※ポルチオ絶頂回です。
『仕上げろ』。
宮路がそう言い残して出て行った後、部屋には気まずい空気が流れていた。
磯崎はいつも通りの無表情だけど、新渡戸も、あの皮肉屋の栖村でさえ、神妙な顔つきになっている。
何分かの沈黙の後。
「お前、ホンマに…」
栖村が私の目を見据えたまま、何かを言いかけた。でもその瞬間、隣の新渡戸が栖村の4段腹へと肘を叩き込む。
「う゛っ!!」
「コラ。おどれ、何言うつもりじゃ?」
栖村を見上げる新渡戸の眼は、見たこともないほど険しかった。いつもはニヒルっぽい笑みを浮かべ、目尻も垂れ気味なのに、眼を見開いた今は鬼の形相だ。体格で栖村より3回りは劣るのに、今目の前で2人が殴り合ったら、絶対に栖村は勝てない……そう思えるぐらいの気迫があった。その気迫に圧されてか、あの栖村が目を逸らす。
「…………すんまへん」
異様な仲間割れだった。そしてそれは、ひとつの事実を示してもいる。調教師の間にさえ方向性の違いが出るぐらい、これからされる行為がえげつないということ。宮路の『仕上げろ』という言葉から考えても、それは間違いない。
「磯崎、まずは外から“ポルチオ開発”や。栖村はアタマ冷やしとけ」
新渡戸は磯崎に指示を出しつつ、栖村に反省を促していた。
ポルチオ。これまでの調教でも、何度か耳にした言葉だ。子宮の入口のことで、女にとって最大最後の性感帯。刹那的なクリトリスの快感とも、下半身に痺れが走るようなGスポットの快感とも違う。性感帯として目覚めるには時間が掛かるけど、その分得られる快感の深さは凄まじくて、雷に打たれたような快感がずっと続く。そう聞いた。
最初は大袈裟だと思ったけど、今は笑い飛ばせない。それに近い感覚なら、実際に何度か体験しているから。栖村のディープスロートで、磯崎とのアナルセックスで、そして新渡戸に抱かれる中で。
特に新渡戸にじっくりと抱かれ、あそこの奥まりを丁寧に突かれていると、そのうち体がガクガクと揺れはじめる。太腿が痙攣するだけじゃなく、背中まで浮き上がるぐらいに。あれは、まさに感電しているような感覚だ。もしそれが強まれば、『雷に打たれた』という表現だって大袈裟じゃなくなる。
そんな快感に、私は――――耐えられるだろうか?
いや、耐えられるかどうかじゃない。絶対に耐えなきゃいけないんだ。
グループの皆のために。ファンのために。そして、私自身の夢のために。
「う、うつ伏せに寝ろ」
ベッドに上がった磯崎が、どもりながら私に命じる。私が従うと、磯崎は私の足の間に片膝をつくように位置取り、両手でお尻の両サイドを包み込んでくる。
そこから、マッサージが始まった。これ自体は珍しいことじゃない。これまでだって、前戯の一部として全身を揉まれる事は多かった。でも今回は少し違う。ただお尻周りを揉み込むだけじゃなく、掌の少し膨らんだ部分を使って、細かに振動を与えてくる。
「んっ……くすぐったいよ!」
私は思わず腰を捩るけど、磯崎に反応はない。いつも通りの無口無表情のまま、黙々とマッサージを続けていく。お尻の両側だけじゃなく、腰の辺りや、肛門の近くまで。しかもそれが、いやに長い。
変な感じだ。掌を押し付けたまま揺すられると、振動が身体の中まで入ってくる。電気マッサージ器をクリトリスへ宛がわれると、お尻の方にまでズーンと振動が来るけど、感覚としてはそれに近い。しかも磯崎の掌は表面積が大きいぶん、腰全体に刺激が来る。それをじっくりやられると、何だかお腹の奥がムズムズしてしまう。
「お前はいっつもそうやのぉ、栖村」
ふと、新渡戸の声が聴こえてきた。栖村と差し向かいで飲みながら、何かを諭しているようだ。
「ちっと共同生活送っただけで、奴隷に入れ込みおって。磯崎を見てみぃ、調教師としてブレとらんわ」
新渡戸はそう言ってこっちを指す。
栖村は、私に同情してるんだろうか。あれだけ私を嫌ってたのに。でも、一時的にどういう感情を持とうが、奴はあくまで調教師。私の敵なんだ。
「…………すんまへん。切り替えます」
栖村は静かにそう宣言し、新渡戸が頷く。
そんな2人を尻目に、磯崎は淡々と刺激を続けていた。
お尻全体を揺さぶりながら、そのうち親指で肛門を押さえはじめる。たったそれだけで、刺激の種類が変わった。腰全体がほぐされる中で、肛門にだけは杭を打たれたような圧迫感がある。
「あ、ああっ!!」
声が出た。もともと開発されている肛門に杭打ちの刺激が来れば、感じるなという方が無理な話だ。そして、肛門のむず痒さにお尻を引き締めると、掌の振動がよりしっかりと内部へ伝わるようになる。どっちに転んでも、ズルズルと堕ちていく……まるで蟻地獄。
そうしたお尻への刺激が、10分以上は続いただろうか。
「あ、仰向けになれ」
磯崎が一旦手を離し、そう命じてくる。
「…………っ」
私は……それを躊躇った。
「は、早くしろ」
そう急かされて、渋々と身体を反転させる。磯崎は私のあそこに視線をやり、口の端を持ち上げる。
「……いっ、淫乱女め」
腹の立つ侮辱だ。でも両の親指で割れ目を拡げられれば、反論のしようもない。お尻へマッサージを受けただけで、愛液があふれるんだから。
磯崎は無表情に戻ると、私のあそこへ掌を触れさせた。前貼りのようにぴったりと塞ぎ、その上で揺らしはじめる。今度は、膣に振動が伝わってきた。
「あぁ…………はっ………………」
息が荒くなる。こればっかりは、どんな子だってそうだ。そういう風に身体が出来てるんだ。私はそう考えて気を落ち着かせながら、刺激に耐える。
逆にいえば、いきなりそんな“言い訳”を考えなければならないほど、この快感はハッキリとしていた。
この責めも、呆れるぐらいじっくりとやられた。股関節から恥骨にかけてを、少しずつポイントをずらしつつ揺さぶられる。
「あっ、はっ……ぁぁっ、はっ……はっ…………!!」
私は荒い息を吐きながら、左右の膝を立てたり伸ばしたりを繰り返した。
片膝を立てると腹圧がかかるから、尿意と共に絶頂感が強まる。かといってピンと足を伸ばすと、それはそれでストレートに感じてしまう。
「あ、愛液があふれてきてるぞ。ただのマッサージで濡れるのか、す、助平め」
刺激を続けながら、磯崎が呟く。実際その掌の下からは、ぐちゅぐちゅと水音がしはじめていた。愛液だ。何度も軽く絶頂している自覚はあったけど、改めて指摘されると恥ずかしい。
「スケベはアンタでしょ!? 手つきがいやらしいのよ、変態!!」
そう反論しても、磯崎の表情に変化はない。私の反応を窺いながら、ロボットのように淡々と刺激してくる。
こういう性感開発では、単純な繰り返しが一番きつい。着実に、着実に、快感が私の中のコップに溜まっていく。最初に比べて、遥かに容量の増したコップに。
バケツ大か、ドラム缶大か……今のコップのサイズは、私自身にも測れない。でも、一つだけ確かなことがある。それだけの容量があふれた時には、以前よりずっと深刻に溺れてしまうということだ。
「んんんっ……うんっ、んっ!!」
息が荒くなってきた。そんな私の反応を見て、磯崎がまた新しい責め方を織り交ぜてくる。お臍の下を、掌の付け根でぐうっ、ぐうっ、と押し込む動き。場所が子宮の真上だけに、かなり直接的な気持ちよさがある。
「んっ、ん!! ふうっうんん゛っ…………!!」
勝手に腰が動いてしまう。そこが弱点だと、暴露するように。
その弱点は、当然ながら徹底的に突かれた。お尻の下に枕を挟み、腰が浮いた状態にした上で、お臍まわりを刺激される。
方法は、本当に色々だった。掌の付け根はもちろん、4本指の先だったり、緩く握った拳だったり、掌そのものだったり……色々な手段で圧迫される。
かと思えば、お臍からデルタゾーンにかけてを指先でトントンと叩かれることもあったし、電気マッサージ器を持ち出されて振動を与えられることすらあった。
でも、それだけ念入りに子宮を刺激しておきながら、肝心の割れ目にはほとんど触れられない。せいぜい、ビラビラの両サイドに指を宛がって振動させるか、指の一本をごく浅い部分で蠢かすだけの生殺し。
これを、磯崎、栖村、新渡戸の3人交替で、延々と続けられたんだ。
多分、映像としては今までで一番地味に違いない。腰を揺らしたり、足を強張らせたり、膝を曲げたり伸ばしたり……そういう動きはあるものの、いわゆるセックスとは縁遠いから。
でも、その一番地味な前戯で、私の胎内は決定的に目覚めていく。
長い刺激の中で、10回以上は足が攣ったけど、痛みにのた打ち回った覚えはない。肉離れの痛みより、子宮からどぐんどぐんと生み出される快楽の方が、ずっと上だったからだ。
信じられるだろうか。この責めの最後の方で、私は、呼吸するだけでイクようになっていた。すうっと酸素を取り込み、お腹をへこませながらふうっと吐く。この当たり前の動作の中で、割れ目をヒクつかせながら絶頂してしまっていた。
お尻に敷いた枕から厚みが消え、体の下のシーツが生乾きになった頃。ようやく、本当にようやく、私のお臍まわりから刺激がなくなった。でも、もう遅い。私は両足を投げ出すみっともない格好のまま、自分の荒い呼吸でイってしまう。全身に滝のような汗を掻き、目と口を開いた姿はきっと、溺死寸前の人間に見えるだろう。
そんな私に、新渡戸が近づいた。真珠入りのペニスを隆々と勃起させながら。
「…………ひっ…………!!」
私は目を見開いて呻く。
ただ、恐怖があった。今のコンディションで『あれ』を受け入れれば、さらに決定的に壊れてしまう。そう本能的に理解したから。
「今から次の握手会までは、ちょうど72時間ある。それまで、一遍も抜かんと犯し抜いたる」
新渡戸が腕時計を見ながら、静かにそう告げた。どこか好々爺めいた、人誑しな雰囲気はもうない。娘を勘当した父親のように、冷え切った目で私を見下ろしている。
「お前は一番人気や。握手会の直前キャンセルは手配が面倒やさかいの、水曜までは正気保っとれや?」
新渡戸はベッドに膝をつき、私の右脚を掴み上げる。
「んんっ!」
その足の揺れが全身に伝わり、軽い絶頂感となって染み渡った。
普通じゃない。狂っている。神経も、脳味噌も。
「や、やめて……今は、だめ…………!!」
私は新渡戸の方へ手を伸ばしながら、掠れ声で哀願する。でも新渡戸には、私の言葉に耳を貸す気なんてないらしい。
亀頭を割れ目に擦りつけて愛液を塗りこめると、力強く腰を突き入れる。
「っはああああぁっ!!!!!」
太腿が、胸が揺れる。体中が歓んでいる。
「ふん。挿れただけでイッたか、情けないやっちゃのぉ。オウ栖村、握手会キャンセルの準備進めとけ。このアマは水曜までもたんわ」
新渡戸は光を感じさせない目で、吐き捨てるように言う。
「ッす、わかりました!」
栖村は腕組みをやめ、どこかに電話を掛けはじめる。
シビアな上下関係に基づく、キビキビとした連携。ここからが、本当の奴隷調教の始まりなんだ。
ずちゅっ、ずちゅっ、という水気のある音が繰り返される。
「グチョグチョのマンコが、浅ましゅう絡みついてくるわ。ヤクザマラにここまでむしゃぶりつくとは、いよいよカタギの女として終わっとんのぉ」
新渡戸は耳元で呪詛のように呟きながら、激しく奥を突き上げる。無数の真珠が蕩けきった膣壁にゴリゴリと擦れ、硬い亀頭が駄目押しとばかりに子宮口を押し潰す。
その2つの刺激を前に、今の私が耐えられるはずもなかった。
「ああああっ!!!」
右腿を抱え上げられた姿勢で、たちまち二度目の絶頂へと押し上げられる。でも、その余韻に浸る間もなく、ほぼ真横に足を開く格好を取らされる。
しかも、それだけじゃない。新渡戸は駄目押しとばかりに、指先で私の腹部を撫ではじめた。恥骨から、臍の下まで。そこから腰骨に沿って、円を描くように。当然その間も、腰の打ち込みは止まない。物凄い力強さで奥の奥を突き上げてくる。
「ああ、ああ!! あああ!!!」
3回目の絶頂、そして続けざまに4回目。私は目を見開き、顎を浮かせながらガクガクと痙攣した。
そしてその直後、あそこの中で変化が起きる。凶悪だった新渡戸のペニスの感覚が、急になくなったんだ。
「ふん、バルーン現象が露骨になってきとるわ」
新渡戸は鼻で笑うように呟く。
「バルーン、現象……?」
「イク直前に、マンコの中が拡がる反応や。精液をちっとでも多く貯め込むためにな。要するにお前の身体が、ワシのザーメンを欲しがっとる証拠や」
その言葉に、私は息を呑んだ。
「はあ、はあ……う、嘘……っ!!」
「嘘な訳あるかい。お前の反応全部が、ワシの虜や言うとるわ!!」
その叫びと共に、さらに激しいピストンが始まった。
ベッドが軋む。水音が響く。コリコリした子宮口がリズミカルに亀頭に潰され、あそこの奥がヒクヒクと痙攣する。
「ああ、ああうう…………あっぐうううーーーっ!!!」
さっきよりひどい痙攣と共に、5度目の絶頂が全身に染み渡る。
「はあ、はあっはあっ……くっ、くるうしい………苦しいっ!!!」
私は激しく喘ぎながら、新渡戸の耳元に囁きかける。甘えるつもりなんて微塵もないけど、体力の尽きかけた状況で意思を伝えるためには、縋りついて囁くしかない。
「……磯崎、水や!」
冷ややかな眼のまま、新渡戸が命じる。磯崎はガラステーブルのペットボトルを拾い上げると、フタを外して新渡戸に差し出す。すると新渡戸はそれを一口飲んでから、いきなり私の唇を奪った。
「ん、んんっ!?」
混乱する私の喉に、水が入ってくる。自分で思う以上に喉が渇いていたらしく、この水は甘く感じた。ヤクザからの口移し、という点さえ忘れられれば。
「まだまだ、これからや。徹底的に、“中でイク”感覚を覚えこませたる」
新渡戸は私の目を見据えながら、太い声で宣言する。
そして、それは事実だった。新渡戸は私と繋がりあったまま、何度も何度も膣の奥での絶頂を味わわせてきた。
いつもいつも、激しく腰を打ちつけるわけじゃない。深くまで挿れたまま、ほとんど動かないことも多かった。でも、そういう時間が休憩だと思えたことはない。
「はぁっ、はぁっ……あああ、ああぁぁぁ…………っ!!!」
両足首を肩へ担ぎ上げられるような体勢で、私は何度も絶頂した。数十分に渡って腰が動くことはなかったのに、膝頭を掴まれてあそこの中に存在感を示されるだけで、震えながらイってしまった。
こんな状態で4度も逝くと、本当に余裕がなくなる。だから私は、足に残った力を振り絞って、両足を右に倒した。意外にも新渡戸は、この動きをあっさりと見逃す。
でも、それは罠だった。ベッドへ右向きに横たわり、両足をぴっちりと閉じる――この状態で新渡戸の物を挟み込むと、さっきよりもっとダメな部分に真珠が食い込んでしまう。
「うあっ!? あ、あっ!!」
反射的に顔を跳ね上げた時には、もう遅い。新渡戸の手は私の太腿を押さえ込み、上に下にと撫で回す。産毛を撫でるようなその動きすら、敏感になった今はたまらない。
「ああああっ、くあああっ!! ああぁぁーーー……っ!!!!」
私は両腕の間に顔を埋めながら、絶頂の波に呑み込まれる。
かなり頑張ったとは思う。歯を食いしばり、眉を顰めて。でもあそこのむず痒さと圧迫感は、刻一刻と強くなっていく。そしてその果てに、私はとうとう失禁してしまった。
「なんや、もう小便漏らしよるんか。まだ2時間と経っとらんぞ」
新渡戸は小馬鹿にした口調でそう吐き捨てると、私の腰を抱え上げる。お尻だけを高くつき上げ、這いつくばる格好だ。
その屈辱的な格好で、久しぶりに突き込みが再開される。挿入に角度をつけることで真珠の引っ掛かりを最大限にし、ぶじゅうっ、ぶじゅうっ、とあそこの汁気を掻き出すピストン。これに、私の下半身は震え上がった。
「いやあああアアア゛゛ーーーーーっ!!!!」
物凄い声が漏れた。自分でも、自分の声とは思えない類の、男じみた声だった。そしてその裏で、ベッドが軋む。私自身の腰の痙攣に引き摺られて。
「はっ、ひどい声や。今までブッ壊してきた女の中でも最低やぞ、お前の品のなさは! 仮にもメス犬なら、ちったぁ主人に媚びてみい!!」
新渡戸は怒鳴りつつ、私のお尻の肉を両サイドから挟みこむ。ついでに肛門にも、2本の親指を捻じ込みながら。
「んひぃ!! あうっ、あうっ……はああっ!! んああああぁぁーーーっ!!!」
私はシーツを掴んで絶叫し、涙をこぼす。そしてそのまま叫びつづけ、ある瞬間にふっと意識が途切れた。
ただ、意識がなくても、五感は働いていたんだろう。私はおぼろげながら、この後の事を覚えている。潮やおしっこで濡れたベッドの上を引きずり回され、色んな体位で犯されたことを。
屈辱的なM字開脚、ぐらぐらと前後に揺れる騎乗位、家畜のようなバックスタイル――――。
「…………い、おいっ! 起きんかい!!」
耳元で叫びながら揺り起こされ、ようやく私の意識は空気の匂いを捉えはじめる。精液、愛液、そしてアンモニアの饐えた匂いを。
「水曜や。とっとと握手会に行く準備せぇ!」
腕を掴んでベッドから引きずり下ろされるけど、私はそのまま床にへたり込む。足と内腿に力が入らない。なんとか立ち上がり、シャワールームまで辿り着くには、かなりの時間と労力が要った。
※ ※ ※
握手会が始まってからも、私の火照りは治まらなかった。
ファンからぎゅっと手を握られるだけで、全身がゾクゾクする。まるで、全身が性感帯になったみたいに。
「ゆ、結衣ちゃん……なんだか今日、エッチだね……?」
「ほっぺた赤いよ、熱っぽいの?」
何人かにそう指摘されてしまうぐらい、体中が熱かった。
「リーダー……大丈夫? すごい汗だよ」
ついにはグループの皆にさえ、そう心配されてしまうぐらいに。
「大丈夫大丈夫、平気だから!!」
取り繕った笑顔でそう答えるけど、ひどく虚しい。
大丈夫じゃない。そしてこの握手会が終わった後、もし例のチンピラ達に犯されれば、ますますおかしくなってしまう。
私はそう思って、握手会会場の窓から逃げ出した。裏口であいつらが張っているのはわかっていたから。
でも結局は、路地裏ですぐに追いつかれてしまう。
「おー、いたいた結衣ちゃん。探したぜぇ?」
「!!」
路地の向こうから声がして、私は思わず立ち竦む。嫌というほど聞き覚えのある声。
振り返ると、案の定“あいつら”がいた。
そして、今。
私はラッパー風の男達に手を引かれ、ホテルに連れ込まれている。
「へへへ。すっかり濡れてんのがデフォになっちまったな、結衣ちゃんよ」
ショーツをずり下げたドレッドヘアが、茶化すように笑う。
「ああ。さっきも、グチョグチョってすげぇ音してたもんな!」
また別の一人も、私の胸を揉みながら笑みを浮かべていた。
『……もう、こんなのやめて……』
そう拒絶する私の言葉に耳を貸さず、あそこに指を入れてきた男だ。しかも、いつ人目につくかもしれない路地裏で。
こんな連中の言いなりになってたら、いつか取り返しのつかない事になりかねない。でも、弱みを握られている以上、無視するわけにもいかなかった。
「おら、今日もくれてやんよ。自分で跨れー?」
斜め帽子の男が、ベッドへ寝そべりながら手招きする。私は下半身に着けていたものを脱ぎ去り、命じられた通りに行動する。
「ははっ、こいつもう濡れてやがる! 会うたびに変態になってくなぁ、伝説のアイドルちゃんよぉ!?」
斜め帽子は、勃起した物の先を割れ目へと擦りつけてきた。ただそれだけで、かなりの快感が背筋を這い登る。
「ん、く……っ!!」
「いい顔だ。ローションも要らねぇし……都合のいい女だぜお前は!」
屈辱的な言葉と共に、割れ目の中を貫かれる。太さもなければ、長くもない。でも蕩けたあそこを満足させるには、充分すぎる刺激だ。
「あ……ふぁあっ!!!」
「ハハハッ! こいつ、挿れただけでイったぜ!?」
「完全にチンポ中毒じゃん! こんなビッチが本当にアイドルかよ!?」
馬鹿にされている。それを脳味噌はちゃんと判ってる。でも、身体がいうことを聞かない。
「ふう、うううっ…………!!」
斜め帽子が腰を突き上げるたび、全身がビクビクと痙攣する。快感が強すぎて、たちまち絶頂へと追い込まれてしまう。このままじゃダメだ、仕切り直さないと。
「だ、だめっ!!」
私は相手のお腹に手を置いて、動きを止めようとする。でも、その手はすぐに払いのけられた。
