Part.5(中編)の続きです。
文字数が多すぎるため、Part.5は前・中・後編に分割します。
こちらはアナル調教パートの後編となります。
およそ1時間ぶりに足の結束を解かれた時、藤花も沙綾香も自力では立てなかった。特に酷かったのは沙綾香だ。藤花は膝立ちで済んだが、沙綾香は完全にへたりこんでしまう。
「どうした、ちゃんと立てよ!」
「ケツが良すぎて腰抜かしてんのか? 変態が!」
客からそんな罵倒が飛べば、震える脚を叱咤して立ち上がろうとするが、結局は尻餅をついてしまう。それがまた客の大笑いを誘うんだから、残酷なものだ。
腰を抜かした状態でも、『審査会』は続く。
まずはロドニーの指示で、黒人共が沙綾香達の腋を抱え、強引に立ちあがらせた。その上で、迷彩ズボンと剃り込み男が藤花と沙綾香にそれぞれ近づき、指で割れ目を押しひらく。
「すっげー、グチョグチョ」
連中は、後ろで見ている客にわざと聞かせるようにそう言いながら、手にしたピンクローターを割れ目に埋め込んだ。
「なるほど、そのローターを落とした方が負けだな? 会の趣向からして、黒人にアナルを犯されながらキープしろ、というところか」
客の一人が指摘すると、ロドニーが頷く。
「鋭いねぇ旦那、その通りだ。真っ当な女なら、あのデカマラでケツをファックされりゃ、自然とアソコ周りに力が入っちまう。ローターが抜けることなんざ有り得ねぇ。落としちまうような女は、よっぽどの変態ってことだ」
ロドニーはそう煽りながら、黒人共に目で合図を送った。それを受けて、藤花の背後にダリーが、沙綾香の背後にトラバンが近づく。
「よう、サムライガール。元力士の俺の“突っ張り”に、どこまで耐えられるか見せてもらおう」
ダリーは藤花の顎を大きな掌で包み、日本語で語り掛ける。
「元、力士だと……?」
「そうだ。俺の体重乗っけた突きは強烈だからな。さっきの態勢じゃ、オメェのこの細い腰がヘシ折れるだろうと思って、我慢してやったんだぜ」
驚愕する藤花の反応を楽しみながら、ダリーはテニスボールより巨大な亀頭を肛門に押し当て、一気に腰を押し込んだ。
「っく、ああああ゛……ッ!?」
藤花は目を見開き、背後を振り返る。ダリーの逸物は、さっき藤花に挿入したモーリスより長さこそ劣るが、太さでは勝る。それを挿入される刺激は、彼女の常識を遥かに超えているんだろう。
「ひひひ。良い声出すなあ、お前のお友達はよ!」
隣の痴態を眺めながら、トラバンが沙綾香の胸を揉みしだく。乳房の形を完全に変形させるような荒々しい愛撫だが、沙綾香はそれだけで肩を震わせて反応してしまう。トラバンはその反応の良さを面白がりつつ、亀頭で割れ目をなぞり、愛液を纏いつかせてから肛門へと押し込む。
トラバンの逸物はタイロンより細く、挿入はスムーズだ。
「すげぇな。あの硬ぇ輪っかだったアナルが、プッシーみてぇにねっとり締め付けるようになってやがる。何されたらこうなるんだよ、ええ?」
トラバンは、沙綾香の肛門の熟しぶりを喜びながら、さらに腰を進める。怒張がすっかり腸内に隠れるまで。
「ふぅぎぃ……ッ!?」
トラバンの腰が、尻肉と密着した瞬間。沙綾香から妙な声が漏れた。トラバンが笑みを深める。
「オーウ、嵌まった嵌まった。ここが結腸ってやつか。前にケツ犯した時にゃ、こっちは固く閉じてて入らなかったが、こなれたもんだぜ」
トラバンは舐めるような口調で言いながら、少し腰を引く。そして角度を調節しながら、くいくいと腰を前後させた。その瞬間、沙綾香が目を見開く。
「っひ、イ゛イ゛ッッッー!!!」
嚙み合わされた歯の間から、かろうじて声らしきものが漏れる。普通の声じゃない。身体の反応も異常だ。腰をヒクヒクと上下させたかと思えば、膝から崩れ落ちそうになる。トラバンが咄嗟に手首を掴まなければ、そのままへたり込んでいただろう。
「うお、っと。へへへ、ここはマジで感じるらしいな。俺のコックで、ちょうどこの穴のギリギリ一杯ってとこか。タイロンの野郎はなまじ物がデカすぎて、入口を突っつくぐらいしかできなかっただろ? 俺は違うぜ。この奥の穴に亀頭を丸ごとハメ込んで、キッチリ犯してやる」
トラバンはそう宣言し、浅いピストンで肛門内を犯しはじめる。
モニター前、横並びになってのアナルセックス。その様子はだいぶ違った。
ダリーと藤花のペアは、とにかく激しい。ダリーは藤花の腰を掴み、後背位で腰を叩きつけている。沙綾香よりさらに脂肪の少ない、筋肉質な藤花の下半身でも、この突き込みを受ければしっかりと皮膚が波打った。小ぶりなスイカを思わせる乳房は、その激しい突き込みを受けて前後に揺れ、肋骨の辺りにぶつかっては母乳を垂らす。
「おお゛お゛っ、お゛ーっォ゛っ!! くほっ、おおお゛っ、おーお゛っ!!!」
舌を突き出した口からは、『お』行の呻きが漏れつづけていた。ただしこれは、ダリーの超重量ピストンを受けた人間全てに共通することだ。百合も、沙綾香も、あの惨めな反応を抑えることはできなかった。藤花にとっての不幸は、それを客に見られ、散々に嗤われてしまうことだ。
ただ、彼女は、嘲笑を気にする余裕などないのかもしれない。なんといってもダリーの突き込みが強烈すぎる。彼女は両脚を肩幅以上に開き、足指で床を掴むようにして、かろうじて姿勢を保っている状態だった。前方からのカメラには、大腿部外側の筋肉の盛り上がりが、後方からのカメラには、脹脛の強張りが、しっかりと映し出されている。
一方で沙綾香とトラバンのペアは静かだ。トラバンは沙綾香の脇腹を掴み、ごく浅く腰を出し入れしている。ピストンというより、腸の奥の奥を『練る』ような動き。それを受ける沙綾香は、やはり静かに、しかし確実に昂らされていた。
一番解りやすいのは、やはり脚だ。藤花が短足に見えるほどのすらりと長い脚は、ちょうど肩幅ぐらいに開いたまま、やや内股気味でアナルセックスに耐えている。だが、トラバンの指が脇腹に食い込み、ぐりぐりと『練る』ように腰を押し込めば、そのたび足の裏が浮く。2、3秒も爪先立ちの状態を保ち、トラバンが腰を引いたタイミングで、ぶるぶると痙攣しながらまた床につく。その繰り返しだ。
「ぃきっ……いぃいひっ、ひ、ひ……ぐっ……ぉ、っく!!」
爪先立ちになっている間、沙綾香の食いしばった歯の間からは、なんとも切ない声が漏れた。その状態では鼻でしか呼吸ができないが、そのせいでやがて鼻水が滴りはじめ、客からしっかりと笑いものにされる。
だが沙綾香も、嘲笑を気にする余裕はなさそうだ。彼女はまず間違いなく、結腸で達している。結腸逝きは静かだが、深い。脚の動きや呼吸を見てもそれは判るし、あの沙綾香がたびたびトラバンの首に手を回し、「しがみつきたい」という想いを露わにするのは、余程のことだ。
「おら、気合入れろ奴隷共! マンコのローター落とすんじゃねーぞ」
客の野次が飛ぶ。その視線に晒される2人は、どちらも余裕がない。だが、沙綾香の方が若干不利だ。理由は単純。藤花の割れ目は未開の花だが、沙綾香の方は調教されすぎている。異物を挟み込む力の強さで、差がつくのは当然だ。
何度目かのつま先立ちが終わり、足裏が床についた瞬間。弛緩した沙綾香の割れ目から、ローターが頭を覗かせる。
「あっ!!」
沙綾香はすぐに気づき、下腹に力を込めた。だがその力みのせいで、腰がぶるっと震え上がる。そしてそんな反応を、トラバンが見逃すはずもない。
「なんだ、締めつけやがって。おねだりか!?」
そう叫びつつ、深々と腰を突き込む。それまで10回以上繰り返された抜き差しのリズムと、ワンテンポ外れた挿入。しかも、8の字筋を緊張させた状態だ。
「………………はッ!!!!」
ここで沙綾香の口から漏れたのは、声じゃなかった。息を呑む音。それは状況次第で、絶叫よりも見る人間を不安にする。
急所に針を打てば、人はあっさりと自由を奪われるらしい。この時の沙綾香も、そんな風だった。見えない糸に引かれるように、左足が持ち上がる。これまでは左右同時につま先立ちになっていたが、今度は左だけだ。
右足が床を踏みしめる中、土踏まずを完全に晒した左足がガクガクと震える。
「……ぁ、……ぁ、…………あ」
沙綾香は、3回掠れた声を漏らし、ふうっと全身を弛緩させた。
全てがスローモーションに見える世界で、抜け落ちたローターが床に弾かれる動きだけが、やけに早く見えた。
「あーあ、やりやがった」
主犯であるトラバンが鼻で笑いながら、沙綾香の腰を離す。支えのなくなった沙綾香は、成すすべなく床に崩れ落ちた。横ざまに倒れてもまだ、その左足は痙攣していた。
客から、どっと笑いが起きる。黒人共やロドニーも、手を叩いて喜ぶ。
「……沙綾香……」
ただ一人、藤花だけが笑わず、眉を垂れ下げた瞳で親友を見下ろしていた。
※
審査会は続く。ルールは変わらず、膣の異物を落とした方の負けだ。今度はピンポン玉5個を膣に入れての勝負。ただし、前の戦いで負けた沙綾香には、罰ゲームという名の嫌がらせが与えられた。
フックで鼻を吊り上げられたまま、アナルを犯される──それが、沙綾香という極上の美少女に与えられた罰だ。
「ふふふ、良い顔だ!」
「よく似合ってんぜ、マゾ豚!」
透明な壁越しに、客が罵声を浴びせる。その眼の前では、沙綾香が壁に手をつき、レジャナルドにアナルを犯されていた。しかも、ただの後背位じゃない。彼女はがに股の姿勢を強要されてもいる。
「へへへ、よく熟れてやがる。食べ頃ってやつだ。未熟な果実って感じの固さも悪かぁなかったが、こっちのがエロいぜ!」
レジャナルドが上機嫌に語りながら、横向きに怒張を叩き込む。深く入るたびに割れ目がひくつき、透明な雫を垂らす。
「マン汁の量すげーな。あんなデカチン尻に突っ込まれて、よくもまぁ濡れるもんだぜ。信じらんねぇ」
「理解する必要もないだろ、マゾ奴隷の心情なんて」
「だな。ああいう奴ってのは、異常なんだ。どんだけ顔とスタイルがよくっても、絶対彼女にはしたくねーわ」
客はカクテルグラスを片手に、安全圏から野次を飛ばす。
「く、ううっ……!」
容赦のない悪態に、沙綾香は唇を噛み締めた。彼女は、凛としていたいことだろう。だが、そうはできない。
「おら、腰落とせ!」
アナルファックの辛さか、格好の惨めさか、沙綾香の腰はたびたび浮くが、そのたびにレジャナルドが腰を押し下げる。
「ぁっ、ぁっ……んぁっ、あっ! くはっく、ぁはっ…………!」
沙綾香は、壁に手をついて犯されながら、ただ喘ぎ続けるしかない。がに股の脚がつま先立ちで震え、肛門はぶじゅぶじゅと水音を立てて剛直を受け入れる。
「あっ、あ!」
ある瞬間、沙綾香の叫びが大きさを増した。同時に彼女は上体を起こし、壁の高い位置にしがみつく。凍り付いたような顔を見れば、何らかの『まずさ』を察知しての回避行動だと判る。それを知ってか、知らずか。
「伏せ、だ。バカ犬」
レジャナルドは沙綾香の肩を掴み、ぐうっと押し下げる。水面から必死に顔を出した人間を、無理矢理引き戻すような行為。引き戻された人間は、当然、“溺れる”しかない。
「ひぎゅううぃいっ!!」
がに股に戻った直後、沙綾香の肛門からぶりいっと破裂音がした。直後、床に雫が滴り落ちる。
「おおっ、何か出たぞ!?」
「ドナンの残りでは? さっきもブシュブシュと飛沫いていたようだが」
「それにしちゃ透明すぎねぇか? 俺は腸液だと思うがな。さっきの顔といい、またケツアクメしたんだろ」
「ふふ、あの量の腸液か。だとすれば、すっかり肛門が第二の性器になってしまっているな!」
客が目敏く雫を見つけ、笑い合う。その目の前で、沙綾香の腕から力が抜けた。頬と乳房が、透明な壁に密着して潰れる。
「はっ、良すぎてヘバったか。前より根性なくなっちまったなあ」
レジャナルドはほくそ笑みながら、沙綾香の腰を両手で掴み、それまで以上に丁寧に腰を使う。肉のぶつかる音が小さくなり、代わりにぐちゅか、ぬじゅう、という、やけに湿り気のある音が聴こえてくる。トラバンと同じように、結腸付近を『練って』いるのか。
「くッ、は……ぁ!! はぁっ、ああッ……やめ…そこ、嵌めこま、な……っで……く、うううくッ………!!」
沙綾香は大きく口を開き、眉を垂れ下げてレジャナルドを見上げる。だが、超長期刑のレイプ魔が、そんな懇願で動きを止めるはずもない。むしろ、より丁寧に、ぐじゅぐじゅと腸の奥を掻き回しにかかる。
「あッ! あッ!! んやあぁああっ、んふぅううう゛、うう゛……かはッ、おおぉほ…………っ!!」
沙綾香は、悲鳴を上げ、歯を食いしばって耐えようとし、また悲鳴を上げた。顔は熱に浮かされたようになり、睫毛の長い眼が閉じる。
「すーげぇ。ケツのディープスロートだぜ、こりゃ」
レジャナルドの言葉が、やけによく聴こえた。
そして、苦難はそこで終わりじゃない。離れた場所で藤花を犯していたアンドレが、沙綾香の脱力を見て笑みを浮かべた。寡黙でありながら、同時に陰湿な男だ。奴は、わざわざ沙綾香の真正面に藤花を連れ出し、壁に手をつかせる。
「はぁ、はぁ……」
力なく喘ぐばかりだった沙綾香は、薄目を開けて状況を確認し、息を呑む。親友と呼べる相手に、だらしなく喘ぐ様を至近距離で見られているんだ。動揺しないわけがない。
「……ッ!」
沙綾香は壁から身を引き剥がし、藤花を正面から見つめる。
「……しゃ、しゃあか…………」
藤花は、沙綾香の名前を呼んだ。だが、その表情は壮絶だ。舌を突き出し、涎を垂らし。三白眼のような瞳は、果たして沙綾香の顔に焦点を結んでいるだろうか。黒人相手のアナルセックスに、酔っている。そうとしか見えない。
「と、藤花、藤花っ! しっかりしてよ!!」
変わり果てた親友を前に、沙綾香は泣き叫ぶような声を上げた。だが、彼女もまた他人に構っている余裕はない。背後では、レイプ魔が腰を掴み直し、怒張で貫き通すルートを見定めている。
パン、パン、パン、パン、と小気味良い音が響いた。張りのある肉がぶつかる音だ。そのやや内側からは、妙にはっきりと水音も立っている。
「んほっ、お゛、ふ……っ!!」
力強いピストンは、明瞭な快感の声を引きずり出した。口を尖らせた、『お』行の呻き。客が待っていたとばかりに拍手する。歓声に気を良くしながら、レジャナルドはさらに腰を遣った。バチン、バチン、バチン、と腰がぶつかる。
「お゛おっ!!」
沙綾香は、海老のように背を反らせて絶頂した。上を向く黒目、尖った口。深い絶頂なのは疑うべくもない。
「はははっ、イったぞ! よりにもよって、友人の前で絶頂とは!」
「よりにもよってっつーか、ダチにイクとこ見られて興奮したんじゃねーの? ド変態だし」
客はここぞとばかりに沙綾香の反応を笑い飛ばす。不愉快な流れだ。だが、ここで沙綾香に起こっていた変化は、俺の想像以上に深刻だったらしい。
「もうやめて……お尻の穴、ヘンになるっ!!」
沙綾香は後ろを振り返り、レジャナルドの手を握って叫ぶ。だが、日本語では通じるはずもなく、仮に英語で話せていたとしても、聞き入れられるはずがない。レジャナルドはただ笑みを浮かべ、ピストンを続行する。
「やだ、やだ、またくるっ……! うんちする時の、おっきい波……これ、もう嫌なのっ!! もうこれでイキたくない、バカになっちゃうっ!!!」
沙綾香が顔を引き攣らせて叫んでも、状況は何ら変わらない。力強いピストンで、怒張が叩き込まれていく。駄々洩れの蛇口の水が、コップを満たす。
「だめ、だめだめ、きちゃうっ!! いぎいぃいっいっイグッ、いいぐウウーーーッ!!!」
沙綾香は、歯を食いしばりながら叫んだ。その直後、内股になった足の合間から飛沫が上がり、ピンポン玉が飛び出していく。
「あーあ、まーた負けた!」
「ふはははっ! へっぴり腰で、情けなく絶頂してますよ!」
客の気楽な声は、涙を伝わせる沙綾香の姿と、あまりにも不釣り合いだった。
※
3戦目は趣向が変わり、肛門に玉蒟蒻を詰め込んでのアナルセックスとなった。アジア人より数周り大きい黒人ペニスに加え、10個の玉蒟蒻。その圧迫感は想像に余りある。2人の反応が激しくなっても、納得しかない。
「はっ、ん、んんっ……!! あ゛っ、あ゛ん、はーっ……あ゛! すごい、すごい、すごいいっっ!! こんな、快感が、あ、あったとは……!!」
「くああああっ!! くう、んぐううっ!! お腹が、詰まって……く、苦しいっ……!!」
藤花と沙綾香は、膝裏を抱え上げられ、背面立位で犯されながら悲鳴を上げる。その表情は対照的だ。笑みを堪えきれないという様子の藤花に対し、沙綾香の顔は苦痛に歪んでいる。
ただし、2人に共通することもあった。瑞々しい肉体が、強い快感を訴えている点だ。
「そーら、どうだ! 『フロリダの暴れ馬』の異名を取る、ドミニク様のファックは!」
「腹ン中がパンパンに詰まってよお、気持ちいいだろ!」
ドミニクとジャマールが、幼児に小便をさせるポーズのまま、剛直を肛門へと叩き込む。何度もアナル絶頂に追い込まれている沙綾香達は、その刺激に耐え切れない。全身をガクガクと震わせ、足で空を蹴るばかりだ。
「感じまくってるな、どっちも。乳首が摘まれたみたいにピンピンだ」
「マン汁もダダ漏れだしな。青くせぇガキの身体で、ここまでアナルアクメキメれるとはよ。ここの調教師ってすげーわ」
客は興奮しながらも、2人の変わりように圧倒されているようだ。
「あああ、ドミニク、ドミニクっ……!!」
藤花が甘い声を出しながら、背後を振り返ってキスをねだる。
「ああっ、いく、後ろでイクううっ!!!」
沙綾香は左右に首を振りながら、激しく足をばたつかせる。
どっちも異常だ。元々のあの子達のイメージと、あまりにも遠すぎる。
「よーし。そろそろ、出させてやれ!」
ロドニーが手を叩いて命じると、ドミニクとジャマールは笑みを浮かべ、足の抱え方を変えた。膝裏から、脹脛へ。相手の脚がVの字を作るように。腹圧を強めて、玉蒟蒻を強引に排泄させようというんだろう。
「うあああっ! あああ゛だめっ、でちゃっ……あ゛、あ゛ーーーっ!!」
沙綾香も、藤花も悲鳴を上げる。その直後、肛門から灰色の粒が弾け飛んだ。一粒が出てしまえば、それをきっかけとしたように、また一つ、また一つとペニスの脇から飛び出していく。
「ふぐううう゛っっ!!!」
排泄の瞬間、沙綾香と藤花の表情は完全に一致した。瞳を上向け、唇をへし曲げる。究極的な快便の表情。
「うっはははははっ、すんげー締め付けだ!!」
「かあああっ、たまんねえぜっ!!」
ドミニクとジャマールは、肛門の締まりを喜び、それぞれのタイミングで射精に入る。
「やあああっ、入ってくる、入ってくるうっ!!!」
玉蒟蒻の排泄に逆らう腸内射精。それを味わって、藤花達は高らかに叫ぶ。悲鳴にも悦びの声にも聴こえるが、白濁と共に玉蒟蒻を弾き飛ばした瞬間、2人の足指が見せた動きは、いかにも気持ちよさそうなものだ。
十秒にもおよぶ射精。その末に白濁液をこぼしながら怒張が引き抜かれれば、そこには弛緩した空気だけがあった。
「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ…………」
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ…………」
射精の余韻に浸る黒人2人。絶頂の余韻に浸る少女2人。それぞれが下半身を痙攣させながら、幸せそうにしている。
「…………すげえ…………」
客から漏れた、嘲笑でも罵声でもない一言が、やけに俺の心を抉った。
※
『審査会』という名の勝負は続いている。だが実際のところ、場の誰もが、そんな事情などどうでもよくなっていることだろう。沙綾香と藤花が、アナルセックスで示す反応。それこそが、客の一番の関心事だ。
5戦目は、ベッドの上で始まった。
「はぁ、はぁ……今度の相手は、お前か。お前の名前は、何というんだ」
右側のベッドに組み敷かれた藤花が、潤んだ瞳で問いかける。
「マーキスだ」
「そうか……なあマーキス。俺を、気持ちよくしてくれ。昂っているんだ。今、思いっきり腸を突いてくれれば、すごく良い気分になれそうなんだ……」
藤花はそう囁きかけ、マーキスの顔を抱き寄せる。
「……オーライ」
マーキスは嬉しそうな笑みを浮かべ、藤花の唇を奪う。
「へへへ、お熱いこったな。俺らもやるか?」
口づけを交わす藤花達を見て、左のベッドでダーナルが笑う。その正面に横たわる沙綾香は、返事もしない。甘える藤花とは対照的に、目尻を吊り上げてダーナルを見つめている。
「やれやれ、懐きの悪いイヌだぜ」
ダーナルは首を振りながら、沙綾香の足を大きく開かせる。5戦目ともなれば、緩みきっていた括約筋も締まりを取り戻している。ついさっきまでジャマールに犯されていたため、完全に閉じてはいないが、指3本が入ろうかという程度の隙間だ。
「いい具合に穴のサイズが戻ってんな。これなら、俺の“ポークビッツ”でも、楽しませてやれそうだぜ」
ダーナルは逸物を握りしめながら囁く。10人の中で2番目に小さい事への自虐だろう。すでに事を終えた8人の黒人共は、それを聞いてゲラゲラと笑う。それに比べて、客は随分と控えめな笑い方だ。
それはそうだろう。10人中最も小ぶりなマーキスのペニスでさえ、長さ20センチ、直径5センチは下らない。ダーナルの物となれば、それよりさらに一回り上だ。黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直……それを粗末と笑い飛ばせる日本人など、どれだけいることか。
ダーナルは逸物に唾液を塗り込め、怒張の先を沙綾香の肛門へと宛がう。そして、ゆっくりと腰を進めた。
「ん……っ!!」
沙綾香が眉を顰める。小さく声も漏れた。
「なるほど。アナルファック用の、エロい肛門になってやがる。天使にキスされてる気分だぜ」
亀頭が菊輪を押し開いた時点で、ダーナルは笑みを浮かべた。そして奴は、ベッドを軋ませながら腰を引く。
「……?」
沙綾香は、怪訝な顔をした。血管も浮き立つほど怒張を勃起させた、性欲滾る野獣。それがあの連中のイメージだ。実際、他の奴らは、獣のように沙綾香達の肛門を貪った。右のベッドでは今まさに、マーキスが藤花と濃厚なキスを交わしながら、圧し潰すような体位でアナルを犯し抜いている。
だが、ダーナルはそうしない。一度完全に亀頭を抜いた後、再び口を開いた肛門に嵌め込み、また抜く。そのごく浅い挿入だけを、ゆっくりと繰り返す。
「……最後の奴は、随分と紳士的だな」
「おいおいおい……マジかよ。さっきまで、あんだけハードに結腸アクメさせてたのによ。あれじゃせっかくの熱が冷めちまうぜ」
