Part.6(前編)の続きで、桜織との審査会のシーンです。


 
 審査会は、制服を着た状態での愛撫から始まった。10人の黒人はちょうど半々に分かれ、桜織と沙綾香の身を弄る。
 その愛撫に対し、桜織はなんら抵抗を見せない。ブレザーを脱がされ、ブラウスのボタンを外されて乳房を露出させられても。ショーツをずり下げられ、割れ目を舐められても。
「あはっ、気持ちいい……。もっと激しくしてぇ、いいよお……?」
 うっとりとした様子でそう呟きつつ、黒人共のゴムパンツを撫でまわす。自ら快感を欲しているのは明らかだ。
 一方、沙綾香は対照的だった。抵抗こそしないものの、黒人共に媚びる素振りは見せない。完全にされるがままの状態だ。
「へへへ、客の前だからって澄ましてやがる!」
「下手な演技はやめろって。知ってんだぜ? 散々焦らされて、欲求不満だってのはよお!」
 サドの気が強いジャマールとレジャナルドは、沙綾香の仮面を嬉々として剥がしに掛かった。マイクロミニのスカートを捲り上げつつ、ショーツの上部を引き絞って、股布を股間に密着させる。すでに濡れきっているんだろう。薄い布地は一瞬にして透け、赤い割れ目を覗かせる。
「おおっ……!!」
「はっはっは、肉厚のヴァギナが丸見えだ!!」
「いいねいいねぇ。顔もスタイルも二重丸な女子高生のオマンコが、いきなり拝めるなんてな!」
 客は大いに喜び、投票ボタンを押し込む。だが、それを見つめる沙綾香の表情は険しい。それは、彼女がまだ羞恥心を失っていない証拠だ。
「どうした、笑えよサヤカ。ジャパニーズのお仲間があんなに喜んでんだぜ。お前だって嬉しいだろ?」
 ジャマールが沙綾香の耳元で囁きつつ、ショーツに手を差し入れた。岩のような手の甲がショーツを盛り上げ、割れ目を包み込む。
「んあ゛!」
 沙綾香の小さな声が、指の挿入タイミングをはっきりと伝えてくる。
 ジャマールに遠慮はなかった。ショーツを変形させながら、中指と薬指を蠢かす。数秒と経たないうちに、『グチョグチョ』とも『ヌチョヌチョ』ともつかない音がし、ショーツの端から愛液が垂れはじめる。
「おいおいおい、すげぇ汁の量だな! 入口から奥の方まで、トロトロに蕩けきってやがるしよぉ、とんでもねぇ淫乱プッシーだ!」
 下劣な言葉を吐きながら、指を蠢かしつづけるジャマール。
「ううう゛……あ゛!!」
 沙綾香が足を強張らせながら呻くと同時に、リン、と鈴の音が鳴った。
「おっ、イッたぜあの子!」
 絶頂モニターのカウントが増え、客からまた歓声が上がる。
 絶頂が記録され、不特定多数に公開されるなど恥辱の極みだ。
「……っ!」
 沙綾香は眉を顰め、股を閉じ合わせて抵抗を示す。だが、黒人共がそれを許すはずもない。
「今さら恥ずかしがる事もねぇだろ、なあ!」
 右手に控えるレジャナルドが膝を掴み、一気に足を開かせる。それに合わせてジャマールもブレザーに腕を突っ込み、ブラウス越しに胸を揉みしだきはじめる。もちろん、腰を抱え込むような指責めも続けつつ、だ。
 繰り返し性感開発を施され、焦らし責めまで受けた沙綾香には、それに抗う術などない。
「うう……あ、あ、あっ!」
 ジャマールの節ばった指が蠢くたび、沙綾香の太腿が強張る。鈴の音が鳴り、ステージの床にポタポタと雫が落ちていく。それに耐え切れず、また沙綾香の脚が内へ閉じた、その直後。
「無駄だ、つってんだろ?」
 ジャマールの手がショーツの奥側へ進み、ぎゅじゅっ、ぎゅじゅっ、という音をさせはじめる。そこが、ターニングポイントだった。
「あ゛っ、あ゛んっ、あ、ああ゛っ!!」
 半開きだった口が大きく開き、はっきりとした喘ぎを漏らしはじめる。上半身は前に傾き、ニーソックス上部の肉が盛り上がり、腰が痙攣する。鈴の音も煩いほどに鳴り響く。
 そして、匂い。これまでと一番違うのはここだ。依然として漂う黒人共の獣臭に混じり、汗と、愛液の匂いがする。懐かしい、懐かしい、沙綾香の匂いだ。
「うはは、イってるイってる!」
「エッロい腰つきしとんのぉ。ストリップ嬢にでもなったらどうや? そのスタイルなら、ようけオヒネリ貰えんで!」
 ようやくの激しい反応に、客は沸き立つ。そしてその反響は、責め手をますます滾らせた。レジャナルドは両膝を割りひらき、沙綾香の脚に菱形を作らせる。ジャマールはますます指の動きを早め、ショーツから愛液を四散させる。
「ああ、あっあ゛! くうっ、あぁ、あ……っ!!」
 哀れなのは沙綾香だ。彼女は全身で拒絶の意を示しているが、大股を開かされたまま前傾する状態では、抵抗も逃亡も叶わない。
 だから彼女は、唯一できることとして、方々に腹立たしげな視線を向けていた。
 何かを囁きかけるジャマールに。
 両膝を押さえるレジャナルドに。
 得票数の光るモニターに。
 絶頂回数が表示されるモニターに。
 舞台近くに群がる立ち見客に。
 そして最後に沙綾香の目は、ふっと客席を眺めた。遠くへ目をやるついでの、流し見という感じだった。
 だがその結果、彼女は、居並ぶ立ち見客の間に俺を見つける。
「えっ……!?」
 驚きの声が、表情が、俺に向く。その異常さに、客が俺の方を振り返り、ジャマール達もこっちを向く。
「……へッ、これはこれは!」
 ジャマールは、満面の笑みを浮かべながら仲間たちに合図を送った。すると、10人の黒人共が俺の方を向く。
「え、何?」
「なんだ……?」
 ステージ前の人垣も、不審がりながら左右へと分かれていく。
「おや。期せずして特等席になりましたな」
 俺の端塚が呑気に呟くが、そんなものに構っている余裕はない。

 目の前だ。
 すぐ目の前に、沙綾香がいる。
 ガラスの床にも、無機質なモニターにも遮られていない、生の沙綾香だ。
 顔は上せたように赤く、汗もひどいが、俺の愛してやまない面立ちはそのままに残っている。
 叶うなら、今すぐ立ち上がり、彼女の元に走り寄りたい。邪魔するものは全て殴り倒し、彼女を連れてこの地獄から逃げたい。
 だが、それは叶わぬ夢だ。俺へ釘を刺すように、後ろのセキュリティが警棒の先を背中に宛がってくる。壁際の用心棒共も得物を握り直した。第一、この部屋には祐希も、千代里も、藤花も、桜織もいる。彼女達は舞台の見届け人であると同時に、人質でもあるわけだ。なるほど、よく考えられている。
 ギリッ、と音がした。舞台の上で、沙綾香が歯ぎしりした音だ。
「…………ッ!!!」
 彼女は、本気で怒っていた。燃えるような瞳が、俺の背後のセキュリティと、隣に座る端塚を睨み据える。その迫力に、客の何人かが落ち着きを失くす。
 だが、彼女にできるのはそこまでだ。
「何してる、続けろ!」
 ステージ下に控える手越が、黒人共に檄を飛ばした。その一言で、停滞していた空気が一変する。
「オーライ、ボス。」
 ジャマールはおどけた様子で答え、ショーツから手を引き抜いた。そして愛液塗れの手をこれ見よがしに振って水気を切ると、今度はショーツを脱がしにかかる。
「あ、やっ……!!」
 沙綾香は目を丸くし、俺の方を覗き見ながら抵抗する。だがその手はあっさりとレジャナルドに掴まれ、あっという間に足首までショーツがずり下ろされてしまう。
「そら、とびっきりのプレゼントだ!」
 ジャマールが足首から引き抜いたショーツを翳し、ステージ左手の空中に放り投げる。
「うおおおっ!!」
「どけ、寄越せっ!!」
「ひひひ、こりゃすげぇ! 一晩水に漬けといたみてぇにグショグショだぜ!? これが全部、S級美少女のマン汁なんてよお、贅沢なオカズじゃねえか!!」
 ショーツが落ちた周囲で、醜い争いと興奮気味の声が上がる。それを横目に楽しみながら、ジャマールは沙綾香の右膝を抱え上げた。
「いやあっ!!」
 悲鳴が上がる。右足を90度以上に持ち上げられた沙綾香の声だ。
「今更イヤもねぇだろう。あいつだって、モニター越しにお前のやってきたことを全部観てたんだぜ。なあ“先生”、そうだろ? 俺らのコックでグチャグチャにされたプッシーなんざ、見慣れたもんだよなあ!?」
 ジャマールはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の恥じらいの部分を見せつけてくる。
 改めて目の当たりにするそこは、俺の過去の記憶とは別物だった。ピンクの割れ目の名残もない。黒ずみ、赤く腫れ、上下左右すべて非対称に歪んでいる。だが、別に俺は、それに幻滅することもない。そうなるに至った事情も、変えられていく最中の苦悩も、すべてを見てきたんだから。
「ああ。肉厚で、よく熟した女性器だ。いい女になったじゃないか」
 俺はふてぶてしい笑みを意識しながら、そう言い放ってやる。外道共への当てつけと、沙綾香への慰撫。その両方を意識してのことだ。
「っ!」
 沙綾香が顔を上げた。今にも泣きそうな目尻から、本当に涙が零れていく。
「……ハッ、相変わらずのキザ野郎だな。どういたしまして、だ!」
 ジャマールは不愉快そうに鼻で笑い、傍のレジャナルドとモーリスに目配せする。そして、3人ががりで沙綾香を抱え上げた。両の膝裏に腕を通して持ち上げ、腕を掴み、背中と尻を支える形だ。その状態で、今度はモーリスが秘部に指を挿し入れる。濡れきった割れ目は、太い指3本を簡単に呑み込んだ。
「くっ……あはっ!! あああ゛、あ゛! や゛ああ゛あ゛っ!!」
 割れ目から水音がしはじめると、沙綾香は顔を左右に振って叫ぶ。そんな顔は何度も見たが、この間近で、肉声で聴く泣き声は、鼓膜を通り抜けて心臓を突き刺すかのようだ。
「この、クソ野郎ッ!!!」
 俺は、思わず叫んでいた。存在がバレた以上、もう我慢している必要もない。千代里や藤花が同情的な視線を向けてくるのが、視界の端に見えた。
「ああそうさ、俺はクソ野郎だ。散々そう言われてきたぜ。レイプした女、その親兄弟、そして情けねぇツラで喚き散らす恋人からよお!!」
 モーリスはますます激しく指を動かす。
「やあ、やああっ!!!」
 沙綾香がそう叫んだ直後、抱え上げられた脚がぶるっと震え、鈴の音が響き渡る。どんな喧騒の中でもよく通るその音は、沙綾香自身に絶望的な表情をさせ、それ以外の全員に歪んだ笑みを浮かべさせる。
「そら、俺の指で逝っちまいやがったぜ。きっと、細めのペニスだと思ってんだろうな。懐かしいアンタのサイズでも思い出してるんじゃねえか?」
 モーリスは悪意に満ちた台詞を吐きながら、白い歯を覗かせる。その隣で首を振りながら、嘆きの言葉を連呼するジャマールも実に憎らしい。だが、それ以上に気がかりなのが沙綾香だ。彼女は、どう見てももう限界近い。
「そら、イけ、イッちまえサヤカ!!」
 モーリスがさらに指の動きを早める。沙綾香の痙攣もみるみる激しくなり、首が狂ったように左右に振られる。
「いや、いやあ! んんンっ……くう、う…………あああああっ!!」
 呻きと、叫び。それが何度も繰り返された果てに、絶叫になる。それと同時に、沙綾香の下半身すべてが震え上がり、割れ目からぶしゅっと飛沫が上がった。それは真っ直ぐに前へ飛び、人垣の合間を抜けて、俺の顔に浴びせかかる。
 どっ、と笑いが起きた。客のものか、黒人共のものか。
 前髪から雫が滴る。さっきまで以上に濃い沙綾香の匂いがする。好意的な相手のものだからか、不快感は全くない。こんなひどい状況なのに、下半身に血が巡る。
「はぁ、はぁ、はぁっ……。ああ、やだ…………センセ………………!!」
 沙綾香は激しく喘ぎながら、俺を見て目を細める。俺は、ただその視線を受け止めるしかなかった。この僅かな意思の疎通が、あの子の力となることを祈りながら。


                 ※


 公然で潮を噴かされ、ぐったりとした沙綾香の向こうでは、桜織が5人の黒人共に取り囲まれていた。
 2メートル級の巨躯を前にしても、桜織に尻込みする様子はない。むしろ、露わになった巨根を見て目を輝かせるほどだ。
「んむっ、んちゅうっ……ちゅうっ……れあ、あえっ……はっ、はっ、はっ…………」
 自分の腕と大差ないトラバンの怒張を手のひらで支えつつ、丁寧に竿に舌を這わせ、裏筋を舐め上げていく。モーリス・ダリー・タイロンのトップ3には及ばないものの、顔半分を覆おうかという質量だ。そのインパクトは壮絶だった。
「ははは、あのビッグサイズを大事そうに舐めしゃぶるものだ。可愛い顔をして、中々の変態ぶりじゃないか」
「ええ、全く。すでに息が荒いですからな、よっぽど興奮してるんでしょう」
 客はそんな桜織の様子を見てほくそ笑み、次々に投票ボタンを押し込んでいく。
「えへっ……」
 桜織はマゾという評価を素直に喜び、客の方に目線を向けつつ、ペニスを握り直した。見ていろ、と言わんばかりのその仕草に、何人もの客がステージ上を凝視する。その視線の中心で、桜織はトラバンのペニスを口に含んだ。
「えあっ、あ……あはっ、顎外れちゃう」
 かなり口を開けても咥えきれず、一旦は笑いながら吐き出すが、諦めない。2回目は、肉に食らいつく虎のような大口を開き、巨大な亀頭を一気に咥え込む。挙句そのまま頭を前後させ、本格的にしゃぶりにかかる。
「おおお、すげえ……あのデカブツを一気かよ。しかし、音えっぐいな」
 客が指摘する通り、じゅばっ、じゅばっ、という音がここまで聴こえてくる。下品な音だ。初日のエレベーターに乗り合わせた5人の中で、桜織は最もそのイメージから遠かったというのに。
「ううおおおっ、吸いつきがやべえ……ダメだ出ちまうっ!!!」
 トラバンは、桜織の奉仕に3分と耐えられなかった。呻きながら桜織の額を突き放すと、その鼻先で逸物を扱きだす。それを見て桜織は、舌を突き出して受精に備えた。
「うおおお出るぞっ、出るぞっ!!!」
 トラバンが腰を震わせ、勢いよく精を放つ。相も変わらず凄まじい射精だ。真っ白い粘液が、桜織の舌を一瞬にして覆い尽くす。一般的な人間の10倍、いや20倍は量がありそうだ。
「あんっ、ふふ」
 桜織は笑いながらそれをすべて受け止め、頬を膨らませながら口を閉じる。そして、ごっくん、と音を立てて飲み下した。
「おおお、すげぇ……!」
「あの量を一気かよ……よっぽど飲ザーに慣れてんだな」
 その凄まじいパフォーマンスに、客から感嘆の声が上がる。そんな中、さらに桜織は、射精したばかりのトラバンの鈴口周りへ舌を這わせはじめた。
「おっ!? おいおい、自分からお掃除フェラかよ。できた奴隷だな、ったく」
 トラバンは嬉しそうに笑いながら、腰に手を当てて奉仕を堪能する。
 桜織の後処理は、実に丁寧だ。鈴口に始まり、カリ首、裏筋を、時には舌先でくすぐり、時には舌全体で舐め回すようにして清めていく。見ているだけで下半身が反応する類の奉仕。
「あああ、やべええ……また出る、また出ちまうっ!!」
 性欲の権化のようなトラバンは、たちまち二度目の射精へと導かれた。桜織の小さな手で根元を握られた怒張が、ピクピクと跳ねる。そこをひと舐めされれば、暴発するように精液が噴き出した。直線的だった一回目とは違い、今度はホースの先を握り潰したように四散し、桜織の目元や鼻先、顎へと浴びせかかる。
「ひゃんっ、すごい……」
 桜織は顔中に精液を浴びながらも、嫌がる素振りを見せない。むしろ相手の元気の良さを喜び、顔に掛かった精液を指で掬い取っては、舌先でその味を堪能する。普通の女子高生が、蜂蜜を舐めるような表情で。
「へへへ、そんなにザーメンが好きか。なら、もっとくれてやるぜ。今日一発目の、濃厚なやつをよ!!」
 満足げなトラバンを押しのけ、今度はマーキスが勃起しきった逸物を突きつける。すると、桜織は何の躊躇もなくしゃぶりついた。
「ひひ、夢中だな。どうだ美味ぇか?」
「んぶっ……んぐっ。あはっ、おいひい……おいひぃい……」
 マーキスの問いかけに答えつつ、むしゃぶりつく。剛直を両手で大事そうに握りしめる仕草に、かつての品の良さの名残が感じられて、かえって痛々しい。


