大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

連続絶頂

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.7(前半)

Part.6(後編)の続きで、最終章最終話の前半です。
後半については、もうしばらくお待ちください。



 審査会がすべて終わった後、端塚は俺に自由行動を許した。倶楽部の施設内に限れば、いつどこへ行ってもいい。地下20階のVIPルームで過ごしてもいいし、レストランや大浴場でリラックスもできる。
 とはいえ、そんなもの嬉しくも何ともなかった。沙綾香のあんなシーンを目撃しておいて、呑気に娯楽を楽しめるはずもない。レストランの料理を噛み締めれば、奥歯の噛み合わせの悪さに苛立つ。風呂に浸かれば心地良くはなるが、そのせいで沙綾香の蕩けた顔がフラッシュバックして、逆に気分が悪くなる。
 それに、気が滅入る要因は他にもあった。施設内の至るところで、沙綾香の友人4人が犯されていることだ。

 倶楽部の奴隷となったあの子達は、それぞれに違う役割を与えられたらしい。

 祐希は、俺が通っているVIP用レストランのウェイター。いつも黒いタキシード姿で働かされているが、中性的な王子様タイプの子だから、男装が本当によく似合う。女性客からも黄色い声を浴びている。
 だが、この倶楽部の客が賞賛だけで済ませるわけがない。女性客の歓声がいよいよ大きくなり、祐希が照れ臭そうに笑うそのタイミングで、男の客が祐希を抱きすくめる。そして強引に机に突っ伏させ、乱暴にタキシードの下を脱がせて挿入するんだ。黄色い声を上げていた女達は、その憧れの対象が無惨に犯される様を見て歪んだ笑みを浮かべる。男は性欲を満たしつつ、祐希に気持ちがいいか、どんな風に感じるのかを実況させる。声が小さいからと何度も言い直させ、最終的にはレストラン中に響き渡るほどの声量を強いるのが常だ。
 祐希は、哀れなものだった。自らに好意的だった女の前であえなく犯され、性奴隷としての浅ましい善がりぶりを宣言させられ、屈辱に咽び泣く。挙句、その姿すらも酒の肴として愉しまれるんだから、どうにも救いのない話だ。

 千代里は、エレベーターガール。声楽をやっているおかげで声の通りがいいため、エレベーターへ乗った客に各フロアの説明をしているようだ。とはいえ、客が大人しく説明を聞くはずもない。この倶楽部において、女性従業員は漏れなく『性欲処理の道具』扱いだ。千代里も当然、フロア説明の最中だろうと犯される。壁に背中をつけ、片足を上げる格好で。あるいは壁に手をつき、背後から。千代里はそんな状況でも、仕事としてフロア説明を続けなければならない。羞恥と快感で声が震えるのを、客に嗤われながら。
 一人相手でも辛い状況だが、エレベーターに大勢の客が乗り込んできた時などは地獄だ。その場合、密室内は完全な『ヤリ部屋』と化す。無駄に昇降を繰り返していたエレベーターの扉が開き、客がゾロゾロと降りた後には、口からも膣からも精液をあふれさせた少女が一人、へたり込んだ状態で放置されることになる。

 藤花は、『公衆便所』。彼女は毎日違うフロアの男子便所に“設置”され、男性客の排泄後の処理をしていた。小便を終えた客のペニスを咥え、大便を終えた後の肛門を舐めしゃぶる。客は、そのサービスに興奮を隠せない様子だった。藤花の大立ち回りは客の間にも知れ渡っているらしく、そんなじゃじゃ馬娘に奉仕させている状況が征服欲を満たすようだ。
 結果として連中は、前や後ろを舐められる中で隆々と逸物を勃起させ、その猛りのままに藤花を犯す。しかも、ただのレイプじゃない。俺が目にしただけでも、便器に顔を突っ込ませたまま犯したり、ホースで腸内に水を入れた上で犯していた。そうして事が済めば、最後は申し合わせたように小便を浴びせかける。犯されている間は大人しい藤花も、さすがに小便を引っ掛けられるのは度し難いのか、以前の鋭い眼光を一瞬覗かせることがある。客はそれこそが狙いらしく、悪戯の成功した悪童のように笑いながら、次第に責めをエスカレートさせていく。
 3日目に覗いた時、藤花は頭から端を切ったビニール袋を被せられ、首元にテープで固定された上で、袋の中に数人分の小便を注がれていた。小便の色は見事に黄色だ。いかに被虐慣れしているとはいえ、濃いアンモニアの味は耐え難いらしく、藤花はうがいのような音を立てながら暴れまわる。客はそんな藤花の手足を掴んで自由を奪いつつ、順番に尻を犯した。
 藤花は哀れなものだ。女性的でありつつも筋肉質な身体を強張らせ、抑え役の大の男を振り回しながらタイルの上を歩き回る。その果てにあえなくアナルセックスで絶頂させられ、口を開いた拍子にゴクゴクと小便を飲み下してしまう。客はそれを見て、一斉に嘲笑を浴びせかけた。その嘲笑が、藤花に膝をつかせる。そうなっても、アナルセックスは終わらない。人を代え、時には道具やペニスサックも使って腸内を蹂躙する。すでに心が折れている藤花は、もう立ちあがることもできない。床についた両膝を陸上競技者顔負けに膨れさせ、神に祈るように天井を仰ぎながら、おおおお、という快感の呻きを絞り出す。その果てに、とうとう涙を流しながら噎せ返り、黄色い水と唾液の混じった液体をビニール袋に吐き戻す。それを待っていたとばかりに沸き起こる嘲笑は、聴いているだけで胸がむかつくほどだった。

 桜織は、湯女。地下20階の大浴場で、入浴客の体を洗うのが仕事だ。とはいえ、実際に客の体を洗っているのは見たことがない。中学生と見紛う華奢な体躯は、変態客のウケがいい。いつ見ても彼女は、大勢の客に泡まみれで犯されている。
 そして桜織自身も、その不特定多数とのセックスを望んでいた。祐希達のように恥じらう様子はない。肥大した割れ目を詰られようが、潮とも小便ともつかない液体を撒き散らそうが、愉快そうに笑うばかり。むしろ自分から大股を開き、黒人共に匹敵する刺激を求めて『二輪挿し』を乞うほどだ。客達はその挑発に嬉々として乗り、逸物に石鹸を塗りたくった上で、膣へ同時に挿入する。ひどい時には、石鹸をそのまま膣に突っ込んだ上で挿入することもあった。そうされても、やはり桜織は笑顔を絶やさない。未成熟な身体を弓なりに反らせ、足の先までを痙攣させてケダモノの声を上げる。浴室だけにその淫らな声はよく響き、隣の女湯から笑い声が聞こえてくるほどだった。

 レストラン、大浴場、トイレ、そしてエレベーター。倶楽部内での生活で避けては通れない場所にあの4人が配置されているのは、「現実を直視しろ」という端塚のメッセージか。奴は未だ、俺に固執している節がある。この倶楽部の王としての目覚めを期待しているようだ。もちろん、俺にそんな気はない。性行為を見れば勃起こそするが、実質的な強姦を進んで見る気にはなれない。砂糖に群がる蟻を醜いと思う、その気持ちは今も変わっていない。
 ただ、それでも俺は、毎日のように地下19階に足を運んでいた。例の『檻』を眺めるために。


                 ※


 『檻』の中は、今や愛の巣と化している。10人のオスと1人のメスが、欲望のままに共同生活を送る空間。鉄格子に近づくだけで、腐りきった生肉の匂いが鼻にこびりつく。ガラステーブルの灰皿は煙草の吸殻で満たされ、ビールの空き缶がその周りを埋め尽くす。ソファやベッド、便器周り、そして床のあちこちに、体液の名残が白い結晶としてこびりついている。何百回のセックスが行われたのかを、嫌でも考えさせられる痕跡だ。

「……んっ、ああ…あ、はあっ…………あ、あ…んふっ、えあっ…………!」
 艶めかしい喘ぎ声がする。その声色と息継ぎの仕方だけで、沙綾香だとはっきり判ってしまう。
 彼女はベッドの上で、8人に群がられていた。床に寝転がって鼾を掻いているドミニク、ダリー以外の全員が、沙綾香に密着している。
 膝立ちになった沙綾香に対し、背後から抱きすくめる形で割れ目を刺激しているのがトラバン。両手で沙綾香の頭を掴み、執拗にキスを求めているのがジャマール。両腋を舐めるのがマーキスとタイロン。乳首を口に含むのがダーナルとアンドレ。太腿に舌を這わせるのがレジャナルドとモーリス。
 揃ってゴリラ並みの巨躯を誇る男共が、満員電車さながらの密度で沙綾香の肉体にむしゃぶりついている。そしてそれは、性欲を持て余した結果というわけでもなさそうだ。
 触れ方が、舐め方が、前とは明らかに違う。
 たとえば、トラバンの愛撫だ。奴に限らず、黒人共の前戯は雑な印象が強い。クリトリスを捻り上げ、性器全体を指の腹で擦りまくり、激しく『手マン』をし……そういう、何かしらの液さえ滲ませればいいというものだった。それが今は、全く違う。無骨なトラバンの指は、宝石でも扱うような繊細さでもって、沙綾香の割れ目を刺激していた。左手の指でクリトリスの皮を押さえたまま、右中指の腹で陰核亀頭を捏ねまわす。少なくとも10分以上、そのソフトな刺激を続けていた。それがどれだけ気持ちいいのかは、筋肉を波打たせながら開閉する太腿が物語っている。
 割れ目に指を挿入する段階になっても、やはり激しさはない。性器全体を手のひらで包み込み、中指と薬指の二本を中に差し込んだまま、ゆっくりと何かを探る。沙綾香が自発的に腰を浮かせるスポットがあれば、そこで初めて指を蠢かしはじめる。沙綾香の欲求に肌で寄り添うような愛撫だ、効果的に決まっている。沙綾香の太腿は肩幅以上に開き、一切の『角』を消失させる。筋肉の隆起もなく、かといって弛緩しきっている様子もない。木材を丁寧にヤスリ掛けしたような、なめらかな曲線のみで象られた脚線。芸術的なほど美しいが、一方でその合間からは、これ以上ないほど浅ましい水音がしている。絶世の美女が、その美貌を崩さぬままに涙を流しているようだ。良し悪しを超え、息を呑むような迫力がそこにはあった。
 キスを求めるジャマールも、10番勝負でいがみ合っていたのが嘘のように穏やかだ。顔を密着させ、舌を絡め合うディープキス。数十秒を頬を蠢かせてから顔を離せば、舌の間には濃厚な唾液の糸が引く。ジャマールは呼吸を整えつつ、上気した沙綾香の顔を見つめ、また唇を奪う。そして沙綾香は、それを少しも嫌がらない。目を逸らさずにジャマールの瞳を見つめている。その視線交換は、深く愛しあう人間同士のそれにしか思えない。
 腋、胸、太腿への愛撫にも、同じく粗暴さはない。氷を少しずつ舐め溶かすように、ゆっくりと、じっくりと舌を這わせている。特に、胸を責める2人の入念さには寒気さえ覚えた。右胸のダーナルは、乳房全体をバランスよく責めている。焼きたてのパンのように膨らんだ乳房を優しく揉みしだきながら、乳首を舌で転がす。一方で左胸のアンドレは、先端に特化した愛撫だ。興奮でぷっくりと盛り上がった乳輪を口に含み、時には吸い、時には舐め回し、時には甘噛みで刺激する。方法こそ違うものの、おそろしく繊細な乳責めだ。口が離れた瞬間に覗く沙綾香の乳首は、すでに小指の先ほどの大きさに屹立している。そこまでになった性感帯に、あの愛撫……。少し前の沙綾香でも、首に筋を立てて天を仰ぎ、胸への刺激だけで何度も何度も達している姿が容易に想像できる。だったら、今は一体どれほどの快感を味わっているのか。恐ろしくて想像もしたくない。

 どこまでも甘く、だからこそ単純な加虐などより遥かに毒性の強い愛撫。それは俺が観始めてから、少なくとも30分以上に渡って続けられた。
「んふふふ。ねえ……今日は沙綾香を、どんな風にいじめてくれるの?」
 沙綾香は気持ちよさそうに身体をうねらせつつ、甘えた声で囁く。濃密なキスを交わすジャマールに対してはもちろん、それ以外の連中に対しても順番に目を合わせながら。淫靡で、可憐。その姿を前に、黒人共はわかりやすく息を呑む。憧れのお姉さんから額にキスをされた、純朴な少年のように。
「ひひひっ。そうだな、そろそろおっ始めるか!」
「オウ。今日もたーっぷり悦ばせてやるぜ、サヤカぁ!!」
 連中は顔を見合わせ、沙綾香を連れてベッドを降りる。当然だが、沙綾香は自力では立てない。執拗すぎる愛撫で、完全に膝が笑っている。黒人共はそんな沙綾香を支えつつ、ジャンケンで犯すポジションを決めた。挿入の権利を勝ち取ったのは、ジャマールだ。
「へっへ。女神の加護だな、こりゃ」
 奴は、沙綾香の尻を撫でながらそう呟いた。沙綾香を女神として見ているようだ。その女神を犯そうという奴の逸物は、最大級に勃起していた。カリ首から先、亀頭の膨らみが尋常でなく、竿も見事に反り上がっている。まさしく、性に目覚めはじめた少年の勃起そのものだ。
「挿れるぜ、サヤカ。」
 突き出させた尻に逸物を宛がい、挿入の確認を取るジャマール。
「うん……もう我慢できないよ。はやく来て……」
 うっとりとした表情で振り返り、挿入を乞う沙綾香。
 互いの気持ちが一致したところで、雌雄のフェロモンを放つ性器も一つに溶け合う。
「んあああああああっ!!!」
 挿入の瞬間、沙綾香の口から出た声は大きかった。単なる快感だけでなく、悦び……待ち望んでいた黒人ペニスの挿入が、嬉しくて堪らないという風だ。
「へっへ、嬉しそうな声出しやがって。こっちまで滾ってくんぜ!」
 ジャマールも笑みを深め、ピストンを始める。パンパンという音が鳴るたび、沙綾香から甘い吐息が漏れる。その仲睦まじさは観ていてつらい。心臓が締めつけられるようだ。立ち去りたい気持ちは当然あるが、檻の中で新しい動きがあれば、つい目で追ってしまう。
「俺は、口でしてもらおうか」
 沙綾香の前に立つトラバンが、勃起しきった逸物を突き出した。恐ろしい大きさだ。だが沙綾香は、躊躇なく口を開いた。
「オオォウ……!!」
 怒張が桜色の唇に隠れてすぐ、トラバンから快感の溜息が漏れる。沙綾香はそんなトラバンを見上げて目を細めつつ、じゅぶじゅぶと音を立てて口を蠢かす。
「ひひ、見せつけやがって。俺も、そのやわっこい手で気持ちよくしてくれよ!」
「こっちも、頼む」
 横からダーナルとアンドレが奉仕を求めれば、沙綾香はやはり嬉々として応じた。竿を扱きつつも、親指で裏筋を刺激したり、鈴口を指で刺激する。そのテクニックが的を得たものだと、黒人共の反応が物語る。
 4対1の輪姦。絵面としてはそうだが、雰囲気は数日前までとはまるで違った。今の黒人共から、沙綾香を害そうという気配は感じない。強姦魔というより、初夜に挑む新郎のようだ。
「いいぜサヤカ、お前のプッシーは最高だ。吸って、舐めて……10枚ぐれぇの分厚い舌でフェラされてる気分だぜ!」
 そう言いながら腰を振るジャマールに、荒々しさはない。ストロークを長めに取り、パンパンと音を響かせてはいるが、それは膣奥をいじめ抜くためではなく、純粋に快感を求めてのことだろう。
 それを受け止める沙綾香もまた、見るからに気持ちがよさそうだった。がに股のまま両脚を痙攣させ、奥を叩かれるたびに腰全体を浮き上がらせる。スタンガンを膣に押し込まれ、一秒ごとにスイッチを入れられているかのような反応。それは挿入している雄にとって、さぞ面白い光景だろう。
「あああ……出るぜ、出るぜえっ……!!」
 気構えがないせいか、あるいは単に快感が強いせいか。ジャマールは、挿入してから3分ともたない。沙綾香の尻肉を鷲掴みにし、深く突きこんで腰を止める。
「んっ、あんっ……いいよ、膣内に出してっ! 膣内出しされると気持ちいいの。もう気持ちいいことだけしか考えたくないのっ!」
 沙綾香はジャマールを振り返りながら、甘えた声を出す。嬉々として汚辱を求めるその姿は、いつか見た百合や桜織の映像とそっくりだ。


                 ※


 汚れを落とすために連れ込まれたシャワー室でも、沙綾香は休むことなどできなかった。
「おーおー、俺らのザーメンがどんどん溢れてくるぜ。こりゃ、中からキレイにしねえとな!」
 マーキスがゲラゲラと笑い、シャワーヘッドを割れ目に押し込む。
「はぐうっ!? ほおお゛っ、お゛……おお゛ほぉ゛お゛っ!!!」
 沙綾香から獣のような呻き声が漏れた。膣内へのシャワー圧だけで絶頂してしまっているらしい。
「いひひひっ、中イキに慣れちまうと大変だなあ? プッシーを洗われるだけでイキっぱなしとはよ!」
 マーキスは震える沙綾香を抱きすくめながら、レバーを押し上げて水勢を強めていく。
「おっ、おッ、おおおッ……んんおお゛お゛お゛っ!!!!」
 沙綾香は白目を剥き、排便を思わせる呻きを漏らす。そして直後、膣内の容量を超えたんだろう、シャワーノズルが勢いよく飛び出した。
「はああっ、おっ、ほおおっ、あ……お、おっおっ……!!」
 身体を震わせ、割れ目から水を噴き出させる沙綾香。延々と潮を噴いているようなその姿に、マーキスが喉を鳴らす。
「ハァ、ハァ……が、我慢できねぇ……!」
 奴は沙綾香を壁際に追い込むと、そのまま背後から挿入を果たした。
「おっ、おい、オメエ何抜け駆けしてんだ!」
「ざけんじゃねぇぞ、身体洗うためにそこ入ったんだろうが!」
 他の黒人共が非難しても、マーキスの動きは止まらない。しっかりと沙綾香の腰を掴み、ぶしゃぶしゃと水を散らしながら股間を打ちつける。シャワーだけで達してしまう沙綾香が、それに耐えられるはずもない。
「あっ、あっあ……はぁああお゛っ! お、おくっ、んんん゛う゛っ!!」
「へへへへ、そうだろ。水なんぞより、硬くて太いディックの方が美味いよなあ? その感じてる顔、もっと見せてくれよ!」
 震える沙綾香を抱きすくめ、キスを強いるマーキス。沙綾香は喘ぎながらもそれに応じる。仲睦まじいカップルのように。
 マーキスが射精してからも、その関係は変わらなかった。沙綾香は、汗に濡れ光るマーキスの体を甲斐甲斐しく洗う。石鹸を塗りつけた股座で腕を洗い、同じく胸や腹に石鹸をつけて背中に擦りつける。
「ははっ。お前の肌は、スベスベで柔らかくて最高だな。俺ァもう、アジアンしか抱けねぇかもしれねえや」
 マーキスはおどけるように身を捩らせて喜ぶ。沙綾香はそれを見て目を細め、満を持して逸物に触れた。
「ふふふ。さっき出したばっかりなのに、もう硬くなってる」
 沙綾香は逸物をたっぷりの泡で包み、優しく上下に擦る。その泡を洗い流してからは、口で丁寧に舐めしゃぶる。
「くううっ……最高だぜ!!」
 マーキスは心底気持ちよさそうな呻きを漏らし、二度目の射精へと追い込まれていく。

 こうした愛の営みは、マーキス相手に限らない。シャワー室から出た沙綾香は、外で待ち構える他の黒人共にも、やはり積極的に奉仕した。
「へへへへ、まるでオレの方がレイプされてるみてえだ。こういうのも悪くねぇなあ、惚れた女相手ならよ」
 床に押し倒されたトラバンが、沙綾香を見上げて笑う。
「あっ、ああぁはんんっ! ふ、太くて……き、気持ちいい……っ!!」
 水滴を散らしながら、一心不乱に腰を振る沙綾香。それを見上げるトラバンも、周りで見守る他の黒人共も、口元が緩みっぱなしだ。
「へっ、エッロい顔しやがって。ジャパニーズってのはどいつも同じ顔に見えるもんだが、お前は違うな。その蕩けたツラ見てっと、それだけで、気持ちよくなって…………ぐう、うっ!? ああやべえ、出ちまうっ!!」
 至福の感情が射精を早めたのか。トラバンは、挿入から僅か2分で腰を震わせる。
「あはっ、出して、中に出してえっ!!」
 沙綾香は身を深く沈め、膣内への精を余さず受け止める。そして射精が終われば、浮かせた腰の下に手を差し入れ、溢れ出す精液を受け止めた。
「おいおい、何する気だ……?」
 黒人共が見守る前で、沙綾香は掌に溜まった精液を口へ運び、ごくりと喉を鳴らした。
「ははははっ! こいつ、命令もされてねぇのにザーメン呑みやがった!!」
「ああ、わざわざ手で受けてな! 何遍も飲まされるうちに、すっかり俺らのザーメンが好きになっちまったってか!?」
 歓声が上がる。あの沙綾香が、自ら精液を呑んだ……それが嬉しくて堪らないらしい。
「よーし、次は俺だ!」
 レジャナルドが沙綾香を抱え上げ、膝の上に乗せる。他の連中に見せつけるような背面座位だ。
「んはあっ!? お、おほぉ、お……っ!!!」
 沙綾香は、挿入だけで深く絶頂してしまう。下半身は大股開きで痙攣し、上半身は膨らんだ乳房をアピールするかのように反り、顔は天を仰ぐ。自然な動さではあるが、俺から視線を逸らすための動作にも思える。
「ははっ、すげぇイキっぷりだな。フェロモンみてぇな匂いもしやがる。ますますビンビンになっちまうぜ」
 レジャナルドは、沙綾香のうなじを嗅ぎながら、力強く腰を突き上げた。
「いあっ、はっ、はあああっ!! いぎっ、ぎもぢいいっ……! 沙綾香の気持ちいい゛とこっ、知られちゃってるう゛っ!!」
 天を仰いで以来、沙綾香の喘ぎは『お』行から『あ』行に変わった。だが、快感の質が軽くなったわけではなさそうだ。亀頭の位置を知らせる膨らみが、下から上へと移動するたび、沙綾香の下半身は震えあがる。
「うっ、ふぐっ……うっ、あっ!! な、内臓、押し上げられて、お腹、ボコってでてる……。あ、ああ、あ、あっ……ねえ、レジャナルド……そろそろイキそう。いいよね……?」
「ああ、俺もそろそろ出そうだ。一緒にイこうぜ!!」
「あああレジャナルド……い、イキそう、イキそう……イクっう゛っ!!」
「俺もだサヤカ……イクぞ、イクぞおっ!!!」
 沙綾香の絶頂にレジャナルドが影響されたのか。あるいはレジャナルドの絶頂に沙綾香が引っ張られたのか。いずれにせよ、2人は同時に極まった。沙綾香の身体が揺れ、割れ目から腐ったヨーグルトのようなものがドロドロと伝い落ちる。
「おっと、プッシーから大好きなザーメンが垂れちまってるぜ。次は俺が栓してやるよ!」
 レジャナルドより一回り太い逸物を扱きつつ、モーリスが沙綾香を組み伏せた。
「んんあああっ!! あん、あっ、あ、イク、またイクッ……!! だめっ、ま、まださっきのが残ってて、イクのが繋がっちゃってる……止まんないいっ!!」
 沙綾香はまた絶頂へと追い込まれていく。虚空を眺め、舌を突き出して自ら腰を振るその姿は、快楽を貪るケダモノそのものだ。
「はははっ、気持ちよさそうにしやがって!」
「ようサヤカ、次は俺様だぜ。早くヤリてぇなあ!」
 黒人共の馬鹿笑いが響き、沙綾香の嬌声がそれに混じる。



「くそっ……!」
 オスとメスの交わりを前に、俺はすっかり蚊帳の外だ。ひとり歯噛みする俺に、1人の女が歩み寄ってくる。ロシア人を思わせる風貌と、真っ白な髪──百合か。
「先生。宜しければ、わたくしがお相手をさせていただきます。ただご覧になっているだけではお暇でしょうから」
 百合の口調は、相も変わらず事務的だった。
「端塚の命令か?」
 俺が尋ねると、百合は静かに頷く。
 余計な計らいだ。沙綾香以外の女を抱いたところで、心の喪失感が埋まるはずもない。第一、この百合にも思うところはある。沙綾香の調教に加担し、快楽に堕ちる手助けをした。こいつが入念な性感開発を行わなければ、沙綾香が快感に狂うことなどなかったかもしれない。そんな奴が、沙綾香の代わりだと?
 ……考えているうちに、だんだんと腹が立ってきた。後ろめたさを感じさせない涼しげな顔が、余計に感情を逆撫でする。
「そうか。なら、相手をしてもらおうか」
 俺はズボンを脱ぎ捨て、百合に向き直った。心は鬱々としていても、男女の行為を見続けた結果、分身はしっかりと隆起している。
「承知しました」
 百合は俺の足元に跪くなり、躊躇なく逸物を咥え込んだ。生ぬるい口内に分身が包まれる感触は、震えがくるほど気持ちがいい。おまけに、百合のテクニックは相当なものだ。見た目以上にしっとりと厚みのある唇で幹を扱き、巧みな舌遣いで亀頭を舐め回す。気を抜いていると、射精まで1分ともちそうにない。
「くっ、あ……ぐうっ……っ」
 内腿に力を篭め、顎を浮かせて射精を堪える。すると、ふいに視線を感じた。左の方……鉄格子の向こうからだ。
「…………っ!!」
 沙綾香と目が合った。彼女は、百合に奉仕される俺を見ていた。ダリーに荒々しく突き上げられながら、泣きそうな表情で。
 なんだ、あの表情は?
 俺が他の女と『している』ことを、悲しんでいるのか?
 それとも、嫉妬しているのか?
 彼女は、黒人共とのセックスに溺れきっているはずなのに。
「さ──!」
 俺が声を上げかけたその瞬間、ダリーが沙綾香の唇を奪う。『よそ見をするな』とばかりに舌を絡めるディープキスだ。沙綾香もそれを受けて、蕩けるような視線をダリーに注ぐ。はっと我に返れば、目の前にあるのは、やはり色に狂ったケダモノの姿だった。
 気のせいか。沙綾香への未練が、幻を見せたのか。
「先生、どうかなさいました? ……ああ、キスをなさりたいのですね」
 百合が俺の視線を追い、唇を重ねようとしてくる。だが、とても応じる気にはなれない。
「尻を向けろ」
 百合の肩を掴み、やや乱暴にベッドへ手をつかせる。そしてその背後から、荒々しく突き入れる。百合の割れ目は、すでにしっとりと濡れていた。
「はっん!!」
 百合から声が漏れる。俺のペニスも、挿入で音を上げさせるだけの大きさはあるらしい。あの黒人共には、及ぶべくもないが。
「フッ、フウッ……!!」
「はんっ、あ、はっ! あああんっ、あっあ……! 先生、よ、良うございますっ……!!」
 百合の尻を両手で掴み、煮え滾る想いを叩きつける。よく濡れた粘膜が絡みついてくる感覚は、おそろしく気持ちがいい。だが、沙綾香と交わっていた時ほどじゃない。百合も善がってはいるが、本当かどうか怪しいものだ。
「ハハッ。あいつら、ジャパニーズ同士で“セックスごっこ”を始めやがったぜ?」
「あの女も可哀想になあ。あんな粗末なウィンナーじゃ、腹は満たされねぇだろうに。なあ沙綾香。咥え込むなら、太いフランクフルトに限るだろ?」
 黒人共が野次を飛ばしてくる。奴らは直立したまま、沙綾香を挟み込む形で犯していた。沙綾香は、返事をしない。だが、甘い声を漏らしながらジャマールと舌を絡め合っているのは、事実上の肯定だ。
「ハアッ、ハアッ……!!」
 俺は百合の尻を掴み、激しく腰を振る。その効果は絶大だった。
「はんっ、あっ、ひいいっ!! は、激しい……いいイクッ!!!」
 百合が身を震わせ、ベッドシーツを握りしめる。さらに膣内を蹂躙してやれば、両脚の震えが刻一刻と酷くなっていく。
「す、凄い……が、我慢がっ、できな……っ……!!!」
 百合はそう哀願しながら、全身を震わせた。同時に、割れ目からぶじゅっと水が溢れ、床に滴り落ちていく。『ハメ潮』というやつか。
 相手の陥落を肌で感じても、滾りは収まらない。ベッドに突っ伏した百合の肩を掴み、さらに腰を打ちつける。無意識に選んだ体位だが、これはいい。肩を掴むことで俺の姿勢は安定するし、相手が前に逃げるのも封じられる。結果として、突きこみの威力を余すところなく伝えることが可能だ。
「くはっ!! あああ、深いいッ!! あああっ、せ、先生、だめ、だめエエエ゛っ……んんあああ゛あ゛あ゛あ゛っ! いやあ゛っ、いやあああ゛あ゛っっ!」
 百合の反応は凄まじい。背中を弓なりに反らせ、白い髪を振り乱す。腰を左右に逃がそうともするから、その動きを利用して『効きそう』な場所を抉り込んでやれば、電流でも流したかのように脚が震え上がる。セックス慣れした性奴隷とは思えないほど、余裕のなさそうな反応だ。
「ほおー、流石は“先生”だな。ツボを押さえてやがる」
「脳の記憶が無くても、体が女の狂わせ方を憶えてるってか。おっそろしいねえ」
 手越とロドニーが遠くから茶化してくるが、もはやどうでもいい。

 ひたすらに、百合の肉体を貪った。
「はあ、はああっ……はあっ……や、やふまへて…………」
 百合が腰砕けになっても、抱くのはやめない。汗に塗れた身体をベッドの上に放り投げ、覆いかぶさる形で挿入する。ひらすらに、がむしゃらに。
 気がつけば、周りは静かになっていた。黒人共も手越達も、俺達のセックスに飽き、それぞれの世界に戻っているようだ。ちょうどそのタイミングで、百合が俺の耳元に口を寄せた。
「……先生」
 また快感を訴えるのか、あるいは音を上げるのか。そう決めつけていた俺は、続く言葉で虚を突かれる。
「落ち着いてお聞きください。沙綾香は、堕ちてはいませんわ」
 予想外の一言。俺は、その言葉の意味を理解するのに数秒を要した。ようやく脳が処理を終え、はっとして百合を見れば、その瞳はしっかりと俺を見つめていた。瞳以外のあらゆるパーツは、快感に溺れるメスのそれだというのに。
「んっ、どうしたんです先生ぇ。もっと、動いてぇ……っ!!」
 俺が固まっていると、百合は甘えた声と共に足を絡ませてくる。周りに気取られないよう演技を続けろ、ということか。
「……はっ、この変態め!」
 俺は笑い返してみせ、百合の唇を奪った。激しく口内を貪っては口を離し、また舌を絡ませあう。そうして息を弾ませた状態で言葉を交わせば、傍目には愛の囁きにしか思えまい。
「……はぁ、はぁ……どういうことだ」
「……はっ、はっ……審査会で沙綾香に呑ませた錠剤は、ドラッグなどではありません。私がすり替えた『抑制剤』です」
「『抑制剤』?」
「……はい。服用直後は興奮作用がありますが、しばらくすれば鎮静作用が働きます。沙綾香は……あの子は、まだ快楽に溺れきってはいません。そういう演技をしているだけです。私との、打ち合わせ通りに」
 囁きかける百合の瞳は、真剣そのものだ。隙を見て、密かに沙綾香とやり取りしていたということか。確かに、可能といえば可能だ。百合が沙綾香と2人きりになる場面は多かった。マッサージや愛撫をしながら囁きかければ、遠目には快感の確認としか思えない。
 いや。それよりも、沙綾香が快楽に溺れていないというのは本当なのか?
 こっそりと鉄格子に視線を向ける。沙綾香は、前後から挟まれ、右膝を担ぎ上げられたまま挿入を受けていた。
「ふわあああっ、きっ、気持ちいいいっ!! 前も、後ろもおぉっ……んああああっっ!!」
 沙綾香は大声で快感を訴えながら、太腿の筋肉を強張らせる。
「ぐおおおっ、締まるっ……!!」
「ぎゃははははっ、まさに咥え込んで離さねぇってやつだな!」
 膣を犯すジャマールも、肛門を犯すトラバンも、顔を歪めて笑う。
 どう見ても、黒人セックスに耽る一匹のメスだ。あれが芝居だとすれば、その演技力は一流の女優に匹敵する。
 だが、よくよく考えてみれば、沙綾香に高い演技力があってもおかしくはない。あの子はずっと、財閥令嬢としての振る舞いを強いられてきた。つまり、令嬢の演技をして生きてきたわけだ。だとすれば、『別人』を演じることに長けている可能性はある。加えて言えば、親や資産家連中との付き合いの中で、気難しい相手の喜ばせ方も知り尽くしているはずだ。元より女好きな黒人共の篭絡など、難しいことではないのかもしれない。
「先生、沙綾香を信じてあげてください。貴方に見限られては、それこそ心が折れてしまいます」
 百合が囁いてくる。
 俺は──信じたい。沙綾香がまだ沙綾香であることを。
 それに、さっきの視線も忘れられない。俺と百合との交わりを、泣きそうな目で見ていたあれは、間違いなく正気の目だ。


                 ※


 沙綾香が演技をしているという前提で見れば、檻の中の光景は違って見えた。

 沙綾香は今、目隠しをした状態で黒人共の逸物をしゃぶらされ、誰の物かを当てるゲームをさせられている。沙綾香の『忠誠心』のテストだろう。
「んふっ。この匂いは……レジャナルドでしょ?」
「この味は、モーリスだよね?」
 沙綾香は、百発百中で相手を当てた。10人のペニスの匂いと味を、全員分覚えたという証だ。
「正解。ちっと簡単すぎたか? 毎晩しゃぶらせてるもんなあ」
「かもな。だったら今度は、下の口で当ててもらおうか!」
 黒人共は勝ち誇ったように笑い、次のプレイに移る。
「んンンン゛ぉおお゛お゛お゛っ!!! お、おっきい……わかった、タイロン、タイロンでしょ!?」
 一番手のタイロンが挿入した途端、沙綾香の背は弓なりに仰け反った。他の9人とは別格のサイズだけに、外しようがない。しかしタイロンは、当てられても腰を止めようとはしなかった。
「おー、いいぜぇ。ねっとり絡まって、締めつけて……目隠しでヤると具合が良くなんな!!」
 上機嫌で腰を叩きつけ、しっかりと膣内出しまでもっていく。そのせいで膣が緩まり、一気にクイズのハードルが上がってしまう。
「んっ、これ、誰だろ……。ちょっと右上に沿ってて、カリが……張ってる? んんっ、よく、わかんない……」
 2人目のドミニクを当てるのに、沙綾香は大苦戦していた。あえて言葉にはしないが、タイロンとのサイズ差のせいで、挿入感すら薄いんだろう。ドミニクがにやけるタイロンを睨みつけ、不愉快そうに舌打ちする。
「待ってね、今当てるから……ん、んっ……あ、わかった! この形、ドミニクだよね?」
 舌打ちを耳にした沙綾香は、必死に腰を蠢かして感触を探り、見事に正解する。その健気さは、苛立ちに歪むドミニクの顔を一瞬にして氷解させた。
「おっ、大正解だぜ。ハハハッ、そうだよな。毎晩抱え上げて、ヨガらせてやってんだ、わからねえ訳がねえよなあ!!」
 完全にオスの自信を取り戻したドミニクは、愉快そうに笑いながら沙綾香の割れ目を抉り回す。
「ふあっ、あ、あっ!! ド、ドミニクのその角度っ、すごいよおっ!!!」
 沙綾香は悦びの声を上げ、思わずといった様子で股を開きながら痙攣する。ドミニクが最も得意とする、小便スタイルに近い脚の形だ。
「よーし、ご褒美だ。大好きなこれでフィニッシュさせてやるよ!!」
 ドミニクが沙綾香を抱え上げ、得意の体位に持ち込んだ。
「あああいいっ、好きっ、これ好きいいっ!! あイクっ、イックうううっっ!!」
 沙綾香は大声で快感を訴えながら、身を震わせた。そしてその直後、挿入部分から潮を噴き散らす。好き、という言葉を証明するかのように。
「へへ、へへへへ……!!!」
 ドミニクは、夢見心地という様子だった。俺に見せつけるという目的すら忘れ、頬を緩ませたまま沙綾香に口づけを求める。沙綾香もそれに応じ、結果として仲睦まじさをこれでもかと披露する。
 3人目のマーキスも、4人目のモーリスも、5人目のレジャナルドも同じ展開だった。沙綾香は必死に相手を探り、それに感極まった黒人共が全力で愛する。何度も何度も肉をぶつけ合い、愛液と精液を散らせながら。

「ハッ、ハアッ、ハアッ、ハアーッ…………!!」

 全問正解で10人の相手を終えた頃、沙綾香の息は乱れきっていた。かろうじて這う格好を取ってはいるが、全身の痙攣が止まらない。やたら肉感的に見える体からは、滝のように汗が流れ、垂れ下がった乳房から滴っていく。外された目隠しの下では、黒目がほぼ完全に上瞼に隠れていて、意識があるのかも怪しい状態だ。
「ひひひっ、トんでんなあ!」
「ああ。必死にコックの形を探ったせいで、感じすぎちまったみてぇだな!」
 黒人共は沙綾香の反応を見て笑い合う。その笑い方さえ、以前の下卑た嘲笑とは違った。スポーツで快勝した後のような笑みだ。

「ハーッ、ハアーッ、ハアーーッ、ハアーーッ…………!!」

 沙綾香の息はまだ収まらない。少し前までは一休みすれば回復していたのに、もう時間が経っても緩んだ表情が治らなくなっている。あるいは、迫真の演技で“そう見せている”。
「見ろよ。さんざっぱらファックされまくって、すっかりバカ面だぜ」
「ああ。余韻に浸りまくってやがるな」
 少し離れたソファから、ロドニーと手越の声がした。
「あはっ……もっと、もっろしてぇ……。ねえ、マーキスぅ、アンドレ……トラバン……」
 沙綾香はだらしない笑みを浮かべながら、目につく黒人共の名前を呼ぶ。
「へへへ、まさに底なしだな。いいぜえ、今夜も足が立たなくなるまで可愛がってやる!」
 黒人共は白い歯を剥き出しにし、我先にと沙綾香に群がっていく。

 全てが演技だとするなら、沙綾香の狙いは黒人共の篭絡だろう。そしてそれは、順調に進んでいる。
 黒人共が沙綾香に絆されているのは間違いない。『ジャパニーズ』呼びが、いつからか『サヤカ』に変わった。髪を掴んだり、腰を叩きつけたりという乱暴なプレイも減った。
「ふうっ……なんか疲れちゃった。甘い物食べたいなあ」
 プレイの合間に沙綾香がそう呟けば、すぐに何人かが反応する。
「へへへ。そう言うと思ってよ、ハニードーナツ用意してるぜ!」
「バカ、カロリー高ぇよ。サヤカが太っちまうだろうが。よう姫、こんな奴ほっといてよ、ミルクプディングはどうだ。冷蔵庫で冷やしてんだよ」
「ああ? 馬鹿はテメエだ。甘いモンが欲しい時ってなあ、糖分が足りてねぇんだよ!」
 沙綾香の前で、ダーナルとジャマールがいがみ合う。沙綾香はソファに腰掛けたまま、そんな2人に微笑みかけた。
「もう、喧嘩しないで。んー、でも、ドーナツにプディングかぁ。どっちもいいな~、どっちも食べようかな。その代わり、食後の運動に付き合ってよ?」
 沙綾香のこの一言で、ジャマールとレジャナルドは目を輝かせ、ハードファックでのカロリー消費を約束する。こんな光景は、今や珍しくもない。
 まるで、共通の恋人を持つ10人の男の同棲だ。奪い合いという状況ではあるが、同棲生活はおおむね上手くいっていた。

 ところが、5日目の朝。その蜜月の日々は、突如として崩れ去る。それまで監視役に徹していたロドニーと手越が、満を持して調教に加わったからだ。
 倶楽部の目的は、沙綾香を調教師の傀儡とすること。であれば、最終段階で調教師の頭が出てくるのは当然ではある。黒人共もそれは理解しているらしく、ロドニーが沙綾香の引き渡しを要求した時、反抗する人間はいなかった。だが、完全に納得しているわけでもなさそうだ。曲がりなりにも“一妻多夫”を許容しているのは、それまで共に調教してきた間柄だからこそ。たとえボスといえども、後から割り入ってくる人間を快く思うはずもない。愛した女が別の人間に調教される光景は、血の涙が出そうなほどつらい。それは、俺も黒人連中も同じなんだ。


                 ※


 鉄格子から連れ出したばかりの沙綾香の前で、ロドニーがトランクスを脱ぎ捨てる。
「………………ッ!!」
 露わになった怒張を前に、沙綾香は凍りついた。無理もない。ビール缶を3つ繋げたようなタイロンの逸物より、さらに輪をかけて凶悪。亀頭からして手で掴めるか怪しい大きさだが、何より、幹の膨らみ具合が尋常じゃない。まるで、女の性器を確実に破壊するために作られた拷問具のようだ。逸物の大きさに自信を持つ黒人共すら、言葉もなく“ボス”の下半身を見つめている。
「…………あはっ、ほんと大きい。こんなの、入るかなあ」
 沈黙を破ったのは、沙綾香だった。彼女は頬を赤らめ、期待感に満ちた表情でロドニーの足元に跪く。どう見ても、更なる刺激を待ち望んでいるようにしか思えない。その迫真の演技に、ロドニーは笑みを浮かべ、逸物を沙綾香の乳房に乗せる。
「あんっ、重いよぉ……」
 沙綾香はケラケラと笑いながら、乳房で異形を挟み込み、先端へ口をつける。
「んっ……むっ、はン……はっん、んん、あっ……んちゅっ、れあっ……」
 艶めかしい声と共に、赤い舌が亀頭を舐め回し、唇が先端を包み込む。
「しゃぶるのにもすっかり慣れたな。最初の頃のカマトトぶりが懐かしいぜ」
 ロドニーは感心した様子で笑いながら、沙綾香の後頭部に手を当てた。そして一気に引き寄せる。太すぎる剛直が3割ほど口内に隠れ、沙綾香の頬が歪に引き攣る。
「ふもおごぇああ゛あ゛っ!?」
 壮絶なえずき声も漏れるが、予想通りだ。あんなサイズの逸物を強引に押し込まれて、声が出ないはずもない。
「オイ、乱暴にすんじゃねぇよ! サヤカの口が裂けちまうだろうが!!」
 鉄格子を揺らしながら、タイロンが非難の声を上げる。奴自身、以前はかなり乱暴なプレイをしていたというのに。
「ぶはっ、あはっ……はぁ、はぁ……お、おっきい……。顎、外れちゃうかと思った……」
 怒張を吐き出した沙綾香は、激しく喘ぎながら笑う。そして、今度は自ら深く咥え込み、なおかつ割れ目を弄りはじめる。規格外のペニスを前に、興奮を抑えきれないというアピールか。
「ハッ、よく言うぜド変態が」
 ロドニーは鼻で笑いつつも、沙綾香の奉仕を堪能する。沙綾香の演技は真に迫っていた。整った顔を崩しながら、口いっぱいに極太を頬張り、咀嚼するように舐め回す。
「ほおー、大したもんだ。調教に手間ァかけた甲斐があったな」
 怒張の表面の血管が、さらにくっきりと浮かび上がった頃。ロドニーは沙綾香の頭を押しやり、奉仕をやめさせる。そして近くのソファに沙綾香を座らせると、サイズをさらに増した怒張を宛がった。
「挿れるぜ。キツいから覚悟しとけよ」
 ロドニーは、亀頭で割れ目を擦りながら宣言する。
「……っ」
 俺の横に座る百合が、顔を強張らせた。百合は奴隷調教の経験者だ。過去、ロドニーに犯された経験がフラッシュバックしたか。
 一方の沙綾香は、挿入を前にしても薄笑みを湛えたままだ。だが、下を向く目には、ほんの僅かに怯えが見える。

 ( ──頑張れ、沙綾香! )

 俺が心の中で声援を送った、その瞬間。ロドニーが腰を突きだし、剛直が割れ目に入り込む。
「……ん、あああああああっ!!!!」
 挿入の瞬間、沙綾香は絶叫した。おそらくは、演技の余地もない本気の叫びだ。挿入部分に視線をやれば、絶叫の理由がよくわかった。サボテンを思わせる肉の塊に入り込まれ、陰唇は不自然な形に歪みきっている。中に異物を抱える下腹部は、それこそ七面鳥のように盛り上がっている。
 何か、トリックがあるんじゃないか。人を驚かせるために演出された、マジックショーなんじゃないか。そう考えたくなるほど、現実離れした現象が、沙綾香の身体に起きている。
「くくくっ、いい悲鳴だぜ。俺にレイプされた奴は、皆そうやって叫ぶんだ。アイドルだろうが、婦警だろうが、少年兵のリーダーだろうがな。……いや、お前のお友達のサムライガールだけは耐えてやがったか。背中から冷てぇ汗垂らして、下半身ガクガク震わせちゃいたがな。ありゃ大したモンだった。お前も負けんじゃねえぞ。そのダチに勝って、ここにいるんだからよ!!」
 ロドニーは、下卑た笑いと共に沙綾香の腰を掴み、さらに深く挿入する。
「んはっ、お……おっほ、ほっ……く、苦し、い……!!」
 沙綾香は顔を引き攣らせ、苦悶を訴えた。その反応が、ロドニーの笑みをさらに深める。
「だろうな。『アソコが裂ける』『骨盤が外れそう』『初めての時より痛い』あたりは、俺に犯される女の常套句だ。そこにいるお前の先輩なんぞ、傑作だったぜ。3つ全部言ってギャンギャン泣いた挙句、クソまで漏らしやがった」
 ロドニーの目が百合を向いた。
「…………その節は、失礼をいたしました」
 百合は淡々と謝罪し、頭を下げる。その能面じみた顔つきとは裏腹に、シーツを掴む手は震えっぱなしだ。ロドニーに犯された経験が、よほど深くトラウマになってしまっているらしい。
「はぁっ、はぁっ……わかるよ。これ、凄いもん……。今までのどのセックスより、痺れちゃう…………!」
 沙綾香は汗まみれの顔でロドニーを見上げ、囁いてみせる。その一言で、黒人共が一斉に騒ぎ出した。口汚い言葉を交えつつ、返せ、戻せの大コールだ。ロドニーはそんな黒人共へ見せつけるように、大きく腰を使いはじめる。
 他人が行うピストンを、これまで何千回見てきたことだろう。だがロドニーのそれは、過去のどれとも違っていた。ロドニーが腰を前後に動かすたび、バカげたサイズの怒張が割れ目から出入りする。その衝撃に、じっと耐えることなど不可能だ。沙綾香の手は忙しなく動いた。ソファの座部を掴み、下腹を押さえ、骨盤に指を添え……そうして彷徨った挙句に、背もたれを強く握りしめる。
「ひいいあ、ふぇっ……ぎあはっ、ぃふあっ……ひゅごい、凄いいっ…………!!」
 沙綾香の声は、今までに耳にしたことがないものだった。極度の苦しみに呻き、時に声を裏返らせてもいるが、艶めかしさがある。どこまでが演技で、どこまでが本音か、全く判別不能なレベルだ。
「ほぉ、もうヨガってやがんのか。貧相なアジアンのくせに、大したタマだ!」
 ロドニーは嬉しそうに笑い、沙綾香の両足首を掴みながら腰を突き込む。
「きゃはっ、はっ、はがぁがっぐ!!」
 また、妙な声が漏れた。よほどの苦しさなのか、Vの字に持ち上げられた美脚がブルブルと痙攣している。
「すげぇだろ。キツくって、筋肉の痙攣が止まらねぇよなあ。だが、じきに病みつきになるぜ?」
 ロドニーの黒い腰が、前後に揺れる。沙綾香を載せたソファそのものが揺れ、騒々しい音を立てる。
「ふっぐ、あぐっ、んんはぐっ!!! んはっ、あ、あぐうっ……は、はああっ、あっぐ!!!」
 沙綾香の声は苦しそうだ。巨体の陰からたまに覗く顔は、常に歯を食いしばっている。背もたれを掴む手も、V字の脚も、痙攣が止まらない。
「へへへ、なかなか具合がいいじゃねぇか。そろそろ一発目いくぞ!!」
 ロドニーが叫び、スパートを掛ける。あらゆる音がペースを増し、殺害現場さながらの不穏な空気が満ちていく。
「ああああすご、すごい、すごぉおいいい゛い゛い゛い゛っ!!!!」
 沙綾香は、絶叫した。何もしなければ純粋な悲鳴になるものを、無理矢理喜びの言葉に変えているような、異様な叫びだ。その最中、ロドニーが腰を止めた。奥深くまで捻じ込んだまま、注ぎ込む。ペニスサイズに自信を持つ連中特有の、征服的な射精だ。

 射精を終えた後、ようやくロドニーがソファから離れる。その陰から現れた沙綾香の姿は、悲惨の一言だ。陰唇は外へ捲れ返り、膣粘膜の一部も引きずり出されている。腰は深くソファへめり込み、脚は痙攣を続けている。中でも正視に耐えないのが顔で、虚ろな目と涎を垂らす口は、絞殺された直後のようだ。
 それでも、沙綾香は自我を失ってなどいなかった。
「どうだ、刺激的だったろ?」
 ロドニーが汗を拭いながら声を掛ければ、沙綾香の瞳に光が戻る。
「ハッ……ハァッ……ハァッ……うん、最高……デスソース、スプーン一杯舐めさせられた感じ……」
「そりゃ良かった。気に入ったんなら、もっと飲ませてやるよ。スプーン一杯なんていわず、バケツでな!」
 気を良くしたロドニーは、沙綾香の腕を掴んでソファから起き上がらせる。だが、沙綾香は自立できなかった。
「ま、待って、立てない……膝、笑っちゃって……」
 沙綾香自身の言う通り、脚の震えが止まらない。黒人共から、数時間ぶっ通しで輪姦された直後のように。
「ったく、しょうがねぇな」
 ロドニーは嘆息しつつも、笑みは消さない。一度のセックスで腰砕けにした事が誇らしいんだろう。実際、並大抵の事じゃない。しかも奴は、そんなセックスをまだ続けようとしている。
 奴は、沙綾香を抱え上げた。両脚を抱えての対面立位……『駅弁』の体位だ。大きな手が尻肉を掴み、割りひらく。そしてその隙間に、パイナップル大の逸物が入り込んでいく。
「んあっ、あぐっ……あ、あ……はくああああっ!!」
 今度も、挿入だけで悲鳴が上がった。さらにロドニーの手が動き、強引に腰を上下させはじめれば、声はさらに悲痛さを増す。
 ソファでの体位の方が、ずっとマシだった。剛直のバカげたサイズがそのまま見えるこの状況は、直視が辛い。あんな挿入を何度も受けて、無事でいられるはずがない──嫌でもそう思えてしまう。
 幸いにというべきか、股が裂けて血が噴き出すようなことはなかった。足首から先はそれこそ突き込みのたびに跳ね上がるが、決定的な損傷は見られない。
 危険なのは、むしろ上半身の方だ。
「あああ……ふ、太いのが、奥まで、ぇ……こ、壊れ、ちゃ…………!!」
 うわ言のようにそう呟く沙綾香の顔は、意識が定まっているようには見えない。長湯で上せたように締まりがない。両手でロドニーの肩を掴んでいなければ、そのまま後ろに倒れそうだ。
「いいツラだな。ケツにしろマンコにしろ、ここまで押し拡げられちまうと、身体の芯に力が入らねぇだろ? だが、まだ“底”じゃねぇぞ。もっと下を見せてやる」
 ロドニーはそう告げ、ソファ前から移動する。その最中にも手と腰の上下運動は止まらず、沙綾香から声を絞り出す。そしてその歩みは、ベッド横で止まった。
「さあて、いくぜ」
 その一言と共に、ロドニーは腰を下ろした。すぐ傍のベッドへ、思いっきり。剛直を挿入したままで。
 バフンッ、という音がした直後、沙綾香の顎が浮いた。
「ふぎいぃぃううぃいぃいっ!!」
 直後、鼓膜を震わせた音は、普通なら人の声とは思えない。『きっと悲鳴が上がる』と予測していたから、かろうじて判別できただけだ。
 そんな声が上がる状況となれば、肉体の反応も普通じゃない。沙綾香の足先は、ロドニーの肩の高さにまで上がっている。上体は大きく後ろに傾ぎ、かろうじてロドニーにしがみついているだけだ。その異様な反応に、黒人共が鉄格子を揺らしながら叫ぶ。キッチンフロアでグラスを傾ける手越さえ、苦笑いを浮かべている。
「んはっ、はあっ、はあっ……!! い、今の、ダメ……ほ、本当に、壊れちゃうっ!!」
 ロドニーの顔を見つめ、必死に訴える沙綾香。だが、ロドニーは聞き入れない。
「生憎俺は、尋問の手段としてファックを覚えたもんでよ。“ブッ壊す”やり方しか知らねえんだ」
 ロドニーの腰が浮き上がり、また寝台へと落ちる。浮き上がっては、落ちる。バスンバスンというベッドの音が耳障りだ。
「んぎぃっ……いっ、ふぅぎぃいっ! ぼお、ほ、ごっ!! な、内臓が、づぶ、れ……ッ!!」
 沙綾香の有り様は、悲惨だった。歯茎を露出させるほど歯を食いしばったかと思えば、舌を突き出して空嘔吐を見せる。
「ハッハ、すげぇツラだ。こうなっちまうと、元のルックスなんざ関係ねえな!」
 ロドニーは笑いながら立ち上がり、沙綾香の尻を掴んで、強引な抜き差しを繰り返す。普通なら激しい水音がする場面だが、今は音らしい音がしない。ペニスが割れ目を埋め尽くしていて、音が漏れる隙間すらないのか。
「はっ、はっ、はっ……!!」
 沙綾香は、ロドニーの首にしがみついて喘いでいた。見開かれたその眼は、目の前のベッドに注がれたまま動かない。だが、さらに数分が経てば、また反応が変わる。
「ひいいーーーっ!! こ、これ、イッちゃう!イッちゃうの、イっちゃうっ!! 頭のなかっ、バリバリするうううっ!!!」
 沙綾香は天を仰いで叫び、歯を食いしばる。顔に浮かぶのは、『目の前に火花が散る』時の表情だ。もう何度となく拝まされた表情だが、今のそれは、いつになく病的に思えた。
「……可哀想に。あれは、地獄ですわ」
 隣で百合が呟く。経験者の噛み締めるような一言は、重い。
「気合入れろよ、俺は3時間は余裕でファックできるんだ」
 沙綾香の変化を感じ取ったのか。ロドニーは中腰の姿勢を取り、尻肉を掴み直す。

 そして、悪夢のセックスが始まった。巨木を思わせる剛腕は、沙綾香の体重をものともしない。尻肉を両手で掴んで持ち上げては、自分の腰に叩きつける。その辛さとなれば、もはや想像するまでもない。
「んぐっ、ぐう゛う゛っ……ん゛っ、ン゛!! んぎっ、ふぎぃいい……あ、あ゛ああ゛…あ゛!!」
 沙綾香の口からは、いかにも苦しげな呻きばかりが漏れている。
 一分後、ロドニーの腰に絡みついていた足が外れ、だらんと下に垂れた。そのさらに数秒後、ロドニーの首を抱え込んでいた腕も離れ、背中側に垂れ下がった。そして最後に、首が後ろに倒れる。口を開いたまま痙攣する顔は、明らかに失神した時のものだ。
「沙綾香っ!」
 俺は、考えるより前に叫んでいた。鉄格子の向こうでも、黒人連中が同じく騒いでいた。誰が見ても危険な状態なんだから、当然だ。だが失神に追い込んだ当人だけは、涼しい顔を崩さない。
「気絶したら止めてもらえるとでも思ったか? 甘ェ甘ェ。俺のファックは戦場仕込みだ。呑気に気ィ失ってッと、殺されちまうぜ!」
 ロドニーは唸るように叫び、すでに反応のない沙綾香を嬲りはじめた。尻肉を掴んだまま、上半身の傾いだ沙綾香を何度も突き上げる。それでも意識が戻らないとなれば、今度は片手ずつ尻から手を離し、乳房を鷲掴みにする。まずは左手、続いて右手。
「ひぎいっ、いいい痛いっ!!!」
 両乳房に黒い手がめり込んだところで、沙綾香が目を見開いた。
「グッモーニン。天国は堪能できたか?」
 ロドニーは嘲りながら、荒々しく乳房を揉みしだく。全体の形が変わり、指の合間に柔肉が盛り上がる揉み方だ。いかに脂肪の塊とはいえ、あんなやり方では痛いに決まっている。
「やあ゛っ、ちぎれる゛、ちぎれぢゃう゛う゛ッ!!」
「なーに、千切れやしねぇよ。それに、こうやって乱暴に犯されるのも好きなんだろ? あのケダモノ共と毎晩ハメまくって、ヨガってんだからよ!」
 涙を零す沙綾香を前に、ロドニーの顔が凶悪さを増す。奴は沙綾香を一旦下ろし、ベッドに手をつかせた。そして、背後から挿入する。それまで以上に力強く、深く。
「んお゛っ、お゛っ、おほっ!! ああ゛っ、はっ、はっ、はぉおお゛っ!! んくっ、苦しい、苦じい゛い゛……っ!!!」
 ロドニーの腰が打ち込まれるたび、沙綾香の下腹部がぼこりと膨らむ。そんな状況で発される呻きは、濁りきった『お』行だ。どう見ても本気で苦しんでいるが、ロドニーは責めの手を緩めない。沙綾香の腰が前に逃げれば、太腿を掴んで引き付け、グリグリと奥を苛め抜く。
 その暴力的なピストンに晒されながら、沙綾香は激しい反応を見せていた。彼女がまともだという前提で考えれば、その意図にも察しがつく。
 黒髪を振り乱しているのは、脳内の『何か』を振り払おうとしているからだろう。足を大きく開き、時々足の裏を地面から浮かせているのは、挿入の刺激を少しでも和らげるために違いない。
 そしてその目的は、ロドニーにも伝わったようだ。
「フッ。未知の刺激が怖ぇのは解るがな、お前にゃこの味を覚えて貰わなきゃなんねぇんだ。腰据えて、じっくり味わえよ」
 ロドニーはそう囁き、沙綾香の両脚を強引に閉じにかかる。
「んっ!! あ、や゛っ……!!」
 悲鳴が上がった。脹脛の膨らみを見る限り、沙綾香は全力で抵抗しているようだ。だがそれも虚しく、両脚の距離は肩幅より狭くなる。その状態で腰が打ち込まれれば、沙綾香の顔は一瞬で歪んだ。
「おおお゛っ!! ンおッ、ほ…っほおっ、おお゛っん、ぉはっあ゛……っ!!」
 苦しみに満ちた喘ぎ。床に対して垂直に伸びた二本足は、自分にはこれだけの筋肉があるんだと主張するかのように、壮絶に蠢く。ダリーの後背位でも、タイロンの立位でも、あそこまで肉が隆起していたことはない。
 だが、俺はそれに既視感があった。まだ『日本男児』であった頃の藤花が、水責めを受けながらロドニーに犯されていた時。あの時の、はち切れそうな脚の膨らみと同じなんだ。
「あ゛っ、はっ、はっ、ぉおお゛……くはっ、く、ぁ、はっ…………ぉ、あ゛っ、ア゛……!!」
 沙綾香の喘ぎが、少しずつ変わっていく。『お』行の苦しそうな喘ぎに、艶めかしい『あ』の音が混じりはじめる。そしてその比率は、刻一刻と増していく。
 まさか……感じているのか。あんな酷いセックスで。
 俺のその疑問には、すぐに答えが返ってくる。
「イ゛っ、いぐッ、いぐっ、イぃぃぐッ!!!」
 沙綾香は小さく、だがはっきりとそう言った。しかも、立て続けに。それを聞いたロドニーが鼻で笑う。
「ようやく白状しやがったか、さっきからイキまくってるくせによ。お前のカラダは、刺激が強いほどイキやすくなってんだ。そうなるように調教してやったんだからな!!」
 その言葉と共に、ピストンが速さを増す。パンッ、パンッ、パンッ、という音が響き、沙綾香の喘ぎが泣き声に近くなる。
 それでも沙綾香は、最後の抵抗を続けていた。後ろに手を伸ばし、ロドニーの腕を掴む。左右には開けない脚を上げ、ベッドに乗せて、少しでも体位を変えようと足掻く。
 だが、その抵抗も数分とはもたなかった。
 まず最初に、ベッドに載せた脚が滑り落ち、つま先立ちの状態になる。
 続いて顔が項垂れ、舌を突き出したまま涎を垂らすばかりとなる。
 そして最後に、爪を立てる勢いでロドニーの腕を掴んでいた手が、ぶらんと頭の横に垂れ下がった。
「フッ、まーたヘバりやがったか。とことん平和ボケしてやがる。こんな状況で気絶したら、やられたい放題にされちまうってのによ!」
 ロドニーは満面の笑みを浮かべ、両手で沙綾香の腰を掴み上げる。沙綾香の脚は男顔負けに長いが、2メートルの巨躯を誇るロドニーには及ばない。爪先は完全に床から浮き、挿入箇所を支えに垂れ下がった。そんな沙綾香を、ロドニーはさらに犯す。力強く、念入りに。
「おうおう、いいぜお嬢様。具合のいい『チンポサック』だ。飽きるまで、しばらく愛用してやるよ」
 犯すロドニーの言葉は、下劣そのものだ。だが、沙綾香はその最低な扱いに反応できない。憤ることは勿論、嘆くことすら──。


