大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2014年05月

とろけるお口

※風俗イラマチオ&フェラチオ物。


持つべきものは友だ。
泰典に教わらなければ、俺は一生その風俗店を知らずにいただろう。
ネットで普通に検索しても見つからない。
何しろその店のホームページは、一見地味なエステサロン風なのだから。
しかし、会員だけに通知されるパスワードでログインすれば、一転して禁忌の園に様変わりする。
店舗型の高級ヘルス倶楽部。
一番の特徴は、他の店なら即座に出禁を喰らうようなハードプレイ……たとえばイラマチオなどが行える事らしい。
それでいて嬢のレベルは決して低くない。
高級店特有の、写りを計算しつくした煌びやかな写真が並んでいる。
目元のモザイク越しにも、間違いなく美人と確信できる嬢が何人もいた。
それだけに目移りしてしまう。
大体、風俗嬢の写真は加工ありきと考えるのが常識だ。
写真で期待できる嬢ほど、実物が外れだった時の落胆は大きい。

【本日出勤】の写真をしばらく眺め回した末に、俺はある賭けに出た。
一覧の左端……一つだけ写真がない嬢がいる。
クリックして詳細を開くと、そこにはこんな説明文があった。
『文句無しの抜群ルックス! 新鮮一番、思わず咥えさせたくなっちゃいます!!』
ルックスがいい……本当かは解らない。
しかし他の嬢が顔出ししている中で、一人だけ写真がない事が妙に気になった。
風俗で働いている事を知られたくない、育ちのいい娘なのかも。
あるいはこれも罠で、とんでもなく残念なルックスの娘なのかも。
期待と不安が心の中で入り混じり、それでも俺は期待の方に賭けた。
迷った時には最初の勘を頼りに進む……それが俺の信条だ。

ホームページに記載された番号に電話を掛け、指名する。
写真のない唯一の嬢……『愛璃』を。
『えっ、愛璃ちゃん…………ですか!? どこでそれを?』
電話番の店員は、まず驚きの声を上げた。
俺がホームページで見た事を伝えると、受話器から店員の気配が遠ざかる。
『…………おいおい、なんでもう愛璃ちゃんの写真載ってるわけ?
 お客さんが見たって言ってんだけど。マズいよー、誰だよ更新したの』
別の従業員に呼びかける声が遠く聴こえる。慌てるあまり保留にし損ねたという様子だ。
その瞬間、俺は確信した。この愛璃という嬢は、やはり特別なのだと。
「愛璃ちゃんで、お願いします!」
俺が語気を強めて告げると、通話状態である事に気付いたのだろう、店員の息を呑む声がする。
その後はしばし、困惑したような唸りが聴こえていた。
「是非!」
俺はさらに押す。ここが交渉時だ、プレミア嬢を何としても指名するのだ。
すると数秒の沈黙の後、ついに小さな溜め息が聴こえてくる。
「…………わっ……かりました、愛璃ちゃんですね。
 ただ言っときますけど、あんまりサービスの方は期待しちゃ駄目っスよ。
 一応研修はしたんですけど、正直まだ接客向きの態度じゃなくって……。
 指名料はオマケしときますんで、そこんとこ大目に見てやってください」
まるで腕白娘を紹介する親のように、店員は声を潜めてそう告げた。





店に着いたのは、予約時間である16:00より30分も前だった。
当然、時間までは1階隅の待合室で待機するのだが、その道すがら……俺は聞いた。
「おごぉお゛ええ゛…………ッえ゛ぉ、おお、っご…………!!」
凄まじい、えづき声。
普通のフェラチオではまず出ない、AVの中でしか聞いたことの無い声。
それが間違いなく、個室から漏れている。
俺は思わず足を止めた。
しばらくえづき声が繰り返された後、飲み物に噎せたような鼻水の音が3度。
そして、げほっ、ぇほっという激しい咳き込みが続く。
「ホラ、何やってんの。駄目だろ離しちゃ」
いかにも変態親父という感じの声が、咳の音に混じった。
咥えた物を離した事について叱っているのだろう。
もはや疑う余地は無い。
この薄いドア一枚隔てた向こうでは、俺が夢にまで見た、生のイラマチオが行われているんだ。
俺は、早くも逸物が硬く勃ち上がるのを感じた。待ち時間の一秒一秒がもどかしかった。

そして…………ついに夢の時間が来る。
螺旋階段を上がって2階へ。左手突き当たり、フリルだらけのカーテンを越えれば楽園がある筈だ。
ところが。
 ――――しまった!
部屋へ一歩足を踏み入れた瞬間、俺は反射的にそう感じていた。
嬢……“愛璃”がブサイクだった訳じゃない。というより、容姿を確認する間さえなかった。
『間違って、女子校生の部室に入ってしまったような錯覚』
俺の全身を支配していたのは、まさにそれだ。冷や汗が背中を伝う。
しかし、一呼吸置いて俺は落ち着きを取り戻した。
よくよく室内を見れば、ありふれたヘルスの個室だ。
オレンジ色の光に彩られ、ダブルサイズのベッドが圧倒的な存在感を誇る小部屋。
女子校生の部室とは似ても似つかない。
ただ、ベッドに腰掛ける愛璃に視線を戻した時、俺は錯覚の理由を理解した。
そこにいたのは、疑う余地も無い完璧な『女子校生』だったからだ。



愛璃はブレザー型の制服を身に着けていた。
ヘルス倶楽部で、制服がコスチュームとして取り入れられている例は珍しくない。
ただ、愛璃のそれはコスプレという風ではなかった。
駅で立っている本物の女子校生を見て、制服のコスプレだとは思わないように、
彼女の制服姿はあまりにも違和感がなさすぎた。
使用感というのか、妙に着慣れている感じがする。
顔立ちもどこかあどけなさを残しており、いよいよ本物の女子校生らしい。
近年は、風俗店が『本物の未成年』を雇って騒ぎになるケースがあるが、もしやこれも……と疑うほどに。
「何?」
あまりにも顔を凝視しすぎていたのか、愛璃は憮然とした様子で告げた。
この態度もまた、先ほどの錯覚の要因だろう。
この愛璃という嬢、常に妙なプレッシャーというか、パリッとした雰囲気を放っているのだ。
それはまさに、高校の部活動で感じられる類のものだった。

俺は嫌がられるのを承知で、改めて顔を注視する。
初めて意識的に見るその顔は、正直、予想を遥かに超えるものだった。
アイドル級。甘い評価でなく、はっきりとそう言える。
コンビニで週刊誌の表紙を飾っていれば、思わず手に取ってしまう。
背中まである黒髪は艶やかで、頭頂部付近の光の輪が印象的だ。
ただ、万人向けとは言い難いルックスだった。
表情が厳しいからだ。
明らかに、こちらの事を警戒あるいは軽蔑している。
眉根は寄り、吊り目気味な瞳はくっきりと開いたままこちらを見据え、口元にも緩みというものがない。
実際、目力は相当なものだ。気の弱い人間なら、2秒間視線を合わせることすら困難だろう。
ただし、俺のような変態にとっては大好物だ。これほどルックスのいい少女に睨まれていると、それだけで興奮できる。

俺はゆっくりと愛璃の方に歩み寄り、ベッドに腰掛けた。
そして愛璃の肩に手をかけてキスを迫る。
しかし、愛璃はにべもなく顔を背けてしまう。その先に回りこんで再度キスを申し入れても、同じこと。
あくまでキスを拒否するつもりらしい。
念の為言うと、ホームページには『即尺、即キス大歓迎!』とあったのだ。
どうやら接客態度がなっていないのは本当らしい。
とはいえ、俺の興奮は些かも冷めない。むしろその冷たい態度が、いよいよ俺の嗜虐心を尖らせていくようだ。



しばしキスを拒絶された後、俺は仕方なく愛璃をベッドに押し倒す。
そして、一枚ずつ彼女の制服を脱がしにかかった。
当然というべきか、愛璃はその時にも抵抗の意思を見せる。
「俺は客だぜ」
そのたび、俺はそう囁いた。すると、愛璃の抵抗が一旦収まる。
さすがにヘルスで働く以上、裸になることを仕方ないとは思っているようだ。
とはいえ、最後のシャツを脱がす瞬間や、パンツのゴムに手を掛けた瞬間にはまた抵抗を見せる。
結局、服を脱がしきるまでに、俺は10回以上も『俺は客だ』と繰り返すハメになった。
その苦労の甲斐あって、とうとう愛璃の肢体が露わになる。
本物の現役女子校生ではという疑念は、俺の中でさらに大きくなった。
身体が本当に瑞々しい。
普段俺が指名するヘルス嬢とは、まるっきり肌ツヤが違う。
オレンジの光の中でも解る、淡い桜色だ。腹部の肌を見ているだけで勃起の感覚が来る。
体型は、腰のくびれも魅惑的なスレンダー型。
けれども乳房のボリュームだけはかなりあり、男である俺の手でも掴むのがやっとのサイズだ。
D、いやEカップか。俺は脳内でそう当たりをつける。

「いい身体してるね。何かスポーツとかやってるの?」
俺は軽く愛璃の身体に触れながら尋ねた。
「まぁ」
愛璃は素っ気無く答える。
「何やってるの?」
「日拳」
2度目に返ってきた答えで、俺は正直少しだけ引いた。
日拳……略さず言うと日本拳法。
直突き(ストレート)の強烈さで知られる、実戦派格闘技だ。
防具をつけて練習するので顔や体に傷がつかず、女性向きといえば女性向きなのかもしれない。
俺は一瞬愛璃の身体から手を離しかけたが、ここで退いては男が廃る。
「へぇ、凄いね」
俺は平静を装いつつ、いよいよ愛璃の肉体を弄り始める。
愛璃の視線が露骨に鋭くなっても、男の意地で怯えは見せない。



見た目通り、愛璃の肌触りは最高だった。やはり本物の女子高生では……3度そう思うほどに。
ボディラインはいかにも女の子で、一見格闘技をしているようには見えない。
ただ、腕を軽く掴むとやはり違和感があった。
力瘤のできる部分の逆側……二の腕の下部がやや発達しているようだ。
太腿にも一般的な女性より若干の厚みがあり、弾力もあり、下半身の力はかなり強いものと思えた。
これらが、日拳をやっている人間の特徴なのだろうか。そう思いつつ触ると、下心を抜きにしても興味深い。
「触り方がキモいよ」
下心抜きに、と思った矢先、愛璃が言った。
氷のような視線、氷のような口調。たまらない。
俺はいよいよ嬉しくなり、愛璃の背後に移る。そして長い黒髪に鼻を埋めながら、乳房に手を回す。
「ちょっ……と」
愛璃は不機嫌そうな声を発しながら、やおら俺の手首を掴んだ。
格闘技をやっているだけあって、相当に力が強い。
俺もかなり力を込めているはずなのに、簡単にぐいと外された。最も、そういうコツがあるのかもしれないが。
「俺は客なんだぜ」
仕方なく、俺は魔法の言葉を囁きかける。
すると、俺の手首を掴む愛璃の手が強張った。そして数秒の躊躇の後、ゆっくりと指が開いていく。
俺は遠慮なく幸せを堪能にかかった。

一時的とはいえ、すっかり大人しくなった愛璃の髪を背後から嗅ぎ、乳房を揉みしだく。
きめ細かい黒髪の内側からは、とてもとても良いシャンプーの匂いがした。
俺は全く知らない類のシャンプーだ。女の子は一体どこで、こういうシャンプーを見つけるんだろう。
乳房もまた極上だ。若干の硬ささえ感じられる、張りたっぷりの乳房。
俺はその芯の残った乳房を揉み解すように、無遠慮に乳房を揉み続ける。
上下左右に大きく揺さぶり、乳首を指先でこねくり回し。
遠くにある風呂場の姿見にも、ボリューミーな乳房の乱れようがはっきりと映っている。
「どう、気持ちいい?」
俺が尋ねると、姿見の中で真一文字に引き結ばれていた愛璃の唇が開く。
「うざい」
紡がれたのは、たったのその一言。
あくまで一呼吸の範囲内でしか会話をしないつもりなのか。
その生意気さは…………俺にとって最高だ。
俺はいよいよ興奮し、愛璃の片腕を高く上げさせる。そして晒された脇の下を、これ見よがしに嗅いだ。
「…………っ!」
露骨に眉を顰めて嫌そうにする愛璃。その顔が、たまらない。
もっと嫌がられたいという、倒錯的な気持ちが沸き起こってしまう。



しばしのスキンシップの後、シックスナインの体勢に入ってからも、愛璃の態度は相変わらずだった。
俺が下になり、愛璃の秘裂を舐める。熱心に。
上になった愛璃は、勃起した俺の逸物をしゃぶる。いかにも気乗りしない様子で。
フェラチオというレベルにすら満たない、緩慢かつ無気力なしゃぶりだ。
上から密着してくる愛璃の肉や、左右非対称とはいえ充分に綺麗な秘裂の味は素晴らしい。
しかし、肝心な嬢の奉仕が杜撰では生殺しというものだ。

俺は無気力な嬢に罰を与えることにした。
この店では様々なSM道具が、無料オプションだけでも色々と用意されている。
その中の一つ……鼻フックを取り上げて愛璃に見せ付ける。
「どう使うか、解るよね」
俺が言うと、愛璃は予想通り表情を険しくする。
険しいが、それでも充分に愛嬌のある顔。それを今から、醜く壊すのだ。
フェチな人間として、これに興奮しない訳がない。
「ンあ゛っ……!!」
勢い良く鼻フックで吊り上げると、愛璃は短く呻いた。
鼻腔は見事な逆三角に変形し、鼻頭は醜く皺を寄せて潰れ、数秒前までの美貌が跡形もない。
なんて罪深いんだろう。俺は胸の中にゾクゾクと沸き起こるその考えに酔いしれた。