                 ※


「へへへ、あっちはずいぶん盛り上がってんじゃねぇか。こっちも始めようぜ」
 モーリスは桜織達のプレイを見て笑い、ゴムパンツをずり下げた。
「おお、お……!」
「うわっ……!?」
 その途端、客から驚きとも悲鳴ともつかない声が上がる。そのはずだ。丸一晩女を抱いていない奴の逸物は、ほぼ真上にいきり勃っている。亀頭が臍を越え、割れた腹筋に届くほどの長さを間近に見れば、誰でも目を疑うだろう。映像越しに何度も見ている俺でさえ、その凶悪さに戦慄しているんだから。
 モーリスはギャラリーの反応に気分を良くしながら、沙綾香の顔に逸物を近づける。
「…………ッ!!」
 沙綾香は、表情を強張らせた。かすかに横へ動き、俺の視線とぶつかる寸前で引き返した眼球が、躊躇の理由を物語っている。
 愛した女性が、他の男……それも、ケダモノのような服役囚の逸物を舐めしゃぶる様など、俺だって見たくはない。とはいえ、俺達に選択権などないのも事実だ。
「早くしろ」
 モーリスと客が、行為を促す。右側モニターの数字も刻一刻と変わり、桜織がポイントを積み上げているのが解る。まごついている暇はない。
 沙綾香が諦めて跪くと、モーリスは腕を組んで仁王立ちになった。いつもなら、沙綾香の頭を掴んでディープスロートを強いるのに、それをしない。
『お友達みたいに、自分で咥えろ』
 その宣言だろう。沙綾香もそれを察したのか、眉の角度を吊り上げる。だが、今さら抵抗しても仕方がない。彼女は大きく息を吐き、逸物を掴んで口を開く。
「んあ、がっ……」
 『あ』と絶叫する口の形。それでも、モーリスの亀頭の直径にはわずかに届かない。そこからさらに口を開き、頬肉が目元を押し上げる角度になったところで、ようやく亀頭を呑み込めるようになる。
「くくくっ、よく顎が外れないものだ」
「本当に、凄い角度だ。あー、ああーっ……うはっ、これはきつい。マネするだけで、吐き気を覚えましたよ」
 客の言う通り、常識外の開口。それですら、沙綾香が味わってきた地獄の片鱗でしかないんだから、気が遠くなる。

 真横アングルでのフェラチオ。飽きるほど目にした光景だ。なのに、2メートル強しか離れていない場所でのそれは、格別に胸に刺さった。
 沙綾香の口や頬が蠢くたび、実に色々な音が鳴る。普段は大半の音がマイクに拾われていなかったらしい。聴き慣れた音に関しても、音質が段違いだ。頬を窄めて顔を前後させるときの、じゅばっ、ちゅばっ、という音は恐ろしくクリアで、鼓膜に粘りつくようだった。
「もっといやらしい音立てろよ、ビッチ!」
「ツバも思いっきり出せ。口ン中に溜めて、チンポに絡めんだよ!」
 必死に奉仕する沙綾香を前に、客が野次を飛ばす。沙綾香は、一瞬相手を睨むものの、その言葉に従った。完全に顔の形が変わるほど頬を狭めると、モーリスの太腿を掴み直し、頭ひとつ分のストロークで顔を前後させる。途端に、音の下品さが増した。じゅばじゅばというフェラチオ音の水気が増し、ぐちゅぐちゅという、口を水でゆすぐような音もしている。
「いひひひっ、すげぇな! とびっきりの美少女のひょっとこフェラはよお!」
「ふふふ、この惨めな顔がたまらんね。街一番、県一番というレベルの女子高生が、こんな……!」
 客は、自分達がさせたパフォーマンスに大喜びだ。何人もがステージ端に張りつき、沙綾香の顔を覗き込みながら逸物を扱きはじめる。沙綾香が眉を顰めても、客は喜ぶばかり。
 激しいストロークに加え、口を目一杯開いているため、時々口の端から唾液が垂れるが、沙綾香はそれをすぐ右手で拭い、その手ごと身体の脇に隠した。手の位置は俺の逆側。俺にだけは惨めなところを見せたくない、という気持ちの顕れだろう。客もそれを察したらしく、俺の意味深な視線を寄越しながら、さらに過激な要求を投げる。
「ほら沙綾香ちゃんよ、お上品に足閉じてんじゃねえぞ。性奴隷がフェラするときはおっぴろげだ」
 その一言で、沙綾香の肩がぴくりと跳ねた。今度は、すぐには反応しない。
「どうした、早くしろ。足開かねぇと、ポイントやらねぇぞ」
 客は沙綾香の羞恥心を愉しみながら、投票ボタンを翳してさらに命じる。卑劣な脅し方だ。だが、沙綾香はそれに従うしかない。この倶楽部の外道共は、義理も人情もない連中だ。もし沙綾香が審査会で勝てなければ、目の前で桜織を責め殺すことだって十分に考えられる。
 沙綾香が足を開けば、すぐに何人もの客が姿勢を低くする。マイクロミニのスカートと黒いハイソックスに囲まれた空間に、生々しい性器が覗く。
「おーっ、見えた見えた。いひひひっ、まったく堪らんのぉ。こんな別嬪が、ワシらのために、“自分から”オメコを見せつけてくるんやから!」
 下劣な行為を求める客の野次は、やはり最低だ。俺ですら腸の煮えくり返るその言葉は、どれだけ沙綾香の心を抉る事だろう。
 それでも沙綾香は、奉仕をやめない。仁王立ちで見下ろすモーリスを睨み上げながら、激しく顔を前後させる。唾液は拭っても拭いきれないほどに滴り、白いブラウスを透けさせていく。


                 ※


 ハードプレイの甲斐あって、沙綾香の周囲はそれなりに盛り上がりはじめた。それでも、モニターの得票数にはかなりの開きがある。沙綾香の27票に比べ、桜織は54……いや、55。刻一刻と数字が変化し、ポイント差が広がっていく。
 差がつく理由として、『空気』の違いもあるだろう。羞恥心や反抗心を保っている沙綾香に対し、客はサディスティックに楽しんでいる。客の要求に従えばある程度のポイントが入るが、そうでない場合は誰もボタンを押そうとしない。一方で桜織の方は、桜織自身がプレイに積極的なせいで、良いと思えばポイントを与える流れができている。だから、桜織の方がポイントが入りやすい。
 ただ、もしポイントの付与ルールが同じでも、やはり桜織の方が抜きんでることになるだろう。理由は単純。桜織のプレイの方が、沙綾香のそれより煽情的だからだ。
 彼女は2人目のマーキスをも果てさせたらしく、今はアンドレを相手にしていた。10人中真ん中のサイズを誇るアンドレの逸物は、けっして小さくない。それでも、桜織は奉仕を苦にするどころか、余裕綽々で様々な技巧を使いこなしていた。
 亀頭周りを舌で舐め回したり、カリ首を舌先で刺激したり。
 奥まで一気に咥え込みながら、顔を左右に傾けたり。
 幹に唇を纏わりつかせ、口を窄めて強烈に吸い上げたり。
 見ているだけで、快感が確信できるテクニックの数々。実際奉仕を受けるアンドレも、目を閉じて天を仰ぎ、体中で心地よさをアピールしている。ただ、本当に衝撃的なのはテクニックの高さじゃない。間違いなく、そこに真心があること──桜織が心の底から、男への奉仕を望んでいること。それが伝わってくるから、余計につらい。
 だが客にしてみれば、それらすべてが興奮材料となるようだ。
「くくくっ。『プロペラ』に『ローリングフェラ』、そして『バキュームフェラ』ときたか。いやあ、気持ちよさそうだねぇ!」
「このサイズの逸物相手に、このスムーズさとは。完全にベテラン娼婦の貫禄ですな!」
「くうっ、見てるだけで射精しそうだ! おい奴隷、アレを真似ろ。この俺を、思いっきり気持ちよく抜いてみせろ!」
 食い入るように桜織の行為を見つめながら、館内着の前をはだけて逸物を扱く。あるいは祐希達を足元に侍らせ、桜織と同じプレイを強要している奴もいた。いずれにせよ、その熱気は相当なものだ。
「すげぇな、あっち……」
「ああ。ひょっとこフェラは結構エロかったけど、あれと比べると見劣りするよなあ」
 沙綾香を囲む客は、桜織の方を見ながら首を振った。モーリスもまた、桜織から視線を戻し、沙綾香に挑むような視線を投げる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」
 沙綾香は一旦怒張を口から出し、モーリスを見上げた。そしてそのまま、ほんの僅かに顔の角度を俺の方に向け、喉を鳴らす。
「どうした、早く」
 客に急かされ、沙綾香は舌を出して鈴口周りを舐めはじめる。さらには亀頭全体を舌全体で上下に舐め、雁首を舌先でなぞる。
「オオウ……!」
 モーリスの口から溜息が漏れた。沙綾香の技巧は、決して低くはない。だが。
「……んー。なんか、違うんだよなぁ」
「下手というわけではないんだがなあ。今ひとつ、迫ってくるものがないな」
 客は微妙な感想だ。そして俺自身、沙綾香の奉仕に桜織ほどのインパクトを感じられない。
 桜織と沙綾香の違いは、熱意だ。桜織は、黒人共への奉仕を心から望んでいるように見える。だが逆に沙綾香は、強いられてやっているだけだ。その積極性の差は、見ている人間にはすぐに解る。同じように舌を動かしていても、伝わってくるものが違う。
「ダメだな。これでは、ポイントはやれんよ」
 客の1人が、首を振りながら投票ボタンを押した。桜織に一票を投じたようだ。
「!!」
 沙綾香がモニターを見上げる。ポイント差はとうとう30を超えた。まだ開始から10分ほどしか経っていないというのに。
「舌が使えないんなら、もうディープスロートでも見せてもらうしかねぇな」
「お、そりゃいいな! あのデカチンを自力で喉奥まで咥えこむとなりゃ、見ものだぜ!」
 客は沙綾香を見下ろし、実質的な命令を下す。モーリスも逸物を口から引き抜き、先端で頬を叩いて挑発する。横顔の一部しか見えない俺にも、沙綾香の表情が曇ったのがわかった。だがその間にも、モニターの得票数は開いていく。悠長に迷っている時間はない。
 沙綾香はまた大口を開け、モーリスの亀頭を咥え込んだ。そして今度は、そこからさらに顎を開く。鼻がほとんど真上を向き、頬に縦線が走る、異常なまでの開口。さっきの沙綾香の迷いは、俺にその顔を見せるのを渋っていたんだと、直感的に理解した。
 俺は、その顔を嫌ったりはしない。苦境に必死で抗う姿が、どんなに惨めだろうが、軽蔑するわけがない。俺はそんな想いを篭めて、沙綾香を見守る。
「おごっ、ご……お゛っ! んごぉ、ほご、ご……おオ゛エ゛ッ!!」
 顔が数センチ前に進むたび、えずき声が漏れた。おおよそ半分ほどを飲み込んだところで、一際ひどい声が漏れ、沙綾香の眼球が俺の方を向く。

 ──幻滅しないで。嫌わないで。

 そんな声が聴こえるようだ。その視線を受け止め、俺は反応に困った。顔を顰めるなど論外だが、笑うのもおかしい。だから、黙って見つめ返すしかない。
「どうした。毎晩咥え込んでるモンだろ、もっと思いきりよくいけよ」
 モーリスは腕を組んだまま俺を見下ろす。勝ち誇った、憎らしい顔だ。
 沙綾香は俺から視線を離すと、震える手でモーリスの腰を掴み、引き付けるようにして顔を進めていく。
「お、おごっ……えおええおえ゛っ!! オ゛う゛っ、もおおええ゛え゛っ!!!」
 抵抗感が強いせいで、喉が開きづらいんだろうか。無理矢理咥えさせられている時より苦しそうだ。
「凄いな。あの小さな口で、黒人の物をあんな深くまで……」
「ディープスロートも仕込み済みだそうですからね。だとしても、衝撃的な画であることには変わりありませんが」
 客の言葉通りだ。制服に身を包んだ美少女が、2メートル級の黒人の足元に跪き、バットの先のような怒張を自ら咥え込む。異常そのものの光景だ。俺は眩暈がしてくるが、客共は随分と楽しんでいるらしい。
「そら、もっと深く咥えろ。お友達がしているようにな!」
 舞台下では、4人の客が仁王立ちで並び、百合・祐希・千代里・藤花の4人に逸物を咥えさせていた。
「う゛っ、お゛え゛っ……!!」
「おエエ゛っ、もぐぉおお゛っ!!」
 4人からはえずきが漏れている。客のペニスサイズはごく常識的なレベルだが、根元まで咥えさせられれば、さすがに苦しいようだ。あるいは、知り合いと横並びで凌辱される羞恥のせいかもしれないが。
「ごおっ、んぼぇっ!! ウ゛ォエ゛っ、お゛っ、おぶぇえ゛っ!!」
 それでもやはり、沙綾香の反応は一際大きい。えずき上げる瞬間には、百合達4人の声が完全に掻き消される。
「ひひひっ、苦しそうだな。今にも吐きそうじゃねえか!」
「まあ、なんつってもあのサイズだからな。飲み込むたんびに、喉がボッコリ膨らんでっしよ。普通なら吐く吐かねぇ以前に、気絶してるかアゴ外れてんぜ。よく調教されてるもんだよ、まったく」
「いや、まだまだ。VIPエリアの奴隷なら、もっと楽しませてもらわんと。そら奴隷、もっとえずけ。いい声を聞かせたらポイントをやるぞ!」
 客は沙綾香の苦しみぶりを茶化しつつ、よりハードな奉仕を求めていた。沙綾香はそんな客を嫌そうに見下ろしつつも、その言葉に従うしかない。モーリスの太腿付け根を腕で抱え込み、抱きつくようにして顔を前後させる。
「おう゛っ、オオ゛っ、んもおおえっ!! ごぼっ、んぼぉお゛えっ!!」
 声が、より酷さを増した。喉が詰まって息ができないせいか、鼻水も噴き出しはじめた。やがて、深く腰を落とした足がプルプルと震え、堪らずといった様子で逸物が吐き出される。
「おえ゛ぅあ゛っ!! んォおぼっ、ごほっ……こぽっ!!」
 悲痛な声と共に、粘液の塊が吐き出される。嘔吐と見紛うような量だ。
「はっはっはっは、あのツラ! 最高だな!!」
「いやまったく。あの上等そうな娘が、こうも惨めになるとは!」
 客は、そうした沙綾香の反応すべてをあげつらい、物笑いの種にした。
「…………ッ!!」
 ひとしきり粘液を吐き出した沙綾香は、野次を飛ばした客に鋭い眼を向ける。だが、桜織側のポイントが次々と積み上がっていく中では、すぐに行為に戻るしかない。
 剛直を呑み込む過程で美貌が歪み、えずき声が漏れはじめる。客共は、睨まれた報復か、そんな沙綾香へ容赦なく野次を飛ばした。それは容赦なく沙綾香の心を抉っただろうが、中でも厄介なのは、同性の女から発された、この一言だ。
「ねえ。この子、イラマチオで感じてない? 腰ヒクヒクしてるけど」
 男性客が沙綾香の歪んだ美貌に執着している中、その女は中腰になり、沙綾香のスカートの中を凝視していた。
「え、まさか……」
 別の客が目を凝らす。その反応を見て取ったモーリスは、沙綾香の奉仕を受けながら立ち位置を変える。沙綾香の尻が、ステージの端ぎりぎり……客の目の前へ来るように。ハードプレイのため、蹲踞に近い格好を取っている今、マイクロミニのスカートの中身が良く見える。
「もお゛ぐっ!?」
 沙綾香が目を剥きながら後ろを見やる。一方で、客は嬉々として食いついた。
「おおお、本当だ! ヴァギナが物欲しそうに蠢いているぞ!」
「ははははっ、やらしい動きだな! チンポが欲しくって仕方ないらしいぜ!」
 恥じらいの場所に、脂ぎった視線が集中し、悪意に満ちた言葉が浴びせられる。その状況は、多感な時期の少女にとって、どれほど辛いことだろう。無反応ではいられない。怒張を呑み込む動きを続けつつも、踵が浮き上がり、割れ目がより激しくひくつく。
 そして、数秒後。

