※レズ寸止め焦らし&男による連続絶頂セックス。
ただし、焦らされてるキャラと連続絶頂するキャラは別。
スカトロやアナル成分はありません。
クラスメイトの陽菜から聞いた話は、にわかには信じがたかった。
俺のクラス……条貝高校2年3組の女子の間で、『焦らし遊び』というものが流行っているという。
女子グループ数人で、ターゲットの女子1人へと性的な焦らし責めを加える。
期間は一週間。その間、ターゲットには貞操帯が嵌められ、自慰は一切禁止される。
そうして欲求不満を募らせて、登下校時や授業中のターゲットの変化を愉しむのだそうだ。
「土日に始めて、次の金曜まで焦らしっぱなしなの。
ウチのクラスでも、もう何人かの女子が餌食になってんだけど、気付かなかった?
真美とか、祥子とか……先週だと佳苗とかさ」
言われてみれば、確かに思い当たる節がある。
今挙がった女子には全員、どこか『変』な週があった。
いつもキビキビ動くイメージの山岡真美が、頬を赤らめたままボーッとしていたり。
クラス一活発なオトコ女である佐々木祥子が、大得意の体育を見学したり。
引っ込み思案な大越佳苗が、授業中やたらとトイレを宣言したり。
生理なんだろうと思って気にも留めていなかったが、なるほどそういう訳だったのか。
「その『焦らし』っての、今も誰かやられてんの?」
俺はふと気になって陽菜に尋ねる。
その問いに対する答えは、俺にとって意外なものだった。
「勿論。今週は、桜だよ」
桜……といえば一人しかいない。
舟形桜。黒髪のセミロングヘアという、やや地味な見た目のクラスメイトだ。
特徴はといえば、とにかく笑わない。驚かない。
いつも人形のようにクールで、表情の変化に乏しい。
口数も少なくて、2、3人が喋っている横で、その会話を静かに聞いているタイプだ。
陽菜の言う『焦らし遊び』の輪に加わる類とは思えない。
とはいえ、女子の交友関係は複雑だ。
いつも仲の良さそうな2人が、影では互いの悪口を言い合っている事もある。
ならその逆で、一見接点の無さそうな女子同士が実は仲良し、という事もありえるだろう。
「でさ。見てれば解ると思うけど、桜ってすっごいクールじゃん?
そーいう相手を嬲るってなったら、皆なんか熱入っちゃって、今までにない事しようって流れになってるんだ」
「えっと……具体的には?」
「ハッキリ言うとね、目の前でセックスしてるの見せ付けて、欲求不満を煽ろうってわけ。
で、その為のサオ役を調達しなきゃなんだけど……葛西が頼まれてくんないかな?
流石のあたしも、こんなの頼めるのって葛西しかいなくてさ。何とか頼むよー!」
陽菜は頭の上で両手を擦り合わせながら懇願する。
葛西、というのは俺の事だ。
確かにこんな頼みごとは、小3からの腐れ縁である俺にしかできないだろう。
とはいえ、突然の展開にまだ頭が付いていっていない。
「そ、そう言われてもなぁ……」
こんな妙な話をホイホイと受けていいものか。実はイジメに加担させられようとしてるんじゃないのか。
大体、俺は童貞だ。セックスを見せると言っても、上手く見せられるとは思えない。
色々な不安が頭を巡る。
「大丈夫だって、ただのイタズラ遊びなんだから。ね、ね? あの史織だってグループに混じってんだよ?」
陽菜のその言葉で、俺の雑多な考えがふと止まった。
今コイツは、史織と言ったか。
「史織……って、もしかして鞘本史織!?」
「そうそう、あの史織。ね、来たくなったっしょ?」
陽菜はいよいよ俺の喉元に迫って熱弁を振るう。
鞘本史織といえば、学年のアイドルだ。いかにも清純派で、お嬢様っぽい雰囲気を漂わせる女子。
芸能界入りしていないのが奇跡とすら言われる次元の美少女。
その彼女が目を両手で覆い、ドキドキしているのを想像しただけで、俄然その場への興味が増す。
「ったく、解ったよ……」
俺は陽菜の熱意に折れた風で答えた。ただその心中には、下衆な下心しかない。
放課後、俺は陽菜と一緒に喫茶店で時間を潰していた。
ターゲットである桜とその他数人が先に下校し、『準備』をしておくのだそうだ。
微妙な立地のせいか、この喫茶店は客の入りが悪い。
今も窓際の席でサラリーマンが音楽を聴いているだけで、ほぼ貸切状態だった。
「土曜から焦らし始めたんなら、今日が木曜だから……えっと、6日目か?」
俺はスマホを弄る陽菜に尋ねる。陽菜は小悪魔じみた笑みで頷いた。
「そ。あたし撮影係でさ、スマホで撮ったのあるんだけど、見たい?」
そう誘われて、断る思春期の男がいるだろうか。
「お願いします」
「フフ、素直でよろしい。んじゃ見せるけど、くれぐれもこんな所でオナり出さないでよ?」
陽菜はいよいよ悪戯っぽく微笑みながら、俺の耳にイヤホンを嵌めた。そして、細い指でスマホを撫でる。
揺れと雑音の激しい映像が始まった。
カラオケボックスの一室だろうか。コップや軽食の乗ったガラステーブルと、L字型の赤いソファが映り込んでいる。
ソファには数人の女子の姿があった。全員がウチの制服姿だ。
1人が大きく脚を開いて腰掛け、その両脇の2人が膝を押さえている。
そして正面に膝立ちになった1人が、開脚した女子のショーツにローターを這わせていた。
開脚しているのは桜だ。
相変わらず人形のような無表情で、されるがままになっている。
制服のスカートは取り去られていて、ショーツから伸びる脚が丸見えだった。
そしてその脚がまた、色白でほっそりとしていて、いい脚なんだ。正直かなり好みだ。
「意外といいスタイルしてるっしょ、桜って」
陽菜の言葉にドキリとする。
今まで桜を見ても、人形のようだとしか思ったことがなかった。
女子の殆どがスカートを短く詰めているのに、桜はやや長めだったから、脚線を意識する事自体が皆無だった。
ところが、あの膝丈スカートの中に、こんな魅力的な脚線があったなんて。
『ふふ、勃ってきた勃ってきた。なーんだ。無表情だけど、ちゃんと感じてんじゃんか』
動画の中から、不意に声がする。
声を発した主の視線は、桜のショーツを捉えていた。
映像が遠いせいではっきりとは見えないが、多分クリトリスが勃起した事を言ってるんだろう。
『ねぇ舟形さん。澄ました顔してるけど、感じてるんでしょ?』
桜の向かって右に座る女子が、掴んだ膝を揺らしながら重ねて問う。
『ええ』
桜は感情の読めない声で答えた。小さく唇が動いただけで、鼻から上には一切変化がない。
『相変わらずロボットっぽいなー、桜は。おいちゃん心配になるぜ!
まぁ、こっから女らしくなってくのに期待かな。
今日はクリがギチギチに勃起するまでやるから、覚悟しなよ?』
向かって左に座る女子が、桜の耳に息を吹きかけるようにして言う。
多分冗談でやってるつもりなんだろうが、その絵面はやたらとレズっぽい。
ここで1つ目の映像が終わる。
「へへ、どーぉ?」
陽菜は、俺の顔を覗きながら訊いた。自信作の感想を待つ、という様子で。
「なんつーか……すげぇエロいな。女子同士の絡みって」
俺は思ったままを口にする。実際、俺の中に新しい世界が開けた感じだ。
陽菜はそれを聞いて、でしょでしょ、と満足げに笑った。
「じゃ、次のも見せたげる。無修正のモロ見えだけど、ショック受けないでね」
やや声を潜めながらのその言葉が、変に俺の鼓動を早める。
2つ目の映像が始まった。
同じ場面らしく、赤いソファに腰掛けた桜が画面中央に映っている。
左右に女子が張り付いているのも、正面に膝立ちの1人がいるのも変わりがない。
大きく違うのは、まず桜のショーツが取り去られていること。
そして、最初の映像よりも開脚の度合いが増している事だ。
丸見えの上に140度ほどの大開脚……とくれば、俺の視線は自然と秘部へと吸い込まれてしまう。
初めて見るクラスメイトのあそこは、綺麗だった。
肉の裂け目が、ごくごく薄い茂みの下から始まっている。
太腿に比べて濃い肌色をした陰唇。その内側にある、鮮やかなピンク色の粘膜。
と、その粘膜の上側……ちょうど陰核の真下から、何か白い棒が突き出ているのが見えた。
綿棒だ。細い一本の綿棒が、秘裂の中に突き立っている。
しかし妙だ。もしその綿棒が本当に秘裂に刺さっているのなら、何かの拍子に落ちてしまうんじゃないだろうか。
たとえ桜が処女だったとしても、産道というのは綿棒1本を固定できるほど狭いものじゃないだろう。
「なぁ。あの綿棒ってさ……」
俺は片耳のイヤホンを外し、隣に座る陽菜に尋ねた。陽菜は、待っていたとばかりの笑みを浮かべる。
「ふふん、気付いたかね? あれねぇ、おしっこの穴に入ってるの」
「なっ!!」
陽菜の囁きに、俺は思わず叫んだ。慌てて口を押さえつつ周囲を探るが、ほぼ貸切の店内に変化はない。
とりあえず一呼吸置き、再び動画に意識を向ける。
動画の中では、ねっとりとした女子の責めが続いていた。
1人が綿棒の端を摘み、ゆったりと上下させるように揺らめかせる。
同時に別の1人が、女子特有の細い指でクリトリスを弄ぶ。木の芽を揉み解すような、柔な刺激だ。
「下手に真似しちゃいけないけどさ、尿道に綿棒入れられるのって、すっごいんだよ。
綿棒で膀胱に『の』の字描かれるだけで、どんどんクリが勃起してくんの。
おまけに、親指・中指・人指し指使ってクリ潰しまでされたら……グイグイ絶頂が近づいてくるんだよね」
陽菜がうっとりとした口調で告げる。妙に実感の篭もった話しぶりだ。
映像の中の桜も、どうやら気持ちがいいらしい。
「はっ…………はぁっ…………はぁっ…………はっ…………」
顔こそ人形のような無表情のままだが、その唇からは、同じペースで吐息が漏れていた。
女子の責めに呼応するペースだ。
確実に“効く”やり方を繰り返され、じわじわと快感が蓄積している最中なんだろう。
その果てには、当然ながら絶頂が待っている。桜も動画の中で、まさにその時を迎えようとしていた。
「っ……」
息を詰まらせた気配の直後、内腿がピクンと強張る。明らかに絶頂の間際だ。
しかしその変化があった瞬間、女子達は急に一切の責めを止めた。
綿棒は尿道の中で角度をつけて止まり、陰核をぬるぬると嬲っていた指も、布を摘み上げるような形で静止する。
「…………んんっ!!」
桜の鼻から、何とももどかしそうな息が漏れた。ポーカーフェイスが一瞬崩れ、小さく下唇が噛まれる。
『っふふ、残念。またイケませんでしたぁ』
『ゴメンねぇ、イジめてる訳じゃないんだよ。こういう遊びだからさ』
『そうそう。この寸止めが、これから一週間続くんだよぉ。皆それガマンしてきてるんだからさ、桜もガンバ!』
女子達は口々に言い、桜の気分が静まるのを待って責めを再開した。
再び映像内に繰り返される、桜の吐息。
映像はそこで終わったが、責め自体はその後もまだまだ続いた事だろう。
「つ、次はあるのか?」
俺は逸る気持ちを隠せぬまま陽菜に尋ねる。陽菜は当然とばかりに頷いた。
「はいはい~。たっぷり焦らし責めして、30分ほど経過したものがこちらでございまーす」
陽菜は、料理番組さながらの口調で動画を再生する。
新しい映像の中で、桜はいよいよあられもない格好を取らされていた。
両の足裏がガラステーブルの上に見えるほどまで、足首を高く持ち上げられている。
そしてその股の間に、女子の細い指が潜り込んでいた。
『ほらぁ桜、Gスポがもうこんなに出てきちゃった』
映像内に、はっきりとその言葉が聴こえる。その直後、腕が蠢き、にちゃ、ぬちゃ、という音が聴こえた。
多分な水気を思わせる音。事実、桜の内股やソファの座部は夥しい量の愛液で濡れ光っている。
『…………あぁ、あっ…………あ』
桜は、ソファの背もたれに後頭部を乗せて天井を仰いでいた。
相変わらずのポーカーフェイスだ。ここまで来ると、本当に人形なのかとすら錯覚してしまう。
ただし、それはあくまで顔に限った話。ひとたびカメラが身体を接写すれば、途端に人間らしさが浮き彫りになった。
女子の指がクリトリスと膣内で踊るたび、陰唇がヒクヒクと蠢く。内腿が筋張る。ガラステーブル上の足指が、ぎゅっと縮こまる。
『やっ、かわいー。細い脚がピクピクしてる』
『感度自体はかなりいいよねー。不思議なくらい顔に出ないけど』
『だね。そろそろヒドい顔も見てみたいな』
映像の中の女子達は、桜の反応を愉しみながら、根気強く焦らし責めを続けた。
特にクリトリス責めは入念で、ローターや指の他、化粧グッズから取り出した刷毛のようなものが用いられる事もあった。
それは間違いなく効果的で、ポーカーフェイスこそ崩せなかったものの、様々な身体の反応を引き出していた。
3つめの動画がようやく終わった後も、俺の興奮は収まらない。
この動画が先週末のものだとするなら、桜は今週の前半ずっと、絶頂寸前のお預け状態だった事になる。
しかしよくよく思い返してみても、一切そんな気配はなかった。
常に注意して見ていた訳でもないが、普段が人形のようであるだけに、牝臭い雰囲気が少しでもあれば目立つ筈だ。
相当な演技派なのか、それとも性欲のスイッチを切り替える事でもできるのか。
いずれにせよ興味深い。
――でさ。見てれば解ると思うけど、桜ってすっごいクールじゃん?