「今さら抵抗すんなって。イキまくっちまえよ、好きだろお前も?」
そう言ってあそこの奥を突き上げられれば、すぐに2度目3度目の絶頂が来る。
「くはっ……い、いぐっ……あああぁっ!!!」
絶頂のせいで感度が上がり、ますますイキやすくなってしまう。足掻けば足掻くほど落ちていく、蟻地獄。頭に浮かぶのは、いつもそのイメージだ。
「ああやべっ、俺もイクッ!!」
斜め帽子が呻きながら、あそこの中で精を放つ。膨れたゴムが襞に触れる。
「はぁっ……、はぁっ……」
私は喘ぎながら、その射精にどこか物足りなさを覚えていた。中へ生ぬるい“ザーメン”を浴びないと、一区切りついた気がしない……。
( ―――馬鹿、何考えてんのよ!? )
私ははっと我に返り、頭を振って変な考えを打ち消した。
おかしい。最近はすぐボーッとして、ろくでもない事を考えてしまう。同じ射精されるなら、ゴム付きの方がいいに決まってる。中出しみたいに気持ち悪くないし、妊娠の心配もしなくて済むんだから。
「なーに頭振ってんの結衣ちゃん? 止めちゃイヤイヤってか? 安心しろよ、まだまだ可愛がってやっから!!」
その言葉で、私はベッドへうつ伏せに組み敷かれる。そして間髪入れず、割れ目を硬い物で貫かれた。
「くんんっ……!!」
「ははっ、気持ちよさそうな声。俺もスゲーいいわ、最高のマンコだ!!」
男は腰を振り続けるながら、嬉しそうに言った。するとその言葉に、別の一人が反応する。
「ちょっと、それアタシより上ってイミ? 失礼じゃん!?」
反応したのは、金髪を縦ロールにしたヤンキー風の女の子だ。発言内容からして、今私を犯している男の彼女なんだろう。
「や、でもスゲーんだってコイツ!」
「はぁ!? そんなビッチ以下とか、プライド傷つくんだけど!!」
「くくっ、ビッチとかよく言うぜ。こないだまで俺ら全員の咥えこんでた癖によ!」
「でもこの女みたいに、ヤりはじめてすぐは濡れなかったじゃん!」
「そーかね、お前も相当好きモンだと思うけど?」
「なら、比べてみっか? どっちがイキやすいビッチかってよ!!」
「ハハハッ、面白そーだなそれ!!」
「上等じゃん、そんな女に負けるわけないし!」
口論から始まって、場がどんどん盛り上がっていく。私の意思なんてお構いなしに。
「ちょっと、勝手に決めないでよ!!」
「あ? バーカ、端っからお前に拒否権なんかねーんだよ!」
解ってはいたけど、私の抗議が聞き入れられることはない。私の発言力は、この場の誰よりも弱いんだ。
そしてそこから、比べあいが始まった。
さっきの子とベッドに横並びになって、それぞれ数人の男から犯される。
「うーわ、キモい! ちょっとハメられただけで、マン汁だらだら垂らしてさぁ。ホントに変態女じゃん!!」
競争相手の子は、横で犯される私を見ながら散々に罵倒してきた。
「だ、誰が……んむう゛っ!! んっ、ふううんん゛っ…………!!」
一方で私は、口にアレを咥えさせられるせいで、ろくに反論もできない。そして喉奥とあそこを同時に犯されていると、だんだん意識がボヤけてくる。
「ん、もごぉっ……はあっ、ああああ゛っ…………!!」
何度もイかされて、頭が真っ白になって、ついには自分がどういう状況かさえ判らなくなってしまう。かろうじて認識できるのは、周りからの罵声と嘲笑だけ。でもそれすら、絶頂の快感に比べれば二の次三の次でしかない。
私は変わってしまった。多分、もう戻れないぐらいに。
※ ※ ※
ラッパー風の男達にたっぷりと犯された後、ふらつく足で調教部屋に戻る。すると新渡戸達が、駄目押しの『ポルチオ』開発の準備をして待ち構えていた。
「これから何日もかけて、体中の性感帯をじっくりと開発したる。マスク被せたるさかい、寝たなったらいつでも寝ぇ。“寝られたら”、の話やがな」
新渡戸はそう言って、私の頭に黒いマスクを被せた。
呼吸用に、鼻と口の部分にだけ穴が空いたマスクだ。目を覆われてしまうから、視界は利かない。代わりに、ゴムの匂いがやけに鼻をつく。
視界を奪われる――この怖さは、身に染みていた。怖いぐらい感覚が鋭くなって、いつも以上に悶え狂ってしまうんだ。
「また目隠し? 調教師だとか言ってる割には、芸がないわね!」
私は叫ぶ。視界を奪われる事だけは、何とか回避したくて。でも、調教師3人が聞き入れることはない。私が弱音を吐くような事こそ、奴らにとって好都合なんだから。
「ああ、それで結構や。効くとわかった責めなら、なんぼでも繰り返したる。ワシらはパフォーマーやのうて、玄人(プロ)やさかいな」
新渡戸のこの言葉に続いて、重苦しい羽音が唸りはじめた。それも、一つじゃない。二つ、いや三つ。3人それぞれが何かの道具を手にしているようだ。
「くっ……!!」
私は歯を食いしばる。少しでも長く、まともでいられるように。
そこから、地獄が始まった。
これまでの総決算のような嬲りだ。ベルトで足をMの字に拘束されたまま、3穴とクリトリスを責め抜かれる。
まずはカテーテルですっかり尿を抜かれた後、何かの液体を足して嵩を増した上で膀胱へ戻された。そして限界の尿意に脂汗まみれで苦しんだ後、夢のような開放感と共にカテーテルへ失禁する。
これを何度も繰り返して尿道をほぐしてからは、無数のイボのついた尿道バイブで延々と尿道を刺激された。
「あうっ、あああう゛っ!! ひうっ、ぃい゛んう゛っ!!!」
尿道を抉られる感覚には慣れない。あまりにも敏感すぎる場所だから、バイブの突起ひとつひとつを膣以上に深刻に感じてしまって、とにかく違和感がひどい。
( ――――ダメだ、これ、ダメだ!! )
頭はそう煩いぐらいに警鐘を鳴らすし、私自身も「やめて」「抜いて」と口に出すのに、それを無視して刺激されつづければ、そのうち痺れるような快感が襲ってくる。Gスポットの快感に近いけど、それよりもっと深刻な……『核』に近い気持ちよさ。それに浸っていると、クリトリスがぐんぐん勃起してくる。男のアレそっくりに亀頭が硬くなって、はち切れそうになる。
調教師3人は、当然その変化を見逃さない。色んな方法で、勃起したクリトリスをさらに刺激してくる。油のようなものをつけた指で、筆で、舌で、ローターで、マッサージ器で。そうして刺激されると、絶頂は避けようがない。
「あああっ、イヤーーーっ!!やめでぇ!クリさわんないでっ、やあ゛あ゛ーーーーっっ!!!」
裏声気味にそう絶叫しているうちは、まだまだ『キレイ』な方だ。そこからさらに何十回と絶頂させられれば、もう言葉になんてならない。
「いいーーーっ、いいいイイ゛ーーーっ!!ひぎっ、いいいっひぎぃいいいーーーっ!!!!!」
マウスオープナーを噛まされた時以上に、口をくっきりと『い』の字にへし曲げ、ただただ悲鳴を上げつづける。クリトリスという神経の塊で何十回もイかされたら、もう精神の強さも何もない。ガタガタ震えながら悲鳴を上げるしかない。どんなに鍛えたアスリートだって、どんなに育ちのいいお嬢様だって。
惨めな有様だ。数日前までだったら、どれだけ栖村達に嘲笑われたことだろう。でも今は、3人の誰一人として笑わない。罵倒や侮蔑の言葉すらなく、黙々と私を追い込み続ける。それが、かえって私の不安を駆り立てた。
ここまで無様を自覚している状況なら、いっそ口汚く罵られた方が……この状況に何らかの反応を示してもらえた方が、ずっと楽なんだ。何も言われないからこそ、色々と考えてしまう。他ならぬ自分が自分を追い込んでしまう。そうして精神的に不安になれば、ますます快感に抗えなくなる。
「はひっ、はひっ、ひっ…………いああああ゛イイイイーーーっ、はあっ、はあっ……ヤあああ゛っイギいイイっ!!!!!」
もう何度、クリトリスでイかされているんだろう。50回か、100回か。
時々ほんの少しの休憩が挟まるけど、それで火照りが治まることはない。むしろその休憩のせいで、麻痺しかけた感覚が正常に戻って、その後がイきやすくなってしまう。
愛液をとろとろと溢れさせ、小さく失禁し、前と同じようにオナラまで出して……そこでようやく、クリトリスから刺激が消えうせる。
でもこれは、あくまで『下準備』でしかなかった。
「はーっ、はーーっ……はっ、はぁーーーっ…………」
私が荒い呼吸を繰り返していると、いきなり割れ目に指が入り込んできた。その指は、あっという間に一番奥の子宮口に触れる。
「よーし。子宮の入口がトロトロんなって、降りてきとるわ」
そんな新渡戸の声がした直後、また重苦しい羽音が鳴りはじめる。でも、今回の音はなんだか変だ。今まで聞いた機械音が、同じ場所から同時に聴こえてくる。ヴヴヴヴヴという振動音、キュイッキュイッという回転音、そしてカシュカシュというピストンの音……。
「初めて聴く音やろ?」
私の反応に勘付いたのか、新渡戸がそう訊いてくる。
「これはな、ポルチオ開発専用のバイブや。こいつ一台で、ピストン・スイング・パールの回転の3つの責めができる。それぞれ10段階に調節しもってな」
その言葉の直後、何かが割れ目へ入り込んでくる。確かな硬さと弾力がある、シリコン製のバイブだ。無数のパールがゴリゴリとあそこの襞を刺激する。処女の頃だったら痛くて堪らなかっただろうけど、新渡戸の真珠入りの物に慣らされた今は、気持ちよくて仕方ない。
「くぅううっ、はぁ……っ!!」
あそこが蕩けきった状態だと、ただバイブを挿れられただけでも甘い息が漏れた。
「よし、子宮口に届いとるな」
新渡戸はグリグリとバイブを奥へ押し付けながら、念押しで確認する。そして、カチカチとバイブのスイッチを切り替えはじめた。その途端、バイブの動きが変わった。子宮の入口を小刻みに突き上げるピストン。上下左右に揺さぶるスイング。そして奥まった部分全体をかき回すような回転。それが一気に襲ってくる。
この刺激は強烈だった。我慢しようと身構える間もなく、おしっこが漏れる時のようにあっさりと絶頂させられてしまう。しかも一度きりじゃない。二度も三度も、小刻みにだ。
「うあっ!? くうっ、んゥっ、うぐううう゛う゛っ!!!」
「どうや、堪らんやろ。これ使われたら最後、どんな女でも痙攣しながらイキっぱなしになるんや。お前の前にもガキが4人、この責めで折れたわ」
新渡戸はそう言いながら、バイブの刺激を強めていく。振動を、ピストンを、スイングを、回転を。その刺激で、背筋を電流が走りぬけた。その電流は神経を伝って、手足の指先にまでじーんと広がっていく。
「ひぐっ!! あ、あ゛……いぐっ、いくうう゛う゛っ!!!」
為すすべなく、絶頂へと押し上げられた。
このバイブはやばい。人力では無理なぐらい、繊細に、力強く、ピンポイントで子宮口を刺激してくる。子宮口は、亀頭で潰されるだけでも簡単に絶頂してしまう急所中の急所。そこへこんな責めをされたら、とても耐えられない。
「あっあっあっ、あァーーーっ!! くっ、あ……くぅゥゥ…ん゛ん゛っっ!!!」
喘ぎは、すぐに悲鳴に変わった。刺激が強すぎると、大口を開けて叫ぶか、歯を食いしばって『何か』に耐えるしかない。あっという間に頭が白んでくる。ただでさえ安眠を誘うような暗闇の中なのに、意識まで薄れていく感覚は…………たまらなく、気持ちいい。
そんな気分に浸っている中で、いきなりバイブが引き抜かれた。バイブへ纏いつくようにうねっていた襞が、裏返る。
「う゛あ、あ゛………んああああっ!!!!」
私は叫びながら、これでもかというほど太腿を強張らせる。その直後、割れ目がひくついて、大量の潮が噴き出した。見えなくても、感覚でわかる。ベッドを越えて、ミラーにまで浴びせかかる潮噴きだと。
「よう飛ぶのぉ」
栖村の呟きで、自分の感覚が正しいんだとわかる。
「よし、慣らしはこんなもんやろ。栖村、磯崎。ワシは仮眠取るさかい、後は任せたで。こっからは、いつ壊しても構わん。休まず責め続けぇ」
新渡戸の言葉には、もう一欠片の情すら感じられない。あくまで淡々と指示を与えている。その静かな口調は、どんな恫喝より怖い。
だからこそ私は、大きく息を吸い込んだ。
「あ……アンタ達なんかに、壊されるわけないでしょ!!」
自分自身へ喝を入れるために、目一杯の声で叫ぶ。
壊れるわけには、いかないから。
※ ※ ※
視界を奪われると、自分がどれだけ視覚に依存しているのかを思い知らされる。
周りで何が起こっているのかが解らない。
自分がどうなっているのかも解らない。
どれぐらい、時間が経ったのかも。
磯崎と栖村は、時には交代しつつ、時には2人がかりで私を責めつづける。
基本はバイブで子宮入口を刺激しつつ、クリトリスにマッサージ器を宛がうやり方だ。シンプルだけど、ピストンやスイング、回転に細かく変化をつけられると、刺激に慣れる暇がない。
そして当然、別の責めを織り交ぜられることもあった。
バイブを抜かれた代わりに、蕩けきったあそこへ指を入れられ、延々と潮を噴かされたり。
痛いぐらいに勃起した乳首を、クリップで挟み潰されたり。
お腹が膨れるまで浣腸された上で、アナル栓を嵌めたまま子宮口を刺激されたり。
どの責めもすごかった。悔しいぐらい絶頂に直結した。
「ああ、ぁああ……い、いくっ! イッてる、イってるイってるっ!!!」
私はぼやけた頭のまま、数え切れないぐらい絶頂を宣言した。Mの字に拘束された足を暴れさせながら。
「そ、そうだ。何度でも逝け」
磯崎はそう言って、私の膝の辺りを踏みつけてくる。その足の力は強く、私が限界を感じて叫びながら身を捩っても、少しも体勢を変えられない。
そしてその無理は、確実に私を壊していく。
やがて私には、バイブの各種機能さえ必要なくなった。お尻とあそこに太いだけのシンプルなバイブを捻じ込まれ、お尻の肉を割り開かれる……たったそれだけで、身を震わせながら絶頂してしまうようになった。
「あああ、ああ……はぁあああっ…………!!」
暗闇の中で喘ぎつつ、割れ目からバイブが抜け落ちていくのを感じる。その感覚すらたまらなく気持ちよくて、また軽く絶頂してしまう。
「ケツ突き出したまま、浅ましゅう痙攣しおって。完全にイキ癖がついたらしいな」
そう呟く新渡戸の声は、随分久しぶりに感じた。もう何週間も、栖村と磯崎の呼吸しか聞いていない気がする。
「そろそろ、ホンマもんのチンポが欲しゅうなってきた頃やろ?」
新渡戸がそう言いながら、私の背後で膝をつく気配がする。嫌な汗が出た。少し前ですら、快感のあまり泥沼のように嵌まってしまった新渡戸とのセックス。それを今の状態で受け入れたら、どうなるか判らない。
「ほ、ほしくなんか……ない…………」
私は絶頂の余韻に浸りながら、否定の言葉を口にする。心が折れていないという証を、自分自身に示したかったから。
「身体の方は、そう言うとらんぞ」
新渡戸はそう言いながら、割れ目を指で開いた。そしてヒクつくそこに亀頭を擦りつけると、愛液を潤滑油にして一気に挿入してくる。
「んあああっ!!!」
快感は半端じゃなかった。真珠の凹凸で膣のスポットを擦り上げられただけで、かなり深くイってしまう。太腿から膝裏にかけてが信じられないほど強張り、ぶるぶると震えはじめる。
「ふん。何が欲しないや、大喜びで纏わりついてくるやないけ!」
新渡戸は吐き捨てるように言いながら、腰を使いはじめる。ぬちゅっぬちゅっと水音が鳴りはじめ、奥までをリズミカルに突かれたあそこから、痺れるような快感が這い上がってくる。
「ああっ、あああ…………ああああっ!!!」
声を抑えようと頑張っても、勝手に喘ぎが漏れてしまう。
「はは。マンコも子宮も、トロトロに蕩けきっとるわ。まあ、プロの調教師の手ェでじっくり煮込まれたんや、こうなって当然やがな!」
新渡戸の腰の動きが激しさを増した。ただピストンが速まっただけじゃない。今この瞬間に責められると致命的……そういう急所を、私の腰の捩りから的確に見抜いた上で、たっぷりとスピードを乗せて擦り上げてくる。そんな事をされて、平気でいられるわけもない。
「あっ、あ、あ……あああああっ!!!!」
大口を開けて、ただただ嬉しい悲鳴を漏らしてしまう。
( そこがいい、そこが気持ちいいのっ!! )
頭の中がその考えで埋め尽くされ、情けないとか悔しいという気持ちすら吹き飛んでしまう。
「はぁっ、はあっ、はひゅうっ、ひゅーっ、はひゅーーっ…………」
ようやく新渡戸がアレを抜き去った頃、私は変な呼吸を繰り返していた。小さい頃から歌やダンスの練習をしてきた私は、肺活量にかなりの自信がある。だからこそ、ショックだ。
その呼吸を整える間もなく、頭のマスクが取り去られる。
「……うっ……!!」
久しぶりの光で目が眩む。何度か瞬きを繰り返すと、白黒に近い風景の中に新渡戸の顔が見えた。以前の柔和さなんて欠片もない、ヤクザらしい顔つきだ。
「まだまだ休ませへんぞ。本番はこっからや」
新渡戸はそう言いながら、ベッドへ腰を下ろす。そして私の身体を軽々と抱え上げると、背を向ける形で跨らせる。背面騎乗位とかいう体位だ。
この体位は強制的に大股を開かされるから、足の踏ん張りが利かない。自分自身の体重でアレが奥まで入ってくるし、快感で足がブルブル震えるのも誤魔化しようがないから、肉体的にも精神的にもかなりきつい。
「この体位やとよう解るやろ、一番奥まで届いとんのが」
耳元でそう囁きかけながら、腰を突き上げられると、あそこの奥が切なく疼く。
「あ……ひああっ! あっ、んあ……あああっ、あ…………!!」
顎が跳ね上がり、全身が硬直する。吐息が途切れ途切れになっていく。
まずい状況だ。こうしてフリーズした後には、いつも溺れるほどの快感の波が来ていた。
「奥の、ポルチオの感覚に集中せぇ。ココで気をやる感覚を、徹底的に覚えこませたる。何遍も、何遍もや!!」
新渡戸の腰遣いがさらに強まる。お臍の下にごりっごりっと硬い物がこすれる感覚があり、そこから一拍置いて奥が突き上げられる。絶対に守らなければいけない子宮の入口が、私自身の体重で変形する。
「だ、だめええええーーーっ!!!!」
私は危機感から叫んだ。鼓膜がビリビリ震えるぐらいの声が出たし、シーツについた両手の手首には、血管が浮き上がるぐらいの力を篭められた。私の上半身には、しっかりと意思が漲ってくれた。
でも。肝心の下半身に、その意思が伝わっていない。強張るどころか、骨までくにゃくにゃに蕩けたまま、重力に逆らう気配がない。
逆にマグマのように煮えたぎった子宮には、異様な存在感があった。奥を潰されるたび、その存在感がどくんと脈打って、全身の血管に入り込む。手足の痺れた感覚がわかりやすいけど、もっと露骨なのは乳首だ。見えない手で引き絞られたような蕾は、それ以上を求めるように切なく疼き続ける。
「くくくっ、浸っとるな。全身に電気が走る感じか? それとも絶頂の波に溺れとるんか? どっちにしろエエ傾向や。お前はもう、挿れただけでイク段階にまで“出来上がっとる”さかいのぉ。あとナンボか逝き癖つけるだけで、絶頂が一気に深ぅなる。意思なんぞでは、どうにもならんレベルまでなぁ!!」
呪いのような言葉を吹き込みながら、下腹をさすり回す新渡戸。私はその手足に絡め取られながら、ただ全身を震わせつづける。
「はっ……あ、あっ!! はぁっ…あっ……あァ゛!!」
大股を開き、シーツに手をついた状態で、全身がフリーズする。呼吸が浅く、早くなっていく。
「はァっ、あはっ……いやっ、いや………!」
割れ目が怖いぐらいヒクつく。あそこの中が煮え滾る。そのまま、グチュグチュと奥を突き上げられると……フリーズしてでも保とうとした決定的な『何か』が、溶け落ちた。
「あっ、あ、ア゛っ………………はああァああああ゛っ!!」
私の身体は大きく仰け反り、新渡戸の肩に頭を預けたまま、ガクガクと痙攣しはじめた。イっている。これまでと違うのは、その絶頂の感覚がずっと継続していることだ。
そして新渡戸が、そんな私の異変を見逃すはずもなかった。
「よっしゃ、我慢せんでええぞ!! 逝け、逝ってまえッ!!!」
激しく奥を突き上げながら、野太い声で叫ぶ。その声の太さは、混乱している私の頭にひとつの方向性を与えるのに充分な効果があった。私の身体は命じられるままに、絶頂に向けてほどよく弛緩していく。
