筋走った鞭痕を晒すように仰け反り、髪を振り乱して叫ぶ。
その様は歴戦の戦士ではない、紛れもなく一人のおんなだ。
クス、とキョウカから笑いが零れる。
彼女は今、狂おしい激痛の最中に知っただろう。
己の総身が、先ほど挟み潰された陰核と同質のものになっている事実を。
何があっても秘匿されるべき神経の塊を、無防備にもキョウカに晒している恐怖を。
「ハア、ハア、ハア……ハア、ハア……ハア…ハア…………」
下方の一点を見つめたまま、エルザの視線は凍り付いている。
肺は逆に暴れ狂っているのか、長時間疾走を続けたような荒い息が途切れない。
内股になったその脚には尿さえ伝い、排泄用に設けられた足元の溝へと流れ落ちていく。
ただ一度の笞打ち。されど全身が陰核化された身を打たれれば、ただの一度で失禁に至るのだ。
かの妖精女王(ティターニア)が。

「フェイスの封印を解く為、我々は元評議員を皆殺しにするつもりだった」
喘ぐエルザの耳元へ、キョウカはジェラールを捜す理由を囁きかける。
そして前髪を掴んで無理矢理に顔を上げさせた。
「……うち二人はすでに死んでいた。残る一人は…」
「まさ…か…」
エルザが朧に事実を把握する。その顎を掴み、キョウカは吐息も掛かろうかという距離に詰め寄る。
決定的な事実を告げるために。
「ジェラールが死ねばフェイスの封印が解ける」
「!!」
キョウカの言葉に、再び顔面を蒼白にするエルザ。
ジェラールに想いを寄せていることが、これほど解りやすい反応もない。
「おっと…少し口が滑ったな。これでは知ってても教えられんか」
キョウカは迂闊さを悔いる素振りを見せる。しかしその口調にはあくまで余裕が感じられた。
それもそのはずだ。キョウカには、まだ手の内にカードがある。
 
「知らん!!本当にジェラールの居場所は……」
「こうしよう」
エルザの声を遮り、キョウカはその横顔を覗き込む。
「ジェラールの居場所を言えば、ミラジェーンを返そう」
ミラジェーン。エルザと共に捕らえたギルド仲間だ。
彼女はキョウカの下僕とする為の肉体改造を施すつもりである事を、すでにエルザには伝えてある。
共に死線をくぐり抜けたギルドの仲間同士は、固い絆で結ばれているのが常だ。
特にエルザのような義に厚い人間が、仲間を見捨てる筈はない。
想い人か。ギルドの仲間か。エルザにすれば片方を見殺しにする、究極の選択といえる。
「…………!」
絶句するエルザを、キョウカは背後から静かに見つめる。
そして判断を急くが如く、素早く指先を降り抜いてエルザの尻肉を打ち据えた。
「言わねば……そなたもミラジェーンも死ぬ」
改めて置かれた状態を確認させる。
エルザは身を揺らして苦悶しながら、呻くように口を開いた。
「本当に……知らない…… ……んだ。………頼む…ミラを助けて…くれ」
真に迫った様子で哀願するエルザ。

あるいはエルザは、本当にジェラールの居場所を知らないのかもしれない。
確率は五分五分とキョウカは読んでいた。
一見して竹を割ったような性格に見えるエルザだが、歴戦の猛者である事も事実。
それなりの処世術は身に着けている筈であり、巧妙に白を切り通している可能性は捨てきれない。
しかし実のところ、エルザが情報を知っているのか否かはさして問題ではなかった。
情報を知っているならば、吐くまで甚振り続ければよし。
逆に本当に知らなかったとしても、この冥府の門(タルタロス)に連れ込んだ以上、生かして返す事は有り得ない。
キョウカは生粋の拷問好きだ。
彼女の拷問にかかれば、囚われた者は例外なく惨めな最期を迎える事となる。
エルザが情報を持っていようがいまいが、キョウカがその身をしゃぶれるだけしゃぶり尽くして愉悦に浸る事には変わりない。

「そうか……もう少し此方を楽しませてくれるのか」
キョウカは指先の鞭を引き絞りながら、湧き出る愉悦を噛み殺しつつエルザに告げる。
エルザの顔が恐怖に歪むさまを、この部屋で彼女だけが堪能できた。





「うぐあぁああっ!!」
キョウカの鞭が脇腹に巻きついた瞬間、エルザは天を仰いで絶叫する。
そして視線を虚空へと彷徨わせた後、力なく項垂れた。
気絶。
拷問が始まってから、一体何度目になるだろう。
痛覚が限界まで研ぎ澄まされた身だ。脳が過剰に危険を察し、意識を断ち切ろうとするのも無理はない。
しかし、キョウカは相手が休むことを赦さなかった。
ある時は頬を張り、ある時は赤髪を根元から掴みあげて、気を失うたびに覚醒させている。
「休ませぬぞ」
キョウカはやはりそう呟くと、俯くエルザの眼前で指を引き絞る。
狙う先は、エルザの肉感的な両脚の合間。
男女を問わず、下方からの打撃に耐えるよう作られてはいない場所だ。
キョウカの指が手招きをするように折られ、鞭の先端が風を切る。
ピシィッ、と鋭い音が響き渡った。
「っ!?……ぐぁああぁあああっっ!!!!!」
不意に訪れた衝撃に、エルザは身を捩らせながら悶え狂う。
気絶前は時の経つほどに反応が鈍くなっていたが、寝起きの一撃はやはり鮮度がいい。
「うぅ、うううぅうっ……!!」
閉じた目から涙を流し、内股に膝をすり合わせて苦しむエルザ。
それをさも可笑しそうに眺めながら、キョウカはエルザの背後に回る。
相手の周囲を巡りながら嬲るのがキョウカの常だった。

「痛かったか。では慰めてやろう」
嘲笑いを含む口調で告げながら、キョウカはエルザの脇下へと手を回す。
五指に長い爪を有する手が掴むのは、豊かに揺れる乳房だ。
静かに掌で包み込んだ次の瞬間、痛烈に力を込めて揉み潰す。
エルザの乳肉は容易く変形し、指と指の合間に白い隆起を見せた。
「うぐぐぐ、ぐっ……!!」
当然ながら、エルザからは苦悶の声が上がる。
痛覚を活性化されたエルザの側は、針山を押し付けられているようなものだろう。
「そなたの乳は底無しの柔らかさだな。極上の揉み心地だぞ」
キョウカは獲物の悲鳴に目を細めつつ、ゆったりと乳房を刺激し続ける。
そして存分に堪能した後、とうとう指先は頂にある蕾へと至る。
「気のせいか?ここも、反応しているようだが」
爪先が乳房を掴み、容赦なく引き絞る。
形のいい乳房は一瞬にして三角に尖り、その鋭利さで無理な力の込められ具合を示す。
普通の人間でいうならば、乳頭にピアス穴を開けられ、それを滑車で巻き上げられるに等しい苦痛か。
「いぎぃあああぁぁああっ!!!」
エルザから絶叫が搾り出された。
「いい声だ。耳を通り抜け、此方の心さえ震わせる。
 かの大魔闘演武でさえ、ここまでの叫びは聞けなかった」
キョウカはさらに乳頭の引き絞りを繰り返す。
「あぁあっ、あ……うああああっ!!!!」
その都度、エルザからは絶叫が迸った。全身を覆う脂汗が、さらにじっとりと濃さを増していく。
「そなたの汗は不思議と甘い匂いがするな、妖精女王。部屋中に充満しているぞ」
キョウカは粘ついた声をエルザの耳元に囁きかけ、そのまま鎖骨を舐めた。
「く……!!」
眉根を寄せるエルザ。痛みではなく、望まぬレズビアン行為に対する精神的屈辱からだろう。
エルザ自身にその気が有るにせよ無いにせよ、同性からの愛撫を強要される状況は耐え難い。
キョウカはそれをよく知っている。
 
「あ、あっ、ああ…………!!」
乳房と鎖骨への刺激で、エルザの身体は艶かしく踊る。
その末に内股の力が緩む瞬間を、キョウカは見逃さない。
蛇が木を滑り降りるような素早さで、しなやかな指先が股座へ入り込む。
「ここは小便まみれだ」
指先を浅く女の部分へ沈み込ませながら、キョウカが呟いた。
「よ、よせっ!!」
エルザは目を見開き、反射的に叫ぶ。
「よせ?そなた、誰に口を利いている。今すぐミラジェーンを改造してやっても良いのだぞ」
キョウカが気分を害された様子で凄むと、エルザの顔が驚愕に染まった。
「や、やめて…………くれ」
一転して弱気な哀願となり、秘裂への刺激を拒む。
しかし、相手の弱みを見つけたサディストが手を緩めることなど有り得ない。
キョウカは存分にエルザの秘裂の感触を堪能した後、引き抜いた指を太腿に這わせる。
その指先が次に狙うのは、より一層恥じらいの大きい部分。
尻肉の合間に息づく、排泄の穴だ。
「い゛っ!!!」
指先が入り込んだ瞬間、エルザの喉元から濁った叫びが漏れる。
「ほう、きついな。こちらは未使用か」
キョウカは口端を吊り上げた。
2本の指を重ねてより深くへと送り込み、指が握り潰されるような感触を味わう。
片やエルザは後方へと視線を投げかけたまま、ガチガチと奥歯を鳴らし始めていた。
出す事しか意識したことのない穴へ、異物の挿入を受けるおぞましさ。
それが勇ましい彼女の心に喰い付いている。
「ああぁ、あ……あああっ…………!!」
キョウカはしばし、腸内で指を蠢かしながらエルザの苦悶する様を眺め続けた。
そしてそれに飽きると、再び距離を取って鞭を浴びせる。
「あ あ ァあ あ あ あ っ!!!!」
久しく忘れていた皮膚の痛みに、新鮮な叫び声を上げてのた打ち回るエルザ。
キョウカはクスリと笑みを漏らす。
秘所の粘膜をくじり、辱めるのも一興。
しかしせっかく痛覚を鋭敏にさせている以上は、やはり鞭が一番面白い。
眼からも、耳からも、感触からも、狂おしいまでの痛々しさが伝わってくる。
涙を流し、涎を垂らし、汗を光らせて踊る獲物は滑稽だ。
特にそれが、勇猛で気高い女であればあるほど。
「まだだ、まだ足りぬ。この程度で壊れては、そなたである意味がない。
 そなたの堅強さには期待しているのだ。叫び、悶えて、時を忘れるほどに此方を楽しませてくれ」
エルザの身の至るところへ鞭を浴びせながら、キョウカは告げる。
まるで瞬きをしないその眼は病的であり、底知れぬ嗜虐性を感じさせた。


  
囚われてから、どれだけの時間が経ったのだろう。
エルザの身体は、傷のない箇所を探す方が困難なほどの裂傷に覆われていた。
上腕、下腕、肩口、乳房、脇腹、鳩尾、臀部、腿、足首……あらゆる場所がだ。
鞭が直に舐めた体の前面よりも、巻きつく形で叩きつけられた背面の方が、ことさら傷が深かった。
また、派手な鞭傷が目を引くが、よく目を凝らせば殴打痕と見られる痣や、爪を立てられたと思しき微細な切り傷も存在する。
白い柔肌を覆い尽くすそれらの痕は、エルザがどれだけ執拗に嬲り続けられたかを察するに余りある。

「騒がしいな」
エルザの十数度目の気絶を確認した直後、キョウカは異変に気がついた。
地震が訪れたように石牢が揺れ、地上階の方からは人の騒ぐ声も漏れ聴こえている。
苦しげに項垂れるエルザを一瞥した後、キョウカは口を開いた。
「ヤクドリガ、女を見張っていろ。此方は様子を見てくる」
まるでその呼びかけを心待ちにしていたが如く、石牢上部の天井に影が蠢く。
エルザの肢体に触手の束を垂らしながら現れたのは、異形の魔物だ。
ガマガエルの頭を有し、蟲を思わせる触覚を携え、手足の先は繊毛の生えたヒレ状のもの。
まさに今エルザに触れんとするそのヒレ先からは、微弱な電流さえ確認できる。
「手は出すな」
キョウカは鋭く忠告した。
ヤクドリガと呼ばれた魔物は、その声に反応してビクリと触手を引く。
「此方の拷問の楽しみがなくなる」
冷ややかな視線を投げかけながら釘を刺し、キョウカは石牢を後にした。

石牢の扉へ二重の錠を下ろしながら、キョウカはふと笑う。
「手を出すな……か。無駄な事だろうな」
覗き窓から見えるヤクドリガは、エルザを凝視しながらもキョウカを恐れて控えている。
しかし、それもキョウカの姿が見えるうちだ。
ヤクドリガはさして頭の良い魔物でもなく、またそれ以上に女好きが過ぎる。
特にエルザのような凜とした美女が好みらしい。
その好物と共に石牢へ残せば、いずれ手をつけることは目に見えていた。
むしろキョウカの制止が背徳感を煽り、より倒錯的な行為に走る可能性さえある。
「しかし、痛覚が極限まで高まった状態でアレの相手とは……哀れなものだ。
 戻った時には、果たしてどれほどの無様を晒していることか」
キョウカは後の楽しみに眼を光らせながら、異変を速やかに処理すべく歩を進めた。



 


 (ナツ……ルーシィ…………グレイ)

灰色に淀む脳裏に、ギルド仲間達の面影が浮かぶ。
焚き火を囲むようにして大所帯が集い、一様にエルザの方へ笑顔を見せる。
一度瞬きして目を開けば、その奥にはさらに、ミラジェーンやジェラールの姿も加わっていた。

 (皆、無事なんだな、良かった! すぐに私も、そこに……)

エルザは仲間の下へ歩み寄ろうとする。しかし、前進ができない。
両腕は頭上で一纏めに拘束され、足首は股を開いた状態で固定されている。
そして、次の瞬間。
彼女は腰の辺りから閃光を感じた。
その閃光はすぐに身を震わせる電流となり、彼女の意識を闇から引きずり出す。

「うああっ!!」
叫び声と共に、エルザは意識を取り戻した。
幾度も覚醒のたびに目にした、蝋燭の立ち並ぶ石牢。
仮面をつけた女の姿は見えないが、代わりに、自らの身体に何かが触れている事に気付く。
「なっ……!」
エルザは目を見開いた。
乳房に腰、そして大腿部に、得体の知れないものが張り付いていたからだ。
妙な生臭さを放つそれは、繊毛と吸盤上の皮膚でエルザの肌にぴとりと密着している。
繊毛からは涎のように粘液が分泌されてもおり、エルザのボディラインに沿って床へと滴り落ちていた。
さらには微弱な電流さえ帯びているようで、密着される皮膚はピリピリと痛む。
先ほど感じた電流の正体はこれのようだ。
「ギ、ギ」
触手の根元から奇声が発せられる。
見上げてその異形の頭を確認したエルザは、静かに喉を鳴らした。
魔物としての怖さは感じない。
彼女が100の魔物を屠ったパンデモニウムでいえば、せいぜいがB級モンスターといったところだ。
まともな状態で戦えば、もののついでで斬り捨てられる。
しかし、この状況での遭遇はまるで意味が違った。
今のエルザは手足を拘束され、魔法を封じられている。
挙句には、キョウカの能力で痛覚を極限まで高められている状態だ。
ほとんど村娘に等しい……否、それ以上に無力なこの状態で遭う魔物は、エルザの心臓に最大級の警鐘を打ち鳴らす。
「ギギィ」
エルザのその心境を読み取ったのだろうか。
ヤクドリガは明らかに喜色を浮かべた泣き声を発しながら、エルザの身に触手を巻きつけていく。
そして触手が身体の各部を一回りした段階になると、静かに頬袋を膨らませる。
何らかの攻撃を仕掛ける前兆だ。
エルザは豊富な戦闘経験からそれを感じ取ったが、しかし何ができるわけでもない。
かくしてエルザは、ヤクドリガの攻撃を為すすべなく受ける事となる。
それまでの微電流とは比較にならないほどの、痛烈な電流を。

