※頭下げイラマチオ、浣腸アナルセックス回です。
 嘔吐、水下痢、レズ要素あり。




 日を追うごとに、私のアナル性感は開発されていった。それをハッキリと感じたのは、磯崎にあそこを犯されながら、お尻にもディルドーを突っ込まれた時だ。
 磯崎の規格外のペニスを挿れられると、あそこには一切の余裕がなくなる。お臍側がぼこりと膨らみ、直腸の方もひしゃげてしまう。そこへディルドーを捻じ込まれるんだから、たまらない。
 しかも、磯崎に容赦はなかった。数あるディルドーの中でも、特に太くて長く、反りのある物を選び、結腸の方にまでグリグリと捻じ込んでくる。
「あああっ、あははああっ……あ…おおお゛お゛っ!!!」
 私は犬のような格好で辱められ、濁った喘ぎ声を上げつづけた。お腹に余裕のない状態でイかされつづけると、どうしてもそうなってしまうんだ。
「エエ声出させとるわ。変わり者やが、スイッチ入るとえげつないのぉ磯崎は!」
 栖村は笑いながら酒を呷る。ただ、見た目は上機嫌でも、胸の内では磯崎への対抗心を燃やしていたんだろう。
 水曜日……握手会へと出かける直前、栖村は悪意たっぷりに私を辱めた。
『アヌス拡張中。触るな!』
『黒人サイズのチンポも咥え込むドスケベマンコ』
『変態』
『ヤリマンビッチ』
『SEX中毒』
『肉便器予備軍』
 そういう下品な言葉を、マジックでお腹やあそこに書き殴られる。
 腕や太腿には書かれなかったから、握手会の衣装を着ていればギリギリ見られない。でも、いつものように『浮いた』ファンに脅され、ラブホテルで裸に剥かれた時には、全部バレてしまう。
「はははははっ、何だこのラクガキ!?」
「アナルも開発されてんだー、あの四元結衣が!」
「やっべ、すげームラムラしてきた!!」
 そんな風に笑い者にされる。
 でも、この日に限って彼らに犯されることはない。なぜなら私のあそこには、貞操帯が取り付けられているから。

「んだよ、ハメらんねーじゃん!」
「あー、拡張中だからか。前と後ろにバイブ入れっぱなワケね」
「くそっ。せっかく3日シコらねーで来たのによ」
 ホテルへ集まった7人は、口々に残念がる。でも、だからといって諦めもしなかった。
「しゃーねぇ、なら口でさせっか!」
「だな。オイ、そういうわけだ。気合入れてしゃぶれや!!」
 そう言ってズボンを脱ぎ捨て、勃起しきった物を私の口に近づける。
 私は仕方なく、口と手で奉仕する。ベッドで膝立ちになったまま、正面の一人の物をしゃぶり、横の2人の物を手で扱いて。
「んっ、ふっ……んんむっ…………」
 熱心にやったつもりではある。でも、アイドルの私がしゃぶるなんて……と無意識に考えてしまうせいだろう、彼らを満足させる事はできない。
「ダメダメ、もっと舌使ってよ!」
「全然イケる気しねーわ。今日び、中学生でももっと上手ぇぞ?」
 何人もから駄目出しされ、ついには頭を鷲掴みにされる。
「もういいわオマエ。ノド使うから、手ェ下げてじっとしてろ!」
 黒髪をコーンロウ風に編み込んだ一人が、不機嫌そうに叫んだ。そして仁王立ちのまま、勃起した物を深く咥え込ませてくる。
「うむ゛…っ」
 多少の引っ掛かりはあったものの、ヤクザ3人より太さがないぶん、簡単に喉奥の窄まりを通り抜けた。
「すげぇ、ズルーッと奥までいったわ!」
 男は驚きつつ、喉奥深くで出し入れを繰り返す。そのストロークは段々と大きくなり、セックスとそっくりの腰つきになっていく。
「ん、ぐっ、むぐっ……う゛っ!!」
「おーっ。やっぱイラマのが断然気持ちいいぜ!!」
 男は髪を揺らしながら、夢中になって腰を振っていた。
「む゛、ぐむっ、ぶ、ぐっ………ぶえ゛っ!!」
 調教師達に比べればマシとはいえ、喉奥を突かれると苦しい。濁ったえずき声が出るし、反射で唾液も染み出してくる。事実、コーンロウ男が一旦抜き出したペニスは、全体がぬらぬらと濡れ光っていた。
「はぁっ、はぁっ……ふっ……ふうっ……!!」
 私は口を開閉して唾を切りながら、必死に酸素を求める。でも完全に呼吸を整える前に、また深々と咥えさせられてしまう。これをされると辛い。
「おコッ!? カッ…ぼゴッ、かぁ………う゛ぉお、おぼ……っ!!」
 何度も噎せ返り、さっき以上に染み出した唾液が口の端から垂れていく。
「くははっ、すーげ」
 コーンロウ男は笑いながら私の頭に指を食い込ませ、小刻みに喉奥を突いてきた。
「おぶっ……っぐ、ごお゛! おうおう゛ぶっ……ぶはあっ!!」
 えずきが一段とひどくなり、一旦抜かれた時には唾液の線がいくつも伸びる。
「ハハハッ。ヨダレすげーな!!」
「ゴエゴエ言ってたしな。まだ始まったばっかなのに、大丈夫かね?」
「ゲロったらフロントの店員に言って、説教してもらおうぜ!」
 後ろの方で茶化されても、反応する余裕はない。
「マジでいいわコレ。えずく度にノドが締まっから、すげぇ刺激強ぇの。帰ったらオンナにもやらせよ」
 コーンロウ男の声が上ずっていく。射精前の特徴だ。
「……ああいい、いくぜ!!!」
 一番奥まで捻じ込んだまま、腰が止まる。
「うむっ……ゴォエ゛っ!!」
 喉がヒクヒクと蠢き、えずき声が漏れる。まさにその最中、喉奥へぬるりとしたものが浴びせかかった。
「はぁっ、はぁっ……へへ、溜まってる割にゃチョロチョロ出んな」
 男が言う通り、射精の勢いは弱い。でも匂いはきついし、やたらと苦かった。

