大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

スカトロ

耐えて、零さず

※ 『平気or平然スレ』向けの作品。
女機動隊員が必死にお漏らし(小)を耐えるお話。



反政府団体『浄和の会』によるテロ活動は、日増しに苛烈なものとなっていった。
政府高官の乗る車を狙った襲撃に、国会への手榴弾の投げ込み……。
その中で、6月初旬に起きたホテル・スィエールの立てこもり事件はとりわけ有名だ。
ホテルの宿泊客に官房長官の妻と娘がいたため、従業員や他の客を含めた140人あまりが人質となった。
実行犯は32人、それぞれが銃を所持している。
この状況では、駆けつけた機動隊とて下手には動けない。
交渉術に長けた機動隊員が拡声器で説得を続ける中、突入計画が練られては却下される。
その様を、機動隊員・木橋愛里(きばしあいり)は歯噛みしながら見守っていた。

女性の機動隊員というものはそれ自体が珍しい。このような危険な現場への出動となれば尚更だ。
しかし、愛里は自ら志願してこの場にいた。
『浄和の会』に関係する事件への出動は、現在、各機動隊員の任意とされている。
必ずといっていいほど銃撃戦や手榴弾等による死傷者が出ており、危険極まりないためだ。
しかし、愛里はそれに臆さない。
故郷の村にいた頃から、誰よりも正義感が強く、理不尽には屈しないと心に決めていた。
寮で相室となった暴君さながらの先輩機動隊員でさえ、愛里の頑固さにはついに根負けしてしまったほどだ。
「卑怯者め…………!!」
ポリカーボネート製の大盾越しに、愛里は犯行グループを睨みつける。
すると、犯人の一人がその視線を察した。
「ンだ、テメェその目は?」
男は小銃を構えて威嚇するように愛里を睨み返すが、そこで彼は、愛里の美貌に気がつく。
そう、愛里は見目がいい。宝塚の男役を思わせる、キリリと整った顔立ちだ。
犯人の男は口角を上げ、一歩退いて隣の男に何かを耳打ちする。するとその男もまた愛里の顔を凝視し、笑みを浮かべた。

『……良いだろう、人質の一部を開放しよう。ただし、条件がある』
数分の後、政治的要求を続けていた犯行グループから提案がなされた。
皆が固唾を呑んで見守る中、続いて条件が明かされる。
『そこの女が、代わりに人質となることだ』
拡声器からの宣言と共に男が指したのは、紛れもなく愛里だ。
集まった各マスメディアを中心に、どよめきが走った。
「っ…………!!」
愛里は目を見張る。背筋を冷たい汗が伝い落ちる。
危険などというものではない。国家権力に強い恨みを持つ団体だ、まず死は覚悟しておくべきだ。
あるいは見せしめとして、自ら死を望むほどの辱めを受ける可能性もある。
しかし、愛里は覚悟を決めた。
ホテル内に監禁された客の、縋るような眼。周囲からひしひしと伝わる、婦警たる自分への注目。
その中にあって、逃げ出せよう筈もない。
「解った。要求を呑もう!」
愛里は前を見据えたままハッキリと答え、手にした大盾を左隣の隊員に預ける。
そして腰のホルスターを外し、続いて黒いヘルメットを脱いだ。
首元までの癖のない黒髪が、風を孕んで広がる。
周囲の機動隊員達さえ、その凛とした美しさに一時我を忘れたほどだ。
身を守る武器も防具も持たぬまま、両手を挙げてホテルのエントランスホールに入る愛里。
その勇姿を、数社のマスコミがカメラで追う。そこから起きるであろう“何か”を、心中で期待しながら……。



「まずは服を脱げ。何を隠し持っているか解らんからな、パンツ一丁になって貰おう」
愛里の後頭部に銃を近づけながら、犯行グループの一人が告げた。
いっそ後頭部に宛がってくれたならば、それを元に位置関係を把握し、制圧することもできるのに。
愛里はふとそう考え、しかしそれをしても無駄な窮状に嘆息する。
命ぜられた通り、防弾ベストを脱ぎ、首を保護する防炎マフラーを外し、出動服とその下の警察指定のシャツをも脱いでいく。
「…………っ」
ズボンに手を掛けた瞬間、さすがに愛里の指が止まった。
公開ストリップのようで屈辱的である事もそうだが、それ以上に、暴徒に抗うための装備を捨てること自体が口惜しい。
「どうした、早くしろ」
男の焦れたような声を受け、愛里は仕方なく下衣を脱ぎ捨てる。
そして現れるのは、日々の厳しい訓練によって培われた、健康的に引き締まった女体だ。
張りのある肌は瑞々しく、実に映像栄えするものだった。
「ほぉ。服の上からじゃ判らなかったが、イイ体してるじゃねぇか」
愛里の前方に立つ男が、好色そうな声を出した。
他の男も、愛里のウェストラインや豊かな乳房を隠しもせず眺め回す。女日照りである事は想像に難くない。
「これでいいんでしょう。速やかに人質を解放しなさい」
愛里は淡々とした声で告げる。内心はともかく、見た目には裸を晒すことを何とも思わない女傑さながらだ。
「けっ、澄ましやがって」
男達は期待外れとばかりに唾を吐き、人質を退避させる準備を始めた。
結果、官房長官の身内2人を除き、ほぼ全員が無事に保護される。
「あの2人も開放して」
愛里はそう要求するが、男達は首を振った。
「ダメだ、ありゃあ俺らの交渉材料だからな。そして、お前もだ。
 手を頭の後ろに組んで、そこに突っ立ってろ。変な動きを見せたら、ガキの耳を切り落とすぜ」
銃を突きつけながら命じられれば、愛里とて従う他はない。

拡声器を通じての交渉が延々と繰り返される中、愛里はエントランス中央で立ち尽くす。
両手を頭後ろに組んで腋を晒し、両の脚を肩幅に開いて。
身に纏う衣服はショーツのみであるため、乳房やその他の肌も隠す術がない。
そしてその様を、地方局を初めとする数社マスコミに遠くから撮られ続けているのだ。
この状況を報道し続けることも犯行グループの要求に含まれているため、撮影が中断されることはない。
すなわち、愛里はあられもない姿を衆目に晒し続けるしかない。
6月初旬。幸いにも肌寒い時期ではないが、素肌に外気が触れる違和感は強かろう。
しかし、愛里の表情はその苦境を一切窺わせなかった。
パトロールを行う時のように、隙のない無表情を崩さずにいる。
マスコミはその愛里の姿勢を賞賛し、警察官の鏡、身を呈して市民を守る英雄と称えた。
ただテロリスト集団にしてみれば、その無反応が面白いはずもない。
彼らがやがて行動を起こすのは、必然といえた。


「喉が渇いただろう。水をやる」
直立を始めて小一時間が経った頃、水の満たされたコップを持って男が近づいた。
ちらりと視線を横に投げ、愛里は逡巡する。
テロリストの差し出すものを安易に口にするなど危険極まりない。
とはいえ、無下に断って男達の機嫌を損ねるのもまずい。
それにこの先、どれだけこうして立ち尽くすか分かったものではない。
5時間、10時間……あるいは数日かかる事も充分に考えられる。その間、一切の水分補給をしないのは無謀だ。
「頂こう」
愛里は仕方なく告げる。すると男は笑みを浮かべつつ、愛里の唇にコップを押し付けた。
あくまで愛里自身の行動を許す気はないらしい。
「んっ、んぐっ、ん゛…………」
男の手がコップを傾けるのに合わせ、愛里は唇を開いて水を迎え入れる。
不自然な飲み方のため、水は次々に口から零れ、首筋や乳房を伝い落ちた。
「どうだ、美味かったろう。こうしてたまには水をやるからな」
男はいよいよ笑みを深め、愛里の身体に下卑た視線を這わせながら距離を置く。
そしてまた、孤独な直立の時間が訪れた。
このまま時が過ぎ、順調に交渉が纏まるならば。愛里はそれを希望にして立ち尽くす。
しかし、わずか数分後。その身に異変が起きはじめる。
尋常でないほどの尿意が、愛里の膀胱を疼かせ始めたのだ。

 (クソッ、何か盛られたか…………!)

愛里はすぐにそう理解した。
水を飲んで数分、あまりにもタイミングが良すぎる。さらにはじわじわと尿意が沸き起こってきた訳でもない。
堰を切ったように、我慢できる限界の尿意が突如襲ってきたのだ。
「っ…………」
愛里はごく僅かに唇の形を変えた。
「うん、どうかしたか?」
水を差し出した男が、惚けたように問う。その様はまさに、愛里が憎む理不尽の化身だ。
「トイレへ行かせて欲しい。すぐに戻る」
愛里は男へ視線だけを向けて小さく告げた。あくまで、異変をカメラに拾われたくはない。
しかし、男はその愛里の願いを一蹴する。
「却下だ。いいか、お前は人質だぞ。開放した100人以上の代わりに、そこに立っているのが仕事だ」
「では、どうしても我慢が出来なくなった場合はどうすればいい」
「決まってんだろ、そこで漏らすんだよ」
「っ!!!」
男の答えに、愛里は思わず眼を吊り上げた。
なんという下劣な男達だ。そうまでして、警官たる自分に恥を掻かせたいのか。
「何だ、不満そうだな。何なら逃げても構わんぞ。ただしその場合は別の2人が、体中から血の小便を流すことになる」
銃身で部屋の隅を示しつつ、別の男が告げる。そこには手足を縛られた官房長官夫人と、高校生ほどの娘がいた。
おおよその内容を察したのか、2人共に怯えている。
「まぁ、見捨てるだろうなお前は。所詮今の公僕なんざ…………」
「解った。もう訊かん」
男の言葉を遮り、愛里は視線を前方に戻す。
こうなればもう、交渉が終わるまで何時間でも尿意に耐えるしかない。人命と、警察官としてのプライドを賭けた戦いだ。
愛里は口元を引き締め、静かに覚悟を決めた。



「ほんっと我慢強い女だな、コイツ。クスリ効かねぇんじゃねえのか」
「ああ。リサ相手に試薬使った時にゃあ、五分でもうダメっつって漏らしてたもんな。
 テスト前にゃあ、さんざん小便の我慢には自信があるとか言ってた癖によ」
「マスコミ共もまだ気付いてねぇみたいだぜ。身代わりから40分あまり、未だ直立の姿勢を崩しません、だってよ」
水を与えて10分が経過した頃、見張り役の男達が言葉を交わしていた。
愛里は隙のない表情で前を見つめ続けている。
しかし間近で見れば、その髪の生え際や額から、かすかに脂汗が滲み出ているのが見て取れた。
「人間ってのは想像以上に排泄欲に弱いらしいがな。
 膀胱は500mlほど尿を溜められるそうだが、実際には4/5ぐらい溜まった時点で脳に信号が送られるらしいぜ。
 自分は小便がしたくてしたくて堪らない、ってな。ペットボトル1本未満だぜ、だらしねぇと思わねぇか?
 ああそうだ。女の場合、予備の尿道まで短いから、もっと限界が早いかもな」
男は愛里の反応を意に介さず、延々と喋り続ける。
尿意を我慢している最中でのその話題は、非常に腹立たしいものだ。愛里は奥歯を強く噛みしめた。

表面でこそ平静を装っているものの、愛里の頭の中では警鐘が鳴り続けている。
膀胱が熱を持ったように熱く、背筋などは逆に冷え切っている。
寒い。ひどく寒い。鳥肌が立ち、思わず身震いしてしまいそうだ。
尿意は刻一刻と強まっていく。
もう限界だと思える尿意が膀胱で荒れ狂い、数十秒耐えれば少し収まる。
膀胱壁の移行上皮が伸びて内圧が下がるためだ。しかし、それも一時しのぎに過ぎない。
その凪段階が過ぎれば、今度は前回以上の大きな波が襲ってくる。
カメラで撮られている手前、平静を装うために直立を保たなければならないのもつらい。
足を交差させて膀胱を締めたり、屈伸をしたり、そうした尿意の和らげ方が一切できない。
できる事といえば、素足の親指で床を掴むようにするか、頭後ろに組んだ手で首の皮を挟み、その痛みで尿意を誤魔化す程度のものだ。

さらに小一時間が経過した頃、再び水の入ったコップが差し出された。
「さぁ、水だぞ。飲め」
「…………要らん」
愛里は水を浴びたような汗を顔中に流しながら、男の誘いを断った。
しかし、男がさらにコップを口に近づけると、結局を拒みきれない立場だ。
「んっ、……ん゛っ! ぐっふ、んっ…………!」
喉につかえながら、愛里は少しずつ水を飲み込む。
妙な味に思えるのは、今度の水も利尿剤入りだと判りきっているせいか。
事実、それが胃の中を通り抜けてからしばらくすると、いよいよ猛烈な尿意が襲い来る。
「………………っ!!!!!」
愛里は前方の空間を強く睨みながら、身を飲み込むような尿意の波を耐えた。
男達が口笛を吹く。
「すげぇな。だが、流石にもうすぐ限界だろ。今飲ませたのは、一杯目の3倍濃い奴だ」
男は汗の光る愛里の裸を眺め、可笑しそうに嗤った。



人間には『限界』がある。肉体的限界、あるいは精神的限界。
愛里はそのどちらを取っても、一般人とは比にならないほど強靭だった。
鍛え上げられた下腹部の筋肉は膀胱の口を緩めず、
武道で培われた精神は、漏らして楽になろうとする甘えを強く律する。
しかし……どれほど鍛えても、いつかは限界が訪れるものだ。

「ひひっ、すげぇ汗まみれ。コイツ反応薄いけど、やっぱキツいんだろうな」
「当たり前だろ、あのクスリだぞ。もうすげぇ量溜まってる筈なんだからよ」
背後からする男達の声を、愛里の耳はしっかりと聴いていた。
集中してしまうと膨大な尿意に耐え切れないため、意図的に外部の情報を取り入れて気を紛らわせているのだ。
最もその情報とて、愛里を追い詰め、緊張させることで膀胱を収縮させるものばかりだが。
「ふーっ…………ふーーーっ………………」
愛里は、いつしか自分の息が荒くなっている事に気がついた。
「どうした、興奮しているな。露出の気でもあったか?」
「カメラの前で、腋もチチも丸出しだからな。おカタい女ほど変態だってのは本当らしいな」
当然周りの男には茶化されるが、もはや息を制御できるレベルではない。
腿に力を篭め、奥歯を噛みしめていなければ、すぐにでも内股になって叫びだしそうな尿意なのだから。
自分の身だけが軽い地震に襲われているように、ひどく足が痙攣し、その揺れが身体にまで伝わってしまっている。
「ふっグ…………!! スーーッ、……ッハァッ…………スーーッ…………!!!」
愛里は武道で修めた調息を行い、必死に身の震えを鎮めようとした。
しかし、日頃慣れ親しんだそれすらも最早ままならない。
吸い込んだ息を下腹に留め、丹田に力を篭める『充息』の段階が、どうしても疎かになってしまう。
まるで身体中が、はやく膀胱の異物を吐き出せと愛里に訴えているようだ。

 (いや、言う事を聞いて! お願い、もう少しでいいから我慢をさせて…………!!)

