※嘔吐イラマチオを初めとするハードめのSM注意。
スカトロ(大)はなし。
『ハードコア・クイーン』。
それがAV女優・伊万里 志鶴(いまり しづる)の2つ名だ。
華の女子高生時代、その類稀な美貌を見出されてスカウトを受けたのが、志鶴の芸能生活への第一歩だった。
事務所へ配属されて間もなく、志鶴は人気ドラマの端役としてチラリと映り、たちまち一部で人気を博す。
若干17とは思えぬほど大人びた雰囲気もさることながら、何よりその眼力が人目を惹いた。
猛禽類にすら匹敵するほど、くっ、と鋭く前方を見据える瞳。
志鶴は生来気が強い。中学時代に学友が誘拐されそうになった折、暴漢をハイキックで鎮圧して紙面を飾ったこともあるほどに。
その恐れ知らずな気の強さが、澱みない眼力に表れるのか。
ネット上の記録を見れば、初出演時すでに史鶴を『女王系女子高生』と称していた意見は数多い。
こうした志鶴の人気は、その後冴えない中年刑事を尻に敷く女子高生役を演じた事で、いよいよ国民的なものとなる。
女性中高生からは『憧れる先輩No.1』、男性層からは『見下されて踏まれたい女子高生No.1』などと賛美された。
志鶴はその後もドラマや映画で好演を続け、名実共に国民的女優の一人へと成長する。
この頃になるとCMへの出演も多い。特にシャンプーのCMにおいて、艶やかな黒髪を靡かせながら力強く振り返るシーンは話題になったものだ。
だからこそ、誰もが驚いた。その志鶴が若干20歳の春、突如としてアダルトビデオ業界へと転身したのだから。
ファンはポルノ転身のきっかけについて、直前に主演した映画の影響だと口を揃える。
その映画は、和製ベストセラー小説を映画化したものだった。
女子大生がふとした縁から若手社長と肉体関係を持ちはじめ、その歪んだ性癖を受け止める、という内容。
志鶴は、この映画で大胆なヌードを晒した。
さらにはその瑞々しい肉体を縄打たれ、熱い蝋を浴びせかけられて涙した。
常に全力の演技を求める彼女は、撮影において一切のNGを設けない。それどころか終盤には縄酔いし、4度撮影が中断されたという。
そのクランクアップから間もなくのポルノ転向となれば、確かに役に入り込みすぎたが故と考えるのが自然だろう。
ともあれ、この転身についてファンの意見は二つに分かれた。
力ある銀幕女優が低俗なポルノなどに身をやつして、と否定する層。
あるいは、高校時代からあふれ出ていたフェティシズムを、ようやく遺憾なく発揮できるようになった、と歓喜する層。
新聞や週刊誌の論調は前者で統一されていたが、本音とは判りやすいものだ。
志鶴のAV処女作は、発売後たった一週で、その年のセールス記録を大幅に塗り替えたのだった。
出演へ至る背景が背景だけに、志鶴には初期からハードな責めが課せられた。
デビュー作にしてすでに、拘束された上でクリトリスを責め抜かれ、失禁させられている。
勿論、彼女本来のキャラクターを活かした『女王役』での撮影も行われた。
元より演技派であり、見る者を釘付けにする目力を持つ志鶴だ。
女王役もそれは嵌まり、マゾヒズムを持つ男への責めでも、濃厚なレズビアン行為でも、抜群のカリスマ性を発揮する。
サディズムとマゾヒズム。その両方の性質が交互にクローズアップされる形で、次々とヒット作が生み出されていった。
その中で、志鶴にはある特徴が発見される。
『喉が強い』。
志鶴はどれほど苛烈なディープスロートを受けても、決して嘔吐をしない。
人並みにえづきはする。えづき汁も出る。しかし嘔吐はせず、いつでも頬を膨らませたまま相手を睨み上げて耐え切った。
4本目のビデオ撮影で、ベテラン女優でも9割は吐くとされる国内最大級の逸物をいきなり相手にした時には、流石に危うかったらしい。
しかしそれさえかろうじて耐え切ってみせたし、18本目の撮影で再度組んだ時には、涼しい顔で根元まで咥え込んでリベンジを果たしてみせた。
その喉は撮影を重ねるたびにいよいよ鍛えられ、今では彼女を追い込めるディープスロート自体がない。
大手レーベルで満を持して開かれた、巨根男優40人を集めての“イラマチオ地獄”ですら、鼻歌交じりに完遂されてしまった。
DVDにオマケとして収録されていた前座の女優2人は、これ以上ないほど涙を流しながら、各20回以上は吐瀉物を飛び散らせていたというのに。
27歳にして380本以上のビデオに出演している彼女はすっかり大御所であり、被虐側の役回りは極端に減っている。
それでもなお、彼女こそ日本のBDSM界の極北だという意見が大多数だ。
事実その通りなのだろう。今や日本において、志鶴以上のハードコア女優は存在しない。
日本において、は。
しかし、今はネット社会だ。どんな人間でも簡単に海外サイトにアクセスし、そこに並ぶSM動画を自由に閲覧できる。
海外のSMは日本よりも容赦がない。日本で『過激』と銘打たれる物ですら、その大半は海外でにおけるアベレージにも満たない。
多種多様な拘束具で完全に身動きを封じ、その上で赤く痕がつくほどのスパンキングを加え続ける。
アナルセックスなど挨拶代わりだ。
マシンによる陵辱やフィストファック、果てにはスカルファックさえもが、アナウンサーを思わせる美人女優にも容赦なく施される世界。
ディープスロートひとつを取っても、日本人では有り得ないサイズを根元まで咥え込むインパクトは半端ではない。
無論、それらが可能なのは欧米人女性の恵まれた骨格や筋肉あっての事ではあろう。
しかしそうした本物の地獄を覗き見た者の中には、こう考える者もいる。
『伊万里志鶴レベルでハードコア女優なんて、笑わせる』……と。
この考えに憤ったのは、他ならぬ志鶴本人だ。
極度の負けず嫌いゆえ、日本のレベルが海外に劣るという意見を聞き逃せない。
『他所は他所、ウチはウチ』だと周囲が宥めても聞き入れず、断固アメリカ行きを主張する。
結果、折れた者もあり、また新たなヒットシリーズの匂いを嗅ぎ付けた者もありで、志鶴を中心とした企画が動き出した。
それから間もなく、マイアミに拠点を置くビデオ制作会社『Dirty babe』がこの企画に手を上げる。
アジアン、特に日本人の人気は海外でも非常に高く、上玉の日本人にハードなファックをしたいと常々考えていた。
しかしいざ話が進んでも、希望するプレイ内容を話すと途端に事務所から出演NGが出る。
だから今回の話は、天から財宝の山が降ってきたようだ。
マッシブなDirty babe社窓口担当はそう話し、舌なめずりするように志鶴を眺めた。
新作の予告編として撮影されたこの交渉の中で、志鶴はにこやかに男の握手に応じる。手首ごと覆われるような掌の大きさに臆しもせず。
『日本のSMはぬるい? 自称ハードコアクイーンでも、どうせ本場のプレイには耐え切れない?
