大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2019年10月

魅せられた僕等の夏(後編)

※中編からの続きです。



「おとなしい顔して、大概変態だよねぇ先生も。小学生に跨って、あんなに腰振りまくってさ。これ流出したら、色んな方面が大騒ぎだね」
 翌日。悠真君はパソコンを眺めて言った。パソコン画面には、昨日の僕らのセックス映像が映っている。想像していた以上にはっきりと。
「お願い。彼……匠くんにだけは、酷い事をしないで」
 栞さんは床に跪いたまま、悲痛な表情で訴える。
「匠くん? 水臭いなぁ、“たっくん”って呼んであげなよ。昨日みたいにさ」
 悠真君がそう茶化すと、周りの連中がゲラゲラと笑った。栞さんの手が、膝の上で握りしめられる。
「ま、昨日もメッセージ送ったけどさ。“たっくん”がネットの晒し者になるかどうかは、先生次第だよ。俺らの機嫌損ねない限り、このビデオは内輪でしか楽しまないから」
「機嫌って……セックスなら、散々させてるでしょ! これ以上、何をしろっていうの!?」
 悠真君に念を押され、栞さんが悲鳴に近い声を上げる。読書を趣味にして、真面目一本に生きてきたのが栞さんだ。これまでにされた事だけでも、耐えがたい屈辱だったはずなんだ。
「そう興奮しないでよ。俺らは純粋に、先生の事が知りたいんだ。先生みたく『真っ当で綺麗なオトナの女』は、どこが性感帯なのか。そこを開発しまくったら、どんな風に変わっていくのか。言ってみれば、僕らなりの自由研究だよ」
 悠真君は、まっすぐに栞さんの眼を見つめながら言う。いつも言葉に裏があるような悠真君だけど、この時だけは本当の事を言っているように思えた。もっともそれが本当だとしても、いい迷惑であることに変わりはない。
「さ、先生。俺達に、先生のことを教えてよ」
 悠真君は天使のように微笑みながら、栞さんの手を取った。
「…………ッ!!」
 栞さんは睨みつつも、その手を振り払うことができない。まるで、見えない手錠でも掛けられているように。


 悠真君の最初の命令は、栞さん自身の口で感じるスポットを告白することだった。
「わかりやすく頼むよ、“先生”。」
 悠真君が嫌みったらしく告げる。その視線の先で、栞さんは数人から愛撫を受けていた。
「どうだ先生。やっぱり乳首って感じるのか?」
 乳房を揉みしだいていた一人が、人差し指で乳首を弾きながら問いかける。
「んっ……当たり前でしょ。そのぐらい、お得意のネットで調べたら?」
 小馬鹿にされる状況が耐えがたいのか、栞さんは周りを睨み回しながら吐き捨てる。でも、これまでなら普通だったその光景が、今は許されない。
「おい先生。そんな態度ばっかり取ってると、後悔するぜ?」
 一人が、パソコン画面を叩きながら脅しをかける。
「!!」
 栞さんの表情が変わった。
「そういうこと。じゃあもう一度。先生は、このでかいオッパイの先を弄られると、お股がジュンッて濡れちゃうんですかー?」
 さっきの奴が、質問を繰り返す。中身だけを、より答えにくいものに変えて。
「…………ええ。くすぐったいような……気持ちよさがあるわ」
 栞さんは悔しそうな表情のまま、息を吐き出すように答える。ギャラリーからは、ここぞとばかりに笑いと歓声が起きた。
「へーぇ、じゃあこういうのも堪んないだろ!?」
 また別の一人が、人差し指でクリトリスを弄りはじめる。
「はぁ、うっ!?」
「アハハ、わかりやすい反応!! 3所責めは効くよなぁ、ほら実況して!」
「ふ、んっ……りょ、両方責められると、どっちにも意識がいって……我慢が、しづらいわ。それに、どっちを責められても感度が上がって、そうしたらますます……んんんっ!!!」
「なるほど。上半身と下半身の急所いっぺんに責められるとヤバいってか。そりゃそうだよなあ、はははははっ!!」
「よーしじゃあ、どんどん余裕なくさせちゃおうぜ。おい、誰か電マ持ってこいよ!」
 異常な盛り上がりの中、電気マッサージ器が栞さんの前に突き出された。
「あっ! それは……!!」
「そう、先生の大好きな電マだよ。こいつでまた、たーっぷり可愛がってやるからな。気持ちよかったらちゃんと言うんだぞ?」
 マッサージ器の、内臓まで震えるような音がしはじめる。その音が低く、より耳障りなものに変われば、それが栞さんの性器に宛がわれたという合図だ。
「だ、だめっ! これは、本当に我慢ができない……すぐにいっちゃうの!!」
 栞さんは足をバタつかせて必死に叫ぶけど、今さらそれに怯む奴はいない。
「ダメじゃないだろ、大好きなんだろ。イク時はちゃんと言えよ先生!!」
 栞さんの悲鳴を掻き消す勢いで何人もが叫び、追い込んでいく。ジジジジ、という音がして、栞さんの両脚が強張る。何度も、何度も。
「い……い、いっ……いく、うううっ!!!」
 やがて、栞さんは絶頂を宣言した。まだマッサージ器を宛がわれてから、ほんの数分と経っていない。
「へー、もうイッたんだ? ほんとクリが敏感になってきたよな。でも、こっからだぜ!!」
 マッサージ器を握る奴は、笑みを浮かべながら宛がう角度を変える。
「ほら、胸も可愛がってやるよ先生。上も下も、好きなだけ感じろよ!!」
 乳房を弄ぶ連中も、先端の蕾を指で捏ね回しはじめる。
「ひっ……い、いくっ!! お願い、それはやめて! い、逝くスピードが速すぎて……ん、んんんんっ!!!」
「機械の振動ってすごいでしょ。我慢したくてもしきれないよね? だったら、大人しく快感に集中しなよ。イク時は宣言、これ徹底ね」
 栞さんの必死な訴えと、笑いを噛み殺すような野次。相変わらずひどい温度差だ。その中で、栞さんは何度も何度も、立て続けに絶頂へと追い込まれていく。
 でも、こんなものはまだ前戯ですらなかったんだ。
「よし、濡れてきたな」
 その言葉で、マッサージ器が一旦離される。でも、休憩じゃない。すぐに別の奴が栞さんに近づいていく。そいつの人差し指と中指には、凸凹のついた分厚いゴムのようなものが嵌まっていた。
「えっ……それは、何なの!?」
「手マン用の指サックだよ。この凸凹のお陰で色んなスポットを一気に刺激できるし、滑りにくいから一点を集中して責めやすいってさ。わざわざこんなモンまで用意したんだ。気持ちいいポイントを、しっかり教えてくれよ?」
 その言葉と共に、歪な二本指が割れ目へと入っていく。
「……ッ!!」
 栞さんは、下唇を噛みしめた。言葉を発さないといけないから、完全に閉じあわされてはいない。
 今思えば、唇を引き結んで頑固に耐えていられた時は、まだマシだったんだ。

「ほら先生、Gスポットってのはどこだ? クリの根っこら辺っつーから、ここか?」
 指サックを嵌めた奴が、上向いた手の平を蠢かしながら問う。臍側に指を曲げるようにして刺激してるんだろう。
「ふ、んっ……も、もう少し下……そ、そこよ……!!」
「へーぇここかあ。ははっ、確かに腰スゲー動くな。でも、さっきんとこも結構反応してなかったか?」
「ああ、Gスポのちょい奥にもスポットあるらしいぜ。なあ、先生? 感じるトコは全部教えろよ。後で秘密の弱点見つかったらヒデーぞ?」
「わ、解ってるわ………その奥にも、感じるポイントが……あ、はっぁ、はあ、んん、んっ……も、もうダメっ!!」
 そんな会話の直後、栞さんの腰が一気に浮き、水が噴きだす。それは、手マンをしている奴が間違いなく感じるスポットを捉えている証拠でもあった。
「っしゃ、イったあ! いいペースだぜ先生。ほら、今度はこの横っちょだ。ネットにゃスポットとして載ってねーけど、先生ここも弱えよなぁ!?」
 責める方はますます笑みを深め、手を横向けて栞さんの膣内を探りまわる。
「あ、待って……だめ、だめだめ、駄目えっ!!」
 栞さんは慌てた様子で相手の手を掴む。でも、それで指遣いが止まるわけもない。
「もう遅ぇよ。ほら、イク時は!?」
「あ、あ……ふぅ、い、いくぅう゛っ!!」
 叫び声と同時に、また栞さんの細い腰が浮き上がり、飛沫が飛び散る。ベッドに敷かれたベッドシーツの一部が変色する。
「ぎゃっはっはっは、いいぜいいぜ!! ガンガン噴かせてやれ!!」
 笑いが起き、グチュグチュと言う水音はますます激しくなっていく。

 栞さんはその後も、ブリッジや這うような格好で、何度も潮を噴かされた。
「ほら先生、アヘってないで実況実況!!」
「ひぐっ……う、く、クリトリスを、指で弾かれてっ、Gスポットも押し込まれて、こっ、腰が勝手に……動いちゃう……。快感が、太股にじわっと広がって、ち、乳首も、すごく……感じ……はあっ、あ、だめ……ん…んああああ゛っ!!!」
「ダメじゃなくてイクだろ。先生って案外物覚え悪ぃな!」
「オトナになると記憶力って下がるらしいからな。トシは取りたくねーわ!」
 そんな会話が何度も交わされ、刻一刻とおねしょシーツが変色していく。

「はああっ、はああっ……あああっ、ああ……はああ…………っ!!!」
 何十分かが経った頃、栞さんはベッドの上で手足を掴まれながら、荒い呼吸を繰り返していた。大股を開いた足の間は、寝小便をしたとしか思えない有様だ。
 そんな、どう見てもボロボロの栞さんに、悠真君が近づいていく。手に、ポルチオ責め用のバイブを握りしめたまま。
「う、あ……?」
 虚ろだった栞さんの眼が、悠真君の手にしたものを認識して見開かれる。
「あ、い、いやっ! それはっ、それだけはやめてっ!!」
「駄目だよ先生、こっからが本番なんだ。ポルチオ性感がどんな風に気持ちいいのか、ちゃんと教えてくれないと」
 悠真君はそう言って、コンセントにプラグを差し込む。
「前は歯ァ食いしばって、必死に我慢してたもんな。今度は遠慮せず浸りなよ!」
「そうそう。こーいうのは、声出すと余計に気持ちいいんだってさ!」
 栞さんの周りにいる連中も、腋を抱えて膝立ちの姿勢を強いる。
「やっ! いや、本当にやめてっ!!」
 栞さんは暴れるけど、数人がかりの力には敵わない。ろくな抵抗もできないまま、割れ目にバイブが入り込んでいく。
「さあ先生。天国へ行ってきな」
 悠真君が笑いながら、グリップ部分のスイッチを入れた。ヴヴウーン、ヴヴウーン、という音がかすかに鳴りはじめる。
「はぐっ!!」
「はははっ、反応はえー!!」
「太股スゲー筋張ってんな。つか形変わってんじゃん」
「膝立ちだと余計わかりやすいな。やー、ポルチオ責め面白ェ!!」
 歯まで覗かせるような笑い顔に囲まれながら、栞さんだけは鬼気迫る表情で腰を揺らす。その動きは、瞬きをするたびに激しく、早くなっていく。
「こ、こんな、だめ、駄目えっ!! あっ…く、ああ゛あ゛う゛っ!!!」
「だからさぁ、ダメじゃないって。先生今イってんでしょ? だったら、イクってちゃんと言わないと。俺らイラつかせる事すんなっつったじゃん」
「ふぐうぅっ、んはあぁ゛っ!! い、イってる、イッてるわっ!!」
「オーケー。じゃ、次はどんな感じかのレポよろしく」
「よお、待てよ。どうせなら撮ろうぜ」
「ははっ、それいいな!」
 苦しむ栞さんを前にして、同情する奴は一人もいない。絶頂を宣言させるだけでは飽き足らず、スマホを横に構えて撮影まで始める。
「……!!」
 栞さんは、今にも相手に掴みかかりそうな形相になった。でも、それも一瞬のこと。怒りの表情は、泣き出す前のそれに変わり、あっという間に絶頂の表情になる。呼吸より早いペースで絶頂しているのが、その表情の動きから見て取れた。
「おし、じゃ撮るぞ。まずは自己紹介してから、『小学生にオマンコで逝かされてます』って言ってみろ。はいスタート!!」
 その合図で、栞さんの顎が持ち上げられる。栞さんの顔はまだ悔しそうだ。
「どうした、早く言えって!」
「アタマ良いんだからわかってるよね? 昨日の映像、いつでも無修正でネットに放流できるんだぜ」
 そう脅しがかかると、そこでようやく栞さんの唇が動く。
「こ……香月 栞……です。わ、私は今……小学生に、お、お、オマン…コで、逝かされています…………」
「ぎゃっはっはっ!! マジでオマンコっつったよ、あのクソ真面目な先生が!」
「いいねえ、この恥ずかしそうな言い方!!」
「最高だな。これからはずっとマンコって言えよ。アソコとかって気取った言い方禁止な!」
 何人もが腹を抱えて笑い、悠真君もバイブを押し込んだまま笑みを浮かべる。
「で? 先生。そのオマンコの奥刺激されて、どんな感じなの?」
 悠真君のその問いに、栞さんは喉を鳴らす。言いづらそうだ。でも、拒絶はできない。
「お、奥を……刺激されると、痺れるような快感があって……それが、足の先……いいえ、背筋を伝って、頭にまで上ってくるの。そのうち、頭の中が真っ白になって……おかしくなりそうで、怖い……っ!!」
 栞さんは頬を赤らめたまま、不安を吐き出す。でもそうやって弱みを見せれば、すぐさま付けあがるのが子供だ。
「いいよ先生、おかしくなっちゃっても。ちゃんと俺らで、『観察』しといてあげるから」
 悠真君はそう言って、バイブのスイッチを切り替える。
「うあああ゛ぁ゛っ!?」
 栞さんから悲鳴が上がり、背中が仰け反る。体中を細かに痙攣させながら。かなり深い絶頂なんだろう。
「あっはっはっ、イッてるイッてる!!」
「ほーら先生、イッた時にはちゃんと言わないと。映像映像!!」
 たとえ栞さんに余裕がなくても、追い込む連中に容赦はない。脅し文句を織り交ぜて、無理矢理正気に戻させる。
「だめっ、か、感じるっ……いく、イッグぅうううっ!!!!」
 栞さんは歯を食いしばっては開き、絶叫する。その口の端からは、とうとう涎まで垂れはじめていた。腰の動きも激しくて、必死にバイブを押し込まれまいとしているかのようだ。でも結局、絶頂の最中には腰が止まる。腰が止まれば奥を攻め抜かれて、より一層深い絶頂に嵌まり込む。その悪循環だ。
「イってるイってるっ、くっ……またイックぅ゛うっ!!! お、お願い止めて、少しでいいから止めでっ!!! ずっとイってて、息が吸えない……酸欠なの!!」
 体中を掴まれたまま、激しく暴れる栞さん。その両脚の間からは、次々と愛液があふれ出している。前にポルチオを開発された時より、明らかに反応が激しい。
「すげーな、イキまくり。やっぱ感じてんのを声に出すと違うんだなー」
「ああ。耳から入る情報って、結構大事らしいからな。っつーか先生暴れすぎ。手ェ押さえてんのしんどいんだけど」
「足もだよ。石みたいにガチガチに強張っててさ、すぐ内股に閉じようとすんの」
「バーカ、お前ら俺見ろよ。さっきからやべぇ力で肩掴まれてんだぜ?」
「かははっ、思いっきり食い込んでんじゃん。マジで余裕ねーのな先生!」
 そんな野次と嘲笑の中、栞さんは悲痛な表情で踊り狂う。涎まみれのその口から漏れる声は、段々と意味のないものになっていった。『ダメ』と『イク』をひたすら繰り返す様は、僕らよりずっと幼い子供みたいだ。
 実際、栞さんの判断力はほとんど残っていないようだった。

「やめてっ、本当にゆるしてっ!! ぬいてっ、一度抜いてえ゛え゛っ!!!」

 首に筋を浮き立たせながら、栞さんが絶叫する。そんな栞さんを、悠真君をはじめとする何人かがニヤニヤと笑って見つめていた。
「おねがいっ、おねがいい゛ぃ゛っ!!!」
「くくっ。先生さぁ。抜きたいんなら、まずオマンコの力抜きなよ」
 笑いを噛み殺しながらのその言葉に、栞さんが薄目を開く。
「俺、もうバイブ持ってないんだけど」
 悠真君はそう言って、栞さんの目の前で両手を開いてみせる。その手には、確かに何もない。バイブは、栞さんの脚の合間で唸り続けている。栞さん自身のアソコに締めつけられたまま。
「え……?」
 呆然とする栞さんを囲んで、また大笑いが起きた。いつ聴いても不愉快な声だけど、今は格別に耳障りだ。その笑いはきっと、栞さんを追い詰めるだろうから。
「そ、そんな……だって、抜けないっ!! ふんんっ、抜けない……のっ!!」
 栞さんは眉を下げて嘆き、必死に腰を振る。でも、バイブはほんの少し動くだけだ。
「何を今さら。さっきから、ずーっと咥えこんでたじゃん先生!!」
「ムリムリ、そんな腰振っても抜けないって。イキまくって、マンコの奥が収縮してんだよ。ザーメン搾り取るモードでさ!」
「まさか、あんだけイヤイヤ言ってたバイブまで咥え込むとは思わなかったけどな。生身のチンポならともかくよぉ!!」
「だからさぁ、ヘンタイなんだって先生は。ちょっとムラムラしてたからって、一回り近く年下の幼馴染に跨ってジュボジュボ腰振るんだぜ?」
「そういやそうか。二言目には説教してくるウゼー女だったけど、いよいよ化けの皮剥がれてきたな!」
 まさに言いたい放題だ。その中で栞さんは、必死にバイブを押し出そうとする。でも、感電しているせいで筋肉が強張っているのか、バイブは全然でてこない。
「んんあっ、はぁああ゛…あ゛、あ、あぁああっ……んっ……んはぁああお゛お゛っっ!!」
 何度もの悪戦苦闘の末、栞さんはとうとう天を仰いで絶叫する。
「あはははっ、何だ今のきったねぇ声!? 女の出す声かよ!」
「ひいっひ、『おおお』っつったよな? あのお上品な先生が!」
「でも、やたら気持ち良さそうな声だったよな!」
 生々しい声が散々に嗤われる中、とうとうバイブが抜け落ちる。そしてその後を追うように、割れ目から透明なものが噴き出した。それは何かを諦めたように、長々と出続ける。
「あ……ああ、ぁ…………」
 栞さんは天井を見つめたまま、小さく呻いていた。反応が薄い。まるで、また一つ大切な何かを失ったかのように。