ブタ鼻を虐めるのは、想像以上に愉しい。
これでもかというほど執拗に鼻腔の内外を嘗め回し、俺の唾液まみれにする。
指で鼻を浅く穿り回し、その後綿棒やこよりを使って、気が済むまで鼻腔の深くを弄くり回す。
愛璃は凄まじい目力で睨んできていた。
さすが格闘技をやっているだけあって、割とマジで怖い。
ただその瞳も、鼻腔を弄くり回すうちに細まり、痙攣し、耐え難い苦しさに歪む。
かひょっ、ぁひょっと情けない声を何度も喉の奥から絞り出し、やがて目頭から大粒の涙を零す瞬間は最高だった。
軽く10分以上は苛め抜いただろうか。
最後の方には、愛璃の鼻はよく拡がったまま病気のように痙攣するようになっていた。
その頃には鼻水の量もそれは凄まじく、本来は整っている愛璃の鼻から下をグズグズに汚していた。
俺はその無残な姿を堪能しつつ、さらに道具を追加する。
ホワイトヘッド開口器。口を大きく上下に開いたまま固定できる、医療用の道具だ。
口を開きやすい代わりに外れやすくもあり、固定するためには頭後ろに回すゴム紐が必須でもある。
さすがにその辺りは良く考慮してあり、ここのオプション用開口具もゴム付きだ。

口を大開きにさせたまま、俺はしばし愛璃の舌を弄んだ。
愛璃の舌は、他の誰でもがそうであるように生暖かく、程よい弾力を持ちながらも柔らかい。
指で扱くと、身を捩るように指の間で踊り狂う。
口を閉じられないため唾液は垂れ流しになり、俺の手の平から零れては滴っていく。
俺は時々舌を離し、手首を返しながらしとどな唾液を舐め取った。
無味無臭のはずの唾液が、目の前の美少女のものだと思って舐めると媚薬のように感じられる。
それを飲み下した瞬間、俺は自分の中の熱さを堪えきれなくなる。
気付いた時には、痛いほどに勃起した逸物を、開いた愛璃の口内に押し込んでいた。
小さく腰の辺りが圧迫されている。
事態を把握した愛璃の抵抗だろうが、俺の腰を止めるには至らない。
俺は愛璃の艶やかな黒髪に指を絡ませ、深く逸物を咥え込ませた。



シックスナインの時とは比べ物にならないほど、逸物が深く入り込んでいるのが解る。
口を目一杯開いていてもなお、口内の生暖かさが伝わってくるのが新鮮だった。
はっ、はぁっ、という吐息も正面から亀頭をくすぐる。
その中で、俺は逸物の抜き差しを繰り返した。
なるべく奥まで突くようにしつつ、どこまで入るのか試すように抜き、挿す。
8回目の試みあたりから、逸物の先に喉の奥まりの感触がしっかりと伝わるようになってくる。
「んがカっ、えぁ゛…っハァ、ハァ、ハァッ………ぁえあ゛っっ…………はっ、ハァッ…………!!」
犬のように荒い呼吸に混じり、愛璃のえづき声が漏れていた。
涎も垂れ流しになっている。口を閉じられないので、止める術がないらしい。
鼻も豚のようで、実に惨めな有様だった。
強気な娘だ、内心では相当な屈辱を感じている事だろう。
実際、最初の頃は例の鋭い眼光で睨み上げてきていた。
ただそれも疲れるのか、数分した頃には目を細め、視線を斜め下に投げ出すようになってしまう。
苦しさからか、屈辱からか、その細まった目尻からは時おり涙の雫が伝い落ちる。
俺はそれらすべてをたっぷりと愉しんだ。

その後に、俺は愛璃の開口具と鼻フックを取り除いた。
愛璃の可愛らしい頬には、くっきりと開口具の痕が残っている。鼻も真っ赤だ。
「ぷっ、ぷっ、ぺっ!!!」
すぐに愛璃は、口内のものを吐き出しはじめる。
俺の先走りの汁でも吐こうというのだろうか。
俺はそんな愛璃を視界の端に捉えつつ、三つ目の道具を手に取った。
開口マスク。
先ほどの開口具とは違い、完全なSM用の道具だ。
鼻から下を覆う黒いラバーマスクに、一箇所だけ円筒状のリングが嵌め込まれている。
そこへ逸物を差込み、強制的に咥え込ませるという仕組みだ。
「ほら、咥えろよ」
俺はマスクを裏返した状態で愛璃に近づけ、リングを口元に押し付けた。
「やあっ……!」
愛璃は拒絶の言葉を口にしようとしたが、まさにその口の形が、リングを嵌め込むのに最適だ。
俺はすばやくリングを口内に押し込み、マスクを装着させる。
「うっ、うう゛う゛っ…………!!」
愛璃の非難は、すぐにくぐもった響きに変わった。
前の開口具より、声を遮る効果が高いらしい。
俺はまた新しい興奮を覚えながら、黒マスクの穴へと逸物を潜り込ませていく。



今度の抽迭は実にスムーズだった。
さっきは口を大きく開かせていた分、挿入する角度を工夫しなければならなかった。
ところが今回は、ただリングの中に突っ込むだけだ。何の迷いもない。
口内自体も、さっきより締まりが良い。
逸物の先が喉の突き当たりに届くと、漏れなく口粘膜が肉幹に纏いついてきて堪らない。
全く喉を突かなくても、狭まった口内の生暖かい呼吸が、はぁはぁはぁはぁと逸物に吹きかかる。
それはごくごく弱いフェラチオのようなもので、くすぐったい快感があった。
射精には至らないにせよ、萎えない程度のクールダウンにはもってこいだ。
そして、何より。
「んごぉおお゛ぇええ゛っ、おうえ゛っ…………!! んごっ、お、あお゛おぉっ、お゛、お゛っっ…………!!」
このえづき声だ。
一切遠慮の必要がなくなった俺は、愛璃の頭を両手で抱え込み、自分の腰に押し付けている。
もう喉奥を突くなんて事は当たり前。喉奥の窄まりを突破し、さらにその奥の空間に亀頭を滑り込ませる事もある。
凄まじいえづき声は、だいたいそこから亀頭を抜く瞬間に上がった。

そして興奮する要素は、触覚、聴覚のほかにもう一つ。視覚もある。
開口具と鼻フックの時は、意図的に愛璃の相好を崩していたが、今度は素の顔が見える。
目を固く瞑って、額にいっぱい汗をかいて咥えこむ愛璃の顔は、もう反則的としかいえないほどに可愛らしい。
いつの間にか、俺の足を押しやろうとする抵抗もすっかり弱まっていた。
時々反射的にそういう動きをするものの、大抵は俺の膝上を小さい手で掴んでいるだけだ。
イラマチオを受けている最中は暴れるなと、店から指導を受けているのかもしれない。
あるいはあまりの辛さに、呆然としているのかもしれない。
いずれにせよ好都合。
俺は幾度も幾度もリングの中で逸物を前後させ、時には引き抜いてもみた。
リングから、まず唾液で濡れ光る逸物が現れ、それを追うようにして真っ白な唾液が零れ落ちる。
愛璃自身は虚ろな瞳を開いたまま、俯きがちに喘ぐ。前髪や額から汗が次々と噴きだし、滴る。
その色っぽさを堪能すれば、また咥え込ませる。
それを繰り返した。その果てに、俺の射精感は刻一刻と高まっていく。
ここ数年来なかったほどの、膨大な射精の予感がする。
長く楽しみたい思いは、ついに射精欲求に負けた。
俺はいよいよ激しくストロークを繰り返しながら、喉の深くでぬるい空間へと精をぶちまける。
予想通り、凄まじいまでの射精だ。逸物の内部が幾度も幾度も脈打ち、精を吐き出していく。

たっぷり10秒は射精した後に、俺は逸物を引き抜いた。
愛璃自身の唾液でべとつくリングを通り抜け、冷ややかな外気の元へ。
「うぇ、えっ…………」
その直後、俺の放った大量の精液が愛璃の口から吐き出される。
可愛い顔から精液が吐き出される様子は、本当にいやらしい。
喉奥まで咥え込まされたのが、よほど苦しかったのだろう。
愛璃は薄っすらと涙を浮かべ、熱に浮かされたような瞳で前方を眺めていた。
「大丈夫か?」
さすがに心配になった俺は、マスクを外しながら愛璃に呼びかけた。
けれども反応はない。最初の頃の、ピリッとした雰囲気が跡形もない。
やりすぎただろうか。そうも思ったが、店で許可されている範囲で愉しんだまでだ。
俺はそう割り切り、せめて時間一杯愉しませて貰おうと、今度は道具なしで逸物を咥え込ませる。
脱力した愛璃を人形のように使い、頭を掴んで前後させる。
舌も動かない。拒絶もない。
けれどもその空しい一人遊びは、それから数分もしないうちに、180度変わることになる。



最初に感じたのは、逸物が握りこまれるような感触だった。
ぎゅうと締まるような感覚。
「うわっ!?」
何事かと驚いている間にも、状況は進行していく。
逸物に舌が絡みつき、口内粘膜が纏わりつき、尋常でない吸引がなされる。
じゅくっ、じゅぶっという水音が部屋に響き始める。
「あ、うわぁあああっ!!?」
俺は思わず叫んでいた。快感があまりに大きい。
先ほどまでのイラマチオも、人生初の劇的な体験だった。
ところが今のこのフェラチオは、その記憶をさらに上書きするほどに凄まじい。
『腰が抜ける』という感覚を、俺は生涯初めて、身を以って体験していた。
とても立っていられない。
縋るようにベッドに座り込み、膝立ちでなお逸物に吸い付いてくる愛璃の玩具と化す。
「ん、んふっ…………ん、んふぅん…………」
愛璃は小鼻から愛らしい息を漏らしながら、ただフェラチオに没頭していた。
とろんとした目の様子こそマスクを外した時と変わらないが、それ以外の全てが一変している。
「あああああああぁああっ!!!!!!」
俺はまた叫んだ。快感が強すぎて、叫ぶ以外の行動が取れない。
格闘技の熟練者に殴られ続ける間は、ただ叫ぶしかないように。
そうだ……これは、暴力での一方的な蹂躙と同じだ。
「ヤ、やぇっ…………ちょっ、ほんと、に…………!!」
俺は自分でも情けないと思える声を出していた。
大量射精したばかりの、鈍痛さえ覚える逸物から、問答無用に搾り取られる苦痛。
それは声を裏返すに充分だった。

何分もっただろう。いや、何十秒堪えられていただろう。
俺はもう堪らず、一度出したにも関わらずかなりの量を射精していた。
射精の最中に声は出せなかった。歯を真一文字に食い縛り、バーベルを上げるような気迫で射精していた。
さらに、それでもなお愛璃は止まらない。
射精した尿道の中身を、異様な吸引力で吸い上げ始める。
射精に次ぐ射精、その直後の尿道責め。これには、俺の内腿がビクンビクンと痙攣を始めてしまった。
「おい、おい!! やめろよっ、休めよ…………!!」
俺は叫んだ。愛璃は何かに憑かれたように、一心不乱に精液を吸い上げている。
やばい、やばいやばい。
俺が脳裏にその言葉を繰り返し始めた頃、唐突に吸引は止まった。
「………………あれ………………?」
気の抜けるような愛璃の声が発せられる。
その後、彼女は自分の精液まみれの手の平を見やり、目の前の逸物を眺めて……
やってしまった、と言わんばかりに、大仰な溜め息を吐いた。



「いっやぁ、あれは気持ちよかった。最高だ!!」
俺は愛璃に賞賛の言葉を送る。
本心の一部でもあったし、そう言えば愛璃が困ると解ってもいるからだ。
「うるっさいなぁ、もう…………。
 あくまで、仕事だからやったんだからね。最後の最後にさぁ」
愛璃は、鋭い目つきで俺を睨み上げながら告げる。
纏う雰囲気は最初と同じ。
けれどもなぜか今は、まるで違って思えるのが不思議だ。
「あ、でもノリノリでやってたとか誤解招きそうなこと、店員にとか、ホムペの掲示板で言わないでよ?
 もし言ったら、次から絶対NG客にするから!」
憤慨した様子でまくし立てる愛璃の頭を、俺は優しく撫でた。そういう気分だった。
「じゃあ、言わなきゃまた会ってくれるんだよな?」
からかうように俺が言うと、愛璃は唇を真一文字に引き結ぶ。
しかしその膨れ面からは、ついに否定の言葉が出てこないのだった。


                        終
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愛玩人形

※女同士のいじめ物。ディルドーイラマ嘔吐あり。


控え室でカレンダーを捲りながら、竹林奈々は溜め息をついた。
4ヵ月。
風俗業界に足を踏み入れてから、もう4ヵ月だ。
「奈々もすっかりベテランだよね、ここの」
ソファに並び座る同僚が笑った。
「だよね」
奈々も自嘲気味に笑い返す。

