Part.6(中編)の続きで、『審査会後のドラッグセックス』シーンです。


 
 フロア中から、男女の行為の音が響いてくる。興奮した客が、百合・祐希・千代里・藤花と桜織を相手に、性欲を発散しているせいだ。
 連中の熱意は凄まじい。黒人共の『ラッシュ』さながらに、5人の少女に群がり、犯し抜く。100人を超える数がいるだけに、百合達は休む暇もない。

 そして沙綾香は、ステージからその光景を見下ろしていた。『審査会』が終わった時点で制服は脱がされ、頭の装置も取り去られ、生まれたままの姿で黒人共に囲まれている。
「そら、もう一錠くれてやるよ」
 口に錠剤を放り込んだダーナルが、沙綾香の唇を奪う。
「う……っぐ」
 沙綾香は嫌そうに眉を顰めるが、唇を奪われている以上、最後には薬を飲み下すしかない。その効果は、すぐに表れた。
「……あ、はっ……はっ……! あ、へぁあ…………っ!!」
 沙綾香の目が開き、天井のライトを見つめる。額からは汗が吹き出し、口はパクパクと開閉する。
「なんだそりゃ、エサ欲しがる鯉のマネか?」
「しゃあねえ、刺激をくれてやるか。ちっとだけな!」
 沙綾香の左右を固めるダリーとジャマールが、笑いながら沙綾香の乳首に吸いついた。
「んはあああっ!!!」
 沙綾香は肩を跳ね上げ、目を泳がせる。
「おっ、可愛い反応しやがって。よーしご褒美だ、こっちも舐めてやる」
 正面のトラバンも、沙綾香の脚を押し開いて秘部に口をつけた。
「あヤッ……やっあ、んんっ、くふんんんっ!!!!」
 沙綾香の脚は、最初こそ暴れたが、すぐに大股開きで静止する。腿の肉が弾む形。両脚の付け根を起点に、快感が走りつづけてるんだろう。
 じゅぱじゅぱと品のない音をさせて、三つの口が性感帯をしゃぶり回す。荒々しくはあっても、特に激しい責めでもない。けれどもそれは、着実に沙綾香の反応を変えていった。
「…………あふっ、ふあ、ぃふっ……ひっは、はっ……はっ…………」
 沙綾香の表情が、緩んでいく。眼球は虚ろなまま上を向き、半開きの口からは涎が垂れていく。
「段々と、トリップまでの時間が短くなってきましたな」 
 俺の横で、端塚が呟く。奴が口を開くのは、決まって目論見通りに事が進んでいる時だ。
 確かに、あの表情になるまでの時間は短くなっている。常に絶頂近くをキープさせられているのか、あるいは快感の耐性が下がっているのか。いずれにしても、まずい傾向だ。
「見てみろよ、お友達がガンガン犯されてんぜ。気持ちよさそうだなあ?」
 ダーナルが沙綾香の頭を掴み、強引に祐希達の方を向かせる。
 ステージ下のプレイは、タガが外れたように激しさを増していた。
 前後左右から手足を掴み、物のように扱いながら犯したり。
 マングリ返しの恰好をさせ、膣に挿入したバイブを踏みつけたり。
 2人の膣を双頭バイブで連結させたまま、イラマチオを仕掛けて腰を振らせたり。
 こうした責めに、5人はそれぞれ違う反応を見せた。百合は粛々と道具を演じ、千代里は羞恥に泣き、藤花と祐希は戸惑いながらも快感に狂う。そして桜織は、逆に客を涸れさせるような勢いで逸物にむしゃぶりつく。
 欲望と感情が渦巻く、酒池肉林とでも呼ぶべきその空間を、沙綾香は蕩けた瞳で見下ろしていた。呼吸が荒くなり、白い身体がぶるっと震え上がる。
「あ、ああ、あ…………んっふ、ぁあああああっ!!!」
 そして、沙綾香は潮を噴いた。割れ目に口をつけていたトラバンが笑いながら仰け反ると、噴き出した潮はステージ下にまで飛び散っていく。
「はっ、はっ…ほっ、ほおっ……お、はほっ…………!!」
 潮噴きの勢いも相当だが、その後の反応も普通じゃない。割れ目を痙攣させ、腰を上下に揺らし、呆然とした表情で腹部を見つめる。その様子に、黒人共と客が一斉に噴き出した。
「アハハハハ!! なんだよ、腰ヘコヘコさせて! 舌でベロベロ舐められたのが、そんなに気持ちよかったか!? ほんとにスケベなんだな!」
「クリの勃起もやばいね。吸引器しまくった後みたいになってんじゃん!」
 羞恥心を煽る言葉が次々に浴びせられるが、沙綾香はその言葉も、視線もかわせない。
「いい具合に出来上がってんな。二本挿しでユルくなった穴も、そろそろ締まりが戻っるだろうしよ、そろそろ二回戦始めようぜ!」
 トラバンが焦れた様子でロドニーの方を見る。ロドニーもまた手越と顔を見合わせ、頷いてみせた。
「よし、いくか!」
「ああ、思いっきりやるぜ。休憩挟んだおかげで、ミルクもたっぷり溜まったからよお!」
 黒人共は歓声を上げ、客も宴の始まりを察して歓喜する。そんな中、沙綾香の表情だけが暗い。今犯されたらどうなるか。彼女はそれを、一番切実に感じていることだろう。