 精液まみれのアレが、私の口から引き抜かれた瞬間。明らかに場の空気が変わる。満足した仲間を見て、周りも興奮したらしい。
「今度は俺だ、代われ!」
 横からそう声が掛かると、コーンロウの男は私の頭を解放する。でも、休めない。息を整える暇すらない。無理矢理横を向かされ、頭を押し下げられる。
「ザーメン溜まってハチ切れそうなんだ、楽しませろよ!」
 髪を紫に染めたこの男は、ベッドへ座ったままの状態で咥えさせてきた。これは想像以上に苦しい。反り返ったアレが、仁王立ちで咥えさせられる時以上に喉を突き上げてくる。
「あごあ゛、う゛っ、う゛ぐっ……ぼぅあ゛っ、ぇえ゛ぇおお゛ア゛っ!!!」
 嘔吐する寸前のような声が立て続けに漏れる。あんまりにも苦しくて、男の太腿を両手で押さえつけるようにしてペニスを吐き出す。その瞬間にさえ、ひどいえずき声が漏れた。
「おら、離すんじゃねーよ。オマエの喉奥に入れてねぇ間は、オレが気持ちよくねぇんだからよ!!」
 自分勝手な発言と共に頭を引き込まれ、また深く咥えさせられる。
「あ゛っ、げほっ、ごぼぼごぉ゛っ!!!」
 まだ咳き込んでいる最中に喉を抉られ、苦しさで顔が歪む。
「ぎゃははっ、今の顔すげぇブス!」
「ああ、皺くちゃのババアみてぇ! アイドルがしていい顔じゃねーわ!!」
 正面にいる数人から馬鹿笑いが起きた。
「苦しいんだろ。あの四元結衣に咥えさせてるって思うと、怖ぇーぐらい勃起すっからよお、さっきから喉チンコにゴリゴリ擦れてんだわ」
「はははっ、そりゃヤラれるほう地獄じゃねーか。お前は良いだろうがよ!」
「っつか、そんな状態でよく吐かねぇな、このオンナ」
 そんな会話を上空で交わされつつ、延々と頭を上下させられる。
「うっぶ、あぶっ……ぶう゛っ、むう゛ぅ……ぇ゛お゛っ!!」
 下向きのディープスロートでは、喉が狭まるからえずく事は少ない。地味に噎せるばかりだ。そんな中、紫髪の男が動きを見せた。
「あ、そーだ。AVで観たあれ、試してみっか!」
 そう呟くと、両足首を持ち上げ、私の頭を足で抱え込んでくる。そんな事をされたら最後、アレを根元の根元まで咥え込むしかない。
「むう゛っ!? ぶっぶふっ……う゛う゛ぇお゛っ!!」
 私は驚き、激しくえずいた。その反応を間近で見ながら、男はますます足の締めを強める。私の頬が太腿の筋肉で潰れるぐらいに。
「う゛、ぐぶっ!!」
 半端じゃなく苦しい。私は文字通り『必死』で相手の太腿を引っ掻いた。叩きもした。でも、男は力を緩めない。
「もお゛ぉ゛っ、お゛オ゛ぇろあ゛っ!!」
「おおっ、すげえ。オレ全然動いてねぇのに、喉が勝手にグニョグニョ動いてら。蠕動っつーんだっけ、こういうの。ヤッベェわ……あああ出ちまう出ちまう、クソ勿体ねぇっ!!!」
 男は呻きながら、一番の奥で射精する。今度はさっきと違って、ドロドロとしたものが勢いよく喉奥に浴びせかかる。むしろ勢いが強すぎて、激しく噎せてしまう。
「ぶふっ、ぶほっ……ぅえ゛おっ!!!」
 噎せるたび、生臭い匂いが強まった。理由は簡単だ。
「ひゃははっ! おーいマジかよ、鼻からザーメン垂らしてんぜコイツ!?」
「うわキメェ、カンベンしてくれよ『ユイユイ』ちゃんよぉ!!」
 私の顔を見て、男達が腹を抱えて笑う。
 悔しい。私が芸能界に入ったのは、こんな連中の玩具にされるためじゃないのに。
 でも、こいつらの機嫌を損ねる訳にはいかない。調教部屋へ戻るのが遅れたら、私達の未来は閉ざされるんだから。

 3人目のモヒカン頭は、仰向けになった私へ圧し掛かるようにして喉を虐め抜く。この苦しさも相当だ。特にこの男は、カリ首のエラが張っているから、喉粘膜への刺激が並大抵じゃない。
「オエ゛ッ、ゴエ゛……ぶっ、ぐじゅっ……うウ゛ぉエ゛ッ!!」
「ははっ、今日一番すげぇ声だな。キツイだろ、俺のマウントイラマは!」
 何度も顎を跳ね上げる私を見て、どこか自慢げに語るモヒカン頭。
「お前も好きだねーソレ。そのせいで風俗出禁になったくせに」
「タコ、だからこういう時にしかできねーんだろうが!」
 モヒカンは仲間と話しながら、腕立ての要領で腰を振りつづける。それを何度も受けつづけているうちに、本気で余裕がなくなってくる。
「うぶっ、ぶふっ……ぉッえ゛えっ!!!」
 何度も噎せ、唾液が頬を伝って垂れ落ちていく。その中で私は内股になり、腰を跳ね上げた。必死の苦しさアピールだ。それでも喉奥を突き続けられるから、足の裏を激しくシーツに叩きつけて抗議する。
「ははっ、足バタバタしはじめやがった。相当苦しいなこりゃ」
「おーいヒデ君よ、いっぺん息させてやれー」
 その声で、ようやくモヒカンが動きを止めた。そして腋の辺りから汗を滴らせながら、ゆっくりと腰を引く。
「ぶはっ、はぁ……ふっ、はあっ!!」
 必死に酸素を吸いながら薄目を開けると、モヒカンが自分の物を扱いているのが見えた。
「んんっ……んっ!!」
 苦しそうな声を出しながら、私の顔に精子を浴びせかけてくる。
「ひひっ! さんざん喉突いといて、最後はセルフかよ!!」
「るせぇ。ルックスのいいオンナ犯った時ゃ、顔にブッかけることにしてんだよ。俺イジってねぇで次いけ次!」
 その言葉で、また別の一人がベッドを軋ませる。金髪の、いかにもホスト崩れという感じの男だ。
「んじゃ俺な。俺もAVで観たのやってみるわ」
 金髪はそう言いながら、私の身体を引きずっていく。ベッドの端ギリギリ……頭だけが垂れ下がる位置にまで。
「え、ちょっと……!」
 頭がベッドから落ちるのは凄く怖くて、私はつい叫んでしまう。でも金髪は涼しい顔でベッドを降りると、私の顎を左手で押さえつける。
「あ、それ知ってるわ! 洋物のサイトでよく見るやつ!」
「そうそう。いっぺんやってみたかったんだけどさぁ、彼女に『やったら別れる』ってキレられたんだよ」
 ろくでもない会話の中、右手でアレの位置が調整され、一切の遠慮なく喉へと入り込んでくる。
「んも゛ぉおお゛お゛お゛え゛っ!!!」
 驚くほど余裕のない声が出た。でも仕方ない。頭だけを直角に落とすなんて、それだけでも喉が突っ張った感じがしてつらいのに、その状態で喉奥を突かれたら悶絶ものだ。
「うははっ、気持ちいいー! ノドまで挿れたの初めてなんだけど、ヤバイねこれ。マジ癖になるかも!!」
 金髪は嬉しそうに叫び、私の顎を両手で挟みこんで腰を振る。
「ん゛っ、む゛ぁ……あ゛ッ、あ……っこ、コォ゛…………」
 えずき声は出ない。出るような喉の形ができていない。口から漏れるのは、グチュグチュと言う水音だけ。唾液だけは異常にあふれた。喉奥じゃなく、舌の裏側と頬の内側あたりからとろとろと流れてきた。何もかもが今までと違う。
「首んとこスゲー筋浮いてんな。ちっと怖ぇぐらい」
「見ろよ。チンポ入った分だけ、ノドが盛り上がってんぜ。こんなん、この体勢でしか見れねーよな」
 そういう周りの声で、自分の現状が嫌でも理解できてしまう。

