ゴボッ、ガッ…ゲボ、ガボッ…
また水を飲んでしまった。頭の周りで大きな泡がいくつも生まれる音が響く。
直後、神が引っ張られて、水面から顔が引き上げられる。
「っくは!はぁ、はっ、あぁ…はっ…!!」
肺から抜けた酸素を吸うために喘ぐ。でも、中々うまく入ってこない。早くしなきゃ…
「沈めて」
そう冷たい声が告げると、また数人の手が私の頭を押さえつけて、金だらいに汲まれた水へ勢い良く沈めた。
 グブッ、ゴ…ッボン…ゴフンッ…ガボォッ……ッ
さっきより大きい音に鼓膜が震えた。
鼻の中に水が入ってしまったみたい…あれ、それにしてもなにか変だ。
鼻の奥…目の中が焼ける!これ、普通の水じゃない!!
あぁ、喉が痛い…。

異常な水責めはどれだけ続いたか分からない。何十分か、もしかしたら何時間か。
もう酸素もとっくに吐ききって、変な水に粘膜を刺激されすぎた鼻から、多分鼻水らしいものを垂れ流している頃。
頭にばかり意識がいっていて、まったくそんな予兆は感じられなかったけど、
急に私の下腹部が生暖かい嫌な感じになった。
「あーあ…やった。もういいわ、水のみ終わり。」
呆れたような声だった。でも、やっと楽になれる…。


今の私は、どれだけ無様なんだろう。
へぇ、へぇと犬のように喘いでいる声が遠くに聞こえる。
涙・鼻水・涎…顔中から出せるだけのものを出して、お漏らしもしてる。
そして、全身に走る、妙に懐かしい熱さ…あの水の成分が分かった。
「体があったまったところで、服を脱ぎましょう。本当なら自分で脱いでもらうんだけど、こんなとこで時間かけてちゃ醒めちゃうわね。手伝ってあげなさい。」
沙希が私を指差す。今まで私を押さえつけていた女の人達の手が、そのまま私の服を剥ぎ取っていく。
「あ…あ、いや、ああ…!」
お気に入りだった白いブラウスも、美緒とお揃いのクリーム色のワンピースも、破り取られていく。
悲惨なパンツが抜き取られるときは、また別の悲しみがあった。
「ふ…えぐ、ぐすっ…ひぃ…っく、うぅ…んふ」
泣かずに入られない。これで泣かない娘なんてそういない。
でも、やっぱりただ泣かせておいてくれる人達じゃなかった。
「泣いちゃったかー。…っはぁ、汚い顔ね。猿じゃあるまいし、女の子ならもっと可愛い顔しなさいよ、笑ったりとか。」
笑えるわけない。すすり上げるたびに、鼻がひどく痛む。
「ま、そんな気分じゃないだろうから、笑えるようにしてあげるわ。」
沙希はそう言うと、部屋の真ん中にある細い柱をトンと叩いた。
女の人達は私をそこまで連れて行き、背中が柱につくように押さえつける。
「え…今度はどうするの?や…やめてよ…」
私はとりあえずそう口にしたけど、無視されるのは分かっていた。


そのまま腕を持ち上げられ、柱の上のほうに付いていた革手錠に固定される。
このバンザイのような状態…近い体験を最近したばかりだ。
ふとそう思い出し、また不安になる。
しかも今度はより不安定なつま先立ちの状態だ。
さらに右足が縄で括りつけられた。どうして右足だけなんだろう。
沙希のほうをちらりとみると、彼女は黙って私の裸を見つめている。

「ふうん…14歳って割にはいい体ね。手足のすらりと伸びたスレンダーボディ、ってとこかしら。」
「…………」
褒められて少しは嬉しかったけど、私は黙ってそっぽを向いていた。沙希は構わず続けた。
「じゃ、もっとその脚を魅せるポーズをとりましょ。」
グイイッ!!
私がその言葉の意味を考えるよりはやく、かかとと膝裏が女の人達につかまれて、無理やり上へと持ち上げられていく。
「きゃああっ!!なに!?やだ、何なの!!ぅ…ぐ…!」
太ももが顔につくぐらいまで上げられた。別の一人が天井に走るレール伝いに鎖を引っ張ってきて、長さを調節したあと、その先についた首輪のようなもので私の太ももを締め付け、余った鎖を幾重にも足首に巻きつける。
なんて格好…!!
手を上に揃えたまま片足を大きく上げるなんて、大袈裟なチアガールじゃあるまいし…。

