※オーバードーズ Part.1(前半)の続きです。
前編が少々長くなりすぎたため、こちらに分割します。
「始める前に、またコイツを吸って貰おうか。3分は吸い続けろよ」
手越はそう言って、ガスの吸入器を沙綾香に投げ渡す。沙綾香は露骨に顔を顰めながらも、吸入器で鼻と口を覆い、手探りでスイッチを入れる。数秒でガスの漏れる音がしはじめ……沙綾香は、目を見開いた。
「げほっ、ええほっ!!」
「馬鹿野郎、外すんじゃねぇ! ガスが勿体ねぇだろうが!」
吸入器を外して激しく噎せる沙綾香に、手越が怒鳴りつける。
「ま、待って! なんかヘンなの、身体が、すごい熱い……! これ、さっきと全然濃さが違う!!」
「それがどうした。ガスの濃さは、スイッチを入れるたびにランダムで変わるぜ。ちなみに一番濃いパターンだと、ヘロインを上回る“ラッシュ”の快楽が来るらしい。ヘロインっつうと、『オーガズムの数万倍の快感』とか『ヒトが一生で体感しうる快感を一瞬で得る』なんてのが常套句だが、それ以上だ。まあ快楽中毒まっしぐらだろうな。どうだ、スリル満点のルーレットだろ?」
「はあっ!? どこまで陰湿なの、あんたら……!!」
悪意しかない仕掛けに、沙綾香は怒りと呆れの混じった表情を見せる。だが手越はその反応を気にも留めず、ガラステーブルからストップウォッチを拾い上げた。
「こっちはテメェの理性を吹っ飛ばしてぇんだ。わざわざ同じ濃さのガスばっかり吸わせて、慣れさせるわけねぇだろ。それより、早く口に戻せ。今から3分だ」
沙綾香はやはり不服そうだが、勝負を呑んだ以上は従うしかない。
「げほっ、えほっ……んん、ふうっ、ふうーーっ…………!!」
何度も噎せながら、必死にガスを吸引する沙綾香。瞳孔は開ききり、身体は凍えるように痙攣している。まるで毒ガスでも吸っているような苦しみようだ。いや、実際に毒ガスそのものか。
「よし、3分!」
手越がストップウォッチを止めると、沙綾香もすぐに吸入器を外す。
「っぶあ! フウッ、ハァー、ハァー……っハアーー…………!!!」
沙綾香の息はひどく荒い。白目を剥き、嫌な汗で顔中を濡れ光らせているのは一度目の吸引後と同じだが、呼吸の乱れ具合はあの時以上だ。
そして、その様子は数秒後にまた一変する。眼球が元の位置に戻ったかと思うと、沙綾香はいきなり腕を抱え込んだ。
「や……こ、これ、本当にヤバいって! 体が、燃えてるみたいに熱い……!!」
「マジで濃いのに当たったらしいな。これから十番勝負の一発目って時に、運のねえガキだ」
手越はそう言いつつ、黒人の一人……マーキスに合図を送る。
「ハハハハハ、やっとか! 待ちくたびれたぜ!!」
マーキスは白い歯を覗かせながら沙綾香に近づき、ボクサーパンツを脱ぎ捨てた。覆いの下から現れたのは、黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直。しかし、目の錯覚だろうか。その大きさは……
「な、なんで……さっきより、大き、い……?」
目の当たりにした沙綾香が言うんだから、どうやら気のせいではないらしい。マーキスの『巨根』は、明らかに前回よりも太く、勃起力も強い。今度は斜め上どころか、6つに割れた腹筋に先が触れそうなほどの反り具合だ。
「ああ、1割増しでデカいぜ。スッポンと牛のペニスのスープを飲んできたからな。俺らの勝負メシでよ、すげぇ精力がつくんだぜ」
「ふ、ふーん。じゃあその分、すぐ射精するってことでしょ。勝ち目薄くなっちゃうけど、大丈夫なわけ?」
「心配すんな。4人の女を同時に相手して、朝まで喜ばせたこともある。たったの2時間ぽっちなんざ、最初っからフルスロットルでも余裕だぜ」
沙綾香が精一杯挑発してみせても、マーキスの余裕は剥がれない。ハッタリであってほしいものだが、奴の生命力に満ち満ちた肉体を見ていると、絶倫という言葉しか浮かんでこない。
「さて、ジャパニーズ。まずはしゃぶってもらおうか」
マーキスは沙綾香の前に立ち、怒張を脈打たせる。
「はっ!? こんなの、誰が……!」
「嫌なら別にいいんだぜ、このまま突っ込んでも。ただし今度は、ローションは使わねぇ。摩擦を和らげられんのは、せいぜいプッシーから分泌される保護液だけだ。日本人サイズならそれで足りるかもしれねぇが、俺相手だとキツいぜ? 唾で濡らしとく方が、お前自身のためだと思うがな」
マーキスは薄ら笑いを湛えていた。ジョークを言っている類の笑みじゃない、もっと攻撃的なそれだ。レイプ魔である奴にしてみれば、痛みに顔を歪める相手を犯すのも好みなんだろう。
その悪意を感じ取ったのか、沙綾香はしばらくマーキスを睨みつけた後、観念したように剛直へと手を伸ばす。
沙綾香がペニスの根元を握りしめると、その馬鹿げたサイズが改めて実感できた。女の手で本当にかろうじて握れる太さで、かつ両手が重ならないように握っても、なお亀頭が丸々余る長さだ。沙綾香はその大きさに数秒凍り付いていたが、やがて意を決したように亀頭に舌を触れさせる。
「おっほ、すげぇ。気持ち良すぎてビリビリくんぜ!」
喜ぶマーキスとは対照的に、沙綾香は心底辛そうだ。先端部分を口に含んだ瞬間、ぶるりと身震いしながら吐き出してしまう。
「う゛っ! ちょっと、シャワー浴びてよ! この臭い、耐えらんない!!」
悲鳴を上げながらマーキスを睨むが、当のマーキスは意にも介さない。
「早くしゃぶれ。それとも、即ブチ込まれてぇのか?」
意思の疎通を放棄した答えに、沙綾香はますます苛立ちを露わにしたが、仕方なく怒張を咥え直す。
怒張を扱きながら、頭を上下させる奉仕。沙綾香は何度も噎せていた。匂いがよほどきついんだろう。だがマーキスは心地よさそうだ。
「おおお、いいぜ……クチん中がすげぇあったけえ。風邪引いてる女に咥えさせた時みてぇだ。クスリで発情してるせいか? 最高だな、ドラッグセックスは!」
うっとりと快楽に酔いながら、さらなる刺激を求めて沙綾香の頭を押さえつける。
「う゛ぉえっ!!」
嘔吐を予感させる声が漏れ、黒人共が歓声を上げた。
「おい、ここで吐かすんじゃねーぞ!」
「解ってるって。半分も咥えてねぇのに大袈裟なんだよ、こいつ」
ロドニーに釘を刺されても、マーキスは後頭部から手をどけない。確かに口内に隠れているのは怒張の半分ほどだが、それでも10センチ以上は入っているだろう。それに、太さの問題もある。片手で掴みきれないような物を咥えるとなれば、相当な大口を開けざるを得ない。ハンバーグを丸ごと口へ押し込むようにだ。そんなことをすれば、戻しそうになるのも無理はない。
「うっ、んっぐ、うう゛……えう、おえあ゛っ…………!!」
「良いぜ、良いぜぇ……!!」
苦しそうに呻く沙綾香と、心地よさそうに天を仰ぐマーキス。そんな光景がもう2分も続いている。マーキスの腰はカクカクと前後していて、今にも射精しそうだ。だが、しない。何度も足を踏みかえ、細く息を吐いて耐えている。
じゅぶじゅぶという水気のある音。それが象徴するように、怒張はもうすっかり唾液に塗れていた。しかも刺激を受けたことで、サイズも増しているようだ。一人目にしてすでに、沙綾香の頬の筋肉には余裕がない。
「あああ、たまんねぇ……もういいぞ!」
マーキスはとうとう沙綾香の頭を押しのける。唾液の膜と共に引き抜かれた怒張は、やはりでかい。奉仕前は巨大な亀頭が目立っていたが、今や幹部分も膨らんだせいで、全体的に寸胴なイメージになっている。その凶悪なフォルムを前に、沙綾香の顔が暗さを増した。
「準備OKだな。始めて構わねぇが、その前に……」
腕を組んで奉仕を眺めていたロドニーが、黒いリモコンを拾い上げる。そのスイッチが巨大モニターに向けて押されると、ある映像が映し出された。
『そんなに怯えるなよ、ジャパニーズ。よく見てみな、ダックスフンドみてぇで可愛いだろ?』
聞き覚えのある悪趣味なジョークが、フロアに響く。
映像に映っているのは、壁際に追い込まれた丸裸の沙綾香と、その下腹に逸物の先を押し当てているマーキスの姿。この光景を忘れることはない。十番勝負の一回目、その初戦だ。流れているのはどうやら、監視カメラの映像らしい。
「ほおう、前んのときの映像をバックにやれってか。面白え」
マーキスは興味深そうな声を上げ、沙綾香を立ち上がらせると、そのままモニター前に引きずり出した。壁一面のモニターに映し出された、巨大な沙綾香……その脚の間に現在の沙綾香がいる。不可思議な光景だ。
ほんの数時間前の映像だけに、沙綾香自身の変化はないに等しい。大きさが4倍程度違うだけだ。ただ、その下腹に押し当てられた怒張のサイズは明らかに違った。映像内のそれは、逸物の先が臍に当たる程度だが、今はそこからさらに上……臍と両乳房の中間地点にまで達している。
「ざっくり2割増しってとこか。ま、ガスで発情してる今なら大丈夫だろ。今度こそ全力で、たっぷりと楽しませてやるぜ」
マーキスはそう言って沙綾香の頬を舐めた。
「「やっ……!」」
上下の沙綾香の、密着を嫌がる素振りがシンクロする。しかし、それは一瞬のこと。
『ヘンなもの押し付けないでよ、このゴリラ!!』
上の映像では、沙綾香がマーキスの分厚い胸板を突き飛ばし、必死の抵抗を試みていた。
だが下の──今の時間軸の沙綾香は、マーキスに膝裏を抱えあげられたまま、悔しそうに横を向いている。今の彼女には、拒否権などないからだ。
一方のマーキスは、上の映像では沙綾香の抵抗を笑って受けながら、挿入のタイミングを計っているところだった。だが下の現実では、一足先に怒張を割れ目へとねじ込んでいた。
「あっ……あ、あっ……!!」
「うおおおっ、キツいな……ギュウギュウ締めやがる! おまけに、こっちも熱いしよお。マグマん中にでも突っ込んでる気分だぜ!!」
マーキスの興奮ぶりは相当なものだ。具合がいいのは事実だろう。奴はあっという間に怒張の半分ほどを挿入しきり、腰を使いだす。パン、パン、という肉のぶつかる音が響きはじめる。
「うあっ、あ、あああっ! ふうう……うん、んっ!」
沙綾香は目を閉じていた。抜き差しの中で目を開くこともあるが、少しの間だけだ。
辛そうだった。純粋に苦しんでいる上画面の彼女とも、反応はよく似ていた。だが、実際には違ったようだ。
「へへへ、ナカがうねってるぜジャパニーズ。気持ちいいんだろ?」
マーキスは、舌なめずりでもしそうな口調でそう囁きかける。
「か、感じて、ない……。こんなので、感じるわけ、ないじゃん……っ!!」
「へっ。恋人以外で感じたら、浮気になるってか? 義理堅ぇこった。だがその割にゃ、ずいぶん蜜が垂れてくるじゃねぇか」
マーキスが笑いながら、沙綾香の太腿に触れる。
「あ、やっ!!」
嫌がる沙綾香を無視して何かをなぞり、高く掲げると……その指先は濡れ光っていた。
「見ろよ、ドロドロだ。俺の極太がスムーズに動くわけだぜ」
「ち、違……あのガスのせいで、変になってるだけ! あんた相手に、感じてる、わけじゃ……!!」
マーキスの言葉を、沙綾香は強く否定する。だがマーキスは、よほど自信があるんだろう。
「ほお、感じてねぇってか?」
目を細めながら念を押し、沙綾香が頷いたのを確認すると、いきなり彼女の尻肉を鷲掴みにする。そして自分の腰へと押し付けながら、力強いピストンを再開した。双方向から力が掛かるそれは、単純に考えてもさっきの倍の刺激だ。
「あああっ! やだ、そんな奥……っ!!」
沙綾香は顔を顰めて呻いていた。嫌がっているようにしか見えないが、パンパンと肉のぶつかる音が繰り返されるうちに、様子が変わってくる。
「んん、んっく、くはっ……はぁ、はあっ…………ああ、ん、あっ! あ、らえ…………ああああ゛あ゛っ!!」
激しく喘ぎながら、身もだえ。そしてついに彼女は、悲鳴を上げながら身を震わせた。
「へへへ、イキやがった。なまじ我慢したもんで、思いっきりトんじまったなあ?」
マーキスが下卑た笑みを浮かべて囁く。沙綾香には、それに反論する余裕がない。モニターに後頭部を預け、完全に顎を浮かせたまま、ハッハッと短い呼吸をするばかり。快楽という海で溺れ、水面から顔を出そうとするように。
「お前は気持ちよくイッたみてえだが、こっちはまだこれからだ。続けるぜ」
マーキスは、ぐったりとした沙綾香の太腿を抱え上げた。足という支えを奪えば、挿入は嫌でも深まることになる。
「あああああっ!!!!」
沙綾香は悲鳴を上げた。だがその悲鳴にすら、快楽の響きが含まれているように思えてならない。
「感じているようですね、彼女は。黒人のペニスで対面座位を強いられる形なのですから、無理もありませんが」
まるで俺の心を見透かしたように、端塚が語り掛けてくる。奴から見ても、あれは嬌声に思えるらしい。
「……大きいというのは、そんなにいいのか」
「あえて肯定しましょう。世の中には巨根を好む女性も一定数いますが、それらの女性の多くは最終的には黒人とのSEXに耽溺し、そこから離れようとしません。規格外のペニスサイズを誇る黒人とのSEXは、一般的な男性とのSEXとは別次元だからです」
「何が違うんだ。膣はそこまで奥行きがあるわけじゃない。黒人のペニスでなくても、奥までは届くだろう」
「奥に届く、というだけでは不十分なのです。女性の膣に性感スポットは多々ありますが、中でも特筆すべきは子宮口周りの膣壁です。ここは非常に大きな快感を与えるのですが、大抵のペニスでは亀頭の先で突くのがせいぜいで、じっくりと刺激するには長さが足りません。しかし、彼らほどの大きさであれば、そのスポットを起伏に富んだ雁首周りで刺激することができます。抜き差しする度に、延々と。そしてこの快感が、多くの女性を骨抜きにするようです」
端塚は、黒人のペニスの優位性を淡々と説く。その間も下のフロアでは、沙綾香がマーキスの肩にしがみつきながら揺れていた。
「んっん、はぁっ……あああ、はっ…あ! あっ、あっん、んんー……っ!!!」
天井のスピーカーからは、艶めかしい声。それに意識を向けるのがつらい。端塚の話を踏まえて聞けば、思い当たる節がある。
対面座位で沙綾香を抱いている時、欲を出して奥の奥まで突いたことが何度かある。そういう時、たまに深く入り込んだ感覚と共に、沙綾香がいい反応を返してくれることがあった。十数回突き込んで一回、という程度だったが、俺はそんな時の沙綾香の反応が好きだった。
その声が今、毎秒のように聴こえてきている。俺にとっての『奇跡の突き込み』を、マーキスは当然のごとく、ピストンのたびに起こしているらしい。
「っあああああーーっ!!!」
沙綾香がまた悲鳴を上げ、足指を強張らせた。また絶頂したらしい。
「オイオイ、またイッちまったのかよ。ま、俺もそろそろだがな」
マーキスは嬉しそうに笑いながら、腰の振りを早める。
「は、はっ……!!」
絶頂後の余韻の中、沙綾香がはっとした様子で顔を上げた。そして、足の筋肉を筋張らせる。
「おっ……すげえな、一気に締まってきやがった。アメリカ女に握りつぶされてるみてぇだ、こりゃ堪んねぇぜ!」
マーキスは大喜びで腰を振りたくる。抜き差しの音も変わった。水気を含むブジュブジュという音と、何かに空気を入れるような、ハキスッ、ハキスッ、と聴こえる音が交じりあう。空気と水を含んだ空洞の中、強烈な膣圧に負けないピストンが生み出す音だ。それほどの音を立てるセックスが、生半可であろうはずもない。絶倫な強姦魔といえど、その中では何分も持たない。
「ぬああああ…………っ!!!」
やがて、マーキスは咆哮を轟かせた。ケダモノの断末魔だ。奴らはいつもその声と共に、すさまじい量の精液を流し込む。
「うううううっ!!!」
膣奥に精を受けていんだろう、沙綾香が汚辱に塗れた顔をする。だが、表情の中には晴れやかさもあった。
「何笑ってんだよ。まさか、もう中出しで感じてんのか?」
手越に茶化されても、沙綾香の少しむっとするだけだ。
「そんなわけないでしょ! こいつ、今イッてるの。つまりこの勝負って、沙綾香の勝ちだよね!?」
なおも射精を受けながら、目を輝かせる沙綾香。その姿に、手越も、ロドニーも、黒人共もマーキスも、一様に固まる。そして、互いに顔を見合わせ…………笑った。
「ハッハッハッハッハッハッ!!! おいおい、笑わせんじゃねぇよ!!!」
「ひひひひひっ、あの、あの得意顔!! 大したユーモアセンスだぜ、ジャパニーズ!!」
顔に手を当て、腹を抱えてゲラゲラと笑う鬼畜共。その中心で、沙綾香だけが呆然としていた。
「え……な、何? イッてるのはホントだって。ねえっ、あんた今イッてるでしょ!? 沙綾香の中に、思いっきり出してるじゃん!!」
「ああ、イッてるぜ。気持ちよーくな」
「じゃ、じゃあ!!」
沙綾香はあくまで真剣だ。周りがなぜ笑うのか、理解できていない。そんな彼女に冷や水を浴びせたのは、手越だった。
「よう。お前さんまさか、一遍イカせりゃ終わり──なぁんて思ってるワケじゃねぇよな?」
その言葉で、沙綾香が固まる。完全に図星という様子だ。その反応を見て、また黒人連中が耳障りな笑い声を撒き散らした。
沙綾香は、俺とのセックスを基準に考えてるんだ。俺は一度射精するたびに沙綾香を開放し、休憩を挟んだ。射精直後は気怠いというのもそうだが、時間ならいくらでもあったし、沙綾香に負担を掛けすぎないためでもある。つまり、あえて加減していたんだ。
「『2時間以内に調教師が精根尽き果てて、もうヤレねえってことになりゃお前の勝ち』……そう言ったはずだぜ。つまり、射精がゴールじゃねぇ。もちろん、一発出してもう弾切れってんなら話は別だがな」
手越はそう言ってマーキスの方を見る。マーキスは鼻で笑った。
「冗談じゃねえ、やっと体があったまってきたとこだぜ。一発目の射精なんざ、ストレッチみてぇなもんだ。今のコンディションなら、7発か8発……いや、10発はイケるな」
マーキスの口調は自信に満ちている。大見得を切ったわけではなく、本気で言っているんだろう。俺自身、そういう気はしていた。連中はスポーツでも滾りを抑えきれず、性犯罪に手を染めた性欲の権化。一度や二度達した程度で鎮まるはずもない。
「う……嘘、ばっか。だって、本で読んだもん……。男は、何度も連続でイケるようにはできてないって……」
沙綾香は震えながら呟いた。弱弱しい声色だ。他人に対して主張するというより、自分自身に言い聞かせているような。
「俺らは特別に絶倫なんだよ。疑うんなら、そのエロい身体でたっぷり味わってみな!」
マーキスは沙綾香の太腿を抱えなおし、セックスを再開する。今度は沙綾香の身体を斜め上に揺さぶり、角度をつけて挿入するやり方だ。その勢いで、膣内に出された精子が四方八方に飛び散っていく。
「あ、い、いやああっ!! ま、また、すごい奥……う、うっ、ふぅぅううう゛っっ!!」
余裕のない沙綾香の声が響く。
『バカぁっ!!』
モニターの映像でも、同じく大声が張り上げられていた。膣内射精されたことに憤慨した沙綾香が、マーキスの股間を蹴り上げたシーンだ。
「おお、そういやタマ蹴られたんだったなあ。あの礼は、しねぇとな!!」
映像を見て苦い記憶を思い出したらしい。マーキスは両手で沙綾香の尻を鷲掴みにすると、自分の腰に叩きつけはじめた。丸太のような腕だ、腕力も相当だろう。肉のぶつかる音がバチンバチンと激しさを増し、沙綾香の尻の形は一秒ごとに変わる。
「はああっ、あ、あ! ああっ、いやぁ、あああ……っく、くあああ……!! んあ、あああ……あはっあああっ!!」
沙綾香は、何度も何度も甲高い嬌声を上げながら絶頂へと追い込まれた。
「何遍も連続で絶頂する感覚はどうだ? ただでさえガスの効果で昂ってる上に、逝けば逝くほど敏感になって、ますます絶頂しやすくなっちまうんだよな」
ぐったりとうなだれた沙綾香に、手越が呼びかける。
「だがな、それに浸ってちゃ勝ち目はねえぞ。お前が勝つにゃ、マーキスのザーメンを残らず搾り取るしかねえ。必死でマンコ締めて、10発でも20発でも射精させてよ」
その言葉で、沙綾香の表情が引き締まった。
「おっ……!? へへへ、急に具合がよくなってきやがった。やる気だな?」
マーキスは嬉しそうに笑いながら、激しく腰を前後させる。沙綾香は厳しい表情を保っているが、足の動きがわかりやすく快感を訴えている。4度目の絶頂は近そうだ。
「性欲も御せないケダモノのくせに、随分なテクニシャンじゃないか」
俺は視線を上げ、端塚に向かって吐き捨てる。言うまでもなく嫌味だ。
「彼らはセックスの場数を踏んでいますから、どう責めれば女が参るのかを経験で知っているのでしょう。あるいは八金 沙綾香が、黒人に犯されて喜ぶ特殊性癖なのかもしれませんが」
端塚は憎らしいほど落ち着いたまま、ティーカップを傾ける。
下のフロアで、巨大モニターの映像が暗転したようだ。一人目の映像が終わったらしい。だが、2回目の勝負はまだ続いている。沙綾香がマーキスに突き上げられ、一方的に追い込まれる形で。
2時間。それは、とてつもなく長い。
望まぬ光景を眺めながらだと、終わりのない地獄にすら思えてくる。
「はぁっ……はぁ、はぁっ……はぁっ……ちょ、ちょっと、休ませ、て…………」
マーキスの肩に頭を預けた沙綾香が、荒い息を吐きながら哀願する。彼女はもう、何度絶頂させられたことだろう。
「ぜぇ、はあ……クチでするってんならいいぜ」
マーキスも流石に疲れたらしく、沙綾香を床に降ろして一息つく。割れ目から抜き出された怒張は半勃ちになっていた。とはいえ、まだまだ剛性を保った半勃ちだ。沙綾香はそんなマーキスの足元に跪き、口と手を怒張に触れさせる。
熱心な奉仕だった。目を見開いてマーキスを見上げながら、舐めしゃぶり、咥え、唾液を絡めて猛烈に扱き上げる。
──お願い、早くイって! 一回でも二回でもいいから絶頂して!
