1.

机の上に置かれた体操服は、明らかに小学生用のものだった。
広瀬は自粛して職員室へ戻ってしまったため、結花はこれから、この入るかどうかも分からない
体操服に着替えなければならない。
同性とはいえ、邪なクラスメイトの前で。

「ねえ鼓さん、早く着替えてよ」
誰かが結花に呼びかけた。
結花は少し黙っていたが、やがて小さく「いいよ、このままで」と呟いた。
クラスメイトたちは、その言葉を待っていたようだ。
「何それ―!!あなたが着替えるっていうから広瀬先生出てったんでしょ?」
体格のいい生徒が結花の横に来て、拳で机を強く叩いた。
結花はびくっと顔を上げる。
「本当!私達の貴重な勉強時間、あんた一人のせいで無くなってるんだからね、
 ふざけないでよ!!」
こう叫んだ少女は、先程の生徒と二人で結花の腕を掴むと無理矢理立ち上がらせ、
教室の中央に投げ飛ばした。
「ああっ!!」
結花は椅子にけつまづいてうつ伏せに倒れ込んだ。
それを数人の生徒が押さえ込み、仰向けに引っくり返す。
「結花が嫌だって言うなら、私らで脱がしちゃおっか!!」
万歳の格好で上げた結花の両腕を掴み、誰かが声を張り上げる。
反対するものは誰もいなかった、結花を除いて。
「嫌、放して!こんな事やめてよ!!」
三度暴行を思い出す。
結花は怯えきった目になった。

「まずブレザーいきまーす」
気楽な声と共に、いくつもの手に掴まれた結花の上半身が操り人形のように動く。
結花はまるで抗う事ができない。
すぐに藍色のブレザーが腕を離れ、どこかへ消えた。
腕を上に引っ張られているので胸がせり出し、ブラウスが結花の肌に張り付いて、
黄色いブラジャーと肌色のほっそりした湾曲を薄く覆っている。
「次―、超ミニスカート!」
さっきの声を真似るように明るく叫んだ少女が、結花の両の腿を腕で抱え込んだ。
その脚を上に持ち上げ、上履きを脱がせて足首もそれぞれ別の生徒が掴む。
金属の当たる音と共にベルトが解かれ、スカートが太腿を滑り上がっていく。
もはや意味をなさない結花の叫びなど、誰も聞いてはいない。

 スカートが膝まで来た時、いよいよ本気で抵抗し始めた結花が脚を開いた事で、
それ以上上げる事が出来なくなった。
女生徒が数人がかりで押さえつけても、脚の力は腕の力の三倍といわれ、
おまけに開くのではなく閉じさせようというのだから並の事ではない。
しばらく膠着状態が続き、見かねた灯が進み出て結花の足元に立った。
灯は足を押さえている生徒に何かを囁く。
すると、急に加えられる力が変わり、結花自身の力もあって太腿が大きく開いた。
スカートがバツッと音を立てて小さく裂ける。
「自分から脚開くなんて、みっともないわね。せっかくだから、ずーっと開いといてよ」
そして、灯は上履きを履いたまま結花の股間に足を置く。
結花は目を見開いた。

「うあああッ!ぐっ、ひ、いだい!あっ、ああああーーッ!!!」
掴まれた脚をガクガクと震わし、腰をよじって叫び声を上げる結花。
彼女の額からは大粒の汗が噴き出し、鼻筋を通って落ちていく。
「ほらほら、内股になってるわ!ちゃんと開いときなさいよ!」
灯は靴のつま先で、結花の秘裂を掻き毟るようにこね回した。
水と小水で濡れたショーツ越しに、硬い上履きの底が当たっているのを結花は感じる。
痛みが秘裂を割り開き、衝動が敏感な空洞を震わせる。内臓までも揺れているようだ。
つま先は割れ目を押し開きながらえぐり、足の裏が柔な肉芽を擦り上げた。
「んああおっ!!」
腕を掴まれたまま身をのけぞらせ、肩が強く地面にぶつかる。
「つま先はそんなにいい?じゃ、今度は踵でしてあげる」
灯は可愛らしい笑みを見せて結花の足首を掴み直すと、上履きのかかとをその脚の間に乗せた。
始めの狙いは、結花が最も嫌がる脆すぎる突起。
かかと落としの要領で下へとめり込ませる。
「ぎゃあ!…あああぐ、ぐぅ……が!!ああ…うああッおあーーー!!!」
歯を剥き出しにし、顔をはっきりと分かるほどに紅潮させて頬をひきつらせる。
見開かれたまま閉じない瞳からは、とうとう溜めた涙が溢れ出した。
結花の辛抱も限界に近いことは、その場にいる全員が見て取れた。

