※英児視点は今回で終了です。
和紗は、羞恥心や背徳的な感情があるほど濡れる。
これがハッキリした所で、俺は石山の奴隷になるよう和紗に命じた。
理由は4つある。
1つは、石山自身が和紗に気があるって事だ。
俺が首を突っ込んで以来、表立っては行動してないらしいが、あの強欲野郎が簡単に諦めるとも思えねぇ。
となれば当然、和紗の方から誘いをかけられて断ることは有り得ない。
2つ目に、石山には、相当マニアックな性癖があるらしい。
自己顕示欲旺盛なヤツにありがちな事だが、とにかくアブノーマルなプレイを好む。
SMやら、スカトロやら、輪姦やら。実際に捕まったのは未成年の頃の1回だけだが、強姦も常習犯って噂だ。
そういうゲスに変態プレイをやらされりゃあ、繊細な和紗は確実に『作り変えられる』。
それに、人間ってのは不思議なもんでよ。選択肢が2つしかなくて、その片方が比較的マシだった場合、そっちに無意識に好意を抱くらしい。
たとえ、元々はマイナスの感情を持ってる相手にでもな。
和紗の場合、実際に肌を重ねるプレイ相手は俺と石山だ。石山の変態的なプレイに対し、仮にも俺は和紗を感じさせてやる。
欲望が先行してた最初の頃はともかく、今はきっちりムードも作ってやるし、愛撫も心を込めてやる。
比較対象がその2つなら、当然俺の方が『マシ』だろう。石山のオモチャにされた後で俺に抱かれれば、少しは心が和らぐはずだ。
3つ目は、石山なら俺が仕事に行っている間にでも調教をやれる事。
この街でロクデナシの頭も同然の石山は、舎弟が巻き上げた金やら、自作AVの売り上げやらで荒稼ぎしてるらしい。
当然本人はやりたい放題で、仕事なんぞしちゃいねぇ。だから、平日だろうが関係なく和紗を調教するだろう。
週末中心の俺の調教と平行でやらせる事を考えりゃ、こんな適材はいねぇ。
そして、4つ目。
石山を選ぶ最大の理由は、使い潰しても良心の呵責がねぇってことだ。
俺も他人のことを言えた義理じゃねぇが、あの石山ってデブはかなりゲスい。
犯罪と名のつくことはマジで何でもやってやがる。ここいらじゃヤクザより性質が悪いなんて話すらある。
それでも、実際にスゲェ奴なら文句はねぇ。だがアイツは、所詮俺から逃げ回る程度の雑魚だ。
そういう雑魚が御山の大将気取りでデケェ面してんのが、前々から気に入らなかった。
だから、潰す。執着してる和紗から誘惑され、好き放題のプレイをして、幸せの絶頂にいる所で叩き潰す。
そこに後悔はいらねぇ。石山からこれまで虐げられてきた奴、これから不幸にされる運命だった奴を助ける事になる。
勿論、そういう連中から俺がヒーローとして崇められる褒美つきでな。
美味い話だぜ。石山がドス黒く肥え太れば肥え太るほど、それを喰らう俺はラクに名を上げられるって訳だ。
そしてそこには、必ず壮介の奴が絡んでやがる。
まったくヤツは、俺にとっての福の神だよ。『俺に吸われるための』って前置きをつけるなら、人徳があるってのにも素直に賛同してやれる。
和紗にそんな事を漏らしゃ、またスゲェ形相で切れるんだろうけどな。
もっとも、それも今だけだ。計画通りに調教が進みゃあ、そうして俺に悪意を抱くこともなくなる。
何故あんな不甲斐ない男に熱を上げていたかと、酔いの醒める日が来る。
嫌がる和紗を脅しすかし、石山の所へ抱かれに行かせた次の日。石山の取り巻きに潜り込ませてるダチから、早速1本の動画が送られてきた。
その手の早さにゃ、驚く以上に笑えてきちまう。
映像はあからさまに盗撮って感じで、鞄の中からなんだろう、チャックの合間から部屋を覗く視点だ。
場はすでに祭りの真っ只中。いかにもガラの悪そうな連中が、思い思いに叫びまくってやがる。
『やー、しかし本当エロいわ。これで一児のママかよ?』
『顔は女子アナ級だし、スタイルもいいなー。これでよく今まで石山クンにツバつけらんなかったよな。中学とかどこよ?』
『バカ、中学ン頃の話は地雷ワードっつったろ。ほじくり返すと、マジで石山クンに殺されんぞ』
聴こえるのは、そんな頭の軽そうな会話。
その連中がたむろする中央には、すでに丸裸に剥かれた和紗の姿がある。
和紗は、ソファに深く腰掛けていた。
両脚は大股開きのまま、腿とスネを縄で巻いて動かなくされてやがる。緊縛ってヤツか。
石山一派がSM好きって噂は、どうやら本当らしい。
和紗はそうして恥ずかしい場所を晒したまま、不良連中に好きに嬲られていた。
一番熱心に指やらマッサージ器が群がってんのは胸だ。連中、産後の美人妻ってのがよっぽど珍しいらしい。
浅黒い腕が競い合うように胸を揉みしだいたり、乳首をこね回したりして、白い乳を飛沫かせている。
その一方で、勿論アソコも放っておかれちゃいねぇ。
縛られた太腿をソフトに撫で回すヤツもいれば、マッサージ器がビラビラを舐めるのに合わせて、クリトリスを摘むヤツもいた。
さすが何本もAV撮ってるだけあって、集団での責めに慣れてやがる。
常に何人かが群がって責めているにも関わらず、お互いがお互いの邪魔をしない。
時には交互に時には同時に、女の急所を絶え間なく責めやがる。
そんな責めを受けて、和紗も平然としていられる訳がねぇ。
『ん、ん、んん……んんっん!! あっ……あはっ、ああ、あ…………ああぁあんっ!!』
責められ方によって微妙に声を変えながら喘ぎ続ける。
勿論、喘ぐだけじゃねぇ。首を上下左右に揺らめかし、M字の脚をゾクッと跳ね上げて、本当に気持ち良さそうに反応してもいる。
そういう反応ってのは、当然責める側にゃ最高のご褒美なんだよな。
連中はいよいよ嬉々として、和紗を責め立てる。
『石山さーん、ホントに俺らだけで楽しんでいいんスかぁ?』
そんな騒ぎの中、1人がバカでかい声を出した。
『おう、俺ァ昨日、散々ヤッたからよ。今日はテメェらに貸してやる』
石山らしい声が返ってくる。その言葉の直後、和紗の表情が明らかに強張った。
その表情からして、かなり執拗に犯された事が窺える。デブは絶倫って話を聞くが、やっぱりそうなのか。
石山に気兼ねする必要がなくなって、責めが再開される。
膣にマッサージ器を押し当てたまま、指でクリトリスをしばらく摘み、和紗が甘い声を上げ始めた所で指を離す。
これを何度も繰り返すと、そのうち和紗は頭を振りまくって半狂乱に近い状態になる。
『ああうっ、あうっ!! ああっハッハッはぁっ……はぁあうううんっ…………ああうんんっ!!!』
『アハッ。なんか、赤んぼ産むみてぇな息だな。まーた産まれんの、ママさん?』
和紗のハイペースの息を、そう茶化すヤツもいる。
和紗はそれに対して悔しそうな表情を見せた。だがその一方で太腿周りは、カメラから見える範囲だけでも濡れ光りまくってる。
感じてんのは、誰の目にも明らかだ。
効果があると解ってる限り、サドの責めが緩む筈もねぇ。マッサージ器を持つヤツは、薄笑いを浮かべて責めを続行する。
そのサポート役も中々鬼畜だ。
『あっ、ああ、あっあ…………あああダメっ、あんっ! ンんっんっ……っ、いくっ、いくいくイクぅっ…………!!!』
立て続けにイカされまくる段階になると、苦しい和紗は当然脚を閉じようとする。
だが背後から和紗の膝を掴む一人が、そのタイミングを読みきって強引に足を開かせる。
そうなると和紗は足を閉じたくても閉じられねぇもんだから、腰をガクガク上下させながら深く深くイクしかねぇ。
中々勉強になるもんだ。
『ああああだめっ、だめいくっ!! だめっダメ、ぁあぁあ……あぁああイクぅっ…………はぁっイクぅっ…………!!』
和紗は何度も何度も、ソファに頭を投げ出すようにして天を仰いだ。
内腿に深く筋をつけながら、ある時はソファを深く踏みつけ、ある時は足の裏が完全に見えるまで振り上げ。
拘束された身体中で快感を訴えながら、何度もイッた。
石山と、その舎弟連中に嘲笑われながら。
そして俺の予想通り、その極限ともいえる羞恥の中でも、和紗はひたすらに感じまくっていた。
最後にゃあ立て続けに3回潮を吹き、カメラにまで飛沫をぶっ掛けやがった。
たった2日でこの狂いぶりとは、やっぱり石山と絡ませるのは効果がある。
和紗の肉体開発を目的としたこの『スワッピング』にゃ、嬉しいオマケが付いてきた。
調教の様子を事細かに記録した映像だ。
よっぽど見せびらかしたいんだろうな。石山の野郎、和紗の映像を会った次の日にはサイトに乗っけやがる。
いつどんな調教が行われたのかを視覚的に確認できるのは有り難ぇ。
そしてそれ以上に、映像そのものが極上の強壮剤だ。
元々ナマの女と同じぐらいAVが好きな俺だが、和紗の調教記録ほど抜けるものは過去になかった。
そりゃそうだ。なんせ女優が、てめえの普段抱いてる女なんだからな。
肌触りも匂いも、締まり具合さえ知ってる女の痴態ってのは、リアリティが半端ねぇ。
映像の向こうの出来事にも関わらず、つい目と鼻の先で繰り広げられてる事みてぇに思えてきちまう。
四段腹の石山から、えづき汁塗れでイラマチオを仕込まれたり。
ガッチリ拘束されたまま、アナルだけでイけるようになるまで延々と調教されたり。
四方八方から迫る不良連中に輪姦されて、獣みてぇな声で悶え狂ったり。
そういう光景が、一々心臓に来やがる。
映像を見ながらさんざんシコって、その中で俺はふと考えた。
やろうと思えばいつでも和紗を好きにできる俺でさえ、この衝撃なんだ。
だったら、壮介のヤツがこれを見たら…………?