「へへへ、一番手ってのは久しぶりだ。中途半端にモノがでけぇと、大抵後回しになっちまうからなあ」
 トラバンは沙綾香の股を開かせると、腹の上に逸物を置いた。連中がここぞという挿入前に好んでやる、サイズのアピールだ。モーリス・ダリー・タイロンのトップ3に次ぐ剛直、その先端は悠に臍を超える。
「ふーっ、ふーっ……!」
 沙綾香には緊張が見えた。息は乱れ気味で、視線は恐ろしそうに下腹部を彷徨う。だがトラバンが笑い声を漏らせば、不服そうにその顔を睨み上げた。その強気な姿勢が、また黒人共の笑みを深める。
「ほお、まだ睨む気力が残ってんのか。今こいつを咥え込めばどんなにヤバイか、自分でも解ってるだろうによお」
 トラバンは沙綾香の視線を受け止めたまま、怒張をひくつく割れ目へと宛がった。そして、一気に腰を沈める。
「ふっ……あああっっ!!」
 挿入されたその瞬間、沙綾香は大きな反応を示した。顎が浮き、視線が情報に投げ出され、舌が突き出る。腹を思いっきり殴られでもしたような、激しい反応だ。
「ひひひひっ、こりゃすげぇ!! 締まりが戻ってるどころか、いつも以上にギュウーッと吸いついてくるぜ!?」
 トラバンは大喜びで腰を振る。奴が深く突きこむたびに、沙綾香からは悲鳴のような声が漏れた。両脚は挿入を嫌って内に閉じようとするが、トラバンは膝を掴んで180度近い開脚を強制し、これでもかと腰を突きこむ。
「んぎぃいいっ!!!」
 開脚時の絶頂の声はすごかった。俺からは見えない位置の内股が、思いっきり強張っているのが目に浮かぶようだ。
「沙綾香っ!!」
 祐希と藤花が、ほぼ同時に声を上げた。あの子達も意思に反した深い絶頂経験があるだけに、見ていられなくなったんだろう。友情という、純粋な想いからの行動。だが今の沙綾香にとって、それは逆効果だったようだ。
「はっ、はあっ、はあっ……み、見ないで……っ!!」
 沙綾香は消え入るような声でそう言うと、両腕で顔を覆う。
「おいおい、お友達相手になに顔隠してんだ!? 見せてやろうぜ、全部よお!」
 トラバンはますます調子に乗り、挿入したまま沙綾香の腰を持ち上げた。奴の言葉通り、ステージ下から“全部”が見えるようになる。出入りする黒い剛直も、痙攣しながら上下に揺れる腰も。
「んんっ、や、いやっ! あっ、はあっ……んくっ、お、ほおっ……!!」
 沙綾香は、かなり感じているようだった。奥を突かれるたびに絶頂しているのかと思えるほど、腰がカクカクと動いていた。
「ハハハハッ、気持ちよさそうに腰うねらせやがって!」
 トラバンは沙綾香を嘲笑いながら、さらに腰の振りを激しくする。腰を思いっきり引き、カリ首が覗くほど怒張を引き抜いてから、一気に奥まで挿入する。それを繰り返し始めたんだ。パァンパァンという凄まじい音が響き渡り、沙綾香の声もトーンを増す。
「んほおおおっ、お、奥……奥いやあっ!! あああ゛い゛や゛っ、い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
 沙綾香の示す反応は、どれもが異常だった。後頭部をステージ端ギリギリに擦り付け、首に筋を浮かせながら大口を開ける頭部も。顔から離れ、腰を掴むトラバンの腕を握りしめる手も。ブリッジの体勢のまま、筋肉の形をそのまま浮き立たせて痙攣する脚も。
「んふっ、すっごいイってる。羨ましー」
 桜織が半笑いで呟いた通り、半端ではない絶頂が見てとれる。
「いいぜ、いいぜぇ!! プッシーが、先走り汁飲み干す勢いでヒクつきっぱなしだ。つい何日か前までヴァージン同然だったガキが、エロくなったもんだなあ、ったくよお!!」
 トラバンは具合の良さを叫び、激しく腰を打ちつけ続ける。その度に少しずつ沙綾香の身体がずれ、ある時ついに頭がステージからはみ出した。汗に濡れた髪を海藻のように垂らしたその顔は、やはり普通のものじゃない。
 見開いた眼は客席の方を向いているが、焦点が定まっていないのは明らかだ。口も開いたまま、酸素を求めるようにパクパクと開閉している。トラバンが腰を打ち込むほどに、痙攣も激しく、細かになっているようだ。
「うあっ、ああはああぁっ!! いやっ、どうにかなっちゃう……なにも、考えられない……あ、あイクッ、いくっ……うあああああっ、あああああああっ!!!!!」
 沙綾香は痙攣しながら異変を訴え、更には狂ったように叫びはじめた。どう楽観的に見ても、異常な反応だ。
「さ……!」
 思わず声を掛けたくなるが、さっきの祐希達の行動が脳裏を過ぎり、声が途切れる。
「おーすげぇすげぇ、プッシーがヒクヒクして止まんねぇな。奥のこの、コリコリした子宮を刺激されるのが良くてたまんねぇか!? いいぜ、たっぷり刺激してやるよ。ジャパニーズなんぞじゃ及びもつかねぇ、俺のこのディックでよ!!」
 追い詰められる沙綾香を見て、トラバンはいよいよ調子に乗りはじめた。持ち上げていた腰を下ろすと、沙綾香に上から覆いかぶさる。より体が密着するように。より深くを犯しやすいように。今の沙綾香にとっては最悪の体位だ。
「かはっ、あ゛……!! ッううう、うう……っは、っは、っは……イクッ、イクッ、ッあああーーー!!!」
 彼女は、顔を左右に振りながら絶叫し、手足をトラバンに絡みつかせる。
「くひひっ、必死にしがみついて……まるで恋人じゃねぇか!」
「ああ。身体は正直だな、ホントによ!」
 客は茶化すが、あれはトラバンが愛おしくて抱きついているわけじゃない。相手の動きを鈍らせるためだ。そしてそれを、他の黒人共も見抜いたらしい。
「こうすると、もっと気持ちいいぜ?」
 口元を吊り上げたダーナルが、沙綾香の右足首を掴み上げる。同じくアンドレも左足首を掴み上げ、マーキスの背中より高く掲げさせた。ただ、脚の形を変えさせただけ。しかしそれが、今の状況での決定打となった。
「くぁあああああっ!!!」
 沙綾香の口から悲鳴が上がる。Vの字に持ち上げられた脚は激しく震え、5本の足指をそれぞれ別方向に開いたまま、付け根にくっきりと骨を浮かせる。よほどの痛みか快楽がなければ起きない反応だ。
「ひはははははっ、ますます締まりがよくなったぜ! ジムでインストラクターの女を犯した時以来だ! よし、いい機会だ。あのギャンギャン煩ぇ女に泣き入れさせたヤり方してみっか!」
 トラバンは碌でもないことを口走りながら、腰の動かし方を変えた。上下に打ちつけるのをやめ、腰を密着させたままグリグリと円を描きはじめる。ポルチオ刺激を目的とするなら、おそらく最も効率のいい責め方だ。日本人のペニスでやっても相当に響くだろうが、25センチはあろうかというトラバンの逸物でそんなことをやられれば、『刺激的』などではすまない。
「っぉ、ほおおおおっ!! やあっ、奥、奥ゥうう゛ッッ!? だめ、だめこれ……いきっ、イキすぎる!!! お、お願いやめて、許……ん゛お゛っ!! あああ、おしっこ出るっ、おしっこでちゃうっ!!!」
 沙綾香は叫び、暴れ、脚を震わせながら失禁する。
「おーおー、いい狂いっぷりだ。マジであの女思い出して興奮してきたぜ。ご褒美だ、濃いのをたっぷりくれてやるよ!!」
 トラバンはゲラゲラと笑いながら腰をうねらせ、密着状態で射精に入る。
「あ、あああっ!?」
「へへへへ、解るか? 子宮口グリグリこじ開けて、子宮ン中に直で精子を送り込んでんだ。惚れた男の前で受精すんのは気持ちいいだろ、ファッキンビッチ!」
 犯し方も意地が悪ければ、吐く言葉も最低だ。目を瞑って射精に耐えていた沙綾香は、その一言で目を見開き、泣きそうな顔になる。俺はそれを見て、我慢ならなくなった。
「心配するな沙綾香、そいつらに妊娠させる能力はない!!」
 俺がそう叫んだ瞬間、視線が俺に集まった。沙綾香も、客も、調教師連中も。
「…………勝手は困りますな、先生」
 端塚が露骨に迷惑そうな顔を見せるが、それは俺の狙い通りだ。
「え、そうなのか……?」
「あんなに濃いのを、大量に出してんのに?」
 客も戸惑いを見せている。場は少し盛り下がったのがわかる。
 だが、肝心の黒人共の表情は変わらなかった。相も変わらず目を血走らせ、沙綾香を犯すことだけを考えている。
「へへへ、バレちまったか。ああそうだ、俺らのザーメンにゃガキを孕ませる力はねぇ。だがな、俺らが膣内に出すのは、そもそも妊娠させてぇからじゃねぇ。俺らのコックの味を覚え込ませるのが目的よ。プッシーを思いっきり突きまくって、奥に射精してな。実際アンタの彼女は、もう俺らとのセックスにメロメロだぜ?」
 トラバンは相も変わらず笑みを湛えたまま、精液まみれの逸物を引き抜いた。そしてそのトラバンと入れ替わる形で、アンドレが沙綾香の前に立つ。
「ああ、やだ……まだ、痺れが……!!」
 両脚を痙攣させたままの沙綾香が首を振るが、アンドレは聞き入れない。

