Part.6(後編)の続きで、最終章最終話の前半です。
後半については、もうしばらくお待ちください。



 審査会がすべて終わった後、端塚は俺に自由行動を許した。倶楽部の施設内に限れば、いつどこへ行ってもいい。地下20階のVIPルームで過ごしてもいいし、レストランや大浴場でリラックスもできる。
 とはいえ、そんなもの嬉しくも何ともなかった。沙綾香のあんなシーンを目撃しておいて、呑気に娯楽を楽しめるはずもない。レストランの料理を噛み締めれば、奥歯の噛み合わせの悪さに苛立つ。風呂に浸かれば心地良くはなるが、そのせいで沙綾香の蕩けた顔がフラッシュバックして、逆に気分が悪くなる。
 それに、気が滅入る要因は他にもあった。施設内の至るところで、沙綾香の友人4人が犯されていることだ。

 倶楽部の奴隷となったあの子達は、それぞれに違う役割を与えられたらしい。

 祐希は、俺が通っているVIP用レストランのウェイター。いつも黒いタキシード姿で働かされているが、中性的な王子様タイプの子だから、男装が本当によく似合う。女性客からも黄色い声を浴びている。
 だが、この倶楽部の客が賞賛だけで済ませるわけがない。女性客の歓声がいよいよ大きくなり、祐希が照れ臭そうに笑うそのタイミングで、男の客が祐希を抱きすくめる。そして強引に机に突っ伏させ、乱暴にタキシードの下を脱がせて挿入するんだ。黄色い声を上げていた女達は、その憧れの対象が無惨に犯される様を見て歪んだ笑みを浮かべる。男は性欲を満たしつつ、祐希に気持ちがいいか、どんな風に感じるのかを実況させる。声が小さいからと何度も言い直させ、最終的にはレストラン中に響き渡るほどの声量を強いるのが常だ。
 祐希は、哀れなものだった。自らに好意的だった女の前であえなく犯され、性奴隷としての浅ましい善がりぶりを宣言させられ、屈辱に咽び泣く。挙句、その姿すらも酒の肴として愉しまれるんだから、どうにも救いのない話だ。

 千代里は、エレベーターガール。声楽をやっているおかげで声の通りがいいため、エレベーターへ乗った客に各フロアの説明をしているようだ。とはいえ、客が大人しく説明を聞くはずもない。この倶楽部において、女性従業員は漏れなく『性欲処理の道具』扱いだ。千代里も当然、フロア説明の最中だろうと犯される。壁に背中をつけ、片足を上げる格好で。あるいは壁に手をつき、背後から。千代里はそんな状況でも、仕事としてフロア説明を続けなければならない。羞恥と快感で声が震えるのを、客に嗤われながら。
 一人相手でも辛い状況だが、エレベーターに大勢の客が乗り込んできた時などは地獄だ。その場合、密室内は完全な『ヤリ部屋』と化す。無駄に昇降を繰り返していたエレベーターの扉が開き、客がゾロゾロと降りた後には、口からも膣からも精液をあふれさせた少女が一人、へたり込んだ状態で放置されることになる。

 藤花は、『公衆便所』。彼女は毎日違うフロアの男子便所に“設置”され、男性客の排泄後の処理をしていた。小便を終えた客のペニスを咥え、大便を終えた後の肛門を舐めしゃぶる。客は、そのサービスに興奮を隠せない様子だった。藤花の大立ち回りは客の間にも知れ渡っているらしく、そんなじゃじゃ馬娘に奉仕させている状況が征服欲を満たすようだ。
 結果として連中は、前や後ろを舐められる中で隆々と逸物を勃起させ、その猛りのままに藤花を犯す。しかも、ただのレイプじゃない。俺が目にしただけでも、便器に顔を突っ込ませたまま犯したり、ホースで腸内に水を入れた上で犯していた。そうして事が済めば、最後は申し合わせたように小便を浴びせかける。犯されている間は大人しい藤花も、さすがに小便を引っ掛けられるのは度し難いのか、以前の鋭い眼光を一瞬覗かせることがある。客はそれこそが狙いらしく、悪戯の成功した悪童のように笑いながら、次第に責めをエスカレートさせていく。
 3日目に覗いた時、藤花は頭から端を切ったビニール袋を被せられ、首元にテープで固定された上で、袋の中に数人分の小便を注がれていた。小便の色は見事に黄色だ。いかに被虐慣れしているとはいえ、濃いアンモニアの味は耐え難いらしく、藤花はうがいのような音を立てながら暴れまわる。客はそんな藤花の手足を掴んで自由を奪いつつ、順番に尻を犯した。
 藤花は哀れなものだ。女性的でありつつも筋肉質な身体を強張らせ、抑え役の大の男を振り回しながらタイルの上を歩き回る。その果てにあえなくアナルセックスで絶頂させられ、口を開いた拍子にゴクゴクと小便を飲み下してしまう。客はそれを見て、一斉に嘲笑を浴びせかけた。その嘲笑が、藤花に膝をつかせる。そうなっても、アナルセックスは終わらない。人を代え、時には道具やペニスサックも使って腸内を蹂躙する。すでに心が折れている藤花は、もう立ちあがることもできない。床についた両膝を陸上競技者顔負けに膨れさせ、神に祈るように天井を仰ぎながら、おおおお、という快感の呻きを絞り出す。その果てに、とうとう涙を流しながら噎せ返り、黄色い水と唾液の混じった液体をビニール袋に吐き戻す。それを待っていたとばかりに沸き起こる嘲笑は、聴いているだけで胸がむかつくほどだった。

 桜織は、湯女。地下20階の大浴場で、入浴客の体を洗うのが仕事だ。とはいえ、実際に客の体を洗っているのは見たことがない。中学生と見紛う華奢な体躯は、変態客のウケがいい。いつ見ても彼女は、大勢の客に泡まみれで犯されている。
 そして桜織自身も、その不特定多数とのセックスを望んでいた。祐希達のように恥じらう様子はない。肥大した割れ目を詰られようが、潮とも小便ともつかない液体を撒き散らそうが、愉快そうに笑うばかり。むしろ自分から大股を開き、黒人共に匹敵する刺激を求めて『二輪挿し』を乞うほどだ。客達はその挑発に嬉々として乗り、逸物に石鹸を塗りたくった上で、膣へ同時に挿入する。ひどい時には、石鹸をそのまま膣に突っ込んだ上で挿入することもあった。そうされても、やはり桜織は笑顔を絶やさない。未成熟な身体を弓なりに反らせ、足の先までを痙攣させてケダモノの声を上げる。浴室だけにその淫らな声はよく響き、隣の女湯から笑い声が聞こえてくるほどだった。

 レストラン、大浴場、トイレ、そしてエレベーター。倶楽部内での生活で避けては通れない場所にあの4人が配置されているのは、「現実を直視しろ」という端塚のメッセージか。奴は未だ、俺に固執している節がある。この倶楽部の王としての目覚めを期待しているようだ。もちろん、俺にそんな気はない。性行為を見れば勃起こそするが、実質的な強姦を進んで見る気にはなれない。砂糖に群がる蟻を醜いと思う、その気持ちは今も変わっていない。
 ただ、それでも俺は、毎日のように地下19階に足を運んでいた。例の『檻』を眺めるために。


                 ※


 『檻』の中は、今や愛の巣と化している。10人のオスと1人のメスが、欲望のままに共同生活を送る空間。鉄格子に近づくだけで、腐りきった生肉の匂いが鼻にこびりつく。ガラステーブルの灰皿は煙草の吸殻で満たされ、ビールの空き缶がその周りを埋め尽くす。ソファやベッド、便器周り、そして床のあちこちに、体液の名残が白い結晶としてこびりついている。何百回のセックスが行われたのかを、嫌でも考えさせられる痕跡だ。

「……んっ、ああ…あ、はあっ…………あ、あ…んふっ、えあっ…………!」
 艶めかしい喘ぎ声がする。その声色と息継ぎの仕方だけで、沙綾香だとはっきり判ってしまう。
 彼女はベッドの上で、8人に群がられていた。床に寝転がって鼾を掻いているドミニク、ダリー以外の全員が、沙綾香に密着している。
 膝立ちになった沙綾香に対し、背後から抱きすくめる形で割れ目を刺激しているのがトラバン。両手で沙綾香の頭を掴み、執拗にキスを求めているのがジャマール。両腋を舐めるのがマーキスとタイロン。乳首を口に含むのがダーナルとアンドレ。太腿に舌を這わせるのがレジャナルドとモーリス。
 揃ってゴリラ並みの巨躯を誇る男共が、満員電車さながらの密度で沙綾香の肉体にむしゃぶりついている。そしてそれは、性欲を持て余した結果というわけでもなさそうだ。
 触れ方が、舐め方が、前とは明らかに違う。
 たとえば、トラバンの愛撫だ。奴に限らず、黒人共の前戯は雑な印象が強い。クリトリスを捻り上げ、性器全体を指の腹で擦りまくり、激しく『手マン』をし……そういう、何かしらの液さえ滲ませればいいというものだった。それが今は、全く違う。無骨なトラバンの指は、宝石でも扱うような繊細さでもって、沙綾香の割れ目を刺激していた。左手の指でクリトリスの皮を押さえたまま、右中指の腹で陰核亀頭を捏ねまわす。少なくとも10分以上、そのソフトな刺激を続けていた。それがどれだけ気持ちいいのかは、筋肉を波打たせながら開閉する太腿が物語っている。
 割れ目に指を挿入する段階になっても、やはり激しさはない。性器全体を手のひらで包み込み、中指と薬指の二本を中に差し込んだまま、ゆっくりと何かを探る。沙綾香が自発的に腰を浮かせるスポットがあれば、そこで初めて指を蠢かしはじめる。沙綾香の欲求に肌で寄り添うような愛撫だ、効果的に決まっている。沙綾香の太腿は肩幅以上に開き、一切の『角』を消失させる。筋肉の隆起もなく、かといって弛緩しきっている様子もない。木材を丁寧にヤスリ掛けしたような、なめらかな曲線のみで象られた脚線。芸術的なほど美しいが、一方でその合間からは、これ以上ないほど浅ましい水音がしている。絶世の美女が、その美貌を崩さぬままに涙を流しているようだ。良し悪しを超え、息を呑むような迫力がそこにはあった。
 キスを求めるジャマールも、10番勝負でいがみ合っていたのが嘘のように穏やかだ。顔を密着させ、舌を絡め合うディープキス。数十秒を頬を蠢かせてから顔を離せば、舌の間には濃厚な唾液の糸が引く。ジャマールは呼吸を整えつつ、上気した沙綾香の顔を見つめ、また唇を奪う。そして沙綾香は、それを少しも嫌がらない。目を逸らさずにジャマールの瞳を見つめている。その視線交換は、深く愛しあう人間同士のそれにしか思えない。
 腋、胸、太腿への愛撫にも、同じく粗暴さはない。氷を少しずつ舐め溶かすように、ゆっくりと、じっくりと舌を這わせている。特に、胸を責める2人の入念さには寒気さえ覚えた。右胸のダーナルは、乳房全体をバランスよく責めている。焼きたてのパンのように膨らんだ乳房を優しく揉みしだきながら、乳首を舌で転がす。一方で左胸のアンドレは、先端に特化した愛撫だ。興奮でぷっくりと盛り上がった乳輪を口に含み、時には吸い、時には舐め回し、時には甘噛みで刺激する。方法こそ違うものの、おそろしく繊細な乳責めだ。口が離れた瞬間に覗く沙綾香の乳首は、すでに小指の先ほどの大きさに屹立している。そこまでになった性感帯に、あの愛撫……。少し前の沙綾香でも、首に筋を立てて天を仰ぎ、胸への刺激だけで何度も何度も達している姿が容易に想像できる。だったら、今は一体どれほどの快感を味わっているのか。恐ろしくて想像もしたくない。

 どこまでも甘く、だからこそ単純な加虐などより遥かに毒性の強い愛撫。それは俺が観始めてから、少なくとも30分以上に渡って続けられた。
「んふふふ。ねえ……今日は沙綾香を、どんな風にいじめてくれるの?」
 沙綾香は気持ちよさそうに身体をうねらせつつ、甘えた声で囁く。濃密なキスを交わすジャマールに対してはもちろん、それ以外の連中に対しても順番に目を合わせながら。淫靡で、可憐。その姿を前に、黒人共はわかりやすく息を呑む。憧れのお姉さんから額にキスをされた、純朴な少年のように。
「ひひひっ。そうだな、そろそろおっ始めるか!」
「オウ。今日もたーっぷり悦ばせてやるぜ、サヤカぁ!!」
 連中は顔を見合わせ、沙綾香を連れてベッドを降りる。当然だが、沙綾香は自力では立てない。執拗すぎる愛撫で、完全に膝が笑っている。黒人共はそんな沙綾香を支えつつ、ジャンケンで犯すポジションを決めた。挿入の権利を勝ち取ったのは、ジャマールだ。
「へっへ。女神の加護だな、こりゃ」
 奴は、沙綾香の尻を撫でながらそう呟いた。沙綾香を女神として見ているようだ。その女神を犯そうという奴の逸物は、最大級に勃起していた。カリ首から先、亀頭の膨らみが尋常でなく、竿も見事に反り上がっている。まさしく、性に目覚めはじめた少年の勃起そのものだ。
「挿れるぜ、サヤカ。」
 突き出させた尻に逸物を宛がい、挿入の確認を取るジャマール。
「うん……もう我慢できないよ。はやく来て……」
 うっとりとした表情で振り返り、挿入を乞う沙綾香。
 互いの気持ちが一致したところで、雌雄のフェロモンを放つ性器も一つに溶け合う。
「んあああああああっ!!!」
 挿入の瞬間、沙綾香の口から出た声は大きかった。単なる快感だけでなく、悦び……待ち望んでいた黒人ペニスの挿入が、嬉しくて堪らないという風だ。
「へっへ、嬉しそうな声出しやがって。こっちまで滾ってくんぜ!」
 ジャマールも笑みを深め、ピストンを始める。パンパンという音が鳴るたび、沙綾香から甘い吐息が漏れる。その仲睦まじさは観ていてつらい。心臓が締めつけられるようだ。立ち去りたい気持ちは当然あるが、檻の中で新しい動きがあれば、つい目で追ってしまう。
「俺は、口でしてもらおうか」
 沙綾香の前に立つトラバンが、勃起しきった逸物を突き出した。恐ろしい大きさだ。だが沙綾香は、躊躇なく口を開いた。
「オオォウ……!!」
 怒張が桜色の唇に隠れてすぐ、トラバンから快感の溜息が漏れる。沙綾香はそんなトラバンを見上げて目を細めつつ、じゅぶじゅぶと音を立てて口を蠢かす。
「ひひ、見せつけやがって。俺も、そのやわっこい手で気持ちよくしてくれよ!」
「こっちも、頼む」
 横からダーナルとアンドレが奉仕を求めれば、沙綾香はやはり嬉々として応じた。竿を扱きつつも、親指で裏筋を刺激したり、鈴口を指で刺激する。そのテクニックが的を得たものだと、黒人共の反応が物語る。
 4対1の輪姦。絵面としてはそうだが、雰囲気は数日前までとはまるで違った。今の黒人共から、沙綾香を害そうという気配は感じない。強姦魔というより、初夜に挑む新郎のようだ。
「いいぜサヤカ、お前のプッシーは最高だ。吸って、舐めて……10枚ぐれぇの分厚い舌でフェラされてる気分だぜ!」
 そう言いながら腰を振るジャマールに、荒々しさはない。ストロークを長めに取り、パンパンと音を響かせてはいるが、それは膣奥をいじめ抜くためではなく、純粋に快感を求めてのことだろう。
 それを受け止める沙綾香もまた、見るからに気持ちがよさそうだった。がに股のまま両脚を痙攣させ、奥を叩かれるたびに腰全体を浮き上がらせる。スタンガンを膣に押し込まれ、一秒ごとにスイッチを入れられているかのような反応。それは挿入している雄にとって、さぞ面白い光景だろう。
「あああ……出るぜ、出るぜえっ……!!」
 気構えがないせいか、あるいは単に快感が強いせいか。ジャマールは、挿入してから3分ともたない。沙綾香の尻肉を鷲掴みにし、深く突きこんで腰を止める。
「んっ、あんっ……いいよ、膣内に出してっ! 膣内出しされると気持ちいいの。もう気持ちいいことだけしか考えたくないのっ!」
 沙綾香はジャマールを振り返りながら、甘えた声を出す。嬉々として汚辱を求めるその姿は、いつか見た百合や桜織の映像とそっくりだ。