そう思いついたが最後、歪んだ笑いが止まらなくなった。
そうだ。アイツの性格からして、散々無駄に思い悩んだ挙句、そろそろ俺を頼ってくる頃だろう。
“親友”の俺はそれをにこやかに受け入れる。そして、この映像サイトを見せてやるんだ。
さすがのアイツも発狂するか? それとも、燃え尽きたみてぇに放心するか?
どっちにしろ面白ェ。出来の悪い人間が苦悩する様ってのは、羽をもがれた虫が這いずる姿以上に傑作だ。
今回もそれをじっくり堪能させてもらうとしよう。
すぐ傍で、かつ、とびきり残酷なシチュエーションでな。
※
「よっ、久し振り。何かスゲー大変だったみてぇだけど、余裕できたのか?」
ドアを開けるなり、俺は壮介に言った。
湛えるのは“親友”の笑み。だが少し気を抜くと、その顔がニヤケちまいそうになる。
室内に施した悪趣味な『仕掛け』を思い出しちゃ、黒い笑いもこみ上げるってもんだ。
「遠慮なく上がれよ」
そう言いながら、俺の城に壮介を招き入れる。
都心直通の20階建て最上階、4LDK。どんな一流企業に入ろうが、入社一年目の若造が借りられるような代物じゃねぇ。
ましてや壮介じゃ、一生あくせく働いた所で縁のない場所だろう。
だが、俺はそこに住める。キープの女共から、月100万単位で金を引っ張ってこられる俺ならな。
「ま、実は結構無理してんだけどな。ダチ家に呼ぶなら、それなりに見得張らねーとさ」
そんな見え透いたウソをついてみるが、壮介が疑う様子はねぇ。
そうだ。こいつは俺の事だけは、全く疑わねぇんだ。疑えない、と言ってもいい。そうなるように洗脳してきたんだからな。
このマンションにはベッドルームが2つある。
メインベッドルームがちょうどリビングの隣。ゲスト用はそれよりかなり奥だ。
「色々見てぇかもしれねぇが、ゲスト用は立ち入り禁止だ。まだ引越しン時の荷物が散乱しててよ、見せっとウチのに怒られちまう」
俺は、息を吐くようにまたウソをつく。
立ち入り禁止、ってのだけは本当だ。だがその理由は、荷物が散乱してるからじゃねぇ。ウチの、なんて女もいねぇ。
和紗に心奪われて以来、それまで可愛がってた女は全てキープ以下になったんだからな。
俺は壮介をメインベッドルームに案内した。
ベビーベッドの置かれた部屋……この数ヶ月、和紗と嫌というほど交わってきた部屋だ。
「うわぁ……可愛いなぁ」
壮介が、ベビーベッドの中を覗き込んで呟いた。
「俺に似てハンサムだろ?」
俺も同じく覗き込んで笑う。心の中では、バカめと舌を出しながら。
ヤツには思いも寄らないだろう。まさか目の前にいる赤ん坊が、俺と和紗のガキだなんてよ。
テメーらが誕生を心待ちにしてた愛の結晶が、『それ』なんだぜ。
「うん、全くだ。でもこの子、いつ生まれたのさ。言ってくれればよかったのに」
壮介のこの言葉だって空しいもんだ。誕生しそうって報告はちゃんとあったぜ。テメーから、俺にな。
「ん、何言ってんだ? ちゃんとハガキ送ったろ、超気合入ったやつ」
「えっ!?」
俺がついた三度目のウソに対して、壮介は慌てながら目を泳がせる。
本当に抜けたヤツだ。自分が見てねぇなら見てねぇ、はっきりそう思っときゃいいじゃねぇか。
ま、こういう人間だから好きに操れるんだがな。
「ご、ごめん! 最近バタバタしてて、よく見てなかったよ」
「ハハッ、そういう事か。まあしゃあねぇって。こっちも新生活始めたばっかだからよ、ちっと面倒臭がるとすぐこの有様だ」
俺はそう言って、ベビーベッドのすぐ脇に落ちていた布を拾い上げる。
一見赤ん坊の小便を拭いた布のようでいて、その実、たっぷりと“愛液”を吸い込んだ布を。
「嗅いでみるか? 可愛い顔の割に、結構キツいぜ」
この言葉、何も間違っちゃいない。
そう。可愛い顔してる割に、時間が経つと結構匂うんだよ。『和紗の愛液』は。
壮介は半笑いしていたが、ここでよく嗅げば気付けたんじゃねぇかな。何せ、四六時中頭にある嫁の匂いなんだ。
それともご無沙汰すぎて、もうその匂いすら思い出せねぇのか。
俺はその僅かなヒントを、ビニール袋に放り込んで密封する。
「あれ。そういえば、奥さんは?」
テメェの嫁の匂いにも気付かない鈍い夫は、ここで俺の家庭事情に踏み込んできた。
もっとも、和紗の為に用意した女物の化粧品やらがそこら中に置いてあるから、気になって当然なんだがな。
「ああアイツな、今は出掛けてんだ。俺なんかよりよっぽどの仕事人間でよ。
っつーかまず、嫁ですらねーんだけどな。結婚まだだから」
今回はさっきとは逆。嫁ですらねー、この部分だけが真実だ。そう、和紗はまだ俺の嫁じゃねえ。俺のモノじゃねえ。
今は、まだな。
「え、そうなの?」
「ああ。もしやるって決まったら、流石にお前にも直で電話するしさ」
「そっか。呼ばないと怒るぞ?」
「ははっ、怒るのか? それはそれで見てみてーな」
軽い調子の会話に、壮介は笑みを溢す。この会話に込められた真の意味が判ったなら、まかり間違っても笑えねぇだろう。
だが、壮介はその真実には気付かない。ヤツは今、それどころじゃない。
「………………それにしても、子供って……可愛いよね」
ヤツはベビーベッドを見つめながら、そう呟いた。
「なんだよ、しんみりしちまって」
俺は同情するフリをしつつ、ガキをベビーベッドから抱き上げて差し出した。
手馴れている俺とは違い、壮介はまるで熱い焼き芋を手の中で転がすような抱き方だ。
抱き方ひとつにしても、どっちが正統な父親かがハッキリしている。
だが、なぜだ。
「あふぇ、ふぇへへぇ…………」
ガキは、感極まったように泣く壮介を指差して笑った。俺が抱いている間は、不機嫌そうにグズってやがった癖に。
いや、深く考える必要はねえ。ボロ泣きしてる壮介の面が、たまたま赤ん坊の面白がる類だっただけの話だ。
――彼は優しいの、あなたとは違って。
和紗の言葉が、なぜか脳裏を過ぎりやがる。
ふざけんな。こんなヤツが、俺に勝っている訳がない。俺こそがオスとしての優位種だと証明してやる。
その後、ようやく壮介が切り出した相談内容を、俺は神妙な顔をして聞いた。
しばらく沈黙し、熟考している演技もする。そう、演技だ。話の流れは最初から決まっている。
和紗の現状について壮介の不安を煽り、俺も助力すると話す。
そうすりゃ、壮介は涙ながらに感謝してくる。
何せ高校入学以来、ヤツのあらゆるトラブルを解決してきてやった俺だ。助けてやる、という言葉の重みが違う。
壮介の帰りを見送った後、俺はゲスト用ベッドルームの扉を開け放った。
むっとする匂いが鼻をつく。
もし扉を開けたのが壮介なら、部屋内の光景に絶句した事だろう。
ベッドの四隅からの縄で大の字に拘束され、猿轡を嵌められたまま、アソコに極太のバイブを咥え込まされた和紗。
それが視界に飛び込んでくるんだからな。
「ンン…………!!」
和紗は視線をこっちに向け、猿轡の下で何か言いたげに呻いた。
俺はそれを無視し、和紗のアソコから半ばはみ出たバイブを掴む。そして小さな羽音をそのままに、ゆっくりと奥へ叩き込んだ。
「ふうんんんっ!!!」
呻き声と共に、ぬちゃっという水音が立つ。
朝に呼び出してから、壮介のヤツが来るほんの30分前まで、徹底的に焦らし責めしてやったからな。あの時点でも相当に濡れてたもんだ。
おまけにこの状況。恥ずかしい格好で拘束され、すぐ近くの廊下から愛する旦那の声がする。
背徳的な状況に弱い和紗が、それで濡れない筈がない。
実際、和紗のすらっとした美脚の間は、小便を散らしたように青いシーツが変色してやがる。
俺はそれを見てほくそ笑みつつ、和紗の口枷を解いてやった。
「ぷはっ…………はぁっ、はぁっ! も、もう限界……あの人きっと、私達の事に気付いてるよ!」
荒い呼吸のまま、和紗は叫んだ。まるで旦那に浮気がバレた女房だ。
俺に心酔してる壮介が、俺らの関係に勘付くなんて事はありえねぇ。第一、すぐにヤツはそれどころじゃなくなる。
「大丈夫だ。もうすぐアイツの意識は、別の方に向くからよ」
「別の方?」
「まぁいいじゃねぇか。それより、もう堪らねぇんだろ?