「さて、先生。この間はここで開放してあげたけど、今日は最後まで相手してもらうよ」
 バイブを片付けた悠真君が、そう言ってズボンを脱ぎ捨てた。他の奴らもそれに倣って、栞さんは8本の勃起しきった逸物に囲まれる。
「なっ……ま、まさか……!?」
「そう。ジュクジュクに熟れてるポルチオを、駄目押しで開発してあげる」
 悠真君はへたり込んだ栞さんに近づき、一気に押し倒す。
「いやっ! せめて、少し休ませて。今は、本当に余裕が……!」
「だから良いんだよ。拒否するならそれでもいいけど、その後どうなるかは解るよね?」
 悠真君のその囁きで、栞さんの抵抗は封じられた。
「そんな顔しなくても大丈夫だって。先生が昨日、匠相手に自分からしてた事でしょ」
 悠真君はそう言って、栞さんの脚の間に割り入っていく。望まぬ挿入を受け入る栞さんの表情は、可哀想なぐらい引き攣っていた。
「んんんん……っ!!」
 悠真君が腰を進めるとすぐに、栞さんから呻きが漏れる。
「凄いや先生、もう奥に届いちゃった。解るでしょ? どんな感じか言ってみてよ」
「は、ぁぁぁ……お、奥に、当たってるわ……」
「奥って?」
「し、子宮よ……子宮の入口に……ひ、んんっ…………!!」
 栞さんにはもう、悠真君の意地悪に反応する余裕すらないらしい。つらそうに眉を顰めながら、足を強張らせて震える。
「そう、その感覚に集中して。今日は先生に、たっぷりポルチオでのイキ癖をつけてあげるよ」
 悠真君は嬉しそうにそう口走りながら、『の』の字を描くように腰を動かしはじめた。さらに右手を、栞さんの臍の下……ちょうど子宮のあたりを外から押さえ込むように宛がう。
「はあぁぁっ!! だ、だめっ、それ……! あ、ああああっ!」
「すげーな。ああされると弱いわけか」
「なるほど、勉強になるね」
 周りで見ている連中は、悠真君の責め方と栞さんの追い詰められ方を、瞬きすら忘れて観察していた。
「いいね先生、オマンコの奥が収縮しまくってる。ずっとイってるんでしょ?」
 悠真君は、ここで栞さんの脚を横に倒し、くの字に曲げた脚を重ね合わせるような状態で犯しはじめた。見るからにきつい体勢だ。当然、栞さんの反応も激しい。
「……っく、いくいく、イク……っ!!」
 うわ言のようにそう繰り返しながら、シーツを強く掴む。
「いいよ。オマンコがアソコに絡み付いてくる。俺のこと嫌ってる栞さんが、こんなに甲斐甲斐しく受け入れてくれるなんて思わなかったな」
 悠真君は腰を腰を押し付けながら、嫌みったらしくそう囁きかけた。
「う、受け入れてなんか…………あ、んあああぁっ!!!」
 必死に反論しようと首を持ち上げる栞さんだけど、その瞬間にいけないスイッチが入ったんだろう、大きく叫びながら絶頂してしまう。相当深い絶頂なのが、端から見ていてもはっきりわかる。事実栞さんはその後、視線を空中に投げ出したまま、はっはっと短い呼吸を発したまま固まってしまう。
「うわ、こりゃ凄いな……!!」
 逆に悠真君は表情豊かに笑いながら、気持ち良さそうに射精に達し、ゆっくりと腰を引く。白濁まみれのアレがずるりと割れ目から抜け出て、栞さんの脚を震えさせる。
「よ、よーし……俺らもやっちまうか!!」
「ああ。こりゃメチャクチャ気持ち良さそうだ!!」
 悠真君の周りで見ていた連中が、我先にと栞さんの前に躍り出た。そして、一人ずつ栞さんを抱き始める。子供特有の吸収力で、悠真君がやって見せた責め方を模倣し。子供ならではの柔軟さで、より栞さんの反応を引き出せるやり方を探りながら。
「ああああ、だめだめだめ……!! ああいくっ、いくぅうう……っ!!」
 そんな悲痛な声が、ずっと続いた。相手に跨るような格好で、下から突き上げられ。腕を掴まれたまま後ろから突かれ。腰を完全に浮き上がらせた状態で、ズコズコと突きまくられて。
「改めてだけど、ヤッベェ顔してんなこいつ」
「ああ。美人が台無しだ」
「マジで余裕のかけらもねぇな。ポルチオってすげーわ」
 犯す奴も、その周りの連中も、栞さんの顔を見て噴き出す。確かに栞さんの顔は崩れている。汗や鼻水、涎、涙なんかが入り混じり、筋肉は引き攣り、快感に叫ぶ時なんかは下の歯並びまではっきり見えてしまう。正直、今までのどんなセックスよりも激しい反応だ。
 でも、栞さんは悪くない。そうなった原因を作ったのは、悠真君とその取り巻きなんだ。だから本当なら、悪いあいつらに栞さんを嘲笑う権利なんてない。学校の道徳の授業でなら、きっとそう習うはずだ。本当なら。

「ほら先生。喘いでるばっかりじゃなくて、こっちでも奉仕しないと終わんないよ?」
 そう声がした方を見ると、仰向けで犯される栞さんが顎を持ち上げられ、口にも咥えさせられるところだった。
「んうっ、あ……あ……っ」
 栞さんには、見るからに余裕がない。あそこの奥を突かれる感覚だけで手一杯なのが、表情と掠れたような喘ぎ声でわかる。でも栞さんの頭上に膝立ちになった一人は、親指で栞さんの頬を凹ませながら、有無を言わせずアレを口に押し込んでいく。
「んぐっ、うっ……!!」
 白い首を晒し、大きい胸を波打たせながら仰け反る栞さん。見るからに子供の所有物になっている感じだ。
「うわ、やっぱしゃぶらせると締まるなあ!」
「へー。本当に子供のチンポ大好きなんだな、先生って」
 2人は上下から栞さんを責めつつ、そんな言葉責めも加えていた。栞さんは何か反論したかったのか、しゃぶらせている奴の太股を押しのけようとする。でもその手はすぐに、横にいる連中に掴み上げられた。
「先生、じっとしてなって!」
「手が遊んでるんだったら、俺のでも扱いてなよ。ほら、ガチガチだろ」
 そう言って自分のアレを、無理矢理握らせはじめる。
「んぐっ、おぶっ……ふぐ……っぅ!!」
 栞さんは何度も呻きながら、仰け反った身体を左右に揺らしていた。身体に浮く筋なんかを見る限り、かなり本気で抵抗してたんだと思う。でも結局、彼女は拘束から逃れることはできなかった。無駄に体力を消耗するばかり。
 気力も、体力も削られ、栞さんの抵抗はどんどん弱まっていく。20分も経つ頃には、這う格好のままガシガシと突かれ、大口を開けて喘ぐようになっていた。
「あぁっ……く、はぁ、あ……ぁ、あ!!」
「キモチよさそーな声出しちゃって。ほら、口がお留守だよ」
 後ろから犯す奴は、まるで彼氏がするように耳元で囁きつつ、栞さんの腕を引く。そうして上体を起こされた栞さんの前に、また別の奴が立ちはだかる。
 男の尻に隠れる前の一瞬。栞さんは、かすかに怯えるような眼差しを上に向けていた。
「もご…っぅ……」
 荒い息が遮られ、栞さん自身の意思まで塞がれる。

 パンパンパンパン、という肉のぶつかる音と、男女の喘ぎ声、そして嘲笑。それがずっと続いている。僕は壁際で膝を抱え、ひたすら時が過ぎるのを待った。乱れる栞さんの姿なんか見たくない。でも、聴こえてくる声や音の感じが変わると、どうしたってそっちに視線を向けてしまう。
 状況は、最悪に近いものになっていた。
 一人は、栞さんの脚を肩に担ぎ上げ、股の間に身体を挟みこむような形で挿入している。もう一人は、寝そべる栞さんの顔に跨るような形で、根元までアレを咥えさせている。しかも、栞さんの手を両手で握りしめて。
「ほーら先生、手握っててあげる。安心するでしょ? さっきから目ぇ泳ぎまくりだもんね」
 その光景を見た瞬間、強烈に心臓が痛む。栞さんに甘えられるのは、甘える事を彼女に許してもらえるのは、僕だけのはずなのに。
「おぶっ、ご…ぉっおお゛っ、ふ……んっ!!!」
 栞さんは、目を見開いたまま小さく顔を振っていた。押し付けられる“何か”を拒むように。
「なに嫌がるフリしてんだよ、さっきからずっとイってるくせにさぁ。凄いよね、もう何回イってんの? マンコの奥とか、ずっとザーメン飲み干す動きしてるしさ。そうまでして小学生ので妊娠したいわけ? ヤバくねーそれ。俺とほとんど見た目変わんないガキが出来んだぜ?」
 アソコを犯す奴はそう言いながら、リズミカルに腰を振りたくる。強張る栞さんの顔とは対照的な、緩みきった表情で。追い討ちのようなその言葉で、さらに栞さんの目が見開かれ、首の振りが強くなる。でもその抵抗さえ、顔に跨っている奴の太股で一々遮られてしまう。まるで蜘蛛の糸に絡め取られた蝶だ。そして蜘蛛は、まだまだいる。
「いいねぇ。俺らで妊娠させるってのも」
「だね。間違っても僕ら子供は疑われないだろうし」
「そうそう。大学のコンパ帰りにやったとか、適当に言い訳考えてくれるよ。アタマいい先生ならさ」
 醜く表情が、ザーメン塗れの栞さんを取り囲む。とても同い年とは思えない。普段ランドセルを背負っている人間とは思えない。


       ※        ※        ※


 栞さんは、それからも毎日のように悠真君の家に呼び出され、欲望をぶつけられた。
 セックスや愛撫を受けるたび、栞さんは取り乱す。でもそんな栞さんには、一箇所、特に強い反応を示す場所があった。
 お尻の穴だ。
「やめて! そこは違うっ!!」
 何かの拍子に、指が少し肛門に触れただけでも、栞さんはそう叫ぶ。大声を出すのはいつものことだけど、この時の叫びはまた違って、辺りの空気がピリッと引き締まるぐらい真に迫った叫びなんだ。
「ふーん……?」
 そんな解りやすい弱点が、悪ガキ達に見逃されるわけもない。“後ろ”の開発が始まるのは、当然の流れだった。

 悠真君は、お尻の調教の前に、必ず浣腸をした。肛門周りをほぐしつつ、羞恥心をくすぐるという、両方の狙いからだ。
 浣腸に使われるのは、『イチジク浣腸』というもの。栞さん自身に買わせたそれを注入するところから、一日の調教が始まる。
 当然、ただお腹の中の物を出させるだけじゃない。出す瞬間は、必ずと言っていいほど見世物にされた。それは例えば、こんな風だ。
「ほら先生、頑張って。あと4分も残ってるよ」
 タイマーを手に、悠真君が栞さんを見下ろす。栞さんは脚を開いた格好で縛られたまま、風呂場のタイルに横たわっている。
「……く、ぅっ……!!」
 栞さんの顔は真っ赤だ。悔しそうで、苦しそう。それもそのはず、彼女の肛門近くには、何個ものイチジク浣腸の空容器が転がっているんだから。しかも、ただでさえ排泄欲を刺激されてヒクヒクと蠢く肛門は、周りの人間の指で、むりやり開かされたり閉じさせられたり、あるいは浅く指を挿入されたりさえしている。そんな刺激の中、いつまでも我慢なんて出来るわけがない。
「はぁっ、はぁっ、はぁ……お、おねがい。トイレに……もうっ、もうトイレに行かせて!!」
 栞さんは汗まみれの顔で、必死にそう哀願する。その瞬間、悪意の溢れる笑いがどっと沸き起こった。
「だめだめ。10分我慢したら、トイレでさせてあげる。そういう約束だったでしょ」
 悠真君もほくそ笑みながら、あくまで首を横に振る。
「ふっ、うう……っく……! こ、こんなの……もう、本当に……!! あなた達、正気なの? 私が漏らすところなんか見て、何が面白いのっ!?」
 本当に余裕がないんだろう。栞さんは何度も悠真君達に問いかけ、非難する。顔を歪め、歯を食いしばり、全身を何度も強張らせながら。
 そういう生々しい反応を何度となく繰り返した果てに、とうとう限界は訪れた。
「お、ケツがすげーヒクヒクしてきたぜ?」
「そろそろだな。さあ、我慢せずに出しちまえよ先生っ!!」
 何人もの野次が反響する中で、とうとう肛門から汚液が噴き出す。ぶびゅっという、清楚さも何もない音とともに、茶色い液が風呂場のタイルを染めていく。
 本来なら粗相を叱るべき大人の女性が、子供に囲まれながらの排便。それは異常でしかない。
「ははははっ、マジで出た!!」
「ちょっと先生、低学年のガキじゃないんだからさぁ、お風呂で漏らさないでよ!!」
「うっは、くっせぇー!! やっぱ潔癖な感じの先生でも、臭ぇもんは臭ぇんだな!!」
 呆然とした表情の栞さんを取り囲み、歪んだ笑みがゲラゲラと不愉快な笑い声を上げつづける。
「………く、ぅっ……!!!」
 栞さんの表情は、少しずつ、少しずつ険しくなって、色々な感情を噛み殺すように震えはじめた。

 また別の日には、庭に置いたバケツに屈みこみながらの排便。お盆の時期だから近所に人は少ないとはいえ、時々は散歩しているお爺さんなんかが通りかかる。栞さんはそういう人目を避けながら、音も抑えつつ気張らないといけない。
 さらに別の日には、栞さんをクローゼットに隠れさせた上で、部屋にお母さんや生徒さんを招き、オムツの中に出すしかない状況を作ったこともあったみたいだ。悠真君によれば、クローゼットを開けると栞さんは膝を抱えたまま、泣き腫らしたような瞳で睨みあげてきたらしい。

 こんな具合に羞恥を味わわせた上で、駄目押しとばかりにアナル調教が始まる。
 アナルの“ほぐし”は、色んな方法で行われた。愛撫のついでに、延々と尻穴を嘗め回したり。サラダ油を絡めた歯ブラシの持ち手を、限界一杯までお尻の穴に押し込んだり。あるいは器具を使って浣腸さえしていない腸内を開ききり、子供ならではの『ウンチ』絡みの罵詈雑言を浴びせたり。
「やめて、そんなところ!」
「そこがどういう場所か、解っているの!?」
 栞さんは当然、顔を真っ赤にして拒んだ。でもその潔癖ぶりが、余計に嬲る連中に火をつける。
「ほら先生、凄いでしょ。ずっとウンチを繰り返してる感じでさ」
「気取った顔してても、もう皆わかってんだよ、先生がヘンタイだってこと。俺らガキに見られながらお尻ほじられて、興奮してんだよね?」
 いくつもの凸凹でできた玩具を出し入れしながら、そんな質問が飛んだ。
「馬鹿にしないで……っ!」
 栞さんはソファで脚を開かされたまま、赤くなった顔を横向けて叫ぶ。どれだけ念入りにお尻を嬲られても、栞さんは気持ちが良いとは言わない。でも、端から見ているだけの僕にさえわかった。そうして激しく否定するという事は、そこが弱点だと白状しているようなものだ。
「本当に、気持ちよくないの? 先生」
 お尻に出入りする道具を見ながら、悠真君が尋ねる。
「何度訊いたって同じよ。そんな場所で、感じるわけないわ!!」
 当然、栞さんは意地を張り通す。すると、悠真君はにいっと笑った。
「そっか。じゃ、感じるようにしてあげないとね。おい、クリトリスも一緒に弄ってやれ」
「クリも? あーあ、なるほど」
 アナル責めを続けている連中は、すぐに悠真君の考えを察して、栞さんのクリトリスに指を宛がった。まだ全然触れられてないから、あまり勃起してはいない突起。そこを指の腹でぐりぐりと円を描くように圧迫しながら、お尻に道具を出し入れする。見た目には大した変化はないけど、これが数分も続くと、栞さんの反応が変わってくる。
「んっ、ん! ふ、ん……んん、んんっ!!」
 下唇を噛みながら、腰をヒクヒクと上下させる栞さん。明らかに、感じている。
「あはは、めっちゃ腰動いてる。感じてきたねー先生!」
「クリ弄られながらアナル弄られると、快感がゴチャゴチャになって訳わかんなくなるだろ? ネットに書いてあった通りじゃん!」
 当然栞さんの変化は、それを凝視している連中からすぐに指摘される。そうすればますます栞さんは意地を張ろうとし、かえって快感を意識することになってしまう。その悪循環がずっと続いた。クリトリスへの責め方も、あの手この手の指遣いだけじゃない。そのうちローターやマッサージ器まで持ち出し、何度も何度もクリ逝きさせる。
「やめっ、やめて、やめて! いやあっ!!」
 クリトリスで絶頂すればするほど、栞さんの声と表情からはまともさが失われていく。少しずつ、少しずつ。

 おまけに、何日か目のアナル調教では、クリ逝きよりもさらに過激なやり方が始まった。
「ほ……本気なの!? やめて、それは本当にやめて!垂れ流しになっちゃう!!」
 栞さんの拒絶も、いつにも増して激しい。それはそうだ。この日、悠真君達が標的にしたのは『尿道』──つまり、おしっこの穴なんだから。
「大丈夫だって、そんなガバガバになるまで拡げないからさ」
「そうそう。いつもみたく気持ちよくさせたげるって!」
 そんな言葉と共に、栞さんの手足が掴み上げられ、ローションに浸した綿棒が栞さんのおしっこの穴に押し当てられる。
「い、や……ぁあ、あ…………!!」
 綿棒が少しずつ進むにつれて、か細い悲鳴が漏れはじめた。栞さんの顔は恐怖に引き攣っている。でも、それに同情する奴はいない。
「すげー、マジでションベンの穴に入ってくぜ」
「思ったよか引っ掛かんねーのな。これピストン余裕じゃね?」
「だからってマンコ感覚ではやんなよ。尿道は傷がつきやすいって書いてあったろ」
 まさに自由研究の対象を観察するように、半笑いでそんな感想を言い合っている。
 その観察は、ずっと、丹念に続けられた。綿棒が何度も何度もおしっこの穴を往復し、その結果、栞さんの肉体に変化が起きるまで。
「あー、なんかちっとションベン漏れてねぇ?」
「ちょっと出てんな。ま、しゃあないでしょ」
「だな。それに見てみろよ、マジでクリ勃ってきてるぜ?」
 この会話──特に最後の一言で、栞さんの眼が見開かれる。
「っ!!」
「あはっ、イイ顔! その顔見ると、自覚あったんでしょ? だよねぇ。尿道の奥って、クリの根っこ刺激するのに最高のスポットらしいからさぁ。こうやって何度も何度も薄皮越しに刺激したら、外から弄るよりずっと効くんだって。今証明されたよね、それが」
 ネットでかき集めたらしい知識をひけらかしながら、連中は尿道を嬲り続ける。栞さんは、悔しそうにその笑い顔を睨みつけていた。相手の言葉を認めたくはない。でも、クリトリスの勃起を見られている以上は否定できない。だからだろう。
「よーし。んじゃそろそろ、コッチ使ってみっか」
 ある程度勃起を確認すると、一旦綿棒が引き抜かれ、入れ替わりに金属性の棒が尿道に宛がわれる。アナルに出し入れされていた凸凹つきの道具を、うんと細くしたようなものだ。
「……んっ、く、ぅ…………!!」
「痛い? 別にそんなでもないでしょ。ツルツルのステンレス製だし、ションベンで滑りも良くなってんだから」
「圧迫感がさっきとダンチなんじゃね? ま、ドヘンタイの先生なら、刺激強い方がいいでしょ」
 そんな下劣な会話の中、金属の棒はゆっくりと前後し続ける。
「やめて、本当にやめて…………!!」
 栞さんは歯を食いしばりながら、何度もそう訴えていた。でも、“観察”は止まない。
「おーっ。デカくなってきたぜ、クリ」
「前立腺弄られて勃起する感じなんかな。なんかスゲー興奮するわ」
 栞さんを取り囲む連中は、ギラついた目でそんな事を語り合っている。