愛里は必死に肛門を締めつつ、下半身の筋肉に訴えかける。
空手、柔道、合気道、杖道、剣道…………幼少時より、様々な武道を経修めてきた愛里だ。
心身のコントロールには人一倍の自信があった。
しかし、それも限界らしい。
血が流れ続ければ失血死するのと同様、心身が疲弊し続ければどこかで折れる。それがどうやら今だ。
酸欠著しく、下腹に差し込むような痛みが続いている。
膀胱付近の筋肉もとうとう攣ったように固まり、制御を受け付けない。
ならば、と愛里は覚悟を決め直す。
排泄が避けられないならば、せめて堂々としていよう。恥じらいを見せるような事はしない、と。

愛里は下腹部の力を抜いた。かろうじて掴まっていた崖から指を離すように。
直後、膀胱からの流れが尿道を焼く。
それを脳が認識した時にはもう、生暖かいものが太腿を流れていた。
白いショーツは一瞬にして薄黄色に染まり、溢れる尿の勢いで陰毛を覗かせる際までずれ落ちる。
「っっっ!!!!」
ここでようやく、愛里の脳は排尿の心地良さを捉えた。
 (嫌、きも……ち、いい………………でも、でも…………)
自宅であれば、大口を開けて存分に甘い声を上げているほどの心地良さ。
しかし愛里はそれをしない。
理知的な瞳で前を見据え、キリリと口元を結んだまま、足を肩幅に開いた姿勢を崩さない。
「はははっ、女だてらに漢らしいションベンだな!」
「ああ。コイツ、ヤクでもキメてんじゃねぇのか? 羞恥心がぶっ飛んでやがら」
「けっ、期待外れもいいとこだな。機動隊の女が泣き叫びながらションベン漏らすのを期待してたのによ」
「確かにな。……なら、そうなるまでやるか」
男達は愛里の反応に満足せず、またも水入りのコップを唇に押し付けた。
「オラ飲めよ。今度は、さらに濃い奴だ。膀胱ン中で小便が次々に作られて、漏らしっぱなしになるぐれぇにな」
コップが傾けられる際には、悪意に満ちた言葉が添えられる。
そして愛里は、その悪意を受け入れるしかなかった。

「…………ははははっ、『非常に好ましくない映像が流れています、なるべく視聴はお控え下さい』だってよ。
 最初からチチ丸出しだっつぅのに、今さら何言ってんだかな!」
「まぁ、確かにすげぇ映像だからな。駄々漏れじゃねぇか」
「泣き入れねぇことで余計に惨めになってるなんざ、皮肉だよな」
男達は、愛里を眺めながら嗤いあった。
愛里はなおも直立したまま、際限のない尿意に襲われ、幾度となく失禁を晒している。
そしてその様は、変わらず数社のテレビ局によって報道され続けていた。
「…………っ!!」
今また限界を迎え、愛里の内腿を透明な筋が流れていく。残りは床に滴り落ち、雨のような音を立てる。
それでも愛里は、凛とした姿勢を崩さない。
羞恥を顔に出さず、涙の一筋さえ流さず、意思のない人形のように振る舞い続けた。

その姿勢は、やがて興奮した男達が口での奉仕を強いはじめてからも変わらない。
「う゛、おぐっ……っっんぉおお゛、ォおおお゛オ゛エ゛ッ…………!!」
後ろ手にロープで拘束され、後頭部を掴んでのイラマチオ。
その状態で根元まで咥え込まされれば、さすがにえづき上げてしまう。
しかし反応といえばその反射的なものだけで、逸物を吐き出した時にはもう、無機質な顔を作っていた。
左右の男に交互に喉奥へ突きこまれ、濃厚なえづき汁を乳房に纏いつかせるほどになっても、精液を飲むよう強制されても。
「おら、もっと喉の奥で締めるんだよ、どうだイイんだろ? ……ったくコイツ、マジで人形かよ」
「ここまで徹底して意地張られると、逆に気持ちいいな。何かに目覚めそうだぜ、俺」
男達は、あるいは愛里の強情さに呆れ、あるいは喜びながら陵辱の限りを尽くす。
彼らは誰一人として気付かなかった。
鉄面皮のようなその顔の裏で、愛里の心が少しずつ、少しずつ、壊れてはじめている事に。



この『ホテル・スィエール立てこもり事件』は、翌日夕方に交渉が成立し、犯行グループの逮捕で幕を閉じることとなる。
しかし、社会的な波紋は大きかった。
過去例がないほどの放送事故。大勢は愛里に同情的ではあったが、警察組織の信頼は落ちた。
そして、もう一つ。
この事件の後から、爆発的に流行し始めたアダルトビデオのジャンルが『人形プレイ』であった事も無視はできない。
当の木橋愛里機動隊員は、その働きを表彰され、一生を遊んで暮らせるほどの莫大な報酬を得たものの、
警察官の職自体は辞して故郷に戻ったという。
その後少なくとも一週間の間、外で目撃された彼女は、いつも泣き腫らしたような眼をしていたそうだ。



                                     終
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プリズン六区

※ 排便・飲尿・嘔吐などスカ属性ありのダークなレズいじめ物です



西暦2074……。
社会人のモラル欠如が問題視され始めてから、七十余年。
思いやりの欠けた人間が子を産み、自分本位に育て、その子供がまた子を産む。
そうした未成熟さの連鎖の果てに、世の中は荒み切っていた。
昨年行われた調査によれば、ある公立学校の一学年のうち、実に85パーセントに当たる生徒が拘置所に入った経験があったという。
あまりにも犯罪者数が多いため、拘置所を兼ねた刑務所が各市町村に設けられたほどだ。

刑務所内は罪状の重さに応じて六つの区画に分かれ、その段階に応じて報道規制が強まる。
最重犯罪者を擁する『第六区』に至っては、一切の内部情報が秘匿され、あらゆる事が所長の裁量次第で決定される。
特に女性刑務所においては、女特有の陰湿なハラスメントが横行しているとの噂があった。
江堀北女性刑務所も、そうした噂が流れる施設の一つだ。



 ※

「ほぅらどうだい、美味しいかい。毎日色んな人間が使ってる便器の水は!」

矯正長の階級章を光らせる女が、口端に笑みを浮かべてがなり立てた。
気に喰わない同性を合法的に嬲るため勉学に勤しんだという、人格に難のあるサディストだ。
その視線の先では、鼠色の囚人服に身を包んだ女が洋式便器に顔を突っ込まれ、執拗な水責めを受けている。
髪を掴み、肩を抑えて刑を執行するのは、常に恵美子の周りを固めている矯正副長と看守長達だ。
どの女も同性を嬲ることに最上の悦びを感じる類であり、嘉川恵美子との利害は一致していた。

「げほっ、えぇほっ!!いや゛っ、もぉ゛いやああぁあ゛あ゛あ゛っ!!!」

囚人服の女は咳き込みながら涙を流し、看守達から逃れようともがく。
それを数人掛かりで押さえ込み、深く便器に顔を漬ける所業は直視しがたいものだ。
広い特別懲罰房の隅には、罰を受けている女と面識のある女囚がギャラリーとして集められ、所在無げに視線を彷徨わせていた。

「そろそろヤバいんじゃない……あれ」

見守る受刑者の一人が堪らず漏らした言葉を、隣の女性が慌てて遮る。

「シッ、滅多な事言うもんじゃないよ!矯正長へ楯突いたばっかりに、真冬にスッポンポンで運動場に立たされた人もいるんだよ!」
「そうだよ。智子も可哀想だけど、ああいう人らに目付けられたんだもん。どうしようもないって……」

受刑者達は一様に同情的でありながらも、嘉川恵美子の率いる看守に逆らう気力がないようだった。
しかしその中でただ一人だけ、拳を握り締めて嘉川恵美子を睨みつける女がいる。
名を雨宮沙桐(あまみやさぎり)という。



沙桐は、極道の女だ。
極道とはいえど、この時代における暴力団は特殊な意味合いを持つ。
暴力団の中に、悪事を先導する非道の組織も無論多くある。
しかし警察機構すら腐敗しきったこの世の中で、真に頼りになるのは義を重んじる非合法組織である事もまた事実だった。
沙桐が属する白江会は、まさにそうした古き良き『任侠』の組織だ。
法で裁けぬ悪を裁く、国が救わぬ弱きを救う。それを絶対の行動指針とし、地域住民から篤い信頼を得ていた。

しかしながら、清廉潔白であればそれだけで何者かから疎んじられる世の中だ。
白江会先代会長が突如病に倒れ、若頭・山蔵昭一が跡を継ぐ準備が進められている頃、突如別の組の構成員が彼を襲撃した。
間の悪いことに、山蔵は近く籍を入れる予定にあった沙桐と久方ぶりに愛し合っている最中であり、護衛役の舎弟は席を外していた。
とはいえそこは、当代きっての武闘派としても知られる“山昭”だ。
硝子の灰皿を手に孤軍奮闘し、血気盛んな鉄砲玉の数人を返り討ちにする。
しかしながら、任侠で知られる組を継ごうという時期に、スキャンダルの元となる暴力沙汰は余りにまずい。
特に今回山蔵は、女を庇いながら抵抗したとあって手心を加えられず、無茶をしてきた二人を死傷させてしまっている。
その状況を憂慮し、自ら殺人の罪を被って自首したのが沙桐だ。

恋人が投獄されたと聞き、山蔵は狼狽した。
女の手で凶器を手にした筋者を殺せるはずがない、殺ったのは俺だと幾度も訴えた。
しかし、警察がそれを聞き届けることはない。
一説によれば、白江会の次期会長となる男を直接捕らえるよりも、その女を人質として抑え、交渉材料とする方が良策との判断が働いたのだともいう。
さらに敵対組織の襲撃そのものが、白江会を煙たがる警察の手引きによるものだとの噂もあった。
事実、ちょうど襲撃のあった頃、組の門前に警官数名が訪れてガサ入れをするかどうかの悶着を起こしており、その隙に鉄砲玉の侵入を許している。

ともあれ、沙桐は無実の罪で『第六区』に収容される事となった。
そしてそこで、義理人情とは程遠い看守によるハラスメントを目撃する。
沙桐はその隔絶された地獄でも、白江会の心意気を示すべく弱者の味方であり続けた。
獄中に蔓延っていた理不尽な仕来りを廃し、周囲の女に上手く看守の叱責から逃れる術を教えた。
彼女自身、警察の無理難題から山蔵や先代会長がするりと逃れるさまをよく目にしており、相手の立場を逆手に取って制するやり口が上手かった。
沙桐が収監されて以来、獄中で行われる折檻の数は目に見えて減っている。
女囚が揃いも揃って小賢しくなり、さらにはそれが沙桐の入れ知恵によるものだという事は明らかだ。
またそれを別にしても、嘉川恵美子には雨宮沙桐という女個人が気に食わない。

和服に映える、艶やかで長い黒髪。
柳のような眉に、利発そうなキリリと鋭い瞳。
日本人らしく、慎ましやかに整った鼻筋と口元。
女らしさを感じさせる胸のふくらみに、帯で細く引き締められた腰つき。
彼女がしゃんと背を伸ばして廊下を歩けば、男女を問わず言葉さえ失くして見入ることだろう。

嘉川恵美子には、そのすべてが火花のように眩く、下劣な虫籠である塀の中にそうした女がいる事実が耐えがたい。
その異分子を、徹底的に畜生にまで貶めなければ気が済まない。
ゆえに沙桐の入所以来、嘉川恵美子は遠回しに彼女を挑発しつづけてきた。
情に厚い姉御肌の沙桐には、自らが虐げられるよりも、可愛い妹分が目の前で嬲られる方が堪えるはずだ。
そこで彼女と一度でも親しく話した女は、理由をこじつけてでも公衆の面前で嬲り者にした。
今、便器に顔を漬けられている娘も、沙桐を姉のように慕っている一人だ。

その悪逆非道を前に、耐えに、耐えに、耐え続けてきた沙桐も、今日この日、とうとう限界を迎えたようだった。



「……き、貴様ッ、誰が列を離れていいと言った!!」

女看守の甲高い叫びで、嘉川恵美子が後ろを振り返る。
沙桐はその横面を、一分の躊躇いもなく打ち抜いた。

「ぐあっ!!」

嘉川恵美子は短く叫んでたたらを踏む。そこへさらに逆側からの一撃を浴びせる。

「や、やめろ!!おい何してる、全員で押さえ込むんだよッ!この、大人しくしな!!」
「こいつ、舐めやがって!テメェ、自分が何やったのか解ってんのか!!」

すぐに看守の数名が集まって沙桐を取り押さえた。
床へ引き倒され、片手を極められて眉を顰めながらも、沙桐は射殺すような瞳で嘉川恵美子を睨み上げる。
嘉川恵美子は頬を押さえながら、憎悪に染まる瞳で沙桐を睨み返した。

「……よくも、やってくれたね!こんな事してタダで済むと思ってんのかい!!」

そう凄むも、沙桐は表情を曇らせない。すべて覚悟の上での行動だ。
これ以上妹分への横暴を見過ごす事は、彼女自身の矜持を殺すことに等しい。
たとえ命を懸けてでも義を通す。それこそが、山蔵昭一の妻となる筈だった女の生き様だ。

「まさか、どうぞお好きに。ここまでされて何もしないってんじゃ、矯正長さまの面子が保てないでしょう。
 何なら、あたしがその子の身代わりになったっていいのよ」

沙桐はそう澱みなく言い切った。
その提案に、嘉川恵美子は目を見開く。果報が転がり込んできたような気分なのだろう。
嘉川恵美子が自分を釣り上げるべく餌を撒いていることに、沙桐はかなり以前から気付いていた。
徐々に、徐々に、皺の多い顔に笑みが広がり、嘉川恵美子の口は魔女のごとく歪む。

「言ったね、雨宮沙桐。皆も聞いただろう。……その言葉、呑み込むんじゃないよ!!」

凄むように念を押し、傍らの看守長に目で合図する。
看守長はよく心得たもので、女看守へ指示を出して沙桐の服を脱がせにかかった。
荒々しい手つきで鼠色の薄い囚人服が引き抜かれ、ショーツが取り去られて沙桐を丸裸にする。
沙桐の豊かな乳房と、ダンサーのように引き締まった腹部、そして伸びやかな脚線が、何十という同性の視線に晒された。
白い右肩に彫り込まれた椿の刺青が、只の女にはない独特の迫力と気高さを際立たせている。





「じゃあ、お前の覚悟ってやつを見せて貰おうかい。
 誰か、チチでも揉んで気分ださせてやんな。お前は頭の後ろに手を組んで、ジッとしてるんだよ!」

嘉川恵美子が、女らしからぬドスの利いた声で命じる。
沙桐は命じられたまま、肩幅に脚を開く格好で頭後ろに手を組んだ。
そこへ看守長が歩み寄り、鎖骨へ掛かっていた沙桐の黒髪をそっと指で払う。
そして直後、彼女は沙桐の顔へ向かって唐突に痰を飛ばした。痰は左目の瞼に命中する。

「…………ッ!!」

沙桐は反射的に左目を閉じたが、そこは勝気な彼女だ。痰が流れ落ちる最中にも関わらず、あえて左目を開いて看守長を睨み据える。
細かに泡立つ痰を絡みつかせ、目から涙のように伝わせながら、しかし射殺すような眼光で。
そこには極道の女としての胆力が表れている。
しかし、それでかえって嗜虐心を燃え上がらせるのがこの『第六区』の看守達だ。
看守長はゆっくりと沙桐の背後に回り、囁きかけるように黒髪へ顎を埋めつつ、下方から乳房を包み込んだ。

「へぇ、生娘みたいな弾力があるじゃないか。お前は25だったね、それでこの張りはちょいと珍しいよ。
 デカいし、さぞや男に喜ばれるだろうね。白江会の若頭からも、毎晩のように揉まれてたんだろう、ええ?」

看守長は舐めるように言葉責めをかけながら、沙桐の乳の房を揉みしだいていく。
桜色の柔肌は、看守長の指の間で様々に形を変えた。
看守長はそうした行為に慣れているのか、なんとも心地の良い揉み方をする。
親指を乳腺尾部に宛がい、他の指でアンダーバストから掬い上げるように刺激する。
外側から内に向け、焦らすように、病的なほどに丹念な愛撫を施す。
揉むリズムも脈拍と一致した自然なものだ。
どれほど感度の鈍い女でも感じてしまう。そのような説得力があり、見守る女囚の数人が喉を鳴らした。
嘉川恵美子も用意された椅子に掛け、殴られた頬をさすりながら、興味深げに見物している。

沙桐は静かに目を閉じたまま愛撫を受けていた。喘ぐことは無論なく、何の反応も示してはやらない。
しかし彼女とて女だ。愛撫を受け続けるうち、やがて肉体に変化が現れる。
乳房全体が透き通って見える風になり、薄っすらと静脈が見えはじめる。そして、その他の性感反応も。
間近で監視する女看守達は、その反応を見逃さなかった。

「あらあら、乳輪がふっくら膨らんできてるじゃない。乳首も、だんだん固くなって」

まるでその煽り言葉を受けるかのごとく、背後からの看守長の指も乳輪を捉える。
ほのかに粟立つ乳輪は、乳首に次いで感覚の鋭敏な性感帯だ。
そこへ人差し指と中指の先を宛がって、なぞる。上へ、下へ。円を描くように……また上下に。
それを執拗に繰り返すうち、沙桐の胸の蕾はいよいよ尖りだす。
すると、看守長の指先がいよいよその蕾を捉えた。
乳頭の側面を摘み、ダイヤルを刻むように捻る。または先端から乳輪にかけてがテントを張る形になるまで引き伸ばし、戻し、また伸ばす。

