※フェアリーテイル365-366話にかけての、エルザ全裸拷問を読んで衝動的に。


キョウカは腰に手を添えたまま、囚われのエルザを眺めていた。
冥府の門(タルタロス)の地下。
石壁は苔生し、柱の合間には蜘蛛が巣を張る。
さほど頻繁に使われる訳でもなく、また使われるべきでもない階層の最奥……
二重の錠が護る石牢に、エルザは繋がれていた。

身に纏うものは何もなく、生まれたままの姿を晒している。
服を剥がれた理由は、一つには彼女が鎧を換装して戦う魔導士である事が関係していた。
とはいえ、彼女を繋ぐ拘束具はあらゆる魔法を封じる鉱石でできている。
それを手足に嵌めている以上、魔法の使用を危惧する必要などない。
すなわちこれは建前。
真の理由は、何といってもエルザの羞恥心を煽る事にある。
今からキョウカが行おうとしているのは尋問だ。
尋問において、相手が服を纏っているにも関わらず、自分だけが裸を晒すという状況は耐え難い。
無意識のうちに相手との格差を感じ、屈服しやすくなる。
特に、対象が美しく誇り高い女であればあるほど、劇的な効果が期待できた。

「……これが、妖精女王(ティターニア)か」
獲物の目覚めを待つ間、キョウカは誰にともなく呟く。
最強ギルドである事を改めて世に知らしめた『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の中でも、
さらに頭一つ抜きん出たS級魔導士。
パンデモニウムにて、100の魔物をたった1人で倒しきったその実力を、もはや疑う者はいないだろう。
「なるほど」
エルザの裸体に今一度視線を這わせ、キョウカは続ける。
成熟と若々しさが絶妙に入り混じる肉体だ。
凛然と整った顔立ち。
スカーレット(緋色)の名に恥じぬ、紅蓮のような長い赤髪。
零れるほどによく実った乳房、肉の張りと筋肉の締まりの申し分ない脚線。
妖精女王の名にこれほど相応しい女も他に居まい。
「!」
その妖精女王が、ついに眠りから目覚める。
「目が覚めたかな」
キョウカは間髪を入れず告げた。
相手の意識も定まらぬ内に存在を示し、主導権を握る。些細ではあるが重要だ。
ギシッ、とエルザを拘束する頭上の鎖が軋む。続いて、両足首の鎖も。
「これは……!」
エルザは鎖を軋ませながら、己の置かれた状況を把握しつつあるようだった。
「ようこそ 冥府の門(タルタロス)へ」
淡々とした口調で、相手に現状把握のための材料を与えるキョウカ。
エルザの目を見開く様が滑稽だ。
いかな妖精女王とて、この急転直下の窮地は受け入れ難いらしい。
特に、その原因が意外な人間の裏切りとあれば。
「バカな!!!!元議長が裏切るハズなどっ!!!!」
ギシギシと激しく鎖を揺らすエルザに、キョウカは冷笑を投げかける。
魔法を封じられた魔導士は無力。それが世の理だ。
たとえ、噂に聞くS級魔導士であろうとも。

  
「そなたには聞きたい事がある」
キョウカはエルザの顎を掴みあげながら、静かに告げた。
「ジェラールの居場所だ」
尋問の意図を明らかにした瞬間、エルザの顔色が一変する。蒼白、と言うべきか。
そしてその反応は、キョウカが期待した通りのものでもあった。
「そなた等が親密な関係なのは知っている」
エルザの戸惑いを覗き込むように、キョウカは追求を続ける。
「な…なぜジェラールを?」
顎を引き、敵意を剥き出しにしながら問うエルザ。
しかし、キョウカに答えるつもりはない。
問うのは自分で、相手は答えを返すだけの木偶。その逆は赦さない。