                 ※


 汚れを落とすために連れ込まれたシャワー室でも、沙綾香は休むことなどできなかった。
「おーおー、俺らのザーメンがどんどん溢れてくるぜ。こりゃ、中からキレイにしねえとな!」
 マーキスがゲラゲラと笑い、シャワーヘッドを割れ目に押し込む。
「はぐうっ!? ほおお゛っ、お゛……おお゛ほぉ゛お゛っ!!!」
 沙綾香から獣のような呻き声が漏れた。膣内へのシャワー圧だけで絶頂してしまっているらしい。
「いひひひっ、中イキに慣れちまうと大変だなあ? プッシーを洗われるだけでイキっぱなしとはよ!」
 マーキスは震える沙綾香を抱きすくめながら、レバーを押し上げて水勢を強めていく。
「おっ、おッ、おおおッ……んんおお゛お゛お゛っ!!!!」
 沙綾香は白目を剥き、排便を思わせる呻きを漏らす。そして直後、膣内の容量を超えたんだろう、シャワーノズルが勢いよく飛び出した。
「はああっ、おっ、ほおおっ、あ……お、おっおっ……!!」
 身体を震わせ、割れ目から水を噴き出させる沙綾香。延々と潮を噴いているようなその姿に、マーキスが喉を鳴らす。
「ハァ、ハァ……が、我慢できねぇ……!」
 奴は沙綾香を壁際に追い込むと、そのまま背後から挿入を果たした。
「おっ、おい、オメエ何抜け駆けしてんだ!」
「ざけんじゃねぇぞ、身体洗うためにそこ入ったんだろうが!」
 他の黒人共が非難しても、マーキスの動きは止まらない。しっかりと沙綾香の腰を掴み、ぶしゃぶしゃと水を散らしながら股間を打ちつける。シャワーだけで達してしまう沙綾香が、それに耐えられるはずもない。
「あっ、あっあ……はぁああお゛っ! お、おくっ、んんん゛う゛っ!!」
「へへへへ、そうだろ。水なんぞより、硬くて太いディックの方が美味いよなあ? その感じてる顔、もっと見せてくれよ!」
 震える沙綾香を抱きすくめ、キスを強いるマーキス。沙綾香は喘ぎながらもそれに応じる。仲睦まじいカップルのように。
 マーキスが射精してからも、その関係は変わらなかった。沙綾香は、汗に濡れ光るマーキスの体を甲斐甲斐しく洗う。石鹸を塗りつけた股座で腕を洗い、同じく胸や腹に石鹸をつけて背中に擦りつける。
「ははっ。お前の肌は、スベスベで柔らかくて最高だな。俺ァもう、アジアンしか抱けねぇかもしれねえや」
 マーキスはおどけるように身を捩らせて喜ぶ。沙綾香はそれを見て目を細め、満を持して逸物に触れた。
「ふふふ。さっき出したばっかりなのに、もう硬くなってる」
 沙綾香は逸物をたっぷりの泡で包み、優しく上下に擦る。その泡を洗い流してからは、口で丁寧に舐めしゃぶる。
「くううっ……最高だぜ!!」
 マーキスは心底気持ちよさそうな呻きを漏らし、二度目の射精へと追い込まれていく。

 こうした愛の営みは、マーキス相手に限らない。シャワー室から出た沙綾香は、外で待ち構える他の黒人共にも、やはり積極的に奉仕した。
「へへへへ、まるでオレの方がレイプされてるみてえだ。こういうのも悪くねぇなあ、惚れた女相手ならよ」
 床に押し倒されたトラバンが、沙綾香を見上げて笑う。
「あっ、ああぁはんんっ! ふ、太くて……き、気持ちいい……っ!!」
 水滴を散らしながら、一心不乱に腰を振る沙綾香。それを見上げるトラバンも、周りで見守る他の黒人共も、口元が緩みっぱなしだ。
「へっ、エッロい顔しやがって。ジャパニーズってのはどいつも同じ顔に見えるもんだが、お前は違うな。その蕩けたツラ見てっと、それだけで、気持ちよくなって…………ぐう、うっ!? ああやべえ、出ちまうっ!!」
 至福の感情が射精を早めたのか。トラバンは、挿入から僅か2分で腰を震わせる。
「あはっ、出して、中に出してえっ!!」
 沙綾香は身を深く沈め、膣内への精を余さず受け止める。そして射精が終われば、浮かせた腰の下に手を差し入れ、溢れ出す精液を受け止めた。
「おいおい、何する気だ……?」
 黒人共が見守る前で、沙綾香は掌に溜まった精液を口へ運び、ごくりと喉を鳴らした。
「ははははっ! こいつ、命令もされてねぇのにザーメン呑みやがった!!」
「ああ、わざわざ手で受けてな! 何遍も飲まされるうちに、すっかり俺らのザーメンが好きになっちまったってか!?」
 歓声が上がる。あの沙綾香が、自ら精液を呑んだ……それが嬉しくて堪らないらしい。
「よーし、次は俺だ!」
 レジャナルドが沙綾香を抱え上げ、膝の上に乗せる。他の連中に見せつけるような背面座位だ。
「んはあっ!? お、おほぉ、お……っ!!!」
 沙綾香は、挿入だけで深く絶頂してしまう。下半身は大股開きで痙攣し、上半身は膨らんだ乳房をアピールするかのように反り、顔は天を仰ぐ。自然な動さではあるが、俺から視線を逸らすための動作にも思える。
「ははっ、すげぇイキっぷりだな。フェロモンみてぇな匂いもしやがる。ますますビンビンになっちまうぜ」
 レジャナルドは、沙綾香のうなじを嗅ぎながら、力強く腰を突き上げた。
「いあっ、はっ、はあああっ!! いぎっ、ぎもぢいいっ……! 沙綾香の気持ちいい゛とこっ、知られちゃってるう゛っ!!」
 天を仰いで以来、沙綾香の喘ぎは『お』行から『あ』行に変わった。だが、快感の質が軽くなったわけではなさそうだ。亀頭の位置を知らせる膨らみが、下から上へと移動するたび、沙綾香の下半身は震えあがる。
「うっ、ふぐっ……うっ、あっ!! な、内臓、押し上げられて、お腹、ボコってでてる……。あ、ああ、あ、あっ……ねえ、レジャナルド……そろそろイキそう。いいよね……?」
「ああ、俺もそろそろ出そうだ。一緒にイこうぜ!!」
「あああレジャナルド……い、イキそう、イキそう……イクっう゛っ!!」
「俺もだサヤカ……イクぞ、イクぞおっ!!!」
 沙綾香の絶頂にレジャナルドが影響されたのか。あるいはレジャナルドの絶頂に沙綾香が引っ張られたのか。いずれにせよ、2人は同時に極まった。沙綾香の身体が揺れ、割れ目から腐ったヨーグルトのようなものがドロドロと伝い落ちる。
「おっと、プッシーから大好きなザーメンが垂れちまってるぜ。次は俺が栓してやるよ!」
 レジャナルドより一回り太い逸物を扱きつつ、モーリスが沙綾香を組み伏せた。
「んんあああっ!! あん、あっ、あ、イク、またイクッ……!! だめっ、ま、まださっきのが残ってて、イクのが繋がっちゃってる……止まんないいっ!!」
 沙綾香はまた絶頂へと追い込まれていく。虚空を眺め、舌を突き出して自ら腰を振るその姿は、快楽を貪るケダモノそのものだ。
「はははっ、気持ちよさそうにしやがって!」
「ようサヤカ、次は俺様だぜ。早くヤリてぇなあ!」
 黒人共の馬鹿笑いが響き、沙綾香の嬌声がそれに混じる。



「くそっ……!」
 オスとメスの交わりを前に、俺はすっかり蚊帳の外だ。ひとり歯噛みする俺に、1人の女が歩み寄ってくる。ロシア人を思わせる風貌と、真っ白な髪──百合か。
「先生。宜しければ、わたくしがお相手をさせていただきます。ただご覧になっているだけではお暇でしょうから」
 百合の口調は、相も変わらず事務的だった。
「端塚の命令か?」
 俺が尋ねると、百合は静かに頷く。
 余計な計らいだ。沙綾香以外の女を抱いたところで、心の喪失感が埋まるはずもない。第一、この百合にも思うところはある。沙綾香の調教に加担し、快楽に堕ちる手助けをした。こいつが入念な性感開発を行わなければ、沙綾香が快感に狂うことなどなかったかもしれない。そんな奴が、沙綾香の代わりだと?
 ……考えているうちに、だんだんと腹が立ってきた。後ろめたさを感じさせない涼しげな顔が、余計に感情を逆撫でする。
「そうか。なら、相手をしてもらおうか」
 俺はズボンを脱ぎ捨て、百合に向き直った。心は鬱々としていても、男女の行為を見続けた結果、分身はしっかりと隆起している。
「承知しました」
 百合は俺の足元に跪くなり、躊躇なく逸物を咥え込んだ。生ぬるい口内に分身が包まれる感触は、震えがくるほど気持ちがいい。おまけに、百合のテクニックは相当なものだ。見た目以上にしっとりと厚みのある唇で幹を扱き、巧みな舌遣いで亀頭を舐め回す。気を抜いていると、射精まで1分ともちそうにない。
「くっ、あ……ぐうっ……っ」
 内腿に力を篭め、顎を浮かせて射精を堪える。すると、ふいに視線を感じた。左の方……鉄格子の向こうからだ。
「…………っ!!」
 沙綾香と目が合った。彼女は、百合に奉仕される俺を見ていた。ダリーに荒々しく突き上げられながら、泣きそうな表情で。
 なんだ、あの表情は?
 俺が他の女と『している』ことを、悲しんでいるのか?
 それとも、嫉妬しているのか?
 彼女は、黒人共とのセックスに溺れきっているはずなのに。
「さ──!」
 俺が声を上げかけたその瞬間、ダリーが沙綾香の唇を奪う。『よそ見をするな』とばかりに舌を絡めるディープキスだ。沙綾香もそれを受けて、蕩けるような視線をダリーに注ぐ。はっと我に返れば、目の前にあるのは、やはり色に狂ったケダモノの姿だった。
 気のせいか。沙綾香への未練が、幻を見せたのか。
「先生、どうかなさいました? ……ああ、キスをなさりたいのですね」
 百合が俺の視線を追い、唇を重ねようとしてくる。だが、とても応じる気にはなれない。
「尻を向けろ」
 百合の肩を掴み、やや乱暴にベッドへ手をつかせる。そしてその背後から、荒々しく突き入れる。百合の割れ目は、すでにしっとりと濡れていた。
「はっん!!」
 百合から声が漏れる。俺のペニスも、挿入で音を上げさせるだけの大きさはあるらしい。あの黒人共には、及ぶべくもないが。
「フッ、フウッ……!!」
「はんっ、あ、はっ! あああんっ、あっあ……! 先生、よ、良うございますっ……!!」
 百合の尻を両手で掴み、煮え滾る想いを叩きつける。よく濡れた粘膜が絡みついてくる感覚は、おそろしく気持ちがいい。だが、沙綾香と交わっていた時ほどじゃない。百合も善がってはいるが、本当かどうか怪しいものだ。
「ハハッ。あいつら、ジャパニーズ同士で“セックスごっこ”を始めやがったぜ?」
「あの女も可哀想になあ。あんな粗末なウィンナーじゃ、腹は満たされねぇだろうに。なあ沙綾香。咥え込むなら、太いフランクフルトに限るだろ?」
 黒人共が野次を飛ばしてくる。奴らは直立したまま、沙綾香を挟み込む形で犯していた。沙綾香は、返事をしない。だが、甘い声を漏らしながらジャマールと舌を絡め合っているのは、事実上の肯定だ。
「ハアッ、ハアッ……!!」
 俺は百合の尻を掴み、激しく腰を振る。その効果は絶大だった。
「はんっ、あっ、ひいいっ!! は、激しい……いいイクッ!!!」
 百合が身を震わせ、ベッドシーツを握りしめる。さらに膣内を蹂躙してやれば、両脚の震えが刻一刻と酷くなっていく。
「す、凄い……が、我慢がっ、できな……っ……!!!」
 百合はそう哀願しながら、全身を震わせた。同時に、割れ目からぶじゅっと水が溢れ、床に滴り落ちていく。『ハメ潮』というやつか。
 相手の陥落を肌で感じても、滾りは収まらない。ベッドに突っ伏した百合の肩を掴み、さらに腰を打ちつける。無意識に選んだ体位だが、これはいい。肩を掴むことで俺の姿勢は安定するし、相手が前に逃げるのも封じられる。結果として、突きこみの威力を余すところなく伝えることが可能だ。
「くはっ!! あああ、深いいッ!! あああっ、せ、先生、だめ、だめエエエ゛っ……んんあああ゛あ゛あ゛あ゛っ! いやあ゛っ、いやあああ゛あ゛っっ!」
 百合の反応は凄まじい。背中を弓なりに反らせ、白い髪を振り乱す。腰を左右に逃がそうともするから、その動きを利用して『効きそう』な場所を抉り込んでやれば、電流でも流したかのように脚が震え上がる。セックス慣れした性奴隷とは思えないほど、余裕のなさそうな反応だ。
「ほおー、流石は“先生”だな。ツボを押さえてやがる」
「脳の記憶が無くても、体が女の狂わせ方を憶えてるってか。おっそろしいねえ」
 手越とロドニーが遠くから茶化してくるが、もはやどうでもいい。