ダンナのいるすぐ傍でバイブ唸らせてよ。ホラ、ドロドロじゃねぇか」
俺はそう言って、バイブの振動を強めた。近づいてかろうじて聴こえる程度の羽音が、力強い重低音になる。
「んんっ……あぐうううっ………………!!」
バイブに角度をつけてGスポットの辺りを捉えると、すぐに和紗は顔を歪めた。
そのまま浅い所で小刻みに動かせば、数秒と経たず下半身を痙攣させてイく。
「だっ、ダメッ、だめえぇえっ…………!!!」
さらに角度を変えて裏Gスポット、緩く奥まで押し込んでポルチオと刺激してやりゃ、いよいよ黒髪を振り乱して狂い始める。
この数ヶ月、俺や石山達から散々調教された結果がこれだ。
和紗に関わる男の誰もがこのエロさを知ってるってのに、実の旦那だけが除け者ってのは笑える話だよな。
まぁ、ヤツもすぐに和紗の身に起きた事の一部を知ることになる。
なんつっても、石山のあのえげつない調教動画を目にするんだからな。
『進展アリ。日曜にウチで話す。ウチのが出かける3時以降に来てくれ』
約二週間後の木曜、俺はそのメールを壮介に送りつけた。木、金、土と、たっぷりヤツが焦れるように。
当日の日曜日、俺は昼過ぎに和紗を呼び出し、ゲスト用ベッドルームでたっぷりと愛した。
「今日また、アイツがここに来るぜ。嬉しいだろ?」
背後から愛撫しつつそう言うと、和紗はこっちを睨んでくる。だが、できる抵抗はそこまでだ。
その後は悔しそうな顔で、手馴れた俺にイカされるしかねぇ。
たっぷりと愛撫してから3回ほどイカせたところで、玄関のチャイムが鳴る。
「おっと、お出ましだ。大人しくしとけよ」
俺はそう言って愛液に塗れた顔を拭き、壮介を迎え入れる。
入ってきたのは、期待通りの亡霊みてぇな面だ。あの平和的なボンボン顔が、変われば変わるもんだよな。
石山が動画を上げている投稿サイトをノーパソで開き、壮介に見せる。
「…………正直、コレをお前に見せるべきか迷ったんだけどよ。
隠してもしょうがねぇと思って、見せる事にした」
必死に厳しい表情を作って。
壮介は生唾を飲み込み、何度も強く瞬きして覚悟を決めていた。早くしろ、と俺の心が唸る。
もっとも、テメェの嫁に関わる重大報告なんだ。そりゃ覚悟もいるわな。
意を決したらしく、壮介の眼が画面内に食いつく。
画面に表示されてんのは、いかにもなエロサイトだ。壮介は最初それに訝しげな表情を作り、しばらくして顔面を蒼白にする。
その変化は劇的で面白ぇ。他人の不幸は蜜の味だ。
「……え、えい、英児。ま、まさ、まさかこの中に、か、和紗が…………?」
壮介が震える声でそう訊いてきたが、俺はあえて答えねぇ。笑いを堪えるついでに、気まずそうな表情で目を伏せる。
壮介の愕然とした気配が伝わってきた。
そこからの壮介は必死だ。我を忘れたように俺のパソコンを操作し、目を見開きながら画面を追っていく。
動画のひとつをクリックし、コメント欄に目を通すうち、奥歯を鳴らしはじめもする。
俺にゃその苦しみぶりは滑稽で仕方ねぇ。
「……俺は席外すわ。何かあったら呼んでくれ」
部屋を出る時にそう声を掛けても、空返事が返ってくるだけだ。明らかにいつものヤツじゃなくなってる。傑作だぜ。
ゲスト用のベッドルームへ戻ると、和紗に神妙な面持ちで迎えられた。
壮介への罪悪感からか、ベッドの上で背筋を伸ばしたまま正座してやがる。いい嫁だよ、全く。
「彼に、何を話したの?」
和紗が口を開いた、その直後。
『ああ、ウソだろ!? やめろ、やめてくれっ!!』
壮介の悲痛な叫びが、リビングから漏れ聴こえてくる。
その叫びに目を見開いた和紗は、答えを急かすように俺を睨み上げる。
沈黙。
心地いい沈黙だ。衝撃の告白をする直前ってのは、いつでも全身の毛が逆立っちまう。
「今アイツは、お前が石山に調教されてる映像を見てるぜ」
俺は、あえてさらりと言った。和紗の表情が一瞬固まり、数秒後に引き攣りはじめる。
「…………え…………? 映、像…………石山の、って、…………え…………??」
その反応を見る限り、石山とのプレイを盗撮されてた事実にすら気付いていなかったらしい。
「そうだ。お前が石山にされた事ってのは、全部撮られてネットに流れてんだよ。
ヤツは今、そのページを覗いてる最中ってこった。一体どんな顔してんだろうなぁ?」
「………………っ!!!」
補足して説明すると、和紗の目の見開きはいよいよでかくなる。そして終いにゃ、両手で顔を覆いはじめた。
「そう嘆くなって。これで壮介の関心は石山に向く。俺とお前の関係にゃ、もう疑いすら持たねぇよ」
俺はフォローしつつ和紗の肩に手を置くが、その手はすぐに払いのけられる。
「触らないでっ! …………あ、あなたって、つくづく人でなしなんだね」
和紗は絞った声量で、だがハッキリと敵意を込めて俺を糾弾した。
だが、それが何だ。この俺に限り、罵られたぐらいで揺らぐようなヤワな自我はしちゃいねぇ。
「ああ、そうだな。とっくに解ってたろ?」
俺はそう言ってベッドの上に和紗を押し倒した。そして同時に、その秘裂に指をねじ込む。
アソコの粘膜はさすがに乾き始めてるが、こうして愛撫してりゃ、すぐにまた内からあふれてくる。今の和紗はそういうカラダだ。
「ん、んっ!!」
和紗は俺の腕を掴みつつ、感じているとも嫌がっているとも取れる声を出した。
「オイオイ、あんま声出すなよ。もしこんな所をアイツに見られでもしたら最後、お前まで“人でなし”の仲間入りだぜ?