エルザの顎先から離された指が、そのまま彼女の身体を滑る。
「どこにいるか言え」
キョウカはエルザの急所を摘み上げた。
狙うは女の芯。女性器の上端に息づく、小さな肉の芽だ。
「あ あ ぁ あ ぁ !!!」
気丈だったエルザの相好が瞬時に崩れ、苦悶の叫びを上げ始める。
「 あ あ 、 あ …… あ  !!!! 」
ぐっ、ぐっ、とキョウカが指先へ力を込めるたび、悲痛な叫びが石壁に響く。
「此方の“魔”は人の感覚を変化させる。
 そなたの痛覚は今、限界まで敏感になっている」
肉体の現状を知らしめつつ、今一度陰核を捻り上げるキョウカ。
「ふぐ…… ん!!」
エルザは歯を食い縛って悲鳴を堪えるが、波打つ身体が如実に痛みを訴えていた。
激痛が脊髄を駆け上っているのが見て取れる。
陰核を捻り潰されたのだから当然の反応だ。
薄皮の下に無数の神経が張り巡らされた陰核は、人体の中で最も敏感な箇所といえる。
しかし、エルザは理解しているだろうか。
たった今キョウカが明かした事実、“痛覚が極限まで敏感になっている”ということの意味を。
それはすなわち、エルザの皮膚という皮膚……顔に手足、腹部に乳房、そのすべてが陰核と化したも同然なのだと。
「言え」
今一度、キョウカが問う。軽い問いであった。キョウカはこの問いで、エルザが折れることを望んでいない。
「知ら……ない……」
眼に大粒の涙を湛え、唇の端から唾液の線を垂らし、汗に塗れ。
その状態でなお、エルザは毅然とした態度で答える。
これこそがキョウカの望み。エルザに本当の意味で現状を教えるための、最後の条件がクリアされた。

 
キョウカは薄い笑みを浮かべながら、人差し指を変質させて一振りの鞭を形作る。
太さはわずかに女の指ほど。
しかし鞭とは、操り方次第で容易く人間の肉を裂く凶器だ。
こと、皮膚とその直下に対する痛みにかけては人類史上あらゆる武器にも並ぶものはない。
ヒュン、と風を切りながら、キョウカの指先が宙を舞う。
竜の尾が巻くように一度円転させ、その運動エネルギーを余さず乗せて指を振り抜く。

スパァンッ!!

肉の爆ぜる音がした。狭い石牢に、けたたましくその鋭い音が反響した。
しかし余韻には浸れない。
「う あ あ あ ぁ あ あ あ あ ! ! ! ! 」
絶叫。
まさしくそうとしか形容しえない声が、エルザの喉奥から迸る。
鳩尾に一筋走った鞭痕を晒すように仰け反り、髪を振り乱して叫ぶ。
その様は歴戦の戦士ではない、紛れもなく一人のおんなだ。
クス、とキョウカから笑いが零れる。
彼女は今、狂おしい激痛の最中に知っただろう。
己の総身が、先ほど挟み潰された陰核と同質のものになっている事実を。
何があっても秘匿されるべき神経の塊を、無防備にもキョウカに晒している恐怖を。
「ハア、ハア、ハア……ハア、ハア……ハア…ハア…………」
下方の一点を見つめたまま、エルザの視線は凍り付いている。
肺は逆に暴れ狂っているのか、長時間疾走を続けたような荒い息が途切れない。
内股になったその脚には尿さえ伝い、排泄用に設けられた足元の溝へと流れ落ちていく。
ただ一度の笞打ち。されど全身が陰核化された身を打たれれば、ただの一度で失禁に至るのだ。
かの妖精女王(ティターニア)が。

「フェイスの封印を解く為、我々は元評議員を皆殺しにするつもりだった」
喘ぐエルザの耳元へ、キョウカはジェラールを捜す理由を囁きかける。
そして前髪を掴んで無理矢理に顔を上げさせた。
「……うち二人はすでに死んでいた。残る一人は…」
「まさ…か…」
エルザが朧に事実を把握する。その顎を掴み、キョウカは吐息も掛かろうかという距離に詰め寄る。
決定的な事実を告げるために。
「ジェラールが死ねばフェイスの封印が解ける」
「!!」
キョウカの言葉に、再び顔面を蒼白にするエルザ。
ジェラールに想いを寄せていることが、これほど解りやすい反応もない。
「おっと…少し口が滑ったな。これでは知ってても教えられんか」
キョウカは迂闊さを悔いる素振りを見せる。しかしその口調にはあくまで余裕が感じられた。
それもそのはずだ。キョウカには、まだ手の内にカードがある。
 