 ロドニーに失神させられた後、沙綾香は『檻』の中に戻された。
「サヤカ、おいサヤカ!!」
「しっかりしろよ、おい!!」
 黒人共は甲斐甲斐しく沙綾香の世話を焼いた。濡れタオルで汚れを拭ったり、額を冷やしたり、ミネラルウォーターを飲ませたり。そうして沙綾香が意識を取り戻せば、歓声が上がる。まるきりお姫様扱いだ。そして連中は、回復した姫とのセックスを望んだ。
「ロドニーの野郎相手じゃ、痛いばっかりだったろ。俺らが気持ちよくしてやるからな?」
「俺達の味を思い出させてやるよ。お前が大好きな“フランクフルト”だぜ!」
 マーキスが、タイロンが、沙綾香に見せつけるようにコックを扱き上げる。いずれも人類全体で上位数パーセントに入るだろう巨根揃いだが、ロドニーの凶器を拝んだ直後では、随分と控えめに思えてしまう。
 おそらく、黒人共もそれを自覚しているんだろう。奴らは組み伏せた沙綾香を相手に、念入りなセックスを繰り返した。ロドニーの記憶を上書きするつもりだろう。沙綾香は、そのセックスで一応は甘い声を漏らす。だが。
「んっ……あ、入ってるの……? ごめんね、ぼーっとしてて……」
「はあっ、はあ……っ、ねえ、もっとイジメてよ。刺激が、足りないの……」
 沙綾香は、折に触れて物足りなさを訴えた。あくまで自然に、時には申し訳なさそうに。
 黒人共のあのペニスで苛め抜かれて、刺激が足りないことなど有り得ない。だが、ロドニーのセックスを目の当たりにした後なら、その主張がいかにも本当らしく思えてしまう。そんな沙綾香の絶妙な演技が、黒人共を阿鼻叫喚に陥れた。
「ファアックッッ!!!!」
 何人もが声を張り上げ、壁を殴る。沙綾香に怒るつもりなど毛頭ないが、ロドニーを殴りにもいけない。その行き場のない怒りを持て余しているようだ。
 その不穏な光景を見ながら、ロドニーはゲラゲラと笑っていた。ひとしきり面白がると、今度は視線を手越に向ける。
「よう手越のダンナ、次はアンタの番だぜ。連中のビッグコックでさえ物足りねぇって宣うあの嬢ちゃんを、アンタのその粗チンで満足させられんのか?」
 普段以上に棘のある軽口だ。だが、手越は動じない。
「なぁに、デカけりゃあいいってもんじゃねぇ。それをじっくり教えてやるよ。お前らにも、あのお嬢様にもな」
 手越はそう言って煙草を揉み消し、ゆっくりと立ち上がった。
 服を着ていると飄々とした中年男という風だが、シャツやズボンを脱ぎ捨てて素肌を晒せば、一気に雰囲気が変わる。太腿と脚、尻……至るところが刺青で覆われている。肌に墨が入っているというより、柄物を全身に着込んでいるに等しい。間近で拝むその威圧感は、桜織のビデオで目にした時の比じゃない。酸いも甘いも嚙み分けた、裏社会の古強者……そんな相手に調教される沙綾香が、心配で堪らない。
 そしてその心配は、杞憂では済まなかった。俺はこの後、熟練の『スケコマシ』の技に、一度ならず戦慄することとなる。


                 ※


 年季が入っている。手越の印象は、その一言に尽きた。黒人共は勿論、ロドニーも、女に不自由していない颯汰でさえ、沙綾香の裸を前にすれば『雄』の気配を漂わせる。今すぐに抱きすくめ、犯したい──そういう欲情の気配だ。だが、手越にそれはない。
「最初っから妙な色気のあるガキだったが、ますます良い女になりやがったな。淫魔だなんだと騒がれんのも納得だぜ」
 沙綾香を観察しながらそう呟くのも、あくまで客観的な分析だろう。

 手越は、沙綾香を仰向けでベッドに寝かせ、足を開かせた。
「だいぶ伸びたな」
 股座を覗き込んでそう呟くと、手元の袋からシェービングブラシと石鹸ボウル、剃刀を取り出す。アンダーヘアの処理をするんだろうが、除毛クリームを使わないのは、奴なりの拘りか。
「あれ、手越さんパイパン好きっすか?」
 調教を見にきた颯汰が、意外そうに訊ねる。手越はブラシで泡を立てつつ、鼻で笑った。
「タコ、好き嫌いの問題じゃねえ。ヴァギナの感度を上げる意味と、“宣言”だ」
 手越の手が止まり、ブラシにたっぷりと纏いついた柔らかな泡を、沙綾香の割れ目に塗り込めていく。肛門の方にまで、丁寧に。沙綾香の太腿がぴくりと反応した。
「一旦無垢な状態にしておいて、改めて自分色に染める……初っ端に毛を剃ることで、それを宣告すんだよ。俺ァ古い人間なんでな、まずは形から入りてぇんだ」
 手越はそう言いながら、空いた左手で沙綾香の手を掴み、ポーズを変えさせる。寝転んだままVの字に足を開き、その足首を自ら支える、恥辱の格好だ。
「やだぁ……こんなカッコ、恥ずかしいよお」
 沙綾香はそう言って笑ってみせるが、本当は顔が歪むのを必死に耐えているんだろう。そんな沙綾香を見下ろしながら、手越は念入りに泡を塗りたくる。
「なんだ、ブラシで感じてんのか? 泡が汁で流れちまってんぜ」
 割れ目を見ながら、手越が笑う。その言葉の真偽は判らないが、執拗に快感調教を繰り返された今の沙綾香なら、有り得なくもないと思えてしまう。
「んふふふっ、なんか、くすぐったい」
 沙綾香は甘えた声を出し、妖しく腰をうねらせていた。だが、剃刀で毛を剃り上げられる段階になれば、その態度がほんの僅かに硬くなる。
「また汁が溢れてきやがった。ヨガるのは結構だが、暴れんなよ。大事な所に傷がつくぜ」
 そう嘲る手越に対し、沙綾香は肩を竦めて笑ってみせた。しかし、手越が毛を剃ることに集中しはじめれば、沙綾香の目尻は僅かに上がる。腰を浮かされ、尻周りの毛を剃られる段階ともなれば、唇まで歪む。よくよく見なければわからない変化だ。だが俺には、そこに痛々しいほどの羞恥が感じられた。

「良い眺めだ。全部丸見えだぜ」
 毛をすべて剃り終え、手越は改めて沙綾香の秘部を眺める。Vの字に開かれた足の間は、肌色と朱色しかない。確かに綺麗だ。沙綾香はそもそも薄毛な方で、それほど意識したことはなかったが、毛の有無というのは大きいらしい。
「なんか、スース―する……」
「だろうな。剃る前との感度の違いを、よく味わえ」
 困ったように眉を下げる沙綾香。手越はそんな沙綾香に一声かけ、諸々の道具を脇へよけると、ゆっくりと秘部へ顔を近づける。
「お。手越さんのクンニって、直で見んの初めてかもしんないっす」
 面白そうに笑う颯汰に一瞬笑い返してみせ、手越は舌を這わせはじめた。まずは、鼠径部から。
「んはっ、はぁ……んっ!!」
 沙綾香が甘い声を出し、腰から下を波打たせる。演技と思いたいが、あまりにも自然な動きだ。
 鼠径部の舐めは、念入りだった。左右から交互に舐め上げ、沙綾香を悶えさせる。そして、腰がぶるるっと震えたのを確認したところで、とうとう舌が割れ目に近づいた。
「あ、あぁ……きっ、気持ちいいっ……ふんぅ、あ、あっ……!!」
 舌が動き、ちゅ、ちゅっ、と音がするたび、沙綾香から切ない声が上がる。腹筋と太腿が激しく強張り、足指の先が反り返る。そしてある瞬間、両足首は手の間から滑り落ちた。手越の頭を挟み込んだまま、三角座りするような格好だ。
 ふっ、というせせら笑いが聞こえた気がした。
 手越は、沙綾香の脚の隙間から手を回し、乳首に触れる。そしてその乳首を指で転がすのと同じペースで、割れ目に舌を這わせていく。
「はぁっ!? あっふ、あふ、んっ……んあああっ……!!」
 沙綾香は目を見開いた。口から漏れる吐息がペースを増す。気持ちいいという言葉は出なかったが、そう口にする余裕すらないという様子だ。そしてその余裕のなさは、秒単位で増していく。電気でも流されたように腹部が引き攣り、腰が動く。上半身はベッドに肘をついて起き上がり、『どうしよう』と言わんばかりの表情で下腹部を見下ろす。そんな状況を知ってか知らずか、手越は一旦口を離した。
「どうだ、だいぶ昂ぶってきただろ。なるべく息んでヒダを開いてみろ、もっと良くなるぜ」
 そう宣言して、また秘部に顔を近づける。
「こ、これ以上なんて……あはっ、ヘンになっちゃうよぉ……」
 沙綾香の言葉は、おそらく本音交じりだ。手が、足指が、シーツを強く握りしめる。次の『未知』に耐えられるように。
「あっ……あはぁはっ……んはっ、き、気持ちいい…………んはああっはっ!!! ああぁ、あ……っう、あ、あっ……ひもひっ、はっん、あ、はっ、はっ…………!!」
 たかが前戯。たかがクンニリングス。だというのに沙綾香の息遣いは、膣でのセックスが佳境に差し掛かった時のようだ。激しく喘ぎ、甘い吐息を吐き出し、時には泣いているような響きさえ混じる。当然ながら腰周りの反応も大きくなり、三角座りが崩れていく。外へ外へ、徐々に股を開く形で。
「おいおい。ヒダを開けとは言ったが、浅ましく股を開けとは言ってねぇぞ。それともなんだ、俺の舌があんまりにも気持ちよくて、股座引き締める筋まで蕩けちまったか?」
 手越にそう茶化されると、沙綾香は歪んだ笑みを浮かべながら脚を閉じる。だが、それもその時限りだ。手越が丹念に割れ目を舐め上げ、同時に胸を刺激すれば、また甘い声と共に脚が開いていく。そして、さらに数分後。
「あ、あぁぁ……あっ、あいく……い、くっ…………!!」
 沙綾香は、うわ言のように絶頂を宣言した。手足の指でベッドを掴んだまま天を仰ぎ、より目のまま全身を痙攣させる。紛うことなき絶頂だ。
 手越は一瞬顔を上げ、相手の反応を確認した。だが、やめない。じゅばっ、じゅるっ、とそれまで以上の音を立てて、クンニリングスを再開する。
「あはんっ、んああっ……やめ、感じ、すぎちゃう……は、はっ、ああ……んはっあああっ……!!」
 沙綾香の反応は大きい。激しく腰を震わせ、踵を浮かせ、足裏をビンと反らせる。
「すげぇ、中イキしてるみてぇ」
 颯汰がぼそりと呟いた通り、まだ前戯の段階とは思えない反応だ。


                 ※


 ようやく手越が顔を離した頃、沙綾香の割れ目は変わり果てていた。陰唇は充血して膨らんだまま花開き、激しく開閉を繰り返している。毛がすべて剃られているため、中の襞まで丸見えだ。クリトリスも小豆大に勃起しきり、包皮をほぼ完全に捲り上げていた。
 どう見ても『出来上がっている』状態。にもかかわらず、手越は挿入には移らなかった。奴が始めたのは、指での刺激だ。左手でデルタゾーンを覆いながら、二本指でクリトリスを挟み込む。右手の3本指の腹で、充血した割れ目を擦る。
「まだ焦らすんすか。徹底的っすねー」
「乳房で感じさせたいなら外から責めろって、前に教えたろ。ヴァギナも同じだ。中に指突っ込む前に、徹底的に外をほぐしてやるんだよ」
 颯汰に反応する間にも、手越の指は滑らかに動き続けた。さっきの舌遣いにしてもそうだが、円熟の技が見て取れる。一つ一つの動きだけを追えば、そこまで特殊なことをやっているようには見えないのに。
「んあっ、か、感じる! すごい敏感になってるうっ!!」
 沙綾香はますます顎を浮かせ、腰を震わせた。大きく開いた太腿が何度も筋張り、尻がベッドから浮き上がる。そして、数秒後。動き続ける指の間から、ぷしゅうっと潮が噴き出した。
「ひぅ……っ!!」
 沙綾香の喉から漏れた声も、その潮噴きとよく似ている。出したくなかったのに、我慢が利かずに漏れた、という感じだ。
「どうだ、外側を擦られただけで潮を噴いた感想は。恥ずかしくて泣いちまう女もいるんだぜ」
 手越は薄笑みを浮かべながら、割れ目に二本指を滑り込ませた。沙綾香の口が開き、あ、と声が漏れる。
「いい濡れ具合だ。ぬるくてトロトロの襞が、指に絡みついてきやがる」
 手越は探るように指を蠢かし、ある場所で関節を曲げる。
「ひっ!」
「おうおう、蜂にでも刺されたみてぇにプックリ膨らんでやがる。ここまでになると、上手く料理するにゃあ相応の腕が要るが……安心しろ。今までで一番気持ちよく、潮を噴かせてやる」
 手越は余裕を態度を崩さず、右手で潮噴きの形を作り、左手を下腹に添える。そして、グッ、グッ、と手首に力を篭めはじめた。黒人共がやる『手マン』のような激しさはない。ただ、脈拍と同じペースでスポットを圧迫しているだけだ。だというのに、沙綾香の反応はいつになく大きかった。
「あ、だめえっ!! おしっこ出ちゃうっ!!」
 上半身を跳ね起こし、目を見開いて下腹を見下ろす。すぐにへらっとした笑いを浮かべてみせるが、最初の一瞬はどう見ても演技じゃない。
「こういう潮の噴かされ方は初めてだろ? 力の入れ方やスポットの捉え方、指先の鍛え方にコツがあんだ。若い連中にゃ出せねぇ味よ」
 手越の言葉には、説得力があった。グッ、グッ、と手首が動くたび、沙綾香の全身が大きく反応する。腰は痙攣し、足先は空を蹴る。中でも異様なのは、汗をダラダラとたらしながら歯を食いしばる表情だ。
「ひっ、ひいいっ!! こ、こんなの、こんなの初めて!! し、痺れるっ……い、イッちゃいそう!! おしっこも、もお我慢できないっ!!」
「いいぜ、思いっきりイけ! 尿道もマンコも開いて、垂れ流せ!!」
 お互いが絶叫するような会話。それが終わるか終わらないかといううちに、沙綾香の震えが激しくなる。
「いぎゅうぅぅうっ!!!」
 呻きとも悲鳴ともつかない声と共に、沙綾香の腰が震え上がる。そして、勢いよく潮が噴き出した。あの子の潮噴きはもう何十度と見てきたが、その中でも一番と思えるような飛距離と飛び散り方だ。ベッドシーツが、床が、次々と愛液の雫で濡れていく。そんな中、俺は沙綾香の顔を見て息を呑んだ。白目を剥きかけ、舌を突き出した、壮絶な表情をしていたからだ。その顔は、飛沫が止まってからもしばらく戻らなかった。
「すげー。もう丸一晩可愛がった後って感じっすね」
「んな大したもんじゃねぇ。まだまだ挨拶代わりだ」
 感服する颯汰を前に、手越はベッドから降りて煙草に火を点ける。そして近くのガラステーブルから水のボトルを拾い上げ、未だ放心状態の沙綾香の近くに放った。
「水分摂っとけ。この後は『本番』だ」
 さらりと言い放ったその一言は、これから大量の愛液を搾り取るという宣言だ。ハッタリとは思えない。
 トランクスを脱ぎ捨てて露わになった逸物は、黒人共に迫る大きさだった。包皮が剥けきり、血のように赤い亀頭が露出しているさま、幹全体が黒柿色に変色しているさまは、長年に渡って『使い込まれた』道具である事を嫌でも感じさせる。挙句そのカリ首周りや幹は、瘤のような突起で凶悪に補強されてもいる。同じアジア人のペニスといっても、審査会で目にした客のそれとは根本的に別物だ。
「コイツの味を知ると、他の逸物じゃ満足できなくなるぞ。真珠を10個も入れてるからな」
 ベッドに戻った手越は、亀頭で割れ目を擦りはじめた。沙綾香は声を上げ、腰をうねらせる。
「力抜けよ」
 手越は両手で沙綾香の太腿を押さえ、狙いを定めた。そして、一拍置き……一気に突き込む。
「んぎっ!!」
 沙綾香は、備えていたはずだ。世の女子高生など比較にもならない性経験を元に、万全の覚悟を決めていたはずだ。それでも彼女が漏らしたのは、情けない悲鳴だった。
「あ、あ゛……なにこれ、なにこれっ……!?」
 挿入が深まるにつれ、沙綾香の顔が引き攣っていく。対照的に手越の笑みは、狙い通りという風だ。
「言ったろ? コイツの味を知ると、他の逸物じゃ満足できなくなるってよ」
 手越は改めてそう宣言し、さらに腰を押し進めていく。

 正常位で根元まで挿入した後、手越は腰の動きを止めた。
「よう、颯汰。この嬢ちゃんとヤってる映像観てたがよ、お前、挿入した後にいきなり奥を突いてたろ」
 圧し掛かる格好で静止したまま、手越が颯汰の方を振り返る。
「え? あ……ああ、はい」
「いいか、挿入後は動くな。こうやってじっとしてりゃあ、女の膣は勝手に逸物を迎え入れる準備を整えるんだ。なあ、俺の逸物の形を感じるだろ?」
 手越は颯汰に教え諭しつつ、沙綾香に問いかけた。沙綾香の表情は、手越の体に隠れて見えない。それでも、段々と息が荒くなっているのがわかった。
「はっ、はっ……か、感じる……。イボイボが、襞に当たって……こんなの、初めて……!!」
 答える声も震え気味だ。挙句には、両の足指まで堪らなそうに握り込まれる。手越はまだ、一切腰を遣っていないのに。
「ほーう、こいつはなかなかの名器だな。しっとり絡みついて、吸いつく感じだ。黒人共が夢中になるわけだぜ」
 手越は驚きを口にしながら、ようやく腰を浮かせた。だが、すぐにまた腰を落とす。また浮かせては、落とす。颯汰がやっていた、『奥をトントン叩く』ポルチオマッサージだ。
「はッ、んんっ、はっ、はっ……ん、んッ!! はッ、はんッ、フッ……!!」
 沙綾香の吐息は、苦しげだった。膣奥への圧迫に加え、真珠が擦れる刺激まで来るせいだろう。出入りする突起だらけの怒張を見れば、その刺激のほども容易に想像がついた。
 まだセックスの序盤だというのに、割れ目のひくつき方が尋常じゃない。しかも手越は、沙綾香の弱みをすべて把握しているようだった。膣奥をリズミカルに叩きながら、両手で沙綾香の尻を掴み、ぐうっと持ち上げる。膣の傾きを調整し、より致命的な角度で、より強く、イボつきの怒張が擦れるように。
「んうぃいぃっ!?」
 沙綾香の喉から、また聴き慣れない悲鳴が絞り出される。両脚も火がついたようにバタバタと暴れる。まさに、相手の掌で転がされている状態だ。
 沙綾香の激しい反応を前に、俺は息を呑む。するとそんな俺の手を、百合が握りしめてきた。
「……先生、どうか見守ってあげてください。ここが、あの子の正念場なんです」
 百合は、俺にだけ聴こえる声で囁く。
「手越は、裏でも名の通った『スケコマシ』です。あの男の手にかかれば、どれほど我の強い女性でも、二日足らずでその肉棒の虜になったといいます」
 続くその言葉で、背筋を冷たい汗が伝った。きっと、俺自身も手越の危険性を感じ取っているからだ。

 一体、何十回膣奥を『叩いた』のか。呆れるほど入念に奥をほぐしてから、手越は腰のストロークを少しずつ大きくしていく。パン、パンと音の鳴る、本格的なセックスだ。
「あっ、あっあ、あぁあああっ!!」
 沙綾香の声は、いきなり大きい。絶叫と表現してもいいぐらいに。
「へッ、こりゃあいい。グチャグチャにこなれてやがる。いよいよ出来上がってるなお前ェさん」
 手越の言葉が、いちいち胸をざわつかせる。
「はっ、はぁっ……だって、手越さんの、気持ちいいもん。おまんこの奥がっ、しっ、痺れる……。ねえ、もっと滅茶苦茶にして。真珠入りのアレで奥まで突いて!」
 沙綾香の言葉も、演技だと信じてはいるが、胸のざわつきを酷くする。
 思わず、百合の手を握った。演技だよな、という確認だ。百合もすぐに握り返してくる。しっとりと汗を掻いた、震える手で。
「そうか。なら、激しくするぞ」
 手越が沙綾香の太腿を押さえ、180度近い開脚を強いる。その上で背中を反らし、逸物を深く押し込んだ。角度がついているぶん、怒張の出っ張りがこれでもかと膣壁を擦ることだろう。
「あっああっ、ぎふぃうっ……う、うっ、ふうう゛っ!!」
 沙綾香の反応は激しい。両腕で顔を隠し、腹部をぶるぶると震わせる。
「はっ、えげつねぇ痙攣っぷりだな。まあ、そりゃそうか。お前ほど頑張った奴も久方ぶりなら、お前ほど追い込んだ奴も久方ぶりだからな!」
 手越は嘲笑しつつ沙綾香の太腿を抱え込み、腰を前後させる。奥深くまで挿入し、一気に引き抜く。ただそれだけの動きでも、真珠が10個も入った剛直が与える快感は生半可じゃないだろう。
「んんんっ、はっく、ああっ!! い、いくっ……んぁっああ、んはあああっ!!」
 肺の空気を絞り出すような喘ぎは、深く絶頂している証拠だ。手越はその様子を見ても、ピストンをまったく緩めない。
「や、やだ、やすませへっ……い、イってるって、ばっ……!!」
「まだまだ、イってからが本番だ。お前は計画の本丸だからな、手加減はしねえ。真珠入りの逸物の味を、骨抜きになるまで教えこんでやる」
 手越は、暴れる沙綾香の足首を掴み、コントロールを奪ったまま突き続ける。両足首を真上に揃えたまま突きこまれた瞬間、沙綾香は悲鳴を上げて震えた。
「んんんああああッ!! ま、まらイクっ、まだイクううッ!!!」
 頭上のシーツを掴み、大きく腰を上下させる。足の暴れ方も激しくなり、右足首が拘束から外れる。だが、手越は狼狽えない。掴んだ左脚を肩に担ぎ、松葉崩しの体位でピストンを継続する。
「きひいんっ!! よ、横に擦れる……っ! 違うとこで、イッちゃ……!!!」
 抉られる場所が膣側面に変わったらしく、沙綾香はまた新鮮な絶頂に呑まれた。抱え上げられた太腿を強張らせ、狂ったようにベッドを叩く。固く閉じられた目からは涙が、食いしばられた歯の間からは唾液が伝っていく。
「手越さんの『追撃ピストン』、半端ねー。そいつ、明らか俺ん時よりヨガってますもん。オレも真珠入れよっかなあ」
「ハッ。止めはしねぇが、奨めもしねぇぞ。入れる時ゃ痛ぇし、金はかかるし、何より味を占めたオンナ共の求愛が鬱陶しくてしょうがねぇ。調教を終えてソープに売り飛ばしてからも、抱いてくれ抱いてくれって群がってきてよ、乾く暇もねぇってヤツだ。若ぇうちはともかく、歳食ってくるとウンザリするぜ」
 手越は颯汰と会話を交わしつつ、沙綾香の腰を掴んだ。そして完全に腰を浮かせると、引き付けながらのピストンを繰り返す。何人もの女を狂わせてきた怒張が、沙綾香の下腹を膨らませる。
「んふあああっ、いっ、いくっ、ひくぅう゛う゛っ!!!」
 沙綾香は目を見開き、大口を開けた。溺れている人間が水面から出した顔のようだ。手越は相手のそんな状態を知りつつ、より深い場所に引きずり込んでいく。
「そら、ここか? ここが弱ェのか?」
 掴んだ沙綾香の腰が、反射的に逃げる方向の“逆”……つまり、その時々でのクリティカルな急所。そこに狙いを定め、グリグリと抉り回す。お互いの内腿の筋肉が、硬く硬く盛り上がるまで。
「んんいいっ、え、えぇぐっ!! ぇぐ、えぐえぐえぐうう゛っっ!!?」
 沙綾香は、もう「いく」という言葉さえ明瞭に発せない。やがて彼女は、海老のように背中を反らし、全身を痙攣させながら目を閉じた。
「いひいっ、んっい、ひぃぃいいいっ…ん……」
 食いしばった口の間から、発声の邪魔をしていた唾液がダラダラと溢れ出す。どうやら気を失ったらしい。
「すーげぇ、もうオチた。オレん時、マジで手こずったのに」
 颯汰は唖然としている。確かにあいつは、数時間かけてようやく沙綾香を失神に追い込んでいた。対して手越は、挿入からまだ30分と経っていない。
「そりゃ経験の差だ。セフレとイチャついてばっかりのお前と違って、俺は生意気な女をぶっ壊してメシ食ってきたんだぜ。ガキの意識飛ばすぐらい、なんてこたあねぇ」
 手越は誇らしげに笑いながら、右手を沙綾香の腰の下に添えた。骨盤を下から支える形だ。その状態でグッと指が曲がれば、沙綾香の腰が跳ね上がる。
「ひあっ!?」
「どうだ、効くだろう。仙骨を刺激してやってんだ。ここらにゃ神経が集まってるからな。こうして圧迫してやりゃ、子宮が揺れた時とおんなじ快感が来て、アソコがギュウーッと締まんだよ」
 手越はそう言いながら、さらにグリグリと指を押し込む。
「ひ、ひっ!?」
 沙綾香の腰がさらに浮き上がり、代わりに肩から首にかけてがベッドに落ちる。
「どうだ、感じるか?」
 手越がさらに問い詰める。沙綾香は何度か口を開閉させてから、その端を引き上げた。強引に筋肉を歪めたような、妙な笑みだ。
「あ、はは……か、感じるっ。あそこが、勝手に締まって……イボイボのアレが、襞に、めり込んでくる……。中の敏感なとこが全部刺激されて、腰が、動いちゃうの……こんなの、初めてっ……!!」
「だろうな。女の泣き所に当たるように真珠を入れてんだ。デケェだけの逸物なんぞ、コイツとは比べモンにならねぇよ」
 手越はロドニーや黒人共に目を向け、見せつけるように腰を動かした。膣の中では、10個の突起が性感スポットをゾリゾリと擦り上げていることだろう。そう考えれば、沙綾香の反応も当然のことに思える。
「ぃいいいイっくぅうう゛ッッッ!!!!」
 全力で歯を食いしばり、つま先でシーツを抉り込み、ほとんど45度に傾いた身体をガクガクと痙攣させる。絶頂そのものの波が過ぎ去っても、あああ、あああ、と艶めかしい声を漏らしながら、腰を痙攣させて余韻を訴える。今の彼女の状態、今の彼女の状況なら、そうなって当然だ。
「はっ、随分なイキっぷりだなぁお嬢様。なら、こういうのはどうだ?」
 手越は右手で腰を支えたまま、左手でクリトリスに触れる。圧迫したまま捏ねるようなソフトな動きだが、刺激としては充分だ。仙骨からの刺激と合わさり、膣はますます収縮することだろう。
「あああっ、く、クリはあっ!! あああ、し、締まっちゃう! ゴリゴリ擦れてっ……んはああっ、し、痺れるうっ……!!」
 沙綾香の尻肉が引き締まり、太腿の痙攣が増す。尋常な力の入り方じゃない。ひょっとすると、クリトリス、Gスポット、ポルチオの3ヶ所で同時に絶頂させられているのか。
 手越は笑みを浮かべながら、しばらくクリトリスを弄り回していた。そして沙綾香が息も絶え絶えになる頃合いで、また手の位置を変える。今度の狙いは、子宮の真上。そこを左手の付け根でグリグリと刺激する。体外式のポルチオ刺激だ。何度となくイかされつづけ、子宮口が蕩けきっている沙綾香が、それに耐えられるはずもない。
「んああお゛っ!? んお、んおおお゛っ!! し、子宮っ、子宮んうううっ!! ぃイグっ、イグイグッイグッッ!! そごだめ、いまそこだめえええ゛え゛っっ!!!」
 沙綾香は、さらに人らしさを失った。腹の底から『お』という呻きを響かせながら、腰を浮かせ、脚を震わせる。それでも快感を殺しきれないらしく、寝台を抉る勢いで後頭部を埋め、グリグリと頭を振りながら泣き叫ぶ。
「そうだ、たっぷり味わえ。俺の逸物の虜になるまでな!」
 手越は、相手がどれだけ暴れようが動じない。何かの生地でも捏ねるように、徹底的に下腹を圧迫し、同時に右手で仙骨を刺激する。
 沙綾香の腰の痙攣が止まらない。泣き叫びも、頭の振りも。ただ一点だけ変わったのは、足指がつま先立ちをやめ、しっかりとシーツを掴んだことだ。その動きとアキレス腱の強張りが、『決壊』のサインだった。

「んほおおろぉろおお゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」

 絶叫が響き渡る。ただし、実際には耳で聴き分けられる類の声じゃない。悲痛な叫びと、腹の底からの呻き、うがいをするような音……それが入り混じったものだ。
 上がる声も異常なら、沙綾香の反応そのものも普通じゃなかった。足指でシーツを噛んだ長い脚が、少女の物とは思えないほど硬い筋肉を浮き立たせ、高々と腰を突き上げる。その結果、深々と突き刺さっていた強直も不自然な角度で抜け、四方に愛液を散らす。そして直後、抜けた怒張へ追いすがるように潮が噴き出した。びしゃっ、と亀頭に浴びせかかったかと思えば止まり、またびしゃっと浴びせかかる。それが、5回も6回も続いた。数えきれないほど絶頂シーンを見てきたが、こんな光景は初めてだ。
「すげー、ブッ飛んでる……」
 颯汰が逸物を握りしめたまま、言葉に詰まる様子で呟いた。百合もまた俺の横で、口に手を当てて絶句している。快楽調教を受けた同性だけに、今の沙綾香がどんな状態にあるのか、嫌でも実感できてしまうんだろう。
 どっ、という音を立てて、沙綾香の腰がベッドに落ちる。それでもまだ、震えは止まらない。
「あ、ああ゛……なんで……!? イくの、止まんない……とまん、ないいィ゛っ……っ!!」
 仰向けになった沙綾香の肉体は、絶頂の反応を続けていた。舌を突き出し、目を見開いたまま、全身が痙攣を繰り返す。痙攣というより、ベッドから風でも吹きあがっていて、身体が不規則に浮いているような状態というべきか。
 潮噴きも続いている。腰がぶるぶると震えたあと、さすがに量こそ減ったものの、小さな飛沫が上がる。
 颯汰も、俺も、百合も、その異様さに言葉がない。ロドニーさえ葉巻を咥えたまま、訝しげに目を細めている。それでも手越だけは想定通りらしく、煙草を一本咥えて火を点け、沙綾香の頭上に腰を下ろした。疲労困憊の沙綾香が上を向く。
「しゃぶって綺麗にしろ。死ぬほど気持ちよくしてもらった感謝を篭めてな」
 手越のその言葉に、沙綾香は一瞬固まった。だがすぐに、涙と涎に塗れた顔に笑みを広げる。
「……あはっ……」
 嬉しそうに笑いながら身を起こし、手越の怒張に舌を這わせていく。俺の方に晒された割れ目は、真っ赤に充血して開ききっていた。絶頂続きであふれた本気汁か、あるいは過剰な刺激で分泌された保護液か。妙にとろみのある液が、糸を引きながら滴り落ちていく。散々掻き回されて白く濁ってもいるため、中出しされた精子に見えるほどだ。
 じゅるっ、じゅばっ、という音が響く。沙綾香は、媚びるような上目遣いのまま、むしゃぶりつくような奉仕を続けているようだ。手越は煙草をふかしながら、その姿を眺め下ろしていた。演技を見破っているようには見えないが、妙に隙がない。常に万が一を想定していそうだ。
「よし、もういいぜ」
 灰皿で煙草を揉み消し、手越が立ち上がる。ちょうど沙綾香の鼻先に突き立った怒張は、明らかに大きさを増していた。セックスの快感と口での奉仕のせいだろう。いよいよ凶悪さを増した『名器』を目の当たりにして、沙綾香の喉が鳴る。
「ははっ、ガン見。カンペキ夢中じゃん」
 颯汰が笑い飛ばす。そうとも見えるだろう。だが俺には、緊張によるものだとしか思えない。


                 ※


 セックスの二回戦は、キッチンフロアで行われた。手越は対面立位で繋がりながら、キッチンに置いてあるボトルを煽り、口移しで沙綾香に呑ませる。勿論、腰を振りながらだ。
 2人の身体は、汗で濡れていた。和彫りに覆われた物々しい肉体も、染みひとつない純白の裸体も、共にオイルを塗りたくったような有様だ。
「掴まってろ」
 手越がボトルを脇に置き、沙綾香に囁きかける。沙綾香が言われた通りに肩を掴むと、手越は沙綾香の左腿を抱え上げ、右手で尻の肉を掴んだ。
「あんっ、擦れる……」
 沙綾香がそう甘い声を漏らしたように、膣襞への逸物の触れ方も変わったはずだ。
 手越は一度沙綾香を抱えなおし、改めて腰を遣いはじめる。奴は沙綾香の脚を掴むことで、自分に都合のいい……つまり、沙綾香にとって“まずい”角度をキープしているようだった。
「は……あうっ、はうっ! おっ、おほっ、ほっ……お、んおっ……!!」
 突起だらけの逸物が割れ目へ沈むたび、沙綾香の背中が震える。漏れる声も、可愛さを捨て去った本気の呻きだ。
「ナカがいやらしく絡みついてくるぜ。俺の息子をしゃぶりつくすつもりかよ」
 手越はそう嘲ったかと思えば、愛人にするように沙綾香の唇を奪う。舌をねっとりと絡ませる、大人のキスだ。それと挿入が同時にくれば、沙綾香は口内に切ない呻きを響かせ、脚の付け根をぶるっと震わせる。
「え、えくっ、えくっ!!」
 腰が打ち込まれる中、沙綾香は舌を奪われたまま、何度も絶頂を宣言した。本気で感じているのは間違いない。抱え上げられた左脚の先は、万力にでも締められたように強張っている。軸足である右の太腿にも、どろどろと愛液が滴り落ちている。
 手越は、その全てを肌で感じていることだろう。それでも、責めは緩めない。

 何度となく達し、沙綾香が右足で立つこともままならなくなった頃、手越は沙綾香の両脚を抱え上げた。向かい合う形での『駅弁』。ロドニーもやった体位だ。
 ロドニーの時のように、痛い痛いと叫ぶことはない。だが、あの時より楽というわけでもなさそうだ。
 沙綾香は、手越の首に縋りつく格好のまま、俯いていた。沙綾香自身の腕に隠れてよく見えないが、その口の辺りから、頻繁に雫が滴っているようだ。
「だいぶバカ面になってきたな、財閥令嬢サマよ。中イキの状態をずっとキープさせられて、脳味噌が茹だっちまったか?」
 しがみつく沙綾香を見下ろし、手越が笑う。その言葉に、沙綾香がゆっくりと顔を上げる。その顔を目にして、俺はまた息を呑む羽目になった。
 ヤバい。直感でそう感じる顔つきだ。
 瞳は手越の顔を向いているが、どこに焦点が結んでいるのかわからない。
 綺麗な三角形の鼻の穴は、大きく開いては閉じてを繰り返す。
 口はだらしなく舌をはみ出させたまま、一瞬たりとも閉じることがない。
 極めつけは、顔の下半分を滝汗のように覆い尽くす、涙と鼻水と涎だ。
 もはや、溺れかけなんてレベルじゃない。ギリギリ死なない程度に首を絞められ続け、今まさに意識を手放そうとしている人間……そういう感じだ。
 ロドニーの時のような派手さこそないが、絶頂しつづける状況はそれほどに苦しいんだろう。今更ながらに意識を向ければ、沙綾香の肉体は苦しげだ。
 手越が腰を打ち込めば、背中がぶるっと震え上がる。同時に腹筋も引き攣り、くの字に曲がった左右の脚も引き締まる。結合部からは絶えず愛液が滴り続け、直下の床はもはや完全な水溜まりだ。
「俺の真珠チンポは、そんなに気持ちいいか?」
 沙綾香の耳元に口を寄せ、手越が問いかける。意地の悪い問いだ。訊くまでもなく明らかな事実を、あえて語らせる。そうやって、何人もの女を服従させてきたんだろう。
「はーっ、はーっ、はーっ……い、いいっ……! ゴリゴリが、擦れて……奥っ、突き上げられて……。もう、ずっとイキっぱなしなの! はあっ、はあっ……おねがい、降ろして……もう、しがみついてるの、限界っ……!!!」
 沙綾香の声は、泣き声に近い。気力も体力も尽き果てた人間が、救いを求める時のものだ。それはあまりにも自然で、作った声には思えない。
「ったく、しょうがねぇな」
 手越は溜息交じりに沙綾香の脚を離した。しばらくぶりに沙綾香の足裏が地面につくが、とても自立できる状態にはない。
「きゃっ、あ……んぐうッッ!!!」
 あっという間に体勢を崩して尻餅をつき、その衝撃でまた絶頂する。キッチンカウンターに肘をつく颯汰が、それを見てゲラゲラ笑う。
「何やってんだ」
 手越もまたニヤけながら、沙綾香の腕を取って近くのソファへ引き寄せた。深く腰掛けた手越の膝の上に、沙綾香を抱え上げる格好だ。
「特別に座らせてやったんだ。今度は自分で動け」
 手越がそう命じ、沙綾香の太腿をぴしゃりと叩く。
「はぁっ、はぁっ……」
 沙綾香は、何か話すのも辛いんだろう。荒い息を吐きながらソファに手をつき、腰を持ち上げる。ただ、すでに疲れ果てている状態だ。腕は数秒と自重を支えきれず、あえなく腰が落ちる。
「あひいっ!!!」
 絶叫が響き渡った。ここしばらく喘ぎや囁きばかりだったから、突然の大声に鼓膜がバリバリと鳴る。
 耳鳴りが収まってから沙綾香を見れば、彼女は顎を浮かせたまま歯を食いしばり、絶頂していた。硬直した全身がビクンビクンと痙攣している。生半可な逝き方ではなさそうだ。
「おーおー、重てぇ重てぇ。自分から奥まで突っ込んでイッちまったか? いいぜ、その調子で快楽を貪れ。何人もの女が目の色変えて欲しがる逸物を、好きなだけ味わえるんだ。幸せだぜオメェは」
 手越が沙綾香の乳房を揉みしだき、嘲るように笑う。沙綾香はその刺激にまた声を上げながら、腰を上下させた。ぬちゅっ、ぬちゅっ、という音がしはじめる。
「あ、あ、あ、イク……おくで、いくっ…………し、子宮で…イッて、るうっ……!」
「ほう。で、どんな感じだ。言ってみろ」
「し、痺れるの…………あそこの、奥から、頭、まで……。ち、チカチカするし、フワフワも、してる…………」
 手越に促され、沙綾香は快感を言葉にする。思考力はだいぶ鈍っているように思えるが、演技だと信じたい。
「そうか。なら、もっと良くなれる方法を教えてやる。そのまま頭下げてみろ、感覚がブッ壊れるぞ」
 手越はそう言って、沙綾香の背中を押さえつけた。上半身が大きく倒れ、乳房が太腿と腹に圧し潰され、手の先が床につくまで。傍から見てもわかる。あれは、極限まで腹圧を強める体位だ。
「あっ、は……!? こ、これ────」
 沙綾香が何かを言いかけた、その瞬間。手越は沙綾香の尻を掴み、自分の腰にグリグリと押し付ける。
「んっおおお゛お゛っっ!?」
 沙綾香は目を見開き、口を尖らせたまま呻きを上げた。呻きの種類は、藤花が後ろの穴を犯されながら上げていた類のもの。腹の底から絞り出した、重苦しい、そして嘘のない呻きだ。
「くくくっ、すげえなこりゃ! ムスコがねじ切れちまいそうだ。だが、こんだけギュウーッと締め付けてるってこたぁ、お前も堪らんだろ。襞に肉と真珠が食い込んでよぉ!」
 手越は珍しく顔を歪めつつ、円を描くように腰をうねらせる。沙綾香の前腿が張り、ますます乳房を圧し潰す。
 手越が腰を回すたび、あるいは尻を掴んで揺らすたび、沙綾香の力みは酷くなった。手越はそんな反応を眺めつつ、さらに追い込みをかける。
「ほら、起きろ」
 奴は沙綾香の顎を手で包むと、背筋が垂直になるまで引き起こした。そして一般的な背面座位で、さらに沙綾香を突き上げる。
「くはあああっ!! こ、今度は、奥に…くる……奥まで、入ってくる゛……っ」
 俯きながら涎を垂らす沙綾香。だが、ソファが軋み、突き上げが回数を増すごとに、その顎が少しずつ浮いてくる。
「あ、あっ……あっ……んはっ、はっ、はっ、はっ、はっ!!」
 10秒もすれば、天を仰ぎ、目と口を開く姿が出来上がった。何度となく目にした、溺れる人間の顔。苦しいのか、気持ちいいのか。あるいは、気持ちがよすぎて苦しいのか。
「う、動か、ないで……」
 沙綾香は震える指で手越の太腿を掴み、膝を閉じはじめた。少しでも相手の動きを阻もうとしているんだろう。
 だが、逆効果だ。小さな手で掴んだぐらいでは、紋入りの古木のような脚は止まらない。そして膝を閉じる行為は、膣を狭める行為に繋がる。真珠入りの逸物の刺激に苦しんでいる中、そんな真似をすれば……
「ぁィっ、ぐッ!」
 沙綾香は悲鳴を上げ、触れかけていた左右の膝を離す。膝頭は上下にガクガクと揺れている。そして顔には、『しまった』という感情が貼りついている。そんな明らかな“弱み”を、手越が見逃すはずもない。
「そーら。もう一遍、極楽に行ってこい」
 年季を感じさせる腕が、沙綾香の背中を前へ押し込む。
「あああ゛あ゛あ゛……っ!!!」
 か細い悲鳴が漏れる中、乳房がまた平らに押しつぶされ、足の指が床から浮いた。

 腹圧のかかる前傾で膣壁をいじめ抜き、背面座位に戻して子宮口を突きまわす。手越は、この性質の悪いループを繰り返した。そしてそれは、着実に沙綾香を追い詰めていく。
「もぉやめっ……!」
 3回目に前傾姿勢を取らされてから、一分後。沙綾香は後ろに手を伸ばし、手越の腕を掴む。自分の限界を悟っての行為だろう。沙綾香はそのすぐ後、膝をブルブルと震わせ、ぶしゅっと潮を噴いた。ソファの前、数メートルに飛び散るほどの勢いだ。
「ふはっ、すっげぇハメ潮。どんだけ気持ちいいんだよ」
 颯汰はさも可笑しそうに笑うが、限界のサインを目の当たりにした俺は、とても平静ではいられない。鼓動が早まる。瞼を閉じ、この後の光景を拒絶したくなる。だが結局俺は、瞬きすら忘れ、ソファの方を見続けた。
 幸せはあっさり崩れるのに、嫌な予感だけは、どうして外れることがないんだろう。
 沙綾香の反応は、刻一刻と激しくなっていく。
 今は、背面座位の6度目。沙綾香は腰を掴まれた状態で突き上げられ、天を仰いでいた。首元は異常なほど筋張り、ああああ、という絶叫もその力みぶりと吊りあっている。
「……ふう」
 手越が息を吐き、腰を止めた。それを受けて、喘ぐ沙綾香の顔も降りていく。瞳孔はほとんど上瞼に隠れていた。顔の汗もひどい。いや、顔どころか、首も、胸も、シャワーを浴びた直後のように雫まみれだ。また前傾姿勢を取らされれば、その雫が次々に滴り、影の中で光を放つ。
「んぐっう゛、お゛っ、ほっ、ほっ……いぃおお゛っお゛、オ゛っ、おほっ……!!」
 濁りきった呻きは、年頃の、それも最高レベルの美少女が発しているものとは到底思えない。
「へッ、すげぇ声出してやがる。いいぜ、どんどん搾り出せ。本気汁と一緒にな」
 手越は沙綾香の腰を押さえつつ、ソファに深々と背を預ける。膣内では、あの凸凹だらけの凶器が、臍側の襞にめり込んでいることだろう。
「ぎぃいぐいぐっ、ッぐっっ!!!」
 沙綾香は悲鳴を上げ、顔を跳ね上げた。その顔は少し沈むが、また跳ね上がる。しかもそれは、一回ではすまない。
「アッハ。すげー、バンギャのヘドバンみてえ! ポイント押さえたら、あの生意気な女がここまで狂うんすね。勉強になるわー」
 颯汰は手を叩いて笑っている。悶え狂う沙綾香が面白くて仕方ないらしい。奴の笑いは、沙綾香が追い詰められるほどに大きくなっていく。

 この辺りから俺は、直視が苦しくて、あまり前を観なくなった。だがたまに顔を上げれば、いつでも沙綾香の悲惨な姿が見えた。
 黒髪を振り乱して頭を上下させ。
 苦痛と快楽で歪みきった顔を晒し。
 潮を噴き散らし。
 失神し。
 覚醒し。
 そして最後には、俯いたまま痙攣するばかりになった。
「おおろろろっ……」
 妙な声と共に、俯いた顔から何かが垂れる。唾液にしては質量のありすぎる、糸を引く粘液だ。
「おっと、流石にイジメすぎちまったか」
 手越は吐き戻した沙綾香に気付き、一仕事終えた顔で前髪を撫でつけてから、沙綾香の尻を持ち上げる。怒張が空気に晒されるのは、実に1時間半ぶりだ。だから、俺の見間違いかもしれない。手越の怒張が、挿入前より膨らんでいるのは。
 黒柿色の幹は逞しく膨らみ、10個の真珠を囲むように太い血管が浮き立っている。赤い亀頭は、もはや子供の握り拳ほどの大きさだ。あんな物で膣内のスポットをいじめ抜かれたとしたら、沙綾香のあの狂いぶりにも納得がいってしまう。
「舐って綺麗にしろ」
 ソファ下へ崩れ落ちた沙綾香に対し、手越が命じる。悪びれもしない、まるで子を躾ける父親の顔だ。
 沙綾香は、拒否をしなかった。意識があるのかも怪しい動きで、手越の逸物を咥え込む。
「れあっ、あむっ……ん、んっ……あ、えあっ……あ」
 艶めかしい声がする。そして同時に、沙綾香は妙な反応を示してもいた。
 黒人共に奉仕してきた彼女が、手越相手のフェラチオを苦にするはずもない。なのにあの子は、苦しそうだ。突起だらけの幹を舐め上げながら、視線を細める。亀頭周りを口に含みながら、手越の下半身を凝視する。下の方では、へたり込んだ腰がヒクヒクと動いてもいるようだ。
「どうした?」
 手越が口を開いた。沙綾香の肩が跳ねる。
「……ふぇ? どうって、なにが……?」
 沙綾香は逸物を吐き出し、締まりのない笑いを浮かべた。色狂いの女らしい顔ともいえるが、肉体の緊張ぶりとはやや不釣り合いな気がする。
「惚けんじゃねぇよ。自分の愛液塗れのイボマラ舐めながら、さっきのセックスを思い出してんだろ? 真珠に舌が触れるたんびに、パンパンに張った亀頭をしゃぶるたんびに、強烈な快感がを思い出しちまうんだろ?」
 手越は薄ら笑みを浮かべ、沙綾香のうなじに触れる。その指が下から上に動けば、それだけで沙綾香の背中が弓なりに反った。
「俺に抱かれた女は、皆そうなる。真珠入りのマラってのは刺激が強烈なぶん、条件付けがしやすいからな。一遍この味を覚えちまうと、忘れられねぇんだ。特にお前さんにゃ、普通の女を5回は堕とせるぐらいの熱を注いでやったからな。腰周りの神経全部に、俺の感触が釘みてぇに打ち込まれてる筈だぜ」
 手越はそう言って沙綾香の頭を掴み、強引に上下させはじめた。
「も゛っ、おごっ……ほごっ、もおおおお゛ッッ!!」
 沙綾香は驚き、凄まじいえずき声を上げる。散々暴れた挙句、片膝をつき……そしてそのまま、ぶしゅっと潮を噴いた。それは、あまりにもメッセージ性の強い光景だ。鉄格子を掴む黒人共が、悲鳴に近い声を上げるほどに。
 その状況のすべてを愉しみながら、手越はとうとう射精に至る。黒人共ほど長くはないが、どくっ、どくっ、と喉奥へ注ぎ込んでいるのが実感できる射精だ。
「そう物欲しそうにすんな。次も、たっぷりと可愛がってやるよ。『今日以上に』な」
 最後の最後。精液まみれで呆ける沙綾香に対し、手越は絶望的な一言を囁きかけた。

                 ※

 鉄格子の中に戻されてから、沙綾香はまた黒人共から手厚い介護を受けた。黒人共は下心を隠そうともせず、散々に沙綾香を甘やかす。そして体力が回復してくれば、1人1人交代で抱きはじめた。何度もキスを交わしあう、甘く蕩けるようなセックスだが、腰の振りは激しい。
「どうだサヤカ、感じてるか。ジャパニーズの粗末なウインナーより、俺らのマグナムコックの方が気持ちいいだろ。俺のコックが一番好きなんだろ、ええ!?」
 何度もそう訊ねているところを見ると、手越とのセックスの記憶を上書きするつもりなんだろう。実際手越の逸物は、長さや幹の太さでいえばマーキスと大差ない。黒人共はその大半が、ペニスサイズでは勝っているはずだ。
 なのに、誰一人として、手越のセックスを超えることはできなかった。
「うん、好き、好きいっ! だから、もっとして! もっと激しく、感じさせてっ!!」
 沙綾香は、何度も愛を叫び、黒人共を求める。剛直で突かれれば快感の声を上げ、ピストンが佳境に入れば潮を噴くことすらある。だがそのどれもが、手越とのセックスで見せた反応には及ばない。あの、気が触れたかと思えるほどの狂乱には。
 黒人共はそんな沙綾香を相手に、複雑な表情を見せていた。沙綾香が愛おしくて堪らない。だからこそ、満たしきれない現状が歯痒い。そんなところだろう。
「ハハハッ、だんだん『ラッシュ』みてぇになってきたな。あの嬢ちゃん、アワ噴きかけてんぜ。ガツガツ突いたって、俺のメガディックとアンタのテクにゃ敵わねぇのによ!」
 鉄格子に視線を向けながら、グラス片手にロドニーが笑う。その対面に座る手越も、ふっと笑いを漏らす。今となっては、その余裕ぶりにも納得だ。あの2人の調教は、今まで観てきたどれよりもヤバい。

「……はぁ、はぁ……沙綾香は、いつまで耐えればいい。何か、手はないのか……?」
 獣のように求め合うセックスを演じながら、百合に問いかける。
「あ、んはっ、んっ……あ、あと、少しです……。私の、仲間が、この倶楽部の場所を探っています。セキュリティが厳重で、手間取っているようですが……もう、間もなくのはずです。それまでは、時間を、稼ぐしか……!」
 百合は、演技とも本気ともつかない様子で喘ぎながら、そう囁き返してくる。
 百合は、この倶楽部を捜査している組織の一員ということか。その仲間が、もうすぐ助けに来る。今はそれを信じるしかないが、問題は、それまで沙綾香がもつかという一点に尽きる。

 ( 耐えてくれ、沙綾香──! )

 祈りを篭めてそう念じる。だが、そんな俺の想いをあざ笑うかのように、ロドニーと手越の調教は激しさを増していく。


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二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.6(後編)

Part.6(中編)の続きで、『審査会後のドラッグセックス』シーンです。


 
 フロア中から、男女の行為の音が響いてくる。興奮した客が、百合・祐希・千代里・藤花と桜織を相手に、性欲を発散しているせいだ。
 連中の熱意は凄まじい。黒人共の『ラッシュ』さながらに、5人の少女に群がり、犯し抜く。100人を超える数がいるだけに、百合達は休む暇もない。

 そして沙綾香は、ステージからその光景を見下ろしていた。『審査会』が終わった時点で制服は脱がされ、頭の装置も取り去られ、生まれたままの姿で黒人共に囲まれている。
「そら、もう一錠くれてやるよ」
 口に錠剤を放り込んだダーナルが、沙綾香の唇を奪う。
「う……っぐ」
 沙綾香は嫌そうに眉を顰めるが、唇を奪われている以上、最後には薬を飲み下すしかない。その効果は、すぐに表れた。
「……あ、はっ……はっ……! あ、へぁあ…………っ!!」
 沙綾香の目が開き、天井のライトを見つめる。額からは汗が吹き出し、口はパクパクと開閉する。
「なんだそりゃ、エサ欲しがる鯉のマネか?」
「しゃあねえ、刺激をくれてやるか。ちっとだけな!」
 沙綾香の左右を固めるダリーとジャマールが、笑いながら沙綾香の乳首に吸いついた。
「んはあああっ!!!」
 沙綾香は肩を跳ね上げ、目を泳がせる。
「おっ、可愛い反応しやがって。よーしご褒美だ、こっちも舐めてやる」
 正面のトラバンも、沙綾香の脚を押し開いて秘部に口をつけた。
「あヤッ……やっあ、んんっ、くふんんんっ!!!!」
 沙綾香の脚は、最初こそ暴れたが、すぐに大股開きで静止する。腿の肉が弾む形。両脚の付け根を起点に、快感が走りつづけてるんだろう。
 じゅぱじゅぱと品のない音をさせて、三つの口が性感帯をしゃぶり回す。荒々しくはあっても、特に激しい責めでもない。けれどもそれは、着実に沙綾香の反応を変えていった。
「…………あふっ、ふあ、ぃふっ……ひっは、はっ……はっ…………」
 沙綾香の表情が、緩んでいく。眼球は虚ろなまま上を向き、半開きの口からは涎が垂れていく。
「段々と、トリップまでの時間が短くなってきましたな」 
 俺の横で、端塚が呟く。奴が口を開くのは、決まって目論見通りに事が進んでいる時だ。
 確かに、あの表情になるまでの時間は短くなっている。常に絶頂近くをキープさせられているのか、あるいは快感の耐性が下がっているのか。いずれにしても、まずい傾向だ。
「見てみろよ、お友達がガンガン犯されてんぜ。気持ちよさそうだなあ?」
 ダーナルが沙綾香の頭を掴み、強引に祐希達の方を向かせる。
 ステージ下のプレイは、タガが外れたように激しさを増していた。
 前後左右から手足を掴み、物のように扱いながら犯したり。
 マングリ返しの恰好をさせ、膣に挿入したバイブを踏みつけたり。
 2人の膣を双頭バイブで連結させたまま、イラマチオを仕掛けて腰を振らせたり。
 こうした責めに、5人はそれぞれ違う反応を見せた。百合は粛々と道具を演じ、千代里は羞恥に泣き、藤花と祐希は戸惑いながらも快感に狂う。そして桜織は、逆に客を涸れさせるような勢いで逸物にむしゃぶりつく。
 欲望と感情が渦巻く、酒池肉林とでも呼ぶべきその空間を、沙綾香は蕩けた瞳で見下ろしていた。呼吸が荒くなり、白い身体がぶるっと震え上がる。
「あ、ああ、あ…………んっふ、ぁあああああっ!!!」
 そして、沙綾香は潮を噴いた。割れ目に口をつけていたトラバンが笑いながら仰け反ると、噴き出した潮はステージ下にまで飛び散っていく。
「はっ、はっ…ほっ、ほおっ……お、はほっ…………!!」
 潮噴きの勢いも相当だが、その後の反応も普通じゃない。割れ目を痙攣させ、腰を上下に揺らし、呆然とした表情で腹部を見つめる。その様子に、黒人共と客が一斉に噴き出した。
「アハハハハ!! なんだよ、腰ヘコヘコさせて! 舌でベロベロ舐められたのが、そんなに気持ちよかったか!? ほんとにスケベなんだな!」
「クリの勃起もやばいね。吸引器しまくった後みたいになってんじゃん!」
 羞恥心を煽る言葉が次々に浴びせられるが、沙綾香はその言葉も、視線もかわせない。
「いい具合に出来上がってんな。二本挿しでユルくなった穴も、そろそろ締まりが戻っるだろうしよ、そろそろ二回戦始めようぜ!」
 トラバンが焦れた様子でロドニーの方を見る。ロドニーもまた手越と顔を見合わせ、頷いてみせた。
「よし、いくか!」
「ああ、思いっきりやるぜ。休憩挟んだおかげで、ミルクもたっぷり溜まったからよお!」
 黒人共は歓声を上げ、客も宴の始まりを察して歓喜する。そんな中、沙綾香の表情だけが暗い。今犯されたらどうなるか。彼女はそれを、一番切実に感じていることだろう。