 そうしてじっくりとクリトリスを勃起させきってからは、金属棒を奥まで押し込んだまま、『ギチギチに硬くなった』クリトリスへの刺激がはじまった。勿論、指や舌、ローターやマッサージ器なんかを余さず使って。
「あ、あっ!! だめ、触らないで!だめっ!!」
 栞さんは余裕の欠片もない悲鳴を上げながら、激しく手足をバタつかせた。明らかに、今までのどんなクリトリス責めの時より大きな反応だ。
「うわ、すげぇ暴れる! ポルチオに電気流してた時といい勝負じゃね?」
「まー、豆がこんだけ膨れてんだもんな。俺らで言ったら、フル勃起チンポの先っちょ扱かれてるようなもんじゃね?」
「あー、それキツいわ。先生に扱かせた時たまにやられるけど、スグ出ちゃうんだよな。おーし、効くとなればガンガンやるぞ!」
「そうそう。自由研究なんだから、気になった事は全部やんないと!」
 そんな事を言いながらクリトリスを嬲り続け、栞さんに大口を開けての切ない呻きを上げさせつづける。挙句にはクリトリスを責めたまま、アナル調教まで再開する。
「ああ、いやあっ!!!」
「何がいやーだよ、さっきからケツの穴ヒクヒクさせてたじゃん」
「イイんだろ?ションベンの穴とウンコの穴、両方刺激されんの。ヘンタイだもんなー先生って!」
 悲鳴を上げる栞さんを、すかさず数人が煽る。その煽りを受けて、栞さんの声は少し小さくなった。でも、それも一瞬のこと。完全に声を殺す事ができず、すぐにまた大口を開けての震える喘ぎが漏れはじめる。
 栞さんは、本当にお尻が弱いんだ。それは日を追うごとに、アナル調教が続くほどに、よりはっきりと見て取れるようになる。

 アナル調教が始まってから6日目。この日僕は用事があって、悠真君の部屋を訪れる頃にはすっかり夕方になっていた。そこで、僕は見たんだ。アナルで完璧に感じるようになった、憧れの人の姿を。
 
 部屋で繰り広げられる責めは、前日までの総決算という感じだった。
 ソファの上、マングリ返しの格好で足首を掴まれた栞さんが、天井を向いたアナルにバイブを抜き差しされている。尿道からは細い管が伸びていて、その管の途中は洗濯バサミでしっかりと留められている。その上で、クリトリスにマッサージ器が宛がわれているんだ。
 お尻に出入りしているバイブは、とうとうアソコに使われるものと同じ直径になっていた。そして、ピストン運動の時の音がとにかく酷い。ぶりっ、ぶちゅっ……そんな、ひどく濁った音の繰り返し。
 そんな恥辱を受けながら、栞さんは、明らかに感じていた。
「ああ゛、あ……あ゛っ!! はぁぁっ、ああ゛、う゛……あっ!!」
 数え切れないほど耳にした、絶頂する時の息遣いだ。
「へへへ。あの潔癖な先生が、完璧にケツで感じるようになってんな」
「ああ。クリ逝きさせながらガッツリ仕込んだしな。こーやって肛門コジ開けられんのも、バイブ引きずり出されんのも、全部絶頂のトリガーになってんだろ」
 嘲るような会話が聴こえてくる。認めたくない。あの清楚な栞さんが、汚い方の穴で感じるなんて。でも、視界に映る栞さんの白い足は、マングリ返しのポーズで押さえ込まれたまま、完全に絶頂する時の筋肉の動き方をしていた。生々しい声を聞くまでもなく、脚のうねり方だけで、相当気持ちいいのが見て取れる。
「ほら、“ひり出させて”あげるよ先生!!!」
 バイブを掴む奴がそう言って、思いっきりバイブを押し込んでから、勢いよく引き抜きにかかる。
「あ゛ぐうっ!! ん、ふっんんん゛ん゛っ!!!!」
 栞さんの口から苦しそうな声が漏れた。バイブが完全に抜け、ぽっかりと口を空けた肛門が見える。そしてその穴の中から、いきなり何かが飛び出した。一つだけじゃない。二つも、三つも。
 フローリングに鈍い音を立てて転がるそれは、カラフルなスーパーボールだった。栞さんはあんなものをお尻の中に詰め込まれたまま、バイブ責めを受けてたんだ。
 そして、栞さんのお尻から出てきたのは、スーパーボールだけじゃない。かなり大量の、とろりとしたもの……たぶんローションが、お尻を覆い尽くすようにしてあふれ出している。
「はははっ、先生勢いよくぶち撒けすぎ! シャワー浣腸でキレイにしてなかったら、そこら一面クソまみれだよ?」
 当然、嘲笑と嫌味ったらしい言葉が栞さんに投げかけられた。でも、それに対する栞さんの答えがない。
「はっ、はっ……はあ、あ、はっ…………」
 栞さんは、ひたすらに荒い息を吐き出しながら、目を見開いて自分のあそこの辺りを眺めていた。信じられない、という表情で。
「うっひゃっひゃ、オイオイ先生、なんつー顔してんだよ!?」
「かはははっ、カワイー顔してんなぁオイ!!」
 栞さんの魂が抜けたような表情は、追い込む人間にとって相当に面白いものだったらしい。全員が全員大笑いし、面白そうに責めを再開する。飛び散った何個ものスーパーボールを一つずつ拾っては肛門に入れ直し、最後に哺乳瓶のようなものを突きたてて、大量のローションを腸の中に流し込む。
「うぐうっ……!! ほ、本当に、いい加減にして……。お腹が、緩くなるわ……!!」
 栞さんはそう呟いたけど、聞き入れられるわけもない。
「いいよ、緩くなっても。どんどんひり出しなって、笑ってやるからさ」
「そうそう。ま、仮にも教師気取るんなら、ちょっとは我慢した方がいいと思うけどね」
 そんな事を言いながら、またバイブを遠慮なく抜き差しし、クリトリスを責めはじめる。
「はうう゛っ!! う……はぁ、あ…あ゛、あ゛ぉ……っ」
 苦しそうな喘ぎがまた始まった。しかも今度は、さっきよりも重苦しい感じだ。
「うんうん、イイ声イイ声」
 責めている連中はいよいよ気を良くして、容赦なく手首を動かす。状況はますます悪くなっていく。そして、ある時ついに。
「…………あ、あ゛……はっ、んああお゛お゛っ!!!」
 低い声が、部屋の中に響きわたる。僕は最初それが、栞さんの発した声だと気付けなかった。そのぐらい、低く濁った声だった。
「ひゃ、ひゃははははっ!!! ちょ、先生、何いまの声?『おお゛』っつったよな!?」
「ああ、間違いねぇ。俺も聴いたぜ!」
「ははははっ、気持ち良さそうな声だ! 女っぽさ捨ててるけどなあ!」
 栞さんを囲む連中は、身を捩ってゲラゲラと笑い転げる。その中心で栞さんは、天井を見つめたまま目を見開いていた。その瞳は、何度か力なく瞬き、一筋の涙を流す。
 どうやら僕はまた、彼女が『何か』を失うところを見てしまったらしい。

 栞さんは、散々オモチャで嬲り者にされた後、ぐったりしたままフローリングに倒れこんだ。そんな栞さんの背後に、悠真君が歩み寄る。
「さて。練習問題も終わったんだし、いよいよ実習だよ、先生」
 彼はそう言って、栞さんの尻を右手で掴み、左手で勃起した物を掴んで肛門に宛がう。栞さんは疲れ果てているようだったけど、今からされる事を察したんだろう、必死で身を捩りはじめた。
「えっ……!? い、いやっ、やめて!それだけはダメっ!!!」
 鬼気迫る感じの声。生身でお尻を犯されるというのが、どうしても受け入れられないんだろう。でも、だからこそ、悠真君は強引にお尻の穴に割り入っていく。
「あ……あ、ああぁっ…………!!」
 栞さんの口から漏れる声は悲痛そのものだ。逆に悠真君は薄笑みを浮かべたまま、前へ前へと腰を送り込んでいく。
「よーし、入った。はは、入口すげー締まるな。食い千切られそう」
 すっかりアレが見えなくなったところで、悠真君が笑う。
「さ、動くよ先生」
 そう言葉が続き、やめて、という栞さんの言葉を聞きもせず、ピストン運動が始まる。パンッ、パンッ、という、聞き飽きるほど聞いた音が響きだす。
「へへへ。どうだよ悠真、具合は?」
「ああ、良い。入口の締まりが凄くて、きついゴムでチンコ扱かれてる感じだ。奥の絡みつく感じはマンコの方が上だけど。ああ、あとは先生の反応がいいな。よっぽど後ろでされるのが嫌なのか、太股がすごい緊張しててさ、初めてレイプした時みたいだ!」
 悠真君の感想に、場が沸きあがる。
「オイオイ悠真、言葉に気ィつけろよ。レイプなんてとんでもない。俺ら、先生にセックスの手伝いしてもらってるだけだろ?」
「ああ、そういやそうだな。自由研究だった。そういう意味じゃ、また一個分かった事あんぞ。先生って、『レイプ』って言葉出すと、すげー締まり良くなる」
「ははっ!マジかよ、ドMじゃん!!」
 外に聴こえないか心配になるぐらいの罵倒。その中で栞さんは、床に手をついて必死に歯を食いしばっていた。
「あー、ホント気持ちいい。先生のアナル犯してると思うと、余計興奮するよ。あの色恋沙汰に縁のなさそうな、真面目一辺倒の女がさ、今じゃ後ろの穴で俺の咥えこんでんだもんな!」
 悠真君は嬉しそうにそう言いながら、腰を打ちつける速度を速めていく。
「う、う……先生、先生のアナルに出すぞっ!!」
「はぁっ、はぁっ……や、やめ……てぇっ!!」
 悠真君の宣言と、栞さんの悲鳴。それが交じり合った直後、悠真君の腰が止まる。射精だ。
「う、あああ……ははっ、後ろもいいもんだな」
 悠真君はそう言って、ゆっくりと腰を引く。白いお尻の合間からずるりと勃起したアレが抜き出され、白いものが零れだす。いつもみたいに割れ目からじゃない。少し口を空けた、窄まりから垂れ落ちている。それを見た瞬間、僕は実感してしまった。栞さんの『もう一つの穴』が征服された事を。栞さんのセカンドバージンが、目の前で奪われた事を……。
「おっし、んじゃあ俺らもいくか!!」
「おお、当然だ!!」
「へへ、楽しみだな、ここ最近はアナル開発ばっかで、クチで抜かせるぐらいしかしてなかったからよ!」
 悠真君に続き、アレをいきり立たせた連中が次々と栞さんに群がっていく。

 アナルレイプが始まった。
「うは、スゲー締め付け。チンコがもぎ取られそうだ!!」
「マンコも口も良かったけど、ケツもいいな。先生の穴は全部最高だぜ!!」
「ああ俺、先生のケツ犯してんだよな。はは、マジで興奮するわ!!」
「あのいかにも『清楚』って感じの先生が、アナルまで解禁とはなー。来るトコまで来た感じするよな!」
 悦びと嘲りの言葉が絶え間なく飛び交う。その両方が、栞さんの表情を歪ませた。
「はっ、はっ……お願い、そっちは嫌!抜いて……ぬいて、ぇ……!!」
 荒い呼吸の合間に、栞さんは何度もそう哀願していた。でもそれすら、犯す連中の笑いの種になる。
「んだよ先生、えらく可愛い声出して。家庭教師してる時のクールさはどこ行った?」
 そんな風に茶化されれば、栞さんは声を殺すしかない。
 初めの何人かは、栞さんに這う格好を取らせたまま、背後から犬のように覆い被さって犯していた。でもそのうち、栞さん自身にもアナルを犯されている所を見せるために、マングリ返しの格好で抜き差しする奴も出てくる。それも、わざと急な角度をつけ、お尻から溢れる精子なんかが栞さんの顔に掛かるようにして、だ。
「ほら、見えるだろ先生。先生のケツマンコに、俺のが出たり入ったりしてんのがよ。どんな気分だ?小学生のガキにケツ掘られるってのは?」
 当然、そんな言葉責めが軽々しく投げかけられ、栞さんの表情を歪ませる。
「もっと良く見えるようにしてやるよ、先生!」
 その言葉と共に、また大きく犯し方が変わった。下からお尻の穴を突き上げる形で、大きく脚を開かせての挿入。大きな姿見の真正面でそれをやれば、繋がっているところが全部見えてしまう。
「いや……ぁ……っ!!」
 栞さんは目を固く瞑り、顔を背けた。でもすぐに別の奴が、栞さんの目を開けさせ、顔を正面に向かせなおす。
「ほら先生、ちゃんと見ないと!」
 そう言って顔を固定される栞さんの表情は、複雑だった。睨んではいるけど、その眼光が弱々しい。
「コッチが寂しそうだな、刺激してやるか!」
 一人がそう言ってマッサージ器のスイッチを入れ、栞さんの割れ目の上に宛がった。
「はぐっ!」
「はは、どうだ? ケツ犯されながらクリ逝きする気分は」
 乳房を揺らして反応する栞さんを、半笑いの目が見下ろす。
「すげー、どんどんマン汁溢れてらぁ」
「おおお、ケツん中もすげぇぜ、グニグニ動きやがる! これ、腰振んなくてもイケるわ!」
 栞さんの前にいる奴からも、中に入っている奴からも興奮気味の声が漏れ、ますます栞さんの表情が歪む。そういう栞さんの顔に、周りで見ている連中もそそられはじめたらしい。
「……あー、もう我慢できねぇ! おい、前にも入れさせろ!」
 マッサージ器でクリトリスを責めていた数人を押しのけるようにして、一人が栞さんの前に立つ。そして勃起しきった物を握りしめ、栞さんに覆い被さっていく。
「だ、駄目、両方なんて!!」
「うるさいよ。べつに先生の許可なんていらないから」
 栞さんが真剣な表情で拒否しても、性欲に煽られた獣が止まるわけがない。奴は何の躊躇いもなく割れ目にアレを押し付け、ズブズブと中に沈めていく。
「あああ……!!!」
「はは、すげ。ケツにも入ってるせいか、いつもとマンコの形違うわ。なんか新鮮」
「うお……ケツの方も、急に締まって来たぜ!?」
 栞さんと前後の2人が、揃って顔を歪める。栞さんは苦しそうに、他の2人は気持ち良さそうに。
 繋がった3つの身体が揺れるたび、ギシギシとフローリングが軋む。揺れる乳房を、後ろの奴が手を回して鷲掴みにする。栞さんの姿が、どんどん見えなくなる。
「あはははっ、スゲー。俺のチンポ、ウンコだと思われてんのかな。めっちゃ気張ってひり出される感じなんだけど!」
「ははっ、そりゃケツだからな。マンコの方はむしろ、グイグイ締め上げてくるぜ。いつも通り、ザーメン吸い出す動きだ。なあ先生、俺の精子が欲しくなってきたんだよな? ずっとケツ弄られるばっかで、コッチはお預けだったもんな? ああすげぇ、出すぞ、もう出すぞ中にッ!!!」
 思いの丈をぶつけるように腰を動かした挙句、前から入れている奴が絶頂に入る。
「だ、だめ、中はやめてっ!!」
 当然、栞さんは拒絶する。でも、前後から挟まれた状態では逃げようもない。できる事といえばただ1つ、フローリングを足の指で掴んだまま、精子をあそこの深い部分で受け止めることだけだ。
「ああああ、だめ、だめ……!!」
「うははっ、気持ちイイーーっ!!マンコの奥ヒックヒクしてる!!」
「ああ、ケツもだ。こんなグニグニ纏わりつかれたら……搾り、取られるっ!!」
 前の奴が射精している最中、後ろの奴も刺激に負けて身体を強張らせる。前後からの同時射精。
「ああ、ああぁぁ…………っ!!!」
 栞さんの指が、怯えるように犯している奴の肩を掴む。

 その後も、入れ替わり立ち代わり、色んな奴が前後から栞さんを犯し続けた。体格差があるから、パッと見は栞さんが後ろの奴に深く腰掛け、そこに前の奴が抱きついているようだ。あくまで栞さんが中心のセックスに見える。でも実際には、栞さんが一方的に追い詰められているだけだ。
「はははっ、気持ちイイーーっ!! ケツん中が動きまくってて、腸でフェラされてるみてぇ!!」
「前も最高だ、めっちゃ感じてる動きしてる。しかし俺らガキのチンポでも、2穴同時に入れっと結構ゴリゴリ当たんのな。AVとか、あんなデカチンでよくやるよ」
 前後から犯す2人は、腰を突き上げつつそんな台詞を吐く。そして周りの連中も、ただ黙って見ているわけじゃない。
「ほら、しっかりしゃぶってよ。そんなんじゃいつまで経ってもイケないって!」
 ある奴は、栞さんの顔を横向けさせてアレを咥えさせ、
「じゃあ、俺は手でしてもらおっかな。栞さんの手って、スベスベで柔らかくって興奮すんだよなー」
 ある奴は、栞さんの手を掴んでアレを扱かせ、
「ははっ、乳首超勃ってきてんじゃん。二穴責めで興奮してんのか?」
 またある奴は、しこり勃った乳首を指で扱いた。
 そのすべての責めが、栞さんを追い詰めていく。30分もオモチャにされた頃には、栞さんは目に見えて疲れ果てていた。
「はぁ、はぁ、はあ、あはああっ…………」
 前後から突かれ、乳房を揉みしだかれたまま、荒い息を繰り返す。目に力はなく、熱に浮かされたようにぼうっとしている。腕だって、掴まれたままだらりと垂れ下がるまま。上半身には、一切の力が残っていないように見える。
 でも、下半身は違った。大股を開いた足は筋張りながら何度も跳ねる。受ける印象は、つらさよりも、むしろその逆。
「ははっ、先生。とうとう自分で腰振るようになっちゃったな」
 後ろから犯す奴は、そう言って嘲笑う。
「イク時はちゃんとイクって言わないと……いや、違うか。もうちょっとイカないように我慢しなよ先生。俺らがいいって言ってからイクんだ。いいな?」
 あそこに入れている奴は、ニヤけ顔でそんな提案まで始める。
「あっ、ひ……あっ!! そ、そん……な、あ…………」
 栞さんは顔を歪め、苦しそうに呻いていた。イクのを禁止されて苦しんでいる。あの栞さんが。犯されて、犯しまくられて、『イカされるのが屈辱』なんて段階をとっくに超えてるんだ。
「はは、震えがひどくなったな。でも、イクなよ? どんなにイキたくても我慢するんだ。俺らの許しがないとイケない奴隷だってことを、脳ミソに叩き込んどけ!!」
 犯している奴は、栞さんを馬鹿にしきっている。自分より遥かに年上のいいオトナを、あの賢くて品のある彼女を、奴隷扱いだなんて。
 でも、事実として栞さんは奴隷同然だ。
「ほらっ、まだだ。まだイクなよ!?」
「そうだ、俺らがザーメンぶちまけるのと同時にだ。まだだ、まだだぞ……!」
 前後の奴が腰を振りたくり、穴の奥底に欲望をぶつけていく。
「い、いやっ……激しいっ、あ、ひあっ!!」
 栞さんは固く目を瞑り、されるがままに身を揺らす。それが数分続いた後。
「く、うっ……俺の方は、もう、そろそろだ!!」
「は、はぁっ……お、俺もだ。よし、イっていいぞ。俺らのザーメン、ケツとマンコで味わいながら、その熱さで逝けっ!!!」
 オス2人が頬を緩め、快楽に浸りはじめた。その瞬間ようやく、栞さんも絶頂を許可される。それは彼女にとって、どれだけ屈辱的なことだろう。
 でも。
「はぁっ、あっ……ん゛ああ゛あぁ゛っ………い、イク……………!!」
 背を伸ばし、天を仰ぐようにして絶頂する栞さんは、今までのどの瞬間よりも気持ちが良さそうだった。うっすらと開けた瞳に、知性のようなものは感じられない。
「くくっ、馬鹿みたいな顔だな先生。駅前でゲラゲラ笑ってる、頭カラッポな女にソックリだ」
 悠真君がそう言って笑い、栞さんの顎をつまみ上げた。
「い、いや……見ないで…………」
 栞さんは、誰より憎いはずの悠真君を睨めない。ぼんやりとした『抜けた』表情のまま、弱々しく恥らうばかりだった。