そういう寝言は、これからの映像を見てから言うことね』
志鶴はカメラに向け、挑むような眼でで告げる。屈服するなどとは微塵も考えていないという様子だ。
事実彼女は、常にその眼で結果を残してきた。
主演女優賞を獲った時も。“イラマチオ地獄”に歴代女優で初めて耐え切ってみせた時も、その眼だった。
だからこそ期待が膨らむ。
日本が誇るハードコアクイーンは、果たして世界に通じるのか。何万という人間が、その勝負の行方に着目していた。
借りた女優だからといって、一切容赦はしない。
それがDirty babe社の方針であり、言うまでもなく志鶴はそれを受け入れた。
唯一の例外といえば、日本市場の事を考えてマスカラや濃い口紅は控え、ごく自然な化粧に留めた事か。
その上で撮影用の安価な着物を着せられ、ついに撮影が開始される。
初めはインタビューから始まった。
白いベッドの上で、白人と黒人の男に挟まれて座る志鶴は、自らの経歴を改めて説明させられる。
かつてはドラマ女優であり、映画にも出ていたこと。ひとつのSM映画がきっかけでこの世界に足を踏み入れたこと。
そうした女優の上等さの説明が一通り済んだ所で、両サイドの男が動き出す。
顎に手を添えてキスを迫り、着物の上から乳房や秘部を撫でつつ、着物を肌蹴させていく。
肩が覗き、乳房が覗き……やがては帯だけを残し、白い上半身と太腿がすべて露わになってしまう。
「オーゥ…………」
男2人から、思わずといった様子で溜め息が漏れた。
志鶴は余裕の笑みを浮かべている。無論、その心中は穏やかではない。
彼女は後のプレイをすべて予告されている。この直後には、外人特有の規格外のペニスを咥え込まされる事も。
志鶴の両側で、白人男がスラックスを、黒人男がジーンズを脱ぎ捨てた。
そうして露わになった逸物に、志鶴の口元が引き攣る。
だらりと垂れ下がった白人男のペニスは、志鶴がようやく指の輪で掴める太さと、両の掌で握り込んでもなお亀頭部分が丸々余るだけの長さを兼ね備えていた。
黒人男の物となれば、明らかにそれ以上だ。
日本人では有り得ない未知のサイズを前に、しかし志鶴自身の矜持が退く事を許さない。
志鶴は左右の掌でしっかりと2本のペニスを握り、大きく口を開いて白人男の物を咥え込んだ。
太い幹を手で扱きつつ、口を前後させてたっぷりと唾液を塗す。
そうして準備を整えた後に、少しずつ、少しずつ、長大なペニスを喉奥へと送り込んでいく。
やはり日本人の物とはサイズが違う。亀頭を喉奥まで滑り込ませても、まだそれ以上に奥へ来る。
だがそのサイズに感嘆する一方で、志鶴は密かに安堵していた。
柔らかいのだ。確かに大きさはあるが、喉へ当たると軟質ゴムのごとく素直に折れ曲がってくれる。
(なんだ、聞いた通りフニャフニャじゃない。これなら、硬い日本人の方がまだ苦しいわ)
そのような事を考えつつ、喉奥で亀頭を扱き立てる。
白人男からまたしても溜め息が漏れる。
志鶴は鼻から笑い声を漏らし、白人の物を吐き出した。そして余裕の笑みを絶やさぬまま顔を逆に向け、黒人男のペニスを咥え込む。
こちらは今より多少大きいが、同じく大したことはないだろう。彼女の頭にはそうした考えがあったに違いない。
実際、黒人のペニスは志鶴に咥え込まれるまで、白人男と同等以上に柔らかく垂れ下がっていたのだ。
志鶴が甘く考えるのも無理はなかった。
しかし。両手で白人男の物を扱きつつ黒人の物を咥え込んでから数秒後、彼女に異変が起きる。
「う゛っ、う゛むっ!?」
その苦しげな声と共に、志鶴は目を見開いた。黒人男の物は、その長さの半分ほどしか喉へ入っていないのに。
黒人が何かを呟きながら志鶴の黒髪を押さえつけ、さらに深い奉仕を強いる。
そこから数度頭が前後した時。
「ぶっは…………!!」
志鶴は眉根を寄せながら逸物を吐き出した。唾液と共に、半分とはいえ相当な長さが口の中から零れだす。
そして、吐き出されたその逸物は…………垂れ下がらなかった。最初の様が嘘のように、黒い釣り竿の如く“しなっている”。
黒人の指がそれを扱きつつ志鶴の唇に押し当てた時、志鶴は目を閉じていた。
そして後頭部を掴む手の動きで奥まで咥え込まされる瞬間、ぐぅぅえっ、と喉奥から声を漏らす。
そこで一旦唾液を散らしながら黒人の物から開放され、すぐに白人の男が腰を突き出した。
しかし、今度は志鶴に余裕がない。白人の物を喉奥深く咥え込みながら、ひくっ、と肩が竦む。
そのまま幾度か小さな声を上げさせられ、次にまた黒人男の番が来る。
今度は後頭部を掴まれたまま、ぐうと一気に半ばほどまでを咥え込まされた。
「ぐ、ぶふっ!!」
志鶴の鼻から咳き込む音が響く。
黒人はその変化を見逃さず、両手でしっかりと志鶴の顔の上下を掴むと、半ばほどまで咥え込ませては一気に引き抜きはじめた。
くぽっ、くぽっ、という音が繰り返される。
「あぁっ……ぷあっ、あぁ……ぁ…………」
強いられる動きが嘔吐感を呼ぶのだろうか。白人の物を扱く志鶴の手が完全に止まった。
ただ黒人の方を睨み上げながら、余裕のない様子で唇を震わせる。
そうした行為を十回ほど繰り返した後に、とうとう黒人男は腰を突き出しつつ、本格的に志鶴の顔を引きつけはじめた。
これまでせいぜい半ばほどしか入り込んでいなかった剛直が、その七割ほどまで志鶴の頬の内に押し入っていく。
これに耐え切れる道理はない。
黒人の手に顎を押さえ込まれる中、志鶴の喉と鎖骨付近に深い筋が入る。
気の強そうな眉が幾度も幾度も顰められ、喉奥からうがいをするような水音が漏れ始める。
それから、三秒後。
「お゛っ!!」
一際低いえづき声と共に、志鶴の肩が跳ね上がり、それと同時に黒人が腰を進めて八割ほどまで怒張を押し込む。
それが駄目押しとなり、志鶴の喉奥はとうとう決壊した。
「んぉ゛おも゛ぉ゛えっ!! おごっ……ほぉぉ゛お゛ええ゛ぇえええ゛っ………………!!!」
かつて出た事もないほど低いえづきと共に、志鶴の唇を黄色い吐瀉物が通り抜けた。
それは怒張が抜かれる動きの中でさらに量を増し、盛大にベッドシーツを汚していく。
ずるりと喉奥から引き抜かれた黒い怒張は、唾液と吐瀉物に塗れながらいよいよ力強く反り立っていた。
よく見ればその表面には太い血管が浮き立っており、初めの頃とはまるで別物だと解る。
それが志鶴を征服した凶器だ。日本のどんな巨根をも制してきた志鶴は、この金棒の如き凶器の前に敗れたのだ。
そして、黄色い唾液を吐きこぼす志鶴にはまだ休息が許されない。
「ヘイ!」
白人男が志鶴の顎を掴み、自らの逸物を咥え込ませる。
興奮により、若干の硬さを有し始めた白い男根。嘔吐直後の志鶴は、こちらにもまた抗しうる術がない。
