大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

2021年04月

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.5(後編)

Part.5(中編)の続きです。
文字数が多すぎるため、Part.5は前・中・後編に分割します。
こちらはアナル調教パートの後編となります。





 およそ1時間ぶりに足の結束を解かれた時、藤花も沙綾香も自力では立てなかった。特に酷かったのは沙綾香だ。藤花は膝立ちで済んだが、沙綾香は完全にへたりこんでしまう。
「どうした、ちゃんと立てよ!」
「ケツが良すぎて腰抜かしてんのか? 変態が!」
 客からそんな罵倒が飛べば、震える脚を叱咤して立ち上がろうとするが、結局は尻餅をついてしまう。それがまた客の大笑いを誘うんだから、残酷なものだ。

 腰を抜かした状態でも、『審査会』は続く。
 まずはロドニーの指示で、黒人共が沙綾香達の腋を抱え、強引に立ちあがらせた。その上で、迷彩ズボンと剃り込み男が藤花と沙綾香にそれぞれ近づき、指で割れ目を押しひらく。
「すっげー、グチョグチョ」
 連中は、後ろで見ている客にわざと聞かせるようにそう言いながら、手にしたピンクローターを割れ目に埋め込んだ。
「なるほど、そのローターを落とした方が負けだな? 会の趣向からして、黒人にアナルを犯されながらキープしろ、というところか」
 客の一人が指摘すると、ロドニーが頷く。
「鋭いねぇ旦那、その通りだ。真っ当な女なら、あのデカマラでケツをファックされりゃ、自然とアソコ周りに力が入っちまう。ローターが抜けることなんざ有り得ねぇ。落としちまうような女は、よっぽどの変態ってことだ」
 ロドニーはそう煽りながら、黒人共に目で合図を送った。それを受けて、藤花の背後にダリーが、沙綾香の背後にトラバンが近づく。
「よう、サムライガール。元力士の俺の“突っ張り”に、どこまで耐えられるか見せてもらおう」
 ダリーは藤花の顎を大きな掌で包み、日本語で語り掛ける。
「元、力士だと……?」
「そうだ。俺の体重乗っけた突きは強烈だからな。さっきの態勢じゃ、オメェのこの細い腰がヘシ折れるだろうと思って、我慢してやったんだぜ」
 驚愕する藤花の反応を楽しみながら、ダリーはテニスボールより巨大な亀頭を肛門に押し当て、一気に腰を押し込んだ。
「っく、ああああ゛……ッ!?」
 藤花は目を見開き、背後を振り返る。ダリーの逸物は、さっき藤花に挿入したモーリスより長さこそ劣るが、太さでは勝る。それを挿入される刺激は、彼女の常識を遥かに超えているんだろう。
「ひひひ。良い声出すなあ、お前のお友達はよ!」
 隣の痴態を眺めながら、トラバンが沙綾香の胸を揉みしだく。乳房の形を完全に変形させるような荒々しい愛撫だが、沙綾香はそれだけで肩を震わせて反応してしまう。トラバンはその反応の良さを面白がりつつ、亀頭で割れ目をなぞり、愛液を纏いつかせてから肛門へと押し込む。
 トラバンの逸物はタイロンより細く、挿入はスムーズだ。
「すげぇな。あの硬ぇ輪っかだったアナルが、プッシーみてぇにねっとり締め付けるようになってやがる。何されたらこうなるんだよ、ええ?」
 トラバンは、沙綾香の肛門の熟しぶりを喜びながら、さらに腰を進める。怒張がすっかり腸内に隠れるまで。
「ふぅぎぃ……ッ!?」
 トラバンの腰が、尻肉と密着した瞬間。沙綾香から妙な声が漏れた。トラバンが笑みを深める。
「オーウ、嵌まった嵌まった。ここが結腸ってやつか。前にケツ犯した時にゃ、こっちは固く閉じてて入らなかったが、こなれたもんだぜ」
 トラバンは舐めるような口調で言いながら、少し腰を引く。そして角度を調節しながら、くいくいと腰を前後させた。その瞬間、沙綾香が目を見開く。
「っひ、イ゛イ゛ッッッー!!!」
 嚙み合わされた歯の間から、かろうじて声らしきものが漏れる。普通の声じゃない。身体の反応も異常だ。腰をヒクヒクと上下させたかと思えば、膝から崩れ落ちそうになる。トラバンが咄嗟に手首を掴まなければ、そのままへたり込んでいただろう。
「うお、っと。へへへ、ここはマジで感じるらしいな。俺のコックで、ちょうどこの穴のギリギリ一杯ってとこか。タイロンの野郎はなまじ物がデカすぎて、入口を突っつくぐらいしかできなかっただろ? 俺は違うぜ。この奥の穴に亀頭を丸ごとハメ込んで、キッチリ犯してやる」
 トラバンはそう宣言し、浅いピストンで肛門内を犯しはじめる。

 モニター前、横並びになってのアナルセックス。その様子はだいぶ違った。

 ダリーと藤花のペアは、とにかく激しい。ダリーは藤花の腰を掴み、後背位で腰を叩きつけている。沙綾香よりさらに脂肪の少ない、筋肉質な藤花の下半身でも、この突き込みを受ければしっかりと皮膚が波打った。小ぶりなスイカを思わせる乳房は、その激しい突き込みを受けて前後に揺れ、肋骨の辺りにぶつかっては母乳を垂らす。
「おお゛お゛っ、お゛ーっォ゛っ!! くほっ、おおお゛っ、おーお゛っ!!!」
 舌を突き出した口からは、『お』行の呻きが漏れつづけていた。ただしこれは、ダリーの超重量ピストンを受けた人間全てに共通することだ。百合も、沙綾香も、あの惨めな反応を抑えることはできなかった。藤花にとっての不幸は、それを客に見られ、散々に嗤われてしまうことだ。
 ただ、彼女は、嘲笑を気にする余裕などないのかもしれない。なんといってもダリーの突き込みが強烈すぎる。彼女は両脚を肩幅以上に開き、足指で床を掴むようにして、かろうじて姿勢を保っている状態だった。前方からのカメラには、大腿部外側の筋肉の盛り上がりが、後方からのカメラには、脹脛の強張りが、しっかりと映し出されている。

 一方で沙綾香とトラバンのペアは静かだ。トラバンは沙綾香の脇腹を掴み、ごく浅く腰を出し入れしている。ピストンというより、腸の奥の奥を『練る』ような動き。それを受ける沙綾香は、やはり静かに、しかし確実に昂らされていた。
 一番解りやすいのは、やはり脚だ。藤花が短足に見えるほどのすらりと長い脚は、ちょうど肩幅ぐらいに開いたまま、やや内股気味でアナルセックスに耐えている。だが、トラバンの指が脇腹に食い込み、ぐりぐりと『練る』ように腰を押し込めば、そのたび足の裏が浮く。2、3秒も爪先立ちの状態を保ち、トラバンが腰を引いたタイミングで、ぶるぶると痙攣しながらまた床につく。その繰り返しだ。
「ぃきっ……いぃいひっ、ひ、ひ……ぐっ……ぉ、っく!!」
 爪先立ちになっている間、沙綾香の食いしばった歯の間からは、なんとも切ない声が漏れた。その状態では鼻でしか呼吸ができないが、そのせいでやがて鼻水が滴りはじめ、客からしっかりと笑いものにされる。
 だが沙綾香も、嘲笑を気にする余裕はなさそうだ。彼女はまず間違いなく、結腸で達している。結腸逝きは静かだが、深い。脚の動きや呼吸を見てもそれは判るし、あの沙綾香がたびたびトラバンの首に手を回し、「しがみつきたい」という想いを露わにするのは、余程のことだ。

「おら、気合入れろ奴隷共! マンコのローター落とすんじゃねーぞ」
 客の野次が飛ぶ。その視線に晒される2人は、どちらも余裕がない。だが、沙綾香の方が若干不利だ。理由は単純。藤花の割れ目は未開の花だが、沙綾香の方は調教されすぎている。異物を挟み込む力の強さで、差がつくのは当然だ。
 何度目かのつま先立ちが終わり、足裏が床についた瞬間。弛緩した沙綾香の割れ目から、ローターが頭を覗かせる。
「あっ!!」
 沙綾香はすぐに気づき、下腹に力を込めた。だがその力みのせいで、腰がぶるっと震え上がる。そしてそんな反応を、トラバンが見逃すはずもない。
「なんだ、締めつけやがって。おねだりか!?」
 そう叫びつつ、深々と腰を突き込む。それまで10回以上繰り返された抜き差しのリズムと、ワンテンポ外れた挿入。しかも、8の字筋を緊張させた状態だ。
「………………はッ!!!!」
 ここで沙綾香の口から漏れたのは、声じゃなかった。息を呑む音。それは状況次第で、絶叫よりも見る人間を不安にする。
 急所に針を打てば、人はあっさりと自由を奪われるらしい。この時の沙綾香も、そんな風だった。見えない糸に引かれるように、左足が持ち上がる。これまでは左右同時につま先立ちになっていたが、今度は左だけだ。
 右足が床を踏みしめる中、土踏まずを完全に晒した左足がガクガクと震える。
「……ぁ、……ぁ、…………あ」
 沙綾香は、3回掠れた声を漏らし、ふうっと全身を弛緩させた。
 全てがスローモーションに見える世界で、抜け落ちたローターが床に弾かれる動きだけが、やけに早く見えた。
「あーあ、やりやがった」
 主犯であるトラバンが鼻で笑いながら、沙綾香の腰を離す。支えのなくなった沙綾香は、成すすべなく床に崩れ落ちた。横ざまに倒れてもまだ、その左足は痙攣していた。
 客から、どっと笑いが起きる。黒人共やロドニーも、手を叩いて喜ぶ。
「……沙綾香……」
 ただ一人、藤花だけが笑わず、眉を垂れ下げた瞳で親友を見下ろしていた。

                 ※

 審査会は続く。ルールは変わらず、膣の異物を落とした方の負けだ。今度はピンポン玉5個を膣に入れての勝負。ただし、前の戦いで負けた沙綾香には、罰ゲームという名の嫌がらせが与えられた。
 フックで鼻を吊り上げられたまま、アナルを犯される──それが、沙綾香という極上の美少女に与えられた罰だ。
「ふふふ、良い顔だ!」
「よく似合ってんぜ、マゾ豚!」
 透明な壁越しに、客が罵声を浴びせる。その眼の前では、沙綾香が壁に手をつき、レジャナルドにアナルを犯されていた。しかも、ただの後背位じゃない。彼女はがに股の姿勢を強要されてもいる。
「へへへ、よく熟れてやがる。食べ頃ってやつだ。未熟な果実って感じの固さも悪かぁなかったが、こっちのがエロいぜ!」
 レジャナルドが上機嫌に語りながら、横向きに怒張を叩き込む。深く入るたびに割れ目がひくつき、透明な雫を垂らす。
「マン汁の量すげーな。あんなデカチン尻に突っ込まれて、よくもまぁ濡れるもんだぜ。信じらんねぇ」
「理解する必要もないだろ、マゾ奴隷の心情なんて」
「だな。ああいう奴ってのは、異常なんだ。どんだけ顔とスタイルがよくっても、絶対彼女にはしたくねーわ」
 客はカクテルグラスを片手に、安全圏から野次を飛ばす。
「く、ううっ……!」
 容赦のない悪態に、沙綾香は唇を噛み締めた。彼女は、凛としていたいことだろう。だが、そうはできない。
「おら、腰落とせ!」
 アナルファックの辛さか、格好の惨めさか、沙綾香の腰はたびたび浮くが、そのたびにレジャナルドが腰を押し下げる。
「ぁっ、ぁっ……んぁっ、あっ! くはっく、ぁはっ…………!」
 沙綾香は、壁に手をついて犯されながら、ただ喘ぎ続けるしかない。がに股の脚がつま先立ちで震え、肛門はぶじゅぶじゅと水音を立てて剛直を受け入れる。
「あっ、あ!」
 ある瞬間、沙綾香の叫びが大きさを増した。同時に彼女は上体を起こし、壁の高い位置にしがみつく。凍り付いたような顔を見れば、何らかの『まずさ』を察知しての回避行動だと判る。それを知ってか、知らずか。
「伏せ、だ。バカ犬」
 レジャナルドは沙綾香の肩を掴み、ぐうっと押し下げる。水面から必死に顔を出した人間を、無理矢理引き戻すような行為。引き戻された人間は、当然、“溺れる”しかない。
「ひぎゅううぃいっ!!」
 がに股に戻った直後、沙綾香の肛門からぶりいっと破裂音がした。直後、床に雫が滴り落ちる。
「おおっ、何か出たぞ!?」
「ドナンの残りでは? さっきもブシュブシュと飛沫いていたようだが」
「それにしちゃ透明すぎねぇか? 俺は腸液だと思うがな。さっきの顔といい、またケツアクメしたんだろ」
「ふふ、あの量の腸液か。だとすれば、すっかり肛門が第二の性器になってしまっているな!」
 客が目敏く雫を見つけ、笑い合う。その目の前で、沙綾香の腕から力が抜けた。頬と乳房が、透明な壁に密着して潰れる。
「はっ、良すぎてヘバったか。前より根性なくなっちまったなあ」
 レジャナルドはほくそ笑みながら、沙綾香の腰を両手で掴み、それまで以上に丁寧に腰を使う。肉のぶつかる音が小さくなり、代わりにぐちゅか、ぬじゅう、という、やけに湿り気のある音が聴こえてくる。トラバンと同じように、結腸付近を『練って』いるのか。
「くッ、は……ぁ!! はぁっ、ああッ……やめ…そこ、嵌めこま、な……っで……く、うううくッ………!!」
 沙綾香は大きく口を開き、眉を垂れ下げてレジャナルドを見上げる。だが、超長期刑のレイプ魔が、そんな懇願で動きを止めるはずもない。むしろ、より丁寧に、ぐじゅぐじゅと腸の奥を掻き回しにかかる。
「あッ! あッ!! んやあぁああっ、んふぅううう゛、うう゛……かはッ、おおぉほ…………っ!!」
 沙綾香は、悲鳴を上げ、歯を食いしばって耐えようとし、また悲鳴を上げた。顔は熱に浮かされたようになり、睫毛の長い眼が閉じる。
「すーげぇ。ケツのディープスロートだぜ、こりゃ」
 レジャナルドの言葉が、やけによく聴こえた。
 そして、苦難はそこで終わりじゃない。離れた場所で藤花を犯していたアンドレが、沙綾香の脱力を見て笑みを浮かべた。寡黙でありながら、同時に陰湿な男だ。奴は、わざわざ沙綾香の真正面に藤花を連れ出し、壁に手をつかせる。
「はぁ、はぁ……」
 力なく喘ぐばかりだった沙綾香は、薄目を開けて状況を確認し、息を呑む。親友と呼べる相手に、だらしなく喘ぐ様を至近距離で見られているんだ。動揺しないわけがない。
「……ッ!」
 沙綾香は壁から身を引き剥がし、藤花を正面から見つめる。
「……しゃ、しゃあか…………」
 藤花は、沙綾香の名前を呼んだ。だが、その表情は壮絶だ。舌を突き出し、涎を垂らし。三白眼のような瞳は、果たして沙綾香の顔に焦点を結んでいるだろうか。黒人相手のアナルセックスに、酔っている。そうとしか見えない。
「と、藤花、藤花っ! しっかりしてよ!!」
 変わり果てた親友を前に、沙綾香は泣き叫ぶような声を上げた。だが、彼女もまた他人に構っている余裕はない。背後では、レイプ魔が腰を掴み直し、怒張で貫き通すルートを見定めている。
 パン、パン、パン、パン、と小気味良い音が響いた。張りのある肉がぶつかる音だ。そのやや内側からは、妙にはっきりと水音も立っている。
「んほっ、お゛、ふ……っ!!」
 力強いピストンは、明瞭な快感の声を引きずり出した。口を尖らせた、『お』行の呻き。客が待っていたとばかりに拍手する。歓声に気を良くしながら、レジャナルドはさらに腰を遣った。バチン、バチン、バチン、と腰がぶつかる。
「お゛おっ!!」
 沙綾香は、海老のように背を反らせて絶頂した。上を向く黒目、尖った口。深い絶頂なのは疑うべくもない。
「はははっ、イったぞ! よりにもよって、友人の前で絶頂とは!」
「よりにもよってっつーか、ダチにイクとこ見られて興奮したんじゃねーの? ド変態だし」
 客はここぞとばかりに沙綾香の反応を笑い飛ばす。不愉快な流れだ。だが、ここで沙綾香に起こっていた変化は、俺の想像以上に深刻だったらしい。
「もうやめて……お尻の穴、ヘンになるっ!!」
 沙綾香は後ろを振り返り、レジャナルドの手を握って叫ぶ。だが、日本語では通じるはずもなく、仮に英語で話せていたとしても、聞き入れられるはずがない。レジャナルドはただ笑みを浮かべ、ピストンを続行する。
「やだ、やだ、またくるっ……! うんちする時の、おっきい波……これ、もう嫌なのっ!! もうこれでイキたくない、バカになっちゃうっ!!!」
 沙綾香が顔を引き攣らせて叫んでも、状況は何ら変わらない。力強いピストンで、怒張が叩き込まれていく。駄々洩れの蛇口の水が、コップを満たす。
「だめ、だめだめ、きちゃうっ!! いぎいぃいっいっイグッ、いいぐウウーーーッ!!!」
 沙綾香は、歯を食いしばりながら叫んだ。その直後、内股になった足の合間から飛沫が上がり、ピンポン玉が飛び出していく。
「あーあ、まーた負けた!」
「ふはははっ! へっぴり腰で、情けなく絶頂してますよ!」
 客の気楽な声は、涙を伝わせる沙綾香の姿と、あまりにも不釣り合いだった。

                 ※

 3戦目は趣向が変わり、肛門に玉蒟蒻を詰め込んでのアナルセックスとなった。アジア人より数周り大きい黒人ペニスに加え、10個の玉蒟蒻。その圧迫感は想像に余りある。2人の反応が激しくなっても、納得しかない。

「はっ、ん、んんっ……!! あ゛っ、あ゛ん、はーっ……あ゛! すごい、すごい、すごいいっっ!! こんな、快感が、あ、あったとは……!!」
「くああああっ!! くう、んぐううっ!! お腹が、詰まって……く、苦しいっ……!!」
 藤花と沙綾香は、膝裏を抱え上げられ、背面立位で犯されながら悲鳴を上げる。その表情は対照的だ。笑みを堪えきれないという様子の藤花に対し、沙綾香の顔は苦痛に歪んでいる。
 ただし、2人に共通することもあった。瑞々しい肉体が、強い快感を訴えている点だ。
「そーら、どうだ! 『フロリダの暴れ馬』の異名を取る、ドミニク様のファックは!」
「腹ン中がパンパンに詰まってよお、気持ちいいだろ!」
 ドミニクとジャマールが、幼児に小便をさせるポーズのまま、剛直を肛門へと叩き込む。何度もアナル絶頂に追い込まれている沙綾香達は、その刺激に耐え切れない。全身をガクガクと震わせ、足で空を蹴るばかりだ。
「感じまくってるな、どっちも。乳首が摘まれたみたいにピンピンだ」
「マン汁もダダ漏れだしな。青くせぇガキの身体で、ここまでアナルアクメキメれるとはよ。ここの調教師ってすげーわ」
 客は興奮しながらも、2人の変わりように圧倒されているようだ。
「あああ、ドミニク、ドミニクっ……!!」
 藤花が甘い声を出しながら、背後を振り返ってキスをねだる。
「ああっ、いく、後ろでイクううっ!!!」
 沙綾香は左右に首を振りながら、激しく足をばたつかせる。
 どっちも異常だ。元々のあの子達のイメージと、あまりにも遠すぎる。
「よーし。そろそろ、出させてやれ!」
 ロドニーが手を叩いて命じると、ドミニクとジャマールは笑みを浮かべ、足の抱え方を変えた。膝裏から、脹脛へ。相手の脚がVの字を作るように。腹圧を強めて、玉蒟蒻を強引に排泄させようというんだろう。
「うあああっ! あああ゛だめっ、でちゃっ……あ゛、あ゛ーーーっ!!」
 沙綾香も、藤花も悲鳴を上げる。その直後、肛門から灰色の粒が弾け飛んだ。一粒が出てしまえば、それをきっかけとしたように、また一つ、また一つとペニスの脇から飛び出していく。
「ふぐううう゛っっ!!!」
 排泄の瞬間、沙綾香と藤花の表情は完全に一致した。瞳を上向け、唇をへし曲げる。究極的な快便の表情。
「うっはははははっ、すんげー締め付けだ!!」
「かあああっ、たまんねえぜっ!!」
 ドミニクとジャマールは、肛門の締まりを喜び、それぞれのタイミングで射精に入る。
「やあああっ、入ってくる、入ってくるうっ!!!」
 玉蒟蒻の排泄に逆らう腸内射精。それを味わって、藤花達は高らかに叫ぶ。悲鳴にも悦びの声にも聴こえるが、白濁と共に玉蒟蒻を弾き飛ばした瞬間、2人の足指が見せた動きは、いかにも気持ちよさそうなものだ。
 十秒にもおよぶ射精。その末に白濁液をこぼしながら怒張が引き抜かれれば、そこには弛緩した空気だけがあった。
「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ…………」
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ…………」
 射精の余韻に浸る黒人2人。絶頂の余韻に浸る少女2人。それぞれが下半身を痙攣させながら、幸せそうにしている。
「…………すげえ…………」
 客から漏れた、嘲笑でも罵声でもない一言が、やけに俺の心を抉った。

                 ※

 『審査会』という名の勝負は続いている。だが実際のところ、場の誰もが、そんな事情などどうでもよくなっていることだろう。沙綾香と藤花が、アナルセックスで示す反応。それこそが、客の一番の関心事だ。

 5戦目は、ベッドの上で始まった。
「はぁ、はぁ……今度の相手は、お前か。お前の名前は、何というんだ」
 右側のベッドに組み敷かれた藤花が、潤んだ瞳で問いかける。
「マーキスだ」
「そうか……なあマーキス。俺を、気持ちよくしてくれ。昂っているんだ。今、思いっきり腸を突いてくれれば、すごく良い気分になれそうなんだ……」
 藤花はそう囁きかけ、マーキスの顔を抱き寄せる。
「……オーライ」
 マーキスは嬉しそうな笑みを浮かべ、藤花の唇を奪う。
「へへへ、お熱いこったな。俺らもやるか?」
 口づけを交わす藤花達を見て、左のベッドでダーナルが笑う。その正面に横たわる沙綾香は、返事もしない。甘える藤花とは対照的に、目尻を吊り上げてダーナルを見つめている。
「やれやれ、懐きの悪いイヌだぜ」
 ダーナルは首を振りながら、沙綾香の足を大きく開かせる。5戦目ともなれば、緩みきっていた括約筋も締まりを取り戻している。ついさっきまでジャマールに犯されていたため、完全に閉じてはいないが、指3本が入ろうかという程度の隙間だ。
「いい具合に穴のサイズが戻ってんな。これなら、俺の“ポークビッツ”でも、楽しませてやれそうだぜ」
 ダーナルは逸物を握りしめながら囁く。10人の中で2番目に小さい事への自虐だろう。すでに事を終えた8人の黒人共は、それを聞いてゲラゲラと笑う。それに比べて、客は随分と控えめな笑い方だ。
 それはそうだろう。10人中最も小ぶりなマーキスのペニスでさえ、長さ20センチ、直径5センチは下らない。ダーナルの物となれば、それよりさらに一回り上だ。黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直……それを粗末と笑い飛ばせる日本人など、どれだけいることか。
 ダーナルは逸物に唾液を塗り込め、怒張の先を沙綾香の肛門へと宛がう。そして、ゆっくりと腰を進めた。
「ん……っ!!」
 沙綾香が眉を顰める。小さく声も漏れた。
「なるほど。アナルファック用の、エロい肛門になってやがる。天使にキスされてる気分だぜ」
 亀頭が菊輪を押し開いた時点で、ダーナルは笑みを浮かべた。そして奴は、ベッドを軋ませながら腰を引く。
「……?」
 沙綾香は、怪訝な顔をした。血管も浮き立つほど怒張を勃起させた、性欲滾る野獣。それがあの連中のイメージだ。実際、他の奴らは、獣のように沙綾香達の肛門を貪った。右のベッドでは今まさに、マーキスが藤花と濃厚なキスを交わしながら、圧し潰すような体位でアナルを犯し抜いている。
 だが、ダーナルはそうしない。一度完全に亀頭を抜いた後、再び口を開いた肛門に嵌め込み、また抜く。そのごく浅い挿入だけを、ゆっくりと繰り返す。
「……最後の奴は、随分と紳士的だな」
「おいおいおい……マジかよ。さっきまで、あんだけハードに結腸アクメさせてたのによ。あれじゃせっかくの熱が冷めちまうぜ」
 客の反応は悪い。ある客は戸惑いを口にし、ある人間は不満を露わにする。だが、そんな客の後ろに控えるロドニーだけは、ダーナルの責めに興味深そうな視線を向けていた。