 ぐちゅぐちゅという音が、20回は続いただろうか。そこでようやく金髪が腰を止め、太さを増したアレを抜き出した。その後を追うように唾液の線が伸び、自重に負けて私の鼻の方へ垂れ下がる。
「はっ、はっ、はっ、はっ……こ、これやめでっ!!!」
 言葉を喋れるようになった途端、私はそう叫んだ。荒い呼吸は、酸素を求めてるんじゃなく、パニックになって息が乱れているからだ。
 どっ、と笑いが起きる。
「はははっ、もう音ェ上げてやがる! やっぱキツいんだなーあれ」
「そうか? 動画の外人女は結構耐えてんの多いぜ?」
「バーカ。そりゃディープスロートに慣れてるプロ女優だからだろ。おまけにアッチはフニャチンらしいしよ」
 そんな声が飛び交う中、金髪がまた私の顎を掴む。逆光を受けながら見上げるペニスは、かなり大きく見えた。
「んぐっ……ぐっ、うう……うぶうっ、げお゛っ!!」
 少しずつ喉が開き、えずき声が漏れはじめる。ぐちゅぐちゅという音も相変わらず大きい。
「ああ、そうそう。俺って遅漏だからさ、結構長めに楽しませてもらうわ。よろしくー!」
 金髪は腰を振り続けながら、軽い口調でそう告げた。
 そしてその言葉通り、こいつはまるで絶頂する気配がなかった。何十回か喉を突いてはアレを抜き出す、の繰り返し。私は口が自由になるたびに激しく喘ぎながら、顔中に唾液を垂らす。5回目の息継ぎでは、とうとう前髪にまで泡だらけの唾が絡みついた。そしてそこから、さらに2回サイクルが回った頃。
「あ、あ、あーすげ、イキそ……! 出すよ、飲んで!!」
 金髪は喘ぐようにそう言うと、中途半端な位置で絶頂する。射精場所はちょうど舌の上あたり。おかげで味わいたくもない生臭さを、たっぷりと感じ取ってしまう。
「んぶっ! はぁっ、はぁっ、はぁっ…………!!」
 精液塗れのペニスが引き抜かれた。細い視界に映るそれは、明らかに最初より大きい。

 ( 気持ちよかったんだ……私は、こんなにしんどいのに )

 そう思うと、殺意すら芽生えた。でも視線を少しずらすと、恨みの気持ちなんてどこかに吹き飛んでしまう。
 他の6人が、下半身の物を反り立てながら、私ににじり寄るのが見えたから。


 「う゛ぉえ゛え゛っ、おぶっ……!! お゛エオエ゛、お゛ごっ!!」
 激しく喉奥を掻き回され、汚い声を絞り出される。一人がようやくペニスを抜いたかと思えば、また別の一人が顔を掴み、深々と咥えさせてくる。満足に息継ぎができるのは、わずか2秒弱。
 その地獄の中で、私の顔は唾液に塗れていた。もう濡れていない場所がない。髪の生え際も、額も、鼻も頬も顎も、あらゆる場所がぬるりとした不愉快な液で覆い尽くされている。それを嘲笑われたのも、随分前の事に思える。
「どうだ結衣。若い男のモン、とっかえひっかえでしゃぶってる気分は。逆ハーレムって感じで嬉しいだろ? あのヤー公相手じゃ、こんなん絶対味わえねぇぜ」
 ドレッドヘアが腰を使いながら、そう問いかけてくる。私にできるのは、すっかり太さを増したペニスを吐き出し、喘ぎながら首を振ることだけだ。
「ヘッ、そうかよ。なら嬉しくなるまでやってやらぁ。おら、また出るぜ……出されたザーメンは全部飲めよ、簡単だろ?」
 ドレッドヘアの太腿が強張り、喉の奥にドロドロとしたものが注がれる。
「ぶ、ぶふっ……ごぶっ!」
 立て続けに精液を飲まされているせいで、もう喉が受けつけない。
「あーあ、クチから溢れちまってら。全部飲めっつってんのによ」
「ま、しゃーねえっちゃしゃーねぇけどな。もう連発15回目ぐらいっしょ?」
「一人2発として、そんなもんか。そう考えるとすげーよな。次3回目なのに、まだフル勃起だぜ? やっぱモノホンのアイドルにしゃぶらせんのって最高だよな」
「ああ、バイアグラ並みにやべーわ。今日10発ぐらいいけっかも!」
 弱る一方の私と違って、7人の目はギラついている。彼ら自身が言うとおり、もう何度も射精しているのに硬いままだ。
「んっ、ぶ……ぐううっ、おえ゛っ……ぃお゛え゛っ!! うおお゛え゛っ!!」
 不自然な体勢で喉奥を抉られつづけると、吐きそうになる。何度も何度も、喉元まで酸っぱいものがこみ上げてくる。でも私は、それを必死に押し止めた。アイドルとしてのプライドだ。
「しっかしこいつ、ノド強えーな。こんだけやっても吐かねぇとか。さすが、歌いまくって鍛えてただけあるわ!」
 私の粘りに、呆れたような声まで漏れる。でもその時にはもう、本当のギリギリだった。
「なーに、もう時間の問題だって。俺がトドメ刺してやんよ!!」
 一人がそう言って、こめかみの辺りを掴んだ。そこから始まるのは、何の情けもない挿入。膣でのセックスでもそこまでしないんじゃと思うほど、ストロークが大きい。しかも頭を強引に押し下げられているから、反ったアレが喉奥の鎖骨側をもろに刺激する。
「ェお゛お゛っ、ほごぇえ゛……ごほっごぼっ、ぉごええ゛っ!!」
 何度も何度も吐き気がこみ上げる。喉がぶるぶると痙攣をはじめる。必死でシーツを掴んで堪えるけど、もう決壊が目の前に見えていた。
「無駄に頑張んじゃねーよ、オラッ!!」
 その怒鳴り声が聴こえた直後、喉奥までが貫かれる。そしてそのまま、鼻を潰す勢いで腰を押し付けられ、そのまま止められてしまう。
「んぼっ……ご、おごッ!! んん゛ん゛も゛お゛おぉ゛ーーっ!!!」
 苦しくて、吐きそうで、必死になって抵抗した。シーツから両手を離し、相手の腰を押しやろうとしたり。足で滅茶苦茶にベッドを踏み鳴らしたり。でも、咥えさせている一人は動じない。
「くくくっ、喉がピクピクしてきたぜ?」
 そう言って、私の喉に両の親指を宛がい、食道まで入り込んだアレを縁取るように扱きはじめた。これが、トドメになった。ほんの僅かにあった余裕が、これで気泡のように潰れてしまう。そして。
「ァか、お゛……んも゛ぉえ゛オエ゛ェッ!!!」
 これまでで一番と断言できるぐらい汚いえずきと共に、私は噎せかえる。喉奥から溢れて唇の隙間から噴き出ていくそれは、はっきりとした酸味を帯びていた。
「うっわ、とうとう吐きやがったこのオンナ!」
「あーあー。せっかくのキレイな顔が、えずき汁とザーメンゲロで汚れちまって!!」
 そういう罵声で、嘔吐が確定する。
「だから言ったろ、時間の問題だって!」
 その立役者を気取る一人は、ゲラゲラと笑いながら腰を振りはじめる。
「む゛っオエ゛ッおえ゛……ぶぼっ、ごぇ゛エエ゛っろ゛エ゛っ!」
 吐いたばかりの敏感な喉を刺激されると、とても耐え切れない。私は何度も何度も噎せ返り、精液交じりの胃液を吐きこぼす。泡だらけの汁が鼻の横を通り、前髪の間に流れ込んでいく。そしてそれを追うように、目尻から涙が零れた。