 
「うぁああぁあぁあああ゛あ゛っ!!!!」
地下の石室に叫び声が響き渡る。
わずか数秒の間隔だけを置いて、もう幾度も立て続けに上がっている悲鳴だ。
「あ゛あぁああああ゛っっ!!!!!」
再び悲鳴が喉から迸るのを、エルザは遠くに感じていた。
地獄の電流拷問だ。
ただでさえつらい電流責めに加え、今は痛覚が過敏になりすぎている。
あまりに痺れが強いため、いつしか皮膚という皮膚が分厚いゴムになったように触感を失っていた。
代わりに、くすぐられるような狂おしいもどかしさが身の内を這い回る。
手足は意思とはまったく無関係に病的な痙攣を繰り返す。
挙句には自律神経さえ一時的に機能しなくなるため、ありとあらゆる体液が垂れ流しの状態だ。
涙に涎、汗、さらには愛液さえもが止め処なく溢れていく。
白目を剥いてもいるようだ。
しかし、止めようがない。
電流が流れる間は醜態を晒し続け、電流の止まるタイミングで脱力して酸素を求め、また醜態を晒すデスマーチ。
「ギギ、ギギギィ」
もはや疑う余地もなく、魔物はエルザを嬲る事を楽しんでいた。
「やぇっ、やぇろ………。……もぉ、やぇえ……くぇ…………」
呂律の回らない口調でエルザがいくら中断を訴えても、応じる気配がない。

それをどれだけ繰り返されたのか、やがてエルザは完全な脱力に至った。
「あ……あぅ………あぅぅう………………あ」
涙の滲む視線は虚空を彷徨い、閉じない口からは涎が垂れ続けている。
筋肉は弛緩しきって張りを失い、脚は内股に折れて、頭上の鎖を支えにかろうじて直立を保っている状態だ。
「ギィイッ」
獲物が完全に無力化する瞬間を待ち望んでいたのだろうか。
ヤクドリガは短く啼くと、いよいよエルザの肉体へと強く纏いつき始める。
それまでは触手だけを絡めていたものが、とうとう胴体さえ密着させ、抱きつくように肌を合わせて。
「……は、離せ!」
エルザは顔を引き攣らせる。その表情は嫌悪ゆえか、あるいは恐怖ゆえか。
いずれにせよ、もはや彼女にヤクドリガを振るい落とせる力はない。何をされてもされるがままだ。
ひた、ひた、と肌に触れていた触手が、とうとう産道の入り口に至っても。
「ギ」
ヤクドリガは一度啼いてエルザの注意を引き、彼女の視界端で触手の一本を収縮させる。
普段はイカやタコのそれを思わせる形状だったものが、収縮させる事で一本の太い枝のように変質していく。
「まさ……か」
それは女の本能だったのだろうか。瞬間的に、エルザは魔物の意図を理解した。
そしてその理解通り、ヤクドリガは陰唇に触れる触手の方も硬く握り込む。
そしてエルザの恐怖を楽しむようにゆっくりと秘裂の表面を撫で回すと、狙いを定めたように押し付ける。
「や、やめっ……!」
エルザが叫んだ時には、既にすべてが遅かった。
ヤクドリガの触手は深々と秘裂に突き刺さり、電流責めで愛液に塗れている内部を滑るように進む。
「ああああぁあっ!!!!」
エルザは叫び声を上げた。
女性器への侵入は、ただでさえ強い痛みや異物感があるものだ。
それに加え、今の彼女は身体中の痛覚が極限まで研ぎ澄まされた状態にある。
硬く太い触手が陰唇を擦る感触、襞の一つ一つに擦れていく感触、膣の拡張に伴って隣接する筋肉が蠢く感触。
それらが膨大な情報となって、焼き鏝を当てるように脳裏に刻み付けられていく。
どぐり、どぐり、どぐりと、血脈のリズムに合わせて、幾度でも。
「うぁあ、ああ……あ…………っ!!」
気絶できればまだ楽だ。しかしこの膣への挿入は、痛みの総量が膨大すぎて気絶すらままならない。
ゆえにエルザは、あくまで意識を保ったまま、己の秘匿すべき部分が蹂躙される痛みに耐えるしかなかった。




数知れぬ絶叫を吸収してきた石壁が、今は艶かしい音を啜っている。
ぬちゃ、にちゃっ、ぬちゅ、ぬちゃっ、にちゃっ……。
脚の合間から漏れるそうした音を、エルザは喘ぎながら耳にしていた。
音の元は、ヤクドリガの触手から滲む粘液か、それともエルザの零す蜜か。
膣の中の異物感は相当に強い。
収縮したとはいえ、ヤクドリガの触手はエルザが作る指の輪ほどの直径を誇る。
それが抜き差しされる苦痛はかなりのものだ。
「う、ああぁっ……!!」
触手の先端が子宮口を叩いた瞬間、エルザは呻きを上げた。
出産経験のない女性の場合、子宮口は硬く閉じており、突かれれば強い痛みを伴う。
痛覚が増幅している今のエルザには、身を揺さぶるほどの衝撃だ。
幾度もゴリゴリと奥を削られれば、涙を零さずにはいられない。
さらに触手は、不意に膣内へ電流を流すこともある。
身の内から痛烈に痺れさせられては、もはや悲鳴さえ上げられない。
「……………………っ!!」
エルザは目を見開き、瞳孔を収縮させて痙攣する。
そして電流が止めば、溺死からかろうじて助かったかのように激しく喘ぐ。
「ギギッ」
ヤクドリガは、そうしたエルザの苦悶を楽しんでいるようだった。
「ぐっ……!!」
エルザは奥歯を噛みしめる。
たかだかBランク程度の魔物に、いいように扱われる恥辱。
『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』最強のS級魔導士としての誇りが汚されていくようだ。
否、恥辱だけならばまだいい。
気がかりなのは、同じく囚われている仲間のミラジェーンだ。
助けに行きたいが、動けない。その焦りがエルザの情緒を不安定にし、感じやすくしていく。

そうして延々と苦悶に悶えるうち、やがてエルザは自らの小さな異変に気がついた。
膣奥を貫かれる狂おしい痛みが、10度に1度ほどの割合ではあるが、快感に変わりはじめているのだ。
 (バカな……!)
エルザは身の異変を否定しようとする。しかしその間にも、快感の頻度は増していく。
気付けばいつしか、否定しきれないほど明白な快感が脊髄を駆けていた。
「あっ、あ……あ、あああっ…………あっ!」
喘ぎにさえ甘い響きが含まれていると悟り、エルザは愕然とする。
妙なことではない。
人間の脳は、苦痛のレベルがある一線を超えた時、自衛本能からその苦痛を快楽と誤認させる。
いわゆるランナーズ・ハイと呼ばれる類の現象が、エルザにも起こっているだけだ。
しかし生真面目な彼女は、それを受け入れられない。
 (ありえない……下劣な魔物に嬲られて、快感を得るなど…………!)
歯を食い縛り、頭を振って正気に戻ろうとする。
その気丈さこそ、サディストにとっての責め甲斐であるとも知らずに。



触手に大きく突き上げられ、足の鎖が音を立てる。
足裏が床から浮き上がる瞬間さえあり、その瞬間は触手の突き上げを膣奥の一点で受け止めていることになる。
「くぅあっ……ああぁああっっ!!!!!」
普通であれば即座に失神してもおかしくない激痛が、エルザの脊髄を焼き焦がした。
しかし。今のエルザの脳は、その激痛をも未曾有の快楽にすり替える。
あるいは優れた魔導士として活性化した脳を持つゆえに、苦楽の変換効率も並外れて高いのかもしれない。
「あ……あぁっ…………あは、あっ…………」
エルザの毅然とした瞳が、一瞬精彩を欠く。
強靭な意志の力ですぐに正気に戻りはするが、幾度も秘所を突かれればまた快楽が勝る。
喘ぎ続ける口はいつしか閉じることを忘れ、だらしなく涎を垂らし続けていた。
そこへ、ヤクドリガの触手が近づく。
「よ、せ……」
エルザは反射的にそう呟いた。しかしそれが空しい事であると、彼女自身も理解している。
異形の魔物は、嘲るように触手をエルザの口内に侵入させた。
「ぐっ……ん、むぅっ!…………む、うむうぅっ!」
頬肉を突かれ、舌を掬い上げられ。
触手によって口内を貪られながら、エルザは呻き続ける。
苦味のある粘液が唾液と混ざるたびに、いよいよエルザの頭が霞んでいく。
神経毒か、あるいは催淫効果があるのか。いや、そのどちらであっても、今のエルザには変わりない。
身体中至る所を触手に巻きつかれ、秘裂を穿たれる。その状況から逃れる術などないのだから。
ヤクドリガの触手が、いよいよエルザの尻穴に宛がわれた。
「!!」
エルザは見開いた瞳で後方を振り返るが、それ以上何もできない。
ただ己の排泄の穴へ、キョウカの指よりも太いものが侵入する感触を味わうだけだ。
「むぉあああっ…………!!」
目一杯に括約筋が押し広げられたその瞬間、触手を咥える口から声が漏れた。
直腸を強引に奥までこじ開けられ、蹂躙される。
腸壁自体に神経はないが、腸に連なる筋肉が金切り声で異常を訴えていた。
快便の感覚を数十回分凝縮したようなものだ。数分ともたず、強靭なエルザの足腰が震え始める。

「うむうっ、ああうっ、あぁっ!!ああっ、うあぁああううあっ!!!!」
敏感な三穴を魔物に蹂躙されながら、エルザはただ悶え狂った。
緋色の髪を振り乱し、艶かしい身をうねらせて。
いつ終わるとも知れない快楽地獄は、刻一刻と人の心を絶望に染める。
どれほど甘い菓子であっても、絶え間なく与えられては恐怖しか生まれない。
キョウカに鞭で甚振られていた間のほうが、まだ生きた心地がしていたものだ。

救いの来ない地下牢の中。
あとどれだけの時間、エルザは正気を保てるのだろう。
「あ……あぁうあ………………っあ………………!!」
泥酔したように蕩けた表情で、堪らず吐息を漏らすエルザ。
その痴態は、高貴なる妖精女王の、そう遠からぬ陥落を仄めかしていた……。


                         終
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闇に揺れる鈴(後編)

※前編にも書いたとおり、過去最大のハードなスカトロ(排便・嘔吐・食糞)注意



月日の流れとは早いもので、『朱山楼』から雪への初上納の日が巡ってくる。
上納金を持参したのは、玉という娼妓だ。
まだ見習いも同然の遊女であり、かつては鈴によく懐いていた娘でもある。
『金極園』の門に近づくにつれ、玉の鼓動は早まった。
雪による、鈴への様々な仕打ちの噂は、花街にいる限り常に耳に入ってくる。
大見世の娼妓とは思えぬほど安い値で売り叩かれ、日々様々な客の相手をさせられていること。
言いがかりに等しい些細な理由で、遊女に対する多様な折檻を受けていること。
やぶ蚊責め、水責め、いぶし責め、針責め、胡坐縛り、駿河問い、ぶりぶり……。
公然へ晒すやり方でそれらを繰り返され、けれども鈴はついに屈しない。
その強情さに雪が癇癪を起こし、さらなる責めを与える。
そうした一連の流れが、加虐嗜好のある客を中心に人気を博していると聞く。
玉にとって愉快な話ではなかった。
『金極園』の看板がかかった門をくぐれば、きっと自分は、鈴が虐げられている様をじかに目にするのだろう。
そう思えば足取りは自然と重くなる。
けれども、上納の仕事を玉自身が進んで引き受けた事も事実。
心苦しくもあるが、鈴の現状を確かめたいという気持ちの方が勝っていた。

『金極園』の門を護る妓夫二人は、意味深な笑みを見せながら玉を通す。
その瞬間、玉は悪寒に苛まれた。
使いとして来た事を後悔しはじめ、用を済ませて早々に去ろうと廓内を進む。
しかしその最中、彼女は耳にしてしまった。
和室の一室。その襖の合間から、かすかに女の声が漏れている。
聴こえたのはほんの僅か。
しかし、玉の脳はしっかりと理解してしまっていた。その声が、彼女の憧れる鈴のものであると。
「ようやくいい声がではじめたねぇ……ねぇ?ほぅら」
意地の悪そうな別の声が続き、玉の心をざわつかせる。
気付けば玉は、無意識の内に襖に身を寄せていた。
ほんの僅かに空いた隙間から、部屋の中を窺う。

かくして、そこには数人の女の姿があった。
胡坐を掻くような格好で縛られた裸体の女を、数人の遊女が囲んでいる。
裸体の方は顔こそ見えなかったが、その流麗な身体つきといい、癖のない黒髪といい、確かな覚えがある。
 (鈴さんだ)
玉は喉を鳴らした。緊張か、恐れか、怒りからかは解らない。
部屋内の遊女達は一様に、縛られた鈴の秘裂を覗き込んでいる。
鈴の正面に座する女は、鈴の脚の間へ指を差し込んでいるようだ。
しかし、妙だった。
「ぁ、ああ……あぁあ゛っ…………!!」
遊女が指を動かす仕草を見せるたび、鈴は何とも切なそうな呻きを漏らすのだ。
まるきりの生娘ならばそれも解る。
しかし、鈴ほど場数を踏んだ娼妓が、秘所を弄られただけで呻くとは考えづらい。
 (鈴さん、きっと、他に何かされてるんだ!)
玉がそう考えた時だ。
まるでその心の声に答えるかの如く、遊女の一人が口を開いた。
「“ここ”をグリグリされると、膣越しでさえおサネの根っこに響いて善くなっちまうもんねぇ。
 これだけ直にやられりゃ、慎ましい華族のお嬢様でも声を抑えきれないかい」
遊女は確かにそう言った。
その言葉の意味を、玉は考える。
「……鈴は、どこを弄くられてるのか解るかい」
背後からやおら声が掛けられたのは、その時だ。
「ひっ!」
玉は弾かれるようにして振り向いた。そこには、歪んだ笑みを湛えた雪がいる。
毒々しい紅色の唇が蠢き、ある言葉を紡いだ。
「 小便の孔さ 」
雪の発したその言葉を、玉はすぐには理解できない。
しかし一文字ずつ脳裏に思い浮かべ、繋ぎ合わせて、驚愕に目を見開く。
「……なっ…………!」
その初々しい反応が愉しいのだろうか。
雪は笑みを深めながら、玉の顔を再び障子へと向けさせた。
そこでは相も変わらず、縛られた鈴と、その秘所へ指をくじ入れる意地の悪い遊女がいる。
しかし、今は見え方が違う。

「ううっ、うぁあ゛っ……!!」
遊女が指を蠢かすたび、眉根を寄せて苦しむ鈴。
そこに渦巻く苦痛たるや、玉の想像を絶するものだ。
「最初はただの遊びだったんだけどねぇ。鈴の奴があんまり強情だから、あの子達も張り切っちまってさ」
雪の言葉が、玉の痺れた脳裏に上書きされる。
視界の中の遊女達は笑っていた。
呻き苦しむ鈴を眺めながら、各々の手に筆を持ち、鈴の秘所……おそらくはその陰核を撫で回す。
秘所に触れる一人は、時おり指を引き抜き、壷の中身を掬い取って指に絡める。
「ほぅら、また薬を塗りこめてやるよ。小便の孔からだ、よく身に回るだろう」
「はは、どうしたんだい。腰がまた痙攣し始めてるよ、いやらしいねぇ。おサネもこーんなに硬く膨れちまってさぁ」
「いいさ、どんどん濡らしな。堪らなく濡れきったところで、また気を失うまで輪姦させてやるよ!」
言葉責めを繰り返しながら、妖しく嗤う遊女達。
それらの情報の一つ一つが、玉を心の底から震えさせた。
 (す、鈴さん……鈴、姐さん…………!)
一体いつから、そのような責めが続いているのだろう。
一体いつまで、そのような責めが続けられるのだろう。
玉は雪に肩を抱かれ、別の座敷へと通されながら、ただ呆然と床の木目を眺めるばかりだった。





「お前も、つくづく強情だねえ……鈴」
雪が溜め息をつきながら、足元の鈴を見下ろす。
鈴は芯の強そうな瞳で雪を睨み上げていた。
その身体には無数の責め痕が見られる。
肌の随所に残る、笞打ちの痕跡。蝋の欠片と皮膚の火傷。あげく乳房には、幾本ものマチ針が刺し通されてさえいる。
そうした数々の責め苦も、鈴には僅かな怯えさえ浮かばせる事ができない。
雪にしてみれば、それが大層腹立たしい様子だった。
「お家の仇に頭は下げられないってかい?
 それとも、『朱山楼』の一番娼妓として服従できないのかねぇ。
 ……まぁいい。あくまで頑張り通すってんなら、こっちも折れるまで責めるまでさ」
雪はそう語りつつ、傍らの遊女から桐箱を受け取る。
そしてそれを逆さに向け、中身の数々を畳の上に散乱させた。
「うわっ……」
その瞬間、周りで動向を窺っていた『金極園』の遊女達から声が上がる。
無理からぬ事だ。
先細りになった硝子製の筒、妙に滑らかな質感の黒い管、金属製の張型……。
桐箱の中から姿を現したのは、およそ彼女達に馴染みのない、しかし見るからに物々しい責め具であったのだから。
「っ…………!」
それを目の当たりにし、さすがの鈴も表情を強張らせる。
雪はおかしそうに含み笑いを漏らした。
「お前の為に、西洋の商人から色々と仕入れたんだ。一つ残らず、全部お前の身体で試してやるからね」
脅すようにそう宣告する雪だが、鈴が折れる事はない。
「好きにするといいわ」
もっとも雪の嫌う、令嬢然とした毅然たる態度でそう答える。
「そうかい」
雪は一瞬眉根を寄せたが、すぐに嗜虐心の満ち溢れた笑みで道具の一つを掴んだ。
銀色に光る、烏口のついた器具……肛門鏡だ。
その取っ手の部分を握り込み、カチカチと烏口を開閉しながら鈴の鼻先へと近づける。
「お前にはこれから、今まで以上の恥辱を味わわせてやるよ」
一筋の汗を垂らす鈴の前で、今一度烏口が音を立てた。


