大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2015年09月

向こう岸の彼女 十三話

※英児視点は今回で終了です。


和紗は、羞恥心や背徳的な感情があるほど濡れる。
これがハッキリした所で、俺は石山の奴隷になるよう和紗に命じた。
理由は4つある。
1つは、石山自身が和紗に気があるって事だ。
俺が首を突っ込んで以来、表立っては行動してないらしいが、あの強欲野郎が簡単に諦めるとも思えねぇ。
となれば当然、和紗の方から誘いをかけられて断ることは有り得ない。
2つ目に、石山には、相当マニアックな性癖があるらしい。
自己顕示欲旺盛なヤツにありがちな事だが、とにかくアブノーマルなプレイを好む。
SMやら、スカトロやら、輪姦やら。実際に捕まったのは未成年の頃の1回だけだが、強姦も常習犯って噂だ。
そういうゲスに変態プレイをやらされりゃあ、繊細な和紗は確実に『作り変えられる』。
それに、人間ってのは不思議なもんでよ。選択肢が2つしかなくて、その片方が比較的マシだった場合、そっちに無意識に好意を抱くらしい。
たとえ、元々はマイナスの感情を持ってる相手にでもな。
和紗の場合、実際に肌を重ねるプレイ相手は俺と石山だ。石山の変態的なプレイに対し、仮にも俺は和紗を感じさせてやる。
欲望が先行してた最初の頃はともかく、今はきっちりムードも作ってやるし、愛撫も心を込めてやる。
比較対象がその2つなら、当然俺の方が『マシ』だろう。石山のオモチャにされた後で俺に抱かれれば、少しは心が和らぐはずだ。
3つ目は、石山なら俺が仕事に行っている間にでも調教をやれる事。
この街でロクデナシの頭も同然の石山は、舎弟が巻き上げた金やら、自作AVの売り上げやらで荒稼ぎしてるらしい。
当然本人はやりたい放題で、仕事なんぞしちゃいねぇ。だから、平日だろうが関係なく和紗を調教するだろう。
週末中心の俺の調教と平行でやらせる事を考えりゃ、こんな適材はいねぇ。
そして、4つ目。
石山を選ぶ最大の理由は、使い潰しても良心の呵責がねぇってことだ。
俺も他人のことを言えた義理じゃねぇが、あの石山ってデブはかなりゲスい。
犯罪と名のつくことはマジで何でもやってやがる。ここいらじゃヤクザより性質が悪いなんて話すらある。
それでも、実際にスゲェ奴なら文句はねぇ。だがアイツは、所詮俺から逃げ回る程度の雑魚だ。
そういう雑魚が御山の大将気取りでデケェ面してんのが、前々から気に入らなかった。
だから、潰す。執着してる和紗から誘惑され、好き放題のプレイをして、幸せの絶頂にいる所で叩き潰す。
そこに後悔はいらねぇ。石山からこれまで虐げられてきた奴、これから不幸にされる運命だった奴を助ける事になる。
勿論、そういう連中から俺がヒーローとして崇められる褒美つきでな。
美味い話だぜ。石山がドス黒く肥え太れば肥え太るほど、それを喰らう俺はラクに名を上げられるって訳だ。
そしてそこには、必ず壮介の奴が絡んでやがる。
まったくヤツは、俺にとっての福の神だよ。『俺に吸われるための』って前置きをつけるなら、人徳があるってのにも素直に賛同してやれる。
和紗にそんな事を漏らしゃ、またスゲェ形相で切れるんだろうけどな。
もっとも、それも今だけだ。計画通りに調教が進みゃあ、そうして俺に悪意を抱くこともなくなる。
何故あんな不甲斐ない男に熱を上げていたかと、酔いの醒める日が来る。



嫌がる和紗を脅しすかし、石山の所へ抱かれに行かせた次の日。石山の取り巻きに潜り込ませてるダチから、早速1本の動画が送られてきた。
その手の早さにゃ、驚く以上に笑えてきちまう。
映像はあからさまに盗撮って感じで、鞄の中からなんだろう、チャックの合間から部屋を覗く視点だ。
場はすでに祭りの真っ只中。いかにもガラの悪そうな連中が、思い思いに叫びまくってやがる。
『やー、しかし本当エロいわ。これで一児のママかよ?』
『顔は女子アナ級だし、スタイルもいいなー。これでよく今まで石山クンにツバつけらんなかったよな。中学とかどこよ?』
『バカ、中学ン頃の話は地雷ワードっつったろ。ほじくり返すと、マジで石山クンに殺されんぞ』
聴こえるのは、そんな頭の軽そうな会話。
その連中がたむろする中央には、すでに丸裸に剥かれた和紗の姿がある。

和紗は、ソファに深く腰掛けていた。
両脚は大股開きのまま、腿とスネを縄で巻いて動かなくされてやがる。緊縛ってヤツか。
石山一派がSM好きって噂は、どうやら本当らしい。
和紗はそうして恥ずかしい場所を晒したまま、不良連中に好きに嬲られていた。
一番熱心に指やらマッサージ器が群がってんのは胸だ。連中、産後の美人妻ってのがよっぽど珍しいらしい。
浅黒い腕が競い合うように胸を揉みしだいたり、乳首をこね回したりして、白い乳を飛沫かせている。
その一方で、勿論アソコも放っておかれちゃいねぇ。
縛られた太腿をソフトに撫で回すヤツもいれば、マッサージ器がビラビラを舐めるのに合わせて、クリトリスを摘むヤツもいた。
さすが何本もAV撮ってるだけあって、集団での責めに慣れてやがる。
常に何人かが群がって責めているにも関わらず、お互いがお互いの邪魔をしない。
時には交互に時には同時に、女の急所を絶え間なく責めやがる。
そんな責めを受けて、和紗も平然としていられる訳がねぇ。
『ん、ん、んん……んんっん!! あっ……あはっ、ああ、あ…………ああぁあんっ!!』
責められ方によって微妙に声を変えながら喘ぎ続ける。
勿論、喘ぐだけじゃねぇ。首を上下左右に揺らめかし、M字の脚をゾクッと跳ね上げて、本当に気持ち良さそうに反応してもいる。
そういう反応ってのは、当然責める側にゃ最高のご褒美なんだよな。
連中はいよいよ嬉々として、和紗を責め立てる。

『石山さーん、ホントに俺らだけで楽しんでいいんスかぁ?』
そんな騒ぎの中、1人がバカでかい声を出した。
『おう、俺ァ昨日、散々ヤッたからよ。今日はテメェらに貸してやる』
石山らしい声が返ってくる。その言葉の直後、和紗の表情が明らかに強張った。
その表情からして、かなり執拗に犯された事が窺える。デブは絶倫って話を聞くが、やっぱりそうなのか。

石山に気兼ねする必要がなくなって、責めが再開される。
膣にマッサージ器を押し当てたまま、指でクリトリスをしばらく摘み、和紗が甘い声を上げ始めた所で指を離す。
これを何度も繰り返すと、そのうち和紗は頭を振りまくって半狂乱に近い状態になる。
『ああうっ、あうっ!! ああっハッハッはぁっ……はぁあうううんっ…………ああうんんっ!!!』
『アハッ。なんか、赤んぼ産むみてぇな息だな。まーた産まれんの、ママさん?』
和紗のハイペースの息を、そう茶化すヤツもいる。
和紗はそれに対して悔しそうな表情を見せた。だがその一方で太腿周りは、カメラから見える範囲だけでも濡れ光りまくってる。
感じてんのは、誰の目にも明らかだ。
効果があると解ってる限り、サドの責めが緩む筈もねぇ。マッサージ器を持つヤツは、薄笑いを浮かべて責めを続行する。
そのサポート役も中々鬼畜だ。
『あっ、ああ、あっあ…………あああダメっ、あんっ! ンんっんっ……っ、いくっ、いくいくイクぅっ…………!!!』
立て続けにイカされまくる段階になると、苦しい和紗は当然脚を閉じようとする。
だが背後から和紗の膝を掴む一人が、そのタイミングを読みきって強引に足を開かせる。
そうなると和紗は足を閉じたくても閉じられねぇもんだから、腰をガクガク上下させながら深く深くイクしかねぇ。
中々勉強になるもんだ。

『ああああだめっ、だめいくっ!! だめっダメ、ぁあぁあ……あぁああイクぅっ…………はぁっイクぅっ…………!!』

和紗は何度も何度も、ソファに頭を投げ出すようにして天を仰いだ。
内腿に深く筋をつけながら、ある時はソファを深く踏みつけ、ある時は足の裏が完全に見えるまで振り上げ。
拘束された身体中で快感を訴えながら、何度もイッた。
石山と、その舎弟連中に嘲笑われながら。
そして俺の予想通り、その極限ともいえる羞恥の中でも、和紗はひたすらに感じまくっていた。
最後にゃあ立て続けに3回潮を吹き、カメラにまで飛沫をぶっ掛けやがった。
たった2日でこの狂いぶりとは、やっぱり石山と絡ませるのは効果がある。

和紗の肉体開発を目的としたこの『スワッピング』にゃ、嬉しいオマケが付いてきた。
調教の様子を事細かに記録した映像だ。
よっぽど見せびらかしたいんだろうな。石山の野郎、和紗の映像を会った次の日にはサイトに乗っけやがる。
いつどんな調教が行われたのかを視覚的に確認できるのは有り難ぇ。
そしてそれ以上に、映像そのものが極上の強壮剤だ。
元々ナマの女と同じぐらいAVが好きな俺だが、和紗の調教記録ほど抜けるものは過去になかった。
そりゃそうだ。なんせ女優が、てめえの普段抱いてる女なんだからな。
肌触りも匂いも、締まり具合さえ知ってる女の痴態ってのは、リアリティが半端ねぇ。
映像の向こうの出来事にも関わらず、つい目と鼻の先で繰り広げられてる事みてぇに思えてきちまう。
四段腹の石山から、えづき汁塗れでイラマチオを仕込まれたり。
ガッチリ拘束されたまま、アナルだけでイけるようになるまで延々と調教されたり。
四方八方から迫る不良連中に輪姦されて、獣みてぇな声で悶え狂ったり。
そういう光景が、一々心臓に来やがる。

映像を見ながらさんざんシコって、その中で俺はふと考えた。
やろうと思えばいつでも和紗を好きにできる俺でさえ、この衝撃なんだ。
だったら、壮介のヤツがこれを見たら…………?
そう思いついたが最後、歪んだ笑いが止まらなくなった。
そうだ。アイツの性格からして、散々無駄に思い悩んだ挙句、そろそろ俺を頼ってくる頃だろう。
“親友”の俺はそれをにこやかに受け入れる。そして、この映像サイトを見せてやるんだ。
さすがのアイツも発狂するか? それとも、燃え尽きたみてぇに放心するか?
どっちにしろ面白ェ。出来の悪い人間が苦悩する様ってのは、羽をもがれた虫が這いずる姿以上に傑作だ。
今回もそれをじっくり堪能させてもらうとしよう。
すぐ傍で、かつ、とびきり残酷なシチュエーションでな。





「よっ、久し振り。何かスゲー大変だったみてぇだけど、余裕できたのか?」
ドアを開けるなり、俺は壮介に言った。
湛えるのは“親友”の笑み。だが少し気を抜くと、その顔がニヤケちまいそうになる。
室内に施した悪趣味な『仕掛け』を思い出しちゃ、黒い笑いもこみ上げるってもんだ。
「遠慮なく上がれよ」
そう言いながら、俺の城に壮介を招き入れる。
都心直通の20階建て最上階、4LDK。どんな一流企業に入ろうが、入社一年目の若造が借りられるような代物じゃねぇ。
ましてや壮介じゃ、一生あくせく働いた所で縁のない場所だろう。
だが、俺はそこに住める。キープの女共から、月100万単位で金を引っ張ってこられる俺ならな。
「ま、実は結構無理してんだけどな。ダチ家に呼ぶなら、それなりに見得張らねーとさ」
そんな見え透いたウソをついてみるが、壮介が疑う様子はねぇ。
そうだ。こいつは俺の事だけは、全く疑わねぇんだ。疑えない、と言ってもいい。そうなるように洗脳してきたんだからな。

このマンションにはベッドルームが2つある。
メインベッドルームがちょうどリビングの隣。ゲスト用はそれよりかなり奥だ。
「色々見てぇかもしれねぇが、ゲスト用は立ち入り禁止だ。まだ引越しン時の荷物が散乱しててよ、見せっとウチのに怒られちまう」
俺は、息を吐くようにまたウソをつく。
立ち入り禁止、ってのだけは本当だ。だがその理由は、荷物が散乱してるからじゃねぇ。ウチの、なんて女もいねぇ。
和紗に心奪われて以来、それまで可愛がってた女は全てキープ以下になったんだからな。
俺は壮介をメインベッドルームに案内した。
ベビーベッドの置かれた部屋……この数ヶ月、和紗と嫌というほど交わってきた部屋だ。
「うわぁ……可愛いなぁ」
壮介が、ベビーベッドの中を覗き込んで呟いた。
「俺に似てハンサムだろ?」
俺も同じく覗き込んで笑う。心の中では、バカめと舌を出しながら。
ヤツには思いも寄らないだろう。まさか目の前にいる赤ん坊が、俺と和紗のガキだなんてよ。
テメーらが誕生を心待ちにしてた愛の結晶が、『それ』なんだぜ。
「うん、全くだ。でもこの子、いつ生まれたのさ。言ってくれればよかったのに」
壮介のこの言葉だって空しいもんだ。誕生しそうって報告はちゃんとあったぜ。テメーから、俺にな。
「ん、何言ってんだ? ちゃんとハガキ送ったろ、超気合入ったやつ」
「えっ!?」
俺がついた三度目のウソに対して、壮介は慌てながら目を泳がせる。
本当に抜けたヤツだ。自分が見てねぇなら見てねぇ、はっきりそう思っときゃいいじゃねぇか。
ま、こういう人間だから好きに操れるんだがな。
「ご、ごめん! 最近バタバタしてて、よく見てなかったよ」
「ハハッ、そういう事か。まあしゃあねぇって。こっちも新生活始めたばっかだからよ、ちっと面倒臭がるとすぐこの有様だ」
俺はそう言って、ベビーベッドのすぐ脇に落ちていた布を拾い上げる。
一見赤ん坊の小便を拭いた布のようでいて、その実、たっぷりと“愛液”を吸い込んだ布を。
「嗅いでみるか? 可愛い顔の割に、結構キツいぜ」
この言葉、何も間違っちゃいない。
そう。可愛い顔してる割に、時間が経つと結構匂うんだよ。『和紗の愛液』は。
壮介は半笑いしていたが、ここでよく嗅げば気付けたんじゃねぇかな。何せ、四六時中頭にある嫁の匂いなんだ。
それともご無沙汰すぎて、もうその匂いすら思い出せねぇのか。
俺はその僅かなヒントを、ビニール袋に放り込んで密封する。

