大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2015年11月

ジャパニーズ・ハードコア・クイーン

※嘔吐イラマチオを初めとするハードめのSM注意。
 スカトロ(大)はなし。




『ハードコア・クイーン』。
それがAV女優・伊万里 志鶴(いまり しづる)の2つ名だ。
華の女子高生時代、その類稀な美貌を見出されてスカウトを受けたのが、志鶴の芸能生活への第一歩だった。
事務所へ配属されて間もなく、志鶴は人気ドラマの端役としてチラリと映り、たちまち一部で人気を博す。
若干17とは思えぬほど大人びた雰囲気もさることながら、何よりその眼力が人目を惹いた。
猛禽類にすら匹敵するほど、くっ、と鋭く前方を見据える瞳。
志鶴は生来気が強い。中学時代に学友が誘拐されそうになった折、暴漢をハイキックで鎮圧して紙面を飾ったこともあるほどに。
その恐れ知らずな気の強さが、澱みない眼力に表れるのか。
ネット上の記録を見れば、初出演時すでに史鶴を『女王系女子高生』と称していた意見は数多い。
こうした志鶴の人気は、その後冴えない中年刑事を尻に敷く女子高生役を演じた事で、いよいよ国民的なものとなる。
女性中高生からは『憧れる先輩No.1』、男性層からは『見下されて踏まれたい女子高生No.1』などと賛美された。

志鶴はその後もドラマや映画で好演を続け、名実共に国民的女優の一人へと成長する。
この頃になるとCMへの出演も多い。特にシャンプーのCMにおいて、艶やかな黒髪を靡かせながら力強く振り返るシーンは話題になったものだ。
だからこそ、誰もが驚いた。その志鶴が若干20歳の春、突如としてアダルトビデオ業界へと転身したのだから。
ファンはポルノ転身のきっかけについて、直前に主演した映画の影響だと口を揃える。
その映画は、和製ベストセラー小説を映画化したものだった。
女子大生がふとした縁から若手社長と肉体関係を持ちはじめ、その歪んだ性癖を受け止める、という内容。
志鶴は、この映画で大胆なヌードを晒した。
さらにはその瑞々しい肉体を縄打たれ、熱い蝋を浴びせかけられて涙した。
常に全力の演技を求める彼女は、撮影において一切のNGを設けない。それどころか終盤には縄酔いし、4度撮影が中断されたという。
そのクランクアップから間もなくのポルノ転向となれば、確かに役に入り込みすぎたが故と考えるのが自然だろう。
ともあれ、この転身についてファンの意見は二つに分かれた。
力ある銀幕女優が低俗なポルノなどに身をやつして、と否定する層。
あるいは、高校時代からあふれ出ていたフェティシズムを、ようやく遺憾なく発揮できるようになった、と歓喜する層。
新聞や週刊誌の論調は前者で統一されていたが、本音とは判りやすいものだ。
志鶴のAV処女作は、発売後たった一週で、その年のセールス記録を大幅に塗り替えたのだった。



出演へ至る背景が背景だけに、志鶴には初期からハードな責めが課せられた。
デビュー作にしてすでに、拘束された上でクリトリスを責め抜かれ、失禁させられている。
勿論、彼女本来のキャラクターを活かした『女王役』での撮影も行われた。
元より演技派であり、見る者を釘付けにする目力を持つ志鶴だ。
女王役もそれは嵌まり、マゾヒズムを持つ男への責めでも、濃厚なレズビアン行為でも、抜群のカリスマ性を発揮する。
サディズムとマゾヒズム。その両方の性質が交互にクローズアップされる形で、次々とヒット作が生み出されていった。
その中で、志鶴にはある特徴が発見される。
『喉が強い』。
志鶴はどれほど苛烈なディープスロートを受けても、決して嘔吐をしない。
人並みにえづきはする。えづき汁も出る。しかし嘔吐はせず、いつでも頬を膨らませたまま相手を睨み上げて耐え切った。
4本目のビデオ撮影で、ベテラン女優でも9割は吐くとされる国内最大級の逸物をいきなり相手にした時には、流石に危うかったらしい。
しかしそれさえかろうじて耐え切ってみせたし、18本目の撮影で再度組んだ時には、涼しい顔で根元まで咥え込んでリベンジを果たしてみせた。
その喉は撮影を重ねるたびにいよいよ鍛えられ、今では彼女を追い込めるディープスロート自体がない。
大手レーベルで満を持して開かれた、巨根男優40人を集めての“イラマチオ地獄”ですら、鼻歌交じりに完遂されてしまった。
DVDにオマケとして収録されていた前座の女優2人は、これ以上ないほど涙を流しながら、各20回以上は吐瀉物を飛び散らせていたというのに。
27歳にして380本以上のビデオに出演している彼女はすっかり大御所であり、被虐側の役回りは極端に減っている。
それでもなお、彼女こそ日本のBDSM界の極北だという意見が大多数だ。
事実その通りなのだろう。今や日本において、志鶴以上のハードコア女優は存在しない。

日本において、は。

しかし、今はネット社会だ。どんな人間でも簡単に海外サイトにアクセスし、そこに並ぶSM動画を自由に閲覧できる。
海外のSMは日本よりも容赦がない。日本で『過激』と銘打たれる物ですら、その大半は海外でにおけるアベレージにも満たない。
多種多様な拘束具で完全に身動きを封じ、その上で赤く痕がつくほどのスパンキングを加え続ける。
アナルセックスなど挨拶代わりだ。
マシンによる陵辱やフィストファック、果てにはスカルファックさえもが、アナウンサーを思わせる美人女優にも容赦なく施される世界。
ディープスロートひとつを取っても、日本人では有り得ないサイズを根元まで咥え込むインパクトは半端ではない。
無論、それらが可能なのは欧米人女性の恵まれた骨格や筋肉あっての事ではあろう。
しかしそうした本物の地獄を覗き見た者の中には、こう考える者もいる。
『伊万里志鶴レベルでハードコア女優なんて、笑わせる』……と。
この考えに憤ったのは、他ならぬ志鶴本人だ。
極度の負けず嫌いゆえ、日本のレベルが海外に劣るという意見を聞き逃せない。
『他所は他所、ウチはウチ』だと周囲が宥めても聞き入れず、断固アメリカ行きを主張する。
結果、折れた者もあり、また新たなヒットシリーズの匂いを嗅ぎ付けた者もありで、志鶴を中心とした企画が動き出した。
それから間もなく、マイアミに拠点を置くビデオ制作会社『Dirty babe』がこの企画に手を上げる。
アジアン、特に日本人の人気は海外でも非常に高く、上玉の日本人にハードなファックをしたいと常々考えていた。
しかしいざ話が進んでも、希望するプレイ内容を話すと途端に事務所から出演NGが出る。
だから今回の話は、天から財宝の山が降ってきたようだ。
マッシブなDirty babe社窓口担当はそう話し、舌なめずりするように志鶴を眺めた。
新作の予告編として撮影されたこの交渉の中で、志鶴はにこやかに男の握手に応じる。手首ごと覆われるような掌の大きさに臆しもせず。

『日本のSMはぬるい? 自称ハードコアクイーンでも、どうせ本場のプレイには耐え切れない?
 そういう寝言は、これからの映像を見てから言うことね』

志鶴はカメラに向け、挑むような眼でで告げる。屈服するなどとは微塵も考えていないという様子だ。
事実彼女は、常にその眼で結果を残してきた。
主演女優賞を獲った時も。“イラマチオ地獄”に歴代女優で初めて耐え切ってみせた時も、その眼だった。
だからこそ期待が膨らむ。
日本が誇るハードコアクイーンは、果たして世界に通じるのか。何万という人間が、その勝負の行方に着目していた。



借りた女優だからといって、一切容赦はしない。
それがDirty babe社の方針であり、言うまでもなく志鶴はそれを受け入れた。
唯一の例外といえば、日本市場の事を考えてマスカラや濃い口紅は控え、ごく自然な化粧に留めた事か。
その上で撮影用の安価な着物を着せられ、ついに撮影が開始される。

初めはインタビューから始まった。
白いベッドの上で、白人と黒人の男に挟まれて座る志鶴は、自らの経歴を改めて説明させられる。
かつてはドラマ女優であり、映画にも出ていたこと。ひとつのSM映画がきっかけでこの世界に足を踏み入れたこと。
そうした女優の上等さの説明が一通り済んだ所で、両サイドの男が動き出す。
顎に手を添えてキスを迫り、着物の上から乳房や秘部を撫でつつ、着物を肌蹴させていく。
肩が覗き、乳房が覗き……やがては帯だけを残し、白い上半身と太腿がすべて露わになってしまう。
「オーゥ…………」
男2人から、思わずといった様子で溜め息が漏れた。
志鶴は余裕の笑みを浮かべている。無論、その心中は穏やかではない。
彼女は後のプレイをすべて予告されている。この直後には、外人特有の規格外のペニスを咥え込まされる事も。
志鶴の両側で、白人男がスラックスを、黒人男がジーンズを脱ぎ捨てた。
そうして露わになった逸物に、志鶴の口元が引き攣る。
だらりと垂れ下がった白人男のペニスは、志鶴がようやく指の輪で掴める太さと、両の掌で握り込んでもなお亀頭部分が丸々余るだけの長さを兼ね備えていた。
黒人男の物となれば、明らかにそれ以上だ。
日本人では有り得ない未知のサイズを前に、しかし志鶴自身の矜持が退く事を許さない。

志鶴は左右の掌でしっかりと2本のペニスを握り、大きく口を開いて白人男の物を咥え込んだ。
太い幹を手で扱きつつ、口を前後させてたっぷりと唾液を塗す。
そうして準備を整えた後に、少しずつ、少しずつ、長大なペニスを喉奥へと送り込んでいく。
やはり日本人の物とはサイズが違う。亀頭を喉奥まで滑り込ませても、まだそれ以上に奥へ来る。
だがそのサイズに感嘆する一方で、志鶴は密かに安堵していた。
柔らかいのだ。確かに大きさはあるが、喉へ当たると軟質ゴムのごとく素直に折れ曲がってくれる。
 (なんだ、聞いた通りフニャフニャじゃない。これなら、硬い日本人の方がまだ苦しいわ)
そのような事を考えつつ、喉奥で亀頭を扱き立てる。
白人男からまたしても溜め息が漏れる。
志鶴は鼻から笑い声を漏らし、白人の物を吐き出した。そして余裕の笑みを絶やさぬまま顔を逆に向け、黒人男のペニスを咥え込む。
こちらは今より多少大きいが、同じく大したことはないだろう。彼女の頭にはそうした考えがあったに違いない。
実際、黒人のペニスは志鶴に咥え込まれるまで、白人男と同等以上に柔らかく垂れ下がっていたのだ。
志鶴が甘く考えるのも無理はなかった。
しかし。両手で白人男の物を扱きつつ黒人の物を咥え込んでから数秒後、彼女に異変が起きる。

「う゛っ、う゛むっ!?」
その苦しげな声と共に、志鶴は目を見開いた。黒人男の物は、その長さの半分ほどしか喉へ入っていないのに。
黒人が何かを呟きながら志鶴の黒髪を押さえつけ、さらに深い奉仕を強いる。
そこから数度頭が前後した時。
「ぶっは…………!!」
志鶴は眉根を寄せながら逸物を吐き出した。唾液と共に、半分とはいえ相当な長さが口の中から零れだす。
そして、吐き出されたその逸物は…………垂れ下がらなかった。最初の様が嘘のように、黒い釣り竿の如く“しなっている”。
黒人の指がそれを扱きつつ志鶴の唇に押し当てた時、志鶴は目を閉じていた。
そして後頭部を掴む手の動きで奥まで咥え込まされる瞬間、ぐぅぅえっ、と喉奥から声を漏らす。
そこで一旦唾液を散らしながら黒人の物から開放され、すぐに白人の男が腰を突き出した。
しかし、今度は志鶴に余裕がない。白人の物を喉奥深く咥え込みながら、ひくっ、と肩が竦む。
そのまま幾度か小さな声を上げさせられ、次にまた黒人男の番が来る。
今度は後頭部を掴まれたまま、ぐうと一気に半ばほどまでを咥え込まされた。
「ぐ、ぶふっ!!」
志鶴の鼻から咳き込む音が響く。
黒人はその変化を見逃さず、両手でしっかりと志鶴の顔の上下を掴むと、半ばほどまで咥え込ませては一気に引き抜きはじめた。
くぽっ、くぽっ、という音が繰り返される。
「あぁっ……ぷあっ、あぁ……ぁ…………」
強いられる動きが嘔吐感を呼ぶのだろうか。白人の物を扱く志鶴の手が完全に止まった。
ただ黒人の方を睨み上げながら、余裕のない様子で唇を震わせる。
そうした行為を十回ほど繰り返した後に、とうとう黒人男は腰を突き出しつつ、本格的に志鶴の顔を引きつけはじめた。
これまでせいぜい半ばほどしか入り込んでいなかった剛直が、その七割ほどまで志鶴の頬の内に押し入っていく。
これに耐え切れる道理はない。
黒人の手に顎を押さえ込まれる中、志鶴の喉と鎖骨付近に深い筋が入る。
気の強そうな眉が幾度も幾度も顰められ、喉奥からうがいをするような水音が漏れ始める。
それから、三秒後。
「お゛っ!!」
一際低いえづき声と共に、志鶴の肩が跳ね上がり、それと同時に黒人が腰を進めて八割ほどまで怒張を押し込む。
それが駄目押しとなり、志鶴の喉奥はとうとう決壊した。

「んぉ゛おも゛ぉ゛えっ!! おごっ……ほぉぉ゛お゛ええ゛ぇえええ゛っ………………!!!」

かつて出た事もないほど低いえづきと共に、志鶴の唇を黄色い吐瀉物が通り抜けた。
それは怒張が抜かれる動きの中でさらに量を増し、盛大にベッドシーツを汚していく。
ずるりと喉奥から引き抜かれた黒い怒張は、唾液と吐瀉物に塗れながらいよいよ力強く反り立っていた。
よく見ればその表面には太い血管が浮き立っており、初めの頃とはまるで別物だと解る。
それが志鶴を征服した凶器だ。日本のどんな巨根をも制してきた志鶴は、この金棒の如き凶器の前に敗れたのだ。
そして、黄色い唾液を吐きこぼす志鶴にはまだ休息が許されない。
「ヘイ!」
白人男が志鶴の顎を掴み、自らの逸物を咥え込ませる。
興奮により、若干の硬さを有し始めた白い男根。嘔吐直後の志鶴は、こちらにもまた抗しうる術がない。
根元まで咥え込まされてから腰を揺らされれば、お゛ぉ゛、と呻きながらまた吐いてしまうのだった。

「はぁ、はぁ…………はぁ、はあぁっ…………」
顎から胸元、そして太腿までを自らのえづき汁と吐瀉物で汚し、荒い息を吐く志鶴。
胸中には敗北感が渦巻いているだろうが、それでも彼女は猛禽の瞳を崩さない。
マイアミの刺青男達は、その女王然とした気丈さを嬉しがる。
この程度で心を折られては困るのだ。黒人ペニスによる嘔吐など、Dirty babeのビデオにおいては洗礼に過ぎない。
一切容赦はしない――その言葉が表す真の地獄巡りは、これから始まるのだから。