 ひたすらに、百合の肉体を貪った。
「はあ、はああっ……はあっ……や、やふまへて…………」
 百合が腰砕けになっても、抱くのはやめない。汗に塗れた身体をベッドの上に放り投げ、覆いかぶさる形で挿入する。ひらすらに、がむしゃらに。
 気がつけば、周りは静かになっていた。黒人共も手越達も、俺達のセックスに飽き、それぞれの世界に戻っているようだ。ちょうどそのタイミングで、百合が俺の耳元に口を寄せた。
「……先生」
 また快感を訴えるのか、あるいは音を上げるのか。そう決めつけていた俺は、続く言葉で虚を突かれる。
「落ち着いてお聞きください。沙綾香は、堕ちてはいませんわ」
 予想外の一言。俺は、その言葉の意味を理解するのに数秒を要した。ようやく脳が処理を終え、はっとして百合を見れば、その瞳はしっかりと俺を見つめていた。瞳以外のあらゆるパーツは、快感に溺れるメスのそれだというのに。
「んっ、どうしたんです先生ぇ。もっと、動いてぇ……っ!!」
 俺が固まっていると、百合は甘えた声と共に足を絡ませてくる。周りに気取られないよう演技を続けろ、ということか。
「……はっ、この変態め!」
 俺は笑い返してみせ、百合の唇を奪った。激しく口内を貪っては口を離し、また舌を絡ませあう。そうして息を弾ませた状態で言葉を交わせば、傍目には愛の囁きにしか思えまい。
「……はぁ、はぁ……どういうことだ」
「……はっ、はっ……審査会で沙綾香に呑ませた錠剤は、ドラッグなどではありません。私がすり替えた『抑制剤』です」
「『抑制剤』?」
「……はい。服用直後は興奮作用がありますが、しばらくすれば鎮静作用が働きます。沙綾香は……あの子は、まだ快楽に溺れきってはいません。そういう演技をしているだけです。私との、打ち合わせ通りに」
 囁きかける百合の瞳は、真剣そのものだ。隙を見て、密かに沙綾香とやり取りしていたということか。確かに、可能といえば可能だ。百合が沙綾香と2人きりになる場面は多かった。マッサージや愛撫をしながら囁きかければ、遠目には快感の確認としか思えない。
 いや。それよりも、沙綾香が快楽に溺れていないというのは本当なのか?
 こっそりと鉄格子に視線を向ける。沙綾香は、前後から挟まれ、右膝を担ぎ上げられたまま挿入を受けていた。
「ふわあああっ、きっ、気持ちいいいっ!! 前も、後ろもおぉっ……んああああっっ!!」
 沙綾香は大声で快感を訴えながら、太腿の筋肉を強張らせる。
「ぐおおおっ、締まるっ……!!」
「ぎゃははははっ、まさに咥え込んで離さねぇってやつだな!」
 膣を犯すジャマールも、肛門を犯すトラバンも、顔を歪めて笑う。
 どう見ても、黒人セックスに耽る一匹のメスだ。あれが芝居だとすれば、その演技力は一流の女優に匹敵する。
 だが、よくよく考えてみれば、沙綾香に高い演技力があってもおかしくはない。あの子はずっと、財閥令嬢としての振る舞いを強いられてきた。つまり、令嬢の演技をして生きてきたわけだ。だとすれば、『別人』を演じることに長けている可能性はある。加えて言えば、親や資産家連中との付き合いの中で、気難しい相手の喜ばせ方も知り尽くしているはずだ。元より女好きな黒人共の篭絡など、難しいことではないのかもしれない。
「先生、沙綾香を信じてあげてください。貴方に見限られては、それこそ心が折れてしまいます」
 百合が囁いてくる。
 俺は──信じたい。沙綾香がまだ沙綾香であることを。
 それに、さっきの視線も忘れられない。俺と百合との交わりを、泣きそうな目で見ていたあれは、間違いなく正気の目だ。


                 ※


 沙綾香が演技をしているという前提で見れば、檻の中の光景は違って見えた。

 沙綾香は今、目隠しをした状態で黒人共の逸物をしゃぶらされ、誰の物かを当てるゲームをさせられている。沙綾香の『忠誠心』のテストだろう。
「んふっ。この匂いは……レジャナルドでしょ?」
「この味は、モーリスだよね?」
 沙綾香は、百発百中で相手を当てた。10人のペニスの匂いと味を、全員分覚えたという証だ。
「正解。ちっと簡単すぎたか? 毎晩しゃぶらせてるもんなあ」
「かもな。だったら今度は、下の口で当ててもらおうか!」
 黒人共は勝ち誇ったように笑い、次のプレイに移る。
「んンンン゛ぉおお゛お゛お゛っ!!! お、おっきい……わかった、タイロン、タイロンでしょ!?」
 一番手のタイロンが挿入した途端、沙綾香の背は弓なりに仰け反った。他の9人とは別格のサイズだけに、外しようがない。しかしタイロンは、当てられても腰を止めようとはしなかった。
「おー、いいぜぇ。ねっとり絡まって、締めつけて……目隠しでヤると具合が良くなんな!!」
 上機嫌で腰を叩きつけ、しっかりと膣内出しまでもっていく。そのせいで膣が緩まり、一気にクイズのハードルが上がってしまう。
「んっ、これ、誰だろ……。ちょっと右上に沿ってて、カリが……張ってる? んんっ、よく、わかんない……」
 2人目のドミニクを当てるのに、沙綾香は大苦戦していた。あえて言葉にはしないが、タイロンとのサイズ差のせいで、挿入感すら薄いんだろう。ドミニクがにやけるタイロンを睨みつけ、不愉快そうに舌打ちする。
「待ってね、今当てるから……ん、んっ……あ、わかった! この形、ドミニクだよね?」
 舌打ちを耳にした沙綾香は、必死に腰を蠢かして感触を探り、見事に正解する。その健気さは、苛立ちに歪むドミニクの顔を一瞬にして氷解させた。
「おっ、大正解だぜ。ハハハッ、そうだよな。毎晩抱え上げて、ヨガらせてやってんだ、わからねえ訳がねえよなあ!!」
 完全にオスの自信を取り戻したドミニクは、愉快そうに笑いながら沙綾香の割れ目を抉り回す。
「ふあっ、あ、あっ!! ド、ドミニクのその角度っ、すごいよおっ!!!」
 沙綾香は悦びの声を上げ、思わずといった様子で股を開きながら痙攣する。ドミニクが最も得意とする、小便スタイルに近い脚の形だ。
「よーし、ご褒美だ。大好きなこれでフィニッシュさせてやるよ!!」
 ドミニクが沙綾香を抱え上げ、得意の体位に持ち込んだ。
「あああいいっ、好きっ、これ好きいいっ!! あイクっ、イックうううっっ!!」
 沙綾香は大声で快感を訴えながら、身を震わせた。そしてその直後、挿入部分から潮を噴き散らす。好き、という言葉を証明するかのように。
「へへ、へへへへ……!!!」
 ドミニクは、夢見心地という様子だった。俺に見せつけるという目的すら忘れ、頬を緩ませたまま沙綾香に口づけを求める。沙綾香もそれに応じ、結果として仲睦まじさをこれでもかと披露する。
 3人目のマーキスも、4人目のモーリスも、5人目のレジャナルドも同じ展開だった。沙綾香は必死に相手を探り、それに感極まった黒人共が全力で愛する。何度も何度も肉をぶつけ合い、愛液と精液を散らせながら。

「ハッ、ハアッ、ハアッ、ハアーッ…………!!」

 全問正解で10人の相手を終えた頃、沙綾香の息は乱れきっていた。かろうじて這う格好を取ってはいるが、全身の痙攣が止まらない。やたら肉感的に見える体からは、滝のように汗が流れ、垂れ下がった乳房から滴っていく。外された目隠しの下では、黒目がほぼ完全に上瞼に隠れていて、意識があるのかも怪しい状態だ。
「ひひひっ、トんでんなあ!」
「ああ。必死にコックの形を探ったせいで、感じすぎちまったみてぇだな!」
 黒人共は沙綾香の反応を見て笑い合う。その笑い方さえ、以前の下卑た嘲笑とは違った。スポーツで快勝した後のような笑みだ。

「ハーッ、ハアーッ、ハアーーッ、ハアーーッ…………!!」

 沙綾香の息はまだ収まらない。少し前までは一休みすれば回復していたのに、もう時間が経っても緩んだ表情が治らなくなっている。あるいは、迫真の演技で“そう見せている”。
「見ろよ。さんざっぱらファックされまくって、すっかりバカ面だぜ」
「ああ。余韻に浸りまくってやがるな」
 少し離れたソファから、ロドニーと手越の声がした。
「あはっ……もっと、もっろしてぇ……。ねえ、マーキスぅ、アンドレ……トラバン……」
 沙綾香はだらしない笑みを浮かべながら、目につく黒人共の名前を呼ぶ。
「へへへ、まさに底なしだな。いいぜえ、今夜も足が立たなくなるまで可愛がってやる!」
 黒人共は白い歯を剥き出しにし、我先にと沙綾香に群がっていく。

 全てが演技だとするなら、沙綾香の狙いは黒人共の篭絡だろう。そしてそれは、順調に進んでいる。
 黒人共が沙綾香に絆されているのは間違いない。『ジャパニーズ』呼びが、いつからか『サヤカ』に変わった。髪を掴んだり、腰を叩きつけたりという乱暴なプレイも減った。
「ふうっ……なんか疲れちゃった。甘い物食べたいなあ」
 プレイの合間に沙綾香がそう呟けば、すぐに何人かが反応する。
「へへへ。そう言うと思ってよ、ハニードーナツ用意してるぜ!」
「バカ、カロリー高ぇよ。サヤカが太っちまうだろうが。よう姫、こんな奴ほっといてよ、ミルクプディングはどうだ。冷蔵庫で冷やしてんだよ」
「ああ? 馬鹿はテメエだ。甘いモンが欲しい時ってなあ、糖分が足りてねぇんだよ!」
 沙綾香の前で、ダーナルとジャマールがいがみ合う。沙綾香はソファに腰掛けたまま、そんな2人に微笑みかけた。
「もう、喧嘩しないで。んー、でも、ドーナツにプディングかぁ。どっちもいいな~、どっちも食べようかな。その代わり、食後の運動に付き合ってよ?」
 沙綾香のこの一言で、ジャマールとレジャナルドは目を輝かせ、ハードファックでのカロリー消費を約束する。こんな光景は、今や珍しくもない。
 まるで、共通の恋人を持つ10人の男の同棲だ。奪い合いという状況ではあるが、同棲生活はおおむね上手くいっていた。

 ところが、5日目の朝。その蜜月の日々は、突如として崩れ去る。それまで監視役に徹していたロドニーと手越が、満を持して調教に加わったからだ。
 倶楽部の目的は、沙綾香を調教師の傀儡とすること。であれば、最終段階で調教師の頭が出てくるのは当然ではある。黒人共もそれは理解しているらしく、ロドニーが沙綾香の引き渡しを要求した時、反抗する人間はいなかった。だが、完全に納得しているわけでもなさそうだ。曲がりなりにも“一妻多夫”を許容しているのは、それまで共に調教してきた間柄だからこそ。たとえボスといえども、後から割り入ってくる人間を快く思うはずもない。愛した女が別の人間に調教される光景は、血の涙が出そうなほどつらい。それは、俺も黒人連中も同じなんだ。


                 ※


 鉄格子から連れ出したばかりの沙綾香の前で、ロドニーがトランクスを脱ぎ捨てる。
「………………ッ!!」
 露わになった怒張を前に、沙綾香は凍りついた。無理もない。ビール缶を3つ繋げたようなタイロンの逸物より、さらに輪をかけて凶悪。亀頭からして手で掴めるか怪しい大きさだが、何より、幹の膨らみ具合が尋常じゃない。まるで、女の性器を確実に破壊するために作られた拷問具のようだ。逸物の大きさに自信を持つ黒人共すら、言葉もなく“ボス”の下半身を見つめている。
「…………あはっ、ほんと大きい。こんなの、入るかなあ」
 沈黙を破ったのは、沙綾香だった。彼女は頬を赤らめ、期待感に満ちた表情でロドニーの足元に跪く。どう見ても、更なる刺激を待ち望んでいるようにしか思えない。その迫真の演技に、ロドニーは笑みを浮かべ、逸物を沙綾香の乳房に乗せる。
「あんっ、重いよぉ……」
 沙綾香はケラケラと笑いながら、乳房で異形を挟み込み、先端へ口をつける。
「んっ……むっ、はン……はっん、んん、あっ……んちゅっ、れあっ……」
 艶めかしい声と共に、赤い舌が亀頭を舐め回し、唇が先端を包み込む。
「しゃぶるのにもすっかり慣れたな。最初の頃のカマトトぶりが懐かしいぜ」
 ロドニーは感心した様子で笑いながら、沙綾香の後頭部に手を当てた。そして一気に引き寄せる。太すぎる剛直が3割ほど口内に隠れ、沙綾香の頬が歪に引き攣る。
「ふもおごぇああ゛あ゛っ!?」
 壮絶なえずき声も漏れるが、予想通りだ。あんなサイズの逸物を強引に押し込まれて、声が出ないはずもない。
「オイ、乱暴にすんじゃねぇよ! サヤカの口が裂けちまうだろうが!!」
 鉄格子を揺らしながら、タイロンが非難の声を上げる。奴自身、以前はかなり乱暴なプレイをしていたというのに。
「ぶはっ、あはっ……はぁ、はぁ……お、おっきい……。顎、外れちゃうかと思った……」
 怒張を吐き出した沙綾香は、激しく喘ぎながら笑う。そして、今度は自ら深く咥え込み、なおかつ割れ目を弄りはじめる。規格外のペニスを前に、興奮を抑えきれないというアピールか。
「ハッ、よく言うぜド変態が」
 ロドニーは鼻で笑いつつも、沙綾香の奉仕を堪能する。沙綾香の演技は真に迫っていた。整った顔を崩しながら、口いっぱいに極太を頬張り、咀嚼するように舐め回す。
「ほおー、大したもんだ。調教に手間ァかけた甲斐があったな」
 怒張の表面の血管が、さらにくっきりと浮かび上がった頃。ロドニーは沙綾香の頭を押しやり、奉仕をやめさせる。そして近くのソファに沙綾香を座らせると、サイズをさらに増した怒張を宛がった。
「挿れるぜ。キツいから覚悟しとけよ」
 ロドニーは、亀頭で割れ目を擦りながら宣言する。
「……っ」
 俺の横に座る百合が、顔を強張らせた。百合は奴隷調教の経験者だ。過去、ロドニーに犯された経験がフラッシュバックしたか。
 一方の沙綾香は、挿入を前にしても薄笑みを湛えたままだ。だが、下を向く目には、ほんの僅かに怯えが見える。