「あれ。そういえば、奥さんは?」
テメェの嫁の匂いにも気付かない鈍い夫は、ここで俺の家庭事情に踏み込んできた。
もっとも、和紗の為に用意した女物の化粧品やらがそこら中に置いてあるから、気になって当然なんだがな。
「ああアイツな、今は出掛けてんだ。俺なんかよりよっぽどの仕事人間でよ。
 っつーかまず、嫁ですらねーんだけどな。結婚まだだから」
今回はさっきとは逆。嫁ですらねー、この部分だけが真実だ。そう、和紗はまだ俺の嫁じゃねえ。俺のモノじゃねえ。
今は、まだな。
「え、そうなの?」
「ああ。もしやるって決まったら、流石にお前にも直で電話するしさ」
「そっか。呼ばないと怒るぞ?」
「ははっ、怒るのか? それはそれで見てみてーな」
軽い調子の会話に、壮介は笑みを溢す。この会話に込められた真の意味が判ったなら、まかり間違っても笑えねぇだろう。
だが、壮介はその真実には気付かない。ヤツは今、それどころじゃない。
「………………それにしても、子供って……可愛いよね」
ヤツはベビーベッドを見つめながら、そう呟いた。
「なんだよ、しんみりしちまって」
俺は同情するフリをしつつ、ガキをベビーベッドから抱き上げて差し出した。
手馴れている俺とは違い、壮介はまるで熱い焼き芋を手の中で転がすような抱き方だ。
抱き方ひとつにしても、どっちが正統な父親かがハッキリしている。
だが、なぜだ。
「あふぇ、ふぇへへぇ…………」
ガキは、感極まったように泣く壮介を指差して笑った。俺が抱いている間は、不機嫌そうにグズってやがった癖に。
いや、深く考える必要はねえ。ボロ泣きしてる壮介の面が、たまたま赤ん坊の面白がる類だっただけの話だ。

 ――彼は優しいの、あなたとは違って。

和紗の言葉が、なぜか脳裏を過ぎりやがる。
ふざけんな。こんなヤツが、俺に勝っている訳がない。俺こそがオスとしての優位種だと証明してやる。

その後、ようやく壮介が切り出した相談内容を、俺は神妙な顔をして聞いた。
しばらく沈黙し、熟考している演技もする。そう、演技だ。話の流れは最初から決まっている。
和紗の現状について壮介の不安を煽り、俺も助力すると話す。
そうすりゃ、壮介は涙ながらに感謝してくる。
何せ高校入学以来、ヤツのあらゆるトラブルを解決してきてやった俺だ。助けてやる、という言葉の重みが違う。

壮介の帰りを見送った後、俺はゲスト用ベッドルームの扉を開け放った。
むっとする匂いが鼻をつく。
もし扉を開けたのが壮介なら、部屋内の光景に絶句した事だろう。
ベッドの四隅からの縄で大の字に拘束され、猿轡を嵌められたまま、アソコに極太のバイブを咥え込まされた和紗。
それが視界に飛び込んでくるんだからな。
「ンン…………!!」
和紗は視線をこっちに向け、猿轡の下で何か言いたげに呻いた。
俺はそれを無視し、和紗のアソコから半ばはみ出たバイブを掴む。そして小さな羽音をそのままに、ゆっくりと奥へ叩き込んだ。
「ふうんんんっ!!!」
呻き声と共に、ぬちゃっという水音が立つ。
朝に呼び出してから、壮介のヤツが来るほんの30分前まで、徹底的に焦らし責めしてやったからな。あの時点でも相当に濡れてたもんだ。
おまけにこの状況。恥ずかしい格好で拘束され、すぐ近くの廊下から愛する旦那の声がする。
背徳的な状況に弱い和紗が、それで濡れない筈がない。
実際、和紗のすらっとした美脚の間は、小便を散らしたように青いシーツが変色してやがる。
俺はそれを見てほくそ笑みつつ、和紗の口枷を解いてやった。
「ぷはっ…………はぁっ、はぁっ! も、もう限界……あの人きっと、私達の事に気付いてるよ!」
荒い呼吸のまま、和紗は叫んだ。まるで旦那に浮気がバレた女房だ。
俺に心酔してる壮介が、俺らの関係に勘付くなんて事はありえねぇ。第一、すぐにヤツはそれどころじゃなくなる。
「大丈夫だ。もうすぐアイツの意識は、別の方に向くからよ」
「別の方?」
「まぁいいじゃねぇか。それより、もう堪らねぇんだろ?
 ダンナのいるすぐ傍でバイブ唸らせてよ。ホラ、ドロドロじゃねぇか」
俺はそう言って、バイブの振動を強めた。近づいてかろうじて聴こえる程度の羽音が、力強い重低音になる。
「んんっ……あぐうううっ………………!!」
バイブに角度をつけてGスポットの辺りを捉えると、すぐに和紗は顔を歪めた。
そのまま浅い所で小刻みに動かせば、数秒と経たず下半身を痙攣させてイく。
「だっ、ダメッ、だめえぇえっ…………!!!」
さらに角度を変えて裏Gスポット、緩く奥まで押し込んでポルチオと刺激してやりゃ、いよいよ黒髪を振り乱して狂い始める。
この数ヶ月、俺や石山達から散々調教された結果がこれだ。
和紗に関わる男の誰もがこのエロさを知ってるってのに、実の旦那だけが除け者ってのは笑える話だよな。
まぁ、ヤツもすぐに和紗の身に起きた事の一部を知ることになる。
なんつっても、石山のあのえげつない調教動画を目にするんだからな。



『進展アリ。日曜にウチで話す。ウチのが出かける3時以降に来てくれ』

約二週間後の木曜、俺はそのメールを壮介に送りつけた。木、金、土と、たっぷりヤツが焦れるように。
当日の日曜日、俺は昼過ぎに和紗を呼び出し、ゲスト用ベッドルームでたっぷりと愛した。
「今日また、アイツがここに来るぜ。嬉しいだろ?」
背後から愛撫しつつそう言うと、和紗はこっちを睨んでくる。だが、できる抵抗はそこまでだ。
その後は悔しそうな顔で、手馴れた俺にイカされるしかねぇ。
たっぷりと愛撫してから3回ほどイカせたところで、玄関のチャイムが鳴る。
「おっと、お出ましだ。大人しくしとけよ」
俺はそう言って愛液に塗れた顔を拭き、壮介を迎え入れる。
入ってきたのは、期待通りの亡霊みてぇな面だ。あの平和的なボンボン顔が、変われば変わるもんだよな。

石山が動画を上げている投稿サイトをノーパソで開き、壮介に見せる。
「…………正直、コレをお前に見せるべきか迷ったんだけどよ。
 隠してもしょうがねぇと思って、見せる事にした」
必死に厳しい表情を作って。
壮介は生唾を飲み込み、何度も強く瞬きして覚悟を決めていた。早くしろ、と俺の心が唸る。
もっとも、テメェの嫁に関わる重大報告なんだ。そりゃ覚悟もいるわな。
意を決したらしく、壮介の眼が画面内に食いつく。
画面に表示されてんのは、いかにもなエロサイトだ。壮介は最初それに訝しげな表情を作り、しばらくして顔面を蒼白にする。
その変化は劇的で面白ぇ。他人の不幸は蜜の味だ。
「……え、えい、英児。ま、まさ、まさかこの中に、か、和紗が…………?」
壮介が震える声でそう訊いてきたが、俺はあえて答えねぇ。笑いを堪えるついでに、気まずそうな表情で目を伏せる。
壮介の愕然とした気配が伝わってきた。
そこからの壮介は必死だ。我を忘れたように俺のパソコンを操作し、目を見開きながら画面を追っていく。
動画のひとつをクリックし、コメント欄に目を通すうち、奥歯を鳴らしはじめもする。
俺にゃその苦しみぶりは滑稽で仕方ねぇ。
「……俺は席外すわ。何かあったら呼んでくれ」
部屋を出る時にそう声を掛けても、空返事が返ってくるだけだ。明らかにいつものヤツじゃなくなってる。傑作だぜ。

ゲスト用のベッドルームへ戻ると、和紗に神妙な面持ちで迎えられた。
壮介への罪悪感からか、ベッドの上で背筋を伸ばしたまま正座してやがる。いい嫁だよ、全く。
「彼に、何を話したの?」
和紗が口を開いた、その直後。

『ああ、ウソだろ!? やめろ、やめてくれっ!!』

壮介の悲痛な叫びが、リビングから漏れ聴こえてくる。
その叫びに目を見開いた和紗は、答えを急かすように俺を睨み上げる。
沈黙。
心地いい沈黙だ。衝撃の告白をする直前ってのは、いつでも全身の毛が逆立っちまう。
「今アイツは、お前が石山に調教されてる映像を見てるぜ」
俺は、あえてさらりと言った。和紗の表情が一瞬固まり、数秒後に引き攣りはじめる。
「…………え…………? 映、像…………石山の、って、…………え…………??」
その反応を見る限り、石山とのプレイを盗撮されてた事実にすら気付いていなかったらしい。
「そうだ。お前が石山にされた事ってのは、全部撮られてネットに流れてんだよ。
 ヤツは今、そのページを覗いてる最中ってこった。一体どんな顔してんだろうなぁ?」
「………………っ!!!」
補足して説明すると、和紗の目の見開きはいよいよでかくなる。そして終いにゃ、両手で顔を覆いはじめた。
「そう嘆くなって。これで壮介の関心は石山に向く。俺とお前の関係にゃ、もう疑いすら持たねぇよ」
俺はフォローしつつ和紗の肩に手を置くが、その手はすぐに払いのけられる。
「触らないでっ! …………あ、あなたって、つくづく人でなしなんだね」
和紗は絞った声量で、だがハッキリと敵意を込めて俺を糾弾した。
だが、それが何だ。この俺に限り、罵られたぐらいで揺らぐようなヤワな自我はしちゃいねぇ。
「ああ、そうだな。とっくに解ってたろ?」
俺はそう言ってベッドの上に和紗を押し倒した。そして同時に、その秘裂に指をねじ込む。
アソコの粘膜はさすがに乾き始めてるが、こうして愛撫してりゃ、すぐにまた内からあふれてくる。今の和紗はそういうカラダだ。
「ん、んっ!!」
和紗は俺の腕を掴みつつ、感じているとも嫌がっているとも取れる声を出した。
「オイオイ、あんま声出すなよ。もしこんな所をアイツに見られでもしたら最後、お前まで“人でなし”の仲間入りだぜ?
 なんせアイツは、今疑心暗鬼の真っ只中だからよ。ま、それがお望みなら止めねーがな」
俺がそのカードを切ると、和紗の抵抗が徐々に弱まっていく。
「よーし、そうだ」
俺はただ身を強張らせるだけになった和紗を堪能する。
見惚れるようなレースクイーン級の脚の間に指を入れ、延々と水音を立ててくじり。
全身をくまなく愛撫しながらシックスナインの体勢になって、物をしゃぶらせつつ秘裂を舐め回す。

『畜生、やめろよ畜生ォっっ!!!』

遠くからまた、壮介の悲痛な叫びが聴こえてきた。相当ショックな光景でも見たか。
その瞬間、俺のモノを舐める和紗の舌遣いもピタリと止まる。だが俺が喉奥まで押し込んで催促すると、またおずおずと再開される。
こういうシチュエーションのもたらす影響ってのはデカい。
もう何十篇も抱いてる身体だってのに、まるで憧れの女を今日初めてモノにしてるみてぇな新鮮さがある。
密集した襞を掻き分けて刺激するのが、もう楽しくて仕方ねぇ。次から次へとあふれ出てくる愛液すら、やけに美味く感じちまう。
この俺が全身全霊をかけて愛撫している以上、和紗は哀れなほどに濡れていった。
下半身の至るところが筋張っては弛緩し、愛液に塗れていく。
その段階になって、俺は和紗の口からモノを抜いた。そして180度姿勢を変え、顔の見える正常位にもっていく。
「おねがい……やめて、やめて…………!!」
和紗は口周りを唾液で濡らしながら、何度も首を振って哀願してきた。
だが、ここまでヤル気になった男が今さら退く訳もねぇ。壮介のようなヘタレならともかくな。
俺は嫌がる和紗を力で抑え込み、正常位での挿入を開始した。
みっしりと重なり合った襞が、石のように固くなった俺の亀頭によって割り開かれていく。
ギンギンになったモノの周りに、生暖かく粘膜が握るように押し寄せる。キツいが、一方で潤滑も申し分ねぇ。
まったく女の膣ってなぁ、つくづく男を悦ばせるようにできてるもんだ。
おまけに、見下ろす光景も最高ときてる。
下唇を噛んだ屈辱的な美貌。乳を一筋垂らす、母性たっぷりの豊乳。そしてモデル級のくびれが戻った腰。
エロいと同時に神々しくさえあり、これ以上なく征服欲が満たされる。
「…………っ、………………っっ!!!」
ギシッ、ギシッとベッドを鳴らし、俺達の結合はリズミカルに続いた。
和紗は右手で口を押さえ、目を固く瞑りながら声を殺しているらしい。
「目を開けろ」
俺はあえてそう命じた。逆らえない和紗は、怯えるように薄く目を開きはじめ、数秒をかけて俺を睨み上げる。
敵意に燃えた瞳。その中に映る俺。その光景がまた、たまらねぇ。
俺は和紗の左脚を上げさせ、肩に担ぐようにして挿入を深めた。俺はこの体位が好きだ。
胸板に柔らかな女の脚が感じられ、抜き差しのたびに開いた結合部から女の匂いが立ち上る。
さらに身体を倒しながら奥まで突き込めば、快感に溺れる女の顔が間近にあるという、最高の体位だ。
「!!!!!」
和紗としても堪らないんだろう。
シーツをへこませるほど天を仰いだかと思えば、次の瞬間には逆に顎を引く。
その次には左右に頭を沈めたりと、必死に快感を堪える方法を探っていやがる。
「オラどうだ?善がり声上げてもいいんだぜ? 俺はよ」
俺は和紗の耳元でそう囁きかけながら、すっかりほぐれてきた子宮をゴリゴリと責め抜いた。
抱え込んだ和紗の左脚が暴れ、筋張る。かかとの部分が俺の鎖骨にめり込んでくる。
和紗の小さい両手がシーツを握り締め、皺だらけにする。
その変化を見て、俺はさらにスパートをかけた。俺自身の射精感もそろそろ限界一杯だ。
「う、うう、ううううーーーっ!!!」
目を閉じ、歯を食い縛って必死に耐える和紗。だがその眼が薄く開かれると、ほとんど白目を剥きかけているのが判る。
ガンギマリってやつだ。
「へへ、いい顔してんじゃねぇか」
俺はそう囁きつつ、和紗にキスを迫った。今までキスだけは拒否されっぱなしだったが、今ならいけそうな気がしてよ。
「!!」
だが和紗は寸前でそれに気付き、顔を背ける。俺の口づけは空しく逸れた。
後一歩だったが、惜しいこった。だが、陥落は決して遠くねぇ。こうして極度の快感に浸し続け、思考力を奪ってやりゃあ。
俺はほくそ笑みながら、堪えに堪えた快感を放出する。
腰が痺れ、どくどく、どくどくと何秒も射精が続いた。自分でも驚くほどの量が、和紗の中に注ぎ込まれていった。
肉体的な快感もすげぇが、精神的な充足も相当だ。何せ壮介のいるすぐ傍で、嫁を犯してやったんだからな。
「…………はぁっ…………はっ………………ひどい、こんなに……………………」
すっかり放心状態の和紗が、片目から涙を溢して呟く。
それを尻目に俺は身体を拭き、ベッドルームを後にした。