「へへへ、一番手ってのは久しぶりだ。中途半端にモノがでけぇと、大抵後回しになっちまうからなあ」
 トラバンは沙綾香の股を開かせると、腹の上に逸物を置いた。連中がここぞという挿入前に好んでやる、サイズのアピールだ。モーリス・ダリー・タイロンのトップ3に次ぐ剛直、その先端は悠に臍を超える。
「ふーっ、ふーっ……!」
 沙綾香には緊張が見えた。息は乱れ気味で、視線は恐ろしそうに下腹部を彷徨う。だがトラバンが笑い声を漏らせば、不服そうにその顔を睨み上げた。その強気な姿勢が、また黒人共の笑みを深める。
「ほお、まだ睨む気力が残ってんのか。今こいつを咥え込めばどんなにヤバイか、自分でも解ってるだろうによお」
 トラバンは沙綾香の視線を受け止めたまま、怒張をひくつく割れ目へと宛がった。そして、一気に腰を沈める。
「ふっ……あああっっ!!」
 挿入されたその瞬間、沙綾香は大きな反応を示した。顎が浮き、視線が情報に投げ出され、舌が突き出る。腹を思いっきり殴られでもしたような、激しい反応だ。
「ひひひひっ、こりゃすげぇ!! 締まりが戻ってるどころか、いつも以上にギュウーッと吸いついてくるぜ!?」
 トラバンは大喜びで腰を振る。奴が深く突きこむたびに、沙綾香からは悲鳴のような声が漏れた。両脚は挿入を嫌って内に閉じようとするが、トラバンは膝を掴んで180度近い開脚を強制し、これでもかと腰を突きこむ。
「んぎぃいいっ!!!」
 開脚時の絶頂の声はすごかった。俺からは見えない位置の内股が、思いっきり強張っているのが目に浮かぶようだ。
「沙綾香っ!!」
 祐希と藤花が、ほぼ同時に声を上げた。あの子達も意思に反した深い絶頂経験があるだけに、見ていられなくなったんだろう。友情という、純粋な想いからの行動。だが今の沙綾香にとって、それは逆効果だったようだ。
「はっ、はあっ、はあっ……み、見ないで……っ!!」
 沙綾香は消え入るような声でそう言うと、両腕で顔を覆う。
「おいおい、お友達相手になに顔隠してんだ!? 見せてやろうぜ、全部よお!」
 トラバンはますます調子に乗り、挿入したまま沙綾香の腰を持ち上げた。奴の言葉通り、ステージ下から“全部”が見えるようになる。出入りする黒い剛直も、痙攣しながら上下に揺れる腰も。
「んんっ、や、いやっ! あっ、はあっ……んくっ、お、ほおっ……!!」
 沙綾香は、かなり感じているようだった。奥を突かれるたびに絶頂しているのかと思えるほど、腰がカクカクと動いていた。
「ハハハハッ、気持ちよさそうに腰うねらせやがって!」
 トラバンは沙綾香を嘲笑いながら、さらに腰の振りを激しくする。腰を思いっきり引き、カリ首が覗くほど怒張を引き抜いてから、一気に奥まで挿入する。それを繰り返し始めたんだ。パァンパァンという凄まじい音が響き渡り、沙綾香の声もトーンを増す。
「んほおおおっ、お、奥……奥いやあっ!! あああ゛い゛や゛っ、い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
 沙綾香の示す反応は、どれもが異常だった。後頭部をステージ端ギリギリに擦り付け、首に筋を浮かせながら大口を開ける頭部も。顔から離れ、腰を掴むトラバンの腕を握りしめる手も。ブリッジの体勢のまま、筋肉の形をそのまま浮き立たせて痙攣する脚も。
「んふっ、すっごいイってる。羨ましー」
 桜織が半笑いで呟いた通り、半端ではない絶頂が見てとれる。
「いいぜ、いいぜぇ!! プッシーが、先走り汁飲み干す勢いでヒクつきっぱなしだ。つい何日か前までヴァージン同然だったガキが、エロくなったもんだなあ、ったくよお!!」
 トラバンは具合の良さを叫び、激しく腰を打ちつけ続ける。その度に少しずつ沙綾香の身体がずれ、ある時ついに頭がステージからはみ出した。汗に濡れた髪を海藻のように垂らしたその顔は、やはり普通のものじゃない。
 見開いた眼は客席の方を向いているが、焦点が定まっていないのは明らかだ。口も開いたまま、酸素を求めるようにパクパクと開閉している。トラバンが腰を打ち込むほどに、痙攣も激しく、細かになっているようだ。
「うあっ、ああはああぁっ!! いやっ、どうにかなっちゃう……なにも、考えられない……あ、あイクッ、いくっ……うあああああっ、あああああああっ!!!!!」
 沙綾香は痙攣しながら異変を訴え、更には狂ったように叫びはじめた。どう楽観的に見ても、異常な反応だ。
「さ……!」
 思わず声を掛けたくなるが、さっきの祐希達の行動が脳裏を過ぎり、声が途切れる。
「おーすげぇすげぇ、プッシーがヒクヒクして止まんねぇな。奥のこの、コリコリした子宮を刺激されるのが良くてたまんねぇか!? いいぜ、たっぷり刺激してやるよ。ジャパニーズなんぞじゃ及びもつかねぇ、俺のこのディックでよ!!」
 追い詰められる沙綾香を見て、トラバンはいよいよ調子に乗りはじめた。持ち上げていた腰を下ろすと、沙綾香に上から覆いかぶさる。より体が密着するように。より深くを犯しやすいように。今の沙綾香にとっては最悪の体位だ。
「かはっ、あ゛……!! ッううう、うう……っは、っは、っは……イクッ、イクッ、ッあああーーー!!!」
 彼女は、顔を左右に振りながら絶叫し、手足をトラバンに絡みつかせる。
「くひひっ、必死にしがみついて……まるで恋人じゃねぇか!」
「ああ。身体は正直だな、ホントによ!」
 客は茶化すが、あれはトラバンが愛おしくて抱きついているわけじゃない。相手の動きを鈍らせるためだ。そしてそれを、他の黒人共も見抜いたらしい。
「こうすると、もっと気持ちいいぜ?」
 口元を吊り上げたダーナルが、沙綾香の右足首を掴み上げる。同じくアンドレも左足首を掴み上げ、マーキスの背中より高く掲げさせた。ただ、脚の形を変えさせただけ。しかしそれが、今の状況での決定打となった。
「くぁあああああっ!!!」
 沙綾香の口から悲鳴が上がる。Vの字に持ち上げられた脚は激しく震え、5本の足指をそれぞれ別方向に開いたまま、付け根にくっきりと骨を浮かせる。よほどの痛みか快楽がなければ起きない反応だ。
「ひはははははっ、ますます締まりがよくなったぜ! ジムでインストラクターの女を犯した時以来だ! よし、いい機会だ。あのギャンギャン煩ぇ女に泣き入れさせたヤり方してみっか!」
 トラバンは碌でもないことを口走りながら、腰の動かし方を変えた。上下に打ちつけるのをやめ、腰を密着させたままグリグリと円を描きはじめる。ポルチオ刺激を目的とするなら、おそらく最も効率のいい責め方だ。日本人のペニスでやっても相当に響くだろうが、25センチはあろうかというトラバンの逸物でそんなことをやられれば、『刺激的』などではすまない。
「っぉ、ほおおおおっ!! やあっ、奥、奥ゥうう゛ッッ!? だめ、だめこれ……いきっ、イキすぎる!!! お、お願いやめて、許……ん゛お゛っ!! あああ、おしっこ出るっ、おしっこでちゃうっ!!!」
 沙綾香は叫び、暴れ、脚を震わせながら失禁する。
「おーおー、いい狂いっぷりだ。マジであの女思い出して興奮してきたぜ。ご褒美だ、濃いのをたっぷりくれてやるよ!!」
 トラバンはゲラゲラと笑いながら腰をうねらせ、密着状態で射精に入る。
「あ、あああっ!?」
「へへへへ、解るか? 子宮口グリグリこじ開けて、子宮ン中に直で精子を送り込んでんだ。惚れた男の前で受精すんのは気持ちいいだろ、ファッキンビッチ!」
 犯し方も意地が悪ければ、吐く言葉も最低だ。目を瞑って射精に耐えていた沙綾香は、その一言で目を見開き、泣きそうな顔になる。俺はそれを見て、我慢ならなくなった。
「心配するな沙綾香、そいつらに妊娠させる能力はない!!」
 俺がそう叫んだ瞬間、視線が俺に集まった。沙綾香も、客も、調教師連中も。
「…………勝手は困りますな、先生」
 端塚が露骨に迷惑そうな顔を見せるが、それは俺の狙い通りだ。
「え、そうなのか……?」
「あんなに濃いのを、大量に出してんのに?」
 客も戸惑いを見せている。場は少し盛り下がったのがわかる。
 だが、肝心の黒人共の表情は変わらなかった。相も変わらず目を血走らせ、沙綾香を犯すことだけを考えている。
「へへへ、バレちまったか。ああそうだ、俺らのザーメンにゃガキを孕ませる力はねぇ。だがな、俺らが膣内に出すのは、そもそも妊娠させてぇからじゃねぇ。俺らのコックの味を覚え込ませるのが目的よ。プッシーを思いっきり突きまくって、奥に射精してな。実際アンタの彼女は、もう俺らとのセックスにメロメロだぜ?」
 トラバンは相も変わらず笑みを湛えたまま、精液まみれの逸物を引き抜いた。そしてそのトラバンと入れ替わる形で、アンドレが沙綾香の前に立つ。
「ああ、やだ……まだ、痺れが……!!」
 両脚を痙攣させたままの沙綾香が首を振るが、アンドレは聞き入れない。

 そこからは、立て続けだった。10人の黒人共が順に入れ替わり、覆いかぶさる格好で沙綾香を犯す。前の奴の精液を掻き出す勢いでピストンを繰り返してから、腰を密着させて円を描く。確実に効くと判っているからか、あるいは嫌がらせなのか、全員がそのセックススタイルだ。
 その中で沙綾香は、着実に追い詰められていった。
「いっ、イグっ、イグイグううっ!! もお無理っ、もお無理いいっ!! イキすぎて、頭溶けちゃう……お願い、抜いてえっ!! あああ゛っまたイグッ、ぃグッ!!……まだイギすぎてっ、あそこっ、バカになるうう゛っ!!!」
 知性を感じさせない、けれども危機感だけは生々しく伝わってくる絶叫。それが延々と続いていた。客や黒人共は、それを大いに笑い飛ばす。俺は何度も沙綾香の名前を呼んだが、彼女に反応する余裕はないようだった。


                 ※


 10人全員が射精し終えた頃、沙綾香はもうボロボロだった。Vの字に掴み上げられた両脚は、いつまで経っても痙攣が収まらない。顔は高熱に浮かされながら長距離を走らされたような有様で、汗はもちろん、涙と唾液の量が凄まじい。粘液でパックでもしているような有様だ。
「いいツラになったなぁ、サヤカ。俺らとのセックスは病みつきになんだろ。他の奴とのじゃれ合いなんざ、思い出せねぇぐらいによ?」
 黒人共は、濡れ光る怒張を誇示して俺を見下ろす。俺を狙い撃ちにした挑発。腸が煮えくり返りそうだ。
「もう、やだよ……。審査会、全部やったよ。あたし、疲れた……センセの所に、帰りたいよぉ……!」
 沙綾香が身を掻き抱いてしゃくり上げる。その姿に、その言葉に、ますます胸が苦しくなる。
 俺もそうだ。沙綾香と幸せに暮らしたい。時にはふざけながら愛し合い、一緒に年を取っていきたい。だが、そんなささやかな願いは叶わない。
「イカせ続けろ。徹底的にメスの悦びを教えてやれ」
 手越は、薄ら笑いを消さずにそう命じる。その命令がなくとも、黒人共に獲物を解放する気などなさそうだ。奴らは同情するどころか、縮こまって泣く沙綾香を見て、ますます怒張をいきり勃たせているんだから。
「あ、いやっ、いやあっ!!」
 必死に逃げようとする沙綾香が捕らえられ、這う格好を取らされる。そしてそのまま、背後からジャマールが腰を突き入れた。
「んあああ゛っ!!!」
「へへへ。俺のはちっと下反りだから、正常位よりバックの方が気持ちいいだろ。このままズルーッと、子宮口の方まで満たしてやるぜ」
 奴は沙綾香の太腿を掴み、さらに腰を押し進めていく。そして根元まで挿入しきると、そこで腰を止めた。
「おーお、きたきた。コックにフィットするどころか、もうグニグニ蠢いて咀嚼してやがる。もっと刺激してくれって催促か? 可愛いプッシーになったもんだな」
 ジャマールは心底嬉しそうに笑う。沙綾香は首を振って否定しようとするが、腰が使われはじめれば、その余裕すらなくなってしまう。
 ジャマールの挿入は真横ではなく、やや斜め下……臍側を狙うものだ。蕩けた子宮口を狙い撃ちにしているんだろう。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!」
 短く重苦しい沙綾香の呼吸、その手足の張り具合からしても、急所を叩かれ続けているのは間違いない。
「はっは、気持ちよさそうですなあ!」
「ええ。ドラッグで発情させられたまま、黒人のペニスを後ろから嵌められるんですからね。あんな快楽を味わったことのある日本人の女は、ほんの一握りでしょう。ましてやそれを十代で覚えてしまったら、もう真っ当な道には戻れませんよ!」
 客は鼻息荒く語り合う。そんな中、ステージではダーナルが沙綾香の前に立った。いや、ダーナルだけじゃない。アンドレも、ドミニクも同じく仁王立ちしている。
「上の口が寂しいだろ? くれてやるよ!」
 ダーナルは、沙綾香の髪を掴んで強引に顔を上げさせ、水平にいきり勃った怒張を咥え込ませる。
「んごぉおっ!? おごっ、あがっ!!」
 沙綾香は当然パニックを起こす。今あの子は、肉体的にも精神的にも余裕がない。背後から犯されるだけでも、全身を強張らせて耐えるのがやっとだろう。だが、ダーナルはそんな事情を酌みはしない。性欲を優先してか、あるいはトドメを刺すつもりなのか。大きな手で後ろ髪と顎を鷲掴みにして、口一杯に頬張らせる。
「ううわ、容赦なーい!」
「あんなペットボトルみたいなのを、前からも後ろからも……地獄だね。あたしなら気絶しそう!」
 甲高い声で笑うのは、女性客のグループだ。煌びやかなドレスに身を包んでいるが、同性の悲劇を嘲笑うその性格は極めてどす黒い。
「そら。舌も喉も使って、たっぷり味わえよ。大好きな“フランクフルト”だぜ!」
 ダーナルはますます腰の振りを早めていく。完全に膣を犯す時のスピードだ。早いが、だからといって浅い抜き差しじゃない。沙綾香の白い喉は、秒単位で膨れては凹んでいるんだから。それを受ける沙綾香に、余裕はなかった。
「んぼっ、ふぶっ!! んぼおおっ、お゛っ、お゛ッろエおお゛えおッ!!!」
 眉を垂れ下げ、鼻の穴を膨らませ、涙と涎を垂れ流しながら、壮絶にえずき続ける。いつになく苛烈なその反応に、ステージ下からは笑い声が途絶えない。
「うははははっ、こりゃいい! 喉がよく狭まって、奥まで突っ込むたびにカリ首がコリコリ扱かれるぜ! 舌の動きもすげぇな。出鱈目に暴れながら、竿をベロンベロン舐め回してきやがる!!」
 口を犯すダーナルは大喜びだ。それを聞いて、後ろから膣を犯すジャマールも笑みを浮かべた。
「ほお、前もか。プッシーもだいぶ様子が変わってるぜ。ヌルヌルの襞が愛おしそうに絡みついたまんま、奥に奥にって呑み込んできやがる。掃除機の先っぽで吸われてるみてぇだ!」
 奴もまた歓喜の声を上げながら、激しく腰を打ちつける。

 俺には、奴らの言葉が恐ろしくて堪らない。口も、膣も、反応が変わっているという。それが誇張でもハッタリでもないのは、満面の笑みで猿のように腰を振っている姿からも明らかだ。
 そして俺自身、沙綾香に異常が起きているのは見て取れた。犯されて苦しんだり、嫌がっている姿は散々見てきたが、今の反応はそのどれとも違う。

『悦び』

 そんな単語が、真っ先に思い浮かんだ。
 彼女は黒人共に犯されながら、それを悦んでいるように見える。
 例えば、喉奥まで突っ込まれている時、彼女の顔は苦悶一辺倒だ。だがそのペニスが引き抜かれ、口内にまで戻った途端、沙綾香の舌はその亀頭を舐め回しているようだった。最初は見間違いかとも思ったが、毎度のように口から舌が覗き、頬が蠢くんだから間違いない。
 膣の方も同じくだ。ヒクヒクと上下に蠢き、うねる腰つきは、どう見たって甘い。奥へ奥へと呑み込んでいるというジャマールの言葉が、はっきり信じられてしまうほどに。
 そしてそれらは、ダーナルやジャマール相手に限らなかった。口や膣を埋める相手が変わっても、沙綾香は同じ動作をする。
「おいおいおい、マジかよ。こいつ、本当にベロベロ舐めてくるじゃねぇか!!」
「はははははっ!! 確かにこりゃ、たいしたバキュームプッシーだな。娼婦も顔負けだぜ!」
 黒人共からは、次々に驚きの声が漏れた。それこそ、誰に対しても沙綾香が『悦んで』いる証拠だ。
 当然というべきか、沙綾香はそうした反応を止めようと足掻いてもいた。口を犯す相手の太腿を押しのけたり、背後から犯す相手の手を握りしめたり。そしてほんの少しでも口が自由になる時があれば、頭を激しく振って、必死に何かを振り払おうとしていた。
「あーあ、あんなに頭振っちゃって」
「気持ちはわかるけど、あんなことしたって無駄だよねー。だって、脳味噌自体が溶けてるんだから」
 客の女が、経験を交えて嘲笑する。そして黒人共もまた、沙綾香の必死ぶりに笑みを深めながら、ダメ押しとばかりに怒張を舐めさせる。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!」
 鼻先に怒張を押し付けられ、沙綾香は激しく息を乱していた。怒張を見下ろす眼も、開いた鼻孔も、開いたまま涎を垂らす口も……そのどれもが、愛らしい彼女のイメージと決定的に違う。
「見たまえ、あの顔を。完全にトリップしているようだ」
「もうエロいっつーより、怖いぐらいだな……」
 客の指摘通り、異常としか思えない顔。
 駄目だ。
 俺は、その顔を見て直感した。あれは、本当に駄目だ。ここでどうにかしないと、本当に取り返しのつかないことになる。

「さ、沙綾香あああああああっ!!!!!!」

 俺は、無意識に椅子を蹴って飛び出していた。全力疾走でステージに駆け寄り、沙綾香の方に手を伸ばす。
「せん、せ……? センセ、センセ!!」
 沙綾香も一瞬虚ろな視線を向けた後、わずかに眼力を取り戻して手を伸ばしてくる。
 だが、その手が触れ合うことはなかった。
 あと数センチで沙綾香に触れられるという、その瞬間。強烈な痺れが全身に走った。
「あがああっ!!!」
 悲鳴を漏らしながら、あえなくその場に崩れ落ちる。
 痛い。とんでもなく痛い。あまりの痛みで、体のどこにも力が入らない。
「いやあっ、センセ!!」
 沙綾香の叫び声が聞こえるが、顔を上げることすら不可能だ。
「はっ、はっ、はっ……!!」
 閉じない口から唾液が垂れていく。手足が痙攣して、言う事を聞かない。
 ああ、そうか。沙綾香も、こんな風なのか。肉体が自分の意思とは無関係に反応するというのは、こんなに心細く、恐ろしいものなのか。
「なに、アイツ?」
「“先生”とか呼ばれてたな。もしかして、学校の教師か?」
「はは、すげえ痙攣してる。よかったな先生、生徒と同じ気分味わえてよお!!」
 客も俺に注目し、一斉に罵声を浴びせはじめた。これもまた屈辱的だ。沙綾香の苦しみが、本当の意味で実感できた。こんな、最後の最後で。
「……貴方にこんな物を使うなど、心苦しい限りですよ」
 硬い足音を響かせながら、端塚が声を掛けてくる。かろうじて視線を上げると、警棒式のスタンガンを握る白手袋が見えた。そして直後、俺はスーツ姿のセキュリティに肩を掴まれ、椅子に引きずり戻される。

「お触りはなしだぜ、先生。アンタはそこで寛ぎながら、ただ眺めてりゃあいい。このお嬢ちゃんが俺らの物になるのをな」
 ダリーが俺を見下ろして笑いながら、沙綾香の割れ目に怒張の先を宛がった。
「ふっぎいい、いいい……っ!!」
 最大級の太さを挿入され、沙綾香は声を上げる。掠れた悲鳴のようなそれは、苦しみの呻きにも、快感の喘ぎにも感じられた。
「ほら、言ってやれサヤカ。俺らのコックが、好きで仕方ねぇんだろ? もう離れられなくなっちまってんだろ?」
 ダリーはそう言いながら、背後から沙綾香の胸を揉みしだく。半分以上が入り込み、確実に膣奥まで届いているだろう剛直をゆっくりと前後させてもいる。
「あああ……いや、いやああ……っ!! み、見ないでぇっ、センセ……!!」
 沙綾香は顔を背け、ステージ下の俺から表情を隠す。
「沙綾香っ!!」
 俺が叫んでも、聴こえているのかいないのか、沙綾香の様子に変化はない。
 そして俺のこの叫びは、沙綾香以外の人間の興味を惹いたようだ。
「……ねえ。あんた、“先生”だっけ。ずいぶん必死じゃない。そんなに大事なの? あの子のこと」
 群青色のドレスに身を包んだショートヘアの女が、俺に近づいてくる。俺は返事をしない。まだ全身が痺れていて、うまく舌が回らないのもある。だがそれ以上に、沙綾香が心配で目を離せない。
「ふーん、そんなに気になるんだ? でも、諦めた方がいいよ。もうあの子、黒人にメロメロだもん。っていうか、そのアソコにかな。もう、アソコの匂い嗅がされただけで女の顔になってる」
 女はそう言って俺の近くに膝をつき、ステージの沙綾香を見上げた。やっぱり、この女の目にもそう映るのか。
「可哀想だから、あの女の代わりにアタシが慰めてあげる。お兄さん、結構イケてるし」
 女はそう言って俺の館内着をはだけさせる。
「やめろ!!」
 反射的に叫ぶが、手足がうまく動かない。おまけにすぐ後ろの席のセキュリティが、背中にスタンガンを宛がってくる。抵抗できる状況にはなさそうだ。
「うわ、おっきい。あの黒人さん達に比べたら、子供みたいだけど」
 女は俺の下着をずり降ろし、露出した逸物を見て笑う。俺のそれは、恐ろしいほどに勃起していた。先走り汁も溢れているようだ。
「へっへ。ビンビンじゃねぇかよ、“先生”!」
「いやいや、解るぞ。あんなステージを観て、勃たん男などおらんよ」
「確かに、エロいもんなあ。それに、恋人が穢される場面に興奮する奴もいるらしいしな!」
 客から嘲笑が起きるが、それ自体の恥ずかしさより、沙綾香に嫌われることの方が遥かに怖い。視線は自然とステージを向く。
 沙綾香と、目が合った。あの目は……どういう感情だろう。俺の窮状を悲しんでいるのか。他の女のいいようにされている姿を怒っているのか。あるいは、無力さを軽蔑しているのか。どれも有り得そうに思える。あるいは、その全てが正解にも思える。
 今考えれば、俺が沙綾香の事をじっと見ていたのは、この上なく残酷だったかもしれない。俺はずっと、沙綾香にこんな不安を抱かせていたのかもしれない。だとしたら、俺は最低だ。
「随分とご無沙汰みたいねぇ。たっぷり楽しみましょ。私のおまんこで、あの子の記憶を上書きしてあげる」
 女はそう言いながら逸物を掴み、ルージュの光る口で咥え込んだ。
「よせ……っ!!」
 言葉で拒絶してみせるが、一方で俺は、異様なほどの快感を味わってもいた。性的な刺激は久しぶりで、舌がねっとりと絡みつく感触が気持ちよくて仕方ない。腰が意思とは無関係に浮いてしまう。
「んふっ。硬いのが口の中で暴れてる。私のフェラ、気持ちいいでしょ?」
 女は唾液の糸を引きながら口を離し、妖しい笑みを浮かべた。逆光で顔に影がかかっているが、よくよく見ればいい女だ。フェラチオの技術も申し分ない。俺の中の『男』が満たされてしまう。公然での逆レイプ──こんな状況で感じては恥だと、頭では理解しているのに。
「んぐううっ!!」
 歯を食いしばり、かろうじて絶頂を堪える。危ないところだった。射精管が痺れている。精子はおそらく、管の途中まで上がっていることだろう。
「へーえ、頑張っちゃうんだ? 可愛い。でも、いつまでもつかな」
 女はほくそ笑み、上目遣いでジュボジュボと音を立てる。意地の悪いことだ。目の前で恋人の心を奪われ、さらには行きずりの女に屈服させられた男。そんな哀れなピエロを作り上げる魂胆か。
 冗談じゃない。そこまでコケにされて堪るものか。他ならぬ沙綾香の見ている前で。
 俺は顎を引き、唇を噛む。沙綾香が何度となくしていたこれは、なるほどよく堪えられそうだ。そうして覚悟を決めた上で、改めてステージを見上げる。

「見ろよ、先生もお楽しみだぜ。だったらこっちも、見せつけてやろうじゃねぇか。とびっきりハードで刺激的なファックをよ!!」
 ダリーがまっすぐ俺を見下ろしながら宣言し、ドラム缶のような腕で沙綾香の身体を持ち上げた。そうして四つ足をつく格好を取らせてから、ダリーは沙綾香の腰を掴む。
「お、思いっきりは突かないで……!」
 沙綾香は明らかに怯えた様子で、背後のダリーを振り返った。
「へっへ。俺の“突っ張り”は腹の底に響くから、今のコンディションで受けるのは怖いってか? そりゃ聞けねぇな!」
 ダリーに容赦はない。しっかりと沙綾香の腰を掴んだまま、激しく腰を打ちつけはじめる。もう何度となく目にした、超重量のピストン。バンッ、バンッ、という鈍い音が響き、沙綾香の尻肉が波打つ。
「ほおお……聞いたこともない音だ!」
「完全に関取体型だしな、アイツ。180キロぐらいあるんじゃねぇか? しんどいぞー、あんなのにガン突きされたら」
 客がざわつきはじめた。実際あの光景は、何度も目にしている俺でさえ息を呑む。おまけに沙綾香の反応は、過去のどれよりも激しかった。
「お゛っ、お゛……お゛ん゛っ!! うぎいいっ、おお゛っ、お゛イグッ、おおイグッ、お、お゛う゛っ、お"んんん゛っおお゛!!! だ、だめっ、声……とえらんない゛っ!! ぎがな…っで、ごえ、聴かないで……おおお゛お゛っ!!!」
 沙綾香は、見開いた眼から水平に涙を飛ばし、舌を前に突き出し、『お』行の喘ぎを上げ続けていた。歯を食いしばって声を殺そうともしているらしいが、ダリーが腰を打ちつければ、その努力はすべて消し飛ぶ。
「いひひひっ、すんげぇ声だな! おーおー言ってんぞ!?」
「完全に女捨ててんな。あんだけ恵まれたルックスしといてよ!」
「聴かないでっつっても、聴こえちまうよ。そんだけ喚き散らしてりゃあな!」
 叩きがいのあるネタを得て、客は一斉に下卑た言葉を投げかける。
「あはは、男ってバカだよね。可愛い子が何か言うと、すぐ自分が言われたって思い込むんだから。聴かないでっていうのは、アンタ向けの言葉に決まってるのに。ね、“センセ”?」
 ドレス女は、そう言いながら唾液塗れの逸物を扱き上げた。今にも暴発しそうという状況で、その責めはあまりにきつい。
「ふぎきうう゛う゛っ!!」
 歯を食いしばらなければ、到底射精を堪えきれない。そして必死に堪えようとすれば、どうしたってひどい声が出る。
「おっと、彼氏の方も妙な声で鳴いてやがるぜ?」
「ある意味、似合いのカップルだな。動物同士でよ!」
 余裕などない状況なのに、客の罵倒はよく聞き取れた。苦しさと情けなさが胸の辺りで混ざり合い、揮発性の吐き気になって口から出ていく。人の目さえなければ、なりふり構わず泣き喚きたい。それぐらいの状況だ。
 沙綾香もきっと、そうだったんだろう。一週間以上にも渡る恥辱の中、何度となくこういう気持ちになったに違いない。そして、それを発散できる機会などなかった。いつでも人の目とカメラに晒されていた沙綾香は、意地を張り続けるしかなかった。それで彼女の心は、どれほど磨り減ったことだろう。
「あ゛ーーっ、あ゛っあ゛!! あう゛っ、お゛っ、お゛ん゛ぉおお゛っ!! あ゛あ゛あ゛だめっ、しきゅっ、子宮が、痙攣して、る……っ!!」
 沙綾香の様子が、また変わった。口から涎を垂らしたまま、ほとんど白目を剥きかけている。這う格好を維持できなくなり、力なく床に突っ伏す。
「どうした、ツラぐらい拝ませてやれ。お前の女の部分を余さず味わえる俺と違って、奴はイキ顔を見て楽しむしかねぇんだからよ!」
 ダリーは俺を見下ろして挑発しながら、沙綾香の頭を掴んで顔を上げさせる。床から離れた沙綾香の顔は、壮絶だった。両目の眼球は内に寄り、頬は膨らんでいる。まるでそのまま嘔吐でもしそうな顔だ。とはいえ、吐瀉物は出ない。代わりに、濁った重苦しい喘ぎが漏れている。ダリーは、そんな沙綾香を容赦なく責めた。這い蹲る沙綾香に、その巨体で覆い被さり、ひたすらに腰を打ちつける。
「っん、ぐうっ!? ぁああ゛、あ゛っ!! ひいいっ、いぐ、いくっ……ぃああ゛っ!!」
 沙綾香の寄り目が上を向いた。目尻の形も口の形も完全に崩れた、壮絶な顔だ。
「あっは、すごい。ねぇ先生、女の子があんな顔になる時って、どんな時か解る? 女ってね、顔が命だから、男よりずっと表情を崩さないように頑張るの。それでもあんな顔になっちゃうのは、もう頭が真っ白になって、自分が何をしてるのかも、誰を好きだったかも、何もわかんなくなっちゃう時なのよ」
 ドレス女が俺に向き直り、囁きかける。こういう時は、性別の壁が厄介だ。異性が言う事は、何でも本当らしく思えてしまう。それに、今に限って言えば、ドレス女の言葉はおそらく真実だ。
「あかはっ、あ゛、あ゛っ……ほおあ゛っ……あ゛」
 沙綾香は、顔こそこっちを向いているが、俺を見てはいなかった。上空に視線を向けたまま、口を縦に開いて放心している。
「はっはっは、すげぇすげぇ、どうなってんだこりゃあ! アソコがうねって吸い上げて、渦潮みてぇになってんぜ!」
 ダリーはゲラゲラ笑いながら腰を打ちつけ、ダメ押しに腰を震わせてたっぷりと射精する。そうして奴がようやく腰を引いた直後、ビシャビシャと水音がしはじめた。目を凝らせば、開いた沙綾香の股の間に一筋の輝きが見える。
「おいおい、漏らすんじゃねーよ。犬じゃあるめぇし!」
 ダリーが日本語で茶化して客の笑いを誘うが、沙綾香に反応はない。脱力した顔のまま、小さく呻きを漏らし、完全に床へ突っ伏してしまう。哀れすぎる姿だ。それでも黒人共は、そんな沙綾香を休ませようとはしない。ダリーが退いた場所に、今度はタイロンが入り、馬並みのペニスを沙綾香の股座へと押し込んでいく。その無理のありすぎる挿入は、十分に気付けの効果があったようだ。
「あっ…ぐ、はああっ!?」
 沙綾香の黒目が戻り、形を失くした口から悲鳴が上がる。
「ヘバッたら休ませてもらえるとでも思ったか? まだまだ、こっからだぜ!」
 目を細めたタイロンが、沙綾香の胸に手を伸ばし、強引に上半身を起こさせる。膣を極太で杭打ちしたまま、背中を弓なりに反らせる形だ。
「あはあああっ!!?」
 沙綾香は、目を見開きながら顔を歪める。未知の、かつ圧倒的な感覚を怖がっているらしい。
「ううわあ、えっぐい。あんなおっきいの、普通に寝バックで挿入されるだけでもキツイのに、あんな不自然なカッコまでさせられたら堪んないって。彼女さんの子宮、ペチャンコになってるよ、きっと。ま、クスリでラリッてる状態なら、そういう苦しさも全部快感になっちゃうかもだけど」
 ドレス女が、鈴口を指で弄りながら囁いてくる。言われなくても、あれがやばいのは察しがつく。
「俺のコックを、たっぷりと感じさせてやる」
 タイロンは沙綾香の上半身を反らせたまま、少し腰を引いた。さらに、自分の膝で沙綾香の脚を挟み込んで閉じさせると、改めて腰を沈めていく。
 沙綾香は、反射的に顎を跳ね上げた。
「ーーーーーっっ!!!」
 声は、音にならない。だが、目を剥き、口を開いた顔を見れば、それが我慢の結果ではないことがわかる。あまりにも刺激が強すぎて、声にならなかった……それが正解だろう。
「うは、すげぇ。足ブルブルしてる!」
「いや、ああなるよ。だってあの黒人の、足首ぐらいの太さじゃん。そんなのメリメリ突っ込まれて、無反応は無理だって」
「ふふ、足首か。確かにそんな感じだな。じゃああれは、自分の脚を大事な場所に突っ込まれているも同然というわけか。ははは、可哀想なことだ!!」
 客は目をギラつかせてステージを凝視し、興奮気味に意見を交わし合う。タイロンは、そんな客を自慢げに見下ろし、見せつけるように腰を上下させる。
 沙綾香は、それに必死で抵抗していた。タイロンを揺り落とそうとしてか、腰を左右に振る。汗に濡れたステージ床と太腿が擦れ、キュッ、キュッ、と音を立てる。それでも相手が落ちないとなれば、伸ばした脚の踵を振り上げ、タイロンの尻を叩いてもいるらしい。だが、タイロンはそれを笑うばかりだ。
「いいねぇ。犯してるって感じがするぜ!!」
 タイロンはそう言って、それまでの倍ほど腰を引いた。そうしてたっぷりと溜めを作ってから、一気に腰を沈める。鞭を入れるようなこの突きが、沙綾香の抵抗を消し飛ばした。
「ろぉおおおお゛お゛っ!?」
 濁りきった喘ぎが漏れる。意思ではコントロールできない、不意をつかれた時の奇声だ。可愛そうに、上半身はさらに反り、後頭部がタイロンの鎖骨を叩く。ドン、という音がしたのは、踵を上げていた脚が床に落ちたからか。
「どうした、もっと抵抗してもいいんだぜ。じゃじゃ馬の方が犯し甲斐があるからな。まあ、強いオスに甘えたくなったってんなら、歓迎するがよ」
 タイロンは、すぐ傍に来た沙綾香の顔を舐めながら囁く。随分と沙綾香を気に入っているようだ。
 そして奴は、また腰を使いはじめた。奴自身も動きづらい体位だろうに、それを感じさせない力強い抜き差しだ。しかも、腰遣いだけに専念しているわけじゃない。奴は、沙綾香に上半身の反りをキープさせながら、しっかりと胸を刺激していた。円錐状に尖った乳首を、指で転がし、挟み、捻り潰す。それだけで絶頂を迎えてもおかしくないほど、苛烈で入念な乳首責め。
 それを受ける沙綾香は、余裕など全くなかった。右手で口を押さえ、目に涙を溜めて必死に声を堪えている。それでも、殺しきれない。指の間からははっきりと、「おおお」という声が漏れている。挙句、さらに時間が進めば、そうして口を押さえることさえできなくなった。
「おっほ、おぉほっ!! んんんおお゛お゛お゛っっ!!!」
 際立って酷い声が漏れた直後、沙綾香の手はだらんと垂れた。そしてその後は、床にべったりとついたまま、上半身の安定に専念するようになる。そうなってしまえば、漏れる声を遮るものはない。
「おっほぉっ、んほっ、んほおおおっ!! んっぐ、んぐ、いんぐんんぐううっ!! ほお、お゛っ、おほお゛おお゛っいぐっう゛っっ!!!」
 苦しそうな、そして、心底気持ちよさそうな声が響き渡る。眼の焦点も合っていないようだ。目の前に火花が散る、というあれか。
「へへへへ、またイッたのか。何回目だ?」
 タイロンが心から嬉しそうに問いかけると、沙綾香の瞳孔が中央に戻った。
「わ、わ……わかん、ないっ……んあ゛っっ!! しゃべってるときに、動かないで……い゛ああ゛ぁ゛ッ!! んぐ、んぐっ、ふぐううっ!! あああいぐっ、いっぢゃうううう゛っ!!!」
 沙綾香は、タイロンの問いに答えることすらままならない。むしろ、答えようと意識を向けたことで、膣の我慢が利かなくなったらしい。
 そして直後、沙綾香の身体の下から、ぶじゅうっという音が漏れる。俺の位置からは状況が判らないが、ステージに張りついている客にはよく見えたようだ。
「はははっ!! 良すぎて、とうとうションベン漏らしちまったか!!」
「まあ、当然だろ。あの杭みてぇな極太で、ポルチオ突かれまくっちゃあな!」
 客は沙綾香の失禁を散々に笑う。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!!」
 沙綾香は涙を流しながら、舌を突き出して喘いでいた。まだ絶頂の余韻が続いてゐる感じだ。するとその顎を、横に立つレジャナルドが掴んだ。
「派手に漏らしやがって。おら、水分補給だ。口開けろサヤカ」
 奴は勃起した怒張を扱きながらそう命じた。沙綾香が息を呑んで口を閉じようとすれば、指の力で強引に顎をこじ開け、開いた口に向けて精を浴びせる。
「んあ゛っ、あああ゛っ!!!」
 呻き声が上がる中、白濁は沙綾香の顔を汚しながら、その口内へと注がれていく。相も変わらず驚くほどの量で、しかも匂いが凄まじい。圧倒的なまでの雄臭だ。
 沙綾香はあの鉄格子の部屋で、毎晩のようにそれを嗅いできた。そして今、薬に感覚を狂わされた状態で、さらに嗅がされている。となれば、脳がその匂いに支配されてもおかしくない。というより、そうなるのが自然だ。
「あ゛っ、あ゛……」
 短く声が漏れ、段々と握られた指が力を失っていく。
「沙綾香っ!!!」
 俺は、叫んだ。声掛けの良し悪しを考える前に、肺から叫びが飛び出した。多分、俺は直感したんだ。今ここで沙綾香の意識を戻さなければ、取り返しのつかないことになると。
 果たして沙綾香は、俺の方を見た。目に涙を浮かべ、白濁に満たされた口をパクパクと開閉しながら。

 ────おねがい、みないで────

 彼女の目は、そして口は、間違いなくそう言っていた。
 見ないで? 何故だ。恥ずかしいのか、それとも辛くなってしまうからか。それならまだいい。でも俺は、もっと最悪な予感がしてしまっている。
 もう、耐えられない。
 彼女は最後に、そう伝えてきたんじゃないか。

「んあああああっ!! あっ、いい、いいッ!」
 沙綾香は俺から視線を離し、口内射精したレジャナルドの方を見上げる。レジャナルドにとっても、その反応は予想外だったらしい。奴は一瞬固まり、それから顔中に笑みを拡げた。いつもの獣じみた笑みとは少し違う。達成感に満ちた顔だ。
「へへへ、なんだよ甘えたツラみせやがって。俺のザーメンでトリップしちまったか?」
 奴はそう言葉をかけても、沙綾香は否定しない。上体を反らせたまま、細かな痙攣を続けるばかりだ。
「ぁいくっ、イクッ……あらま、とけ、ちゃう……!!」
 白濁を絡ませた口から声が漏れ、同時にタイロンが小さく呻く。
「グウッ……こいつまた、締まりが良くなりやがった。俺のがヘシ折られそうだ。よーし、そんなに欲しがるんならくれてやる。こっちも気持ちよさが溜まってんだ。思いっきり濃いのを注いでやるからよ、好きなだけ子宮で味わえや!!」
 タイロンはそう叫び、素早く腰を前後させる。そして、根元3割ほどを残して奥の奥まで挿入しきると、尻の筋肉を引き締めた。
「おおお……おおお、すげぇ出るぜ。射精感が焼ききれちまいそうだ!!」
 奴自身が驚いた様子でそう実況するんだから、射精の量も勢いも普段以上だろう。以前の沙綾香なら、それを嫌がったはずだ。首を振り、嫌だ嫌だと絶叫していたはずだ。
 それが、今は。
「あああ……きてる、きてる……! あああ、これイク……また、イクっ!! ヌルヌルで、イッてるうっ!!」
 幸せそうに囁きながら、緩んだ目元から涙を伝わせ、全身を震わせる。タイロンがようやく射精を終え、三本目の足のような怒張を引き抜いた直後には、それに追いすがるように精液交じりの潮を噴き上げた。俺の位置からでも見えるほど、盛大に。
「ひゃっひゃっ!! こいつ、膣内出しでイってやがる!!」
「ああ。最初はあんなにギャアギャア喚いて嫌がってたのにな。コックの味もザーメンの味も、しっかり身体が覚えちまったってわけか」
 黒人共は沙綾香を見下ろし、驚きながらも笑っていた。
 全ては、倶楽部の目論見通りに進んでいるわけだ。度重なる薬物投与で感覚を狂わせ、極限の羞恥と快楽責めで自我を削り取る。その上で、調教師共の虜にさせる。俺に代わる依存対象となるように。

「おいおい、どうしたんだこいつ。いつになく積極的じゃねぇか!」
 仁王立ちでフェラチオを求めるマーキスが、驚きの声を上げた。それもそのはず、沙綾香は命じられる前に逸物に吸いつき、上目遣いで強く吸引しはじめたからだ。
「ひひひっ、たまんねぇ! ようサヤカ、コツを掴んできたじゃねえかお前」
 マーキスは大喜びだ。
 沙綾香は覚えが早い。俺もどんどん上達していくあの子の奉仕に、腰砕けになった覚えがある。もし沙綾香が、その技巧をマーキス相手に使っているなら、それを躊躇していないなら、それは気持ちがいいことだろう。
 というより、もはやそんなレベルではないらしい。
「ん、んおっ……!? お、オイオイ、そんな強くしゃぶったら……うあっ!!」
 快楽に浸っていたマーキスが、急に焦りを見せはじめた。
「おおい、ちょっ、やめ……ぐっ……ぬぐおおおっ!!!!」
 奴は沙綾香の頭を掴むが、それでもフェラチオが止まらない。じゅばっ、じゅぼっ、と水気のある音がさらに繰り返され、とうとうマーキスは天を仰ぐ。
「オオオゥ、シィット!! シィィイイット!!!!」
 恨み言を吐きながら腰を震えさせるのは、主導権を奪われていた証だ。そしてそのマーキスの射精を、沙綾香はゴクゴクと喉を鳴らして飲み下す。窄めた口で強く吸ってもいるようで、結果この時のマーキスの射精は、わずか5秒で終わりを迎えた。
「くあああっ!!」
 沙綾香の口が離れた瞬間、マーキスが後ろに倒れて尻餅をつく。
 端塚の言っていた通り、奴らはフィジカルエリートだ。樹齢数十年の樹を思わせる太腿は強靭で、数時間に及ぶ『駅弁』セックスすら可能にしてしまう。そんなマーキスが、たった一回のフェラチオで腰を抜かすとは。
「おいおい、何すっ転んでんだマヌケ!」
「汗とザーメンで滑ったか!?」
 他の黒人共が笑いながら茶化すが、マーキスだけは『信じられない』という顔で痙攣する太腿を見つめていた。
「…………俺は、転んでねぇ」
 ぽつりと呟かれたその一言で、黒人共の嘲笑が止まる。
「ねぇ、もっとちょうだい」
 そのわずかな静寂に、沙綾香の声が割り込んだ。
「心臓が、ドキドキして止まらないの……身体が熱い。ねえ、早く……太いのちょうだい」
 白濁の絡む口が開閉し、淫らな言葉が紡がれる。さらに沙綾香は、自ら床に寝そべり、黒人共に向かって股を開いた。『マングリ返し』の恰好だ。毎度毎度、やられる度に羞恥で顔を歪めていた、最も屈辱的な体位の一つ。それを、彼女自身の意思でやっている。まるで、犬が腹を見せて降伏するように。
 それを前にして、黒人共が反応しないはずがない。
「ああ、そうかよ……ようし、ヤッてやるぜ。後悔すんなよ、俺らを誘惑なんぞしやがってよお!!」
 サディストとしてのプライドか、あるいは純粋な性欲からか。まずはレジャナルドが沙綾香に覆い被さる。
 つい1時間ほど前と同じ、正常位でのセックス。ただし、その実態はまるで違う。あの時は耐えるばかりだった沙綾香が、今では積極的に黒人共を迎えている。同じ大股開きでも、今は沙綾香が膣を締め付けているのが感じ取れた。
「うおおおっ、なんだこりゃ……締まるなんてもんじゃねぇ! 搾り、取られる……っ!?」
 レジャナルドは目を見開き、腰を引こうとする。だが、沙綾香がそれを許さない。恋人相手にそうするように、背中に足を絡めてしまう。
「ほら、もっと味わってレジャナルド。沙綾香のあそこ、気持ちいいでしょ……?」
「おいバカ、やめ……んくあっ、あ、あっ……駄目だ、もたねぇっ!!」
 相手の名前を呼び、微笑みながら腰を蠢かす沙綾香。顔を引き攣らせ、必死に逃れようとするレジャナルド。その優劣は誰の目にも明らかだ。
「くああああっ!!」
 沙綾香が足を絡めてからわずか数十秒後、レジャナルドが顎を浮かせた。奴の少年時代を思わせる面影が、なすすべなく震え、脱力する。
「へ、へへへ……この、ファッキンビッチが……っ!!」
 レジャナルドは捨て台詞を吐きながら、精液の滴る逸物をぶら下げて後退していく。
 マーキス、そしてレジャナルド。性欲も、嗜虐心も強い2人が、あっという間に『搾り尽くされた』。その事実を前に、フロアの空気が一変する。
 客は、まったく野次など飛ばさなかった。まだ何が起きているか把握しきれていない様子で、黒人共と沙綾香を交互に眺めている。ドレス女も、俺への奉仕をすっかり忘れ、逸物を握りしめたままステージを振り返っている。
「はは、すげぇなこりゃ。マジでサキュバスみてぇだ。今10番勝負やったら、お嬢ちゃんの総勝ちだろうぜ」
「ああ。腰振るしか能のねぇケダモノ連中にゃ荷が重いか?」
 ロドニーと手越だけは流石に余裕があり、軽口を叩き合っている。わざわざステージ横で、かつ英語で話しているのは、黒人共に奮起を促すためか。
「荷が重いだと? 舐めてもらっちゃあ困るぜボス。俺らは、百戦錬磨の売女だってぶっ壊してきたんだ。このコックでな!!」
 黒人共は怒張を誇示しながら、凶悪な笑みを浮かべてみせる。そして、我先にと沙綾香に襲い掛かりはじめた。

 黒人共は、全力で沙綾香を犯す。
 ドミニクは、十八番である背面立位でステージを歩き周り。
 ジャマールは、沙綾香の頬を叩き、あるいは首を絞めながら犯し。
 サイズに自信を持つモーリスは、腹を抱え込んでの後背位と、それに続く凶悪な寝バックを繰り返す。
 そのどれもが、沙綾香を数えきれないほどの絶頂に導いた。潮噴きや失禁も何度も起きた。だが、先に音を上げるのはいつも黒人共だ。何度でも絶頂できる女と、いかに絶倫とはいえ数度の射精が限界の男……その差が出てしまう。

 そのハードなプレイに、呆然としていた客も熱狂しはじめた。黒人と沙綾香の両方に声援を送りながら、百合達5人を相手に性欲を満たす。客の数は100人に迫る勢いで、百合達には休む暇もない。最も体力のなさそうな千代里は、閉じなくなった口から精液を吐き零し、へたり込む格好で気を失っている。逆に一番体力のありそうな藤花ですら、数限りなく肛門絶頂を極めさせられ、ここ一時間は「堪忍してくれ」という哀願しか発していない。
 だが、そのどれもが、沙綾香に比べれば平和的だ。

 沙綾香は今、ステージの上で二穴を犯されていた。寝そべったアンドレに尻穴を、正面のトラバンに膣を犯される形だ。愛液と空気の入り混じった、グチュ、グポッ、という音は、一瞬も途切れない。
「あっ、あ゛っ!! すごいっ、奥……硬いのが、ゴンゴン当たってる……あはああっ!!」
 沙綾香の口から漏れるのは、歓喜の声ばかり。表情は泣いているようにも見えるが、口角は常に上がったままだ。そんな沙綾香の傍に、ダーナルが膝をついた。そして奴は、ステージ下の俺に笑みを向けながら、沙綾香の唇を奪う。
「んむっ、むれあっ……えろっ、ああ……れあっ」
 舌を絡ませあう、恋人のようなディープキス。それを受けても、沙綾香は嫌がらない。口角を下げもしない。そして、興奮してもいるようだ。
 キスの最中、沙綾香が何かを呻きはじめる。ダーナルが唇を解放すると、すぐに沙綾香は激しい反応を見せた。
「んぐっ、んんも、もお゛ッ! んはっ、ああおお゛お゛っ!! んお゛お゛っ、いぐうう゛っ!!」
 身体をガクガクと揺らし、歯を食いしばる。かと思えばその口を開き、意思を感じさせない顔で絶頂を叫ぶ。
「へっへ。キスでトんじまったか」
 ダーナルが満足そうに笑い、二穴を抉るアンドレとトラバンも笑みを浮かべた。結合部からの音が、バチュッ、ドチュッ、というものに変わり、割れ目から飛沫が飛び散る。
「おおお゛ぉおお゛っ、イ゛ぐう゛うう゛っ!! おっ、お゛ほっ、お゛お゛おお゛お゛、お゛お゛おっ!! んお゛お゛お゛おお゛お゛っっ!!!!」
 白目を剥き、口を尖らせて、濃厚な快感の声を上げる沙綾香。それは、これ以上ないほどに幸せそうで、同時にひどく遠い存在に思える。

 ────おねがい、みないで────

 あの言葉は、自分がこうなってしまう事を悟ってのものか。
「仕上がりましたな。八金 沙綾香はもう、調教師とのセックスから離れられない。こちらの言う事ならなんでも聞く、マゾ奴隷の完成です」
 端塚が淡々と告げ、俺に微笑みかける。
「あーあ、彼女さん壊れちゃった。可哀想。あたしが慰めてあげる」
 俺は、再び始まったドレス女の奉仕に呑み込まれた。痺れが射精管を通り抜け、直後、快楽の塊を迸らせる。
 なるほど、この快楽には抗えない。呑まれたら終わりだ。
 蕩けた頭でそう考え、どうしようもない虚無感に浸りながら……。




                            続く



 

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.6(中編)

Part.6(前編)の続きで、桜織との審査会のシーンです。


 
 審査会は、制服を着た状態での愛撫から始まった。10人の黒人はちょうど半々に分かれ、桜織と沙綾香の身を弄る。
 その愛撫に対し、桜織はなんら抵抗を見せない。ブレザーを脱がされ、ブラウスのボタンを外されて乳房を露出させられても。ショーツをずり下げられ、割れ目を舐められても。
「あはっ、気持ちいい……。もっと激しくしてぇ、いいよお……?」
 うっとりとした様子でそう呟きつつ、黒人共のゴムパンツを撫でまわす。自ら快感を欲しているのは明らかだ。
 一方、沙綾香は対照的だった。抵抗こそしないものの、黒人共に媚びる素振りは見せない。完全にされるがままの状態だ。
「へへへ、客の前だからって澄ましてやがる!」
「下手な演技はやめろって。知ってんだぜ? 散々焦らされて、欲求不満だってのはよお!」
 サドの気が強いジャマールとレジャナルドは、沙綾香の仮面を嬉々として剥がしに掛かった。マイクロミニのスカートを捲り上げつつ、ショーツの上部を引き絞って、股布を股間に密着させる。すでに濡れきっているんだろう。薄い布地は一瞬にして透け、赤い割れ目を覗かせる。
「おおっ……!!」
「はっはっは、肉厚のヴァギナが丸見えだ!!」
「いいねいいねぇ。顔もスタイルも二重丸な女子高生のオマンコが、いきなり拝めるなんてな!」
 客は大いに喜び、投票ボタンを押し込む。だが、それを見つめる沙綾香の表情は険しい。それは、彼女がまだ羞恥心を失っていない証拠だ。
「どうした、笑えよサヤカ。ジャパニーズのお仲間があんなに喜んでんだぜ。お前だって嬉しいだろ?」
 ジャマールが沙綾香の耳元で囁きつつ、ショーツに手を差し入れた。岩のような手の甲がショーツを盛り上げ、割れ目を包み込む。
「んあ゛!」
 沙綾香の小さな声が、指の挿入タイミングをはっきりと伝えてくる。
 ジャマールに遠慮はなかった。ショーツを変形させながら、中指と薬指を蠢かす。数秒と経たないうちに、『グチョグチョ』とも『ヌチョヌチョ』ともつかない音がし、ショーツの端から愛液が垂れはじめる。
「おいおいおい、すげぇ汁の量だな! 入口から奥の方まで、トロトロに蕩けきってやがるしよぉ、とんでもねぇ淫乱プッシーだ!」
 下劣な言葉を吐きながら、指を蠢かしつづけるジャマール。
「ううう゛……あ゛!!」
 沙綾香が足を強張らせながら呻くと同時に、リン、と鈴の音が鳴った。
「おっ、イッたぜあの子!」
 絶頂モニターのカウントが増え、客からまた歓声が上がる。
 絶頂が記録され、不特定多数に公開されるなど恥辱の極みだ。
「……っ!」
 沙綾香は眉を顰め、股を閉じ合わせて抵抗を示す。だが、黒人共がそれを許すはずもない。
「今さら恥ずかしがる事もねぇだろ、なあ!」
 右手に控えるレジャナルドが膝を掴み、一気に足を開かせる。それに合わせてジャマールもブレザーに腕を突っ込み、ブラウス越しに胸を揉みしだきはじめる。もちろん、腰を抱え込むような指責めも続けつつ、だ。
 繰り返し性感開発を施され、焦らし責めまで受けた沙綾香には、それに抗う術などない。
「うう……あ、あ、あっ!」
 ジャマールの節ばった指が蠢くたび、沙綾香の太腿が強張る。鈴の音が鳴り、ステージの床にポタポタと雫が落ちていく。それに耐え切れず、また沙綾香の脚が内へ閉じた、その直後。
「無駄だ、つってんだろ?」
 ジャマールの手がショーツの奥側へ進み、ぎゅじゅっ、ぎゅじゅっ、という音をさせはじめる。そこが、ターニングポイントだった。
「あ゛っ、あ゛んっ、あ、ああ゛っ!!」
 半開きだった口が大きく開き、はっきりとした喘ぎを漏らしはじめる。上半身は前に傾き、ニーソックス上部の肉が盛り上がり、腰が痙攣する。鈴の音も煩いほどに鳴り響く。
 そして、匂い。これまでと一番違うのはここだ。依然として漂う黒人共の獣臭に混じり、汗と、愛液の匂いがする。懐かしい、懐かしい、沙綾香の匂いだ。
「うはは、イってるイってる!」
「エッロい腰つきしとんのぉ。ストリップ嬢にでもなったらどうや? そのスタイルなら、ようけオヒネリ貰えんで!」
 ようやくの激しい反応に、客は沸き立つ。そしてその反響は、責め手をますます滾らせた。レジャナルドは両膝を割りひらき、沙綾香の脚に菱形を作らせる。ジャマールはますます指の動きを早め、ショーツから愛液を四散させる。
「ああ、あっあ゛! くうっ、あぁ、あ……っ!!」
 哀れなのは沙綾香だ。彼女は全身で拒絶の意を示しているが、大股を開かされたまま前傾する状態では、抵抗も逃亡も叶わない。
 だから彼女は、唯一できることとして、方々に腹立たしげな視線を向けていた。
 何かを囁きかけるジャマールに。
 両膝を押さえるレジャナルドに。
 得票数の光るモニターに。
 絶頂回数が表示されるモニターに。
 舞台近くに群がる立ち見客に。
 そして最後に沙綾香の目は、ふっと客席を眺めた。遠くへ目をやるついでの、流し見という感じだった。
 だがその結果、彼女は、居並ぶ立ち見客の間に俺を見つける。
「えっ……!?」
 驚きの声が、表情が、俺に向く。その異常さに、客が俺の方を振り返り、ジャマール達もこっちを向く。
「……へッ、これはこれは!」
 ジャマールは、満面の笑みを浮かべながら仲間たちに合図を送った。すると、10人の黒人共が俺の方を向く。
「え、何?」
「なんだ……?」
 ステージ前の人垣も、不審がりながら左右へと分かれていく。
「おや。期せずして特等席になりましたな」
 俺の端塚が呑気に呟くが、そんなものに構っている余裕はない。

 目の前だ。
 すぐ目の前に、沙綾香がいる。
 ガラスの床にも、無機質なモニターにも遮られていない、生の沙綾香だ。
 顔は上せたように赤く、汗もひどいが、俺の愛してやまない面立ちはそのままに残っている。
 叶うなら、今すぐ立ち上がり、彼女の元に走り寄りたい。邪魔するものは全て殴り倒し、彼女を連れてこの地獄から逃げたい。
 だが、それは叶わぬ夢だ。俺へ釘を刺すように、後ろのセキュリティが警棒の先を背中に宛がってくる。壁際の用心棒共も得物を握り直した。第一、この部屋には祐希も、千代里も、藤花も、桜織もいる。彼女達は舞台の見届け人であると同時に、人質でもあるわけだ。なるほど、よく考えられている。
 ギリッ、と音がした。舞台の上で、沙綾香が歯ぎしりした音だ。
「…………ッ!!!」
 彼女は、本気で怒っていた。燃えるような瞳が、俺の背後のセキュリティと、隣に座る端塚を睨み据える。その迫力に、客の何人かが落ち着きを失くす。
 だが、彼女にできるのはそこまでだ。
「何してる、続けろ!」
 ステージ下に控える手越が、黒人共に檄を飛ばした。その一言で、停滞していた空気が一変する。
「オーライ、ボス。」
 ジャマールはおどけた様子で答え、ショーツから手を引き抜いた。そして愛液塗れの手をこれ見よがしに振って水気を切ると、今度はショーツを脱がしにかかる。
「あ、やっ……!!」
 沙綾香は目を丸くし、俺の方を覗き見ながら抵抗する。だがその手はあっさりとレジャナルドに掴まれ、あっという間に足首までショーツがずり下ろされてしまう。
「そら、とびっきりのプレゼントだ!」
 ジャマールが足首から引き抜いたショーツを翳し、ステージ左手の空中に放り投げる。
「うおおおっ!!」
「どけ、寄越せっ!!」
「ひひひ、こりゃすげぇ! 一晩水に漬けといたみてぇにグショグショだぜ!? これが全部、S級美少女のマン汁なんてよお、贅沢なオカズじゃねえか!!」
 ショーツが落ちた周囲で、醜い争いと興奮気味の声が上がる。それを横目に楽しみながら、ジャマールは沙綾香の右膝を抱え上げた。
「いやあっ!!」
 悲鳴が上がる。右足を90度以上に持ち上げられた沙綾香の声だ。
「今更イヤもねぇだろう。あいつだって、モニター越しにお前のやってきたことを全部観てたんだぜ。なあ“先生”、そうだろ? 俺らのコックでグチャグチャにされたプッシーなんざ、見慣れたもんだよなあ!?」
 ジャマールはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の恥じらいの部分を見せつけてくる。
 改めて目の当たりにするそこは、俺の過去の記憶とは別物だった。ピンクの割れ目の名残もない。黒ずみ、赤く腫れ、上下左右すべて非対称に歪んでいる。だが、別に俺は、それに幻滅することもない。そうなるに至った事情も、変えられていく最中の苦悩も、すべてを見てきたんだから。
「ああ。肉厚で、よく熟した女性器だ。いい女になったじゃないか」
 俺はふてぶてしい笑みを意識しながら、そう言い放ってやる。外道共への当てつけと、沙綾香への慰撫。その両方を意識してのことだ。
「っ!」
 沙綾香が顔を上げた。今にも泣きそうな目尻から、本当に涙が零れていく。
「……ハッ、相変わらずのキザ野郎だな。どういたしまして、だ!」
 ジャマールは不愉快そうに鼻で笑い、傍のレジャナルドとモーリスに目配せする。そして、3人ががりで沙綾香を抱え上げた。両の膝裏に腕を通して持ち上げ、腕を掴み、背中と尻を支える形だ。その状態で、今度はモーリスが秘部に指を挿し入れる。濡れきった割れ目は、太い指3本を簡単に呑み込んだ。
「くっ……あはっ!! あああ゛、あ゛! や゛ああ゛あ゛っ!!」
 割れ目から水音がしはじめると、沙綾香は顔を左右に振って叫ぶ。そんな顔は何度も見たが、この間近で、肉声で聴く泣き声は、鼓膜を通り抜けて心臓を突き刺すかのようだ。
「この、クソ野郎ッ!!!」
 俺は、思わず叫んでいた。存在がバレた以上、もう我慢している必要もない。千代里や藤花が同情的な視線を向けてくるのが、視界の端に見えた。
「ああそうさ、俺はクソ野郎だ。散々そう言われてきたぜ。レイプした女、その親兄弟、そして情けねぇツラで喚き散らす恋人からよお!!」
 モーリスはますます激しく指を動かす。
「やあ、やああっ!!!」
 沙綾香がそう叫んだ直後、抱え上げられた脚がぶるっと震え、鈴の音が響き渡る。どんな喧騒の中でもよく通るその音は、沙綾香自身に絶望的な表情をさせ、それ以外の全員に歪んだ笑みを浮かべさせる。
「そら、俺の指で逝っちまいやがったぜ。きっと、細めのペニスだと思ってんだろうな。懐かしいアンタのサイズでも思い出してるんじゃねえか?」
 モーリスは悪意に満ちた台詞を吐きながら、白い歯を覗かせる。その隣で首を振りながら、嘆きの言葉を連呼するジャマールも実に憎らしい。だが、それ以上に気がかりなのが沙綾香だ。彼女は、どう見てももう限界近い。
「そら、イけ、イッちまえサヤカ!!」
 モーリスがさらに指の動きを早める。沙綾香の痙攣もみるみる激しくなり、首が狂ったように左右に振られる。
「いや、いやあ! んんンっ……くう、う…………あああああっ!!」
 呻きと、叫び。それが何度も繰り返された果てに、絶叫になる。それと同時に、沙綾香の下半身すべてが震え上がり、割れ目からぶしゅっと飛沫が上がった。それは真っ直ぐに前へ飛び、人垣の合間を抜けて、俺の顔に浴びせかかる。
 どっ、と笑いが起きた。客のものか、黒人共のものか。
 前髪から雫が滴る。さっきまで以上に濃い沙綾香の匂いがする。好意的な相手のものだからか、不快感は全くない。こんなひどい状況なのに、下半身に血が巡る。
「はぁ、はぁ、はぁっ……。ああ、やだ…………センセ………………!!」
 沙綾香は激しく喘ぎながら、俺を見て目を細める。俺は、ただその視線を受け止めるしかなかった。この僅かな意思の疎通が、あの子の力となることを祈りながら。