なんせアイツは、今疑心暗鬼の真っ只中だからよ。ま、それがお望みなら止めねーがな」
俺がそのカードを切ると、和紗の抵抗が徐々に弱まっていく。
「よーし、そうだ」
俺はただ身を強張らせるだけになった和紗を堪能する。
見惚れるようなレースクイーン級の脚の間に指を入れ、延々と水音を立ててくじり。
全身をくまなく愛撫しながらシックスナインの体勢になって、物をしゃぶらせつつ秘裂を舐め回す。
『畜生、やめろよ畜生ォっっ!!!』
遠くからまた、壮介の悲痛な叫びが聴こえてきた。相当ショックな光景でも見たか。
その瞬間、俺のモノを舐める和紗の舌遣いもピタリと止まる。だが俺が喉奥まで押し込んで催促すると、またおずおずと再開される。
こういうシチュエーションのもたらす影響ってのはデカい。
もう何十篇も抱いてる身体だってのに、まるで憧れの女を今日初めてモノにしてるみてぇな新鮮さがある。
密集した襞を掻き分けて刺激するのが、もう楽しくて仕方ねぇ。次から次へとあふれ出てくる愛液すら、やけに美味く感じちまう。
この俺が全身全霊をかけて愛撫している以上、和紗は哀れなほどに濡れていった。
下半身の至るところが筋張っては弛緩し、愛液に塗れていく。
その段階になって、俺は和紗の口からモノを抜いた。そして180度姿勢を変え、顔の見える正常位にもっていく。
「おねがい……やめて、やめて…………!!」
和紗は口周りを唾液で濡らしながら、何度も首を振って哀願してきた。
だが、ここまでヤル気になった男が今さら退く訳もねぇ。壮介のようなヘタレならともかくな。
俺は嫌がる和紗を力で抑え込み、正常位での挿入を開始した。
みっしりと重なり合った襞が、石のように固くなった俺の亀頭によって割り開かれていく。
ギンギンになったモノの周りに、生暖かく粘膜が握るように押し寄せる。キツいが、一方で潤滑も申し分ねぇ。
まったく女の膣ってなぁ、つくづく男を悦ばせるようにできてるもんだ。
おまけに、見下ろす光景も最高ときてる。
下唇を噛んだ屈辱的な美貌。乳を一筋垂らす、母性たっぷりの豊乳。そしてモデル級のくびれが戻った腰。
エロいと同時に神々しくさえあり、これ以上なく征服欲が満たされる。
「…………っ、………………っっ!!!」
ギシッ、ギシッとベッドを鳴らし、俺達の結合はリズミカルに続いた。
和紗は右手で口を押さえ、目を固く瞑りながら声を殺しているらしい。
「目を開けろ」
俺はあえてそう命じた。逆らえない和紗は、怯えるように薄く目を開きはじめ、数秒をかけて俺を睨み上げる。
敵意に燃えた瞳。その中に映る俺。その光景がまた、たまらねぇ。
俺は和紗の左脚を上げさせ、肩に担ぐようにして挿入を深めた。俺はこの体位が好きだ。
胸板に柔らかな女の脚が感じられ、抜き差しのたびに開いた結合部から女の匂いが立ち上る。
さらに身体を倒しながら奥まで突き込めば、快感に溺れる女の顔が間近にあるという、最高の体位だ。
「!!!!!」
和紗としても堪らないんだろう。
シーツをへこませるほど天を仰いだかと思えば、次の瞬間には逆に顎を引く。
その次には左右に頭を沈めたりと、必死に快感を堪える方法を探っていやがる。
「オラどうだ?善がり声上げてもいいんだぜ? 俺はよ」
俺は和紗の耳元でそう囁きかけながら、すっかりほぐれてきた子宮をゴリゴリと責め抜いた。
抱え込んだ和紗の左脚が暴れ、筋張る。かかとの部分が俺の鎖骨にめり込んでくる。
和紗の小さい両手がシーツを握り締め、皺だらけにする。
その変化を見て、俺はさらにスパートをかけた。俺自身の射精感もそろそろ限界一杯だ。
「う、うう、ううううーーーっ!!!」
目を閉じ、歯を食い縛って必死に耐える和紗。だがその眼が薄く開かれると、ほとんど白目を剥きかけているのが判る。
ガンギマリってやつだ。
「へへ、いい顔してんじゃねぇか」
俺はそう囁きつつ、和紗にキスを迫った。今までキスだけは拒否されっぱなしだったが、今ならいけそうな気がしてよ。
「!!」
だが和紗は寸前でそれに気付き、顔を背ける。俺の口づけは空しく逸れた。
後一歩だったが、惜しいこった。だが、陥落は決して遠くねぇ。こうして極度の快感に浸し続け、思考力を奪ってやりゃあ。
俺はほくそ笑みながら、堪えに堪えた快感を放出する。
腰が痺れ、どくどく、どくどくと何秒も射精が続いた。自分でも驚くほどの量が、和紗の中に注ぎ込まれていった。
肉体的な快感もすげぇが、精神的な充足も相当だ。何せ壮介のいるすぐ傍で、嫁を犯してやったんだからな。
「…………はぁっ…………はっ………………ひどい、こんなに……………………」
すっかり放心状態の和紗が、片目から涙を溢して呟く。
それを尻目に俺は身体を拭き、ベッドルームを後にした。
「…………入って、いいか?」
遠慮がちな雰囲気でリビングに舞い戻り、壮介の様子を伺う。
憔悴しきった様子のヤツの前に、水の入ったコップを置く気遣いも忘れない。
そう。ヤツの前ではあくまで、俺は気遣いのできる面倒見のいい親友なんだ。今は、まだ。
壮介は俺の渡した水を一気に飲み干し、その途中で盛大に噎せかえる。挙句にゃ鼻からも水を噴出しながら、女みてぇに泣き喚きはじめた。
つくづく鈍臭く、格好の悪い男だ。こんなグズが和紗を独占するなんざ、元からあっていい筈がなかったんだ。
壮介が落ち着いてから、俺はヤツと改めて話をする。
パソコンの動画を証拠に警察に行けば、という壮介に対し、俺はあくまで首を横に振る。
そして、諭した。下手な真似をするな、証拠が揃うまで待て、と。
だが実は、これこそが壮介に発破をかける策略だ。
高校入学から8年強。そんだけ付き合やぁ、壮介の思考パターンなんざ読めちまう。
ヤツは俺に全幅の信頼を置いてるが、その一方で忠告は聞き入れねぇ。
『自分らしさを大切にしろ』と何度言っても、中途半端に俺の真似をしちゃ挫折を繰り返してたようにだ。
頭が悪い癖に、肝心な所でゴチャゴチャ余計な事を考えちまうのが壮介ってヤツなんだ。
俺が静かに待てと言ったところで、まず言う通りにはしねぇ。熱くなった頭で散々思い悩んだ挙句、必ず勝手に『やらかす』。
だからこそ、俺はヤツに動くなと釘を刺した。
笑えるぜ。
それからわずか一週間後、壮介は案の定石山と接触を図り、その挙句に野郎をブッ刺した。
蜥蜴の尻尾を自ら切り落とし、肝心の黒幕の存在にゃ気付きすらしないまま、1年8ヶ月のムショ暮らしだ。
面会室で俺に深々と頭を下げるお人好しぶりにゃ、呆れるを通り越してもう笑っちまうしかねぇ。
「俺のことは、ヤツに言ったのか?」
数日後。面会を終えて出てきた和紗に、俺は訊ねた。答えは判りきってるがな。
「…………言う訳ないでしょ」
「何でだ?」
「何でっ、て…………今のあの人を、これ以上追い込めるわけない!」
ニヤけながら言う俺を、和紗は強い眼力で睨み上げる。俺がいつか一目惚れした、実にいい眼だ。
今からはこの和紗を、この俺が独占できる。そう思うと、どうしたって顔が綻んじまう。
「そんな事言って、本当は俺との関係を壊したくないからだろ?」
俺は和紗を物陰に引き込み、胸元を肌蹴させた。
白い乳房の頂点に、金色のピアスが光っている。昨日の晩に俺がつけさせたものだ。
壮介との面会中も、このピアスはノーブラのままの乳輪を挟み込んでいた。
和紗の事だ。夫に気付かれないかと、面会の間中さぞ顔を赤くしてたろうに、見られなくて残念だ。
俺はピアスを服越しに弾き、和紗の恥じらいを楽しむ。
「ち、違うわ。私の心は、いつだってずっとあの人だけのものよ。
あなたがどれだけ私を求めたって、私はただ、あの人が帰ってくる日を待つだけ」
徐々に怪しい雰囲気を露わにしながら、和紗はまた俺を睨む。
その気丈さが堪らねぇ。
「へっ、ならやってみろ。これからヤツがシャバに戻ってくるまでの間、たっぷりと快感を仕込んでやる。
時間ならいくらでもあるからな、俺の執念とテクを、丸々そのカラダに注ぎ込んでやるよ。
せいぜい逃げ出すんじゃねぇぞ。もし逃げたら、そん時ゃあ獄中で潰れかけてるアイツに全部バラすぜ?」
悔しげな和紗の顎を掴みあげて宣言しつつ、ミニスカートの中に手を差し入れる。
シルクの下着の中からは、ぐちゅりと濃い水音がした。
続く
和紗は、羞恥心や背徳的な感情があるほど濡れる。
これがハッキリした所で、俺は石山の奴隷になるよう和紗に命じた。
理由は4つある。
1つは、石山自身が和紗に気があるって事だ。
俺が首を突っ込んで以来、表立っては行動してないらしいが、あの強欲野郎が簡単に諦めるとも思えねぇ。
となれば当然、和紗の方から誘いをかけられて断ることは有り得ない。
2つ目に、石山には、相当マニアックな性癖があるらしい。
自己顕示欲旺盛なヤツにありがちな事だが、とにかくアブノーマルなプレイを好む。
