大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2015年03月

母の逝く道

※ 女子高生のイカされすぎ小説。若干のNTR風味あります。


ネット社会と言われる今でも、辺境の片田舎では、ひどく前時代的な風習があったりする。
ウチもそう。
石枕ヶ関……住民のほとんどが年寄りの、寂れきった温泉街。
ドラマの舞台になって、ちょっと活気があった時期もあったらしいけど、それも一時のブームだ。
これといって観光名所もなく、交通の便も悪い。
当然どこの民宿も旅館も、客なんてまず来ない……いや、『来なかった』。
状況が変わったのは、ちょうど私の母親が生まれた頃。この辺り一帯の旅館が貸切のサービスを始めてからだ。
手頃な値段で、旅館を丸ごと貸し切る。そうすれば他の部屋への迷惑を考えずに済むから、騒ぎ放題。
宵越しの宴会なんて可愛い方で、中には男女グループで乱交大会を開く団体客もいる。
旅館側としては布団も畳も汚れるし、愉快ではないはず。
でも禁止はしない。何でもありにしないと、こんな辺境に客は来ないから。
とはいえ、温泉旅館で“そういう事”を黙認するのは珍しい話じゃない。
じゃあウチの何が異常かというと……『セックスをしたいけど相手がいない』という客に、夜の相手を貸し出していることだ。
それも、場合によっては現役の女子高生を。
やっぱり若い方がいいのか、する相手に高校生を熱望する客は多い。
じゃあ応えないとって事で、この辺りの高校の女子はアルバイト感覚で皆やってる。やらないと地元が衰退するから。
こういうのって、都会だと問題になるんだろうけどね。

地元の女子高生は私を含めて6人。
お互いの客の入りは暗黙の了解で話題に出さないようにしてるけど、何となく察しがついてしまう。
どうやら、心底嫌だけど、私が一番人気らしい。
意外に同意が得られないものの、私が一番“性格ブス”なのは痛いほど自覚してる。
こういう仕事を一番割り切れてないのは私だし、客に対して愛想よくもできない。
そもそも、お金を落としてくれる相手を『客』って呼ぶのも良くはないよね。
性格の良い夕子なんかは、私達の前でもちゃんと『お客さん』って呼ぶ。本来、そういう子が好かれないとウソだ。
私が人気の理由は一つ、ルックスがマシだからというだけ。
前髪を眉の少し下まで、残りは肩を軽く撫でる程度にまで伸ばした黒のストレートヘア。
よくクール系と言われるし、実際鏡で見るとツンとしてるタイプの冷たい顔立ち。
スタイルに関しては、よく解らない。
客の中には『結構イイ身体してる』と言う男もいる。
でも繁華街の本屋でファッション誌を見ると、モデルのメリハリある身体との違いに落ち込む。
首や腕や足首は細い、膝上スカートから覗く太腿の形もそこそこ。胸は割と大きくて、腰のくびれはあんまりない。
事実として言えるのはそれぐらい。
でもたとえ自信がなくたって、自分が選ばれる事に疑問があったって、客に指名されれば向かうしかない。
私達は、この石枕ヶ関が好きだから。



家の黒電話が鳴って、私の次の“貸し出し”予定が報された。
男4人の、4泊5日。場所は老舗旅館の『灯香苑』。どうやら今回は楽そうだ。

出向く先としては民宿が一番キツい。狭い一軒家の中、家主一家と客、そして私がひしめく形になるから。
基本的に客と一対一なせいで、会話も奉仕も手の抜きようがない。
『している』時に、音や喘ぎ声が家主側に筒抜けになってしまうのも嫌だ。
いや、障子ででも仕切られているならまだいい。
場合によっては、家主一家が生活しているのと同じ空間で“する”事もある。
近所の顔見知りが気まずそうにお茶を啜ったり蜜柑を食べている横で、大股を広げ、汗だくで喘ぐ。
その恥ずかしさや居心地の悪さは半端じゃない。
一方で旅館となれば、基本は団体相手だ。私が黙っていても、向こうで勝手に盛り上がってくれる。
輪姦されっぱなしだとキツいけど、意外にそういう事は少ない。
昼間はガイドみたいに街のなけなしの見所を案内して、夜はお酌の後、大体9時から12時頃までする、という場合が殆ど。
旅館を貸し切るような人達は懐にも人間的にも余裕があって、あまりがっつかないんだと思う。
まぁ、縄を使われて何日か痕が残ったり、外国人団体で“あれ”の大きさに閉口したり、そういう問題はあるけれども。

客を取る日程が決まると、私達高校生はある老舗旅館に呼ばれるのが常だ。
そしてその旅館の仲居さんから、身を慣らす調教を受ける。
まだ体の熟しきらない子供が、いきなり複数人を相手にしては身を壊す、という考えかららしい。
ただこの調教、けっこう恥ずかしい。
温泉で温まった後、蹲踞の姿勢で張型を挿入される。年季の入った人間から、物凄い目力で見つめられつつ。
張型を迎え入れる間、蹲踞の姿勢を崩す事は許されない。壁や柱に背を預けてもだめ。
「息を吸え」
「吐け」
「奥の方から、ぐうと締め付けぇ」
低い声で脅すように命じられ、それに従う。そうすると5分も経たないうちに濡れてしまう。
仲居さんの操る張型が、ぐいい、ぐいいと確かな軌跡で膣内を刺激してくるたび、蜜があふれていく。
力強く、でも強引さはない。マッサージでツボを押されるように、じわりと気持ちがいい。
相手をする客が複数人の場合、膣のあと、這う格好で肛門も開発される。
勿論必要な事だ。実際、乱交となると当たり前のように『二本挿し』しようとする客は多い。
排泄の孔はなるべく使って欲しくないとはいえ、順番待ちの関係上、したいと言われて拒めるものでもない。
ただ、お尻の特訓はひどく惨めな気分になる。
「ああ、あっ……ひ、あぅうんん……ぅ、うんっひあぁっ!」
香油を垂らした棒でずぐりずぐりと肛門を責められると、どうしても情けない声が出てしまう。
仲居さんによれば、女子高生組の中で私が一番はしたない声を出すようだけど、苦手なものはしょうがない。

こうして仲居さんの手で一通り性器を慣らされ、一日の間を置いて、接客当日を迎える。
すべては普段通り。私はその朝、いつもと同じように支度を整えた。
今回の仕事もきっと楽だ。そう、頭から信じきって……。





今回の客に三つ指ついて挨拶する段階になって、晴れやかな私の気分は一気に曇った。
4人いて4人共が、生理的に受け付けないタイプだったから。
歳は全員そこそこ若いはず。でもフレッシュさなんて微塵もなかった。
1人は脂ぎった肥満体で、ボサボサ髪といい無精髭といい、清潔感がまるでない。
1人は毎日筋トレばかりしていそうな暴力的な見た目で、柄の悪さが全身から滲み出ている。
1人は小太りで、薄ら笑みを絶やさないカエル顔。
1人は病的に痩せこけて、姿勢が悪く、どこかトカゲを思わせる。
そして4人ともが、ギラついた目でセーラー服姿の私を凝視していた。
「おいおい、これマジもんのJKじゃん!?」
「だよね、本物だよねぇ。うひー、いいのかなぁ。この露骨な未成年淫行!」
「なんせド田舎だしな、色々前時代的なんじゃね? 井戸とか使ってるぐらいだしよ」
配慮のない言葉にカチンと来る。井戸で冷やした野菜の味も知らない人間が、地元を馬鹿にしないで欲しい。
でも、客を相手に文句は言えない。

しばらく遠巻きに私を眺めていた4人は、やがて目配せをしあって行動を開始する。
まずは柄の悪そうな筋肉男が、わざとらしく足元へ財布を落とした。
「おっと、落としちまった。よぅ嬢ちゃん、悪いが拾ってくれねぇか。サービスも兼ねてよ」
顔中に下卑た笑みを広げ、そんな事を言う。
私は溜め息の出そうな思いだった。私が制服姿で現れると、最初に男が要求するものは大体同じ。
『パンチラ』……つまり下着をチラリと覗かせる行為だ。
私は要求の意図を汲み、男の下へ歩み寄ると、肩幅に開いた脚を伸ばしたままで財布に手を伸ばす。
スカートの捲れ上がる感触が腰に伝わってくる。
「うっし、そこでちょいストップだ」
私の指が財布にかかった瞬間、さっきと同じ声が静止を命じる。私はピタリと動きを止めた。
直後、私の背後に四人分の足音が集まる。解りやすいものだ。
「白か。わかってるねぇ!」
「おー。田舎の娘って、昭和の頃みたいな胴長短足イメージしてたけど、意外にすらっとした脚してんなぁ」
「だよな! 太腿の絶妙なムッチリ感とか、膝下から足首にかけてのラインとか、マジ俺好みだわ」
「良い脚だとパンチラの有難味も違うよねー。ああもう、堪らん!」
4人が口々に私の脚を品評した直後、その中の一人が突然、私のお尻に何かを押し付けてきた。
「きゃっ!!」
思わず悲鳴が上がる。
「あっ! ズリィぞ!」
「へひゃひゃっ! こいつJKの太腿ガン掴みして、パンツに顔埋めてやがる!!」
「ぶふっ……ああすごい柔らかい、天国だよこれ!
 こんな、外でやったら一発逮捕確実な事が、ここじゃ何十回でも出来るんだから……夢みたいだよね。
 親に借金してまで来た甲斐があるよ」
小太り男は私の足元に跪きながら、カエルのように笑った。

男の思考回路は、年齢・性格を問わず共通なんだろうか。
私達女子高生を相手に選んだ客が、『パンチラ』の次に要求するものは決まっている。
痴漢プレイだ。

ここ『松の間』には、緊縛の際に縄などを掛けられるよう、室内の様々な場所に横木が渡してある。
その一つに手拭いを結びつけて吊り革代わりにし、右手で掴む。
左手には中学の頃から使っている、少し表面の剥げた学生鞄を持つ。
服装は勿論、高校指定のセーラー服。
その、ほぼ完全な通学スタイルの私に、4人の男が密着していた。
遠慮のようなものは一切ない。制服に皺が寄るのも構わず、力任せに胸を、お尻を揉みしだいてくる。
前からは、スカートをたくし上げた腕がショーツに潜り込み、その中を弄くってさえいた。

「ああヤベェ、最高だよこれ! 制服もやらけぇし、その下の肉も柔らけぇ! これが女子高生の肉かよ?」
「この制服の、微妙にしなびた感じがいいな。コスプレ衣装のゴワッとした感じとは全然違う」
「確実に普段から着てるよなぁこれ。ああ、鼻つけると、女の子の甘酸っぱい汗が染みこんでる感じするわ!」
「んー……そっか? 気のせいじゃね?」
聞くに堪えない会話が、私の耳元で交錯する。
手の動きは時を追うごとにさらに荒々しく、無遠慮になっていく。
「よぉ、どうだ? 4人から延々と身体弄られてよ、気持ちいいだろ」
とうとう、勘違いして質問する人間まで現れた。
「はい、気持ちいいです」
私は、さながら車外の景色を眺めながらという態度で答える。
「ははっ、感情ゼロじゃん。お前、嘘つけないタイプだろ」
別の一人から性格分析も来た。もっとも、これは割と的を得ている。
正確には、嘘がつけないというより、演技しようとする前に本心が表に出るタイプだ。
つくづくサービス業には向いていないと思う。

制服が皺くちゃになるほど全身を撫で回された後、とうとう8本の手は私の服を脱がしにかかった。
まずは、白ショーツが太腿を滑り降ろされ、足首から抜かれる。
次に首元の赤いスカーフが解かれ、襟元・袖口に3本白ラインの入った黒いセーラーブラウスを、たくし上げるように脱がされる。
ここ数日は暖かくてインナーを着ていないので、この時点で上はブラジャーのみ。
当然、男達から嫌な歓声が上がった。
そのブラジャーさえもすぐに毟り取られ、素肌がギラついた視線に晒される。
「おっ、結構でけぇぞ! D以上か?」
「すげー、さすが全然崩れてないな。理想的なお椀型ってやつか。乳輪もピンクでいいわ」
当然のように何本かの手が伸び、じかに私の胸を揉みしだく。結構、いや相当痛い。
「んん、んっ…………く」
唇を噛んで耐えること数十秒、ようやく獣達は落ち着きを取り戻した。
次は下だ。背後からベルトを外され、こちらも黒いプリーツスカートが下に落ちる。
ショーツは最初に脱がされたから、残るはもう紺のハイソックスだけ。
そのハイソックスを自ら脱げば、とうとう私の肌を隠すものは何一つ無くなってしまう。
何度経験しても、全身の気が逆立つような恥辱だ。
ほとんど反射的に胸とあそこに手を添えてしまうものの、肥満男にその手を叩き落とされた。
「そう隠すなよ。『ヴィーナスの誕生』じゃあるまいし」
茶化されて仕方なく、赤くなった腕を下ろす。完全に晒された裸を前に、いよいよ4人の目が血走り始めた。

「おほーっ、うっまそうな身体!」
「田舎だから期待してなかったけど、全然アリだな。うおー、今からこのレベルのJK喰えるとか、最高!」
「だな。井希はるかに比べっとちと野暮ったいけど、いかにも素人って感じで、逆にソソるわ」
「馬鹿お前、このシチュエーションでAV女優と比べんなよ!」
「素人っぽさで言うとよ。こいつ肌白いけど、よーく見たらスク水の形に日焼け跡あるよな。
 それが生々しいっつか……中学んとき好きだった荻野思い出すわ。こっちのがチチでけぇけどな」
「とりま温泉行こうぜ。この旅館のウリなんだろ? 背中流してくれや」
男4人は好き勝手に騒ぎ、裸の私を廊下へと連れたてる。
「ちょっと、廊下では服着させてよ。従業員さんに裸見られるじゃん!」
そう主張しても、今は貸切で自分達の城なんだからと誰一人聞き入れない。
ここの仲居さんを顎で使っていた時から薄々気付いてたけど、この4人、横柄で人への配慮がない。
多分誰一人として彼女なんかいない、出来るはずがない。
そう思った時、私はいよいよこの男共に愛嬌を振りまく気になれなくなった。


露天風呂では、ソープの真似事を強要された。陰毛に石鹸をつけて、股をこすりつけながら洗うあれだ。
「あぁいいわ、女子高生に奉仕させてるってだけで興奮する」
「タワシにしちゃ、ちっと毛ェ薄いけどな。ま、その分ピンクマンコでヌルヌルに洗ってやれや」
私が股で挟み込むようにして腕や腹を洗う間、男共は気色の悪い会話を続けた。
そうして4人共の体を洗い終えると、今度は私がされる番だ。石鹸のついた8本の手で、体中を弄られる。