「く、ぅうっ……!!」
鈴の唇から小さな呻きが漏れる。
彼女の可憐な菊輪は今、冷ややかな烏口によって強引に押し開かれていた。
妙なぬめりのある液が塗布されているとはいえ、楽な拡張ではない。
その証に、鈴の額には早くもうっすらと汗が滲んでいた。
しかし、恥辱はその後に始まる。
「さぁ、奥まで入ったよ。皆とくと見な。ご開帳だ!」
雪がその言葉と共に、烏口を押し開いていく。
烏口の直径と共に晒されていくのは、鈴の腸内の内容物だ。
清廉な鈴の見目とは裏腹に、そこには人間誰しもが持つ汚物が山となって堆積している。
「うわっ!」
遊女達が、ある者は顔を顰め、ある者はおかしくて堪らないという様子で嗤う。
雪は目一杯に烏口を開くと、側方のネジを締めて開きを固定する。
この行為により、鈴の腸内は常時、場の人間の視線に晒される事となった。
「くっ、こんな……!!」
鈴は羞恥を隠しきれない様子で、早くも頬を紅潮させていく。雪の求めるままに。

「いいザマだねぇ、鈴。似合いだよ。
 ここ五日ばかり厠に行く赦しを出さなかったせいで、たっぷりと糞が溜まってるじゃないか」
雪はさらに言葉責めを加え、足元から一本の責め具を拾い上げる。
金属で出来た細い張型だ。
木製のものと比べ、いかにも無機質で『責め具』という印象が強い。
雪はそれを烏口の広げる隙間へ差し込み、奥まりで大きく円を描いて見せた。
ぬちゅ、ぬくちゅ。
言葉の途切れた和室内に、その粘ついた音が響き渡る。
他の可能性を考える余地もない。それは、あの鈴の腸内で排泄物がこね回されている音だ。
鈴の顔がいよいよ強張り、頬の赤みが増した。
雪はその様を存分に楽しみながら、ゆっくりと張型を引き抜く。
当然の事ながら、そこにはべっとりと糞便が付着している。
カリ首を模した部分、裏筋を模した部分の凹凸一つ一つを埋めるように。側面に茶色い筋を描くように。
「そら、どうだい鈴。自分の糞の匂いは」
雪という女はどこまで性根が歪んでいるのだろうか。
彼女は嬉々として糞便塗れの張型を掲げ、鈴の鼻先へと突きつける。
「い、いやッ!」
たまらず鈴が顔を背けても、それを追って執拗に。
『金極園』の遊女の中でもまだまともな精神を持っている者は、この時点で口を押さえて去った。
場に残ったのは、このような汚辱の責めすらも娯楽として受け入れてしまうような、異端の者ばかりだ。
それでも悠に十人以上はいるのが、流石というところだろう。

「さてと。お前にここまで糞が溜まってるって事が、白日の下に晒されたんだ。
 となりゃ、その中身を綺麗にしないとねぇ」
雪は白々しくそう言いながら、遊女に指示を与えて新たな準備を進めていく。
まず水をなみなみと湛えた桶が用意され、その中に透明な液体が注ぎ込まれる。
次いで、ある道具がその中に浸された。中ほどに風船がついた管……異国ではエネマシリンジと呼ばれるものだ。
そして最後に、鈴の姿勢が整えられる。
後ろ手縛りはそのままに、膝立ちの姿勢へ。その肩を数人の遊女が支え、倒れこまないよう固定する。
「よぅし。お膳立ては整ったね」
雪は静かに桶の横に屈みこみ、管を拾い上げた。
そしてその管の片端を水に浸したまま、もう片端を鈴の肛門内へと侵入させる。
令嬢の蕾が異物を呑み込んでいく様を、何十もの瞳が見守る。
管をかなりの深くまで押し込んだ後、ついに雪の左手が風船部分に掛かった。
道具の仕組みを理解しない者でも、それが責めの始まりである事を悟っただろう。
「果たしてお嬢様は、この未知の苦痛にどこまで耐えられるかねぇ」
雪は挑発的な目で鈴を見上げ、風船を握りこむ。
「ひっ!」
瞬間、鈴の目が見開かれた。
彼女の腸内には、管に吸い上げられた冷ややかな水が感じられただろう。
それと同時に、聡明な彼女は気付いたはずだ。一度では済まず、何度でも水を注ぎ込まれると。
本来出すだけの穴に、液体を注ぎ込まれる。
確かにその違和感たるや尋常ではなく、鈴はえも言われぬ恐怖に、ただ唇を引き結んだ。


「うわぁ凄い……どれだけ入ってるの、あれ?」
「尋常じゃないよね。する方も、される方も……」
遊女達が部屋の隅で囁き合う。
その視界の先には、まるで妊婦のように下腹部の膨れ上がった鈴がいた。
すでに六つの桶が、中身を注ぎ終えて積み重ねられている。
今は七つ目が雪の手で吸い上げられている最中だが、鈴は耐え忍んでいた。
無論、涼しい顔で、ではない。
額といい背中といい、夥しい汗を掻いている。
息遣いの荒さも尋常ではなく、一拍の間すら置かずにはぁはぁと喘ぎ続けている。
腹部からもやはり絶え間なく『腹下しの音』が鳴っている。
しかし、彼女の瞳だけはなお爛々と輝き、憎き雪を睨み据えていた。

「ちぃっ、しぶといね!」
七つ目の桶も半ば以上が入っただろうか。雪が小さく舌打ちした。
とうとう鈴の腸内容量も限界に達したのか、どれほど風船部分を握りこんでも、もう入っていく気配がない。
雪は桶を脇にどけ、遊女達に指示を飛ばした。
それはまるで鬼畜の所業。
腹の膨れ上がった鈴を数人がかりで抱え上げ、高く吊るし上げたのだ。
両膝の上部分、および後ろ手に縛った縄へとそれぞれ縄を通し、部屋の梁に結びつける。
これにより鈴は、大きく脚を開いたまま宙吊りになるという恥辱を晒すこととなる。
「あははっ、こりゃ傑作だよ!」
「恥ずかしい格好だねぇ、『朱山楼』の鈴!」
心ない遊女達からはすかさず罵声が飛んだ。
しかし、鈴はそれに反応しない。いや、できないと言うべきか。
「はぁ、はぁっ……っう、ううっ……あ、はぁっ、はっ、はっ…………!!」
鈴は全身から脂汗を垂らし、俯きながら荒い息を吐くばかりだった。
すでに便意は極限まで高まっているはずだが、それに加えて吊るされる姿勢は腹部への圧迫が凄まじい。
その状態での排便我慢は、なるほど他に気を回す余裕などないだろう。

雪はそんな鈴の有様を、しばし他の遊女に混じって眺めていた。
だが何か心境の変化があったのか、鈴の足元に巨大な桶を用意させる。
そして自身も鈴の背後に立ち、やおら桜色の蕾へと指を伸ばした。
便意を堪えるべく健気な開閉を繰り返す蕾へと。
肛門を覆い隠すように添えられた雪の掌。
そこから、くい、と人差し指が曲げられ、肛門の入り口に沈み込む。
「ぐっ!!!」
鈴に激しい反応があった。
はっきり聴き取れる呻きを上げ、足全体が強張る。
身体が揺れ、縛めの縄がギシギシと音を立てる。
それは、どれほど鈴が追い込まれた状態にいるのかを解りやすく示していた。
「ほら、もう限界なんだろう。はやく楽におなりよ。
 お前が糞をひりだす所を、この場にいる皆で見てやるからさ。
 どれだけ高貴ぶってても、腹の中にはアタシらと同じモンが詰まってるって事を教えておくれ」
雪は手も足も出ない獲物を嬲りながら、卑劣そうに嗤う。
そう、それは勝ち目のない戦いだ。
どれほどの精神力を持っていても、どれほど誇り高くとも、生理現象を消すことなどできない。
「あ、あ……ぁあ、……あっ!!」
雪の指先が肛門の皺を伸ばすたび、鈴は苦しんだ。
足の指が幾度も内に曲げられ、その度に身体全体が縄を軋ませる。
脳を焼き焦がすほどの排泄欲の波が、幾度も鈴の身を苛んでいる事は明らかだった。
鈴はその波を何十度乗り越えただろう。
しかし耐えるたびに大きく揺り返す排泄欲は、いつか彼女の身の丈を越す大波となる。
限界は訪れる。
「も、もう…………め゛っ、みな…………っで………………!」
鈴にしては珍しく、聞き取りづらい声だった。
呼吸を止めながら発したような、切れ切れの小声。
しかし場の誰もが、その言葉を認識していた。鈴の限界を見て取った。
「とうとう来たようだね。そら、出すんだよ!」
雪は嬉々として肛門から指を引き抜き、平手で鈴の尻肉を張る。
その平手打ちを切っ掛けとしたように、ついに決壊の時が訪れた。

「いやぁあああっっ!!!!」

思い返せば、それはとても、とても澄んだ悲鳴だった。
しかしそれと同時に始まった惨劇が、悲鳴の美しさの印象を塗り潰す。
丸五日以上に渡って溜め込まれた糞便と、桶七杯分にも達しようという薬液。
それがあふれ出す様は圧巻だった。
桜色の慎ましい蕾が開ききり、茶色く濁りきった汚液を噴出させる。
汚液は真下に置かれた桶に叩きつけられ、水圧で桶を水平に円転させながら溜まっていく。
ぶぶっ、ぶぱぱ、ぶばっ……。音にすればそのような品のない音が続く。
そして、紛れもなく汚物が排出されているのだと認識させる、強烈な悪臭。
「ひぃ、くさいくさい!華族のお嬢様っても、腸の中身はアタシらと変わんないね!」
「あはっ、すっごい量!桶がもう溢れちゃってるよ」
「いいザマねぇ。あの鈴ってのに怨みはないけど、どこかお高く止まってるのが気に喰わなかったんだよ」
「あたしもだよ。廓に新しく入ってきても、顔がいいってだけで簡単に得意客を掴んじちまってさ。
 挙句こっちが風邪なんかで弱ってたら、いかにも善人ぶって看病なんかしたりして。
 いつか糞でもひり出させてやりたいと思ってたから、念願叶ったりだよ。『金極園』様々だね」
遊女達は口々に鈴を詰った。
十人以上の同業者の前で、排泄を晒す。
その最大級の恥辱を受ける中での罵詈雑言は、鈴の心をどれだけ深く抉るだろう。

排泄が一通り終わった後も、鈴は顔を上げなかった。
ただ前髪から汗を垂らし、荒い息を吐いて俯いているばかりだ。
「気分はどうだい、鈴」
雪が鈴の前髪を掴み、無理矢理に顔を上げさせる。
しかし、鈴の瞳を覗きこんだ雪は表情を強張らせた。
鈴の瞳は、濃厚な疲弊を窺わせながらも、なお凜として雪を見つめている。
「なんとも……ないわ」
このような恥辱では屈しない。あくまでそう訴えるように。
「……何なんだい、お前は……?
 あれだけ苦しんで、あれだけ恥を晒しておきながら、責め終わりにはいつもその目だ!」
雪は喉から搾り出すような声で呻く。
歪んだ瞳の形は、鈴からの軽蔑の視線に身を焼かれているかのようだ。
しかし。雪は、それで心を変えるような女ではない。
そんな正気が残っているのであれば、そもそもにしてこのような悲劇は起こっていない。
「…………上等だよ。なら、もっと容赦なく責め抜くまでさ。
 これからも、嫌というぐらい糞をぶちまけさせて、それを皆で見てやる。
 それだけじゃない。糞の穴だけを犯されて果てるようになるまで、徹底的に開発してやる。
 女としてこれ以上ない屈辱を、思いついた端から実行させるよ。どんな事でもだ。
 お前という人間の真っ当さが、完全に壊れるのも時間の問題さ。
 その安い矜持が、極限の羞恥の中でどれだけ耐え切れるか……見せてご覧よ、鈴ッ!」
雪は吼えるように宣告した。
その瞳に宿る闇は、泥沼のように深い。
「いくらやっても、同じことよ!」
鈴は気丈な答えを返しながらも、頬を流れる新たな汗を止められない。
『金極園』に属する百戦錬磨の遊女達さえ、今後の責めの深さと執拗さを思って喉を鳴らした。





『金極園』の客入りは、ある時期から目を見張るほどに増えていた。
しかしその大半は、遊女と愉しむ事が目的の客ではない。
宴会用の大広間で毎夜行われる、様々な催しを見るために来ているのだ。
無論、それを鑑賞するためには遊女を一人買う必要がある。
大広間の任意の場所で、遊女を抱く。
そうして愉しみながら、広間中央での催しを眺めて勃起し、それをまた遊女で『処理』する。
これが、今の『金極園』流行りの遊び方だった。
催しの中身はいつも同じ、鈴という娼妓への折檻じみた責めだ。
しかし、この太夫にも匹敵する娼妓を一目見るため、連日客が殺到している。

今日もまた、多くの遊女に客がついて広間は人でひしめいていた。
わずかに隙間の空いた中央部分では、鈴があられもない格好を晒している。
肛門が真上を向く格好だ。
倒立した状態で、腰から折れるように足を下ろし、肩につける。その格好で緊縛されている。
鈴の傍らには数人の遊女がおり、各々の指で鈴の肛門を開いてみせていた。
当然そこが見物であるからだが、なるほど鈴の肛門には変化が見られる。
普段慎ましく閉じている鈴の肛門が、今は異様なほどに赤らみ、喘ぐような開閉を繰り返している。
時には火山のように隆起するそこからは、得体の知れない透明な汁が伝っていた。
見るからにつらそうなその状態を、遊女達はただ見世物にする。
そして飽きるほどの時間が過ぎたところで、手元にある壷の中へ筆を差し入れた。
壷の中には、どろりとした固形物も見える白い液体。
「ほら、もう一回塗ってあげるよぉ」
一人が謳うような声で囁き、充分に白い液をつけた筆を持ち上げる。
そして絵を描くかのごとく、丹念に鈴の肛門へと液体を塗りつけていく。
すっかり肉厚になった菊輪の、かつて皺を成していた一本一本へ。さらにはその内部へ。
「ぐぅうううっ!」
ここで、鈴の苦しそうな声が漏れた。
奥歯までをしかと噛みしめて耐えていた声が、ついに我慢ならなくなったらしい。
遊女達が嗤い声を上げた。
「あはは、苦しんでる苦しんでる。山芋の痒み責めには、さすがのあんたも参るようね」
恐ろしい言葉が掛けられる。
そう。鈴の肛門に塗られているのは、山芋をすりおろした汁だ。

「苦しそうだな」
客の一人が、自らの組み敷く遊女に語りかけた。
すでに老境に入ろうという男だが、鈴を見ている間だけは盛んになる。
「痒いなんてもんじゃなく、熱いって感覚だそうですよ。
 あの女は今夜一杯地獄を味わう予定ですけど、こちらはのんびりと愉しみましょう」
遊女は男に猫なで声を出しながら答えた。
「ふふ、のんびりと……か。君も性格が悪い」
男はそう呟きながらも、面白そうに苦しむ鈴を眺め始める。

鈴は引き続き、気の狂いそうな痒みの中で生殺しを受けていた。
遊女達は散々に筆で汁を塗りつけた後は、ほとんど刺激を与えない。
ただ肛門を指で開いて晒すか、あるいは息を噴きかけて焦らすばかり。
「い、いぎア゛っ…………がっ、がゆっ…………がゆい、が、がぎ……!
 いぃぎぃ、いっ…………!……は、ひ、ひひ、ひぃい……ィああ、ふうむぃ゛っっ…………!!!」
鈴は歯を食い縛って狂おしい痒みに耐える。肛門からは透明な液体が滲む。
肛門からは、時おり放屁のようなものが起きる事もあり、その時などは鬼の首を取ったように場が沸いた。
「う、く……ぅうううっ…………!!」
そうすれば鈴の極上の恥じらいが見られると、場の誰もが理解しているのだ。