                 ※


 公然で潮を噴かされ、ぐったりとした沙綾香の向こうでは、桜織が5人の黒人共に取り囲まれていた。
 2メートル級の巨躯を前にしても、桜織に尻込みする様子はない。むしろ、露わになった巨根を見て目を輝かせるほどだ。
「んむっ、んちゅうっ……ちゅうっ……れあ、あえっ……はっ、はっ、はっ…………」
 自分の腕と大差ないトラバンの怒張を手のひらで支えつつ、丁寧に竿に舌を這わせ、裏筋を舐め上げていく。モーリス・ダリー・タイロンのトップ3には及ばないものの、顔半分を覆おうかという質量だ。そのインパクトは壮絶だった。
「ははは、あのビッグサイズを大事そうに舐めしゃぶるものだ。可愛い顔をして、中々の変態ぶりじゃないか」
「ええ、全く。すでに息が荒いですからな、よっぽど興奮してるんでしょう」
 客はそんな桜織の様子を見てほくそ笑み、次々に投票ボタンを押し込んでいく。
「えへっ……」
 桜織はマゾという評価を素直に喜び、客の方に目線を向けつつ、ペニスを握り直した。見ていろ、と言わんばかりのその仕草に、何人もの客がステージ上を凝視する。その視線の中心で、桜織はトラバンのペニスを口に含んだ。
「えあっ、あ……あはっ、顎外れちゃう」
 かなり口を開けても咥えきれず、一旦は笑いながら吐き出すが、諦めない。2回目は、肉に食らいつく虎のような大口を開き、巨大な亀頭を一気に咥え込む。挙句そのまま頭を前後させ、本格的にしゃぶりにかかる。
「おおお、すげえ……あのデカブツを一気かよ。しかし、音えっぐいな」
 客が指摘する通り、じゅばっ、じゅばっ、という音がここまで聴こえてくる。下品な音だ。初日のエレベーターに乗り合わせた5人の中で、桜織は最もそのイメージから遠かったというのに。
「ううおおおっ、吸いつきがやべえ……ダメだ出ちまうっ!!!」
 トラバンは、桜織の奉仕に3分と耐えられなかった。呻きながら桜織の額を突き放すと、その鼻先で逸物を扱きだす。それを見て桜織は、舌を突き出して受精に備えた。
「うおおお出るぞっ、出るぞっ!!!」
 トラバンが腰を震わせ、勢いよく精を放つ。相も変わらず凄まじい射精だ。真っ白い粘液が、桜織の舌を一瞬にして覆い尽くす。一般的な人間の10倍、いや20倍は量がありそうだ。
「あんっ、ふふ」
 桜織は笑いながらそれをすべて受け止め、頬を膨らませながら口を閉じる。そして、ごっくん、と音を立てて飲み下した。
「おおお、すげぇ……!」
「あの量を一気かよ……よっぽど飲ザーに慣れてんだな」
 その凄まじいパフォーマンスに、客から感嘆の声が上がる。そんな中、さらに桜織は、射精したばかりのトラバンの鈴口周りへ舌を這わせはじめた。
「おっ!? おいおい、自分からお掃除フェラかよ。できた奴隷だな、ったく」
 トラバンは嬉しそうに笑いながら、腰に手を当てて奉仕を堪能する。
 桜織の後処理は、実に丁寧だ。鈴口に始まり、カリ首、裏筋を、時には舌先でくすぐり、時には舌全体で舐め回すようにして清めていく。見ているだけで下半身が反応する類の奉仕。
「あああ、やべええ……また出る、また出ちまうっ!!」
 性欲の権化のようなトラバンは、たちまち二度目の射精へと導かれた。桜織の小さな手で根元を握られた怒張が、ピクピクと跳ねる。そこをひと舐めされれば、暴発するように精液が噴き出した。直線的だった一回目とは違い、今度はホースの先を握り潰したように四散し、桜織の目元や鼻先、顎へと浴びせかかる。
「ひゃんっ、すごい……」
 桜織は顔中に精液を浴びながらも、嫌がる素振りを見せない。むしろ相手の元気の良さを喜び、顔に掛かった精液を指で掬い取っては、舌先でその味を堪能する。普通の女子高生が、蜂蜜を舐めるような表情で。
「へへへ、そんなにザーメンが好きか。なら、もっとくれてやるぜ。今日一発目の、濃厚なやつをよ!!」
 満足げなトラバンを押しのけ、今度はマーキスが勃起しきった逸物を突きつける。すると、桜織は何の躊躇もなくしゃぶりついた。
「ひひ、夢中だな。どうだ美味ぇか?」
「んぶっ……んぐっ。あはっ、おいひい……おいひぃい……」
 マーキスの問いかけに答えつつ、むしゃぶりつく。剛直を両手で大事そうに握りしめる仕草に、かつての品の良さの名残が感じられて、かえって痛々しい。


                 ※


「へへへ、あっちはずいぶん盛り上がってんじゃねぇか。こっちも始めようぜ」
 モーリスは桜織達のプレイを見て笑い、ゴムパンツをずり下げた。
「おお、お……!」
「うわっ……!?」
 その途端、客から驚きとも悲鳴ともつかない声が上がる。そのはずだ。丸一晩女を抱いていない奴の逸物は、ほぼ真上にいきり勃っている。亀頭が臍を越え、割れた腹筋に届くほどの長さを間近に見れば、誰でも目を疑うだろう。映像越しに何度も見ている俺でさえ、その凶悪さに戦慄しているんだから。
 モーリスはギャラリーの反応に気分を良くしながら、沙綾香の顔に逸物を近づける。
「…………ッ!!」
 沙綾香は、表情を強張らせた。かすかに横へ動き、俺の視線とぶつかる寸前で引き返した眼球が、躊躇の理由を物語っている。
 愛した女性が、他の男……それも、ケダモノのような服役囚の逸物を舐めしゃぶる様など、俺だって見たくはない。とはいえ、俺達に選択権などないのも事実だ。
「早くしろ」
 モーリスと客が、行為を促す。右側モニターの数字も刻一刻と変わり、桜織がポイントを積み上げているのが解る。まごついている暇はない。
 沙綾香が諦めて跪くと、モーリスは腕を組んで仁王立ちになった。いつもなら、沙綾香の頭を掴んでディープスロートを強いるのに、それをしない。
『お友達みたいに、自分で咥えろ』
 その宣言だろう。沙綾香もそれを察したのか、眉の角度を吊り上げる。だが、今さら抵抗しても仕方がない。彼女は大きく息を吐き、逸物を掴んで口を開く。
「んあ、がっ……」
 『あ』と絶叫する口の形。それでも、モーリスの亀頭の直径にはわずかに届かない。そこからさらに口を開き、頬肉が目元を押し上げる角度になったところで、ようやく亀頭を呑み込めるようになる。
「くくくっ、よく顎が外れないものだ」
「本当に、凄い角度だ。あー、ああーっ……うはっ、これはきつい。マネするだけで、吐き気を覚えましたよ」
 客の言う通り、常識外の開口。それですら、沙綾香が味わってきた地獄の片鱗でしかないんだから、気が遠くなる。

 真横アングルでのフェラチオ。飽きるほど目にした光景だ。なのに、2メートル強しか離れていない場所でのそれは、格別に胸に刺さった。
 沙綾香の口や頬が蠢くたび、実に色々な音が鳴る。普段は大半の音がマイクに拾われていなかったらしい。聴き慣れた音に関しても、音質が段違いだ。頬を窄めて顔を前後させるときの、じゅばっ、ちゅばっ、という音は恐ろしくクリアで、鼓膜に粘りつくようだった。
「もっといやらしい音立てろよ、ビッチ!」
「ツバも思いっきり出せ。口ン中に溜めて、チンポに絡めんだよ!」
 必死に奉仕する沙綾香を前に、客が野次を飛ばす。沙綾香は、一瞬相手を睨むものの、その言葉に従った。完全に顔の形が変わるほど頬を狭めると、モーリスの太腿を掴み直し、頭ひとつ分のストロークで顔を前後させる。途端に、音の下品さが増した。じゅばじゅばというフェラチオ音の水気が増し、ぐちゅぐちゅという、口を水でゆすぐような音もしている。
「いひひひっ、すげぇな! とびっきりの美少女のひょっとこフェラはよお!」
「ふふふ、この惨めな顔がたまらんね。街一番、県一番というレベルの女子高生が、こんな……!」
 客は、自分達がさせたパフォーマンスに大喜びだ。何人もがステージ端に張りつき、沙綾香の顔を覗き込みながら逸物を扱きはじめる。沙綾香が眉を顰めても、客は喜ぶばかり。
 激しいストロークに加え、口を目一杯開いているため、時々口の端から唾液が垂れるが、沙綾香はそれをすぐ右手で拭い、その手ごと身体の脇に隠した。手の位置は俺の逆側。俺にだけは惨めなところを見せたくない、という気持ちの顕れだろう。客もそれを察したらしく、俺の意味深な視線を寄越しながら、さらに過激な要求を投げる。
「ほら沙綾香ちゃんよ、お上品に足閉じてんじゃねえぞ。性奴隷がフェラするときはおっぴろげだ」
 その一言で、沙綾香の肩がぴくりと跳ねた。今度は、すぐには反応しない。
「どうした、早くしろ。足開かねぇと、ポイントやらねぇぞ」
 客は沙綾香の羞恥心を愉しみながら、投票ボタンを翳してさらに命じる。卑劣な脅し方だ。だが、沙綾香はそれに従うしかない。この倶楽部の外道共は、義理も人情もない連中だ。もし沙綾香が審査会で勝てなければ、目の前で桜織を責め殺すことだって十分に考えられる。
 沙綾香が足を開けば、すぐに何人もの客が姿勢を低くする。マイクロミニのスカートと黒いハイソックスに囲まれた空間に、生々しい性器が覗く。
「おーっ、見えた見えた。いひひひっ、まったく堪らんのぉ。こんな別嬪が、ワシらのために、“自分から”オメコを見せつけてくるんやから!」
 下劣な行為を求める客の野次は、やはり最低だ。俺ですら腸の煮えくり返るその言葉は、どれだけ沙綾香の心を抉る事だろう。
 それでも沙綾香は、奉仕をやめない。仁王立ちで見下ろすモーリスを睨み上げながら、激しく顔を前後させる。唾液は拭っても拭いきれないほどに滴り、白いブラウスを透けさせていく。


                 ※


 ハードプレイの甲斐あって、沙綾香の周囲はそれなりに盛り上がりはじめた。それでも、モニターの得票数にはかなりの開きがある。沙綾香の27票に比べ、桜織は54……いや、55。刻一刻と数字が変化し、ポイント差が広がっていく。
 差がつく理由として、『空気』の違いもあるだろう。羞恥心や反抗心を保っている沙綾香に対し、客はサディスティックに楽しんでいる。客の要求に従えばある程度のポイントが入るが、そうでない場合は誰もボタンを押そうとしない。一方で桜織の方は、桜織自身がプレイに積極的なせいで、良いと思えばポイントを与える流れができている。だから、桜織の方がポイントが入りやすい。
 ただ、もしポイントの付与ルールが同じでも、やはり桜織の方が抜きんでることになるだろう。理由は単純。桜織のプレイの方が、沙綾香のそれより煽情的だからだ。
 彼女は2人目のマーキスをも果てさせたらしく、今はアンドレを相手にしていた。10人中真ん中のサイズを誇るアンドレの逸物は、けっして小さくない。それでも、桜織は奉仕を苦にするどころか、余裕綽々で様々な技巧を使いこなしていた。
 亀頭周りを舌で舐め回したり、カリ首を舌先で刺激したり。
 奥まで一気に咥え込みながら、顔を左右に傾けたり。
 幹に唇を纏わりつかせ、口を窄めて強烈に吸い上げたり。
 見ているだけで、快感が確信できるテクニックの数々。実際奉仕を受けるアンドレも、目を閉じて天を仰ぎ、体中で心地よさをアピールしている。ただ、本当に衝撃的なのはテクニックの高さじゃない。間違いなく、そこに真心があること──桜織が心の底から、男への奉仕を望んでいること。それが伝わってくるから、余計につらい。
 だが客にしてみれば、それらすべてが興奮材料となるようだ。
「くくくっ。『プロペラ』に『ローリングフェラ』、そして『バキュームフェラ』ときたか。いやあ、気持ちよさそうだねぇ!」
「このサイズの逸物相手に、このスムーズさとは。完全にベテラン娼婦の貫禄ですな!」
「くうっ、見てるだけで射精しそうだ! おい奴隷、アレを真似ろ。この俺を、思いっきり気持ちよく抜いてみせろ!」
 食い入るように桜織の行為を見つめながら、館内着の前をはだけて逸物を扱く。あるいは祐希達を足元に侍らせ、桜織と同じプレイを強要している奴もいた。いずれにせよ、その熱気は相当なものだ。
「すげぇな、あっち……」
「ああ。ひょっとこフェラは結構エロかったけど、あれと比べると見劣りするよなあ」
 沙綾香を囲む客は、桜織の方を見ながら首を振った。モーリスもまた、桜織から視線を戻し、沙綾香に挑むような視線を投げる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」
 沙綾香は一旦怒張を口から出し、モーリスを見上げた。そしてそのまま、ほんの僅かに顔の角度を俺の方に向け、喉を鳴らす。
「どうした、早く」
 客に急かされ、沙綾香は舌を出して鈴口周りを舐めはじめる。さらには亀頭全体を舌全体で上下に舐め、雁首を舌先でなぞる。
「オオウ……!」
 モーリスの口から溜息が漏れた。沙綾香の技巧は、決して低くはない。だが。
「……んー。なんか、違うんだよなぁ」
「下手というわけではないんだがなあ。今ひとつ、迫ってくるものがないな」
 客は微妙な感想だ。そして俺自身、沙綾香の奉仕に桜織ほどのインパクトを感じられない。
 桜織と沙綾香の違いは、熱意だ。桜織は、黒人共への奉仕を心から望んでいるように見える。だが逆に沙綾香は、強いられてやっているだけだ。その積極性の差は、見ている人間にはすぐに解る。同じように舌を動かしていても、伝わってくるものが違う。
「ダメだな。これでは、ポイントはやれんよ」
 客の1人が、首を振りながら投票ボタンを押した。桜織に一票を投じたようだ。
「!!」
 沙綾香がモニターを見上げる。ポイント差はとうとう30を超えた。まだ開始から10分ほどしか経っていないというのに。
「舌が使えないんなら、もうディープスロートでも見せてもらうしかねぇな」
「お、そりゃいいな! あのデカチンを自力で喉奥まで咥えこむとなりゃ、見ものだぜ!」
 客は沙綾香を見下ろし、実質的な命令を下す。モーリスも逸物を口から引き抜き、先端で頬を叩いて挑発する。横顔の一部しか見えない俺にも、沙綾香の表情が曇ったのがわかった。だがその間にも、モニターの得票数は開いていく。悠長に迷っている時間はない。
 沙綾香はまた大口を開け、モーリスの亀頭を咥え込んだ。そして今度は、そこからさらに顎を開く。鼻がほとんど真上を向き、頬に縦線が走る、異常なまでの開口。さっきの沙綾香の迷いは、俺にその顔を見せるのを渋っていたんだと、直感的に理解した。
 俺は、その顔を嫌ったりはしない。苦境に必死で抗う姿が、どんなに惨めだろうが、軽蔑するわけがない。俺はそんな想いを篭めて、沙綾香を見守る。
「おごっ、ご……お゛っ! んごぉ、ほご、ご……おオ゛エ゛ッ!!」
 顔が数センチ前に進むたび、えずき声が漏れた。おおよそ半分ほどを飲み込んだところで、一際ひどい声が漏れ、沙綾香の眼球が俺の方を向く。

 ──幻滅しないで。嫌わないで。

 そんな声が聴こえるようだ。その視線を受け止め、俺は反応に困った。顔を顰めるなど論外だが、笑うのもおかしい。だから、黙って見つめ返すしかない。
「どうした。毎晩咥え込んでるモンだろ、もっと思いきりよくいけよ」
 モーリスは腕を組んだまま俺を見下ろす。勝ち誇った、憎らしい顔だ。
 沙綾香は俺から視線を離すと、震える手でモーリスの腰を掴み、引き付けるようにして顔を進めていく。
「お、おごっ……えおええおえ゛っ!! オ゛う゛っ、もおおええ゛え゛っ!!!」
 抵抗感が強いせいで、喉が開きづらいんだろうか。無理矢理咥えさせられている時より苦しそうだ。
「凄いな。あの小さな口で、黒人の物をあんな深くまで……」
「ディープスロートも仕込み済みだそうですからね。だとしても、衝撃的な画であることには変わりありませんが」
 客の言葉通りだ。制服に身を包んだ美少女が、2メートル級の黒人の足元に跪き、バットの先のような怒張を自ら咥え込む。異常そのものの光景だ。俺は眩暈がしてくるが、客共は随分と楽しんでいるらしい。
「そら、もっと深く咥えろ。お友達がしているようにな!」
 舞台下では、4人の客が仁王立ちで並び、百合・祐希・千代里・藤花の4人に逸物を咥えさせていた。
「う゛っ、お゛え゛っ……!!」
「おエエ゛っ、もぐぉおお゛っ!!」
 4人からはえずきが漏れている。客のペニスサイズはごく常識的なレベルだが、根元まで咥えさせられれば、さすがに苦しいようだ。あるいは、知り合いと横並びで凌辱される羞恥のせいかもしれないが。
「ごおっ、んぼぇっ!! ウ゛ォエ゛っ、お゛っ、おぶぇえ゛っ!!」
 それでもやはり、沙綾香の反応は一際大きい。えずき上げる瞬間には、百合達4人の声が完全に掻き消される。
「ひひひっ、苦しそうだな。今にも吐きそうじゃねえか!」
「まあ、なんつってもあのサイズだからな。飲み込むたんびに、喉がボッコリ膨らんでっしよ。普通なら吐く吐かねぇ以前に、気絶してるかアゴ外れてんぜ。よく調教されてるもんだよ、まったく」
「いや、まだまだ。VIPエリアの奴隷なら、もっと楽しませてもらわんと。そら奴隷、もっとえずけ。いい声を聞かせたらポイントをやるぞ!」
 客は沙綾香の苦しみぶりを茶化しつつ、よりハードな奉仕を求めていた。沙綾香はそんな客を嫌そうに見下ろしつつも、その言葉に従うしかない。モーリスの太腿付け根を腕で抱え込み、抱きつくようにして顔を前後させる。
「おう゛っ、オオ゛っ、んもおおえっ!! ごぼっ、んぼぉお゛えっ!!」
 声が、より酷さを増した。喉が詰まって息ができないせいか、鼻水も噴き出しはじめた。やがて、深く腰を落とした足がプルプルと震え、堪らずといった様子で逸物が吐き出される。
「おえ゛ぅあ゛っ!! んォおぼっ、ごほっ……こぽっ!!」
 悲痛な声と共に、粘液の塊が吐き出される。嘔吐と見紛うような量だ。
「はっはっはっは、あのツラ! 最高だな!!」
「いやまったく。あの上等そうな娘が、こうも惨めになるとは!」
 客は、そうした沙綾香の反応すべてをあげつらい、物笑いの種にした。
「…………ッ!!」
 ひとしきり粘液を吐き出した沙綾香は、野次を飛ばした客に鋭い眼を向ける。だが、桜織側のポイントが次々と積み上がっていく中では、すぐに行為に戻るしかない。
 剛直を呑み込む過程で美貌が歪み、えずき声が漏れはじめる。客共は、睨まれた報復か、そんな沙綾香へ容赦なく野次を飛ばした。それは容赦なく沙綾香の心を抉っただろうが、中でも厄介なのは、同性の女から発された、この一言だ。
「ねえ。この子、イラマチオで感じてない? 腰ヒクヒクしてるけど」
 男性客が沙綾香の歪んだ美貌に執着している中、その女は中腰になり、沙綾香のスカートの中を凝視していた。
「え、まさか……」
 別の客が目を凝らす。その反応を見て取ったモーリスは、沙綾香の奉仕を受けながら立ち位置を変える。沙綾香の尻が、ステージの端ぎりぎり……客の目の前へ来るように。ハードプレイのため、蹲踞に近い格好を取っている今、マイクロミニのスカートの中身が良く見える。
「もお゛ぐっ!?」
 沙綾香が目を剥きながら後ろを見やる。一方で、客は嬉々として食いついた。
「おおお、本当だ! ヴァギナが物欲しそうに蠢いているぞ!」
「ははははっ、やらしい動きだな! チンポが欲しくって仕方ないらしいぜ!」
 恥じらいの場所に、脂ぎった視線が集中し、悪意に満ちた言葉が浴びせられる。その状況は、多感な時期の少女にとって、どれほど辛いことだろう。無反応ではいられない。怒張を呑み込む動きを続けつつも、踵が浮き上がり、割れ目がより激しくひくつく。
 そして、数秒後。

 ────リン────

 通りの良い鈴の音が、鳴り響く。桜織の方からは何度となく聴こえている音だが、今の発信源はあっちじゃない。
「あはっ……」
 桜織が音に気付き、面白そうに沙綾香を見たのが、何よりの証拠だ。
「うははははっ!! この娘、イキおった!!」
「おいおいおい、マジかよ!? あんな、喉が膨れ上がるぐらいのデカマラ咥え込んで感じるとか、信じらんねぇ!!」
「えげつねぇ変態っぷりだ! もし俺の彼女がこんなになっちまったら、自殺モンだぜ!!」
 客は、ここぞとばかりに悪意を爆発させた。腹の底から嘲笑し、嘲り、俺の方にまで侮蔑の言葉を投げかける。こういう連中の嗅覚には恐れ入る。獣が血の匂いを嗅ぎつけるように、俺と沙綾香の心を一番抉るやり口を、直感的に理解している。
 俺の心も痛むが、それより沙綾香が心配でならない。俺の位置からは背中側しか見えないが、それでも彼女の手が、脚が、嘆いているように思えてならない。
「へへへ、セルフイラマで絶頂とはな。オイ、お前も口マンコ調教されたんだろ? 喉奥だけでイクなんてこと、あると思うか?」
 客の1人が千代里に問いかける。口調こそ疑問形だが、すでに答えを確信しているに違いない。
「ぶはっ、んはぁ、はぁ……あ、あると、思います。私も、沙綾香も、喉で感じるように調教されましたから……」
 逸物を引き抜かれた千代里は、息を荒げたままそう答える。赤らんだ頬、潤んだ瞳。明らかに発情している表情だ。
「そうかそうか。カワイイ顔して、喉マンコで感じるのか、この変態が!」
 色気のある童顔にあてられたのか、男の1人が千代里の腰を掴み、ショーツをずらして挿入を果たす。声楽家らしい千代里の喉から、ソプラノの悲鳴が上がる。
 その少し上では、依然として沙綾香の被虐が続いていた。
「おーおー。鼻水も涎も、すげぇ量になってきたな」
「マンコがクパクパ開いてんぜ。上が詰まってるもんで、下のお口から酸素補給してるってかあ!?」
 ごえっ、おえっ、というえずきと、鼻水を噴き出す音。それと呼応するような割れ目のひくつき。それらは全て近くの客に指摘され、嘲笑される。
 そうした悪意は、沙綾香に対して有効だ。あの子は、性に奔放そうな見た目とは裏腹に、どこまでも純真で、繊細だから。
「うぐっ、ぶふっ!! んっぐ、んべえっ……ふごおおお゛っ!!!」
 沙綾香は、息を乱れさせ、何度も噎せ返った末に、太腿を病的に強張らせた。そして直後、割れ目からぷしゃっと飛沫が散る。同時に、リン、と鈴の音も鳴った。
「ぎゃっはっはっ!! こいつ、とうとう潮噴きやがった!!」
「しかも、イキながらな。俺らの言葉責めで興奮しちまったか、このドマゾが!!」
 客はゲラゲラと笑いながら、ステージに手を伸ばして沙綾香の尻を叩く。ステージの内外に存在する一線を越える行為。それを見ても、立会人である手越とロドニーは口を挟まない。となれば、客が図に乗るのは明白だった。
「うひひ、凄いな……愛液がトロトロ出っぱなしだ」
「陰唇は黒ずんでいるが、中は綺麗なピンクだな。フフフ、悪くないじゃないか」
 客の指が、沙綾香の秘所を割りひらく。嘲笑を伴う視線が、その奥を覗き込む。
「もごっ、えあ゛っ……!!」
 沙綾香は怒張を半ば吐き出しつつ抗議するが、モーリスはそれを許さない。大きな掌で沙綾香の後頭部を抱え込み、ディープスロートを続行させる。
 3人の客が、沙綾香の割れ目に指を差し込んだ。奴ら自身の体が邪魔で、指の動かし方は見えない。だが、ああいった手合いのやる事は決まっている。割れ目の中を押し開きながら、膣内のスポットを刺激しているに違いない。
「んぐっ、もごおお゛っ!!」
 沙綾香の口から呻きが漏れ、腰が左右に揺れる。リン、リン、と鈴の音が鳴る。そんな状態でさらに、指入れしている3人のうちで一番年長の男が、他2人を下がらせた。そして押し開いた割れ目へと口をつけ、全体を舐め回す。
「おほほ、旨い旨い! さすが極上美少女のツユだ、格別に下半身に響くぞ!!」
 奴の興奮ぶりは相当だ。禿げ上がった頭にミニスカートの一部を被せ、腿の肉を鷲掴みにしたまま、無我夢中で割れ目を舐め回す。とはいえ、その心情自体は理解できる。ニーソックスに引き締められた美脚は、あまりにも妖艶だ。俺が奴の立場でも、理性を保てるかはわからない。
「くそ、いいなあSさん……!」
「会員番号振りかざされちゃ譲るしかねぇが、俺も舐めたいぜ!」
「気持ちよさそうに腰揺らしやがって。父親みたいな歳の親父に、マンコ舐められて興奮すんのかよ!?」
 他の客は、男の行為を羨みつつ、せめてもの憂さ晴らしに沙綾香を野次る。男の舐りで鈴の音が鳴り響けば、大いに笑い飛ばす。

「……あはっ。あっち、盛り上がってる」
 沙綾香の状況に気づき、桜織が笑みを浮かべた。彼女は、翻弄されるばかりの沙綾香とは違い、明らかに場を支配している。今はダーナル相手に口で奉仕しているが、当のダーナルは床に腰を下ろし、両脚を投げ出して身を委ねきっている状態だ。
「ヘイ、プリティガール。やめないでくれよ、もう少しで気持ちよくなれるんだ」
 顔中から汗を垂らしつつ、ダーナルが囁く。すると桜織はダーナルに向き直り、スカートをたくし上げながらその上に跨った。
「いいよ。そろそろ、こっちにちょうだい」
 頬を紅潮させてそう囁き返す姿に、清楚さなど影もない。
 桜織の小さな手が剛直を支え、未熟な尻が沈んでいく。桜織は、沙綾香以上に小柄だ。マーキスとの体格差となれば、成人と小学校低学年のそれに近い。普通に考えるなら、性器の挿入など無謀だ。だが、それは果たされる。桜織自身の意思と、その数十キロの自重でもって。
「おおお゛お゛お゛お゛っ!!!!!」
 怒張が半ばほど入り込んだ時点で、桜織は凄まじい声を漏らした。咆哮、と表現した方が近いかもしれない。俺に背を向ける格好だから顔は見えないが、どういう表情をしているのかは想像がついた。
「ひいっ、すごい、すごいっ!! 太くて、おっきくて、こんなに硬い! もう、一番奥まで届いちゃった!!」
 桜織は興奮気味に訴えながら、腰を上下に打ちつける。黒い極太が白い尻肉の中へと、より深く入り込んでいく。
「あはっ、あんっ、あんっ!! エラの張ったカリ首が、奥の襞をゾリゾリ擦るのっ!! こんなの、日本人じゃ味わえない……気持ちいいよおっ!! だめだめイキそうっ、あ゛ァあ゛イグぅううっ!!!!」
 桜織の興奮は止まらない。汁を飛ばしながら腰を上下させ、絶頂を訴える。その言葉を裏付けるかのように、リン、リン、リン、リン、と鈴の音が鳴り響く。
「がはははっ、こりゃあ堪らんぜ! プッシーは小ぶりだが、よく濡れてやがる!」
 マーキスも大笑いだ。何度も膝が浮いているところからも、相当な快感が伝わってくる。
「そりゃいいな。お前でそれなら、俺らのコックだとさらにキツく思えるわけだ!」
「いいねえ、早く替わってくれよ!」
 他の黒人共も、桜織のセックスを前に興奮を隠せない。そして、その願いはすぐに果たされることになった。
「んあ゛ァっ、あん、あ゛んっ!! また、中で大きく……ほぁああ゛っ!!! おっ、奥に当たるっ、あ゛っ、あああ゛っ、い゛いいっ!!」
 桜織は、自らの意思で膣奥を虐め抜く。マーキスの肩に両手をつき、腰を上下に振る様子は、完全に逆レイプの有り様だ。
「ぬぐうううっ……おいおいおい、マジかよ!! この俺が、こんなガキに……ファアックッ!!!!」
 マーキスは、さっきの喜びぶりから一転、屈辱に顔を歪めていた。連中は強姦魔だ。女性に主導権を握られ、絶頂させられるのを屈辱と感じるんだろう。だが、そんな抵抗も長くは続かない。歯を食いしばって上半身を起こしたところへ抱きつかれ、そのまま強烈な腰遣いで絶頂へと導かれる。
「あ、あ、きた、きたあっ!! すごい、ああ、すごい量!! なにこれえっ!?」
 桜織の言葉を聞けば、射精が始まったことがすぐに判った。
「ぬぐうう、ぐうあああっ……!!」
 マーキスの反応は珍しいものだ。いつもケダモノじみた笑みと共に精を注ぎ込むあの男が、床の上で拳を握りしめている。
 そのまま数十秒が経過したところで、ようやく桜織が腰を浮かせた。開ききった割れ目から、次々に精液があふれ出し、マーキスの脚を白く染めていく。
「すっげぇ……!!」
「いや、本当にこれは……!!」
 客はその一連のプレイを前に、言葉を失くし、操られたように投票ボタンを叩くばかりだ。

「大したもんだな、お前のお友達は。俺もイキたくなっちまった。そろそろ、ラストスパートといこうぜ!」
 モーリスが沙綾香の頭を掴み、前後に動かす。
「んぶオ゛っ!? ヴォエ゛ッ、うお゛、んぐっ、うぉお゛ええエ゛ッ!!」
 沙綾香は目を見開き、苦しそうな声を漏らす。奉仕を突然強要される事への困惑。公然で大股を開かされたまま、秘部を舐められる恥辱。その両方が原因だろう。だがその反応が、結果としてモーリスを満足させる。
「おおおいいぞ! 喉がいつもより窄まって、カリ首にコリコリ擦れやがる! いいぞ、イクぞ! 全部呑み込めよっ!!」
 モーリスは吼えるように叫ぶと、沙綾香の頭を引き付けたまま射精に入る。至近距離で見れば、どくっ、どくっ、と精液が送り込まれているのが感覚でわかった。それが数十秒たっぷり続くんだから、人間離れも甚だしい。
「ぶはっ!!」
 ようやく怒張が引き抜かれた時、沙綾香の口内は白濁で満たされていた。栗の花とも形容される独特の精液臭が、猛烈に臭ってくる。それを口一杯に注がれば、精液以外の情報を脳が処理してくれないだろう。
 しかし、周囲はいつもそんな沙綾香に、新たな情報を与えていく。
「ふふふ。口にザーメンを注がれた途端、また愛液があふれてきたぞ。もうチンポが欲しくて仕方ないんだろう?」
 沙綾香の割れ目に舌を這わせていた男が、醜悪な笑みを浮かべた。
「マンコがヒクヒクしてるもんな、ヤリてぇんだろ? だったら、お願いしてみろよ。犯してください、お願いしますってよ!!」
 他の客も便乗し、沙綾香に恥辱の仕草を迫る。
「そ、そんな……の……っ!」
 沙綾香は、露骨に戸惑いを見せた。また、瞳が揺れている。決断の枷になっているのは、俺の存在らしい。
 だが、彼女が欲求不満なのは事実だ。彼女はここへ来るまで、何時間にも渡って焦らされつづけている。思いきり快感を得たいという気持ちが、ないはずがない。
「どうした、早くしろよ!」
 客の指が勃起したクリトリスを圧し潰し、割れ目に沈み込むだけで、沙綾香の喉から悲痛な声が漏れる。
 さらに、沙綾香が視線を逃がした先には、投票ボタンの結果を反映するモニターがあった。沙綾香は現在36票、対する桜織は100の大台に乗っている。トリプルスコア……もはや、迷っている暇はない。
「ぷ……プリーズ、ファッ、ク……ミー……」
 沙綾香は顔を赤らめながら、黒人共に向けて懇願する。黒人共は笑った。だから、聞こえてはいるはずなんだ。それでも奴らは、頷かない。
「ああん? なんだ、よく聴こえねぇぞ」
 レジャナルドがわざとらしく耳に手を当て、沙綾香の方に身を傾ける。
「それじゃ聴こえんだろう。もっと大きい声で言いなさい!」
「姿勢もなってねえなあ。奴隷の懇願っつったら、土下座だろ!?」
 サディズムに国境はない。ステージを見上げる客の笑みもまた、黒人共に瓜二つだ。
 ギリッ、と奥歯を鳴らす音がする。ミニスカートの横で、二つの拳が握りしめられる。
 そして沙綾香は、床に膝をついたまま頭を下げ、すうっと息を吸い込む。
「…………プリーズ、ファック、ミーッ!!」
 強いられた渾身の叫び。それは、フロア内に響き渡った。桜織に夢中だった連中すら振り返ったほどだ。
 そして、笑いが沸き起こる。ゲラゲラと、心底楽しげに。一生で何度出遭えるかという美少女に、生まれたままの姿で土下座させ、セックスを懇願させるんだ。性癖の歪んだ人間にとっては、さぞや愉快なショーだろう。
「おーおー、あんな大声で! まったく、今どきの女子は恥じらいというものがないな!」
「ですなあ。ウチの娘があんなことをしたら、情けなくて泣けてきますよ!」
「まあまあ。色狂いの“ビッチ”なんですから、仕方ないでしょう。我々はせいぜい、愛する人間がこの倶楽部の標的にならないよう、うまく立ち回っていきましょう」
 飛び交う野次にも、いつも以上の悪意が篭もっている。微かに震える沙綾香の背中や、握り込まれる足指も、連中にしてみれば興奮を煽る材料だろう。
 もちろん、嬉しそうにしているのは黒人共も同じだ。見開いた目を血走らせ、鼻息を荒げ、そり勃った怒張を震わせている。数時間で禁断症状が出るほどの絶倫連中が、丸一日お預けを喰らってるんだ。すでに性欲は限界だろう。それでも沙綾香に飛び掛からないのは、性欲をも上回る嗜虐心からか。
「オーケイ」
 レジャナルドが沙綾香に近づき、腕を取って立ち上がらせる。わざとだろうが、俺の方に顔が向く形でだ。
「…………っ!」
 沙綾香は、一瞬俺と合いそうになる視線を逸らした。その眼元から続く、涙の線が痛々しい。レジャナルドはそんな沙綾香に中腰の姿勢を取らせ、背後に回った。
「へへへ、すげぇな。プッシーが充血しきって、膨らんでやがる」
 奴は、掴んだ逸物を割れ目に押し付けているようだが、なかなか挿入しない。腰を進めるフリはするが、逸物は尻や股の方に逸れていく。
 とはいえ、それが見所になってしまうのが巨根の恐ろしいところだ。尻側に逸れる時、怒張の先端は尻肉の膨らみを越え、背筋にまで達する。股座から黒い棒が覗く様は、沙綾香から逸物が生えているかのようだ。客はそのジョーク行動を笑いながらも、これから挿入されるペニスの大きさを、改めて思い知ったに違いない。
「……早くしてよ……」
 沙綾香は、両手を膝に置いて姿勢を安定させながら、苛立たしげに後ろを振り返る。するとレジャナルドは、それを待っていたと言わんばかりに動きを変えた。片手で逸物を掴み、片手で沙綾香の腰を掴んだまま、ゆっくりと腰を進める。
 今度こそは、間違いなく挿入されているらしい。それは、沙綾香の顔を見れば明らかだ。
「あ……っあ」
 開いた口から声を漏らし、斜め上を凝視する。初めて黒人のペニスを味わうかのような反応だ。レジャナルドはその反応に笑みを浮かべつつ、両手を腰に添えた。そしてその手を引きつけつつ、一気に腰を送り込む。
「はアアァッッ!?」
 沙綾香の反応は、激しかった。目と口を大きく開き、腰を震わせる。リン、と鳴り響く鈴の音に、何の違和感も抱けない。
「ひひひっ! あいつ、挿れられただけでイキやがった! まだ二十歳にもなってねぇガキのくせに、ポルチオが開発されきってるらしいな?」
「ああ。音が無くても判るイキっぷりだな。気持ちよさそうな顔しやがって!」
 客の言葉は腹立たしいが、納得してしまう。確かに、沙綾香は気持ちがよさそうだ。眉を垂れ下げて「本意ではない」と訴えているのが、せめてもの救いか。
 挿入を果たしたレジャナルドは、意外にもすぐには動かない。腰から手を離し、沙綾香の胸をブレザー越しに揉みしだきながら、密着状態を保っている。俺も沙綾香とセックスした時、よくやった。挿入後にああしてじっとしていると、膣がペニスに纏わりついてくるんだ。
「クククッ、締まってきた、締まってきた! ヒクヒクしながら吸いついてくるこの感じ、最高だぜ!」
 数秒経って、レジャナルドが嬉しそうな声を上げた。俺でさえ、あのフィット感には歓喜したものだ。奴ほどのサイズとなれば、なおさら気持ち良いだろう。
 
 レジャナルドは、本格的に腰を使いはじめた。沙綾香の下腹を抱え込み、腰を思いきり打ちつける。パァンパァンという音が響き渡る。
「や……そこ掴むの、やめっ……んぐうう゛っ!!」
 沙綾香はレジャナルドの手を掴んで抵抗するが、それも数秒のこと。
「ぃッ、うぐぅうーーッ!!!」
 レジャナルドがグッグッと腰を押し込む中で、歯を食いしばりながら痙攣する。鈴の音で絶頂を明かされながら。
 俺は、思わず生唾を呑んだ。他人の手による沙綾香の絶頂は、これまで嫌と言うほど見てきた。ただしそれは、常にモニターや、分厚いガラス越しでのことだ。匂いも、熱気すら伝わってくるこの距離で目の当たりにすると、本当に胸が締め付けられる。動悸が激しく、心臓が爆発しそうだ。
 その緊張が伝わったのか。沙綾香が一瞬、俺を見る。恥辱に歪んではいるが、俺のよく知る彼女の顔だ。愛おしい。今すぐ彼女を抱きすくめたい。だが、それは叶わぬ夢。
 そんな俺に向け、レジャナルドは舌を出した。
「ひっひっ、きたきた。この、イった時の締め付けがまた堪んねぇや。だがようサヤカ、お前だってもう俺のコックから離れらんねえだろ? ジャパニーズの短小じゃ、“ここ”をカリで抉るのは無理だろうからな!」
 当てつけがましくそう言いながら、より激しく沙綾香を犯す。肉のぶつかる音と、攪拌される水音が秒以下の速さで繰り返される。
「んう゛ぃっ!! はっ、はぁっぐ、うっ……っふうっ、ひっ! ぅうう゛、うう゛う゛っ!!」
 沙綾香は必死に声を殺そうとするが、絶頂直後の敏感な状態では耐えきれない。太腿は痙攣し、腰は激しくうねる。突き込みを嫌がっているのか、あるいは無意識に迎える動きをしているのか。
 リン、リン、と鈴の音が鳴り、とうとう沙綾香の上体が崩れかかった。だが、レジャナルドはその下腕を掴んで突き続ける。無理を押し通してのセックス。当然、変化が起きないはずがない。
「ああぁダメ、無理……無理ぃい…………っ!!」
 沙綾香は俯き、長い髪の中に顔を隠した。
「んだよ、おい。顔が見えねぇぞ!」
「まあまあ、そのうち頭を上げるでしょう。それより今は、カラダの方を堪能しましょう。乳房が揺れて、肋骨が浮いて……絶品ですよ?」
「確かに、これは凄い。こういう安易な表現は嫌いですが、完璧なスタイルとしか言いようがないですなあ!」
「同感だ。めちゃくちゃ細ぇのに柔らかそうで、出るトコは出てよ。男を発情させるためのカラダって感じだぜ!」
 客は今にも涎を垂らしそうだ。その視線に晒される沙綾香の喘ぎは、刻一刻と激しくなっていく。よく聴けば、ピストン音も変わっているようだ。さっきまではブチュブチュ、という感じだったものが、グプグプという響きに変わっている。その意味はわからないが、沙綾香を追い詰める結果に繋がっているのは間違いない。
「はぁ、はぁっ……あ、あっあ……ぐっ、んぐっ……ああああっ!!」
 沙綾香の我慢も限界のようだ。中腰が深まり、脚の震えが酷くなる。腕を引き絞られていなければ、そのまま崩れ落ちているに違いない。
「いつも以上に感じまくってんな。大好きな先生と、同郷のサルに観られながらよ!!」
 レジャナルドはそう茶化しながら、ここで最後の追い込みに掛かった。掴む場所を上腕に変え、強引に沙綾香の背を反らせた上で、思いきり腰を叩き込む。一時的に聞こえづらくなっていたパンパンという音が、再び大音量で響きはじめる。
「はああぁっ!? やめ、激し……っ!!」
 沙綾香は目を見開き、レジャナルドの下腹を手で押しやるが、ピストンは一切緩まらない。
「くあっ、ああっ!! あーっ、あーーーっ!!!」
 喘ぎ声が、泣き声に変わる。華奢な腰からつま先にかけてが、絶頂へ向けて一直線に進んでいくのがわかる。
「…………みな……ぃ、で…………」
 最後の最後、かろうじて聴きとれる声でそう囁いた直後、沙綾香は震え上がった。
「はァ……んっ!!!」
 顔が天井を向くほどに背を反らし、全身で大きな弧を描きながら、ブルブルと痙攣しつづける。股間から流れ出る体液の量から見て、潮も噴いたのか。リン、という澄んだ鈴の音が白々しく聴こえるほど、深い絶頂だ。
「はははははっ! すんげぇイキ方してんな、キメセクの最後の方みてぇだ!」
「立ちバックでハメ潮とか、よっぽど気持ちよかったんだな!」
 客は投票ボタンを押し込みながら、沙綾香の絶頂を口々に揶揄する。
「深く絶頂したものですね。溜まりに溜まった肉欲を一気に解放した時の快感は、他に並ぶものがございません」
 俺の横でも、端塚がワイングラス片手に笑みを浮かべていた。すべては計画通り、と言わんばかりだ。
「どうだ、俺のコックは格別だろ? 昨日お預けされてた分、余計に感じちまうんだよな? いいぜ、たっぷり味わわせてやる。好きなだけイけ!!」
 レジャナルドはそう叫びながら沙綾香の肩を掴み、激しいピストンを再開する。
「あああぁ……まぁ……待って、ぇ……い、いまっ……イッたばっか……んはっ、ああああっ!! あッ、あッ、あッ、あッ!!!」
 沙綾香は明らかに嫌がっていたが、太い腕で両肩を掴まれては逃げられない。歯並びが見えるほど口を開き、視線を上空に投げたまま汗を垂らす。リン、リン、と鈴の音も鳴っていた。さっきは白々しく思えたのに、今はその音が恐ろしい。その音が鳴るたび、沙綾香の絶頂を理解してしまう。
 レジャナルドは、気持ちよさそうにセックスをこなしていた。長大な逸物をたっぷりと引き抜き、叩き込む。ブジュウッ、ブジュウッ、と凄まじい音をさせながら。
「いいぜ、いいぜ……そろそろだ。フーッ、フーッ……おおぉし来たぁっ!! たっぷり注ぎ込んでやるからなッ!!」
 奴は喚きながら腰を打ちつけ、腰を密着させて射精に入った。黒い肌の中、よく目立つ白い眼が俺を見て笑う。
「ううう゛……!!」
 沙綾香は俯きがちになり、歯を食いしばっていた。
 サイズ違いの剛直を奥まで突っ込まれ、おそらく子宮口に密着した状態で、好きでもない男の子種を注がれる。しかもそれを、ほんの数メートルという距離で俺に見られるんだ。どんな気分になることだろう。

「おいおい……まだ出してんのか、アレ?」
「ウシか何かみたいだな……」
「よく見りゃ、チンポだけじゃなくて、タマもエグイほどでけぇからな。そりゃ量出るわ」
 5秒経っても射精しつづけるレジャナルドを見て、客がどよめきだす。そんな中、たっぷり10秒以上が経ったところで、ようやく腰が引かれた。同時に肩も解放され、沙綾香はその場にへたり込む。
「おい。ザーメンどんだけ出されたか、見せてみろよ!」
 客は、僅かな休息さえ許さない。想像を超える射精量を見たい一心で、疲労困憊の沙綾香に無理を強いる。
「…………っ。」
 沙綾香は震えながら中腰に戻り、スカートをたくし上げた。すぐに人垣ができ、肝心な部分は俺の視界から隠れるが、沙綾香にとってはむしろ救いだろう。
「うおおお、すげぇ!!」
「量もやべえけど、濃さも半端ねぇな。ヨーグルトみてぇだ」
「うほほ、これは! 一度で妊娠確実だな」
 客から驚きの声が上がる。その好奇の視線を受けながら目を閉じる沙綾香は、ひどく令嬢らしい。元々が上品な顔の作りだし、汗の滴る様子が奥ゆかしさを増している。そんな令嬢を前に……いや、だからこそか、客はより一層の無様さを求めた。
「よお、コッチよく見えねぇぞ!」
「もっと良く見えるように、ケツ向けて穴拡げろ!」
 沙綾香の正面から離れた場所にいる客が、不満を口にする。沙綾香は迷惑そうに眼を開くが、便乗して大勢の客が騒ぎ出すと、その要求に従わざるを得なくなる。
 膝立ちになり、尻を向け。
「もっとケツ上げろ!」
「もっと指で、グバーッと拡げんだよ!!」
 客の命令通りに、あられもない姿を晒す。
「ぎゃはははっ! すげぇなこの絵面よ!!」
「脚の形はサイコーなのに、マンコはグチャグチャ、ケツはガバガバ。調教ってこえー」
「おっ、見ろよ。また奥から垂れてきたぜ!」
「うっへえ、また結構出るな。グラス半分ぐらいねーか、この量……」
 客は、野次を自重しない。思いついたままに感想をぶつけ、沙綾香の心を抉っていく。
 ひどい状況だ。ピンクの粘膜からぽたりぽたりと滴る粘液が、俺には沙綾香の涙に思えた。


                 ※


 恥辱に震える沙綾香の背後で、モニターの数字が変わっていく。沙綾香側の投票数も増えてはいるが、桜織の伸びには届かない。
 桜織は、黒人とのセックスを堪能していた。どう見ても無理のあるサイズのペニスに跨り、笑顔で腰を振っている。
「あはっ、すごぉい……子宮、ジンジンする……っ!」
 桜織が自ら下腹を刺激しながら、さらに腰の上下運動を早めた。パンパンパンパンという音が響き、乗られる側のジャマールが顔を顰める。
「ぐうううっ!! すっげぇ、搾り取られる……!!」
 その悲鳴に近い声を聴き、桜織は笑みを深めた。そして、さらに激しく責めたてる。暴れるジャマールの足首を抱え上げ、完全優位の格好で腰を振る。
「ジーザスッ!!」
 ジャマールはまた呻いた。歪んだ顔は、悲壮とも歓喜とも取れるものだ。
「へへへ、ビッチここに極まれりってか」
「よう。まるで逆レイプされてるみてぇだぜ、兄弟!」
 ダーナルやダリーからそう茶化されても、ジャマールに反論する余裕はない。桜織が、目を見開き、舌を突き出し、いよいよ無我夢中という表情で『犯し』にかかったからだ。
「お゛っ、お゛、お゛っ!! ほおおおっ、ふおおお゛っ……!!」
 声にも、顔にも、腰の振り方にも、正気が感じられない。その小さなモンスターの性器に捉えられたまま、ジャマールが白い歯を食いしばる。
「アアアアオウッ、出る、出るぞっ!! このリトルプッシーの中に、思いっきりぶちまけるぞ、いいんだな!?」
 最後の矜持か、恫喝に近い口調でそう叫ぶが、貪欲な桜織が今さら嫌がるはずもない。
「いいよ、来て……私もイクから、一緒にイこっ!! んっ、ふ……あっ、ビクビクしてる……出して、出して!! 中に、濃いの全部注いでえっ!!! ……あはっ、出てるっ! ドクドク、こんなに……あ、あ゛、あ゛っ、すごおいいっ!!!」
 桜織は中出しを望み、いざ射精の時が来れば、腰を落として深い結合をキープしてみせる。小柄な子だけに、ジャマールの怒張すべては呑み込めない。3割ほどは外に余っている。それでも、膣奥まで届いているのは疑いようもなかった。正真正銘の膣奥射精だ。
 桜織は、ジャマールが息を吐ききってからも1分以上余韻を楽しんでから、ようやく腰を浮かせはじめる。肉付きのあまい尻の間からは、すぐに白い物が零れ落ちた。
「おおっ……!」
 背徳的な光景に、客から溜息が漏れる。すると桜織は、そんな客の方を振り返りつつ、尻だけを高く浮かせてみせた。より割れ目が客の目に入りやすいように。僅かに強まった腹圧で、膣を満たす精液があふれ出すように。
「エロいな……」
「ああ、身体つきはまるっきりガキなのに。なんでこんなにエロいんだ!」
 客は桜織を見ながら、前傾姿勢になっていた。今にも飛び掛かりそうな勢いだ。そしてその空気は、沙綾香を囲む客にも伝播していく。
「せっかくだしよ、横並びにして比べようぜ!」
 誰からともなく、そういう意見が出た。恥じ入る沙綾香と、奔放な桜織。タイプの違う少女が2人いれば、当然の流れではあるが。

 沙綾香と桜織が、ステージ外周……客の方を向いて這う格好を取らされる。
「ああして並んでるとよ、姉妹みてぇだな」
 客の1人が、ステージを見上げてそんな感想を漏らした。確かに、そういう感じがする。高給取りの親を持つ、仲良し姉妹。妹の方は気楽に笑みを振りまき、姉の方は唇を引き結んで涙を堪えている、というところか。
 そんな2人の背後に、山のような巨躯が迫る。“妹”の背後についたのはアンドレ。“姉”の背後についたのはドミニクだ。連中は怒張を扱き上げてアピールしてから、目の前の腰を掴み、尻を掲げさせる。そして、一気に突き込んだ。
「ほおおお゛っああ゛ッ!!!」
 桜織から、凄まじい声が上がった。表情も普通じゃない。目を細め、縦に開いた口から舌を飛び出させる。周りの視線など一切気にせず、ただ黒人のペニスを受け入れた快感をそのままに表している風だ。
 一方、沙綾香は露骨に周りの目を気にしていた。極太が挿入されるその瞬間も、結んだ唇を開かない。眉間に皺を寄せたまま、床だけを睨みつけている。
 まさに、対照的。そんな2人が横並びで犯される様に、客は大喜びだ。
「おいおい“妹ちゃん”、すげぇツラしてんな! ちょっとは“お姉ちゃん”を見習えよ!」
「いやいや。“お姉ちゃん”こそ、“妹ちゃん”みてぇに楽しめって。黒人のぶっといの突っ込まれて、気持ちよくって仕方ねぇんだろ?」
 2人の関係を姉妹と見立てて野次を飛ばす。それを聞いて桜織が笑い、沙綾香を見た。逆に沙綾香は、俯いて床だけを見つめている。ただ、それで視線は隠せても、絶頂までは隠せない。ドミニクが7度目に腰を打ちつけた直後、リン、と鈴の音が鳴る。そしてちょうどその辺りから、彼女の反応が変わりはじめた。
「フーッ、フーッ……んんっ、ふっ、んっ……!!」
 口を閉じたまま視線を揺らし、歯を食いしばったまま顔を振り……そうして、少しずつ追い込まれていく。
「ひひひっ、そろそろ我慢の限界か?」
 反応の変化に気付いてか、ドミニクはより激しく腰を打ちつけはじめた。
「んぐ、あ、あ゛っ!!」
 沙綾香が顎を浮かせたと同時に、鈴の音が絶頂を知らしめる。
「へへへ、出来上がってきたな!!」
 ドミニクは、待っていたとばかりに腰を掴み直し、膝立ちから中腰へ体勢を変える。当然、沙綾香も腰を浮かせる格好となる。何度も絶頂させられている状態で、それは辛い。
「やっ、やめ、て……!!」
 沙綾香は消え入るような声で呻きながら、震える脚を閉じ合わせた。女の子らしいその仕草には、彼女の羞恥がよく表れている。そして、ドミニクがそれを茶化さないはずもない。
「おら、もっと足開けよ。いつもハメてるみてぇによ!」
 口汚く叫びながら、沙綾香の腿をがに股になるまで割りひらく。
「ははははっ、いい格好だぜ!」
「どれだけスタイルのいい美少女でも、ああなっては形無しだな!」
「ああ、スラムのストリップ嬢以下だ!」
 客の野次に、沙綾香は歯を食いしばる。だがそれも、やはり数分ともたない。当然だろう。ドミニクが膝立ちから直立に変わり、腰を使いやすくなったせいで、セックスのハードさが増しているんだから。
「あ、はっ、あっ……あああっ、ああああいや、いやあっ!!」
 沙綾香は脚をバタつかせはじめた。片足の踵で空を蹴り上げる形だ。その激しい抵抗を受けても、ドミニクは動きを止めない。勝利を確信したような顔のまま、沙綾香の細い腰を犯し続ける。
「んっ、んぐっ……んんん゛ん゛ん゛っ!!!」
 沙綾香の喉から悲鳴が上がり、床についた両脚がビンと伸びる。そして同時に、鈴の音が鳴り響いた。誰の目にも明らかな、深い絶頂だ。
 客から嘲笑が沸き起こり、ドミニクも鼻で笑い飛ばす。
「気持ちよさそうにイキやがって、そんなに俺のコックがお気に入りかよ? いいぜ、なら大好きなザーメンをくれてやらあ!!」
 奴がそう宣言してスパートを掛けると、アンドレもまた責めを強めた。肉のぶつかる音が鳴り響き、沙綾香の目元が激しく引き攣る。桜織の声も狂気じみてくる。
「おら、いくぞ! プッシー締めて、最後の一滴まで搾り取れよ!」
 そして、黒人2人は射精に入った。大木の幹のような腰が震え、ドクドクと精液を注ぎ込んでいくのがわかる。
「あ、あ、あああ……っ!」
 桜織と沙綾香の発した声は、よく似ていた。そして、表情も。
「はっはっは、いい顔してやがんなあ!」
「ああ。特に右の女よ、あれ、中出しされながらイってんじゃねぇか?」
「やっぱそうだよな。あんなに渋るポーズしてたくせに、実は気持ちよくて仕方なかったってか!」
 喜びを露わにする桜織と、脱力したような沙綾香。客はそのどちらにも興味を示すが、野次は沙綾香にばかり飛ぶ。そうすれば沙綾香が顔を歪めると解っているからだろう。
 そして、沙綾香を追い詰めようとするのは黒人共も同じだ。ドミニク・アンドレと交代したジャマールとトラバンは、背後から挿入しつつ互いに横を向く。沙綾香と桜織が向かい合うように。
「……ッ!!」
 沙綾香の顔が強張った。彼女にしてみれば、たとえ野次を受けたとしても、客に顔を見られていた方がマシだろう。
「ふーっ、ふーっ……お、う゛っ! んふっ、あ、ああ……ッ!!!」
 最初こそ耐えていた沙綾香も、ジャマールがサディスティックな表情で腰を打ちつける中で、次第に表情を崩していく。何度も絶頂して、敏感さが増しているせいだろう。
「やあっ、あ、あ……んっくううう゛っ!!」
 沙綾香の歯が食いしばられた直後、鈴の音が鳴り、客からまた笑いが起きる。
「今のは本気でイッたな。さ、今度はお前の番だ。お友達以上のイキ顔を見せてみろ!」
 トラバンもほくそ笑み、桜織の腕を掴みながら腰を打ちつける。沙綾香と違い、桜織には感情を隠す気もない。
「おお゛っ、深いィ゛っ!! お゛っ、おおお゛っ、ほお……おっおお゛おぅ゛っ、そこ、そこおぉっ!! んほぉっ、ほおおおおっ!!!」
 大口を開け、満面の笑みで快感を訴える桜織。彼女は小柄なため、犯すトラバンと全く体格が合っていない。今はローファーでかろうじてつま先立ちしている状態だが、その伸びた脚を震わせながら、全身で快感を貪っている。それを目の当たりにして、沙綾香の表情が強張った。
「エロい面ァしやがって。だが、ああなるよなあ。どんな女でも、最後にゃ俺らのコックから離れられなくなるんだ。なあ? お前だって、もう中毒なんだろ?」
 ジャマールが沙綾香の耳元でそう囁きながら、一歩前に出る。それを見てトラバンも前へ歩を進め、沙綾香と桜織の距離が縮まっていく。女性らしい沙綾香の胸の膨らみを、平坦な桜織の胸板が圧し潰す。
「あんっ……!」
「ふう、あ……っ!?」
 甘い声が上がり、鈴の音がフロアに響いた。
「ははははっ、乳首が擦れただけでイっちまってやがる!」
「ああ、とんだ変態ぶりだぜ!」
 客からすかさず野次が飛ぶ。
「ふふふ、変態だって。でも、しょうがないよね。気持ちいいんだもん」
 桜織はその野次を気にも留めず、沙綾香に囁きかける。さらに彼女は、突かれた拍子に開いた沙綾香を唇を奪ってみせた。
「ん、れあっ……あ、あえ、えああ……っ!!」
 沙綾香は驚いて口を離そうとするが、密着した状態では逃げ場がない。一方の桜織は、積極的に舌を絡ませ、ディープキスを強いる。
「おっ、今度はレズかよ!」
「ほほ、極上美少女の絡みは見栄えがいいな!」
「しかも、ゴリラみてぇな黒人に挟みつぶされながらだぜ。画のインパクトがすげぇや!」
 客は大いに盛り上がり、沙綾香と桜織の両方にポイントを加算していく。
 リン、と鈴の音が鳴った。沙綾香と桜織の頭は密着しているため、どっちの機械から鳴った音なのか判別はつかない。だが、目を見開く沙綾香と、そんな沙綾香を前に目を細める桜織の反応を見れば、答えは明示されているようなものだ。
「へへへ。こいつ、レズプレイで感じてやがる」
「そっちもか? このガキもだぜ、膣のうねり具合が一段とエロくなりやがった」
 犯し役のジャマールとトラバンが顔を見合わせて笑い、沙綾香達の腰を掴み直す。すると桜織は、自由になった左手を沙綾香の股座へと伸ばした。場所的にクリトリスを弄っているのか。
「れあっ!!?」
 沙綾香は不自由な悲鳴とと共に腰を震わせ、鈴の音を鳴り響かせる。明らかに桜織を上回る絶頂ペースだ。
「ふはっ、はぁっ、はあ……い、委員長、やめて。こんな、足引っ張るようなこと……。2人で4000回以上イッたら、罰ゲームなんだよ……?」
 唇が離された瞬間、沙綾香が桜織に哀願する。だが、桜織は薄笑みを湛えたまま、沙綾香のクリトリスから手を離さない。
「別にいいじゃない。罰ゲームが何かは知らないけど、きっと興奮できる事でしょ。思いっきり犯されるのか、モノ扱いされるのか……どっちにしても興奮するわ。沙綾香だってそうでしょ?」
「ち、違っ……!」
「うそ」
 沙綾香の否定を、桜織が切って捨てる。
「沙綾香。前から思っていたけれど、貴女って嘘が下手よ。本当の気持ちがすぐ顔に出る。もっと犯されたい、もっと辱められたい、もっと快楽に溺れたい──そう、顔に書いてあるじゃない」
 諭すように語る桜織の顔は、エレベーターで初めて見た時のイメージに近い。
「ちっ、違う、犯されるのは嫌! こんなトコ、今すぐ出たいよ!!」
 沙綾香は目を剥き、必死になって否定する。だが皮肉なことに、まさにその瞬間、ジャマールの逸物がひときわ力強く捻じ込まれた。
「……くんんッ!!!」
 沙綾香の背中が弓なりに反り、ぶるっと震え上がる。そして、当然の事のように、鈴の音が鳴り響く。桜織が、ギャラリーが、『それ見たことか』という笑みを漏らす。
「ち、違う、違うっ!!」
 沙綾香は叫び、顔を振る。痛々しい姿だ。心がいくら踏みとどまろうと、肉体に裏切られてはどうしようもない。それを身を以って知っているからか、祐希、千代里、藤花の3人も、苦い顔で舞台を見上げている。
「素直になればいいのに。こんな幸せ、他にないわよ?」
 桜織は続けてそう囁き、自ら腰を振りはじめる。より深く、より強く、黒人の剛直を膣で呑み込めるように。
「ふ、あ、あっ……あああ゛あ゛きたああ゛っ!! おっおっ、奥っ、ゴリゴリ……きひいいい゛っ!!!」
 桜織の品ある顔はみるみる歪み、快楽の叫びを迸らせる。リン、リン、と鈴の音が断続的に鳴り、立て続けの絶頂を証明する。それを間近で見せつけられる沙綾香は、凍りついていた。唖然とする気持ちもあるだろう。だが同時に、羨む気持ちもあるように思えてしまう。少なくとも彼女の肉体は、快感を求める動きをはじめていた。少しずつ、少しずつ蠢き、絶頂へと近づいていく。鈴の音が桜織のそれと重なるのに、長くはかからない。
「あ、あ、あ……だめっ、いっちゃ……!!」
「あはあっ、ああおおお゛っ!! いいくっ、いくっ、あああああ゛っ!!!」
 2人の美少女が、不似合いなほど大口を開け、快感を訴える。鏡写しのように指を絡ませ、腰をうねらせながら。