「知らん!!本当にジェラールの居場所は……」
「こうしよう」
エルザの声を遮り、キョウカはその横顔を覗き込む。
「ジェラールの居場所を言えば、ミラジェーンを返そう」
ミラジェーン。エルザと共に捕らえたギルド仲間だ。
彼女はキョウカの下僕とする為の肉体改造を施すつもりである事を、すでにエルザには伝えてある。
共に死線をくぐり抜けたギルドの仲間同士は、固い絆で結ばれているのが常だ。
特にエルザのような義に厚い人間が、仲間を見捨てる筈はない。
想い人か。ギルドの仲間か。エルザにすれば片方を見殺しにする、究極の選択といえる。
「…………!」
絶句するエルザを、キョウカは背後から静かに見つめる。
そして判断を急くが如く、素早く指先を降り抜いてエルザの尻肉を打ち据えた。
「言わねば……そなたもミラジェーンも死ぬ」
改めて置かれた状態を確認させる。
エルザは身を揺らして苦悶しながら、呻くように口を開いた。
「本当に……知らない…… ……んだ。………頼む…ミラを助けて…くれ」
真に迫った様子で哀願するエルザ。

あるいはエルザは、本当にジェラールの居場所を知らないのかもしれない。
確率は五分五分とキョウカは読んでいた。
一見して竹を割ったような性格に見えるエルザだが、歴戦の猛者である事も事実。
それなりの処世術は身に着けている筈であり、巧妙に白を切り通している可能性は捨てきれない。
しかし実のところ、エルザが情報を知っているのか否かはさして問題ではなかった。
情報を知っているならば、吐くまで甚振り続ければよし。
逆に本当に知らなかったとしても、この冥府の門(タルタロス)に連れ込んだ以上、生かして返す事は有り得ない。
キョウカは生粋の拷問好きだ。
彼女の拷問にかかれば、囚われた者は例外なく惨めな最期を迎える事となる。
エルザが情報を持っていようがいまいが、キョウカがその身をしゃぶれるだけしゃぶり尽くして愉悦に浸る事には変わりない。

「そうか……もう少し此方を楽しませてくれるのか」
キョウカは指先の鞭を引き絞りながら、湧き出る愉悦を噛み殺しつつエルザに告げる。
エルザの顔が恐怖に歪むさまを、この部屋で彼女だけが堪能できた。





「うぐあぁああっ!!」
キョウカの鞭が脇腹に巻きついた瞬間、エルザは天を仰いで絶叫する。
そして視線を虚空へと彷徨わせた後、力なく項垂れた。
気絶。
拷問が始まってから、一体何度目になるだろう。
痛覚が限界まで研ぎ澄まされた身だ。脳が過剰に危険を察し、意識を断ち切ろうとするのも無理はない。
しかし、キョウカは相手が休むことを赦さなかった。
ある時は頬を張り、ある時は赤髪を根元から掴みあげて、気を失うたびに覚醒させている。
「休ませぬぞ」
キョウカはやはりそう呟くと、俯くエルザの眼前で指を引き絞る。
狙う先は、エルザの肉感的な両脚の合間。
男女を問わず、下方からの打撃に耐えるよう作られてはいない場所だ。
キョウカの指が手招きをするように折られ、鞭の先端が風を切る。
ピシィッ、と鋭い音が響き渡った。
「っ!?……ぐぁああぁあああっっ!!!!!」
不意に訪れた衝撃に、エルザは身を捩らせながら悶え狂う。
気絶前は時の経つほどに反応が鈍くなっていたが、寝起きの一撃はやはり鮮度がいい。
「うぅ、うううぅうっ……!!」
閉じた目から涙を流し、内股に膝をすり合わせて苦しむエルザ。
それをさも可笑しそうに眺めながら、キョウカはエルザの背後に回る。
相手の周囲を巡りながら嬲るのがキョウカの常だった。