どれほどの時間、その生殺しが続いたのか。
客が酒を呑み始め、一様に赤ら顔になり、遊女との交わりも一段落した頃だ。
ついに、遊女達が鈴を新たな地獄へと引きずり込む。
ひくつく肛門に指をかけ、弾くように掻いたのだ。
「ぐむぅううああっう゛っっ!!」
鈴から妙な声が漏れた。
直に聞けば、その声が多分に喜悦を含んでいることに気付くだろう。
極限の痒みに苛まれながら、焦らしに焦らされ、焦らされ、焦らされて、ようやくに齎された一掻き。
思わず涙すら零れるほどの快感だろう。
長い焦らしを見続けてきた客達には、その悦びが手に取るように伝わった。
酒が進む。

「ほぅら、いい声だ、いい声だぁ!」
相手の弱点を見抜いた遊女達は、いよいよ容赦なく鈴の肛門を掻き始める。
一掻き、一掻き、また一掻き。
鈴に与える快感を最大にするが如く、丹念に。
結果として、それは劇的な効果を齎した。
受ける鈴は、緊縛した身を恐ろしいほど悶えさせ、喉が潰れるかと思える絶叫を繰り返す。
「あ゛ぁっ、ああはぁああ゛っ、あふぅお゛っ!!あああは、う、う、うあぅああ!!
 あかっ、ぇあっ!!ぁ、あぁ、あううーあ、ふむぁうやあぁぁあ゛っ!!!」
はじめは悦びが声の形を為したような甘い叫び。
そしてそれがしばし続いた後、絶叫の種類が変わる。
「ひぃいっ、きゃあぁあっ!!!!ぎゃああぁあ゛、いあ゛っ、……きゃあぁあぁあああ゛っ!!!!」
まさしく絶叫。
まるで笞打ちを受けているかのような、絹を引き裂くような絶叫。
見守る男達は、その凄みに心臓を高打たせながらも目を丸くする。
「す、凄い反応だな」
一人の客が、抱きつく遊女に囁いた。
遊女は笑みを浮かべた後、訳知り顔で口を開く。
「山芋って、あたしら遊女への折檻にも使われるような代物ですからね。
 痒くなるのも確かに厄介ですけど、一番怖いのは、堪らず掻き毟っちゃった後なんです。
 蚊に刺された時と同じで、掻くと余計に痒さがひどくなっちゃう。
 そのうち痺れるような痛みになって、痒いし、気持ちいいし、痛いし、熱いし……訳がわからなくなるらしいです。
 一晩で狂っちゃう妓もいるんですよ。ま、あの女は大丈夫でしょうけど」
遊女が解説する間にも、鈴の絶叫は続いていた。
「あぁあ゛あ、あ゛っあいあ゛ぁあ、ぎゃあああ゛っ!!やべで、やめ゛っ……わぁ゛ぁあ、あッあぁぁあああ゛!!!!!」
指で掻いていた間も凄まじかったが、凹凸のついた責め具を尻穴に抜き差しされるようになって以降、悲惨さはさらに増した。
身体中を痙攣させ、尻穴からは下劣な放屁音と共に小さな泡を吹き出す。
しかし、表情はそれらの悶え様と釣り合っていない。
苦しみというより、極限の歓喜。
見開いた瞳から大粒の涙を零し、開いた口からだらしなく舌をはみ出させる表情は、『喜悦』の言葉こそ相応しい。
ゆえに客は、安心してその狂乱を見届けられる。
ズグッ、ズグッ、ズグッ、と音さえするような責め具の抽迭が、真上から叩き下ろされる。
その責めの果てに、とうとう鈴の秘裂からは愛液があふれ始めていた。
肛門を真上に向ける格好を取る限り、その様は隠しようもなく一方向の人間へと晒され続ける。
「あははっ!見てあの女、尻の穴で感じてるわ!!」
天真爛漫という類の遊女が高らかに叫び、それを火種に場は大いに盛り上がった。
酔い、踊り、謳い。
鈴ただ一人を除き、広間の人間は大いに満たされて眠りについたという。





今宵も、鈴は見世物になる。
「ほら、とっとと歩きなよぉ」
遊女の一人が、手に持った笞で鈴の尻を打ち据える。
「ふむぅっ!!」
十字傷の夥しい尻にまた紅い線を増やされ、鈴は切ない呻きを上げた。
笞に追われるように歩を進める。
しかしそうすると、今度は股下の縄が彼女を責め立てる。
ちょうど陰核へ触れるように瘤の作られた縄は、通り過ぎる鈴の肉体に痺れを齎した。
広間へ対角に張られた縄の上を、もう幾度往復していることだろう。
今や縄は、その随所から鈴の愛液が滴っている。
「あ、あっ……う、は……ぁっ…………」
厳しく亀甲縛りを受けた身で、悶えながら縄を歩む鈴。

実は彼女を苦しめているのは、縄だけではない。
秘裂に縄を食い込ませながら歩む鈴。それをよく観察すれば、腹部から時おり音が漏れることに気付くはずだ。
そのたび、鈴がつらそうに片目を細める事にも。
鈴はそれを繰り返し、縄を七分ほど進んだところで、再び足を止めた。
「休むなって言ってるだろう!」
遊女がすかさず笞を浴びせるが、今度は進まない。
「ぐぅっ!」
小さく呻いたきり、鈴は静かに前方を眺めはじめた。
瞳には強い力があるが、どこかに焦点を結んでいる訳ではない。
その眼をする時、鈴は必ず忍耐の限界を迎えているのだ。
見守る遊女も、客も、すでにそれを見抜いていた。
「も……もう、我慢…………できないわ」
鈴は喘ぐようにそう言った。
脂汗がいよいよ身体中に滲み、縛られた手が忙しなく握り締められる。
遊女達は、ちらりと柱に寄りかかる雪を見やる。
「そこで出されちゃ堪らないよ。させてやんな」
雪は見下すような視線を寄越しながら告げた。
その言葉を受け、遊女達は鈴の片脚を持ち上げた。
そして縄を乗り越えさせて部屋の隅へと鈴を運び、そのまま崩れ落ちそうになる身体を中腰で支える。
同時に、脚の下には手馴れた様子で盥が置かれた。
「さぁ、鈴。ひり出してもいいよ。……ただし、“いつものように”だ。解ってるね」
遊女の一人が鈴に囁き、軽く肩を叩いて手を離す。
鈴は一瞬ぐらついたが、膝を開くことでかろうじて中腰の姿勢を保った。
その表情は思いつめたものだ。それは、今からする行為がどれほどつらいのかを如実に表している。
逆に客達は、嬉々として鈴の様子に見入っていた。
「く……く、ぅううっ!!」
やがて、鈴の身体が震えて本当の限界が訪れる。
鈴はそこで一層腰を落とし、盥と肛門を頭二つ分ほどに近づけた。
そして、大きく息を吸う。

「コケーッ、コーッ、コッコッコ……!!」

それは、鈴を知る者からすれば目を疑うほどに滑稽な情景だった。
あろうことか鈴は、鶏の鳴き真似をしながら盥へと排泄を始めたのだ。
排泄、とはいえ便ではない。すでにそうしたものは浣腸で出しきっている。
代わりに彼女の肛門から産み落とされるものは、鶏卵大の真鍮珠だった。
それが実に六個、鈴の腸内から姿を現す。
同時に水気も肛門から噴出しているが、こちらは排泄欲を刺激するための薬液だ。
先ほど綱渡りの最中に腹部が鳴っていた原因は、この強力な薬液による蠕動運動に他ならない。

「コッコッコ、コケーッ!コケーッ、コッコッコ…………ケッ、コケーッ、ケー……ッ!!!」

鈴はこの排便の間ずっと、鶏の鳴き真似をする事になっていた。
今は悪いことに、真鍮球の幾つかが互いの排出を邪魔しあい、直腸の半ばで詰まっているらしい。
どれほどに息んでも、なかなか滑り落ちる様子がない。
鈴はそれを出し切るまで延々と無様な鳴き真似を続けるしかなかった。
あれほどに誇り高い娘だ。それは耐え難いらしく、硬く閉じた瞳からボロボロと大粒の涙を零している。
しかし客や遊女達は、その恥辱に震える鈴がおかしくて堪らない様子だ。
「はははは、これは傑作だ!これは傑作だぞ!!
 最初に目にした時は、笑い者にしてよいものかと躊躇するほど良い妓だったのだがな。
 それがこれほど滑稽な真似をするまでに成り果てたとは、笑いが止まらんわ!」
「全くだ。別嬪が恥ずかしくて泣く様は、これ以上ない酒の肴よ!」
「ほれほれ、そうひしっと目を閉じんで、開けて見せてみぃ。お前の瞳はそそるからのォ」
遊女と客達は各々に言葉で鈴を辱め、その様子を嘲笑った。

排泄が完全に終われば、鈴はその後孔を客達に奉げる事となる。
連日の調教に加え、この恥辱の排泄を経た後は、鈴の肛門性感は敏感だ。
その状態で排便よろしく丁寧に肛門性交を繰り返せば、やがて鈴は乱れ始める。
嫌だ、嫌だと泣きながら、腿から下を痙攣させて深い絶頂へと入っていくのだ。
雪はそれを、ここ数日続けさせていた。
身の垢が落ちる時のように、少しずつ少しずつ、鈴の絶対性が剥がれていくのを期待しながら。





「まったく、夢みてぇだなぁ。あの鈴子お嬢様を犯せる日が来るなんてよ。
 それも、おれの大好きな尻の穴だ」
薄汚い男が、鈴に深く自身を沈みこませながら笑う。
「あっ……」
鈴はその突き込みに切なそうな声を上げた。
彼女の姿勢は惨めそのものだ。
這うような格好のまま、膝裏に竹竿を通される。
両肘は前方に突いたまま、両手の甲と親指同士を幾重にも結び合わされる。
この拘束により、鈴は立つことも、横へ転がることさえ出来ない。
背後から強く腰を掴まれて犯されれば、ただ為すがままになるしかない状態だった。
たとえそれが、かつて屋敷で下男として働いていた醜悪な男であっても。
「屋敷じゃあいつ見てもお上品に澄ましてやがってよ、いつか犯してやりてぇと年がら年中思ってたのよ。
 ほらどうだ、俺の太ぇもんで、糞が奥までかき回されてるのが解るだろう、うん?」
下男はそう言いながら、鈴の腸奥を逸物で押し込んだ。
鈴の喉元から呻きが起こる。
出し挿れされる男の逸物は、並大抵ではない太さを誇っていた。
長さもかなりあると見え、これが抜かれ突かれするたびに鈴が呻く理由の一つだろう。
もう一つは、かつての使用人に抱かれるという精神的な圧迫感。
さらに理由がもう一つ。これは、かつての綱渡りと同じ理由になる。

「おおっ!?へへ、鈴子お嬢様、また糞がしたくなったんだろう。腹の中がグルグル鳴ってやがるぜ」
下男が笑みを深め、手の位置を鈴の腰から下腹部へと下げる。
「いやっ、お腹は!」
鈴は素直な反応を示した。耐えるほどの余裕がないのだろう。
彼女を苦しめる最後の理由……それは、部屋の片隅に転がる硝子の浣腸器に起因する。
その傍には空の盥もあり、何が行われたのかは明らかだった。
「おらっ、鈴子、いまさらカマトトぶってんじゃねぇ!おれみたいな浮浪者でも、色々噂は耳にしてんだ。
 鈴子おまえ、毎日こうやって野郎に尻犯されて、下痢便ぶちまけながら感じてんだってなぁ?
 あの雪とかいう阿婆擦れに調教されてよ。嵌められながら下痢便漏らすのが、一番感じるように仕込まれてるんだろう。
 ええ、どうなんだ、鈴子お嬢様よォッ!!」
下男は粗暴さを剥き出しにし、力強く抽迭を繰り返す。
大きく引き、叩きつけ、大きく引き、叩きつける。
その果てに、とうとう鈴の全身が震え上がった。
「利夫、やめ、てっ……もう、もうだ、め…………いっ………いっやぁああああああああっっ!!!!」
鈴が鳴り響くような声で、限界が叫ばれた。
下男は本能的に腰を強く打ちつけ、鈴の身体を抱きしめながらその瞬間を迎える。
極太の物で最奥までを貫かれながら、その圧迫を押し出すような勢いで糞便を漏らす。
かつてなら羞恥で脳が焼ききれるようなこの体験は、今の鈴にとってどうなのか。
それを窺い知る事は出来ないが、下男は狂気に満ちた浮かれ具合だ。
「ははっ、ははははっ、あったけぇ!あったけぇぞ、鈴子お嬢様よっ!!
 しかもこの匂い、生々しさが堪んねぇぜ!今確信してるよ、こりゃあ、あのお嬢様のナマの中身だ。
 あの澄ましてたガワから一枚捲れば、こういう生々しさがテメェにもあったってこったよ。
 ははは、はははははっ!!何だよ、想像通りじゃねえかよ、あの頃の!!
 おい鈴子お嬢様、もっと感じさせてくれよ。糞でぬるぬるになった腸内のよ、あったけぇとこで包んでくれよ。
 お前で何百篇抜いたかわからねぇ。おれはよ、あの屋敷にいた頃から、ずーっとこの日を待ち望んでたんだぜ!!」
下男はそう喚きながら鈴の腰を掴み、いよいよ激しく腰を打ちつけ始める。
鈴はそれに為されるがままになるしかなかった。
結合部より下に汚物のぬめりを感じながら、互いの足にぬるぬると擦り付けて結合を繰り返す。
清潔感など微塵もない。まるでけだものの交わり。
「あっ、あ、あっ……あ、あっ…………あっ…………!!」
鈴は身の内から湧き出る喘ぎを隠さず、荒い呼吸と共に吐き出す。
もはや隠しても仕方のない事だからだ。

いつからか雪は、ほとんど鈴の前に姿を現さなくなった。
この夜鷹小屋以下のあばら家で、拘束されて男に犯されるだけの日々。
それが、もう何日続いているのだろう。
憎き雪に屈しない。それを心の支えにしてきた鈴にとって、雪の不在は致命的なほど心を削られる。
 (……どうして?……これじゃまるで、雪を待ち望んでいるよう)
汚物塗れでかつての下男に犯されながら、鈴は窓の外を見上げる。
遠い、遠いところにある夕日。朱色の陽。
 (朱山楼の皆は、元気でやっているかしら。……ううん、きっと無事よ。その為に、私はここにいるんだから。
  そうよ、皆のため。皆をこんな目に遭わせないためにも、私は……耐え忍んでみせるわ)
鈴はされるがままに身を揺らしながら、静かに決意を改めた。
しかしこの健気な決意こそが、彼女を地獄の釜の底へと突き落とす事になる。





「よく来たねぇ、正一。楼主自ら上納金を持参とは、泣けるじゃないか」
雪が可笑しそうにキセルの灰を落とす。
正一はその足元で深く頭を下げ、平伏している。無論、望んでの事ではない。
「鈴ほどじゃないけど、アンタにも鈴への嫌がらせの邪魔をされた恨みがあるからねぇ。
 その男の土下座を眺めながらだと、美味いもんだ」
伸びやかな煙を吐く雪に痺れを切らしたのか、正一は素早く頭を上げる。
「その鈴はどうした」
「おや、誰が頭を上げていいと言ったんだ。……まぁいい、そんなに鈴が心配かい。
 まぁアンタもこの色街で楼主やってんだ、色々と噂は聞いてるんだろうねぇ。
 何せあの娘は、『朱山楼』の一番娼妓だから。……それとも、惚れた女への心配かねぇ、正さん」
雪が嘲るが、正一は表情を変えない。
部屋を訪れた時から一貫して、強張った面持ちを通している。
雪はキセルを数度吸い、正一の焦りを存分に堪能した後、再び口を開く。
「ついて来な。
 ……どんなにえぐい物を見ても、腰を抜かさない覚悟があるならね」
そう誘う顔には、憎憎しいほどの悦びが張り付いていた。