客の反応は悪い。ある客は戸惑いを口にし、ある人間は不満を露わにする。だが、そんな客の後ろに控えるロドニーだけは、ダーナルの責めに興味深そうな視線を向けていた。
ベッドの軋み方が、左右でまったく違う。藤花のいる右側は、ギシギシギシギシと壊れそうに軋み続けている。一方で沙綾香のいる左側は、ほとんど軋む音が聴こえない。明白な動と静だ。
客は見応えのある方を好むため、次第に藤花の方へ意識を向けはじめる。5分もすれば、沙綾香を見ている客は2人だけになった。
だから、気付く人間は少なかったろう。
「あっ、あ、あっ……」
肛門の入口を拡げられるだけの沙綾香が、声を出しはじめた事実に。
声だけじゃない。大股開きで横たわる全身が、ピクピクと反応している。モニターに大きく映る桜色に肌には、今も汗が流れていた。それは、沙綾香が『冷めて』などいない証拠だ。
「どうだ、想像以上に感じちまうだろ? 浣腸で緩んで、真っ赤になるまで使い回されたアヌスを、こうやってじっくりと愛してやる……そうすりゃ、パン屋のジェニーも、従妹のサラも、シーツの替えがいるぐらい蜜を吐いたもんだ」
ダーナルは昔を懐かしむように語りながら、腰を動かし続ける。今度は亀頭のやや下、カリ首までが通り抜けるまで挿入し、一気に引き抜く。モニター画面には、引き抜かれる瞬間、沙綾香の肛門が火山のように盛り上がる様子が映っていた。
「すげぇな。抜く時には盛り上がって……エッロ!」
「あれは挿入する方も気持ちいいでしょうなあ。肛門で搾り取るように扱かれるわけですから」
モニターを見て、客がざわつく。ほとんど藤花にしか向いていなかった興味が、沙綾香に向きはじめる。非常にまずい展開だ。ダーナルの責めが一段階進んだ、このタイミングでとは。
「くっ……は、はぁ……っ。はっ、ああっ、あ!」
カリ首までを嵌め込まれ、引き抜かれる。嵌め込まれ、引き抜かれる。その責めを受けながら、沙綾香は声を殺しきれずにいた。
「あれは……まさか、感じているのか?」
「いや、俺もそうかなと思ったけど……ありえるか? あんな浅い挿入で」
「さっきまでと比べると、刺激が弱すぎると思うが、あれは……」
客も、すぐに沙綾香の反応に気付く。沙綾香はそれを耳にしたのか、すぐに口を閉じた。だがダーナルはそれを見て、挿入をやや深める。そして4割ほど挿入したところで、一気に引き抜いた。
「くひぃいっ!?」
沙綾香の目が開き、声が漏れる。注意を向けなくとも耳に入る音量。客の視線が、次々と左のベッドへ向く。
「もっと深く挿れてほしいか?」
ダーナルは余裕の笑みを浮かべながら、沙綾香に問いかける。
「……い、挿れられること自体、嫌だってば……」
沙綾香は憂鬱そうにダーナルを見上げ、なるべく平静を装おうとする。だが、ダーナルが同じ責めを繰り返せば、澄まし顔ではいられない。
「ひっ、ああっ、は……はっ! んひっ、ぐ…………!!!」
大股を開いた足が震え、腰が浮く。顎が持ち上がり、唾液の糸を引きながら口が開く。
「いや、やはり感じているぞ、あれは……!」
さっきは懐疑的だった客さえ、沙綾香の昂ぶりを確信していく。
そんな空気を感じ取ったのか、それとも下準備が整ったのか。ダーナルは、ここから本腰を入れて責めはじめた。沙綾香の腿を抱え込み、ベッドを軋ませて、大きく腰を進める。今度はいきなり、竿の7割ほどが入り込んだ。
「んひぃいっ!!!」
沙綾香が仰け反り、シーツを掴む。
「ぃ、いっ!! ふぃいっ、んぐっ、んぐううっ!!!」
歯が強く噛み合わされ、仰け反りのせいで乳房が左右に零れる。今のこの反応で『感じていない』と判断する人間はいないだろう。
「どうだ。浅い部分でじっくり焦らされてから、深ぇトコまで一気に満たされた気分は。クソと浣腸を同時に味わってる感じだろ? 入口の快感が目覚めてなきゃ、そのエクスタシーはねぇんだぜ。ついでに言やぁ、コックがデカすぎてもダメだ。苦しくって快感どころじゃねぇからな。お前にこの快感を教え込めるのは、このタイミングの、この俺だけだ」
ダーナルは、さっきの自虐とは打って変わり、誇らしげに胸を張る。黒人英語のその語りは、調教師仲間とロドニーから苦笑と拍手を引き出した。その反応を見て、客達もダーナルが何かを成し遂げた事実に気付いたようだ。
半端者から一転、英雄のような扱いを受けるダーナルは、さらに勢いづいて沙綾香を責めたてる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋み、節くれだった木の根のような剛直が、ふっくらとした赤い輪の中を前後する。
「んぐううっ、くああっ……!! やだ、やだやだぁっ!! 入ってくる、奥まで入ってくるぅぅっ!!」
沙綾香は頭上のシーツを掴んだまま、幼子のように首を振った。
「何を今さら……と言いてぇとこだが、そんな反応にもなるわなぁ。さっきまでハードに犯られてたっつっても、アヌスの感覚はドナンでボヤけてたんだ。ハンバーガーを口に頬張りながらコーラを流し込んだようなもんよ。それじゃ、コーラの味は判らねぇ。その点今は、俺がしっかりマウスウォッシュしてやったからな。コーラってのがどんだけ美味ェもんか、しみじみ理解できんだろ。別の言い方すりゃあよ、テメェはアナルのセカンドバージンを、この俺に捧げてるわけだ。嬉しいだろ? なあッ!?」
ダーナルは、野獣の本性を露わにし、沙綾香の太腿を外から抱え込んだ。そしてその太腿を引き付けつつ、深々と腰を突き入れる。
「んぐううっ!!?」
肉のぶつかる音がした瞬間、沙綾香は呻きを上げた。膝立ちになったダーナルが、黒人のバネを活かして滑らかに腰を前後させれば、沙綾香の反応もそれに引っ張られる。
「んぐっ! んぐっ! んぐっ! んぐっ!!」
沙綾香の上げる声は単調だ。だが、セックスにおける単調さは、時として最適解にもなり得る。コップを快感という水で満たす時、蛇口を揺らす必要などない。ただただ単調に、水を注ぎ続けるのが一番早い。
「んぐっ!」
7度目に同じ呻きを発した直後、沙綾香は背中を浮かせた。
「…………い、い…くっ…………!!」
はっきりとマイクに拾われたその声に、客が息を呑み、顔を見合わせる。
「……今あいつ、イク、つった……?」
「おお、聞こえたな。イッた……んだな」
はっきりと耳にしたはずの言葉を、改めて確認し合う客達。それは今の絶頂が、これまでとは別物と捉えられた証だ。
「日本のお仲間が注目してるぜ。お前のエクスタシーによ」
脱力した沙綾香に、ダーナルが囁きかける。沙綾香はそれを耳にすると、白目を剥きかけていた目を瞬かせ、歯を食いしばってダーナルに向き合った。
「健気なやつだな。犯し甲斐があるぜ」
ダーナルは嬉しそうに笑いながら、ぐいっと太腿を引きつけ、沙綾香の内腿にくっきりとした溝を刻ませる。
「んんぐっ、ぐひぃっ!! ア゛、ああっ……ひ、ひっ……!」
ピストンが再開した後、沙綾香が目を見開いていられたのは、ほんの数秒だった。そのうち目は細まり、閉じ合わされ、顔全体で我慢できないという表情を作る。手も足も、何かにしがみつくので精一杯という風だ。
それを見て、ダーナルがまた体位を変えた。太腿から手を離し、膝裏を一気に抱え上げる。そうしてマングリ返しの恰好を作り上げてから、圧し掛かるように挿入していく。
「んあああ゛あ゛あ゛っ! だ、だめ、お尻が、拡がっちゃう!!」
沙綾香の反応は大きい。足全体がぶるぶると震え、切ない声が上がる。
「はははははっ! こうやると、腸の壁がキュウキュウ吸いついてきて最高だぜ!」
ダーナルはほくそ笑み、沙綾香の膝裏を押さえつけながら腰を振る。
「くはっ、あ、あがっ!! し、子宮っ……子宮が、ああ……っ!」
沙綾香は余裕のない様子で、子宮という言葉を繰り返していた。ほぼ真上から挿入されると、横向きに挿入されるより、子宮を強く刺激するんだろう。
ベッドが軋む。沙綾香の反応が、さらに大きくなっていく。掴まれた両脚が暴れ、両手は強くシーツを握りしめる。
「んぐっ、う゛っ、ぐひいいっ!! んぐうう、はぐぃんゆううっ!!!」
白い歯が噛み合わされ、全身が震えた、次の瞬間。割れ目から、勢いよく飛沫が上がる。潮噴きだ。体勢が体勢だけに、飛沫は容赦なく沙綾香の顔に浴びせかかる。だが、沙綾香はそれをよけようともしない。後頭部をベッドにめり込ませ、顎を浮かせたまま、ガクガクと痙攣している。
「あいつ、どんどんイキ方酷くなってんな……」
客の一人が、ぽつりと呟いた。悪意ある野次ではなく、客観的な分析なだけに性質が悪い。確かに、沙綾香の絶頂は回数を経るごとに深くなっている気がする。今も彼女は、シーツを掴み、胸をせり出したような格好のまま、全身をピクピクと震わせて余韻に浸っている。
「おいおい、ヘバんのは早いぜ。まだ始まったばっかだろうが」
ダーナルはそう言いながら前傾を深め、沙綾香の唇を奪いにかかる。
「んや、あっ!!」
沙綾香は顎をうねらせるようにして口づけを避けるが、そこに注意を向けたぶん、足の震えが余計に酷くなった。
「んあっ、あああが、はあ…っぉ! ほぉっ、ほおっ……これだめ、だめ、っんひいいっ!! おねがい、だめ、もうダメ……っ!!」
沙綾香は必死だ。圧し掛かるダーナルと視線を合わせ、必死の形相で訴えかける。だがダーナルは、それを見ても笑みを深めるだけだ。
ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「あかはっ……!? あがっあ、あ゛……ハッ、ハッ、んむれぁあっっ!!」
沙綾香は、ダーナルの鎖骨を掴んだまま、あえなく身を震わせる。そして最後の最後には潮を噴き散らし、脱力した隙に唇を奪われる。
おーっ、という声が、客から起きた。笑っている人間もいるが、驚いている声の方が多いようだ。それは、沙綾香への調教が着実に進んでいる証のようで、気味が悪い。
「ふひゃははははっ!! 唾が美味えなぁ、屈服させた女だとよお!」
ダーナルは望むままに沙綾香の唇を貪り、腸内を蹂躙し続けた。そして、たっぷり40回以上もピストンを繰り返した果てに、腰を震わせながら精液を注ぎ込む。その量と濃さは凄まじく、沙綾香の背中の筋に沿って、くっきりと白い雫が滴り落ちるほどだった。
※
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ!!」
沙綾香の呼吸はまだ荒い。彼女はベッドの上で横向きに倒れたまま、シーツにしがみつくようにして震えていた。重ね合わされた脚の間では、白い精液が割れ目を覆い尽くし、前と後ろのどっちを使われたのか判別できないほどだ。
「あああマーキス、マーキスっ!! もっとだ、もっと奥まで突いてくれっ!! 頭が真っ白になって、ビリビリする感覚をもっとくれっ!!」
右側のベッドでは、藤花がマーキスと正面から抱き合いながら、自ら刺激を欲していた。
「参ったなこりゃ。タマの中身、根こそぎ搾り取るつもりかよ? おーいお前ら、そろそろ加勢してくれや。もう一巡したこったし、いいだろ? このままだと乾涸びちまうぜ!」
マーキスは顎の汗を拭いながら苦笑し、仲間とロドニーに視線を向ける。
「完全に一巡したらと思ってたが、まあいいぜ。早ェモン勝ち、どっちを犯しても良し。好きにしろ。ただ、前は使うんじゃねーぞ」
ロドニーが許可を出すと、黒人共の顔に笑みが拡がった。
「っしゃあ、待ってたぜ!」」
「どっちを味わったもんかな。サムライガールはあの下半身の筋肉だ、ケツの締まりも良さそうだが……サヤカの方も、昨日抱いてねぇからな。昨夜一晩、あのガキのヨガり顔が頭に浮かんで悶々としててよ、今日は目いっぱい犯し抜くって決めてんだ。だが、タイロンの野郎にでも先越されちゃ、せっかくのサムライガールの穴がガバガバになっちまうし……くうーっ、悩むぜ!」
「ヘッヘ、解るぜ兄弟。スパイシーとスウィート、どっちも美味そうだ!」
連中は唇を舐め回し、臨戦態勢の逸物を扱きながら沙綾香と藤花を見比べる。最初に動き出したのはダリーとドミニクで、どちらも沙綾香のベッドを選択した。
「きゃ、やめっ……! 今はダメっ!!」
絶頂の余韻から抜け出せていない沙綾香は、這って逃げようとする。だがダリーは素早くその足首を捉え、自分の方へと引き寄せた。
「そう身構えんなよ。なにも泡姫をやれってんじゃねぇ。ケツの穴だけ引き締めて、付属品みてぇにじっとしてりゃ済むハナシだ」
ダリーは沙綾香の腰を掴むと、肛門から漏れるザーメンを亀頭に塗りつけ、狙い定めて挿し貫く。
「は、んお……っ!!!」
沙綾香は、凄まじい表情をした。顎が浮き、足の十本指がシーツを掻く。タイロンに次いで二番目に太い怒張だ、刺激も生半可じゃないんだろう。
「おおっ、すっかり締まりが戻ってやがんな。絶妙の吸いつきとトロトロ加減がたまらんぜ!」
ダリーは嬉々として腰を掴み直し、本格的なピストンを開始する。這いつくばる沙綾香の、尻だけを高く掲げさせる格好だ。
「んんっ、ふーっ、ふーっ……あっぐ、う゛!!」
沙綾香は、シーツに口を押し付けて声を殺す。ダーナル相手の時よりずいぶんと苦しげだ。だが、犯すダリーはそんな事を気にもしない。
「へへへ、腰が気持ちよさそうにうねってるじゃねぇか」
「ふッ、ふッ……ち、違、う……!」
「何が違うんだ。お前、ダーナルにアナルセックスの良さを教え込まれたんだろ? アイツの“ポークビッツ”でヨガるような女が、俺の極太で感じねぇはずねえだろうが!」
沙綾香が否定しようと聞き入れず、あばらの辺りを腕で掬い上げ、四つん這いの体勢を取らせる。そこから始まるのは、奴が得意とする、横方向の突き込みだ。
「んおお゛っ!!」
4段腹が叩きつけられた直後、沙綾香から濁った声が漏れた。涙は水平に飛び、舌は前に突き出る。
「おこほ゛っ、んお゛っ! おお゛っ、お、ほおお゛っ!!!」
ピストンを受けて漏れる声は、すべてが濁った『お』行だ。壊れそうなベッドの軋みは、沙綾香から余裕が剥ぎ取られる音に思える。
「お゛おお゛っ、ほおお゛お゛っ!! んあ゛お゛っ、おお゛っお゛お゛ーっ!!!」
肉を波打たせ、悲痛な声を上げる沙綾香。彼女は、汗でダリーの手が滑った一瞬の隙をついて、かろうじて拘束から抜け出した。だが、希望が見えたのもほんの一瞬だ。
「くくくっ。待ってたぜぇ、子猫ちゃんよお!」
這って逃げる沙綾香を、今度はドミニクが捕まえる。奴はダリーの失敗を踏まえてか、しっかりと沙綾香の下腹部を抱え込んで挿入を果たした。
「んああッ!!」
怒張が入り込んだ瞬間、沙綾香の上げた切ない声は、凌辱者の心をさぞ満たしたことだろう。ドミニクは笑みを浮かべ、沙綾香の腰を引きつけはじめる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「んッ……んくっ、ぐ……んんんっ! んんっ、くうんんんっ!」
ダーナルの肛門開発は、想像以上に沙綾香を毒したらしい。彼女はドミニクの突き込みに、快感を隠せない。手がシーツを掴み、顎が寝台に沈み込む。
「おら、おら! ケツが吸いついてくるぜ、気持ちいいんだろ!?」
ドミニクが叫んだ、ちょうどその直後、沙綾香の腰がぶるっと震えあがった。
「んむううぅうんんん゛っ!!!」
口と喉を閉じたまま、快楽を叫ぶような声。それも異様だったが、同時に足の間から噴き出した潮の量も、見過ごせるレベルじゃない。
「うっわ、すっげぇ噴いたな……」
「もうほとんど小便だな。マンコでイカせたって、あそこまで噴くのってそうそうねぇぞ」
「女とは、肛門でああも感じられるものなのか……」
客は、唖然とした様子で沙綾香を観ていた。あれだけ事あるごとに野次を飛ばしていた客が、茶化さない。茶化せるほど身近な存在だった沙綾香が、刻一刻と変わっていく……その事実に、笑いを引っ込めた感じだ。
胸がざわつく。いっそ馬鹿騒ぎでもしてくれていた方が、まだ救いがある。
藤花のいる右のベッドは、まさに馬鹿騒ぎだ。
「あっ、はぁっ、はぁっ……あ、あ、んっ……!!」
藤花は、胡坐を掻いたレジャナルドに抱えられる形で肛門を犯されていた。太い怒張が出入りするたび、艶めかしい吐息が漏れる。指が荒々しく乳房を揉みしだけば、ドクドクと母乳があふれ出る。気持ちが良さそうだ。そしてそれは、犯しているレジャナルドも同じだった。
「へへへ、括約筋の強ぇガキだな。食い千切られそうだぜ。入口はギュウギュウ締まって、中もねっとり纏わりついてきて……。お前のお友達もだがよ、日本人のアナルってのは名器揃いか?」
レジャナルドが上機嫌に語りながら、リズミカルに肛門を突き上げる。
「んッ、あ…あ、あッ……! いい、いい……もう、い、イキそうだ……!!」
「ほぉ。なら、スパートかけるか!」
藤花の言葉で、レジャナルドはさらにペースを上げた。ベッドが騒々しく軋み、左右についた藤花の脚が強張る。
「あ、あああ……あああっ来たぁっ!! んいっ、ひっぎ……あォぉお゛っ!!!」
藤花は、歯を食いしばりながら笑みを浮かべた。そして次の瞬間、大きく背を仰け反らせる。
「ぬうううっ!!!」
後ろのレジャナルドが顔を顰めたのは、肛門の締まりが強くなりすぎたせいか。
「あ゛アッ、んあ゛っ……はあ、はあ……はあっ……」
「ククッ、気持ちよくイキやがって。俺もそろそろだ、しっかり受け止めてくれよ!」
ぐったりとした藤花を支えつつ、レジャナルドが追い込みを掛けた。藤花の頭と乳房が揺れる。
「オラッ、いくぞおっ!!」
「っひ、あがっ! くああああ゛あッ!!!」
レジャナルドと藤花が身を震わせ、同時に絶頂する。だが、その後の反応は全く違った。満足げに息を吐くレジャナルドに対し、藤花はなおも物欲しげだ。
「はっ、はっ、はっ、はっ……す、凄い……黒人のペニスが、こんなに気持ちいいとは! なあ、もっとだ、もっと突いてくれ! その硬くて熱い物で、腹の奥から子宮を刺激してくれ! もっと痺れたいんだ! 刺激が欲しいんだ!!」
レジャナルドの首を抱え込み、口を吸いながらねだる藤花。
「オイオイオイ、マジかよ。マーキスだけじゃ飽き足らず、俺まで搾り尽くす気か? ったく、ハングリーな女だな。いいぜ、なら死ぬほど食わせてやるよ。泣いて後悔すんじゃねぇぞ!」
レジャナルドは苦笑するが、奴としても吝かではないらしい。胡坐を崩し、両足でしっかりとベッドを踏みしめると、腰ごと叩きつけるようにして藤花を突き上げる。
「んがっ、おごぉぉっ!? んごっ、ほおおっ!!! ふ、深い! いい、良いっ! ほっ、ほおっ……もっと、もっとだ、もっと刺激してくれっ!!」
藤花は満面の笑みを浮かべながら、自ら腰を上下させ、レジャナルドの剛直を深々と受け入れる。
「くーっすげえ、コックがヒリヒリすらぁ! ホントにジャパニーズかよお前? ギリシャ女みてぇな貪欲さだな!」
レジャナルドは驚きつつも、負けじと腰を突き上げる。筋肉質な男女が争うように腰を叩きつける様は、スポーツの試合でも観ているようだ。だが、それがセックスであることは紛れもない事実。鍛え抜かれた男と女の肉体が、刻一刻と快感の反応を大きくしていく。
「そうだ、そこがいいっ!! そこ……ん、あ、あああイグッ、イグうッ!! ふううっ、はお、ほおおぉぉっ!! し、痺れるッ……頭から、つま先まで……っ!!!」
藤花は生き生きとしていた。かつての剣道の稽古を想像させるほど、一心不乱にセックスに打ち込み、快感を追及している。アナルセックスが正式なスポーツと認められる世界なら、彼女はその道でも栄光を掴むことだろう。
一度価値観が反転してしまえば、被虐の道に猛進してしまう……それがあの藤花という子のようだ。
「オメーらもやるじゃねぇか。あの剣姫が、すっかり立派なマゾ奴隷だ」
ロドニーが感心した様子で、迷彩ズボン達を褒め称える。確かに今の藤花は、疑う余地なく倶楽部好みの『マゾ奴隷』だ。となれば当然、場の意識は、その競争相手に向く。
沙綾香は今、ドミニクとトラバンの相手を同時にさせられていた。ドミニクは大きく開かせた脚の間に腰を打ちつけ、トラバンは顔に覆いかぶさったまま、腕立ての体勢でペニスを咥え込ませている。
「おお゛ゥエ゛ッ! オオえ゛え゛っ! お゛ううぇ゛え゛エ゛エ゛ッ!!!」
沙綾香の口からは、濁りきった呻き声が漏れていた。巨根を喉奥まで突っ込まれた時特有のものだ。見慣れた俺はすぐにそう理解できるが、黒人相手のディープスロートを初めて見る客達は、しきりに沙綾香の喉元を覗き込んでいる。モニターを振り返り、より詳細な情報を求める客もいた。
「すっげぇ……喉を完全にマンコ扱いしてんぜ、あの黒人野郎」
一人がようやく状況を呑み込み、信じがたいという様子で呟く。
「あの、喉がボコーって盛り上がってんの、チンコの形だよな。全部入ってんだな、あのデカチンが」
「ああ。アレ根元まで咥え込まされて、挙句尻まで犯されるとか、どんな気分なんだろうな」
「あたし、あそこまで太いのは経験ないけど、3Pやったことあるからなんとなく解るよ。怖くって苦しくって、心折れるよ、あんなの……」
他の客も、時間差で目の前の現実を受け入れはじめる。
連中が目を疑うのも、仕方ないといえば仕方ない。沙綾香の顔の半分はあろうかという巨根が、割れ目や肛門ならともかく、喉へ入り込むなんて。何度もそれを現実として目にしていなければ、俺だって『有り得ない』と切り捨てるだろう。
今や客の中で、椅子に座って寛いでいる人間はいない。皆が皆、左右のベッドのどちらかに近づき、異人種間のアナルセックスに見入っている。ロドニーはそれを眺め、頃合いや良しとばかりに手を叩いた。肉厚な掌は響きのよい音を立て、20人の客を一斉に振り返らせる。
「さて、審査員のダンナ方。そろそろ決まったか? どっちが本当の『マゾ奴隷』と呼ぶに相応しいか」
その言葉を聞き、客が表情を曇らせる。
「んー。どっちが、っつってもなあ……」
「ううむ……本当のマゾ、か……」
茶化す時の饒舌ぶりとは打って変わって、歯切れが悪い。
「はっ、はぁっ……。もっとだ。もっと、この刺激をくれ……!」
藤花から熱い囁きが漏れれば、客の視線は右のベッドに集まる。
「へへへ。トローンとした目ェしやがって。喉奥と尻を同時に犯されて、脳味噌がピンク色になっちまったか?」
トラバンがえずき汁を滴らせながら怒張を引き抜けば、客は羞恥と陶酔がない交ぜになった沙綾香の表情に見入る。
どちらがマゾ奴隷らしいか。シンプルに考えるなら藤花一択だ。そうならないのは、『審査会』が始まる前にロドニーが放った、この言葉のせいだろう。
──マゾ奴隷ってのは何も、従順ならいいってもんじゃねえ。口でいくら拒もうが、アソコが濡れてりゃあ、そいつは紛うことなきマゾ奴隷だ。肉体的に屈服してるわけだからな。違うかい?