 ( ──頑張れ、沙綾香! )

 俺が心の中で声援を送った、その瞬間。ロドニーが腰を突きだし、剛直が割れ目に入り込む。
「……ん、あああああああっ!!!!」
 挿入の瞬間、沙綾香は絶叫した。おそらくは、演技の余地もない本気の叫びだ。挿入部分に視線をやれば、絶叫の理由がよくわかった。サボテンを思わせる肉の塊に入り込まれ、陰唇は不自然な形に歪みきっている。中に異物を抱える下腹部は、それこそ七面鳥のように盛り上がっている。
 何か、トリックがあるんじゃないか。人を驚かせるために演出された、マジックショーなんじゃないか。そう考えたくなるほど、現実離れした現象が、沙綾香の身体に起きている。
「くくくっ、いい悲鳴だぜ。俺にレイプされた奴は、皆そうやって叫ぶんだ。アイドルだろうが、婦警だろうが、少年兵のリーダーだろうがな。……いや、お前のお友達のサムライガールだけは耐えてやがったか。背中から冷てぇ汗垂らして、下半身ガクガク震わせちゃいたがな。ありゃ大したモンだった。お前も負けんじゃねえぞ。そのダチに勝って、ここにいるんだからよ!!」
 ロドニーは、下卑た笑いと共に沙綾香の腰を掴み、さらに深く挿入する。
「んはっ、お……おっほ、ほっ……く、苦し、い……!!」
 沙綾香は顔を引き攣らせ、苦悶を訴えた。その反応が、ロドニーの笑みをさらに深める。
「だろうな。『アソコが裂ける』『骨盤が外れそう』『初めての時より痛い』あたりは、俺に犯される女の常套句だ。そこにいるお前の先輩なんぞ、傑作だったぜ。3つ全部言ってギャンギャン泣いた挙句、クソまで漏らしやがった」
 ロドニーの目が百合を向いた。
「…………その節は、失礼をいたしました」
 百合は淡々と謝罪し、頭を下げる。その能面じみた顔つきとは裏腹に、シーツを掴む手は震えっぱなしだ。ロドニーに犯された経験が、よほど深くトラウマになってしまっているらしい。
「はぁっ、はぁっ……わかるよ。これ、凄いもん……。今までのどのセックスより、痺れちゃう…………!」
 沙綾香は汗まみれの顔でロドニーを見上げ、囁いてみせる。その一言で、黒人共が一斉に騒ぎ出した。口汚い言葉を交えつつ、返せ、戻せの大コールだ。ロドニーはそんな黒人共へ見せつけるように、大きく腰を使いはじめる。
 他人が行うピストンを、これまで何千回見てきたことだろう。だがロドニーのそれは、過去のどれとも違っていた。ロドニーが腰を前後に動かすたび、バカげたサイズの怒張が割れ目から出入りする。その衝撃に、じっと耐えることなど不可能だ。沙綾香の手は忙しなく動いた。ソファの座部を掴み、下腹を押さえ、骨盤に指を添え……そうして彷徨った挙句に、背もたれを強く握りしめる。
「ひいいあ、ふぇっ……ぎあはっ、ぃふあっ……ひゅごい、凄いいっ…………!!」
 沙綾香の声は、今までに耳にしたことがないものだった。極度の苦しみに呻き、時に声を裏返らせてもいるが、艶めかしさがある。どこまでが演技で、どこまでが本音か、全く判別不能なレベルだ。
「ほぉ、もうヨガってやがんのか。貧相なアジアンのくせに、大したタマだ!」
 ロドニーは嬉しそうに笑い、沙綾香の両足首を掴みながら腰を突き込む。
「きゃはっ、はっ、はがぁがっぐ!!」
 また、妙な声が漏れた。よほどの苦しさなのか、Vの字に持ち上げられた美脚がブルブルと痙攣している。
「すげぇだろ。キツくって、筋肉の痙攣が止まらねぇよなあ。だが、じきに病みつきになるぜ?」
 ロドニーの黒い腰が、前後に揺れる。沙綾香を載せたソファそのものが揺れ、騒々しい音を立てる。
「ふっぐ、あぐっ、んんはぐっ!!! んはっ、あ、あぐうっ……は、はああっ、あっぐ!!!」
 沙綾香の声は苦しそうだ。巨体の陰からたまに覗く顔は、常に歯を食いしばっている。背もたれを掴む手も、V字の脚も、痙攣が止まらない。
「へへへ、なかなか具合がいいじゃねぇか。そろそろ一発目いくぞ!!」
 ロドニーが叫び、スパートを掛ける。あらゆる音がペースを増し、殺害現場さながらの不穏な空気が満ちていく。
「ああああすご、すごい、すごぉおいいい゛い゛い゛い゛っ!!!!」
 沙綾香は、絶叫した。何もしなければ純粋な悲鳴になるものを、無理矢理喜びの言葉に変えているような、異様な叫びだ。その最中、ロドニーが腰を止めた。奥深くまで捻じ込んだまま、注ぎ込む。ペニスサイズに自信を持つ連中特有の、征服的な射精だ。

 射精を終えた後、ようやくロドニーがソファから離れる。その陰から現れた沙綾香の姿は、悲惨の一言だ。陰唇は外へ捲れ返り、膣粘膜の一部も引きずり出されている。腰は深くソファへめり込み、脚は痙攣を続けている。中でも正視に耐えないのが顔で、虚ろな目と涎を垂らす口は、絞殺された直後のようだ。
 それでも、沙綾香は自我を失ってなどいなかった。
「どうだ、刺激的だったろ?」
 ロドニーが汗を拭いながら声を掛ければ、沙綾香の瞳に光が戻る。
「ハッ……ハァッ……ハァッ……うん、最高……デスソース、スプーン一杯舐めさせられた感じ……」
「そりゃ良かった。気に入ったんなら、もっと飲ませてやるよ。スプーン一杯なんていわず、バケツでな!」
 気を良くしたロドニーは、沙綾香の腕を掴んでソファから起き上がらせる。だが、沙綾香は自立できなかった。
「ま、待って、立てない……膝、笑っちゃって……」
 沙綾香自身の言う通り、脚の震えが止まらない。黒人共から、数時間ぶっ通しで輪姦された直後のように。
「ったく、しょうがねぇな」
 ロドニーは嘆息しつつも、笑みは消さない。一度のセックスで腰砕けにした事が誇らしいんだろう。実際、並大抵の事じゃない。しかも奴は、そんなセックスをまだ続けようとしている。
 奴は、沙綾香を抱え上げた。両脚を抱えての対面立位……『駅弁』の体位だ。大きな手が尻肉を掴み、割りひらく。そしてその隙間に、パイナップル大の逸物が入り込んでいく。
「んあっ、あぐっ……あ、あ……はくああああっ!!」
 今度も、挿入だけで悲鳴が上がった。さらにロドニーの手が動き、強引に腰を上下させはじめれば、声はさらに悲痛さを増す。
 ソファでの体位の方が、ずっとマシだった。剛直のバカげたサイズがそのまま見えるこの状況は、直視が辛い。あんな挿入を何度も受けて、無事でいられるはずがない──嫌でもそう思えてしまう。
 幸いにというべきか、股が裂けて血が噴き出すようなことはなかった。足首から先はそれこそ突き込みのたびに跳ね上がるが、決定的な損傷は見られない。
 危険なのは、むしろ上半身の方だ。
「あああ……ふ、太いのが、奥まで、ぇ……こ、壊れ、ちゃ…………!!」
 うわ言のようにそう呟く沙綾香の顔は、意識が定まっているようには見えない。長湯で上せたように締まりがない。両手でロドニーの肩を掴んでいなければ、そのまま後ろに倒れそうだ。
「いいツラだな。ケツにしろマンコにしろ、ここまで押し拡げられちまうと、身体の芯に力が入らねぇだろ? だが、まだ“底”じゃねぇぞ。もっと下を見せてやる」
 ロドニーはそう告げ、ソファ前から移動する。その最中にも手と腰の上下運動は止まらず、沙綾香から声を絞り出す。そしてその歩みは、ベッド横で止まった。
「さあて、いくぜ」
 その一言と共に、ロドニーは腰を下ろした。すぐ傍のベッドへ、思いっきり。剛直を挿入したままで。
 バフンッ、という音がした直後、沙綾香の顎が浮いた。
「ふぎいぃぃううぃいぃいっ!!」
 直後、鼓膜を震わせた音は、普通なら人の声とは思えない。『きっと悲鳴が上がる』と予測していたから、かろうじて判別できただけだ。
 そんな声が上がる状況となれば、肉体の反応も普通じゃない。沙綾香の足先は、ロドニーの肩の高さにまで上がっている。上体は大きく後ろに傾ぎ、かろうじてロドニーにしがみついているだけだ。その異様な反応に、黒人共が鉄格子を揺らしながら叫ぶ。キッチンフロアでグラスを傾ける手越さえ、苦笑いを浮かべている。
「んはっ、はあっ、はあっ……!! い、今の、ダメ……ほ、本当に、壊れちゃうっ!!」
 ロドニーの顔を見つめ、必死に訴える沙綾香。だが、ロドニーは聞き入れない。
「生憎俺は、尋問の手段としてファックを覚えたもんでよ。“ブッ壊す”やり方しか知らねえんだ」
 ロドニーの腰が浮き上がり、また寝台へと落ちる。浮き上がっては、落ちる。バスンバスンというベッドの音が耳障りだ。
「んぎぃっ……いっ、ふぅぎぃいっ! ぼお、ほ、ごっ!! な、内臓が、づぶ、れ……ッ!!」
 沙綾香の有り様は、悲惨だった。歯茎を露出させるほど歯を食いしばったかと思えば、舌を突き出して空嘔吐を見せる。
「ハッハ、すげぇツラだ。こうなっちまうと、元のルックスなんざ関係ねえな!」
 ロドニーは笑いながら立ち上がり、沙綾香の尻を掴んで、強引な抜き差しを繰り返す。普通なら激しい水音がする場面だが、今は音らしい音がしない。ペニスが割れ目を埋め尽くしていて、音が漏れる隙間すらないのか。
「はっ、はっ、はっ……!!」
 沙綾香は、ロドニーの首にしがみついて喘いでいた。見開かれたその眼は、目の前のベッドに注がれたまま動かない。だが、さらに数分が経てば、また反応が変わる。
「ひいいーーーっ!! こ、これ、イッちゃう!イッちゃうの、イっちゃうっ!! 頭のなかっ、バリバリするうううっ!!!」
 沙綾香は天を仰いで叫び、歯を食いしばる。顔に浮かぶのは、『目の前に火花が散る』時の表情だ。もう何度となく拝まされた表情だが、今のそれは、いつになく病的に思えた。
「……可哀想に。あれは、地獄ですわ」
 隣で百合が呟く。経験者の噛み締めるような一言は、重い。
「気合入れろよ、俺は3時間は余裕でファックできるんだ」
 沙綾香の変化を感じ取ったのか。ロドニーは中腰の姿勢を取り、尻肉を掴み直す。