色街の外れも外れ、廃屋と呼ぶに相応しい小屋。そこが雪の示した場所だ。
そこへ近づいただけで、異様な臭気が正一の鼻を突く。
まるで肥溜めだ。
正一は息を整え、意を決して小屋の中に踏み入る。
その瞬間、彼は目を見開いた。
「す、鈴……っ!?」
女衒を経験している彼でさえ、思わず立ち竦む。
そこにいたのは、確かに鈴に違いない。
数人の男に囲まれ、煎餅布団の上にへたり込むようにして座っている。
ひどく粗末だが、それ自体は場末の夜鷹部屋などではよく見られる情景だ。
しかし、彼女の状態は尋常ではなかった。
黒髪がすっかり艶を失い、海草のように背に張り付いている事ではない。
肌がすっかりくすみ、閉じた足の間に生え放題となった陰毛が覗いているような事でもない。

全身が、汚物に塗れているのだ。
美しい裸体の、唇から下が塗りたくられたような汚物で彩られていた。
二枚敷きの煎餅布団の上にも、やはり至るところへ汚物が撒き散らされている。
その状況にありながら、鈴に取り乱す様子はない。
どこか虚ろな、しかし光は宿した瞳で眼前の男を見上げている。
「おら、出すぞ!全部飲めよ!!」
男がそう言いながら、逸物に手を添えた。
それに合わせ、鈴は操られたように口を開く。まるで男専用の小便器のように。
「やめろ、鈴っ!!」
正一はそこで我に返り、状況を止めようとした。
しかしその瞬間、背後から強い力で羽交い絞めにされる。
「何をする、放せ!!」
肩越しに振り返ると、『金極園』の妓夫二人が、それぞれ正一の腕を掴んでいる。
正一も荒事に弱い訳ではないが、雑用で鍛えた男二人に腕を取られては抵抗できない。
「大人しくご覧よ、正一。ほら、面白いことになるよ」
雪の言葉で正一が前方を振り返る。
まさしくその瞬間、男の逸物から黄金色の小水が弧を描くところだった。
それは上手い具合に鈴の口内へ収まり、飛沫を上げながら喉へと溜まっていく。
勢いも量もかなりのものだ。
鈴の口内はたちまちに満たされ、顎からあふれて胸元の汚物を洗い流した。
「何やってる、全部飲めってのが聴こえなかったのか!?」
鈴の後ろに立つ男が恫喝すると、鈴は黄金水を口に溜めたまま目で反省を表す。
何とも惨めな姿だった。
「チッ。まぁいい、そのまま小便でうがいしてみろ。それから飲み込め」
男が屈辱的な命令を与えると、鈴は嫌がる素振りすら見せずに従う。
その異様さに、正一は言葉もなかった。

男の尿を全て飲み干した後、男は引き続き口での奉仕を求める。
「んむっ」
鈴はやはり躊躇わずに逸物を咥え込んだ。
いかにも容易くではあるが、この男の逸物の大きさたるや並みではない。
大柄な身体に相応しく、上方向に勃起したならば水月までは悠に届こうかという長さだ。
太さの方も、鈴の手では握りこむ事すら不可能な直径を誇る。
その規格外の怒張を易々と呑み込むとなれば、相当数の慣らしを経ている事が窺えた。
さらに男は、ただの口戯では満足しない。
鈴が幾度か顔を前後させ、深く咥えこめるようになった段階で、やおらその後頭部を鷲掴みにする。
そして筋肉の隆起したその腕でもって、無理矢理に奥の奥まで咥えさせていく。
「んっ、んぶっ!!ぐっ……え、ゴェっ!!ぐえっ、うう゛っ、うむ゛ぅうえ゛おえ゛っ、おげぁげえおごっっ!!」
凄まじい声が発せられた。
情景を目にしていなければ、正一はそれを人の声だとは認識できなかっただろう。
特に、あの美しかった鈴が発しているなど、『朱山楼』の誰もが信じないに違いない。
しかし、無理からぬ事だ。
あのような規格外の怒張を咥え込まされては、普通の声で済む道理がない。
事実、受け入れる鈴は目を剥き、喉の形すら怒張の太さに盛り上げてしまっていた。
「ごぇっ、おぼぇっ、おもぉ゛う゛っ!!えれお゛っ、えごっ、んもぉおおおぅぅう゛え゛っっ!!!」
男が自分本位の調子で腰を前後させると、えづき声も激しくなる。
そればかりか、とうとう鈴の喉元からは吐瀉物が溢れてしまっていた。
吐き出された吐瀉物は怒張をすべり、抜き出された逸物と口との間から滴って、煎餅布団に薄黄色の染みを作る。
よくよく注意を向ければ、その半固形の残滓は布団の随所にあった。
茶色い汚物の色で隠されているが、その下に層を成すようにして吐瀉物の乾燥したものが見える。
つまり、嘔吐すら今の鈴には特別なものではない。
「う、う、出すぞっ!!」
男は鈴が嘔吐している最中でも腰を止めようとはせず、むしろその喉奥の痙攣を利用して射精に至った。
心地よさげに腰を震わせ、鈴の喉奥に精を浴びせる。
そして一呼吸置いてから、ゆっくりと粘液まみれの逸物を喉から引き抜いた。
反射的にゲホゲホと噎せ返る鈴。
しかしそこで、正一は妙なことに気付いた。
あれほど苛烈に喉を使われておきながら、鈴の姿勢がまったく変わっていない。
嘔吐するほど苦しいのならば、誰でもなりふり構わず抵抗してしまうだろう。
鈴とて苦しんではいた。
それでも鈴は、嘔吐するその直前でさえ、両手を布団に突いたままでいたのだ。
不可解なほどの無抵抗。
正一がその理由を考える暇もなく、眼前の状況は進む。

「へへっ、鈴よ。小便と精液で、とりあえず喉の渇きは癒えたろう。
 なら今度は……メシだな」
男の一人が笑みを浮かべながら、鈴の足元へ屈みこんだ。
そして鈴の尻肉を割り開くと、その中にある汚物を鷲掴みにする。
「なっ……まさか!!」
正一は身に走る悪寒に震えた。しかしどうする事も出来ない。
身動きの取れない正一の前で、最悪の状況が展開する。
「おら、口を開け」
男の一人が鈴の顎を掴み、命じる。
傍には先の男がおり、にやけた顔で掴んだ汚物を鈴の鼻先へと近づける。
「………………」
鈴は虚空を見上げていた。それはほんの数瞬ではあるが、正一には彼女の泣き叫ぶような躊躇が聴こえるようだった。
「オイ!」
男が再度声を掛けると、鈴は観念したように口を開く。
小水に濡れ、舌の上に精液がこびりついた口を。
その中に、男は満面の笑みで糞を押し込んだ。
「う、む゛っぇ゛っ!!!」
鈴は嘔吐のときとは違い、大きく身体を丸めて反応を示した。
見開いた瞳からは即座にボロボロと涙が零れ、頬は膨らんで誰の目にも明らかなほどの嘔吐の前兆を見せる。
「吐くなっ、呑みこめ!!全部喰って、全部出して!ぶっ壊れるまで繰り返すんだよオラッッ!!!」
男は明らかに堅気ではない口調で恫喝しながら、力ずくで鈴の口を押さえ込んだ。
大きな掌で鼻から下を覆われるようにされては、鈴も吐くに吐きようがない。
そのまま中指と薬指で、開いた口の中に無理矢理汚物を詰められていく。
「んむ゛ぁ゛っ!!」
鈴は体の反射から、再度前屈みに嘔吐の兆候を示した。
しかし、彼女はまたもそれを押さえ込む。それどころか、その抵抗すらあまりに生易しい。
汚物を無理矢理に喰わされるのだ。普通であれば、手足を振り回すか、掴む男の腕へ爪を立てているところだろう。
しかし鈴は、反射的に身体が起こす反応以外は見せない。それ以外を、明らかに強靭な意志で押さえ込んでいる。

「……やめろ…………やめろっ!!」
再び糞を詰め込まれる鈴を前に、正一は思わず叫んでいた。
「鈴、なぜだ!なぜ抵抗しない!そこまでやらされて、耐える理由などあるか!!
 さっきその男が言っていただろう、そいつらはお前を壊すつもりだ。耐えるな、逃げろ鈴っ!!!」
正一の叫びに、男達がうるさそうな視線を向ける。
そして、鈴も。男の掌で無理矢理に汚物を口へ詰められながら、瞳だけが正一を捉える。
虚ろな瞳で。
「あっはははは。正一、お前も残酷な男だねぇ。こんな場面を見られるのは、女の恥の恥さ。
 それに言っとくけど、もうそれ以上声を掛けるのはよしたほうが良いよ。
 鈴は今、本当にギリギリの所で理性を保ってるのさ。声を出すだけで滑落しかねない、極限の淵でね」
雪がさも可笑しそうに告げる。
正一は雪を睨み据えた。
「ぐっ……。ゆ、雪、貴様、何だこの状況は!何の為に、こんな事をしている!!」
「おや、解りきったことを。あたしはね、ただ鈴を貶めたいだけさ。この点に関しちゃ、裏も表もないよ。
 女として……いや人間として、一番されて嫌なことを考え抜いた末に、この糞責めに辿り着いただけさ」
鈴がそう語る最中、状況はさらに動く。
男達は口内が汚物で満たされた鈴の顎を掴み、強引に上下させる。
「おら。噛んで、噛んで噛んで、よぉく味わえや、『朱山楼』の一番娼妓さんよ。
 今日てめぇのひり出した糞の味は、どんなだ、えぇ?」
おぞましい言葉をかけながら、咀嚼を強要する男たち。
長くそうしているうちに、汚物は口内で唾液に溶け、音を立てて鈴の喉を降りていく。
そこまでに至って、なお、鈴は抵抗を見せない。
「何故だ、何故抵抗しないんだ、鈴っ!!」
正一は再び叫んだ。雪が一層おかしそうに嘲笑う。
「教えてやろうか、正一。無抵抗な理由はね、私に脅されてるからさ。
 この博徒崩れの調教師共がやることに、一つでも逆らったり抵抗したりするたび、
 『朱山楼』の遊女に同じ事をやらせるってねぇ。ま、本気なんだけどさ」
雪の言葉に、正一の顔が凍りつく。
「…………お前は…………本当に人か。人の仔か」
「ああ、人さ。少なくともこうして考えられたり、物を見て愉しいと感じられる限りはね。
 人でないのは、そうした事の出来ない人間……。
 ちょうどそこにいる娼妓あたりが、近いうちそうなりそうだねえ」
雪はそう言って高らかに笑い、鼻をつまみながら小屋を後にする。
「クソッ、放せ、放せっ!!」
正一は怒りにもがくが、妓夫達は巧妙に押さえ込んで自由にさせない。
「見物の時間は終わりだ。来い」
「あの鈴とかいう娼妓がぶっ壊れるまで、『金極園』の牢にでも入っててくれや。ま、そう長くねぇさ」
妓夫達はそう言いながら、無理矢理に正一を引き立てる。
「やめろっ!!鈴、鈴ーーーっ!!!」
正一は声を限りに叫びながら、自らの拾った娼妓の名を呼び続けた。
彼が廓へ導いた中で、もっとも美しく、気高い娘。
落とされた苦界の中でも、いつか必ず幸せになれるよう胸中で願っていた相手だ。


最後の最後。
視界に収めた彼女の瞳は、なお微かな光を宿していた。
それだけが正一の望みだった。
たとえ闇夜に揺れる鈴の音が如く、儚いものであったとしても……。




                      終
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闇に揺れる鈴(前編)

※特にダークな話です。
 レズありアナルありスカトロありの花魁物。
 書きたいままに書きなぐったので、時代考証その他は絶無。
 長いので前後編に分けますが、後編には過去最高にドぎついスカトロ
 (排便・嘔吐・食糞)描写があるので要注意

 この前編も小スカトロ注意



夜も更けた仲見世『朱山楼』に、なお煌々と灯りが灯っている。
その座敷には、集まった見世番や遊女達が口々に騒ぎ立てる姿があった。

「鈴姐さん、そんな奴の言う事を聞いちゃ駄目だ!」
「ど、どうなの鈴、あんたどうするつもりなの!?」
その呼びかけの中心には、一人の遊女。
思わず目を見張るほどに美しい娘だ。

着物の上からでも解る、均整の取れた理想的な肢体。
最高級の漆塗りが如く、しっとりとした艶を流す長い黒髪。
小ぶりながら筋の通った鼻に、慎ましやかな桜色の唇。
理知的で意志の強そうな瞳。
仲見世などにいる事が不自然なほど、際立った美貌といえる。
否、見目だけではない。
『朱山楼』の一番娼妓……鈴は、その心根も一部で高く評価されていた。
客の容姿や肩書きを良くも悪くも気にせず、万人へ慈愛に満ちた至福を与える娘だと。
その噂を耳にして鈴を指名した者は、多くが満足しきって見世を後にするという。

また鈴には、そうした娼妓としての優秀さとは別に、ある特徴がある。
佇まいから滲み出る高貴さだ。
その静謐な雰囲気は、ただでさえ寒気のするような美貌に神秘性を与えた。
事情を知らぬ者が花街で鈴とすれ違えば、必ずと言っていいほど振り返って言うそうだ。
『どうして太夫が、たった一人で出歩いているのか』、と。
それも当然かもしれない。
鈴は元、華族の令嬢なのだから。
間違いなく名門の生まれと誇っていい出自だ。
しかし激動の時代の中、不運と姦計が重なり、鈴の一族は没落する。
その際に生じた借金の肩として、鈴の身柄を遊郭に売り払った女……それが雪だ。
まさに今、『朱山楼』の面々に囲まれ、ふてぶてしい笑みを浮かべている女。

「……今度は、どんな汚い手を使ったの?」
鈴が雪を睨みつけながら問う。
相手を睨みつけるなど、普段の鈴ならばまず無い事だ。
しかし、こと雪が相手となれば話は違う。
鈴は知っていた。
自分の家が没落した原因も、この遊郭という苦界に落とされた原因も、眼前の雪にある事を。
「さぁ、どんなだろうねぇ。お前に言って理解できるのかい、お嬢さま」
雪はふてぶてしく嗤ってみせる。


雪はかつて、鈴の家で下女をしていた。
同じ屋敷にいたとはいえ、当時の鈴と雪の身分には天と地の差がある。
当然生活空間も違い、下働きの世界で雪がどんな目にあったのか、鈴に知る術はない。
しかしともかくも、雪はそこで並ならぬ劣等感を覚え、いつか雪辱を晴らさんと誓った。
それ以来十余年、雪は箱入り娘である鈴を貶める事だけを生き甲斐にしてきたようだ。

鈴を目論見通り苦界に貶めた後も、雪の執着は続いた。
予め確保しておいた資金や伝手を活用し、大見世『金極園』の女将として辣腕を振るい始めたのだ。
『金極園』の常連客や遊女達を抱き込んでの嫌がらせは、鈴とその属する廓をひどく苦しめた。
往来で足を引っ掛け、転ばせて着物の裾を肌蹴させるなどは序の口。
鈴という娼妓は締まりが悪い、事の最中に小便を漏らす、などと根も葉もない噂を流すこと多数。
酔客の仕業に見せかけ、見世の軒先に牛糞をぶちまけて数日間の営業停止に追いやったり、
行為中の鈴に馬乗りになり、顔を執拗に打ち据えてしばらく客を取れない有様にもした。

そうなっては、廓側も堪ったものではない。
あまりにも鈴絡みの問題が多発するため、借金だけを水増しして他店に売り渡してしまう。
鈴の見目に期待してそれを受け入れた見世もまた、同じように他所へと引き払う。
これが三度繰り返され、鈴の借金は雪達磨式に増えていった。
鈴自身がどれほど誠心誠意尽くそうと、今もって“知る者ぞ知る”程度の理解しか得られていないのも、これが原因だ。
しかしそうして煙たがれる鈴を、あえて拾う廓があった。
それが『朱山楼』だ。
初めは店の内外から、楼主の偽善に過ぎないとの厳しい声が上がった。
事実それは、楼主の哀れみから出た行為だったのかもしれない。
『朱山楼』の楼主・正一は、かつて女衒として多くの少女を遊郭へと引きずり込んだ。
その経験から思うところあり、行き場を失った鈴を囲ったのかもしれない。