「くっ……!!」

沙桐も、これにはさすがに眉を顰めた。


「ははっ、こいつチチで感じてやがんの。クールぶって目閉じてるけど、蕩けた女の目を見られたくないだけなんじゃねぇの?」
「指の腹で軽ーく掴めるくらいまで勃起してちゃあね。
 我慢してるつもりだろうけど、何かされる度に腋がへこむし、頭の後ろで組んでる手も力コブみたいに力むし、バレバレなんだよね。
 あはっ、指摘したら余計解りやすくなっちゃった。こいつプライド高いだけあって、言葉責めに弱いわ」
「実際さ、何度かは軽くイッてんじゃないの?あんな乳首勃起するなんて、相当じゃん」

女看守の謗りが飛び交う。
沙桐は気丈に耐え忍んでいたが、看守長の長い指がついに乳頭正面を叩くと、ギクリと薄目を開いた。
最上の性感帯のひとつである乳首の中でも、さらに一際敏感な場所だ。
普段であれば触れられても痛みを感じるばかりだが、乳腺の性感を充分に高められた今は、陰核と同等の弱点となってしまっている。
看守長も無論それは熟知しているらしく、焦らすような指の動きでしばし均一的な圧迫を続けた。

「あ、う……ん゛っ」

それだけで、沙桐は弱い電流を流されたかのような反応を示してしまう。
そして指先がとうとう垂直に乳頭の先へ当たり、掻き毟るような動きをし始めたとき、沙桐の細い腰は解りやすいほどに震え上がった。

「んぁあぁあああ゛っ!!!!」

喉の奥から切迫した呻きが上がる。
それを耳にし、女看守達は一斉に甲高く笑いはじめた。嘲りを多分に含む黄色い笑い声。
沙桐はその渦中にありながら、腰を震えさせて官能を示すしかない。

「はははははっ、浅ましいったらないねこの女!胸揉まれただけで腰ガクガクになってやがるよ!」
「色んな所の筋肉がピクピクしてるねぇ、こんなの初めて見るかも」

そうした嘲笑に混じり、嘉川恵美子も機嫌よく笑う。

「せっかく善がってんだ。チチだけじゃなく、マンコの方も可愛がってやんな!」

その言葉に今度は矯正副長が返事をし、沙桐の足元に屈みこんだ。

「おい、もっとマタを開け!」

そう鋭く命じ、慣れた様子で沙桐の腿を平手で打つ。相当に大きな音が響いた。
沙桐はゆっくりと脚を開き、憎い相手の指先が恥じらいの場所へと入り込む汚辱に耐える。

「おや、ちょっと湿ってるじゃないか。お前のGスポットは……ふん、ここだね、見つけたよ。
 あたしゃココの責め方が悪い意味で嫌らしいって悪名高いからね、せいぜいはしたなく悶えるがいいさ」

矯正副長は笑いながら指を蠢かせる。
そこから程なくして、沙桐は、ぐ、と小さく呻いて腰を引いた。快感半分、嫌がり半分だ。
矯正副長はその様を鼻で笑いながら、再び沙桐の白い腿を凄まじい音で打ち据える。


矯正副長は右手の二本指で花園を責め苛む一方、左の手で沙桐の陰毛を弄びはじめた。
陰毛はやや整然性に欠け、デルタゾーンを覆うばかりに生い茂っている。
沙桐に限った話ではない。
『第六区』の囚人は剃刀をはじめ一切の刃物の使用が禁じられ、ゆえに体毛の手入れも出来ない。
基本は伸ばすがままであり、入浴時に看守が目視確認の上、健康を損なうレベルと判断した場合のみ鋏で無造作に切り取る。
体毛の管理ができない事は、女性にとっては相当な精神的苦痛を伴うものだ。
特に、沙桐のようなキリリとした隙のない美人は、手入れの行き届いていない陰毛がことさら滑稽に映る。
矯正副長は、それを承知で沙桐の陰毛を弄び、周囲からの笑いを誘うのだった。
とはいえ、陰毛ばかりを弄ぶわけではない。長い指は時に茂みに隠れた陰核を探り当て、柔らかに扱きたてる。

「ほぅら、気持ちいいだろう。ここに来てから四ヶ月ばかり、仲睦まじい恋人と離れ離れだった訳だからね。
 聞けば、雑居房の慣習になってるレズ行為にも、孤高気取って一度も参加してないらしいじゃないか。
 25の熟れはじめた身体がタマッてるのは、解りきってるんだよ?」

そうした言葉責めを絡めつつ、淫靡な手つきで秘裂を嬲る。
乳首と陰核、そして膣内という三つの性感帯を同時に責め立てられ、沙桐は腰を蠢かせていた。
顔はなるべく平静を保とうとするが、身体の反応までは御しきれない。
10分もしない内に、伸びやかな脚の合間からは微かな水音が漏れ始める。
沙桐は屈辱で肺が震えるほどだった。妹分達の前でそのような恥辱を晒される現実が、彼女の矜持を切り刻んでいく。

「あーあ、濡れちゃったぁ。ヒクヒクしてやらしいマンコだわ」

口汚く罵りながら、矯正副長の指遣いはより容赦のないものとなった。
水音は粘り気を増しながら間断ないものとなり、茂みの下から光る雫が飛び散る様が視認できるほどになる。
そこへ来て矯正副長は、沙桐の膝を押し開いてがに股のような惨めな格好を取らせ、溢れる蜜が手首までを濡らす様を周囲にまで明らかにする。
沙桐は凛とした態度を保ちながらも、幾度も唇を噛みしめた。絶頂に押し上げられたからだ。

背後から乳房を愛撫され、がに股の格好で秘裂を掻き回される。
その姿を散々に笑いものにした後、ようやくにして矯正副長の指は秘裂から引き抜かれた。
そして愛液で濡れ光るその指先を、誰の目にも触れるように高々と掲げる。
それは沙桐のカリスマ性を貶めるのに、ある程度の効果を上げたようだ。
沙桐を慕っていた者が沈痛な面持ちになる様を、女看守達が指をさして長笑う。
その空気の中、嘉川恵美子が椅子から立ち上がった。


「さて。じゃあそろそろ、お前にも便器の水を味わって貰おうかね」

嘉川恵美子の一言で、女看守達の瞳が嗜虐の色に染まる。命ぜられるまでもなく沙桐を這い蹲らせ、便器の前に引き立てる。
と、その便器の前に嘉川恵美子が立ち塞がった。

「おっと、そういえば尿意があるね。丁度良い、この便器にしようか」

わざとらしくそう告げながら、制服の前を開いて便器への放尿を始める。
これには沙桐も表情を強張らせた。押さえつける看守達は、対照的に愉快そうだ。

「ふぅー、出たよ出たよ。しばらくこの部屋にカンヅメだったから、なかなかに濃いね。さ、始めな」

嘉川恵美子は、水の湛えられた便器を示しながら告げる。便器内の水は、事実はっきりと黄色と解るほどに変色していた。
女看守達は沙桐を引きずり、その便器の真上に顔が来るように這わせる。

「くぅ、ぐっ…………!!」

立ち上るアンモニア臭に顔を顰める沙桐。
看守の一人が便器を跨ぐようにして立ち、荒々しく沙桐の後ろ髪を掴んだ。

「この日をずぅーっと待ってたよ、雨宮。クソ生意気なお前にとうとう折檻できるなんて、興奮で震えちまうよ。
 せいぜい苦しんで、その澄ました潔癖づらが歪むさまを見せとくんな」

悪意に満ちた笑みを見せる看守は、強く沙桐の後ろ髪を掴んだまま、さらにうなじの部分にも手を掛けて力任せに押し下げた。
筋肉質な看守の全体重に首だけで抗える道理もなく、沙桐は這ったまま前屈みになって便器へと顔を落とし込む。
ちゃぷりと頭が水に浸かった瞬間、見守る女囚達から絶望的な悲鳴が上がった。

「……ぶはっ!!っはぁ、はぁ、はっ!!」

水から引き上げられると同時に、沙桐は喘ぎながら酸素を求める。
それと同時に生理的嫌悪感から、素早く首を振って顔についた汚水を切る。
そこには普段の肝の座った彼女の姿はないだろう。しかし、それどころではない。
わずかに三度ほど呼吸をした所で、看守は再び後ろ髪を掴み直し、首後ろを押し込んで便器の中へと押し込んだ。
ざぶりと水音がし、四秒ばかり水中へ沈め、引き上げる。

「ぷうはっ、あはっ!はっ、はっ、あっ……!!」

顔の横から海草のように濡れた髪を垂らし、沙桐は顔を上げた。堪らずといった風で首を振る。
鼻腔をむせ返るようなアンモニア臭が満たしていた。
それに苦悶しながら、大口を開けて犬のように空気を求める姿は惨めな限りだ。



「どうだい味は。お前なんぞじゃ、本来頼み込んでも飲ませて貰えない矯正長の黄金水だよ、よぉく味わいな」

看守は目を異様に光らせ、さらに沙桐を沈めた。
豊かな乳房が便器の縁に当たって滑り落ち、ぶるりと揺れる。
その先端がなおも隆起している事を指摘しつつ、看守達は散々に笑った。
その最中にも、また沙桐は水から引き上げられ、喘ぎ、再び水に沈められ続ける。

七度目の時には、呼吸の苦しさから顔を横向けて大きく酸素を求めている所を無理矢理に沈められたため、かなりの水を飲んでしまった。
苦味と共に、それが憎い女の小水である事が思い出され、沙桐は一瞬ながら半狂乱になって暴れる。
はじめに水責めを受けていた娘がそれを見てパニックに陥った事を筆頭に、見守る女囚達も騒ぎ立てていた。
彼女達の中で多少なりとも神格化されていた雨宮沙桐像が、音を立てて崩れ去っているのだろう。

「うふぁあっ!!……あはっ、あ゛、はあっ……あ、ああお゛っ!!」

次第、次第に、沙桐の声は悲痛なものに変わる。
人間の声色には色々あり、例えばナイフで刺された際に出る声は非日常的な深刻さを孕んでいるものだが、今の沙桐の呻きはそれと同種だ。
異常なことには、同じその声を耳にしているにもかかわらず、看守達はさも愉快そうに笑うのだった。
むしろ沙桐が苦しげな反応を示すほど、より容赦なく責め立てる。
頭部側にいる人間は交代で頭を押さえつけ、胴体側にいる人間は、退屈を紛らわすべく秘裂へ警棒の先をねじ込んで“遊んでいる”。
瀕死でのたうつ人間を、さらに棒で小突き回すような異常性だ。

「ほら、まだまだあるんだから遠慮しないの。どんどん飲みな」

嬉々として水に沈めようとする看守に、沙桐はここで抵抗を示した。呻きながら、便器横の床に突いた両手で踏ん張る。
息の整わない内に沈められた事が三度続き、血中に全く酸素が足りていない。
今沈められれば間違いなく失神するという警鐘を、彼女の脳が打ち鳴らしていた。
しかし看守たちは、無慈悲にその腕を払いのけにかかる。

「今さら抵抗してんじゃないよ!!お前が出来ないなら、他のヤツにやらせてもいいんだよ!!」

そう脅しを掛けられると、沙桐は観念して腕の力を緩めた。その瞬間、頭が勢い良く汚水に漬けられる。
今回は見せしめとばかりに、それまでよりもかなり長く漬けられた。
沙桐としてはとても堪らない。意識とはかけ離れた次元で身体が抵抗し、看守達との鬩ぎあいが起こる。
しかし数人がかりの押さえ込みに敵う筈もなく、やがて沙桐の身体は苦しみの極限を超えて弛緩した。
冷え切った頭部とは対照的に、太腿を流れる暖かさが感じられる。

「ん?おいコイツ、小便漏らしてやがんぞ!!」
「やあだぁー、ばっちぃ!」
「誰も小便の許可なんて出してないのにね。こりゃあ、もっと仕置きが必要だ!!」

看守達の謗りと共に、沙桐の顔は汚水から引き上げられた。
沙桐はもう顔の水を切る気力さえなく、強い吐き気に見舞われ、しかし瞳だけはなお変わらずに看守を睨み据える。
それをする事でさらに責めが加えられることは明白だったが、それでも屈するつもりは無かった。



水責めからようやく開放された頃、沙桐の腹部はメリハリなく膨れていた。
かなりの水を飲んでしまったことは誰の目にも明らかだ。

「腹が膨れて苦しそうだねぇ。誰か、指でも突っ込んでラクにさせてやんな」

嘉川恵美子が沙桐を見下ろしながら告げた。すぐに女看守が沙桐を引き起こし、顔を掴む。

「ほら口開けな。さっさと、開けるんだよ!!」

渋る沙桐の唇に指を宛がい、数人がかりで鼻や顎を掴んで無理矢理に開口させる。
そして口内へ素早く手を差し込んだ。沙桐の喉から、ごもぉっ、という苦しげな呻きが漏れる。

「旦那のチンポの代わりに、この指でたっぷりと喉奥を可愛がってやるよ。
 もし噛んだりしたら承知しないからね!」

女看守は厳しく釘を刺しながら、沙桐の喉奥に指をねじ込む。
そこには一片の慈悲すら感じられない。

「ごっ!!ごぁ゛、ろ゛、ぉっご、ぐ!!が、アあ゛、ごぁああ゛……があ゛……っ!!」
「ふふふ、すごい声。喉の奥が指に絡み付いてきて面白いわ。だんだん、開いてきたし」

沙桐は呻きを上げながら、指責めを受け続ける。
限界まで縦に開いた唇からは、まず涎が垂れた。その涎は次第に空気と混じって泡だっていく。

「んごお゛ええ゛ぇ゛っ!!!」

やがて、特に切迫した呻きと共に胃液が漏れた。
直後、沙桐の喉はさらに大きく蠢き、先に流れた薄黄色を上書きするかのごとく黄色い奔流が溢れ出す。
喉を流れる感触からして、固形物も混じっているようだ。
女囚達が何度目かの悲鳴を上げる場面だった。

「おお、出た出た。でも、やっぱ指じゃ奥まで届きづらいね。道具使うか」

女看守は一旦粘液に塗れた指を引き抜き、腰の道具袋から一本の責め具を取り出す。
いくつもの瘤が連なったような形状のディルドウだ。
沙桐を背後から押さえ込む女性が、沙桐の首に手を回して天を仰がせる。
そしてもう一人が、慣れた手つきでディルドウを喉奥へと進めた。

「羽交い絞めでのイラマチオだ。嬉しくて女を濡らすんじゃあないよ」

ディルドウを掴む女看守は、サディズムに満ちた瞳で微笑んだ。



ディルドウは女の二本指に比べれば太さがなく、その分スムーズに喉奥の深くまで入り込む。
そのため、えづき声こそ指の時よりも少ないとはいえ、効果は上だ。
ディルドウがゆっくりと前後する過程で、沙桐の腰は幾度も浮き上がった。
深くまで送り込まれ、そのまま奥で止められると、喉奥が自分の物ではないかのように勝手に蠢いてしまう。
窒息と喉の異物感に、全身からどっと冷や汗が噴き出す。
まさに生き地獄ともいうべき苦しみだった。

「さぁ、胃の中のモンを余さずぶちまけちまいな!!」

背後の女看守が沙桐の首を抱えなおし、もう一人がディルドウの末端を摘んで念入りに奥を抉り回す。
それらの連携が喉奥責めの致命的な角度を生み、沙桐の瞳はたちまちに大きく見開かれた。
熱いものが瞬時に喉をせり上がり、鼻腔を酸い匂いが満たす。

「ごもぉお゛っ……!!!!」

やがて、惨めなえづき声と共に再び吐瀉物があふれ出した。
今度はかなりの量であり、たちまちの内に沙桐の首から胸、腹部にかけてを覆い尽くしていく。
沙桐の左脚は、あまりの苦しさに胸に付こうかという高さにまで跳ね上がっていた。
女看守達は、その姿をも笑いものにする。

「どんな気分だい、雨宮沙桐。自分のゲロに塗れて、それを知り合いのみーんなに見られてるんだよ!
 ほら、お前のゲロをローション代わりにして胸を揉んでやるよ。腹にも擦り付けて……丸見えのマンコにも塗りこめてやろうねぇ!」