 ────リン────

 通りの良い鈴の音が、鳴り響く。桜織の方からは何度となく聴こえている音だが、今の発信源はあっちじゃない。
「あはっ……」
 桜織が音に気付き、面白そうに沙綾香を見たのが、何よりの証拠だ。
「うははははっ!! この娘、イキおった!!」
「おいおいおい、マジかよ!? あんな、喉が膨れ上がるぐらいのデカマラ咥え込んで感じるとか、信じらんねぇ!!」
「えげつねぇ変態っぷりだ! もし俺の彼女がこんなになっちまったら、自殺モンだぜ!!」
 客は、ここぞとばかりに悪意を爆発させた。腹の底から嘲笑し、嘲り、俺の方にまで侮蔑の言葉を投げかける。こういう連中の嗅覚には恐れ入る。獣が血の匂いを嗅ぎつけるように、俺と沙綾香の心を一番抉るやり口を、直感的に理解している。
 俺の心も痛むが、それより沙綾香が心配でならない。俺の位置からは背中側しか見えないが、それでも彼女の手が、脚が、嘆いているように思えてならない。
「へへへ、セルフイラマで絶頂とはな。オイ、お前も口マンコ調教されたんだろ? 喉奥だけでイクなんてこと、あると思うか?」
 客の1人が千代里に問いかける。口調こそ疑問形だが、すでに答えを確信しているに違いない。
「ぶはっ、んはぁ、はぁ……あ、あると、思います。私も、沙綾香も、喉で感じるように調教されましたから……」
 逸物を引き抜かれた千代里は、息を荒げたままそう答える。赤らんだ頬、潤んだ瞳。明らかに発情している表情だ。
「そうかそうか。カワイイ顔して、喉マンコで感じるのか、この変態が!」
 色気のある童顔にあてられたのか、男の1人が千代里の腰を掴み、ショーツをずらして挿入を果たす。声楽家らしい千代里の喉から、ソプラノの悲鳴が上がる。
 その少し上では、依然として沙綾香の被虐が続いていた。
「おーおー。鼻水も涎も、すげぇ量になってきたな」
「マンコがクパクパ開いてんぜ。上が詰まってるもんで、下のお口から酸素補給してるってかあ!?」
 ごえっ、おえっ、というえずきと、鼻水を噴き出す音。それと呼応するような割れ目のひくつき。それらは全て近くの客に指摘され、嘲笑される。
 そうした悪意は、沙綾香に対して有効だ。あの子は、性に奔放そうな見た目とは裏腹に、どこまでも純真で、繊細だから。
「うぐっ、ぶふっ!! んっぐ、んべえっ……ふごおおお゛っ!!!」
 沙綾香は、息を乱れさせ、何度も噎せ返った末に、太腿を病的に強張らせた。そして直後、割れ目からぷしゃっと飛沫が散る。同時に、リン、と鈴の音も鳴った。
「ぎゃっはっはっ!! こいつ、とうとう潮噴きやがった!!」
「しかも、イキながらな。俺らの言葉責めで興奮しちまったか、このドマゾが!!」
 客はゲラゲラと笑いながら、ステージに手を伸ばして沙綾香の尻を叩く。ステージの内外に存在する一線を越える行為。それを見ても、立会人である手越とロドニーは口を挟まない。となれば、客が図に乗るのは明白だった。
「うひひ、凄いな……愛液がトロトロ出っぱなしだ」
「陰唇は黒ずんでいるが、中は綺麗なピンクだな。フフフ、悪くないじゃないか」
 客の指が、沙綾香の秘所を割りひらく。嘲笑を伴う視線が、その奥を覗き込む。
「もごっ、えあ゛っ……!!」
 沙綾香は怒張を半ば吐き出しつつ抗議するが、モーリスはそれを許さない。大きな掌で沙綾香の後頭部を抱え込み、ディープスロートを続行させる。
 3人の客が、沙綾香の割れ目に指を差し込んだ。奴ら自身の体が邪魔で、指の動かし方は見えない。だが、ああいった手合いのやる事は決まっている。割れ目の中を押し開きながら、膣内のスポットを刺激しているに違いない。
「んぐっ、もごおお゛っ!!」
 沙綾香の口から呻きが漏れ、腰が左右に揺れる。リン、リン、と鈴の音が鳴る。そんな状態でさらに、指入れしている3人のうちで一番年長の男が、他2人を下がらせた。そして押し開いた割れ目へと口をつけ、全体を舐め回す。
「おほほ、旨い旨い! さすが極上美少女のツユだ、格別に下半身に響くぞ!!」
 奴の興奮ぶりは相当だ。禿げ上がった頭にミニスカートの一部を被せ、腿の肉を鷲掴みにしたまま、無我夢中で割れ目を舐め回す。とはいえ、その心情自体は理解できる。ニーソックスに引き締められた美脚は、あまりにも妖艶だ。俺が奴の立場でも、理性を保てるかはわからない。
「くそ、いいなあSさん……!」
「会員番号振りかざされちゃ譲るしかねぇが、俺も舐めたいぜ!」
「気持ちよさそうに腰揺らしやがって。父親みたいな歳の親父に、マンコ舐められて興奮すんのかよ!?」
 他の客は、男の行為を羨みつつ、せめてもの憂さ晴らしに沙綾香を野次る。男の舐りで鈴の音が鳴り響けば、大いに笑い飛ばす。

「……あはっ。あっち、盛り上がってる」
 沙綾香の状況に気づき、桜織が笑みを浮かべた。彼女は、翻弄されるばかりの沙綾香とは違い、明らかに場を支配している。今はダーナル相手に口で奉仕しているが、当のダーナルは床に腰を下ろし、両脚を投げ出して身を委ねきっている状態だ。
「ヘイ、プリティガール。やめないでくれよ、もう少しで気持ちよくなれるんだ」
 顔中から汗を垂らしつつ、ダーナルが囁く。すると桜織はダーナルに向き直り、スカートをたくし上げながらその上に跨った。
「いいよ。そろそろ、こっちにちょうだい」
 頬を紅潮させてそう囁き返す姿に、清楚さなど影もない。
 桜織の小さな手が剛直を支え、未熟な尻が沈んでいく。桜織は、沙綾香以上に小柄だ。マーキスとの体格差となれば、成人と小学校低学年のそれに近い。普通に考えるなら、性器の挿入など無謀だ。だが、それは果たされる。桜織自身の意思と、その数十キロの自重でもって。
「おおお゛お゛お゛お゛っ!!!!!」
 怒張が半ばほど入り込んだ時点で、桜織は凄まじい声を漏らした。咆哮、と表現した方が近いかもしれない。俺に背を向ける格好だから顔は見えないが、どういう表情をしているのかは想像がついた。
「ひいっ、すごい、すごいっ!! 太くて、おっきくて、こんなに硬い! もう、一番奥まで届いちゃった!!」
 桜織は興奮気味に訴えながら、腰を上下に打ちつける。黒い極太が白い尻肉の中へと、より深く入り込んでいく。
「あはっ、あんっ、あんっ!! エラの張ったカリ首が、奥の襞をゾリゾリ擦るのっ!! こんなの、日本人じゃ味わえない……気持ちいいよおっ!! だめだめイキそうっ、あ゛ァあ゛イグぅううっ!!!!」
 桜織の興奮は止まらない。汁を飛ばしながら腰を上下させ、絶頂を訴える。その言葉を裏付けるかのように、リン、リン、リン、リン、と鈴の音が鳴り響く。
「がはははっ、こりゃあ堪らんぜ! プッシーは小ぶりだが、よく濡れてやがる!」
 マーキスも大笑いだ。何度も膝が浮いているところからも、相当な快感が伝わってくる。
「そりゃいいな。お前でそれなら、俺らのコックだとさらにキツく思えるわけだ!」
「いいねえ、早く替わってくれよ!」
 他の黒人共も、桜織のセックスを前に興奮を隠せない。そして、その願いはすぐに果たされることになった。
「んあ゛ァっ、あん、あ゛んっ!! また、中で大きく……ほぁああ゛っ!!! おっ、奥に当たるっ、あ゛っ、あああ゛っ、い゛いいっ!!」
 桜織は、自らの意思で膣奥を虐め抜く。マーキスの肩に両手をつき、腰を上下に振る様子は、完全に逆レイプの有り様だ。
「ぬぐうううっ……おいおいおい、マジかよ!! この俺が、こんなガキに……ファアックッ!!!!」
 マーキスは、さっきの喜びぶりから一転、屈辱に顔を歪めていた。連中は強姦魔だ。女性に主導権を握られ、絶頂させられるのを屈辱と感じるんだろう。だが、そんな抵抗も長くは続かない。歯を食いしばって上半身を起こしたところへ抱きつかれ、そのまま強烈な腰遣いで絶頂へと導かれる。
「あ、あ、きた、きたあっ!! すごい、ああ、すごい量!! なにこれえっ!?」
 桜織の言葉を聞けば、射精が始まったことがすぐに判った。
「ぬぐうう、ぐうあああっ……!!」
 マーキスの反応は珍しいものだ。いつもケダモノじみた笑みと共に精を注ぎ込むあの男が、床の上で拳を握りしめている。
 そのまま数十秒が経過したところで、ようやく桜織が腰を浮かせた。開ききった割れ目から、次々に精液があふれ出し、マーキスの脚を白く染めていく。
「すっげぇ……!!」
「いや、本当にこれは……!!」
 客はその一連のプレイを前に、言葉を失くし、操られたように投票ボタンを叩くばかりだ。

「大したもんだな、お前のお友達は。俺もイキたくなっちまった。そろそろ、ラストスパートといこうぜ!」
 モーリスが沙綾香の頭を掴み、前後に動かす。
「んぶオ゛っ!? ヴォエ゛ッ、うお゛、んぐっ、うぉお゛ええエ゛ッ!!」
 沙綾香は目を見開き、苦しそうな声を漏らす。奉仕を突然強要される事への困惑。公然で大股を開かされたまま、秘部を舐められる恥辱。その両方が原因だろう。だがその反応が、結果としてモーリスを満足させる。
「おおおいいぞ! 喉がいつもより窄まって、カリ首にコリコリ擦れやがる! いいぞ、イクぞ! 全部呑み込めよっ!!」
 モーリスは吼えるように叫ぶと、沙綾香の頭を引き付けたまま射精に入る。至近距離で見れば、どくっ、どくっ、と精液が送り込まれているのが感覚でわかった。それが数十秒たっぷり続くんだから、人間離れも甚だしい。
「ぶはっ!!」
 ようやく怒張が引き抜かれた時、沙綾香の口内は白濁で満たされていた。栗の花とも形容される独特の精液臭が、猛烈に臭ってくる。それを口一杯に注がれば、精液以外の情報を脳が処理してくれないだろう。
 しかし、周囲はいつもそんな沙綾香に、新たな情報を与えていく。
「ふふふ。口にザーメンを注がれた途端、また愛液があふれてきたぞ。もうチンポが欲しくて仕方ないんだろう?」
 沙綾香の割れ目に舌を這わせていた男が、醜悪な笑みを浮かべた。
「マンコがヒクヒクしてるもんな、ヤリてぇんだろ? だったら、お願いしてみろよ。犯してください、お願いしますってよ!!」
 他の客も便乗し、沙綾香に恥辱の仕草を迫る。
「そ、そんな……の……っ!」
 沙綾香は、露骨に戸惑いを見せた。また、瞳が揺れている。決断の枷になっているのは、俺の存在らしい。
 だが、彼女が欲求不満なのは事実だ。彼女はここへ来るまで、何時間にも渡って焦らされつづけている。思いきり快感を得たいという気持ちが、ないはずがない。
「どうした、早くしろよ!」
 客の指が勃起したクリトリスを圧し潰し、割れ目に沈み込むだけで、沙綾香の喉から悲痛な声が漏れる。
 さらに、沙綾香が視線を逃がした先には、投票ボタンの結果を反映するモニターがあった。沙綾香は現在36票、対する桜織は100の大台に乗っている。トリプルスコア……もはや、迷っている暇はない。
「ぷ……プリーズ、ファッ、ク……ミー……」
 沙綾香は顔を赤らめながら、黒人共に向けて懇願する。黒人共は笑った。だから、聞こえてはいるはずなんだ。それでも奴らは、頷かない。
「ああん? なんだ、よく聴こえねぇぞ」
 レジャナルドがわざとらしく耳に手を当て、沙綾香の方に身を傾ける。
「それじゃ聴こえんだろう。もっと大きい声で言いなさい!」
「姿勢もなってねえなあ。奴隷の懇願っつったら、土下座だろ!?」
 サディズムに国境はない。ステージを見上げる客の笑みもまた、黒人共に瓜二つだ。
 ギリッ、と奥歯を鳴らす音がする。ミニスカートの横で、二つの拳が握りしめられる。
 そして沙綾香は、床に膝をついたまま頭を下げ、すうっと息を吸い込む。
「…………プリーズ、ファック、ミーッ!!」
 強いられた渾身の叫び。それは、フロア内に響き渡った。桜織に夢中だった連中すら振り返ったほどだ。
 そして、笑いが沸き起こる。ゲラゲラと、心底楽しげに。一生で何度出遭えるかという美少女に、生まれたままの姿で土下座させ、セックスを懇願させるんだ。性癖の歪んだ人間にとっては、さぞや愉快なショーだろう。
「おーおー、あんな大声で! まったく、今どきの女子は恥じらいというものがないな!」
「ですなあ。ウチの娘があんなことをしたら、情けなくて泣けてきますよ!」
「まあまあ。色狂いの“ビッチ”なんですから、仕方ないでしょう。我々はせいぜい、愛する人間がこの倶楽部の標的にならないよう、うまく立ち回っていきましょう」
 飛び交う野次にも、いつも以上の悪意が篭もっている。微かに震える沙綾香の背中や、握り込まれる足指も、連中にしてみれば興奮を煽る材料だろう。
 もちろん、嬉しそうにしているのは黒人共も同じだ。見開いた目を血走らせ、鼻息を荒げ、そり勃った怒張を震わせている。数時間で禁断症状が出るほどの絶倫連中が、丸一日お預けを喰らってるんだ。すでに性欲は限界だろう。それでも沙綾香に飛び掛からないのは、性欲をも上回る嗜虐心からか。
「オーケイ」
 レジャナルドが沙綾香に近づき、腕を取って立ち上がらせる。わざとだろうが、俺の方に顔が向く形でだ。
「…………っ!」
 沙綾香は、一瞬俺と合いそうになる視線を逸らした。その眼元から続く、涙の線が痛々しい。レジャナルドはそんな沙綾香に中腰の姿勢を取らせ、背後に回った。
「へへへ、すげぇな。プッシーが充血しきって、膨らんでやがる」
 奴は、掴んだ逸物を割れ目に押し付けているようだが、なかなか挿入しない。腰を進めるフリはするが、逸物は尻や股の方に逸れていく。
 とはいえ、それが見所になってしまうのが巨根の恐ろしいところだ。尻側に逸れる時、怒張の先端は尻肉の膨らみを越え、背筋にまで達する。股座から黒い棒が覗く様は、沙綾香から逸物が生えているかのようだ。客はそのジョーク行動を笑いながらも、これから挿入されるペニスの大きさを、改めて思い知ったに違いない。
「……早くしてよ……」
 沙綾香は、両手を膝に置いて姿勢を安定させながら、苛立たしげに後ろを振り返る。するとレジャナルドは、それを待っていたと言わんばかりに動きを変えた。片手で逸物を掴み、片手で沙綾香の腰を掴んだまま、ゆっくりと腰を進める。
 今度こそは、間違いなく挿入されているらしい。それは、沙綾香の顔を見れば明らかだ。
「あ……っあ」
 開いた口から声を漏らし、斜め上を凝視する。初めて黒人のペニスを味わうかのような反応だ。レジャナルドはその反応に笑みを浮かべつつ、両手を腰に添えた。そしてその手を引きつけつつ、一気に腰を送り込む。
「はアアァッッ!?」
 沙綾香の反応は、激しかった。目と口を大きく開き、腰を震わせる。リン、と鳴り響く鈴の音に、何の違和感も抱けない。
「ひひひっ! あいつ、挿れられただけでイキやがった! まだ二十歳にもなってねぇガキのくせに、ポルチオが開発されきってるらしいな?」
「ああ。音が無くても判るイキっぷりだな。気持ちよさそうな顔しやがって!」
 客の言葉は腹立たしいが、納得してしまう。確かに、沙綾香は気持ちがよさそうだ。眉を垂れ下げて「本意ではない」と訴えているのが、せめてもの救いか。
 挿入を果たしたレジャナルドは、意外にもすぐには動かない。腰から手を離し、沙綾香の胸をブレザー越しに揉みしだきながら、密着状態を保っている。俺も沙綾香とセックスした時、よくやった。挿入後にああしてじっとしていると、膣がペニスに纏わりついてくるんだ。
「クククッ、締まってきた、締まってきた! ヒクヒクしながら吸いついてくるこの感じ、最高だぜ!」
 数秒経って、レジャナルドが嬉しそうな声を上げた。俺でさえ、あのフィット感には歓喜したものだ。奴ほどのサイズとなれば、なおさら気持ち良いだろう。
 