 そこからは、立て続けだった。10人の黒人共が順に入れ替わり、覆いかぶさる格好で沙綾香を犯す。前の奴の精液を掻き出す勢いでピストンを繰り返してから、腰を密着させて円を描く。確実に効くと判っているからか、あるいは嫌がらせなのか、全員がそのセックススタイルだ。
 その中で沙綾香は、着実に追い詰められていった。
「いっ、イグっ、イグイグううっ!! もお無理っ、もお無理いいっ!! イキすぎて、頭溶けちゃう……お願い、抜いてえっ!! あああ゛っまたイグッ、ぃグッ!!……まだイギすぎてっ、あそこっ、バカになるうう゛っ!!!」
 知性を感じさせない、けれども危機感だけは生々しく伝わってくる絶叫。それが延々と続いていた。客や黒人共は、それを大いに笑い飛ばす。俺は何度も沙綾香の名前を呼んだが、彼女に反応する余裕はないようだった。


                 ※


 10人全員が射精し終えた頃、沙綾香はもうボロボロだった。Vの字に掴み上げられた両脚は、いつまで経っても痙攣が収まらない。顔は高熱に浮かされながら長距離を走らされたような有様で、汗はもちろん、涙と唾液の量が凄まじい。粘液でパックでもしているような有様だ。
「いいツラになったなぁ、サヤカ。俺らとのセックスは病みつきになんだろ。他の奴とのじゃれ合いなんざ、思い出せねぇぐらいによ?」
 黒人共は、濡れ光る怒張を誇示して俺を見下ろす。俺を狙い撃ちにした挑発。腸が煮えくり返りそうだ。
「もう、やだよ……。審査会、全部やったよ。あたし、疲れた……センセの所に、帰りたいよぉ……!」
 沙綾香が身を掻き抱いてしゃくり上げる。その姿に、その言葉に、ますます胸が苦しくなる。
 俺もそうだ。沙綾香と幸せに暮らしたい。時にはふざけながら愛し合い、一緒に年を取っていきたい。だが、そんなささやかな願いは叶わない。
「イカせ続けろ。徹底的にメスの悦びを教えてやれ」
 手越は、薄ら笑いを消さずにそう命じる。その命令がなくとも、黒人共に獲物を解放する気などなさそうだ。奴らは同情するどころか、縮こまって泣く沙綾香を見て、ますます怒張をいきり勃たせているんだから。
「あ、いやっ、いやあっ!!」
 必死に逃げようとする沙綾香が捕らえられ、這う格好を取らされる。そしてそのまま、背後からジャマールが腰を突き入れた。
「んあああ゛っ!!!」
「へへへ。俺のはちっと下反りだから、正常位よりバックの方が気持ちいいだろ。このままズルーッと、子宮口の方まで満たしてやるぜ」
 奴は沙綾香の太腿を掴み、さらに腰を押し進めていく。そして根元まで挿入しきると、そこで腰を止めた。
「おーお、きたきた。コックにフィットするどころか、もうグニグニ蠢いて咀嚼してやがる。もっと刺激してくれって催促か? 可愛いプッシーになったもんだな」
 ジャマールは心底嬉しそうに笑う。沙綾香は首を振って否定しようとするが、腰が使われはじめれば、その余裕すらなくなってしまう。
 ジャマールの挿入は真横ではなく、やや斜め下……臍側を狙うものだ。蕩けた子宮口を狙い撃ちにしているんだろう。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!」
 短く重苦しい沙綾香の呼吸、その手足の張り具合からしても、急所を叩かれ続けているのは間違いない。
「はっは、気持ちよさそうですなあ!」
「ええ。ドラッグで発情させられたまま、黒人のペニスを後ろから嵌められるんですからね。あんな快楽を味わったことのある日本人の女は、ほんの一握りでしょう。ましてやそれを十代で覚えてしまったら、もう真っ当な道には戻れませんよ!」
 客は鼻息荒く語り合う。そんな中、ステージではダーナルが沙綾香の前に立った。いや、ダーナルだけじゃない。アンドレも、ドミニクも同じく仁王立ちしている。
「上の口が寂しいだろ? くれてやるよ!」
 ダーナルは、沙綾香の髪を掴んで強引に顔を上げさせ、水平にいきり勃った怒張を咥え込ませる。
「んごぉおっ!? おごっ、あがっ!!」
 沙綾香は当然パニックを起こす。今あの子は、肉体的にも精神的にも余裕がない。背後から犯されるだけでも、全身を強張らせて耐えるのがやっとだろう。だが、ダーナルはそんな事情を酌みはしない。性欲を優先してか、あるいはトドメを刺すつもりなのか。大きな手で後ろ髪と顎を鷲掴みにして、口一杯に頬張らせる。
「ううわ、容赦なーい!」
「あんなペットボトルみたいなのを、前からも後ろからも……地獄だね。あたしなら気絶しそう!」
 甲高い声で笑うのは、女性客のグループだ。煌びやかなドレスに身を包んでいるが、同性の悲劇を嘲笑うその性格は極めてどす黒い。
「そら。舌も喉も使って、たっぷり味わえよ。大好きな“フランクフルト”だぜ!」
 ダーナルはますます腰の振りを早めていく。完全に膣を犯す時のスピードだ。早いが、だからといって浅い抜き差しじゃない。沙綾香の白い喉は、秒単位で膨れては凹んでいるんだから。それを受ける沙綾香に、余裕はなかった。
「んぼっ、ふぶっ!! んぼおおっ、お゛っ、お゛ッろエおお゛えおッ!!!」
 眉を垂れ下げ、鼻の穴を膨らませ、涙と涎を垂れ流しながら、壮絶にえずき続ける。いつになく苛烈なその反応に、ステージ下からは笑い声が途絶えない。
「うははははっ、こりゃいい! 喉がよく狭まって、奥まで突っ込むたびにカリ首がコリコリ扱かれるぜ! 舌の動きもすげぇな。出鱈目に暴れながら、竿をベロンベロン舐め回してきやがる!!」
 口を犯すダーナルは大喜びだ。それを聞いて、後ろから膣を犯すジャマールも笑みを浮かべた。
「ほお、前もか。プッシーもだいぶ様子が変わってるぜ。ヌルヌルの襞が愛おしそうに絡みついたまんま、奥に奥にって呑み込んできやがる。掃除機の先っぽで吸われてるみてぇだ!」
 奴もまた歓喜の声を上げながら、激しく腰を打ちつける。

 俺には、奴らの言葉が恐ろしくて堪らない。口も、膣も、反応が変わっているという。それが誇張でもハッタリでもないのは、満面の笑みで猿のように腰を振っている姿からも明らかだ。
 そして俺自身、沙綾香に異常が起きているのは見て取れた。犯されて苦しんだり、嫌がっている姿は散々見てきたが、今の反応はそのどれとも違う。