ロドニーにしてみれば、これは苦し紛れの詭弁だったに違いない。だがその詭弁は、客を納得させてしまった。だからこそ、客は迷う。
従順なマゾ奴隷として完成されている藤花か。
反骨心を保ちながらも、肉体が快楽に屈しつつある沙綾香か。
連中にとっては、そのどちらもがマゾ奴隷として魅力的なんだろう。
「サクッとは決まらねぇか。いい勝負じゃねぇか」
ロドニーはふてぶてしく葉巻をふかす。自分のせいで客が迷っているというのに、その状況を楽しんでいる様子だ。そして奴は、指を曲げて迷彩ズボンと剃り込み男を呼びつけ、小声で何か指示を出す。
「はっは。面白ェっすね、それ!」
指示の内容は聞き取れないが、剃り込み男が愉快そうに笑っている時点で、碌な内容でないことだけは理解できた。
※
ロドニーは、黒人共に一旦プレイをやめさせ、沙綾香と藤花を壁際に並ばせる。
「今度は何させる気?」
沙綾香が問うと、それに応えるように、迷彩ズボンと剃り込み男が背後につく。連中はバケツとモップを手にしていた。バケツには、とろみのある液体が入っているようだ。
「何だ、そのバケツの中身は……?」
今度は、藤花が問いかける。
「お前らの大好きなドナンだよ。つっても、さっきの浣腸とは違うがな。塩化マグネシウムと強壮剤、アレな薬もちょいと混ぜ合わせて、ゼリー状にしたもんだ。こいつをケツに塗り込められると、最大級の便意と快楽が味わえるらしいぜ」
迷彩ズボンの男がそう答え、少女2人の顔を引き攣らせる。一方、遠巻きに見守る客は、期待感のある顔になった。
「おら、ケツの穴開け!」
剃り込み男が藤花の尻を叩くと、藤花は素直に脚を開き、肛門に自らの手を添える。
「ほら、お前もだ。それとも何だ、お友達にだけ恥掻かせる気かよ」
沙綾香はやや躊躇っていたが、結局は同じポーズを取らされる。
肛門が横向きに割りひらかれた瞬間、真っ白な精液がボトボトと滴り落ちた。
「すげぇ濃さだ……」
「量もやべえよ。俺なんか、1回の発射がスプーン一杯分ぐらいだぞ。100発出しても、あんな量にならねぇわ」
薬で増強された黒人共の精液に、客が唸る。オスとしての劣等感を感じたのか、その表情は曇りがちだ。
「うっは、どんどん垂れてくんな。気持ち悪りーだろ、掃除してやるよ」
剃り込み男と迷彩ズボンは笑いながら、モップをバケツに浸す。モップと言っても、床を掃除するための、横長のヘッドから繊維が垂れ下がるタイプじゃない。縦長のヘッドを、放射状に繊維が覆っているタイプ……つまり、大型のハンディモップという風だ。それがバケツに浸されれば、たっぷりとゼリーが絡みつく。
「さて、いくぜ」
調教師2人が、眼を見開いて振り返る少女2人の肛門へ、ゼリーの滴るモップをねじり込む。腸のかなり奥まで入り込んでいるようだ。
「……ん、くううああっ!! ず、随分と、深くまで塗るな……!」
「あ、あ……やだ、またジンジンして……っ!!」
効果はすぐに表れた。藤花は半笑いを、沙綾香は苦悶の表情を浮かべ、腰を揺らす。
「どうだ、2回目のドナンは。1回目より蕩けちまうだろ? おまけに今は、出すモン出しきった後だからな。便意が少ねぇ分、ドナンの味が存分に味わえるぜ」
剃り込み男がそう言い聞かせつつ、藤花の肛門からモップを引き抜く。そして精液まみれのモップをまたバケツに浸し、ゼリーを纏わせると、もう一度肛門へと押し込んでいく。迷彩ズボンの奴も当然、沙綾香に同じことをする。
「くはっ……! た、確かにこれは、純粋なドナンとは違うな……。熱くて、痺れるようだ……!!」
藤花は壁に手をつきながら、ぶるっと震えて笑みを浮かべた。
「こ、こんなの、もう一度なんてダメっ! 2回も、堪えきれない……!!」
沙綾香の方は、恐怖一色だ。汗の滲む顔を歪ませ、不安を顔に表している。
結局、藤花と沙綾香は、4回に渡ってゼリーを腸内に塗り込められた。モップが引き抜かれれば、外側へ捲れた肛門が露わになる。
「何度見ても、凄いな……俺の腕突っ込んでも、まだまだ余裕がありそうだ」
「ああなっちゃ、もう排泄器官じゃねえ。ただのトンネルだ」
ドナンの効果に客がざわつく中、ロドニーが沙綾香達に歩み寄った。
「確かに、こりゃトンネルみてぇなもんだな。これをペニスで埋めるとなりゃ、出来る奴は限られる。タイロンか……俺ぐらいのもんだ」
ロドニーはそう言いながら、クロップド丈のテーパードパンツを脱ぎ去った。露わになるのは、あのローストターキーを思わせるペニスだ。根元のサイズはタイロンと大差ないが、真ん中がその太い根元よりもさらに膨らんでいる。
「きゃっ!?」
客の女が悲鳴を上げた。黒人のペニスを一通り見届けてきた男連中も、口をあんぐりと開けている。
「むううう……! ビデオで目にしてはいたが、生で目にすると……」
「ご、拷問の道具だな、まるで……!」
絶句する客と同じく、沙綾香と藤花も視線を剛直に縫い付けられている。
「懐かしいだろ、サムライガール。水責めん時にハメてやって以来だ。あの感覚……忘れられねぇんじゃねえか?」
ロドニーは、黒光りする凶器を藤花の鼻先に近づけた。藤花がごくりと喉を鳴らす。過去の記憶が蘇ったんだろう。小便入りの水へ顔を漬けられる苦痛を二の次にしてでも、抜いてくれと哀願した、あの記憶が。
「あの時は心を折るのが目的だったが、今度は違うぜ。熟しきったそのアナルに釣り合った刺激をくれてやる」
亀頭で鼻を突き上げながらロドニーがそう語れば、藤花の口の端が緩んだ。ただ、隣で顔面を蒼白にしている沙綾香に気付くと、急いで表情を戻す。
「わかった、相手をしよう。今度は俺がお前に、音を上げさせる番だ」
キリリとした瞳でロドニーを見据え、啖呵を切る藤花。かつての雰囲気を感じさせるその姿に、沙綾香の表情がかすかに明るくなる。だが、ロドニーはその沙綾香に顔を向けた。
「おっと、気ィ緩めてんじゃねえぞ。お前も一緒に犯されるんだ……コイツでな」
ロドニーはそう言って、剃り込み男の方に手を翳す。するとその手に、ある物が手渡された。双頭ディルドーのついた、黒いゴム製の下着……ペニスバンドだ。
「さあ、来い」
20人の客と12人の調教師が見守る前で、椅子へ深く腰掛けたロドニーが藤花を呼ぶ。
「ああ」
藤花は、それを受けてロドニーの前に立った。そして、ゆっくりとロドニーの上に腰を下ろしていく。下着は肛門部分に穴が開いているため、挿入を妨げない。ドナンの効果で緩みきった肛門が、拷問器具のようなペニスを迎え入れていく。
「ぐっ……!」
3割ほど飲み込んだ時点で、藤花が小さく呻いた。他の黒人共を相手にした時のような表情の緩みはない。調教前に巻き戻ったかのような、精悍な顔つきだ。
「へへへ、ドナンはすげぇよな。俺のがズルズル入っていくんだからよ」
ロドニーがそう呟く間にも、さらに腰が沈み、怒張の中ほど……瘤のように膨らんだ部分が肛門に入り込む。その瞬間、藤花の腰が止まった。
「ッ!? うあ、うわあああああああっっ!!!」
藤花は急に叫ぶと、腰を浮かせた。半ばまで入り込んでいた怒張が抜け、ロドニーの腰を跨ぐ形で開かれた筋肉質な脚がガクガクと痙攣する。
「おいおい、どうした?」
「なにビビってんだ、アナルビッチ!」
客と調教師から野次が飛ぶが、藤花は虚空を見つめたまま震えるばかり。
「と、藤花、どうしたの!?」
沙綾香が藤花に駆け寄ると、凍り付いたような視線が横を向く。
「わ、わから、ない……。頭の、天辺まで……痺れが、突き抜けた……」
藤花の吐く言葉は途切れがちだった。便意や快感で余裕のない時の反応だ。
「だろうな。俺のペニスの刺激は、他の連中の比じゃねえ。アナル性感が目覚めた状態で受け入れりゃあ、脳天まで痺れて当然だ」
ロドニーは浮いた藤花の腰を捕まえ、強引に押し下げる。
「んああああ゛っ!! や、やめろっ、沙綾香の前だぞ……ん、くっ、ふぐううう゛っ!!」
藤花の背中が仰け反り、両脚で腰を浮かそうとしても、ロドニーは押し下げる力を緩めない。
「おーお、いい具合だ。ドナンで蕩けた腸壁が纏わりついてきて、最高にエロいぜ!」
嬉しそうに語りながら、あらゆる限界反応を無視して、8割ほどを強引に押し込んでしまう。根元まで挿入しないのは、すでに腸の奥にまで届いてしまっているせいだろう。
「あ、かはっ…あ、オあっ………ア゛ッ」
藤花の脚は、力んだまま宙に浮いていた。代わりに両手がロドニーの腰を押し下げ、少しでも腰を離そうとしているが、強靭な脚の力で無理なことが腕で成し得るはずもない。
「ここまで入るとは大したもんだ。どうだ、極太を丸ごと飲み込まされた気分は。ああ、言わなくてもいいぜ。括約筋の動きで本音は解るからな」
ロドニーは藤花の太腿を押さえつつ、激しく腰を突き上げる。挿入箇所が肛門なんだから、当然直腸を突いているはずだ。だというのに、ロドニーの規格外の巨根は、藤花の下腹をぼこりと膨らませた。肛門壁と膣を丸ごと貫通して。
「くほっ、ほおおお゛お゛っ!!」
あまりの刺激に耐え切れず、高く腰を跳ね上げる藤花。その反応を確認して、ロドニーが沙綾香に視線を向けた。
「今度はお前だ、藤花の上に乗って、だらしなく開いたケツにオモチャを嵌め込め」
有無を言わせぬ口調でそう命じられたところで、抵抗なく従えるはずもない。沙綾香は胸を掻き抱くような仕草で立ち尽くす。
「早くしろ。従わねぇってんなら、コイツをどうするかわかんねぇぞ?」
ロドニーは語気を強め、藤花の下腹に手を宛がった。そして、まずいという顔をする藤花の腰を、また突き上げる。今度は、さっきより性質が悪い。直腸からの突き上げでぼこりと膨らんだ下腹を、腹の上から巨大な手で握りしめる。子宮を上下から挟みつぶすような行為だ。
「……ぉっ、ぉ……っ……!?」
可哀想に。藤花は、声さえ出せなかった。反射的に両の太腿を跳ね上げたまま、顎を浮かせ、唇を尖らせ、視線を上空に泳がせる。沙綾香が『十番勝負』でドミニクに犯された時の、目の前に火花が散るという反応にそっくりだ。だが、似ているだけで違う。あの時の沙綾香は一瞬意識を飛ばすだけだったが、今の藤花は、蕩けるような笑みを顔中に広げていく。まともじゃない──そう直感する表情だ。
「やめて! わかった、言われた通りやるから!!」
沙綾香も危険を察したんだろう。慌てた様子で叫ぶと、ロドニーの前で背を向ける。
「さや、か……」
掠れたような声で呻く藤花を、一瞬振り返ってから、沙綾香は藤花の上に乗る。
「はぁ、はぁ、はぁ……っぐ、んん……んあぁっ、あ…………」
腰を沈めるにつれ、沙綾香の息が詰まっていく。藤花に装着されたペニスバンドは、藤花の割れ目の部分はさほどでもないが、外に出ている部分はかなり太く、表面には凹凸も多い。それがドナンゼリーを塗り込められた肛門を抉るとなれば、その刺激はかなりのものだろう。
「ハハハハッ! モデルみてぇな娘っ子っつっても、2人分だとなかなか重いな。だが、重量感のある女は嫌いじゃねぇぜ!」
ロドニーは笑いながら藤花の肩を掴み、下へと引き込んだ。挿入の速度が増し、ペニスバンドが一気に根元まで入り込む。
「っぎぐううううっ!!?」
沙綾香の顔が歪む。口の右半分は閉じ合わせ、左半分は歯を食いしばるような非対称。瞬間的に激痛か、それに近い刺激を受けた証拠だ。そして、反応したのは沙綾香だけじゃない。
「ああああ゛あ゛っ!! 入る、入るううう゛う゛っ!!!!」
沙綾香の下にいる藤花もまた、壮絶な顔を晒し、床についた両脚をぶるぶると震わせる。沙綾香が力んだことで上から圧が掛かり、ロドニーの物が深く腸内に入り込んだらしい。
「あっ!? ご、ごめん、藤花!」
「フーッ、フーッ……き、気にするな、沙綾香……。俺は、大丈夫だ……」
すぐに振り返って謝る沙綾香と、そんな沙綾香を安心させようとする藤花。その涙ぐましい友情を、ロドニーが鼻で笑う。
「ほぉ、大丈夫なのか。なら、遠慮はいらねえな!」
奴はそう言うと、激しく腰を突き上げはじめた。
「こっ、ほ!? おほっ、んおおお゛っ!!!」
藤花が唇を尖らせ、『お』行の呻きを漏らしながら仰け反る。そうすると今度は、彼女の腰の疑似ペニスが沙綾香の腸内を抉ることになる。
「くはっ、あ゛っ!! んん、んくうお゛……っ!!」
沙綾香は切なそうに身を捩り、腰を震わせた。
「ハッハッハ、これは面白い。まるでドミノ倒しだな!」
「ふふ、確かに。2人纏めてあの黒人に貫かれている感じで、興奮するよ!」
ロドニーが腰を動かす度に恥辱の連鎖が起き、客はそれを見て満足そうに笑う。
「まだまだ、こっからだぜ!」
ロドニーは客の方へ向けて叫ぶと、さらに腰の振りを激しくした。
「っがぁ、ん゛あ゛あああお゛っ!! ハッハッハッ……んひっい゛、お゛ごっ、ううぐう゛あ゛ッ!!」
藤花は口を尖らせて悲鳴を上げる。完全に快楽で蕩けた顔だ。肛門からぶじゅっぶじゅっと水音がするたび、かろうじて床に接している脚の筋肉が浮き彫りになった。
しかも彼女は、ただ受動的に犯されているだけじゃない。意識的にか無意識にか、自ら腰を沈め、足の裏をべったりと床につける。そして一秒後、ぶるっと全身を震わせながら息を吐き出すんだ。
「あの藤花って子、自分から腰押し付けてるよな、アレ」
「ああ。あんな、岩の塊のような物をよくもまあ……」
「完璧にアナルアクメに溺れてるんだろうな。いかにもマゾ奴隷って感じだ」
客は藤花を見て囁き合う。どうやら『藤花こそがマゾ奴隷』という確信を固めつつあるらしい。とはいえ、まだ決めてはいないようだ。その証拠に奴らは、沙綾香にも注意を向けていた。
「ひい゛っ、はううう゛っ!! ぃいああぐっ、んはううう゛っ!!!」
沙綾香にも、やはり余裕というものはない。無機質な黒い疑似ペニスで肛門を抉られながら、歯を食いしばって声を絞り出す。藤花に比べて、こっちは羞恥の割合が多いようだ。
実際、苦しい状況だろう。ロドニーの突き上げの余波だけでなく、藤花自分も不定期に腰を跳ねさせるため、肛門を犯されるのにリズムも何もない。結果、不意打ちに近い形で腸奥を貫かれ、狂ったように腰を上下させることになる。
「うははははっ、凄い腰つきだ! ストリップでもあそこまで露骨に下品な動きはしないぞ!」
「なまじスタイルが良いせいで、余計惨めたらしく見えるな。うまく生きられれば、一生周りから持て囃されて、こんな恥を晒さずにいられただろうに」
「どうかな。結局はこの美貌のせいで、倶楽部に目をつけられたんだろう? これがこの娘の運命だよ。天は二物を与えずと言うだろう。女の誰もが羨む器量を与えられながら、女の誰からも軽蔑されるマゾ奴隷に貶められる。それでこそ、均衡が取れるというものだ」
「ほう、面白い考え方だ。そうだな……確かにこの娘は、ギフトに恵まれすぎている。帳尻合わせが必要かもしれんな」
客は沙綾香を眺めつつ、勝手なことを口走る。『貶められる沙綾香が観たい』──その想いが滲み出ている。藤花をマゾ奴隷と認めた時と同じか、それ以上に強く。
※
肉のぶつかる音が響き、汗が飛び散る。
3人の動きは変わらない。ロドニーが藤花を力強く犯し、藤花はそれを能動的に受け入れ、沙綾香が叫びながら腰を上下させる。その動きは刻一刻と激しさを増し、ある時ついにロドニーが笑い声を上げた。
「おいおい沙綾香、そんなに腰振んなよ。お前がそうやってケツ叩きつけてっと、藤花のマンコのディルドーが奥に入り込むだろ。せっかく処女膜には届かない大きさのを選んでやったのによ、今の調子だと玩具でバージン失っちまうぞ?」
ロドニーのその言葉で、沙綾香が表情を変えた。悪趣味なことだ。藤花の純潔を脅迫材料に、沙綾香の行動を縛るとは。
「……!」
沙綾香は顔を傾け、横目に藤花の顔を伺う。逆に藤花は、自分が観られていることに気づき、だらしなく開いた口を閉じ合わせる。
「さ、沙綾香、気にするな。勝手に腰が動いてしまうんだろう? 無理に抑えることはない、無理をすると気が触れるぞ。お前に処女を捧げるというなら、それもいい……」
そう囁く藤花の口には、薄笑みすら浮かんでいた。幼い弟達から慕われる彼女らしい、思いやりに溢れる言葉だ。だが、ただでさえ藤花に負い目を感じている彼女が、そんな言葉に甘えることはない。
「んぐぐ、ぐ……っ!!」
沙綾香は手足に力を篭め、藤花に密着したまま動きを止めた。ロドニーは遠慮なく突き込み、それを受けて藤花も腰を揺らすが、沙綾香はじっと踏ん張る。藤花の方へ体重をかけないように。だがそれは、ペニスバンドの刺激を余さず受け止めることを意味する。沙綾香の肛門はドナンゼリーで火照りきった状態だ。そんな場所で凶悪な責め具を迎え入れれば、平静ではいられない。
「ッあは、あおッ、あああおッ、うあ……っく、はあっ……!!」
乳房を跳ね上げながら、沙綾香の上半身が弓なりに仰け反る。内腿が三角に窪み、足指が反る。開いた口から唾液が零れ、濡れ光る割れ目からも液が滴り落ちる。
「おら、おら! どうだ!!」
ロドニーが沙綾香の反応をモニターで確かめつつ、入念に腰を遣う。今度は突き上げるのではなく、藤花の太腿を押さえ込んだまま、グリグリと横方向に腰を捻るやり方だ。ロドニーほど太さのある巨根でそうされれば、腸をこじ開けられる感覚は洒落にならないことだろう。
「っこほおお゛お゛っ!? やえろっ、やめてくれええ゛っ!! 拡がる、拡がる拡がる゛う゛ーーーーッッ!!!!!!」
案の定、藤花は全身を震わせて絶叫する。そしてロドニーが太腿から手を離すや否や、解放されたバネのように腰を跳ね上げた。その結果、沙綾香の肛門に浅く嵌まっていた巨大ディルドーが、根元まで沙綾香に突き刺さる。
「うくお゛ほっ……!?」
急所を突かれた。沙綾香の反応は、そういう風だった。見開かれた眼の中で、瞳孔が開く。両手は力なく空を掴む。そして、反射で180度開いた足の合間から、ぶしゅっと潮が噴き出した。透明な液は、何にも阻害されず、まっすぐ客の足元にまで浴びせかかる。
「…………エッロ…………。」
客の一人が、感情を篭めて呟いた。手を握りしめ、前傾姿勢で沙綾香に見入る他の客も、無言で賛同しているようなものだ。
そして、沙綾香の極限の反応に魅せられた人間は他にもいる。
「あああもう我慢できねぇ! おいロドニーさんよ、俺らも混ぜてくれや。クチなら使ってもいいだろ?」
「頼むぜ。まだ全員1回しか射精してねぇのに、こんなモン見せつけられちゃ生殺しだ。コックが破裂しちまうぜ!」
やや離れて様子を伺っていた黒人共が、沙綾香達を取り囲んで騒ぎ立てる。
「へッ、そういやそうか。わかった、いいぜ。喉でも気持ちよくしてやれ!」
ロドニーからはあっさりと許可が下り、黒人共が喜び勇む。何本もの剛直が準備を整えるが、黒人共の腰の高さや、折り重なった体勢の関係から、藤花の口に咥えさせるのは難しい。そこで必然的に、沙綾香がターゲットになった。
「しゃぶれ!」
いつになく荒々しい口調でジャマールががなり立て、沙綾香の口に横から怒張を捻じ込んだ。
「んぐっ……!!」
日本人平均の倍は太さのあるペニスだ。口に押し込まれた瞬間、沙綾香の顔が歪む。だが、性欲の滾った獣は配慮などしない。沙綾香の頭を抱え込み、思うがままに口内を蹂躙する。
「んぶっ、ぼうっ!! んぶうっ!!」
紅潮した頬は、何度も亀頭の形に盛り上がった。
「ん゛お゛っ、ん゛ぉ゛う゛っ! おぉ゛う゛え゛っ!」
たまに挿入方向がずれ、喉元が盛り上がると、短い嘔吐のようなえずきが漏れる。
「ああああダメだ、もたねえっ!!!」
ジャマールは唸りながら腰を震わせた。沙綾香が呻きを漏らし、2秒後、口に収まりきらない精液がどろりと垂れる。本来ならこの射精をもって一区切りだが、今は相手が1人じゃない。
「よし、今度はオレだ!!」
2人目にはレジャナルドが名乗りを上げる。奴は沙綾香の額と顎を掴み、顔を完全に自分の方に向けさせてから、深々と怒張を咥え込ませた。
「っふぅ゛ううう゛う゛おお゛オ゛オエ゛エ゛エ゛エ゛ッッ!!!」
ただでさえ息の切れた状態で、ジャマール以上の太さを咥えさせられては堪らない。一瞬にして沙綾香の頬が膨らみ、見開かれた目から涙が伝う。それを見ても、レジャナルドはやはり同情などしない。脚を後方に踏ん張り、腰をやや押し出し気味にしながら、掴んだ沙綾香の口を『使う』。
「ん゛ごぉ゛うっ、オエ゛ッ!! ぉほも゛ろ゛ぉうええ゛ッ!!!」
腰がぶつかるたび潰れる鼻の横を、次々に新しい涙が零れ落ちる。口からは普段以上に唾液や胃液が滲み、さっきの精液と混ざり合って、牛乳のような白さの泡を剛直の周りにびっちりと生み出していく。
そして当然ながら、苦しいのは口だけじゃない。今の沙綾香にとっては、その地獄の苦しみですら副次的なものだろう。刺激のメインは言うまでもなく、腸を深々と抉る異物だ。
彼女の脚はもう、180度の開脚から戻らない。大股を開いた藤花の脚が邪魔なのもあるだろうが、自らその角度を保っているように見えた。
見事なスタイルだ。細く引き締まった腰から、思い切ったようにむちりと肉感的な太腿が広がっていく。だが、内腿の窪み具合は、その麗しいイメージとは正反対だ。彼女の中を巡る快感がどれほどのものか、考えずにはいられない。
「あはっ、ああははアおお゛っ!! さ、ささ、沙綾っ香、大丈夫、か……っ!!」
藤花は沙綾香を案じて声を掛けるが、彼女にも余裕はない。ロドニーは藤花の責め方を見抜いたらしく、横に縦にと緩急をつけて腰を蠢かしていた。そのせいで、藤花の足先は床から離れている。肛門を貫くロドニーの剛直だけを支点にして、腰が完全に浮いてしまっている状態だ。
その串刺し刑にも等しい状況に、藤花は余裕を残せない。黒目はほとんど上瞼に隠れ、口は涎を垂らしながら、笑みを完成させている。意味のある言葉を発せているのが、奇跡としか思えないレベルだ。
「そうーらサムライガール、またいくぜ。大好きな大好きな、この角度だ!」
ロドニーがそう言いながら、奥まで入り込んだ怒張をグッグッと突き上げる。
「っあおオオオ゛ーーっ!!!!」
藤花の微笑む口が縦に歪み、奥歯までを覗かせた。同時に腰も跳ね上がり、沙綾香の細身を宙へ浮かせる。
「うも゛ごっ、けェエ゛…………っ!!!」
沙綾香は、えずき損ねたような呻きを漏らし、下半身を震えさせる。そして直後、肛門からぶちっと破裂音が響いた。続いて尻肉がヒクヒクと痙攣し、透明な液が細い奔流となって、藤花の腿を流れ落ちていく。
