1.

悠里は板張りの部屋で、膝立ちの格好を取らされていた。
麗しい身体には何も着せられていない。
ただその桜色の肌や胸の膨らみを、年頃の少女達に晒すままになっていた。
両腕は後ろで結ばれ、脚もまた足首を重ねるようにして縛られている。
そして首には麻縄が掛けられていた。
縄尻は左右に伸び、それぞれ少女の手に。

「怖いでしょ、悠里ちゃん。族抜けの罰の一つ、『首狩り』は」
片方の縄を持つ少女・クミが笑った。悠里は正面を見据えたまま美貌を崩さない。
それを見て、クミは逆側の少女に目配せする。
その少女は嬉々として縄を引き絞り、同時にクミも縄を引く。
悠里の桜色の首に縄が食い込んだ。
「…………っ!!」
悠里が目を見開く。
声こそ上げないが、手足の指の動きからかなりの苦悶が見て取れる。

「とっても苦しいよねぇ悠里ちゃん。息ができなくて死んじゃいそう?
 心配しなくてもいいよ。この縄には細かい切れ目が入っててね、
 思いっきり引き続けてると窒息死する寸前に千切れるようになってんの。
 だから死ぬことはないんだけど、ただし」
クミがそう語りながら、再度逆側の少女に合図を送る。
縄の引きが弱まり、悠里の首に食い込む縄が緩まった。
「くは!!」
悠里が堪らず息を求める。
「ただし、こうやって緩めながらだとなかなか千切れないの。
 族抜けの中でも罪が重い場合は、こうやって生かさず殺さず嬲られるんだ。
 もっちろん悠里ちゃんには、その一番キッツい方を味わってもらうよ?
 なんせ鍛えてるプロ格闘家様なんだからさ」
クミがそう言いながら合図をはじめ、再び強烈に縄が締まる。
「あ゛!」
不意を打たれたのか、悠里の喉奥から苦悶の叫びが起きた。
力を入れ損ねた首を麻縄が容赦なく握り潰す。
「げぇ、ええ゛……ぇお」
悠里の口から濁った悲鳴が漏れ始めた。
手の指は堪らなさそうに空を掻き毟り、形のいい腿が筋張る。

「あはは、凄い苦しみようじゃねぇか!チョークが完全に入ったようなもんだしなぁ」
「そうだね、でも格闘女王様がそのままやられっぱなしだなんて有り得ないよ。
 鍛えてらっしゃるんだもん、あんな手足の縄ぐらい引き千切れるでしょ」
「おいおい、そんな虐めてやるな。どんだけ鍛えたって女にそれは無理だって。
 いくら女帝だの何だの言われても、ああなっちゃどうしようもないさ」

蔑みと哀れみの言葉が交わされる中、クミ達がようやく縄を緩めた。

「……がアっ!!あ゛っ、ヶほ!!げほ、っがは、ええ゛ほっっ!!!!」

悠里は前屈みになって激しく咳き込む。
本気で気道が絞まっていたのだろう、顔は真っ赤になり、額を汗が流れる。

「あれマジで苦しんでるよねぇ、あーあー情けな!殺すのを許して貰った感じじゃん」
「師範が訓辞で言ってた、生殺与奪の権を握られてる、ってヤツだよね」
「そうそう。“これぐらい”自力で何とかしてくれないとさぁ、萎えるよねえ」

間違いなく悠里以上に無力であろう少女達は、口々に悠里を嘲笑った。
それに悠里が睨みをくれようとした瞬間、また首が絞まって地獄の苦悶が始まる。



何度、窒息と解放を繰り返されただろう。
悠里の首には深い縄の痕が刻まれ、その顔は疲れ果てていた。
さながら水責めを繰り返された女囚のようだ。
もっともその凛とした瞳からは、町娘というよりもくノ一に近い印象を受けるが。

その美貌を乱した悠里の前に、ある一人の少女が屈み込んだ。
育ちのいい雰囲気を持つ娘だ。
黒の長髪。いかにも真面目そうで、クラスでは委員長など任されるタイプだろう。
「お綺麗な顔ですね」
少女は訝しむ悠里の頬に手を触れ、そっと口づけを迫った。
「んん!?」
悠里が驚きの表情を浮かべる。
少女は悠里の唇を丹念に嘗め回した後、舌を絡み合わせて本格的にキスを始める。
同時に空いた手で悠里の胸の尖りを摘み、こりこりと揉み潰し始めた。
「…………っ!!」
無理矢理キスを迫られながら乳首を弄ばれる。悠里には相当な屈辱だろう。