 (ふふ…ついに泣いたわね、結花。だけどまだ止めてあげないわ!!)
灯は心が躍った。結花という少女をいたぶるのが楽しくて仕方ない。
こんないい玩具に気付かず放っておいた事が、今となっては信じられない。
それぐらい、灯は今、結花に夢中だった。
「はぁ…す、ごい、顔ねぇ…もっと、もっとよ!!」

責めている灯にとっても、これはかなり体力を使うようだ。
顔をしかめながらも目は妖しく光らせ、とにかく結花が嫌がるように脚を蹴りあげ、振り下ろす。
「ぐうー、ううー!あう、くくッ…きっ…」
結花は奥歯をぎりぎりと鳴らせ、きつく閉じた目からもう止まらない涙を幾筋も流し、
髪を振り乱した。
優しく触れるだけで腰が仰け反る肉芽を何度も押し潰され、削られて、少女の頭の中では
未だかつて無いひどい頭痛がしている。
「はあ、はあっ…最後よ、しっかり受け取って!」
すでに肩で息をしている灯は、一度足を止めて足首を床につけ、ぐりぐりと動かす。
そして足を軽く後ろに反らせてから、強く結花の股間を蹴り上げた。
「はぐううううっ!!!」
両足がピンとまっすぐに伸び、結花は腰をがくがく揺らした。
重い衝撃が割れ目から頭まで突き抜けた後、どうしようもないだるさが頭から腰へと返っていく。
トイレの個室で出しきったはずのものが、再びショーツに重みを加えた。

2.

息も絶え絶えの結花の下半身からは一切の力が失われ、スカートを取り去られても抵抗できない。
ブラウスも靴下もあっさり剥ぎ取られ、
「こんな汚いパンツ、気持ち悪いわよねー。」
そういってすっかり変色した下着さえも抜き取られ、外される。
とうとう、結花が家から着てきたものは全てその身から剥がれてしまった。
ようやく拘束を解かれた結花は、股間を押さえたままうずくまってまた泣いてしまった。

「うわ…細~い」
「へー、きれいな肌…」
何も纏うものの無い結花の肢体を見つめ、少女達が思わずといった感じで呟く。
 (可愛い体してるじゃない…)
そう思ったのは灯だった。
モデルのような迫力のある体ではない。
しかし、細く固い幼女の肉体に、ほんの少し優しさを与える膨らみ。
そのラインは、少女の秘めた美貌と同じく、人を引きつける力を持っていた。
「その体なら、きっとこれ似合うって!」
一人の少女がうずくまる結花の前に小さな体操着を投げた。
「さ、早く着なよ。もう授業終わるよ」
結花はもう抵抗する事ができなかった。
あまりの倦怠感に、体が楽な道を選ばせている。

背筋が凍りそうだったので、まず上から着る事にした。
手に取ると、それが見た目よりさらに小さいことが実感できる。
首から通すと腕が動かなくなりそうなので、まず袖に腕を通そうとするが、
あまりのきつさになかなか通らない。
「ん…くくっ、つぅ…」
袖の固い生地が肌を擦り、ゴムで縛って血を止める時の感覚が肩口へと進んでいく。
なんとか右手を入れた。次は首を通さなければならない。
結花は仕方なく、左右に分けていた後ろ髪を解いた。
さらりとした髪が広がり、少女の持つ雰囲気がまた変わる。
クラスメイト達は、その様子を驚きの表情で見守った。