「痛かったか。では慰めてやろう」
嘲笑いを含む口調で告げながら、キョウカはエルザの脇下へと手を回す。
五指に長い爪を有する手が掴むのは、豊かに揺れる乳房だ。
静かに掌で包み込んだ次の瞬間、痛烈に力を込めて揉み潰す。
エルザの乳肉は容易く変形し、指と指の合間に白い隆起を見せた。
「うぐぐぐ、ぐっ……!!」
当然ながら、エルザからは苦悶の声が上がる。
痛覚を活性化されたエルザの側は、針山を押し付けられているようなものだろう。
「そなたの乳は底無しの柔らかさだな。極上の揉み心地だぞ」
キョウカは獲物の悲鳴に目を細めつつ、ゆったりと乳房を刺激し続ける。
そして存分に堪能した後、とうとう指先は頂にある蕾へと至る。
「気のせいか?ここも、反応しているようだが」
爪先が乳房を掴み、容赦なく引き絞る。
形のいい乳房は一瞬にして三角に尖り、その鋭利さで無理な力の込められ具合を示す。
普通の人間でいうならば、乳頭にピアス穴を開けられ、それを滑車で巻き上げられるに等しい苦痛か。
「いぎぃあああぁぁああっ!!!」
エルザから絶叫が搾り出された。
「いい声だ。耳を通り抜け、此方の心さえ震わせる。
 かの大魔闘演武でさえ、ここまでの叫びは聞けなかった」
キョウカはさらに乳頭の引き絞りを繰り返す。
「あぁあっ、あ……うああああっ!!!!」
その都度、エルザからは絶叫が迸った。全身を覆う脂汗が、さらにじっとりと濃さを増していく。
「そなたの汗は不思議と甘い匂いがするな、妖精女王。部屋中に充満しているぞ」
キョウカは粘ついた声をエルザの耳元に囁きかけ、そのまま鎖骨を舐めた。
「く……!!」
眉根を寄せるエルザ。痛みではなく、望まぬレズビアン行為に対する精神的屈辱からだろう。
エルザ自身にその気が有るにせよ無いにせよ、同性からの愛撫を強要される状況は耐え難い。
キョウカはそれをよく知っている。
 
「あ、あっ、ああ…………!!」
乳房と鎖骨への刺激で、エルザの身体は艶かしく踊る。
その末に内股の力が緩む瞬間を、キョウカは見逃さない。
蛇が木を滑り降りるような素早さで、しなやかな指先が股座へ入り込む。
「ここは小便まみれだ」
指先を浅く女の部分へ沈み込ませながら、キョウカが呟いた。
「よ、よせっ!!」
エルザは目を見開き、反射的に叫ぶ。
「よせ?そなた、誰に口を利いている。今すぐミラジェーンを改造してやっても良いのだぞ」
キョウカが気分を害された様子で凄むと、エルザの顔が驚愕に染まった。
「や、やめて…………くれ」
一転して弱気な哀願となり、秘裂への刺激を拒む。
しかし、相手の弱みを見つけたサディストが手を緩めることなど有り得ない。
キョウカは存分にエルザの秘裂の感触を堪能した後、引き抜いた指を太腿に這わせる。
その指先が次に狙うのは、より一層恥じらいの大きい部分。
尻肉の合間に息づく、排泄の穴だ。
「い゛っ!!!」
指先が入り込んだ瞬間、エルザの喉元から濁った叫びが漏れる。
「ほう、きついな。こちらは未使用か」
キョウカは口端を吊り上げた。
2本の指を重ねてより深くへと送り込み、指が握り潰されるような感触を味わう。
片やエルザは後方へと視線を投げかけたまま、ガチガチと奥歯を鳴らし始めていた。
出す事しか意識したことのない穴へ、異物の挿入を受けるおぞましさ。
それが勇ましい彼女の心に喰い付いている。
「ああぁ、あ……あああっ…………!!」
キョウカはしばし、腸内で指を蠢かしながらエルザの苦悶する様を眺め続けた。
そしてそれに飽きると、再び距離を取って鞭を浴びせる。
「あ あ ァあ あ あ あ っ!!!!」
久しく忘れていた皮膚の痛みに、新鮮な叫び声を上げてのた打ち回るエルザ。
キョウカはクスリと笑みを漏らす。
秘所の粘膜をくじり、辱めるのも一興。
しかしせっかく痛覚を鋭敏にさせている以上は、やはり鞭が一番面白い。
眼からも、耳からも、感触からも、狂おしいまでの痛々しさが伝わってくる。
涙を流し、涎を垂らし、汗を光らせて踊る獲物は滑稽だ。
特にそれが、勇猛で気高い女であればあるほど。
「まだだ、まだ足りぬ。この程度で壊れては、そなたである意味がない。
 そなたの堅強さには期待しているのだ。叫び、悶えて、時を忘れるほどに此方を楽しませてくれ」
エルザの身の至るところへ鞭を浴びせながら、キョウカは告げる。
まるで瞬きをしないその眼は病的であり、底知れぬ嗜虐性を感じさせた。