いずれにせよ、鈴は正一によって生き場所を与えられた。
真面目な鈴は、今度こそは廓の役に立とうと、一層の誠意を込めて客をもてなす。
廓で働く他の娼妓にも、挨拶を初めとして嫌われぬよう心を砕く。
無論、皆に好かれた訳ではない。
そうした健気さそのものを唾棄する女も一定数はおり、鈴がいびられる事はあった。
それでも心底から嫌っている者は恐らくおらず、いつしか鈴は押しも押されぬ『朱山楼』の一番娼妓となっていた。
この出世には鈴の努力は無論のこと、正一がことごとく雪の妨害を跳ねつけた事も関係している。
見世の周りで怪しい動きをする者はすぐに捕らえ、迷惑客は叩き出して二度と上げない。
元女衒ゆえの鋭く的確な采配に、さすがの雪もその妨害の手を緩めていった。
「しかし、あの手合いが易々と復讐を諦めるとは思えん。
 趣向を変え、若芽の内に潰すのではなく、十分に育った所で落とす腹積もりだろう」
正一は盃を傾けながら、淡々と鈴に語る。
鈴は、毎夜のように大恩ある楼主へ酒を注ぎながら頷いた。
「その通りね。……覚悟をしておくわ」
初々しさの中にも、一番娼妓としての貫禄が芽生え始めている。貶める獲物としては極上だろう。

果たして、雪は再び動き始す。
正確には、兼ねてより水面下で進めていた謀が結実した、と言うべきか。
雪はあろうことか、『朱山楼』の権利書を奪ったのである。
どのような伝手を用いてか、遊郭の治安維持を司る警察官を味方につけて。


「こんなの無茶苦茶だよ!正さんも黙りこくってないで、何か言っとくれよ!」
遊女の一人が、泣き喚くような口調で楼主に縋りつく。
普段から多弁ではない正一は、しかしいつも以上に深刻な表情で眉を顰めるばかり。
得意顔の雪の後ろには、サーベルを帯びた警察官が座している。
服従せねば取り潰す、と言いたげな剣呑さで、だ。
その威圧を前に、さしもの正一も言葉を返すことが出来ずにいた。

雪の要求は二つ。
一つに、雪の支配下に入る『朱山楼』は、月の売り上げのうち2割を上納すること。
二つに、『朱山楼』の一番娼妓である鈴の身柄を、『金極園』へ無期限で預けること。
これらの要求が呑めない場合、『朱山楼』は即座に取り潰す。
その際、楼内の遊女は街頭で春を売る夜鷹をさせるか、あるいは小屋へ繋いで浮浪者の慰み者とする。
これが、雪の示した条件だ。
上納はともかく、問題は二つ目。
引き抜きと言えば聞こえはいいが、雪が鈴に対してまともな扱いをする筈はない。
それこそ夜鷹以下の存在に貶めようとするだろう。
すなわちこれは、他の遊女達の身代わりになれ……と鈴へ強要しているに等しい。
「くっ!!」
膝の上で、正一の拳が硬く握り込まれる。精悍な顔立ちは怒りに満ちていた。
楼主としては、楼の存続と一人の遊女、どちらを取るかは悩むべくもない。しかし即断できない。
雪の口元が吊り上がる。
この女衒崩れめ、それほど鈴が大事か。もしや、立場も弁えず惚れていたのか。
そう思っているらしき顔だ。
この雪という女、鈴とその身近な人間の苦しむ顔が愉しくて仕方がないらしい。

「…………解ったわ」
狂乱状態に陥らんとしていた場が、その一言で静まり返った。
発したのは、鈴本人だ。
「私は……雪、あなたの元に下る。それが望みなんでしょう」
「待て、鈴ッ!」
鈴の言葉に、正一が割って入る。咄嗟の一言といった様子だ。
しかし場の雰囲気は、その静止を望んでいなかった。
決意した鈴も、謀の成った雪も、鈴の犠牲で助かる遊女達も、誰一人として。
「正一さん。…………ありがとう」
鈴は凛とした瞳で、静かに告げた。
切腹を覚悟した侍さながらの表情に、正一は息を呑む。
そして大きく吐き出し、頭を抱えるように前髪を乱した。
「好きにしろ」
その一言……拒否を許されなかったその一言で、ついに、鈴の身は雪の手中へと落ちたのだった。





「おいおい……ありゃあどこの妓だ?色っぺぇ体してやがんな」
「なんでも、朱山楼の一番娼妓だそうだぜ。まぁ今は金極園に売られちまったらしいがな」
「金極園かぁ、有名だがいい噂聞かねぇなあ。で、ありゃなんだい、折檻なのかい」
「俺いらが知るかよ。まぁ眼福にゃ違いねぇ、騒がず見とこうや」

遊郭の大通りから一本外れた横町に、人だかりが出来ている。ある張見世の前だ。
朱色をした格子の中を覗けば、理由はすぐに解る。
そこには丸裸の鈴が、荒縄で拘束されていた。
万歳をするように両手首を梁から吊るされ、脚は軽く膝を曲げた状態で畳を踏みしめている。
安価な張見世に来るような貧乏客からすれば、滅多に見られない極上の裸体。
「田舎のカカア」と揶揄される他の遊女とは、体型も肌艶もまるで違う。
それは噛り付いて見ようというものだ。
そして、男達の目を惹き付ける要素は、鈴が裸体を晒している事以外にもう一つある。

「ほら、お水」
遊女の一人が襖を開けて姿を現し、鈴の唇に盃を宛がう。
額にうっすらと汗を掻いた鈴は、それを反射的という様子で飲み始めた。
ゴクゴクという喉の鳴りようで、どれだけ水分を欲していたのかが解る。
盃が空になると、遊女はそれを懐にしまい、入れ替わりに二枚貝を取り出す。
軟膏などの入れ物として用いられるハマグリの貝殻だ。
「そろそろ乾いてきたでしょ。塗り足したげるよ」
遊女の指先が貝殻の中身をこそげ取り、鈴の秘裂へと近づく。
「や、やめて!」
鈴は足を閉じて抵抗を見せた。その美貌は、未知なる物への恐怖で歪んでいる。
「それは一体、何なの!?さっきそれを塗られてから、おかしいわ!」
白くむちりとした太腿。
その艶かしい両脚の合間は、かすかに濡れ光っているようだった。
足が組みかえられるたび、外からの光を受けて淫靡に輝く蜜。
これこそ、男達が夢中になって覗き込んでいる理由のもうひとつだ。

遊女は嫌がる鈴の反応に鼻を鳴らした。
「これかい?これはねぇ、雪姐さんがおまえのため、特別に練った薬さ。
 阿片にヒキガエルの粘液、随喜の汁……後は何だったかね。
 まぁそうしたもんを色々と混ぜ合わせてんだよ。
 これをおんなの部分に塗りこめて交われば、二度とその感覚を忘れられないって触れ込みだ」
恐ろしい言葉と共に、遊女の指は鈴の恥部に潜り込む。
「やめて、そんなもの塗らないでっ!!」
鈴は必死に足を閉じるが、遊女の指は蛞蝓のようにぬるりとその間を通り抜ける。
くちゅり、と音が立ち、見物人の男達から下卑た歓声が上がった。
「何が“やめて”だい、カマトトぶるんじゃないよ。こんなに気持ち良さそうに濡らしちまってる癖にさ。
 ふふふ、しっとりとあたしの指を締め付けてきて、いやらしいねぇ」
遊女は嘲るように指を蠢かし、隅々まで薬を塗りこめているようだ。
つらそうに擦り合わされる鈴の膝頭が、その様を生々しく物語っている。

水音たっぷりに引き抜かれた遊女の指には、明らかに濡れ光るものが付着している。
それが女の蜜……それも、あの絶世の美女のものだと考えれば、男達の喉は自然と鳴った。
「じゃ、もう少しそのまま見世物になってな。あと数刻もすりゃ、いい物が拝めるさ」
遊女はそう告げ、現れた時と同じように襖を開けて立ち去る。
そこからは再び、男達の荒々しい鼻息に囲まれる時間が始まった。

「ひひひ、さっきは気のせいかと思ったがよ、やっぱいやらしい顔してやがるぜ。
 顔は赤ぇし、背中にびっしり汗も掻いてるしよぉ」
「ああ、いやらしいいやらしい」
「おい姉ちゃん。ちょいとこっちに向けて、股ァ開いてみなよ」

痴態を目にした事で、鈴の神秘性から遠慮していたものが破られたのだろう。
男達は格子に張り付くようにしながら、口々に囃し立てた。
その獣のような視線と罵声にさらされながら、鈴はしばし、その裸体を晒し続けた。



夜も更け、色街がいよいよ活気付き始める頃。
鈴はなおも拘束され、悩ましく足を組み替えていた。
部屋の四隅に蝋燭が灯され、肢体は妖しく飴色に照らし出されている。
身体中に珠の汗が浮き、熱に浮かされたように生気のない様子だ。
しかしある時、襖の奥から妙な声が聴こえる事に気付き、鈴は久方振りに顔を上げる。
「……ぁ、ぁあっ……いい、ああっ……!
  …………いいっ……いい、よ…………んっ…………!!」
娼妓である鈴が聞き違える筈もない。
それは明らかに、女が性交の際に上げる嬌声だ。
そうと解った瞬間、鈴は身を強張らせる。湿り気を吸った畳がニチリと音を立てた。
「お、嬢ちゃんが反応したぜ」
「あの妙な薬で散々火照ってるところにこの声は、なぁ?」
男達が笑み交じりに囁きあう。
まるでそれに追い討ちをかけるかの如く、鈴の前にあった襖が静かに開いていく。
「あっ」
鈴は目を見開いた。
四組の男女が、獣のように浅ましく交わる光景。それが鈴の視界を覆いつくす。
「ああ気持ちいい、気持ちいいっ!!」
「もっと、もっと奥までっ……!!ああ、いいのっ!!奥がいいのぉっ!!!」
張見世の遊女達は、まるで鈴に誇るかの如く声を張り上げていた。
結合部分もしかと見せつけ、いかに自分達の快楽が凄まじいかを訴える。
「くっ…………!!」
鈴は奥歯を噛みしめた。

秘裂に塗りこまれた薬は、今や鈴の性器全体に浸透し、絶えず切ない疼きを与えてくる。
内腿の全体がぬるりとした液に塗れている事を、鈴はとうに感じていた。
失禁を思わせるような愛蜜の量だ。
毒を飲めば死ぬのと同じく、催淫剤を塗り込められれば疼く。
そうなるように作られた薬が、その目論見通りにしっかりと鈴の肉体を蝕んでいた。
そこへ来て、この交わりの見せつけ。
 (…………雪らしいやり方だわ)
鈴はそう感じた。鈴が遊郭へ来て以来の妨害と同じく、粘つくような悪意で追い詰めてくる手法だ。

状況は淡々と進んでいった。
わざとらしいほどの大振りな抽迭で貫かれる遊女達。
逞しい逸物が根元まで入り込み、相当に深く入り込んでいるのが解る。
ぐちゅりと子宮を押し潰す音さえ聞こえてきそうで、その直後に女の嬌声が響き渡る。
「あああっ、いいっ、奥がいいのぉおおおっ!!」
演技半分、本気半分といった所か。だとしても、半分は本気で感じている声だ。
鈴はその様子を見ながら、極力脚を動かさないようにしていた。
感度が上がりすぎ、わずかに脚を組みかえる動作でさえ達してしまう気がするからだ。
にもかかわらず。
一切脚を動かしていないにも関わらず、鈴の膣奥は疼いた。
遊女達が貫かれている様を見るたび、甘い声が響き渡るのを聞くたび、疼く。
どろりとまた愛液が零れたのを、鈴は感じた。
しかもそれは、内股で留められるようなものではない。螺旋状に右脚を伝い、膝裏を通って踵にまで滑り落ちてゆく。
角度次第では十分誰かに発見されうる雫だ。
 (いけない……。こんな所を見られたら、雪になんて笑われるか……!)
鈴は固く目を閉じた。
とにかく、結合部分を見てしまったことが敗因だ。ならば見えなければ、と考えたのだ。
だがそれすら裏目に出た。
視界を閉じた事により、その他の神経が研ぎ澄まされてしまう。
男性器が女性器を割り開いて沈み込む音、甘い声。
噎せ返るような男女の匂い。
自らに向けられる視線。
そして自分自身の、発情した犬のような息遣い。
それらをありありと感じてしまう。
 (どんどん火照ってきてる……!どうやれば、気を紛らわせる事ができるの?)
鈴は自問自答を繰り返す。
その間にも、彼女の胎内は疼き続けていた。
喉元を超えた嘔吐を留められない事と同じく、蕩けきった秘部の疼きが止められない。
押さえ込もうと内向きに力めば力むほど、ぶり返しで愛液が零れていく。
畳に雫の滴る音が聴こえた。
 (いや、止まって…………!)
頭の中が混乱し始める鈴。
やがてその身体は、細かに痙攣さえ始める。
感じすぎた事で腰が抜け、曲げた膝を維持できなくなりつつあるのだ。
笑い声が聴こえる。それを鈴は敏感に感じ取っていた。
内股になって愛液を垂らし、身体を細かに痙攣させる自分は、さぞかし滑稽だろう。

「いいザマだね、鈴」

唐突にそう声を掛けたのは、他ならぬ雪だ。
このような痴態を、この女にだけは見せたくないと思っていた相手。
「はぁっ、はぁっ……ゆ、雪…………!」
鈴は重くなった瞼を開き、必死に雪を睨みつける。
忌々しい笑みが視界に映った。
「男の物が欲しくて、欲しくて、しょうがないって風じゃないか。
 元華族の令嬢ともあろうお方が、あさましいもんだね」
「な、何を言ってるの?私はそんなもの、必要……ないわ…………」
事実を指摘されながらも、鈴は強がる。
一族の敵である雪にだけは、弱音を吐きたくなかった。
一方の雪は、その返答が解っていたかのように余裕を崩さない。
傍の遊女を手招きし、彼女が手にした重箱を開く。
そしてその中から取り出した物を、見せ付けるように鈴の眼前へ差し出した。
「!!」
鈴の顔色が変わる。
雪の取り出したもの……それは張型だ。
いわゆる肥後芋茎とも、木製のものとも違う。
末端は蝋燭の火のように明るい飴色をし、先端へ行くにつれて黒に近い色となる。
そしてその形状は、まさしく男根そのものだった。
「どうだい、立派だろう。大奥で手慰みに使われていた、鼈甲の張型だよ。
 使う人間が人間だけに、長さも硬さも反り具合も、女泣かせの最高級品さ。
 お前のために、わざわざ大枚はたいて取り寄せたんだよ?」
鈴の鼻先へ張型を押し付けながら雪が笑う。
黒光りする先端は、むぅっと使用感が匂い、鈴が顔を顰める。
「無駄な贅沢ね」
「無駄じゃないさ。今からこれで、お前をタップリと責め抜くんだからね。
 薬で蕩けきったあそこを、この女泣かせの責め具で延々と突くんだ。
 どんな声で泣き喚くのか、今から想像するだけで震えが来るよ。
 あたしはね、鈴子お嬢様……お前をこの手で嬲る事を、ずっと、ずっと、ずっと……心待ちにしてたんだよ!」
狂喜じみた雪の声と共に、遊女の1人が鈴の右脚を持ち上げた。
「あっ!」
鈴は抗おうとしたが、上手く力が入らない。
右足首と脹脛を掴まれ、雪に向けて大股を開く格好を取らされてしまう。
格子の向こうにいる男達から歓声が上がった。
座敷で激しく交わっている者達も、行為の最中に好奇の視線を向けている。
「さぁ悶えな、鈴!」
雪の握りしめた鼈甲の張型が、ついに鈴の秘裂へと宛がわれる。
「いや……」
鈴は無意識に呻いていた。
ぐ、ぐ、と力が込められ、冷たい張型が膣の中へと入り込んでくる。
「やめてぇええっっ!!」
そう叫ぶのとほぼ同時に、張型は深々と鈴の中へ沈み込んだ。
ゴズッと膣の奥が貫かれる。
「!!!」
瞬間、鈴は頭を仰け反らせた。絶頂にはかろうじて至らないが、電流が背筋を走りぬけた。
雪が笑みを零す。
「おやおや。まさか、軽く奥を突かれただけで感じたんじゃないだろうねぇ?」
その憎い声に、視界が白むようだった鈴は首を戻す。
視線はしっかりと雪を睨みすえたまま。
「フン、育ちの良いくせに鼻っ柱の強い娘だよ。まぁ、だからこそ責め甲斐もあるってもんさ!」
雪は一度苛立ちを見せた後、一層の笑みを浮かべて張型を握り締める。

