大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

アナル

純白の豚

※SSSS.GRIDMANの六花ちゃんを見てムラムラして妄想。
 ごく短い作品ですので、おやつ感覚でつまんでください。


「まっしー、今日帰りにららぽ行こうよ」
 クラスメイトの祐美が振り返りながら誘う。しかし真白は、申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめん、今日用事あってさ」
 その言葉に、真白を囲む二人が興味深そうな笑みを見せる。
「ほーう? 金曜の夜に用事とは……さてはオトコだな?」
「や、違うって」
 祐美のからかいを苦笑いで流す真白。するとそれを受けて、真白の横に立つ律子が口を開いた。
「そうそう、んな訳ないって。考えてもみなよ、真白だよ? 誰かと付き合ってるなんてなったら、大スクープじゃん!」
 そう言って律子は、真白を湛えるようなポーズを取る。
「神格化しすぎだし」
「いや、割とマジなんだけど。こないだセンセーには却下されたけどさ、うちでミスコンやったら、まず間違いなくまっしー優勝じゃん? 男子人気1位の恋模様なんて、話題性ないわけないっしょ!」
 男子人気1位。何度となく耳にした言葉だ。
「それさ、なんか納得できないんだよね。だいたい私、足太いし……」
「わかってないなぁ、まっしー。そ・れ・が良いんだよっ!」
「その通り。結局男が好きなのって、スカートから覗くフトモモなんだよ、フトモモ!」
 祐美と律子は笑いながら、制服から覗く真白の太腿を叩く。
「ちょっと、痛いんだけど!」
 真白はそう怒るフリをしてみせ、大仰に逃げ出す賑やかな2人に肩を竦める。

 視線を横に向ければ、窓ガラスには冷たい雰囲気の女子高生が映っていた。
 天然二重の吊り目に、控えめな鼻梁、薄い唇。胸あたりまで伸びた黒のストレートロング。確かに男好きのする要素は多い。そして校内校外問わず、男子人気が高いのも事実。ネット全盛の時代だ、自分の高校名と名前で検索すれば、自分がどう見られているのかがはっきりと視認できてしまう。
 1年前に彼女をターゲットにしたファンサイトが立ち上がって以来、様々な妄想が日々書きなぐられていた。
 冷たい視線で罵られたい、踏まれたい、足コキされたい……。
 願望の多くは、真白からサディスティックな責めを受けたいというものだ。
 確かに真白はツンとした雰囲気がある。言いたい事ははっきり言う方で、そういう意味ではキツい性格ともいえる。
 しかし、ファンサイトの妄想を実行する気にはなれなかった。
 ただしそれは、お高く留まっているからでもなければ、性的な事を嫌悪しているからでもない。

 彼女の本質がサディストではなく、むしろ救いがたいほどのマゾヒストであるからだ。


  ※


 高校の最寄駅から7駅離れた繁華街。真白は制服姿のまま、颯爽とその人混みに踏み入った。その途端に、異性の視線が突き刺さる。飲み会の途中らしきサラリーマン集団も、女連れの男も、部活帰りの男子生徒達も。
 不思議だった。
 スタイルが良い方だとは思わない。自分にとって理想の女性である読者モデルは、皆がすらりとした脚線を誇っている。であれば、その対極に位置する自分が魅力的であろうはずがない。
 にもかかわらず、彼女は人一倍異性の目を惹いた。誰と歩いていても、どこを歩いていても、自分に視線が集まっている事が自覚できた。
 自己評価と周りからの評価の食い違い。これが彼女を歪ませた。同級生に告白されても、街で遊びに誘われても、受け入れられない。醜い自分を付け上がらせ、後で笑い者にしようとしているのでは……そういう疑心暗鬼に陥ってしまう。
 その果てに彼女が辿り着いたのは、いっそ徹底的に穢れる道だ。ターミナル駅の西口で、自分の好みとはかけ離れた醜悪な男を誘い、自暴自棄のまま純潔を散らした。ここまでであれば、ただの自傷行為に等しかった。
 しかし、この男の趣向が、真白に新しい世界を垣間見せる。
 SM。
 フックで鼻を吊り上げられ、開口具で奥歯が見えるまで口を開かされて、『クールな美貌』と称されたものを徹底的に歪まされる。
 縄で動きを封じられたまま、鞭で打たれ、蝋を垂らされ。肛門から水を入れられ、親と変わらない齢の男が見守る前で排便し。挙句にはその排泄の穴に、指や舌、専用の道具まで捻じ込まれる。
 どれだけ罵っても、許しを乞うても、責めは止まない。その中で真白はただ、子供のように泣き叫び、汚辱に震えるしかない。
 そうしたプレイの果て、最後に姿見で見せつけられた自分の姿は、醜かった。議論の余地もないほどに。
 しかし真白は、そんな状態になぜか安心感を抱いた。
 灰色が一番つらい。白でも黒でも、どちらかに振り切れた状態でありたい。
 とはいえ、彼女はまだ高校生だ。集団生活を強いられる立場である以上、学校では灰色のままでいるしかない。
 その欲望を発散できる場所は、ただ1つ。無数のネオンが煌めく繁華街の外れ、高層マンションの一室で開かれる非合法な宴だけだ。

 ※

 マンションのドアは、一般の部屋と何ら変わりない。しかし、真白がチャイムを押すと、見慣れた経営者の男が顔を覗かせる。
「へへへ、いらっしゃい真白ちゃん。そろそろだと思ったぜ」
 彼はそう言って、制服姿の真白を部屋に上げた。
 リビングでは、すでに7人の男が集まって酒盛りを始めている。いずれも真白の顔馴染みであり、かつ年頃の少女が生理的に嫌うタイプの男達だ。
「いつ見ても、キモいのばっかり」
 真白はローファーを脱ぎ、学生鞄を放り捨てる。その一挙手一投足を、たっぷりと視姦されながら。

 ( すっごい目……今日は、何されるんだろ )

 ゾクゾクとした背徳感が背筋を上っていく。そう、これだ。この苦味のような物がなければ。同年代の男子との甘たるい恋愛では、もはや満足できない。
「遅いぜぇ、マシロちゃん。見ろよ、一升空けちまった」
 赤ら顔の一人が、酒瓶を振りながら笑う。その他の6人も、同じく緩んだ笑みで椅子から立ち上がる。
「ああ、この匂いだ。女子高生ってなぁ、何でこうイイ匂いがすんだろうなぁ」
「今日も可愛いぜぇ、真白ちゃんよう」
 下卑た笑いを浮かべながら、7人が真白を取り囲んだ。そして、無遠慮に手を伸ばす。女子高生の肌……その禁忌の領域に。
「んっ……ちょっと、制服シワになっちゃうじゃん。やめてよ!」
 カーディガン越しに胸を掴まれ、ミニスカートから覗く太腿を撫でさすられながら、真白は男達を睨み上げる。元より黙って耐える性質ではないため、自然とそういう反応が出てしまう。とはいえ、嬲る側としても多少反骨心のある獲物の方が好みらしい。
「そんなこと言って、興奮してるんだろ」
「ああ。痴漢プレイから始めたほうが、断然よく濡れるからなぁ」
 言葉責めを交えながら、7対の手が柔肌を揉みしだく。
 真白は身を捩りはするものの、本気で振りほどく気はない。『嬉々として受け入れている』と思われるのが癪で、嫌がってみせているだけだ。だから最終的には、男達のしたいようにさせる。
 やはりと言うべきか、この男達は今日も真白の脚に強い執着を見せた。
 一人が、ソファに腰掛けた真白の膝を肩に担ぎ上げ、むちりとした太腿の合間に顔を埋める。
「……よくやるよね鈴木さんも、自分の娘くらいの歳の子にさ。このヘンタイ」
 男の後頭部を見下ろしながら、冷ややかに告げる真白。しかし、その頬は緩みかけている。友人に見られれば悲鳴が上がるだろうこの状況が、面白くてたまらない。
 もっと穢せ。もっと辱めろ。そう瞳の奥で求めてしまう。
「もうクリトリスが勃ってるじゃないか。華の女子高生が、いやらしいものだな」
 ショーツから口を離した鈴木が笑う。その視線の先では、唾液で半ば透けたショーツが、小さな突起に押し上げられていた。
「……し、仕方ないじゃん」
 真白は視線を横に流しながら、やや憮然とした声を漏らす。被虐願望がある一方で、詰られるとやはり腹が立つ。
 鈴木はそうした真白の反応を面白がりながら、両手でショーツの端を掴む。
「さ、もうこんなものは脱いでしまえ」
 真白自身が腰を浮かせて協力したこともあり、ショーツはスムーズに脚を滑り降りる。ただし、足首から抜かれるのは左側の輪だけだ。右半分は改めて、肉感的な太腿まで戻される。
「いつもなんだけどさ。なんでちゃんと脱がさないの?」
「その方が興奮するからだ。特にお前みたいに、いい太腿してるとよ」
 真白の問いに対し、7人は笑みを深めるばかりだ。答えを聞いても、真白に理解はできない。ただ何となくそれは、世の男達が自分の脚を凝視する原因と似通ったものに思えた。あえて紺のソックスが脱がされないのも、同じような理由だろう。
 興奮するというならばそれでもいい。その興奮で、責めがよりねちっこく、より容赦なくなるというならば本望だ。真白はソファの背もたれに首を預けながら、そう思う。

 そして、真白の望み通り、“ねっとりとした”責めが始まる。
 大股にひらいた脚を、何本もの指先が撫でさする。触れるか触れないかというフェザータッチだ。
 真白はその刺激に、声を堪えることができなかった。
「ふ、んんんっ……んんっ、ん……っん!!」
 唇を引き結んでも、息を止めようと試みても、声が漏れる。特別に肌が敏感な方だとは思わないが、毎週毎週、丹念なフェザータッチを施された今は、ものの数分で肌が粟立つほどに感じてしまう。腰が浮いてしまう。
「かなり敏感になってきたな」
「ああ、さすが若ぇ娘の肌だ。感度がいいぜ」
 脚を撫でさする3人は、そう言って笑う。
 それと同じような笑いは、真白の顔のすぐ傍でも起きていた。
「敏感になったっていやぁ、胸も相当だぜ。もう勃ってやがる」
 真白の背後に立ち、ガーディガンとブラウスを開いて乳房責めを施す一人だ。
 この男の責めも生半可ではない。乱暴に揉みしだくのではなく、むしろその逆。乳房全体に触れるか触れないかというフェザータッチを繰り返し、じっくりと乳腺の快感を呼び起こす。乳腺が目覚めれば、その快感はやがて先端に集まり、乳凛に膨らみを与え、乳首を屹立させる。そこを、不意に刺激するのだ。
「んんんあああっ!!」
 しこり勃った乳首を捻りあげられれば、ますます声は抑えられない。胸の周辺の筋肉を痙攣させながら、あられもない声を上げるしかない。たとえそのせいで、嘲笑が沸き起こると知っていても。
 太腿と、乳房。神経の集まる二ヶ所に丹念なフェザータッチを受けつづければ、当然真白は『濡れる』。そしてその濡れる場所……秘所が放置されようはずもない。
 そこには鈴木が陣取り、呆れるほど丁寧にほぐしていた。舌と指、ローターを使い分けてクリトリスを刺激しつつ、膣内へ浅く差し入れた指でGスポットを擦り立てる。経験豊かな熟練の技でこれをやられれば、ますます愛液があふれ出す。秘裂が目覚めるほど、太腿と乳房の感度が増し、その逆もある。
 鶏が先か、卵が先か。いずれにせよ男達の責めは複雑に作用し合い、真白を昂ぶらせていく。
「もうドロドロだな」
 何分が経った頃か。鈴木が秘裂を両の親指で押し拡げながら笑う。
「……はぁっ、はぁ、はぁ…………っ」
 真白は両手をソファにつきながら、大きく呼吸を繰り返す。興奮のあまり、憎まれ口を叩く余裕もない。いや、あったとしても、そうはしなかっただろう。
 呼吸を繰り返す間にも、それ以上のペースで陰唇が開閉を繰り返している。休憩などいらない。早く責めて欲しい。それだけが今の真白の願いだ。
「どんどん蜜があふれてくるぞ。本当にこれが、女子高生のアソコなのか?」
 鈴木は言葉責めを加えながら、1本のバイブを受け取った。無数のイボが表面をびっしりと覆った独特の代物だ。全体が柔らかい素材でできており、押し込めばどんな形の膣にもフィットする。特に先端は4股に分かれるようになっており、子宮口をすっぽりと覆う形での刺激を可能にしている。真白はもう何十度、いや何百度、そのバイブによって絶頂させられたことだろう。
「今日はこの間の約束通り、1時間たっぷり虐めてやる。覚悟はいいな?」
 鈴木が囁きかけ、バイブのスイッチを入れる。
「…………っ!」
 真白は喉を鳴らしながら、じっと耐える他なかった。

 ※

「ひぃっ、だ、だめっ!! いくっ、いくぅうう゛っ!!!」
 真白が悲鳴を上げながら、腰を大きく跳ねさせる。それを見て鈴木がバイブを引き抜けば、堰を切ったように透明な飛沫が噴き出した。これが初めてのことではない。六度目か、七度目か……体液は床の至るところへ飛び散っている。
「ひひ、凄ぇなこれ。メスの匂い撒き散らしてよ。こんなエロい女子高生いねぇだろ」
 一人が真白の秘裂を指で割り開いて笑った。充血しきり、愛液に塗れた秘裂。最初の頃であればいざ知らず、もはや年頃の乙女らしい初々しさはない。
「もう何回ぐらいイッたんだ?」
 鈴木が、再びバイブを沈み込ませながら問う。
「知らない……数えて、ないし」
 真白はそう答えるのが精一杯だ。すでに余裕はない。そして同時に、更なる崩壊を待ち侘びてもいる。
「ま、そうだろうな」
 そして、再び羽音が唸りはじめる。
「はぐううっ!!」
 真白の肉感的な太腿がさらに盛り上がり、細かに痙攣する。
「すげー、イキまくりだ」
「ああ。この歳ですっかり中イキを覚えちまったらしい」
 男達は笑いながら、さらに真白を追い詰める。痛々しいほど屹立した乳首をつまみ上げ、太腿をさすって。
「だ、だめっ、今そんなことされたら……っは、あ、あああ゛っ!!」
 効果は覿面で、真白はそれらのあらゆる快感に翻弄され、天を仰ぎながら短い呼吸を繰り返す。バイブを抜かれるたびに、惨めたらしく潮を噴き散らしながら。