根元まで咥え込まされてから腰を揺らされれば、お゛ぉ゛、と呻きながらまた吐いてしまうのだった。
「はぁ、はぁ…………はぁ、はあぁっ…………」
顎から胸元、そして太腿までを自らのえづき汁と吐瀉物で汚し、荒い息を吐く志鶴。
胸中には敗北感が渦巻いているだろうが、それでも彼女は猛禽の瞳を崩さない。
マイアミの刺青男達は、その女王然とした気丈さを嬉しがる。
この程度で心を折られては困るのだ。黒人ペニスによる嘔吐など、Dirty babeのビデオにおいては洗礼に過ぎない。
一切容赦はしない――その言葉が表す真の地獄巡りは、これから始まるのだから。
※
志鶴がレズビアンの受け役を演じるなど、いつ以来のことだろう。
“女王”は今、パイプ椅子に両脚を抱え上げる格好で座らされ、黒人女の手で肛門にホースをねじ込まれていた。
ホースからは冷たい水が早いペースで流れ込んでくる。
「オーライ? ジャパニィーズ」
黒人女は日本人への嘲りの態度を隠そうともしない。
「オーライ」
志鶴はそう答えるしかなかった。しかし口では気丈でいようとも、肛門内は刻一刻と水で満たされていく。
数秒と経たぬうちに水は直腸の容量を超え、ホースの上側から噴き出していく。
それを見た黒人女は、笑いながらホースを引き抜いた。たちまち水が志鶴の肛門からあふれ出す。
かなりの量と勢いだ。肛門から出る瞬間は収束している水流が、先へ行くにつれて縦の帯状に広がっていく。
あらかじめ腸内洗浄は済ませてあるため、内容物はない。しかし、恥は恥だ。
黒人女は大仰に目を剥いてそれを嘲笑った。そして出るものが出た後、平手で志鶴の腿を打ち据える。
凄まじい音が響きわたった。
「んぐっ!!」
志鶴から声が漏れる。
黒人女の手が離された時、白い内腿にははっきりと赤い手形が残っていた。恐ろしく容赦のないスパンキングだ。
しかし、志鶴はその平手を受けながらも黒人女を睨み返す。SMの女王たる者が平手ごときに屈せるか。そう主張するように。
黒人女はその志鶴の態度をいよいよ可笑しがりつつ、再び水の噴き出すホースを肛門へと捻じ込んだ。
志鶴にそのような責めを課すなど、日本の女優であれば誰一人許されない。しかし、ここマイアミに日本の業界事情など通じない。
ホースからは容赦なく水が流れ込み、やがて腸の容量を超えてあふれ出す。
そこでまた水を排出させられ、三度ホースが挿入される。
何度繰り返すのか。志鶴がそう眉を顰めながら内腿に力を込めた。
そのうちにまた水は腸の容量を超え、ホースの合間から噴き出しはじめる。
ところが、今度は黒人女がホースを離さない。当然水は、限界を超えてなお直腸に流れ込み続ける。
「ちょ、ちょっと! もう無理よっ…………!!」
志鶴はそう黒人女を非難するが、黒人女は笑いながら、ノーノー、と繰り返すだけだった。
「あ゛っ……く、くっ…………くぁあ゛…………!!」
足指を強張らせながら、下腹部の圧迫感に耐える志鶴。その額にはじわりと汗が浮いていた。
そこから10秒以上が経過し、とうとう本当の限界が訪れる。
ホースが黒人女の指の中から弾け飛び、次いで怒涛のように水があふれ出す。
腸へ入った量が量だけに、その勢いは前2回の比ではない。次々と大量の奔流が噴き出し、勢いが弱まったかと思えばまた噴き出す。
それを6度ほど繰り返してもなお、志鶴の腸内には違和感が残っていた。
はぁ、はぁと荒い息を吐きながら、志鶴は視線を彷徨わせる。
黒人女はそうした志鶴の内情を察したかのように、二本指を揃えて肛門へと宛がった。そして、ずぐりと突き入れる。
「くぁっ……!」
志鶴が声を上げた。大量排泄の直後で、肛門が敏感になっているせいだ。
黒人女は動じず、慣れた指遣いで志鶴の肛門内を弄くり回す。すると数秒と経たぬうちに、再び水が噴き出しはじめた。
「くっ!!」
志鶴が羞恥に頬を赤らめようと、水は止まらない。
くいくいと指が曲げられ、直後に水が噴き出す。それは肛門からの潮吹きを思わせた。
近年の志鶴が女王然とした顔で若手女優に施している、潮吹き。それを逆にやられているのだ。
1分、また1分と時間が進むにつれ、志鶴の表情は歪んでいく。
しかし水が止まらない。黒人女の指遣いが、あまりにも手馴れすぎている。
さらに、恥辱はこれで終わりではなかった。
ようやくすべての水が掻き出された頃、黒人女が赤いペニスバンドを装着する。
そして荒い息を吐く志鶴の肛門へと、深く挿入を果たしたのだ。
「あ、あ!!」
志鶴は声を上げた。ハードコア女優として、アナルセックスなど星の数ほど経験してきた彼女が。
それほどに黒人女の指によって、肛門内の何かが開発されていたのだろうか。
両の膝裏を掴まれ、赤い擬似ペニスでずぐりずぐりと肛門を抉られる最中、志鶴は顎を引きながら悩ましげに黒髪を乱し続けた。
そして、交わりからわずか5分後。
「いやぁああっ!!!」
志鶴はその叫びと共に、今度は本物の潮吹きへと至らしめられる。
多量の水分が腸から吸収され、膀胱付近から排出されたのか。あるいは単に極感ゆえか。
いずれにせよ、くっぱりと開ききった秘裂の上部から体液を飛沫かされたのは事実だ。
「アハハハッ!!」
黒人女は大口を開けて笑いながら、上体を倒して志鶴の額にキスをする。さらに汗ばんだ黒髪を撫でてもみせる。
女王が奴隷に対してそうするように。
「く、うくっ…………!!」
志鶴の奥歯が噛み鳴らされた。彼女の女王としての尊厳が、またひとつ削り取られてしまったらしい。
※
「くぁああああっっ!!!!」
志鶴の悲鳴が、薄暗い撮影現場に響き渡った。
彼女はまさに今、肛門に極太のフックを掛けられて吊り下げられたところだ。
かろうじて地に着く脚がびぃんと張る。銀幕の舞台で何人もの視線を釘付けにした素晴らしい脚が。
両手は後ろ手の縄で縛められているため、彼女はその脚のみでバランスを取るしかない。
「ヘイ、ジャパニーズ」
野太い声に続き、黒人男の手の平でスパンキングラケットが鋭い音を立てた。
そしてラケットは志鶴の尻肉に宛がわれ、なお一層の音を響かせる。
「ぁああっ!!」
志鶴の脚がガクガクと震えた。ラケットが離されれば、打たれたところが赤く腫れているのが判る。
スパンキングという一点を取っても、日本でのものとはまるで厳しさが違う。
「ああっ、くあっ!! くぅううあっ!!」
痛烈なスパンキングはさらに続き、鋭い音と悲鳴をライトの元に繰り返させた。
打たれる痛みもひどいが、その痛みで身を捩らせることにより、フックで吊られた肛門がギリギリと縦に拡がるのがまたつらい。
やがて志鶴のキリリとした瞳から涙が一筋零れた頃、ようやくにしてスパンキングの時間は終わる。
しかし、苦しみから解放される訳ではない。
