※スカトロ(ややハード)注意


毒がかなり回ってきた。
もはや私の左目は割れた硝子のように赤く血走り、カップとの距離感すら碌に掴めない。
とはいえ、すでに後世に伝えるべき事は書き尽くした。
ここからは、命の灯が消えるまで、私の人生最後の取材を綴っていくとしよう。

現代における戦争は武力ではなく、情報戦が鍵を握る。
特に、争いを推し進める者に男が多い以上、愛人として男に付け入る女諜報員の存在が重要だ。
ではその諜報員は、どのようにして育てられるのか。
それは最重要機密の一つであるため、明確な所は判らない。
ただ私は、長年の取材の中で、その一例を目にする機会に恵まれた事がある。

諜報員の育成。それは物々しく隔離された施設ではなく、意外な場所で行われていた。
街の治安を維持すべく設けられた、警察組織の地下四階。
専用のカードキーがなければ作動しない直通エレベーターで地下深くへ降りると、
熱砂の吹き付ける地上とは別世界のように涼しかった。
私はそこで、石炭のような肌をした警察官2人からボディチェックを受けた後、
数十枚にも渡る契約書にサインをさせられた。
いずれも中で見た事を口外すれば一族の命は無い、という内容だったが、
天涯孤独に死そうとしている今の私には何の意味もない紙だ。

それらを経てようやく、これから正に諜報員としての訓練を受けようとしている女性への取材が許可される。

私が付く女性はスーラという名で呼ばれていた。
彼女が初対面で寄越した、背筋を氷で撫でられるような視線が忘れられない。
歳は20代の半ばから後半といったところで、容貌はそれは美しかった。
諜報員として男を誑かすに充分な容姿を備えている。
髪の色はあまり見かけないほど原色に近い朱で、肌は北欧人のように白い。

また服を脱ぎ去った裸体は、見惚れるほど美しく引き締まっていた。明らかに鍛えた女のものだ。
これは私の推測だが、彼女は元警察か軍の関係者だったのではないだろうか。
妙に落ち着き払った態度からして、それなりに高い地位に着いていた可能性さえある。
記録の上ではすでに死亡した事になっている、と警察官の一人が告げたが、何か裏事情がある事は間違いない。

ともあれ、私はそのスーラに朝も晩もなく同行し、無機質な地下で食事と睡眠を取りながら、
一人の諜報員が生み出される過程を数週に渡って取材する事となったのだった。



スーラには、敵に捕まっても自白する事のないよう、各種拷問への訓練が課せられた。
事前に情報の入ったメモを覚えさせられ、それを別の警察官が尋問で訊き出す、というものだ。
訓練とはいえ、それは容赦のないものだった。

ある日には、彼女は筋肉質な傭兵2人との密室での戦いを余儀なくされる。
狭い空間での一対二という不利に加え、相手が完全武装であるのに対してスーラは丸裸の無手。
それらのマイナスを加味すれば、スーラは驚くほどよく奮戦していた。
男は2人がかりで何度も投げ飛ばされ、金的を蹴り上げられてよろめいた。
しかし一人のタックルで姿勢が崩れた所へもう一人に手首を掴み上げられては、さすがの彼女も為すすべがない。

彼女は石の床へ組み敷かれ、腕を背中の後ろで内旋の限界まで捻り上げられて詰問された。
「くうッ……!!ううあうううう゛…………っっ!!!」
スーラは眉を顰め、歯を喰いしばり、珠の汗を浮かべながら耐え忍ぶ。
傭兵はその彼女を押さえつけたまま彼女の肩関節を外す。
スーラの喉から苦しげな呻き声が上がり、床についた脹脛がびくんびくんと痙攣する様はエロチックだった。
さらに傭兵は、左腕の垂れ下がったスーラにヒールホールドをかけて苦しみを増し、
右手の小指と薬指を無理な方向へへし曲げて自白を迫る。
しかしそうまでしてもついに、スーラから痛みで自白を得ることはできなかった。



また別の日にスーラは、椅子に拘束されたまま自白剤を首筋に打たれ、睡眠を奪われての尋問を繰り返された。
顔の正面から強烈なライトを当てられ、目を閉じても視界が赤く染まって眠れない状況に置く。
その環境下で名前や家族構成、好きな色など他愛のない質問を何百と繰り返し、確信に迫るやり方だ。
睡眠を奪われて朦朧とした意識の中、警察の服を纏った男が手馴れたやり方で硬軟織り交ぜて質問を繰り返す。
傍で時折り眠りながら観ていた私でさえ、その巧みな問いにはつい口を滑らせそうになる。