 レジャナルドは、本格的に腰を使いはじめた。沙綾香の下腹を抱え込み、腰を思いきり打ちつける。パァンパァンという音が響き渡る。
「や……そこ掴むの、やめっ……んぐうう゛っ!!」
 沙綾香はレジャナルドの手を掴んで抵抗するが、それも数秒のこと。
「ぃッ、うぐぅうーーッ!!!」
 レジャナルドがグッグッと腰を押し込む中で、歯を食いしばりながら痙攣する。鈴の音で絶頂を明かされながら。
 俺は、思わず生唾を呑んだ。他人の手による沙綾香の絶頂は、これまで嫌と言うほど見てきた。ただしそれは、常にモニターや、分厚いガラス越しでのことだ。匂いも、熱気すら伝わってくるこの距離で目の当たりにすると、本当に胸が締め付けられる。動悸が激しく、心臓が爆発しそうだ。
 その緊張が伝わったのか。沙綾香が一瞬、俺を見る。恥辱に歪んではいるが、俺のよく知る彼女の顔だ。愛おしい。今すぐ彼女を抱きすくめたい。だが、それは叶わぬ夢。
 そんな俺に向け、レジャナルドは舌を出した。
「ひっひっ、きたきた。この、イった時の締め付けがまた堪んねぇや。だがようサヤカ、お前だってもう俺のコックから離れらんねえだろ? ジャパニーズの短小じゃ、“ここ”をカリで抉るのは無理だろうからな!」
 当てつけがましくそう言いながら、より激しく沙綾香を犯す。肉のぶつかる音と、攪拌される水音が秒以下の速さで繰り返される。
「んう゛ぃっ!! はっ、はぁっぐ、うっ……っふうっ、ひっ! ぅうう゛、うう゛う゛っ!!」
 沙綾香は必死に声を殺そうとするが、絶頂直後の敏感な状態では耐えきれない。太腿は痙攣し、腰は激しくうねる。突き込みを嫌がっているのか、あるいは無意識に迎える動きをしているのか。
 リン、リン、と鈴の音が鳴り、とうとう沙綾香の上体が崩れかかった。だが、レジャナルドはその下腕を掴んで突き続ける。無理を押し通してのセックス。当然、変化が起きないはずがない。
「ああぁダメ、無理……無理ぃい…………っ!!」
 沙綾香は俯き、長い髪の中に顔を隠した。
「んだよ、おい。顔が見えねぇぞ!」
「まあまあ、そのうち頭を上げるでしょう。それより今は、カラダの方を堪能しましょう。乳房が揺れて、肋骨が浮いて……絶品ですよ?」
「確かに、これは凄い。こういう安易な表現は嫌いですが、完璧なスタイルとしか言いようがないですなあ!」
「同感だ。めちゃくちゃ細ぇのに柔らかそうで、出るトコは出てよ。男を発情させるためのカラダって感じだぜ!」
 客は今にも涎を垂らしそうだ。その視線に晒される沙綾香の喘ぎは、刻一刻と激しくなっていく。よく聴けば、ピストン音も変わっているようだ。さっきまではブチュブチュ、という感じだったものが、グプグプという響きに変わっている。その意味はわからないが、沙綾香を追い詰める結果に繋がっているのは間違いない。
「はぁ、はぁっ……あ、あっあ……ぐっ、んぐっ……ああああっ!!」
 沙綾香の我慢も限界のようだ。中腰が深まり、脚の震えが酷くなる。腕を引き絞られていなければ、そのまま崩れ落ちているに違いない。
「いつも以上に感じまくってんな。大好きな先生と、同郷のサルに観られながらよ!!」
 レジャナルドはそう茶化しながら、ここで最後の追い込みに掛かった。掴む場所を上腕に変え、強引に沙綾香の背を反らせた上で、思いきり腰を叩き込む。一時的に聞こえづらくなっていたパンパンという音が、再び大音量で響きはじめる。
「はああぁっ!? やめ、激し……っ!!」
 沙綾香は目を見開き、レジャナルドの下腹を手で押しやるが、ピストンは一切緩まらない。
「くあっ、ああっ!! あーっ、あーーーっ!!!」
 喘ぎ声が、泣き声に変わる。華奢な腰からつま先にかけてが、絶頂へ向けて一直線に進んでいくのがわかる。
「…………みな……ぃ、で…………」
 最後の最後、かろうじて聴きとれる声でそう囁いた直後、沙綾香は震え上がった。
「はァ……んっ!!!」
 顔が天井を向くほどに背を反らし、全身で大きな弧を描きながら、ブルブルと痙攣しつづける。股間から流れ出る体液の量から見て、潮も噴いたのか。リン、という澄んだ鈴の音が白々しく聴こえるほど、深い絶頂だ。
「はははははっ! すんげぇイキ方してんな、キメセクの最後の方みてぇだ!」
「立ちバックでハメ潮とか、よっぽど気持ちよかったんだな!」
 客は投票ボタンを押し込みながら、沙綾香の絶頂を口々に揶揄する。
「深く絶頂したものですね。溜まりに溜まった肉欲を一気に解放した時の快感は、他に並ぶものがございません」
 俺の横でも、端塚がワイングラス片手に笑みを浮かべていた。すべては計画通り、と言わんばかりだ。
「どうだ、俺のコックは格別だろ? 昨日お預けされてた分、余計に感じちまうんだよな? いいぜ、たっぷり味わわせてやる。好きなだけイけ!!」
 レジャナルドはそう叫びながら沙綾香の肩を掴み、激しいピストンを再開する。
「あああぁ……まぁ……待って、ぇ……い、いまっ……イッたばっか……んはっ、ああああっ!! あッ、あッ、あッ、あッ!!!」
 沙綾香は明らかに嫌がっていたが、太い腕で両肩を掴まれては逃げられない。歯並びが見えるほど口を開き、視線を上空に投げたまま汗を垂らす。リン、リン、と鈴の音も鳴っていた。さっきは白々しく思えたのに、今はその音が恐ろしい。その音が鳴るたび、沙綾香の絶頂を理解してしまう。
 レジャナルドは、気持ちよさそうにセックスをこなしていた。長大な逸物をたっぷりと引き抜き、叩き込む。ブジュウッ、ブジュウッ、と凄まじい音をさせながら。
「いいぜ、いいぜ……そろそろだ。フーッ、フーッ……おおぉし来たぁっ!! たっぷり注ぎ込んでやるからなッ!!」
 奴は喚きながら腰を打ちつけ、腰を密着させて射精に入った。黒い肌の中、よく目立つ白い眼が俺を見て笑う。
「ううう゛……!!」
 沙綾香は俯きがちになり、歯を食いしばっていた。
 サイズ違いの剛直を奥まで突っ込まれ、おそらく子宮口に密着した状態で、好きでもない男の子種を注がれる。しかもそれを、ほんの数メートルという距離で俺に見られるんだ。どんな気分になることだろう。

「おいおい……まだ出してんのか、アレ?」
「ウシか何かみたいだな……」
「よく見りゃ、チンポだけじゃなくて、タマもエグイほどでけぇからな。そりゃ量出るわ」
 5秒経っても射精しつづけるレジャナルドを見て、客がどよめきだす。そんな中、たっぷり10秒以上が経ったところで、ようやく腰が引かれた。同時に肩も解放され、沙綾香はその場にへたり込む。
「おい。ザーメンどんだけ出されたか、見せてみろよ!」
 客は、僅かな休息さえ許さない。想像を超える射精量を見たい一心で、疲労困憊の沙綾香に無理を強いる。
「…………っ。」
 沙綾香は震えながら中腰に戻り、スカートをたくし上げた。すぐに人垣ができ、肝心な部分は俺の視界から隠れるが、沙綾香にとってはむしろ救いだろう。
「うおおお、すげぇ!!」
「量もやべえけど、濃さも半端ねぇな。ヨーグルトみてぇだ」
「うほほ、これは! 一度で妊娠確実だな」
 客から驚きの声が上がる。その好奇の視線を受けながら目を閉じる沙綾香は、ひどく令嬢らしい。元々が上品な顔の作りだし、汗の滴る様子が奥ゆかしさを増している。そんな令嬢を前に……いや、だからこそか、客はより一層の無様さを求めた。
「よお、コッチよく見えねぇぞ!」
「もっと良く見えるように、ケツ向けて穴拡げろ!」
 沙綾香の正面から離れた場所にいる客が、不満を口にする。沙綾香は迷惑そうに眼を開くが、便乗して大勢の客が騒ぎ出すと、その要求に従わざるを得なくなる。
 膝立ちになり、尻を向け。
「もっとケツ上げろ!」
「もっと指で、グバーッと拡げんだよ!!」
 客の命令通りに、あられもない姿を晒す。
「ぎゃはははっ! すげぇなこの絵面よ!!」
「脚の形はサイコーなのに、マンコはグチャグチャ、ケツはガバガバ。調教ってこえー」
「おっ、見ろよ。また奥から垂れてきたぜ!」
「うっへえ、また結構出るな。グラス半分ぐらいねーか、この量……」
 客は、野次を自重しない。思いついたままに感想をぶつけ、沙綾香の心を抉っていく。
 ひどい状況だ。ピンクの粘膜からぽたりぽたりと滴る粘液が、俺には沙綾香の涙に思えた。


                 ※


 恥辱に震える沙綾香の背後で、モニターの数字が変わっていく。沙綾香側の投票数も増えてはいるが、桜織の伸びには届かない。
 桜織は、黒人とのセックスを堪能していた。どう見ても無理のあるサイズのペニスに跨り、笑顔で腰を振っている。
「あはっ、すごぉい……子宮、ジンジンする……っ!」
 桜織が自ら下腹を刺激しながら、さらに腰の上下運動を早めた。パンパンパンパンという音が響き、乗られる側のジャマールが顔を顰める。
「ぐうううっ!! すっげぇ、搾り取られる……!!」
 その悲鳴に近い声を聴き、桜織は笑みを深めた。そして、さらに激しく責めたてる。暴れるジャマールの足首を抱え上げ、完全優位の格好で腰を振る。
「ジーザスッ!!」
 ジャマールはまた呻いた。歪んだ顔は、悲壮とも歓喜とも取れるものだ。
「へへへ、ビッチここに極まれりってか」
「よう。まるで逆レイプされてるみてぇだぜ、兄弟!」
 ダーナルやダリーからそう茶化されても、ジャマールに反論する余裕はない。桜織が、目を見開き、舌を突き出し、いよいよ無我夢中という表情で『犯し』にかかったからだ。
「お゛っ、お゛、お゛っ!! ほおおおっ、ふおおお゛っ……!!」
 声にも、顔にも、腰の振り方にも、正気が感じられない。その小さなモンスターの性器に捉えられたまま、ジャマールが白い歯を食いしばる。
「アアアアオウッ、出る、出るぞっ!! このリトルプッシーの中に、思いっきりぶちまけるぞ、いいんだな!?」
 最後の矜持か、恫喝に近い口調でそう叫ぶが、貪欲な桜織が今さら嫌がるはずもない。
「いいよ、来て……私もイクから、一緒にイこっ!! んっ、ふ……あっ、ビクビクしてる……出して、出して!! 中に、濃いの全部注いでえっ!!! ……あはっ、出てるっ! ドクドク、こんなに……あ、あ゛、あ゛っ、すごおいいっ!!!」
 桜織は中出しを望み、いざ射精の時が来れば、腰を落として深い結合をキープしてみせる。小柄な子だけに、ジャマールの怒張すべては呑み込めない。3割ほどは外に余っている。それでも、膣奥まで届いているのは疑いようもなかった。正真正銘の膣奥射精だ。
 桜織は、ジャマールが息を吐ききってからも1分以上余韻を楽しんでから、ようやく腰を浮かせはじめる。肉付きのあまい尻の間からは、すぐに白い物が零れ落ちた。
「おおっ……!」
 背徳的な光景に、客から溜息が漏れる。すると桜織は、そんな客の方を振り返りつつ、尻だけを高く浮かせてみせた。より割れ目が客の目に入りやすいように。僅かに強まった腹圧で、膣を満たす精液があふれ出すように。
「エロいな……」
「ああ、身体つきはまるっきりガキなのに。なんでこんなにエロいんだ!」
 客は桜織を見ながら、前傾姿勢になっていた。今にも飛び掛かりそうな勢いだ。そしてその空気は、沙綾香を囲む客にも伝播していく。
「せっかくだしよ、横並びにして比べようぜ!」
 誰からともなく、そういう意見が出た。恥じ入る沙綾香と、奔放な桜織。タイプの違う少女が2人いれば、当然の流れではあるが。