悠里の目に冷静さが戻り始めたそのとき、クミ達が再び縄を引き絞った。
「ああ゛!!」
悠里の口から押し潰した悲鳴があがる。
キスを迫る少女はその状態の悠里になお、口づけを求めた。
その瞳は蕩けたようになり、またスカートの下から腿部分に透明な液も見える。
興奮しきっているのは誰の目にも明らかだ。

「アイツなかなかの鬼畜だねぇ、あれじゃ鼻でしか息ができないじゃんか。
 何か本気で熱を上げてるっぽいし、レズなの?」
「あれ、アンタ知らないの?ま、男みたいなアンタは狙われないか。
 あいつ紗江ってんだけど、真性のレズだよ。
 道場に新しく来たコを必ず実家の豪邸に連れ込んで、ヤッちゃうんだ。
 まぁ私もしたんだけど、一度抱かれてみなよ。一時間で心底うんざりするから」

観衆の一人が思い出したくないといった風に首を振る。
その視線の先で、紗江は悠里の裸体へ寄りかかるように纏いついていた。


紗江はなおも悠里に口づけを強要し、右手で胸の突起を弄ぶ。
そして空いた左手でも秘部を弄りはじめた。
悠里の腰が反応する。

「ふふ、首が絞まるとこっちも締め付けるんですね。
 我慢なさらないで、とっても気持ちよくいかせてあげますから。
 ほら、ちょっとずつ指が入る……中で曲げたのがわかります?
 ふふっぴくぴくしてる、気持ち良いんですね。
 この膨らみを撫でて……ちょうどこの強さ。たまらないでしょ、たまらないですよね?
 こうしていると、だんだんお蜜が奥から流れ出してくるんですよ。
 ……ほうら、来た。
 このお蜜を指に絡めて、中をもっと愛して差し上げます」

紗江は目を細めて悠里の産道の中を弄繰り回す。
「んあ!んあああ!!!!」
悠里の腰が跳ね、後退する様に内腿をもじつかせる。
「うひ、嫌がってる、嫌がってる!」
「本当、いい反応だね。どんなボディよりきついんじゃない?」
周りの野次も次第に大きくなっていった。
紗江はその状況を嬉しそうに受け止めながら、一層巧みに嬲り始める。

「さあ、もっと凄くしますね。
 先ほどはこの膨らみを撫でるだけでしたけれど、今度は指の腹で押し込んで。
 あはっ、そんなに指を締め付けては痛いですよ。
 でも解ります、締め付けちゃうんですよね。ここをこうされると、嫌でも締め付けちゃう。
 それが女の身体なんです。
 私達じゃ想像もできないくらい鍛えたあなたも、その範疇から抜け出す事はできない。
 それどころか、鍛え上げた事で神経が研ぎ澄まされて、とっても敏感になってる。
 締めつけも強くて、指がひとつにひしゃげそうです。
 っふふ、身体を褒められて嬉しいんですか、またすごく蜜を吐いて。

 何だか私、この短時間であなたの膣のこと、ほとんど解ってしまいました。
 ああ、脅えないで。ただそれだけ的確に、あなたをとろとろにできるってだけなの。
 毎日こうして差し上げても結構ですよ。
 あなたが生まれてから今までに垂らした蜜よりずっと多くの量を、溢れさせてみせます。
 嘘だと思いますか?
 思えないでしょう、だって今もうこんなに、あなた濡れてらっしゃるんですもの。」



紗江の指が沈む悠里の秘唇からは、すでに夥しいほどの愛液が溢れていた。
「ああああ!!ああああああ!!!!」
悠里は叫び、髪を振り乱す。余裕などまるでなかった。
紗江の悪魔的な指使いが秘部を蕩けさせ、首への絞めで脳が警鐘を打ち鳴らす。
極上の快楽と生命の危機という異常性。
その2つの圧倒的質量に脳を板挟みで押し潰され、悠里は少女の導くままに愛液を分泌させられていた。
窒息に次ぐ窒息で、手足には力が入らなくなる。宇宙空間に漂うようだ。
その浮遊感の中で少女の指が性感帯を擦り上げる。
「ふぁあ、あア……あ!!!」
悠里はあさましく股を開きそうになるのを、必死に堪えていた。
何しろ気持ちよくて仕方がない。
脳に酸素が行き渡らずに思考が遮断された世界で、そうしてしまう事は当然だ。
だがその当然を意地で無理矢理に押し留める。
それがまた紗江達を喜ばせるのだが。