黒いスパンキングラケットに代わり、見るからに強力そうなニップルクリップが志鶴の両の乳房へと近づいていく。
それは男の太い指で存分に拡げられた後、屹立した乳頭へとかぶりついた。
「ふっぎゃああっ!!」
未だかつて、志鶴は乳房責めでこれほどに間の抜けた悲鳴を上げた事はない。
堪えられる悲鳴ならば堪えるという信条の彼女は、初めてワニクリップで乳房を潰された撮影でも、唇を噛んで静かに耐えた。
その彼女が反射的に叫んでしまうほど、今回のクリップは強烈だった。
乳首はほぼ原型を留めておらず、波打つ形のクリップの間で見事に挟み潰されてしまっている。
当然、痛みも尋常ではない。
志鶴は噛み合わせた歯の間ですーっと空気を吸っては、歯を開いて切なく呻く、という事を繰り返さざるをえなかった。
鼓動は早鐘のように早まり、髪の付け根すべてから脂汗が滲み出した。
その志鶴へ、さらに一人の男が近づく。
大きなその手が握るのは、銀色の開口具。それは慣れた手つきで志鶴の口へ嵌め込まれ、奥の歯までをカメラに晒した。
「アア゛……っ!!」
志鶴の舌が蠢き、喉奥から呻きが漏れる。目には焦りが見えた。必死の悲鳴を自由な口の形で上げられないのは、それだけで多分なストレスだ。
勿論、彼女を取り囲む外人達はそれを知った上で口枷を課したのだろう。
震える志鶴の白い身体を、男達はしばし観察していた。そして志鶴の瞳がようやく落ち着きを取り戻した頃、一人が口を開く。
「 To next stage …… 」
その言葉を、志鶴は確かに聞いた。そしてその意味を理解するより早く、右の太腿が抱え上げられる。
そして、クリトリスの側面に鋭い何かが宛がわれ――――貫かれた。
「あっがぁああアアア゛ア゛ア゛っ!!!!!」
絶叫。
まさにそれだ。
喉奥から開口具の外へ有らん限りの声を吐き出し、天井のライトを仰ぐ。
背は海老のように反り、左脚は肛門の痛みを無視して宙に浮く。
その直後に失禁が起こり、内腿を湯気が立つほど熱い流れが覆い尽くしていく。
アンモニアの匂いが鼻腔をくすぐる。
「はーっ、はあーーっ……はーっ、はーーっ…………」
下卑た笑い声に囲まれる中、志鶴はただ身を震わせ、口枷から荒い呼吸を繰り返す。
その瞳は半ば閉じたまま、はらはらと涙を溢すばかりだった。
ハードな撮影は続く。
志鶴はある時は檻のようなものに身体を拘束されたまま、ファッキングマシンの餌食となった。
日本のドリルバイブには確かに潮を噴かされたが、気が狂うほどではなかった。海外の物も大差はないだろう。
撮影前のそうした予測は見事に裏切られ、最新鋭機の力強いストロークと絶妙な振動により、志鶴は実に50分に渡って悲鳴と愛液を散らせ続ける事となった。
撮影開始から2時間30分後の幕間さえ、志鶴にとっては地獄だった。
ベッドの上に仰臥したまま、縁から首だけを垂らし、そこへ黒人がイラマチオを仕掛ける。
冒頭で見つかった明確な弱点を、志鶴が疲弊している今改めて突こうというわけだ。
「んごぉおおおえ゛っ、ほごぉおおええ゛え゛っっ…………!!!」
一度耐えられなかったものが、ここで都合よく克服できる道理もない。
志鶴は幾度となくえづき上げ、場面転換の合間に飲まされた牛乳を吐きこぼす。
銀幕女優らしく整った顔立ちが、黒髪が、逆向いたまま白濁に塗れていく。
黒人は大きな手で志鶴の顎を押さえつけたまま、深々と喉奥へ逸物を送り込み続けた。
どうやら怒張を根元まで咥え込ませる事を目標としているらしい。
数え切れないほどのえづきと抽迭を経て、黒い怒張は少しずつ深い部分までが唾液で濡れ光っていく。
そして約10分後、ついに怒張は睾丸の縁までが志鶴の口内へと入り込んだ。
勿論それを抜き出す時には、志鶴の両脚は激しく暴れ、うがいのような音と共に盛大な嘔吐が起こったが。
※
大きくMの字に足を開いたまま、両の肘と膝に取り付けられた拘束具で天井から吊るされる。
それが志鶴の今の格好だ。
その肉体は、まるで拷問を受けたように傷つき果てていた。
優美な背中を覆い隠すように笞打ち痕が走り。
根元から絞り上げられた乳房には無数の針が刺し通され。
尿道はそのまま女の小指が入る直径にまで拡張されている。
その上で、彼女の膣と肛門からは黒い突起が頭を覗かせていた。
機械からケーブルで繋がれた電極だ。それは志鶴の二穴の奥深くにまで入り込み、先ほどから幾度となく電気責めを加えていた。
「はぐぅああああ゛あ゛っ!!!」
今またスイッチが入れられ、志鶴の腰が跳ね上がった。引き締まった尻肉は細かに痙攣したまま、悩ましく宙を揺れる。
その最中、本格的な一本鞭が脇腹へと叩きつけられた。
「う゛っ!!」
肉の爆ぜる音と共に、また一本の赤い筋が刻み込まれる。
こうした責めがどれだけ続いている事だろう。責めそのものも容赦が無いが、何より終わりがないのがつらい。
「あ゛-……っ、あああ゛ーーっ…………」
電流が途切れてからも、虚ろな瞳で涎を垂らしながら何かを呻く志鶴。
実に4時間以上に渡り、彼女は彼女の中の芯を削り取られてきた。もはや限界なのだ。
長きに渡って志鶴を見守ってきた男達は、その事実に気付いている。
ゆえに彼らは、電圧のつまみを目一杯に上げた。直後、志鶴の腰がかつてないほど高く跳ねた。
「 おおおお゛おお゛ぉオオっっっ!!!!! 」
およそ女性が出すものとは思えない、低い呻き。それが美しい志鶴の顔から迸る。
男達は、ある者は手を叩き、ある者は指笛を鳴らしてその反応を喜んだ。
狂乱の中、志鶴の秘裂から大量の飛沫が噴き上がる。それは尻肉を伝い、床に次々と湿った音を立てた。
「あああ…………あぁあああ…………」
ほとんど白目を剥いている志鶴に男達が歩み寄り、二穴の電極を一本ずつ引き抜いていく。
黒人のペニス並に太く長い電極。それが抜き出された穴は、前後共にぽっかりと口を開ききっていた。
電極に拡張されたというよりは、電気責めで筋肉が弛緩しきっている状態なのだろう。
果てる所まで果てたという様子のその肛門に、男の一人が5本指を宛がう。
そして強引に中に潜り込ませ、ついには手首そのものを緩んだ穴の中に押し込み始めた。
「……か、アっ!?」
志鶴はそれで気付けがなされたように視線を彷徨わせる。
その様子を見上げながら、もう一人が膣へと手を宛がった。勿論容赦はなく、指を丸めながら奥へと押し込んでいく。
志鶴の足指が折れ曲がり、天井からの鎖を騒がしく揺らした。
「ぐあぁあああっ!! やめてえっ、もうやめてぇえええ゛っ!!!!!」
黒髪を振り乱して泣き叫ぶ志鶴。歯をむき出しにしてそれを笑う男達。
まさに屈服という言葉しか浮かばない情景だ。
『日本のSMはぬるい? 自称ハードコアクイーンでも、どうせ本場のプレイには耐え切れない?