                 ※


 親友2人を向かい合わせで犯す。その悪質なやり口が気に入ったのか、黒人共は犯し役が交代しても、体位を変えようとはしなかった。一人が射精すれば、また別の1人が背後から挿入し、沙綾香と桜織を密着させる。
 3人目のレジャナルドは、特に悪質だった。奴は思うさま沙綾香の膣を堪能しながら、血走った眼で尻の穴を凝視していた。
「へへへ。俺のを突っ込まれるたびに、ケツがヒクヒクしてるじゃねぇか」
 奴はそう言うが早いか、沙綾香の尻穴に指を突っ込んだ。中指と人差し指の二本だ。
「ふぁああっ!?」
 完全に不意打ちだったんだろう。沙綾香は目を見開き、背後を振り返る。その初々しさの残る反応は、客にとって格好の笑いの種だ。たちまち投票ボタンが押し込まれ、沙綾香の得票数が伸びていく。だがそれは、沙綾香の顔を屈辱に歪ませるだけだ。
「おうおう、美味そうに指を締め付けやがって。いいぜ、アヌスにもくれてやるよ!」
 レジャナルドは大声でそう宣言し、割れ目から逸物を引き抜いた。そして滴るほどの粘液に塗れたそれを、躊躇なく肛門にねじり込む。
「ふッ、ぐううんんんっ……!!」
 後ろに挿れられた瞬間、沙綾香は伸びあがった。漏れた声も妙だった。嫌がってみせようとするも、甘い声を隠しきれなかった……そんな感じだ。
「あはっ、気持ちよさそう。お尻に入ってるんでしょう?」
 薄い胸で沙綾香の乳房を潰しながら、桜織が囁く。子供が親相手に去勢を張るような構図だが、圧されているのは明らかに沙綾香だ。
「後ろって、そんなにいいの?」
 続けて桜織が囁くと、沙綾香は大きく首を振る。年頃の女の子が、それも友人に向かって、『肛門で感じる』などと告白できるはずもない。だが、レジャナルドはその想いを嘲笑うように挿入を深めた。20センチを悠に超える怒張が、根元まで肛門に入り込む。直腸奥のさらに先まで入り込んでいるのは間違いない。
「ひひひっ、えらくスムーズだ。すっかり結腸に嵌まり込むルートが出来ちまってらあ」
 レジャナルドの発言で、場がざわついた。
「結腸……まさか、直腸から繋がるS字結腸か!?」
「うっへえ。そんなとこ、よく生のチンポで届くな。ま、あのデカチンなら有り得るか」
「いやいや。届くのも驚きですが、問題はあの太さですよ。あの調教師、亀頭なんかテニスボース大じゃないですか。そんな物を結腸に嵌め込まれるなんて……」
「た、確かに!」
 客が興奮気味に言葉を交わす中、レジャナルドは入念に結腸を犯す。沙綾香の肩を鷲掴みにして固定し、中腰の姿勢で数センチ尻を引き、斜め下からぐうっと押し込んでいく。
「……ッ、…………ッッ!!」
 沙綾香は最初、声を完全に殺して耐えていた。目の前……桜織の前髪辺りに睨むような視線を向けたまま、じっとしていた。だが、それも数十秒が限界だ。
 しっかりと床を踏みしめていたローファーが、つま先立ちになっていく。そして、先端が完全に踏みつぶされた瞬間。リン、と鈴の音が鳴った。誰もが固唾を呑んで見守る中、それは嫌になるほどよく通る。桜織を抱くダーナルも、今はわざと腰を止めているため、絶頂したのは沙綾香以外には有り得ない。
「いひひひっ! あいつ、ケツでイキやがった!」
 客の1人が声を上げ、それをきっかけに笑いが起こる。沙綾香は顔を歪めるが、その表情はすぐに絶頂の色に染まった。
「っぉ、おほっ……お、お…………っ!!」
 沙綾香の口が開き、呻き声が漏れる。ニーソックスに包まれていない生足部分に、くっきりと筋肉の筋が浮く。
「ははは、凄い力みぶりだな! アナルレイプらしくなってきたじゃないか」
「アナルどころか、厳密には結腸レイプですからね。結腸って便意を知らせるセンサーが山ほどあるそうですよ。そんな場所をこじ開けられたら、あんな反応にもなるでしょう」
 客が囁き合う中、沙綾香の反応はより激しくなっていく。息は乱れ、全身が震え、そして沙綾香は顔を伏せた。だがその顔を、目の前にいる桜織が両手で持ち上げる。
「うっ!?」
 強引に顎を浮かされて戸惑う沙綾香に、桜織は笑みを向けた。
「顔を見せて、沙綾香。私、知りたいの。結腸で絶頂させられる時、女の子がどんな顔になるのか」
 笑みこそ浮かんでいるが、桜織の目は真剣だ。彼女は学業優秀な生徒らしい。当然、知識欲も旺盛だろう。それが、最悪な形で顕れているらしい。
「い、委員長……や、やめ、て……っ!!」
 桜織に顔を掴まれた沙綾香は、苦しそうに顔を振る。そんな中、レジャナルドが体位を変えた。桜織が沙綾香の顔を掴んでいるのをいいことに、完全な後背位の形で尻を犯す。“突き上げ”よりも遥かにスムーズに動かせる、“突き込み”。膣を使ったセックスと何ら変わらない速度で、剛直が根元まで入り込んでいく。
「ぃあ゛あ゛っ!?」
 沙綾香が悲鳴を上げ、目だけで背後を振り返る。鈴の音が鳴るペースが上がる。
 そして、彼女は震える手でスカートを掴んだ。どんな気持ちでそうしたのか、はっきりとはわからない。だが多分、彼女は拠り所が欲しかったんだ。事実、彼女の表情は、その直後に正気を失った。瞳が焦点を結ばなくなり、熱に浮かされたように上空を見上げる。口から漏れる「おおお」という声も、芯がなくなったようだ。
「うわぁ……」
 桜織は、そんな沙綾香の顔を両側から掴み、見入っていた。口元に湛えた笑みは、嘲笑か、あるいはもっと純粋なものか。
「へへへへ、この窄まりは格別だな。筋かなにか知んねーが、コリコリした輪っかが裏筋を刺激して最高だぜ。喉奥ともまた違う感触だ。もう……出るぞッ!!!」
 好き放題にアナルを犯すレジャナルドは、そう言って射精に入る。腰を密着させた、結腸内部への直射精だ。
「最高だぜサヤカ、お前のアヌスは」
 数十秒後、心地よさそうな溜息と共に射精を終えたレジャナルドが、ようやく腰を引く。極太の栓が外れた肛門からは、すぐに精液があふれ出す。
「すげぇ、まるで白いクソだ!」
「へへへへ、すげぇな。おい、こっち来てよ、自分でケツ開いて見せてみろ!」
 すかさず客から浴びせられる罵声に、沙綾香の眉が吊り上がる。だが、逆らったところで仕方がない。彼女は憮然とした表情のまま、ステージ端まで移動すると、客に尻を向けた。震える指が尻肉に食い込み、左右へと割りひらく。黒人ペニスで拡げられた肛門が、より鮮やかな華を咲かせる。白い蜜を零す紅い華。
「はははっ! 中からどんどんザーメンが溢れてきやがる!」
「っていうか、開きっぱなしね。戻りおっそー。あの巨根にこじ開けられて、括約筋がバカになってるのかしら」
「いや案外、見られたくてわざと開きっぱなしにしてるのかもしんねーぞ?」
「ありえるありえる、ケツでイキまくる変態だもんな! 今のアナルハメで、何回イッたんだ!?」
 客の罵りは止まらない。沙綾香がどれほど顔を歪めようと……いや、その恥じらいがあればこそ、か。


                 ※


 沙綾香はその後も、俺達の目の前で後ろの穴を犯された。沙綾香の長い脚をがに股に開いたまま、立ちバックでのアナルセックス。ステージの外周をその状態で歩き回り、ランダムな位置で立ち止まっては、客のすぐ目の前でセックスを見せつける。
「ほっほ、いやらしい。犯されているのはあくまで尻だというのに、陰唇のヒクつきが止まらんじゃないか!」
「ザーメンに混じって、マン汁が垂れてやがる。マジで感じてやがんだな、ケツでよ!」
 客は沙綾香の恥じらいの部分を凝視し、無遠慮に詰りつづけていた。
「み、見ないで、よ……っ!!!」
 沙綾香は割れ目を手で隠そうとするが、黒人共がそれを許すはずもない。手はすぐに横の誰かに掴み上げられてしまう。さらに犯しているトラバンも、沙綾香の右腿を掴み上げ、大きく股を開かせに掛かった。間違いなくアナルを犯している、と客へ見せつけるように。
「何度拝んでもすげぇな。あんなデカマラが、よくもまぁケツに入るもんだ!」
「ああ。便秘の時のクソ以上だ!」
「いいぜいいぜぇ、もっと浅ましく善がれ! 俺達を愉しませりゃ、ポイントをくれてやるよ!」
 客は手を叩いて笑い、極上の美少女を貶める。悪夢のような状況だが、皮肉なことにポイントの伸びは悪くない。最初の頃の停滞具合が嘘のようだ。

 だが、桜織のハードさはもっと上だった。彼女は今、吊り橋のように担ぎ上げられて犯されている。華奢な身体が、大柄な黒人に前後から犯される──露骨に危機的な状態だ。だが、彼女はそのハードさを喜んでいた。
「んぶはっ……きゃん、はあうんっ、んんっ!! すごっ……そこ、そこおおっ!! こ、これすごい……頭もカラダも、フワフワして……わ、私、どうなっちゃうの……っ!?」
 口が自由になるたび、桜織はそんな言葉を叫ぶ。状況を愉しんでいるとしか思えない言葉だ。
「何叫んでっかわかんねぇが、スゲェだろ。たっぷり咥えろよ、前も後ろもよぉ!」
 マーキスが桜織の顔を掴み直し、逸物を小さな口に押し込んでいく。
「んぶうっ、ん゛ぐっ!! も゛え゛、ほも゛ぉお゛お゛え゛……る゛ぉ゛お゛え゛っ!!」
 身体が未成熟だからか、単に喉がこなれていないからか。桜織がディープスロートで発する声は、沙綾香や千代里のそれ以上に異質だった。口から内臓でも吐き出しているかのような響きだ。実際、彼女の目頭からは反射で涙が零れているし、限界まで開いた口からも、泡に塗れた唾液が滴っている。額にびっしりと浮く汗の量も普通じゃない。
 それでも彼女は、明らかにその地獄を望んでいた。前にいるドミニクの腰に手を当てているが、押しのける様子はない。むしろ腰を掴むことで、宙吊りの姿勢を安定させている。えずき声と共に白目を剥き、手がダラリと垂れ下がることもあるが、客が反応を求めればすぐに手を振ってみせる。
「はあ、はあ……はあ、はあっ……お、犯して!! もっと、もっと!!!」
 床へ下ろされてからも、桜織は更なる刺激を求めた。自ら大股を拡げ、病的に瞳を開かせて。
「ククッ、呆れるぜ。底なしの性欲だな!」
「ああ。俺らにこんだけ犯されて、まだ欲しがるなんてよ。上等だぜ、ぶっ壊れるまで可愛がってやる!!」
 黒人共にも意地があるらしく、顎の汗を拭って桜織に襲い掛かる。正常位で壊れそうなほど腰を打ちつけ、目を疑うほどの剛直を根元まで咥えさせ。それでも、桜織は性に貪欲な姿勢を崩さない。自ら頭を前後させ、唾液を泡立てながら、グジュグジュと凄まじい音を立ててのディープスロートを繰り返す。手は近くにいる黒人の逸物を扱いていたかと思えば、脹脛を抱えて自ら『マングリ返し』の恰好を作り上げ、犯される刺激を強める。
「ひゃははははっ!! すげえ、すんげえ!!」
「見ろよあれ、自分から……!」
「ふむう、なんという変態ぶりだ……!!」
 桜織側のギャラリーは、もはや茶化してすらいない。自分達が求める以上の変態行為を、桜織自身がやってしまうものだから、ただただ堪能するばかりだ。当然、その指は投票ボタンを押し込み続ける。調子のいい沙綾香を遥かに凌駕するペースで、モニターの数字が伸びていく。
 今、沙綾香は62票、桜織は実に170票超。
「あーあー、ここで100票差がついちまったか。こりゃあもう、結果は見えたな!」
「ああ、こっから巻き返すのは無理だ。よほどの事が起きなきゃあな!」
 ステージ下に控える手越とロドニーが、時計を見ながら思わせぶりに語る。明らかに聞かせることが目的の声量だ。それは当然、沙綾香の耳にも届く。
「っ……!!」
 沙綾香は唇を噛んだ。このままではまずい、とは彼女も思っているんだろう。
 桜織は最強のライバルだ。彼女の言動は、変態客の需要と合致しすぎている。そんな相手と渡り合うには、羞恥心を完全に捨て去るしかないが、それには俺の存在が邪魔だ。
 今日の沙綾香は、調教初日に戻ったかのように初々しい。膣内射精をされれば眉を顰める。股を拡げられれば秘部を隠そうとする。俺という足枷があるせいで。
「とうとう負けちまうなあ、お嬢ちゃんよう」
 手越はステージの際まで歩み寄り、沙綾香に呼びかけた。
「う、くっ……!!」
 沙綾香の顔がますます歪む。そんな沙綾香を面白そうに見つめ返してから、手越は俺の方を振り返った。いや、俺じゃない。奴が目線を送っているのは、俺の隣にいる端塚だ。
 端塚は、ゆっくりと頷いた。それを受けて手越が笑みを浮かべ、胸元に手を入れる。そうして取り出したのは、袋入りの錠剤だ。
「な、なに、それ……?」
 目の前に袋を翳され、沙綾香が呻く。
「倶楽部特製のクスリだ。これ単体でもどんなシャブよりキマるが、お前がいつも吸ってるガスとの相互作用も当然ある。これを使ったセックスを一度覚えちまうと、もうコレなしじゃ居られなくなるぜ」
 手越の答えは、説得力があった。沙綾香が規格外の黒人ペニスを受け入れ、狂わされたのは、偏に媚薬ガスの効果だ。それを生み出した技術力でなら、どんな凶悪なドラッグを作れても不思議はない。
「最悪……!」
 沙綾香は呻くように声を絞り出し、錠剤を見つめる。焦りと躊躇が鬩ぎ合っているのが見て取れる。
「怖いか? まあ、そうだろうな。お前は、ガスの効果を身をもって知ってる。興奮状態で黒人共にマワされた時の“ブッ飛ぶ”感覚を、何度も味わっちまってる。コイツを使えば、それ以上になるのも理解してるだろ。お前に多少の根性があろうが、コレを使っちまえば終いだ」
 手越は手にした袋を振り、沙綾香を煽った。その言葉は沙綾香の眉を引き攣らせ、客に嗜虐的な笑みを浮かべさせる。
「ま、使わないってんならそれでもいいぜ。どうせこの審査会でお前が負けても、桜織がセックス地獄に堕ちるだけだ。アイツはむしろ、それを望むだろうぜ」
 続く手越の言葉に、沙綾香は目元と口元を引き締めた。覚悟を決めたらしい。
 桜織は今でも壊れかけに見えるが、あの黒人共に毎日輪姦されるようになれば、それこそ確実に終わる。たとえ助け出されたとしても、二度と元の彼女には戻れなくなる。悲劇に巻き込んだ身として、それだけは絶対に許せないんだろう。
「…………ちょうだい」
 沙綾香は手越を見下ろし、はっきりとそう告げた。客が歓声を上げ、その言葉を待っていたらしい手越も、錠剤を乗せた手を沙綾香に差し出す。
「…………はあ、はあ…………」
 錠剤を受け取った沙綾香は、息を荒げはじめた。
「おいおい、呑んでもねぇのにもう興奮してんのか!?」
「すっかりクスリの中毒だな、お嬢ちゃんよぉ!!」
 客は的外れな野次を飛ばすが、俺には判る。沙綾香の不安が、恐怖が、そして覚悟が。
 と、ここで沙綾香は、俺の方を向いた。これまで不自然なほどに俺から顔を背けていたというのに、真っ直ぐに俺を見つめる。
『私の顔を忘れないで』
 そう訴えるような、強い光を宿す眼で。
「沙綾香……!!」
 俺は、思わず声を漏らす。身体も勝手に前のめりになるが、同時に背後からスタンガンを押し当てられた。
 ステージまでおよそ4メートル。走り出せばものの数秒で抱きしめられる距離。だが、その距離を詰めることは許されない。こんなに近いのに、生々しい匂いさえ嗅げる距離なのに、今までで一番沙綾香が遠く思える。

 そして沙綾香は、薬を呑み込んだ。喉が動き、錠剤が通り抜けたのがわかる。
 嫌な予感が止まらない。ここまで温存されてきた薬物ということは、ヘロイン以上の催淫効果がある例のガスより、さらに強力なんだろう。
「…………はぁ、はぁ……は、はっ、はっ……あっ、あ、は、はあっ……!!!」
 もともと乱れがちだった呼吸が、さらに荒くなっていく。瞳孔が開き、汗が噴き出す。
「ヒューッ、キマってんなあ!」
「クスリって怖ぇな。さっきまであんな気ィ強そうな目してたのに、一瞬でボーッとした感じになって……」
「確かにな。熱出してぶっ倒れる寸前って感じだ」
 客は、薬に侵される沙綾香を見て笑みを浮かべる。そして、沙綾香を取り囲む黒人共も同じくだ。
「ひひひっ、この顔この顔! 昨夜はこの顔が頭に浮かんでよ、ウズウズして寝られなかったぜ!!」
「俺もだ。睨み顔もいいが、このエロい表情が堪んねぇ! 見慣れねぇジャップだから可愛く見えるのかと思ってたが、違うな。ジャップの中でもこいつは別格だ!」
 黒人共は白い歯を剥き出して笑い、沙綾香との距離を詰めた。背後に回ったレジャナルドは、耳元に息を吹きかけもする。
「んひいっ!?」
 沙綾香の反応は露骨だった。肩を跳ねさせ、目を見開いて叫ぶ。空気の流れだけで感じてしまうほど、感度が上がってるらしい。
「可愛いぜぇサヤカ。お前は良いペットだよ」
 レジャナルドはそう囁きながら、今度は沙綾香の胸を揉みしだく。ブレザーとブラウス腰の愛撫だが、今の沙綾香には強すぎる刺激だ。
「ハッ、ハッ……やめ、て……!!」
 嫌がる中でも声が震え、やがて鈴の音が鳴り響く。
「いひひ、敏感になってやがんぜ! スクールガールコスもそそるんだが、ファックにゃ邪魔だな。そろそろ上脱がしちまうか」
 レジャナルドは笑みを深めつつ、沙綾香のブレザーを脱がしに掛かった。
「ちょっ、そんな乱暴に……!!」
 沙綾香は抵抗するが、それによって前が無防備になる。その隙をついて、今度はトラバンがブラウスに手を掛けた。
「そぅーら、御開帳だ!」
 岩肌のような前腕がさらに盛り上がれば、バツンッと音を立ててブラウスのボタンが弾け飛ぶ。そして、乳房が零れ出した。十分に実った果実と、桜色の乳輪、勃起しきった乳首が衆目に晒される。
「おおっ、ノーブラかよ!? お嬢様学校の制服きっちり着といて下着は無しとか、すげえ変態プレイだな!」
「別に、イメージ通りでしょ。学校でもやってたんじゃないの? 女子高だとさぁ、ブラウス越しに勃起乳首見せつけて、男の教師に媚び売るコってたまにいるんだよね。アンタもそうやってたんでしょ、エロガキ!」
「しかし、良い乳だな。乳首は淡いピンクで、あのサイズで垂れていないとは。ティーンの裸はやはり最高だ!」
 客から一斉に罵声を浴びせられ、沙綾香は俯く。悔しそうに唇を噛み締めるのは、薬で朦朧としながらも羞恥心を失っていない証拠だ。そしてその気高さを、また黒人が弄ぶ。トラバンの指先が割れ目に沈み込めば、沙綾香の顎はあっさりと浮いた。
「はああぁうっ!!」
 口が大きく開き、虚ろな瞳が宙を漂う。その結果、彼女の視線は、桜織の方を向いた。
「ひ、ひいっ、気持ちいいっ!! いっ、イクイクっ! し、死ぬううーっ!!」
 桜織のプレイは、さらにハードさを増していた。床に寝そべるアンドレに跨り、なおかつ背後からダーナルに圧し掛かられる形だ。肉が密集していて挿入部分は良く見えないが、前後の穴に入っているのは間違いない。
 桜織にアナルの経験がどれだけあるのかは知らないが、黒人相手のアナルセックスは初めてのはずだ。にもかかわらず、彼女は喜んでいた。舌を突き出し、涎を垂らして。誰がどう見ようと、心地良さしか感じられない顔。
「委員長……」
 沙綾香は、桜織の表情を見て眉を顰める。しかし同時に、その顔つきに見入ってもいるようだった。
「気持ちよさそうだなあ、お前のお友達はよ。お前もああされてえんだろ?」
 トラバンはそう言って、割れ目の中で指を蠢かす。沙綾香を囲む他の連中もそれに倣った。口の中に二本指を捻じ込み、両の乳首を摘んで引き絞り、尻穴にまで指を沈め。
 黒人共の指は太いが、ペニスの代わりには程遠い。それでも沙綾香は、その指責めに翻弄されていた。
「あ、れあっ、あえっ! ああえあっ、えくっ……!!」
 不自由な悲鳴を上げつつ、腰をガクガクと前後させる。乳首を弾き絞られるたび、前後の穴で指が曲がるたび、鈴の音が鳴る。とはいえ、それが聴こえるのも時々だ。桜織の頭部からは、さらにハイペースで音が鳴っているんだから。
「おおお゛お゛お゛っおかしくなる゛う゛う゛っ!!! おっおひりもっ、おまんこもっ、こあれちゃう゛う゛う゛っ!」
 喉へ極度の負担が掛かりそうな絶叫と共に、背を仰け反らせる桜織。沙綾香は、その姿から視線を外せない。親友の姿を視界に捉えたまま、指の刺激に悶えつづける。唾液も愛液の量も尋常じゃなく、鈴の音の間隔も短くなってきた。
「はははっ! あいつ、絶対自分が犯されてる妄想してんぜ!」
「完全に指をチンポだと思ってんな、ありゃあ!」
 客にまで見透かされた、その瞬間。
「れえああああっ!!」
沙綾香は呻きながら震え上がる。あまりにも解りやすい絶頂だ。
「ひひっ、思いっきりイキやがって」
 黒人共が満足そうに笑いながら指を抜けば、その指には光る糸が絡みついていた。
「ハーッ、ハーッ、ハッ、ハッ……だ、だめ、頭、しびぇるっ……ないも、考えらえない…………」
 沙綾香の顔は、異様だった。見開いた眼から涙を零し、開いた口から涎を零す。呂律も回っていないため、まるで失禁した泥酔者のそれだ。
「だいぶクスリが回ってきたな。俺らの指はそんなに美味かったか? なら、次はもっとトべるぜ」
 黒人共は沙綾香の反応を喜びながら、完全に回復した逸物を扱き上げる。
 ドラッグセックスの本番は、ここからだ。


                 ※


「自分で腰を下ろしてみろ」
 床に寝転がったトラバンからそう命じられ、沙綾香が固まる。トラバンの逸物は、『剛直』と呼ぶべき圧倒的なサイズだ。幹には恐ろしいほど血管が浮き立っていて、相当な硬さも見て取れる。クスリの効いている今、そんなものを受け入れるリスクは、沙綾香自身が一番理解しているだろう。
 とはいえ、迷っている時間はない。今この瞬間にも、桜織は身を削るようなハードプレイで点数を稼いでいる。沙綾香とのポイント差は開く一方だ。
 沙綾香は唇を引き結び、トラバンを跨ぐ形で中腰になる。上はブラウス、下はミニスカート姿の女子高生がそんな格好をすること自体、禁忌というべきだ。だが客は、“さらに下”を求め続ける。
「もっと尻突き上げろ、変態らしくよ!」
「スカートも邪魔だな。挿入するところが良く見えるように、上げておきなさい」
 百合や藤花を犯しながらの、高圧的な命令。沙綾香は一瞬それに不快そうな顔を見せるが、結局は命じられた通りに尻を浮かせ、スカートをたくし上げる。
 そして、膝が曲げられた。腰が沈むたびに、太腿の形が変わり、ハイソックスが肉に食い込んでいく。
 鉄球を思わせる亀頭が割れ目に触れた瞬間、沙綾香は一瞬動きを止めた。そして、周りに聴こえるほど大きく喉を鳴らしてから、さらに深く腰を落とす。割れ目が圧縮されたゴムのように左右に広がり、『剛直』を呑み込んでいく。いやというほど見慣れた、日常の光景だ。
 だが。
「はあああっううう!!?」
 逸物が半分ほど入ったところで、沙綾香はいきなり悲鳴を上げた。火に触れたような勢いで腰を浮かせるが、亀頭が抜けた瞬間に響く鈴の音は、動かぬ絶頂の証だ。
「おいおい、どうした? 気持ち良すぎたか?」
「ばっちりイッたもんな、痛いってことはねえよな!」
 客からすかさず罵声が浴びせられる。そんな中、沙綾香は腰を浮かせたまま膝を擦り合わせ、下腹部を見下ろしていた。処女を失ったばかりの時に、股の違和感を探っていた時の反応とそっくりだ。
「よお、どうした。俺の息子が寂しがってるぜ?」
 トラバンは沙綾香を見上げて煽りながら、いきり勃った逸物を振ってみせる。
「はあ、はあっ、はあっ…………!」
 沙綾香は荒い呼吸のままモニターを睨み、姿勢を変えた。今まではトラバンと向き合い、客に尻を向ける格好だったが、今度はその逆……トラバンに尻を向け、客の方を向く形で腰を下ろしていく。なるべく顔を見られない方法を取りたかったが、さっきのやり方では感じすぎてしまうんだろう。
 腰はゆっくりと沈み、また怒張を半分咥え込んだところで止まった。膣奥に達したのかもしれない。昂ったことで子宮が下りているなら、トラバンの巨根を半分も咥え込めば、充分に奥まで届いてしまう。だとすれば、そこから先は地獄だ。肉体的な意味でも感覚的な意味でも、限界の先に行かなければならない。それも、自分の意思で。
「は……はっ、はっ……はっ…………」
 沙綾香は汗まみれのまま俯き、両手を床についた。そしてその手を支えに、大股開きの腰を沈めはじめる。白い下腹と黒い腰を繋ぐ支柱が、僅かずつ短くなっていく。
「んぐっ……はぅウっ……!!!」
 艶やかな黒髪に隠れた顔からは、呻き声も聴こえてくる。
「すげぇ気張ってんな。和式の便所で一週間分のクソひり出してるように見えてきたぜ!」
「確かに。飲み込んでんのも、チンポっつーより、極太のクソって方が近いサイズだしな!」
 客の野次にも、反応する余裕などないだろう。
「うひゃひゃっ、こりゃすげぇ。肉がみっしり詰まって、バージンのプッシーみてぇだ! まあ本物のバージンと違って、中はドロドロに蕩けてるがな!」
 ミリ単位での挿入が続く中、トラバンが喜びの声を上げた。薬の効果で、膣の締まりが一変しているらしい。そしてそれは、沙綾香自身の快感が増しているという意味でもある。
 長く感じる挿入の果てに、とうとうペニスの8割方が挿入された頃。
「──っあああああッッ!!!」
 沙綾香が悲鳴に近い声と共に、顎を跳ね上げた。眉根を寄せ、目を固く瞑っての絶叫。それこそ性経験のない処女が、黒人ペニスを挿入されて泣き叫ぶ姿を思わせる。だが、彼女が味わっているのは苦痛じゃない。糖蜜のような甘さだ。激しく左右に振られる頭からは、リン、リン、と何度も鈴の音が鳴っている。
「オゥ、シィット……なんて締まりだ!!」
 一方のトラバンは顔を歪めながら笑い、ちょうど宙を彷徨っていた沙綾香の手首を引き絞る。
「あああっだめ、だめやめていくううっ!!!」
 背中を反らしたことで、沙綾香の顔は完全に天井を向いた。そしてその姿勢のまま、彼女は痙攣と共に絶頂する。鈴の音はいつもと変わらない響きだが、今度の絶頂は相当深いに違いない。
「ぬうっ……ぐおおおお、搾り…取られるっ!!」
 トラバンも歯を食いしばって呻き、あえなく射精に入った。それを受けて、沙綾香が背後を振り返る。
「え、いやっ、出さないでっ!! 妊娠しちゃう……今、子供出来ちゃうからあっ!!」
 沙綾香は、トラバンが無精子症にされていることを知らない。もし精子が活きているなら、妊娠が確信できてしまう状態、ということか。
 沙綾香のこの発言は、当然ながら客を沸かせた。
「ははははっ、今更何言ってんだ。妊娠なんざ確実だろ、あんなコップ一杯の量をドバドバ注がれてんだから!!」
「まあでも、気持ちはわかるよ。女って中出しされた時に、『あ、これ妊娠するな』ってタイミングあるんだよ。子宮が相手の子供欲しがって疼いて、卵子吐き出しまくるの。まあそういうのって、普通は彼氏以外には起きないんだけどね。あんなゴリラみたいな黒人にレイプされながらとか、ちょっと考えらんない!」
 同性異性を問わず蔑みの言葉が投げ込まれ、沙綾香の心を抉る。
「ふう、う……う、くっ…………!!」
 沙綾香は、頬に涙を伝わせながら膝をついた。そして、根元まで入り込んだ剛直をゆっくりと引き抜いていく。太腿だけが張った華奢な身体はぶるぶると震え、鈴の音も鳴る。そうしてようやく怒張が抜け切っても、悲劇は終わらない。
「くんんんっ!!!」
 テニスボール大の亀頭が外へ弾け飛んだその瞬間、また甘い声が漏れた。そして同時に、開ききった割れ目から飛沫が上がる。精液と愛液の混じった液だ。噴き方はやや不自然だった。勢いよく噴くわけじゃなく、出の悪い小便のように、ぷしゅっ、ぷしゅっ、と小さな飛沫が何度も上がる。その原因は、沙綾香を見ればなんとなく見当がついた。
「あっ、あっ、ああああっ……!!」
 沙綾香は、怒張が完全に抜けた今も、腰を痙攣させつづけている。鈴の音こそしないが、小さく絶頂しているのは明らかだ。その絶頂のせいで膣周りの筋肉が収縮し、潮の出を邪魔しているんだろう。
「はははっ! あのガキ、まーだイってやがる。余韻長ぇな!!」
「ザーメンマンコを見せつけやがって、そうまでしてポイントが欲しいか? いいぜ、ならくれてやるよ。その代わり、もっと楽しませろよ!」
 客は口々に沙綾香を辱め、投票ボタンを押しこむ。一気にポイントが加算されたが、まだまだ桜織との差は大きい。今の沙綾香には、未知の感覚を消化する暇さえなかった。


                 ※


 自分から腰を振る。いかにも変態めいたこの行為を、客は大いに喜んだ。そしてその方向で、次のプレイが指定される。
 あくまで沙綾香が主体となり、騎乗位で奉仕する。黒人を一人射精に導くごとに30票を得る。
 これが、客の提示した条件だ。ロドニー経由で条件を伝えられた黒人共は、面白そうだと快諾した。そして沙綾香もまた、この条件を呑んだ。射精一回で30票は破格の条件だ。残り時間は1時間あまり。それぐらいでなければ、桜織に追い付くことなどできそうにない。

 桜織に掛かりきりの3人を除いた、7人がステージ外周に足を向けて寝転がる。歪な黒い丸太が並ぶような光景は、相当なインパクトだ。
「さあ、とっとと始めろ。時間ねーんだろ?」
 客がそう声を掛けると、沙綾香は7人の左端に歩み寄る。一番左に寝ているのは、タイロン。よりにもよって、10人の中でも最大のペニスサイズを誇る奴だ。
「カモ―ン」
 タイロンは薄ら笑みと共に手招きするが、その馬を思わせるペニスは半勃ちというところだ。タイロンに限らず、他の連中も。ここまでハイペースにセックスを繰り返し、全員が5、6発は射精している。いかに絶倫とはいえ、回復までに時間が掛かようだ。だからこそ、黒人共はこのプレイを歓迎したのか。
「あーら、竿役が元気ないわねえ。こういう時は、女が口で勃たせるのよ?」
「たっぷりしゃぶってやれ。ケツこっちに向けてな!」
「股もちゃんと開いとけよ。ザーメン壷みてぇになってるJKマンコを、たっぷり拝んでやるからよ!」
 客から下劣な命令が飛ぶ。そうでなくても、今のままでは挿入ができないんだから、沙綾香に選択肢はない。
「肝心な時に……!」
 沙綾香は恨めしそうにタイロンを睨みながら、その腰の両側に手をついた。客の命令通り、蹲踞を思わせる大股開きでだ。その状態で頭を下げて剛直を咥え込めば、直視も憚られるほど無様な格好ができあがる。ギリギリ肛門を隠せていないマイクロミニのスカートが、かえって惨めさを強調している。
「ぶっ、あっははははっ!! 見て、すっごい格好!」
「うそー、あそこまでやるんだ。しかも、丸見えとかってレベルじゃないし。尻穴もオマンコも開きっぱなしで、ザーメンが零れてるじゃない」
「終わってるねー。この人数の前であんなカッコするぐらいなら、死んだ方がマシだわ!」
 客はこぞって罵詈雑言を浴びせるが、同性からの言葉は特に辛辣だった。沙綾香もやはり堪えるのか、詰られるたびに前後の穴をひくつかせ、そのことでまた笑いの的となってしまう。
「う、くううっ……!!」
 沙綾香は恥じ入りながらも、大蛇のような怒張へ舌を這わせる。裏筋、カリ首へと、丹念に。その甲斐あって、怒張に張りが戻りはじめた。
「なかなかいいぜ……よーし、そのまま咥えこめ」
 タイロンが命じると、沙綾香は限界まで大口を開け、傘の開いたキノコのような亀頭を口に収める。
「んごっ、はごごっ……うぉも゛あっ、もっがおああ゛っ!!!」
「いひひひっ、こりゃあいい。200ドルで買った娼婦より気持ちいいぜ!」
 サイズがサイズだけに、えずき声が凄まじい。タイロンの逸物は刻一刻と大きさを増し、沙綾香の顔をさらに歪ませる。
「ぷはっ!!」
 沙綾香は怒張を吐き出した。張りを取り戻したペニスは、彼女の顎から額にかけての長さを超えている。それを目の当たりにして、沙綾香は息を呑んだ。自分がこれから、薬に侵された身で受け入れる凶器……しかもそれが頭部以上の長さとなれば、どれだけ恐ろしいことか。それでも、彼女には恐れている時間すらない。モニターを見上げ、強い瞬きで涙を切ると、客の方へと向き直った。
「へっへ、よく解ってるじゃねぇか!」
「いいぜぇ。テメェで腰振りながらイキまくる面ァ、たっぷり拝ませてくれよ!」
 客から好奇の視線を浴びつつ、腰を沈める。亀頭が触れると一瞬動きが止まるが、大きく息を吐いて呑み込んでいく。
「うおお、確かにネットリ絡みついてくるな。こりゃ堪らんぜ」
 タイロンは余裕そのものだ。寝転がったまま口笛を吹きながら、沙綾香の尻を眺めている。勃起こそしたが、まだまだ射精感は薄いらしい。それを絶頂へ導くとなれば、並大抵のことじゃない。
「んっ、ぐ……くあっ、は、あ……うくっ…………あはっ……!!」
 沙綾香の顔は様々に変わった。剛直を呑み込む時には歯を食いしばり、抜く時には大きく口を開く。いかにも辛そうに見えるが、たまに鈴の音が鳴るところからして、実際には気持ちいいんだろう。この倶楽部のドラッグは、拷問のような苦痛をそっくり快楽に変えてしまうらしい。
「やっ、また大きく……だめ、あ………おお゛……ぐうううっ!!」
 沙綾香はまた絶頂した。しかも今度は、格別に深いようだ。顎を浮かせ、薄笑みを浮かべたまま静止する。腰を深く下ろし、膝を掴んだまま震えるその姿は、快便の心地よさに酔いしれているかのようだ。
「おおお、良い顔だ。快感でトロけとるわ!」
「うへぇ。あんな、鉄杭みたいなの自分から咥え込んでアへるとか、頭オカシイ変態ぶりだな。100年の恋も冷めんだろこれ」
 客から待っていたとばかりに罵声を浴びせられ、沙綾香が意識を取り戻す。
「くうっ……!」
 悲痛に顔を歪め、表情筋を引き締める沙綾香。だが、腰を上下させはじめれば、すぐに口が開いてしまう。
「おお゛っ、あぐっ……はああうぐっ!! んあっ、はっぐ、あ、やあ゛っ!!!」
「ひっひ。まるで強姦でもされてるみてぇな声だな」
「なあ。自分から跨って、逆レイプしてるくせによお!」
 規格外の怒張を咥え込む苦しさ。早く絶頂へ導かなければという焦り。そして客からの、容赦のない謗り。それらは確実に、沙綾香の心を抉ることだろう。
「うっへっへ、いいぜいいぜ! ここらが出し時だな。腰を振れサヤカ。思いっきり中に出してやる!!」
 タイロンが足を震わせ、ようやく絶頂を宣言する。それを受けて、沙綾香も腰の動きを早めた。ぐぽっ、ぐぽっ、という音が響き、鈴の音が鳴る。
 そして、射精が始まった。剛直が根元から蠢く大量射精を、沙綾香は腰を深く沈めたまま受ける。射精後に腰が浮けば、割れ目から土砂降りのように白濁が滴り落ちた。
「くくっ。なかなか見応えのある逆レイプだったぜ!」
 客は30回分ボタンを押しながらも嘲り、沙綾香の顔を曇らせる。
 観ていてつらい。だがともかく、これで最大のペニスサイズを誇るタイロンを果てさせた。後はサイズに劣る調教師ばかりだから、刺激は少なくて済むだろう。俺はそう考えた。だが、それは大きな間違いだった。

 二人目の相手はマーキス。タイロンとは逆で、10人中最もペニスの小さい男だ。この男の相手で、沙綾香は大苦戦することになる。
「おーおー、ユルユルじゃねぇか。これじゃ何時間擦られても、イケそうにねぇなあ!」
 沙綾香が腰を下ろした瞬間、マーキスは勝ち誇ったように笑う。
 そう。誇張でなく馬並みのサイズを誇るタイロンのペニスを受け入れれば、膣の筋肉は伸び切ってしまう。そうなったらもう、マーキスの逸物を締めつけることなど不可能だ。多分それを見越して、タイロンが一番手を、マーキスが二番手を選んだんだろう。女を辱めることにかけては、本当によく頭の回る連中だ。
 膣を締められないとなれば、膣奥を擦りつけて絶頂させるしかない。沙綾香は大きく尻を振り上げては落とし、パァンパァンと音を響かせる。それは、子宮口という最大の弱点を自らいじめ抜く行為だ。
「んぐっう、んあァっ、あ゛っ、お、おく奥ぅ゛ッ!! んんん深いっ……お尻に、響いて……あふうっ、あ゛っあ゛! んううう゛う゛っ!!」
 文字通りの肉弾戦を挑む沙綾香は、刻一刻と追い詰められていく。床につく両手と弾む脚は、岩でも支えるかのような力みぶりだ。目は天井を向き、快感で泳いでいる。それだけでも恥ずかしい行為ではあるが、少し時が経てば、状況はさらに悪くなかった。腰を上下させるたび、結合部から放屁のような音がしはじめたんだ。
「ぎゃはははっ、すげぇ“マン屁”だ! 本物のオナラよりひでー音だな」
「ホント、ブリブリ音させて。笑えるー!」
「さっきのでマンコが広がって、空気が入りまくってるわけか!」
 格好の口撃材料を、客が見逃すはずもない。嘲笑と罵声はさらに酷くなり、沙綾香の心をかき乱す。
「ふ、ぐっ……んぐっ、ふうんんっ!! は、早くイって……早く、イってよお……っ!!」
 沙綾香は、羞恥と快感で涙しながら腰を振る。それでも、マーキスは達しそうな気配すらない。笑みを浮かべ、沙綾香の尻穴を指で弄るほどの余裕ぶりだ。
 そんなマーキスをなんとか絶頂させようと、沙綾香は懸命に腰を振り続けた。黒人共の中で最小とはいえ、20センチを超えようという逸物を根元まで咥え込む。それが生半可な刺激であろうはずもない。
「あ゛アぁっあ、イクッいくっ、いッ!! ひっ、ん゛あ……っお、おーーっ……ん゛あっ、あ!!」
 奮闘の中、沙綾香は何度も喘ぎ、絶頂していた。鈴の音が鳴り響き、目はとろんとし、口は開いたまま閉じなくなる。腰は狂ったようなハイペースで上下するが、上半身は前傾したままガクガクと痙攣するばかり。ステージ上のその顔が、ちょうど客の目の高さにあるのが最悪だ。
「おー、すげー……」
「イッてるなあ、これ……」
 客は沙綾香の顔に見入り、ただただ純粋な感嘆の声を漏らしていた。


                 ※


 マーキスが射精に至っても、まだ終わらない。3人目のトラバン、4人目のドミニク……それら全員を射精に導かなければならない。自分から腰を振り、何度も絶頂しながら射精に導く。肉体的にも精神的にも消耗するこの行為を続ける中で、沙綾香は疲れ果てていった。7人目……最後の1人であるダリーとのセックスともなれば、正直見ていられない。
「あ゛、あ! オ、お……オ゛っ!! あっあ……あ゛あんっオオ゛っ、ほおお……っ!!」
 涎の滴る口から、絶え間なく喘ぎが吐き出される。音が濁っている理由はいくつも思い当たった。
 体力的に限界であること。
 力士体型のダリーには普通に跨ることができず、過剰な開脚を強いられること。
 怒張自体の太さが、タイロンと並んで規格外であること。
 その理由全てが沙綾香を蝕み、秒単位で追い込んでいく。
「あはっ、あ、あっ……き、キちゃうっ……だめっ、イク、イクーーーっ!!!」
 沙綾香は天井を仰ぎ、背中を弓なりに反らしながら痙攣する。鈴の音がリンと鳴り響くが、それが白々しく感じられるほど、絶頂の度合いは深い。下腹は意思を持つかのように痙攣し、かろうじてつま先立ちしている脚の震え方も半端じゃない。肉に圧迫されたハイソックスは、今にもはち切れそうだ。
「んおおおおっ……!! へへへ、思いっきりイキやがって。お前はアレだな。イカそうと全力で頑張ってる時より、自分がイッてからの方が具合がいいな。マンコ全体が蠢いてよ、極太のストロー啜るみてぇに、ギュウギュウ搾り上げてきやがる。いいぜ、こいつはとんでもねぇ名器だよ。その甘えっぷりに免じて、濃いのをたっぷりくれてやるぜ!!」
 ダリーはあえて日本語で実況してみせ、客を沸かせながら射精に至る。
「あ、ああ゛……あああ゛ア゛ァァーーっっ!!!」
 沙綾香は、されるがままだった。ダリーの肩に頭を預け、腹部に背を預けたまま、射精を受け入れている。また鈴の音が鳴っているのは、さっきの絶頂の余韻だと信じたい。子宮口に勢いよく精液を浴びせられ、その刺激で新たに絶頂してしまっているなどとは、考えたくもない。
 だがどうやら、その悪い予想が正解のようだ。
 7人を騎乗位で射精させた後、沙綾香は再び輪姦されはじめた。一人が下から挿入し、他の人間が左右から逸物を舐めしゃぶらせるやり方だ。その状況下でも沙綾香は、明らかに膣内射精に反応していた。

「すげー、ずっと“ハメ潮”してる。音エッロ!」
 客の1人が、結合部を凝視して呟く。今はレジャナルドが下になり、沙綾香を突き上げているところだ。客の指摘通り、密着した性器からはずっと水音がしている。逸物が上下に動くたび、あるいは奥深く挿入された状態で円を描くたび、潮を噴いていそうな感じだ。そしてそれを誰より喜んでいるのは、言うまでもなくレジャナルドだった。
「くっは、気持ちいいぜぇ! とろけたプッシーが、舌の塊みてぇに絡みついてきやがる!」
 レジャナルドは上機嫌で笑いながら、沙綾香の太腿を押さえつけて密着させる。亀頭がより深く入り込むようにだ。今の沙綾香にとって、それはクリティカルな行動すぎた。
「うあああっ!! だめ、だめ、だめ……! し、子宮が、痙攣してるの……痙攣、とまんないぃ……!!」
 泣くような声を漏らし、脚を内股に閉じる沙綾香。だが、筋金入りの強姦魔共がそれを許すはずがない。
「おら、しっかり股ァ開いとけ!」
「なに無駄な抵抗してんだよ。こうやって突き上げられんのが、好きでたまんねぇんだろうが!?」
 左右から伸びた手が沙綾香の膝を掴み、力ずくでこじ開ける。
「やあ、いやああっ!!」
「ハッハッハッ、そう喜ぶなって。こっちも、ちゃんとしゃぶってろよ!」
 本気で嫌がる沙綾香の口に、トラバンが逸物を捻じ込んだ。並みのフェラチオじゃない。口を限界まで開かせ、顔の肉をへし曲げ、喉を盛り上げるディープスロートだ。
「あぐっ、おぶっ!! おごぉうっ、ほもごおおお゛お゛っ!!!」
 沙綾香は呻き、激しく身を捩る。だが黒人共は、そんな沙綾香を逃さない。逃げ出そうという本能を強引に抑えつづければ、その末路は内部での爆発しかない。
「んはああああっ!!!」
 沙綾香は、痙攣しながら後ろに仰け反った。これまでにも見せた動きではあるが、今のそれは特に危険そうだ。
「沙綾香っ!!!」
 俺は、不安になって叫ぶ。だがその声は彼女に届かない。
「いやあ、あ……目の前、チカチカって…………あ、頭、があ…………!!」
 沙綾香は痙攣を続けながら、うわ言のように呟く。
「へへへ、また一段とイイ顔になりやがった。オーガズム持続中ってか。いいぜ、もっと浸らせてやれ。醒めるのが早ェと、脳ミソが充分快感を吸わねぇぞ」
 手越がステージ下から指示を飛ばすが、そもそも黒人共に手を緩めるつもりなどなさそうだ。仰け反ったままの沙綾香を抱きすくめるようにしながら、念入りに膣奥を犯し抜く。
「んあああっ、まっ、また奥っ……!! い゛っ、ぐううっ……んんぉおおお゛っ!! おっ、おっ、ほおおっ! いいいくイク、ックイクイクイクイク!!!」
 沙綾香は、ますます正気から遠ざかった。目を見開いた壮絶な顔のまま、卑猥な言葉を叫び散らす。そしてついには、両手で左右の床を叩きはじめた。ピストン音や鈴の音を掻き消す勢いで、バーン、バーン、という音が響きわたる。なぜそんな事をするのか、正確な所は彼女自身にしかわからない。だがおそらくは、そうでもしないと自我が保てないと直感したんだろう。
 そんな壊れかけのサインを前に、さすがの客達も静まり返った。逆に黒人共はゲラゲラと笑い、数人がかりで沙綾香を抱え上げる。
「そんなに奥が好きなら、もっと感じるやり方で可愛がってやるよ!」
 ドミニクがそう言って、背後から挿入を果たした。女児に小便をさせる時の体位……奴が最も好む『逆駅弁』だ。足が宙に浮くあの体位では、踏ん張りが利かない。太い杭のような黒人ペニスを、緩衝なしで受け止めることになる。
「んがっ、あ゛……ッ!!!」
 挿入された瞬間、沙綾香の瞳孔が開いた。正体を失くした顔。『目の前がチカチカする』時のそれだ。
「そーら、たっぷり味わえ。俺様のウルトラコックをよ!!」
 ドミニクは声高に叫びながら、ステージの外周に近づいた。客の前に立ち、結合部を見せつける形でピストンを披露する。
「うひぃっ、あがああっ!! あああ゛、ア……あ、あああああ゛っ!!!」
 沙綾香は、されるがままだった。脚を抱えるドミニクの手を握ってはいるが、振り払うような力はない。相手の意思の通りに膣奥を突き上げられ、透明な雫を飛ばすばかりだ。
 ドミニクは一歩ずつ横に移動しながら披露を続け、とうとう俺の近くに立つ。
「どうだ先生、アンタはこのファックしたことあるか?」
 ステージ上の勝ち誇ったような顔が、憎らしくて仕方ない。
「さぁな、覚えてない」
「そうかい。ま、仮にあったとしても同じだがな。アンタの貧相な息子と、俺達のコックじゃモノが違う。サヤカは、俺らとこの姿勢でするのが好きなんだよ」
 ドミニクは、沙綾香の首筋を舐め上げながら宣言する。沙綾香は上を向き、決して俺と目を合わさないようにしていた。それでも、身体の方は雄弁だ。狂ったようにひくつく陰唇、強張る脚の筋肉、滴る愛液……そのどれもが、女の性感反応の典型だった。
 腹が立つ。俺が握りこぶしを作れば、ドミニクの笑いが深くなる。ピストンの速度も上がっていく。
「あっは……はああ、あ、あがっ……!!」
 激しい突き込みの果てに、沙綾香は激しく痙攣した。鈴の音が鳴り、汗まみれの身体が脱力する。
 腸が煮えくり返りそうだ。自分の愛した女の絶頂を見せつけられるのが、こんなに苦しいとは。
「ひひひ。あんたも災難だねぇ。相手があんな雄の中の雄じゃ、セックスでは勝ち目がないぜ。ま、殴り合いでも勝てっこねぇだろうけどよ」
「気にすんなって、女なんざ星の数ほどいるんだからよ。せめてもの慰みに、めいっぱいポイント入れといてやるから!」
 近くにいる客が、表面上の憐れみと共に投票ボタンを押し込んだ。それを聞いて、はっと気づく。勝負は今、どうなっているのか。
 モニターを見れば、票差はかなり縮まっていた。桜織が527票、沙綾香が515票。さんざん恥を晒した甲斐あって、もう一息で並べそうな勢いだ。それについては嬉しいことだが、もう一つのモニターに視線を移せば、一気に動悸が早まった。
 絶頂回数モニターは、現在カウント3858。4000回まであと142回の猶予しかない。残り20分で140回以上の絶頂など普通はありえないが、今の沙綾香と桜織なら安心はできない。そして当然、それは黒人共も承知していることだ。
「時間も残り少ねぇし、ラストスパートといこうじゃねぇか。ポイントも絶頂回数も、まとめてぶっちぎらせてやるぜ!」
 モーリスが逸物を扱きながら沙綾香に近づく。
「ああ、思いっきり喜ばせてやろうぜ!」
 ドミニクも横へ向き、モーリスの挿入を助ける。すでに背後から膣へ挿入している以上、二穴責めはありえない。とすれば残る可能性は、膣への二本挿ししかない。
「あ゛あ゛っ……やあ、今二本なんて……あ、がっ、んああああ゛あ゛っ!!!!」
 沙綾香は顔を歪ませ、モーリスの肩を掴んで静止を求める。だが、モーリスが止まるはずもない。
「うーっし、カリ首通過だッ! へへへ、コックがゴリゴリ擦れてたまんねーな!!」
「い、ひぎいいっ!! あああ゛さけるっ、裂けるうっ!」
 獣じみた笑みと共に腰が進み、沙綾香の手が強張る。
「ほおお、あの巨根で二本挿しか! 洋物のAVではたまに見かけるが、日本人の子相手となると新鮮だな!」
「こりゃすげぇ。マジでぶっ壊れちまうかもな!」
 客は目をギラつかせて沙綾香を凝視し、次々に投票ボタンを押し込む。
「凄い……気持ちよさそう」
 やや離れた場所で犯されている桜織も、沙綾香を見て興味を示した。
「ああ、アイツはあの二本挿しが大好きだからな。お前もやってみるか? とんでもなくハードだがよ」
「あはっ、したい!!」
 より刺激の強い行為と聞いて、桜織が断るはずもない。
「あああああっ!! あはっ、こっ、壊れちゃう!! くはっ、あ、あああ゛凄いいいいっ!!!」
 ジャマールとアンドレから二本挿しを受け、桜織が歓喜の声を上げる。顔は痛みで引き攣っているのに、口から漏れる声はひたすら甘い。それは、彼女の異常性を嫌でも認識させるものだ。

 そこから桜織と沙綾香は、横並びで犯され続けた。
「そら、気持ちいいだろ!? イケっ、イッちまえ!!」
「くくくっ、すげえ締めつけだ! はち切れる寸前の輪ゴムみてぇだぜ!」
 2人一組になった黒人共に、一切の容赦はない。鍛え込んだ分厚いガタイで獲物を挟み込み、黒い凶器を突き立てる。小柄な桜織などは、身体のほとんどが黒人共に隠され、手のひらと膝下だけしか見えない。
「ああがあああっ、はああうっう゛っ!! おっ、おちんぽでっ、おちんちんで浮かされてるううっ!! んはあうううぐっ、はあああおおお゛あう゛っ!!!」
 彼女は悲鳴を上げ、手足を暴れさせていた。痛みで泣き叫んでいるようにしか見えないが、頭のカチューシャからは音が鳴り続けている。むしろ絶頂のペースが速すぎて、モニターの表示が追いついていない有り様だ。
 そして、余裕がないのは沙綾香も同じ。彼女の場合は太腿まで見えているが、それだけに脚の強張りが一層判りやすい。
 何度も経験があるせいか、ドミニクとモーリスは二本挿しに慣れていた。たとえばある時は、呼吸を合わせ、交互に膣の深い部分を突き上げる。
「はあう、いぎいいっ!! んぐ、ぃいいっ!! い、あ、あああうぐうっ!!」
 サイズ違いの逸物を交互に突っ込まれるせいで、挿入感に慣れることができないのか。沙綾香の反応は、どちらか単体を相手にするより明らかに激しい。脹脛の肉は横に張りっぱなしで、ローファーを履いた足はずっと垂直の位置を保っている。
 だが、沙綾香が一番追い込まれるのは、交互に突きこまれる時じゃない。
「よーし、だいぶこなれてきたな。そろそろ“アレ”いくぜ?」
 モーリスが周りに聴こえる声で囁きながら、ドミニクとアイコンタクトを交わし合う。そして奴らは、円を描くように腰を動かしはじめた。黒人特有のしなやかなバネを存分に生かした、横方向の突き。それを2人同時にやれば、巨大なペニスが膣内を蹂躙し、出鱈目にこじ開ける結果となる。そして沙綾香は、これに一番弱かった。
「はあああっ!? や、やめ、これだめえ゛っ!! あそこが、あそこが開いちゃ……はああう゛う゛っ!! だ、だめイクっ、いくいくイクイクッ!!!」
 大口を開き、ローファーをモーリスの肩より高く掲げたまま痙攣させる。二本の剛直にこじ開けられた割れ目からは、白く濁った雫が雨垂れのように滴っていく。壮絶な逝きぶりだ。
 それでも、沙綾香は踏ん張っていた。同じような責めを受けている桜織より、明らかに絶頂のペースが緩い。気を抜けば絶頂し続けてしまうところを、必死で堪えているに違いない。
「へっへ、頑張りやがって。耐えきれると思ってんのか!?」
 モーリス達は沙綾香を嘲笑い、より激しく腰を使いはじめた。射精すればすぐに別の人間に入れ替わり、徹底して追い込んでいく。
「ああああ゛っ、あはあああ゛っ!! あ゛、あ゛お゛っ、ひいく、イ……ックぅ……う゛っ!!!」
 沙綾香は絶頂に追い込まれながらも、モニターを睨み上げながら死に物狂いで耐えた。
「すげぇな、意地のぶつかり合いだ!」
「根性あんな、あのお嬢ちゃん!」
 クライマックスの攻防を、客は興奮気味に見守る。