「うっはあああ、JKの肌もぉー最高! スッベスベで、噂通り手に吸い付いてきてるわ!」
「だよな。服の上からでも良かったが、ナマはまた別格だわ。押してもすぐ戻るし、これが『ハリのある肌』ってヤツか?」
「風俗嬢のとは全然違うな。やっぱあれ、風呂入りすぎてふやけてんだな」
「フトモモやらけーし、あったけー。産毛とか全然なくて、おっそろしく触り心地いいなコレ。
 俺、毎日電車待ってるJK見てスリスリする妄想してたんだ。今、それが叶ってんだなあ、あー堪んねぇ!!」
「なんか、石鹸のとは別によ、いい匂いしてこねぇ? うなじとかから、ふわっとさぁ」
「ねぇよ。さすがに女子高生だからって夢見すぎだろ」
「最高最高って、オメェら甘ぇよ。このチチの揉み心地こそ本当の最高だわ。
 っつーか、マジでマシュマロすぎ……本物だろうなコレ。高校ならフツー、まだしこりとかあるんじゃねぇの?」
「それって中学生までの話じゃなかったか? よく知らんけど」
男達は私の身体中を揉みしだきながら、延々とデリカシーのない会話を交わしていた。

おまけに、その触り方がまた酷い。
腿や脇腹を撫でる手つきは相変わらず痴漢そのもので、ゾォッと鳥肌が立つ。
胸を揉む動きにも加減がなくて痛いし、乳首を乱暴に抓られると、やった人間をつい殴りたくなってしまう。
私は気が荒い。
小さい頃は『クラス一手が早い女』と言われていたし、未だに『客を取れているのが奇跡』だと男子から茶化されもする。
とはいえ、本当に殴っては問題だ。だからどうしても嫌な時は、腰の横で拳を握り込む。
常識ある人なら、それで気付いて態度を改めてくれるから。
ただ、本当に無作法な人間ほど、私の信号には目もくれない。どうやらこの男達もその類らしい。

4人がかりの愛撫は、体中の泡を洗い流し、湯船に浸かってからも続いた。
竹柵の向こうに、空と山を一望できる絶景の露天風呂。私はこのお風呂が好きだ。
でも、今の気分は最悪だった。
不愉快な客相手というのもそうだし、湯船での愛撫自体がそもそも嫌だ。
湯船の中であそこに指を入れられると、当然お湯が入ってくる。そうすると後で“している”時に、そのお湯が出てきてしまう。
中に湯が入っている場合、する時の音がパンパンと物凄い事になるのも恥ずかしい。
そういう不満から、私は男達の愛撫を受けながらも、一切の声を出さずにいた。
「ほら、気持ちいいんだろ。澄ましてないで、アンとかウフンとか言えよ」
「…………全然」
「ケッ、そォーですか。……よぉ、こいつ何か生意気じゃね?」
「まぁな。可愛いけどよ、こんな田舎でチヤホヤされすぎて調子こいてんだろ。俺、図に乗ったマンコって嫌いだわ」
男のうち3人は、私の態度に不満を示す。ここまで露骨に貶められるのは初めてで、私はますます意固地になった。
でもその空気を、小太りの男が変える。
そしてこれこそ、地獄の釜の蓋を開ける一言だった。

「でもさ。こういうスカした娘に、“挿れてください”って懇願させるのとか良くない?」
この小太り男の提案に、他の3人が表情を変える。
「それ、イイな……そうしようぜ! 流石マニア、発想が違うわ!」
「考えてみりゃ、4泊5日でずーっとヤリっぱなんて無理だしな。焦らしまくって哀願させて、そっからマワそうぜ」
「オッケ。じゃあさ、ちょうど4人いるんだから賭けようよ。オレ、3日目で落ちるのに慧勝軒のラーメン一回」
「あっ、テメェ一番可能性高そうなのを! ならしゃあねぇ、俺は2日目だ」
「んだよ、4日目とかもつ訳ねぇだろ。ま、今日中よりかは可能性あるか」
「オイオイ、じゃあ俺は今日って流れか? 勘弁しろよ、もう夕方じゃんか。不利すぎんだろ」
「だったら、今この瞬間から頑張って追い込めよ。っつっても、間違えて挿入すんなよ素人童貞!」
「そうそう、オレらも責めの支援ぐらいはするからさ。ま、奢りとなったら特盛チャーシュー麺3杯いくけどね」
「ぎゃははっ、それ4000円超えんじゃん! マジで喰いそうだから怖いわ、このデブ」
私の尊厳など欠片も配慮しない、まるで宴会遊びのような軽さ。
でも、この男達は本気だ。目を見れば解る。
「ったく、また貧乏クジだ。……まぁでも、4時間も5時間も焦らして、我慢できる訳もねぇ。つーか、させねぇわ。
 冷静に考えてみりゃ、俺が一番オイシイんだよな。ナマの女子高生を、一番に可愛がれるんだから」
肥満男は、そう言って私の耳に生暖かい息を吹き掛けた。匂いもキツい。
私は境遇の悪さをつくづく感じながらも、強くその男を睨みつけた。





「んっ、んっ…………んむっ、はん……っむ」
露天風呂から上がった後、私は布団の敷かれた『竹の間』で、肥満男からの濃厚な口づけを強いられた。
息継ぎもそこそこに口内を貪られ、唾液を飲まれ、あるいは飲まされる。
男4人は浴衣姿にも関わらず、私だけは丸裸だ。
温泉で火照った効果もあって、いよいよ男からの視線を敏感に感じてしまう。
さらに、眼前には髭面の男の笑み。
それらが嫌で目を閉じると、今度は耳が冴えはじめる。
「いいなぁ、現役女子高生との生キスかー。俺も一番にすりゃ良かったわ」
「だよな。オイ、どうなんだよラッキーボーイ、味は」
「ぷはっ……へへへ、最高に決まってんだろ。甘ぇわ、JKの唾って」
「バーカ、唾液に味なんぞねぇよ。気のせいだ気のせい」
半笑いの下劣な会話。それも不快だけど、もうひとつ嫌な要素がある。
キスと平行して行われる、恥ずかしい場所への指責めだ。
仲間内から素人童貞と揶揄されていた通り、技巧は拙い。普通であれば、濡れる筈もない。けれども。
「くく、何だよ。湿ってんじゃねぇか」
肥満男は一旦私の口を解放し、勝ち誇ったように囁いてくる。
私自身、10分あまりの指責めで、じわりと濡れてしまっている事を自覚していた。
仕方のないことだ。私の膣は、2日前の仲居さんの巧みな調教で、すっかりほぐされている。
あの調教は単に穴を開いておくというより、下手な客でもスムーズに迎え入れられるようにと施されるものだ。
男のピントのずれた膣弄りでも、仲居さんの極上の責めがフラッシュバックし、身体が火照る。
「俺の指がそんなにいいのか?」
肥満男は自信満々に指を蠢かしながら告げた。
アンタの功績じゃない、と叫びたくなるけれど、言えるわけもない。
私は、ぐちゅぐちゅと鳴りはじめた水音を聞き、口づけを受けながら、ただ耐え忍ぶしかなかった。

一度濡れ始めてしまえば、歯止めは利かない。
どれだけ内腿や下腹に力を込めても、どろりとあふれる蜜は止まらない。
「見ろよ、グチョグチョだぜ。俺、実は相当上手ぇんじゃねえの?」
たっぷり小1時間は経った頃、肥満男は指を抜いて私の脚を大きく開かせた。
「お、確かに……濡れてやがるな」
「うひ、ピンク色のオマンコがヒクヒクして、やらしー」
「まぁ濡れてるがよ、お前が上手いんじゃねーだろ。こいつが淫乱なだけだ」
他の3人が私の脚の間を覗き込み、それぞれ声を上げる。
私自身、直接見えはしないけれども解っていた。
内腿をぬるい筋が伝っていくのは何度も感じたし、男の指先から滴る愛液も本物だ。
「この調子じゃ、マジで今日中に堕ちそうだな?」
肥満男は緩みきった毛だらけの腹を震わせて笑い、指についた唾液を美味そうに舐める。
「…………まさか」
私はその醜悪さにぞっとしながらも、努めて無表情を取り繕った。


 
「…………ふ、ひゃひゃ。うめぇ、うめぇわコレ」
肥満男のニヤケ声が耳に響く。
私は布団に仰向けで寝そべり、この男へ向けてMの字に脚を開かされていた。
男はその私の腿に粘ついた手の平を乗せながら、飽きもせず私の蜜を啜る。
割れ目を飲み込むようにしたり、嘗め回したり、時々指を入れて中や外を刺激したり。色々とやっていた。
「へへ。ドンドン出てくるぜ、愛液がよ」
肥満男は相も変わらず勝ち誇ったように囁いてくる。
滑稽だ。確かに生理的な反応で、愛液は滲み出ているかもしれない。でもそれは、ただの防衛本能だ。
弄繰り回されるから、潤滑を増そうとしてバルトリン腺やスキーン線から液が分泌されているだけ。
実のところ、私の心は冷え切っていた。
生理的に嫌う男にいくら舐められても、弄くられても、女は絶頂には至らない。
男は肉体で絶頂するけど、女は心で絶頂する。私は街の大人から教わって、ちゃんとそれを知っている。
ましてや、こんな男の下手な責めで感じるわけがない。
この童貞丸出しの男とつるんでいる所からして、他の3人も技巧には大差ないはず。
だとしたら、案外4泊5日を耐え切るのも難しくはなさそうだ。
私の故郷を馬鹿にする横柄な連中に、挿入の哀願なんてしたくない。
この調子で気が萎える事ばかりしてくるなら、私は絶頂せずにすむ。昂ぶらずにすむ。
私は、恥ずかしい場所を舐めしゃぶられながら、内心ではほくそ笑んでいた。

「ふぅー、ふぅー……さ、さぁ、俺がこれだけ舐めたんだ。今度は君が、俺のを舐めてくれよ」
数十分後、肥満男は息を切らせながら、浴衣の前を肌蹴る。
毛むくじゃらの四段腹……その下に、直視も憚られる色黒のものがあった。
分厚い茶色の皮から、亀頭が覗く。私の蜜を舐めて興奮しているのか、その鈴口からは薄い先走りが伝っている。
正直、吐き気しか起きない。
「さぁ、舐めて」
肥満男はさらに催促してきた。私は仕方なく身を起こし、薄汚いものを掴む。すると、その腰がスッと逃げた。
「あっ、や、やっぱりちょっと待って!」
気味の悪い声を出し、大袈裟な動作で何度も深呼吸を繰り返す肥満体。
「……何なの?」
私がつい苛立って問うと、肥満男は負け犬そのものの目でこっちを見下ろした。
「い、いやぁ……こ、これから本物の女子高生にしゃぶって貰えるんだと思ったら、心の準備がね?
 ほら、イメクラとは訳が違うじゃん、イメクラとは」
訳の判らない理屈をこねながら、ひたすらにもじつく。
「っ……」
私は、つい蹴りたくなった。というより客を取り始めたばかりの頃、同じタイプに我慢できなくて本当に蹴ったことがある。
客はヘラヘラ笑って喜んでたけど、後で旅館の女将さんや仲居さんにひどく絞られたので、もうやらない。
でも実際、いい年をした肥満体がもじつく様は見るに耐えなかった。
「ぶふっ……ごめんごめん。さ、しゃぶっていいよ」
男はようやく直立に戻ると、私の方に腰を突き出す。
さっきから猫撫で声なのは、少しでも好かれようという下心からだろうか。残念ながら、見事に逆効果だ。
私は溜め息をつきながら、肥満男の物を摘み上げた。
意地悪く強めに皮を剥いて、震える亀頭を咥えこむ。
正直、汚いペニスにはもう慣れた。女子高生を買おうとする親父のものは、大半が薄汚い。
奉仕の秘訣は、細かい事を気にせず、無心になる事だ。
無心に、ただ射精させる。男の煩悩は精嚢に溜まっているもの。射精させれば、女への執着も薄らぐんだから。
 
「お、おおっ……!? コ、コイツ、うめぇっ…………うめぇぞ、くぅああっ、ヘルス嬢以上だ…………!!」
肥満男の呻き声が聴こえてくる。
その声を聞かずに済むよう、私はさらに派手な音を立ててフェラチオを続けた。
じゅぼっ、じゅぼっ、と盛大に音が鳴っている。男は、こうして派手に音を立てるのが好きらしい。
特に女に免疫のないタイプは、セックス知識の基本がアダルトビデオだろうから。
「へ、すげぇ音立てるねこの女」
「っつか、今さらだがヤバイ絵だなコレ。童貞デブの足元に、マジモンのJKが跪いてよ、しゃぶってんだぜ?」
「犯罪的だよな。お前らもちょっと見比べてみ。あの、デブの毛だらけの太腿と、JKのつるっつるの太腿。
 オスとメスっつったって、これが同じ生物の足かよ?」
「ハァッ……ハァッ…………う、うるせーなお前ら、静かにしろよ……今、すげぇ良いんだから、よっ…………!!」
色々な声が聴こえてくる。
その中でも黙々としゃぶり続けていると、いよいよ口の中の物が硬さと大きさを増してきた。
正直、咥え込むのがつらい。私は唾液塗れのものを一旦吐き出した。
一度休憩を挟んだあと、幹の部分やカリ首を刺激しつつ、鈴口を舌で弄くって射精させようという算段だ。
けれどもその私の計画は、あっさりと崩された。

「あああ駄目、駄目だよ、今良いところなんだから!」
男の肉厚の手が、口を離したばかりの私の後頭部を掴んだ。そして、自分の腰へと引きつける。
「もごぉっ!!?」
私はえづいた。普通に咥えるのが苦しいと感じたサイズを、いきなり深く咥えさせられたんだから。
「ああ、いいっ! これいいっ!!」
男は私の苦しみが気持ちいいのか、後頭部を掴んだまま私の頭を前後させる。
「ん、んむうぐゥうーーっ!!」
当然、私は抵抗した。喉の奥を突かれれば、反射的に暴れてしまうのは仕方ない。
けれども、男の腰を押しやろうとした私の右手は、別の男に掴みあげられた。
「へへ、イラマチオかよ。いよいよ犯罪的だが、何せナマイキな女だしな、ザマァ見ろだ」
「はいはいゴメンよ。俺らも、ちょっと見たくなっちゃった。現役女子高生の、ディープなスロート。」
左手までまた別の一人に掴まれて、私は万歳をする格好で手を固定される。
頭は当然、正面の男に掴まれているので、逃げ場がない。
私は、さすがに怖くなった。
喉の奥にすごい質量を抉りこまれて、も゛ぇっ、ごぇえっと声が出る。
深く咥えさせられる事は今までにもあったものの、ここまで逃げ場がない状況は初めてだ。
鼻頭に、ぶよりとした三段腹が押し付けられる。
合唱コンクールよりも口を縦に開かされ、口の左右にはっきりとした筋を感じる。
存在をよく感じられない下唇から、ドロドロと涎のようなものが垂れていく。
 