 ※

「ほら、離すな」
 俯いて咳き込む真白の髪を、男の一人が掴み上げる。
「う゛っ、ごほっ!! もう無理っ、ちょっとぐらい、休ませて……!!」
 真白の顔が歪んだ。彼女の身体はほぼ丸裸に近い。紺のソックスだけがかろうじて残され、あとは名の通りの白い肌を晒している。その肌は、すでにかなりの量の白濁で汚れていた。それは、幾度も口内に精を放たれ、飲み下しきれずに吐き溢したことを物語っている。
 そして、彼女にはもう一つ変わった点があった。視界を覆う目隠しだ。
「さて、そろそろ答えてもらおうか。今しゃぶってるのは、誰のだ?」
 真白の横に立つ一人が囁きかける。真白の肩が強張った。
 咥えた性器の形と匂いを元に、奉仕している相手を当てる遊び。並の女子高生であれば汚辱に震えるようなこのプレイを、真白はもう小一時間にも渡って強いられていた。
「……え、えっと…………林野、さん…………?」
 真白は震えるような声で告げる。明らかに自信がなさそうだ。真白の前で逸物を扱く男が笑う。
「残念だな、大外れだ!」
 男はそう叫びながら真白の顎を掴み、深々と咥え込ませる。
「んぶっ、ぐう……うお゛っ!!」
 怒張を喉奥まで押し込まれ、真白の喉からくぐもった呻きが漏れた。
「どうだ、苦しいか? ハヤッさんよりは俺の方が、カリが張ってんだろうが。現役の女子高生にしゃぶらせてるってぇ興奮で、俺まで若返ったみてぇにバキバキよ。一週間この瞬間を楽しみに生きてきたんだ、たっぷり楽しませてくれや!」
 奉仕を強いる側は上機嫌だ。しかし、容赦はしない。真白が鼻から精液を垂れ流し、涙を溢すようになってもなお、休まず咥えさせ続ける。
 それこそが、真白の内なる望みだと知るからだ。
 中年男の饐えた匂いを覚えこまされる地獄の中で、真白の呼吸は刻一刻と荒くなっていく。
「ん、おぐっ……ぶふっ、んも゛ごぉ……あ、あ゛っ!!」
 噎せ返り、えづき上げ、ついには白濁混じりの胃液を吐きこぼす。
 口内から粘度の高い糸を垂らして苦悶する少女の瞳は、しかし、涙とはまた違う濡れ方をしていた。

 ※

「うぅっ、う゛うむ゛ぅうう゛っ!!!」
 くぐもった呻きがプレイルームに響く。
 一面タイル張りの、特殊プレイ用に改造された洋部屋。
 真白はそこで、恥じらいの部分を突き出すようにして拘束されたまま、延々と肛門を指で弄くられつづけていた。
「ううう゛っ……!!」
 また、呻きが漏れる。
 彼女とてアナルプレイに不慣れなわけではない。むしろ、毎週の開発で相当肛門はこなれている。
 それでも少女が苦しむのは、床に置かれた洗面器と、その中に立てかけられた浣腸器が関係している。
 グリセリン溶液を、1リットル。量としては多くないものの、肛門を指で割り開かれながら易々と耐えられるものではない。
「どうした、我慢しろ。あとたったの3分だ。こんな所で漏らしたら、また『お仕置き』だぞ」
 7人の男は交代で、ある者は尻穴に指を捻じ込み、ある者は乳房を揉みしだき、ある者は太腿を擦りつづけている。そうした一見何でもない愛撫が、着実に真白から余裕を奪い去っていく。
「くくっ、ムチムチの太腿が痙攣してきたぞ。腹の中の浣腸液が相当効いてきたらしいな」
 太腿へ手の平を這わせる岩田が、愉快そうに笑う。
「うう゛、むうっ!!」
 真白は岩田を睨んで呻くが、ボールギャグに阻まれて言葉にはならない。そうした事が繰り返された果てに、ボールギャグからは幾筋もの唾液が垂れ、銀色に輝きながら鎖骨へと滴り落ちていた。 
「……ふう゛、う゛ーっ!! うう゛うむぅう゛う゛ーーーっ!!!!」
 やがて、真白は激しく首を振りながら呻きはじめる。腹部が膨らんでは凹み、両脚の痙攣もいよいよ激しくなり。便意が限界を迎えているのは誰の目にも明らかだ。
「まったく、仕方がないな」
 肛門を嬲っていた山ノ江が苦笑交じりに指を抜き、アヒル型の補助便座を真白の肛門へと近づける。その直後、激しい破裂音が響きわたった。
「うう゛、ふう゛ぅ……むううっ…………!!!」
 何人もの男の視線に晒され、嘲笑われながらの排便。その羞恥に、真白の頬が紅を差したように赤らむ。しかしその瞳は、いよいよ色めいたように潤んでいた。
「嬉しそうな目ェしやがって、この変態め!」
 男達は真白の反応を見逃さない。そして薄笑みを浮かべながら、彼ら自身の嗜好と真白の被虐欲求を共に満たすべく、本格的なSMプレイを繰り広げる。
 後ろ手に縛ったまま天井から吊るし、乳房や乳首、尻など至るところを洗濯バサミで挟んだ上で、鞭を振るってそれらを叩き落す。
 背中にくまなく蝋を垂らし、層ができれば剥がして、敏感になった肌へまた垂らす。
 乳首とクリトリスにタコ糸を結びつけ、四方八方から引き絞る。
 それらの責めは、真白から涙と悲鳴を搾り出した。全身から脂汗が噴き出し、息は持久走の最中であるかのように荒くなっていった。だがそれらはすべて、真白を更なる発情へと導く要因でしかない。

「あああ゛あ゛っ!! うぁ……あがああああーーーーっ!!!」
 這う格好で肛門に挿入され、真白は大口を開けて絶叫する。そこには普段のクールさなど微塵もない。
「くく、相変わらず“こっち”を犯すと声が凄いな。いいぞ、最高の締まりだ。もっと浸れ。もっと狂え!!」
 後孔を犯す緑山が、真白の腿を掌で打ち据えながら笑う。
「いや、た、叩かないで、痛いっ……!!」
 拒絶の言葉と同時に、むちりとした腿の合間を愛液が滴り落ちる。
「おーおー、ケツ掘られてるだけで、もうトロトロじゃねーか」
「全く信じられないな。こんな淫乱娘に、あれほど熱心なファンクラブがあるとは」
 まぐわいを見守る男達は、逸物を扱いて準備を整えつつも、言葉責めを欠かさない。
「っ!!」
 心に突き刺さる言葉の刃。真白の目が見開かれ、唇が引き結ばれる。
 しかし、それもほんの少しのこと。
「それ、奥に出すぞ!!」
 力強い宣言と共に腸奥で精を放たれれば、
「あ……あああぁっ!!!」
 真白もまた唾液の糸を引きながら大口を開き、羞恥の悦楽のない交ぜになった表情を晒す。
「よし、今度はこっちだぞ! 大好きなデカマラで可愛がってやる!」
 胴太の怒張を誇る山村が、自分の腰の上へと真白を抱え上げる。
「ふん、ん……んああぁあっ!!!」
 品のある表情で耐えられたのはほんの数秒。
「いいぞ、お前のアナルは最高だ……お前は、世界一のメス豚だ!」
 薄汚い言葉で詰られ、ぐじゅぐじゅと水音を立てながら不浄の穴を抉り回され。
「くぁあ、あ……お、ぉっ……おっほおおぉおぉお゛っっ!!!」
 真白の整った顔立ちは見る間に蕩けた。

 夜を明かしての被虐の宴。その中で、真白は解放されていく。
 ただ、一匹の『豚』として。



                               終

幕を引くのは(後編-後)

※最終話&エピローグです。ややスカトロ成分がきつめなのでご注意下さい。


同じ屋敷と呼ばれる建物でも、俺の住み慣れた『苔屋敷』と劉の屋敷とでは規模が違った。
遥かに見上げる高い天井に、磨きぬかれた大理石の床。朱色の太い柱に、金や朱の入り乱れた装飾。国賓クラスを招いて然るべき御殿だ。
だが見張りの男達の足は、そうした華美な装いとは正反対の場所……薄暗い石階段をいくつも下っていく。地下だ。
尋問や躾に地下牢は定番とはいえ、つくづく入宮もこういう場所に縁がある。
ただ、それもこれで最後だ。俺が彼女を日の当たる場所に連れ戻してやる。
俺がそう決意を新たにした瞬間。俺達の進行方向から、歓声と拍手が沸き起こった。
嫌な予感がした。
「おい!!」
俺の腕を掴む男が力を強めた。無意識に体が前に出ていたらしい。でも仕方がない。この嫌な予感は、きっと当たっているんだから。
地下に並んだ扉のうち、一際大きな扉の前にまた二人の見張りがいた。
歓声はその後ろの扉から漏れているようだ。
見張り役が俺達に気付き、訝しげな顔で何かを訊ねてくる。俺の腕を掴む奴が二言三言言葉を返すと、その顔は愉快そうに歪んだ。
「入レ、日本人。佳境だぜ」
その言葉と共に、分厚い鉄の扉が開かれる。

視界に飛び込んできたのは、パーティー会場のような煌びやかな空間だ。
とても一個人の有する地下室とは思えない。
天井の巨大なシャンデリアが辺り一面を柔らかな金色に照らしている様は、入宮が競り落とされた日の映像を思い出す。
いや、それだけじゃない。実際に部屋の中には、あのオークション会場で見かけた客が何人もいた。
あえて、その人間を集めたのか。入宮の調教具合を見せる為に。
そうだ、入宮。入宮はどこだ。
そう思って室内を見渡すと、瞬く間に見つかった。彼女は“会場”の中央、ガラスに四方を囲まれた高台という、最も目立つ場所に拘束されていたからだ。
木で出来た椅子の上での『まんぐり返し』。
後ろ手に縛られたまま、両脚で胴と頭を挟み込むような状態だ。細い身体はゆったりとした座部にすっかり収まってしまっている。
当然というべきか、膝裏は手すりに、重ねた両足首は背もたれの頂点に固く結び付けられ、一切の身動きを封じられてもいた。
当然、恥じらいの部分を隠す術はない。女にとってこれ以上ない屈辱的な格好だ。
そしてどうやら、彼女に恥を与えているのは姿勢だけじゃない。入宮の背後に位置する観客達が、入宮の肛門部分を凝視して嗤っている。
彼女の肛門は、銀色の器具で大きく開かれているらしい。

「さっきチラッと聴こえたんだがなぁ。あのお嬢ちゃん、今日の為に一週間クソをさせて貰えてねぇらしい」
扉を薄く開けたまま、さっきの見張り役が流暢な日本語で語りかけてくる。
主人である劉が日本人を買い漁っているだけあって、部下にも日系が多いらしい。
いや、そんな事はどうでもいい。気にかかるのは、奴の言葉そのものだ。
「あの開いたケツん中にゃ、みっちりと糞が詰まってる筈だ。そのクソを、お客様方に観察されてんのよ。
 面ァ見てみな、今にも泣きそうだぜ。ちっと前までならすげぇツラで睨み返してたとこだろうが、流石にそろそろ限界らしい。
 ま、無理もねぇ。俺ら下っ端の間でもさんざっぱら輪姦したし、ついこの間は黒人連中に何日もブッ通しでオモチャにされてやがった。
 何より、劉のダンナから直々にこってり躾けられたんだ。参らねぇ訳がねぇ」
男の言う通り、入宮の表情は悲痛に歪んでいた。羞恥と疲弊のあまり、睨む余裕もないという風だ。
劉はそんな入宮の傍に歩み寄り、肛門を指して告げた。
「ご覧の通り、この娘の腸は汚れで詰まています。よって今から浣腸をします。それも、只の浣腸じゃありません。『ドナン』使いマス」
その言葉で、場が一層の沸きを見せる。
ドナン浣腸。親父のSM本で見た覚えがある。
元々は医薬品で、便秘の重症患者にのみ用いられた、最もきつい浣腸液らしい。
浣腸液として最もポピュラーなグリセリンが時間を置いてじわりと効いてくるのに対し、ドナンは即効性がある。
浣腸を施したその瞬間から、洋酒を煽った時のように直腸内がカアッと熱くなる。
肛門の筋は痺れて緩みきり、しばらくは意思とは無関係に便が垂れ流しになってしまう。
そうした効果があまりにも劇的なため、今では一切の生産が中止され、幻の浣腸液とさえ呼ばれている。
確かそういう記述だったはずだ。
そんなものを、入宮に使うのか。それも、一週間も便を溜めさせた状態で。
「ドナンって、あの…………!? い、いや! あれはもうイヤぁっ!!」
劉の言葉を聞いた瞬間、入宮は明らかに狼狽する。どうやら経験があるらしい。
入宮のその反応を、場の人間が揃って笑いものにする。劉も、客達も。
「フフフ、どうやらトラウマになているようです。何日か前、試しに使たんですよ。
 400ccばかり入れて、出せないように、太い肛門栓とゴムのパンツで封をしたんです。
 そうしたらこの頑固娘が狂たように呻き始めて、最後には白目剥いて気絶してましたよ」
劉はそう言って場の笑いを誘う。だが俺と入宮自身にとっては、まるで笑える話じゃない。白目を剥いて失神するなど、明らかに異常だ。
しかも今の入宮は、一週間も排泄をしていないという。そんな状態で強烈な浣腸を使われては、どうなるのか想像もつかない。
「やめて、お願いやめてっ!!」
入宮の哀願も虚しく、劉の取り巻き達が無表情に準備を進めていく。
獲物の肛門から器具を引き抜き、洗面器一杯に作られた透明な液体をガラスの浣腸器で吸い上げて。