 そこからは、酷いものだった。
 全員が全員、夢中になって私を吐かそうとしてくる。頭を鷲掴みにし、興奮で硬さや太さを増したアレを深々と打ち込みながら。
「うひょーっ! ゲロでヌルヌルんなった喉マン、気持ちいーーっ!!」
「玉カラッポでもう射精ねぇけど、突っ込んでるだけで満足できんのがスゲーよな。これもう、オンナのマンコじゃ物足りなくなりそうで怖ぇわ」
「ははっ、いいじゃねぇか。どうせ毎週コイツ犯れんだ、週イチの風俗と思って使ってやれや! なんならお前のオンナ連れてきて、直に具合比べてみれば?」
「やー無理無理。コッチのがイイっつったら殺されるわ、この女が!」
 部屋中で騒ぎ立てながら、代わる代わる私の喉を犯しつづける。
 向こうは楽しくても、こっちは地獄だ。
「いやああっ、やめてえっ、もお゛やめてえ゛え゛ーーっ!!!」
 何度もそう絶叫した。そのたびに、歯茎の間を吐瀉物が流れていくのがわかった。
「い゛ーーっ、いいい゛ーーーーっ!!!!」
 少しでも休む時間が欲しくて、歯をがっちり噛み合わせて抵抗したりもした。
 でも、7人には少しの配慮もない。鼻をつまんだり、頬を掴んだりして強引に口を開かせ、深く咥え込ませてくる。
「ゥお゛う゛え゛、ぁ゛がっ……んも゛ぉうえ゛え゛え゛っ!!!!」
 頭が固定されている限り、首を振っても無駄だ。そうなったらもう、首から下で反抗するしかない。手足をバタバタと叩きつけて。
「ぎゃははっ、苦しそー!」
「オイ、あんま暴れんなって。店員来んだろーが!」
 傍から見てもかなりの暴れようだったんだろう、ついには数人がかりで足を抱え込まれた。でもそうなると当然、割れ目へ食い込む貞操帯に意識が集まってしまう。
「そういや、コッチは放置プレイだったな。ちっと慰めてやるよ」
 そう声がして、割れ目のバイブが押し込まれる。
「んごぉ゛っ!?」
 ほとんど意識していなかった場所への刺激に、堪らず呻く。
「イイ声出んなァ! どうだ、膝でバイブ押し込まれんのは。俺の膝で犯されてるみてぇだろ、ハハハハハッ!!!」
 大笑いされながら、バイブを奥深くへ打ち込まれる。しかも、それだけじゃない。
「あ、そうだ。コイツに使おうと思って、コレ持ってきたんだよ!」
 一人がそう言って、何かゴソゴソと探しはじめる。
「おっ、『デンマ』かよ。いいね~!」
 私は最初、その言葉が何を指しているかわからなかった。でもその直後に聴こえてきた重苦しい羽音で、一瞬にして理解する。電動式のマッサージ器、略して『電マ』だ。
 そこから、いよいよ悲惨なプレイが始まった。
 貞操帯のバイブにマッサージ器を宛がわれ、胸を揉まれながら、延々と喉奥を突かれて吐かされる。
「おー、イってるイってる!!」
「乳首ピン勃ちじゃねぇか。こんな状況で感じてんのか、この変態アイドルが!!」
「オエオエってすげぇ声出んな。俺、お前の声わりと好きで、CD買ったり番組録画してたりしたんだけどよ、こりゃ幻滅だわ!!」
 笑われ、蔑まれ、詰られ……その中で、抵抗もできずにえずくしかない。
「オエ゛ッおえ゛ェお゛お゛っ、むごぇえ゛……ごほぉええ゛っ!! ごぇ゛エエ゛っろ゛エ゛っ! んも゛おおお゛お゛お゛ええ゛ぇ゛っっっ!!!!」
 何度も何度も、吐瀉物があふれ出した。涙が零れた。エネルギーの満ちた不良7人が、全員疲れ果てるまで。