「へへへっ、スゲェ顔になってんなぁ。顔戻んのかこれ?」
「今にも顎外れそうな感じ。ま、AVじゃ散々見た光景だし、大丈夫でしょ」
「そうそ。こんな田舎で売春するんだから、ディープスロートぐらいできなきゃ商売ならんて。
 実際何のかんの言っても、こいつ我慢してんじゃん」
「あーあー。涎ダラダラで、鼻水まで噴き出してんぞ。可愛い顔が台無しだわ」
「つーか、イラマでパンパン音鳴るとか、どんな腹だよあの百貫デブ」
「まさに調教って感じだねー。どうせ4泊5日で借りっぱなんだし、オレらの味たっぷり覚えこませようよ。
 パブロフの犬みたいに、しゃぶっただけで濡れるとか夢じゃんか」
「ひひっ。お前ってさ、ユルい顔で一番鬼畜な発想するよな。さすが、一日中陵辱ゲーやってるニートだけあるわ」

嘔吐ギリギリの苦しさの中、周りの声が妙に鮮明に聴き取れる。
でも、感傷に浸る暇なんてなかった。地獄のような喉奥責めのあと、とうとう男が射精したからだ。
「あああああ出るっ、出るぅうううっ!!!」
裏声に近いその絶叫のあと、男の両足が強張る。内股気味に閉じた股へと顔を押し付けられる。
その直後、どろどろとしたものが喉に絡み付いてきた。
それが何か判らないほど初心じゃない。とはいえ、吐くのを堪えられるほど飲精に慣れているわけでもない。
「んこあぅううう゛っ!!」
私は呻いた。呻いても、周りの男は力を緩めてはくれなかった。ただ、じっと押さえ込んでくる。
私は嫌だった。どろどろを飲みたくなかった。でも、長い間異物が喉にあると、ついそれを嚥下してしまう。
男の物が邪魔をして、吐き出す事もできない状況。胃の方に飲み下さなければ、苦しみから逃れられない。
「はあ、はぁっ…………さ、最低っ!!」
白濁塗れのものがようやく口から抜かれた瞬間、私は男を睨み上げて叫んだ。
結構ドスは利いていたと思う。でも男4人は、下卑た笑みを余計に深めるだけだった。
「うへへ、どうしよ。オレ、女子高生から最低って言われちゃったよ!」
「いいじゃねぇか。いわゆるご褒美ってヤツだな」
「今はまだツンツンしてるけど、明日か明後日ぐらいには、お願いだからハメて下さいって言うんだろうね。楽しみだなぁ」
さも可笑しそうに談笑する4人。私はその様に呆れ果て、二の句を継げなくなった。
閉じた口内に、青臭い精液の味がする。やがてそれは、私の鼻腔までを隙間なく侵食していく。

これが、地獄の一丁目だった。


 
一度客に貸し出されたら最後、私達に自由時間はない。
三日であれば三日間、四日であれば四日間、その一分一秒まで客のものだ。

「んっ……ふぅ、ん……んっ」
私は丸裸のまま、布団の上でキスを強いられる。今度は肥満男ではなく、筋肉質の男からだ。
横並びになったまま、肩を抱き寄せてのキス。恋人気分なのか、ひどく得意げな顔が憎らしい。
「……ブハッ。ヘヘッ、どうだ。俺は上手ぇだろ?」
口を離すたび、そう自信満々に尋ねてくるのも癪に障る。多分この筋肉男は、相当なナルシストなんだろう。
せっかく精液の味を消そうと歯磨きをしたのに、それもこの口づけで台無しだ。
「この子が返事しないって事は、別にそんなでもないんじゃない?」
「そうそう。ナルシストは嫌われるよ」
左右からは、カエル顔の小太り男とトカゲ風の細身男が、私の全身を弄ってきていた。
乳房や腋、太腿などを、飽きることなく撫で回してくる。
基本的には気持ちが悪い。でもそういう汗を掻きやすい場所というのは、女の性感帯でもある。
本当に時々、時々ではあるものの、ゾクッとくる瞬間もあった。
けれども。
それら全てが些細な事に思えるほどの感覚が、性器付近に渦巻いている。

「おら、オラどうだ? 感じてきただろう、うんっ、どうだ? 挿れてほしいんだろう、ええ!?」
私の脚の間では、肥満男が鼻息荒くクリトリスへローターを押し当てていた。
この男が私を屈服させるリミットは今日一杯。あと数時間もないから焦ってるんだろう。
でも、クリトリスは特別に敏感な部分。ローターをただ押し当てられても気持ちいいはずがない。
「ちょっと、そんなに押し付けないで。痛いってば」
私は冷めた眼で肥満男に言った。肥満男は肩をビクリと震わせてローターを離す。
「ギャハハハ、駄目出しされてやんの!」
「まーでも実際、オレらクリトリスの責め方ってあんま知らないもんね。ちょっと調べてみよっか」
一人が笑い、一人がスマートフォンを取り出して検索しはじめる。
そこからがまた長かった。
何かを相談しあう声、延々と身体に与えられる愛撫、振動と羽音……。
そのどれもが、じわじわと私を高めていったのかもしれない。けれども私は、それ以上に眠かった。
男4人に身を弄ばれる状況は、想像以上に疲弊する。
「く、ぁ…………あふ……ぅ………………」
にやける男達の姿を視界に捉えながら、私は、知らぬ間に夢へと落ちていた。





気がつけば、私は木造の教室に立っていた。懐かしい小学校だ。
夢である事は頭が理解している。
けれども私を取り囲んでいるクラスメイト達の顔は、妙に鮮明だった。
全員が小学校時代の姿のまま。そして顔には、私への軽蔑の表情を浮かべている。
『おい、インラン女!』
一人が私を指差して叫んだ。その周囲から笑いが起きる。
私はカッとなった。昔から、からかわれるのは許せない性質だったから。
「はぁっ、何なの!?」
そう反論するけれど、空気は変わらない。
『本当の事でしょ。きもちわるーいオタクから玩具にされて、濡らしてる癖に』
転校していった親友さえ、私をなじる。
「それは、仕事だからだってば! いつもだったら絶対ない、触らせもしない!!」
再度の反論。それでも空気は変わらない。私は必死になって弁明を続けた。
夢の中だから、自分が何を言っているのか解らない。ただ何となく、上手く喋っていそうだとは思った。
いかにもな理屈を並べて、説得力を持たせて。
それでも、クラスメイトの目から軽蔑の色は消えなかった。
『…………ふぅん、そう。わかったわかった。』
私がまくし立てるのをやめた時、親友が私の肩を叩いて笑う。
そしてくるりと踵を返した。他のクラスメイトもそれに倣った。
いつの間にか、その背景は教室ではなくなっている。ただ一面の、真っ白い光だ。
私は本能的に理解した。このまま置いていかれてはいけない、と。
「ま、待ってよ!!」
そう叫びながら駆け出す。でも、遅かった。

穴に落ちる感覚の後、また風景が切り替わる。
私は腰を抜かしたようにへたり込んでいた。地面の代わりにあるのは、おぞましい内臓のような何か。
腐臭を放ち、ぬるぬると蠢き、生暖かい。
それが私を絡めとっていた……いや違う、私の方が、『それ』に腰まで埋没していた。
「いやあああっっ!!」
私は叫ぶ。おぞましくて、叫ばずにはいられない。
でも逃げる事はできなかった。触手のようなヌメりが手足に絡み付いているせいだ。
手足だけじゃない。恥ずかしい場所にまで、その触手の先は入り込んでいる。
「いやあっ、嫌、やめてぇえっっ!!!」
私は半狂乱になった。下半身が熱い。まさか私は、感じているんだろうか。このおぞましい触手に嬲られて。
 
夢の中とはいえ、延々と暴れ続け、それでも逃げられないと疲れてくる。
私は力を失い、触手の地面に身を預けた。
 (おっ、なんか急にグッタリしたぞ)
触手の地面の向こうから、テレパシーのように言葉が伝わってくる。私にはそれが、悪魔の囁きに思えた。
それから悪魔は、様々に囁いてきた。
 (どうだ、感じるのか?)
その言葉と同時に、秘部の触手が蠢く。じわりとした熱さが、私の股の辺りに生まれる。
「あひっ…………かっ、感じ……る…………」
私はうわ言のように呟いた。
そう、これはうわ言だ。お風呂で湯に浸かりながらぼやくような、意味のない言葉だ。だから、いくら言ったっていい。
実際、触手のもたらす刺激はいつしか快感になっていた。
ジン、ジンと秘部の一点に痺れが生まれて、気持ちが良かった。
 (なら、これも良いのか?)
また悪魔の声。同時に、あそこの浅い部分がそれまで以上にジィンと痺れる。
「あひぃっ!! いい、いひぃよぉっ…………!!」
私は、自分でも驚くような声量で叫んだ。反射的に手足が跳ねそうになるけれど、それを肉の地面が押し留める。
 (ウヒヒ、すごい反応)
 (こいつ、意外に暴れやがる。そっちの足離すなよ)
悪魔の声がいくつも聴こえた。微妙に声色が違う。悪魔は何人もいるらしい。
何人かの悪魔…………そのフレーズが頭の中に生まれた瞬間、私はその数が4であると確信した。
この時点で私は、もう半ば夢から醒めていたんだろう。
刻一刻と意識が定まってくる。現実と夢の境目に近づいていく。
やがて、口の端からだらしなく涎が垂れた。その涎が頬を撫で、うなじにまで垂れ落ちるのを感じた時……
そのリアルすぎる触感で、私は目を覚ました。

瞼を開いた瞬間、視界が急に白く開ける。
目に飛び込むのは、柾目も美しい桐天井、そして旅館特有の和紙で包まれた灯り。
「うくっ!?」
同時に私は、下半身に尋常でない違和感を覚えて呻いた。
あそこの先端……クリトリスがひどく熱い。どうやら完全に勃起しきっている。
「お、ようやく目ぇ覚めたか」
「へぇ……ホントに狸寝入りじゃなかったんだ。あんなハッキリ返事してたくせに」
男達の声がする。
首を持ち上げると、夜の間に散々目にした、あの下卑た顔が3つ並んでいた。1人は別の場所にいるらしい。
男3人のいる場所は、それぞれ私の右、左、足元。
それに気付いた瞬間、私はさっきまでの夢の意味を理解した。
生暖かい肉の壁は、この男達の手の平や肌。
手足を動かせなかったのは、左右の男に足首と肩を押さえられているせい。
そして秘部に感じていた痺れの原因は…………足元の筋肉質な男からの、クリトリス責めだ。

 
「おはよう。寝てる間も気持ちよかったでしょ?」
小太りの男が私に訊ねた。
私はその言葉に答える代わりに、改めて“熱さ”の源へと意識を向けた。
脚の付け根に張り付く、濡れた布の感触。まるでお漏らしをしたかのよう。
どうやら、一度脱がされたショーツをまた穿かされ、その上でクリトリスを責め抜かれていたらしい。
「ホント、変態……」
私は嫌味の言葉と共に小太りの男を睨みつける。男は笑った。
「あ、その感じだと気付いたね?
 ネットで調べたら、クリは敏感だから、最初はパンティー越しがイイんだって。どうも、その通りみたいだねぇ」
小太り男の言葉を、柄の悪い筋肉男が引き継ぐ。
「テメエじゃ見えねぇだろうけどよ、いまお前のマンコ、すげえ事になってんぜ。
 マン汁で濡れたパンティがドテに張り付いてよ、もうほとんど丸見えだ。
 クリ責めるたびにヒクヒクして、ショーツに皺が寄ってやんの。モロ見えよりやらしーぜコレ」
男はそう言いながら、ローターを私のクリトリスへ押し当てた。
ビリビリ、と内腿が痺れる。
「ふんんんん……!」
私は口を結び、鼻から息を吐いて、かろうじて喘ぎ声を殺した。客に喘ぎは聞かせたくない。
でも結局、感じている事は悟られたらしかった。
「ふふ、感じるでしょ。あそこで力尽きて寝てるおデブちゃんが、夜通し頑張ってたからねぇ」
小太り男は後方を指しながら告げた。
その先では、昨日私を責めていた肥満男が、トドのように仰向けで寝転がっている。
浴衣は乱れ、毛むくじゃらの足が丸見えで気味が悪い。あんな男に一晩中責められていたなんて、ゾッとする。

「オレら、あんまり女の子責めた経験なかったからさ。ネットでクリの責め方調べて、色々試したんだよ。
 親指でクルクル回したり、舌でねっとり掻き混ぜたり、ローションつけた綿棒で皮剥いたり、電動歯ブラシの背で刺激したり。
 あんまり責め続けだと感覚が麻痺するらしいから、放置もしつつね。
 ああ、放置って言えば、パンティ履かせる前にメンソレータム塗って、ふーふー息吹きかけたりもしたっけ。
 この旅館の箪笥って、責めの道具とかコスプレとかがやたら揃ってて驚いたよ。
 旅館が調教を後押ししてくれてるみたいで、嬉しかったなあ」
小太りの男は嫌らしく言う。でも、その通り。
この『灯香苑』の箪笥には、指名女性に合わせた小道具が予め用意されている。
コスプレ衣装は、事前に採寸したサイズ通りのもの。
ギャグやディルドウ類は、長時間使っていても無理のないサイズ。
緊縛に用いる麻縄は油を入れてしっとりとなめし、肌へのあたりを良くしてある。
ここまで用意がされているなら、確かに旅館ぐるみで調教を推奨していると言えなくもない。

「ま、とりあえず公認って事だからよ。遠慮なくいくぜ」
筋肉男の言葉で、また責めが再開された。
クリトリスを親指で押さえつけたまま、根元にローターを当てられる。
痛いぐらいに勃起している状態でそれをされると、はちきれそうになる。今度は我慢する暇もない。
「くっああっ!!!」
私は叫びながら身を起こしかけ、両脇の2人に押さえ込まれる。
行き場を失くしたエネルギーが鎖骨を痙攣させる。
「ほら、暴れない暴れない。ったく、寝てる時より元気だなやっぱ」
「さっきまでは、ほぼ足首押さえてるだけでよかったからな。細い足首で掴みやすいし」
両脇の2人は、私の身体に手を這わせながら笑った。筋肉男も笑う。
「そら、イイだろ。お前がどう責めればどんな反応すんのか、こっちは一晩中観察してんだ」
その言葉通り、確かに、昨日より格段に上手い。
クリトリスに触れるかどうかの絶妙なソフトタッチ。おまけに、私の好む角度をよく知ってる。
「くう、うっ…………」
集中すれば、今すぐにでも達しそうなほど気持ちがいい。けれど、男達の手前我慢する。
「なんだよ、素直じゃねぇなあ。さっきまでは、気持ちいい、イキそうとか言ってたくせに」
「嘘言わないで」
「いやいや、嘘じゃねぇって。お前さ、寝てる間はすっごい素直だったんだぜ。
 俺らが色々責めて、気持ちいいか聞くたびにちゃんと答えてたじゃんか」
「そ、そんな訳……!」
私は反論した。でも、本当は心当たりがある。それをあくまで認めたくないだけだ。