「い…いやっ、こんなのいやっ!こんなのいやああぁあぁあっっ!!!!」
私は同じ言葉を繰り返しながら、大口を開けて痙攣しつづける。口の端から涎が垂れていく。
「はっ、ヨガりまくっとって何がイヤや、正直にならんかい!!」
心臓へ叩きつけるような怒号と共に、新渡戸の突き上げがさらに強くなる。ピストンの速さは落ちたものの、ぐううっ、ぐううっ、と一回ごとに致命的な深さで子宮口を押し潰すやり方だ。そしてどうやら今の私には、それが一番効くようだった。
「いーーーっ、いいい゛い゛ーーーっ!!! いぎっひ、いいいぃ゛い゛ーーーーーっっ!!!!」
舌の先にまで出かけた『イク』という言葉を、歯を噛み合わせる事で押し殺す。それが精一杯の抵抗だ。
一方で、身体の反応は止めようがない。ステージでダンスを披露する時以上に、内腿が強張っている。顎が浮き、視界が定まらない。
汗もひどかった。大雨に打たれたのかというぐらい、びっしょりだ。不思議と喉の渇きはなくて、ただひたすら汗だけが流れていく。
私の絶頂は、そのまま何分もキープした。いや、キープ『させられた』。
「は…あ゛、あ……あーーーっ、あーーーーー……っ!!」
ようやく絶頂の波が和らいだところで、ようやく喘ぎまじりの呼吸ができる。
体のだるさが普通じゃなかった。あらゆる部分が筋肉痛で、でも痛みがないような感覚。とにかく身体に力が入らない。
そこまでになっても、新渡戸は私を休ませようとはしなかった。トッ、トッ、トッ、と亀頭の先で子宮入口をノックしてくる。早くもないし、強くもない。でも今の私はそれだけで、腸に響くような絶頂に押し上げられてしまう。
作り変えられている。根っこの部分から。
新渡戸から繰り返し犯されるうちに、それを嫌というほど思い知らされた。
座位、側位、駅弁スタイル、立ちバック……新渡戸はこれまでの集大成とばかりに、色々な体位で私を犯し抜く。その新渡戸が食事や仮眠を取る間すら、私に休息が与えられることはない。
胡坐縛りのままベッドに転がされ、丸出しになった3穴を嬲られる。
中でも一番つらいのは、先端が大きな球体になっているディルドウを使ったプレイだ。この球体を子宮口へぴったり嵌まる形で挿入され、バイブのお尻へマッサージ器を宛がわれれば、これは子宮口をマッサージ器で直に揺さぶられるのと同じ。当然、堪えられる訳がない。
「はっ、はっ…はっ……ああ゛ーっ!! はあ゛あ゛、あ゛っア゛ッ!!!」
私にできる事といえば、喘ぎ、髪を振り乱し、叫び、痙攣することだけだ。
しかも、この責めはあくまで基本でしかない。場合によっては、大小の排泄を我慢しながらのポルチオ刺激もある。磯崎の極太をお尻に捻じ込まれながらのことも、栖村の物を咥えながらのことも。そういう余計な条件が加われば、私の状況はもっと惨めになった。
逝けば逝くほど、私の全身は信じられないほど敏感になっていく。そのうち、背中にシーツが擦れたり、体位を変えるために手足を掴まれるだけで、軽く絶頂するようになる。
そんな中で私は、必死に我慢を続けた。眉を顰め、歯を食いしばり、爪が食い込むほど手を握り込んで。
でもそれは結局、結末を先延ばしにするものでしかない。
限界が訪れたのは、ポルチオ調教が始まって一週間あまりが経った頃。もう何度目になるのかもわからない、『スカーレットチョーカー』のライブ裏での事だった。
「……はぁっ、あっ…う、ふうっ!! う゛うう゛ぅ゛………っ!!」
顔をつき合わせる格好で抱かれながら、とうとう涙があふれ出す。
追い詰められる要素はいくらでもあった。でもトドメになったのは多分、仲間を見ながらイかされまくるストレスだ。
「ああっ、ふあああっ! こ、こんなにイクなんて……こ、怖い゛っ!!」
一度涙があふれてしまうと、もう止まらない。次から次へと、滝のように頬を伝っていく。人生でもほとんど経験がないような量で、それだけ涙が出ているという事実そのものに不安を感じるほどだ。
「なんや、泣いとるんか!? はははははっ!!」
新渡戸は、泣きじゃくる私を組み伏せ、可笑しそうに笑う。最初の頃の優しい面影はない。獣そのものの顔つきだ。私はその顔の下で大股を開きながら、ガクガクと痙攣を繰り返した。
「あっ、あはァ゛あ゛っ!! もう゛っ、もぉ゛奥突くのやめでっ!! い゛、イクっ、またイグっ……イっぢゃぅううう゛う゛ーーーっ!!!!」
電流が全身を巡り、脳を白く焼き尽くし、それを最後に意識を手放す
…………はず、だった。本当なら。
でも私は、ギリギリのところで頬を張られて正気に戻る。
「…………ふ、ぇ…………?」
歪んだ視界に、天井のライトが映った。ライトの一部は黒い影で遮られている。新渡戸達以外にもう一人、仮面で顔を隠した、ロマンスグレーの男が立っていた。
「ふっ。心身共に限界――という感じだな」
顔が見えなくても、その声でわかる。宮路だ。
この悲劇の引き金になった男。この地獄の鍵を握る、ただひとりの人間。
「ええ、とうとう嬉しゅうてヨガリ泣くようになりましたわ。もうマトモさは残っとりません。そろそろ、“タネ明かし”の頃合いや思いますけど……ええですか?」
新渡戸は、組み敷いた私を包むように両手を広げる。
タネ明かし。新渡戸は今、確かにそう言った。
「ああ、構わん。やってくれ」
宮路は腕を組んだまま、入口側のミラーに背を預ける。明らかにリラックスして、何かを見守る体勢だ。
「わかりました。聞いたな、お前ら!」
新渡戸が口元を吊り上げて命令する。磯崎は目をギラつかせ、栖村は逆に目を閉じて頭を振りながらベッドを降りた。向かう先は、ステージ側のミラーを覆い隠すカーテンだ。
胸がざわつく。
ずいぶん前に、歌声も曲も聴こえなくなった。ライブはとっくに終わっているはずだから、片付けのスタッフに見物させるつもりか。でも、それならいつもと同じだ。タネ明かしでも何でもない。
その私の疑問は、すぐに解消された。
いつも通り……じゃない。カーテンが開かれるにつれ、眩い光が入ってくる。なぜかスポットライトのついたままの会場内が、ミラー越しに透けて見える。
目を、疑った。
ステージ上を埋め尽くす、人、人、人。
まさしく黒山の人だかりが、ステージの数箇所へ殺到する形で蠢いている。年齢も違えば、体格や人種も違う。共通点といえば、全員が男である事と、丸裸のままアレを勃起させきっている事の2点だけだ。
そして何人かだけ、その共通点にすら当てはまらない人影がある。他の人間のように毛深くない、すべすべの肌。手足の細長い、抜群のスタイル。
普通の人間とは華が違う。アイドル特有の華がある。
間違いない。見間違えるわけがない。ステージにいるのは……ステージで犯されているのは、
早苗と、
良子と、
あんりと、
乃音歌だ。
「………………どう いう、こと………………?」
一音ずつが喉から漏れる。頭の回転も同じく鈍い。頭のどこかでは正解を弾き出してるのに、そこまでの経路が詰まっているようだ。
それでも、少しずつ、少しずつ、現実が染み出してくる。
あの4人が毒牙に掛かっている。その現実が。
「なんも難しい事ぁあらへん。あの4人も、とうに“調教済み”っちゅうだけのこっちゃ」
新渡戸は緩く腰を使いながら、磯崎に目配せする。すると磯崎は、ソファ下の収納スペースから黒いハンディカムを取り出した。そして動画の再生モードを起動させると、液晶モニターを私に向ける。
画面に映し出されたのは、薄暗い部屋の中だった。煎餅布団が敷かれ、一番手前に早苗、その少し奥側に良子、そのさらに向こうに乃音歌の姿が見える。あんりの姿はないけど、早苗より手前に別の布団の端が見えるから、画面外にいるんだろう。
全員裸で、頬が赤かった。汗がひどいし、息も荒い。それもそのはず、3人の足元には刺青の入った男が座り込んでいて、指で絶えずあそこを刺激している。
ポーズは3人ともほぼ同じ。薄い布団に寝そべったまま、枕を抱え込むように腕を上げ、大股を開かされている。早苗と乃音歌は片足を抱え上げられる形だけど、いかにもなお嬢様の良子だけは下品ながに股だ。
『……お、お願い……だから……い、イかせて…………っ!!』
映像の中で、早苗が哀願する。見たことのない表情を浮かべながら。
ファンから王子様扱いされるぐらいクールで、私達が喧嘩していても、いつも冷静に仲裁してくれたのが彼女だ。そんな彼女が、完全に参ってしまっている。
でも、刺青男は耳を貸す様子すらなかった。あくまで淡々と、指であそこの浅い部分だけを刺激し続ける。私も経験があるから解るけど、あれはつらいんだ。あそこの奥がヒクヒクしっぱなしで、愛液がどんどん溢れていく。でも、満たされる事はない。絶対に。
『ああ、あああっ!! もう、もうやめてくださいっ!! ずっとじらされるばっかりで……おかしくなりそうなんですっ!!』
良子も同じく、見たこともないほど大口を開けて叫んでいる。
『もういやあ!! ウチに帰してえぇーーっ!!!』
『くそっ……テメェら、いい加減にしろ! マジでブッ飛ばすぞ!!』
乃音歌とあんりの声もする。でも、誰一人として責めから解放される事はない。
この映像は、そこで一旦途切れた。でも磯崎は、すぐに次の映像を再生する。
今度も多分同じ部屋で、4人は天井から吊るされていた。そして一人につき2人以上の刺青男がつき、それぞれの方法で追い込んでいる。
早苗は、目隠しとボールギャグを付けたまま片膝を吊り上げられ、あそこにバイブを捻じ込まれていた。しかもその身体には、不定期に鞭まで飛んでいる。
『う゛っ、ふむうう゛っ!! ふうむ゛うう゛、うう゛むぐう゛うっ!!!』
苦しそうに呻きながら身を捩る様は、見ていられない。背中や太腿へ、網の目のように刻まれた鞭痕も痛々しい。でも刺青男達には、情けをかける素振りすらなかった。
『落とすなや、落としたらまた罰やぞ!』
そう言って鞭を浴びせる。パシーンという凄い音は、それだけで脅しの材料として充分だ。おまけに視界を塞がれた早苗には、鞭がいつ来るか解らない。覚悟のしようがないから、怖くて堪らないんだろう。
結果、映像開始から数分ともたずに失禁し、バイブがあそこから抜け落ちる。
『あーあー、落としおった。ったくこのユルマンが!』
一人がそう恫喝し、もう一人が大笑いする。
『くっ……』
クールでプライドの高い早苗は、悔しそうに、本当に悔しそうに唇を噛んでいた。
その横では、良子が吊り下げられている。こっちは胸を搾り出すように縄を打たれ、真っ白な乳房に蝋燭を垂らされたり、乳輪に針を刺されたりしていた。充分つらい責めだけど、早苗と同様にそれだけじゃ済まない。天井と手首を繋ぐ縄をグルグルと回転させつつ、周りの男3人から不規則に犯されもする。
『あああっ、嫌です、嫌ですっ!! お願いですから、お尻の穴だけはやめてください!!』
そう叫んでいるから、どうやら後ろを使われているようだった。品のいい大和撫子の、排泄の穴を……。
乃音歌の姿は映像内にはないけど、独特のソプラノのような鳴き声が入っていた。そしてそれに被さる男の笑い声と、肉のぶつかる音も。
そして、一番悲惨なのがあんりだった。彼女は吊るされた上で、胴が床と平行になるように木枷を嵌められている。そうして抵抗の術を失ったあんり一人を、5人が取り囲んでいた。うち一人はあんりの正面に立ち、喉奥まで勃起した物を咥え込ませる。何度も、何度も。
『んも゛ぉ゛ええ゛お゛ア゛お゛ぇっ!! え゛えぉ゛あえお゛……!!!』
とにかくえづき声がひどい。あんりは元ロックバンドのボーカルだから、喉の強さなら私以上のはずなのに。
でも彼女の口元を見れば、納得するしかなかった。咥えさせている男の物は、磯崎より少し細いだけで、かなりの数の真珠が入ってもいる。今の私でさえあんな物を咥え込まされれば、えずき上げずにはいられない。
『おお゛ぉお゛ろ゛ロロっ…………!!!』
何度も何度もえずいた末に、とうとうあんりの口から黄色い吐瀉物があふれ出す。私自身がもう何十度もやったことなのに、汚い、と思ってしまう。でも、あれが嘔吐なんだ。本来はあんなに惨めで、みっともない事なんだ。だからあんりの目尻から涙が零れてたって、何も変じゃない。
でも、男達は笑う。鬼の首でも取ったように。多分あんりに反抗されて、相当苛立ってるんだろう。あんりは、気が強いから。
『おいおいおい。カンベンしろやこのゲロ袋が。もう太腿どころか、足首までドロドロじゃねぇか』
男はそう言って、吐瀉物まみれのアレであんりの頬を叩く。口から吐瀉物を溢しながら喘いでいたあんりは、その言葉で顔を上げた。
『はぁ、はぁ……殺されてぇか、てめえ』
言葉こそキツいものの、その瞳に生気はない。白目を剥きそうになるのを、根性で堪えているという感じだ。
『ハッ、やれるもんならやってみぃ!』
男はそう言って、あんりの口にアレを突き入れる。喉が鎖骨の方まで盛り上がり、ごええっというえずきが響きわたる。
『おらおらどうした、噛み千切ってもええんやで? 一晩中しゃぶらされて、まだンな力が残っとったらやがなぁ!!』
ゲラゲラという悪意ある笑いで、この映像は締めくくられた。
「そして、あのザマや」
ハンディカムが除けられ、今この瞬間の地獄が視界に飛び込んでくる。
ブリッジの体勢で犯されながら、穏やかに微笑む早苗。
喉奥まで咥えさせられても、罵声のひとつさえ浴びせないあんり。
がに股で男に跨ったまま、だらしなく涎を垂らす良子。
大の字に手足を広げたまま貫かれ、うっとりとした表情を浮かべる乃音歌。
全員が変わり果てていた。いや、『変えられていた』。
わからない。
グループを結成してからは、ずっと一緒にやってきた。それぞれ学校やバイトみたいな用事はあったけど、練習で顔を合わせない日なんてなかった。じゃあ、私がここへ来てからだろうか。
「……いつから? 皆はいつから、調教されてたの?」
私がそう呟くと、後ろで宮路の笑い声がする。
「いつも何も、最初からだよ。正確に言うなら、君が駅前でメンバー集めしていた時にはすでに、調教は完了していたんだ」
嵌められた。
私が必死で勧誘した気になっていた4人は、宮路の手駒だったんだ。
あんりが因縁をつけてきたのも。
早苗が爽やかな笑みで、ジュースを差し入れてくれたのも。
良子がたまたま駅前を通りかかったのも。
乃音歌が面白がって、一緒にチラシ配りをしてくれたのも。
全部、演技。
すべては、私にもう一度『アイドルごっこ』をさせるために。作り物の仲間を想い、苦しませるために。
何が、『スカーレットチョーカー』だ。何が、緋色の魂だ。
私が呆然としていると、急に部屋の照明が点けられた。しかも、いつもより眩しい。まるでステージのスポットライトみたいに。
すると、ステージの方に変化が起きる。男が皆こっちを見て、頬を緩ませはじめる。この部屋の中が見えてるみたいに。
私はそこで、はっと気がついた。
実際に見えてるんだ。マジックミラーが機能するのは、二つの部屋に明るさの違いがある時だけ。両方の部屋がどっちも明るいという状況なら、ただのガラスと同じなんだ。
「い、いやあっ!!」
私は悲鳴を上げて恥ずかしい部分を隠そうとする。でも新渡戸に正常位で組み敷かれている状況では、せいぜい胸を隠すことしかできない。
「今さら恥ずかしがんなや。ここに集まっとる連中は、お前の本性ぐらいとうに解っとるわ!」
新渡戸はそう言って、私の身体をうつ伏せにすると、勢いよく抱え上げた。小さい子供におしっこをさせるポーズだ。その姿勢のままベッドを降り、ミラーの前に立てば、何もかもが至近距離で晒されてしまう。赤らんだ頬も、全身の汗も、愛液まみれの結合部さえ。
「やめて、こんなのいや………っん、はうっ!!」
私は首を振って抵抗したけど、それも新渡戸に突き上げられるまでだった。
ポルチオ逝きの持続性は高い。肌を撫でるだけでゾクゾクするような感覚の鋭さは、今もずっと続いている。そんな状態で子宮口を突き上げられれば、スイッチが入るのは一瞬だった。
子宮を突き上げられる度に、足指の先にまで痺れが走る。その感覚は脊髄を通って、あっという間に脳を白ませる。薄まった世界の中で感じる幸福感は、普通じゃない。それさえあれば他に何もいらない……そう思えるぐらに甘い。
そして、私をそんな状態にまで作り上げた新渡戸は、当然すべて見抜いている。
「ほら、これがええんやろ! ああッ!?」
耳元で野太い雄の声を張り上げながら、ゴリッゴリッと力強く奥を突き上げてくる。
「ああああっ、はぁああああっっ!!!!」
私は大口を開けて叫んだ。叫ぶ以外の行動を取れなかった。両足が空気を蹴るように跳ね上がる。内腿が筋張る。下腹がヒクつき、絶頂する。
その全部を、ステージの人間すべてに観られていた。
知らない男も多いけど、握手会で挨拶を交わした顔ぶれもいる。リュネット時代からのファンも、ドレッドヘア達の姿もある。そして、長らく私の心の拠り所だった仲間達も。
そうした人間の視線に晒されながら、私の震えはいよいよ酷くなっていく。
わかってる。私は、視られるのに弱いんだ。アイドルとしてちやほやされたい欲求が人一倍強いだけに、無惨な姿を見られた時のショックも大きい。そのショックが、いつも私の殻を壊す。
「おらイけ! イッてイッて、イキまくれっ!!」
新渡戸はトドメとばかりに、角度をつけてあそこを突き上げた。ぎちゅっぎちゅっぎちゅっという水音と共に、全身に電気が走り、下腹部に何かが渦巻く。頭が茹であがって、何も考えられなくなる。
「こ、こんなの初めて!! 頭が……ああっ、もおおかしくなるっ、お゛かしくなる゛う゛う゛ぅぅーーーーーっっ!!!」
私は思いついた言葉を意味もなく叫びながら、絶頂した。全身が病気のように痙攣し、潮が噴き出る。潮はミラーに勢いよく浴びせかかり、白褐色の跡を残して垂れ落ちていく。
それを、大勢に見られていた。読唇術の心得がなくたって、彼らの言葉がわかった。
『おいおいおい、あの四元結衣が潮噴いたぜ!?』
『噂通り、スゲー変態じゃん!!』
そんな風に笑われているに違いない。
今ならわかる。握手会でファンが興奮気味に見えたのは、私に久しぶりに会えたからじゃない。いつか私を抱けると思ってのことだ。いつ退院できるのかと訊いてきたのもそう。いつ抱けるのか、という時期の確認でしかない。
私には、純粋なファンなんていなかった。仲間すら偽者だった。
じゃあ私は、なんのために――――
「フフフ。公衆の面前でマーキングとは、いよいよ駄犬だな。もはや奴隷の価値もない。そろそろ、向こうの連中に払い下げるとしよう」
宮路のその言葉が、胸に刺さる。
宮路は私を見限って、捨てようとしてるんだ。今のこの状況より、もっとひどい場所へ。
アイツの全部が嫌いだった。色気づいたロマンスグレーが。格好つけたスーツが。きついコロンの香りが。鈴佳を追い詰めた外道ぶりが。あんな奴の言いなりになるぐらいなら、地獄に落ちた方がマシ――その一心で、ずっと耐えてきた。
でも、何もかもが嘘だと知った今、地獄より酷い場所に落ちる覚悟は持てない。そうなったら、今度こそ私は私でなくなってしまう。
「 社長…………わ、私を、買ってくださいっ!! 」
私は、宮路の方を振り向いて叫んだ。
「なんでもします! なんでも言うこと聞きます、だから――!」
「もう遅いよ」
私の決死の哀願は、たった一言で斬り捨てられる。
「…………え?」
「君は、その資格をとうに失っている。いや……自分から捨てたんだ」
宮路の眼は、冷ややかだった。
本気で私を捨てる気だ。私が、誘いを拒んだから。
「お、お願いします! このままじゃ、わたし、本当に変になっちゃう! 私じゃいられなくなるっ!!!」
「お断りだ。ヤクザの肉便器にされたような女を、私が抱くとでも思うのかね?」
宮路はそう吐き捨てると、ミラーの向こうに目を向ける。
「だが、心配はいらん。そんな君を有り難がる連中が、あそこに1000人から集まっているんだ。たっぷり愛されてきたまえ。“アイドルらしく”ね」
宮路のその言葉を合図に、私は栖村と磯崎から両腕を掴まれた。そしてそのまま、ズルズルと床を引きずられていく。調教部屋の外へ……ステージに繋がる廊下へと。
「やめて、あそこへ行くのはいや!!」