女性向けデリバリーヘルス、『花蜜蝶』。
奈々がここで働き始めた原因は、恋人である篤志の借金だ。
電話越しに聞いた悲痛な声を、奈々は今でも忘れられない。
「に、二千万……だ」
借金額について、篤志は力なくそう答えた。
青年実業家としての成功を夢見た結果だ。
才覚はある男で、奈々は友人達からこぞって『良い玉の輿に乗った』と持て囃されたものだった。
その彼でも、時代の荒波を読み切ることは出来なかったらしい。
「別れてくれ、奈々。お前を巻き込みたくない」
電話口の篤志は、いよいよ弱りきった声で告げる。
それを聞いた瞬間……奈々は、憤った。
「はぁ、別れる!? あんた、何言ってんの? そんな借金してて、食事とかどうすんのよ。
 自炊だって碌に出来ない癖に、まさか、毎日カップラーメンなんて食生活送るつもりじゃないよね?
 私の心配なんかしてる場合じゃないでしょ。自分の心配しなさいよ、自分の!」
「え、え、でも、その……」
篤志にとっては、予想外だったのだろう。随分と狼狽した声色が返ってくる。
それを耳にしながら、奈々はさらに続けた。
「借金は、私がどうにかする。二千万ってお金を、きっと稼いでみせる。
 だから篤志は、心配せずに再起に向けて準備を整えてなよ。
 30までに成功してやるって言ってたでしょ。昔からの夢なんでしょ?」
有無を言わせぬ勢いでそれだけを告げ、電話を切る。

奈々の中には意地が芽生えていた。
周りから『玉の輿』と言われ続け、その噂はどこかで篤志本人の耳にも入っていただろう。
もしも借金を理由に別れる事になれば、まさしくその噂を肯定することになる。
金を目当てに男に擦りより、金が無くなれば捨てるような薄情な女だと。
それが奈々には我慢ならない。
また、体面を抜きにしても、借金で途方に暮れる篤志を一人残す事など出来なかった。
惚れた弱みだ。恋人の乗る船が沈没するのなら、自分も最後まで同伴する。
自分がされて安心する事なら、それを相手にも。それが奈々の恋愛観だ。

以来、奈々は風俗嬢へと身を転じた。
稼ぎのいい風俗とて、二千万という金額を稼ぐのは並大抵の事ではない。
加えて、奈々は自らに一つの制約を課していた。
『篤志以外の男に抱かれないこと』だ。
これにより、もっとも稼ぎの良いソープは選択肢から消える。
キャバクラの類も、手早く稼ぐにはあまりに不向きだ。
そうして彷徨った末に辿り着いたのが、女性向けのデリバリーヘルス『花蜜蝶』だった。
顧客は女性のみなので、男に抱かれる心配はない。
またニッチなジャンルであるため、低価格競争が起きず、月間の稼ぎは高級ソープに迫る。
まさしく奈々に打ってつけの仕事だ。

しかし、その仕事内容は予想に反して過酷だった。
男に抱かれないのだから楽だ、と考えて『花蜜蝶』に登録する少女は多い。
そしてそうした少女の実に7割が、一ヶ月と続かず店を後にするという。
奈々もまた、勤務一週間でその理由を理解した。
女性用デリバリーヘルス。
その利用客の中には、むろん純粋なレズビアンもいるが、それ以上に『若く美しい女を虐めたい』だけの客も数多い。
嫁を虐める姑のようなものだろうか。
平均年齢40を超える利用客達は、嬢に対して実に陰湿な責めを繰り返す。

勤務三回目で、奈々は3時間コースの利用客に当たり、時間一杯浣腸を施された。
牛乳やグリセリン、酢やトマトジュースなど様々な浣腸をされ、実に32回に渡って、同性の前で排便を晒すはめになったのだ。
勤務七回目の客などは、4時間コースだった。
還暦を過ぎたこの老婆は、やはり時間一杯奈々を嬲り者にした。
筆を用いて陰核に怪しい軟膏を塗りこめ続け、錐状に痛々しく屹立してもなお責め続けた。
挙句には肛門にさえ指をねじ込み、軟膏を塗りこめた。
この軟膏は耐え難い痒みを伴った。プレイ終了後しばらくしても、痒みは消えない。
結局奈々は、家に着いてから翌日の出勤をキャンセルした。
そしてその夜から翌朝にかけ、自らの指であさましく陰核を潰し、肛門をかき回すこととなった。
気の狂いそうな痒みに幾度も泣き叫び、朝になって病院へ駆け込む。
そこで処方された薬によってようやく痒みは収まったが、肉体の開発は致命的なまでに進んでしまったらしい。
この次の仕事より、奈々はその濡れやすさを様々な客に指摘されるようになったのだから。


「あ、お疲れー!」
同僚のその声で、奈々はふと追憶から引き戻される。
顔を上げれば、そこには今仕事を終えて戻ってきたばかりの嬢がいる。
不機嫌そうに押し黙ったまま、ソファに座ろうとする。
しかし中腰のまま一旦動きを止め、近くにあったタオルを数枚ソファに敷いてから腰を下ろす。
まるで臀部を庇うかのように。
「あれ……智恵、まさかお尻やられたの!?」
勘付いた嬢の一人が尋ねる。智恵という少女は仏頂面のまま頷いた。
「つーかあのババア、マジありえないし。おしりに大根みたいなバイブ突っ込んでくるんだよ。
 『痛いんでやめて下さい』ってめっちゃ言ってるのにさ、若いんだから大丈夫、とか言って全然やめないの。
 んで、さっき医者に見てもらったんだけど、ちょっと切れてるんだって。もうマジ最悪……」
頭を抱える少女。
それを囲む同業の少女たちは、怯えと同情をない交ぜにした表情を浮かべている。
皆が同じ客相手に痛い目を見ているからだ。
原岡というその女性は店の得意客であり、なおかつ相当なセレブリティでもあるらしい。
そうした理由から、原岡がいくら横暴をしようと、店側は注意すらしない。
初めから使い捨てにするつもりなのか、状況が改善されないならと辞めていく嬢を引き留めもしない。
今や『花蜜蝶』に残っている古株は、その理不尽を知ってなお、他に行き場のない事情持ちばかりだ。
奈々が自嘲気味に笑った理由は、ここにある。

「……さてと、私もそろそろ行かなきゃ」
奈々は腕時計を一瞥してから柔らかく立ち上がり、スカートの後ろを軽く払う。
その所作一つとっても、周りの娘と違っていた。昨日今日入ったばかりに思われるほど、風俗臭に染まっていない娘だ。
それだけに、客から手酷く嬲られる事も多いのだが。
「頑張んなよ。ナナ」
古株仲間の励ましを受け、奈々は小さく頷きながら扉の向こうに消える。
「…………いいよねぇ奈々さん、今日は若い女の客っしょ。ババアじゃないんだ」
肛門を痛めた嬢が、ふと扉に向かって呟いた。
「でも、あの子だって楽じゃないんだよ」
古株の嬢がその言葉を諌める。
「そりゃ、若くても同じ女に嬲られるのがハズいってのは解りますけどぉ、でも」
「そういう事じゃないって!」
なおも続ける後輩に、古株の嬢はぴしゃりと告げた。
その語気に、一瞬部屋を沈黙が支配する。
少し後、ひとつの咳払いを挟んで古株嬢は口を開く。
「楽じゃないんだってば。これ、本当は秘密にしといてくれって言われてんだけどさ。
 今日、奈々を買った客ってのは…………あの娘の、高校時代のクラスメイトなんだよ」





数時間後、奈々はマンションの一室にいた。
足の踏み場もないほど散らかった部屋だ。独り身の女性にはありがちだが、趣向が妙だ。
全体として、部屋の内装がピンクで統一されすぎている。
フローリングの床とガラステーブル以外は、壁紙もタンスも椅子もカーテンも、眩暈がするほどピンク一色だ。
壁際のハンガーには、現実には有り得ない色合いのコスチューム衣装が並んでいる。
極めつけは部屋主自身の格好だ。ゴシックロリータというのだろうか、呆れるほどにフリルの付いた黒いドレスを纏っている。
その異様な世界の中、奈々は丸裸に剥かれて床に座り込んでいた。
後ろ手に黒い皮手錠で拘束され、口にも開口マスクが嵌まって強制的に口を開かされている。
そしてその口には、やはりピンク色をしたディルドウが送り込まれていた。
ディルドウを操るのは、ゴスロリ姿の女……麻美だ。
格好こそ派手だが、顔立ちや体型は野暮ったい。

「ごぉおお゛おええ゛っ、んも゛おおぉおお゛お゛え゛っ!! え゛お゛っ、お゛っ……っご、ォ…………ごヶっ。
 いおゃお゛ッ…………おぉお゛おぉ゛おお゛え゛っ、んお、おぅっお゛、おぉぉ゛お゛お゛ぇえ゛え゛っ………………!!!」

凄まじいとしか言いようのないえづき声が繰り返される。
若い女の声とは到底思えず、人の声なのかすら定かではない。
ただ、跪いた女の口にディルドウが送り込まれるという状況から、えづき声だと判別できるだけだ。
奈々の黒髪は後ろでポニーテールに纏められていた。
彼女は高校時代、動きやすさからその髪型にしている事がほとんどだった。
麻美はその由来ある後ろ髪を左手で鷲掴みにし、奈々の顎を上げさせながら右手でディルドウを前後させる。
喉奥を責める間、一言も口を利かない。
えづきながら悶え苦しむ奈々を観察しつつ、順手で緩々とディルドウを送り込み、または逆手に持ち替えて深く咥え込ませる。
その容赦のないイラマチオは、相当な時間に渡って続けられているのだろう。
奈々の口からは、明らかに唾液ではない、生々しい粘性を持つえづき汁が溢れていた。
それは奈々の胸元を異様なほど濡れ光らせ、膝元から床にかけて液だまりを作る。
挙句にはディルドウを伝って、麻美の手の平にまで絡み付いていた。
しかし、麻美がそれを気にする素振りはない。
何かに取り憑かれたかのように、延々と、淡々と、奈々の喉奥を抉りこむ。
時には横から、時には正面から、奈々の表情を観察しながら。

やがて、麻美はディルドウの持ち方を改めた。
それまで側面を順手逆手に持って操っていたものを、とうとう鷲掴み……ディルドウの尻部分を手の平で覆うようにする。
その状態で喉へと突き込めば、その挿入の深さはそれまでの比ではない。
手が邪魔をしていた持ち手の一部までを、易々と咥え込ませることができるのだから。
「お゛おぉお゛お゛ぅううお゛…………っ!!!!」
当然ながら、奈々は堪ったものではない。首元から顎にかけてが痙攣しはじめ、目が見開かれる。
黒目がちな瞳は、赦しを乞うように真美を見つめたが、麻美はやはり淡々と喉奥を抉るばかりだ。
「ん、ごぉっ………………!!」
その果てに、当然のごとく奈々は嘔吐する。
マスクの開口具部分から薄黄色の吐瀉物があふれ出し、フローリングに湿った音を立てる。
マスクの下からも一部の吐瀉物があふれ、顎から滴っていく。
「あ、吐いちゃったんだ。」
麻美はその惨めな様子を観察しながら呟いた。
非難か、問いかけか、それともただ事実を述べただけなのか。それすら判別できない、ボソボソとした声だ。
実に奇妙な娘だった。その奇妙さは、ディルドウを引き抜き、開口マスクを外して奈々を再度観察する所からも窺える。
「はっ、はぁっ、はあっ、ぜ、ぜひゅっ……はぁっ、はっ、はっ…………」
眉根を下げて早いペースで喘ぐ奈々は、静かに観察する麻美を不気味そうに見上げた。
男ならばまだ解るが、女が同じ女の喘ぐ顔を見て何が面白いのだろうか。


 
麻美は、高校2年から3年にかけて、奈々と同じクラスにいた生徒だ。
いわゆる『根暗なオタク女』であり、友人といる所を見かけた者はいない。
常に教室の机に一人座っており、休み時間は机に突っ伏して時間を過ごしているのが常だった。
虐められていた訳ではない。
奈々を中心とするグループが、虐めなど見かけようものなら即座に担任に報告するからだ。
何しろ奈々は、苗字の竹林(たけばやし)の読みを変え、密告を意味する『チクリ』とかけて『チクリン』と陰口を叩かれていたほどだ。
そんな奈々がいるため、彼女のクラスだけは虐めもなく和やかだ。
にも関わらず、麻美は常に独りでいた。
そんな麻美を見かね、奈々はグループ分けなどがあるたび、麻美を自分の所へ誘った。
しかし麻美はそれすら跳ね除け、どこか軽蔑でもするような視線を寄越すばかりだ。
教室で談笑している最中にも、奈々は麻美の黒い視線を感じる事があった。
振り返ると素早く視線を逸らすのだが、直前まで奈々の背中を見ていた事は間違いない。
常にグループの中心にいる奈々を羨むように、あるいは疎むように。
それは結局、卒業式を終えて校門を去る瞬間まで続いていた。

野中麻美。
さほど珍しい名前でもないため、初めて麻美の名が顧客リストに現れた時も、奈々は彼女だと気付けなかった。
実際にマンションに呼びつけられて初めて、それがあの黒い視線の主だと判明する。
しかし、麻美は特に何を言うでもなかった。
ただ粛々と、奈々を相手に丸2時間のレズビアンプレイを行う。
濃厚なキスを交わしながら、互いの秘裂を刺激しあい、足を絡ませながらの貝合わせを繰り返す。
麻美は何も言わなかったが、ただ常に、真正面から奈々の顔を覗き込んでいた。
かつての級友との見つめあい。奈々がそれを恥じて顔を逸らしても、その度に顎を掴んで表面を向き直させた。
その行為はやがて、奈々を異様なほどの興奮に引き摺り込む。
濃厚なキスで軽く1回、口づけを交わしながらの秘裂への指入れで浅く2回深く4回、貝合わせで2回。
実に9回に及ぶ絶頂を経験させられ、2時間の制限時間が経過した頃には、ピンク色のベッドの上で腰を小さく跳ねさせるほどになっていた。
麻美はやはりその奈々の様子を無表情に観察しながら、最後に小さく囁いたのだ。
「また指名してあげる」
奈々はその真意が全く測れないまま、ただサービス嬢として感謝の意を述べる。