       ※        ※        ※


 それからは、いつ悠真君の家に行っても、栞さんが大勢にオモチャにされている光景を目の当たりにするようになった。
「ああ、それはダメっ!! ダメダメ、ダメっ!!!」
 ベッドに腰掛ける格好で、背後からアナルを犯されつつ、指でクリトリスを弄くられる。栞さんは、髪を振り乱して叫んでいた。
「ははっ。ホントにこれがお気に入りなんだな。クリ弄りながら、ケツ突かれまくんのがさあ!!」
 お尻を犯す奴は、先生が激しい反応を見せれば見せるほど調子に乗って、さらに激しく腰を振る。そしてその最中、戸口に立つ僕の姿に気がついた。
「へへ……愛しの“たっくん”が来たぜ。ほら、教えてやんなよ。今俺にハメられて、自分がどうなってんのかさぁ!!」
 そう言いながら、わざわざ僕の方に向き直る。
「あっ……!?」
 栞さんは、そこでようやく僕の存在を認識したらしく、手足を強張らせながら口を噤んだ。
「へへへ、さすが必死だな先生。でも、今の今まで甘い声でアンアン喘いでたくせして、いつまで我慢できるかなあ?」
 その言葉と共に、ギシギシという音が激しくなる。
「ほら、よく見せてやろうよ!」
 部屋にいる他の人間も、栞さんの足首を掴んで結合部を見せようとする。でも、僕にはとっくに全部見えていた。歪んだ形のまま、パクパクと開閉するあそこも。そこから溢れている愛液も。その割れ目よりもっと下、間違いなくお尻の穴の部分に、茶色いアレが出入りしているのも。
「ほら先生、気持ちイイんだろ。さっきみたく喘いでみろよ!」
「う、うっ……! うんっ、ん、ふううっ……んっ……!!」
 栞さんは、下唇を前歯で押さえて必死に声を殺していた。でも、それがもっていたのもほんの数分。
「あっ、んっ!あっあっあっあっ……はぁっ、あ……いやっ、あっ!!」
 気付くと栞さんの口からは、また喘ぎ声が漏れていた。掴みあげられた足も、本当に気持ち良さそうに蠢いていた。そして。
「ああ、いくぞ、いくぞ先生っ、いくぞおおっ!!!」
「あ、あ……だめぇ、だめ……ん、くううっ……んんんっ!!!」
 後ろの奴が絶頂し、それを受けた栞さんも、申し訳程度の拒絶の後に天井を仰ぐ。眉を顰め、唇を噛みしめ……それが栞さんの絶頂顔だなんてことは、とっくにわかってしまっている。何度も何度も、見せ付けられてきてるんだから。
「ああーー、気ん持ちいいーー! やっぱ愛する“たっくん”が見てる時は、反応が違うわ。“たっくん”、ナイスギャラリー!!」
 犯していた奴は、栞さんのお尻からアレを抜きつつ、俺に親指を立ててみせる。ぽっかりと口を空けた尻穴からは、影になっていてもわかるぐらい白いものが流れ落ちていく。
「う……あ…………」
 項垂れながら、疲れたような声を漏らす栞さん。でも、彼女の周りにはバキバキに勃起させたものを扱きあげる連中が列を作っている。まだまだ、解放される感じじゃない。
「ほら先生、今度は俺だ!」
 一人が栞さんを床に引き摺り下ろし、這う格好を取らせた。そして今の今まで犯されていた尻穴に、また赤黒いものを突き入れていく。
「ううあっ……!!」
「へへへ、イイ声イイ声。しかもキチーな、すんげぇ締め付けだ」
「ああ。やたら嫌がるとは思ってたけど、まさかこんなにケツが弱いとはなぁ」
「抜き穴としちゃあ、奥までねっとり絡み付いてくるマンコの方がいいけど、ケツだと反応がいいんだよな。可愛いし色っぽいし」
「それ。育ちの良さが出てるって感じだよな。昭和の女感あるっつーか」
「な。昔の小説にやたら浣腸とか出てくる理由、先生見てやっと理解したわ。品のある女は、ハズカシーとこ犯すのが一番だってよ!!」
 部屋にたむろする連中は、栞さんを見下ろしながら語り、頷きあう。僕には理解できないし、したくもない領域の話だ。こんな奴らに栞さんを独占されているのは屈辱でしかない。僕なら、栞さんを普通に愛してあげるのに。恥ずかしがったり泣かせたりなんかさせずに、普通に。
 でも、栞さんに視線を向けると、何となく連中の言っている事が理解できてしまう。
「んっ、んん───っあ!」
 お尻だけを突き上げる格好で犯される栞さんは、恥ずかしそうに声を漏らしながら、色白な細い身体をゆらゆらと揺らしていた。『艶かしい』という言葉を体現するようなその動きは、確かに昭和の女性的な魅力がある。男として、本能的に『そそられてしまう』。
「しゃぶってよ。その可愛いお口でさぁ」
 僕と同じくそそられた人間が、栞さんの前に立ってアレを突き出す。栞さんは一瞬だけ困った顔をして、また一瞬だけ僕の方に視線を向けてから、
「先生、はやく」
 その催促の声で口を開く。
「あああぁ……」
 しゃぶられた奴の声を聞くだけで、どんなに気持ちいのかが分かってしまう。
「んむっ、んっ、んっお……!んぉっう、ぶっ!んっ!!」
 前後から犯される栞さんの声は低い。何度も噎せるような声が混じっているし、鼻息だって荒い。でも、気持ちが良さそうだ。
「んんっ!ん……っは、ぁああ……っ」
 たっぷりの精液を鼻先に浴びせられながら、栞さんは久しぶりに空気を吸う。でも、休む暇なんてない。
「──ぅあっ!?」
 後ろから犯す奴が栞さんの手首を取り、反り返った自分の腹に栞さんを乗せるような格好で犯し始める。その体勢だと当然、『前』はがら空きだ。
「へへ。んじゃコッチも……」
 当然、別の一人がそのスペースを埋める。
「いひっ!!ひぁっ、あ……あ!!」
 栞さんは仰け反ったまま、目を剥いて悲鳴を漏らした。なんだかすごく幼い……僕らより、さらに4つぐらい下の子の出す声みたいだ。
「へへへ、いい締まりだ!!」
 アソコに挿れた奴が満足そうな笑みを浮かべる。
「いや、ぁっ!!」
 栞さんは首を振って否定の言葉を吐く。
「またまたー、サンドイッチで犯されんの好きなクセに。あと、チンカスだらけのクッセェチンポしゃぶんのもな!」
 また別の一人がそう言って、栞さんの口にアレを捻じ込んだ。仰け反った顔に腰を押し付ける形だ。
 そして、3穴の蹂躙が始まる。前後の穴では、カリ首まで見えそうなぐらい大きく引いて、根元まで押し込む大きなストロークで抜き差しが繰り返されていた。口は口で、後頭部を押さえつけて深く咥えさせている。
 ぶちゅう、ぶちゅう、という水音に、う、う、という呻きが交じる。栞さんの脚は、前から犯す奴の腰を挟むような形でブラブラしていた。でもその足に、段々力が入りはじめる。脛が浮き出て、足指がピンと伸びる。
「んんっ、んっ!んぉおおうっ!!」
 切羽詰った感じの呻きが漏れた、直後。栞さんの細い腕が、口に咥えさせている奴の腰を突き放す。
「ぶはっ!!や、やめて、こんな、同時はやめてえっ!!」
 叫びも悲痛だ。明らかに余裕がない。奥手な栞さんのことだ。3穴をメチャクチャにされるのは、肉体的にも精神的にも堪らないんだろう。でも、そうやって追い詰められた栞さんを、ケダモノ連中がはいそうですかと解放するはずもない。
「やめるわけないじゃん、チョー気持ちいいのに。ほら、気入れてしゃぶってよ!」
 そう言って栞さんの顔を掴み、また強引に咥えさせる。
「ダメダメ言うってことは、3穴責めが相当気に入ってるみたいだな」
「ああ。先生って、ド嵌まりする事ほど嫌がるもんな!!」
 前後の穴に入れている奴も、さらに激しく腰を振りはじめる。その動きの行き着く先は、射精だ。
「よーしお前ら、同じタイミングでイくぞ。先生の3穴に同時にぶちまけてやるんだ。なあ先生、楽しみだろ!?」
 お尻に入れている奴が、笑みを浮かべてそう言う。
「オッケー、面白そうだ!」
「だな、俺ならいつでもイケんぜ!!」
 他の2人も同調して、3人は目で合図しあう。仰け反ったまましゃぶらされている栞さんは、その合図を見ることさえできない。そうして栞さんにとっては完全に不意打ちになるタイミングで、3人は射精を迎えた。
「んぶっ!? んんおっ、んぉおおおっ!!!」
 口に物を含んだまま、栞さんが悲鳴を上げた。
 口と、あそこと、お尻の中。その体内3箇所に、好きでもない子供の精液を流し込まれる──それは、どんな心地なんだろう。想像してみたけど、とてもイメージが湧かない。ただ、少なくとも、死にたいぐらい嫌なことに違いないんだ。僕の知っている、あの高潔な栞さんなら。
「へへへ、目ェ剥いてやがる。んなに3穴出しが良かったのか?」
「まーだマンコがヒクついてるよ。これから毎日、何十回も何百回もやってやるよ」
「そうそう。自分からオネダリするようになるまでね」
 出すものを出した3人は、白い飛沫を撒き散らしながらアレを抜き出す。
「えあっ……」
 栞さんは口から精液を零しつつ、一瞬項垂れた。
「よーし、次だ次!」
「じゃんじゃんヤッてやろうぜ。3穴レイプが病みつきになるまでよ!!」
 サッカーの試合で聞くような、熱に満ちた声が上がる。
「いやっあ、やめてえ!!」
 咄嗟に身を引いて逃げようとする栞さんだけど、子供とはいえ何匹もの欲望に満ちた猿に絡みつかれれば、力では敵わない。あっという間にフローリングの上で組み伏せられ、限界まで勃起したものを『性器』に捻じ込まれる。
 ひどい絵面だ。
 仰向けになった栞さんの上に、3人が乗っている。一人は栞さんの頭上に腰を下ろしたまま、万歳をするような形で両手首を押さえ込み、腰を前後させて喉を犯す。
「ぐおっ、おぐうっ!!んぐぅおおっ、オ゛ッお、んむぅおおお゛ーーーっ!!」
 完全に晒された白い喉からは、初めて聴くような低い呻きが漏れていた。でもそれだって、喉奥を犯すポーズのえぐさを見れば納得するしかない。
 それに、栞さんを苦しめるのは喉への侵入ばかりでもなかった。Mの字に大きく開かされた股座にも、2人が圧し掛かっている。一人は腹から乳房にかけて覆い被さるようにしてアソコを蹂躙し、もう一人はそれに背を向ける形で、中腰気味にアナルを突いている。子供だからできる密集体位。それはまるで、白い木の幹に、蜜を啜るべく3匹の蟲が群がっているようだった。
 直視できないレベルの凌辱。
「んぐっ、ごおおっ!!ふむ゛ぉおお゛あおおえっ!!」
「はははっ、ノド気持ちいいーー! 吐きそうな時の動きが最っ高!!」
「ほらぁ先生、もっとマンコ締めなよ。まだまだ後つかえてんだからさあ!!」
「ケツでも気張れよ、もともと入口しか締まんねーんだからさ。とっととイカせねーと、擦り切れるまで犯すぞ」
 苦しむ栞さんに比べて、犯す方は楽しそうだ。いちいち言葉責めを織り交ぜつつ、征服の快感に浸っている。
 そしてそれは、ずっと続いた。誰かが射精すれば、そのポジションに別の誰かが入る。そうして、途切れる事もなく凌辱が続くんだ。『無間地獄』というものがあると、いつか栞さんに教えてもらったことがあるけど、まさにそんな感じがする。でも、大罪人を裁くためのその地獄に堕ちたのは、何の咎も無い栞さんだ。そしてその栞さんを獄卒気取りで追い込んでいるのは、まさに地獄へ堕ちるべき悪鬼共。
 これが、現実なのか。こんな不条理が。
「そろそろ、限界だな」
 ぼそりとそう呟いたのは、この地獄を支配する天使のような悪魔だ。そして、彼の発言は正しかった。
「んおお゛お、オ゛ッ!!!」
 それまで延々と悶え苦しんでいた栞さんが、ある瞬間、顔面に跨る奴の腰を持ち上げた。そして、目をかっと見開いて悠真君を見上げる。凄まじい形相だ。とてもクールな美人顔とは結びつかない。とうとう堪忍袋の緒が切れて、怒りをぶつけるんだろうか。僕はそう思った。でも、違った。
「もおお゛お゛お゛いやああ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ーーーーーっっ!!!」
 栞さんの喉から迸ったのは、割れんばかりの絶叫だった。
「おねがい、こんなのダメ!!か、解放して!もう許してっ!!!」
 栞さんは、とうとう音を上げた。集団のボスに媚びる形で。
「ははは、鳴き入れんなよ先生!!」
「あの映像のこと忘れたの? 頑張んないと!!」
 当然、部屋の連中はここぞとばかりに茶化す。でも栞さんの辛そうな表情は、すでに歪みきっていて変わらない。
 栞さんだって、セックス映像の件を忘れていないはずだ。でも、その事を踏まえても耐え切れない状態なんだろう。僕は、それでもいい。あれが流出したなら、僕も栞さんも不幸になる可能性があるけど、それは見守ることしかできない僕への罰だ。少なくとも、栞さんの心が壊れるよりはいい。
 ただ、悠真君がそんな要求を受け入れるはずが…………

「いいよ。」

 悠真君は、あっさりとそう言い放った。
「…………えっ!?」
 僕も、栞さんも、そして場の全員も、同じ声を上げる。誰もが想像しなかった言葉だったから。
「お、おい、本気かよ悠真!?」
「冗談でしょ!?」
 すぐに何人かがそう食ってかかる。すると悠真君は、笑った。僕らが覚悟していたより、ずっとタチの悪い……『天使』の笑顔で。
「別にいいよ、先生がどうしてもイヤだっていうなら。ただ、俺達もう女の味を知っちゃったからさ。先生がいなくなったって、抑えは利かないと思う。たぶん、ムラムラしたら……適当な相手を襲っちゃうんだろうな。たとえば、クラスの女とか」
「ッ!?」
 悠真君の発言に、栞さんの顔が限界以上に歪む。僕も背筋が凍った。
 まさに悪魔だ。悠真君は今、あどけない表情で、栞さんに二本目の楔を打ち込んだんだ。もし自分達の相手をしないなら、別の誰かが犠牲になると。それも、その相手はまだ小さな子供かもしれないと。
 この楔は深い。仮にもこの場にいる僕と違って、新しい犠牲者はこの乱交とは無関係だ。そんな可能性を仄めかされたら、栞さんは、今度こそ逃げようがない。
「な、何を考えて……!!」
「もちろん、先生がいなくなったらの仮定だよ。俺らみんな、先生の身体に夢中だからさ。先生さえいてくれたら、それで満足できるから」
 輝かんばかりの笑顔で、悪魔じみた言葉を吐く悠真君。
「ひひひ、そうそう。先生さえヤラせてくれりゃ、それでいいぜ」
「先生ってスタイルいいし、オッパイでかいし、美人だし、オンナとして最高だもんな。このカラダ好きにできんなら、とりま不満ねぇわ」
 他の連中も、次々と悠真君に同調していく。岡村や三橋もその中にいる。
 連中だって、普段は子供らしい眼をしてるんだ。でも今は、瞳に澄んだ部分が残っていない。だからこそ、その言葉には説得力がある。連中は栞さんという性欲の捌け口を失えば、きっと別の誰かを犠牲にする。たぶん、攫いやすいクラスメイト──それこそ、悠真君を王子様として慕う子あたりから。


「すげーな。もう前のザーメン出さねぇと、新しいの入んねーぞ」
 フローリングに仰向けで横たわる栞さん。そのアソコの精液を指で掻き出しながら、岡村が苦笑いを浮かべる。
 二つ楔を打たれた栞さんは、もうこの家から逃げることはできなくなった。逃げられないまま、繰り返し繰り返し繰り返し、3つの穴を『使われ』続けた。
 今も閉じない3穴からは、次々と精液があふれ出てくる。栞さんの顔は、目を薄く開いたまま失神しているような感じだ。全身は汗と精液とローションに塗れ、あらゆるところに縮れた黒い毛が絡みついている。
「ここまで汚れてんだ、いっぺんフロで洗おうぜ!」
 一人がそう提案して、栞さんはバスルームへと連れ込まれる。でも、そこでだって湯船に浸かって休めるわけじゃない。
『あああ、いいよ先生。マンコがすげー熱くなってる。先生もいいんだよな、濡れまくりだもんな? もうヌルヌルで、ボディソープだかマン汁だかわかんねーよ』
 そんな声と共に、肉のぶつかる音が反響しながら聴こえてくる。バスルームのガラス越しには、壁に手をついて膝を曲げたスレンダーな女性と、それに後ろから抱きすがって腰を振る子供のシルエットが見てとれる。
 
 風呂から上がれば、また家中のあちこちでセックス漬けだ。
 ソファに大股を開いて座ったまま、一人にキスをせがまれ、横から乳首を弄られ、せっかく綺麗になったアソコを舌で嘗め回され。あるいは両乳首を吸われ、あるいは数位八方から突き出されたアレを順番に舐めしゃぶっては口に出され。
 そんな事をされながらも、もはや栞さんに抗う気力はないようだった。
「はえっ、あう、お……! あえっ、れあっ……うむっ、う゛……!!」
 呻き声を漏らしながら、されるがままになっている。
「えらいね先生、ちゃんと耐えて。先生がそうやって犠牲になってる限り、あのビデオは出回らないし、どこかの女の子がイタズラされる事もない。先生は、色んな子供の将来を守ってるんだよ」
 悠真君は、犯され続ける栞さんに何度もそう言って聞かせていた。まだ子供の僕にも解るぐらい、あからさまな洗脳だ。でも悠真君の語り口調には、『そうなのかも』と相手に思わせるような魔力がある。それに普段ならいざ知らず、今の余裕のない栞さんの頭になら、見え透いた洗脳だってすんなりと染みこんでしまいかねない。


       ※        ※        ※


 もう栞さんには、選択肢なんてない。ただ悪魔じみた子供の言いなりになり、朝から晩まで与えられる快楽に溺れていく。ポルチオが開発されたせいか、栞さんの性感はすっかり研ぎ澄まされてしまった。
 そうして変わっていく栞さんを、悪童共はますます図に乗って弄ぶ。