 ベッドの軋み方が、左右でまったく違う。藤花のいる右側は、ギシギシギシギシと壊れそうに軋み続けている。一方で沙綾香のいる左側は、ほとんど軋む音が聴こえない。明白な動と静だ。
 客は見応えのある方を好むため、次第に藤花の方へ意識を向けはじめる。5分もすれば、沙綾香を見ている客は2人だけになった。
 だから、気付く人間は少なかったろう。
「あっ、あ、あっ……」
 肛門の入口を拡げられるだけの沙綾香が、声を出しはじめた事実に。
 声だけじゃない。大股開きで横たわる全身が、ピクピクと反応している。モニターに大きく映る桜色に肌には、今も汗が流れていた。それは、沙綾香が『冷めて』などいない証拠だ。
「どうだ、想像以上に感じちまうだろ? 浣腸で緩んで、真っ赤になるまで使い回されたアヌスを、こうやってじっくりと愛してやる……そうすりゃ、パン屋のジェニーも、従妹のサラも、シーツの替えがいるぐらい蜜を吐いたもんだ」
 ダーナルは昔を懐かしむように語りながら、腰を動かし続ける。今度は亀頭のやや下、カリ首までが通り抜けるまで挿入し、一気に引き抜く。モニター画面には、引き抜かれる瞬間、沙綾香の肛門が火山のように盛り上がる様子が映っていた。
「すげぇな。抜く時には盛り上がって……エッロ!」
「あれは挿入する方も気持ちいいでしょうなあ。肛門で搾り取るように扱かれるわけですから」
 モニターを見て、客がざわつく。ほとんど藤花にしか向いていなかった興味が、沙綾香に向きはじめる。非常にまずい展開だ。ダーナルの責めが一段階進んだ、このタイミングでとは。
「くっ……は、はぁ……っ。はっ、ああっ、あ!」
 カリ首までを嵌め込まれ、引き抜かれる。嵌め込まれ、引き抜かれる。その責めを受けながら、沙綾香は声を殺しきれずにいた。
「あれは……まさか、感じているのか?」
「いや、俺もそうかなと思ったけど……ありえるか? あんな浅い挿入で」
「さっきまでと比べると、刺激が弱すぎると思うが、あれは……」
 客も、すぐに沙綾香の反応に気付く。沙綾香はそれを耳にしたのか、すぐに口を閉じた。だがダーナルはそれを見て、挿入をやや深める。そして4割ほど挿入したところで、一気に引き抜いた。
「くひぃいっ!?」
 沙綾香の目が開き、声が漏れる。注意を向けなくとも耳に入る音量。客の視線が、次々と左のベッドへ向く。
「もっと深く挿れてほしいか?」
 ダーナルは余裕の笑みを浮かべながら、沙綾香に問いかける。
「……い、挿れられること自体、嫌だってば……」
 沙綾香は憂鬱そうにダーナルを見上げ、なるべく平静を装おうとする。だが、ダーナルが同じ責めを繰り返せば、澄まし顔ではいられない。
「ひっ、ああっ、は……はっ! んひっ、ぐ…………!!!」
 大股を開いた足が震え、腰が浮く。顎が持ち上がり、唾液の糸を引きながら口が開く。
「いや、やはり感じているぞ、あれは……!」
 さっきは懐疑的だった客さえ、沙綾香の昂ぶりを確信していく。
 そんな空気を感じ取ったのか、それとも下準備が整ったのか。ダーナルは、ここから本腰を入れて責めはじめた。沙綾香の腿を抱え込み、ベッドを軋ませて、大きく腰を進める。今度はいきなり、竿の7割ほどが入り込んだ。
「んひぃいっ!!!」
 沙綾香が仰け反り、シーツを掴む。
「ぃ、いっ!! ふぃいっ、んぐっ、んぐううっ!!!」
 歯が強く噛み合わされ、仰け反りのせいで乳房が左右に零れる。今のこの反応で『感じていない』と判断する人間はいないだろう。
「どうだ。浅い部分でじっくり焦らされてから、深ぇトコまで一気に満たされた気分は。クソと浣腸を同時に味わってる感じだろ? 入口の快感が目覚めてなきゃ、そのエクスタシーはねぇんだぜ。ついでに言やぁ、コックがデカすぎてもダメだ。苦しくって快感どころじゃねぇからな。お前にこの快感を教え込めるのは、このタイミングの、この俺だけだ」
 ダーナルは、さっきの自虐とは打って変わり、誇らしげに胸を張る。黒人英語のその語りは、調教師仲間とロドニーから苦笑と拍手を引き出した。その反応を見て、客達もダーナルが何かを成し遂げた事実に気付いたようだ。

 半端者から一転、英雄のような扱いを受けるダーナルは、さらに勢いづいて沙綾香を責めたてる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋み、節くれだった木の根のような剛直が、ふっくらとした赤い輪の中を前後する。
「んぐううっ、くああっ……!! やだ、やだやだぁっ!! 入ってくる、奥まで入ってくるぅぅっ!!」
 沙綾香は頭上のシーツを掴んだまま、幼子のように首を振った。
「何を今さら……と言いてぇとこだが、そんな反応にもなるわなぁ。さっきまでハードに犯られてたっつっても、アヌスの感覚はドナンでボヤけてたんだ。ハンバーガーを口に頬張りながらコーラを流し込んだようなもんよ。それじゃ、コーラの味は判らねぇ。その点今は、俺がしっかりマウスウォッシュしてやったからな。コーラってのがどんだけ美味ェもんか、しみじみ理解できんだろ。別の言い方すりゃあよ、テメェはアナルのセカンドバージンを、この俺に捧げてるわけだ。嬉しいだろ? なあッ!?」
 ダーナルは、野獣の本性を露わにし、沙綾香の太腿を外から抱え込んだ。そしてその太腿を引き付けつつ、深々と腰を突き入れる。
「んぐううっ!!?」
 肉のぶつかる音がした瞬間、沙綾香は呻きを上げた。膝立ちになったダーナルが、黒人のバネを活かして滑らかに腰を前後させれば、沙綾香の反応もそれに引っ張られる。
「んぐっ! んぐっ! んぐっ! んぐっ!!」
 沙綾香の上げる声は単調だ。だが、セックスにおける単調さは、時として最適解にもなり得る。コップを快感という水で満たす時、蛇口を揺らす必要などない。ただただ単調に、水を注ぎ続けるのが一番早い。
「んぐっ!」
 7度目に同じ呻きを発した直後、沙綾香は背中を浮かせた。
「…………い、い…くっ…………!!」
 はっきりとマイクに拾われたその声に、客が息を呑み、顔を見合わせる。
「……今あいつ、イク、つった……?」
「おお、聞こえたな。イッた……んだな」
 はっきりと耳にしたはずの言葉を、改めて確認し合う客達。それは今の絶頂が、これまでとは別物と捉えられた証だ。
「日本のお仲間が注目してるぜ。お前のエクスタシーによ」
 脱力した沙綾香に、ダーナルが囁きかける。沙綾香はそれを耳にすると、白目を剥きかけていた目を瞬かせ、歯を食いしばってダーナルに向き合った。
「健気なやつだな。犯し甲斐があるぜ」
 ダーナルは嬉しそうに笑いながら、ぐいっと太腿を引きつけ、沙綾香の内腿にくっきりとした溝を刻ませる。
「んんぐっ、ぐひぃっ!! ア゛、ああっ……ひ、ひっ……!」
 ピストンが再開した後、沙綾香が目を見開いていられたのは、ほんの数秒だった。そのうち目は細まり、閉じ合わされ、顔全体で我慢できないという表情を作る。手も足も、何かにしがみつくので精一杯という風だ。
 それを見て、ダーナルがまた体位を変えた。太腿から手を離し、膝裏を一気に抱え上げる。そうしてマングリ返しの恰好を作り上げてから、圧し掛かるように挿入していく。
「んあああ゛あ゛あ゛っ! だ、だめ、お尻が、拡がっちゃう!!」
 沙綾香の反応は大きい。足全体がぶるぶると震え、切ない声が上がる。
「はははははっ! こうやると、腸の壁がキュウキュウ吸いついてきて最高だぜ!」
 ダーナルはほくそ笑み、沙綾香の膝裏を押さえつけながら腰を振る。
「くはっ、あ、あがっ!! し、子宮っ……子宮が、ああ……っ!」
 沙綾香は余裕のない様子で、子宮という言葉を繰り返していた。ほぼ真上から挿入されると、横向きに挿入されるより、子宮を強く刺激するんだろう。
 ベッドが軋む。沙綾香の反応が、さらに大きくなっていく。掴まれた両脚が暴れ、両手は強くシーツを握りしめる。
「んぐっ、う゛っ、ぐひいいっ!! んぐうう、はぐぃんゆううっ!!!」
 白い歯が噛み合わされ、全身が震えた、次の瞬間。割れ目から、勢いよく飛沫が上がる。潮噴きだ。体勢が体勢だけに、飛沫は容赦なく沙綾香の顔に浴びせかかる。だが、沙綾香はそれをよけようともしない。後頭部をベッドにめり込ませ、顎を浮かせたまま、ガクガクと痙攣している。
「あいつ、どんどんイキ方酷くなってんな……」
 客の一人が、ぽつりと呟いた。悪意ある野次ではなく、客観的な分析なだけに性質が悪い。確かに、沙綾香の絶頂は回数を経るごとに深くなっている気がする。今も彼女は、シーツを掴み、胸をせり出したような格好のまま、全身をピクピクと震わせて余韻に浸っている。
「おいおい、ヘバんのは早いぜ。まだ始まったばっかだろうが」
 ダーナルはそう言いながら前傾を深め、沙綾香の唇を奪いにかかる。
「んや、あっ!!」
 沙綾香は顎をうねらせるようにして口づけを避けるが、そこに注意を向けたぶん、足の震えが余計に酷くなった。
「んあっ、あああが、はあ…っぉ! ほぉっ、ほおっ……これだめ、だめ、っんひいいっ!! おねがい、だめ、もうダメ……っ!!」
 沙綾香は必死だ。圧し掛かるダーナルと視線を合わせ、必死の形相で訴えかける。だがダーナルは、それを見ても笑みを深めるだけだ。
 ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「あかはっ……!? あがっあ、あ゛……ハッ、ハッ、んむれぁあっっ!!」
 沙綾香は、ダーナルの鎖骨を掴んだまま、あえなく身を震わせる。そして最後の最後には潮を噴き散らし、脱力した隙に唇を奪われる。
 おーっ、という声が、客から起きた。笑っている人間もいるが、驚いている声の方が多いようだ。それは、沙綾香への調教が着実に進んでいる証のようで、気味が悪い。
「ふひゃははははっ!! 唾が美味えなぁ、屈服させた女だとよお!」
 ダーナルは望むままに沙綾香の唇を貪り、腸内を蹂躙し続けた。そして、たっぷり40回以上もピストンを繰り返した果てに、腰を震わせながら精液を注ぎ込む。その量と濃さは凄まじく、沙綾香の背中の筋に沿って、くっきりと白い雫が滴り落ちるほどだった。

                 ※

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ!!」
 沙綾香の呼吸はまだ荒い。彼女はベッドの上で横向きに倒れたまま、シーツにしがみつくようにして震えていた。重ね合わされた脚の間では、白い精液が割れ目を覆い尽くし、前と後ろのどっちを使われたのか判別できないほどだ。
「あああマーキス、マーキスっ!! もっとだ、もっと奥まで突いてくれっ!! 頭が真っ白になって、ビリビリする感覚をもっとくれっ!!」
 右側のベッドでは、藤花がマーキスと正面から抱き合いながら、自ら刺激を欲していた。
「参ったなこりゃ。タマの中身、根こそぎ搾り取るつもりかよ? おーいお前ら、そろそろ加勢してくれや。もう一巡したこったし、いいだろ? このままだと乾涸びちまうぜ!」
 マーキスは顎の汗を拭いながら苦笑し、仲間とロドニーに視線を向ける。
「完全に一巡したらと思ってたが、まあいいぜ。早ェモン勝ち、どっちを犯しても良し。好きにしろ。ただ、前は使うんじゃねーぞ」
 ロドニーが許可を出すと、黒人共の顔に笑みが拡がった。
「っしゃあ、待ってたぜ!」」
「どっちを味わったもんかな。サムライガールはあの下半身の筋肉だ、ケツの締まりも良さそうだが……サヤカの方も、昨日抱いてねぇからな。昨夜一晩、あのガキのヨガり顔が頭に浮かんで悶々としててよ、今日は目いっぱい犯し抜くって決めてんだ。だが、タイロンの野郎にでも先越されちゃ、せっかくのサムライガールの穴がガバガバになっちまうし……くうーっ、悩むぜ!」
「ヘッヘ、解るぜ兄弟。スパイシーとスウィート、どっちも美味そうだ!」
 連中は唇を舐め回し、臨戦態勢の逸物を扱きながら沙綾香と藤花を見比べる。最初に動き出したのはダリーとドミニクで、どちらも沙綾香のベッドを選択した。
「きゃ、やめっ……! 今はダメっ!!」
 絶頂の余韻から抜け出せていない沙綾香は、這って逃げようとする。だがダリーは素早くその足首を捉え、自分の方へと引き寄せた。
「そう身構えんなよ。なにも泡姫をやれってんじゃねぇ。ケツの穴だけ引き締めて、付属品みてぇにじっとしてりゃ済むハナシだ」
 ダリーは沙綾香の腰を掴むと、肛門から漏れるザーメンを亀頭に塗りつけ、狙い定めて挿し貫く。
「は、んお……っ!!!」
 沙綾香は、凄まじい表情をした。顎が浮き、足の十本指がシーツを掻く。タイロンに次いで二番目に太い怒張だ、刺激も生半可じゃないんだろう。
「おおっ、すっかり締まりが戻ってやがんな。絶妙の吸いつきとトロトロ加減がたまらんぜ!」
 ダリーは嬉々として腰を掴み直し、本格的なピストンを開始する。這いつくばる沙綾香の、尻だけを高く掲げさせる格好だ。
「んんっ、ふーっ、ふーっ……あっぐ、う゛!!」
 沙綾香は、シーツに口を押し付けて声を殺す。ダーナル相手の時よりずいぶんと苦しげだ。だが、犯すダリーはそんな事を気にもしない。
「へへへ、腰が気持ちよさそうにうねってるじゃねぇか」
「ふッ、ふッ……ち、違、う……!」
「何が違うんだ。お前、ダーナルにアナルセックスの良さを教え込まれたんだろ? アイツの“ポークビッツ”でヨガるような女が、俺の極太で感じねぇはずねえだろうが!」
 沙綾香が否定しようと聞き入れず、あばらの辺りを腕で掬い上げ、四つん這いの体勢を取らせる。そこから始まるのは、奴が得意とする、横方向の突き込みだ。
「んおお゛っ!!」
 4段腹が叩きつけられた直後、沙綾香から濁った声が漏れた。涙は水平に飛び、舌は前に突き出る。
「おこほ゛っ、んお゛っ! おお゛っ、お、ほおお゛っ!!!」
 ピストンを受けて漏れる声は、すべてが濁った『お』行だ。壊れそうなベッドの軋みは、沙綾香から余裕が剥ぎ取られる音に思える。
「お゛おお゛っ、ほおお゛お゛っ!! んあ゛お゛っ、おお゛っお゛お゛ーっ!!!」
 肉を波打たせ、悲痛な声を上げる沙綾香。彼女は、汗でダリーの手が滑った一瞬の隙をついて、かろうじて拘束から抜け出した。だが、希望が見えたのもほんの一瞬だ。
「くくくっ。待ってたぜぇ、子猫ちゃんよお!」
 這って逃げる沙綾香を、今度はドミニクが捕まえる。奴はダリーの失敗を踏まえてか、しっかりと沙綾香の下腹部を抱え込んで挿入を果たした。
「んああッ!!」
 怒張が入り込んだ瞬間、沙綾香の上げた切ない声は、凌辱者の心をさぞ満たしたことだろう。ドミニクは笑みを浮かべ、沙綾香の腰を引きつけはじめる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「んッ……んくっ、ぐ……んんんっ! んんっ、くうんんんっ!」
 ダーナルの肛門開発は、想像以上に沙綾香を毒したらしい。彼女はドミニクの突き込みに、快感を隠せない。手がシーツを掴み、顎が寝台に沈み込む。
「おら、おら! ケツが吸いついてくるぜ、気持ちいいんだろ!?」
 ドミニクが叫んだ、ちょうどその直後、沙綾香の腰がぶるっと震えあがった。
「んむううぅうんんん゛っ!!!」
 口と喉を閉じたまま、快楽を叫ぶような声。それも異様だったが、同時に足の間から噴き出した潮の量も、見過ごせるレベルじゃない。
「うっわ、すっげぇ噴いたな……」
「もうほとんど小便だな。マンコでイカせたって、あそこまで噴くのってそうそうねぇぞ」
「女とは、肛門でああも感じられるものなのか……」
 客は、唖然とした様子で沙綾香を観ていた。あれだけ事あるごとに野次を飛ばしていた客が、茶化さない。茶化せるほど身近な存在だった沙綾香が、刻一刻と変わっていく……その事実に、笑いを引っ込めた感じだ。
 胸がざわつく。いっそ馬鹿騒ぎでもしてくれていた方が、まだ救いがある。

 藤花のいる右のベッドは、まさに馬鹿騒ぎだ。
「あっ、はぁっ、はぁっ……あ、あ、んっ……!!」
 藤花は、胡坐を掻いたレジャナルドに抱えられる形で肛門を犯されていた。太い怒張が出入りするたび、艶めかしい吐息が漏れる。指が荒々しく乳房を揉みしだけば、ドクドクと母乳があふれ出る。気持ちが良さそうだ。そしてそれは、犯しているレジャナルドも同じだった。
「へへへ、括約筋の強ぇガキだな。食い千切られそうだぜ。入口はギュウギュウ締まって、中もねっとり纏わりついてきて……。お前のお友達もだがよ、日本人のアナルってのは名器揃いか?」
 レジャナルドが上機嫌に語りながら、リズミカルに肛門を突き上げる。
「んッ、あ…あ、あッ……! いい、いい……もう、い、イキそうだ……!!」
「ほぉ。なら、スパートかけるか!」
 藤花の言葉で、レジャナルドはさらにペースを上げた。ベッドが騒々しく軋み、左右についた藤花の脚が強張る。
「あ、あああ……あああっ来たぁっ!! んいっ、ひっぎ……あォぉお゛っ!!!」
 藤花は、歯を食いしばりながら笑みを浮かべた。そして次の瞬間、大きく背を仰け反らせる。
「ぬうううっ!!!」
 後ろのレジャナルドが顔を顰めたのは、肛門の締まりが強くなりすぎたせいか。
「あ゛アッ、んあ゛っ……はあ、はあ……はあっ……」
「ククッ、気持ちよくイキやがって。俺もそろそろだ、しっかり受け止めてくれよ!」
 ぐったりとした藤花を支えつつ、レジャナルドが追い込みを掛けた。藤花の頭と乳房が揺れる。
「オラッ、いくぞおっ!!」
「っひ、あがっ! くああああ゛あッ!!!」
 レジャナルドと藤花が身を震わせ、同時に絶頂する。だが、その後の反応は全く違った。満足げに息を吐くレジャナルドに対し、藤花はなおも物欲しげだ。
「はっ、はっ、はっ、はっ……す、凄い……黒人のペニスが、こんなに気持ちいいとは! なあ、もっとだ、もっと突いてくれ! その硬くて熱い物で、腹の奥から子宮を刺激してくれ! もっと痺れたいんだ! 刺激が欲しいんだ!!」
 レジャナルドの首を抱え込み、口を吸いながらねだる藤花。
「オイオイオイ、マジかよ。マーキスだけじゃ飽き足らず、俺まで搾り尽くす気か? ったく、ハングリーな女だな。いいぜ、なら死ぬほど食わせてやるよ。泣いて後悔すんじゃねぇぞ!」
 レジャナルドは苦笑するが、奴としても吝かではないらしい。胡坐を崩し、両足でしっかりとベッドを踏みしめると、腰ごと叩きつけるようにして藤花を突き上げる。
「んがっ、おごぉぉっ!? んごっ、ほおおっ!!! ふ、深い! いい、良いっ! ほっ、ほおっ……もっと、もっとだ、もっと刺激してくれっ!!」
 藤花は満面の笑みを浮かべながら、自ら腰を上下させ、レジャナルドの剛直を深々と受け入れる。
「くーっすげえ、コックがヒリヒリすらぁ! ホントにジャパニーズかよお前? ギリシャ女みてぇな貪欲さだな!」
 レジャナルドは驚きつつも、負けじと腰を突き上げる。筋肉質な男女が争うように腰を叩きつける様は、スポーツの試合でも観ているようだ。だが、それがセックスであることは紛れもない事実。鍛え抜かれた男と女の肉体が、刻一刻と快感の反応を大きくしていく。
「そうだ、そこがいいっ!! そこ……ん、あ、あああイグッ、イグうッ!! ふううっ、はお、ほおおぉぉっ!! し、痺れるッ……頭から、つま先まで……っ!!!」
 藤花は生き生きとしていた。かつての剣道の稽古を想像させるほど、一心不乱にセックスに打ち込み、快感を追及している。アナルセックスが正式なスポーツと認められる世界なら、彼女はその道でも栄光を掴むことだろう。
 一度価値観が反転してしまえば、被虐の道に猛進してしまう……それがあの藤花という子のようだ。
「オメーらもやるじゃねぇか。あの剣姫が、すっかり立派なマゾ奴隷だ」
 ロドニーが感心した様子で、迷彩ズボン達を褒め称える。確かに今の藤花は、疑う余地なく倶楽部好みの『マゾ奴隷』だ。となれば当然、場の意識は、その競争相手に向く。

 沙綾香は今、ドミニクとトラバンの相手を同時にさせられていた。ドミニクは大きく開かせた脚の間に腰を打ちつけ、トラバンは顔に覆いかぶさったまま、腕立ての体勢でペニスを咥え込ませている。
「おお゛ゥエ゛ッ! オオえ゛え゛っ! お゛ううぇ゛え゛エ゛エ゛ッ!!!」
 沙綾香の口からは、濁りきった呻き声が漏れていた。巨根を喉奥まで突っ込まれた時特有のものだ。見慣れた俺はすぐにそう理解できるが、黒人相手のディープスロートを初めて見る客達は、しきりに沙綾香の喉元を覗き込んでいる。モニターを振り返り、より詳細な情報を求める客もいた。
「すっげぇ……喉を完全にマンコ扱いしてんぜ、あの黒人野郎」
 一人がようやく状況を呑み込み、信じがたいという様子で呟く。
「あの、喉がボコーって盛り上がってんの、チンコの形だよな。全部入ってんだな、あのデカチンが」
「ああ。アレ根元まで咥え込まされて、挙句尻まで犯されるとか、どんな気分なんだろうな」
「あたし、あそこまで太いのは経験ないけど、3Pやったことあるからなんとなく解るよ。怖くって苦しくって、心折れるよ、あんなの……」
 他の客も、時間差で目の前の現実を受け入れはじめる。
 連中が目を疑うのも、仕方ないといえば仕方ない。沙綾香の顔の半分はあろうかという巨根が、割れ目や肛門ならともかく、喉へ入り込むなんて。何度もそれを現実として目にしていなければ、俺だって『有り得ない』と切り捨てるだろう。

 今や客の中で、椅子に座って寛いでいる人間はいない。皆が皆、左右のベッドのどちらかに近づき、異人種間のアナルセックスに見入っている。ロドニーはそれを眺め、頃合いや良しとばかりに手を叩いた。肉厚な掌は響きのよい音を立て、20人の客を一斉に振り返らせる。
「さて、審査員のダンナ方。そろそろ決まったか? どっちが本当の『マゾ奴隷』と呼ぶに相応しいか」
 その言葉を聞き、客が表情を曇らせる。
「んー。どっちが、っつってもなあ……」
「ううむ……本当のマゾ、か……」
 茶化す時の饒舌ぶりとは打って変わって、歯切れが悪い。
「はっ、はぁっ……。もっとだ。もっと、この刺激をくれ……!」
 藤花から熱い囁きが漏れれば、客の視線は右のベッドに集まる。
「へへへ。トローンとした目ェしやがって。喉奥と尻を同時に犯されて、脳味噌がピンク色になっちまったか?」
 トラバンがえずき汁を滴らせながら怒張を引き抜けば、客は羞恥と陶酔がない交ぜになった沙綾香の表情に見入る。
 どちらがマゾ奴隷らしいか。シンプルに考えるなら藤花一択だ。そうならないのは、『審査会』が始まる前にロドニーが放った、この言葉のせいだろう。

 ──マゾ奴隷ってのは何も、従順ならいいってもんじゃねえ。口でいくら拒もうが、アソコが濡れてりゃあ、そいつは紛うことなきマゾ奴隷だ。肉体的に屈服してるわけだからな。違うかい?