そんな心の叫びが聴こえるようだ。
だがマーキスは絶頂しない。快感を得ている様子はあるが、膣以外で射精するかとばかりに堪えている。
沙綾香の必死の奉仕は、結局、マーキスの怒張を完全な勃起状態に戻しただけだった。
「……もういいぜ」
再び目を血走らせはじめたマーキスが、沙綾香の頭を押しのける。沙綾香は態勢を崩し、ベッドに両手をついた。そんな彼女の股ぐらに勃起しきった怒張が宛がわれる。
「や、やだ! 今、そんな硬いのっ……!!」
沙綾香は挿入を嫌がっていた。自分の事は自分が一番よくわかる。硬さと張りを取り戻した巨根を挿入されたら、絶頂を堪えきれない。それを理解していたんだろう。
そして、それは正しかった。
「…………ッはああああああ!!!!」
後背位で深々と挿入された瞬間、沙綾香は大声を張り上げた。彼女自身が慌てて口を塞ぐほどの声量だ。その一声は、彼女の状態を推し量るのに十分すぎる。
「へへへ、イイ声が出んじゃねぇか!! そうだよなぁ。こんだけラブジュースが溢れてるトロットロのプッシーに、硬いモンぶっこまれりゃ声も出るよなぁ!? おら、声殺すんじゃねぇよ。もっともっと鳴き声を聴かせろ、ジャパニーズ!!」
マーキスは大喜びで腰を打ち込む。
「や、や、ぁ……こ、これっ……ヤバい、ヤバいヤバいっ……!!」
沙綾香は項垂れながら、独り言のように呟いていた。体全体が縮こまり、特に脚は固く内股に閉じている。相手が犯しづらいようにか、それとも単なる自衛か。いずれにせよ、マーキスはその格好を許さない。
「もっと開けよ!」
怒鳴るように叫びながら、沙綾香の股に手をねじ込み、強引に足を開かせる。肩幅より広く。その状態でさらに腰を打ち付けられると、沙綾香の反応が変わった。
「ひああああっ!! だめぇだめええああああっ!! あそこっ、あそこ壊れちゃうう゛う゛う゛ッ!!!」
俯くのをやめて顔を上げ、大口を開けて叫びはじめる。笑う時は思いっきりの笑顔を見せる子だが、あそこまで下品な顔をするタイプじゃない。つまり、“よっぽど”なんだ。
「俺のコックはドギースタイル向きだからな。こうやってバックでやられっと、たまんねぇだろ!!」
相手の変化を見て、マーキスが調子づく。奴は激しく腰を打ち付けながら、沙綾香の両肩を掴み、強引に背を反らせた。それがどれだけ有害なのかは、沙綾香の反応でわかる。
「うわあああっ!! やめて、やめてやめでええ゛え゛ぇぇっ!!!!」
沙綾香はしばらく背を反らせて痙攣していたが、やがてシーツの上に崩れ落ちる。するとマーキスは笑みを深め、首元を押さえつける体勢に移行した。その絵面は、今までのどれよりレイプらしい。愛する女性が、黒人にベッドに組み敷かれて犯される。そのインパクトは半端じゃない。心臓が痛むほどのショックだ。
しかも、その体勢になってから、沙綾香の反応はさらに激化した。
「ああああっ、ああぁぁ……く、ぅああ……あ…………ああ!!!」
沙綾香は、軋むベッドと同化しているようだ。だが、それは胴と腰に限った話。手と顎には恐ろしいほどの力が篭もっている。その力は蓄積に蓄積した末、ある瞬間とうとう爆発する。マーキスの巨体を跳ね上げながら、彼女はまた大口を開いた。
「いっ、くッッ!!!!」
絶頂の宣言は、この上なくストレートだ。それは俺の胸に鋭く突き刺さると共に、他の連中の爆笑を誘う。
しかも、悪い状況はさらに続いた。
「イク、ひぐぅっ!! んんんん゛ック…………あはあああああっっ!!」
何度も絶頂を宣言する沙綾香。何度も下唇を噛んで声を殺そうとするが、すぐにまた大口が開いてしまう。
「随分なヨガり具合じゃねぇか、ええ? 黒人のデカマラでイキまくるなんざ、立派な阿婆擦れだな」
手越が茶化すと、沙綾香は瞬きで汗を切りながら横を向く。
「はぁ、はぁー、はあーっ……こ、こんなの、おかしい……。無理な、サイズなのに……痛い、はずなのに、なん、で…………!」
「それがドラッグセックスってもんだ。クスリでトぶと、大概のことが快感になっちまう。極太をぶち込まれる苦痛も、それと同じだけの快感になるわけだ。だがお前さんは、それに浸ってる場合じゃねぇはずだぜ。必死でマンコ締めて、相手のザーメンを搾りつくさねぇと負けだ。残りあと40分。かなりヤベェと思うがな
手越の言葉に、沙綾香の表情が強張る。
「ん、ううう、んっ…………!!」
「おおっ!? はっ、いいねぇ、締まりが増しやがった!」
沙綾香が目元を引き締めた直後、マーキスが喜びの声を上げる。
「すげぇすげぇ! ただでさえジャパニーズのガキは締まりがいいってのに、こうギュウギュウやられちゃもたねぇよ!!」
腰を打ち付けながら快感に震えるマーキス。ただ、膣が狭まることで刺激が増すのは奴だけじゃない。沙綾香自身も、より強くスポットを擦られる事になる。
「んあ、あああ……あ、あっ!!」
「オオウ、オッ、ウウオオオオオッッ!!!」
我慢比べはしばらく続いた。ベッドを軋ませ、細かな汗を散らしながら。
マーキスは、天を仰ぎながら咆哮することが何度かあった。追い詰められているのは間違いない。
だが…………限界は、沙綾香の方が早かった。
「…………あ゛、はっ…………お゛っ…………ぉ、い、っく……い、……ってる………………っ!!」
何分が経った頃からか。沙綾香は叫ぶことをやめ、熱い息を吐きだしながらうわ言を呟くようになっていた。それも異常だが、もっと衝撃的なのは顔だ。
舌を、突き出していた。
長湯でのぼせたような、汗まみれのボーッとした顔。とても勝負事で勝ちを拾える人間のそれじゃない。
「おっ……なんだ、ヘバっちまったか? あのままギュウギュウ締めっぱなしだったら、結構ヤバかったんだがな」
マーキスは汗を拭いながら激しく腰を前後させ、沙綾香から呻き声を引き出す。
「よーし、2時間経過だ」
手越が終わりを告げた瞬間にも、マーキスは激しく沙綾香を犯していた。その時点でマーキスの勝ちは確定したわけだが、奴はダメ押しとばかりに沙綾香の腰を掴み、激しく腰を打ち付ける。
「おら、おらっ!!」
「あああ、いや、あ……あっ!! イックイクううっっ!!!」
沙綾香はぶるりと身を震わせながら絶頂する。そして極めつけに、気持ちよく射精したマーキスが怒張を引き抜いた瞬間、かなりの勢いで潮を噴いた。
「ははははっ! こりゃまた、清々しいぐらいの負けっぷりだな!!」
ロドニーやその周りの人間が手を叩いて笑う。そんな中、マーキスはベッドに突っ伏した沙綾香の尻肉を割り広げる。
「見ろよお前ら、こんなに出ちまった。気持ちいいぜぇ、このプッシーは。ただの狭い穴だった一回目と違って、発情してるからヒクヒクしっぱなしでよ。最高に上手いフェラされまくってる気分になれるぜ」
その言葉で、沙綾香に浴びせられる嘲笑が大きさを増す。沙綾香はその渦中で、悔しそうに手を握りしめていた。
十番勝負1戦目は、彼女の負けだ。
※
1戦目が終わると、沙綾香には水分補給とシャワーの時間が与えられた。シャワーの時間はかなり長かったが、バスルームから出た沙綾香の顔は引き締まっていた。まだまだ気持ちでは負けていないようだ。
だが、その後には2時間に一度のガス吸入がある。ここでもまた濃いものを引いたのか、沙綾香はかなり激しく咳き込んでいた。
そうして迎える二人目は、ダーナル。奴の怒張も一周目よりサイズが増している。
「おーっ、すげぇ。痺れる感じだ!」
口での奉仕を受けるダーナルは愉快そうだが、咥える沙綾香に余裕はない。その関係は、ダーナルがバックから犯し始めてからも変わらなかった。
マーキスと同じく、ダーナルもまた最初の体位は一周目を踏襲した。沙綾香の両手首を掴んだまま、背後から突き込むやり方だ。
「う……うあ、あはっ……あぐ、う、んっ……!!」
目を閉じたまま俯き、小さく声を漏らす。沙綾香の反応は、頭上に映る一周目とそっくりだ。だがよくよく目を凝らせば、その股の間から雫が滴っているのが見える。
ダーナルの腰遣いも違っていた。モニターの映像は、あくまで自分が射精に至るための突き込み。対して今は、沙綾香を感じさせるために、色々と突き方を変えている。沙綾香の乳房の揺れ方を見れば、その違いはよく分かった。過去の映像では乳房は前後にしか揺れていないが、 今は前後だけでなく左右にも揺れ、時にぶつかり合っている。
そうした些細な違いが、瓜二つなセックスの行く末を決定的に分ける。
「っああああ゛っ!!!」
セックスが始まってから、わずか数分後。沙綾香は一際悲痛な声を漏らし、腰をカクカクと揺らし始めた。
「ハハハッ、もうイってやがる!」
ダーナルがわざと腰振りを止めても、沙綾香の下半身は震えたままだ。
「もう突いてもいねぇのに、勝手にヒクつかせやがって、いやらしいビッチめ」
ダーナルは口汚く罵りながら、また腰を動かしはじめる。ただし今度は、沙綾香の手首を下に引き、強引に上体を起こさせた上でだ。
沙綾香の体が起きれば、挿入の角度は横方向から斜め上に変わる。そしてどうやらその変化は、沙綾香にとって望ましくないものらしい。
「ううあああっ、だ、ダメッ、この角度はだめっ!!!」
「ああ、だろうなぁ。さっきもヘソの方を擦ってやった時が、一番反応が良かったからな」
ダーナルは沙綾香のうなじを舐め上げながら、慣れた様子で腰を突き上げる。
「いや、いやあいやっ!!」
沙綾香のすらりとした太腿が、何度も膨らんでいた。足に力を入れて逃げようとしているのか、それとも勝手に力が入っているだけか。いずれにせよ沙綾香は、その姿勢のままでもう一度絶頂に追い込まれる。
「っふりゅうんっ!!!」
絶頂の時の声は、妙なものだった。我慢をし損ねて達したという風だ。その声は当然笑いの種となった。見守る黒人共も、ダーナルもゲラゲラと笑っていた。沙綾香は一瞬、恥ずかしそうに顔を顰めたが、すぐに顔を上げる。そして、その直後。
「うおっ!?」
ダーナルが急に大声を上げた。何事かと黒人共が笑いを引っ込める間にも、奴は、うお、うおおっ、と驚きの声を上げ続ける。
「こ、こいつ……絞り出す気でいやがる! この体勢だと、プッシーに力が籠めやすいもんな……あああクソッ、我慢ができねえっ!!!」
ダーナルは睾丸でも握り潰されるかのような焦りを見せ、やがて荒い息と共に痙攣する。
「ん」
沙綾香が小さな声を漏らした後、股の間から白い物が流れ出した。
「ほう、やるじゃねぇか。相当搾り取られちまったなあダーナル」
ロドニーが感心しつつ茶化すと、ダーナルは品なく舌打ちする。
「ざけんな、こっからだ。マーキスの野郎が10発いけるってんなら、俺は20発は出せるぜ」
ライバル心を剥き出しにしてそう唸ると、奴は前傾を深め、沙綾香に這う格好を強制させる。バックから突くのはさっきと同じだが、今度は沙綾香の手を手綱のように引く代わりに、腰を掴んでの全力のセックスだ。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、と凄まじい音がしはじめる。音のキレも凄まじいが、早さも相当だ。沙綾香に主導権を与えないためだろう。そして、それは効果的だった。
「はぁ、あ、あ、はあっ……あ、あっ…………!!」
ガスで発情させられた上、すでに2回絶頂している沙綾香に、何分も絶頂を堪えるのは不可能だ。俯きながら熱い吐息を吐き続けた末に、とうとう背中をぶるぶると震わせる。
「そうだ、大人しくイッてろ。俺はアジアンを犯し慣れてんだ、キッチリ気持ちよくしてやるからよ」
下衆な発言をしながら、ダーナルは腰を使い続ける。沙綾香は必死に声を殺していたが、乳房を握り潰された瞬間に切ない声が漏れはじめる。
後背位でのセックスは、執拗だった。ダーナル自身も中腰や膝立ちなど姿勢を変えながら、ひたすらに腰を打ちつける。
「顔上げろ!!」
沙綾香が快感のあまり突っ伏すたび、後ろ髪を掴んで引き起こすせいで、綺麗なストレートヘアがパーマでもかけたかのように乱れていく。
「い、いたいっ! 髪、掴まないでってば!」
沙綾香が何度そう訴えても、ダーナルが聞き届けることはない。むしろ荒々しく掴んだまま、頭を左右に揺さぶる始末だ。奴にしてみれば、相手の女にノーと言わせる事そのものが目的なんだろう。
そんな酷い状況下でも、やはり沙綾香は達してしまう。何度も、何度も。
「もう、いやあああーーっ!!」
ある時とうとう、沙綾香は悲鳴を上げながら逃げようとする。だがダーナルは、素早くその足を押さえつけた。逃げることを常に想定していないと出来ない動きだ。過去のレイプで、似たシチュエーションを経験しているのか。
「ハハハハハッ!! 必死に逃げるってこたぁ、そろそろマジでヤバイってことだよなあ!? 勝負の時間は残ってんだ、キッチリ白黒つけようぜ!!」
ダーナルは満面を笑みを浮かべながら、沙綾香の尻掴む。指の合間から肉が盛り上がるほどの握力だ。
そして、ダーナルはスパートをかける。時には手のひらで打ち据えながら、激しく、乱暴に。
「おほっ、お、あ、お、おっ……!! きあはっ、あ、ははっ、は…あぁあ……い、いっくっ!!」
沙綾香は、刻一刻と追い詰められていく。つらそうに瞑った目から涙を流し、大口を開け。
特に最後の15分……ダーナルに右手を押さえつけられ、覆いかぶさる形で犯されている間は、今にも嘔吐するんじゃないかという顔色だった。結果として吐瀉物は出なかったが、それ以外の体液はすべて出たと言っていい。汗に涙に鼻水、涎に唾液。
「2時間だ!」
手越のタイムアップの合図とともに、ダーナルは激しく腰を打ち込み、沙綾香の後ろ髪を引き絞りながら射精に至った。哀れにも沙綾香は、汁まみれの顔を衆目に晒し、笑われながら膣内射精を受ける羽目になる。
「ふっ、ぐうぅううっ…………!!」
彼女の2敗目は、なんとも無残な泣き顔で締めくくられた。
※
『『フロリダの暴れ馬』ことドミニク様だ。楽しもうぜえお嬢ちゃん!』
巨大モニターの中では、3人目のドミニクが沙綾香を軽々と持ち上げ、自分の股間へ下ろす形で挿入を果たしていた。そのモニターの下では、現在のドミニクが沙綾香の顔に怒張を擦りつけている。太さもさることながら、沙綾香の顔とほぼ変わらない長さが特徴的だ。
「しゃぶれ。舐められるより、ソッチのが好みなんだ」
ドミニクは沙綾香の手を払いのけ、亀頭を沙綾香の唇に押し付ける。沙綾香が仕方なく口を開くと、躊躇なく口内へと怒張を送り込んでいく。
「おが……も、お゛」
顔の縦の長さと変わらない怒張だ。当然口の中だけでは収まらず、すぐに奥につっかえてしまう。だがドミニクは沙綾香の髪を掴み、無理矢理頭を前後させた。
「うう゛…う゛、むえっ、おお゛え゛おっ…………げええ゛っ!!」
沙綾香は苦しみながら奉仕を続けた末に、ほとんど嘔吐そのものの声を漏らしながら怒張を吐き出す。
ぬらぬらとした唾液で濡れ光る怒張は、うんざりするほどの長さを誇った。さっきより更に長い。沙綾香が小顔であることを差し引いても、その口からうなじまでの距離を悠に超えているというのは異常すぎる。
しかも奴は、前の二人の例に倣ってか、一周目の行動を踏襲した。つまり、沙綾香を抱え上げ、自分の股間へ下ろす形での挿入だ。
「あ、あ……こ、これって……っ!!」
抱えられたまま、沙綾香が震える。後ろを振り返る彼女が見たのは、ドミニクの顔か、それともその向こうにある過去の自分か。
ドミニクは、割れ目に亀頭を宛がったまま、ゆっくりと沙綾香の身体を降下させる。
「うあ゛、あ゛……や、あ……っ!!」
沙綾香が首を振る中、怒張は少しずつ割れ目の中に隠れていく。だが、モニター内の映像ですら6割しか入っていない凶器だ。それより一回り大きさを増した今は、半分ほどを残して挿入が止まる。
「うううっ、ふ、深……いっ…………!!」
「あんだよ、全然入らねぇな。これじゃあ、ムスコが風邪引いちまう……ぜ!!」
ドミニクは沙綾香の脚を高く掲げ、一気に落とす。怒張が割れ目に食い込むように。
「はっ……ぐ、うっ!!」
沙綾香の両足が跳ね上がる。相当な衝撃だったらしい。だがその反応に比べて、表情は乏しい。目を見開いたまま凍り付いている。その温度差は、ただただ不気味だった。
「くくくっ、見慣れたツラだな。黒人のチンポを思いっきり突っ込まれると、どの女もその顔になりやがる。目の前がチカチカする感覚なんだってな。だが、呆けてる暇はねぇぜ。テメェは勝負の真っ最中なんだからよ」
沙綾香の顔を覗き込み、手越が笑う。ドミニクも同じく笑みを浮かべながら、また沙綾香を持ち上げて、落とす。持ち上げて、落とす。
「ふぎいっ!! んふぐっ、んっあああーーーっ!!! い、いたいっ……むりっ、そんなの全部入れるの無理ぃっ!! せめて、抱えないで普通にしてぇっ!!」
「これだって普通だぜ? 俺の育った町のショーパブじゃ、娼婦はいつもこうやって犯されてたもんだ。俺の母親もな。でもよ、太いのでムリヤリ突き上げられて、母乳とションベン撒き散らしてんのに、すげぇ幸せそうだったんだぜ。お前もそれ味わって、どんな感じか教えてくれよ、ジャパニーズッ!!」
沙綾香はどれほど足をばたつかせても、ドミニクは容赦しない。ベッドルームの中を歩き回りながら、ゴリゴリと沙綾香の中を突き上げる。
「ああ、あああっ!! 無理、無理おっきいいっ!! おなかのっ、奥、やぶれちゃううううっ!!」
沙綾香の声は悲鳴に近い。歯を食いしばっていたかと思えば、ドミニクの胸板に黒髪を擦りつけながら天を仰ぐこともある。
それは必死の抵抗だったんだろう。そして抵抗する力を失った時、彼女は為すすべもなく快楽に引き込まれる。
「あいっイク、イクッ!! ああぁ、んゃああああっ!!!」
激しく突き上げられながら、立て続けに絶頂を宣言する沙綾香。その様は、ここまで見てきた中でも一番胸に刺さった。なぜなら、全部が見えるから。開ききったまま涎を垂らす口も。ピンクの陰唇を捲り返しながら抜き差しされる極太も。飛び散る愛液も、精液も。
「ああああイクッ!!!」
沙綾香がそう宣言するたび、Mの字に開いた脚がぶるぶるぶるっと激しく痙攣する。俺の距離から見て取れる以上、震えはかなり大きいはずだ。
「ご覧になりましたか、今の骨盤周りの痙攣を。あれは、ポルチオでの深い絶頂に伴う筋収縮です。もうあれほどの“中逝き”が可能とは……流石は、貴方の手ほどきを受けただけのことはある」
沙綾香を見下ろし、端塚が解説を挟む。俺のせいだというのか。今のあの有様が。
しかし、否定はしきれない。彼女が受け入れてくれるのを良いことに、性感開発を繰り返したのは事実だ。俺がやり過ぎなければ、彼女はあれほどに達しやすくなっていないかもしれない。意図せず絶頂するたびに、悲しい眼をせずに済んだかもしれない。
ドミニクは、よほど女を抱え上げる体位に拘りがあるらしく、持ち時間の全てをそれに費やした。手越が終わりを告げると、8分勃ちの怒張がずるりと割れ目から抜け落ちた。途端にあふれ出し、垂れ下がった怒張を真っ白に染め上げるザーメンも圧巻だが、それ以上に衝撃的なのは沙綾香の有様だ。
「あっ……はあぁ、ああ…………ああ、あ……っあ、はぁ、はっ…………!!」
彼女は、激しい呼吸を繰り返しながら呆けていた。ドミニクの首に回された左手も、逞しい腕を掴む右手も、Mの字に投げ出された脚も、すべてが痙攣を続けている。
「スゲーなあれ。まだ余韻に浸ってやがんぜ」
「らしいな。最初は痛いだのなんだの騒いでやがったくせに、途中からはイクイクしか言ってなかったもんな。相当イキまくってたんだろうぜ」
「顔見てみろ顔。思考力ゼロのバカ面してんぜ」
セキュリティ連中が沙綾香を見下ろし、面白そうに品評する。奴らの言葉は間近から肉声で聴こえる分、黒人連中の笑い声よりも不快だった。
※
早くも3連敗を喫した沙綾香が次に迎えるのは、4人目のジャマールだ。
『ひひひひっ、ひっでぇプッシーだなジャパニーズ!! 黒人3人にレイプされて、グチャグチャになってんじゃねぇか。穴もガッポリ開いてよ、スプレー缶ぐらいならそのままぶち込めそうだぜ!!』
巨大なモニターから、一周目に奴が口にした言葉が流れている。この侮辱がきっかけで沙綾香は憤慨し、セックスの間じゅうジャマールを無視した。結果、奴は仲間から嘲笑される結果になったんだ。
ジャマールは、その苦い記憶を横目に見つつ、沙綾香の奉仕を受けていた。仁王立ちで腕を組む、オーソドックスなスタイル。奴自身はまだ一言も発していないが、怒張は雄弁だった。
弓なりに屹立している。長さも太さも凄まじいが、見た目だけで相当な硬さが伝わってくる。もう少し近くで見れば、血管が浮き立っているのも見えるだろう。その異様さは、3人の黒人に奉仕した経験を持つ沙綾香が、舌で舐め上げながら不安そうに目を泳がせるほどだった。
だが、彼女も怯えているばかりじゃない。
「そろそろ始めるか。俺のなんぞ、『入ってんのかもよくわからねぇ』から、退屈だろうがよ」
一周目の言葉を皮肉って宣戦布告されれば、それに強い眼で応える。二人してベッドに上がり、這う格好を取る時も、冷ややかな無表情は続いていた。
しかし。
ジャマールが深々と挿入し、縊り殺さんばかりの表情で腰を使いだしてから数分後。沙綾香の反応が、少しずつ変わりはじめる。
「……はぁ、はぁ……はあ、はあ。はあ…………」
まずは、荒い呼吸。そしてそれは、ほんの数分のうちに喘ぎに変わる。
「んっ、あァ……い、あ……は、ぁはっ……は、ぁぁ……んっ……!!」
沙綾香の姿勢が崩れていく。這う格好から、這いつくばる格好へと。すると、そんな沙綾香の尻にジャマールが張り手を食らわせた。
「もっと尻上げろオラ!」
因縁のある相手からそう要求されれば、沙綾香は両膝の感覚を狭め、腰を突き上げるしかない。だがそれは、ジャマールの突き込みをよりダイレクトに受け止める結果を呼ぶ。
「あっ、あ、あっ!! あはっ、はああ、あ、あ゛っ!!」
沙綾香の漏らす喘ぎが大きくなっていく。変化は彼女の肉体にも表れていた。激しい抜き差しを受ける下半身が、左右に揺れている。
「腰逃がすな!!」
ジャマールがまた尻を打ち据える。乾いた音が響きわたり、沙綾香が目を見開いた。
「い、痛いッ!! に、逃げてなんか、ないって……!!」
「逃げてんだろさっきから、尻振ってよぉ! なんだ、そんなに快感のスポット捉えられんのが怖ぇのかよ。てめぇ1回目ン時に言ってたよな? 俺とのセックスなんぞ、思わず寝ちまうような休憩タイムだってよ!? なら寝とけよ、そのまんまベッドにツラ埋めて、じっとよ!!」
ジャマールはそう言って姿勢を変えた。沙綾香の両肘の外に手をつき、腕立てでもするような格好を取る。沙綾香に尻を上げさせている今、怒張の挿入角度はほとんど真上からだ。
これが、効いた。
「あ!!! あ、ああ!!!! あああ、あ、ああああぁっ!!!!」
這いつくばった沙綾香の口から、相当な大声が発される。さっきまでの喘ぎなら、まだ荒い呼吸の延長として誤魔化すこともできた。だが、もう無理だ。沙綾香から今漏れているのは、どう聞いても快感の声なんだから。
それだけの声が出るとなれば、当然ながら肉体もじっとしてはいない。さっきジャマールが『逃げる』と表現していた時より、腰が揺れがひどい。タバコの火を何度も尻に押し当てられれば、ちょうどあんな動きになるだろうか。
「逃げんなっつってんだろうが!!」
この段階になってもまだ、ジャマールの表情は縊り殺す時のそれだった。奴はベッドに膝をつき、沙綾香の太腿の内に入り込みつつ、腕で下腹を抱え込む。そうなれば、沙綾香はもう腰を触れない。衝撃を逃がす術もなく、復讐の一念で叩き込まれる暴力的な突き込みを、まともに受け止めるしかない。
結合部から漏れる音が凄まじい。ぶじゅんっ、ぶじゅじゅうっ、という汁気に満ちた音が猛スピードで繰り返されている。
「ああ……あはアアァあっ、あ、あ゛っ!! んぎぃあ……あぅあっ、アッあ、ぐああは…………っ!!」
沙綾香の呻き声も同じくひどい。もう動かせない下半身の代わりに、上半身をシーツに沈め、あるいは大きく反らしながら、快感を訴え続ける。
「おらイケッ、イッちまえクソガキがっ!!!」
ジャマールは、沙綾香が激しく反応するほど突き込みを激化させる。
「~~~~~っっ、~~~~っ、~~~~~っっ!!!」
そのうち沙綾香の嬌声は、声にすらならなくなった。喉からガスが漏れるような音が出るばかり。調教師すらざわつく異様さの果てに待つ未来は、一つしかない。
「う゛ーーーーーー………………っ!!!!!」
喉が潰れたような声。それを漏らしながら、沙綾香はまた仰け反った。ジャマールの胸板に頭を預けるほどの反り具合だ。そして、そのまま彼女は痙攣を始める。
「まだ仰け反ってやがる。すげぇアクメだな……」
すでに勝負を終え、傍観に入っているマーキスがぼそりと呟いた。奴の言う通り、見るからに凄まじい絶頂だ。
『ああ、終わったの? なんか後ろで必死に腰振ってるのは知ってたけど、入ってんのかよくわかんなくてさ。ちょっと寝ちゃってたよ』
モニターの中では、涼しい顔をした沙綾香が嫌味を吐いている。ジャマールに寄りかかって痙攣する今とは、見事なまでに正反対の光景だ。
そこまでの光景を作り出しても、ジャマールの怒りは鎮まらない。奴は脱力した沙綾香を仰向けに寝かせ、両腕を掴んで、残り時間一杯犯し抜いた。
「ああああ駄目っ、いくいくいくいくっ!!!」
あれほどの絶頂の後だ。敏感になりすぎている沙綾香は、当然嫌がった。だがジャマールは腰を止めない。
「まだまだ休ませねぇぞ!!」
そう言って激しく腰を打ち付ける。沙綾香の背が何度仰け反り、後頭部をシーツに沈めても。
「ごめんなさいは!?」
明らかな限界を見せる沙綾香に、ジャマールはやがて謝罪を求めはじめた。沙綾香は一瞬表情が硬くなったが、その直後に絶頂させられ、涙を流しながら口を開く。
「ご……ごめん、なざい……」
「もっとだ!」
「ご、ごめんなざいいいっ!!」
「もっとだっ!!」
まるで、地獄のような光景。それは、手越が2時間の経過を告げてもまだ続いていた。
「おい、ルール違反だぞ!」
俺はボスである端塚に抗議したが、奴は気に留めていないようだ。
「彼女はジャマールの矜持を傷つけたのですから、その罰です。奴隷調教には躾も大事ですから。あまりに超過しすぎるようであれば止めますが……その必要もなさそうですね」
端塚の言葉を聞いて、俺は沙綾香の悲鳴が途絶えたことに気付く。下を見ると、彼女はとうとう気絶してしまっていた。ぐったりとして動かない、完全失神。それを認めてジャマールは怒張を引き抜き、自ら扱き上げると、気絶した沙綾香の顔に精液を浴びせかける。その量はやはり凄まじく、彼女の鼻と唇はほぼすべて白濁で覆われてしまう。
「どうだ? この勝負、俺は負けか? あん?」
ジャマールは最後に、仲間の調教師に向かって問いかける。一周目の嘲笑に対する意趣返しだろう。黒人共は、苦笑しながらジャマールの勝ちを称えていた。
これで沙綾香は、4敗目だ。
※
4戦目が終わった後のシャワーも長かった。そのシャワーがようやく終わり、5人目のアンドレに奉仕する段階になってもまだ、沙綾香の目からは涙が伝っていた。
アンドレは寡黙な男だ。他の男のように野次りはしない。しかし、レイプ魔としての嗜虐心と旺盛な性欲を持ち合わせている。
奴は、沙綾香を仰向きで寝かせ、足を開かせた状態で犯していた。膝立ちのまま前傾姿勢でのし掛かり、自重と寝台で沙綾香の骨盤を挟み込むようなセックスだ。当然、挿入は深いらしく、沙綾香の反応は激しかった。
「あ、あああ゛ーーっ!! やあ゛、重い……くう、うああ、あっあーーっ!!」
万歳をするようなポーズでシーツを掴み、目を閉じて呻く沙綾香。アンドレは真顔でそれを見つめながら、彼女の脹脛を掴むと、大きく前方に倒していく。『まんぐり返し』の恰好だ。
「あお゛っ!?」
新しい姿勢で一度突き込まれた瞬間、沙綾香の呻き声が変わる。『お』行の呻き。相当に腹圧が高まった時に出る、本当に気持ちいい時の声だ。アンドレは数度突き込んでその声を出させた後、膝立ちをやめた。両足の裏でしっかりとベッドを踏みしめたまま、深く腰を落とした、相撲でいう蹲踞の姿勢。それに変えた理由は、すぐにハッキリする。膝立ちのままではできない、暴力的なまでのストロークで突き込むためだ。
沙綾香の胴より太い大腿部が前後に動き、繰り返し腰を叩きつける。バチンッバチンッという肉のぶつかる音は、それまでの比じゃない。
「お゛、あ゛っ!! あ゛あっ、んあ、お゛っ!!」
沙綾香の悲鳴も質が違う。今思えばさっきまでの声は、どこか甘く、尾を引く感じだった。今はそれが、肺から絞り出した息を一瞬だけ吐くものに変わっている。アンドレの腰遣いと連動するように。
そんな沙綾香を見て、手越がひどく歪んだ笑みを浮かべる。
「はっ、すげぇ声だな。だがよ、解ってっか? お前にとっちゃ、これがラストチャンスなんだぜ。お前の勝利条件は『勝ち越し』……つまり、10人相手に6勝しないと負けだ。この5戦目を落としゃあ、自動的に負けが決まるんだぜ?」