『悦び』

 そんな単語が、真っ先に思い浮かんだ。
 彼女は黒人共に犯されながら、それを悦んでいるように見える。
 例えば、喉奥まで突っ込まれている時、彼女の顔は苦悶一辺倒だ。だがそのペニスが引き抜かれ、口内にまで戻った途端、沙綾香の舌はその亀頭を舐め回しているようだった。最初は見間違いかとも思ったが、毎度のように口から舌が覗き、頬が蠢くんだから間違いない。
 膣の方も同じくだ。ヒクヒクと上下に蠢き、うねる腰つきは、どう見たって甘い。奥へ奥へと呑み込んでいるというジャマールの言葉が、はっきり信じられてしまうほどに。
 そしてそれらは、ダーナルやジャマール相手に限らなかった。口や膣を埋める相手が変わっても、沙綾香は同じ動作をする。
「おいおいおい、マジかよ。こいつ、本当にベロベロ舐めてくるじゃねぇか!!」
「はははははっ!! 確かにこりゃ、たいしたバキュームプッシーだな。娼婦も顔負けだぜ!」
 黒人共からは、次々に驚きの声が漏れた。それこそ、誰に対しても沙綾香が『悦んで』いる証拠だ。
 当然というべきか、沙綾香はそうした反応を止めようと足掻いてもいた。口を犯す相手の太腿を押しのけたり、背後から犯す相手の手を握りしめたり。そしてほんの少しでも口が自由になる時があれば、頭を激しく振って、必死に何かを振り払おうとしていた。
「あーあ、あんなに頭振っちゃって」
「気持ちはわかるけど、あんなことしたって無駄だよねー。だって、脳味噌自体が溶けてるんだから」
 客の女が、経験を交えて嘲笑する。そして黒人共もまた、沙綾香の必死ぶりに笑みを深めながら、ダメ押しとばかりに怒張を舐めさせる。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!」
 鼻先に怒張を押し付けられ、沙綾香は激しく息を乱していた。怒張を見下ろす眼も、開いた鼻孔も、開いたまま涎を垂らす口も……そのどれもが、愛らしい彼女のイメージと決定的に違う。
「見たまえ、あの顔を。完全にトリップしているようだ」
「もうエロいっつーより、怖いぐらいだな……」
 客の指摘通り、異常としか思えない顔。
 駄目だ。
 俺は、その顔を見て直感した。あれは、本当に駄目だ。ここでどうにかしないと、本当に取り返しのつかないことになる。

「さ、沙綾香あああああああっ!!!!!!」

 俺は、無意識に椅子を蹴って飛び出していた。全力疾走でステージに駆け寄り、沙綾香の方に手を伸ばす。
「せん、せ……? センセ、センセ!!」
 沙綾香も一瞬虚ろな視線を向けた後、わずかに眼力を取り戻して手を伸ばしてくる。
 だが、その手が触れ合うことはなかった。
 あと数センチで沙綾香に触れられるという、その瞬間。強烈な痺れが全身に走った。
「あがああっ!!!」
 悲鳴を漏らしながら、あえなくその場に崩れ落ちる。
 痛い。とんでもなく痛い。あまりの痛みで、体のどこにも力が入らない。
「いやあっ、センセ!!」
 沙綾香の叫び声が聞こえるが、顔を上げることすら不可能だ。
「はっ、はっ、はっ……!!」
 閉じない口から唾液が垂れていく。手足が痙攣して、言う事を聞かない。
 ああ、そうか。沙綾香も、こんな風なのか。肉体が自分の意思とは無関係に反応するというのは、こんなに心細く、恐ろしいものなのか。
「なに、アイツ?」
「“先生”とか呼ばれてたな。もしかして、学校の教師か?」
「はは、すげえ痙攣してる。よかったな先生、生徒と同じ気分味わえてよお!!」
 客も俺に注目し、一斉に罵声を浴びせはじめた。これもまた屈辱的だ。沙綾香の苦しみが、本当の意味で実感できた。こんな、最後の最後で。
「……貴方にこんな物を使うなど、心苦しい限りですよ」
 硬い足音を響かせながら、端塚が声を掛けてくる。かろうじて視線を上げると、警棒式のスタンガンを握る白手袋が見えた。そして直後、俺はスーツ姿のセキュリティに肩を掴まれ、椅子に引きずり戻される。

「お触りはなしだぜ、先生。アンタはそこで寛ぎながら、ただ眺めてりゃあいい。このお嬢ちゃんが俺らの物になるのをな」
 ダリーが俺を見下ろして笑いながら、沙綾香の割れ目に怒張の先を宛がった。
「ふっぎいい、いいい……っ!!」
 最大級の太さを挿入され、沙綾香は声を上げる。掠れた悲鳴のようなそれは、苦しみの呻きにも、快感の喘ぎにも感じられた。
「ほら、言ってやれサヤカ。俺らのコックが、好きで仕方ねぇんだろ? もう離れられなくなっちまってんだろ?」
 ダリーはそう言いながら、背後から沙綾香の胸を揉みしだく。半分以上が入り込み、確実に膣奥まで届いているだろう剛直をゆっくりと前後させてもいる。
「あああ……いや、いやああ……っ!! み、見ないでぇっ、センセ……!!」
 沙綾香は顔を背け、ステージ下の俺から表情を隠す。
「沙綾香っ!!」
 俺が叫んでも、聴こえているのかいないのか、沙綾香の様子に変化はない。
 そして俺のこの叫びは、沙綾香以外の人間の興味を惹いたようだ。
「……ねえ。あんた、“先生”だっけ。ずいぶん必死じゃない。そんなに大事なの? あの子のこと」
 群青色のドレスに身を包んだショートヘアの女が、俺に近づいてくる。俺は返事をしない。まだ全身が痺れていて、うまく舌が回らないのもある。だがそれ以上に、沙綾香が心配で目を離せない。
「ふーん、そんなに気になるんだ? でも、諦めた方がいいよ。もうあの子、黒人にメロメロだもん。っていうか、そのアソコにかな。もう、アソコの匂い嗅がされただけで女の顔になってる」
 女はそう言って俺の近くに膝をつき、ステージの沙綾香を見上げた。やっぱり、この女の目にもそう映るのか。
「可哀想だから、あの女の代わりにアタシが慰めてあげる。お兄さん、結構イケてるし」
 女はそう言って俺の館内着をはだけさせる。
「やめろ!!」
 反射的に叫ぶが、手足がうまく動かない。おまけにすぐ後ろの席のセキュリティが、背中にスタンガンを宛がってくる。抵抗できる状況にはなさそうだ。
「うわ、おっきい。あの黒人さん達に比べたら、子供みたいだけど」
 女は俺の下着をずり降ろし、露出した逸物を見て笑う。俺のそれは、恐ろしいほどに勃起していた。先走り汁も溢れているようだ。
「へっへ。ビンビンじゃねぇかよ、“先生”!」
「いやいや、解るぞ。あんなステージを観て、勃たん男などおらんよ」
「確かに、エロいもんなあ。それに、恋人が穢される場面に興奮する奴もいるらしいしな!」
 客から嘲笑が起きるが、それ自体の恥ずかしさより、沙綾香に嫌われることの方が遥かに怖い。視線は自然とステージを向く。
 沙綾香と、目が合った。あの目は……どういう感情だろう。俺の窮状を悲しんでいるのか。他の女のいいようにされている姿を怒っているのか。あるいは、無力さを軽蔑しているのか。どれも有り得そうに思える。あるいは、その全てが正解にも思える。
 今考えれば、俺が沙綾香の事をじっと見ていたのは、この上なく残酷だったかもしれない。俺はずっと、沙綾香にこんな不安を抱かせていたのかもしれない。だとしたら、俺は最低だ。
「随分とご無沙汰みたいねぇ。たっぷり楽しみましょ。私のおまんこで、あの子の記憶を上書きしてあげる」
 女はそう言いながら逸物を掴み、ルージュの光る口で咥え込んだ。
「よせ……っ!!」
 言葉で拒絶してみせるが、一方で俺は、異様なほどの快感を味わってもいた。性的な刺激は久しぶりで、舌がねっとりと絡みつく感触が気持ちよくて仕方ない。腰が意思とは無関係に浮いてしまう。
「んふっ。硬いのが口の中で暴れてる。私のフェラ、気持ちいいでしょ?」
 女は唾液の糸を引きながら口を離し、妖しい笑みを浮かべた。逆光で顔に影がかかっているが、よくよく見ればいい女だ。フェラチオの技術も申し分ない。俺の中の『男』が満たされてしまう。公然での逆レイプ──こんな状況で感じては恥だと、頭では理解しているのに。
「んぐううっ!!」
 歯を食いしばり、かろうじて絶頂を堪える。危ないところだった。射精管が痺れている。精子はおそらく、管の途中まで上がっていることだろう。
「へーえ、頑張っちゃうんだ? 可愛い。でも、いつまでもつかな」
 女はほくそ笑み、上目遣いでジュボジュボと音を立てる。意地の悪いことだ。目の前で恋人の心を奪われ、さらには行きずりの女に屈服させられた男。そんな哀れなピエロを作り上げる魂胆か。
 冗談じゃない。そこまでコケにされて堪るものか。他ならぬ沙綾香の見ている前で。
 俺は顎を引き、唇を噛む。沙綾香が何度となくしていたこれは、なるほどよく堪えられそうだ。そうして覚悟を決めた上で、改めてステージを見上げる。