化粧でも、髪型でも女は変わる。
それは彼女達とて、すでに実感して知り始めている頃だ。
しかし結花はそれとはどこか違った。
いままで見向きもされなかった不可思議な魅力は、すでに虜を作りはじめている。

 首を通すための穴に結花の頭がめり込む。
締め付けが頭頂部、側頭部にはっきりと伝わっていく。
 (産まれる時に戻ったみたい)
狭い穴に頭の出っ張りをくぐらせながら結花は思う。
一度無理矢理に通すと、二度と抜けなくなるような気がして不安になる。
押さえつけられていた耳がぴん、と戻った所からはスムーズで、一気に首まで通った。
左腕も何とか通し、やっとのことで体操着のシャツが結花を包む。
 (着てるっていうか、詰まってる、だよね…)
小さなシャツはへその上までしかなく、首も肩もぱんぱんに張っている。
結花にはどうにも不恰好に思えてならない。
確かに妙ではあったが…
「うわ、すっごい格好…でも」
「やだ、普通に良くない?」
素直にその姿を褒める者も出てきた。
灯もその姿に見入っている。

「ねえねえ、早く下も履いてよ!」
そう催促され、結花は下のブルマを手に取った。
うずくまったままでは履けないので、ふらつきながら立ち上がる。
そしておずおずと片足を上げ、ブルマを通そうとして…
また大きくふらつき、頭から後ろへ倒れ込みそうになった。
「あっ!」
その時、一人の生徒が駆け寄り、すんでの所で結花の体を支えた。
結花は驚いた。
その生徒は、先程のいじめの中心、電気あんまをしかけた灯だったからだ。
「…!」
灯は自分の行為に気付き、気まずそうな顔をした後、結花を乱暴に放して戻っていった。
その姿を少しの間見つめていた結花は、再び立ち上がり、今度こそブルマに足を通した。
両足に枷をはめて締め付けられるような感触をずりあげ、まだじんじんと痛む秘所に収めた。
「くう…っ!」
股に食い込む痛みとショーツの無い違和感が腰を覆う。

級友達は、ブルマに締められて窮屈そうに盛り上がる太腿、 健気にもシャツを押し上げる控えめな胸の膨らみに視線を集める。
今になって彼女達は、誰一人言葉を出せずにいた。
自分の中に新しく湧き起こったむず痒い感情に戸惑っている。
その中でも灯は特に難しい顔をしていた。
時限終了のベルが鳴り響いた。今日の授業はこれで終わりだ。
それにも関わらず誰一人として帰ろうとはせず、ただじっと結花を見つめている。

しかしその静寂は、突如戸を開けて入ってきた人物によって破られた。

3.

「リ…リカさん!!」
生徒の間にどよめきが走る。
リカは高貴な笑みを浮かべると、取り巻きを従えて悠然と教室へ足を踏み入れた。
立ち尽くす結花の前で足を止め、周りを見回す。
「悪いけど、私達とこの子だけにしてくれないかしら。」
その口調はおっとりしているが、底から滲み出る絶対性が周囲の生徒を威圧する。
結花と違い、コンテスト出場に足る逸脱した美貌や後ろ盾を持つリカ。
まして優勝候補ともなれば、もはや一般の生徒が気安く関わっていい存在ではない。
灯をはじめとする生徒たちは、急いで教室を後にした。

クラスメイト達が一人残らず出て行ったのを認め、リカは改めて結花に向き直った。
「こんにちは、結花ちゃん」
寒気がするほど美しい顔に笑みを浮かべ、リカが語りかける。
結花は黙ったままだ。
その前髪はほつれて額が覗き、後ろ髪を真っ直ぐに下ろしている。
その体には、華奢な肢体を強調するようにぴっちりと体操服がはりついている。
取り巻きが息を呑んだ。
儚げな姿、しかし嗜虐心を煽る類のものとは違う。
娘としての魅力ではない、まるで無垢な赤子のような、煽るのはむしろ母性本能。