「おいおい、友達の上でクソすんじゃねぇよ。いくらアナル性感がバカになってるからってよぉ!」
モニターを見上げたロドニーが大いに嘲笑い、その嘲笑をもって、凍り付いていたフロアの空気が動き出す。
「……すんげぇな」
客から最初に漏れた一言は、やはりシンプルなものだった。それは、言語化できないほどの感情を抱えた証でもある。
「ああ。どちらも凄まじい……これは、決められんぞ」
「さっきは藤花の方に一票と思ってたが、あの沙綾香の反応はヤバイって」
「俺、逆だ。さっき沙綾香にしようと思ってたけど、藤花にド肝抜かれたわ」
客がざわつく。最後の判断材料として催されたこの見世物が、かえって客の迷いを深くしたようだ。
俺が客の立場だったとしても、今の一連の流れを観た上で、どちらかを切り捨てるのは難しい。少し思い返すだけでも、網膜に焼き付くレベルの衝撃的な場面が、まざまざと浮かぶ。沙綾香のものも、藤花のものも。
「おい、やっぱり決まらねぇじゃねぇか」
ソファで一人煙草をふかしていた手越が、ロドニーに苛立ちの声を上げる。何か案でもあるのかと好きにさせたが、結局は遊びたかっただけか──そういう非難を孕んだ声色だ。
「カッハッハッ! 2発目のドナンかましてハメりゃ、どっちかヘバると思ってたが、結局見せ場を作っちまったぜ。女の友情ってのは紙切れみてぇなもんだと思ってたが、案外強ェな。ま、こうなっちゃしょうがねぇ。どっちをマゾ奴隷らしいと思ったか、インスピレーションで答えてくれ」
ロドニーは可笑しそうに笑い、並み居る客の顔を見回した。腐っても元軍人。いかに態度が軽くとも、そうしてギョロリと一瞥するだけで、客に不満を呑み込ませる眼力がある。
「ま、強いて言うとな。マゾ奴隷と認められた女は、この後ここにいる黒人共に、朝まで可愛がられることになる。アンタらはそれを好きに見学したらいい」
ロドニーはそこで言葉を切り、客を焦らす。
「ええっと、つまり……?」
1人の客が待ちきれずに問うと、ロドニーは唇を吊り上げた。
「つまり、こういう考え方もアリってことだ。『延々とヤられまくる姿を見たいのは、どっちか』。完熟した実が、果汁を噴き出しながら貪られるのを観たいか? 熟れかけの実が、甘ーく熟していくのが観たいか? それで決めりゃあいい」
ロドニーは諭すようにそう語り、藤花と沙綾香の脚を叩く。
「んっ……!!」
「くあっ、はああっ……!!」
沙綾香と藤花は、その刺激だけで震えた。苦痛と快楽が混ざり合った、やや青い呻き。快楽が前面に出た、完熟の喘ぎ。それを耳にして、客が生唾を呑む。
そこからは、喧々諤々の議論が繰り広げられた。沙綾香に魅力を感じる人間、藤花に魅力を感じる人間。それぞれにかなりの数がいた。だが最終的には、すでに完成されているものより、変わっていく姿が見たいという声が大勢を占める。
「俺達が選ぶのは……サヤカだ」
20人の代表として、初老の男がロドニーにそう告げた。それを以って、3度目の『審査会』も沙綾香の勝ちで幕を閉じる。だがそれは、いつにも増して苦い勝利だった。
「アハハハハッ!! だってよ沙綾香、良かったなあ!? 尻穴専用の奴隷として、2週間以上も調教されまくったこの剣姫様より、お前の方がもっとマゾで変態らしいって認められたんだぜ? ったく、天才的だよなあ、“お嬢ちゃん”よう!」
ロドニーはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の耳元に悪意を噴き込む。明らかに最後の一言は、明らかに財閥令嬢としての出自を茶化すものだ。
「…………ッ!」
沙綾香の顔が歪む。
「…………くそっ! 俺が、身代わりになれていれば…………!!」
藤花もまた、悔しげに唇を噛み締めていた。
恥辱と後悔に彩られた幕引き。しかも、それで終わりじゃない。
「さあ、楽しもうぜぇ。“いつもみたいに”よぉ!」
黒人共が沙綾香の腕を掴み、体液を滴らせながら立ち上がらせる。
夜が更けた今から始まるのは、血だらけの身に塩を塗り込む、悪夢の宴だ。
※
「くはっ、ああああ゛ッぐ!! はぁあっ、ひ、いひぎいいい゛っっ!!」
ベッドにうつ伏せになった沙綾香が、悲痛な声を響かせる。そんな声が出るのに、何の不思議もない。
『審査会』よりも盛り上げろ。ロドニーがそう命じたことで、黒人共は使えそうな道具や薬液をすべてかき集め、遠慮のないハードプレイを繰り広げた。
モップで都合3度目になるドナン液を塗り込んでから、肛門に玉蒟蒻を10個詰め込み、ペニスサックを装着した状態で犯す。それが今のプレイだ。
表面に凹凸や突起があり、長さも太さも増強するペニスサックは、日本人のペニスをも凶器に変える。それを黒人共がつければ、それはもう完全な拷問具だ。
「うははっ、すんげぇうねりだな。ちょっと落ち着けよ」
背後から犯すマーキスが、沙綾香の反応を嘲笑う。奴は肉厚のペニスサックを選んだため、肛門から覗く逸物は、モーリスのそれをも上回る直径を備えている。
「ち、違うの! 私じゃない! もう自分じゃどうしようもないの、お願い、突かないでっ!!」
沙綾香は喘ぐような口調でマーキスに乞う。だが、マーキスに哀願は通じない。
「馬っ鹿だなオメー。それ聞いて、俺がやめると思うか?」
マーキスは沙綾香の肩を押さえ込み、顔面をシーツに押し付けながら腰を遣う。巨木のような太腿が沙綾香の上で踊り、バンバンと凄まじい音を立てる。
「うぎゅうぃいい゛い゛っ!!!! いいいイグッ、イグっいぐッッ!! し、子宮とお尻の奥で、どっちもイってるのぉ゛っ!!」
沙綾香は無理矢理顔を持ち上げ、絶叫する。膝から下は狂ったように暴れ、何度も足の甲をシーツに叩きつけて、寝台そのものを弾ませる。それでも、マーキスは責めを緩めない。むしろ嗜虐の笑みを顔中に広げ、沙綾香の上腕を握りこみながら腰を落とし込む。今の沙綾香がもっとも嫌がるだろう、全体重を掛けて肛門を杭打ちするやり方だ。
「ふわぁわあああああ゛あ゛っっ!!!!」
レイプ魔が確信をもって打ち込んだ毒は、細い身体へすぐに回った。普段ならまず出ない、幾重にも重なったような絶叫が絞り出される。
「あだま゛、真っ白になっちゃう゛っ!! お願いやめて、お願いお願いお願いいい゛っ!!!」
沙綾香は泣き声を漏らしながら、せめてもの抵抗か、踵でマーキスの尻を蹴りつける。
「おーいおい、痛ぇなあ!」
マーキスはどこか嬉しそうな声色を出しながら、制裁とばかりに前傾姿勢を深めた。膝を深々とシーツに沈み込ませ、グリグリと腰を回転させて、沙綾香の下腹部をベッドに圧し埋める。
「ッーーーーー!!!!!」
沙綾香から、声にならない声が漏れた。マーキスに掴まれた腕の先がびくんっと強張る。抵抗を続けていた足も力を失くし、シーツへと落ちた左足だけが、病的なつま先立ちで脹脛を盛り上げる。
「おおおおおおっ、締まる、締まる! すっげえええっ!!!!」
マーキスが驚きの声を上げながら、太腿を筋張らせた。どうやら射精に入るようだ。オーウ、オーウとマーキスが喘ぐ中、ふっと沙綾香の全身が弛緩する。女子高生らしい、むちむちとした肉感を取り戻した足の間から、水音が漏れた。カメラの角度的に直接は確認できないが、次々に変色していくシーツを見れば、何が起きたかは明白だ。
「ははは、また潮を噴いたぞ」
「いや、流石に今度のはションベンしょ。量すげぇし」
「潮もおしっこも大差ないって。にしてもあの子、ホントよく噴くよね。お尻の奥刺激されると、尿道も刺激されるからかな。膣挟んでるだけで、近いといえば近いし」
客はワイン片手に、黒人と沙綾香のセックスを堪能している。空いた手で自ら慰める人間もいれば、百合で溜まりきった性欲を処理している奴もいる。20人近い男から順番に犯されるとなれば、彼女もだいぶ参っているようだ。とはいえ、沙綾香に比べればマシだろう。
「ふーっ、良かったぜぇ最後の締まりは。スーパーウーマンのバキュームフェラかと思ったぜ」
マーキスは満足げに息を吐きながら、肛門の異物を引きずり出す。緩んだ肛門からは、コロコロと玉蒟蒻が転げ出た。マーキスはそれを笑いながらペニスサックを外し、沙綾香の口を開かせる。
「ほら、エクササイズ後のタンパク質と水分補給だ。いつもみてぇにちゃんと飲み込めよ」
ペニスサックからこぼれ出た精液は、沙綾香の舌を覆い尽くす。ヨーグルトのような濃さがある上、普段に輪を掛けて凄まじい量だ。それを飲み込まされるというだけで、並の女子高生ならトラウマものだ。だが今の沙綾香にとっては、ささやかな不幸でしかないだろう。彼女には、感傷に浸っていられる時間などない。
次番を勝ち取ったアンドレが、のっそりとベッドに上がる。奴はうつ伏せのまま放心する沙綾香の傍に膝をつくと、転げ出た玉蒟蒻をもう一度肛門へと詰め直す。そして沙綾香を仰向けにひっくり返すと、その両脚を掴み上げた。屈曲位だ。
アンドレは寡黙だが陰湿だ。奴が装着するペニスサックは、先端がテニスボール大のシリコン球で補強されていた。奴はそれを、いきなり奥の奥まで潜り込ませる。
「おっぐぅううぅ!!」
沙綾香の反応は大きい。つま先までが震え上がり、さっきの出し残しらしき液体が割れ目から流れ出る。顎を浮かせた顔は、その表情をしっかりと客に観られてしまい、局所的な大笑いを巻き起こした。
「いーい顔をしますなぁ、この子は……!」
「ええ。やはり“こっち”を選んで正解でしたね。凛々しい娘が惨めな顔になるのも面白いですが、トップアイドル級の美少女がこんな顔を晒すとなれば、もう一種の奇跡ですよ」
「うううむ……いかん、疼いてきた。おい、その給仕の穴はまだ空かんのか!? 緩いなら手なり口なり使って、さっさと済ませたまえ!」
客が沙綾香の表情に鼻息を荒くする中、アンドレも獣じみた息遣いで腰を上下させる。膝裏を押さえ込みつつ、ぐうっぐうっと一突きずつ入念に押し込む責めだ。
「ォォ゛っ……ォ゛ッ!!! ォっお、ほおォ゛っ……ォ゛、おおっ……!!」
声の出しづらい体勢だけに、沙綾香の呻きが小さく、低い。だが、彼女が感じているという情報は無数にあった。痙攣する太腿もそう。外側に反り返る十本の足指もそうだ。
中でも、斜め上からのカメラに捉えられた表情は印象的だった。アンドレの肩を通して虚空を見つめるその顔は、田舎娘が初めて恋を知った時のように純粋だった。たまたま、呆然とした顔がそう見えるんだと信じたい。意味があってほしくない。特に、快感に骨抜きにされた顔というのは──。
「凄いな、お前。一人でイキっぱなしだ」
ぼそりと、呟きが聞こえる。アンドレのものらしい。寡黙な男に言葉を漏らさせるほど、沙綾香は奴の望み通りの状態にあるらしい。
アンドレは笑みを浮かべながら、ゆっくりと腰を沈めては浮かす。ぎしっ、ぎしっ、とベッドが軋み、初恋の少女の顔が、感動で笑うような顔に変わる。
「っ!?」
沙綾香はすぐに意識を取り戻し、アンドレの肩を押し返す抵抗を見せた。だが、アンドレは止まらない。淡々と、しかし力強く腰を遣い、刻一刻と脆くなっていく沙綾香に同量の無理を強い続ける。
木板に圧を掛け続ければ、ある瞬間にいきなり砕けるように、沙綾香はある瞬間、許容量を超えた。
「…………だめ……だめ、だめ…………っ!!」
囁くような声が前兆となり、沙綾香の肛門からぶりゅっと音が鳴る。根元の太さは補強されていないペニスサックの脇から、玉蒟蒻が4個顔を出し、ボトボトと濡れたシーツに零れていく。静かな決壊だったが、だからといってショックが小さいとは限らない。
アンドレが思うさま腰を遣い、射精し終えて足を解放した後、沙綾香は仰向けのまま伸びていた。
「ぉ……っふ、ぉぉお……。っうふ、ぉ……ッ……ほーーーっ…………」
手足を大の字に開き、腰をヒクつかせて気絶したように喘ぐその様は、彼女がどれだけ深く達したのかを生々しく物語る。そしてもちろん、その休息すら十分には行えない。すぐに次のドミニクが沙綾香を抱え上げ、大得意の背面立位を客に見せつける。
※
床に崩れ落ちた沙綾香の髪を、モーリスが掴んで引き起こす。
「…………おら、シャンとしろ。寝てる暇なんかねぇぞ?」
奴はそう言って、ザーメンまみれの怒張を咥えさせる。半勃ちとはいえ十分な張りを持った、ゴム管のような逸物。それを口で清めさせられる沙綾香は、今にも気絶しそうな有り様だった。顔は青ざめて汗に塗れ、眼にも口にも力がない。それはそうだ。つい今しがたのモーリスで、連続37回目のアナルセックス。フロアの至る所に、彼女から汗と涙を奪ったプレイの痕跡が残っている。
そして、夜はまだ終わらない。
口移しで水分を補給させられた後、沙綾香は強引に立たされ、背後からタイロンに挿入される。
「はっ、はがっ……あ、あ゛っ……っ!!!」
ペニスサックも異物挿入もない、ナチュラルなアナルへの挿入。だが今の沙綾香は、それだけで顔に恐怖を浮かべて腹部を見下ろす。
「ははははっ、解りやすい反応だ。子宮が疼いて堪らんのだろうなあ」
「いや。それどころか、挿入されただけで子宮イキしたんでしょう。ほら見てください、膝に来ていますよ」
客は沙綾香の反応を見て、すぐに絶頂を指摘する。多分、それは当たっているだろう。そして、ギャラリーにすら即座に看破できる状態が、挿入しているタイロンに判らないはずもない。
「おうおう、締まる締まる。吸いつく感じが戻ってきたじゃねぇか」
タイロンは嬉しそうに囁きながら、沙綾香の割れ目に指をくぐらせる。
「あ、やあっ!! やめてよ、前はっ……!!」
「何がやめてだ、ケツに入れられてる間じゅうヒクヒクさせっぱなしのくせによ。ようお前ら、お嬢ちゃんが口寂しいってよ。前にオモチャでも当ててやれ!」
タイロンが沙綾香を羽交い絞めにしながらそう言うと、他の黒人共も笑みを浮かべた。ドミニクが近くのマッサージ器を拾い上げ、スイッチを入れて、身動きの叶わない沙綾香の下腹へと宛がう。
「あ゛っ、あ゛ーーっ!! や゛っ、だめっ……んっ、んぐうっ!! はぁ、はぁ゛……っ!!」
沙綾香は焦りを隠せない。ドミニクの顔を睨みながら、脚を内股に閉じる。
「どうした、隠すなよ。皆に見てもらえ!」
ドミニクは沙綾香の脚を手で押し開き、強引に開脚させながらマッサージ器を宛がい続ける。
「んぐっう! おっ、おぉ゛っ、ぉお゛っ、ぉおお゛っ…………あ゛、ああ゛ーっ、あ゛ーーっ……」
沙綾香の喘ぎが変わった。はっきりとした音を発しながら、足を菱形に開いて腰を前後させる。
「おーっ、イッてるイッてる。めっちゃ腹筋ヒクヒクすんのな」
「すげーっ。こんな可愛い子が、ケツハメ電マであっさり子宮イキとか!」
「それもガニ股でな。すげー絵面だわ、ホント」
客が面白がる間にも、ドミニクはマッサージ器をグリグリと押し付け、沙綾香を追い込んでいく。雑な責めではあるが、今日一日で数えきれないほど達している沙綾香には、力押しの刺激でも十分に効くようだ。
「アアア゛っもう無理、もう無理ぃっ!! 見ないで、見ないでよぉっ!!」
快感より、羞恥心の限界が先に来たんだろう。沙綾香は涙ながらに叫びながら、必死に脚を閉じ合わせる。だが、タイロンがそれを許すはずもない。
「そら、暴れんなって!!」
タイロンは肛門に挿入したまま、沙綾香の太腿に手を掛ける。だが沙綾香が必死に抵抗するのを見て取ると、一旦下腹を抱え込み、グリグリと腰を押し込んだ。
「ひっぐ!?」
沙綾香が顎を浮かせ、膝を震えさせる。
「くっくっ、便利だなここは。『開けゴマ(オープン・セサミ)』ならぬ、『開け結腸(オープン・コロン)』ってとこか」
タイロンは笑いながら、力の抜けた沙綾香の膝を簡単に割りひらいた。すかさずその隙間へ、ドミニクのマッサージ器が入り込む。
「やああああっ!! お願いやめてっ! もうイキたくないっ!! お尻と子宮でイくのも、笑われるのも、もお嫌なのおっ!!」
沙綾香はほとんど半狂乱になり、膝を上げて激しく暴れる。だが肛門を拡げられて力も入らないまま、黒人2人に抗いきるなど無理な話だ。
「やあっ、また……ふ、深いい゛っ!! ァあいく、イックうぅんッ!!」
愛液を散らしながら狂ったように腰を振った挙句、強引に脚を開かされた体勢で公開絶頂を晒すしかない。
「はっはっは、また無様なイキ方だなぁオイ! 名付けてガマガエルアクメってとこか?」
「面白ェけど、ちょっと怖くもなるわ。人間って、こうやって壊れてくんだなーって」
「そうだな。つい2、3時間前までは、強気に睨みつけていたというのに」
「やー、でもしょうがないんじゃない? 俺らがあの立場でも、頑張りきるの無理っしょ。あのガタイの黒人とか、背後取られて腰掴まれた時点で心折れるわ」
客は沙綾香の変化を可笑しがり、あるいは冷ややかに見ながら、それぞれに時間を楽しむ。わずか数十センチほどしか離れていないのに、沙綾香とは別世界の気楽さだ。
その後も沙綾香は、客の目の前に晒されたまま、立ちバックの姿勢で犯され続ける。黒人とは精を放っては次々に入れ替わるが、沙綾香だけは休めない。
自分の親と変わらない歳をした、20人の客……その眼前で、延々と恥を晒し、延々と肛門を犯し抜かれる。それは、どんな気分になることだろう。
「ぉっ、ぉおっ……おッ! ほッ、ッ、ォ、ォおっ……!」
ある時点から、沙綾香の喘ぎが明らかに変わった。はっ、はっ、という喘ぎに混じって、『お』行の喘ぎが漏れはじめる。それまでにも突発的に発されることはあったが、出続けるのは初めてだ。
「どうしたんだろ、あれ」
「今まではなんとか我慢してたけど、諦めたんじゃない?」
「アッハ、女捨てたってこと? 笑えるー」
客は当然変化に気付いて茶化すが、沙綾香は声を殺さない。顎を浮かせ、背中を弓なりに反らせたまま、肛門からの刺激に打ち震える。
どうやらこれは、なんとかアナルセックス地獄へ耐え抜くための、苦肉の策だったらしい。次に沙綾香に表れた変化で、それが明らかになった。
「いや、もうお尻いやっ!! へ、ヘンになっちゃう! これなら、アソコ犯されてた方がマシ!」
両手を背後に引き絞られたまま犯されていた沙綾香が、我慢の限界とばかりに涙を零す。客と黒人共は、この発言を予想していたのか、待ちわびたという顔で身を起こす。
「アソコってなんだよ、オマンコの事か?」
「そ、そうっ! オマンコなら犯していいから、お尻はもうやめて!」
ロドニーが問うと、沙綾香はそれに引きずられて下卑た表現を口にする。それを聞いた客はどっと噴き出し、沙綾香も失態に気付いて顔を歪めた。だがそれも一瞬だけで、すぐに肛門の快感に吞まれていく。
「なるほど、よーくわかったぜ。だが、日本語で言ってもそいつらにゃ通じねえよなあ」
ロドニーの言葉で、沙綾香がハッとした表情になる。彼女は声を震わせながら、黒人共相手に恥辱の哀願を繰り返す羽目になった。
「くっははは! そうかそうか、プッシーが恋しいってか。そりゃ奇遇だな、俺のコックもそう言ってんぜ。たっぷり前を可愛がってやるよ」
黒人共は嬉々として提案を呑み、沙綾香をベッドへと連れ上げる。
珍しくスムーズに要求が通った理由は、決まっている。調教師側にとって、都合のいい展開だからだ。
ベッドに上げられた沙綾香は、トラバンに抱え上げられ、アナルに挿入される。
「あっ!? なんで、お尻はやめてって……!」
「後ろではやらないなんて言ってねぇぜ。前を可愛がるって言っただけだ。こんな風にな!」
戸惑う沙綾香の股に割り入ったダーナルが、逸物の先を割れ目に宛がう。そして、嫌という叫びを聞きながら突き入れた。
「ひぃああああっ!! こ、こんな、こんな…………!!」
「おいおい、なんてツラしてやがる。二穴が初めてって訳じゃねぇだろ。毎晩やってんじゃねぇか」
ダーナルは沙綾香の反応を笑い飛ばすが、肛門開発後の二穴責めが、前と同じであるはずがない。
「ああ、あああっ!! ひいっ、だめっ……あっ、あっ、あ、あああっ……!!」
前後の穴に挿入され、腰を遣われて間もなく、沙綾香は喘ぎはじめた。数日前とは違う。肛門が未開発だった頃は、膣で大きな快感を得ても、それを肛門の異物感が阻害していたはずだ。ところが今は、後ろだけで悶絶するレベルにまで開発が進んでいる。となれば二穴責めの快感は、2倍どころでは済まない。
上下から黒人二人に挟み込まれ、沙綾香の足裏が浮き上がる。足指が握り込まれ、快感で細かに震えだす。
「へへへ、プルプル震えてやがる。まるでバージンみてぇだ」
ダーナルがそう茶化すが、沙綾香に取り合う余裕はない。
「こ、こんなの覚えたら……癖に、なる……。もう普通のセックスできなくなるっ……!!」
沙綾香は、確かにそう言った。普通のセックスができなくなる、と。
普通のセックスとは、俺との行為のことか?
俺との思い出では、物足りなくなりそうだ……そう感じているということか?
「しなくていい。俺らのペットになれ。お前はいい女だ、一生可愛がってやる」
トラバンがそう答え、下から肛門を突き上げる。
「あぐっ!!」
「そーら。ヨダレ垂らした、プッシーにもご馳走してやるぜ。熱々のフランクフルトをよ!」
ダーナルも浮いた沙綾香の腰を掴み、パンパンと音を立てて膣を犯す。
「あ゛ッ、おひっ……んぐっ、んぐっ!!」
上からも下からも逃れるように横を向いた沙綾香の顔が、モニターに映る。前髪が乱れ、汗と鼻水、涎に塗れたその顔は、とても未成年のそれには見えない。ベテランの娼婦……そういう艶を備えている。
「いいぜ、いいぜえ! アナルの壁がうねって、吸いついてきやがる!!」
「プッシーも最高だぜ。ヌルヌルトロトロで、柔らかくほぐれてよぉ。名器が、もっと極上の穴になっちまったぜ!!」
トラバンとダーナルが歓喜の声を上げながら、沙綾香の二穴を蹂躙する。沙綾香は大股を開いてベッドを踏みしめ、快感に身を震わせ……最後には、トラバンに乳首を掴まれながら絶頂する。
「ん゛あああぁあああっ!!!!」
全身を震わせての絶叫。それは今までのどんな声より、通りがいいように聴こえ、マイク越しに俺の鼓膜を痺れさせた。
前後の穴から怒張が引き抜かれれば、どろりと白い液が流れ出し、穴周りがひくつく。今までは痛々しく思えたそれが、今は違って見える。
「はっ、はぁっ……はぁっ……はあっ…………」
頬を上気させ、潤んだ瞳を見せる沙綾香は果たして、あの体内射精を嫌がっているんだろうか?