「…………ま、ンなのどっちでもいいっつーの。
 それより、そろそろ朝メシ喰いにいこうぜ。『梅の間』に用意してあるって、さっき仲居が言いに来てたろ。
 今日はいよいよ俺が責める番だからよ、精力つけさせろっつって、トロロ用意させたんだわ」
「ははっ、そういや言ってたな。張り切りすぎて暴発すんなよ?」
男達の話が纏まると、私は両脇の男に抱えるようにして立たされる。
立ち上がって始めて、シーツが一面濡れている事に気づいた。
「ヒヒッ、改めて見るとスゲーな。寝小便したみてぇ」
「しかもこれ全部よ、女子高生がクリ責めされて垂らしたマン汁なんだぜ?」
「そう考えるとお宝だよねー、この布団。片付けられんのが勿体ないかも」
男達が談笑しあう中、私の温度だけが低かった。
部屋を満たす自分の愛液の匂い、そして男達の噎せかえるような体臭。それが鼻腔を通じて、私の中に入ってくる。
朝一番にこれほど疲弊するのは初めてだ。しかも、先は長い。4泊5日のうち、まだ2日目が始まったばかり。
そう考えると、『灯香苑』の初夏の御膳も美味しくは感じなかった。



朝食と朝風呂を終えた後、私は外へ連れ出された。
格好はチアガール。隣町の高校が使っている本物のチア衣装で、安っぽさはない。
けれどもヘソ出しの超ミニで、街中を歩いているとほとんど痴女だ。
おまけに今の私は、濡れたショーツすら奪われていた。代わりに秘部には、バイブが深く刺さっている。
「もっと自然に歩けよ。変に見られるぜ」
筋肉馬鹿の男が耳元に囁いてきた。私は思わず睨み返す。
悔しいが私の秘裂は、一晩中のクリトリス責めですっかり濡れていた。
バイブにはそこそこ太さがあるものの、歩く動きと愛液で滑り落ちないとも限らない。
また、ショーツを穿いていないせいで、愛液が滴っている所を通行人に見られる可能性もある。
さらに、ごく小さいながらもバイブからは駆動音がしていて、それを聞かれる危険性まであった。
こんな状況で、いつも通りに歩けるはずもない。だから私は、“小さい方”を我慢するような歩き方しかできなかった。
「ってか実は、見られたいんじゃないのー?」
「ぐひっ、あるある。意外と性格キツい子ほどMにハマりやすいって、前になんかで見たぜ」
「実際こいつ、胸デケェし、脚もスゲーいいもんな。まっ、昨日俺が散々揉みまくって、舐め回した脚だけどな!」
小太りの男達も、少し離れた所から口々に茶化してくる。私はたまらず唇を噛んだ。

私は、思っている事が表情に出やすい、とよく言われる。今ばかりはこの性質が憎い。
男達に命じられるまま街の案内をする中で、私は雑貨屋の店先に顔見知りの姿を見つけた。
大智という、高校のクラスメイトだ。歳は1つ上だけど、子供の少ない地域だから、年の近い子は皆同じクラスになる。
私は大智の姿を見つけた瞬間、表情が強張った。
すぐに別の方を向いて誤魔化そうとしたものの、男達にはバレてしまったらしい。
「ん? ……おい、あの店はなんだ?」
「雑貨屋。大体の生活用品はあそこで揃うの」
「へぇ……女物のパンティーもか?」
ここで私は、男の意図に気がつく。
「よく考えりゃあお前、今ノーパンだよな。それじゃあ可愛そうだからよ、特別にパンティを買わせてやる。
 あの店で坊主頭に、あるかどうか聞いて来いよ。俺らは外で待ってるからよ」
筋肉男はそう言って私の背を押した。たとえ拒否しても、無理強いしてくるだろう。
私は命令通り、クラスメイトが店番をする雑貨屋を訪れるしかなかった。

「は、ハロー、大智……」
私は強張った表情のまま、店内に足を踏み入れる。
「お、おお。何か用か?」
大智もぎこちない表情だ。
大智は多分事情を知ってる。狭い田舎町だし、どこで誰が客を取るなんて噂はその日中に広まるから。
性産業は今やこの温泉街の生命線なんだから、本来は恥じる話でもない。
それでも、クラスメイトと“接客中”に顔を合わせるのは……ひどく気まずい。
男にはショーツを買ってこいと言われたものの、とても切り出せない。

私達はしばらく、白々しい世間話を続ける。そして私は、その話にすら集中できてはいなかった。
「そういえば、最近…………んん、っふ……こ、高校の、近くに、さ…………」
話の最中にも、私の中のバイブは唸りを上げ続けている。
丸一晩かけてクリトリスを苛まれた影響は大きい。
ほんの10分足らずの間に、何度も軽い絶頂が訪れ、愛液が滲み出してくる。
私の足元には今、小雨が降ったような黒い染みが出来ていることだろう。
「ん、んふんん…………!」
バイブを落とすまい。そう思って下腹に力を込めると、腰の抜けそうな痺れが走る。
おまけに男がスイッチを弄っているらしく、バイブの振動は様々に変化した。
純粋な刺激に加え、羽音を聞かれたらどうしようという不安が、私の心を掻き乱す。

大智はそんな私の状況を察してか、イエスかノーで答えられる話ばかりを振ってくれた。
教室ではよく馬鹿を言っているヤツだけど、こういう気遣いをされると少し見直してしまう。
「……あ、あのさ。兄貴が今度、カブ買い換えるんだ。んで古いの俺が貰うからさ、今度、一緒にどっか行こうぜ」
大智は首筋を掻きながら言った。
首筋を掻くのは、大智が照れ隠しにする癖だ。つまりこの言葉は、完全な冗談でもない。
ひょっとすると大智は、少し私に気があるのかもしれない。
「ん、いいけどさ。こないだのマラソンの時みたいに、派手に転ばないでよ?」
私ははにかむように笑い返す。すると大智の目が輝き、でも次の瞬間、驚きに見開かれる。

「よォ、てめぇパンティーはどうしたよ?」
いつの間にか、後ろに筋肉男が立っていた。
振り返って何か言う前に、乳房を鷲掴みにされ、同時に人差し指で乳首を捏ね回される。
「あっ、やめっ…………ン、くっ!!」
性的に昂ぶった状態でも乳房責めは、かなり来る。私は制止の言葉を紡ぎきる前に、言葉の力を失った。
「おいガキ。俺の聞き間違いかもしんねぇがよ、今この女をデートに誘ってたか?」
「あ、いえ、あのっ…………!」
「ハッ……ま、すんなとは言わねぇがよ。見ての通り、今コイツは俺のモンなんだわ。告んのは、俺が使い捨ててからにしてくれや」
男は好き勝手を言うと、反論しようとする私の唇を奪う。
「ん、んんっ! んむぁっ、あっむうっ…………!!」
クラスメイトの前で、下品な男から胸を弄られ、荒々しくキスされる。これはあまりにも屈辱的だ。
私は抵抗したものの、その動きの中で、男に膝裏を掬い上げられた。
片足が高く上がり、ミニスカートが捲れる。当然、その中のものも丸見えになる。
「あっ!?」
大智の声がした。私は堪らなくなって目を閉じる。今の大智の表情だけは見たくない。
「へへ、イイ顔すんなぁ。……ああ、そうだ雑貨屋。ゴムくれや」
「ゴム……?」
「コ・ン・ドー・ムだよ、決まってんだろが! ったく、田舎モンはトロくせぇだから嫌ぇだ。
 今はこの女を焦らし調教してる最中だが、最後にゃ俺と、入り口にいる脂デブ共とでマワすんだよ。
 俺ら4人だから……そうだな、7ダース用意しろ。速攻な」
筋肉男がそう言った直後、大智の方から歯を噛みしめる音が聴こえてきた。続いて、バン、と物を叩きつける音もした。
「チッ、ンだその態度? まぁいい。オラ、とっととこんなボロい店出て、続きすっぞ」
筋肉男はそう言って私の腕を取り、店を後にしようとする。
「あっ…!!」
私はこの時、大智の方を振り返ろうかと思った。でも、振り返ってからの言葉が思いつかず、結局黙って男に従った。
裏表がない。サバサバしている。よくクラスメイトにそう言われる性格が、今の私には当てはまらない。

今の私は、陰湿だ。


 
大智と私のやり取りが、よほど筋肉男の小さなプライドを逆撫でしたんだろう。
私は『灯香苑』へ連れ帰られてから、ひたすらに羞恥責めを施された。
まずは秘裂のバイブを引き抜き、鼻先に突きつけた後、愛液をすべて舐め取らされる。
「自分のマンコの味はどうだ、ええビッチ女? あんなガキに誘われたからって、その気になってんじゃねぇぞオラ!」
私がバイブを舐め清める間中、筋肉男は耳元で罵倒を繰り返した。
さらに彼は、私のあそこをクスコで開けるだけ開き、姿見の前で開脚のポーズを取らせる。
そして乳房やクリトリスを刺激しては、クスコの中の様子を私に実況させた。
この惨めさといったらない。
自分の性器の中を直視する事自体、抵抗がある。それなのに、濡れて収縮する様子まで解説させられるんだから。
この時はきっと、何かがおかしかった。こんな状況でも膣から蜜があふれたのは、何かが狂っていたせいだ。

恥辱は夜が更けてからも続いた。
「ん、んんっ……お、おおきい…………もう、無理…だってば………………!!」
私は筋肉男に告げる。
様々な責めで膣がすっかり濡れているとはいえ、ゆで卵大の責め具をいくつも入れられては堪らない。
それでも男は黙々と、開帳した私の部分へ挿入していく。
「そら、散歩だ。キリキリ歩けや」
もう限界というまで責め具を入れると、男は私に首輪をつけ、リードで先導した。
首輪を引かれる私は、その後を四つ足でついていくしかない。
『灯香苑』の人達の視線を浴び、廊下に愛液を滴らせながら、旅館の中を延々と徘徊させられる。
どこかの部屋に着くと、そこでも衆人環視の元、桶の中に『排泄』。
そして責め具を挿入し直され、また徘徊させられる。
何時間もこれが続いた。
おまけに男は、私の足が止まるたび、鞭でお尻を打ち据える。これが痛くて痒くて、辛抱たまらない。

この責めは、前日の嬲りとはまるで違った。
肉体的快感は弱い。歩くたび、熟れた膣内でゴリゴリと責め具が動く刺激はあるものの、絶頂に至る類とも思えない。
にもかかわらず、私はひどく濡れているらしかった。
廊下を往復するたびに増えていく愛液の雫……それを目の当たりにしては、否定のしようがない。
「ドロドロに濡らしやがって、この露出狂の変態女が。膝にまで伝って、今にも滑りそうじゃねぇか。
 マンコも触ってねぇ、クリトリスも弄ってねぇ。一体どこに濡れる要素があるんだ?」
男の言葉が胸を刺す。裸を見られて興奮する露出狂。自分でもその通りに思えてしまう。
「はぁっ…………はあ、はぁっ………………!!」
呼吸も荒く徘徊を続けていたある時、ふと目の前に白い足袋が現れた。
顔を上げると、若い仲居さんの気の毒そうな顔。
穏やかなその瞳は、私の乳房を、口元を、目を、順番に映していく。私はいよいよ泣きそうになる。



恥辱責めは、本来なら憩いの時間である夕食時にさえ続いた。私の身体を使った『女体盛り』という形で。
「へぇー、これが女体盛りか。つっても、ヌルくてあんま美味かねーな」
「ま、あくまで見た目で愉しむネタだからねぇ」
「そういう意味じゃ、この女子高生盛り、結構イケてるな。なんせ土台がいい」
「そうか? なまじ胸がデケーせいで、料理の盛りがアンバランスじゃん。やっぱこればっかは、貧乳が一番だな」
「んな事よりよぉ。あの股間の伊勢海老、誰が食うかジャンケンで決めようぜ」
若い仲居さんが丁寧に盛った刺身を、男達は品なく食い散らかす。
特に筋肉男は、あくまで私に屈辱を与えることが目的らしく、色々とやってきた。
「刺身より、こっちの芽が美味そうだぜ。……っと、取れねぇなあ?」
唾液のついた箸で左右の乳首を弄くり回す、なんて序の口。
そのうち、箸でつまんだ刺身を割れ目に押し込み、たっぷりと愛液を塗して私自身に食べさせ始める。
「お前も腹が減っただろうと思ってよ。どうだ、テメェのマン汁の味は」
私の顔を覗き込みながら、筋肉男は頬を吊り上げる。
その醜悪な笑みを前に、私は吐きそうな気持ちを押し殺し、ただ無表情に咀嚼を続けた。
「チッ、このクソビッチが!」
私の反応にいよいよ腹を立てたらしく、ビールを瓶ごと煽る筋肉男。
別に、器の小さい筋肉男がご立腹だろうと知った事じゃない。
ただ問題なのは、それまで談笑していた他の3人まで、同じく余計な事に興味を持ち始めたことだ。

「あっ……あ、あ…………はぁ、は…………あ」
3膳、あるいは4膳の箸が、私の身を責め苛んだ。
1膳はクリトリスを、1膳は陰唇を、1膳はお尻の穴を弄くり回す……例えばこういう状況は、かなり声が出る。
上等な塗り箸で性器を嬲られる恥辱は、想像以上だ。
特に2膳で別々の方向からお尻の穴を拡げられた時には、完全に素が出て叫んでしまった。
「へへ。おい、こいつアナルが弱ぇぞ」
「だな。『やめてー!』なんて可愛い声で叫ばれちゃ、もっとイジめたくなるっつーの!」
結果的にはその事によって、なお執拗に肛門を嬲られる事となる。
これがあまりにも恥ずかしくて、私は横を向いたまま、右の目頭から大粒の涙を零してしまう。
当然ながらその瞬間は覗き込むようにして目撃され、散々に笑いの種となった。
すべては筋肉男の目論見通り……という訳だ。

宴は女体盛りからの『ワカメ酒』を経て裸踊りにまで達し、私に一通りの恥辱を味わわせた。
そしてわずかな食休みを挟んだ後、空のビール瓶や醤油皿が散乱する横で、本格的な性感責めが始まる。


「あ、ああ……っく、ああ! ふああふ…………あっ…………ふゥ、っう…………!!」
私は愛撫を受けながら、喘ぎ声を止められなかった。
「ウヒヒ。この子、今夜はすごい声出るね。童貞の俺らも、女のツボ押さえてきたって事かな」
「昨日徹底的にクリ責めて、今日はヴァギナ開発だろ。いい加減、火照りやすくなってんじゃねぇ?」
「あ、あとアレだ。さっきのワカメ酒よ、こいつが意外にムッチリ脚じゃなかったせいで、だいぶデルタゾーンから零れたろ。
 それがアソコに入って、こいつ酔ったんじゃね?」
この指摘は、多分どれも間違っていない。でも、理由はもうひとつ。
朝からの恥辱の経験が、私を変えた。
性的快感がある事。つまりは『感じても仕方のない理由』が与えられている事。その悦びが私に隙を作っていた。
「ふぁ、あ……ああ! うく…………ふぁあ、はああっ……あ、あ…………!!」
私はこの夜に限り、無防備にも男達の愛撫に浸ってしまう。
朝までの6時間あまり。その間に一体、どれだけ性感開発が進むのかも自覚せずに。