 そしてこの日は、最後までロクでもなかった。
 上半身が吐瀉物まみれの私は、シャワールームで身体を洗われることになる。でもその時になって、一人がこう言ったんだ。
「せっかくだからよ、ションベンで綺麗にしてやろーぜ!」
 その一言に、他の人間も乗った。
「はははっ、それいいな! どうせヤクザの肉便器なんだしよ!!」
「うっし決まりだ。すぐ出せそうな奴から前出ろや!!」
 そう言って、座り込んだ私を取り囲む。
「え……い、いやっ、本気なの!? やめてっ!!!」
 懇願しても、男達は止まらない。4本のアレの先から黄色い液が噴きだし、湯気を立てながら私の顔に浴びせかかる。
「いやああーーっ!! やめて、やめてえええーーーーっ!!!」
 悲鳴を上げると、その顎を掴まれて口の中に尿を注がれる。ゴボゴボとうがいのように喉奥が泡立つ。
「アハハハハッ! 信じらんねーよな、あの四元結衣にションベン飲ませてるなんてよ!!」
「ああ。それも、散々クズだのカスだのって言われてる俺らがだぜ? 人生どう転ぶかわかんねーよな」
「ウチの弟、こいつのガチ恋勢なんだがよ、これ見せたらドン引きだろーな!」
「言っとくが、動画撮ったりとか足つくようなマネすんなよ。ヤクザに目ェつけられんぞ」
 7人は大笑いしながら、私に尿を飲ませつづける。
 しかも、これだけでは終わらない。
「いやああっ、いやあああーーーっ!!!」
 私が何度目かの悲鳴を上げた瞬間、いきなりドアがノックされた。全員が固まる。
 ドアの外には何人かが集まり、何か話し合っているらしかった。 
「んだよ、もうすぐ出てくから待ってろって!!」
 ドレッドヘアがそう叫ぶとのほぼ同時に、ドアが開いて警官が踏み込んでくる。

 私達は、ホテルの客か店員かに通報されたようだった。
 当然だと思う。明らかに複数の男と一人の女がいる部屋から、悲鳴や普通じゃないえずき声、暴れる音なんかが聴こえてくるんだから。
 私達は服を着せられ、到着した警官数人から取調べを受ける。
「……お騒がせして、すみません。これは、合意の上での、その……プレイ、です」
 私は、警官にそう説明した。下手なことを喋ってヤクザとの繋がりがバレたら、いい結果にはならないと思ったから。
 他の7人も同じような事を話して、いくつか注意は受けたものの、いわゆる“警察沙汰”にはならずに済んだ。
 ただ、つらい事もあった。
 身分証明として名刺を出すと、相手の若い警官はそれを見て目を丸くし、私の顔を覗き込んでくる。私が『あの四元結衣』だと気付いたんだろう。警察官という堅い職業の人に身バレするのは、チンピラ相手よりずっと恥ずかしい。
 それに、もう一つ。取調べを受けている間も、貞操帯のバイブは動きつづける。これがきつかった。貞操帯の鍵が外せない以上、バイブを止める手段はない。
 吐瀉物まみれのベッド縁に腰掛け、警官から質問されながら、二穴のバイブで悶える。いけないと思えば思うほど感じてしまって、途中で何度か軽い絶頂すらした。若い警官は、目深に被り直した帽子の下から、そんな私をじっと視ていた。
 時々、ゴクリと喉を鳴らしながら……。


    ※           ※           ※


「なんや、ヌルヌルになっとんのぉ。マンコとケツのバイブが、そんなに嬉しかったんけ?」
 栖村は私のスカートをめくり上げ、面白そうに目を細める。そのニヤケ顔を見ていると、無性に腹が立った。私の苦労なんて、何も知らないくせに。
「ハイハイ。いいよ、そういう事で」
「なんや、やさぐれとんのぉ……まあええ」
 カチッと音がして、貞操帯の鍵が外される。黒いベルト部分が下に引かれると、二穴からバイブが抜けていく。
「おお、半日太いモン咥えさせた甲斐があったわ。こんだけ拡がっとれば、“ほぐし”はもう充分やろ。ケツの穴にハメたる、犬のポーズで這い蹲れ」
 栖村は笑みを深めながら、顎でベッドを指し示した。

 私はベッドで這う格好を取りつつ、正面のミラーを睨みつける。これから惨めな目に遭うからこそ、シャンとしていないといけない。どんな環境でも、緋色の心は失くさない――皆とそう決めたんだから。
「エエ目しとんな。最初はその鼻っ柱の強さにイラついたもんやが、なんや愛しゅうなってきたわ。もうじき見られんようになると思うと、余計にな」
 ベッドを深々と沈ませながら、私の背後につく栖村。そういえばこの男は、初対面で青筋を立てて詰め寄ってきた。あの日から、もう何週間になるんだろう。
「決めつけないで。私はさっさと借金返して、ここから出ていくんだから!」
「ふっ。これまでワシらに調教された女も、揃って同じような事言うとったもんや。果たしてお前の根性が、そいつら全員を超えられるか……楽しみやのぉ」
 挑発的な言葉と共に、肛門へ何かが塗りこめられる。滑りの強さからいって、ローションじゃない。
「な、何を塗ってるの!?」
「ワセリンや。汁のようけ出るマンコと違うて、ケツ穴にローション入れてもすぐ乾いてまうからな」
 栖村は私の問いに答えながら、お尻にアレの先を宛がう。
「…………っ!!」
 私は下唇を噛み、屈辱に耐えた。ディルドーやバイブなら経験はあるけど、男の性器を挿れられるとなると、またショックの度合いが違う。人間としての尊厳を貶められる気分だ。でも、まさにそれが栖村達の狙いなんだろう。こいつらは、私を『メス奴隷』に堕とすのが目的なんだから。
 栖村の亀頭が肛門を無理矢理開き、中へと押し入ってきた。ミチミチという音が聴こえてきそうだ。
「ははははっ! 散々バイブで拡げとったっちゅうのに、えらいキツいのぉ!」
 栖村は黄色い歯を見せて笑いながら、さらに深く腰を沈める。熱く脈打つペニスの存在感は、バイブとはまるで違った。腸の中を『逆流』され、脚が震えだす。
「っし、動くで!」
 私の震えを知ってか知らずか。栖村は腰を掴み直すと、激しく腰を打ちつけてくる。お尻に平手打ちでも受けているように、バチンバチンと栖村の腹肉がぶち当たった。あそこを犯される時の、お尻を突き上げる痛みとは全く違う。

 ( ほんとにお尻……犯されてるんだ…… )