「競り負けた時は悔しかったものだが、こうして他人の調教を観るのも中々そそるな」
「ええ。あの娘がどれだけ顔を歪めてみっともなく苦しむのか、本当に愉しみ!」
「これはいよいよ、今夜で狂うかもしれないな」

客席からはそういった言葉が囁かれていた。
その悪意ある視線に見られながら、ガラス浣腸器が入宮の肛門に突き立てられる。
「あぁぁ、いやあっ!!」
注入直後、入宮は早くも悲鳴を上げ始める。頬肉の引き攣りようは、瀬川達がやった酢浣腸の時以上だ。
しかし、注入は一度では終わらない。二度、三度……ガラス浣腸器が突き立てられ、シリンダー内でピストンが動く。
計5回。浣腸器が100ml入りだとすれば、500mlが注ぎ込まれた計算になる。
本の記述にあった通り、効果はすぐに表れた。
「ああ……くぅっ、ぁああはぁぁっ…………あ、熱いいっっ…………!!」
注入が終わってからわずか5秒ほどで、入宮の口から苦しそうな声が漏れる。
「何だ、だらしない。そんなに肛門をヒクつかせるな」
その劉の詰りを切っ掛けとしたかのように、天井近くの巨大モニターに入宮の姿が映し出された。
会場のどこに座った客にも、入宮の苦しむ様が伝わるようにだろう。
巨大映像の精度は憎いほどに高い。目を凝らせば、入宮の恥毛の1本1本まで判別できそうだ。
当然、肛門周りの状況もはっきりと見て取れる。
執拗な調教を受け続けた肛門からは、すでに初々しさが失われていた。
菊輪は紅色に色づき、常に指が数本楽に入るほどに開いている。さらに今は、ドナン浣腸の影響で喘ぐように大きく開閉してもいた。
その上の秘裂も、もう綺麗な1本筋じゃない。ピンク色はやや灰色がかり、膨らんだ陰唇が蛇行するようにして飛び出している。

「ほほ、競りで見たものとはまるで別物だ。あの初々しかった穴が、たった数ヶ月でこれとは!」
「まったく。前戯なしでそのままぶち込めそうだ。さすが劉さんの躾けは容赦がない。一体、一日何人とさせたのやら」
「乳房のサイズもかなり増しているな。先端の蕾にしても、もう常に勃ち続けだ」

モニターに大写しになった入宮の変化には、客席からもざわつきが起きていた。
その中心で劉は、黒い何かを取り巻きの女から受け取っていた。
場の注目が劉に集まる。
「このドナン浣腸は、放ておくとすぐに垂れ流しになてしまう。そこで、特殊な栓を使います」
劉は入宮の肛門近くに移動し、手にした物をモニターに映し出した。
見たこともない道具だ。話の経緯からしてアナルプラグの類だろうが、本来流線型であるべき先端は大きく4方向に反りかえっている。
もしそんなものを無理矢理肛門に押し込まれたら、中を押し広げられる感覚は相当なものだろう。
「ご覧の通り、このプラグは肛門めいっぱい拡げます。開いた時の最大直径は10cm以上。そうそう抜けません」
劉はそう言ってプラグを掲げ、改めて場に異形振りを見せ付けてから、たっぷりとローションを塗りこめた。
そして拡がった先の部分を強く鷲掴みにしたまま、すでに少し液を漏らしている入宮の肛門に宛がう。
「ふぐっ…………!!」
次の瞬間、モニター左の入宮の目が見開かれた。その右側では、暴力的なサイズのアナルプラグが朱色の肛門にめり込んでいく。
そしてプラグが根元まで入り込み、劉の手が離れた瞬間には、ぐうっと入宮の臍の下が盛り上がる。
直径10cmというあの毒々しい花が、荒れ狂う腸内で咲いたのだろう。
「うううっ!!!」
当然、入宮は苦しそうに呻いた。だが彼女の地獄は、そこからがスタートだ。

「ふんんん゛…………ううんん……ん、っぐぅぅぅうっ…………!!!」

入宮の苦悶の声が響き渡る。
声だけじゃない。顔は真っ赤になり、目は見開かれ、腹は腹筋が浮き出るほど必死の力で締められている。
腸内の異物を外へ搾り出すことに総力を挙げている……そういう風だ。
それでも排泄は許されない。十文字の極太プラグは、憎らしいほどにがっちりと肛門に嵌まり込んでいる。
出したい、けれども出せない。その歪な抑制は、入宮の下半身に痛々しい影響を及ぼしていた。
肛門が狂ったように戦慄き、太腿に深い筋が入ったと思えば緩み、すぐにまた筋張る。
肛門栓の脇に出来たほんの僅かな隙間からは、薄黄色い液体が滴り落ちていく。
当然入宮の身体そのものも激しく反応していて、木製の椅子が激しく音を立てる。
俺にとっては見ているだけで胸が痛む光景だが、場に集まった連中は総じて目を輝かせていた。
「どうか笑ってやって下さい。この豚は浣腸で感じるのです。そのように調教しました」
劉はそう言って肛門栓を指で弾く。
「うぐ、ふぐぐぐぐぐっ…………し、したいっ…………したい、したいっ!!!」
汗まみれで歯を食い縛りながら呻く入宮。その声の響きで、腹筋の力の入り具合が推して知れる。
シャンデリアに照らされた白い裸体には、全身にじっとりと脂汗が浮いていた。
便意の辛さは俺も解る。必死な息みも、脂汗が滲むのも経験がある。
でも入宮が今味わっている便意は、およそ日常で経験するものとは比較にもならないんだろう。異常とも思える汗の量が、それを物語っている。

「もう我慢できない! だめ、もうだめもうだめぇぇっっ!! 栓ぬいて、うんち、うんちさせてっっ!!!!」
10分が経った頃、入宮の言葉にもう理性はなかった。
呼吸は浅く速く、下腹からは聞いた事もないほど濁りきった腹下しの音が絶え間なく続いている。
太腿から足指の先まで、全身が恐ろしいほどに痙攣して椅子をガタつかせている。
「自力でひり出してみせろ。本当に出したいならできるはずだ」
劉は面白そうに見下ろすばかり。観客連中からも同情の声は微塵も上がらない。
純然たる悪意の見世物になりながら、入宮はさらに壊れていく。
「ああ゛っ…………ぁぁああああお゛っ…………!!!」
白目を剥きかけ、口の端から涎さえ垂らし、天を仰いだ首をガクガクと揺らして。
「さぁ、ひり出せ! お前の中で渦巻いている穢れを、この人達に見てもらえ!!」
劉は満面の笑みでそう命じる。
「いっ、いやぁっ……」
入宮がどれほど嫌がろうと、彼女に選択権などない。
劉のその命令から約2分後、それまで以上に入宮の身体中に力が入ったかと思うと、呻き声を上げていた口が大きく開く。

「あああああああもうだめぇえええーーーーっ!!! でるぅーーーっ、でちゃうううーーーーっ!!!!」

かつては体育館に響き渡っていた声量が、会場中を震わせる。
直後、入宮の肛門から黒い栓が弾け飛んだ。4つに開くあの肛門栓だ。
そして、排泄が始まった。開ききった肛門から、凄まじい勢いで茶色い汚液が噴き出す。
汚液は数本の筋に分かれて放物線を描き、数メートル前にあるガラスへ悠々と届いて垂れ落ちていく。
女の恥などという言葉ではあまりにも生ぬるい、地獄のような大量排泄。
「おおお……あれぐらい可愛い子でも、出るものは出るんだな!」
「すごい勢い。何メートル飛んでるのあれ?」
「恥知らずな女。自分が今どれだけ惨めか、鏡で見せ付けてやりたいね!」
客席から歓声と野次が飛びはじめた。聞き取れるのは日本語だけだが、英語や中国語で発される野次もけして良い意味ではないだろう。
悪意ある数十の視線の元で排泄を晒す気分は、どのようなものなのか。入宮の顔からは、心情は読み取れない。
彼女は肩で息をしながら、俯きがちに鼻を啜り、眼孔に溜め切れない涙を静かに溢していた。

奔流が止まったかと思えば、また噴き出し。また止まり、尻肉の間に雫が滴るだけになった頃に、また小さく噴き出し。
一週間分の排泄は、何分に渡って続いたのだろう。

「おお、臭い臭い。こんな物を腹に溜めて、よく人間の顔ができていたものだ」
諸悪の根源である劉は、わざとらしく鼻をつまみながら入宮に近づく。
奴の視線が捉える入宮の肛門は、不自然なほどに開ききっている。力加減をせずに上下に割り開いた結果、完全に筋の切れた肛門。そんな風だ。
中の粘膜が奥の奥まで見えてしまっている様は、ひたすらに不気味でしかない。
劉もまたその肛門を凝視しながら、例の病的にギラついた瞳を見せる。
「さすがドナンだ、一回でよく解れている。これなら問題ないな」
劉はそう言って、取り巻きの女達に向かって頷いて見せた。
すると女達は、布の掛かった台を入宮の前にまで運んでくる。
何だ、あれは。場の誰もがそう疑問符を浮かべる中、劉は笑みを浮かべながら布を取り去る。
「うお……っ!!」
驚きの声が上がった。舞台の上が見えやすい、前列の客席からだ。俺はその声にひどく嫌な感じを受けながら、台に乗った何かを観察する。
構造はシンプルだ。ミシンを思わせる機械の前方に、ディルドウが取り付けられている。実物を見るのは初めてだが、ファッキングマシンと呼ばれるものに違いない。
だが、取り付けられたディルドウが異常だった。
劉の逸物はおろか、入宮を輪姦した黒人の怒張よりも凶悪だ。何しろ、セッティングをしている取り巻きの女の腕よりも大きいのだから。
その形状は、もはや男性器というより甲虫の胴に近い。
以前な男根ではまずないような、緩やかな上向きのカーブを描いてもいる。明らかに、どこか特定の場所を穿つように設計されている。
「よく見りゃ、えげつないな。なんだあれ?」
「でかいな。あれほどのディルドウは、米国向けのショップでも見たことがないぞ」
「拷問器具だな、あそこまでいくと……」
まさに異形と呼ぶべき責め具に、さすがの観客達も表情を固めた。
中でも一番に血の気を無くしているのは、今から責め具を挿入される入宮だ。
「どこを探しても見つかりません。この『恶魔』は特注品です。この雌豚に、最大限の苦痛と快楽を与えるための。
 私の愛人達に、腕を何度も結腸まで押し込ませて情報集めました。
 子宮を一番効率よく押し上げながら、腸の奥を抉れるように、太さや角度を計算しました。
 一度、入るかどうかのテストもしてます。床に置いたこれの上に座らせたら、自分の体重でどんどん入ていった。
 あの時の顔と叫び声、今も忘れない。とても良かた。
 その日は結局半分しか入らなかたが、今日は大丈夫。その為にドナンで緩めた。これだけ拡がれば、腕でも頭でも入ります」
劉はそう言いながら、取り巻きの女達に合図を出す。
女達は眉一つ動かさずに台を押し出し、入宮の肛門へとディルドウを捻じ込み始めた。
ディルドウが入宮の股座へ入り込むと、改めてそのサイズの異常さを感じてしまう。何しろ、入宮自身の脹脛より少し細いだけなんだから。
「あ、あ……やめて、だめっ!!!」
必死の拒絶も、当然聞き届けられる事はない。
淡々と押し込まれたディルドウがついに最奥まで達したところで、マシンのスイッチが入れられる。
その瞬間、聞き慣れない金属音が響き始めた。掘削機の駆動音に似た音と、ディルドウを前後させるアームのカチャンカチャンという音。それが速いペースで繰り返される。
「あぐうっ!!」
入宮は歯を食い縛りながら声を漏らした。そしてその一声を皮切りに、嬌声が上がりはじめる。

マシンのパワーは相当なものだった。明らかに無理のあるサイズのディルドウが、力強く叩き込まれては腸壁を捲り上げつつ引き抜かれる。
挿入パターンにしても、ただ抜き差しを一定のペースで繰り返すわけじゃない。ベテラン男優の腰遣いを思わせる緩急がついている。
「んぁあああ゛あ゛っ!! あぁっ、あ゛おッ!!……はぁっ、はぁっはぁっ…………んん゛ん゛ん゛っ…………っあああ゛お゛っっ!!!」
ディルドウが腸を奥まで貫く瞬間、入宮の喉からは濁った叫びが上がった。
さらに機械が小さなストロークでゴッゴッと最奥を突き上げれば、その動きと連動するように喘ぎが搾り出される。
引き抜かれる時には荒い呼吸と共に、もどかしそうな呻きが出る。
認めたくはない。認めたくはないが、入宮は後孔を穿たれながら、間違いなく感じているらしかった。
「本当によく調教されているな。あんな物を叩き込まれて感じるとは」
「気持ちよさそー! 絶対逝ってるよね、あれ」
会場がざわつき始めると、劉は舞台上から客席に視線を向けた。
「そういえば、言い忘れてました。この一週間、雌豚に我慢させていた事、もう一つあります。
 絶頂です。私の女達に交代で、5分以上休ませず、けして絶頂させないように責め続けさせました。
 その時の映像あります。観ますか、面白いですよ」
劉がそう言って指示を出すと、数秒後にスクリーンの映像が切り替わる。