 ロドニーにしてみれば、これは苦し紛れの詭弁だったに違いない。だがその詭弁は、客を納得させてしまった。だからこそ、客は迷う。
 従順なマゾ奴隷として完成されている藤花か。
 反骨心を保ちながらも、肉体が快楽に屈しつつある沙綾香か。
 連中にとっては、そのどちらもがマゾ奴隷として魅力的なんだろう。
「サクッとは決まらねぇか。いい勝負じゃねぇか」
 ロドニーはふてぶてしく葉巻をふかす。自分のせいで客が迷っているというのに、その状況を楽しんでいる様子だ。そして奴は、指を曲げて迷彩ズボンと剃り込み男を呼びつけ、小声で何か指示を出す。
「はっは。面白ェっすね、それ!」
 指示の内容は聞き取れないが、剃り込み男が愉快そうに笑っている時点で、碌な内容でないことだけは理解できた。

                 ※

 ロドニーは、黒人共に一旦プレイをやめさせ、沙綾香と藤花を壁際に並ばせる。
「今度は何させる気?」
 沙綾香が問うと、それに応えるように、迷彩ズボンと剃り込み男が背後につく。連中はバケツとモップを手にしていた。バケツには、とろみのある液体が入っているようだ。
「何だ、そのバケツの中身は……?」
 今度は、藤花が問いかける。
「お前らの大好きなドナンだよ。つっても、さっきの浣腸とは違うがな。塩化マグネシウムと強壮剤、アレな薬もちょいと混ぜ合わせて、ゼリー状にしたもんだ。こいつをケツに塗り込められると、最大級の便意と快楽が味わえるらしいぜ」
 迷彩ズボンの男がそう答え、少女2人の顔を引き攣らせる。一方、遠巻きに見守る客は、期待感のある顔になった。 
「おら、ケツの穴開け!」
 剃り込み男が藤花の尻を叩くと、藤花は素直に脚を開き、肛門に自らの手を添える。
「ほら、お前もだ。それとも何だ、お友達にだけ恥掻かせる気かよ」
 沙綾香はやや躊躇っていたが、結局は同じポーズを取らされる。
 肛門が横向きに割りひらかれた瞬間、真っ白な精液がボトボトと滴り落ちた。
「すげぇ濃さだ……」
「量もやべえよ。俺なんか、1回の発射がスプーン一杯分ぐらいだぞ。100発出しても、あんな量にならねぇわ」
 薬で増強された黒人共の精液に、客が唸る。オスとしての劣等感を感じたのか、その表情は曇りがちだ。
「うっは、どんどん垂れてくんな。気持ち悪りーだろ、掃除してやるよ」
 剃り込み男と迷彩ズボンは笑いながら、モップをバケツに浸す。モップと言っても、床を掃除するための、横長のヘッドから繊維が垂れ下がるタイプじゃない。縦長のヘッドを、放射状に繊維が覆っているタイプ……つまり、大型のハンディモップという風だ。それがバケツに浸されれば、たっぷりとゼリーが絡みつく。
「さて、いくぜ」
 調教師2人が、眼を見開いて振り返る少女2人の肛門へ、ゼリーの滴るモップをねじり込む。腸のかなり奥まで入り込んでいるようだ。
「……ん、くううああっ!! ず、随分と、深くまで塗るな……!」
「あ、あ……やだ、またジンジンして……っ!!」
 効果はすぐに表れた。藤花は半笑いを、沙綾香は苦悶の表情を浮かべ、腰を揺らす。
「どうだ、2回目のドナンは。1回目より蕩けちまうだろ? おまけに今は、出すモン出しきった後だからな。便意が少ねぇ分、ドナンの味が存分に味わえるぜ」
 剃り込み男がそう言い聞かせつつ、藤花の肛門からモップを引き抜く。そして精液まみれのモップをまたバケツに浸し、ゼリーを纏わせると、もう一度肛門へと押し込んでいく。迷彩ズボンの奴も当然、沙綾香に同じことをする。
「くはっ……! た、確かにこれは、純粋なドナンとは違うな……。熱くて、痺れるようだ……!!」
 藤花は壁に手をつきながら、ぶるっと震えて笑みを浮かべた。
「こ、こんなの、もう一度なんてダメっ! 2回も、堪えきれない……!!」
 沙綾香の方は、恐怖一色だ。汗の滲む顔を歪ませ、不安を顔に表している。

 結局、藤花と沙綾香は、4回に渡ってゼリーを腸内に塗り込められた。モップが引き抜かれれば、外側へ捲れた肛門が露わになる。
「何度見ても、凄いな……俺の腕突っ込んでも、まだまだ余裕がありそうだ」
「ああなっちゃ、もう排泄器官じゃねえ。ただのトンネルだ」
 ドナンの効果に客がざわつく中、ロドニーが沙綾香達に歩み寄った。
「確かに、こりゃトンネルみてぇなもんだな。これをペニスで埋めるとなりゃ、出来る奴は限られる。タイロンか……俺ぐらいのもんだ」
 ロドニーはそう言いながら、クロップド丈のテーパードパンツを脱ぎ去った。露わになるのは、あのローストターキーを思わせるペニスだ。根元のサイズはタイロンと大差ないが、真ん中がその太い根元よりもさらに膨らんでいる。
「きゃっ!?」
 客の女が悲鳴を上げた。黒人のペニスを一通り見届けてきた男連中も、口をあんぐりと開けている。
「むううう……! ビデオで目にしてはいたが、生で目にすると……」
「ご、拷問の道具だな、まるで……!」
 絶句する客と同じく、沙綾香と藤花も視線を剛直に縫い付けられている。
「懐かしいだろ、サムライガール。水責めん時にハメてやって以来だ。あの感覚……忘れられねぇんじゃねえか?」
 ロドニーは、黒光りする凶器を藤花の鼻先に近づけた。藤花がごくりと喉を鳴らす。過去の記憶が蘇ったんだろう。小便入りの水へ顔を漬けられる苦痛を二の次にしてでも、抜いてくれと哀願した、あの記憶が。
「あの時は心を折るのが目的だったが、今度は違うぜ。熟しきったそのアナルに釣り合った刺激をくれてやる」
 亀頭で鼻を突き上げながらロドニーがそう語れば、藤花の口の端が緩んだ。ただ、隣で顔面を蒼白にしている沙綾香に気付くと、急いで表情を戻す。
「わかった、相手をしよう。今度は俺がお前に、音を上げさせる番だ」
 キリリとした瞳でロドニーを見据え、啖呵を切る藤花。かつての雰囲気を感じさせるその姿に、沙綾香の表情がかすかに明るくなる。だが、ロドニーはその沙綾香に顔を向けた。
「おっと、気ィ緩めてんじゃねえぞ。お前も一緒に犯されるんだ……コイツでな」
 ロドニーはそう言って、剃り込み男の方に手を翳す。するとその手に、ある物が手渡された。双頭ディルドーのついた、黒いゴム製の下着……ペニスバンドだ。

「さあ、来い」
 20人の客と12人の調教師が見守る前で、椅子へ深く腰掛けたロドニーが藤花を呼ぶ。
「ああ」
 藤花は、それを受けてロドニーの前に立った。そして、ゆっくりとロドニーの上に腰を下ろしていく。下着は肛門部分に穴が開いているため、挿入を妨げない。ドナンの効果で緩みきった肛門が、拷問器具のようなペニスを迎え入れていく。
「ぐっ……!」
 3割ほど飲み込んだ時点で、藤花が小さく呻いた。他の黒人共を相手にした時のような表情の緩みはない。調教前に巻き戻ったかのような、精悍な顔つきだ。
「へへへ、ドナンはすげぇよな。俺のがズルズル入っていくんだからよ」
 ロドニーがそう呟く間にも、さらに腰が沈み、怒張の中ほど……瘤のように膨らんだ部分が肛門に入り込む。その瞬間、藤花の腰が止まった。
「ッ!? うあ、うわあああああああっっ!!!」
 藤花は急に叫ぶと、腰を浮かせた。半ばまで入り込んでいた怒張が抜け、ロドニーの腰を跨ぐ形で開かれた筋肉質な脚がガクガクと痙攣する。
「おいおい、どうした?」
「なにビビってんだ、アナルビッチ!」
 客と調教師から野次が飛ぶが、藤花は虚空を見つめたまま震えるばかり。
「と、藤花、どうしたの!?」
 沙綾香が藤花に駆け寄ると、凍り付いたような視線が横を向く。
「わ、わから、ない……。頭の、天辺まで……痺れが、突き抜けた……」
 藤花の吐く言葉は途切れがちだった。便意や快感で余裕のない時の反応だ。
「だろうな。俺のペニスの刺激は、他の連中の比じゃねえ。アナル性感が目覚めた状態で受け入れりゃあ、脳天まで痺れて当然だ」
 ロドニーは浮いた藤花の腰を捕まえ、強引に押し下げる。
「んああああ゛っ!! や、やめろっ、沙綾香の前だぞ……ん、くっ、ふぐううう゛っ!!」
 藤花の背中が仰け反り、両脚で腰を浮かそうとしても、ロドニーは押し下げる力を緩めない。
「おーお、いい具合だ。ドナンで蕩けた腸壁が纏わりついてきて、最高にエロいぜ!」
 嬉しそうに語りながら、あらゆる限界反応を無視して、8割ほどを強引に押し込んでしまう。根元まで挿入しないのは、すでに腸の奥にまで届いてしまっているせいだろう。
「あ、かはっ…あ、オあっ………ア゛ッ」
 藤花の脚は、力んだまま宙に浮いていた。代わりに両手がロドニーの腰を押し下げ、少しでも腰を離そうとしているが、強靭な脚の力で無理なことが腕で成し得るはずもない。
「ここまで入るとは大したもんだ。どうだ、極太を丸ごと飲み込まされた気分は。ああ、言わなくてもいいぜ。括約筋の動きで本音は解るからな」
 ロドニーは藤花の太腿を押さえつつ、激しく腰を突き上げる。挿入箇所が肛門なんだから、当然直腸を突いているはずだ。だというのに、ロドニーの規格外の巨根は、藤花の下腹をぼこりと膨らませた。肛門壁と膣を丸ごと貫通して。
「くほっ、ほおおお゛お゛っ!!」
 あまりの刺激に耐え切れず、高く腰を跳ね上げる藤花。その反応を確認して、ロドニーが沙綾香に視線を向けた。
「今度はお前だ、藤花の上に乗って、だらしなく開いたケツにオモチャを嵌め込め」
 有無を言わせぬ口調でそう命じられたところで、抵抗なく従えるはずもない。沙綾香は胸を掻き抱くような仕草で立ち尽くす。
「早くしろ。従わねぇってんなら、コイツをどうするかわかんねぇぞ?」
 ロドニーは語気を強め、藤花の下腹に手を宛がった。そして、まずいという顔をする藤花の腰を、また突き上げる。今度は、さっきより性質が悪い。直腸からの突き上げでぼこりと膨らんだ下腹を、腹の上から巨大な手で握りしめる。子宮を上下から挟みつぶすような行為だ。
「……ぉっ、ぉ……っ……!?」
 可哀想に。藤花は、声さえ出せなかった。反射的に両の太腿を跳ね上げたまま、顎を浮かせ、唇を尖らせ、視線を上空に泳がせる。沙綾香が『十番勝負』でドミニクに犯された時の、目の前に火花が散るという反応にそっくりだ。だが、似ているだけで違う。あの時の沙綾香は一瞬意識を飛ばすだけだったが、今の藤花は、蕩けるような笑みを顔中に広げていく。まともじゃない──そう直感する表情だ。
「やめて! わかった、言われた通りやるから!!」
 沙綾香も危険を察したんだろう。慌てた様子で叫ぶと、ロドニーの前で背を向ける。
「さや、か……」
 掠れたような声で呻く藤花を、一瞬振り返ってから、沙綾香は藤花の上に乗る。
「はぁ、はぁ、はぁ……っぐ、んん……んあぁっ、あ…………」
 腰を沈めるにつれ、沙綾香の息が詰まっていく。藤花に装着されたペニスバンドは、藤花の割れ目の部分はさほどでもないが、外に出ている部分はかなり太く、表面には凹凸も多い。それがドナンゼリーを塗り込められた肛門を抉るとなれば、その刺激はかなりのものだろう。
「ハハハハッ! モデルみてぇな娘っ子っつっても、2人分だとなかなか重いな。だが、重量感のある女は嫌いじゃねぇぜ!」
 ロドニーは笑いながら藤花の肩を掴み、下へと引き込んだ。挿入の速度が増し、ペニスバンドが一気に根元まで入り込む。
「っぎぐううううっ!!?」
 沙綾香の顔が歪む。口の右半分は閉じ合わせ、左半分は歯を食いしばるような非対称。瞬間的に激痛か、それに近い刺激を受けた証拠だ。そして、反応したのは沙綾香だけじゃない。
「ああああ゛あ゛っ!! 入る、入るううう゛う゛っ!!!!」
 沙綾香の下にいる藤花もまた、壮絶な顔を晒し、床についた両脚をぶるぶると震わせる。沙綾香が力んだことで上から圧が掛かり、ロドニーの物が深く腸内に入り込んだらしい。
「あっ!? ご、ごめん、藤花!」
「フーッ、フーッ……き、気にするな、沙綾香……。俺は、大丈夫だ……」
 すぐに振り返って謝る沙綾香と、そんな沙綾香を安心させようとする藤花。その涙ぐましい友情を、ロドニーが鼻で笑う。
「ほぉ、大丈夫なのか。なら、遠慮はいらねえな!」
 奴はそう言うと、激しく腰を突き上げはじめた。
「こっ、ほ!? おほっ、んおおお゛っ!!!」
 藤花が唇を尖らせ、『お』行の呻きを漏らしながら仰け反る。そうすると今度は、彼女の腰の疑似ペニスが沙綾香の腸内を抉ることになる。
「くはっ、あ゛っ!! んん、んくうお゛……っ!!」
 沙綾香は切なそうに身を捩り、腰を震わせた。
「ハッハッハ、これは面白い。まるでドミノ倒しだな!」
「ふふ、確かに。2人纏めてあの黒人に貫かれている感じで、興奮するよ!」
 ロドニーが腰を動かす度に恥辱の連鎖が起き、客はそれを見て満足そうに笑う。
「まだまだ、こっからだぜ!」
 ロドニーは客の方へ向けて叫ぶと、さらに腰の振りを激しくした。
「っがぁ、ん゛あ゛あああお゛っ!! ハッハッハッ……んひっい゛、お゛ごっ、ううぐう゛あ゛ッ!!」
 藤花は口を尖らせて悲鳴を上げる。完全に快楽で蕩けた顔だ。肛門からぶじゅっぶじゅっと水音がするたび、かろうじて床に接している脚の筋肉が浮き彫りになった。
 しかも彼女は、ただ受動的に犯されているだけじゃない。意識的にか無意識にか、自ら腰を沈め、足の裏をべったりと床につける。そして一秒後、ぶるっと全身を震わせながら息を吐き出すんだ。
「あの藤花って子、自分から腰押し付けてるよな、アレ」
「ああ。あんな、岩の塊のような物をよくもまあ……」
「完璧にアナルアクメに溺れてるんだろうな。いかにもマゾ奴隷って感じだ」
 客は藤花を見て囁き合う。どうやら『藤花こそがマゾ奴隷』という確信を固めつつあるらしい。とはいえ、まだ決めてはいないようだ。その証拠に奴らは、沙綾香にも注意を向けていた。
「ひい゛っ、はううう゛っ!! ぃいああぐっ、んはううう゛っ!!!」
 沙綾香にも、やはり余裕というものはない。無機質な黒い疑似ペニスで肛門を抉られながら、歯を食いしばって声を絞り出す。藤花に比べて、こっちは羞恥の割合が多いようだ。
 実際、苦しい状況だろう。ロドニーの突き上げの余波だけでなく、藤花自分も不定期に腰を跳ねさせるため、肛門を犯されるのにリズムも何もない。結果、不意打ちに近い形で腸奥を貫かれ、狂ったように腰を上下させることになる。
「うははははっ、凄い腰つきだ! ストリップでもあそこまで露骨に下品な動きはしないぞ!」
「なまじスタイルが良いせいで、余計惨めたらしく見えるな。うまく生きられれば、一生周りから持て囃されて、こんな恥を晒さずにいられただろうに」
「どうかな。結局はこの美貌のせいで、倶楽部に目をつけられたんだろう? これがこの娘の運命だよ。天は二物を与えずと言うだろう。女の誰もが羨む器量を与えられながら、女の誰からも軽蔑されるマゾ奴隷に貶められる。それでこそ、均衡が取れるというものだ」
「ほう、面白い考え方だ。そうだな……確かにこの娘は、ギフトに恵まれすぎている。帳尻合わせが必要かもしれんな」
 客は沙綾香を眺めつつ、勝手なことを口走る。『貶められる沙綾香が観たい』──その想いが滲み出ている。藤花をマゾ奴隷と認めた時と同じか、それ以上に強く。

                 ※

 肉のぶつかる音が響き、汗が飛び散る。
 3人の動きは変わらない。ロドニーが藤花を力強く犯し、藤花はそれを能動的に受け入れ、沙綾香が叫びながら腰を上下させる。その動きは刻一刻と激しさを増し、ある時ついにロドニーが笑い声を上げた。
「おいおい沙綾香、そんなに腰振んなよ。お前がそうやってケツ叩きつけてっと、藤花のマンコのディルドーが奥に入り込むだろ。せっかく処女膜には届かない大きさのを選んでやったのによ、今の調子だと玩具でバージン失っちまうぞ?」
 ロドニーのその言葉で、沙綾香が表情を変えた。悪趣味なことだ。藤花の純潔を脅迫材料に、沙綾香の行動を縛るとは。
「……!」
 沙綾香は顔を傾け、横目に藤花の顔を伺う。逆に藤花は、自分が観られていることに気づき、だらしなく開いた口を閉じ合わせる。
「さ、沙綾香、気にするな。勝手に腰が動いてしまうんだろう? 無理に抑えることはない、無理をすると気が触れるぞ。お前に処女を捧げるというなら、それもいい……」
 そう囁く藤花の口には、薄笑みすら浮かんでいた。幼い弟達から慕われる彼女らしい、思いやりに溢れる言葉だ。だが、ただでさえ藤花に負い目を感じている彼女が、そんな言葉に甘えることはない。
「んぐぐ、ぐ……っ!!」
 沙綾香は手足に力を篭め、藤花に密着したまま動きを止めた。ロドニーは遠慮なく突き込み、それを受けて藤花も腰を揺らすが、沙綾香はじっと踏ん張る。藤花の方へ体重をかけないように。だがそれは、ペニスバンドの刺激を余さず受け止めることを意味する。沙綾香の肛門はドナンゼリーで火照りきった状態だ。そんな場所で凶悪な責め具を迎え入れれば、平静ではいられない。
「ッあは、あおッ、あああおッ、うあ……っく、はあっ……!!」
 乳房を跳ね上げながら、沙綾香の上半身が弓なりに仰け反る。内腿が三角に窪み、足指が反る。開いた口から唾液が零れ、濡れ光る割れ目からも液が滴り落ちる。
「おら、おら! どうだ!!」
 ロドニーが沙綾香の反応をモニターで確かめつつ、入念に腰を遣う。今度は突き上げるのではなく、藤花の太腿を押さえ込んだまま、グリグリと横方向に腰を捻るやり方だ。ロドニーほど太さのある巨根でそうされれば、腸をこじ開けられる感覚は洒落にならないことだろう。
「っこほおお゛お゛っ!? やえろっ、やめてくれええ゛っ!! 拡がる、拡がる拡がる゛う゛ーーーーッッ!!!!!!」
 案の定、藤花は全身を震わせて絶叫する。そしてロドニーが太腿から手を離すや否や、解放されたバネのように腰を跳ね上げた。その結果、沙綾香の肛門に浅く嵌まっていた巨大ディルドーが、根元まで沙綾香に突き刺さる。
「うくお゛ほっ……!?」
 急所を突かれた。沙綾香の反応は、そういう風だった。見開かれた眼の中で、瞳孔が開く。両手は力なく空を掴む。そして、反射で180度開いた足の合間から、ぶしゅっと潮が噴き出した。透明な液は、何にも阻害されず、まっすぐ客の足元にまで浴びせかかる。

「…………エッロ…………。」

 客の一人が、感情を篭めて呟いた。手を握りしめ、前傾姿勢で沙綾香に見入る他の客も、無言で賛同しているようなものだ。
 そして、沙綾香の極限の反応に魅せられた人間は他にもいる。
「あああもう我慢できねぇ! おいロドニーさんよ、俺らも混ぜてくれや。クチなら使ってもいいだろ?」
「頼むぜ。まだ全員1回しか射精してねぇのに、こんなモン見せつけられちゃ生殺しだ。コックが破裂しちまうぜ!」
 やや離れて様子を伺っていた黒人共が、沙綾香達を取り囲んで騒ぎ立てる。
「へッ、そういやそうか。わかった、いいぜ。喉でも気持ちよくしてやれ!」
 ロドニーからはあっさりと許可が下り、黒人共が喜び勇む。何本もの剛直が準備を整えるが、黒人共の腰の高さや、折り重なった体勢の関係から、藤花の口に咥えさせるのは難しい。そこで必然的に、沙綾香がターゲットになった。
「しゃぶれ!」
 いつになく荒々しい口調でジャマールががなり立て、沙綾香の口に横から怒張を捻じ込んだ。
「んぐっ……!!」
 日本人平均の倍は太さのあるペニスだ。口に押し込まれた瞬間、沙綾香の顔が歪む。だが、性欲の滾った獣は配慮などしない。沙綾香の頭を抱え込み、思うがままに口内を蹂躙する。
「んぶっ、ぼうっ!! んぶうっ!!」
 紅潮した頬は、何度も亀頭の形に盛り上がった。
「ん゛お゛っ、ん゛ぉ゛う゛っ! おぉ゛う゛え゛っ!」
 たまに挿入方向がずれ、喉元が盛り上がると、短い嘔吐のようなえずきが漏れる。
「ああああダメだ、もたねえっ!!!」
 ジャマールは唸りながら腰を震わせた。沙綾香が呻きを漏らし、2秒後、口に収まりきらない精液がどろりと垂れる。本来ならこの射精をもって一区切りだが、今は相手が1人じゃない。
「よし、今度はオレだ!!」
 2人目にはレジャナルドが名乗りを上げる。奴は沙綾香の額と顎を掴み、顔を完全に自分の方に向けさせてから、深々と怒張を咥え込ませた。
「っふぅ゛ううう゛う゛おお゛オ゛オエ゛エ゛エ゛エ゛ッッ!!!」
 ただでさえ息の切れた状態で、ジャマール以上の太さを咥えさせられては堪らない。一瞬にして沙綾香の頬が膨らみ、見開かれた目から涙が伝う。それを見ても、レジャナルドはやはり同情などしない。脚を後方に踏ん張り、腰をやや押し出し気味にしながら、掴んだ沙綾香の口を『使う』。
「ん゛ごぉ゛うっ、オエ゛ッ!! ぉほも゛ろ゛ぉうええ゛ッ!!!」
 腰がぶつかるたび潰れる鼻の横を、次々に新しい涙が零れ落ちる。口からは普段以上に唾液や胃液が滲み、さっきの精液と混ざり合って、牛乳のような白さの泡を剛直の周りにびっちりと生み出していく。
 そして当然ながら、苦しいのは口だけじゃない。今の沙綾香にとっては、その地獄の苦しみですら副次的なものだろう。刺激のメインは言うまでもなく、腸を深々と抉る異物だ。
 彼女の脚はもう、180度の開脚から戻らない。大股を開いた藤花の脚が邪魔なのもあるだろうが、自らその角度を保っているように見えた。
 見事なスタイルだ。細く引き締まった腰から、思い切ったようにむちりと肉感的な太腿が広がっていく。だが、内腿の窪み具合は、その麗しいイメージとは正反対だ。彼女の中を巡る快感がどれほどのものか、考えずにはいられない。
「あはっ、ああははアおお゛っ!! さ、ささ、沙綾っ香、大丈夫、か……っ!!」
 藤花は沙綾香を案じて声を掛けるが、彼女にも余裕はない。ロドニーは藤花の責め方を見抜いたらしく、横に縦にと緩急をつけて腰を蠢かしていた。そのせいで、藤花の足先は床から離れている。肛門を貫くロドニーの剛直だけを支点にして、腰が完全に浮いてしまっている状態だ。
 その串刺し刑にも等しい状況に、藤花は余裕を残せない。黒目はほとんど上瞼に隠れ、口は涎を垂らしながら、笑みを完成させている。意味のある言葉を発せているのが、奇跡としか思えないレベルだ。
「そうーらサムライガール、またいくぜ。大好きな大好きな、この角度だ!」
 ロドニーがそう言いながら、奥まで入り込んだ怒張をグッグッと突き上げる。
「っあおオオオ゛ーーっ!!!!」
 藤花の微笑む口が縦に歪み、奥歯までを覗かせた。同時に腰も跳ね上がり、沙綾香の細身を宙へ浮かせる。
「うも゛ごっ、けェエ゛…………っ!!!」
 沙綾香は、えずき損ねたような呻きを漏らし、下半身を震えさせる。そして直後、肛門からぶちっと破裂音が響いた。続いて尻肉がヒクヒクと痙攣し、透明な液が細い奔流となって、藤花の腿を流れ落ちていく。
「おいおい、友達の上でクソすんじゃねぇよ。いくらアナル性感がバカになってるからってよぉ!」
 モニターを見上げたロドニーが大いに嘲笑い、その嘲笑をもって、凍り付いていたフロアの空気が動き出す。

「……すんげぇな」
 客から最初に漏れた一言は、やはりシンプルなものだった。それは、言語化できないほどの感情を抱えた証でもある。
「ああ。どちらも凄まじい……これは、決められんぞ」
「さっきは藤花の方に一票と思ってたが、あの沙綾香の反応はヤバイって」
「俺、逆だ。さっき沙綾香にしようと思ってたけど、藤花にド肝抜かれたわ」
 客がざわつく。最後の判断材料として催されたこの見世物が、かえって客の迷いを深くしたようだ。
 俺が客の立場だったとしても、今の一連の流れを観た上で、どちらかを切り捨てるのは難しい。少し思い返すだけでも、網膜に焼き付くレベルの衝撃的な場面が、まざまざと浮かぶ。沙綾香のものも、藤花のものも。
「おい、やっぱり決まらねぇじゃねぇか」
 ソファで一人煙草をふかしていた手越が、ロドニーに苛立ちの声を上げる。何か案でもあるのかと好きにさせたが、結局は遊びたかっただけか──そういう非難を孕んだ声色だ。
「カッハッハッ! 2発目のドナンかましてハメりゃ、どっちかヘバると思ってたが、結局見せ場を作っちまったぜ。女の友情ってのは紙切れみてぇなもんだと思ってたが、案外強ェな。ま、こうなっちゃしょうがねぇ。どっちをマゾ奴隷らしいと思ったか、インスピレーションで答えてくれ」
 ロドニーは可笑しそうに笑い、並み居る客の顔を見回した。腐っても元軍人。いかに態度が軽くとも、そうしてギョロリと一瞥するだけで、客に不満を呑み込ませる眼力がある。
「ま、強いて言うとな。マゾ奴隷と認められた女は、この後ここにいる黒人共に、朝まで可愛がられることになる。アンタらはそれを好きに見学したらいい」
 ロドニーはそこで言葉を切り、客を焦らす。
「ええっと、つまり……?」
 1人の客が待ちきれずに問うと、ロドニーは唇を吊り上げた。
「つまり、こういう考え方もアリってことだ。『延々とヤられまくる姿を見たいのは、どっちか』。完熟した実が、果汁を噴き出しながら貪られるのを観たいか? 熟れかけの実が、甘ーく熟していくのが観たいか? それで決めりゃあいい」
 ロドニーは諭すようにそう語り、藤花と沙綾香の脚を叩く。
「んっ……!!」
「くあっ、はああっ……!!」
 沙綾香と藤花は、その刺激だけで震えた。苦痛と快楽が混ざり合った、やや青い呻き。快楽が前面に出た、完熟の喘ぎ。それを耳にして、客が生唾を呑む。

 そこからは、喧々諤々の議論が繰り広げられた。沙綾香に魅力を感じる人間、藤花に魅力を感じる人間。それぞれにかなりの数がいた。だが最終的には、すでに完成されているものより、変わっていく姿が見たいという声が大勢を占める。
「俺達が選ぶのは……サヤカだ」
 20人の代表として、初老の男がロドニーにそう告げた。それを以って、3度目の『審査会』も沙綾香の勝ちで幕を閉じる。だがそれは、いつにも増して苦い勝利だった。
「アハハハハッ!! だってよ沙綾香、良かったなあ!? 尻穴専用の奴隷として、2週間以上も調教されまくったこの剣姫様より、お前の方がもっとマゾで変態らしいって認められたんだぜ? ったく、天才的だよなあ、“お嬢ちゃん”よう!」
 ロドニーはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の耳元に悪意を噴き込む。明らかに最後の一言は、明らかに財閥令嬢としての出自を茶化すものだ。
「…………ッ!」
 沙綾香の顔が歪む。
「…………くそっ! 俺が、身代わりになれていれば…………!!」
 藤花もまた、悔しげに唇を噛み締めていた。