しかし、それを見るリカの目は鋭かった。
「結花、私が昨日、帰りがけに言ったこと、覚えてるかしら」
抑揚のない低い声。
結花はよく分からなかったが、無意識に後ずさった。
「ねえ、私言ったわよね。あのスカートを、別のに替えたら…って!!」
次に結花が目を上げた時、リカは結花の胸倉を掴んでいた。
「ご、誤解よ、リカ!私、ついさっきまでは本当に…ぐうっ!」
ギリギリと信じられない力で体操着が結花の呼吸器を締め上げる。
「そんな事知らないわ。私にとって、この現状が全てなの」
「ああ…ぐっ!うやぁ…は、はな…しで……ッ!!」
なんとか腕を外そうとしても、思った以上の力を持つリカの腕は外れなかった。
涙に霞む結花の目に、リカの残忍な笑みがちらつく。
結花の喉元にあるかすかな喉仏がごりっ、と音を立てる。

結花が口をぱくぱく開いて喘ぐしか出来なくなった頃、ようやくリカは結花を突き放した。
「う…げほっ、えほッ、げほごほ…っ!!」
気道が通じ、喉を押さえて咳き込む結花。その結花を見下ろし、リカはせせら笑った。
「なんてね。分かってるわ、貴女もクラスの人気者って事よね」
結花はリカを睨み上げた。
「わかっ、てるなら、どうして、こんな事…!!」
リカは笑みを消した。
「貴女が私を侮らないように、よ。一日経ったら、喉元の熱さを忘れているかもしれないから」
取り巻きが結花の周りに陣取った。
「大人しくしててね。」
リカは綺麗に笑う。
結花はしばし忘れていた震えに取りつかれ始めた。

へたりこむ結花の前に膝をつき、リカは突然にその唇を奪った。
「んん!?うぅんむ、んむうっ!!」
リカの長い舌が結花の口の中をかき回し、歯をなぞる。
大きく開いた口を余す所なく嬲られて、結花はただ見開いた目を泳がせる。
「ぷはっ!」
離れた二人の少女の口を、なおも銀色の糸が繋ぐ。
次の瞬間、呆けた表情の結花の体がびくんと跳ねた。
小さく叫んだ彼女は、リカが体操服のシャツに顔をうずめているのを見た。
その唇は胸の先にある小さな突起を咥え、服の上から噛み、舐めている。
「ひっ…あ、ああん、くっ!」
薄い布地にリカの唾液が染み、乳首にゼリーの様な感触が貼りつく。
その上から柔らかい舌が乳首の先を圧迫し、側面に歯が食い込んでくる。
 (あぁ…っ、き、気持ちいい…!!)
結花の腕が震え始めた。思わず腰も浮いてしまう。
「結花、もう尖ってきたわよ。こんな変な格好してるから、すぐ興奮するのよ」
責めをもう片方の乳首に移し、リカが嘲る。

今日一日気を張っていたのが、余計に神経を狂わせたようだ。
結花にとって、生まれて初めての感覚。
唇を噛んでこらえているが、背中まで貫く快感は押さえようがない。
「ひ…ひっ!」
怯えたような声が結花の口から漏れた直後、耳の奥で何かが吐き出される音が響いた。
力が抜け、結花は後ろに揺らいで尻餅をついた。
足ががくがくと震えている。
その様子を見て、リカが嬉しそうに聞いた。
「あれ、結花ちゃんイッた?ひょっとして生まれて初めてかしら。どう、気分は?」
結花は眉をしかめ、顔をふるふると振った。
「な、何…今の?や、やだ、お股が気持ち悪い…!」
その経験の乏しそうな言葉を耳にし、リカはまた嬉しそうに笑い…
そして、何かを思いついたような顔になった。
結花の背中越しに取り巻きに目で合図を送る。自分に合わせろ、と。