SMやら、スカトロやら、輪姦やら。実際に捕まったのは未成年の頃の1回だけだが、強姦も常習犯って噂だ。
そういうゲスに変態プレイをやらされりゃあ、繊細な和紗は確実に『作り変えられる』。
それに、人間ってのは不思議なもんでよ。選択肢が2つしかなくて、その片方が比較的マシだった場合、そっちに無意識に好意を抱くらしい。
たとえ、元々はマイナスの感情を持ってる相手にでもな。
和紗の場合、実際に肌を重ねるプレイ相手は俺と石山だ。石山の変態的なプレイに対し、仮にも俺は和紗を感じさせてやる。
欲望が先行してた最初の頃はともかく、今はきっちりムードも作ってやるし、愛撫も心を込めてやる。
比較対象がその2つなら、当然俺の方が『マシ』だろう。石山のオモチャにされた後で俺に抱かれれば、少しは心が和らぐはずだ。
3つ目は、石山なら俺が仕事に行っている間にでも調教をやれる事。
この街でロクデナシの頭も同然の石山は、舎弟が巻き上げた金やら、自作AVの売り上げやらで荒稼ぎしてるらしい。
当然本人はやりたい放題で、仕事なんぞしちゃいねぇ。だから、平日だろうが関係なく和紗を調教するだろう。
週末中心の俺の調教と平行でやらせる事を考えりゃ、こんな適材はいねぇ。
そして、4つ目。
石山を選ぶ最大の理由は、使い潰しても良心の呵責がねぇってことだ。
俺も他人のことを言えた義理じゃねぇが、あの石山ってデブはかなりゲスい。
犯罪と名のつくことはマジで何でもやってやがる。ここいらじゃヤクザより性質が悪いなんて話すらある。
それでも、実際にスゲェ奴なら文句はねぇ。だがアイツは、所詮俺から逃げ回る程度の雑魚だ。
そういう雑魚が御山の大将気取りでデケェ面してんのが、前々から気に入らなかった。
だから、潰す。執着してる和紗から誘惑され、好き放題のプレイをして、幸せの絶頂にいる所で叩き潰す。
そこに後悔はいらねぇ。石山からこれまで虐げられてきた奴、これから不幸にされる運命だった奴を助ける事になる。
勿論、そういう連中から俺がヒーローとして崇められる褒美つきでな。
美味い話だぜ。石山がドス黒く肥え太れば肥え太るほど、それを喰らう俺はラクに名を上げられるって訳だ。
そしてそこには、必ず壮介の奴が絡んでやがる。
まったくヤツは、俺にとっての福の神だよ。『俺に吸われるための』って前置きをつけるなら、人徳があるってのにも素直に賛同してやれる。
和紗にそんな事を漏らしゃ、またスゲェ形相で切れるんだろうけどな。
もっとも、それも今だけだ。計画通りに調教が進みゃあ、そうして俺に悪意を抱くこともなくなる。
何故あんな不甲斐ない男に熱を上げていたかと、酔いの醒める日が来る。
嫌がる和紗を脅しすかし、石山の所へ抱かれに行かせた次の日。石山の取り巻きに潜り込ませてるダチから、早速1本の動画が送られてきた。
その手の早さにゃ、驚く以上に笑えてきちまう。
映像はあからさまに盗撮って感じで、鞄の中からなんだろう、チャックの合間から部屋を覗く視点だ。
場はすでに祭りの真っ只中。いかにもガラの悪そうな連中が、思い思いに叫びまくってやがる。
『やー、しかし本当エロいわ。これで一児のママかよ?』
『顔は女子アナ級だし、スタイルもいいなー。これでよく今まで石山クンにツバつけらんなかったよな。中学とかどこよ?』
『バカ、中学ン頃の話は地雷ワードっつったろ。ほじくり返すと、マジで石山クンに殺されんぞ』
聴こえるのは、そんな頭の軽そうな会話。
その連中がたむろする中央には、すでに丸裸に剥かれた和紗の姿がある。
和紗は、ソファに深く腰掛けていた。
両脚は大股開きのまま、腿とスネを縄で巻いて動かなくされてやがる。緊縛ってヤツか。
石山一派がSM好きって噂は、どうやら本当らしい。
和紗はそうして恥ずかしい場所を晒したまま、不良連中に好きに嬲られていた。
一番熱心に指やらマッサージ器が群がってんのは胸だ。連中、産後の美人妻ってのがよっぽど珍しいらしい。
浅黒い腕が競い合うように胸を揉みしだいたり、乳首をこね回したりして、白い乳を飛沫かせている。
その一方で、勿論アソコも放っておかれちゃいねぇ。
縛られた太腿をソフトに撫で回すヤツもいれば、マッサージ器がビラビラを舐めるのに合わせて、クリトリスを摘むヤツもいた。
さすが何本もAV撮ってるだけあって、集団での責めに慣れてやがる。
常に何人かが群がって責めているにも関わらず、お互いがお互いの邪魔をしない。
時には交互に時には同時に、女の急所を絶え間なく責めやがる。
そんな責めを受けて、和紗も平然としていられる訳がねぇ。
『ん、ん、んん……んんっん!! あっ……あはっ、ああ、あ…………ああぁあんっ!!』
責められ方によって微妙に声を変えながら喘ぎ続ける。
勿論、喘ぐだけじゃねぇ。首を上下左右に揺らめかし、M字の脚をゾクッと跳ね上げて、本当に気持ち良さそうに反応してもいる。
そういう反応ってのは、当然責める側にゃ最高のご褒美なんだよな。
連中はいよいよ嬉々として、和紗を責め立てる。
『石山さーん、ホントに俺らだけで楽しんでいいんスかぁ?』
そんな騒ぎの中、1人がバカでかい声を出した。
『おう、俺ァ昨日、散々ヤッたからよ。今日はテメェらに貸してやる』
石山らしい声が返ってくる。その言葉の直後、和紗の表情が明らかに強張った。
その表情からして、かなり執拗に犯された事が窺える。デブは絶倫って話を聞くが、やっぱりそうなのか。
石山に気兼ねする必要がなくなって、責めが再開される。
膣にマッサージ器を押し当てたまま、指でクリトリスをしばらく摘み、和紗が甘い声を上げ始めた所で指を離す。
これを何度も繰り返すと、そのうち和紗は頭を振りまくって半狂乱に近い状態になる。
『ああうっ、あうっ!! ああっハッハッはぁっ……はぁあうううんっ…………ああうんんっ!!!』
『アハッ。なんか、赤んぼ産むみてぇな息だな。まーた産まれんの、ママさん?』
和紗のハイペースの息を、そう茶化すヤツもいる。
和紗はそれに対して悔しそうな表情を見せた。だがその一方で太腿周りは、カメラから見える範囲だけでも濡れ光りまくってる。
感じてんのは、誰の目にも明らかだ。
効果があると解ってる限り、サドの責めが緩む筈もねぇ。マッサージ器を持つヤツは、薄笑いを浮かべて責めを続行する。
そのサポート役も中々鬼畜だ。
『あっ、ああ、あっあ…………あああダメっ、あんっ! ンんっんっ……っ、いくっ、いくいくイクぅっ…………!!!』
立て続けにイカされまくる段階になると、苦しい和紗は当然脚を閉じようとする。
だが背後から和紗の膝を掴む一人が、そのタイミングを読みきって強引に足を開かせる。
そうなると和紗は足を閉じたくても閉じられねぇもんだから、腰をガクガク上下させながら深く深くイクしかねぇ。
中々勉強になるもんだ。
『ああああだめっ、だめいくっ!! だめっダメ、ぁあぁあ……あぁああイクぅっ…………はぁっイクぅっ…………!!』
和紗は何度も何度も、ソファに頭を投げ出すようにして天を仰いだ。
内腿に深く筋をつけながら、ある時はソファを深く踏みつけ、ある時は足の裏が完全に見えるまで振り上げ。
拘束された身体中で快感を訴えながら、何度もイッた。
石山と、その舎弟連中に嘲笑われながら。
そして俺の予想通り、その極限ともいえる羞恥の中でも、和紗はひたすらに感じまくっていた。
最後にゃあ立て続けに3回潮を吹き、カメラにまで飛沫をぶっ掛けやがった。
たった2日でこの狂いぶりとは、やっぱり石山と絡ませるのは効果がある。
和紗の肉体開発を目的としたこの『スワッピング』にゃ、嬉しいオマケが付いてきた。
調教の様子を事細かに記録した映像だ。
よっぽど見せびらかしたいんだろうな。石山の野郎、和紗の映像を会った次の日にはサイトに乗っけやがる。
いつどんな調教が行われたのかを視覚的に確認できるのは有り難ぇ。
そしてそれ以上に、映像そのものが極上の強壮剤だ。
元々ナマの女と同じぐらいAVが好きな俺だが、和紗の調教記録ほど抜けるものは過去になかった。
そりゃそうだ。なんせ女優が、てめえの普段抱いてる女なんだからな。
肌触りも匂いも、締まり具合さえ知ってる女の痴態ってのは、リアリティが半端ねぇ。
映像の向こうの出来事にも関わらず、つい目と鼻の先で繰り広げられてる事みてぇに思えてきちまう。
四段腹の石山から、えづき汁塗れでイラマチオを仕込まれたり。
ガッチリ拘束されたまま、アナルだけでイけるようになるまで延々と調教されたり。
四方八方から迫る不良連中に輪姦されて、獣みてぇな声で悶え狂ったり。
そういう光景が、一々心臓に来やがる。
映像を見ながらさんざんシコって、その中で俺はふと考えた。
やろうと思えばいつでも和紗を好きにできる俺でさえ、この衝撃なんだ。
だったら、壮介のヤツがこれを見たら…………?