 恥辱と後悔に彩られた幕引き。しかも、それで終わりじゃない。
「さあ、楽しもうぜぇ。“いつもみたいに”よぉ!」
 黒人共が沙綾香の腕を掴み、体液を滴らせながら立ち上がらせる。
 夜が更けた今から始まるのは、血だらけの身に塩を塗り込む、悪夢の宴だ。


                 ※


「くはっ、ああああ゛ッぐ!! はぁあっ、ひ、いひぎいいい゛っっ!!」
 ベッドにうつ伏せになった沙綾香が、悲痛な声を響かせる。そんな声が出るのに、何の不思議もない。
 『審査会』よりも盛り上げろ。ロドニーがそう命じたことで、黒人共は使えそうな道具や薬液をすべてかき集め、遠慮のないハードプレイを繰り広げた。
 モップで都合3度目になるドナン液を塗り込んでから、肛門に玉蒟蒻を10個詰め込み、ペニスサックを装着した状態で犯す。それが今のプレイだ。
 表面に凹凸や突起があり、長さも太さも増強するペニスサックは、日本人のペニスをも凶器に変える。それを黒人共がつければ、それはもう完全な拷問具だ。
「うははっ、すんげぇうねりだな。ちょっと落ち着けよ」
 背後から犯すマーキスが、沙綾香の反応を嘲笑う。奴は肉厚のペニスサックを選んだため、肛門から覗く逸物は、モーリスのそれをも上回る直径を備えている。
「ち、違うの! 私じゃない! もう自分じゃどうしようもないの、お願い、突かないでっ!!」
 沙綾香は喘ぐような口調でマーキスに乞う。だが、マーキスに哀願は通じない。
「馬っ鹿だなオメー。それ聞いて、俺がやめると思うか?」
 マーキスは沙綾香の肩を押さえ込み、顔面をシーツに押し付けながら腰を遣う。巨木のような太腿が沙綾香の上で踊り、バンバンと凄まじい音を立てる。
「うぎゅうぃいい゛い゛っ!!!! いいいイグッ、イグっいぐッッ!! し、子宮とお尻の奥で、どっちもイってるのぉ゛っ!!」
 沙綾香は無理矢理顔を持ち上げ、絶叫する。膝から下は狂ったように暴れ、何度も足の甲をシーツに叩きつけて、寝台そのものを弾ませる。それでも、マーキスは責めを緩めない。むしろ嗜虐の笑みを顔中に広げ、沙綾香の上腕を握りこみながら腰を落とし込む。今の沙綾香がもっとも嫌がるだろう、全体重を掛けて肛門を杭打ちするやり方だ。
「ふわぁわあああああ゛あ゛っっ!!!!」
 レイプ魔が確信をもって打ち込んだ毒は、細い身体へすぐに回った。普段ならまず出ない、幾重にも重なったような絶叫が絞り出される。
「あだま゛、真っ白になっちゃう゛っ!! お願いやめて、お願いお願いお願いいい゛っ!!!」
 沙綾香は泣き声を漏らしながら、せめてもの抵抗か、踵でマーキスの尻を蹴りつける。
「おーいおい、痛ぇなあ!」
 マーキスはどこか嬉しそうな声色を出しながら、制裁とばかりに前傾姿勢を深めた。膝を深々とシーツに沈み込ませ、グリグリと腰を回転させて、沙綾香の下腹部をベッドに圧し埋める。
「ッーーーーー!!!!!」
 沙綾香から、声にならない声が漏れた。マーキスに掴まれた腕の先がびくんっと強張る。抵抗を続けていた足も力を失くし、シーツへと落ちた左足だけが、病的なつま先立ちで脹脛を盛り上げる。
「おおおおおおっ、締まる、締まる! すっげえええっ!!!!」
 マーキスが驚きの声を上げながら、太腿を筋張らせた。どうやら射精に入るようだ。オーウ、オーウとマーキスが喘ぐ中、ふっと沙綾香の全身が弛緩する。女子高生らしい、むちむちとした肉感を取り戻した足の間から、水音が漏れた。カメラの角度的に直接は確認できないが、次々に変色していくシーツを見れば、何が起きたかは明白だ。

「ははは、また潮を噴いたぞ」
「いや、流石に今度のはションベンしょ。量すげぇし」
「潮もおしっこも大差ないって。にしてもあの子、ホントよく噴くよね。お尻の奥刺激されると、尿道も刺激されるからかな。膣挟んでるだけで、近いといえば近いし」
 客はワイン片手に、黒人と沙綾香のセックスを堪能している。空いた手で自ら慰める人間もいれば、百合で溜まりきった性欲を処理している奴もいる。20人近い男から順番に犯されるとなれば、彼女もだいぶ参っているようだ。とはいえ、沙綾香に比べればマシだろう。
「ふーっ、良かったぜぇ最後の締まりは。スーパーウーマンのバキュームフェラかと思ったぜ」
 マーキスは満足げに息を吐きながら、肛門の異物を引きずり出す。緩んだ肛門からは、コロコロと玉蒟蒻が転げ出た。マーキスはそれを笑いながらペニスサックを外し、沙綾香の口を開かせる。
「ほら、エクササイズ後のタンパク質と水分補給だ。いつもみてぇにちゃんと飲み込めよ」
 ペニスサックからこぼれ出た精液は、沙綾香の舌を覆い尽くす。ヨーグルトのような濃さがある上、普段に輪を掛けて凄まじい量だ。それを飲み込まされるというだけで、並の女子高生ならトラウマものだ。だが今の沙綾香にとっては、ささやかな不幸でしかないだろう。彼女には、感傷に浸っていられる時間などない。

 次番を勝ち取ったアンドレが、のっそりとベッドに上がる。奴はうつ伏せのまま放心する沙綾香の傍に膝をつくと、転げ出た玉蒟蒻をもう一度肛門へと詰め直す。そして沙綾香を仰向けにひっくり返すと、その両脚を掴み上げた。屈曲位だ。
 アンドレは寡黙だが陰湿だ。奴が装着するペニスサックは、先端がテニスボール大のシリコン球で補強されていた。奴はそれを、いきなり奥の奥まで潜り込ませる。
「おっぐぅううぅ!!」
 沙綾香の反応は大きい。つま先までが震え上がり、さっきの出し残しらしき液体が割れ目から流れ出る。顎を浮かせた顔は、その表情をしっかりと客に観られてしまい、局所的な大笑いを巻き起こした。
「いーい顔をしますなぁ、この子は……!」
「ええ。やはり“こっち”を選んで正解でしたね。凛々しい娘が惨めな顔になるのも面白いですが、トップアイドル級の美少女がこんな顔を晒すとなれば、もう一種の奇跡ですよ」
「うううむ……いかん、疼いてきた。おい、その給仕の穴はまだ空かんのか!? 緩いなら手なり口なり使って、さっさと済ませたまえ!」
 客が沙綾香の表情に鼻息を荒くする中、アンドレも獣じみた息遣いで腰を上下させる。膝裏を押さえ込みつつ、ぐうっぐうっと一突きずつ入念に押し込む責めだ。
「ォォ゛っ……ォ゛ッ!!! ォっお、ほおォ゛っ……ォ゛、おおっ……!!」
 声の出しづらい体勢だけに、沙綾香の呻きが小さく、低い。だが、彼女が感じているという情報は無数にあった。痙攣する太腿もそう。外側に反り返る十本の足指もそうだ。
 中でも、斜め上からのカメラに捉えられた表情は印象的だった。アンドレの肩を通して虚空を見つめるその顔は、田舎娘が初めて恋を知った時のように純粋だった。たまたま、呆然とした顔がそう見えるんだと信じたい。意味があってほしくない。特に、快感に骨抜きにされた顔というのは──。
「凄いな、お前。一人でイキっぱなしだ」
 ぼそりと、呟きが聞こえる。アンドレのものらしい。寡黙な男に言葉を漏らさせるほど、沙綾香は奴の望み通りの状態にあるらしい。
 アンドレは笑みを浮かべながら、ゆっくりと腰を沈めては浮かす。ぎしっ、ぎしっ、とベッドが軋み、初恋の少女の顔が、感動で笑うような顔に変わる。
「っ!?」
 沙綾香はすぐに意識を取り戻し、アンドレの肩を押し返す抵抗を見せた。だが、アンドレは止まらない。淡々と、しかし力強く腰を遣い、刻一刻と脆くなっていく沙綾香に同量の無理を強い続ける。
 木板に圧を掛け続ければ、ある瞬間にいきなり砕けるように、沙綾香はある瞬間、許容量を超えた。
「…………だめ……だめ、だめ…………っ!!」
 囁くような声が前兆となり、沙綾香の肛門からぶりゅっと音が鳴る。根元の太さは補強されていないペニスサックの脇から、玉蒟蒻が4個顔を出し、ボトボトと濡れたシーツに零れていく。静かな決壊だったが、だからといってショックが小さいとは限らない。
 アンドレが思うさま腰を遣い、射精し終えて足を解放した後、沙綾香は仰向けのまま伸びていた。
「ぉ……っふ、ぉぉお……。っうふ、ぉ……ッ……ほーーーっ…………」
 手足を大の字に開き、腰をヒクつかせて気絶したように喘ぐその様は、彼女がどれだけ深く達したのかを生々しく物語る。そしてもちろん、その休息すら十分には行えない。すぐに次のドミニクが沙綾香を抱え上げ、大得意の背面立位を客に見せつける。


                 ※


 床に崩れ落ちた沙綾香の髪を、モーリスが掴んで引き起こす。
「…………おら、シャンとしろ。寝てる暇なんかねぇぞ?」
 奴はそう言って、ザーメンまみれの怒張を咥えさせる。半勃ちとはいえ十分な張りを持った、ゴム管のような逸物。それを口で清めさせられる沙綾香は、今にも気絶しそうな有り様だった。顔は青ざめて汗に塗れ、眼にも口にも力がない。それはそうだ。つい今しがたのモーリスで、連続37回目のアナルセックス。フロアの至る所に、彼女から汗と涙を奪ったプレイの痕跡が残っている。
 そして、夜はまだ終わらない。
 口移しで水分を補給させられた後、沙綾香は強引に立たされ、背後からタイロンに挿入される。
「はっ、はがっ……あ、あ゛っ……っ!!!」
 ペニスサックも異物挿入もない、ナチュラルなアナルへの挿入。だが今の沙綾香は、それだけで顔に恐怖を浮かべて腹部を見下ろす。
「ははははっ、解りやすい反応だ。子宮が疼いて堪らんのだろうなあ」
「いや。それどころか、挿入されただけで子宮イキしたんでしょう。ほら見てください、膝に来ていますよ」
 客は沙綾香の反応を見て、すぐに絶頂を指摘する。多分、それは当たっているだろう。そして、ギャラリーにすら即座に看破できる状態が、挿入しているタイロンに判らないはずもない。
「おうおう、締まる締まる。吸いつく感じが戻ってきたじゃねぇか」
 タイロンは嬉しそうに囁きながら、沙綾香の割れ目に指をくぐらせる。
「あ、やあっ!! やめてよ、前はっ……!!」
「何がやめてだ、ケツに入れられてる間じゅうヒクヒクさせっぱなしのくせによ。ようお前ら、お嬢ちゃんが口寂しいってよ。前にオモチャでも当ててやれ!」
 タイロンが沙綾香を羽交い絞めにしながらそう言うと、他の黒人共も笑みを浮かべた。ドミニクが近くのマッサージ器を拾い上げ、スイッチを入れて、身動きの叶わない沙綾香の下腹へと宛がう。
「あ゛っ、あ゛ーーっ!! や゛っ、だめっ……んっ、んぐうっ!! はぁ、はぁ゛……っ!!」
 沙綾香は焦りを隠せない。ドミニクの顔を睨みながら、脚を内股に閉じる。
「どうした、隠すなよ。皆に見てもらえ!」
 ドミニクは沙綾香の脚を手で押し開き、強引に開脚させながらマッサージ器を宛がい続ける。
「んぐっう! おっ、おぉ゛っ、ぉお゛っ、ぉおお゛っ…………あ゛、ああ゛ーっ、あ゛ーーっ……」
 沙綾香の喘ぎが変わった。はっきりとした音を発しながら、足を菱形に開いて腰を前後させる。
「おーっ、イッてるイッてる。めっちゃ腹筋ヒクヒクすんのな」
「すげーっ。こんな可愛い子が、ケツハメ電マであっさり子宮イキとか!」
「それもガニ股でな。すげー絵面だわ、ホント」
 客が面白がる間にも、ドミニクはマッサージ器をグリグリと押し付け、沙綾香を追い込んでいく。雑な責めではあるが、今日一日で数えきれないほど達している沙綾香には、力押しの刺激でも十分に効くようだ。
「アアア゛っもう無理、もう無理ぃっ!! 見ないで、見ないでよぉっ!!」
 快感より、羞恥心の限界が先に来たんだろう。沙綾香は涙ながらに叫びながら、必死に脚を閉じ合わせる。だが、タイロンがそれを許すはずもない。
「そら、暴れんなって!!」
 タイロンは肛門に挿入したまま、沙綾香の太腿に手を掛ける。だが沙綾香が必死に抵抗するのを見て取ると、一旦下腹を抱え込み、グリグリと腰を押し込んだ。
「ひっぐ!?」
 沙綾香が顎を浮かせ、膝を震えさせる。
「くっくっ、便利だなここは。『開けゴマ(オープン・セサミ)』ならぬ、『開け結腸(オープン・コロン)』ってとこか」
 タイロンは笑いながら、力の抜けた沙綾香の膝を簡単に割りひらいた。すかさずその隙間へ、ドミニクのマッサージ器が入り込む。
「やああああっ!! お願いやめてっ! もうイキたくないっ!! お尻と子宮でイくのも、笑われるのも、もお嫌なのおっ!!」
 沙綾香はほとんど半狂乱になり、膝を上げて激しく暴れる。だが肛門を拡げられて力も入らないまま、黒人2人に抗いきるなど無理な話だ。
「やあっ、また……ふ、深いい゛っ!! ァあいく、イックうぅんッ!!」
 愛液を散らしながら狂ったように腰を振った挙句、強引に脚を開かされた体勢で公開絶頂を晒すしかない。
「はっはっは、また無様なイキ方だなぁオイ! 名付けてガマガエルアクメってとこか?」
「面白ェけど、ちょっと怖くもなるわ。人間って、こうやって壊れてくんだなーって」
「そうだな。つい2、3時間前までは、強気に睨みつけていたというのに」
「やー、でもしょうがないんじゃない? 俺らがあの立場でも、頑張りきるの無理っしょ。あのガタイの黒人とか、背後取られて腰掴まれた時点で心折れるわ」
 客は沙綾香の変化を可笑しがり、あるいは冷ややかに見ながら、それぞれに時間を楽しむ。わずか数十センチほどしか離れていないのに、沙綾香とは別世界の気楽さだ。

 その後も沙綾香は、客の目の前に晒されたまま、立ちバックの姿勢で犯され続ける。黒人とは精を放っては次々に入れ替わるが、沙綾香だけは休めない。
 自分の親と変わらない歳をした、20人の客……その眼前で、延々と恥を晒し、延々と肛門を犯し抜かれる。それは、どんな気分になることだろう。

「ぉっ、ぉおっ……おッ! ほッ、ッ、ォ、ォおっ……!」

 ある時点から、沙綾香の喘ぎが明らかに変わった。はっ、はっ、という喘ぎに混じって、『お』行の喘ぎが漏れはじめる。それまでにも突発的に発されることはあったが、出続けるのは初めてだ。
「どうしたんだろ、あれ」
「今まではなんとか我慢してたけど、諦めたんじゃない?」
「アッハ、女捨てたってこと? 笑えるー」
 客は当然変化に気付いて茶化すが、沙綾香は声を殺さない。顎を浮かせ、背中を弓なりに反らせたまま、肛門からの刺激に打ち震える。

 どうやらこれは、なんとかアナルセックス地獄へ耐え抜くための、苦肉の策だったらしい。次に沙綾香に表れた変化で、それが明らかになった。
「いや、もうお尻いやっ!! へ、ヘンになっちゃう! これなら、アソコ犯されてた方がマシ!」
 両手を背後に引き絞られたまま犯されていた沙綾香が、我慢の限界とばかりに涙を零す。客と黒人共は、この発言を予想していたのか、待ちわびたという顔で身を起こす。
「アソコってなんだよ、オマンコの事か?」
「そ、そうっ! オマンコなら犯していいから、お尻はもうやめて!」
 ロドニーが問うと、沙綾香はそれに引きずられて下卑た表現を口にする。それを聞いた客はどっと噴き出し、沙綾香も失態に気付いて顔を歪めた。だがそれも一瞬だけで、すぐに肛門の快感に吞まれていく。
「なるほど、よーくわかったぜ。だが、日本語で言ってもそいつらにゃ通じねえよなあ」
 ロドニーの言葉で、沙綾香がハッとした表情になる。彼女は声を震わせながら、黒人共相手に恥辱の哀願を繰り返す羽目になった。
「くっははは! そうかそうか、プッシーが恋しいってか。そりゃ奇遇だな、俺のコックもそう言ってんぜ。たっぷり前を可愛がってやるよ」
 黒人共は嬉々として提案を呑み、沙綾香をベッドへと連れ上げる。
 珍しくスムーズに要求が通った理由は、決まっている。調教師側にとって、都合のいい展開だからだ。

 ベッドに上げられた沙綾香は、トラバンに抱え上げられ、アナルに挿入される。
「あっ!? なんで、お尻はやめてって……!」
「後ろではやらないなんて言ってねぇぜ。前を可愛がるって言っただけだ。こんな風にな!」
 戸惑う沙綾香の股に割り入ったダーナルが、逸物の先を割れ目に宛がう。そして、嫌という叫びを聞きながら突き入れた。
「ひぃああああっ!! こ、こんな、こんな…………!!」
「おいおい、なんてツラしてやがる。二穴が初めてって訳じゃねぇだろ。毎晩やってんじゃねぇか」
 ダーナルは沙綾香の反応を笑い飛ばすが、肛門開発後の二穴責めが、前と同じであるはずがない。
「ああ、あああっ!! ひいっ、だめっ……あっ、あっ、あ、あああっ……!!」
 前後の穴に挿入され、腰を遣われて間もなく、沙綾香は喘ぎはじめた。数日前とは違う。肛門が未開発だった頃は、膣で大きな快感を得ても、それを肛門の異物感が阻害していたはずだ。ところが今は、後ろだけで悶絶するレベルにまで開発が進んでいる。となれば二穴責めの快感は、2倍どころでは済まない。
 上下から黒人二人に挟み込まれ、沙綾香の足裏が浮き上がる。足指が握り込まれ、快感で細かに震えだす。
「へへへ、プルプル震えてやがる。まるでバージンみてぇだ」
 ダーナルがそう茶化すが、沙綾香に取り合う余裕はない。
「こ、こんなの覚えたら……癖に、なる……。もう普通のセックスできなくなるっ……!!」
 沙綾香は、確かにそう言った。普通のセックスができなくなる、と。
 普通のセックスとは、俺との行為のことか?
 俺との思い出では、物足りなくなりそうだ……そう感じているということか?
「しなくていい。俺らのペットになれ。お前はいい女だ、一生可愛がってやる」
 トラバンがそう答え、下から肛門を突き上げる。
「あぐっ!!」
「そーら。ヨダレ垂らした、プッシーにもご馳走してやるぜ。熱々のフランクフルトをよ!」
 ダーナルも浮いた沙綾香の腰を掴み、パンパンと音を立てて膣を犯す。
「あ゛ッ、おひっ……んぐっ、んぐっ!!」
 上からも下からも逃れるように横を向いた沙綾香の顔が、モニターに映る。前髪が乱れ、汗と鼻水、涎に塗れたその顔は、とても未成年のそれには見えない。ベテランの娼婦……そういう艶を備えている。
「いいぜ、いいぜえ! アナルの壁がうねって、吸いついてきやがる!!」
「プッシーも最高だぜ。ヌルヌルトロトロで、柔らかくほぐれてよぉ。名器が、もっと極上の穴になっちまったぜ!!」
 トラバンとダーナルが歓喜の声を上げながら、沙綾香の二穴を蹂躙する。沙綾香は大股を開いてベッドを踏みしめ、快感に身を震わせ……最後には、トラバンに乳首を掴まれながら絶頂する。
「ん゛あああぁあああっ!!!!」
 全身を震わせての絶叫。それは今までのどんな声より、通りがいいように聴こえ、マイク越しに俺の鼓膜を痺れさせた。
 前後の穴から怒張が引き抜かれれば、どろりと白い液が流れ出し、穴周りがひくつく。今までは痛々しく思えたそれが、今は違って見える。
「はっ、はぁっ……はぁっ……はあっ…………」
 頬を上気させ、潤んだ瞳を見せる沙綾香は果たして、あの体内射精を嫌がっているんだろうか?
 ──なにを、馬鹿な。嫌がっているはずだ。俺はそう信じる。

 そう、信じたい。


                 ※


 2人一組で、五組。計10人全員がベッドで沙綾香を悶絶させた後、場所が変わる。客が寛ぐソファの前で、直立したまま挟み込む形での二穴責め。
「ほっお……! ごっ、おごっ、ごおお゛……っお゛……!!」
 今や沙綾香の喘ぎは、『お』の音ばかりだ。我慢を諦めたのか、それとも声など気にしている余裕がすでにないのか。
 少なくとも、余裕があるようには見えない。彼女の全身が、とてつもなく深い快楽を訴えている。前にいるモーリスの肩を掴む手も、抱え上げられた脚も、丸まった背中も、浮きっぱなしの顎も。
 延々と抜き差しの音が繰り返される中、沙綾香の痙攣の間隔が短くなっていく。コップが満ち、溢れるイメージが脳裏に浮かぶ。
「おほっぉ、お、お゛っ……お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」
 俺のイメージ通り、沙綾香は絶頂した。とはいえ、俺の予想など何も凄くない。
「はははっ、イッたイッた!!」
「この子の反応も、だいぶ解ってきましたな。意地が剥がれれば、存外に素直といいますか」
 俺に限らず、客も皆、沙綾香の絶頂のタイミングを読み切っている。
 抱え上げられた沙綾香の秘部から、びちゃっと音を立てて何かが落ちた。
「なんか出たぞオイ。腸液?」
「いや、腸液ってもっとサラサラしたやつだろ」
「じゃあ透明なクソか?」
「腸の本気汁なんじゃねーの」
「そんなんあるのか?」
「さあな、本人に訊けば?」
「いやいや。答え返ってくる感じじゃねーだろ、アレ」
 客としても、もはや食い入るように見てはいない。何度も見返した映画を観るように、リラックスした様子で眺めているだけだ。
 答えが返ってくる感じじゃない。その言葉通り、沙綾香の瞳にはすでに光がなかった。腕もぶらりと垂れ下がり、意識を失っているのが明らかだ。
「おいおい、ヘバんじゃねぇよ」
「俺らがまだ楽しんでる最中だろうが!」
 沙綾香の失神に気付き、モーリスとジャマールが前後から腰を入れる。
「ぉほっ!! お゛お゛お゛ぉ゛!!!」
 奥への挿入効果は覿面で、沙綾香はすぐに覚醒し、両脚を跳ね上げる。だがそれは、せっかく夢の世界に逃げられた彼女が、地獄へ舞い戻っただけのことだ。
「……ぉ、おねがい、ぁすませ……て…………。あたま、チカチカ、する…………お、おかひくなっちゃう…………」
 唾液を垂らしながら、か弱い声で哀願する沙綾香。だがもちろん、調教側に利のない願いなど聞き届けられない。
「そーら、そら!」
「どんどんイケ、どんどん狂っちまえー」
 モーリスとジャマールは疲れを感じさせない軽快さで腰を遣う。軽快だが、体格が体格だけに突き込み自体は重い。前と後ろから衝突を受け、沙綾香の下半身の肉が出鱈目に波打つ。
 あらゆる体液で汚れた足の裏が、黒人の脚に掴まろうとしては、うっすらと白い液を塗り付けながら滑り落ちていく。あの子が何らかの意思を見せ、それがあえなく剥がれ落ちる時……俺は、何とも言えない気持ちになる。

「ぉ…っほ、ぉおお゛……っ!! ほお、お、お゛ーっ、お゛ーー……っ!!」

 前と後ろから犯され続け、唇を奪われ、全身を震わせて呻く沙綾香。それを見守る客は、見届けるものを見届けたという面持ちだ。
「ほほ、凄い凄い……理性は残っているのですかね、あれは?」
「なんというか、下半身が丸ごと性感帯になっている感じだな」
「下半身で済みますか? あそこまでいくと、もう全身でしょう。子宮を裏と表から突つかれて、脳天からつま先まで感電してる感じだと思いますよ」
「あー、感電。確かにそんな感じだな。触るとヤバそう、色んな意味で」
 思いやりのない言葉がフロアを飛び交う。どいつもこいつも眼は冷たい。ただ一人違うのは、部屋の隅で首輪をつけ、深く腰を落としている藤花だけだ。
「よかったなぁお前。もし勝負に勝ってたら、お前が“ああ”なってたんだぜ?」
 迷彩ズボンの男が、藤花の胸を揉みしだきながら笑う。
「どうかな。実は、アレ見て羨ましいと思ってんじゃねぇか? 緩くケツ弄ってるだけなのに、マンコがヨダレ垂らしまくりじゃねぇか。お前も、ああしてほしいのか? どうなんだ、ええ?」
 剃り込み男が肛門のアナルプラグを抜き差しすれば、藤花の身体が震え上がった。だが、彼女は答えない。
「沙綾香……!」
 悲痛な声と共に、級友の姿を見守るばかりだ。

 そしてそれは、俺も同じ。変わっていく最愛の女性の姿を、歯噛みして見ていることしかできない。
 刻一刻と増していく不安に、心臓を凍り付かせながら……。



                         続く


 

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.5(中編)

Part.5(前編)の続きです。
また間が空いてしまい、すみません。
文字数が多すぎるため、Part.5は前・中・後編に分割します。
こちらはアナル調教パートの中編となります。

なお今回、藤花の回想シーンにあたる、
*********************************
で区切られた部分に、食糞を含めたかなりハードなスカトロプレイが存在します。
また、それ以外にも浣腸や排泄の要素が存在します。
苦手な方はご注意ください。