そーいう相手を嬲るってなったら、皆なんか熱入っちゃって、今までにない事しようって流れになってるんだ
陽菜の言葉を思い出す。確かに神秘的な桜なら、嬲り甲斐もひとしおだろう。
今さらながら、この後向かう先が楽しみになってきた。おまけに僥倖というべきか、そこには憧れの鞘本史織までいるんだ。
「ほいじゃ、ボチボチ行きますか……?」
俺の逸る気持ちを汲んだのか。陽菜はスマホをポーチにしまいながらそう言った。
※
陽菜に案内された先は、カラオケボックスではなく個人宅だった。
2階建てで、小さな庭と車3台分の車庫を備えた、そこそこ金のありそうな人間の家だ。
綺麗な石でできた表札に『舟形』とある所からして、誰の家かは想像がつく。
どうやらここが、今週の女子の『遊び場』らしい。
「桜んとこって、親が超忙しくてさ、年に数日しか帰らないんだって。
おまけに一人っ子だから、この城を毎日独占ってわけ。ちょっと羨ましいよね」
陽菜はそう語りながらインターホンを鳴らした。
「ハーイ、あたしだおー。サオ役連れてきたよん」
開口一番、そう恥ずかしげもなく言い放つ。いつもながら明け透けな奴だ。
まぁこういう奴だからこそ、女子と話すのが苦手な俺でも気軽に付き合えるんだが。
「うい、入ってー。つっても、アタシん家じゃないけどさ」
苦笑交じりに返事があり、チョコレートのような玄関のドアが開かれる。
中もやはり広かった。土間からすぐに幅広の廊下が伸びていて、右手の階段を上れば2階のようだ。
ドアを開けた女子は、俺に階段を上るよう合図する。
「……ん?」
階段に足をかけた瞬間、俺は思わず鼻を鳴らした。何か嗅ぎ慣れない、生々しい匂いがする。
匂いは階段を上るにつれて強まった。どうやら元凶は、『桜の部屋』というプレートのかかった一室らしい。
入室に覚悟の要る場面だ。
俺が部屋の前で立ち尽くしていると、陽菜はその横を通り抜けて扉を開けた。
室内の様子が視界に飛び込んでくる。
無機質な桜の部屋とは思えないほど、女の子女の子した部屋だ。
閉め切られたカーテンはピンクのディズニー柄で、窓に面した学習机にもヌイグルミが山のようにいた。
意を決して足を踏み入れれば、室内にはそれなりの広さがあることが解る。
8畳ほどだろうか。壁際には巨大な液晶テレビがあり、映画さながらの迫力でAVが再生されていた。
それを真正面から鑑賞できる位置にソファが設置してある。
桜はその上にいた。
左右に大きく開脚したまま、膝を曲げる格好。太腿と脛が赤いロープで何重にも巻かれ、脚を伸ばす事はできそうもない。
その逃げられない状況で、秘部に白いマッサージ器が宛がわれていた。
マッサージ専用の道具だけあって、音も振動もローターの比じゃない。ヴヴウウウ、という駆動音は胸にくる。
すでに桜の女の部分は蜜にまみれ、マッサージ器の唸りに合わせてプシャプシャと愛液を撒き散らしていた。
しかも今は、映像内でそうだったように、下だけ剥き出しなんてレベルじゃない。
上も下も、正真正銘の裸……いや、紺のハイソックスだけが何故か残されているが、ほぼ丸裸だ。
ゴクリ、と喉が鳴った。
桜の色白な肉体が、網膜に焼き付く。
制服を着ている時でも華奢に思えたが、実際裸で見るとさらに細い。腕も腰も細く、胸もない。
ただし、乳首は興奮のせいかしっかりと勃起していて、平坦な板の上に赤いベリーが2つ乗っているようだ。
「あぅぅあ…………!」
と、ここで呻き声がする。
視線を上げると、ボールギャグを噛まされる桜の顔があった。
瞳は相変わらずガラス玉のようだが、ボールギャグの穴からは、かなりの唾液が胸板へと垂れていた。
おまけによく見れば、全身がオイルを塗りたくったように汗まみれだ。
――パッと見は人形みたいだけど、汗も唾液も出すって事は、やっぱ人間なんだな。
俺は今さらながらに思った。そう思わせる何かが桜にはある。だからこそ、女子達も責めに熱を上げるんだろう。
「ほーら桜、またイケないねぇ。残念ねぇ?」
桜が呻いた直後、女子はマッサージ器をあそこから離す。
とうとう目の前で露わになった、クラスメイトの『オマンコ』。スマホの粗い映像で見るより、やはり格段にいやらしい。
大陰唇は赤く充血して、膣の中が見えるぐらいに開ききっていた。
そしてその上部では、この離れた位置からでもはっきり解るほどクリトリスが勃起している。まるで小豆だ。
「ひえー……。この2時間弱で、やる事やってるねぇ」
陽菜が呆れたような口調で告げた。
いつも思うが、こいつは先陣を切って突っ込む割に、周りが盛り上がってくると引くタイプだ。
「あれ、ヒナじゃん」
女子の1人が陽菜の存在に気付いて顔を上げる。
「や。男優連れてきたよん」
陽菜が片手を挙げて俺を紹介すると、場の6対の瞳は一斉にこっちを向いた。
全員が俺のクラスメイトだ。そしてその中に、一際印象深い娘がいる。
サラサラの長い黒髪に、整った顔立ち。見間違える筈もない。俺のアイドル、鞘本史織だ。
でも……その印象は、教室でのものとは180度違った。
ベッドに寄りかかったまま、ショーツが見える事も厭わずに片膝を立てている。
俺を見上げる瞳は、いつもの穏やかなものとは違う、ヤンキーさながらの三白眼だ。
「えーっと……誰コイツ?」
史織ちゃんの口が開き、ドスの利いた声が漏れる。こっちとしてはその言葉、そのまま返したい所だ。
「や、クラスメイトじゃん。名前は忘れたけど。」
「えっと、確か葛西だよ」
女子が顔を見合わせながら言葉を交わす。こういう時、女子と接点のない身はつらい。完全なアウェーだ。
「つーかさぁ、男優って割にパッとしなさすぎ。大体、こんなの連れてきて大丈夫なわけ?
もしアタシの本性が噂になってたら、元カレにチクッて埋めるから」
何よりつらいのは、史織ちゃんが顎を上げ、露骨に俺を見下しながら吐く言葉だ。
その一言一言が、2年間俺の抱いてきた恋心をズタズタに切り裂いていく。
週に2回は、彼女の恥らう姿を妄想して抜いていたのに。
「アハハハッ、史織ってば辛辣すぎ。マジで冴えない男子嫌いだよねー、アンタ」
「しかも笑えんのが、これで男子の一番人気って事だよねー。女ってホント怖いっしょ、葛西君?」
女子達が腹を抱えて笑う。
「大丈夫大丈夫、葛西ってクチ固いから。そこはあたしが保障するよ」
陽菜からのささやかなフォローが、せめてもの救いだ。
「うむぅ゛っ…………!!」
場の雰囲気を一変させたのは、桜のその呻きだった。
女子の1人が面白半分に陰唇を弄くったのが堪らなかったんだろうか。
「なによ、騒いで。ビラビラ指で擦られんのが、そんなにイイわけ?」
「こんだけ充血してたら、神経むき出しって感じなんじゃないの。
あたしが大学生の彼氏に前戯されまくった時だって、触られるだけで感じたけど、ここまで膨れてなかったもん」
「クリに化粧して、マンコにマッサージ器当てて、指入れて……ってもうずっとやってるしね。
桜って責めても顔にでないから、ついついやりすぎちゃうんだよねぇ」
女子の数人が、意地悪そうに目を細めて桜を眺める。
一見するとイジメのようだ。イジメとイジリは一文字違い、という言葉を思い出す。
「んでさぁ、陽菜。そこに突っ立ってるサオ役、この中の誰とやらせんの?