「も……もんで……どー……る…………どお、り………………にし、はち……ばん…………」

スーラはその尋問を前に、三日目でついに情報の核心を漏らしてしまった。
目の下には痛々しいほどの隈が腫れあがり、自白剤の効果で顔にも全く思考力が見て取れない有り様なので当然だ。
しかしそうして情報を明かせば、当然に折檻が待っている。
スーラは天井と床でX字に腕と脚を拘束され、背中に鞭を浴びせられた。
「があああああっ!!!ぐぎゃああああああうあああああっっ!!!!!!」
たちまちにスーラの白い背中と尻、太ももが赤く腫れあがり、艶やかな唇から身も世もない叫び声が上がる。
臀部の激しい痙攣と幾度にも渡る失禁が、その笞打ちの容赦のなさを物語っていた。



私にとって喜ばしい事に、中には性感責めもあった。
女諜報員が自白する原因は、痛みや苦しみの他、許容量以上の快楽によるものも多いのだという。
スーラは目隠しをしたままベッドの上に這うような姿勢を取らされ、私服婦警の手によって愛撫され続けた。
婦警達は能面のように顔を変えないまま、物でも扱うように淡々とスーラの性感帯を責め続ける。
その手には頻繁にクリームのような物が塗り込められており、恐らくは媚薬に近いものである事が窺い知れた。

「あっ、ああっ!!!ああう、ああああうっ!!!!」
スーラは、いつもの凜とした美人の容姿のまま、女らしい声を上げ続けている。
仕方のない事だろう、私から見ても、女達の愛撫が同性ゆえの巧みで残酷なものである事が解るのだから。
乳房、乳首、陰核、秘裂、肛門といった一般的な性感帯のみならず、脇の下や内腿などの地味な部分まで丹念に磨き上げる。
10分と経たぬうちに乳首が固さを増し始めたのが解った。
20分もする頃には、秘裂に入り込んだ細い2本指の先端から、クチュクチュとあられもない音がしはじめた。
スーラの腰が愛撫を嫌がるように前後左右に揺れ始めたのもこの辺りだ。
欲情しているのは誰の目にも明らかだった。にも拘らず、表情を変えない婦警達は恐ろしいばかりだった。

「アルシダの書とは何か?」
陰核を溢れた蜜でとろとろに包みながら皮ごと揉みしだく女が、何度も質問を投げかけている。
スーラは涙を流し、首を振って答える事を拒む。
すると女達は、スーラの身体を仰向けに裏返し、両手を頭上に掴みあげたままで秘部に指を差し入れた。
「あああううあああおっ!!おあああほおおおおおっっ…………!!!!」
ますます抵抗の余地がなくなったスーラから、本当に切ない声が漏れる。
手の平の底部分で繊毛を覆い隠すようにしながら、無慈悲に旋律を奏でるかのような4本の指。
それは何とも生々しい粘り気のある音を立てながら、何度も何度もスーラの腰を跳ね上げさせた。

やがて両脚を胸につくほどに持ち上げられ、膣内鏡で広がった秘部を幾つかの器具でクチャクチャと弄くられた末に、
スーラは再び口を割らされた。
目隠しの下から現れた白目に、喘ぎながら“もう逝かせないで”と繰り返す唇は病的なほどだ。

この時の仕置きは、腕を後ろ手に、そして両膝を擦り合わせるように拘束された状態で床に這い、
高く突き上げた尻に大量の浣腸を施された状態で放置される事だった。
「ううっ……あう、ぐ……はぐううっ……!!!」
スーラはその鋭さのある美貌を歪ませ、床に頬を擦り付けながら必死に便意を堪えていた。
肛門に嵌め込まれた極太のアナル栓から鈴がぶら下がり、白い尻の降りに合わせて鳴り響く様は滑稽だ。
膝を固定された脚線は目を奪われるほどに素晴らしい。
ほんの少し膨らみを見せた腹筋が、雷鳴に似た音を響かせる様も官能的だった。
やがて一時間近くも驚異の我慢強さを見せたスーラは、数十に登る警察官と私に見守られながら、
ついに肛門栓を飛ばして汚物を噴き上げた。
「みぃ、みりゃいで…………ぉねがい、こんあのみりゃいでえぇええっ……!!!!」
口一杯に唾液を溜め込んだスーラが、まるで幼児が泣くように哀願してくる姿には興奮した。