「見ろよ、先生もお楽しみだぜ。だったらこっちも、見せつけてやろうじゃねぇか。とびっきりハードで刺激的なファックをよ!!」
 ダリーがまっすぐ俺を見下ろしながら宣言し、ドラム缶のような腕で沙綾香の身体を持ち上げた。そうして四つ足をつく格好を取らせてから、ダリーは沙綾香の腰を掴む。
「お、思いっきりは突かないで……!」
 沙綾香は明らかに怯えた様子で、背後のダリーを振り返った。
「へっへ。俺の“突っ張り”は腹の底に響くから、今のコンディションで受けるのは怖いってか? そりゃ聞けねぇな!」
 ダリーに容赦はない。しっかりと沙綾香の腰を掴んだまま、激しく腰を打ちつけはじめる。もう何度となく目にした、超重量のピストン。バンッ、バンッ、という鈍い音が響き、沙綾香の尻肉が波打つ。
「ほおお……聞いたこともない音だ!」
「完全に関取体型だしな、アイツ。180キロぐらいあるんじゃねぇか? しんどいぞー、あんなのにガン突きされたら」
 客がざわつきはじめた。実際あの光景は、何度も目にしている俺でさえ息を呑む。おまけに沙綾香の反応は、過去のどれよりも激しかった。
「お゛っ、お゛……お゛ん゛っ!! うぎいいっ、おお゛っ、お゛イグッ、おおイグッ、お、お゛う゛っ、お"んんん゛っおお゛!!! だ、だめっ、声……とえらんない゛っ!! ぎがな…っで、ごえ、聴かないで……おおお゛お゛っ!!!」
 沙綾香は、見開いた眼から水平に涙を飛ばし、舌を前に突き出し、『お』行の喘ぎを上げ続けていた。歯を食いしばって声を殺そうともしているらしいが、ダリーが腰を打ちつければ、その努力はすべて消し飛ぶ。
「いひひひっ、すんげぇ声だな! おーおー言ってんぞ!?」
「完全に女捨ててんな。あんだけ恵まれたルックスしといてよ!」
「聴かないでっつっても、聴こえちまうよ。そんだけ喚き散らしてりゃあな!」
 叩きがいのあるネタを得て、客は一斉に下卑た言葉を投げかける。
「あはは、男ってバカだよね。可愛い子が何か言うと、すぐ自分が言われたって思い込むんだから。聴かないでっていうのは、アンタ向けの言葉に決まってるのに。ね、“センセ”?」
 ドレス女は、そう言いながら唾液塗れの逸物を扱き上げた。今にも暴発しそうという状況で、その責めはあまりにきつい。
「ふぎきうう゛う゛っ!!」
 歯を食いしばらなければ、到底射精を堪えきれない。そして必死に堪えようとすれば、どうしたってひどい声が出る。
「おっと、彼氏の方も妙な声で鳴いてやがるぜ?」
「ある意味、似合いのカップルだな。動物同士でよ!」
 余裕などない状況なのに、客の罵倒はよく聞き取れた。苦しさと情けなさが胸の辺りで混ざり合い、揮発性の吐き気になって口から出ていく。人の目さえなければ、なりふり構わず泣き喚きたい。それぐらいの状況だ。
 沙綾香もきっと、そうだったんだろう。一週間以上にも渡る恥辱の中、何度となくこういう気持ちになったに違いない。そして、それを発散できる機会などなかった。いつでも人の目とカメラに晒されていた沙綾香は、意地を張り続けるしかなかった。それで彼女の心は、どれほど磨り減ったことだろう。
「あ゛ーーっ、あ゛っあ゛!! あう゛っ、お゛っ、お゛ん゛ぉおお゛っ!! あ゛あ゛あ゛だめっ、しきゅっ、子宮が、痙攣して、る……っ!!」
 沙綾香の様子が、また変わった。口から涎を垂らしたまま、ほとんど白目を剥きかけている。這う格好を維持できなくなり、力なく床に突っ伏す。
「どうした、ツラぐらい拝ませてやれ。お前の女の部分を余さず味わえる俺と違って、奴はイキ顔を見て楽しむしかねぇんだからよ!」
 ダリーは俺を見下ろして挑発しながら、沙綾香の頭を掴んで顔を上げさせる。床から離れた沙綾香の顔は、壮絶だった。両目の眼球は内に寄り、頬は膨らんでいる。まるでそのまま嘔吐でもしそうな顔だ。とはいえ、吐瀉物は出ない。代わりに、濁った重苦しい喘ぎが漏れている。ダリーは、そんな沙綾香を容赦なく責めた。這い蹲る沙綾香に、その巨体で覆い被さり、ひたすらに腰を打ちつける。
「っん、ぐうっ!? ぁああ゛、あ゛っ!! ひいいっ、いぐ、いくっ……ぃああ゛っ!!」
 沙綾香の寄り目が上を向いた。目尻の形も口の形も完全に崩れた、壮絶な顔だ。
「あっは、すごい。ねぇ先生、女の子があんな顔になる時って、どんな時か解る? 女ってね、顔が命だから、男よりずっと表情を崩さないように頑張るの。それでもあんな顔になっちゃうのは、もう頭が真っ白になって、自分が何をしてるのかも、誰を好きだったかも、何もわかんなくなっちゃう時なのよ」
 ドレス女が俺に向き直り、囁きかける。こういう時は、性別の壁が厄介だ。異性が言う事は、何でも本当らしく思えてしまう。それに、今に限って言えば、ドレス女の言葉はおそらく真実だ。
「あかはっ、あ゛、あ゛っ……ほおあ゛っ……あ゛」
 沙綾香は、顔こそこっちを向いているが、俺を見てはいなかった。上空に視線を向けたまま、口を縦に開いて放心している。
「はっはっは、すげぇすげぇ、どうなってんだこりゃあ! アソコがうねって吸い上げて、渦潮みてぇになってんぜ!」
 ダリーはゲラゲラ笑いながら腰を打ちつけ、ダメ押しに腰を震わせてたっぷりと射精する。そうして奴がようやく腰を引いた直後、ビシャビシャと水音がしはじめた。目を凝らせば、開いた沙綾香の股の間に一筋の輝きが見える。
「おいおい、漏らすんじゃねーよ。犬じゃあるめぇし!」
 ダリーが日本語で茶化して客の笑いを誘うが、沙綾香に反応はない。脱力した顔のまま、小さく呻きを漏らし、完全に床へ突っ伏してしまう。哀れすぎる姿だ。それでも黒人共は、そんな沙綾香を休ませようとはしない。ダリーが退いた場所に、今度はタイロンが入り、馬並みのペニスを沙綾香の股座へと押し込んでいく。その無理のありすぎる挿入は、十分に気付けの効果があったようだ。
「あっ…ぐ、はああっ!?」
 沙綾香の黒目が戻り、形を失くした口から悲鳴が上がる。
「ヘバッたら休ませてもらえるとでも思ったか? まだまだ、こっからだぜ!」
 目を細めたタイロンが、沙綾香の胸に手を伸ばし、強引に上半身を起こさせる。膣を極太で杭打ちしたまま、背中を弓なりに反らせる形だ。
「あはあああっ!!?」