薄暗い部屋の中、ベッド上で拘束されている入宮が映し出された。
左右の足の裏をぴったりとくっつけるようにして縛りあわされ、両手も頭の後ろで縛られているようだ。
その入宮に二人の女が張り付き、責めている。
一人は屹立しきった乳首を捻り上げ、もう一人は秘裂にマッサージ器を宛がっている。
特にマッサージ器を使う女は冷徹で、入宮の顔を注視しながらマッサージ器を宛がい続け、表情に変化が出た所ですっと離す。
『うう゛むぅううーーっ!! うむぅっ、うむぉあおおおーーっ!!!!』
入宮はボールギャグを噛まされているため、意思を表示する事ができない。
ただ股座の女へ向けて訴えるような視線を向けつつ、ギャグの穴からダラダラと唾液を溢すだけだ。
この焦らし責めは相当な時間続けられているらしく、入宮の内腿はすっかり愛液で濡れ光り、シーツも一面が塗れ、秘裂からマッサージ器が離された時には太い愛液の糸が引いているほどだった。

「どうです、必死さが笑えるでしょう。これが4日前、つまり折り返しにも来ていない時の映像です。
 女の密告によれば、この後もイカせて、イカせて、と何度も涙ながらに訴えたようです。
 それだけ焦らしたのですから、この雌豚は絶頂に飢えきっている。そこで、たっぷりと絶頂の素を与えてやれば…………」
劉はそう語りながら、マシン基部のツマミを大きく回した。
機械の駆動音が急に大きさを増す。ピストン運動は大きく苛烈になり、入宮の腸奥へと猛烈にディルドウを送り込んでいく。
そうなれば、受ける側の入宮にも当然変化が表れた。
「ぐうっ!? あっ、はっ、はっ、はっ…………おっ、おおお゛お゛っ!! んおおぉお゛お゛お゛っ!!!!」
肛門性感。まさにそれが凝縮された声が延々と上がり始める。
「ははは、すげぇ声だ! 若い娘の出す声じゃないな!」
「でも、気持ちよさだけはすごく伝わってくるね。品性捨てましたって感じで、むしろ潔いかも」
「潔いとかじゃなくて、あの声出さずには居られない状態なんじゃないの。ずーっとあの映像みたいに焦らされてたんでしょ? 
 子宮口なんてもう蕩けきってるだろうし、それを肛門側からあんなにガシガシ突かれたら、もう逝きっぱなしよ」
「なるほど、確かに絶頂から逃れられんという感じだな、あの顔は」
観客席から上がるそういった声は、きっと入宮本人には届いていないんだろう。彼女が断続的な絶頂状態にあるのは疑う余地もない。
何度も何度も獣のような声をあげ、身を震わせる。
そして最もひどい状況は、ピストンが激化してから5分ほど経った頃に起きた。
「おおお゛っ、お゛っほぉっぉ゛……くぅうおおおほおおおっっ!! あぐ、ぅっ……はぁーっ、はぁっ……ああ、あぉお゛…………。
 …………う、あっ……!? だ、だめっ……と、とめて、ちょっと機械止めてっ!! で、でるっ、またでちゃううっっ!!!」
絶頂を繰り返していた入宮が、ある瞬間、目を見開いて狼狽しはじめる。
「何だ、どうした?」
「さぁ。何か、“出る”って言ってたような…………」
誰もが状況の飲み込めない中、そう言葉が発された直後。舞台上で、強烈な破裂音が響き渡った。
「いっ、いやあああぁぁぁあーーーーっ!!!」
大口を開いて入宮が叫ぶ。その口を入口だとするなら、出口に当たる部分こそが音の出所だ。
猛烈な機械のピストン運動に掻き出されるようにして、再び排泄が始まっていた。
いかにドナン浣腸が強烈だろうと、一週間溜め込んだ排泄物をすべて出し切るには至らなかったのだろう。
客席がざわつき始めた。
引いているドレス姿の女もいれば、嗜虐心に満ちた笑みを浮かべるタキシード姿の男もいる。
しかし、間違いなくこの悲劇を最も望むのは、入宮を間近で見下ろす劉だろう。
「おうおう、ここまできてまだ出すのか。日本人の慎みはどこへ失くした?
 ブリブリと下痢便ひり出しながら肛門犯されて、それでまだ絶頂するか。お前にはもう、雌豚という名すら贅沢だ。
 皆さん、知っている人がいたら教えてくれ。ここまで下等な動物を、一体どう呼べばいい!?」
脂肪を振るわせながら、全ての人間に聞かせるように声を張り上げる劉。
どっ、と笑いが起きる。
入宮は泣いていた。絶望に満ちた、今にも消え入りそうな表情で、恥じるように泣いていた。

その姿を見たとき、俺の中でとうとう何かが切れた。
場の異常さに呑まれたこともあり、悪目立ちしてもいけないという思いもあり、ずっと抑えつけていたものを、もう我慢できない。

「入宮ぁあああーーーーーっっ!!!!」

なおも痛む顎を無理矢理に開いて、腹の底からの声を張り上げる。
劉や観客共、全員の嘲笑を掻き消す気持ちで。
「お、おいっ、騒ぐな!!」
守衛がすぐに俺を組み伏せてきた。奴の立場的にも、この宴を邪魔されるのはまずいんだろう。
だが、もう遅い。全員の目がこっちへ向いている。
観客も、劉も、そして…………入宮の目も。

「なんだ、そいつは……」
劉が眉を顰めながら発した言葉を、入宮の一言が遮った。
「………………岡、野………………!?」
その言葉で、劉は目を剥く。
しばし入宮を見つめ、そのギラついた視線を俺の方に戻してから、奴は笑った。
「なるほど、そういう事か」
組み伏せられた俺と、左手に握り締めている花束、横倒しになったトランクケース。
それらを一つ一つ見やりながら、奴は顎を撫でる。
「この娘追いかけて、遥々海を渡てきたか。その箱の中身は2千万というところか?」
予想外の察しのよさに、俺は息を呑む。奴の口端の角度が上がった。だがそれは、果たして笑いが深まったと表現していいんだろうか。
「この娘買てから…………否、その前、競り落とした初対面の時からだ。いつもこの娘の後ろに、男の影がちらついていた。それが、お前という訳だ」
劉はそう言ってから、大きく腕を広げて会場にアピールする。まるで、自分という存在をアピールするかのように。
「皆さん、ご覧下さい。あのボロ切れの様な少年はどうやら、私からこの奴隷を買い戻すつもりのようです。
 私か彼、両方が所有権を主張する以上、彼女自身に決めてもらうしかありません。このまま私の奴隷として、他の人間相手では味わう事すらできない究極の快感を得続けるか。それとも同じ日本人同士、浅い夢のような有り触れた恋でいいのか。
 彼女が崩壊を望むなら、私の勝ちです。皆さん、どうかその瞬間の立会人になって下さい!」
はっきりとした日本語で、奴はそう宣言する。誇らしげな横顔が苛立たしい。自分が勝つと信じきっているのか。

だが実際、入宮は明らかに限界という風だ。
今も肛門から液を噴出しながら強烈に腸奥を穿たれ続け、苦しそうに唇を噛みしめている。
俺という存在がなければ、またあの快感の声を迸らせていることだろう。
「頑張れ! 頑張れよ、入宮っ!!!」
何に対してのエールなのか、自分でもよく解らない。それでも、何か声を掛けたかった。
「お、おか、のぉ…………」
入宮は涙に潤みきった目で、必死に俺を見つめてくる。
それを余裕の表情で観察していた劉は、取り巻きの女に短く何かを命じた。
すると取り巻きの女は、それまでの無表情を一瞬崩し、恐ろしい笑みを浮かべる。
その笑みの理由はすぐに明らかとなった。
取り巻き達の間で即座に命令の伝播がなされ、それぞれが道具を手に取る。そして今まさに苦しみの最中にいる入宮に駄目押しをはじめた。
病的にひくつく秘裂の上……陰核にマッサージ器を宛がい。
屹立しきった乳首にクリップを取り付けて、力任せに引き伸ばし。
「や、やめっ……!! ん、はぐっ…………んおおおお゛お゛っっ!!!」
乳房、陰核、そして肛門、……その全てに並ではない刺激を浴びせられ、入宮の全身が痙攣する。
入宮は左右に首を振りながら、壮絶な絶頂顔を晒し始める。
「入宮あっ! 畜生、やめろ!!やめろよっ!!」
俺は守衛に腕を捻りあげられたまま、必死に叫んだ。唾液と一緒に血が飛び散るのが見えた。
その視界の先で、入宮は悲壮な顔をさらに歪ませる。
「お、岡野。見ないで、お願い。こんな所、岡野にだけは見られたくない…………」
「いいや。しっかりと見届けてもらわねば困る。今日はお前が真に私の物となる、記念すべき日なんだからな!」
今度は劉が、入宮の言葉を遮る番だった。
奴は機械を止め、粘液に塗れた極太のディルドウを肛門から引き抜く。
同時に女達にも縄を解かせて、入宮の身体を抱え上げた。
散々に蹂躙された入宮の肛門は開ききり、異様なほどの厚みをもった紅い菊輪が脱腸気味に痙攣している状態だ。
自分が造った道具で、ここまで変化させたぞ。そう言いたいのか。

「董。その子供を近くに連れて来い」
劉が指を曲げてそう言うと、守衛の男は俺の右腕を捻り上げたまま、トランクケースを拾い上げて舞台に近づいていく。
「入宮」
「…………岡野…………」
ガラスの内外という位置にまで近づき、俺と入宮は改めて互いの名を呼ぶ。
劉は尊大な瞳で俺を見下ろしたまま、ガラスに身を寄せる入宮の腰を掴んだ。
「あっ!? ま、まさか……!」
振り返りながら表情を強張らせる入宮。劉は表情を変えない。
「何か問題でもあるのか? お前の立場は何だ。そう、私に買われた奴隷だ。
 奴隷をいつどこで抱こうが、お前に拒む権利はない!!!」
劉は俺と入宮双方に言い聞かせるように叫びながら、入宮の腰へと挿入していく。
今まで、入宮の性的な行為は何度も見てきた。だが、挿入の瞬間をこれほど間近で見るのは初めてだ。
瘤のついた規格外の怒張が、メリメリと音も立てそうな窮屈さで割れ目を押し開いていく。
「うう…………!!」
入宮が呻きを上げるのも、ひどく自然なことに思える。
傍目には無理に見える剛直は、それでも着実に入宮の中に呑みこまれて行く。その淡々とした進行は、今まで何度も同じ行為が繰り返されてきた事実を物語るようだ。
心が苦しい。一人だけ、遥か後方においていかれているような気がする。
「ふふふ、さぁ、子宮口に当たったぞ。奥はいつも以上に解れているが、締め付けも格別だな。性感が昂ぶっているせいか? それとも、好いた男に見られて興奮したのか?」
「やめてよ。本当に、やめて…………!!」
劉の囁きかけに、入宮は苦しそうな顔をする。きっと俺も同じ顔だ。
「そうか、まあいい。いつも通り、この膣で愉しませてもらうとしよう。お前も愉しめ。いつも通りにな!」
劉はそう言って腰を遣いはじめた。

パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、という音が繰り返される。音が以前より鈍く感じないのは、生で聴いているせいだろうか。
あるいは接触音が変わるほどに、劉が脚に力を込めているという事かもしれない。
「………………っ!! ………………っっ!!!」
劉にガラスへ押し付けられる形の入宮は、乳房と頬をガラスに潰させるようにして声を殺していた。
しかしそれに気付いた劉は肩まで伸びた入宮の黒髪を掴んで引きつける。
「ああ゛っ!!……ハァッハァ、ハァッ…………くぁあああいぐぅっ!! いぐう、いぐ、いぐ、いくっぅ…………!!」
髪の痛みで口を開いた入宮は、それを切っ掛けとして絶頂を宣言しはじめた。
そう、『いく』と。
彼女の調教を最初から見てきた俺は知っている。入宮は元々、絶頂した感覚を『くる』と表現する子だった。それも、限界の限界、どうしようもなくなった時にだけだ。
しかし今は、『いく』という言葉を息を吐くように宣言し続けている。
何度も何度も絶頂を覚えこまされ、その度に『絶頂する時はイクと言え』と命じられたのだろう。
それが条件付けとなって、入宮の本能にまで根付いているんだ。
その条件付けを完成させた劉は、いよいよガラスを軋ませるほどに激しく腰を打ち込みながら口を開いた。
「おお、締まる締まる。この膣は本当に絶品だ。お前もそう思うだろ?」
わざとらしく俺を見下ろしながらそう告げ、醜悪な笑みを浮かべる。
「ああ、これは失礼。お前はこの娘とした事がなかったんだったな。何しろこの娘の操は、私が奪ったのだから!!」
こんな言葉を聞けば、さすがに腸が煮えくり返る。だが拘束された俺は、拳を握りしめ、奴をにらみ上げるしかない。