──なにを、馬鹿な。嫌がっているはずだ。俺はそう信じる。
そう、信じたい。
※
2人一組で、五組。計10人全員がベッドで沙綾香を悶絶させた後、場所が変わる。客が寛ぐソファの前で、直立したまま挟み込む形での二穴責め。
「ほっお……! ごっ、おごっ、ごおお゛……っお゛……!!」
今や沙綾香の喘ぎは、『お』の音ばかりだ。我慢を諦めたのか、それとも声など気にしている余裕がすでにないのか。
少なくとも、余裕があるようには見えない。彼女の全身が、とてつもなく深い快楽を訴えている。前にいるモーリスの肩を掴む手も、抱え上げられた脚も、丸まった背中も、浮きっぱなしの顎も。
延々と抜き差しの音が繰り返される中、沙綾香の痙攣の間隔が短くなっていく。コップが満ち、溢れるイメージが脳裏に浮かぶ。
「おほっぉ、お、お゛っ……お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」
俺のイメージ通り、沙綾香は絶頂した。とはいえ、俺の予想など何も凄くない。
「はははっ、イッたイッた!!」
「この子の反応も、だいぶ解ってきましたな。意地が剥がれれば、存外に素直といいますか」
俺に限らず、客も皆、沙綾香の絶頂のタイミングを読み切っている。
抱え上げられた沙綾香の秘部から、びちゃっと音を立てて何かが落ちた。
「なんか出たぞオイ。腸液?」
「いや、腸液ってもっとサラサラしたやつだろ」
「じゃあ透明なクソか?」
「腸の本気汁なんじゃねーの」
「そんなんあるのか?」
「さあな、本人に訊けば?」
「いやいや。答え返ってくる感じじゃねーだろ、アレ」
客としても、もはや食い入るように見てはいない。何度も見返した映画を観るように、リラックスした様子で眺めているだけだ。
答えが返ってくる感じじゃない。その言葉通り、沙綾香の瞳にはすでに光がなかった。腕もぶらりと垂れ下がり、意識を失っているのが明らかだ。
「おいおい、ヘバんじゃねぇよ」
「俺らがまだ楽しんでる最中だろうが!」
沙綾香の失神に気付き、モーリスとジャマールが前後から腰を入れる。
「ぉほっ!! お゛お゛お゛ぉ゛!!!」
奥への挿入効果は覿面で、沙綾香はすぐに覚醒し、両脚を跳ね上げる。だがそれは、せっかく夢の世界に逃げられた彼女が、地獄へ舞い戻っただけのことだ。
「……ぉ、おねがい、ぁすませ……て…………。あたま、チカチカ、する…………お、おかひくなっちゃう…………」
唾液を垂らしながら、か弱い声で哀願する沙綾香。だがもちろん、調教側に利のない願いなど聞き届けられない。
「そーら、そら!」
「どんどんイケ、どんどん狂っちまえー」
モーリスとジャマールは疲れを感じさせない軽快さで腰を遣う。軽快だが、体格が体格だけに突き込み自体は重い。前と後ろから衝突を受け、沙綾香の下半身の肉が出鱈目に波打つ。
あらゆる体液で汚れた足の裏が、黒人の脚に掴まろうとしては、うっすらと白い液を塗り付けながら滑り落ちていく。あの子が何らかの意思を見せ、それがあえなく剥がれ落ちる時……俺は、何とも言えない気持ちになる。
「ぉ…っほ、ぉおお゛……っ!! ほお、お、お゛ーっ、お゛ーー……っ!!」
前と後ろから犯され続け、唇を奪われ、全身を震わせて呻く沙綾香。それを見守る客は、見届けるものを見届けたという面持ちだ。
「ほほ、凄い凄い……理性は残っているのですかね、あれは?」
「なんというか、下半身が丸ごと性感帯になっている感じだな」
「下半身で済みますか? あそこまでいくと、もう全身でしょう。子宮を裏と表から突つかれて、脳天からつま先まで感電してる感じだと思いますよ」
「あー、感電。確かにそんな感じだな。触るとヤバそう、色んな意味で」
思いやりのない言葉がフロアを飛び交う。どいつもこいつも眼は冷たい。ただ一人違うのは、部屋の隅で首輪をつけ、深く腰を落としている藤花だけだ。
「よかったなぁお前。もし勝負に勝ってたら、お前が“ああ”なってたんだぜ?」
迷彩ズボンの男が、藤花の胸を揉みしだきながら笑う。
「どうかな。実は、アレ見て羨ましいと思ってんじゃねぇか? 緩くケツ弄ってるだけなのに、マンコがヨダレ垂らしまくりじゃねぇか。お前も、ああしてほしいのか? どうなんだ、ええ?」
剃り込み男が肛門のアナルプラグを抜き差しすれば、藤花の身体が震え上がった。だが、彼女は答えない。
「沙綾香……!」
悲痛な声と共に、級友の姿を見守るばかりだ。
そしてそれは、俺も同じ。変わっていく最愛の女性の姿を、歯噛みして見ていることしかできない。
刻一刻と増していく不安に、心臓を凍り付かせながら……。
続く
文字数が多すぎるため、Part.5は前・中・後編に分割します。
こちらはアナル調教パートの後編となります。
およそ1時間ぶりに足の結束を解かれた時、藤花も沙綾香も自力では立てなかった。特に酷かったのは沙綾香だ。藤花は膝立ちで済んだが、沙綾香は完全にへたりこんでしまう。
「どうした、ちゃんと立てよ!」
「ケツが良すぎて腰抜かしてんのか? 変態が!」
客からそんな罵倒が飛べば、震える脚を叱咤して立ち上がろうとするが、結局は尻餅をついてしまう。それがまた客の大笑いを誘うんだから、残酷なものだ。
腰を抜かした状態でも、『審査会』は続く。
まずはロドニーの指示で、黒人共が沙綾香達の腋を抱え、強引に立ちあがらせた。その上で、迷彩ズボンと剃り込み男が藤花と沙綾香にそれぞれ近づき、指で割れ目を押しひらく。
「すっげー、グチョグチョ」
連中は、後ろで見ている客にわざと聞かせるようにそう言いながら、手にしたピンクローターを割れ目に埋め込んだ。
「なるほど、そのローターを落とした方が負けだな? 会の趣向からして、黒人にアナルを犯されながらキープしろ、というところか」
客の一人が指摘すると、ロドニーが頷く。
「鋭いねぇ旦那、その通りだ。真っ当な女なら、あのデカマラでケツをファックされりゃ、自然とアソコ周りに力が入っちまう。ローターが抜けることなんざ有り得ねぇ。落としちまうような女は、よっぽどの変態ってことだ」
ロドニーはそう煽りながら、黒人共に目で合図を送った。それを受けて、藤花の背後にダリーが、沙綾香の背後にトラバンが近づく。
「よう、サムライガール。元力士の俺の“突っ張り”に、どこまで耐えられるか見せてもらおう」
ダリーは藤花の顎を大きな掌で包み、日本語で語り掛ける。
「元、力士だと……?」
「そうだ。俺の体重乗っけた突きは強烈だからな。さっきの態勢じゃ、オメェのこの細い腰がヘシ折れるだろうと思って、我慢してやったんだぜ」
驚愕する藤花の反応を楽しみながら、ダリーはテニスボールより巨大な亀頭を肛門に押し当て、一気に腰を押し込んだ。
「っく、ああああ゛……ッ!?」
藤花は目を見開き、背後を振り返る。ダリーの逸物は、さっき藤花に挿入したモーリスより長さこそ劣るが、太さでは勝る。それを挿入される刺激は、彼女の常識を遥かに超えているんだろう。
「ひひひ。良い声出すなあ、お前のお友達はよ!」
隣の痴態を眺めながら、トラバンが沙綾香の胸を揉みしだく。乳房の形を完全に変形させるような荒々しい愛撫だが、沙綾香はそれだけで肩を震わせて反応してしまう。トラバンはその反応の良さを面白がりつつ、亀頭で割れ目をなぞり、愛液を纏いつかせてから肛門へと押し込む。
トラバンの逸物はタイロンより細く、挿入はスムーズだ。
「すげぇな。あの硬ぇ輪っかだったアナルが、プッシーみてぇにねっとり締め付けるようになってやがる。何されたらこうなるんだよ、ええ?」
トラバンは、沙綾香の肛門の熟しぶりを喜びながら、さらに腰を進める。怒張がすっかり腸内に隠れるまで。
「ふぅぎぃ……ッ!?」
トラバンの腰が、尻肉と密着した瞬間。沙綾香から妙な声が漏れた。トラバンが笑みを深める。
「オーウ、嵌まった嵌まった。ここが結腸ってやつか。前にケツ犯した時にゃ、こっちは固く閉じてて入らなかったが、こなれたもんだぜ」
トラバンは舐めるような口調で言いながら、少し腰を引く。そして角度を調節しながら、くいくいと腰を前後させた。その瞬間、沙綾香が目を見開く。
「っひ、イ゛イ゛ッッッー!!!」
嚙み合わされた歯の間から、かろうじて声らしきものが漏れる。普通の声じゃない。身体の反応も異常だ。腰をヒクヒクと上下させたかと思えば、膝から崩れ落ちそうになる。トラバンが咄嗟に手首を掴まなければ、そのままへたり込んでいただろう。
「うお、っと。へへへ、ここはマジで感じるらしいな。俺のコックで、ちょうどこの穴のギリギリ一杯ってとこか。タイロンの野郎はなまじ物がデカすぎて、入口を突っつくぐらいしかできなかっただろ? 俺は違うぜ。この奥の穴に亀頭を丸ごとハメ込んで、キッチリ犯してやる」
トラバンはそう宣言し、浅いピストンで肛門内を犯しはじめる。
モニター前、横並びになってのアナルセックス。その様子はだいぶ違った。
ダリーと藤花のペアは、とにかく激しい。ダリーは藤花の腰を掴み、後背位で腰を叩きつけている。沙綾香よりさらに脂肪の少ない、筋肉質な藤花の下半身でも、この突き込みを受ければしっかりと皮膚が波打った。小ぶりなスイカを思わせる乳房は、その激しい突き込みを受けて前後に揺れ、肋骨の辺りにぶつかっては母乳を垂らす。
「おお゛お゛っ、お゛ーっォ゛っ!! くほっ、おおお゛っ、おーお゛っ!!!」
舌を突き出した口からは、『お』行の呻きが漏れつづけていた。ただしこれは、ダリーの超重量ピストンを受けた人間全てに共通することだ。百合も、沙綾香も、あの惨めな反応を抑えることはできなかった。藤花にとっての不幸は、それを客に見られ、散々に嗤われてしまうことだ。
ただ、彼女は、嘲笑を気にする余裕などないのかもしれない。なんといってもダリーの突き込みが強烈すぎる。彼女は両脚を肩幅以上に開き、足指で床を掴むようにして、かろうじて姿勢を保っている状態だった。前方からのカメラには、大腿部外側の筋肉の盛り上がりが、後方からのカメラには、脹脛の強張りが、しっかりと映し出されている。
一方で沙綾香とトラバンのペアは静かだ。トラバンは沙綾香の脇腹を掴み、ごく浅く腰を出し入れしている。ピストンというより、腸の奥の奥を『練る』ような動き。それを受ける沙綾香は、やはり静かに、しかし確実に昂らされていた。
一番解りやすいのは、やはり脚だ。藤花が短足に見えるほどのすらりと長い脚は、ちょうど肩幅ぐらいに開いたまま、やや内股気味でアナルセックスに耐えている。だが、トラバンの指が脇腹に食い込み、ぐりぐりと『練る』ように腰を押し込めば、そのたび足の裏が浮く。2、3秒も爪先立ちの状態を保ち、トラバンが腰を引いたタイミングで、ぶるぶると痙攣しながらまた床につく。その繰り返しだ。
「ぃきっ……いぃいひっ、ひ、ひ……ぐっ……ぉ、っく!!」
爪先立ちになっている間、沙綾香の食いしばった歯の間からは、なんとも切ない声が漏れた。その状態では鼻でしか呼吸ができないが、そのせいでやがて鼻水が滴りはじめ、客からしっかりと笑いものにされる。
だが沙綾香も、嘲笑を気にする余裕はなさそうだ。彼女はまず間違いなく、結腸で達している。結腸逝きは静かだが、深い。脚の動きや呼吸を見てもそれは判るし、あの沙綾香がたびたびトラバンの首に手を回し、「しがみつきたい」という想いを露わにするのは、余程のことだ。
「おら、気合入れろ奴隷共! マンコのローター落とすんじゃねーぞ」
客の野次が飛ぶ。その視線に晒される2人は、どちらも余裕がない。だが、沙綾香の方が若干不利だ。理由は単純。藤花の割れ目は未開の花だが、沙綾香の方は調教されすぎている。異物を挟み込む力の強さで、差がつくのは当然だ。
何度目かのつま先立ちが終わり、足裏が床についた瞬間。弛緩した沙綾香の割れ目から、ローターが頭を覗かせる。
「あっ!!」
沙綾香はすぐに気づき、下腹に力を込めた。だがその力みのせいで、腰がぶるっと震え上がる。そしてそんな反応を、トラバンが見逃すはずもない。
「なんだ、締めつけやがって。おねだりか!?」
そう叫びつつ、深々と腰を突き込む。それまで10回以上繰り返された抜き差しのリズムと、ワンテンポ外れた挿入。しかも、8の字筋を緊張させた状態だ。
「………………はッ!!!!」
ここで沙綾香の口から漏れたのは、声じゃなかった。息を呑む音。それは状況次第で、絶叫よりも見る人間を不安にする。
急所に針を打てば、人はあっさりと自由を奪われるらしい。この時の沙綾香も、そんな風だった。見えない糸に引かれるように、左足が持ち上がる。これまでは左右同時につま先立ちになっていたが、今度は左だけだ。
右足が床を踏みしめる中、土踏まずを完全に晒した左足がガクガクと震える。
「……ぁ、……ぁ、…………あ」
沙綾香は、3回掠れた声を漏らし、ふうっと全身を弛緩させた。
全てがスローモーションに見える世界で、抜け落ちたローターが床に弾かれる動きだけが、やけに早く見えた。
「あーあ、やりやがった」
主犯であるトラバンが鼻で笑いながら、沙綾香の腰を離す。支えのなくなった沙綾香は、成すすべなく床に崩れ落ちた。横ざまに倒れてもまだ、その左足は痙攣していた。
客から、どっと笑いが起きる。黒人共やロドニーも、手を叩いて喜ぶ。
「……沙綾香……」
ただ一人、藤花だけが笑わず、眉を垂れ下げた瞳で親友を見下ろしていた。
※
審査会は続く。ルールは変わらず、膣の異物を落とした方の負けだ。今度はピンポン玉5個を膣に入れての勝負。ただし、前の戦いで負けた沙綾香には、罰ゲームという名の嫌がらせが与えられた。
フックで鼻を吊り上げられたまま、アナルを犯される──それが、沙綾香という極上の美少女に与えられた罰だ。
「ふふふ、良い顔だ!」
「よく似合ってんぜ、マゾ豚!」
透明な壁越しに、客が罵声を浴びせる。その眼の前では、沙綾香が壁に手をつき、レジャナルドにアナルを犯されていた。しかも、ただの後背位じゃない。彼女はがに股の姿勢を強要されてもいる。
「へへへ、よく熟れてやがる。食べ頃ってやつだ。未熟な果実って感じの固さも悪かぁなかったが、こっちのがエロいぜ!」
レジャナルドが上機嫌に語りながら、横向きに怒張を叩き込む。深く入るたびに割れ目がひくつき、透明な雫を垂らす。
「マン汁の量すげーな。あんなデカチン尻に突っ込まれて、よくもまぁ濡れるもんだぜ。信じらんねぇ」
「理解する必要もないだろ、マゾ奴隷の心情なんて」
「だな。ああいう奴ってのは、異常なんだ。どんだけ顔とスタイルがよくっても、絶対彼女にはしたくねーわ」
客はカクテルグラスを片手に、安全圏から野次を飛ばす。
「く、ううっ……!」
容赦のない悪態に、沙綾香は唇を噛み締めた。彼女は、凛としていたいことだろう。だが、そうはできない。
「おら、腰落とせ!」
アナルファックの辛さか、格好の惨めさか、沙綾香の腰はたびたび浮くが、そのたびにレジャナルドが腰を押し下げる。
「ぁっ、ぁっ……んぁっ、あっ! くはっく、ぁはっ…………!」
沙綾香は、壁に手をついて犯されながら、ただ喘ぎ続けるしかない。がに股の脚がつま先立ちで震え、肛門はぶじゅぶじゅと水音を立てて剛直を受け入れる。
「あっ、あ!」
ある瞬間、沙綾香の叫びが大きさを増した。同時に彼女は上体を起こし、壁の高い位置にしがみつく。凍り付いたような顔を見れば、何らかの『まずさ』を察知しての回避行動だと判る。それを知ってか、知らずか。
「伏せ、だ。バカ犬」
レジャナルドは沙綾香の肩を掴み、ぐうっと押し下げる。水面から必死に顔を出した人間を、無理矢理引き戻すような行為。引き戻された人間は、当然、“溺れる”しかない。
「ひぎゅううぃいっ!!」
がに股に戻った直後、沙綾香の肛門からぶりいっと破裂音がした。直後、床に雫が滴り落ちる。
「おおっ、何か出たぞ!?」
「ドナンの残りでは? さっきもブシュブシュと飛沫いていたようだが」
「それにしちゃ透明すぎねぇか? 俺は腸液だと思うがな。さっきの顔といい、またケツアクメしたんだろ」
「ふふ、あの量の腸液か。だとすれば、すっかり肛門が第二の性器になってしまっているな!」
客が目敏く雫を見つけ、笑い合う。その目の前で、沙綾香の腕から力が抜けた。頬と乳房が、透明な壁に密着して潰れる。
「はっ、良すぎてヘバったか。前より根性なくなっちまったなあ」
レジャナルドはほくそ笑みながら、沙綾香の腰を両手で掴み、それまで以上に丁寧に腰を使う。肉のぶつかる音が小さくなり、代わりにぐちゅか、ぬじゅう、という、やけに湿り気のある音が聴こえてくる。トラバンと同じように、結腸付近を『練って』いるのか。
「くッ、は……ぁ!! はぁっ、ああッ……やめ…そこ、嵌めこま、な……っで……く、うううくッ………!!」
沙綾香は大きく口を開き、眉を垂れ下げてレジャナルドを見上げる。だが、超長期刑のレイプ魔が、そんな懇願で動きを止めるはずもない。むしろ、より丁寧に、ぐじゅぐじゅと腸の奥を掻き回しにかかる。
「あッ! あッ!! んやあぁああっ、んふぅううう゛、うう゛……かはッ、おおぉほ…………っ!!」
沙綾香は、悲鳴を上げ、歯を食いしばって耐えようとし、また悲鳴を上げた。顔は熱に浮かされたようになり、睫毛の長い眼が閉じる。
「すーげぇ。ケツのディープスロートだぜ、こりゃ」
レジャナルドの言葉が、やけによく聴こえた。
そして、苦難はそこで終わりじゃない。離れた場所で藤花を犯していたアンドレが、沙綾香の脱力を見て笑みを浮かべた。寡黙でありながら、同時に陰湿な男だ。奴は、わざわざ沙綾香の真正面に藤花を連れ出し、壁に手をつかせる。
「はぁ、はぁ……」
力なく喘ぐばかりだった沙綾香は、薄目を開けて状況を確認し、息を呑む。親友と呼べる相手に、だらしなく喘ぐ様を至近距離で見られているんだ。動揺しないわけがない。
「……ッ!」
沙綾香は壁から身を引き剥がし、藤花を正面から見つめる。
「……しゃ、しゃあか…………」
藤花は、沙綾香の名前を呼んだ。だが、その表情は壮絶だ。舌を突き出し、涎を垂らし。三白眼のような瞳は、果たして沙綾香の顔に焦点を結んでいるだろうか。黒人相手のアナルセックスに、酔っている。そうとしか見えない。
「と、藤花、藤花っ! しっかりしてよ!!」
変わり果てた親友を前に、沙綾香は泣き叫ぶような声を上げた。だが、彼女もまた他人に構っている余裕はない。背後では、レイプ魔が腰を掴み直し、怒張で貫き通すルートを見定めている。
パン、パン、パン、パン、と小気味良い音が響いた。張りのある肉がぶつかる音だ。そのやや内側からは、妙にはっきりと水音も立っている。
「んほっ、お゛、ふ……っ!!」
力強いピストンは、明瞭な快感の声を引きずり出した。口を尖らせた、『お』行の呻き。客が待っていたとばかりに拍手する。歓声に気を良くしながら、レジャナルドはさらに腰を遣った。バチン、バチン、バチン、と腰がぶつかる。
「お゛おっ!!」
沙綾香は、海老のように背を反らせて絶頂した。上を向く黒目、尖った口。深い絶頂なのは疑うべくもない。
「はははっ、イったぞ! よりにもよって、友人の前で絶頂とは!」
「よりにもよってっつーか、ダチにイクとこ見られて興奮したんじゃねーの? ド変態だし」
客はここぞとばかりに沙綾香の反応を笑い飛ばす。不愉快な流れだ。だが、ここで沙綾香に起こっていた変化は、俺の想像以上に深刻だったらしい。
「もうやめて……お尻の穴、ヘンになるっ!!」
沙綾香は後ろを振り返り、レジャナルドの手を握って叫ぶ。だが、日本語では通じるはずもなく、仮に英語で話せていたとしても、聞き入れられるはずがない。レジャナルドはただ笑みを浮かべ、ピストンを続行する。
「やだ、やだ、またくるっ……! うんちする時の、おっきい波……これ、もう嫌なのっ!! もうこれでイキたくない、バカになっちゃうっ!!!」
沙綾香が顔を引き攣らせて叫んでも、状況は何ら変わらない。力強いピストンで、怒張が叩き込まれていく。駄々洩れの蛇口の水が、コップを満たす。
「だめ、だめだめ、きちゃうっ!! いぎいぃいっいっイグッ、いいぐウウーーーッ!!!」
沙綾香は、歯を食いしばりながら叫んだ。その直後、内股になった足の合間から飛沫が上がり、ピンポン玉が飛び出していく。
「あーあ、まーた負けた!」
「ふはははっ! へっぴり腰で、情けなく絶頂してますよ!」
客の気楽な声は、涙を伝わせる沙綾香の姿と、あまりにも不釣り合いだった。
※
3戦目は趣向が変わり、肛門に玉蒟蒻を詰め込んでのアナルセックスとなった。アジア人より数周り大きい黒人ペニスに加え、10個の玉蒟蒻。その圧迫感は想像に余りある。2人の反応が激しくなっても、納得しかない。
「はっ、ん、んんっ……!! あ゛っ、あ゛ん、はーっ……あ゛! すごい、すごい、すごいいっっ!! こんな、快感が、あ、あったとは……!!」
「くああああっ!! くう、んぐううっ!! お腹が、詰まって……く、苦しいっ……!!」
藤花と沙綾香は、膝裏を抱え上げられ、背面立位で犯されながら悲鳴を上げる。その表情は対照的だ。笑みを堪えきれないという様子の藤花に対し、沙綾香の顔は苦痛に歪んでいる。
ただし、2人に共通することもあった。瑞々しい肉体が、強い快感を訴えている点だ。
「そーら、どうだ! 『フロリダの暴れ馬』の異名を取る、ドミニク様のファックは!」
「腹ン中がパンパンに詰まってよお、気持ちいいだろ!」
ドミニクとジャマールが、幼児に小便をさせるポーズのまま、剛直を肛門へと叩き込む。何度もアナル絶頂に追い込まれている沙綾香達は、その刺激に耐え切れない。全身をガクガクと震わせ、足で空を蹴るばかりだ。
「感じまくってるな、どっちも。乳首が摘まれたみたいにピンピンだ」
「マン汁もダダ漏れだしな。青くせぇガキの身体で、ここまでアナルアクメキメれるとはよ。ここの調教師ってすげーわ」
客は興奮しながらも、2人の変わりように圧倒されているようだ。
「あああ、ドミニク、ドミニクっ……!!」
藤花が甘い声を出しながら、背後を振り返ってキスをねだる。
「ああっ、いく、後ろでイクううっ!!!」
沙綾香は左右に首を振りながら、激しく足をばたつかせる。
どっちも異常だ。元々のあの子達のイメージと、あまりにも遠すぎる。
「よーし。そろそろ、出させてやれ!」
ロドニーが手を叩いて命じると、ドミニクとジャマールは笑みを浮かべ、足の抱え方を変えた。膝裏から、脹脛へ。相手の脚がVの字を作るように。腹圧を強めて、玉蒟蒻を強引に排泄させようというんだろう。
「うあああっ! あああ゛だめっ、でちゃっ……あ゛、あ゛ーーーっ!!」
沙綾香も、藤花も悲鳴を上げる。その直後、肛門から灰色の粒が弾け飛んだ。一粒が出てしまえば、それをきっかけとしたように、また一つ、また一つとペニスの脇から飛び出していく。
「ふぐううう゛っっ!!!」
排泄の瞬間、沙綾香と藤花の表情は完全に一致した。瞳を上向け、唇をへし曲げる。究極的な快便の表情。
「うっはははははっ、すんげー締め付けだ!!」
「かあああっ、たまんねえぜっ!!」
ドミニクとジャマールは、肛門の締まりを喜び、それぞれのタイミングで射精に入る。
「やあああっ、入ってくる、入ってくるうっ!!!」
玉蒟蒻の排泄に逆らう腸内射精。それを味わって、藤花達は高らかに叫ぶ。悲鳴にも悦びの声にも聴こえるが、白濁と共に玉蒟蒻を弾き飛ばした瞬間、2人の足指が見せた動きは、いかにも気持ちよさそうなものだ。
十秒にもおよぶ射精。その末に白濁液をこぼしながら怒張が引き抜かれれば、そこには弛緩した空気だけがあった。
「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ…………」
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ…………」
射精の余韻に浸る黒人2人。絶頂の余韻に浸る少女2人。それぞれが下半身を痙攣させながら、幸せそうにしている。
「…………すげえ…………」
客から漏れた、嘲笑でも罵声でもない一言が、やけに俺の心を抉った。
※
『審査会』という名の勝負は続いている。だが実際のところ、場の誰もが、そんな事情などどうでもよくなっていることだろう。沙綾香と藤花が、アナルセックスで示す反応。それこそが、客の一番の関心事だ。
5戦目は、ベッドの上で始まった。
「はぁ、はぁ……今度の相手は、お前か。お前の名前は、何というんだ」
右側のベッドに組み敷かれた藤花が、潤んだ瞳で問いかける。
「マーキスだ」
「そうか……なあマーキス。俺を、気持ちよくしてくれ。昂っているんだ。今、思いっきり腸を突いてくれれば、すごく良い気分になれそうなんだ……」
藤花はそう囁きかけ、マーキスの顔を抱き寄せる。
「……オーライ」
マーキスは嬉しそうな笑みを浮かべ、藤花の唇を奪う。
「へへへ、お熱いこったな。俺らもやるか?」
口づけを交わす藤花達を見て、左のベッドでダーナルが笑う。その正面に横たわる沙綾香は、返事もしない。甘える藤花とは対照的に、目尻を吊り上げてダーナルを見つめている。