「……っ!!」
その言葉に、沙綾香が目を見開いた。そうだ、彼女はここまで4連敗。もう、後がない。
「あは、はあ……はあっ…………!!」
沙綾香は深い呼吸を繰り返しつつ、表情を締め直した。そして彼女は、思いがけない行動に出る。
「おっ……? オイオイ、あいつ自分でクリトリス弄ってんぜ!?」
一人が指摘した通り。沙綾香は唯一自由になる手を陰核に伸ばし、自ら慰めはじめていた。黒人共は、それをビッチだの自棄を起こしただのと散々に詰る。だが、俺には彼女の目的が伝わった。ああして刺激を増すことで、膣圧を強めているんだ。それまでの経験から、ただ下半身に力を篭めるだけでは勝てないと判断したんだろう。
「ぐうっ……!!」
アンドレが小さく呻き、腰を震わせる。
「……ふはっ。はあ、はあっ……はあっ……!!」
沙綾香は一旦息を吐き出してから、また陰核を弄りはじめた。アンドレの目が細まる。どうやら今この瞬間は、沙綾香が優勢らしい。
だが、アンドレもやられたままではいない。陰核をいじる沙綾香の手を払いのけると、彼女の両足首を掴んで高く掲げる。
「あっ、はっ……はああっ!!」
沙綾香から喘ぎが漏れた。まずい、という表情だ。
両脚をぴたりと揃えるあの体勢なら、膣は究極的に狭まる。つまり、アンドレのエラの張った雁首が膣壁をこそぐ快感を、余すところなく受け止めざるを得ない。もちろん、アンドレ自身も射精感を煽られる諸刃の剣だ。だが、奴は勝算があってその姿勢を作ったんだろう。
勝利を賭けた最後の攻防。それはベッドを激しく軋ませ、肉の弾ける音をさせ、透明な汁を散らしながら延々と続いた。途中までは、本当にいい勝負だったと思う。アンドレが呻きながら腰を止め、ぶるぶると下半身を痙攣させる場面は何度もあった。だが、終盤に近づくにつれて戦況が逆転していく。
アンドレの巨躯に圧迫されながら、狭まった肉の合間に極太の杭を捻じ込まれる。そんなひどい状況の中、沙綾香は純粋な快感の声を上げはじめた。
「お゛っ、おお゛お゛!! んおお゛、お゛ォ…………!! っ、い、イくっ!! イっちゃう、イっちゃう゛う゛っ!!!」
涙を流しながら、何度も絶頂に上り詰めていく。足を暴れさせてもいるようだが、アンドレが足裏を掴み、上腕の筋肉を盛り上げて強引に制止するせいで、最悪の態勢を崩せない。
「ラスト10分だ」
ここで手越が、初めて終了目前を告げた。今まではタイムオーバーの宣言だけだったというのに。
奴の狙いは、沙綾香を焦らせることだ。焦らせて、惨めな敗北を味わわせたいんだ。
「やあああっ!!! イって、イって、お願いい゛っイってよお゛っ!!!」
沙綾香は壮絶に顔を引き攣らせ、太腿を外から押さえつける。あるいは、割れ目の外に指の輪を作り、出入りするアンドレの強直を指でも扱こうとする。だが、そうした不自然な行動は、彼女自身を追い詰めることにしかならない。
しかもここで、アンドレの方も腰使いを変えた。黒人特有のしなやかな筋肉をフルに活用し、横方向に円を描く動きで突き入れるやり方だ。遠心力で勢いがつく上、毎回違う角度で斜め方向から挿入することになるため、膣内への刺激が強く、変則的になる。極限まで膣が狭まっている今、それは最大の効果を発揮することだろう。
「ぁああああっ、イク、イクぅうウウ゛ッッ!!!」
最後に沙綾香の腕は、すべてを放棄した。頭上に投げ出され、シーツを掴み、ただ快感に流されないように強張るばかり。
だが、それは仕方のないことに思えた。憎むべきは、感覚を狂わせる催淫ガス。そしてそのハンデを負わせつつ、好き放題に罪のない少女を嬲る外道共だ。
「そこまで。これで5敗目だ。結局、『先生』は救えなかったな」
壁の時計に目をやりながら、手越が終わりを告げる。それを聞いて、アンドレが怒張を引き抜いた。剛直がズルズルと引き抜かれる間にも、沙綾香の上半身はビクビクと痙攣していた。さらに足裏が開放されると、両脚は大股を開いたままベッドに落ちる。まるで潰れたカエルのそれだ、間違ってもモデル体型の美少女がしていい格好じゃない。だが、今の彼女にはそれしかないんだ。力の一滴までを振り絞り、脱力しきった脚が取れるポーズは、あれ以外にない。
その脚の合間は、蹂躙の痕跡も著しかった。終盤の無茶な突き込みのせいか、これまでのどのラストシーンよりもひどい割れ目の拡がり方をしている。割れ目から溢れ出す精液の量も、ガラスコップで受ければたちまち半分以上が満たされるのではと思うほどだ。それは、何度もアンドレを射精に導いた証でもある。実際アンドレは、片膝をつく格好で座り込んだまま、荒い呼吸を繰り返すばかり。あと一歩で勝てていた勝負だということが、その様子でわかる。
だが、負けは負け。沙綾香は呆然としたままベッドの端まで這い、床に転げ落ち、千鳥足でバスルームに向かう。
彼女は、頭から激しくシャワーを浴びながら、壁に額を宛がった。
「センセ……ごめん、ね…………。沙綾香、頑張ったんだけど……全然、ダメだった。一勝もできないで……レイプされてるのに、何度もイって……こんなの、ホントに、“ビッチ”じゃん…………!!」
沙綾香の独白が聴こえてくる。バスルームにもマイクがセットしてあるらしい。俺はそれを聞きながら、もう何度目かの息苦しさを感じた。
彼女は悪くない。何ひとつ。せめてその事を伝えたいが、フロアを隔てるガラス板は厚かった。
※
沙綾香の敗北が確定しても、十番勝負は続く。
6人目のレジャナルドは、相も変わらずノリが軽い。壁に手をつかせた沙綾香に後ろから挿入し、クリトリスや乳房を刺激しながら何かを囁く。傷心の沙綾香にとっては、鬱陶しくて堪らない相手だろう。
「触んないでって、前も言ったじゃん!!」
沙綾香はレジャナルドの手を払いのけ、鋭い眼で睨みつける。だがレジャナルドは懲りない。モニターに映る前回の映像では、レジャナルドが射精するまでそのやり取りが繰り返されていた。だが今は、やや展開が違う。
「あっ……はああ、あ!! あっ、あはあぁっ…………!!」
口からは熱い吐息が吐かれ、瞳が力を失い始めた。クリトリスを弄られるたびに上体が起き上がり、壁についた手も少しずつ位置が下がってくる。
そして、なんといっても気持ち良さそうなのが腰だ。レジャナルドがクリトリスの弄りをやめ、両手で抱きすくめながら犯せば、内股に閉じた長い脚がブルブルと震える。太腿を引きつけながら深く突けば、全身を痙攣させながら視線を上向かせる。
「気持ち良すぎて、腰が抜けそうだろ?」
「はぁ、はぁ……んなわけ、ないじゃん…………」
沙綾香はレジャナルドの問いを否定するが、本当に感じていないモニター内の映像と見比べれば、上半身も下半身も快感でのたうっているのがよく分かる。
「そうか? だったら、シャンと立ってみろ」
レジャナルドはとことん性格が悪い。沙綾香がかろうじて壁に寄りかかっているのを承知で、その両腕を絡めとり、強引に直立させる。
「あ、やあっ!! ……く、はああ゛、あはああぁぁっ!!!」
「どうしたどうした。腰が踊ってるぜぇ、気持ちよさそうによお!!」
レジャナルドの言う通り、沙綾香の腰は前後左右に揺れていた。
「ハハハッ、まるでストリップだな!!」
「ああ、色白でスタイル抜群のストリップ嬢だ。たまんねぇぜ!!」
黒人連中が手を叩いて笑い、沙綾香の顔が羞恥に染まる。そんな環境の中、彼女はまた絶頂へと追い込まれた。
「あ、……はっ!はァっ……!!」
歯を食いしばっての絶頂。膝を擦り合わせるような脚の形といい、くっくっと持ち上がる尻肉といい、相当に気持ちよさそうだ。
グチャグチャと水音を響かせながら、沙綾香は立ったまま絶頂させられつづけた。1時間近くはそのままだっただろう。だが、レジャナルドが深い溜息と共に怒張を引き抜いても、それは終わりを意味するわけじゃない。
腰砕けでへたり込んだ沙綾香の前に、半勃ちのものが突き出される。しゃぶれ、ということだ。沙綾香は不服そうにしつつも求めに応じた。
「う゛っ、う゛えっ……!!」
苦しそうな声を上げながらの奉仕。レジャナルドが後頭部を押さえ、深く咥えさせているせいだ。
「おーっ、カタくなってきた。自分の絶倫ぶりが恐ろしくなるぜ!」
えずき汁と共に吐き出された怒張は、奴の言葉通り、若々しい漲りを取り戻している。二回戦どころか、三回戦でも四回戦でもやれそうだ。
「ちょっと、休ませて……。もう、勝負する意味なんてないでしょ!? い、イキすぎて、敏感になってるからっ……!!」
正常位で犯されながら、沙綾香は何度も音を上げた。それでもレジャナルドは腰を止めない。常に軽薄な笑いを浮かべ、時には沙綾香の頬を張りながら、自分本位の強姦を時間の限り繰り返す。
こうした意地の悪さは、7人目のトラバンも同じだ。
一周目は沙綾香の羞恥心を煽るべく、左腿を上げさせ、結合部が鏡に映り込むように犯していた男だ。巨大モニターの映像には、その時のあられのない姿が大写しになった。
「う゛っ!? や、やだっ、あんなの映さないで!!」
モニターの映像を見て、奉仕中の沙綾香が悲鳴を上げる。だが数分後、彼女は頭上に映る恥辱を再現させられた。
壁に寄りかかったまま、足を180度近く開かされ、真横から突き込まれる。その光景は過去のものと同じだ。ただし、今回は違うことがある。以前はただ極太を出し入れされているだけの被虐映像だったが、今回は、それに伴って大量の愛液が溢れている。体位が体位だけに、内腿の濡れ光っている様子は丸見えだ。
「いや、いやあ見ないで、見ないでええええっ!!!」
沙綾香の絶叫も必死さが違う。トラバンは、そんな彼女をさらに追い詰めた。髪の毛を引っ張って顔を上げさせ。犯しながら首を絞め。そうして散々に嬲ったうえで、膣内射精までを公開する。
「やめてええええーーーーっ!!!」
響き渡る哀願は、痛々しかった。
一方のトラバンは、射精しても一呼吸しか休まない。嘆く沙綾香を跪かせ、口での奉仕を強いる。仁王立ちのまま後頭部を押さえこみ、深く咥えさせるやり方だ。
「ごえっ、おえ゛っ……」
当然沙綾香は、ひどい声を漏らすしかない。嘲笑が巻き起こり、その中でトラバンのペニスは暴力的な反りと張りを取り戻していく。すると今度は、それで思いっきり膣を犯されるんだ。望まぬ強姦でも、ガスで発情した身体はいずれ絶頂する。いくいく、と涙ながらに叫ぶ沙綾香を、また嘲笑が包み込む。そしてその後は、また泣きながらのフェラ────そんな光景がうんざりするほど繰り返された。
地上で普通に暮らしている女子高生なら、この体験ひとつで自殺を考えてもおかしくない恥辱。だが、これですら『最悪』じゃない。次は、とうとう8人目。ここからの3人のペニスは、トラバンまでの7人が可愛く思えるレベルなんだ。
※
「こ、こんなの……無理……」
沙綾香は力なく首を振る。その視線の先にあるモーリスの怒張は、本気で人間のペニスには思えない。
「だったら、このままブチ込んでやろうか? 潤滑剤ナシでよ」
モーリスにそう言われると、沙綾香は渋々ながらに口を開く。絶叫する時の開き方だが、それでも亀頭を口に含むことすら叶わない。
「あ゛! ……もが、あ゛っ!!」
何度かの試行錯誤の末、顎が引き攣るほど大口を開けて、ようやく亀頭を口に含むことに成功する。とはいえ、そこがせいぜいだ。数秒後、彼女は慌てた様子で顔を引いた。
「あ゛っ! だ、だめ、アゴが外れちゃう!!」
泣きそうな顔で訴える沙綾香。だがモーリスは首を振る。結局沙綾香は、壮絶な表情を晒しながら何度も亀頭を咥え込むしかない。
深く咥えているわけじゃないが、無理をしているだけに唾液の量は相当だ。ついでに言うなら、音もひどい。
「が、ごがぁっ……ごあ゛ぁ、ごお゛ッ!!」
えずき声は、前半の連中に奥まで咥えさせられていた時よりよほど濁っている。しかも喉奥からは、妙な音がずっと続いている。
「ははは、テメェの唾でうがいしてるみてぇだな。声も凄えし、顔も凄え」
モーリスの方はひどく満足げだ。実際気持ちがよかったらしい。しばらく後、驚くほどのえずき汁に塗れながら抜き出された怒張は、更に太さが増していた。もはや作り物としか思えないサイズだが、それは断じてハリボテじゃない。圧倒的な張りと硬度を備えた、女殺しの肉棒だ。
ロドニーがリモコンを操作する。一周目の光景がモニターに映し出された。
『いたいいたいいたいいたいっ!!!!』
モニターから悲鳴が響き渡る。涙まで流して、本当に辛そうだ。その下で犯される現在の沙綾香も、一見すると同じく辛そうに見える。壁に額を擦りつけ、目を固く瞑り、足などはつま先立ちになり……どれを見ても苦痛のサインとしか思えない。
だが声を聴けば、その印象は180度変わる。
「んあああッ! お゛ッ、おかしくなるっ、おかしくなるううう゛っ!!」
こちらもやはり、血反吐を吐かんばかりの絶叫だ。ただし、痛みがそのまま快感に入れ替わったような。
「クククッ、すげぇな。バットの先みてぇなチンポ突っ込まれて、ヨガってやがんぜ」
「しかも、マン汁まで垂らしてな!」
「やっぱ、あれってマン汁か? だとしたら量やべえな、ずっと垂れっぱじゃねえか」
「デカけりゃデカいほど感じちまうんだろ。キメセクって怖ェわ」
俺の後ろで、セキュリティ連中がざわつく。その落ち着きのなさは、セックスのインパクトが強い証拠だ。
あれほどスレンダーな子が、“バットの先”を捻じ込まれて快感で叫ぶなど、普通では考えられない。悪い夢だと思いたい。だが、夢にしてはあまりにも生々しすぎる。
沙綾香は、叫び疲れ、声が枯れてからも犯され続けた。壁にしがみつき、弓反りになった背中をガクガクと上下させる様は、異常としか言いようがない。
一時間が過ぎた頃、沙綾香はもう壁にしがみついてすらいなかった。高級ホテルを思わせる床に、腹這いになる格好だ。それでもモーリスはセックスをやめない。這いつくばる沙綾香の尻を掴み、開いた足の間に腰を打ち付ける。
「あああああ゛っ、イグゥッ、イッッグウウゥウッ!!!!」
沙綾香から悲鳴に近い声が上がった。声も凄まじいが、顔も普通じゃない。歯肉まで覗くほど歯を食いしばり、上空を睨みつけるような表情。おそらく彼女は、何も睨んではいない。いつか見た、快感の海で溺れまいと顔を上げる様……あれに近い。
「ああして臍の下辺りを地面に密着させながら膣を犯すと、衝撃の逃げ場がないんですよ。それはつまり、快感を余さず膣内のスポットで受け止める事を意味します。ただでさえ、クスリで感じやすくなっているところでそんなことをされれば……」
端塚はそう解説しつつ、面白そうに眼を細める。
「んぎぃいいいっ!!!」
また、すごい声がした。見ると、沙綾香が這いつくばったまま、脹脛を隆起させている。足指の力の入り具合も相当だ。
「達しましたね。それも、相当深く」
端塚が淡々と呟く。その最中、沙綾香の頬を涙が伝った。
「あーあー、泣いちまって!」
「ま、あのレベルの深さで絶頂しちゃあなあ。ビックリしちまったんだろ。脳もプッシーも!!」
黒人共がそれを目敏く見つけて騒ぎ立てる。モーリスなどはまるで英雄扱いだ。奴は嬉々として沙綾香を犯しまくる。沙綾香を這いつくばらせたまま、さらに20分。片足を肩に担ぎ上げ、開いた脚の間に挿入するやり方で30分。
「2時間、そこまでだ!」
ようやく、手越が終わりを告げる。その頃にはもう、沙綾香の反応はかなり薄くなっていた。声は枯れてヒューヒューという呼吸音ばかりになり、身体の反応も担ぎ上げられた足指が蠢く程度。だが彼女は、最後の最後まで快楽を味わっていたようだ。
「あ゛! …あ゛、あ゛っ!!」
モーリスが怒張を引きずり出す間に、引き抜かれ始め、半ばほど、抜け出た瞬間と3度にも渡って、枯れた声で喘いでいたんだから。
やるだけをやったモーリスの怒張は、完全な勃起状態ではないはずだ。実際、最初は斜めに反り立っていたものが、今や股の間にぶら下がっているだけだった。それなのに、サイズは依然として凶悪だ。“バットの先”と形容されるに足る太さを備えている。
それを女性器に叩き込まれるというのは、どんな感覚なんだろう。そう思って沙綾香の顔を見ると、彼女は大股開きのまま痙攣する下半身を、呆然とした様子で見つめていた。その表情でハッキリとわかる。モーリスとのドラッグセックスが、信じられないほど気持ちよかったんだと。
※
9番目の相手は、元力士のダリーだ。
ダリーの剛直は、長さこそモーリスより短いが、あまりの太さにカリ首が埋没している。奴はそれを、沙綾香に無理矢理咥えさせようとした。
「無理っ、無理だって! さっきのだって入んなかったのに!!」
沙綾香は顔を振って嫌がるが、ダリーはそんな彼女の顔に怒張を擦りつけ、隙あらば口に入れようとする。怒張のサイズは沙綾香の顔半分を覆うほどだ。普通なら入るはずがない……が、結局はダリーの力づくで、それが成し遂げられる。
「うぶっ、もごえ゛ええ゛え゛……っ!!」
真上から怒張を押し込まれ、沙綾香の喉がボコリと膨れ上がる。その苦しさは相当なものらしく、沙綾香の両脚はベッドの上で激しく暴れた。だが、ダリーは口への抜き差しを何度も繰り返す。沙綾香がどれだけ暴れても、ひどいえずき声を漏らしても。
「おい、その辺にしとけ。そのまま吐いたら、ゲロで窒息しちまうぞ!!」
さすがに危険と見たロドニーが止めると、ダリーは薄ら笑みを浮かべながら腰を浮かせる。
「ごろろ゛あ゛っ!!!」
怒張が引き抜かれる時の声も、またひどい。
口内から垂直に抜けた剛直は、見たこともないほど濃い粘液に塗れていた。まるで納豆を延々とかき混ぜた時に引く糸のようだ。千代里のディープスロート特訓でも、あそこまで粘ついたえずき汁はなかった。
喉奥に押し込まれたことで、極太の怖さを実感したんだろうか。
「やだ、待ってっ!!」
まさにこれから後背位で挿入されるという段階になって、沙綾香は嫌がりはじめた。
『いや、いやいやっ!! 本当にやめて、せめて休ませて!! あそこがヒリヒリして痛いの!!!』
モニターの中でも、沙綾香がにじり寄るダリーを拒絶していた。
「ったく、嫌嫌ばっかりだなぁオメーは!」
ダリーはそう言って、逃げようとする沙綾香の尻肉を掴み、尻を高く上げさせて挿入を試みる。メリメリと音もしそうな、壮絶な挿入。一周目と同じ展開だ。
「あああああっ!!!!」
沙綾香は顔を歪ませて悲鳴を上げる。さっきまでの8戦と比べても、挿入時の太腿の痙攣が一際ひどい。もっとも、太さが最大である以上は当然のことだ。バットの周りに、さらに本革を巻き付けたような直径の怒張。そんなものを性器に捻じ込まれて、足が震えない人間なんていないだろう。
「相も変わらずイイ締まりだぜ。俺ァ、ガキを犯ってパクられたんだがよ。そん時より具合がいいってなあ大したもんだ!」
「なっ……! そんな事、よく平気で言えるね、このクズ!!」
「ほう、俺はクズか。ならそのクズに犯されて喜んでるオメーは、いったい何様なんだろうなあ!?」
ダリーはそう言って、激しく腰を打ち付ける。這う格好の沙綾香から、苦しそうな声が漏れた。
ダリーが力士然とした巨体をぶつけるたび、沙綾香の尻肉が波打つ。彼女に無駄な肉などほとんどない。それが波打つ衝撃となると、どれほどのものだろう。
「あっ!あ゛、あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!!」
沙綾香からは、突かれるたびに悲鳴が上がった。涙か唾液かが前方に飛び散り、さらには舌まで突き出される。まるで巨大なハンマーで横殴りにされているようだ。
そんな状況、辛いに決まっている。苦しいに決まっている。普通であれば。
だが、今の沙綾香は普通じゃない。ガスで発情しきっている。よほどの苦痛でも快楽にすり替わるのは、モーリスとのセックスで実証済みだ。
「お゛っ、あ゛、あ゛、あ゛!! お゛っ、お゛……あ゛、あ゛、あ゛っ!!」
沙綾香の喘ぎ声は単調だった。そして、一音の例外もなく濁っていた。太さがありすぎる上に突き込みの圧が凄まじいから、満足に喘ぐこともできないんだろう。圧倒的な質量が骨盤に叩きつけられ、その反射として濁った声が腹の底から漏れている……多分そんなところだ。
「汁がドバドバ溢れてくるじゃねえか。お気に召したらしいなあ、俺みてぇな“クズ”に犯されんのがよ!!」
ダリーはゲラゲラと笑いつつ、突き上げのペースを速めていく。奴は肥満体の割にスタミナがあった。呼吸の乱れや汗はひどいが、とにかく腰が止まらない。さすがは元力士というべきか、それとも欲望の成せる業か。
「うあ゛ッ、がはっ! あはっ……お゛!」
沙綾香がまた、骨盤からぶるっと震え上がった。表情の変化が目まぐるしい。口を半ば開いて、理性を感じさせない表情をしていることもある。あるいは熱いスープでも冷ますように、口を細めて息を吐き出していることもある。
「気持ちが良さそうですねぇ。高波のような快楽に、翻弄されている顔だ」
端塚が呟いた一言に、ぎくりとする。俺もまさに今、同じことを考えていたから。
結局ダリーは、時間いっぱい沙綾香を責め抜いた。
膝立ちにさせたまま。
両手首を引き絞っての後背位で。
沙綾香の上体が完全に崩れてもなお。
「くあーっ、ノドが乾いてしょうがねぇぜ!!」
2時間経過後、旨そうにコーラを煽るダリーの横で、沙綾香は身じろぎひとつしない。顔を横向けて倒れ伏したまま、全身を痙攣させるばかりだった。
※
十番勝負も、いよいよ最後。十戦目を乗り切れば終わりだが、当の沙綾香には、そんな楽観的な考えなど浮かばないだろう。これまでの中でも最大のサイズを誇る、タイロンの逸物を咥えさせられているんだから。
「もお゛っえ゛!!!」
沙綾香の口は、明らかに限界以上に開いていた。鼻頭がほぼ真上を向くほどの開口なんて、日常生活ではありえない。
と、紗耶香が大慌てで怒張を吐き出し、下を向いた。直後、びちゃっと音がする。
「あーバカ、吐きやがった」
ロドニーが顔を手で覆い、大仰に嘆く。
「く、咥えるのは無理! ホントに顎、外れちゃう……!!」
「ったく、しょうがねぇな。なら舐めて濡らせ」
顎を押さえて叫ぶ沙綾香に対し、タイロンは意外にも寛容だ。サイズがサイズだけに、口に含むことなど期待していないのかもしれない。
沙綾香は嫌嫌ながらも、怒張に舌を這わせはじめる。舐めるという行為ひとつとっても、腕のような逸物相手となれば大変な作業だ。根元から亀頭を舐め上げるために、首を180度回さなければならない。
「裏スジも舐めろ」
そう命じられ、怒張を持ち上げる動きの中にも重量感がある。
やがて、怒張が隅々まで唾液に塗れると、過去映像を背景にしてセックスが始まる。
『いやあああっ、やめてっ! 無理、無理ぃっ!! 裂けるっ!!』
映像の中では、両手首を鷲掴みにされた沙綾香が、身も世もなく泣き喚いていた。タイロンはその映像を背にしつつ、沙綾香の膝裏を掴み、中腰の体勢でメリメリと挿入していく。怒張のサイズがサイズだけに、ショッキングすぎる画だ。
「ああああ無理っ、無理いいっ!!!」
「おー、暴れる暴れる。すげーな、俺をグラつかせるとか。ま、完全には崩れないけどよ。デッドリフト450上げる俺を倒したきゃ、もっと本気で抵抗しろ」
明らかに無理のある挿入。その無理を通すために、タイロンは相当な力を篭めているらしい。その証拠に、奴の足裏と沙綾香の背中は、深々と寝台に沈み込んでいる。
「あがああぁっ、深いっ!! あそこが、潰れっ……!!」
沙綾香の声も悲痛そのものだ。
だが、もう俺にも解っている。今の彼女にとっては、苦痛も快楽なんだと。
タイロンの腰振りと同じペースで、ぶちゅっ、ぶちゅっ、という音が聴こえはじめた。斜めになった沙綾香の下腹部を、透明な何かが流れていく。
「こいつ、もうプッシーがヒクついてやがる。膣の奥もカリにむしゃぶりついてきやがるし」
タイロンが嬉しそうに呟く。対する沙綾香は、必死に声を殺していた。両手でシーツを掴み、顎を引いて。だが、その我慢も長くはもたない。そのうち呼吸が早まり、あ゛っ、あ゛っ、という喘ぎも漏れはじめる。本当に苦しそうな──つまり、本当に気持ちよさそうな喘ぎ。
「あっ、ひいっ! ああああっ……くいくっ!! あ゛あ゛、あっあ゛ッ!! い、イッ………グぅううっ!!」
やがて沙綾香は、顔を歪ませながら絶叫した。足指の強張り具合といい、腹部や太腿の痙攣といい、演技ではないと断言できる絶頂だ。
「もうイッたのか。子宮ガンガン突かれて感じちまったか? だがな、こんなもんはまだステージ1だぜ!」
タイロンは膝裏を離し、代わりに足首を掴んで前へと押し倒す。沙綾香の顔の横に来るまで。
「っは、うっ!? ぃ、きぃいいいーーーーっ!!」
金属板を引っ搔くような悲鳴が上がった。タイロンの怒張を『まんぐり返し』の恰好で受け入れるのが辛いようだ。だが、タイロンは容赦しない。
「プレス体位の完成だ。こうされんのがヤバイって本能的に察したのか、必死で逃げようとしてたけどよ。何が何でも、さっきの時点で抜け出しとくべきだったな。この体位んなったら、全弾ポルチオ直撃だから。腰抜けて、もう抵抗なんてできねーぜ」
奴はそう言って、深々と腰を打ちつける。
「あああああ痺れるっ痺れるっ!! んあああだめっ、腰が重いっ深いっ、深いいいっ!!! ひいいいい なにこれなにこれなにこれっ!!沙綾香のカラダ、どうなってるのっ!!!」
そこからしばらくタイロンは、責めに専念した。ぶちゅっぶちゅっという音を響かせながら、愛液で満ちた割れ目を蹂躙し続けた。
「ひいいっ、ひいッぐ……!! いっ、ぁ゛、あ゛……かはっ、うん゛ーーっ……ああああ゛っ、っひぃグっ、イグ、イグっ……いっちゃああうっっ!!」
沙綾香の喘ぎは雄弁だ。圧迫に苦しみ、激しく喘ぎながら、秒刻みで絶頂を宣言している。タイロンはそんな沙綾香を見下ろしながら、射精の態勢に入る。
「おおおお、行くぞ……っ!!」
男の絶頂はわかりやすい。沙綾香を組み敷いたまま、タイロンが首を反らす。
「んう゛っ!!」
沙綾香の悲鳴が、中出しのタイミングを周囲に教える。そしてこのタイロンもやはり、一度の射精では止まらない。まだ膣内に射精している最中に、腰をカクカクと動かしはじめる。その動きは刻一刻と早まり、精液を溢れさせながらの猛烈なピストンに変わる。
「はあ、あっ、あああ、あああっ!! は、あぁっあ゛っ、あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ、ひあ゛あああああーーっ!!!」
沙綾香の喘ぎも、列車が走り出すようなペースで激しさを増していく。今やその性感は、完全にタイロンの操縦下だ。
「相変わらずスゲェ声だな。この体位だと、膣のスポットを全部いっぺんに刺激されるから堪んねぇだろ? もっとも、俺ぐらいのサイズがなきゃ無理な芸当だがな!!」
「ああああ゛っ!! ヤバっ、きもちいっ、きもちいダメええ゛え゛っ!! え゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! ダメこれっ、ヘンになる、ヘンになっちゃうううっ!!!」
「ああ、変になっちまえ!」
途中からのタイロンは、前傾姿勢をさらに深め、ほぼ完全に沙綾香に圧し掛かっていた。そうして体重を篭めたまま、最奥をグリグリと刺激されれば、沙綾香の反応はいよいよ劇化する。
「はあ゛あ゛あ゛っ!! イってる゛、ずっとイってる゛っ!! お尻もあそこも、ヒクヒクしてとまんないっ、イキすぎてこわい!!」
顔を歪め、足の十本指すべてを強張らせながら悶え狂った果てに、彼女の愛らしい尻からぶうっと音が鳴った。
「あっ!!」
沙綾香が目を見開き、一秒後、怒涛のような大笑いが場を埋め尽くす。
「ぎゃっはっはっはっはっ!! おいおい勘弁しろよ、笑い死にさせる気か!?」
「いくら気持ちいいっつっても、おま、屁をっ、屁をこくんじゃねぇよ!!」
「はははははっ!! 恥知らずなジャパニーズもいたもんだぜ!」
鬼の首でも取ったような騒ぎだ。桜織が放屁した後の光景を思い出させる。
あまりにも立て続けに膣で絶頂させられ続けると、肛門が緩んでしまうのかもしれない。
そしてこの出来事が、決定的に彼女の気力を削いだらしい。
「だめええッ、もうイキたくないっ、もうイケないい゛っ! センセ、センセぇっ! お願いっ、助けてえええええーーっ!!」
沙綾香はとうとう泣き出し、俺に助けを求めはじめた。
「沙綾香、沙綾香あっ!!」
俺も必死に叫び返すが、状況は何も変わらない。
「先生は上にいるから無理だぜ。で、お前が今からいくのも上だ。天国ってとこでなあ、最ッッ高だぜえ!?」
タイロンはそう言ってシーツに両膝を埋め、総力で膣奥を潰しにかかる。
「やあああ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!