 シーツを掴んで揺れに耐えながら、はっきりとそう認識する。
「どうや、尻の穴犯されるんも気持ちエエやろ!?」
 栖村は激しく腰を打ちつけながら、そう囁きかけてきた。
「はっ、はぁっ……そんなわけ、ないでしょ!!」
 当然、認めはしない。でも正直なところ、違和感はほとんどなかった。バイブで拡げられていたのもあるだろうし、あらかじめ何日もかけて、お尻で感じる下地を作られていたのも大きい。
 変な感じだ。ずぶずぶとお尻に出し入れされるたびに、肛門が擦れて気持ちいい。それに比べて、腸奥の感覚はぼんやりとしている。分厚い麻袋越しに蜂蜜を味わうような……確かな甘さは確信できるのに、それがひどく遠い。
 結局その甘さをはっきりと感じる前に、栖村が限界を迎えた。
「ああ、いくで……っ!!」
 そう言ってお尻からアレを抜き、背中に精子を浴びせかける。相変わらず凄い量で、背筋から腰の方にまでドロドロとしたものが流れていく。
「まあまあやな、やっぱワシは喉マンが一番やわ。おう磯崎、代わったるわ。お前、ずっとやりたがっとったやろ!」
 栖村がベッドに座り込み、磯崎へ手招きする。磯崎はベッドへ上がり、私の背後についた。ミラーに映るその顔は、無表情ながらも眼が血走っていた。
「い、入れるぞ」
 その言葉で、挿入が始まる。肛門どころか、その周りの骨まで軋む規格外の直径。冷や汗が噴き出す。
「やめてっ、ちょっと待って!!」
 咄嗟に腰を引こうとするけど、磯崎は私の尻肉を鷲掴みにして逃がさない。どう考えても無理なサイズが、ミリミリと直腸へ入り込んでくる。両脚が普通じゃないぐらい痙攣しはじめる。
「す、すっ、栖村相手に、か、感じていたな。俺が、もっと、拡げてやる!」
 磯崎は言葉を詰まらせながら、ますます力を込めて腰を押し込んできた。
「んは、あぐっ……あぐ、ぁ…………!!」
 私は目を見開き、舌を突き出して凍りつく。本当に苦しい時、人間はフリーズするんだと思い知らされる。
 何十分にも何時間にも思える挿入の末に、ようやく磯崎の動きが止まった。亀頭が腸の奥まで届いたからだ。
「さすがケツやと深ぅまで入るのぉ、デカマラが七割方隠れとるやんけ。マンコの方やとすぐ子宮口にぶち当たって、半分も入っとらんかったのに」
 横から挿入を見守っていた栖村が、ビールを煽りながら笑う。正直、そんな言葉は聴かせないでほしかった。あの磯崎の巨根が、七割も入ってしまっている事実。それは、私の震えを酷くする。
「あああ、い、いいぞ……纏わりつく」
 磯崎は奥まで突き入れた状態で、アレをビクンビクンと跳ね上げる。それだけで私の腸奥からは、排泄欲に近い何かが沸き起こった。
「いっ、今まで辛抱したんだ、愉しませろ。お…俺を、満足させてみろ!!」
 吼えるような声。それが、ピストン開始の合図だった。腸壁を捲り返しながら腰を引き、ミチミチと肉を押しのけながら突きこむ。それが一切の遠慮なく繰り返される。
「あ゛、あ゛っ……あっ、あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」
 私の喉から迸るのは、完全に悲鳴だった。バックで膣を犯された時より、膝が深くシーツへめり込み、ギシンッギシンッとおかしい音でベッドが揺れた。
「い、いい……いいぞっ、いいぞぉ!!!!」
 山賊のような顔を歪ませて、磯崎が唸る。私の直腸とのサイズ差なんて一切考えず、暴力的なペニスを叩き込みながら。
「ああ゛っ、うあああ゛っ!! あ゛っ、あ゛っ!!!」
 腸全体を押し込まれる感じで、息がしづらい。骨盤が悲鳴を上げていて、這う格好を取っていなければ、すぐにでも腰から崩れ落ちそうだ。
 苦しい。苦しくて耐えがたい。
 なのに。なぜか磯崎から深々と突きこまれるたび、お腹の奥が切なく疼く。愛液がとろりとあふれてしまう。
「気持ちええやろ?」
 そんな私の状態を見透かしたかのように、栖村が一言呟いた。
「はあっ、はぁっ………!!」
 私は激しく喘ぎながら、栖村を見上げる。栖村は、逆光の中で笑っていた。
「磯崎のはデカイからのぉ。直腸圧迫するだけやのうて、子宮まで押し潰しよる。子宮は一番の性感帯やさかいの、どの女もヒイヒイ泣いて善がるもんや」
 諭すようにそう言われると、妙に納得してしまう。疼いているのは確かに、お臍のすぐ下……子宮の辺りなんだから。
 だとしたら、私も過去の『メス奴隷』と同じ道を辿っていることになる。それは駄目だ。その先にあるのは、私の望む未来じゃない。
「うう゛っ、うう゛う゛……っ! はあ゛っう゛、う゛ああ゛あ゛あ゛っ!!!」
 私は、歯を食いしばって快感に耐える。でも、硬い亀頭で結腸付近を擦られるとどうしても声が漏れるし、愛液が内股を垂れていく。
「うう……いくぞ、いくぞぉおおおっ!!!!」
 呆れるほど長く腰を振った末に、磯崎は吼え、腸奥で射精した。かなり長めの射精が終わり、肛門からずるりとペニスが抜けると、腸内が外気に晒される。
「はっは、さすがやのぉ。ケツの穴がパックリ開いとるわ!」
 遠くから眺めていた新渡戸が、私のお尻を見て笑った。

 そこから私は、延々とお尻を犯され、嬲られ続けた。
 ベッドの上だけじゃなく、ソファの背もたれに手を掛け、お尻を突き出した状態で犯されもする。土曜日には当たり前のように、仲間のライブを眺めながら、ミラーに手をつく形で犯されつづけた。ライブ終わりにマングリ返しの格好を取らされ、お尻を指で弄られると、背中やお腹に大量の白濁液が零れていくぐらいだった。
 もちろんその合間合間には、お腹の中を綺麗にするための洗腸も挟まれる。ただ浣腸するだけじゃなく、我慢ついでにまた玉蒟蒻やプチトマトを詰め込まれたり、太いアナルパールを出し入れされたりもした。
 そしてそういう調教は、当然ながらライブハウスのスタッフに見られている。だから水曜の握手会後には、チンピラ数人からも似たような辱めを受けるハメになった。