「やれやれ、懐きの悪いイヌだぜ」
ダーナルは首を振りながら、沙綾香の足を大きく開かせる。5戦目ともなれば、緩みきっていた括約筋も締まりを取り戻している。ついさっきまでジャマールに犯されていたため、完全に閉じてはいないが、指3本が入ろうかという程度の隙間だ。
「いい具合に穴のサイズが戻ってんな。これなら、俺の“ポークビッツ”でも、楽しませてやれそうだぜ」
ダーナルは逸物を握りしめながら囁く。10人の中で2番目に小さい事への自虐だろう。すでに事を終えた8人の黒人共は、それを聞いてゲラゲラと笑う。それに比べて、客は随分と控えめな笑い方だ。
それはそうだろう。10人中最も小ぶりなマーキスのペニスでさえ、長さ20センチ、直径5センチは下らない。ダーナルの物となれば、それよりさらに一回り上だ。黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直……それを粗末と笑い飛ばせる日本人など、どれだけいることか。
ダーナルは逸物に唾液を塗り込め、怒張の先を沙綾香の肛門へと宛がう。そして、ゆっくりと腰を進めた。
「ん……っ!!」
沙綾香が眉を顰める。小さく声も漏れた。
「なるほど。アナルファック用の、エロい肛門になってやがる。天使にキスされてる気分だぜ」
亀頭が菊輪を押し開いた時点で、ダーナルは笑みを浮かべた。そして奴は、ベッドを軋ませながら腰を引く。
「……?」
沙綾香は、怪訝な顔をした。血管も浮き立つほど怒張を勃起させた、性欲滾る野獣。それがあの連中のイメージだ。実際、他の奴らは、獣のように沙綾香達の肛門を貪った。右のベッドでは今まさに、マーキスが藤花と濃厚なキスを交わしながら、圧し潰すような体位でアナルを犯し抜いている。
だが、ダーナルはそうしない。一度完全に亀頭を抜いた後、再び口を開いた肛門に嵌め込み、また抜く。そのごく浅い挿入だけを、ゆっくりと繰り返す。
「……最後の奴は、随分と紳士的だな」
「おいおいおい……マジかよ。さっきまで、あんだけハードに結腸アクメさせてたのによ。あれじゃせっかくの熱が冷めちまうぜ」
客の反応は悪い。ある客は戸惑いを口にし、ある人間は不満を露わにする。だが、そんな客の後ろに控えるロドニーだけは、ダーナルの責めに興味深そうな視線を向けていた。
ベッドの軋み方が、左右でまったく違う。藤花のいる右側は、ギシギシギシギシと壊れそうに軋み続けている。一方で沙綾香のいる左側は、ほとんど軋む音が聴こえない。明白な動と静だ。
客は見応えのある方を好むため、次第に藤花の方へ意識を向けはじめる。5分もすれば、沙綾香を見ている客は2人だけになった。
だから、気付く人間は少なかったろう。
「あっ、あ、あっ……」
肛門の入口を拡げられるだけの沙綾香が、声を出しはじめた事実に。
声だけじゃない。大股開きで横たわる全身が、ピクピクと反応している。モニターに大きく映る桜色に肌には、今も汗が流れていた。それは、沙綾香が『冷めて』などいない証拠だ。
「どうだ、想像以上に感じちまうだろ? 浣腸で緩んで、真っ赤になるまで使い回されたアヌスを、こうやってじっくりと愛してやる……そうすりゃ、パン屋のジェニーも、従妹のサラも、シーツの替えがいるぐらい蜜を吐いたもんだ」
ダーナルは昔を懐かしむように語りながら、腰を動かし続ける。今度は亀頭のやや下、カリ首までが通り抜けるまで挿入し、一気に引き抜く。モニター画面には、引き抜かれる瞬間、沙綾香の肛門が火山のように盛り上がる様子が映っていた。
「すげぇな。抜く時には盛り上がって……エッロ!」
「あれは挿入する方も気持ちいいでしょうなあ。肛門で搾り取るように扱かれるわけですから」
モニターを見て、客がざわつく。ほとんど藤花にしか向いていなかった興味が、沙綾香に向きはじめる。非常にまずい展開だ。ダーナルの責めが一段階進んだ、このタイミングでとは。
「くっ……は、はぁ……っ。はっ、ああっ、あ!」
カリ首までを嵌め込まれ、引き抜かれる。嵌め込まれ、引き抜かれる。その責めを受けながら、沙綾香は声を殺しきれずにいた。
「あれは……まさか、感じているのか?」
「いや、俺もそうかなと思ったけど……ありえるか? あんな浅い挿入で」
「さっきまでと比べると、刺激が弱すぎると思うが、あれは……」
客も、すぐに沙綾香の反応に気付く。沙綾香はそれを耳にしたのか、すぐに口を閉じた。だがダーナルはそれを見て、挿入をやや深める。そして4割ほど挿入したところで、一気に引き抜いた。
「くひぃいっ!?」
沙綾香の目が開き、声が漏れる。注意を向けなくとも耳に入る音量。客の視線が、次々と左のベッドへ向く。
「もっと深く挿れてほしいか?」
ダーナルは余裕の笑みを浮かべながら、沙綾香に問いかける。
「……い、挿れられること自体、嫌だってば……」
沙綾香は憂鬱そうにダーナルを見上げ、なるべく平静を装おうとする。だが、ダーナルが同じ責めを繰り返せば、澄まし顔ではいられない。
「ひっ、ああっ、は……はっ! んひっ、ぐ…………!!!」
大股を開いた足が震え、腰が浮く。顎が持ち上がり、唾液の糸を引きながら口が開く。
「いや、やはり感じているぞ、あれは……!」
さっきは懐疑的だった客さえ、沙綾香の昂ぶりを確信していく。
そんな空気を感じ取ったのか、それとも下準備が整ったのか。ダーナルは、ここから本腰を入れて責めはじめた。沙綾香の腿を抱え込み、ベッドを軋ませて、大きく腰を進める。今度はいきなり、竿の7割ほどが入り込んだ。
「んひぃいっ!!!」
沙綾香が仰け反り、シーツを掴む。
「ぃ、いっ!! ふぃいっ、んぐっ、んぐううっ!!!」
歯が強く噛み合わされ、仰け反りのせいで乳房が左右に零れる。今のこの反応で『感じていない』と判断する人間はいないだろう。
「どうだ。浅い部分でじっくり焦らされてから、深ぇトコまで一気に満たされた気分は。クソと浣腸を同時に味わってる感じだろ? 入口の快感が目覚めてなきゃ、そのエクスタシーはねぇんだぜ。ついでに言やぁ、コックがデカすぎてもダメだ。苦しくって快感どころじゃねぇからな。お前にこの快感を教え込めるのは、このタイミングの、この俺だけだ」
ダーナルは、さっきの自虐とは打って変わり、誇らしげに胸を張る。黒人英語のその語りは、調教師仲間とロドニーから苦笑と拍手を引き出した。その反応を見て、客達もダーナルが何かを成し遂げた事実に気付いたようだ。
半端者から一転、英雄のような扱いを受けるダーナルは、さらに勢いづいて沙綾香を責めたてる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋み、節くれだった木の根のような剛直が、ふっくらとした赤い輪の中を前後する。
「んぐううっ、くああっ……!! やだ、やだやだぁっ!! 入ってくる、奥まで入ってくるぅぅっ!!」
沙綾香は頭上のシーツを掴んだまま、幼子のように首を振った。
「何を今さら……と言いてぇとこだが、そんな反応にもなるわなぁ。さっきまでハードに犯られてたっつっても、アヌスの感覚はドナンでボヤけてたんだ。ハンバーガーを口に頬張りながらコーラを流し込んだようなもんよ。それじゃ、コーラの味は判らねぇ。その点今は、俺がしっかりマウスウォッシュしてやったからな。コーラってのがどんだけ美味ェもんか、しみじみ理解できんだろ。別の言い方すりゃあよ、テメェはアナルのセカンドバージンを、この俺に捧げてるわけだ。嬉しいだろ? なあッ!?」
ダーナルは、野獣の本性を露わにし、沙綾香の太腿を外から抱え込んだ。そしてその太腿を引き付けつつ、深々と腰を突き入れる。
「んぐううっ!!?」
肉のぶつかる音がした瞬間、沙綾香は呻きを上げた。膝立ちになったダーナルが、黒人のバネを活かして滑らかに腰を前後させれば、沙綾香の反応もそれに引っ張られる。
「んぐっ! んぐっ! んぐっ! んぐっ!!」
沙綾香の上げる声は単調だ。だが、セックスにおける単調さは、時として最適解にもなり得る。コップを快感という水で満たす時、蛇口を揺らす必要などない。ただただ単調に、水を注ぎ続けるのが一番早い。
「んぐっ!」
7度目に同じ呻きを発した直後、沙綾香は背中を浮かせた。
「…………い、い…くっ…………!!」
はっきりとマイクに拾われたその声に、客が息を呑み、顔を見合わせる。
「……今あいつ、イク、つった……?」
「おお、聞こえたな。イッた……んだな」
はっきりと耳にしたはずの言葉を、改めて確認し合う客達。それは今の絶頂が、これまでとは別物と捉えられた証だ。
「日本のお仲間が注目してるぜ。お前のエクスタシーによ」
脱力した沙綾香に、ダーナルが囁きかける。沙綾香はそれを耳にすると、白目を剥きかけていた目を瞬かせ、歯を食いしばってダーナルに向き合った。
「健気なやつだな。犯し甲斐があるぜ」
ダーナルは嬉しそうに笑いながら、ぐいっと太腿を引きつけ、沙綾香の内腿にくっきりとした溝を刻ませる。
「んんぐっ、ぐひぃっ!! ア゛、ああっ……ひ、ひっ……!」
ピストンが再開した後、沙綾香が目を見開いていられたのは、ほんの数秒だった。そのうち目は細まり、閉じ合わされ、顔全体で我慢できないという表情を作る。手も足も、何かにしがみつくので精一杯という風だ。
それを見て、ダーナルがまた体位を変えた。太腿から手を離し、膝裏を一気に抱え上げる。そうしてマングリ返しの恰好を作り上げてから、圧し掛かるように挿入していく。
「んあああ゛あ゛あ゛っ! だ、だめ、お尻が、拡がっちゃう!!」
沙綾香の反応は大きい。足全体がぶるぶると震え、切ない声が上がる。
「はははははっ! こうやると、腸の壁がキュウキュウ吸いついてきて最高だぜ!」
ダーナルはほくそ笑み、沙綾香の膝裏を押さえつけながら腰を振る。
「くはっ、あ、あがっ!! し、子宮っ……子宮が、ああ……っ!」
沙綾香は余裕のない様子で、子宮という言葉を繰り返していた。ほぼ真上から挿入されると、横向きに挿入されるより、子宮を強く刺激するんだろう。
ベッドが軋む。沙綾香の反応が、さらに大きくなっていく。掴まれた両脚が暴れ、両手は強くシーツを握りしめる。
「んぐっ、う゛っ、ぐひいいっ!! んぐうう、はぐぃんゆううっ!!!」
白い歯が噛み合わされ、全身が震えた、次の瞬間。割れ目から、勢いよく飛沫が上がる。潮噴きだ。体勢が体勢だけに、飛沫は容赦なく沙綾香の顔に浴びせかかる。だが、沙綾香はそれをよけようともしない。後頭部をベッドにめり込ませ、顎を浮かせたまま、ガクガクと痙攣している。
「あいつ、どんどんイキ方酷くなってんな……」
客の一人が、ぽつりと呟いた。悪意ある野次ではなく、客観的な分析なだけに性質が悪い。確かに、沙綾香の絶頂は回数を経るごとに深くなっている気がする。今も彼女は、シーツを掴み、胸をせり出したような格好のまま、全身をピクピクと震わせて余韻に浸っている。
「おいおい、ヘバんのは早いぜ。まだ始まったばっかだろうが」
ダーナルはそう言いながら前傾を深め、沙綾香の唇を奪いにかかる。
「んや、あっ!!」
沙綾香は顎をうねらせるようにして口づけを避けるが、そこに注意を向けたぶん、足の震えが余計に酷くなった。
「んあっ、あああが、はあ…っぉ! ほぉっ、ほおっ……これだめ、だめ、っんひいいっ!! おねがい、だめ、もうダメ……っ!!」
沙綾香は必死だ。圧し掛かるダーナルと視線を合わせ、必死の形相で訴えかける。だがダーナルは、それを見ても笑みを深めるだけだ。
ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「あかはっ……!? あがっあ、あ゛……ハッ、ハッ、んむれぁあっっ!!」
沙綾香は、ダーナルの鎖骨を掴んだまま、あえなく身を震わせる。そして最後の最後には潮を噴き散らし、脱力した隙に唇を奪われる。
おーっ、という声が、客から起きた。笑っている人間もいるが、驚いている声の方が多いようだ。それは、沙綾香への調教が着実に進んでいる証のようで、気味が悪い。
「ふひゃははははっ!! 唾が美味えなぁ、屈服させた女だとよお!」
ダーナルは望むままに沙綾香の唇を貪り、腸内を蹂躙し続けた。そして、たっぷり40回以上もピストンを繰り返した果てに、腰を震わせながら精液を注ぎ込む。その量と濃さは凄まじく、沙綾香の背中の筋に沿って、くっきりと白い雫が滴り落ちるほどだった。
※
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ!!」
沙綾香の呼吸はまだ荒い。彼女はベッドの上で横向きに倒れたまま、シーツにしがみつくようにして震えていた。重ね合わされた脚の間では、白い精液が割れ目を覆い尽くし、前と後ろのどっちを使われたのか判別できないほどだ。
「あああマーキス、マーキスっ!! もっとだ、もっと奥まで突いてくれっ!! 頭が真っ白になって、ビリビリする感覚をもっとくれっ!!」
右側のベッドでは、藤花がマーキスと正面から抱き合いながら、自ら刺激を欲していた。
「参ったなこりゃ。タマの中身、根こそぎ搾り取るつもりかよ? おーいお前ら、そろそろ加勢してくれや。もう一巡したこったし、いいだろ? このままだと乾涸びちまうぜ!」
マーキスは顎の汗を拭いながら苦笑し、仲間とロドニーに視線を向ける。
「完全に一巡したらと思ってたが、まあいいぜ。早ェモン勝ち、どっちを犯しても良し。好きにしろ。ただ、前は使うんじゃねーぞ」
ロドニーが許可を出すと、黒人共の顔に笑みが拡がった。
「っしゃあ、待ってたぜ!」」
「どっちを味わったもんかな。サムライガールはあの下半身の筋肉だ、ケツの締まりも良さそうだが……サヤカの方も、昨日抱いてねぇからな。昨夜一晩、あのガキのヨガり顔が頭に浮かんで悶々としててよ、今日は目いっぱい犯し抜くって決めてんだ。だが、タイロンの野郎にでも先越されちゃ、せっかくのサムライガールの穴がガバガバになっちまうし……くうーっ、悩むぜ!」
「ヘッヘ、解るぜ兄弟。スパイシーとスウィート、どっちも美味そうだ!」
連中は唇を舐め回し、臨戦態勢の逸物を扱きながら沙綾香と藤花を見比べる。最初に動き出したのはダリーとドミニクで、どちらも沙綾香のベッドを選択した。
「きゃ、やめっ……! 今はダメっ!!」
絶頂の余韻から抜け出せていない沙綾香は、這って逃げようとする。だがダリーは素早くその足首を捉え、自分の方へと引き寄せた。
「そう身構えんなよ。なにも泡姫をやれってんじゃねぇ。ケツの穴だけ引き締めて、付属品みてぇにじっとしてりゃ済むハナシだ」
ダリーは沙綾香の腰を掴むと、肛門から漏れるザーメンを亀頭に塗りつけ、狙い定めて挿し貫く。
「は、んお……っ!!!」
沙綾香は、凄まじい表情をした。顎が浮き、足の十本指がシーツを掻く。タイロンに次いで二番目に太い怒張だ、刺激も生半可じゃないんだろう。
「おおっ、すっかり締まりが戻ってやがんな。絶妙の吸いつきとトロトロ加減がたまらんぜ!」
ダリーは嬉々として腰を掴み直し、本格的なピストンを開始する。這いつくばる沙綾香の、尻だけを高く掲げさせる格好だ。
「んんっ、ふーっ、ふーっ……あっぐ、う゛!!」
沙綾香は、シーツに口を押し付けて声を殺す。ダーナル相手の時よりずいぶんと苦しげだ。だが、犯すダリーはそんな事を気にもしない。
「へへへ、腰が気持ちよさそうにうねってるじゃねぇか」
「ふッ、ふッ……ち、違、う……!」
「何が違うんだ。お前、ダーナルにアナルセックスの良さを教え込まれたんだろ? アイツの“ポークビッツ”でヨガるような女が、俺の極太で感じねぇはずねえだろうが!」
沙綾香が否定しようと聞き入れず、あばらの辺りを腕で掬い上げ、四つん這いの体勢を取らせる。そこから始まるのは、奴が得意とする、横方向の突き込みだ。
「んおお゛っ!!」
4段腹が叩きつけられた直後、沙綾香から濁った声が漏れた。涙は水平に飛び、舌は前に突き出る。
「おこほ゛っ、んお゛っ! おお゛っ、お、ほおお゛っ!!!」
ピストンを受けて漏れる声は、すべてが濁った『お』行だ。壊れそうなベッドの軋みは、沙綾香から余裕が剥ぎ取られる音に思える。
「お゛おお゛っ、ほおお゛お゛っ!! んあ゛お゛っ、おお゛っお゛お゛ーっ!!!」
肉を波打たせ、悲痛な声を上げる沙綾香。彼女は、汗でダリーの手が滑った一瞬の隙をついて、かろうじて拘束から抜け出した。だが、希望が見えたのもほんの一瞬だ。
「くくくっ。待ってたぜぇ、子猫ちゃんよお!」
這って逃げる沙綾香を、今度はドミニクが捕まえる。奴はダリーの失敗を踏まえてか、しっかりと沙綾香の下腹部を抱え込んで挿入を果たした。
「んああッ!!」
怒張が入り込んだ瞬間、沙綾香の上げた切ない声は、凌辱者の心をさぞ満たしたことだろう。ドミニクは笑みを浮かべ、沙綾香の腰を引きつけはじめる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「んッ……んくっ、ぐ……んんんっ! んんっ、くうんんんっ!」
ダーナルの肛門開発は、想像以上に沙綾香を毒したらしい。彼女はドミニクの突き込みに、快感を隠せない。手がシーツを掴み、顎が寝台に沈み込む。
「おら、おら! ケツが吸いついてくるぜ、気持ちいいんだろ!?」
ドミニクが叫んだ、ちょうどその直後、沙綾香の腰がぶるっと震えあがった。
「んむううぅうんんん゛っ!!!」
口と喉を閉じたまま、快楽を叫ぶような声。それも異様だったが、同時に足の間から噴き出した潮の量も、見過ごせるレベルじゃない。
「うっわ、すっげぇ噴いたな……」
「もうほとんど小便だな。マンコでイカせたって、あそこまで噴くのってそうそうねぇぞ」
「女とは、肛門でああも感じられるものなのか……」
客は、唖然とした様子で沙綾香を観ていた。あれだけ事あるごとに野次を飛ばしていた客が、茶化さない。茶化せるほど身近な存在だった沙綾香が、刻一刻と変わっていく……その事実に、笑いを引っ込めた感じだ。
胸がざわつく。いっそ馬鹿騒ぎでもしてくれていた方が、まだ救いがある。
藤花のいる右のベッドは、まさに馬鹿騒ぎだ。
「あっ、はぁっ、はぁっ……あ、あ、んっ……!!」
藤花は、胡坐を掻いたレジャナルドに抱えられる形で肛門を犯されていた。太い怒張が出入りするたび、艶めかしい吐息が漏れる。指が荒々しく乳房を揉みしだけば、ドクドクと母乳があふれ出る。気持ちが良さそうだ。そしてそれは、犯しているレジャナルドも同じだった。
「へへへ、括約筋の強ぇガキだな。食い千切られそうだぜ。入口はギュウギュウ締まって、中もねっとり纏わりついてきて……。お前のお友達もだがよ、日本人のアナルってのは名器揃いか?」
レジャナルドが上機嫌に語りながら、リズミカルに肛門を突き上げる。
「んッ、あ…あ、あッ……! いい、いい……もう、い、イキそうだ……!!」
「ほぉ。なら、スパートかけるか!」
藤花の言葉で、レジャナルドはさらにペースを上げた。ベッドが騒々しく軋み、左右についた藤花の脚が強張る。
「あ、あああ……あああっ来たぁっ!! んいっ、ひっぎ……あォぉお゛っ!!!」
藤花は、歯を食いしばりながら笑みを浮かべた。そして次の瞬間、大きく背を仰け反らせる。
「ぬうううっ!!!」
後ろのレジャナルドが顔を顰めたのは、肛門の締まりが強くなりすぎたせいか。
「あ゛アッ、んあ゛っ……はあ、はあ……はあっ……」
「ククッ、気持ちよくイキやがって。俺もそろそろだ、しっかり受け止めてくれよ!」
ぐったりとした藤花を支えつつ、レジャナルドが追い込みを掛けた。藤花の頭と乳房が揺れる。
「オラッ、いくぞおっ!!」
「っひ、あがっ! くああああ゛あッ!!!」
レジャナルドと藤花が身を震わせ、同時に絶頂する。だが、その後の反応は全く違った。満足げに息を吐くレジャナルドに対し、藤花はなおも物欲しげだ。
「はっ、はっ、はっ、はっ……す、凄い……黒人のペニスが、こんなに気持ちいいとは! なあ、もっとだ、もっと突いてくれ! その硬くて熱い物で、腹の奥から子宮を刺激してくれ! もっと痺れたいんだ! 刺激が欲しいんだ!!」
レジャナルドの首を抱え込み、口を吸いながらねだる藤花。
「オイオイオイ、マジかよ。マーキスだけじゃ飽き足らず、俺まで搾り尽くす気か? ったく、ハングリーな女だな。いいぜ、なら死ぬほど食わせてやるよ。泣いて後悔すんじゃねぇぞ!」
レジャナルドは苦笑するが、奴としても吝かではないらしい。胡坐を崩し、両足でしっかりとベッドを踏みしめると、腰ごと叩きつけるようにして藤花を突き上げる。
「んがっ、おごぉぉっ!? んごっ、ほおおっ!!! ふ、深い! いい、良いっ! ほっ、ほおっ……もっと、もっとだ、もっと刺激してくれっ!!」
藤花は満面の笑みを浮かべながら、自ら腰を上下させ、レジャナルドの剛直を深々と受け入れる。
「くーっすげえ、コックがヒリヒリすらぁ! ホントにジャパニーズかよお前? ギリシャ女みてぇな貪欲さだな!」
レジャナルドは驚きつつも、負けじと腰を突き上げる。筋肉質な男女が争うように腰を叩きつける様は、スポーツの試合でも観ているようだ。だが、それがセックスであることは紛れもない事実。鍛え抜かれた男と女の肉体が、刻一刻と快感の反応を大きくしていく。
「そうだ、そこがいいっ!! そこ……ん、あ、あああイグッ、イグうッ!! ふううっ、はお、ほおおぉぉっ!! し、痺れるッ……頭から、つま先まで……っ!!!」
藤花は生き生きとしていた。かつての剣道の稽古を想像させるほど、一心不乱にセックスに打ち込み、快感を追及している。アナルセックスが正式なスポーツと認められる世界なら、彼女はその道でも栄光を掴むことだろう。
一度価値観が反転してしまえば、被虐の道に猛進してしまう……それがあの藤花という子のようだ。
「オメーらもやるじゃねぇか。あの剣姫が、すっかり立派なマゾ奴隷だ」
ロドニーが感心した様子で、迷彩ズボン達を褒め称える。確かに今の藤花は、疑う余地なく倶楽部好みの『マゾ奴隷』だ。となれば当然、場の意識は、その競争相手に向く。
沙綾香は今、ドミニクとトラバンの相手を同時にさせられていた。ドミニクは大きく開かせた脚の間に腰を打ちつけ、トラバンは顔に覆いかぶさったまま、腕立ての体勢でペニスを咥え込ませている。
「おお゛ゥエ゛ッ! オオえ゛え゛っ! お゛ううぇ゛え゛エ゛エ゛ッ!!!」
沙綾香の口からは、濁りきった呻き声が漏れていた。巨根を喉奥まで突っ込まれた時特有のものだ。見慣れた俺はすぐにそう理解できるが、黒人相手のディープスロートを初めて見る客達は、しきりに沙綾香の喉元を覗き込んでいる。モニターを振り返り、より詳細な情報を求める客もいた。
「すっげぇ……喉を完全にマンコ扱いしてんぜ、あの黒人野郎」
一人がようやく状況を呑み込み、信じがたいという様子で呟く。
「あの、喉がボコーって盛り上がってんの、チンコの形だよな。全部入ってんだな、あのデカチンが」
「ああ。アレ根元まで咥え込まされて、挙句尻まで犯されるとか、どんな気分なんだろうな」
「あたし、あそこまで太いのは経験ないけど、3Pやったことあるからなんとなく解るよ。怖くって苦しくって、心折れるよ、あんなの……」
他の客も、時間差で目の前の現実を受け入れはじめる。
連中が目を疑うのも、仕方ないといえば仕方ない。沙綾香の顔の半分はあろうかという巨根が、割れ目や肛門ならともかく、喉へ入り込むなんて。何度もそれを現実として目にしていなければ、俺だって『有り得ない』と切り捨てるだろう。
今や客の中で、椅子に座って寛いでいる人間はいない。皆が皆、左右のベッドのどちらかに近づき、異人種間のアナルセックスに見入っている。ロドニーはそれを眺め、頃合いや良しとばかりに手を叩いた。肉厚な掌は響きのよい音を立て、20人の客を一斉に振り返らせる。
「さて、審査員のダンナ方。そろそろ決まったか? どっちが本当の『マゾ奴隷』と呼ぶに相応しいか」
その言葉を聞き、客が表情を曇らせる。
「んー。どっちが、っつってもなあ……」
「ううむ……本当のマゾ、か……」
茶化す時の饒舌ぶりとは打って変わって、歯切れが悪い。
「はっ、はぁっ……。もっとだ。もっと、この刺激をくれ……!」
藤花から熱い囁きが漏れれば、客の視線は右のベッドに集まる。
「へへへ。トローンとした目ェしやがって。喉奥と尻を同時に犯されて、脳味噌がピンク色になっちまったか?」
トラバンがえずき汁を滴らせながら怒張を引き抜けば、客は羞恥と陶酔がない交ぜになった沙綾香の表情に見入る。
どちらがマゾ奴隷らしいか。シンプルに考えるなら藤花一択だ。そうならないのは、『審査会』が始まる前にロドニーが放った、この言葉のせいだろう。
──マゾ奴隷ってのは何も、従順ならいいってもんじゃねえ。口でいくら拒もうが、アソコが濡れてりゃあ、そいつは紛うことなきマゾ奴隷だ。肉体的に屈服してるわけだからな。違うかい?