沙綾香は絶頂しながら痙攣する。タイロンが怒張を抜き出してからも、その痙攣は続いていた。
「あお゛っ、ああお゛っ、あ、あはぉおう゛っ……ああああア゛ッ!!」
もう何の刺激もないはずなのに、M字に開いた足でベッドを踏みしめ、腰を上下させながら潮を噴く。
「はっ、こりゃ筋金入りのビッチだな。イッた余韻でイキやがった」
タイロンはそう言って怒張を扱き、沙綾香の顔に精を浴びせかける。沙綾香は、それに反応しない。完全に白目を剥き、口を半開きにして失神しているからだ。
「はっ、アワ吹いてやがる。10連敗目に相応しい最後だな!」
手越の言葉に続き、下卑た笑い声が木霊する。
吐き気を催すような、光景だった。
※
沙綾香は、ベッドの上でしばらく放置された。その傍らに百合が腰掛け、軟膏やオイルの瓶を並べていく。沙綾香が意識を取り戻し次第、膣粘膜のケアをするつもりなんだろう。その物静かな佇まいは気品に満ちている。だが、そんな彼女にはどす黒い視線が向けられていた。
「ひゅう、ミステリアスな女じゃねえか。そそるぜ!」
「よお姉ちゃん、こっち来いよ! 気持ちいいことしてやんぜ!」
「オウ、朝までタップリ可愛がってやるぜ!」
「“中途半端に”しかイッてねえせいで、ムラムラしてたまんねーんだ!!」
例の黒人共だ。
十番勝負が終わった後、連中は部屋の右側……鉄格子の嵌め込まれたエリアへと入っていった。そこが奴らの待機場所なんだろう。だが、そこで自由に過ごしながらも、連中には落ち着きがなかった。ハードセックスの後で気分が高揚しているせいかと思ったが、どうやら逆だったらしい。
呆れる絶倫ぶりだ。連中は全員、ガラスのコップがいっぱいになるほどの精子を沙綾香の膣に注ぎ込んでいた。普通そんなに出せば、普通なら精も根も尽き果て、しばらくはセックスの事など考えたくもないはずだ。だが、奴らはまだ飢えている。2、3日断食した人間がステーキを見るような目で、白衣姿の百合を視姦している。
「ったく、マジで獣だな。たかだか数時間の禁欲で目ェ血走らせやがって」
手越は大きく溜息をつき、百合に視線を向けた。
「お前が相手をしろ」
百合は驚いた様子で顔を上げる。
「私が……ですか?」
「そうだ。お前の後輩が不甲斐ないせいで、あいつらは誰一人満足できてねぇ。後輩の尻を拭うのは、先輩の役目だぜ」
手越にそう迫られると、百合は一瞬黙りこむ。
「……承知しました」
結局は受け入れるものの、その一瞬の沈黙は躊躇いの証だ。もっとも、あれほどの激しいレイプを20時間も見せつけられて、臆さない方がどうかしているが。
手越が鉄格子の扉を開き、百合を中に進ませる。
「じゃあな、朝まで楽しめ」
その言葉と共に、再び鍵が掛けられた、その直後。
「っしゃああああッ!!! 女、オンナあっ!!!!」
「はッはッはッはッはッは、こりゃあご馳走だぜ!!!」
10人が、まさしく獣のように百合に飛び掛かる。
「っきゃ!」
小さな悲鳴が上がった直後、厚い布を引き裂く音がする。さらに怒声と悲鳴が聞こえ、何か揉みあいが始まったようだが、鉄格子が邪魔でいまいち何が起こっているのか解りづらい。
「おっと、見えねぇんじゃ面白くねぇな」
ロドニーがそう言ってリモコンを操作すると、モニターに映像が映し出された。
4つに分けられた監視カメラの映像だ。百合と調教師連中の姿が、それぞれ別の角度から映し出されている。
百合は、早くもボロボロだ。ズボンとショーツをすでに取り去られ、雑に床へ捨てられている。上着も左右から引っ張られて肩部分の縫い目がほつれ、ブラジャーが露出している。そしてまさに今、そのブラジャーさえも千切り取られ、形のいい乳房が零れ出した。奴隷調教の名残だろうか、乳房の先端にはピアスが光っている。
「はっはっは! こいつ、ニップルピアスなんて着けてやがる!」
「おおっ。クールな振りして、イイ趣味してんじゃねぇか!!」
野次と共にピアスを引っ張られ、百合が片目を閉じる。とはいえ、彼女は落ち着いていた。さすがに調教を受けただけはあり、屈強な黒人に囲まれても取り乱す様子はない。
この時点では。
「おーし、ヤるか!!」
ジャマールが声を張り上げると、10人の表情に笑みが満ちる。陰湿で冷酷な、犯罪者の顔だ。
「ゴオオオエエエ゛ッッ!!!!」
フロア中に、凄まじいえずき声が反響した。いきなり二本の怒張を口に突っ込まれた百合の声だ。
「えっ!? な、なにっ!?」
沙綾香が目を覚ます。彼女はまず音の出所である鉄格子の部屋に目をやり、眉を顰めた。彼女の位置からでは、大柄な黒人が円陣を組んでいるようにしか見えないだろう。
「モニターを見てみな」
ロドニーがそう声を掛けると、沙綾香はゆっくりと左を向き、目を見開いた。
4画面のモニターには、百合の身に降りかかる悲劇が大々的に映し出されている。
右上の画面では、二本の剛直に喉奥を突かれる口元が。
左上の画面では、膣と肛門を極太で貫かれる下半身が。
右下の画面では、床から視点で白い身体の揺れる様が。
左下の画面では、俯瞰視点で部屋の全景が。
「せ、先輩……!?」
「ああ。オメェがあの連中を満足させられなかったばっかりに、尻拭いの真っ最中だ」
「そ、そんなっ!!」
手越の言葉で、沙綾香の顔が青ざめる。そしてそんなやり取りの最中にも、百合の受難は続いている。
「ゴエエエッ、ゴエッ、むゴォおう゛ッ!! ウオォッ、ごヴぇあオ゛ッ!!」
常人の倍ほどもあるペニスを代わる代わる口に突っ込まれ、百合の顔は早くも変貌していた。細く開いた目からは涙が伝い、開いた鼻の穴からは鼻水が垂れ、その下にある口からは常に何かの液が滴っている。下半身にしても、上下から剛直を叩き込まれ、引き締まった尻肉が全力で痛みを訴えている。下から視点や全景の映像では、むちりとした大人の魅力溢れる脚が、駄々をこねる子供のように激しく踏みかえられているのも見て取れる。
「ひひひっ。いつ見てもあの開幕のラッシュはやべえな。まるで性欲の津波だ」
「ああ。黒人のデカマラであんな真似されりゃ、どんな女でもアワ食うよな」
「しっかし、発情した猿みてぇな群がりようだな。しかも全員、バカの一つ覚えでゴリ押しだ」
「案外、ああいうシンプルなのが一番きついかもしんねーぞ。輪姦ってのは、相手を羽交い絞めにしてボコるようなもんだからな。そういう時ゃ、下手に小細工するより、殺意剥き出しでブン殴る方が効くんだ」
「ま、どのみち地獄だろ。なんつっても、あのレイプ魔共のオモチャにされるんだ。どいつもこいつも馬鹿でけぇチンポの上に、女の泣き顔が好きなサディスト揃いときてやがる。そんな連中と朝まで過ごして、正気でいられるとは思えねぇ」
セキュリティ連中が、モニターを眺めながら嬉々として語り合っている。悪趣味な会話だが、地獄という表現はその通りだ。
「……ああいった光景を観ていると、つくづく思います。純粋な暴力の前では、育ちも、品格も、知性すらも、何の価値もないのだと。女の身でああなれば最後、碌な抵抗もできず、ただ壊れゆく他はない」
セキュリティ共の会話を受けてか、端塚もそんな言葉を漏らす。
女に限った話か。男でも、あんな状況には耐えきれない。むしろ大半の男が、彼女達より早く音を上げるだろう。
モニターの中では、ジャマールが百合の髪の毛を鷲掴みにし、単独で怒張を咥え込ませていた。
「あっ、んんんんっ……!」
女学院の生徒に愛されたクールな美貌は、口が開くにつれて崩れていく。
「んごぉっ……ご、おっ!! おむ゛っ、んんっ……んぼっ、ごぶっ!!」
ジャマールは深く怒張を咥え込ませ、髪を掴んで強引に頭を前後させる。その後方ではドミニクが射精に至り、入れ替わりでモーリスが肛門へと怒張を宛がう。
ただの責め役交代……じゃない。ペニスのサイズ順で言えば、ドミニクは下から3番目、モーリスは上から3番目。バットで例えるなら、中ほどと先端部ほどに太さが違う。
「う゛っ、お!? ん゛っん゛、んお゛、お゛……っ!!」
モーリスのペニスが挿入されはじめた瞬間、百合の様子が一変する。無理、やめて、と叫ぶように。だがモーリスは挿入をやめない。腰をしっかりと掴んで、入るところまで沈めきる。
「おおっ、薄皮越しにカリの感触が伝わってくんぜ。さすがに太ぇな!」
仰向けに寝そべって膣を犯すマーキスが、驚きの声を上げる。
「ケツもいい具合だ。二穴は正直やりづれぇが、征服感が半端ねぇ」
モーリスはそう言って、腰を動かしはじめる。抜く時には肛門が完全に捲れ上がり、挿入と共に押し込まれていく。そんな動きを伴うピストンを、黙って耐え凌げるはずもない。
「うむうう゛っ!! おぶっ、んぶぅうう゛う゛う゛っ!!」
百合が呻きながら目を細める。すぐに目を見開く沙綾香に比べれば、幾分大人びた仕草だ。とはいえ、余裕はない。3穴を激しく蹂躙されるうちに、どんどんと眉が垂れていく。
逆に、蹂躙する側は楽しげだ。
「へへへ、そろそろイッちまいそうだぜ……」
「俺もだ。こうなりゃ、3人で同時に射精してやっか!」
「そりゃ俺もってことか? ま、その気んなりゃあいつでも出せっけどよ!!」
そう示し合わせ、それぞれが射精に向けて腰の振りを速めていく。
「お゛っく、んぉおッお゛ッ、ほお゛お゛っ……!!」
百合の苦悶など歯牙にもかけず、ついに3人は息を合わせて絶頂する。
「んお、お゛っ!? く、ぅうおっ、んんぉおお゛お゛お゛お゛ッ!!!」
喉を絞められ、尻肉を掴まれ、太腿を抱え込まれての三穴射精。百合は濁った声を漏らして苦しむ。調教師共はそんな百合を見下ろしながら、『してやったり』という笑みを浮かべていた。
「うーし、次は俺が口だ!」
「なら、俺はプッシーを使わせてもらうか!」
先の3人が場所を譲り、次の黒人が百合を抱く。今度は下がアンドレだ。
「んんんっ……!」
寡黙なアンドレが膣への挿入を果たすと、ダーナルが逸物を扱き上げながら百合の背後についた。そして腰を屈め、怒張の先で狙いを定める。膣が埋まっている以上、狙う先は肛門…………じゃ、ない。奴が亀頭を押し付けるのは、すでにアンドレが挿入している割れ目だ。
「く、あっ!?」
ダーナルが腰を押し進めると、さすがの百合も目を見開いて振り返る。
「ひいいいっ、痛い、痛いいいいっ! そんなに太い物を、2本は無理ですっ!!」
「嘘つけ、気持ちいいんだろうが。こんな太ぇので二本挿しなんて、贅沢だぜオメーも!」
百合が懇願しても、ダーナルは容赦なく腰を前後させる。アンドレもそうだ。限界まで拡がった膣の中、二匹の黒い蛇がのたうち、絡み合う。ぎゅぷっ、ぎゅぽっ、と凄まじい音を立てて。
「どうか、どうかどうか、ペースを落としてください……お願いします、お願いですからっ!」
さすがは名門校の生徒会長なだけはあり、狂乱状態の中にあっても流暢な英語を使う。わずか一言の中で『please』を6回も繰り返す、切な哀願だ。だが、調教師連中は聞き届けない。それどころか、『黙れ』と言わんばかりに口を剛直で塞いでしまう。しかも相手は、最大のペニスサイズを誇るタイロンだ。
「もがっ……!!」
大口を開けても亀頭すら入らない、圧倒的なサイズ。百合の額を汗が流れていく。
「お前の後輩には拒絶されちまったからな。先輩であるお前に責任を取ってもらうぜ」
タイロンはそう言って百合の後頭部を引き付ける。
「そ、そんな!!」
沙綾香が悲鳴を上げる中、有無を言わせぬディープスロートが始まった。
「も、ごぉっ……。う゛えっ、ううう゛お゛えっ!!」
百合の口からは、何度も嘔吐を思わせるえずきが漏れた。しかし彼女は、着実にタイロンの怒張を飲み込んでいく。現時点ですでに、沙綾香が吐き出した位置よりずっと先だ。
「ほー、調教済みってのは伊達じゃねぇな。黒髪の方より、よっぽどノドが開くじゃねぇか」
タイロンも百合の喉奥耐性に驚いているようだ。
だが、そうはいっても限界はある。ある程度の深さまで飲み込んだところで、百合の動きが止まった。目を見開いたまま硬直している様子は、普通じゃない。だがタイロンは、あえてその状態で腰を前後させる。まるで膣でも犯すように。
いくら特訓を受けていようと、タイロンのサイズでそんな事をされては耐えきれない。それまで従順だった百合が、ここで初めて相手の膝を手で押しのける。それを見てタイロンは逸物を引き抜き、百合の顔を横向けさせた。直後、百合の口から吐瀉物が吐き零される。
「うお゛ろえ゛っ…………!!」
「やっぱり吐く寸前だったか。ギリギリまで我慢するとは、見上げた奴隷だな」
タイロンはそう評価しつつも、百合の頭を掴んでまた咥えさせる。
「オオエ゛ッ、オオォオ゛エエ゛エ゛ッ!!」
百合の喉からえずき声が漏れ始めた。しかも、さっきよりひどい。
「いいぞ。吐いてノドがよく開くようになったし、えずき汁もいい潤滑油になってやがる。このまま俺を満足させてみろ。言っとくが、くれぐれもアンドレの顔にゃゲロ引っ掻けんなよ。奴は陰湿だからな」
タイロンはそう言いながら、自分本位に喉奥を凌辱する。膣に二本挿しする二人も同じくだ。そして最後には、3人纏めて百合の顔面へ精を浴びせかけた。胃液まみれの顔中が、乳液の瓶を逆さに振ったように白く染まっていく。連中はそれを、さもおかしそうに笑い続けた。
連中は、つくづくサディスト揃いだ。
次はトラバンが百合を仰向けに転がし、上から乗る形で咥えさせる。ドミニクも百合の脚を開かせ、正常位で犯しはじめる。このセックスが、また酷い。
「んごっ、おぶふうっ、ごぉおおえ゛っ!!」
喉に逸物の形を浮かせつつ、大股を開かされての二穴レイプ。名門女子高の元生徒会長が晒していい姿じゃない。
「いやあっ! せ、先輩になんてカッコ……!」
実際沙綾香も、そのあられもない姿に目を覆う。だがそうした真っ当な反応は、相手の思う壺だ。
「よーく見な、ご機嫌なレイプパーティーってやつだ!!」
トラバンが腰を振り、百合の喉からカコカコという音をさせる。ドミニクもまた、パァンパァンと音の出る凄まじい『ファック』へと移行する。
「げほっ、お゛ぉおええ゛っ!! い、息、が、でき……ない……!!」
連続で犯され、口を使いまわされて、百合はそのうちに反応を失う。
「ふん、気絶しやがった。起きろ、まだまだ休ませねぇぞ!」
ドミニクはドスの利いた声で叫び、深々と挿入したまま百合の身体を持ち上げた。沙綾香には及ばないとはいえ、百合もなかなかの長身で脚も長い。だが、地に足がつかない。全体重を膣にかけながら、射精を受け止めるしかない。
「ふぐ、ぅっ……!?」
百合は意識を取り戻し、直後、目を瞬かせながら硬直する。あまりの快感で、目の前に火花が散っているのかもしれない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………の、ノー…………ッ!!」
目じりから涙を零しつつ、弱弱しく首を振る百合。だが、調教師共は容赦しない。
「再調教はこれからだ。俺達のコックなしじゃ生きてられねぇようにしてやる」
そう言って、百合の周りで白い歯を覗かせた。
※
「お願いですっ! 少し、少し休ませて……ェ゛っ!!!」
「休ませねぇ。醒める暇も与えずにアクメさせまくんのがオレらの流儀よ」
百合の必死の懇願が、また一蹴される。
悲惨な状況だ。取り囲む逸物からはポタポタと垂れ、精液が足指で塗り広げられたような白い液が床の至るところに飛び散っている。それは、彼女が延々と輪姦されている証だ。
10人の黒人共は、百合を相手にやりたい放題をやっていた。集団で口と膣、肛門を使いまわしながら、面白半分に頬を張り、尻を叩く。顔や手足を踏みつける。本当にケダモノじみた、野蛮なレイプだ。
だが百合は、それで変わっていった。最初はかなり本気で嫌がり、痛がっていたはずだが、だんだんと暴力を伴うレイプで甘い声を漏らすようになっていく。
今もそうだ。彼女はレジャナルドに背後から抱きすくめられ、極太の怒張で膣を突き上げられている。そんな中、レジャナルドがまたクリトリスを捻り上げた。百合は、それで絶頂に至る。
「はっ、あ゛ああぁぁっ!! いく、またイグゥ……っ!!」
首を仰け反らせながらの絶頂は、これでもう何度目だろう。
「くあっ、締まりやがるっ!!」
レジャナルドも百合の絶頂につられたように果てる。それを見て、瓶ビールをラッパ飲みしていたダリーが立ち上がった。
「よーし、今度は俺が可愛がってやる」
ダリーは絶頂直後の百合を立たせ、ソファに両手をつかせると、割れ目に怒張の先を押し当てる。
ダリーの怒張は2番目にでかい。力士級の巨躯に埋もれない、圧倒的な巨根だ。そのダリーを受け入れるとなると、百合も声を上げずにはいられない。
「ふっ……ぐうううああっ!!!」
挿入しただけで、百合の膝はガクガクと震えていた。だが、ダリーのセックスはここからだ。並外れた怒張はいわば杭。奴の一番恐ろしいのは、その杭を打ち込むハンマーの威力だ。
パァンッ、パァンッ、と凄まじい音を立てて、ダリーが腰を打ちつける。200キロはあってもおかしくない巨体がぶつかるたび、百合の肉が波打つ。沙綾香より少し腹回りの肉が乗っているのか、伝播していく波が大きい。
「あはぁっ、お゛、お゛!! お゛、お゛っ、お゛ん、お゛ぉっ……! ひう゛っ、お゛ひっ、お゛ひいい゛っ!!」
百合から漏れる喘ぎは、お行だ。ダリーというハンマーで打ち据えられている以上、それは当然のこと。あ、などという愛らしい喘ぎを漏らす余地などない。
どれほどの痛みなんだろう。あるいは、どれほどの快感なんだろう。
背後から犯される百合の踵は、完全に浮いていた。代わりに『く』の字に折れた両脚が、これでもかというほど強張っている。腰を叩きつけられるたび、スクワットで限界が来た時のように、ガグガグガグッ、ガグガグガグッ、と痙攣する様は普通じゃない。
そしてダリーは、そんな百合に追い打ちをかける。激しく腰を打ち込みながら、平手で百合の尻肉を叩く。なにしろ元力士の張り手だ。音もそれは凄まじく、天井のマイクが音割れしたほどだった。
それを受けた百合は、大口を開けた。
「あああああああ゛あ゛あ゛っ!!!!!」
同じく、音割れしかねない声が響きわたる。彼女は、ボロ布と化した白衣ごと全身を震わせ、ぐるりと白目を剥く。しかし、逆の尻に浴びせられた二度目の張り手が気付けとなった。
バチンバチンと肉の音を響かせながら、超重量のピストンが叩き込まれる。
「ぎぃいっ、う、う゛……おお゛っ、お゛っ、イッグぅっ!! いぐっ、イグゥウウッ!!!」
どこで百合が壊れたかといえば、多分、ここだと思う。
酒焼けした不良娘さながらの濁音を撒き散らしながら、乱れに乱れる。ソファにしがみついていたかと思えば、獅子が吼えるように身を反らすこともある。あの藤花が崩壊した時とそっくりの挙動だ。
それを見て、とうとう沙綾香が鉄格子に駆け寄った。
「先輩、先輩っ! しっかりしてくださいっ!!」
必死に叫ぶ沙綾香に、ダリーが気付いたらしい。奴は歪んだ笑みを浮かべると、百合と繋がったまま沙綾香に近づいていく。そして百合に鉄格子を掴ませ、沙綾香の目の鼻の先で犯しはじめた。
「おおおおおイクッ!!イクッううううんっ!!! お願い、助けて、助けてえええっ! もう限界……これ以上は、戻ってこれなく、なる……っ!!」
百合は絶叫しながら、格子の向こうの沙綾香に助けを求める。その異様さに、沙綾香の顔が青ざめた。
「先輩、あたし、代わります!! 代わるから、開けて! ねぇ、ここ開けてよっ!!」
沙綾香は鉄格子の鍵を揺らしながら、手越に訴える。
「ダメだ。一度そこに入った女は、朝まで外には出さねぇ」
手越があっさりと訴えを却下する。その間も鉄格子は揺れ続け、ピストンの音と百合の叫び声が繰り返されている。
やがて、彼女は潮を噴きはじめた。そして同時に、ひどく緩んだ笑みを浮かべる。笑みは一瞬だけのものだが、紛れもなく狂気の片鱗だった。
そしてここから、百合は決定的に狂っていく。
「へへへ。腰が踊ってるぜ、感じてんのか変態女!?」
「ち、違いま……おおォッ!!」
前後から挟み込まれるように犯され、百合は甘い声を上げる。口に手を当てても、嬌声がまるで殺しきれていない。
「わ、わたくし……わたくし、もうっ……! あ、あふっ……ふわあああーーーっ!!!」
限界を訴える言葉に続くのは、あの狂気の笑顔だ。そして以降は、その笑顔が彼女の表情筋に貼りつく。正常位でも、後背位でも。
「見ろよこのツラ、すっかりファック中毒だな」
ダーナルの言葉通り、百合の表情は蕩けていた。彼女は今、這う格好のまま前後から犯されている。最初のころなら悲鳴を上げていそうなハードファックだが、意にも介さない。むしろ積極的に目の前の怒張を掴み、口に含む有様だ。ただ、その口での奉仕も長くは続かない。
「あはぁあ゛っ!!」
背後からの突き込みが激しくなると、すぐに怒張を吐き出して喘ぐからだ。
「……俺から見てもすげぇ光景だがよ。あいつらの凄さを肌で知ったお前なら、また見え方が違ぇだろ」
手越が煙草をふかしながら、隣の沙綾香に話しかける。沙綾香は、虚ろな瞳で鉄格子の向こうを眺めていた。
「よく目に焼き付けとけよ。今日の夜からは、お前があそこに入るんだ」
その言葉で、沙綾香の肩がびくりと跳ねる。手が震えてもいるようだ。手越は、そんな沙綾香の様子をじっと観察し、煙を吐き出した。
「イヤなら、免除してやってもいいぜ」
「……え?」
あまりにも意外な言葉に、沙綾香が手越を見上げる。
「あの連中は、ちっと女を抱かせねぇだけで騒ぎ出しやがるからな。毎晩誰かしら宛がって、性欲を鎮めなきゃならねぇ。それをお前さんにやってもらうつもりだったが、どうしても嫌ってんなら……代わりに、上の階のお友達でもひっぱってくるか」
手越のその言葉で、沙綾香が息を呑む。
「はあっ!?」
「当然だろ。こっちはお前があいつらの相手するって当て込んでんだ。そのお前がやらねぇっつうんなら、手頃な奴隷にやらせるしかねぇ。なぁに、心配すんな。あいつらはもう調教がほぼ済んでんだ、喜んでチンポを咥え込むようになってんぜ」
手越はあくまで軽い調子で語る。だが、沙綾香にとっては重い話題だ。
自分のせいで、友人がここに連れてこられた。その事実を知った時、彼女は愕然としていた。その上でさらに苦労を肩代わりさせるなど、彼女にできるはずもない。
「…………あたしが、する」
沙綾香がそう答えるのは、当然の流れだ。手越は狙い通りとばかりに目を細める。
「よぅし。なら、まずはお披露目だな。客の前で、お前が最高の“マゾ奴隷”だってことを証明してみろ」
「ま、マゾ奴隷?」
沙綾香が聞き返すのも無理はない。倶楽部で何度も耳にした蔑称だ。証明も何も、沙綾香がマゾ奴隷などであるわけがない。
「自分はマゾでも、奴隷でもない。そう言いたそうだな」
手越は、沙綾香に向かってそう告げる。図星らしく、沙綾香は何も返せない。
「ま、実際そうだ。処女でこそねぇが、今この倶楽部にいる女で、一番清純に近いのはお前だろうぜ。だが実態がどうであれ、お前は自分が最高のマゾ奴隷だと証明しなきゃならねぇ」
手越はそう言って、コツコツと壁を叩く。
「この倶楽部は、下のフロアほどえげつねぇ調教を見せるのがウリだ。そしてここは、調教フロアの最下層。つまりここの奴隷は、一番ハードな調教をされる目玉商品ってことになる」
「それが、『最高のマゾ奴隷』?」