志鶴がレズビアンの受け役を演じるなど、いつ以来のことだろう。
“女王”は今、パイプ椅子に両脚を抱え上げる格好で座らされ、黒人女の手で肛門にホースをねじ込まれていた。
ホースからは冷たい水が早いペースで流れ込んでくる。
「オーライ? ジャパニィーズ」
黒人女は日本人への嘲りの態度を隠そうともしない。
「オーライ」
志鶴はそう答えるしかなかった。しかし口では気丈でいようとも、肛門内は刻一刻と水で満たされていく。
数秒と経たぬうちに水は直腸の容量を超え、ホースの上側から噴き出していく。
それを見た黒人女は、笑いながらホースを引き抜いた。たちまち水が志鶴の肛門からあふれ出す。
かなりの量と勢いだ。肛門から出る瞬間は収束している水流が、先へ行くにつれて縦の帯状に広がっていく。
あらかじめ腸内洗浄は済ませてあるため、内容物はない。しかし、恥は恥だ。
黒人女は大仰に目を剥いてそれを嘲笑った。そして出るものが出た後、平手で志鶴の腿を打ち据える。
凄まじい音が響きわたった。
「んぐっ!!」
志鶴から声が漏れる。
黒人女の手が離された時、白い内腿にははっきりと赤い手形が残っていた。恐ろしく容赦のないスパンキングだ。
しかし、志鶴はその平手を受けながらも黒人女を睨み返す。SMの女王たる者が平手ごときに屈せるか。そう主張するように。
黒人女はその志鶴の態度をいよいよ可笑しがりつつ、再び水の噴き出すホースを肛門へと捻じ込んだ。
志鶴にそのような責めを課すなど、日本の女優であれば誰一人許されない。しかし、ここマイアミに日本の業界事情など通じない。
ホースからは容赦なく水が流れ込み、やがて腸の容量を超えてあふれ出す。
そこでまた水を排出させられ、三度ホースが挿入される。
何度繰り返すのか。志鶴がそう眉を顰めながら内腿に力を込めた。
そのうちにまた水は腸の容量を超え、ホースの合間から噴き出しはじめる。
ところが、今度は黒人女がホースを離さない。当然水は、限界を超えてなお直腸に流れ込み続ける。
「ちょ、ちょっと! もう無理よっ…………!!」
志鶴はそう黒人女を非難するが、黒人女は笑いながら、ノーノー、と繰り返すだけだった。
「あ゛っ……く、くっ…………くぁあ゛…………!!」
足指を強張らせながら、下腹部の圧迫感に耐える志鶴。その額にはじわりと汗が浮いていた。
そこから10秒以上が経過し、とうとう本当の限界が訪れる。
ホースが黒人女の指の中から弾け飛び、次いで怒涛のように水があふれ出す。
腸へ入った量が量だけに、その勢いは前2回の比ではない。次々と大量の奔流が噴き出し、勢いが弱まったかと思えばまた噴き出す。
それを6度ほど繰り返してもなお、志鶴の腸内には違和感が残っていた。
はぁ、はぁと荒い息を吐きながら、志鶴は視線を彷徨わせる。
黒人女はそうした志鶴の内情を察したかのように、二本指を揃えて肛門へと宛がった。そして、ずぐりと突き入れる。
「くぁっ……!」
志鶴が声を上げた。大量排泄の直後で、肛門が敏感になっているせいだ。
黒人女は動じず、慣れた指遣いで志鶴の肛門内を弄くり回す。すると数秒と経たぬうちに、再び水が噴き出しはじめた。
「くっ!!」
志鶴が羞恥に頬を赤らめようと、水は止まらない。
くいくいと指が曲げられ、直後に水が噴き出す。それは肛門からの潮吹きを思わせた。
近年の志鶴が女王然とした顔で若手女優に施している、潮吹き。それを逆にやられているのだ。
1分、また1分と時間が進むにつれ、志鶴の表情は歪んでいく。
しかし水が止まらない。黒人女の指遣いが、あまりにも手馴れすぎている。

さらに、恥辱はこれで終わりではなかった。
ようやくすべての水が掻き出された頃、黒人女が赤いペニスバンドを装着する。
そして荒い息を吐く志鶴の肛門へと、深く挿入を果たしたのだ。
「あ、あ!!」
志鶴は声を上げた。ハードコア女優として、アナルセックスなど星の数ほど経験してきた彼女が。
それほどに黒人女の指によって、肛門内の何かが開発されていたのだろうか。
両の膝裏を掴まれ、赤い擬似ペニスでずぐりずぐりと肛門を抉られる最中、志鶴は顎を引きながら悩ましげに黒髪を乱し続けた。
そして、交わりからわずか5分後。
「いやぁああっ!!!」
志鶴はその叫びと共に、今度は本物の潮吹きへと至らしめられる。
多量の水分が腸から吸収され、膀胱付近から排出されたのか。あるいは単に極感ゆえか。
いずれにせよ、くっぱりと開ききった秘裂の上部から体液を飛沫かされたのは事実だ。
「アハハハッ!!」
黒人女は大口を開けて笑いながら、上体を倒して志鶴の額にキスをする。さらに汗ばんだ黒髪を撫でてもみせる。
女王が奴隷に対してそうするように。
「く、うくっ…………!!」
志鶴の奥歯が噛み鳴らされた。彼女の女王としての尊厳が、またひとつ削り取られてしまったらしい。





「くぁああああっっ!!!!」
志鶴の悲鳴が、薄暗い撮影現場に響き渡った。
彼女はまさに今、肛門に極太のフックを掛けられて吊り下げられたところだ。
かろうじて地に着く脚がびぃんと張る。銀幕の舞台で何人もの視線を釘付けにした素晴らしい脚が。
両手は後ろ手の縄で縛められているため、彼女はその脚のみでバランスを取るしかない。
「ヘイ、ジャパニーズ」
野太い声に続き、黒人男の手の平でスパンキングラケットが鋭い音を立てた。
そしてラケットは志鶴の尻肉に宛がわれ、なお一層の音を響かせる。
「ぁああっ!!」
志鶴の脚がガクガクと震えた。ラケットが離されれば、打たれたところが赤く腫れているのが判る。
スパンキングという一点を取っても、日本でのものとはまるで厳しさが違う。
「ああっ、くあっ!! くぅううあっ!!」
痛烈なスパンキングはさらに続き、鋭い音と悲鳴をライトの元に繰り返させた。
打たれる痛みもひどいが、その痛みで身を捩らせることにより、フックで吊られた肛門がギリギリと縦に拡がるのがまたつらい。
やがて志鶴のキリリとした瞳から涙が一筋零れた頃、ようやくにしてスパンキングの時間は終わる。
しかし、苦しみから解放される訳ではない。
黒いスパンキングラケットに代わり、見るからに強力そうなニップルクリップが志鶴の両の乳房へと近づいていく。
それは男の太い指で存分に拡げられた後、屹立した乳頭へとかぶりついた。
「ふっぎゃああっ!!」
未だかつて、志鶴は乳房責めでこれほどに間の抜けた悲鳴を上げた事はない。
堪えられる悲鳴ならば堪えるという信条の彼女は、初めてワニクリップで乳房を潰された撮影でも、唇を噛んで静かに耐えた。
その彼女が反射的に叫んでしまうほど、今回のクリップは強烈だった。
乳首はほぼ原型を留めておらず、波打つ形のクリップの間で見事に挟み潰されてしまっている。
当然、痛みも尋常ではない。
志鶴は噛み合わせた歯の間ですーっと空気を吸っては、歯を開いて切なく呻く、という事を繰り返さざるをえなかった。
鼓動は早鐘のように早まり、髪の付け根すべてから脂汗が滲み出した。
その志鶴へ、さらに一人の男が近づく。
大きなその手が握るのは、銀色の開口具。それは慣れた手つきで志鶴の口へ嵌め込まれ、奥の歯までをカメラに晒した。
「アア゛……っ!!」
志鶴の舌が蠢き、喉奥から呻きが漏れる。目には焦りが見えた。必死の悲鳴を自由な口の形で上げられないのは、それだけで多分なストレスだ。
勿論、彼女を取り囲む外人達はそれを知った上で口枷を課したのだろう。
震える志鶴の白い身体を、男達はしばし観察していた。そして志鶴の瞳がようやく落ち着きを取り戻した頃、一人が口を開く。
「 To next stage …… 」
その言葉を、志鶴は確かに聞いた。そしてその意味を理解するより早く、右の太腿が抱え上げられる。
そして、クリトリスの側面に鋭い何かが宛がわれ――――貫かれた。
「あっがぁああアアア゛ア゛ア゛っ!!!!!」
絶叫。
まさにそれだ。
喉奥から開口具の外へ有らん限りの声を吐き出し、天井のライトを仰ぐ。
背は海老のように反り、左脚は肛門の痛みを無視して宙に浮く。
その直後に失禁が起こり、内腿を湯気が立つほど熱い流れが覆い尽くしていく。
アンモニアの匂いが鼻腔をくすぐる。
「はーっ、はあーーっ……はーっ、はーーっ…………」
下卑た笑い声に囲まれる中、志鶴はただ身を震わせ、口枷から荒い呼吸を繰り返す。
その瞳は半ば閉じたまま、はらはらと涙を溢すばかりだった。

ハードな撮影は続く。
志鶴はある時は檻のようなものに身体を拘束されたまま、ファッキングマシンの餌食となった。
日本のドリルバイブには確かに潮を噴かされたが、気が狂うほどではなかった。海外の物も大差はないだろう。
撮影前のそうした予測は見事に裏切られ、最新鋭機の力強いストロークと絶妙な振動により、志鶴は実に50分に渡って悲鳴と愛液を散らせ続ける事となった。

撮影開始から2時間30分後の幕間さえ、志鶴にとっては地獄だった。
ベッドの上に仰臥したまま、縁から首だけを垂らし、そこへ黒人がイラマチオを仕掛ける。
冒頭で見つかった明確な弱点を、志鶴が疲弊している今改めて突こうというわけだ。
「んごぉおおおえ゛っ、ほごぉおおええ゛え゛っっ…………!!!」
一度耐えられなかったものが、ここで都合よく克服できる道理もない。
志鶴は幾度となくえづき上げ、場面転換の合間に飲まされた牛乳を吐きこぼす。
銀幕女優らしく整った顔立ちが、黒髪が、逆向いたまま白濁に塗れていく。
黒人は大きな手で志鶴の顎を押さえつけたまま、深々と喉奥へ逸物を送り込み続けた。
どうやら怒張を根元まで咥え込ませる事を目標としているらしい。
数え切れないほどのえづきと抽迭を経て、黒い怒張は少しずつ深い部分までが唾液で濡れ光っていく。
そして約10分後、ついに怒張は睾丸の縁までが志鶴の口内へと入り込んだ。
勿論それを抜き出す時には、志鶴の両脚は激しく暴れ、うがいのような音と共に盛大な嘔吐が起こったが。





大きくMの字に足を開いたまま、両の肘と膝に取り付けられた拘束具で天井から吊るされる。
それが志鶴の今の格好だ。
その肉体は、まるで拷問を受けたように傷つき果てていた。
優美な背中を覆い隠すように笞打ち痕が走り。
根元から絞り上げられた乳房には無数の針が刺し通され。
尿道はそのまま女の小指が入る直径にまで拡張されている。
その上で、彼女の膣と肛門からは黒い突起が頭を覗かせていた。
機械からケーブルで繋がれた電極だ。それは志鶴の二穴の奥深くにまで入り込み、先ほどから幾度となく電気責めを加えていた。
「はぐぅああああ゛あ゛っ!!!」
今またスイッチが入れられ、志鶴の腰が跳ね上がった。引き締まった尻肉は細かに痙攣したまま、悩ましく宙を揺れる。
その最中、本格的な一本鞭が脇腹へと叩きつけられた。
「う゛っ!!」
肉の爆ぜる音と共に、また一本の赤い筋が刻み込まれる。
こうした責めがどれだけ続いている事だろう。責めそのものも容赦が無いが、何より終わりがないのがつらい。
「あ゛-……っ、あああ゛ーーっ…………」
電流が途切れてからも、虚ろな瞳で涎を垂らしながら何かを呻く志鶴。
実に4時間以上に渡り、彼女は彼女の中の芯を削り取られてきた。もはや限界なのだ。
長きに渡って志鶴を見守ってきた男達は、その事実に気付いている。
ゆえに彼らは、電圧のつまみを目一杯に上げた。直後、志鶴の腰がかつてないほど高く跳ねた。

「  おおおお゛おお゛ぉオオっっっ!!!!!  」

およそ女性が出すものとは思えない、低い呻き。それが美しい志鶴の顔から迸る。
男達は、ある者は手を叩き、ある者は指笛を鳴らしてその反応を喜んだ。
狂乱の中、志鶴の秘裂から大量の飛沫が噴き上がる。それは尻肉を伝い、床に次々と湿った音を立てた。
「あああ…………あぁあああ…………」
ほとんど白目を剥いている志鶴に男達が歩み寄り、二穴の電極を一本ずつ引き抜いていく。
黒人のペニス並に太く長い電極。それが抜き出された穴は、前後共にぽっかりと口を開ききっていた。
電極に拡張されたというよりは、電気責めで筋肉が弛緩しきっている状態なのだろう。
果てる所まで果てたという様子のその肛門に、男の一人が5本指を宛がう。
そして強引に中に潜り込ませ、ついには手首そのものを緩んだ穴の中に押し込み始めた。
「……か、アっ!?」
志鶴はそれで気付けがなされたように視線を彷徨わせる。
その様子を見上げながら、もう一人が膣へと手を宛がった。勿論容赦はなく、指を丸めながら奥へと押し込んでいく。
志鶴の足指が折れ曲がり、天井からの鎖を騒がしく揺らした。
「ぐあぁあああっ!! やめてえっ、もうやめてぇえええ゛っ!!!!!」
黒髪を振り乱して泣き叫ぶ志鶴。歯をむき出しにしてそれを笑う男達。
まさに屈服という言葉しか浮かばない情景だ。

『日本のSMはぬるい? 自称ハードコアクイーンでも、どうせ本場のプレイには耐え切れない?
 そういう寝言は、これからの映像を見てから言うことね』

後日実際に発売されたビデオでは、この光景の合間合間に、かつての志鶴のインタビュー映像が細かに挿入されている。
自信に満ち溢れた女王の顔と、その自信を打ち砕かれた牝の顔。それが交互に現れるのだ。
まったくもって悪趣味に過ぎる編集といえた。


この一本を最後に、志鶴は日本のアダルトビデオ業界から姿を消す。
Dirty babe社製の洋物ポルノには何作かで姿が確認されているものの、ここ数年はそれすらもない。
しかし噂によると、近年海外の動画アップロードサイトにおいて、目を疑うほど美しい日本人の被虐映像がよく見られるという。
相当な適性がなければ直視すら憚られるほどのハードファックだ。
黒人達からシズルと呼ばれるその女性は、間違いなく世界屈指のハードコアを一身に受け続ける。
『ハードコア・クイーン』。
並み居る欧米女性を抑え、この日本人が真にそう称されるのも、案外遠い話ではないかもしれない……。