  
囚われてから、どれだけの時間が経ったのだろう。
エルザの身体は、傷のない箇所を探す方が困難なほどの裂傷に覆われていた。
上腕、下腕、肩口、乳房、脇腹、鳩尾、臀部、腿、足首……あらゆる場所がだ。
鞭が直に舐めた体の前面よりも、巻きつく形で叩きつけられた背面の方が、ことさら傷が深かった。
また、派手な鞭傷が目を引くが、よく目を凝らせば殴打痕と見られる痣や、爪を立てられたと思しき微細な切り傷も存在する。
白い柔肌を覆い尽くすそれらの痕は、エルザがどれだけ執拗に嬲り続けられたかを察するに余りある。

「騒がしいな」
エルザの十数度目の気絶を確認した直後、キョウカは異変に気がついた。
地震が訪れたように石牢が揺れ、地上階の方からは人の騒ぐ声も漏れ聴こえている。
苦しげに項垂れるエルザを一瞥した後、キョウカは口を開いた。
「ヤクドリガ、女を見張っていろ。此方は様子を見てくる」
まるでその呼びかけを心待ちにしていたが如く、石牢上部の天井に影が蠢く。
エルザの肢体に触手の束を垂らしながら現れたのは、異形の魔物だ。
ガマガエルの頭を有し、蟲を思わせる触覚を携え、手足の先は繊毛の生えたヒレ状のもの。
まさに今エルザに触れんとするそのヒレ先からは、微弱な電流さえ確認できる。
「手は出すな」
キョウカは鋭く忠告した。
ヤクドリガと呼ばれた魔物は、その声に反応してビクリと触手を引く。
「此方の拷問の楽しみがなくなる」
冷ややかな視線を投げかけながら釘を刺し、キョウカは石牢を後にした。

石牢の扉へ二重の錠を下ろしながら、キョウカはふと笑う。
「手を出すな……か。無駄な事だろうな」
覗き窓から見えるヤクドリガは、エルザを凝視しながらもキョウカを恐れて控えている。
しかし、それもキョウカの姿が見えるうちだ。
ヤクドリガはさして頭の良い魔物でもなく、またそれ以上に女好きが過ぎる。
特にエルザのような凜とした美女が好みらしい。
その好物と共に石牢へ残せば、いずれ手をつけることは目に見えていた。
むしろキョウカの制止が背徳感を煽り、より倒錯的な行為に走る可能性さえある。
「しかし、痛覚が極限まで高まった状態でアレの相手とは……哀れなものだ。
 戻った時には、果たしてどれほどの無様を晒していることか」
キョウカは後の楽しみに眼を光らせながら、異変を速やかに処理すべく歩を進めた。



 


 (ナツ……ルーシィ…………グレイ)

灰色に淀む脳裏に、ギルド仲間達の面影が浮かぶ。
焚き火を囲むようにして大所帯が集い、一様にエルザの方へ笑顔を見せる。
一度瞬きして目を開けば、その奥にはさらに、ミラジェーンやジェラールの姿も加わっていた。

 (皆、無事なんだな、良かった! すぐに私も、そこに……)

エルザは仲間の下へ歩み寄ろうとする。しかし、前進ができない。
両腕は頭上で一纏めに拘束され、足首は股を開いた状態で固定されている。
そして、次の瞬間。
彼女は腰の辺りから閃光を感じた。
その閃光はすぐに身を震わせる電流となり、彼女の意識を闇から引きずり出す。