「…………入って、いいか?」
遠慮がちな雰囲気でリビングに舞い戻り、壮介の様子を伺う。
憔悴しきった様子のヤツの前に、水の入ったコップを置く気遣いも忘れない。
そう。ヤツの前ではあくまで、俺は気遣いのできる面倒見のいい親友なんだ。今は、まだ。
壮介は俺の渡した水を一気に飲み干し、その途中で盛大に噎せかえる。挙句にゃ鼻からも水を噴出しながら、女みてぇに泣き喚きはじめた。
つくづく鈍臭く、格好の悪い男だ。こんなグズが和紗を独占するなんざ、元からあっていい筈がなかったんだ。

壮介が落ち着いてから、俺はヤツと改めて話をする。
パソコンの動画を証拠に警察に行けば、という壮介に対し、俺はあくまで首を横に振る。
そして、諭した。下手な真似をするな、証拠が揃うまで待て、と。
だが実は、これこそが壮介に発破をかける策略だ。
高校入学から8年強。そんだけ付き合やぁ、壮介の思考パターンなんざ読めちまう。
ヤツは俺に全幅の信頼を置いてるが、その一方で忠告は聞き入れねぇ。
『自分らしさを大切にしろ』と何度言っても、中途半端に俺の真似をしちゃ挫折を繰り返してたようにだ。
頭が悪い癖に、肝心な所でゴチャゴチャ余計な事を考えちまうのが壮介ってヤツなんだ。
俺が静かに待てと言ったところで、まず言う通りにはしねぇ。熱くなった頭で散々思い悩んだ挙句、必ず勝手に『やらかす』。
だからこそ、俺はヤツに動くなと釘を刺した。
笑えるぜ。
それからわずか一週間後、壮介は案の定石山と接触を図り、その挙句に野郎をブッ刺した。
蜥蜴の尻尾を自ら切り落とし、肝心の黒幕の存在にゃ気付きすらしないまま、1年8ヶ月のムショ暮らしだ。
面会室で俺に深々と頭を下げるお人好しぶりにゃ、呆れるを通り越してもう笑っちまうしかねぇ。


「俺のことは、ヤツに言ったのか?」
数日後。面会を終えて出てきた和紗に、俺は訊ねた。答えは判りきってるがな。
「…………言う訳ないでしょ」
「何でだ?」
「何でっ、て…………今のあの人を、これ以上追い込めるわけない!」
ニヤけながら言う俺を、和紗は強い眼力で睨み上げる。俺がいつか一目惚れした、実にいい眼だ。
今からはこの和紗を、この俺が独占できる。そう思うと、どうしたって顔が綻んじまう。
「そんな事言って、本当は俺との関係を壊したくないからだろ?」
俺は和紗を物陰に引き込み、胸元を肌蹴させた。
白い乳房の頂点に、金色のピアスが光っている。昨日の晩に俺がつけさせたものだ。
壮介との面会中も、このピアスはノーブラのままの乳輪を挟み込んでいた。
和紗の事だ。夫に気付かれないかと、面会の間中さぞ顔を赤くしてたろうに、見られなくて残念だ。
俺はピアスを服越しに弾き、和紗の恥じらいを楽しむ。
「ち、違うわ。私の心は、いつだってずっとあの人だけのものよ。
 あなたがどれだけ私を求めたって、私はただ、あの人が帰ってくる日を待つだけ」
徐々に怪しい雰囲気を露わにしながら、和紗はまた俺を睨む。
その気丈さが堪らねぇ。
「へっ、ならやってみろ。これからヤツがシャバに戻ってくるまでの間、たっぷりと快感を仕込んでやる。
 時間ならいくらでもあるからな、俺の執念とテクを、丸々そのカラダに注ぎ込んでやるよ。
 せいぜい逃げ出すんじゃねぇぞ。もし逃げたら、そん時ゃあ獄中で潰れかけてるアイツに全部バラすぜ?」
悔しげな和紗の顎を掴みあげて宣言しつつ、ミニスカートの中に手を差し入れる。
シルクの下着の中からは、ぐちゅりと濃い水音がした。



                                      続く

向こう岸の彼女 十二話

俺のマンションに来る時、和紗は『水子の供養をしに行く』とウソを吐いて出てきているらしい。
だから格好は大抵、喪服を思わせる黒のロングワンピースに、パールのネックレスだ。
一見辛気臭ぇ格好だが、これが中々どうして悪くねぇ。
ガキに乳をやりながら悲しそうな眼をしてる姿は、陰のある未亡人って感じで妙にムラッと来る。
だから俺は、ミルクをやり終わった後の和紗をグチャグチャと犯しまくった。
和紗を犯す時だけは、興奮して興奮してたまらねぇ。
中学の頃からなまじ手当たり次第喰いまくってきたせいで、俺は基本的に女に飽きている。
歯の浮くような世辞と同じで、セックスも女を骨抜きにする手段の一つとしか思えなくなっていた。
だが、和紗だけは違う。ただ見てるだけでヤりたくて仕方なくなる。
マス掻きたての小学生時分、乳のでけぇ新任女教師に衝撃を受けた時みてぇに。

場合によっちゃ乳をやり終えるまですら待てず、授乳中の和紗に手を出す事もあった。
服から片乳を出してガキに吸わせる和紗。その後ろに忍び寄り、スカートをたくし上げてアソコに触れる。
「ちょっと、やめて。もう少しぐらい待って!」
和紗は軽蔑した眼で俺を見るが、やめてと言われてやめるヤツはいねぇよな。
なんせガキのお守りをしてる和紗は、マジで聖母って感じなんだ。無性に穢したくなっちまう。
「じっとしてろ。すぐに善くしてやるからよ」
そう囁きかけ、丁寧にアソコを弄り回す。するとそのうち、膣内がとろとろと濡れてきやがる。
聖母っぽい女をグチョグチョにする、こんな興奮ってそうは無ぇぜ。
「どうした? 嫌がってる割にゃ、濡れてきてんじゃねぇか」
俺の言葉責めで、悔しそうな表情になるのがまた格別だ。
そのうち辛抱堪らなくなって、喪服姿のままソファに押し倒し、瑞々しい身体を貪り始めちまう。
「やめて、服が皺になっちゃう……!」
「いいだろ別に。壮介のヤツだって、平気で皺だらけの服で出歩いてるじゃねぇか。
 ああいう輩は、他人の服に皺があったって気にしねぇよ。そもそも眼ェ悪いしな、アイツは」
抵抗する和紗に、それらしい事を吹き込みつつ腰を打ちつける。本音はただ喪服姿でヤリたい一心だ。
お堅い服装の女を犯すってのは、中々どうして悪くねぇ。

だが週一ペースで数ヶ月もそれを続けると、いい加減に飽きが来ちまう。
膨れてた和紗の腹も、すっかり元通りになった頃だ。そうなりゃ、せっかくモデル級のスタイルを地味な服で隠すのが惜しくなってくる。
だから俺は、ある時から和紗にカジュアルな格好を強いた。
和紗は壮介に不審がられるのをえらく心配してたが、取り合わねぇ。
いつまでも辛気臭い格好だと、水子も成仏できないから……とでも言やぁ、あのバカは頭から信じるだろう。
胸元の開いたシャツに、股下ギリギリのショーパン。そういう格好でこそ、和紗のデカ乳や脚線が生きるってもんだ。
それを理解せず、露出の少ない格好ばかりさせる壮介は救えねぇバカだ。
俺は、そんな宝の持ち腐れはしねぇ。和紗の魅力の最大限を、白日の下に晒してやる。


車を少し走らせた先の街じゃ、俺達はまさに注目の的だった。
普段からよく俳優に間違われる俺と、嫌でも男の目を惹きつけるスタイルの和紗。
その2人が並んで歩きゃ、見ねぇほうが不自然ってもんだけどな。
ただ、俺はそういう視線がおかしくて仕方ない。
ヤツらの誰もが知らねぇんだ。和紗のショーパンの中で、紫色のローターが唸りを上げてる事を。
「はぁっ、はぁ、はあっ…………」
和紗の息が荒いのも、恥ずかしそうに俯いているのも、たまに歩みが止まるのも。その本当の理由は、俺だけが知っている。
俺はポケットに手を突っ込みながら、ローターのスイッチを弄繰り回した。
和紗が店の行列に並んでいる最中や、男の集団に注目されている最中――そういう場面を狙って。
和紗には左脚を軸にして立つ癖があるらしく、ローターのスイッチを入れると、まず右脚の膝がピクンと反応する。
同時にリスみてぇな目が見開かれて、唇が声を殺すように噛みしめられる。
我慢してるつもりだろうが、傍目から見りゃバレバレだ。周りにゃ事情を察した野郎も何人かいただろう。
俺が彼氏面して姿を見せなきゃあ、積極的な連中に“お持ち帰り”されてたかもな。

「見せてみろよ」
いよいよ足取りが怪しくなってきた頃、俺は和紗を物陰に連れ込んだ。
和紗は周囲を見回しつつショーパンのボタンを外し、チャックを開いてずり下げる。
引き締まった太腿の間に現れるのは、割れ目に沿ってシミを作ったピンクのショーツだ。
ショーツの中からは、押し殺したようなローターの羽音が聴こえている。
あの和紗の割れ目が異物を挟み込んでるのか。そう思うと、またえらく興奮してきちまう。
「まるで変態だなお前。こんなに濡らしやがって」
「…………!!」
俺はショーツのクロッチ部分を撫でつつ、しばらく和紗の羞恥顔を愉しむ。
その末に堪らなくなり、和紗を壁際に追い込みながら唇を奪いにかかった。
「んっ」
だが和紗は顔を背け、露骨に俺のキスを拒む。
いつもそうだ。どんだけイカせまくって頭ドロドロの状態にしても、俺とキスをしたがらねぇ。
たかがキスだが、雄としちゃ中々プライドが傷つくぜ。
だから俺は、その後もしばらく和紗を連れ回した。膣にローターを追加して、2個が膣内でぶつかるような状態で。
「はぁっ、はっ……くっ! くっ、はぁっ、はーっ…………」
和紗は荒い息の合間合間に、小さくイッているらしかった。
膣内で2個のローターが唸る感触もあり、露出の羞恥もあり、そもそもこの俺の手で何度も膣を開発されてる身だ。
今までの例から言っても、それで濡れない女なんていねぇ。
「ううっ……!!」
和紗はとうとう本格的に歩きを止め、内股になってショーウィンドウに手をついた。
それがどういう状況を意味するのか、俺にはよく解る。
介抱するフリをしつつ内腿に触りゃ、そこはもうヌルヌルとした何かに塗れていやがる。
断じて汗じゃねぇ。指を少し上にずらせば、ショーパンの内側からそのヌルヌルが溢れているのが丸解りだ。
「もう限界って感じだな。したくて堪らねぇんだろ」
俺は、熱に浮かされるような和紗の顔を覗き込みながら囁いた。
今まで何十人って女が、俺のその言葉に『救われた』って顔で頷いたもんだ。
「はぁ、はぁっ……あなたとしたいなんて、思うわけないでしょ…………わ、私は、人妻なんだから」
左手を握り込みながら気丈に言っちゃいるが、意思と肉体の反応は関係ねぇ。
俺はその流れのまま、近くのホテルに和紗を連れ込んだ。
鉄は熱いうちに打て、ってのもあるが、正直俺自身も勃起しすぎて痛いレベルだったしな。
露出の興奮も冷めないまま、ギンギンの物を濡れたアソコに叩き込む。この気持ちよさはひとしおだ。
「うぁっ…………」
不覚にも挿入直後に射精そうになって、この俺がカマみてぇな声を上げちまった。
なら当然、和紗だって同じかそれ以上だろう。何せ和紗はこの日、半日ばかりローターを挿れっぱなしだったんだからな。
案の定膣ん中はドロドロでよく締まり、奥の子宮口までがふくふくと解れていやがった。
腰を鷲掴みにしながら力強く突いてやりゃ、和紗のやせ我慢も数分ともたず崩壊する。
「あああっ、ああっ……あああ、うふっ、あっ…………!!!」
普段は口を噤んで喘ぎ声を聞かせまいとしている和紗が、この日ばかりは喘ぎまくった。
背面側位、正常位、騎乗位、腰高位、どれでもだ。
壁に両手を突かせてのバックが最高潮で、喘ぎも凄けりゃ、俺の膝下までドロドロ垂れてくる愛液もハンパじゃねぇ。
汗まみれのスレンダーボディが病的にガクッガクッと痙攣する様は、俺の調教もこの段階まで来たかと思えて感慨深い。
今までだって、数え切れないほどの女が見せてきた反応なのにな。