「ああ。お前はルックスが抜群だし、生まれも育ちもいいからここに置いてるが、あくまで暫定でしかねぇ。客に認められなきゃ、資格は剥奪される」
「え……。それってまさか、上の4人と資格を奪い合え、ってこと……?」
「察しがいいじゃねぇか。そういうこった」
手越の肯定を受けて、沙綾香は呆然としていた。
この部屋で凌辱されたくないなら、友人を身代わりにするしかない。
友人を守るためには、その友人と戦い、一番のマゾ奴隷の座を勝ち取らなければならない。
どっちを選んでも救いがない2択だ。沙綾香も考え込んでいる。
「言っとくがな。お前の友達は、4人とも全力で勝ちに来るぜ。調教師が『最高のマゾ奴隷』のステータスを勝ち取れと命じるってのもある。だが何より、あいつら自身が資格を欲しがるはずだ。セックスに溺れた女にとって、黒人に輪姦される環境なんてのは、最高に魅力的だからな」
悩む沙綾香の前で、手越はモニターを指した。そこには黒人共に犯されながら、蕩けるような笑みを浮かべた百合がいる。もはや入る前とは別人だ。
『これ以上は……戻ってこれなく、なる……』
百合自身がそう語った通り、あの檻の中に居続ければ、確実に壊れるだろう。祐希も。千代里も。藤花も。桜織も。
「お披露目……だっけ。上等だよ、やってやろうじゃん」
沙綾香の顔つきが、変わった。
友達を犠牲にはできないという、消極的な理由じゃない。自分が友達を守るという、前向きな意思を秘めた表情だ。
だが。
快楽に沈むと戻ってこれないのは、沙綾香自身も例外じゃない。
「いい眼だ。楽しみになってきたぜ」
手越のその呟きが、俺にはひどく不穏に思えた。
(続く)
前編が少々長くなりすぎたため、こちらに分割します。
「始める前に、またコイツを吸って貰おうか。3分は吸い続けろよ」
手越はそう言って、ガスの吸入器を沙綾香に投げ渡す。沙綾香は露骨に顔を顰めながらも、吸入器で鼻と口を覆い、手探りでスイッチを入れる。数秒でガスの漏れる音がしはじめ……沙綾香は、目を見開いた。
「げほっ、ええほっ!!」
「馬鹿野郎、外すんじゃねぇ! ガスが勿体ねぇだろうが!」
吸入器を外して激しく噎せる沙綾香に、手越が怒鳴りつける。
「ま、待って! なんかヘンなの、身体が、すごい熱い……! これ、さっきと全然濃さが違う!!」
「それがどうした。ガスの濃さは、スイッチを入れるたびにランダムで変わるぜ。ちなみに一番濃いパターンだと、ヘロインを上回る“ラッシュ”の快楽が来るらしい。ヘロインっつうと、『オーガズムの数万倍の快感』とか『ヒトが一生で体感しうる快感を一瞬で得る』なんてのが常套句だが、それ以上だ。まあ快楽中毒まっしぐらだろうな。どうだ、スリル満点のルーレットだろ?」
「はあっ!? どこまで陰湿なの、あんたら……!!」
悪意しかない仕掛けに、沙綾香は怒りと呆れの混じった表情を見せる。だが手越はその反応を気にも留めず、ガラステーブルからストップウォッチを拾い上げた。
「こっちはテメェの理性を吹っ飛ばしてぇんだ。わざわざ同じ濃さのガスばっかり吸わせて、慣れさせるわけねぇだろ。それより、早く口に戻せ。今から3分だ」
沙綾香はやはり不服そうだが、勝負を呑んだ以上は従うしかない。
「げほっ、えほっ……んん、ふうっ、ふうーーっ…………!!」
何度も噎せながら、必死にガスを吸引する沙綾香。瞳孔は開ききり、身体は凍えるように痙攣している。まるで毒ガスでも吸っているような苦しみようだ。いや、実際に毒ガスそのものか。
「よし、3分!」
手越がストップウォッチを止めると、沙綾香もすぐに吸入器を外す。
「っぶあ! フウッ、ハァー、ハァー……っハアーー…………!!!」
沙綾香の息はひどく荒い。白目を剥き、嫌な汗で顔中を濡れ光らせているのは一度目の吸引後と同じだが、呼吸の乱れ具合はあの時以上だ。
そして、その様子は数秒後にまた一変する。眼球が元の位置に戻ったかと思うと、沙綾香はいきなり腕を抱え込んだ。
「や……こ、これ、本当にヤバいって! 体が、燃えてるみたいに熱い……!!」
「マジで濃いのに当たったらしいな。これから十番勝負の一発目って時に、運のねえガキだ」
手越はそう言いつつ、黒人の一人……マーキスに合図を送る。
「ハハハハハ、やっとか! 待ちくたびれたぜ!!」
マーキスは白い歯を覗かせながら沙綾香に近づき、ボクサーパンツを脱ぎ捨てた。覆いの下から現れたのは、黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直。しかし、目の錯覚だろうか。その大きさは……
「な、なんで……さっきより、大き、い……?」
目の当たりにした沙綾香が言うんだから、どうやら気のせいではないらしい。マーキスの『巨根』は、明らかに前回よりも太く、勃起力も強い。今度は斜め上どころか、6つに割れた腹筋に先が触れそうなほどの反り具合だ。
「ああ、1割増しでデカいぜ。スッポンと牛のペニスのスープを飲んできたからな。俺らの勝負メシでよ、すげぇ精力がつくんだぜ」
「ふ、ふーん。じゃあその分、すぐ射精するってことでしょ。勝ち目薄くなっちゃうけど、大丈夫なわけ?」
「心配すんな。4人の女を同時に相手して、朝まで喜ばせたこともある。たったの2時間ぽっちなんざ、最初っからフルスロットルでも余裕だぜ」
沙綾香が精一杯挑発してみせても、マーキスの余裕は剥がれない。ハッタリであってほしいものだが、奴の生命力に満ち満ちた肉体を見ていると、絶倫という言葉しか浮かんでこない。
「さて、ジャパニーズ。まずはしゃぶってもらおうか」
マーキスは沙綾香の前に立ち、怒張を脈打たせる。
「はっ!? こんなの、誰が……!」
「嫌なら別にいいんだぜ、このまま突っ込んでも。ただし今度は、ローションは使わねぇ。摩擦を和らげられんのは、せいぜいプッシーから分泌される保護液だけだ。日本人サイズならそれで足りるかもしれねぇが、俺相手だとキツいぜ? 唾で濡らしとく方が、お前自身のためだと思うがな」
マーキスは薄ら笑いを湛えていた。ジョークを言っている類の笑みじゃない、もっと攻撃的なそれだ。レイプ魔である奴にしてみれば、痛みに顔を歪める相手を犯すのも好みなんだろう。
その悪意を感じ取ったのか、沙綾香はしばらくマーキスを睨みつけた後、観念したように剛直へと手を伸ばす。
沙綾香がペニスの根元を握りしめると、その馬鹿げたサイズが改めて実感できた。女の手で本当にかろうじて握れる太さで、かつ両手が重ならないように握っても、なお亀頭が丸々余る長さだ。沙綾香はその大きさに数秒凍り付いていたが、やがて意を決したように亀頭に舌を触れさせる。
「おっほ、すげぇ。気持ち良すぎてビリビリくんぜ!」
喜ぶマーキスとは対照的に、沙綾香は心底辛そうだ。先端部分を口に含んだ瞬間、ぶるりと身震いしながら吐き出してしまう。
「う゛っ! ちょっと、シャワー浴びてよ! この臭い、耐えらんない!!」
悲鳴を上げながらマーキスを睨むが、当のマーキスは意にも介さない。
「早くしゃぶれ。それとも、即ブチ込まれてぇのか?」
意思の疎通を放棄した答えに、沙綾香はますます苛立ちを露わにしたが、仕方なく怒張を咥え直す。
怒張を扱きながら、頭を上下させる奉仕。沙綾香は何度も噎せていた。匂いがよほどきついんだろう。だがマーキスは心地よさそうだ。
「おおお、いいぜ……クチん中がすげぇあったけえ。風邪引いてる女に咥えさせた時みてぇだ。クスリで発情してるせいか? 最高だな、ドラッグセックスは!」
うっとりと快楽に酔いながら、さらなる刺激を求めて沙綾香の頭を押さえつける。
「う゛ぉえっ!!」
嘔吐を予感させる声が漏れ、黒人共が歓声を上げた。
「おい、ここで吐かすんじゃねーぞ!」
「解ってるって。半分も咥えてねぇのに大袈裟なんだよ、こいつ」
ロドニーに釘を刺されても、マーキスは後頭部から手をどけない。確かに口内に隠れているのは怒張の半分ほどだが、それでも10センチ以上は入っているだろう。それに、太さの問題もある。片手で掴みきれないような物を咥えるとなれば、相当な大口を開けざるを得ない。ハンバーグを丸ごと口へ押し込むようにだ。そんなことをすれば、戻しそうになるのも無理はない。
「うっ、んっぐ、うう゛……えう、おえあ゛っ…………!!」
「良いぜ、良いぜぇ……!!」
苦しそうに呻く沙綾香と、心地よさそうに天を仰ぐマーキス。そんな光景がもう2分も続いている。マーキスの腰はカクカクと前後していて、今にも射精しそうだ。だが、しない。何度も足を踏みかえ、細く息を吐いて耐えている。
じゅぶじゅぶという水気のある音。それが象徴するように、怒張はもうすっかり唾液に塗れていた。しかも刺激を受けたことで、サイズも増しているようだ。一人目にしてすでに、沙綾香の頬の筋肉には余裕がない。
「あああ、たまんねぇ……もういいぞ!」
マーキスはとうとう沙綾香の頭を押しのける。唾液の膜と共に引き抜かれた怒張は、やはりでかい。奉仕前は巨大な亀頭が目立っていたが、今や幹部分も膨らんだせいで、全体的に寸胴なイメージになっている。その凶悪なフォルムを前に、沙綾香の顔が暗さを増した。
「準備OKだな。始めて構わねぇが、その前に……」
腕を組んで奉仕を眺めていたロドニーが、黒いリモコンを拾い上げる。そのスイッチが巨大モニターに向けて押されると、ある映像が映し出された。
『そんなに怯えるなよ、ジャパニーズ。よく見てみな、ダックスフンドみてぇで可愛いだろ?』
聞き覚えのある悪趣味なジョークが、フロアに響く。
映像に映っているのは、壁際に追い込まれた丸裸の沙綾香と、その下腹に逸物の先を押し当てているマーキスの姿。この光景を忘れることはない。十番勝負の一回目、その初戦だ。流れているのはどうやら、監視カメラの映像らしい。
「ほおう、前んのときの映像をバックにやれってか。面白え」
マーキスは興味深そうな声を上げ、沙綾香を立ち上がらせると、そのままモニター前に引きずり出した。壁一面のモニターに映し出された、巨大な沙綾香……その脚の間に現在の沙綾香がいる。不可思議な光景だ。
ほんの数時間前の映像だけに、沙綾香自身の変化はないに等しい。大きさが4倍程度違うだけだ。ただ、その下腹に押し当てられた怒張のサイズは明らかに違った。映像内のそれは、逸物の先が臍に当たる程度だが、今はそこからさらに上……臍と両乳房の中間地点にまで達している。
「ざっくり2割増しってとこか。ま、ガスで発情してる今なら大丈夫だろ。今度こそ全力で、たっぷりと楽しませてやるぜ」
マーキスはそう言って沙綾香の頬を舐めた。
「「やっ……!」」
上下の沙綾香の、密着を嫌がる素振りがシンクロする。しかし、それは一瞬のこと。
『ヘンなもの押し付けないでよ、このゴリラ!!』
上の映像では、沙綾香がマーキスの分厚い胸板を突き飛ばし、必死の抵抗を試みていた。
だが下の──今の時間軸の沙綾香は、マーキスに膝裏を抱えあげられたまま、悔しそうに横を向いている。今の彼女には、拒否権などないからだ。
一方のマーキスは、上の映像では沙綾香の抵抗を笑って受けながら、挿入のタイミングを計っているところだった。だが下の現実では、一足先に怒張を割れ目へとねじ込んでいた。
「あっ……あ、あっ……!!」
「うおおおっ、キツいな……ギュウギュウ締めやがる! おまけに、こっちも熱いしよお。マグマん中にでも突っ込んでる気分だぜ!!」
マーキスの興奮ぶりは相当なものだ。具合がいいのは事実だろう。奴はあっという間に怒張の半分ほどを挿入しきり、腰を使いだす。パン、パン、という肉のぶつかる音が響きはじめる。
「うあっ、あ、あああっ! ふうう……うん、んっ!」
沙綾香は目を閉じていた。抜き差しの中で目を開くこともあるが、少しの間だけだ。
辛そうだった。純粋に苦しんでいる上画面の彼女とも、反応はよく似ていた。だが、実際には違ったようだ。
「へへへ、ナカがうねってるぜジャパニーズ。気持ちいいんだろ?」
マーキスは、舌なめずりでもしそうな口調でそう囁きかける。
「か、感じて、ない……。こんなので、感じるわけ、ないじゃん……っ!!」
「へっ。恋人以外で感じたら、浮気になるってか? 義理堅ぇこった。だがその割にゃ、ずいぶん蜜が垂れてくるじゃねぇか」
マーキスが笑いながら、沙綾香の太腿に触れる。
「あ、やっ!!」
嫌がる沙綾香を無視して何かをなぞり、高く掲げると……その指先は濡れ光っていた。
「見ろよ、ドロドロだ。俺の極太がスムーズに動くわけだぜ」
「ち、違……あのガスのせいで、変になってるだけ! あんた相手に、感じてる、わけじゃ……!!」
マーキスの言葉を、沙綾香は強く否定する。だがマーキスは、よほど自信があるんだろう。
「ほお、感じてねぇってか?」
目を細めながら念を押し、沙綾香が頷いたのを確認すると、いきなり彼女の尻肉を鷲掴みにする。そして自分の腰へと押し付けながら、力強いピストンを再開した。双方向から力が掛かるそれは、単純に考えてもさっきの倍の刺激だ。
「あああっ! やだ、そんな奥……っ!!」
沙綾香は顔を顰めて呻いていた。嫌がっているようにしか見えないが、パンパンと肉のぶつかる音が繰り返されるうちに、様子が変わってくる。
「んん、んっく、くはっ……はぁ、はあっ…………ああ、ん、あっ! あ、らえ…………ああああ゛あ゛っ!!」
激しく喘ぎながら、身もだえ。そしてついに彼女は、悲鳴を上げながら身を震わせた。
「へへへ、イキやがった。なまじ我慢したもんで、思いっきりトんじまったなあ?」
マーキスが下卑た笑みを浮かべて囁く。沙綾香には、それに反論する余裕がない。モニターに後頭部を預け、完全に顎を浮かせたまま、ハッハッと短い呼吸をするばかり。快楽という海で溺れ、水面から顔を出そうとするように。
「お前は気持ちよくイッたみてえだが、こっちはまだこれからだ。続けるぜ」
マーキスは、ぐったりとした沙綾香の太腿を抱え上げた。足という支えを奪えば、挿入は嫌でも深まることになる。
「あああああっ!!!!」
沙綾香は悲鳴を上げた。だがその悲鳴にすら、快楽の響きが含まれているように思えてならない。
「感じているようですね、彼女は。黒人のペニスで対面座位を強いられる形なのですから、無理もありませんが」
まるで俺の心を見透かしたように、端塚が語り掛けてくる。奴から見ても、あれは嬌声に思えるらしい。
「……大きいというのは、そんなにいいのか」
「あえて肯定しましょう。世の中には巨根を好む女性も一定数いますが、それらの女性の多くは最終的には黒人とのSEXに耽溺し、そこから離れようとしません。規格外のペニスサイズを誇る黒人とのSEXは、一般的な男性とのSEXとは別次元だからです」
「何が違うんだ。膣はそこまで奥行きがあるわけじゃない。黒人のペニスでなくても、奥までは届くだろう」
「奥に届く、というだけでは不十分なのです。女性の膣に性感スポットは多々ありますが、中でも特筆すべきは子宮口周りの膣壁です。ここは非常に大きな快感を与えるのですが、大抵のペニスでは亀頭の先で突くのがせいぜいで、じっくりと刺激するには長さが足りません。しかし、彼らほどの大きさであれば、そのスポットを起伏に富んだ雁首周りで刺激することができます。抜き差しする度に、延々と。そしてこの快感が、多くの女性を骨抜きにするようです」
端塚は、黒人のペニスの優位性を淡々と説く。その間も下のフロアでは、沙綾香がマーキスの肩にしがみつきながら揺れていた。
「んっん、はぁっ……あああ、はっ…あ! あっ、あっん、んんー……っ!!!」
天井のスピーカーからは、艶めかしい声。それに意識を向けるのがつらい。端塚の話を踏まえて聞けば、思い当たる節がある。
対面座位で沙綾香を抱いている時、欲を出して奥の奥まで突いたことが何度かある。そういう時、たまに深く入り込んだ感覚と共に、沙綾香がいい反応を返してくれることがあった。十数回突き込んで一回、という程度だったが、俺はそんな時の沙綾香の反応が好きだった。
その声が今、毎秒のように聴こえてきている。俺にとっての『奇跡の突き込み』を、マーキスは当然のごとく、ピストンのたびに起こしているらしい。
「っあああああーーっ!!!」
沙綾香がまた悲鳴を上げ、足指を強張らせた。また絶頂したらしい。
「オイオイ、またイッちまったのかよ。ま、俺もそろそろだがな」
マーキスは嬉しそうに笑いながら、腰の振りを早める。
「は、はっ……!!」
絶頂後の余韻の中、沙綾香がはっとした様子で顔を上げた。そして、足の筋肉を筋張らせる。
「おっ……すげえな、一気に締まってきやがった。アメリカ女に握りつぶされてるみてぇだ、こりゃ堪んねぇぜ!」
マーキスは大喜びで腰を振りたくる。抜き差しの音も変わった。水気を含むブジュブジュという音と、何かに空気を入れるような、ハキスッ、ハキスッ、と聴こえる音が交じりあう。空気と水を含んだ空洞の中、強烈な膣圧に負けないピストンが生み出す音だ。それほどの音を立てるセックスが、生半可であろうはずもない。絶倫な強姦魔といえど、その中では何分も持たない。
「ぬああああ…………っ!!!」
やがて、マーキスは咆哮を轟かせた。ケダモノの断末魔だ。奴らはいつもその声と共に、すさまじい量の精液を流し込む。
「うううううっ!!!」
膣奥に精を受けていんだろう、沙綾香が汚辱に塗れた顔をする。だが、表情の中には晴れやかさもあった。
「何笑ってんだよ。まさか、もう中出しで感じてんのか?」
手越に茶化されても、沙綾香の少しむっとするだけだ。
「そんなわけないでしょ! こいつ、今イッてるの。つまりこの勝負って、沙綾香の勝ちだよね!?」
なおも射精を受けながら、目を輝かせる沙綾香。その姿に、手越も、ロドニーも、黒人共もマーキスも、一様に固まる。そして、互いに顔を見合わせ…………笑った。
「ハッハッハッハッハッハッ!!! おいおい、笑わせんじゃねぇよ!!!」
「ひひひひひっ、あの、あの得意顔!! 大したユーモアセンスだぜ、ジャパニーズ!!」
顔に手を当て、腹を抱えてゲラゲラと笑う鬼畜共。その中心で、沙綾香だけが呆然としていた。
「え……な、何? イッてるのはホントだって。ねえっ、あんた今イッてるでしょ!? 沙綾香の中に、思いっきり出してるじゃん!!」
「ああ、イッてるぜ。気持ちよーくな」
「じゃ、じゃあ!!」
沙綾香はあくまで真剣だ。周りがなぜ笑うのか、理解できていない。そんな彼女に冷や水を浴びせたのは、手越だった。
「よう。お前さんまさか、一遍イカせりゃ終わり──なぁんて思ってるワケじゃねぇよな?」
その言葉で、沙綾香が固まる。完全に図星という様子だ。その反応を見て、また黒人連中が耳障りな笑い声を撒き散らした。
沙綾香は、俺とのセックスを基準に考えてるんだ。俺は一度射精するたびに沙綾香を開放し、休憩を挟んだ。射精直後は気怠いというのもそうだが、時間ならいくらでもあったし、沙綾香に負担を掛けすぎないためでもある。つまり、あえて加減していたんだ。
「『2時間以内に調教師が精根尽き果てて、もうヤレねえってことになりゃお前の勝ち』……そう言ったはずだぜ。つまり、射精がゴールじゃねぇ。もちろん、一発出してもう弾切れってんなら話は別だがな」
手越はそう言ってマーキスの方を見る。マーキスは鼻で笑った。
「冗談じゃねえ、やっと体があったまってきたとこだぜ。一発目の射精なんざ、ストレッチみてぇなもんだ。今のコンディションなら、7発か8発……いや、10発はイケるな」
マーキスの口調は自信に満ちている。大見得を切ったわけではなく、本気で言っているんだろう。俺自身、そういう気はしていた。連中はスポーツでも滾りを抑えきれず、性犯罪に手を染めた性欲の権化。一度や二度達した程度で鎮まるはずもない。
「う……嘘、ばっか。だって、本で読んだもん……。男は、何度も連続でイケるようにはできてないって……」
沙綾香は震えながら呟いた。弱弱しい声色だ。他人に対して主張するというより、自分自身に言い聞かせているような。
「俺らは特別に絶倫なんだよ。疑うんなら、そのエロい身体でたっぷり味わってみな!」
マーキスは沙綾香の太腿を抱えなおし、セックスを再開する。今度は沙綾香の身体を斜め上に揺さぶり、角度をつけて挿入するやり方だ。その勢いで、膣内に出された精子が四方八方に飛び散っていく。
「あ、い、いやああっ!! ま、また、すごい奥……う、うっ、ふぅぅううう゛っっ!!」
余裕のない沙綾香の声が響く。
『バカぁっ!!』
モニターの映像でも、同じく大声が張り上げられていた。膣内射精されたことに憤慨した沙綾香が、マーキスの股間を蹴り上げたシーンだ。
「おお、そういやタマ蹴られたんだったなあ。あの礼は、しねぇとな!!」
映像を見て苦い記憶を思い出したらしい。マーキスは両手で沙綾香の尻を鷲掴みにすると、自分の腰に叩きつけはじめた。丸太のような腕だ、腕力も相当だろう。肉のぶつかる音がバチンバチンと激しさを増し、沙綾香の尻の形は一秒ごとに変わる。
「はああっ、あ、あ! ああっ、いやぁ、あああ……っく、くあああ……!! んあ、あああ……あはっあああっ!!」
沙綾香は、何度も何度も甲高い嬌声を上げながら絶頂へと追い込まれた。
「何遍も連続で絶頂する感覚はどうだ? ただでさえガスの効果で昂ってる上に、逝けば逝くほど敏感になって、ますます絶頂しやすくなっちまうんだよな」
ぐったりとうなだれた沙綾香に、手越が呼びかける。
「だがな、それに浸ってちゃ勝ち目はねえぞ。お前が勝つにゃ、マーキスのザーメンを残らず搾り取るしかねえ。必死でマンコ締めて、10発でも20発でも射精させてよ」
その言葉で、沙綾香の表情が引き締まった。
「おっ……!? へへへ、急に具合がよくなってきやがった。やる気だな?」
マーキスは嬉しそうに笑いながら、激しく腰を前後させる。沙綾香は厳しい表情を保っているが、足の動きがわかりやすく快感を訴えている。4度目の絶頂は近そうだ。
「性欲も御せないケダモノのくせに、随分なテクニシャンじゃないか」
俺は視線を上げ、端塚に向かって吐き捨てる。言うまでもなく嫌味だ。
「彼らはセックスの場数を踏んでいますから、どう責めれば女が参るのかを経験で知っているのでしょう。あるいは八金 沙綾香が、黒人に犯されて喜ぶ特殊性癖なのかもしれませんが」
端塚は憎らしいほど落ち着いたまま、ティーカップを傾ける。
下のフロアで、巨大モニターの映像が暗転したようだ。一人目の映像が終わったらしい。だが、2回目の勝負はまだ続いている。沙綾香がマーキスに突き上げられ、一方的に追い込まれる形で。
2時間。それは、とてつもなく長い。
望まぬ光景を眺めながらだと、終わりのない地獄にすら思えてくる。
「はぁっ……はぁ、はぁっ……はぁっ……ちょ、ちょっと、休ませ、て…………」
マーキスの肩に頭を預けた沙綾香が、荒い息を吐きながら哀願する。彼女はもう、何度絶頂させられたことだろう。
「ぜぇ、はあ……クチでするってんならいいぜ」
マーキスも流石に疲れたらしく、沙綾香を床に降ろして一息つく。割れ目から抜き出された怒張は半勃ちになっていた。とはいえ、まだまだ剛性を保った半勃ちだ。沙綾香はそんなマーキスの足元に跪き、口と手を怒張に触れさせる。
熱心な奉仕だった。目を見開いてマーキスを見上げながら、舐めしゃぶり、咥え、唾液を絡めて猛烈に扱き上げる。
──お願い、早くイって! 一回でも二回でもいいから絶頂して!