                                      終

聖なる太陽

※健気なヒロインが理不尽な目に遭うお話。
そこそこダークな展開の上、機械姦やレズ、浣腸、嘔吐イラマチオなど結構ハードなのでご注意。



紫庭興国の宮殿が陥落したという報せは、全世界に衝撃を齎した。
紫庭興国は宗教国家だ。『聖巳(ひじりみ)』と呼ばれる巫女を太陽の化身として崇めつつ、国民同士が助け合いながら生活を送っている。
その特異な宗教観から生み出された様々な風俗は、諸外国を魅了して止まない。
さらには資源大国という側面もあり、東部貿易の要でもある。
ゆえに、各国が無言の内に紫庭興国への侵略を牽制しあっているのが実情だ。
もしもある一国がその禁を破ろうものなら、その行為こそが次の大戦の引き金となるだろう……そう熱弁する学者さえいた。
事実、機械による文化革命が起きて以来百年、表立って興国を侵略した国は一つとしてない。
しかし、その鉄の掟はこの度見事に破られる。
紫庭興国はその中枢を破壊しつくされ、その行為を各国は黙認した。侵略側であるトゥルグアが、紫庭興国の姉妹も同然の国だったからだ。

トゥルグアは元々、紫庭興国を追われた者が作った集落だった。よって住民の多くは『聖巳』に良い感情を持っていない。
ある者は宗教国家という構造を前時代的であるとし、ある者は太陽の化身たる『聖巳』そのものを嫌う。
彼らは興国の財産――物資や技術、そして人を諸外国に売り払い、その見返りに外資を得た。
そうした交流の中で近代的な文明を取り入れ、興国文化と組み合わせて独自の世界観をも獲得する。
とはいえ、その規模は1500年の歴史を持つ紫庭興国には及ばない。あくまで興国にほど近い自治区だ。誰もがそう思っていた。
蜂起したトゥルグア軍が、想定を遥かに上回る軍事力でもって紫庭興国を蹂躙し尽くすまでは。





部屋の中は薄暗かった。
紫庭興国特有の床材である『畳』が一面に敷き詰められ、その果てでは『障子』と呼ばれる遮蔽物が薄らと夕日を取り入れる。
それらの丁度中心部に仰臥する娘こそ、紫庭興国の象徴たる第三十二代目の聖巳(ひじりみ)――沙羅だ。
仰臥とはいえ、眠っているわけではない。
娘は胸まで引きつけた両脚を自ら抱え込む格好で、その裸体を衆目に晒していた。
腰まで伸ばされた、織物のごとく上質な黒髪。ツヤもハリも申し分ない桜色の肌。
全体の印象は華奢でありながら、出るべき所は出たメリハリのある体型。
見目だけでも育ちの良さの窺える娘だけに、あられもない格好がいよいよ異常に映る。
その沙羅を、数人の女達が見下ろしていた。
黄褐色の肌や腰の高さは沙羅に比較的近い。恐らくはトゥルグア人だろう。
彼女らは皆一様に婀娜な雰囲気を纏い、口元に冷笑を湛えている。紫庭興国の象徴たる沙羅を蔑むように。

「どうかしら、聖巳(ひじりみ)さま。丸々4時間、休むこともなく焦らされ続けた感想は?」
女の一人が、舐めるような口調で囁いた。
彼女の細い二本指は、先刻から沙羅の薄い茂みの奥で踊り続けている。
同性ゆえに弱みを知り尽くしているのだろう。指が蠢くたび、桜色の秘裂からはぐちゅりと水音が漏れ、優美な沙羅の両脚が強張った。
「…………此の程度、何ほどの事でもありません」
沙羅は普段通りの落ち着き払った口調で告げる。
しかしながら、無理をしているのは明らかだ。
彼女の全身は、その髪の生え際から鎖骨、腹部、太腿に至るまでが汗で濡れ光っている。
秘裂の下の畳もすっかり変色しており、相当量の愛液が染みこんだ事を物語っていた。
責め手の女――玉蓉は、あくまで矜持を保たんとする沙羅に笑みを深める。
「ふふ。世間知らずな小娘のくせに、相変わらず強情なこと。
 こっちはどう責めればお前が昂ぶって、どう緩めれば絶頂の芯を外せるか、もう全部わかってるのに。
 そうだ。またあれ、やってあげましょうか。クリトリスと裏Gスポットの同時責め…………お前、あれに弱いものねぇ。
 三日前に出たすごい声、今でも耳に残ってるわよ」
玉蓉は言葉責めを加えつつ、沙羅の膣内で指の向きを変えた。沙羅の白い太腿がみちりと強張る。
「今日だって、昼間から少なくとも60回はイきかけてるでしょう?
 イきそうになると膣内(なか)がヒクヒクしてくるし、呼吸も浅く速くなるから、すぐ判るのよね」
秘裂から指が抜かれた。細く揃えた二本指には、沙羅自身の愛液が纏いついている。
興国において太陽の化身として崇められる娘も、所詮は生身の人間に過ぎないという証が。
「ホラご覧になって聖巳さま、こーんなに真っ白」
玉蓉はその指先を、躊躇なく沙羅の鼻先へと近づけた。
沙羅の柳眉が顰められるも、玉蓉はさらに指を押し進め、唇に触れさせる。
「聖巳である貴女の子宮から出た本気汁よ。この一滴に、一体どれほどの価値があるのかしら。滴っちゃ、勿体ないわよねぇ?」
玉蓉の含みを持たせた物言いを受け、観念したように沙羅の唇が開かれた。
そして自らの愛液をたっぷりと纏いつかせた玉蓉の指を、丹念に舐めしゃぶりはじめる。
「あらあら、美味しそうにしゃぶっちゃって。よっぽど喉が渇いてたのね。だったら、もっとあまい“蜜”をあげるわ」
玉蓉がそう囁きかけた瞬間、沙羅の瞳に動揺の色が浮かんだ。
そしてその後方では、醜悪な笑みを浮かべた女達が、コップから注射器で透明な液を吸い上げている。
どれほど鈍感な人間であろうと、容易に感じ取れるほどの悪意をもって。

「さぁ、聖巳さま。御手を」
女が注射器を構えながら沙羅に命じる。
沙羅は静かにその瞳を見返しながら、右腕を差し出した。すらりとしたその腕は微かに震えている。
彼女は知っていた。針が肘の内側へ打ち込まれた後は、決まって異常なまでの多幸感が全身を支配するのだと。
外の風や衣擦れの音さえ聞き分けられるほどに神経が研ぎ澄まされ、目に映るすべてが蝋燭の灯のように輝いて見えはじめる。
「う゛っ、く、ぁっ!…………あぐぐっ…………いィぎっ、あぐぐぐふうぅぅうっっっ!!!」
投与から数秒後。沙羅はここ数日常にそうであったように、全身を激しく痙攣させはじめた。
椀を伏せたような円錐型の両乳房が波を打つ。
「始まったわ!」
無論、女達はそれを読んでおり、手際の良い連携で沙羅を押さえ込む。
「あ゛ーーっ、っああ゛あ゛ーーーっっ!!!」
それでも沙羅は止まらない。押さえ込む3人を浮かせるほどの力でのた打ち回る。
「うわっ、と! アハハッ、白目白目。元の造りが嫌味なくらい良いだけに、何度見てもインパクト凄いわ」
「効くのに時間はかかったけど、その分いい感じに中毒になってきてるね」
「ええ。濃いのを短期間でキめさせるより、薄いのを繰り返し打った方が効くみたい」
どこかから声が聴こえた。
そう、完全に中毒だ。この薬はここ一ヶ月あまり、何度となく沙羅に投与されている。
当初こそ発汗を促進する程度だったものの、摂取を繰り返した今は劇物にも等しい。
痙攣が治まる頃、沙羅の瞳は眠りに落ちる寸前のように蕩け、唇は半開きのまま涎を垂らす。
当然、その表情は女達のいい笑いものになった。しかし恥じて持ち直そうにも、頬より下の筋肉が弛緩して動かない。
「ああ良い表情。トローンとしてるけど、神経だけは極限まで研ぎ澄まされてるのよね」
玉蓉はそう言いながら沙羅の頬に触れた。
「ひっ……!!」
沙羅の肩が跳ねる。今の彼女は、人の掌の熱でさえ、沸騰した湯のように感じてしまうのだ。

「ふふっ。それじゃあ聖巳さま。先の愛撫でも“何程の事もなかった”そうですから、もっともっと続けましょうか。
 とはいえ、その状態でいきなり女の部分に触れては心臓がびっくりするでしょうから…………まずは外堀から参りますわ」
玉蓉がそう言うと同時に、女の一人がシルク製のショーツを沙羅の足首へと通していく。
「ふぅ………んっ………!」
ショーツの2つの輪が脛を、膝を、腿を撫で、娘の研ぎ澄まされた性感をくすぐった。
果てには股布が恥じらいの場所に触れただけで、蛍火のようなかすかな絶頂感が脳裏を過ぎる。
沙羅は異常すぎるその感度に喉を鳴らした。
「さぁ、では後半の儀と参りましょう。いつものように、汗まみれ汁まみれで可憐に舞ってくださいまし。
 太陽の巫女さまだけあって人ならぬ動きをなさると、私ども調教師の間で評判ですのよ」
玉蓉の声。数人の女の含み笑い。それを沙羅の脳裏が意識した直後には、彼女は繊毛地獄の中にいた。
極度の興奮により膨らんだ乳房を丹念に揉み上げられ、
脇腹を撫でられ、
万歳の格好を取らされた挙句に脇を舐められる。
全身が性感帯も同然の沙羅には、それら一つ一つが無数の羽毛で撫で回される責めに等しい。
「うぅう、っく………………!!!」
下から抱えあげるように太腿裏を撫でられた時、沙羅は強く奥歯を噛みしめた。そうしなければ、ひどく情けない声が漏れただろう。
叶うならば両脚も閉じ合わせたい。秘所には触れられぬままに、また新たな愛液が溢れたのが自覚できたから。
「あら、どうかしたのヒジリミさま? またオカシクなりそうなの?」
執拗に太腿をさする一人が、沙羅の耳元に息を吹きかける。無論、それによって沙羅が妖しい反応を見せると知ってのことだ。
「…………はっ……はぁっ………………わ、わたくしが自我を失う事など、有り得ません」
極限状態にありながらも、沙羅は毅然とした態度で告げた。
肌艶や面立ちは歳相応でありながら、その矜持は凡百の大人を遥か凌駕する。
生まれ落ちてより16年と半月、ただ一日の例外もなく、『国の象徴たるべし』として生きてきたが故だ。
しかしそうした誇り高さは、かえって玉蓉達の嗜虐心を煽るらしい。
「そう、流石ですわ。まだまだ夜の営みまでには時間がありますもの。それまで、どうぞたっぷりとお興じくださいまし。
 ああそうそう。いくらお興じとはいえ、昨日のようにお小水を撒き散らすのはお控えください。
 毎日なさっておいでなのですから御承知でしょうが……漏らしたものは、最後に這いつくばって一滴残らず啜って頂きますから」
嘲りを含んだ玉蓉の言葉に、沙羅の唇が引き結ばれる。



玉蓉を始めとするトゥルグアの逆賊達は、あくまで沙羅の――否、『聖巳』の権威失墜を目的としているらしい。
紫庭興国が長きに渡って大国足りえ、かつ他国から一目置かれるほどの結束を誇るのは、偏に『聖巳』信仰あっての事だ。
その拠り所である『聖巳』が所詮ただの人間に過ぎないと思われた時にこそ、興国は真の意味で崩壊する。
そうした思惑から、玉蓉達は沙羅という年若い小娘一人に格別な執着を見せるのだ。
事実、紫庭興国が完全に制圧された日より2週間の間、囚われた沙羅には徹底的な恥辱責めが加えられている。

首都陥落の翌日、沙羅は首輪と手枷を嵌めたまま広場に連れ出され、数万の興国民の見守る中で祈祷衣を引き裂かれた。
ちょうど熟れ始めたばかりの初々しい肉体が、民へと晒される。
紫庭興国において、『聖巳』はまさしく太陽だ。
過去1500年以上に渡り、興国では『聖巳』の姿をじかに見てはならないとされてきた。
年に一度か二度、祝事の際に遠くから宮中の尊顔を拝し、あわよくばその鷹揚とした喋りを聴く――そうした現実とは隔たりのある存在だった。
なればこそ、この時の興国民の衝撃は筆舌に尽くしがたい。
年若い興国民の中には、思わず下半身を膨らませる者もいたようだ。
一方で老齢の民ほど嘆きは深く、もはやこれまでと自決を試みる者さえ現れる始末だった。
しかし当の沙羅は落ち着き払ったまま、普段通りの口調で、絶望する必要はないこと、いつか再興の日が来るであろう事を説いたという。
その言葉に勇気付けられ、結果として何人もの国民が命を救われた。
一糸纏わぬ無垢な姿で堂々と語る様はむしろ神々しく、改めて信仰を深める者も多かった。
激昂したトゥルグア兵が沙羅を張り倒し、一堂を夢から引き戻すまでは。

『いつまでも下らん幻想に縋りおって。そんな貴様等に、現実というものを教えてやる!!』

野太いその叫びが全ての始まりだった。
沙羅は、数人の兵士の手で石畳に組み伏せられたまま、その場で純潔を散らされた。
太陽の加護も、巫女の祝福もそこには無く、当たり前のように男の剛直が突き入れられて鮮血を滴らせる。
破瓜の瞬間、沙羅の悲鳴は確認されていない。しかし意地の悪い兵士が俯く沙羅の髪を掴み上げると、そこにも“当然”があった。
額に汗を滲ませて歯を食い縛り、左の目頭から大粒の涙を溢す、生々しいヒトの表情が。
それから沙羅は、目を見開いて立ち尽くす興国民の前で、延々と輪姦され続けた。
新雪のような肌は石畳に擦れて無数の擦り傷を作り、かつて桜の花びらほどにしか開いた事のなかった口は、赤黒い男の性器にこじ開けられる。
特に決定的だったのは、輪姦の順番待ちをもどかしがった男が、強引に沙羅の腕を捻り上げた時だ。
『グッッあ゛!!!』
突然の事に加え、スジでも痛めたのだろうか。沙羅の口からは、間違いなくそうした呻きが漏れた。
およそ高貴な身分の娘が発するには似つかわしくない、低く濁った呻きが。
トゥルグアの兵は皆これを大仰に笑い物にし、逆に紫庭興国の民は一様に顔を顰める。
それは支配層と被支配層が逆転した様子として、あまりにも象徴的な光景だった。