 前2回の審査会は、百合による昼の性感マッサージに始まり、夜の黒人輪姦を経て、翌日に実施という流れだった。ところが今回は、一夜明けても沙綾香が地下17階から戻ってこない。2日目の昼、精液まみれの百合がようやくVIP客達から返却された時も、モニターには“1号”達の小便を漏斗で飲まされ、狂ったように暴れる沙綾香の姿が映っていた。
 ギリギリまで追い詰めるつもりなんだろう。汚物責めを絡めたアナル開発は、相手が高潔であればあるほど効果的だ。藤花の調教記録を見れば、それが嫌でも理解できる。

 時計の針が14時を回った頃、下のフロアに客が集まりはじめた。モニターの映像内でしきりに特別扱いされている、『VIP』の連中だ。1人また1人とソファで寛ぎはじめるその頭数は、計20人。スウィートルームを思わせる下のフロアでも、許容上限に近い数だ。しかもその中には、ドレス姿の女の姿まであった。藤花の過去映像を見ていた時にも女がいたが、よくもまあ同性が汚辱に塗れる姿を見に来るものだ。
「今日はまた随分と集めたな。アナル趣味の変態共を」
 苛々を募らせて端塚に毒づいても、澄まし顔で微笑むばかり。
「当倶楽部の会員は、通常のセックスではもはや満たされない方ばかり。アナルを始めとしたアブノーマルな催しは、需要が高いのですよ」
 無意味な問答を交わしている間に、また下でセンサーが反応した。扉を開けて入ってくるのは、ガラの悪い男2人と、それに引き連れられた四つん這いの女。その顔立ちにも、ポニーテールにも、鍛え込まれた背中の筋肉にも見覚えがある。藤花だ。
「おおっ、これは……!」
「ハハハッ、首輪着けて裸で散歩とは。完全に犬だな!」
「見て、尻尾まで付いてるわ!」
 ソファで寛ぐ客達が入口に視線を向け、嬉しそうに騒ぎはじめた。
「ほら、チャッチャと進め犬ッコロ!」
 客へのアピールか。先頭に立つ迷彩ズボンの男が、藤花の赤い首輪に繋がるリードを引く。
「足止まってんぞ、オラッ!」
 金髪に剃り込みを入れた調教師も、背後から竹刀で太腿を打ち据える。
 屈辱的だ。過去映像の藤花なら、射殺さんばかりの眼光で調教師を睨み上げていただろう。あるいは、一度そうしてみせたように、竹刀を奪い取って完膚なきまでに叩きのめしたかもしれない。ところが、今は違う。そんな素振りは微塵もない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……す、すまない…………」
 乱暴にリードを引かれる中、藤花の顔に浮かんだのは悦びの色。瞳は潤み、頬は紅潮している。尻を竹刀で打ち据えられるたび、下半身がぶるっと震えるが、それも興奮で震えているようにしか見えない。
 何度となく竹刀の音を響かせた末に、藤花達はフロアの中央まで辿り着く。ソファから腰を浮かせた客達が、ゴクリと喉を鳴らした。
「なあ、調教師の兄さん。この娘はあれだろう? アナル調教エリアで大暴れして、倶楽部のセキュリティを何人も倒したという……」
 客の1人が尋ねると、迷彩ズボンの男はヘラヘラと笑う。
「そっス。やっぱ知られちゃってますよねー。でも、もう大丈夫。コイツは反抗どころか、俺らの命令には何でも従う奴隷ッス。その証拠に……ちょっと、この空ジョッキいっすか?」
 迷彩ズボンの男はそう言って、客が飲み干したビアジョッキを取り、藤花の足元に置く。その意味を図りかねて客が眉を顰める中、男は藤花を見下ろして口を開いた。
「藤花。そこにションベンしろ」
 衝撃的な言葉だ。犬扱いのみならず、そのもの犬の行為をさせるなど。だが、藤花は嫌な顔ひとつしない。
「わかった」
 薄笑みを浮かべてそう答えると、這ったままの恰好で右足を高く掲げる。そして全身に力を込められれば、数秒後、黄色い液体が性器のやや上から溢れ出す。
「うおおおおっ、やりおった!」
「ほおおお、これは! あの、倶楽部始まって以来のじゃじゃ馬娘が……!」
 客は驚き半分、興奮半分という様子で騒ぎ立てる。そういう反応になるのも当然だ。過去の藤花しか知らない人間なら、こんな真似をしているのが藤花本人と聞いても信じないだろう。瓜二つの別人と思うに決まっている。
「おら、零れてんじゃねえか。床のはちゃんと舐めとれよ」
 金髪剃り込みが、床に竹刀を叩きつけた。パイプ状の性器を持つ男ならともかく、女がビアジョッキの中だけに尿を収めるのは至難の業だ。当然ジョッキの周りには、かなりの量が飛び散っている。
「ああ」
 藤花は、やはり逆らわない。放尿を終えると足を閉じ、這い蹲って床を舐めはじめる。客からまた驚きの声が漏れた。

 藤花の劇的な変化に場が沸く中、ふいにモニターが消えた。そして代わりに、音が聴こえてくる。タァンッ、タァンッ、という音だ。階段を上がる音に似ているが、それにしてはやけに大袈裟だ。あの粗野な黒人共でさえ、そこまでの音を立てはしなかった。なら、あの音はなんだ。
 その疑問の答えは、入り口の扉が開くと同時に明らかになる。
 そこにいたのは、ロドニーと沙綾香だ。黄色いアロハにクロップド丈のテーパードパンツという、フォーマルから掛け離れた格好のロドニーは、赤い首輪をした沙綾香をリードで引き連れている。ただし、沙綾香は藤花のように這ってはいない。腰を深く落としたまま、左右の手首と足首を枷で繋がれている。その状態で移動するとなれば、足首の曲げ伸ばしで跳躍する『ウサギ跳び』しかない。さっきから聴こえてきていたのは、階段でウサギ跳びをする音だったわけだ。
「ふう、ふうう……ふう……っ」
 沙綾香は全身汗に塗れ、口に嵌め込まれたボールギャグからも大量の唾液を零していた。ウサギ跳びで2フロア分も移動すれば、そうなるのも当然だ。ただ、それ以外の要因もあるらしい。
「ははは。こっちも、か」
「こちらは前と後ろ、二穴とも埋まっているようですな」
「相当感じてるみたいねぇ。あのポタポタ垂れてるのは、汗か愛液か、どっちかしら?」
 客の視線は、沙綾香の下半身に集中している。モニターが普段通りの4画面に戻り、床からのカメラ映像が映し出されたことで、俺にも状況が理解できた。客の言葉通り、沙綾香の膣と肛門でバイブが唸りを上げていた。すでにかなり昂っているらしく、ウサギ跳びで移動するその経路に、点々と雫が滴っているのも確かだ。
「ゴール、っと」
 フロア中央に辿り着くと、ロドニーは葉巻を咥えたまま沙綾香の顎を掴み上げる。
「フーッ、フーッ……」
 沙綾香の反応は薄い。視線は虚空に投げ出されたまま、焦点を結んでいない。
「まるで、エクスタシーの最中だな」
 1人の客がそう呟くと、ロドニーは指を鳴らした。
「流石はVIPのダンナ、鋭いねェ。お察しの通り、コイツはここまでに何度もイってるぜ。ド変態だからよ、こうやってバランス崩しただけで……」
 ロドニーはそう言いながら、沙綾香の肩を突き飛ばす。ひと息入れている最中だった沙綾香は、踏ん張れるはずもなく、あえなく尻餅をついてしまう。
「むううう゛お゛っ!?」
 映像で散々耳にした呻きも、生で聴くと余計に哀れだ。そして、それは彼女の反応も同じ。腰を抜かしたまま太腿を痙攣させ、十本の足指を開いている様は、絶頂以外では有り得ない。客はその無様さを大いに笑い、イッたイッたと騒ぎ立てる。
「とまぁ、こんな具合だ」
 ロドニーは客の反応に気分を良くしながら、沙綾香のボールギャグを取り外す。
「ぷはっ……はぁっ、はぁっ…………」
 沙綾香は、唾液を零しながら周囲を見回し、俯いた。普段なら悪態の一つでも吐くところだが、審査会中と察して飲み込んだんだろう。察しの良い子だ。
 そんな沙綾香の様子を、藤花がじっと見つめていた。その視線に気付いたのか、沙綾香もやや視線を上向ける。極めて屈辱的な格好での再会。俺が初めて見た時の彼女達なら、どんな会話が交わされたことだろう。「見ないで」と恥じらいあうか、あるいは藤花が沙綾香に向けて、「矜持を保て」と叱咤したかもしれない。
 だが今、実際に藤花の口から発された言葉は、意外なものだった。
「かなりバストが育ったな、沙綾香。それでも俺には敵わないが……俺も毎日、愛情を込めて可愛がって頂いているからな」
 藤花は、沙綾香の胸の膨らみに視線を落とし、そんな事を囁きかける。
「バスト……?」
 沙綾香にとっても予想外の言葉らしく、オウム返しに繰り返すばかりだ。そんな沙綾香の前で、藤花は首輪を引かれて立ち上がる。
「おおっ……!」
 客から驚きの声が漏れた。衝撃を受けたのは俺も同じだ。
 藤花の裸体を生で目にするのは、これで二度目。だがその印象は、前とは全く違った。
 剣道一筋に鍛え上げ、筋肉質に引き締まっていた鋼の身体が、曲線的なラインに縁どられている。太っているわけではないが、匂い立つほどに女性的だ。それは、藤花が心まで女になったことを象徴しているかのようだった。
 そして、彼女自身が語る通り、その乳房の変貌ぶりは圧巻だった。元々『俺』という1人称にそぐわない豊かさだったが、それでもせいぜいFカップ程度だったろう。それが今や、皮袋に小ぶりなスイカを入れ、鎖骨からぶら下げているような有り様だ。
「おっほほ、またスゴい胸だな。何カップあるんだね?」
「えーっと……すんません、カップとか正味わかんねッス。色々注入して肥大化させてるんで、IとかJぐらいスかね。あ、あと最近、興奮してる時は母乳出るようになったんスよ」
 客からの質問に、剃り込みの男が頭を掻きながらケラケラと笑い、藤花の乳房を揉みしだく。
「ふああっ、あっ……」
 ただ乳房揉まれるだけで、藤花からは甘い声が漏れた。そしてその乳頭からは、剃り込み男の言葉通り、白いものが噴きだす。
「おっ。んだよテメェ、いつになく敏感じゃねえか。今日のために、丸一日お預け食らってるもんな。ケツハメが好きで仕方ねぇテメェのこった、焦れて仕方ねぇんだよなあ?」
「あ、ああ……そうだ。5号ビーズじゃ刺激が足りない。調教師様の男らしいペニスで、俺のだらしない尻の穴を、壊れるぐらい犯してくれ!」
 剃り込み男の問いに答えるハスキーボイスは、紛れもなく映像で耳にした藤花のそれだ。だが、内容は耳を疑うものでしかない。
「と、藤花……!」
 沙綾香が愕然とした表情になる。逆に調教師2人は、脇腹を抱えてゲラゲラと笑っていた。
「はははははっ! そうしてぇのは山々だがよ。今日はそれ俺らの役目じゃねンだ。俺らバイトじゃなく、ここの正調教師様にたっぷり可愛がってもらいな。だがまぁ、餞別代わりに刺激をやるよ。そこに手ェついて、尻向けろ」
 剃り込みの男が命じると、藤花は嬉しそうに頬を緩め、近くのガラステーブルに手をついた。
 突き出た尻の少し下に、掠れたラクガキの跡が見える。モニター越しになら、その文字まで判別できた。
『剣姫様、中年ペニスの突きでまたまた失神一本負け!』
『ドナン足首アクメ記念』
『剣道って、こんなにケツ緩くてもできるんだね』
 客が面白半分に書き殴ったものだろう、悪意に満ちた言葉ばかりだ。
「なっ……!!」
 親友への侮辱を見過ごせず、沙綾香が怒りを露わにする。剃り込み男は、そんな沙綾香の反応を可笑しがりつつ、藤花の“尻尾”を握りしめた。
「そーらいくぜ、深呼吸して落ち着けよ。テメェは興奮すっと、すーぐケツアクメで気絶すっからなぁ」
 そう一声掛けてから、一気に“尻尾”部分を引き抜いていく。
「う、くはっ……んんんぉおおお゛お゛ッッ!!!」
 藤花の迸らせた声も凄いが、肛門を捲りながら抜け出ていく物もまた凄まじい。直径5センチはあろうかという玉が、いくつも連結されたものだ。普通の女子高生なら、一つめの玉を押し込んだだけで悲鳴を上げることだろう。
「うおおお、これは凄いアナルパールだな……。球のひとつが、まるで握り飯だ」
「これを埋め込まれておきながら、刺激が足りないと言っていたわけか。底なしの性欲だな」
 客がざわつく中、藤花は額から汗を垂らしつつ振り返る。精悍という表現が相応しいその顔立ちは、いつかの『大和男児』そのものだ。だからこそ余計に、肛門周りの異様さが増すわけだが。
「はっは、大したパフォーマンスじゃねぇか。なら、こっちもお披露目といくか!」
 ロドニーがそう言って、沙綾香の背後に屈みこんだ。
「ケツ上げろ」
 そう短く命じ、沙綾香の尻が浮くと、肛門から突き出たバイブのグリップを握りしめる。
「ん、くっ……んはああぁっ!!!」
 沙綾香から漏れた声は、藤花よりもだいぶ澄んでいた。十分に愛らしいと感じられる範疇だ。一方で肛門からは、醜悪なバイブが抜け出ていく。そこそこの太さに、無数のイボ。
「ほお、これは……まるでゴーヤだな。出し入れすると刺激が強そうだ」
「確かに。まあ、さっきに比べれば可愛らしいものだが」
 沙綾香の肛門から引きずりだされたバイブを見て、客が笑う。ざわついていた藤花の時に比べて、幾分平和的だ。確かにバイブの大きさはさっきより小さめだから、そんな空気感になるのも解る。
 ところが、本番はその後だった。バイブがようやく全て抜け出たその瞬間、ゴトン、と別の音が響く。
「ん?」
 客が訝しがる中、さらにゴトン、ゴトン、と音がする。それに続いて、やや腰を浮かせた沙綾香の足元から、金属の塊が転げ出した。形も大きさも、ちょうど鶏卵程度。それが3つも4つも転がっていく。
「え……あれって、肛門から……?」
「うむ、入っていたらしいな……」
呆然と見守る客の前で、鶏卵状の金属がさらに産み落とされていく。今で、とうとう7個目。さっきのバイブと同時に詰め込まれていたことを考えると、生半可な質量じゃない。平和的に笑っていた客も、さすがに顔が引きつりはじめた。
「7個、か。あと3つ足りねぇな。土産として詰め込まれたのは10個だったろ。全部出せ」
 ロドニーが転がり出た金属球を数えて首を振り、沙綾香の尻を叩く。
「んふーっ、ふーっ、ふーっ…………!!」
 沙綾香は必死に眉根を寄せて息んでいた。ぶりゅっ、という音が肛門から鳴り、続けてゴトンと音がする。その流れに、客が噴き出した。
「ふっ、くははははっ!! 今の音、まるで排便だな!」
「いや、タマゴ生んだんだから出産だろ。そら、ニワトリみてぇに鳴いてみろよ。コーッコッコッコッってよお!!」
 喚き立てる客に囲まれながら、沙綾香は頬を真っ赤にして息みつづける。最後の2個が中々出ていかないらしい。
「ん、んんんっぐ、ふ、う……くっ!!」
 何度も苦しそうな声を出し、その末に腰が浮く。
「ふ、んっ……! うんんんンンンーーーー~~~っ!!!」
 ようやく残りを排出した瞬間、沙綾香から漏れた声は、おそろしく気持ちよさそうなそれだった。何度か耳にした、声にもならない『たまらない』という呻き。
「わははははっ、なんという声を!!」
「尻からタマゴをひり出しながらこの声とは。流石はこのフロアの奴隷、大した変態ぶりだ!」
「最後は2つ纏めて出たのか。こんな物を2つ一気に産めば、確かに刺激は凄そうだな」
「卵が10個に、あのバイブ……どうやら、さっきの娘以上の量が詰まっていたらしいな。この細い腹の中に」
「しかも、それで感じてたらしいな。卵にもバイブにも、ヌルヌルの腸液が纏わりついてやがる。エッロいなあ、ったくよぉ!」
 ある客は手を叩いて笑い、ある客は生み出された金属球を見ながら感想を漏らす。そのどちらも、沙綾香にとっては地獄だろう。しかも、恥辱はさらに続く。
「これで両方、無事にアナル栓が抜けたわけだ。今のケツの状態を、お客に見てもらえ。そこに並んでよ」
 ロドニーは、さっき藤花が手をついたガラステーブルを指差して命じた。
「っ!!」
 沙綾香が息を呑む。冗談じゃない、という心持ちだろう。とはいえ、審査会の最中では逆らいようもない。手首足首の拘束を解かれた沙綾香は、千鳥足でガラステーブルへ歩み寄り、藤花の横で手をついた。
「よーし。ケツを突き出して、自分で開いてみろ!」
 ロドニーがさらに命じると、左の藤花は堂々と足を開き、両手の指を使って全力で肛門を開いてみせる。一方で右の沙綾香は、内股気味にしか足を開けず、肛門に添えられた指も震えていた。
「おうおう、まるで男と女だな。性格の違いってやつか?」
「だが、穴自体はどちらもよく拡がっているな」
「あんな物を飲み込んでたんだもん、当然でしょ」
「菊輪が充血して、ぽってりと盛り上がっているな。完全に中級者以上のアナルだ」
「ああ。肛門というより、濡れた人妻の唇という感じだな」
「確かに。よーしお前ら、ケツで挨拶してみろ。クパクパ開いたり閉じたりしてよ!」
 客は、2人の肛門を大声で品評するに飽き足らず、下劣な芸をも強要する。極めて屈辱的な状況だが、藤花はもはやそれを何とも思わないらしい。後ろの客に媚びたような目線を送りながら、躊躇いなく肛門を開閉してみせる。その行為に気付き、沙綾香が目を丸くした。
「はっはっは、楽しませてくれるじゃないか!」
「ほら、右のオンナ。おめーもだよ、早くやれ!」
 藤花の媚が賞賛される中、沙綾香にも命令が飛ぶ。
「…ッ!」
 沙綾香の羞恥心は健在だ。羞恥を押し殺そうとしても、完全には殺せず、一瞬だけ下唇を噛み締める。それを経て披露される財閥令嬢のパフォーマンスの価値を、あの客達はどれだけ理解していることだろう。
「くはははッ、いいぜいいぜ! そーら、もっと早口言葉でやってみな!」
「ふふふふ。女子高生2人の尻芸か、堪らんな。この倶楽部に入って正解だった」
「あの右のガキ、なんつう脚の長さだよ。胴体2つ分あるぜ。脚眺めてるだけで、十分オカズになっちまう」
「ああ。マンコはだいぶ使用感あるが、それはそれで悪くねぇ。完璧すぎるってのも面白味ねぇしな」
「私は左の娘だな。腿と脹脛の張り具合といい、膝裏の窪みの深さといい、実に機能的で美しい。まるで競走馬のようだ」
「あああ……ぷっくりしたケツ穴にぶち込みてぇ!」
 客には一切の遠慮がない。自分の欲望をそのままに口にしている。聴いているだけで気分が悪い。自分の娘や姪っ子に、目の前で精液を浴びせかけられている気分だ。


                 ※


「ほう……これはまた、ひどく屈辱的なポーズだ。アナルプレイは、羞恥が肝……流石にロドニーは、その辺りがよく解っているようです」
 フロア下の様子を眺め、端塚が笑いを零す。その視線を追うまでもなく、モニターにも恥辱の映像が大きく映し出されていた。

 藤花と沙綾香は、2人して『マングリ返し』の恰好を取らされている。女性にとって最も屈辱的なポーズの一つだけに、調教で多用される体位だ。ただし今回のそれは、普段とは少し違った。
 背中を床につけ、膝が鎖骨の真上まで引き上げられている点は、通常のマングリ返しと変わらない。違うのは、2人が向かい合う形で並んでいることだ。大股を開いたまま、ほぼ真上に持ち上げた脚……その足首と脹脛の半ばほどが、拘束帯で連結されている。沙綾香の右脚と藤花の右脚、沙綾香の左脚と藤花の左脚をそれぞれ繋ぐ形だ。そのせいで2人は今、すり合わせた膝と股間とで菱形を作りながら、恥じらいの場所を晒すがままになっている。
「ははは、これはまた凄い格好だ。容赦がないですな、調教師さん」
 客の1人が歓喜し、ロドニーに呼びかける。ロドニーは葉巻をくゆらせながら客を見下ろした。
「だろ? 軍にいた頃は、ゲリラの尋問ばかりやってたからな。気の強ェ少年兵(ボーイ)をどうすれば素直にさせられるか、色々と試したもんだ」
 ロドニーはそこで煙を吐き出し、少女2人に視線を戻す。
「あのやり方は合理的でよ。ロープさえありゃ、ジャングルの真っ只中だろうがキャンプだろうが、どこででも出来ちまう。その割に効果は抜群だ。ズボンひん剝いて、あの縛り方で放置しときゃ、気の弱ぇガキなら3日ともたず音を上げる。ジャングルの近辺にはとにかく虫が多いが、そいつらが体を這い上ってくるのも防げねえし、ションベンやクソを漏らしたら最後、全部テメェやテメェの仲間の顔面にぶっかかるってわけだ」
 ロドニーの言葉に、客が苦笑する。それを愉快そうに眺めながら、ロドニーはさらに続けた。
「それで折れねぇガキは、もう一押ししてやりゃあいい。たっぷりとクソが溜まった頃合いで浣腸をぶち込んで、アヌスがヒクヒクしてきたら、黒人のペニスでグチャグチャに犯してやるんだ。そうするとよ、スゲェぜ。カラカラの喉から絶叫絞り出して、狂ったように脚を痙攣させるんだ。だがいくら暴れたところで、逃げようもねぇ。結局はテメェのクソで全身を泥色に染めながら、射精するんだ。そん時のザーメンの量と勢いがまたすごくってよ、相方の顔へ満遍なく浴びせかかって、ドロッドロにしちまう。そのまんま俺と部下でケツ使い回して、キンタマが空っぽになるまで犯し抜いてやりゃあ、メス猫みてえな眼ェした男娼2人組の出来上がりってわけだ」
 唖然とする内容だ。ドレス姿は口に手を当てて笑っているが、男となると表情筋をもじつかせるばかり。
「……なんというか、股間がムズ痒くなる話だ。だが、それをこれからやるわけだな? あの2人に」
 客の一人がそう切り出すと、他の客も表情を変える。確かに、ロドニーの昔話に惑わされている場合じゃない。問題は、その苛烈な責めが、これから沙綾香達に施されるという現実だ。