そういう寝言は、これからの映像を見てから言うことね』
後日実際に発売されたビデオでは、この光景の合間合間に、かつての志鶴のインタビュー映像が細かに挿入されている。
自信に満ち溢れた女王の顔と、その自信を打ち砕かれた牝の顔。それが交互に現れるのだ。
まったくもって悪趣味に過ぎる編集といえた。
この一本を最後に、志鶴は日本のアダルトビデオ業界から姿を消す。
Dirty babe社製の洋物ポルノには何作かで姿が確認されているものの、ここ数年はそれすらもない。
しかし噂によると、近年海外の動画アップロードサイトにおいて、目を疑うほど美しい日本人の被虐映像がよく見られるという。
相当な適性がなければ直視すら憚られるほどのハードファックだ。
黒人達からシズルと呼ばれるその女性は、間違いなく世界屈指のハードコアを一身に受け続ける。
『ハードコア・クイーン』。
並み居る欧米女性を抑え、この日本人が真にそう称されるのも、案外遠い話ではないかもしれない……。
終
スカトロ(大)はなし。
『ハードコア・クイーン』。
それがAV女優・伊万里 志鶴(いまり しづる)の2つ名だ。
華の女子高生時代、その類稀な美貌を見出されてスカウトを受けたのが、志鶴の芸能生活への第一歩だった。
事務所へ配属されて間もなく、志鶴は人気ドラマの端役としてチラリと映り、たちまち一部で人気を博す。
若干17とは思えぬほど大人びた雰囲気もさることながら、何よりその眼力が人目を惹いた。
猛禽類にすら匹敵するほど、くっ、と鋭く前方を見据える瞳。
志鶴は生来気が強い。中学時代に学友が誘拐されそうになった折、暴漢をハイキックで鎮圧して紙面を飾ったこともあるほどに。
その恐れ知らずな気の強さが、澱みない眼力に表れるのか。
ネット上の記録を見れば、初出演時すでに史鶴を『女王系女子高生』と称していた意見は数多い。
こうした志鶴の人気は、その後冴えない中年刑事を尻に敷く女子高生役を演じた事で、いよいよ国民的なものとなる。
女性中高生からは『憧れる先輩No.1』、男性層からは『見下されて踏まれたい女子高生No.1』などと賛美された。
志鶴はその後もドラマや映画で好演を続け、名実共に国民的女優の一人へと成長する。
この頃になるとCMへの出演も多い。特にシャンプーのCMにおいて、艶やかな黒髪を靡かせながら力強く振り返るシーンは話題になったものだ。
だからこそ、誰もが驚いた。その志鶴が若干20歳の春、突如としてアダルトビデオ業界へと転身したのだから。
ファンはポルノ転身のきっかけについて、直前に主演した映画の影響だと口を揃える。
その映画は、和製ベストセラー小説を映画化したものだった。
女子大生がふとした縁から若手社長と肉体関係を持ちはじめ、その歪んだ性癖を受け止める、という内容。
志鶴は、この映画で大胆なヌードを晒した。
さらにはその瑞々しい肉体を縄打たれ、熱い蝋を浴びせかけられて涙した。
常に全力の演技を求める彼女は、撮影において一切のNGを設けない。それどころか終盤には縄酔いし、4度撮影が中断されたという。
そのクランクアップから間もなくのポルノ転向となれば、確かに役に入り込みすぎたが故と考えるのが自然だろう。
ともあれ、この転身についてファンの意見は二つに分かれた。
力ある銀幕女優が低俗なポルノなどに身をやつして、と否定する層。
あるいは、高校時代からあふれ出ていたフェティシズムを、ようやく遺憾なく発揮できるようになった、と歓喜する層。
新聞や週刊誌の論調は前者で統一されていたが、本音とは判りやすいものだ。
志鶴のAV処女作は、発売後たった一週で、その年のセールス記録を大幅に塗り替えたのだった。
出演へ至る背景が背景だけに、志鶴には初期からハードな責めが課せられた。
デビュー作にしてすでに、拘束された上でクリトリスを責め抜かれ、失禁させられている。
勿論、彼女本来のキャラクターを活かした『女王役』での撮影も行われた。
元より演技派であり、見る者を釘付けにする目力を持つ志鶴だ。
女王役もそれは嵌まり、マゾヒズムを持つ男への責めでも、濃厚なレズビアン行為でも、抜群のカリスマ性を発揮する。
サディズムとマゾヒズム。その両方の性質が交互にクローズアップされる形で、次々とヒット作が生み出されていった。
その中で、志鶴にはある特徴が発見される。
『喉が強い』。
志鶴はどれほど苛烈なディープスロートを受けても、決して嘔吐をしない。
人並みにえづきはする。えづき汁も出る。しかし嘔吐はせず、いつでも頬を膨らませたまま相手を睨み上げて耐え切った。
4本目のビデオ撮影で、ベテラン女優でも9割は吐くとされる国内最大級の逸物をいきなり相手にした時には、流石に危うかったらしい。
しかしそれさえかろうじて耐え切ってみせたし、18本目の撮影で再度組んだ時には、涼しい顔で根元まで咥え込んでリベンジを果たしてみせた。
その喉は撮影を重ねるたびにいよいよ鍛えられ、今では彼女を追い込めるディープスロート自体がない。
大手レーベルで満を持して開かれた、巨根男優40人を集めての“イラマチオ地獄”ですら、鼻歌交じりに完遂されてしまった。
DVDにオマケとして収録されていた前座の女優2人は、これ以上ないほど涙を流しながら、各20回以上は吐瀉物を飛び散らせていたというのに。
27歳にして380本以上のビデオに出演している彼女はすっかり大御所であり、被虐側の役回りは極端に減っている。
それでもなお、彼女こそ日本のBDSM界の極北だという意見が大多数だ。
事実その通りなのだろう。今や日本において、志鶴以上のハードコア女優は存在しない。
日本において、は。
しかし、今はネット社会だ。どんな人間でも簡単に海外サイトにアクセスし、そこに並ぶSM動画を自由に閲覧できる。
海外のSMは日本よりも容赦がない。日本で『過激』と銘打たれる物ですら、その大半は海外でにおけるアベレージにも満たない。
多種多様な拘束具で完全に身動きを封じ、その上で赤く痕がつくほどのスパンキングを加え続ける。
アナルセックスなど挨拶代わりだ。
マシンによる陵辱やフィストファック、果てにはスカルファックさえもが、アナウンサーを思わせる美人女優にも容赦なく施される世界。
ディープスロートひとつを取っても、日本人では有り得ないサイズを根元まで咥え込むインパクトは半端ではない。
無論、それらが可能なのは欧米人女性の恵まれた骨格や筋肉あっての事ではあろう。
しかしそうした本物の地獄を覗き見た者の中には、こう考える者もいる。
『伊万里志鶴レベルでハードコア女優なんて、笑わせる』……と。
この考えに憤ったのは、他ならぬ志鶴本人だ。
極度の負けず嫌いゆえ、日本のレベルが海外に劣るという意見を聞き逃せない。
『他所は他所、ウチはウチ』だと周囲が宥めても聞き入れず、断固アメリカ行きを主張する。
結果、折れた者もあり、また新たなヒットシリーズの匂いを嗅ぎ付けた者もありで、志鶴を中心とした企画が動き出した。
それから間もなく、マイアミに拠点を置くビデオ制作会社『Dirty babe』がこの企画に手を上げる。
アジアン、特に日本人の人気は海外でも非常に高く、上玉の日本人にハードなファックをしたいと常々考えていた。
しかしいざ話が進んでも、希望するプレイ内容を話すと途端に事務所から出演NGが出る。
だから今回の話は、天から財宝の山が降ってきたようだ。
マッシブなDirty babe社窓口担当はそう話し、舌なめずりするように志鶴を眺めた。
新作の予告編として撮影されたこの交渉の中で、志鶴はにこやかに男の握手に応じる。手首ごと覆われるような掌の大きさに臆しもせず。
『日本のSMはぬるい? 自称ハードコアクイーンでも、どうせ本場のプレイには耐え切れない?