私がいくら叫んでも、二人の足が止まる事はない。
「もう遅いんや、観念せぇ!!」
栖村は私を怒鳴りつけ、腕を掴む手に力を込める。その手はブルブルと震えていた。
「………この、阿呆が」
巨体に似合わない、搾り出すような言葉。それは、私がもう戻ってこれないことを嘆いているようだ。
「へへへ、来たぜユイユイちゃんが!!」
「ひゃひゃっ、待ってました!」
「早くやろうぜ結衣ちゃんよ、散々熱い握手しあった仲だろ!?」
私が舞台袖に現れた瞬間、男達が殺到し、ステージ中央へと引きずっていく。
「いたい、いたい!! やめて、離してええーーっ!!!」
痛みと恐怖で叫んでも、誰一人として聞いてはくれない。あっという間に私は床に組み伏せられ、取り囲まれる。
「っしゃ、俺から行くぜ!!」
一人がそう叫び、勃起しきったものを割れ目に宛がった。そしてそのまま、何の遠慮もなく生で中へと入ってくる。
「うははっ、キモチいいーーっ! 堪んねーわ!!」
男の熱量は半端じゃなかった。待ちに待ったという感じで、驚くほど硬い物を叩き込んでくる。数ヶ月前なら間違いなく痛みを覚えていた突き込みだ。でもポルチオを開発された今は、その荒々しい刺激さえ快感に変わってしまう。
しかも奴には、テクニックもあった。元々あったのか、早苗達を犯す間に身につけたのか、グッグッと的確に膣内のスポットを突いてくる。その安定感のあるピストンは、今のコンディションで絶頂するのには充分すぎた。
「はぁっ、はぁっはぁっ……あぁああ゛っ!!!」
馬鹿にされたくない……そう思って我慢しても、すぐに声が漏れてしまう。でもその声は、すぐに封じられることになった。色黒な男が前に立ちはだかり、アレを咥えさせてきたからだ。
「む゛、うぐっ!! うぶう゛っ!!!!」
苦しさで呻いても、色黒男は容赦なく私の頭を鷲掴みにした。
「ほら、もっと咥え込めよ! ヤクザから喉マン調教されてんだろうが!?」
怒鳴るように言いながら、喉の奥を抉り回す。
「ほおごおおっ……!!!」
食道に脈打つものが入り込んできた。苦しいし気持ち悪い。でも同時に、頭が白く霞む。脳イキだ。
「あはははっ、凄ぇ! もともと手で握られるぐらい締まってたのに、しゃぶらされた途端もっとキツくなりやがった。両手で絞られならがら、グニグニ揉まれてるみてぇ!!」
後ろから挿入する男は、声を上ずらせながら腰の振りを早めていく。
「ああ、ああ!! これ駄目だ、もたねぇ……あああっっ!!!!」
そう言い終わる前に、ドクドクとあそこの中に射精する。若いせいか、射精の勢いは栖村より凄い。あそこの奥に水鉄砲を叩きつけられる感じだ。
「おお、スゲー出た。コイツ普通にハメ穴として最高だわ!」
下品な言葉と共に、アレが割れ目から抜き出される。入ってくる外気と入れ替わりに、どろりとしたものが茂みを流れていく。
「おい、中に出すなって!」
周りから非難の声が上がった。最初はキレイなアソコを使いたい、という事だろう。男は皆そうだ。
「しょうがねぇだろ、溜まってたんだからよ!」
男も言い返し、険悪な空気が流れはじめる。その流れを断ち切ったのは、また別の一人だった。
「やめろ。済んだことグチャグチャ言ってもしゃあねぇだろうが!」
いかにもチンピラという感じの、ガラの悪そうな刈上げ男。かなり鍛えているらしく、胸板の厚さが半端じゃない。
その迫力に、言い争いが止まる。それを見て、刈上げ男はさらに続けた。
「それによ、中出しした後のマンコも悪くねぇぞ。なぁ?」
そう言って、すぐ近くの仲間らしき人間に話を振る。ツーブロックカットのそいつは、含み笑いを浮かべながら頷いた。
「ああ。誰か試しにやってみろよ」
そう煽られれば、当然乗る人間も出てくる。
「よし、なら俺が行く」
一人が甲高い声で名乗り出ると、硬いものを一気に割れ目へと捻じ込んでくる。
「はぐっ!!」
さっきと同じく、硬く熱い。熱した鉄棒を受け入れた気分だ。
「お…っ!? へへ、ホントだ! マン汁ともローションとも違うヌルヌル具合がたまんねぇ!!」
男はたぶん、満面の笑みを浮かべていることだろう。そういう声色だ。ただ、正直それどころじゃない。
中出し直後のセックスが気持ちいいのは、女も同じ。立て続けにあそこを使われると、いくら慣れていても、そのうち擦れて痛くなってくる。でも中にヌルヌルした精液が入っていれば、膣の壁を保護してくれるから痛まない。むしろ直前までの挿入で敏感になっているぶん、快感だけが何倍にもなって襲ってくる。
「ん、んんん……っ!!」
私はあっという間に絶頂へ押し上げられ、呻きを上げた。
「おら、口休ませてんじゃねーよ!!」
その言葉と共に、アレまで口に押し込まれる。休む暇がない。逃げ場もない。
「んむっ、んん……お゛えっ、あぐ……うん、うんっ…ん、んぐうっ!!」
前と後ろから荒っぽく突かれ続け、ほぼ同時に射精される。
「がぼっ、ぷわああっ!!」
噎せずにはいられない。口の中が生臭さで一杯になり、鼻からも精液が垂れていく。
「くははっ、ひでー顔。どうだよ結衣、精液便所にされる気分は?」
さっきの刈上げ男が、嘲るように見下ろしてくる。
「はぁっ、はぁっ、はあっ…………!!」
私は喘ぎながら、その顔を睨もうとした。でもその途中で、横から鼻を摘みあげられる。
「今度はこっちだ、しゃぶれ!」
そう言って、深々と咥え込ませてくる。嗅ぎ慣れた匂いが鼻を満たす。
「つーかこれ、前だけじゃ回んねーな。オイ、後ろも使ってやれや!」
その言葉をきっかけに、私は3人に囲まれることになった。下からあそこを突き上げられつつ、後ろからお尻に挿れられ、口にも一本を咥えさせられる。
「あごもぉおおっ!!」
前後2本挿しの圧迫感は普通じゃない。それに子宮口を前後から挟み潰されると、イクのを堪えるのも難しい。
「うう、お……ほお゛ええ゛えぇっ!!!」
私は硬いアレを咥え込んだまま、精液を吐きこぼしつつ絶頂する。子宮と脳の同時イキだ。
「ハハハッ! こいつ、白目剥いてやがる!!」
一瞬薄らいだ意識を、その嘲笑がかろうじて繋ぎ止めた。
「ぷは、はあ……っ!!!」
「お、息吹きかえしたか、いいねー。簡単に折れられても面白くねぇからな。完全に狂うまで、休まず犯してやる!」
「ああ。ザーメン漬けにしようと思って、一週間オナらずに溜めて来てんだ!」
「俺もだ。あの結衣抱けるって思っただけで、金玉がムズムズするよ」
「よっしゃあ、体中の粘膜って粘膜に、たっぷり塗り込んでやろうぜ!!」
男達は異様な熱気を発しながら、私の手足を掴み上げる。
どこを見ても、ギラついた視線とぶつかった。
ステージの上だけでも視界を覆い尽くすほどの人数がいるけど、客席側からもまだまだ人だかりが上ってくる。このライブハウスのキャパ上限は1000人。今日は多分、その上限一杯まで客が詰め込まれている。
ボスの怒りに触れた私を、確実に圧殺するために。
※ ※ ※
「ぶはっ!! がっ、げほっ!ごほっ!!」
私はアレを吐き出し、ひどく咳き込む。
「おら、休むなっつってんだろうが!!」
「まだ一巡もしてねーんだからよぉ、気合入れてやれって!」
すぐに非難の声が浴びせられ、息継ぎ途中の口でしゃぶらされる。
顎が疲れているから手を使いたいけど、そうもいかない。腕は後ろに引き絞られ、あそこへの挿入の手綱代わりにされてるんだから。
「あぶっ、ぶぼっ……んごっ、ゴエエエッッ!!!」
胃液が顎の方へ垂れても、それを拭うことすら叶わない。
「あははっ。ひどい顔だよ、リーダー」
隣で同じく犯されている早苗が、私の横顔を覗き込んで笑った。客の大多数が『本命』である私に殺到している関係で、早苗達は随分と楽そうだ。
その気楽さが憎い。ずっと、私を騙していたくせに。私が苦しんでいるのを知っていて、陰で笑っていたくせに。
私は早苗を睨もうと、目元に力を込める。でもやっぱり、そういう力みが絶頂を呼び込んでしまう。
「あっ、ぐうう゛う゛っ!!」
全身が痙攣し、ぞわぞわした感覚に包まれる。
「はっ、はっ、はっ、はっ。はっ……」
私が過呼吸気味になり、眼を見開きながら震えていても、男連中に容赦はない。
「ほら、どんどん突っ込め! 後つかえてんぞ!!」
そういう思いやりの欠片すらない言葉と共に、熱い肉棒が殺到する。前後の穴はあっという間に埋まり、口には3本が同時に捻じ込まれる。
「んゴエエッ、あがっ!! ごぶっ、ごぉおう゛……んごおお゛ぇっ!!」
3本で交互に喉奥を抉られると、えずきがひどい。胃液も次々あふれていく。私の中の『まともさ』と一緒に。
「……ははっ。見ろよコイツ、自分から腰振ってやがるぜ!」
その言葉でようやく私は、相手の男が腰を使っていない事実に気がつく。激しく突き上げられているとばかり思っていたのに。
「へっ、このドスケベアイドルが!!」
罵られれば罵られるほど、震えがひどくなる。
「おっ? ようお前ら、もっと罵れ。こいつ、言葉責めされるたびにキュウキュウ締め付けやがる!」
そう茶化されながら乳房を鷲掴みにされると、
「はぐうぅう……っ!!!!」
また、イってしまう。
「はははっ、マジで変態じゃねーか。プライドとかねーのかよ!?」
「いいじゃねーか。肉穴に変なプライドなんてあったって、邪魔なだけだろ」
心ない言葉が浴びせかかる。でも、そう言われても仕方がない。
私はもう、まともではないんだから。
※ ※ ※
何日が経ったんだろう。
あるいは、何週間が過ぎたんだろう。
私は、1000人近くの男達から狂ったように犯されつづけた。トイレに行く暇すら与えられず、小便まみれ、体液まみれで。
「へっ。こいつ、もうワキ毛ボーボーだぜ?」
組み伏せられ、両手を掴みあげられた私の腋を、一人がくすぐる。
「だな。ついでに言やぁ、マン毛もケツの方まで生えてやがる。いくら伝説のアイドルっつっても、処理しねぇとフツーに無駄毛だらけになるってこった」
「夢のねぇ話だな、それも」
「バーカ。夢なんざ端っからねぇんだよ。その有りもしねぇもんを、いかにも有りそうに見せんのがアイドルって商売だ。要は役者よ」
「んでもってコイツは、その役者としても失格と。化けの皮が剥がれるだけ剥がれて、そこらの女よりみすぼらしくなっちまったな」
男達は口々に馬鹿にしながら、飽きもせず私を犯し抜いていた。
何人か、とにかく私の顔に射精したい人達がいて、顔の至る所へ精液が浴びせかかっている。特に目の部分は乾いた精液が何重にも層になっていて、簡単には開けない。そうなると目隠しをしているようなものだから、嫌でも感覚が研ぎ澄まされてしまう。
「どうした、もっと締めてみろ。マンコの締め付けだけでザーメン絞り取んだ。マンココキだよ、マンココキ!」
荒い息と共に、元気の有り余った肉棒を叩き込まれる。力強く、リズミカルに。でも流石に連続で犯されすぎて、アソコに力が入らない。
「締めろっつってんだろうがよ! ったく、マンコとケツの締まりまでなくなったら、いよいよ肉便器として終わりだぞオマエ。まだ他の4人のが『使える』っつーの」
不満そうな声で、肉棒が引き抜かれてしまう。もっと刺激が欲しいのに。奥を突いて、脳まで痺れさせて欲しいのに。
そんな私を、何人かが見下ろしている気配があった。
「なあオイ。そろそろマンコにピアス空けてみねぇか? コイツがどこまで狂うか、見てみてぇ」
遊び半分で口にされる、悪魔のような提案。でもそれを耳にした瞬間、私の胸に沸き起こったのは、『期待感』だった。
クリトリスにクリップを取り付けられた時の、新鮮な快感を思い出す。あれをあそこに取り付けられたら、どんなに刺激的なことだろう。
「よーし。チクッとするけど、暴れんじゃねぇぞ?」
そう言ってビラビラが摘み上げられた、直後。鋭い痛みが襲ってきた。
「きゃああああっ!!!」
敏感な場所だけに、痛い。でもその痛みは、そのうち痺れに変わる。快感とよく似た痺れだ。
「へ、キツイだろ。でも、刺激ってのは良いもんだぜ。ヤミツキになる」
ビラビラが掴み直され、またザクリとした感触が伝わってくる。
「いぎいいぃーーっ!!」
私は、歯を食いしばって叫んだ。さっき以上の痛みと、さっき以上の痺れに浸りながら。
結局ピアスは、左右の陰唇に4つずつ、合計8個取り付けられた。
「よーっし。だいぶ派手になったな」
ピアスの並んだ部分を、指で上下に擦られる。それだけでビラビラがピアスに引っ張られて、ハッキリとした痺れが生まれる。
「はううぅん……っ!!」
割れ目の入口を軽く撫でられる――私は、それだけで絶頂した。体中が敏感になっているとはいえ、異常なことだ。
ただ、悪い気分はしない。気持ちいいのは良い事だ。いつ終わるとも知れないこの地獄で、唯一不安を和らげてくれる。
「さて、んじゃこの状態でハメっか!」
一人がそう言って、亀頭を割れ目に擦り付ける。
「ん、んんっ……!!」
腰が動いて、甘い声が出てしまう。割れ目も期待にヒクついて、いつも以上に愛液があふれ出す。その愛液をたっぷりと塗りつけた上で、とうとう挿入が始まった。
「ひぃあ、ああ……あ、あっ!!!」
挿入が深まるほどにピアスへ擦れ、ビラビラが引っ張られる。その刺激は、肉棒の出し入れが始まってから、いよいよ強まっていく。
「おおっ、すげー。ピアスがグリグリ当たって、なんか新鮮だわこれ!」
男が腰を振りながら、嬉しそうに言う。新鮮……それは、私にとっても同じことだった。ピアスの刺激に促されて、麻痺していたはずのあそこが蠢きだす。そうなると性感も高まっていくから、子宮をドッドッと突かれるたびに、足の先まで痺れるほど感じてしまう。
「あっ、はあ……んあああっ、ああぁああぁ…っ!!」
快感の波は刻一刻と高まり、ある瞬間、最大級に達した。下半身が痙攣し、脳の中で火花が散る。私の中で枷が外れる。
「ほおっ、いっ、イグ……おお…お………ぉおお゛おお゛オ゛っっ!!!!」
快感の凝縮された声が、喉からあふれ出した。
「……ははははっ!! 今の声、女の出す声かよ!?」
「おいおい、お前一応はアイドルだべ!? そういうのはねーだろって!!」
嘲笑に晒されるけど、気持ちで我慢できるようなものじゃない。そんな領域はとっくに過ぎている。
「いぐっ、いぐいぐいぐっ!! いってる、イッでるぅううっ!!
お願いやすませてっ、いき、できなっ……ふ、あぐ……んう゛ぅぅっ!!」
「おお、こりゃいいぜ。ようやく締め付けが戻ってきやがった!」
「ほー。んじゃ締まるついでに、またマンコへの“2本挿し”いっとくか? ありゃキモチいーべ?」
「ははっ、懲りねーな。つか、それやったせいでユルくなったんじゃねーの?」
「いいじゃねーか。締まらなくなったらなったで、フィストなりで遊べっしよ」
色々な声を聴きながら、私は痙攣しつづける。
( ……私、いつまで犯されつづけるの?
ダメ……頭も身体も、気持ちよさを求めてる。
私、もう、逃げられない…んだ………… )
その結論に辿り着いた時。自分の中から、芯が抜け落ちるのがわかった。
芯のなくなった私は、ただ、蕩けていく。
「あはっ、いく、いぐーーッ! いい、きもちいいぃっ! もっと突いて! イかせて、イカせまくってっ、わたしを壊してえええーーーっっ!!!!」
真っ白にとろけた頭で、私は叫んだ。
光のあふれるステージに、大粒の涙を溢しながら。
※ ※ ※
「………………い、結衣!!」
激しく肩を揺らされて、私は目を覚ます。
顔を上げると、ステージ衣装に身を包んだあんりがいた。
「あれ、私……?」
「ああ、熟睡してやがったな。ったく、頼むぜ」
あんりは肩を竦めて溜め息をつく。
「ごめん、ごめん……」
「気にしないでください。結衣さん……昨日、あまり眠れなかったんでしょう?」
「うん。結衣ちゃん、寝つき悪かったみたい。あんりちゃんはイビキかいて爆睡してたけど」
「あ? ふざけんな、イビキなんかかくかっつーの!」
「かいてたもん! チョーうるさかった!」
「もう、また喧嘩して。本番前だよ、やめなってば!」
いつも通りの騒ぎが起きて、そのうちにライブの本番がやってくる。
『スカーレットチョーカーです。宜しくお願いします!』
眩いステージに立ち、無数のファンに囲まれながら、私は高らかに宣言する。
5人で息を合わせ、練習通りに歌い、思い通りに踊る。
まさに夢の舞台だ。
ただし、『私達のとっての』夢じゃない。
これはあくまで、ファンに夢を見せるためのパフォーマンスだ。私達が正統派アイドルの“フリ”をすれば、後の興奮が増すそうだから。
私達の夢が叶うのは、ステージ後半。
歌いながら、踊りながら、ステージ衣装を脱ぎはじめてからだ。
フリルのついた衣装の前を肌蹴れば、乳房を搾り出す形のボンデージコスチュームが現れる。乳首にはファンからプレゼントされたピアスが揺れてもいる。
「おおお……!!」
客席から感激の声が飛びはじめた。
その中で、私達は目を見合わせ、お互いの身体に触れ合う。深くキスを交わし、指を肩や腰に這わせて、純白の衣装をすっかり取り去っていく。5人それぞれのキャラクターを、視線や吐息で演じながら。
そう、これは演技。私達にレズの気なんて全くない。
私達が好きなのは、男。より正確に言うなら、獣のような雄に従属させられることだ。
これから犯してもらえる。そう思うだけで、内腿に熱い蜜が垂れてしまう。
「皆様、本日は私共ブタの為にお集まりいただき、誠に有難うございます。感謝の気持ちと致しまして、皆様に誠心誠意ご奉仕させていただきます」
私達はそう言って、指であそこを拡げてみせる。
家畜としての挨拶を口にするだけで、自然と笑みがこぼれてしまう。
そう、私達はアイドルじゃない。アイドルという皮を被った、卑しい雌豚だ。
でも、それでいい。卑しい雌豚だからこそ、生々しく快楽を貪ることができる。家畜である事こそ、私達の幸せなんだ。
「どうかこの薄汚い牝穴を、お好きなだけ、ご賞味くださいませ……」
眩いステージの上で、私達は深く傅く。
5つの首に、緋色の首輪を揺らしながら――――。
END
『仕上げろ』。
宮路がそう言い残して出て行った後、部屋には気まずい空気が流れていた。
磯崎はいつも通りの無表情だけど、新渡戸も、あの皮肉屋の栖村でさえ、神妙な顔つきになっている。
何分かの沈黙の後。
「お前、ホンマに…」
栖村が私の目を見据えたまま、何かを言いかけた。でもその瞬間、隣の新渡戸が栖村の4段腹へと肘を叩き込む。
「う゛っ!!」
「コラ。おどれ、何言うつもりじゃ?」
栖村を見上げる新渡戸の眼は、見たこともないほど険しかった。いつもはニヒルっぽい笑みを浮かべ、目尻も垂れ気味なのに、眼を見開いた今は鬼の形相だ。体格で栖村より3回りは劣るのに、今目の前で2人が殴り合ったら、絶対に栖村は勝てない……そう思えるぐらいの気迫があった。その気迫に圧されてか、あの栖村が目を逸らす。
「…………すんまへん」
異様な仲間割れだった。そしてそれは、ひとつの事実を示してもいる。調教師の間にさえ方向性の違いが出るぐらい、これからされる行為がえげつないということ。宮路の『仕上げろ』という言葉から考えても、それは間違いない。
「磯崎、まずは外から“ポルチオ開発”や。栖村はアタマ冷やしとけ」
新渡戸は磯崎に指示を出しつつ、栖村に反省を促していた。
ポルチオ。これまでの調教でも、何度か耳にした言葉だ。子宮の入口のことで、女にとって最大最後の性感帯。刹那的なクリトリスの快感とも、下半身に痺れが走るようなGスポットの快感とも違う。性感帯として目覚めるには時間が掛かるけど、その分得られる快感の深さは凄まじくて、雷に打たれたような快感がずっと続く。そう聞いた。
最初は大袈裟だと思ったけど、今は笑い飛ばせない。それに近い感覚なら、実際に何度か体験しているから。栖村のディープスロートで、磯崎とのアナルセックスで、そして新渡戸に抱かれる中で。
特に新渡戸にじっくりと抱かれ、あそこの奥まりを丁寧に突かれていると、そのうち体がガクガクと揺れはじめる。太腿が痙攣するだけじゃなく、背中まで浮き上がるぐらいに。あれは、まさに感電しているような感覚だ。もしそれが強まれば、『雷に打たれた』という表現だって大袈裟じゃなくなる。
そんな快感に、私は――――耐えられるだろうか?