「うああっ!!」
叫び声と共に、エルザは意識を取り戻した。
幾度も覚醒のたびに目にした、蝋燭の立ち並ぶ石牢。
仮面をつけた女の姿は見えないが、代わりに、自らの身体に何かが触れている事に気付く。
「なっ……!」
エルザは目を見開いた。
乳房に腰、そして大腿部に、得体の知れないものが張り付いていたからだ。
妙な生臭さを放つそれは、繊毛と吸盤上の皮膚でエルザの肌にぴとりと密着している。
繊毛からは涎のように粘液が分泌されてもおり、エルザのボディラインに沿って床へと滴り落ちていた。
さらには微弱な電流さえ帯びているようで、密着される皮膚はピリピリと痛む。
先ほど感じた電流の正体はこれのようだ。
「ギ、ギ」
触手の根元から奇声が発せられる。
見上げてその異形の頭を確認したエルザは、静かに喉を鳴らした。
魔物としての怖さは感じない。
彼女が100の魔物を屠ったパンデモニウムでいえば、せいぜいがB級モンスターといったところだ。
まともな状態で戦えば、もののついでで斬り捨てられる。
しかし、この状況での遭遇はまるで意味が違った。
今のエルザは手足を拘束され、魔法を封じられている。
挙句には、キョウカの能力で痛覚を極限まで高められている状態だ。
ほとんど村娘に等しい……否、それ以上に無力なこの状態で遭う魔物は、エルザの心臓に最大級の警鐘を打ち鳴らす。
「ギギィ」
エルザのその心境を読み取ったのだろうか。
ヤクドリガは明らかに喜色を浮かべた泣き声を発しながら、エルザの身に触手を巻きつけていく。
そして触手が身体の各部を一回りした段階になると、静かに頬袋を膨らませる。
何らかの攻撃を仕掛ける前兆だ。
エルザは豊富な戦闘経験からそれを感じ取ったが、しかし何ができるわけでもない。
かくしてエルザは、ヤクドリガの攻撃を為すすべなく受ける事となる。
それまでの微電流とは比較にならないほどの、痛烈な電流を。

 
「うぁああぁあぁあああ゛あ゛っ!!!!」
地下の石室に叫び声が響き渡る。
わずか数秒の間隔だけを置いて、もう幾度も立て続けに上がっている悲鳴だ。
「あ゛あぁああああ゛っっ!!!!!」
再び悲鳴が喉から迸るのを、エルザは遠くに感じていた。
地獄の電流拷問だ。
ただでさえつらい電流責めに加え、今は痛覚が過敏になりすぎている。
あまりに痺れが強いため、いつしか皮膚という皮膚が分厚いゴムになったように触感を失っていた。
代わりに、くすぐられるような狂おしいもどかしさが身の内を這い回る。
手足は意思とはまったく無関係に病的な痙攣を繰り返す。
挙句には自律神経さえ一時的に機能しなくなるため、ありとあらゆる体液が垂れ流しの状態だ。
涙に涎、汗、さらには愛液さえもが止め処なく溢れていく。
白目を剥いてもいるようだ。
しかし、止めようがない。
電流が流れる間は醜態を晒し続け、電流の止まるタイミングで脱力して酸素を求め、また醜態を晒すデスマーチ。
「ギギ、ギギギィ」
もはや疑う余地もなく、魔物はエルザを嬲る事を楽しんでいた。
「やぇっ、やぇろ………。……もぉ、やぇえ……くぇ…………」
呂律の回らない口調でエルザがいくら中断を訴えても、応じる気配がない。