 前回騒ぎになった所とは別のラブホテルで、浣腸を繰り返される。
 まずは『イチジク浣腸』というものをお尻に注入され、色々な方法で排泄させられた。
 人差し指やアナルバイブで刺激されるのなんて、ほんの序の口だ。そのうち何人かでアイディアを出し合って、より惨めなやり方を考え出される。
 例えば、ある時には5本のイチジク浣腸を入れられた上で、浣腸を我慢しながら男の物を咥えさせられた。しかも、このフェラチオにはストローク回数の制限がある。
「今度は30回だ。30回以内に俺をイカせられたら、普通にトイレでさせてやる。もし30回しゃぶった時点で俺がイってなきゃ、その格好のままでぶちまけろ」
 そういう風に命令されるんだ。当然、拒否権なんてない。
 イチジク浣腸の即効性は凄くて、5個も入れられるとすぐにお腹がキュルキュルと鳴りはじめる。それを我慢しながら、なるべく相手に快感を与えられるよう、喉奥まで咥え込むディープスロートでゆっくりとしゃぶりつく。
「うっ……へへ、中々クるなこりゃ」
 男はバスタブの縁に腰掛けたまま、気持ち良さそうに声を漏らしたりする。でも、20回や30回で絶頂にまで持っていくのは無理だ。単純に刺激が足りないのもあるし、浣腸の効果でお腹がグルグル鳴っている状態だと、イかせる事に専念することすら難しい。
「にじゅうきゅーーう、さーーーんじゅうっ!!」
 悪意に満ちたカウントダウンが、ホテルの部屋に響きわたった。
「どーよマサ、イけたか!?」
「うんにゃ、全然。あと30回は余裕で耐えれるわ!」
 そんな白々しいやり取りの後、全員の視線が私に集まる。
「じゃ、約束通りひり出せや。自分でケツおっぴろげてよ!!」
 私は自分の尻肉を指で掴み、限界まで割りひらく。そして思いっきり息み、高まりきった便意を放出する。ラブホテルのバスルームは一面ガラス張りだから、私の出した液はまずガラスに浴びせかかり、場の全員に見守られながら垂れ落ちていくことになる。
「もう、きったないんだけどー!」
「ウチら今スムージー飲んでんだからさぁ、そういうのやめてくんないマジで!!」
 そう金切り声を上げるのは、私服姿の女の子2人組だ。後で判ることだけど、まだ高校に入りたてという歳らしい。
 この2人の存在は、大きかった。調教師にしろ、不良にしろ、男に辱められるのはまだマシだ。男は獣だ、獣には酷いことをされても仕方ない……そう割り切れるから。でも同性となると、訳が違ってくる。
「マジキモい!」
「うーわ、アレありえないって!!」
 そんな言葉をぽろりと呟かれるだけで、ひどく動揺してしまう。
「はははっ! ドMの変態でも、同じ女に笑われんのはキツいかよ!?」
「ま、そりゃそうだ。『リュネット』の頃にゃ、女子のカリスマとか言われてチヤホヤされてたもんな。で、その味方だったはずの相手から、今はゴミみてぇに見下されてるわけだ。その落差、俺だったら死にたくなるわ!!」
 不良達は私の立場を笑いながら、恥を掻かせつづける。
 さっきの責めで言えば、何度も繰り返された挙句、ついには頭を押さえつけてのイラマチオを強いられる。
「おら、手伝ってやんよ。喉奥で50回も扱きゃイケそうだ、せいぜいガンバレや!!」
 そう言って喉奥まで咥えさせられるんだ。イチジク浣腸を我慢している状況で、これはあまりにも辛すぎる。
「んぶっ!? お゛お゛うえ゛っ!! ふぅう゛むんん゛お゛お゛おえ゛え゛っ!!!」
 グルグルとお腹が鳴り、何度も激しくえずき上げる。
「え、何今の声!? アンタ達のじゃないよね?」
「ああ、正真正銘こいつの声だ。ちっと奥まで咥えさせると、すーぐゴエゴエえずきやがんだよ」
「うは、ちょっと流石に無さすぎ……ねぇ?」
「うん、ナイナイ。熱愛スキャンダルとかってレベルじゃないから、この幻滅感!!」
 そんな血も涙もない罵倒を受けながら、私は上も下も限界を迎える。
「んろ゛ぉえ゛お゛えお゛…………っ!!!!」
 えずきながら黄色い吐瀉物を吐きこぼし、開いた肛門からも汚液を噴き出す。全員に見られ、大声で馬鹿にされる中で。

 女の子2人は、私を嬲る役に回っても厄介だった。
「こいつ、すぐ潮噴くんだぜ。やってみろよ」
「えー、マジ?」
 男の誘いに乗って、金髪に染めた子が割れ目に指を捻じ込んでくる。同じ女だけに、急所をほとんど外さない的確な責め。当然、何分ももたない。
「あははっ、ホントだ。イってるイってる、すごっ!!」
 彼女は大袈裟に身をかわしながら、ゲラゲラと笑う。
「ねぇお姉さん。お姉さんって私より年上ですよねぇ。私なんかにイカされて、悔しいとか思わないんですか? 私15のガキですよ? そんなガキにちょっとオマンコ弄られただけで、くっさいマン汁ビュービュー吹き散らしてさぁっ!!」
 そんな言葉の一つ一つが、胸に突き刺さる。

 ( いや、イキたくない! 感じちゃ、だめ…………!! )

 そう思えば思うほど、下半身の筋肉が強張って、潮を噴きやすくなってしまう。
 そんな惨めな私を前に、もう一人の子がもっとロクでもない事を思いつく。
「そーだ。せっかくだし、シャワー浣腸しよーよ!」
 シャワー浣腸――シャワーヘッドを外し、ホースでお尻に直接ぬるま湯を注ぐ行為。
「だめよ、もう無理っ! もう、は、入らないわっ……!!」
 お腹が膨れるほど浣腸されたところで、飛沫を撒き散らしながらホースが引き抜かれた。
「まだ漏らすんじゃねーぞ。お前はすぐ漏らすからよ、俺ので栓してやるよ!!」
 すかさず男の一人が私を抱え起こし、硬くなったアレを緩んだお尻に捻じ込んでくる。
「え、い、いやっ!! なにっ、ダメ、ダメええっ!!!」
 私は半狂乱になった。でもその反応が、また面白がられてしまう。
「はははっ!! どうだ。こうされると、クソが逆流しそうで堪んねぇだろ!?」
「だめ、だめぇっ! こんなの、へ、変になっちゃううっ!!」
「オウ、なっちまえ! ケツの穴犯されて、ブリブリ糞ひり出しながらよ!!」
 こんな状況がずっと続いた。一人が射精してアレを抜けば、すかさずホースで湯を足され、また別の一人とのアナルセックスが始まる。
「まだまだ休ませねぇぞ。ケツの穴が腫れ上がって、クソができなくなるまで突いてやらぁ!!」
 そう脅す奴もいれば、
「随分苦しそうだな。俺は気持ちいいぜ? お前のケツの穴『使う』とよ!!」
 そんな風に、ただひたすら愉しむ奴もいる。
「あああっ、だめぇだめっ!! いっやああああーーーーっ!!!!」
 ついには私は、床のタイルへ仰向けに転がり、お嬢様座りでもするように脚を揃えて犯されるようになった。獣のような男の視線と、ゴミを見るような女の視線の下で。
 そして。
 認めたくない。絶対に認めたくないけど、私は、この状態で絶頂を迎えた。何度も、何度も。
「おおっ、おっほぉ、お゛………んんン゛お゛お゛お゛おお゛っっ!!!!」
 酷すぎる状況でお尻を犯されるうち、胸の奥から純粋な快感の声があふれ出す。そして一度あふれると、もう止まらない。お尻からのぬるま湯のように。
「あはははははっ、ひっでぇ声!!!」
「完璧にケツでアクメきめてんな、この馬鹿女! どうよお前ら、コイツ見て」
「や。どうもも何も……ただのドーブツじゃん、こんなの。」
 爆笑と、冷ややかな言葉。私の耳は、その両方をしっかりと捉えていた。