俺は和紗の身体中へ、丁寧に丁寧に快感を仕込んでいった。
ここ5年のオンナに注いだ分と同じだけの情熱を、すべて和紗一人に注ぎ込むぐらいの熱さで。
最初の頃によくやったのは、しゃぶらせながらアソコを刺激することだ。
体勢はシックスナインでも、横に膝立ちになったまましゃぶらせるのでも、何でもいい。
俺の匂いを嗅がせつつ、延々と快感を与える……これをやりゃあ、俺という存在を脳髄にまで刷り込む事ができる。
そのうちパブロフの犬よろしく、しゃぶらせるだけで濡れるようになるって寸法だ。
膣への指入れで最低10回はイカせた後、顔の見える正常位セックスでさらに10回ほどイカせる。
最低ノルマは20回だ。そこまでやりゃあ、こっちの体力もほとほと消耗しきる。バスケを二試合ぶっ続けでやったような汗が出る。
だが、執念さえありゃそれも苦にならねぇ。
そして男が執念を燃やしてやる行為ってのは、必ず結果に結びつくもんだ。
この場合も例外じゃねぇ。週に一度の逢瀬のたび、和紗は確実に俺に毒されていった。明らかにイキ癖がついていった。
我ながらデカイ触れ幅だ。どうも和紗は、壮介とのセックスじゃほとんどイッた経験すらなかったと見える。
まぁ童貞に毛が生えた程度のアイツにゃ、どだい無理な芸当だろうしな。

セックス後の掃除フェラ。これも欠かさずやらせた。俺は征服欲を満たせるし、女は屈服してる感じが強いらしいからな。
だがこのフェラの時、どうしても気になる事がある。モノを扱く左手の薬指に光る、結婚指輪だ。
いくらフェラチオで身も心も満たされようと、その指輪が視界に入った途端に現実へ引き戻されちまう。
「いい加減、指輪は外せよ」
俺が何度そう命じても、和紗は頑として聞き入れねぇ。
「今ここにいるお前は、あのバカの嫁じゃねぇ。俺の子を産んだ母親だろ?」
「いいえ。私はあの子の母親であると同時に、あくまで篠弥壮介の妻です。
 この指輪は、夫と誓った貞淑の証……絶対に外しません」
何度も問答を続けると、そのうち和紗はアナウンサーさながらの改まった口調になる。本気でキレてる時の特徴だ。
この時の凄みってのは尋常じゃねぇ。そこらの軽い女との口論とは空気の冷たさが違う。
俺もこの時ばかりは、それ以上踏み込む気を失くしちまう。
多分これは、単に気概とかいう問題じゃねぇ。結婚っつう人生の一大行事を経験したか、していないか。そこで分かれる、人としてのブ厚さの違いだ。
薄々は俺も勘づいてた。和紗は、これまで俺が堕としてきた女とは違う。
身体こそ想定通りに開発できてるが、心が一向に弱らねぇ。
和紗を堕とすにゃ、その心を穴倉から引っ張り上げる伴侶との結びつきを切らなきゃならねぇんだ。
つまり、真の敵は――壮介。
高校1年の俺に言ったって、到底信じねえだろうな。まさかあの頭お花畑のノロマが、ここまで俺の障害になるなんてよ。
だが、上等だ。いくら必死に喰らいつこうが、所詮は“ショボ助”。俺が振り切れない道理はねえ。

「貞淑だ? 散々俺のモノを舐めて、ハメ倒しときながらよく言うぜ」
俺がそう詰ると、和紗の表情が曇る。
俺に強制された事とはいえ、やったのは事実だ、相当な負い目があるんだろう。
その律儀さ、一途さが、今は眩しくて仕方ねぇ。ペンキで汚す前の、まっさらな画用紙みてぇにな。
「フン、そんなに旦那が大事かよ。なら、良いぜ。今夜は『近く』にいさせてやる」
「えっ…………な、何を企んでるの!?」
不安がる顔が最高だ。やっぱりこういう芯の強い女は、追い詰められてる姿が絵になる。
だが、お楽しみはこれからだ。陽が沈みきってから、改めて本格的に追い込んでやる。




その夜俺は、舎弟同然のダチに借りたワゴンを走らせた。
助手席の和紗はどこへ行くのかと何度も訊いてきたが、答えねぇ。
どうせ出発から5分もすりゃ、和紗の方がよく知る道になる。
「…………え、うそ…………うそ、まさか!」
行き先の見当がついたのか、和紗の顔色が青ざめていく。
俺が向かうのは、“親友”の家。正確に言やぁ、その裏手にある駐車場だ。
壮介の奴に誘われて何度も家に邪魔するうち、自然とその駐車場の存在を知った。
何せ晩酌してると、外からギシギシ聴こえてくるんだからな。
『ああ、まただ。よく若い子達がやってるんだよ』
壮介はそう言いながら苦笑し、ツマミを盆に載せて運ぶ和紗も笑う。
『なーるほど。じゃあ新婚のお2人は、その声を聞いてムラムラした勢いで子作りに励むわけだ?』
俺はそう茶化してみせつつ、さりげなくカーテンを開けて外を覗く。
この時点で俺は、その駐車場でカーセックスをすると決めていた。勿論、和紗をブン取った上でだ。
駐車場への光の当たり具合、壮介の部屋から見える範囲。それを頭に叩き込んだ。
俺はその情報を踏まえつつ、慎重にワゴンを止める。
壮介のヤツが寝こけていても起きるよう、わざとブレーキの音を大きめに。
そして、壮介の部屋からフロントガラス越しに俺達の姿が見える、ギリギリの位置に。
この駐車場は暗い。2階にある壮介の部屋からは、どれだけ眼を凝らしたってヤッてる人間のシルエットしか見えねぇ。
俺達の正体がバレる心配はねぇわけだ。さらには車も、わざわざ自前のじゃなくダチのワゴンを乗り入れてる。
元々俺への猜疑心が薄いアイツの事だ。乗ってる車が違えば、ドライバーが俺って発想すら持たねぇだろう。
ただ、そう思って安心できるのは情報を揃えている俺だけの話。
情報のない和紗は、自分の住む部屋を見上げながら凍りついていた。
「な……何を…………かっ、考えてるの…………!? こ、こん……ぁ、こんなっ…………!!!」
声が震える、ってのはこういうのを言うんだろうな。声と声に挟まった息まで震えてるせいで、ひどく聞き取りづらい。
「あんま声出すなよ。それこそ気付かれんぜ?」
俺はそう言って和紗を黙らせた。
「安心しろって。部屋の電気消えてんだろ、ヤツぁ寝てんだ。大体こう暗くて、2階のあの部屋から俺らが判るかよ」
そう諭しても、和紗の表情から強張りは取れない。そして、それでいい。
旦那に見つかるかもしれねぇってスリル。それがこのプレイの肝だ。

俺はベルトに手を掛けて外し始めた。その音を聞き、和紗がこっちを向く。俺はその視線の先に、半勃ちのモノを曝け出した。
「え? ま、まさか……」
「ああ、そのまさかだ。しゃぶれ」
俺は横柄に命じた。こういう理不尽を通す時には、横柄な態度に限る。譲歩の余地はないと相手に思わせる為だ。
「そんな、出来ない!!」
和紗は囁くような声で、だがはっきりと拒絶してきた。とはいえ、その綺麗な眼は正直だ。自分の立場を理解はしているらしい。
「ほう、出来ねぇか。なら、腹は括ったって訳だな?」
俺はそう言いながらクラクションに手を置いた。その瞬間、和紗の顔色が変わる。
ここで俺がクラクションを連発すりゃ、いくら壮介でも様子を見に来るだろう。そうなりゃ俺達の関係は即座にバレる。
壮介に真実を知らせたくない一心でここまで来た和紗が、それを良しとする訳がねぇ。
「わ、わかった。わかったから、バカな事はやめて」
哀願と侮蔑を半分ずつ混ぜあったような眼で、和紗は言った。
そしてシートベルトを外し、何度か喉を慣らし、横髪を耳の後ろに掻き上げてから、俺の腰へと顔を埋める。
月だけが光源の青白い世界で、その一連の動きはやけに艶かしく見えた。

じゅぷっ、ぐぷっ、とフェラチオの音が車内に響く。
3ヵ月間毎週のようにフェラチオを仕込んだだけあって、気持ちいいには気持ちいい。
ただ、今夜は妙にぎこちない気がする。明らかに意識が散漫になっている。
理由は明らかだが、そんなぬるい奉仕で許してやる訳もねえ。
「もっと音を立てろ。目一杯いやらしくやれ」
あえて、そう命じる。和紗は何か言いたげに逸物を吐き出そうとするが、その頭を押さえ込む。
かなりの抵抗を感じながら、3秒、4秒とそのままでいると、手の平にめり込む圧力が急に弱まった。
同時に、じゅるっ、じゅるっ、と大きな音が俺の股間から漏れ始める。
どうやら観念したらしい。
俺は右手で艶の流れる和紗の髪を撫でつつ、左手でキャミソールの裾を掴んだ。
ローター仕込みのデートで並んで買わせた、淡いピンクのキャミソールだ。
胸のデカイ和紗が谷間も露わにそれを着れば、完全に水商売の女にしか見えねえ。
もはやカジュアルなんてレベルですらねぇそれを、ゆっくりと捲り上げていく。
白い背中が露わになった。この近くで見ても、シミ一つねぇ綺麗な肌だ。特に今は月の光に照らされて、えらく幻想的に見える。
その背中を見ているうち、俺の勃起が増していく。ソの気になった和紗のフェラチオもいいが、そろそろ挿れ時だ。
「ふーっ。よし、もういい。跨れ」
俺は和紗に囁きかけた。
和紗はたっぷりと唾液の糸を伸ばしながら逸物を吐き出す。その唾液量から、緊張の度合いが見て取れた。
腋下に絡まったキャミソールを完全に脱がせる。よく張った乳房が揺れ、飛び散った汗の雫が月光に煌めく。
ミニスカートとショーツをずり下ろさせる。真っ白い肌の中、デルタゾーンの繊毛が際立って見える。
何故だろうな。さすがに見慣れたと思ってた和紗の裸が、またえらく輝いて見えやがる。
ひょっとするとこのカーセックスってシチュエーションに、俺自身も酔ってるのか。
細いながらも肉感的な和紗の身体が、俺の腰に降りてくる。太腿と太腿がみっしりと温かく重なり合う。
肌寒い季節にもかかわらず、この運転席だけが妙に蒸すのは、暖房のせいばかりでもねぇらしい。

しっとりと汗ばんだ和紗の膝裏を掴み、押し上げるようにしながら腰を上下させる。
俺の首に和紗の手を回させ、胸板と乳房を密着させてサカりまくる。
膣の締まりは相当だ。やっぱりこの女、羞恥心を煽られると劇的に感度が増すらしい。
「あっ、あっ…………」
声を抑えようとはしているらしいが、俺の耳元では結構な声量になっちまってる。
鼻先でぶるんぶるんと揺れる乳房も、妙にあまいミルクの匂いを撒き散らしていて、反則的だ。
最初は壮介に見せ付けるパフォーマンスで終わらせるつもりだったが、ダメだ。マジになっちまった。
シートを倒し、ほとんど寝そべるようにして、本格的に騎乗位の格好を取る。
そうなりゃスペースの狭さを気にする必要もねぇ。
思いっきり腰を突き上げ、和紗の腰を惹きつけて、騎乗位の快感を仕込んでやる。
「あうっ……くっ、ああーーあっ…………!!!」
子宮を突き上げられた和紗は、一度大きく叫びかけ、唇を噛む事でかろうじて堪える。
だが俺がさらに腰を使うと、また叫びかけ、下唇に前歯を突きたてて堪える。
ハッキリ言ってその顔がグシャグシャだ。アナウンサーだとか、そういう系統の美人顔にゃ程遠い。
だが、なぜかその表情から目が離せない。
化粧映えのする整った顔立ちなのに、なぜか崩れた表情の方がグッと来る。
そういや、壮介がいつだったか言ってやがったな。和紗はくしゃっと笑うのが可愛いって。
俺の前じゃ一度もそういう顔は見せなかったが、なるほど、こういう表情ってワケだ。
なら、もっと引き出してやる。
俺とのセックスでしか出さない活きた表情を、搾り出してやる。

ギシッ、ギシッと車体が揺れるのを感じながら、俺は一心不乱に腰を遣った。
汗と愛液の匂いが車内に立ち込める。和紗の膣奥が、何度も、何度も、細かに痙攣する。
「っー、うっーーッあ、あうううーーっっっ!!!」
和紗が平手で俺の胸板を叩いてくる。両目一杯に涙を溜め、細かに首を振りながら。
腰を止めてくれ、もう声を殺しきれない。訴えとしちゃそんな所か。
「やめて欲しいなら、俺を果てさせてみせな。膣の奥で、上手く搾り取ってよ?」
俺は和紗の腰から手を離し、頭の下で枕代わりにしながら囁いた。
騎乗位で自ら腰を振る。これはウブな女にとっちゃ、この上なく恥ずかしい行為らしい。
ダチがやってるソープ嬢の研修でも、それだけは出来ませんって素人女が多いそうだ。
だからこそ、やらせる。愛する旦那が、そうとは知らず見守る前で。

「う、ううっ…………くく、うん゛っ…………ふっうあぅうう゛…………っっ!!」

和紗は何度も呻き、俺の胸に大粒の涙を溢しながら腰を振り続けた。
いかにも悲劇のヒロインって様子だが、反面、その瞳の奥にゃ深い快感の兆しも見て取れる。
その和紗の成熟ぶりに、俺はほくそ笑みが隠せねぇ。
いい傾向だ。このまま、もっともっと甘美な背徳心を芽生えさせてやる。
授乳期間が終わったとしても、和紗・壮介を元通りの関係には戻させねぇ。
鉄みてぇなその絆を、修復不可能なぐらいに腐食させてやる。
和紗と壮介、両方の側からな。