「はぁー……っはあーーっ…………はぁあ…………っ!!」
 小さな口に2本のペニスを咥えさせられ、両手でも一本ずつ扱かされ、三橋に跨る形で突かれながら、栞さんは荒い呼吸を繰り返す。時々は瞳に力が戻ることもあるけど、喉奥やあそこを突かれるうちに、だんだんと焦点が乱れていく。
 それがすっかり『普通のこと』になってしまっているから、もう周りの連中が茶化しすらしない。栞さんへの罵詈雑言は嫌いだけど、まさかそれを懐かしむ日が来るなんて。
「んん……んんんあっ!」
 2本をしゃぶっている口から、甘い声が漏れた。同時に、両膝がもぞもぞと動きはじめる。仰向けになった三橋の腰の上で、うねるように。それがまたショックだ。
 セックスの虜になりかけていても、栞さんは栞さんらしさを残していた。自分から大股を開くことはなくて、床に座るときは正座、人に跨る時は体育座りに近い格好を取る。今だってそうだ。だからこそ、その体育座りの形のまま、気持ち良さそうに動く足は直視がつらい。『あの栞さん』が感じているんだと、嫌でも理解させられるから。
「へへへ。先生、俺が突くペースより早く動かないでよ。いくら、蕩けたポルチオぐちゅぐちゅにされて堪んないからってさあ」
 三橋が半笑いの声を出す。三橋は色白なインテリだし、声が高くて、気も弱い。2年の頃は、女の子みたいだといってイジメられていた時期もあるぐらいだ。なのに、その奴でさえ今は、すっかり凌辱者の姿が板についていた。態度が堂々としていて、腰を突き上げだってAVの男優みたいだ。毎日セックスっていうハードな運動を続けているせいか、ガタイさえ良くなってきている。
 勿論、三橋だけじゃない。岡村も、他のクラスメイトも、別人みたいに雰囲気が変わっていた。
「よーし。今度もまた、3人で同時に出すか!」
「ああ。俺ぁいつでもイケるぜ!」
「僕も問題ないよ。さっきから限界ギリギリで射精溜めてるとこだからさ」
 口とあそこを犯す3人が示し合わせ、手でタイミングを調整をしつつ、同時に発射する。
「ぶふっ!!ごふっ、げうっ……!!」
 口に射精したのは、栞さんの噎せる様子と、零れる白い液体で。膣に射精したのは、強張る太股の様子で。はっきりと見て取ることができた。
「ああああっ……あ」
 ペニスが抜かれた後も、栞さんの口は閉じない。精液の絡みついた舌をはみ出させつつ、どこかうら悲しいような表情を見せている。
「なんだよ先生、さびしそーなカオしてさぁ?」
 一人が笑うと、栞さんの視線が斜め上に動いた。
「はぁっ……。おねが…い…………いかせて」
 パクパクと開く口から漏れるのは、哀願だ。当然、追い詰める連中はニヤケ顔になる。
「だめだめ。先生もうすっかりポルチオ中毒んなってっから、何回か中イキするとヘバっちゃうだろ。ああなると、何人もで輪姦(マワ)せないじゃん」
「そうそう、簡単にはイカせないぜ」
 そう言いながら、また別の連中が栞さんの穴を埋めにかかった。一人が乳房を鷲掴みにしつつアナルに挿入し、一人がその正面からアソコを貫き、横からはまた一人がアレをしゃぶらせる。
「うははっ、乳首かってぇ!もうニップルポンプの出番ねぇなこれ!?」
「そういや、ハメられてる間ずーっと乳首勃起してっしな」
「アホかお前ら。ハメられる前の、服脱いだ時点でもう勃ってんだろうが」
「そうだっけ? つかお前、未だにハダカで興奮できるとかすげーな。俺いい加減見飽きたし、脱いでから前戯終わるぐらいまではクエ消化してるわ」
「ま、俺も凝視まではしてねーけどな。つかこのカラダに目ぇ慣れすぎて、もう街歩いてる女じゃ勃起しねぇのがビビるわ」
「ははっ、お前がそれとかヤベーな。ま実際、女としちゃ最高クラスだもんなー先生って。おっぱいもケツもでけーし、カオ可愛いし」
「その最高の女も、すっかりチンポの虜だけどな。前後からハメられて、自分からクイクイ腰動かしてんぜ。どうよショタコン先生、バキバキに固ぇガキチンポは気持ちいいか?」
 栞さんに群がる数人は、好き放題に言いながら腰を前後させる。どいつも離れてみているぶんには、小学生らしい貧相な体だ。犯されている栞さんの方が、ずっと体格がしっかりしている。なのに、生物としての弱々しいのは明らかに栞さんの方だ。まるで、ハイエナに腹を食い破られるキリンみたいに。
「先生のケツも、すっかり使えるようになったな。最初の頃はたまに痛いぐらいキツかったのに」
「しゃぶんのも上手くなったぜ。スジから先っちょまで、ベロンベロン舐め回してくっからな。コレ味わったら、中学でオンナ作っても満足できねーかも」
「ほらほら先生、休んでる暇ねーぞ。マンコでもしゃぶってくんねーと!」
 ハイエナ連中は、栞さんの3つの性器を褒め称えながら、同時に侮辱する。
「はぁっ、あぐっ……あぐ、あっぐうううっ!!!」
 その中で栞さんは、上目遣いのまま呻きを上げつづけていた。イカせてくれ、楽にさせてくれ、と目で訴えているのが僕にさえ解る。でもそうして乞えば乞うほど、性格の捻じ曲がった子供はイタズラ心を芽生えさせるものだ。
「まだだ、まだイクなよ先生。今イッたらお仕置きだからな!!」
「そうだ、イクな! お前みたいなオンナ、もう年長でもなんでもねぇんだ。お前はな、俺らに許してもらわねぇと絶頂もできねぇ奴隷なんだよ。どんなにイキたくても我慢しろよ、このスケベ奴隷がっ!!」
 図に乗った人間というのは恐ろしい。自分より遥かに年上……担任の先生と変わらない歳の女性を奴隷扱いし、どやしつける。
「あぶっ、んっ、んあ゛っ!! あごおぉっ、おおっ、もごっぉおお゛お゛っ!!!」
 栞さんはアレを咥えさせられたまま、全身を細かに震わせていた。何の震えなのか解らない。でもそれは、痛みや便意を耐える時の動きによく似ている。
「まだだ、まだっ…………ああああ、おーっし、イクぞ、俺らはなあ!!」
「お前はまだだ、まだイクなよ! クチとマンコとケツで、たっぷり俺らのザーメン味わっとけ!!!」
 犯している連中は、この上なく気持ち良さそうに射精に入る。尻肉を引き締め、足を強張らせて。
「る゛んんんん゛っっ!!!!」
 栞さんは口を開いたまま、声にもならない声を上げていた。体内射精のつらさか、それとも絶頂を禁じられた苦しみなのか。その悶えようを数秒間も堪能してから、3人のうちの一人が目を細める。
「おーし。イっていいぞ、ブタッ!!!」
 そう言って、平手で栞さんの尻を打ち据える。その瞬間、栞さんは目を見開いた。口から精液まみれのアレを吐き出し、一瞬強く口を噤む。顎に皺ができるほどのその力みが、たぶん、最後の最後まで残った栞さんなりの『意地』なんだ。
 そして僕は、それが砕ける瞬間を目にした。閉じあわされた栞さんの唇が上下に離れていく様は、スローモーションみたいにゆっくりに見えた。
「ん゛わあああ゛あ゛あ゛ーーーーーーっ!!!!!!」
 僕だってある程度の覚悟はしていたけど、栞さんの喉から漏れ出した声は、想像以上にみっともないものだった。酔いどれた中年男が、道端で吐瀉物を撒き散らすような……以前の僕と栞さんなら、眉を顰めて視線を外しただろう、日常の外の汚らわしさ。それがあの栞さんから発されている。
「はははははっ、すげぇ声だな!!」
「ひええ、ヤベーなこの女、マジで中出しでイキまくってやがる!」
「最初の頃は、たまに萎えるぐらいの潔癖だったのにね。人って変わんだなあ」
 栞さんから穢れ声を絞りだした連中は、まるで他人事のように笑っていた。いつもなら煩く鼓膜を震わせるその笑い声は、今日に限って、湿った僕の耳にこびりついた。


       ※        ※        ※


 一体何をしているのか。悠真君の母親は、夏休みの間ほとんど家にいなかった。習い事の生徒が集中して集まれるのが休みの間だけだから、ほとんど合宿に近い状態らしい。
 そのせいで、栞さんは朝から晩まで犯され続けていた。僕は普通の家に生まれたから、日が暮れる頃には家に帰らないとお母さんに怒られる。でも栞さんをヒトでなくすクズ共は、首に鎖を付けられていないのか、窓の外が暗くなっても帰らない。僕がそっとドアを開けて出て行った後も、ぐちゃぐちゃ、パンパンと音を響かせつづけている。
 僕には、栞さんが壊れていくのが信じられなかった。栞さんはしっかりしているお姉さんだったから。ダメな事はダメとはっきり言い、仲の良い僕がいくらごねたって、頑として譲らなかった。間違いなく精神は強かった。そんな栞さんが、僕と歳の変わらないガキに心を侵食されるなんて有り得ない。そう思おうとした。
 でも、冷静に考えればわかる。人間の強さにだって限界はあるんだ。
 性欲盛りの子供に群がられ、犯し抜かれる毎日。夏の暑い盛りだから、どんなにエアコンを回したって、部屋は汗や精液の匂いで満たされる。子供は代謝がいいから、匂いだって強烈だ。部屋の隅で見ている僕だって、その匂いにクラクラすることがある。まして、その匂いと快楽を同時に刷り込まれつづけている栞さんなら、鼻先に『匂いの塊』を押し付けられただけで濡れるようになったっておかしくない。
 おまけに犯す連中のアレは、ビックリするぐらい固く勃起してるんだ。それこそ反り返ったり、血管を浮き立たせるぐらいに。それで、開発されたポルチオやお尻の穴、喉の奥を休みなく犯されれば、無反応でいられるとは思えない。
 しかも、犯すだけじゃない。なにしろ栞さんを嬲っているのは子供だ。子供は残酷だ。トンボを捕まえたら羽を千切るし、アリの巣に興味を持ったら水没させる。そういう連中が、栞さんを犯すだけで済ませるわけがない。

 『チンポがヒリヒリする』『タマが痛い』ぐらいに精子を出し尽くすと、連中は休憩ついでに色々な方法で栞さんを甚振った。
 指マンで何度も潮を噴かせるなんて、序の口でしかない。 
 裸体にオイルを塗りたくり、あるいは栞さんの普段着のシャツに水をぶっかけてから、愛撫だけでイかせることもある。
 ガラステーブルに乗せたディルドーでのオナニーを強制し、何度も絶頂した挙句に潮まで噴き散らす姿を嘲笑うこともある。
 数人でゲームしてる間中、アソコにバイブを入れたまま放置し、数時間後に濡れ具合を詰ったり。
 大股を開かせたまま、その両脚に縋りつくようにして、アソコへの2本挿しを試したり。
 あるいは浣腸したお尻の穴にバイブを抜き差しし、成すすべもなく『ひり出す』様を大声で詰ったり。
 そしてついには、SMビデオを参考にして、両乳首とクリトリスにピアスまで空けてしまう。
 当然こういう責めには、気力を失いかけている栞さんも強く抗議した。でも、それで連中がやめることはなかった。むしろ栞さんからより強い反応を引き出そうと、行為をエスカレートさせていく。まさに『イジメ』の典型だ。
 学校生活を送っていれば、どうしたってイジメは目にすることになる。僕自身、本ばかり読んでいるインドア人間だから、からかわれた経験は何度もある。だから、イジメられている人間がどれだけ弱っていくのかはよく理解できた。いくら栞さんだって、いくら相手が子供だからって、関係ない。一方的に殴られつづければ、いつか人は膝をつくんだ。


 8月も終盤に入った頃には、責めのハードさも行くところまで行き、栞さんももう戻れないほど快楽に支配されきっていた。
 あれだけ猿のようにハメていた連中は、栞さんの穴に飽きたのか、朝から家に来る事はなくなった。二日に一度ぐらい、それも昼に来ては、主にセックスよりも道具で栞さんを嬲る。
 学校でも習った通り、文明の利器は、人力よりも遥かに効率よく仕事をする。思い返してみれば、栞さんを決定的に追い詰めたのも、ポルチオを開発する機械だった。

「ひっぎぃいいい゛い゛い゛っ!!!!」

 風呂場に悲痛な声が響く。あまり人間のものとは思えない声だ。栞さんの中ではもう何かが吹っ切れていて、汚い声を出すことに抵抗がなくなったのかもしれない。あるいは、どれだけ恥じらいを持っていても、あの状況では我慢できないのかもしれない。
 
 栞さんは、風呂場のタイルの上で深く腰を落としたまま、膣にバイブを押し込まれている。当然、ただのバイブじゃない。先端が4つどころか6つに花開き、ポルチオにより隙間なくフィットする。スイッチ一つで強烈な振動や電流を膣奥に流せる。挙句、太さや長さも尋常じゃない。そんな、拷問用としか思えない、アメリカンジョークグッズだ。悠真君のパソコンを使い、栞さん自身のクレジットカードで購入させたその責め具は、強烈だった。前の型に充分慣らされていた栞さんですら、ベッドの上で初めて最大出力を試された時には、腰の下に蕎麦殻枕が2個入るぐらいの海老反りを晒したほどだ。
 今も、それが栞さんの膣に埋め込まれている。長い持ち手が半ば以上隠れているんだから、バイブの先は膣奥まで届いている……どころか、すっかり下りている子宮を押し戻すぐらいの勢いだろう。無茶苦茶だが、何しろやっているのが悪ガキなんだ。無茶も道理もあるわけがない。無茶や道理のツケを払うのは、いつだって『やられている側』だ。
 しかも、それだけじゃない。最初の頃より明らかに大きさを増した栞さんの乳房は、乳首に空けられたピアスと、そこから繋がる紐によって、形が変わるぐらいまで引き絞られている。痛々しい以外に言葉がないが、鬼畜共の言葉を鵜呑みにするなら、『乳首を指で挟み潰されてもイケる』のが今の栞さんらしいから、案外あれでも感じるのかもしれない。
 そして、お尻。こっちにも道具が入り込んでいる。蛇腹や凸凹の多い、巨大なバイブ。直径は僕が両手の指で作る輪ぐらい、長さとなれば僕の腕ぐらいは悠にある。その凶器が、栞さんのお尻に入り込んでるんだ。あまりにも長いから、直腸を超えて結腸と呼ばれる部分まで達してしまうらしい。直腸奥を突き上げると、ちょうどポルチオを裏から刺激する形になり、結腸まで入れてしまえば刺激もその分大きくなる。おまけに結腸は、便が腸を通り抜けるというサインを出す場所でもあるそうで、そこをこじ開けられれば究極の便意を味わうことになる。ましてや、蛇腹・凸凹だらけの極太を出し入れされれば、正気を失うぐらいの極感が襲ってくる。あのジョークグッズを売っていたサイトには、そういった感想が英語で書かれていた。悠真君は、それをわざわざ栞さん自身に訳させてから、震える彼女の指を包むようにして、マウスをクリックさせたんだ。

「お゛ごお゛おオオ゛ォ゛お゛お゛っっ!!!!!」

 また、とんでもない声が栞さんから漏れた。低い。あまりにも低い。声変わり前の僕らの誰よりも。
「ははははっ、ンだよ今の声! 女の出す声か!?」
「すっげぇな、こんな声出るんだー」
「ウチの姉貴、すぐ屁とかして女捨ててるけど、コイツもその域だな。あの潔癖女が。結論、ぶっ壊れっとどんな人間でも同じ」
 追い込んでいる側は、肩を揺らして笑い合う。そこだけ切り取ればすごく平和だ。プール学習の後のワンシーンに見える。そこから少し視線を下向ければ、逆に地獄になるけれど。
「おねがいっ、もうやめでっ!!イッてるの、イってるのお゛お゛っ!!イギすぎで、息ができないっ!!こわい゛っ、ごわいいい゛い゛っ!!!!」
 栞さんは目を見開き、鼻水を垂らし、足を病気かと思うほど痙攣させて絶叫する。声色は普通じゃない。聴いていて不安になる音程だ。必死に曲げた膝を伸ばそうと……つまり立とうとしているようだけど、腕を掴まれたまま肩を押し下げられているから立てもしない。結局、一番腹圧のかかる体勢のまま、許容量以上の刺激を受けつづけることになる。
「そうだ。やめてほしいんならさ、今の自分の状況を実況してみなよ」
 肩を押さえ込む奴が、ふと思いついた事を口走る。その悪意に満ちた提案は、その両隣にいる連中の顔をも輝かせる。
「おっ、いいな。じゃ、そういうことで」
「うんうん。お得意の国語力見せてよ、“先生”?」
 栞さんという淑やかな才女を、この上なく侮辱する悪戯だ。当然それは、プライドの高い栞さんにとって耐えがたいはず。でも、逆らえない。絶頂の快感で溺れている状況では。

「ば、バイブから電流が流れると、『あそこ』の奥が痺れるのっ!!子宮の入口が、とっくに蕩けきってるのに、また刺激されて……感電したみたいな快感が、足の指先にまで届いてるの。足が震えて、止まらない!!おまけに、無理な姿勢で、『前』も『後ろ』も限界まで広げられて……こ、呼吸が、苦しいわ!!」
 栞さんは激しい息を吐きながら、必死に苦しみを訴える。余裕がないのか、すでに呂律が怪しい。そんな栞さんを前に、嬲る連中の笑みが深まる。
「『あそこ』に『お尻』、『前』と『後ろ』ねぇ……お上品な表現だ。ところで先生? 当然だけど、同じ単語は2度使っちゃダメだよ」
「……えっ!?」
 思いがけない提案に、栞さんが息を呑む。
「いや当たり前でしょ。これって、国語力のテストだよ?」
「大丈夫大丈夫、本読みまくってる高学歴な先生なら余裕だって。はい、続けて!」
 あくまで軽い調子で、不条理を強いる。一番使いやすい、かつ無難な表現が2種類も封じられてしまった。栞さんは息を呑みながら、それでも解放を求めて口を開く。
「痺れが、あそ……ち、『膣』の奥に広がって……せ、脊髄の方にも、這い登って、くる……。ハァ、ハァ、脳の中心まで、快感が入り込んで、きて……時々、頭が真っ白になって…………ぁっ、あっあっあっぁっ、あああぁお゛お゛お゛っ!!! ンフーっ、ふーーーっ、ふううーーっ、ふううっ……こんなの、か、考えがっ、まとまら…なぃっ!!!」
 必死に訴える間にも、栞さんは絶頂に至り続ける。そういう風に作られた道具を、何個も同時に使われているんだ。我慢できるわけがない。
「今度は『膣』かぁ。けっ、つまんねー」
「まあまあ、これからこれから。で? 後ろの方はどんな感じだよ、先生?」
「お……おし…………『アナル』は、すごく奥まで、入っていて……んんっ、ずっと、排泄をしているみたいで……たっ、堪らないわ。恥ずかしくて……ふう、うううんん゛……っっ!!」
「へへ。でも、ケツで感じてんだろ?どうだ、言ってみろ。どの辺がどう感じるんだ?」
「おし……アナ…………くっ!! け……う、うんちの出る穴の、背骨の辺り……ゴリゴリとバイブの溝が当たって、大粒の物がでていく、みたいで……!!」
「はははっ!うんちの出る穴ときたか。いいねいいね、その調子だ!!」
「んじゃ、次だ────」

 何度も何度も、栞さんに質問がぶつけられる。前後の穴に関する単語を、どうしても使わざるを得ないようにして。栞さんは、必死に単語を使い続けていた。
「き、菊輪も、感じるわ……舌で舐められても、もう……!!」
「女陰の浅い部分、指、二つぶんぐらい入れた部分が…………」
「あ?チクワぁ?」
「ホトって何だ? こいつ、ガキ相手だからって適当言ってんじゃね?」
「いや、一応検索で出てくるぞ。古い日本語だってさ。ったく、粘るねー」
 こんな具合に、小学生には通じないような言葉も交えて。でも、それもいつまでもは続かない。そもそも栞さんは今、フルに頭を使えるような状況にはないんだ。十数回目を超える頃には、もう女性器と肛門を表現する言葉に詰まってしまう。
「どうしたの先生? 早く言わないと、逝きっぱの状況から逃げらんないよ? なんか白目剥きアピールとか始めてるけど、今日は気ィ失ったってやめねーから」
「言葉なら、俺らが色々教えてやっただろ。頭回せー。今のアンタから語彙力取ったら、ただのヘンタイ女だぜ?」
 ターゲットが追い込まれれば追い込まれるほど、悪ガキは調子づく。相手を思いやって責めの手を緩めるなんて絶対にしない。だから栞さんも、卑猥な言葉を発する未来から逃れられない。