劉と入宮の結合部から、透明な液がいくつも滴り落ちていく。
入宮の愛液か、それとも劉の先走りか。
俺がその液を凝視している事に勘付かれたのだろうか。劉は今一度笑みを深め、入宮の膝裏を抱え上げた。
駅弁ファック。AVなどではそう呼ばれる、結合部を余さず見せ付ける体位だ。
「あ、い、いやっ!!」
入宮はその体位を嫌がったが、主導権を握る劉が譲らなければ意味はない。
劉は入宮のむちりとした腿を大きく抱え上げると、そのまま一気に落としに掛かる。
入宮の体重と、劉自身の突き上げ。その双方向の力で子宮口を叩き潰すやり方だ。
「あぐうっ!!」
当然、入宮も澄ましてはいられない。
目を見開き、全身に力を込めて衝撃を味わう。そしてその後には、全身をふっと脱力させる。
もう嫌というほど目にした、女性が絶頂する瞬間の動きだ。
その後も劉が子宮口を突き上げるたび、入宮は悶え狂う。
「いぐっ、いぐっ、いぐいぐっ、いんぐぅうううっ!!!」
俺とはまるでテクニックが違う。怒張のサイズも違う。女を落とすために作り上げられた凶器を、あれほど腹圧のかかる体位で受ければ、絶頂も無理はないと思う。
だからこそ、叫ばずにはおれなかった。
「入宮ぁっ!!!」
俺が叫ぶと、絶頂を宣言していた入宮がはっとした表情になり、視線を俺に落としてくる。
「…………おか、の…………!」
入宮が、荒い息の合間に俺の名を呼んだ。
彼女の名前を呼び返そうとして、固まる。手で半ば覆われたその表情が、あまりにも悲しそうだったから。

「岡野……お願い。もう、みないで…………」

聞き間違い――じゃない。入宮は、確かにそう言った。
「ふふふ、私との愛の行為に、お前は邪魔だそうだ」
「ち、違う……でも、こんなの…………もう、我慢、できない…………。
 あたしのことは、もう、忘れて……岡野と一緒だった時間、ちょっとだけ……だったけど、た、楽しかったよ…………!」
入宮の吐き出す一言一句が、俺の心に突き刺さる。
実際俺の存在は、今の彼女にとっての枷なのかもしれない。なまじ俺が声を掛けるせいで、無闇に彼女が苦しめているのかもしれない。
それでも…………諦めることなんて、できない。
小学校の頃からずっと好きで、憧れて。振られたり引き離されたり色々あったけど、ガラス一枚越えれば抱きしめられる場所まで来たんだ。

「嫌だっ!!!」

俺は、ガキの頃以来の大声で叫んでいた。いや、今の俺の心は、まさにガキそのものだ。
飾らず、偽らず、心の底から思っている事だけを訴えようとしている。

「俺は、お前を助ける為にここまできたんだ。入宮が他の男の物になってるのが、どうしても我慢できなくて!
 必死に、金作ったんだ。あの日渡せなかった花束も、身振り手振りで買ってきたんだ。
 入宮、頼む、頼むよ。帰ってきてくれ。俺と一緒に、ずっと、ずっと一緒にいてくれよ、入宮っっ!!!」

静まり返った会場内に、俺の言葉だけが反響する。
反響が消えれば、音はなくなる。全ての時間が止まったようだった。
入宮もしばし表情を固めていた。やがて顔を半分覆っていた手が、顔全体を覆い尽くす。
そして、嗚咽が漏れ始めた。
「岡野……あ、あたしも、あたしも岡野といたい!!
 岡野と一緒に暮らして……一緒におばあちゃんになって…………死ぬまで一緒にいたいよ!!!」
その叫びで、劉の表情が一気に険しくなる。
「ふざけるなっ、お前は、私の購入物ダぞ! この場は、お前達小日本人の馴れ合いを見せる為に作たではない!! おまえは錯乱している。そうか、脳が快感で焼ききれる寸前なんだろう。なら、今日この場で焼ききってやる!! 何も余計なコト喋らず、私の気が向いた時に愉しませる玩具であればいい!!」
劉はそう言って、入宮を乱暴に床に投げ捨てる。
そして悲鳴を上げる入宮の右脚を持ち上げ、側位で犯しはじめた。

「あああっ!! あ、あぐうっ、んぐううう゛う゛っ!! くはっ、ハッハッ、ハッ…………!!」
犯され始めてから数分と経たず、入宮の様子は変わった。涼しげな美貌を歪め、呻き、犬のように速い呼吸を繰り返し。
本で見たことがある。側位というのは、女性にとって最も気持ちのいい体位の一つだと。
普段女性があまり刺激されることのない場所にペニスが当たる。
正常位やバックスタイルに慣れた人間ほど、今まで突かれたことのない部分への刺激に快感を覚え、非常にイキやすいのだと。
「ふん。ここまで子宮が降りてきておいて、何が恋だ。お前の身体はもう、浅ましく快感を求めるだけの娼婦以下の肉だ。私から離れられないのは、もう解ているな! 今までどれだけお前に恩赦を与えてきたか、知ってるだろう!! 狂いそうだからやめてくれとお前が泣くたび、丁寧にアナルを舐めさせたりして休ませてやた。今日はもうそれはなしだ。お前が泣こうが喚こうが、壊れるまではやめない!!!」
劉はそう言いながら、入宮の数倍の図体で強烈に腰を打ちつける。
見ているだけでも、劉がこの側位という交わり方に精通している事がよく解った。
浅く、深く。様々に角度をつけながら、Gスポットとポルチオに最大限の刺激を与えている。
それは劉の技巧と怒張あっての事で、俺ではとても同じように再現はできない。
さらには空いた手で陰核や乳房まで刺激されるのだから、気を張った程度で耐え凌げるはずもなかった。
「はっ、はっ、はっ…………いやっ、いぐっ!! いぐ、いぐぅっ……はおおおっイグーーーっ!!!」
陰核を弄る劉の腕を握りしめながら、入宮は悶え狂っていた。
見開いた目は白目を剥きかけ、鼻腔は膨らみ、いの字に食い縛った口の端からは泡塗れの唾液が零れていく。
SMで電流責めを受けた奴隷が、よくこういう表情を見せていた。そしてポルチオの快感は、全身に強い電流が迸るようだという。
これが、ポルチオ絶頂を極めさせられている女性の反応なのか。

 ――あの人は凄いんだ。一度あの凄さを味わったら最後、もう忘れられない。

この屋敷へ来る途中に会った女の言葉を思い出す。全員こうやって脳のシナプスを焼ききられ、離れられなくなっていくんだろう。
「入宮っ、しっかりしろよ!!呑まれちゃ駄目だ!!」
俺は必死で前進し、ガラスに肩をぶつけながら叫んだ。
「おい、やめろ!」
董と呼ばれていた男が俺をガラスから引き離そうとするが、俺は離れない。入宮から、もう1ミリだって離れたくない。
必死の叫びの甲斐あってか、入宮の瞳がこっちを向いた。そして俺と目が合うと、一度固く目を瞑り、
「………………!」
小さく息を吐きながら、目を開く。
その瞳を見て、俺は思わず息を呑んだ。
必死な俺の顔が、そのまま映りこむほどに澄み切った虹彩。そこにいたのは紛れもなく、俺が告白したあの頃の入宮だ。
俺の反応で、入宮が持ち直した事を察したのか、劉が顔を顰める。
「くっ……いい加減に諦めろ! お前は所詮、私の奴隷だ!!」
劉は恫喝しながら入宮に這う格好を取らせ、荒々しく腰を打ち込んだ。

そこから劉は、様々な体位で入宮を犯し続けた。
両腕を取っての後背位で身動きも許さず貫き続け。
背面騎乗位で荒々しく突き上げ。
床へ寝かせての正常位で、あえて脚を暴れさせながら執拗に膣奥を突きまわしたり。
徹底したポルチオ責めを受け、入宮は数え切れないほどの絶頂に追い込まれているようだった。
内腿は強張り、足指は握りこまれ、乳房や腹筋は痙攣するように細かに上下し、口の端からは涎が垂れ。
そのどれもがポルチオでの絶頂のサインだ。
それでも彼女の目は、凛としたまま劉の姿を映しこみ続けていた。
快感のあまり白目を剥きかける事もあるが、それを意思の力で押さえ込んで、また劉に視線を集中させる。
誰もが恐れた入宮の瞳。それは、劉にも有効なのか。
「いい度胸だ…………!!」
劉は汗を散らしながら入宮を抱え上げた。二度目の体位と同じく駅弁と呼ばれるスタイル。ただし今度は対面式。
至近で顔を突き合わせるその体位は、劉の終わりにするという執念が見えるようだった。
「んぐっ……!!」
入宮が呻く。いよいよ大きさを増した怒張が、膣の奥深くを抉ったせいだ。
最奥まで繋がったその状態で、劉は取り巻きの女に向かって叫んだ。
「破坏!!」
女は頷いて、胸元から小瓶を取り出す。そして油のような小瓶の中身をたっぷりと腕に垂らすと、今まさに劉に挿入されている入宮の背後に立った。
まさか。そう思う俺の視界の中で、女は何の躊躇もなく、入宮の肛門に腕を捻じ込み始める。
「があっ!? あ゛……ぁぁ、くおおあ゛……ああ、あ゛…………っ!!」
入宮は目を見開き、震えるような悲鳴を上げる。
ドナンと極太ディルドーの挿入で開ききっていたとはいえ、それももう随分と前の話だ。ちょうど塞がりかけている肛門に、アナルフィストは余りにきつい。
しかも、今はそれだけじゃない。劉の規格外の怒張が、膣を埋め尽くしている最中だ。
「どうだ? 私の物と腕一本に、二穴の形を作り変えられた感想は。もうピンポン玉一個の隙間もない、ギリギリ一杯だ。苦しいだろう。そして、たまらなく感じるだろう!」
劉はそう言いながら、入宮の膣を激しく突き上げる。それに呼応して女も、肘から先を強く捻る動きを見せた。
「う、うう゛っ!? くはっ、いっぎ、いぐっ…………!! いっぢゃうう゛ふう゛………………!!!」
「そうだ、それがお前の本質だ。子宮の入口に亀頭を嵌めこまれ、その子宮を肛門側から握りつぶされながら狂っていけ! もうお前に後戻りの道などない。輝かしい未来もない。お前という人間の幕を、ここで引いてやる!!」
劉は叫びながら、激しく入宮の膣奥を突き上げる。肛門に女の腕が入っている関係で、入宮の腰はほぼ固定されている。
その状態で蕩けきった子宮口を徹底的に突き上げられれば、絶頂は避けられない。
「お゛お゛ぉごお゛ぉっ!! うお゛ぉっ、こほっ!! おぉっおあお゛お゛お゛ぉお゛お゛っ!!!!」
入宮は天を仰ぎ、伸びた黒髪を背中に揺らした。叫び声はもう断末魔のようで、喉が張り裂けそうなほど激しい。
噎せ返りながら涎を垂らしつつ上がるその声は、崩壊、という二文字を想起させる。
劉もやはりそうだったんだろう。勝ち誇った顔で俺を見下ろしている。

でも俺だけは、そんな事はないと知っていた。
入宮のあの眼を見たからだ。相手の姿をそのままに映す、澄んだ瞳。あの瞳をした彼女は、絶対に約束を違えない。
俺をたっぷりと見下した後、劉は最後の仕上げに口づけでもしようと思ったんだろう。
入宮の方を向き直った劉は、そこで固まった。
入宮が、歯を食い縛り、はっきりとした瞳で見つめていたからだ。

「無駄だよ。こんな事、いくらやったって、もうあたしは堕ちない。
 あたしの幕を引くのは、あんたじゃないっ!!!」

会場中を震わせるような、断固とした宣言。それが俺の胸を通り抜けた。
やっぱり、あの入宮だ。ボロボロの見た目になろうが、体液や汚物に塗れようが、彼女が彼女であることは変わらない。
「ぐぬっ…………!!」
劉は、人とは思えない壮絶な表情を形作っていた。
奴は絶対的な権力者だ。今までどんな人間が相手でも、常に自分の道理を押し付けてきたんだろう。
御せない相手は、きっと初めてなんだ。
「ふ、ふざけるなっ!!」
劉がそう吼えながら、入宮の首に手を掛けようとした時。
会場から、拍手の音が響いた。その音は連鎖するようにパラパラと広がり、やがて会場のあちこちで打ち鳴らされるようになる。

「カッコいいぜお嬢ちゃん!!」
「諦めなー、劉さん。残念だけどその子、劉さんに御せるような代物じゃないよ!」
「そうそう、競り落とした時に頬張られたのがケチのつき始めだ。せっかく坊主が金拵えてきたんだ。縁が無かったと思ってさ」
「いやーしかし、まさかこの場所で青春劇を見るとはねえ。なんだかムズムズしちまうよ!」

そういった声が会場中で沸き起こり、劉は信じられないという表情で視線を左右に惑わせる。
しかし、状況は変わらない。入宮を解放してやれという声は、刻一刻と大きくなっていく。
そうなっては劉も静かに逸物を抜き去り、苛立たしげに歯噛みする他ない。
「…………解た、もういい。董、連れてこい」
肩を落としながら劉がそう言うと、董が俺を引き起こす。
「まぁ、何だ。良かったじゃねえか」
舞台への階段に向かう途中、董はぼそりとそう耳打ちしてきた。

「……入宮」
花束を手に、俺は入宮の前に立つ。
俺は血だらけ、入宮も汚れだらけ。おまけに花束も折れて踏んづけられた雑草のようだ。
「遅くなった。悪い」
俺がそう言って花束を差し出すと、入宮は一瞬瞳に水を滲ませ、それをゴシゴシと手で拭う。
「あはは、ボロボロ。これがプレゼント?」
にへら、という感じで笑いながら、入宮はそう言った。
「それも、悪いとは思ってるよ。女の子としての初めてのプレゼント、って約束してたのに、こんななっちまっ…………」
俺のその言葉は、最後まで言い切ることができなかった。
いつかの屋上みたいに、入宮が俺の唇を奪ったせいだ。
たっぷり数秒のキスの後、入宮は俺の頬に手を当てながら顔を離す。その眼には、大粒の涙がいくつも流れていた。
「最高だよ。あたしに……ううん、あたし達に、一番似合ってる」





