「美緒、おかしくなっちゃったんだ」
しつこく繰り返された浣腸と疲労で、私は高熱と激しい腹痛に見舞われ丸一日寝込んだ。
その私の看病をしていた美緒が、ぽつりと呟いた言葉。
美緒は、やっぱり私の知っている妹に違いないけど、
その隠れた一面を二度も見た私には、その言葉を否定してあげることも出来ない。

でも、今聞いておかなければならないことはある。
「美緒、おかしく『された』んでしょ?誰に、なの?一体いつ?」
無意識に美緒の腕を掴み、ついにその疑問を口にすることができた。
美緒は、かなり長いこと俯いて黙った後、急に顔を上げて私を見つめてきた。
「三ヶ月…くらい前に、学校の帰り道で、女の人達に工場みたいなところに連れ込まれて、
美緒がお姉ちゃんにしたみたいなイタズラされたの。
それからも、度々呼び出されて…。」
「どんな人なの、その女の人って?」
「それは言えないよ!それを美緒が教えたら…今度はお姉ちゃんが狙われちゃう!
自分でもあんなことしたけど、それは嫌!!」
普段物静かな喋り方の美緒の強い口調。
いつかの狂犬のような様子とは違い、そこには何か強い意志が感じられた。
私は、肝心なことはなにもわからないまま、それ以上何も聞けなくなってしまう。


しばらく私達は黙ったまま時を過ごし、やがて美緒が立ち上がって、薬を持ってきた。
「とにかく、お姉ちゃんは早く体調を戻さないと。
この薬飲んで、美緒が学校から帰るまで静かに寝てて。」
私は仕方なく、錠剤を口に放り込み、差し出されたコップの水を飲み込んだ。
見つめている美緒に分かるように、大きく喉を鳴らして。
「じゃ、お休み、お姉ちゃん。」
横になった私に声をかけ、美緒が部屋を出て行く。
それを見計らって私は起き上がり、横に置いてあった洗面器の水の中に、
奥歯で挟んでいた錠剤を吐き出した。
まだ少し気分は悪いけど、のんびり寝ている気にはなれない。

美緒の部屋を探ってみると、机の引き出しの中に妙な黒い封筒がいくつか見つかった。
差出人もなく、中に『御隷嬢・七海 美緒様』で始まり『例の場所』へ来るようにとの文で終わる、
黒ブチの手紙が入っているばかり。
誤字にしてはわざとらしすぎる。
これが美緒に手を出した犯人なんだろう。
その封筒のなかで、最も古いものにはその『例の場所』の地図が載っていた。
それにしても、これまでこんな封筒は見たことがない。家に来てるなら、一度くらいは目にしても…。
しかしそう考えて気付いた。
ここ一週間、いやその前から美緒は定期的にポストを気にしていた。
あれは、この封筒を私に見せないためだったんだ…。
と、その時ポストに何かが入れられた音がした。
見に行ってみると、その中には黒い封筒があった。



その工場は裏路地の更に奥、昼間でもほとんど人気のない所にあった。
私もその近くの道は何度か通ったことがあったけど、まるでその存在を知らなかった。
(よし…いこう!)
裏口に手をかけ、まだ少し力の入らない体に気合を入れなおす。
今の私は、普段ストレートのまま変えない髪をポニーテールにし、美緒そっくりになっていた。
この状態なら、例えお父さんでも私たちを見分けるのは難しいだろう。
私は美緒として、妹に手を出した人間をこの目で確かめる。
裏口を開けた先にのびる通路を抜け、その奥の扉を開くと、私はいきなり面食らった。
そこはまるで広い牢屋のようだった。壁も床も石で出来ていて、所々に鎖や台のようなものが設置されている。
そこには八人ほどの女の人がいた。皆高校生くらいに見える。
彼女たちはお互いに乳首を吸いあってたり、抱き合ったりしていた。そういう趣味なのかな?
「思ったより早かったわね、美緒。後ろの扉、ちゃんと閉めなさい」
その八人のなかで一際背の高い人に言われ、私は慌てて後ろ手に扉を閉める。
なんともいえない圧力感に、つい従ってしまう。

よく見るとスタイルも抜群なのが服の上からでも分かる。女王様っていうのは、こういう人のことなんだ。
そういえば、この部屋で服を着ているのは私とその人だけだ。彼女がここのリーダー格なんだろう。
その人は私の前に進み出ると、ポンと私の肩を叩いた。
目の前で見ると、さらにプレッシャーが増す。私の目線の位置にある胸は、とても私についているものと同じとは思えない。
「あ、あの…」
声をかけようとすると、いきなり口を塞がれた。
美緒のときと同じ―じゃない!
「ん、んぐ!ひうう、ぷはく…あ、はふっ…あふうっ!!」
下を絡ませるどころか、掴まれるような感覚で、私の舌は彼女の舌に包まれて口の中を暴れ回る。
舌を吸われるときは、まるで肺の空気ごと搾り取られそう。すぐに頭の中が白くなる。
美緒のとは力強さが違った。
短い間に、私の口の中は唾液と涎で満たされ、彼女の口が離される度に幾本もの透明な糸を引くのが見える。
唇を奪われただけで、私の脳はしつこく快楽を知らせてくる。