背後から首を抱え込んでいる一人が、そう言いながら沙桐の身体を弄っていく。
女囚の何人かが口を押さえて青い顔をしている一方で、看守達は愉しさしかないといった表情だ。
ひとしきり嬲り者にした後は、再度ディルドウを使って喉奥を責め立てた。
吐瀉物の量はある程度を境にして減っていくが、しかしその減少に反比例して沙桐の苦しみも増す。
少量を嘔吐するたびに両脚が跳ね上がり、汚れた足の裏までもが衆目に晒されるほどだ。

「あっはっは、苦しそうだねぇ、カワイソーに。吐きたくても胃が空っぽで吐けないっていう、空嘔吐が一番しんどいからねぇ」
「はは、見なよ、鼻からもゲロ噴いてるよ。生意気な目も流石に焦点が合ってないし、今日はここらが限界かね」

そうした看守の嘲りを総括するかのごとく、嘉川恵美子が手を叩いて笑う。

「さぁ女囚共、よぉくこの光景を目に焼き付けとくんだよ。これが、あたしらに反抗した人間の辿る道だ。
 もっともこの女は、あたしの大切な顔に青痣までつけたんだ、こんなもんで済ましやしないけどね。
 この痣が綺麗さっぱり消えるまで、イジメてイジメて、イジメ抜いてやるよ」

嘉川恵美子は青黒く変色した頬を擦りながら、沙桐の顔を蹴りつける。
嘔吐に次ぐ嘔吐で意識も定かでない沙桐は、無防備に顔を蹴り続けられる屈辱の中、ボロ雑巾のように意識を手放すしかなかった。





灯りの消された薄暗い懲罰房。
沙桐はその中で、丸裸のまま後ろ手に拘束され、柱に括りつけられていた。
下半身は胡坐縛りに縛められており、身じろぎも叶わずにいる。
異様な事に、その下腹部は妊娠中期のように膨れていた。
数リットル単位での浣腸を施されているためだ。
腹部の奥からはまさしく耐え間もなく、大小さまざまな腹鳴りが続いている。
それは、実に三日前から引き続いての事だった。

「はぁっ、はあっ……。お、くぉっ……ああ、ぐっ、おおっ……ハッ、はあっ、はーっ……。」

沙桐は、荒い息を吐きながら苦悶の声を漏らす。
排泄欲は脳髄を焦がすばかりに高まっているが、実際に排泄することはできない。
肛門に限界まで膨らんだアナルプラグが嵌り込んでいるからだ。
それは暗証番号を入力してスイッチを切らない限り、けして抜けず漏らせない絶対的な栓であり続ける。
趣味の悪い事に、この栓には不定期に振動して便意を煽る機能さえ備わっている。
これらの機能の為に、沙桐はこの三日間でいったい何十度、正体を失うほどの苦悶を味わったか解らない。

肩で息をするたびに、豊かな乳房も上下に揺れた。
その乳房は縄で上下から搾り出されているが、その先端の蕾には、洗濯バサミで挟み潰された跡が網の目のように残っている。
看守達の折檻の跡だ。
彼女らは浣腸責めに苦しむ沙桐の元へ定期的に現れては、下剤入りの食事を無理矢理に食わせつつ折檻を加える。
一人などは、身動きできない沙桐を嘲笑いながら、咥えていたタバコを使って『根性焼き』さえ見舞った。
最初は数回で止めるつもりだったようだが、沙桐が瞳に涙を溜めながら睨みつけるのがよほど面白かったのだろう。
胡坐縛りをされて張った太腿に八箇所、両の乳房の下に二箇所、下腹に三箇所。
沙桐が大粒の涙を流し、噛みしめた唇から血を滲ませるようになるまで、執拗にいたぶり続けていた。

ただ沙桐にとってそれ以上に精神を消耗したのは、尿道を抉られた昨夜だ。
尿道マニアだと自称するその女看守は、胡坐縛りのまま動けない沙桐を前に、自慢のコレクションを並べて解説を加えた。
その半数は到底尿道に入れるべき形状・大きさとは思えないもので、沙桐を絶句させる。
結局はそれらを一つ一つすべて試され、沙桐はそれまでに出したこともない声を絞り出された。
次から次へとおぞましい責め具を取り出され、尿道に近づけられる。
沙桐は恐怖で足が震えるのを必死で押し殺してはいたものの、その内にストレスに耐え切れずに失神した。
しかし尿道の違和感で叩き起こされ、その際に上げた声で失笑を買ったものだ。
その最後に用いられた道具は、今もなお沙桐の尿道に嵌り込んで尿の排出を妨げている。

暗い部屋の中、それらの記憶が沙桐の頭を巡る。
と、その時、彼女の耳は階段を下りる何者かの足音を捉えた。
今では足音だけで判別できるようになっている。あの横柄な歩き方は、矯正長である嘉川恵美子のものだ。
彼女が来て、ろくな事になる筈もない。
沙桐は絶望的な気分になりながら、来るべき時を待つしかなかった。



「…………排泄を禁じられてから、今日で三日目かい。流石に、いいザマになってきたね」

看守を引き連れて姿を現した嘉川恵美子は、沙桐を見るなりそう言った。
嫌味ばかりでもないだろう。
強烈な便意と定期的に行われる折檻のせいで、沙桐はこの三日間ほとんど眠れていない。
睡眠を妨げられる事は、何よりも心身を疲弊させる。
沙桐の凛としていた瞳は虚ろになって光を失い、大きな隈を作っている事だろう。
頬もこけているに違いない。
髪もほつれて艶やかさなど残っているはずもなかった。

嘉川恵美子はあえてそれらを指摘する事は無く、哀れみ蔑むような視線で歩み寄る。
そして沙桐の傍で屈み込むと、薄笑いを浮かべながら尿道栓に手を触れた。

「おやおや、可愛い玩具だこと」

そう言いながら、嘉川恵美子は栓の尻を掴み、無遠慮に引きずり出す。
その動きに合わせ、薄黄色の液体が奥まりから漏れ出した。

「く、んふぅっ……!」

沙桐から呻きが漏れた。
抜き出された尿道栓を見れば、それも当然の事だとわかる。
栓の太さは人間の小指ほどもあり、また随所に瘤のような凹凸が備わっている。
栓を抜き出した途端に小便が漏れたところからして、隙間なく嵌まり込んでいたのだろう。

「ふぅん、こんな太さを尿道に咥え込んでたのかい。昨日の見張りはそういえば尿道マニアだったからね。
 コレクション全部を試せた上に、すごい声を引き出せたって吹聴してたのは、これの事だった訳だ」

纏わりつくような悪意の囁きに、沙桐は隈の濃い瞳のまま睨み据える。
嘉川恵美子はほくそ笑み、その沙桐の腹部を鷲掴みにした。

「がっ……ぐう、うあ゛っ!!!」

効果は大きく、沙桐は見るからに苦しげな表情で悶え苦む。
三日三晩の排泄我慢で、すでに腹筋は腐り落ちるような痛みに苛まれているからだ。

「随分と苦しそうじゃないか。どうだい、勘弁して下さいって床に頭擦り付けて哀願すれば、考えてやらんでもないよ」

嘉川恵美子は、ふと声色を変えた。
無論偽りだろう。彼女は沙桐がそのように赦しを乞うとは思っていないし、赦すつもりもない。
それを知る沙桐は、閉じそうな瞼を必死にこじ開け、再び敵意の篭もった瞳を相手に向ける。

「だ……誰が、あんた達なんかに…………っ!こんな理不尽で、何でも思い通りにできると思わないで!!」
「ほう、まだ意地を張り通すのかい。天晴れな心意気だけど、身体の忍耐の方はどうかねぇ。
 ……おいお前達、こいつの脚の縄を解いて、尻を向けさせな!」

嘉川恵美子の指示で、周りにいた看守が沙桐の足縄を解く。そして無理矢理に引き立て、柱に頭をつける形で尻を向けさせた。
安産型の尻から続く肛門周りは……沙桐自身にも嫌というほど自覚がある。
汚液に塗れているはずだ。
どれほど密着して嵌り込んでいようと、液体の一部は肛門栓を通り抜け、尻肉を茶色く染め上げる。
立ち上がった事で、その線は伸びやかな美脚をも汚すはずだ。
さらにその脚自体も、限界をとうに超えた排泄我慢の影響で、立っているのがやっとというほどに震えていた。
嘉川恵美子ら一同は、その無様な姿を散々に笑う。

「やれやれ、偉そうな事のたまいながら無様なもんだ。仕方がないからそろそろ出させてやるよ。
 ただし……お前にとって最悪の場所でね」

嘉川恵美子はそう言って沙桐を懲罰房から連れ出した。
そして歩く道すがら、おもむろに肛門栓のパスワードを入力して解除する。
肛門栓はたちまちに萎み、ごどりと音を立てて尻穴から抜け落ちた。
沙桐が脱糞の憂き目に遭う上で、最悪の場所。それは、彼女がかつて収監されていた雑居房のエリアだ。

「あ、くっ……!?最低よ……わざわざ、こんな所で…………!!!」
「おや、感謝の言葉が足りないね。こっちは憐れんで、三日ぶりに出させてやる慈悲をかけてるってのに。
 まぁいい、存分に腸の中身をひり出すがいいさ」

看守達の前でならばまだいい。だが、かつて互いに叱咤激励して理不尽に耐えてきた仲間の前で排泄するなど耐え難い。
沙桐は懸命に括約筋を収縮させる。
しかし、浣腸液の効果で気も狂わんばかりに蠕動を促された、三日分の排泄を理性でなど留められない。
まるで抵抗を嘲笑うかのように、それは勢いよく噴出し始める。

「……くっ、い、や……あああ゛う゛ううぐうぅんんん゛ッッ…………!!!」

沙桐は後ろ手に縛られ、両乳首と陰核に結わえられた糸で強制的に歩かされながら、排便の生き恥を晒すこととなった。
とどまる事を知らず土石流のようにあふれ出す汚物。
それは沙桐自身の美脚を汚しながら、彼女の通った道を汚していく。

「え、いや!臭い、なに!?」

雑居房の女囚から一斉に非難の叫びが起きる。
格子戸から覗く人間には、汚物を零しながら連れ歩かされる沙桐の姿が見えただろう。

「臭いだろう、汚いだろう!恨むなら雨宮沙桐を恨むんだよ、これはこの女のクソの匂いなんだからね!!
 おまえ達の今日の作業は、このクソの掃除だ。この女が逆らったばっかりに嫌な仕事が増えた事実を、ゆめゆめ忘れるんじゃないよ!!」

嘉川恵美子は声高らかにそう宣言して回る。
沙桐は俯いたまま、血の出るほどに唇を噛みしめてその後をついて歩く。
そこにはかつての輝きなど微塵もなく、惨めとしか言いようのない姿だった。

「酷い、酷いよ……沙桐さん!畜生っ、何であんな事……!!」
「くっそぉぉおッ、てめぇら、よくもあたいらの沙桐姐さんをッ!!!」

雑居房からは、口々に同情と怒りの叫びが発せられる。
しかし……その一方で、沙桐へ疫病神でも見るような視線を投げる女囚も、確かに存在するのだった。





「臭っ……もう、ホント最悪!」
「だよねー、こっちは毎日大人しくしてるってのに……こういうとばっちり勘弁して欲しいわ」

沙桐が撒き散らした……否、そう『させられた』汚物の掃除をしながら、不満の囁きが噴出する。
その都度見張りの看守が注意を与えるが、不満はあまりに大きく、怒気を帯びた囁きが止まらない。
そんな中、一人黙々とモップを掛け続ける女がいた。
池内智子。沙桐が身代わりになると申し出た、執拗な汚水責めを受けていた女だ。
智子は、沙桐に並ならぬ恩義を感じている。
今回身代わりになってくれたというだけではない。それ以前から、沙桐だけは智子の味方だった。

智子は要領のいい娘ではない。
気が弱く、周囲に流されるまま犯罪グループに加担しながらも、いざ足がつくと罪の全てを被せられた。
放火、強盗、恐喝、詐欺……それら数知れぬ犯罪が彼女の首謀で行われたのだと。
謂れなき罪で『第六区』に落とされてからも、虐げられる生活は続く。
雑居房に入ったその日のうちに要領の悪さを見抜かれ、裸での浅ましい犬真似を強要された。
それからも延々と苛めを受けた。
秘部舐めを始めとするレズ奉仕をさせられ、歯磨き粉を流しに捨てられ、ストレス解消に腹部を殴られ……。
その地獄から彼女を救ったのが、沙桐だ。

『寄って集って弱いものイジメ? まったく下らないわ』

仲間入りの条件として智子を蹴るよう命じられた沙桐は、きっぱりとその要求を跳ね除けた。
数人が生意気だと力づくで折檻しようとしたが、逆にすべてを返り討ちにして説教を喰らわせたほどだ。
その日をもって雑居房の頭は沙桐に替わり、一切の悪しき慣習が消えた。
智子への虐めもだ。
智子にとって沙桐は、単に頼りになる姉御というだけではなく、暗い人生を照らす太陽のような存在になっていた。
ゆえに彼女は、沙桐の後始末を黙々とこなす。

やがて、ようやく智子達が掃除を終えて雑居房エリアに戻った時、ふと別の房から声が聞こえた。

「うわ、すごっ……本当にお尻に入ってるんだぁ」
「へえぇ。沙桐さんって、意外に可愛いオマンコしてんのね。子作りの為に、旦那と結構やってたらしいけど」

格子窓から覗き込むと、女囚たちはテレビを食い入るように見つめながら語り合っている。
智子は嫌な予感を得ながら、すぐに自室のテレビを点けた。


映像が映し出される。
その特有の生々しさから、正規のテレビ番組ではなく、所内カメラのライブ映像である事が一目で解った。
映されているのは、紛れもなく沙桐本人だ。
懲罰房の床に裸で寝かされ、頭の後ろに手を組んだまま両脚を開いている。
ずいぶんとやつれたようだ。
眼光こそキリリとしてはいるが、目の下には濃い隈ができており、眠る事も赦されず追い込まれている事実を物語っていた。
いいように嬲られたのだろう、乳首には何かで挟み潰された形跡があり、身体中に残る根性焼きの痕も痛々しい。
恥毛も綺麗に剃り上げられていた。
その丸見えになった股座に、女看守の指が入り込んでいる。
指は明らかに秘裂よりも下……排泄の穴を捉えているようだった。

「51番、もっと脚を開け!」

腕組みをして見下ろす看守が、沙桐の囚人番号を呼ぶ。
沙桐は命ぜられるままに両脚の角度を広げた。160度ほどには開いているだろうか。
その脚の間に膝をつく女看守が、指にワセリンを付けながら執拗に尻穴へ指を送り込む。

「尻の穴は、ずいぶんとおぼこいじゃないか。指が食い千切られそうだよ」

女看守が嘲るように囁く。それを明確に拾うところからして、マイクの精度は高いようだ。
沙桐は言葉責めに取り合わず、鋭い視線を横に投げたままでいる。
その気丈さが、しかし素裸のまま尻穴を嬲られる今は、かえって滑稽に映った。

「姿勢を変える。膝立ちになって尻を突き出せ」

しばし指責めを行っていた看守がそう命じる。
沙桐は身を起こし、膝立ちのまま床に手をついて尻を掲げた。
看守は二本指にワセリンを塗りなおし、菊のような輪の中に滑り込ませる。かすかに沙桐の腰が浮いた。

「今日はこのまま、一晩中指で尻の穴を嬲ってやるよ。あたしはこれに慣れてるからね、そりゃもう具合よく解れるさ」

女看守はそう言って笑う。
その言葉通り、指責めは見るからに手馴れたものだった。
右手の二本指でしばし慣らした後は、両手の人差し指を上下に揃えて挿し入れ、自在に内部で蠢かせる。
直腸の浅い部分を押し込み、かなり深い部分を掻くように動かし。
尻穴の奥からリズミカルに漏れるクチュクチュという水音が、また何とも心地よさそうだ。
事実、沙桐も表情こそ解らないが、身体は反応している。
背中の筋が深まり、腰がびくりと浮き。

「……ねぇ、なんか沙桐さんさ、アレ感じてない?」
「まさか、あの人がケツで感じるわけ……」
「でもホラ、なんかスゴイ反応してるじゃん。ああいう縦の腰の動きってさ、嫌がるのとは違うんじゃないの……?」