追い込みの仕上げに、桜の目の前でセックスさせんでしょ」
史織ちゃんがより深くベッドにもたれながら、俺を顎で示して言う。
俺は肩が強張った。本性が見えたとはいえ、あの史織ちゃんに名指しされると緊張が隠せない。
「んー、それなんだけどさ。出来れば史織にお願いしたいんだよね。葛西って、史織の事好きらしいし」
陽菜が言うと、史織ちゃんの顔が露骨に不機嫌になる。
「はぁっ!?」
三白眼がまず陽菜を見やり、次いで俺を威圧するように睨み上げる。
「ねぇ、ソレ本気で言ってんの?」
顔は可愛いのに、ひどく怖い。場の注目もあって、俺は一瞬否定しようとした。
でも、心の底から欲が湧いてくる。何かの間違いででも、あの史織ちゃんとセックスができるチャンスなんだ。
けして女子にモテる方じゃない俺にとって、こんな機会は二度とはないだろう。
だから俺は、生唾を呑みこみ、史織ちゃんの三白眼を見つめ返した。
「…………実は、そうなんだ。ずっと好きだった」
「ウザッ、キモッ!!」
俺の言葉を想定していたかのように、即座に罵倒が飛んでくる。
それでも俺は、運に恵まれていた。
「まぁまぁまぁまぁ。アタシに免じて、一つ折れてやってよ。こいつ、これで悪い奴じゃないんだよ?」
まず陽菜がフォローをくれる。もっとも、俺がNGになって別の男を連れてこいという展開を面倒がってだろう。
しかしこれがきっかけとなって、場の雰囲気が変わる。
「そうだよ、やっちゃいなって史織。どうせ、もう何十人も喰ったビッチマンコなんだからさぁ」
「そうそう。第一これぐらいの顔の方が、セックスが生々しくていいって。どっちもアイドル級の美男美女とか、つまんねーし」
「だよねー。美女と野獣ってやつだよ」
クラスの女子3人の意図は解らないが、多分『どうでもいい』んだ。
自分達がセックスを見せる流れ以外なら何でもよくて、とりあえず熱の冷めないうちにショーを始めたい。そんな所か。
「は? ふっざけろって!」
史織ちゃんはいよいよ不良丸出しの口調で反論したが、陽菜も含めると4対1。
口達者な4人を相手に勝ち目などなく、5分後には渋々ながら承諾する形となった。
俺のせめてもの夢が現実になった瞬間だ。
「ジロジロ見んなよ!」
史織ちゃんから罵声が飛んでくる。
制服を脱ぎ捨てる彼女を、少し長く見すぎたらしい。
でも仕方のない事だ。ずっと憧れていた相手が、すぐ目の前で服を脱いでいるんだから。
態度や顔つきが変わり果てていたとしても、身体は毎日こっそり覗き見ていた彼女のものに違いない。
膝上スカートから伸びる理想的な脚線。ほっそりとしたウエスト。Cカップはありそうなお椀型の胸。
さすがは全高校男子のアイドルにして、『芸能界入りしていないのが奇跡』とまで言われる女子だ。
同性である女子さえ、そのスタイルに見入っている。
いち早く制服を脱ぎ終えていた俺は、用意していたコンドームの袋を取り出した。
袋を破り、丸い輪になったゴムを取り出す。そしてそれを、興奮ですでに勃起しきっている亀頭へと宛がった。
しかし、そこからが上手くいかない。
両手の4本の指でゴムを掴み、アレの形に沿って下ろそうとするも、ゴムのたるみの部分が解けない。
何度も変にひっかかり、手間取ってしまう。
「うわ……まさか、童貞?」
服を脱ぎ終わった史織ちゃんが、ゴミでも見るような目で罵ってくる。女子の笑い声もする。
視界の端では、桜の瞳がこっちを見つめているのも見えた。
気のせいだろうか。いつもガラス玉のように見える瞳が、今は少し濡れているように見えるのは。
その些細な発見がガス抜きになって、俺に少しの冷静さをくれる。
落ち着いてやれば、コンドーム装着はそう難しい事でもなかった。
ヴァージンロードを歩むような気分で、史織ちゃんと横並びのままベッドに近づく。
ベッドの場所は、ソファに対して左斜め60度の位置。距離も俺の足一つ分ほどしかない。
ソファに腰掛ける桜達にも、している所がよく見える事だろう。
「あたしがリードするから、寝といてよ童貞」
言われるがままに、俺はベッドに横になる。史織ちゃんはそんな俺をしばし睨み下ろした後、ベッドに乗った。
細い脚が俺を跨ぐ。ギシリ、とベッドが軋む。
「動くなよ」
史織ちゃんは、右脚を直角に立て、左膝をベッドに突いて挿入の姿勢を整えた。
やわらかく暖かい肉の感触が、俺の右足の付け根に広がる。
あの鞘本史織の脚の肉。そう考えると、勃起がさらに強まって痛いほどだ。
史織ちゃんの指が俺のモノを掴んで固定した後、少しずつ腰が沈んでくる。
「ああっ…………!!」
殺す余裕もなく声が出た。
パンパンに張った俺自身が、熱く柔らかい肉の襞に包まれていく。その未知の感覚が凄すぎた。
挿入はスムーズで、俺のモノは二秒とかからず、すべて史織ちゃんの中に埋没する。
膣内はすでに濡れていた。桜が延々と寸止めされているのを見て、密かに興奮していたんだろうか。
こういう場所に顔を出している所からして、興味がない訳ではないんだろうから。
一方で締め付けはあまり感じない。
初めてのセックスだから、他の女子と比べて緩いのかは知らないが、湯を含ませた真綿で包まれているような感覚だ。
けれども、俺は満たされていた。
産毛ひとつない、憧れの女子の下腹が目の前にある。手入れされた彼女の陰毛が、俺のそれと絡み合っている。
その事実だけで、もう精神的に射精しそうだ。
「うわぁー入った。ねぇ史織ぃ、どうなのよ?」
「超ビンビン。気持ち悪すぎ」
女子の問いに対し、史織ちゃんは吐き捨てるように言う。そして同時に、腰で水平な円を描くような動きを始めた。
「ぁうううっ!!!」
俺は裏返った声を発しながら、無意識に腰を浮かせてしまう。
勃起しきり、精神的にも充足した状態のモノでグリングリンと円を描かれてはたまらない。
「動くな、っつってんだろ!」
史織ちゃんは綺麗な眉を顰め、平手で俺の脇腹を叩いた。バチンッ、と音がする。
でも今の俺には、それすらも快感を増す刺激になってしまう。史織ちゃんの膣襞を押しのけるようにして、いよいよ勃起が深まっていく。
「んっ!?」
瞬間、史織ちゃんから声が漏れた。
「どうかしたの、史織?」
「べ……別に何でもないし」
女子からの問いには平静を装うものの、間近で繋がった俺には解っている。
史織ちゃんは多分、俺が勃起した瞬間に感じたんだ。見開いた瞳で一瞬下腹を凝視した事が、その根拠だ。
仲間内に何でもないとアピールした手前、史織ちゃんは余裕を見せて腰を動かすしかない。
でも、上下左右に腰を振りたくるうち、少しずつ変化が始まる。
まず何よりも、膣の締め付けが増した。膣壁が八方から迫ってきている、という感じだ。
襞が膨張したせいか、それとも身体に力が入っているせいか。いずれにしても、明らかに感じているんだろう。
俺のその予想を裏付けるように、史織ちゃんが上下に腰を振るたび、水音が大きくなっていく。
明らかに愛液のせいだ。
最初は膣内が潤んでいる程度だったものが、今や俺の陰毛を朝露まみれのような状態にさせている。
尻穴の方にもとろりと生暖かいものが垂れることがあった。
「あ…………あっ、あ…………ぁっ………………!!!」
色っぽい小声が漏れ始める。とうとう、史織ちゃんの表情そのものが変わってきていた。
仲間に見えないよう俯いても、真正面から見上げる俺にだけは隠せない。
眉根を顰め、唇をいの字に合わせて耐えようとするものの、すぐにその両方がふわっと解ける。
あ、という喘ぎ声が漏れるのはその時だ。
その様子は純粋に可愛くて、されるがままだった俺の心に良くないSの心を目覚めさせた。
いつの間にか史織ちゃんの腰は『逃げ』に入っている。
なるべく長持ちするように、ほとんど動いていないに等しい、小さな円運動ばかりだ。
その生殺しのじれったさが、俺の理性の蓋を壊した。
俺は責めに出る。
視界の端で再生されているAVも、ちょうど女主導の騎乗位だ。
その動きを参考に、俺は両の手の平を天に向け、史織ちゃんの太腿を押し上げた。
これまでの浅い抜き差しから一変し、怒張の半分以上が空気に触れるほどのストロークだ。
「ちょっ、触んなって…………」
史織ちゃんは俺の鳩尾に手を突いてコントロールを取り戻そうとする。
しかし、それよりも俺が手を離す方が早かった。
高々と持ち上げていた腕の力を、すっと抜く。すると当然、太腿は急降下する。
加速度に自重も合わさり、怒張の根元まで深々と。
「ッッああぁあああっ!!!」
効果は覿面だ。AVの中の喘ぎとシンクロするように、史織ちゃんの声が響き渡った。
史織ちゃんが天を仰いだために表情までは解らないが、女子達の様子から察する事はできる。
「うわ、え、え、何? チョー気持ち良さそうなんだけど」
「ちょ、ちょっと史織ィ…………あんたまさか、コイツ相手にイッた?」
同性というものは辛辣だ。異性ならオブラートに包むような問いを、ズバズバと投げかける。
「ふざっけ…………そん、な…………」
史織ちゃんは息を切らせながら反論しようとする。その気丈な姿は、やたらと嗜虐心を煽った。
なるほど今なら、こいつらが桜に執心だった理由もよく解る。
虚勢でも平然としているタイプほど、責め甲斐がある。
俺は再度『史織』の太腿を持ち上げた。そして反抗の隙を与えず、落とす。
「くぁっはああぁっ!!」
期待通りに上がる声。俺はいよいよ調子づいて繰り返した。
持ち上げては落とし、持ち上げては落とす。俺自身の望むストロークで膣を突く。
当然、その度に嬌声が上がった。女子達も最初こそ顔を見合わせて戸惑っていたが、いつの間にか合いの手など入れてくる。
そうなれば祭りだ。ワッショイワッショイ、と学年のアイドルを追い込んでいく。
史織は、最初こそ前屈みになり、俺の胸へと手を突いていた。それが抜き差しを重ねるごとに、頼りなく揺れ始める。
そして最後に安定を求めたのは、俺の膝付近を掴んでの弓反りの姿勢だった。
その時点でもう彼女の腿に力はなく、俺の上でペタンと、いやグニュリと腰を抜かしている。
「へへ……終わったぜオマエ」
気付けば俺は、自分でも意識しない言葉を吐いていた。学年のアイドルを傀儡化する悦びに酔っているのか。
汗まみれの腿から両手を外し、脚の付け根を伝って、細いウエストを鷲掴みにする。
これまでは微妙に遠く、抵抗される恐れもあった為に掴めなかった場所だ。
ここさえ掴んでしまえばこっちのもの。強烈なストロークに加え、深々と腰を沈めさせる事すら可能になる。
「ちょ、ちょっと…………」
史織が見下ろして何か言っているらしいが、知った事じゃない。童貞の猛りはもう止まらない。
パコッ、パコッ、と股座に空気を含ませつつ肉のぶつかる音がする。
グチュッ、グチュッ、という水音も、それに掻き消されないほどに生々しく響き渡る。
「すごーい、超音してるよ」
ソファの女子達は、その音を聞いては囃し立てていた。
音も確かに凄い。ただ、膣内の混乱状況はそれ以上だ。
両手で史織の腰を高く持ち上げてから、逆に引きつけるようにして膣奥を突く。
すっかり膣が狭まり、恐らく『子宮が降りてきた』状態の史織には、これだけで感じる要素として充分だろう。
俺はこれを何度か繰り返しては、トドメの駄目押しをした。
腰を下ろさせる瞬間、俺自身も大きく腰を反らせて、いよいよ強烈に膣奥を突き潰す。
この瞬間、史織は確実に逝っていた。
声こそ出なくとも、膣内の異常なほどの締め付けで絶頂の瞬間がわかる。
それが終わると膣がふぅっと緩くなるが、俺にしてみればちょうど良い小休止だ。
腰を小刻みに揺らしながら、スカスカになった膣を突き上げ、奥をイジメて締め付けを復活させていく。
この繰り返しだ。
何度が射精しているのかもしれないが、萎える気配はない。
何しろ俺の上で、憧れだった鞘本史織のスレンダーな身体が揺れているんだ。
妙に甘ったるい汗の匂いもするし、胸板に滴ってさえいる。
それが興奮材料となって、俺のモノにマックス以上の勃起状態を維持させていた。
「ひぃっ、ひっ…………! はっ、ひぃっ…………!!」
荒い呼吸に混じって、悲鳴のような声が聴こえ始めた。そして史織は、最後の力を振り絞って身を捩る。
でも、男と繋がったままで動ける範囲なんてたかが知れたものだ。
悪戦苦闘の末、結局はベッドに崩れ落ちた彼女に俺が覆い被さる、正常位の格好になった。
方向が180度変わったせいで、AVを参考にする事はできなくなった。
しかし今度は、その向かい側、桜達のいるソファが見える。
俺は、ここで初めて桜の変化に気付いた。
いつの間にだったのか。彼女はもうポーカーフェイスじゃない。
ボールギャグを噛まされたまま、幼い女の子のように目を見開いている。
そしてその秘部は、誰も触っていないにもかかわらず、ヒクッ、ヒクッ、と喘ぐような開閉を繰り返していた。
割れ目から愛液がねっとりとあふれているのも見える。
どうやら彼女もまた、俺と史織の獣のようなまぐわいに見入っているらしい。
そうと判れば、いよいよ熱が入るというもの。
俺は史織の両膝の辺りを掴み、力強く腰を打ちつけた。
「あ、ああっ……あああ、やっ……ああっあ………っっ!!」
史織は自然に喘ぎを漏らすようになっていた。
姿勢の移動で力を使い果たしたのか、両腕で枕を抱え込んでされるがままだ。
この晒された腋が妙にエロい。勿論腋だけでなく、腕も、乳房も下腹も足も、全部がシミ一つない綺麗な肌だ。
俺はその至高の芸術品を蹂躙し続けた。
体位が変われば音も変わる。
膝立ちになった俺の足と史織の背中がシーツに擦れ、さすさすさすさす、という摩擦音が絶えない。
これでは見世物として寂しいというものだ。
だから俺は、掴む場所を変える。史織の膝から、両脚の付け根へと。
「やぁっ、やめっ…………そ、そ…………っ、ん゛んんっっ!!!」
脚の付け根を引きつけながら腰を打ちつけると、徐々に史織の腰が浮いてくる。
結合部が膝立ちになった俺の股間である以上、本来はそれが自然。今までが上からねじ込む形だっただけだ。
抜き差しがスムーズになったと同時に、肉の弾ける音が再開する。
パンッ、パンッ、パンッ、という派手な音と、その裏で鳴るグチュグチュという水音。
すでに史織の中は大洪水なんだから、それは音も凄い。膣内での攪拌は水飴を練るがごとくだ。
パフォーマンス目的で行ったこの責めは、意外にも史織の弱みを抉ったらしい。
「はぁっ、はひっ、ヒッ……はぁっはっ、あ、やあっ……はっ、はーっ……!!!」
息遣いが刻一刻と早まっていく。
掴んだ太腿の付け根に筋が浮き、背後ではピーンと伸びた足指がシーツを掴んだ気配がする。
そしてその直後。
「あっ、ああ、ああっ…………あああ、ああイクッ!