 そして、悪夢のセックスが始まった。巨木を思わせる剛腕は、沙綾香の体重をものともしない。尻肉を両手で掴んで持ち上げては、自分の腰に叩きつける。その辛さとなれば、もはや想像するまでもない。
「んぐっ、ぐう゛う゛っ……ん゛っ、ン゛!! んぎっ、ふぎぃいい……あ、あ゛ああ゛…あ゛!!」
 沙綾香の口からは、いかにも苦しげな呻きばかりが漏れている。
 一分後、ロドニーの腰に絡みついていた足が外れ、だらんと下に垂れた。そのさらに数秒後、ロドニーの首を抱え込んでいた腕も離れ、背中側に垂れ下がった。そして最後に、首が後ろに倒れる。口を開いたまま痙攣する顔は、明らかに失神した時のものだ。
「沙綾香っ!」
 俺は、考えるより前に叫んでいた。鉄格子の向こうでも、黒人連中が同じく騒いでいた。誰が見ても危険な状態なんだから、当然だ。だが失神に追い込んだ当人だけは、涼しい顔を崩さない。
「気絶したら止めてもらえるとでも思ったか? 甘ェ甘ェ。俺のファックは戦場仕込みだ。呑気に気ィ失ってッと、殺されちまうぜ!」
 ロドニーは唸るように叫び、すでに反応のない沙綾香を嬲りはじめた。尻肉を掴んだまま、上半身の傾いだ沙綾香を何度も突き上げる。それでも意識が戻らないとなれば、今度は片手ずつ尻から手を離し、乳房を鷲掴みにする。まずは左手、続いて右手。
「ひぎいっ、いいい痛いっ!!!」
 両乳房に黒い手がめり込んだところで、沙綾香が目を見開いた。
「グッモーニン。天国は堪能できたか?」
 ロドニーは嘲りながら、荒々しく乳房を揉みしだく。全体の形が変わり、指の合間に柔肉が盛り上がる揉み方だ。いかに脂肪の塊とはいえ、あんなやり方では痛いに決まっている。
「やあ゛っ、ちぎれる゛、ちぎれぢゃう゛う゛ッ!!」
「なーに、千切れやしねぇよ。それに、こうやって乱暴に犯されるのも好きなんだろ? あのケダモノ共と毎晩ハメまくって、ヨガってんだからよ!」
 涙を零す沙綾香を前に、ロドニーの顔が凶悪さを増す。奴は沙綾香を一旦下ろし、ベッドに手をつかせた。そして、背後から挿入する。それまで以上に力強く、深く。
「んお゛っ、お゛っ、おほっ!! ああ゛っ、はっ、はっ、はぉおお゛っ!! んくっ、苦しい、苦じい゛い゛……っ!!!」
 ロドニーの腰が打ち込まれるたび、沙綾香の下腹部がぼこりと膨らむ。そんな状況で発される呻きは、濁りきった『お』行だ。どう見ても本気で苦しんでいるが、ロドニーは責めの手を緩めない。沙綾香の腰が前に逃げれば、太腿を掴んで引き付け、グリグリと奥を苛め抜く。
 その暴力的なピストンに晒されながら、沙綾香は激しい反応を見せていた。彼女がまともだという前提で考えれば、その意図にも察しがつく。
 黒髪を振り乱しているのは、脳内の『何か』を振り払おうとしているからだろう。足を大きく開き、時々足の裏を地面から浮かせているのは、挿入の刺激を少しでも和らげるために違いない。
 そしてその目的は、ロドニーにも伝わったようだ。
「フッ。未知の刺激が怖ぇのは解るがな、お前にゃこの味を覚えて貰わなきゃなんねぇんだ。腰据えて、じっくり味わえよ」
 ロドニーはそう囁き、沙綾香の両脚を強引に閉じにかかる。
「んっ!! あ、や゛っ……!!」
 悲鳴が上がった。脹脛の膨らみを見る限り、沙綾香は全力で抵抗しているようだ。だがそれも虚しく、両脚の距離は肩幅より狭くなる。その状態で腰が打ち込まれれば、沙綾香の顔は一瞬で歪んだ。
「おおお゛っ!! ンおッ、ほ…っほおっ、おお゛っん、ぉはっあ゛……っ!!」
 苦しみに満ちた喘ぎ。床に対して垂直に伸びた二本足は、自分にはこれだけの筋肉があるんだと主張するかのように、壮絶に蠢く。ダリーの後背位でも、タイロンの立位でも、あそこまで肉が隆起していたことはない。
 だが、俺はそれに既視感があった。まだ『日本男児』であった頃の藤花が、水責めを受けながらロドニーに犯されていた時。あの時の、はち切れそうな脚の膨らみと同じなんだ。
「あ゛っ、はっ、はっ、ぉおお゛……くはっ、く、ぁ、はっ…………ぉ、あ゛っ、ア゛……!!」
 沙綾香の喘ぎが、少しずつ変わっていく。『お』行の苦しそうな喘ぎに、艶めかしい『あ』の音が混じりはじめる。そしてその比率は、刻一刻と増していく。
 まさか……感じているのか。あんな酷いセックスで。
 俺のその疑問には、すぐに答えが返ってくる。
「イ゛っ、いぐッ、いぐっ、イぃぃぐッ!!!」
 沙綾香は小さく、だがはっきりとそう言った。しかも、立て続けに。それを聞いたロドニーが鼻で笑う。
「ようやく白状しやがったか、さっきからイキまくってるくせによ。お前のカラダは、刺激が強いほどイキやすくなってんだ。そうなるように調教してやったんだからな!!」
 その言葉と共に、ピストンが速さを増す。パンッ、パンッ、パンッ、という音が響き、沙綾香の喘ぎが泣き声に近くなる。
 それでも沙綾香は、最後の抵抗を続けていた。後ろに手を伸ばし、ロドニーの腕を掴む。左右には開けない脚を上げ、ベッドに乗せて、少しでも体位を変えようと足掻く。
 だが、その抵抗も数分とはもたなかった。
 まず最初に、ベッドに載せた脚が滑り落ち、つま先立ちの状態になる。
 続いて顔が項垂れ、舌を突き出したまま涎を垂らすばかりとなる。
 そして最後に、爪を立てる勢いでロドニーの腕を掴んでいた手が、ぶらんと頭の横に垂れ下がった。
「フッ、まーたヘバりやがったか。とことん平和ボケしてやがる。こんな状況で気絶したら、やられたい放題にされちまうってのによ!」
 ロドニーは満面の笑みを浮かべ、両手で沙綾香の腰を掴み上げる。沙綾香の脚は男顔負けに長いが、2メートルの巨躯を誇るロドニーには及ばない。爪先は完全に床から浮き、挿入箇所を支えに垂れ下がった。そんな沙綾香を、ロドニーはさらに犯す。力強く、念入りに。
「おうおう、いいぜお嬢様。具合のいい『チンポサック』だ。飽きるまで、しばらく愛用してやるよ」
 犯すロドニーの言葉は、下劣そのものだ。だが、沙綾香はその最低な扱いに反応できない。憤ることは勿論、嘆くことすら──。


 ロドニーに失神させられた後、沙綾香は『檻』の中に戻された。
「サヤカ、おいサヤカ!!」
「しっかりしろよ、おい!!」
 黒人共は甲斐甲斐しく沙綾香の世話を焼いた。濡れタオルで汚れを拭ったり、額を冷やしたり、ミネラルウォーターを飲ませたり。そうして沙綾香が意識を取り戻せば、歓声が上がる。まるきりお姫様扱いだ。そして連中は、回復した姫とのセックスを望んだ。
「ロドニーの野郎相手じゃ、痛いばっかりだったろ。俺らが気持ちよくしてやるからな?」
「俺達の味を思い出させてやるよ。お前が大好きな“フランクフルト”だぜ!」
 マーキスが、タイロンが、沙綾香に見せつけるようにコックを扱き上げる。いずれも人類全体で上位数パーセントに入るだろう巨根揃いだが、ロドニーの凶器を拝んだ直後では、随分と控えめに思えてしまう。
 おそらく、黒人共もそれを自覚しているんだろう。奴らは組み伏せた沙綾香を相手に、念入りなセックスを繰り返した。ロドニーの記憶を上書きするつもりだろう。沙綾香は、そのセックスで一応は甘い声を漏らす。だが。
「んっ……あ、入ってるの……? ごめんね、ぼーっとしてて……」
「はあっ、はあ……っ、ねえ、もっとイジメてよ。刺激が、足りないの……」
 沙綾香は、折に触れて物足りなさを訴えた。あくまで自然に、時には申し訳なさそうに。
 黒人共のあのペニスで苛め抜かれて、刺激が足りないことなど有り得ない。だが、ロドニーのセックスを目の当たりにした後なら、その主張がいかにも本当らしく思えてしまう。そんな沙綾香の絶妙な演技が、黒人共を阿鼻叫喚に陥れた。
「ファアックッッ!!!!」
 何人もが声を張り上げ、壁を殴る。沙綾香に怒るつもりなど毛頭ないが、ロドニーを殴りにもいけない。その行き場のない怒りを持て余しているようだ。
 その不穏な光景を見ながら、ロドニーはゲラゲラと笑っていた。ひとしきり面白がると、今度は視線を手越に向ける。
「よう手越のダンナ、次はアンタの番だぜ。連中のビッグコックでさえ物足りねぇって宣うあの嬢ちゃんを、アンタのその粗チンで満足させられんのか?」
 普段以上に棘のある軽口だ。だが、手越は動じない。
「なぁに、デカけりゃあいいってもんじゃねぇ。それをじっくり教えてやるよ。お前らにも、あのお嬢様にもな」
 手越はそう言って煙草を揉み消し、ゆっくりと立ち上がった。
 服を着ていると飄々とした中年男という風だが、シャツやズボンを脱ぎ捨てて素肌を晒せば、一気に雰囲気が変わる。太腿と脚、尻……至るところが刺青で覆われている。肌に墨が入っているというより、柄物を全身に着込んでいるに等しい。間近で拝むその威圧感は、桜織のビデオで目にした時の比じゃない。酸いも甘いも嚙み分けた、裏社会の古強者……そんな相手に調教される沙綾香が、心配で堪らない。
 そしてその心配は、杞憂では済まなかった。俺はこの後、熟練の『スケコマシ』の技に、一度ならず戦慄することとなる。


                 ※


 年季が入っている。手越の印象は、その一言に尽きた。黒人共は勿論、ロドニーも、女に不自由していない颯汰でさえ、沙綾香の裸を前にすれば『雄』の気配を漂わせる。今すぐに抱きすくめ、犯したい──そういう欲情の気配だ。だが、手越にそれはない。
「最初っから妙な色気のあるガキだったが、ますます良い女になりやがったな。淫魔だなんだと騒がれんのも納得だぜ」
 沙綾香を観察しながらそう呟くのも、あくまで客観的な分析だろう。

 手越は、沙綾香を仰向けでベッドに寝かせ、足を開かせた。
「だいぶ伸びたな」
 股座を覗き込んでそう呟くと、手元の袋からシェービングブラシと石鹸ボウル、剃刀を取り出す。アンダーヘアの処理をするんだろうが、除毛クリームを使わないのは、奴なりの拘りか。
「あれ、手越さんパイパン好きっすか?」
 調教を見にきた颯汰が、意外そうに訊ねる。手越はブラシで泡を立てつつ、鼻で笑った。
「タコ、好き嫌いの問題じゃねえ。ヴァギナの感度を上げる意味と、“宣言”だ」
 手越の手が止まり、ブラシにたっぷりと纏いついた柔らかな泡を、沙綾香の割れ目に塗り込めていく。肛門の方にまで、丁寧に。沙綾香の太腿がぴくりと反応した。
「一旦無垢な状態にしておいて、改めて自分色に染める……初っ端に毛を剃ることで、それを宣告すんだよ。俺ァ古い人間なんでな、まずは形から入りてぇんだ」
 手越はそう言いながら、空いた左手で沙綾香の手を掴み、ポーズを変えさせる。寝転んだままVの字に足を開き、その足首を自ら支える、恥辱の格好だ。
「やだぁ……こんなカッコ、恥ずかしいよお」
 沙綾香はそう言って笑ってみせるが、本当は顔が歪むのを必死に耐えているんだろう。そんな沙綾香を見下ろしながら、手越は念入りに泡を塗りたくる。
「なんだ、ブラシで感じてんのか? 泡が汁で流れちまってんぜ」
 割れ目を見ながら、手越が笑う。その言葉の真偽は判らないが、執拗に快感調教を繰り返された今の沙綾香なら、有り得なくもないと思えてしまう。
「んふふふっ、なんか、くすぐったい」
 沙綾香は甘えた声を出し、妖しく腰をうねらせていた。だが、剃刀で毛を剃り上げられる段階になれば、その態度がほんの僅かに硬くなる。
「また汁が溢れてきやがった。ヨガるのは結構だが、暴れんなよ。大事な所に傷がつくぜ」
 そう嘲る手越に対し、沙綾香は肩を竦めて笑ってみせた。しかし、手越が毛を剃ることに集中しはじめれば、沙綾香の目尻は僅かに上がる。腰を浮かされ、尻周りの毛を剃られる段階ともなれば、唇まで歪む。よくよく見なければわからない変化だ。だが俺には、そこに痛々しいほどの羞恥が感じられた。

「良い眺めだ。全部丸見えだぜ」
 毛をすべて剃り終え、手越は改めて沙綾香の秘部を眺める。Vの字に開かれた足の間は、肌色と朱色しかない。確かに綺麗だ。沙綾香はそもそも薄毛な方で、それほど意識したことはなかったが、毛の有無というのは大きいらしい。
「なんか、スース―する……」
「だろうな。剃る前との感度の違いを、よく味わえ」
 困ったように眉を下げる沙綾香。手越はそんな沙綾香に一声かけ、諸々の道具を脇へよけると、ゆっくりと秘部へ顔を近づける。
「お。手越さんのクンニって、直で見んの初めてかもしんないっす」
 面白そうに笑う颯汰に一瞬笑い返してみせ、手越は舌を這わせはじめた。まずは、鼠径部から。
「んはっ、はぁ……んっ!!」
 沙綾香が甘い声を出し、腰から下を波打たせる。演技と思いたいが、あまりにも自然な動きだ。
 鼠径部の舐めは、念入りだった。左右から交互に舐め上げ、沙綾香を悶えさせる。そして、腰がぶるるっと震えたのを確認したところで、とうとう舌が割れ目に近づいた。
「あ、あぁ……きっ、気持ちいいっ……ふんぅ、あ、あっ……!!」
 舌が動き、ちゅ、ちゅっ、と音がするたび、沙綾香から切ない声が上がる。腹筋と太腿が激しく強張り、足指の先が反り返る。そしてある瞬間、両足首は手の間から滑り落ちた。手越の頭を挟み込んだまま、三角座りするような格好だ。
 ふっ、というせせら笑いが聞こえた気がした。
 手越は、沙綾香の脚の隙間から手を回し、乳首に触れる。そしてその乳首を指で転がすのと同じペースで、割れ目に舌を這わせていく。
「はぁっ!? あっふ、あふ、んっ……んあああっ……!!」
 沙綾香は目を見開いた。口から漏れる吐息がペースを増す。気持ちいいという言葉は出なかったが、そう口にする余裕すらないという様子だ。そしてその余裕のなさは、秒単位で増していく。電気でも流されたように腹部が引き攣り、腰が動く。上半身はベッドに肘をついて起き上がり、『どうしよう』と言わんばかりの表情で下腹部を見下ろす。そんな状況を知ってか知らずか、手越は一旦口を離した。
「どうだ、だいぶ昂ぶってきただろ。なるべく息んでヒダを開いてみろ、もっと良くなるぜ」
 そう宣言して、また秘部に顔を近づける。
「こ、これ以上なんて……あはっ、ヘンになっちゃうよぉ……」
 沙綾香の言葉は、おそらく本音交じりだ。手が、足指が、シーツを強く握りしめる。次の『未知』に耐えられるように。
「あっ……あはぁはっ……んはっ、き、気持ちいい…………んはああっはっ!!! ああぁ、あ……っう、あ、あっ……ひもひっ、はっん、あ、はっ、はっ…………!!」
 たかが前戯。たかがクンニリングス。だというのに沙綾香の息遣いは、膣でのセックスが佳境に差し掛かった時のようだ。激しく喘ぎ、甘い吐息を吐き出し、時には泣いているような響きさえ混じる。当然ながら腰周りの反応も大きくなり、三角座りが崩れていく。外へ外へ、徐々に股を開く形で。
「おいおい。ヒダを開けとは言ったが、浅ましく股を開けとは言ってねぇぞ。それともなんだ、俺の舌があんまりにも気持ちよくて、股座引き締める筋まで蕩けちまったか?」
 手越にそう茶化されると、沙綾香は歪んだ笑みを浮かべながら脚を閉じる。だが、それもその時限りだ。手越が丹念に割れ目を舐め上げ、同時に胸を刺激すれば、また甘い声と共に脚が開いていく。そして、さらに数分後。
「あ、あぁぁ……あっ、あいく……い、くっ…………!!」
 沙綾香は、うわ言のように絶頂を宣言した。手足の指でベッドを掴んだまま天を仰ぎ、より目のまま全身を痙攣させる。紛うことなき絶頂だ。
 手越は一瞬顔を上げ、相手の反応を確認した。だが、やめない。じゅばっ、じゅるっ、とそれまで以上の音を立てて、クンニリングスを再開する。
「あはんっ、んああっ……やめ、感じ、すぎちゃう……は、はっ、ああ……んはっあああっ……!!」
 沙綾香の反応は大きい。激しく腰を震わせ、踵を浮かせ、足裏をビンと反らせる。
「すげぇ、中イキしてるみてぇ」
 颯汰がぼそりと呟いた通り、まだ前戯の段階とは思えない反応だ。