 沙綾香と桜織が、ステージ外周……客の方を向いて這う格好を取らされる。
「ああして並んでるとよ、姉妹みてぇだな」
 客の1人が、ステージを見上げてそんな感想を漏らした。確かに、そういう感じがする。高給取りの親を持つ、仲良し姉妹。妹の方は気楽に笑みを振りまき、姉の方は唇を引き結んで涙を堪えている、というところか。
 そんな2人の背後に、山のような巨躯が迫る。“妹”の背後についたのはアンドレ。“姉”の背後についたのはドミニクだ。連中は怒張を扱き上げてアピールしてから、目の前の腰を掴み、尻を掲げさせる。そして、一気に突き込んだ。
「ほおおお゛っああ゛ッ!!!」
 桜織から、凄まじい声が上がった。表情も普通じゃない。目を細め、縦に開いた口から舌を飛び出させる。周りの視線など一切気にせず、ただ黒人のペニスを受け入れた快感をそのままに表している風だ。
 一方、沙綾香は露骨に周りの目を気にしていた。極太が挿入されるその瞬間も、結んだ唇を開かない。眉間に皺を寄せたまま、床だけを睨みつけている。
 まさに、対照的。そんな2人が横並びで犯される様に、客は大喜びだ。
「おいおい“妹ちゃん”、すげぇツラしてんな! ちょっとは“お姉ちゃん”を見習えよ!」
「いやいや。“お姉ちゃん”こそ、“妹ちゃん”みてぇに楽しめって。黒人のぶっといの突っ込まれて、気持ちよくって仕方ねぇんだろ?」
 2人の関係を姉妹と見立てて野次を飛ばす。それを聞いて桜織が笑い、沙綾香を見た。逆に沙綾香は、俯いて床だけを見つめている。ただ、それで視線は隠せても、絶頂までは隠せない。ドミニクが7度目に腰を打ちつけた直後、リン、と鈴の音が鳴る。そしてちょうどその辺りから、彼女の反応が変わりはじめた。
「フーッ、フーッ……んんっ、ふっ、んっ……!!」
 口を閉じたまま視線を揺らし、歯を食いしばったまま顔を振り……そうして、少しずつ追い込まれていく。
「ひひひっ、そろそろ我慢の限界か?」
 反応の変化に気付いてか、ドミニクはより激しく腰を打ちつけはじめた。
「んぐ、あ、あ゛っ!!」
 沙綾香が顎を浮かせたと同時に、鈴の音が絶頂を知らしめる。
「へへへ、出来上がってきたな!!」
 ドミニクは、待っていたとばかりに腰を掴み直し、膝立ちから中腰へ体勢を変える。当然、沙綾香も腰を浮かせる格好となる。何度も絶頂させられている状態で、それは辛い。
「やっ、やめ、て……!!」
 沙綾香は消え入るような声で呻きながら、震える脚を閉じ合わせた。女の子らしいその仕草には、彼女の羞恥がよく表れている。そして、ドミニクがそれを茶化さないはずもない。
「おら、もっと足開けよ。いつもハメてるみてぇによ!」
 口汚く叫びながら、沙綾香の腿をがに股になるまで割りひらく。
「ははははっ、いい格好だぜ!」
「どれだけスタイルのいい美少女でも、ああなっては形無しだな!」
「ああ、スラムのストリップ嬢以下だ!」
 客の野次に、沙綾香は歯を食いしばる。だがそれも、やはり数分ともたない。当然だろう。ドミニクが膝立ちから直立に変わり、腰を使いやすくなったせいで、セックスのハードさが増しているんだから。
「あ、はっ、あっ……あああっ、ああああいや、いやあっ!!」
 沙綾香は脚をバタつかせはじめた。片足の踵で空を蹴り上げる形だ。その激しい抵抗を受けても、ドミニクは動きを止めない。勝利を確信したような顔のまま、沙綾香の細い腰を犯し続ける。
「んっ、んぐっ……んんん゛ん゛ん゛っ!!!」
 沙綾香の喉から悲鳴が上がり、床についた両脚がビンと伸びる。そして同時に、鈴の音が鳴り響いた。誰の目にも明らかな、深い絶頂だ。
 客から嘲笑が沸き起こり、ドミニクも鼻で笑い飛ばす。
「気持ちよさそうにイキやがって、そんなに俺のコックがお気に入りかよ? いいぜ、なら大好きなザーメンをくれてやらあ!!」
 奴がそう宣言してスパートを掛けると、アンドレもまた責めを強めた。肉のぶつかる音が鳴り響き、沙綾香の目元が激しく引き攣る。桜織の声も狂気じみてくる。
「おら、いくぞ! プッシー締めて、最後の一滴まで搾り取れよ!」
 そして、黒人2人は射精に入った。大木の幹のような腰が震え、ドクドクと精液を注ぎ込んでいくのがわかる。
「あ、あ、あああ……っ!」
 桜織と沙綾香の発した声は、よく似ていた。そして、表情も。
「はっはっは、いい顔してやがんなあ!」
「ああ。特に右の女よ、あれ、中出しされながらイってんじゃねぇか?」
「やっぱそうだよな。あんなに渋るポーズしてたくせに、実は気持ちよくて仕方なかったってか!」
 喜びを露わにする桜織と、脱力したような沙綾香。客はそのどちらにも興味を示すが、野次は沙綾香にばかり飛ぶ。そうすれば沙綾香が顔を歪めると解っているからだろう。
 そして、沙綾香を追い詰めようとするのは黒人共も同じだ。ドミニク・アンドレと交代したジャマールとトラバンは、背後から挿入しつつ互いに横を向く。沙綾香と桜織が向かい合うように。
「……ッ!!」
 沙綾香の顔が強張った。彼女にしてみれば、たとえ野次を受けたとしても、客に顔を見られていた方がマシだろう。
「ふーっ、ふーっ……お、う゛っ! んふっ、あ、ああ……ッ!!!」
 最初こそ耐えていた沙綾香も、ジャマールがサディスティックな表情で腰を打ちつける中で、次第に表情を崩していく。何度も絶頂して、敏感さが増しているせいだろう。
「やあっ、あ、あ……んっくううう゛っ!!」
 沙綾香の歯が食いしばられた直後、鈴の音が鳴り、客からまた笑いが起きる。
「今のは本気でイッたな。さ、今度はお前の番だ。お友達以上のイキ顔を見せてみろ!」
 トラバンもほくそ笑み、桜織の腕を掴みながら腰を打ちつける。沙綾香と違い、桜織には感情を隠す気もない。
「おお゛っ、深いィ゛っ!! お゛っ、おおお゛っ、ほお……おっおお゛おぅ゛っ、そこ、そこおぉっ!! んほぉっ、ほおおおおっ!!!」
 大口を開け、満面の笑みで快感を訴える桜織。彼女は小柄なため、犯すトラバンと全く体格が合っていない。今はローファーでかろうじてつま先立ちしている状態だが、その伸びた脚を震わせながら、全身で快感を貪っている。それを目の当たりにして、沙綾香の表情が強張った。
「エロい面ァしやがって。だが、ああなるよなあ。どんな女でも、最後にゃ俺らのコックから離れられなくなるんだ。なあ? お前だって、もう中毒なんだろ?」
 ジャマールが沙綾香の耳元でそう囁きながら、一歩前に出る。それを見てトラバンも前へ歩を進め、沙綾香と桜織の距離が縮まっていく。女性らしい沙綾香の胸の膨らみを、平坦な桜織の胸板が圧し潰す。
「あんっ……!」
「ふう、あ……っ!?」
 甘い声が上がり、鈴の音がフロアに響いた。
「ははははっ、乳首が擦れただけでイっちまってやがる!」
「ああ、とんだ変態ぶりだぜ!」
 客からすかさず野次が飛ぶ。
「ふふふ、変態だって。でも、しょうがないよね。気持ちいいんだもん」
 桜織はその野次を気にも留めず、沙綾香に囁きかける。さらに彼女は、突かれた拍子に開いた沙綾香を唇を奪ってみせた。
「ん、れあっ……あ、あえ、えああ……っ!!」
 沙綾香は驚いて口を離そうとするが、密着した状態では逃げ場がない。一方の桜織は、積極的に舌を絡ませ、ディープキスを強いる。
「おっ、今度はレズかよ!」
「ほほ、極上美少女の絡みは見栄えがいいな!」
「しかも、ゴリラみてぇな黒人に挟みつぶされながらだぜ。画のインパクトがすげぇや!」
 客は大いに盛り上がり、沙綾香と桜織の両方にポイントを加算していく。
 リン、と鈴の音が鳴った。沙綾香と桜織の頭は密着しているため、どっちの機械から鳴った音なのか判別はつかない。だが、目を見開く沙綾香と、そんな沙綾香を前に目を細める桜織の反応を見れば、答えは明示されているようなものだ。
「へへへ。こいつ、レズプレイで感じてやがる」
「そっちもか? このガキもだぜ、膣のうねり具合が一段とエロくなりやがった」
 犯し役のジャマールとトラバンが顔を見合わせて笑い、沙綾香達の腰を掴み直す。すると桜織は、自由になった左手を沙綾香の股座へと伸ばした。場所的にクリトリスを弄っているのか。
「れあっ!!?」
 沙綾香は不自由な悲鳴とと共に腰を震わせ、鈴の音を鳴り響かせる。明らかに桜織を上回る絶頂ペースだ。
「ふはっ、はぁっ、はあ……い、委員長、やめて。こんな、足引っ張るようなこと……。2人で4000回以上イッたら、罰ゲームなんだよ……?」
 唇が離された瞬間、沙綾香が桜織に哀願する。だが、桜織は薄笑みを湛えたまま、沙綾香のクリトリスから手を離さない。
「別にいいじゃない。罰ゲームが何かは知らないけど、きっと興奮できる事でしょ。思いっきり犯されるのか、モノ扱いされるのか……どっちにしても興奮するわ。沙綾香だってそうでしょ?」
「ち、違っ……!」
「うそ」
 沙綾香の否定を、桜織が切って捨てる。
「沙綾香。前から思っていたけれど、貴女って嘘が下手よ。本当の気持ちがすぐ顔に出る。もっと犯されたい、もっと辱められたい、もっと快楽に溺れたい──そう、顔に書いてあるじゃない」
 諭すように語る桜織の顔は、エレベーターで初めて見た時のイメージに近い。
「ちっ、違う、犯されるのは嫌! こんなトコ、今すぐ出たいよ!!」
 沙綾香は目を剥き、必死になって否定する。だが皮肉なことに、まさにその瞬間、ジャマールの逸物がひときわ力強く捻じ込まれた。
「……くんんッ!!!」
 沙綾香の背中が弓なりに反り、ぶるっと震え上がる。そして、当然の事のように、鈴の音が鳴り響く。桜織が、ギャラリーが、『それ見たことか』という笑みを漏らす。
「ち、違う、違うっ!!」
 沙綾香は叫び、顔を振る。痛々しい姿だ。心がいくら踏みとどまろうと、肉体に裏切られてはどうしようもない。それを身を以って知っているからか、祐希、千代里、藤花の3人も、苦い顔で舞台を見上げている。
「素直になればいいのに。こんな幸せ、他にないわよ?」
 桜織は続けてそう囁き、自ら腰を振りはじめる。より深く、より強く、黒人の剛直を膣で呑み込めるように。
「ふ、あ、あっ……あああ゛あ゛きたああ゛っ!! おっおっ、奥っ、ゴリゴリ……きひいいい゛っ!!!」
 桜織の品ある顔はみるみる歪み、快楽の叫びを迸らせる。リン、リン、と鈴の音が断続的に鳴り、立て続けの絶頂を証明する。それを間近で見せつけられる沙綾香は、凍りついていた。唖然とする気持ちもあるだろう。だが同時に、羨む気持ちもあるように思えてしまう。少なくとも彼女の肉体は、快感を求める動きをはじめていた。少しずつ、少しずつ蠢き、絶頂へと近づいていく。鈴の音が桜織のそれと重なるのに、長くはかからない。
「あ、あ、あ……だめっ、いっちゃ……!!」
「あはあっ、ああおおお゛っ!! いいくっ、いくっ、あああああ゛っ!!!」
 2人の美少女が、不似合いなほど大口を開け、快感を訴える。鏡写しのように指を絡ませ、腰をうねらせながら。


                 ※


 親友2人を向かい合わせで犯す。その悪質なやり口が気に入ったのか、黒人共は犯し役が交代しても、体位を変えようとはしなかった。一人が射精すれば、また別の1人が背後から挿入し、沙綾香と桜織を密着させる。
 3人目のレジャナルドは、特に悪質だった。奴は思うさま沙綾香の膣を堪能しながら、血走った眼で尻の穴を凝視していた。
「へへへ。俺のを突っ込まれるたびに、ケツがヒクヒクしてるじゃねぇか」
 奴はそう言うが早いか、沙綾香の尻穴に指を突っ込んだ。中指と人差し指の二本だ。
「ふぁああっ!?」
 完全に不意打ちだったんだろう。沙綾香は目を見開き、背後を振り返る。その初々しさの残る反応は、客にとって格好の笑いの種だ。たちまち投票ボタンが押し込まれ、沙綾香の得票数が伸びていく。だがそれは、沙綾香の顔を屈辱に歪ませるだけだ。
「おうおう、美味そうに指を締め付けやがって。いいぜ、アヌスにもくれてやるよ!」
 レジャナルドは大声でそう宣言し、割れ目から逸物を引き抜いた。そして滴るほどの粘液に塗れたそれを、躊躇なく肛門にねじり込む。
「ふッ、ぐううんんんっ……!!」
 後ろに挿れられた瞬間、沙綾香は伸びあがった。漏れた声も妙だった。嫌がってみせようとするも、甘い声を隠しきれなかった……そんな感じだ。
「あはっ、気持ちよさそう。お尻に入ってるんでしょう?」
 薄い胸で沙綾香の乳房を潰しながら、桜織が囁く。子供が親相手に去勢を張るような構図だが、圧されているのは明らかに沙綾香だ。
「後ろって、そんなにいいの?」
 続けて桜織が囁くと、沙綾香は大きく首を振る。年頃の女の子が、それも友人に向かって、『肛門で感じる』などと告白できるはずもない。だが、レジャナルドはその想いを嘲笑うように挿入を深めた。20センチを悠に超える怒張が、根元まで肛門に入り込む。直腸奥のさらに先まで入り込んでいるのは間違いない。
「ひひひっ、えらくスムーズだ。すっかり結腸に嵌まり込むルートが出来ちまってらあ」
 レジャナルドの発言で、場がざわついた。
「結腸……まさか、直腸から繋がるS字結腸か!?」
「うっへえ。そんなとこ、よく生のチンポで届くな。ま、あのデカチンなら有り得るか」
「いやいや。届くのも驚きですが、問題はあの太さですよ。あの調教師、亀頭なんかテニスボース大じゃないですか。そんな物を結腸に嵌め込まれるなんて……」
「た、確かに!」
 客が興奮気味に言葉を交わす中、レジャナルドは入念に結腸を犯す。沙綾香の肩を鷲掴みにして固定し、中腰の姿勢で数センチ尻を引き、斜め下からぐうっと押し込んでいく。
「……ッ、…………ッッ!!」
 沙綾香は最初、声を完全に殺して耐えていた。目の前……桜織の前髪辺りに睨むような視線を向けたまま、じっとしていた。だが、それも数十秒が限界だ。
 しっかりと床を踏みしめていたローファーが、つま先立ちになっていく。そして、先端が完全に踏みつぶされた瞬間。リン、と鈴の音が鳴った。誰もが固唾を呑んで見守る中、それは嫌になるほどよく通る。桜織を抱くダーナルも、今はわざと腰を止めているため、絶頂したのは沙綾香以外には有り得ない。
「いひひひっ! あいつ、ケツでイキやがった!」
 客の1人が声を上げ、それをきっかけに笑いが起こる。沙綾香は顔を歪めるが、その表情はすぐに絶頂の色に染まった。
「っぉ、おほっ……お、お…………っ!!」
 沙綾香の口が開き、呻き声が漏れる。ニーソックスに包まれていない生足部分に、くっきりと筋肉の筋が浮く。
「ははは、凄い力みぶりだな! アナルレイプらしくなってきたじゃないか」
「アナルどころか、厳密には結腸レイプですからね。結腸って便意を知らせるセンサーが山ほどあるそうですよ。そんな場所をこじ開けられたら、あんな反応にもなるでしょう」
 客が囁き合う中、沙綾香の反応はより激しくなっていく。息は乱れ、全身が震え、そして沙綾香は顔を伏せた。だがその顔を、目の前にいる桜織が両手で持ち上げる。
「うっ!?」
 強引に顎を浮かされて戸惑う沙綾香に、桜織は笑みを向けた。
「顔を見せて、沙綾香。私、知りたいの。結腸で絶頂させられる時、女の子がどんな顔になるのか」
 笑みこそ浮かんでいるが、桜織の目は真剣だ。彼女は学業優秀な生徒らしい。当然、知識欲も旺盛だろう。それが、最悪な形で顕れているらしい。
「い、委員長……や、やめ、て……っ!!」
 桜織に顔を掴まれた沙綾香は、苦しそうに顔を振る。そんな中、レジャナルドが体位を変えた。桜織が沙綾香の顔を掴んでいるのをいいことに、完全な後背位の形で尻を犯す。“突き上げ”よりも遥かにスムーズに動かせる、“突き込み”。膣を使ったセックスと何ら変わらない速度で、剛直が根元まで入り込んでいく。
「ぃあ゛あ゛っ!?」
 沙綾香が悲鳴を上げ、目だけで背後を振り返る。鈴の音が鳴るペースが上がる。
 そして、彼女は震える手でスカートを掴んだ。どんな気持ちでそうしたのか、はっきりとはわからない。だが多分、彼女は拠り所が欲しかったんだ。事実、彼女の表情は、その直後に正気を失った。瞳が焦点を結ばなくなり、熱に浮かされたように上空を見上げる。口から漏れる「おおお」という声も、芯がなくなったようだ。
「うわぁ……」
 桜織は、そんな沙綾香の顔を両側から掴み、見入っていた。口元に湛えた笑みは、嘲笑か、あるいはもっと純粋なものか。
「へへへへ、この窄まりは格別だな。筋かなにか知んねーが、コリコリした輪っかが裏筋を刺激して最高だぜ。喉奥ともまた違う感触だ。もう……出るぞッ!!!」
 好き放題にアナルを犯すレジャナルドは、そう言って射精に入る。腰を密着させた、結腸内部への直射精だ。
「最高だぜサヤカ、お前のアヌスは」
 数十秒後、心地よさそうな溜息と共に射精を終えたレジャナルドが、ようやく腰を引く。極太の栓が外れた肛門からは、すぐに精液があふれ出す。
「すげぇ、まるで白いクソだ!」
「へへへへ、すげぇな。おい、こっち来てよ、自分でケツ開いて見せてみろ!」
 すかさず客から浴びせられる罵声に、沙綾香の眉が吊り上がる。だが、逆らったところで仕方がない。彼女は憮然とした表情のまま、ステージ端まで移動すると、客に尻を向けた。震える指が尻肉に食い込み、左右へと割りひらく。黒人ペニスで拡げられた肛門が、より鮮やかな華を咲かせる。白い蜜を零す紅い華。
「はははっ! 中からどんどんザーメンが溢れてきやがる!」
「っていうか、開きっぱなしね。戻りおっそー。あの巨根にこじ開けられて、括約筋がバカになってるのかしら」
「いや案外、見られたくてわざと開きっぱなしにしてるのかもしんねーぞ?」
「ありえるありえる、ケツでイキまくる変態だもんな! 今のアナルハメで、何回イッたんだ!?」
 客の罵りは止まらない。沙綾香がどれほど顔を歪めようと……いや、その恥じらいがあればこそ、か。