そして、老獪な抽迭が始まった。



膣の浅い部分で張型を前後させ、敏感な襞を入念に責める。
性感を高めた所で、一気に深くまで突き入れる。
硬質な亀頭は容易く襞の合わさりを割った。そのまま蕩けきった膣奥を叩かれると、鈴の脊髄に電流が走る。
「くひっ!!」
雪を睨む鈴の瞳が、つらそうに細まった。
雪の手が張型を前後に揺らし、トントンと断続的に膣奥を叩けば、その視線は天井近くを見上げるものとなる。
「ふん、焦点が合ってやしないよ、鈴。もう気をやりそうなんだろう」
「ま……まさか。あなたの手で気をやったりしないわ」
「言葉だけは達者だねぇ。さっきからこんなに蜜を吐き零してるってのに」
雪は奥まで突きこんだ張型の握りを緩め、再度握りなおす事を繰り返した。
ぎじゅ、ぎじゅっと水音がする。周囲から笑いがおきた。
「っ…………!」
鈴だけは眉を顰める。口惜しくて仕方がない。
けれども、張型で貫かれる度に愛液があふれ、雪の掌を伝って畳へと滴っていく現象は否定しようがなかった。
あれだけ薬で狂おしいほどに昂ぶらされたところへ、この極上の張型なのだ。
女性として、いや生身の人間として、耐えられる道理がない。
 (それでも、雪にだけは――!)
鈴は必死に耐えようとするが、その強張りがまた、余計に性感を昂ぶらせていく。
蟻地獄に腰まで嵌まっているような有様だ。
「うっ、ううっ……はぐうぅうっ!!」
雪の操る張型に浅く深く膣を突かれ、鈴の性感はいよいよ許容量の淵に近づいてゆく。
周囲に満ちる嘲り笑いと同じように。
「く、ううっ……あう!!」
身体を支えている左脚が瘧にかかったように痙攣を始め、膣の奥もまたぎゅ、ぎゅっと握りつぶされるように痙攣する。
絶頂が来る事を、鈴は直感した。
今まで娼妓として経験してきたどれよりも、劇的に鮮やかな絶頂が。

「ふぅううう゛っ!!!」

唇を噛みしめるも、遅かった。
顔が勝手に天を仰ぎ、腹筋は力み、遊女に掴み上げられた右脚は深く筋張る。
膣が狭まって張型を締め付ける。
その緊張の後、弛緩が訪れた。
膣はふっと緩み、肌を叩かれた後のような甘い痺れを残して疼く。
身体中の筋肉が緩むと同時に、神経全てを走りぬける快感にカクカクと痙攣している。
無様な姿だった。しかし、脳髄までが白く蕩けきっている状況では、咄嗟に持ち直すことは不可能だ。
「ふふ、あははははっ!ついに気をやったねぇ、鈴!!
 皆から口を揃えて器量良しだの小町だのと湛えられるおまえも、あの時の顔は不細工なもんだ。
 ねぇ、お前達、お前達も見ただろう、あの必死な顔を!」
雪が引き抜いた張型を片手に嗤うと、他の遊女達や客もそれに続く。
鈴の唇が今一度噛みしめられた。
かつては令嬢として、今は一番娼妓として、人並み以上の矜持を抱いて生きてきた娘だ。
絶頂を公然に晒し、しかもそれを笑い者にされる状況はさぞや辛かろう。
しかし、それでも鈴は毅然と雪を睨み据える。
たとえ汗と涎に塗れた“無様な”顔であろうとも。
「こ……この程度で、私が参ると思わないで!」
凜と和室に通るようなその声は、有象無象の客や遊女の笑いを止めるのには十分だった。
しかし雪だけは、その口の裂けたような笑みを消さない。
「ふん、当然そんな事思っちゃいないよ。お前の辛抱強さは、これでもよく知ってるつもりだからね」
そう言って再び鈴の秘裂へと張型を押し付ける。これには鈴の瞳も動揺を露わにした。
「なっ……!」
「ふん、何を驚くんだ。まさか一度気をやっただけで許されるとでも思ったのかい?
 お前の苦しみは、これからさ。女は一度達すると、ますます感じやすくなるからねぇ」
その言葉と共に、硬質な張型は一息に奥へと押し込まれる。
新鮮な圧迫感が、再び鈴の内部を割り開く。
ぐちゅっと音もしそうなほど強く奥を突かれた瞬間、鈴は驚愕した。
先ほどまで少しはあった異物感や痛みというものが全くない。
膣の奥の奥までが蕩けており、鼈甲の張型をまるで本物の男根のように愛しく迎え入れようとしている。
 (いけない、こんな状態でされたら……!)
鈴は眉を顰めるが、雪が意に介する筈がない。
「さぁ、狂いな!」
ガマ蛙のような歪な笑みを浮かべ、雪は鈴の眼を覗きこんでいた。



花街の大通りはいつもながらに祭りのような賑わいだ。
しかし今宵は横町も負けていない。一軒の張見世の前に、黒山の人だかりが出来ている。
中からは、若い女の艶かしい喘ぎと、粘ついた音、そして意地の悪そうな年増女の詰りが繰り返されていた。

「しかし鈴、お前は本当に解りやすいねぇ。駆け引きってもんをまるで知らないおぼこ娘だよ」
「はっ、はぁっ……な、なんですって!」
雪の嘲るような物言いに、荒い息の合間で反論する鈴。
雪はそれに面白そうな笑みを浮かべながら、鈴の右脚を掴む遊女に目配せする。
遊女も慣れたもので、足首を持つ手はそのままに、もう片方を脹脛から腿の下へと移動させた。
鈴の右脚がほぼ真横を向くよう、さらに大股を開かせた格好だ。
いよいよ露わになった紅い肉ビラに、周囲の歓声はいや増す。
「…………く…………」
鈴は耳まで赤らめるほどの羞恥に表情を強張らせた。しかし今は、雪の動向の方が問題だ。
その雪は一旦張型を抜き出し、角度を調整して再び突き入れる。
「っ!?」
瞬間、鈴は気付いた。その角度こそ、まさに自分の弱点であると。
右斜め四十度の挿入角、肛門側から臍側へ向かう傾斜。
それが複雑な襞の合わさりをもっとも刺激的に割り開き、突き当たった壁をずり上がって極感をもたらす。
鈴は娼妓として様々な客を迎える中、偶然にも快感の大きい挿入があり、行為中に頓狂な声を上げた事が幾度かあった。
その時の角度と傾斜こそ、これだったのだ。
「はぐぅうううっ!!」
かつてと同じ頓狂な声が、鈴の喉元から絞り出される。
雪の前であるなどと考える余裕もない、本能的に出てしまう。
「やっぱりねぇ。この角度なんだろう、鈴!お前の弱い部分は把握したよ!」
雪は満面の笑みで張型を前後させた。
もっとも弱いと見た先の挿入角を基準とし、前後左右へわずかに軸をずらしながら責め立てる。
鈴からすれば、それは男に腰を鷲掴みにされ、荒々しく犯される行為そのものに思えるだろう。
つるりとした硬い亀頭が、膣壁を強く擦る。蕩けきった子宮を押し潰す。
それを幾度も受ければ、鈴はたちまち上り詰めてしまう。
「はぐっ、あぐぅううっ!!あっ、ああっ、ああっ……はぁ、っぐくああうふぅう゛っ!!!」
無様にも思える喘ぎと共に、鈴は美しい黒髪を振り乱した。
見物人の中にはかつて鈴を買った男も何人かいたが、その誰もが、そこまで乱れる鈴を見たことがない。
「く、っ、くる゛っ…………!!!!」
鈴は数度ももたずに眉を顰め、絶頂の兆しを見せた。
男のように射精するわけでもなく、女の絶頂とは本来傍目には解りづらいものだ。
しかしこの時の観衆は皆、鈴が極まった事を感じ取っただろう。
艶かしい女体の震えが納まったころ、再び雪の手が動き始める。
「ひうぅ゛っ……!!」
弱点を再び抉られる鈴は、情けない声を上げるしかない。

「ふふふ。達したばっかで敏感になってる所を、またされるんだぁ。地獄だねぇ」
「全くだ。しかも女将さん、上手い上に本当に容赦ないんだから。
 あたしも新造の頃に慣らすためって名目でされたんだけど、もう二度と御免だね。
 頭ン中真っ白になって、目の前に花火よろしく火花が散ってさ。
 このままじゃ死にかねないってんで、もう結構です、お客を何十人か取って憶えますんで、
 どうか堪忍してくださいって何十篇か泣き入れてようやく逃げ出せたよ」
「それもこれも、この時の為かもしれないよ。アンタも、顔や肌はともかく身体つきは良いからさ。
 あの鈴って妓と似たような体型の娘ばっかりが、餌食になってたみたいだからね」
「なんだ、そういう事かい。じゃああたしは良い迷惑じゃないか。これは、あの鈴って奴にも地獄を見てもらわなきゃ」
「案外もう、地獄の二丁目ぐらいまでは来てそうだけどねぇ。
 あの薬塗られて以来、ずっと悦楽の高原状態を漂ってるわけだろう?
 消耗してるだろうし、ほら、今達したのでもう何度目だい」
「はぐぅ、って間抜けな声は今で七度目だ。あはは、しっかし、はぐぅ、って。
 玩具で嬲られるところを散々見世物にされた挙句、あられもない声を聞かれるなんて、いくら遊女でも恥の恥だね」

座敷では、いつの間にか集まってきていた『金極園』の遊女達が明け透けな会話に興じている。
鈴は頭の芯が白く蕩けるような状態にありながらも、なぜかそれらの言葉をすべて拾えてしまっていた。
阿片をはじめとする薬の効果なのか、状態が普通ではない。
普段であれば失神してもおかしくない量の快楽を、身体の裡が貪欲に貪り続けている。
秘裂は常時小水を垂れ流すかのようなえも言われぬ快感に晒され続けていた。
乳房の先は石のように硬くしこり勃ち、乳房が揺れる際の空気の動きだけで痺れてしまう。
 (いけない、このままじゃ……死ぬかもしれないわ)
快感の海に溺れる幻想がちらつき、鈴は本心からそう感じた。
しかしどうする事もできない。蜘蛛の糸に囚われた蝶のごとく、為されるがままだ。

ごりっ、ごりっ、ごりっ、ごりっと、雪の張型が深くを抉る。
一突きごとに角度が微細に変わる、決して慣れることのない責めだ。
その責め苦ですでに八度以上絶頂を迎えさせられては、いかに一番娼妓とて耐え切れない。
「うっ」
あるとき鈴は小さく呻き、力なく項垂れた。
そこに何かを感じ取ったのか、雪が素早く張型を引き抜く。
すると、まるでその張型を惜しむかのごとく秘裂が蠢き、次いで黄金色の小水が溢れ出した。
「おおっ、別嬪娼妓の失禁だ!」
「へへへ、あの『朱山楼』の鈴が小便垂らすところが見られるなんてよ、夢みてぇだぜ」
男達が騒ぎ立てる中、小水は畳の上へと重い音を立てて飛び散っていく。
水ばかり飲まされて晒し者にされていた時から、初めての放尿だ。
量は只事でなく多かった。人垣の最後列の人間までが、蝋燭の火に煌めく黄金水を眼にできたほど。
「ちっ、躾けのなってないお嬢様だね。人の見世で、こんなに盛大にお漏らしするなんてさ!」
雪は手の甲を口に当て、心の底から可笑しそうに鈴を詰った。
今日幾度もあったように、他の観衆もその笑いに続く。
雪が場の絶対的な支配者であり、遊女や客らがその下、そしてそれ以上の最下層に鈴がいる。
その身分制がはっきりと表れる瞬間だ。
鈴は奥歯を噛みしめる。
大きすぎる快感から思わず零れていた涙を、別の意味で上書きして頬から流す。
その憂いは絵になるものだった。
しかしそれゆえに、雪の嗜虐心を今一度燃え上がらせたのだろう。

「縄を解きな」
雪は項垂れたままの鈴を見下ろし、遊女達へ命じる。
ようやく終わりなのか。鈴の右足を開放した遊女も、手首の縄を解く遊女も、そう思ったに違いない。
しかし、自らの小水の上にびしゃりと崩れ落ちた鈴を、雪は白足袋で足蹴にする。
「あ゛っ」
小さな呻きとともに鈴の身体は反転し、豊かな乳房が上を向く扇情的な格好になった。
男達の視線を何刻にも渡って釘付けにした、極上も極上の肢体だ。
「う、へへへっ…………」
はっきりと聴こえるほど、男達が音を立てて生唾を呑む。
雪が格子の向こうに視線を向けて笑い、その笑いを見て、場の者達は悟った。
まだ、何かある。

「しかし、参ったね。こう小便塗れじゃあ、畳をまるっと入れ替えなきゃならないよ。
 こんな借金塗れの娘に立て替えさせるのは無理だろうけど、何かしら罰は与えないとねぇ……」
雪はしばし思案する素振りを見せ、悪意に満ちた笑みで続けた。
「そうだ。せっかくだから、このまま客を取らせちまおうか。お披露目には丁度良いしねぇ。
 どうだい、格子の向こうでずっと見物してた旦那方!
 今日だけは特別にタダにしといてやるから、この娘を抱いてみないかい。
 ちょっとばかり小便臭いが、元『朱山楼』の一番人気だ。具合は保障するよ!」
雪は声高に宣言する。
それに真っ先に反応して笑ったのは、雪の性格をよく知る遊女達だ。
次いで、鈴を抱く権利を得た男達。
普段であれば体型の崩れた行き遅れか、醜い最底辺の娼妓しか買えないような男達だ。
しかも今は、長時間に渡る見世物で逸物ははち切れんばかり。
「え……」
「お、……うおおおおおっ!!!!」
彼らは降って湧いた幸運にしばし呆気に取られ、数瞬の後に大歓声を上げ始める。
「どけ、どけぇっ!俺が先にやるんだ!!」
「ふざけんな、こちとらもう爆発寸前だぜ、今すぐぶち込んでやらにゃ収まらねぇ!」
「俺だってそうだ、コイツ相手なら抜かずの四度が出来そうだぜ!」
開かれた張見世の戸へ殺到し、押し合いへし合いで畳の間へとなだれ込んだ。
最後に状況を把握したのは、当人である鈴。
白くぼやけた頭でかろうじて雪の言葉を拾い集め、貼り絵のように繋ぎ合わせて、ようやくその驚愕の事実に気付く。
「っ!」
しかし身を起こしたその時にはもう、眼を血走らせた男達が細腕を鷲掴みにしていた。
そのまま無理矢理に組み敷かれ、小便に湿った畳を背に脚を割られる。
隆起しきった剛直が秘裂を割り入ってきた時、鈴は無意識に叫んでいた。
「やめてえぇええっ!!!!!」
平素であればまだ構わない。
しかし今は、雪の老練な責めで散々に絶頂を迎えさせられた後だ。
四肢のすべてに力が入らず、頭はなお宙に浮いているような状態にある。
そのような悦楽の名残があるなかで、男達に抱かれ続ければ……。
「おおうっ!?い、いいぞ、こいつっ……ものすげぇ締まりやがる!
 クソッ、誰だ、『朱山楼の鈴は緩い』なんぞと出鱈目抜かしやがったのは!
 こんな具合が良いんなら、借金こさえてでも早めに抱いとくんだったぜ!!」
鈴の胸中などいざ知らず、男は夢中になって腰を遣う。
子どもにでも解るほど、見るからに心地良さそうな長い振り幅で。
ぐじゅり、ぐじゅり、ぐじゅり、ぐじゅり、ぐじゅり、と音も凄まじい。
熟れに熟れきった男女の果実が、まさにいま結合し、攪拌を繰り返しているのがよく解った。
それは見守る男を焦らし、遊女を愉しませる。
「ひぃいいいっ!!」
ただ一人だけ悲痛な顔を見せる鈴は、片手を畳について何とか男から逃れようとしていた。
しかしその手を別の男が掴み上げ、抵抗を封じる。
と同時に鈴の姿勢は崩れ、圧し掛かる男に押し潰されるような格好となった。
腰から半分に身を折り、真上から男に挿入されるような格好だ。
「くぅっ、いいぞおっ!!」
男はいよいよ心地がいいのか、鈴のすべらかな両脚を腋に挟みこんで腰を打ちつける。
完全に逃げ場を失くした鈴は哀れなものだった。
男の自重を伴って、上から杭のように打ち付けられる怒張が膣奥を抉る。
そのたび男に抱えられた両脚は指先までびぃんと伸びきり、黒髪は畳を深く擦って、どれほどの快感を受けているのかを観衆に示した。