……ああっあっああっはああッ…………いっくっっ…………!!!」
史織は切迫した喘ぎを繰り返した果てに、身体を弓なりに反らせてイッた。
勿論、絶頂という行為そのものは今さらだが、今のは宣言まで行ったのがでかい。
ちらりと横を見ると、桜の秘裂がいよいよ物欲しげにヒクついているのが解った。
他の女子達も落ち着きがなく、余所見をしていたり、スカートを上から押さえていたり、カレンダーを確認したりしている。
俺はその様子に嬉しくなり、汗まみれの史織の腿を掴み直す。
「ほら、シャンとしろよ」
ぐでっとシーツに背中を付けた史織に言うと、学年のアイドルだった女は、目に涙を溜めながら頭を振った。
「いや…………イッたから。今、イッたから…………」
「何言ってんだ、さっきからイキまくってただろ」
俺がバッサリ斬って捨てると、史織の顔が歪んだ。
「やーまさか、ここまで乱れる史織が見られるとは思わなかったよ。
桜嬲ってる間に、すっかり温まっちゃってたのかな」
「ひょっとしてだけどさ。葛西クンって、実はすんごいヤリチンさんだったり…………?」
「や、っていうか絶対そうでしょ。腰グイグイ押し付ける動きとか、手慣れすぎだもん。
あんなの、誰だって感じるに決まってっし」
「もしくは、単純に凄い身体の相性が良かったり……?」
「つーか陽菜さ、やたら葛西推しなのが最初から怪しかったんだよね。
実は味見済みで、リーサルウェポン送り込んだんでしょ?」
「いやいやいや、違うって! あたしもこの展開はビックリっていうか、何ていうか…………」
周囲のざわめきを心地良く感じながら、俺は史織を喰らい尽くす。
対面座位から、身体を横に割る側位に変えて突く。さらに這う格好を取らせ、背後から腰を掴んでグイグイとねじ込む。
バックで突けば、つぱっ、つぱっ、と変わった音が繰り返された。
学校中の男子が夢中になっている美脚の間から、次々と愛液が零れていく。俺の膝にも垂れてきてむず痒い。
「あああうああっ、いくぅいくっ、いくーっ!! やばい、やばいやばいこれっ……ああっ、くぁああま゛だイグウぅうぅーッッ!!!!」
史織は完全に我慢をやめ、愛液同様に本音を漏らすがままになっていた。
クラスメイトから、顔やばいよ、などと茶化されても、反応する余裕すらないらしい。
俺はその状態の史織を容赦なく責め立てながら、ただ一点を見つめ続けた。
瞬きも忘れてこっちを凝視する、桜の瞳を。自分がどんな顔をしているのかも解らないまま、ただ真っ直ぐに覗き込んだ。
※
その日は、どうやって家に帰ったのか覚えていない。
立て続けのセックスで疲労困憊なうえ、桜の家の場所すら良く知らないときた。
気絶した史織を返す為にタクシーが呼ばれた所までは覚えているから、それに同乗して帰ったのかもしれない。
気付いた時には自分の部屋で、ベッドに横になったままボーッとしていた。
疲れはあるが、興奮の方が大きくて寝付けない。
妙な集いに誘われて、初めてクラスメイトの裸を見て、憧れのアイドルと散々にセックスしまくった。
1日で色々と起こりすぎて、何の現実味もない。
強いてリアリティを挙げるなら、右手を鼻に当てて嗅げば、指の間から史織の匂いがする事ぐらいだ。
クラスの連中が史織とすれ違ったとき、ふわりと香ったと狂喜乱舞するものの、何百倍も何千倍も濃厚な匂いの原液。
それが手に染み付いている。
「…………つーか、さすがに殺されそうだな。俺」
つい、独り言が漏れてしまう。学年のアイドルである史織が涙を見せれば、漏れなく全男子が俺の敵になるだろう。
これはもう、ほとぼりが冷めるまで学校を休むしかないか。
丁度俺がその結論に達した時、携帯が鳴る。
知らない番号だ。まさか明日といわず、早くも史織親衛隊が怒鳴り込みに来たんだろうか。
俺はしばらく悩んだ末に、その電話に出ることにした。
「葛西です」
まずは名乗って様子を見る。開口一番に怒鳴られる事を考え、スマホ本体はやや離して。
しかし、そこから数秒間、何も聴こえない。
不審に思ってスピーカーに耳を当てると、小さな声が聴こえてきた。
「あの…………葛西くん?」
聴こえないのか、という空気の声だ。俺は悪い事をしたと思い、すぐに返事をする。
「あ、ああ」
「あ、聴こえる? ……よかった」
声は確実に女だ。女のボソッとした感じのハスキーボイス。だが、誰なのかが解らない。
陽菜の常時腹から出しているような声とは、まずまったく違う。史織のそれとも質が違う。
「ごめんね、急に電話したりして。今、大丈夫?」
「あー……ああ」
俺は訝しみつつ、一応相手の言葉に応える。多分最初の方で名乗っていたんだろうから、改めては訊きづらい。
女子と簡単に仲良くなれるタイプの奴なら、ここでスパッと訊くのかもしれないが、俺には無理だ。
「陽菜にこっそり教えてもらったんだ、葛西くんの番号」
陽菜にこっそり教えてもらった。このワードを聞いて、俺は唐突に思い当たった。
桜だ。
「あ、あのー…………舟形さ」
「桜でいいよ。なに?」
カマをかけると、見事に正解。焦らし責めを受けていた、あのポーカーフェイスの桜だ。
「や、その……急に電話くれるなんてさ、ちょっとビックリして。どうかしたの?」
俺がそう訊ねると、電話の向こうで沈黙が降りた。訊いてはまずい内容だったかと焦った矢先、返事がある。
「ううん、どうもしない。どうもしないけど、何となく人恋しくて電話したの。
陽菜から聞いてるかもしれないけど、この遊びね、夜の間は貞操帯を着けさせられるんだ。
だからどれだけ火照ってても、その、自分では鎮められなくて。だからせめて、誰かと話して気を紛らわそうって思ったの。
…………ごめん。自分で言ってて思ったけど、すごく身勝手だよね、こんなの」
普段の無口さが嘘のように、桜は淡々と語り続ける。
今の分だけでも、教室内で発した言葉の量を上回ったんじゃなかろうか。
「いや、それは全然構わないんだけど……話し相手、俺でいいの?」
「うん。無関係な人には言いづらいし、陽菜達には、私がこうして弱音を吐いてるって事、知られたくないんだ」
桜の声には、確かな感情があった。普段の人形のようなイメージとは違う。
ひょっとすると、その『人形のようなイメージ』自体、彼女が必死に演じているものなんじゃないだろうか。
だとすれば、俺だけに胸の内を明かしている今、本当の彼女はどんな表情をしているんだろう。
俺はそれから、桜と初めて話をした。
話と言っても、他愛もない事ばかりだ。最近ハマっているテレビ、教師の陰口、好きな芸能人。
そういった話をしている最中にも、桜は荒い呼吸を続けていた。
やがてはその呼吸が早まり、電話の向こうから衣擦れのような音が聴こえるようになる。
「もしかして……してる?」
気になってそう訊ねると、桜はあっさり認めた。
「うん。貞操帯があるから、叩いても擦っても楽にならないのは解ってるけど……先週末からずっと、する事しか考えられなくて」
その言葉に、俺は胸が痛む。
「……悪かった。我慢してる桜の前で、あんな事して。ヘラヘラ笑ってる場合じゃなかったよな」
俺の謝罪で、再び桜に沈黙が降りる。ただ気のせいか、今度の沈黙は前とはまた違うように感じられた。
「…………ねぇ、葛西くん。セックス、気持ちよかった?」
不意に、その質問が来る。
「あ、ああ」
「やっぱり。すごく気持ち良さそうだったもんね。史織ちゃんだってそう。
あんな史織ちゃんを見るのは、初めてかな」
桜はそこで一旦言葉を切り、息を吐いた。耳元にゾクッと来るような溜め息を。
「実は、私ね。史織ちゃんがしてるのを見て、いつのまにか自分に重ねてたの。
腰がぶつかり合って、音がするたびに、自分がされてる気分になった。
焦らされてる時以上に、愛液が止まらなかった」
電話の向こうで、衣擦れの音が激しくなる。吐息もいよいよ熱くなる。
「葛西くんは、そんな私を見てたよね。すごい目力で、ずーっと…………」
「あ、いや、あれは…………」
「あの視線でね、私、壊れちゃった。葛西くんに見られて、ヘンになっちゃった。
本当は、何となく人恋しくて電話したなんて嘘。他の子に弱みを見せたくないっていうのも嘘。
……葛西くんがね、葛西くんのあの目が忘れられなくて、夜中に迷惑だって解ってたけど、堪らなくて電話したの」
ほとんど泣くような声。無機質なんてとんでもない。ここまで感情の乗った声なんて、滅多に聞かない。
俺は自分でも無意識に、桜の名前を呼んでいた。
桜はすぐに返事を返す。
「明日は金曜日だから、やっと私の番も終わり。明日からはもう貞操帯もない。好きにしていい。
でももう、自分で慰めたって満足なんてできないよ。
葛西くん、お願い。明日もまた、ウチに来て。今度こそ、本当に私を抱いて。
私、初めてだから、泣いたり取り乱すかもしれないけど、気にしないで。
今日史織ちゃんにしたみたいに、滅茶苦茶にして!」
まさに必死の哀願。
ここまでされて断るバカはいないだろう。いくら女に不慣れな俺だって、そんな事はしない。
「わかった。心配すんな、嫌ってほど滅茶苦茶にしてやる。……また明日な、桜」
俺は、腹の底から力を込めて約束する。電話口の向こうから、安堵の溜め息が漏れた。
※
次の日俺は、登校直後から大人数の視線に晒される破目になった。
とはいえ、恐れていたような敵意の視線じゃない。多くの視線が物語るのは、嫉妬と驚愕だ。
「お早う、葛西くん」
元凶となったのが、史織のこの一言だ。
普段通り大和撫子然とした顔で、にこやかに俺に挨拶なんぞをしてくる。
高嶺の花どころか、エベレストの山頂に咲く花のような鞘本史織がそんな事をすれば、嫌でも目立つ。
「ああ、おはよう……」
そう言い捨てて逃げるように教室内へ入ると、ここでもまた同じ事が起きた。
「おはよう、葛西くん」
自分の席へ向かう途中で、そう声が掛けられる。
無口で無表情、ロボットか人形かと言われている舟形桜が、自分から男子に声を掛けるなど、こちらも世紀の珍事件だ。
ざわめきが教室の内外に広がっている。
まさか平々凡々な俺が、人の噂の中心になろうとは。いい迷惑だし望んでもいないが、逃げ出す訳にはいかない。
俺は男として約束したんだ。桜を満足させてやると。
「…………痛いか?」
俺は組み敷いた桜に問いかける。
「へいき」
桜は目尻からつうっと涙を流しながら、小さく首を振った。
いつもはガラス玉を思わせる瞳が、やけに生々しく濡れている。
陶器のような肌は頬を中心に赤らみ、汗に塗れている。
黒いセミロングヘアも汗で萎びて、部分部分が首筋や頬にくっついている。
ついに表れた『舟形桜』の人間的な表情は、ゾクッとくるほど可愛いかった。
おまけに桜の締め付けは、史織以上に強い。きゅうきゅうと吸い付いてきて堪らない。
今思えば膣奥が複雑にうねる史織の中も良かったが、桜はまたタイプの違う名器に思える。
「じゃ、動くぞ」
俺は一言断りを入れ、ゆっくりと腰を使い始めた。ぱんっ、ぱんっ、と乾いた音がする。
「んっ……あ、ああ…………あ」
桜はすぐに甘い声を上げ始めた。つい先ほど破瓜を経験したばかりなのに、感じているようにしか見えない。
焦らしに焦らされて、すっかり快感を得る準備が出来ていたせいだろうか。
俺は少し安心して、約束通り桜を『滅茶苦茶にする』準備に入った。
昨日史織にしたように、膝立ちでしっかりと腰を掴む。そして引きつけながら、こっちも強く腰を叩きつける。
「ぃひっ!!」
悲鳴が上がり、どこを見ても華奢な身体が弓反りになる。でもその顔は、苦しみながらも笑っていた。
そして俺が獣のような突き込みを繰り返すにつれ、その笑みはますます蕩けるように変わっていく。
「ねぇ、ちょっとぉ。いつまで桜としてるわけ? いい加減、こっちも焦れてるんだけど。
あたしを待たせるとか、他の男子が知ったら大ブーイングだよ?」
ソファの方から声がする。見れば史織が、ソファの背もたれに肘を乗せてふて腐れていた。
そもそも呼んですらいないんだが、俺と桜の約束を看破したらしく、勝手に下校ルートを付いてきたパターンだ。
「お預けだよ。たまにはいいだろ、なぁ桜?」
「うん……焦らされた後の方が、普通にするより気持ちいいよ」
「はんっ、それって完全にイヌの発想なんだけど。…………ったく、じゃ待っててあげるから、さっさと交尾済ませなよ」
俺と桜の言葉に、史織は刺々しく返す。ただ、緩んだその瞳と頬には、満更でもないという色が窺えた。
桜をイカせるだけイカせたら、次はまた史織を足腰が立たなくなるまで責め抜いてやる。
史織が終わったら、また桜だ。
そうしてお互いがお互いのセックスを見て焦れている様は、さぞ可愛い事だろう。
問題があるとすれば、この色魔さながらの表情を見せ始めた二人を相手に、俺自身がどこまでもつかだが…………
そこは何とか、辛抱するとしよう。
終わり
続きを読む
ただし、焦らされてるキャラと連続絶頂するキャラは別。
スカトロやアナル成分はありません。
クラスメイトの陽菜から聞いた話は、にわかには信じがたかった。
俺のクラス……条貝高校2年3組の女子の間で、『焦らし遊び』というものが流行っているという。
女子グループ数人で、ターゲットの女子1人へと性的な焦らし責めを加える。
期間は一週間。その間、ターゲットには貞操帯が嵌められ、自慰は一切禁止される。
そうして欲求不満を募らせて、登下校時や授業中のターゲットの変化を愉しむのだそうだ。
「土日に始めて、次の金曜まで焦らしっぱなしなの。
ウチのクラスでも、もう何人かの女子が餌食になってんだけど、気付かなかった?