テレビの前で見守る女囚達から、様々な噂話が漏れ始める。
智子はそれらを耳にしつつ、悲痛な表情で映像を見守った。



巧みな指責めは続く。
女看守の白い手はいま、さらに白い沙桐の尻肉を上から鷲掴みにするように覆い、両の人指し指だけを内部に潜りこませていた。
尻穴を横向きに押し開くようにしつつ、奥からくちくちと音を立てる。

「んっ!!」

やがて、不意に沙桐が息を詰まらせたように呻きながら腰を揺らした。
女看守が鼻で笑う。

「ふふ……だんだんと感じるポイントが増えてきたじゃないか、ええ?」

そう詰りながらさらに指を押し込み、四本指で大きく肛門を押し開く。
カメラは決定的瞬間を逃すまいとばかりに接写した。
四つの指で押し開かれた肛門内の様子が、画面に大きく映し出される。
薄暗い内部では、赤黒い粘膜が鼓動のように蠢き、妙に生々しい粘液にまみれていた。
それは好意的な視線で見る智子にすら、沙桐の尻穴の中に、無数の淫靡な生き物が生まれているように映った。
しばしの絶句が房内を満たす。

「あはははっ、腸液でヌルヌルじゃないか。早くも性器の仲間入りって風情だ。
 だが、まだだよ。もっともっと、尻穴で善くしてやる。どうやったって浅ましい尻の快感を忘れられないぐらいにね!!」

女看守は嬉しげに笑いながら、穴を縮めつつさらなる指責めを続ける。
彼女の宣言どおり、指責めの様子はその日一日に渡って各房内のテレビに流され続けた。





「……どうだい、様子は」

嘉川恵美子は懲罰房に足を踏み入れながら、近くの看守に尋ねた。
外出していたらしく、厚手の外套を傍にいる一人に持たせている。

「はい。51番は、特に優秀な折檻役に任せていますから……順調に“育って”おります」

女看守は、含みのある笑みを湛えたままそう答えた。
それを裏付けるかの如く、懲罰房の中からは、はっ、はっ、と艶かしさのある吐息が漏れ聴こえている。

沙桐は指でされていた時と同じく、頭の後ろで手を組んだまま仰向けに横たわり、両脚を開いていた。
その尻穴の蕾には、かなり太さのあるアナルパールが差し込まれている。
玉の直径は、女の指を四本ほど束ねた太さだ。
床にはその他にも様々な道具がローションに塗れて転がっており、
部屋の隅には多様な色の浣腸液が混ざり合ったまま泡立って、ガラス浣腸器と共にボウルに収められている。
沙桐がかなりの長時間に渡って、様々な尻穴への嬲りを受けていた事は明らかだった。

「さぁ、よくほぐれたわ。それじゃ、今日も元気に卵を産みましょうか」

アナルパールを用いていた女看守が、沙桐に語りかけながら皿に入った卵に手を伸ばす。
殻つきのゆで卵だ。
殻の上にローションを回しかけ、充分に潤滑を増した状態で沙桐のやや開いた菊花に押し付ける。
菊花は苦しそうに蠢きながらも、卵の滑りに抗しきれずに呑みこんでしまう。
一つだけではない。二つ、三つ、そして四つ。
それぞれに夥しいローションが付いた状態であり、沙桐の菊輪越しにでもローションの艶光りが見て取れるほどだった。

「ほら、お腹一杯でしょう。今日もちょっとだけ我慢したら、すぐ出させてあげるからね」

女看守は沙桐の下腹部を撫でながら囁きかけた。その指先は尻肉を回り、肛門を柔らかくほじくる。

「……う、あっ……うう」

沙桐は苦しみのためか、目を固く瞑ったまま下を向いていた。
その沙桐の黒髪を女看守が掴み上げ、強引に顎を上げさせる。
沙桐の恨めしげな瞳が女看守の方を向いた。
しかしすぐにその視線は、強い排泄欲に戸惑うものへと変わる。
小さく呻き、腰を揺らし、身を捩り、そして尻穴から破裂音が響いた。
ぶび、ぶびびっと音が鳴り、尻穴を押し広げて卵が転がり出る。

「ははは、いい音ね。極太のうんちしてるような気分でしょう、感じるわよね?
 今朝も特製のブレンド浣腸ひり出す時に、ソソる顔してたものねぇ。
 いい加減認めな。お前はもう、排泄で感じる身体になってるって事をさ」

女看守はそう言いながら満ち足りたように笑う。
周囲を囲む他の看守達も同じくだ。
その嘲笑の中で、沙桐はひり出した卵と尻穴の間に糸を引かせながら歯噛みする。
しかし、いつまでも休んでいる事は許されない。
次だ、と看守の一人が命じると、沙桐は調教された犬のように平伏し、尻を高く掲げる。
看守達はその掲げられた沙桐の肛門へ、アルミニウム製のじょうごを近づける。
じょうごの口は広く、差込口ですら下手なディルドウよりも太さがあった。
女看守達は慣れた様子で、その広口の筒を沙桐の肛門へと押し込んでいく。

「さぁ、奥まで入ったよ。自分で支えてな」

看守が沙桐を見下ろして命じた。沙桐はその言葉に従い、じょうごの注ぎ口の縁を指で押さえる。
沙桐の腸内が露わになった。
じょうごによっておし拡げられ、腸壁のぬめりや蠢きまで見て取れた。
看守達はその肛門の様子を面白そうに覗き込みながら、ガラス瓶を傾けて透明な液体をじょうごへ注ぐ。
腸奥が少しずつ水で満たされ、やがてはじょうごの底にまで水が上がってくる。
そこでガラス瓶の傾きが戻され、別の女看守に場所を譲った。
新たな女看守の手には、玉蒟蒻を山のように積んだガラスボウルがある。

「さて51番。昨日はこの中に白滝をぶっこんでやったけど、今日は玉蒟蒻だ。たんと喰いな」

陰険な笑みを浮かべながら、女看守は玉蒟蒻の一つをつまみ上げる。
そして開かれた腸の中に放り込んだ。また一つ、また一つ。
ガラスボウルに山積みされていたほどの量だ。
やがてはその玉蒟蒻も、腸に収まりきらずにじょうごの底でひしめき合う事となる。
女看守達はその様にいよいよ嘲笑いを深めながら、長い木の棒をじょうごの上から垂らしていく。

「ほぅら。尻穴に関しちゃ、すっかり旦那以上の馴染みになった木のペニスだよ。
 今日もこれで、奥の奥まで突きこんでやる。またいやらしーい腰振りを見せとくれよ!」

看守二人の手で木の棒の幹が握られ、別の一人が棒の末端を上から手の平で押し込む。
そうした一切容赦のない力でもって、棒は玉蒟蒻のひしめき合う腸内へと送り込まれた。

「あ、ふんっぐううぅっ!!!」

沙桐にしては珍しい。腸内に棒が叩き込まれた瞬間、彼女は明確な悲鳴を上げた。
木の棒が幾度も大きなストロークで叩き込まれるにつれ、沙桐の反応も大きくなる。
尻肉が引き締まり、伸びやかな美脚に筋が張り、腰がゆれ、じょうごの端を押さえる手が震え。

「ああ、あああうっ!!あう、ぐぅおっ……あ、あああううううおおお゛う゛う゛っっ!!!!」
「はははっ、今日のもすごい声。大股開きでケツ弄っても、基本澄ましてるヤツだから、この瞬間が楽しいわ」
「だねぇ。今日も小便漏らすか、賭けよっか」
「いやぁ、賭けにならないだろ。最後にはほとんど毎回漏らしてるからな。
 すっかり尿道がバカになってんだ、コイツ。それに関してだけは早い内からやり過ぎだな」

女看守は沙桐の反応を存分に楽しみながら、至福の語らいの時を過ごしていた。
やがて沙桐の腰が痙攣をはじめ、悩ましげに左右に蠢くと、その語らいにもより熱が篭もる。

「ははは見なよ、ダンスが始まったよ。完全に男を誘う動きだよこれ」

そう皆で嘲笑った。
じょうごを挿してから最初に注いだ液体は、濃度の濃いグリセリンに酢を混ぜたものだ。
それを注がれた上で玉蒟蒻を詰め込まれ、攪拌されたのでは沙桐とて堪らない。

「あッ、あああっ!!!っか、あああああぐぐふぅうううっっ!!!!」

沙桐は眉根を寄せながら呻き、一際大きく腰を震え上がらせた。
そしてその震えに呼応するかのごとく、じょうごの中で動きが起こる。
詰められた玉蒟蒻が渦を巻くように蠢き、やがてそのいくつかが勢い良く外へと飛び出した。
便意の極地といった排泄だ。
そのあられもない姿を、看守達は散々に笑う。

「おやおや、愉しそうだねぇ」

嘉川恵美子も遠巻きにその様子を眺めながら、目元を緩めた。
尻穴調教は着実に進み、沙桐の心を蝕んでいる。
そしてこの惨め極まりない沙桐の現状が、ライブ映像を通じて雑居房にいる女囚のすべてに知れ渡っている事だろう。
果たしてどれだけの女囚が、未だ彼女を『哀れ』などと思っている事か。
沙桐という太陽のような女のカリスマは、風雨に晒されたが如く腐食しているのではないか。
そう考えれば、嘉川恵美子の笑いが止まらない。

充分に楽しんだ。殴られた顔の傷も、数度の通院を経てもはや痛まなくなった。
そろそろ、仕上げるか。彼女はそう考えていた。



「……おやおや、すっかり一丁前の性器って風格だねぇ」

嘉川恵美子は、沙桐の菊花を覗き込みながら呟いた。
看守達によって尻肉を割られ、そこはすべてが露わになっている。
尻穴が二本指ほどの大きさに口を開けている様も。
かつて皺に過ぎなかった括約筋の一つ一つが活性化し、瘤のように盛り上がっている様も。
それを前にし、嘉川恵美子が指を鳴らす。
すると矯正副長が銀のトレイを携えて現れた。
トレイは静かに床へ置かれる。中には数本の、ごく細い注射器。
沙桐が目を剥いた。
信じがたいといった表情でトレイを見つめ、そしてその視線に怒気を含ませて嘉川恵美子にぶつける。

「……仮初めにも警察の人間が、クスリに手を出すなんて。どこまで腐ってるの」

怒りに震える声での非難にも、嘉川恵美子は涼しい顔だ。

「それでも警察官は警察官なんだよ、雨宮沙桐。そしてお前はヤクザの情婦だ。
 お前をいくらシャブ漬けに落としたところで、元から中毒だったと報じれば誰も疑いやしないさ」

嘉川恵美子の指が、注射器の一つを拾い上げる。
沙桐は抵抗を示したが、それを看守達が押さえつけた。
無理矢理に足を開かせ、肛門を曝け出させる。

「ッ地獄に堕ちろ!!」

注射器の針が括約筋の盛り上がった一つに宛がわれた瞬間、沙桐は叫んだ。
嘉川恵美子は押し込む指の形を完成させて笑う。

「地獄か、そうだねぇ。そのうちに面白い土産話でもしてやるけど、まずはお前さ。
 地獄ならぬ『天国』に至った人間の反応を、あたしらに教えとくれよ」

指が動く。注射器の針が刺さり、中の液体が注入される。
一つの膨らみから引き抜かれれば、別の一本がその隣の膨らみへ。
開発された括約筋のそれぞれの山に対して、薬液が打ち込まれていく。
沙桐は叫んだ。喚いた。しかしどれだけ抗っても、投薬を防ぐ事は叶わなかった。





「うわ……ねぇあれ、絶対普通じゃないよね…………?」
「ああ、多分クスリを打たれたんだ。後は壊れるだけだよ、あの人も」

雨宮沙桐はその日、所内各所のテレビを通じて晒し者になっていた。
特設の磔台に両手首と腿で吊り下げられ、カメラへ向けて大股を開く格好だ。
看守の一人が、淡々とその尻穴を刺激している。
指で浅い部分をくじり回し、引き抜いて、尻穴が物欲しげにひくつく様を周囲に見せ付ける。
ただその繰り返しだ。
しかしそれを受ける沙桐の様子が、普通ではなかった。

あの鋭かった視線は酔ったようにとろりと蕩け、時おり正気を取り戻すものの、焦点は合っていない。
唇は閉じ方を忘れたかのように開いたまま、尋常ではない量の涎に塗れている。
全身を流れる汗の量も異常だ。
特徴的だった右肩の刺青もくすみ、凡庸な印象のものとなっている。
そして何より目を惹くのは、恥じらいの花弁から間断なく滴る愛蜜だった。
尻穴を指で浅く刺激される。たったそれだけであるにも関わらず、異常な濡れ方。
薬物の影響は誰の目にも明らかだ。

「そんな、酷い……薬なんて、もう、元に戻れないじゃない!
 …………いくら沙桐さんが憎いからって、何でここまで…………!!」

池内智子が悲痛な叫びを上げた。その叫びに同調する女囚も数人はいた。
しかしその他大多数は、醒めている。
連日、連日、沙桐が尻穴を調教される様を目にしてきた。
テレビさえ点ければ、いつでもと言っていいほどにその調教記録が流れていた。

様々な形や大きさの道具が肛門に出し入れされるさま。
色とりどりの浣腸液を注がれ、日に幾度となく排便を晒すさま。
逆にトイレに行くことさえ許されぬまま日がな一日道具を用いられ、
肛門から責め具が抜かれる度に汚物がついてくるさま。
ウズラの卵やプチトマト、マヨネーズやソースといった食物をねじ込まれ、看守達の好きに遊ばれるさま。
それらの様子を、女囚達はすべて目にしている。
その上でなお信仰を持ち続けるほど、第六区の女囚たちは甘い人間ばかりではない。

「あっ、あ、ああっ……あああ、あっ……うあっ……あ、っう…………」

拘束されたまま浅く尻穴を嬲られ、沙桐は涎を垂らしながら声を漏らす。
目は虚ろで、艶やかだった黒髪はほつれ、肌にも張りがない。
その惨めな有様は、かつての彼女とはかけ離れたものだ。
そうした事実がより一層、女囚達を醒めさせる。

あられもない沙桐の姿が、どれだけ映された頃だろう。
映像の中に、嘉川恵美子が姿を現す。

「ごきげんよう、皆々様。この余興は楽しめたかい」

嘉川恵美子は、拘束された沙桐を指し示しながら告げた。
そして見守る人間がその惨めさを再認識するだけの間を置いて、続ける。

「言わずもがな、これがあの雨宮沙桐……お前達のかつてのボスだ。
 ところがこの通り、ちょいとイジメすぎて壊れちまってね。
 このまま肉便器としてどこぞのルートに流しても構わないんだが、ふと思いついた。
 お前達も、この女に思うところがあったんじゃないかとね」

嘉川恵美子はそこで沙桐に歩み寄り、細い顎を掴み上げる。
沙桐は視線を揺らしたまま小さく呻いた。

「そこでだ。最後の判断は、お前達囚人に委ねよう。
 雨宮沙桐は有罪か、それとも無罪か。
 有罪を選べば、この女はお前達にくれてやるよ。鬱憤が晴れるまで、好きに嬲ればいい。
 無罪を選べば、この場で開放。雨宮沙桐は監獄のボスに返り咲きだ。
 今から各部屋に紙を配るからね、○か×かで答えを示しな!」

嘉川恵美子のその言葉と同時に、看守が各部屋の扉を開ける。
そして藁半紙を切った粗末な投票用紙を配り始めた。
その紙を受け取った瞬間、智子は唇を噛みしめる。

「お、お願いしますっ!!」

智子は叫んだ。同じ部屋内のみならず、フロア中に届くほどの大声で。

「お願いします!!みんな、沙桐さんを助けてください!!!
 沙桐さんは、私を救ってくれた、大切な、大切な恩人なんです!」
「おいっ、票操作に繋がる発言は禁止だ!!」
「皆だって、一度くらい沙桐さんに助けて貰った事があるはずです!!
 沙桐さんはそういう人です、だからっ!!!」
「貴様、いい加減にしろ!!!」

看守に遮られながらも、智子は声を張り上げる。
最後には口を塞がれ、警棒で頭を殴りつけられて雑居房の外へと引きずり出された。
看守達に罵られながら懲罰房に押し込まれる最中にも、智子は沙桐の無事を祈る。
しかし、世は無慈悲だ。慈悲のない世の中だ。