「…ねぇ、結花。お股が気持ち悪いって…それちょっと心配ね、見せてみて」
突然険しい顔になったリカに詰め寄られ、結花はますます不安になった。
「え、え?何?何なのっ!!」
叫ぶ結花のきついブルマに手がかけられ、肌をこすりながらずり下ろされる。
下がノーパンのためリカはぎょっとした顔をするが、結花に対してそれは迫真の演技となった。
リカは素早く結花を仰向けに寝かせ、腰を上げさせて割れ目を覗き込み、難しい顔をした。
これは…と意味深に呟いて近くにいた取り巻きを呼び寄せるリカ。
その少女も、はっとした表情で結花の顔を見つめる。
「何…言ってよ、お願い…!」
結花は目を潤ませる。
それを見て、リカは言いにくそうに話した。
「この音を聞いて」
リカは結花の割れ目に指を沈め、ぐちゅぐちゅとかき回した。
結花が切ない声を上げる。
「湿った音がするでしょ…ほら、糸引いてる。これは、女の子がかかると結構厄介な病気なのよ。
 子宮から粘膜の一部が剥がれ落ちているの…」
憐れむような目で見つめながら、結花の目の前に照り光る指を見せ付ける。
結花の顔面が蒼白になった。
彼女のそんな場所についての知識は、せいぜい生理の事ぐらいしかない。
普通の少女なら友人と性に関する情報交換もするだろうが、結花はそんな友達は作らなかった。
そして彼女には自慰を覚えるほど生活に暇もなかった。
さらに、リカは大病院院長の娘。病気について詳しくてもおかしくない。
「どうすれば…どうすれば治るの!!」
リカにすがりついて涙を流す結花に、リカはふっと表情を変えて言った。
「あ、そういえば…私が貴女を心配するのもおかしな話よね。
 ねえ、結花を押さえて。たっぷりイカせましょ」
眩しい笑顔で、リカはまた結花の心を剥いでいく。

結花の体が取り巻きに掴まれ、ブルマが取り去られる。
「さあ結花。これから何回気持ち悪くなるか、ちゃんと数えていなさい。
 この病気、連続で十回以上イッたりしたら子供が産めなくなるかもしれないわ」
その言葉に、結花はまた叫ぶ。
「嫌あっ!それならもう、変なことしないでよっ!!」
すでに結花は正気を失いつつあった。
しかしリカは気にかけず、いきなりクリトリスを摘む。すると、
「い…ッ!痛あッ…ぁああ!痛い、いだいよおー!!」
結花はいきなりすごい声を出して身を仰け反らせた。
演技ではなく、本当に痛がっている様子だ。
「な…ちょ、ちょっと、何よいきなり!?」
さすがのリカも慌てて手を引っ込める。
顔を近づけてその敏感な突起を覗くと、その包皮はすでに半分ほど捲れており、先端が真っ赤に
充血していた。いや、腫れているのかもしれない。
「どうしたのこれ…何かされたの?」
少しつまらなそうな顔でリカが問い詰める。
「……靴の裏側で蹴られたり、こすられたり…した」
嘘をつく必要もないと思い、結花は正直に答えた。
リカはなるほど、という顔をした。
「ふ~ん、誰だか知らないけどやるじゃない。で、気持ちよかった?」
陰核の悲惨な状況を見ながらも、リカは意地悪く聞いた。
「痛かった…。まだじんじんしてるの。お願い、そこだけは触らないで!」

結花はまだ理解していない。
彼女が涙を流せば流すほど、苦痛に顔を歪ませれば歪ませるほど、リカの心に燃える黒いものに
火が着くことを。
リカは殊に結花に対して、並ではないサドの気を持っているらしい。

「大丈夫。今度は気持ち良くしてあげるから。」
そう言うと上履きを脱ぎ、足を開かせて結花の秘部に足を置いた。
今度はショーツや靴越しではなく、直に足のくぼみが感じられる。
微妙に位置を調節して土踏まずをあてがい、ゆっくりと足を震わせる。
「うわあ…熱いわ。それに凄く柔らかいのね。病み付きになりそう!」
感動したようなリカの言葉を聞きながら、結花は目を固く閉じて悲鳴をこらえる。
「少しは鳴いてよ」
急にリカの足に力がこもる。
足の指が鉤状に曲がり、振動が速くなった。
「ふああん!あぁ…はああっ…ああんっ」
腰から腹部にかけてをかき回されるような衝撃に、結花は声を抑えきれない。
内股になった結花の足を思いっきり引っ張りながら土踏まずをめり込ませ、そのびくびくと
震える細い素足や折り込まれる指を見て強弱を調整する。
「んん、あん!あぁ、ああう!」
少女の経験したことのない股間の未知の動きは、その速さで鼓動を急かし、力強い震えで
恥骨、脊髄、そして脳を揺さぶり続ける。