 沙綾香は、目を見開きながら顔を歪める。未知の、かつ圧倒的な感覚を怖がっているらしい。
「ううわあ、えっぐい。あんなおっきいの、普通に寝バックで挿入されるだけでもキツイのに、あんな不自然なカッコまでさせられたら堪んないって。彼女さんの子宮、ペチャンコになってるよ、きっと。ま、クスリでラリッてる状態なら、そういう苦しさも全部快感になっちゃうかもだけど」
 ドレス女が、鈴口を指で弄りながら囁いてくる。言われなくても、あれがやばいのは察しがつく。
「俺のコックを、たっぷりと感じさせてやる」
 タイロンは沙綾香の上半身を反らせたまま、少し腰を引いた。さらに、自分の膝で沙綾香の脚を挟み込んで閉じさせると、改めて腰を沈めていく。
 沙綾香は、反射的に顎を跳ね上げた。
「ーーーーーっっ!!!」
 声は、音にならない。だが、目を剥き、口を開いた顔を見れば、それが我慢の結果ではないことがわかる。あまりにも刺激が強すぎて、声にならなかった……それが正解だろう。
「うは、すげぇ。足ブルブルしてる!」
「いや、ああなるよ。だってあの黒人の、足首ぐらいの太さじゃん。そんなのメリメリ突っ込まれて、無反応は無理だって」
「ふふ、足首か。確かにそんな感じだな。じゃああれは、自分の脚を大事な場所に突っ込まれているも同然というわけか。ははは、可哀想なことだ!!」
 客は目をギラつかせてステージを凝視し、興奮気味に意見を交わし合う。タイロンは、そんな客を自慢げに見下ろし、見せつけるように腰を上下させる。
 沙綾香は、それに必死で抵抗していた。タイロンを揺り落とそうとしてか、腰を左右に振る。汗に濡れたステージ床と太腿が擦れ、キュッ、キュッ、と音を立てる。それでも相手が落ちないとなれば、伸ばした脚の踵を振り上げ、タイロンの尻を叩いてもいるらしい。だが、タイロンはそれを笑うばかりだ。
「いいねぇ。犯してるって感じがするぜ!!」
 タイロンはそう言って、それまでの倍ほど腰を引いた。そうしてたっぷりと溜めを作ってから、一気に腰を沈める。鞭を入れるようなこの突きが、沙綾香の抵抗を消し飛ばした。
「ろぉおおおお゛お゛っ!?」
 濁りきった喘ぎが漏れる。意思ではコントロールできない、不意をつかれた時の奇声だ。可愛そうに、上半身はさらに反り、後頭部がタイロンの鎖骨を叩く。ドン、という音がしたのは、踵を上げていた脚が床に落ちたからか。
「どうした、もっと抵抗してもいいんだぜ。じゃじゃ馬の方が犯し甲斐があるからな。まあ、強いオスに甘えたくなったってんなら、歓迎するがよ」
 タイロンは、すぐ傍に来た沙綾香の顔を舐めながら囁く。随分と沙綾香を気に入っているようだ。
 そして奴は、また腰を使いはじめた。奴自身も動きづらい体位だろうに、それを感じさせない力強い抜き差しだ。しかも、腰遣いだけに専念しているわけじゃない。奴は、沙綾香に上半身の反りをキープさせながら、しっかりと胸を刺激していた。円錐状に尖った乳首を、指で転がし、挟み、捻り潰す。それだけで絶頂を迎えてもおかしくないほど、苛烈で入念な乳首責め。
 それを受ける沙綾香は、余裕など全くなかった。右手で口を押さえ、目に涙を溜めて必死に声を堪えている。それでも、殺しきれない。指の間からははっきりと、「おおお」という声が漏れている。挙句、さらに時間が進めば、そうして口を押さえることさえできなくなった。
「おっほ、おぉほっ!! んんんおお゛お゛お゛っっ!!!」
 際立って酷い声が漏れた直後、沙綾香の手はだらんと垂れた。そしてその後は、床にべったりとついたまま、上半身の安定に専念するようになる。そうなってしまえば、漏れる声を遮るものはない。
「おっほぉっ、んほっ、んほおおおっ!! んっぐ、んぐ、いんぐんんぐううっ!! ほお、お゛っ、おほお゛おお゛っいぐっう゛っっ!!!」
 苦しそうな、そして、心底気持ちよさそうな声が響き渡る。眼の焦点も合っていないようだ。目の前に火花が散る、というあれか。
「へへへへ、またイッたのか。何回目だ?」
 タイロンが心から嬉しそうに問いかけると、沙綾香の瞳孔が中央に戻った。
「わ、わ……わかん、ないっ……んあ゛っっ!! しゃべってるときに、動かないで……い゛ああ゛ぁ゛ッ!! んぐ、んぐっ、ふぐううっ!! あああいぐっ、いっぢゃうううう゛っ!!!」
 沙綾香は、タイロンの問いに答えることすらままならない。むしろ、答えようと意識を向けたことで、膣の我慢が利かなくなったらしい。
 そして直後、沙綾香の身体の下から、ぶじゅうっという音が漏れる。俺の位置からは状況が判らないが、ステージに張りついている客にはよく見えたようだ。
「はははっ!! 良すぎて、とうとうションベン漏らしちまったか!!」
「まあ、当然だろ。あの杭みてぇな極太で、ポルチオ突かれまくっちゃあな!」
 客は沙綾香の失禁を散々に笑う。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!!」
 沙綾香は涙を流しながら、舌を突き出して喘いでいた。まだ絶頂の余韻が続いてゐる感じだ。するとその顎を、横に立つレジャナルドが掴んだ。
「派手に漏らしやがって。おら、水分補給だ。口開けろサヤカ」
 奴は勃起した怒張を扱きながらそう命じた。沙綾香が息を呑んで口を閉じようとすれば、指の力で強引に顎をこじ開け、開いた口に向けて精を浴びせる。
「んあ゛っ、あああ゛っ!!!」
 呻き声が上がる中、白濁は沙綾香の顔を汚しながら、その口内へと注がれていく。相も変わらず驚くほどの量で、しかも匂いが凄まじい。圧倒的なまでの雄臭だ。
 沙綾香はあの鉄格子の部屋で、毎晩のようにそれを嗅いできた。そして今、薬に感覚を狂わされた状態で、さらに嗅がされている。となれば、脳がその匂いに支配されてもおかしくない。というより、そうなるのが自然だ。
「あ゛っ、あ゛……」
 短く声が漏れ、段々と握られた指が力を失っていく。
「沙綾香っ!!!」
 俺は、叫んだ。声掛けの良し悪しを考える前に、肺から叫びが飛び出した。多分、俺は直感したんだ。今ここで沙綾香の意識を戻さなければ、取り返しのつかないことになると。
 果たして沙綾香は、俺の方を見た。目に涙を浮かべ、白濁に満たされた口をパクパクと開閉しながら。