 そして、終了のブザーが鳴り響いた。
 最後の最後まで票が投げられていたその結果は、桜織が654票、沙綾香が662票。終盤のハードプレイがだいぶ票を伸ばしたらしく、僅差で沙綾香の勝ちだ。そして、絶頂カウントも3996で止まっている。デッドラインの4000回まで、ほんの4回分。死に物狂いで耐えていた沙綾香の頑張りが、見事に効いた形だ。
「すげー。あのエロいガキ、勝ちやがった!」
「途中までリードされてたが、最後で一気に捲ったな。根性勝ちってやつか」
「しかし、あの桜織という娘も大したものだよ。あの体格差の相手に輪姦されて、最後まで失神しないとは。大したマゾ奴隷ぶりだ」
「いやー、見応えのあるショーだったぜ!」
 客は興奮冷めやらぬ様子で感想を語り合う。そんな中、怒張を引き抜いた黒人共が、改めて沙綾香達を抱え上げた。親指で割れ目を、その他の指で肛門を割りひらき、輪姦の結果を見せつける。
「うっは、すげぇ! 粘膜が捲れかえって……アナルローズにマンコローズってか!?」
「前の穴が特にひでぇな。まあ、あの極太を二本も突っ込まれりゃ当然か」
 客は沙綾香達の性器を見上げ、下卑た笑みを浮かべる。
「えへっ、めくれちゃったぁ……」
 桜織にも、似た笑みが浮かんでいた。視線に晒される状況に興奮しているようだ。
 一方の沙綾香は、顔を横に向けてぐったりとしていた。呼吸は荒く、汗もひどい。指の一本も動かせないほど疲れきっているようだ。審査会で勝つために、力という力を振り絞ったんだろう。
 そして彼女は、見事にやってのけた。彼女の意地を通しきってみせた。

 ただ、その代償は大きい。俺はこの後、それを思い知らされることになる。審査会後の恒例である、夜通しの輪姦の中で……。


 

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.3(後半)

Part.3(前半)の続きです。



 颯汰の責めは、これまでに見たどんな男よりも余裕が感じられた。仰向けになった沙綾香に対し、まずは乳房と太腿から、じっくりと揉みほぐしていく。肉欲を感じさせない淡々とした愛撫は、百合のそれを思わせた。
『綺麗なピンク。感動しちゃうよ』
 颯汰が乳首の色を褒めても、沙綾香は反応しない。顔を横向け、あくまで壁だけを見つめている。心情的には、颯汰を時間一杯黙殺し、鼻っ柱を折りたいところだろう。だが、乳首を舐められはじめた辺りで反応を殺しきれなくなる。
『…………っ、………………っ!!』
 声こそ出ないが、鼻から息が漏れていく。舌先が乳首を撫でるたびに、肩が跳ね、腕が動く。
『じっとして』
 颯汰は沙綾香の腕を掴んで身じろぎを封じ、さらに入念な乳首責めを続ける。強く吸い、舌先で弾き、また強く吸い、全体を舐めまわし。
『んふっ、ふ……んっ…………!!』
 沙綾香がとうとう声を漏らした。肩から先の動きがなくなった代わりに、腹筋が上下し、太腿が浮きはじめる。周りで見守る女たちがクスクス笑う。
 さらに時が経ち、沙綾香の太腿が艶めかしくのたうつようにまでなったところで、ようやく颯汰が身を引く。
『っ!!』
 狙いが下半身に移ったと悟ったんだろう。沙綾香は横を向いたまま膝を立て、足を閉じ合わせる。
『脚開いてよ。なに、ビビッてんの?』
 颯汰はすかさず挑発してみせた。そんな物言いをされれば、沙綾香も渋々ながら足を開くしかない。
『……ははは、なるほど。これは隠したくもなるよな。黒人のチンポで掻き回されて、もうグチャグチャじゃん。ま、こういうのも興奮するけどさ』
 羞恥心を煽りつつ、颯汰が舌を近づけていく。ここでも奴は、いきなり割れ目にはいかない。まずは内腿にキスをし、クリトリスの付近、会陰部へと順に舌を這わせ、ようやく陰唇に口をつける。
 ちゅく、ちゅく、という音と、何かを啜り上げる音が代わる代わる繰り返される。派手さはなく、ひたすら相手を感じさせることに特化したクンニリングス、という風だ。
『んっ……んんっ、んんんっ……ん、んっ…………!!』
 沙綾香が呻き声を漏らす。太腿を忙しなく動かし、腰を上下させながら。確実に気持ちいい時の動きだ。
『すっげ。どんどん溢れてくんじゃん』
 ある程度責めたところで、颯汰は陰唇に指をかけ、左右に割り開く。綺麗なピンク色の粘膜は、かなり濡れ光っているようだ。両の親指で何度も陰唇を開き、沙綾香に恥を掻かせてから、颯汰は改めて舌を這わせる。今度の狙いはクリトリスだ。
『っ!!』
 横を向いた沙綾香が顎を引く。開かされた脚がぐらぐらと揺れ、腹筋がへこむ。相当感じているようだ。
 颯汰は一旦顔を離し、沙綾香の全身を見回して口元を緩ませた。そして割れ目に指を近づけ、ゆっくりと中指を沈めていく。
『君の弱いとこはどこだ? ここか? それともここ?』
 そう言いながら、ゆっくりと指を前後させ、指の腹で臍側の膣壁をなぞっていく。そして、指がある場所に触れた瞬間。沙綾香の腰が露骨に跳ねた。
『ひぅっ!!』
 ついでに声も出る。どうやっても聞き逃しようのない、明瞭な叫び声が。
『あ、ここだぁ?』
 俯瞰視点のカメラでは、颯汰の表情は直接映らない。それでも俺には、奴の悪魔じみた笑みがありありと想像できた。
 女のように白い指の先が、見つけ出した弱点部分で円を描く。
『んっ……ん、ふく……っん…………!!』
 沙綾香の目が閉じられ、顎がさらに引かれる。
『はは、わかりやすい反応。毎日黒人のデカいのでやられてる割に、結構浅いトコで感じるんだな。これなら、オレのチンコでも満足させられっかも』
 颯汰は閉じつつあった脚を改めて開かせ、指責めを本格化させた。人差し指と薬指を尻肉に宛がって手を固定し、中指一本でグッグッグッと力強くスポットを押し上げる。俺もやったからわかる。あれは、効く。
『ん゛っ、ん……っふ、ひう゛っ……!! っんん゛ッ、うん゛んん~…………っっ!!!』
 沙綾香は、必死に耐えていた。両手で枕を掴み、盛り上がった肩の肉に顎を埋めながら必死に口を閉じ。そうして声は最小限に抑えるものの、下半身の動きがどうにもならない。腹筋でもするように内向きに力む動きは、軽く絶頂し続けていると言われてもおかしくない。
『そろそろ寝てんのもツラいでしょ。ほら、起きて起きて』
 颯汰が一旦指を引き抜き、沙綾香を引き起こす。そしてへたり込んだ沙綾香の肩を抱きながら、割れ目へと二本指を潜り込ませる。すでに愛液が相当溢れていたんだろう。指が動き出せば、数秒と経たずに水音がしはじめる。
『凄い、グチョグチョ。ね、この音聴こえるよね? 気持ちいい時の音だよね』
 沙綾香に囁きかける颯汰の声は、恐ろしく甘い。あの声色とテクニックで、何人もの初心な娘を骨抜きにしてきたんだろう。
『はぁ? イミわかんないし……。キモいから、やめてよ……』
 沙綾香は颯汰を睨みながら答える。だがその息は乱れきっているし、腹筋と太腿の反応も押さえ込めていない。颯汰はその無理を承知の上で、じっくりと指責めを続けていた。4時間というリミットがあるにもかかわらず、焦る様子はない。
  ──やる事さえやれば、女は簡単に堕ちる。
 そういう自信が透けて見えるようで、無性に腹立たしい。
 だが、奴のテクニックは実際大したものだ。
『あっ、あっあ……!! はぁっ、はっ……あ! ひはんっ、ふあぁああ゛……っっ!!』
 指責めが始まってからわずか3分ほどで、沙綾香の口が開く。呼吸をするための開口じゃない。不意に背筋を撫でられ、ゾワッとしながら叫ぶ時のそれだ。颯汰の二本指が蠢くたびに、その反応が秒単位で繰り返される。彼女が指責めでそこまでになったのを見るのは、初めてかもしれない。
 颯汰はそんな沙綾香に何かを囁き、たっぷりと辱めてから指を引き抜く。ようやく空気に触れた指先からは、透明な雫が無数に垂れていく。
『よーし。ほぐしも終わったし、次ね。チンコで奥叩いてくから、また横になってよ』
 颯汰にそう命じられ、沙綾香の顔が解りやすいほど強張った。自分がどれだけ蕩けているのかを、十分に自覚してるんだろう。
『ほら、どうしたの。祐希にやってるルーティン、君にもやっていいんでしょ?』
 颯汰は沙綾香の呑んだ条件を改めて示し、逃げ場を失くす。おそろしく柔和な笑みを湛えながら。


                 ※


 颯汰がトランクスを脱ぎ捨て、裸体を晒す。生まれてから一度も日に当たったことがないような、白い肌。細く引き締まった肉体。女から黄色い声援を受けるだけあって、綺麗な体をしている。沙綾香も、その裸体をじっと見つめていた。
『なに、見惚れてる?』
 颯汰が問うと、沙綾香は露骨に眉根を寄せる。
『態度でわかんないかな。あたし、アンタ嫌いなんだけど』
『ははは、そか。ま、親友を“女にした”相手だもんな。いいよ、嫌ってても。その方が面白いし』
 沙綾香から露骨な敵意を向けられても、颯汰は余裕の態度を崩さない。すぐ横の棚からコンドームの袋を拾い上げ、慣れた手つきで逸物に装着していく。
 線の細い肉体とは裏腹に、逸物はグロテスクだ。カリ首の張った亀頭は浅黒く、血管の浮き立つ幹の部分は血のように赤い。驚くほどのサイズじゃないが、膣奥を突くに十分な大きさがある。
『どう、結構デカいでしょ? って、黒人の見慣れてるんだっけ』
 颯汰はおどけながら沙綾香の脚を開かせると、逸物を割れ目に宛がい、ゆっくりと腰を沈めていく。メリメリという音がしそうな黒人の挿入と違い、颯汰のゴム付きの逸物は、嘘のようにあっさりと奥まで入り込む。
『…………』
 挿入を受けても、沙綾香は声を上げない。顔を顰めもしない。ギャラリーのいる入口とは逆側に頭を倒したまま、ただただ無反応を通している。
『へぇ。ユルいかなーと思ってたけど、結構締まんじゃん』
 颯汰が囁く言葉は眉唾ものだ。女と見れば、誰に対しても甘い言葉を吐いているような気がする。だが、奴のテクニックは本物だ。
 動きを見ればわかる。奥まで挿入してすぐに、腰をグリグリと押し付けて強めの刺激を与える。その後は膝を柔軟に使い、リズミカルかつ力強く膣奥を刺激していく。俺も沙綾香を膣奥で感じさせるために、ああいう動きをした覚えがうっすらとある。
『どう? こんな風にトントンって奥を叩かれると、ちょっとずつ快感が溜まってくでしょ』
 パチパチと音を鳴らして腰をぶつけながら、颯汰が囁いた。
『ごめん、全っ然わかんない』
 沙綾香はあくまで横を向いたまま、興味なさそうに吐き捨てる。途端にギャラリーの女達が、ユルマンだのビッチだのと騒ぎ出す。
『そっか』
 颯汰は肩を竦めてみせるが、その余裕のある表情は、相手を感じさせている確信があるようにしか見えない。
 そして奴は、また深く挿入し、グリグリと腰を押し付ける。その瞬間、沙綾香の足が微かに跳ねた。
『っ……!』
 ごくごく小さい声が、沙綾香の口元から漏れてもいる。
 どちらか一方だけなら、気のせいで済むような小さな反応。だが、足と口が同時に反応するのはまずい。俺はもう何度も、女がその動きで絶頂するところを見てきたんだから。

 颯汰は、つくづく女を抱き慣れていた。沙綾香の反応が薄くても、焦って荒々しく責めたりはしない。
『だいぶ反応いいな。君もう結構ポルチオ開発されてるよね。それって、どんな奴? オレよりセックス上手い?』
『はぁっ、はぁっ……あ、当たり前じゃん……』
『へぇ、やる気出てきた。オレ、抱いた女に前の男ンこと忘れさせんの趣味なんだよね』
 そんな下卑た会話を強いながら、リズミカルに奥を叩く。

『…………ねえ』
 ある時、とうとう沙綾香が自分から口を開いた。
『おっ、なに? 気持ちくなっちゃった?』
『じゃなくて。長くない? それ……』
『何が?』
 颯汰は惚けた表情で説明を求める。腹立たしい限りだ。沙綾香の息遣いを真横で聞き、筋肉の動きを肌で感じているアイツが、相手の意図を読めないはずがない。
『…………何でもない』
 小馬鹿にした態度を前に、沙綾香は言葉を引っ込める。
『そ。じゃあ続けるよ』
 颯汰は会話をさらりと流した。が、沙綾香が音を上げようとした事実は見逃さない。前と同じ責めを繰り返しつつ、さりげなく沙綾香の足首を肩に担ぎ上げる。まずは左足、次に右足。結果、沙綾香は足をやや閉じる格好となり、膣に出し入れされる際の刺激も増す。その影響だろうか。彼女には、少しずつ変化が表れはじめた。
『はっ、ふ……んっ、はっ、ふーッ……は、はぁっ……』
 呼吸は、抑え気味ではあるが荒い。担ぎ上げられた脚に動きはないが、代わりに手がシーツをなぞるように動く。そして、音。ほんの僅かではあるが、結合部からクチュクチュという音がしはじめている。
 颯汰は、その変化をすべて把握しているに違いない。だが指摘はしないまま、あくまで淡々と責め続ける。見ているだけでも疲れてくるほど、地味で、丁寧で、徹底した刺激。そんな中、彷徨いに彷徨った沙綾香の手が、ついに颯汰の腕を掴んだ。
『……ねえっ!』
『なに』
『だからっ、長くない、それ!?』
『だから何が。子宮トントンしてほぐしてるだけじゃん。ただのマッサージみたいなもんなのに、これに文句言われてもさあ』
 颯汰は呆れた様子で溜息をつく。どう見てもしつこい責めだというのに、あくまで沙綾香が駄々をこねている流れにしたいらしい。
『なにあのコ。せっかく颯汰さまに可愛がられてんのに、文句多すぎ!』
『つか、カッコつけんなら最後までやれって感じ!』
『ほんとそれ。ちょっときつくなったらすぐ泣き言とか、ダッサ!!』
 厄介なのは、ギャラリーの女もいちいち颯汰に同調することだ。
『…………ッ!』
 圧倒的多数に非難され、沙綾香が眉を顰める。そろそろ野次を聞き流す余裕もなくなってきたらしい。
『ははは、ひでー言われよう。じゃいいよ。ちょっと早いけど、次いこっか』
 颯汰は仕方がないとばかりに肩を竦め、また体位を変える。肩に担ぎ上げた両脚のうち、左脚だけを放し、開いた股の間に腰を沈める。
『んっ、く……!!』
『さっきは縦だったけど、こうやって横から突かれるのもいいでしょ。違うところにカリが擦れてさ。この体位なら、こうやって掻き出してやるカンジで……』
 眉を顰める沙綾香に対し、颯汰は巧みな腰遣いを披露する。
 腰を動かしやすくなったせいか、肉のぶつかる音の間隔が変わった。さっきまでは鼓動と同じリズム。今はそれよりわずかに速く、タンッ、タンッ、タンッ、と刻まれる。つまり、快感が蓄積するペースも上がるということだ。
『っ、ふぅ……ん、ンフっ、っう…………!!』
 沙綾香は、しばらくじっと耐えていた。だが、すでに2回も音を上げかけた後だ。そう長くはもたない。
 颯汰が沙綾香の右脚を抱え込んだまま、深々と腰を送り込む。その瞬間。
『ふんんんんっ!!』
 沙綾香は、震え上がった。右脚の太腿は勿論、足指の先にまで力を込めて。
『あれっ?』
 颯汰が大袈裟に驚いてみせる。
『な、何!?』
『いや、何ってか……今まさか君、イかなかった?』
 この言葉で、沙綾香はしまったという表情になる。
『はぁっ!? い、イってないけど?』
『あ、だよね。ならいいよ、うん。やー、でもビックリした。掴んでる脚がいきなりビクビクッ!ってしたからさ。まだ“前戯”なのにイッたのかと思って。誤解して悪かったけどさ、君もあんまりヘンな動きしないでよ? 調子狂うから』
 颯汰の演技は白々しい。それでも会話の流れ上、沙綾香はそれに合わせるしかない。
『……わかったって……』
 沙綾香はそう答え、手繰り寄せた枕に頬を預けて目を閉じる。

 そして、我慢比べが始まった。もちろん不利なのは沙綾香だ。

『っ、ふっ…ん、んん、んっふっ!! ん、ふくっ、ん……ッ!!』
 必死に殺した息が聴こえる。カメラは沙綾香の背中側を映しているから、表情は判らない。だが、身体の反応は丸見えだ。
『すげー、グショグショんなってきてる』
 颯汰が言う通り、ゴム付きの逸物が出入りする場所からは、かなりの量の愛液が溢れていた。すでに沙綾香の左腿は、その愛液でオイルを塗りたくったようになっている。同時にその腿は、整形に失敗したハムのように潰れていた。直立した時にはあんなに張りがあるのに、その面影がまるでない。逆に右腿は、常に完璧な張りを保ち続けている。というより、張りすぎだ。スクワットで腰を直角以上まで落とした時のあの張りが、ずっと持続している。
 その腿の状態は、彼女が追い詰められている証拠だろう。あまりにも快感が強く、絶頂するまいと頑張っているに違いない。それがあの右腿の張りであり、その力みに押しつぶされた左腿の形なんだ。
『ねぇ、ほら。これが気持ちいいんでしょ?』
 颯汰は、沙綾香の弱点をすでに読み切っているらしい。膝を立てたまま、角度をつけて腰を送り込む。
『きもち……よっく、な……っ……!!!』
 沙綾香は颯汰の言葉を否定しようとし、しきれずに声を途切れさせる。枕を強く掴み、背中を震わせながら。
『あれ、またイッてるよね』
『だね。あれで隠せてるつもりかな』
『なんじゃない? いかにもバカそうだし』
 ギャラリーの囁き合う声が、カメラにしっかりと拾われている。当然、沙綾香自身にも聴こえているに違いない。それでも頑なに絶頂した事実を否定するのは、颯汰をほんの少しも喜ばせたくないという気持ちからか。
 その調子で4時間を耐えきれば、確かに一矢報いることはできるだろう。だが、それは無理そうだ。
『さて、と。いいカンジにほぐれてきたっぽいし、“前戯”はこれくらいにして、そろそろ本格的にハメよっか』
 颯汰は沙綾香の右脚を解放し、仰向けの姿勢に戻してから、改めて大股を開かせる。久しぶりにカメラに映った沙綾香の顔は、真っ直ぐに颯汰を睨みつけていた。眼光の鋭さは黒人を睨む時以上だ。祐希を壊した張本人だけに、恨む気持ちがより強いんだろう。まともな神経をした人間なら、そんな視線を受ければ良心が痛むに違いない。だが、颯汰にそれはないようだ。
『すげー、ガチガチになってる』
 颯汰は一旦腰を引き、ゴムに包まれた逸物を露出させる。サイズこそ日本人の平均より少し大きい程度だが、勃起度合いが尋常じゃない。
『おっきぃー!』
『すごっ! 颯汰さまのがあんなになってるの、初めて見るかも!』
『いいなー、私もアレ欲しい!!』
 女性陣から悲鳴に近い歓声が上がる。颯汰は引き締まった腹筋に力を入れ、逸物を振り立てて場をさらに湧かせてから、満を持して沙綾香に向き直った。
『入れるよ』
 奴はベッドに膝をつき直し、沙綾香の太腿を引き付けながら挿入していく。挿入の瞬間も、沙綾香は颯汰を睨み上げていた。逸物が根元まで入り込んでも、スムーズな抜き差しが始まっても。だが、颯汰が手を恥骨の辺りに滑らせつつ突き込んだ瞬間、鋭い目が見開かれる。
『っ!!!』
『あ、スゲー気持ちよさそう。やっぱ効いた、今の?』
 自信満々に問う颯汰を前に、沙綾香は急いで目を細める。
『……ヘンなとこに当たって、ビックリしただけ』
『ホントにー? このタイプのアソコなら、恥骨の方に突くのが当たりだと思ったんだけどな。ま、いいや。じゃあ色々と探ってくわ』
 言い淀む沙綾香とは対照的に、颯汰の態度はあくまで軽く、嬉々として腰を打ちつける。パンパンという音が響く中、沙綾香はシーツを握りしめ、目と口を閉じた。すべての感覚を遮断して、全力で耐えるつもりなんだろう。その気概は凄い。だが、相手が悪すぎた。
『んん゛……ん゛あ゛っ!!』
 颯汰が十回も突かないうちに、沙綾香の背が仰け反った。
『あー、ここだここだ』
 颯汰は意地の悪い笑みを浮かべ、腰を浮かせ気味にして膣のヘソ側を突き上げる。
『くはっ!! あっ、あ、あ!あ!……っは、あっ、ひあああ゛っ!!』
 完全に弱点を見抜かれたんだろう。沙綾香は突かれるたびに腰を上下させながら、頭上のシーツを掴んで目を瞑る。相当な力みぶりだ。それが数分も続けば、沙綾香はガクガクと痙攣をはじめる。
『おっと』
 颯汰は沙綾香の様子を見て腰を止めた。そう、きっちりと止めたんだ。だが、沙綾香の方が止まらない。
『ヒューっ、ヒューっ……ひっ、ふぅッ……ヒューッ……』
 目を見開き、妙な呼吸を繰り返し、なおも痙攣しつづける。上半身も、下半身も。
『ははっ、すっげ』
 颯汰が与えた休憩はほんの数秒だ。それが過ぎれば奴はまた笑いながら腰を打ちつける。
『ン゛ううっ……や、はあっ!! あ゛、うあ゛っ!!』
 見開いた眼から涙を零しつつ、結合部を見下ろす沙綾香。信じられない、と言いたげなその動作は、黒人に犯されている時にも見た覚えがある。
 颯汰はそんな沙綾香を面白そうに見下ろしながら、腰の下に手を回して抱き寄せる。今度は対面座位だ。颯汰が沙綾香を抱きしめるシーンは、見ていて辛い。自分の愛した女が、他の男に取られている──同じ人種だけに、その実感が湧きやすいから。
『あ、ん゛……っ! はぁっ、はぁっ…………!!』
 颯汰と向かい合わされた沙綾香は、2回瞬いて涙を切り、改めて強い眼を向ける。
『ちょっと、なにガン飛ばしてんのよブス!』
『やめてよ! アンタなんかに睨まれてると、颯汰さまの眼が腐っちゃう!!』
 女共が喚き立てても、沙綾香は視線を緩めない。颯汰はその視線を嬉しそうに受け止めていた。
『なんか懐かしいな、こんな至近距離で睨まれんの。ちょっと前の祐希思い出すわ』
 颯汰の言葉選びは意図的だろう。沙綾香の怒りを焚きつけ、負けられない想いを強め、その上で陥落させる。女を喰い慣れた外道が考えそうなことだ。

 颯汰のテクニックは、対面座位でも存分に発揮された。
『あっ、ひ……ひぐっ! ん゛っ、あ゛、あ! んんっ、んぐうっ、あひっ!!!』
 沙綾香は、もうほとんど声を殺せていない。とはいえ、それも当然だろう。颯汰が一方的に突き入れていたさっきまでと違って、今は尻肉を掴まれ、腰の位置を自由に調整される。つまり、本来なら腰を捩って回避すべき絶対的なウィークポイントに、力づくで固定されてしまうわけだ。
 抜き差しが繰り返される間、沙綾香の背中はぴくぴくと震え続けている。颯汰はその震えが酷くなった瞬間を狙って、掴んだ沙綾香の尻をぐうっと下に落とし込む。硬く勃起した物が、膣の奥の奥までを貫くように。
『んぐうううっ!!!』
 そうされた時の沙綾香の反応は、露骨だ。顎を浮かせたまま目を見開き、歯並びが見えるほど歯を食いしばって震え上がる。
『アッハハハッ、またイッた!』
『見て、すっごい顔。自分ってカワイイから、ちょっとぐらい顔崩してもいいとか思ってんだろうねー。勘違いすんなよ、ブース!』
『っつかさぁ。乳、颯汰様に擦りつけすぎじゃない? 汚いんだけど』
『デカ乳アピールしてんでしょ。反抗してんのも、颯汰さまの気ぃ引くためじゃないの』
『ううーわ、キッモ! そういう下品なことしてないでさあ、颯汰さまから身体離してよ。んでそのデカ乳、思いっきりぶるんぶるん揺らしてればいいじゃん。バカみたいにさあ!』
 沙綾香を貶めたい女共は、絶頂を見て笑い、ここぞとばかりに罵詈雑言を浴びせかける。沙綾香にそれを恥じる余裕はない。絶対に弱さを見せたくない相手の前で、それでもしてしまった反応なんだから。
『ははは、またハメ潮』
 颯汰は自分の股間辺りに視線を落とし、よくそんな言葉を言っていた。あまり聴かない言葉だが、状況を考えれば意味は解る。沙綾香が『ハメ』られながら『潮』を噴いた、ということだろう。実際、沙綾香のあの反応は、潮噴きを伴うぐらいで当然に思える。
『どう、すごい奥まで届いたでしょ』
 ようやく呼吸の落ち着いた沙綾香に対し、颯汰が囁きかける。その声色が、またおそろしく優しい。芯の弱い女なら、その声色に誘われて甘えかねないほどに。
 沙綾香は、芯が弱くなどない。そんな声色に尻尾を振ったりはしない。ただ、弱っているのは確実だ。
『はっ、はぁ、はぁっ、はぁっ……。な、なんで……あいつらのより、短いのに……すごい、奥まで……』
 あいつら、とは黒人連中のことか。颯汰の逸物は平均より大きいとはいえ、俺の物と大差ない。勃起してもせいぜい18センチというところだろう。それがあの、20センチを悠に超える剛直と、挿入感で張り合っているというのか。
『そりゃそうでしょ。ここまで子宮が降りてきてたら、小学生のチンコでも余裕で奥まで届くって。さっきのあの『トントン』が効いてるんだよ。君、長いとか言ってたけどさ。ああやって丁寧にほぐしたら、ここまで気持ちよくなるんだぜ』
 颯汰はそう囁きかけながら、『ハメ潮』したばかりの沙綾香の尻を掴み直し、グリグリと動かした。今度は垂直じゃなく、水平に円を描く形で。それがまた、沙綾香に効く。
『んああっ!! んっ、ふあっ……あひっ、ひいっ……い!!』
 漏れる声もさっきとは違う。垂直に腰を落とされている時は、やや苦しそうな「ひぐ」という声がよく聴こえる。ところが、今は快感一色だ。顎に力を入れるどころか、むしろ浮かせぎみにして、「ああ」「ふあ」とうわ言のように繰り返している。
 実際、彼女は身体が浮くような感覚の中にいるんだろう。

 ──センセ、沙綾香の事、振り落とさないで! ちゃんと、支えといてねっ!

 俺が沙綾香と対面座位をした時、彼女はそう言った。それこそ、地に足のつかない感覚を得ていた証拠だ。今と同じように。
 まずい。沙綾香とのセックスを思い出してしまった。今となっては胸が苦しくなるだけだから、なるべく避けているというのに。
 目に映る事実のすべてが、あの時を思い出させる。沙綾香が両足で、颯汰の腰にしがみつく様も。
『あー、気持ちいい……ヌルヌルの襞がチンコに絡みついてくる。先っちょから根元まで、いっぺんに強めのフェラされてるみたい』
 颯汰が呟く感想も、あの体位で俺がしみじみと感じていたことだ。
 救いがあるとすれば、沙綾香が颯汰に甘えきってはいないことか。彼女は快感に翻弄されながらも、颯汰にしがみつく足を少しずつほどいていく。
『ちなみにさ。この状態でキスすると滅茶苦茶キモチいいんだけど、どうする?』
『するわけ……ないじゃん!!』
 颯汰が甘い声で囁きかけても、鋭く睨みつけながら突っぱねる。承諾するわけがない。俺達は、祐希が落とされた場面を目にしている。祐希は“キスでスイッチが入り”、その果てに自我を狂わされたんだ。それを知っていて、轍を踏むはずがない。

 沙綾香は颯汰への怒りを胸に、必死で踏ん張っていた。ただ、やはり相手が悪い。
『そか、残念。したくなったらいつでも言って。オレ心広いからさ、一回断られたくらいじゃヘソ曲げんし。オレとのキスハメは気持ちぃよーマジで』
 颯汰は、相手の気丈さなど織り込み済みとばかりに、焦らずじっくりと責めつづける。沙綾香の尻を掴んで腰を上下させ、腰が震えはじめた辺りで深々と挿入し、ダメ押しで水平方向にグリグリと回転させる。同じやり口ばかり繰り返すのは意図的だろう。沙綾香の肉体と感覚を、その責めに順応させる……目的はそれだ。
『だいぶこなれてきたじゃん。じゃ、そろそろ“脳イキ”しよっか』
 睨み続けるのに疲れた沙綾香が、喘ぐばかりとなった頃。颯汰はまた囁きかける。沙綾香の視線が前を向いた。
『オレの言葉に合わせて絶頂すんの。まずは……そうだなあ。オレが1、2、3ってカウントするから、それに合わせてイって。オレの方でスポットさえ押さえれば、あとは腹に力入れるだけでイケると思うし』
『……はーっ、はーっ……だから、やるわけ、ないじゃん…………!!』
『やろうよ。っつか、ムリヤリでもやらせるわ。オレ、軽くSだし』
 颯汰はそう言って、沙綾香の尻を掴む。手で強引に尻を押し下げつつ、自分も突き上げる双方向の刺激だ。見えていなくても、沙綾香の子宮口が亀頭に押し上げられているのが解る。結合部から漏れる音も、ぶじゅっ、ぶじゅうっ、と凄まじい。
『1、2、3。イって』
 颯汰はカウントしながら、一番の奥で腰を止める。
『ん!』
 沙綾香は目を閉じ、唇を噛んだ。
『あれ、頑張っちゃってる? ダメだって』
 颯汰が苦笑する。ギャラリーの女からも罵声が飛ぶ。
『しょうがないなぁ。じゃ、も一回ね』
 颯汰はそう言って、また腰を動かしはじめた。1、2、3、1、2、3とカウントしながら、深い抜き差しを繰り返す。沙綾香は、随分とそれに耐えているようだった。だが、挿入されながら何度も潮を噴くようなコンディションで、いつまでも耐え続けることは不可能だ。むしろ、そうして溜め込めば溜め込むほど、反動は大きくなる。これまで何度も目にしてきたように。
『ひぐっ!!!』
 7回目か、8回目か。沙綾香はついに、3カウントの直後に顎を跳ね上げた。
『おーすげ、ヒクヒクしまくってる。ね、“脳イキ”気持ちいいっしょ? 祐希もこれでイキやすい体質になったんだ』
 颯汰が囁いた言葉に、沙綾香が反応する。歯を食いしばり、颯汰の鎖骨辺りを凝視して持ち直す。
『へぇ、まだ頑張るんだ? そういうのもいいよね。キライじゃないよ。じゃ、抵抗しつづけてみて。どこまで頑張れるか、見ててあげるから。はい、いち、にっ、さーん。いち、にっ、さーん』
 颯汰は嬉しそうに笑いながら、またカウントを始めた。尻肉をしっかりと掴み、狙い通りに追い詰めていく。虎が獲物の頸動脈へ食らいつくように。
『あ、ああ……あっ!!』
『どうしたの、同じペースでイかなかった今?』
『ふーっ、はーっ、はーっ……気の、せいでしょ……』
『そっか。ま、いいや。続けよ』
 沙綾香は、何度も絶頂に追い込まれているようだ。颯汰のカウント通りに。いくら沙綾香自身が否定しても、颯汰にペースを握られている事実は変わらない。そして、その果てに待つ結末も。
 耐えに耐えた末の崩壊は、いつも惨めだ。
『んぐうううう゛う゛っ!!!!』
 沙綾香は最後に逃げようとしたんだろう、掴んでいた颯汰の肩を突き飛ばした。だが下半身を固定されたままそんな事をしても、上体が後ろに傾ぐだけだ。結局沙綾香は、ベッドに両手をつき、盛大に仰け反る格好で絶頂を晒す羽目になる。
『ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ…………!!』
 沙綾香は、犬のような息を吐きながら、全身を震わせていた。
 世界レベルのスタイルの誇る美少女が、仰け反ったまま痙攣する。そのインパクトは強烈だった。数億の価値を持つ名画かと思えるほどに。口やかましいギャラリーの女共でさえ、一瞬息を呑んでいた。
 だがその幻想は、すぐに打ち破られる。名画を穢す悪魔によって。
『はいっ、ハメ潮20回目ー。さすがにチョロすぎ』
 颯汰はどこまでも軽いノリで、沙綾香の覚悟を笑い飛ばす。その行為で場の空気が一気に弛緩し、惚けていた女共が笑いはじめる。
『あ、アハっ、アハハハハッ!! ちょっ、なにあれ、すっごいケイレンしてんだけど!!』
『ほ、ほんと! あんまりにも下品すぎてさ、一瞬引いちゃったよぉ!』
『っつかさ、感じてないとかイってないとか恰好つけてたけど、乳首ビンビンに勃ってんじゃん。イジめられてもないのにさあ!』
『だねー。あと、マンコの周りもヒクヒクしてるよ』
『あとお腹ね。アレで中イキしてないとか言い出したら、もー必死通り越してサムいよね』
 女共は目敏い。絶頂の余韻にうち震える沙綾香の特徴を次々にあげつらっては、悪意をぶつけ続ける。そうして同性の客に非難されるのは、異性から侮辱される以上につらいだろう。
『まーまー皆抑えて、このコ泣いちゃうから。ま正直、あのカッコつけてたの何なん?とはオレも思うけどさあ』
 颯汰はフォローを入れるフリをして煽り、更なる笑いを起こす。そうして場を沸かせる奴の顔は晴れやかだ。沙綾香にしてみれば、親友の仇がそうして楽しそうにしていると、腸が煮えくり返るというものだろう。
『くう、ぅっ……!!』
 沙綾香は顎を引き、涙目で颯汰を睨みつける。すると、颯汰も笑うのをやめた。この部屋に入ってから初めて見せる、真剣な表情だ。
『君、すごいね。まだそんな睨めんの? オレのこと嫌いってのはマジっぽいね。つってもコッチだって、審査会で赤っ恥掻かされた恨みあるしなあ』
 奴はそう言って、沙綾香の眼を見つめる。沙綾香も睨み返す。しばし睨み合った末に、颯汰は膝を叩いた。
『……っし、決めた! こんなグチグチした腹の探り合いやめて、勝負で白黒つけようぜ』
『勝負って、今さら? 喧嘩ならずっと売られてんだけど』
『だから、それをもうやめよって話。今から30分セックスして、その間にオレがもう射精できないってなったら君の勝ち。30分してオレがまだ元気なら、オレの勝ち。シンプルだろ?』
 颯汰の提案に、沙綾香の表情が曇る。この対決方法は、黒人相手の十番勝負とほぼ同じだ。沙綾香は、俺の自由を賭けたその勝負に負け、バスルームで悲痛な涙を流した過去がある。
『あ、その顔。前もどっかでやらされた? セックスバトルってこの倶楽部の定番だしね。でも、オレらの場合は特にこの勝負がいいと思うよ。君がオレを嫌いなのは、友達の祐希をセックス好きにしたからだろ。んでオレが恨んでんのは、その祐希を君が審査会で負かした事。要するに、どっちもセックス絡みの恨みなわけ。だったら、白黒つける方法もセックスしかないじゃん』
 颯汰の主張に、一理があるのかは怪しいところだ。だが、こういう理屈を持ち出された以上、沙綾香は後に退けない。
『大丈夫だって。オレそこまで絶倫じゃないし。出せてあと4回かな。今だいぶ興奮してるしさ、君がちょっと頑張って締めたら、それくらい普通に行くと思うよ。ま、自信がないっていうんなら、無理にとは言わないけど』
 颯汰に煽られ、沙綾香の目尻が吊り上がる。当然この間にも、ギャラリーからは沙綾香を貶める発言が浴びせられている。沙綾香が颯汰の膝の上にいなければ、髪の毛を掴んで引きずり回されかねない興奮ぶりだ。
 そんなアウェーの状況下でも、沙綾香の闘志は萎えない。
『そう。じゃ、やろうよ。鼻っ柱へし折って、後悔させたげる!』
 沙綾香は、凛とした表情で啖呵を切った。



                 ※



『ねえ……君、大丈夫?』
 沙綾香を背後から犯しながら、颯汰が問いかける。沙綾香は壁に手をついたまま、煩そうに横を向いた。
『はあ、はあっ、はあっ…………なにが?』
『や、何がって。始まって、まだ5分くらいしか経ってないのにさ。もう太腿がスゲー柔らかいじゃん。ひょっとして、もうガマンしてないんじゃないかと思ってさ』
『っ!!』
 沙綾香は、はっとした様子で足を見る。
『気付いてなかったの? それはちょっと引くわー。オレの鼻っ柱へし折るんじゃなかったっけ? オレ的には、君の心の方が折れかけな気がすんだけど』
 したり顔で語る颯汰は腹立たしいが、沙綾香は事実として追い込まれているようだ。背後から逸物を打ち込まれ、艶めかしい声を漏らすばかり。
『気持ちいいっちゃいいけどさ。もっと締めないとイカないよ? オレ』
 颯汰が煽ると、沙綾香は力む。壁についた手と、床を踏みしめる足を筋張らせて。だがそうして力めば、その分絶頂もしやすくなる。
 沙綾香の背後で、颯汰が笑い、ピストンの速度を上げる。肉のぶつかる音と水音が狂ったように響きわたり、沙綾香の腰がぶるっと震え上がる。
『あ、あ、やっ……ふん、んんあっ!!!』
 水音がさらに酷くなった辺りで、沙綾香は腰砕けになって崩れ落ちる。颯汰はギャラリーの拍手を浴びながら、そんな沙綾香を見下ろした。
『どしたー? 休憩してもいいけど、時計は止めねーぞ?』
 そう嘲りを受け、沙綾香はよろよろと立ちあがる。ただ、その太腿はまだ震えているし、立つにしても壁に頼ってやっとという有様だ。当然そんな姿を、敵である颯汰が黙って見過ごすはずがない。
『ほら、ちゃんと立たないと』
 颯汰は壁にしがみつく沙綾香の腕を取り、背後に引き絞った。そうして相手の自由を完全に奪っておいてから、力強く腰を打ち込む。
 経験のない俺には、あの体位で犯されるのが、普通に後背位とどう違うのかは想像もつかない。だが、沙綾香の反応は明らかに変わった。
『あ゛アアァッ、あ! かはっ、ぁ……あ…………!!』
 たった一突きで、沙綾香の眼が見開かれ、口から声が絞り出される。背中の反り具合も尋常じゃない。
 その反応にギャラリーが噴き出すと、それに気づいた颯汰が挿入したまま向きを変える。
『はぁんっ!! ちょ、なにっ……!?』
『ファンサービス。オレがハメてるとこ近くで見たいって子、多いんだよね』
 颯汰は問いに答えながら、足で押し出すようにして沙綾香を歩かせる。向かう先は、カメラの横……今固唾を呑んで見守っているギャラリー達の前だ。
『…………ッ!!』
 沙綾香が息を呑んだ。
 丸裸で男に犯される姿を、同性に晒される。しかも両腕を後ろに引かれているから、乳房を隠す術もない。沙綾香を襲う羞恥は、並大抵ではないだろう。
 逆にギャラリーは、ほんの一瞬虚を突かれたものの、すぐに醜悪な笑みを浮かべはじめた。
『うわうわ、ヨダレ!』
『すっごい匂い。汗とか愛液とか……鼻が曲がりそう!』
『ね。颯汰さまって全然イヤな匂いしないから、これ全部この女のだよ』
『あー、わかった。さっきこの女、颯汰さまの鼻っ柱へし折るとか言ってたけどさ。それって、このくっさいマン汁の臭いで鼻潰すってイミじゃない?』
『うーわ、最ッ低。最初見た時からアタマ悪そーなビッチ女って感じだったけど、性格まで最悪じゃんそれ』
『ほんとそれ。颯汰さまぁ、こんな女とヤんない方がいいですよ。ゴム着けててもビョーキんなりそう。懲らしめたいんなら、アタシらヤリましょうか? そこのバイブとか電マとかで、狂うまで』
 女共は、『颯汰さま』に抱かれる沙綾香への嫉妬で、野次りに野次り散らす。傍まで近づいた沙綾香の頬を張り、乱暴に乳房を捏ねまわし、乳首を引き絞りながら。
『だいじょぶ、後でちゃんと身体洗うから。っつか、誰か洗って?』
 颯汰はギャラリーとコミュニケーションを取りながらも、腰遣いは少しも緩めない。そんな最悪の状況の中、沙綾香は為す術がない。精神的にも、肉体的にも。
『ウチの祐希蹴落としてまで、客にマゾ奴隷アピールしたんじゃないの? なのに、今さらカマトトぶってんじゃねーよ。キモチ悪ィんだよ、同じ女としてさあ。ホラ、イクんでしょビッチ。ほーらイけ、イッちゃえって、ホラぁっ!!!』
 ギャラリーが嫉妬に狂った目で睨みつけながら、沙綾香の乳首を引き絞る。それに気づいた颯汰も、沙綾香の右手を離して下腹に掌を当て、刺激しながらスパートをかける。
 前からも後ろからも叩き込まれる、悪意と刺激。その中で沙綾香は、視線を惑わせていく。その動揺は、やがて身体の震えに変わり、ついには歯を打ち鳴らさせる。
 そして。
『や゛ああああああッ!!!!』
 沙綾香は叫びながら、『前向きに仰け反った』。たぶん、背を弓なりに反らそうとしたが、乳首を引き絞られていて出来なかったんだろう。女として最高の、それこそ嫉妬を免れないだろう肉体が、ビクビクと痙攣する。男を骨抜きにする顔は、逆に骨抜きにされたようにぼうっとしている。目尻からは、二筋の涙が伝い落ちていた。苦しさで零れた涙とは明らかに違う、顎の先にまでしっかりと達する筋だ。 
 そして、沙綾香は崩れ落ちる。
『まーたダウンか。ほら、シャンとしなよ。これ言うの二回目だけど』
 颯汰が手を叩いて煽るが、沙綾香はまだ、絶頂の余韻から抜け出せていない。
『しょーがないなぁ』
 颯汰はわざとらしく肩を竦めると、畳の上に膝立ちになり、背後から沙綾香に挿入する。
『ふああっ!?』
『ヘンな声出すなって。勝負はあと20分残ってんだから。っつか、わざわざ相手して負けるリスク増やすとか、オレ優しー』
 颯汰が自画自賛し、ギャラリーの女共が歓声を上げる。その光景はカルト宗教に近い。友人をカルト思考に染められ、その元凶たる教祖を糾弾しようとしたのが沙綾香だ。だがその勇気も、無残に散らされようとしている。教祖自身の力と、場の圧力で。


                 ※


 颯汰は、あれで力を温存していたんだろうか。勝負が消化試合となったあと、奴の責めはむしろ激しさを増した。
 パァンパァンという鮮やかな音が響きわたる。黒人のファックではよく耳にするが、日本人同士のセックスでは滅多に聞かない。そういう、鼓膜を鋭く震わせる音圧だ。それだけの音で突き込めば、刺激も強い。
『ああっ! あっ、あ、あっ……あ、あっ…………だめぇいく……いぐ、っくいくぅっ…………!!』
 沙綾香は畳に両手をつき、俯きがちに喘いでいる。顔を上げようとしないのは、目の前に意地の悪い同性が控えているせいか。
『はあ、はあ……あーイキそ。ほら、イキそうだよ。もうちょっと締めてみな』
 颯汰は嫌味ったらしい言葉をかけながら、また腰の振りを速めた。狭いピストンと、素早い打ち付け。肉のぶつかる音がピシンピシンというものに変化する。
『ああ、あ!あ!あ!あ!あっ!!』
 沙綾香はピストンの速さと同じペースで声を上げた。泣くような声だ。
『すげー、ハメるたんびに潮出てる』
 颯汰はヘラヘラと笑いながら腰を打ちつけ、ある瞬間にいきなり腰を止める。腰を相当深くまで押し込み、沙綾香の恥骨の辺りを右手で掴みながら。
『ああう゛っ!!!』
 沙綾香の上体が起き上がり、ビクビクと前後に揺れる。腹筋の凹み具合と、大腿部の盛り上がり方が異常だ。颯汰はそんな反応を見て口角を上げ、ゆっくりと腰を前後させる。
『はーい、いくよ。いっち、にいー、さーん』
 カウントしながら膝を使い、斜め上に3度突き上げる。
『ああァっ、イック、ぅ……っ!!!』
 ここで、ついに沙綾香の顔が上がった。顔のパーツ配置は真っ当だ。白目も剥いていないし、だらしなく舌を出してもいない。だが、長湯でのぼせたようなその顔は、見ているとすごく不安になる。
『あーはっ、すっごいイキ顔!!』
『んーふふふ、これは中イキした顔だわー。メスの顔ってやつ? この表現キライだけどさ、こいつにはピッタリじゃん』
『ねー。悔しいけど祐希、これは勝てないよ。だってこいつ、マジで頭オカシイ変態だもん。あんだけ嫌がってた相手に犯されて、女の前でこのイキ顔とか。キャラブレッブレなんだけど!』
 ギャラリーは、相も変わらず鬼の首でも取ったような騒ぎようだ。聞くに堪えない言葉ばかり。そんな言葉の飛び交う中、颯汰は沙綾香の腹部から手を離し、代わりに両足首を掴み上げた。ああして足首を浮かされれば、踏ん張りが利かない。それまで這う格好でかろうじて凌いでいた責めを、不安定な状態で受けることになる。その影響は、想像を超えていた。
『んんっ、あ、あ、あっ……んあっ、あ、あ、あ、あ!!!』
 苦しそうな声が数秒ほど続いてから、いきなり喘ぎ声が甲高くなる。その状態から、さらに3秒後。紗耶香の背中が反り、腹が引っ込みはじめる。
『ぁいくっ、ぃくいくいくいくっ、ぅううっ…………!!』
 小声で何度も絶頂を宣言し、沙綾香は身を震わせた。颯汰の掴む足首が固定されている分、それ以外の箇所が衝撃を肩代わりすることになる。その箇所とは、腹筋と腕だ。細い身体がさらに縮んだようになり、乳房を揺らしながら痙攣する。痙攣して、止まっては、また痙攣する。
『すっご……アレ、イってる最中にまたイってるよね』
『うん。アレきついけど、癖になるよねー。颯汰さまにシてもらった時しか、ああなんないけど』
 どうやらギャラリーの女達も、沙綾香が今陥っている状況には覚えがあるようだ。その結果、彼女達はここまでの狂信者になった。となれば、これからその道を追うのは……。
『ほら、お尻突き出して。アレいくよ。はい、いーっち』
 颯汰は深く絶頂している沙綾香を相手に、また例のカウントを始める。もちろん、動きも伴ってだ。
 カメラは、奴が腰を引き、突き込む様子が映っていた。挿入箇所は、割れ目に擦り付けているだけかと思うほど低い。腹の薄皮の下を貫くような挿入。それを受けて、沙綾香の腹部がぐうっと持ち上がる。
『にーい』
『ぐぅぅっ、う゛……も、や…………』
 1度目、2度目の挿入で、本当に苦しそうな声が漏れる。
『さー……んッ!!』
 颯汰は満面の笑みで両足首を引き絞りながら、最悪の角度で膣を突き上げる。腹の薄皮に沿うような前2回とは違う、斜め45度の挿入。丁寧に築き上げた『3回繰り返す』法則を破る一突きだ。当然沙綾香も、無意識に前と同じ責めを覚悟していただろうから、この変則の一撃はまともに喰らうことになる。
『はああああぁっ、あ、あ゛…………っ!!』
 3度目の突きを受けた瞬間、沙綾香は完全に動きを止めた。俯きがちだった頭がまた跳ね上がり、ギャラリーの方を向く。
『うわっ!?』
『おお、すご……っ!』
 カメラは今、沙綾香を横から映しているため、表情は写らない。だが息を呑むギャラリーの反応で、壮絶な表情をしているのが解る。
 もちろん、肉体の反応からも部分的には伺い知れた。布団に深く膝をめり込ませ、太腿全体を震わせ続けるなど、並の絶頂ではありえない。
『あー、すげ……うあ、すげ…………』
 その絶頂は、颯汰をも追い詰めたらしい。珍しく顔を顰め、前傾姿勢で震えている。だが、まだまだ余裕はありそうだ。
 颯汰が足首を離すと、沙綾香は脱力してうつ伏せに倒れ込む。だが颯汰は、そんな沙綾香に跨り、沙綾香の腰を掴みながら挿入する。
『んんっ!! い、今、は……!』
『今は、勝負の最中。オレの喧嘩、買ってくれたんでしょ? じゃあ残りのラスト5分、キッチリ闘ってよ』
 颯汰はそう言いながら、沙綾香の両肩を強引に引き上げた。腰には颯汰が乗っているから、上半身だけが起き上がる形になる。深々と挿入されたままそんな真似をされれば、堪らない。
『あ……ああああぁぁっ、だ、だめえっ…………!!』
 沙綾香から、はっきりとした泣き声が漏れた。今のこれに比べれば、さっきまでの声は、曲がりなりにも芯の通った声だったんだと実感させられる。
『ほら、締めつけて。勝負、勝負』
 颯汰は深々と挿入したまま、さらに沙綾香の両肩を引き付けた。
『あああああぁっ!!』
 沙綾香の膝下が反射で跳ね上がり、布団についた手が震える。それでも、颯汰は容赦をしない。あくまで海老反りの姿勢をキープさせる。
『い、いくぅ、いっく…う、う…………ッッ!!!』
 喉が潰れそうな呻き。バタバタと暴れる脚。そしてついには、足指が敷き布団の上でつま先立ちの形を作り、激しい痙攣を起こすようになる。
『すっごい……なんか、アソコで杭打ちされてるみたい』
『ヤバイ反応してるよね。泣きそうってか、泣いてる? あのビッチ』
『颯汰さまは動いてないのに、なんであんなになってんのかな……』
『わっかんない。私、あそこまでやられた事ないもん』
『そりゃ、ウチらん事は子猫ちゃんって扱いで大事にしてくれるもん。でも、アイツって颯汰さまの敵なんでしょ? そりゃ容赦しないって』
『だね。締める相手にはきっちり締めるってとこが、また男らしいわー』
 颯汰の行為は、すべてが肯定される。逆に沙綾香の反応は、すべて嘲笑われる。

 颯汰が肩を離すと、沙綾香は布団に倒れ込む。だが、ゆっくりと休む暇はない。沙綾香が息を整えようとしているところで、またぐいっと肩を引き付ける。
『あっ、だめ……ああああ、いくいくいくっ……!!』 
 海老反りになった沙綾香が痙攣しながら絶頂すると、また肩を解放する。そして、また引き付ける。
『くああっあああッ!! やめてよ、いい加減にして!』
『ダーメ。許してもらえるとでも思ってるの?』
『だって、も、もう、ホントに……! んぐっ、い、いっく…………!』
 沙綾香を海老反りで散々に苦しめてから、颯汰は壁の時計に目を向けた。
『あと2分か。さ、こっから逆転できるかな?』
 薄ら笑いを浮かべながら肩を解放し、今度は逆に、沙綾香の頭を押さえ込む。
『んああっ!?』
 沙綾香が驚きの声を漏らした。極限の苦しみの中、それでもなんとか海老反りで耐える術を見つけた末の、反り封じ。残酷だ。あんな変化にいきなり対応できるはずがない。そして対応できなければ、絶頂地獄からは逃れられない。
『ぁいくっ、いくいくっ、いくっ、い、いっ……!! おねがっ、どいて……お、おくっ、奥、押し込まれてると、ずっと、いくからぁ……っ!!』
『おおー、マジ締まるじゃん。逆転してみて、あと1分!』
 颯汰は沙綾香の両肩を強く押し込み、沙綾香の顔を枕に押し付ける。その上で、とうとう自ら動きを見せた。とはいえ、ピストンじゃない。前後には動かない。ただ、太腿の筋肉を蠢かす。男なら誰もが解ることだ。あれが、逸物を『いきり勃たせる』動きだと。深く挿入した状態であれをやれば、蕩けた膣の中で、逸物が鎌首をもたげることになる。どれだけ不自由な状況でも、強引に。
 沙綾香は、声を漏らさない。というより、漏らせない。代わりに、真一文字に伸びた肉体が悲鳴を上げた。挿入された尻の肉が、ブルルッ、ブルルッ、と細かな痙攣を繰り返す。すらりとした脚の筋肉が、何度も何度も盛り上がる。
『おおおおすっげぇ、いく、いくぞ、オレもいくぞ!!!』
 颯汰は時計から目を離し、沙綾香の髪を掴んだ。そして力づくでポニーテールを作りながら頭を持ち上げさせ、太腿を前に押し出す。
『あああああアア゛ッいぐうううううーーーっ!!!!!!』
 沙綾香は弓なりに仰け反りながら、声の限りに叫ぶ。顔を左右に振るから、横からのカメラにも顔が映り込んだ。髪も顔も、乱れに乱れた……死を案じさせるような顔が。
『ふーっ。最後のは半端なかったわ、チンコ食い千切られるかと思った』
 颯汰が大きく息を吐き出す。布団に突っ伏した沙綾香から逸物を抜く時には、ぬじゅうっと粘ついた音がした。
『おー、だいぶ出たな。1回だけじゃないか』
 颯汰が外したゴムは、先端がかなり膨らんでいる。颯汰はゴムの口を縛ると、ギャラリーの人垣へと放り投げた。途端に割れんばかりの歓声が起き、醜い奪い合いが始まる。
 颯汰はそれを眺めながらゲラゲラと笑い、続いて沙綾香に視線を落とした。
『…………で、大丈夫?』
 そう声を掛けられると、沙綾香は顔を横向けた。ひどく苦しそうな顔だ。
『み、水……ちょうだい。あと、足、攣っちゃって……』
『ははははっ、そかそか! ま、結構激しめにヤッたもんな』
 颯汰はさらに機嫌を良くし、布団の近くにあったペットボトルを沙綾香に渡す。セックス部屋に放置されていた、飲みかけの水。上等な物ではありえないが、沙綾香に選択の余地はない。
 喉を鳴らして水を飲む沙綾香を、颯汰はじっと観察していた。そして相手が一息ついたところで、布団に座り込む。逸物を誇示するように、大股を広げたまま。
『喉は潤った? じゃ、お掃除フェラな』
 ごくごく当たり前のように、その命令が発される。沙綾香は固まった。
『……え?』
『え、じゃないよ。君、さっきの勝負に負けたよな。だったら、オレの言う事ぐらい聞かないと。とりあえず足攣ったの治るまでは、コレしゃぶってな。その後はまた、手越さんと約束した時間までハメるから』
 颯汰の声色は、日常会話のそれと変わりない。だがそれは時として、ドスの利いた声以上の絶対性を持つ。
『………………っ!!!!』
 沙綾香は、悲痛な顔で拳を握りしめた。
 友人を壊した相手に、負けた。勝負のリベンジも果たせなかった。それが心から悔しいんだろう。だが、負けは負け。啖呵を切って勝負を受けた以上は、その敗北条件を呑むしかない。