始めは息が止まりそうだった陰核の痛みも、いつの間にか痒いという感覚にまで薄まっている。 
頬をまた真っ赤にし、息を荒げながらも結花の目は次第にとろんとしてきた。
「よしよし濡れてきたわね。もう少しで二回目イッちゃうわよね!」
灯とは違い、リカは少しも息を切らしてはいなかった。
少しずつ足の角度を変えながら、さらに間断なく執拗に責め続ける。
 (だ、だめ、もうダメ!)
結花が自分の中で抑えていたものが弾けそうだと自覚した時にはすでに遅かった。
「はあああ、う、ああああああ――――!!!」
ひくついた秘唇がドロッと蜜を吐き出し、リカの靴下を濡らした。
それは、何度か溢れ出した。
「はい二回目、あと8回」

長く強烈な電気あんまで二度目の絶頂を迎え、ぐったりと横たわる結花。
その脚を、取り巻きの一人が掴んだ。
「え、や、やめて!もう疲れたの、少しだけ放っておいて!!」
頬に涙を伝わせながら結花が願うが、当然そんな願いは聞き入れられない。
「リカさんに負けないように、あたしは三分でイカせます!」
「え~、二回イッた後だからそりゃ簡単でしょ、ずっるー!!」
まるでゲーム感覚ではしゃぐ少女達の声に、悲痛な叫びが混じる。

その様子を、密かに廊下から見つめる生徒たちがいた。
結花のクラスメイトだ。
彼女達は、目の前で憧れだったリカが行う凄惨なイジメを見てすっかり興奮し、
一人で慰めたり、お互いに慰めあったりしている。
ただ一人、森嶋 灯を除いて。
灯は、何故かそういう気分になれなかった。
 (同情?このあたしが?)
灯は自分はサディスティックな人種だと思っている。
事実、ついさっきまでクラスの中心として結花を虐げることに喜びを覚えていたはずだ。
しかし彼女は今、妙な気分だった。
今リカ達がしているような行為をするように言われても、心穏やかでは居られそうもなかった。

「惜っしい、3分20秒!ちっ、こいつイキたいくせに粘るから!」
「まあまあ真由美、あんたの細い足じゃそんなものよ。見てなさい、これが電気あんまよ!!」
結花の体が絶え間なく震え続ける。
恐らくその激しさは少女に与えられる振動のみのものではないだろう。
口の端から涎を垂らし、結花はうわ言のように呟いている。
 やめて、イキたくない、もう耐えられない
その目はすっかり視点を失っているが、その言葉と枯れる事のない涙が結花の心を映している。
だが灯は知っていた。
それが出されるたび、少女の抗う心の鎧が剥がされ、圧倒的な感覚の前に儚い自我が晒される事。
例えどんな人間であろうと、堕ちる時は一瞬である事。
 もっとして、いや とめないで、もっとつよく、して…
(ほら、堕ちた)
灯はふっと悲しげに笑うと、教室の前を去った。


「はい10回目。もう子供は産めないかもねぇ」
一人二回、リカと取り巻きに絶頂を極めさせられ、結花の意識は朦朧としていた。
9回目から気を張って、なんとか10回目だけは食い止めようとしたはずだった。
しかし結果は、自分の意志の弱さを思い知らされただけだ。
もう涙は出尽くし、目がひどく痛んだ。
リカ達の声が遠のいていくのを結花はぼんやりと知る。
「明日登校する時はノーブラで、その体操服を着て来るのよ」
その言葉が耳の奥に響く。
単語ごとに意味を思い出し、繋ぎ合わせてなんとか理解する事が出来た。
結花は涙を流すことができないのが少しつらいと思った。


その日、鼓コロッケ店は珍しく臨時休業となり、多くの常連客は大層心配したという。


       ―――学園祭まで、あと29日――――