結局劉は、俺の用意した2000万という“はした金”を受け取る事はしなかった。
屋敷から続く道を、女達からの驚きの視線を受けながら歩き、帰国する。

トランクケースの中身をそのままに返却した時、板間さんは真新しい煙草に火を点けながら、俺にひとつの利子を求めた。
それは、取り返した女を生涯大切にすること。
この上なく重く、返し甲斐のある利子だ。



「ほらっ、何ボーッとしてんの!? 味噌汁冷めちゃうでしょ!」
刺すようなその声に、俺は現実に引き戻される。
いけない、確かにボーッとしていた。
「いや、ちょっと……昔を思い出して」
俺が頭を掻きながらそう答えると、嫁は眉を吊り上げる。
「はぁっ? 朝っぱらから何言ってんの? 熱でもあんの? もーっちょっと、しっかりしてよ」
手際よく朝食の片づけをしながら、彼女は捲し立てた。
誰と結婚しても尻に敷きそうな女。かつてクラスメイトが言っていた通りだ。
よく見れば時間もやばい。
俺はダシのきっちりと引かれた味噌汁と卵のかかった飯を掻き込み、上着を羽織る。
するとその俺の前に、また怒り顔の天使が現れた。
「ネクタイ曲がってる!」
きっちりとしたスーツに身を包んだ彼女は、母親のように小言を呟きながら俺の首元を正す。
組のフロント企業にコネ入社した俺とは違い、彼女は日の当たる大企業の社員だ。
元は事務員として働いていたが、あまりにも有能な為に社員登用され、今ではマネージャー職を任されている。
もっとも、知佳の比類ないカリスマと卒のなさ、そして根性を考えれば当然ともいえる。
そんな相手から見て俺は、どれほどうだつの上がらない夫だろう。
「悪い悪い。こんなんで外出たら、お前にまで恥掻かせちまう」
俺がそう言うと、知佳は目を丸くし、それから大きく息を吐いた。
「バーカ。そんなんじゃないよ」
そう言いながらもう一度俺を見つめる顔は、ひどく若々しい。
まるで、中学3年のあの日へ戻ったみたいに。

「他の誰にも、バカにされたくないってだけ。あんたはあたしが初めて惚れた、王子様なんだから」

そう言って『入宮』は、一番の笑顔を俺にくれた。



                              終わり

幕を引くのは(後編-中)

※最終話の真ん中です。文字数上限の関係上、また2つに分かれてしまいました。
 アナル・スカトロ・NTR要素あり。
 物語上、主人公がオカマに掘られるシーンがあるのでご注意下さい。




入宮が屋敷から姿を消した翌日。
抜け殻となっていた俺に、板間さんから一本の電話が掛かってきた。
「あのガキ、えれぇ事をやらかしやがった」
開口一番、板間さんは溜め息混じりにそう告げる。あのガキ、とは当然入宮の事だろう。
「何があったんですか?」
俺が問うと、電話口から髪を掻き毟る音が聴こえはじめた。いつも飄々とした態度を取る板間さんらしくない。
かなり追い詰められているようだ。
「昨日のオークションでな。目玉商品として落札されたはいいが……そのあと競り落とした『主人』に、思いっきり張り手をかましやがった」
板間さんのその言葉を耳にした時、俺はデジャブを覚えた。同じ内容を、前にも聴いた事がある。

『あたしさ。このまま12月まで持ちこたえて、あたしを『買った』やつに会ったら、一発ビンタでもかましてやるつもりなんだ。
 まぁ、そんな事したらまたお仕置きされるんだろうけど…………その後は、どうにか生き延びてくよ』

そうだ。
調教初日の翌朝――この屋敷で、初めて入宮と朝飯を摂った朝。入宮は笑みを湛えながら、確かにそう言った。
俺はそれを冗談と思い、笑う訳にもいかずに押し黙ったものだ。
あれを実行したのか、入宮は。ヤクザと資産家の裏取引という、闇の深い場面で。
「向こうも一度出した金は引っ込められねぇから、取引自体は成立したが……相当お冠だったぜ。
 逆に俺ら組のモンからすりゃ、揃って顔にドロ引っ掛けられた形でよ。
 とくに調教を任されてた伊田と瀬川なんぞは、叔父貴の怒りをモロに買ってなぁ。相応のケジメを付けさせられるらしい。
 もっとも調教の腕を笠に、さんざっぱら偉そうなツラしてやがった変態共だ。
 若ぇ衆の巻藁トレーニングの的になろうが、水底でシャコの餌になろうが、知ったこっちゃねぇがな」
淡々と発せられる一言一言が、俺の体温を奪っていく。
ヤクザと呼ばれる連中の真の恐ろしさは、いかにもな恫喝よりも、むしろこういう世間話の中で覗く。
果たして俺は、この含みのある話を対岸の火事として聞き流していいのか。
「ところでよ。お前……あの入宮ってガキとは、どういう関係だ」
板間さんの言葉が、ガラス片のように喉元に突き刺さる。
「えっ?」
息が詰まる。間の抜けた返答をするのが精一杯だ。
「瀬川の奴がな。叔父貴に首根っこ掴まれて引き摺られながら、喚いてやがったのよ。
 お前と入宮はデキている。二人で結託して、自分の計画を狂わせたんだ、とな。
 勿論、奴の話なんぞ眉唾もいいとこだ、半分も真に受けちゃいねぇ。だが……聞き流すのもマズイ気がしてな」
電話口での通話にも関わらず、板間さんの抉るような視線が見えるようだった。
ヤクザもある程度上の人間になれば、その本質は刑事と変わらない。常に他人を疑い、カマをかけ、自分達にとって害になる人間を炙りだして葬り去る。
ここで嘘をつくのは駄目だ。組を敵に回すにしろ、そうでないにしろ、ここでは本当の事を伝えておいた方がいい。
ヤクザ社会の端で生きてきた俺の本能が、そう警鐘を鳴らしていた。

そして、俺はすべてを打ち明ける。
小学校の頃から、入宮のことが漠然と好きだったこと。
中学校を卒業する日、本気の告白をして振られたこと。
バスケットの試合のたびに、入宮に惚れ直し、心からの声援を送ったこと。
調教対象が入宮だと知った時に、心臓が止まりそうなほどショックを受けたこと。
調教が始まってから、入宮と色々な話をし、沈む彼女を見ていられなくて何度となく励ましたこと。
ビンタをするという話も、冗談交じりに耳にしていたこと。
昨日、調教を耐えぬいた彼女に花を渡すはずであったこと。

板間さんは、静かに俺の話を聴いていた。そして俺が口を噤んでからも、しばらく沈黙を保っていた。
心臓が暴れる。
やはり、事実を伏せておくべきだったのか。『買い手』に平手打ちをする――そう語ったという事実を報告しなかったのは、今となっては確かにまずそうだ。
俺もケジメを取らされるのか。今の時代は指詰めこそしないらしいが、変わりに睾丸や眼球を奪われるとも聞く。
「短い…………いや、長い恋だったな」
沈黙を破って発せられたその一言を、俺はすぐには認識できなかった。
「え?」
「クラスメイトに惚れるってなぁ、ガキの時分にゃよくある話だ。特にあんな器量良しと何年も一緒じゃ、惚れるなって方に無理がある。
 だがよ。本当にあの入宮ってのが大事なら、跳ねっ返らずに大人しくしとけと宥めるべきだったな。
 あのガキは、これから地獄を見るぜ。
 金持ちって輩は、プライドの塊でよ。オークション中に『商品』からビンタ喰らったとあっちゃ、その矜持もズタズタだからな。間違いなく、キツイ嫌がらせが待ってるはずだ」
動悸の激しい心臓が、さらに高く脈打つ。
「お前はオヤジの盃を受けてねぇ堅気、要するに部外者だ。本来なら罰さねぇ代わりに、金輪際この件には関わるなと言うべきだろうな。
 だがお前も、惚れた女の『今』は知りてぇだろう。だから、特別に覗かせてやる。
 昨日のオークションの映像……それから今後、奴さんが関係者宛てに送ると公言してる『調教記録』も逐一アップされていくサイトをな。
 強いて言やぁ、あのガキがぶっ壊れるまでを見届けるのがお前のケジメだ。
 なに、気ぃ落とすなよ。よく言うだろ。世の中オンナなんぞ星の数ほどいる。壊れると判りきってるクラスメイトの事なんぞさっぱり忘れて、先を見ろ。
 何なら俺が新しいのを見繕ってやる。生憎中古しか回せねぇが、真っ当に生きてりゃそうそう付き合えねぇレベルのもいるぜ。
 ま、テメェは一仕事終えた自由の身だ。じっくり考えろや」
板間さんはそう言い残して電話を切った。
それから数分後、親父のパソコンに2通のメールが届く。1通目のメールにはURL、2通目には妙に長いパスワードが記載されていた。
クリックする前から内容が判る。板間さんの話にあった、オークションの映像に違いない。

案の定だ。
URLを踏んだ先でパスワードを入力すれば、見るからに怪しい雰囲気の動画が並んでいた。
一番上の『Auction in Roppongi ,Dec-7』というのが昨日の映像に違いない。
生唾を呑みこみながら、再生ボタンを押す。
煌びやかな空間が映し出された。まるで貴族のパーティーだ。巨大なシャンデリアが照らす空間で、タキシードやドレスに身を包んだ人間が食事と会話を楽しんでいる。
そこを天国とするなら、会場奥の舞台が地獄か。
板間さんが日本語で行うアナウンスが、中国語と英語に通訳されてそれぞれ繰り返される。
その最中、首輪を付けた丸裸の女性が数人ごとに登壇しては競り落とされていく。
競りの前には品定めの時間も設けられていた。
手で思い切り膣を拡げられ、尻を開かれて奥までを覗き込まれる。何人もの奴隷が羞恥に耐えかねて泣き出したが、会場側の笑みは絶えない。
奴隷の人種は様々だった。最初に黒人の競りがされ、次にタイのような東南アジア系、中華系アジア人、白人。
板間さんに昔聞いた値段の順だ。世界中どこのマーケットでも、とにかく白人の人気は高い。しかし、需要でそれを上回る人種がたった一つだけ存在する。
そう、日本人だ。
開始から1時間半ほど経ったころ、最後まで競りが白熱した白人の女の子が880万円で競り落とされた。
そしてついに、日本人の番が来る。
首輪を付けた4人が項垂れながら登壇し、拍手喝采の中で顔を上げた。
入宮は…………いない。
どの子も割と平均的な顔立ちだ。
何となく、主催側の意図が読めた。特別に期待のかかる日本人の競りで、あえて出し惜しんでいるんだろう。『目玉商品』として。
俺のその予想は当たった。
日本人4人が競り落とされた後、さらに新たな4人が姿を表す。どれもクラスで数番目に可愛いというレベルの子だが、やはり入宮には及ばない。
それでも日本人人気が高いというのは本当らしく、次々と値が吊り上がっていく。

2組目の最後の一人が940万円で競り落とされ、ようやく宴もお開きという空気が流れた頃。
「それでは、本日最後の一人です!」
板間さんが張り上げた声に、場が騒然となる。全員の目が舞台を注視する。
そして、舞台袖の暗がりから細い人影が現れた瞬間。観客席からどよめきが起こった。一様に目を剥き、大口を開け、それぞれの国の言葉で驚愕を口にする。
それもそのはず。こうして画面越しに見るだけでも物が違う。
スポーティに引き締まったウェストラインに、垂れる事のない理想的なお椀型の乳房。
肩を覆うほどに伸びた黒髪には、頭頂部付近に光の輪が見える。腋毛や陰毛が残らず剃り落とされた肌は、極上のルージュを思わせ、見ているだけでも弾力が感じ取れるようだ。
そして何より、キッと前を見据える眼力が他の奴隷とは一線を画していた。
「この奴隷には、すでにアナルだけで感じるようになるまで調教が施されております。しかし、膣には手をつけておりません。
 彼女の純潔を奪う権利は、お買い上げのお客様にあるのです!!」
熱の入ったアナウンスを受け、入宮が一歩前に進み出る。
そして前を睨み据えたまま、指でゆっくりと膣を開いた。ピンクの粘膜が客側に晒される。感嘆の溜め息が漏れる。
さらに入宮は後ろを向き、前屈みになりながら尻を突き出した。膣の時とはまた違う驚きの声が上がる。
入宮の肛門には、かなりの直径の肛門栓が嵌まり込んでいた。調教による拡張がなければ、到底飲み込めないサイズだ。
「んん、んっ…………!!」
入宮の力む声で、少しずつ栓が頭を覗かせていく。そうして半ば以上まで抜けると、後は自重でごとりと舞台上に落ちた。
ぽっかりと口を開く肛門。そこもまた、膣に劣らない綺麗なピンクだ。
「す、すごいっ!!」
「抜かった……まさかこのレベルが、年末前に出てくるとは!!」
「た、たまらんっ!! 今年一番の上玉だぞ、これは!!」
客席からどよめきと拍手が沸き起こる。その渦中で、尻肉に手を添える入宮の手は小さく震えていた。

誰もが認める目玉商品。当然、競りは最初から激化する。
「800万!!」
最初の一声からしてすでに、白人の競りの終盤でようやく出るような大台だ。
「820万!」
「は、880万!!」
「くそっ、920万だ!!!」
次々と値が吊り上がっていく。それだけ皆が必死なんだろう。ただそうは言っても散財後だ。金が有り余っている訳ではない。
よほどの資産家で、かつ、予め目玉商品の存在を知らされていた人間以外は。