「必死に耐えてらっしゃるのね、そういう誇り高い方は大好きです。
 でもほら、もうそろそろ限界みたいですね」
紗江の言うとおり、悠里の腰のねりは次第に激しくなっていた。
「やーだ何あれ、男でも誘ってるの?」
「ほんと、顔もすっかりだらしなくなっちゃって」
野次が飛び交う中、悠里は紗江の指の導きで高まりへと押し上げられていく。

「……ああそうだ、悠里さん。ここでお小水を漏らしてくださいません?
 師範との戦いで粗相をなされたと伺いましたが、わたし目にしておりませんの。
 綺麗なあなたのお小水を見てみたいわ」
紗江はそう言いながら悠里の秘唇の中をこねくり回した。
「ああ!!」
悠里の背が快感にのけぞる。
突き立てられた紗江の指を蜜がつたった。
「悠里さん、わたしが見たいのはお蜜ではなくてお小水ですわ。
 とても気持ちがよろしいんでしょうけれど、もうお蜜は結構です」
紗江が少し気分を害した様子で指の繰りを速める。
そしてその瞬間、クミ達も全力で縄を引き絞った。
最後とばかりに引いて引いて、そしてついに縄が引き千切れる。
「ごぉおおおっ!!」
悠里の顔が天井を仰ぐ。
秘部の何もかも投げ出したくなるような愉悦と、窒息の苦しみ。
それらが一瞬のうちに脳を焼き焦がす。

「あああ゛あ゛っっ!!!!!」

裏返ったような悠里の悲鳴が響き渡った。
苦痛と快楽を十分に孕んだその叫びは、聴いた者の心に深く響く。
そしてその余韻も消えぬうち、ぶしゃあっと飛沫の音がしはじめた。
悠里がついに失禁したのだ。
何も纏わない秘部から、板張りの床にかなりの勢いで透明な尿が噴出していた。
「ああすごい、尿道が開いて噴き出しているのが見えますわ。
 本当に凄い勢い、ウォーターカッターを思い出します。
 足腰の筋肉を鍛えてるからこんな勢いが出せるのかしら。本当に何もかもが違うのね」
紗江は尿飛沫を手の平で受け、恍惚の表情を浮かべる。

失禁を終えた後も、悠里は力なく項垂れたままだった。
周りの少女がその顔を覗き込む。
悠里は薄く開いた瞳の中で白目を剥き、鼻水と涎に塗れた顔を晒していた。
あまりにも明確な失神顔だ。

「すげえ、これちょっと写メ撮っとこ!」
「あ、あたしもー!絶対王者様が失神KOしてるシーンなんて、超貴重だし!!」
「はっは、しかしガチ失神だなこりゃ。こんだけバシャバシャ撮られてて、全然目ェ覚まさねえ」
「ねーエリコ、ちょっと後ろから首に手回してみて。絞め落としましたって感じで。
 こいつに勝ちましたってなったら、西高の連中マジでビビルよ?
 あそこ、こいつに絡んでボコボコにされた奴らばっからしいしさ」
「あ、いいねぇ。どうせなら肩に手のっけて、タップしてましたって風にしようぜ。
 でもアタシは許さず、ついに失神させちゃいました!みたいな」
「アッハハ、最高!!しっかしエリコと並ぶと、こいつってガリだよね。本当に強いの?」
「さーあ?格闘技ってヤオもあるらしいしね、美人が勝つブックがあんのかもよ」

失神する悠里の周りで、門下生達が好き勝手に囃したてる。
悠里はその様な事実を知る術もなく、ただ苦悶に満ちた表情でされるがままになるしかなかった。



2.