「………うっ……『腕が入りそうなガバガバクソまんこ』、でぇ……『性病ドクサレまんこ』でイクのは、もお、げんがいなの゛オ…………っ!! さ、さっきからっ、おし……『クソをひり出すためのくっさい穴』がゆるくて、下痢便が漏れてる気がしてるの!!でも、足首には何もあたらなくて、きのせいで…………つまりね、わたひ、ろんろん頭がおかしくなってる………馬鹿になってるの! おねがいっ、おねがいい゛い゛い゛ーーーッ!!! 『チンポ嵌める以外には何の役にも立たない、出来損ないの肉穴』から、いますぐバイブ抜いてええ゛え゛え゛え゛ーーーーーっ!!!!」

 もう、栞さんにはプライドも何もなかった。アイディアが尽き果て、何度も名称被りを繰り返した結果、徹底的に自分の性器を蔑みつづける。あの清楚な栞さんが、一体どこで耳にしたのかと思うような汚い言葉で。
「ぎゃっはっはっはっ!!!がばっ、ガバガバクソまんことか!!」
「性病ドクサレまんこは傑作だわ!!あーははははっ、腹イテー!!!」
 ゴミのような連中には、最低な言葉が大ウケしている。まさに子供向けの、底辺の光景だ。栞さんは、違うのに。僕らよりずっとずっと高みにいる、目標とすべき人なのに。そのはずなのに。
 その栞さんは、休むことも許されずに限界を迎え続け、緩やかに壊れつつあった。狂い、叫び、吼え、一瞬正気に戻ったように見えても、また声を裏返して狂いはじめる。
「お腹の中で擦れてっ、あらまが・・・・まっしろに・・・・!!ひっ、ひぐううっ!まらいぐうううううううーーーーーーーっ!!!!」
 もう、言葉かどうかも怪しい。ぜえぜえと肩で息をしながら、絶頂の宣言を繰り返す。
「ははは、いいぞブタ。どんどんイケ、イキまくれ!!」
「おお。壊れてもいいぞ、ブタッ!!」
 俺と同い歳の悪魔は、涼しい顔でトドメを差す。バイブの出力を最大に上げ、後ろの穴にゴリゴリと異物を抉りこみ、両方の乳首を引き絞って。
「あっ、ああ゛っ、いいいいい゛い゛っ!!!いいのぉっ!!わ、私はっ、気持ちいいのが好きなブタですっ!!もっと虐めて、もっとグチャグチャにして!!もっと何もわからないようにして、もっと、もっとおおおおお゛お゛っっ!!!!」
 栞さんに、もう耐えきる気力は残っていなかった。アリが靴底で潰されるみたいに、ごくごくあっさりと当たり前のように、正気を失った。
「あーあ、とうとう壊れたな」
「そりゃ、この状態で5時間も嬲ってりゃあな」
「まあいいじゃん。最後の最後に超楽しませてもらったし、ハメ穴としてならこれからも使えんだから」
 壊した側の人間は、気楽に笑い合っている。
 いつもそうだ。イジメている奴、人に不快な思いをさせている奴は、いつだって楽しそうに笑っているんだ。
「…………ふふ。楽しませてもらったよ、先生」
 イジメのリーダーは、そう言ってにこやかに栞さんに笑いかけた。この世で一番醜い、天使のような笑顔で。


       ※        ※        ※


 栞さんが発狂してからは、さすがにあの家には行けなくなった。だからしばらくは、どこかに場所を移してセックスが続けられたらしい。
 でも、それも夏休みが終わるまで。新学期が始まれば、連中はあっさりと栞さんから興味を失った。
 真っ当な道に戻ったわけじゃない。ただ単に、新しい獲物を狙い始めただけだ。
 ターゲットになったのは、僕のクラスの桜井さん。

『すげー。グチョグチョじゃん』
『初潮もまだってガキでも、感じるスポットはあの女と一緒なんだな!』
 僕に送られてきた映像には、床に押し倒された桜井さんが手マンされている映像が映っていた。小学生ながらに化粧をバッチリ決めた顔は、すっかり涙で汚れている。
『やめて!おねがいっ、やめてえっ!!悠真君、助けてよお!!』
 僕が昔好きだった女の子は、必死に憧れの相手の名前を呼ぶ。でも、そいつが助けに来るはずもない。
『アイツはお前なんか眼じゃねえよ。代わりに、俺らが気持ちよくしてやっからさ!!』
『ポルチオと結腸って知ってっか? そこ開発しまくると、チョー気持ちよくてイキまくるんだぜ。しかも、ハメた時の具合もよくなんだ』
『ま、やりすぎると壊れんだけどな。今度は、上手いこと加減してやるからよ!』
 女の味を覚えたケダモノが、勃起した物を反り立てて笑う。桜井さんは、逃げることもできず、ただ顔を横に振るしかない。

 そして、彼女の憧れる『王子様』は……今も、どこかの部屋で栞さんを抱いている。
『はぁっ、はぁっ、はぁっ……いいよ先生、最高だ。最高に可愛いよ』
 両足首を掴み上げたまま、奴は激しく腰を振る。いつまでも、いつまでも、猿のように旺盛な性欲で。
『ああっ、いい! 感じるっ、感じるぅっ!! もっと、もっと突いて!!メチャクチャにして、私を壊してっ! ああああイッてるっ、子宮でイクぅうううーーーーっ!!!!』
 僕の初恋の人は、頭上のシーツを掴み、足を相手の腰の後ろで交差させて快感に浸っていた。もう、以前の面影はない。そしてそんな相手に、『王子様』が口づけを交わす。
 奴は、栞さんが好きだったんだろうか。それとも、嫌いだったんだろうか。栞さんを脅し、大勢を動員してイジメ抜いておいて、壊れてからもずっと抱き続ける。しかも、その映像をわざわざ僕に送りつけながら。
 訳がわからない。歪んだ愛もあるというけど、そんなものを栞さんと僕にぶつけるなんて。


 でも、今となっては過去の話だ。何もかも。


「お願い、こんな事やめて……。か、考え直して…………!!」

 僕の前では今、悠真の母親が丸裸で転がっている。
 こいつがあの悪魔を生み、栞さんに家庭教師を頼み、散々家を空けていたからあんな悲劇が起きたんだ。
 弱みを握る手段はいくつもあった。前に悠真がやったように、眠らせて犯すことで脅しの材料を作ることもできる。でもこの女には、自分の子供の落とし前をつけてもらわないといけない。
 僕はこの日のために、ずっと連中の悪事を撮り溜めていたんだ。誰にもバレないように、ずっと、全部を。
 自分の子供が家庭教師をレイプしている映像は、実に効果的だった。それを習い事の生徒にもバラすと言った時には、さらに表情が歪んだものだ。

「いいから、さっさとしゃぶりなよ…………“先生”。」

 僕はありえないほど勃起したものを、怯え顔の年上女に突きつける。
 こんなに興奮するものだったんだ。格上の存在を踏みにじるのは。
 とりあえず、この女を徹底的に躾けてやる。この家にある、栞さんを追い詰めた道具を駆使して。アイツにバレないよう、短い時間だろうとじっくりと積み上げて、追い込んでやる。
 この女を壊したら、次はあの部屋にいた連中の身近な人間に報いを受けさせよう。母親でもいいし、姉妹でもいい。中学や高校に上がってから、悪事など素知らぬ顔で結ばれた恋人でもいい。
 何年掛かってでも、全員に後悔させてやる。これが、僕なりの復讐。


 狂気に魅せられた僕等の夏は、まだ、終わらない。



                         (了)
 
 

魅せられた僕等の夏(中編)

※文字数が多過ぎたため、中・後編に分割します。
 NTR風味な要素あり。




 栞さんが、クリトリスとポルチオを道具で責め抜かれた次の日。
 悠真君の家には、16人もの人間が集まっていた。『暇な奴は全員来い』というメッセージが回ってきたからだ。
「興奮するぜ。昨日は結局、あんだけ追い込んどいてハメ損ねたからな!」
「ああ。今日はチンポの皮擦り切れるぐらいまでハメよーぜ!」
 特に精力の強そうな連中が、目を血走らせながらそんな事を言い合っている。そいつらだけじゃなく、他の全員がムラムラしている感じだ。
 そんな中、悠真君はソファに腰掛けたまま、携帯でずっと誰かと話していた。
「駄目だよ。すぐ来て」
「だから、駄目だって。絶対許さない」
 そんな言葉が何回も繰り返される。渋る相手の逃げ道を潰している、という感じだ。
「先生だろ、相手。なんて言ってんだ?」
 悠真君が通話を終えた直後、すかさず岡村が尋ねた。
「今日は来たくないってさ。昨日あんな滅茶苦茶されたせいで、熱が出たとか恨み言言ってたけど、突っぱねた」
「ははっ、ナイス! だよな、こんだけ面子集まってんのに、今さら休むとかねーよな!!」
「それに、どうせ仮病でしょ。昨日のでウンザリしたんだろうけど、知ったことじゃないしねー」
 涼しげな顔の悠真君を、欲望まみれの連中が賛美する。何なんだ、こいつらは。栞さんのことを、性欲処理用の人形とでも思ってるのか。栞さんは生真面目な人だ、軽々しく嘘なんてつかない。来られないというなら、それ相応の理由があるはずなんだ。

 実際、しばらく後に家を訪れた栞さんは、明らかに様子がおかしかった。炎天下を歩いてきたことを抜きにしても、汗の量が異常だし、顔も赤い。
 ただ……なんだろう。熱に浮かされた顔というより、発情している顔に見える。
( 栞さんに限って、そんなことありえるもんか )
 僕はそう信じたかった。でも、栞さんから独特の色気を嗅ぎ取ったのは、僕だけじゃないらしい。
「へへへ、先生よ。なんか今日は、いつも以上にエロいな」
「ああ。格好のせいか? すんげぇムラッと来るわ!」
 何人もがソファから立ち上がり、丁寧に靴を脱ぐ栞さんへと近づいていく。
 別に栞さんの格好は変じゃない。確かに、シースルーの黒ブラウスは肩から腕にかけてが透けていて、ちょっとエッチだ。でも、今日みたいな真夏日に風通しのいい格好をするのは当たり前のこと。駅前の賑やかな場所なら、もっと過激な格好をした女の人はいくらでもいる。
 なのに。なんで今日の栞さんを見ていると、こんなにドキドキするんだろう。
「ふーん。仮病かと思ったけど、本当に具合悪そうだね、先生」
 悠真君が、栞さんの紅い顔を見上げながら言う。勘の鋭い彼のことだ、先生の妙な雰囲気ぐらい、とっくに気付いてるだろうに。
「先生がこんなんじゃあ、無理させらんないな。今日はフェラだけにしとくか」
 悠真君のその言葉で、場の空気が変わる。それはそうだ。昨日も皆がお預けを喰らってるんだから。
「お……おい、ふざけんなよ!?」
「2日連続とか、そりゃないって!!」
「これじゃ昨日、何のためにシコんの我慢したのかわかんねぇよ!」
 悠真君を取り囲んだ何人もが、口々に不満を漏らす。すると悠真君は、やれやれという風に肩を竦めた。
「わかったわかった。じゃあ、こうしよう。ゲーム形式にして……」
 悠真君はそこで声を落とし、すぐ傍の人間にだけ聴こえるように何かを囁いた。
「へへ、いいねそれ!」
「賛成だ。やっぱオマエ怖ぇーわ」
 話を聞けた人間と同じ数だけ、笑顔が浮かぶ。
 ゲーム。僕達子供は、この響きには逆らえない。『娯楽』と『勝負』。子供が夢中になる要素は、結局それに尽きる。こうして毎日毎日、飽きもせず連中が栞さんを嬲るのも、セックスという『娯楽』と、いいオトナを貶めて優越感に浸る『勝負』の快楽……その2つの要素があるからだろう。
 下らない。同い年ながら、本当にしょうもないガキに思える。ターゲットが初恋の相手だからこそ、余計に腹が立つんだろうけど。
「じゃあ先生、コレ着けてよ。先生がどれだけ俺らの匂いを覚えたか、テストしてあげる」
 悠真君が、黒いアイマスクを手にして栞さんに歩み寄る。
「……生意気ね」
 栞さんは、いよいよ苦しそうな顔でそう呟いた。


       ※        ※        ※


 リビングの窓は閉めきっているのに、外から蝉の声が入ってくる。その合間合間に、生々しい音が聴こえていた。
「んっ、うむっ……うっ、んむっ……んっ…………」
 目隠しをしたまま、フローリングに膝をついて男のアレを舐めしゃぶる栞さん。
「……っ、…………っ!!」
 その奉仕を受ける側は、栞さんの頭を掴んで必死に口を閉じていた。声を出せば、相手が誰かはすぐにわかる。だからゲームに挑戦する人間は、栞さんが答えを出すまで、絶対に声を発してはいけない───そういう決まりだ。
「……っ、っっ!!」
 奉仕されている奴が、栞さんの黒髪の間に指を立て、尻にえくぼを浮かせる。その直後、腰がぶるっと震えた。射精だ。
「よし、出たな。舌と鼻でよーく味わえよ。さ、今のは誰だ?」
 岡村が問うと、栞さんはモゴモゴと口を動かしながら眉を顰める。射精した奴の表情も、同じく硬い。
「……はあ、はぁ…………伊藤、くん……?」
 息を荒げつつ、栞さんが呟く。
 外れだ。今しゃぶらせていた奴は鈴浦。奴は栞さんに存在を覚えてもらえず、名前当てゲームに負けたことになる。でも、奴の顔は笑っていた。
 奴だけじゃない。これまで挑戦した奴も、名前を外された奴は笑い、当てられた奴はふてくされたような顔をしていた。
「ちっ、上手い事やりやがった」
「やっぱ特徴ねーやつは有利だな、これ」
 周りのライバル連中は、半笑いで鈴浦を湛える。その中心で鈴浦は、勝ち誇るように胸を張っていた。
「へへへ、残念だったね先生。じゃあ後で、たっぷり可愛がってあげるから」

 そう。これは、存在を覚えてもらっているかを競うゲームじゃない。むしろその逆、名前を『外されれば』ご褒美を得られるゲームだ。だから栞さんは、何が何でも正解しないといけない。
 ただ、栞さんの正答率は高くなかった。それはそうだ。アイマスクで視覚を奪われている以上、ヒントとなるのは咥えたアレのサイズと、匂い、そして精液の味ぐらいのもの。僕らはみんな子供なんだ。みんなアレは小さいし、体臭や体格にそれほどの差があるわけでもない。そんな連中が16人もいて、どうやって当てろっていうんだ。
「ほら先生、口ゆすいで」
 水の入ったコップが、栞さんの口に宛がわれる。栞さんはそれで口を濯ぐと、同じく差し出された洗面器に水を吐き出す。もう何度も繰り返されているだけに、動きに迷いはない。
 そうしてリセットを終えた栞さんの前に、次の奴が歩み寄った。小5にして、すでに『百貫デブ』という渾名のついている濱野だ。基本、僕達の体臭や体格にそれほど差はないけど、この濱野だけは違う。
「フーッ、フーッ……」
 濱野は荒い息を吐きながら、栞さんの鼻を摘みあげ、アレを近づけた。剥けかけた皮から覗く亀頭部分には、びっしりと白い垢がこびりついている。あれだけの恥垢となると、当然凄まじく匂うはずだ。
「んんっ!!」
 栞さんが呻きを上げた。でも濱野は構わず汚い物を咥えこませ、肉の余った腰を前後させる。
「ん、んむっ、むうう゛……っ!!」
 よっぽど匂いがひどいんだろう。栞さんはさんざん苦しむ様子を見せた後、たった数秒でアレを吐き出してしまう。
「ぶはっ!! げほっ、げほっ……もう充分わかったわ。濱野くんでしょう!?」
 その言葉で、濱野が凍りついた。逆に、周りで見守る連中は大笑いする。
「ぎゃははっ、あーあー即バレじゃん!!」
「あんだけチンカス溜め込んでりゃあ、いくらなんでも匂いでわかんだろ!」
「おまけにあの腹な。フェラで鼻塞がれるレベルのデブとか、他にいるかよ?」
 そうして笑われた事が癪に障ったのか、それともご褒美が貰えなくなった事が不満なのか。濱野は苦い顔をして、栞さんの頭を鷲掴みにした。
「ああ、そうだよ先生! さすが頭イイや。よく覚えてるよなぁ、俺と匂いと味をよお!!!」
 そう喚き散らしながら、強引にアレを咥えさせ、フェラを再開する。
「うむっ、ぶっ!! うえ゛…えこお゛っ!!」
 栞さんはよほど臭いのか、かなりえづいてしまっていた。痛々しい。でも場の連中にしてみれば、いい大人が惨めに苦しむ様は面白いんだろう。皆本当に可笑しそうに笑っている。
「くそっ、くそっ!! 俺の時だけ、簡単に当てて! ほらっ、堪能しろよ。好きなんだろ俺の匂いが。一発で当てられるぐらい、俺の匂いに夢中なんだろ!?」
 濱野の腰つきが早くなっていく。栞さんの手が三段腹にめり込んでいる所を見ると、苦しくて押しのけようとしているんだろう。でも濱野は止まらない。
「ああ、あああ、あああ出るっ、お、おおあ゛ぁぁ゛!!!」
 思う様動きつづけた末に、気持ち悪い呻きを漏らしながら射精する。
「フーッ、フーーッ……今日のところは、これで勘弁してやるよ」
 奴がそう言って腰を放すと、すぐに栞さんが噎せかえった。
「ぶっ、ぐぶっ!!ぶほっ、ぇほっ!!」
 口の中から大量の精液があふれ出す。いや、口だけじゃない。鼻からもだ。
「ははははっ!! ちょっと先生、鼻からザーメン垂れてるよ!?」
「あのデブ、上手くやりやがって。ただでさえ臭ぇくせに、駄目押しで匂い覚え込ませやがった!!」
 鼻を抑えて噎せる栞さんを中心に、楽しそうな大笑いが起きる。

 この件があって以来、他の連中も『匂いを刷り込むこと』に意識を向けはじめた。口でしゃぶらせる前に、トランクスから出したばかりの蒸れたものを、まず栞さんの鼻に押しつける。そうしてたっぷりと匂いを覚えさせてから、念入りにしゃぶらせる。最後に射精する時にもわざわざ口から抜き、鼻の穴の中にザーメンを流し込む。こんな事をする奴が何人もいた。
「ぶふっ、ごふっ……ちょっと、いい加減鼻に出すのはやめて! もう、匂いも何もわからないわ!!」
 3人目が鼻の中に射精した時、栞さんは咳き込みながらそう叫んだ。一回フェラが終わるたび、口は濯がれるけど、鼻の穴は洗われない。鼻の穴が何人分もの濃い精液で満たされていたら、ますます相手を当てることなんてできなくなる。でも、それは連中にとっては好都合でしかない。だから当然、栞さんの要求が呑まれることもない。
「大丈夫大丈夫。匂いがわかんなくたって、他に情報はいくらでもあるでしょ。ご自慢のアタマ使って、論理的に答えを導き出してよ、先生!」
 そんな無茶を言いながら、強引にゲームが続行される。
「んっ…ふう゛、んっ……! ん、ん゛ぶっ……」
 鼻と口周りに精液をこびりつかせながら、生々しいフェラを続ける栞さん。その姿を、欲望にまみれた笑みが取り囲んでいる。
 でも、僕が一番気になるのは、悠真君の表情だ。
「ふふっ……」
 顔立ちのいい彼の薄笑みは上品だ。でも、その笑いを見ていると胸がざわつく。計画通り──そんな心の声が聴こえてきそうだ。
 実際、この状況は彼の狙い通りだろう。なにしろここにいるのは、性に目覚めたばかりの猿ばかり。精液は濃く、代謝がいいぶん体臭もきつい。『オスの匂い』の強さなら大人以上だ。その噎せかえるような匂いに晒されつつ、口での奉仕を強いられ続ければ、ヘンな気分になったっておかしくない。特に、昨日散々にポルチオ性感を刺激され、今朝もまだ発情が続いていたのなら尚更だ。
「んむっ、ふぅ……んっ!! あえ、んんっ……うん、ふうう゛、れあ……っ!!」
 舌を絡ませるようなフェラチオ。その合間合間に漏れる声は、甘かった。最初は聞き違いだと思おうとしたけど、もう間違いない。夏休みに入ってからというもの、毎日毎日、ベッドの軋みと共に聞かされてきた声だ。
「先生、すげぇ息荒くなってきたな。これ、やっぱ風邪じゃねーだろ」
 一人が、栞さんを見下ろして呟く。すると、すぐに何人かが頷いた。
「ああ。これ絶対、俺らのザーメンで興奮してるって!」
「やっぱそうだよな!? 俺らにマワされて、アンアン喘いでる時の顔だよなこれ!」
「ほら先生、言ってみなよ。もう俺らのチンポしゃぶってるだけじゃ物足りないだろ? 思いっきりハメて欲しいよな!」
 そんな野次の中、しつこくアレが鼻に押しつけられる。
「んんっ、んちゅ……えあっ、はっ…はっ…はあっ……はあっ……!!」
 絶え間ないフェラチオ。その中で、栞さんの呼吸は刻一刻と乱れていった。口からの息だけじゃなく、鼻息まで荒い。それによく見れば、フローリングについた両膝が、時々ビクッと痙攣してもいる。
 そうした変化は、丸見えだった。少し離れて傍観している僕ですら認識できるんだから、間近で見下ろしている連中が気付かないはずがない。