                                        続く

向こう岸の彼女 十一話

ガキが出来たのがよっぽど自慢だったんだろうな。
壮介の野郎は、和紗の腹が膨らんでいく様を、何度も俺に見せつけた。
横並びになり、腹を撫でながら幸せそうにする2人。挙句その左手薬指には、揃いのリングが鈍い光を放ってやがる。
争奪戦に敗れたオスとして、こんな屈辱はねぇ。
俺は上辺だけの祝福をしつつ、頭ン中じゃあその幸せな生活をブチ壊す妄想を続けた。
出来ちまった以上、ガキは産ませてやる。
そうして幸せの絶頂を迎えた所で、あのレイプ映像を使ってジワジワと追い込む。それが俺の計画だ。
だが、結局その必要も無くなった。
俺がコンタクトを取るまでもなく、和紗自身が沈痛な表情で俺に会いに来たからだ。
『もうすぐ産まれそうだ』
そのメールが壮介の野郎から届いた、すぐ翌日に。


ガキが産まれた瞬間、和紗を囲んでいた助産婦達が騒いだそうだ。
見事なハーフ顔だ。ダンナさんは北欧系なのか、よっぽどハンサムなんだろう、と。
それを聞いた瞬間、和紗は父親が俺だと気付いたらしい。
実際、和紗が両手で抱えているガキは、クッキリとした二重・高い鼻のハーフ顔だ。
驚いたぜ。まさか生後間もないガキに、こうも濃く俺の特徴が出るなんてよ。自分の遺伝子の強さが怖くなっちまう。
「なるほど。それで、死産って事にしてもらった訳か。
 外にいる壮介が俺そっくりのガキなんて見たら、ショックで卒倒するだろうしな」
「ええ」
俺を見上げるのは、恨みの篭もった理知的な瞳。
出産直後の異常事態にも、即座に夫を気遣った対応ができる辺り、流石は俺の見込んだ女って所か。
「まぁ上がれよ。話があるんだろ」
俺はそう言って和紗をリビングへ招く。これから、俺達の愛の巣になる空間へ。

「………………あの日なんでしょ」
目の前に茶を置いた瞬間、和紗は口を開いた。
大事そうに抱えたガキを眺めながら。
「あの日?」
「私がバイト先で、石山に酔い潰れさせられた日だよ。あの日、私を犯したんでしょ?」
明らかに確信しているらしい口ぶりに対し、俺はあえて押し黙る。
肯定はしねぇ。かといって、誤魔化す気もねぇ。
「寝てる間に自分が“された”って事ぐらい、感覚でわかるよ。
 あの時はてっきり、あの石山って奴が私を犯したんだって思ってた。あなたがその石山を追い払ってくれたんだって。
 『二度とアイツを近づけさせない』っていうあなたの言葉を、私、信じたんだよ。
 だってあなたは、壮介の親友だから。そう思ってたから。
 …………なのに、どうして? どうしてあなたにそっくりな子供が、私のお腹から産まれてくるの!?」
和紗の目は、いよいよ強烈に俺を睨み上げる。その殺気に当てられたのか、手の中の赤ん坊が泣き喚き始めた。耳に障る声だ。
騒音の中で、俺は笑う。本性丸出しの歪な笑みで。

「初めて会った時から思ってたんだぜ。お前はアイツなんかより、俺に似合う女だってよ」
「そんな、ひどい。さんざん親友だって言ってたくせに!」
「冗談よせって。誰があんなトロくせぇ奴を本気で親友だと思うよ。ああいう奴にゃ所詮、ピエロ役がお似合いなんだ」
「…………っ!!」
俺が本音を語った瞬間、和紗は泣きじゃくる赤ん坊を横に置いた。そして身重の女とは思えねぇスピードで、俺に掴みかかってくる。
とはいえ、女は女、振り払うのは簡単だ。少し頭に来たから、振り払いついでに頬を手の甲で叩いてやる。
和紗は床に倒れこみ、頬を押さえながら俺を睨みつけた。
まったく強い眼力の女ってはいいもんだ。睨まれるだけでゾクッと来ちまう。
「不服そうだな」
俺は蹲る和紗を見下ろして言う。相手の反抗的な態度を逐一指摘するのは、調教の第一歩だ。
「私には、何を言ったっていい。でも、あの人を悪く言うのは許さない!!」
和紗は叫んだ。いい女にこうも慕われるとは、あのバカも幸せ者だ。もっとも、分不相応な幸せだが。
「解らねぇな。何であんなすっとぼけた奴に、そこまで肩入れできるんだ?」
俺は、嫌味でなく純粋な疑問として訊ねた。
ここまで上等な女が、20超えるまで男に放っておかれた訳がない。月に数度は告られてたっておかしくねぇ。
にもかかわらず、よりにもよってあんな冴えない野郎を選ぶ理由は何だ。
「私より付き合いが長いのに、そんな事も解らないの?
 彼は優しいの、あなたとは違って。あんな良い人がバカを見るなんて、あっていい訳ない!」
和紗のその答えを、俺は思わず鼻で笑ってしまう。
 ――優しい?
  ――人がいい?
いかにも女の好むワードだ。だが、狩りを担うオスにそんなもんは必要ねぇ。
必要なのは、他者を出し抜いてでも成果を得る狡猾さだ。
弱肉強食の世界で真っ先に死ぬのは、まさにそういう要素の欠けたヤツなんだからな。
「良い奴かどうかは見る奴の価値観次第だ。だが、アイツにゃあはっきりと言える欠点がある。
 アイツは要領が悪い。要領の悪い奴が淘汰されるのは、自然な事だ」
「……可哀想な人。あなたが彼の親友じゃなくて良かった」
俺の考えを、和紗は真っ向から非難してくる。仮にも壮介の嫁なんだから、当たり前といえば当たり前だ。
だが俺には、それがどうにも面白くない。

「好きに言ってろ。ただ、そんなに壮介が大事なら身の振り方考えろよ?
 あんまり俺をイラつかせるようなら、そこのガキが俺とオマエの赤ん坊だってアイツにバラすぜ」
そう言うと、和紗の顔色が変わった。
「アイツにしてみりゃ、オマエの浮気の結果にしか思えねぇだろうな。
 この世で一番に信じてた俺とオマエ、両方から一気に裏切られた形だ。
 おまけにガキは死産どころか、この俺の子供ときてる。
 只でさえ思い詰めやすくて、自分に自信のないアイツのことだ。
 そのままフラッと死んじまうかもなあ?」
さらに畳み掛けると、面白いほどに眼から反抗の色が薄まっていく。
「それは、やめて…………お願い」
和紗は震える声で言う。まさに『哀願』ってやつだ。こんなに頭の切れる、しっかり者の女が。
母は強しというが、逆に母であることが弱みになる事もあるらしい。
もっとも、そういう慈悲深い賢母だからこそ俺も惹かれたんだが。


俺は蹲る和紗の前に行き、ベルトを外した。
何をさせられるのか察したらしく、和紗が目を見開いたまま顔を上げる。
「咥えろ」
半勃ちのモノを鼻先に突きつけられ、和紗の表情が歪む。だが、拒める立場にはない。
何度も喉を慣らして覚悟を固めた後、舌を伸ばして亀頭を舐めはじめる。
俺の方を思いきり睨み上げながら。
「へっ……」
思わず笑いが出る。ゾクゾクして堪らねぇ。あの憧れの女に奉仕させてるんだと思うとな。
「もっと深くだ。咥え込め」
俺は、亀頭部分を舐めまわすばかりの和紗に指示を出す。
すると舌の動きが一旦止まって、桜色の唇が開かれる。そして、ぐぷりと逸物の先が飲み込まれた。
その気持ちよさに腰が震えそうになる。禁欲してたつもりはねぇが、何かが随分と溜まっちまってたらしい。
見下ろす光景も最高だ。
腹の膨れたマタニティ姿だろうが、顔の良さは変わらねぇ。ただのフェラですら絵になる。
右手で逸物を掴みつつ、ひょっとこみてぇな顔を前後させる……嫌というほど見たその光景が、刺激的に映るのは久し振りだ。
壮介はあまりしゃぶらせなかったのか、テクニック自体は未熟なもんだが、そのたどたどしさもまた良い。
「うぶっ…………!」
2分ばかり経った頃、和紗はフェラ中に小さく呻いた。
俺のモノが口の中で膨らんできたせいだろう。唯一経験のある壮介の逸物より、2周りはデケェ大きさに。
「ぷはっ!」
和紗はとうとう堪えきれなくなったのか、逸物を吐き出して息継ぎをしようとする。
だが、そんな勝手は許さねぇ。
俺は和紗の髪を掴み、無理矢理にもう一度咥え込ませる。かなり奥まで。
和紗の膨れに膨れきった腹が、俺の脛を圧迫した。
「あも゛むぅっ!!?」
和紗は面白いほどに動揺し、がっぽり奥まで咥えさせられると、また怨みの視線をこっちに向け始める。
だが俺がさらに後頭部をぐいっと引きつけ続けると、そのうち諦めたように両手を膝に置いた。
俺はいよいよ笑みを深めつつ、完全にリードを握って和紗の頭を前後させる。
最高だ。舌遣いが未熟なら、こうして喉を使ってやりゃあいい。
「ん゛っ、あごっ……!! あっご、っぇ゛っ…………!!」
喉奥にブチ当たるたび、和紗の喉からはえづき声が漏れる。唾も溢れて、俺の玉袋を伝っていきやがる。
だがこいつの唾になら、フローリングを汚させてもいい。それだけの価値がある。
何度も何度も和紗にえづき声を上げさせ、その声に連動して、俺の脛に当たった腹が収縮する。
相手の苦しみが直にと伝わるこの状況に、俺はいよいよ興奮していく。
けして早漏じゃねぇ俺だが、この興奮状態じゃ数分ともたねぇらしい。やがてハッキリとした射精感が、脳髄を焼く。
「くっ、出るぞ!!」
そう声を絞り出した直後、熱いものが尿道を駆け上った。そして我ながら驚くほどの量が、ドバドバと和紗の口に注がれていく。
「んむっ、んぇあ゛っ!!!」
和紗は明らかに嫌がっていたが、俺は逸物を咥えさせたまま動かねぇ。
「吐き出すな、全部飲め!」
腰をグリグリねじ込みながら言うと、和紗の抵抗はそのうち収まる。そして、喉を蠢かしつつ俺のザーメンを飲み始めた。
目頭から涙を伝わせつつ。

「ふぅっ…………」
和紗の口から逸物を抜く。ドロドロに塗れた分身が外気に冷やされ、異常に気持ちいい。
見下ろした先では、和紗が手の平にゲホゲホとザーメンを吐いていた。
俺の遺伝子を身体に残しておくのが、そんなに嫌か。
そう思った瞬間、俺の中に眠るサドの血が滾る。
今日の所は一発抜くだけで勘弁してやってもよかったが、もう俺の気分が乗っちまった。
さすがの俺も妊婦とのセックスは初めてだが、悪くない。
「おい」
俺が呼びかけると、和紗は惨めったらしい姿で視線を上げた。俺はそれを満面の笑みで迎えてやる。
「ガキをベビーベッドに寝かせてやれよ。次が本番だ」
逸物をしごきながらの言葉。
それを聞いた和紗の顔は、まさに傑作だった。人間ってのはここまでショックを露わにできるんだと驚くほどに。
「い、いやっ!! お願い、それだけは許して。私、それだけはできないっ!!」
すぐに事情を察したらしく、何度も首を振る和紗。
だが、俺は何も言わない。黙って従えと、見下ろす視線で訴える。
「いや、いや…………裏切れない…………」
和紗はしばらく、そんな事を繰り返していやがった。5分か、10分か。
それでも俺が情では動かないと知ると、床の上で悔しそうに握り拳を作る。
そういう動きを、前にも見た記憶がある。
狼に脇腹を食い破られた鹿が、最後の最後に前足でもがく動き。それと同じ、空しい力みだ。




和紗を裸に剥くと、いよいよ妊婦ってものの特別さを目の当たりにする事になる。
顔も腕も細くて、脚なんぞはまさにモデル並だが、その中で腹だけが膨れていやがる。
これが生命の神秘ってヤツか。形としちゃ歪な筈だが、なぜか嫌悪感は湧いてこねぇ。むしろ、何か妙な高揚感すらある。
「あんまり見ないで」
和紗はベッドに腰掛けたまま、腹を両手で覆い隠した。膨れた腹を他人に見られるのは、さすがに女として恥ずかしいらしい。
だが、見るなと言われれば見たくなるもんだ。
俺は和紗をベッドの上に押し倒し、片手を頭上で掴みあげてやる。和紗は抵抗しようとしていたらしいが、俺との筋力差は歴然だ。
恨みがましい視線を感じつつ、目の前に露わになった和紗の腹を、じっくりと観察してやる。
ケアを欠かさなかったのか、それとも体質なのか。いわゆる妊娠線は正中線に沿ってうっすらと見えるだけ。
あとはヘソの尾が少し残ってるぐらいで、綺麗なもんだ。
「ンだよ、隠す必要もねぇじゃねえか」
俺はそう囁きつつ、和紗の足を開かせる。出産翌日の割れ目だが、別に変わった様子はねぇ。
ともすると処女かとも思えるぐらいの、綺麗なピンクだ。
俺は指でその表面を撫でた。和紗の身体がビクッと反応する。その反応を楽しみつつ、指を少し挿し込み、上下に動かす。
この時点で、すでに小さく水音がした。羊水か何かだろうが、俺はあえてそれをネタにする。
「何だ、もう濡れてるのか」
「ちっ、違う!!」
俺の指摘に、和紗は解りやすいほどの動揺を見せた。しっかり水音が聴こえているらしい。
「違う? じゃあこの音はなんだよ」
俺はそう言いつつ、さらに指で膣内をかき回す。クチュクチュ、クチュクチュと音を立てるように。
「っ…………!!」
和紗は声を殺していた。俺も何も言わなかった。赤ん坊は泣きつかれて眠ったらしい。
だから室内には、延々と水音だけが木霊する。
しばらく膣の中を刺激した後、俺は和紗の腕の拘束を解いた。
案の定、もう抵抗しようとはしない。逃げても仕方がないと頭では理解してるんだろう。
俺はそれにほくそ笑みつつ、和紗の足元に移動する。本格的に責めるためだ。