「 2000万。 」

競りが900万円台後半で頭打ちになりつつあった頃、その一声は発された。
俺は直感的に理解した。その声の主こそ、板間さんの言っていた『最有力の買い手』だと。
俺の花束に込めた想いが入宮に届かなかったのは、こいつの気まぐれのせいなのだと。
カメラの視点が回り、男の顔を映し出す。
やはりアジア系だ。50前後だろうか。かすかに白髪の混じった髪が後ろへ流す形で固められ、鼻は丸く、唇は厚ぼったい。
芸能人気取りなのか、似合わない茶色のサングラスを掛けている。
何よりも特徴的なのがその肥満体で、椅子3つを占拠する膨れ上がった体は、不摂生をよく物語っていた。
骨付きのチキンを貪りながらバドワイザーを煽る姿にしても、到底有能そうには見えない。
奴は紅いドレスを着た美女を4人侍らせていた。母国から連れてきた愛人達だろう。入宮もそのハーレム要員に入れられるのかと思うと、腸が煮えくり返る。
同じ買われるならせめて、入宮だけに愛を注ぎ、妻として大事にしてくれる相手がいい。誰かそういう“マシ”な人間が手を挙げて、奴の提示額を超えてくれ。俺はそう願った。
しかし、誰も動かない。2000万円の壁が厚すぎる。
会場にいる人間は億越えの資産を持つ人間揃いだろうが、最後の最後に入宮クラスの人間が出てくるとは思わず、直前までで持参金をほぼ吐き出したのだろう。
特にさっきの日本人2連続が絶妙だ。入宮という存在を知らなければ、あそこが競りのクライマックスだと思う。そのぐらいのレベルではあった。
予め全容を知る人間だけが出金をセーブし、最後の舞台に相応の金を持ち越せる。そういう一種の出来レースだ。
「おや、静かになったな? 皆が様子見をしているようだったから、少し燃料を投下しただけなのだが」
肥満体の男はわざとらしい大声で言い、チキンの欠片を飛ばしながら体を揺らして笑った。
その汚らしい影響を直に浴びてもなお、傍に侍る4人は表情を変えない。感情が欠落しているかのように。
「2000万!他にはございませんか!?」
板間さんが呼びかけても、例の男以外は苦い顔を見せるばかり。欲しいのは山々だが手持ちがない、そう表情が訴えている。
「それでは2000万で落札です。おめでとうございます、劉(ラウ)様!!」
男はその声を待っていたとばかりに手にした物を置き、椅子を軋ませながら立ち上がった。
耳障りな足音を立てて舞台下に移り、紙にペンを走らせてから、黒スーツの男達に背中を支えさせつつ壇上に上がる。
ふてぶてしい表情が、こういう機会に慣れている事を物語っていた。これまでにも数知れない人間を買い、好き放題に弄んできたに違いない。
そのゲスが、丸裸の入宮に近づいていく。
改めて見れば、直立している事が不自然に思えるほどの肉塊ぶりだ。薄着の手足はハムのように膨れ、腹部などは数リットルの水袋を垂らしているよう。
引き締まった入宮の体と並ぶと、殊更に醜悪さが際立って見える。

「どうもありがとう、皆サン。今日は三億を用意したのですが……想定外に安くこの牝が手に入り、満足デス」
やや不自然さはあるものの、紛れもない日本語で煽る劉。客席の顔が引き攣っていくのが見える。
「さて。では……勝利の接吻を」
劉は入宮の顎に指先を触れさせ、笑みを深めながら唇を奪う。
チキンにかぶりつくような、汁気の多い下劣なディープキス。会場内に囁きと溜め息が入り混じる。
「………………っ」
一方で入宮は静かなものだった。されるがままになりながら、横に視線を向けている。乳房を揉みしだかれても、秘裂に指を入れられても。
最初はただ劉から視線を逸らしているのかと思ったが、どうも違うらしい。
入宮の目線は、舞台下……劉の秘書が、オークションの主催側にジュラルミンケースを手渡している所に注がれている。
やがてケースの中身確認がされ、主催者側が取引成立のサインを出した、その瞬間。
それまで大人しくしていた入宮が、いきなり劉の胸を突き飛ばした。とはいえ劉が動くことはなく、入宮自身が離れる形となる。

直後。

パンッ、という乾いた音が響き渡った。

腕を振りぬく格好の入宮と、目を見開いたまま顔を横向ける劉。その二人を中心に場が凍りつく。
事態を呑み込むには数度の瞬きが必要だった。俺も、現場の人間達も。
床を三度叩くサングラスの音で、ようやく世界に時間が戻る。
「お、おいッ! 何しやがるッッ!!」
スーツ姿の男達が入宮に飛びかかり、瞬く間に押さえ込んだ。しかし、もう遅い。劉が頬を張られる瞬間を、誰もが目にしてしまっている。
入宮を競り落とせなかった連中は、その鬱憤を晴らすかのごとく笑いを噛み殺していた。
ウチの組が贔屓にしている以上、あの劉という中国人は絶大な財力を持っているに違いない。そいつが見事に恥を掻かされたのだ。この公衆の面前で。
「気分はどう? こんなの初めてでしょ、買った犬に噛みつかれるなんて。あんたには、喰われる側が似合ってるよ!!」
男数人に押さえつけられながら、それでも入宮は劉を煽ってみせる。
俺にはそれが、強いメッセージのように思えた。

 ――あたしの心は折れてない。まだ、頑張れる。

別れの挨拶を交わせなかった代わりに、この騒ぎを通して俺にそう伝えようとしてるんじゃないか。そんな風に思えてしまう。
「……これはこれは。とんだじゃじゃ馬だ」
劉は頬を擦りながら、静かに瞳を開く。瞼が離れていくにつれ、次第に会場の含み笑いが消えていく。
異常な目。
針葉樹の葉のように切れ上がった瞼の合間から、ギラギラとした光が放たれている。
瀬川や伊田も生理的嫌悪感を与える人間だったが、それ以上に、もっと根本的な部分での欠陥が感じられた。
良い印象しかない入宮の澄んだ虹彩とは、見事に真逆といえる。
「お恥ずかしい所お見せした。品のなさに少々面食らいましたが……奴隷に噛み付かれて、このまま済ませる訳にいきません。
 私、もう一度このイヌの躾します。同志達頼んで、徹底的に、します。
 ここにいる皆さんにも映像を送りましょう。“これ”が涙ながらに無理と叫び、赦してと乞い、崩壊していく様を、どうか見て下さい」
劉は長い靴底で入宮の顔を潰しながら、唸るように告げた。
片言で紡がれる言葉には、これ以上ないほどの悪意が満ちている。そしてその悪意は、以後数日ごとに送られてくる動画にもはっきりと表れていた。



2日後に送られてきた動画では、入宮がSM倶楽部のような場所で延々と水責めを受けていた。
桶に張られた水へ、男二人から頭を押さえ込まれて顔を漬けさせられる。
責め役は明らかに堅気ではない。腕や肩に刺青を入れている所は日本のヤクザと同じだが、どこか優美な和彫りと比べてやけに毒々しい。
さらには筋肉のつき方も異常だ。明らかに魅せではなく、実戦を意識した鍛え込まれ方。チャイニーズマフィアと呼ばれる連中だろう。
「がはっ! ぶはっ、はあっ……はあっ!!」
髪を引っ張られてようやく顔を上げた入宮からは、普段の美貌が失われていた。歪んだ顔で、まさしく必死に酸素を求める。
だが、それも充分には許されない。入宮がまだ呼吸を整えている最中にも関わらず、再び髪を掴む腕に力が入り、強引に桶へ顔を沈めていく。
ガボボボゴッ、と泡の立つ音がし、入宮の手が必死に桶の端を掴んで抵抗を示す。
だがマフィアの男二人に力で敵う筈もない。細腕はぶるぶると痙攣するだけで、結局は何の抗力にもなっていない。
それが何度も繰り返されるのだ。
痛々しい責め。それでも、入宮の心を折るには至らない。
「気分はどうだ?」
映像開始から数十分が経った頃。劉が姿を表した。
ちょうど水面から顔を上げさせられた入宮は、にやけ顔の劉に気付くと、目の形を変える。そして頬を膨らませて、ぶっと水を吐きかけた。
勢いよく放たれた水は、覗き込む劉の頬で弾ける。
「はぁ、はぁっ……この通り、すっごく不味い水。お金持ちなんだから、ご馳走するなら美味しいのにしてよ」
肩で息をしながら、それでも毒づいてみせる入宮。
「ぬうっ……!!」
劉は苛立たしげに頬を拭い、入宮を押さえ込む男に中国語で何かを叫んだ。
もっときつくしろ。多分、そういう内容だ。

事実そこから、水責めはさらに容赦がなくなった。
浴槽になみなみと張った水の中へ、上半身を折るようにして頭のほぼ全体を沈み込ませる。
黒髪が海草のように水に揺らめき、ピンク色の脚がバタバタと暴れる様は、さっき以上に見た目のインパクトが強い。
そして、この時は水責めだけでは終わらない。
7回目に入宮の顔が水に漬けられた直後、男の一人が突き出される形の尻に腰を近づけた。
まさか。
俺の嫌な予感は当たり、男は入宮の腰を皺が寄るほどに強く掴むと、一気に腰を突き出す。
がぼぼっ、と泡の立つ音がし、ピンク色の脚に筋が浮く。
マフィアらしき男の肛門姦は凄まじかった。まさしく『アナルファック』というべき激しさだ。
まず瀬川達のそれとは音が違う。パァンッ、パァンッ、パァンッ、という、パドルで尻を叩くような音が太腿から鳴っている。
入宮の弾力のある腿肉と、男の張り詰めた大腿筋がぶつかり合う音だ。
音だけでなく、見た目も凄い。なにしろ、無駄な脂肪など一切ないはずの入宮の太腿が波打つんだから。
よほどの強さで固い物がぶつからなければ、そんな風にはならない。そしてその馬力で直腸へ逸物を叩き込まれれば、一体どうなってしまうのか。
「ぶはっ! く、くぅ゛しぃっ……やめっ、とめてへぇっっ!!」
あれだけアナルセックスに慣らされていたはずの入宮が、水責めの苦しさの中で掠れ声を漏らす。
それでも、男達は責めを緩めない。一人が散々に突きまくって射精すれば、僅かの間もなく次の一人が挿入する。そして容赦なく深く抉り抜く。
この責めはどれほど続いただろう。
男3人がようやく射精を終えた頃には、入宮は浴槽に寄りかかったままぐったりと項垂れていた。
ぱっくりと口を開いた肛門からは、凄まじい量の白濁と、一筋の茶色い液があふれて腿を伝っていた。

そこで場面が変わり、喉奥に指を捻じ込まれてむりやりに水を吐かされる場面を挟んで、次の被虐シーンが始まる。
後ろ手に拘束され、チューブで無理矢理鼻に水を入れられる責めだ。
「がっ、ふげああ゛っ!!あ゛っ、あぶっげああ゛っ!! あぶぶあ、あがぁ゛っ、うぉえ゛っっ!!!!」
涙と唾液を散らしながら、何度も噎せ返り、ついにはえづき上げる入宮。
その苦しみようからして、ただの水という訳ではなさそうだ。
塩水かとも思ったが、ある時映像の端に見えた赤いビンで、察しがついてしまう。
タバスコだ。タバスコを水に溶かし、それをチューブで送り込んでいる。
信じたくはなかったが、入宮の鼻腔から垂れる液体の量が俺の推理を裏付けているように思えてならない。
『おおおぉえぶっ、けはっ、かふゅっ!!げはっ、がばぶっ……ふあぅうああ゛っっ!!!』
ひどい咳き込みを繰り返しながら涙する入宮。それを大写しにしながら、映像は途切れる。俺の心にさえ、ひりつく痛みを残しながら。


また別の動画で彼女は、広場らしき場所で晒し者にされていた。
石畳の中にギロチン台のようなものが立てられ、そこに顔を両手首を横一列になるよう固定されている。
足も大股を開いた状態で地面の杭に鎖で繋がれている。
映像内の入宮はその状態のまま、ボロ切れを纏っただけの浮浪者らしい人間に延々と犯されていた。
口には開口具を嵌め込まれているため、フェラチオを拒む術はない。
風が強いせいか映像には殆ど音が拾われていないが、おえっ、ごえっ、というえづき声だけがかろうじて聞き取れる。
逆にいえばそのえづきは、男達の騒ぎ立てる声以上に大きいということだ。
浮浪者連中は入れ替わり立ち替わり入宮に群がるため、えづき声も殆ど途切れることがない。
膣を使われてこそいないようだが、肛門への挿入も止む事がない。
よく見れば、拘束された入宮の傍には立て札が設置され、中国語で殴り書きがされていた。
『干你娘(この女を犯せ)』
『贱婢(クソアマ)』
『肛交(アナルセックス)』
『鳴鸡(売春婦)』
・・・
見慣れない文字のせいで大半は読み取れないが、かろうじて見える部分を検索すると、下劣な言葉ばかりがヒットする。
そのような低い扱いに安心したのか、男達は嬉々として前後から腰を振りたくった。
挙句には映像開始から1時間半の辺りで、浮浪者の一人が不自然に草むらから覗くナイロンの袋を目に留めた。
茂みから引きずり出して逆向ければ、中からは様々な淫具が転がり出す。
明らかに“わざと”置かれたものだろう。
浮浪者共は一人また一人とその道具を拾い上げ、満面の笑みで入宮に見せ付ける。
そして入宮が目を見開きながら頭を振る様を愉しんだ後に、その道具を使い始める。
動物の胃袋のようなものに入った液体を肛門へ流し込み、びちびちと石畳に弾けるような排泄をさせ。
拡張し。挿入し。
最初こそプレイと呼べる範疇だったが、日が暮れる頃には完全に悪趣味な遊びと化し、数本の責め具を無理矢理に肛門へねじ込む事さえ行われた。
映像が乱れていてはっきりとは見えないが、直径2,3cmのアナル用ディルドーが6本は挿入されているように見える。
「むごおおぉおーーーーーっ!!!」
そんな無茶をやられれば、当然入宮の頭の方からは呻きが漏れる。
だが、小汚い男連中はその声すら愉しみながら、一人ずつディルドーの尻を握って互い違いに挿入と引き抜きを繰り返しはじめた。
その輪にすら入れない人間は、当然入宮の『口を使う』。
入宮にしてみれば堪ったものではなかっただろう。夜が深まって刻一刻と不鮮明になっていく映像内では、彼女の心情を知る手がかりは少ない。
それでも、彼女の手足が見せるほんの小さな動きが、もれなく彼女の慟哭を代弁しているような気がしてならなかった。