真美とか、祥子とか……先週だと佳苗とかさ」
言われてみれば、確かに思い当たる節がある。
今挙がった女子には全員、どこか『変』な週があった。
いつもキビキビ動くイメージの山岡真美が、頬を赤らめたままボーッとしていたり。
クラス一活発なオトコ女である佐々木祥子が、大得意の体育を見学したり。
引っ込み思案な大越佳苗が、授業中やたらとトイレを宣言したり。
生理なんだろうと思って気にも留めていなかったが、なるほどそういう訳だったのか。
「その『焦らし』っての、今も誰かやられてんの?」
俺はふと気になって陽菜に尋ねる。
その問いに対する答えは、俺にとって意外なものだった。
「勿論。今週は、桜だよ」
桜……といえば一人しかいない。
舟形桜。黒髪のセミロングヘアという、やや地味な見た目のクラスメイトだ。
特徴はといえば、とにかく笑わない。驚かない。
いつも人形のようにクールで、表情の変化に乏しい。
口数も少なくて、2、3人が喋っている横で、その会話を静かに聞いているタイプだ。
陽菜の言う『焦らし遊び』の輪に加わる類とは思えない。
とはいえ、女子の交友関係は複雑だ。
いつも仲の良さそうな2人が、影では互いの悪口を言い合っている事もある。
ならその逆で、一見接点の無さそうな女子同士が実は仲良し、という事もありえるだろう。
「でさ。見てれば解ると思うけど、桜ってすっごいクールじゃん?
そーいう相手を嬲るってなったら、皆なんか熱入っちゃって、今までにない事しようって流れになってるんだ」
「えっと……具体的には?」
「ハッキリ言うとね、目の前でセックスしてるの見せ付けて、欲求不満を煽ろうってわけ。
で、その為のサオ役を調達しなきゃなんだけど……葛西が頼まれてくんないかな?
流石のあたしも、こんなの頼めるのって葛西しかいなくてさ。何とか頼むよー!」
陽菜は頭の上で両手を擦り合わせながら懇願する。
葛西、というのは俺の事だ。
確かにこんな頼みごとは、小3からの腐れ縁である俺にしかできないだろう。
とはいえ、突然の展開にまだ頭が付いていっていない。
「そ、そう言われてもなぁ……」
こんな妙な話をホイホイと受けていいものか。実はイジメに加担させられようとしてるんじゃないのか。
大体、俺は童貞だ。セックスを見せると言っても、上手く見せられるとは思えない。
色々な不安が頭を巡る。
「大丈夫だって、ただのイタズラ遊びなんだから。ね、ね? あの史織だってグループに混じってんだよ?」
陽菜のその言葉で、俺の雑多な考えがふと止まった。
今コイツは、史織と言ったか。
「史織……って、もしかして鞘本史織!?」
「そうそう、あの史織。ね、来たくなったっしょ?」
陽菜はいよいよ俺の喉元に迫って熱弁を振るう。
鞘本史織といえば、学年のアイドルだ。いかにも清純派で、お嬢様っぽい雰囲気を漂わせる女子。
芸能界入りしていないのが奇跡とすら言われる次元の美少女。
その彼女が目を両手で覆い、ドキドキしているのを想像しただけで、俄然その場への興味が増す。
「ったく、解ったよ……」
俺は陽菜の熱意に折れた風で答えた。ただその心中には、下衆な下心しかない。
放課後、俺は陽菜と一緒に喫茶店で時間を潰していた。
ターゲットである桜とその他数人が先に下校し、『準備』をしておくのだそうだ。
微妙な立地のせいか、この喫茶店は客の入りが悪い。
今も窓際の席でサラリーマンが音楽を聴いているだけで、ほぼ貸切状態だった。
「土曜から焦らし始めたんなら、今日が木曜だから……えっと、6日目か?」
俺はスマホを弄る陽菜に尋ねる。陽菜は小悪魔じみた笑みで頷いた。
「そ。あたし撮影係でさ、スマホで撮ったのあるんだけど、見たい?」
そう誘われて、断る思春期の男がいるだろうか。
「お願いします」
「フフ、素直でよろしい。んじゃ見せるけど、くれぐれもこんな所でオナり出さないでよ?」
陽菜はいよいよ悪戯っぽく微笑みながら、俺の耳にイヤホンを嵌めた。そして、細い指でスマホを撫でる。
揺れと雑音の激しい映像が始まった。
カラオケボックスの一室だろうか。コップや軽食の乗ったガラステーブルと、L字型の赤いソファが映り込んでいる。
ソファには数人の女子の姿があった。全員がウチの制服姿だ。
1人が大きく脚を開いて腰掛け、その両脇の2人が膝を押さえている。
そして正面に膝立ちになった1人が、開脚した女子のショーツにローターを這わせていた。
開脚しているのは桜だ。
相変わらず人形のような無表情で、されるがままになっている。
制服のスカートは取り去られていて、ショーツから伸びる脚が丸見えだった。
そしてその脚がまた、色白でほっそりとしていて、いい脚なんだ。正直かなり好みだ。
「意外といいスタイルしてるっしょ、桜って」
陽菜の言葉にドキリとする。
今まで桜を見ても、人形のようだとしか思ったことがなかった。
女子の殆どがスカートを短く詰めているのに、桜はやや長めだったから、脚線を意識する事自体が皆無だった。
ところが、あの膝丈スカートの中に、こんな魅力的な脚線があったなんて。
『ふふ、勃ってきた勃ってきた。なーんだ。無表情だけど、ちゃんと感じてんじゃんか』
動画の中から、不意に声がする。
声を発した主の視線は、桜のショーツを捉えていた。
映像が遠いせいではっきりとは見えないが、多分クリトリスが勃起した事を言ってるんだろう。
『ねぇ舟形さん。澄ました顔してるけど、感じてるんでしょ?』
桜の向かって右に座る女子が、掴んだ膝を揺らしながら重ねて問う。
『ええ』
桜は感情の読めない声で答えた。小さく唇が動いただけで、鼻から上には一切変化がない。
『相変わらずロボットっぽいなー、桜は。おいちゃん心配になるぜ!
まぁ、こっから女らしくなってくのに期待かな。
今日はクリがギチギチに勃起するまでやるから、覚悟しなよ?』
向かって左に座る女子が、桜の耳に息を吹きかけるようにして言う。
多分冗談でやってるつもりなんだろうが、その絵面はやたらとレズっぽい。
ここで1つ目の映像が終わる。
「へへ、どーぉ?」
陽菜は、俺の顔を覗きながら訊いた。自信作の感想を待つ、という様子で。
「なんつーか……すげぇエロいな。女子同士の絡みって」
俺は思ったままを口にする。実際、俺の中に新しい世界が開けた感じだ。
陽菜はそれを聞いて、でしょでしょ、と満足げに笑った。
「じゃ、次のも見せたげる。無修正のモロ見えだけど、ショック受けないでね」
やや声を潜めながらのその言葉が、変に俺の鼓動を早める。
2つ目の映像が始まった。
同じ場面らしく、赤いソファに腰掛けた桜が画面中央に映っている。
左右に女子が張り付いているのも、正面に膝立ちの1人がいるのも変わりがない。
大きく違うのは、まず桜のショーツが取り去られていること。
そして、最初の映像よりも開脚の度合いが増している事だ。
丸見えの上に140度ほどの大開脚……とくれば、俺の視線は自然と秘部へと吸い込まれてしまう。
初めて見るクラスメイトのあそこは、綺麗だった。
肉の裂け目が、ごくごく薄い茂みの下から始まっている。
太腿に比べて濃い肌色をした陰唇。その内側にある、鮮やかなピンク色の粘膜。
と、その粘膜の上側……ちょうど陰核の真下から、何か白い棒が突き出ているのが見えた。
綿棒だ。細い一本の綿棒が、秘裂の中に突き立っている。
しかし妙だ。もしその綿棒が本当に秘裂に刺さっているのなら、何かの拍子に落ちてしまうんじゃないだろうか。
たとえ桜が処女だったとしても、産道というのは綿棒1本を固定できるほど狭いものじゃないだろう。
「なぁ。あの綿棒ってさ……」
俺は片耳のイヤホンを外し、隣に座る陽菜に尋ねた。陽菜は、待っていたとばかりの笑みを浮かべる。
「ふふん、気付いたかね? あれねぇ、おしっこの穴に入ってるの」
「なっ!!」
陽菜の囁きに、俺は思わず叫んだ。慌てて口を押さえつつ周囲を探るが、ほぼ貸切の店内に変化はない。
とりあえず一呼吸置き、再び動画に意識を向ける。
動画の中では、ねっとりとした女子の責めが続いていた。
1人が綿棒の端を摘み、ゆったりと上下させるように揺らめかせる。
同時に別の1人が、女子特有の細い指でクリトリスを弄ぶ。木の芽を揉み解すような、柔な刺激だ。
「下手に真似しちゃいけないけどさ、尿道に綿棒入れられるのって、すっごいんだよ。
綿棒で膀胱に『の』の字描かれるだけで、どんどんクリが勃起してくんの。
おまけに、親指・中指・人指し指使ってクリ潰しまでされたら……グイグイ絶頂が近づいてくるんだよね」
陽菜がうっとりとした口調で告げる。妙に実感の篭もった話しぶりだ。
映像の中の桜も、どうやら気持ちがいいらしい。
「はっ…………はぁっ…………はぁっ…………はっ…………」
顔こそ人形のような無表情のままだが、その唇からは、同じペースで吐息が漏れていた。
女子の責めに呼応するペースだ。
確実に“効く”やり方を繰り返され、じわじわと快感が蓄積している最中なんだろう。
その果てには、当然ながら絶頂が待っている。桜も動画の中で、まさにその時を迎えようとしていた。
「っ……」
息を詰まらせた気配の直後、内腿がピクンと強張る。明らかに絶頂の間際だ。
しかしその変化があった瞬間、女子達は急に一切の責めを止めた。
綿棒は尿道の中で角度をつけて止まり、陰核をぬるぬると嬲っていた指も、布を摘み上げるような形で静止する。
「…………んんっ!!」
桜の鼻から、何とももどかしそうな息が漏れた。ポーカーフェイスが一瞬崩れ、小さく下唇が噛まれる。
『っふふ、残念。またイケませんでしたぁ』
『ゴメンねぇ、イジめてる訳じゃないんだよ。こういう遊びだからさ』
『そうそう。この寸止めが、これから一週間続くんだよぉ。皆それガマンしてきてるんだからさ、桜もガンバ!』
女子達は口々に言い、桜の気分が静まるのを待って責めを再開した。
再び映像内に繰り返される、桜の吐息。
映像はそこで終わったが、責め自体はその後もまだまだ続いた事だろう。
「つ、次はあるのか?」
俺は逸る気持ちを隠せぬまま陽菜に尋ねる。陽菜は当然とばかりに頷いた。
「はいはい~。たっぷり焦らし責めして、30分ほど経過したものがこちらでございまーす」
陽菜は、料理番組さながらの口調で動画を再生する。
新しい映像の中で、桜はいよいよあられもない格好を取らされていた。
両の足裏がガラステーブルの上に見えるほどまで、足首を高く持ち上げられている。
そしてその股の間に、女子の細い指が潜り込んでいた。
『ほらぁ桜、Gスポがもうこんなに出てきちゃった』
映像内に、はっきりとその言葉が聴こえる。その直後、腕が蠢き、にちゃ、ぬちゃ、という音が聴こえた。
多分な水気を思わせる音。事実、桜の内股やソファの座部は夥しい量の愛液で濡れ光っている。
『…………あぁ、あっ…………あ』
桜は、ソファの背もたれに後頭部を乗せて天井を仰いでいた。
相変わらずのポーカーフェイスだ。ここまで来ると、本当に人形なのかとすら錯覚してしまう。
ただし、それはあくまで顔に限った話。ひとたびカメラが身体を接写すれば、途端に人間らしさが浮き彫りになった。
女子の指がクリトリスと膣内で踊るたび、陰唇がヒクヒクと蠢く。内腿が筋張る。ガラステーブル上の足指が、ぎゅっと縮こまる。
『やっ、かわいー。細い脚がピクピクしてる』
『感度自体はかなりいいよねー。不思議なくらい顔に出ないけど』
『だね。そろそろヒドい顔も見てみたいな』
映像の中の女子達は、桜の反応を愉しみながら、根気強く焦らし責めを続けた。
特にクリトリス責めは入念で、ローターや指の他、化粧グッズから取り出した刷毛のようなものが用いられる事もあった。
それは間違いなく効果的で、ポーカーフェイスこそ崩せなかったものの、様々な身体の反応を引き出していた。
3つめの動画がようやく終わった後も、俺の興奮は収まらない。
この動画が先週末のものだとするなら、桜は今週の前半ずっと、絶頂寸前のお預け状態だった事になる。
しかしよくよく思い返してみても、一切そんな気配はなかった。
常に注意して見ていた訳でもないが、普段が人形のようであるだけに、牝臭い雰囲気が少しでもあれば目立つ筈だ。
相当な演技派なのか、それとも性欲のスイッチを切り替える事でもできるのか。
いずれにせよ興味深い。
――でさ。見てれば解ると思うけど、桜ってすっごいクールじゃん?