                 ※


 沙綾香はその後も、俺達の目の前で後ろの穴を犯された。沙綾香の長い脚をがに股に開いたまま、立ちバックでのアナルセックス。ステージの外周をその状態で歩き回り、ランダムな位置で立ち止まっては、客のすぐ目の前でセックスを見せつける。
「ほっほ、いやらしい。犯されているのはあくまで尻だというのに、陰唇のヒクつきが止まらんじゃないか!」
「ザーメンに混じって、マン汁が垂れてやがる。マジで感じてやがんだな、ケツでよ!」
 客は沙綾香の恥じらいの部分を凝視し、無遠慮に詰りつづけていた。
「み、見ないで、よ……っ!!!」
 沙綾香は割れ目を手で隠そうとするが、黒人共がそれを許すはずもない。手はすぐに横の誰かに掴み上げられてしまう。さらに犯しているトラバンも、沙綾香の右腿を掴み上げ、大きく股を開かせに掛かった。間違いなくアナルを犯している、と客へ見せつけるように。
「何度拝んでもすげぇな。あんなデカマラが、よくもまぁケツに入るもんだ!」
「ああ。便秘の時のクソ以上だ!」
「いいぜいいぜぇ、もっと浅ましく善がれ! 俺達を愉しませりゃ、ポイントをくれてやるよ!」
 客は手を叩いて笑い、極上の美少女を貶める。悪夢のような状況だが、皮肉なことにポイントの伸びは悪くない。最初の頃の停滞具合が嘘のようだ。

 だが、桜織のハードさはもっと上だった。彼女は今、吊り橋のように担ぎ上げられて犯されている。華奢な身体が、大柄な黒人に前後から犯される──露骨に危機的な状態だ。だが、彼女はそのハードさを喜んでいた。
「んぶはっ……きゃん、はあうんっ、んんっ!! すごっ……そこ、そこおおっ!! こ、これすごい……頭もカラダも、フワフワして……わ、私、どうなっちゃうの……っ!?」
 口が自由になるたび、桜織はそんな言葉を叫ぶ。状況を愉しんでいるとしか思えない言葉だ。
「何叫んでっかわかんねぇが、スゲェだろ。たっぷり咥えろよ、前も後ろもよぉ!」
 マーキスが桜織の顔を掴み直し、逸物を小さな口に押し込んでいく。
「んぶうっ、ん゛ぐっ!! も゛え゛、ほも゛ぉお゛お゛え゛……る゛ぉ゛お゛え゛っ!!」
 身体が未成熟だからか、単に喉がこなれていないからか。桜織がディープスロートで発する声は、沙綾香や千代里のそれ以上に異質だった。口から内臓でも吐き出しているかのような響きだ。実際、彼女の目頭からは反射で涙が零れているし、限界まで開いた口からも、泡に塗れた唾液が滴っている。額にびっしりと浮く汗の量も普通じゃない。
 それでも彼女は、明らかにその地獄を望んでいた。前にいるドミニクの腰に手を当てているが、押しのける様子はない。むしろ腰を掴むことで、宙吊りの姿勢を安定させている。えずき声と共に白目を剥き、手がダラリと垂れ下がることもあるが、客が反応を求めればすぐに手を振ってみせる。
「はあ、はあ……はあ、はあっ……お、犯して!! もっと、もっと!!!」
 床へ下ろされてからも、桜織は更なる刺激を求めた。自ら大股を拡げ、病的に瞳を開かせて。
「ククッ、呆れるぜ。底なしの性欲だな!」
「ああ。俺らにこんだけ犯されて、まだ欲しがるなんてよ。上等だぜ、ぶっ壊れるまで可愛がってやる!!」
 黒人共にも意地があるらしく、顎の汗を拭って桜織に襲い掛かる。正常位で壊れそうなほど腰を打ちつけ、目を疑うほどの剛直を根元まで咥えさせ。それでも、桜織は性に貪欲な姿勢を崩さない。自ら頭を前後させ、唾液を泡立てながら、グジュグジュと凄まじい音を立ててのディープスロートを繰り返す。手は近くにいる黒人の逸物を扱いていたかと思えば、脹脛を抱えて自ら『マングリ返し』の恰好を作り上げ、犯される刺激を強める。
「ひゃははははっ!! すげえ、すんげえ!!」
「見ろよあれ、自分から……!」
「ふむう、なんという変態ぶりだ……!!」
 桜織側のギャラリーは、もはや茶化してすらいない。自分達が求める以上の変態行為を、桜織自身がやってしまうものだから、ただただ堪能するばかりだ。当然、その指は投票ボタンを押し込み続ける。調子のいい沙綾香を遥かに凌駕するペースで、モニターの数字が伸びていく。
 今、沙綾香は62票、桜織は実に170票超。
「あーあー、ここで100票差がついちまったか。こりゃあもう、結果は見えたな!」
「ああ、こっから巻き返すのは無理だ。よほどの事が起きなきゃあな!」
 ステージ下に控える手越とロドニーが、時計を見ながら思わせぶりに語る。明らかに聞かせることが目的の声量だ。それは当然、沙綾香の耳にも届く。
「っ……!!」
 沙綾香は唇を噛んだ。このままではまずい、とは彼女も思っているんだろう。
 桜織は最強のライバルだ。彼女の言動は、変態客の需要と合致しすぎている。そんな相手と渡り合うには、羞恥心を完全に捨て去るしかないが、それには俺の存在が邪魔だ。
 今日の沙綾香は、調教初日に戻ったかのように初々しい。膣内射精をされれば眉を顰める。股を拡げられれば秘部を隠そうとする。俺という足枷があるせいで。
「とうとう負けちまうなあ、お嬢ちゃんよう」
 手越はステージの際まで歩み寄り、沙綾香に呼びかけた。
「う、くっ……!!」
 沙綾香の顔がますます歪む。そんな沙綾香を面白そうに見つめ返してから、手越は俺の方を振り返った。いや、俺じゃない。奴が目線を送っているのは、俺の隣にいる端塚だ。
 端塚は、ゆっくりと頷いた。それを受けて手越が笑みを浮かべ、胸元に手を入れる。そうして取り出したのは、袋入りの錠剤だ。
「な、なに、それ……?」
 目の前に袋を翳され、沙綾香が呻く。
「倶楽部特製のクスリだ。これ単体でもどんなシャブよりキマるが、お前がいつも吸ってるガスとの相互作用も当然ある。これを使ったセックスを一度覚えちまうと、もうコレなしじゃ居られなくなるぜ」
 手越の答えは、説得力があった。沙綾香が規格外の黒人ペニスを受け入れ、狂わされたのは、偏に媚薬ガスの効果だ。それを生み出した技術力でなら、どんな凶悪なドラッグを作れても不思議はない。
「最悪……!」
 沙綾香は呻くように声を絞り出し、錠剤を見つめる。焦りと躊躇が鬩ぎ合っているのが見て取れる。
「怖いか? まあ、そうだろうな。お前は、ガスの効果を身をもって知ってる。興奮状態で黒人共にマワされた時の“ブッ飛ぶ”感覚を、何度も味わっちまってる。コイツを使えば、それ以上になるのも理解してるだろ。お前に多少の根性があろうが、コレを使っちまえば終いだ」
 手越は手にした袋を振り、沙綾香を煽った。その言葉は沙綾香の眉を引き攣らせ、客に嗜虐的な笑みを浮かべさせる。
「ま、使わないってんならそれでもいいぜ。どうせこの審査会でお前が負けても、桜織がセックス地獄に堕ちるだけだ。アイツはむしろ、それを望むだろうぜ」
 続く手越の言葉に、沙綾香は目元と口元を引き締めた。覚悟を決めたらしい。
 桜織は今でも壊れかけに見えるが、あの黒人共に毎日輪姦されるようになれば、それこそ確実に終わる。たとえ助け出されたとしても、二度と元の彼女には戻れなくなる。悲劇に巻き込んだ身として、それだけは絶対に許せないんだろう。
「…………ちょうだい」
 沙綾香は手越を見下ろし、はっきりとそう告げた。客が歓声を上げ、その言葉を待っていたらしい手越も、錠剤を乗せた手を沙綾香に差し出す。
「…………はあ、はあ…………」
 錠剤を受け取った沙綾香は、息を荒げはじめた。
「おいおい、呑んでもねぇのにもう興奮してんのか!?」
「すっかりクスリの中毒だな、お嬢ちゃんよぉ!!」
 客は的外れな野次を飛ばすが、俺には判る。沙綾香の不安が、恐怖が、そして覚悟が。
 と、ここで沙綾香は、俺の方を向いた。これまで不自然なほどに俺から顔を背けていたというのに、真っ直ぐに俺を見つめる。
『私の顔を忘れないで』
 そう訴えるような、強い光を宿す眼で。
「沙綾香……!!」
 俺は、思わず声を漏らす。身体も勝手に前のめりになるが、同時に背後からスタンガンを押し当てられた。
 ステージまでおよそ4メートル。走り出せばものの数秒で抱きしめられる距離。だが、その距離を詰めることは許されない。こんなに近いのに、生々しい匂いさえ嗅げる距離なのに、今までで一番沙綾香が遠く思える。

 そして沙綾香は、薬を呑み込んだ。喉が動き、錠剤が通り抜けたのがわかる。
 嫌な予感が止まらない。ここまで温存されてきた薬物ということは、ヘロイン以上の催淫効果がある例のガスより、さらに強力なんだろう。
「…………はぁ、はぁ……は、はっ、はっ……あっ、あ、は、はあっ……!!!」
 もともと乱れがちだった呼吸が、さらに荒くなっていく。瞳孔が開き、汗が噴き出す。
「ヒューッ、キマってんなあ!」
「クスリって怖ぇな。さっきまであんな気ィ強そうな目してたのに、一瞬でボーッとした感じになって……」
「確かにな。熱出してぶっ倒れる寸前って感じだ」
 客は、薬に侵される沙綾香を見て笑みを浮かべる。そして、沙綾香を取り囲む黒人共も同じくだ。
「ひひひっ、この顔この顔! 昨夜はこの顔が頭に浮かんでよ、ウズウズして寝られなかったぜ!!」
「俺もだ。睨み顔もいいが、このエロい表情が堪んねぇ! 見慣れねぇジャップだから可愛く見えるのかと思ってたが、違うな。ジャップの中でもこいつは別格だ!」
 黒人共は白い歯を剥き出して笑い、沙綾香との距離を詰めた。背後に回ったレジャナルドは、耳元に息を吹きかけもする。
「んひいっ!?」
 沙綾香の反応は露骨だった。肩を跳ねさせ、目を見開いて叫ぶ。空気の流れだけで感じてしまうほど、感度が上がってるらしい。
「可愛いぜぇサヤカ。お前は良いペットだよ」
 レジャナルドはそう囁きながら、今度は沙綾香の胸を揉みしだく。ブレザーとブラウス腰の愛撫だが、今の沙綾香には強すぎる刺激だ。
「ハッ、ハッ……やめ、て……!!」
 嫌がる中でも声が震え、やがて鈴の音が鳴り響く。
「いひひ、敏感になってやがんぜ! スクールガールコスもそそるんだが、ファックにゃ邪魔だな。そろそろ上脱がしちまうか」
 レジャナルドは笑みを深めつつ、沙綾香のブレザーを脱がしに掛かった。
「ちょっ、そんな乱暴に……!!」
 沙綾香は抵抗するが、それによって前が無防備になる。その隙をついて、今度はトラバンがブラウスに手を掛けた。
「そぅーら、御開帳だ!」
 岩肌のような前腕がさらに盛り上がれば、バツンッと音を立ててブラウスのボタンが弾け飛ぶ。そして、乳房が零れ出した。十分に実った果実と、桜色の乳輪、勃起しきった乳首が衆目に晒される。
「おおっ、ノーブラかよ!? お嬢様学校の制服きっちり着といて下着は無しとか、すげえ変態プレイだな!」
「別に、イメージ通りでしょ。学校でもやってたんじゃないの? 女子高だとさぁ、ブラウス越しに勃起乳首見せつけて、男の教師に媚び売るコってたまにいるんだよね。アンタもそうやってたんでしょ、エロガキ!」
「しかし、良い乳だな。乳首は淡いピンクで、あのサイズで垂れていないとは。ティーンの裸はやはり最高だ!」
 客から一斉に罵声を浴びせられ、沙綾香は俯く。悔しそうに唇を噛み締めるのは、薬で朦朧としながらも羞恥心を失っていない証拠だ。そしてその気高さを、また黒人が弄ぶ。トラバンの指先が割れ目に沈み込めば、沙綾香の顎はあっさりと浮いた。
「はああぁうっ!!」
 口が大きく開き、虚ろな瞳が宙を漂う。その結果、彼女の視線は、桜織の方を向いた。
「ひ、ひいっ、気持ちいいっ!! いっ、イクイクっ! し、死ぬううーっ!!」
 桜織のプレイは、さらにハードさを増していた。床に寝そべるアンドレに跨り、なおかつ背後からダーナルに圧し掛かられる形だ。肉が密集していて挿入部分は良く見えないが、前後の穴に入っているのは間違いない。
 桜織にアナルの経験がどれだけあるのかは知らないが、黒人相手のアナルセックスは初めてのはずだ。にもかかわらず、彼女は喜んでいた。舌を突き出し、涎を垂らして。誰がどう見ようと、心地良さしか感じられない顔。
「委員長……」
 沙綾香は、桜織の表情を見て眉を顰める。しかし同時に、その顔つきに見入ってもいるようだった。
「気持ちよさそうだなあ、お前のお友達はよ。お前もああされてえんだろ?」
 トラバンはそう言って、割れ目の中で指を蠢かす。沙綾香を囲む他の連中もそれに倣った。口の中に二本指を捻じ込み、両の乳首を摘んで引き絞り、尻穴にまで指を沈め。
 黒人共の指は太いが、ペニスの代わりには程遠い。それでも沙綾香は、その指責めに翻弄されていた。
「あ、れあっ、あえっ! ああえあっ、えくっ……!!」
 不自由な悲鳴を上げつつ、腰をガクガクと前後させる。乳首を弾き絞られるたび、前後の穴で指が曲がるたび、鈴の音が鳴る。とはいえ、それが聴こえるのも時々だ。桜織の頭部からは、さらにハイペースで音が鳴っているんだから。
「おおお゛お゛お゛っおかしくなる゛う゛う゛っ!!! おっおひりもっ、おまんこもっ、こあれちゃう゛う゛う゛っ!」
 喉へ極度の負担が掛かりそうな絶叫と共に、背を仰け反らせる桜織。沙綾香は、その姿から視線を外せない。親友の姿を視界に捉えたまま、指の刺激に悶えつづける。唾液も愛液の量も尋常じゃなく、鈴の音の間隔も短くなってきた。
「はははっ! あいつ、絶対自分が犯されてる妄想してんぜ!」
「完全に指をチンポだと思ってんな、ありゃあ!」
 客にまで見透かされた、その瞬間。
「れえああああっ!!」
沙綾香は呻きながら震え上がる。あまりにも解りやすい絶頂だ。
「ひひっ、思いっきりイキやがって」
 黒人共が満足そうに笑いながら指を抜けば、その指には光る糸が絡みついていた。
「ハーッ、ハーッ、ハッ、ハッ……だ、だめ、頭、しびぇるっ……ないも、考えらえない…………」
 沙綾香の顔は、異様だった。見開いた眼から涙を零し、開いた口から涎を零す。呂律も回っていないため、まるで失禁した泥酔者のそれだ。
「だいぶクスリが回ってきたな。俺らの指はそんなに美味かったか? なら、次はもっとトべるぜ」
 黒人共は沙綾香の反応を喜びながら、完全に回復した逸物を扱き上げる。
 ドラッグセックスの本番は、ここからだ。