                 ※


 ようやく手越が顔を離した頃、沙綾香の割れ目は変わり果てていた。陰唇は充血して膨らんだまま花開き、激しく開閉を繰り返している。毛がすべて剃られているため、中の襞まで丸見えだ。クリトリスも小豆大に勃起しきり、包皮をほぼ完全に捲り上げていた。
 どう見ても『出来上がっている』状態。にもかかわらず、手越は挿入には移らなかった。奴が始めたのは、指での刺激だ。左手でデルタゾーンを覆いながら、二本指でクリトリスを挟み込む。右手の3本指の腹で、充血した割れ目を擦る。
「まだ焦らすんすか。徹底的っすねー」
「乳房で感じさせたいなら外から責めろって、前に教えたろ。ヴァギナも同じだ。中に指突っ込む前に、徹底的に外をほぐしてやるんだよ」
 颯汰に反応する間にも、手越の指は滑らかに動き続けた。さっきの舌遣いにしてもそうだが、円熟の技が見て取れる。一つ一つの動きだけを追えば、そこまで特殊なことをやっているようには見えないのに。
「んあっ、か、感じる! すごい敏感になってるうっ!!」
 沙綾香はますます顎を浮かせ、腰を震わせた。大きく開いた太腿が何度も筋張り、尻がベッドから浮き上がる。そして、数秒後。動き続ける指の間から、ぷしゅうっと潮が噴き出した。
「ひぅ……っ!!」
 沙綾香の喉から漏れた声も、その潮噴きとよく似ている。出したくなかったのに、我慢が利かずに漏れた、という感じだ。
「どうだ、外側を擦られただけで潮を噴いた感想は。恥ずかしくて泣いちまう女もいるんだぜ」
 手越は薄笑みを浮かべながら、割れ目に二本指を滑り込ませた。沙綾香の口が開き、あ、と声が漏れる。
「いい濡れ具合だ。ぬるくてトロトロの襞が、指に絡みついてきやがる」
 手越は探るように指を蠢かし、ある場所で関節を曲げる。
「ひっ!」
「おうおう、蜂にでも刺されたみてぇにプックリ膨らんでやがる。ここまでになると、上手く料理するにゃあ相応の腕が要るが……安心しろ。今までで一番気持ちよく、潮を噴かせてやる」
 手越は余裕を態度を崩さず、右手で潮噴きの形を作り、左手を下腹に添える。そして、グッ、グッ、と手首に力を篭めはじめた。黒人共がやる『手マン』のような激しさはない。ただ、脈拍と同じペースでスポットを圧迫しているだけだ。だというのに、沙綾香の反応はいつになく大きかった。
「あ、だめえっ!! おしっこ出ちゃうっ!!」
 上半身を跳ね起こし、目を見開いて下腹を見下ろす。すぐにへらっとした笑いを浮かべてみせるが、最初の一瞬はどう見ても演技じゃない。
「こういう潮の噴かされ方は初めてだろ? 力の入れ方やスポットの捉え方、指先の鍛え方にコツがあんだ。若い連中にゃ出せねぇ味よ」
 手越の言葉には、説得力があった。グッ、グッ、と手首が動くたび、沙綾香の全身が大きく反応する。腰は痙攣し、足先は空を蹴る。中でも異様なのは、汗をダラダラとたらしながら歯を食いしばる表情だ。
「ひっ、ひいいっ!! こ、こんなの、こんなの初めて!! し、痺れるっ……い、イッちゃいそう!! おしっこも、もお我慢できないっ!!」
「いいぜ、思いっきりイけ! 尿道もマンコも開いて、垂れ流せ!!」
 お互いが絶叫するような会話。それが終わるか終わらないかといううちに、沙綾香の震えが激しくなる。
「いぎゅうぅぅうっ!!!」
 呻きとも悲鳴ともつかない声と共に、沙綾香の腰が震え上がる。そして、勢いよく潮が噴き出した。あの子の潮噴きはもう何十度と見てきたが、その中でも一番と思えるような飛距離と飛び散り方だ。ベッドシーツが、床が、次々と愛液の雫で濡れていく。そんな中、俺は沙綾香の顔を見て息を呑んだ。白目を剥きかけ、舌を突き出した、壮絶な表情をしていたからだ。その顔は、飛沫が止まってからもしばらく戻らなかった。
「すげー。もう丸一晩可愛がった後って感じっすね」
「んな大したもんじゃねぇ。まだまだ挨拶代わりだ」
 感服する颯汰を前に、手越はベッドから降りて煙草に火を点ける。そして近くのガラステーブルから水のボトルを拾い上げ、未だ放心状態の沙綾香の近くに放った。
「水分摂っとけ。この後は『本番』だ」
 さらりと言い放ったその一言は、これから大量の愛液を搾り取るという宣言だ。ハッタリとは思えない。
 トランクスを脱ぎ捨てて露わになった逸物は、黒人共に迫る大きさだった。包皮が剥けきり、血のように赤い亀頭が露出しているさま、幹全体が黒柿色に変色しているさまは、長年に渡って『使い込まれた』道具である事を嫌でも感じさせる。挙句そのカリ首周りや幹は、瘤のような突起で凶悪に補強されてもいる。同じアジア人のペニスといっても、審査会で目にした客のそれとは根本的に別物だ。
「コイツの味を知ると、他の逸物じゃ満足できなくなるぞ。真珠を10個も入れてるからな」
 ベッドに戻った手越は、亀頭で割れ目を擦りはじめた。沙綾香は声を上げ、腰をうねらせる。
「力抜けよ」
 手越は両手で沙綾香の太腿を押さえ、狙いを定めた。そして、一拍置き……一気に突き込む。
「んぎっ!!」
 沙綾香は、備えていたはずだ。世の女子高生など比較にもならない性経験を元に、万全の覚悟を決めていたはずだ。それでも彼女が漏らしたのは、情けない悲鳴だった。
「あ、あ゛……なにこれ、なにこれっ……!?」
 挿入が深まるにつれ、沙綾香の顔が引き攣っていく。対照的に手越の笑みは、狙い通りという風だ。
「言ったろ? コイツの味を知ると、他の逸物じゃ満足できなくなるってよ」
 手越は改めてそう宣言し、さらに腰を押し進めていく。

 正常位で根元まで挿入した後、手越は腰の動きを止めた。
「よう、颯汰。この嬢ちゃんとヤってる映像観てたがよ、お前、挿入した後にいきなり奥を突いてたろ」
 圧し掛かる格好で静止したまま、手越が颯汰の方を振り返る。
「え? あ……ああ、はい」
「いいか、挿入後は動くな。こうやってじっとしてりゃあ、女の膣は勝手に逸物を迎え入れる準備を整えるんだ。なあ、俺の逸物の形を感じるだろ?」
 手越は颯汰に教え諭しつつ、沙綾香に問いかけた。沙綾香の表情は、手越の体に隠れて見えない。それでも、段々と息が荒くなっているのがわかった。
「はっ、はっ……か、感じる……。イボイボが、襞に当たって……こんなの、初めて……!!」
 答える声も震え気味だ。挙句には、両の足指まで堪らなそうに握り込まれる。手越はまだ、一切腰を遣っていないのに。
「ほーう、こいつはなかなかの名器だな。しっとり絡みついて、吸いつく感じだ。黒人共が夢中になるわけだぜ」
 手越は驚きを口にしながら、ようやく腰を浮かせた。だが、すぐにまた腰を落とす。また浮かせては、落とす。颯汰がやっていた、『奥をトントン叩く』ポルチオマッサージだ。
「はッ、んんっ、はっ、はっ……ん、んッ!! はッ、はんッ、フッ……!!」
 沙綾香の吐息は、苦しげだった。膣奥への圧迫に加え、真珠が擦れる刺激まで来るせいだろう。出入りする突起だらけの怒張を見れば、その刺激のほども容易に想像がついた。
 まだセックスの序盤だというのに、割れ目のひくつき方が尋常じゃない。しかも手越は、沙綾香の弱みをすべて把握しているようだった。膣奥をリズミカルに叩きながら、両手で沙綾香の尻を掴み、ぐうっと持ち上げる。膣の傾きを調整し、より致命的な角度で、より強く、イボつきの怒張が擦れるように。
「んうぃいぃっ!?」
 沙綾香の喉から、また聴き慣れない悲鳴が絞り出される。両脚も火がついたようにバタバタと暴れる。まさに、相手の掌で転がされている状態だ。
 沙綾香の激しい反応を前に、俺は息を呑む。するとそんな俺の手を、百合が握りしめてきた。
「……先生、どうか見守ってあげてください。ここが、あの子の正念場なんです」
 百合は、俺にだけ聴こえる声で囁く。
「手越は、裏でも名の通った『スケコマシ』です。あの男の手にかかれば、どれほど我の強い女性でも、二日足らずでその肉棒の虜になったといいます」
 続くその言葉で、背筋を冷たい汗が伝った。きっと、俺自身も手越の危険性を感じ取っているからだ。