4人の男に群がられ、ひたすらに性感帯を弄られる。
初日はひたすらに嫌だったこの行為も、この夜は妙に性的に感じた。
私自身の心が無防備である上に、男4人の責め方もかなり上手くなっている。
私は弱い部分への刺激にすぐ反応する方だから、弱点を見つけやすいんだろう。
うなじを、手のひらを、肘の内側を、腋の下を、脚の付け根を、膝裏を、足の指の間を……。
汗を掻きやすい部分、つまり性感帯である部分を、数箇所同時にくすぐられ、舐めしゃぶられる。
これだけで今の私は、ゾクゾクと背筋に痺れを感じてしまう。
性感帯ではないものの、鎖骨や腰骨の下、臍や耳の穴といった窪んでいる部分も、舐められるとかなりつらい。
こういう地味な部分で炙るように高められつつ、クリトリスや陰唇といったメインの性感帯を刺激されれば、当然声も出る。
そして、今夜本当に参っているのは胸だ。
昨日までは不快感ばかりが大きかった乳房への揉みしだきが、今日は堪らなく気持ちいい。
脂肪の塊に過ぎなかった部分を、根元から丹念に揉み上げられるうち、すっかり乳腺が目覚めてしまったらしい。
その変化は当然、手の平で弄んでいる男たちにも伝わっているようだった。

「なんかよ。こいつのチチ、でかくなってねぇ?」
「あ、やっぱし? 最初から割とボリュームあったけど、さらにサイズアップしてるよな」
「乳首が石ころみたいになってたり、乳輪っつーの? 周りも膨らんできてんのも関係あんのかね」
「んー、ネットによると、感じてくると一般的に乳房も乳首も大きくなるみたいだね。
 微妙に色づいてたりするのも、性反応周期で言う、興奮期を超えた平坦期の特徴……だってさ。
 ここ超えれば、いよいよ絶頂期らしいよ」
「へえ。じゃあこのJKも、順調に感じてるって事だな。自信つくぜ」
「よく見ると女の乳首の先って、クシャッとなってんのな。乳輪にもツブツブみたいなのあるし」
「それも感じてる証拠じゃない? 人間って感じると鳥肌立つらしいからさ」
「っつーか今さらだが、スゲェよな。俺、ソープ嬢の乳しか見た事なかったがよ、今はJKのナマチチ拝んでんだぜ。
 おまけに興奮して、どんどん膨らんでく様子までだ。想像もしなかったぜ、こんなの」

膨らんだ乳房をじっくりと観察され、品評される。私は唇を結んでこの羞恥に耐えた。
性反応周期で言う、興奮期を超えた平坦期の特徴。ここを超えれば、いよいよ絶頂期。
小太りの男の言葉が、耳の奥に木霊する。
刻一刻と昂ぶっているのは自分でも解っていた。でも身体の変化と紐付けて医学的に分析されると、また違う。


2日目もあと少し。いよいよ持ち時間の少なくなった筋肉男は、休みもせず私を嬲った。
布団の上に這い蹲り、膝をついてお尻を持ち上げる。その屈辱的な格好を取らせ、背後から責める。
あそこの周辺にローターを這わせているだけとはいえ、今はそれでさえ辛い。
浅い部分ばかりを刺激されると、奥が疼く。愛液があふれて、腿を伝っているのが自分でも解る。
「オラ、どうだ、いいんだろうが。マンコが物欲しそうにヒクついて、涎垂らしてんぜ?
 そろそろ、俺の太いのが欲しいんだろうが、ええ?」
その言葉と共に、私の下腹部に熱い物が触れる。硬さもあり、先端にはぬめりが感じられる。
どうやら勃起した部分を、私の茂み付近に擦り付けているらしい。
「はぁっ、はぁ……笑わせないでよ…………あ、あんたが、挿れたいだけでしょ」
私はシーツを掴みながら反論する。
挿入の懇願だけはしたくなかった。町の存続のために奉仕はする、でも懇願はしない。それが私のルールだ。
現実を割り切れていない子供だ、と言われるかもしれない。でも私は、私自身の矜持を捨てたくなかった。

焦らしは続く。
「ふう……う゛っ!!」
ローターが膣の入口を舐めた時、唐突に強い絶頂感が襲ってくる。でも、イケはしない。生殺しだ。
その狂おしいほどのもどかしさに、私は顔を上げる。眉を顰め、歯を噛みしめる。
「お、頑張ってる頑張ってる。
 ……なんかこの子って、何の変哲もない場所で急に感じたりするよね。
 まぁ、女の性感帯なんて千差万別だって、この女医のブログにもあるけどさ」
「つぅか感じる場所ってより、ずっと責められてる快感が、ある瞬間にあふれるって感じじゃねぇの?
 何せ、もう2日目だぜ。放置しつつだけどよ、40時間近く焦らしてんじゃん。そりゃヤバいって」
「そういやそっか。自分で考えてもそんだけの時間4人から触られりゃ、おかしくなりそうなモンだよな。
 特にこいつ、肌スベスベで感度良さそうだし」
男3人……肥満男、小太り、痩せ型は、壁際に座りながらスマートフォンを弄っていた。
たまに私の様子を窺いながら、股間を弄ってもいる。
その休息が羨ましい。入れ替わり立ち代わり、休みなく刺激されるのは本当につらい。
荒い呼吸も、滝のような汗も、身の火照りももう嫌だ。
挿入を乞いさえすれば、この地獄から開放される……そんな事すら考えてしまう。
でも、しない。屈した瞬間の、してやったりという笑みを見るぐらいなら、死んだ方がマシだ。

「おっと、はいマッチョ君ー残念、時間だぜ!」
男の一人が腕時計を見て叫んだ。その瞬間、背後で溜め息が漏れる。
「…………かーっ、あンだよクソがっ!」
そう言って肩を鳴らし、部屋の隅へと戻る筋肉男。それと入れ替わりに、小太りの男が立ち上がる。
「ブフッ、下拵えご苦労様。さぁ、いよいよ俺の番だ」
最初から何となく感じていた事だけど、多分、4人の中でこいつが一番手強い。
今までの責めはほとんど、この男の知識を元にしていたから。
「オレって見ての通りユルいけどさ、慧勝軒のチャーシュー食べたいから、手は抜かないよ。
 もし耐え切れたら、キミのことスゲーって思うかも」
いかにも苦労知らずの顔に、醜悪な笑みを浮かべる小太り男。
それを見て私は、鼓動が早まっていくのを感じていた。





朝風呂で汗を流した後、私は布団に戻されて拘束された。
「お、けっこう開くじゃん。身体柔らかいなー」
180度近い開脚を強いながら、男は醜悪な笑みを絶やさない。
大きく開脚して膝を曲げ、左右の手首と足首を麻縄で結わえ付ける。
さらにその縄尻を柱に通せば、これ以上ないほど屈辱的な格好が完成する。
秘部を晒し、カエルのように両脚を開く、惨めな格好が。
「うひゃ、いいポーズだ」
小太りの男は、まじまじと私を観察して呟いた。見れば見るほどにカエル顔だ。
「あんたの方が似合うと思うけどね。カエル顔だし」
私は男を睨みながら、そのままに言ってやった。今さら、この男に好かれようとも思わない。
「ブハッ、カエル顔だってよ! キツいねぇ」
周りの男から笑いが漏れ、さすがに小太りの男からも笑みが消える。でも、それも一瞬だった。

「……ふぅん。ま、その手の煽りには慣れてるから、別にいいよ。
 どうせすぐに、そんな軽口も叩けなくなるんだしね」
小太りの男はそう言って私の元を離れる。
そして宿に持参してきたリュックをしばし漁ると、白い何かを取り出した。
独特の形状……マッサージ器だ。
「おいおい、お前ンなもん隠してたのかよ!?」
「うーわきったねぇこのデブ、『スライヴ』があんならさっさと出せや!」
男達から非難の叫びが上がった。どうやら『スライヴ』という名称らしい。
「ウヒヒ、まぁ落ち着いてよ皆。これも偏に、慧勝軒への執念ってヤツだよ」
小太りの男はそう言いながら、マッサージ器のコンセントを差込み、スイッチを入れる。
ヴウウウウーーン、と重い音が部屋に響き始める。
心臓に来るその音は、とてもローターの比じゃない。私は、冷や汗を背中に感じた。
「お、いい顔するね。やっぱクールなツンデレっ娘は、そういうちょっと焦った顔が映えるよね。
 さぁ、てと…………今は風呂入ったばっかでこんな綺麗だけど、スライヴの威力の前で、いつまでもつかな?」
小太りの男は、私の割れ目を指で開きながら、カエル顔で笑った。


予想通り、『スライヴ』の威力はローターとは桁違いだった。
あくまで局所的なローターの振動に比べ、スライヴの振動はズーンと腰の裏側まで通り抜ける。
重い駆動音は心臓に響いて、快感とは別に呼吸を乱してくる。
「ひひ、やっぱすげぇ迫力だなスライヴは」
「ああ。これは流石に感じるだろ、っつう迫力があるな」
男達は愉しげに囁きあうが、すぐにその声をスライヴが掻き消す。
スライヴの音は、宛がわれ方によって微妙に変わった。
時には高く、時には低く。強く押し付けられた時には、摩擦を感じさせるズズズズ、という音にもなる。
そして、そのそれぞれで快感の種類が違った。
「ふぅん、ふんふん…………なるほどね」
小太りの男は、私を見上げながら、冷静にそれを分析しているらしかった。

2日間開発された私の身体は、マッサージ器が宛がわれてから3分と経たないうちに反応を始める。
膣の奥が切なく疼き、陰唇がヒクつき、太腿の内側が蠢いてしまう。
「おっ、濡れてきた濡れてきた!」
3分経過辺りの男の声も、ああやっぱりか、という印象だ。
そこからさらに1分経ったところで、一旦マッサージ器が外された。
「あーあ、涎垂らしちゃって」
小太りは、親指で私の性器を押しひらいて笑う。他の3人もそこを覗き込んで嘲った。
何度経験しても、濡れた部分を覗き込まれる事には慣れない。羞恥で、耳まで赤くなりそうだ。
「意外だな。最初見たときは、いかにも真面目でクールそうな娘って印象だったのに、こんなになって。
 なんか、女子高生への幻想が崩れてくよ。
 ひょっとして、都会にいる真面目そうなJKも、やっぱこんななのかな? 同じ女として、どう?」
小太りの男は、私の目を見つめながら訊いてくる。私はその目を睨み返した。
「……知らない」
「やっぱり、そう答えると思ったよ。ま、他の子の性事情なんて関係ないしね。要は、キミがどれだけ我慢できるかだから」
その言葉が終わると同時に、再びマッサージ器が押し当てられる。
「ふうっ!!」
ほとんど不意打ちに近い快感に、悲鳴を殺しきれない。
そこからまた、上り詰めていく。
クールダウンを挟んだとはいえ、熱さは消えない。むしろ休憩を挟んだ事で、また新鮮な感覚が戻ってしまっている。
「グフフ、またヒクヒクしてきた」
小太りの男は、余裕たっぷりに笑った。


私は今までに、何人も客を取ってきた。
その中には前戯をたっぷりする人間もいたし、焦らされたセックスの気持ちよさもよく知ってる。
でも、今回ほどしつこいのは経験がない。
秘部にスライヴを押し当てられ、今にも達しそうな所で離される。それがもう、どれだけ繰り返されているんだろう。
30分、それとも1時間が過ぎただろうか。

「うわぁー、すごいすごい。愛液で布団がもうグショグショだよ。せっかく朝風呂の間に、新しいのに替えさせたのにさ」
小太りの男は、両の親指で私の秘裂を押しひらく。
むうっとする膣の匂いが、私自身にまで匂った。その羞恥ともどかしさに、私は下唇を噛む。
「一応、また聞いとくよ。そろそろ“欲しく”なった?」
耳を舐めるような囁き。私はそれに返事をしない。指で膣を浅く刺激されても、口は開かない。
「相変わらず強情だねぇ、別に自分が損する訳でもないってのに。
 ホラ、中は素直だよ。指を2本入れただけで、物欲しそうに絡み付いてくる。もうトロットロじゃん」
ぬち、ぬちっと粘り気のある水音が耳に届く。
指はさらに膣を進み、ある部分を捉えた。そこを撫でるようにされると、一気に絶頂感が襲ってくる。
「ううう゛ううんん゛っっ!!!」
「アハッ、すごい反応。このザラザラしたトコか、その奥のツルッとした窪みのどっちかがGスポットなんだよね。
 ほとんど触れてもないのにそこまで感じるとか、どんだけ出来上がってるんだろ、キミの身体って」
男はそう言いながら、本当に緩く刺激を続ける。
まさしく性感帯中の性感帯を撫でられて……でもその刺激が弱いせいで、逝くに逝けない。
私は気が狂いそうなもどかしさを、手足に力を込める事で紛らわせる。
麻縄で結ばれた両の手首足首は、お互いに引きすぎてすっかり血の気を失くしていた。

「ふぅー、さすがに疲れたな。ちょっと休憩しよ」
小太りの男は指を引き抜き、額を拭ってからそう言った。
そして意外にも、私の手足の縄をほどく。本当に小休止させてくれるのか、と一瞬は思ったものの、甘かった。
「見てホラ、バキバキに勃っちゃった。先走りがさっきから溢れまくってんだ。
 今まで散々気持ちよくしてやったんだからさ、今度はそっちが気持ちよくしてよ」
荒い息と共にそう告げると、小太りの男は私の髪を掴んだ。もう片手で顎を掴み、無理矢理に咥えさせてくる。
「うっ、うむああ゛ごっ!?」
飢えた男に強いられると、非力な私の抵抗は意味をなさない。
相手の腰を押しやろうとするのも虚しく、太く張ったものを無理矢理に咥え込まされた。
「ごっぐううう゛っ!!」
「うあー良い。でももっと深く、もっと早くしてよ。今にも出そうなんだからさ、初っ端からラストスパートで頼むよ。
 大丈夫大丈夫、この勃起具合から言って、抜かずの二発いけるから。
 ここ数日さ、ナマの女子高生相手で興奮してるせいか、ザーメンすぐ溜まるんだよねぇオレ」
私は、太い指で後ろ髪を鷲掴みにされ、ただ相手のペースで口内を蹂躙される。
絶頂の際で疼く花弁を、濡れたシーツに擦りつけながら。

マッサージ器で限界ギリギリまで焦らされてから、ディープスロート。そしてまた焦らされる。
このサイクルがただ繰り返された。
変化はない。でも逆に言えば、気持ちの逃げ場もない。

「お、おおっ……いいぜ。さすが3日間仕込んだ甲斐あって、しゃぶんの相当上手くなったなコイツ。
 俺のを抵抗なく喉まで入れるとか、地味に凄ぇんじゃねーのか?」
「ま、多分俺ら全員、デカさ平均以上だろうしな」
「だよな。……う、おおおっ、出るぞ、全部飲めよッ!!」
会話の最中、私に咥えさせていた筋肉男が腰を震わせた。
その後はいつも同じ、生臭く生暖かいものが、私の喉奥を満たす。
頭を押さえつけられているせいで、私はそれを飲み込むしかない。ひたすら味覚と嗅覚を無視して耐える。
数秒後、逸物が抜かれた。
新鮮な空気が吸える……でもこの瞬間が、一番精液の味が感じられて吐きそうになる。
「がはっ、あ゛…………ほぉお゛エッ…………!!」
「オイ、零すなよ。せっかく飲ませてやった遺伝子をよォ」
「まあまあ、いいだろ。ホラ次はこっちだ」
休息の暇もなく、また反対側の一人の物が口に当てられる。声からして肥満男だ。
私は生唾を飲み込んだ。肥満男のものを咥え込むのには、かなり勇気がいる。