そう思いついたが最後、歪んだ笑いが止まらなくなった。
そうだ。アイツの性格からして、散々無駄に思い悩んだ挙句、そろそろ俺を頼ってくる頃だろう。
“親友”の俺はそれをにこやかに受け入れる。そして、この映像サイトを見せてやるんだ。
さすがのアイツも発狂するか? それとも、燃え尽きたみてぇに放心するか?
どっちにしろ面白ェ。出来の悪い人間が苦悩する様ってのは、羽をもがれた虫が這いずる姿以上に傑作だ。
今回もそれをじっくり堪能させてもらうとしよう。
すぐ傍で、かつ、とびきり残酷なシチュエーションでな。
※
「よっ、久し振り。何かスゲー大変だったみてぇだけど、余裕できたのか?」
ドアを開けるなり、俺は壮介に言った。
湛えるのは“親友”の笑み。だが少し気を抜くと、その顔がニヤケちまいそうになる。
室内に施した悪趣味な『仕掛け』を思い出しちゃ、黒い笑いもこみ上げるってもんだ。
「遠慮なく上がれよ」
そう言いながら、俺の城に壮介を招き入れる。
都心直通の20階建て最上階、4LDK。どんな一流企業に入ろうが、入社一年目の若造が借りられるような代物じゃねぇ。
ましてや壮介じゃ、一生あくせく働いた所で縁のない場所だろう。
だが、俺はそこに住める。キープの女共から、月100万単位で金を引っ張ってこられる俺ならな。
「ま、実は結構無理してんだけどな。ダチ家に呼ぶなら、それなりに見得張らねーとさ」
そんな見え透いたウソをついてみるが、壮介が疑う様子はねぇ。
そうだ。こいつは俺の事だけは、全く疑わねぇんだ。疑えない、と言ってもいい。そうなるように洗脳してきたんだからな。
このマンションにはベッドルームが2つある。
メインベッドルームがちょうどリビングの隣。ゲスト用はそれよりかなり奥だ。
「色々見てぇかもしれねぇが、ゲスト用は立ち入り禁止だ。まだ引越しン時の荷物が散乱しててよ、見せっとウチのに怒られちまう」
俺は、息を吐くようにまたウソをつく。
立ち入り禁止、ってのだけは本当だ。だがその理由は、荷物が散乱してるからじゃねぇ。ウチの、なんて女もいねぇ。
和紗に心奪われて以来、それまで可愛がってた女は全てキープ以下になったんだからな。
俺は壮介をメインベッドルームに案内した。
ベビーベッドの置かれた部屋……この数ヶ月、和紗と嫌というほど交わってきた部屋だ。
「うわぁ……可愛いなぁ」
壮介が、ベビーベッドの中を覗き込んで呟いた。
「俺に似てハンサムだろ?」
俺も同じく覗き込んで笑う。心の中では、バカめと舌を出しながら。
ヤツには思いも寄らないだろう。まさか目の前にいる赤ん坊が、俺と和紗のガキだなんてよ。
テメーらが誕生を心待ちにしてた愛の結晶が、『それ』なんだぜ。
「うん、全くだ。でもこの子、いつ生まれたのさ。言ってくれればよかったのに」
壮介のこの言葉だって空しいもんだ。誕生しそうって報告はちゃんとあったぜ。テメーから、俺にな。
「ん、何言ってんだ? ちゃんとハガキ送ったろ、超気合入ったやつ」
「えっ!?」
俺がついた三度目のウソに対して、壮介は慌てながら目を泳がせる。
本当に抜けたヤツだ。自分が見てねぇなら見てねぇ、はっきりそう思っときゃいいじゃねぇか。
ま、こういう人間だから好きに操れるんだがな。
「ご、ごめん! 最近バタバタしてて、よく見てなかったよ」
「ハハッ、そういう事か。まあしゃあねぇって。こっちも新生活始めたばっかだからよ、ちっと面倒臭がるとすぐこの有様だ」
俺はそう言って、ベビーベッドのすぐ脇に落ちていた布を拾い上げる。
一見赤ん坊の小便を拭いた布のようでいて、その実、たっぷりと“愛液”を吸い込んだ布を。
「嗅いでみるか? 可愛い顔の割に、結構キツいぜ」
この言葉、何も間違っちゃいない。
そう。可愛い顔してる割に、時間が経つと結構匂うんだよ。『和紗の愛液』は。
壮介は半笑いしていたが、ここでよく嗅げば気付けたんじゃねぇかな。何せ、四六時中頭にある嫁の匂いなんだ。
それともご無沙汰すぎて、もうその匂いすら思い出せねぇのか。
俺はその僅かなヒントを、ビニール袋に放り込んで密封する。
「あれ。そういえば、奥さんは?」
テメェの嫁の匂いにも気付かない鈍い夫は、ここで俺の家庭事情に踏み込んできた。
もっとも、和紗の為に用意した女物の化粧品やらがそこら中に置いてあるから、気になって当然なんだがな。
「ああアイツな、今は出掛けてんだ。俺なんかよりよっぽどの仕事人間でよ。
っつーかまず、嫁ですらねーんだけどな。結婚まだだから」
今回はさっきとは逆。嫁ですらねー、この部分だけが真実だ。そう、和紗はまだ俺の嫁じゃねえ。俺のモノじゃねえ。
今は、まだな。
「え、そうなの?」
「ああ。もしやるって決まったら、流石にお前にも直で電話するしさ」
「そっか。呼ばないと怒るぞ?」
「ははっ、怒るのか? それはそれで見てみてーな」
軽い調子の会話に、壮介は笑みを溢す。この会話に込められた真の意味が判ったなら、まかり間違っても笑えねぇだろう。
だが、壮介はその真実には気付かない。ヤツは今、それどころじゃない。
「………………それにしても、子供って……可愛いよね」
ヤツはベビーベッドを見つめながら、そう呟いた。
「なんだよ、しんみりしちまって」
俺は同情するフリをしつつ、ガキをベビーベッドから抱き上げて差し出した。
手馴れている俺とは違い、壮介はまるで熱い焼き芋を手の中で転がすような抱き方だ。
抱き方ひとつにしても、どっちが正統な父親かがハッキリしている。
だが、なぜだ。
「あふぇ、ふぇへへぇ…………」
ガキは、感極まったように泣く壮介を指差して笑った。俺が抱いている間は、不機嫌そうにグズってやがった癖に。
いや、深く考える必要はねえ。ボロ泣きしてる壮介の面が、たまたま赤ん坊の面白がる類だっただけの話だ。
――彼は優しいの、あなたとは違って。
和紗の言葉が、なぜか脳裏を過ぎりやがる。
ふざけんな。こんなヤツが、俺に勝っている訳がない。俺こそがオスとしての優位種だと証明してやる。
その後、ようやく壮介が切り出した相談内容を、俺は神妙な顔をして聞いた。
しばらく沈黙し、熟考している演技もする。そう、演技だ。話の流れは最初から決まっている。
和紗の現状について壮介の不安を煽り、俺も助力すると話す。
そうすりゃ、壮介は涙ながらに感謝してくる。
何せ高校入学以来、ヤツのあらゆるトラブルを解決してきてやった俺だ。助けてやる、という言葉の重みが違う。
壮介の帰りを見送った後、俺はゲスト用ベッドルームの扉を開け放った。
むっとする匂いが鼻をつく。
もし扉を開けたのが壮介なら、部屋内の光景に絶句した事だろう。
ベッドの四隅からの縄で大の字に拘束され、猿轡を嵌められたまま、アソコに極太のバイブを咥え込まされた和紗。
それが視界に飛び込んでくるんだからな。
「ンン…………!!」
和紗は視線をこっちに向け、猿轡の下で何か言いたげに呻いた。
俺はそれを無視し、和紗のアソコから半ばはみ出たバイブを掴む。そして小さな羽音をそのままに、ゆっくりと奥へ叩き込んだ。
「ふうんんんっ!!!」
呻き声と共に、ぬちゃっという水音が立つ。
朝に呼び出してから、壮介のヤツが来るほんの30分前まで、徹底的に焦らし責めしてやったからな。あの時点でも相当に濡れてたもんだ。
おまけにこの状況。恥ずかしい格好で拘束され、すぐ近くの廊下から愛する旦那の声がする。
背徳的な状況に弱い和紗が、それで濡れない筈がない。
実際、和紗のすらっとした美脚の間は、小便を散らしたように青いシーツが変色してやがる。
俺はそれを見てほくそ笑みつつ、和紗の口枷を解いてやった。
「ぷはっ…………はぁっ、はぁっ! も、もう限界……あの人きっと、私達の事に気付いてるよ!」
荒い呼吸のまま、和紗は叫んだ。まるで旦那に浮気がバレた女房だ。
俺に心酔してる壮介が、俺らの関係に勘付くなんて事はありえねぇ。第一、すぐにヤツはそれどころじゃなくなる。
「大丈夫だ。もうすぐアイツの意識は、別の方に向くからよ」
「別の方?」
「まぁいいじゃねぇか。それより、もう堪らねぇんだろ?