 一体、何十回膣奥を『叩いた』のか。呆れるほど入念に奥をほぐしてから、手越は腰のストロークを少しずつ大きくしていく。パン、パンと音の鳴る、本格的なセックスだ。
「あっ、あっあ、あぁあああっ!!」
 沙綾香の声は、いきなり大きい。絶叫と表現してもいいぐらいに。
「へッ、こりゃあいい。グチャグチャにこなれてやがる。いよいよ出来上がってるなお前ェさん」
 手越の言葉が、いちいち胸をざわつかせる。
「はっ、はぁっ……だって、手越さんの、気持ちいいもん。おまんこの奥がっ、しっ、痺れる……。ねえ、もっと滅茶苦茶にして。真珠入りのアレで奥まで突いて!」
 沙綾香の言葉も、演技だと信じてはいるが、胸のざわつきを酷くする。
 思わず、百合の手を握った。演技だよな、という確認だ。百合もすぐに握り返してくる。しっとりと汗を掻いた、震える手で。
「そうか。なら、激しくするぞ」
 手越が沙綾香の太腿を押さえ、180度近い開脚を強いる。その上で背中を反らし、逸物を深く押し込んだ。角度がついているぶん、怒張の出っ張りがこれでもかと膣壁を擦ることだろう。
「あっああっ、ぎふぃうっ……う、うっ、ふうう゛っ!!」
 沙綾香の反応は激しい。両腕で顔を隠し、腹部をぶるぶると震わせる。
「はっ、えげつねぇ痙攣っぷりだな。まあ、そりゃそうか。お前ほど頑張った奴も久方ぶりなら、お前ほど追い込んだ奴も久方ぶりだからな!」
 手越は嘲笑しつつ沙綾香の太腿を抱え込み、腰を前後させる。奥深くまで挿入し、一気に引き抜く。ただそれだけの動きでも、真珠が10個も入った剛直が与える快感は生半可じゃないだろう。
「んんんっ、はっく、ああっ!! い、いくっ……んぁっああ、んはあああっ!!」
 肺の空気を絞り出すような喘ぎは、深く絶頂している証拠だ。手越はその様子を見ても、ピストンをまったく緩めない。
「や、やだ、やすませへっ……い、イってるって、ばっ……!!」
「まだまだ、イってからが本番だ。お前は計画の本丸だからな、手加減はしねえ。真珠入りの逸物の味を、骨抜きになるまで教えこんでやる」
 手越は、暴れる沙綾香の足首を掴み、コントロールを奪ったまま突き続ける。両足首を真上に揃えたまま突きこまれた瞬間、沙綾香は悲鳴を上げて震えた。
「んんんああああッ!! ま、まらイクっ、まだイクううッ!!!」
 頭上のシーツを掴み、大きく腰を上下させる。足の暴れ方も激しくなり、右足首が拘束から外れる。だが、手越は狼狽えない。掴んだ左脚を肩に担ぎ、松葉崩しの体位でピストンを継続する。
「きひいんっ!! よ、横に擦れる……っ! 違うとこで、イッちゃ……!!!」
 抉られる場所が膣側面に変わったらしく、沙綾香はまた新鮮な絶頂に呑まれた。抱え上げられた太腿を強張らせ、狂ったようにベッドを叩く。固く閉じられた目からは涙が、食いしばられた歯の間からは唾液が伝っていく。
「手越さんの『追撃ピストン』、半端ねー。そいつ、明らか俺ん時よりヨガってますもん。オレも真珠入れよっかなあ」
「ハッ。止めはしねぇが、奨めもしねぇぞ。入れる時ゃ痛ぇし、金はかかるし、何より味を占めたオンナ共の求愛が鬱陶しくてしょうがねぇ。調教を終えてソープに売り飛ばしてからも、抱いてくれ抱いてくれって群がってきてよ、乾く暇もねぇってヤツだ。若ぇうちはともかく、歳食ってくるとウンザリするぜ」
 手越は颯汰と会話を交わしつつ、沙綾香の腰を掴んだ。そして完全に腰を浮かせると、引き付けながらのピストンを繰り返す。何人もの女を狂わせてきた怒張が、沙綾香の下腹を膨らませる。
「んふあああっ、いっ、いくっ、ひくぅう゛う゛っ!!!」
 沙綾香は目を見開き、大口を開けた。溺れている人間が水面から出した顔のようだ。手越は相手のそんな状態を知りつつ、より深い場所に引きずり込んでいく。
「そら、ここか? ここが弱ェのか?」
 掴んだ沙綾香の腰が、反射的に逃げる方向の“逆”……つまり、その時々でのクリティカルな急所。そこに狙いを定め、グリグリと抉り回す。お互いの内腿の筋肉が、硬く硬く盛り上がるまで。
「んんいいっ、え、えぇぐっ!! ぇぐ、えぐえぐえぐうう゛っっ!!?」
 沙綾香は、もう「いく」という言葉さえ明瞭に発せない。やがて彼女は、海老のように背中を反らし、全身を痙攣させながら目を閉じた。
「いひいっ、んっい、ひぃぃいいいっ…ん……」
 食いしばった口の間から、発声の邪魔をしていた唾液がダラダラと溢れ出す。どうやら気を失ったらしい。
「すーげぇ、もうオチた。オレん時、マジで手こずったのに」
 颯汰は唖然としている。確かにあいつは、数時間かけてようやく沙綾香を失神に追い込んでいた。対して手越は、挿入からまだ30分と経っていない。
「そりゃ経験の差だ。セフレとイチャついてばっかりのお前と違って、俺は生意気な女をぶっ壊してメシ食ってきたんだぜ。ガキの意識飛ばすぐらい、なんてこたあねぇ」
 手越は誇らしげに笑いながら、右手を沙綾香の腰の下に添えた。骨盤を下から支える形だ。その状態でグッと指が曲がれば、沙綾香の腰が跳ね上がる。
「ひあっ!?」
「どうだ、効くだろう。仙骨を刺激してやってんだ。ここらにゃ神経が集まってるからな。こうして圧迫してやりゃ、子宮が揺れた時とおんなじ快感が来て、アソコがギュウーッと締まんだよ」
 手越はそう言いながら、さらにグリグリと指を押し込む。
「ひ、ひっ!?」
 沙綾香の腰がさらに浮き上がり、代わりに肩から首にかけてがベッドに落ちる。
「どうだ、感じるか?」
 手越がさらに問い詰める。沙綾香は何度か口を開閉させてから、その端を引き上げた。強引に筋肉を歪めたような、妙な笑みだ。
「あ、はは……か、感じるっ。あそこが、勝手に締まって……イボイボのアレが、襞に、めり込んでくる……。中の敏感なとこが全部刺激されて、腰が、動いちゃうの……こんなの、初めてっ……!!」
「だろうな。女の泣き所に当たるように真珠を入れてんだ。デケェだけの逸物なんぞ、コイツとは比べモンにならねぇよ」
 手越はロドニーや黒人共に目を向け、見せつけるように腰を動かした。膣の中では、10個の突起が性感スポットをゾリゾリと擦り上げていることだろう。そう考えれば、沙綾香の反応も当然のことに思える。
「ぃいいいイっくぅうう゛ッッッ!!!!」
 全力で歯を食いしばり、つま先でシーツを抉り込み、ほとんど45度に傾いた身体をガクガクと痙攣させる。絶頂そのものの波が過ぎ去っても、あああ、あああ、と艶めかしい声を漏らしながら、腰を痙攣させて余韻を訴える。今の彼女の状態、今の彼女の状況なら、そうなって当然だ。
「はっ、随分なイキっぷりだなぁお嬢様。なら、こういうのはどうだ?」
 手越は右手で腰を支えたまま、左手でクリトリスに触れる。圧迫したまま捏ねるようなソフトな動きだが、刺激としては充分だ。仙骨からの刺激と合わさり、膣はますます収縮することだろう。
「あああっ、く、クリはあっ!! あああ、し、締まっちゃう! ゴリゴリ擦れてっ……んはああっ、し、痺れるうっ……!!」
 沙綾香の尻肉が引き締まり、太腿の痙攣が増す。尋常な力の入り方じゃない。ひょっとすると、クリトリス、Gスポット、ポルチオの3ヶ所で同時に絶頂させられているのか。
 手越は笑みを浮かべながら、しばらくクリトリスを弄り回していた。そして沙綾香が息も絶え絶えになる頃合いで、また手の位置を変える。今度の狙いは、子宮の真上。そこを左手の付け根でグリグリと刺激する。体外式のポルチオ刺激だ。何度となくイかされつづけ、子宮口が蕩けきっている沙綾香が、それに耐えられるはずもない。
「んああお゛っ!? んお、んおおお゛っ!! し、子宮っ、子宮んうううっ!! ぃイグっ、イグイグッイグッッ!! そごだめ、いまそこだめえええ゛え゛っっ!!!」
 沙綾香は、さらに人らしさを失った。腹の底から『お』という呻きを響かせながら、腰を浮かせ、脚を震わせる。それでも快感を殺しきれないらしく、寝台を抉る勢いで後頭部を埋め、グリグリと頭を振りながら泣き叫ぶ。
「そうだ、たっぷり味わえ。俺の逸物の虜になるまでな!」
 手越は、相手がどれだけ暴れようが動じない。何かの生地でも捏ねるように、徹底的に下腹を圧迫し、同時に右手で仙骨を刺激する。
 沙綾香の腰の痙攣が止まらない。泣き叫びも、頭の振りも。ただ一点だけ変わったのは、足指がつま先立ちをやめ、しっかりとシーツを掴んだことだ。その動きとアキレス腱の強張りが、『決壊』のサインだった。

「んほおおろぉろおお゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」

 絶叫が響き渡る。ただし、実際には耳で聴き分けられる類の声じゃない。悲痛な叫びと、腹の底からの呻き、うがいをするような音……それが入り混じったものだ。
 上がる声も異常なら、沙綾香の反応そのものも普通じゃなかった。足指でシーツを噛んだ長い脚が、少女の物とは思えないほど硬い筋肉を浮き立たせ、高々と腰を突き上げる。その結果、深々と突き刺さっていた強直も不自然な角度で抜け、四方に愛液を散らす。そして直後、抜けた怒張へ追いすがるように潮が噴き出した。びしゃっ、と亀頭に浴びせかかったかと思えば止まり、またびしゃっと浴びせかかる。それが、5回も6回も続いた。数えきれないほど絶頂シーンを見てきたが、こんな光景は初めてだ。
「すげー、ブッ飛んでる……」
 颯汰が逸物を握りしめたまま、言葉に詰まる様子で呟いた。百合もまた俺の横で、口に手を当てて絶句している。快楽調教を受けた同性だけに、今の沙綾香がどんな状態にあるのか、嫌でも実感できてしまうんだろう。
 どっ、という音を立てて、沙綾香の腰がベッドに落ちる。それでもまだ、震えは止まらない。
「あ、ああ゛……なんで……!? イくの、止まんない……とまん、ないいィ゛っ……っ!!」
 仰向けになった沙綾香の肉体は、絶頂の反応を続けていた。舌を突き出し、目を見開いたまま、全身が痙攣を繰り返す。痙攣というより、ベッドから風でも吹きあがっていて、身体が不規則に浮いているような状態というべきか。
 潮噴きも続いている。腰がぶるぶると震えたあと、さすがに量こそ減ったものの、小さな飛沫が上がる。
 颯汰も、俺も、百合も、その異様さに言葉がない。ロドニーさえ葉巻を咥えたまま、訝しげに目を細めている。それでも手越だけは想定通りらしく、煙草を一本咥えて火を点け、沙綾香の頭上に腰を下ろした。疲労困憊の沙綾香が上を向く。
「しゃぶって綺麗にしろ。死ぬほど気持ちよくしてもらった感謝を篭めてな」
 手越のその言葉に、沙綾香は一瞬固まった。だがすぐに、涙と涎に塗れた顔に笑みを広げる。
「……あはっ……」
 嬉しそうに笑いながら身を起こし、手越の怒張に舌を這わせていく。俺の方に晒された割れ目は、真っ赤に充血して開ききっていた。絶頂続きであふれた本気汁か、あるいは過剰な刺激で分泌された保護液か。妙にとろみのある液が、糸を引きながら滴り落ちていく。散々掻き回されて白く濁ってもいるため、中出しされた精子に見えるほどだ。
 じゅるっ、じゅばっ、という音が響く。沙綾香は、媚びるような上目遣いのまま、むしゃぶりつくような奉仕を続けているようだ。手越は煙草をふかしながら、その姿を眺め下ろしていた。演技を見破っているようには見えないが、妙に隙がない。常に万が一を想定していそうだ。
「よし、もういいぜ」
 灰皿で煙草を揉み消し、手越が立ち上がる。ちょうど沙綾香の鼻先に突き立った怒張は、明らかに大きさを増していた。セックスの快感と口での奉仕のせいだろう。いよいよ凶悪さを増した『名器』を目の当たりにして、沙綾香の喉が鳴る。
「ははっ、ガン見。カンペキ夢中じゃん」
 颯汰が笑い飛ばす。そうとも見えるだろう。だが俺には、緊張によるものだとしか思えない。


                 ※


 セックスの二回戦は、キッチンフロアで行われた。手越は対面立位で繋がりながら、キッチンに置いてあるボトルを煽り、口移しで沙綾香に呑ませる。勿論、腰を振りながらだ。
 2人の身体は、汗で濡れていた。和彫りに覆われた物々しい肉体も、染みひとつない純白の裸体も、共にオイルを塗りたくったような有様だ。
「掴まってろ」
 手越がボトルを脇に置き、沙綾香に囁きかける。沙綾香が言われた通りに肩を掴むと、手越は沙綾香の左腿を抱え上げ、右手で尻の肉を掴んだ。
「あんっ、擦れる……」
 沙綾香がそう甘い声を漏らしたように、膣襞への逸物の触れ方も変わったはずだ。
 手越は一度沙綾香を抱えなおし、改めて腰を遣いはじめる。奴は沙綾香の脚を掴むことで、自分に都合のいい……つまり、沙綾香にとって“まずい”角度をキープしているようだった。
「は……あうっ、はうっ! おっ、おほっ、ほっ……お、んおっ……!!」
 突起だらけの逸物が割れ目へ沈むたび、沙綾香の背中が震える。漏れる声も、可愛さを捨て去った本気の呻きだ。
「ナカがいやらしく絡みついてくるぜ。俺の息子をしゃぶりつくすつもりかよ」
 手越はそう嘲ったかと思えば、愛人にするように沙綾香の唇を奪う。舌をねっとりと絡ませる、大人のキスだ。それと挿入が同時にくれば、沙綾香は口内に切ない呻きを響かせ、脚の付け根をぶるっと震わせる。
「え、えくっ、えくっ!!」
 腰が打ち込まれる中、沙綾香は舌を奪われたまま、何度も絶頂を宣言した。本気で感じているのは間違いない。抱え上げられた左脚の先は、万力にでも締められたように強張っている。軸足である右の太腿にも、どろどろと愛液が滴り落ちている。
 手越は、その全てを肌で感じていることだろう。それでも、責めは緩めない。