俺の経験上、頑なな女を昂ぶらせるには、まずクリトリスから目覚めさせていくのがいい。
俺は膣内から愛液を持ってくる動きそのままに、クリトリスを下からなぞり上げる。
「うっ」
小さな声がした。どんな女だってそうだ。
同じ動きを3度繰り返して潤滑を増したところで、いよいよクリトリス本体に人差し指の腹を宛がう。
とはいえ、責め自体は緩やかなもんだ。
指の腹を軽く押し付けつつ、上下左右に小さく揺さぶる。けして無理な力は加えない。
だが、たったこれだけの事をしばらく繰り返すだけで、クリトリスが徐々に芯を持ち始める。小さな勃起だ。
そういう変化が指先で感じ取れれば、そこで少し変化を加える。
指の腹でなく指先を使って、軽く掻く真似をしたり、包皮を剥きかけてみたりだ。
「あぁ、ああっ……ああ、あ…………」
とうとう和紗の唇からは、喘ぎ声が漏れ始める。これも、俺が今まで食ってきた何十って女と同じだ。
結局皮膚と粘膜の触れ合いって段階になりゃ、内面の高潔さなんぞ関係ねぇ。娼婦だろうが聖母だろうが、濡れるべくして濡れるだけだ。
ああ、ああ、って切ない呻きが、さらに数十秒。そこへ来て、和紗の脚にも変化が出る。
それまで俺に広げられたままの形を保っていた右脚が、サーッとシーツを擦りながら膝を立てる。
その頃になりゃ、腰そのものもヒクヒクと上下に揺れ始めてる。
右脚はさらに何度も何度もうるさくシーツを擦り、その挙句にとうとう左脚までが膝を立て始める。
俺の指を中心にしたMの字ってやつだ。
「恥ずかしい格好だな。そんなにアピールすんなよ」
俺はその変化を詰った。和紗は目を見開き、必死に両脚を戻そうとする。
だが、俺がクリトリスを弄ぶとまた『なまの反応』が出ちまう。
腰の上下への揺れ幅は徐々に大きくなっていく。クリトリスも、もう指の腹に埋もれるぐらいの固さになっている。
そしてそれ以上に、声が変わってやがった。
「あーっ、ああーーっ! ああ、ハッあっ…………ハッ、ハッ、ああーーっ………………!!」
声を聞くだけで、どんだけ気持ちいいのかが嫌ってほど伝わってきやがる。実にアソコに悪い。
「気持ちいいのか?」
答えの解りきった質問をする。本音はイエス、建前はノーだ。
「はぁっ、はっ…………そんな訳、ないでしょ…………?」
それでも実際に和紗の声で聞くと、嗜虐心が燃え上がっちまうのは何でなんだろうな。
やっぱ、実体のねぇ妄想じゃなくリアルが一番って事か。
「そうか、ならもっと善くしてやる」
俺はそう言って、一旦勃起クリトリスから指を離す。そして中指を添えた二本指を、ひくつく秘裂の中に差し入れた。
「んっ!!」
小さな声。ゾクッと跳ねる腰。これが出来上がってる反応じゃなくて何なんだ。
俺はそれを嘲笑いつつ、クリトリスに続く女の急所、Gスポットに狙いを定めた。
臍側にゆるく指を曲げ、何百回とやってきた要領で窪み部分を刺激する。
AVよろしく力む必要はねぇ。ツボさえ上手く捉えりゃあ、あとは手首をゆるく前後させる程度で事足りる。
実にエロい光景だ。
指を蠢かすたび、クチュクチュと鳴る水音。強張りながら跳ねる内腿。
茂みの向こうに見える腹は、膨らみきっているせいか呼吸と共に上下する様子がねぇ。
だがさらにその向こうの唇は、泣き笑いのような形で確かに喘ぎ続けている。
「あぁーーーっ、あああーーーっ…………あああーーーっ…………!!」
クリトリスに比べて責めの変化が少ないせいか、長く深い喘ぎ声。もうほとんど深呼吸だ。
「気持ちいいんだろ? 正直に言ってみろよ」
俺は今一度訊いてみる。答えはさっき以上に解りきっている。
何せ和紗の秘裂からは、さっきからもう愛液があふれまくって、俺の手首にまで伝ってるんだからな。
だが、和紗はあくまで首を横に振った。
「はぁっ、はーっ……きっ、きもち、よくなんてない。ああ、あ、きもちっ、ひっ、よくぁい………………気持ちよくないっ!!!!」
口いっぱいに唾液を溜めながら、枕を掴んで絶叫する。
どこまでもあのバカに操を立てるつもりか。だが、別にいい。もうどっちでもいい。

俺は指を引き抜き、和紗の腰を両手で抱える。
そのモデル級の両脚の間に、完全勃起した凶器みてぇな逸物を押し当てて。
「えっ……!? い、、いや、やめてっ!!」
和紗がそう叫んで脚を閉じようとした直後。俺は勢いよく割れ目を貫いた。
ぐううーっと和紗の全身が硬直するのが伝わってくる。嫌がっているところにブチ込むのは、これだから最高だ。
「いやあ、やめてっ! 抜いてえっ!!」
和紗はほとんど半狂乱になっていた。勿論、俺がそれを聞き届ける訳もねぇ。
むしろ両膝の裏をしっかりと押さえ込み、いよいよ強烈に腰を叩きつける。
「ごめっ……ごめん……そう、すけっ…………」
俺が腰を遣い始めると、和紗は左手の指輪を見つめながら、うわ言のように囁き始めた。
その様も中々に快感だったが、それ以上に膣の具合がヤバい。
前に一度泥酔している所をヤッたが、その時とは締め付けぶりがまるで違う。
散々昂ぶらせた甲斐あって、充血した襞がみっしりとアレの先端から根元にまで纏わりついてきやがる。
目隠ししてこれが処女の膣内だと言われたところで、全く疑いはしねぇだろう。
おまけに、子宮口がやけにほぐれていやがる。
ブニュブニュとしたゴムみてぇな感触がアソコの先を押し返すなんざ、さすがの俺でも未経験だ。
挙句に力を込めると、その子宮口に先端が入り込みそうにすらなっちまう。
「あ、いやっ! なに、何それ、やめてぇっ!!」
和紗にとってもそれは異様らしく、大口を開けて手足をバタつかせていた。
勿論こんなモンは、ガキを産んだ翌日限定の事だろう。だが、膣奥は女の最大の性感帯だと聞いた事がある。
そこの快感を覚えこませるには、まさに絶好の機会だ。
それに、和紗のヤツもどうやら違和感ばかりじゃねぇらしい。俺のデカブツが奥を突くたび、明らかに感じてやがる。
まったく揺れねぇ膨れた腹と、それとは対照的にブルンブルン揺れる、張りに張った乳房。
これまでの女とは全く違うその特徴に、俺の目は釘付けになっていた。

「うんんうぁっ!!!」
挿入から5分ほど経った頃、和紗が妙な声を上げた。それと同時に、Mの字になった太腿が震える。
イッたんだな、という事はすぐに解った。
だが俺は、あえてそれを指摘しない。ただ淡々と腰を遣うだけだ。
そうすると、和紗の方から怯えたような瞳でこっちの目を覗き見てきやがる。つくづく隠し事の下手な女だ。
「イッたからって、そんな恥ずかしそうにするなよ」
俺がようやく指摘すると、その顔面はあっという間に赤くなっていく。
「ち、ひがっ…………」
何か反論しようとしているらしいが、言葉になっていない。まぁ、女慣れした俺が全力でイカそうとしてるんだから当然だが。
興奮こそ異常にしているものの、俺はさっきフェラチオで抜かせたおかげで余裕がある。
その優位を活かし、俺はさらに3回、和紗を絶頂へと導いた。
二度目の絶頂時、和紗は顎を引き気味にし、苦しそうに誤魔化していた。
三度目の時は、逆に枕深く頭を沈め、天を仰ぎ気味にしてだった。
そして四度目は、何かを振り払うように何度も左右に首を振った挙句、左を向いた瞬間に脱力した。
良妻の貞淑の心も、俺のテクニックの前には紙切れ同然だったわけだ。
たっぷりと膣内出ししてから、ようやく俺が逸物を抜き去った時、和紗は泣いていた。虚ろな瞳から涙を零して。
それと同じく、乳房からは何筋かのミルクが零れ、拡がった割れ目からは白濁が零れている。
身体中から白い液をあふれさせるその光景は、これまでのどんな事後よりも鮮やかに、俺の網膜に焼きついた。



「…………うっ、うっ…………うぐっ、…………っく」
和紗の陰湿な泣き声がベッドルームに繰り返される。
和紗はそうやって泣きつつも、自分の連れてきたガキに乳を与えていた。
強く吸い付かれるたび、快感の余韻に浸りつつ。
どこまでもガキ想いの女だ。そういや壮介から、和紗は子供好きだと何度も聞いた気がする。
そんな和紗だからこそ、望まぬ子とはいえ、手放す事ができなかったんだろう。
孤児院になり放り込んで、俺との一切の関わりを断つって選択肢もあった筈だろうに。
「……で、だ。そのガキ、ここで預かれってか?」
俺が話しかけると、和紗はまた恨みがましい目で俺を睨む。
「あなたの子なんだから、当たり前でしょ」
「ああ。俺とお前の子、だ」
俺のその言葉に、和紗は表情を強張らせる。
「…………この子が乳離れするまでは、私がここに会いに来る。乳離れしたら、誰かに引き取ってもらうから」
すっかり母の顔になった和紗に、俺は内心で惚れ直す。
そうだ。俺はずっと、こういう女を求めてたんだ。
「なるほど、ならその間は俺が預かろう。ただし、ウチでミルクをやりたいなら…………解るよな?」
我ながら、悪魔のような提案だ。
だが夫と子供を人質に取られた母親は、母ゆえにその提案を受け入れるしかない。
「…………解ってる…………」
心から悔しげな顔で、和紗は答えた。

当面の期限はガキが乳離れするまで。だがそれまでの間に、和紗の身体を俺に依存させちまえばいい。
そうすりゃ、ガキのお守りって建前がなくなっても俺の元に通うしかなくなる。
そうしてまずは身体を篭絡し、最後には心すら壮介の野郎から引き剥がしてやる。俺ならやれる。

ここからが、肉食系の本領発揮だ。



                                   続く

向こう岸の彼女 十話

※ここからは英児視点。ある意味本編の始まりです。


【 英児サイド 】

壮介のバカは塀の中にぶち込まれた。
これでようやく、大っぴらに和紗を独占できる。
あのウスノロを『親友』なんぞと呼ぶおぞましさからも、やっと開放されるってもんだ。

アイツの要領の悪さには、つくづくイラつかせられた。
頭が悪い奴を見ても、運動が苦手な奴を見ても、可哀想としか思わねぇ。
だが、いざって時にうろたえて他人の顔色を窺うような奴だけは、なぜか無性に腹が立つ。
だからってイジメたりはしねぇよ。
イジメで得られる物なんざたかが知れてる。せいぜいちっぽけな優越感と、数万程度の現金ぐらいだ。
片やデメリットは、イジメがバレた際の厄介さやら、事情を知ってる連中からのマイナスイメージやら、山のようにある。
そんなハイリスク・ローリターンな事をするぐらいなら、いっそそのグズを『利用して』やりゃあいい。
俺の場合、それが一番上手く嵌まったのは、高校デビューの直後だった。
俺の“新しい親友”、篠弥 壮介のお陰で。

ボンボン風の髪型に、黒縁のメガネ。常に猫背気味で、周りの反応ばっか気にしていやがる。
まさに絵に描いたようなイジメられっ子…………それがあの頃の壮介だ。
実際奴は、いつも石山って野郎にイジメられてた。
この石山ってのがまた厳つい奴で、誰も彼も恐ろしくて口出し出来ずにいる。
こういう状況は、実にウマい。
俺は3度目に壮介のイジメ現場を目撃した時、正義感に溢れる面でその現場に割って入った。
となれば当然、イジメる側のボスである石山とやりあうハメになる。
周りはさぞかし肝を冷やしただろうが、俺の勝算は十分だ。
なんせ、あえて数週間石山を泳がせて、その喧嘩ぶりを見てたんだからな。
奴は入学時ですでに190cm近くあるバケモンだったが、喧嘩に関しちゃド素人だ。
なまじ力押しで勝てるせいで、喧嘩でも大振りの雑な攻撃しかしねぇ。
一方の俺は、ガキの頃空手をやってたおかげで、人間の泣き所はよく知ってる。
石山との喧嘩でも、その技術を惜しみなく使った。
周りの連中の目には、俺が圧倒的な体格差に苦しみながら、必死に足掻いているように映っただろう。
そう見えるように戦ったからな。
だが実際にやり合ってる石山だけは、俺が『ひたすら急所を狙っている』ことに気づいたはずだ。
いくら喧嘩慣れしてようが、急所ばっか狙われて怯まない奴はいねぇ。
石山の奴も、俺の拳が急所を抉るたび、面白いほど怯えた表情になっていった。そしてその挙句に、捨てセリフを吐きながらの敗走だ。
後に残るのは、俺があの石山にタイマンで勝ったという事実。
弱者を命懸けで庇う勇気と優しさを持ち、強さまで兼ね備えた、漢の中の漢。当然そういう扱いになる。
よっぽどひねくれた奴以外は、男も女も俺に擦り寄ってくるようになる。
こうして俺は、入学後わずか数週間で、校内でも頭一つ抜けたカリスマを得たわけだ。
壮介っつぅグズを『利用する』事でな。

石山を下して以来、しばらくは妙な空気があった。野郎が俺へのリベンジを企んでいるらしい、って空気だ。
ただ、当の俺は余裕だった。そんな事は起こりえないと知ってたから。
実際のところ、俺は普通に殴り合っても石山に勝つ自信があった。
それでもあえて急所だけを狙ったのは、石山に復讐なんて考えを起こさせないためだ。
普通に殴り合いで負けたならともかく、急所ばっか狙ってくるようなヤバイ奴と再戦しようなんて思わないだろう。
次やったら目を潰されるか、金玉を潰されるかってもんだからな。
実際石山の野郎も、すっかり俺に対する苦手意識を植えつけられたらしい。
奴にも体面があるから、口では強い事を言ってたんだろうが、実際に俺に挑んでくる事は一度もなかった。
ただ、この妙な空気もまた利用できる。ボディガードってもっともらしい理由をつけて、自然に壮介を隣に置けるからだ。
このメリットは地味にデカい。
人間ってのは、“他と比べてどうか”で人や物の価値を判断する。
周りよりもルックスがいい。周りよりも成績がいい。部内で何番目に強い…………全てのステイタスは凡人って踏み台あってのもんだ。
愚直に自分を高めるなんてのは要領が悪い奴のやること。
要領のいい奴は、自分をデカく見せる時、必ず傍に引き立て役を置く。
俺にとっての壮介がそうだ。冴えないアイツが傍にいれば、俺はより逞しく、格好良く、頼もしそうに見えるってもんだ。
そう、奴は……壮介は、俺の人生でも最高の引き立て役だった。
高校時代の俺をヒーローにするだけじゃなく、その後も冴えないまま横にいて、俺という光を際立たせる。
そうであるべきだった。