そういう寝言は、これからの映像を見てから言うことね』
志鶴はカメラに向け、挑むような眼でで告げる。屈服するなどとは微塵も考えていないという様子だ。
事実彼女は、常にその眼で結果を残してきた。
主演女優賞を獲った時も。“イラマチオ地獄”に歴代女優で初めて耐え切ってみせた時も、その眼だった。
だからこそ期待が膨らむ。
日本が誇るハードコアクイーンは、果たして世界に通じるのか。何万という人間が、その勝負の行方に着目していた。
借りた女優だからといって、一切容赦はしない。
それがDirty babe社の方針であり、言うまでもなく志鶴はそれを受け入れた。
唯一の例外といえば、日本市場の事を考えてマスカラや濃い口紅は控え、ごく自然な化粧に留めた事か。
その上で撮影用の安価な着物を着せられ、ついに撮影が開始される。
初めはインタビューから始まった。
白いベッドの上で、白人と黒人の男に挟まれて座る志鶴は、自らの経歴を改めて説明させられる。
かつてはドラマ女優であり、映画にも出ていたこと。ひとつのSM映画がきっかけでこの世界に足を踏み入れたこと。
そうした女優の上等さの説明が一通り済んだ所で、両サイドの男が動き出す。
顎に手を添えてキスを迫り、着物の上から乳房や秘部を撫でつつ、着物を肌蹴させていく。
肩が覗き、乳房が覗き……やがては帯だけを残し、白い上半身と太腿がすべて露わになってしまう。
「オーゥ…………」
男2人から、思わずといった様子で溜め息が漏れた。
志鶴は余裕の笑みを浮かべている。無論、その心中は穏やかではない。
彼女は後のプレイをすべて予告されている。この直後には、外人特有の規格外のペニスを咥え込まされる事も。
志鶴の両側で、白人男がスラックスを、黒人男がジーンズを脱ぎ捨てた。
そうして露わになった逸物に、志鶴の口元が引き攣る。
だらりと垂れ下がった白人男のペニスは、志鶴がようやく指の輪で掴める太さと、両の掌で握り込んでもなお亀頭部分が丸々余るだけの長さを兼ね備えていた。
黒人男の物となれば、明らかにそれ以上だ。
日本人では有り得ない未知のサイズを前に、しかし志鶴自身の矜持が退く事を許さない。
志鶴は左右の掌でしっかりと2本のペニスを握り、大きく口を開いて白人男の物を咥え込んだ。
太い幹を手で扱きつつ、口を前後させてたっぷりと唾液を塗す。
そうして準備を整えた後に、少しずつ、少しずつ、長大なペニスを喉奥へと送り込んでいく。
やはり日本人の物とはサイズが違う。亀頭を喉奥まで滑り込ませても、まだそれ以上に奥へ来る。
だがそのサイズに感嘆する一方で、志鶴は密かに安堵していた。
柔らかいのだ。確かに大きさはあるが、喉へ当たると軟質ゴムのごとく素直に折れ曲がってくれる。
(なんだ、聞いた通りフニャフニャじゃない。これなら、硬い日本人の方がまだ苦しいわ)
そのような事を考えつつ、喉奥で亀頭を扱き立てる。
白人男からまたしても溜め息が漏れる。
志鶴は鼻から笑い声を漏らし、白人の物を吐き出した。そして余裕の笑みを絶やさぬまま顔を逆に向け、黒人男のペニスを咥え込む。
こちらは今より多少大きいが、同じく大したことはないだろう。彼女の頭にはそうした考えがあったに違いない。
実際、黒人のペニスは志鶴に咥え込まれるまで、白人男と同等以上に柔らかく垂れ下がっていたのだ。
志鶴が甘く考えるのも無理はなかった。
しかし。両手で白人男の物を扱きつつ黒人の物を咥え込んでから数秒後、彼女に異変が起きる。
「う゛っ、う゛むっ!?」
その苦しげな声と共に、志鶴は目を見開いた。黒人男の物は、その長さの半分ほどしか喉へ入っていないのに。
黒人が何かを呟きながら志鶴の黒髪を押さえつけ、さらに深い奉仕を強いる。
そこから数度頭が前後した時。
「ぶっは…………!!」
志鶴は眉根を寄せながら逸物を吐き出した。唾液と共に、半分とはいえ相当な長さが口の中から零れだす。
そして、吐き出されたその逸物は…………垂れ下がらなかった。最初の様が嘘のように、黒い釣り竿の如く“しなっている”。
黒人の指がそれを扱きつつ志鶴の唇に押し当てた時、志鶴は目を閉じていた。
そして後頭部を掴む手の動きで奥まで咥え込まされる瞬間、ぐぅぅえっ、と喉奥から声を漏らす。
そこで一旦唾液を散らしながら黒人の物から開放され、すぐに白人の男が腰を突き出した。
しかし、今度は志鶴に余裕がない。白人の物を喉奥深く咥え込みながら、ひくっ、と肩が竦む。
そのまま幾度か小さな声を上げさせられ、次にまた黒人男の番が来る。
今度は後頭部を掴まれたまま、ぐうと一気に半ばほどまでを咥え込まされた。
「ぐ、ぶふっ!!」
志鶴の鼻から咳き込む音が響く。
黒人はその変化を見逃さず、両手でしっかりと志鶴の顔の上下を掴むと、半ばほどまで咥え込ませては一気に引き抜きはじめた。
くぽっ、くぽっ、という音が繰り返される。
「あぁっ……ぷあっ、あぁ……ぁ…………」
強いられる動きが嘔吐感を呼ぶのだろうか。白人の物を扱く志鶴の手が完全に止まった。
ただ黒人の方を睨み上げながら、余裕のない様子で唇を震わせる。
そうした行為を十回ほど繰り返した後に、とうとう黒人男は腰を突き出しつつ、本格的に志鶴の顔を引きつけはじめた。
これまでせいぜい半ばほどしか入り込んでいなかった剛直が、その七割ほどまで志鶴の頬の内に押し入っていく。
これに耐え切れる道理はない。
黒人の手に顎を押さえ込まれる中、志鶴の喉と鎖骨付近に深い筋が入る。
気の強そうな眉が幾度も幾度も顰められ、喉奥からうがいをするような水音が漏れ始める。
それから、三秒後。
「お゛っ!!」
一際低いえづき声と共に、志鶴の肩が跳ね上がり、それと同時に黒人が腰を進めて八割ほどまで怒張を押し込む。
それが駄目押しとなり、志鶴の喉奥はとうとう決壊した。
「んぉ゛おも゛ぉ゛えっ!! おごっ……ほぉぉ゛お゛ええ゛ぇえええ゛っ………………!!!」
かつて出た事もないほど低いえづきと共に、志鶴の唇を黄色い吐瀉物が通り抜けた。
それは怒張が抜かれる動きの中でさらに量を増し、盛大にベッドシーツを汚していく。
ずるりと喉奥から引き抜かれた黒い怒張は、唾液と吐瀉物に塗れながらいよいよ力強く反り立っていた。
よく見ればその表面には太い血管が浮き立っており、初めの頃とはまるで別物だと解る。
それが志鶴を征服した凶器だ。日本のどんな巨根をも制してきた志鶴は、この金棒の如き凶器の前に敗れたのだ。
そして、黄色い唾液を吐きこぼす志鶴にはまだ休息が許されない。
「ヘイ!」
白人男が志鶴の顎を掴み、自らの逸物を咥え込ませる。
興奮により、若干の硬さを有し始めた白い男根。嘔吐直後の志鶴は、こちらにもまた抗しうる術がない。
根元まで咥え込まされてから腰を揺らされれば、お゛ぉ゛、と呻きながらまた吐いてしまうのだった。
「はぁ、はぁ…………はぁ、はあぁっ…………」
顎から胸元、そして太腿までを自らのえづき汁と吐瀉物で汚し、荒い息を吐く志鶴。
胸中には敗北感が渦巻いているだろうが、それでも彼女は猛禽の瞳を崩さない。