そーいう相手を嬲るってなったら、皆なんか熱入っちゃって、今までにない事しようって流れになってるんだ
陽菜の言葉を思い出す。確かに神秘的な桜なら、嬲り甲斐もひとしおだろう。
今さらながら、この後向かう先が楽しみになってきた。おまけに僥倖というべきか、そこには憧れの鞘本史織までいるんだ。
「ほいじゃ、ボチボチ行きますか……?」
俺の逸る気持ちを汲んだのか。陽菜はスマホをポーチにしまいながらそう言った。
※
陽菜に案内された先は、カラオケボックスではなく個人宅だった。
2階建てで、小さな庭と車3台分の車庫を備えた、そこそこ金のありそうな人間の家だ。
綺麗な石でできた表札に『舟形』とある所からして、誰の家かは想像がつく。
どうやらここが、今週の女子の『遊び場』らしい。
「桜んとこって、親が超忙しくてさ、年に数日しか帰らないんだって。
おまけに一人っ子だから、この城を毎日独占ってわけ。ちょっと羨ましいよね」
陽菜はそう語りながらインターホンを鳴らした。
「ハーイ、あたしだおー。サオ役連れてきたよん」
開口一番、そう恥ずかしげもなく言い放つ。いつもながら明け透けな奴だ。
まぁこういう奴だからこそ、女子と話すのが苦手な俺でも気軽に付き合えるんだが。
「うい、入ってー。つっても、アタシん家じゃないけどさ」
苦笑交じりに返事があり、チョコレートのような玄関のドアが開かれる。
中もやはり広かった。土間からすぐに幅広の廊下が伸びていて、右手の階段を上れば2階のようだ。
ドアを開けた女子は、俺に階段を上るよう合図する。
「……ん?」
階段に足をかけた瞬間、俺は思わず鼻を鳴らした。何か嗅ぎ慣れない、生々しい匂いがする。
匂いは階段を上るにつれて強まった。どうやら元凶は、『桜の部屋』というプレートのかかった一室らしい。
入室に覚悟の要る場面だ。
俺が部屋の前で立ち尽くしていると、陽菜はその横を通り抜けて扉を開けた。
室内の様子が視界に飛び込んでくる。
無機質な桜の部屋とは思えないほど、女の子女の子した部屋だ。
閉め切られたカーテンはピンクのディズニー柄で、窓に面した学習机にもヌイグルミが山のようにいた。
意を決して足を踏み入れれば、室内にはそれなりの広さがあることが解る。
8畳ほどだろうか。壁際には巨大な液晶テレビがあり、映画さながらの迫力でAVが再生されていた。
それを真正面から鑑賞できる位置にソファが設置してある。
桜はその上にいた。
左右に大きく開脚したまま、膝を曲げる格好。太腿と脛が赤いロープで何重にも巻かれ、脚を伸ばす事はできそうもない。
その逃げられない状況で、秘部に白いマッサージ器が宛がわれていた。
マッサージ専用の道具だけあって、音も振動もローターの比じゃない。ヴヴウウウ、という駆動音は胸にくる。
すでに桜の女の部分は蜜にまみれ、マッサージ器の唸りに合わせてプシャプシャと愛液を撒き散らしていた。
しかも今は、映像内でそうだったように、下だけ剥き出しなんてレベルじゃない。
上も下も、正真正銘の裸……いや、紺のハイソックスだけが何故か残されているが、ほぼ丸裸だ。
ゴクリ、と喉が鳴った。
桜の色白な肉体が、網膜に焼き付く。
制服を着ている時でも華奢に思えたが、実際裸で見るとさらに細い。腕も腰も細く、胸もない。
ただし、乳首は興奮のせいかしっかりと勃起していて、平坦な板の上に赤いベリーが2つ乗っているようだ。
「あぅぅあ…………!」
と、ここで呻き声がする。
視線を上げると、ボールギャグを噛まされる桜の顔があった。
瞳は相変わらずガラス玉のようだが、ボールギャグの穴からは、かなりの唾液が胸板へと垂れていた。
おまけによく見れば、全身がオイルを塗りたくったように汗まみれだ。
――パッと見は人形みたいだけど、汗も唾液も出すって事は、やっぱ人間なんだな。
俺は今さらながらに思った。そう思わせる何かが桜にはある。だからこそ、女子達も責めに熱を上げるんだろう。
「ほーら桜、またイケないねぇ。残念ねぇ?」
桜が呻いた直後、女子はマッサージ器をあそこから離す。
とうとう目の前で露わになった、クラスメイトの『オマンコ』。スマホの粗い映像で見るより、やはり格段にいやらしい。
大陰唇は赤く充血して、膣の中が見えるぐらいに開ききっていた。
そしてその上部では、この離れた位置からでもはっきり解るほどクリトリスが勃起している。まるで小豆だ。
「ひえー……。この2時間弱で、やる事やってるねぇ」
陽菜が呆れたような口調で告げた。
いつも思うが、こいつは先陣を切って突っ込む割に、周りが盛り上がってくると引くタイプだ。
「あれ、ヒナじゃん」
女子の1人が陽菜の存在に気付いて顔を上げる。
「や。男優連れてきたよん」
陽菜が片手を挙げて俺を紹介すると、場の6対の瞳は一斉にこっちを向いた。
全員が俺のクラスメイトだ。そしてその中に、一際印象深い娘がいる。
サラサラの長い黒髪に、整った顔立ち。見間違える筈もない。俺のアイドル、鞘本史織だ。
でも……その印象は、教室でのものとは180度違った。
ベッドに寄りかかったまま、ショーツが見える事も厭わずに片膝を立てている。
俺を見上げる瞳は、いつもの穏やかなものとは違う、ヤンキーさながらの三白眼だ。
「えーっと……誰コイツ?」
史織ちゃんの口が開き、ドスの利いた声が漏れる。こっちとしてはその言葉、そのまま返したい所だ。
「や、クラスメイトじゃん。名前は忘れたけど。」
「えっと、確か葛西だよ」
女子が顔を見合わせながら言葉を交わす。こういう時、女子と接点のない身はつらい。完全なアウェーだ。
「つーかさぁ、男優って割にパッとしなさすぎ。大体、こんなの連れてきて大丈夫なわけ?
もしアタシの本性が噂になってたら、元カレにチクッて埋めるから」
何よりつらいのは、史織ちゃんが顎を上げ、露骨に俺を見下しながら吐く言葉だ。
その一言一言が、2年間俺の抱いてきた恋心をズタズタに切り裂いていく。
週に2回は、彼女の恥らう姿を妄想して抜いていたのに。
「アハハハッ、史織ってば辛辣すぎ。マジで冴えない男子嫌いだよねー、アンタ」
「しかも笑えんのが、これで男子の一番人気って事だよねー。女ってホント怖いっしょ、葛西君?」
女子達が腹を抱えて笑う。
「大丈夫大丈夫、葛西ってクチ固いから。そこはあたしが保障するよ」
陽菜からのささやかなフォローが、せめてもの救いだ。
「うむぅ゛っ…………!!」
場の雰囲気を一変させたのは、桜のその呻きだった。
女子の1人が面白半分に陰唇を弄くったのが堪らなかったんだろうか。
「なによ、騒いで。ビラビラ指で擦られんのが、そんなにイイわけ?」
「こんだけ充血してたら、神経むき出しって感じなんじゃないの。
あたしが大学生の彼氏に前戯されまくった時だって、触られるだけで感じたけど、ここまで膨れてなかったもん」
「クリに化粧して、マンコにマッサージ器当てて、指入れて……ってもうずっとやってるしね。
桜って責めても顔にでないから、ついついやりすぎちゃうんだよねぇ」
女子の数人が、意地悪そうに目を細めて桜を眺める。
一見するとイジメのようだ。イジメとイジリは一文字違い、という言葉を思い出す。
「んでさぁ、陽菜。そこに突っ立ってるサオ役、この中の誰とやらせんの?