広場中央へ設置された杭に手錠で繋がれ、手の空いたトゥルグア兵から慰み者とされる日々。
それがようやく落ち着いた頃、沙羅には新たな恥辱が与えられた。
強烈な浣腸を施したまま風船式のアヌス栓を嵌め込まれ、広場に放置されたのだ。
刻一刻と便意は高まっていくものの、腸内で膨らみきったアヌス栓が無慈悲にも排泄を妨げる。
食事・睡眠・排泄。これら根源的欲求を妨げられると、人間は脆い。
全てを投げ出してでも楽になりたい、そう考えてしまう。高貴な身分の人間とて例外なく。
『ツラそうだなぁオイ。楽になりたきゃ、惨めったらしくおねだりしてみろよ』
監視役の兵士達は、分刻みで脂汗に塗れていく沙羅を見下ろして嘲った。
しかし、沙羅は断固としてその要求を呑まない。排泄の許可を乞う自分の姿が、どれだけ民を落胆させるかと考えた末のことだろう。
沙羅は限界を超えた便意に苛まれながら悶え、顔から血の気を失せさせ、やがて口の端から泡を噴き溢しながら気を失った。
気絶のたびに桶の水を掛けられては意識を取り戻し、また数分後に失神する。
それを幾度も繰り返した末、ついにはトゥルグア側の上官が見かねて排泄の許可を出したほどだ。
最後の最後まで、沙羅が責めに屈することはなかった。
それでも最後は両の足首を掴み上げられ、この上ない恥を晒すこととなったのだから、何とも慈悲のない話だ。



このような恥辱は肛門に限った話ではない。
沙羅も所詮は人間である事を誇示するかの如く、執拗に粘膜という粘膜が責められた。
鍛えようのない粘膜を責められれば、どんな人間であれ素を晒すしかないからだ。
カテーテルを挿入して限界まで溜め込んだ尿を排出させたり。
可憐な容姿に嫉妬した女達を集め、鼻腔と口を指や道具で出鱈目に拡げさせたり。
ひどいものでは拘束衣と開口具を付けたまま、20人を超える浮浪者と共に地下室へ閉じ込めた事さえあった。
男達は皆が極限まで女に飢えていたが、南京錠付きの拘束衣のせいで二穴は使えない。よって沙羅の口を性欲処理に用いるしかない。
哀れなのは沙羅だ。フェラチオの経験も碌にないまま、強制的に喉奥を『用いられる』。それに平然としていられる筈もない。
『んも゛ぉぉ゛おお゛え゛っ、ごォおおえ゛ア゛ッッ!! ごえっ、おも゛っ……ほおお゛ぉえ゛っ! がはっ…げぇォっ、ごぼっ……!!』
それまで宮中で出したこともない――本来であれば一生縁がなかった筈の汚いえづき声を上げ。
喉奥から常にうがいをするような水音を立て。
固く瞑った目から大粒の涙を溢し。
恐怖と苦しさから拘束衣の中で失禁し。
挙句には耐え切れず大量に嘔吐する段階になっても、浮浪者達から下卑た笑みは消えなかった。
ただ己の欲望を満たさんがために、初々しい喉奥へ赤黒い陰茎を捻り込む。
相手が崩れ落ちれば長い黒髪を掴んで引き起こし、眠ろうとしていれば石壁や床に後頭部をつけさせての喉奥虐めで覚醒させる。
それが三日三晩繰り返されたのだ。

しかし。こうした恥辱責めをいくら繰り返そうと、紫庭興国の民は沙羅に同情的な反応を見せるばかりだった。
崇め方が『太陽の化身』から『受難の聖女』へと変わっただけで、依然信仰は揺るがない。
そのためトゥルグア側は、協議の末に方針を変えた。
公開処刑も同然の恥辱責めから、一介の新米娼婦としての調教へと。
古いあばら家で、龍の刺青の男2人から手取り足取り娼婦の技を仕込まれる日々。
オーソドックスなフェラチオから、玉舐め、アナル舐め。
コンドームの装着方法に、騎乗位での腰の遣い方、そして緊縛やアナルセックスに始まるアブノーマルプレイ。
気の遠くなるほどの実践を経て、それらが徹底的に沙羅に仕込まれていく。
これが功を奏し、紫庭興国はたちまち阿鼻叫喚に包まれた。
どこか非日常的である恥辱責めに比べ、セックスというものはあまりに身近で、生々しすぎる。
『聖巳』を人ならぬものとして代々信奉してきた興国民にしてみれば、そのような扱いは辛抱堪らないのだろう。

国の事情に翻弄される沙羅は、毎日のように、トゥルグア風の売春宿で敵国の客を取らされた。
独特の香が焚かれる中、信心の欠片もない男に身体中を舐め回され、欲望の赴くままに犯される。
屈辱的なその性交の最中、沙羅は次第に絶頂へ至るようになっていった。
無理もない。何しろ週40時間以上に渡り、同性による性感開発を受けているのだから。
時には乳頭と陰核を中心に、女の指と口で延々と絶頂の味を覚えこまされる。
時には数時間、膣のごく浅い部分だけを刺激して生殺しの状態にされる。
それらを経た上で男を迎え入れれば、たとえ青い果実といえど、絶頂を拒みきれるものではない。



今日も沙羅は客を取る。
引き戸を開けて姿を現したのは、どんな女でも生理的に嫌悪するであろう男だ。
伸び放題で脂ぎった髪、無精髭、たるんだ下腹。死んだ魚のような目に、強烈な異臭……。
まともな売春宿であれば、不衛生さを理由に門前払いされるだろう。
しかし、沙羅はこの最底辺の客を拒めない。もしも客相手に抵抗や拒絶をすれば、そのたび興国民が不幸な目に遭うと脅されているからだ。
「宜しく お願い致します……」
沙羅は極上の身に粗末なネグリジェを纏い、三つ指をついて男を迎える。
「へッ、近くで見るとマジで良い女じゃねえか。噂通り鳥肌モンだぜ。よっぽど良いモン食って、大事にされてきたんだろうなァ。
 こんな上玉で童貞捨てられるたぁ、人生解らねぇもんだぜ」
男は醜悪な笑みを浮かべながら服を脱ぎ捨てる。
露わになるのは、すでに七分ほど勃ち上がった男根だ。経験の乏しそうな男ながら、性器のサイズは人並みの域を外れている。
そしてその雁首近くには、べっとりと白い恥垢が纏わりついていた。
「おお、こりゃまたすげぇカスになってやがる。今日のこと考えると待ちきれなくてよォ、何日か前から一人でしまくってたのよ。
 お前ェが娼婦として躾けられてる頃の映像見返したりしてな。
 要は、こうなっちまったのもお前ェのせいって訳だ。だから、まずはコイツを綺麗にしろ。愛情込めてだぜ」
男はそう言いながら、怒張の先で沙羅の頬を叩いた。
「…………承知致しました」
たとえ噎せかえるような悪臭の持ち主であっても、傍若無人な客であっても、沙羅に一切の拒否権はない。

「失礼致します」
命ぜられるままに大きく唇を開く沙羅。この光景は室内のカメラ数台から撮られ、広場の巨大モニターに中継されている。
沙羅が男の物を咥え込む瞬間には、何人もの興国民から悲鳴が上がることだろう。
唾液を塗しながら白い横顔が前後すれば、その声はいよいよ悲壮さを増すだろう。
それでも、沙羅はやらねばならない。細く白い指で怒張を握り、仕込まれた技術を用いて男に奉仕する。
肉茎へ丹念に舌を這わせ、亀頭を舐め回し、鈴口を舌先でくすぐり、毛の生え茂った睾丸を口に含んで唾液を塗し。
「おお、ほっぉ……! ククッ、大人しそうな顔してるくせに上手ェもんだ。チンポがどろどろに熔けちまいそうだぜ。
 このまんまでも最高だが、せっかくの機会だからよ、もっと奥まで咥え込んでくれや!」
男は声を上ずらせつつ、絹のような沙羅の黒髪に指を絡めた。そして自分の腰へと、強引に後頭部を引きつける。
「ぐも…ぉ…う…………っ」
沙羅は慣れた様子で食道へと怒張を送り込みながら、姿勢をやや前傾に変えた。
よく見れば、その膝立ちになった素晴らしい太腿が震えているのが解る。
イラマチオの苦しさゆえ、ではない。玉蓉達による6時間あまりの焦らし責めで、直立すら困難なほどに腰が抜けているせいだ。
しかし性経験の乏しい男は、その反応を自分の都合よく解釈したらしい。
「何だ、モゾモゾしやがって。まさかお前、濡らしてんのか?」
男は腰を落とし、沙羅の秘裂へと手を伸ばす。そして、歓喜した。
「オイオイオイ何だよお前、もうグショグショじゃねぇか! 俺のを舐めてるだけでこんなにしやがって、噂以上の淫売だな!!」
そう喚きながら沙羅の脚を開かせ、しとどな愛液で濡れ光る粘膜をカメラに晒す。
沙羅の顔が強張った。広場のモニターでは今、彼女の性器の映像が大写しになっているだろう。
毎日セックスを晒しているとはいえ、女の部分を見られるのはやはりつらい。

男の手が尻肉を揉みしだくと、それだけで沙羅の腰が震えた。男の笑みが深まる。
「へへへっ。最高だぜお前、どんだけ男を惑わすカラダしてんだ。肌はキレーだし、プリップリだしよぉ。
 こう誘われちゃ我慢の限界だ。脱げよ、この宝石みてぇな割れ目に太いのをくれてやらぁ!」
「…………はい」
沙羅は命ぜられるがままにネグリジェをたくし上げた。
従う以外にないのだ。たとえ膣奥が病的に疼き、今挿入されては危険だと脳が警鐘を鳴らそうとも。
蜂蜜色の灯りの下、程よい膨らみのツンとした美乳と、白磁の肌が露わになる。
男の鼻息がいよいよ獣じみていく。
「ぶち込むぞ! どうせ避妊薬は飲んでるんだろ、ナマで構わねぇよな?」」
「勿論です」
沙羅は人形を思わせる表情で答えた。
男は醜悪な笑みを浮かべながら、濡れそぼった秘裂に屹立を宛がう。
そしてたどたどしい手つきで狙いを定めると、斜め上から打ち込むように挿入を果たす。
「っ!!」
沙羅は唇を結んだ。潤んだ膣内を確かな硬さが貫き、程なく蕩けきった子宮口を直撃する。
ただそれだけで、今の沙羅は足の先まで痺れてしまう。脳の神経がふーっと解れるような感覚があり、浅い絶頂に至ったとわかる。
「くあぁぁっ、すんげぇキツさだっ…………しかも、お、奥が動きやがるっ!!!!」
男が歓声を上げた。沙羅の絶頂にあわせて膣が収縮し、相当な快感を得たらしい。
一度その甘さを知ったが最後、いよいよ男に遠慮はなくなった。



すさっ、すさっ、という敷布団の擦れる音と、パン、パン、という肉の弾ける音が交錯する。
「ハァッ、ハァッ……最高だぜお前、最高だ。さすが若ぇだけあるな、散々やりまくってる癖にこの締まりとは恐れ入ったぜ。
 昨日出したばっかだってのに、もう、すぐにでも出ちまいそうだっ…………あああっチクショウ!
 こうなりゃあお前もイカせてやる、グチャグチャんなるまで奥を突きまくってやるよ!!」
男は仰臥した沙羅に大きく脚を広げさせ、目を血走らせながら夢中で腰を打ちつけていた。
一方その病的な視線を浴びる沙羅は、目と口を閉じたまま無表情を貫く。
しかし、身体は正直だ。奥へ突き込まれるたび、手足の指は爪が白むほどにシーツを掴む。掴み損ねた時には、震えながら虚しく空を掻く。
幾度となく絶頂に追い込まれる中、その苦しさを紛らわそうとしているのは明らかだ。
「んなに我慢すんなって。テメェが感じてるのなんざバレバレなんだよ」
男は歪んだ笑みを浮かべると、おもむろに沙羅の足首を掴んだ。そして左右の足首を纏め上げるように、片手でしっかりと掴む。
「ン゛っ…………!!」
沙羅からついに声が漏れた。
真上へ向けて両脚を揃え、緩やかなくの字に曲げた体位だ。自然と膣内は狭まり、剛直に密着してしまう。
「ああスゲェ、さっきより締まるぜ! あっちこっちから襞つきの肉に吸い付かれてるみてぇだ!」
男は歓喜し、さらに腰を振りたくった。片手で沙羅の両足首を掴み上げ、片手を後方へつきながら、強烈に。
「くぅうぅう、くふぅぅ、んんんっ…………!!」
沙羅は困ったように眉根を寄せる。
無理もない。体位が変わったことで、彼女は一番の弱点である膣の下側のスポットを、挿入のたびに剛直のエラで抉られる羽目に陥っていた。
玉蓉の悪意に満ちた指遣いで、日々開発され、目覚めさせられた弱点を。
「足が震えてきてんなあ、オイ。お前も苦しいのか。俺もよ、さっきから暴発しそうなのを必死に堪えてんのよ。
 ヌルヌルザラザラのお前ン中が、あんまりにも俺の倅を愛してくっからよォ!!」
男は荒々しく腰を振りながら吠える。
確かに沙羅の両脚は、瘧に掛かったように震えはじめていた。
足首を掴まれたまま、膝の裏を筋張らせ、うねうねと組み替えられ…………まるで小便を必死に我慢するかのようだ。
当然、その有様もすべてカメラに収められている。
沙羅はそれを恥じたが、もはや意思で抑え込めるレベルではない。むしろ刻一刻と快感の波は高さを増し、沙羅の意識を溺れさせていく。
『いく』
娼婦の手解きを受けていた頃に教えられたその表現が、沙羅の脳裏で火花のようにちらついた。

「あああクソッ、そろそろマジでヤベェかもしんねぇ!!」
やがて男が叫び、体位を変えた。沙羅の腰を両手でがっちりと掴み、揃えた二つの足首を右肩に乗せる。
より深く挿入を果たせるように。
「はぐっ!!」
歯を食いしばっても、沙羅のその声は止められなかった。それまでとは深さが違う。
腹の奥までずんと響き渡るような衝撃に、意思とは関係なく両脚が震えた。
左足の踵がうまく男の鎖骨部分に引っ掛かったため、沙羅は無意識にそれを利用して体位をずらそうと試みる。
しかしその直後、ぐじゅりと硬い亀頭が子宮口を叩き潰した。
「くく、きう…っ…!!!」
身を強張らせていた事が災いし、沙羅はその衝撃をまともに受けてしまう。そうなればあえなく絶頂し、ずるずると背中をシーツに密着させるしかなかった。
本格的な脱力。自分が柔肉でできた道具であるかような感覚の中、沙羅は男からの熱を受け止め続ける。
陰唇からGスポット、そして膣奥。トロッコが火花を散らしながら走りぬけ、炭鉱奥に衝突するイメージが繰り返し脳裏に浮かぶ。
甘い痺れだけが動脈のように身体を支配している。

数知れぬ突き込みの中、沙羅はとうとう脳髄が蕩ける音を聴いた。
脳が蕩けては抵抗のすべもなく、枕に深く頭を沈みこませたまま、ぐるりと上方へ白目を剥く。
視界の中央に、チカリとカメラのレンズが瞬いたのが見える。
 ――撮らないで。お願い、暴かないで。
沙羅が心の中でいくら願おうと、無機質なレンズが聞き届ける事はない。

「あああぁもう限界だっ、で、出るぞっ!!!!」
沙羅の絶頂に釣られたのだろうか。男が叫び声を上げ、沙羅の太腿へと身体を密着させる。
そしてその直後、ドクドクと生ぬるいものが膣奥へ注ぎ込まれていく。
とうに慣れたその経験を、沙羅は虚ろな瞳で迎えていた。
「あああヤベェ、すげぇ量出てやがるっ……へへッ、ケツがむず痒くなっちまうぜ」
男が体を震わせ、至福の溜め息を吐く。緩慢な動作で硬さを失った怒張を引き抜く。
それでようやく、今日も終わり――では、ない。