いや、耐えられるかどうかじゃない。絶対に耐えなきゃいけないんだ。
グループの皆のために。ファンのために。そして、私自身の夢のために。
「う、うつ伏せに寝ろ」
ベッドに上がった磯崎が、どもりながら私に命じる。私が従うと、磯崎は私の足の間に片膝をつくように位置取り、両手でお尻の両サイドを包み込んでくる。
そこから、マッサージが始まった。これ自体は珍しいことじゃない。これまでだって、前戯の一部として全身を揉まれる事は多かった。でも今回は少し違う。ただお尻周りを揉み込むだけじゃなく、掌の少し膨らんだ部分を使って、細かに振動を与えてくる。
「んっ……くすぐったいよ!」
私は思わず腰を捩るけど、磯崎に反応はない。いつも通りの無口無表情のまま、黙々とマッサージを続けていく。お尻の両側だけじゃなく、腰の辺りや、肛門の近くまで。しかもそれが、いやに長い。
変な感じだ。掌を押し付けたまま揺すられると、振動が身体の中まで入ってくる。電気マッサージ器をクリトリスへ宛がわれると、お尻の方にまでズーンと振動が来るけど、感覚としてはそれに近い。しかも磯崎の掌は表面積が大きいぶん、腰全体に刺激が来る。それをじっくりやられると、何だかお腹の奥がムズムズしてしまう。
「お前はいっつもそうやのぉ、栖村」
ふと、新渡戸の声が聴こえてきた。栖村と差し向かいで飲みながら、何かを諭しているようだ。
「ちっと共同生活送っただけで、奴隷に入れ込みおって。磯崎を見てみぃ、調教師としてブレとらんわ」
新渡戸はそう言ってこっちを指す。
栖村は、私に同情してるんだろうか。あれだけ私を嫌ってたのに。でも、一時的にどういう感情を持とうが、奴はあくまで調教師。私の敵なんだ。
「…………すんまへん。切り替えます」
栖村は静かにそう宣言し、新渡戸が頷く。
そんな2人を尻目に、磯崎は淡々と刺激を続けていた。
お尻全体を揺さぶりながら、そのうち親指で肛門を押さえはじめる。たったそれだけで、刺激の種類が変わった。腰全体がほぐされる中で、肛門にだけは杭を打たれたような圧迫感がある。
「あ、ああっ!!」
声が出た。もともと開発されている肛門に杭打ちの刺激が来れば、感じるなという方が無理な話だ。そして、肛門のむず痒さにお尻を引き締めると、掌の振動がよりしっかりと内部へ伝わるようになる。どっちに転んでも、ズルズルと堕ちていく……まるで蟻地獄。
そうしたお尻への刺激が、10分以上は続いただろうか。
「あ、仰向けになれ」
磯崎が一旦手を離し、そう命じてくる。
「…………っ」
私は……それを躊躇った。
「は、早くしろ」
そう急かされて、渋々と身体を反転させる。磯崎は私のあそこに視線をやり、口の端を持ち上げる。
「……いっ、淫乱女め」
腹の立つ侮辱だ。でも両の親指で割れ目を拡げられれば、反論のしようもない。お尻へマッサージを受けただけで、愛液があふれるんだから。
磯崎は無表情に戻ると、私のあそこへ掌を触れさせた。前貼りのようにぴったりと塞ぎ、その上で揺らしはじめる。今度は、膣に振動が伝わってきた。
「あぁ…………はっ………………」
息が荒くなる。こればっかりは、どんな子だってそうだ。そういう風に身体が出来てるんだ。私はそう考えて気を落ち着かせながら、刺激に耐える。
逆にいえば、いきなりそんな“言い訳”を考えなければならないほど、この快感はハッキリとしていた。
この責めも、呆れるぐらいじっくりとやられた。股関節から恥骨にかけてを、少しずつポイントをずらしつつ揺さぶられる。
「あっ、はっ……ぁぁっ、はっ……はっ…………!!」
私は荒い息を吐きながら、左右の膝を立てたり伸ばしたりを繰り返した。
片膝を立てると腹圧がかかるから、尿意と共に絶頂感が強まる。かといってピンと足を伸ばすと、それはそれでストレートに感じてしまう。
「あ、愛液があふれてきてるぞ。ただのマッサージで濡れるのか、す、助平め」
刺激を続けながら、磯崎が呟く。実際その掌の下からは、ぐちゅぐちゅと水音がしはじめていた。愛液だ。何度も軽く絶頂している自覚はあったけど、改めて指摘されると恥ずかしい。
「スケベはアンタでしょ!? 手つきがいやらしいのよ、変態!!」
そう反論しても、磯崎の表情に変化はない。私の反応を窺いながら、ロボットのように淡々と刺激してくる。
こういう性感開発では、単純な繰り返しが一番きつい。着実に、着実に、快感が私の中のコップに溜まっていく。最初に比べて、遥かに容量の増したコップに。
バケツ大か、ドラム缶大か……今のコップのサイズは、私自身にも測れない。でも、一つだけ確かなことがある。それだけの容量があふれた時には、以前よりずっと深刻に溺れてしまうということだ。
「んんんっ……うんっ、んっ!!」
息が荒くなってきた。そんな私の反応を見て、磯崎がまた新しい責め方を織り交ぜてくる。お臍の下を、掌の付け根でぐうっ、ぐうっ、と押し込む動き。場所が子宮の真上だけに、かなり直接的な気持ちよさがある。
「んっ、ん!! ふうっうんん゛っ…………!!」
勝手に腰が動いてしまう。そこが弱点だと、暴露するように。
その弱点は、当然ながら徹底的に突かれた。お尻の下に枕を挟み、腰が浮いた状態にした上で、お臍まわりを刺激される。
方法は、本当に色々だった。掌の付け根はもちろん、4本指の先だったり、緩く握った拳だったり、掌そのものだったり……色々な手段で圧迫される。
かと思えば、お臍からデルタゾーンにかけてを指先でトントンと叩かれることもあったし、電気マッサージ器を持ち出されて振動を与えられることすらあった。
でも、それだけ念入りに子宮を刺激しておきながら、肝心の割れ目にはほとんど触れられない。せいぜい、ビラビラの両サイドに指を宛がって振動させるか、指の一本をごく浅い部分で蠢かすだけの生殺し。
これを、磯崎、栖村、新渡戸の3人交替で、延々と続けられたんだ。
多分、映像としては今までで一番地味に違いない。腰を揺らしたり、足を強張らせたり、膝を曲げたり伸ばしたり……そういう動きはあるものの、いわゆるセックスとは縁遠いから。
でも、その一番地味な前戯で、私の胎内は決定的に目覚めていく。
長い刺激の中で、10回以上は足が攣ったけど、痛みにのた打ち回った覚えはない。肉離れの痛みより、子宮からどぐんどぐんと生み出される快楽の方が、ずっと上だったからだ。
信じられるだろうか。この責めの最後の方で、私は、呼吸するだけでイクようになっていた。すうっと酸素を取り込み、お腹をへこませながらふうっと吐く。この当たり前の動作の中で、割れ目をヒクつかせながら絶頂してしまっていた。
お尻に敷いた枕から厚みが消え、体の下のシーツが生乾きになった頃。ようやく、本当にようやく、私のお臍まわりから刺激がなくなった。でも、もう遅い。私は両足を投げ出すみっともない格好のまま、自分の荒い呼吸でイってしまう。全身に滝のような汗を掻き、目と口を開いた姿はきっと、溺死寸前の人間に見えるだろう。
そんな私に、新渡戸が近づいた。真珠入りのペニスを隆々と勃起させながら。
「…………ひっ…………!!」
私は目を見開いて呻く。
ただ、恐怖があった。今のコンディションで『あれ』を受け入れれば、さらに決定的に壊れてしまう。そう本能的に理解したから。
「今から次の握手会までは、ちょうど72時間ある。それまで、一遍も抜かんと犯し抜いたる」
新渡戸が腕時計を見ながら、静かにそう告げた。どこか好々爺めいた、人誑しな雰囲気はもうない。娘を勘当した父親のように、冷え切った目で私を見下ろしている。
「お前は一番人気や。握手会の直前キャンセルは手配が面倒やさかいの、水曜までは正気保っとれや?」
新渡戸はベッドに膝をつき、私の右脚を掴み上げる。
「んんっ!」
その足の揺れが全身に伝わり、軽い絶頂感となって染み渡った。
普通じゃない。狂っている。神経も、脳味噌も。
「や、やめて……今は、だめ…………!!」
私は新渡戸の方へ手を伸ばしながら、掠れ声で哀願する。でも新渡戸には、私の言葉に耳を貸す気なんてないらしい。
亀頭を割れ目に擦りつけて愛液を塗りこめると、力強く腰を突き入れる。
「っはああああぁっ!!!!!」
太腿が、胸が揺れる。体中が歓んでいる。
「ふん。挿れただけでイッたか、情けないやっちゃのぉ。オウ栖村、握手会キャンセルの準備進めとけ。このアマは水曜までもたんわ」
新渡戸は光を感じさせない目で、吐き捨てるように言う。
「ッす、わかりました!」
栖村は腕組みをやめ、どこかに電話を掛けはじめる。
シビアな上下関係に基づく、キビキビとした連携。ここからが、本当の奴隷調教の始まりなんだ。
ずちゅっ、ずちゅっ、という水気のある音が繰り返される。
「グチョグチョのマンコが、浅ましゅう絡みついてくるわ。ヤクザマラにここまでむしゃぶりつくとは、いよいよカタギの女として終わっとんのぉ」
新渡戸は耳元で呪詛のように呟きながら、激しく奥を突き上げる。無数の真珠が蕩けきった膣壁にゴリゴリと擦れ、硬い亀頭が駄目押しとばかりに子宮口を押し潰す。
その2つの刺激を前に、今の私が耐えられるはずもなかった。
「ああああっ!!!」
右腿を抱え上げられた姿勢で、たちまち二度目の絶頂へと押し上げられる。でも、その余韻に浸る間もなく、ほぼ真横に足を開く格好を取らされる。
しかも、それだけじゃない。新渡戸は駄目押しとばかりに、指先で私の腹部を撫ではじめた。恥骨から、臍の下まで。そこから腰骨に沿って、円を描くように。当然その間も、腰の打ち込みは止まない。物凄い力強さで奥の奥を突き上げてくる。
「ああ、ああ!! あああ!!!」
3回目の絶頂、そして続けざまに4回目。私は目を見開き、顎を浮かせながらガクガクと痙攣した。
そしてその直後、あそこの中で変化が起きる。凶悪だった新渡戸のペニスの感覚が、急になくなったんだ。
「ふん、バルーン現象が露骨になってきとるわ」
新渡戸は鼻で笑うように呟く。
「バルーン、現象……?」
「イク直前に、マンコの中が拡がる反応や。精液をちっとでも多く貯め込むためにな。要するにお前の身体が、ワシのザーメンを欲しがっとる証拠や」
その言葉に、私は息を呑んだ。
「はあ、はあ……う、嘘……っ!!」
「嘘な訳あるかい。お前の反応全部が、ワシの虜や言うとるわ!!」
その叫びと共に、さらに激しいピストンが始まった。
ベッドが軋む。水音が響く。コリコリした子宮口がリズミカルに亀頭に潰され、あそこの奥がヒクヒクと痙攣する。
「ああ、ああうう…………あっぐうううーーーっ!!!」
さっきよりひどい痙攣と共に、5度目の絶頂が全身に染み渡る。
「はあ、はあっはあっ……くっ、くるうしい………苦しいっ!!!」
私は激しく喘ぎながら、新渡戸の耳元に囁きかける。甘えるつもりなんて微塵もないけど、体力の尽きかけた状況で意思を伝えるためには、縋りついて囁くしかない。
「……磯崎、水や!」
冷ややかな眼のまま、新渡戸が命じる。磯崎はガラステーブルのペットボトルを拾い上げると、フタを外して新渡戸に差し出す。すると新渡戸はそれを一口飲んでから、いきなり私の唇を奪った。
「ん、んんっ!?」
混乱する私の喉に、水が入ってくる。自分で思う以上に喉が渇いていたらしく、この水は甘く感じた。ヤクザからの口移し、という点さえ忘れられれば。
「まだまだ、これからや。徹底的に、“中でイク”感覚を覚えこませたる」
新渡戸は私の目を見据えながら、太い声で宣言する。
そして、それは事実だった。新渡戸は私と繋がりあったまま、何度も何度も膣の奥での絶頂を味わわせてきた。
いつもいつも、激しく腰を打ちつけるわけじゃない。深くまで挿れたまま、ほとんど動かないことも多かった。でも、そういう時間が休憩だと思えたことはない。
「はぁっ、はぁっ……あああ、ああぁぁぁ…………っ!!!」
両足首を肩へ担ぎ上げられるような体勢で、私は何度も絶頂した。数十分に渡って腰が動くことはなかったのに、膝頭を掴まれてあそこの中に存在感を示されるだけで、震えながらイってしまった。
こんな状態で4度も逝くと、本当に余裕がなくなる。だから私は、足に残った力を振り絞って、両足を右に倒した。意外にも新渡戸は、この動きをあっさりと見逃す。
でも、それは罠だった。ベッドへ右向きに横たわり、両足をぴっちりと閉じる――この状態で新渡戸の物を挟み込むと、さっきよりもっとダメな部分に真珠が食い込んでしまう。
「うあっ!? あ、あっ!!」
反射的に顔を跳ね上げた時には、もう遅い。新渡戸の手は私の太腿を押さえ込み、上に下にと撫で回す。産毛を撫でるようなその動きすら、敏感になった今はたまらない。
「ああああっ、くあああっ!! ああぁぁーーー……っ!!!!」
私は両腕の間に顔を埋めながら、絶頂の波に呑み込まれる。
かなり頑張ったとは思う。歯を食いしばり、眉を顰めて。でもあそこのむず痒さと圧迫感は、刻一刻と強くなっていく。そしてその果てに、私はとうとう失禁してしまった。
「なんや、もう小便漏らしよるんか。まだ2時間と経っとらんぞ」
新渡戸は小馬鹿にした口調でそう吐き捨てると、私の腰を抱え上げる。お尻だけを高くつき上げ、這いつくばる格好だ。
その屈辱的な格好で、久しぶりに突き込みが再開される。挿入に角度をつけることで真珠の引っ掛かりを最大限にし、ぶじゅうっ、ぶじゅうっ、とあそこの汁気を掻き出すピストン。これに、私の下半身は震え上がった。
「いやあああアアア゛゛ーーーーーっ!!!!」
物凄い声が漏れた。自分でも、自分の声とは思えない類の、男じみた声だった。そしてその裏で、ベッドが軋む。私自身の腰の痙攣に引き摺られて。
「はっ、ひどい声や。今までブッ壊してきた女の中でも最低やぞ、お前の品のなさは! 仮にもメス犬なら、ちったぁ主人に媚びてみい!!」
新渡戸は怒鳴りつつ、私のお尻の肉を両サイドから挟みこむ。ついでに肛門にも、2本の親指を捻じ込みながら。
「んひぃ!! あうっ、あうっ……はああっ!! んああああぁぁーーーっ!!!」
私はシーツを掴んで絶叫し、涙をこぼす。そしてそのまま叫びつづけ、ある瞬間にふっと意識が途切れた。
ただ、意識がなくても、五感は働いていたんだろう。私はおぼろげながら、この後の事を覚えている。潮やおしっこで濡れたベッドの上を引きずり回され、色んな体位で犯されたことを。
屈辱的なM字開脚、ぐらぐらと前後に揺れる騎乗位、家畜のようなバックスタイル――――。
「…………い、おいっ! 起きんかい!!」
耳元で叫びながら揺り起こされ、ようやく私の意識は空気の匂いを捉えはじめる。精液、愛液、そしてアンモニアの饐えた匂いを。
「水曜や。とっとと握手会に行く準備せぇ!」
腕を掴んでベッドから引きずり下ろされるけど、私はそのまま床にへたり込む。足と内腿に力が入らない。なんとか立ち上がり、シャワールームまで辿り着くには、かなりの時間と労力が要った。
※ ※ ※
握手会が始まってからも、私の火照りは治まらなかった。
ファンからぎゅっと手を握られるだけで、全身がゾクゾクする。まるで、全身が性感帯になったみたいに。
「ゆ、結衣ちゃん……なんだか今日、エッチだね……?」
「ほっぺた赤いよ、熱っぽいの?」
何人かにそう指摘されてしまうぐらい、体中が熱かった。
「リーダー……大丈夫? すごい汗だよ」
ついにはグループの皆にさえ、そう心配されてしまうぐらいに。
「大丈夫大丈夫、平気だから!!」
取り繕った笑顔でそう答えるけど、ひどく虚しい。
大丈夫じゃない。そしてこの握手会が終わった後、もし例のチンピラ達に犯されれば、ますますおかしくなってしまう。
私はそう思って、握手会会場の窓から逃げ出した。裏口であいつらが張っているのはわかっていたから。
でも結局は、路地裏ですぐに追いつかれてしまう。
「おー、いたいた結衣ちゃん。探したぜぇ?」
「!!」
路地の向こうから声がして、私は思わず立ち竦む。嫌というほど聞き覚えのある声。
振り返ると、案の定“あいつら”がいた。
そして、今。
私はラッパー風の男達に手を引かれ、ホテルに連れ込まれている。
「へへへ。すっかり濡れてんのがデフォになっちまったな、結衣ちゃんよ」
ショーツをずり下げたドレッドヘアが、茶化すように笑う。
「ああ。さっきも、グチョグチョってすげぇ音してたもんな!」
また別の一人も、私の胸を揉みながら笑みを浮かべていた。
『……もう、こんなのやめて……』
そう拒絶する私の言葉に耳を貸さず、あそこに指を入れてきた男だ。しかも、いつ人目につくかもしれない路地裏で。
こんな連中の言いなりになってたら、いつか取り返しのつかない事になりかねない。でも、弱みを握られている以上、無視するわけにもいかなかった。
「おら、今日もくれてやんよ。自分で跨れー?」
斜め帽子の男が、ベッドへ寝そべりながら手招きする。私は下半身に着けていたものを脱ぎ去り、命じられた通りに行動する。
「ははっ、こいつもう濡れてやがる! 会うたびに変態になってくなぁ、伝説のアイドルちゃんよぉ!?」
斜め帽子は、勃起した物の先を割れ目へと擦りつけてきた。ただそれだけで、かなりの快感が背筋を這い登る。
「ん、く……っ!!」
「いい顔だ。ローションも要らねぇし……都合のいい女だぜお前は!」
屈辱的な言葉と共に、割れ目の中を貫かれる。太さもなければ、長くもない。でも蕩けたあそこを満足させるには、充分すぎる刺激だ。
「あ……ふぁあっ!!!」
「ハハハッ! こいつ、挿れただけでイったぜ!?」
「完全にチンポ中毒じゃん! こんなビッチが本当にアイドルかよ!?」
馬鹿にされている。それを脳味噌はちゃんと判ってる。でも、身体がいうことを聞かない。
「ふう、うううっ…………!!」
斜め帽子が腰を突き上げるたび、全身がビクビクと痙攣する。快感が強すぎて、たちまち絶頂へと追い込まれてしまう。このままじゃダメだ、仕切り直さないと。
「だ、だめっ!!」
私は相手のお腹に手を置いて、動きを止めようとする。でも、その手はすぐに払いのけられた。
「今さら抵抗すんなって。イキまくっちまえよ、好きだろお前も?」
そう言ってあそこの奥を突き上げられれば、すぐに2度目3度目の絶頂が来る。
「くはっ……い、いぐっ……あああぁっ!!!」
絶頂のせいで感度が上がり、ますますイキやすくなってしまう。足掻けば足掻くほど落ちていく、蟻地獄。頭に浮かぶのは、いつもそのイメージだ。
「ああやべっ、俺もイクッ!!」
斜め帽子が呻きながら、あそこの中で精を放つ。膨れたゴムが襞に触れる。
「はぁっ……、はぁっ……」
私は喘ぎながら、その射精にどこか物足りなさを覚えていた。中へ生ぬるい“ザーメン”を浴びないと、一区切りついた気がしない……。
( ―――馬鹿、何考えてんのよ!? )
私ははっと我に返り、頭を振って変な考えを打ち消した。
おかしい。最近はすぐボーッとして、ろくでもない事を考えてしまう。同じ射精されるなら、ゴム付きの方がいいに決まってる。中出しみたいに気持ち悪くないし、妊娠の心配もしなくて済むんだから。
「なーに頭振ってんの結衣ちゃん? 止めちゃイヤイヤってか? 安心しろよ、まだまだ可愛がってやっから!!」