そんな心の叫びが聴こえるようだ。
だがマーキスは絶頂しない。快感を得ている様子はあるが、膣以外で射精するかとばかりに堪えている。
沙綾香の必死の奉仕は、結局、マーキスの怒張を完全な勃起状態に戻しただけだった。
「……もういいぜ」
再び目を血走らせはじめたマーキスが、沙綾香の頭を押しのける。沙綾香は態勢を崩し、ベッドに両手をついた。そんな彼女の股ぐらに勃起しきった怒張が宛がわれる。
「や、やだ! 今、そんな硬いのっ……!!」
沙綾香は挿入を嫌がっていた。自分の事は自分が一番よくわかる。硬さと張りを取り戻した巨根を挿入されたら、絶頂を堪えきれない。それを理解していたんだろう。
そして、それは正しかった。
「…………ッはああああああ!!!!」
後背位で深々と挿入された瞬間、沙綾香は大声を張り上げた。彼女自身が慌てて口を塞ぐほどの声量だ。その一声は、彼女の状態を推し量るのに十分すぎる。
「へへへ、イイ声が出んじゃねぇか!! そうだよなぁ。こんだけラブジュースが溢れてるトロットロのプッシーに、硬いモンぶっこまれりゃ声も出るよなぁ!? おら、声殺すんじゃねぇよ。もっともっと鳴き声を聴かせろ、ジャパニーズ!!」
マーキスは大喜びで腰を打ち込む。
「や、や、ぁ……こ、これっ……ヤバい、ヤバいヤバいっ……!!」
沙綾香は項垂れながら、独り言のように呟いていた。体全体が縮こまり、特に脚は固く内股に閉じている。相手が犯しづらいようにか、それとも単なる自衛か。いずれにせよ、マーキスはその格好を許さない。
「もっと開けよ!」
怒鳴るように叫びながら、沙綾香の股に手をねじ込み、強引に足を開かせる。肩幅より広く。その状態でさらに腰を打ち付けられると、沙綾香の反応が変わった。
「ひああああっ!! だめぇだめええああああっ!! あそこっ、あそこ壊れちゃうう゛う゛う゛ッ!!!」
俯くのをやめて顔を上げ、大口を開けて叫びはじめる。笑う時は思いっきりの笑顔を見せる子だが、あそこまで下品な顔をするタイプじゃない。つまり、“よっぽど”なんだ。
「俺のコックはドギースタイル向きだからな。こうやってバックでやられっと、たまんねぇだろ!!」
相手の変化を見て、マーキスが調子づく。奴は激しく腰を打ち付けながら、沙綾香の両肩を掴み、強引に背を反らせた。それがどれだけ有害なのかは、沙綾香の反応でわかる。
「うわあああっ!! やめて、やめてやめでええ゛え゛ぇぇっ!!!!」
沙綾香はしばらく背を反らせて痙攣していたが、やがてシーツの上に崩れ落ちる。するとマーキスは笑みを深め、首元を押さえつける体勢に移行した。その絵面は、今までのどれよりレイプらしい。愛する女性が、黒人にベッドに組み敷かれて犯される。そのインパクトは半端じゃない。心臓が痛むほどのショックだ。
しかも、その体勢になってから、沙綾香の反応はさらに激化した。
「ああああっ、ああぁぁ……く、ぅああ……あ…………ああ!!!」
沙綾香は、軋むベッドと同化しているようだ。だが、それは胴と腰に限った話。手と顎には恐ろしいほどの力が篭もっている。その力は蓄積に蓄積した末、ある瞬間とうとう爆発する。マーキスの巨体を跳ね上げながら、彼女はまた大口を開いた。
「いっ、くッッ!!!!」
絶頂の宣言は、この上なくストレートだ。それは俺の胸に鋭く突き刺さると共に、他の連中の爆笑を誘う。
しかも、悪い状況はさらに続いた。
「イク、ひぐぅっ!! んんんん゛ック…………あはあああああっっ!!」
何度も絶頂を宣言する沙綾香。何度も下唇を噛んで声を殺そうとするが、すぐにまた大口が開いてしまう。
「随分なヨガり具合じゃねぇか、ええ? 黒人のデカマラでイキまくるなんざ、立派な阿婆擦れだな」
手越が茶化すと、沙綾香は瞬きで汗を切りながら横を向く。
「はぁ、はぁー、はあーっ……こ、こんなの、おかしい……。無理な、サイズなのに……痛い、はずなのに、なん、で…………!」
「それがドラッグセックスってもんだ。クスリでトぶと、大概のことが快感になっちまう。極太をぶち込まれる苦痛も、それと同じだけの快感になるわけだ。だがお前さんは、それに浸ってる場合じゃねぇはずだぜ。必死でマンコ締めて、相手のザーメンを搾りつくさねぇと負けだ。残りあと40分。かなりヤベェと思うがな
手越の言葉に、沙綾香の表情が強張る。
「ん、ううう、んっ…………!!」
「おおっ!? はっ、いいねぇ、締まりが増しやがった!」
沙綾香が目元を引き締めた直後、マーキスが喜びの声を上げる。
「すげぇすげぇ! ただでさえジャパニーズのガキは締まりがいいってのに、こうギュウギュウやられちゃもたねぇよ!!」
腰を打ち付けながら快感に震えるマーキス。ただ、膣が狭まることで刺激が増すのは奴だけじゃない。沙綾香自身も、より強くスポットを擦られる事になる。
「んあ、あああ……あ、あっ!!」
「オオウ、オッ、ウウオオオオオッッ!!!」
我慢比べはしばらく続いた。ベッドを軋ませ、細かな汗を散らしながら。
マーキスは、天を仰ぎながら咆哮することが何度かあった。追い詰められているのは間違いない。
だが…………限界は、沙綾香の方が早かった。
「…………あ゛、はっ…………お゛っ…………ぉ、い、っく……い、……ってる………………っ!!」
何分が経った頃からか。沙綾香は叫ぶことをやめ、熱い息を吐きだしながらうわ言を呟くようになっていた。それも異常だが、もっと衝撃的なのは顔だ。
舌を、突き出していた。
長湯でのぼせたような、汗まみれのボーッとした顔。とても勝負事で勝ちを拾える人間のそれじゃない。
「おっ……なんだ、ヘバっちまったか? あのままギュウギュウ締めっぱなしだったら、結構ヤバかったんだがな」
マーキスは汗を拭いながら激しく腰を前後させ、沙綾香から呻き声を引き出す。
「よーし、2時間経過だ」
手越が終わりを告げた瞬間にも、マーキスは激しく沙綾香を犯していた。その時点でマーキスの勝ちは確定したわけだが、奴はダメ押しとばかりに沙綾香の腰を掴み、激しく腰を打ち付ける。
「おら、おらっ!!」
「あああ、いや、あ……あっ!! イックイクううっっ!!!」
沙綾香はぶるりと身を震わせながら絶頂する。そして極めつけに、気持ちよく射精したマーキスが怒張を引き抜いた瞬間、かなりの勢いで潮を噴いた。
「ははははっ! こりゃまた、清々しいぐらいの負けっぷりだな!!」
ロドニーやその周りの人間が手を叩いて笑う。そんな中、マーキスはベッドに突っ伏した沙綾香の尻肉を割り広げる。
「見ろよお前ら、こんなに出ちまった。気持ちいいぜぇ、このプッシーは。ただの狭い穴だった一回目と違って、発情してるからヒクヒクしっぱなしでよ。最高に上手いフェラされまくってる気分になれるぜ」
その言葉で、沙綾香に浴びせられる嘲笑が大きさを増す。沙綾香はその渦中で、悔しそうに手を握りしめていた。
十番勝負1戦目は、彼女の負けだ。
※
1戦目が終わると、沙綾香には水分補給とシャワーの時間が与えられた。シャワーの時間はかなり長かったが、バスルームから出た沙綾香の顔は引き締まっていた。まだまだ気持ちでは負けていないようだ。
だが、その後には2時間に一度のガス吸入がある。ここでもまた濃いものを引いたのか、沙綾香はかなり激しく咳き込んでいた。
そうして迎える二人目は、ダーナル。奴の怒張も一周目よりサイズが増している。
「おーっ、すげぇ。痺れる感じだ!」
口での奉仕を受けるダーナルは愉快そうだが、咥える沙綾香に余裕はない。その関係は、ダーナルがバックから犯し始めてからも変わらなかった。
マーキスと同じく、ダーナルもまた最初の体位は一周目を踏襲した。沙綾香の両手首を掴んだまま、背後から突き込むやり方だ。
「う……うあ、あはっ……あぐ、う、んっ……!!」
目を閉じたまま俯き、小さく声を漏らす。沙綾香の反応は、頭上に映る一周目とそっくりだ。だがよくよく目を凝らせば、その股の間から雫が滴っているのが見える。
ダーナルの腰遣いも違っていた。モニターの映像は、あくまで自分が射精に至るための突き込み。対して今は、沙綾香を感じさせるために、色々と突き方を変えている。沙綾香の乳房の揺れ方を見れば、その違いはよく分かった。過去の映像では乳房は前後にしか揺れていないが、 今は前後だけでなく左右にも揺れ、時にぶつかり合っている。
そうした些細な違いが、瓜二つなセックスの行く末を決定的に分ける。
「っああああ゛っ!!!」
セックスが始まってから、わずか数分後。沙綾香は一際悲痛な声を漏らし、腰をカクカクと揺らし始めた。
「ハハハッ、もうイってやがる!」
ダーナルがわざと腰振りを止めても、沙綾香の下半身は震えたままだ。
「もう突いてもいねぇのに、勝手にヒクつかせやがって、いやらしいビッチめ」
ダーナルは口汚く罵りながら、また腰を動かしはじめる。ただし今度は、沙綾香の手首を下に引き、強引に上体を起こさせた上でだ。
沙綾香の体が起きれば、挿入の角度は横方向から斜め上に変わる。そしてどうやらその変化は、沙綾香にとって望ましくないものらしい。
「ううあああっ、だ、ダメッ、この角度はだめっ!!!」
「ああ、だろうなぁ。さっきもヘソの方を擦ってやった時が、一番反応が良かったからな」
ダーナルは沙綾香のうなじを舐め上げながら、慣れた様子で腰を突き上げる。
「いや、いやあいやっ!!」
沙綾香のすらりとした太腿が、何度も膨らんでいた。足に力を入れて逃げようとしているのか、それとも勝手に力が入っているだけか。いずれにせよ沙綾香は、その姿勢のままでもう一度絶頂に追い込まれる。
「っふりゅうんっ!!!」
絶頂の時の声は、妙なものだった。我慢をし損ねて達したという風だ。その声は当然笑いの種となった。見守る黒人共も、ダーナルもゲラゲラと笑っていた。沙綾香は一瞬、恥ずかしそうに顔を顰めたが、すぐに顔を上げる。そして、その直後。
「うおっ!?」
ダーナルが急に大声を上げた。何事かと黒人共が笑いを引っ込める間にも、奴は、うお、うおおっ、と驚きの声を上げ続ける。
「こ、こいつ……絞り出す気でいやがる! この体勢だと、プッシーに力が籠めやすいもんな……あああクソッ、我慢ができねえっ!!!」
ダーナルは睾丸でも握り潰されるかのような焦りを見せ、やがて荒い息と共に痙攣する。
「ん」
沙綾香が小さな声を漏らした後、股の間から白い物が流れ出した。
「ほう、やるじゃねぇか。相当搾り取られちまったなあダーナル」
ロドニーが感心しつつ茶化すと、ダーナルは品なく舌打ちする。
「ざけんな、こっからだ。マーキスの野郎が10発いけるってんなら、俺は20発は出せるぜ」
ライバル心を剥き出しにしてそう唸ると、奴は前傾を深め、沙綾香に這う格好を強制させる。バックから突くのはさっきと同じだが、今度は沙綾香の手を手綱のように引く代わりに、腰を掴んでの全力のセックスだ。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、と凄まじい音がしはじめる。音のキレも凄まじいが、早さも相当だ。沙綾香に主導権を与えないためだろう。そして、それは効果的だった。
「はぁ、あ、あ、はあっ……あ、あっ…………!!」
ガスで発情させられた上、すでに2回絶頂している沙綾香に、何分も絶頂を堪えるのは不可能だ。俯きながら熱い吐息を吐き続けた末に、とうとう背中をぶるぶると震わせる。
「そうだ、大人しくイッてろ。俺はアジアンを犯し慣れてんだ、キッチリ気持ちよくしてやるからよ」
下衆な発言をしながら、ダーナルは腰を使い続ける。沙綾香は必死に声を殺していたが、乳房を握り潰された瞬間に切ない声が漏れはじめる。
後背位でのセックスは、執拗だった。ダーナル自身も中腰や膝立ちなど姿勢を変えながら、ひたすらに腰を打ちつける。
「顔上げろ!!」
沙綾香が快感のあまり突っ伏すたび、後ろ髪を掴んで引き起こすせいで、綺麗なストレートヘアがパーマでもかけたかのように乱れていく。
「い、いたいっ! 髪、掴まないでってば!」
沙綾香が何度そう訴えても、ダーナルが聞き届けることはない。むしろ荒々しく掴んだまま、頭を左右に揺さぶる始末だ。奴にしてみれば、相手の女にノーと言わせる事そのものが目的なんだろう。
そんな酷い状況下でも、やはり沙綾香は達してしまう。何度も、何度も。
「もう、いやあああーーっ!!」
ある時とうとう、沙綾香は悲鳴を上げながら逃げようとする。だがダーナルは、素早くその足を押さえつけた。逃げることを常に想定していないと出来ない動きだ。過去のレイプで、似たシチュエーションを経験しているのか。
「ハハハハハッ!! 必死に逃げるってこたぁ、そろそろマジでヤバイってことだよなあ!? 勝負の時間は残ってんだ、キッチリ白黒つけようぜ!!」
ダーナルは満面を笑みを浮かべながら、沙綾香の尻掴む。指の合間から肉が盛り上がるほどの握力だ。
そして、ダーナルはスパートをかける。時には手のひらで打ち据えながら、激しく、乱暴に。
「おほっ、お、あ、お、おっ……!! きあはっ、あ、ははっ、は…あぁあ……い、いっくっ!!」
沙綾香は、刻一刻と追い詰められていく。つらそうに瞑った目から涙を流し、大口を開け。
特に最後の15分……ダーナルに右手を押さえつけられ、覆いかぶさる形で犯されている間は、今にも嘔吐するんじゃないかという顔色だった。結果として吐瀉物は出なかったが、それ以外の体液はすべて出たと言っていい。汗に涙に鼻水、涎に唾液。
「2時間だ!」
手越のタイムアップの合図とともに、ダーナルは激しく腰を打ち込み、沙綾香の後ろ髪を引き絞りながら射精に至った。哀れにも沙綾香は、汁まみれの顔を衆目に晒し、笑われながら膣内射精を受ける羽目になる。
「ふっ、ぐうぅううっ…………!!」
彼女の2敗目は、なんとも無残な泣き顔で締めくくられた。
※
『『フロリダの暴れ馬』ことドミニク様だ。楽しもうぜえお嬢ちゃん!』
巨大モニターの中では、3人目のドミニクが沙綾香を軽々と持ち上げ、自分の股間へ下ろす形で挿入を果たしていた。そのモニターの下では、現在のドミニクが沙綾香の顔に怒張を擦りつけている。太さもさることながら、沙綾香の顔とほぼ変わらない長さが特徴的だ。
「しゃぶれ。舐められるより、ソッチのが好みなんだ」
ドミニクは沙綾香の手を払いのけ、亀頭を沙綾香の唇に押し付ける。沙綾香が仕方なく口を開くと、躊躇なく口内へと怒張を送り込んでいく。
「おが……も、お゛」
顔の縦の長さと変わらない怒張だ。当然口の中だけでは収まらず、すぐに奥につっかえてしまう。だがドミニクは沙綾香の髪を掴み、無理矢理頭を前後させた。
「うう゛…う゛、むえっ、おお゛え゛おっ…………げええ゛っ!!」
沙綾香は苦しみながら奉仕を続けた末に、ほとんど嘔吐そのものの声を漏らしながら怒張を吐き出す。
ぬらぬらとした唾液で濡れ光る怒張は、うんざりするほどの長さを誇った。さっきより更に長い。沙綾香が小顔であることを差し引いても、その口からうなじまでの距離を悠に超えているというのは異常すぎる。
しかも奴は、前の二人の例に倣ってか、一周目の行動を踏襲した。つまり、沙綾香を抱え上げ、自分の股間へ下ろす形での挿入だ。
「あ、あ……こ、これって……っ!!」
抱えられたまま、沙綾香が震える。後ろを振り返る彼女が見たのは、ドミニクの顔か、それともその向こうにある過去の自分か。
ドミニクは、割れ目に亀頭を宛がったまま、ゆっくりと沙綾香の身体を降下させる。
「うあ゛、あ゛……や、あ……っ!!」
沙綾香が首を振る中、怒張は少しずつ割れ目の中に隠れていく。だが、モニター内の映像ですら6割しか入っていない凶器だ。それより一回り大きさを増した今は、半分ほどを残して挿入が止まる。
「うううっ、ふ、深……いっ…………!!」
「あんだよ、全然入らねぇな。これじゃあ、ムスコが風邪引いちまう……ぜ!!」
ドミニクは沙綾香の脚を高く掲げ、一気に落とす。怒張が割れ目に食い込むように。
「はっ……ぐ、うっ!!」
沙綾香の両足が跳ね上がる。相当な衝撃だったらしい。だがその反応に比べて、表情は乏しい。目を見開いたまま凍り付いている。その温度差は、ただただ不気味だった。
「くくくっ、見慣れたツラだな。黒人のチンポを思いっきり突っ込まれると、どの女もその顔になりやがる。目の前がチカチカする感覚なんだってな。だが、呆けてる暇はねぇぜ。テメェは勝負の真っ最中なんだからよ」
沙綾香の顔を覗き込み、手越が笑う。ドミニクも同じく笑みを浮かべながら、また沙綾香を持ち上げて、落とす。持ち上げて、落とす。
「ふぎいっ!! んふぐっ、んっあああーーーっ!!! い、いたいっ……むりっ、そんなの全部入れるの無理ぃっ!! せめて、抱えないで普通にしてぇっ!!」
「これだって普通だぜ? 俺の育った町のショーパブじゃ、娼婦はいつもこうやって犯されてたもんだ。俺の母親もな。でもよ、太いのでムリヤリ突き上げられて、母乳とションベン撒き散らしてんのに、すげぇ幸せそうだったんだぜ。お前もそれ味わって、どんな感じか教えてくれよ、ジャパニーズッ!!」
沙綾香はどれほど足をばたつかせても、ドミニクは容赦しない。ベッドルームの中を歩き回りながら、ゴリゴリと沙綾香の中を突き上げる。
「ああ、あああっ!! 無理、無理おっきいいっ!! おなかのっ、奥、やぶれちゃううううっ!!」
沙綾香の声は悲鳴に近い。歯を食いしばっていたかと思えば、ドミニクの胸板に黒髪を擦りつけながら天を仰ぐこともある。
それは必死の抵抗だったんだろう。そして抵抗する力を失った時、彼女は為すすべもなく快楽に引き込まれる。
「あいっイク、イクッ!! ああぁ、んゃああああっ!!!」
激しく突き上げられながら、立て続けに絶頂を宣言する沙綾香。その様は、ここまで見てきた中でも一番胸に刺さった。なぜなら、全部が見えるから。開ききったまま涎を垂らす口も。ピンクの陰唇を捲り返しながら抜き差しされる極太も。飛び散る愛液も、精液も。
「ああああイクッ!!!」
沙綾香がそう宣言するたび、Mの字に開いた脚がぶるぶるぶるっと激しく痙攣する。俺の距離から見て取れる以上、震えはかなり大きいはずだ。
「ご覧になりましたか、今の骨盤周りの痙攣を。あれは、ポルチオでの深い絶頂に伴う筋収縮です。もうあれほどの“中逝き”が可能とは……流石は、貴方の手ほどきを受けただけのことはある」
沙綾香を見下ろし、端塚が解説を挟む。俺のせいだというのか。今のあの有様が。
しかし、否定はしきれない。彼女が受け入れてくれるのを良いことに、性感開発を繰り返したのは事実だ。俺がやり過ぎなければ、彼女はあれほどに達しやすくなっていないかもしれない。意図せず絶頂するたびに、悲しい眼をせずに済んだかもしれない。
ドミニクは、よほど女を抱え上げる体位に拘りがあるらしく、持ち時間の全てをそれに費やした。手越が終わりを告げると、8分勃ちの怒張がずるりと割れ目から抜け落ちた。途端にあふれ出し、垂れ下がった怒張を真っ白に染め上げるザーメンも圧巻だが、それ以上に衝撃的なのは沙綾香の有様だ。
「あっ……はあぁ、ああ…………ああ、あ……っあ、はぁ、はっ…………!!」
彼女は、激しい呼吸を繰り返しながら呆けていた。ドミニクの首に回された左手も、逞しい腕を掴む右手も、Mの字に投げ出された脚も、すべてが痙攣を続けている。
「スゲーなあれ。まだ余韻に浸ってやがんぜ」
「らしいな。最初は痛いだのなんだの騒いでやがったくせに、途中からはイクイクしか言ってなかったもんな。相当イキまくってたんだろうぜ」
「顔見てみろ顔。思考力ゼロのバカ面してんぜ」
セキュリティ連中が沙綾香を見下ろし、面白そうに品評する。奴らの言葉は間近から肉声で聴こえる分、黒人連中の笑い声よりも不快だった。
※
早くも3連敗を喫した沙綾香が次に迎えるのは、4人目のジャマールだ。
『ひひひひっ、ひっでぇプッシーだなジャパニーズ!! 黒人3人にレイプされて、グチャグチャになってんじゃねぇか。穴もガッポリ開いてよ、スプレー缶ぐらいならそのままぶち込めそうだぜ!!』
巨大なモニターから、一周目に奴が口にした言葉が流れている。この侮辱がきっかけで沙綾香は憤慨し、セックスの間じゅうジャマールを無視した。結果、奴は仲間から嘲笑される結果になったんだ。
ジャマールは、その苦い記憶を横目に見つつ、沙綾香の奉仕を受けていた。仁王立ちで腕を組む、オーソドックスなスタイル。奴自身はまだ一言も発していないが、怒張は雄弁だった。
弓なりに屹立している。長さも太さも凄まじいが、見た目だけで相当な硬さが伝わってくる。もう少し近くで見れば、血管が浮き立っているのも見えるだろう。その異様さは、3人の黒人に奉仕した経験を持つ沙綾香が、舌で舐め上げながら不安そうに目を泳がせるほどだった。
だが、彼女も怯えているばかりじゃない。
「そろそろ始めるか。俺のなんぞ、『入ってんのかもよくわからねぇ』から、退屈だろうがよ」
一周目の言葉を皮肉って宣戦布告されれば、それに強い眼で応える。二人してベッドに上がり、這う格好を取る時も、冷ややかな無表情は続いていた。
しかし。
ジャマールが深々と挿入し、縊り殺さんばかりの表情で腰を使いだしてから数分後。沙綾香の反応が、少しずつ変わりはじめる。
「……はぁ、はぁ……はあ、はあ。はあ…………」
まずは、荒い呼吸。そしてそれは、ほんの数分のうちに喘ぎに変わる。
「んっ、あァ……い、あ……は、ぁはっ……は、ぁぁ……んっ……!!」
沙綾香の姿勢が崩れていく。這う格好から、這いつくばる格好へと。すると、そんな沙綾香の尻にジャマールが張り手を食らわせた。
「もっと尻上げろオラ!」
因縁のある相手からそう要求されれば、沙綾香は両膝の感覚を狭め、腰を突き上げるしかない。だがそれは、ジャマールの突き込みをよりダイレクトに受け止める結果を呼ぶ。
「あっ、あ、あっ!! あはっ、はああ、あ、あ゛っ!!」
沙綾香の漏らす喘ぎが大きくなっていく。変化は彼女の肉体にも表れていた。激しい抜き差しを受ける下半身が、左右に揺れている。
「腰逃がすな!!」
ジャマールがまた尻を打ち据える。乾いた音が響きわたり、沙綾香が目を見開いた。
「い、痛いッ!! に、逃げてなんか、ないって……!!」
「逃げてんだろさっきから、尻振ってよぉ! なんだ、そんなに快感のスポット捉えられんのが怖ぇのかよ。てめぇ1回目ン時に言ってたよな? 俺とのセックスなんぞ、思わず寝ちまうような休憩タイムだってよ!? なら寝とけよ、そのまんまベッドにツラ埋めて、じっとよ!!」
ジャマールはそう言って姿勢を変えた。沙綾香の両肘の外に手をつき、腕立てでもするような格好を取る。沙綾香に尻を上げさせている今、怒張の挿入角度はほとんど真上からだ。
これが、効いた。
「あ!!! あ、ああ!!!! あああ、あ、ああああぁっ!!!!」
這いつくばった沙綾香の口から、相当な大声が発される。さっきまでの喘ぎなら、まだ荒い呼吸の延長として誤魔化すこともできた。だが、もう無理だ。沙綾香から今漏れているのは、どう聞いても快感の声なんだから。
それだけの声が出るとなれば、当然ながら肉体もじっとしてはいない。さっきジャマールが『逃げる』と表現していた時より、腰が揺れがひどい。タバコの火を何度も尻に押し当てられれば、ちょうどあんな動きになるだろうか。
「逃げんなっつってんだろうが!!」
この段階になってもまだ、ジャマールの表情は縊り殺す時のそれだった。奴はベッドに膝をつき、沙綾香の太腿の内に入り込みつつ、腕で下腹を抱え込む。そうなれば、沙綾香はもう腰を触れない。衝撃を逃がす術もなく、復讐の一念で叩き込まれる暴力的な突き込みを、まともに受け止めるしかない。
結合部から漏れる音が凄まじい。ぶじゅんっ、ぶじゅじゅうっ、という汁気に満ちた音が猛スピードで繰り返されている。
「ああ……あはアアァあっ、あ、あ゛っ!! んぎぃあ……あぅあっ、アッあ、ぐああは…………っ!!」
沙綾香の呻き声も同じくひどい。もう動かせない下半身の代わりに、上半身をシーツに沈め、あるいは大きく反らしながら、快感を訴え続ける。
「おらイケッ、イッちまえクソガキがっ!!!」
ジャマールは、沙綾香が激しく反応するほど突き込みを激化させる。
「~~~~~っっ、~~~~っ、~~~~~っっ!!!」
そのうち沙綾香の嬌声は、声にすらならなくなった。喉からガスが漏れるような音が出るばかり。調教師すらざわつく異様さの果てに待つ未来は、一つしかない。
「う゛ーーーーーー………………っ!!!!!」
喉が潰れたような声。それを漏らしながら、沙綾香はまた仰け反った。ジャマールの胸板に頭を預けるほどの反り具合だ。そして、そのまま彼女は痙攣を始める。
「まだ仰け反ってやがる。すげぇアクメだな……」
すでに勝負を終え、傍観に入っているマーキスがぼそりと呟いた。奴の言う通り、見るからに凄まじい絶頂だ。
『ああ、終わったの? なんか後ろで必死に腰振ってるのは知ってたけど、入ってんのかよくわかんなくてさ。ちょっと寝ちゃってたよ』
モニターの中では、涼しい顔をした沙綾香が嫌味を吐いている。ジャマールに寄りかかって痙攣する今とは、見事なまでに正反対の光景だ。
そこまでの光景を作り出しても、ジャマールの怒りは鎮まらない。奴は脱力した沙綾香を仰向けに寝かせ、両腕を掴んで、残り時間一杯犯し抜いた。
「ああああ駄目っ、いくいくいくいくっ!!!」
あれほどの絶頂の後だ。敏感になりすぎている沙綾香は、当然嫌がった。だがジャマールは腰を止めない。
「まだまだ休ませねぇぞ!!」
そう言って激しく腰を打ち付ける。沙綾香の背が何度仰け反り、後頭部をシーツに沈めても。
「ごめんなさいは!?」
明らかな限界を見せる沙綾香に、ジャマールはやがて謝罪を求めはじめた。沙綾香は一瞬表情が硬くなったが、その直後に絶頂させられ、涙を流しながら口を開く。
「ご……ごめん、なざい……」
「もっとだ!」
「ご、ごめんなざいいいっ!!」
「もっとだっ!!」
まるで、地獄のような光景。それは、手越が2時間の経過を告げてもまだ続いていた。
「おい、ルール違反だぞ!」
俺はボスである端塚に抗議したが、奴は気に留めていないようだ。
「彼女はジャマールの矜持を傷つけたのですから、その罰です。奴隷調教には躾も大事ですから。あまりに超過しすぎるようであれば止めますが……その必要もなさそうですね」
端塚の言葉を聞いて、俺は沙綾香の悲鳴が途絶えたことに気付く。下を見ると、彼女はとうとう気絶してしまっていた。ぐったりとして動かない、完全失神。それを認めてジャマールは怒張を引き抜き、自ら扱き上げると、気絶した沙綾香の顔に精液を浴びせかける。その量はやはり凄まじく、彼女の鼻と唇はほぼすべて白濁で覆われてしまう。
「どうだ? この勝負、俺は負けか? あん?」
ジャマールは最後に、仲間の調教師に向かって問いかける。一周目の嘲笑に対する意趣返しだろう。黒人共は、苦笑しながらジャマールの勝ちを称えていた。
これで沙綾香は、4敗目だ。
※
4戦目が終わった後のシャワーも長かった。そのシャワーがようやく終わり、5人目のアンドレに奉仕する段階になってもまだ、沙綾香の目からは涙が伝っていた。
アンドレは寡黙な男だ。他の男のように野次りはしない。しかし、レイプ魔としての嗜虐心と旺盛な性欲を持ち合わせている。
奴は、沙綾香を仰向きで寝かせ、足を開かせた状態で犯していた。膝立ちのまま前傾姿勢でのし掛かり、自重と寝台で沙綾香の骨盤を挟み込むようなセックスだ。当然、挿入は深いらしく、沙綾香の反応は激しかった。
「あ、あああ゛ーーっ!! やあ゛、重い……くう、うああ、あっあーーっ!!」
万歳をするようなポーズでシーツを掴み、目を閉じて呻く沙綾香。アンドレは真顔でそれを見つめながら、彼女の脹脛を掴むと、大きく前方に倒していく。『まんぐり返し』の恰好だ。
「あお゛っ!?」
新しい姿勢で一度突き込まれた瞬間、沙綾香の呻き声が変わる。『お』行の呻き。相当に腹圧が高まった時に出る、本当に気持ちいい時の声だ。アンドレは数度突き込んでその声を出させた後、膝立ちをやめた。両足の裏でしっかりとベッドを踏みしめたまま、深く腰を落とした、相撲でいう蹲踞の姿勢。それに変えた理由は、すぐにハッキリする。膝立ちのままではできない、暴力的なまでのストロークで突き込むためだ。
沙綾香の胴より太い大腿部が前後に動き、繰り返し腰を叩きつける。バチンッバチンッという肉のぶつかる音は、それまでの比じゃない。
「お゛、あ゛っ!! あ゛あっ、んあ、お゛っ!!」
沙綾香の悲鳴も質が違う。今思えばさっきまでの声は、どこか甘く、尾を引く感じだった。今はそれが、肺から絞り出した息を一瞬だけ吐くものに変わっている。アンドレの腰遣いと連動するように。
そんな沙綾香を見て、手越がひどく歪んだ笑みを浮かべる。
「はっ、すげぇ声だな。だがよ、解ってっか? お前にとっちゃ、これがラストチャンスなんだぜ。お前の勝利条件は『勝ち越し』……つまり、10人相手に6勝しないと負けだ。この5戦目を落としゃあ、自動的に負けが決まるんだぜ?」