それ以来、麻美は週に一度のペースで奈々を買っている。
けして安くはないはずだが、よくも資金が続くものだ。奈々はそう訝しむが、支払いが滞ったことはない。
そしていざ部屋へ招き入れれば、責めは日に日に過激さを増していく。
まるで、奈々の壊れゆくさまを見ようとでもいうかのごとく。
奈々は不安に駆られた。麻美の元へ行きたくないと思ったことも一度や二度ではない。
しかし、店の規定として客の拒否は認められない上に、顔見知りであるという恐ろしさもある。
もしも麻美を拒絶して逆鱗に触れたならば、きっと恐ろしいことになる。奈々は、漠然とそう感じていた。



最近になって、麻美は奈々に高校の頃の事を聞くようになった。

「……じゃぁ、次…………2年の10月頃かな。クラスでさ、オオムラ、オオムラって皆が口揃えて言ってたでしょ。
 あれ、何なの。私さ……友達いなかったから聞けなくて、でも気にはなってたんだよね。
 いっつも友達と一緒にいたあんたなら、知ってるんでしょ…………教えて」
麻美は、奈々の陰核にマッサージ器を押し当てながら話しかける。
注意して聞かなければ、独り言と思えるような抑揚のない喋りだ。
「あ……あっ、あっあ、あっ…………!!」
奈々は激しく喘いでいた。
ピンク色のベッドに横たわったまま、片足首を掴まれて開脚させられ、陰核と秘裂にマッサージ器を宛がわれているのだ。
すっきりと絶頂できるのであればまだいい。
しかし、行われているのは延々と続く生殺しだった。
マッサージ器を当て続け、達しそうになれば離す。それを、もう40分以上にも渡って延々と繰り返している。
ベッドに敷かれた寝小便用マットは、すでに限界近くまで変色している。
また奈々自身も、足首を掴まれていない方の脚の付け根が、おかしな痙攣を起こし始めている事に気付いていた。
間違いなく、女にとっての限界……その一つの嶺に迫っている。
その中でも、麻美は容赦なく質問を投げかけてくるのだ。
「あ、あっ…………に、に年の、じゅ、じゅうがつ、頃はぁっ…………、『朱花の巨室』がやってたからぁ…………」
「何それ。聞いたことない」
「ええっ…………!? し、視聴率、最高で31%の、あの日曜ドラマよ。社会現象だったでしょう」
「いや、知らないし。アニメならともかく、日本のドラマとか見ないから。で、それとオオムラがどう関係するの」
「ん、んく、ぅっ……ふぅっ…………!! そ、そのドラマの主演が、おっ、大村康治だったのよ!!」
「いや、それも全く聞いたことないし。周知の事実みたいに言うのやめてくんない?」
麻美は若干の苛立ちを含ませて呟き、マッサージ器の強さを上げる。
「くぁああおぉおおっ!! ああっ、あうあああうあははあっっ!!!!」
瞬間、奈々の反応が激しくなる。麻美の掴む足首も暴れだし、麻美の手の平との間の汗をにちゃにちゃと鳴らした。
その反応を無表情に観察する麻美は、一旦マッサージ器を秘裂から放し、出力をかなり下げて会陰部に押し当てる。
「ん、ふぅっんんんんっ…………!!!」
一度絶頂の淵の淵にまで押し上げられた奈々は、一転してのもどかしい刺激に腰をうねらせる。
眉根を寄せて下唇を噛む表情は、同性から見ても可愛いと言われるものだろう。
しかし、麻美の表情に変化はない。
「…………じゃあ、次ね。3年の春休み明け。これは、ハッキリ覚えてるんだよ。私が机に突っ伏してるとさ…………」
麻美は淡々と高校時代の記憶を語り始める。

それは、単に思い出話に花を咲かせるためのものではないと、奈々は気付き始めていた。
あくまでも、自分とお前はクラスメイトなのだ。お前はクラスメイトに辱められているのだ。
そう自覚させ、この上なく惨めな気分に陥ること。それこそが目的なのだろう。
事実として奈々は、快感の弱まるふとした瞬間に、舌を噛んで死にたいほどの恥辱を覚えるのだった。


 
「あ、Skypeきた。ちょっと出る」
麻美は、奈々の両足首を椅子に縛り付けながらそう告げた。
手首は椅子の背に回す形で後ろに拘束してある。
その上で秘裂にバイブレーターを挿入し、ゴムショーツを穿かせれば、奈々は責めから逃れられなくなる。
「えっ!? ちょっ、Skypeって…………!!」
奈々は状況を把握して抗議しようとするが、それすらボールギャグを噛まされて封じられてしまう。
「えあっ! うーっ、うううっ、うえあ、あ、あえぇっ!!!」
穴の空いた球に遮られ、非難の声は情けない呻きに変わった。
麻美はその様子を一瞥してパソコンに向かい、ビデオチャットを起動する。
画面の向こうに数人の男が映った。いずれもオタクそのものという容姿の三人組だ。
その男達は、はじめ死んだ魚のような瞳で気だるげな挨拶をした。
しかし麻美の後方に奈々の姿を認めると、一変して目をギラつかせ始める。
「うおっ!? あ、あれは一体!?」
「……ん、あー気にしないで。ただのペット。私専用肉便器だから」
「ひぇえー、に、肉便器! 肉便器所有でありますか!!」
興奮気味な叫びを耳にし、奈々の背筋に寒気が走った。
ニクベンキという言葉の意味が解らないが、良からぬ事であるのは空気で窺える。
「ううっ、うううっ!! うううんんんううっっ!!!」
奈々は必死に身を捩った。
あの男たちには、全てが見えてしまっている。
丸出しの乳房を初めとする全身が。
椅子の足に両足首を繋がれ、大開脚した股座が。
秘裂のバイブレーターを押さえ込むため、歪な形に張ったゴムショーツが。
金を払っている顧客の麻美にならば、この姿を晒すことも仕方ない。しかしそれ以外の男に晒すのは約束が違う。
もしも、もしも、あの男達がこの映像を流出させでもしたら。そしてその映像が、篤志の目に触れでもしたら。

奈々はそれを危惧する余り、激しく全身を捩り続ける。
しかしその行為により、秘裂の中を激しくバイブレーターで擦る結果となる。
「っっっ!!!!!」
その瞬間、凄まじい快感が奈々の脊髄を駆け上った。
もともと焦らしに焦らしを重ねられていたところだ。そこへ来ての膣内への刺激は、甘すぎる刺激だ。
さらに、刺激はそれだけではない。
麻美は、奈々には全くわからない話題をビデオチャットで交わしながら、時おり指でボタンを押し込む。
それがバイブレーターの遠隔スイッチである事はすぐに解った。
麻美の指がボタンを押すたび、バイブレーターが唸りを上げる。強さは何段階もあるようだ。
この快感は……生殺しを続けらたものにはまさしく“狂おしい”。
「もごぉおおお゛お゛お゛っっ!!!!!」
この時ばかりは、奈々は口に咥えるボールギャグに感謝した。ギャグがなければ、もっと遥かにあさましい声を上げる確信があった。
麻美のビデオチャットの相手は、気もそぞろな様子だ。
一応会話を成立させてはいるらしいが、意識はほぼ奈々の方を向いていた。
普段女との接点がないせいか、その視線は鳥肌が立つほど怪しい。
「……おいおい、あの子、アソコがもうドロドロだよ」
「ああ、ち、乳首も、あれ……勃ってるんだよな。無修正のでも、あんな乳首の形じゃなかったぞ」
「ひょっとして、すげぇ可愛いんじゃね?」
「絶対ノーチェンジだってあれ。顔面偏差65くらい」
そうした会話が密やかに交わされ、全てが奈々の耳に入ってくる。
その状況がまた、奈々自身にも理解しがたいほどに身を昂ぶらせた。
見ないで、見ないで。そう心で叫びながら身を捩るうち、無意識に膣の奥を締め付けてしまう。
それが3度繰り返され、そしてその3度目でちょうどバイブレーターが強い振動を見せた時。

 ( …………いく!! )

奈々は、頭の中で絶叫する自身の声を聞いた。
下腹の力が抜け、温い痺れが血管を包み、意思とは無関係に腰が跳ねるのを感じた。
ぎしっぎしっと椅子の軋む音が、とても遠かった。


 


「お願いやめてぇっ!! もぉ、やめっ……やっ、やすませてえええ゛え゛っ!!!」

悲鳴そのものの嬌声が、部屋に響き渡る。
麻美はその声を意にも介さず、淡々と極太のディルドウを奈々の秘裂にねじ込んでいた。
椅子に拘束されたままの姿勢だ。
たっぷり20分間のビデオチャットを愉しんだ麻美は、いよいよ仕上げとばかりに奈々を責め立てていた。
焦らしに焦らし、出来上がった状態の奈々を極太で責め立てる。
これで悲鳴の上がらぬ訳はない。

「ねぇ、私経験ないから解らないんだけどさ。すっごい簡単に、奥まで届くようになったよね。
 これが、『子宮が下りてきてる』って状態なのかなぁ。
 ってことは、こうやってゴリゴリしてるのって、あんたの子宮の入り口叩いてるってこと?
 ポルチオっていうんだっけ。ここ、女の身体で最大の性感帯なんでしょ、昂ぶってくると。
 エロアニメなんかだと、白目剥いて痙攣するとこだよね。ホントにそれってありそう?
 私、あのクラスだと竹林さんが一番二次元栄えするかなって思ってたんだけど。
 なんか、周りと比べても浮いてたんだよね。一人だけ、いつどこから見てもシャンとしすぎっていうか」

麻美は奈々の狂乱振りを無視し、ただ淡々と責め立てる。
まるで処刑を命じられた係官のように。

「ねぇ、ねぇって。さっきの答えてよ。ポルチオってどう?
 クリトリスは性器に刺激が来て、Gスポットは下半身全体が痺れて、ポルチオは全身に凄い電流が来るんだって。
 でもちょっと、そこまでとは信じられないんだけど。今のそれって、演技とかじゃないの? 本当?
 おーーい、聞いてる?」

麻美の呑気な小声は、恐らく奈々に届いてはいない。
麻美が問いかけても届かず、それに怒りを覚えて激しく責め立て、叫びが増してますます声が届かない。
その悪循環に陥りつつあった。
哀れなのは奈々だ。
蕩けきった子宮口を、容赦なく抉りこまれる。その度に快感の束が血管を走り、脊髄を焦がす。
頭の中はとうに白く染まっている。
常に失神寸前の状態にあり、眼球を上側に置いておくのはとても楽な状態だった。
しかし意識を手放せば、そのまま脳が快感に焼ききれる恐れがある。
そのため、飛びそうな意識を辛うじて掴まえておかねばならない。まるで荒れた海の中、船体の欠片にしがみつくように。

 (……篤志…………篤志、どこ……? 近くに来て、すぐに手を握って!
  私、こわい。いつか遠くないうちに、もう戻って来れない所まで流されそうだよ…………!)