ダンナのいるすぐ傍でバイブ唸らせてよ。ホラ、ドロドロじゃねぇか」
俺はそう言って、バイブの振動を強めた。近づいてかろうじて聴こえる程度の羽音が、力強い重低音になる。
「んんっ……あぐうううっ………………!!」
バイブに角度をつけてGスポットの辺りを捉えると、すぐに和紗は顔を歪めた。
そのまま浅い所で小刻みに動かせば、数秒と経たず下半身を痙攣させてイく。
「だっ、ダメッ、だめえぇえっ…………!!!」
さらに角度を変えて裏Gスポット、緩く奥まで押し込んでポルチオと刺激してやりゃ、いよいよ黒髪を振り乱して狂い始める。
この数ヶ月、俺や石山達から散々調教された結果がこれだ。
和紗に関わる男の誰もがこのエロさを知ってるってのに、実の旦那だけが除け者ってのは笑える話だよな。
まぁ、ヤツもすぐに和紗の身に起きた事の一部を知ることになる。
なんつっても、石山のあのえげつない調教動画を目にするんだからな。
『進展アリ。日曜にウチで話す。ウチのが出かける3時以降に来てくれ』
約二週間後の木曜、俺はそのメールを壮介に送りつけた。木、金、土と、たっぷりヤツが焦れるように。
当日の日曜日、俺は昼過ぎに和紗を呼び出し、ゲスト用ベッドルームでたっぷりと愛した。
「今日また、アイツがここに来るぜ。嬉しいだろ?」
背後から愛撫しつつそう言うと、和紗はこっちを睨んでくる。だが、できる抵抗はそこまでだ。
その後は悔しそうな顔で、手馴れた俺にイカされるしかねぇ。
たっぷりと愛撫してから3回ほどイカせたところで、玄関のチャイムが鳴る。
「おっと、お出ましだ。大人しくしとけよ」
俺はそう言って愛液に塗れた顔を拭き、壮介を迎え入れる。
入ってきたのは、期待通りの亡霊みてぇな面だ。あの平和的なボンボン顔が、変われば変わるもんだよな。
石山が動画を上げている投稿サイトをノーパソで開き、壮介に見せる。
「…………正直、コレをお前に見せるべきか迷ったんだけどよ。
隠してもしょうがねぇと思って、見せる事にした」
必死に厳しい表情を作って。
壮介は生唾を飲み込み、何度も強く瞬きして覚悟を決めていた。早くしろ、と俺の心が唸る。
もっとも、テメェの嫁に関わる重大報告なんだ。そりゃ覚悟もいるわな。
意を決したらしく、壮介の眼が画面内に食いつく。
画面に表示されてんのは、いかにもなエロサイトだ。壮介は最初それに訝しげな表情を作り、しばらくして顔面を蒼白にする。
その変化は劇的で面白ぇ。他人の不幸は蜜の味だ。
「……え、えい、英児。ま、まさ、まさかこの中に、か、和紗が…………?」
壮介が震える声でそう訊いてきたが、俺はあえて答えねぇ。笑いを堪えるついでに、気まずそうな表情で目を伏せる。
壮介の愕然とした気配が伝わってきた。
そこからの壮介は必死だ。我を忘れたように俺のパソコンを操作し、目を見開きながら画面を追っていく。
動画のひとつをクリックし、コメント欄に目を通すうち、奥歯を鳴らしはじめもする。
俺にゃその苦しみぶりは滑稽で仕方ねぇ。
「……俺は席外すわ。何かあったら呼んでくれ」
部屋を出る時にそう声を掛けても、空返事が返ってくるだけだ。明らかにいつものヤツじゃなくなってる。傑作だぜ。
ゲスト用のベッドルームへ戻ると、和紗に神妙な面持ちで迎えられた。
壮介への罪悪感からか、ベッドの上で背筋を伸ばしたまま正座してやがる。いい嫁だよ、全く。
「彼に、何を話したの?」
和紗が口を開いた、その直後。
『ああ、ウソだろ!? やめろ、やめてくれっ!!』
壮介の悲痛な叫びが、リビングから漏れ聴こえてくる。
その叫びに目を見開いた和紗は、答えを急かすように俺を睨み上げる。
沈黙。
心地いい沈黙だ。衝撃の告白をする直前ってのは、いつでも全身の毛が逆立っちまう。
「今アイツは、お前が石山に調教されてる映像を見てるぜ」
俺は、あえてさらりと言った。和紗の表情が一瞬固まり、数秒後に引き攣りはじめる。
「…………え…………? 映、像…………石山の、って、…………え…………??」
その反応を見る限り、石山とのプレイを盗撮されてた事実にすら気付いていなかったらしい。
「そうだ。お前が石山にされた事ってのは、全部撮られてネットに流れてんだよ。
ヤツは今、そのページを覗いてる最中ってこった。一体どんな顔してんだろうなぁ?」
「………………っ!!!」
補足して説明すると、和紗の目の見開きはいよいよでかくなる。そして終いにゃ、両手で顔を覆いはじめた。
「そう嘆くなって。これで壮介の関心は石山に向く。俺とお前の関係にゃ、もう疑いすら持たねぇよ」
俺はフォローしつつ和紗の肩に手を置くが、その手はすぐに払いのけられる。
「触らないでっ! …………あ、あなたって、つくづく人でなしなんだね」
和紗は絞った声量で、だがハッキリと敵意を込めて俺を糾弾した。
だが、それが何だ。この俺に限り、罵られたぐらいで揺らぐようなヤワな自我はしちゃいねぇ。
「ああ、そうだな。とっくに解ってたろ?」
俺はそう言ってベッドの上に和紗を押し倒した。そして同時に、その秘裂に指をねじ込む。
アソコの粘膜はさすがに乾き始めてるが、こうして愛撫してりゃ、すぐにまた内からあふれてくる。今の和紗はそういうカラダだ。
「ん、んっ!!」
和紗は俺の腕を掴みつつ、感じているとも嫌がっているとも取れる声を出した。
「オイオイ、あんま声出すなよ。もしこんな所をアイツに見られでもしたら最後、お前まで“人でなし”の仲間入りだぜ?