ロドニーにしてみれば、これは苦し紛れの詭弁だったに違いない。だがその詭弁は、客を納得させてしまった。だからこそ、客は迷う。
従順なマゾ奴隷として完成されている藤花か。
反骨心を保ちながらも、肉体が快楽に屈しつつある沙綾香か。
連中にとっては、そのどちらもがマゾ奴隷として魅力的なんだろう。
「サクッとは決まらねぇか。いい勝負じゃねぇか」
ロドニーはふてぶてしく葉巻をふかす。自分のせいで客が迷っているというのに、その状況を楽しんでいる様子だ。そして奴は、指を曲げて迷彩ズボンと剃り込み男を呼びつけ、小声で何か指示を出す。
「はっは。面白ェっすね、それ!」
指示の内容は聞き取れないが、剃り込み男が愉快そうに笑っている時点で、碌な内容でないことだけは理解できた。
※
ロドニーは、黒人共に一旦プレイをやめさせ、沙綾香と藤花を壁際に並ばせる。
「今度は何させる気?」
沙綾香が問うと、それに応えるように、迷彩ズボンと剃り込み男が背後につく。連中はバケツとモップを手にしていた。バケツには、とろみのある液体が入っているようだ。
「何だ、そのバケツの中身は……?」
今度は、藤花が問いかける。
「お前らの大好きなドナンだよ。つっても、さっきの浣腸とは違うがな。塩化マグネシウムと強壮剤、アレな薬もちょいと混ぜ合わせて、ゼリー状にしたもんだ。こいつをケツに塗り込められると、最大級の便意と快楽が味わえるらしいぜ」
迷彩ズボンの男がそう答え、少女2人の顔を引き攣らせる。一方、遠巻きに見守る客は、期待感のある顔になった。
「おら、ケツの穴開け!」
剃り込み男が藤花の尻を叩くと、藤花は素直に脚を開き、肛門に自らの手を添える。
「ほら、お前もだ。それとも何だ、お友達にだけ恥掻かせる気かよ」
沙綾香はやや躊躇っていたが、結局は同じポーズを取らされる。
肛門が横向きに割りひらかれた瞬間、真っ白な精液がボトボトと滴り落ちた。
「すげぇ濃さだ……」
「量もやべえよ。俺なんか、1回の発射がスプーン一杯分ぐらいだぞ。100発出しても、あんな量にならねぇわ」
薬で増強された黒人共の精液に、客が唸る。オスとしての劣等感を感じたのか、その表情は曇りがちだ。
「うっは、どんどん垂れてくんな。気持ち悪りーだろ、掃除してやるよ」
剃り込み男と迷彩ズボンは笑いながら、モップをバケツに浸す。モップと言っても、床を掃除するための、横長のヘッドから繊維が垂れ下がるタイプじゃない。縦長のヘッドを、放射状に繊維が覆っているタイプ……つまり、大型のハンディモップという風だ。それがバケツに浸されれば、たっぷりとゼリーが絡みつく。
「さて、いくぜ」
調教師2人が、眼を見開いて振り返る少女2人の肛門へ、ゼリーの滴るモップをねじり込む。腸のかなり奥まで入り込んでいるようだ。
「……ん、くううああっ!! ず、随分と、深くまで塗るな……!」
「あ、あ……やだ、またジンジンして……っ!!」
効果はすぐに表れた。藤花は半笑いを、沙綾香は苦悶の表情を浮かべ、腰を揺らす。
「どうだ、2回目のドナンは。1回目より蕩けちまうだろ? おまけに今は、出すモン出しきった後だからな。便意が少ねぇ分、ドナンの味が存分に味わえるぜ」
剃り込み男がそう言い聞かせつつ、藤花の肛門からモップを引き抜く。そして精液まみれのモップをまたバケツに浸し、ゼリーを纏わせると、もう一度肛門へと押し込んでいく。迷彩ズボンの奴も当然、沙綾香に同じことをする。
「くはっ……! た、確かにこれは、純粋なドナンとは違うな……。熱くて、痺れるようだ……!!」
藤花は壁に手をつきながら、ぶるっと震えて笑みを浮かべた。
「こ、こんなの、もう一度なんてダメっ! 2回も、堪えきれない……!!」
沙綾香の方は、恐怖一色だ。汗の滲む顔を歪ませ、不安を顔に表している。
結局、藤花と沙綾香は、4回に渡ってゼリーを腸内に塗り込められた。モップが引き抜かれれば、外側へ捲れた肛門が露わになる。
「何度見ても、凄いな……俺の腕突っ込んでも、まだまだ余裕がありそうだ」
「ああなっちゃ、もう排泄器官じゃねえ。ただのトンネルだ」
ドナンの効果に客がざわつく中、ロドニーが沙綾香達に歩み寄った。
「確かに、こりゃトンネルみてぇなもんだな。これをペニスで埋めるとなりゃ、出来る奴は限られる。タイロンか……俺ぐらいのもんだ」
ロドニーはそう言いながら、クロップド丈のテーパードパンツを脱ぎ去った。露わになるのは、あのローストターキーを思わせるペニスだ。根元のサイズはタイロンと大差ないが、真ん中がその太い根元よりもさらに膨らんでいる。
「きゃっ!?」
客の女が悲鳴を上げた。黒人のペニスを一通り見届けてきた男連中も、口をあんぐりと開けている。
「むううう……! ビデオで目にしてはいたが、生で目にすると……」
「ご、拷問の道具だな、まるで……!」
絶句する客と同じく、沙綾香と藤花も視線を剛直に縫い付けられている。
「懐かしいだろ、サムライガール。水責めん時にハメてやって以来だ。あの感覚……忘れられねぇんじゃねえか?」
ロドニーは、黒光りする凶器を藤花の鼻先に近づけた。藤花がごくりと喉を鳴らす。過去の記憶が蘇ったんだろう。小便入りの水へ顔を漬けられる苦痛を二の次にしてでも、抜いてくれと哀願した、あの記憶が。
「あの時は心を折るのが目的だったが、今度は違うぜ。熟しきったそのアナルに釣り合った刺激をくれてやる」
亀頭で鼻を突き上げながらロドニーがそう語れば、藤花の口の端が緩んだ。ただ、隣で顔面を蒼白にしている沙綾香に気付くと、急いで表情を戻す。
「わかった、相手をしよう。今度は俺がお前に、音を上げさせる番だ」
キリリとした瞳でロドニーを見据え、啖呵を切る藤花。かつての雰囲気を感じさせるその姿に、沙綾香の表情がかすかに明るくなる。だが、ロドニーはその沙綾香に顔を向けた。
「おっと、気ィ緩めてんじゃねえぞ。お前も一緒に犯されるんだ……コイツでな」
ロドニーはそう言って、剃り込み男の方に手を翳す。するとその手に、ある物が手渡された。双頭ディルドーのついた、黒いゴム製の下着……ペニスバンドだ。
「さあ、来い」
20人の客と12人の調教師が見守る前で、椅子へ深く腰掛けたロドニーが藤花を呼ぶ。
「ああ」
藤花は、それを受けてロドニーの前に立った。そして、ゆっくりとロドニーの上に腰を下ろしていく。下着は肛門部分に穴が開いているため、挿入を妨げない。ドナンの効果で緩みきった肛門が、拷問器具のようなペニスを迎え入れていく。
「ぐっ……!」
3割ほど飲み込んだ時点で、藤花が小さく呻いた。他の黒人共を相手にした時のような表情の緩みはない。調教前に巻き戻ったかのような、精悍な顔つきだ。
「へへへ、ドナンはすげぇよな。俺のがズルズル入っていくんだからよ」
ロドニーがそう呟く間にも、さらに腰が沈み、怒張の中ほど……瘤のように膨らんだ部分が肛門に入り込む。その瞬間、藤花の腰が止まった。
「ッ!? うあ、うわあああああああっっ!!!」
藤花は急に叫ぶと、腰を浮かせた。半ばまで入り込んでいた怒張が抜け、ロドニーの腰を跨ぐ形で開かれた筋肉質な脚がガクガクと痙攣する。
「おいおい、どうした?」
「なにビビってんだ、アナルビッチ!」
客と調教師から野次が飛ぶが、藤花は虚空を見つめたまま震えるばかり。
「と、藤花、どうしたの!?」
沙綾香が藤花に駆け寄ると、凍り付いたような視線が横を向く。
「わ、わから、ない……。頭の、天辺まで……痺れが、突き抜けた……」
藤花の吐く言葉は途切れがちだった。便意や快感で余裕のない時の反応だ。
「だろうな。俺のペニスの刺激は、他の連中の比じゃねえ。アナル性感が目覚めた状態で受け入れりゃあ、脳天まで痺れて当然だ」
ロドニーは浮いた藤花の腰を捕まえ、強引に押し下げる。
「んああああ゛っ!! や、やめろっ、沙綾香の前だぞ……ん、くっ、ふぐううう゛っ!!」
藤花の背中が仰け反り、両脚で腰を浮かそうとしても、ロドニーは押し下げる力を緩めない。
「おーお、いい具合だ。ドナンで蕩けた腸壁が纏わりついてきて、最高にエロいぜ!」
嬉しそうに語りながら、あらゆる限界反応を無視して、8割ほどを強引に押し込んでしまう。根元まで挿入しないのは、すでに腸の奥にまで届いてしまっているせいだろう。
「あ、かはっ…あ、オあっ………ア゛ッ」
藤花の脚は、力んだまま宙に浮いていた。代わりに両手がロドニーの腰を押し下げ、少しでも腰を離そうとしているが、強靭な脚の力で無理なことが腕で成し得るはずもない。
「ここまで入るとは大したもんだ。どうだ、極太を丸ごと飲み込まされた気分は。ああ、言わなくてもいいぜ。括約筋の動きで本音は解るからな」
ロドニーは藤花の太腿を押さえつつ、激しく腰を突き上げる。挿入箇所が肛門なんだから、当然直腸を突いているはずだ。だというのに、ロドニーの規格外の巨根は、藤花の下腹をぼこりと膨らませた。肛門壁と膣を丸ごと貫通して。
「くほっ、ほおおお゛お゛っ!!」
あまりの刺激に耐え切れず、高く腰を跳ね上げる藤花。その反応を確認して、ロドニーが沙綾香に視線を向けた。
「今度はお前だ、藤花の上に乗って、だらしなく開いたケツにオモチャを嵌め込め」
有無を言わせぬ口調でそう命じられたところで、抵抗なく従えるはずもない。沙綾香は胸を掻き抱くような仕草で立ち尽くす。
「早くしろ。従わねぇってんなら、コイツをどうするかわかんねぇぞ?」
ロドニーは語気を強め、藤花の下腹に手を宛がった。そして、まずいという顔をする藤花の腰を、また突き上げる。今度は、さっきより性質が悪い。直腸からの突き上げでぼこりと膨らんだ下腹を、腹の上から巨大な手で握りしめる。子宮を上下から挟みつぶすような行為だ。
「……ぉっ、ぉ……っ……!?」
可哀想に。藤花は、声さえ出せなかった。反射的に両の太腿を跳ね上げたまま、顎を浮かせ、唇を尖らせ、視線を上空に泳がせる。沙綾香が『十番勝負』でドミニクに犯された時の、目の前に火花が散るという反応にそっくりだ。だが、似ているだけで違う。あの時の沙綾香は一瞬意識を飛ばすだけだったが、今の藤花は、蕩けるような笑みを顔中に広げていく。まともじゃない──そう直感する表情だ。
「やめて! わかった、言われた通りやるから!!」
沙綾香も危険を察したんだろう。慌てた様子で叫ぶと、ロドニーの前で背を向ける。
「さや、か……」
掠れたような声で呻く藤花を、一瞬振り返ってから、沙綾香は藤花の上に乗る。
「はぁ、はぁ、はぁ……っぐ、んん……んあぁっ、あ…………」
腰を沈めるにつれ、沙綾香の息が詰まっていく。藤花に装着されたペニスバンドは、藤花の割れ目の部分はさほどでもないが、外に出ている部分はかなり太く、表面には凹凸も多い。それがドナンゼリーを塗り込められた肛門を抉るとなれば、その刺激はかなりのものだろう。
「ハハハハッ! モデルみてぇな娘っ子っつっても、2人分だとなかなか重いな。だが、重量感のある女は嫌いじゃねぇぜ!」
ロドニーは笑いながら藤花の肩を掴み、下へと引き込んだ。挿入の速度が増し、ペニスバンドが一気に根元まで入り込む。
「っぎぐううううっ!!?」
沙綾香の顔が歪む。口の右半分は閉じ合わせ、左半分は歯を食いしばるような非対称。瞬間的に激痛か、それに近い刺激を受けた証拠だ。そして、反応したのは沙綾香だけじゃない。
「ああああ゛あ゛っ!! 入る、入るううう゛う゛っ!!!!」
沙綾香の下にいる藤花もまた、壮絶な顔を晒し、床についた両脚をぶるぶると震わせる。沙綾香が力んだことで上から圧が掛かり、ロドニーの物が深く腸内に入り込んだらしい。
「あっ!? ご、ごめん、藤花!」
「フーッ、フーッ……き、気にするな、沙綾香……。俺は、大丈夫だ……」
すぐに振り返って謝る沙綾香と、そんな沙綾香を安心させようとする藤花。その涙ぐましい友情を、ロドニーが鼻で笑う。
「ほぉ、大丈夫なのか。なら、遠慮はいらねえな!」
奴はそう言うと、激しく腰を突き上げはじめた。
「こっ、ほ!? おほっ、んおおお゛っ!!!」
藤花が唇を尖らせ、『お』行の呻きを漏らしながら仰け反る。そうすると今度は、彼女の腰の疑似ペニスが沙綾香の腸内を抉ることになる。
「くはっ、あ゛っ!! んん、んくうお゛……っ!!」
沙綾香は切なそうに身を捩り、腰を震わせた。
「ハッハッハ、これは面白い。まるでドミノ倒しだな!」
「ふふ、確かに。2人纏めてあの黒人に貫かれている感じで、興奮するよ!」
ロドニーが腰を動かす度に恥辱の連鎖が起き、客はそれを見て満足そうに笑う。
「まだまだ、こっからだぜ!」
ロドニーは客の方へ向けて叫ぶと、さらに腰の振りを激しくした。
「っがぁ、ん゛あ゛あああお゛っ!! ハッハッハッ……んひっい゛、お゛ごっ、ううぐう゛あ゛ッ!!」
藤花は口を尖らせて悲鳴を上げる。完全に快楽で蕩けた顔だ。肛門からぶじゅっぶじゅっと水音がするたび、かろうじて床に接している脚の筋肉が浮き彫りになった。
しかも彼女は、ただ受動的に犯されているだけじゃない。意識的にか無意識にか、自ら腰を沈め、足の裏をべったりと床につける。そして一秒後、ぶるっと全身を震わせながら息を吐き出すんだ。
「あの藤花って子、自分から腰押し付けてるよな、アレ」
「ああ。あんな、岩の塊のような物をよくもまあ……」
「完璧にアナルアクメに溺れてるんだろうな。いかにもマゾ奴隷って感じだ」
客は藤花を見て囁き合う。どうやら『藤花こそがマゾ奴隷』という確信を固めつつあるらしい。とはいえ、まだ決めてはいないようだ。その証拠に奴らは、沙綾香にも注意を向けていた。
「ひい゛っ、はううう゛っ!! ぃいああぐっ、んはううう゛っ!!!」
沙綾香にも、やはり余裕というものはない。無機質な黒い疑似ペニスで肛門を抉られながら、歯を食いしばって声を絞り出す。藤花に比べて、こっちは羞恥の割合が多いようだ。
実際、苦しい状況だろう。ロドニーの突き上げの余波だけでなく、藤花自分も不定期に腰を跳ねさせるため、肛門を犯されるのにリズムも何もない。結果、不意打ちに近い形で腸奥を貫かれ、狂ったように腰を上下させることになる。
「うははははっ、凄い腰つきだ! ストリップでもあそこまで露骨に下品な動きはしないぞ!」
「なまじスタイルが良いせいで、余計惨めたらしく見えるな。うまく生きられれば、一生周りから持て囃されて、こんな恥を晒さずにいられただろうに」
「どうかな。結局はこの美貌のせいで、倶楽部に目をつけられたんだろう? これがこの娘の運命だよ。天は二物を与えずと言うだろう。女の誰もが羨む器量を与えられながら、女の誰からも軽蔑されるマゾ奴隷に貶められる。それでこそ、均衡が取れるというものだ」
「ほう、面白い考え方だ。そうだな……確かにこの娘は、ギフトに恵まれすぎている。帳尻合わせが必要かもしれんな」
客は沙綾香を眺めつつ、勝手なことを口走る。『貶められる沙綾香が観たい』──その想いが滲み出ている。藤花をマゾ奴隷と認めた時と同じか、それ以上に強く。
※
肉のぶつかる音が響き、汗が飛び散る。
3人の動きは変わらない。ロドニーが藤花を力強く犯し、藤花はそれを能動的に受け入れ、沙綾香が叫びながら腰を上下させる。その動きは刻一刻と激しさを増し、ある時ついにロドニーが笑い声を上げた。
「おいおい沙綾香、そんなに腰振んなよ。お前がそうやってケツ叩きつけてっと、藤花のマンコのディルドーが奥に入り込むだろ。せっかく処女膜には届かない大きさのを選んでやったのによ、今の調子だと玩具でバージン失っちまうぞ?」
ロドニーのその言葉で、沙綾香が表情を変えた。悪趣味なことだ。藤花の純潔を脅迫材料に、沙綾香の行動を縛るとは。
「……!」
沙綾香は顔を傾け、横目に藤花の顔を伺う。逆に藤花は、自分が観られていることに気づき、だらしなく開いた口を閉じ合わせる。
「さ、沙綾香、気にするな。勝手に腰が動いてしまうんだろう? 無理に抑えることはない、無理をすると気が触れるぞ。お前に処女を捧げるというなら、それもいい……」
そう囁く藤花の口には、薄笑みすら浮かんでいた。幼い弟達から慕われる彼女らしい、思いやりに溢れる言葉だ。だが、ただでさえ藤花に負い目を感じている彼女が、そんな言葉に甘えることはない。
「んぐぐ、ぐ……っ!!」
沙綾香は手足に力を篭め、藤花に密着したまま動きを止めた。ロドニーは遠慮なく突き込み、それを受けて藤花も腰を揺らすが、沙綾香はじっと踏ん張る。藤花の方へ体重をかけないように。だがそれは、ペニスバンドの刺激を余さず受け止めることを意味する。沙綾香の肛門はドナンゼリーで火照りきった状態だ。そんな場所で凶悪な責め具を迎え入れれば、平静ではいられない。
「ッあは、あおッ、あああおッ、うあ……っく、はあっ……!!」
乳房を跳ね上げながら、沙綾香の上半身が弓なりに仰け反る。内腿が三角に窪み、足指が反る。開いた口から唾液が零れ、濡れ光る割れ目からも液が滴り落ちる。
「おら、おら! どうだ!!」
ロドニーが沙綾香の反応をモニターで確かめつつ、入念に腰を遣う。今度は突き上げるのではなく、藤花の太腿を押さえ込んだまま、グリグリと横方向に腰を捻るやり方だ。ロドニーほど太さのある巨根でそうされれば、腸をこじ開けられる感覚は洒落にならないことだろう。
「っこほおお゛お゛っ!? やえろっ、やめてくれええ゛っ!! 拡がる、拡がる拡がる゛う゛ーーーーッッ!!!!!!」
案の定、藤花は全身を震わせて絶叫する。そしてロドニーが太腿から手を離すや否や、解放されたバネのように腰を跳ね上げた。その結果、沙綾香の肛門に浅く嵌まっていた巨大ディルドーが、根元まで沙綾香に突き刺さる。
「うくお゛ほっ……!?」
急所を突かれた。沙綾香の反応は、そういう風だった。見開かれた眼の中で、瞳孔が開く。両手は力なく空を掴む。そして、反射で180度開いた足の合間から、ぶしゅっと潮が噴き出した。透明な液は、何にも阻害されず、まっすぐ客の足元にまで浴びせかかる。
「…………エッロ…………。」
客の一人が、感情を篭めて呟いた。手を握りしめ、前傾姿勢で沙綾香に見入る他の客も、無言で賛同しているようなものだ。
そして、沙綾香の極限の反応に魅せられた人間は他にもいる。
「あああもう我慢できねぇ! おいロドニーさんよ、俺らも混ぜてくれや。クチなら使ってもいいだろ?」
「頼むぜ。まだ全員1回しか射精してねぇのに、こんなモン見せつけられちゃ生殺しだ。コックが破裂しちまうぜ!」
やや離れて様子を伺っていた黒人共が、沙綾香達を取り囲んで騒ぎ立てる。
「へッ、そういやそうか。わかった、いいぜ。喉でも気持ちよくしてやれ!」
ロドニーからはあっさりと許可が下り、黒人共が喜び勇む。何本もの剛直が準備を整えるが、黒人共の腰の高さや、折り重なった体勢の関係から、藤花の口に咥えさせるのは難しい。そこで必然的に、沙綾香がターゲットになった。
「しゃぶれ!」
いつになく荒々しい口調でジャマールががなり立て、沙綾香の口に横から怒張を捻じ込んだ。
「んぐっ……!!」
日本人平均の倍は太さのあるペニスだ。口に押し込まれた瞬間、沙綾香の顔が歪む。だが、性欲の滾った獣は配慮などしない。沙綾香の頭を抱え込み、思うがままに口内を蹂躙する。
「んぶっ、ぼうっ!! んぶうっ!!」
紅潮した頬は、何度も亀頭の形に盛り上がった。
「ん゛お゛っ、ん゛ぉ゛う゛っ! おぉ゛う゛え゛っ!」
たまに挿入方向がずれ、喉元が盛り上がると、短い嘔吐のようなえずきが漏れる。
「ああああダメだ、もたねえっ!!!」
ジャマールは唸りながら腰を震わせた。沙綾香が呻きを漏らし、2秒後、口に収まりきらない精液がどろりと垂れる。本来ならこの射精をもって一区切りだが、今は相手が1人じゃない。
「よし、今度はオレだ!!」
2人目にはレジャナルドが名乗りを上げる。奴は沙綾香の額と顎を掴み、顔を完全に自分の方に向けさせてから、深々と怒張を咥え込ませた。
「っふぅ゛ううう゛う゛おお゛オ゛オエ゛エ゛エ゛エ゛ッッ!!!」
ただでさえ息の切れた状態で、ジャマール以上の太さを咥えさせられては堪らない。一瞬にして沙綾香の頬が膨らみ、見開かれた目から涙が伝う。それを見ても、レジャナルドはやはり同情などしない。脚を後方に踏ん張り、腰をやや押し出し気味にしながら、掴んだ沙綾香の口を『使う』。
「ん゛ごぉ゛うっ、オエ゛ッ!! ぉほも゛ろ゛ぉうええ゛ッ!!!」
腰がぶつかるたび潰れる鼻の横を、次々に新しい涙が零れ落ちる。口からは普段以上に唾液や胃液が滲み、さっきの精液と混ざり合って、牛乳のような白さの泡を剛直の周りにびっちりと生み出していく。
そして当然ながら、苦しいのは口だけじゃない。今の沙綾香にとっては、その地獄の苦しみですら副次的なものだろう。刺激のメインは言うまでもなく、腸を深々と抉る異物だ。
彼女の脚はもう、180度の開脚から戻らない。大股を開いた藤花の脚が邪魔なのもあるだろうが、自らその角度を保っているように見えた。
見事なスタイルだ。細く引き締まった腰から、思い切ったようにむちりと肉感的な太腿が広がっていく。だが、内腿の窪み具合は、その麗しいイメージとは正反対だ。彼女の中を巡る快感がどれほどのものか、考えずにはいられない。
「あはっ、ああははアおお゛っ!! さ、ささ、沙綾っ香、大丈夫、か……っ!!」
藤花は沙綾香を案じて声を掛けるが、彼女にも余裕はない。ロドニーは藤花の責め方を見抜いたらしく、横に縦にと緩急をつけて腰を蠢かしていた。そのせいで、藤花の足先は床から離れている。肛門を貫くロドニーの剛直だけを支点にして、腰が完全に浮いてしまっている状態だ。
その串刺し刑にも等しい状況に、藤花は余裕を残せない。黒目はほとんど上瞼に隠れ、口は涎を垂らしながら、笑みを完成させている。意味のある言葉を発せているのが、奇跡としか思えないレベルだ。
「そうーらサムライガール、またいくぜ。大好きな大好きな、この角度だ!」
ロドニーがそう言いながら、奥まで入り込んだ怒張をグッグッと突き上げる。
「っあおオオオ゛ーーっ!!!!」
藤花の微笑む口が縦に歪み、奥歯までを覗かせた。同時に腰も跳ね上がり、沙綾香の細身を宙へ浮かせる。
「うも゛ごっ、けェエ゛…………っ!!!」
沙綾香は、えずき損ねたような呻きを漏らし、下半身を震えさせる。そして直後、肛門からぶちっと破裂音が響いた。続いて尻肉がヒクヒクと痙攣し、透明な液が細い奔流となって、藤花の腿を流れ落ちていく。
「おいおい、友達の上でクソすんじゃねぇよ。いくらアナル性感がバカになってるからってよぉ!」
モニターを見上げたロドニーが大いに嘲笑い、その嘲笑をもって、凍り付いていたフロアの空気が動き出す。
「……すんげぇな」
客から最初に漏れた一言は、やはりシンプルなものだった。それは、言語化できないほどの感情を抱えた証でもある。
「ああ。どちらも凄まじい……これは、決められんぞ」
「さっきは藤花の方に一票と思ってたが、あの沙綾香の反応はヤバイって」
「俺、逆だ。さっき沙綾香にしようと思ってたけど、藤花にド肝抜かれたわ」
客がざわつく。最後の判断材料として催されたこの見世物が、かえって客の迷いを深くしたようだ。
俺が客の立場だったとしても、今の一連の流れを観た上で、どちらかを切り捨てるのは難しい。少し思い返すだけでも、網膜に焼き付くレベルの衝撃的な場面が、まざまざと浮かぶ。沙綾香のものも、藤花のものも。
「おい、やっぱり決まらねぇじゃねぇか」
ソファで一人煙草をふかしていた手越が、ロドニーに苛立ちの声を上げる。何か案でもあるのかと好きにさせたが、結局は遊びたかっただけか──そういう非難を孕んだ声色だ。
「カッハッハッ! 2発目のドナンかましてハメりゃ、どっちかヘバると思ってたが、結局見せ場を作っちまったぜ。女の友情ってのは紙切れみてぇなもんだと思ってたが、案外強ェな。ま、こうなっちゃしょうがねぇ。どっちをマゾ奴隷らしいと思ったか、インスピレーションで答えてくれ」
ロドニーは可笑しそうに笑い、並み居る客の顔を見回した。腐っても元軍人。いかに態度が軽くとも、そうしてギョロリと一瞥するだけで、客に不満を呑み込ませる眼力がある。
「ま、強いて言うとな。マゾ奴隷と認められた女は、この後ここにいる黒人共に、朝まで可愛がられることになる。アンタらはそれを好きに見学したらいい」
ロドニーはそこで言葉を切り、客を焦らす。
「ええっと、つまり……?」
1人の客が待ちきれずに問うと、ロドニーは唇を吊り上げた。
「つまり、こういう考え方もアリってことだ。『延々とヤられまくる姿を見たいのは、どっちか』。完熟した実が、果汁を噴き出しながら貪られるのを観たいか? 熟れかけの実が、甘ーく熟していくのが観たいか? それで決めりゃあいい」