「ハァッ、ハァッ…………最高だったぜ。まさか、セックスがここまで良いモンだったとはよ。
 結構な量射精したのに、まだ興奮が収まらねぇ。半勃ちのチンポの中に、変な芯が残ってんだよ。
 ちっと休んだらまた始めっからな、汗拭いとけ!」
男はぐったりとした沙羅の顔を覗きこみながら告げ、強張る沙羅の表情を楽しんだ。
本来、雲の上の存在である娘を犯すのがよほど嬉しいのか。それとも実際に沙羅が名器の持ち主なのか。
沙羅を娼婦として買った男のほとんどが、一度の情交では済まさなかった。
むしろそこから倍以上の時間をかけて、沙羅の桜色の肢体を味わいつくすのが常だ。
「そう震えんなって。もっともっと善くしてやっからよ」
男から間近で顔を覗きこまれ、沙羅ははっとした様子で表情を引き締める。
「嬉しゅうございます。わたくしの粗末な女の穴で宜しければ、どうぞ心ゆくまでお使い下さいませ」
沙羅が頭を下げながら形作るのは、常世ならぬ、悟りを開いたような表情。
『聖巳』として在るべきその表情が、かえって彼女を追い詰める。
雄にしてみれば、その堅い表情を突き崩す事こそが最大の悦びなのだから。



肉同士のぶつかる音が、もう一時間以上にも渡って続いていた。
薄水色の敷布団はすっかり藍色に変色し、周りには丸められた薄紙が無数に転がっている。

沙羅は、布団の上に這ったまま、後背位で貫かれていた。
「あっ……あっ……あっ…………」
俯いているためにその表情は窺えない。しかし長いストロークで腰を打ちつけられるたび、かすかな声が漏れていた。
背中といい脚といい、全身が脂汗に塗れ、灯りを受けてぬらぬらと濡れ光っている。
突き込みで身体が揺れるたび、乳房と鼻の先から雫が滴り落ちる。
その異常なまでの発汗を見れば、喘ぐ程度は仕方のない事に思えてしまう。
何より、沙羅には今なお矜持が見受けられた。背中も脚も快感でうち震えるほどでありながら、布団に両手をついている。
『私の自我は崩れていない。自らの意思で姿勢を保っている』
そう訴えるかのように。
しかし、それもそろそろ限界だ。肉体に快楽が蓄積している事もある。そして責める男も、『女の弱み』を知りつつある。
「フゥッ、フゥッ…………おらっ、もっと締めてみせろ!!」
男はそう言いながら、沙羅の腰に手を回して陰核を摘んだ。
「はぐっ!!」
これにはさしもの沙羅も声を上げる。そしてその直後、がくんと背が傾いた。
不意を突かれてつい右肘をついてしまったらしい。
「はははっ、何だ、気持ちよくてチカラ抜けちまったか!?」
男の嘲笑が浴びせられる。
起きなければ。『聖巳』として無様は晒せない。沙羅はその一心で身を起こそうとする。
しかし力めば力むほど、セックスの快楽も色濃くなってしまう。
沙羅は何度も足掻き、もがき、その果てに脊髄へ決定的な痺れを感じた。
「はぁ……っ!!!」
息を呑む、という状態だった。目から涙が零れ、その涙を追うようにして、身体が布団へと沈み込む。
外気で冷えた乳房に、敷布団の温もりが触れる。
「おうおう、ぐでーっとなりやがって。ま、こっちはケツが上がったおかげで挿れ易くなったがよ」
男は沙羅の尻肉を鷲掴みにしながら、いよいよ軽快に腰を振りたくる。

「ぐっ、ぐううぅっ!!……う、んはぁっ…………っぃっ……ぃ、ぐ…………!!」
沙羅は歯を食いしばる。歯の合間を漂う、いく、という言葉を、かろうじて噛み殺す。
それでも、身体の痙攣はどうにもならない。
もはや子宮口をゴツゴツと責められる感覚すら消えうせていた。
男が腰を打ちつけるたび、自分の深い部分でスイッチが入り、身体中に高圧の電流が走る。
地震の中にいるように手足や腰が痙攣し、頭の中がじゅわりと白く染まり、秘裂から潮とも小水ともつかない何かがあふれ出す。
ここまでになったのは初めてだった。いよいよ身体が薬と快楽に染まり、絶望的な段階に来ているらしい。
「ふっ、く、ぐぐぐっ…………!!」
沙羅は怯えつつも、必死に目の前の布団へ顔を押し付けた。
事ここに至ってなお、彼女が案ずるのは自分の身ではない。間違いなく崩壊しているであろう表情を、カメラに映させない事だ。
その沙羅の思惑を読んだのだろうか。それとも、ただの偶然だろうか。
「おらっ、手ェ寄越せ! 手綱みてぇにして犯してやらぁ!!」
男は突っ伏す沙羅に覆いかぶさりながら手首を掴み、結合部の近くにまで引き寄せた。
沙羅は強制的に上体を起こされ、俯いていた顔からも陰が引く。
沙羅の視界で、三つのレンズが光を放った。
間違いなく撮られている。白目を剥きかけ、閉じない口から涎を溢し、獣のように喘ぐ必死の顔が。
「……………………っ!!」
その事実に気付き、沙羅は涙を溢す。
これで何かの枷が外れたのだろうか。その眉はだらしなく垂れ下がり、許しを乞うようにカメラを見続けるばかりだった。

そこからの映像に映っているのは、項垂れて為されるがままの娘と、それを淡々と犯し続ける男の姿だ。
娘の肌は白濁で薄汚れ、艶やかだった黒髪は萎びたまま千々に乱れている。
粗末な部屋を背景に続くそれは、まさしく最底辺の娼婦が調教されている光景のようで、興国民の涙を誘った。
その光景を前に、トゥルグア側は確信する。
いかに信心深い民とはいえ、こうも俗物と成り果てた象徴を見て、なお特別視できるはずがない。
口にこそ出さないが、本心では気付いているはずだ。沙羅も――聖巳も、所詮はただの女に過ぎないと。
頃合いや良し。
後は国民の抱く『不信』が『侮蔑』となるように、最後の仕上げを行うだけだ。





その空間に類するものは、紫庭興国の建築史にもなければ、トゥルグアの建築史にもなかった。
当然だ。それはトゥルグアが財産と引き換えに近年手に入れた、異文化の一つなのだから。
強いて似たものを挙げるならば、欧米におけるラボラトリーか。
壁も床も青白く艶やかな素材で統一され、様々な機材が密集する。そのちょうど中央部分に、裸の沙羅が拘束されていた。
物々しい機械に囲まれ、分娩台を思わせる大きな椅子に腰掛けた格好だ。
無論、快適に、ではない。
彼女の額部分には、黒いカチューシャ状の脳波測定器が見受けられた。
さらに肩口と腰周り、腿の付け根には太い拘束帯が巻きつけられ、椅子から身を浮かせないようにしている。
その上で両足首は上方からのアームに掴まれ、足裏同士を密着させられていた。
当然、恥じらいの部分を隠す術はない。
それどころか、恥毛すら剃り上げられた桜色の秘裂を、正面のカメラへ向かって突き出すような格好だ。

「いかかです聖巳さま、最新技術の粋を集めたマシンの座り心地は。
 ちなみにその拘束は『胡坐縛り』といって、女囚を辱めるために考案されたものです。
 そうして性器と肛門を丸出しにしたまま転がされれば、よほど気丈な女でも恥じて涙したと聞きますわ」
白衣に身を包んだ玉蓉が目を細める。
沙羅はあられもない姿のまま、あくまで鷹揚とした態度で玉蓉を見上げた。
「…………どこまで、わたくしを辱めれば気が済むのです」
その言葉を待っていたかのように、玉蓉の笑みが顔中に広がっていく。
「ご安心を。たぶん今日限りです。神を地に堕とすのは、決まって人間の英知ですもの。
 この文明の利器達が、貴女の苔むしたような化けの皮を、残らず剥がしてくれることでしょう」
玉蓉は部屋の機具を崇めるように手を広げつつ、指を鳴らした。
白衣を着た他のトゥルグア人もまた、同じく陰湿な笑みでキーボードを打ち込んでいく。

小さな機械音が聴こえた直後、沙羅に隣接する機械群から一本のアームが姿を現した。
アームに付属しているのは、重量感のある大型のバイブレーター。形状はハンディマッサージャーに近い。
当然、紫庭興国にはない器具だ。
訝しげな目線を送る沙羅を鼻で笑いつつ、研究者の指が決定キーを打ち鳴らす。
直後に響き始めたのは、グゥゥウウン、と心臓すら震わせるような重低音。バイブレーターの駆動音だ。
尋常ならざるその音の重さに、沙羅の目が見開かれる。
「凄い音でしょう。でも、威力はもっと凄いのよ?」
玉蓉の言葉の最中、アームは静かに降下し、先端部を沙羅に触れさせた。
円を描くような両脚の中央部…………そこへ息づく桜色の肉芽に。
「はぐっ!?」
コンタクトから僅か2秒後、沙羅は天を仰いだ。その目はくっきりと見開かれ、衝撃の度合いを物語っている。
過去に覚えのある快感であれば、彼女はその持ち前の精神力で堪えてみせただろう。
しかし機械による毎秒数千回という微細な振動など、自然界で経験できようはずもない。
不意を突かれて大きな反応を示すのも仕方のないことだ。
「いい反応ね。その敏感な部分で、たっぷりと機械の恐ろしさを味わうがいいわ!」
玉蓉は高らかに笑う。

バイブレーターは重低音を響かせながら、沙羅の陰核を踊り回った。
機械表面と皮膚の擦れる音が、ズズズ、ジジジジ、と変化する事からも解る通り、強弱は微細に変動している。
つまりは刺激に慣れることができない。
加えて沙羅はつい今朝方、普段の倍の量の薬を投与されていた。つまりは感度が研ぎ澄まされている。
その状態で特に敏感な肉芽を責められてはたまらない。

「………………っ」
沙羅は彼女が普段そうするように、薄い唇を閉じて被虐に耐えていた。
その品のある顔のまま、じりじりと追い詰められていく。
変化は着実に訪れていた。
規則正しく凹凸を繰り返す腹部のペースが早まり、陰唇がわななき始める。小鼻の脇を大粒の汗が伝い落ちる。
そのまま緩やかに絶頂に至るのだと、見る者誰もが思っただろう。
しかし、沙羅の膝裏に力が込められ、まさに達しようとするその瞬間。バイブレーターは唐突に後退した。
「えっ!?」
沙羅は驚愕の表情を見せる。
過去には玉蓉達から、何時間にも渡って寸止めを受けた事もあった。
しかしそれはあくまで人的なレベルだ。玉蓉が沙羅の絶頂の気配を見て取り、早めにブレーキを掛けていたに過ぎない。
今は違う。この機械はまさに沙羅が達しようとするその際まで、全力で責め続けていた。
そして沙羅が絶頂を確信し、すべてを投げ出そうとしたその最後の最後、コンマ秒のタイミングで一切の刺激を止めたのだ。
沙羅にしてみれば、空中へひとり投げ出されたような感覚だった。

「ふふふ。さすがに素が出たわねぇ聖巳さま?」
玉蓉が笑いながら沙羅を見下ろした。
「秘密は、貴女がおでこに着けてる脳波測定器よ。それが脳波……つまり貴女の脳が出す信号をキャッチしてるの。
 だから人間には真似できない精度の寸止めが可能なのよ。
 解るでしょう。今の貴女は、本当に逝く寸前。私がこの指でクリトリスを倒すだけで、腰をヒクつかせながら絶頂するわ」
沙羅の顔を指し示しつつ、玉蓉は愉快そうに告げる。
沙羅の顔にまた新たな汗が流れた。
「あなた方の考えは歪んでいます。わたくしが憎いのならば、一思いにこの首をお刎ねなさい。
 わたくしの苦しむ顔を見て、何が得られるというのですか」
「いえいえ、まさか。私共に貴女を殺す意思などございません。むしろ当面は、無理矢理にでも延命させて頂きます。
 絶頂にも遠慮はいりませんわ。なさりたいのなら、どうぞ『イカせてほしい』と仰って下さいまし。
 もっとも……国の象徴たる貴女がそのような発言をなされば、失意から身投げする民もいるでしょうが」
その言葉に、沙羅の表情が凍りつく。
婉曲的な脅しだ。『音を上げれば、自殺に見せかけて人質を殺す』という意味の。
玉蓉達は常にそうして、沙羅の抵抗を封じてきた。
「聖巳さまに問題はないようね。続けましょう」
玉蓉は薄く微笑んで指を鳴らす。すると再び重低音が響き始め、バイブレーターが陰核表面に固定された。
「ふっ、く………!!」
絶頂寸前の余韻が残っていたのか、それともこの地獄から逃げられない現実が胸を詰まらせるのか。
沙羅は眉根を寄せながら、機械の導くままに昂ぶっていく。

元々が薬によって性感を研ぎ澄まされている身だ。
陰核に振動を受け続ければ、愛液があふれ出すのに時間は掛からない。
いつしか、ズズズ、ジジジ、という接触の音に混ざり、機械の振動で愛液が飛び散るブシャブシャという音が立ち始めていた。
沙羅は頬を赤らめたまま、いの字に歯を閉じ合わせて快感に耐えている。
陰唇は生物のように開閉し、肛門付近も引き締まっては緩み、を早いペースで繰り返す。
左内腿がピクッと跳ねてから8秒後。
沙羅の口が大きく『あ』の字に開いたところで、バイブレーターは宙に浮いた。
バイブレーターの先と陰核をトロリとした糸が繋ぐ。最初に比べれば、陰核は明らかにサイズが増していた。
「はぁっ…………はーーっ……はぁっ…………」
沙羅は肩で息をしつつ、薄目を開いてバイブレーターを見下ろす。
もう少しで楽になれたのに。その心の声が聴こえるようだ。
「ハーイ残念。そろそろ素直になったらどう? もうイキたくてイキたくてたまらないんでしょう。
 クリトリスには私達が毎日毎日、徹底的にイキ癖をつけてきたんだもの。
 随分と頑張ってるようだけど、耐え切れる訳がないわ」
玉蓉が煽ると、沙羅は再び表情を引き締める。
「…………はっ……はあっ…………わ、わたくしは太陽の巫女。人の理には囚われません」
「アハハッ、散々愛液を撒き散らしておいてよく言うこと。いいわ、続けなさい!」
その一言をきっかけに、また無慈悲な機械が唸りを上げた。