現実感の欠如した麻美に、情けなど望むべくもなかった。
幾度も幾度も、潮吹きが起きている。
全身の痙攣が、もはやどこに力を入れても止まらない。

「あ、ああああ…………あああぁっ、んはぁああ……!!
 くぁああああっ、あお…………ああ…………あおああおあ゛あ゛っっ!!!!」

奈々の視界に、ちらりと棚が映った。そこに並ぶのは、無数の美少女フィギュア。
命のない、見目麗しいだけの人形。

奈々は着実に、それへと近づきつつあった。



                           終わり
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後ろに咲く華

※ アナル物&時代物、排便スカトロ注意。


『淡春楼』の伊代といえば、花街でも名の知れた遊女だ。
没落したとはいえ、武家の娘として生まれ、教養は申し分ない。
謡もすれば踊りもし、書や花に通じ、碁も打てる。
器量も抜きん出ていた。
淡雪のような白磁の肌に、艶やかな黒髪、控えめながら整った目鼻立ち。
まさに令嬢かくあるべしという慎ましい美しさを有している。
しかし儚さはない。幼い頃よりの武芸の修練で、肉体がほどよく引き締まっている為だ。
さらに瞳は底抜けに澄み切り、強い眼力を有していた。
生半な男であれば、彼女にひと睨みされただけで謝罪の言葉を口にしてしまうほどに。

ただし……これだけであれば、花街ではそう目立たない。
玉石混交の遊女の中には、教養に秀でた者も、見目の優れた者も、覚悟を秘めた眼を持つ者も大勢いる。
その中にあって伊代を際立たせる最大の要因は、彼女の気の強さだ。
気に入らぬ相手はぴしゃりと断り、礼を失する男には、たとえ豪商であろうと平手打ちを食らわせる。
優れた美貌から客は絶えないが、実際に臥所を共にした男というものは聞こえてこない。
その太夫のごとき気位の高さは、客の間で良かれ悪しかれ評判を呼び、同じ遊女の間でさえ噂の種となった。
当然、遊郭内での伊代の人気は高く、彼女を買うには何晩か待つのが普通だ。
もっとも、それとて金を持つ人間に限られる。
伊代は浪人や下男といった賎民が買える相手ではない。
それら一般庶民は、身なりのいい“旦那衆”が伊代と茶屋に消えるのを悔しげに眺めながら、
未だ見ぬその肉体と脳内でまぐわうばかりだ。
女衒である平七もまた、そうした野次馬の一人だった。

ある朝までは。



その日、平七は一人の娘を連れ歩いていた。
山あいの村で買った娘を、最底辺の河岸見世へと売り払うために。
女衒の仕事は、稼げるものとそうでないものがはっきり分かれる。
今回は後者といえた。娘は痩せ衰えて色気も何もなく、その上口が利けない。
河岸見世に売り払ったとて大した銭になるとも思えなかった。
となれば自然、平七の虫の居所も悪い。
「おら、とっとと歩け」
擦り切れた足の痛みに、少女は幾度も立ち止まる。
平七はその度に苛立ちを露わにして少女の袖を引いた。
ちょうどその時、遠くから鈴の音が聞こえてくる。
顔を上げれば、そこには巷で噂の伊代がいた。禿や新造を引き連れ、優雅に歩みを進めている。

「ちっ……売り飛ばすのがああいう女なら、旨い汁が吸えるのによ」
平七はいつもの如く、嘗め回すような視線で伊代を眺める。
伊代自身も、その視線には気付いているのだろう。
平七の近くを通る瞬間、凛とした眼力の強い視線で彼を睨む。
しかし伊代は、その次の瞬間に顔色を変えた。
「あん?」
訝しむ平七は、伊代の視線が傍らの少女を見据えている事に気付く。
「おたつ…………?」
伊代はかすかに唇を動かして少女の名を呟いた。
そしてすぐに我に返ると、横に立つ新造にその場で待つよう指示を出す。
「お、おいおい……!」
平七は声に喜色を孕ませていた。
あの伊代が、自ら間近に寄って来る。それだけで彼にとっては夢のようだ。
そして同時に彼は、現状をおぼろげながらに理解していた。
何故かは知らないが、伊代はこのみすぼらしい農民の娘を知っているらしい。
顔色を変えたところからして、ただの顔見知りというだけでもなさそうだ。
これは交渉の材料になる。
平七はほくそ笑んだ。彼の頭は、欲望を潤滑油に、良く回るようになっていた。

平七の考えは正しかった。
伊代は、平七が連れている少女をよく知っている。
出会いは、弟の鷹狩りに同行した時だ。
山あいを馬で駆けていた所を雨に降られ、庇を借りたのがたつの家だった。
六人の子を抱えて細々と暮らす農家。
長い滞在ではなかったが、姉御肌の伊代は、すぐにその子供達との仲を深めた。
特に、末っ子であり口の利けないたつには特別優しくした。
以来、伊代は暇があれば農家へ寄って様々な遊びを教え、文字を教えた。
たつは伊代によく懐き、伊代もまた、たつの事を妹のように可愛がった。
その後、家の没落を経て遊女に身をやつしてからも、その頃の記憶は甘く伊代の心に残っている。

「その子を、どうするの?」
伊代は平七に問うた。愚問とは知りつつも。
「へっ、お前ぇも花街の遊女なら解んだろう。女衒が女連れて何するかなぞ、決まってらぁ。
 今からこの貧相な餓鬼を、『轍屋』に引き渡そうってのよ」
その言葉に、伊代の表情が引き攣る。
轍屋……それは、数ある河岸見世の中でも底の底と言われる妓楼だ。
長屋式の窮屈な空間に、亡者のような遊女がひしめいている。
病気持ちで普通には稼げない彼女達は、近くを通る客へ襲い掛かるようにして客引きする。
時には飢えのあまり、遊女同士が互いの血肉を喰らい合っているという噂さえあった。
無論、平七もそれを知った上で話している。
実のところ、彼はたつを河岸見世のどこへ売ろうが構わなかった。
だがあえて悪評絶えない『轍屋』と限定することで、伊代の動揺を誘おうという寸法だ。
そして、その効果は確かだった。

「まだ小さな子じゃない、見逃してあげて。お金なら、私が払うわ」
伊代は凛とした視線で平七に告げる。しかし、声色が焦りを隠しきれていない。
平七は確信した。たつという娘は、やはり伊代にとって特別なのだ。
「金か。しかしな、金で解決できる事でもねぇのよ」
優位な立場を確信した平七は、ここであえて首を振る。
「すでに『轍屋』の主人にゃあ、新しいのを連れてくと話を通しちまってるからよ。
 ここで駄目ですって事になりゃあ、女衒としての信頼に関わっちまう。
 俺達はぐれ者にとっちゃ、信用って奴は何より重いのよ」
つれない態度の平七に、伊代はなおも食い下がる。
「……勿論、それ相応の礼はするわ」
若干の逡巡を伴って発されたその言葉こそ、平七の狙いだ。
「ほう、礼を」
彼はいよいよ無遠慮に、伊代の美貌を眺め回す。
「そうまで言うんなら、その気持ちを汲んでやろう。
 俺を上客として、毎晩タダで迎えてくれるってんなら、その揚代の一部をこの娘の代金から引いてやってもいいぜ。
 当然、“上客”である以上は、俺の好きにさせてもらうがな」
明らかに伊代の身体狙いである事が、舐めるような視線から解る。
おそらく、伊代がどれだけの金を積むと申し出ても、受け入れる事はないだろう。
本来、伊代を買えるような立場にはない愚劣な男。
いつ湯浴みをしたのか定かでない体からは、噎せるような体臭が匂っている。
口臭も耐え難い。不衛生にたるんだ肉体の内部から、毒素が漏れ出しているかのようだ。
「っ…………!!」
伊代は拳を握りこみ、唇を噛んだ。
彼女の内にある女の生理が、総力で彼を拒んでいた。
平七は、その伊代の様子を内心愉しみながら顔を顰める。
「なんだ、その面ァ。嫌なら別にいいんだぜ、初めから無ぇ筈の取引だ。
 お嬢様がお望みで無いなら、コイツを予定通り『轍屋』にぶち込むまでよ。
 ……よぉ、おめぇも可哀想だよな。
 変に希望見せて覚悟揺らされんのが、こういう時にゃ一番応えるってのによォ」
そう言って平七は、傍らのたつの髪を掴んだ。
「っ!」
これまでに数々の恐怖を覚えてきたであろう少女は、その動きに痩せ細った身を震えさせる。
怯えを幼い瞳に広げたまま。
その光景を見せられては、もはや伊代に拒む術などありはしない。
「待って!」
今一度、強く手を握り締めた後、それを弛緩させてから伊代は告げる。
「………………わ、わかったわ」

平七の顔が醜く歪んだ。





「なぁに、あの男は……みすぼらしい」
「お伊代の客だよ。何でも、お伊代が自分で金を払うんだってさ」
「にしたって、見世の品位に関わるよ。よし江さんは何ていってるんだい」
「それが、あの遣り手の婆さんさ。伊代が良いといってる以上は問題ないとさ」
「はぁー……相変わらず、伊代にゃ冷たいもんだねぇ」
「とりあえず、奴さんが通った跡に、塩でも撒いといた方がいいんじゃないかい」

伊代と平七が通り過ぎた階段で、『淡春楼』の遊女達は口々に囁き合う。
登楼する他の男とは明らかに違う粗野な見目、噎せるような体臭。
それは当然、遊女達に歓迎されるものではない。
しかし、それを伊代が……平素であれば、誰より先にそうした男を摘み出すであろう彼女が招いたのだ。
遊女達にしてみれば、それがどうにも奇妙でならない。

その伊代は今、平七の為すがままになっていた。
遊女達が噂しあうちょうど真上……障子に囲まれた角部屋。
布団の上で仰向けになった伊代の上に、平七が覆い被さっている。
鼻息荒く口づけを求め。
乱雑に着物を肌蹴させた上で、乳房を乱雑に揉みしだき。
「へへへ。『淡春楼』のお伊代を、こうやって好きにできるなんてよぉ……夢みたいだぜ。
 どうだ。濃い接吻を続けて、お前も気分が出てきただろう」
平七は一旦口づけをやめ、上ずった声で告げる。
そうして数秒ほど伊代の顔を覗き込み、再び唇を求め始めた。
粘ついた舌が口内を嘗め回し、舌に絡みつく。
口臭と体臭が、かつて伊代の経験した事もないほどに鼻孔を痺れさせる。

平七は、明らかに女遊びに慣れていない。
女衒と一口に言っても様々だ。
女に不自由しない者もいれば、稼ぎが悪く、毛深い飯盛り女をたまに買うのが精一杯な者もいる。
平七は明らかに後者と思われた。
しかし、伊代はそんな無作法な平七に何ら抵抗をみせない。
両腕を上方に投げ出し、天井を見つめたまま汚辱の口づけを甘受する。
「へへへ、やぁらけぇ乳してやがら」
指の痕がつくほど乳房を揉みしだかれても、声さえ出さない。
ただ人形のように耐えていた。
全てはたつを守るためだ。
幼い頃から苦労を重ねたうえ、生活苦か口減らしか、こんな苦界に落とされた幼子。
その子が、最悪の妓楼である『轍屋』へ売られるなど、あってはならない。
自分が、何としても自分が守らねば。伊代はそう決意していた。
しかし平七からすれば、その伊代の覚悟すら面白可笑しいらしい。

終始品性の欠片もない笑みを浮かべ、平七は伊代の体中を嘗め回していく。
晒された両腋、二の腕、鎖骨に乳房、腹部に臍……そしてとうとう、薄い茂みの下へ。
伊代の体中へ自らの証を刻むがごとく、丹念に舌が這い回る。
伊代からすれば、総身に鳥肌が立つというものだ。
声こそ出さないが、身体の至る所が拒絶反応で強張るのが解った。
「くふふふっ、甘露、甘露…………」
肉のあわいを舌でほじくり返しながら、平七の声が囁く。
早く時が過ぎろ。伊代はそう願うばかりだ。
秘裂を舐めしゃぶった後は、そこに男の物を挿入されるのだろう。
そして一度欲望を吐き出しさえすれば、男はもう女体に興味を失うものだ。
ならば、そうするといい。

「どうだ、恥ずかしいか。なぁお伊代」
平七はそう言いながら、襞のひとつまで愛でるように伊代の秘裂を舐め続ける。
しかし……その舌先は、あるとき不意に秘裂を外れた。
会陰部を通り抜け、その下方に息づく小さな蕾へと至る。
「っ!!」
瞬間、伊代は無意識に腰をずらした。
平七にとっては予想外の反応だったのか、不思議そうに顔を上げる。
「初めて反応したな」
喜色を含んだその声に、伊代は睨みで返す。
「何を考えてるの。女を知らないといっても限度があるでしょう、そこは不浄の穴よ」
伊代が強い語気でそう告げた瞬間。平七は、何かに気付く素振りを見せた。
そして伊代の尻肉を両側から鷲掴みにし、再び舌先で肛門を嘗め回す。
「や、やめて! やめなさいっ!!」
伊代はなおも拒絶の意を示すが、平七は笑みを深めるばかりだ。
「なるほど、ここが『淡春楼』のお伊代の弱みって訳だ。
 よし、決めたぜ。今日から、この穴をひらいてやる。
 尻の穴が二つ目の女陰になるまで、徹底的に開発してやる。
 一生、俺っつう男を忘れられねぇようにな」
「なっ…………!」
伊代は言葉を失った。平七の言葉を再度脳内で反復し、惑う。
不浄の穴を、本気で性的な行為に用いるというのか。
「しょ、正気なの…………!?」
「ああ、正気も正気さ。衆道を嗜む連中にとっちゃ、尻の穴を使うのは普通よ。
 それに、そもそもお前に選択の権利はねぇ。約束通り、好きにさせてもらうぜ」
平七の発言に、伊代はその凜とした瞳を見開く。
しかし、男の言う通り。伊代は逆らえる立場にはない。
たつの為と思い、どのような恥辱を受けようとも耐え忍ぶしかなかった。



しばし後。
伊代は着物を全て脱ぎ去り、真裸のまま敷布団の上に座していた。
強い力を秘めた瞳は、前方の光景を静かに見据えている。
そこには平七の姿があった。
湯浴みに用いる木桶の中にぬるま湯を注ぎ、その中に瓶入りの液体を溶かし込んでいく。
そして湯を節ばった手でかき混ぜた後、持参した頭陀袋から見慣れぬ物体を取り出す。
向こう側が透けて見えるほど透明な、先細りの筒。
平七はその筒を見せ付けるように持ちながら、伊代の視線を受け止めた。
「気になるか。これはな、蘭方の医者先生に頂いたもんよ。
 こいつを使って尻に薬湯を入れると、腹ン中がすぐに綺麗になるんだと。
 浣腸器、っつったかな。
 女衒をやってると、こういった妙な道具もたまに回ってくるのよ。
 いつかお前みたいな上等な女にぶち込みたいと思って、手入れしてたんだぜ」
いよいよ下卑た笑みを浮かべつつ、平七は正面に向き直る。
そして浣腸器の先を木桶の湯の中に浸し、一度空気を追い出してから、勢い良く吸い上げる。
伊代は目を見張った。あのような簡素なつくりのからくりが、易々と水を吸うとは。
しかし、そのように悠長な事を考える時間もすぐになくなる。
薬液を満たした浣腸器を手に、平七が一歩また一歩と近づいてくるからだ。