それをどれだけ繰り返されたのか、やがてエルザは完全な脱力に至った。
「あ……あぅ………あぅぅう………………あ」
涙の滲む視線は虚空を彷徨い、閉じない口からは涎が垂れ続けている。
筋肉は弛緩しきって張りを失い、脚は内股に折れて、頭上の鎖を支えにかろうじて直立を保っている状態だ。
「ギィイッ」
獲物が完全に無力化する瞬間を待ち望んでいたのだろうか。
ヤクドリガは短く啼くと、いよいよエルザの肉体へと強く纏いつき始める。
それまでは触手だけを絡めていたものが、とうとう胴体さえ密着させ、抱きつくように肌を合わせて。
「……は、離せ!」
エルザは顔を引き攣らせる。その表情は嫌悪ゆえか、あるいは恐怖ゆえか。
いずれにせよ、もはや彼女にヤクドリガを振るい落とせる力はない。何をされてもされるがままだ。
ひた、ひた、と肌に触れていた触手が、とうとう産道の入り口に至っても。
「ギ」
ヤクドリガは一度啼いてエルザの注意を引き、彼女の視界端で触手の一本を収縮させる。
普段はイカやタコのそれを思わせる形状だったものが、収縮させる事で一本の太い枝のように変質していく。
「まさ……か」
それは女の本能だったのだろうか。瞬間的に、エルザは魔物の意図を理解した。
そしてその理解通り、ヤクドリガは陰唇に触れる触手の方も硬く握り込む。
そしてエルザの恐怖を楽しむようにゆっくりと秘裂の表面を撫で回すと、狙いを定めたように押し付ける。
「や、やめっ……!」
エルザが叫んだ時には、既にすべてが遅かった。
ヤクドリガの触手は深々と秘裂に突き刺さり、電流責めで愛液に塗れている内部を滑るように進む。
「ああああぁあっ!!!!」
エルザは叫び声を上げた。
女性器への侵入は、ただでさえ強い痛みや異物感があるものだ。
それに加え、今の彼女は身体中の痛覚が極限まで研ぎ澄まされた状態にある。
硬く太い触手が陰唇を擦る感触、襞の一つ一つに擦れていく感触、膣の拡張に伴って隣接する筋肉が蠢く感触。
それらが膨大な情報となって、焼き鏝を当てるように脳裏に刻み付けられていく。
どぐり、どぐり、どぐりと、血脈のリズムに合わせて、幾度でも。
「うぁあ、ああ……あ…………っ!!」
気絶できればまだ楽だ。しかしこの膣への挿入は、痛みの総量が膨大すぎて気絶すらままならない。
ゆえにエルザは、あくまで意識を保ったまま、己の秘匿すべき部分が蹂躙される痛みに耐えるしかなかった。




数知れぬ絶叫を吸収してきた石壁が、今は艶かしい音を啜っている。
ぬちゃ、にちゃっ、ぬちゅ、ぬちゃっ、にちゃっ……。
脚の合間から漏れるそうした音を、エルザは喘ぎながら耳にしていた。
音の元は、ヤクドリガの触手から滲む粘液か、それともエルザの零す蜜か。
膣の中の異物感は相当に強い。
収縮したとはいえ、ヤクドリガの触手はエルザが作る指の輪ほどの直径を誇る。
それが抜き差しされる苦痛はかなりのものだ。
「う、ああぁっ……!!」
触手の先端が子宮口を叩いた瞬間、エルザは呻きを上げた。
出産経験のない女性の場合、子宮口は硬く閉じており、突かれれば強い痛みを伴う。
痛覚が増幅している今のエルザには、身を揺さぶるほどの衝撃だ。
幾度もゴリゴリと奥を削られれば、涙を零さずにはいられない。
さらに触手は、不意に膣内へ電流を流すこともある。
身の内から痛烈に痺れさせられては、もはや悲鳴さえ上げられない。
「……………………っ!!」
エルザは目を見開き、瞳孔を収縮させて痙攣する。
そして電流が止めば、溺死からかろうじて助かったかのように激しく喘ぐ。
「ギギッ」
ヤクドリガは、そうしたエルザの苦悶を楽しんでいるようだった。
「ぐっ……!!」
エルザは奥歯を噛みしめる。
たかだかBランク程度の魔物に、いいように扱われる恥辱。
『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』最強のS級魔導士としての誇りが汚されていくようだ。
否、恥辱だけならばまだいい。
気がかりなのは、同じく囚われている仲間のミラジェーンだ。
助けに行きたいが、動けない。その焦りがエルザの情緒を不安定にし、感じやすくしていく。