沙羅が常に喘ぐようになったのは、それから何分が経った頃だろう。
彼女は明らかにひとつの限界を迎えていた。
床には大量の愛液が飛び散っている。
バイブレーターの唸りに合わせ、華奢な腰がヒクヒクと跳ねる。
全身にひどい汗を掻いてもおり、背中が上下するたび、ミチュリと水音を立てるほどだ。
水分は適宜与えられるものの、絶頂だけは許されない。
「ああ、あああっ…………はぁあっ、ああ、くうっ…………ぃぃい゛っ、んはぁっはぐ…………っ!!」
沙羅の口からは、涎と共に切ない呻きが漏れた。
唯一自由になる両手が、座部の側方へ突き出た『いきみ棒』を必死に握り締める。
「く、ぅっ!!」
その果てに、とうとう沙羅の歯が噛み合わされた瞬間――音が消え失せる。
「っ!!! っっっ!!!!」
沙羅は声を殺したまま、怒りを紛らわせるように首を振った。目尻からの涙が宙に舞う。

すでに刺激がないにも関わらず、優美な腰は大きく上下して拘束帯を軋ませていた。
華のように開いた陰唇が、物欲しげに開閉を繰り返す。その下に息づく排泄の孔さえ、喘ぐように収縮し続ける。
無論、もっとも劇的な変化が見られるのは陰核だ。
初めこそ視認が困難だったその慎ましい芽は、もはや痛々しいほどに勃起しきっていた。
「ふふっ、アハハハハッ! 素敵な踊りよ聖巳さま!」
「ホント。あの可愛かったクリトリスがギチギチに膨れちゃって。ドングリみたい」
「そんなにアソコをヒクつかせて、どういうつもり? 匂いでも嗅いでほしいのかしら?
 何十本も浮浪者のアレを咥え込んだ上に、あんなに汁まみれなんだもの。さぞかしくっさいマンコなんでしょうねぇ!」
玉蓉達の下劣な言葉に、沙羅の長い睫毛が揺れる。
日々の調教の中で同性からの罵倒にも多少慣れたが、惨めさを自覚している状況下では格別につらい。
「ふーっ、ふーっ……はあっ、は、はぁっ……
 わっ、わたっひ……わら、くしはっ…………屈しません」
沙羅は懸命に決意を語ろうとするも、口の中に溜まった唾液でうまく喋れない。
明瞭に喋ろうとするほど涎が滴り、かえって無様を晒してしまう。
それは、どう足掻こうが地獄にしか辿り着かない沙羅自身を象徴するようだった。
それでも、彼女には芯が通っている。どれほど惨めになろうが、敵に哀願はしていない。
誇りは失っていない。
「フン。そのしぶとさはある意味勲章ものだわ。まだ恥を掻き足りないようね!」
玉蓉は忌々しげに告げ、研究員達に責めの続行を命じた。

寸止めのたびに沙羅が絶頂へ至るまでの感覚は狭まり、今や10秒とかからずにアームが離れる。

「あぁっ……ヒッ……ぁああ…………ヒッ ……っく、くひっ…………あぁあぁ…………あ、くっ!!
 おおおぁあっく…………ヒッ……ぃぃぃあああっ…………!!!」

沙羅の声は、もはや喘ぎというより悲鳴に近かった。荒い息と余裕のない声に混じり、ヒッ、ヒッ、という音が続く。
オイルを塗りたくったような腰も艶かしく動き、堪えようのなさを訴えていた。
最も変わったのは表情だ。とろりとした瞳、半開きのまま涎を垂らす口。そこに理性は感じ取れない。
項垂れたまま身体の揺れに合わせて首が動き、口元が何事かを呟く。
そしてその最中、急に目を見開き、何かを払うように頭を振る。
それが繰り返されていた。
「いい加減に諦めたらどう? さっきから無意識に『いきたい、いきたい』って言ってるくせに。
 イキたくて、頭がおかしくなりそうなんでしょ」
玉蓉が呼びかけても、沙羅は必死に首を振るだけだ。
玉蓉は溜め息を吐く。
「ホント可愛げのないガキね、一言乞えば楽になれるのに。
 …………もういいわ。皆、フェイズ2に移るわよ!」
その言葉を聞き、研究員達が一斉に玉蓉を見やった。玉蓉はそれら一つ一つの視線を受け止め、頷いてみせる。
キーボードを叩く音が響き、複数の駆動音がそれに続いた。
ぐったりとした沙羅の秘裂に4本のアームが近づき、細い筒を嵌めこんでいく。
次に四方のアームがその筒を引けば、筒はリング状に拡がり、膣鏡のように沙羅の膣壁を曝け出す。
ヌラヌラと濡れ光る桃色の洞穴。『聖巳』の胎内へ続く道。
どこからか、ゴクリと息を呑む音がした。

「ふふ。とうとう『聖巳さま』の神聖な産道が、奥まで丸見えになっちゃったわね。
 いやらしいこと。出産の経験もないガキのくせに、すっかりポルチオが目覚めちゃってる。
 自分でも解るでしょう、膣の奥がヒクヒクしてるのが」
玉蓉に指摘されるも、沙羅はただ黙して前を見つめるのみだ。しかしその気丈な顔は、直後、驚愕に染まった。
太いアームに連なる極太の異物が、眼前に突きつけられたからだ。
形状は男性器に酷似している。ただし、数十人の男を迎えた沙羅でも経験がないほど、長く、太く、凶悪な反りだ。
加えて言えば、開ききったキノコのような雁首の張りも、幹に散らばる大小様々な突起も、異様と表す他はない。
何より、その異物に色はなく、極めて純度の高い水晶のように透き通っていた。
「驚いたでしょう。そのディルドーはね、私達なりに貴女の膣を分析したデータから作ったの。
 つまり貴女にとっては、世界で一番相性のいい……ある意味では最悪の男根という事になるわ。
 今からそれで、貴女を徹底的に犯してあげる」
「…………!!」
玉蓉の言葉に、沙羅の全身が強張った。
膣の奥がひどく疼いた状態で挿入を受ければ、やがて脳内が白く染まる事を知っている。
しかも今は、条件が最悪だ。普段の倍の投薬をされ、普段以上の焦らしをされ…………そして、相手はこの機械。
 ――耐え切れない。
沙羅の脳が警鐘を鳴らす。その沙羅の心中を知ってか知らずか、玉蓉は片手を挙げた。
透明な異物が沙羅の秘部を捉え、強引に挿入を開始する。尋常ではない圧迫感が、沙羅の表情を強張らせた。
「…………はっ、ぐ…………!!!」
男に慣れていた筈の膣は、メリメリと音もしそうに軋んだ。恥骨が外れそうだ。
それでもその凶悪なまでの圧迫感が、刺激を渇望している今は堪らなく心地いい。

十秒ほどかけてディルドーが奥まで達したところで、膣を開くリングに変化が起きた。
ディルドーの台座部分に各リングの破片が嵌まり込み、緑の光と共に電子ロックがなされる。
ロック後は、ディルドーを繋いでいたアームも、リングを掴んでいた四つのアームも元あった場所へ戻っていく。
結果、透明なディルドーを咥え込む沙羅は、自ら膣を開いているような有様となった。
「ドッキング完了、と。ふふっ、凄いわ。ぐっぱり拡げられた膣が丸見え。そのまま子宮口に触れてしまいそうよ」
玉蓉が口元を吊り上げ、白衣の研究員達からも含み笑いが起きた。
彼らが見守るモニターには、沙羅の開いた膣内がくっきりと映し出されているのだろう。
当然、紫庭興国の広場にも。
沙羅は恥じた。しかし脚を閉じようにも、胡坐縛りの格好ではどうしようもない。
それどころか力むほどに腹圧が増し、ディルドーの圧迫でじっとりと汗が浮いてしまう。

「さぁ聖巳さま、ここからが本番よ。今から貴女は、脳が快楽で焼ききれるかどうかの瀬戸際を彷徨うの」
玉蓉はそう言いながら、沙羅の太腿を撫で上げた。
「うっ!!」
絶頂寸前のもどかしさで、今も細かな震えの止まらない太腿だ。沙羅の腰がびくんと跳ねる。
「許容量を超えた快楽に溺れるのって、想像よりずっと苦しくて怖いみたいね。
 死んでも屈しないって言う人間は嫌というほど見てきたけど、実際やり遂げた人間なんて、一人もいなかったもの。
 だから……貴女には、あらかじめこれを渡しておくわ」
玉蓉は沙羅に歩み寄ると、ポケットから取り出した棒状の装置を右手に握らせる。
「……これは?」
「ディルドーを動かす小型ファッキングマシンの電源よ。
 握りの先に赤いプッシュボタンがあるでしょう。もう限界だと思ったらそれを押しなさい。
 そうすればディルドーは止まって、貴女は快楽の海から生還できるわ」
その言葉に、沙羅の喉が鳴る。
彼女とて快楽に溺れる辛さは知っている。その苦しみから逃れる術が、魅力的でなかろう筈もない。
それでも。
「…………こ、これを、押すと」
沙羅は小さく震える声で呟いた。玉蓉が興味深そうに目を細める。
「これを押すと、誰が不幸になるのです」
「さぁ、誰かしら。私は名前を知らない、貴女だってきっと知らない、無数の興国民の一人よ」
いつになく真に迫った玉蓉の物言いに、沙羅は複雑な表情で右手を握る。
「いずれにしろ、頭がシャンとしているうちに結論を出すことね。
 犠牲になった人間だって、何かの間違いでボタンが押された、じゃ納得できないでしょうから」
そう言い残して背を向ける玉蓉。
沙羅の膣内で只ならぬ鳴動が始まったのは、その直後だった。



何人から視られていることだろう。
室内の白衣姿は十数人。広場にいる警備や紫庭興国の人間を合わせれば、ゆうに百は超えるだろうか。
その視線をひしひしと感じながら、沙羅は局所に意識を集中する。
膣内のディルドーはゆっくりと後退していた。凹凸のある極太が膣壁を擦りあげていく。
「う…………!」
沙羅は思わず呻いた。
ディルドーの馬力は凄まじく、引き抜かれる動作で下半身ごと持っていかれそうになる。
両足首を掴むアームがかろうじて肉体を留めている状態だ。
羆のごとき巨躯を誇る男が、無理矢理にペニスを引き抜こうとしている様――沙羅の脳裏にそのイメージが浮かんだ。
何という力。こんな力で犯されれば、一体どうなってしまうのか。
沙羅は息を呑む。直後、大きく引き絞った状態で制止していたディルドーがついに動き始めた。
メリメリと凄まじい馬力で膣壁が掻き分けられ、瞬く間に奥までを貫かれる。
蕩けきってひくつく子宮口が、硬いゴムのような亀頭に潰される。
「……………………ッッッ!!!!!」
沙羅の脊髄を電流が走った。
腰がじぃんと熱くなる。心臓が早鐘を打ち始める。
焦らされ続けて快感を欲していたとはいえ、これほどとは。

『アハハハッ凄い、子宮口がガラスに押し潰されたみたい! 愛液が蜘蛛の巣みたいになってるし』
『ホント、お宝映像だこと。わざわざパーツをスケルトンで統一した甲斐があったわね』

女達の嘲りをよそに、沙羅は真正面を向いていた。今はかろうじて向けていた。
しかし、限界はひしひしと感じられる。今の痺れは尋常ではない。
 (果てるまで、あと…………)
そう考える内にも、視線の先では、両脚の間に円柱状の盛り上がりが出来ていく。
ディルドーが抜けていく速度と同じ。どうやらディルドーが引き抜かれた分だけ、ロック部分から末端がはみ出る仕組みらしい。
そして、電子音が聞こえた。
――――来る。
沙羅が覚悟を決めると同時に、陰唇が捲れた。
メリメリと膣壁を押し開きながら、暴力的な質量が奥までを貫く。さらに、今回はそれだけで終わらない。
最奥から素早く戻り、2度、3度4度……断続的に子宮口を叩き始める。
「はっ…ぐぅうううっ!!」
これには沙羅も堪らない。脊髄を幾度も幾度も電流が通り抜ける。
少し余裕が出来ていた絶頂までの許容量を、あっという間に食い潰される。
『あんなに腰がガクガクして。透明なモンスターに犯されてるみたい』
周りの声が遠い。沙羅の意識にはもう、一直線に絶頂へ向かう光の道しかない。

7度目に最奥が潰された瞬間――沙羅の下半身は跳ね上がった。
体中が痙攣する。拘束帯が腹部に食い込むが、それすら子宮を刺激して堪らない。
「あぁ、はあぁ…あぁ……ぁっ……あ…………!!」
1度目の今際の声は、恐怖に震えるかのようだった。
その声を聞きながら、沙羅はヘッドレストに頭を預ける。
見守る国民を勇気付けるため、なるべく前だけを向いているつもりだったが、早くも天を仰いでしまう。
「…………ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…………!!!」
肺が麻痺したのだろうか、息が上手くできない。過呼吸のように大口を開け、短く空気を求める。
この数ヶ月、嫌というほど絶頂を覚えこまされてきたが、ここまでのものは経験がない。

『どうやら、イッたみたいね』
『まるで釣り上げられた魚だわ。一回目でアレなんて、ゾッとするわね』
『なに、同情してるの? ここからが面白い所じゃない。楽しみましょうよ』

一度意識を向ければ、研究員達の声は一言一句聞き取れた。遠くの静電気の音やキーボードを打つ音さえ聴こえる。
そして研ぎ澄まされた沙羅の聴覚は、微かな電子音を捉える。
今日3回目に聞く音……ディルドーが起動する合図だ。
「えっ!? ま、まだ、達したばかり………………」
沙羅の戸惑いの声は、重厚なモーターの駆動音で掻き消された。
グググググ、と相変わらずの馬力で膣内をこじ開け、絶頂直後で敏感になっている膣奥を無慈悲に抉る。
「くぅっ…………あ゛!!!」
沙羅は目を見開きながら震えた。菱形になった脚がガクガクと痙攣している。
どうやらまた達したらしい。しかし――今度は余韻に浸る暇さえない。
笠の張った亀頭部分が膣壁を掻きながら退いていく。まだ続けて抽迭するつもりらしい。
いきみ棒を握る左手に汗が滲む。右手にはスイッチの重さを感じる。
「や、やめてくだっ…………た、達したばかりで、まだ、心の準備が……………………!!
 ……っく、ふあぁぁあぐっ! 駄目っ駄目ーッ、やめてぇっ、いけませんっ!! はぐっ……くあ、ぁああああ゛っっ!!!」
普段叫び慣れていない沙羅の絶叫は、声の所々が掠れ、裏返っていた。
そしてその叫びが区切れると同時に、彼女の恥じらいの場所からは大量の液が漏れ始める。
小水か、あるいは潮か。いずれにせよ、沙羅が余裕を失くした証には違いない。
それほどになってなお、ディルドーは容赦のない抽迭を繰り返していた。
マシンの動きは沙羅の脳波に基づいている。
起動直後は標的である沙羅を速やかに絶頂へ至らしめ、その後は脳波を極力ピーク近くに保ち続ける。
この悪魔じみたルーチンを組み込まれている以上、マシンが沙羅を楽にする事はない。