マイアミの刺青男達は、その女王然とした気丈さを嬉しがる。
この程度で心を折られては困るのだ。黒人ペニスによる嘔吐など、Dirty babeのビデオにおいては洗礼に過ぎない。
一切容赦はしない――その言葉が表す真の地獄巡りは、これから始まるのだから。
※
志鶴がレズビアンの受け役を演じるなど、いつ以来のことだろう。
“女王”は今、パイプ椅子に両脚を抱え上げる格好で座らされ、黒人女の手で肛門にホースをねじ込まれていた。
ホースからは冷たい水が早いペースで流れ込んでくる。
「オーライ? ジャパニィーズ」
黒人女は日本人への嘲りの態度を隠そうともしない。
「オーライ」
志鶴はそう答えるしかなかった。しかし口では気丈でいようとも、肛門内は刻一刻と水で満たされていく。
数秒と経たぬうちに水は直腸の容量を超え、ホースの上側から噴き出していく。
それを見た黒人女は、笑いながらホースを引き抜いた。たちまち水が志鶴の肛門からあふれ出す。
かなりの量と勢いだ。肛門から出る瞬間は収束している水流が、先へ行くにつれて縦の帯状に広がっていく。
あらかじめ腸内洗浄は済ませてあるため、内容物はない。しかし、恥は恥だ。
黒人女は大仰に目を剥いてそれを嘲笑った。そして出るものが出た後、平手で志鶴の腿を打ち据える。
凄まじい音が響きわたった。
「んぐっ!!」
志鶴から声が漏れる。
黒人女の手が離された時、白い内腿にははっきりと赤い手形が残っていた。恐ろしく容赦のないスパンキングだ。
しかし、志鶴はその平手を受けながらも黒人女を睨み返す。SMの女王たる者が平手ごときに屈せるか。そう主張するように。
黒人女はその志鶴の態度をいよいよ可笑しがりつつ、再び水の噴き出すホースを肛門へと捻じ込んだ。
志鶴にそのような責めを課すなど、日本の女優であれば誰一人許されない。しかし、ここマイアミに日本の業界事情など通じない。
ホースからは容赦なく水が流れ込み、やがて腸の容量を超えてあふれ出す。
そこでまた水を排出させられ、三度ホースが挿入される。
何度繰り返すのか。志鶴がそう眉を顰めながら内腿に力を込めた。
そのうちにまた水は腸の容量を超え、ホースの合間から噴き出しはじめる。
ところが、今度は黒人女がホースを離さない。当然水は、限界を超えてなお直腸に流れ込み続ける。
「ちょ、ちょっと! もう無理よっ…………!!」
志鶴はそう黒人女を非難するが、黒人女は笑いながら、ノーノー、と繰り返すだけだった。
「あ゛っ……く、くっ…………くぁあ゛…………!!」
足指を強張らせながら、下腹部の圧迫感に耐える志鶴。その額にはじわりと汗が浮いていた。
そこから10秒以上が経過し、とうとう本当の限界が訪れる。
ホースが黒人女の指の中から弾け飛び、次いで怒涛のように水があふれ出す。
腸へ入った量が量だけに、その勢いは前2回の比ではない。次々と大量の奔流が噴き出し、勢いが弱まったかと思えばまた噴き出す。
それを6度ほど繰り返してもなお、志鶴の腸内には違和感が残っていた。
はぁ、はぁと荒い息を吐きながら、志鶴は視線を彷徨わせる。
黒人女はそうした志鶴の内情を察したかのように、二本指を揃えて肛門へと宛がった。そして、ずぐりと突き入れる。
「くぁっ……!」
志鶴が声を上げた。大量排泄の直後で、肛門が敏感になっているせいだ。
黒人女は動じず、慣れた指遣いで志鶴の肛門内を弄くり回す。すると数秒と経たぬうちに、再び水が噴き出しはじめた。
「くっ!!」
志鶴が羞恥に頬を赤らめようと、水は止まらない。
くいくいと指が曲げられ、直後に水が噴き出す。それは肛門からの潮吹きを思わせた。
近年の志鶴が女王然とした顔で若手女優に施している、潮吹き。それを逆にやられているのだ。
1分、また1分と時間が進むにつれ、志鶴の表情は歪んでいく。
しかし水が止まらない。黒人女の指遣いが、あまりにも手馴れすぎている。
さらに、恥辱はこれで終わりではなかった。
ようやくすべての水が掻き出された頃、黒人女が赤いペニスバンドを装着する。
そして荒い息を吐く志鶴の肛門へと、深く挿入を果たしたのだ。
「あ、あ!!」
志鶴は声を上げた。ハードコア女優として、アナルセックスなど星の数ほど経験してきた彼女が。
それほどに黒人女の指によって、肛門内の何かが開発されていたのだろうか。
両の膝裏を掴まれ、赤い擬似ペニスでずぐりずぐりと肛門を抉られる最中、志鶴は顎を引きながら悩ましげに黒髪を乱し続けた。
そして、交わりからわずか5分後。
「いやぁああっ!!!」
志鶴はその叫びと共に、今度は本物の潮吹きへと至らしめられる。
多量の水分が腸から吸収され、膀胱付近から排出されたのか。あるいは単に極感ゆえか。
いずれにせよ、くっぱりと開ききった秘裂の上部から体液を飛沫かされたのは事実だ。
「アハハハッ!!」
黒人女は大口を開けて笑いながら、上体を倒して志鶴の額にキスをする。さらに汗ばんだ黒髪を撫でてもみせる。
女王が奴隷に対してそうするように。
「く、うくっ…………!!」
志鶴の奥歯が噛み鳴らされた。彼女の女王としての尊厳が、またひとつ削り取られてしまったらしい。
※
「くぁああああっっ!!!!」
志鶴の悲鳴が、薄暗い撮影現場に響き渡った。
彼女はまさに今、肛門に極太のフックを掛けられて吊り下げられたところだ。
かろうじて地に着く脚がびぃんと張る。銀幕の舞台で何人もの視線を釘付けにした素晴らしい脚が。
両手は後ろ手の縄で縛められているため、彼女はその脚のみでバランスを取るしかない。
「ヘイ、ジャパニーズ」
野太い声に続き、黒人男の手の平でスパンキングラケットが鋭い音を立てた。
そしてラケットは志鶴の尻肉に宛がわれ、なお一層の音を響かせる。
「ぁああっ!!」
志鶴の脚がガクガクと震えた。ラケットが離されれば、打たれたところが赤く腫れているのが判る。
スパンキングという一点を取っても、日本でのものとはまるで厳しさが違う。
「ああっ、くあっ!! くぅううあっ!!」
痛烈なスパンキングはさらに続き、鋭い音と悲鳴をライトの元に繰り返させた。
打たれる痛みもひどいが、その痛みで身を捩らせることにより、フックで吊られた肛門がギリギリと縦に拡がるのがまたつらい。
やがて志鶴のキリリとした瞳から涙が一筋零れた頃、ようやくにしてスパンキングの時間は終わる。
しかし、苦しみから解放される訳ではない。
黒いスパンキングラケットに代わり、見るからに強力そうなニップルクリップが志鶴の両の乳房へと近づいていく。
それは男の太い指で存分に拡げられた後、屹立した乳頭へとかぶりついた。
「ふっぎゃああっ!!」
未だかつて、志鶴は乳房責めでこれほどに間の抜けた悲鳴を上げた事はない。
堪えられる悲鳴ならば堪えるという信条の彼女は、初めてワニクリップで乳房を潰された撮影でも、唇を噛んで静かに耐えた。
その彼女が反射的に叫んでしまうほど、今回のクリップは強烈だった。
乳首はほぼ原型を留めておらず、波打つ形のクリップの間で見事に挟み潰されてしまっている。
当然、痛みも尋常ではない。