 ────おねがい、みないで────

 彼女の目は、そして口は、間違いなくそう言っていた。
 見ないで? 何故だ。恥ずかしいのか、それとも辛くなってしまうからか。それならまだいい。でも俺は、もっと最悪な予感がしてしまっている。
 もう、耐えられない。
 彼女は最後に、そう伝えてきたんじゃないか。

「んあああああっ!! あっ、いい、いいッ!」
 沙綾香は俺から視線を離し、口内射精したレジャナルドの方を見上げる。レジャナルドにとっても、その反応は予想外だったらしい。奴は一瞬固まり、それから顔中に笑みを拡げた。いつもの獣じみた笑みとは少し違う。達成感に満ちた顔だ。
「へへへ、なんだよ甘えたツラみせやがって。俺のザーメンでトリップしちまったか?」
 奴はそう言葉をかけても、沙綾香は否定しない。上体を反らせたまま、細かな痙攣を続けるばかりだ。
「ぁいくっ、イクッ……あらま、とけ、ちゃう……!!」
 白濁を絡ませた口から声が漏れ、同時にタイロンが小さく呻く。
「グウッ……こいつまた、締まりが良くなりやがった。俺のがヘシ折られそうだ。よーし、そんなに欲しがるんならくれてやる。こっちも気持ちよさが溜まってんだ。思いっきり濃いのを注いでやるからよ、好きなだけ子宮で味わえや!!」
 タイロンはそう叫び、素早く腰を前後させる。そして、根元3割ほどを残して奥の奥まで挿入しきると、尻の筋肉を引き締めた。
「おおお……おおお、すげぇ出るぜ。射精感が焼ききれちまいそうだ!!」
 奴自身が驚いた様子でそう実況するんだから、射精の量も勢いも普段以上だろう。以前の沙綾香なら、それを嫌がったはずだ。首を振り、嫌だ嫌だと絶叫していたはずだ。
 それが、今は。
「あああ……きてる、きてる……! あああ、これイク……また、イクっ!! ヌルヌルで、イッてるうっ!!」
 幸せそうに囁きながら、緩んだ目元から涙を伝わせ、全身を震わせる。タイロンがようやく射精を終え、三本目の足のような怒張を引き抜いた直後には、それに追いすがるように精液交じりの潮を噴き上げた。俺の位置からでも見えるほど、盛大に。
「ひゃっひゃっ!! こいつ、膣内出しでイってやがる!!」
「ああ。最初はあんなにギャアギャア喚いて嫌がってたのにな。コックの味もザーメンの味も、しっかり身体が覚えちまったってわけか」
 黒人共は沙綾香を見下ろし、驚きながらも笑っていた。
 全ては、倶楽部の目論見通りに進んでいるわけだ。度重なる薬物投与で感覚を狂わせ、極限の羞恥と快楽責めで自我を削り取る。その上で、調教師共の虜にさせる。俺に代わる依存対象となるように。