追い込みの仕上げに、桜の目の前でセックスさせんでしょ」
史織ちゃんがより深くベッドにもたれながら、俺を顎で示して言う。
俺は肩が強張った。本性が見えたとはいえ、あの史織ちゃんに名指しされると緊張が隠せない。
「んー、それなんだけどさ。出来れば史織にお願いしたいんだよね。葛西って、史織の事好きらしいし」
陽菜が言うと、史織ちゃんの顔が露骨に不機嫌になる。
「はぁっ!?」
三白眼がまず陽菜を見やり、次いで俺を威圧するように睨み上げる。
「ねぇ、ソレ本気で言ってんの?」
顔は可愛いのに、ひどく怖い。場の注目もあって、俺は一瞬否定しようとした。
でも、心の底から欲が湧いてくる。何かの間違いででも、あの史織ちゃんとセックスができるチャンスなんだ。
けして女子にモテる方じゃない俺にとって、こんな機会は二度とはないだろう。
だから俺は、生唾を呑みこみ、史織ちゃんの三白眼を見つめ返した。
「…………実は、そうなんだ。ずっと好きだった」
「ウザッ、キモッ!!」
俺の言葉を想定していたかのように、即座に罵倒が飛んでくる。
それでも俺は、運に恵まれていた。
「まぁまぁまぁまぁ。アタシに免じて、一つ折れてやってよ。こいつ、これで悪い奴じゃないんだよ?」
まず陽菜がフォローをくれる。もっとも、俺がNGになって別の男を連れてこいという展開を面倒がってだろう。
しかしこれがきっかけとなって、場の雰囲気が変わる。
「そうだよ、やっちゃいなって史織。どうせ、もう何十人も喰ったビッチマンコなんだからさぁ」
「そうそう。第一これぐらいの顔の方が、セックスが生々しくていいって。どっちもアイドル級の美男美女とか、つまんねーし」
「だよねー。美女と野獣ってやつだよ」
クラスの女子3人の意図は解らないが、多分『どうでもいい』んだ。
自分達がセックスを見せる流れ以外なら何でもよくて、とりあえず熱の冷めないうちにショーを始めたい。そんな所か。
「は? ふっざけろって!」
史織ちゃんはいよいよ不良丸出しの口調で反論したが、陽菜も含めると4対1。
口達者な4人を相手に勝ち目などなく、5分後には渋々ながら承諾する形となった。
俺のせめてもの夢が現実になった瞬間だ。
「ジロジロ見んなよ!」
史織ちゃんから罵声が飛んでくる。
制服を脱ぎ捨てる彼女を、少し長く見すぎたらしい。
でも仕方のない事だ。ずっと憧れていた相手が、すぐ目の前で服を脱いでいるんだから。
態度や顔つきが変わり果てていたとしても、身体は毎日こっそり覗き見ていた彼女のものに違いない。
膝上スカートから伸びる理想的な脚線。ほっそりとしたウエスト。Cカップはありそうなお椀型の胸。
さすがは全高校男子のアイドルにして、『芸能界入りしていないのが奇跡』とまで言われる女子だ。
同性である女子さえ、そのスタイルに見入っている。
いち早く制服を脱ぎ終えていた俺は、用意していたコンドームの袋を取り出した。
袋を破り、丸い輪になったゴムを取り出す。そしてそれを、興奮ですでに勃起しきっている亀頭へと宛がった。
しかし、そこからが上手くいかない。
両手の4本の指でゴムを掴み、アレの形に沿って下ろそうとするも、ゴムのたるみの部分が解けない。
何度も変にひっかかり、手間取ってしまう。
「うわ……まさか、童貞?」
服を脱ぎ終わった史織ちゃんが、ゴミでも見るような目で罵ってくる。女子の笑い声もする。
視界の端では、桜の瞳がこっちを見つめているのも見えた。
気のせいだろうか。いつもガラス玉のように見える瞳が、今は少し濡れているように見えるのは。
その些細な発見がガス抜きになって、俺に少しの冷静さをくれる。
落ち着いてやれば、コンドーム装着はそう難しい事でもなかった。
ヴァージンロードを歩むような気分で、史織ちゃんと横並びのままベッドに近づく。
ベッドの場所は、ソファに対して左斜め60度の位置。距離も俺の足一つ分ほどしかない。
ソファに腰掛ける桜達にも、している所がよく見える事だろう。
「あたしがリードするから、寝といてよ童貞」
言われるがままに、俺はベッドに横になる。史織ちゃんはそんな俺をしばし睨み下ろした後、ベッドに乗った。
細い脚が俺を跨ぐ。ギシリ、とベッドが軋む。
「動くなよ」
史織ちゃんは、右脚を直角に立て、左膝をベッドに突いて挿入の姿勢を整えた。
やわらかく暖かい肉の感触が、俺の右足の付け根に広がる。
あの鞘本史織の脚の肉。そう考えると、勃起がさらに強まって痛いほどだ。
史織ちゃんの指が俺のモノを掴んで固定した後、少しずつ腰が沈んでくる。
「ああっ…………!!」
殺す余裕もなく声が出た。
パンパンに張った俺自身が、熱く柔らかい肉の襞に包まれていく。その未知の感覚が凄すぎた。
挿入はスムーズで、俺のモノは二秒とかからず、すべて史織ちゃんの中に埋没する。
膣内はすでに濡れていた。桜が延々と寸止めされているのを見て、密かに興奮していたんだろうか。
こういう場所に顔を出している所からして、興味がない訳ではないんだろうから。
一方で締め付けはあまり感じない。
初めてのセックスだから、他の女子と比べて緩いのかは知らないが、湯を含ませた真綿で包まれているような感覚だ。
けれども、俺は満たされていた。
産毛ひとつない、憧れの女子の下腹が目の前にある。手入れされた彼女の陰毛が、俺のそれと絡み合っている。
その事実だけで、もう精神的に射精しそうだ。
「うわぁー入った。ねぇ史織ぃ、どうなのよ?」
「超ビンビン。気持ち悪すぎ」
女子の問いに対し、史織ちゃんは吐き捨てるように言う。そして同時に、腰で水平な円を描くような動きを始めた。
「ぁうううっ!!!」
俺は裏返った声を発しながら、無意識に腰を浮かせてしまう。
勃起しきり、精神的にも充足した状態のモノでグリングリンと円を描かれてはたまらない。
「動くな、っつってんだろ!」
史織ちゃんは綺麗な眉を顰め、平手で俺の脇腹を叩いた。バチンッ、と音がする。
でも今の俺には、それすらも快感を増す刺激になってしまう。史織ちゃんの膣襞を押しのけるようにして、いよいよ勃起が深まっていく。
「んっ!?」
瞬間、史織ちゃんから声が漏れた。
「どうかしたの、史織?」
「べ……別に何でもないし」
女子からの問いには平静を装うものの、間近で繋がった俺には解っている。
史織ちゃんは多分、俺が勃起した瞬間に感じたんだ。見開いた瞳で一瞬下腹を凝視した事が、その根拠だ。
仲間内に何でもないとアピールした手前、史織ちゃんは余裕を見せて腰を動かすしかない。
でも、上下左右に腰を振りたくるうち、少しずつ変化が始まる。
まず何よりも、膣の締め付けが増した。膣壁が八方から迫ってきている、という感じだ。
襞が膨張したせいか、それとも身体に力が入っているせいか。いずれにしても、明らかに感じているんだろう。
俺のその予想を裏付けるように、史織ちゃんが上下に腰を振るたび、水音が大きくなっていく。
明らかに愛液のせいだ。
最初は膣内が潤んでいる程度だったものが、今や俺の陰毛を朝露まみれのような状態にさせている。
尻穴の方にもとろりと生暖かいものが垂れることがあった。
「あ…………あっ、あ…………ぁっ………………!!!」
色っぽい小声が漏れ始める。とうとう、史織ちゃんの表情そのものが変わってきていた。
仲間に見えないよう俯いても、真正面から見上げる俺にだけは隠せない。
眉根を顰め、唇をいの字に合わせて耐えようとするものの、すぐにその両方がふわっと解ける。
あ、という喘ぎ声が漏れるのはその時だ。
その様子は純粋に可愛くて、されるがままだった俺の心に良くないSの心を目覚めさせた。
いつの間にか史織ちゃんの腰は『逃げ』に入っている。
なるべく長持ちするように、ほとんど動いていないに等しい、小さな円運動ばかりだ。
その生殺しのじれったさが、俺の理性の蓋を壊した。
俺は責めに出る。
視界の端で再生されているAVも、ちょうど女主導の騎乗位だ。
その動きを参考に、俺は両の手の平を天に向け、史織ちゃんの太腿を押し上げた。
これまでの浅い抜き差しから一変し、怒張の半分以上が空気に触れるほどのストロークだ。
「ちょっ、触んなって…………」
史織ちゃんは俺の鳩尾に手を突いてコントロールを取り戻そうとする。
しかし、それよりも俺が手を離す方が早かった。
高々と持ち上げていた腕の力を、すっと抜く。すると当然、太腿は急降下する。
加速度に自重も合わさり、怒張の根元まで深々と。
「ッッああぁあああっ!!!」
効果は覿面だ。AVの中の喘ぎとシンクロするように、史織ちゃんの声が響き渡った。
史織ちゃんが天を仰いだために表情までは解らないが、女子達の様子から察する事はできる。
「うわ、え、え、何? チョー気持ち良さそうなんだけど」
「ちょ、ちょっと史織ィ…………あんたまさか、コイツ相手にイッた?」
同性というものは辛辣だ。異性ならオブラートに包むような問いを、ズバズバと投げかける。
「ふざっけ…………そん、な…………」
史織ちゃんは息を切らせながら反論しようとする。その気丈な姿は、やたらと嗜虐心を煽った。
なるほど今なら、こいつらが桜に執心だった理由もよく解る。
虚勢でも平然としているタイプほど、責め甲斐がある。
俺は再度『史織』の太腿を持ち上げた。そして反抗の隙を与えず、落とす。
「くぁっはああぁっ!!」
期待通りに上がる声。俺はいよいよ調子づいて繰り返した。
持ち上げては落とし、持ち上げては落とす。俺自身の望むストロークで膣を突く。
当然、その度に嬌声が上がった。女子達も最初こそ顔を見合わせて戸惑っていたが、いつの間にか合いの手など入れてくる。
そうなれば祭りだ。ワッショイワッショイ、と学年のアイドルを追い込んでいく。
史織は、最初こそ前屈みになり、俺の胸へと手を突いていた。それが抜き差しを重ねるごとに、頼りなく揺れ始める。
そして最後に安定を求めたのは、俺の膝付近を掴んでの弓反りの姿勢だった。
その時点でもう彼女の腿に力はなく、俺の上でペタンと、いやグニュリと腰を抜かしている。
「へへ……終わったぜオマエ」
気付けば俺は、自分でも意識しない言葉を吐いていた。学年のアイドルを傀儡化する悦びに酔っているのか。
汗まみれの腿から両手を外し、脚の付け根を伝って、細いウエストを鷲掴みにする。
これまでは微妙に遠く、抵抗される恐れもあった為に掴めなかった場所だ。
ここさえ掴んでしまえばこっちのもの。強烈なストロークに加え、深々と腰を沈めさせる事すら可能になる。
「ちょ、ちょっと…………」
史織が見下ろして何か言っているらしいが、知った事じゃない。童貞の猛りはもう止まらない。
パコッ、パコッ、と股座に空気を含ませつつ肉のぶつかる音がする。
グチュッ、グチュッ、という水音も、それに掻き消されないほどに生々しく響き渡る。
「すごーい、超音してるよ」
ソファの女子達は、その音を聞いては囃し立てていた。
音も確かに凄い。ただ、膣内の混乱状況はそれ以上だ。
両手で史織の腰を高く持ち上げてから、逆に引きつけるようにして膣奥を突く。
すっかり膣が狭まり、恐らく『子宮が降りてきた』状態の史織には、これだけで感じる要素として充分だろう。
俺はこれを何度か繰り返しては、トドメの駄目押しをした。
腰を下ろさせる瞬間、俺自身も大きく腰を反らせて、いよいよ強烈に膣奥を突き潰す。
この瞬間、史織は確実に逝っていた。
声こそ出なくとも、膣内の異常なほどの締め付けで絶頂の瞬間がわかる。
それが終わると膣がふぅっと緩くなるが、俺にしてみればちょうど良い小休止だ。
腰を小刻みに揺らしながら、スカスカになった膣を突き上げ、奥をイジメて締め付けを復活させていく。
この繰り返しだ。
何度が射精しているのかもしれないが、萎える気配はない。
何しろ俺の上で、憧れだった鞘本史織のスレンダーな身体が揺れているんだ。
妙に甘ったるい汗の匂いもするし、胸板に滴ってさえいる。
それが興奮材料となって、俺のモノにマックス以上の勃起状態を維持させていた。
「ひぃっ、ひっ…………! はっ、ひぃっ…………!!」
荒い呼吸に混じって、悲鳴のような声が聴こえ始めた。そして史織は、最後の力を振り絞って身を捩る。
でも、男と繋がったままで動ける範囲なんてたかが知れたものだ。
悪戦苦闘の末、結局はベッドに崩れ落ちた彼女に俺が覆い被さる、正常位の格好になった。
方向が180度変わったせいで、AVを参考にする事はできなくなった。
しかし今度は、その向かい側、桜達のいるソファが見える。
俺は、ここで初めて桜の変化に気付いた。
いつの間にだったのか。彼女はもうポーカーフェイスじゃない。
ボールギャグを噛まされたまま、幼い女の子のように目を見開いている。
そしてその秘部は、誰も触っていないにもかかわらず、ヒクッ、ヒクッ、と喘ぐような開閉を繰り返していた。
割れ目から愛液がねっとりとあふれているのも見える。
どうやら彼女もまた、俺と史織の獣のようなまぐわいに見入っているらしい。
そうと判れば、いよいよ熱が入るというもの。
俺は史織の両膝の辺りを掴み、力強く腰を打ちつけた。
「あ、ああっ……あああ、やっ……ああっあ………っっ!!」
史織は自然に喘ぎを漏らすようになっていた。
姿勢の移動で力を使い果たしたのか、両腕で枕を抱え込んでされるがままだ。
この晒された腋が妙にエロい。勿論腋だけでなく、腕も、乳房も下腹も足も、全部がシミ一つない綺麗な肌だ。
俺はその至高の芸術品を蹂躙し続けた。
体位が変われば音も変わる。
膝立ちになった俺の足と史織の背中がシーツに擦れ、さすさすさすさす、という摩擦音が絶えない。
これでは見世物として寂しいというものだ。
だから俺は、掴む場所を変える。史織の膝から、両脚の付け根へと。
「やぁっ、やめっ…………そ、そ…………っ、ん゛んんっっ!!!」
脚の付け根を引きつけながら腰を打ちつけると、徐々に史織の腰が浮いてくる。
結合部が膝立ちになった俺の股間である以上、本来はそれが自然。今までが上からねじ込む形だっただけだ。
抜き差しがスムーズになったと同時に、肉の弾ける音が再開する。
パンッ、パンッ、パンッ、という派手な音と、その裏で鳴るグチュグチュという水音。
すでに史織の中は大洪水なんだから、それは音も凄い。膣内での攪拌は水飴を練るがごとくだ。
パフォーマンス目的で行ったこの責めは、意外にも史織の弱みを抉ったらしい。
「はぁっ、はひっ、ヒッ……はぁっはっ、あ、やあっ……はっ、はーっ……!!!」
息遣いが刻一刻と早まっていく。
掴んだ太腿の付け根に筋が浮き、背後ではピーンと伸びた足指がシーツを掴んだ気配がする。
そしてその直後。
「あっ、ああ、ああっ…………あああ、ああイクッ!