その言葉で、私はベッドへうつ伏せに組み敷かれる。そして間髪入れず、割れ目を硬い物で貫かれた。
「くんんっ……!!」
「ははっ、気持ちよさそうな声。俺もスゲーいいわ、最高のマンコだ!!」
男は腰を振り続けるながら、嬉しそうに言った。するとその言葉に、別の一人が反応する。
「ちょっと、それアタシより上ってイミ? 失礼じゃん!?」
反応したのは、金髪を縦ロールにしたヤンキー風の女の子だ。発言内容からして、今私を犯している男の彼女なんだろう。
「や、でもスゲーんだってコイツ!」
「はぁ!? そんなビッチ以下とか、プライド傷つくんだけど!!」
「くくっ、ビッチとかよく言うぜ。こないだまで俺ら全員の咥えこんでた癖によ!」
「でもこの女みたいに、ヤりはじめてすぐは濡れなかったじゃん!」
「そーかね、お前も相当好きモンだと思うけど?」
「なら、比べてみっか? どっちがイキやすいビッチかってよ!!」
「ハハハッ、面白そーだなそれ!!」
「上等じゃん、そんな女に負けるわけないし!」
口論から始まって、場がどんどん盛り上がっていく。私の意思なんてお構いなしに。
「ちょっと、勝手に決めないでよ!!」
「あ? バーカ、端っからお前に拒否権なんかねーんだよ!」
解ってはいたけど、私の抗議が聞き入れられることはない。私の発言力は、この場の誰よりも弱いんだ。
そしてそこから、比べあいが始まった。
さっきの子とベッドに横並びになって、それぞれ数人の男から犯される。
「うーわ、キモい! ちょっとハメられただけで、マン汁だらだら垂らしてさぁ。ホントに変態女じゃん!!」
競争相手の子は、横で犯される私を見ながら散々に罵倒してきた。
「だ、誰が……んむう゛っ!! んっ、ふううんん゛っ…………!!」
一方で私は、口にアレを咥えさせられるせいで、ろくに反論もできない。そして喉奥とあそこを同時に犯されていると、だんだん意識がボヤけてくる。
「ん、もごぉっ……はあっ、ああああ゛っ…………!!」
何度もイかされて、頭が真っ白になって、ついには自分がどういう状況かさえ判らなくなってしまう。かろうじて認識できるのは、周りからの罵声と嘲笑だけ。でもそれすら、絶頂の快感に比べれば二の次三の次でしかない。
私は変わってしまった。多分、もう戻れないぐらいに。
※ ※ ※
ラッパー風の男達にたっぷりと犯された後、ふらつく足で調教部屋に戻る。すると新渡戸達が、駄目押しの『ポルチオ』開発の準備をして待ち構えていた。
「これから何日もかけて、体中の性感帯をじっくりと開発したる。マスク被せたるさかい、寝たなったらいつでも寝ぇ。“寝られたら”、の話やがな」
新渡戸はそう言って、私の頭に黒いマスクを被せた。
呼吸用に、鼻と口の部分にだけ穴が空いたマスクだ。目を覆われてしまうから、視界は利かない。代わりに、ゴムの匂いがやけに鼻をつく。
視界を奪われる――この怖さは、身に染みていた。怖いぐらい感覚が鋭くなって、いつも以上に悶え狂ってしまうんだ。
「また目隠し? 調教師だとか言ってる割には、芸がないわね!」
私は叫ぶ。視界を奪われる事だけは、何とか回避したくて。でも、調教師3人が聞き入れることはない。私が弱音を吐くような事こそ、奴らにとって好都合なんだから。
「ああ、それで結構や。効くとわかった責めなら、なんぼでも繰り返したる。ワシらはパフォーマーやのうて、玄人(プロ)やさかいな」
新渡戸のこの言葉に続いて、重苦しい羽音が唸りはじめた。それも、一つじゃない。二つ、いや三つ。3人それぞれが何かの道具を手にしているようだ。
「くっ……!!」
私は歯を食いしばる。少しでも長く、まともでいられるように。
そこから、地獄が始まった。
これまでの総決算のような嬲りだ。ベルトで足をMの字に拘束されたまま、3穴とクリトリスを責め抜かれる。
まずはカテーテルですっかり尿を抜かれた後、何かの液体を足して嵩を増した上で膀胱へ戻された。そして限界の尿意に脂汗まみれで苦しんだ後、夢のような開放感と共にカテーテルへ失禁する。
これを何度も繰り返して尿道をほぐしてからは、無数のイボのついた尿道バイブで延々と尿道を刺激された。
「あうっ、あああう゛っ!! ひうっ、ぃい゛んう゛っ!!!」
尿道を抉られる感覚には慣れない。あまりにも敏感すぎる場所だから、バイブの突起ひとつひとつを膣以上に深刻に感じてしまって、とにかく違和感がひどい。
( ――――ダメだ、これ、ダメだ!! )
頭はそう煩いぐらいに警鐘を鳴らすし、私自身も「やめて」「抜いて」と口に出すのに、それを無視して刺激されつづければ、そのうち痺れるような快感が襲ってくる。Gスポットの快感に近いけど、それよりもっと深刻な……『核』に近い気持ちよさ。それに浸っていると、クリトリスがぐんぐん勃起してくる。男のアレそっくりに亀頭が硬くなって、はち切れそうになる。
調教師3人は、当然その変化を見逃さない。色んな方法で、勃起したクリトリスをさらに刺激してくる。油のようなものをつけた指で、筆で、舌で、ローターで、マッサージ器で。そうして刺激されると、絶頂は避けようがない。
「あああっ、イヤーーーっ!!やめでぇ!クリさわんないでっ、やあ゛あ゛ーーーーっっ!!!」
裏声気味にそう絶叫しているうちは、まだまだ『キレイ』な方だ。そこからさらに何十回と絶頂させられれば、もう言葉になんてならない。
「いいーーーっ、いいいイイ゛ーーーっ!!ひぎっ、いいいっひぎぃいいいーーーっ!!!!!」
マウスオープナーを噛まされた時以上に、口をくっきりと『い』の字にへし曲げ、ただただ悲鳴を上げつづける。クリトリスという神経の塊で何十回もイかされたら、もう精神の強さも何もない。ガタガタ震えながら悲鳴を上げるしかない。どんなに鍛えたアスリートだって、どんなに育ちのいいお嬢様だって。
惨めな有様だ。数日前までだったら、どれだけ栖村達に嘲笑われたことだろう。でも今は、3人の誰一人として笑わない。罵倒や侮蔑の言葉すらなく、黙々と私を追い込み続ける。それが、かえって私の不安を駆り立てた。
ここまで無様を自覚している状況なら、いっそ口汚く罵られた方が……この状況に何らかの反応を示してもらえた方が、ずっと楽なんだ。何も言われないからこそ、色々と考えてしまう。他ならぬ自分が自分を追い込んでしまう。そうして精神的に不安になれば、ますます快感に抗えなくなる。
「はひっ、はひっ、ひっ…………いああああ゛イイイイーーーっ、はあっ、はあっ……ヤあああ゛っイギいイイっ!!!!!」
もう何度、クリトリスでイかされているんだろう。50回か、100回か。
時々ほんの少しの休憩が挟まるけど、それで火照りが治まることはない。むしろその休憩のせいで、麻痺しかけた感覚が正常に戻って、その後がイきやすくなってしまう。
愛液をとろとろと溢れさせ、小さく失禁し、前と同じようにオナラまで出して……そこでようやく、クリトリスから刺激が消えうせる。
でもこれは、あくまで『下準備』でしかなかった。
「はーっ、はーーっ……はっ、はぁーーーっ…………」
私が荒い呼吸を繰り返していると、いきなり割れ目に指が入り込んできた。その指は、あっという間に一番奥の子宮口に触れる。
「よーし。子宮の入口がトロトロんなって、降りてきとるわ」
そんな新渡戸の声がした直後、また重苦しい羽音が鳴りはじめる。でも、今回の音はなんだか変だ。今まで聞いた機械音が、同じ場所から同時に聴こえてくる。ヴヴヴヴヴという振動音、キュイッキュイッという回転音、そしてカシュカシュというピストンの音……。
「初めて聴く音やろ?」
私の反応に勘付いたのか、新渡戸がそう訊いてくる。
「これはな、ポルチオ開発専用のバイブや。こいつ一台で、ピストン・スイング・パールの回転の3つの責めができる。それぞれ10段階に調節しもってな」
その言葉の直後、何かが割れ目へ入り込んでくる。確かな硬さと弾力がある、シリコン製のバイブだ。無数のパールがゴリゴリとあそこの襞を刺激する。処女の頃だったら痛くて堪らなかっただろうけど、新渡戸の真珠入りの物に慣らされた今は、気持ちよくて仕方ない。
「くぅううっ、はぁ……っ!!」
あそこが蕩けきった状態だと、ただバイブを挿れられただけでも甘い息が漏れた。
「よし、子宮口に届いとるな」
新渡戸はグリグリとバイブを奥へ押し付けながら、念押しで確認する。そして、カチカチとバイブのスイッチを切り替えはじめた。その途端、バイブの動きが変わった。子宮の入口を小刻みに突き上げるピストン。上下左右に揺さぶるスイング。そして奥まった部分全体をかき回すような回転。それが一気に襲ってくる。
この刺激は強烈だった。我慢しようと身構える間もなく、おしっこが漏れる時のようにあっさりと絶頂させられてしまう。しかも一度きりじゃない。二度も三度も、小刻みにだ。
「うあっ!? くうっ、んゥっ、うぐううう゛う゛っ!!!」
「どうや、堪らんやろ。これ使われたら最後、どんな女でも痙攣しながらイキっぱなしになるんや。お前の前にもガキが4人、この責めで折れたわ」
新渡戸はそう言いながら、バイブの刺激を強めていく。振動を、ピストンを、スイングを、回転を。その刺激で、背筋を電流が走りぬけた。その電流は神経を伝って、手足の指先にまでじーんと広がっていく。
「ひぐっ!! あ、あ゛……いぐっ、いくうう゛う゛っ!!!」
為すすべなく、絶頂へと押し上げられた。
このバイブはやばい。人力では無理なぐらい、繊細に、力強く、ピンポイントで子宮口を刺激してくる。子宮口は、亀頭で潰されるだけでも簡単に絶頂してしまう急所中の急所。そこへこんな責めをされたら、とても耐えられない。
「あっあっあっ、あァーーーっ!! くっ、あ……くぅゥゥ…ん゛ん゛っっ!!!」
喘ぎは、すぐに悲鳴に変わった。刺激が強すぎると、大口を開けて叫ぶか、歯を食いしばって『何か』に耐えるしかない。あっという間に頭が白んでくる。ただでさえ安眠を誘うような暗闇の中なのに、意識まで薄れていく感覚は…………たまらなく、気持ちいい。
そんな気分に浸っている中で、いきなりバイブが引き抜かれた。バイブへ纏いつくようにうねっていた襞が、裏返る。
「う゛あ、あ゛………んああああっ!!!!」
私は叫びながら、これでもかというほど太腿を強張らせる。その直後、割れ目がひくついて、大量の潮が噴き出した。見えなくても、感覚でわかる。ベッドを越えて、ミラーにまで浴びせかかる潮噴きだと。
「よう飛ぶのぉ」
栖村の呟きで、自分の感覚が正しいんだとわかる。
「よし、慣らしはこんなもんやろ。栖村、磯崎。ワシは仮眠取るさかい、後は任せたで。こっからは、いつ壊しても構わん。休まず責め続けぇ」
新渡戸の言葉には、もう一欠片の情すら感じられない。あくまで淡々と指示を与えている。その静かな口調は、どんな恫喝より怖い。
だからこそ私は、大きく息を吸い込んだ。
「あ……アンタ達なんかに、壊されるわけないでしょ!!」
自分自身へ喝を入れるために、目一杯の声で叫ぶ。
壊れるわけには、いかないから。
※ ※ ※
視界を奪われると、自分がどれだけ視覚に依存しているのかを思い知らされる。
周りで何が起こっているのかが解らない。
自分がどうなっているのかも解らない。
どれぐらい、時間が経ったのかも。
磯崎と栖村は、時には交代しつつ、時には2人がかりで私を責めつづける。
基本はバイブで子宮入口を刺激しつつ、クリトリスにマッサージ器を宛がうやり方だ。シンプルだけど、ピストンやスイング、回転に細かく変化をつけられると、刺激に慣れる暇がない。
そして当然、別の責めを織り交ぜられることもあった。
バイブを抜かれた代わりに、蕩けきったあそこへ指を入れられ、延々と潮を噴かされたり。
痛いぐらいに勃起した乳首を、クリップで挟み潰されたり。
お腹が膨れるまで浣腸された上で、アナル栓を嵌めたまま子宮口を刺激されたり。
どの責めもすごかった。悔しいぐらい絶頂に直結した。
「ああ、ぁああ……い、いくっ! イッてる、イってるイってるっ!!!」
私はぼやけた頭のまま、数え切れないぐらい絶頂を宣言した。Mの字に拘束された足を暴れさせながら。
「そ、そうだ。何度でも逝け」
磯崎はそう言って、私の膝の辺りを踏みつけてくる。その足の力は強く、私が限界を感じて叫びながら身を捩っても、少しも体勢を変えられない。
そしてその無理は、確実に私を壊していく。
やがて私には、バイブの各種機能さえ必要なくなった。お尻とあそこに太いだけのシンプルなバイブを捻じ込まれ、お尻の肉を割り開かれる……たったそれだけで、身を震わせながら絶頂してしまうようになった。
「あああ、ああ……はぁあああっ…………!!」
暗闇の中で喘ぎつつ、割れ目からバイブが抜け落ちていくのを感じる。その感覚すらたまらなく気持ちよくて、また軽く絶頂してしまう。
「ケツ突き出したまま、浅ましゅう痙攣しおって。完全にイキ癖がついたらしいな」
そう呟く新渡戸の声は、随分久しぶりに感じた。もう何週間も、栖村と磯崎の呼吸しか聞いていない気がする。
「そろそろ、ホンマもんのチンポが欲しゅうなってきた頃やろ?」
新渡戸がそう言いながら、私の背後で膝をつく気配がする。嫌な汗が出た。少し前ですら、快感のあまり泥沼のように嵌まってしまった新渡戸とのセックス。それを今の状態で受け入れたら、どうなるか判らない。
「ほ、ほしくなんか……ない…………」
私は絶頂の余韻に浸りながら、否定の言葉を口にする。心が折れていないという証を、自分自身に示したかったから。
「身体の方は、そう言うとらんぞ」
新渡戸はそう言いながら、割れ目を指で開いた。そしてヒクつくそこに亀頭を擦りつけると、愛液を潤滑油にして一気に挿入してくる。
「んあああっ!!!」
快感は半端じゃなかった。真珠の凹凸で膣のスポットを擦り上げられただけで、かなり深くイってしまう。太腿から膝裏にかけてが信じられないほど強張り、ぶるぶると震えはじめる。
「ふん。何が欲しないや、大喜びで纏わりついてくるやないけ!」
新渡戸は吐き捨てるように言いながら、腰を使いはじめる。ぬちゅっぬちゅっと水音が鳴りはじめ、奥までをリズミカルに突かれたあそこから、痺れるような快感が這い上がってくる。
「ああっ、あああ…………ああああっ!!!」
声を抑えようと頑張っても、勝手に喘ぎが漏れてしまう。
「はは。マンコも子宮も、トロトロに蕩けきっとるわ。まあ、プロの調教師の手ェでじっくり煮込まれたんや、こうなって当然やがな!」
新渡戸の腰の動きが激しさを増した。ただピストンが速まっただけじゃない。今この瞬間に責められると致命的……そういう急所を、私の腰の捩りから的確に見抜いた上で、たっぷりとスピードを乗せて擦り上げてくる。そんな事をされて、平気でいられるわけもない。
「あっ、あ、あ……あああああっ!!!!」
大口を開けて、ただただ嬉しい悲鳴を漏らしてしまう。
( そこがいい、そこが気持ちいいのっ!! )
頭の中がその考えで埋め尽くされ、情けないとか悔しいという気持ちすら吹き飛んでしまう。
「はぁっ、はあっ、はひゅうっ、ひゅーっ、はひゅーーっ…………」
ようやく新渡戸がアレを抜き去った頃、私は変な呼吸を繰り返していた。小さい頃から歌やダンスの練習をしてきた私は、肺活量にかなりの自信がある。だからこそ、ショックだ。
その呼吸を整える間もなく、頭のマスクが取り去られる。
「……うっ……!!」
久しぶりの光で目が眩む。何度か瞬きを繰り返すと、白黒に近い風景の中に新渡戸の顔が見えた。以前の柔和さなんて欠片もない、ヤクザらしい顔つきだ。
「まだまだ休ませへんぞ。本番はこっからや」
新渡戸はそう言いながら、ベッドへ腰を下ろす。そして私の身体を軽々と抱え上げると、背を向ける形で跨らせる。背面騎乗位とかいう体位だ。
この体位は強制的に大股を開かされるから、足の踏ん張りが利かない。自分自身の体重でアレが奥まで入ってくるし、快感で足がブルブル震えるのも誤魔化しようがないから、肉体的にも精神的にもかなりきつい。
「この体位やとよう解るやろ、一番奥まで届いとんのが」
耳元でそう囁きかけながら、腰を突き上げられると、あそこの奥が切なく疼く。
「あ……ひああっ! あっ、んあ……あああっ、あ…………!!」
顎が跳ね上がり、全身が硬直する。吐息が途切れ途切れになっていく。
まずい状況だ。こうしてフリーズした後には、いつも溺れるほどの快感の波が来ていた。
「奥の、ポルチオの感覚に集中せぇ。ココで気をやる感覚を、徹底的に覚えこませたる。何遍も、何遍もや!!」
新渡戸の腰遣いがさらに強まる。お臍の下にごりっごりっと硬い物がこすれる感覚があり、そこから一拍置いて奥が突き上げられる。絶対に守らなければいけない子宮の入口が、私自身の体重で変形する。
「だ、だめええええーーーっ!!!!」
私は危機感から叫んだ。鼓膜がビリビリ震えるぐらいの声が出たし、シーツについた両手の手首には、血管が浮き上がるぐらいの力を篭められた。私の上半身には、しっかりと意思が漲ってくれた。
でも。肝心の下半身に、その意思が伝わっていない。強張るどころか、骨までくにゃくにゃに蕩けたまま、重力に逆らう気配がない。
逆にマグマのように煮えたぎった子宮には、異様な存在感があった。奥を潰されるたび、その存在感がどくんと脈打って、全身の血管に入り込む。手足の痺れた感覚がわかりやすいけど、もっと露骨なのは乳首だ。見えない手で引き絞られたような蕾は、それ以上を求めるように切なく疼き続ける。
「くくくっ、浸っとるな。全身に電気が走る感じか? それとも絶頂の波に溺れとるんか? どっちにしろエエ傾向や。お前はもう、挿れただけでイク段階にまで“出来上がっとる”さかいのぉ。あとナンボか逝き癖つけるだけで、絶頂が一気に深ぅなる。意思なんぞでは、どうにもならんレベルまでなぁ!!」
呪いのような言葉を吹き込みながら、下腹をさすり回す新渡戸。私はその手足に絡め取られながら、ただ全身を震わせつづける。
「はっ……あ、あっ!! はぁっ…あっ……あァ゛!!」
大股を開き、シーツに手をついた状態で、全身がフリーズする。呼吸が浅く、早くなっていく。
「はァっ、あはっ……いやっ、いや………!」
割れ目が怖いぐらいヒクつく。あそこの中が煮え滾る。そのまま、グチュグチュと奥を突き上げられると……フリーズしてでも保とうとした決定的な『何か』が、溶け落ちた。
「あっ、あ、ア゛っ………………はああァああああ゛っ!!」
私の身体は大きく仰け反り、新渡戸の肩に頭を預けたまま、ガクガクと痙攣しはじめた。イっている。これまでと違うのは、その絶頂の感覚がずっと継続していることだ。
そして新渡戸が、そんな私の異変を見逃すはずもなかった。
「よっしゃ、我慢せんでええぞ!! 逝け、逝ってまえッ!!!」
激しく奥を突き上げながら、野太い声で叫ぶ。その声の太さは、混乱している私の頭にひとつの方向性を与えるのに充分な効果があった。私の身体は命じられるままに、絶頂に向けてほどよく弛緩していく。