だから、許せるわけねーだろ?
その『引き立て役』が、俺に群がってくるバカ女より、よっぽどいい女を連れてるなんてよ。





壮介は優柔不断な奴だが、妙に頑固な所もある。
俺にしてみれば、奴が『冴えない人間』である方が都合が良いから、変わらずにいるよう何度も説得した。
お前には人徳がある、それを失くすな、とわざとらしく褒めちぎって。
だが奴は、その瞬間だけ納得した顔をするものの、すぐにまた俺の真似を始めやがる。
もっとも、それならそれでいい。
俺と奴とでは持っている物が違う。いくら俺の影を追いかけようが、結局はその差に打ちひしがれるだけだ。
俺の真似をし、諦め……それを半年も繰り返せば、さすがに壮介も身の程を弁える。
奴が初めて俺からの遊びの誘いを断った日、俺は確信した。もう奴の心は折れかけていると。
だが、まさにその日の昼過ぎ。奴からの電話で女の声がした瞬間、ひどく嫌な予感がした。

『あ、ああ、あのっ、すみません間違えました!!』

女は、ひどく慌てた様子で謝ってくる。スカッと胸に響くような、妙に耳に残る声だ。
年は俺と変わらないぐらいだろう。
なんでアイツの携帯から、若い女の声がするんだ。まさかアイツ、俺の知らない所で女とイチャついてやがるのか。
「……ソースケお前、女できたのか?」
週明けにそう訊いても、壮介はヘラヘラと笑うだけだ。
「そうじゃないよ。あれはちょっと、知り合った女の人が間違っただけで……」
そう言う奴の目は、俺を通り過ぎてどこか遠くを見ている。明らかに『また女と会おう』と考えている奴の目だ。
もっと追求したいのは山々だが、廊下には周りの目もある。
「ンな事言って実は、俺の知らねぇとこでイチャついてたんだろ? どこまでいったんだよ、オラ白状しろ!!」
俺は冗談を装って奴の首を絞め、胸に湧き上がる何かをかろうじて誤魔化した。

ありえねぇ。よりによって、アイツを選ぶ女なんている訳がねぇ。
地味で、根暗で、チビで、痩せっぽちで、挙動不審で、声が小さくて。
オスとしての魅力がとことん無い奴だ。俺の10000分の1の魅力すらありゃしねぇんだ。
そうは思うものの、なぜか日増しに不安は大きくなっていった。
しかもその不安、どうも杞憂では済まねぇらしい。
あの日を境に、壮介の雰囲気が段々と変わり始めたからだ。
キノコが生えそうなぐらいジメジメした性格だった奴が、明るく笑うようになってきている。
声も前より聞き取りやすい。
周りの視線を気にする癖は相変わらずだが、不必要にビビっている様子もない。
明るくて、自信に溢れて……女が出来たヤツ特有の傾向だ。
本当に女を作りやがったのか。こんなヤツが?
その疑問にはっきりと答えが示されたのは、9月の初め。
茹だるような残暑の中、当時付き合ってた安奈って女と駅前を歩いていた時だ。

道の向こうから歩いてくるのが壮介ってのはすぐに解った。
「よう!」
いつものように白々しい笑顔を作り、手を上げて挨拶してやる。
もちろん、『冴えないヤツとも分け隔てなく付き合う良い男』を演出するためだ。
だが、ヤツの横にいる女に気付いた瞬間――俺の中に電流が迸った。
肩甲骨辺りまでの三つ編みに、青いタイ付きの白ブラウス、膝丈のサロペットスカート。
格好こそ田舎者丸出しだが、眼に妙な力がある。
何かを背負って、自分の力で生きてきた一人前の女。そういう感じの眼だ。
俺は、まずその眼に一発で惚れた。
おまけによく見りゃ、スタイルも悪くねぇ。デカイ乳に、位置の高い腰、安産型の尻。
ダイヤの原石を目にしている気分だ。
「お……おいおいお前、女連れかよ!?」
思わずそう訊く。
「い、いや、別に彼女ってワケじゃ…………」
ヤツはそう言うが、その手はしっかりと女の手を握り締めていやがった。
おまけに握り方からして、どうも女の方から手を取ったらしい。
それに気付いた瞬間、俺はショックで腰が抜けそうだった。
あの壮介が、こんな良い女をモノにしているだと?
ヤツの女に比べて、安奈はどうだ。見た目こそアイドル並みだが、男をアクセの一種としか思わない尻軽ビッチじゃねぇか。
俺はこの時、初めて壮介に負けた気がした。
いや。そもそも他人に対して劣等感を覚えたこと自体が初めてだ。
今まで、周りのどんな奴より要領よく生きてきたし、どんな奴よりモテた。俺より上等なオスなんていねぇ。ずっとそう思ってきた。
それがどうだ。俺より遥か下、良い引き立て役だと思ってた奴が、俺を骨抜きにするような女をほれ込ませていやがる。
ショックで頭がおかしくなりそうだ。だがガクつく膝を叱咤し、かろうじて普通に歩いているように見せかける。
女にブザマを見せるのは、俺のプライドが許さない。
「隠すなって、水臭ぇなあ!」
俺は大声で言いながら、壮介の肩を叩いた。
「……可愛い子じゃんか。やったな」
なるべく優しい口調で、そう囁きかけてやる。傍目からは、さぞかし余裕のある男に見えるだろう。
今にも腰を抜かしそうだとは、誰にもバレてねぇはずだ。

「ちょっとエイジー、何なのそいつ?」
後ろから安奈の声がする。相も変わらずダラッとした、頭の悪そうな喋り方だ。
『今風』の範疇に入っているだけの馬鹿。体表面の数ミリと、あとは粘膜にしか価値のない女。
「悪ぃ悪ぃ、一番のダチなんだわコイツ」
俺は、いつも以上にはっきりと断言する。聞かせたい相手は、安奈でも壮介でもない。『親友』の女だ。
だがそのダイヤの原石は、安奈のファッションに気圧されたのか、黙って俯いたままだ。
その昭和の女っぽい奥ゆかしさが、また堪らなく良い。
「……あれがダチって、マジ? 何か冴えないヤツ。
 おまけに、さぁ、その横にいる奴、なぁにアレ? いくら何でもイモすぎでしょ、ダッッサ!」
壮介達の横を通り過ぎる時、安奈が言った。
俺はその言葉に殺意さえ覚える。
「こら」
安奈の頭を叩くのは、一応手の甲で軽くにしたが、本当なら拳骨でぶん殴りたい気分だ。
「いったー! 何なの、マジ乱暴。女のコの頭叩くとか、マジ最低なんだけど!!」
安奈は俺の小突きに対し、延々と恨み言を呟き始めた。
自分が悪い事をしたかも、なんて微塵も思わねぇ。どこまでも馬鹿で軽い女。
さっきの女ならどうだろう。分別のある女だから、いずれにしてもちゃんとした反応をするんだろう。

「そんな事、あるもんか!」

その時、後ろから妙にデカい声が聴こえてきた。壮介の声だ。
振り返れば、奴は女の肩を掴んで真剣な顔をしている。

「大丈夫。可愛いよ…………すごく」

聞いた事もないようなハッキリとした声で、壮介は続ける。
あの、周りの視線ばかり気にしている小心者が、まるでドラマの主人公だ。
女の表情は見えないが、何人も女を落としてきた俺には解る。今あの瞬間、女は完全に落ちた。
壮介の奴は、あろう事か俺の目の前で、俺が一目惚れした女を惚れ込ませたんだ。
無意識に、奥歯を噛みしめ、拳を握り締めちまう。
「ブハッ! 可愛いよ、だってー。キモッ!」
安奈がそう言い、俺の方を見て固まった。だが、そんな事に構う余裕はねぇ。
俺は、生まれて初めて、完全な敗北を味わってんだ。




俺の高校生活は充実していた。間違いなく青春を謳歌した。
バスケのスポーツ推薦で最難関の私大に入ってからは、さらに色んな楽しみを覚えた。
特に女遊びにハマり、目に付くイイ女には片っ端からツバをつけた。
だが……満たされない。
あの日見た壮介の女と比べると、どんな女も尻軽に見えちまう。
俺と同じく難関私立に入ってる以上、頭の軽い女な訳はないのに、俺の誘いで簡単に股を開くような女では満足できなくなっている。
壮介から飲みの誘いが来たのは、そんなある日のことだ。
飲み屋街の外れにある小さな個人店。
壮介の行きつけに相応しいチンケな店だ。内心そう馬鹿にしていたのも、暖簾を潜るまで。

そこには、あの日の女がいた。
相変わらずの知的な瞳は、やっぱり他の女とは違う。
店の制服らしい割烹着がまたよく似合っていて、まさに和風美人という感じだ。
「あっ、どうも!」
女は驚いた様子で俺に笑いかける。
アナウンサーかスッチーか、ってぐらいの完璧なスマイルだ。そこには田舎臭さはもうない。
都会生活のせいか、それとも壮介がそう仕込んだのか。
いつの間にかダイヤの原石は磨きぬかれ、何処へ出しても恥ずかしくない輝きを放つようになっていた。
「鵜久森さん、今日の仕事はもう大丈夫だからさ。
 そちらのお二人さん、知り合いなんでしょ? 一緒に飲みなよ」
いかにも人の良さそうな主人が、そう言って瓶ビールを出してくる。
鵜久森。それがこの女の苗字か。
可愛くも神秘的だ。2年近くも頭の中で夢想していた女の苗字を、今ようやく知ることができた。
「…………下の名前、なんて言うの?」
俺は自然な笑顔を心がけつつ、鵜久森という女に尋ねる。
「和紗です」
幸せそうな笑みで答える女。隣では壮介が、同じく幸せそうに頷いていやがる。
何だ、そのすっかり打ち解けた関係は。奴と俺との間には、一体どれほどのハンデがあるんだ?
まぁ、だからっつって絶望的って訳じゃねえ。今までだって、完全にくっついてるカップルの女を奪った事なんざいくらでもある。
今回も俺という人間の甲斐性を見せつけて、和紗を心変わりさせるだけだ。

壮介は大学に入ってからだいぶイメージを変えたみてぇだが、要領の悪さは相変わらずだった。
見ていてイラつくぐらいに、先が読めてねぇ。
俺が普段の飲みの席で当たり前にやってる事を、一々感心した様子で見てやがる。
こんなノロマに彼氏面されちゃ、和紗も人生の損ってもんだ。
そう思って和紗を見ると…………その瞳は、俺の方なんざ全く眼中にねぇ。
惚れきった女の瞳で、壮介の方ばかり向いていやがる。
必死に話を弾ませると、俺の方を見て笑いはする。だが壮介が話し始めると、すぐに嬉しそうにそっちを向く。
ありえねぇ。
あのバカとは違って、女の扱いには慣れている俺だ。
まずギリシャ系のハーフ顔。これがとにかく女受けが良い。爽やかさを意識して挨拶するだけで、8割方の女が惚れてくるのが肌で感じ取れた。
実際に話してみれば、もう落ちるのは確定だ。
基本は冗談を交えたノリのいいトークで盛り上げ、女が悩み事を打ち明けてくる頃になれば、真摯に聞くフリをする。
これを何度か繰り返せば、靡かない女なんて一人もいなかった。
男には頼らない、というオーラを発しまくってたバリバリのキャリアウーマンすら、今では俺のキープの一人だ。
その手練手管が、この和紗という女には通じねぇ。
軽く10人は落とせるほどの情熱を注ぎ込んでも、どこか一線を引いたままだ。
俺はそれがショックだった。だが、同時に心のどこかで納得してもいた。
道理だ。あの日俺が一目惚れした瞳は、確かにそこらの女とは全く違っていた。
その瞳にはこの女の特別さが表れていたわけだ。
自立心、好奇心、気品、情の深さ、慎み深さ……この和紗って女は、そういうものを高いレベルで兼ね備えてやがる。
だからこそ、一度杯を交わしたぐらいじゃ揺らがねぇ。
まったく、良い女だ。

酒は進み、夜は更けて、とうとう帰る時が来る。
俺は壮介をトイレに誘った。
「あの子、すげーいい子じゃん。大事にしろよ」
俺がそう言うと、壮介は笑っていた。いかにも幸せそうに。
俺は思わずニヤけそうになるのを堪えつつ、口を開く。
「なんつーか、アレだ。ホッとしたよ」
「えっ?」
不思議そうに聞き返す壮介。どこまでも頼りにならなそうな奴だ。
「こういうのも何だけどよ。高校の頃のお前って、俺が中心のグループに寄ってくるばっかだったじゃんか」
昔を思い出しつつ、俺は言う。
あの頃のお前は可愛げがあったよ。そう心の中で付け足しつつ。
「でも今日はその逆でよ。お前が中心の生活に、俺が呼ばれたんだぜ?
 なんつーかよ…………しばらく見ねぇうちに、デカくなったよなぁお前も」
そう。今日は明らかに、コイツの場だった。
俺は客として、奴の惚気に付き合っただけだ。この、俺が。
「…………君のおかげだよ」
壮介は俺を見上げて言う。
俺は、その顔が憎くて堪らなかった。
「ん? ああ……ま、そーかもな!!」
苛立ちを隠すようにおどけて見せるが、今にも握り締めた拳骨を叩きつけちまいそうだ。
そんな俺の心中なんぞ知りもせず、壮介は幸せそうな面でふらついている。もう泥酔寸前っつう感じだ。
俺はそんな『親友』を抱きとめる。
「おら、大丈夫かよ相棒? 夜道であの子を送ってやるのはお前の役目だぜ?
 今は、お前の春だ。お前の時代だ!!!」
そう言い聞かせるが、壮介は聞いちゃいねぇ。幸せの絶頂と言わんばかりに笑い転げていやがる。
もう俺の言葉なんぞ理解できてねぇんだろう。
だから俺は、奴に聴こえねぇギリギリの大きさで声に出した。