                 ※


「自分で腰を下ろしてみろ」
 床に寝転がったトラバンからそう命じられ、沙綾香が固まる。トラバンの逸物は、『剛直』と呼ぶべき圧倒的なサイズだ。幹には恐ろしいほど血管が浮き立っていて、相当な硬さも見て取れる。クスリの効いている今、そんなものを受け入れるリスクは、沙綾香自身が一番理解しているだろう。
 とはいえ、迷っている時間はない。今この瞬間にも、桜織は身を削るようなハードプレイで点数を稼いでいる。沙綾香とのポイント差は開く一方だ。
 沙綾香は唇を引き結び、トラバンを跨ぐ形で中腰になる。上はブラウス、下はミニスカート姿の女子高生がそんな格好をすること自体、禁忌というべきだ。だが客は、“さらに下”を求め続ける。
「もっと尻突き上げろ、変態らしくよ!」
「スカートも邪魔だな。挿入するところが良く見えるように、上げておきなさい」
 百合や藤花を犯しながらの、高圧的な命令。沙綾香は一瞬それに不快そうな顔を見せるが、結局は命じられた通りに尻を浮かせ、スカートをたくし上げる。
 そして、膝が曲げられた。腰が沈むたびに、太腿の形が変わり、ハイソックスが肉に食い込んでいく。
 鉄球を思わせる亀頭が割れ目に触れた瞬間、沙綾香は一瞬動きを止めた。そして、周りに聴こえるほど大きく喉を鳴らしてから、さらに深く腰を落とす。割れ目が圧縮されたゴムのように左右に広がり、『剛直』を呑み込んでいく。いやというほど見慣れた、日常の光景だ。
 だが。
「はあああっううう!!?」
 逸物が半分ほど入ったところで、沙綾香はいきなり悲鳴を上げた。火に触れたような勢いで腰を浮かせるが、亀頭が抜けた瞬間に響く鈴の音は、動かぬ絶頂の証だ。
「おいおい、どうした? 気持ち良すぎたか?」
「ばっちりイッたもんな、痛いってことはねえよな!」
 客からすかさず罵声が浴びせられる。そんな中、沙綾香は腰を浮かせたまま膝を擦り合わせ、下腹部を見下ろしていた。処女を失ったばかりの時に、股の違和感を探っていた時の反応とそっくりだ。
「よお、どうした。俺の息子が寂しがってるぜ?」
 トラバンは沙綾香を見上げて煽りながら、いきり勃った逸物を振ってみせる。
「はあ、はあっ、はあっ…………!」
 沙綾香は荒い呼吸のままモニターを睨み、姿勢を変えた。今まではトラバンと向き合い、客に尻を向ける格好だったが、今度はその逆……トラバンに尻を向け、客の方を向く形で腰を下ろしていく。なるべく顔を見られない方法を取りたかったが、さっきのやり方では感じすぎてしまうんだろう。
 腰はゆっくりと沈み、また怒張を半分咥え込んだところで止まった。膣奥に達したのかもしれない。昂ったことで子宮が下りているなら、トラバンの巨根を半分も咥え込めば、充分に奥まで届いてしまう。だとすれば、そこから先は地獄だ。肉体的な意味でも感覚的な意味でも、限界の先に行かなければならない。それも、自分の意思で。
「は……はっ、はっ……はっ…………」
 沙綾香は汗まみれのまま俯き、両手を床についた。そしてその手を支えに、大股開きの腰を沈めはじめる。白い下腹と黒い腰を繋ぐ支柱が、僅かずつ短くなっていく。
「んぐっ……はぅウっ……!!!」
 艶やかな黒髪に隠れた顔からは、呻き声も聴こえてくる。
「すげぇ気張ってんな。和式の便所で一週間分のクソひり出してるように見えてきたぜ!」
「確かに。飲み込んでんのも、チンポっつーより、極太のクソって方が近いサイズだしな!」
 客の野次にも、反応する余裕などないだろう。
「うひゃひゃっ、こりゃすげぇ。肉がみっしり詰まって、バージンのプッシーみてぇだ! まあ本物のバージンと違って、中はドロドロに蕩けてるがな!」
 ミリ単位での挿入が続く中、トラバンが喜びの声を上げた。薬の効果で、膣の締まりが一変しているらしい。そしてそれは、沙綾香自身の快感が増しているという意味でもある。
 長く感じる挿入の果てに、とうとうペニスの8割方が挿入された頃。
「──っあああああッッ!!!」
 沙綾香が悲鳴に近い声と共に、顎を跳ね上げた。眉根を寄せ、目を固く瞑っての絶叫。それこそ性経験のない処女が、黒人ペニスを挿入されて泣き叫ぶ姿を思わせる。だが、彼女が味わっているのは苦痛じゃない。糖蜜のような甘さだ。激しく左右に振られる頭からは、リン、リン、と何度も鈴の音が鳴っている。
「オゥ、シィット……なんて締まりだ!!」
 一方のトラバンは顔を歪めながら笑い、ちょうど宙を彷徨っていた沙綾香の手首を引き絞る。
「あああっだめ、だめやめていくううっ!!!」
 背中を反らしたことで、沙綾香の顔は完全に天井を向いた。そしてその姿勢のまま、彼女は痙攣と共に絶頂する。鈴の音はいつもと変わらない響きだが、今度の絶頂は相当深いに違いない。
「ぬうっ……ぐおおおお、搾り…取られるっ!!」
 トラバンも歯を食いしばって呻き、あえなく射精に入った。それを受けて、沙綾香が背後を振り返る。
「え、いやっ、出さないでっ!! 妊娠しちゃう……今、子供出来ちゃうからあっ!!」
 沙綾香は、トラバンが無精子症にされていることを知らない。もし精子が活きているなら、妊娠が確信できてしまう状態、ということか。
 沙綾香のこの発言は、当然ながら客を沸かせた。
「ははははっ、今更何言ってんだ。妊娠なんざ確実だろ、あんなコップ一杯の量をドバドバ注がれてんだから!!」
「まあでも、気持ちはわかるよ。女って中出しされた時に、『あ、これ妊娠するな』ってタイミングあるんだよ。子宮が相手の子供欲しがって疼いて、卵子吐き出しまくるの。まあそういうのって、普通は彼氏以外には起きないんだけどね。あんなゴリラみたいな黒人にレイプされながらとか、ちょっと考えらんない!」
 同性異性を問わず蔑みの言葉が投げ込まれ、沙綾香の心を抉る。
「ふう、う……う、くっ…………!!」
 沙綾香は、頬に涙を伝わせながら膝をついた。そして、根元まで入り込んだ剛直をゆっくりと引き抜いていく。太腿だけが張った華奢な身体はぶるぶると震え、鈴の音も鳴る。そうしてようやく怒張が抜け切っても、悲劇は終わらない。
「くんんんっ!!!」
 テニスボール大の亀頭が外へ弾け飛んだその瞬間、また甘い声が漏れた。そして同時に、開ききった割れ目から飛沫が上がる。精液と愛液の混じった液だ。噴き方はやや不自然だった。勢いよく噴くわけじゃなく、出の悪い小便のように、ぷしゅっ、ぷしゅっ、と小さな飛沫が何度も上がる。その原因は、沙綾香を見ればなんとなく見当がついた。
「あっ、あっ、ああああっ……!!」
 沙綾香は、怒張が完全に抜けた今も、腰を痙攣させつづけている。鈴の音こそしないが、小さく絶頂しているのは明らかだ。その絶頂のせいで膣周りの筋肉が収縮し、潮の出を邪魔しているんだろう。
「はははっ! あのガキ、まーだイってやがる。余韻長ぇな!!」
「ザーメンマンコを見せつけやがって、そうまでしてポイントが欲しいか? いいぜ、ならくれてやるよ。その代わり、もっと楽しませろよ!」
 客は口々に沙綾香を辱め、投票ボタンを押しこむ。一気にポイントが加算されたが、まだまだ桜織との差は大きい。今の沙綾香には、未知の感覚を消化する暇さえなかった。


                 ※


 自分から腰を振る。いかにも変態めいたこの行為を、客は大いに喜んだ。そしてその方向で、次のプレイが指定される。
 あくまで沙綾香が主体となり、騎乗位で奉仕する。黒人を一人射精に導くごとに30票を得る。
 これが、客の提示した条件だ。ロドニー経由で条件を伝えられた黒人共は、面白そうだと快諾した。そして沙綾香もまた、この条件を呑んだ。射精一回で30票は破格の条件だ。残り時間は1時間あまり。それぐらいでなければ、桜織に追い付くことなどできそうにない。

 桜織に掛かりきりの3人を除いた、7人がステージ外周に足を向けて寝転がる。歪な黒い丸太が並ぶような光景は、相当なインパクトだ。
「さあ、とっとと始めろ。時間ねーんだろ?」
 客がそう声を掛けると、沙綾香は7人の左端に歩み寄る。一番左に寝ているのは、タイロン。よりにもよって、10人の中でも最大のペニスサイズを誇る奴だ。
「カモ―ン」
 タイロンは薄ら笑みと共に手招きするが、その馬を思わせるペニスは半勃ちというところだ。タイロンに限らず、他の連中も。ここまでハイペースにセックスを繰り返し、全員が5、6発は射精している。いかに絶倫とはいえ、回復までに時間が掛かようだ。だからこそ、黒人共はこのプレイを歓迎したのか。
「あーら、竿役が元気ないわねえ。こういう時は、女が口で勃たせるのよ?」
「たっぷりしゃぶってやれ。ケツこっちに向けてな!」
「股もちゃんと開いとけよ。ザーメン壷みてぇになってるJKマンコを、たっぷり拝んでやるからよ!」
 客から下劣な命令が飛ぶ。そうでなくても、今のままでは挿入ができないんだから、沙綾香に選択肢はない。
「肝心な時に……!」
 沙綾香は恨めしそうにタイロンを睨みながら、その腰の両側に手をついた。客の命令通り、蹲踞を思わせる大股開きでだ。その状態で頭を下げて剛直を咥え込めば、直視も憚られるほど無様な格好ができあがる。ギリギリ肛門を隠せていないマイクロミニのスカートが、かえって惨めさを強調している。
「ぶっ、あっははははっ!! 見て、すっごい格好!」
「うそー、あそこまでやるんだ。しかも、丸見えとかってレベルじゃないし。尻穴もオマンコも開きっぱなしで、ザーメンが零れてるじゃない」
「終わってるねー。この人数の前であんなカッコするぐらいなら、死んだ方がマシだわ!」
 客はこぞって罵詈雑言を浴びせるが、同性からの言葉は特に辛辣だった。沙綾香もやはり堪えるのか、詰られるたびに前後の穴をひくつかせ、そのことでまた笑いの的となってしまう。
「う、くううっ……!!」
 沙綾香は恥じ入りながらも、大蛇のような怒張へ舌を這わせる。裏筋、カリ首へと、丹念に。その甲斐あって、怒張に張りが戻りはじめた。
「なかなかいいぜ……よーし、そのまま咥えこめ」
 タイロンが命じると、沙綾香は限界まで大口を開け、傘の開いたキノコのような亀頭を口に収める。
「んごっ、はごごっ……うぉも゛あっ、もっがおああ゛っ!!!」
「いひひひっ、こりゃあいい。200ドルで買った娼婦より気持ちいいぜ!」
 サイズがサイズだけに、えずき声が凄まじい。タイロンの逸物は刻一刻と大きさを増し、沙綾香の顔をさらに歪ませる。
「ぷはっ!!」
 沙綾香は怒張を吐き出した。張りを取り戻したペニスは、彼女の顎から額にかけての長さを超えている。それを目の当たりにして、沙綾香は息を呑んだ。自分がこれから、薬に侵された身で受け入れる凶器……しかもそれが頭部以上の長さとなれば、どれだけ恐ろしいことか。それでも、彼女には恐れている時間すらない。モニターを見上げ、強い瞬きで涙を切ると、客の方へと向き直った。
「へっへ、よく解ってるじゃねぇか!」
「いいぜぇ。テメェで腰振りながらイキまくる面ァ、たっぷり拝ませてくれよ!」
 客から好奇の視線を浴びつつ、腰を沈める。亀頭が触れると一瞬動きが止まるが、大きく息を吐いて呑み込んでいく。
「うおお、確かにネットリ絡みついてくるな。こりゃ堪らんぜ」
 タイロンは余裕そのものだ。寝転がったまま口笛を吹きながら、沙綾香の尻を眺めている。勃起こそしたが、まだまだ射精感は薄いらしい。それを絶頂へ導くとなれば、並大抵のことじゃない。
「んっ、ぐ……くあっ、は、あ……うくっ…………あはっ……!!」
 沙綾香の顔は様々に変わった。剛直を呑み込む時には歯を食いしばり、抜く時には大きく口を開く。いかにも辛そうに見えるが、たまに鈴の音が鳴るところからして、実際には気持ちいいんだろう。この倶楽部のドラッグは、拷問のような苦痛をそっくり快楽に変えてしまうらしい。
「やっ、また大きく……だめ、あ………おお゛……ぐうううっ!!」
 沙綾香はまた絶頂した。しかも今度は、格別に深いようだ。顎を浮かせ、薄笑みを浮かべたまま静止する。腰を深く下ろし、膝を掴んだまま震えるその姿は、快便の心地よさに酔いしれているかのようだ。
「おおお、良い顔だ。快感でトロけとるわ!」
「うへぇ。あんな、鉄杭みたいなの自分から咥え込んでアへるとか、頭オカシイ変態ぶりだな。100年の恋も冷めんだろこれ」
 客から待っていたとばかりに罵声を浴びせられ、沙綾香が意識を取り戻す。
「くうっ……!」
 悲痛に顔を歪め、表情筋を引き締める沙綾香。だが、腰を上下させはじめれば、すぐに口が開いてしまう。
「おお゛っ、あぐっ……はああうぐっ!! んあっ、はっぐ、あ、やあ゛っ!!!」
「ひっひ。まるで強姦でもされてるみてぇな声だな」
「なあ。自分から跨って、逆レイプしてるくせによお!」
 規格外の怒張を咥え込む苦しさ。早く絶頂へ導かなければという焦り。そして客からの、容赦のない謗り。それらは確実に、沙綾香の心を抉ることだろう。
「うっへっへ、いいぜいいぜ! ここらが出し時だな。腰を振れサヤカ。思いっきり中に出してやる!!」
 タイロンが足を震わせ、ようやく絶頂を宣言する。それを受けて、沙綾香も腰の動きを早めた。ぐぽっ、ぐぽっ、という音が響き、鈴の音が鳴る。
 そして、射精が始まった。剛直が根元から蠢く大量射精を、沙綾香は腰を深く沈めたまま受ける。射精後に腰が浮けば、割れ目から土砂降りのように白濁が滴り落ちた。
「くくっ。なかなか見応えのある逆レイプだったぜ!」
 客は30回分ボタンを押しながらも嘲り、沙綾香の顔を曇らせる。
 観ていてつらい。だがともかく、これで最大のペニスサイズを誇るタイロンを果てさせた。後はサイズに劣る調教師ばかりだから、刺激は少なくて済むだろう。俺はそう考えた。だが、それは大きな間違いだった。

 二人目の相手はマーキス。タイロンとは逆で、10人中最もペニスの小さい男だ。この男の相手で、沙綾香は大苦戦することになる。
「おーおー、ユルユルじゃねぇか。これじゃ何時間擦られても、イケそうにねぇなあ!」
 沙綾香が腰を下ろした瞬間、マーキスは勝ち誇ったように笑う。
 そう。誇張でなく馬並みのサイズを誇るタイロンのペニスを受け入れれば、膣の筋肉は伸び切ってしまう。そうなったらもう、マーキスの逸物を締めつけることなど不可能だ。多分それを見越して、タイロンが一番手を、マーキスが二番手を選んだんだろう。女を辱めることにかけては、本当によく頭の回る連中だ。
 膣を締められないとなれば、膣奥を擦りつけて絶頂させるしかない。沙綾香は大きく尻を振り上げては落とし、パァンパァンと音を響かせる。それは、子宮口という最大の弱点を自らいじめ抜く行為だ。
「んぐっう、んあァっ、あ゛っ、お、おく奥ぅ゛ッ!! んんん深いっ……お尻に、響いて……あふうっ、あ゛っあ゛! んううう゛う゛っ!!」
 文字通りの肉弾戦を挑む沙綾香は、刻一刻と追い詰められていく。床につく両手と弾む脚は、岩でも支えるかのような力みぶりだ。目は天井を向き、快感で泳いでいる。それだけでも恥ずかしい行為ではあるが、少し時が経てば、状況はさらに悪くなかった。腰を上下させるたび、結合部から放屁のような音がしはじめたんだ。
「ぎゃはははっ、すげぇ“マン屁”だ! 本物のオナラよりひでー音だな」
「ホント、ブリブリ音させて。笑えるー!」
「さっきのでマンコが広がって、空気が入りまくってるわけか!」
 格好の口撃材料を、客が見逃すはずもない。嘲笑と罵声はさらに酷くなり、沙綾香の心をかき乱す。
「ふ、ぐっ……んぐっ、ふうんんっ!! は、早くイって……早く、イってよお……っ!!」
 沙綾香は、羞恥と快感で涙しながら腰を振る。それでも、マーキスは達しそうな気配すらない。笑みを浮かべ、沙綾香の尻穴を指で弄るほどの余裕ぶりだ。
 そんなマーキスをなんとか絶頂させようと、沙綾香は懸命に腰を振り続けた。黒人共の中で最小とはいえ、20センチを超えようという逸物を根元まで咥え込む。それが生半可な刺激であろうはずもない。
「あ゛アぁっあ、イクッいくっ、いッ!! ひっ、ん゛あ……っお、おーーっ……ん゛あっ、あ!!」
 奮闘の中、沙綾香は何度も喘ぎ、絶頂していた。鈴の音が鳴り響き、目はとろんとし、口は開いたまま閉じなくなる。腰は狂ったようなハイペースで上下するが、上半身は前傾したままガクガクと痙攣するばかり。ステージ上のその顔が、ちょうど客の目の高さにあるのが最悪だ。
「おー、すげー……」
「イッてるなあ、これ……」
 客は沙綾香の顔に見入り、ただただ純粋な感嘆の声を漏らしていた。