志鶴は噛み合わせた歯の間ですーっと空気を吸っては、歯を開いて切なく呻く、という事を繰り返さざるをえなかった。
鼓動は早鐘のように早まり、髪の付け根すべてから脂汗が滲み出した。
その志鶴へ、さらに一人の男が近づく。
大きなその手が握るのは、銀色の開口具。それは慣れた手つきで志鶴の口へ嵌め込まれ、奥の歯までをカメラに晒した。
「アア゛……っ!!」
志鶴の舌が蠢き、喉奥から呻きが漏れる。目には焦りが見えた。必死の悲鳴を自由な口の形で上げられないのは、それだけで多分なストレスだ。
勿論、彼女を取り囲む外人達はそれを知った上で口枷を課したのだろう。
震える志鶴の白い身体を、男達はしばし観察していた。そして志鶴の瞳がようやく落ち着きを取り戻した頃、一人が口を開く。
「 To next stage …… 」
その言葉を、志鶴は確かに聞いた。そしてその意味を理解するより早く、右の太腿が抱え上げられる。
そして、クリトリスの側面に鋭い何かが宛がわれ――――貫かれた。
「あっがぁああアアア゛ア゛ア゛っ!!!!!」
絶叫。
まさにそれだ。
喉奥から開口具の外へ有らん限りの声を吐き出し、天井のライトを仰ぐ。
背は海老のように反り、左脚は肛門の痛みを無視して宙に浮く。
その直後に失禁が起こり、内腿を湯気が立つほど熱い流れが覆い尽くしていく。
アンモニアの匂いが鼻腔をくすぐる。
「はーっ、はあーーっ……はーっ、はーーっ…………」
下卑た笑い声に囲まれる中、志鶴はただ身を震わせ、口枷から荒い呼吸を繰り返す。
その瞳は半ば閉じたまま、はらはらと涙を溢すばかりだった。
ハードな撮影は続く。
志鶴はある時は檻のようなものに身体を拘束されたまま、ファッキングマシンの餌食となった。
日本のドリルバイブには確かに潮を噴かされたが、気が狂うほどではなかった。海外の物も大差はないだろう。
撮影前のそうした予測は見事に裏切られ、最新鋭機の力強いストロークと絶妙な振動により、志鶴は実に50分に渡って悲鳴と愛液を散らせ続ける事となった。
撮影開始から2時間30分後の幕間さえ、志鶴にとっては地獄だった。
ベッドの上に仰臥したまま、縁から首だけを垂らし、そこへ黒人がイラマチオを仕掛ける。
冒頭で見つかった明確な弱点を、志鶴が疲弊している今改めて突こうというわけだ。
「んごぉおおおえ゛っ、ほごぉおおええ゛え゛っっ…………!!!」
一度耐えられなかったものが、ここで都合よく克服できる道理もない。
志鶴は幾度となくえづき上げ、場面転換の合間に飲まされた牛乳を吐きこぼす。
銀幕女優らしく整った顔立ちが、黒髪が、逆向いたまま白濁に塗れていく。
黒人は大きな手で志鶴の顎を押さえつけたまま、深々と喉奥へ逸物を送り込み続けた。
どうやら怒張を根元まで咥え込ませる事を目標としているらしい。
数え切れないほどのえづきと抽迭を経て、黒い怒張は少しずつ深い部分までが唾液で濡れ光っていく。
そして約10分後、ついに怒張は睾丸の縁までが志鶴の口内へと入り込んだ。
勿論それを抜き出す時には、志鶴の両脚は激しく暴れ、うがいのような音と共に盛大な嘔吐が起こったが。
※
大きくMの字に足を開いたまま、両の肘と膝に取り付けられた拘束具で天井から吊るされる。
それが志鶴の今の格好だ。
その肉体は、まるで拷問を受けたように傷つき果てていた。
優美な背中を覆い隠すように笞打ち痕が走り。
根元から絞り上げられた乳房には無数の針が刺し通され。
尿道はそのまま女の小指が入る直径にまで拡張されている。
その上で、彼女の膣と肛門からは黒い突起が頭を覗かせていた。
機械からケーブルで繋がれた電極だ。それは志鶴の二穴の奥深くにまで入り込み、先ほどから幾度となく電気責めを加えていた。
「はぐぅああああ゛あ゛っ!!!」
今またスイッチが入れられ、志鶴の腰が跳ね上がった。引き締まった尻肉は細かに痙攣したまま、悩ましく宙を揺れる。
その最中、本格的な一本鞭が脇腹へと叩きつけられた。
「う゛っ!!」
肉の爆ぜる音と共に、また一本の赤い筋が刻み込まれる。
こうした責めがどれだけ続いている事だろう。責めそのものも容赦が無いが、何より終わりがないのがつらい。
「あ゛-……っ、あああ゛ーーっ…………」
電流が途切れてからも、虚ろな瞳で涎を垂らしながら何かを呻く志鶴。
実に4時間以上に渡り、彼女は彼女の中の芯を削り取られてきた。もはや限界なのだ。
長きに渡って志鶴を見守ってきた男達は、その事実に気付いている。
ゆえに彼らは、電圧のつまみを目一杯に上げた。直後、志鶴の腰がかつてないほど高く跳ねた。
「 おおおお゛おお゛ぉオオっっっ!!!!! 」
およそ女性が出すものとは思えない、低い呻き。それが美しい志鶴の顔から迸る。
男達は、ある者は手を叩き、ある者は指笛を鳴らしてその反応を喜んだ。
狂乱の中、志鶴の秘裂から大量の飛沫が噴き上がる。それは尻肉を伝い、床に次々と湿った音を立てた。
「あああ…………あぁあああ…………」
ほとんど白目を剥いている志鶴に男達が歩み寄り、二穴の電極を一本ずつ引き抜いていく。
黒人のペニス並に太く長い電極。それが抜き出された穴は、前後共にぽっかりと口を開ききっていた。
電極に拡張されたというよりは、電気責めで筋肉が弛緩しきっている状態なのだろう。
果てる所まで果てたという様子のその肛門に、男の一人が5本指を宛がう。
そして強引に中に潜り込ませ、ついには手首そのものを緩んだ穴の中に押し込み始めた。
「……か、アっ!?」
志鶴はそれで気付けがなされたように視線を彷徨わせる。
その様子を見上げながら、もう一人が膣へと手を宛がった。勿論容赦はなく、指を丸めながら奥へと押し込んでいく。
志鶴の足指が折れ曲がり、天井からの鎖を騒がしく揺らした。
「ぐあぁあああっ!! やめてえっ、もうやめてぇえええ゛っ!!!!!」
黒髪を振り乱して泣き叫ぶ志鶴。歯をむき出しにしてそれを笑う男達。
まさに屈服という言葉しか浮かばない情景だ。
『日本のSMはぬるい? 自称ハードコアクイーンでも、どうせ本場のプレイには耐え切れない?
そういう寝言は、これからの映像を見てから言うことね』
後日実際に発売されたビデオでは、この光景の合間合間に、かつての志鶴のインタビュー映像が細かに挿入されている。
自信に満ち溢れた女王の顔と、その自信を打ち砕かれた牝の顔。それが交互に現れるのだ。
まったくもって悪趣味に過ぎる編集といえた。
この一本を最後に、志鶴は日本のアダルトビデオ業界から姿を消す。
Dirty babe社製の洋物ポルノには何作かで姿が確認されているものの、ここ数年はそれすらもない。
しかし噂によると、近年海外の動画アップロードサイトにおいて、目を疑うほど美しい日本人の被虐映像がよく見られるという。
相当な適性がなければ直視すら憚られるほどのハードファックだ。
黒人達からシズルと呼ばれるその女性は、間違いなく世界屈指のハードコアを一身に受け続ける。
『ハードコア・クイーン』。
並み居る欧米女性を抑え、この日本人が真にそう称されるのも、案外遠い話ではないかもしれない……。
終