「やっぱり、美緒と同じで体は柔らかいのね。小さい頃バレエをやってただけあるわ。」
私のことは何でも知っている、とでも言いたげな口調に腹が立つ。右足が縛られてなかったら、顎を蹴り上げてやるのに。
そんな私の意図に気付いてか、沙希は私の顔を見つめて微笑んだ。
「怖い目してるわねー。じゃ、早速笑ってもらお。」
そう言うやいなや、私の脇を指の腹でさすってきた。
「ふゃんっ!!」
私が上げた一声を合図にしたように、あっちこっちから手が伸びてきて私のわきの下や太ももををなで始める。


「ああ!は…はは…あ、あははははは!!あ、あはっ、ひゃあ、やめ…ふひゃははははは!!!」
笑うしかない。
最初はただくすぐったかっただけだったけど、すぐにそれが二度目の拷問だと知らされる。
一分、二分…また時間は分からない。
「はひっ、うっ…は、はっはぁ…あ!!ひ、ぃ……ひゃは、あ、ああーーっぐ、はっ、はっふ…や、あめれ…うんっ!!
もおぉ、ひんじゃあ…あ…いひい…くう、う…ぉえっ…!!」
さっきのとどっちが苦しいだろう。また頭がくらくらして強烈に吐き気がしてきた。
思わず餌付くと、沙希が叫んだ。
「あ、ストップストップ!!このままじゃ今度はゲロ吐くよ、こいつ。」
周りの人達が、すこし引いたのが分かる…。

正直この姿勢でいるのもそれだけでつらいのに、吐きそうになるまで笑わされすぎて、すっかり力が抜けてしまった。
ただでさえいい体調じゃないのに…。
「随分汗かいてるみたいだし、喉も渇いてるでしょ。どう?」
「…あ、…うん、渇いた…」
言われるまで忘れてたけど、確かに喉は渇ききっていて、ひどく痛みっぱなしだ。
「私が飲ませてあげる。」
沙希は女の人にお茶を手渡されると、それを開けて口に含んだ。
そして私の顎をくいっと持ち上げる。

 ゴギュッ。ゴプッ…グッ、ゴクッ。
「んぶ!ん…ふう、ふくっ…ぐっ!!けはっ、ごほっ!!」
口移しで無理やりお茶を流し込まれた。
渇ききって喉が弱っていた上、沙希が舌を押さえていたせいで、大量のお茶が一気に流れ込むため、結局5回飲まされたほとんどをむせて吐き出してしまった。
「…はあ。他には、何か困ったことはない?」
口をぬぐって沙希がそう尋ねてきた。
私は困った。
少しは余裕が戻って気付くと、おしっこを漏らした辺りが今更ながらに痒くて堪らない。
でも、お茶を飲むのであれなんだから、どんなことをされるか分からないし黙っていた。
「…ないのね。じゃ、これからいよいよ本格的に愉しませてあげるわ。」


突然目の前が真っ暗になった。目隠しをされたようだ。
そして、お臍の辺りをくすぐったい何かが走った。
「ひ!ま、また?まだくすぐるの!?」
不安になって叫ぶ。周りが見えないと思った以上に怖い。
腋の下、首筋、乳首のまわりとどんどんくすぐったさが増していく。
「んいっ!ひっ、いい!んやぁ、何これぇ!!」
堪らず震える声が上がる。何かおかしい。くすぐられたところが、すぐ熱くなってくる。
乳首の周りをくすぐっていたものが、直接乳首に触れてきた。細かい針を一度に刺したような感触がそこを包む。
とろっと熱い何かが流れる感じが、右脚を伝っていく。