                 ※


 マーキスが射精に至っても、まだ終わらない。3人目のトラバン、4人目のドミニク……それら全員を射精に導かなければならない。自分から腰を振り、何度も絶頂しながら射精に導く。肉体的にも精神的にも消耗するこの行為を続ける中で、沙綾香は疲れ果てていった。7人目……最後の1人であるダリーとのセックスともなれば、正直見ていられない。
「あ゛、あ! オ、お……オ゛っ!! あっあ……あ゛あんっオオ゛っ、ほおお……っ!!」
 涎の滴る口から、絶え間なく喘ぎが吐き出される。音が濁っている理由はいくつも思い当たった。
 体力的に限界であること。
 力士体型のダリーには普通に跨ることができず、過剰な開脚を強いられること。
 怒張自体の太さが、タイロンと並んで規格外であること。
 その理由全てが沙綾香を蝕み、秒単位で追い込んでいく。
「あはっ、あ、あっ……き、キちゃうっ……だめっ、イク、イクーーーっ!!!」
 沙綾香は天井を仰ぎ、背中を弓なりに反らしながら痙攣する。鈴の音がリンと鳴り響くが、それが白々しく感じられるほど、絶頂の度合いは深い。下腹は意思を持つかのように痙攣し、かろうじてつま先立ちしている脚の震え方も半端じゃない。肉に圧迫されたハイソックスは、今にもはち切れそうだ。
「んおおおおっ……!! へへへ、思いっきりイキやがって。お前はアレだな。イカそうと全力で頑張ってる時より、自分がイッてからの方が具合がいいな。マンコ全体が蠢いてよ、極太のストロー啜るみてぇに、ギュウギュウ搾り上げてきやがる。いいぜ、こいつはとんでもねぇ名器だよ。その甘えっぷりに免じて、濃いのをたっぷりくれてやるぜ!!」
 ダリーはあえて日本語で実況してみせ、客を沸かせながら射精に至る。
「あ、ああ゛……あああ゛ア゛ァァーーっっ!!!」
 沙綾香は、されるがままだった。ダリーの肩に頭を預け、腹部に背を預けたまま、射精を受け入れている。また鈴の音が鳴っているのは、さっきの絶頂の余韻だと信じたい。子宮口に勢いよく精液を浴びせられ、その刺激で新たに絶頂してしまっているなどとは、考えたくもない。
 だがどうやら、その悪い予想が正解のようだ。
 7人を騎乗位で射精させた後、沙綾香は再び輪姦されはじめた。一人が下から挿入し、他の人間が左右から逸物を舐めしゃぶらせるやり方だ。その状況下でも沙綾香は、明らかに膣内射精に反応していた。

「すげー、ずっと“ハメ潮”してる。音エッロ!」
 客の1人が、結合部を凝視して呟く。今はレジャナルドが下になり、沙綾香を突き上げているところだ。客の指摘通り、密着した性器からはずっと水音がしている。逸物が上下に動くたび、あるいは奥深く挿入された状態で円を描くたび、潮を噴いていそうな感じだ。そしてそれを誰より喜んでいるのは、言うまでもなくレジャナルドだった。
「くっは、気持ちいいぜぇ! とろけたプッシーが、舌の塊みてぇに絡みついてきやがる!」
 レジャナルドは上機嫌で笑いながら、沙綾香の太腿を押さえつけて密着させる。亀頭がより深く入り込むようにだ。今の沙綾香にとって、それはクリティカルな行動すぎた。
「うあああっ!! だめ、だめ、だめ……! し、子宮が、痙攣してるの……痙攣、とまんないぃ……!!」
 泣くような声を漏らし、脚を内股に閉じる沙綾香。だが、筋金入りの強姦魔共がそれを許すはずがない。
「おら、しっかり股ァ開いとけ!」
「なに無駄な抵抗してんだよ。こうやって突き上げられんのが、好きでたまんねぇんだろうが!?」
 左右から伸びた手が沙綾香の膝を掴み、力ずくでこじ開ける。
「やあ、いやああっ!!」
「ハッハッハッ、そう喜ぶなって。こっちも、ちゃんとしゃぶってろよ!」
 本気で嫌がる沙綾香の口に、トラバンが逸物を捻じ込んだ。並みのフェラチオじゃない。口を限界まで開かせ、顔の肉をへし曲げ、喉を盛り上げるディープスロートだ。
「あぐっ、おぶっ!! おごぉうっ、ほもごおおお゛お゛っ!!!」
 沙綾香は呻き、激しく身を捩る。だが黒人共は、そんな沙綾香を逃さない。逃げ出そうという本能を強引に抑えつづければ、その末路は内部での爆発しかない。
「んはああああっ!!!」
 沙綾香は、痙攣しながら後ろに仰け反った。これまでにも見せた動きではあるが、今のそれは特に危険そうだ。
「沙綾香っ!!!」
 俺は、不安になって叫ぶ。だがその声は彼女に届かない。
「いやあ、あ……目の前、チカチカって…………あ、頭、があ…………!!」
 沙綾香は痙攣を続けながら、うわ言のように呟く。
「へへへ、また一段とイイ顔になりやがった。オーガズム持続中ってか。いいぜ、もっと浸らせてやれ。醒めるのが早ェと、脳ミソが充分快感を吸わねぇぞ」
 手越がステージ下から指示を飛ばすが、そもそも黒人共に手を緩めるつもりなどなさそうだ。仰け反ったままの沙綾香を抱きすくめるようにしながら、念入りに膣奥を犯し抜く。
「んあああっ、まっ、また奥っ……!! い゛っ、ぐううっ……んんぉおおお゛っ!! おっ、おっ、ほおおっ! いいいくイク、ックイクイクイクイク!!!」
 沙綾香は、ますます正気から遠ざかった。目を見開いた壮絶な顔のまま、卑猥な言葉を叫び散らす。そしてついには、両手で左右の床を叩きはじめた。ピストン音や鈴の音を掻き消す勢いで、バーン、バーン、という音が響きわたる。なぜそんな事をするのか、正確な所は彼女自身にしかわからない。だがおそらくは、そうでもしないと自我が保てないと直感したんだろう。
 そんな壊れかけのサインを前に、さすがの客達も静まり返った。逆に黒人共はゲラゲラと笑い、数人がかりで沙綾香を抱え上げる。
「そんなに奥が好きなら、もっと感じるやり方で可愛がってやるよ!」
 ドミニクがそう言って、背後から挿入を果たした。女児に小便をさせる時の体位……奴が最も好む『逆駅弁』だ。足が宙に浮くあの体位では、踏ん張りが利かない。太い杭のような黒人ペニスを、緩衝なしで受け止めることになる。
「んがっ、あ゛……ッ!!!」
 挿入された瞬間、沙綾香の瞳孔が開いた。正体を失くした顔。『目の前がチカチカする』時のそれだ。
「そーら、たっぷり味わえ。俺様のウルトラコックをよ!!」
 ドミニクは声高に叫びながら、ステージの外周に近づいた。客の前に立ち、結合部を見せつける形でピストンを披露する。
「うひぃっ、あがああっ!! あああ゛、ア……あ、あああああ゛っ!!!」
 沙綾香は、されるがままだった。脚を抱えるドミニクの手を握ってはいるが、振り払うような力はない。相手の意思の通りに膣奥を突き上げられ、透明な雫を飛ばすばかりだ。
 ドミニクは一歩ずつ横に移動しながら披露を続け、とうとう俺の近くに立つ。
「どうだ先生、アンタはこのファックしたことあるか?」
 ステージ上の勝ち誇ったような顔が、憎らしくて仕方ない。
「さぁな、覚えてない」
「そうかい。ま、仮にあったとしても同じだがな。アンタの貧相な息子と、俺達のコックじゃモノが違う。サヤカは、俺らとこの姿勢でするのが好きなんだよ」
 ドミニクは、沙綾香の首筋を舐め上げながら宣言する。沙綾香は上を向き、決して俺と目を合わさないようにしていた。それでも、身体の方は雄弁だ。狂ったようにひくつく陰唇、強張る脚の筋肉、滴る愛液……そのどれもが、女の性感反応の典型だった。
 腹が立つ。俺が握りこぶしを作れば、ドミニクの笑いが深くなる。ピストンの速度も上がっていく。
「あっは……はああ、あ、あがっ……!!」
 激しい突き込みの果てに、沙綾香は激しく痙攣した。鈴の音が鳴り、汗まみれの身体が脱力する。
 腸が煮えくり返りそうだ。自分の愛した女の絶頂を見せつけられるのが、こんなに苦しいとは。
「ひひひ。あんたも災難だねぇ。相手があんな雄の中の雄じゃ、セックスでは勝ち目がないぜ。ま、殴り合いでも勝てっこねぇだろうけどよ」
「気にすんなって、女なんざ星の数ほどいるんだからよ。せめてもの慰みに、めいっぱいポイント入れといてやるから!」
 近くにいる客が、表面上の憐れみと共に投票ボタンを押し込んだ。それを聞いて、はっと気づく。勝負は今、どうなっているのか。
 モニターを見れば、票差はかなり縮まっていた。桜織が527票、沙綾香が515票。さんざん恥を晒した甲斐あって、もう一息で並べそうな勢いだ。それについては嬉しいことだが、もう一つのモニターに視線を移せば、一気に動悸が早まった。
 絶頂回数モニターは、現在カウント3858。4000回まであと142回の猶予しかない。残り20分で140回以上の絶頂など普通はありえないが、今の沙綾香と桜織なら安心はできない。そして当然、それは黒人共も承知していることだ。
「時間も残り少ねぇし、ラストスパートといこうじゃねぇか。ポイントも絶頂回数も、まとめてぶっちぎらせてやるぜ!」
 モーリスが逸物を扱きながら沙綾香に近づく。
「ああ、思いっきり喜ばせてやろうぜ!」
 ドミニクも横へ向き、モーリスの挿入を助ける。すでに背後から膣へ挿入している以上、二穴責めはありえない。とすれば残る可能性は、膣への二本挿ししかない。
「あ゛あ゛っ……やあ、今二本なんて……あ、がっ、んああああ゛あ゛っ!!!!」
 沙綾香は顔を歪ませ、モーリスの肩を掴んで静止を求める。だが、モーリスが止まるはずもない。
「うーっし、カリ首通過だッ! へへへ、コックがゴリゴリ擦れてたまんねーな!!」
「い、ひぎいいっ!! あああ゛さけるっ、裂けるうっ!」
 獣じみた笑みと共に腰が進み、沙綾香の手が強張る。
「ほおお、あの巨根で二本挿しか! 洋物のAVではたまに見かけるが、日本人の子相手となると新鮮だな!」
「こりゃすげぇ。マジでぶっ壊れちまうかもな!」
 客は目をギラつかせて沙綾香を凝視し、次々に投票ボタンを押し込む。
「凄い……気持ちよさそう」
 やや離れた場所で犯されている桜織も、沙綾香を見て興味を示した。
「ああ、アイツはあの二本挿しが大好きだからな。お前もやってみるか? とんでもなくハードだがよ」
「あはっ、したい!!」
 より刺激の強い行為と聞いて、桜織が断るはずもない。
「あああああっ!! あはっ、こっ、壊れちゃう!! くはっ、あ、あああ゛凄いいいいっ!!!」
 ジャマールとアンドレから二本挿しを受け、桜織が歓喜の声を上げる。顔は痛みで引き攣っているのに、口から漏れる声はひたすら甘い。それは、彼女の異常性を嫌でも認識させるものだ。

 そこから桜織と沙綾香は、横並びで犯され続けた。
「そら、気持ちいいだろ!? イケっ、イッちまえ!!」
「くくくっ、すげえ締めつけだ! はち切れる寸前の輪ゴムみてぇだぜ!」
 2人一組になった黒人共に、一切の容赦はない。鍛え込んだ分厚いガタイで獲物を挟み込み、黒い凶器を突き立てる。小柄な桜織などは、身体のほとんどが黒人共に隠され、手のひらと膝下だけしか見えない。
「ああがあああっ、はああうっう゛っ!! おっ、おちんぽでっ、おちんちんで浮かされてるううっ!! んはあうううぐっ、はあああおおお゛あう゛っ!!!」
 彼女は悲鳴を上げ、手足を暴れさせていた。痛みで泣き叫んでいるようにしか見えないが、頭のカチューシャからは音が鳴り続けている。むしろ絶頂のペースが速すぎて、モニターの表示が追いついていない有り様だ。
 そして、余裕がないのは沙綾香も同じ。彼女の場合は太腿まで見えているが、それだけに脚の強張りが一層判りやすい。
 何度も経験があるせいか、ドミニクとモーリスは二本挿しに慣れていた。たとえばある時は、呼吸を合わせ、交互に膣の深い部分を突き上げる。
「はあう、いぎいいっ!! んぐ、ぃいいっ!! い、あ、あああうぐうっ!!」
 サイズ違いの逸物を交互に突っ込まれるせいで、挿入感に慣れることができないのか。沙綾香の反応は、どちらか単体を相手にするより明らかに激しい。脹脛の肉は横に張りっぱなしで、ローファーを履いた足はずっと垂直の位置を保っている。
 だが、沙綾香が一番追い込まれるのは、交互に突きこまれる時じゃない。
「よーし、だいぶこなれてきたな。そろそろ“アレ”いくぜ?」
 モーリスが周りに聴こえる声で囁きながら、ドミニクとアイコンタクトを交わし合う。そして奴らは、円を描くように腰を動かしはじめた。黒人特有のしなやかなバネを存分に生かした、横方向の突き。それを2人同時にやれば、巨大なペニスが膣内を蹂躙し、出鱈目にこじ開ける結果となる。そして沙綾香は、これに一番弱かった。
「はあああっ!? や、やめ、これだめえ゛っ!! あそこが、あそこが開いちゃ……はああう゛う゛っ!! だ、だめイクっ、いくいくイクイクッ!!!」
 大口を開き、ローファーをモーリスの肩より高く掲げたまま痙攣させる。二本の剛直にこじ開けられた割れ目からは、白く濁った雫が雨垂れのように滴っていく。壮絶な逝きぶりだ。
 それでも、沙綾香は踏ん張っていた。同じような責めを受けている桜織より、明らかに絶頂のペースが緩い。気を抜けば絶頂し続けてしまうところを、必死で堪えているに違いない。
「へっへ、頑張りやがって。耐えきれると思ってんのか!?」
 モーリス達は沙綾香を嘲笑い、より激しく腰を使いはじめた。射精すればすぐに別の人間に入れ替わり、徹底して追い込んでいく。
「ああああ゛っ、あはあああ゛っ!! あ゛、あ゛お゛っ、ひいく、イ……ックぅ……う゛っ!!!」
 沙綾香は絶頂に追い込まれながらも、モニターを睨み上げながら死に物狂いで耐えた。
「すげぇな、意地のぶつかり合いだ!」
「根性あんな、あのお嬢ちゃん!」
 クライマックスの攻防を、客は興奮気味に見守る。

 そして、終了のブザーが鳴り響いた。
 最後の最後まで票が投げられていたその結果は、桜織が654票、沙綾香が662票。終盤のハードプレイがだいぶ票を伸ばしたらしく、僅差で沙綾香の勝ちだ。そして、絶頂カウントも3996で止まっている。デッドラインの4000回まで、ほんの4回分。死に物狂いで耐えていた沙綾香の頑張りが、見事に効いた形だ。
「すげー。あのエロいガキ、勝ちやがった!」
「途中までリードされてたが、最後で一気に捲ったな。根性勝ちってやつか」
「しかし、あの桜織という娘も大したものだよ。あの体格差の相手に輪姦されて、最後まで失神しないとは。大したマゾ奴隷ぶりだ」
「いやー、見応えのあるショーだったぜ!」
 客は興奮冷めやらぬ様子で感想を語り合う。そんな中、怒張を引き抜いた黒人共が、改めて沙綾香達を抱え上げた。親指で割れ目を、その他の指で肛門を割りひらき、輪姦の結果を見せつける。
「うっは、すげぇ! 粘膜が捲れかえって……アナルローズにマンコローズってか!?」
「前の穴が特にひでぇな。まあ、あの極太を二本も突っ込まれりゃ当然か」
 客は沙綾香達の性器を見上げ、下卑た笑みを浮かべる。
「えへっ、めくれちゃったぁ……」
 桜織にも、似た笑みが浮かんでいた。視線に晒される状況に興奮しているようだ。
 一方の沙綾香は、顔を横に向けてぐったりとしていた。呼吸は荒く、汗もひどい。指の一本も動かせないほど疲れきっているようだ。審査会で勝つために、力という力を振り絞ったんだろう。
 そして彼女は、見事にやってのけた。彼女の意地を通しきってみせた。

 ただ、その代償は大きい。俺はこの後、それを思い知らされることになる。審査会後の恒例である、夜通しの輪姦の中で……。