 16人全員が射精し終え、“ゲーム”が終わったのは午後1時過ぎ。始まったのは11時頃だったから、2時間程度しか経っていない。にもかかわらず、栞さんの発情ぶりは半端じゃなかった。頬を赤らめ、汗を垂らして……見ているだけでもドキドキしてくる。
「結局、16人中13人が外れか。先生の記憶力も大したことないね」
 小馬鹿にした感じで悠真君が呟く。栞さんは目隠しを外し、憎らしそうに彼を睨み上げた。
「あなた達みたいな子供なんて、全員似たようなものよ! 見もせずに判るわけないでしょ!?」
 語気も強い。まだまだプライドは捨ててないんだ。
「よく言うよ、俺は速攻で当てたくせに。デブ差別かよ」
 濱野が贅肉を揺らして怒り、周りの笑いを誘う。
「お前は個性強烈すぎんだよ、デブ!」
「そうそう、ドンマイ!」
 何人かが手を叩いて笑い、また別の一人が膝を叩きつつ悠真君の方を向く。
「ひゃっひゃっ!! で? 先生に覚えられてないカワイソーな俺らには、代わりにご褒美があるんだよな?」
 この一言で悠真君に注目が集まると、彼は爽やかに笑った。
「ああ。ハメていいよ」
 待ちに待った許し。これで場の熱気がいよいよ増す。
「っしゃあ!! 悠真最高っ!!」
「さあ先生、楽しもうぜ!!」
 まさに飢えた獣という感じの数人が栞さんを押し倒した。
「いや、やめてっ!!」
 栞さんは悲鳴に近い声を上げつつ抵抗するけど、数の不利を覆せない。あっという間に白いショーツが太股を滑り降りていく。
「ぎゃははっ!! おい先生、なんだよこれ!?」
 ずり下ろされたショーツを覗き込んだ一人が笑った。
「おいおい先生、パンツに糸引いてるぞ!?」
「マジだ、濡れまくりじゃん。俺らガキのチンポしゃぶりながら、実はハメられんの期待してたわけ?」 
「完璧にオスの匂いにあてられてんじゃん、堪んねぇな!!」
 口々に野次が飛び、栞さんの表情が歪む。
「違う! 昨日あんな事されたせいで、過剰に保護液が出てるだけよ! いい加減に離してっ!!」
「おい、大人しくしろって!!」
「いや、いやあっ!! やめてっ!!!」
 何人もが栞さんの下半身を押さえつけようとしては、押し返される。いつにも増して激しい抵抗だ。
「やれやれ、本気でハメられたくないらしいな。といっても、これだけお預けしといて今さら『待った』ともいかないし……」
 悠真君は場の様子を見て、何か考える素振りを見せた。そして、指を鳴らす。
「よし、こうしよう。先生も調子悪そうだしな、深く挿れんのはナシだ。ハメてもいいけど、せいぜいカリが入るくらいまで。これ破ったら罰金な」
「はっ!? オイオイ勘弁しろよ!」
「まあいいじゃん、先っちょだけでもハメられるんなら!」
「そうそう。とにかく早くやっちゃおうぜ!!」
 悠真君の一言に、不満そうな顔をした奴もいる。でも大半は、性欲の消化を第一に考えているようだ。結果、数の多い意見で方向性が纏まる。
 それに、中には気付いている奴もいたはずだ。悠真君のこの発言は、決して栞さんの身体を気遣ってのものじゃないと。

「よーし、大人しくしてなよ」
 這う格好を取らされる栞さんの背後で、松尾という奴がアレを扱き上げた。ずっとお預けを喰らっていただけに勃起が凄い。奴はその角度を手で調整しつつ、栞さんの割れ目にこすり付ける。
「……っ!!」
 息を呑む声がして、白い尻肉が引き締まった。
「へへへ、ほんとにスゲー濡れてんな。ハメる前からここまで濡れてんのって、手マンの時以来じゃね?」
 松尾はそう言いながら、ゆっくりと腰を進める。真っ赤に充血した亀頭は、抵抗なく、綿のクッションにでも沈むように割れ目へと消えていく。
「う……っ!」
 また、栞さんから声が漏れた。アレの先がほんの少し、入口へ潜っただけなのに。
「っと、ここまでか。なんか挿入れた気しねぇな」
 犯す松尾の方は不満そうだ。何かぶつぶつ言いながら、亀頭を前後させはじめる。でも、そんな事が十数秒続いた頃、なにやら様子が変わりはじめた。
「お、おお……!? なんだ、コレいいな……!」
 松尾が上ずった声を上げ、夢中になって入口付近へ亀頭をこすりつける。ひどく気持ち良さそうだ。亀頭しか入れてないっていうのに。
「おい、オマエそんなんがいいのか?」
 周りで見守る人間も不思議に思ったんだろう、そう尋ねる奴もいた。
「ああ。最初はなんか物足りなかったけど、意外と悪くないぜ。マンコの入口らへんがグニグニ動いててよ、フェラみたいに亀頭に纏わりつくんだ。これ絶対、先生も気持ちいいんだぜ。なあ先生、先生も気持ちいいよな!?」
 松尾はそう言って栞さんの腰を掴み、さらに念入りに腰を使う。すると、栞さんの太股がビクビクと痙攣しはじめた。
 本気で感じてるんだ。元々発情していたところへ、オスの匂いにあてられ、挙句にこうして浅い挿入で焦らされる。そこまで念入りにやられたら、いくら清楚な栞さんでもおかしくなって当然だ。
「ううっ!!だ、だめっ! こんな、やめて……っ!!」
「何がだよ、ちゃんと浅くしか挿入れてないだろ? イヤイヤばっかり言うなって、先生!」
 勃起したアレがほぼ丸見えの、未遂のような挿入。それを栞さんは必死に拒み、松尾は夢中になって繰り返す。
「……なんか、マジで気持ち良さそうだよな。アイツも、先生も……」
「ああ。普通にハメてる時よりイイ顔してるぜ」
「お、おい、ぼちぼち替われよ。俺も勃起しすぎてイテーんだ!」
 見守る連中も、異様な光景を前に落ち着きをなくす。
「ああ、もうすぐ、もうすぐだって……あ、あ、やべえ出るっ!!!」
 松尾は亀頭を入口に激しく出し入れし、その最中に性欲を暴発させる。フェラチオで一度出しているとはいえ、栞さんのお尻や背中に飛び散った精液の色は、はっきりとした白だ。
「あーっくそ、もっとやっときたかったのに。でもお前ら、マンコの入口で扱くのって結構いいぞ? フツーにハメんのとはまた違う感じだ」
 半笑いの松尾がそう言い残し、栞さんの後ろから離れる。するとすぐに別の一人──樋口が、期待に目をギラつかせながら歩み出た。
「イイのはわかってんだ、さっきの顔見りゃ!!」
 樋口はそう言って、浅く挿入を始める。
「ふあ、ァあ……!」
 栞さんから、また声が漏れた。普段なら、よっぽど疲れ果てて余裕を失くすまでは、意地でも喘ぐまいと耐えるのに。
「あーマジだ、これすっげぇな! 出し入れするたびに、アソコの入口がグニグニグニグニ動いてよ、これ完全にフェラされてる感じだぜ。しかも先っぽだけ集中的にとか、めちゃ射精感煽られんだけど。うおおやべえーー!!」
 樋口も松尾と同じく、興奮気味に浅い抜き差しを繰り返す。
「あ、こんな……あぁっ、はあ……こんな、あぁ……!!」
 栞さんは激しく喘ぎながら、何度も戸惑いの言葉を漏らしていた。未知の快感に困惑している……それは誰の目にも明らかだ。
「へへへ、堪んないな。あんな気持ち良さそうな顔されちゃ」
「ああ。浅くハメるってのも面白そうだ!」
 一人また一人と、新しい遊びに興味を向けはじめる。オモチャが栞さんでさえなければ、子供らしい素直さと言えるところだ。

 次の奴も、その次の奴も、浅い挿入の快感に浸りつつ、栞さんを追い詰めていく。
「すげー、奥からどんどんマン汁出てくる。これ完全にチンポ欲しがってんじゃん。なあ悠真、先生が自分から『欲しい』って言えば、突っ込んでいいよな?」
「もちろん。先生が良いって言うんならね」
「ってことだ先生。もう認めろって。奥まで挿入れてほしいんだろ? 思いっきり突いて欲しいだろ? こんなグッチョグチョに濡らしといて、まだ欲しくないなんて突っ張っても惨めなだけだぜ」
「あぁっ……は、はっ……い、いらない…………欲しくなんて……ない」
「ちっ、相変わらず強情だな!」
 お互い必死な言い合いの後、また体位が変わる。犯している奴は、横たわる格好だった栞さんを抱え起こし、お尻を高く掲げさせた。その上で、改めて浅い挿入を再開する。
 さっきとやっている事は同じ。でも、見える情報はがらりと変わった。ガクガクと震える栞さんの脚、床へと滴っていく愛液。感じすぎるぐらいに感じているというのが、ありありと伝わってくる。
「……なあ、匠」
 呆けるように見入っていた僕に、いきなり悠真君が話しかけてきた。
「え、えっ!? あ、なに?」
 僕は、痴態に夢中になっていた事が恥ずかしくて、動揺しながら悠真君に向き直る。そんな僕の様子がよっぽどおかしかったのか、悠真君はくすっと笑って続けた。
「悪いけどさ、また買出し行ってきてよ。そろそろあいつらも、ジュースとか欲しがる頃だしさ」
 札を差し出し、そう頼んでくる悠真君。こういう買出しは僕の役目だ。
「わかったよ」
 僕はいつものように快諾し、近くのコンビニへ向かう。いつもの事だから、さして警戒もせずに。

 お茶に炭酸系、果物ジュース……部屋にいる連中の希望通りにジュースを選び、レジへ並んでいる僅かな間ですら、栞さんの現状を考えてしまう。彼女は今、どんな辱めを受けているんだろう。そのせいでどんな表情を浮かべ、どんな声を出しているんだろう。そんな心配が頭から離れない。
 そんな風に思い悩むぐらいなら、栞さんの痴態を見なければいい──そんな風に思うこともある。でも、結局は同じことだ。悠真君からお呼びが掛からず、あるいは連絡を無視して家で過ごしていても、僕はやっぱり悶々と思い悩むに違いない。だったら、今の方がマシだ。

 悠真君の家のチャイムを鳴らし、開いた勝手口を通ってドアに近づく。その時点で、まだ『ご褒美』の時間が続いているのがわかった。荒い呼吸と、喘ぎ声、そして笑い声。それがまだ、微かに聴こえているから。
 ドアを開けた瞬間、むうっとする匂いが鼻をつく。汗と愛液、精液……そしてそのどれとも違う、温めた生肉を鼻に押し付けられたような獣臭。部屋にいる間は何とも思わないのに、外に出てみるとその異様さがよくわかった。
 僕はよその人に悟られないよう、素早くドアを開けて身体を滑りこませる。
「はぁん、あァっ! うあっはぁあ……ああ!!」
 玄関口の僕を出迎えたのは、栞さんのあられもない姿だった。たしか『マングリ返し』とかいう格好。あそこを天井に向ける形で、すらりとした脚を押さえ込まれ、割れ目にアレを擦りつけられている。
 丸見えだった。膨れた赤い亀頭が、同じく充血した割れ目を前後に擦るのも。溢れた愛液が、太股一帯を伝い落ちているのも。栞さんの開閉する口も。
 栞さんの視線は、まっすぐに僕に向いていた。僕もその栞さんの視線を、真正面から受け止めてしまっていた。僕らはずっと、同じ空間にいながら、意識的に視線を合わさずに過ごしてきたのに。
「……あ……あ、あ、はっ…………!」
 僕を見据えたまま、栞さんの目が開いていき、同時に全身が細かに震えはじめる。そして。
「っあああぁぁっ!!!」
 細い悲鳴と共に、擦られつづける割れ目からぷしゅっと水気が噴きだした。
「はははっ、潮吹きやがった!!」
「うっそ、マンコ擦られるだけで!? 気分出てきたじゃん先生!!」
 周りの連中が、鬼の首を取ったように騒ぎ出す。その中で栞さんは、まだ震えていた。
「いいぜ先生、あと一息だ。言ってみなよ、ハメてほしいってさ!!」
 割れ目を責める奴も獣のような笑みを浮かべて、激しく腰を前後させる。赤黒い亀頭がぬるっぬるっと割れ目を滑り、潮吹きの名残を撒き散らす。
「ぁ、んっ……んあ、ァああっ!! ほ、欲しくなんか……ないわっ!!!」
 栞さんは激しく喘ぎながら、はっきりとした拒絶を口にした。太股の痙攣はますます酷くなっている。感じて感じて仕方ない。もう楽になりたい。そんな叫びが聴こえるようだ。でもプライドの高い栞さんは、僕が恋した彼女は、決して弱音を吐かない。
「……すごい根性だね」
 僕の手からビニール袋を取りつつ、悠真君が呟いた。栞さんの意地が、あの底知れない悠真君を感心させてるんだ。僕にはそれが、なんだか誇らしかった。

 結局栞さんは、日が傾いても挿入を乞うことはなかった。
「ったく、しぶといなー。一言挿入れてって言うだけなのに」
「ほんと。あんだけ濡れまくっといてさ!」
 ソファへ腰掛けた13人が、呆れたような声を出した。挿入を果たせなかった悔しさが見て取れる。でもフェラと合わせて一人当たり3回は射精しているから、とりあえず満足してはいるみたいだ。
「はーっ、はーっ……はーっ、はーーーっ…………」
 悲惨なのは栞さんだった。彼女は汁まみれのフローリングに横たわったまま、ぐったりとしていた。かろうじて目は開いているものの、明らかに焦点が合っていない。
「粘り勝ちされちゃったな。先生もさすがにヘバってるし、今日はこの辺でやめとくか」
 悠真君が肩を竦めてそう言うと、何人かが頷いた。体力が有り余っている子供とはいえ、何時間も興奮しっぱなしだと疲れる。だから昼間から栞さんを嬲っていた場合、夕方にはお開きになることが多かった。
「あー、でもやっぱガッツリ嵌めたかったな」
「そうか? 今日のは今日ので面白かったぞ。それに普通にハメるんなら、いつでも出来るんだしよ」
「ああ。お互いに焦らし合うってのも悪くねぇ」
 そんな事をぼやきながら、一人また一人と服を着て、ドアの向こうに消えていく。さっきまでのギラついた感じがない、ごく当たり前の小学生の顔で。
 ただ1人表情に変化がないのは、悠真君だ。彼は、今日一日の大半そうだったように、まだ薄笑いを浮かべている。
「フラフラだな、先生。そんなんでちゃんと帰れるの?」
 悠真君の視線の先には、やっと膝立ちの姿勢にまで戻ったものの、今にも倒れそうな栞さんがいる。疲れすぎたんだろうか、それとも……?
「……今さら、白々しい心配なんてしないで」
 栞さんは悠真君を睨み据え、なんとか立ち上がって服を着る。でも、不安だ。普通に歩けるかというのもあるけど、今の栞さんは全身から妙な色気が立ち上っている。薄暗い夕暮れ時、ただでさえ人目を惹くような美人がそんなオーラを発していれば、ヘンな男に目を付けられてもおかしくない。
「そりゃ心配だよ。この辺りって、昔からたまに痴漢出るんだよね。普段の先生なら大丈夫だろうけど、今日は見るからに隙だらけだからさ」
 悠真君のこの一言で、僕の決心は完全に固まった。
「一緒に帰ろう、“先生”。」
 僕は、栞さんの顔を見ながらそう宣言する。
「えっ!?」
 栞さんが目を見開いた。
 当然の反応だと思う。僕らはなまじ知り合いなだけに、この異様な乱交現場ではあえて接触を避けてきた。視線すら合わせないんだから、一緒に帰るなんてもっての他だ。でも、今日だけはあえてそのタブーを破る。栞さんをこのまま一人で帰して、後々後悔するなんてことはしたくない。
「そう。好きにしなよ」
 悠真君はそう言い捨てて、リビングの片づけをはじめる。やる事をやって満足したから、僕らの帰り方になんて興味もない……そんな風だ。それはあまりにも自然な素振りすぎて、僕にはまるで気付けなかった。この僕の行動こそ、悠真君の狙い通りだったことを。素っ気無い顔の下で、彼がほくそ笑んでいたことを……。


       ※        ※        ※


 悠真君の家を出てからしばらく、僕らは何も言わずに歩きつづけた。
 気まずい。こういう空気になると解っていたから、あえて距離を置き続けてきたんだ。僕も、きっと栞さんも。

 ( せっかく一緒に帰れるチャンスなのに、黙ってちゃダメだ。
   でも、何を話せば…… )