「やっとお目覚めかい?悠里ちゃん」
悠里が目を開いた瞬間、クミの声が飛んでくる。
悠里は中庭の松の木から下げた紐で手首を結ばれ、足を肩幅に開く格好を取らされていた。
その足の間には膝下まで焚き木が積まれている。
「……今度は、魔女裁判ごっこでもするつもり?」
悠里は嘲るような視線をクミに投げた。
何度も窒息に追い込まれる恐怖を味わった直後だというのに、まだまだ瞳は気丈だ。

クミはライターを手に、可笑しそうに笑う。
「ははっ、魔女なんてとんでもない。ちゃんと総合格闘技の王者だって解ってるよ。
 ただ、今一度それを確かめたくてね。
 何しろアタシら、アンタが師範にボコられるシーンしか見てないんだ。
 それじゃ本当に強いのか解らない。だからもう一度、タイマンでやり合って貰おうと思ってさ」
クミが言うと、悠里も不敵に笑い返した。
「あら、どうも。私としてもあの無様な一戦だけじゃ寂しいし、願ったり叶ったりよ」
手を縛られている時点でまともな戦いではない、と悠里も解っている。
それでも孤高の王者は、挑まれた戦いは胸を張って受けるしかなかった。

その背景を知った上で、クミが口角を吊り上げる。
「良かった。それじゃ、あたしとやってよ。喧嘩にはちょいと自信あるからさぁ」
クミが腕を捲り上げ、悠里の前に立つ。
「あ、ただしちょっとハンデを着けさせてね。悠里ちゃんプロなんだから。
 まずそうやってバンザイした格好のまま、蹴りだけで戦うこと。そして……」
クミは言いながら、ライターを悠里の足元へ放り投げた。
すなわち、焚き木の中に。
よく乾かした上に油も染みこませてあったのか、焚き木は一瞬にして燃え上がる。
「……っ!?」
悠里は熱風に前髪を煽られながら目を細めた。

「ハンデその2、お股の下が燃えている状態で戦うこと。
 『コンブ踊り』っつってね、これも族抜けの罰の一つなんだ」
クミが説明しながら構えを取る。
そして炎の熱さに辟易する悠里の腹部へ、いきなり強烈なストレートを打ち込んだ。
「お゛うっ!」
悠里はギリギリで腹筋を固めたものの、足場が定まらない状態では持ち堪えられない。
悠里の身体は後ろに流れ、そして戻った瞬間に炎が内腿を撫でる。
「あ、熱いっ!!」
悠里ははっきりと叫んだ。
痛みも苦しみも耐えられる悠里だが、炎の熱さばかりはどうしようもない。
「あーあー、そんなにおっぱい揺らして踊っちゃって。気をつけないとね。
 そんじゃ、正々堂々のタイマン勝負と行こうか」
クミは悠々とステップを刻み始める。
悠里は厄介さに奥歯を噛み締めた。



炎の熱気と煙が悠里の体を取り巻いていた。
熱風で恥毛が煽られる。
炎は悠里の膝までなので、大股を開いてる限り肌が焼けることはない。
逆に言えば、常に大股を開いていなければならない。
手を吊られて脚しか使えない中で、しかも常に大股を開く状況。
それはおよそ戦いなどとは言えないものだった。

「ホラどうした?そんなにお股見せつけてても、男じゃないんだから欲情しないよ」
クミは嘲りながら余裕で近づいてくる。
悠里は熱気で揺れる視界の中、慎重に距離を図り、クミがある地点を越えた刹那に鋭いローキックを放った。
しかし、速さこそあれど大股開きの状態から放つキックに威力などない。
ぺチッ、と普段の彼女の蹴りからは想像もつかない弱弱しい音が響いた。
周囲からどっと笑いが起きる。
「あれ。なぁにこれ、全っ然効かねぇよ?」
クミも余裕綽々で肩を竦めて見せた。
「蹴りってなぁよ、こうするもんだろ、女王さま!」
そう言いながら、これ見よがしに軸足に力を込めて蹴りを放つ。
蹴りはずばぁんっと音がして悠里の脚に炸裂した。
「くっ……!!」
悠里は目を細めた。しかし蹴りのダメージではない。
蹴り自体はほとんど効いていないが、内に流れた腿を炎が舐めたのだ。