 20人の客が期待の面持ちで見守る中、責めの準備は着々と進められた。まずは百合が、濡れタオルで藤花と沙綾香の股間周りを丁寧に拭う。その上でロドニーから指示を受け、調教道具を収納ラックから取り出してくる。金盥、ガラス製の浣腸器、極太のアナルプラグ、拘束ベルト……完全にアブノーマルプレイ用だ。
「始めるか」
 迷彩ズボンと剃り込み男が頷き合い、湯の張られた金盥を藤花達の腰に近づける。続いてその中に、白い粉を溶かし込み、さらに瓶入りの透明な薬液を少し垂らす。その様子はモニターに映し出されているから、拘束されて上しか向けない沙綾香達にも確認できる。
「何の溶液を作っているか、解るか?」
 ガラステーブルに腰掛けたロドニーが、沙綾香達に問いかけた。沙綾香は不安そうな表情のまま、口を閉じている。一方で藤花は、微かに目を輝かせた。
「まさか……ドナン、か?」
 その一言で、沙綾香が目を見開いた。反応するに決まっている。藤花の鋼の心をへし折った、最凶の浣腸液。俺と沙綾香は映像を通して、その恐怖をまざまざと味わったんだ。
「ああそうだ。ぬるま湯に塩化マグネシウムを溶かして、ほんの少しグリセリンを混ぜりゃあ、最強に効く」
 迷彩ズボンの男が藤花に語りかけながら、ガラス浣腸器を拾い上げた。剃り込み男も同じく浣腸器を構え、金盥へと浸していく。シリンダーの空気が追い出され、次に薬液が吸い上げられる。
「そら、いくぜ」
 調教師2人は、親指で肛門を押し開きつつ、浣腸器の嘴管を突き込んだ。そして一切の躊躇なく、ピストンを押し込んでいく。
「あっ……!」
「んっく……!」
 二つの声が重なって聴こえた。一つは悦びの声、一つは苦悶の声。どちらかの発したものかは、考えるまでもない。
 シリンダー一本分の薬液がきっちりと流し込まれ、嘴管が引き抜かれる。そのタイミングで、二度目の声が上がった。
「んんん、ふくうっ……!!」
「うあああっ、あ、熱ッ!? や、やだっ、お尻、がっ……!!」
 今度は、藤花が嬉しそうに唇を噛み、沙綾香が声を上げる形だ。
「おーお、正反対のツラしてやがる。ドナンの良さを知ってるヤツと、初めて味わうヤツの差だな。そこのエロいガキ、どうだ。ドナンは凄ェだろ? 藤花も浸ってねぇで、どんな具合かお客様に解説してみな」
 迷彩ズボンの男が、沙綾香と藤花の顔を眺めながら茶化す。
「はっ、はっ、はっ……ああ、ドナンは凄い……。入れられた瞬間に、腸の中が煮え滾ったようになるんだ。次の瞬間には、尻の穴が痺れて、まるで制御が利かなくなる。便意とは全く違う作用で緩んで、開いて、外に捲れかえってしまうんだ。そうなったら、もう、我慢などできない……便が、垂れ流しに、なる……っ!!」
 藤花がかろうじて発した言葉は、彼女の肛門の動きで証明された。道具でこじ開けた場合とは違い、内から外へと自ら花開いていく。花弁はヒクヒクと痙攣し、涎が垂れるように黄色い筋が垂れ落ちる。
「おおっ、あれは……!」
「色は薄いけど、クソ汁ッスね。お客様にあんまり汚ぇモン見せるのもどうかと思って、藤花にはここ3日ばかり、ゼリーと俺らのザーメンしか食わせてないんス。透明になるかと思ったけど、さすがにちっとだけ胆汁の色が混じっちまってますね。んで、あっちのモデルみてーな嬢ちゃんは……」
 迷彩ズボンの男は、言葉を切って沙綾香の方を向く。沙綾香は、すでに何人もの客から顔を覗き込まれていた。その理由は、考えるまでもない。窮地に追い込まれた彼女の顔は、本当に男の心を揺さぶるからだ。
「だめっ、お尻、ひらいちゃう……で、でちゃっ、でちゃってるうっ!!」
 目を見開き、口を薄く開けながら、決壊を訴える沙綾香。その肛門は、やはり藤花と同じく外へと捲れ上がり、薄黄色の汚液を背中側へと滴らせている。
「ひひひっ、こっちもクソ汁がダラダラ垂れてやがる!」
「顔もスタイルも極上なのに、ケツとマンコだけがグチャグチャとはな。いい塩梅じゃねぇか!」
 心無い言葉が浴びせかけられ、沙綾香の眉が困ったように下がる。
 調教師の2人は、そんなやり取りを笑いながら、またガラス浣腸器を手に取った。
「さて。御覧の通り、ドナンは強烈で、あっという間に漏らしちまいます。でも、すぐ出すだけじゃあ面白くないっスよね。っつーわけで追加浣腸キメて、今度はもっと、思いっきり我慢させます。よろしくー」
 剃り込み男がおどけた口調でそう告げると、客は一気に色めき立った。逆に、被虐側の2人は息を呑む。
「さて藤花。経験者として聞くが、あと何本入れたらいい?」
 迷彩ズボンが藤花の傍に屈みこみ、そう問いかける。藤花は若干目を泳がせた。
「ええと、そう……だな。俺は4本はいけるが、浣腸に慣れていない沙綾香は無理だろう。あの子は、もう1本だけにしてやってくれ」
「なーるほど……んじゃ、両方4本だな」
 この倶楽部の調教師は、どいつもとことん意地が悪い。わざわざ問いかけ、その答えにかかわらず無理を強いる。
「ま、待て、なぜそうなる!?」
「そりゃお前、どっちかだけ少ないってことになりゃ不公平だろーが。じゃあどっちに合わせるっつー話だが、キツイ方に決まってるよな。だから、4本だ」
 迷彩ズボンは嬉々としてそう答え、浣腸器で薬液を吸い上げる。その逆側では、剃り込み男も同じく浣腸の準備を整えていた。
「おら、いくぜ!」
 浣腸器の先が、開ききった肛門に近づいていく。すでに肛門は開ききっているため、ピンクの粘膜へ直接浴びせかける形でドナン液が注がれていく。
「あっ、あっ、あっ!!」
「んくううっ、あっく、はあ、ぁっ……!!」
 藤花と沙綾香が悲鳴を上げる中、空になった浣腸器がまた薬液で満たされ、腸内へと注ぎ込まれていく。宣言通り、きっちり4本分。それが全て注がれ終わる頃には、早くも2人の肛門は開閉を繰り返し、汚液を垂らしはじめていた。
「よし、と。んじゃ、蓋すっか!」
「おう。コイツで、きっちりな」
 迷彩ズボンと剃り込みの男は頷き合い、浣腸器を置くと、代わりに妙な物を拾い上げた。アナルプラグの一種らしいが、プラグの台座部分から4本のゴムチューブが伸びている。おまけに、プラグ部分のサイズが半端じゃない。キッチンエリアに並ぶタンブラーグラス以上だ。
「はははっ、またデケエ栓だな!? ケツに入れていいサイズじゃねえぜ!」
「確かに、ありえないデカさッすけど……ま、見ててくださいよ」
 噴き出す客を横目に、調教師2人が特大のプラグを肛門へと押し込んでいく。挿入はスムーズだ。おそろしく巨大な栓だというのに、腸内のどこにも引っ掛からない。
「ほら、入るっしょ? ドナン使うと尻の穴がガバガバになるんで、栓としちゃあこのサイズでも小さいんスよ。だから、こうして……」
 アナルプラグを根元まで押し込んだ調教師は、続いてそれを固定にかかった。沙綾香達の腰に黒い拘束ベルトを巻きつけ、そのベルトのフックに、引き絞った4本のゴムチューブを先端の金具で引っ掛ける。その結果出来上がるのは、プラグの台座を中心とした、黒いX字だ。
「これで、もう自力じゃ絶対抜けねぇッス」
 迷彩ズボンの男が、張り詰めたチューブを指で弾いて笑う。
「うへ、キツそー。確かにこりゃ、どんだけ息んでも抜けねぇヤツだわ!」
「ゴムが引っ張られすぎて、肉に食い込んじまってるもんなあ。おまけにそれで、いい具合にマンコが盛り上がって……ひひ、エッロいなあ!」
 客は沙綾香達の頭上から、チューブで絞り出された割れ目を無遠慮に眺めまわす。年頃の少女には耐え難い恥辱だろう。だが、沙綾香達にはそんな視線に構う余裕すらなかった。なにしろ4本分のドナン浣腸を注がれたんだ。すでに便意は最高潮に達していることだろう。事実、彼女達の腹からは唸るような音が漏れ、額にも目視できるレベルの脂汗が浮いている。
「うっ、く……!! うはあ、はっ……あああ、あ……!!」
「はぁっ、はぁっ……沙綾香、無理はするな! 堪えきれなくなったら、調教師の方に排便をお願いするんだ。ドナン浣腸は、他の浣腸とは訳が違う。我慢しすぎると心が壊れる。俺はそれを、身に染みて知っているんだ!」
 苦しがる親友を案じる、藤花の言葉。それを聞いて、調教師2人が腹を抱えて笑いはじめた。
「ハハハハハッ! 身に染みて、か。だろうなあ、お前はよぉ!」
「ああ。一回目のドナン浣腸でギャンギャン泣き喚いた挙句、二回目じゃ『あんな宣言』までしたんだからよ!!」
 生粋のサディスト2人の馬鹿笑いは、当然ながら客の興味を引く。
「ほう、それは気になるな。もしやそれは、17階の記録でカットされていた部分かね?」
「あ、あれ見たんスか。そッス。乱闘騒ぎとかあったんで知ってる人多いでしょうけど、この藤花ってガキ、最初はすげえ反抗的でしたからね。ガチに心折んぞってことで、結構エグい汚物責めもやったんスよ。でも、ハードなスカって、あっこのモニターじゃ流せないんス。耐性ないお客さんが、うっかり見て吐いたりするんで」
「はははっ、確かにありそうだ。私はそういう類が好きで、むしろ観たいがね」
「俺も見てぇな」
「アタシも、気になるわ」
 1人がそう言うと、他の客も同調する。その中には女もいた。煌びやかなドレスを纏い、小綺麗にしていても、腹の中は随分とドス黒いようだ。
「へへ。さすがVIPの人らともなると、ガチの変態っすね。じゃ、藤花の心完全に折った時の映像流しましょっか。普通にクソ食わせたりしてるんで、そういうの大丈夫な人だけモニター見といてください」
 調教師は嬉しそうにそう言うと、壁際で寛ぐロドニーに何かを頼む。
「お前らが“エグい”っつーんだ、相当だろうな。くわばらくわばら」
 ロドニーも嬉々としてリモコンを操作し、モニターに映像を流しはじめた。拘束された藤花と沙綾香にとっては、悪夢に等しい過去記録だ。

                 ※

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 巨大なモニターに、拘束された藤花の姿が映り込む。汚れのひどい壁や床、天井に取り付けられた滑車とフック……拷問室を思わせる物々しい風景は、地下17階特有のものだ。
 藤花は、すでにボロボロだった。明らかに顔がやつれ、覇気がない。大和男児としての心が、すでに折れかけている状態に思えた。多分それは、彼女の周りに散乱する道具と無関係じゃないだろう。おそろしく巨大な球がいくつも連なったアナルパール、棘付きの棍棒を思わせるディルドー……そういった凶器は、どれもこれも妙な粘液に塗れている。
『さて。そろそろ、エサが消化された頃だよな』
 瞼や鼻、唇にびっしりとピアスを着けた男が、そう言いながら藤花の背後に洗面器を置いた。洗面器には、すでに薬液が張られている。ピアス男はそこに浣腸器を浸し、キュゥゥッという音と共に薬液を吸い上げた。
『お待ちかねの、ドナンだ。今度は3本くれてやる。尻を上げろ』
『………………ッ!!!』
 ピアス男が耳元で囁きかけると、藤花の身が強張る。すでにドナン浣腸の恐ろしさを知っているらしい。ピアス男はその反応を楽しみながら、藤花の剥き卵のような尻を上げさせ、浣腸器の先を肛門へと挿入する。
『……くっ……!!』
 ピストンが押し込まれたその瞬間、藤花の顔が歪んだ。だが、彼女は抵抗できない。乳房を上下から絞り出すような形で、上腕部の二ヶ所を胴に結わえ付けられ、手首も厳重に縛られているんだ。そんな状態では、膝立ち以外に取れる姿勢がない。
 この倶楽部で色々な調教を目にしてきたが、腕を徹底的に封じられているのは藤花ぐらいのものだ。それだけ、彼女の戦力が脅威とされているということだろう。とはいえ、その恐れもだいぶ和らぎつつあるようだ。
『うーし、3本入ったぜ。はっ、もうケツがヒクヒクしてやがる』
 宣言通り3ピストン分の薬液を入れきった後、ピアス男は藤花の尻を見ながら嘲笑う。ちょうどその瞬間、藤花の腹からぎゅごるるる、という凄まじい音が鳴った。
『くっ……当たり前だ。ドナンは、そういう浣腸だろう!』
『ああ、そうだな。んで、そのキツーいドナンを、たっぷり我慢してもらうぜ』
 顔を歪めつつも語気の強い藤花に対し、ピアス男は余裕の笑みを消さない。浣腸器を床に置くと、代わってアナルバルーンの先を肛門に押し込み、勢いよく膨らませていく。空気の漏れる音が響くたび、藤花の顔が苦々しさを増す。
『こんだけ膨らましゃ、抜けねぇだろ。7号プラグをぶっ飛ばしちまったお前でもよ』
 ピアス男は嫌味たらしく囁きながら、立ち上がって藤花の元を離れる。カメラの向きが変わると、ピアス男の向かう先に、また何人もの男が映り込んだ。タンクトップで上半身の筋肉と肩のドクロタトゥーを誇示する男。唇にピアスを開け、アゴ髭を蓄え、ダボダボの迷彩ズボンで下半身を大きく見せている男。ドレッドヘアが特徴的な色黒の男。金髪に深い剃り込みを入れている男……。嫌というほど見覚えのある顔ぶれだ。連中は蝋燭が照らす薄暗い空間で、椅子や木箱に腰掛け、缶ビールを開けて寛いでいた。
『今度は、何分もつと思う?』
『んー……さっきは何分ほったらかしたっけ? 40分ぐらい?』
『もうちっとじゃね? しかもあん時ゃ、半日クソさせてねぇ状態だったしな。参考になんねーよ』
『しかもよ、あん時は2本だったが、今度は3本ぶち込んだぜ』
『はっ、大丈夫かそれ? まあ大丈夫じゃなくても、アイツが音ェ上げるだけだけどな。おいオトコ女、クソしたくなったらちゃんとオネダリしろよ。可愛く媚びりゃ、楽にしてやる』
 地下17階の調教師共は、軽口を叩きながらゲラゲラと笑う。その緩みきった空気は、極度の緊張を強いられる藤花にとって、どれほど憎らしいことだろう。
『く、ふっ……フーッ、フーーッ…………!!』
 注入から3分もすれば、藤花の呼吸はすっかり荒くなっていた。顔中に脂汗が滲み、眼も見開き気味になっている。だが彼女は、あくまで背筋を伸ばし、凛としたまま悪意の視線を受け止めていた。
『くくっ、怖ぇ怖ぇ』
 調教師達は缶ビールを傾けながら、相手の地獄を余裕たっぷりに面白がっていた。

 ここで、画面が暗転する。再びモニターに映った光景は、いくらか時間が進んだ後のようだ。
 床にビール缶が散乱する中、調教師共が膝立ちの藤花に群がり、嫌がらせを続けている。ドレッドヘアの男は乳房を鷲掴みにし、ドクロタトゥーの男は震える膝を撫でまわし、ピアス男に至っては、狂ったように鳴り続ける腹を、背後から荒々しく揉みしだいている。
 そんな事をされては、藤花も堪ったものじゃない。
『……はぁーっ、はあーっ……はあーっ、はあーっ…………』
 藤花は、開いた口から唾液を垂らし、荒い息を吐き続けていた。青ざめた顔には汗が滝のように流れ、震える膝へと滴り落ちていく。
『どうしたオトコ女、今にも気ィ失いそうなツラだぜ? 剣道やるにゃ、根性はいらねぇのかよ』
 乳房を握り込みながら、ドレッドヘアの男が茶化す。
『……ッ!!』
 藤花は、その侮辱を聞き逃さない。汗の珠が絡む睫毛を一度閉じてから、くっきりとした瞳で睨み据える。かなりの迫力だ。だが、この倶楽部の調教師共がそれで気後れするはずもない。
『また睨んでやがる。っとにクソ生意気なアマだな。もっとお仕置きしてほしいンか? ションベンの穴拡げられんのと、クリにピアス嵌められんの、どっちがいいんだ、アア!?』
 ピアス男が脅し文句を並べながら、藤花の顔に逸物を近づける。18か19センチはあるだろうか、肉食系の気性に見合う巨根だ。
『やめろ!!』
 藤花は露骨に嫌がり、顔を横向ける。だがピアス男はその頬を突き、唇に擦りつけて、執拗に口での奉仕を求め続ける。
『大人しくしゃぶれよ。言葉で媚びんのがイヤそうだから、フェラで勘弁してやろうってんだ。俺ら4人をクチで満足させるまでは、絶対に栓は外さねぇ。絶対に、だ。なあ?』
 ピアス男がそう言って視線を向けると、他3人もやはりニヤつきながら頷く。
『くっ……!!』
 藤花は、苦い顔で迷っていた。普段なら頑として撥ねつける要求だろうが、ドナン浣腸を施されてはそうもいかない。この映像の少し前に、その苦しみを嫌というほど味わったばかりだろうから、尚更だ。
 沈黙の中、ぎゅごぉるるるるる、という凄まじい音が鳴る。単に腹を下しただけでは、あんな音は鳴らない。その異様さはそのまま『耐えられない』、あるいは『耐えてはいけない』理由となる。
 藤花の顔が止まった。食いしばられていた歯も開き、ピアス男の怒張を強くは拒まなくなる。
『へへへ、そうだ。一生懸命咥えるしかねぇんだよ、テメェは!』
 ピアス男は歪んだ笑みを湛えたまま、藤花の口に怒張を捻じ込んだ。
『んぶっ……ん゛、ン゛ッ!?』
 怒張が奥へ奥へと入り込むたび、藤花の目が見開かれる。喉奥責めに慣れていないらしく、18センチの巨根がかなり苦しいようだ。そんな藤花に対し、ピアス男は一切容赦をしない。藤花のポニーテールの根元を掴み、自分の腰に押し付ける形で深々と咥えさせる。
『うごっ、お゛エ゛っ! おおぇええエ゛っ!!』
『へへへ。ドナン我慢してるうちに、相当ツバが出たらしいな。口ン中がヌルヌルで気持ちいいぜ。そのまま、もっと舌を絡めてみろ。間違っても歯は立てんじゃねぇぞ? 歯ァ立てやがったら、乳首ライターで焼き切るからな』
 藤花が苦しそうに呻いても、ピアス男は腰の振りを緩めない。物騒な言葉を発しながら、足を肩幅に開き、背中を弓なりに反らせて根元まで咥え込ませる。
『おいおい、吐いちまうぞ?』
 ドレッドヘアの男は苦笑しながらも、止めはしない。ピアス男の足元へ洗面器を移動させ、いずれ起きる嘔吐に備えただけだ。その悪意に晒されながらも、藤花は必死に堪えていた。目を細め、縛られた手を握り合わせて。
『なにガンバッてんだ。俺のデカチン咥えさせられて、苦しいんだろ? 吐いちまえよ、オラッ!!』
 耐え切れずに嘔吐する姿がよほど見たいのか、ピアス男はここでさらに責めの手を強めた。左手で藤花の後頭部を引きつけ、本当の奥の奥まで咥え込ませる。それにも耐えられれば、今度は右手を使い、鉄槌を振り下ろす要領で左手越しに後頭部を打ち据える。
『ひゃはははっ、出た出た“杭打ちイラマ”!』
『ショーゴの19センチでアレやられっと、外人女でもゲロるんだよな!』
 頚椎を痛めかねない危険行為を前にしても、鬼畜共はゲラゲラと笑うばかりだ。やっているピアス男当人にしても、片時も笑い顔を崩さない。
『お、おっ! 来たぜ来たぜ、あったけぇー!』
 そう言いながら手を止め、藤花の口から怒張を引き抜く。
『うぶぇっ!!!』
 藤花は頬を膨らませたまま俯き、口を開いた。ピアス男の足元に置かれた洗面器から、びちゃ、びちゃっと音が立つ。
『すげー吐いたな。おおくせぇくせぇ!!』
『ああ、鼻が曲がりそうだ。人ンこと性格が腐ってるとか、偉そうなことほざいてたがよ、テメェの胃の中の方がよっぽど腐ってるじゃねぇか!』
『まったくだな。おら、続きだ。男をイカせたきゃ、喉の奥でしっかり扱けよ。いっぱしの武道家気取ってんだ、筋肉の使い方ぐらいお手のモンだろ?』
 ドクロタトゥー達が鬼の首を取ったように騒ぐ中、ピアス男は藤花の前髪を掴み上げ、吐瀉物の纏いついた怒張を口に押し付ける。
『はぁっ、はぁっ……!』
 藤花は荒い息を吐きつつ、凌辱者を壮絶に睨み上げる。だが怒張が口に押し込まれれば、それを拒むことはできない。

 そしてここから、調教師4人のサドぶりが露骨になっていく。
『お、おっ!? へへっ。コイツ、とうとう舌絡めだしたぜ。やべえ気持ちいい、イキそう……トモ、交代すっぞ!』
『あいよ。オウ剣道女、今度はこっちだ。オメーの大好きな竹刀より硬ぇぜ、たっぷりしゃぶれよ』
 絶頂が近くなれば凌辱役を交代し、全員を射精させるという目的を達成させない。
『おーらおら、もっと深くイケんだろうが!!』
 1人が咥えさせている間、別の人間が後頭部を押さえつけ、時には足裏で押し込んで更に追い込む。
 極めつけは、横から咥えさせることだ。身体を正面に向けたまま、顔だけを横向けてのディープスロートを強い、嘔吐の兆しが見られれば逸物を引き抜きながら正面を向かせる。そうされれば藤花は、歪んだ顔から吐瀉物が溢れだし、それが人並以上に豊かな乳房へと滴れ落ちていく様を、余さずカメラに捉えられることになる。
『んごっ、おお゛エ゛ッ!! んもおお゛え、うおおお゛ええ゛っ!!』
 ドナン浣腸の苦しさからか、無茶なディープスロートを強制されているからか、藤花の嘔吐のペースは早い。そして吐いてしまえば、その度に調教師4人から罵詈雑言が浴びせかけられる。
 そんな地獄のような状況下で、彼女は随分と頑張った。両目から涙を零し、鼻と口から体液と吐瀉物の混じったものを垂れ流しながらも、音を上げる事はなかった。
 だが、それにも限界はある。

『…………たのむ…………出させて、くれ…………』

 3回の暗転を挟み、洗面器も藤花の身体の全面も、すっかり吐瀉物で覆われ尽くした頃。藤花は、とうとう哀願を口にした。涙、汗、痙攣、鳥肌、腹の音……動画内のあらゆる情報が、限界をとうに超えている事を物語っている。だが、鬼畜共はそうと知りながらも、駄目押しで藤花を追い詰めていく。
『俺ら4人を満足させたら、つってんだろーが。いいから咥えろやオラ!』
 ドスの利いた声で恫喝しながら、怒張を咥え込ませる剃り込み男。ひたすら顔を前後させ、高速で咥えさせるシンプルな責めだが、限界の来た藤花にはそれが一番つらいはずだ。
『ん、んんーンン゛っ!! むう゛う゛っ、おえ゛っ…おえ゛おえ゛っ!! ぷはっ、た、頼む、頼むからッ!! もう、限界なんだ、もう耐えられない!! 出させてくれ、今すぐさせてくれえええぇっ!!』
 咥えさせられてすぐに嘔吐を繰り返し、ようやく怒張を引き抜かれると、酸素を求めるより優先して排便を乞う。その惨めな様を、調教師4人は散々に笑い、ようやく包囲の輪を解いた。だが果たしてそれを、『勘弁した』と言っていいものか。
 確かに連中は、ディープスロートの奉仕をやめさせ、膨らみきったアナルバルーンを萎ませる態勢を整えた。ただし、それと並行して、極めつけの嫌がらせも用意した。真新しい金盥を用意し、一枚の写真をそこに入れる。その上で、痙攣する藤花の足下に滑り込ませたんだ。
『なんだ、この写真…………は…………』
 金盥を見下ろした藤花が、その途端に表情を凍りつかせる。
 写真には、7人の人間が3列に並んで映っていた。後列には、羆を思わせる大柄な男性と、同じく肩幅の広い青年。前列には、まだ少年、あるいは幼児というべき年頃の子供が3人。そしてその子供3人の肩を抱くようにして、凛とした雰囲気の少女と、優しげな面影の女性が笑みを浮かべている。
 女性は目元が藤花に似ていた。そして少女は、今よりかなり幼いが、藤花そのものだ。となるとあれは、藤花が愛する家族の記念写真か。
『あ…………ふ……ふざけるなああっ!!!!』
 藤花は目を見開き、激怒した。だが同時に彼女は、極限の便意にも苛まれている。便意は、怒りにも勝る根源的な欲求だ。人はどれだけ憤ろうと、便意を無視することはできない。
『なにキレてんだよ、お待ちかねの便所だぜ。グルグル鳴りっぱなしの腹の中身を、たっぷり出せよ。今、ケツの栓抜いてやっからよ』
 迷彩ズボンの男がそう言いながら、アナルバルーンの解放ボタンに指をかける。その指が押し込まれた時、何が起きるのかは明白だ。栓で留められ続けていた藤花の排泄欲が解放され、金盥の中に怒涛のごとく浴びせかかる。その中にある大切な思い出を、無残に穢しながら。
『うわああああぁッ!! やめてくれ、勘弁してくれ!! それはっ、その写真は、母さんが映っている大切なものなんだ!!』
『ああ、そうらしいな。お前の学生証入れに、大事そうに仕舞われてたもんなあ。でもよ。俺らにとっちゃそんなもん、チリ紙と同じなんだわ』
 藤花の必死の哀願にも、鬼畜共は心を動かさない。悪魔のような笑みで、悪魔のような言葉を吐くだけだ。
 人間でないものに、駆け引きは通じない。
『……………………なんでも、する……………………』
 藤花は、壮絶に顔を歪めながら、その言葉を絞り出した。排泄欲が限界に来ている彼女には、迷う猶予さえない。
『へぇ、なんでも?』
 ピアス男が言質を取ると、藤花は涙ながらに頷く。手を縛られたまま項垂れるその姿は、切腹の命を受け入れる侍のようだ。
『ったく、仕方ねぇな。吐いたツバ飲むんじゃねえぞ』
 ピアス男が念を押しつつ、金盥から写真を拾い上げる。同時に迷彩ズボンの男が、アナルバルーンのスイッチを押し込んだ。シューッという空気の抜ける音がした、一秒後。

『ああああああ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーっ!!!!!』

 凄まじい絶叫と共に、汚液が叩きつけられていく。金盥を円転させるほどの、凄まじい勢いだ。その瞬間を迎えるために、彼女はどれだけ苦悶し、どれだけ心を擦り減らしたんだろう。少女が涙するシーンは何度となく見てきたが、この時彼女の頬を伝った二筋は、ひときわ強く胸に刺さった。