汚物責めというものはやはり精神へのダメージが強く、拷問としては有効らしい。
ゆえにスーラにも何度も繰り返し掛けられていた。

片脚を頭より高く吊り上げたまま浣腸を施し、あえて汚液が支えとなる脚を伝うよう排泄させるのなどは序の口で、
中には肥溜めの中に手足を縛ったまま放り込み、蛆虫のように這い回らせる事まで行われた。
私は流石に直視が躊躇われた為に詳しくは見ていないが、渦中のスーラは発酵しきった汚物の匂いに何度も噎せ返り、
それが腕や脚や胸など体中を穢していく様には目を見開いて涙を流していたという。
叫び声もそれはひどく、火で身体を焼かれているかのようだった。



また別の日には、スーラはコンクリートが打ち放しになった寒々しい一室に幽閉された。
その手は鳥が羽を広げるような格好で壁に繋がれ、足首も胡坐を掻くように拘束具で繋ぎ合わされる。
そして部屋の中には、扉の上部に唯一開いた覗き穴から何かの蟲が大量に放り込まれた。
それは芋虫のような、巨大な蛭のようにも見える見た事もない生物だった。

当時私が滞在していた地域独自の拷問で、人間の穴に入り込む恐るべき蟲だという。
生物の柔肉を感じ取ると、肛門や膣から侵入を開始し、十二指腸や子宮口にまで身体を細くして入り込み、
雌を狂わせる分泌液を発しながらのた打ち回る。
「あ、いやっ!!は、入ってくる、やめて!!入ってこないで!!!」
事実、蟲を投げ込んでから数分もしない内に、密閉された部屋の中からスーラの悲鳴が上がった。

その蟲は、寄生された人間を特殊な薬液に浸からせれば、嘘のように簡単に取れてしまう。
だが逆に、寄生されている間の人間は耐え難いほどの興奮と痛痒感に苛まれ、雄との交配を切望するようになる。
それは美しいスーラとて例外ではない。
彼女は膣と肛門が押し拡がるほどに大量の蟲を受け入れ、乳房にまで身体を紐のようにした一匹に入り込まれ、
膣分泌液や母乳を噴きこぼしながら声にならない声を上げ続けていた。

覗き窓から警察官の尋問を受けると、そのたび唇を噛んで凄絶な表情を作りながら首を横に振る。
耐えているのは驚くべき事だが、17時間が経過した辺りから漏れ始めた、オオオオオ、という低い呻き声は、
扉に近づいて覗き込むことさえ憚られるほどに異様なものだった。



そうした数知れない苦痛責め、恥辱責め、快楽責めを経て、スーラはやがて何をされても情報を漏らさないようになった。
限界まで昂ぶらされた状態で専用の訓練官を相手に性の実技を仕込まれ、娼婦として見ても一流になっていった。
尋問を受けている時のスーラの様子は凄まじく、あのまま壊れてしまうのではと思ったものだったが、
いざ数週を経て気がついてみれば、最初に見た時よりもはるかに艶やかに、男を惑わす色気を身につけていた。
すでに最初のスーラではない事は明らかだったが、変化の過程を見届けた私でさえ思わず欲情するほどだった。
そのスーラが一人前の諜報員として認められた所で、私の取材も終わりを迎える。

……地下で供された食事に毒が混ぜられていたと気づいたのは、日常に戻ってすぐの事だ。

当然といえば当然の事だった。
諜報員を生み出す組織ともあろうものが、初対面のジャーナリストなどを信用する筈がない。
私が何を言おうが、いくらの書類に署名しようが、確実に口を封じるべく毒ぐらいは盛るはずだ。
私はどこかでそれを理解していたはずだった。その上で、諜報員の生み出される過程への興味を抑えられなかった。
今では満足している。スーラの人生の欠片を見届けた事は、私の人生を締めくくるに相応しい体験だった。

最近では、スーラが初の任務として私を付け狙う幻想さえ見る事がある。
死期が近いせいか研ぎ澄まされた感覚の中で、樹の陰に、壁の向こうに彼女の息を感じそうに思える。
いよいよ私の目も駄目になったようだ。
あんなにもはっきりと、窓ガラスを破って降りたつスーラの姿が見えてしまっている。

なんと、美しいのだろう。



                       END
<初出:2chエロパロ板 『【性拷問】拷問系総合スレッド【水責め火炙り】』 スレ>