一連の暴虐的な突き込みは、回数にして60回あまり、時間にして悠に5分以上は続いていた。
その時点でようやく機械は音を止め、小休止に至る。とはいえ、無論それは沙羅を案じての事ではない。
『刺激を与えずとも高原状態が維持される』……そう分析した上で、合理的判断からエネルギー消費を抑えたにすぎない。
事実、沙羅の身体は、機械が稼動をやめてからもなお絶頂の反応を続けている。
「ああぁあ゛っ、ああああ゛……かはっ、あはっ、ハーッハーッ…………うああ゛っ…………!!!」
掠れた悲鳴と共に、奥歯まで覗く口から涎が伝い落ちた。
目頭からは次々に涙が零れ、先に伝っていた滴と合わさって顎から滴っていく。
脚の震えはやはり病的で、キッキッキッキッと忙しなく足首のアームを軋ませていた。
絶頂の余韻でまた絶頂の域に押し上げられるという異様な状況。
この5分強で、幾度の絶頂が沙羅を襲ったことだろう。
絶頂する沙羅は相当に無様であったらしく、特に潮を断続的に噴き散らしていた場面が見物だったらしい。
「あああ、あああ…………あああ………………」
沙羅はヘッドレストに重い頭を預け、閉じない口から意味のない声を発して何かを楽にする。
本能の訴えるままに行動しなければ、近い内に脳が蕩けてしまいそうだ。
しかし。そうした脳波の安定を、機械が見逃す筈もない。

電子音が鳴る。剛直が稼動しはじめる。
沙羅は竦む心を叱咤し、最奥への挿入に備えた。しかし……その備えは徒労に終わる。
ディルドーが駆動パターンを変え、膣の入口付近を重点的に刺激し始めたからだ。
亀頭の笠と大小様々な突起が、敏感な部分を擦りたてる。それは相当な刺激ではあったが、ややもどかしい。
落ち着かず、左のいきみ棒をより安定するよう逆手で握り直す。それでも不安が消えない。
沙羅が戸惑いながらも一息つこうかと考えた、まさにその時。駆動音が急に強まり、ディルドーが深くまで潜り込んだ。
「あああーーーっ!!」
沙羅は、想定以上の大声で達する。溜めていた息を吐き出したせいだろうか。
奥まで挿入された、という心理的な満足感があるために絶頂も深い。
「ひっ、ひっひっ、あはーっ、はーーっ…………」
沙羅が絶頂の余韻に浸っている最中、怒張が引き抜かれていく。
盛大に笠の張ったエラを引っ掛けつつ、ゆっくりと。
絶頂直後で敏感になっているGスポットを亀頭裏で擦り上げられ、それだけで断続的な軽い絶頂が襲ってくる。
亀頭が入り口付近まで戻った時には、息も荒く、しばしの休息が欲しかった。
しかし、機械に情はない。
再び膣の入り口付近を浅く四度ほど往復し、焦らした末に、ぐうっと奥まで突き上げる。
最奥への突き込みは先ほど以上に力強く、子宮口はおろか、それを支える子宮頚部までもがぐちゅりと潰されるようだった。
「くああああーーーっ!!」
当然、上がる声も先ほどより大きい。口の端からとろりと涎が垂れるのが解った。
拭いたい所ではあるが、右手にはスイッチを握っており、左手もまた座部側方のいきみ棒から離せない。
あまりに深い絶頂で身体中がガクガクと痙攣しており、何かに掴まらずにはいられないのだ。
膣内が熱い。マグマを閉じ込めたように。
機械によるストロークの気配をひしひしと感じながら、沙羅はそう考えていた。



そこからまた、断続的な絶頂の時間が始まる。
四浅一深式に切り替わったと考えて覚悟する沙羅。
それを嘲るように、最奥へ密着したままドッドッドッと三連続で子宮口を叩き、沙羅が腰砕けになった所へ大きく引いての突貫。
「ひいいいぃっ!!!」
沙羅の口からとうとう純粋な悲鳴が迸った。見守る玉蓉達に笑みが浮かぶ。
だが、無理もない事だ。ポルチオ絶頂の快感は底無しに深い。
一瞬にして手足の先にまで高圧電流が流れるような強烈さもさることながら、最も特筆すべきはその持続性だ。
充分に前戯を施して子宮口を目覚めさせた場合、ポルチオ絶頂の多幸感は数十分余韻を残すという。
薬漬けにされ、数ヶ月間性感を開発されてきた沙羅に至っては、その数倍の効果があると見ていい。
これほどの余韻を残す絶頂を極め、さらにその最中に新たな絶頂を迎えれば、相乗効果で快感はより深まっていく。
それは悦楽という海で溺れかけているところへ、さらに足を掴まれて水中へ引き込まれるに等しい。
「はーっはーっ…………やめてください! 少しだけでも止まってくださいっ!!
 先ほどから、はぁっ…………常に……はっ……達していて、息が…………くるしいのです………………!!」
沙羅は必死に膣内のディルドーへ呼びかけた。しかし、その言葉が聞き届けられる事はない。
むしろここへ来てその動きはいよいよ不規則かつ強烈になっている。
もはやぐちゅりと奥を潰すなどという物ではない。
これ以上は無理だと収縮する膣壁を煩がるかの如く、ゴリゴリと奥の奥への採掘を試み続けている。
今の沙羅にとっては最も絶望的なルーチン。
「――――――っっ、―――――ぃぎ―――っ……………………!!!!!」
沙羅は声を出すことを恐れるように、白い歯を食いしばって耐えていた。
優雅さから最も遠いその獣のような顔は、当然罵詈雑言のいい的となる。
けれどもやはり、そんな声に構う余裕はない。
目に見えない所で、何かが着実に溜まっていく。いや、削り取られているのか。
そして、数秒の後。沙羅の全力の抵抗は、彼女自身の体内に入り込んだ異物によって突き崩された。

「…………く、く、ぉっ………………ォおおお゛お゛お゛っっっ!!!!」

決壊。
まさにその表現が相応しい。
清楚な顔は泣きじゃくるように歪み、涙と呼吸困難からくる鼻水に塗れた。
脂汗に塗れたスレンダーな肢体は、それまで以上に痙攣し、腰をヒクヒクと上下させる。
絶頂などという言葉では表せないほど深く達した事が、その見目と叫び声だけで手に取るように解る。
室内の一角から歓声が沸いた。
「ふふふ、とうとうその声が出ちゃったわね」
玉蓉が満面の笑みを湛えて沙羅に歩み寄る。
「脳が快感で焼ききれる寸前になると、皆その声を出すの。いわゆる断末魔ね。
 『頭が真っ白』『自分が何を言おうとしてるのかも判らない』『苦しくなくなったのが怖い』
 最後には口を揃えてそんな事を呟いてたけど、太陽の巫女さまにも当てはまるかしら?」
玉蓉の言葉に、沙羅は返事をしない。否、できない。
何故ならば彼女は今この瞬間もまさに、凶悪なディルドーの突き上げで絶頂させられているからだ。

「あくぁあああっ、んはぁああああおぉおお゛お゛っ!!!!!
 た、達していますっ、ずっと達しているんですっ!! もぉやめて、つらいっ、つらいいぃっっ!!!」
「そりゃあ辛いでしょうねぇ。折角だから辛いついでに、いま貴女の中がどんな風なのか見させてあげるわ」
玉蓉がそう言って合図を送ると、白衣の一人が頷いた。
そして直後、沙羅の真正面に設置されていたスクリーンが起動する。
そこには正面のカメラで撮影された内容がそのまま、大々的に映し出されていた。
すなわち、胡坐縛りを施された沙羅の膣内へ透明な凶器の入り込む映像が。
生々しい映像だ。愛液だろうか、妙なヌメリを帯びたピンク色の粘膜が、明らかに限界と思えるサイズの円柱型に押し拡げられている。
そしてその最奥ではやはり、剛直の先端が無理矢理に子宮口を開こうとしていた。
流石に亀頭が通る気配はないが、剛直が打ち込まれるたび二本指が入る程度には開いており、どれほど解れているのかが見て取れる。

「ひ、ひぃっ…………!!」
その映像を前に、沙羅はこれ以上ないほど目を見開いた。
かすかに歯が鳴らされ始めたが、絶頂ゆえではない。
自分が達し続けていた理由……女体の最も秘匿すべき場所の現状を目の当たりにしたためだ。
特に彼女の場合、子宮とは次代の『太陽の依り代』を生み出すための国宝。
幼い頃から宮中の人間より、常に身を清めよ、何の間違いがあっても性の病などに掛かってはならぬ、と厳しく教え込まれてきた。
その彼女にとって眼前の光景は、空の太陽へぽっかりと穴が空いたに等しかろう。

「……ああ、いや、おねがい。壊さないで…………わたくしを……わたくしの、体を…………!!」
沙羅は哀願を口にし、その最中で絶頂に至った。
その表情は時おり素に戻るものの、すぐにまた理性を失くす。
次から次へと脳裏に白い花火が打ちあがり、正常な意識を陰へ追いやってしまうせいだ。
彼女の脳神経はすでに快楽という汁を吸って膨らみきっており、もはや意思で御せる段階にはない。

「救えるわよ。貴女の身体も、国の宝も。貴女が右手に握っている、そのスイッチを押しさえすればね」

快楽に打ち震える沙羅の耳へ、玉蓉のその言葉がするりと入り込む。
沙羅の右手がピクリと反応した。確かに、スイッチを押しさえすればこの地獄から抜け出せる約束だ。
だが、じりじりと親指が赤いボタンに近づき、縁にまで辿り着いて……そこで止まる。
玉蓉は片眉を吊り上げた。
「何をしているの。早く押しなさい」
ごく小声で沙羅に囁くが、沙羅の指は動かない。
「か、はっ…………あぐっ、くはっ…………かっ、は………………!!」
もはや悲鳴さえ上げられず、ガクガクと頭を揺らしながら泡を吐くような段階になっているというのに。
「楽にお成りなさい、沙羅。もういいじゃない。
 どうせそのスイッチを押して犠牲になるのは、今までろくな不幸も味わっていない人間なのよ」
不幸がない。
玉蓉のその言葉を聞き、沙羅の視線が眼前のスクリーンから外れる。
「あら、知らなかった? 興国の人間は捕虜ではあるけど、結構いい生活してるのよ。
 よっぽど反抗した人間は捕縛したけど、それ以外は強姦された例もなければ、不当な暴力の例もなし。
 それどころか子供なんか、外国のお菓子やオモチャにすっかり夢中みたい。
 貴女が頑張ってきたお陰でね。
 その一方で、貴女自身はどうだった? 国の象徴だからって理由で、ひとり犯されて、辱められて。
 その挙句に、今もこんな目に遭ってるんじゃない。
 いい加減、その重荷を紫庭の連中にも背負って貰いましょうよ。国の象徴を守るために」
玉蓉はそう言いながら、指でページをめくるサインを出した。
すると沙羅の眼前にあるスクリーンの映像が変わる。
木々の生い茂った見慣れた空間…………興国宮殿前の大広場だ。

『聖巳様、もうおやめ下さいっ!!』
『ひじぇりみしゃまー、もう痛い痛いのしちゃだめぇ!!』
『あたし達が代わりますっ! だから聖巳様、どうかこの国にお戻り下さい!』

トゥルグアの兵士に囲まれながら、興国の民は一様に天を仰いで叫んでいた。
その視線は遥かな距離を越え、沙羅と繋がる。
「と、いう事ですわ。国民自身も納得している以上、問題はありませんわよね」
玉蓉が仕上げの一言を言い終わるより前に、沙羅の右腕が持ち上がっていた。
「ふふ、そうそう……」
玉蓉は研究員達に目配せしてほくそ笑む。
国民が納得していようがいまいが、決断の際にどのような状況であろうが、そんな事は些事に過ぎない。
『聖巳が民を売った』、この事実が全てだ。
太陽から見放された民は、知らず知らずの内に鋼の信仰心を失うだろう。そうなれば正式にトゥルグアの属国となるのにも時間はかかるまい。
長らく『日陰の国』と蔑まれ続けてきたトゥルグアの悲願が果たされるのだ。
快楽で痙攣する沙羅の手が、とうとう真上へと持ち上がる。スクリーンの中の国民が悲しげに目を伏せる。
そして、沙羅が口を開いた。

「…………皆さん。わたくしは今ようやく、はっきりと悟りました。
 わたくしには、皆さんの中の誰一人とて犠牲にする事はできません。
 わたくしは太陽の依り代であると共に、国の象徴。そして“国”とは、あなた方国民一人一人の集まりなのです。
 もう間もなく、わたくしはわたくしでは無くなってしまうでしょう。
 けれど、嘆く必要はありません。わたくしの陽の魂はいつでも、皆さんの心の中にあるのですから」

紫庭興国の民は、言葉もなく上空を見上げていた。玉蓉も、研究者達も、何ら思考ができずにいた。
その静寂の中、沙羅の右手が開かれる。
棒の先にボタンを冠したスイッチは、水平に床へ落ちていく。
床から響く冷たい音。それをきっかけに、ようやくにして周囲の時も動き出した。
紫庭の民は、一人また一人と涙しながら太陽への祈りを奉げ。玉蓉達は青筋を立てて沙羅を睨み下ろす。
「あ、ああ、そう。それが答えなの…………。どうやら、本当の神様になりたいみたいねぇ。
 いいわ、だったら望み通りに壊してあげる!!」
その宣告と共に、研究員達の指が一斉にキーボードを打ち込み始めた。
沙羅を囲む機械群から次々と起動音が鳴り、緑色のランプが津波のように点灯していく。
巨大スクリーンの映像も、広場の光景から沙羅のあられもない姿に戻る。
それら全ての中心で、沙羅は諦観したような薄笑みを浮かべていた。
「…………さようなら、皆さん。そして有難う。わたくしを愛してくれて、わたくしを育ててくれて。
 加護のない太陽の巫女ではありましたが、わたくしは、最期まで皆さんが大好きです…………」
その別れの言葉が終わった瞬間、無数のスチールアームが沙羅に襲い掛かる。

まずは沙羅の拘束姿勢が大幅に変えられた。
両の足首を掴むアームが移動を始める。胡坐から一転、両脚を肩より外側へ持っていくような大開脚へ。
「くっ…………!!」
相当な柔軟性を要求されるこの姿勢に、沙羅から小さな呻きが漏れる。
続いて、秘裂を開いていたリングのロックが解除され、ずるりと透明なディルドーが抜き出される。
ディルドーがアームに接続されていなかったのは、あくまで興国民に膣内の様子を見せ付ける事が目的だった。
今となってはもうその必要はない。
そのためディルドーは元通り太いアームに接続され、加えて透明なディルドーの中央部に細い螺旋状の棒が装填される。
沙羅はそこに言い知れぬ不安を感じた。しかし今さら足掻きようもなく、ただ静かに呼吸を整える。
「さぁ、お馴染みの後半の儀よ、聖巳さま。おっと、貴女はもう人である事を捨てたんだから、メス豚で充分かしら。
 前半はかろうじて面目を保つけど、後半に差し掛かるとすっかりバテて乱れまくるのがお決まりだったわよね。
 今日は、果たしてどうかしら?」
玉蓉の視線には、明らかに先ほどまでを上回る悪意が宿っていた。
それは他の研究員達も同じだ。
その悪意ある指で、プログラムの遂行命令が発される。