「い…いやっ、こんなのいやっ!こんなのいやああぁあぁあっっ!!!!」
私は同じ言葉を繰り返しながら、大口を開けて痙攣しつづける。口の端から涎が垂れていく。
「はっ、ヨガりまくっとって何がイヤや、正直にならんかい!!」
心臓へ叩きつけるような怒号と共に、新渡戸の突き上げがさらに強くなる。ピストンの速さは落ちたものの、ぐううっ、ぐううっ、と一回ごとに致命的な深さで子宮口を押し潰すやり方だ。そしてどうやら今の私には、それが一番効くようだった。
「いーーーっ、いいい゛い゛ーーーっ!!! いぎっひ、いいいぃ゛い゛ーーーーーっっ!!!!」
舌の先にまで出かけた『イク』という言葉を、歯を噛み合わせる事で押し殺す。それが精一杯の抵抗だ。
一方で、身体の反応は止めようがない。ステージでダンスを披露する時以上に、内腿が強張っている。顎が浮き、視界が定まらない。
汗もひどかった。大雨に打たれたのかというぐらい、びっしょりだ。不思議と喉の渇きはなくて、ただひたすら汗だけが流れていく。
私の絶頂は、そのまま何分もキープした。いや、キープ『させられた』。
「は…あ゛、あ……あーーーっ、あーーーーー……っ!!」
ようやく絶頂の波が和らいだところで、ようやく喘ぎまじりの呼吸ができる。
体のだるさが普通じゃなかった。あらゆる部分が筋肉痛で、でも痛みがないような感覚。とにかく身体に力が入らない。
そこまでになっても、新渡戸は私を休ませようとはしなかった。トッ、トッ、トッ、と亀頭の先で子宮入口をノックしてくる。早くもないし、強くもない。でも今の私はそれだけで、腸に響くような絶頂に押し上げられてしまう。
作り変えられている。根っこの部分から。
新渡戸から繰り返し犯されるうちに、それを嫌というほど思い知らされた。
座位、側位、駅弁スタイル、立ちバック……新渡戸はこれまでの集大成とばかりに、色々な体位で私を犯し抜く。その新渡戸が食事や仮眠を取る間すら、私に休息が与えられることはない。
胡坐縛りのままベッドに転がされ、丸出しになった3穴を嬲られる。
中でも一番つらいのは、先端が大きな球体になっているディルドウを使ったプレイだ。この球体を子宮口へぴったり嵌まる形で挿入され、バイブのお尻へマッサージ器を宛がわれれば、これは子宮口をマッサージ器で直に揺さぶられるのと同じ。当然、堪えられる訳がない。
「はっ、はっ…はっ……ああ゛ーっ!! はあ゛あ゛、あ゛っア゛ッ!!!」
私にできる事といえば、喘ぎ、髪を振り乱し、叫び、痙攣することだけだ。
しかも、この責めはあくまで基本でしかない。場合によっては、大小の排泄を我慢しながらのポルチオ刺激もある。磯崎の極太をお尻に捻じ込まれながらのことも、栖村の物を咥えながらのことも。そういう余計な条件が加われば、私の状況はもっと惨めになった。
逝けば逝くほど、私の全身は信じられないほど敏感になっていく。そのうち、背中にシーツが擦れたり、体位を変えるために手足を掴まれるだけで、軽く絶頂するようになる。
そんな中で私は、必死に我慢を続けた。眉を顰め、歯を食いしばり、爪が食い込むほど手を握り込んで。
でもそれは結局、結末を先延ばしにするものでしかない。
限界が訪れたのは、ポルチオ調教が始まって一週間あまりが経った頃。もう何度目になるのかもわからない、『スカーレットチョーカー』のライブ裏での事だった。
「……はぁっ、あっ…う、ふうっ!! う゛うう゛ぅ゛………っ!!」
顔をつき合わせる格好で抱かれながら、とうとう涙があふれ出す。
追い詰められる要素はいくらでもあった。でもトドメになったのは多分、仲間を見ながらイかされまくるストレスだ。
「ああっ、ふあああっ! こ、こんなにイクなんて……こ、怖い゛っ!!」
一度涙があふれてしまうと、もう止まらない。次から次へと、滝のように頬を伝っていく。人生でもほとんど経験がないような量で、それだけ涙が出ているという事実そのものに不安を感じるほどだ。
「なんや、泣いとるんか!? はははははっ!!」
新渡戸は、泣きじゃくる私を組み伏せ、可笑しそうに笑う。最初の頃の優しい面影はない。獣そのものの顔つきだ。私はその顔の下で大股を開きながら、ガクガクと痙攣を繰り返した。
「あっ、あはァ゛あ゛っ!! もう゛っ、もぉ゛奥突くのやめでっ!! い゛、イクっ、またイグっ……イっぢゃぅううう゛う゛ーーーっ!!!!」
電流が全身を巡り、脳を白く焼き尽くし、それを最後に意識を手放す
…………はず、だった。本当なら。
でも私は、ギリギリのところで頬を張られて正気に戻る。
「…………ふ、ぇ…………?」
歪んだ視界に、天井のライトが映った。ライトの一部は黒い影で遮られている。新渡戸達以外にもう一人、仮面で顔を隠した、ロマンスグレーの男が立っていた。
「ふっ。心身共に限界――という感じだな」
顔が見えなくても、その声でわかる。宮路だ。
この悲劇の引き金になった男。この地獄の鍵を握る、ただひとりの人間。
「ええ、とうとう嬉しゅうてヨガリ泣くようになりましたわ。もうマトモさは残っとりません。そろそろ、“タネ明かし”の頃合いや思いますけど……ええですか?」
新渡戸は、組み敷いた私を包むように両手を広げる。
タネ明かし。新渡戸は今、確かにそう言った。
「ああ、構わん。やってくれ」
宮路は腕を組んだまま、入口側のミラーに背を預ける。明らかにリラックスして、何かを見守る体勢だ。
「わかりました。聞いたな、お前ら!」
新渡戸が口元を吊り上げて命令する。磯崎は目をギラつかせ、栖村は逆に目を閉じて頭を振りながらベッドを降りた。向かう先は、ステージ側のミラーを覆い隠すカーテンだ。
胸がざわつく。
ずいぶん前に、歌声も曲も聴こえなくなった。ライブはとっくに終わっているはずだから、片付けのスタッフに見物させるつもりか。でも、それならいつもと同じだ。タネ明かしでも何でもない。
その私の疑問は、すぐに解消された。
いつも通り……じゃない。カーテンが開かれるにつれ、眩い光が入ってくる。なぜかスポットライトのついたままの会場内が、ミラー越しに透けて見える。
目を、疑った。
ステージ上を埋め尽くす、人、人、人。
まさしく黒山の人だかりが、ステージの数箇所へ殺到する形で蠢いている。年齢も違えば、体格や人種も違う。共通点といえば、全員が男である事と、丸裸のままアレを勃起させきっている事の2点だけだ。
そして何人かだけ、その共通点にすら当てはまらない人影がある。他の人間のように毛深くない、すべすべの肌。手足の細長い、抜群のスタイル。
普通の人間とは華が違う。アイドル特有の華がある。
間違いない。見間違えるわけがない。ステージにいるのは……ステージで犯されているのは、
早苗と、
良子と、
あんりと、
乃音歌だ。
「………………どう いう、こと………………?」
一音ずつが喉から漏れる。頭の回転も同じく鈍い。頭のどこかでは正解を弾き出してるのに、そこまでの経路が詰まっているようだ。
それでも、少しずつ、少しずつ、現実が染み出してくる。
あの4人が毒牙に掛かっている。その現実が。
「なんも難しい事ぁあらへん。あの4人も、とうに“調教済み”っちゅうだけのこっちゃ」
新渡戸は緩く腰を使いながら、磯崎に目配せする。すると磯崎は、ソファ下の収納スペースから黒いハンディカムを取り出した。そして動画の再生モードを起動させると、液晶モニターを私に向ける。
画面に映し出されたのは、薄暗い部屋の中だった。煎餅布団が敷かれ、一番手前に早苗、その少し奥側に良子、そのさらに向こうに乃音歌の姿が見える。あんりの姿はないけど、早苗より手前に別の布団の端が見えるから、画面外にいるんだろう。
全員裸で、頬が赤かった。汗がひどいし、息も荒い。それもそのはず、3人の足元には刺青の入った男が座り込んでいて、指で絶えずあそこを刺激している。
ポーズは3人ともほぼ同じ。薄い布団に寝そべったまま、枕を抱え込むように腕を上げ、大股を開かされている。早苗と乃音歌は片足を抱え上げられる形だけど、いかにもなお嬢様の良子だけは下品ながに股だ。
『……お、お願い……だから……い、イかせて…………っ!!』
映像の中で、早苗が哀願する。見たことのない表情を浮かべながら。
ファンから王子様扱いされるぐらいクールで、私達が喧嘩していても、いつも冷静に仲裁してくれたのが彼女だ。そんな彼女が、完全に参ってしまっている。
でも、刺青男は耳を貸す様子すらなかった。あくまで淡々と、指であそこの浅い部分だけを刺激し続ける。私も経験があるから解るけど、あれはつらいんだ。あそこの奥がヒクヒクしっぱなしで、愛液がどんどん溢れていく。でも、満たされる事はない。絶対に。
『ああ、あああっ!! もう、もうやめてくださいっ!! ずっとじらされるばっかりで……おかしくなりそうなんですっ!!』
良子も同じく、見たこともないほど大口を開けて叫んでいる。
『もういやあ!! ウチに帰してえぇーーっ!!!』
『くそっ……テメェら、いい加減にしろ! マジでブッ飛ばすぞ!!』
乃音歌とあんりの声もする。でも、誰一人として責めから解放される事はない。
この映像は、そこで一旦途切れた。でも磯崎は、すぐに次の映像を再生する。
今度も多分同じ部屋で、4人は天井から吊るされていた。そして一人につき2人以上の刺青男がつき、それぞれの方法で追い込んでいる。
早苗は、目隠しとボールギャグを付けたまま片膝を吊り上げられ、あそこにバイブを捻じ込まれていた。しかもその身体には、不定期に鞭まで飛んでいる。
『う゛っ、ふむうう゛っ!! ふうむ゛うう゛、うう゛むぐう゛うっ!!!』
苦しそうに呻きながら身を捩る様は、見ていられない。背中や太腿へ、網の目のように刻まれた鞭痕も痛々しい。でも刺青男達には、情けをかける素振りすらなかった。
『落とすなや、落としたらまた罰やぞ!』
そう言って鞭を浴びせる。パシーンという凄い音は、それだけで脅しの材料として充分だ。おまけに視界を塞がれた早苗には、鞭がいつ来るか解らない。覚悟のしようがないから、怖くて堪らないんだろう。
結果、映像開始から数分ともたずに失禁し、バイブがあそこから抜け落ちる。
『あーあー、落としおった。ったくこのユルマンが!』
一人がそう恫喝し、もう一人が大笑いする。
『くっ……』
クールでプライドの高い早苗は、悔しそうに、本当に悔しそうに唇を噛んでいた。
その横では、良子が吊り下げられている。こっちは胸を搾り出すように縄を打たれ、真っ白な乳房に蝋燭を垂らされたり、乳輪に針を刺されたりしていた。充分つらい責めだけど、早苗と同様にそれだけじゃ済まない。天井と手首を繋ぐ縄をグルグルと回転させつつ、周りの男3人から不規則に犯されもする。
『あああっ、嫌です、嫌ですっ!! お願いですから、お尻の穴だけはやめてください!!』
そう叫んでいるから、どうやら後ろを使われているようだった。品のいい大和撫子の、排泄の穴を……。
乃音歌の姿は映像内にはないけど、独特のソプラノのような鳴き声が入っていた。そしてそれに被さる男の笑い声と、肉のぶつかる音も。
そして、一番悲惨なのがあんりだった。彼女は吊るされた上で、胴が床と平行になるように木枷を嵌められている。そうして抵抗の術を失ったあんり一人を、5人が取り囲んでいた。うち一人はあんりの正面に立ち、喉奥まで勃起した物を咥え込ませる。何度も、何度も。
『んも゛ぉ゛ええ゛お゛ア゛お゛ぇっ!! え゛えぉ゛あえお゛……!!!』
とにかくえづき声がひどい。あんりは元ロックバンドのボーカルだから、喉の強さなら私以上のはずなのに。
でも彼女の口元を見れば、納得するしかなかった。咥えさせている男の物は、磯崎より少し細いだけで、かなりの数の真珠が入ってもいる。今の私でさえあんな物を咥え込まされれば、えずき上げずにはいられない。
『おお゛ぉお゛ろ゛ロロっ…………!!!』
何度も何度もえずいた末に、とうとうあんりの口から黄色い吐瀉物があふれ出す。私自身がもう何十度もやったことなのに、汚い、と思ってしまう。でも、あれが嘔吐なんだ。本来はあんなに惨めで、みっともない事なんだ。だからあんりの目尻から涙が零れてたって、何も変じゃない。
でも、男達は笑う。鬼の首でも取ったように。多分あんりに反抗されて、相当苛立ってるんだろう。あんりは、気が強いから。
『おいおいおい。カンベンしろやこのゲロ袋が。もう太腿どころか、足首までドロドロじゃねぇか』
男はそう言って、吐瀉物まみれのアレであんりの頬を叩く。口から吐瀉物を溢しながら喘いでいたあんりは、その言葉で顔を上げた。
『はぁ、はぁ……殺されてぇか、てめえ』
言葉こそキツいものの、その瞳に生気はない。白目を剥きそうになるのを、根性で堪えているという感じだ。
『ハッ、やれるもんならやってみぃ!』
男はそう言って、あんりの口にアレを突き入れる。喉が鎖骨の方まで盛り上がり、ごええっというえずきが響きわたる。
『おらおらどうした、噛み千切ってもええんやで? 一晩中しゃぶらされて、まだンな力が残っとったらやがなぁ!!』
ゲラゲラという悪意ある笑いで、この映像は締めくくられた。
「そして、あのザマや」
ハンディカムが除けられ、今この瞬間の地獄が視界に飛び込んでくる。
ブリッジの体勢で犯されながら、穏やかに微笑む早苗。
喉奥まで咥えさせられても、罵声のひとつさえ浴びせないあんり。
がに股で男に跨ったまま、だらしなく涎を垂らす良子。
大の字に手足を広げたまま貫かれ、うっとりとした表情を浮かべる乃音歌。
全員が変わり果てていた。いや、『変えられていた』。
わからない。
グループを結成してからは、ずっと一緒にやってきた。それぞれ学校やバイトみたいな用事はあったけど、練習で顔を合わせない日なんてなかった。じゃあ、私がここへ来てからだろうか。
「……いつから? 皆はいつから、調教されてたの?」
私がそう呟くと、後ろで宮路の笑い声がする。
「いつも何も、最初からだよ。正確に言うなら、君が駅前でメンバー集めしていた時にはすでに、調教は完了していたんだ」
嵌められた。
私が必死で勧誘した気になっていた4人は、宮路の手駒だったんだ。
あんりが因縁をつけてきたのも。
早苗が爽やかな笑みで、ジュースを差し入れてくれたのも。
良子がたまたま駅前を通りかかったのも。
乃音歌が面白がって、一緒にチラシ配りをしてくれたのも。
全部、演技。
すべては、私にもう一度『アイドルごっこ』をさせるために。作り物の仲間を想い、苦しませるために。
何が、『スカーレットチョーカー』だ。何が、緋色の魂だ。
私が呆然としていると、急に部屋の照明が点けられた。しかも、いつもより眩しい。まるでステージのスポットライトみたいに。
すると、ステージの方に変化が起きる。男が皆こっちを見て、頬を緩ませはじめる。この部屋の中が見えてるみたいに。
私はそこで、はっと気がついた。
実際に見えてるんだ。マジックミラーが機能するのは、二つの部屋に明るさの違いがある時だけ。両方の部屋がどっちも明るいという状況なら、ただのガラスと同じなんだ。
「い、いやあっ!!」
私は悲鳴を上げて恥ずかしい部分を隠そうとする。でも新渡戸に正常位で組み敷かれている状況では、せいぜい胸を隠すことしかできない。
「今さら恥ずかしがんなや。ここに集まっとる連中は、お前の本性ぐらいとうに解っとるわ!」
新渡戸はそう言って、私の身体をうつ伏せにすると、勢いよく抱え上げた。小さい子供におしっこをさせるポーズだ。その姿勢のままベッドを降り、ミラーの前に立てば、何もかもが至近距離で晒されてしまう。赤らんだ頬も、全身の汗も、愛液まみれの結合部さえ。
「やめて、こんなのいや………っん、はうっ!!」
私は首を振って抵抗したけど、それも新渡戸に突き上げられるまでだった。
ポルチオ逝きの持続性は高い。肌を撫でるだけでゾクゾクするような感覚の鋭さは、今もずっと続いている。そんな状態で子宮口を突き上げられれば、スイッチが入るのは一瞬だった。
子宮を突き上げられる度に、足指の先にまで痺れが走る。その感覚は脊髄を通って、あっという間に脳を白ませる。薄まった世界の中で感じる幸福感は、普通じゃない。それさえあれば他に何もいらない……そう思えるぐらに甘い。
そして、私をそんな状態にまで作り上げた新渡戸は、当然すべて見抜いている。
「ほら、これがええんやろ! ああッ!?」
耳元で野太い雄の声を張り上げながら、ゴリッゴリッと力強く奥を突き上げてくる。
「ああああっ、はぁああああっっ!!!!」
私は大口を開けて叫んだ。叫ぶ以外の行動を取れなかった。両足が空気を蹴るように跳ね上がる。内腿が筋張る。下腹がヒクつき、絶頂する。
その全部を、ステージの人間すべてに観られていた。
知らない男も多いけど、握手会で挨拶を交わした顔ぶれもいる。リュネット時代からのファンも、ドレッドヘア達の姿もある。そして、長らく私の心の拠り所だった仲間達も。
そうした人間の視線に晒されながら、私の震えはいよいよ酷くなっていく。
わかってる。私は、視られるのに弱いんだ。アイドルとしてちやほやされたい欲求が人一倍強いだけに、無惨な姿を見られた時のショックも大きい。そのショックが、いつも私の殻を壊す。
「おらイけ! イッてイッて、イキまくれっ!!」
新渡戸はトドメとばかりに、角度をつけてあそこを突き上げた。ぎちゅっぎちゅっぎちゅっという水音と共に、全身に電気が走り、下腹部に何かが渦巻く。頭が茹であがって、何も考えられなくなる。
「こ、こんなの初めて!! 頭が……ああっ、もおおかしくなるっ、お゛かしくなる゛う゛う゛ぅぅーーーーーっっ!!!」
私は思いついた言葉を意味もなく叫びながら、絶頂した。全身が病気のように痙攣し、潮が噴き出る。潮はミラーに勢いよく浴びせかかり、白褐色の跡を残して垂れ落ちていく。
それを、大勢に見られていた。読唇術の心得がなくたって、彼らの言葉がわかった。
『おいおいおい、あの四元結衣が潮噴いたぜ!?』
『噂通り、スゲー変態じゃん!!』
そんな風に笑われているに違いない。
今ならわかる。握手会でファンが興奮気味に見えたのは、私に久しぶりに会えたからじゃない。いつか私を抱けると思ってのことだ。いつ退院できるのかと訊いてきたのもそう。いつ抱けるのか、という時期の確認でしかない。
私には、純粋なファンなんていなかった。仲間すら偽者だった。
じゃあ私は、なんのために――――
「フフフ。公衆の面前でマーキングとは、いよいよ駄犬だな。もはや奴隷の価値もない。そろそろ、向こうの連中に払い下げるとしよう」
宮路のその言葉が、胸に刺さる。
宮路は私を見限って、捨てようとしてるんだ。今のこの状況より、もっとひどい場所へ。
アイツの全部が嫌いだった。色気づいたロマンスグレーが。格好つけたスーツが。きついコロンの香りが。鈴佳を追い詰めた外道ぶりが。あんな奴の言いなりになるぐらいなら、地獄に落ちた方がマシ――その一心で、ずっと耐えてきた。
でも、何もかもが嘘だと知った今、地獄より酷い場所に落ちる覚悟は持てない。そうなったら、今度こそ私は私でなくなってしまう。
「 社長…………わ、私を、買ってくださいっ!! 」