                 ※

 家族の写真を穢す代償は、藤花自身が恥辱に塗れることだった。
『ケツを舐めろ。丁寧にな』
 藤花の傍で仁王立ちしたまま、ピアス男が命じる。
『くっ……!』
 藤花は露骨に顔を顰めた。人一倍プライドの高い娘だ。好きでもない男の不浄の穴を舐めるなど、看過できるはずもない。だが、彼女に抗う術はなかった。腕は頭上で鎖に繋がれ、両脚もしっかりと押さえ込まれている。それに加えて家族写真という弱みまである以上、いくら不本意であっても言うなりになるしかない。
 ピアス男が色黒な足を曲げ、藤花の顔面に跨る。対する藤花は、鎖骨を浮かせて緊張を露わにしていた。
 最初の数秒、藤花は奉仕を躊躇っていたようだ。
『どうした、早く舐めろよ』
 ピアス男が苛立った口調で命じると、そこで初めて音がしはじめる。にちゃ、にちゃっ、という、粘ついた音。
『うははっ、キモチいいー!! クソ生意気なオトコ女に舐められてると思うと、余計に興奮すんぜ。悔しいせいか、舌先がブルッブル震えてやがるしよぉ!!』
 ピアス男は上機嫌だ。直前のディープスロートで七分勃ちになっていた逸物が、斜めに屹立したまま上下に揺れる。よほどの快感がないと、ああはならない。
『ああああ、スゲェ……うーっし、出してやる、 舌ァ突き出せ!』
 絶頂までは早かった。ピアス男が腰を浮かせたかと思うと、勃起しきった逸物を自ら扱き、舌を出した藤花の口内へと勢いよく射精する。射精量はかなりのもので、舌を覆い尽くさんばかりだ。ピアス男はその量を確認した後、藤花の顎を閉じさせる。飲め、というサインだ。
『ッ!』
 藤花は目を見開くが、顎が開かない以上、口の中のものを飲み下すしかない。ゴクンという嚥下の音が、しっかりとマイクに拾われた。
『へへへ。どうだ、ケツ穴とザーメンのミックスジュースは?』
 笑いながら問いかけるドクロタトゥーの男に、藤花は鋭い視線を向ける。相当な迫力だが、それだけに哀れだ。いくら凛々しい顔をしたところで、彼女は抗える立場にはない。睨まれたドクロタトゥーの男が顔面へと腰を下ろせば、不満そうな眼をしたまま、その尻穴に舌を這わせるしかなくなる。
『くはははっ、確かに興奮すんな! クソ生意気な女にケツ舐めさせんのはよぉ!!』
 ドクロタトゥーの反応も、さっきのピアス男とそっくりだ。ゲラゲラと笑いながら快感を訴え、いきり勃った逸物を震えさせる。その果てに、また口の中へ射精をするんだろう。そう考えただけで、胸糞悪くなってくる。
 だが、その想像は甘すぎた。あの鬼畜連中の要求が、こんなものだけで済むはずがない。
『いいぜ、いいぜ……そろそろ、“出す”ぜぇ!?』
 数分経った頃、ドクロタトゥーはそう呟いた。さっき射精したピアス男と同じ文句だ。当然、藤花は同じことをされると考えただろう。傍から見ていれば、ドクロタトゥーが他の連中と視線を交わし、意地悪く笑った事実に気付けるが、藤花にはそんなヒントさえない。
『口開けろ!!』
 ドクロタトゥーがそう要求すると、藤花は大人しく口を開け、舌を突き出した。だが、その次の瞬間。ドクロタトゥーは腰の位置を前にずらし、藤花の口に尻を宛がう。
『おら、喰らえッ!!』
 そう叫び声が響くと同時に、嫌な音が聴こえてくる。みちみちみち、という、何かがひり出される音。
『れああ゛あ゛っ!?』
 藤花が悲鳴を上げながら、両脚を激しくばたつかせる。普通の反応じゃない。そして調教師共は、その行動を見越していたように、一斉に藤花を押さえに掛かった。
『ははははははッ、よーっく出たぜぇ!!』
 顔に皺を寄せて笑いながら、ドクロタトゥーが立ちあがる。その股の間から覗く藤花の顔は、茶色い物で汚れていた。何か、とは考えるまでもない。ドクロタトゥーの大便だ。
『き、きひゃま、あ……ッ!!』
 藤花が、口を閉じないようにしつつ、恨み言を吐く。そんな彼女の顔を迷彩ズボンの男が押さえ込み、剃り込み男が舌を引っ張り出す。
『ほらほら。よーく味わえよ!』
 剃り込み男は、そう言って藤花の口内の便を指で掬っては、藤花の舌へと塗り込めはじめた。その行為が始まって1秒にも満たず、藤花の全身が震え上がる。舌を摘まれているせいで明瞭ではないが、悲痛な叫び声も上げているようだ。
『いひひひっ、すげぇ反応! クソは苦ェしエグいだろ。今晩で完璧に心折って、従順なイヌにしてやんよ!』
 剃り込み男は嬉々として叫びながら、藤花の舌へと汚物を塗り込んでいく。薄く延ばすように、あるいは味蕾へ塗り込めるように。それをされる側の藤花は、いよいよ狂ったように暴れはじめた。
『おえ゛っ、おおおえ゛え゛え゛え゛っ!!! やえ゛っ、やえお゛おお゛お゛ーーーっ!! うあれうあ゛ッ、こおう、ほうろおに、こうお゛ッ!!!』
 不自由な口で必死に何かを叫びながら、射殺さんばかりの眼光で男共を睨み上げ、足で床を蹴る。だが、それでサディスト共が怯むことはない。
『何言ってっかわかんねーよ、クソ女!』
『ひゃははっ! 違えねぇ、まさにクソまみれの“クソ女”だな!』
『なんかコイツ、殺すーっつってるっぽいぜ』
『へーえ。この状況でやれんなら、やってみろっつーの!』
 藤花の反応を嘲笑いながら、力づくで抵抗を押さえ込む。
 いつかの大立ち回りで証明してみせた通り、藤花は強い。得物を持っての戦いなら、あの場にいる全員を叩きのめすことも十分に可能だろう。だが、拘束された状態での純粋な腕力勝負、おまけに多勢に無勢となれば、流石に勝ち目がない。渾身の抵抗も空しく、されるがままになってしまう。
『あはっ、カッハ!! はぁっ、はぁッあ、ううう゛え゛っ、んむうえお゛ッ!! ぃがい、くひゃえっ…………ええおっあはぁ、はぁ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!』
 藤花はえずき、息を乱し、震え、ついには涙を溢しはじめた。それでも不屈の心を失わず、周りの男を睨み上げる。流石と言う他ないが、そうした反骨心こそ、加虐者にとってのいい餌だ。
『おうおう、まだ睨みやがるぜコイツ。仕置きが足んねぇらしいな!』
 迷彩ズボンの男がそう言って、すぐ近くの金盥を拾い上げる。ついさっき藤花が排泄した盥だ。
『!!』
 相手の意図を察し、藤花が目を見開く。迷彩ズボンはその反応を嬉しがりつつ、盥から茶色い塊を掬い取ると、開かれた口内へと放り込んだ。
『いうォエエえ゛え゛え゛ッッ!!!』
 当然、藤花はえずき上げ、口に入り込んだ異物を舌で押し出そうとする。だが、鬼畜共がそれを許すはずもない。
『出すんじゃねぇよ、口開けろオラァッ!!』
 ピアス男が藤花の鼻と下唇に指を掛け、強引に大口を開かせる。それと息を合わせて、剃り込み男が二本指で口の奥へと汚物を押し込んでいく。さらにはその押し込んだ指で、粘膜に汚物を塗り付けてもいるようだ。
『ふおっ、もおおおああがあああっ!! えおッ、もおおえええ゛ッッ!!! はっ、はっ、ハッハッハッハッハッハッ…………ッ!!』
 藤花のあらゆる状態が悪化する。発汗も、えずき声の酷さも、呼吸の速さも、痙攣も。頭上で縛り上げられた手は壁を引っ掻き、掴まれた足の裏は狂ったように床を打つ。鍛え上げられた全身が、最大級の危機を訴えている。
 真っ当な神経の持ち主なら、そんな反応を前にすれば青ざめるだろう。自分は何という事をしでかしたのかと震えながら、口内の汚物を大慌てで取り除き、清潔な水でうがいをさせるに違いない。
 だが、映像内の男共は違った。藤花が暴れるほど、苦しむほど笑みを深め、上腕筋を盛り上げて押さえ込む。
『うう゛えっ、うもおお゛えっ! けっ、お、ォ……おおぉええおおろろ゛っ!!』
 藤花が、吐いた。

 鎖が、うるさく鳴り続けている。藤花はどれだけ暴れ、えずき、叫んだことだろう。
『おら、噛めよ。ウンコの味をたっぷり味わえ』
 ピアス男が藤花の顎を掴み、上下に動かす。藤花は声にならない声を上げながら、顎を痙攣させる。白目を剥いてもいるようだ。
『はっ。なんだこいつ、気絶しようとしてやがんのか?』
『クソなんて異物中の異物だからな。ひとかけ口に入っただけでも、脳がパニック起こすもんだ。それを突っ込まれまくりゃあ、意識を強制シャットダウンさせんのは真っ当な判断だろ。ま、出来ればの話だけどよ!』
『苦ェってだけじゃ、そうそうオチねぇだろ。骨折やらの痛みがねーと』
『そういう意味じゃ、クソ責めよか物理的なリンチのが百倍マシだな』
 調教師共は軽口を叩きながら、藤花の口へ次々と汚物を詰めていく。大口いっぱいに汚物が詰め込まれるまでに、5分と掛からない。
『ハハハハッ、いいツラになったじゃねぇか!!』
 ピアス男が、藤花の前に手鏡を翳す。藤花は鏡を見上げるが、大きな反応はしない。上下に離れた唇を微かに動かし、涙まじりの眼を細めただけだ。それは、反応する余力さえない証に見えた。
 死に体。そんな言葉が相応しい藤花を前にしても、男共は責めの手を緩めない。
『さて。クチにゃたっぷりとご馳走してやったことだし、今度はこっちを可愛がってやるか』
 ドクロタトゥーの男がそう言って、藤花の足を大きく開かせる。カメラも足元に寄り、藤花の股座を大写しにした。彼女の割れ目は、未使用であることが明らかな朱色の筋だ。だが肛門となると、その真逆。ドナン浣腸の効果で毒々しい花のように開ききり、腸液を垂らしながら開閉を繰り返している。
『へへへ、相変わらずすげぇなあ。ヨダレまみれだぜ、ええ? チンポが欲しくって仕方ねぇってか』
 ドクロタトゥーが野次りつつ、いきり勃った逸物に注射を打ち込む。その上で更に、迷彩ズボンの男が投げ寄越したペニスサックを装着した。その結果出来上がるのは、緩みきった肛門にも十分な刺激を与えるだろう『凶器』だ。注射の効果か、長さは20センチ近くにまで伸び、太さも例の黒人共に匹敵する。加えてペニスサックには無数の棘を思わせる凸部分が無数にあり、人造物ならではの極悪さを備えている。
『さーて、くれてやるか!』
 ドクロタトゥーは笑みを深め、藤花に大股を開かせた上で挿入する。緩みきった肛門の中に、ペニスサックの凸部分が次々と隠れていく。藤花の目が見開かれた。
『どうだ。ドナンで敏感になった肛門によお、ゾリゾリ擦れて気持ちいいだろ?』
 ドクロタトゥーは相手の反応を間近で確認しつつ、あえて浅い挿入を繰り返す。ペニスサックの突起が、何度も何度も菊輪を擦るように。
『っ!! っっ!!!』
 感じてしまうのか、藤花の肩は何度も跳ねた。目をますます見開かれていく。まずい、という意思がはっきり感じられる、緊迫感した目元だ。
『ひゃははっ、感じてやがる!』
『ああ。強情なくせに、わかりやすいガキだぜ』
 藤花の些細な変化も、調教師共は見逃さない。しっかりと声に出して嘲り、相手の心を追い詰める。そんな流れの中、ドクロタトゥーも動きを見せた。藤花の左脚を肩に担ぎ上げてから、腰を叩きつける。いきなり、根元まで。
『ふぉもおおおッ!!!?』
 藤花から漏れた声は大きい。それに比例するように、身体も大きく反応する。肩が跳ねるどころか、腰から上すべてがぶるりと震え上がった。もちろん、下半身も無反応でいられるわけがなく、内腿には透明な三角錐を埋め込まれたような溝が刻まれた。絶頂したのか、ただの一突きで。
『はっ、奥まで突っ込まれただけでイッたか? ドナンでトロトロに蕩けたケツ犯されんのが、好きでたまんねーらしいな。けど、ほどほどにしろよ。あんまケツで感じてっと、口に溜まったクソ飲み込んじまうぜ?』
 ドクロタトゥーは藤花の反応を嘲笑いながら、本格的に腰を使いはじめた。藤花の左脚を担ぎ上げたまま、右太腿を手で引きつけ、パァンパァンという肉のぶつかる音を響かせる。それを受ける藤花は、異様だった。肉体は電流が走るかのような反応を見せ続ける一方で、首から上は凍りついている。
『あお、お、おが……あ゛っ、あ゛……あ゛!!』
 呻き声は抑え気味で、表情筋も動かない。それでも口の端からは、唾液交じりの茶色い汚液が滴り落ちていく。
『くくくっ。クソを飲み込まねぇように、必死だな』
『そりゃそうだろ。クソなんて食っちまったら、どんな病気になるかわかんねーからな。せいぜい頑張れやオトコ女、剣道で鍛えたご自慢の根性でよお!!』
 地獄のアナルセックスを見守る3人は、藤花の必死さを軽薄に嘲笑う。しかも、それだけじゃない。奴らは注射器を手に取ると、藤花の乳輪に針を刺した。
『ごがああっ!?』
 藤花が目を見開いて横を見やる。注射した迷彩ズボンはその視線を受け止めながら、乳首を指先で刺激しはじめる。
 注入された薬は、局部的に感度を上げる薬なんだろう。刺激された藤花の乳首が、みるみる屹立していく。
『もが、おがっ……!!』
 藤花が目を見開いて横を見やった。他ならぬ彼女自身が、誰よりも状況の悪さを察しているはずだ。そんな彼女の眼前に、また一本の注射器が翳され、逆側の乳房へと打ち込まれていく。その上で両サイドから乳首を嬲られれば、藤花の頭上で狂ったように鎖が鳴った。
 幼い頃から鍛えてきた藤花は、極めて健康で、そのぶん感度もいいはずだ。乳房に投薬された状態で嬲られれば、相当に昂ってしまうことだろう。
 だが彼女は、ここで意地を見せた。胸を弄る男共を、鋭く睨み据えた。
 男共は口笛を吹き、より陰湿に獲物を追い込んでいく。

 アナルセックスの体位は何度も変わった。中でも、藤花の脚を真上に揃えて股を閉じさせたまま、最大級の摩擦で肛門内を蹂躙する……このやり方は、特に藤花を苦しめた。感じすぎてしまうのか、汚物を飲み込むまいとする顔は苦悶に満ちていた。
 そして、更にその後。太腿を抱え上げ、ほぼ真横から突き込む体位になれば、藤花の余裕は完全に消える。
『ほごっ、ほごおおおお゛っ!!! おもお゛っ、ほっ、ほおお゛っ!! るぉおお゛お゛ーーーっ!!!』
 顔面を蒼白にしながら、何事かを喚き続ける。身体の反応も相当だ。尻が完全に床から浮き、脚はほぼ直角を保ったまま、つま先立ちになっている。日々鍛え上げた肉体だけに、力を籠めた時の筋肉の盛り上がりも半端じゃない。特に大腿四頭筋は、上等な木材に鉋で深く溝を刻んだような有り様だ。
『こいつ、脚の筋肉ハンパねーな。陸上部の女よりヤベエ』
『こんだけ力むってこたぁ、アナルファックがよっぽど良いんだろ』
 ピアス男と迷彩ズボンが、藤花の脚を見て笑う。ドクロタトゥーの男も同じく鼻で笑った。
『ケツだけじゃねーぞ。さっきから、腸奥経由でポルチオ突きまくってんだ。こいつもすっかり浣腸で感じる体になってるからな。ドナンを目一杯我慢した後じゃ、ポルチオもトロトロだろうぜ』
 その言葉で、調教師の顔に納得の色が浮かぶ。
『ほー、そりゃキツいこった』
 1人がそう言いながら藤花に近づき、乳首を思いきり捻り上げた。
『おがああああ゛ア゛ッ!!!!』
 藤花から悲鳴が上がり、弓なりの身体がガクガクと痙攣する。口端から垂れる茶色い筋はさらに太さを増し、口内でも汚物が煮立ったチョコレートのようになっている。
『ハハハハハハッ!!! 口一杯にクソ食わされてる状況で、のほほんとケツで感じまくって、ブクブクブクブクくっせぇ泡噴いてよぉ! 人として終わってんなあ、オメエ!!!』
 ドクロタトゥー達は口汚く詰りながら、最後の追い込みを掛けた。容赦なく肛門を犯し、藤花の尻から腸液を滴らせる。乳首を徹底的に指で刺激し、病的なほどにしこり勃たせていく。
 この間、藤花がどんな気持ちだったのか。そんなものは、映像だけでは到底読み取れない。それでも、壮絶に歪んだ表情がヒントにはなる。
 彼女は汚辱と快楽がない交ぜになった極限状態の中、死に物狂いで耐えたはずだ。だが、それにも限界が来る。いや……限界になるまで、解放されない。

『もお゛やえてくれええ゛え゛え゛っ!!!』

 最後の最後、藤花が轟かせた叫びは悲痛だった。口内の汚物を盛り上げながらの、必死の哀願。調教師共はそれを耳にし、待っていたとばかりに目を細める。
『へへへ、とうとう音ェ上げやがった。そろそろ、クソを口に溜めとくのも限界ってか。なら、正直に答えろ。ドナンが好きなんだろ? ドナンでトロけたケツを犯されて、嬉しいんだろ?』
 悪意たっぷりにそう問われると、藤花は言葉に詰まる。だが、彼女はすでに余裕など微塵もない。
『…………ふぉ、ふぉうら…………』
 屈辱を飲み込み、凌辱者の望む答えを絞り出すしかない。
 当然、調教師共は大いに笑う。
『ぎゃっははははっ!! とうとう認めやがったぜ、こいつ!!』
『はっはっはっは、傑作だ!! そうだ、それでいい。もう俺らにナメた態度取んじゃねーぞ。俺らイラつかせたら、またコレやらせるからな。そん時ゃ、一切勘弁しねぇ。調教師全員のクソ詰め込んだ状態でイラマかまして、クソを喉の奥まで突っ込んでやる。ハラが風船みてぇに膨れ上がるまでだ。いいな!!』
 悪魔じみた笑みでそう恫喝されれば、藤花は青ざめた顔で、何度も頷くしかない。
 傍から見ているだけでも、心が痛くなる光景。大和男児の首が斬って落とされた瞬間を、また目にした気分だ。

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                 ※

 悪夢のような映像が終わり、モニター画面が切り替わる。足首を結び合わされた藤花と沙綾香の姿が、俯瞰で映し出された。
「……っく、……っ!! ひ、っく……う…………っ!!」
 大写しになった画面の中では、沙綾香がしゃくり上げていた。その眼はモニターの方を向いている。親友が『壊された』瞬間を目の当たりにして、堪えられなくなったんだろう。その反応に、藤花が狼狽える。
「どうして泣くんだ、沙綾香。あれは、俺が意地を張った結果だ。沙綾香が気に病む必要は──」
「違う、私が悪いの!」
「……なに?」
「藤花がこんな目に遭ってるの、私のとばっちりなの! ここの奴らは、私を攫うのが目的で、藤花達は巻き添え。沙綾香と仲が良かったって理由だけで、選ばれたんだよ……」
 しゃくり上げながら、誘拐の真実を語る沙綾香。それを聞いて、藤花は顔を強張らせる。だが、それは一瞬のことだった。
「なるほどな。やっぱり、か」
 表情を少し緩め、藤花が呟く。今度は沙綾香が驚く番だった。
「やっぱり、って……藤花、気付いてたの?」
「ああ。他の4人はともかく、貧乏道場で剣の修行に打ち込んでいるだけの俺を、リスク覚悟で攫うのはおかしいと思っていた。だが他人の巻き添えというなら、納得がいく」
 藤花のその言葉を聞き、沙綾香はいよいよ泣きそうな顔になる。
「…………ごめん」
「謝る必要はないだろう。巻き添えだろうと、沙綾香が悪いことにはならない。それに、な」
 藤花は諭すようにそう言い、ふっと笑った。何かに酔いしれたような、妖しい笑みだ。
「俺は、むしろ感謝したい。俺はここで、新しい生き方を見つけた。兄や父に後れを取るまい、弟達に抜かされるまいと気張っているばかりの人生だったが、ここで被虐の悦びを教えていただいたんだ。俺は、その新しい道を全うしたい。一匹のメスとして主に仕え、悦んでいただければ──」
「やめて藤花っ!」
 藤花のうっとりとした語りを、沙綾香が遮る。
「なっ……ど、どうしたんだ、沙綾香!?」
「どうしたって、そんな考え方、おかしいよ! ここの連中に毒されてる!」
 沙綾香は声高に訴える。誇り高い“大和男児”の口から発される、碌でもない言葉。それを聴くに堪えなかったんだろう。当然の反応ではあるが、手越達にしてみれば爆弾発言だ。
「おいおい嬢ちゃん……えれぇこと口走りやがって。今は、仮にも審査会の真っ最中だぜ?」
 手越の呆れた声を聴き、沙綾香がハッとした顔になる。だが、もう遅い。

「やっぱあの、妙にムラっとくる方が目玉か」
「確かにあれは、倶楽部も目をつけるわけだ。魔性の女だからな」
「でもよ、だったらとんだ出来レースだよな。どっちが最高の奴隷か決めるなんて題目だったが、もう決まってんじゃねえか」

 裏事情を知った20人の客達は、顔を見合わせながら囁き合う。倶楽部的にはまずい状況だけに、手越は頭を抱え、端塚も静かにグラスを置く。一方でロドニーだけは、逆境を楽しむようにゲラゲラと笑いはじめた。
「ハハハハハッ、傑作だ! あんだけ気負っといて、テメェから勝負を放棄するとはよお!」
 ロドニーの嘲笑を受け、沙綾香が俯く。ロドニーはそれを見つつ続けた。
「バレちゃしょうがねぇ、暴露しちまおう。『最高のマゾ奴隷』なんて触れ好みの、この沙綾香ってガキだがな、実はまだまだ調教途中だ。服従するどころか、未だに俺らのことを敵と見做してやがる」
 ロドニーの言葉に、客の動揺ぶりが増す。倶楽部側が堂々と虚偽を認めたんだから当然だ。その不穏な空気を感じ取りながら、ロドニーは指を鳴らした。
「だがよ、旦那方。マゾ奴隷ってのは何も、従順ならいいってもんじゃねえ。口でいくら拒もうが、アソコが濡れてりゃあ、そいつは紛うことなきマゾ奴隷だ。肉体的に屈服してるわけだからな。違うかい?」
 天を衝く巨躯から発せれる豪放な語りは、場の空気を変えた。
「……なるほど。カラダは正直、というやつか。一理あるな。よし、いいだろう。私はこの勝負、認めるぞ!」
「私も、続行でいいわ」
「俺もだ。面白えじゃねぇか!」
 客の1人が頷けば、他の客もそれに続く。いかにもロドニーの説得に応じた風だが、本心は別だろう。あいつらは、ただ単に沙綾香の被虐が見たいんだ。この場で勝負が決まり、審査会が行われない事態を避けるため、調子を合わせているに違いない。
「…………ふう。まったく…………」
 俺の前で、端塚が大きな溜め息を吐く。奴も能面のような顔の裏で、この事態に肝を冷やしていたらしい。

 こうして、審査会は予定通り行われることになった。ただし、これまでの3回とは違う。沙綾香に反骨心が残っていると明らかになった以上、もう演技は必要ない。ありのままを客に晒すしかない。これは残酷だ。もしそれで審査会に勝ったなら、それはさっきロドニーが口にした、『肉体が屈服』していることの証明となる。かといって、負けるわけにもいかない。すでに精神の危うい藤花が黒人共の玩具になれば、今度こそ自我崩壊は決定的となるだろう。
 勝っても、負けても生き地獄。それが、今回の審査会だ。

                 ※

 客のざわつきが収まるにつれ、腹の音が聴こえるようになった。ごぉおおるるる、ぎゅごるるるる、という、それは凄まじいものだ。
「さすがにドナンは、凄まじい音になるな。グリセリンではこの音は聴けんだろう」
「おまけに、入れてからもうだいぶ経ってるだろ。20分ちょいってとこか?」
「今でジャスト25分だ。注入の時に時計を見たから間違いない」
 客達は言葉を交わしながら、嬉々として少女2人を見下ろす。壁の巨大モニターに目をやれば、その視界は俺にも共有される。
「はっ、はっ、はあっ、はあっ、はあああっ…………!!」
「フーッ、シーッ、フーッ、フーッ、シーッ…………!!」
 沙綾香と藤花は、眼を見開き、早いペースで息を吐いていた。完全に息を乱している沙綾香に対し、藤花の呼吸は鋭く、規則正しい。日々の稽古の中で体に叩き込んだ、スタミナの消費を抑える呼吸法だろう。
 だがそれをもってしても、限界は近いようだ。汗に濡れ光る藤花の身体は、細かな痙攣を続けていた。縛り合わされた膝から下は動かないが、それ以外の部分はピクピクと細かに動き、栓を嵌め込まれた臀部も艶めかしく円を描く。もちろんそれは、沙綾香も同じ。
「ひひひ、苦しそうだな」
「うむ。人間いくら鍛えようと、便意には敵わんらしい」
 苦しむ2人を眺め、頬を緩める客の顔。それもしっかりモニターに映り込んでいる。醜悪だ。その視線に晒され、沙綾香が口を閉じた。虚空を彷徨っていた瞳もしっかりと客の顔に焦点を結ぶ。
「おっ。あの沙綾香とかいうガキ、こっち睨んでやがるぜ」
「顔真っ青にして、震えまで来てるってのに大したもんだ。調教途中ってのはマジらしいな」
「楽しみねぇ。あの生意気な顔が、どんなふうに崩れるのか……早く見たいわ」
 客は沙綾香の気丈さを喜び、口々に囃し立てる。そんな中、ロドニーが客に近づき、2つのリモコンを手渡した。
「……これは?」
 圧倒的なロドニーの巨躯に威圧されながら、渡された客が訊ねる。
「あのアナルプラグは電動式でな、そのリモコンだ。ま、押してみな」
 ロドニーはふてぶてしく葉巻を咥えたまま、沙綾香達の方に目を向ける。リモコンを手にした2人の客は、顔を見合わせて頷き、リモコンのスイッチを入れた。その途端、重苦しい駆動音が響きはじめる。
「あぐうううっ!?」
「ふああああっ!!!」
 沙綾香と藤花は、腰を震わせながら叫んだ。
「おっ、効いてる効いてる!」
「結構でかい音してるもんな。バイブっつーか、乗馬マシンみたいな」
 客は手を叩いて嬉しがり、ロドニーも誇らしげに煙を吐き出す。
「パワーは10段階だ。ま、好きに遊んでくれ」
 ロドニーがそう許可を出せば、客達はここぞとばかりにリモコンのスイッチを弄り、沙綾香達を追い詰めに掛かる。
 ただでさえ極限の便意に苛まれているところへ、振動を加えられては堪らない。
「うああ、あ、あ……ああああだめえっ!!」
「くあっ、ふんんっぐううぅううっっ!!!!」
 アナルプラグが唸りを上げるたび、沙綾香と藤花から悲鳴が漏れる。
「そーら、8段階目いくぜ!」
 客の1人がそう言ってスイッチのツマミを押し上げれば、また藤花の腰が震え上がった。
「くあああああぁっ!!!!」
 藤花は絶叫を迸らせながら、足首を尻側に引き付ける。沙綾香の脚と拘束帯で連結された脚を。沙綾香の方は当然、足首を頭より上に掲げるハメになる。
「ひいいっ!?」
 今度は、無茶な体勢を強いられた沙綾香が叫ぶ番だった。
「あっ!? す、済まない、沙綾香っ!!」
 友人の異変に気付いたんだろう、藤花が慌てて謝罪する。沙綾香もそれを受けて「大丈夫」と囁こうとしていた。だがそれよりも、客がツマミを弄るタイミングが一瞬早い。
「「んぐううううっ!!!!」」
 今度は、2人が同時に唸り声を上げた。せっかく中央に戻ろうとしていた四本の脚が、またしても藤花の方へと引き付けられる。
「おっ、またすげぇ反応!」
「はははっ! あの沙綾香ってガキ、思いっきりマングリ返しのポーズしてやがる!  ドナン我慢しながらのあれは、キッツいぞー」
「今度はどっちも足に力入ってたみたいだけどな。綱引きは藤花の勝ちか?」
「そりゃそうだろ、全国レベルの剣道家だ。脚の力もハンパねぇだろうぜ」
「確かにこうして見ると、だいぶ下半身の造りが違うな。藤花は機能美、沙綾香は官能美というところか」
 客達は気楽な会話を交わしながら、リモコンを順に回して弄りつづける。どいつも鼻息は荒い。今や、バスローブ型の館内着越しにも、逸物の膨らみが見て取れるほどだ。
「やめて、もうやめてっ!! もれちゃう、でちゃうううっ!!」
「漏れるっ、限界だ!! 出したい、出したいっ!!!」
 嬲る方は楽しくとも、嬲られる方は地獄だ。沙綾香と藤花は涙を浮かべ、何度も顔を振る。いつの間にか絡み合わされた足指も、お互いの指を欝血するほどに握りしめている。腹の鳴りはより性質が悪くなり、肛門からは極太のアナルプラグでも制しきれない、薄黄色の液が滴り落ちていく。
「そろそろ限界か。よーし、出させてやるか」
 ロドニーがそう宣言すると、客が野次を飛ばすのをやめ、ロドニーの方を見上げる。もっと楽しみたいが、その不満を言い出せない、そんな顔だ。逆に沙綾香達は、助かったとばかりに虚ろな目に光を宿す。
 だが。ロドニーが続けて言い放った言葉で、どちらの態度も変わる。
「ただし……楽にすんのは、先に『出させてください』と言った方だけだ。言わなかった方は、その後30分放置する」
 この発言で、沙綾香と藤花が息を呑んだ。逆に客達は、そういう趣向かとばかりに手を叩く。
「なるほど、そりゃあいい!」
「助かりたきゃ、相手を谷底に蹴り落とせってか! はははっ、残酷なゲームだな!」
 客が大いに盛り上がる中、沙綾香と藤花の顔はさらに青ざめたように見えた。菱形を作る足の中で、互いに目を見合わせる。そのタイミングでまた腹が切なく鳴ると、どちらともなく視線を切った。