何度も4人のものを咥え込まされるうち、その勃起時の大きさが身をもって理解できた。
確かに全員、平均より大きくて、それぞれに特徴がある。
肥満男は、純粋に太さも長さも人並み以上。おまけに変な下反りで、かなり咥えにくい。
筋肉男は、身体つきの割には普通のサイズで、でもカリ首から上が妙に太い。
小太り男は、太さは平均的でも長さがあるため、咥えると『うっ』となる。
そして最後の、痩せた男は……見た目からはとても想像できないサイズだった。
最初、何かのボトルがぶらさがっているのかと思ったくらいだ。
当然、これは咥えられない。顎が外れそうなほど口を開いても、亀頭部分を飲み込むのがやっと。
だからこの男が奉仕を求めてきた時には、両手で上下に擦りながら、鈴口を舌で舐めてなんとか射精させる。

 
「ほら、ガマン汁も全部飲み込めよ。出てくる液は一滴残さず舐め取るんだぞ」
肥満男に命じられながら、私は必死に舌を使う。本意ではないものの、どうせ射精させるまでは終わらない。
膝立ちで奉仕する私の背後に、一人が近づく気配がした。
その1人は、乱暴に私の脚の間に手を入れると、片足を大きく持ち上げる。
「んん゛!」
私は姿勢を崩し、布団の上で横向きに開脚するような格好になる。当然、秘裂は丸見えだ。

「……うわ、また一段とすげぇ事になってんなぁ、ここ」
「うっお、マジだ。もうビラビラが原型とどめてねーじゃん。最初とかピンクの線で、モロに未使用って感じだったのによ」
「見事にグチャグチャだ。まぁ寸止めからの焦らしって、ずーっと繰り返してっかんな。もう7巡目だっけ?」
「8じゃね? ま、自業自得だろ。『挿れて下さい』って言わねーんだもんよ。
 本当は欲しくてたまんねぇ癖にな。今だって、チンポ咥えながらヒクついてんじゃねえか」
「ここまで来たら、もう意地の張り合いだしな。少なくとも大の男4人が、女のガキ1人相手に退けんわな」
「まぁそういう事。っつーわけでだ、デブさっさと出せよ。あんま時間かけてっと、こいつにラクさせる事になんぞ!」

私自身には見えない部分への酷評が飛び交う。
私はその意味を拾わないように、肥満男の勃起をわざと音を立ててしゃぶった。
「じゅぶっ、じゅっ……んっふ、んっ……ちゅばっ……あえっ、えあろっ…………!」
肥満男のものは太さも長さもあるから、口の中だけで射精させるのは疲れる。
だから先端から睾丸までを唾液塗れにして、丁寧に舐めていく。口に含むのは、最後の最後だけだ。
亀頭がビクビクと上下に揺れはじめた。どうやら最後は近いらしい。
「んお゛ふっ、出るゥッッ!!」
肥満男は、気味の悪い声を出しながら盛大に射精する。私はそれを上手く口で受け止め、一気に飲み下した。
「んぐっ…………ぶは、はぁっ……はぁっ…………あっ!!」
口に広がる不健康な臭みを、深い呼吸でなるべく逃がす。ほっと人心地がつく。
でもその休みも、長くはない。
「お疲れ。じゃあ、またコレで遊ぼうか」
小太りが笑いながら、私の身を押し倒す。すかさず別の2人が私の脚を押さえ込む。
そしてまた、気の変になりそうな焦らしが再開された。

「…………あああっく、くぁあ!! ああ、ぁあっぐ、く……ぅうウううん゛ン゛っ!!!」

私は数分ともたず、歯を食い縛りながら悲鳴を漏らす。
さすがにもう声は殺しきれない。
熱を持ったマッサージ器は、開いた脚の間で無機質な唸りを上げ続けた。
両脚は男2人に押さえ込まれていて動かせない。だからせめて、上半身で快感を逃がす。
右手でシーツを掴み、左手で枕を掴んで、吹き飛びそうな心を繋ぎとめる。
その上で腰をうねらせて、必死に気を紛らわせる。
快感の全てをまともに受け止めたら、きっと気が狂ってしまうと解るから。
少しだけ収まっていた膣奥の疼きが、また酷くなってきた。

「い……いっ、いぎっい!! うぁ゛いいっぎっ…………お、おぐ、ぃ、ひい゛っっ!!!」

奥に欲しい。突いて欲しい。女としての本能に根ざしたその欲求が、危うく喉まで出かかる。
私はそれを、強く頭を振って誤魔化した。


 


身体が変になってきている。
3日目の昼を過ぎた頃から、私はいよいよ深刻にそう感じるようになっていた。
昨日までは逝く寸前まで高められても、休憩を挟めばクールダウンできた。
それがもう、常に火照ったまま戻らない。
熱があるにもかかわらず、サウナに閉じ込められているかのよう。
焦らし責めの合間、口で男4人の性欲処理をさせられている間ですら、身体の奥が疼いてしまう。

今も私は、ひどく屈辱的な責めを受けていた。
特殊プレイ用の床柱に通された縄で、万歳をするように両手首を縛られ、かろうじて爪先立ちできる高さに吊るされる。
そしてそのまま、あそこにマッサージ器を宛がわれる。
言葉にすればたったそれだけ。でも、これが本当につらい。
爪先立ちの状態だと、どうしても足の肉が強張る。つまり力が逃がせず、刺激をまともに受け止めるしかない。
2日半の焦らしで蕩けきった秘部には、これがまず残酷過ぎた。
マイナス要素は他にもある。
今の私は裸に近い。例外は2つ……黒のオーバーニーソックスと、乳首のボディクリップ。
「ああ、いいわー。やっぱニーソは美脚が際立つな」
「エナメルブーツとで迷ったが、すらーっとした細い脚にゃあ黒ニーソが一番だわ!」
ニーソックスを穿いた私の脚を、歓声が取り囲んだのは印象深い。
この女日照りの男4人は、よほど私の脚が気に入ったらしい。
「グフフ。見た目もそうだけどさ、靴下残しでセックスすると、素足より感度が上がるらしいよ。
 家で靴下脱ぐとスゲー開放感あるけどさ、多分その逆なんだろうね」
小太りの男は、マッサージ器を操りながら言った。
その言葉は、多分本当だ。実際に私が今、靴下だけを残した状態で、素足以上にゾクゾクと来ているから。
そして、胸。
下半身がソックスだけなら、上半身は乳首のボディクリップだけだ。
勃起しきった両乳首がクリップに甘噛みされ、そのクリップ同士を繋ぐチェーンには鈴がついている。
鈴は私が身を揺らすたびに煩く鳴って、恥ずかしい。

こういう要素が絡み合って、触覚や聴覚だけでも充分に被虐心を煽られる。
でも、一番惨めなのは私の反応そのものだ。
電気マッサージ器を濡れた場所に押し当てられると、愛液が噴水のように飛び散ってしまう。
腿やお尻へも、どろどろとした熱さが垂れていく。
そしてその一部始終が、正面の姿見に映し出されていた。

「くっ、くぁあああぁっ…………あ、あおっ!! はあ、あこぉっ、おッッ…………ぇあああ゛あおお゛っ!!」
口からは、抑えようもない快感の声が常に漏れる。
声を堪えるなんて夢のまた夢。これでも一応の抵抗はしてる。なるべく惨めな声を出さないように。
でも、それにだって限度があった。
少し気を抜けば、お腹の深い部分から快感がせり上がって来て、『おお゛』という呻きになってしまう。
「ぎゃははっ、こいつまた『おぉっ』とか言い出したぜ!」
「聴こえた聴こえた。なんかゾクゾクするよね、こういう本気声って」
「でも、何で急にこうなったんだろうな、こいつ。初日とかすげぇロリっぽく喘いでたのに」
「急にっつか、今までガマンしてた分が噴出してんじゃね? 腰もガクガクだしよ、いい加減マジで限界なんだろ」
私の妙な声は、その都度男達に耳ざとく拾われた。
それが嫌で我慢しようとはするけど、ひどい咳をどうしても堪えられないように、妙な声も殺しきれない。
むしろ、変に堪えると余計ひどくなる。

マッサージ器は、私の下腹部で無機質な唸りを上げ続けていた。
触れる角度によって、音は微妙に変わる。
ブブブブ、ヂヂヂヂ、という音……その反復がすっかり鼓膜にこびり付いてしまった。
音と同じく重い振動は、体の深い部分にまで届いて、ジンジンと子宮を疼かせる。
今また、愛液があふれた。下腹のひくつきに合わせて何度もあふれて、ニーソックスの内側を濡らしていく。
「イヒヒ。そろそろ、また来たね?」
小太り男は、私を見上げて笑った。私が反応しやすいせいか、すっかり絶頂の兆しを見破られてしまったらしい。
実際私の内側は、着々と絶頂への階段を駆け上がっていた。
そこからラストスパートとばかりに性感を高められ、後ほんの少しで逝けるという所で、すっとマッサージ器が下げられる。
「ぁああ゛っ!!?」
私は叫んだ。逝く準備をすっかり整えていた所での生殺し。
その疼きはあまりにも辛くて、悔しくて、私は畳を踏みつける。ダンッ、という音が空しく響いた。

「あーあーもう、だらしない顔しちゃって。せっかくの可愛い顔が台無しじゃん」
嘲る声がして、私はふと姿見を見上げた。
目尻に力を込めている甲斐あって、瞳はアーモンド型のままだ。
でも口は喘ぐ形のまま、太い涎の糸を垂らしていた。鼻水や額からの汗も相当ひどい。
白い下腹の肉がピクピクと脈打っている。
そして薄い茂みに覆われた部分からは、責め具との別れを惜しむように愛液が滴り続けてもいた。
あさましい……男達に罵られるまでもなく、私自身がそう思う。
直視に耐えないとはこの事だ。
「どう? いい加減にそろそろ、挿れて欲しいんでしょ。オレもしたいからさ、皆で気持ちよくなろうよ」
小太りの男は、勃起を見せつけながら囁いてきた。
最初はひたすらゾッとしたその声色も、今はフェロモンのようにさえ思える。
私だって、本当はもう楽になりたい。でも……私の意固地なプライドが、茨のように感情の出口を塞ぐ。
「いやっ!」
私は首を横に振った。今まで何十回となくそうしたように。
「ったく、ホント強情だなぁ……。ま、それはそれで面白くなってきてんだけどさ。
 ジェンガだって、崩れかけの終盤が一番燃えるしね」
小太りの男は笑うように言いながら、マッサージ器を握り直した。

 
飛沫を散らしながら『スライヴ』が暴れ、絶頂の際で離される。
全身が未練がましく痙攣し、チェーンの鈴がうるさく鳴る。
延々とこのサイクルが巡った。でも、たまには変化もつけられる。
男の言葉を信じるなら、20分に1回、普段より1秒長くマッサージ器が当てられる。
たった1秒。とはいえ、これが大きい。
「お、お、そろそろイクね?」
確認するような小太り男の声がして、でもその後も振動がクリトリスに留まり続ける。
普段の生殺しから、一歩足を踏み外したような感覚が来る。
「んぐぅう゛っっ!!」
私は歯を食いしばって呻いた。同時にマッサージ器が外れ、秘裂から噴き出した飛沫が姿見にかかって伝い落ちる。
その様子も、視界の下方でかろうじて認識できるだけ。どうやら半ば白目を剥いてしまっているらしい。

「ウヒヒ、また潮噴きだ。これで今日6回目だっけ?」
「や、多分7回目。お前が便所行ってる間に、マウントイラマでも1回噴いてっし」
「つーか、潮吹きにしちゃ長くね。ションベン漏らしてんじゃねーの」
「どっちにしろ普通じゃねぇよな。こいつ、今もだけど、たまに菩薩みたいな顔してっ時あんじゃん。
 多分もう、ヤクのトリップと似た感じだぜコレ」
「まぁ三日三晩イク寸前で焦らされたら、脳内麻薬ドバドバだろうしな」
「多分な。もしされてんのが野郎なら、出た我慢汁だけでタマ空っぽになるレベルじゃね」

4人の声がする。私は胸を上下させながら、それをぼんやりと聞いていた。
本当に本当に、小さな絶頂。我慢し損ねた程度のもので、もどかしさばかりが募る。
でも最後まで突き抜けたとしても、“クリ逝き”ではもう満たされない。
何十時間という焦らしで、下腹の奥が煮えたマグマと化しているせいだ。
クリ逝きで少しガス抜きしたくらいでは、何も解消しない。
むしろ、中途半端は最大の毒だ。もっと景気のいい解放を願って、余計に身体が疼いてしまう。
多分そう直感的に解っているから、小太りの男はあえて軽く逝かせるんだろう。
知識があるから応用が利くのか、それとも調教の天才なのか。
このカエル面は、私の壊し方をよく知っている。



「…………さぁてと。じゃあそろそろまた、趣向を変えようか」
小太りの男はそう言いながらマッサージ器を止めた。
そして白い目隠しを手に持ち、私の前に立つ。胸がざわついた。
「や……!!」
私は身を竦ませる。でも小太りの男は、前も、その前もそうしたように、にやけながら私の視界を奪った。
『人間が外部から与えられる知覚の83%は、視覚からのもの』
最初に目隠しをされる時、小太り男から聞かされた言葉だ。
まさにその通りだと思う。実際、視覚を奪われると感覚が研ぎ澄まされる。
心臓の鼓動。外の虫の鳴き声。廊下を行き交う足音。畳の上で足を踏み変えた時の、にちゃりという音。
それらが妙にはっきりと聴こえた。
皮膚も敏感で、ぬるい汗が流れていく感じどころか、風が吹きつけるだけでもゾクリとくる。

当然、男4人の気配も手に取るように伝わってきた。
肩で息をする汗まみれの私を、4人は黙って観察しているらしい。
それぞれ、鼻息荒く勃起したものを扱いたり、ペットボトルの水を飲んでいるのが解る。
そしてその小休止の後、何人かが私の傍に近づく。中には肥満2人がいるらしく、ひどく暑い。
「さて、じゃあまたコレで……」
その声を聞くまでもなく、私はその後の運命が解っていた。
室内の箪笥に用意された、書道用の筆や刷毛、羽ぼうき……そうした道具でのくすぐり責めだ。
くすぐって笑わせる。それは一見和やかに思えるものの、感覚が研ぎ澄まされた状態では地獄でしかない。