「……っ!!」
その言葉に、沙綾香が目を見開いた。そうだ、彼女はここまで4連敗。もう、後がない。
「あは、はあ……はあっ…………!!」
沙綾香は深い呼吸を繰り返しつつ、表情を締め直した。そして彼女は、思いがけない行動に出る。
「おっ……? オイオイ、あいつ自分でクリトリス弄ってんぜ!?」
一人が指摘した通り。沙綾香は唯一自由になる手を陰核に伸ばし、自ら慰めはじめていた。黒人共は、それをビッチだの自棄を起こしただのと散々に詰る。だが、俺には彼女の目的が伝わった。ああして刺激を増すことで、膣圧を強めているんだ。それまでの経験から、ただ下半身に力を篭めるだけでは勝てないと判断したんだろう。
「ぐうっ……!!」
アンドレが小さく呻き、腰を震わせる。
「……ふはっ。はあ、はあっ……はあっ……!!」
沙綾香は一旦息を吐き出してから、また陰核を弄りはじめた。アンドレの目が細まる。どうやら今この瞬間は、沙綾香が優勢らしい。
だが、アンドレもやられたままではいない。陰核をいじる沙綾香の手を払いのけると、彼女の両足首を掴んで高く掲げる。
「あっ、はっ……はああっ!!」
沙綾香から喘ぎが漏れた。まずい、という表情だ。
両脚をぴたりと揃えるあの体勢なら、膣は究極的に狭まる。つまり、アンドレのエラの張った雁首が膣壁をこそぐ快感を、余すところなく受け止めざるを得ない。もちろん、アンドレ自身も射精感を煽られる諸刃の剣だ。だが、奴は勝算があってその姿勢を作ったんだろう。
勝利を賭けた最後の攻防。それはベッドを激しく軋ませ、肉の弾ける音をさせ、透明な汁を散らしながら延々と続いた。途中までは、本当にいい勝負だったと思う。アンドレが呻きながら腰を止め、ぶるぶると下半身を痙攣させる場面は何度もあった。だが、終盤に近づくにつれて戦況が逆転していく。
アンドレの巨躯に圧迫されながら、狭まった肉の合間に極太の杭を捻じ込まれる。そんなひどい状況の中、沙綾香は純粋な快感の声を上げはじめた。
「お゛っ、おお゛お゛!! んおお゛、お゛ォ…………!! っ、い、イくっ!! イっちゃう、イっちゃう゛う゛っ!!!」
涙を流しながら、何度も絶頂に上り詰めていく。足を暴れさせてもいるようだが、アンドレが足裏を掴み、上腕の筋肉を盛り上げて強引に制止するせいで、最悪の態勢を崩せない。
「ラスト10分だ」
ここで手越が、初めて終了目前を告げた。今まではタイムオーバーの宣言だけだったというのに。
奴の狙いは、沙綾香を焦らせることだ。焦らせて、惨めな敗北を味わわせたいんだ。
「やあああっ!!! イって、イって、お願いい゛っイってよお゛っ!!!」
沙綾香は壮絶に顔を引き攣らせ、太腿を外から押さえつける。あるいは、割れ目の外に指の輪を作り、出入りするアンドレの強直を指でも扱こうとする。だが、そうした不自然な行動は、彼女自身を追い詰めることにしかならない。
しかもここで、アンドレの方も腰使いを変えた。黒人特有のしなやかな筋肉をフルに活用し、横方向に円を描く動きで突き入れるやり方だ。遠心力で勢いがつく上、毎回違う角度で斜め方向から挿入することになるため、膣内への刺激が強く、変則的になる。極限まで膣が狭まっている今、それは最大の効果を発揮することだろう。
「ぁああああっ、イク、イクぅうウウ゛ッッ!!!」
最後に沙綾香の腕は、すべてを放棄した。頭上に投げ出され、シーツを掴み、ただ快感に流されないように強張るばかり。
だが、それは仕方のないことに思えた。憎むべきは、感覚を狂わせる催淫ガス。そしてそのハンデを負わせつつ、好き放題に罪のない少女を嬲る外道共だ。
「そこまで。これで5敗目だ。結局、『先生』は救えなかったな」
壁の時計に目をやりながら、手越が終わりを告げる。それを聞いて、アンドレが怒張を引き抜いた。剛直がズルズルと引き抜かれる間にも、沙綾香の上半身はビクビクと痙攣していた。さらに足裏が開放されると、両脚は大股を開いたままベッドに落ちる。まるで潰れたカエルのそれだ、間違ってもモデル体型の美少女がしていい格好じゃない。だが、今の彼女にはそれしかないんだ。力の一滴までを振り絞り、脱力しきった脚が取れるポーズは、あれ以外にない。
その脚の合間は、蹂躙の痕跡も著しかった。終盤の無茶な突き込みのせいか、これまでのどのラストシーンよりもひどい割れ目の拡がり方をしている。割れ目から溢れ出す精液の量も、ガラスコップで受ければたちまち半分以上が満たされるのではと思うほどだ。それは、何度もアンドレを射精に導いた証でもある。実際アンドレは、片膝をつく格好で座り込んだまま、荒い呼吸を繰り返すばかり。あと一歩で勝てていた勝負だということが、その様子でわかる。
だが、負けは負け。沙綾香は呆然としたままベッドの端まで這い、床に転げ落ち、千鳥足でバスルームに向かう。
彼女は、頭から激しくシャワーを浴びながら、壁に額を宛がった。
「センセ……ごめん、ね…………。沙綾香、頑張ったんだけど……全然、ダメだった。一勝もできないで……レイプされてるのに、何度もイって……こんなの、ホントに、“ビッチ”じゃん…………!!」
沙綾香の独白が聴こえてくる。バスルームにもマイクがセットしてあるらしい。俺はそれを聞きながら、もう何度目かの息苦しさを感じた。
彼女は悪くない。何ひとつ。せめてその事を伝えたいが、フロアを隔てるガラス板は厚かった。
※
沙綾香の敗北が確定しても、十番勝負は続く。
6人目のレジャナルドは、相も変わらずノリが軽い。壁に手をつかせた沙綾香に後ろから挿入し、クリトリスや乳房を刺激しながら何かを囁く。傷心の沙綾香にとっては、鬱陶しくて堪らない相手だろう。
「触んないでって、前も言ったじゃん!!」
沙綾香はレジャナルドの手を払いのけ、鋭い眼で睨みつける。だがレジャナルドは懲りない。モニターに映る前回の映像では、レジャナルドが射精するまでそのやり取りが繰り返されていた。だが今は、やや展開が違う。
「あっ……はああ、あ!! あっ、あはあぁっ…………!!」
口からは熱い吐息が吐かれ、瞳が力を失い始めた。クリトリスを弄られるたびに上体が起き上がり、壁についた手も少しずつ位置が下がってくる。
そして、なんといっても気持ち良さそうなのが腰だ。レジャナルドがクリトリスの弄りをやめ、両手で抱きすくめながら犯せば、内股に閉じた長い脚がブルブルと震える。太腿を引きつけながら深く突けば、全身を痙攣させながら視線を上向かせる。
「気持ち良すぎて、腰が抜けそうだろ?」
「はぁ、はぁ……んなわけ、ないじゃん…………」
沙綾香はレジャナルドの問いを否定するが、本当に感じていないモニター内の映像と見比べれば、上半身も下半身も快感でのたうっているのがよく分かる。
「そうか? だったら、シャンと立ってみろ」
レジャナルドはとことん性格が悪い。沙綾香がかろうじて壁に寄りかかっているのを承知で、その両腕を絡めとり、強引に直立させる。
「あ、やあっ!! ……く、はああ゛、あはああぁぁっ!!!」
「どうしたどうした。腰が踊ってるぜぇ、気持ちよさそうによお!!」
レジャナルドの言う通り、沙綾香の腰は前後左右に揺れていた。
「ハハハッ、まるでストリップだな!!」
「ああ、色白でスタイル抜群のストリップ嬢だ。たまんねぇぜ!!」
黒人連中が手を叩いて笑い、沙綾香の顔が羞恥に染まる。そんな環境の中、彼女はまた絶頂へと追い込まれた。
「あ、……はっ!はァっ……!!」
歯を食いしばっての絶頂。膝を擦り合わせるような脚の形といい、くっくっと持ち上がる尻肉といい、相当に気持ちよさそうだ。
グチャグチャと水音を響かせながら、沙綾香は立ったまま絶頂させられつづけた。1時間近くはそのままだっただろう。だが、レジャナルドが深い溜息と共に怒張を引き抜いても、それは終わりを意味するわけじゃない。
腰砕けでへたり込んだ沙綾香の前に、半勃ちのものが突き出される。しゃぶれ、ということだ。沙綾香は不服そうにしつつも求めに応じた。
「う゛っ、う゛えっ……!!」
苦しそうな声を上げながらの奉仕。レジャナルドが後頭部を押さえ、深く咥えさせているせいだ。
「おーっ、カタくなってきた。自分の絶倫ぶりが恐ろしくなるぜ!」
えずき汁と共に吐き出された怒張は、奴の言葉通り、若々しい漲りを取り戻している。二回戦どころか、三回戦でも四回戦でもやれそうだ。
「ちょっと、休ませて……。もう、勝負する意味なんてないでしょ!? い、イキすぎて、敏感になってるからっ……!!」
正常位で犯されながら、沙綾香は何度も音を上げた。それでもレジャナルドは腰を止めない。常に軽薄な笑いを浮かべ、時には沙綾香の頬を張りながら、自分本位の強姦を時間の限り繰り返す。
こうした意地の悪さは、7人目のトラバンも同じだ。
一周目は沙綾香の羞恥心を煽るべく、左腿を上げさせ、結合部が鏡に映り込むように犯していた男だ。巨大モニターの映像には、その時のあられのない姿が大写しになった。
「う゛っ!? や、やだっ、あんなの映さないで!!」
モニターの映像を見て、奉仕中の沙綾香が悲鳴を上げる。だが数分後、彼女は頭上に映る恥辱を再現させられた。
壁に寄りかかったまま、足を180度近く開かされ、真横から突き込まれる。その光景は過去のものと同じだ。ただし、今回は違うことがある。以前はただ極太を出し入れされているだけの被虐映像だったが、今回は、それに伴って大量の愛液が溢れている。体位が体位だけに、内腿の濡れ光っている様子は丸見えだ。
「いや、いやあ見ないで、見ないでええええっ!!!」
沙綾香の絶叫も必死さが違う。トラバンは、そんな彼女をさらに追い詰めた。髪の毛を引っ張って顔を上げさせ。犯しながら首を絞め。そうして散々に嬲ったうえで、膣内射精までを公開する。
「やめてええええーーーーっ!!!」
響き渡る哀願は、痛々しかった。
一方のトラバンは、射精しても一呼吸しか休まない。嘆く沙綾香を跪かせ、口での奉仕を強いる。仁王立ちのまま後頭部を押さえこみ、深く咥えさせるやり方だ。
「ごえっ、おえ゛っ……」
当然沙綾香は、ひどい声を漏らすしかない。嘲笑が巻き起こり、その中でトラバンのペニスは暴力的な反りと張りを取り戻していく。すると今度は、それで思いっきり膣を犯されるんだ。望まぬ強姦でも、ガスで発情した身体はいずれ絶頂する。いくいく、と涙ながらに叫ぶ沙綾香を、また嘲笑が包み込む。そしてその後は、また泣きながらのフェラ────そんな光景がうんざりするほど繰り返された。
地上で普通に暮らしている女子高生なら、この体験ひとつで自殺を考えてもおかしくない恥辱。だが、これですら『最悪』じゃない。次は、とうとう8人目。ここからの3人のペニスは、トラバンまでの7人が可愛く思えるレベルなんだ。
※
「こ、こんなの……無理……」
沙綾香は力なく首を振る。その視線の先にあるモーリスの怒張は、本気で人間のペニスには思えない。
「だったら、このままブチ込んでやろうか? 潤滑剤ナシでよ」
モーリスにそう言われると、沙綾香は渋々ながらに口を開く。絶叫する時の開き方だが、それでも亀頭を口に含むことすら叶わない。
「あ゛! ……もが、あ゛っ!!」
何度かの試行錯誤の末、顎が引き攣るほど大口を開けて、ようやく亀頭を口に含むことに成功する。とはいえ、そこがせいぜいだ。数秒後、彼女は慌てた様子で顔を引いた。
「あ゛っ! だ、だめ、アゴが外れちゃう!!」
泣きそうな顔で訴える沙綾香。だがモーリスは首を振る。結局沙綾香は、壮絶な表情を晒しながら何度も亀頭を咥え込むしかない。
深く咥えているわけじゃないが、無理をしているだけに唾液の量は相当だ。ついでに言うなら、音もひどい。
「が、ごがぁっ……ごあ゛ぁ、ごお゛ッ!!」
えずき声は、前半の連中に奥まで咥えさせられていた時よりよほど濁っている。しかも喉奥からは、妙な音がずっと続いている。
「ははは、テメェの唾でうがいしてるみてぇだな。声も凄えし、顔も凄え」
モーリスの方はひどく満足げだ。実際気持ちがよかったらしい。しばらく後、驚くほどのえずき汁に塗れながら抜き出された怒張は、更に太さが増していた。もはや作り物としか思えないサイズだが、それは断じてハリボテじゃない。圧倒的な張りと硬度を備えた、女殺しの肉棒だ。
ロドニーがリモコンを操作する。一周目の光景がモニターに映し出された。
『いたいいたいいたいいたいっ!!!!』
モニターから悲鳴が響き渡る。涙まで流して、本当に辛そうだ。その下で犯される現在の沙綾香も、一見すると同じく辛そうに見える。壁に額を擦りつけ、目を固く瞑り、足などはつま先立ちになり……どれを見ても苦痛のサインとしか思えない。
だが声を聴けば、その印象は180度変わる。
「んあああッ! お゛ッ、おかしくなるっ、おかしくなるううう゛っ!!」
こちらもやはり、血反吐を吐かんばかりの絶叫だ。ただし、痛みがそのまま快感に入れ替わったような。
「クククッ、すげぇな。バットの先みてぇなチンポ突っ込まれて、ヨガってやがんぜ」
「しかも、マン汁まで垂らしてな!」
「やっぱ、あれってマン汁か? だとしたら量やべえな、ずっと垂れっぱじゃねえか」
「デカけりゃデカいほど感じちまうんだろ。キメセクって怖ェわ」
俺の後ろで、セキュリティ連中がざわつく。その落ち着きのなさは、セックスのインパクトが強い証拠だ。
あれほどスレンダーな子が、“バットの先”を捻じ込まれて快感で叫ぶなど、普通では考えられない。悪い夢だと思いたい。だが、夢にしてはあまりにも生々しすぎる。
沙綾香は、叫び疲れ、声が枯れてからも犯され続けた。壁にしがみつき、弓反りになった背中をガクガクと上下させる様は、異常としか言いようがない。
一時間が過ぎた頃、沙綾香はもう壁にしがみついてすらいなかった。高級ホテルを思わせる床に、腹這いになる格好だ。それでもモーリスはセックスをやめない。這いつくばる沙綾香の尻を掴み、開いた足の間に腰を打ち付ける。
「あああああ゛っ、イグゥッ、イッッグウウゥウッ!!!!」
沙綾香から悲鳴に近い声が上がった。声も凄まじいが、顔も普通じゃない。歯肉まで覗くほど歯を食いしばり、上空を睨みつけるような表情。おそらく彼女は、何も睨んではいない。いつか見た、快感の海で溺れまいと顔を上げる様……あれに近い。
「ああして臍の下辺りを地面に密着させながら膣を犯すと、衝撃の逃げ場がないんですよ。それはつまり、快感を余さず膣内のスポットで受け止める事を意味します。ただでさえ、クスリで感じやすくなっているところでそんなことをされれば……」
端塚はそう解説しつつ、面白そうに眼を細める。
「んぎぃいいいっ!!!」
また、すごい声がした。見ると、沙綾香が這いつくばったまま、脹脛を隆起させている。足指の力の入り具合も相当だ。
「達しましたね。それも、相当深く」
端塚が淡々と呟く。その最中、沙綾香の頬を涙が伝った。
「あーあー、泣いちまって!」
「ま、あのレベルの深さで絶頂しちゃあなあ。ビックリしちまったんだろ。脳もプッシーも!!」
黒人共がそれを目敏く見つけて騒ぎ立てる。モーリスなどはまるで英雄扱いだ。奴は嬉々として沙綾香を犯しまくる。沙綾香を這いつくばらせたまま、さらに20分。片足を肩に担ぎ上げ、開いた脚の間に挿入するやり方で30分。
「2時間、そこまでだ!」
ようやく、手越が終わりを告げる。その頃にはもう、沙綾香の反応はかなり薄くなっていた。声は枯れてヒューヒューという呼吸音ばかりになり、身体の反応も担ぎ上げられた足指が蠢く程度。だが彼女は、最後の最後まで快楽を味わっていたようだ。
「あ゛! …あ゛、あ゛っ!!」
モーリスが怒張を引きずり出す間に、引き抜かれ始め、半ばほど、抜け出た瞬間と3度にも渡って、枯れた声で喘いでいたんだから。
やるだけをやったモーリスの怒張は、完全な勃起状態ではないはずだ。実際、最初は斜めに反り立っていたものが、今や股の間にぶら下がっているだけだった。それなのに、サイズは依然として凶悪だ。“バットの先”と形容されるに足る太さを備えている。
それを女性器に叩き込まれるというのは、どんな感覚なんだろう。そう思って沙綾香の顔を見ると、彼女は大股開きのまま痙攣する下半身を、呆然とした様子で見つめていた。その表情でハッキリとわかる。モーリスとのドラッグセックスが、信じられないほど気持ちよかったんだと。
※
9番目の相手は、元力士のダリーだ。
ダリーの剛直は、長さこそモーリスより短いが、あまりの太さにカリ首が埋没している。奴はそれを、沙綾香に無理矢理咥えさせようとした。
「無理っ、無理だって! さっきのだって入んなかったのに!!」
沙綾香は顔を振って嫌がるが、ダリーはそんな彼女の顔に怒張を擦りつけ、隙あらば口に入れようとする。怒張のサイズは沙綾香の顔半分を覆うほどだ。普通なら入るはずがない……が、結局はダリーの力づくで、それが成し遂げられる。
「うぶっ、もごえ゛ええ゛え゛……っ!!」
真上から怒張を押し込まれ、沙綾香の喉がボコリと膨れ上がる。その苦しさは相当なものらしく、沙綾香の両脚はベッドの上で激しく暴れた。だが、ダリーは口への抜き差しを何度も繰り返す。沙綾香がどれだけ暴れても、ひどいえずき声を漏らしても。
「おい、その辺にしとけ。そのまま吐いたら、ゲロで窒息しちまうぞ!!」
さすがに危険と見たロドニーが止めると、ダリーは薄ら笑みを浮かべながら腰を浮かせる。
「ごろろ゛あ゛っ!!!」
怒張が引き抜かれる時の声も、またひどい。
口内から垂直に抜けた剛直は、見たこともないほど濃い粘液に塗れていた。まるで納豆を延々とかき混ぜた時に引く糸のようだ。千代里のディープスロート特訓でも、あそこまで粘ついたえずき汁はなかった。
喉奥に押し込まれたことで、極太の怖さを実感したんだろうか。
「やだ、待ってっ!!」
まさにこれから後背位で挿入されるという段階になって、沙綾香は嫌がりはじめた。
『いや、いやいやっ!! 本当にやめて、せめて休ませて!! あそこがヒリヒリして痛いの!!!』
モニターの中でも、沙綾香がにじり寄るダリーを拒絶していた。
「ったく、嫌嫌ばっかりだなぁオメーは!」
ダリーはそう言って、逃げようとする沙綾香の尻肉を掴み、尻を高く上げさせて挿入を試みる。メリメリと音もしそうな、壮絶な挿入。一周目と同じ展開だ。
「あああああっ!!!!」
沙綾香は顔を歪ませて悲鳴を上げる。さっきまでの8戦と比べても、挿入時の太腿の痙攣が一際ひどい。もっとも、太さが最大である以上は当然のことだ。バットの周りに、さらに本革を巻き付けたような直径の怒張。そんなものを性器に捻じ込まれて、足が震えない人間なんていないだろう。
「相も変わらずイイ締まりだぜ。俺ァ、ガキを犯ってパクられたんだがよ。そん時より具合がいいってなあ大したもんだ!」
「なっ……! そんな事、よく平気で言えるね、このクズ!!」
「ほう、俺はクズか。ならそのクズに犯されて喜んでるオメーは、いったい何様なんだろうなあ!?」
ダリーはそう言って、激しく腰を打ち付ける。這う格好の沙綾香から、苦しそうな声が漏れた。
ダリーが力士然とした巨体をぶつけるたび、沙綾香の尻肉が波打つ。彼女に無駄な肉などほとんどない。それが波打つ衝撃となると、どれほどのものだろう。
「あっ!あ゛、あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!!」
沙綾香からは、突かれるたびに悲鳴が上がった。涙か唾液かが前方に飛び散り、さらには舌まで突き出される。まるで巨大なハンマーで横殴りにされているようだ。
そんな状況、辛いに決まっている。苦しいに決まっている。普通であれば。
だが、今の沙綾香は普通じゃない。ガスで発情しきっている。よほどの苦痛でも快楽にすり替わるのは、モーリスとのセックスで実証済みだ。
「お゛っ、あ゛、あ゛、あ゛!! お゛っ、お゛……あ゛、あ゛、あ゛っ!!」
沙綾香の喘ぎ声は単調だった。そして、一音の例外もなく濁っていた。太さがありすぎる上に突き込みの圧が凄まじいから、満足に喘ぐこともできないんだろう。圧倒的な質量が骨盤に叩きつけられ、その反射として濁った声が腹の底から漏れている……多分そんなところだ。
「汁がドバドバ溢れてくるじゃねえか。お気に召したらしいなあ、俺みてぇな“クズ”に犯されんのがよ!!」
ダリーはゲラゲラと笑いつつ、突き上げのペースを速めていく。奴は肥満体の割にスタミナがあった。呼吸の乱れや汗はひどいが、とにかく腰が止まらない。さすがは元力士というべきか、それとも欲望の成せる業か。
「うあ゛ッ、がはっ! あはっ……お゛!」
沙綾香がまた、骨盤からぶるっと震え上がった。表情の変化が目まぐるしい。口を半ば開いて、理性を感じさせない表情をしていることもある。あるいは熱いスープでも冷ますように、口を細めて息を吐き出していることもある。
「気持ちが良さそうですねぇ。高波のような快楽に、翻弄されている顔だ」
端塚が呟いた一言に、ぎくりとする。俺もまさに今、同じことを考えていたから。
結局ダリーは、時間いっぱい沙綾香を責め抜いた。
膝立ちにさせたまま。
両手首を引き絞っての後背位で。
沙綾香の上体が完全に崩れてもなお。
「くあーっ、ノドが乾いてしょうがねぇぜ!!」
2時間経過後、旨そうにコーラを煽るダリーの横で、沙綾香は身じろぎひとつしない。顔を横向けて倒れ伏したまま、全身を痙攣させるばかりだった。
※
十番勝負も、いよいよ最後。十戦目を乗り切れば終わりだが、当の沙綾香には、そんな楽観的な考えなど浮かばないだろう。これまでの中でも最大のサイズを誇る、タイロンの逸物を咥えさせられているんだから。
「もお゛っえ゛!!!」
沙綾香の口は、明らかに限界以上に開いていた。鼻頭がほぼ真上を向くほどの開口なんて、日常生活ではありえない。
と、紗耶香が大慌てで怒張を吐き出し、下を向いた。直後、びちゃっと音がする。
「あーバカ、吐きやがった」
ロドニーが顔を手で覆い、大仰に嘆く。
「く、咥えるのは無理! ホントに顎、外れちゃう……!!」
「ったく、しょうがねぇな。なら舐めて濡らせ」
顎を押さえて叫ぶ沙綾香に対し、タイロンは意外にも寛容だ。サイズがサイズだけに、口に含むことなど期待していないのかもしれない。
沙綾香は嫌嫌ながらも、怒張に舌を這わせはじめる。舐めるという行為ひとつとっても、腕のような逸物相手となれば大変な作業だ。根元から亀頭を舐め上げるために、首を180度回さなければならない。
「裏スジも舐めろ」
そう命じられ、怒張を持ち上げる動きの中にも重量感がある。
やがて、怒張が隅々まで唾液に塗れると、過去映像を背景にしてセックスが始まる。
『いやあああっ、やめてっ! 無理、無理ぃっ!! 裂けるっ!!』
映像の中では、両手首を鷲掴みにされた沙綾香が、身も世もなく泣き喚いていた。タイロンはその映像を背にしつつ、沙綾香の膝裏を掴み、中腰の体勢でメリメリと挿入していく。怒張のサイズがサイズだけに、ショッキングすぎる画だ。
「ああああ無理っ、無理いいっ!!!」
「おー、暴れる暴れる。すげーな、俺をグラつかせるとか。ま、完全には崩れないけどよ。デッドリフト450上げる俺を倒したきゃ、もっと本気で抵抗しろ」
明らかに無理のある挿入。その無理を通すために、タイロンは相当な力を篭めているらしい。その証拠に、奴の足裏と沙綾香の背中は、深々と寝台に沈み込んでいる。
「あがああぁっ、深いっ!! あそこが、潰れっ……!!」
沙綾香の声も悲痛そのものだ。
だが、もう俺にも解っている。今の彼女にとっては、苦痛も快楽なんだと。
タイロンの腰振りと同じペースで、ぶちゅっ、ぶちゅっ、という音が聴こえはじめた。斜めになった沙綾香の下腹部を、透明な何かが流れていく。
「こいつ、もうプッシーがヒクついてやがる。膣の奥もカリにむしゃぶりついてきやがるし」
タイロンが嬉しそうに呟く。対する沙綾香は、必死に声を殺していた。両手でシーツを掴み、顎を引いて。だが、その我慢も長くはもたない。そのうち呼吸が早まり、あ゛っ、あ゛っ、という喘ぎも漏れはじめる。本当に苦しそうな──つまり、本当に気持ちよさそうな喘ぎ。
「あっ、ひいっ! ああああっ……くいくっ!! あ゛あ゛、あっあ゛ッ!! い、イッ………グぅううっ!!」
やがて沙綾香は、顔を歪ませながら絶叫した。足指の強張り具合といい、腹部や太腿の痙攣といい、演技ではないと断言できる絶頂だ。
「もうイッたのか。子宮ガンガン突かれて感じちまったか? だがな、こんなもんはまだステージ1だぜ!」
タイロンは膝裏を離し、代わりに足首を掴んで前へと押し倒す。沙綾香の顔の横に来るまで。
「っは、うっ!? ぃ、きぃいいいーーーーっ!!」
金属板を引っ搔くような悲鳴が上がった。タイロンの怒張を『まんぐり返し』の恰好で受け入れるのが辛いようだ。だが、タイロンは容赦しない。
「プレス体位の完成だ。こうされんのがヤバイって本能的に察したのか、必死で逃げようとしてたけどよ。何が何でも、さっきの時点で抜け出しとくべきだったな。この体位んなったら、全弾ポルチオ直撃だから。腰抜けて、もう抵抗なんてできねーぜ」
奴はそう言って、深々と腰を打ちつける。
「あああああ痺れるっ痺れるっ!! んあああだめっ、腰が重いっ深いっ、深いいいっ!!! ひいいいい なにこれなにこれなにこれっ!!沙綾香のカラダ、どうなってるのっ!!!」
そこからしばらくタイロンは、責めに専念した。ぶちゅっぶちゅっという音を響かせながら、愛液で満ちた割れ目を蹂躙し続けた。
「ひいいっ、ひいッぐ……!! いっ、ぁ゛、あ゛……かはっ、うん゛ーーっ……ああああ゛っ、っひぃグっ、イグ、イグっ……いっちゃああうっっ!!」
沙綾香の喘ぎは雄弁だ。圧迫に苦しみ、激しく喘ぎながら、秒刻みで絶頂を宣言している。タイロンはそんな沙綾香を見下ろしながら、射精の態勢に入る。
「おおおお、行くぞ……っ!!」
男の絶頂はわかりやすい。沙綾香を組み敷いたまま、タイロンが首を反らす。
「んう゛っ!!」
沙綾香の悲鳴が、中出しのタイミングを周囲に教える。そしてこのタイロンもやはり、一度の射精では止まらない。まだ膣内に射精している最中に、腰をカクカクと動かしはじめる。その動きは刻一刻と早まり、精液を溢れさせながらの猛烈なピストンに変わる。
「はあ、あっ、あああ、あああっ!! は、あぁっあ゛っ、あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ、ひあ゛あああああーーっ!!!」
沙綾香の喘ぎも、列車が走り出すようなペースで激しさを増していく。今やその性感は、完全にタイロンの操縦下だ。
「相変わらずスゲェ声だな。この体位だと、膣のスポットを全部いっぺんに刺激されるから堪んねぇだろ? もっとも、俺ぐらいのサイズがなきゃ無理な芸当だがな!!」
「ああああ゛っ!! ヤバっ、きもちいっ、きもちいダメええ゛え゛っ!! え゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! ダメこれっ、ヘンになる、ヘンになっちゃうううっ!!!」
「ああ、変になっちまえ!」
途中からのタイロンは、前傾姿勢をさらに深め、ほぼ完全に沙綾香に圧し掛かっていた。そうして体重を篭めたまま、最奥をグリグリと刺激されれば、沙綾香の反応はいよいよ劇化する。
「はあ゛あ゛あ゛っ!! イってる゛、ずっとイってる゛っ!! お尻もあそこも、ヒクヒクしてとまんないっ、イキすぎてこわい!!」
顔を歪め、足の十本指すべてを強張らせながら悶え狂った果てに、彼女の愛らしい尻からぶうっと音が鳴った。
「あっ!!」
沙綾香が目を見開き、一秒後、怒涛のような大笑いが場を埋め尽くす。
「ぎゃっはっはっはっはっ!! おいおい勘弁しろよ、笑い死にさせる気か!?」
「いくら気持ちいいっつっても、おま、屁をっ、屁をこくんじゃねぇよ!!」
「はははははっ!! 恥知らずなジャパニーズもいたもんだぜ!」
鬼の首でも取ったような騒ぎだ。桜織が放屁した後の光景を思い出させる。
あまりにも立て続けに膣で絶頂させられ続けると、肛門が緩んでしまうのかもしれない。
そしてこの出来事が、決定的に彼女の気力を削いだらしい。
「だめええッ、もうイキたくないっ、もうイケないい゛っ! センセ、センセぇっ! お願いっ、助けてえええええーーっ!!」
沙綾香はとうとう泣き出し、俺に助けを求めはじめた。
「沙綾香、沙綾香あっ!!」
俺も必死に叫び返すが、状況は何も変わらない。
「先生は上にいるから無理だぜ。で、お前が今からいくのも上だ。天国ってとこでなあ、最ッッ高だぜえ!?」
タイロンはそう言ってシーツに両膝を埋め、総力で膣奥を潰しにかかる。
「やあああ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!