……ああっあっああっはああッ…………いっくっっ…………!!!」
史織は切迫した喘ぎを繰り返した果てに、身体を弓なりに反らせてイッた。
勿論、絶頂という行為そのものは今さらだが、今のは宣言まで行ったのがでかい。
ちらりと横を見ると、桜の秘裂がいよいよ物欲しげにヒクついているのが解った。
他の女子達も落ち着きがなく、余所見をしていたり、スカートを上から押さえていたり、カレンダーを確認したりしている。
俺はその様子に嬉しくなり、汗まみれの史織の腿を掴み直す。
「ほら、シャンとしろよ」
ぐでっとシーツに背中を付けた史織に言うと、学年のアイドルだった女は、目に涙を溜めながら頭を振った。
「いや…………イッたから。今、イッたから…………」
「何言ってんだ、さっきからイキまくってただろ」
俺がバッサリ斬って捨てると、史織の顔が歪んだ。
「やーまさか、ここまで乱れる史織が見られるとは思わなかったよ。
桜嬲ってる間に、すっかり温まっちゃってたのかな」
「ひょっとしてだけどさ。葛西クンって、実はすんごいヤリチンさんだったり…………?」
「や、っていうか絶対そうでしょ。腰グイグイ押し付ける動きとか、手慣れすぎだもん。
あんなの、誰だって感じるに決まってっし」
「もしくは、単純に凄い身体の相性が良かったり……?」
「つーか陽菜さ、やたら葛西推しなのが最初から怪しかったんだよね。
実は味見済みで、リーサルウェポン送り込んだんでしょ?」
「いやいやいや、違うって! あたしもこの展開はビックリっていうか、何ていうか…………」
周囲のざわめきを心地良く感じながら、俺は史織を喰らい尽くす。
対面座位から、身体を横に割る側位に変えて突く。さらに這う格好を取らせ、背後から腰を掴んでグイグイとねじ込む。
バックで突けば、つぱっ、つぱっ、と変わった音が繰り返された。
学校中の男子が夢中になっている美脚の間から、次々と愛液が零れていく。俺の膝にも垂れてきてむず痒い。
「あああうああっ、いくぅいくっ、いくーっ!! やばい、やばいやばいこれっ……ああっ、くぁああま゛だイグウぅうぅーッッ!!!!」
史織は完全に我慢をやめ、愛液同様に本音を漏らすがままになっていた。
クラスメイトから、顔やばいよ、などと茶化されても、反応する余裕すらないらしい。
俺はその状態の史織を容赦なく責め立てながら、ただ一点を見つめ続けた。
瞬きも忘れてこっちを凝視する、桜の瞳を。自分がどんな顔をしているのかも解らないまま、ただ真っ直ぐに覗き込んだ。
※
その日は、どうやって家に帰ったのか覚えていない。
立て続けのセックスで疲労困憊なうえ、桜の家の場所すら良く知らないときた。
気絶した史織を返す為にタクシーが呼ばれた所までは覚えているから、それに同乗して帰ったのかもしれない。
気付いた時には自分の部屋で、ベッドに横になったままボーッとしていた。
疲れはあるが、興奮の方が大きくて寝付けない。
妙な集いに誘われて、初めてクラスメイトの裸を見て、憧れのアイドルと散々にセックスしまくった。
1日で色々と起こりすぎて、何の現実味もない。
強いてリアリティを挙げるなら、右手を鼻に当てて嗅げば、指の間から史織の匂いがする事ぐらいだ。
クラスの連中が史織とすれ違ったとき、ふわりと香ったと狂喜乱舞するものの、何百倍も何千倍も濃厚な匂いの原液。
それが手に染み付いている。
「…………つーか、さすがに殺されそうだな。俺」
つい、独り言が漏れてしまう。学年のアイドルである史織が涙を見せれば、漏れなく全男子が俺の敵になるだろう。
これはもう、ほとぼりが冷めるまで学校を休むしかないか。
丁度俺がその結論に達した時、携帯が鳴る。
知らない番号だ。まさか明日といわず、早くも史織親衛隊が怒鳴り込みに来たんだろうか。
俺はしばらく悩んだ末に、その電話に出ることにした。
「葛西です」
まずは名乗って様子を見る。開口一番に怒鳴られる事を考え、スマホ本体はやや離して。
しかし、そこから数秒間、何も聴こえない。
不審に思ってスピーカーに耳を当てると、小さな声が聴こえてきた。
「あの…………葛西くん?」
聴こえないのか、という空気の声だ。俺は悪い事をしたと思い、すぐに返事をする。
「あ、ああ」
「あ、聴こえる? ……よかった」
声は確実に女だ。女のボソッとした感じのハスキーボイス。だが、誰なのかが解らない。
陽菜の常時腹から出しているような声とは、まずまったく違う。史織のそれとも質が違う。
「ごめんね、急に電話したりして。今、大丈夫?」
「あー……ああ」
俺は訝しみつつ、一応相手の言葉に応える。多分最初の方で名乗っていたんだろうから、改めては訊きづらい。
女子と簡単に仲良くなれるタイプの奴なら、ここでスパッと訊くのかもしれないが、俺には無理だ。
「陽菜にこっそり教えてもらったんだ、葛西くんの番号」
陽菜にこっそり教えてもらった。このワードを聞いて、俺は唐突に思い当たった。
桜だ。
「あ、あのー…………舟形さ」
「桜でいいよ。なに?」
カマをかけると、見事に正解。焦らし責めを受けていた、あのポーカーフェイスの桜だ。
「や、その……急に電話くれるなんてさ、ちょっとビックリして。どうかしたの?」
俺がそう訊ねると、電話の向こうで沈黙が降りた。訊いてはまずい内容だったかと焦った矢先、返事がある。
「ううん、どうもしない。どうもしないけど、何となく人恋しくて電話したの。
陽菜から聞いてるかもしれないけど、この遊びね、夜の間は貞操帯を着けさせられるんだ。
だからどれだけ火照ってても、その、自分では鎮められなくて。だからせめて、誰かと話して気を紛らわそうって思ったの。
…………ごめん。自分で言ってて思ったけど、すごく身勝手だよね、こんなの」
普段の無口さが嘘のように、桜は淡々と語り続ける。
今の分だけでも、教室内で発した言葉の量を上回ったんじゃなかろうか。
「いや、それは全然構わないんだけど……話し相手、俺でいいの?」
「うん。無関係な人には言いづらいし、陽菜達には、私がこうして弱音を吐いてるって事、知られたくないんだ」
桜の声には、確かな感情があった。普段の人形のようなイメージとは違う。
ひょっとすると、その『人形のようなイメージ』自体、彼女が必死に演じているものなんじゃないだろうか。
だとすれば、俺だけに胸の内を明かしている今、本当の彼女はどんな表情をしているんだろう。
俺はそれから、桜と初めて話をした。
話と言っても、他愛もない事ばかりだ。最近ハマっているテレビ、教師の陰口、好きな芸能人。
そういった話をしている最中にも、桜は荒い呼吸を続けていた。
やがてはその呼吸が早まり、電話の向こうから衣擦れのような音が聴こえるようになる。
「もしかして……してる?」
気になってそう訊ねると、桜はあっさり認めた。
「うん。貞操帯があるから、叩いても擦っても楽にならないのは解ってるけど……先週末からずっと、する事しか考えられなくて」
その言葉に、俺は胸が痛む。
「……悪かった。我慢してる桜の前で、あんな事して。ヘラヘラ笑ってる場合じゃなかったよな」
俺の謝罪で、再び桜に沈黙が降りる。ただ気のせいか、今度の沈黙は前とはまた違うように感じられた。
「…………ねぇ、葛西くん。セックス、気持ちよかった?」
不意に、その質問が来る。
「あ、ああ」
「やっぱり。すごく気持ち良さそうだったもんね。史織ちゃんだってそう。
あんな史織ちゃんを見るのは、初めてかな」
桜はそこで一旦言葉を切り、息を吐いた。耳元にゾクッと来るような溜め息を。
「実は、私ね。史織ちゃんがしてるのを見て、いつのまにか自分に重ねてたの。
腰がぶつかり合って、音がするたびに、自分がされてる気分になった。
焦らされてる時以上に、愛液が止まらなかった」
電話の向こうで、衣擦れの音が激しくなる。吐息もいよいよ熱くなる。
「葛西くんは、そんな私を見てたよね。すごい目力で、ずーっと…………」
「あ、いや、あれは…………」
「あの視線でね、私、壊れちゃった。葛西くんに見られて、ヘンになっちゃった。
本当は、何となく人恋しくて電話したなんて嘘。他の子に弱みを見せたくないっていうのも嘘。
……葛西くんがね、葛西くんのあの目が忘れられなくて、夜中に迷惑だって解ってたけど、堪らなくて電話したの」
ほとんど泣くような声。無機質なんてとんでもない。ここまで感情の乗った声なんて、滅多に聞かない。
俺は自分でも無意識に、桜の名前を呼んでいた。
桜はすぐに返事を返す。
「明日は金曜日だから、やっと私の番も終わり。明日からはもう貞操帯もない。好きにしていい。
でももう、自分で慰めたって満足なんてできないよ。
葛西くん、お願い。明日もまた、ウチに来て。今度こそ、本当に私を抱いて。
私、初めてだから、泣いたり取り乱すかもしれないけど、気にしないで。
今日史織ちゃんにしたみたいに、滅茶苦茶にして!」
まさに必死の哀願。
ここまでされて断るバカはいないだろう。いくら女に不慣れな俺だって、そんな事はしない。
「わかった。心配すんな、嫌ってほど滅茶苦茶にしてやる。……また明日な、桜」
俺は、腹の底から力を込めて約束する。電話口の向こうから、安堵の溜め息が漏れた。
※
次の日俺は、登校直後から大人数の視線に晒される破目になった。
とはいえ、恐れていたような敵意の視線じゃない。多くの視線が物語るのは、嫉妬と驚愕だ。
「お早う、葛西くん」
元凶となったのが、史織のこの一言だ。
普段通り大和撫子然とした顔で、にこやかに俺に挨拶なんぞをしてくる。
高嶺の花どころか、エベレストの山頂に咲く花のような鞘本史織がそんな事をすれば、嫌でも目立つ。
「ああ、おはよう……」
そう言い捨てて逃げるように教室内へ入ると、ここでもまた同じ事が起きた。
「おはよう、葛西くん」
自分の席へ向かう途中で、そう声が掛けられる。
無口で無表情、ロボットか人形かと言われている舟形桜が、自分から男子に声を掛けるなど、こちらも世紀の珍事件だ。
ざわめきが教室の内外に広がっている。
まさか平々凡々な俺が、人の噂の中心になろうとは。いい迷惑だし望んでもいないが、逃げ出す訳にはいかない。
俺は男として約束したんだ。桜を満足させてやると。
「…………痛いか?」
俺は組み敷いた桜に問いかける。
「へいき」
桜は目尻からつうっと涙を流しながら、小さく首を振った。
いつもはガラス玉を思わせる瞳が、やけに生々しく濡れている。
陶器のような肌は頬を中心に赤らみ、汗に塗れている。
黒いセミロングヘアも汗で萎びて、部分部分が首筋や頬にくっついている。
ついに表れた『舟形桜』の人間的な表情は、ゾクッとくるほど可愛いかった。
おまけに桜の締め付けは、史織以上に強い。きゅうきゅうと吸い付いてきて堪らない。
今思えば膣奥が複雑にうねる史織の中も良かったが、桜はまたタイプの違う名器に思える。
「じゃ、動くぞ」
俺は一言断りを入れ、ゆっくりと腰を使い始めた。ぱんっ、ぱんっ、と乾いた音がする。
「んっ……あ、ああ…………あ」
桜はすぐに甘い声を上げ始めた。つい先ほど破瓜を経験したばかりなのに、感じているようにしか見えない。
焦らしに焦らされて、すっかり快感を得る準備が出来ていたせいだろうか。
俺は少し安心して、約束通り桜を『滅茶苦茶にする』準備に入った。
昨日史織にしたように、膝立ちでしっかりと腰を掴む。そして引きつけながら、こっちも強く腰を叩きつける。
「ぃひっ!!」
悲鳴が上がり、どこを見ても華奢な身体が弓反りになる。でもその顔は、苦しみながらも笑っていた。
そして俺が獣のような突き込みを繰り返すにつれ、その笑みはますます蕩けるように変わっていく。
「ねぇ、ちょっとぉ。いつまで桜としてるわけ? いい加減、こっちも焦れてるんだけど。
あたしを待たせるとか、他の男子が知ったら大ブーイングだよ?」
ソファの方から声がする。見れば史織が、ソファの背もたれに肘を乗せてふて腐れていた。
そもそも呼んですらいないんだが、俺と桜の約束を看破したらしく、勝手に下校ルートを付いてきたパターンだ。
「お預けだよ。たまにはいいだろ、なぁ桜?」
「うん……焦らされた後の方が、普通にするより気持ちいいよ」
「はんっ、それって完全にイヌの発想なんだけど。…………ったく、じゃ待っててあげるから、さっさと交尾済ませなよ」
俺と桜の言葉に、史織は刺々しく返す。ただ、緩んだその瞳と頬には、満更でもないという色が窺えた。
桜をイカせるだけイカせたら、次はまた史織を足腰が立たなくなるまで責め抜いてやる。
史織が終わったら、また桜だ。
そうしてお互いがお互いのセックスを見て焦れている様は、さぞ可愛い事だろう。
問題があるとすれば、この色魔さながらの表情を見せ始めた二人を相手に、俺自身がどこまでもつかだが…………
そこは何とか、辛抱するとしよう。
終わり
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