なんせアイツは、今疑心暗鬼の真っ只中だからよ。ま、それがお望みなら止めねーがな」
俺がそのカードを切ると、和紗の抵抗が徐々に弱まっていく。
「よーし、そうだ」
俺はただ身を強張らせるだけになった和紗を堪能する。
見惚れるようなレースクイーン級の脚の間に指を入れ、延々と水音を立ててくじり。
全身をくまなく愛撫しながらシックスナインの体勢になって、物をしゃぶらせつつ秘裂を舐め回す。
『畜生、やめろよ畜生ォっっ!!!』
遠くからまた、壮介の悲痛な叫びが聴こえてきた。相当ショックな光景でも見たか。
その瞬間、俺のモノを舐める和紗の舌遣いもピタリと止まる。だが俺が喉奥まで押し込んで催促すると、またおずおずと再開される。
こういうシチュエーションのもたらす影響ってのはデカい。
もう何十篇も抱いてる身体だってのに、まるで憧れの女を今日初めてモノにしてるみてぇな新鮮さがある。
密集した襞を掻き分けて刺激するのが、もう楽しくて仕方ねぇ。次から次へとあふれ出てくる愛液すら、やけに美味く感じちまう。
この俺が全身全霊をかけて愛撫している以上、和紗は哀れなほどに濡れていった。
下半身の至るところが筋張っては弛緩し、愛液に塗れていく。
その段階になって、俺は和紗の口からモノを抜いた。そして180度姿勢を変え、顔の見える正常位にもっていく。
「おねがい……やめて、やめて…………!!」
和紗は口周りを唾液で濡らしながら、何度も首を振って哀願してきた。
だが、ここまでヤル気になった男が今さら退く訳もねぇ。壮介のようなヘタレならともかくな。
俺は嫌がる和紗を力で抑え込み、正常位での挿入を開始した。
みっしりと重なり合った襞が、石のように固くなった俺の亀頭によって割り開かれていく。
ギンギンになったモノの周りに、生暖かく粘膜が握るように押し寄せる。キツいが、一方で潤滑も申し分ねぇ。
まったく女の膣ってなぁ、つくづく男を悦ばせるようにできてるもんだ。
おまけに、見下ろす光景も最高ときてる。
下唇を噛んだ屈辱的な美貌。乳を一筋垂らす、母性たっぷりの豊乳。そしてモデル級のくびれが戻った腰。
エロいと同時に神々しくさえあり、これ以上なく征服欲が満たされる。
「…………っ、………………っっ!!!」
ギシッ、ギシッとベッドを鳴らし、俺達の結合はリズミカルに続いた。
和紗は右手で口を押さえ、目を固く瞑りながら声を殺しているらしい。
「目を開けろ」
俺はあえてそう命じた。逆らえない和紗は、怯えるように薄く目を開きはじめ、数秒をかけて俺を睨み上げる。
敵意に燃えた瞳。その中に映る俺。その光景がまた、たまらねぇ。
俺は和紗の左脚を上げさせ、肩に担ぐようにして挿入を深めた。俺はこの体位が好きだ。
胸板に柔らかな女の脚が感じられ、抜き差しのたびに開いた結合部から女の匂いが立ち上る。
さらに身体を倒しながら奥まで突き込めば、快感に溺れる女の顔が間近にあるという、最高の体位だ。
「!!!!!」
和紗としても堪らないんだろう。
シーツをへこませるほど天を仰いだかと思えば、次の瞬間には逆に顎を引く。
その次には左右に頭を沈めたりと、必死に快感を堪える方法を探っていやがる。
「オラどうだ?善がり声上げてもいいんだぜ? 俺はよ」
俺は和紗の耳元でそう囁きかけながら、すっかりほぐれてきた子宮をゴリゴリと責め抜いた。
抱え込んだ和紗の左脚が暴れ、筋張る。かかとの部分が俺の鎖骨にめり込んでくる。
和紗の小さい両手がシーツを握り締め、皺だらけにする。
その変化を見て、俺はさらにスパートをかけた。俺自身の射精感もそろそろ限界一杯だ。
「う、うう、ううううーーーっ!!!」
目を閉じ、歯を食い縛って必死に耐える和紗。だがその眼が薄く開かれると、ほとんど白目を剥きかけているのが判る。
ガンギマリってやつだ。
「へへ、いい顔してんじゃねぇか」
俺はそう囁きつつ、和紗にキスを迫った。今までキスだけは拒否されっぱなしだったが、今ならいけそうな気がしてよ。
「!!」
だが和紗は寸前でそれに気付き、顔を背ける。俺の口づけは空しく逸れた。
後一歩だったが、惜しいこった。だが、陥落は決して遠くねぇ。こうして極度の快感に浸し続け、思考力を奪ってやりゃあ。
俺はほくそ笑みながら、堪えに堪えた快感を放出する。
腰が痺れ、どくどく、どくどくと何秒も射精が続いた。自分でも驚くほどの量が、和紗の中に注ぎ込まれていった。
肉体的な快感もすげぇが、精神的な充足も相当だ。何せ壮介のいるすぐ傍で、嫁を犯してやったんだからな。
「…………はぁっ…………はっ………………ひどい、こんなに……………………」
すっかり放心状態の和紗が、片目から涙を溢して呟く。
それを尻目に俺は身体を拭き、ベッドルームを後にした。
「…………入って、いいか?」
遠慮がちな雰囲気でリビングに舞い戻り、壮介の様子を伺う。
憔悴しきった様子のヤツの前に、水の入ったコップを置く気遣いも忘れない。
そう。ヤツの前ではあくまで、俺は気遣いのできる面倒見のいい親友なんだ。今は、まだ。
壮介は俺の渡した水を一気に飲み干し、その途中で盛大に噎せかえる。挙句にゃ鼻からも水を噴出しながら、女みてぇに泣き喚きはじめた。
つくづく鈍臭く、格好の悪い男だ。こんなグズが和紗を独占するなんざ、元からあっていい筈がなかったんだ。
壮介が落ち着いてから、俺はヤツと改めて話をする。
パソコンの動画を証拠に警察に行けば、という壮介に対し、俺はあくまで首を横に振る。
そして、諭した。下手な真似をするな、証拠が揃うまで待て、と。
だが実は、これこそが壮介に発破をかける策略だ。
高校入学から8年強。そんだけ付き合やぁ、壮介の思考パターンなんざ読めちまう。
ヤツは俺に全幅の信頼を置いてるが、その一方で忠告は聞き入れねぇ。
『自分らしさを大切にしろ』と何度言っても、中途半端に俺の真似をしちゃ挫折を繰り返してたようにだ。
頭が悪い癖に、肝心な所でゴチャゴチャ余計な事を考えちまうのが壮介ってヤツなんだ。
俺が静かに待てと言ったところで、まず言う通りにはしねぇ。熱くなった頭で散々思い悩んだ挙句、必ず勝手に『やらかす』。
だからこそ、俺はヤツに動くなと釘を刺した。
笑えるぜ。
それからわずか一週間後、壮介は案の定石山と接触を図り、その挙句に野郎をブッ刺した。
蜥蜴の尻尾を自ら切り落とし、肝心の黒幕の存在にゃ気付きすらしないまま、1年8ヶ月のムショ暮らしだ。
面会室で俺に深々と頭を下げるお人好しぶりにゃ、呆れるを通り越してもう笑っちまうしかねぇ。
「俺のことは、ヤツに言ったのか?」
数日後。面会を終えて出てきた和紗に、俺は訊ねた。答えは判りきってるがな。
「…………言う訳ないでしょ」
「何でだ?」
「何でっ、て…………今のあの人を、これ以上追い込めるわけない!」
ニヤけながら言う俺を、和紗は強い眼力で睨み上げる。俺がいつか一目惚れした、実にいい眼だ。
今からはこの和紗を、この俺が独占できる。そう思うと、どうしたって顔が綻んじまう。
「そんな事言って、本当は俺との関係を壊したくないからだろ?」
俺は和紗を物陰に引き込み、胸元を肌蹴させた。
白い乳房の頂点に、金色のピアスが光っている。昨日の晩に俺がつけさせたものだ。
壮介との面会中も、このピアスはノーブラのままの乳輪を挟み込んでいた。
和紗の事だ。夫に気付かれないかと、面会の間中さぞ顔を赤くしてたろうに、見られなくて残念だ。
俺はピアスを服越しに弾き、和紗の恥じらいを楽しむ。
「ち、違うわ。私の心は、いつだってずっとあの人だけのものよ。
あなたがどれだけ私を求めたって、私はただ、あの人が帰ってくる日を待つだけ」
徐々に怪しい雰囲気を露わにしながら、和紗はまた俺を睨む。
その気丈さが堪らねぇ。
「へっ、ならやってみろ。これからヤツがシャバに戻ってくるまでの間、たっぷりと快感を仕込んでやる。
時間ならいくらでもあるからな、俺の執念とテクを、丸々そのカラダに注ぎ込んでやるよ。
せいぜい逃げ出すんじゃねぇぞ。もし逃げたら、そん時ゃあ獄中で潰れかけてるアイツに全部バラすぜ?」
悔しげな和紗の顎を掴みあげて宣言しつつ、ミニスカートの中に手を差し入れる。
シルクの下着の中からは、ぐちゅりと濃い水音がした。
続く