 いっそ、まともでなければ楽だったのに。
 ホテルからの帰り道、暗い公園のベンチで、顔を覆ってしゃくり上げずに済んだのに。


    ※           ※           ※


 後ろの穴が使えるようになってからは、調教部屋での責めがますます激しさを増した。口とあそこ、お尻の3穴を同時に犯されるようになったんだ。
 特に、栖村に喉奥を、磯崎にお尻を、新渡戸にあそこを犯されると、悶え狂わずにはいられない。
「ぃお゛え゛お゛ええ゛っ!! ごぼっ、ごほっ……や、やずま゛ぜで……!!」
 ディープスロートにえずきながら、口が自由になるたびに休憩を求める。何度も立て続けにイカされつづけると、意識が朦朧としてしまうから。
 でも、3人がその哀願を聞き届けることはまずない。
「アホウ、まだまだまだまだ、これからや! 弱音吐けるノドがあんねやったら、気ィ入れてしゃぶらんかいッ!!」
 栖村は私をどやしつけ、腹の肉で呼吸を塞ぐぐらいに腰を押し付けてくる。
「い、いいぞっ……!」
「おお、イラマさせながらだとよう締まんのぉ。ノド責めと二穴責めの相性は抜群や!」
 上下から私を挟み込む2人も、一切腰の打ち込みを止める気配がない。

 この頃になると、私に与えられる食事は、ほとんどが3人の精液になっていた。口から直接飲まされるだけじゃなく、あそこやお尻に出された分を皿に注ぎ直して飲まされたり、あるいはドッグフードの上に掛けて与えられたりもした。
 私は最初、当然それを拒否した。普通に気持ち悪かったし、それを飲んだら最後、体の内まで穢されそうな気がしたから。
 でも、そこから丸4日間水しか与えられなくなると、贅沢を言っていられなくなる。極限状態になって思い知ったけど、飢えると心が弱くなるんだ。肉体的なつらさも勿論だけど、それ以上に自我を保つのが難しくなる。精神的にすごく不安定になって、狂いそうになる。
 だから、たとえ大嫌いな人間の精子だとしても、胃に入れるしかない。

 でも、プライドを捨てきった訳じゃない。私の中には、まだ意地が残っている。
 それが解ったのは、3穴責めが始まってから5日目の夜。調教部屋の扉を開け、見覚えのある男が現れた時だった。
「どうだ、調練の進み具合は」
 そう語る男の全身からは、精液の匂いすら消し飛ぶほどのコロンの香りが漂っている。何より恨みの強い香りだから、特に嗅ぎ分けられるのかもしれない。
「どうも旦那、見ての通り順調です。完全に骨抜きになるんも、時間の問題ですわ!」
 栖村がそう言って、仁王立ちのまま深々とペニスを咥えさせてくる。
「んぼ、ごぇ゛……ぃお゛え゛アっ!!!」
 今日はもう6回以上吐かされているから、私の喉粘膜はボロボロだ。当然、えずき声も酷い。
「さて、磯崎よ。こっちもスパート掛けよか!!」
「ウッス」
 新渡戸と磯崎も、上下から私を挟み込んだまま、激しく腰を使いはじめた。どっちも私の弱い部分を知り尽くした動きだ。それを前後同時にやられると、立て続けにイってしまう。
「んごぁ゛、あ゛っあ゛! ひぃう゛っ…い゛オ゛ぇ゛おおア゛ッ!!!」
 喉奥への蹂躙にえずきながら、新渡戸の腰を挟むように足首を浮かし、何度も何度も痙攣しながら絶頂する。
「よっしゃ、こっちゃそろそろイクで!!」
「こっちもや、口に出したる。しっかり飲めや!!」
 栖村と新渡戸が怒鳴りながらペニスを抜き、私の顔の前で扱き立てる。直後、二つの白い液が噴き出し、私の顔に浴びせかかった。最初は前髪や鼻へ。そして狙いが定まってくると、激しく喘ぐ口の中へと注ぎ込まれる。
「あはっ、ごほっ!! オッエエ゛エ゛……!!」
 噎せ返る口の中に、生臭いぬめりが溜まっていく。今や私の主食である『ザーメン』が。
「ははは、すっかり従順になったな!」
 入口に立つ男が、私を見下ろしながら笑う。その笑い声を耳にした瞬間、私の中でスイッチが切り替わる。
 新渡戸にも、栖村にも、磯崎にも笑われたって構わない。でも、あの男――宮路に笑われることだけは、私の最後に残ったプライドが赦さない。
「……さて、四元結衣くん。君がこの部屋の住人となってから、今日でちょうど2ヶ月だ。そろそろ、柔軟な考え方ができるようになった頃かと思ってね」
 宮路はそう言って、ロマンスグレーの髪を撫でつける。
「ひどく汚れてはいるが、それでも君は、私にとっての愛娘だ。その愛娘に、今一度問おう。私と共に、来る気はないかね?」
 余裕たっぷりの笑み。ここまで追い込めば、断るはずがない。そう信じきっている顔だ。鈴佳の時みたいに、脅せば何でも通ると本気で思ってるんだろう。
 私は、そんな宮路の顔を見上げ……思いっきり、口の中の精液を噴きかける。
「ぬうっ!?」
 白濁した液が、宮路の左瞼に浴びせかかった。何の備えもしていなかった宮路は、面白いほど上体を揺らしてよろける。
「こんな事、いくらやっても無駄よ! 私は借金を返しきるまで、責任を全うしてみせる。あの日、アンタに言った通りに!!」
 そう啖呵を切る私に、新渡戸と栖村が強張った表情を向けた。こいつらヤクザにとって、宮路はいわばスポンサー。その顔に泥を塗られて、戦々恐々というところだろう。でも、悪いとは思わない。後悔はない。
「…………なるほど。“おまえ”の気持ちは、よく解った」
 宮路は懐からハンカチを取り出し、静かに左目を拭う。そして開いた左目は……完全に、ヤクザの元締めのそれだった。
「栖村、磯崎……それに、新渡戸」
 宮路に名を呼ばれ、3人の緊張が一気に高まったのが解る。どこか緩んでいた数分前までの空気とは、まるで違う。
 その空気の中、宮路は抑揚のない声で命じる。


 ――――『仕上げろ』、と。