「あら、今日はまた久しぶりに可愛い反応ね。いつももっと嫌がるのに」
胸を弄りながら言われても、私は腰の横で拳を握り締め、必死に外れそうな顎に力を入れる他ない。
やがて彼女の指は、スカートをくぐり、下着に潜って私のわずかな茂みに触れた。
美緒に散々イカされたのが昨日、そして今のこの刺激で、そこはまるでお漏らしをしたようになってしまっている。
そのなかに入り込んだ指が内側から身を溶かし始め、私はただ目を潤ませる。
でも―急に、その指は止められた。
「あ…え、ろ…ろうひてえぇ…っ!?」
唇も開放され、それでもまともに話せないまま聞く。
後味の悪さがお尻のあたりにずんずん広がってくる。

リーダーらしい彼女は、ただ黙って私を見つめたまま、指を鳴らした。
すると、周りでいちゃついていた人たちが一斉に私を囲み、私の両足を掴んで抱えあげた。
「ああ!な、なに?いぁっ、やめて下さい!!」
空中で大きくお股を開かされて、苦しくて、恥ずかしくて私は顔を覆って叫ぶ。
でも“女王様”は構わずに屈んで私のあそこに指を差し込んで奥まで拡げて、鋭い目つきで見つめた後、立ち上がってまた指を鳴らした。
今度は女の人たちが一斉に私から離れ、私はその姿勢のままお尻から床に叩きつけられた。
「きゃあああ!!い、いたいいっ!!!…っううう…くぅ、な、何なんですか…?」
尾てい骨にヒビが入ったかもしれない鈍い痛みに抗議の声をあげると、上から刺すような視線が注がれた。

「あんた、美緒じゃないわね。」
いきなり核心をつかれ、心臓がぎゅっと潰れそうになる。
「えっ!あ、いえ、違います!私、美緒です、本当ですっ!!」
自分でも怪しいと思う弁解で、見下ろす目がますます細まった。
「残念だけど…美緒ちゃんは、もう処女じゃないのよ。
それに、美緒は自分のことを『私』とは言わない…そうよね、お姉ちゃん?」
「………!!」
美緒が処女じゃない。替え玉もばれてしまった。
二つのショックで、考えをまとめることができない。でも…
「で、なんであんたがここへ来た訳?」
その理由には、悩まずに済んだ。

「…そう、美緒!美緒にひどいことしたのは、あなた達ね!」
「何なの、ひどいことって」
「しらばっくれないで!!言わなくても分かってるでしょ…今、あなたが私にしたような事よ!!」
私は、結構すごい剣幕で怒っているはずだ。でも、彼女はただ笑みを浮かべるだけだった。
「ふぅん…分かっちゃたのね。で、怒って乗り込んできたの?その割に随分愉しんでた様だったけど」
「そ…それ…は、あ、あなたのせいよ!!」
言葉を使った辱め…やっぱり美緒は、この人の影響を受けたんだ。
「どうしてあの子に手を出したの!!あなたは誰?」
私の問いに、彼女はしばし中を見つめた後、また笑みを浮かべながら言った。
「ま、名乗ってもしょうがないけど…私は岩熊 沙希。
岩熊財閥の娘だから、この工場も、そこの娘達も皆私のものよ
…もちろん、美緒もね」

 岩倉 沙希。
忘れない…それが、美緒をあんな風にした相手の名前。

彼女は続けた。
「手を出した理由は…そうねえ。美緒が上玉だから。それから、双子だから。」
双子だから…?その意味が分からず、黙って続きを待つ。
「ま、簡単に言うとちょっとした実験がしたかったのよ。
性を知らず、普通に育ったあんたと、私の手で完全にメス奴隷に堕ちた美緒。
胸の大きさとか外見の違いだけじゃなく、その後の人生にもどう影響するか…楽しみじゃない?」

私は言葉が出せない。美緒の人生を台無しにして、楽しみ?
「でも、もう台無しねえ。あんたはここまで嗅ぎつけたし、さっき触った感じじゃ
美緒もあんたに手を出し始めたみたいだし。 悔しいわ…」
ダンッ!!
私は思いっきり沙希の横っ面をひっぱた…こうとしたけど。
その前に、周りの人達に取り押さえられてしまった。
妙に低い声が降ってくるのが聞こえる。

「…悔しいから、あんたを壊してあげる…徹底的に。」