『 ○ 21票、× 486票! よってここに、雨宮沙桐の有罪を認める!!! 』

女看守が高らかに読み上げる声が聴こえた時、智子はその場に泣き崩れた。





「ほぅらどうだい、沙桐さんよ。玩具でのアナルセックスがそんなに善いのかい」

女囚の蔑んだような声が聴こえる。
鉄格子の中では、一人だけ真裸の沙桐が、石の床に這いつくばって手足を押さえられていた。
そしてその肛門には、極太のディルドウが抜き差しされている。

「おお、おおおお゛っ!!!んおぉおおおお゛お゛っっ!!!!!」

沙桐は色白の裸体を震わせながら呻いた。
俯いている上に、汗に濡れた黒髪と床についた腕に隠れ、表情は伺えない。
しかし突き込みにあわせて前後に揺れる乳房の先は、痛々しいばかりに尖っていた。

「はははっ、すげぇヨガり声だ。やっぱヤクを追加した直後は反応がいいねー」

女囚の一人が、床に転がる空の注射器を蹴り飛ばしながら笑う。

「声もだけど、身体もね。おーらおら、グチュグチュに濡れちゃってるぅ~」

別の一人は、這う姿勢を取る沙桐の股下に手を滑り込ませ、指を蠢かせる。
はっきりと聴き取れるほどの水音と共に、よく開いた花弁から透明な飛沫が噴き上がる。

「ほーら、奇麗なお顔も見せてくださいよお」

さらに別の一人が、沙桐の髪の毛を掴んで無理矢理に顔を上げさせた。
瞳孔が開ききり、目の下に厚い隈を作り、ゼェゼェと荒い息を吐き。
完全に薬物中毒となった沙桐の顔。

「あははっ、可愛い可愛い。ねぇ沙桐さん、お尻の穴がヒクヒクしてますよ、もう一本欲しいの?」
「いやぁ、まだまだイケるっしょ。借りたやつ全部ぶちこんじまえば?」

女囚達は楽しげに語らいながら、すでに太いディルドウを咥え込んでいる肛門に二本目をねじ込んでいく。

「うああああああーーーーっ!!!!」

絶叫としか呼び様のない、それでもどこかに甘さを感じさせる声が響き渡る。
智子が懲罰房から出され、雑居房生活に戻ってからも、その地獄が続いている。
智子は目を瞑った。
耳を塞いだ。
この腐った世界から、一秒でも早く身を切り離したいと、ただそれだけを願って。



                              終

アイスピックの震え

※ いつになくスカトロ注意!『強制食糞』があります!


「待ちかねたぜ、美人刑事さん。ようこそ俺達の巣へ」

閑散としたバーの中、人相の悪い男が入り口へ視線を向ける。
場には他に似た印象の男達が数名おり、口元に薄笑いを浮かべていた。
彼らの視線を集めるのは、ひどく鋭い印象を与える女だ。
嘉川冴月(かがわさつき)。
濃紺のトレンチコートを羽織り、薄手のセーターとジーンズを覗かせている。
やや固い格好ながら、極上の女であることは一目で見て取れた。

櫛の通りの良さそうな、肩甲骨までの黒髪。
変化の解りやすい、柳のように細い眉。
意思と責任感の強そうな瞳。
控えめな鼻梁に、物事を細かく追求しそうな薄い唇。
同僚からさえ『アイスピック』と揶揄される、その潔癖で緩みのない雰囲気は、誰が見ても警察の女だと気付くだろう。

「まずは、捜査協力に感謝するわ」

冴月は後ろ手にドアを閉めて歩を進め、脱いだトレンチコートをカウンターの椅子に置いた。
薄手のセーター越しに、豊かな乳房が露わになる。
腰のくびれ具合も、そこから下に広がる安産型のヒップも、思わず男の生唾を誘うものだ。

「…………約束通り、見返りに何でもする。今夜一晩、好きにしなさい」

屈辱的な瞳で告げる冴月。
本来、身体で情報を得る類の女ではないが、状況はそれほどに逼迫していた。
タイムリミットはあと二日。
それまでに、現時点で何の手がかりもない犯人像を特定できなければ、首都圏で途方もない数の人命が犠牲になる。
その中で特捜部として事件を追っていた冴月が、有力な情報源としてついに探り当てたのが、バーにいる男達だ。
圧倒的優位に立つ相手に、まともな交渉は成立しない。

『……どうしてもってんなら、アンタ一人で俺達の元へ来な。そして一晩、“何でも”俺達の言うことを聞くんだ。
 特捜の嘉川冴月がそれを呑むってんなら、特例の特例として、ネタを提供してやってもいい』

そのような条件にも、冴月は断るという選択肢を持ち得なかった。
警察と裏社会の情報を網羅しているような相手だ。下手に策を弄せば、すぐに悟られる。
『アイスピック』の冴月とて、嫌悪感を押し殺して要求を呑むしかない。

「……へへ、そうかい。こんな極上の女に、そうまで言われちゃあ悪い気はしねぇな」
「うひひひ、見れば見るほどに、イイ女だなァ。評判の美人刑事のカラダ、たっぷりと堪能させてもらうぜ」

男達は下卑た笑みを浮かべたまま、冴月の身体を取り囲む。
顎を掴まれて口づけを強いられ、背後から乳房を揉まれながら、気高い女刑事は静かに拳を握り締めていた。





床には男女の衣類が散乱していた。
冴月が来店時に着用していたものも混じっている。全てが脱がされているようだ。
薄暗いフロアとは対照的に、スタッフルームには灯りがともっており、奥からギシギシと木の軋む音がする。

中では、冴月が男の一人に抱かれていた。ベッドの上で太腿を掴まれ、正常位で貫かれている。
シーツへついた右肘を支点に、半身を起こす格好の冴月。
その唇にブランデー入りのグラスが近づけられた。やや強引に押し当てられる。
冴月は、その頬の紅潮からするとすでにかなりの量を飲まされているようではあったが、グラスが傾く動きに逆らわない。
グッ、グッと喉を鳴らして飲み干していく。
空になったグラスが離されると、鼻から深く息を吐いた。唇が僅かに震え、瞳がとろりと潤んでいる。

「酒は最高の媚薬ってなぁ、本当だな。この女、かなり感じてきてるようだぜ。
 膣ヒダは膨らんで締め付けやがるし、子宮口もすっかり固くなってよ。顔は澄ましてやがるがな」

冴月を抱く男が笑った。
冴月は酔いの回った状態で抱かれながらも、視線を虚空に泳がせ、無表情を保っている。喘ぎ声すら漏らさない。
男達は各々に酒を呷りながら、そうした女刑事の意地を面白がっている。
男は冴月の左脚を持ち上げて側位に移り、そこからさらに脚を下ろさせて後背位になった。
ゆったりと腰を使いながら、男の親指はふいに冴月の尻肉を割る。
指先が捉えるのは、その合間にある菊のような蕾だ。

「くっ……!」

冴月が、初めて小さく声を漏らした。
親指が前後に揺れながら浅い侵入を果たすと、屈辱に耐えかねたように振り向いて男を睨む。
男は優越感を感じさせる笑みを見せた。

「もう一つの条件の方も、守ってきてるんだろうな」
「……当然よ。今日から遡って一週間、排便をしていないわ。食事もしっかりと和食を摂った。文句ないでしょう」

冴月が答えると、性交を横で見守っていた男が彼女の腹部を撫でる。

「なるほど、確かに張ってやがるな。良いだろう」

そう言いながら、銀のトレイに入ったある物を冴月の視界に入れた。
ピンク色をしたイチジク型の容器。イチジク浣腸と呼ばれるものだ。それが10個入っている。
それを見た瞬間、冴月は表情を強張らせた。

「クソを溜めとけと言われた時点で、予想はついただろう?
 こいつを自分の手で注入して、腹の中のモンをひり出してもらうぜ」

男が容器の一つを取り上げ、冴月の顔の前に翳す。
冴月は額に一筋の汗を流し、形のいい唇を噛みながら、渦巻く悪意に晒されていた。



「へぇ、頑張るじゃねぇか。特捜の美人刑事さんよ」

壁に寄りかかって立つ冴月を肴にし、男達は美味そうにグラスを傾ける。
冴月は真裸のまま、壁に手を突いていた。
その足元には、すでに注入の役目を終えた浣腸の容器が転がっている。
一週間便を溜め込んだ上で、10個のイチジク浣腸。
それは冴月の腹部に狂おしいほどの便意を催させ、尋常でない腹鳴りを引き起こす。
しかし、冴月は耐え忍んでいた。

「はっ、はぁっ、くっ……あ、うっく、あ゛……っく…………!!」

荒い呼吸を繰り返し、苦しさに喘ぎながら。
美脚はひどく痙攣しており、肩幅に開いた状態から、ともすれば内股に崩れそうになる。
括約筋にも明らかな決壊の兆しが見えており、蕾から溢れた茶色の筋が、白い内股を汚している。
それでも冴月は、必死に噴出を堪えていた。
男達は二台のハンディカメラでその様子を撮影していた。
流通させる気はなく、あくまで仲間内で愉しむ為だと言うが、本当の所など解ったものではない。

どれほどの時間、冴月は耐え忍んだことだろう。
やがて冴月は、誰の目にも明らかなほどの限界を見せ始めた。
上半身が壁に貼りつくようになり、膝が落ちるのをかろうじて押し留める。
口から漏れる声はもはや意味を成しておらず、弱弱しい音でしかない。

「そろそろか……おい、受け止めてやれ」

カメラを回す一人が命じ、冴月の近くにいた男が巨大なガラスボウルを美脚の間に差し出した。
それを視界の端に捉えた瞬間、とうとう瓦解が始まる。
茶色い汚物が堰を切ったようにあふれ出し、ガラスボウルの丸い底を滑って跳ね上がる。
その液黙りの中へさらに本流が続き、飛沫を上げる。
液の噴き出しが止まれば、次に肛門を押し拡げるのは固形物だ。
浣腸液に溶かされて半ば液状となった黄色い便が、まずはあふれ出す。
続いて、なお固さを残したままの茶色い便、そして塊になったままの浅黒い便。

「おお、すげぇすげぇ!!どんどん出てきやがるぜ!!」
「ひひ、しかもえれぇ匂いだ!評判の美人刑事でも、一週間も溜め込めばこうなるんだな」
「すらっとした脚が、震えながらクソをひりだしてやがる。こいつぁ抜けるぜぇ」

様々に罵詈雑言が交わされる中、冴月は羞恥に耐えながら排便に意識を集中する。
恥を晒すのは一時でも短くしたかった。
やがて排出が一通り終わった後、男が冴月の肩を押し込んで身を沈めさせる。

「ちゃんと全部出し切ってるのか?一週間分のクソってなぁ、浣腸した所でそう一気に出せるもんじゃねぇぞ」

そう諭すように言い聞かせながら、がに股の格好で腰を落とす冴月の尻穴へ指を入れた。
今度は以前のように浅くではなく、第二関節のさらに先まで、深く潜り込ませる。

「お、お゛っ!!」

冴月の声が漏れ、それに続いて尻肉の合間からぐちゅぐちゅと水音が漏れ始めた。
ほら、まだ出るじゃねぇか。
男が小さく囁いた直後、ガラスボウルに水の跳ねる音がする。
そこから二度ほど途切れがちに水の流れる音がし、さらにまた固形物が水へ落ちる音。

「どんどん出てきてるようだな。はしたねぇこった」
「へへへ、特捜の美人刑事がガニ股でクソ掻きだされる姿なんざ、人生で二度見られるもんじゃねぇ。
 オイ、カメラしっかり回しとけよ!」

冴月は、しばし恥を忍び続けた。
屈辱は相当なものだったが、排便まで晒したのだ。これ以上は無いだろうと思っていた。
ようやくに汚物のこびりついた指を抜かれた後、冴月は床に腰を下ろして息を吐く。

「…………さぁ、言う事は聞いたわよ。後はそっちの番、情報を頂戴」

仕事用の鋭い瞳に戻って告げる冴月。
しかし、男達はそんな彼女を見下ろしながら口元を緩めていた。

「オイオイ、何を言ってやがる。夜はまだ長ぇんだ、本番はこれからだぜ?」

男達はそう言いながら、汚物の入ったガラスボウルを冴月の鼻先に突きつけた。
冴月は立ち上る臭気に美貌を歪める。
こいつを、喰ってもらう。
間近で囁かれた言葉に、冴月は一瞬表情を凍りつかせ、耳を疑うように男達の顔を見つめた。

「聴こえなかったのか? 喰うんだよ、一粒も残さずに。
 潔癖で知られる特捜の美人刑事が、自分のひり出したクソを喰わされる所が見てぇんだ。
 嫌なら別に、このまま帰ってもらってもいいんだぜ。アンタさえ良けりゃあな。
 ただ、警察の人間がわざわざ俺達に協力を請うんだ、事態はかなり差し迫ってると見えるが。
 お前の覚悟の弱さのせいで、一体何人が死ぬのかな」

男達は巧妙だった。痛いところを突き、冴月の逃げ道を塞いだ。
冴月は、彼女にしては珍しく狼狽を露わにする。
瞳孔が開き、視線が定まらないその様は、何とも嗜虐心を煽るものだ。

しかし、数秒の後。彼女は決意を固めた。

「…………わ、わかったわ…………」

正義感に燃える瞳で男達を睨み上げ、強い口調で自己犠牲の道を選び取る。
男達は、その気丈さに手を打って喜んだ。





男は、座ったままの冴月の首を左手で抱え込み、右手を別の男が支えるガラスボウルに浸す。
そして中身を手でかき混ぜ、一掬いして冴月の顔に近づけた。

「抵抗すんなよ」

そう釘を刺してから、汚物の付着した手で冴月の口を塞ぐようにする。
冴月は目を閉じたまま、されるがままになっている。
口を開けろ、と男がドスの利いた声を上げた。
冴月は薄っすらと目を開き、続いて閉じていた唇を開く。
男は間髪入れず、その口の中に糞便を塗り込んだ。

「む゛っ!!」

噎せるような声が漏れる。しかしそれを意に介さず、男は汚物を擦り付ける。
一旦手の平が離されると、冴月の冷ややかな美貌は、その唇から下が無残に茶色く汚れていた。

「はははは、美人刑事さんのキレーな顔が台無しだ!!」
「相変わらず澄ました顔しやがって。オイ構うこたねぇ、ドンドン喰わせてやれ!」

男達の野次が飛ぶ。
冴月を抱える男は、言われるまでもないとばかりに次の汚物を手に取った。
今度は、小さな塊ともいえる便だ。
それを開かせた冴月の口の中へ押し込む。
ピンクの舌の上に、茶色い塊を乗せたままの顔。
しかし冴月は、薄く開いた視線を横に投げ、健気に涼やかな表情を保っている。

男はそれに嗜虐心を煽られたのか、次々と汚物を手にとって冴月の口内に押し込んでいく。
泥のような半固形物と、その溶け出した汚水、碁石ほどの大きさの汚物塊。
それを口一杯になるまで押し込んでから、男は冴月の顎を掴んで咀嚼を強制する。

「よぉーく味わえよ、自分の腹にあったクソなんだからな」

嬉しそうに言いながら、咀嚼させる。その最中、ついに冴月が一線を超えたのか低く呻く。

「うむ゛ぐ゛っ!!!」

目を見開いて吐き出そうとするが、男の手が唇をしっかりと押さえつけてそれを阻む。
逃げ場所を失った汚物が口内へ戻り、冴月の呻きを一層哀れなものに変える。
男達は、それを可笑しそうに見下ろしていた。


「おら、我慢して呑み込め。お前のひり出した一週間分のクソは、まだまだ、まだまだあるんだ。
 全部喰わねぇと、いつまでも終わんねぇぞ?」

男はそう言いながら、眉を顰めて悶え苦しむ冴月を追い込んでいく。
それでも冴月は大したものだった。

「お、おえ゛っ!!おおえ゛っ、ご、ぐぉっ……!!!……あ、はっ、はあっ……ろ゛あ、あ゛っっ!!!!」

糞便を口に押し込まれ、生理的嫌悪から苦しみつつも、その腕はだらりと床に垂れたままだ。
本当に抵抗するならば、糞塊を押し付ける男の手を払いのける事もできるだろうに、それをしなかった。
あくまでもされるがままになっている。その心意気は、並ではない。