                 ※


『…………あー、キモチいー。なに、結構フェラ上手いじゃん。そうそう、玉までちゃんと舐めて』
 颯汰が大股を開いたまま、ニヤケ面で沙綾香に奉仕させる。その光景は、俺にとっての地獄だった。
 そうしてたっぷりと口での奉仕を堪能すると、奴は新しいゴムを着け、沙綾香に向き直る。
『んじゃ、罰ゲームね。2回戦スタート』
『ほ、ホントに、まだやんの……?』
『まだっつーか、こっからが本番だし。さっきまでのは、オレらの喧嘩に白黒つけるための勝負。でこっからは、負けた君が、勝者のオレの言うこと聞く罰ゲームの時間。さ、横んなって脚開いて。あと2時間ちょいしかないんだから』
 颯汰は、有無を言わせず沙綾香を布団に寝かせると、大股を開かせながら腰を突き込んだ。
『うんんんっ……!!』
『ははは、エッロい声。なに、挿れただけで感じてんの? カンペキに出来上がってんじゃん』
 颯汰は沙綾香の反応を笑い、同じく嘲笑するギャラリーの方へと視線を向ける。
『ま、そこまでならオレのセフレにも経験してる子いるからねー。君はその先の、快感でブッ飛ぶ所までいってもらうよ。女の子としてるとたまーにハイになって、気絶するまで追い込みたくなるんだけどさ。それでもし、頭ぶっ壊れたら可哀想じゃん? だから、試せる相手探してたわけ』
 颯汰が言い放った言葉で、ギャラリーが拍手する。逆に沙綾香は恐怖を隠しきれない。
『ま、そう硬くなんないで。君、地下19階にずっといるんでしょ? 手越さんとロドニーとかいうゴリマッチョが仕切ってるとこ。あんなとこいたら、どうせ近いうちぶっ壊れるんだからさ。どうせ壊れんなら、オレみたいなイケメンに壊された方がいいじゃん』
 颯汰はそう言いながら、リズミカルに腰を打ちつける。口でカウントしてこそいないが、1、2、3と突いて休憩を挟むリズムだ。そのリズムを脳にまで刻み込むつもりか、それともまた意表を突くつもりか。
『はぁっ、はぁっ……! 私っ……こ、壊れ…たり、しない……っ!!』
 沙綾香は荒い息を吐きながら、それでもハッキリと言い返す。反論を想定していなかったのか、颯汰は一瞬、明らかに表情を消した。だが次の瞬間には、すぐにまた余裕のある顔に戻る。
『……へーぇ、そう。んじゃ頑張ってみなよ。さっきの勝負みたいにさあ!』
 颯汰は嫌味を吐くと、沙綾香の腰を掴み、ブリッジを強制する格好で責めはじめた。カメラが颯汰の真後ろに移動する。颯汰の後ろ姿は、女のそれと見紛うほど色白で華奢だ。だがその実、奴は世の大半の男よりも雄として強い。
『あっ、あ……ああ、あ、あっ…………!!』
 颯汰が尻を引き締めながら腰を打ちつければ、たちまち沙綾香の両脚が強張る。Mの字に開いたまま、土踏まずを浮かせる形で。
『まずは、こっちでイこっか』
 颯汰は沙綾香に囁きかけると、尻肉を抱え上げながら動きを止める。尻えくぼすら動かさない、静止状態。にもかかわらず、2秒後、沙綾香の脚が震え上がる。
『あそこっ、だめっ……はっはっはっ、ぁ、ぁ、いっ…………!!』
 一切余裕のない声、ぶるりと震え上がる太腿、布団から離れる足裏。それらの動作は、沙綾香が早くも絶頂に追い込まれた事実を物語っている。
『はい、1回目ね』
 颯汰は嬉しそうな声色で呟き、腕を上下に揺らしはじめた。突き込みという前後の動きに、上下の揺さぶりを加えたわけだ。そうされれば、当然刺激は強まる。
『ああや、それっ……か、掻き回され……っ!!』
『ガチガチのチンポが、色んなとこに当たって感じるでしょ。いつでもイっていいからね』
 そんな会話が交わされる間にも、沙綾香の脚は反応し続けている。颯汰の腿を踏み台に、ガクガクッ、ガクガクッ、と細かに痙攣したかと思えば、一転力が抜け、ゆったりとした平泳ぎに近い動きをはじめる。
『2回目。はっは、気持ちよさそうだ』
 颯汰は笑いながら、ちらっとカメラを振り返る。目の前のこれを撮れ、とばかりに。それを受けて、カメラは颯汰の真後ろから横方向に回り込む。
 沙綾香の顔が映り込んだ。何かに耐えるように目を閉じ、歯を食いしばっている。だが、畳を踏みしめる音がした直後、その目が開いた。視線はまずカメラを、続いてその左を捉える。まず間違いなく、祐希を見ている。
 祐希はそれを受けて、どんな顔をしているんだろう。そもそも、友人が孤立無援で虐げられるこの状況を、どう思っているんだろう。
『これが、連続で2回イカされた女の顔だ。凄いでしょ? でもね、まだ休ませない』
 颯汰はそう宣告し、沙綾香の腰を掴み直すと、また腰を打ちつけはじめる。今度は上下に動かさない、シンプルに奥を突きまくる形だ。
『あ、かはっ!? やあっ! い、今、イったばっか……!!』
『ヤバいっしょ。追撃ピストンってんだよ、これ。イッて敏感になってるアソコを、あえてガン突きしまくんの。そしたらまたすぐイクけど、それでもやめない。いつもは加減して5回か6回イカせたら休ませたげるんだけど、君にはそういう配慮しないから』
 悪意の篭もった言葉と共に、悪意の篭もったピストンが繰り返される。1回、2回と浅く速く突き込んでから、3回目にはストロークを長く取り、思いきり奥にまで捩り込む。カリ首が覗きそうなほど引いての打ち込みが、生半可な刺激であろうはずもない。
『ひぎ、い……っ!!』
 3回目の突き込みを受けるたび、沙綾香は歯を食いしばり、腰を震えさせる。明らかな絶頂だ。それを面白そうに観察しながら、颯汰は腰を振り続ける。2回浅く突き、3回目で深く突く。2回浅く突き、3回目で深く突く……。
『いっち、にー、さー……んっ。いっち、にー、さー……んっ。いっち、にー、さー……んっ』
 また、あのリズムが始まった。沙綾香の絶頂にムリヤリ法則性を持たせる、呪いにも似た囁きだ。しかもそれは、もう疑いようもなく、沙綾香の中に浸透している。
『はあっ、ああ、あああっ!! はぁっ、あぁ………あああああッ!!!』
 沙綾香の喘ぎは、颯汰の口ずさむリズムと同じだ。喘ぎだけじゃない。サッ、サッ、サッ、という布団の擦れる音も。抜き差しの水音も。ギャラリーの息を呑むリズムも。場のすべてが颯汰に支配されているようだ。
 しかも、リズム自体は同じでも、状況は刻一刻と悪化していく。例えば挿入の時にする音は、ついさっきまでそれほど気にならないものだった。それが今では、ぶちゅうっ、ぶちゅうっ、という聞き逃せない水音に変わっている。カメラを構える祐希も、それに気づいたんだろうか。カメラの角度を変え、結合部の辺りをアップで抜く。
 飛沫が、飛び散っていた。突き込みを受けるたびに。あの状態なら、凄まじい水音がするに決まっている。そして外側からそんな変化が見えるということは、内側の状態は……そう思考を進め、俺は怖くなる。
 嫌な想像の材料ならいくらでもあった。今もカメラの端に映る、脚の震え方もそう。シーツを掴む足指もそう。そして、喘ぎに混じる沙綾香の叫びも。
『あああっ、や、やめてっ! い、イグっ、またイクっ!!! い、イってる最中にまた……んぐううっっ!!!』
 カメラが沙綾香の上半身に向く。シーツを掴み、歯を食いしばっている姿が映り込む。
『んー、イイ顔、イイ声。つっても、どの子も反応に大差ないけどね。イってる最中にまたイかされて、脳に火花チカチカしてるイメージがずっと続くんでしょ? 皆そう言うんだよ』
 颯汰がまた、沙綾香の尻を抱え上げた。腰を完全に浮かせ、衝撃を逃がせない状態で腰を打ち込む。
『いっち、に、さんっ。いっち、に、さんっ』
 脳に刷り込んだリズムで突き続ければ、沙綾香の腰が大きく震えはじめる。
『すげー、ブルブルしてんのが玉まで伝わってくる。いいよ、イッてどんどん』
 颯汰は腰を打ちつけながら笑った。
『んんんう゛っ、んやぁっ!!!』
 さらに三拍子のリズムが数回繰り返されたところで、沙綾香が唇を歪ませながら腰を振った。彼女の防衛本能がさせた行動だ。今ここを突かれれば、耐えきれない。脳がそう判断したんだ。
 颯汰ほどのサディストが、その弱みを見逃すはずがない。
『見ぃつけた』
 奴は鼻で笑いながら、抱えた尻をきっかり元の位置に戻し、その上で腰を突き入れる。亀頭で膣襞を擦っているのか、黒人の挿入を思わせる『メリメリ』という感じの挿入だ。
『ふぁああああっ!!!』
 沙綾香の悲鳴は、どこまでも情けない。
『あっはははっ!! ねぇ今の聴いた? ふわあ~~~だって!!』
『聴いた聴いた! ウケる~!!』
 ギャラリーは大笑いするが、ナイフの切り傷に指を捻じ込まれるような状況で、格好をつけていられる人間などいないだろう。
『オレ嫌いじゃないけどね、こういう変な声。だって、ウソがないじゃん? 演技でこんな声出すわけないし』
 颯汰は有難くもないフォローを入れながら、腰をグリグリと押し込んだ。沙綾香が本能的に避けたポイントを、徹底的に責める気だ。
『あああっ、そこだめ、そこおおっダメえええ゛ーーっ!!!』
 沙綾香の絶叫が響き、太腿が強張る。そして直後、股の間から飛沫が噴き出した。布団の端を越え、ギャラリーの近くまで届く勢いで。
『うわ、なんか飛んできたぁ!!』
『またハメ潮? ってか、突かれるたびにちょっとずつ噴いてたじゃん。どんだけ出すのって感じ』
『さっきガブ飲みしてた水、もう全部出したんじゃない? 布団グッショグショだし』
『ねー。あたし、ああいうブシャブシャ潮噴く女ってムリ。股だけじゃなくて、なんか頭もユルそうじゃん』
 ギャラリーが好き放題に罵る中、沙綾香は海老反りのまま痙攣を続けていた。息が荒く、口の端から涎まで垂らしている表情に、余裕は微塵も感じられない。直角に曲がった脚の震えも尋常じゃない。普通なら、やりすぎを反省して休憩を挟むべき反応だ。だが、颯汰は責めの手を緩めない。
『いっち、に、さーんっ。いっち、に、さーんっ。はいイって!』
 大きな絶頂の最中にいる沙綾香に対し、力強く腰を打ち込む。嫌がって腰を逃がす動きを、空中で巧みに御しながら。
『いいいいイクっ、イクまたイクゥうううっ!!!』
 沙綾香は潤んだ瞳を開き、全身を痙攣させ続ける。荒い呼吸の末に、とうとう鼻水まで垂らしながら。
『おおー、すっげぇ顔。他のコ相手にやるなら、この辺までかな。女の子が泣いて鼻水出したらやめるって自分ルール。可哀想だもんね』
 颯汰は沙綾香だけを例外と言い含めつつ、責めを続ける。今度は、腰を掴んでのピストンを継続しつつ、親指を使って恥骨の辺りを押し込んでいるようだ。
『や、ぁっ……!!』
『ハメられながらココ押さえられると、すっごいこそばゆいっしょ。んで、感じるっていう。ちな、コッチはもっとすげぇよ?』
 颯汰は沙綾香の腰から左手を離し、3本揃えた指先で下腹を押し込んでいく。
『いひっ!? はっ、はっ、はっ……そ、そこ、は……!!』
『そ、“子宮”。結局女って、ココで感じるように出来てんだよ。クリとかGスポは、あくまでエロい気分出させるためのスポットでさ。だから女のコ本気で狂わせたいんなら、こうやって、子宮を内と外から刺激するのが一番ってわけ』
 颯汰の言葉には、妙な説得力がある。いくら性格の歪んだ男でも、膨大な女性経験に裏打ちされた知識は馬鹿にできない。何より、俺自身の深い記憶が、奴の言葉を全力で肯定している。奴の言葉に嘘はない。ああして子宮を内外から刺激すれば、女は快感で悶え狂う。そういう風に出来ているんだ。
『押さえないでっ、そこ押さえないでっ!!!』
『ヤバイでしょ。こうして押し込んだら、子宮が疼いてるのわかるもん。やー興奮してきたよ。これ続けたら、女の子ってどうなっちゃうんだろ』
 颯汰は興奮で息を荒げながら、姿勢を変えた。それまでの膝立ちから正座になり、太腿に沙綾香の尻を乗せて安定させる。その上で、掌の付け根を使って下腹を押し込みはじめた。
『あはっ、はっ、はっ、はっ、はっ…………!!!』
 沙綾香は目を見開き、口を開いて大きく喘いでいる。表情の強張り具合を見るかぎり、本当なら歯を食いしばりたいんだろう。だが体力を消耗しすぎている上に、腹部を押し込まれる苦しさもあって、仕方なく大口を開いている感じだ。
 歯を食いしばれないのは致命的だ。人は奥歯を噛み締めてはじめて、苦痛に耐えることができる。その口を開いてしまえば、身体に芯は通らない。ふやけた体では、快感の濁流に抗えない。溺れるしか、ない。
『ああああ゛イグっ!! だめええいぐいぐいぐっ、すっっごいイっぢゃううう゛ーーーーッ!!!!』
 沙綾香は喉の奥から絶叫を迸らせ、舌を出しながら喘ぎはじめる。
『ううわ、うるっさ!』
『なんか犬みたいだね、ハッハハッハ喘いでさあ』
『ビッチの本性出たねー。あの腰も、ちょっと下品過ぎない?』
 未知の絶頂に震える沙綾香を、女共は容赦なく笑った。颯汰もゲラゲラと笑っている。そんな中、ふと場違いな声色が混ざった。

『…………あ、あの…………!』

 腹を抱え、手を叩いていた一同が、動きを止めて一点を見る。視線の集まる先は、カメラの方だ。
『どうしたの、祐希?』
 颯汰が髪を掻き上げながら問う。沙綾香も激しく喘いだまま、横目で見上げる。
『……そ、その、颯汰さま。もう、いいんじゃないでしょうか。沙綾香は、その、反省……してるみたいですし……』
『そう? 追い詰められて変になってるだけで、反省してる感じはしないけど。なに、オトモダチが苦しんでるの、見てらんなくなった?』
 颯汰が問い詰めると、祐希は言葉に詰まる。奴隷として、颯汰の機嫌を伺う癖がついているんだろう。それでも、祐希は深呼吸して言葉を続ける。
『沙綾香に負けたのは、私が不甲斐なかったからです。だから、罰なら私に!』
 祐希の言葉に、沙綾香の瞳が揺らぐ。颯汰は逆に、静かな眼差しで祐希を見つめていた。
『なるほど。でも、ダメ』
『そ、そんな!』
『言ったでしょ、これは俺とこの女の喧嘩だって。今はその喧嘩の罰ゲームをしてるだけ。だから、この女が受けるのが筋なんだよ。もちろんお前にも、審査会に負けたお仕置きはするよ。この女が気絶した後で、じっくり再調教する。だいぶキツめにやるから、覚悟決めときな』
 颯汰はそこで言葉を切り、沙綾香を突いて呻かせる。お前もこうなるぞ、と眼で訴えながら。
 一方の沙綾香は、また絶頂に追い込まれつつも祐希の方を見つめていた。言葉がなくともそこには、親友への感謝の気持ちが見て取れる。
 悪意一色の世界に灯った、僅かな光。それが沙綾香の支えとなることを、祈らずにはいられない。

 

                 ※



『あ゛はあ゛ァあ゛んああ゛っ! あああふっ、ッあ゛あぁあ゛あ゛あ゛ーーー!!!』
 映像内で響く声は、完全に悲痛な泣き声になっていた。蚊の鳴くような声と割れんばかりの大声が、滅多矢鱈に吐き出される。
 相手がそれほどの反応をしていても、颯汰は責めを緩めない。布団に突っ伏す沙綾香の背中を押さえつけ、ひたすらに奥を突き回していた。それがどれほど酷かは、場の状況を見れば判る。沙綾香が今犯されているのは、布団から完全にはみ出した畳の上だ。男の腕力で押さえ込まれながらも、そんな場所にまで這いずり出した。よほど死に物狂いで暴れない限り、そうはならない。
『ふぁあ゛ああ゛アあ゛ッ、ふうう゛うう゛んんん゛っ!! ん゛ーーっ、んん゛ーーーっっ!!!』
 喉だけを震わせて声にならない呻きを漏らし、それを最後に沙綾香の反応が途絶える。
『気ぃ失った?』
 颯汰が尋ねると、ギャラリーの1人が屈みこみ、沙綾香の濡れた海藻のような髪を掴み上げる。沙綾香は、ボロボロだった。汗に、涙に鼻水、涎。出せるだけの体液を垂れ流している感じだ。だが、意識はある。
『まだ活きてま~す』
 女はそう報告すると、沙綾香の顔にブッと唾を吐きかけ、汚らしそうに髪を離す。ほんの数秒髪を掴んでいただけで、女の指からは雫が滴った。
『へーぇ、まだ意識あんの。なに、友達の見てる前では気絶したくないって頑張ってるわけ? それとも快感に滅茶苦茶耐性あんのかな』
 颯汰は笑いながら、沙綾香の腰を掴んで尻を上げさせる。
『はい、じゃあまた深イキね。いち、にー、さーん。いち、にー、さーん』
 うんざりするほど聞いた三拍子が、また始まる。ただ耳障りなだけじゃない。それが口にされる時、沙綾香はいつも酷い絶頂に追い込まれる。
『あっ、ハァッ、かはッ! んッ、あ、はああッ!! あッ、あん、んんあ゛ああ゛ッ!!』
 颯汰の三拍子と同じリズムで、絶頂の声が響き渡る。尻だけを高く掲げた股の間から、ポタポタと愛液が滴り落ちていく。
『はっ、はっ……祐希。次こっち』
 沙綾香を激しく犯しながら、颯汰がカメラに向かって呼びかける。頭を振って後方を指すのは、背後から撮れという合図か。
 カメラが主役2人の背後に回る。布団に膝をつき、尻だけを高く掲げた沙綾香の尻。大きく腰を落とした中腰のまま、その沙綾香を犯す颯汰の尻。どちらも異性を虜にするだけあり、シミの一つもない美しい肌だ。だからこそ、濡れ光る中央部に出入りする赤黒い逸物は、毒々しさが際立っていた。
『ちゃんと撮っとけよ』
 颯汰は祐希に向けて念を押すと、前傾姿勢になりながら畳に手をつき、沙綾香に覆い被さる。そしてそのまま、ハイペースで腰を振りはじめた。チュプチュプという音が響きはじめ、沙綾香の膝下が跳ね上がる。
『あはっ、あ、あ、ああぁ奥うっ、おぐううっ!! 奥があっああああ゛っ!!!』
 震える声色で、狂ったように「奥」を連呼するのは、突き込みが格段に深まったせいだろう。背後に密着したまま、ほとんど真上から打ち下ろすようなピストンが、浅かろうはずがない。三拍子からの突然のペースアップも相まって、沙綾香は混乱の極みだろう。
『あ゛っ、ああ゛っ、うあああ゛っ……!!』
 何度も真上から突き込まれるうち、泣くような声と共に、沙綾香の腰の位置が下がっていく。颯汰はその崩落を瞬時に察して、一番の奥まで突き込んだまま腰を止めた。
『あああああッ!! いいいぐっ、そこ、とめ……ッく、奥はあイグ…うう゛ああああああッ!!!』
 沙綾香の叫びは、もう言葉の体を成していない。その叫びの直後、下腹から足指の先までがブルブルと震えはじめたのを見れば、それにも納得がいく。十番勝負でも目にした震え。端塚はあの骨盤周りの痙攣を、ポルチオでの深い絶頂に伴う筋収縮と言っていた。
 颯汰もそれをよく承知しているようだ。奴は逸物で膣の奥を縫い留めたまま、なおも震えつづける沙綾香の下腹に手を宛がった。体外からのポルチオ圧迫だ。
『ふぁあえああ゛あ゛っ!!?』
 沙綾香から混乱しきった叫びが漏れた。どれほど辛いのか、と想像する間もなく、答えが視界に飛び込んでくる。沙綾香の下腹の震えは、一気に強まった。尋常じゃない。透明な電気マッサージ器でも押し当てられているような震え具合だ。
『あっはははっ、すっげえ!』
 颯汰が勝ち鬨にも似た声を上げる。それとほぼ同時に、奴の腰は浮いた。あまりの衝撃に、沙綾香の尻が跳ね上げたんだ。
『おっ、お、やんじゃん!!』
 カメラに映ってもいない颯汰の顔が、笑ったのが解る。奴は跳ね上がった腰を戻すと同時に、『両手で』子宮付近を押さえ込む。そうして子宮の逃げるスペースを完全に潰した上で、一切の容赦なくピストンを始めた。腹の肉と尻肉がぶつかり、ばちゅばちゅと鈍い音を響かせる。
『あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! あやあああ、ひぐあらぁいでええ゛ーーーっ!!!!』
 言葉にならない叫びが空気を震わせる。脚は激しく痙攣しながら、おそらくは逃れたい一心で畳を蹴り続ける。颯汰は激しくピストンを叩き込みながら、自分の脛で沙綾香の脚を踏みつけ、抵抗を封じていた。そうなれば、沙綾香はもう潰されるだけだ。
 颯汰が真上から逸物を叩き込むたび、沙綾香の腰が降りていく。腹が畳につくまで、6ストロークとかからない。颯汰はそこで、ダメ押しとばかりに何度も突き込んでから、また一番の奥をグリグリと刺激しはじめる。
『ふぁああうう゛う゛っ…………』
 沙綾香は、ついに叫ぶことすらしなくなった。消え入りそうな声で、か細い泣き声を漏らすばかりだ。逆に割れ目の付近は戦慄いている。怖いぐらいに痙攣しながら、やめてと訴えるように左右に揺らぐ。
 颯汰は腹に宛がった手と逸物で、強引にそれを押さえ込んでいた。ガスであれ炭酸であれエネルギーであれ、噴き出そうとするものに無理矢理蓋をすれば、その行きつく先は器の決壊だ。
『うわ、顔やば!』
 最初に声を上げたのは、沙綾香の真正面にいたギャラリーだ。続いてその横の娘も、口に手を当てて笑い出す。
『アハッ、白目剥いてる! しかも、泣いちゃって……よく気絶しないよね、これで!』
 言葉は時として残酷だ。直接見えなくとも、その物言いだけで、沙綾香の現状がまざまざと思い描けてしまう。
 ギャラリーが大笑いする中、沙綾香は震えながら顔を持ち上げる。
『も、もぉイキたくない゛……!』
 掠れ声で告げられるその言葉は、あまりにも痛々しい。だが、颯汰が同情する様子は微塵もなかった。
『何言ってんの。まだポルチオ逝きの状態、2時間ぐらいキープしてるだけじゃん』
 悪びれもしない、とはこのことだ。奴にはひょっとして、本当に罪の意識というものがないのかもしれない。
 絶頂なんてものは、ほんの数分持続するだけでも体力を根こそぎもっていかれるものだ。それを、2時間。
『だ、“だけ”って……それが、どんなにしんどいか……!』
『いやいや、“だけ”だよ。君、体力なさすぎ。祐希見習ってスポーツでもやんなよ。あ、セックスで有酸素運動でもいいよな。これとか、ちょうどいいトレーニングじゃん!』
 颯汰はそう言いながら、脱力した沙綾香をひっくり返した。そして足首を掴み上げ、強引に股を開かせて犯しはじめる。
『んっぐ、ぐうっ! んぐうううっ…………!!』
 沙綾香は歯を食いしばり、髪を振り乱しながら苦しんでいた。颯汰はそれを見て笑みを浮かべ、ギャラリーの方を向く。
『どう? 同じ女として、こういうのって』
 そう質問されると、女共にも意地の悪い笑みが伝染した。
『えー、どうっていうかあ……』
『おマンコがヒクヒクしててキモイでーす!』
『同じくー。女子高生でこれとか、マジでオワってると思いまーす!』
 リップの光る唇から吐き出される、憎しみに満ちた言葉。それを耳にして、沙綾香の顔がさらに歪む。
『あーあ、ひでえ言われよう。ま、オレもそう思うけど』
 颯汰は嘲りながら、沙綾香の脚を肩に担ぎ上げる。そして体重をかけ、玉袋が割れ目に密着するほどの深さで犯しはじめた。
『あああっ、や、やだっ、やめっ、だめえ゛っ!! ああ゛っ、ああがっア゛、はぐっ……ぅううあだめええ゛え゛っっ!!!!』
 沙綾香は当然絶叫し、腰を左右に揺すって逃れようとする。だが颯汰は、畳に膝をついてそれを阻止しつつ、執拗に奥を虐め抜く。
 暴れ方が酷いタイミングと、奥をグリグリと押し込まれるタイミングが重なれば最悪だ。
『やあ゛あ゛だめえ゛っ!!!』
 悲痛な叫びと共に、担ぎ上げられた足裏が空を蹴る。続いて尾てい骨付近が引き締まり、最後に尻のラインに沿って透明な液が垂れ落ちていく。たぶんそれは、不自由な出方をした潮だ。事実その後は、抜き差しに伴う音の水気が増した。クチュクチュクチュと、水の入った壷を指で掻き回すような音がする。
『どうだ。ずっと絶頂キープされて、ハメ潮しまくって。いい加減、自分が股のユルいビッチだって自覚できたろ? オレに喧嘩売る資格なんて無かったよなぁ!?』
 颯汰の言葉遣いが荒くなる。奴はそうして本性を表しつつ、明らかなトドメに入った。担ぎ上げた両脚を解放し、仰向けの沙綾香に覆い被さる形になる。
 その次に始まる動きは、腰を前後に振るピストンじゃない。腰を奥に押し付けたまま、緩やかに円を描くような動き。亀頭とカリ首を使って、子宮口付近を『練り潰して』るんだ。俺も沙綾香を抱いた時、無意識にやったからわかる。あれは効く。しかも今のあれは、2時間に渡って中イキを継続させた末の責めだ。
『はああ゛あ゛っ!! おお、おくは、奥はやめて、ほんとにい゛っ! 大袈裟じゃないの、腰がぶるぶるして止まんない!! 頭が、ヘンになるう゛っ!!!』
 沙綾香は、太腿から先を震わせながら、恐怖に顔を歪めていた。だが、颯汰は容赦をしない。両手を伸ばして沙綾香の尻を抱えつつ、自ら腰を左右に振って奥を抉り回す。
 挿入したまま腰を揺らせば、どこかで必ず致命的なスポットを補足される。颯汰は沙綾香の反応を探り、悲鳴が大きくなったところで『練り潰し』に戻っていた。沙綾香の尻を抱え、逃げを許さないまま。
『はあああ゛っそこだめ、そこはだめええ゛え゛ッッ!!! あああだめっダメ、そごやだあ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!』
 沙綾香は激しく首を振りながら涙を流す。苦しいのかもしれないし、悔しいのかもしれない。いずれにしても、彼女はもう逃げられない。全ては颯汰の手の上だ。
『許してほしかったら、謝ろう。ごめんなさいってさ』
 颯汰は腰をうねらせながら、沙綾香に囁きかける。すでに半狂乱の状態すら越えつつある沙綾香に、それを拒める余力はない。
『ごめっ、ごめんなざい゛っ、ごめんなざいいい゛っっ!!』
『もっと、皆にも! ここにいる全員が見てたんだから』
『ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!! はーっ、はーっ……ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなざいい゛い゛い゛い゛っっ!!』
 颯汰のみならず、ギャラリーの女達にさえ媚びた視線を送りながら、沙綾香はひたすらに謝り続ける。その無様さと、いよいよ病的になりつつある痙攣を、颯汰と女共が散々に嘲笑う。この世にこれ以上愉快なものはない、と言わんばかりだ。
『ご、ごえんな……ひゃ…………あはひっ、ほっお、おほっ……お゛、おッ…………!!』
 最後の最後、沙綾香は痙攣しながら『お』行を発しはじめた。極度の快感に晒された時、人間がどうしても発してしまう声。
『あっははははっ!! やだ、何あれ!?』
『うーわ、キモッ。おおお、とか言って。女捨ててんじゃん!』
『いくらビッチっていっても、限度があるよねー。引くわー』
 すかさず叩きつけられた悪意の言葉を、果たして沙綾香は認識しただろうか。彼女は、あれだけ憎んでいた颯汰の肩にしがみつきながら、天を仰いでいた。よく見れば、白目を剥いてもいるようだ。
『…………もしもーし。とうとうブッ飛んじゃった?』
 颯汰は沙綾香の様子に気付き、頬を叩く。それでも沙綾香の瞳は戻らない。黒目を半ば瞼に隠したまま、危険な痙攣を繰り返している。それを見た颯汰は、苦笑しながら逸物を引き抜いた。
『颯汰さまぁ。どうでした、その女?』
『全然気絶しませんでしたねー。弱音は吐きまくってたくせに』
『こんな女より、あたしらの方がいいですよね。ねっ、颯汰さま!』
 ギャラリーが口々に問うと、颯汰は汗に濡れた髪を後ろに撫でつける。
『誰か、後で口直しの相手してくんね? マジでストレス溜まったから、オレの事めっちゃ褒めてくれるコ募集! 候補多かったらジャンケンね』
 颯汰はそう誘いをかけ、女が奇声を上げながら権利を奪い合うのを脇目に、カメラへと近づく。正確には、今も棒立ちでカメラを構えている祐希にか。
『……祐希。お前の友達、マジで雑魚かったわ。セックスには慣れてねぇ、けど清純ってワケでもねぇ。オレが直々に調教してやったってのに、あんな中途半端なクソに負けてんじゃねぇよ!』
 颯汰はカメラの至近にまで迫り、腕を伸ばす。
『再教育、キツめにいくぞ。覚悟しとけ』
 その言葉を最後に、カメラの映像は切れた。スイッチを切られたのか、それとも壊されたのか。不穏ではある。だが俺はそれ以上に、沙綾香の安否が気がかりだ。
 終わり際の彼女は、どう見ても異常だった。脳が快感で焼き切れていたとしても、何の不思議もないくらいに。



                 ※



 モニターが暗転してから数十分後。颯汰が、丸裸の沙綾香を連れて地下19階に戻ってくる。
「遅ぇぞ」
 灰皿で煙草を揉み消しながら、手越が入口を振り返る。
「あはは、すんません手越さん。ちょっとハリキリ過ぎちゃって」
 颯汰は謝りつつも、軽薄な笑みを消さない。
「ったく。ま、なかなか楽しませてもらったがよ」
「え、マジっすか!? どうやって……あ、祐希の撮ってたビデオで? やー嬉しいなあ、手越さんに褒められるとか。手越さんに教わったテク、何個か使ったんすよ。3拍子の『条件付け』とか、追撃ピストンとか」
 映像内での俺様ぶりとは一転、手越に子犬のような態度を示す颯汰。手越は満更でもない顔で笑いながら、颯汰の手元へと視線を向ける。
「その結果が、それって訳か」
 颯汰に抱えられた沙綾香は、まだ自力で歩くこともままならない様子だ。上気した赤ら顔に、尋常でない汗。長湯で上せたような状態が、まだ収まっていない。
「そっす。2時間ぐらい中イキキープさせたんで、まだバリバリ余韻の最中っすよ」
 颯汰はそう言って、沙綾香を近くのソファに投げ捨てた。
「きゃっ……あ、はっ!?」
 沙綾香は悲鳴を上げながらソファに尻餅をつき、その瞬間にまた震え上がる。腰のみならず、足指の先まで痙攣するその震え方は、ポルチオ絶頂……つまり『中イキ』の特徴だ。
「なるほど。確かに余韻に浸ってやがるな」
 手越は可笑しそうに笑い、椅子から立ち上がる。
「よし。ちょうどスッパダカなんだ。そのまま朝まで輪姦(マワ)されてろ」
 無慈悲な手越の言葉に、沙綾香が身を強張らせる。
「やっ、今は無理っ! ちょっと休ませて、今身体がヘンなの!」
「ダメだ。あいつら見てみろ、とうに我慢の限界だ」
 手越は首を振りながら、鉄格子の方を親指で示す。
「ヘイジャパニーズ、早く来いよ!」
「コックが膨れてたまんねぇ! 早く楽にさせてくれ!!」
「そんな野郎の物じゃ満足できなかったろ? オレのフランクフルトをご馳走してやんぜ、たっぷりとよ!!」
 掴んだ鉄格子を揺らしながら、調教師共が叫ぶ。確かに我慢の限界らしい。もともと騒がしい連中ではあるが、モニター越しに颯汰の責めを見て、余計に興奮したんだろう。
「やだ、やだっ……!!」
 沙綾香は首を振って嫌がるが、手越の力には抗いきれず、強引に鉄格子の中へと放り込まれてしまう。

 モニターが点灯し、隔離部屋の様子が4画面に映し出された。どの角度のカメラにも、黒人共に取り囲まれる沙綾香が映り込んでいる。
「へへへ、もうメスの匂いさせてやがる!」
「ああ、たまんねぇ!!」
 黒い腕が、背後から尻肉を鷲掴みにし、左右から乳房を揉みしだく。
「やめて、お願っ……んうう゛っ!?」
 沙綾香の拒絶の言葉は、あっという間に封じられた。ダーナルがいきなり唇を奪ったからだ。
「んんッ、ふッ……むっ、ふぅ…ん、はっ……!」
 しばらく唇を密着させたところで、ダーナルは口を離す。
「へへへ、美味ぇ口だぜ。昼間、自分からキスしたってことはよ、解禁でいいんだよな?」
 ほくそ笑むダーナルの問いに対し、沙綾香は何も答えない。肯定しない代わりに、否定もしない。
「ノーと言わねえってこたあ、イエスと取るぜ!」
 ダーナルは左手で沙綾香の顎を掴みつつ、またキスを迫る。今度は唇を密着させるだけでなく、舌まで潜り込ませているようだ。
「れあっ、あえっ……」
 沙綾香はくぐもった声を漏らすものの、逃れようとはしない。自分で引いた一線を越えて、吹っ切れたんだろうか。あるいは颯太に負けたショックから、まだ立ち直れていないんだろうか。
 ダーナルはそんな沙綾香の口を貪りながら、割れ目に指を捻じ込んだ。
「ううう゛っ!」
 沙綾香も流石に目を見開く。ダーナルの二本指が蠢き、グチュグチュと音を鳴らしはじめると、呻きも苦しそうなものに変わっていく。
「すげぇ音だ。こいつ、もう濡れてやがる!」
「ああ。無理矢理キスされて、指でマンコいじられて。大した変態女だぜ!」
 沙綾香を囲む他の連中も下卑た笑みを浮かべ、乳房や尻肉を力任せに変形させる。
 
 過激なスキンシップがしばらく続いた後は、いよいよ輪姦が始まる。
 まずは滾りに滾った欲望を叩きつける、『ラッシュ』の時間だ。一人が床に寝そべって膣を犯し、同時に背後から別の一人が肛門に挿入し、前の一人も口に咥えさせる。そうして3人一組となって、ひたすらに“穴を使う”。
「おごっ、お゛……もごおっ、おおお゛え゛っ!!!」
 鼻が上向くほどの開口を強いるイラマチオ。当然、それに対するえずきが起こる。だが今の沙綾香には、それ以外の問題もすでに起きているらしい。
「うははっ、すげぇ! ポルチオがよぉ、プルンプルンになってやがんぜ! 煮込みまくった牛スジみてぇだ!」
 歓喜の声を上げたのは、下から膣を突き上げるレジャナルドだった。同じ挿入でも、颯汰のそれとは迫力がまるで違う。
「プルンプルンだぁ? コリコリじゃなくてか?」
「違ぇよ! もうよ、前ン時とは別物みてぇに蕩けきってやがんだ。多分こりゃ、あの映像にあった責めのせいだぜ」
「そういや、あの女みてーなガキが、やたら奥を刺激してやがったからな。アレでほぐれたってわけか」
「ああ間違いねぇ。ジャパニーズってなぁみみっちい作業が得意だからな。おかげで、いい感触味わえるがよお!!」
 近くにいる仲間と会話を交わしながら、レジャナルドは上機嫌で腰を振る。
「もごっ、おおお゛っ!! おっ、おおごっ、おも゛ぉっ…………!!」
 沙綾香は膣を突き上げられるたびに、えずきながら震え上がる。視線が何度も割れ目に向く。
「ぷはっ! はぁっ、はぁっ……おねがい、おねがい……奥、突かないでっ……!!」
 少しでも口が自由になる度に、哀願を繰り返してもいる。
 その異常性……あまりにも楽しげなレジャナルドの態度と、沙綾香の反応は、他の調教師にもポルチオへの興味を抱かせた。
「よお兄弟、早く替われよ。俺にもトロけたポルチオを味わわせてくれ!」
 目を血走らせ、怒張を扱きながらそう要求する人間が後を絶たない。
「ガハハハッ、なんだよこりゃ! ホントにこりゃすげぇなあ!!」
「よく濡れたプッシーは散々味わってきたが、こんなのは初めてだぜ!」
「まだまだヘバんじゃねーぞ。朝まで可愛がってやるからな!」
 驚きの声を上げながら、入れ替わり立ち替わり膣を犯す。
 それを一方的に受け続ける沙綾香の様子は、いつになく異様に見えた。全身の震えが普通じゃない。絶頂に伴う痙攣ならこれまでにもあったが、今は抜き差しを繰り返される間、常に震え続けている。
 特に『ラッシュ』の終盤、足首を掴み上げての二穴責めで見せた反応は凄まじかった。
「かはッ、あ、ああお゛っ!! え゛あっ、ええ゛あああッッ!!!」
 両膝を何度も屈伸させ、腰を上下させながらの絶叫。口には何も入っていないはずなのに、叫び声は痰が絡んだように不明瞭だ。
「おーおーおー、すんげぇツラしやがって。俺らに二穴ブチ犯されりゃ、大体の女がひでぇツラになるが、そん中でもこりゃ傑作だな!」
 沙綾香の顔はちょうどカメラの死角で見えないが、膣を犯すモーリスの言葉だけで十分すぎる。


                 ※


 その後も輪姦は続き、10人が2巡ほどしたところで『ラッシュ』は終わる。ただしそれは、欲望を発散して人心地ついたからじゃない。今日の黒人共は、立て続けに2、3発射精してもまだ完全な勃起状態を保っていた。颯汰の責めに触発され、いつになく滾っているらしい。輪姦をやめたのも、「あの映像のようにじっくりと責めたい」という総意からだ。
 おそらく沙綾香にしてみれば、輪姦されていた方が楽だっただろう。一対一で犯されはじめた彼女を見ていると、そう思わずにはいられない。

「ああ゛あ゛あ゛ーーっ、ダメえっ、だめえっ!! あぁああはっ、おくっ、ふっ、太い……あ゛、あ゛ーーーッ!!」
 沙綾香は、悲鳴を上げつづけていた。テーブルに突っ伏す形で、背後から犯されながら。
「すげぇな。奥が痙攣しっぱなしだぜ」
 トラバンが腰を打ち込むたび、木のテーブルが軋み、すらりと長い脚が痙攣する。ハの字に開いた脚の間から、ポタポタと愛液が滴る。
「くはあっ! はっ、あはっ……は、お゛っ…………!!」
 今また痙攣が大きくなり、沙綾香が口を開いた。舌を突き出し、『お』行の喘ぎを漏らしながら。見覚えのある顔。元力士のダリーに犯されている時にそっくりだ。それだけ子宮口が弱くなっているんだろう。
 そのインパクトの大きさは、傍で見守る他の黒人共をも調子付かせる。
「へへへ、すげぇな。オイ、そろそろ『アレ』やろうぜ」
 マーキスがそう言って、沙綾香の脚を持ち上げるジェスチャーをする。
「ああ『アレ』か。そういや、この女にゃあまだだったな」
 トラバンにも意図が通じたらしい。奴は沙綾香の身体を木机から引き離し、部屋の中央に向かって歩かせはじめる。
「や、なに……!?」
「ちっと場所変えるんだよ。手足がぶつからねぇようにな!」
 トラバンは不安がる沙綾香の腰を掴み、ピストンを再開した。パァンパァンと肉のぶつかる音が響く。
「や、もう……立って、らんない……!!」
 沙綾香は脚を内股に閉じ、凍えるように震えさせる。どれだけの快感が下半身を巡っているのかが、容易に伺い知れる反応だ。
 そんな中、沙綾香の左右にマーキスとジャマールが近づいた。奴らは不穏な笑みを湛えながら、犯すトラバンとアイコンタクトを交わし合う。そして、トラバンの突き込みで沙綾香の腰がまた震え上がった、その時。マーキス達が、素早く沙綾香の足を取った。足首を軽く浮かせる程度にだが、必死に踏ん張っていた沙綾香にとっては予想外だ。
「ひゃっ!?」
 驚きの声を上げるのも無理はない。だがその声が消えるよりも早く、足首は再び地面に叩きつけられた。左右同時に、思いきり。
 ダンッ、という音が響く。
 俺には一瞬、何が起こっているのか判らなかった。黒人連中がよくやる、髪を掴んだり、尻肉を掴んだりといった嫌がらせの一種かと思った。だが、それは看過できない行為だ。俺がそれに気付いたのは、一秒後の沙綾香の反応を見てからだった。
「ふあ、あああ、あ……っ!!?」
 身の毛がよだつ。まさにその表現が相応しい。沙綾香は目を見開き、全身を震え上がらせた。下から上へ。足首から、頭頂部まで。雷に打たれた人間を逆再生で見れば、ちょうどあんな風かもしれない。
「はっ……は、はっ……はっ、はっ…………」
 衝撃が突き抜けた後も、沙綾香の状態は不穏なままだ。目を見開き、口を完全に開ききったまま、完全に静止している。いや、よくよく見れば、全身が細かに震えつづけているようだ。
「おやおや、あれはキツいですよ」
 おれの前で、端塚がほくそ笑んだ。そして視線を向けた俺に対して、どこか自慢げに解説を始める。
「ポルチオアクメで足指の先まで痺れている状態で、ああして足の裏を思いきり地面に叩きつけると、痺れが増幅するんです。その強い痺れは、両脚を伝ってポルチオに帰っていく。すると脳はそれを、凄まじい快感として誤認するんです。人間の脳は精密機械のように繊細な一方で、案外騙されやすいですからね」
 端塚の言う通り、沙綾香は達したようだ。誰の目にも明らかなほどに。
「はッは、イッてやがる!!」
「足元からジーンと快感が上ってきて、堪んねぇだろ!」
 マーキス、ジャマール、トラバンの3人が、そしてそのさらに外側にいる連中も、手を叩いて沙綾香を笑う。笑っていい状況なのか。あの、凍り付いたように立ち尽くす沙綾香の状態は、あっていいものなのか。
 違う、と思う。なぜなら、黒人共があんなに嬉しそうだから。あいつらの喜ぶ状況が、俺達にとって望ましかったことなど一度もない。
「そーら、ドンドン行くぜぇ!!」
 3人の悪魔が笑いながら、洒落にならない悪戯を再開する。激しい音を立ててピストンを繰り返し、沙綾香の脚が震えたタイミングで足首を浮かせ、地面に叩きつける。その繰り返しだ。
「ひゃっ、はぐッ! やあっ、あひゃ、くう゛う゛っ!! はぁっ、はぁっ……もっ、やめ゛……あは、…………あ゛っ……!!!」
 沙綾香は何度も足元から震え上がり、ついには足をガニ股に開いたまま飛沫を散らした。
「ガハハハハッ、潮噴きやがった!」
「ああ、しかも見ろよ、まだイッてやがる! ガニ股で潮撒き散らしながらイクとかよお、よっぽど深ぇアクメだったらしいな!」
「立ったまま潮噴いてイキ散らす気分はどうだ、ビッチ女!?」
 黒人共は体を揺らしてゲラゲラと笑う。そこに同情の色はない。沙綾香を少しでも普通でない状態にするのが、心底可笑しいといった様子だ。
 そんな連中だから、沙綾香が棒立ちのまま実質気絶している状態でも、休ませることなどない。

 トラバンが後背位でしっかりと射精すれば、次はドミニクが沙綾香を抱え上げる。『フロリダの暴れ馬』を自称するあの男は、女を抱え上げてのセックスを好む。ただし今回は、いつものように結合部を周りへ見せつける形じゃない。その逆、沙綾香と向かい合う形での立位だ。
 対面にした理由はすぐに判る。ドミニクは、沙綾香の表情を見たかったんだ。
「あっ、あっ、あっ……だめっ、だめええっ、だめっ…………!!」
 執拗なポルチオ責めに続き、先の悪戯、そして今の立位。それを立て続けに受け続けた沙綾香の声は、泣き声そのものだ。ドミニクの巨体が邪魔をして、その表情はどのカメラにも映らない。だがドミニクだけは、今の沙綾香の表情を真近くで拝めることになる。
「いひひひっ! オイオイオイ、そそるツラしやがって! 快感に蕩けて、睨むに睨めねぇってか? そいつはよ、俺らレイパーが一番興奮するツラだぜ!!」
 ドミニクは興奮のあまり声を裏返しながら、沙綾香の尻を自分の腰へと落とし込んでいく。暴力的なサイズの怒張が抜けるたび、中出しされた精液が飛び散り、奥まで叩き込まれるたび、沙綾香の足指が外向きに反る。
「ああああッ、もうっ……! ああああ゛、もう゛っ……!!」
 犯されながら、沙綾香は何度も同じ言葉を吐いた。かろうじて吞み込まれる『もう』の先は、どんなに胸を抉る言葉だろう。


                 ※


 沙綾香は、刻一刻と絶頂の味を覚えこんでいく。

 彼女は今、布団の上でダリーに組み敷かれていた。直径2メートルの肉塊が、少女に圧し掛かりながら犯しぬく。必死に堪える沙綾香だが、すでに余裕はなさそうだ。ダリーの盛り上がった肩にしがみつきながら、少しずつ顎が浮いていく。そして……
「あイックイクイクッッ!!!」
 歯を食いしばったまま、絶頂が宣言された。気丈さをわずかに残しながらの屈服は、惨めな印象が一際強い。
「すっかりイキ癖がついちまったな。昨日は、もうちっとガマンできてたのによ」
 ダリーはそう言いながら、恐ろしく太い怒張を引きずり出す。充血した陰唇が引っ張られて外に捲れる様は、何度見ても戦慄する。
「いい傾向じゃねぇか。俺らのペットなんぞ、ビッチじゃなきゃ務まらねぇ」
 ダリーと入れ替わりに、タイロンがベッドに上った。その怒張は自重がありすぎて、完全な勃起状態であるにもかかわらず、膝の辺りまで垂れている。
「や……今、そんなの入れられたら……!」
「入れられたら? 狂うか? うれし泣きしちまうか? どっちでもいいぜ。あったけぇ穴でさえあってくれりゃあよお!」
 タイロンが沙綾香の足首を掴み、大きく左右に開く。そうして180度近い開脚を強いてから、亀頭を割れ目へと押し当てた。逞しい尻が前へ動けば、メリメリという感じで規格外の剛直が入り込んでいく。
「あぐ、ううう゛う゛っ……!!」
 沙綾香の顔は恐怖に歪んでいるが、逆に割れ目の方は、順調に剛直を飲み込んでいた。直前までダリーの挿入を受けていただけに、ある程度慣らしが済んでいるのかもしれない。そうして一度受け入れてしまえば、どんな巨根も膨大な刺激を与える棒でしかなくなる。
 シーツを揺らしながらタイロンが腰を振る。勢いをつけて叩き込んだ時でも、ペニスは4割近くが外に露出したままだ。だが奴の馬並みのサイズを考えれば、奥の奥までを征服し、子宮を叩き潰していることは想像に難くない。それを裏付けるように、タイロンが腰を押し出すたび、沙綾香の太腿に尋常でなく力が入る。足指はぎゅっと握り込まれ、手もシーツを握りしめる。
「あっ、あ゛! あ゛あ゛っ、あひっ、あああ゛あ゛っ!!!」
 口から漏れる声は濁っていた。その声は、ぼんやりと聞いていれば、大きすぎる怒張に苦しんでいるだけのように解釈できた。だがそれが許されるのも、ほんの数分の間だけ。ふと気が付いた頃には、声の雰囲気はガラリと変わっている。
「ふああああっ、ふっ、太い、深いいい゛っ!! 太すぎるっ! こんな、こんなああああ゛あ゛ぁ゛っ!! いっでるっ、今イッてるからっ、そごだめええ゛え゛え゛ッッ!!!」
 天を仰ぎ、頭上のシーツを引き裂かんばかりに掴みながら、沙綾香はひたすらに絶叫していた。これを苦しみと解釈するのは、よほど勘の鈍い人間だけだ。
 たぶん彼女は今、秒以下のペースで絶頂している。タイロンが腰を叩きつけるたび、例外なく。
「いいぜ、いいぜぇ。プッシーで唾液たっぷりのフェラされてる感じだ」
 タイロンは沙綾香の両足首を掴んだまま、上機嫌で腰を叩きつける。何度もそうしていれば、いずれ沙綾香の脚が逃げ出したそうに暴れる。タイロンはそのタイミングで、思いきり腰を突き込んでいた。ペニスの露出部分が2割にまで減り、先端が内部を蹂躙する。
「っこおおおお゛お゛お゛お゛お゛っっ!!!!!!」
 沙綾香は、快感の声を我慢できない。後頭部をベッドにめり込ませながら、腹の底からの声を絞り出す。もしタイロンが足首を掴んでいなければ、両脚は寝台のヘッドボードを蹴り壊しているかもしれない。
「ひひひ、すげぇすげぇ」
 そんな沙綾香の反応を目の当たりにして、他の黒人共がじっとしているはずもない。まずはダーナルがベッドに這い上り、沙綾香の唇を奪う。続いてレジャナルドも、逆側から沙綾香の胸を揉みしだく。そうして、只でさえ余裕のない沙綾香をさらに追い詰めていく。
「ん、んぐっ、んんむ゛ううう゛うう゛ーーーっ!!!!」
 やがて、沙綾香は声を一段と悲痛な声を上げた。ダーナルから舌を絡めるキスを強いられ、タイロンに深々と犯されながら。
「はっは、すんげぇ声だ。このガキ、相当キスハメが好きらしいな」
 3人の黒人が、沙綾香を見下ろして勝ち誇った表情を浮かべる。その中心で沙綾香は、舌をはみ出させたまま、ただ呆然としていた。

 その所在無げな様子は、ソファでアンドレに犯される頃になっても変わらなかった。
 ソファへ腰掛けたアンドレの膝の上で、沙綾香の身体が上下する。颯汰の横にいればスーパーモデルに見えた彼女も、アンドレの腕の中では小学生と変わりない。そんな『小さな』少女が、腿を抱え上げて犯される光景は、今更ながらに犯罪的だ。
「あ゛っ、あ! う゛、ああ゛っ……だめっ、トン、じゃ……あっ、あ゛っ!!」
 沙綾香は、小さく呻き続けていた。快感の色の濃い喘ぎか、限界を訴える言葉。もうずいぶんと前から、彼女の口からはそれしか漏れていない。
 アンドレは、そんな沙綾香を明らかに弄んでいた。わざわざ腿を抱え上げているのも、沙綾香の脚を宙に浮かせ、踏ん張りを利かせないためだ。
 そして奴は、また動きを見せる。沙綾香の顎を掴み、強引に顔を上向かせてのディープキス。
「んぶううっ!? ら、らえっ! これ、仰け反って、頭がくらくらして……い、意識、が……っ!」
 沙綾香は白い喉を蠢かせ、目を白黒させて混乱しきっている。アンドレはキスを続けながら、さらに左手の指をクリトリスに伸ばした。
 絶え間なく中イキを続ける中、クリトリスまで刺激されれば、絶頂は避けられない。
「むうう゛っ、ふんん゛ん゛ん゛っ!!!」
 沙綾香は身を仰け反らせ、不自由な悲鳴を漏らしながら痙攣する。しかもそれで、またひとつ彼女のタガが外れたらしい。
「れああっ、はあっ、はああいぐううっ、逃げられないっ、逃げられないいいいっ!!!」
 涙を流しながら、新鮮な絶叫を迸らせる沙綾香。割れ目からブジュブジュと音が鳴っているところを見ると、『ハメ潮』を噴いているのか。
「いいぜいいぜ、キマってきたなぁ。っし、もう一段階上いくか!!」
 ジャマールが沙綾香の前に近づき、アンドレの怒張が入ったままの割れ目へと怒張を捻じ込みはじめる。
「らあああ゛っ!?」
「大好きな二本挿しだぜ。トロットロになったプッシーの奥で、たっぷり味わえよ!!」
 ジャマールは歯を剥き出しにして笑いながら、一切の容赦なく腰を振る。アンドレも同じく、しっかりと沙綾香の太腿を掴んで逃げを封じている。
「うわああ゛あっ、だめっ、だめええエエッ!! こんあの、おがしくなるっ、おがしくなっぢゃうう゛う゛っっ!!!」
 沙綾香は、二本の怒張が出入りする割れ目を凝視しながら、恐怖に震えていた。
 恐怖の、はずだった。二本挿しが始まってから数分は。
 だが、調教師が入れ替わりながら激しい二穴責めを繰り返される中で、少しずつ様子が変わっていく。

「ひぎィっ!! いひっ、ひぎいいいっ!! いっひ、いぐっいーっグウッ!!! イグイグイグイグッ、いっぐうううう゛んんっ!!!!」

 最後に見た沙綾香の顔。それは、俺のイメージする彼女の顔立ちとは、決定的なほどに乖離していた。
 左右の眼球が藪睨みのようにあらぬ方を向き、血と粘液の入り混じった液を鼻から垂らし、食いしばった歯の間から際限なく唾液を垂らす。

 狂っている。

 俺は、誰よりも愛する少女に向けて、ほんの一瞬そう思ってしまった。
 犯される彼女が、病的な痙攣を繰り返し、とうとう項垂れて失神する。そんな危険な状況を前にしても、俺は心のどこかでホッとしていた。気を失えば、あの異様な表情が中断されるからだ。
「へへへ、とうとう気絶しやがったか」
「ああ。完璧にノビてやがる」
 黒人共が怒張を引き抜き、沙綾香を床に放り捨てる。もはや意識のない沙綾香は、手足を広げたまま、潰れたカエルのような格好で倒れ込んだ。
「今晩も、大したザーメンタンクぶりだったな。プッシーから溢れてやがる」
 惨めな沙綾香を見下ろし、レジャナルドが嘲笑う。そして奴は足を上げ、背中側から子宮の辺りを踏みつぶした。
「る゛」
 沙綾香から低い呻きが漏れる。そして同時に、股の間からぶしゃっと何かが噴き出した。
 精液……じゃない。開いた脚の数メートル先まで飛び散った透明な液は、明らかに潮だ。
「はははははっ!! こ、こいつ、子宮踏み潰されて潮吹きやがった!!」
「ぎゃははははっ!! オイオイ笑わせんじゃねえよ! マジでクソビッチじゃねぇか!!」
 黒人共は目を見開き、これ以上可笑しい事はないとばかりに笑いに笑う。だが俺には、そんな笑い声はどうでもいい。
 意識も碌にない状態で、子宮を踏みつぶされて絶頂したんだ。
 あの初々しかった沙綾香が、それほどまでになっていること。そこまでにされてしまったこと。その事実が、ただ、ショックだった。


                        続く

 

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.3(前半)

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.2の続きです。
文字数が多すぎるため、前半/後半に分割します。合わせて6万7千字程度です。
相変わらずお待たせしてしまい、すみません。
その分、濃厚な描写となったと思いますので、クリスマスプレゼントとしてお楽しみください!