僅かながら外気に触れて冷えつつあった膣内へ、再び剛直が嵌まり込んでいく。
出産を思わせる圧迫に、沙羅の額へ新たな脂汗が滲み、恥骨が悲鳴を上げ始める。
それでも一度は耐えた苦痛だ。沙羅はそう考えて気を落ち着かせた。
ディルドーは膣内を限界まで拡げつつ、ゆっくりと最奥へ到達する。
「はあぁっ…………」
再び訪れた息苦しさに、沙羅は大きく息を吐いた。
しかし、彼女は知らない。生まれ変わったこのディルドーの本領は、膣奥へ達してからだという事を。
「えっ!?」
沙羅の肩がぞくりと跳ねる。
膣の最奥まで達したディルドーの先端部から、さらに何かが盛り上がってきている。
スクリーンに目をやれば、何が起こっているのかが明らかとなった。
開かれた膣の奥、ディルドーの圧迫で二本指ほどの大きさに開いた子宮口へ、先ほど目にした螺旋状の棒が入り込もうとしているのだ。
沙羅の瞳が見守る中、それはついに子宮口を通り抜け、子宮頚部へとその身を捻り込んでいく。
「くあぁああ゛あ゛っ!!」
沙羅は思わず叫んだ。総身に鳥肌が立つ。しかしその一方で、膣の奥は熱く痺れていた。どうやら絶頂しているようだ。
そして、その痛痒は一度限りでは済まない。

妙に弾性のあるその螺旋状の棒は、子宮側へ通り抜ける頃にまた捻れながらディルドーへと戻り始めた。
沙羅の脊髄を、いよいよ耐え難いほどの痺れが走り抜ける。
「ひっ、ひぃいぃいいいっ!! な、何、いったい何なのですこれはっ!
 わたくしの奥の奥に、何度も、無理矢理…………う、くくっ……ふうぅンン゛ん゛っ!!!」
「アハハハッ、恐怖と快感がない交ぜになったって顔ねぇ。受け入れたくないけど、勝手にイッちゃうんでしょう。
 それはそうよ。さっきまで子宮を叩かれただけでイキまくってたのに、その根元部分をじかに扱かれちゃ堪らないわ。
 でもね。この地獄には、もっと“下”があるのよ?」
玉蓉がそう告げた直後、沙羅の膣奥に引き続いての変化が起きる。
子宮頚部に嵌まり込んだ部分が、強烈に振動を始めたのだ。
「はぅう゛っ!!!」
この責めは効いた。擦られるだけでも痺れが走るほど敏感な部分に、機械の振動を受けては耐え切れる筈もない。
今まで受けていた刺激すらぬるま湯に思える苛烈さで、まさしく『瞬く間に』絶頂の数が積み重なっていく。
そしてどうやら、状況はさらに悪くなるようだ。
見覚えのある重厚なバイブレーターが、絶頂に打ち震える沙羅の陰核へと狙いを定めた。
「振動といえばこれを思い出すでしょう。ついでにご馳走してあげるわ」
嫌というほど味わった強烈な振動。それがすでに勃起状態にある陰核へ浴びせられた。
「がああああああっ!!!」
品のない叫びも出ようというものだ。そして今度の振動に寸止めはない。容赦なく絶頂へ至らしめるべく技巧を凝らす。
丸まった頂点を押し付け、側面で擦り、触れるか触れないかという皮一枚の距離で嬲り……。
「ああぁあああいやぁああ゛っ! そんな、やめてええええ゛ぇ゛ーーーーっ!!
 達しているのにまた達して、本当におかしくなってしまいますっ!」
機材をも震わせるような沙羅の絶叫に、白衣の一堂は笑みを深めるばかりだ。
「そうよ、イきなさいメス豚! お前はこれから、イってイってイキまくるの!
 さっきまでの私達がどれだけ加減していたのかを、存分に思い知りながら狂うがいいわ!!」




それからの行為は、政治的交渉でもなければ実験でもなく、完全に憂さ晴らしの拷問だった。
極太のディルドーで膣を拡げ、螺旋状のアタッチメントで子宮頚部を刺激する。
強力なバイブレーターで陰核を虐め抜く。
それを『基本』としながら、他にも思いつく限りの責めが加えられた。

例えば、椀を伏せたような瑞々しい双乳。
ここには家畜に用いるような搾乳機が取り付けられ、屹立した乳首周りを吸い上げられた。
研究員には年配の女も多く、胸へのコンプレックスは殊更に強いようだ。
そのため何人かが乳房責めに熱意を示し、薬物注射で本格的に母乳が出るまで育てる、ピアスを通してチェーンを垂らさせるなど、
冗談とも本気ともつかない物騒な談義を繰り返していた。

ディルドーが唸る膣の少し上、尿道も勿論ターゲットだ。
「いやっ、何を!? そ、そこはお小水の出る穴です! ああ、そんな、いけませんっ!!」
沙羅の抗議など聞き入れられる道理もない。
むしろそうした嫌がりの声が上がるたび、研究員達の顔はいよいよ嬉々としはじめる。
「こうやって尿道の奥を何度もこすってやれば、クリトリスが怖いくらいに勃起してくるでしょ。その状態でクリ責めすれば…………」
女の一人が細い棒を沙羅の尿道に差し込みつつ、モニター席に合図を送った。
すると間髪入れずにバイブレーターのスイッチが入れられる。
「くぁああああっ、ああっ、はぁあっぐ!!! んんんンん、くぁあおおお゛お゛ーーーっっ!!!」
「くひひ、スゴイ声。やっぱ何だかんだいってもクリ逝きって手軽でいいよね」
「ふーん。男の身からすっと、いまいちピンとこねーんだよな。
 ま、ああして腰ビックンビックンしてんの見ると、マジで一番敏感な場所なんだろうなと思うが」
狂乱する沙羅と、それを面白そうに見守る研究員達。
その間にはおぞましいほどの温度差があった。

こうした研究者達にかかれば、当然、肛門も良い陵辱対象だ。
まずは下準備と称して、細いチューブを用いての大量浣腸が施される。
ただでさえディルドーに限界まで膣を拡げられている状態だ。そこへの浣腸はつらく、沙羅はすぐに排泄の許可を乞うた。
しかし、研究員達は誰一人として許可を出さない。
かつて広場で監視役を根負けさせるほどに耐え忍んだ事を引き合いに出し、我慢を強いる。
最後には青ざめた顔をした沙羅があまり叫ぶので、惨めたらしい排泄の宣言をさせた上でようやく吸引となった。
挙句、肛門に関してはそれだけでは終わらない。
「ほーらぁ、どうなのメス豚? トロットロになってる子宮を、直腸側から揉まれてる気分は」
女の一人は、桜色の肛門へ細い腕を丸ごと挿入したまま問うた。
連続絶頂の影響で自律神経が狂い、括約筋がかなり緩んでいるために可能なことだ。
本人はそう語っていたが、挿入からのサディスティックな言動を見る限り、狭かろうが無理矢理に捻り込んでいた可能性も否定できない。

「……はぁ、ハァ…………ほ、ほんとうに、ほんとうにもぉ……やめてください。狂いそうで、こわい。
 い、いまもずっと、達しています…………からだが震えて、とまらないのです」
枯れたような声で沙羅が告げた。
異常性癖者から多対一で一方的に嬲られ続ける沙羅は、着実に疲弊している。
慎ましい彼女がこの1時間で、実に百を超える絶頂宣言をしている事実。
それが何より責めの苛烈さを物語っていた。
今も彼女は、両の乳房、陰核、尿道、膣、子宮口、そして直腸という七つの性感帯を同時に責め苛まれている。
「なーにが達してます、よ。いつまで高貴なご身分のつもりなの?
 絶頂の時は『イク』って言うように教えたよね?」
肛門嗜好の女が、腸壁越しに子宮を握り潰しながら囁く。沙羅の両脚が汗を散らしながら跳ねた。
「はごぉぉおお゛お゛っ!! ぃひっ、は、はい、イキますっ、イっていますっ!! ですからっ、ですからもう…………」
「やめるワケないでしょ。聞いてなかったの? お前は、今日この場でぶっ壊れるんだってば」
「そうよ。頑張ってないで、もう理性もプライドも捨てちゃいなさい。今更マトモでいようとしても辛いだけよ?」
沙羅の哀願は聞かれる事もなく却下され、再び苛烈な責めが始まる。
痛いほどに屹立した乳首が吸われ、
尿道を弄くられながら強力なバイブレーターで陰核を震わされ、
膣内が極太のディルドーに犯され、
子宮口が螺旋状の器具でこじ開けられ、
蕩けきった子宮を直腸を満たす腕で鷲掴みにされる。

「んひぃぃっイグッ、イっぐぅううっーーー!! と、とまらないっ、ぁあああイグゥゥーーっっ!!
 かっ、あはっ……アぉほおお゛っ! んぐぁあああ゛っア゛がア゛ア゛っっっ…………!!」

沙羅は獣じみた声を上げながら、ついに天を仰ぐ。
白目を剥き、口からは大きな泡を吐き。とても理性があるとは思えない。
ただひとつ意思らしきものを示すのは、その右手――。
右手は震えながら、必死に何かを探していた。

「あはっ、見てあの手。コイツまさか、あのスイッチ探してんじゃないの?」
「わ、マジだ。今更誰か犠牲にする気かよ」
「もうそこまで頭回ってないんじゃない? ただディルドーだけでも止めたいってだけでしょ」
「アハハッ、馬鹿だねー。自分で格好つけて放り捨てたくせに。もう完全に理性飛んじゃってるっぽいね。
 でも一応ダメ押しはしとかないと」
「そうね。このまま1時間も放っておけば、完全にぶっ壊れるでしょ」
「で、その後はどうする。新しいマシンのテスターにでもするか? 結構金になりそうだもんな、こういう機械って」
「んー。機械にさせてもいいけど、ウチのスラムで売春(ウリ)させんのもありじゃない?
 政治的な利用価値はなくなったけど、まだ肉人形としての需要はあるでしょ」
「肉といやぁ、とりあえずメシでも食いながら決めようぜ。朝からぶっ通しでハラ減ったよ」
研究者達が沙羅の処遇を語りながら、一人また一人と背を向けて消えていく。
最後に玉蓉が沙羅へ一瞥をくれ、
「…………そうなってしまえば惨めなものね、『聖巳さま』。
 お前だけは、興国民としてもトゥルグア人としても扱わない。ただ穴が3つ空いてるだけのジャンクよ」
吐き捨てるようにそう告げて踵を返す。

「ふっ…………ふふ、あははははっ…………わたくひぃ、こわ……れ? きゃはっ、きゃははははっ!!…………あはっ」

それらを虚ろな瞳で追いながら、沙羅は笑っていた。笑いながら、涙を流していた。

いつまでも、いつまでも。





宗教国家、紫庭興国。その宮殿が陥落したという報せは、全世界に衝撃を齎した。
しかし、新生『トゥルグア共和国』は僅か4ヶ月で打倒される。
太陽の依り代たる『聖巳』の意思を受け継いだ者達が蜂起し、見事にクーデターを成功させたのだ。
共和国の施設を制圧しながら、旧興国兵は血眼になって『聖巳』を探し回った。
しかし、それが上手くいかない。
『聖巳(ひじりみ)』はトゥルグア共和国において最大の禁句とされ、ごく一部においてのみ『穢身(けがれみ)』の名で秘匿され続けていたからだ。
結局、事情を知る玉蓉を、ヒトとしての尊厳を保てるギリギリまで尋問し、ようやくその所在が明らかとなった。
旧興国の宮殿……その地下へ密かに増設された空間。沙羅はそこだという。
情報通り地下の一室に踏み入った兵士達は、そこで己の目を疑った。

そこには、機械相手に延々と犯され続ける娘がいたそうだ。
木馬型のファッキングマシンに跨ったまま、膣と肛門を極太の剛直に穿たれ続けている。
木馬の左右にはアームに繋がったディルドーが並び、娘の額と首に嵌められたリングを用いて喉奥奉仕を強いている。
ディルドーは極めて精巧であり、娘が喉奥でしばし扱くと、擬似精液とでもいうべき白い液を噴くという。
娘はその白濁を嚥下しながら、額と首のリングを引かれ、すぐにまた別のディルドーを喉奥深くまで咥え込まされる。
機械相手ではあったが、それは間違いなく輪姦だった。現場を見たものはそう口を揃える。
兵士達は苦心の末に機械をすべて停止させ、かろうじて娘を救い出した。
娘の華奢な身体を抱きかかえ、それが沙羅本人だろうと確認しあうと、皆して男泣きに泣いた。

沙羅は、4ヶ月の間に変わり果てていたらしい。
どれだけ眠っていなかったのか、目の下の隈がひどい。
枝毛だらけのくすんだ黒髪は、膝よりなお下にまで伸び、その他の体毛についても処理の形跡はない。
身体中至る所にトゥルグアの文字で落書きがなされ、何か数を記録している物も見受けられた。
しかし、その内容を鵜呑みにはできまい。
もしもそれらの記述がすべて正ならば、沙羅の膣と肛門、そして口は、この4ヶ月だけで計250回以上も使用されており、
また売春大国であるトゥルグアの最下層スラムにおいて、飲尿を初めとしたあらゆるハードコアプレイを許される“肉便器”、であった事になってしまう。
食料だけは与えられているのか、痩せてはいない。それどころか乳房に至っては、見違えるほどの豊乳化が見られた。
娘が沙羅であるという確信が中々得られなかった理由がこれだ。
上着を着るのにさえ不便がありそうな乳房。その乳頭には銀のリングピアスが着けられ、しとどな母乳を滴らせている。
そして、何より違うのはその雰囲気だった。かつての崇高な雰囲気は微塵もない。
「……ねぇ、したいの?」
子供のような無警戒さで、沙羅は売春の意思を尋ねる。そして誘うように秘裂を拡げてみせた。
兵士達はここでまた息を呑む。
その陰唇にも、肥大化したクリトリスにも、悪趣味なアートのように金のピアスがびっしりと入っていたからだ。
それらは、この4ヵ月間の彼女の不遇を窺い知るに、充分すぎるものだった。




 ――それから、一年。

沙羅はかつての通り……いや、事によるとそれ以上に美しく成長していた。
『聖巳様』という呼びかけに対しては依然として反応が鈍いものの、穏やかで心優しく、民の誰からも好かれている。
ただし、全てが元通りとはいかない。
たとえば、その胸だ。どのような服を着ても隠し切れないその豊乳は、男にとって目の毒だった。
また白磁の肌に煌めく金銀のピアスもそのままであり、開発されきった性器の見た目も戻る事はない。
そして、それらに関連する問題がひとつ。
彼女の色狂いもまた治らない。
奇跡的にかつての人格が戻りつつあるものの、それとはまた別の人格が彼女の中に存在する。
民の中にはいけない事と知りつつも、彼女の妖艶な誘いに乗せられて宮中へ忍び込む者が後を断たない。

『ようこそおいでくださいました。むずかしいことは抜きにして、始めましょう。
 どうかあなたの太陽で、わたくしを温めてくださいまし』

濡れた瞳でそう囁かれれば、誰一人その誘惑に勝てはしない。
雰囲気に往年の清純さを残しながらも、その唇が開いたり脚が組み変えられるだけで、スタイリッシュな女の魅力が香ってくる。
その妖しさは、太陽というより月を思わせた。
他者からの光を取り入れ、幻想的に輝く月――それが沙羅の新たな人格だ。
太陽の没している間は、彼女がこの国を支配する。
清濁のすべてを呑み込む、淫蕩な笑みを浮かべて……。


                       終
 
 
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