「始めるぞ。こっちに尻を突き出せ」
恥辱の命令。しかし、伊代に逆らう術はない。
「…………っ………………!!!」
伊代は唇を噛みしめながら後ろを向き、這う格好を取る。
そして両膝を伸ばし、男に向けて尻の穴を自ら晒す。
「おぅお、絶景だ。さすが育ちがいいだけあって、可愛い尻穴してるじゃねぇか」
平七は嘲るように告げながら、人差し指を舐めた。
そしてその指を伊代の尻穴に宛がう。
未だ出すことしか経験のない伊代の菊の花は、ぴちりと閉じたまま用意には開かない。
しかしそこを、平七の指の力が無理矢理に押し込んだ。
僅かな唾液の潤滑を頼りに、菊の輪を突き崩す。
「っう!!」
伊代は声を漏らした。指一本とはいえ、異物感が並ではない。
「どうしたどうした、尻の穴で感じてやがるのか?」
平七は相手の反応を愉しむように、穴の入り口で指を上下に蠢かし、さらに数度伊代の身体を硬直させる。
そして、いよいよ浣腸器を両手に構えた。
「いくぜ」
短い声に続き、冷ややかさが伊代の肛門を押し開く。
その感覚に震える間もなく、ぬるま湯がなだれ込んできた。
生れ落ちて以来、初めて経験する直腸への逆流。
伊代はこの瞬間になって改めて、自らが足を踏み入れようとしている領域の異質さを実感した。
「くっ、うぅ……うっ…………」
伊代の唇から無意識に声が漏れる。
ところが薬液の注入は、この一度では終わらない。
平七は幾度にも渡り、薬液を吸い上げては注入し、吸い上げては注入する。
木桶半杯あまり……ほっそりとした伊代の腰周りが、かすかなまろみを帯びるまで。




「……どうした? そんなんじゃ、いつまでも終わらねぇぞ」
平七の声が室内に響く。
そして、その声を掻き消すようにして、ぬめった水音が繰り返されていた。
伊代が平七の逸物を、喉奥深く咥え込む音だ。
「んんっ、んおっ……おぼっ!! んんごぉっ…………おぉんうう゛おっ…………」
怒張脇から漏れる声は苦悶に満ちている。
彼女は地獄を味わっていた。
隆起した平七の逸物は、長さもさることながら、なにより造りが異形だ。
カリ首は森の茸さながらに広く笠を張り、血管を浮き立たせた陰茎部は、下方が異様に膨れ上がっている。
口を目一杯に開いたところで、その凹凸に富んだ怒張を咥え込むことは容易ではない。
さらに、平七の求める口戯は一風変わっていた。
手を使うことを許さず、気分を盛り上げるためといって後ろ手に縄を打った状態で奉仕させてくる。
本来の情交ではなく、あくまで自らの欲望を一方的に解消させるための行為だ。
当然、配慮などあろうはずもない。
「どうだ、俺の逸物は。ぶっとくて咥え応えがある上に、匂いがきついぶん味わい深いだろう。
 これから先、お前が尻穴で咥え込む愛棒よ。反りから形から硬さから、頭に叩き込んどけや」
平七は伊代の美しい髪を鷲掴みにし、強引に喉奥まで飲み込ませる。
「ん゛っ、んオ゛…………こっこおっ……んんうぉおお゛っっ」
伊代は、かつて口戯の際に発したこともない低いえづき声を漏らすしかなかった。
唇を閉じられないまま喉奥をかき回されるのだ。
通常ならば唾液しか出ないところが、それよりも遥かに粘度の高い液体が滴っては、跪いた腿の上で弾けていく。
伊代はもう、自らの脚を見下ろす勇気がなかった。
挙句に匂いがひどい。一体どれだけ湯浴みをしていないのかという匂いは、鼻腔にまで染み付いて伊代に鈍い頭痛を引き起こす。

苦しみはそれだけではない。
伊代の腹部では、もう随分と前から雷のような音が鳴り狂っていた。
厠でしゃがみこめば、即座に腹の中の物を余さず吐き出せる。
その感覚を憶えたのは、もう随分と前の事だ。
『舐めしゃぶれ。首尾よく俺を逝かせられたら、糞をさせてやる』
平七はそう告げた。しかしその平七が驚異的な粘り強さで射精を堪えているため、伊代は追い詰められていた。
かつて経験のないほどの便意。
身体中にじっとりと脂汗が滲み、しなびた前髪が視界の一部を遮る。
その視界にしても、額からの止め処ない汗でぼやけている有様だ。
肛門部分は独自に意思を持ったかのように蠢き続け、今にも排泄しようとする。
排泄欲の波が押し寄せては引き、押し寄せては引く、を繰り返す。
しかし一度引くたびに、その次の波は高くなっているようだ。
もういくらももたない事は、他ならぬ伊代自身がよく理解していた。
「ん、むぶぁっ!!」
大きく息を吐きながら、伊代は逸物を吐き出す。
逸物と口の間に、目を疑うほど濃厚な唾液の膜が引き、自重で切れて落ちていく。
「あっ、あ、はぁっ……はぁ、はぁっ…………はぁっ」
伊代は、開いた口から唾液や涎を滴らせながら、ただ荒い息を繰り返した。
深く咥え込まされ続けた苦しさに加え、極限の排泄欲が襲いくるのだから無理もないだろう。
眉根は下がり、うすく涙を湛えた瞳も普段の力を感じさせない。
「随分と苦しそうだなぁ、ええ伊代」
平七は腑抜けた笑みで伊代を見下ろしながら、催促するように怒張でその頬を叩く。
伊代は激しく喘ぎながらも舌を出し、カリ首付近へと這わせていく。
 (早く、早く 達して…………!!)
その心の声が聴こえるかのようだ。
陵辱する平七にすれば、何とも心地良い風景だろう。




「おら、もっと深くこいよ。世話んなる肉棒への挨拶もできねぇアマは嫌いだぜ」
平七は再び伊代の頭を掴み、強引に喉奥まで咥え込ませる。
「うぇぼっ! ……お゛、んも゛おおぉおえ゛え゛っ…………!!!」
一度噎せ帰った後、低いえづき声を上げる伊代。
それまでにも幾度か見られた反応だが、今度はやや様子が違った。
喉奥まで届いた段階では終わらない。突き当りをさらにこじ開け、食道の奥へと進む。
そしてついに逸物そのものを余さず呑み込み、平七の陰毛へと鼻を埋もれさせるほどに咥え込む。
「うおおっ、深ぇっぞ!! へへ、こりゃあいい。喉がよく開くようになったじゃねぇか。
 尻の穴も、すぐにそうやって深く咥え込めるようにしてやるぜ!」
平七は上機嫌に告げながら腰を激しく前後させる。
伊代からは、数度、その見目からは到底想像できない声が漏れた。
目はまさしく限界まで見開かれ、こめかみを痙攣させている。
後ろ手の縄は、両手首に引かれてギシギシと鳴る。
桜色の唇からは、かつてなかったほど大量の粘液が分泌され、形のよい乳房を滴り落ちていく。
「おおおっ、いいぞ、いいぞっ!! ……くぅっ、堪らねぇっ!!!」
平七は裏返った声で叫び、とうとう腰を震わせた。
そして伊代に深く咥え込ませたそのままで、喉奥へ向けて精を吐く。
「う、むぁっ!!」
伊代が苦しさに逸物を吐き出す中でも射精は続き、美貌を白く染め上げた。
しかし、伊代はもはやそれに構っている余裕などない。

「はっ……はあっ…………さぁ、や、約束よ。逝かせたんだから、縄を解いて、早く、はやく厠に行かせてっ!」
忙しなく腰を浮かせながら、伊代は必死に訴える。
便意が真実、限界なのだろう。
しかし、平七は射精後の余韻に浸ったままで耳を掻く。
「はぁ、厠だぁ? 何勘違いしてやがる、俺は『糞をさせてやる』と言っただけだぜ。
 今日からお前の厠は、これだ」
そう告げて、足元の木桶を蹴る。伊代の顔色が一変した。
「な、何の冗談なの!?」
「冗談だと思うのか? 嫌なら、そのまま畳の上でぶちまけてもいいんだぜ。
 その場合、後で困るのは俺じゃあねぇからな」
あくまで淡々と答える平七を前に、伊代は悟った。本気だ。本気で、面前での排泄を強いている。
「そんな、事…………ッ!!」
反論を試みるまさにその瞬間、伊代の腹部が激しく鳴った。
腸そのものが渦を巻くような強烈な違和感。それを感じては、もはや抵抗している時間などない。
「…………下衆よ、あんた…………!!」
伊代は平七を鋭く睨みながら、仕方なく木桶の上に跨る。
しかし、伊代が内股になって用を足そうとする所へ、平七が待ったをかけた。
「おいおい糞女、それじゃあ見えねぇよ。客の俺が楽しめねぇだろうが。もっと景気良く股ァ開けや」
伊代の神経を逆撫でする要求。
そもそも長時間に及ぶ便意の我慢により、伊代の脚にはほとんど力が残っていない。
しかし、それでも伊代に逆らう事はできなかった。
瘧にかかったような痙攣を押さえつけ、必死に膝を開こうとする。しかし、すぐに体勢が崩れる。
両手が自由ならばともかく、後ろ手に縛られていては姿勢を変えるのも一苦労だ。
「おら、どうした。千鳥足になりやがって、武家の娘ってやつも案外腰抜けだな?」
平七はなおも伊代を嘲った。
伊代はその辱めに奥歯を噛みしめ、ぐいと思い切りよく膝を開く。
「おほっ」
平七がその好色な笑みを満面に広げた。
均整の取れた淡白い肉体、形のいい両乳房、手入れの行き届いた茂みに、その下で開く女の華。
そのすべてが、隠すものもなく平七一人のために晒されている。
数日前までは、夢想しこそすれ、実現するとは到底思えなかった至福の光景といえる。
そして、その『美』だけではない。
みすぼらしいこの女衒は、これから伊代の『醜』……上客の誰一人として拝むことの叶わない、伊代の“なまの姿”を目にできる。
一度射精した後ながら、平七は再び下半身に血が巡るのを感じていた。

「あああ、いや、いやっ…………あああ、いやあっああぁああああっっっ!!!!!」
なるべく取り乱すまいと決めていた伊代だったが、いざその時が訪れた瞬間には、迸る叫びを止められなかった。
いつか図に乗った豪商を一喝した時以上に喉がよく通り、障子を突き抜けるような声が発された。
この分では、階下や別室にいる廓の人間達にも聴こえてしまったのではないか。
そう危惧する。
しかしその考えは、すぐにあふれ出す汚辱に掻き消された。
武家の娘として、たとえ恥辱を晒す瞬間でも怨敵を睨みつけてやろうと決意していたが、それすら叶わない。
とても目を開けていられず、眼球がつぶれるのではというほど硬く目を瞑り、顔を横に背けてしまう。
そこまでしても、平七の視線を意識から消せない。

不浄の穴が、意識とは無関係に幾度も幾度も大きくひらく。
そしてひらく度、自らの体温とはとても思えないほど熱い液が、敏感な菊輪をこすって出ていく。
じょぼるるるるろろろ、という液体の堆積する音と共に、跳ねた水が脹脛にかかる。
滝のような液体の排出は三度繰り返され、その後は渋りに入る。
肛門が小さく盛り上がり、魚が水を吐くように小さな飛沫を飛ばす。
それが約四回。そして……その後、とうとう恐ろしいものが姿を表す。
それまでの液体とは明確に違う、とろけながらも確かな質感を持った半固形物。
それがずるりと肛門から滑り落ち、ぼちゃっと液溜まりの中に落ちていく。飛沫が足にかかる。
「くく、くくくっ」
平七の笑い声。それが、震える伊代の心へ短刀のように突き刺さった。
見られている。何もかもが、平七には見えている。
伊代は口を歪めたまま涙を零した。
先ほどまでの、苦しみから滲む涙ではない。心の深い部分が傷つけられた事による、苦しみの涙だ。

恐ろしく長く感じる時間の末、ようやくに排泄は止まる。
「ふ、くっく……随分と沢山ひり出したもんだ。
 遊女ってのは解らねぇな。あんなお上品そうな面の下で、こうも溜め込んでるんだからよ」
平七は下向きの声で告げながら、伊代の顎を掴み上げる。
そして、涙に濡れた瞳を真正面から覗き込んだ。
義理や人情をまるで解さない、濁りきった瞳……伊代はそれを渾身の力で睨み据える。
平素より目力の強い伊代が睨めば、大方の男は目に見えて気を萎えさせた。
それを伊代自身もよく解っていた。
しかし……平七は、その伊代の睨みを全く意に介さない。
薄ら笑みを消さぬまま、面白そうに伊代の顔を覗き込んでいる。
その理由は、本当は伊代にも解っていた。これほどの恥辱を晒した女を、男が恐れる訳がない。
今の力関係は、明らかに平七の方が上なのだ。