 『檻』から出された後、沙綾香はベッドに倒れ込み、泥のように眠った。百合が体中を拭き清めている間も、目を覚ますことなく。地獄に堕ちた彼女にとって、唯一安らげる時間だろう。だが、それもすぐに終わる。昼が来れば、彼女は叩き起こされた。いよいよ、『審査会』の時間らしい。

 沙綾香がシャワーを浴び、桜色の肌を取り戻した頃。フロアの片隅にあるセンサーが緑に変わり、扉が開く。そこから姿を現した人間を見て、沙綾香は息を詰まらせた。
「……祐希」
 今日の『審査会』における対戦相手にして、親しい級友。
「やあ、沙綾香。元気そうだね」
 祐希の見た目は、エレベーターで初めて見た時と変わらない。かろうじて耳に掛かる程度のショートヘアに、ピンと伸びた背筋。クールで格好いい『王子様』だ。
 ただ……雰囲気は違った。前は、ぼーっと見ていれば本気で少年に間違いかねないほどだったのに、今はボーイッシュな“少女”だと瞬時に認識できてしまう。よく見れば、首筋にキスマークまでついている。
 その、あまりにも生々しい現実を前に、沙綾香が泣き崩れた。
「ごめん! 聞いてるだろうけど、祐希達がここに連れてこられたの、沙綾香の巻き添えなの。ホントに、ごめん!!」
 土下座に近い姿勢で詫びる沙綾香。祐希は驚いた表情を見せ、沙綾香の傍らに屈みこむ。
「顔上げなよ、別に沙綾香のせいじゃないだろ。それに私は、少しも沙綾香の事を恨んでないよ」
 その言葉で、沙綾香が目線を上げる。祐希はその視線を受け止めながら、柔和な笑みを浮かべた。
「私は、今幸せなんだ。颯汰(そうた)様が、私を愛してくださる。私を可愛いと言ってくださる。それだけで私は、温かい気持ちになれるんだ。この倶楽部に来なかったら、こんな幸せを知ることはなかった。そういう意味じゃ、むしろ感謝してるぐらいだよ」
 祐希の表情は穏やかだ。だが、見ていると妙に胸がざわつく。多分、目が狂信者のそれだからだ。
「また会えて嬉しいよ、沙綾香。でも、『審査会』では私が勝たせてもらう。颯汰様から教えていただいた奴隷の心得を、あの場で示さないといけないんだ。友達と争うなんて気が引けるけど……認められるのは、いつも一人なんだよ」
 祐希は眼を爛々と光らせて語る。どうやら本気で調教師に入れ込んでいるようだ。その先に待つものが、完全な自我の喪失だとも知らずに。
「…………祐希。そこだけは、あたしも譲れない。ごめん」
 沙綾香は、また謝罪を口にする。級友の妖しい瞳を見据えながら。



                 ※



 13時になれば、沙綾香と祐希は一旦部屋を出た。それから数分後、入れ替わりで客が5人入ってくる。中肉中背が2人、小太りが2人、肥満が1人。中年の日本人男性としては、ごく一般的な見た目だ。だが、ここ数日ケダモノじみた巨漢ばかり見てきたせいで、捕食される側の養豚にしか見えない。
 手越に促されて入室した客達は、物珍しそうに部屋を眺め回す。初見なら、誰もがこの空間に驚くだろう。入って左手には壁一面の鏡、正面には巨大モニター、右手には異様な空気を漂わせる鉄格子の間があり、上層からは俺達が見下ろしているんだから。
 客達は戸惑いながらもフロア中央に近づき、ベッドルームに散在する椅子の前で足を止める。
「さて、どこに座りますかな」
「私はNo.1309だが……そちらは?」
「No.695です」
「ほう、随分と古参の方ですな。これは上座をお譲りせねば」
 客はカードのようなものを翳しながら、何かのナンバーを比べているようだ。
「……なんだ、あれは?」
 俺が問うと、端塚が胸ポケットから一枚のカードを取り出す。
「この倶楽部の会員証です。地下20階のリラクゼーションエリアはどなたでも利用可能ですが、それ以外のフロアはこのカードを翳さなければ出入りできません」
 厳重なセキュリティが誇りなのか、得意げに語る端塚。だが、だとすると妙だ。
「俺は、そんな物持ってないぞ?」
「当然です、貴方はこの倶楽部の王なのですから。王が城に入るのに、許可など要ろうはずもございません」
 端塚は感情の読みづらい男だが、俺を称えている時だけは噓がないように思える。もっとも、いくら賞賛されたところで嬉しくない相手だが。

 端塚によれば、倶楽部はこの建物の地下10階から19階にかけて存在するらしい。地下10階から14階は『上層エリア』、地下15階から18階は『下層エリア』、そしてここ地下19階は『最下層エリア』。下に行くほどセキュリティレベルが高く、倶楽部側が信頼する客にしか入室権限を与えない。特にこの最下層エリアに入れるのは、選ばれたVIPのみだという。さながら、異常性癖者にとってのブラックカードというところか。
 下のフロアでは、そのVIP5人がようやく座る席を決めたようだ。フロア中央、横並びになったベッドに近い方を上座として、おおよそ年齢順に並んでいる。地下20階で渡される浴衣に身を包んだその姿は、ごく平凡な親父そのものだ。
「どうぞ」
 くつろぐ5人に、百合がカクテルグラスを手渡していく。
「ほう?」
 5人の男の目が細まった。百合の美貌に興味を示したらしい。
「君、奴隷が服を着たままサービスするものではない。脱ぎなさい」
 最前列に座る肥満男が、薄ら笑いを浮かべて命じる。
「失礼を致しました」
 百合は、その要求を覚悟していたのか、さほど動揺した様子もなく白衣に手を掛ける。まずはチュニックの前をはだけて脱ぎ捨て、ブラジャーを取り去る。美脚を揃えたままズボンを下ろし、ショーツをゆっくりとずり下げる。明らかに男を喜ばせることを意識した動作だ。
「ほう……さすがは地下20階の給仕だ。ストリップにも慣れている」
 5人のVIP客は、身を乗り出して百合の裸体に視線を這わせる。この上なく下卑た行為だ。百合はクールな美人だから、視線を向けてしまうのは解らなくもない。だが、あれほど露骨に覗き込むのは異常者のやることだ。こんな異常者共に、沙綾香は視姦され、あまつさえ評価されるのか。
 そのうちVIP共は、見るだけに飽き足らず、百合の身体に触れはじめた。背後から無遠慮に乳房を揉みしだき、脚を開かせ、股の間に指を入れる。そうされても、百合は反応を示さない。静かな瞳で、されるがままになっている。
「よく調教されているな。どれ、いつまで無反応でいられるか」
 男共はそう言って、目配せを交わし合った。一人が百合の膝裏を抱えて足を上げさせ、一人が念入りに指責めを始める。中指と薬指で膣内を力強く刺激するやり方──潮噴き狙いだ。
 中年男は、女慣れしてるんだろう。モニターに映る指使いには淀みがない。その責めを受け、百合の内腿がピクピクと反応する。
「どうだ、気持ちいいか?」
 百合の反応を視認しつつ、あえて問いかける男。
「……はい。良うございます」
 百合は、答えるまでに少し間を置いた。恥じているのか。その様子を楽しみながら、男は更に指を動かし続ける。
「中が蠢いてきたぞ。そろそろイクのか、うん?」
 指の動きが速まり、白い内腿を雫が伝う。軸足がぶるっと震える。
「……た、達します……っ!!!」
 百合はそう言って目を瞑った。その直後、割れ目からぷしゃっと飛沫が散る。
「ほほほ、よう出たよう出た。白い髪といい、素っ気ない表情といい、冷たそうな印象だったが……ツユはしっかり生暖かいぞ」
 男は愛液に塗れた手を翳し、百合の視線を泳がせる。そんな中、手を打ち鳴らす音が響いた。音の出所は手越だ。普段は半裸でいることが多い手越も、客の前とあって服を着ている。が、そのファッションがまた酷い。白スーツに、薄紫のシャツ。しかもシャツの前を開き、わざわざ胸元の入れ墨を見せつけている。ヤクザ特有の『舐められたら負け』という考えだろうが、いっそ半裸の方がマシだ。
「さすがはこのフロアにお越しのお客様だ。奴隷の扱いに慣れていらっしゃる」
 手越は丁寧な言葉遣いで褒めつつ、懐からあるものを取り出した。そしてそれを、一つずつ客に手渡していく。
「これは?」
 客の手元に渡ったのは、赤と青の押しボタンがついた小さな箱だ。
「『審査会』の投票ボタンです。何も難しい事ァありません。これから姿を現す二人のうち、いいと思った方のボタンを押してください」
 手越はそう言って、入口を指し示す。その指の先では、ちょうどセンサーの緑ランプが点灯し、扉が開くところだった。
 
 開いた扉から姿を現したのは、祐希だ。ついさっき見たばかりだが、印象は全く違う。制服を身に着けているせいだ。校章の入ったワインレッドのブレザーに、チャコールグレーのチェックスカート、紺のハイソックス。エレベーターで目にした時とは違い、首元に赤いネクタイまで付けた正装だ。そういう恰好をしていると、もう男子には見えない。
「ほおお、これがあの蒼蘭女学院の!」
「いいじゃないか。この中性的な見た目がまた!」
「お嬢様学校の麗人という感じだな。いやはや、これは!!」
 客は百合から離れて祐希を取り囲む。
「アハハッ、よろしくお願いします!」
 祐希は動じる様子もなく、屈託のない笑みを浮かべた。この社交性の高さは、さすが体育会系というところか。
「この子がいいと思った方は、青いボタンを──」
 手越が解説し終えるより早く、モニターから音が響く。
 4つに分割されたモニター画面は、いつの間にか様変わりしていた。下側2画面はフロア映像のままだが、上側の2画面は青と赤で色分けされ、左側の青画面には『3』、右側の赤画面には『0』と表示されている。どうやら客が赤か青のボタンを押すたびに、あそこに集計されていく仕組みらしい。今は青の祐希に3回投票された、ということか。
「ははは、早速ですかい。いや結構、その調子でいきましょうや。次の子は赤ボタンでお願いしますぜ!」
 手越は苦笑しながら、また合図を出した。
 緑ランプが点灯し、扉が開く。コインローファーがカッ、カッ、と音を立てる。
「うおお、ぉ────ッ!?」
「むうッ、こ、これは…………っ!」
 客達は、入口に立つ人影を見て言葉を失った。百合の時とも、祐希の時とも、明らかに反応が違う。
 今だけは、客達に心から共感しよう。あの反応で当然だ。
 8頭身のスタイルと、その魅力を最大限に活かすファッション。白ブラウスの首元を大胆に開いて妖しい色香を醸し出し、ワインレッドのブレザーと相性のいいピンクセーターで愛らしさを加え、マイクロミニのスカートと黒いニーソックスで脚線美を際立たせる。同じ制服姿だというのに、祐希のそれとは比較にならないレベルで華がある。
 モニターから立て続けに音が響いた。赤背景の画面に表示された数字は『7』。
「き、君っ! 名前は!?」
 客は我先にと沙綾香に詰め寄り、名を問いただす。沙綾香は一瞬警戒の色を見せるものの、すぐに人懐こい笑みを浮かべた。
「サヤでぇす。今日はサヤがご主人様達とセックスするのを、たっぷり観て楽しんでくださーい!」
 演技だ。そうと解っていても、俺は鼓動が速まるのを感じた。
 自分の魅力に無自覚な、天然の淫魔(サキュバス)──彼女の演じるそのキャラクターは、あまりにも魅力的すぎる。ふっ、と冷笑しただけで俺の心を掴んだように、今、5人の客が虜になったのがわかる。
「ふふっ、ふほほほほっ!! なるほど、サヤちゃんは今ドキの子か!」
「いやいや、最近の娘はけしからんなぁ! 未成年でこの発育とは!」
「大人びているというより、魔性とでも言うべきですなあ。単にスタイルのいい娘なら見飽きるほどに見てきましたが、この子を前にしていると、こう、少年時代にでも戻ったかのような……!」
 客達は完全に鼻の下を伸ばし、嬉々としてボタンを押し込む。モニターの数字が増えていく。悪くない展開だが、沙綾香は気付いただろうか。中年親父共にもてはやされるその後方で、祐希が苦い表情を見せている事実に。


                 ※


「アレが今日の客どもか!」
「ハッ。いかにもぬるま湯に浸かってそうなアジアン共だな!」
「おう、ワンパンでぶっ倒れそうだぜ!」
 VIP客が制服姿の沙綾香達に熱を上げている最中、訛りの強い黒人英語が響き渡る。
「なんだ、騒がしいな」
「まったくだ。何を喚いているか知らんが」
 客達はうるさそうに左を向き、固まった。
「う、おおっ……!?」
 沙綾香の時とは違い、恐怖に目を見開いている。
 その視線の先には、鉄格子に手をかけて喚き散らす黒人共がいた。ゴリラと見紛う体躯を誇り、股間に黒々とした巨根を反り立てるケダモノ達。それを見て臆さないはずもない。
「騒ぐんじゃねぇよ」
 客が絶句する中、ソファーに腰掛けていたロドニーが立ちあがった。タンクトップにカーゴパンツ、極太の金ネックレスという威圧的なファッションだ。
 奴は葉巻を咥えたまま鉄格子に近づき、扉を開け放つ。
 ゴリラさながらのガタイを誇る調教師が、一人また一人とホテル調のエリアに踏み入ってくる。
「へ、ヘロー……」
 客の一人が恐る恐る声を掛けるも、先頭のドミニクはそれを一瞥して黙らせた。
「おい、お客だぞ!」
 手越が叱りつけても、悪びれる様子すらない。10人でもって祐希と沙綾香を取り囲み、その威圧感で客を退がらせる。

「そこで指咥えて見てな、ジャパニーズ」
 立ちすくむ客達の前で、マーキスが沙綾香のブレザーに手を掛けた。そのまま引き裂きかねない力加減だ。
「乱暴にしないで、自分で脱ぐから」
 沙綾香が流暢な英語でマーキスに囁くと、客達が目を丸くする。英語など話せるはずもないバカ娘、と思っていたんだろう。
「オーライ。チャチャッと頼むぜお嬢様」
 マーキスが手を離すと、沙綾香は客の方へと向き直り、ブレザーを脱ぎ捨てた。意図的にか、それとも偶然にか。背を反らせて胸を強調するその姿には、妖精の脱皮を思わせる神秘性があった。
「ほおぉう……っ!!」
 客は前屈みで見入り、マーキス達も口元を緩ませる。
「よければブレザーを預かろう」
「あっ、ありがとうございまーす!」
 客に媚を売りつつ上着を手渡した沙綾香は、続いてセーターの前を開き、客の興奮を高めていく。そしてさらに、はだけたブラウスのボタンに触れ……そこで、ふと動きを止めた。
「……………………」
 緩んだ笑みが消え、生来の真面目さが顔を出す。彼女はふざけることも多いが、本質的な貞操観念は昭和の女のそれに近い。朝まで丸裸で黒人に輪姦されても、羞恥心は無くなっていないらしい。俺としては、それが嬉しい。だが、マゾであることを示すこの場では、その『まともさ』は足枷だ。
「どうした?」
 客が訝しんで眉を顰める。まずい状況だ。
「……あ、いえ。ちょっと、ドキドキしちゃって」
 沙綾香は笑みを浮かべ、改めてボタンに手を掛ける。正中線をなぞるように指先でボタンを外していき、前の開いたブラウスを、ゆっくりと左右に開いていく。
「ふおおお……っ!!」
「ほう、“わかっている”脱ぎ方だな!」
 少しずつ露わになる若い肌に、客は大興奮だ。上着がすっかりはだけ、ブラジャーまでもが取り去られれば、歓声が一段と大きくなる。
 前もって例のガスを吸わされているんだろうか。綺麗なピンクの乳首は、すでに少し尖っていた。
「おおおっ、立派な胸だよこれは!」
「素晴らしいな、乳首が桃の色だ!!」
「これほど色素沈着がないのも珍しい。日本人離れしたスタイルといい、出来すぎというか……観賞用に作られた超一流の人形のようだ」
「愛らしい乳首ですが、もう軽く勃起しているようですな。流石はマゾというところか」
 大いに沸く客達。沙綾香の背後に立つマーキスは、それを鼻で笑いつつ両の乳房を鷲掴みにする。
「んあ!」
 沙綾香は声を上げた。反射的にマーキスを睨み上げるが、すぐに表情を和らげる。
「あん。そんなに強くしないでよ」
「何言ってやがる。昨夜は朝までこうやって揉みまくってやっただろうが。掴んで、舐めまわして、吸って、それでお前もヨガってたろ? ここをピンピンにおっ勃ててよ!」
 そう言ってマーキスが乳首をつねると、沙綾香は眉を顰めた。唇を噛んで恥辱に耐えてもいた。だが客の視線を感じると、
「あはっ、気持ちいい……」
 そう囁く。上手く発声できなかったのか、蚊の鳴くような声で。マーキスはたぶん、今の日本語が解っていない。だが客の反応で意味を察したのか、嬉々として沙綾香の腹部に手を回す。指先はチェックスカートをまくり上げ、無遠慮にショーツの中に潜り込む。
「っ!!」
 沙綾香が眉間に皺を寄せるのと、ほぼ同時に、ぐちゅり、という音がする。『濡れている』音。もう疑いの余地はない。沙綾香は、ガスを吸わされている。
「もうグチョグチョじゃねーか、ああ?」
 マーキスは客に見せつけるように指を蠢かす。粘ついた音がし、沙綾香の脚が内向きに閉じる。
 モニターから音が響いた。赤背景の数字……つまり沙綾香の得票数はすでに『11』まで伸びている。そしてその下の映像は、まさに今、床からのアングルに切り替わった。沙綾香の痴態をほぼ真正面から捉える、絶妙のカメラ位置だ。
 すらりとした美脚を持つ沙綾香は、見上げる構図で映える。8頭身の圧倒的なスタイルは、床を踏みつけにする女王のようだ。だが、女王は巨人に掻き抱かれている。左の乳房を握りつぶされ、ショーツに指を入れられ。
 色黒な手の動きは、壁を覆うモニターの右下画面、2メートル四方ほどのサイズで大々的に映し出されている。その迫力を前に、客は息を呑んでいるようだ。
「どんどん蜜が溢れてくるじゃねえか、この変態が」
 マーキスはさらに指を動かしながら、沙綾香に囁きかける。
「脚、開けよ」
「…………ッ!?」
 続く囁きに、沙綾香が目を見開いた。マーキスは乳房を捏ねまわすのをやめ、沙綾香の左膝に触れる。外へ押しやる動きだ。それを見て、客もマーキスの意図を察したんだろう。
「なるほど、いいぞぉ調教師!」
「ご主人様の命令だぞ、脚を開きなさい!」
 客が騒ぎはじめ、沙綾香の視線が揺らぐ。だが、客に不信感を与えるわけにはいかない以上、迷っていられるのもせいぜい数秒だ。
 閉じ合わされた膝が、少しずつ離れていく。可哀想に、震えながら。
「もっとだ! ガニ股を作れ!」
 脚が肩幅まで開いても、客の要求は止まない。沙綾香の腰が落ち、太腿の震えが激しくなっていく。そして、脚が菱形を作った時。客は大歓声を上げ、次々にボタンを押し込んだ。モニターの数字が増えていく。
「ハハハッ、いい格好だなあお嬢様よう!」
 マーキスは黒人英語でがなり立てながら、激しく指を蠢かす。沙綾香の太腿がぶるっと震え、ショーツと脚の付け根の合間から愛液が伝い落ちる。
「き、気持ちいいのか、サヤちゃん!?」
 客が興奮気味に問うと、沙綾香は咄嗟に笑みを浮かべる。
「あははっ、ちょ、チョー感じちゃう。知らないオジサン達に観られてると、余計に……」
 マゾ気質のある、今時の女子高生。その演技としては、かなりレベルが高い。前提知識なしでいきなりこれを見れば、英才教育を受けた令嬢だとはまず思わないだろう。
 だが、迫真の演技をするということは、沙綾香がそれだけ無理をしているということでもある。
「あはっ、き、気持ちいい……い、いっちゃいそう……」
 客の喜ぶセリフを吐きながらも、沙綾香の眼は明らかに虚空を睨んでしまっていた。あまりにも快感が強いせいだ、と客が解釈してくれればいいが。

「へへへ。俺達も楽しもうぜ」
 沙綾香の痴態を前に、我慢できなくなったんだろう。ドミニクが祐希の肩を抱き寄せる。祐希はくるりとよく動く目で、ドミニクと、正面に立つアンドレを見やった。
「キミ達が私の相手かい? 私の身体はすべて颯太様専用なんだけど……その颯太様の命令だから、特別にね」
 祐希はそう言ってアンドレに近づき、その足元に跪く。
「黒人のペニスは大きいと聞いてはいたけど、実際に見ると凄いな。颯汰様のより、ずっと……」
 アンドレの逸物を前に、祐希は生唾を呑む。だが、すぐに怒張を握りしめて奉仕に移った。さすがに切り替えが早い。熱意も凄い。アンドレの顔を見上げながら、怒張全体に舌を這わせ、竿がピクピクと反応する頃に一気に咥え込む。
「んぐっ……!?」
 規格外のサイズにえずいても、顔の上下をやめない。じゅっ、じゅるっ、と水音を立てながら、唾液をたっぷりと分泌させて怒張に絡みつかせていく。
「む……っ!!」
 アンドレが声を漏らした。いかにも寡黙そうな奴が思わず漏らした声は、何にも増して信憑性がある。祐希のフェラチオは極上である……その事実が、たった一声で場に伝わった。
「凄いフェラですなあ!」
「ええ、気持ちがよさそうだ!」
 客達が興味を惹かれ、青ボタンを押す。モニターの数字が増えていく。

「チッ、今度はあっちが注目されてんじゃねぇか!」
 マーキスが舌打ちする。その手の中で、沙綾香はかなり乱れていた。何度も捏ねまわされたらしい左の乳首は、右側よりも明らかに尖っている。腰の位置はさらに下がり、がに股のまま爪先立ちするに等しいポーズで痙攣を続けている。床に滴り落ちた愛液の量は、カクテルグラス一杯分はありそうだ。
「こっちも見どころを作らねぇと、なッ!!」
 マーキスがそう叫びながら、指の動きを速めていく。沙綾香に抗う術はない。肉体的にも、状況的にも。
「く、んんんンッ!!!」
 沙綾香が下唇を噛んだ、直後。左右の内腿が強張り、その間に張られたショーツのクロッチ部分が一気に透ける。その明らかな絶頂を前に、客がほくそ笑んだ。
「ヘッ。いつになく熱いプッシー汁じゃねえか。このビッチが」
 マーキスはショーツから指を抜き、愛液に塗れたそれを沙綾香の口元に近づける。
「はぁ、はぁ……っ」
 沙綾香は荒い息を吐きながら、客の方に視線を送った。そして自分が2人から注目されていることを知ると、観念したように口を開く。
「どうだ、自分の愛液の味は?」
「……おいしい、です……」
 マーキスの問いに、沙綾香はうっとりとした演技で答える。客はいよいよ喜び、マーキスも愉快そうに微笑んだ。

 沙綾香が恥を晒す傍で、祐希の奉仕も激しさを増していく。
「ん゛っ、んぐっ、んぐううっ、んぐっ、ん゛っ……!」
 祐希は苦しそうな声を漏らしつつも、けして『主人』の顔から視線を外さない。アンドレはその視線をじっと受け止めていた。相変わらず寡黙だが、荒い息を吐いているところを見ると、そろそろ限界らしい。
「で、出そうだ……」
 アンドレが呻くと、祐希はラストスパートとばかりに激しく頭を振りはじめる。じゅくじゅくという音が響く。
「ぐううっ、で、出る、出るぞ……ッ!!」
 アンドレがついに射精を迎えた。祐希は、ここで初めて視線を下げ、怒張の根元を見つめながら口内受精に備える。2秒、3秒が経ち、4秒が過ぎ。
「んっ、んぶっうっ!?」
 祐希が目を見開きはじめた。可哀想なことだ。あの黒人共はそもそも絶倫な上に、薬で射精量を増強されている。一般人相手の飲精にどれだけ慣れていようが、この地下19階では何の役にも立ちはしない。
「ぶふっ、ごふっ!」
 祐希は頬を膨らませ、とうとう鼻から精液を吹き出した。アンドレはそれを見ながらも、祐希の頭を鷲掴みにして逃亡を阻止する。
「んぐ、ぐ……っぅ」
 鼻と口の端から精液を垂らす祐希。その瞳から、とうとう涙が伝い落ちる。
 アンドレがようやく怒張を引き抜いた時には、祐希の頬は膨らみきっていた。
「まだ飲み込むなよ。口ィ開けて、溜め込んだザーメンを見せてみろ」
 同じく祐希に張りついていたドミニクが命じると、祐希は口の中を蠢かした後、大きく口を開く。
「おおっ!!」
 客から驚きの声が漏れた。俯瞰で撮るカメラにすら、祐希の口内が白く染まっている様子がハッキリと映っている。祐希を『王子様』と慕う女学生が見れば、卒倒してもおかしくない光景だ。
「なんて量だ……ヒトが一回で射精できる量とは思えない」
「ふうむ。犬や豚に近いな、この量は……」
「しかも、見てくださいあの濃さ。まるで濃厚なヨーグルトですよ……」
 客は、啞然としているようだ。こんな所に来る変態共だから、性欲の強さには自信があったんだろう。だが、オスとして圧倒的に勝る存在を目の当たりにして、その自信が揺らいでいる。そんなところか。
「ようし、飲んでいいぜ」
 ドミニクは客の顔を見回しながら、祐希への許可を出す。口を開き続け、すでに唾液が止まらない状態の祐希は、待っていたとばかりに口を閉じた。そして、嚥下する。ごぎゅっ、ごぎゅっ、と凄まじい音を立てて。
「んぐっ……ん、んあっ……」
 数秒をかけて精液を飲み下した後、祐希はまた口を開いた。もう何も残っていないぞ、とアピールするように。
「ほおお、見事見事!」
「いや、大したものだ!」
 祐希のパフォーマンスを見届けた客が、拍手代わりにボタンを連打する。モニターの投票数は沙綾香のそれを軽く抜き去り、早くも20台を記録した。
 しかし、客の騒ぎようもわかる。中性的な魅力を持つ『王子様』系の女子高生が、黒人の怒張をしゃぶり、口いっぱいに射精され、それを飲み干した。その光景は、禁忌とも思えるほどに背徳的だ。

「ゆ、祐希…………!!」
 沙綾香も、友人の変貌ぶりに絶句していた。以前の祐希を知っているだけに、余計ショックが大きいんだろう。
 そんな沙綾香を見て、祐希はふっと笑った。

  ────キミに勝ちは渡さない。

 そう、宣告するように。



                 ※



 審査会は、場所をベッドに移して続く。
「ふふっ、いやらしいなあ。性欲でギラギラしてて……本当に獣じゃないか。まあ、それだけ興奮してくれると悪い気はしないな」
 鼻息の荒いトラバンに胸を揉みしだかれながら、祐希は笑みを見せる。
「始めようぜ、アスリートガール」
 トラバンはそう言って、ベッドに横たわった。奉仕してみろ、と言わんばかりだ。それでも祐希は表情を曇らせない。躊躇いもなく主であるトラバンに寄り添い、慣れた手つきで怒張を握りながら、分厚い胸板に舌を這わせはじめる。
「オォウ、ア……!」
 トラバンが心地よさそうな声を上げ、祐希の口元が緩む。
「さっきの彼より大きいな、颯汰様の倍は太い。とても握り込めないよ」
 トラバンの怒張を扱きながら、祐希は改めて驚いているようだ。それでも彼女は怯えはせず、トラバンの胸板に舌を這わせ続けながら怒張を扱く。もともと先走り汁の滲んでいたペニスからは、すぐにクチュクチュと水音がしはじめる。
「アアアーオゥ、シィット……」
 トラバンが笑いながら身を捩る。
「うわぁ、固いな、それにピクピクしてる。また射精しちゃダメだよ」
 祐希はそう囁きながら、素早くスカートとショーツを脱ぎ去り、トラバンに跨った。その動きの機敏さは、さすが運動部というところか。
 だが、割れ目に亀頭を宛がい、腰を沈める段階になれば、機敏さは失われた。
「ああっ、ふ、太……いッ……、っぐ、ぅぅああ……あッ!!!」
 祐希の顔が歪む。トラバンは、黒人調教師の中でも別格のペニスサイズを誇る1人だ。当然、祐希がこれまで相手してきた人間の比じゃないだろう。
「改めて、すごい大きさですな……まるで行き過ぎたジョークグッズだ」
「ええ。到底日本人が受け入れられるサイズとは思えない……」
 客達も、騎乗位で吞み込まれていくペニスのサイズに唖然としている。その視線を浴びるトラバンは愉快そうだ。
「いいぜぇ、えれぇキツさじゃねぇか。サヤカのプッシーが舌でネットリ絡みついてくるタイプとすりゃ、こっちは弾力のヤベエ肉でギュウギュウに圧迫してくる感じだ! 上等な霜降り肉とジビエの違いってとこか?」
 腰を押し進めつつ、トラバンは祐希の具合を褒め称える。
「はは」
 祐希は苦しそうな顔に笑みを浮かべ、ゆっくりと腰を浮かせた。そして、また腰を下ろす。浮かせて、降ろす。騎乗位での奉仕だが、筋肉質な下半身を持つ祐希がそれをやれば、清々しいトレーニングの一環にも見えた。
「オーゥ……いいぜいいぜえッ! へへへ。ボーイみてぇなツラしてやがるくせに、案外色っぽいじゃねえか!」
「フフ、そうかい? だとしたら、それは颯太様のお陰だね。私はずっとソフトボール一筋で、女らしさなんてなかった。でもここで、颯太様に女にしていただいたんだよ。毎日毎日抱いて、キスして、ポルチオまで開発してもらって……」
 トラバンの賞賛に対し、祐希は自分の境遇を語ってみせる。うっとりと、自慢するように。

「ぼーっとしてんじゃねぇ!」
 祐希の隣のベッドから声がする。そこには、トラバンと同じく寝そべったジャマールと、その逸物を扱く沙綾香の姿があった。ただし、沙綾香の奉仕の手は止まり、切ない表情を祐希に向けている。
 意識のはっきりしている沙綾香にとって、友人の調教告白は聞き流せないものだろう。だが、彼女も止まっているわけにはいかない。
「……ごめん」
 ジャマールに向き直った沙綾香は、怒張に唾液を垂らした上で扱き上げる。
「そうだ。たっぷり刺激して、デカくさせてくれよ。お前のプッシーは『ガバガバ』だからなぁ?」
 ジャマールは笑いを噛み殺しながら告げる。十番勝負1回目の遺恨を、まだ引きずっているらしい。それに甲斐甲斐しく奉仕させられる沙綾香の心中は、どれほどささくれ立っていることだろう。
「よし、もうビンビンだ。オトモダチみてぇに跨れよ」
 ジャマールが顎で祐希を示しながら命じる。沙綾香はちらりと友人に目を向け、立ち上がりながらスカートのホックに手をかける。だが、ジャマールはその腕を掴んだ。
「んなモンいいからよぉ、早くヤろうぜ!」
「わ、わっ!!」
 寝そべったままのジャマールに腕を引かれれば、沙綾香は当然バランスを崩す。よろけながら手足をついた時には、彼女はちょうどジャマールに背を向け、その腰の上に跨る格好になっていた。
「いくぞ!!」
 鼻息の荒いジャマールは、ショーツを横にずらして強引に挿入を果たす。
「ふっ……ああ!!」
 沙綾香から漏れた声は、甲高く、甘い。挿入に喜ぶメスの声としては、満点をつけたいほどに。それはたぶん演技じゃない。マーキスの指で刺激され、すでに『出来上がって』いるんだろう。
「ほお、いい声だ。気持ちいいんでしょうなあ!」
 客が興味を惹かれて視線を向ける中、当の沙綾香は、俯いたまま頬を赤らめるばかり。さらにジャマールが腰を使いはじめれば、ふううっ、と苦しそうな声を漏らしながら、唇を噛み締める有様だ。
「ふむ、そそる顔だが……恥じらいが強そうだな」
「確かに。どちらかといえば、マゾ奴隷というよりは生娘に近いような」
 夢中で興奮する客がいる一方、沙綾香の反応に違和感を抱いた客もいるようだ。そうなれば、沙綾香も反応を変えるしかない。
「はぁっ、あっ、あはあっ……。き、気持ちいい……とろけ、ちゃいそう……」
 上手い演技だった。恥じらいの反応を、悩ましい表情へと自然に変化させる。快感が強すぎたあまり、受け入れるのに少し手間取っただけ──客はそう解釈するだろう。ただし、ジャマールには全てを見透かされる。
「クククッ。そうだよなぁ、お前は俺様のコックが好きだもんなぁ!?」
 わざわざ声高に叫ぶ辺り、どこまでの性根の腐った男だ。
「あっ、あああっ……はあっ、あっ、あっ…………」
 沙綾香は演技を続ける。自ら腰を上下させ、甘い喘ぎを漏らしながら。
 脚線美を際立たせるマイクロミニのスカートは、秘部をほとんど隠さない。むしろ、激しく翻りながら半端に覆うものだから、かえって煽情的ですらある。客は、その見え隠れする結合部を食い入るように見つめていた。
「ふふふ、さすがに大した変態ぶりだ。少しハメられただけで、あんなに汁を垂らして」
「ええ。しかし、あのペニスの大きさも凄まじいですな。あの子の細腕と大して変わらないのでは? 正直、男として憧れますよ」
「同感ですな、あのペニスの虜になってマゾ化するなら納得だ!」
「確かに。あそこまでの凶器となると、女は屈服するしかないですからなぁ!」
 客達は思い思いに感想を語る。
「ああん、あはっ、あははっ……きっ、気持ちいいです! 黒人チンポで奥の奥まで突かれるの、さっ、最…高っ……!」
 沙綾香は激しく腰を振りながら、さらに口元を緩めた。さすがに演技が過ぎる気もするが、沙綾香をマゾと思い込んでいる人間なら、快感に歪んだ結果の不自然さと見るかもしれない。
「いいぜぇ、もっと締めつけろ。この俺をイカせてみろ!」
「あっ、あ! ああっ、あアっ、はっあ゛っ!!」
 ジャマールは沙綾香の膣を堪能しつつ、空いた手でクリトリスを刺激する。良し悪しはともかく、刺激は強いに違いない。沙綾香が目を見開いて喘いでいるのも、過剰な演技じゃなく、本気で感じているからでは……そう思えてしまう。ジャマールもその気配を感じ取ったのか、沙綾香の腰と太腿を抱え上げた。
「うほほ、これは……っ!!」
 客が目を見張る前で、沙綾香の体勢が変わっていく。ジャマールとの結合部を支点に、身体をくの字に折り、足先を揃えるような格好だ。あの格好なら、当然ながら膣はぴっちりと閉じる。となれば剛直を出し入れされる際の刺激も、格段に増すに違いない。
 俺のその疑いは、すぐにその正しさを証明された。ジャマールに主導権を握られ、“犯され”はじめた沙綾香の反応で。
「んはっ、はっ、はううっ!!」
 目を細め、奥歯を噛み締める沙綾香。必死な顔だ。
「うはははっ! すげぇな、締まりが一気に増しやがった! こりゃあいいぜ。なあ、お前も感じるだろ。俺の極太で、プッシーん中ガシガシブラッシングされてよぉ!!」
 ジャマールは黒人英語で撒くしたてる。その言葉が客に通じているのかはわからないが、いずれにせよ、沙綾香はその流れに乗るしかない。
「あっ、は、はあぁぁっ……すっ、すごぉっ……は、激し、すぎっ……!!」
 沙綾香は激しく突き上げられながら、全身をガクッ、ガクッ、と痙攣させる。あの痙攣は演技ではできそうにない。
「ハァ、ハァ、ハア、ハァ、ハア……ぅーし、そろそろ射精すぜ。今日初めての射精だ、濃いのをたっぷりプッシーに注いでやらあ!!」
 ジャマールは喘ぎながら宣言し、沙綾香の腰を掴んで逃げ場をなくす。
「え……や、やだ、外に……っ!」
 沙綾香はそう言いかけ、ハッとして客を見る。ここで射精を拒絶するのは、客の考える『マゾ奴隷』にそぐわない。となれば、沙綾香に許された行動は、黙って耐えることだけだ。
「おおおらッ、出たぞっ! はっは、すんげぇ量だ!」
「あああっ、はっ、入ってくるっ! 調教師様の、精子が……っ…………!!」
 沙綾香は天を仰いで幸せ一杯の表情を浮かべ、項垂れる。その一瞬に見せた、歯を食いしばって屈辱に耐える表情は、かろうじて客に気付かれずに済んだようだ。
「いやあ、出た出た。ジャパニーズのサルに観られながらのファックってのも、なかなかイイもんだな!」
 ジャマールはそう言って怒張を引き抜き、沙綾香を下ろす。ただし、完全に開放するわけじゃない。奴はベッドの上で立ち上がると、まだ荒い息を吐いている沙綾香の口に怒張を押し付ける。
「しゃぶって綺麗にしろ」
 ジャマールのその要求に、客が沸く。それを横目に見た以上、沙綾香に拒絶という道はない。
「んっ、んもごっ、おも゛っ……」
 沙綾香は口を大きく開き、一気に怒張を咥え込むと、頬を激しく蠢かせる。ただ奉仕するだけでなく、慣れているように演じなければならないのが辛いところだ。
「くくく、悪くねぇぜ。尿道に残ってるザーメンも全部啜れよ、『いつも通り』にな」
「……っ!!」
 ジャマールの言葉を耳にして、沙綾香の目が薄く開く。だが、反抗はしない。求められたままに、唇を尖らせ、頬を窄め、ずずずーっと音を立てて怒張の中身を吸い上げる。
「ああ、あんなに熱心に……」
「あれほどの美少女に『お掃除フェラ』までしてもらえるとは、羨ましいもんですなあ!」
 客は満足している様子だ。だが、それは5人のうち2人だけ。他の3人の顔は、左側のベッド……トラバンと祐希の方を向いている。

「あ゛あ゛っ、あ゛っ、あ゛あ゛っ……ああ゛あ゛アア゛ア゛っ!!!」
 祐希は、凄まじいことになっていた。トラバンに背後から突かれている状況は同じだが、口から漏れる声は快感一色だ。片膝を立てた隙間から結合部を覗き込む顔は、『王子様』と持て囃されそうな面影を一片たりとも残していない。目を見開いて爛々と輝かせるその様は、高貴やクールという印象の対極とすら言える。
「おお、おお……」
「か、変われば変わるものですなぁ」
「はああ……あれが、マゾというものですか」
 客は変わり果てた祐希の様子に呆然としつつ、手元のボタンを押していく。
「い、い゛ーーっ!! い、いいっ……いいいよっ、ひいいぃぃ゛ーーっ!!!!」
 客の注目を浴びながら、祐希は歯を食いしばり、ますます壮絶な顔を晒していく。
 認めるしかない。あれは、本物。正真正銘、本当のマゾ奴隷の姿だ。



                 ※



 祐希と沙綾香の票差は、少しずつ、だが着実に開いていった。
 沙綾香が30票を記録したとき、祐希は38票。沙綾香が40票に達した時には、祐希は実に51票を獲得していた。客は明らかに沙綾香のルックスを気に入っているのに、それでも人気差を覆せない。
 だが、実際に2人のセックスを見比べれば、納得できてしまう部分があった。本物は、やはりすごい。
 沙綾香も健闘はしてるんだ。彼女は今も黒人調教師3人を相手取り、騎乗位で腰を振りながら左右のペニスを交互に舐めしゃぶっている。
「えあっ、はっ、はぁっ……んふっ。黒人さんのチンポ、美味しー……」
 血管の浮く怒張をうっとりとした表情で舐めながら、手で別の一本を休まず扱き、腰をうねらせて仰向けになった男を責める。その様は、セックス好きな女子高生として何の違和感もない。
「ねえサヤちゃん、そこでピースしてみて~」
「あは……こう?」
「うははっ、カワイイなあ!」
 客からの要望があれば、激しいセックスの最中でも律義に応え、票を稼ぐ。マゾ奴隷の演技としては、まず申し分ないように思える。
 すぐ隣のベッドで繰り広げられる、『本物』のプレイさえ見なければ。

「はっ、はっ、はっ、はっ、はあーっ、はあーっ……! もっと深く突いてっ、んもっと強く愛してっ!! くううっ、す、すごいいっ……奥、いちばん奥がっ、と、蕩けちゃう…………っ!!」
 祐希は、レジャナルドの極太を堪能していた。仰向けで寝転がるレジャナルドに、自分も同じく仰向けで折り重なり、突き上げられながらメスの声を上げ続ける。
「くううう……こ、こいつっ、なんつう締めつけだよ!?」
 レジャナルドは歯を食いしばっていた。十番勝負で、沙綾香にどれだけ拒否されてもクリトリスを弄繰り回していたあの悪戯好きが、ただ快感に震えるばかり。想像を絶する光景だ。
「ああああ、もう限界だ、出すぞおオイッ!!」
「はあっ、はあっ……うん、な、中にっ、中にちょうだいっ!!!」
 レジャナルドの射精宣言を受けて、祐希は姿勢を変えた。腹筋でもするように身を起こし、今まさに射精を受ける結合部を見ようとする。
「ぐ、おっ!」
 祐希の行動で膣内の圧力が強まったのか、レジャナルドが呻いた。そして奴も身を起こし、祐希の膝裏を掴んで、Mの字に開脚させながらスパートをかける。
「う、ぐううう……ウウウオオオオッッ!!!!」
 十番勝負で何度も耳にした咆哮が上がり、怒張が脈打つ。
「あっ、あっ、す、すごい、すごいよっ……!!」
 ともすれば少年にも見える肉体を震わせながら、祐希が頬を染める。
 全力での殴り合いに似た、凄まじいセックス。しかも、まだ終わらない。
 脱力した祐希の身体が、レジャナルドの腹の上から滑り落ちる。沙綾香ならここで凌辱相手を睨みつけるところだが、祐希は睨むどころか、穏やかな視線をレジャナルドに向けていた。
「なんだよ。まだシてほしいってか?」
 レジャナルドは嬉しそうに笑いながら、祐希の股を大きく開かせ、怒張を割れ目へと沈めていく。
「んんんっ…………」
 祐希は甘い声を漏らし、挿入された怒張を愛しそうに撫でた。さらにレジャナルドが肩越しに口づけを求めれば、躊躇いなくそれに応じる。濃厚なキスの音と、肉のぶつかる音が響く。
「ほほほ。やはり『キスハメ』はいいですなあ」
「ええ。主人に心を許している感じが伝わってきますよ」
「まったくです。しかし、それに比べると……」
 客達は、一対一でねっとりと愛を深める祐希の姿を堪能しつつ、視線を沙綾香に移す。

 沙綾香の仮面は、剥がれつつあった。
「いっ、いくうっ!! いっちゃう、いっちゃういっちゃうっ…………!!」
 両足首を掴まれたまま屈曲位で犯され、もう何度も絶頂に追い込まれているだろう。沙綾香は、何度も不安そうな表情を見せた。口を開いて喜んでいる演技はするものの、下半身が震えるたびに口角が下がる。
「よーしイけ、どんどんイけ! 逝き狂ってトんじまえ!!」
 犯しているダーナルは、沙綾香に配慮などしない。中腰で力強く怒張を叩き込み、ひたすらに相手を追い詰める。
「んくっ、あはっ!! あっ、あああ……ふあああ゛あ゛っ!!」
 眉が垂れ、目尻が下がり……そしてついに沙綾香は、右腕で目を覆い隠した。完全な素の反応。ごくごく普通の、恥じらいある少女の行動。
「へへへ、どうしたよ顔隠しちまって。おら、プッシーの奥がヒクヒクしてきたぜ。またイクんだろ、ああっ!?」
 ダーナルが激しく腰を打ちつける。沙綾香は足首を掴み上げられたまま背を丸め、首を左右に振りはじめた。
「うんんんん゛っ、うん゛、ん゛っ! い、いっ…イックううううーーーッッ!!」
 沙綾香は痙攣し、明らかな絶頂に追い込まれる。見ないで、とばかりに顔を覆ったまま。
「……ふーむ。私は凌辱が専門でマゾヒズムには疎いのですが、その私から見てもアレは、なんというか……」
「どちらかと言えば、初々しさすら感じる反応ですなあ。むろん嫌いではないが、マゾ奴隷らしいかといえば……」
 客達が眉を顰める。かなり不審がっているようだ。
「おら、隠すんじゃねぇよ。感じてるツラとグショ濡れのプッシーを見せてやれ!」
 沙綾香の素の反応が、ダーナルの嗜虐心に火を点けたらしい。奴は沙綾香を抱えてベッドを降り、片脚を持ち上げながら犯しはじめた。顔も胸も結合部も、すべてを客に晒す格好だ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………!!」
 開放的な空間に立たされた沙綾香は、客に視姦されながら荒い呼吸を繰り返す。
「そろそろ巻き返さなきゃマズイんじゃねえのか? マゾ奴隷ってとこを、あんな風にアピールしてよお!」
 ダーナルは沙綾香の顎を掴み、祐希の方を向かせた。
「んっ、ちゅっ……んちゅっ、んん、ふう……んっ、んっ…………」
 祐希は、レジャナルドと抱き合いながら、濃密なキスを繰り返している。まるで十年来の恋人のように。
 客の指が青ボタンを押し込み、モニターの数字を増やす。今で、ついに60票。沙綾香とは実に18票差だ。
「俺達も愛し合おうぜ」
 ダーナルは、沙綾香の顔を自分へと向かせる。キスを受け入れろというのか。

 俺は、激しい動悸に襲われながら、沙綾香の様子を伺っていた。
「…………っ!!」
 沙綾香は、唇を引き結んだ。そして、両手を握りしめ…………眼を見開いて、上を向く。天井よりも遥か上空。つまり、俺の方を。
「おや」
 端塚の惚けた声を聴きながら、沙綾香の視線を受け止める。
 審査会の最中、客に更なる不信感を抱かせながら、なぜ俺の方を見つめるのか。彼女の性格を考えれば、その理由はすぐに解る。
 沙綾香は、キスを解禁するつもりなんだ。夜通し犯される中でも、頑として拒み通した……たぶん、彼女にとっての最後の一線を。

 ────────ごめんね、センセ────────

 沙綾香のそんな声が聴こえるようだ。
 解っている。このままいけば、審査会は祐希の勝ちで終わるだろう。その先に待つのは、完全な奴隷化。祐希は連日連夜薬漬けで輪姦され続け、完全に自我を破壊される。まだ反骨心を保っている沙綾香と違い、すでに言いなりの祐希が、その未来を回避できる可能性はゼロだ。級友を助けたいなら、この審査会で沙綾香が客に選ばれるしかない。だから、俺は彼女の決断に反対しない。
 それでも。
 沙綾香が俺から視線を逸らし、瞼を閉じながらダーナルの口づけを受けるのを見た瞬間は、胸が締め付けられるような思いがした。
 勝ち誇ったように俺を見上げるダーナルも、客の驚きの声も、すべてが計画通りと言わんばかりの端塚の表情も。すべてが、切り刻まれた俺の心臓に塩を塗り込んでくる。

 今更、痛感させられた。
 俺は、こんなにも沙綾香が好きだったんだ。



                 ※



 キスを解禁した沙綾香に対し、ダーナルはすっかり図に乗って、見せつけるような口づけを繰り返す。沙綾香は、それをすべて受け入れた。
「れあっ、あうえっ、ええ……うれあ、あうれえ…………」
 舌を絡まされるたび、うわ言に近い言葉が漏れる。片足上げで犯される身体が、ぶるぶると震える。汚辱感からかもしれない。汚辱感からであってほしい。いずれにしても、その震えは客受けがいいようだ。
「ははは。この娘、またゾクゾクと身を震わせてますよ」
「ああ。一時はセックスを嫌がっているようにも見えたが、何のことはない。上にいる監督役にでも、快感をセーブするよう命じられていたんだろう」
「何といっても、このルックスですからねぇ。最初から同等の条件で戦わせては、結果が見えているという事でしょう。実際、こうして快感にうち震えている姿を見ると、こう、無性に滾ってきますからねえ……!」
 客は適当な筋書きを夢想して納得し、沙綾香の痴態にのめり込む。元より、沙綾香を一目見ただけで色めき立っていた連中だ。違和感さえなくなれば、沙綾香を評価することに躊躇いはしない。実際、あれだけあった票数差も、すでに7票差まで詰まっている。
 とはいえ、祐希の得票数が止まる様子もない。彼女は彼女で、客の目を楽しませるセックスを続けていた。
「あっあ、お、奥に……あっ! す、すごい……こんなの、あああぁっ…………!!」
 正常位で抱かれ、背中を弓なりに反らせて痙攣したり。
「んんんんっ、ふうんんんっ…………ンっふ、ふうううーーーっ!!!!」
 後背位のまま、枕に顔を埋めた状態で犯され、汗だくで鼻息を漏らしたり。
 そういう、あからさまに気持ちが良さそうなセックスを続けている。実際、彼女は黒人のペニスをひどく気に入っているようだ。前に端塚が言っていたように、日本人では届くのがやっとの場所を、雁首で力強く擦れるからか。
 そしてそれは、彼女がこのフロアに留まった場合、間違いなく快楽に溺れるという証拠だ。
 それを阻止するために、沙綾香は自分を殺し続ける。
「んれぁっ……はぁ、はぁっ……ヤバい。キスしながらセックスするの、気持ち良すぎ…………」
 うっとりとした表情を浮かべながら、何度もダーナルとキスを交わし、膣でもきっちりと精液を搾り取る。
「へへへへ……次は俺にもヤラせろよ」
 続くタイロンが抱え上げる形で犯しはじめても、相手の求めるままに舌を絡ませ合う。
 その変わりように気付いたのか、祐希が枕から顔を上げ、沙綾香の方を見る。そして一瞬目つきを鋭くすると、背後のダリーに何かを囁きかけた。おそらく、もっと激しくして、とでも懇願したんだろう。
「ほぉう。そりゃ構わねぇがよ、ブッ壊れても知らねーぞ」
 ダリーは意地の悪そうな笑みを浮かべ、祐希の細い腰を掴む。そして、それまでより格段に大きく腰を振りはじめた。奴の力士体型でそれをやれば、生まれるエネルギーは凄まじい。どぶちゅっ、どぶちゅうっ、という腹に来るような重い水音がし、高級ベッドが壊れそうに軋む。
「くっあ、こお、お゛ーーーっ!! ほおおおっ! お、お腹っ、おくっ……すごぉ……んん゛っおお゛お゛お゛お゛っ!!!!!」
 他の誰もがそうだったように、ダリーの突き込みを受けた祐希は『お』行で絶頂しはじめる。彼女はまた一つ、想像もできない“未知”を味わっていることだろう。
 そして、想像を絶するハードさといえば、タイロンに犯される沙綾香も同じ。
「お゛う゛っう、うぎぃ……かはっ、あ゛、あ゛んっ!!!」
 誇張でなく馬並みのペニスを叩き込まれ、沙綾香の口から苦しげな声が漏れる。だがその声は、すぐにタイロンのキスで封じられてしまう。
 発声は大事だ。強すぎる痛みや快感を受ければ、人は嫌でも声を上げるもの。その声を殺してしまえば、発散されるはずのエネルギーまで肉体で支払うことになってしまう。
「ン゛ーーっ、んんんむ゛うう゛う゛ーーーっ!!!」
 タイロンの巨体にしがみつきながら、沙綾香は何度も震え上がった。身体を快感が貫いているのがわかる。鉄杭のような怒張を起点にして、腰に、背中に、脊髄に。
「んむれぁっ……ひっぐ、イグっ、イグぅううううっ!!!」
 口を解放されるたびに発される沙綾香の言葉に、嘘はなさそうだ。キスを解禁した彼女は、観客の期待する通り、マゾの快楽に酔いはじめている。
「ムぐっ、んんんん゛ーーーーっ!!!」
 唇を貪られる中、沙綾香が絶頂に達した。目尻に浮かべた大粒の涙を、頬に伝わせながら。
「おお。ご覧なさい、嬉しさのあまり泣いてしまっていますよ!」
「素晴らしい。これがマゾ奴隷というものですか!」
 沙綾香の心はまた一つ傷んだだろうが、代わりに客の評価はいい。それが、せめてもの救いだ。


                 ※


 級友同士の勝負は、刻一刻と熱を増していく。
 後背位で、正常位で、屈曲位で。縋りつくように逸物を舐めしゃぶりつつ、背後から犯されて。色々なセックスを試した末に、最終的には二人とも騎乗位を選ぶようになる。騎乗位は結合部が丸見えになる上に、女性自身が快楽を貪っている印象が強いため、得票数を稼ぎやすいからだ。
「ああああぁっ、はああっ、ああ……っぐ、いぐうウ゛っ!! もおおっ、おっ、おかしくなりそうっ!!」
 ドミニクの胸板に両手をつき、引き締まった肉体を上下させる祐希。
「あっ、はっ、はっ……。ン、むぐっ……んちゅ、ちゅっ…………んンんんん゛っ!!!」
 ジャマールの上で腰を振りつつ、横からの無遠慮なキスに応じる沙綾香。
 この場面から見て、どちらかが偽のマゾ奴隷だと聞かされても、もはや判別はつかないだろう。マゾの快楽に溺れ、ひたすらに剛直を貪るケダモノ。左右どちらも、それとしか見えない。
 下になっているドミニクとジャマールは大喜びだ。暴力的な笑顔を浮かべ、快楽を訴え続けている。
「くくくっ。あんなに必死に腰を振って……」
「ええ。あの名門・蒼蘭の女子高生がねぇ」
「まったく、凄いものです。今日は眠れそうにないですなあ!」
 客は椅子に掛けようともせず、股間を膨らませたままベッド上の痴態に見入っていた。2人の少女が快楽に蕩けた顔を見せるたび、赤か青のボタンが押し込まれる。いい勝負だ。どちらも得票数は100を超え、大差は開かない。とはいえ、優位なのはやはり沙綾香だ。
「もっ、もっと! もっとしゃぶらせてくれっ! この、太くて臭いのが欲しいんだ!」
 祐希が仁王立ちしたトラバンに擦り寄り、亀頭を舐めまわす。
「あっ、はっ、はっ、はっ……い、いくっ、またイクゥッ!! ち、調教師様の、黒人チンポっ、大きすぎて、ヤバイよぉっ!!」
 沙綾香がマーキスの上で腰を躍らせながら、喜びの声を上げる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………!!」
 奉仕の合間に、2人の視線は何度もぶつかった。
「ははは、まさに意地の張り合いですなあ!!」
「ええ、ええ、凄いですよこれは!」
 客はいよいよ興奮し、鼻息荒くボタンを押し込む。恐ろしく長く感じる時間だ。
 そして、ついに手越が立ち上がる。
「そこまでだ!」
 祐希と沙綾香は、その合図を耳にしてモニターを見上げた。モニターの数字は、祐希の赤が128票、沙綾香の赤が131票。僅か3票差で、沙綾香の勝ちだ。
「…………嘘、だろう…………?」
 唖然とした様子で祐希が呟く。
「おや。私はあのボーイッシュな子に入れていたのですが……負けてしまいましたか」
「私も、どちらかと言えば青を押している印象でしたが、赤にもかなり入れた気がしますねえ」
「赤の子には、吸い寄せられる何かがあるからな」
「いやいや、いい勝負でした。正直、甲乙つけがたいところですよ」
 客達は、黒人の精液に塗れる2人に拍手を送りながら入口へと向かう。ロドニーがそれを先導しながら、VIPルームでの性欲発散を勧めているようだ。非道徳的ではあるが、その空気は穏やかだった。
 逆に、祐希は納得がいっていないようだ。
「なんで、私が負ける……!?」
 口元に縮れた毛をつけたまま、祐希が沙綾香を睨みつける。
「ゆ、祐希?」
「どうして……どうして邪魔をするんだ! 私は、勝たなきゃいけなかった! 颯汰さまに調教していただいた成果を、ここで見せなきゃならなかったんだ! 負けたなんて知られたら、きっと、失望され…………」
 祐希は怒りのままに叫びつつ、途中で言葉を切る。彼女は、横目で入口を捉えていた。正確には、その入口から今まさに入ってきた人間を。
 線の細い体つきに、甘いマスク、女性と見紛う色白な肌と、鮮やかな金髪。見覚えがある。地下15階で祐希を女にし、ギャラリーの女から黄色い歓声を受けていた男──颯汰だ。
「残念だったなぁ、祐希」
 颯汰は薄い笑みを浮かべたまま、祐希に声をかける。
「そ、颯汰さま!? も、申し訳ありません、負けてしまって……!」
「いいって。お前すげえ頑張ってたじゃん、俺以外の男相手に」
 ベッドに頭をつけてひれ伏す祐希の髪を、颯汰は優しく撫でる。下を向いたままの祐希の頬が、僅かに緩んだのがわかる。
「あ、あんた、祐希を壊した…………!」
 沙綾香は、颯汰を前にして表情を一変させた。それはそうだ。級友を狂わせた元凶なんだから。
「へぇ、オレのこと知ってんだ? 光栄だな。僕もちょうど、キミに興味が湧いてさ」
 颯汰が涼しい顔を沙綾香に向ける。沙綾香が目を見開く一方で、祐希は弾かれたように顔を上げた。
「そ、颯汰さま、やめてください! 他の子となんて……!」
「勘違いすんなよ、祐希。確かに可愛い子だけど、別に惚れたわけじゃない。ただ……“オレの”祐希が負けたのが、悔しくてさ。直々にリベンジしようかなって。いいっスよね、手越サン?」
 颯汰はソファに腰掛けた手越に問う。年の差がかなりあるだろうに、随分と軽い態度だ。顔馴染みなのか、あるいは颯汰が礼節を弁えない若造なのか。
「別にいいぜ。夜になると黒人連中が騒ぎ出しちまうから、それまでにこのフロアへ戻してくれんならよ。ま、あと4時間ってとこか」
「やったぁ、さっすが手越さん! ……って訳だから。人のオンナ泣かせといて、まさか逃げないよね?」
 颯汰は手越に愛嬌ある素振りを見せつつ、沙綾香に向き直る。一瞬にして表情がガラリと変わる様は、人格が二つあるかのようだ。
 沙綾香は奥歯を鳴らして颯汰を睨み返す。親しい友人の仇が、今度は自分までも手玉に取るつもりでいる。その事実に、彼女の腸はどれだけ煮えくり返っていることか。
「……上等じゃん。あんたのテクなんか大したことないってのを、証明したげるよ」
 沙綾香は、怒りを隠しきれない声で宣言する。

 俺は、心中で沙綾香にエールを送った。友人に代わって怒りに燃える姿を、応援したくならないはずがない。
 だが同時に、えも言われぬ不安も胸を埋め尽くしてもいた。
 祐希の人格を崩壊させる相手に、今の沙綾香が意地を張り通せるのか? この勝負を受けることで、彼女は、快感という海の深みに引きずり込まれるんじゃないか?
 状況を分析すればするほど、不安が具体的になっていく。
 結局俺は、祈るしかない。沙綾香の“強さ”を信じて。



                 ※



 エレベーターへ乗り込む沙綾香と颯汰の姿が、モニターに映し出された。2人に同行する祐希が、手越に渡されたハンディカムで撮っている映像だろう。フロアの監視カメラ映像と違って、これは手ブレがひどい。少女の細腕でビデオカメラを構えているせいか。それとも祐希自身が、怒りで震えているせいか。
『君さ、ほんと背高いよね。オレと同じぐらい? ブーツ履かれたら抜かれるかも』
 颯汰はそう囁きながら、馴れ馴れしく沙綾香の肩を抱く。すると沙綾香は即座に眉を顰め、その手を払い落とした。
『沙綾香!』
『あー、いいっていいって。こういうツレないのも嫌いじゃないし』
 激昂する祐希を制しつつ、颯汰が笑う。沙綾香はそれを完全に無視していた。そのピリリとした雰囲気は、俺を警戒していた頃を思い出させる。俺達はあの状態から打ち解け、愛し合い……引き裂かれた。いつかまた2人で笑いあえる可能性は、どのぐらいあるんだろう。

 エレベーターが止まる。地下15階、祐希が颯汰に狂わされたあのフロアだ。
 扉が開いた瞬間、数えきれないほどの女が身を乗り出し、黄色い歓声を上げる。あまりに色々な声が混じっていて聞き取りづらいが、颯汰様、颯汰様と叫んでいるようだ。前に見た時もそうだったが、あの颯汰という男は相当にファンが多いらしい。
『や、ただいま』
 颯汰が颯爽と人ごみの中へ踏み出せば、歓声はいよいよ場を震わせるほどのものに変わる。だが、その颯汰の後ろに沙綾香の姿を見つけた瞬間、女共の表情は一変した。男を一瞬で骨抜きにする妖艶さは、同じ女にとって脅威以外の何物でもない。特に、恋のライバルという視点で見た時には。
『そ、颯汰さま。その子は……?』
『ああ、これ? オレの、新しいカノジョ』
 颯汰がさらりと吐いた言葉で、場が凍り付く。取り巻きの女共が目を見開き、沙綾香が目尻の角度を上げる。カメラのブレ方からして、祐希も動揺していうようだ。
 ぎゃーぎゃーと非難が飛び交う。そんな中、沙綾香は颯汰を睨み据えた。
『冗談でもやめてよ。気持ち悪い!』
 沙綾香の一言は、まさしく火に油。
『き、気持ち悪いってなによ!!』
『ってか、あんた誰なの!?』
『制服着てるってことは学生でしょ? 学校は!? 勉強は!?』
 颯汰を信奉する女共が、けたたましくヒールを鳴らしながら沙綾香に詰め寄る。颯汰はそれを面白そうに見回しながら、笑顔で手を振った。
『ははは、彼女ってのはウソ。この子、奴隷の1人だよ。例の“審査会”で、祐希がこの子に負けちゃってさ。泣きそうな祐希見てると居ても立ってもいらんなくて、リベンジマッチ申し入れたわけ』
 颯汰は抜け抜けとそう言い放つ。自分を美化すると共に、沙綾香を悪者に仕立て上げる言葉だ。案の定、取り巻きの女共は流石だの優しいだのと颯汰を褒めそやし、同時に沙綾香を睨みつける。そうして場の注意が沙綾香に集まる中、颯汰はさらに続けた。
『でもさ。この子、スタイル本当にいいっしょ? 誰か横に並んでみてよ、ほら!』
 颯汰はおどけながら、すぐ近くにいた取り巻き女の手を取り、沙綾香の真横に立たせる。
『見て、脚の長さ全然違うでしょ?』
 颯汰の言葉で、皆の視線が2人の女を見比べはじめた。女の身長は160あるかないか。170オーバーかつ8頭身の沙綾香と並べば、大人と子供でしかない。比較された女の顔がみるみる歪んでいく。逆に沙綾香は堂々としたもので、腰に手を当てながら女を見下ろしていた。同性からはさぞヘイトを集めるだろうが、男なら問答無用で見惚れるほど綺麗だ。颯汰もこれから抱く女の魅力を再確認し、頬を緩めている。
『……ッ! 騙されないで颯汰さま! こんな女、誰にでも簡単にヤらせるビッチですよ!? 同じ女だから、感じでわかります!!』
 女は沙綾香を指して罵声を浴びせた。ビッチと罵っているが、女の方も男に媚びたピンクのフリルドレスなんだから他人の事は言えない。むしろ格好でいえば、制服姿の沙綾香の方がよほど真っ当だ。
 とはいえ、冷静さを欠くのもわかる。惚れた男の前で、最上級の女と比較されたなら。悪いのはその状況を作った颯汰だ。
『ごめんね、恥掻かせて。わかってるよ、君の方が可愛いってことくらい』
 颯汰はおどけた様子で女を抱き寄せ、その額にキスをする。また黄色い声が上がり、今の今まで羞恥に顔を歪めていた女は、たちまち目を潤ませる。見事に颯汰に惚れ込んでいるようだ。
『さて、そろそろ行こっか』
 颯汰は歓声に囲まれながら、調教部屋の入口へと歩を進める。逆に沙綾香の周りはアウェーそのもので、足を突き出して転ばそうとする女もいれば、後ろ髪を引っ張る女もいる。沙綾香はその妨害からかろうじて逃げ延び、調教部屋へと駆け込んだ。

 沙綾香達を追って扉をくぐったカメラが、部屋の様子を映し出す。風景は前と変わりない。布団の敷かれた、畳敷きの空間。あの時と違ってギャラリーがいないから、部屋の広さがよくわかる。温泉旅館の一室ぐらいはあるだろうか。
『……なにあれ』
 室内を一目見るなり、沙綾香が颯汰を睨む。布団の上にいかがわしい物が散乱していたからだ。ローターにバイブ、口の縛られたコンドーム……どれも生々しい使用感がある。
『あーごめん、散らかってんなぁ。審査会のちょっと前まで、ウォーミングアップって感じで祐希を可愛がっててさ』
 颯汰はカメラの方を向いて笑う。撮影者である祐希の顔は映像に映らないが、颯汰の笑みが深まったところを見ると、ひどく恥じているようだ。
『ま、ムードはないけど別にいいでしょ。愛し合うセックスじゃないんだからさ』
 颯汰は足で淫具の類を蹴散らし、沙綾香に視線を送る。脱げ、という無言の圧力だ。
『…………ま、どうでもいいけど』
 沙綾香は溜息まじりにブレザーを脱ぎ捨てた。さらにブラウスのボタンを外し、スカートを、ショーツまでを一気に脱ぎ去り、丸裸になって颯汰を見据える。客の前でやってみせた煽情的な動きとは逆に、色気のまるでない事務的な脱衣。お前の目を楽しませるつもりなんかない。そう宣告したも同然だ。
『へぇ、脱ぐとまた凄いな。脚なげー』
 颯汰が感動した素振りを見せても、沙綾香の表情は和らがない。目を合わせるのも嫌だとばかりに視線を外し、布団に横たわる。
『あたし、アンタに奉仕とかする気ないから。したいんなら勝手にすれば?』
 素っ気ない態度を取る沙綾香に、いつの間にか部屋に入ってきていた女共が騒ぎ出す。何様のつもりだ、ビッチのくせに、と口汚く、さしもの颯汰も苦笑する。
『あ、そう。つっても、そこまで特別なこと出来るわけじゃないから、いつも通りでいくわ。オレ、ここで毎日祐希とハメててさ。朝起きてから、大体昼ぐらいまでにやるルーティンがあるんだけど、それ君にやっていい?』
『だから、好きにすればって。あ、でも先言っとくけどさ。あたし、毎日黒人10人とヤッてるの。あんたみたいな『粗チン』がひとつっきりじゃ、もう全然感じないと思うよ。たぶんマグロだと思うけど、別にいいよね』
『うわ、えげつねぇアピール。まぁでもいいよ。っつか、むしろ耐えてほしいかな。最初ツンツンしてる子でも、オレがちょっと本気で抱いたら、気持ちよくなって腰振り出すんだよね。すぐトロけちゃう子ももちろん可愛いんだけど、たまには歯応えあるモンも食いたいからさ』
 声色だけを聞けば静かな会話。しかし、言葉の裏には決して相容れない感情が渦巻いている。

  ────絶対、あんたの思い通りにはさせない。
    ────オレのテクに耐えられるってんなら、やってみろよ。

 その二つの想いが、閉鎖された和室の中、じわりと距離を狭めていく。



                           (Part.3(後半)に続く)

 
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