すっ、と腿の内側が撫でられた。
「はうっ!!」
細い筆でほんの一撫でされただけなのに、勝手に太腿が震えて、声が出る。
さっきまでの責めは目で見えたから、どこにどんな刺激が来るのかが予想できた。
でも今は、どこに、どんなタイミングで刺激が来るかわからない。
心の準備ができていない、ほぼ無防備な状態でくすぐられれば……当然、大きく反応してしまう。
4本の責め具は、私の身体中を這い回った。
全身が火照りきった今の私には、くすぐられて平気な場所なんてほとんどない。
でも性感帯と言われる場所は、やっぱり格別だった。
「んくぅうっ……!!」
刷毛と筆で両方の脇腹を撫で上げられると、声は殺せない。
激しく身を捩るたび、鈴がうるさく鳴った。
さらに、クリップの横を舐めるように乳輪を撫でられたり、耳の中をくすぐられる。
クリトリスや蟻の門渡りのような性感のツボも刺激される。
そして勿論、晒した両腋も。
くすぐったさと焦れったさが身体の中に渦巻いて、気が狂いそうになってしまう。
 
「いぃーっ、ひひっ、あひゃひひっ! ああぅっ、う゛っ、はぁっぐぅう……んわあぁあああ゛ーーーっっ!!!」

自分の声がひたすらに響き渡っていた。
笑い声なのか、泣き声なのかわからない。ただ、滅多に出さない大きな声だ。
「相変わらず、うるせぇなコイツ。絶対旅館の外まで聴こえてんだろこれ」
「いや、『猿轡もボールギャグもやったから、今度はフリーで』って言い出したのオメーだろうがよ」
チクリと胸に刺さる男の言葉。
でもそれを理解しきるより前に、また狂いそうな刺激が来た。
「ぜっ、ぇはっ…………や、いやーーっ!! いやあいやっ、くく、くぅぅうあああ゛あ゛っ!!!!」
右腿を軽く抱え上げられながらクリトリスを撫でられ、私は絶叫した。
さすがに感覚の麻痺しつつあったクリトリスへ、また新鮮な血が通ったかのようだ。
腋やお臍への筆責めもつらく、私は腰をうねらせて責めから逃げようともがく。

「元々反応解りやすかったけど、いよいよスゲー事になってきたな。ほとんどポールダンスじゃん、この動き」
「グフフッ。多分、散々焦らしたせいでポルチオが目覚めちゃったんだろうね」
「ポルチオ?」
「子宮口のこと。女の一番の性感帯で、覚醒のハードルは高いけど、その分クリやGスポより遥かに感じるんだってさ。
 ポルチオが開発されたら全身が敏感になって、お腹に手置くだけでもイクらしいよ」
「なるほどな。確かに、今そんな感じだよなコイツ……おおすげぇすげぇ。マンコ筆でなぞってるだけで、汁が溢れてくんぜ。
 見ろよ、手首まで濡れちまった」

激しい喘ぎの合間に、男達の会話が聞こえた。
否定できない。私の子宮口はどうしようもなく蕩けているし、全身の皮膚も敏感になっている。
お腹に手を置かれればジンと来て、軽くとはいえ達してしまう。

 (堕ちたくない……)

手首の縄を解かれる中、私は思った。
脳裏に浮かぶのは母の姿。
母も、当時の女子高生組の中では一番人気だったそうだ。
昔の母を知る誰に聞いても、『淑やかで他人を立てる、大和撫子の鑑のような娘』だったと口を揃えて言う。
でも、私にはそれが信じられない。私が知る母は、ただ快楽だけを貪るけだものだから。
『ねぇ、ちょうだい』
それが母の口癖だ。母はそう言って客を貪り、避妊薬もコンドームも使わずに男を迎え続けた。
そうして出来たのが私。
つまり私の父は、行きずりにも等しい客の誰か……という事になる。
やがて客からの指名が減ると、母は地元の男にさえ手を出し始め、やがて姿を消した。
自責の念からという人もいるけど、娘である私には解る。母は刺激を求めて、今もどこかで男を貪っているはずだ。

私はそんな母を軽蔑し、同じようにはなるまいと誓った。
同級生にスカートを捲られたら必ず頭を叩いたりと、自分なりにプライドを大事にした。
石枕ヶ関の存続のために奉仕はする、でも懇願はしない。その鉄のルールを定めて、今日までやってきた。
でも今になって、母のことがよく解る。
当時の石枕ヶ関が誇る美少女だった母には、連日指名が殺到した事だろう。
そして生真面目だった母は、その需要に必死で応えたはずだ。
おそらく、それが母を変えた。
何度も何度も快楽に溺れさせられ、次第に淑やかさを失い、性欲を貪るけだものへと変えられたんだ。

 
「ははっ、まーた菩薩顔きたよこれ」
男の声が遠くに聴こえる。声だけじゃなく、あらゆる音が遠い。まるで水中にいるみたいに。
汗や耳鳴りのせいならいい。でもこれが快感のせいならと思うと、怖くて仕方がない。
怖いといえば、快感もそうだ。
このまま死んでしまうんじゃ、とさえ思えるような深さの快感が、身体中を巡っている。
異常なほどの幸福感と充実感が湧き上がってきて、自分が別に人間に変わっていくような感じさえする。
ドラッグでのトリップも、きっとこんな風なんだろう。

焦らし責めはまだ続いていた。今度はまた布団の上だ。
私に大股を開かせ、2人が膝下を抱え込み、1人が後ろから羽交い絞め。その状態で、小太りが秘部を責める。
「ウヒヒ、すごいね。全身ガクガクで、白目剥いて、クチから泡噴いて……完全に出来上がってる感じ」
小太りは私の状態を指摘して笑い、スライヴを握り直した。
そして陰核に宛がいつつ、人差し指と中指で膣の中を掻き回す。膣とクリトリス、単純ながら効きすぎる責め。
 (だめ、いくっ…………いく、いくううっ………………!!)
当然私は、絶頂へと押し上げられる。でもまさに今という瞬間、刺激は止む。
「ああっ! く、くぅうウ゛んっっ…………!!」
私はもどかしさに身を捩る。でも両脚を押さえられ、後ろから羽交い絞めにされている状態では動けない。
「へへへっ、暴れんなって」
後ろの男は、余裕綽々で私に姿勢を正させた。同時に小太りが秘裂を指でひらく。
「ほーらほら、スゴイよ。ドロドロのグチャグチャだ」
彼はそう言いながら、秘裂に唇をつけて愛液を啜り始めた。ずず、ずぞぞっという音が響き渡る。
これまでにもう何十回、あるいは何百回と繰り返された行為だ。
今さら何も感じないはずが、今は母の事を思い出したせいか、ひどく恥ずかしい。
「っふんんん…………!!」
私は羞恥から内股になった。男達は、私のその新鮮な反応を喜び、沸き立つ。

スライヴが再び秘裂を舐め始めると同時に、右脚を押さえていた肥満男が立ち上がった。
「クソ、バキバキに勃起しすぎて痛ぇ……おら、しゃぶっとけ」
石のように硬く勃起した怒張。毎日何度も射精させているのに、少しも力強さが萎えない。
ごくん、と喉が鳴る。臭い怒張を鼻先に突きつけられ、私の喉が勝手に鳴らした音だ。
「う、んもぅん゛っ……!!」
後頭部を掴まれて無理矢理咥え込まされると、頭がショートしかける。
快楽責めと同時のディープスロート。それを執拗に刷り込まれたせいで、私は咥えただけで濡れるようになっていた。
ガツガツと強引に喉奥を使われると、もうたまらない。記憶が一つずつ抜けていきそうになる。
「お、いいなーお前。オイ、こっちもだ!」
肥満男に続き、痩せ型や筋肉男も勃起を私の鼻先に突きつけてくる。
「んもぉあっ、ん、あふぁっ…………!!」
息継ぎの暇もないまま、左右のものを次々に咥えさせられる。
秘裂では生殺しが続き、その地獄の中、とうとう私の頭は溶けた。ギリギリで抑え込んできた疼きが、もう抑え切れない。

『 ねぇ、ちょうだい 』

心底嫌っていた母の口癖が心に浮かび、喉元を通り抜けて、唇から漏れた。
ぴた、と4人の動きが止まる。
「え、な、なになに? も、もう一度言って!」
勝ち誇ったような小太りの声がする。でも私はもう、それに嫌悪感を抱けない。
それどころか、私を楽にしてくれる人として、慕う気持ちさえ出てきている。

「ちょうだい。もうこれ以上、焦らさないで……挿れて、挿れてよ、お願い……っっ!!」

私は大粒の涙を零しながら、惨めたらしく哀願した。

 
「ヒヒッ、聞いた? ねぇ皆聞いた!? どうやら、賭けはオレの勝ちみたいだね」
「ち、スライヴ隠し持ってたサマ野郎がよく言うぜ」
「あーあ、この大喰らいにラーメン奢りかよ。痛ぇな~」
「しゃあねぇじゃん、流石って言っとこうぜ。ポルチオっての開発できたのも、ほぼコイツのお陰だしよ。
 ここまで濡れて腰ガクガクになってるJKに突っ込んだら、絶対気持ちイイぜ」
男達は祭りのように騒ぎ立てる。
私から懇願を引き出せた事が、嬉しくて仕方ないらしい。
「さぁて、じゃあお望み通りしてあげるよ。嬉しいなー、女子高生のマンコに一番乗りなんて」
小太りは、先走りの滴るものを握って笑う。
「オイ。一番は譲るが、ゴムは使え。全員で輪姦すんだから、膣内出しすんなよ」
別の男から怒声が飛び、小太りは渋々コンドームの袋を破った。
使い慣れていないらしく、たどたどしい手つきで装着する。
そして数分後、ようやく私の内腿に手を置き、勃起を秘部に宛がった。

最初の頃は見たくもなかった、だらしない身体。それが今は、逞しく思える。
肉のたるんだ腰が沈み込んで、私の中に来る事を、身体が今か今かと待ち望んでいる。
「さ、いくよ」
小太りはカエル顔を歪め、亀頭部分を割れ目の中に潜らせた。
そして、一気に奥まで入ってくる。ぐちゅっ、と膣の奥が潰されたのが解る。
「んーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
私の喉から、声にならない声が漏れた。
叫べるかと思ったけど、背中が仰け反るのと同時に喉が絞まって、声にならない。
その後急に力が抜けて、身体がガクガクと痙攣する。
まるで電気ケーブルにでも触れて、感電してしまったかのように。
「ウヒヒ、イッてるイッてる。突っ込んだだけでマジイキなんて、噂通りポルチオは凄いね」
小太りは笑いながら、さらに腰を打ちつける。石のように硬くて、熱い、しっかりとした刺激。
狂いそうなほど求めていたものを打ち込まれ、私は断続的な絶頂へと追い込まれた。

「いっ、いっクゥーいくっ、イくいくいくぅぅーーっ!! だめ、こわいっ、イッて、ずっとぃい逝ってるぅううっ!!!」
何度も何度もお腹の奥で快感が弾け、電流のように身体を流れていく。
脚と背中の中身がそっくり静電気に入れ替わった……そんなこそばゆさがある。
そして同時に、心の中では異常な多幸感が膨らんでもいた。
幸せだ、とても幸せだ。このとろけるような幸せ以外には、何も必要ないように思えてしまう。
「ああ良い……あったかくて、締め付けてきて、ポルチオがグニグニ当たってるよ。これ、あんま持たないかも……」
小太り男は笑い、キスをせがむ。私はそれを受け入れた。
「んんっ、んぐっくうぅぅあうーーっっ!!!」
深く舌を絡めあうキス。それによって繋がりが深まり、私は小太りの喉へと悲鳴を逃がす。
バラバラになりそうな身体を繋ぎとめようと、足の指でもシーツを掴む。
「ぷはっ、駄目だ、もうもたない…………出るぞっ!!!」
小太りは珍しく低い声で叫ぶと、深く繋がったままで腰を震わせた。
どくり、どくりと、怒張の脈打つ感じが伝わってくる。
「ふはぁっ、はっ……はぁあ、はあっ…………!!」
私は息を吐いた。マラソンを終えた直後のような荒い息を。
「へへ、見せ付けやがって。どけよデブ、次は俺だ!」
「オイ待てよ、テメェが先にやるとガバガバになっちまうだろうが!」
小太りの後ろに並んだ3人が、我先にと襲い掛かってくる。
腕を掴まれて荒々しく引き起こされる瞬間、私は恐怖すると同時に、間違いなく先を期待してもいた。


 


そこからは、文字通りの輪姦だった。
布団の上に横になり、上下同時に咥え込まされる事もある。
「う、うむっ! んんう、うむうっううっ!!」
嫌というほど馴染まされたものを深く咥え込み、下では未経験の深い絶頂が断続的に起きている。
この同時責めは、私の脳を簡単に焼き切った。
容赦なく口内に注がれた白濁を零しながら、私は気付かないうちに意識を手放す。
そして目が覚めると、まったく違う体位、まったく違う状態となっているのが常だった。
失神して覚醒して、また失神して覚醒しての繰り返し。
いつ気を失い、いつ覚醒するのかは基本的にランダムだ。ただ、一つ確実な事もある。
痩せ型の男……見た目からはとても想像できないこの男を相手にする時、私は確実に失神、あるいは覚醒させられる。

「いやぁああぁああっ!!」
寝そべった細身男の上に騎乗位で跨った瞬間、私は悲鳴を上げた。
何かのビンほどの大きさのものが、無理矢理に私の中を拡げていく。
「っるせぇな、まだ半分も入ってねぇだろうが!」
細身男は私の非難など聞き入れず、腰を掴んで力任せに挿入を強いる。
入らない、という事はない。充分な愛液に塗れた私の膣は、規格外のものでさえ音を立てるようにして飲み込んでしまう。
問題は、それだけの質量で力任せに膣奥を突かれることだ。
「いぎっ、ひいぃいいっ!! こんな、むりっ…………ふ、太い、太いいぃっ!!!!」
私はうさぎ跳びのような体勢で、膣内を限界以上に拡げられながら叫ぶ。涙さえ零れる。
その悲鳴が、よほど鬼気迫るものだったのだろうか。
すっ、と目の前の障子が開き、穏やかな瞳の仲居さんが顔を覗かせる。
そしてこちらを一瞥し、私の挿入部分を見て目を丸めた後、静々と障子を閉めた。
ただセックスをしているだけだと判断したんだろうか、
「…………かはっ…………はっ、あ、ァ…………って」
閉じる障子に向かって、待って、助けてと言おうとするも、言葉にならない。
「ひひ、さすがに騒ぎすぎたかな?」
「太さにビビってたな、あの仲居。30手前くらいかな、アレも結構美味そうだよな」
「バーカ、ありゃただの従業員だぞ。どう理由つけてヤんだよ? 俺らが使えんのは、コイツだけだ」
その言葉の後、騎乗位の私の口に、また熱いものが押し当てられる。