「おいおい、どうしたんだこいつ。いつになく積極的じゃねぇか!」
 仁王立ちでフェラチオを求めるマーキスが、驚きの声を上げた。それもそのはず、沙綾香は命じられる前に逸物に吸いつき、上目遣いで強く吸引しはじめたからだ。
「ひひひっ、たまんねぇ! ようサヤカ、コツを掴んできたじゃねえかお前」
 マーキスは大喜びだ。
 沙綾香は覚えが早い。俺もどんどん上達していくあの子の奉仕に、腰砕けになった覚えがある。もし沙綾香が、その技巧をマーキス相手に使っているなら、それを躊躇していないなら、それは気持ちがいいことだろう。
 というより、もはやそんなレベルではないらしい。
「ん、んおっ……!? お、オイオイ、そんな強くしゃぶったら……うあっ!!」
 快楽に浸っていたマーキスが、急に焦りを見せはじめた。
「おおい、ちょっ、やめ……ぐっ……ぬぐおおおっ!!!!」
 奴は沙綾香の頭を掴むが、それでもフェラチオが止まらない。じゅばっ、じゅぼっ、と水気のある音がさらに繰り返され、とうとうマーキスは天を仰ぐ。
「オオオゥ、シィット!! シィィイイット!!!!」
 恨み言を吐きながら腰を震えさせるのは、主導権を奪われていた証だ。そしてそのマーキスの射精を、沙綾香はゴクゴクと喉を鳴らして飲み下す。窄めた口で強く吸ってもいるようで、結果この時のマーキスの射精は、わずか5秒で終わりを迎えた。
「くあああっ!!」
 沙綾香の口が離れた瞬間、マーキスが後ろに倒れて尻餅をつく。
 端塚の言っていた通り、奴らはフィジカルエリートだ。樹齢数十年の樹を思わせる太腿は強靭で、数時間に及ぶ『駅弁』セックスすら可能にしてしまう。そんなマーキスが、たった一回のフェラチオで腰を抜かすとは。
「おいおい、何すっ転んでんだマヌケ!」
「汗とザーメンで滑ったか!?」
 他の黒人共が笑いながら茶化すが、マーキスだけは『信じられない』という顔で痙攣する太腿を見つめていた。
「…………俺は、転んでねぇ」
 ぽつりと呟かれたその一言で、黒人共の嘲笑が止まる。
「ねぇ、もっとちょうだい」
 そのわずかな静寂に、沙綾香の声が割り込んだ。
「心臓が、ドキドキして止まらないの……身体が熱い。ねえ、早く……太いのちょうだい」
 白濁の絡む口が開閉し、淫らな言葉が紡がれる。さらに沙綾香は、自ら床に寝そべり、黒人共に向かって股を開いた。『マングリ返し』の恰好だ。毎度毎度、やられる度に羞恥で顔を歪めていた、最も屈辱的な体位の一つ。それを、彼女自身の意思でやっている。まるで、犬が腹を見せて降伏するように。
 それを前にして、黒人共が反応しないはずがない。
「ああ、そうかよ……ようし、ヤッてやるぜ。後悔すんなよ、俺らを誘惑なんぞしやがってよお!!」
 サディストとしてのプライドか、あるいは純粋な性欲からか。まずはレジャナルドが沙綾香に覆い被さる。
 つい1時間ほど前と同じ、正常位でのセックス。ただし、その実態はまるで違う。あの時は耐えるばかりだった沙綾香が、今では積極的に黒人共を迎えている。同じ大股開きでも、今は沙綾香が膣を締め付けているのが感じ取れた。
「うおおおっ、なんだこりゃ……締まるなんてもんじゃねぇ! 搾り、取られる……っ!?」
 レジャナルドは目を見開き、腰を引こうとする。だが、沙綾香がそれを許さない。恋人相手にそうするように、背中に足を絡めてしまう。
「ほら、もっと味わってレジャナルド。沙綾香のあそこ、気持ちいいでしょ……?」
「おいバカ、やめ……んくあっ、あ、あっ……駄目だ、もたねぇっ!!」
 相手の名前を呼び、微笑みながら腰を蠢かす沙綾香。顔を引き攣らせ、必死に逃れようとするレジャナルド。その優劣は誰の目にも明らかだ。
「くああああっ!!」
 沙綾香が足を絡めてからわずか数十秒後、レジャナルドが顎を浮かせた。奴の少年時代を思わせる面影が、なすすべなく震え、脱力する。
「へ、へへへ……この、ファッキンビッチが……っ!!」
 レジャナルドは捨て台詞を吐きながら、精液の滴る逸物をぶら下げて後退していく。
 マーキス、そしてレジャナルド。性欲も、嗜虐心も強い2人が、あっという間に『搾り尽くされた』。その事実を前に、フロアの空気が一変する。
 客は、まったく野次など飛ばさなかった。まだ何が起きているか把握しきれていない様子で、黒人共と沙綾香を交互に眺めている。ドレス女も、俺への奉仕をすっかり忘れ、逸物を握りしめたままステージを振り返っている。
「はは、すげぇなこりゃ。マジでサキュバスみてぇだ。今10番勝負やったら、お嬢ちゃんの総勝ちだろうぜ」
「ああ。腰振るしか能のねぇケダモノ連中にゃ荷が重いか?」
 ロドニーと手越だけは流石に余裕があり、軽口を叩き合っている。わざわざステージ横で、かつ英語で話しているのは、黒人共に奮起を促すためか。
「荷が重いだと? 舐めてもらっちゃあ困るぜボス。俺らは、百戦錬磨の売女だってぶっ壊してきたんだ。このコックでな!!」
 黒人共は怒張を誇示しながら、凶悪な笑みを浮かべてみせる。そして、我先にと沙綾香に襲い掛かりはじめた。

 黒人共は、全力で沙綾香を犯す。
 ドミニクは、十八番である背面立位でステージを歩き周り。
 ジャマールは、沙綾香の頬を叩き、あるいは首を絞めながら犯し。
 サイズに自信を持つモーリスは、腹を抱え込んでの後背位と、それに続く凶悪な寝バックを繰り返す。
 そのどれもが、沙綾香を数えきれないほどの絶頂に導いた。潮噴きや失禁も何度も起きた。だが、先に音を上げるのはいつも黒人共だ。何度でも絶頂できる女と、いかに絶倫とはいえ数度の射精が限界の男……その差が出てしまう。

 そのハードなプレイに、呆然としていた客も熱狂しはじめた。黒人と沙綾香の両方に声援を送りながら、百合達5人を相手に性欲を満たす。客の数は100人に迫る勢いで、百合達には休む暇もない。最も体力のなさそうな千代里は、閉じなくなった口から精液を吐き零し、へたり込む格好で気を失っている。逆に一番体力のありそうな藤花ですら、数限りなく肛門絶頂を極めさせられ、ここ一時間は「堪忍してくれ」という哀願しか発していない。
 だが、そのどれもが、沙綾香に比べれば平和的だ。

 沙綾香は今、ステージの上で二穴を犯されていた。寝そべったアンドレに尻穴を、正面のトラバンに膣を犯される形だ。愛液と空気の入り混じった、グチュ、グポッ、という音は、一瞬も途切れない。
「あっ、あ゛っ!! すごいっ、奥……硬いのが、ゴンゴン当たってる……あはああっ!!」
 沙綾香の口から漏れるのは、歓喜の声ばかり。表情は泣いているようにも見えるが、口角は常に上がったままだ。そんな沙綾香の傍に、ダーナルが膝をついた。そして奴は、ステージ下の俺に笑みを向けながら、沙綾香の唇を奪う。
「んむっ、むれあっ……えろっ、ああ……れあっ」
 舌を絡ませあう、恋人のようなディープキス。それを受けても、沙綾香は嫌がらない。口角を下げもしない。そして、興奮してもいるようだ。
 キスの最中、沙綾香が何かを呻きはじめる。ダーナルが唇を解放すると、すぐに沙綾香は激しい反応を見せた。
「んぐっ、んんも、もお゛ッ! んはっ、ああおお゛お゛っ!! んお゛お゛っ、いぐうう゛っ!!」
 身体をガクガクと揺らし、歯を食いしばる。かと思えばその口を開き、意思を感じさせない顔で絶頂を叫ぶ。
「へっへ。キスでトんじまったか」
 ダーナルが満足そうに笑い、二穴を抉るアンドレとトラバンも笑みを浮かべた。結合部からの音が、バチュッ、ドチュッ、というものに変わり、割れ目から飛沫が飛び散る。
「おおお゛ぉおお゛っ、イ゛ぐう゛うう゛っ!! おっ、お゛ほっ、お゛お゛おお゛お゛、お゛お゛おっ!! んお゛お゛お゛おお゛お゛っっ!!!!」
 白目を剥き、口を尖らせて、濃厚な快感の声を上げる沙綾香。それは、これ以上ないほどに幸せそうで、同時にひどく遠い存在に思える。

 ────おねがい、みないで────

 あの言葉は、自分がこうなってしまう事を悟ってのものか。
「仕上がりましたな。八金 沙綾香はもう、調教師とのセックスから離れられない。こちらの言う事ならなんでも聞く、マゾ奴隷の完成です」
 端塚が淡々と告げ、俺に微笑みかける。
「あーあ、彼女さん壊れちゃった。可哀想。あたしが慰めてあげる」
 俺は、再び始まったドレス女の奉仕に呑み込まれた。痺れが射精管を通り抜け、直後、快楽の塊を迸らせる。
 なるほど、この快楽には抗えない。呑まれたら終わりだ。
 蕩けた頭でそう考え、どうしようもない虚無感に浸りながら……。




                            続く