 そして、2人は耐えはじめる。唇を噛み、眉を顰めながら。
「どうした、早く言えよ。出させてくださいってよ!」
「限界なんだろ? 出ちゃう出ちゃうーって、さっきから騒いでたじゃねぇか。言えよ、ホラ!」
「しんどいんだろ? 早く楽になりゃいいじゃねぇか!」
 客は悪意を篭めて、口々に野次を飛ばす。リモコンの操作も止むことはない。
 2人は、苦しんでいた。何度も腰を浮かせ、太腿を震わせる。気丈に唇を噛んでいたのも最初の数秒だけで、すぐに大口を開け、音程の不安定な叫びを漏らしはじめる。それでも、「出させて」の言葉だけは発さない。互いを思いやるその友情は、この世で本当に美しいといえるものだ。
 だが、客共はそんな美しさに感動したりはしない。濁った瞳で、薄ら笑いを浮かべながら2人を眺めているだけだ。そんな中、1人がふと何かに気付いた。
「なあ、あいつ……この状況で、感じてんじゃねぇか?」
 奴はそう言って藤花を指す。すると、沙綾香とで2分されていた視線が、一気に藤花に集まった。
「おいおいおい……マジだ。マンコ濡れてんじゃねぇか!」
「おお、確かに! よく見つけたなー。マンコがヒクヒクしてるとは思ったが、まさか濡れてるとはよ!」
「乳首も勃っているな。完全に発情しているようだ」
「ふふふ、排泄我慢の苦しさで濡らすとは。流石はマゾ奴隷だ!」
 別の客も藤花の変化をあげつらい、ゲラゲラと笑いだす。
 藤花が便意に苦しんでいるのは確かだ。だがよくよく見れば、確かに彼女の割れ目はかすかに開閉し、愛液を滲ませている。
「っ……!!」
 指摘を受けた藤花は、明らかに狼狽しはじめた。それこそ、彼女が感じた証拠であり、客の笑いが大きくなる。それがまた、藤花の顔を歪ませる……その悪循環だ。
「笑わないでよっ!!」
 悪循環を断ち切ったのは、沙綾香の一喝だった。場が一瞬、しんと静まりかえる。
「藤花の何が悪いわけ!? 藤花をこんなにしたの、あんたらじゃない! 自分でやっといて、全部自分らが悪いくせに、なんで他人事みたいに笑えんの!? あんたらには、人の心ないわけっ!?」
 沙綾香は憤っていた。汗の滲む顔を歪め、声を張り上げて。
「沙綾香……」
 自分に代わって怒りを爆発させる親友を前に、藤花が泣きそうな顔をする。
「はっは、これは手厳しい」
「まさか、VIPルームまで来て奴隷に怒鳴られるとはな。大したじゃじゃ馬娘もいたもんだぜ」
 客は苦笑しながらも、沙綾香の気丈さを楽しんでいるようだった。
「よし、決めたぜ。調教師さん、こっちの藤花って子を解放してくれよ。ドナンで苦しむどころか、悦んでるようじゃ興ざめだ」
「異議なし。そっちのカッコイイお嬢ちゃんは、もう30分頑張ってな。ドナンを都合1時間も我慢するとなりゃ、どうなるかわかんねーけどな!」
 1人の客が藤花の解放を提案すれば、他の客も次々とそれに乗る。藤花と沙綾香、両方が表情を強張らせた。
「なっ……ま、待て! 先に解放するのは、沙綾香にしてやってくれ! 俺は浣腸慣れしているから、もう30分でも耐えられる。だが、沙綾香は無理だ! 初めてのドナンをもう30分なんて、耐えられるはずがない!!」
 藤花は血相を変えて訴える。長時間のドナン浣腸で心が折れた経験があるせいで、余計に必死なんだろう。だが、そんな訴えを客共が呑むはずもない。むしろそうして騒げば、奴らの選択が正しいと証明するようなものだ。
「外してくれ」
 客の要請を受け、迷彩ズボンの男が、藤花の黒い拘束ベルトに手をかけた。
「よせっ、やめろ!」
 藤花が必死に叫ぶ中、引き絞られたゴムチューブの金具が、一つずつ外されていく。そして、四つすべてが外れた瞬間。
「わあああああアアーーーーーっ!!!!」
 藤花が、絶叫した。同時に、アナルプラグが肛門から盛り上がり、ぶじゅるうっと音を立てて抜け出たかと思えば、円転しながら弾け飛ぶ。壮絶な有り様だが、そちらに注意を向ける間もなく、肛門の決壊が始まった。ぶびゅっ、ぶぢいっと耳障りな音を立てながら、汚液があふれ出す。固形物を食べさせていないらしいから、色は濃くはない。それでも、胆汁の色にしっかり染まった黄色い半固形物が、真上に噴き出していく。何度も、何度も。
「うはははっ、すごいな。これがドナンの効果か!」
「まるで噴水だな。下手すりゃ天井まで届きそうだぜ」
「ケツがヒクヒクして、キモチよさそうなクソだな。顔もトロけてっしよ」
 客が指摘する通り、ドナンを長く耐えた後の排便は凄まじい。そしてその排泄の最中、藤花が絶頂を思わせる反応を示しているのも事実だ。だが、悪いのは彼女じゃない。さっき藤花が訴えたように、そう作り変えたこの倶楽部こそが悪だ。

                 ※

 出すものを出した後、藤花の肛門は開ききっていた。朱色の粘膜が外へ捲れかえった様は、モニターで目の当たりにすると背筋が凍る。
「ほお……ドナン浣腸した後の肛門は初めて拝むが、いや、こりゃすげぇや」
「ダリアの花、だな。まさしく」
 客も流石に息を呑んでいるようだ。だがその強張った顔も、段々と卑しい笑みに戻っていく。そんな中、ロドニーが鉄格子の扉を開け放った。
「ったく、待たせやがって!」
「こっちは昨夜もヤッてねぇんだぜ!? いい加減、コックが破けて血が噴き出しそうだ!」
 黒人共が悪態を吐きながら、次々と姿を表す。規格外の肉棒をそそり勃たせた、圧倒的な巨躯を誇る10人の超雄。それを目の当たりにした客は、誰からともなく後退していく。誰が主役で誰が傍観者か、その格付けが一瞬で決まった形だ。
「かーっ。近くで見ると、本当にデケェ穴だな!」
「まるで洞穴だぜ。突っつきゃコウモリでも飛び出してくるんじゃねぇか?」
 黒人共は、藤花のアナルを見下ろして肩を竦める。日本人の倍は太い『コック』でも、ドナンで弛緩しきった肛門を埋めるには不十分だ。刺激を与えうるとすれば、10人中でも別格のペニスサイズを誇る3人……モーリス、ダリー、タイロンぐらいか。
「こいつは、俺が可愛がってやる」
 そう言って一歩踏み出したのは、モーリスだ。奴はバットの先端を思わせるペニスを悠々と扱き上げ、客を絶句させる。そして、同じく顔を強張らせている藤花の背後につくと、その開ききった肛門へとペニスを突っ込んだ。
 本来なら、メリメリと音でもしそうな挿入となるところだが、今回は違う。肛門が緩みきっているせいで、いきなり深くまで入り込んでいく。となれば当然、藤花の反応も早かった。
「ぁ……あ、ああっ!? なっ、ふ、深ぃいッ!? 腸の、奥の奥まで……ッ!」
 ものの2秒とかからず、藤花の目が見開かれた。悠に25センチを超えるだろうペニスに驚愕しているようだ。
「くくくっ、イイ反応しやがる。そのデカチンだ、直腸のどん詰まりなんざ軽く通り過ぎてよ、結腸まで入り込んでんじゃねぇか?」
「ペニスサックで無理矢理盛った俺らのと違って、黒人の生チンポは“存在感”が違ぇだろ。お客さんに、どんな感じか解説してみろ!」
 さっきまで責めの主体だった迷彩ズボンと剃り込み男は、やや距離を取って腰を下ろし、傍観する側に回っていた。それでも、藤花にとって絶対的な主であることは変わりないらしい。
「はぁ、はぉあ、はああ……。そうだ、存在感が、ち、違うう゛っ……! 熱いものが、粘膜に吸いついて……ドックンドックン、脈打って、存在を主張してくるんだ……。こ、興奮してしまう……またっ、女にされる…………!!」
 激しく喘ぎながら、アナルセックスの快感を訴える藤花。その訴えは、言語の壁を越えてモーリスに伝わったらしい。
「オーケイ、ジャパニーズッ!!」
 モーリスはそう叫ぶと、さらに深く腰を突き込む。陰毛すら尻の間に隠れる、奥の奥まで。その瞬間、藤花の両脚が震え上がった。
「んんおおおお゛っ!! おお、お、おおおっ! ん、ぐっ……ふぐううっん、ぅんん…………ああんンンン゛ン゛ン゛っ!!!」
 もはや言葉にすらなっていない。だが、その絞り出すような呻きは、どんな言葉よりも雄弁だ。モーリスの亀頭が、直腸を越え、結腸にまで入り込んだ。ドナンの余韻で蕩けている藤花は、それによる絶頂を回避できなかった。そんな想像が、容易にできてしまう。
「ひゃはっはっは、脚がブルッブル震えてんぜ!」
「くくっ、凄い凄い。子宮イキとそっくりの反応だな。まあ実際、子宮を薄皮越しに突かれて感じているのかもしれんが」
「ありえるな。膣からの挿入だと子宮口を叩く形になるが、腸側からだと子宮の側面を擦る形だ。女によっちゃ、直腸経由のがイキやすいらしいぜ?」
「なんにせよ、ケツで感じてんのは確定だな。処女のまんま、直腸セックスで子宮イキするサムライ女子高生とかよぉ、エロすぎんだろ!」
 客は蘊蓄を垂れながら頬を緩める。
「と、藤花……。」
 一方で沙綾香は、間近で歪む親友の顔を見つめていた。信じられないんだろう。藤花と日頃から接していた沙綾香は、その鋼のような心の強さを、俺以上に知っているはずだ。
「なんだよ、友達の顔ばっか見て。デカチン突っ込まれてヨガってんのが、そんなに羨ましいのか?」
 客の一人が、沙綾香の反応に気づいて茶化す。
「はぁっ!?」
 沙綾香は客に視線を向けた。胸に渦巻く感情を乗せた、強い瞳で。
「おっ、凄いな。まだ睨む気力があるとは」
「ホントにな。クソ我慢しすぎて、真っ青なツラしてるくせによぉ!」
 客共は沙綾香に注意を抱き、視線を集中させはじめる。
 ドナン浣腸を施されてから、約35分。沙綾香の様子は、前以上に悪くなっていた。
 カメラに映るほどの鳥肌が立ち、細かに震えつづける様は、雪山に丸裸でいるかのようだ。だが一方でその全身には、真夏のジャングルにいるかのような、じっとりとした脂汗が滲みだしている。普通の環境ではありえない、出鱈目な反応だ。その元凶である腹の音も、依然として凄まじい。ぐぐぐおるるるる、きゅるる、ごろろ……と、無数の動物が鳴き続けているような規則性の無さだ。
 それに加えて、彼女を追い詰める要因はあと2つある。
「あおおっ、あおお゛お゛お゛っ!! ひいッ、イクッイク!イ゛イ゛ッてしまう゛う゛っ! 沙綾香、すまない、すまないいっ!!」
 一つは、モーリスにアナルを犯される藤花だ。言葉通りに絶頂しているらしく、何度も膝を内に曲げている。そのたび、沙綾香が無理な体勢を強いられると理解してはいるようだが、どうしようもないらしい。
 そしてもう一つは、不可抗力でもなんでもない、純粋な悪意だ。
「そら、またいくぜぇ!」
 客の1人が、そういってリモコンに指を掛ける。次の瞬間、アナルプラグから漏れる音が、また激しさを増した。
「んぐううっ!!!」
 沙綾香は目を細め、尻を揺らす。
「くひひっ。気合の入った眼ェしてても、身体は正直だな。便意が荒れ狂ってる腸を揺さぶられちゃ、堪んねぇってか?」
 また別の客が、そう言って沙綾香の尻をはたく。その痛みにも、今の沙綾香はわかりやすく反応した。
「痛っ! ちょっと、やめてよっ!」
 沙綾香は、間違いなく本気で嫌がっている。だが変態客にしてみれば、それこそが興奮するようだ。
「おっほ、いいねぇその視線! 俺にもくれよ!!」
「俺も睨んでくれや、サヤカちゃぁん!」
 客達は、あえて沙綾香の逆鱗に触れる行為を繰り返す。尻を叩き、揉みしだき、両側から圧迫し。ただでさえ便意が限界の中、そんな事をされれば冗談では済まない。
「いや、やめてっ! やめてったら、ホントやめて!! キモいって!!!」
 沙綾香は本気で怒り、顔を歪め、客の顔を睨みつける。だがそれは、火を扇いで消そうとするようなもの。必死にやればやるほど、火の勢いは増していく。

 まずい感じがした。今の状況は、疲労困憊の人間が、さらに殴られているようなもの。どうにかならないはずがない……そんな予感があった。
 そしてその予感は、すぐに現実になる。最悪の展開として。

「おい、こいつ……!?」
 ある客がそう言って、沙綾香の割れ目に注意を向けた。それにつられて、別の客も視線をずらし、ほくそ笑む。
 モニターには、奴らの喜んだ理由が大々的に映し出されていた。藤花と違い、しっかりとした使用感のある沙綾香の割れ目周りが、濡れている。そう、“濡れた”んだ。浣腸を我慢し、電動のアナルプラグで責められた、それだけで。
 もっとも、理屈としてありえないことはない。昨日一晩掛けて、あれだけ入念にアナル性感を開発されたんだ。その熱も冷めやらぬ今、極限状態で濡れてしまうことは、仕方ないといえば仕方ない。
 だがその事実は、間違いなく恰好の笑いの種になる。俺は、ただそれが辛かった。
「おいおいおいおい、お前もかよ!?」
「くくくっ。嫌だ嫌だと言っておきながら、しっかり濡れているじゃないか!」
「テカテカじゃねーかマンコが! 何に興奮したんだよオイ? お友達がクソ食わされてる映像か? クソ我慢してるとこ見られんのがそんなに好きか? どっちにしても終わってんなあ!」
 鬼の首を取ったような──そう形容するしかない、怒涛の罵詈雑言が浴びせられる。
「あ、あ……っ!!?」
 沙綾香自身、自分の変化には気付けていなかったんだろう。モニターを見て事実を目の当たりにし、客の言葉に打ちのめされて、表情が歪む。そうして沙綾香が退いた分だけ、客は嬉々として踏み込んでいく。
「わかんねーもんだな。顔は正統派の美少女って感じなのに、ここまでのマゾとは」
「しかも、並のマゾじゃねーしな、クソ我慢しながら濡らすとか。こいつ、女子高生だろ? 学校でもトイレ我慢しながら、パンツグチョグチョにしてんのかな」
「こんだけエロ可愛かったら、ファンもいそうだよな。そいつらに教えてやりてーわ、こいつの本性!」
 客は沙綾香の割れ目に視線を集中させ、無遠慮に詰りつづける。今の沙綾香に、それはかなり効くようだ。
「すげー、どんどん濡れてきた。やっぱこいつ、言葉責めで興奮するタイプだわ」
 そんな指摘があった通り、ここから沙綾香は、緩やかに壊れはじめた。
 客から野次られるたび、いちいち反応を示す。アナルプラグが唸りを上げるたび、切なそうに腰を揺らし、愛液を吐き零す。
「うあああっ!?」
 客の1人が割れ目に指を差し込めば、かなり大きい声も出た。
「前は使わんでくださいよ」
 手越が釘を刺しても、客のにやけ面は消えない。
「なに、心配いらんよ。これだけの上玉だからな、アソコを弄っているだけでも楽しめるというものだ」
 奴はそう言って指を蠢かし、ヌチヌチと音を立ててから、指を引き抜いた。そして愛液のたっぷりと纏いついた二本指を、沙綾香の見ている前で舐めしゃぶる。
「ッ!!」
 沙綾香は当然顔を顰めるが、それこそが奴の望みなんだろう。
 こうして一人が一線を超えれば、それに続く連中も次々と出てくる。
「すげぇ、もうグチョグチョだ!」
「Gスポットはどこだ……この辺りか?」
 一人また一人と沙綾香の割れ目に指を差し入れ、無遠慮に刺激する。
「やめて、ホントにやめてってばっ!! 漏れちゃうっ!!!」
 沙綾香は嫌がるが、拒絶する術はない。
「なにが漏れるんだ。小便か?」
 客は嬉々として指を蠢かし、沙綾香を追い詰める。
「やめて、もう我慢できないっ!!! 出させて、お願い、お願いいいーーーっ!!!」
「いいぞ、思いきり出させてやる!」
 1人がそう言って、二本指を激しく動かしはじめた。VIPと呼ばれるだけあって、慣れを感じさせる指責めだ。
「そぅら、噴けっ!!」
 その言葉と共に指先が動きを止めると、割れ目から飛沫が上がる。そして同時に、アナルプラグで栓をされた肛門からも、ぶじゅうっという音と共に汚液が漏れた。今回に限った話じゃない。すでに沙綾香の尻の下には、汚液溜まりができている。彼女が強いられてきた無理の象徴だ。
「もお駄目っ!! もう無理、もう無理もう無理もう無理っいいいい!! ぬいて、栓ぬいてえええええっ!!!」
 何人もの男に割れ目の中を弄られながら、顔を左右に振って叫び続ける沙綾香。だが客共は、そんな沙綾香にわずかの同情もしない。
「はははっ、知能ゼロって感じの喋り。クソが限界の時ってこうなるよな」
「まだまだ時間は残っているぞ。頑張りたまえ」
 緊張感の欠片もなくそう言い放ち、沙綾香の顔を引き攣らせる。

「…………あ、ぁ…………ぁああ、あ……あっ、ア゛…………!!」
 
 そこから10分が過ぎた頃には、沙綾香は本当の限界に陥っていた。全身がガクガクと痙攣し、涙の零れる瞳は虚空を見つめるばかりとなり、口からは泡まで噴いている。
「そろそろ限界だな、あいつ。カニみてーにアワ噴いてるし」
「確かに。ロドニーさん、そろそろ……」
 近くで様子を伺っていた迷彩ズボンと剃り込みの男が、ロドニーに声を掛ける。藤花の排泄から30分放置というルール通りなら、あと5分ほど残っている。だが、沙綾香は明らかにもう限界だ。
「させてやれ」
 ロドニーが満足げに頷くと、剃り込み男は頷き、客を下がらせる。そして藤花を解放した時のように、黒い拘束ベルトからゴムチューブの金具を外していく。
「あ、ああ、あ……でる、でちゃうううう゛う゛ーーーーっっっ!!!!」
 4つの金具がすべて外れた瞬間、沙綾香は息を吹き返したように叫ぶ。プラグが弾け飛び、薄い色の汚液が噴き上がり、肛門が火山口のように膨らむ。
「くははははっ、すげぇすげぇ! アイドル顔負けの上玉が、この大人数の前でクソ撒き散らしてやがる!」
「ああ、凄い。調教師さん、後でこの映像をくれないか。一生の宝になりそうだ!」
 美少女の排泄。それを前にして、客は大喜びだ。汚液が降りかかる事すら気にせず、至近距離で沙綾香の恥辱を見届ける。
「……く、ぅ、ううう…………ッ!!!」
 モニターの中で、沙綾香が歯を食いしばり、視線を横に向けた。まるで、強姦された後のように。

                 ※

 恥辱の極みのような経験をした後も、沙綾香に休息は与えられない。
「くくくっ、こっちもすげぇな。開ききってやがる」
「うむ、二輪目のダリアの花だ」
 客は、ドナンの効果で開ききった沙綾香のアナルを眺め、盛り上がった淵を指でなぞる。
「んくうっ!!」
 沙綾香の反応は大きい。それを見て客はまた笑い、黒人共も白い歯を覗かせる。
「こっちは、俺が埋めてやるか」
 そう言って一歩踏み出したのは、タイロンだ。10人の黒人調教師の中でも、最大のペニスサイズを誇る男。その股間にぶら下がる物は、周りの日本人客と同じ生殖器とは到底思えない。
「な、なんと……比喩でもなんでもなく、馬並みだ」
「黒人のペニスは立派だと聞いてはいたが、これは……」
「チンポっつーより、もう子供の脚じゃねーか……」
 タイロンの怒張を見て、客が一人残らず絶句する。飽きるほど見てきた俺でさえ、久々に目の当たりにすると、違和感を覚えるほどの出鱈目なサイズだ。
 タイロンは、他の雄の視線を気持ちよさそうに浴びながら、手のひらに唾を吐きかけた。そしてその手で逸物を撫で、唾液を塗り伸ばしていく。あのサイズともなると、重量がありすぎて『扱き上げる』ことすら難しいんだろう。
「さーて、いくぜ」
 タイロンはそう呟きながら、沙綾香の肛門に向けて腰を進める。
「す、すげえ……馬みてぇにデカイのが、普通に飲み込まれていきやがる」
 客の一人が、溜息でも吐くように呟いた。確かに、黙って見ているのが難しいほど、衝撃的な光景だ。
 タイロンのペニスは、根元に近づくほど太さを増す。幹の半ばを越えれば、ドナンの効果で開ききったアナルですら、完全にスムーズな挿入とはいかなくなる。そしてそれは、沙綾香により大きな刺激が与えられる、ということだ。
 6割ほど挿入が終わったところで、タイロンが動きを止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 沙綾香は荒い息を吐いたまま、上目遣いにタイロンを見上げる。
「解るな? 一番奥だ」
 タイロンが短くそう呟くと、沙綾香の喉が鳴る。
「いくぜ」
 さらに一言が呟かれた、直後。タイロンの腰が一気に沈み込んだ。
「おうう゛う゛っ!?」
 沙綾香の口から、濁った呻きが漏れる。彼女は深い挿入への覚悟を決めていたはずだ。だが結局、漏れたのは予想外の声だったらしい。見開いた眼の中、左右に惑う黒目がそれを物語っている。だが、彼女には反省の時間さえ与えられない。
「あっひ、ひいっ!! ぉっご、ふんぐううっ!! ひっ、はうっ……あ…あ゛、ああ゛あ゛あ゛っっ!!!」
 タイロンが斜め上から腰を打ち下ろすたびに、あられもない声が上がる。聴き慣れない声色だ。膣での絶頂と、アナルでの絶頂の違いだろうか。
「おーおー、すんげえ声出しやがって! こっちも結腸でイカされてるらしいな」
「中途半端に我慢しようとしてるせいで、余計みっともない感じになってんな。藤花みたいに思いっきり喘いでる方が、まだ恰好つくぜ」
 何人もの客が、沙綾香の上げた声を詰る。沙綾香はその声を聴き、必死に歯を食いしばりはじめた。

 パンッ、パンッ、と肉のぶつかる音が響き渡る。
「んあっ、グ、イグっ! ぐ、ぉぉああ゛っーーーあ゛っ!! し、尻の穴が、壊れるッ! 結腸まで、道を通されて……作り、変えられる……ッ!!!」
「くっ、う……んぎっ、いいい、ぐ……んっぉ、お……ぐっ!!」
 自分の状況を興奮気味に訴える藤花。歯を食いしばって耐える沙綾香。そんな対照的な2人を、何人もの客が見下ろしていた。
「見ろよ、藤花のあのツラ。完全にケツ犯される快楽に酔ってやがんぜ? マジで感じてんだな、あんなペットボトルみてえの突っ込まれてよ」
「サヤカという娘も、そそる顔をしている。美しい自分が尻で達するなど認めないが、我慢もできんというところか」
 客が口々に言葉を交わす中、モーリスとタイロンが顔を見合わせる。
「いい頃合いだ。そろそろイクか!」
「おう!」
 連中は調子を合わせ、腰の振りを早めた。極太の怒張が激しく肛門に出入りし、まだ残っていたらしい汚液を掻き出していく。
「あ、ああ、あああああっ!!」
 沙綾香と藤花が叫び、2人の肩がガツガツとぶつかる。その末に、モーリスとタイロンが腰を震わせた。一秒、二秒……相も変わらず、長い射精だ。
「な……こ、これは、射精、なのか……!?」
 未知の射精量に、藤花は困惑を隠せない。さらに十数秒が経ち、ようやく怒張が引き抜かれれば、その困惑は客にまで拡がった。
「ううおおおお、すっげぇ……!」
「どんな射精量だよ。ワイングラス半分ぐらいねーか、あれ……」
「マジで馬並みだな……」
 肛門から溢れ出す精液を見て、客が口元を引き攣らせる。だが一方で、連中のギラつく瞳は、こう訴えてもいた。
 この圧倒的な雄のアナルセックスを、もっと見たい──と。




 
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