「必死に虚勢張っちゃいるが、今にも白目剥いてぶっ倒れる寸前って顔色だな。
 仕方ねぇ、今日はこれぐらいで勘弁してやる。
 だが、近い内にまた来るぜ。これからは、来るたびに同じ事をしてやる。
 浣腸ぶち込んでひり出させながら、俺の“男の味”を脳の髄にまで覚えこませてやるよ。
 せいぜい楽しみにしてな」
平七はそう言い残して部屋を後にする。
残された伊代は、力なくへたり込むしかなかった。部屋に充満する異臭に包まれ、脱力感に身を支配されながら。
逃れられない。自分の身と心は、たつの身柄を質に、これから少しずつ侵食されていくのだ。
伊代はそう理解した。
「…………負けない……あんな男に………………!!」
脱ぎ捨てた桜色の襦袢を手繰り寄せながら、伊代は一人呟く。
加虐には屈さない。人としての尊厳は捨てない。
その誇りだけが、今日まで自分を自分たらしめてきたのだから。






以来、平七は数日置きに『淡春楼』へと登楼するようになった。
恥辱の行為は、常に浣腸から始まる。
緊縛したまま木桶一杯の浣腸を施し、自らの逸物をしゃぶらせる。そして、排泄を眺める。
幾度この汚辱を味わおうと、伊代の心が慣れることはなかった。
遊女ながらに、人一倍貞操観念の強い彼女は、排泄を晒すたびに苦渋の表情を浮かべた。
しかしその一方で、身体は慣れていく。
浣腸を耐え忍べる時間は長くなり、慎ましかった菊輪は浣腸によってかすかにほぐれ。
無理矢理に咥え込まされる平七の逸物の匂いは、ふとした生活の折にも鼻先で感じるほどに馴染んでいた。

角部屋の中、行灯の明かりが障子を照らす。
そこには二つの影が映り込んでいた。
這う格好のまま、尻だけを高く突き上げる細身の影。
前屈みになり、前方を覗き込むような小太りの影。
二つの影は、ある一点で繋がっていた。細い棒状のものが、突き上げた尻の中へと突き立てられている。
角度を変えれば、それが肛門の中に入り込んでいるのだと見て取れた。
脂で光る肛門には、鋏を思わせる形状の木製器具が嵌まり込んでいる。
それが肛門を、指が数本入る大きさに開いたまま固定していた。
棒状の器具が入り込んでいるのは、まさにその奥まりだ。
「どうした、今日はあの色っぺえ声を出さねぇのか。そろそろ感じてきた頃合いだろう」
「お……お尻の穴なんかで、感じる……わけ…………」
平七の下劣な言葉を、伊代はあくまで否定する。
しかしその矜持も、今となっては空しいものだ。
伊代はすでに幾度にも渡り、平七の前で愛液の滴りを晒してしまっているのだから。

平七は棒状の道具の取っ手を持ちながら、腸内に絵でも描くようにねっとりと動かし続けていた。
人間は排便の際にも快感を得る生き物。
ゆえに、腸内の様々な場所を刺激される体験は、強い異物感と共に強い快感をもたらしうる。
まだ固い入り口を強制的に拡げ、内部だけを緩やかに刺激すれば、肛門性感は飛躍的に高まっていく。
延々と直腸内を刺激されるうち、ああ、ああ、と艶かしい声が漏れるのも無理からぬことだ。
しかし、その嬌声は的確に伊代自身の弱みを示してしまっていた。
声の上がる場所が弱い部分だ。
平七は肛門を穿り返しつつ反応を見る間に、それをすっかり憶えこんでしまったらしい。
事実、伊代が必死に声を堪えている今もなお、的確に彼女の弱い部分を掻き回してくる。

平七の用いる道具は、先端に丸い球のついた棒が多かった。
日によって球の大きさは違い、今日は特別に大きいものが用いられている。
この道具は、太ければ善いという単純な物ではない。
細い物のほうが刺激は少ない。だが穴の中で小回りが効き、細やかな調教ができる。
逆に太い物は単調な動きになりがちだ。ただし刺激は強く、特に引き抜かれる瞬間には堪らない感触が襲ってくる。
未知の快感が、極太の珠によって幾度も幾度ももたらされているのだ。

「今さら声を殺したところで、とうに判ってんだぜ。お前の善がり方はよ」
平七は声に嘲りを含ませながら、道具を用いない方の手を静かに伊代の脚へと触れさせる。
剥き卵のような尻肉がちょうど終わる部分にして、脚の付け根。鼠蹊部だ。
「うっ……」
鼠蹊部に手を宛がわれた瞬間、伊代に悪い予感が走る。
そして再び道具が粘つくような動きを再開した時、その予感の正しい事を知った。
「ひひ、やっぱりな。前から、お前が声を出す時にゃあここも一緒に強張ってやがったのよ。
 ここが張ってる時はつまり、お前が尻の穴で感じてる時ってことだ」
平七は的確にそう言い当て、鼠蹊部を擦りながら後孔内に円を描いていく。
「あっ…………あッ、っは…………!!」
さほどの時間も経たず、伊代から声が漏れる。
吐息ではない、嬌声だ。それを伊代自身が、充分にわかってしまう。

にちるっ、にちるっ……と繰り返される艶かしい音ばかりが、行灯の照らす室内に響いていた。
他には伊代の小さな吐息、あるいは外から漏れ聞こえる虫の音しかない。
同じような音が繰り返される。単調に単調に、単調に単調に。
しかし、その単調さこそが最も恐ろしいのだと、伊代は知っていた。
瞬間に燃え尽きる男とは違い、女の性感はじわりじわりと炙るように昂ぶっていく。
反応を的確に捉えながら、丹念に尻穴をほじくり回す……これなどは堪らない。
もう幾度にも渡り、伊代は秘裂の奥がかっと熱くなる感覚を覚えていた。

 ( ありえないわ。お尻の穴で感じるなんて―― )

頑なにそう否定していたのも、最初の数日のこと。
今ではそれが、肛門からもたらされる快感なのだと認めるしかなくなっている。
肛門性感とは、堪えようとすればするほど深みに嵌まる、蟻地獄のようなものなのだと知ってしまったから。

肛門内から棒が引き抜かれ、直後にわざとらしく舐めしゃぶる音がする。
伊代の肛門をたっぷりと嬲った先端部分を、平七が味わっているのだ。
恥辱を与える目的か、あるいは単なる嗜好か、彼は毎度の如くそれをやった。
「よし。すっかりよく蕩けた、腸液の味だ。お前もこの味になるのが、随分と早くなったな」
言葉で伊代の動揺を誘いながら、平七は再び肛門内に棒を差し入れる。
外気に晒されて冷えた腸内に、再び圧倒的な存在感で割り込んでくる固い異物。
それは勝手知ったるという様子で、当然の如く子宮の裏口を擦っていく。
「ーーーーーっ!!」
幾度もじゅんと蕩け、着実に子種を迎え入れる準備を整えている子宮だ。
そこを柔にでも刺激されれば、今の伊代はそれだけで喉元から細い声を上げそうになる。
平七は、そうした伊代の様を静かに観察し続けていた。



「さて、今日の仕上げといくか」
肩を鳴らしながら平七が言う。
夜も更け、さすがに平七も肛門調教にくたびれてきた頃だ。
連日様々な方法で責め立てた中でも、格別に効果のあった方法で調教を締めにかかる。
とはいえ、大層な道具はいらない。特別な準備も必要ない。
ただ……女の弱みを突くだけだ。
延々と続いた肛門性感開発の末、今や茂みの中で硬く屹立している柔な肉芽。そこを、掴む。
「っう゛!?」
突然の予期せぬ刺激に、つい伊代は声を漏らした。
陰核は、あらゆる人体器官の中でも最も性感帯の集まる場所だ。
そこを摘まれれば、意思とは無関係に身体が強張る。
当然肛門も、異物を中に咥え込んだまま、きゅうと締まる。
「ぐ!!」
伊代は再び声を上げた。肛門を締めたことで、太い珠の感触が、いよいよ強烈に感じられてしまう。
鼠蹊部に深い筋が走るのが解る。
そして当然それらの反応は、余さず平七に見透かされているのだ。
ぐちり、と肛門の深い部分で音が鳴った。伊代の昂ぶりを逃さず、平七が棒を動かしたのだ。
みしりと密集した粘膜の中を、無理矢理に硬く太い異物が踊る。
とてつもない快便の感覚が、ほどよく蕩けた伊代の神経を伝わっていく。
「あ、ああ、あ…………っ!!」
伊代は知らず声を上げていた。脊髄を伝って快感が頭を痺れさせたため、出さずにはおれない声だった。

そこから快楽という地獄が始まる。
陰核を摘まれて肛門を引き締めてしまい、そこを前後左右に抉り回される極感。
快便を幾度も幾度も繰り返すようなその体験は、都度、伊代の脊髄を甘い痺れとなって駆け上る。
脳が甘く痺れれば、濡れる。それが女だ。
伊代は自らの秘裂が、いよいよ涎を垂らし始めている事に気がついた。
女陰部にふよりと締まりがなくなり、這った姿勢で下腹部に視線をやれば、透明な雫がいくつも滴っていく。
それは、伊代の覚悟していた濡れ具合と全く同じ。
どれだけの肛門性感を得れば、どれだけ濡れるのか。それがすっかり把握できてしまっている。
平七は、その蕩けた伊代をさらに責め立てる。
最後とあっていよいよ丹念に、入念に、肛門内をひらいていく。
きゅ、と陰核を摘み、伊代の尻肉が強張った次の瞬間、太さのある棒の先を奥から引き抜く。
「おぉ゛お゛っ!!!」
瞬間、伊代の唇からはしたない声が漏れた。
伊代は目を見開き、慌てて手で口を押さえ込む。しかし、声を出した事実は曲がらない。
快感の凝縮しきった声が漏れたという事実は。
「そそる声だ、もっと聞かせろ」
平七は口元を歪めながら、いよいよ職人めいた手つきで肛門内をかき回す。
「………………っ!! ………っ…………………っっ!!」
伊代は必死に口を押さえながら、幾度も幾度も目を見開いていた。
唯一の呼吸器となった鼻からは、発情しきった犬のような息が漏れていた。
ぬつっ、ぬつっ、といよいよ艶かしい音が漏れる間中、その快感表現は続いていた。

そこからどれだけ経ったのか。
伊代は布団の上に横たわり、放心状態になっていた。
「へ、だらしなく濡らしやがって」
平七は袴を穿きながら、伊代を見下ろして嘲った。
疲弊しきった伊代は、自分の状態が解らない。
しかし秘部を隠そうと膝を曲げた際、足の甲が偶然にも秘裂に触れ、べとりと愛液が付着した事で己の濡れ具合を知る。
「また今度な」
高笑いしながら階段を下りる平七を見やりながら、伊代は一筋涙を流す。
単に悲しいという涙とは違うようだ。
しかし実際がどうなのかを考える余力はすでになく、そのまま眠り込むように意識を失った。





一体幾度に渡り、伊代は直腸性感を目覚めさせられたことだろう。
平七には調教の才があった。
否、あるいは女との情交の経験こそ乏しいが、女を嬲る事にかけてはもとより手慣れていたのかも知れない。
ともかくも、伊代はその度重なる慣らしによって、すっかり腸深くの性感を覚えこんだ。
今や四半刻ほど腸内を弄くられただけで、浅ましくうめきながら腰を上下させるまでになっていた。
そこへ至り、肛門調教は次の段階へ移る。
入り口を開き放しにして内部を弄くる責めとは対照的な、入り口付近だけを徹底的に開発する責めへ。

この調教は胡坐縛りで行われた。
平七は様々な緊縛を好んだが、この日のものは最も屈辱的だ。
この悪夢の調教が始まる前、平七の前で纏っていた振袖を着て縛られているのだから。
胡坐縛りのまま、肩を畳につけて裏返しになり、振袖の裾をはしたなく捲り上げながら肛門を晒す。
これ以上の恥辱があろうかというほど、浅ましい格好だった。
特に伊代などは作法その他に煩い娘だ。
当然、そのような仕打ちには憤りを露わにする。
さらに胡坐縛りで裏返しになる格好では、責める平七から常に顔が見えている事もあり、親の仇とばかりに平七を睨みあげていた。
しかし平七は、そうした伊代の態度をむしろ愉しんでいるようだ。

初めの一刻ばかり、平七はただひたすらに伊代の肛門を舐めしゃぶった。
飽きもせず、休みもせず。その執念は、伊代にとって理解しがたいものがある。
「さすがお武家の娘だけあって、可愛い肛門だぜ。とても糞する穴とは思えねぇな」
平七は尖らせた舌を窄まりに近づけ、そして舐め始めた。
ぴちゃぴちゃと、わざとらしく音を立てて。
皺の一本一本にまで舌を這わせていき、やがて舌を窄まりの内部にまで捻り込む。
伊代の桃のような尻肉を鷲掴みにし、頬まで肛門脇に埋めるようにして。
ひとしきり菊輪と腸の浅い部分に唾液を塗りこめれば、次は蕎麦でも啜るようにそれらを吸い上げる。
その、繰り返しだ。
苛烈な責めではなかった。腸奥を嬲られた時と同じ、じわりじわりと身の奥を炙る違和感。
伊代は声は出さなかった。
声は出さなかったが、反応はしてしまう。たまらなくなった時には、無意識に肛門付近に力が入る。
終わりがないのではと思える肛門舐めの中、幾度も。

単調な責めの間、考える暇は多かった。それがまたいけなかった。
どうしてこんな事に。
あられもない格好を取らされ、下劣な女衒などに不浄の穴を弄ばれる。何という屈辱。
そうした考えが頭の中を巡り、その背徳感が、なぜか余計に肛虐を強く意識させる。
 (いけない……!!)
陰核を摘まれながら腸深くを抉られた時と同じ。
確実に膣の蕩けに繋がる感覚が、伊代の脳裏に迸る。背徳を感じるたびに。