 悩みながら、一歩また一歩と歩みを進める。そうして気がついた頃には、周りの風景は見慣れたものに変わっていた。僕の家のすぐ近く。僕と栞さんは、本屋で一緒に過ごすことが多かったけど、時々は近くを散歩したり、公園で遊ぶこともあった。
 その想い出の公園に差し掛かったところで、栞さんが足を止める。
 ヒグラシが物悲しく鳴いていた。
「……懐かしいね」
 ぽつりと、栞さんが呟く。
 懐かしい。公園の中ではちょうど、中学生ぐらいの姉と、幼稚園ぐらいの弟が砂場で遊んでいる。その姿は、あの頃の僕と栞さんに重なった。
 男の子は楽しそうだ。心から嬉しそうに笑っている。それを見守るお姉さんも、愛しそうに目を細めていて……微笑ましい。
「……ッ!」
 僕は、自然と拳を握りしめていた。あの頃の温かい気持ちを思い出せば思い出すほど、今の状況が我慢できない。
「栞さん。もう、あの家に行くのはやめよう」
「えっ?」
 僕の言葉に、栞さんが目を丸めてこっちを見る。美人なお姉さんなのに、こういう時に見せる表情はすごく可愛い。
「見たくないんだ。栞さんのあんな姿。栞さんは、凄く立派な人なのに。あいつらにバカにされるような、そんな……人じゃ、ないのに!!!」
 纏まらない考えを吐き出すうちに、涙があふれてきた。ずっと感じてきた胸の痛みが、一気に噴き出した感じだ。
「…………たっくん」
 栞さんは、確かに僕をそう呼んだ。僕……匠の愛称だ。その愛称で呼ばれたことが、僕にとってのトドメになった。
「栞さん、あいつらと縁を切ってよ!! そのせいで何かあっても、僕が大きくなって、栞さんを養うから!! もう、あいつらのオモチャになんかならないでっ!!!」
 とうとう本格的に涙を流しながら、栞さんに抱きつく。肺が上下して、何度も何度もしゃくりあげてしまう。
「た、たっくん…………!!」
 栞さんは、明らかに戸惑っていた。
 僕が泣き喚いてるから、というのもあるだろう。でもそれだけなら、栞さんは冷静に僕を抱きとめて、頭を撫でてくれるはずだ。栞さんは、そういう余裕のある対応のできる素敵な人なんだ。
 そんな栞さんが戸惑う理由はひとつ。
「んっ……!!」
 僕が縋りついて泣いていると、ふいに栞さんが甘い声を上げた。大声で泣いていても聞き逃さないぐらい、異質な声だった。
「!?」
 僕は一瞬びっくりして、思い出す。栞さんは今、火照ってるんだ。ポルチオ性感を昂ぶらされ、焦らされて、抱きつかれるだけでも感じるぐらいに。
「ご、ごめん!!」
 僕は慌てて栞さんの身体を離す。その瞬間にも、栞さんの身体がぞくっと震えたのがわかる。

「…………はぁっ、はぁっ…………」

 俯きがちに向かい合いながら、僕らは荒い息を吐いていた。僕は、泣きじゃくった疲れで。栞さんは、たぶん、別の理由で。
「おねえちゃんたち、くるしいの?」
 いきなりそう声を掛けられて、僕らは背筋を伸ばした。横を見ると、さっきの男の子が公園の入口まで来ていて、心配そうに僕らを見上げている。
「だめっ、やめなさい! ……すみません」
 お姉ちゃんが男の子を引き戻しつつ、僕らに向かって頭を下げた。無邪気な男の子に、真面目そうなお姉ちゃん。2人をそのまま成長させたような僕らは、思わず赤面しつつ公園を後にした。
「ゆっくり話せるところ、行こっか」
 栞さんのその提案で、僕らはあの本屋へ向かう。栞さんが一人暮らしを始めてから、栞さんの両親だけで回しているという古本屋。今はお盆の時期だから店は閉まっていて、栞さんの持っている合鍵で入ることになった。
 店へ足を踏み入れた瞬間、懐かしさがこみ上げる。栞さんと並んで本を読んだ、木製のカウンター。壁際の錆びた脚立に、独特の匂い。何もかもがあの頃のままだ。変わったものがあるとすれば、僕の視線の高さぐらいか。
「こっちよ」
 栞さんは、本屋の奥にある階段で2階に上がっていく。2階には6畳ぐらいの部屋があった。小さな机もあれば、ベッドもある。
 僕は、ボディバッグを机に置いて振り返り……そこで息を呑んだ。ベッドに腰掛けた栞さんが、あまりにも色っぽかったから。
 シースルーの黒ブラウスから透けた腕が、やけに目を惹く。赤らんだ頬も、濡れたような瞳も、何もかもがいやらしく思えてしまう。変だ。昨日から立て続けに刺激的な場面を見て、僕までおかしくなってるんだろうか。
「……栞さん……」
 僕は、電灯に誘われる虫のように、ふらふらとベッドに近づいた。そして、栞さんのすぐ横に腰掛ける。少し背を伸ばせば、そのままキスができるくらいの位置に。
「…………。」
 栞さんは、そこまで僕に迫られても、身を退いたりはしなかった。だから僕はつい魔が差して、栞さんの唇を奪った。
「んっ!? ん、ふっ……!!」
 栞さんは戸惑ったような声を上げ、小さく震えた。憧れのキス。でも、それは長くは続かない。栞さんが、僕の両肩を掴んで押し戻したから。
「……だめ! だめよ、こんなの……!!」
 赤らんだ顔で、必死にそう訴える栞さん。その反応は、ショックだった。
「なんで!? あいつらは、毎日栞さんとしてるのに!! なんで僕だけダメなの!?」
「だからよ! たっくんまで、あんな奴らみたいになって欲しくないの!!」
 叫ぶ僕に、栞さんも叫び返す。部屋に響くような声量で。
 真剣な目と目で、見つめあう。そこで僕は、ようやく気付いた。栞さんの顔……その発情具合が、さらにひどくなっていることに。
 我慢してるんだ。生殺しで放りだされた栞さんは、疼いて仕方がないはず。たとえ子供だとしても、オスの存在が傍にあれば、飢えを癒したくなるに決まってる。でも、相手が僕だからそうしない。倫理観のできていない子供相手に、自分から淫行を迫る……それだけはしちゃいけないっていう、最後の最後に残った理性で。
 僕は、そんな栞さんに惚れ直すような気分だった。そんな栞さんだから、好きになった。
 そして、そんな栞さんだから、一線を超えてでも楽にしてあげたいんだ。
「栞さん!!!」
 僕は彼女の手を掴み、逆に押し戻した。
「あっ!?」
 不意を突いた形だからか、栞さんはベッドに倒れこみ、そこに僕は圧し掛かる形になる。こんな形で栞さんと向き合うのは初めてだ。
「……僕は、あいつらとは違う。遊びじゃないんだ」
 僕の影が落ちた栞さんの顔に、はっきりとそう伝える。栞さんは驚いた表情のまま、ごくりと息を呑んでいた。綺麗で、可愛くて、愛おしい顔。
「こ、こんなの、いけない事なんだよ? たっくんのお父さんも、お母さんも、学校の先生にだって、知れたら怒られるんだよ?」
 栞さんの声は、震えていた。どこまでも僕を心配して、守ろうとしてくれる栞さん。大好きだ。
「僕は、後悔しないよ」
 はっきりとそう宣言して、僕はもう一度栞さんの唇を奪う。また緊張が伝わってくるけど、今度は拒絶されない。甘い香り。熱い舌の感触。
「んっ……ん、んんっ……」
 栞さんの手が動いて、僕の手を握る。久しぶりの栞さんの手は、前よりもやわらかく感じた。

 僕らはベッドの上で座りなおし、服を脱ぐ。栞さんの脱衣は、例の部屋で何度も見たけど、間近で目にするとまた別物だ。白い肌が露わになるたび、心臓が高鳴っていくのがわかる。
 生まれたままの姿になって向き合えば、僕のすぐ鼻先にあるのは、憧れだったお姉さんの顔。僕を守るべき子供としてではなく、愛を交わす相手として見つめるその表情は、産毛が逆立つぐらいに色っぽい。
「……横になって。たっくん」
 栞さんが、迷う僕に優しく言った。僕は従うしかない。経験豊富な悠真君達と違って、何も知らないんだから。
 仰向けになった僕の下半身に、栞さんが覆い被さる。
「本当は私、もう、我慢の限界だったの。あいつらに火照らされて……そんな時に、たっくんが横にいて……」
 栞さんは僕にそう囁きつつ、勃起した物に手を添えた。興奮しすぎている僕は、それだけで腰が震えてしまう。
「……ん、んっ……はむっ、ふん……んっ」
 目線を下げ、口を前後に動かしながら、僕の物をしゃぶる栞さん。時々横髪を指でかき上げるのが彼女らしくていい。いかにも、清楚な栞さんがするフェラチオらしい。舌でちろちろと舐められるのは気持ちよくもある。
 でも、物足りなかった。僕は知ってしまっている。今の彼女の『本気』を。
「栞さん。あの時みたいに……して」
 僕は、憧れの相手にそう囁きかけた。あの時というのは、僕が初めて悠真君の部屋に上がった時のことだ。
「!」
 栞さんは驚いたような表情を見せてから、恥ずかしそうに上目遣いをする。
「……いいの? あんな、下品な……私のこと、軽蔑しない?」
「全然。栞さんに、気持ちよくしてもらいたいんだ」
 不安がる栞さんに、僕はなるべく穏やかな声で答えた。
「わかったわ」
 そう言う栞さんの顔は、やっぱり恥ずかしそうだったけど、同時に少し笑っているようでもあった。
 そして、本気のフェラチオが始まる。
「れあっ……あむっ、あえ……。れろっ、あむ……ずっ、じゅるっ……」
 アレを握りしめたまま、玉袋をしゃぶり、裏の筋を舐め上げ、先端を口一杯に頬張りながら、舌でチロチロとおしっこの出る穴を刺激する栞さん。その快感は異常だった。前にしゃぶられた時よりも上手くなっている。あの部屋にいた連中がすぐに射精してしまうのも納得だ。
 複雑な気分だった。あの清楚な栞さんが、こんないやらしい技術を仕込まれているなんて、ただただショックだ。でも同時に僕は、興奮している。今にも絶頂しそうな快感の中で、純粋にオスとして喜んでしまっている。
「気持ちいい?」
 栞さんが一旦アレから口を離し、僕に問いかけた。僕が頷くと、さっきよりも分かりやすい笑みが返ってくる。胸が温かくなる笑顔だ。このままずっとしゃぶって貰えたら、とも思う。でも、まだ射精するには勿体なく思えた。
「栞さん……今度は、僕が栞さんにするよ」
 僕がそう言うと、栞さんはきゅっと唇を持ち上げる。でもその唇は、すぐにまた笑みの形に戻っていく。
「そう。じゃあ、お願い」
 栞さんは上半身を起こすと、そのままゆっくりと後ろに倒れた。背中がシーツにつき、両足が開く。でも栞さんは、すぐに両の手の平であそこを隠してしまった。
「……栞さん?」
「ご、ごめん。いざとなったら、たっくんにあそこ見られるの……恥ずかしくて」
 照れたように笑いながら、栞さんはそっと手をどける。
 手の下から現れるのは、憧れの人の性器。もうすっかり愛液に塗れていて、まさに熟れた女性器という感じだ。顔を近づければ、むうっとする匂いが立ち上って、アソコが硬さを増す。
「これが、栞さんの……」
 親指で割れ目を拡げながら、僕はそう口に出してしまっていた。栞さんの顔が恥ずかしそうに横を向く。ちょっと申し訳ない気持ちになるけど、僕だって余裕があるわけじゃない。
 吸い寄せられるように、アソコに口づけする。ぢゅるっと音を立てて蜜を吸い、舌で丁寧に割れ目の表面をなぞり。
「はあっ! あっ、あっ……!!」
 栞さんの太股がぴくっと反応して、甘い声が漏れた。気持ち良さそうだ。僕の拙い舌遣いでこんなに早く反応するのは、我慢をしていないせいだろう。純粋に感じてくれている。僕を受け入れてくれている。そう思うと優越感が沸き起こった。あの部屋で傍観している間はずっと、『置いていかれた』気持ちに苛まれていたから。
「はぁっ、はぁあっ、んっ、んんっ!!」
 栞さんの内腿が強張り、何度も何度も甘い声が出る。割れ目の奥からはどんどんと愛液があふれだしてくる。
「すごい、たっくん……き、気持ちいい…………!」
 そんな褒め言葉が嬉しくて、僕はますます調子付き、舌を捻じ込む勢いであそこを舐め回す。そんな状態が、どれくらい続いただろう。
「はっ、はぁっ、はぁっ……た、たっくん、もうダメ………もう……我慢できない……」
 栞さんは、手で顔を覆いながら、弱々しくそう囁いた。
「……じ、実は、僕も……」
 僕の声だって、たぶん震えている。興奮して、興奮して、興奮しすぎて、アソコが弾けそうなんだから。
「い、挿入れるよ」
 片手で勃起したアレを押さえ、栞さんに尋ねる。
「ええ」
 栞さんが頷いたのを確認して、ゆっくりと腰を進める。ぬるりとした温かさがアレに纏わりついて、凄く気持ちいい。締め付けも強いから、挿入しただけで暴発しそうになる。
「ああああ……」
 栞さんからも、気持ち良さそうな声が漏れていた。深い挿入への欲求が満たされたんだ。僕が満たしたんだ。その嬉しさを胸に、さらに腰を進めると、そのうち亀頭がぐにょりとした物に突き当たった。膣の一番奥……子宮口だ。僕の子供サイズのアレでも、ちゃんと奥まで届くんだ。
「気持ちいい? 栞さん」
「うん……とっても」
 顔を近づけてそう確かめ合い、そのまま唇を重ねる。温かい舌と吐息。触れ合わせた胸や腹にさえ熱気が立ち上って、汗が熱い。その熱さは、僕の脳を茹で上げた。パンパンという音を聴き、凄まじい快感を味わって、ようやく自分が腰を振っている事実に気付く。
「き、気持ちいい、気持ち……いい……!!」
「ぼ、僕も……っ!!!」
 お互い快感に震えながら、あっという間に絶頂する。経験の乏しい僕でも、栞さんが逝ったのがはっきりわかった。
「はぁっ、はぁっ……!はぁっ、あぁ……っ!!」
 激しく喘ぎながら、痙攣する全身を密着させ、また口づけを交わしあう。そしてまた腰を動かし、温かい粘膜で繋がりあって、絶頂する。これを立て続けに3回繰り返した。
 でも、これで終わりじゃない。3連続で射精して、さすがにぐったりして仰向けに寝転がっても、まだ勃起は収まらなかった。
「大丈夫?」
 栞さんが上半身を起こして、心配そうに僕の顔を覗きこむ。お姉ちゃんの顔だ。でも同時にその顔には、まだ『したりない』という感情も隠れている。
「平気だよ、栞さん。もっとしよう」
 僕がそう言うと、栞さんは眉を下げて笑った。

 そこからは、栞さんが僕に跨って腰を振るようになった。さっきまでは、僕の方から捻じ込む形。今は逆に、咥え込まれる形。真逆の状態になると、感じ方も全然違う。角度のついた、ヌルヌルとした穴が、僕のはきちれそうな物を絞り上げる。
「ああああ……!!」
 今度は僕がか細い悲鳴を上げる番だった。
「……大丈夫?」
 栞さんは一旦腰を止め、心配そうに見下ろしてきた。
「大丈夫。気持ちよすぎて声が出ただけ」
 僕は笑みを浮かべて答える。心配を掛けたくないし、こんな気持ちのいい事をやめて欲しくもなかったから。
「そう。つらくなったら言ってね」
 栞さんは心配そうに言いつつ、細い腰を上下させる。彼女は、僕以上に性に飢えているようだった。僕に顔を見られる形だから、必死に隠してるみたいだけど、今にも満面の笑みを浮かべそうな表情だ。
「はあっ、あああっ、あんっ!!」
 気持ちよさそうな声。上下左右に揺れる大きな胸。僕の全身に降り注ぐ汗。そのどれもが僕を興奮させる。
「あああ、い、いいっ……! セックスって、こんなに……あああ、い、いくうっ!!!」
 感情の枷のなくなった栞さんは、本気で快感を貪っていた。グリグリと腰を横にうねらせて、中で咥えこまれた僕のアレを堪能している。捻じ切られそうなその刺激で、僕もすぐに逝ってしまう。
「い、いくっ、いくっ!! たっくん、ああ、たっくんっ!!!」
「栞さんっ、ぼくも、僕も……いくっ!!」
 2人で何度もそう叫び、ベッドを軋ませながら快感に浸る。
 幸せだった。人生で一番だといえるぐらい。
 でも、人生には山と谷がある。幸せの絶頂を迎えた、その後に待つのは下り坂だ。

「はあっ、はあっ、ああっ…………!!」
 5回連続で絶頂し、息を切らせながら抱き合っていた時。脱ぎ捨てたズボンのポケットから、メッセージの着信音が鳴った。
「なんだろ……?」
 ベッドから半身を乗り出してスマホを拾い上げ、メッセージを確認して、凍りつく。
「……どうしたの?」
 栞さんは緊張した様子で僕に訊ねる。でも僕は、彼女の方を向く余裕すらなかった。

『凄いな、2人共。普段クソ真面目な奴ほど、ハメ外すとヤバいんだな』

 その言葉に続いて、短い動画が送られてくる。動画が映しているのは、どこかの部屋。それほど大きくないベッドの上に、対格差のある男女が映っている。女性の方が大きいようだ。いかにも生真面目そうな2人。
「これって……!?」
 栞さんが目を剥いたのも当然だ。これは明らかに、僕らを映したものだ。撮影しているのは、ベッドの左側から。そっちへ視線を向けても、別に変なものはない。あるとすれば、いくつかの埃を被った家具と、木の机に、その上に置いた僕のボディバッグぐらいだ。
 この部屋にあるものに細工がされているとは考えづらい。となると、可能性があるのはボディバッグ。お気に入りで、今日も悠真君の部屋に置いていたものだ。
「あそこ、何か光ったわ!」
 栞さんがボディバッグを指差して叫ぶ。僕らはすぐベッドを降りて、バッグに駆け寄った。青い生地にいくつか赤いラインの入った、見慣れた外装。そのいくつもある装飾の内の一つが、不自然に光っている。
 ここで、またメッセージが来た。

『やっと気付いたか。匠はともかく先生まで見落とすなんて、よっぽどセックスに夢中だったんだな。そう、その小型カメラで全部見てたぜ』

 文面にはそうある。
 やられた。今日か昨日か、僕がバッグから離れた隙に仕込まれたんだ。そして、この部屋での行為を全部撮られた。さっき送られてきた映像を見る限り、カメラの映像データはどこかに転送され、保存までされているようだ。
「こ、こんな……。小学生が……こんな……!!」
 血の気が引いたのは、僕だけじゃないらしい。栞さんも青い顔をしている。

『安心しろよ。変に逆らったりしない限り、この映像は身内で楽しむ用にしといてやるから。じゃ、また明日』

 さらにメッセージが届く。
 何が安心しろ、だ。こんなもの、逆らえば映像を流出させるという脅しでしかない。僕ら2人の淫行がバッチリ映った映像。これがあれば、僕と栞さん、2人の身動きを同時に封じることができる。
「くそっ!!」
 カメラを取り外してスイッチを切っても、自由になった気がしない。僕らは相変わらず、蜘蛛の糸に絡め取られたままだ。
「ど、どうしよう、栞さん!?」
 そう訊いてはみたものの、どうしようもないことは解っていた。
「……今は、言われた通りにしましょう。大丈夫。きっと、そのうち飽きるわ」
 青白い顔から発されたのは、予想通りの言葉。
 自分一人への脅威ならともかく、僕まで巻き込まれた以上、彼女はもう思い切った行動が取れない。だからこそ、悠真君は僕をあの乱交現場に招いたんだろう。栞さんを縛る、決定的な楔として。
 


                              (続く)

『深淵に響く命の歌(後編) 』発売開始しました。

皆さん、お久しぶりです。燻製ねこです。

以前発売した『深淵に響く命の歌』の後編が発売になりました。








テイルズ・オブ・ジアビスのティアがガタイのいい兵士達に輪姦されたり、
圧倒的な巨躯のモンスターにボコられ犯されたりします。

プレイは、
・淫紋を刻まれ、数百人に輪姦されてザーメン便器に
・無様土下座哀願&アナル舐め奉仕
・ザーメン嘔吐イラマチオ
・体格差ファック&アクロバティックセックス
・屈強なモンスターからの蹂躙
・規格外のモンスターペニスに犯され、自らに回復魔法を掛けながら悶絶
・醜悪な蟲の苗床化
等々です。

私としては珍しいファンタジー系凌辱モノであり、
いつもお世話になっている九梨桜(炙りサーモン) さんの美麗なイラストもたっぷりついて、
おまけイラストまで同梱しての大ボリュームとなっております。

実用性は抜群と思われますので、ぜひともお買い求めください。
よろしくお願いします!
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