 何度となく達し、沙綾香が右足で立つこともままならなくなった頃、手越は沙綾香の両脚を抱え上げた。向かい合う形での『駅弁』。ロドニーもやった体位だ。
 ロドニーの時のように、痛い痛いと叫ぶことはない。だが、あの時より楽というわけでもなさそうだ。
 沙綾香は、手越の首に縋りつく格好のまま、俯いていた。沙綾香自身の腕に隠れてよく見えないが、その口の辺りから、頻繁に雫が滴っているようだ。
「だいぶバカ面になってきたな、財閥令嬢サマよ。中イキの状態をずっとキープさせられて、脳味噌が茹だっちまったか?」
 しがみつく沙綾香を見下ろし、手越が笑う。その言葉に、沙綾香がゆっくりと顔を上げる。その顔を目にして、俺はまた息を呑む羽目になった。
 ヤバい。直感でそう感じる顔つきだ。
 瞳は手越の顔を向いているが、どこに焦点が結んでいるのかわからない。
 綺麗な三角形の鼻の穴は、大きく開いては閉じてを繰り返す。
 口はだらしなく舌をはみ出させたまま、一瞬たりとも閉じることがない。
 極めつけは、顔の下半分を滝汗のように覆い尽くす、涙と鼻水と涎だ。
 もはや、溺れかけなんてレベルじゃない。ギリギリ死なない程度に首を絞められ続け、今まさに意識を手放そうとしている人間……そういう感じだ。
 ロドニーの時のような派手さこそないが、絶頂しつづける状況はそれほどに苦しいんだろう。今更ながらに意識を向ければ、沙綾香の肉体は苦しげだ。
 手越が腰を打ち込めば、背中がぶるっと震え上がる。同時に腹筋も引き攣り、くの字に曲がった左右の脚も引き締まる。結合部からは絶えず愛液が滴り続け、直下の床はもはや完全な水溜まりだ。
「俺の真珠チンポは、そんなに気持ちいいか?」
 沙綾香の耳元に口を寄せ、手越が問いかける。意地の悪い問いだ。訊くまでもなく明らかな事実を、あえて語らせる。そうやって、何人もの女を服従させてきたんだろう。
「はーっ、はーっ、はーっ……い、いいっ……! ゴリゴリが、擦れて……奥っ、突き上げられて……。もう、ずっとイキっぱなしなの! はあっ、はあっ……おねがい、降ろして……もう、しがみついてるの、限界っ……!!!」
 沙綾香の声は、泣き声に近い。気力も体力も尽き果てた人間が、救いを求める時のものだ。それはあまりにも自然で、作った声には思えない。
「ったく、しょうがねぇな」
 手越は溜息交じりに沙綾香の脚を離した。しばらくぶりに沙綾香の足裏が地面につくが、とても自立できる状態にはない。
「きゃっ、あ……んぐうッッ!!!」
 あっという間に体勢を崩して尻餅をつき、その衝撃でまた絶頂する。キッチンカウンターに肘をつく颯汰が、それを見てゲラゲラ笑う。
「何やってんだ」
 手越もまたニヤけながら、沙綾香の腕を取って近くのソファへ引き寄せた。深く腰掛けた手越の膝の上に、沙綾香を抱え上げる格好だ。
「特別に座らせてやったんだ。今度は自分で動け」
 手越がそう命じ、沙綾香の太腿をぴしゃりと叩く。
「はぁっ、はぁっ……」
 沙綾香は、何か話すのも辛いんだろう。荒い息を吐きながらソファに手をつき、腰を持ち上げる。ただ、すでに疲れ果てている状態だ。腕は数秒と自重を支えきれず、あえなく腰が落ちる。
「あひいっ!!!」
 絶叫が響き渡った。ここしばらく喘ぎや囁きばかりだったから、突然の大声に鼓膜がバリバリと鳴る。
 耳鳴りが収まってから沙綾香を見れば、彼女は顎を浮かせたまま歯を食いしばり、絶頂していた。硬直した全身がビクンビクンと痙攣している。生半可な逝き方ではなさそうだ。
「おーおー、重てぇ重てぇ。自分から奥まで突っ込んでイッちまったか? いいぜ、その調子で快楽を貪れ。何人もの女が目の色変えて欲しがる逸物を、好きなだけ味わえるんだ。幸せだぜオメェは」
 手越が沙綾香の乳房を揉みしだき、嘲るように笑う。沙綾香はその刺激にまた声を上げながら、腰を上下させた。ぬちゅっ、ぬちゅっ、という音がしはじめる。
「あ、あ、あ、イク……おくで、いくっ…………し、子宮で…イッて、るうっ……!」
「ほう。で、どんな感じだ。言ってみろ」
「し、痺れるの…………あそこの、奥から、頭、まで……。ち、チカチカするし、フワフワも、してる…………」
 手越に促され、沙綾香は快感を言葉にする。思考力はだいぶ鈍っているように思えるが、演技だと信じたい。
「そうか。なら、もっと良くなれる方法を教えてやる。そのまま頭下げてみろ、感覚がブッ壊れるぞ」
 手越はそう言って、沙綾香の背中を押さえつけた。上半身が大きく倒れ、乳房が太腿と腹に圧し潰され、手の先が床につくまで。傍から見てもわかる。あれは、極限まで腹圧を強める体位だ。
「あっ、は……!? こ、これ────」
 沙綾香が何かを言いかけた、その瞬間。手越は沙綾香の尻を掴み、自分の腰にグリグリと押し付ける。
「んっおおお゛お゛っっ!?」
 沙綾香は目を見開き、口を尖らせたまま呻きを上げた。呻きの種類は、藤花が後ろの穴を犯されながら上げていた類のもの。腹の底から絞り出した、重苦しい、そして嘘のない呻きだ。
「くくくっ、すげえなこりゃ! ムスコがねじ切れちまいそうだ。だが、こんだけギュウーッと締め付けてるってこたぁ、お前も堪らんだろ。襞に肉と真珠が食い込んでよぉ!」
 手越は珍しく顔を歪めつつ、円を描くように腰をうねらせる。沙綾香の前腿が張り、ますます乳房を圧し潰す。
 手越が腰を回すたび、あるいは尻を掴んで揺らすたび、沙綾香の力みは酷くなった。手越はそんな反応を眺めつつ、さらに追い込みをかける。
「ほら、起きろ」
 奴は沙綾香の顎を手で包むと、背筋が垂直になるまで引き起こした。そして一般的な背面座位で、さらに沙綾香を突き上げる。
「くはあああっ!! こ、今度は、奥に…くる……奥まで、入ってくる゛……っ」
 俯きながら涎を垂らす沙綾香。だが、ソファが軋み、突き上げが回数を増すごとに、その顎が少しずつ浮いてくる。
「あ、あっ……あっ……んはっ、はっ、はっ、はっ、はっ!!」
 10秒もすれば、天を仰ぎ、目と口を開く姿が出来上がった。何度となく目にした、溺れる人間の顔。苦しいのか、気持ちいいのか。あるいは、気持ちがよすぎて苦しいのか。
「う、動か、ないで……」
 沙綾香は震える指で手越の太腿を掴み、膝を閉じはじめた。少しでも相手の動きを阻もうとしているんだろう。
 だが、逆効果だ。小さな手で掴んだぐらいでは、紋入りの古木のような脚は止まらない。そして膝を閉じる行為は、膣を狭める行為に繋がる。真珠入りの逸物の刺激に苦しんでいる中、そんな真似をすれば……
「ぁィっ、ぐッ!」
 沙綾香は悲鳴を上げ、触れかけていた左右の膝を離す。膝頭は上下にガクガクと揺れている。そして顔には、『しまった』という感情が貼りついている。そんな明らかな“弱み”を、手越が見逃すはずもない。
「そーら。もう一遍、極楽に行ってこい」
 年季を感じさせる腕が、沙綾香の背中を前へ押し込む。
「あああ゛あ゛あ゛……っ!!!」
 か細い悲鳴が漏れる中、乳房がまた平らに押しつぶされ、足の指が床から浮いた。

 腹圧のかかる前傾で膣壁をいじめ抜き、背面座位に戻して子宮口を突きまわす。手越は、この性質の悪いループを繰り返した。そしてそれは、着実に沙綾香を追い詰めていく。
「もぉやめっ……!」
 3回目に前傾姿勢を取らされてから、一分後。沙綾香は後ろに手を伸ばし、手越の腕を掴む。自分の限界を悟っての行為だろう。沙綾香はそのすぐ後、膝をブルブルと震わせ、ぶしゅっと潮を噴いた。ソファの前、数メートルに飛び散るほどの勢いだ。
「ふはっ、すっげぇハメ潮。どんだけ気持ちいいんだよ」
 颯汰はさも可笑しそうに笑うが、限界のサインを目の当たりにした俺は、とても平静ではいられない。鼓動が早まる。瞼を閉じ、この後の光景を拒絶したくなる。だが結局俺は、瞬きすら忘れ、ソファの方を見続けた。
 幸せはあっさり崩れるのに、嫌な予感だけは、どうして外れることがないんだろう。
 沙綾香の反応は、刻一刻と激しくなっていく。
 今は、背面座位の6度目。沙綾香は腰を掴まれた状態で突き上げられ、天を仰いでいた。首元は異常なほど筋張り、ああああ、という絶叫もその力みぶりと吊りあっている。
「……ふう」
 手越が息を吐き、腰を止めた。それを受けて、喘ぐ沙綾香の顔も降りていく。瞳孔はほとんど上瞼に隠れていた。顔の汗もひどい。いや、顔どころか、首も、胸も、シャワーを浴びた直後のように雫まみれだ。また前傾姿勢を取らされれば、その雫が次々に滴り、影の中で光を放つ。
「んぐっう゛、お゛っ、ほっ、ほっ……いぃおお゛っお゛、オ゛っ、おほっ……!!」
 濁りきった呻きは、年頃の、それも最高レベルの美少女が発しているものとは到底思えない。
「へッ、すげぇ声出してやがる。いいぜ、どんどん搾り出せ。本気汁と一緒にな」
 手越は沙綾香の腰を押さえつつ、ソファに深々と背を預ける。膣内では、あの凸凹だらけの凶器が、臍側の襞にめり込んでいることだろう。
「ぎぃいぐいぐっ、ッぐっっ!!!」
 沙綾香は悲鳴を上げ、顔を跳ね上げた。その顔は少し沈むが、また跳ね上がる。しかもそれは、一回ではすまない。
「アッハ。すげー、バンギャのヘドバンみてえ! ポイント押さえたら、あの生意気な女がここまで狂うんすね。勉強になるわー」
 颯汰は手を叩いて笑っている。悶え狂う沙綾香が面白くて仕方ないらしい。奴の笑いは、沙綾香が追い詰められるほどに大きくなっていく。

 この辺りから俺は、直視が苦しくて、あまり前を観なくなった。だがたまに顔を上げれば、いつでも沙綾香の悲惨な姿が見えた。
 黒髪を振り乱して頭を上下させ。
 苦痛と快楽で歪みきった顔を晒し。
 潮を噴き散らし。
 失神し。
 覚醒し。
 そして最後には、俯いたまま痙攣するばかりになった。
「おおろろろっ……」
 妙な声と共に、俯いた顔から何かが垂れる。唾液にしては質量のありすぎる、糸を引く粘液だ。
「おっと、流石にイジメすぎちまったか」
 手越は吐き戻した沙綾香に気付き、一仕事終えた顔で前髪を撫でつけてから、沙綾香の尻を持ち上げる。怒張が空気に晒されるのは、実に1時間半ぶりだ。だから、俺の見間違いかもしれない。手越の怒張が、挿入前より膨らんでいるのは。
 黒柿色の幹は逞しく膨らみ、10個の真珠を囲むように太い血管が浮き立っている。赤い亀頭は、もはや子供の握り拳ほどの大きさだ。あんな物で膣内のスポットをいじめ抜かれたとしたら、沙綾香のあの狂いぶりにも納得がいってしまう。
「舐って綺麗にしろ」
 ソファ下へ崩れ落ちた沙綾香に対し、手越が命じる。悪びれもしない、まるで子を躾ける父親の顔だ。
 沙綾香は、拒否をしなかった。意識があるのかも怪しい動きで、手越の逸物を咥え込む。
「れあっ、あむっ……ん、んっ……あ、えあっ……あ」
 艶めかしい声がする。そして同時に、沙綾香は妙な反応を示してもいた。
 黒人共に奉仕してきた彼女が、手越相手のフェラチオを苦にするはずもない。なのにあの子は、苦しそうだ。突起だらけの幹を舐め上げながら、視線を細める。亀頭周りを口に含みながら、手越の下半身を凝視する。下の方では、へたり込んだ腰がヒクヒクと動いてもいるようだ。
「どうした?」
 手越が口を開いた。沙綾香の肩が跳ねる。
「……ふぇ? どうって、なにが……?」
 沙綾香は逸物を吐き出し、締まりのない笑いを浮かべた。色狂いの女らしい顔ともいえるが、肉体の緊張ぶりとはやや不釣り合いな気がする。
「惚けんじゃねぇよ。自分の愛液塗れのイボマラ舐めながら、さっきのセックスを思い出してんだろ? 真珠に舌が触れるたんびに、パンパンに張った亀頭をしゃぶるたんびに、強烈な快感がを思い出しちまうんだろ?」
 手越は薄ら笑みを浮かべ、沙綾香のうなじに触れる。その指が下から上に動けば、それだけで沙綾香の背中が弓なりに反った。
「俺に抱かれた女は、皆そうなる。真珠入りのマラってのは刺激が強烈なぶん、条件付けがしやすいからな。一遍この味を覚えちまうと、忘れられねぇんだ。特にお前さんにゃ、普通の女を5回は堕とせるぐらいの熱を注いでやったからな。腰周りの神経全部に、俺の感触が釘みてぇに打ち込まれてる筈だぜ」
 手越はそう言って沙綾香の頭を掴み、強引に上下させはじめた。
「も゛っ、おごっ……ほごっ、もおおおお゛ッッ!!」
 沙綾香は驚き、凄まじいえずき声を上げる。散々暴れた挙句、片膝をつき……そしてそのまま、ぶしゅっと潮を噴いた。それは、あまりにもメッセージ性の強い光景だ。鉄格子を掴む黒人共が、悲鳴に近い声を上げるほどに。
 その状況のすべてを愉しみながら、手越はとうとう射精に至る。黒人共ほど長くはないが、どくっ、どくっ、と喉奥へ注ぎ込んでいるのが実感できる射精だ。
「そう物欲しそうにすんな。次も、たっぷりと可愛がってやるよ。『今日以上に』な」
 最後の最後。精液まみれで呆ける沙綾香に対し、手越は絶望的な一言を囁きかけた。

                 ※

 鉄格子の中に戻されてから、沙綾香はまた黒人共から手厚い介護を受けた。黒人共は下心を隠そうともせず、散々に沙綾香を甘やかす。そして体力が回復してくれば、1人1人交代で抱きはじめた。何度もキスを交わしあう、甘く蕩けるようなセックスだが、腰の振りは激しい。
「どうだサヤカ、感じてるか。ジャパニーズの粗末なウインナーより、俺らのマグナムコックの方が気持ちいいだろ。俺のコックが一番好きなんだろ、ええ!?」
 何度もそう訊ねているところを見ると、手越とのセックスの記憶を上書きするつもりなんだろう。実際手越の逸物は、長さや幹の太さでいえばマーキスと大差ない。黒人共はその大半が、ペニスサイズでは勝っているはずだ。
 なのに、誰一人として、手越のセックスを超えることはできなかった。
「うん、好き、好きいっ! だから、もっとして! もっと激しく、感じさせてっ!!」
 沙綾香は、何度も愛を叫び、黒人共を求める。剛直で突かれれば快感の声を上げ、ピストンが佳境に入れば潮を噴くことすらある。だがそのどれもが、手越とのセックスで見せた反応には及ばない。あの、気が触れたかと思えるほどの狂乱には。
 黒人共はそんな沙綾香を相手に、複雑な表情を見せていた。沙綾香が愛おしくて堪らない。だからこそ、満たしきれない現状が歯痒い。そんなところだろう。
「ハハハッ、だんだん『ラッシュ』みてぇになってきたな。あの嬢ちゃん、アワ噴きかけてんぜ。ガツガツ突いたって、俺のメガディックとアンタのテクにゃ敵わねぇのによ!」
 鉄格子に視線を向けながら、グラス片手にロドニーが笑う。その対面に座る手越も、ふっと笑いを漏らす。今となっては、その余裕ぶりにも納得だ。あの2人の調教は、今まで観てきたどれよりもヤバい。

「……はぁ、はぁ……沙綾香は、いつまで耐えればいい。何か、手はないのか……?」
 獣のように求め合うセックスを演じながら、百合に問いかける。
「あ、んはっ、んっ……あ、あと、少しです……。私の、仲間が、この倶楽部の場所を探っています。セキュリティが厳重で、手間取っているようですが……もう、間もなくのはずです。それまでは、時間を、稼ぐしか……!」
 百合は、演技とも本気ともつかない様子で喘ぎながら、そう囁き返してくる。
 百合は、この倶楽部を捜査している組織の一員ということか。その仲間が、もうすぐ助けに来る。今はそれを信じるしかないが、問題は、それまで沙綾香がもつかという一点に尽きる。

 ( 耐えてくれ、沙綾香──! )

 祈りを篭めてそう念じる。だが、そんな俺の想いをあざ笑うかのように、ロドニーと手越の調教は激しさを増していく。


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