沙綾香は絶頂しながら痙攣する。タイロンが怒張を抜き出してからも、その痙攣は続いていた。
「あお゛っ、ああお゛っ、あ、あはぉおう゛っ……ああああア゛ッ!!」
もう何の刺激もないはずなのに、M字に開いた足でベッドを踏みしめ、腰を上下させながら潮を噴く。
「はっ、こりゃ筋金入りのビッチだな。イッた余韻でイキやがった」
タイロンはそう言って怒張を扱き、沙綾香の顔に精を浴びせかける。沙綾香は、それに反応しない。完全に白目を剥き、口を半開きにして失神しているからだ。
「はっ、アワ吹いてやがる。10連敗目に相応しい最後だな!」
手越の言葉に続き、下卑た笑い声が木霊する。
吐き気を催すような、光景だった。
※
沙綾香は、ベッドの上でしばらく放置された。その傍らに百合が腰掛け、軟膏やオイルの瓶を並べていく。沙綾香が意識を取り戻し次第、膣粘膜のケアをするつもりなんだろう。その物静かな佇まいは気品に満ちている。だが、そんな彼女にはどす黒い視線が向けられていた。
「ひゅう、ミステリアスな女じゃねえか。そそるぜ!」
「よお姉ちゃん、こっち来いよ! 気持ちいいことしてやんぜ!」
「オウ、朝までタップリ可愛がってやるぜ!」
「“中途半端に”しかイッてねえせいで、ムラムラしてたまんねーんだ!!」
例の黒人共だ。
十番勝負が終わった後、連中は部屋の右側……鉄格子の嵌め込まれたエリアへと入っていった。そこが奴らの待機場所なんだろう。だが、そこで自由に過ごしながらも、連中には落ち着きがなかった。ハードセックスの後で気分が高揚しているせいかと思ったが、どうやら逆だったらしい。
呆れる絶倫ぶりだ。連中は全員、ガラスのコップがいっぱいになるほどの精子を沙綾香の膣に注ぎ込んでいた。普通そんなに出せば、普通なら精も根も尽き果て、しばらくはセックスの事など考えたくもないはずだ。だが、奴らはまだ飢えている。2、3日断食した人間がステーキを見るような目で、白衣姿の百合を視姦している。
「ったく、マジで獣だな。たかだか数時間の禁欲で目ェ血走らせやがって」
手越は大きく溜息をつき、百合に視線を向けた。
「お前が相手をしろ」
百合は驚いた様子で顔を上げる。
「私が……ですか?」
「そうだ。お前の後輩が不甲斐ないせいで、あいつらは誰一人満足できてねぇ。後輩の尻を拭うのは、先輩の役目だぜ」
手越にそう迫られると、百合は一瞬黙りこむ。
「……承知しました」
結局は受け入れるものの、その一瞬の沈黙は躊躇いの証だ。もっとも、あれほどの激しいレイプを20時間も見せつけられて、臆さない方がどうかしているが。
手越が鉄格子の扉を開き、百合を中に進ませる。
「じゃあな、朝まで楽しめ」
その言葉と共に、再び鍵が掛けられた、その直後。
「っしゃああああッ!!! 女、オンナあっ!!!!」
「はッはッはッはッはッは、こりゃあご馳走だぜ!!!」
10人が、まさしく獣のように百合に飛び掛かる。
「っきゃ!」
小さな悲鳴が上がった直後、厚い布を引き裂く音がする。さらに怒声と悲鳴が聞こえ、何か揉みあいが始まったようだが、鉄格子が邪魔でいまいち何が起こっているのか解りづらい。
「おっと、見えねぇんじゃ面白くねぇな」
ロドニーがそう言ってリモコンを操作すると、モニターに映像が映し出された。
4つに分けられた監視カメラの映像だ。百合と調教師連中の姿が、それぞれ別の角度から映し出されている。
百合は、早くもボロボロだ。ズボンとショーツをすでに取り去られ、雑に床へ捨てられている。上着も左右から引っ張られて肩部分の縫い目がほつれ、ブラジャーが露出している。そしてまさに今、そのブラジャーさえも千切り取られ、形のいい乳房が零れ出した。奴隷調教の名残だろうか、乳房の先端にはピアスが光っている。
「はっはっは! こいつ、ニップルピアスなんて着けてやがる!」
「おおっ。クールな振りして、イイ趣味してんじゃねぇか!!」
野次と共にピアスを引っ張られ、百合が片目を閉じる。とはいえ、彼女は落ち着いていた。さすがに調教を受けただけはあり、屈強な黒人に囲まれても取り乱す様子はない。
この時点では。
「おーし、ヤるか!!」
ジャマールが声を張り上げると、10人の表情に笑みが満ちる。陰湿で冷酷な、犯罪者の顔だ。
「ゴオオオエエエ゛ッッ!!!!」
フロア中に、凄まじいえずき声が反響した。いきなり二本の怒張を口に突っ込まれた百合の声だ。
「えっ!? な、なにっ!?」
沙綾香が目を覚ます。彼女はまず音の出所である鉄格子の部屋に目をやり、眉を顰めた。彼女の位置からでは、大柄な黒人が円陣を組んでいるようにしか見えないだろう。
「モニターを見てみな」
ロドニーがそう声を掛けると、沙綾香はゆっくりと左を向き、目を見開いた。
4画面のモニターには、百合の身に降りかかる悲劇が大々的に映し出されている。
右上の画面では、二本の剛直に喉奥を突かれる口元が。
左上の画面では、膣と肛門を極太で貫かれる下半身が。
右下の画面では、床から視点で白い身体の揺れる様が。
左下の画面では、俯瞰視点で部屋の全景が。
「せ、先輩……!?」
「ああ。オメェがあの連中を満足させられなかったばっかりに、尻拭いの真っ最中だ」
「そ、そんなっ!!」
手越の言葉で、沙綾香の顔が青ざめる。そしてそんなやり取りの最中にも、百合の受難は続いている。
「ゴエエエッ、ゴエッ、むゴォおう゛ッ!! ウオォッ、ごヴぇあオ゛ッ!!」
常人の倍ほどもあるペニスを代わる代わる口に突っ込まれ、百合の顔は早くも変貌していた。細く開いた目からは涙が伝い、開いた鼻の穴からは鼻水が垂れ、その下にある口からは常に何かの液が滴っている。下半身にしても、上下から剛直を叩き込まれ、引き締まった尻肉が全力で痛みを訴えている。下から視点や全景の映像では、むちりとした大人の魅力溢れる脚が、駄々をこねる子供のように激しく踏みかえられているのも見て取れる。
「ひひひっ。いつ見てもあの開幕のラッシュはやべえな。まるで性欲の津波だ」
「ああ。黒人のデカマラであんな真似されりゃ、どんな女でもアワ食うよな」
「しっかし、発情した猿みてぇな群がりようだな。しかも全員、バカの一つ覚えでゴリ押しだ」
「案外、ああいうシンプルなのが一番きついかもしんねーぞ。輪姦ってのは、相手を羽交い絞めにしてボコるようなもんだからな。そういう時ゃ、下手に小細工するより、殺意剥き出しでブン殴る方が効くんだ」
「ま、どのみち地獄だろ。なんつっても、あのレイプ魔共のオモチャにされるんだ。どいつもこいつも馬鹿でけぇチンポの上に、女の泣き顔が好きなサディスト揃いときてやがる。そんな連中と朝まで過ごして、正気でいられるとは思えねぇ」
セキュリティ連中が、モニターを眺めながら嬉々として語り合っている。悪趣味な会話だが、地獄という表現はその通りだ。
「……ああいった光景を観ていると、つくづく思います。純粋な暴力の前では、育ちも、品格も、知性すらも、何の価値もないのだと。女の身でああなれば最後、碌な抵抗もできず、ただ壊れゆく他はない」
セキュリティ共の会話を受けてか、端塚もそんな言葉を漏らす。
女に限った話か。男でも、あんな状況には耐えきれない。むしろ大半の男が、彼女達より早く音を上げるだろう。
モニターの中では、ジャマールが百合の髪の毛を鷲掴みにし、単独で怒張を咥え込ませていた。
「あっ、んんんんっ……!」
女学院の生徒に愛されたクールな美貌は、口が開くにつれて崩れていく。
「んごぉっ……ご、おっ!! おむ゛っ、んんっ……んぼっ、ごぶっ!!」
ジャマールは深く怒張を咥え込ませ、髪を掴んで強引に頭を前後させる。その後方ではドミニクが射精に至り、入れ替わりでモーリスが肛門へと怒張を宛がう。
ただの責め役交代……じゃない。ペニスのサイズ順で言えば、ドミニクは下から3番目、モーリスは上から3番目。バットで例えるなら、中ほどと先端部ほどに太さが違う。
「う゛っ、お!? ん゛っん゛、んお゛、お゛……っ!!」
モーリスのペニスが挿入されはじめた瞬間、百合の様子が一変する。無理、やめて、と叫ぶように。だがモーリスは挿入をやめない。腰をしっかりと掴んで、入るところまで沈めきる。
「おおっ、薄皮越しにカリの感触が伝わってくんぜ。さすがに太ぇな!」
仰向けに寝そべって膣を犯すマーキスが、驚きの声を上げる。
「ケツもいい具合だ。二穴は正直やりづれぇが、征服感が半端ねぇ」
モーリスはそう言って、腰を動かしはじめる。抜く時には肛門が完全に捲れ上がり、挿入と共に押し込まれていく。そんな動きを伴うピストンを、黙って耐え凌げるはずもない。
「うむうう゛っ!! おぶっ、んぶぅうう゛う゛う゛っ!!」
百合が呻きながら目を細める。すぐに目を見開く沙綾香に比べれば、幾分大人びた仕草だ。とはいえ、余裕はない。3穴を激しく蹂躙されるうちに、どんどんと眉が垂れていく。
逆に、蹂躙する側は楽しげだ。
「へへへ、そろそろイッちまいそうだぜ……」
「俺もだ。こうなりゃ、3人で同時に射精してやっか!」
「そりゃ俺もってことか? ま、その気んなりゃあいつでも出せっけどよ!!」
そう示し合わせ、それぞれが射精に向けて腰の振りを速めていく。
「お゛っく、んぉおッお゛ッ、ほお゛お゛っ……!!」
百合の苦悶など歯牙にもかけず、ついに3人は息を合わせて絶頂する。
「んお、お゛っ!? く、ぅうおっ、んんぉおお゛お゛お゛お゛ッ!!!」
喉を絞められ、尻肉を掴まれ、太腿を抱え込まれての三穴射精。百合は濁った声を漏らして苦しむ。調教師共はそんな百合を見下ろしながら、『してやったり』という笑みを浮かべていた。
「うーし、次は俺が口だ!」
「なら、俺はプッシーを使わせてもらうか!」
先の3人が場所を譲り、次の黒人が百合を抱く。今度は下がアンドレだ。
「んんんっ……!」
寡黙なアンドレが膣への挿入を果たすと、ダーナルが逸物を扱き上げながら百合の背後についた。そして腰を屈め、怒張の先で狙いを定める。膣が埋まっている以上、狙う先は肛門…………じゃ、ない。奴が亀頭を押し付けるのは、すでにアンドレが挿入している割れ目だ。
「く、あっ!?」
ダーナルが腰を押し進めると、さすがの百合も目を見開いて振り返る。
「ひいいいっ、痛い、痛いいいいっ! そんなに太い物を、2本は無理ですっ!!」
「嘘つけ、気持ちいいんだろうが。こんな太ぇので二本挿しなんて、贅沢だぜオメーも!」
百合が懇願しても、ダーナルは容赦なく腰を前後させる。アンドレもそうだ。限界まで拡がった膣の中、二匹の黒い蛇がのたうち、絡み合う。ぎゅぷっ、ぎゅぽっ、と凄まじい音を立てて。
「どうか、どうかどうか、ペースを落としてください……お願いします、お願いですからっ!」
さすがは名門校の生徒会長なだけはあり、狂乱状態の中にあっても流暢な英語を使う。わずか一言の中で『please』を6回も繰り返す、切な哀願だ。だが、調教師連中は聞き届けない。それどころか、『黙れ』と言わんばかりに口を剛直で塞いでしまう。しかも相手は、最大のペニスサイズを誇るタイロンだ。
「もがっ……!!」
大口を開けても亀頭すら入らない、圧倒的なサイズ。百合の額を汗が流れていく。
「お前の後輩には拒絶されちまったからな。先輩であるお前に責任を取ってもらうぜ」
タイロンはそう言って百合の後頭部を引き付ける。
「そ、そんな!!」
沙綾香が悲鳴を上げる中、有無を言わせぬディープスロートが始まった。
「も、ごぉっ……。う゛えっ、ううう゛お゛えっ!!」
百合の口からは、何度も嘔吐を思わせるえずきが漏れた。しかし彼女は、着実にタイロンの怒張を飲み込んでいく。現時点ですでに、沙綾香が吐き出した位置よりずっと先だ。
「ほー、調教済みってのは伊達じゃねぇな。黒髪の方より、よっぽどノドが開くじゃねぇか」
タイロンも百合の喉奥耐性に驚いているようだ。
だが、そうはいっても限界はある。ある程度の深さまで飲み込んだところで、百合の動きが止まった。目を見開いたまま硬直している様子は、普通じゃない。だがタイロンは、あえてその状態で腰を前後させる。まるで膣でも犯すように。
いくら特訓を受けていようと、タイロンのサイズでそんな事をされては耐えきれない。それまで従順だった百合が、ここで初めて相手の膝を手で押しのける。それを見てタイロンは逸物を引き抜き、百合の顔を横向けさせた。直後、百合の口から吐瀉物が吐き零される。
「うお゛ろえ゛っ…………!!」
「やっぱり吐く寸前だったか。ギリギリまで我慢するとは、見上げた奴隷だな」
タイロンはそう評価しつつも、百合の頭を掴んでまた咥えさせる。
「オオエ゛ッ、オオォオ゛エエ゛エ゛ッ!!」
百合の喉からえずき声が漏れ始めた。しかも、さっきよりひどい。
「いいぞ。吐いてノドがよく開くようになったし、えずき汁もいい潤滑油になってやがる。このまま俺を満足させてみろ。言っとくが、くれぐれもアンドレの顔にゃゲロ引っ掻けんなよ。奴は陰湿だからな」
タイロンはそう言いながら、自分本位に喉奥を凌辱する。膣に二本挿しする二人も同じくだ。そして最後には、3人纏めて百合の顔面へ精を浴びせかけた。胃液まみれの顔中が、乳液の瓶を逆さに振ったように白く染まっていく。連中はそれを、さもおかしそうに笑い続けた。
連中は、つくづくサディスト揃いだ。
次はトラバンが百合を仰向けに転がし、上から乗る形で咥えさせる。ドミニクも百合の脚を開かせ、正常位で犯しはじめる。このセックスが、また酷い。
「んごっ、おぶふうっ、ごぉおおえ゛っ!!」
喉に逸物の形を浮かせつつ、大股を開かされての二穴レイプ。名門女子高の元生徒会長が晒していい姿じゃない。
「いやあっ! せ、先輩になんてカッコ……!」
実際沙綾香も、そのあられもない姿に目を覆う。だがそうした真っ当な反応は、相手の思う壺だ。
「よーく見な、ご機嫌なレイプパーティーってやつだ!!」
トラバンが腰を振り、百合の喉からカコカコという音をさせる。ドミニクもまた、パァンパァンと音の出る凄まじい『ファック』へと移行する。
「げほっ、お゛ぉおええ゛っ!! い、息、が、でき……ない……!!」
連続で犯され、口を使いまわされて、百合はそのうちに反応を失う。
「ふん、気絶しやがった。起きろ、まだまだ休ませねぇぞ!」
ドミニクはドスの利いた声で叫び、深々と挿入したまま百合の身体を持ち上げた。沙綾香には及ばないとはいえ、百合もなかなかの長身で脚も長い。だが、地に足がつかない。全体重を膣にかけながら、射精を受け止めるしかない。
「ふぐ、ぅっ……!?」
百合は意識を取り戻し、直後、目を瞬かせながら硬直する。あまりの快感で、目の前に火花が散っているのかもしれない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………の、ノー…………ッ!!」
目じりから涙を零しつつ、弱弱しく首を振る百合。だが、調教師共は容赦しない。
「再調教はこれからだ。俺達のコックなしじゃ生きてられねぇようにしてやる」
そう言って、百合の周りで白い歯を覗かせた。
※
「お願いですっ! 少し、少し休ませて……ェ゛っ!!!」
「休ませねぇ。醒める暇も与えずにアクメさせまくんのがオレらの流儀よ」
百合の必死の懇願が、また一蹴される。
悲惨な状況だ。取り囲む逸物からはポタポタと垂れ、精液が足指で塗り広げられたような白い液が床の至るところに飛び散っている。それは、彼女が延々と輪姦されている証だ。
10人の黒人共は、百合を相手にやりたい放題をやっていた。集団で口と膣、肛門を使いまわしながら、面白半分に頬を張り、尻を叩く。顔や手足を踏みつける。本当にケダモノじみた、野蛮なレイプだ。
だが百合は、それで変わっていった。最初はかなり本気で嫌がり、痛がっていたはずだが、だんだんと暴力を伴うレイプで甘い声を漏らすようになっていく。
今もそうだ。彼女はレジャナルドに背後から抱きすくめられ、極太の怒張で膣を突き上げられている。そんな中、レジャナルドがまたクリトリスを捻り上げた。百合は、それで絶頂に至る。
「はっ、あ゛ああぁぁっ!! いく、またイグゥ……っ!!」
首を仰け反らせながらの絶頂は、これでもう何度目だろう。
「くあっ、締まりやがるっ!!」
レジャナルドも百合の絶頂につられたように果てる。それを見て、瓶ビールをラッパ飲みしていたダリーが立ち上がった。
「よーし、今度は俺が可愛がってやる」
ダリーは絶頂直後の百合を立たせ、ソファに両手をつかせると、割れ目に怒張の先を押し当てる。
ダリーの怒張は2番目にでかい。力士級の巨躯に埋もれない、圧倒的な巨根だ。そのダリーを受け入れるとなると、百合も声を上げずにはいられない。
「ふっ……ぐうううああっ!!!」
挿入しただけで、百合の膝はガクガクと震えていた。だが、ダリーのセックスはここからだ。並外れた怒張はいわば杭。奴の一番恐ろしいのは、その杭を打ち込むハンマーの威力だ。
パァンッ、パァンッ、と凄まじい音を立てて、ダリーが腰を打ちつける。200キロはあってもおかしくない巨体がぶつかるたび、百合の肉が波打つ。沙綾香より少し腹回りの肉が乗っているのか、伝播していく波が大きい。
「あはぁっ、お゛、お゛!! お゛、お゛っ、お゛ん、お゛ぉっ……! ひう゛っ、お゛ひっ、お゛ひいい゛っ!!」
百合から漏れる喘ぎは、お行だ。ダリーというハンマーで打ち据えられている以上、それは当然のこと。あ、などという愛らしい喘ぎを漏らす余地などない。
どれほどの痛みなんだろう。あるいは、どれほどの快感なんだろう。
背後から犯される百合の踵は、完全に浮いていた。代わりに『く』の字に折れた両脚が、これでもかというほど強張っている。腰を叩きつけられるたび、スクワットで限界が来た時のように、ガグガグガグッ、ガグガグガグッ、と痙攣する様は普通じゃない。
そしてダリーは、そんな百合に追い打ちをかける。激しく腰を打ち込みながら、平手で百合の尻肉を叩く。なにしろ元力士の張り手だ。音もそれは凄まじく、天井のマイクが音割れしたほどだった。
それを受けた百合は、大口を開けた。
「あああああああ゛あ゛あ゛っ!!!!!」
同じく、音割れしかねない声が響きわたる。彼女は、ボロ布と化した白衣ごと全身を震わせ、ぐるりと白目を剥く。しかし、逆の尻に浴びせられた二度目の張り手が気付けとなった。
バチンバチンと肉の音を響かせながら、超重量のピストンが叩き込まれる。
「ぎぃいっ、う、う゛……おお゛っ、お゛っ、イッグぅっ!! いぐっ、イグゥウウッ!!!」
どこで百合が壊れたかといえば、多分、ここだと思う。
酒焼けした不良娘さながらの濁音を撒き散らしながら、乱れに乱れる。ソファにしがみついていたかと思えば、獅子が吼えるように身を反らすこともある。あの藤花が崩壊した時とそっくりの挙動だ。
それを見て、とうとう沙綾香が鉄格子に駆け寄った。
「先輩、先輩っ! しっかりしてくださいっ!!」
必死に叫ぶ沙綾香に、ダリーが気付いたらしい。奴は歪んだ笑みを浮かべると、百合と繋がったまま沙綾香に近づいていく。そして百合に鉄格子を掴ませ、沙綾香の目の鼻の先で犯しはじめた。
「おおおおおイクッ!!イクッううううんっ!!! お願い、助けて、助けてえええっ! もう限界……これ以上は、戻ってこれなく、なる……っ!!」
百合は絶叫しながら、格子の向こうの沙綾香に助けを求める。その異様さに、沙綾香の顔が青ざめた。
「先輩、あたし、代わります!! 代わるから、開けて! ねぇ、ここ開けてよっ!!」
沙綾香は鉄格子の鍵を揺らしながら、手越に訴える。
「ダメだ。一度そこに入った女は、朝まで外には出さねぇ」
手越があっさりと訴えを却下する。その間も鉄格子は揺れ続け、ピストンの音と百合の叫び声が繰り返されている。
やがて、彼女は潮を噴きはじめた。そして同時に、ひどく緩んだ笑みを浮かべる。笑みは一瞬だけのものだが、紛れもなく狂気の片鱗だった。
そしてここから、百合は決定的に狂っていく。
「へへへ。腰が踊ってるぜ、感じてんのか変態女!?」
「ち、違いま……おおォッ!!」
前後から挟み込まれるように犯され、百合は甘い声を上げる。口に手を当てても、嬌声がまるで殺しきれていない。
「わ、わたくし……わたくし、もうっ……! あ、あふっ……ふわあああーーーっ!!!」
限界を訴える言葉に続くのは、あの狂気の笑顔だ。そして以降は、その笑顔が彼女の表情筋に貼りつく。正常位でも、後背位でも。
「見ろよこのツラ、すっかりファック中毒だな」
ダーナルの言葉通り、百合の表情は蕩けていた。彼女は今、這う格好のまま前後から犯されている。最初のころなら悲鳴を上げていそうなハードファックだが、意にも介さない。むしろ積極的に目の前の怒張を掴み、口に含む有様だ。ただ、その口での奉仕も長くは続かない。
「あはぁあ゛っ!!」
背後からの突き込みが激しくなると、すぐに怒張を吐き出して喘ぐからだ。
「……俺から見てもすげぇ光景だがよ。あいつらの凄さを肌で知ったお前なら、また見え方が違ぇだろ」
手越が煙草をふかしながら、隣の沙綾香に話しかける。沙綾香は、虚ろな瞳で鉄格子の向こうを眺めていた。
「よく目に焼き付けとけよ。今日の夜からは、お前があそこに入るんだ」
その言葉で、沙綾香の肩がびくりと跳ねる。手が震えてもいるようだ。手越は、そんな沙綾香の様子をじっと観察し、煙を吐き出した。
「イヤなら、免除してやってもいいぜ」
「……え?」
あまりにも意外な言葉に、沙綾香が手越を見上げる。
「あの連中は、ちっと女を抱かせねぇだけで騒ぎ出しやがるからな。毎晩誰かしら宛がって、性欲を鎮めなきゃならねぇ。それをお前さんにやってもらうつもりだったが、どうしても嫌ってんなら……代わりに、上の階のお友達でもひっぱってくるか」
手越のその言葉で、沙綾香が息を呑む。
「はあっ!?」
「当然だろ。こっちはお前があいつらの相手するって当て込んでんだ。そのお前がやらねぇっつうんなら、手頃な奴隷にやらせるしかねぇ。なぁに、心配すんな。あいつらはもう調教がほぼ済んでんだ、喜んでチンポを咥え込むようになってんぜ」
手越はあくまで軽い調子で語る。だが、沙綾香にとっては重い話題だ。
自分のせいで、友人がここに連れてこられた。その事実を知った時、彼女は愕然としていた。その上でさらに苦労を肩代わりさせるなど、彼女にできるはずもない。
「…………あたしが、する」
沙綾香がそう答えるのは、当然の流れだ。手越は狙い通りとばかりに目を細める。
「よぅし。なら、まずはお披露目だな。客の前で、お前が最高の“マゾ奴隷”だってことを証明してみろ」
「ま、マゾ奴隷?」
沙綾香が聞き返すのも無理はない。倶楽部で何度も耳にした蔑称だ。証明も何も、沙綾香がマゾ奴隷などであるわけがない。
「自分はマゾでも、奴隷でもない。そう言いたそうだな」
手越は、沙綾香に向かってそう告げる。図星らしく、沙綾香は何も返せない。
「ま、実際そうだ。処女でこそねぇが、今この倶楽部にいる女で、一番清純に近いのはお前だろうぜ。だが実態がどうであれ、お前は自分が最高のマゾ奴隷だと証明しなきゃならねぇ」
手越はそう言って、コツコツと壁を叩く。
「この倶楽部は、下のフロアほどえげつねぇ調教を見せるのがウリだ。そしてここは、調教フロアの最下層。つまりここの奴隷は、一番ハードな調教をされる目玉商品ってことになる」
「それが、『最高のマゾ奴隷』?」
「ああ。お前はルックスが抜群だし、生まれも育ちもいいからここに置いてるが、あくまで暫定でしかねぇ。客に認められなきゃ、資格は剥奪される」
「え……。それってまさか、上の4人と資格を奪い合え、ってこと……?」
「察しがいいじゃねぇか。そういうこった」
手越の肯定を受けて、沙綾香は呆然としていた。
この部屋で凌辱されたくないなら、友人を身代わりにするしかない。
友人を守るためには、その友人と戦い、一番のマゾ奴隷の座を勝ち取らなければならない。
どっちを選んでも救いがない2択だ。沙綾香も考え込んでいる。
「言っとくがな。お前の友達は、4人とも全力で勝ちに来るぜ。調教師が『最高のマゾ奴隷』のステータスを勝ち取れと命じるってのもある。だが何より、あいつら自身が資格を欲しがるはずだ。セックスに溺れた女にとって、黒人に輪姦される環境なんてのは、最高に魅力的だからな」
悩む沙綾香の前で、手越はモニターを指した。そこには黒人共に犯されながら、蕩けるような笑みを浮かべた百合がいる。もはや入る前とは別人だ。
『これ以上は……戻ってこれなく、なる……』
百合自身がそう語った通り、あの檻の中に居続ければ、確実に壊れるだろう。祐希も。千代里も。藤花も。桜織も。
「お披露目……だっけ。上等だよ、やってやろうじゃん」
沙綾香の顔つきが、変わった。
友達を犠牲にはできないという、消極的な理由じゃない。自分が友達を守るという、前向きな意思を秘めた表情だ。
だが。
快楽に沈むと戻ってこれないのは、沙綾香自身も例外じゃない。
「いい眼だ。楽しみになってきたぜ」
手越のその呟きが、俺にはひどく不穏に思えた。
(続く)