ロドニーは諭すようにそう語り、藤花と沙綾香の脚を叩く。
「んっ……!!」
「くあっ、はああっ……!!」
沙綾香と藤花は、その刺激だけで震えた。苦痛と快楽が混ざり合った、やや青い呻き。快楽が前面に出た、完熟の喘ぎ。それを耳にして、客が生唾を呑む。
そこからは、喧々諤々の議論が繰り広げられた。沙綾香に魅力を感じる人間、藤花に魅力を感じる人間。それぞれにかなりの数がいた。だが最終的には、すでに完成されているものより、変わっていく姿が見たいという声が大勢を占める。
「俺達が選ぶのは……サヤカだ」
20人の代表として、初老の男がロドニーにそう告げた。それを以って、3度目の『審査会』も沙綾香の勝ちで幕を閉じる。だがそれは、いつにも増して苦い勝利だった。
「アハハハハッ!! だってよ沙綾香、良かったなあ!? 尻穴専用の奴隷として、2週間以上も調教されまくったこの剣姫様より、お前の方がもっとマゾで変態らしいって認められたんだぜ? ったく、天才的だよなあ、“お嬢ちゃん”よう!」
ロドニーはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の耳元に悪意を噴き込む。明らかに最後の一言は、明らかに財閥令嬢としての出自を茶化すものだ。
「…………ッ!」
沙綾香の顔が歪む。
「…………くそっ! 俺が、身代わりになれていれば…………!!」
藤花もまた、悔しげに唇を噛み締めていた。
恥辱と後悔に彩られた幕引き。しかも、それで終わりじゃない。
「さあ、楽しもうぜぇ。“いつもみたいに”よぉ!」
黒人共が沙綾香の腕を掴み、体液を滴らせながら立ち上がらせる。
夜が更けた今から始まるのは、血だらけの身に塩を塗り込む、悪夢の宴だ。
※
「くはっ、ああああ゛ッぐ!! はぁあっ、ひ、いひぎいいい゛っっ!!」
ベッドにうつ伏せになった沙綾香が、悲痛な声を響かせる。そんな声が出るのに、何の不思議もない。
『審査会』よりも盛り上げろ。ロドニーがそう命じたことで、黒人共は使えそうな道具や薬液をすべてかき集め、遠慮のないハードプレイを繰り広げた。
モップで都合3度目になるドナン液を塗り込んでから、肛門に玉蒟蒻を10個詰め込み、ペニスサックを装着した状態で犯す。それが今のプレイだ。
表面に凹凸や突起があり、長さも太さも増強するペニスサックは、日本人のペニスをも凶器に変える。それを黒人共がつければ、それはもう完全な拷問具だ。
「うははっ、すんげぇうねりだな。ちょっと落ち着けよ」
背後から犯すマーキスが、沙綾香の反応を嘲笑う。奴は肉厚のペニスサックを選んだため、肛門から覗く逸物は、モーリスのそれをも上回る直径を備えている。
「ち、違うの! 私じゃない! もう自分じゃどうしようもないの、お願い、突かないでっ!!」
沙綾香は喘ぐような口調でマーキスに乞う。だが、マーキスに哀願は通じない。
「馬っ鹿だなオメー。それ聞いて、俺がやめると思うか?」
マーキスは沙綾香の肩を押さえ込み、顔面をシーツに押し付けながら腰を遣う。巨木のような太腿が沙綾香の上で踊り、バンバンと凄まじい音を立てる。
「うぎゅうぃいい゛い゛っ!!!! いいいイグッ、イグっいぐッッ!! し、子宮とお尻の奥で、どっちもイってるのぉ゛っ!!」
沙綾香は無理矢理顔を持ち上げ、絶叫する。膝から下は狂ったように暴れ、何度も足の甲をシーツに叩きつけて、寝台そのものを弾ませる。それでも、マーキスは責めを緩めない。むしろ嗜虐の笑みを顔中に広げ、沙綾香の上腕を握りこみながら腰を落とし込む。今の沙綾香がもっとも嫌がるだろう、全体重を掛けて肛門を杭打ちするやり方だ。
「ふわぁわあああああ゛あ゛っっ!!!!」
レイプ魔が確信をもって打ち込んだ毒は、細い身体へすぐに回った。普段ならまず出ない、幾重にも重なったような絶叫が絞り出される。
「あだま゛、真っ白になっちゃう゛っ!! お願いやめて、お願いお願いお願いいい゛っ!!!」
沙綾香は泣き声を漏らしながら、せめてもの抵抗か、踵でマーキスの尻を蹴りつける。
「おーいおい、痛ぇなあ!」
マーキスはどこか嬉しそうな声色を出しながら、制裁とばかりに前傾姿勢を深めた。膝を深々とシーツに沈み込ませ、グリグリと腰を回転させて、沙綾香の下腹部をベッドに圧し埋める。
「ッーーーーー!!!!!」
沙綾香から、声にならない声が漏れた。マーキスに掴まれた腕の先がびくんっと強張る。抵抗を続けていた足も力を失くし、シーツへと落ちた左足だけが、病的なつま先立ちで脹脛を盛り上げる。
「おおおおおおっ、締まる、締まる! すっげえええっ!!!!」
マーキスが驚きの声を上げながら、太腿を筋張らせた。どうやら射精に入るようだ。オーウ、オーウとマーキスが喘ぐ中、ふっと沙綾香の全身が弛緩する。女子高生らしい、むちむちとした肉感を取り戻した足の間から、水音が漏れた。カメラの角度的に直接は確認できないが、次々に変色していくシーツを見れば、何が起きたかは明白だ。
「ははは、また潮を噴いたぞ」
「いや、流石に今度のはションベンしょ。量すげぇし」
「潮もおしっこも大差ないって。にしてもあの子、ホントよく噴くよね。お尻の奥刺激されると、尿道も刺激されるからかな。膣挟んでるだけで、近いといえば近いし」
客はワイン片手に、黒人と沙綾香のセックスを堪能している。空いた手で自ら慰める人間もいれば、百合で溜まりきった性欲を処理している奴もいる。20人近い男から順番に犯されるとなれば、彼女もだいぶ参っているようだ。とはいえ、沙綾香に比べればマシだろう。
「ふーっ、良かったぜぇ最後の締まりは。スーパーウーマンのバキュームフェラかと思ったぜ」
マーキスは満足げに息を吐きながら、肛門の異物を引きずり出す。緩んだ肛門からは、コロコロと玉蒟蒻が転げ出た。マーキスはそれを笑いながらペニスサックを外し、沙綾香の口を開かせる。
「ほら、エクササイズ後のタンパク質と水分補給だ。いつもみてぇにちゃんと飲み込めよ」
ペニスサックからこぼれ出た精液は、沙綾香の舌を覆い尽くす。ヨーグルトのような濃さがある上、普段に輪を掛けて凄まじい量だ。それを飲み込まされるというだけで、並の女子高生ならトラウマものだ。だが今の沙綾香にとっては、ささやかな不幸でしかないだろう。彼女には、感傷に浸っていられる時間などない。
次番を勝ち取ったアンドレが、のっそりとベッドに上がる。奴はうつ伏せのまま放心する沙綾香の傍に膝をつくと、転げ出た玉蒟蒻をもう一度肛門へと詰め直す。そして沙綾香を仰向けにひっくり返すと、その両脚を掴み上げた。屈曲位だ。
アンドレは寡黙だが陰湿だ。奴が装着するペニスサックは、先端がテニスボール大のシリコン球で補強されていた。奴はそれを、いきなり奥の奥まで潜り込ませる。
「おっぐぅううぅ!!」
沙綾香の反応は大きい。つま先までが震え上がり、さっきの出し残しらしき液体が割れ目から流れ出る。顎を浮かせた顔は、その表情をしっかりと客に観られてしまい、局所的な大笑いを巻き起こした。
「いーい顔をしますなぁ、この子は……!」
「ええ。やはり“こっち”を選んで正解でしたね。凛々しい娘が惨めな顔になるのも面白いですが、トップアイドル級の美少女がこんな顔を晒すとなれば、もう一種の奇跡ですよ」
「うううむ……いかん、疼いてきた。おい、その給仕の穴はまだ空かんのか!? 緩いなら手なり口なり使って、さっさと済ませたまえ!」
客が沙綾香の表情に鼻息を荒くする中、アンドレも獣じみた息遣いで腰を上下させる。膝裏を押さえ込みつつ、ぐうっぐうっと一突きずつ入念に押し込む責めだ。
「ォォ゛っ……ォ゛ッ!!! ォっお、ほおォ゛っ……ォ゛、おおっ……!!」
声の出しづらい体勢だけに、沙綾香の呻きが小さく、低い。だが、彼女が感じているという情報は無数にあった。痙攣する太腿もそう。外側に反り返る十本の足指もそうだ。
中でも、斜め上からのカメラに捉えられた表情は印象的だった。アンドレの肩を通して虚空を見つめるその顔は、田舎娘が初めて恋を知った時のように純粋だった。たまたま、呆然とした顔がそう見えるんだと信じたい。意味があってほしくない。特に、快感に骨抜きにされた顔というのは──。
「凄いな、お前。一人でイキっぱなしだ」
ぼそりと、呟きが聞こえる。アンドレのものらしい。寡黙な男に言葉を漏らさせるほど、沙綾香は奴の望み通りの状態にあるらしい。
アンドレは笑みを浮かべながら、ゆっくりと腰を沈めては浮かす。ぎしっ、ぎしっ、とベッドが軋み、初恋の少女の顔が、感動で笑うような顔に変わる。
「っ!?」
沙綾香はすぐに意識を取り戻し、アンドレの肩を押し返す抵抗を見せた。だが、アンドレは止まらない。淡々と、しかし力強く腰を遣い、刻一刻と脆くなっていく沙綾香に同量の無理を強い続ける。
木板に圧を掛け続ければ、ある瞬間にいきなり砕けるように、沙綾香はある瞬間、許容量を超えた。
「…………だめ……だめ、だめ…………っ!!」
囁くような声が前兆となり、沙綾香の肛門からぶりゅっと音が鳴る。根元の太さは補強されていないペニスサックの脇から、玉蒟蒻が4個顔を出し、ボトボトと濡れたシーツに零れていく。静かな決壊だったが、だからといってショックが小さいとは限らない。
アンドレが思うさま腰を遣い、射精し終えて足を解放した後、沙綾香は仰向けのまま伸びていた。
「ぉ……っふ、ぉぉお……。っうふ、ぉ……ッ……ほーーーっ…………」
手足を大の字に開き、腰をヒクつかせて気絶したように喘ぐその様は、彼女がどれだけ深く達したのかを生々しく物語る。そしてもちろん、その休息すら十分には行えない。すぐに次のドミニクが沙綾香を抱え上げ、大得意の背面立位を客に見せつける。
※
床に崩れ落ちた沙綾香の髪を、モーリスが掴んで引き起こす。
「…………おら、シャンとしろ。寝てる暇なんかねぇぞ?」
奴はそう言って、ザーメンまみれの怒張を咥えさせる。半勃ちとはいえ十分な張りを持った、ゴム管のような逸物。それを口で清めさせられる沙綾香は、今にも気絶しそうな有り様だった。顔は青ざめて汗に塗れ、眼にも口にも力がない。それはそうだ。つい今しがたのモーリスで、連続37回目のアナルセックス。フロアの至る所に、彼女から汗と涙を奪ったプレイの痕跡が残っている。
そして、夜はまだ終わらない。
口移しで水分を補給させられた後、沙綾香は強引に立たされ、背後からタイロンに挿入される。
「はっ、はがっ……あ、あ゛っ……っ!!!」
ペニスサックも異物挿入もない、ナチュラルなアナルへの挿入。だが今の沙綾香は、それだけで顔に恐怖を浮かべて腹部を見下ろす。
「ははははっ、解りやすい反応だ。子宮が疼いて堪らんのだろうなあ」
「いや。それどころか、挿入されただけで子宮イキしたんでしょう。ほら見てください、膝に来ていますよ」
客は沙綾香の反応を見て、すぐに絶頂を指摘する。多分、それは当たっているだろう。そして、ギャラリーにすら即座に看破できる状態が、挿入しているタイロンに判らないはずもない。
「おうおう、締まる締まる。吸いつく感じが戻ってきたじゃねぇか」
タイロンは嬉しそうに囁きながら、沙綾香の割れ目に指をくぐらせる。
「あ、やあっ!! やめてよ、前はっ……!!」
「何がやめてだ、ケツに入れられてる間じゅうヒクヒクさせっぱなしのくせによ。ようお前ら、お嬢ちゃんが口寂しいってよ。前にオモチャでも当ててやれ!」
タイロンが沙綾香を羽交い絞めにしながらそう言うと、他の黒人共も笑みを浮かべた。ドミニクが近くのマッサージ器を拾い上げ、スイッチを入れて、身動きの叶わない沙綾香の下腹へと宛がう。
「あ゛っ、あ゛ーーっ!! や゛っ、だめっ……んっ、んぐうっ!! はぁ、はぁ゛……っ!!」
沙綾香は焦りを隠せない。ドミニクの顔を睨みながら、脚を内股に閉じる。
「どうした、隠すなよ。皆に見てもらえ!」
ドミニクは沙綾香の脚を手で押し開き、強引に開脚させながらマッサージ器を宛がい続ける。
「んぐっう! おっ、おぉ゛っ、ぉお゛っ、ぉおお゛っ…………あ゛、ああ゛ーっ、あ゛ーーっ……」
沙綾香の喘ぎが変わった。はっきりとした音を発しながら、足を菱形に開いて腰を前後させる。
「おーっ、イッてるイッてる。めっちゃ腹筋ヒクヒクすんのな」
「すげーっ。こんな可愛い子が、ケツハメ電マであっさり子宮イキとか!」
「それもガニ股でな。すげー絵面だわ、ホント」
客が面白がる間にも、ドミニクはマッサージ器をグリグリと押し付け、沙綾香を追い込んでいく。雑な責めではあるが、今日一日で数えきれないほど達している沙綾香には、力押しの刺激でも十分に効くようだ。
「アアア゛っもう無理、もう無理ぃっ!! 見ないで、見ないでよぉっ!!」
快感より、羞恥心の限界が先に来たんだろう。沙綾香は涙ながらに叫びながら、必死に脚を閉じ合わせる。だが、タイロンがそれを許すはずもない。
「そら、暴れんなって!!」
タイロンは肛門に挿入したまま、沙綾香の太腿に手を掛ける。だが沙綾香が必死に抵抗するのを見て取ると、一旦下腹を抱え込み、グリグリと腰を押し込んだ。
「ひっぐ!?」
沙綾香が顎を浮かせ、膝を震えさせる。
「くっくっ、便利だなここは。『開けゴマ(オープン・セサミ)』ならぬ、『開け結腸(オープン・コロン)』ってとこか」
タイロンは笑いながら、力の抜けた沙綾香の膝を簡単に割りひらいた。すかさずその隙間へ、ドミニクのマッサージ器が入り込む。
「やああああっ!! お願いやめてっ! もうイキたくないっ!! お尻と子宮でイくのも、笑われるのも、もお嫌なのおっ!!」
沙綾香はほとんど半狂乱になり、膝を上げて激しく暴れる。だが肛門を拡げられて力も入らないまま、黒人2人に抗いきるなど無理な話だ。
「やあっ、また……ふ、深いい゛っ!! ァあいく、イックうぅんッ!!」
愛液を散らしながら狂ったように腰を振った挙句、強引に脚を開かされた体勢で公開絶頂を晒すしかない。
「はっはっは、また無様なイキ方だなぁオイ! 名付けてガマガエルアクメってとこか?」
「面白ェけど、ちょっと怖くもなるわ。人間って、こうやって壊れてくんだなーって」
「そうだな。つい2、3時間前までは、強気に睨みつけていたというのに」
「やー、でもしょうがないんじゃない? 俺らがあの立場でも、頑張りきるの無理っしょ。あのガタイの黒人とか、背後取られて腰掴まれた時点で心折れるわ」
客は沙綾香の変化を可笑しがり、あるいは冷ややかに見ながら、それぞれに時間を楽しむ。わずか数十センチほどしか離れていないのに、沙綾香とは別世界の気楽さだ。
その後も沙綾香は、客の目の前に晒されたまま、立ちバックの姿勢で犯され続ける。黒人とは精を放っては次々に入れ替わるが、沙綾香だけは休めない。
自分の親と変わらない歳をした、20人の客……その眼前で、延々と恥を晒し、延々と肛門を犯し抜かれる。それは、どんな気分になることだろう。
「ぉっ、ぉおっ……おッ! ほッ、ッ、ォ、ォおっ……!」
ある時点から、沙綾香の喘ぎが明らかに変わった。はっ、はっ、という喘ぎに混じって、『お』行の喘ぎが漏れはじめる。それまでにも突発的に発されることはあったが、出続けるのは初めてだ。
「どうしたんだろ、あれ」
「今まではなんとか我慢してたけど、諦めたんじゃない?」
「アッハ、女捨てたってこと? 笑えるー」
客は当然変化に気付いて茶化すが、沙綾香は声を殺さない。顎を浮かせ、背中を弓なりに反らせたまま、肛門からの刺激に打ち震える。
どうやらこれは、なんとかアナルセックス地獄へ耐え抜くための、苦肉の策だったらしい。次に沙綾香に表れた変化で、それが明らかになった。
「いや、もうお尻いやっ!! へ、ヘンになっちゃう! これなら、アソコ犯されてた方がマシ!」
両手を背後に引き絞られたまま犯されていた沙綾香が、我慢の限界とばかりに涙を零す。客と黒人共は、この発言を予想していたのか、待ちわびたという顔で身を起こす。
「アソコってなんだよ、オマンコの事か?」
「そ、そうっ! オマンコなら犯していいから、お尻はもうやめて!」
ロドニーが問うと、沙綾香はそれに引きずられて下卑た表現を口にする。それを聞いた客はどっと噴き出し、沙綾香も失態に気付いて顔を歪めた。だがそれも一瞬だけで、すぐに肛門の快感に吞まれていく。
「なるほど、よーくわかったぜ。だが、日本語で言ってもそいつらにゃ通じねえよなあ」
ロドニーの言葉で、沙綾香がハッとした表情になる。彼女は声を震わせながら、黒人共相手に恥辱の哀願を繰り返す羽目になった。
「くっははは! そうかそうか、プッシーが恋しいってか。そりゃ奇遇だな、俺のコックもそう言ってんぜ。たっぷり前を可愛がってやるよ」
黒人共は嬉々として提案を呑み、沙綾香をベッドへと連れ上げる。
珍しくスムーズに要求が通った理由は、決まっている。調教師側にとって、都合のいい展開だからだ。
ベッドに上げられた沙綾香は、トラバンに抱え上げられ、アナルに挿入される。
「あっ!? なんで、お尻はやめてって……!」
「後ろではやらないなんて言ってねぇぜ。前を可愛がるって言っただけだ。こんな風にな!」
戸惑う沙綾香の股に割り入ったダーナルが、逸物の先を割れ目に宛がう。そして、嫌という叫びを聞きながら突き入れた。
「ひぃああああっ!! こ、こんな、こんな…………!!」
「おいおい、なんてツラしてやがる。二穴が初めてって訳じゃねぇだろ。毎晩やってんじゃねぇか」
ダーナルは沙綾香の反応を笑い飛ばすが、肛門開発後の二穴責めが、前と同じであるはずがない。
「ああ、あああっ!! ひいっ、だめっ……あっ、あっ、あ、あああっ……!!」
前後の穴に挿入され、腰を遣われて間もなく、沙綾香は喘ぎはじめた。数日前とは違う。肛門が未開発だった頃は、膣で大きな快感を得ても、それを肛門の異物感が阻害していたはずだ。ところが今は、後ろだけで悶絶するレベルにまで開発が進んでいる。となれば二穴責めの快感は、2倍どころでは済まない。
上下から黒人二人に挟み込まれ、沙綾香の足裏が浮き上がる。足指が握り込まれ、快感で細かに震えだす。
「へへへ、プルプル震えてやがる。まるでバージンみてぇだ」
ダーナルがそう茶化すが、沙綾香に取り合う余裕はない。
「こ、こんなの覚えたら……癖に、なる……。もう普通のセックスできなくなるっ……!!」
沙綾香は、確かにそう言った。普通のセックスができなくなる、と。
普通のセックスとは、俺との行為のことか?
俺との思い出では、物足りなくなりそうだ……そう感じているということか?
「しなくていい。俺らのペットになれ。お前はいい女だ、一生可愛がってやる」
トラバンがそう答え、下から肛門を突き上げる。
「あぐっ!!」
「そーら。ヨダレ垂らした、プッシーにもご馳走してやるぜ。熱々のフランクフルトをよ!」
ダーナルも浮いた沙綾香の腰を掴み、パンパンと音を立てて膣を犯す。
「あ゛ッ、おひっ……んぐっ、んぐっ!!」
上からも下からも逃れるように横を向いた沙綾香の顔が、モニターに映る。前髪が乱れ、汗と鼻水、涎に塗れたその顔は、とても未成年のそれには見えない。ベテランの娼婦……そういう艶を備えている。
「いいぜ、いいぜえ! アナルの壁がうねって、吸いついてきやがる!!」
「プッシーも最高だぜ。ヌルヌルトロトロで、柔らかくほぐれてよぉ。名器が、もっと極上の穴になっちまったぜ!!」
トラバンとダーナルが歓喜の声を上げながら、沙綾香の二穴を蹂躙する。沙綾香は大股を開いてベッドを踏みしめ、快感に身を震わせ……最後には、トラバンに乳首を掴まれながら絶頂する。
「ん゛あああぁあああっ!!!!」
全身を震わせての絶叫。それは今までのどんな声より、通りがいいように聴こえ、マイク越しに俺の鼓膜を痺れさせた。
前後の穴から怒張が引き抜かれれば、どろりと白い液が流れ出し、穴周りがひくつく。今までは痛々しく思えたそれが、今は違って見える。
「はっ、はぁっ……はぁっ……はあっ…………」
頬を上気させ、潤んだ瞳を見せる沙綾香は果たして、あの体内射精を嫌がっているんだろうか?
──なにを、馬鹿な。嫌がっているはずだ。俺はそう信じる。
そう、信じたい。
※
2人一組で、五組。計10人全員がベッドで沙綾香を悶絶させた後、場所が変わる。客が寛ぐソファの前で、直立したまま挟み込む形での二穴責め。
「ほっお……! ごっ、おごっ、ごおお゛……っお゛……!!」
今や沙綾香の喘ぎは、『お』の音ばかりだ。我慢を諦めたのか、それとも声など気にしている余裕がすでにないのか。
少なくとも、余裕があるようには見えない。彼女の全身が、とてつもなく深い快楽を訴えている。前にいるモーリスの肩を掴む手も、抱え上げられた脚も、丸まった背中も、浮きっぱなしの顎も。
延々と抜き差しの音が繰り返される中、沙綾香の痙攣の間隔が短くなっていく。コップが満ち、溢れるイメージが脳裏に浮かぶ。
「おほっぉ、お、お゛っ……お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」
俺のイメージ通り、沙綾香は絶頂した。とはいえ、俺の予想など何も凄くない。
「はははっ、イッたイッた!!」
「この子の反応も、だいぶ解ってきましたな。意地が剥がれれば、存外に素直といいますか」
俺に限らず、客も皆、沙綾香の絶頂のタイミングを読み切っている。
抱え上げられた沙綾香の秘部から、びちゃっと音を立てて何かが落ちた。
「なんか出たぞオイ。腸液?」
「いや、腸液ってもっとサラサラしたやつだろ」
「じゃあ透明なクソか?」
「腸の本気汁なんじゃねーの」
「そんなんあるのか?」
「さあな、本人に訊けば?」
「いやいや。答え返ってくる感じじゃねーだろ、アレ」
客としても、もはや食い入るように見てはいない。何度も見返した映画を観るように、リラックスした様子で眺めているだけだ。
答えが返ってくる感じじゃない。その言葉通り、沙綾香の瞳にはすでに光がなかった。腕もぶらりと垂れ下がり、意識を失っているのが明らかだ。
「おいおい、ヘバんじゃねぇよ」
「俺らがまだ楽しんでる最中だろうが!」
沙綾香の失神に気付き、モーリスとジャマールが前後から腰を入れる。
「ぉほっ!! お゛お゛お゛ぉ゛!!!」
奥への挿入効果は覿面で、沙綾香はすぐに覚醒し、両脚を跳ね上げる。だがそれは、せっかく夢の世界に逃げられた彼女が、地獄へ舞い戻っただけのことだ。
「……ぉ、おねがい、ぁすませ……て…………。あたま、チカチカ、する…………お、おかひくなっちゃう…………」
唾液を垂らしながら、か弱い声で哀願する沙綾香。だがもちろん、調教側に利のない願いなど聞き届けられない。
「そーら、そら!」
「どんどんイケ、どんどん狂っちまえー」
モーリスとジャマールは疲れを感じさせない軽快さで腰を遣う。軽快だが、体格が体格だけに突き込み自体は重い。前と後ろから衝突を受け、沙綾香の下半身の肉が出鱈目に波打つ。
あらゆる体液で汚れた足の裏が、黒人の脚に掴まろうとしては、うっすらと白い液を塗り付けながら滑り落ちていく。あの子が何らかの意思を見せ、それがあえなく剥がれ落ちる時……俺は、何とも言えない気持ちになる。
「ぉ…っほ、ぉおお゛……っ!! ほお、お、お゛ーっ、お゛ーー……っ!!」
前と後ろから犯され続け、唇を奪われ、全身を震わせて呻く沙綾香。それを見守る客は、見届けるものを見届けたという面持ちだ。
「ほほ、凄い凄い……理性は残っているのですかね、あれは?」
「なんというか、下半身が丸ごと性感帯になっている感じだな」
「下半身で済みますか? あそこまでいくと、もう全身でしょう。子宮を裏と表から突つかれて、脳天からつま先まで感電してる感じだと思いますよ」
「あー、感電。確かにそんな感じだな。触るとヤバそう、色んな意味で」
思いやりのない言葉がフロアを飛び交う。どいつもこいつも眼は冷たい。ただ一人違うのは、部屋の隅で首輪をつけ、深く腰を落としている藤花だけだ。
「よかったなぁお前。もし勝負に勝ってたら、お前が“ああ”なってたんだぜ?」
迷彩ズボンの男が、藤花の胸を揉みしだきながら笑う。
「どうかな。実は、アレ見て羨ましいと思ってんじゃねぇか? 緩くケツ弄ってるだけなのに、マンコがヨダレ垂らしまくりじゃねぇか。お前も、ああしてほしいのか? どうなんだ、ええ?」
剃り込み男が肛門のアナルプラグを抜き差しすれば、藤花の身体が震え上がった。だが、彼女は答えない。
「沙綾香……!」
悲痛な声と共に、級友の姿を見守るばかりだ。
そしてそれは、俺も同じ。変わっていく最愛の女性の姿を、歯噛みして見ていることしかできない。
刻一刻と増していく不安に、心臓を凍り付かせながら……。
続く