「そう、お前の時代だ…………今だけはな」


その、ハッキリとした宣戦布告を。




それからというもの、俺は壮介と和紗を交えて遊ぶ事が多くなった。
壮介は元々俺に依存していたような奴だから、遊ぶ状況を作るのは難しくない。
そのついでで和紗が参加することも、少なくはなかった。
俺の狙いは勿論、和紗の心変わりだ。
不自然にならない範囲で、今まで培ってきた女を落とすテクニックをフルに使う。
元々俺と和紗は似合いだ。スタイルも顔も周りから浮くレベルで、2人並んで立てば映画の撮影シーンみてぇになった。
壮介のヤツが和紗と付き合ってる事実を言わないせいで、一緒に遊ぶ連中も俺と和紗をくっつけようとしてくる。
だがそういう状況でも、和紗が俺に靡く気配はなかった。
ダチの一人というレベルでは付き合っても、それ以上には踏み込ませない。

大学のツレを交えて、12人で飲んだ時もそうだ。
人数が多いと盛り上がって、いつになく俺と和紗をくっつけようってノリが強くなった。
和紗と俺は密着するように座らされ、キスしろだのなんだのと煽られた。
勿論、俺にとっちゃ追い風の状況だ。仕方なくって顔をしながら、和紗の肩を抱く。
見た目通りの華奢なカラダだ。割烹着から覗く白い肌もやたらとそそる。
だが、肝心の和紗自身がノッてこない。
ただ苦笑いし、身体を強張らせているだけだ。明らかに俺を警戒していやがる。
すでに知り合ってから4ヵ月。他の女なら、とっくに骨の髄まで味わい尽くして捨ててる頃だってのに。
あくまで壮介に操を立ててるってわけか。
帰りがけに壮介へメールを送ったが、返事はなかった。朝方になってようやく返事を寄越した所からして、あの後ホテルでヤッてやがったんだ。
まるで、この俺に見せ付けるみてぇに。
有り得ない。有り得る訳がない。
自他共に認める最高級の雄である俺が、あの最底辺の金魚のフンに一部分ででも負けるだと?
何かの間違いだ。そう、あのバカは、俺より少しあの女との付き合いが長い。内輪ネタでたまたま話題を攫える事もあるだろう。
なら、小細工の通じない部分で差を見せつけるだけだ。

俺は飲みの席での侘びとして、二人に服を買ってやると持ちかけた。
俺と壮介のファッションセンスは天と地ほどにも違う。
アイツが余りにもダサい服ばかり買うせいで、見かねて何か見繕ってやることがよくある。
俺の選んだ服だと周りの目が違うらしいが、そりゃそうだ。時代感覚が30年は違うんだからな。
その圧倒的なセンスの違いを見せ付ければ、百年の恋も醒めるってもんだ。
「……おっ、これなんてどう? 和紗ちゃんに合いそうだけど」
店に入って早々、俺は和紗用の服を見繕った。
上は胸元が大胆に空いて、腕や脇腹の一部がシースルーになった黒シャツ。
下はフェイクレザーのホットパンツ。
和紗の良さを最大限に引き立てるだろう組み合わせだ。
「おっ、良いっスすねぇ。よく似合いますよーきっと!」
当然、店員も絶賛する。
だが。和紗は、何か悩んでいるような顔だ。
「んー……壮介は、どう?」
あろう事か、そんな事まで言い始めた。ファッションに理解のある人間なら、俺の選んだ服に惹かれない訳がない。
そのぐらい、この女にマッチした取り合わせなのに。
「こっちとか……どうかな」
挙句に壮介が選びやがったのは、半袖の紺色ブラウスに、膝上の白スカート。
80年代、あるいはせいぜい90年代のファッションだ。悪いとまでは言わねぇが、絶望的にセンスに欠けている。
にもかかわらず、和紗はそれを選んだ。実に嬉しそうに。

「…………ん、そだね。こっちにするよ! ごめんね英児くん」

屈託のない笑顔で発されたその一言は、俺の心を深く抉った。
服に限った話じゃねぇ。俺はこの瞬間、ハッキリと和紗にフラれたんだ。俺ではなく、壮介の方を選ぶ、と。
その後何を喋ったのかは覚えていない。大方、身に染み付いた無難な顔を取り繕っていたんだろう。
だが心の中は、初めての失恋でズタズタになっていた。
ありふれた表現だが…………俺の心は、この瞬間に壊れたんだ。

認めたくはねぇが、鵜久森和紗の心を奪う、という勝負では完敗だ。あの『金魚のフン』にな。
よっぽど相性がいいのかあの2人、神経が癒着するみてぇにべったりだ。
それからしばらく、俺は和紗の事を忘れようとした。
所詮はあのバカに似合いの、能無し女だ。そう思って心に整理をつけようとした。
だがそれ以来、何をしていても和紗のことが頭を離れない。
セフレを抱いている時でも、ブランド品のような女を連れ回して注目を浴びている最中でも。
胸には常に、一番欲しい物を手に入れていない負け犬、という気持ちが渦巻いていた。
その果てに、俺は改めて決意する。
俺は肉食系の雄だ。手に入らないといって、いつまでも嘆いてるような腑抜けじゃねぇ。
正攻法で狩れねぇなら、罠を張って誘い込みゃあいい。




俺は罠を張り始めた。
まず、ダチを使ってあの女の働く居酒屋の噂を流させる。あの店には可愛くてエロい女がいる、と。
噂を聞かせるターゲットは石山だ。あの単細胞がその話を聞けば、必ず突撃していく。
この効果は覿面だった。
噂を流してから一週間もしねぇうちに、石山の取り巻きへ潜り込ませたダチから連絡が入る。
案の定石山は店に押しかけ、和紗と壮介を酔いつぶれさせたらしい。
そのまま放っときゃ和紗を持ち帰ろうって勢いらしいんで、俺はガタイのいい連中を引き連れて店に乗り込んだ。
「よう、楽しそうじゃねぇかデブ」
そう声をかけた瞬間の石山は最高だった。
殺気を込めた眼で睨みつけ、相手が俺だと知ると、まさに豚みてぇな顔で凍りつく。トラウマは健在らしい。
そもそも酒が入っている上、頭数でも不利とあっちゃ、いくら奴でも尻尾巻いて逃げるしかねぇ。
俺は連中を威嚇しつつ、店の中を占拠した。
泥酔した壮介と和紗が机に突っ伏し、佐野とかいう店の主人が椅子にへたり込んでいる。
「あ、ああ、君! 助かったよ」
佐野のジジイはゆっくりと腰を上げ、安心した様子で俺に話しかけてきた。
一応は顔見知りの俺が現れたことで、助かったとでも思ったのか。本当に平和ボケしたジジイだ。
「助かっちゃいねぇよ。まだ、な」
俺はそう言って、取り巻きの一人に合図を送る。そいつは俺の意図通り、ジジイの肩を押さえ込んで座らせた。
「もうちっとだけだから。大人しくしてろや、ジーさんよ」
「え、ええ!?」
うろたえるジジイをよそに、俺は和紗へ歩み寄る。
皺の入った割烹着を捲り上げ、着物部分を肌蹴れば、夢にまで見た生足が覗いた。
「へへ、マジにやっちまうんスか? 一応は親友の彼女っしょ?」
「うるせぇ。黙って撮っとけ」
カメラを構えた一人が茶化してくるが、俺にはもう相手をしている余裕がねぇ。
初めて女とヤる童貞みてぇに、心臓がバクついてやがる。
指に軽くローションをつけて、和紗の足の間に差し入れた。
「んんっ…………」
かすかな呻き声がする。完全に酔いつぶれているらしく、起きる様子は無し。いい兆候だ。
膣の締まりは良かった。何遍も壮介の野郎とヤッてんだろうに、処女かと思うほどのキツさだ。
ねっとりと纏わりついてくる粘膜は、俺の中指と薬指を歓迎するようだった。
外面はあんだけツレねぇ素振りをしておいて、中身は随分と社交的じゃねぇか。
思わずほくそ笑みながら、Gスポットの辺りを刺激していく。
「ん、ふぅ、んっ…………!!」
鼻にかかったようなエロい息が漏れはじめ、シミ一つねぇ白い太腿が蠢く。
周りの連中から生唾を飲み込む音がした。無理もねぇ。俺ですらその脚にゃあ眼が釘付けだ。
じっくりとGスポットを温めてやると、数分もせず、かなりの量の愛液があふれはじめる。
そこそこ開発はされてんのか。そう思った矢先だ。
「んっ…………いい、いいよ…………そう、すけ…………」
和紗の唇から、その喘ぎが発される。その瞬間、俺の頭には血が上った。
そうか。そうだったのか。
この女、よく濡れると思ったら、あのグズに愛撫されてる夢を見て濡らしてやがったのかよ。
こうやって肌と肌で触れ合って、まだアイツかよ。
俺は愛撫を止めた。そして和紗の足首を掴み、正常位の格好を整える。
「お、とうとうブチ込むんすか!?」
「おう。しっかり撮っとけよ」
俺は舎弟の言葉に短く答え、ズボンを脱ぎ捨てた。勃起した俺のモノはデカい。周りで口笛が吹き鳴らされる。
その中で俺は、逸物を掴みつつ和紗の割れ目に宛がった。
愛液を先端に塗りこめ、ゆっくりと挿入する。
「ぐっ」
にゅるりと亀頭が飲み込まれた瞬間、俺は思わず声を上げた。
普段から猿みてぇにセックスしてる俺だが、こんな快感は久々だ。和紗をヤレる興奮で、アレが敏感になっちまってるらしい。
和紗の細い腰を掴みながら、奥へ奥へと入り込ませていく。予想通り締め付けがヤバい。
俺のより2周りは小さぇ壮介のアレしか経験がねぇなら、当たり前だが。
俺と和紗の太腿が奏でる、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、って音が店に響き渡る。
だが壮介のボケは目を覚ます気配がない。目の鼻の先で恋人がヤられてるってのに、気付きもしねぇ。
同じ状況でも、俺なら気付いて間男をブチのめすだろーが、コイツにゃ無理だ。なんせニブいからな。
所詮こんな劣等種にゃあ、和紗は勿体無さすぎる。
「あっ、ああっ…………! お、おっき…………はげしっ、よ…………そ、すけっ…………!!」
息も絶え絶えに喘ぐ和紗。
俺はそんな言葉を聞くたび、いよいよ勃起が強くなっていくのを感じた。ひどく気分がいい。
「そうだ、大きいだろ。いつもよりよ」
俺は喜びを隠せないまま腰を振りたくる。
「今すげぇ絵撮れてますよエージさん。超一流のAV男優と女優みてぇっす」
「バーカ。そりゃ褒めてんのかわかんねーよ」
一人にしっかりと撮らせながら、俺は腰を使い捲った。興奮のせいか全く萎える事がねぇ。
その結果、抜かずの四発になった。あのバカに先を越されたのが癪だったから、四発は全部膣内出しだ。
「ふぅー、ヤッたヤッた…………」
俺は大きく息を吐きながら、気持ち緩くなった膣内から分身を抜き出す。
真っ白い精液が絡みついたアレが抜け出た後、ビラビラからもザーメンが零れていく。
それはあの女を征服した何よりの証拠で、胸がスカッとした。

全部終わった後は、一応和紗のアソコを拭かせ、割烹着を戻してから目が覚めるのを待った。
「………………ん………………」
朝の五時ごろ、ようやく和紗が目を覚ます。
「おっ、目ェ覚めたか。大丈夫?」
俺はすっかり使い慣れた柔和な笑顔で、和紗に呼びかける。
和紗は俺の存在に驚き、頭痛がするのかすぐに目を顰めた。
「水でも飲みなよ。ガンガン飲まされてたみたいだから」
あくまで事情を知らない風を装い、水入りのコップを差し出す。
「あ、ありがとう」
和紗はそれだけ呟き、啜るように水を飲み始めた。
元気のない微妙な態度だ。この女の中では今、色々な情報が錯綜してるんだろう。
石山はどこへ行ったのか。なぜ俺が目の前にいるのか。下腹部の違和感にも気付いてるかもしれねぇ。
だが、俺が犯したとは考えねぇはずだ。なんせ表の顔じゃ、俺は壮介の『親友』なんだから。
疑ってもせいぜい、石山にレイプされた後で俺が駆けつけた、っつう筋書きだろう。
俺ら以外で唯一真相を知る佐野のジジイは、さっきから死んだような目で俯いてやがる。
予め調べといた身内ネタでちょいと脅してやっただけなんだが、臆病者のジジイにゃ効き過ぎたのかもな。

「…………ごめん。ごめんね壮介。私のせいで…………ごめん…………!!」
壮介が目を覚ました後、和紗はヤツに抱きつきながら泣いた。
何が『ごめん』なのか、壮介は解っちゃいねぇだろう。
「平気だよ。和紗が無事で、よかった」
無事でよかった。その間の抜けた言葉に、思わず噴き出しそうになる。
無事じゃねぇんだよ、お前の恋人は。その腹ン中にゃ、俺の遺伝子がたっぷりと入ってんだ。
「しっかし、スゲー奴だよお前は。俺らが助けに来るまで、こんなに粘るなんてよ。さすがは俺の『親友』!」
俺の白々しい褒め言葉に、疑うことを知らない壮介は嬉しそうに笑う。
複雑な表情の和紗がその身体を抱きしめる。

ともかく、これで傷跡は残せた。
種を仕込みはしたものの、この1回こっきりで俺の子が生まれる可能性なんてねぇだろう。
なんせ恋人の壮介とは、毎晩のようにやりまくってんだろうからな。
それならそれでもいい。コッチにゃあ痴態を撮ったビデオがある。
このままあのバカと順当に幸せになりそうなら、あのビデオをネタに脅してやる。
そのつもりだった。
だが、神ってのも中々冗談が好きらしい。
よりにもよって、この時のたった四発が『当たっちまった』んだから…………。



                                  続く
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