一方で、クミの方も飛び上がった。
「い、痛ってぇ!」
クミが足の甲を見ると、そこはたった一発で赤く腫れている。
周囲の笑いが引いた。
あのすらりとした悠里の脚がどれだけ硬いのか。
やはり次元の違う存在だ。
だがそれだけに、こうして嬲れる事が楽しくて仕方ない。
周囲から笑い声は引き、代わりに喉を鳴らす音がしはじめる。



「おぉっらぁ!!」
クミが悠里の腹部にボディブローを打ち込んだ。
「うぐお!!」
煙に巻かれている悠里はその攻撃が見えず、直撃を喰らってしまう。
腰が内股に落ち、しかし炎に炙られてがに股に変わる。
その仕草に爆笑が起きた。
「げほっ、げほっ……えほ、ごほっ!!!」
煙が顔に当たって悠里が酷く咳き込む。
赤く充血した瞳からぼろぼろと涙が零れ出す。
「クミー、アンタちょっと強すぎんじゃないの?王者さんマジ泣きしてるよぉ」
そんな野次が飛んだ。
実際のところ、まともに受けられればアマチュア以下の打撃など効く訳もないのに。
悠里はそう歯を喰いしばる。
だがその顔をさらに熱気と炎が襲い、さらにひどく咳き込んでしまう。
「え゛ほ!!げえぇ……っほ!!!」
鼻水や涎も出て実に酷い有り様だ。
そこへ追い討ちをかける様に、クミの拳が悠里の腹へ潜り込んだ。
どちゃっと水気のある音がする。
火に煽られ続けているため、悠里の裸体には随所に球の汗が浮いているのだ。
「うわ濡れてる、気持ち悪い!」
クミは手を振って水気を切りながら叫び、周囲の笑いを呼んだ。
その言葉と笑いが、悠里の気高い心を切り刻んでいく。

さらにクミは執拗に悠里の腹を叩き続けた。
すでに悠里の腹筋は息苦しさによって崩壊しており、クミの裸拳を深々と受け入れている。
そうなってしまえば流石に効かない道理はなく、悠里は大口を開けて苦しみ悶えた。
「げええぇっ!!お゛っ、ぐぅおおお゛お゛!!!!!!」
美しい顔からはおよそ想像できないような低いえづき声が繰り返される。
クミは楽しそうにステップを刻みながら悠里の腹部を叩き続けていた。


「ホラ、さっきみたいにおしっこ漏らしたらぁ?火ぃ消えるかもしんないよ~」
クミがボディを打ち込みながら嘲る。
「クミ、おしっこなんて言っちゃ失礼でしょ、お小水よ、女王様のお小水。
 まっ、いくら美人っつったって、尿道おっぴろげてぶっしゃーって出るのが分かったし、
 しっこで十分かもね。
 どうせ膀胱ん中には、ドブスと同じ匂いのくっさいアンモニア袋があるんだからさ」
「え待って、その表現おかしくな~い?見なよアイツの顔。十分に今ドブスだって!」
「あ、ホントだぁ。涙と鼻水と涎と、うわぁキモい!」
他の少女達が煽りをさらに被せていく。

場には下劣な爆笑が巻き起こる。
そんな中、クミは悠里の様子を窺いつつ、そろそろ失神するだろうと目星をつけた。
そうしたら仕方がないから水をぶっかけ、気つけすると同時に火を消してやろう。
ただどうせなら、失神は呼吸困難ではなく打撃でのKOが良い。
そう考え、クミはとどめのステップを踏む。
ここまでグロッキー状態になった相手を何人も葬ってきた一撃だ。
その一撃を美しい女帝に叩き込めることに、クミは笑い出しそうな快感を覚える。

しかし微笑みながら悠里を観察していたクミは、目を疑った。
悠里が燃えるような瞳でこちらを見返してきている。
屈辱が臨界点を超えた、というように。
みっともなくがに股に開いていた悠里の脚が狭まり、しっかりと足元を定める。
その瞬間に周囲の馬鹿げた笑い声も消えた。
悠里の軸足となるべき左脚は、炎の中心に突き立っていたからだ。
焚き木が音を立てて崩壊する。
炎が足首に絡みつきながら燃え盛る。
クミはぞっとした。
炎を嫌がるのは本能だ。炎に自ら突っ込むような人間が居るはずがない。
そんな本能的に絶対に有り得ない事をするほど、悠里が『ぶち切れて』いるのだ。