涙で視界が滲んでいても、感覚でわかった。これは肥満男のもの。
肉とチーズの混ざった強烈な匂い。くさくて……だからこそ、強烈に覚えてしまった。
何度も何度も、しつこいくらいに、この臭さと快感を交互に刷り込まれた。
だから今では、これを咥えさせられるだけで濡れてしまう。ひと舐めするたび、背徳的な電流がうなじを流れていく。
「ああ、いいぜ。こいつの裸見てっと、何回出してもすぐ勃起すっからよぉ、こうして搾り出させねぇとな」
肥満男は唸るように言った。
「ならこっちも、愉しむとすっかよ!」
肥満男に競争心を煽られたのか。痩せ型の男も、私の腰を掴んで突き上げを早める。
「うむっ、うぁああうううっ!! むううっ、うむぅうぅううっ…………!!」
その衝撃は余りにも大きく、私は数秒と経たず意識を失った。


 
気がつけば私の体は、露天風呂にあった。
勿論4人の男に囲まれたまま、泡だらけの身体を弄られている。
挿入はされていない。でも、小休止という訳でもなかった。
敏感になりすぎた今の身体は、泡をつけてのマッサージでもひどく反応してしまう。
「ああ、いやっ! さっ、触らないで!!」
私は快感に震えながら暴れた。
「お、気がついたな。散々気持ち良さそうにしといて、今さらそりゃないぜ」
男達は私の抵抗を無視して、身体中を揉みしだく。
されている事は、初日の痴漢プレイと変わりない。でも、あの時とはレベルが違う。
お尻でも、胸でも、背中でも、太ももでも、 とにかく揉まれるだけで達してしまう。
「ううぅうんあああ゛あ゛っ!!」
「ウヒ、暴れる暴れる。ポルチオの快感が全身に広がってるって、改めて思うとこわい状態だよねぇ」
小太りはそう言いながら、私の腋をきゅぽきゅぽと揉みしだく。
また別の手は、うなじを上下に撫で回す。足の裏をくすぐる。お尻を引っぱたかれる事もある。
そして私は、その全てで絶頂してしまっていた。

「お、まーたイッた。もうこれ、何やっても快感にすり替わってんじゃね?」
「さっき、打たせ湯腹に当てただけでもすげーイってたもんな、こいつ。気絶してた癖に」
「ああそうだ、感じるっていえば、ここも弱ぇよなこいつ」
その言葉の後、私の肛門へいきなり指が入り込んでくる。
「はぃっ! いや、そこ、おしり…………っ!!」
「ぎゃははっ、お前マジでケツの穴好きだな! ま、ぽってりしちまったマンコと違って、そっちはまだ初々しいけどよ」
私の非難は届かない。男の指は無遠慮に肛門をのたくる。
でも、それすらも気持ちいい。言葉にならない変な声が出続けて、ずっと笑われているのが解る。
「へへ、指だけでヨガりやがって。ならいっそブチこんでやっからよ、犬みてぇに這い蹲れよ!!」
その声で、私は犬のように這わされた。そして高く掲げた肛門へ、熱いものが宛がわれる。
「ち、クッソ……ギチギチじゃねぇか。もっと力抜けよ!」
男は怒鳴りながら、無理矢理に私の腸内へと入り込んでくる。
ぐぐうと深くまで来ると、ちょうど子宮の裏側を擦る感覚が襲ってきた。
蕩けに蕩けきった子宮を、裏から刺激される。この感じは新鮮で、秘裂から飛沫が上がるのを止められなかった。
「ははっ、こいつケツ突かれて潮吹きしやがった!」
周りの声が騒ぐ。当然、私の背後から圧し掛かる一人も声を出した。
「おら、お前ケツでイくのか? ったく、利口そうな顔してよ、こんな、男好きのするイイ脚しやがってよ。
 制服姿じゃ散々高嶺の花っぽく見せかけといて、実態はアナルアクメ極める豚かよ? おーおー、女は怖ぇわ!」
ひどく罵られ、私のプライドはズタズタに切り裂かれる。
でもその最中にも、私は子宮の裏を穿たれて感じてしまっていた。
逃れようとするも、両手で腰を鷲掴みにされ、ゴリゴリと挿入されてはどうしようもない。
私はただ、身の内から湧き上がる快感を口から逃がす事しかできなかった。

「…………ぉっ……お、ほぉおお゛っ! っお゛おお…………おお゛お゛お゛っっ!!!」

腸の奥から湧き上がる快感の呻きは、膣とはやや違う。どうしても、『お』という響きになってしまう。
「ははっ、『おおお゛』とか呻いてんぜ。仮にも華の女子高生が出す呻きじゃねぇだろ」
「ま、ブザマだけどよ、俺は結構好きだぜ。いかにも純粋に感じてるって感じで」
私は、様々な声に囲まれながら、お尻を突き出した格好で絶頂を繰り返した。
何度も、何度も、何度も……。


 
もう、自分の身体がどこにあるのか判らない。
ジェットコースターに振り回されている最中みたいに、風景が把握できない。
ふと気付けば露天風呂で、ふと気付けば松竹梅どれかの間。そんな具合だった。
そして、その異常事態すらどうでもいい。
ただ快感だけがある。海のように膨大な快感が、頭を白く埋め尽くしている。“まともな”思考の余地なんてない。

「んあっ、あああっ!!! あっ、あぐぅうっ、あっ…………ああああっ!!!」
自分の絶叫が、耳の中に反響する。
私は柱の一本に抱きつくように掴まり、片足を高く持ち上げられたまま、身体を横に開くようにして犯されていた。
あれの笠の張り具合からして、相手はたぶん筋肉男だ。
彼の動きに、情けのようなものは一切ない。
片手で私の右腿を抱え、片手で左腿を引きつけて、ぐっ、ぐっ、ぐっと奥の奥まで突いてくる。
笠が張っているために、突くときだけでなく引かれる時も凄まじい。
特に片足上げという体勢では、下腹の引っ掛かりをいつも以上に意識してしまう。
だから、たまらない。
「はぁっ、す、すごっ…………くふっ、ああ、はぁあっ、くンン…………!!!」
軽く曲げた左膝にまで愛液が垂れるのを感じながら、私は、ただ喘ぐしかなかった。
一突きされるたび、頭の中が白く爆ぜる。幸福感が身体に染み渡り、病的な痙攣を呼ぶ。
こんな状態で、いつまでも意識はもたない。
私は縋りついた柱に涎の跡を塗りつけながら、ズルズルと姿勢を崩す。額が畳につくより前に、意識はなかった。

次に意識が定まれば、私は四つ足で後ろから突かれていた。
床の間の段差に両手を突き、両脚を大きく開いて熱さを受け入れている。
相手は肥満男らしい。彼の持ち物は大きい上に、下反り。これに後背位でされると、スムーズに子宮口を突かれてしまう。
普通の人なら抜き差し何回かにつき一度という会心の突き込みが、毎回来るようなものだ。
当然、絶頂は絶え間ない。
「あはぁっ、はっ、はぉ……ぉおっ、はおおおっ、おお“、こッ…………おお、お゛…………!!」
後背位で深く逝かされる感覚は、お尻の快感とよく似ている。当然、肺の収縮具合も、出る声も似てくる。
そんなあさましい声を出せば笑われる。そう痛いほど理解しているものの、だからこそ余計に背徳感が煽られた。
獣のような格好もそうだ。
呼吸が苦しくてボロボロと涙の零れる中、私は必死に自分のお腹を『見下ろした』。
夥しい汗が私の全身を覆っている。その汗は上気した肌を伝って、乳首や内腿の半ばから床に滴っていく。
さらに視線を下げれば、私を後ろから荒々しく突く男の足が見えた。
私のものとはまったく違う、その3倍ほど太い足。腰を振るたびに脂肪の波打つ足……。
最初は視界に入れるのも嫌だった。でも今は、その質量にズシズシと突かれることが嬉しくて仕方ない。
丸太のような脚が波打って、その直後に子宮口が押し潰される。波打って、押し潰される。
まるで巨体の体重がそのまま私の敏感な部分を押し潰すように思える。
そんな被虐的な考えをした瞬間、また私の脳は壊れた。
脳味噌がスポンジになったような感覚がし、全身の力が抜ける。膣の奥からは、どろりと大量の愛液が吐き出される。
私はそのまま、空中に意識を放り出した。



「っあぁぁ゛あ、いやぁ゛ーーッ! いやぁあっ、ぬ、抜いぇっ、抜いてぇぇええ゛え゛っ!!!」
自分の喉からそう叫びが迸るのを、私は他人事のように聴いていた。
断続的な絶頂に苦しむ自分とは別に、フワフワとした意識体としての自分がいる。
苦しんでいる方の私は、無様なカエルの様にひっくり返されていた。
右肩を誰かが押さえつけ、左足首を掴みあげられているため、姿勢を戻すことはできない。
その状態で、細身の男が冗談のような大きさの物をねじ込んでいる。
細身の男は、自分のものを全て挿入しきろうとしているらしい。
でも私の身体は少し小さくて、いくら子宮口を押し込まれても、男の物は半分も入らない。
入れようとする執念と、入らないという現実。それが私の奥で鬩ぎ合っている。
普段ならただ苦しみでしかないこれも、すべてが快感にすり替わる今の私には甘い拷問。
「はぁ、ハァっ…………や、やべて、やすばせでっ!! 苦しい、くるしくて、また…………いっぐううぅううっ!!」
私は涙や鼻水、涎を撒き散らしながら、顔を振りたくって叫んだ。
絶頂のしすぎと圧迫の苦しさで、呼吸なんてほとんど碌にできていない。
でもそんな事さえ二の次に思えるほど、私は何より快感に溺れている。
傍観できるのも、この辺り。意識体のような私は、宿主が本当に危険な状態になると引きずり込まれる。

「あああ゛いや゛ぁあああ゛っ!! いやぁイグッ、イグイグいぐいぐぅううっ!! やべで、お願いやめでよぉおおっ!!!」
『私』の脳は混乱の渦中にあった。
酸欠と恐怖、そして多幸感……つまり快感。それがない交ぜになっている。
いくら叫んでも、男達が容赦してくれる事は望めない。
「へへへ、すげぇ反応だな。やっぱデケェってのは得だよなー」
「ハァッ、ハァッ…………馬鹿言うな、こういう時でもねぇと出来ねぇんだぞ。ソープでも出禁ばっかでよ。
 ここで一生分、とは言わねぇが、半生分くれぇはヤリ溜めしとかねぇと後悔しちまう。
 特に女子高生ヤレる機会なんざ、もう二度とねぇかもだからよォ!
 ……おい、ヘバってんじゃねぇよ、締め付けろ!!」
恫喝するように言いながら、細身男はクリトリスを弄り回す。私はゾクリとして、反射的に腰に力を篭めた。
「お、お、すげぇ締まんぞ!? そういやァ、突っ込みながらのクリ責めってのはやってなかったよな。
 オイ、さっきのスライヴ貸してくれ」
その言葉の後、マッサージ器の唸りが聴こえ始めた。その唸りは、私のクリトリスに宛がわれる。
ポルチオ責めで苦しむ中での、クリトリス責め。これは私の容量では飲み干せない。
「はぁっぐ……うぐぐっ、はぐっ…………い、いぎひっ、いぐ、いぐいぐっ…………いぐぅうううっ………………!!
 いぐいぐぅうああっ、はぁあっお゛っ、あはぁああっお゛おおおお゛っっ!!!!!」
私は声にもならない呻きを上げながら、畳に後頭部を押し付ける。
「ひー、すげぇ声!」
「あれ、ちっと待てオイ、流石にヤバくねぇかコレ。完全に白目向いて、泡噴いてんじゃん。暴れ方も…………」
私の耳が捉えた言葉はここまで。この直後、私の意識は白い光の中に溶け込んだ。


どこまで行っても、一面が淡い白の世界。
不安はない。むしろ、ひどく幸せな気分だけが胸にある。
私は、笑いながらその世界を駆けた。
雲の中を走るようで愉しくて、ひたすらに駆ける。そしてその先には、懐かしい母の姿があった。
改めて見ると、本当に綺麗だ。穏やかで、賢そうで、そして何より優しそう。
『お母さん!』
私は叫んで駆け出した。すると母は笑い、幻のように消える。
『えっ…………!?』
私は驚き、必死に母の姿を追った。
そしてちょうど母の立っていた場所に辿り着いた瞬間…………夢から覚める。


開いた視界に映るのは、柾目も美しい桐天井、そして旅館特有の和紙で包まれた灯り。
「良かった、気がついたのね」
少し視界を下げると、若い仲居さんの姿があった。どうやら、私の額にあるタオルを替えてくれている所らしい。
「丸一日近く眠り通しだったから、心配したわ。あなた、よっぽど疲れてたみたいね。
 まぁ、あの4人からずっとされてたんだから……無理もないけど」
仲居さんは、妙に艶のある声で言った。よく見れば、片手を下腹に宛がってもいる。
それに、気のせいかもしれないけど、かすかに生臭い匂いもするような…………。
「その4人は?」
「もう帰ったわ。あの子達の4泊5日は、今日の昼まででおしまい」
仲居さんの言葉は、どこか怒りを含んでいるようだった。二度と来るな、という意思が感じられる。
でも……私の心は、それとは真逆だった。
「そう」
私は短く答えて、下腹に力を込める。それだけで、熱さがこみ上げる。



私が人目を忍んで自慰を繰り返しはじめたのは、それからだ。
昔は、客相手の仕事以外で性的な事はしなかったし、毛嫌いしてさえいた。
でも今は、そういう事に興味が湧いて仕方がない。

大きめのディルドウを、奥深くまで叩き込む。同時にローターをクリトリスに這わせる。
「はぁっ…………はぁっ、ああ、イグっ! ………ふんんんっ…いぐっ、イグイグっ、んんイッグぅううう゛ッ…………!!!」
私は椅子の下に愛液を散らし、唇を噛みながら喘ぐ。
脳裏にイメージするのは、私をこんな風にしたあの4人のもの。
大きくて下反りの、肥満男。
カリ首から上が妙に太い、筋肉男。
太さは平均的でも長さがあって、色々な責めを知っている小太り男。
そして…………私の何もかもを壊してしまう、卑怯すぎるサイズの痩せ型男。
嫌というほど身体に覚えこまされたその形を、味を、匂いを、今でもハッキリと思い出せる。
彼らだけじゃない。
その後に取った客のものも、脳が憶えてしまうまで絞りつくした。
『ポルチオを開発して。いっぱいイカせてよ』
客を取った時、私は必ずそうねだる。
完全にポルチオ中毒だとは思うけれども、そこを責められないと満足できない以上は仕方ない。

そうしているうちに、最近は体型も変わってきた。
お腹に力を入れることが増えたせいか、腹部がきゅっとしまって、腰にも我ながら見事なくびれができた。
今では制服を脱いだ瞬間、おおーっと驚きの声が起きるぐらいのプロポーションだ。
そうして自分が変わっていくのが面白かった。
絶頂を貪り、新しい性のステージに向かうのが愉しくて仕方なかった。

最近は大智が、何か言いたそうに私を見ている事が多い。
したい事は大体解る。おおよそ、色気に目覚めた私にあてられたんだろう。
あまり生殺しにするのも可愛そうだから、そのうち筆下ろしでもしてあげようかと思う。
ここの客にも、大智にも飽きたら、外の世界で自分を試してみるのもいい。
私の魅力はきっと、まだまだこんな物じゃないはずだから…………。


                          
                             終
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