「アッハハハハ、すごい事になってら!今は地獄の四丁目かなぁ?」
「冗談抜きに、普通なら三途の川が見えてるかもしれないね」
「あれだけ極まった後で、姦されるんだもんねぇ。
 あそこの奥って一度果てるだけですごい敏感になるのにさ、そこをすかさず責められちゃあ休む暇もないよ」
「果ててから次に果てるまでの間隔が短くなるってのは聞くね。
 ほーらぁ、ご覧よ。あの子もう、腰がびっくんびっくん上下してる。多分もう達しっぱなしなんじゃないかねぇ」
「にしても、元は華族のお嬢様ってお方が惨めなもんね。
 あの貧乏臭くて匂いもきつくて、獣みたいなまぐわいしか出来ない男どもの玩具にされてるんだ。
 しかも、自分が垂れ流した小便の上で。
 あたしらでさえ、もう女の矜持なんざ保てないよね」
「確かに、これ以下ってそうはいないよ。道端で春を売ってるような奴か、山奥の飯盛り女か……」
「おーお、あの男ども本当にガサツだよ。あんな、血が滲むまで手首握って。
 そこまでしなくたって、逃げられる訳ないのにさ、あんなへろへろの状態の女が」
「にしても、どいつもこいつも早いねぇ……もう七人目じゃないか」
「それだけ具合がいいんじゃあないの?まああの調子でやられてちゃ、すぐに緩んじまいそうだけどさ」

遊女達は部屋の隅に円陣を組みながら、小声で噂話を続けている。
同じ女として哀れむ者は一人としておらず、皆々が鈴に蔑みの視線を送っていた。
さすがは悪名高い『金極園』の娼妓達と言えようか。
一方、渦中の鈴はいよいよ危険な状態にあった。
絶頂に次ぐ絶頂で頭が白み、身体中が極寒の中にあるように痙攣し続けている。
それまでにも幾度かあった状態ではあるが、今はそれがほんの一瞬すら止まらない。
全力疾走を延々と続けているようなものであり、もはや呼吸すら覚束ない。
死。
鈴の脳裏に、ありありとその言葉が浮かぶ。

「や゛ぁああ゛ぁあ゛っ、も゛ぅやめでぇええぇえ゛え゛っ!!!」

気付けば、鈴は声を限りに絶叫していた。
生存本能に裏打ちされた火事場の馬鹿力を以って、覆い被さる男を跳ね除け、
ふらつく足取りながら凄まじい速さで戸口へと駆け出す。
場の殆どの人間が、その鬼気迫る様子に呆然としていた。
ただ一人、雪を除いて。
雪には鈴がそのような反応をする事が解っていたようだった。恐らく、前例あっての事だろう。
「なにボーッとしてんだい、捕まえるんだよっ!!」
雪のその号令で、立ち尽くしていた男や遊女達が正気を取り戻す。
そしてまさに引き戸へと手を掛けようとしていた鈴を、数人がかりで間一髪後ろへ引き倒した。
「やめて、いやっ!!!」
暴れる鈴を数人が押さえ込む。雪は懐から二束の縄を取り出し、その傍らへ投げ出した。
「とっとと縛っちまいな。手と足、一緒くたにだよ!!」
命じ慣れた雪の声で、場は手際よく回り始める。
腕力自慢の荒くれたちが鈴の細い手足を押さえ、そこへ遊女達が縄を掛ける。
右の手首足首、左の手首足首をそれぞれ結び、大股開きになる格好で。
犯しやすい格好にする事は、誰もが暗黙の内に承知済みだった。
「そら、何ボヤっとしてるんだい。終わったらすぐ次の旦那が突っ込むんだよっ!
 犯しぶりがぬるいから逃げられるんだ。足腰立たなくなるぐらい、徹底的にやってやんな!」
雪が鋭い怒号を飛ばした。
この一連の騒ぎには、さしもの遊女達でさえ苦笑いを浮かべている。
しかし欲望に駆られた男衆は、極上の娼妓を犯せる千載一遇の機会に再び貪りついていく。
ある者は未知なる鈴の女体を求めて。ある者は二巡目の愉しみを夢見て。
群がる男達は二十や三十ではきかず、鈴の地獄はまだまだ終わる気配がない。

にちゃ、にちゃ、にちゃっと小水混じりの畳が音を立て、その上で激しい男女の結合が繰り返される。
「ああああ、ああ゛っ、うぁあああっ!!!」
鈴は声を上げ続けていた。掠れてこそいるが比較的普通に聴こえる嬌声。
ただし、それと反比例するように表情が正気を失っていく。
駅弁と呼ばれる体位で犯されている最中、上向いた顎ががくがくと揺れている様が初めだ。
喘ぎつつも清楚そうに引き結ばれていた唇は、いつしか顎が外れたように開ききりになり、涎を垂らし続けていた。
畳へ寝そべるように組み伏せられ、背後から貫かれ続けた時には、とうとう完全に白目を剥いてしまう。
口の端からはかすかに泡を噴いているのが見え、極度の興奮から鼻血さえ流れているのが解った。
事ここに至り、嬉々として鈴を輪姦していた男たちもさすがに顔を青ざめる。
「お、おい……こいつぁ、ヤベぇんじゃねえのか」
「お、俺いらは知らねぇぞ。俺いらとやってた時ゃこの女、本当に気持ち良さそうにしてたんだからな!」
「て、てめぇだ!てめぇのその冗談みてぇに太ぇのを、無理矢理咥えさせたからだろう!!」
客達は責任をなすりつけながら、いそいそと服を着込んで走り出ていく。

「チッ……甲斐性無し共め」
残らず逃げ出した男達を冷ややかに見送りながら、雪は鈴に近づいた。
精液と小水に塗れ、死んだように動かない鈴。
雪は片足を上げ、白足袋を履いた足裏で鈴の頭を押さえつける。
「う、んうっ!?ぷはっ!!」
小水の液溜まりに顔を沈める形となり、反射的に意識を取り戻す鈴。
雪はその鈴の前に屈み、鈴の前髪を掴みあげた。
鈴の美貌が痛みに歪む。
「いいザマだね、鈴。気の触れた振りまでして難を逃れるとは、中々処世術が身についてきたじゃないか」
嫌味を含む物言いで雪が告げた。
すると、鈴はそれまで焦点の合っていなかった瞳を数度瞬かせて睨みあげる。
雪は眉根を寄せた。
「フン、まだそんな眼ができるのかい」
「当然よ。私は……私は、あなたには屈しないわ、雪!」
「ほざきな。だったら、お前が参ったと言うまで責め抜くまでさ。
 あの手この手で、毎日いたぶってやるよ!」
冷徹に見下ろす雪と、燃えるような瞳で睨みあげる鈴。
そこには、宵闇よりも深い女と女の確執があった。



                     続

悪戯妖精クリリア

※クリトリス責めモノ。

「クリリアの長よ、どうか我が交渉に応じて頂きたい!」
清閑な森に、女の凜とした声が木霊する。
彼女は一糸纏わぬ丸裸のまま、草木の中に立っていた。
露出の気がある訳ではない。ましてや気が触れている訳でもない。
むしろ所属する騎士団の中でも、もっとも道徳に厳しく、己への戒律が強いと評判の女だ。
彼女……ジゼルは今、シルフの亜種族であるクリリアとの交渉に臨んでいた。
クリリアは未知の者への警戒心が強い。
特に服を着た人間の前には、武器を隠しているとの恐れから姿すら現さない。
屈強な男も威圧感を与えるために好まれない。
ゆえに、完全な無抵抗を約束する真裸の、清らかな乙女こそが交渉役として適任だった。
とはいえ、万一交渉が決裂して敵対関係になった時、戦闘技術がなくては危険が大きすぎる。
これらの要因を踏まえ、女騎士であるジゼルに白羽の矢が立った。
「クリリアの長よ!」
ジゼルは再度呼びかける。
これは国防そのものに深く関わる、国王直々の任だ。成果無しには帰れない。

二度目の呼びかけから数分が経過した頃だろうか。
ジゼルの側方にある草葉が揺れた。覗き込めば、そこには小さな生き物がいる。
羽の生えた姿は極小の蝶にも見えるが、体型は人間の赤子に酷似していた。
まさに、噂に聞く妖精の類だ。
 (……乙女よ)
ジゼルは脳裏に直接響く声を感じ、顔を上げる。
周囲に人の姿はない。ただ小さな妖精が、目の前にいるだけだ。
 (人間の乙女よ。私たちは、お前を頭から疑いはしない。しかし、容易く信じる事もない。
  お前がどのような存在なのか、まずは見極めさせてほしい)
脳裏の声がそう告げると同時に、複数の草葉が揺れた。
そして先のものと同じ、小さな妖精が現れてジゼルの周囲を舞い始める。
「解った、クリリア達よ。どうか私を理解してほしい。我々とあなた方が、共存できることを願う」
ジゼルは穏やかな口調でそう告げ、掲げた指先に妖精の一匹を止まらせた。



それから、ジゼルとクリリア達の交流が始まった。
とはいえ大半は、ジゼルが幼いクリリアの子供たちと戯れて一日が終わる。
クリリア達はジゼルの身体の様々な所に止まり、くすぐったり抓りを加えてじゃれていた。
敵意がある訳ではなさそうだが、子供だけあって巨大な相手を悶えさせる事が嬉しいらしい。
そうして弱点を様々に探し回ったすえ、ついに子供達は、人間の女性の決定的な弱点を発見する。
「あ、ああっ、よせっ!敏感になっているんだ。も、もうそこには、触るなっ…………!!」
ジゼルが地に膝をつき、腰を震わせて叫んだ。
よく注意してみれば、彼女の秘部……亀裂より少し上に息づく蕾へ、3匹のクリリアが取り付いているのが解る。
彼らはその小さな身体でジゼルのクリトリスにしがみつき、身体を上下させて刺激しつづけているのだった。
 (やいジゼル、またここが硬く張ってきてるぞ。おまえ、これが気持ちいいんだろ)
  (そろそろ“イッて”いいんだぞ、巨体女ー!)
頭の中に幼いクリリア達の声が響く。
その声に言われずとも、性感帯の塊であるクリトリスに取り付かれてはたまったものではない。
小さな小さな手足が蠢くたびに表皮が擦られ、叩いたり蹴ったりの動作は、まるで極小の針を差し込まれるようだ。
それは奇跡的に心地いいマッサージと同じであり、数分も続けられれば、ジゼルとて直立を保てない。
「うう、くぅっ……い、いくっ!!」
ジゼルはその宣言とともに果て、腰を抜かしたようにへたり込む。
ジゼルの下にいたクリリア達が一旦散り散りになり、また舞い戻ってクリリアの足に群がり始めた。

 (まだまだ、休ませないぞ)
標的がへたり込んでからも、クリトリスに取り付いたクリリア達は動きを止めない。
むしろ感度が上がってぴくぴくと痙攣する肉芽をいい玩具として、さらに丹精を込めて嬲っていく。
「あっ、あはぁっ!イッたあとはよせと、いつも言っているだろうっ……!!」
ジゼルはその責めに感じ入りながらも、その身体を微動だにさせずにいた。
足元には無数のクリリアがおり、下手に身じろぎをするとその中の数匹を押し潰す恐れがある。
それゆえ、彼女は唇を噛みしめて耐えていた。
逃げることができないために、快感が神経を直撃し続ける。否応なく昂ぶらされてしまう。
「い、いくぅっ!いくいくいくっ、いくぅうう゛っ!!」
ジゼルはここ数日いつもそうであるように、断続的な絶頂に呻き声を上げた。
幼いクリリア達はキャハキャハと喜び、なおいっそう巨大な獲物を身悶えさせようとする。
 (やいジゼル、おまえ俺たちの子分になれよ。なったら堪忍してやる)
  (そうだそうだ、子分になれ!ジゼルが子分だと嬉しいぞ!)
クリリアの子供達が口々に訴えると、ジゼルは涙を流し、涎さえ零した顔で頷いた。
「わ、解った……おまえたちの子分になろう。だから少し、手を休めてくれ。こう立て続けでは、息が、できない……」

やがて子供達にたっぷりとクリトリスを責め抜かれ、ジゼルは眠るように意識を手放す。
クリリアの長達が、それを静かに見守っていた。
 (……よい人間じゃの)
  (ああ。種族を問わぬ慈愛に満ち、懐も深く、なにより子供達に好かれておる。
   あの人間を擁する国ならば、我らの力、貸し与えるに値しよう)
気難しいことで知られるクリリアは、難題を設けるまでもなくジゼルへの助力を決めた。
和睦の証として人間の国に同行させる者も、希望者があまりに多く、易々と決めかねたほどだ。
結局は最後まで譲らなかった悪戯好きの三匹がその座を勝ち取る事となる。

だがその決定こそが、後日ジゼルに赤恥をかかせる元となるのだった。




 
「なるほど、よくぞ成し遂げた。して、そのクリリアの使いというものを早速見せてくれるか」
ヘイグリッツ国王ギュシュアは、ジゼルの報告に喜色を露わにした。
王のみならず、周りの臣下たちも伝承に聞く精霊との契約に信じがたいといった表情だ。
「は、直ちに!」
兜を抱えて恭しく頭を下げるジゼルは、その姿勢のまま自らの胸元へと囁きを続けた。
「……おいお前達、いつまでそんな所にいるつもりだ。我が王がお呼びなのだ、姿を現してくれ」
ジゼルが囁く先は、なおクリトリスに張り付いたままの妖精達だ。
彼らは、恒常的な刺激で程よくせり立ったそこがよほど気に入ったのか、片時も離れる気配がない。
一匹などは、陰核を覆っていた包皮をまるでフードのように用い、心地良さそうに寝入っている。
 (なんだジゼル。おまえ、子分の癖に偉そうだぞ!)
  (そうだそうだ、子分が俺達に命令していいと思ってるのか、ジゼル!)
まだ反抗期真っ盛りのクリリア達はそう反論し、手馴れたやり口でジゼルの弱点を責め始めた。
「はぅっ!?」
瞬間、傍目にも明らかにジゼルの様子が変わる。
「……ジゼル殿?」
文官が異変を察して声をかけるが、ジゼルの変化は止まらない。
「う、うぁっ……うああ、あ……ひぅっ、うあ、あへへっ…………ぉあっ!」
普段の彼女からはおよそ想像もつかない浮ついた声を上げ、鎧を纏った腰をひくつかせるジゼル。
「なっ……い、一体どうしたの言うのだ、ジゼル!」
ギュシュアも玉座から腰を浮かせて狼狽を見せた。
その最中、ジゼルは天を仰いで高らかな喘ぎをもらす。
「ああぁっ……や、やめろ、ぉっ……!!くっ、クリトぃスを、そんっ……グリグリされて……
 …………こんな、たぁ、たっ、耐え……られ……なひぃっっ…………!!!」
その卑猥な発言に、場の者達は一様に顔を見合わせた。
「く、クリトリス、って言ってたよな、今……?」
「ま、まさか。あのジゼル殿に限って、王の御前でそのような……」
「しかし確かに聴こえたぞ」
「もしや、何かの呪いをかけられたのでは?」
一堂の視線は、妖しく腰を蠢かせながら顔を赤らめるジゼルに集まっていた。
往時であれば、そのような痴態を真っ先に叱咤していたであろう女騎士に。



「……あらジゼル様、御機嫌よう」
対面から近づくジゼルに向けて、宮女が頭を下げる。
「うむ」
ジゼルはそのまま距離をつめ、そして交錯する瞬間、宮女に耳打ちされる。
「ねぇ、ジゼルさま。あの愛らしい妖精さん、今晩もお貸し頂けないかしら?」
その言葉に、ぎょっとしたように目を剥くジゼル。

ヘイグリッツ国とクリリアの協定は、異種族のやや過激な愛情表現があったとはいえ、無事に締結される運びとなった。
しかしながら、クリリアの子供達の悪戯はなお留まる所を知らない。
最近ではジゼルのみならず、夜の知らぬ間に城内の他の女性のクリトリスを狙い、悶えさせて遊んでいるらしい。
無論憤慨する女性もいるが、中にはこの宮女のごとく、小さな妖精の悪戯を心待ちにする者もいるようだ。
ジゼルはその妖精たちの宿主と思われているようで、事あるごとにこうして伺いを立てられている次第である。
「あ……ああ、そうだな。また私からも頼んでみるとしよう」
ジゼルは苦笑しながらそう答えた。

時に他の女性への浮気があるとはいえ、もっとも入念に責められているのは変わらずジゼルだ。
今ではクリリアからの陰核調教もすっかり彼女の日常と化し、濡れた下着を替える回数は日に10度を超えるという。
「はぁ、あ……あぁっ………………!!」
長い廊下を渡り終えたタイミングで、しなだれかかるように壁に手を付き、艶かしい吐息を吐くジゼル。
そうした光景は、もはやヘイグリッツ城の密かな名物となっているのだった。


                        終わり
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