「最近はアダルトビデオでも食糞ってヤツをよく見かけるようになったがよ、ありゃあ殆どが紛いモンだ。
 こうして正真正銘ひり出したクソを喰うとなりゃ、到底ヘラヘラ笑ってなんぞいられねぇ。
 横にいる俺まで、気を緩めると吐いちまうほどだからな。
 お前ら、気合入れて撮っとけよ。モノホンの美人刑事が、ハードなスカトロで悶絶してる様をなぁ!!」

男の言葉を受け、二台のカメラは一つは上空から、もう一つは前方から、食糞の様子を余すところなく撮り続ける。

「う゛っ!!」

ある時冴月は目を見開き、身体を大きく前傾させて息を詰まらせた。

「オイオイ、今にも吐きそうだなぁ。つらいんならギブアップして帰るか、刑事さんよ?」
「……っ…………い、いいえ。続けるわ」

男が試すように問うと、冴月は無理矢理にこみ上げるものを飲み下して続行の意思を示す。
男達はその気高さに気を良くしながら、汚物をボウルの中で捏ね回した。

「へーぇ、『続けるわ』ねぇ。ご立派だけど、なんか偉そうな言い方じゃねぇか?
 こっちはテメェのひり出したクソを掴んで、喰わせてやってる身だぜ。せめておねだりしろよ。
 おら、何ていえば良いんだエリート刑事さんよ?」
「ぐ……っ!!…………お、お願いします……。わ、私の出した、べ、便を…………食べさせて下さい」
「だから気取るなって。便じゃなくて、ウンチって言え」
「う……うんちを、食べさせて……くだ、っさ……い…………」
「ふん、どうした、そんな人生の終わりみてぇな深刻そうな顔してよ。まぁいいや、喰えやおら」

男は満面の笑みを浮かべながら、大量の汚物を掬い上げて再び冴月の口へと押し込み始める。
冴月は決死の表情で大口を開き、それを受け止めた。
男達に容赦はない。
再度小さな嘔吐の予兆が起きても、両の手の平で完全に口を包み込むようにして無理矢理に飲み込ませてしまう。
冴月は脂汗にまみれながらそれに大人しく従うが、そこにはやはり無理があり、生足がびぐん、びぐんと苦しげに痙攣した。
床に垂れていた手が持ち上がり、つい男達の腕を掴もうとする寸前で、震えながら床へ戻される事もある。
それらのいじましい葛藤は、彼女を囲む男達にとって最高の肴となった。

男達の手で無理矢理に押し込まれる糞便は、幾度も冴月の薄い唇からあふれ、彼女の美しい顎や鼻筋、首に至るまでを少しずつ茶に染め上げていく。
それはまるで、彼女の体内が汚されていく様を象徴するかのようだった。

「しっかし量の多いクソだな、ボウルの三分の一ぐれぇ埋まってるじゃねぇか。本当に全部喰えんのかよ」
「バーカ、喰えるかどうかじゃなく、喰わせるんだよ。ああして無理矢理突っ込んでよ。
 はははは、またすんげぇ声が出てるな、低すぎだろ。…………っと、あーあーあバカだね、吐きやがった」

男達の見守る前で、何十度目かの咀嚼を繰り返していた冴月が、堪らずといった様子で嘔吐する。
素早くガラスボウルが差し出され、口内からあふれる夥しい量の汚物と、白い吐瀉物の流れを受け止めた。

「せっかく半分ばかり喰えてたってのに、全部戻しちまうとはお前も好きモンだな、しかも、量が増えちまった」

男はそう言いながら、再度汚物を手の平一杯に掬い上げて冴月の口内へ押し込む。

「ガッ、ああ、あ゛っ……!!!ふんむ゛ぅうう゛う゛うあ゛っっ!!!!!」

苦悶の極みといった表情で呻く冴月。
その左の目尻から一筋の雫が流れていくのを、カメラが小憎らしいほど的確に捉えていた。






「…………ふぅ、ようやく全部喰いきったか。何時間かかったんだ?」
「さぁ、いつ始めたのかも見てなかったからな。だが最後の方はすっかりグタっちまってたな」
「そりゃ、男に押さえつけられてあんな量のクソ喰わされたんだ。元がどんだけ気の強い女だろうが、従順にもならぁ」
「一時間ばかし前の狂乱振りは、中々に凄かったからなぁ。鬼気迫るっつうか、女の力じゃなかったぜ。
 刑事を組み伏せるにゃ並の覚悟じゃ無理だって、思い知らされたぜ。ッ、まーだ痛みやがる」

男達は、首を抱えられたまま気を失ったような冴月を見ながら語る。
彼女は、その顔はおろか上半身至る所が、糞便と吐瀉物の混合物に塗れていた。
口内には歯茎にまで隙間無く汚物が詰められ、口を開いているにもかかわらず歯が見えないほどだ。
瞳はうすく開いてこそいるが、何かを見ている様子はない。
彼女はまるで壊れた人形のように、男にもたれ掛かっているだけの状態にあった。

「さて、まだ朝までは時間があるな。ビデオも残ってる事だ、次はこいつのアナルでも犯してやるか。
 残ってる下痢便を掻きだしながらのアナルファックだ。
 こいつはスタイルがいいから、クソ塗れでも映像的に映えるぜ」
「ほう、そいつはいい。たっぷりと喰わせた糞が、身体ン中通ってケツから出てくるかもな!」

力なく倒れ付す冴月の遥か情報で、男達は楽しげに悪意の相談を交わす。
冴月は滲む視界でかろうじてその姿を捉えながらも、赦せない、という気持ちにならない自分に気付いていた。
恐ろしい。身体が動くならば這いずってでも逃げ出したい。そうとしか思えなくなっている。
そのような弱った心で、これからの責めに耐え切れるのか。

朝はまだ遠い。
冴月は、『アイスピック』とも喩えられた鋭利な女刑事は、身体が小さく震えだすのをどうしても止められずにいた。


         
                          END

隷属のシエナ

※殴り書き。スカトロ、拷問成分注意


「……やれやれ、やっと大人しくなりおったか。この暴れ馬め」

甲冑に身を包んだ男が、顎の汗を拭いながら呟いた。
その見下ろす先には、膝をついた一人の女性が苦しげに眉を顰めている。
シエナという名を持つ彼女は、全国を旅する経験豊かな女冒険者だ。
かつては傭兵として武勲を挙げた事もあり、浮浪の身として軽視されがちな冒険者の中でも、
特別にアニキリア王国国王への謁見さえ赦されている女傑だった。

彼女は数年前、このゴヴィシの街へも訪れた経験がある。
しかしそれは、まだこの一帯が長閑で平和な炭鉱の街だった頃の話。
隣国に征服され、男は死ぬまで鉱山送りに、女は残らず奴隷にされる属国と化す前の話だ。
シエナが街に入った瞬間、軽鎧と剣を帯びたその姿を占領軍兵士が見咎めた。
元より直情径行、人が人を隷属させる事を良しとしないシエナと兵士達は、当然の如くに刃を交えた。

所変われば国の英雄とすら称される女だ、そう易々と止められたものではない。
竜巻のように鋭く腰を切って振りぬかれる大剣は、鉄兜を根菜の如くに容易く裁断し、兵の腰を砕けさせる。
二人の兵が諸手でもって腰を抱え込んだが、それでも踏み込む勢いを殺しきれない。
炎の走る銅のような赤髪を靡かせて、シエナは暴れ狂った。
叩き割られた盾や兜が街道に転がり、耳を突くような剣戟の音が明けの空に響き渡った。
シエナに隙を作ったのは、けして兵士達の武の力ではなく、多勢に無勢という状況からくる疲労に他ならない。
全身に無数の切り傷を作って奮戦するシエナは、迫る刃を弾き返した姿勢そのままに崩れ落ちる。
弓兵の放った毒の矢が、その脇腹を掠めていたのは事実だ。
しかし居並ぶ兵士達の眼には、その姿が極限の疲労からようやくにして力尽きたようしか映らなかった。

「……くそっ……毒……か…………!!!」

立てた剣を支えに片膝を突き、忌々しげにシエナが呻く。
兵達はしばしその姿を恐ろしげに観察していたが、時が経ち、シエナがもう立つことも叶わぬ状況にあると知るや、
俄然その加虐心を剥き出しにして取り囲んだ。

「へっ、手こずらせやがって。こんな暴力女は、まず従順にする調教が必要だな」
「ああ。奴隷にして下さいって懇願するようになるまで、何日でもかけて嬲り抜いてやる」

兵達のその様子に、なお光を宿すシエナの瞳がぎらつく。

「何を……!!」
「おお、おっかねぇ。だがじきに解るさ、昼も夜もなくここの全員に嬲られ続けてりゃあな。
 奴隷の心構えって奴を、身体の芯にまで叩き込んでやる」





囚われたシエナは、傷を治すハーブエキスに身を浸されながら、兵士達に輪姦された。
ハーブエキスには麻酔効果があり、そこに何時間にも渡って浸かれば身体の自由は利かない。
意識だけがはっきりしている状態で、シエナは口を、女の穴を犯し抜かれた。
粘性のあるエキスの中、ガラスの壁に両手を付いたシエナの身体が揺れる。
キッキッキッキッと独特の音がし、押し殺すような喘ぎが響く。
何時間に渡ったのだろう。
最後にはさしものシエナも虚ろな瞳になり、食い縛った歯の間から荒い息を吐くばかりとなっていた。
しかしそれでも、奴隷となる事を承諾する様子は微塵もない。
そこで彼女の身は地下牢に移され、悪趣味な元尋問官へ貸し与えられる事になったのだった。



「……どうだ、様子は?」

尋問官の食事を届けにきた兵士が、カンテラを片手に告げる。
昼なお暗い地下牢には、申し訳程度の蝋燭が灯ってはいるものの、目が慣れない人間には見えづらい。
今日で使用三日目になる地下室には、前日よりもさらに酷い匂いが満ちていた。
拷問官の趣味で、ここにはトイレが設置されていない。
ゆえにシエナは、その美しい身体から排される糞尿を垂れ流しにするしかなかった。
またそうでなくとも、失禁や脱糞なしには耐えられない責めが繰り返されているようだ。

部屋の隅にある水を湛えた一角には、赤みを帯びた茶色い髪が幾本も浮いている。
一度や二度では済まない水責めを、シエナが受けた証だ。
後ろ手に枷を嵌められて床にへたり込むシエナの脚には、白い部分を探すのが困難なほどの笞痕が残っている。
肩には未だ落ちぬ白蝋の層がこびりついており、床には先の煤けた鉄の棒が五本ばかり転がってもいた。

今日になって新たに増えているのは、石床に座するシエナの両乳房を挟み潰す、金属製の責め具だ。
その責め具によって張り切った乳房の先へ、ごく細い棒状のものが刺さっている。
拷問官の過去の責めから考えれば、そうして女冒険者の乳腺を嬲っているのだろうと見当がついた。

 はーっ、はーーっ、はーっ、はーーっ……

暗闇の中から、シエナの荒い息が繰り返されている。
彼女は長い前髪を垂らし、乳房の枷に涎を垂らすようにして俯いているようだ。
前髪に隠れて表情は読み取れないが、体力を消耗しているのは明らかだった。
おそらくは糞尿が垂れ流しになっているのみならず、この三日の間に睡眠すら与えられていないのだろう。
乳房責めは昨夜はされていなかった筈だが、かなり執拗に課されているようだ。
乳房の先、細い棒を伝うようにして母乳の雫が零れ、下方の石床へと振り落とされてゆく。



「よう、随分と淑やかになったもんだな」

食事のトレイを置いた兵士が、靴を鳴らしながらシエナの前方に歩み出し、髪を掴んで顔を覗き込む。
案の定眼の下に隈を作ってやつれ果てたシエナは、それでも眼前の男に鋭い視線を向けた。

「………………。」

離せ。眼光でそう言い放つ姿に、尋問官が面白そうに笑った。

「ひょ、ひょ、まだ、まだそんな眼をを。じゃあお仕置きだでぇ、おー仕置き受けよぉうでぇ」

そう生き生きと喋りながら、シエナの乳首とその付近を紐で縛り上げる。
シエナの表情が強張った。
さらに尋問官が、縛り上げた乳房の先端で細い棒をくゆらした時……シエナの唇が開かれた。

「うああああああっあ、あああああうあああああっ!!!!」

高らかな叫びだ。
紐で縛ることによって狭められた乳腺を、恐らくは何かの薬を打たれた上で掻き回されているのだろう。
乳房の先から、闇に白く煌めく母乳が飛沫を上げる。
シエナは苦痛からか悦楽からか、凄絶に顔を顰めながら笞痕だらけの太腿を暴れさせる。
一方の尋問官は、自らの前後させる棒の下へと顔を潜り込ませ、さも旨そうに母乳を口に受けていた。
その狂った責めは、まだまだ終わりそうにない。

兵士は再びカンテラを手に取ると、女の叫びがこだまする地下牢を後にした。



地下牢を出てからも、シエナへの責めは続けられた。
ある時には、彼女は裸のまま街の中央にある広場に引き出される。
手足を伸ばしたまま前屈みになり、その手首足首を地面に拘束された。
挙句には、そのままで浣腸が施される。
兵士二人がかりでやっと持ち上がる家畜用の浣腸器でもって、腹が膨らむまで薬液を注ぎ込まれる。
そして肛門栓を嵌められ、裸のまま見世物となるのだ。
観衆は兵士達と、すでに奴隷と化している街の女達。

「う、う……くうぅ、うう……う…………!!」

シエナは兵士や街の女の前では恥辱を見せまいと、必死に耐えた。
手足を震えさせ、歯を食い縛って耐え忍んだ。
しかしながら、限界はやってくる。
やがてシエナは、幾度もかぶりを降りながらその時を迎えた。

「う、うあ……あああああああーーーっっ!!!」

太い肛門栓を弾き飛ばし、茶色く濁った汚液を広場にぶちまける。
視界を遮る物は何もなく、その排泄のすべてが場の者達に見届けられた。
その恥辱は如何ほどだっただろうか。
すべてを観衆の視線に晒した後、シエナは俯いて頬に涙の線を零していた。
気の強い女冒険者の心が今まさに引き裂かれていくのが、見守る人間には読み取れた。

そこからさらに三日……拘束されたまま広場で輪姦され続けた後、
彼女の口から赦しを乞う情けない声が上がる。

奴隷の身分となった彼女には、街で最も高い値がつけられたという。


                        終
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瓦解の寸前

社会主義を掲げるアマノフ政権の最高権力者、リッター・アマノフが拉致された事件は、
世間をひどく騒がせた。
拉致実行者は某国の特殊部隊だとされている。
記録の上ではその部隊は、当初の計画通りリッター・アマノフを手際良く拘束・監禁し、
何ら問題なく某国へ引き渡した事になっている。

そう、記録には残っていない。
リッター・アマノフ拘束の際、護衛の抵抗によって負傷し、ただ一人囚われた隊員がいた事は。
その隊員……マルティナ・カメリーが、アマノフ政権を支持する急進派組織『アゼフ』によって、
苛烈な拷問を受けた事は。
マルティナは約3週間に及ぶ拷問に耐え続け、仲間の手によって疲弊した状態で救い出される。
そして先日、そのマルティナへの拷問の様子が『アゼフ』に潜入していた間諜によって語られた。

断っておくが、マルティナ・カメリーは女とはいえ、けして能力に劣る隊員ではない。
むしろ特殊部隊内でも中核を担う立場にあり、今回の拘束についても不運による部分が大きい。
そして彼女は、部隊における『華』だった。
目にも鮮やかな、赤めいた長いブラウンヘア。
北欧人特有の芸術的に整った鼻筋。
気概と責任感に満ちた瞳、ジムインストラクターさながらに絞り上げられた肉体。
軍上層部にも、個人的に彼女に入れあげている将校が複数いるという。
その彼女が囚われ拷問を受けたとあって、軍内部の動揺はそれは大きかった。



間諜はマルティナの近い過去を語り始める。

左足首に警棒の一撃を受けて倒れたマルティナは、その場で羽交い絞めにされ、
リッター・アマノフの護衛達に顔を殴られながら車の行き先を問われた。
しかしマルティナは頑として口を割らず、ここで正式な拘留となったのだった。