「おっ、また溢れてきた!痺れる気持ち良さでしょ。自分が今どんなことされてるか、想像してごらん。」
楽しそうに沙希が囁いてくる。私は、その態度に腹を立てる余裕さえ無かった。この感触は…
「ひぎ…ぃんっ!!ふ、筆?筆でくすぐってるの?…く、うっ!!!」
「惜しいわね、ただの筆じゃないわ。毛にたっぷり媚薬が染み込ませてあるもの。
それもほとんど原液でね。これはキツいわ…ま、あんたは耐えるしかないけど」
その言葉は、真っ白になった頭の中ですぐに溶けて分からなくなってしまうけど、『耐えるしかない』という部分が、変にピリッと痛んだ。
乳首を包む毛先はしきりに角度を変えて責め続け、その他は体の至るところをなぞっていく。
足の裏、脚の付け根、指の間、鎖骨の窪み…。
「いううんっ!!ふっ、ああ!!いぎい、やあっ!!っくく、あいいいっ!!ぎぃ…っ!!!」
歯を食いしばって耐えることもままならない。
吊られた左足が痙攣して、鎖がうるさく鳴っている。
次々塗り替えられていく快感に、私はまた泣き出した。目隠しがまぶたに貼りつく。
「あら、何を泣くの?苦しい?悔しい?違うわよねぇ、気持ちいいんでしょ、あははッ!!」
また蔑むように言われた。今度は苦しい、悔しい!
 ジュルジュル、ジョプッ!!
「ふく、そんあころ、な…あ?あ、ああっ!!ひいいっ!!」
知らない間に呂律が回らなくなった声で否定しようとした瞬間、恥ずかしいところを吸われる感触に悲鳴を上げてしまう。
「これが…」
 ジュルルルッ…ジュル、ジュッ。
「気持ちいいって…証拠よっ!!!」
 ジュボボボッ!!!!
「くあっ、ひ……あ、あーーーーっ!!アーーッ、アアアーッ、ああーーーーーーーーッ!!!!」
一気にあそこの蜜を吸い上げられて、変な声をあげている。
背中を大きくのけぞらせた拍子に柱に強く頭をぶつけている。
もう、それすらも気持ちいい!
 シャアアア……。
「あ…あ、あたわらひ、おひっこが…?」
さっきもらしたばかりなのに、また出たんだろうか。
「違うわ。これは潮吹き。あんたがあそこを吸われて感じたって言う、いやらしい証よ。」
「あひ、そんあ…ひっく!そんあはず、あい!あいの…!!」
もう何を言ってるのかもわかんないな…。本当に、情けない。


「だいぶキてるわね、もろい子。でも、こっからもっとすごいわよ?」
筆が、いままであえて触れていなかったらしい部分――お尻の穴とあそこに当てられた。
「ああう、そこはらめー!ゆうして、いやら!!」
お尻の穴の皺が、あそこのビラビラが熱くてたまらない。
他のところと比べて、随分丁寧になぞられる。
「そんなに我慢しなくていいの。素直になりなさい」
クリトリスの皮が剥かれ、先っぽをくすぐられている。
「やーー!やー、らめーー!!があんしないと、があんしあいとわらひ、くうっちゃううううう!!!!」
イったらどんなに楽だろう。でもそうしたら、二度と戻ってこれない気がする。
気を抜くと、すぐにでも熱さに呑まれて発狂しそうな状態だから。

「…嫌なの?」
不意に、沙希が聞いてきた。私は思わず叫ぶ。
「いあーー!こんなのやら!もういあーーーー!!!」
すると…急に、全ての刺激が止んだ。
「…あえ……?」
呆けた私の声がガンガン頭に響く。
「…やえうの?」
弱弱しく聞く。
「嫌なんでしょ。やめてっていったのはあんたじゃない」
「そ…そう、らけど、れも、ここまれしてほっとかないれ…!さいごまれして!!」
私はなんてことをいってるんだろう。
「して、って何よ?人にものを頼むときは『してください』。『私を滅茶苦茶にして下さい。』。はい」
「………!!」
これにはさすがに戸惑った。それをいったらおしまいだ。
黙ったままでいると、急に首筋がひきつった。口付けをされている。
きゅうう――そのまま強く吸い続けられ、乳首も舌で転がされはじめた。
その刺激とは別に、うなじを撫でられ、髪を優しく掻き分けられた。
突然の、慣れない優しさ。
どんどん…追い詰められてきた。
(だめ…だめよ!この人たちは美緒を狂わせた相手!私が従ったら、あの子はどんな気持ちがするの?私ぐらい…)
そこまで考えたとき、手のひらがお尻の上に当てられた。
そのまま、背中をさすり上げられる。すごく優しい動き。
でも、私は腰を大きく浮かせた。

快感が全身を走り回る。もう理屈じゃない、ただ『キモチイイ』。
もう、無理だ。
「あああああん!!!いい、し、して…くらさい!!
わ、私お、めちゃくちゃにしてくらさいいいいッ!!!!」


 ごめん…美緒、ごめん…。

 
 もう、これをいわなくても、おしまいなんだ、お姉ちゃん。