クミの視界には全てがスローに映った。
悠里の蹴り足が炎を巻き上げ、赤い線を描いたまま少女を襲うシーンを、
ゆっくりとゆっくりと感じていた。
速すぎる。認識はできても反応ができず、ガードが叶わない。
中途半端な力を持った少女は成す術もなく吹っ飛ばされ、
突然速さを増した世界の中で池に飛沫を上げる。

場は一瞬にして静まり返った。

焚き木が壊された事で火の勢いは弱まり、悠里がそれを跨ぐ形で仁王立ちしている。
「どうしたの?正々堂々の勝負、だった筈よね。まさかやりすぎたとでも言うつもり?
 文句があるならかかってきなさいよ。さぁ!」
悠里は怒りに燃え盛った瞳で周囲を睨みつけた。
手を吊るされた裸体でありながら、その総身からは途方もない威圧感が放たれている。

誰も声を出すことすらできずに表情を凍りつかせていた。
言葉こそなかったが、このとき誰もが改めて感じていたはずだ。
やはりこの女はとんでもない、と。
その静寂を破ったのは、池に蹴り落とされたクミが這い上がる音だった。
少女は右肩を押さえながら大量の鼻血を噴き出していた。

「テメェ、随分強気じゃねぇか。ならもっと、自分の立場を分からせてやんねぇとな!」

クミは常に余裕ぶっていた態度から一変し、三白眼で悠里を睨みつける。
悠里も同じくクミを睨み返したが、それ以上はどうする事もできない。


3.

その後、悠里は木の床に仰向けで縛り付けられていた。
無茶をした左脚には治療の跡があるが、そこ以外は丸裸だ。
足元には椅子に腰掛けたクミがおり、足の先で悠里のクリトリスをこりこりと弄んでいる。
器用に足の指でクリトリスを摘み、時には皮を剥きあげて、
親指の腹やかかと、足刀など様々な部位でクリトリスを揉み潰す。

きっちりとよそ行きで身を固め、片方のソックスだけを脱いで嬲る少女。
それに対し全裸の悠里。
いくらボディラインが優美とはいえ、その光景はやはり惨めなものだった。
女王が寝そべり、小娘の足先でさも汚そうに陰核を嬲られている。
これほどに不似合いなものがあろうか。

足の裏で陰核を弄ぶ、というこの行為はかなりの時間続いているのだろう。
既に悠里の肉芽はぬめらかな愛液に塗れ、クミの足指の先に纏いついている。
「何か足先についてくるよ、なぁにこのヌルヌル?言ってみなよ、高潔な女王さま」
愛液が足の裏で下腹部に塗りまわされ、肌を艶かしく濡れ光らせていく。
悠里はたまらない様子で美脚を強張らせながら、ただクミを睨み返すしかない。
唇から漏れる呼吸の荒さが、相当な快感を得てしまっている事を物語っていた。
「どうした、言えないの?私のオマンコ汁です、って」
クミが嘲りながら、愛液のたっぷりついた足先で悠里の鼻先をぐりぐりと踏んでまわる。
悠里の整った顔が自らの愛液で惨めに濡れ光る。
「解らないなら、ちゃあんと覚えな。それがお前のオマンコ汁の匂いよ、あははははっ」

クミはひとしきり笑うと、再度足の指で陰核を剥き上げ始める。
悠里の睨む目つきに困惑が混じる。
「結局さぁ、お前もただの人間なんだよ。格闘女王だの何だの言ってもさ。
 こうやって雑魚のあたしにクリちゃん弄り回されてるだけでビンビンに勃っちまって。
 あげく足の指に絡みつくような愛液まで漏らしちまう。
 所詮はただの人間なんだ。 ……なぁ、お前もそう思うだろ」
クミがふと背後に声を投げた。
すると襖の陰から黒髪の少女、紗江が姿を現す。

「……そうかな。私は悠里さんのお身体に興味が尽きないわ。
 ちょうど普通の女の子に飽いていたところだから」
紗江は秘部の辺りを押さえながら悠里を見つめた。
恍惚の表情。
悠里はその表情に、クミよりもよほど恐ろしいものを感じ取る。
「へっ、そうやってまともなヤツをどんどん追い出してったくせに、ちいとも反省しねえな。
 このお嬢様はよ」
クミが可笑しそうに笑った。