私は、宮路の方を振り向いて叫んだ。
「なんでもします! なんでも言うこと聞きます、だから――!」
「もう遅いよ」
私の決死の哀願は、たった一言で斬り捨てられる。
「…………え?」
「君は、その資格をとうに失っている。いや……自分から捨てたんだ」
宮路の眼は、冷ややかだった。
本気で私を捨てる気だ。私が、誘いを拒んだから。
「お、お願いします! このままじゃ、わたし、本当に変になっちゃう! 私じゃいられなくなるっ!!!」
「お断りだ。ヤクザの肉便器にされたような女を、私が抱くとでも思うのかね?」
宮路はそう吐き捨てると、ミラーの向こうに目を向ける。
「だが、心配はいらん。そんな君を有り難がる連中が、あそこに1000人から集まっているんだ。たっぷり愛されてきたまえ。“アイドルらしく”ね」
宮路のその言葉を合図に、私は栖村と磯崎から両腕を掴まれた。そしてそのまま、ズルズルと床を引きずられていく。調教部屋の外へ……ステージに繋がる廊下へと。
「やめて、あそこへ行くのはいや!!」
私がいくら叫んでも、二人の足が止まる事はない。
「もう遅いんや、観念せぇ!!」
栖村は私を怒鳴りつけ、腕を掴む手に力を込める。その手はブルブルと震えていた。
「………この、阿呆が」
巨体に似合わない、搾り出すような言葉。それは、私がもう戻ってこれないことを嘆いているようだ。
「へへへ、来たぜユイユイちゃんが!!」
「ひゃひゃっ、待ってました!」
「早くやろうぜ結衣ちゃんよ、散々熱い握手しあった仲だろ!?」
私が舞台袖に現れた瞬間、男達が殺到し、ステージ中央へと引きずっていく。
「いたい、いたい!! やめて、離してええーーっ!!!」
痛みと恐怖で叫んでも、誰一人として聞いてはくれない。あっという間に私は床に組み伏せられ、取り囲まれる。
「っしゃ、俺から行くぜ!!」
一人がそう叫び、勃起しきったものを割れ目に宛がった。そしてそのまま、何の遠慮もなく生で中へと入ってくる。
「うははっ、キモチいいーーっ! 堪んねーわ!!」
男の熱量は半端じゃなかった。待ちに待ったという感じで、驚くほど硬い物を叩き込んでくる。数ヶ月前なら間違いなく痛みを覚えていた突き込みだ。でもポルチオを開発された今は、その荒々しい刺激さえ快感に変わってしまう。
しかも奴には、テクニックもあった。元々あったのか、早苗達を犯す間に身につけたのか、グッグッと的確に膣内のスポットを突いてくる。その安定感のあるピストンは、今のコンディションで絶頂するのには充分すぎた。
「はぁっ、はぁっはぁっ……あぁああ゛っ!!!」
馬鹿にされたくない……そう思って我慢しても、すぐに声が漏れてしまう。でもその声は、すぐに封じられることになった。色黒な男が前に立ちはだかり、アレを咥えさせてきたからだ。
「む゛、うぐっ!! うぶう゛っ!!!!」
苦しさで呻いても、色黒男は容赦なく私の頭を鷲掴みにした。
「ほら、もっと咥え込めよ! ヤクザから喉マン調教されてんだろうが!?」
怒鳴るように言いながら、喉の奥を抉り回す。
「ほおごおおっ……!!!」
食道に脈打つものが入り込んできた。苦しいし気持ち悪い。でも同時に、頭が白く霞む。脳イキだ。
「あはははっ、凄ぇ! もともと手で握られるぐらい締まってたのに、しゃぶらされた途端もっとキツくなりやがった。両手で絞られならがら、グニグニ揉まれてるみてぇ!!」
後ろから挿入する男は、声を上ずらせながら腰の振りを早めていく。
「ああ、ああ!! これ駄目だ、もたねぇ……あああっっ!!!!」
そう言い終わる前に、ドクドクとあそこの中に射精する。若いせいか、射精の勢いは栖村より凄い。あそこの奥に水鉄砲を叩きつけられる感じだ。
「おお、スゲー出た。コイツ普通にハメ穴として最高だわ!」
下品な言葉と共に、アレが割れ目から抜き出される。入ってくる外気と入れ替わりに、どろりとしたものが茂みを流れていく。
「おい、中に出すなって!」
周りから非難の声が上がった。最初はキレイなアソコを使いたい、という事だろう。男は皆そうだ。
「しょうがねぇだろ、溜まってたんだからよ!」
男も言い返し、険悪な空気が流れはじめる。その流れを断ち切ったのは、また別の一人だった。
「やめろ。済んだことグチャグチャ言ってもしゃあねぇだろうが!」
いかにもチンピラという感じの、ガラの悪そうな刈上げ男。かなり鍛えているらしく、胸板の厚さが半端じゃない。
その迫力に、言い争いが止まる。それを見て、刈上げ男はさらに続けた。
「それによ、中出しした後のマンコも悪くねぇぞ。なぁ?」
そう言って、すぐ近くの仲間らしき人間に話を振る。ツーブロックカットのそいつは、含み笑いを浮かべながら頷いた。
「ああ。誰か試しにやってみろよ」
そう煽られれば、当然乗る人間も出てくる。
「よし、なら俺が行く」
一人が甲高い声で名乗り出ると、硬いものを一気に割れ目へと捻じ込んでくる。
「はぐっ!!」
さっきと同じく、硬く熱い。熱した鉄棒を受け入れた気分だ。
「お…っ!? へへ、ホントだ! マン汁ともローションとも違うヌルヌル具合がたまんねぇ!!」
男はたぶん、満面の笑みを浮かべていることだろう。そういう声色だ。ただ、正直それどころじゃない。
中出し直後のセックスが気持ちいいのは、女も同じ。立て続けにあそこを使われると、いくら慣れていても、そのうち擦れて痛くなってくる。でも中にヌルヌルした精液が入っていれば、膣の壁を保護してくれるから痛まない。むしろ直前までの挿入で敏感になっているぶん、快感だけが何倍にもなって襲ってくる。
「ん、んんん……っ!!」
私はあっという間に絶頂へ押し上げられ、呻きを上げた。
「おら、口休ませてんじゃねーよ!!」
その言葉と共に、アレまで口に押し込まれる。休む暇がない。逃げ場もない。
「んむっ、んん……お゛えっ、あぐ……うん、うんっ…ん、んぐうっ!!」
前と後ろから荒っぽく突かれ続け、ほぼ同時に射精される。
「がぼっ、ぷわああっ!!」
噎せずにはいられない。口の中が生臭さで一杯になり、鼻からも精液が垂れていく。
「くははっ、ひでー顔。どうだよ結衣、精液便所にされる気分は?」
さっきの刈上げ男が、嘲るように見下ろしてくる。
「はぁっ、はぁっ、はあっ…………!!」
私は喘ぎながら、その顔を睨もうとした。でもその途中で、横から鼻を摘みあげられる。
「今度はこっちだ、しゃぶれ!」
そう言って、深々と咥え込ませてくる。嗅ぎ慣れた匂いが鼻を満たす。
「つーかこれ、前だけじゃ回んねーな。オイ、後ろも使ってやれや!」
その言葉をきっかけに、私は3人に囲まれることになった。下からあそこを突き上げられつつ、後ろからお尻に挿れられ、口にも一本を咥えさせられる。
「あごもぉおおっ!!」
前後2本挿しの圧迫感は普通じゃない。それに子宮口を前後から挟み潰されると、イクのを堪えるのも難しい。
「うう、お……ほお゛ええ゛えぇっ!!!」
私は硬いアレを咥え込んだまま、精液を吐きこぼしつつ絶頂する。子宮と脳の同時イキだ。
「ハハハッ! こいつ、白目剥いてやがる!!」
一瞬薄らいだ意識を、その嘲笑がかろうじて繋ぎ止めた。
「ぷは、はあ……っ!!!」
「お、息吹きかえしたか、いいねー。簡単に折れられても面白くねぇからな。完全に狂うまで、休まず犯してやる!」
「ああ。ザーメン漬けにしようと思って、一週間オナらずに溜めて来てんだ!」
「俺もだ。あの結衣抱けるって思っただけで、金玉がムズムズするよ」
「よっしゃあ、体中の粘膜って粘膜に、たっぷり塗り込んでやろうぜ!!」
男達は異様な熱気を発しながら、私の手足を掴み上げる。
どこを見ても、ギラついた視線とぶつかった。
ステージの上だけでも視界を覆い尽くすほどの人数がいるけど、客席側からもまだまだ人だかりが上ってくる。このライブハウスのキャパ上限は1000人。今日は多分、その上限一杯まで客が詰め込まれている。
ボスの怒りに触れた私を、確実に圧殺するために。
※ ※ ※
「ぶはっ!! がっ、げほっ!ごほっ!!」
私はアレを吐き出し、ひどく咳き込む。
「おら、休むなっつってんだろうが!!」
「まだ一巡もしてねーんだからよぉ、気合入れてやれって!」
すぐに非難の声が浴びせられ、息継ぎ途中の口でしゃぶらされる。
顎が疲れているから手を使いたいけど、そうもいかない。腕は後ろに引き絞られ、あそこへの挿入の手綱代わりにされてるんだから。
「あぶっ、ぶぼっ……んごっ、ゴエエエッッ!!!」
胃液が顎の方へ垂れても、それを拭うことすら叶わない。
「あははっ。ひどい顔だよ、リーダー」
隣で同じく犯されている早苗が、私の横顔を覗き込んで笑った。客の大多数が『本命』である私に殺到している関係で、早苗達は随分と楽そうだ。
その気楽さが憎い。ずっと、私を騙していたくせに。私が苦しんでいるのを知っていて、陰で笑っていたくせに。
私は早苗を睨もうと、目元に力を込める。でもやっぱり、そういう力みが絶頂を呼び込んでしまう。
「あっ、ぐうう゛う゛っ!!」
全身が痙攣し、ぞわぞわした感覚に包まれる。
「はっ、はっ、はっ、はっ。はっ……」
私が過呼吸気味になり、眼を見開きながら震えていても、男連中に容赦はない。
「ほら、どんどん突っ込め! 後つかえてんぞ!!」
そういう思いやりの欠片すらない言葉と共に、熱い肉棒が殺到する。前後の穴はあっという間に埋まり、口には3本が同時に捻じ込まれる。
「んゴエエッ、あがっ!! ごぶっ、ごぉおう゛……んごおお゛ぇっ!!」
3本で交互に喉奥を抉られると、えずきがひどい。胃液も次々あふれていく。私の中の『まともさ』と一緒に。
「……ははっ。見ろよコイツ、自分から腰振ってやがるぜ!」
その言葉でようやく私は、相手の男が腰を使っていない事実に気がつく。激しく突き上げられているとばかり思っていたのに。
「へっ、このドスケベアイドルが!!」
罵られれば罵られるほど、震えがひどくなる。
「おっ? ようお前ら、もっと罵れ。こいつ、言葉責めされるたびにキュウキュウ締め付けやがる!」
そう茶化されながら乳房を鷲掴みにされると、
「はぐうぅう……っ!!!!」
また、イってしまう。
「はははっ、マジで変態じゃねーか。プライドとかねーのかよ!?」
「いいじゃねーか。肉穴に変なプライドなんてあったって、邪魔なだけだろ」
心ない言葉が浴びせかかる。でも、そう言われても仕方がない。
私はもう、まともではないんだから。
※ ※ ※
何日が経ったんだろう。
あるいは、何週間が過ぎたんだろう。
私は、1000人近くの男達から狂ったように犯されつづけた。トイレに行く暇すら与えられず、小便まみれ、体液まみれで。
「へっ。こいつ、もうワキ毛ボーボーだぜ?」
組み伏せられ、両手を掴みあげられた私の腋を、一人がくすぐる。
「だな。ついでに言やぁ、マン毛もケツの方まで生えてやがる。いくら伝説のアイドルっつっても、処理しねぇとフツーに無駄毛だらけになるってこった」
「夢のねぇ話だな、それも」
「バーカ。夢なんざ端っからねぇんだよ。その有りもしねぇもんを、いかにも有りそうに見せんのがアイドルって商売だ。要は役者よ」
「んでもってコイツは、その役者としても失格と。化けの皮が剥がれるだけ剥がれて、そこらの女よりみすぼらしくなっちまったな」
男達は口々に馬鹿にしながら、飽きもせず私を犯し抜いていた。
何人か、とにかく私の顔に射精したい人達がいて、顔の至る所へ精液が浴びせかかっている。特に目の部分は乾いた精液が何重にも層になっていて、簡単には開けない。そうなると目隠しをしているようなものだから、嫌でも感覚が研ぎ澄まされてしまう。
「どうした、もっと締めてみろ。マンコの締め付けだけでザーメン絞り取んだ。マンココキだよ、マンココキ!」
荒い息と共に、元気の有り余った肉棒を叩き込まれる。力強く、リズミカルに。でも流石に連続で犯されすぎて、アソコに力が入らない。
「締めろっつってんだろうがよ! ったく、マンコとケツの締まりまでなくなったら、いよいよ肉便器として終わりだぞオマエ。まだ他の4人のが『使える』っつーの」
不満そうな声で、肉棒が引き抜かれてしまう。もっと刺激が欲しいのに。奥を突いて、脳まで痺れさせて欲しいのに。
そんな私を、何人かが見下ろしている気配があった。
「なあオイ。そろそろマンコにピアス空けてみねぇか? コイツがどこまで狂うか、見てみてぇ」
遊び半分で口にされる、悪魔のような提案。でもそれを耳にした瞬間、私の胸に沸き起こったのは、『期待感』だった。
クリトリスにクリップを取り付けられた時の、新鮮な快感を思い出す。あれをあそこに取り付けられたら、どんなに刺激的なことだろう。
「よーし。チクッとするけど、暴れんじゃねぇぞ?」
そう言ってビラビラが摘み上げられた、直後。鋭い痛みが襲ってきた。
「きゃああああっ!!!」
敏感な場所だけに、痛い。でもその痛みは、そのうち痺れに変わる。快感とよく似た痺れだ。
「へ、キツイだろ。でも、刺激ってのは良いもんだぜ。ヤミツキになる」
ビラビラが掴み直され、またザクリとした感触が伝わってくる。
「いぎいいぃーーっ!!」
私は、歯を食いしばって叫んだ。さっき以上の痛みと、さっき以上の痺れに浸りながら。
結局ピアスは、左右の陰唇に4つずつ、合計8個取り付けられた。
「よーっし。だいぶ派手になったな」
ピアスの並んだ部分を、指で上下に擦られる。それだけでビラビラがピアスに引っ張られて、ハッキリとした痺れが生まれる。
「はううぅん……っ!!」
割れ目の入口を軽く撫でられる――私は、それだけで絶頂した。体中が敏感になっているとはいえ、異常なことだ。
ただ、悪い気分はしない。気持ちいいのは良い事だ。いつ終わるとも知れないこの地獄で、唯一不安を和らげてくれる。
「さて、んじゃこの状態でハメっか!」
一人がそう言って、亀頭を割れ目に擦り付ける。
「ん、んんっ……!!」
腰が動いて、甘い声が出てしまう。割れ目も期待にヒクついて、いつも以上に愛液があふれ出す。その愛液をたっぷりと塗りつけた上で、とうとう挿入が始まった。
「ひぃあ、ああ……あ、あっ!!!」
挿入が深まるほどにピアスへ擦れ、ビラビラが引っ張られる。その刺激は、肉棒の出し入れが始まってから、いよいよ強まっていく。
「おおっ、すげー。ピアスがグリグリ当たって、なんか新鮮だわこれ!」
男が腰を振りながら、嬉しそうに言う。新鮮……それは、私にとっても同じことだった。ピアスの刺激に促されて、麻痺していたはずのあそこが蠢きだす。そうなると性感も高まっていくから、子宮をドッドッと突かれるたびに、足の先まで痺れるほど感じてしまう。
「あっ、はあ……んあああっ、ああぁああぁ…っ!!」
快感の波は刻一刻と高まり、ある瞬間、最大級に達した。下半身が痙攣し、脳の中で火花が散る。私の中で枷が外れる。
「ほおっ、いっ、イグ……おお…お………ぉおお゛おお゛オ゛っっ!!!!」
快感の凝縮された声が、喉からあふれ出した。
「……ははははっ!! 今の声、女の出す声かよ!?」
「おいおい、お前一応はアイドルだべ!? そういうのはねーだろって!!」
嘲笑に晒されるけど、気持ちで我慢できるようなものじゃない。そんな領域はとっくに過ぎている。
「いぐっ、いぐいぐいぐっ!! いってる、イッでるぅううっ!!
お願いやすませてっ、いき、できなっ……ふ、あぐ……んう゛ぅぅっ!!」
「おお、こりゃいいぜ。ようやく締め付けが戻ってきやがった!」
「ほー。んじゃ締まるついでに、またマンコへの“2本挿し”いっとくか? ありゃキモチいーべ?」
「ははっ、懲りねーな。つか、それやったせいでユルくなったんじゃねーの?」
「いいじゃねーか。締まらなくなったらなったで、フィストなりで遊べっしよ」
色々な声を聴きながら、私は痙攣しつづける。
( ……私、いつまで犯されつづけるの?
ダメ……頭も身体も、気持ちよさを求めてる。
私、もう、逃げられない…んだ………… )
その結論に辿り着いた時。自分の中から、芯が抜け落ちるのがわかった。
芯のなくなった私は、ただ、蕩けていく。
「あはっ、いく、いぐーーッ! いい、きもちいいぃっ! もっと突いて! イかせて、イカせまくってっ、わたしを壊してえええーーーっっ!!!!」
真っ白にとろけた頭で、私は叫んだ。
光のあふれるステージに、大粒の涙を溢しながら。
※ ※ ※
「………………い、結衣!!」
激しく肩を揺らされて、私は目を覚ます。
顔を上げると、ステージ衣装に身を包んだあんりがいた。
「あれ、私……?」
「ああ、熟睡してやがったな。ったく、頼むぜ」
あんりは肩を竦めて溜め息をつく。
「ごめん、ごめん……」
「気にしないでください。結衣さん……昨日、あまり眠れなかったんでしょう?」
「うん。結衣ちゃん、寝つき悪かったみたい。あんりちゃんはイビキかいて爆睡してたけど」
「あ? ふざけんな、イビキなんかかくかっつーの!」
「かいてたもん! チョーうるさかった!」
「もう、また喧嘩して。本番前だよ、やめなってば!」
いつも通りの騒ぎが起きて、そのうちにライブの本番がやってくる。
『スカーレットチョーカーです。宜しくお願いします!』
眩いステージに立ち、無数のファンに囲まれながら、私は高らかに宣言する。
5人で息を合わせ、練習通りに歌い、思い通りに踊る。
まさに夢の舞台だ。
ただし、『私達のとっての』夢じゃない。
これはあくまで、ファンに夢を見せるためのパフォーマンスだ。私達が正統派アイドルの“フリ”をすれば、後の興奮が増すそうだから。
私達の夢が叶うのは、ステージ後半。
歌いながら、踊りながら、ステージ衣装を脱ぎはじめてからだ。
フリルのついた衣装の前を肌蹴れば、乳房を搾り出す形のボンデージコスチュームが現れる。乳首にはファンからプレゼントされたピアスが揺れてもいる。
「おおお……!!」
客席から感激の声が飛びはじめた。
その中で、私達は目を見合わせ、お互いの身体に触れ合う。深くキスを交わし、指を肩や腰に這わせて、純白の衣装をすっかり取り去っていく。5人それぞれのキャラクターを、視線や吐息で演じながら。
そう、これは演技。私達にレズの気なんて全くない。
私達が好きなのは、男。より正確に言うなら、獣のような雄に従属させられることだ。
これから犯してもらえる。そう思うだけで、内腿に熱い蜜が垂れてしまう。
「皆様、本日は私共ブタの為にお集まりいただき、誠に有難うございます。感謝の気持ちと致しまして、皆様に誠心誠意ご奉仕させていただきます」
私達はそう言って、指であそこを拡げてみせる。
家畜としての挨拶を口にするだけで、自然と笑みがこぼれてしまう。
そう、私達はアイドルじゃない。アイドルという皮を被った、卑しい雌豚だ。
でも、それでいい。卑しい雌豚だからこそ、生々しく快楽を貪ることができる。家畜である事こそ、私達の幸せなんだ。
「どうかこの薄汚い牝穴を、お好きなだけ、ご賞味くださいませ……」
眩いステージの上で、私達は深く傅く。
5つの首に、緋色の首輪を揺らしながら――――。
END