「へへ……良い具合にほぐれたな」
充分に肛門を舐めしゃぶった後、平七は指で菊輪を開きながら呟いた。
夥しい唾液に濡れ光るそこは、もはや蕾ではない。
菊の花弁はみな僅かに上に反り、中心には舌を迎え入れるための小さな口を開いている。
平七はそれを満足げに愛でた後、頭陀袋から新たな道具を取り出した。
「次は、こいつを食わせてやる」
そう言いながら晒されたものを目にし、伊代は眉を顰める。
円柱の取っ手の先に、数珠のような珠が五つ連なった責め具。
大工が使うのではない。台所で用いられるのでもない。
あの形状のものを、肛門内に挿入しようというのだ。
「美味そうだろ。こいつで断続的に肛門を刺激される感覚は、かなり来るらしいぜ?」
平七はそう告げながら、異形の道具に唾液を垂らしかける。
そして、逃れる術のない伊代の前に膝をつき、尻肉を片手で押し開いた。
「さぁ、たんと善がれ」
その言葉が発せられた数秒後。強い異物感が伊代の脳裏に響いた。




「…………はぁっ……っ…………っは、はぁっ……はあっ………………!!」
かすかな息遣いが、障子部屋に響く。
それ以外の音はほとんどない。あったとて、外からのかすかな雨音に掻き消される。
湿気の多い部屋の中、伊代もまた汗みずくになっていた。
身はかぁと熱く、肩口の開いた振袖からは、自らの汗のにおいが漂ってくる。
道具を用いた責めは、それだけのものがあった。
肛門の浅い部分を前後する五連の珠は、一つずつ大きさが異なる。
先端に近いほど小さく、根元に近いほど大きい。
平七はそれらを巧みに操りながら、菊輪部分ばかりを入念に責め立ててきた。
時には、ゆったりと挿し込んだ後で強引に抜き。
時には、強引に挿し込んだ後でゆったりと抜き。
その繰り返しは、着実に菊輪の神経を活性化させてゆく。
いつかの快便の感覚が再び甦り、伊代に反応を強いる。
「…………っ、………………っっ!!」
伊代は声を上げる事はしなかった。
平七に容易く顔を見られてしまう以上、どうしてもそれは憚られた。
しかし、声を堪えた分は別の場所に反応が表れてしまう。
今回に関していえば、それは足指の先だった。
胡坐縛りに拘束された足首の先……白い足袋に包まれた両の足指。
快感を得ると、そこが伊代自身の意思に反して、親指から折れ曲がってしまう。
足袋の足裏に皺が寄った時、それが伊代の悦楽の時だ。
「気持ちいいだろう、ええ?」
平七は伊代に問いかけながら、目線の先ではしかと彼女の足指を確認していた。
弱みを握られたとき、ならず者は恐ろしい。
平七は伊代の足指の反応をもとに、的確な責め方を編み出した。
特に、螺旋をえがくようにゆっくりと引き抜くやり口は、まさしく伊代の泣き所だった。

唾液に塗れた責め具を置き、それでも責めは終わらなかった。
平七は胡坐縛りのまま伊代の身体を反転させ、膝立ちのまま這う格好を取らせる。
そしてその状態で、指を用いて再び菊輪を嬲り始めた。
左手で尻肉を割りながら、右手の人差し指と中指を一揃えにして挿入する。
肛門のごく浅い部分だけを様々に嬲り回しながら、時おり中の二本指と、外の親指とで菊輪の一部をしごく。
その動きを延々と繰り返した。
「あ、あ……あっ…………」
さすがにもう、伊代に声を堪えることはできなかった。
すっかり息が上がり、喘ぐしかないこともひとつ。
また這うようなこの姿勢は、ここしばらく腸の深い部分を調教されていた時と同じだ。
伊代はもはや、その姿勢で腸内を刺激されるだけで、軽い嘔吐感すら覚えるほどの興奮に見舞われるようになっていた。
否、そう『仕込まれていた』。




部屋には雨音にも掻き消されないものが二つあった。
にちにち、という音と、さりさり、という音。
前者は、汗をたっぷりと吸った畳を膝頭が擦る音。後者は、伊代の振袖がやはり畳を擦る音だ。
いずれも、尻穴嬲りに耐えかねた伊代が身を捩ることで起こる。
「良い具合だぜ。あれだけ嬲っても、まだ食い千切りそうな締め付けたぁ……さすが足腰が強ぇな」
平七は嬉しげに囁きかけた。
まさにその言葉の最中にも、自らの肛門が二本指を締め付けるのを、伊代自身も感じていた。
やがて二本指が一旦引き抜かれ、舐めしゃぶる音が聞こえてくる。
平七がいつもそうするように、嬲った指を舐めているのだろう。
伊代は、畳の目を睨み据えてその恥辱に耐えた。
その直後、再び尻穴に指が触れる。まずは一本、そして二本。
しかし今度はそれで終わらない。平七は、さらに二本の指で肛門を押し拡げる。
「っ……!?」
伊代は目を見開いた。その間にも、四本の指はいよいよ第二関節まで肛門内部に入り込んでくる。
平七は四本指をそれぞれ別方向に引き、目一杯に肛門を拡げた。
「おう、よく開くもんだ。美味そうな腸が丸見えになってるぜ」
恥辱の言葉。伊代にも、腸の粘膜が外気に晒されているのが解る。
伊代は黙っていた。黙って、下唇の左端を血が出るほどに噛みしめていた。
幼い頃から、憤ると出てしまう癖。母親に窘められ、長らく出ていなかった悪癖だ。

肛門への嬲りが再開される。
平七はここへ来て、それまでの総括的な嬲りを仕掛けた。
「おら、自分でも解るだろ? お前の尻穴は、初めこそ蕾みたいだったがよ、すっかり解れちまった。
 今は淵が赤くなって、ちまい口開けたままプックリと膨らんでるのよ」
左手の親指、人差し指で菊輪全体を摘み上げたまま、右の人差し指で菊輪の裏側をなぞる平七。
「…………っぉ…………ぉ゛、っ………………!!」
もうその時点で、伊代はいつかの『はしたない』声を上げそうになる。
腹ばいになって肺の圧迫される状態が、かろうじて声を押しとどめたようだ。
伊代はそのまま顎を引き、喉元まで出かかった声を完全に押し殺す。
しかし、それも長くは続かない。
四本の指が三度目に肛門を押し開き、次いで二本指で臍側へと腸の浅くを押し込まれた時。
角度がとても悪かったのだろうか。
「んひぃいいいっっ!!!?」
伊代は天を仰いだまま、とうとうはっきりとした声を上げてしまっていた。
すぐにはっとして口を噤むが、後の祭り。
背後からは、平七の押し殺すような笑いが聴こえてきていた。
「いやぁ参った参った、随分と辛抱強かったなぁ。どこで声を出すかと、心ン中で賭けてたのよ。
 賭けは俺の負けだったが…………もういい加減、限界って様子だな?」
平七はそう言いながら、二本指でさらに腸内を弄繰り回した。
間を置かないその責めで、ますます伊代は昂ぶっていく。
肛門のほんの浅い部分しか触れられていないにも関わらず、腸の深くが疼く。
数日前までの丹念な開発がそのままに甦り、腸が蠢いているのが解る。
当然、腸だけではない。腸が蕩けるときは、かならず子宮も子作りの準備を始めていた。
今もそうだ。身の奥が、どうしようもなく熱い。
「いやらしい腰つきしやがって。尻穴の入り口を穿られるうちに、また深くまで欲しくなってきたんだろう」
平七の声が耳元でそう囁きかけた時、伊代は思わず息を呑んだ。
見抜かれている。
初めて目にしたときは愚鈍な男という印象だったが、とんでもない。
腐っても女衒。こと女体の開発にかけては、潔癖な伊代などより一枚も二枚も上手なのだ。

「さてと。んじゃあそろそろ、褒美をくれてやるか」
平七は一通り笑うと、いよいよ隆起しきった逸物を伊代の後孔に宛がった。
その瞬間、伊代の総身に鳥肌が立つ。
「…………い、いやっ! やめて、お願いそれだけはやめてえっ!!!」
やはりどうしても、排泄の孔で男を迎え入れる事は辛抱ならない。
いざその時になって強くそう感じた伊代は、後ろを振り返りながら懸命に叫ぶ。
しかし……下卑た陵辱者が、そのような制止を聞き届ける道理はない。
むしろいよいよ耳元にまで笑みを深めながら、片手を添えて挿入を敢行した。
「いや、いやいや、いやっ…………」
焦らすように入り口付近で浅い抜き差しを繰り返し、伊代の恐怖を煽る。
そしてその末に、とうとう尻肉を両手で鷲掴みにした。
「おうっ!」
気合の声と共に、渾身の力を込めて肛門の内へと埋没させていく。
「……ふぃうあ…………ぁぁ、ぁ……!!!」
この肝心な時に、伊代は叫ぶ事が出来なかった。
振り返りを弱めたまま頭を垂れ、怯えきったように声帯を震わせるばかり。
それは、彼女が今まで思い描いてきた、窮地における在りようとは余りにかけ離れたものだった。
「ん゛……ぐ、ぅ゛……。……う゛っ……んう゛う゛っ…………!!」
剛直が僅かに奥へと入り込むたび、伊代は苦悶に満ちた声を漏らす。
剣術で鍛えた肉体は、力みによってその背の窪みをいよいよ魅惑的なものとする。
犯している側からすれば、さぞや絶景だろう。
「うおおっ……すげぇ、なんつぅ締め付けだ。絡み付いてきて、最高だぜ」
平七は賞賛しながら、いよいよ強く尻を掴んで腰を打ちつけた。
尻肉に指が食い込む様から、全体として引き締まった印象の伊代も、尻の肉付きはよい事が解る。

パン、パンという肉の叩きつけられる音が響きはじめた。
結合部からも、ぬちゃぬちゃと何とも淫らな音が漏れている。
伊代は腹ばいの姿勢で為されるがままになっていた。
どれだけ激しく突かれようと、右肩を畳につけたまま動かない。あるいは、動けないのか。
「すっかり大人しくなりやがって、浸ってやがんのか? まぁ、それもいい。
 おら、尻穴締めてひり出してみな。クソするみてぇによ」
平七は半ばほどまで挿入したまま、伊代に命じる。
伊代はそれに従うしかない。腸内の異物を排出したい一心で、括約筋を締めて剛直をひり出す。
しかしその瞬間、伊代の背に快感の筋が走った。
「くっ!!」
凄まじいまでの快感。
幾日にも渡って嫌というほど舐めしゃぶらされた、平七の怒張が脳裏に浮かぶ。
凶悪なほどにエラの張ったカリ首、血管を浮き立たせたまま下方に膨れた肉幹。
それらが強烈に腸粘膜や菊輪を捲り返したのだ。
「くく、善いだろう。クソする時みてぇで最高なんだろう。おら、もっと“させて”やるぜ」
平七はそう言いながら、さらに抽迭の勢いを増す。
噎せるような体臭と共に、汗が伊代の背に滴り、そして悦楽が彼女の脳を支配する。

丹念に丹念に、腸内をかき回す責め。
口戯の時から解っていたが、平七の持ち物は太さも長さも申し分なく、腸内を隙間なく満たす。
根元まで押し込まれると、腸の形を無理矢理に変えられるかのようだった。
もっともまずいのは、よく張ったカリ首が子宮の裏側を執拗に擦り回すことだ。
それをされては、女は耐えられない。
激しい突き込みで身体が前後する中、身体が後ろへ流れる時に足首に雫が滴るのが解った。
胡坐縛りになった状態で、真上にあるのは秘裂だ。
女陰がどろどろに蕩けきり、発情しきっている事は疑う余地もない。
ならばせめて、それを平七に知られたくはなかった。
「あ、ああっ…………!! んああ゛っ、あ゛っあ…………あ、あう゛う゛……ん……ぐぅ……ああ!!」
伊代は尻穴を貫かれながら声を上げ続けた。
平七の意識を上方に向け、秘裂の状態を悟らせまいと意識すればこその行動だ。
しかし。平七は、まるで心が読めるかのように伊代の隠し事を暴く。
「こんなに濡らしやがって……ここには一度も触れてねぇはずだがな?
 まったく驚きだぜ。お武家の娘ともあろうお方が、尻穴を犯されてこうまで浅ましく成り果てるとはよォ」
伊代の腰から手を回し、秘裂を弄りながら平七が囁いた。
伊代はそれを聞き、三度ほど忙しなく瞬いた後、観念したように目を閉じる。
注意を逸らそうと喘いだのも、全くの無駄だった。
いや、それどころか、喘いだことで余計に快感を受け入れやすくなったようだ。
あ、あ、と喘いでいた間は、悦楽が腸から口にまですっと通り抜けるかのようだった。
変に声を堪えようとすると、不自由に思えて仕方ない。

「…………っ、………………う、ぅう゛う……っぅ゛っ………………!!!!」

それでも、伊代は声を堪える。堪えられるうちは。
快感に身をゆだねて声を上げ続ければ、やがて脳まで蕩けてしまいかねない。
そうなってはならない。
これからも平七は、暇が出来れば伊代を買い、肛門を犯し抜くだろう。
伊代を背徳の泥沼に沈めようとしてくるだろう。
その加虐に、どこまで耐え忍べるか。どこまで人でいられるのか。
最早それだけが、伊代のすべてだった。


                 
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