リッター・アマノフは当該国の民にとって、絶対的な指導者だ。
『国家の光』とすら呼び称されるその存在を奪ったマルティナは、国家そのものの敵に等しい。
ゆえに、尋問の行われる収容所へ移されるまでの間、マルティナは国民への晒し者にされる。

マルティナは服を全て取り去られ、手首と腰の縄だけの格好にされた。
そしてその足の裏に、小刀で幾重にも切り傷を付けられた。
足の裏は痛点の密集した場所だ。
しかしマルティナは、初めの一斬りに歯を食い縛って「ぐう」と呻き声を上げた他は、
どれだけ細かに執拗に足の裏を刻まれても声を発さなかった。

とはいえ、尋問する側も遊びではない。
足の裏に傷を付け終えると、彼らはマルティナを無理やり立ち上がらせ、白いラインに向かわせた。
それは、収容所まで約一キロに渡って続く、塩を敷き詰めた道だ。
道の両脇には国民の人垣が出来ており、マルティナに敵意を込めた視線を投げつけている。
マルティナは縄を引かれ、その中を歩かされた。
全裸のまま、膝を大きく振り上げる軍隊式の行進で、足裏の傷に染み入る塩の道を。

一足を踏み出した瞬間、マルティナの美しい瞳が裂けそうなほど見開かれたのを、
間諜ははっきり覚えているという。
声こそ上げていなかったが、即座に失神してもおかしくない痛みである事が伝わった、と。
そこからマルティナは、縄を引かれ、膝裏を鞭打たれながら塩の道を歩み出した。
脚を振り上げるたびに口を「あ」の字に開き、吊り目から涙を零し、歩んだ場所に深紅の染みを残して。
そのマルティナには、脇にいる国民から様々なものが投げつけられた。

それら全てに耐えながらマルティナは歩み続け、しかしついに800mほどの地点で、
脚を振り上げたまま失禁してしまったそうだ。
この時点ですでにマルティナは、焦点が定まっていなかった。
汗が頬を伝うほどにひどく、口はうわ言を呟くような呼吸を繰り返していた。
それでも止まる事は許されず、マルティナは赤い染みの他に薄黄色の染みをも刻みながら歩む。
そしてついに収容所の床を踏みしめた瞬間、糸が切れたようにその場で気絶したという。

そこが、尋問の始まりだった。



囚われのマルティナにまず加えられたのは、電流による拷問だ。
丸裸のまま電気椅子に拘束された。
電極は腕と内腿、脇腹、陰核と仙骨、膣内と直腸内部、
そして乳首に鍼を刺すようにして乳房の内部にまで取り付けられた。
その状態で、様々に電圧や通電箇所を変えながら、実に30時間にも渡って責め続ける。
一睡も許さず、簡単に答えられる質問から次第に確信へ迫って行き、
答えなくなった所で電流を浴びせる。
自律神経の麻痺したマルティナは、涙や涎、汗、愛液などあらゆる体液を垂れ流して苦しんだ。
けれどもついに重要な情報は何一つ漏らさず、
最後には尋問官達が根負けする形で、意識の混濁したマルティナから電極が外される。

けれども彼女は、解放の代わりにここで恥辱を味わうことになった。
電流責めでぐったりとしているマルティナの口に開口具が嵌められ、その中へ尋問官達が放尿を始めたのだ。
すでに抵抗する余力もないマルティナは、その美しい顔を上向けながら敵兵の小便を飲み下す他ない。
尋問官達は淡々とマルティナの口に尿を注いだ。
それは嗜虐心というより、マルティナを穢す事そのものを目的とするかのようだった、と間諜は語る。
『国家の光』であるリッター・アマノフを奪った相手に、最大の恥辱を刻み付けるかのようだと。

事実、そこからマルティナに加えられた拷問は、苦痛だけでなく羞恥にも重きが置かれていたという。



翌日、マルティナは再び電気椅子に拘束された。
ただし今度は電気を流す訳ではなく、手首足首と頭頂部を椅子に固定する事が目的だ。
口はスパイダーギャグで楕円形に拡げられ、歯並びまでをはっきりと覗かせている。
そのマルティナの口に、指を丸めた程度の直径を持つチューブが近づけられた。
チューブの繋げられた先は、レストランの厨房で使うような巨大な寸胴。

マルティナへの次の責めは、過食責めだ。
ゴム製のチューブを無理矢理にマルティナの喉奥深くに入り込ませ、
寸胴の流動食を直接食道、さらにその奥の胃へと流し込む。

「ごっ、ごおお゛っ!!ぐぉっ、お゛っ……おごっ、お゛っ……!!!!」

スープと変わらないような流動食とはいえ、胃へ直接物を送られるのは普通ではない。
さしものマルティナも、これには両目の瞳孔を収縮させ、目尻から涙を流して苦悶した。
頬は膨らんでは戻り、口の端からはしとどな唾液が零れ落ちていく。
特殊部隊の女らしくよく引き締まっていた腹部も、次第に隆起が緩やかになっていく。
しかし、マルティナにとっての苦しみはそればかりではない。
何とその流動食には、下剤までもが垂らし込まれているというのだ。

「奴らは苦しむマルティナの目の前に下剤の瓶を翳して、寸胴の中にぶち撒けた。
 どうやっても彼女が排泄できない事を知った上でな」

間諜はそう話す。
椅子に拘束されたマルティナの肛門には栓が嵌まり込んでおり、
これが椅子の構造と合わさってどれだけの圧力が掛かっても絶対に外れない仕組みになっている。
つまりマルティナは、下剤入りの流動食を腹が膨れるまで飲まされながらも、
狂おしいほどの排泄欲を解放する術がないことになる。
下剤がただの脅しではない事はすぐにわかった。
下剤が盛られてからわずか数分後、いよいよ膨らみを見せ始めたマルティナの下腹から、
雷鳴のような音が響き始めたからだ。

「ごぉおお゛おうっ!!!」

マルティナはチューブを咥え込んだまま顎を上向け、視線は逆に出来るだけの下方を見やりながら呻いた。
場の誰よりも如実に、切実に、腸内の異常が解ったのだろう。

かなり腹の膨らみが見え始めたころ……尋問官によれば約2リットルが入った所で、
マルティナの口から涎塗れのチューブが引き抜かれる。
そして電気責めの時と同じ質問が、再度マルティナに投げかけられる。
当然の如くマルティナが回答を拒否すると、尋問官は淡々と、
「ならばそのままで一晩過ごせ」
そう告げたという。
間諜はその時マルティナが浮かべた表情こそ、絶望と呼ぶに相応しいものだったと表現した。



腹鳴りと低い呻きだけが、電気の消えた部屋内に響き渡った。
尋問官達は本当にそのまま、数名の見張りだけを残してマルティナを放置したのだ。
しかし、それでもマルティナは耐え続けた。
翌日の朝には体中に鳥肌が立ち、小刻みに震える程であったが、
何の情報を漏らす事もなかった。

そして、その日もまた過食責めは続けられる。
すでに2リットルが入っている腹へ、さらにチューブで流し込む。
この時点でマルティナは、少し流されるだけで噎せかえって嘔吐を繰り返した。
胃が過食への拒否反応を示しているのだろう。
尋問官達はマルティナが嘔吐するたびにチューブを抜き出し、気道の確保を行う。
そしてまた流し込む。それを繰り返した。
人体とは不思議なもので、そうする内に、次第にマルティナも嘔吐をしなくなる。
立て続けに過食をしていると、胃は入ってきた物を素通りさせる技術を身につけるらしい。
そこでまた大量に流動食を飲ませることが可能になるわけだ。

しかし、物理的には続行が可能でも、マルティナの精神の方は着実に弱っていたようだ。
マルティナの口へ入り込むチューブは、その根元にバルブのような突起がある。
マルティナは喉奥へチューブが入り込んでくるたびに、そのバルブを視界の前方に捉えることになる。
それがトラウマと化したのだろう。
やがてマルティナは、そのバルブを見る事を恐れ始めた。
チューブが動き、バルブが視界に入ると、マルティナは眼を固く瞑って喉を震わせる。
そしてその直後、喉奥深くまでを貫かれ、ごえええっと地獄の底から響くようなえづきを上げるのだ。

その恐怖は、実に3日にわたってマルティナを追い詰めた。
2日目に4リットルまで流し込んだ後、3日目になってついに、マルティナの容量限界が来た。
実に5.36リットル。
マルティナの太腿は、その半ばほどで拘束帯を嵌められているのだが、
その拘束帯を彼女自身の膨れ上がった腹が覆っている光景は、
流し込まれた食事量の歪さをよく物語ったという。

マルティナの下腹部からは尋常でない腹鳴りが絶え間なく続き、
流動食はチューブで流れ込む端から嘔吐で押し戻される。
マルティナの体中が細かに痙攣している。
本当の限界なのだ。
丸3日かけ、下剤入りの流動食を腹が風船のようになるまで飲まされたのだから。



雷轟のような腹鳴りを聞きながら、尋問官は淡々と質問を繰り返した。
死が色鮮やかに感じられるほど苦しいだろう、いい加減に吐け、と。
しかしマルティナは荒い息を吐きながら、私をいくら拷問しても無駄よ、と答えるのみだ。
尋問官達はそれを聞き、苛立ったようにマルティナの背後に回った。
そして肛門のプラグを壁から伸びるチューブに繋ぎ、その繋ぎ目のスイッチを押す。
するとグゥゥゥウンという重苦しい音と共に、肛門のプラグがうねるように振動し始める。

「う!?んう、゛う゛ええええええ゛え゛っっ!?」

これにはマルティナも堪らず、激しい反応を見せたという。
溜めに溜め、溜めに溜めた3日分の排泄物、それをミキシングされるのだから。
きっと膨れた腸そのものが絡み合い、渦巻いているような感覚だろう。
マルティナはひとしきり苦しみ、叫んだ後に、白目を向いたまま口から吐瀉物を垂らし始める。

「ふん……死なれても困るからな。感謝しろ、ひり出す機会をやる」

尋問官はそこでようやく落ち着きを取り戻し、マルティナの拘束帯を解いた。
いよいよ排泄だ。
高手後手に縛ったまま胡坐縛りで天井から吊るし、下に巨大なガラス容器を置く。
そしてプラグが抜かれると、マルティナの苦悶の声と共にすぐに排泄が始まった。

空中で胡坐という、極めて力の込めづらい体位に加え、
72時間をかけて体内に流し込まれた異物の量も並大抵ではない。
その排泄には当然苦難が伴い、マルティナは眉根に溝を刻み、唇を引き結び、
腹筋するように両脚を胸へと引きつけて腹圧を高めることによって排泄を為した。
おそらくは、何人もの男達の蔑んだ視線に晒されながら。
桜色の肛門は収縮を繰り返しながら汚物を垂れ流す。

ビビブブヴヴブリリッ、ブブリュリュビブブブッヴブッ……!!

間諜が持参したレコーダーには、そのような異音が記録されていた。
まるでショートした機械が発するノイズのように、女の恥辱の音が響き渡る。
汚物は、息んで揺れるマルティナの肛門を中心に円を描くように迸り、巨大なガラス容器にさえ収まらず、
蕩けた身をスライムのように床へと滴らせていく。

「見事なぶち撒けぶりだ。情報もその調子でお聞かせ願いたいものだが」

冷やかすような尋問官の声。それにマルティナの苦しげな声が答える。

「……あ、生憎と、社外秘よ」
「だからこそ……だよ。だが、まあいい。直に話したくて仕方無くなる」

そう呟く尋問官の声は、淡々としながらも明確な狂気を孕んでいた。



恥辱の排泄の後、マルティナは鉄格子の並ぶ地下牢へ移される。
休息の為ではない。
マルティナを地下牢へ連れ込んだ黒人2人は、そのまま扉を閉めてマルティナを犯し始める。
床へ横たわった1人がマルティナを腰の上に乗せ、先ほど排泄を終えたばかりの肛門へと怒張を宛がう。
それは正しく『怒張』と表すべき、凶暴なまでの長さと直径を誇っていたようだ。
血管さえ浮き立たせたそれが、マルティナのやや開いた肛門を押し広げ、有無を言わせず侵入する。

「あぐゥっ……!!」
さほど経験が豊富とも言えないのだろう、マルティナは後孔への挿入に眉を顰める。
黒人男はそれを意に介さず、下からマルティナの腰を掴んで深々と怒張を埋め込んだ。
そうしてからゆっくりと引き出すと、その幹に沿って微かな汚物の線が走っていく。
あまりにも腸内の物体が多く、先刻の長きに渡る排泄でも、出し切るには至らなかったのだろう。

機械で犯す方法もあるにも関わらず、わざわざ生身で犯すのは、恥辱を与える為だ。
間諜はそう分析していた。
本来出すだけの排泄の穴を、性交に使われる。
これはプライドの高い女にとって、大変なストレスになるのだという。

黒人は美女の流す穢れを勝ち誇ったように眺めながら、怒張の抽迭を開始する。
肛門の奥で水気のある破裂音のようなものが響き、同時に汚物が少しずつ掻き出され始める。
屈辱が疲労を後押しするのか、マルティナは次第に肩で息をするようになる。
すると傍らに立っていたもう一人が、やおら彼女の髪を掴んで自らの逸物を咥えさせた。
「ん゛ぼぉっ!?」
マルティナは短く呻きを上げたそうだ。
荒い呼吸をしていた所へ急に怒張を捻じ込まれ、さしものマルティナも動揺を表す。
しかし手は後ろ手に拘束されており、男の強要するイラマチオを拒否する術がない。
マルティナは男の求めるがままに頭を前後させられ、喉奥を蹂躙される。

元より万全な喉の状態ではなかった。
腹がはち切れる本当の寸前まで流動食を詰め込まれ、それを三日間維持し、
ようやくの排泄でも腹筋になけなしの力を込め続けた。
嘔吐の感覚は常に喉元にあり、実際幾度も小さな嘔吐を繰り返していた。
そのような状態の喉を蹂躙されたならば、それは必然だったと言えるだろう。




「ごぉおお゛げろっ……!!げぇおお゛っ、っげげっかっっ……!!!!」

乾いた物を引っ掻くような音と共に、剛直を深く咥え込んだマルティナの唇から吐瀉物があふれ出す。
詰め込まれていた流動食にいくらか黄を混ぜた汚物を、小刻みに。
だが喉を犯す男もまた、この変化によって慈悲を見せるような事はなく、
むしろいよいよ深く鋭く、怒張を開いた喉奥へとねじり込む。
吐瀉物はマルティナの顎を越え、喉を伝い、乳房を抜けて下になった男の腹部にまで滴っていく。
その滴った先では、なおも肛門を怒張が責め抜いており、汚物を腰一杯に掻き出し続けていた。

「おごあぁああ゛ああああ゛!!!ふぅお゛、お゛あ、あごぉう゛おおおおっっ!!」

マルティナは声ならぬうめきを地下牢に響かせ、自らの汚物の匂いと男2人の雄臭を吸いながら、夜を通して犯され続けたそうだ。
様々に体位を変えながら。
例えば後ろ手に縛られたまま、尻を突き出す格好でうつ伏せになり、獣のような体勢で。
ぐったりとしたマルティナの尻穴に、深々と剛直が出入りする。
痙攣する両脚の間に、掻き出された汚液が液だまりを作っていく様を、マルティナ自身の瞳が追う。
マルティナは追い詰められていった。

「いやああああああああっっっ!!!!!」

さらに数日後。
両脚を揃えたまま伸ばす格好で、狭まった尻穴を犯されていたマルティナは大声を上げた。
すでにその美しい脚は余すところなく汚物に塗れており、見る影もない。
マルティナの美貌は穢されきっていた。
けれども。
極限状態ゆえの防衛本能か、犯される尻穴よりやや下の秘裂は、滴るほどの愛蜜に塗れていたそうだ。
まるで、排泄の穴を無慈悲に陵辱されて喜ぶかのように。
彼女は本当に追い詰められていた。危ない所まで。

仲間が救援のために踏み込んだその時も、マルティナは汚物塗れで尻穴を犯されていたという。
信じられないほど太い剛直で容赦なく貫かれ、秘部を濡らし、口を眼一杯に開きながら。
あと3日救出が遅ければ、きっと自分は、何もかもを投げ出していただろう。
何もかもを壊され、解放されて。
救出後のマルティナは毛布に包まれながら、うわ言の様に告げたそうだ。


              
                            END
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