そうして延々と苦悶に悶えるうち、やがてエルザは自らの小さな異変に気がついた。
膣奥を貫かれる狂おしい痛みが、10度に1度ほどの割合ではあるが、快感に変わりはじめているのだ。
 (バカな……!)
エルザは身の異変を否定しようとする。しかしその間にも、快感の頻度は増していく。
気付けばいつしか、否定しきれないほど明白な快感が脊髄を駆けていた。
「あっ、あ……あ、あああっ…………あっ!」
喘ぎにさえ甘い響きが含まれていると悟り、エルザは愕然とする。
妙なことではない。
人間の脳は、苦痛のレベルがある一線を超えた時、自衛本能からその苦痛を快楽と誤認させる。
いわゆるランナーズ・ハイと呼ばれる類の現象が、エルザにも起こっているだけだ。
しかし生真面目な彼女は、それを受け入れられない。
 (ありえない……下劣な魔物に嬲られて、快感を得るなど…………!)
歯を食い縛り、頭を振って正気に戻ろうとする。
その気丈さこそ、サディストにとっての責め甲斐であるとも知らずに。



触手に大きく突き上げられ、足の鎖が音を立てる。
足裏が床から浮き上がる瞬間さえあり、その瞬間は触手の突き上げを膣奥の一点で受け止めていることになる。
「くぅあっ……ああぁああっっ!!!!!」
普通であれば即座に失神してもおかしくない激痛が、エルザの脊髄を焼き焦がした。
しかし。今のエルザの脳は、その激痛をも未曾有の快楽にすり替える。
あるいは優れた魔導士として活性化した脳を持つゆえに、苦楽の変換効率も並外れて高いのかもしれない。
「あ……あぁっ…………あは、あっ…………」
エルザの毅然とした瞳が、一瞬精彩を欠く。
強靭な意志の力ですぐに正気に戻りはするが、幾度も秘所を突かれればまた快楽が勝る。
喘ぎ続ける口はいつしか閉じることを忘れ、だらしなく涎を垂らし続けていた。
そこへ、ヤクドリガの触手が近づく。
「よ、せ……」
エルザは反射的にそう呟いた。しかしそれが空しい事であると、彼女自身も理解している。
異形の魔物は、嘲るように触手をエルザの口内に侵入させた。
「ぐっ……ん、むぅっ!…………む、うむうぅっ!」
頬肉を突かれ、舌を掬い上げられ。
触手によって口内を貪られながら、エルザは呻き続ける。
苦味のある粘液が唾液と混ざるたびに、いよいよエルザの頭が霞んでいく。
神経毒か、あるいは催淫効果があるのか。いや、そのどちらであっても、今のエルザには変わりない。
身体中至る所を触手に巻きつかれ、秘裂を穿たれる。その状況から逃れる術などないのだから。
ヤクドリガの触手が、いよいよエルザの尻穴に宛がわれた。
「!!」
エルザは見開いた瞳で後方を振り返るが、それ以上何もできない。
ただ己の排泄の穴へ、キョウカの指よりも太いものが侵入する感触を味わうだけだ。
「むぉあああっ…………!!」
目一杯に括約筋が押し広げられたその瞬間、触手を咥える口から声が漏れた。
直腸を強引に奥までこじ開けられ、蹂躙される。
腸壁自体に神経はないが、腸に連なる筋肉が金切り声で異常を訴えていた。
快便の感覚を数十回分凝縮したようなものだ。数分ともたず、強靭なエルザの足腰が震え始める。

「うむうっ、ああうっ、あぁっ!!ああっ、うあぁああううあっ!!!!」
敏感な三穴を魔物に蹂躙されながら、エルザはただ悶え狂った。
緋色の髪を振り乱し、艶かしい身をうねらせて。
いつ終わるとも知れない快楽地獄は、刻一刻と人の心を絶望に染める。
どれほど甘い菓子であっても、絶え間なく与えられては恐怖しか生まれない。
キョウカに鞭で甚振られていた間のほうが、まだ生きた心地がしていたものだ。

救いの来ない地下牢の中。
あとどれだけの時間、エルザは正気を保てるのだろう。
「あ……あぁうあ………………っあ………………!!」
泥酔したように蕩けた表情で、堪らず吐息を漏らすエルザ。
その痴態は、高貴なる妖精女王の、そう遠からぬ陥落を仄めかしていた……。


                         終
<初出:2chエロパロ板『【フェアリーテイル】真島ヒロ総合2【RAVE】』スレ>