そうした地獄が、20日あまり続いた頃。
ついに大晦日――約束の破瓜の日がやってくる。

俺が“その瞬間”を目にしたのは、悲劇から二日後。世間の空気がすっかり緩みきった、三が日中日の事だった。



映像にまず映し出されたのは、ホテルのロビーを思わせるほど広々とした一室だ。
天井からは凝った装飾の六角形の照明が下がり、朱色の柱にも金の装飾が見える。壁を覆うような屏風の一面には、雄雄しい龍が描かれてもいる。
そして、それらを紅白の新年飾りが華やかに彩っていた。『新年快樂(あけましておめでとう)』……その文字からして、年明け前後を映した映像である事は間違いない。
カメラはそうした内装を舐める様に撮ったところで、ゆっくりと180度振り返る。
その先には間仕切りされた寝室。キングサイズのベッドの上に、何人かの女の姿があった。
真ん中にいるのは、肌色の鮮やかさですぐに入宮だと判る。そしてその入宮を囲むようにして、4人の女が膝立ちになっていた。オークション会場でも目にした、劉の愛人達だ。
愛人達は、入宮に濃厚なキスを強いながら、マッサージの要領で性感を刺激し続ける。
妙に艶かしいその様を、『貴州茅台酒』と銘打たれた瓶を手にした劉がにやけ面で眺めていた。
奴の横にあるテーブルには、本来なら宴会場で並んでいるべき料理の山が続いており、相も変わらず暴食に耽っているのだと見て取れる。

ベッド上の責めに激しさはない。
雪のように白くほっそりとした指が、入宮の桜色の肌を這い回り、膣と肛門に差し込まれる。
ただそれだけ。にもかかわらず、入宮の呼吸は乱れきっていた。顔も歪み、「やめて」、「いや」、そういう言葉が何度も漏れる。
女達はその意味が理解できないのか、あるいは端から聞く気もないのか、冷たい表情を微塵も崩さずに責め続けていた。
どうやら膣の性感を徹底的に目覚めさせるつもりらしい。
入念なマッサージの果てに入宮が脱力したような状態になると、責めも変わった。
入宮の両脚をピンと伸ばさせた状態で、一人が膣の中に指を挿し入れる。中指と人差し指の第二関節辺りまでを沈め、奥から手前にかけて掻くような動きを見せる。
その状態で別の一人がトントンと子宮の付近を叩けば、入宮の腰が跳ねた。
「や、やめてっ!!」
切羽詰ったような声が上がった数秒後、すらっとした入宮の脚の間から、ぷしゃっと飛沫が上がる。潮吹きだ。
「ははははっ! 良い、良いぞ!!」
見守る劉が椅子を揺らしながら、機嫌良さそうに笑った。
入宮はその声を聞くと、すぐに唇を閉じて劉に鋭い視線を送る。ただ、それもほんの2秒ほどのこと。すぐに愛人の一人が、入宮の顔を劉とは逆方向に向けさせ、濃厚な口づけを強いる。
それと同時に、下半身を責める3人も責めを再開した。

膣の恥骨側、肛門側をそれぞれ強く掻くような指責め。それと平行して外から行われる、子宮付近への刺激。
指先で叩き、押しこみ、撫で。さらには蝋を垂らしたり、鍼を打つことすら行われ始める。
それら全てが入宮を狂わせた。房中術というものだろうか。AVでも、地下での調教ですら見たこともない責めが、明らかに入宮を追い込んでいく。
内腿に刻まれる筋の深さが相当だ。以前、バスケットのユニフォームを着たままスライヴ責めを受けていた時に近いものがある。
キスを強要する一人が口を離すたび、入宮は激しく喘ぎながら、いく、いく、と口の中で呟いていた。
「ふぅああ……あああぁっ!!」
急に叫びが上がったために下半身を見れば、案の定、膣の内外からの指責めが再開されている。
たまらない、という感じの叫びは、また濃厚な口づけで殺され、ふむぅーっ、むぉうううーっ、という呻きに変わる。口づけ女は、そんな入宮を冷静に眺めながら、乳房責めすら加え始めた。
入宮の腕が縋るように頭上の枕を抱え込み、潰れんばかりに抱きしめる。上腕と腋に、内腿とそっくりと溝が刻まれる。
30回ばかり悲痛な呻きが上がったところで、唾液の糸を引きながら唇が離された。
胸がずきりと痛む。カメラ中央上部に小さく映る入宮の目は、否定のしようもないほど、明らかに白目を剥いていた。
その様を前に、また劉が椅子を揺らして嗤う。
そこからはやはり同じ展開だ。
入宮は気力を振り絞って劉を睨むも、すぐにその顔を横向けさせられ、濃厚な口づけの中で白目を剥く。
女達は明らかに責め慣れていた。一秒も手を休めず、入宮に何かを囁きかけながら無表情で追い込み続ける。
獲物が何度達そうが、何度潮を噴こうが、Gスポットと子宮への刺激を緩めない。入宮は狂ったように身を捩るが、悪意ある同性の手中から逃れられない。
『狂っちゃう!』
『おかしくなる!』
甘たるい中国語が囁かれる中で、唯一聴こえる日本語がそれだ。
しかしその言葉すら次第に発音が怪しくなり、中国語の中に溶けるように聴き取りづらくなってしまう。

そうして入宮の脳も下腹部もどろどろになった所で、ついに劉が暴食を止めた。
取り巻き達に中国語で何か言葉をかけながら、ゆっくりと立ち上がる。
下着が脱ぎ捨てられてついに露わになった剛直は、異形と呼ぶべき代物だ。
分厚い腹肉に埋もれない太さや長さも相当だが、何よりも真珠状のイボが5つばかり幹から飛び出しているのがおぞましい。
亀頭のサイズや幹の血管の浮き具合も不自然だ。明らかに薬物注射か何かで、人為的に増強している。
「ベンツ買えるだけの金注いだ自慢の逸品よ。この味覚えたら最後、誰も離れられない」
入宮の反応を愉しみながら、劉がベッドに膝を乗せる。ベッド全体が傾き、奴の膝を中心にシーツが放射状の皺を作る。
「へぇ、そんなにお金掛けたんだ……普通に抱いて悦ばせる自信がないわけ?」
怒張から劉の顔に視線を移し、毅然とした態度で睨み上げる入宮。反抗心は健在だ。
「どうかな。試すといい、オマエ自身の体で」
劉は残忍な笑みを浮かべると、入宮の唇を奪う。
瀬川達がやる時も苛立たしかったが、劉の場合はそれ以上に胸が腐りそうだ。
奴は入宮の所有者だから。入宮はもう、奴のものだから。
「………………。」
口づけを受けながら、入宮は憮然とした表情で劉の横顔を睨みつけていた。そういう表情をしてくれているのが、まだしもの救いだ。
今にも噛み付きそうな雰囲気だが、さすがにそれはしない。オークションで頬を張ったのは、あくまで劉に恥を掻かせる事が目的だったんだろう。いざ海を越えれば、されるがままになるしかない。
もう、逃げ場はないんだから。
「くふふっ。甜美、甜美…………」
劉はそう呟きながら一旦口を離し、舌を出して入宮の身体に這わせていく。顎から首筋、乳房、腹部、太腿……。
入宮が顔を引き攣らせる中で、ついに劉は秘部に舌を触れさせた。
そこから始まるのは、執念すら感じる入念な舐りだ。秘裂を、そして陰核を隅々まで舌で舐めまわしていく。
女達から長時間に渡って快感を刻み込まれていた入宮は、それだけで簡単に達してしまうらしい。
「んっ、くぅっ!!」
悔しそうな顔で太腿を震わせる入宮。その様子をしばらく愉しんでから、劉はベッドに腰を下ろして入宮の体を持ち上げる。背面座位だ。
「今年も、あと少しだ」
劉はそう言い、近くの女に何かを囁いた。女は部屋のテレビを点ける。
振り向いたカメラが映すテレビ画面では、春節の時ほどの賑わいはないものの、若い世代を中心に新年のカウントダウンが行われているようだった。
画面左下に表示された12:14という数字が、刻一刻と減っていく。
それは今年の残り時間であると同時に、入宮が純潔を保っていられる時間でもある。
再びカメラがベッドを映すと、テレビの青白い光を受けながら、入宮の表情が沈痛なものに変わっていた。
逆に劉はいよいよ頬の肉を上げ、怒張を入宮の秘裂に擦り付ける。
本当に恐ろしいサイズの巨根だ。入宮の秘裂を縦断してなお、丸ごと亀頭部分が余るほどに。
亀頭に至っては、テニスボールよりはやや小さいかという程度だ。
「っ、あ、うぁ」
怒張の先で陰唇をなぞられ、陰核を潰される。それが気持ちいいのか、入宮からは小さく声が漏れた。
劉はそうしてしばらく入宮を昂ぶらせ、秘裂の中心に亀頭を宛がったまま動きを止める。そして、ゆっくりと入宮の体を下げ始めた。
とうとう挿入かとも思ったが、違うらしい。
巨大な亀頭の半ばまでを小陰唇に潜り込ませ、引き抜く。そうしてさらに焦らす事が目的だ。
「どうだ。大きいだろう」
劉が囁きかけると、入宮は顔を強張らせる。
劉の亀頭のサイズは相当だ。膣に本格的な異物挿入を受けたことのない入宮にとっては、恐怖の対象でしかないだろう。
だからこそか。劉は浅く亀頭を潜り込ませ、引き抜く行為を繰り返す。
「あと2分、いよいよ大人になる時来たな?」
劉はそう言いながら、また浅く挿入する。
「ひぃ…………っ!!」
入宮は呻きながら、テレビの方へ緊張した面持ちを向けていた。破瓜へのカウントダウン。それは、どれほどの恐怖だろう。
もはや彼女は強がれない。絶対的な現実を前に、1人の女の子として引き攣った表情を浮かべるしかない。

そして、運命の瞬間がやってくる。
取り巻きの女達が、クラッカーを手にベッド上を振り仰ぐ。劉の手が入宮の細い腰を掴む。
亀頭が陰唇に宛がわれ、ゆっくりと挿入されていく。亀頭の半ばから、カリ首…………そのまま、一気に深く。
「いっ……たぁあああい゛ぃ゛ぃ゛っ!!!!」
入宮のその絶叫と共に、Happy New Yearの大歓声が映像内に流れ始める。
取り巻きの女達も、歪んだ笑みと共に祝いの言葉らしきものを叫びながらクラッカーを鳴らす。桜を模した紙片を撒いている女もいた。
周りが満面の笑みで新年を祝う中、入宮だけが歯を食い縛った苦悶の表情で泣き叫んでいる様は異様でしかない。
「痛いいたいっ!!」
劉が奥深く剛直を抉り込むと、入宮から余裕のない早口が発される。本気で鋭い痛みが来た時の特徴だ。
俺だったら、いや……普通の神経をしていれば、そこで腰を止めて初体験の相手を案じるだろう。
だが、劉はその逆だ。入宮が悲鳴を上げるたび、より力強く奥までを突き上げる。
「好……很好!! なんだこの膣は!? 千切れそなほど締まる。最高だ、最高だっ!!」
熱を帯びた様子でそういった事を叫びながら。
一方の入宮はつらそうな表情を浮かべながら、されるがままになっていた。心身へのショックが大きく、悪態をつく余裕すらないようだ。
ただ、その苦しげな顔の中に、時々違う色が混じる。

快楽。

信じられない。身も心も醜悪な中年男に犯されて、あの入宮が感じるはずがない。
そうは思うが、俯きがちに『あ』の字に口を開く様は、やはり感じているようにしか見えない。
さらに、よく目を凝らせば、劉もただ腰を打ちつけているだけではないと判る。
カリ首が覗くほどの大きなストロークで突き上げもするが、むしろそれよりも、ある程度深く挿入した状態で小刻みに最奥を叩いている事のほうが多い。
劉自身の肉のたるみがひどく、僅かな動きでも太腿が波打つせいで気付きづらいが。

「真珠が、Gスポットにゴリゴリ当たて堪らんだろ?」
汗まみれの入宮に囁きかけながら、上下に腰を揺らす劉。
同時に胸を揉みしだいたり、秘裂全体を手の平で覆うような仕草で刺激してもいた。
「はぁあー……ぁぁ、あっ、あ…………!!!」
入宮は俯き、熱い吐息を吐き出す。極太の怒張を呑み込む陰唇も、蜜でてかりながらひくつき続けている。
密着。その言葉が脳裏を過ぎった。まるでその俺の考えを読んだかのように、劉が口を開く。
「大分拡がてきたな。自分の膣内が、俺専用に作り変えられてるの解ルか?
 そこにいる女も、最初は皆泣き叫んだ。でもこうやて俺の形覚えこませれば、何日かで自分から欲しがりだした。
 オマエ、あいつらより感度がいい。ダカラ…………溺れ易イ!」
劉はそう言いながら、入宮の脚を大きく開かせる。そしてそのまま見せ付けるようにして、一際深く突き込んだ。
「んんんっ…………んはぁっっ!!!」
入宮は口を大きく開き、頭痛に悩むような顔で首を振る。
「イイ声だ、また達したな。日本人すぐ逝く。我慢できない」
そう劉に煽られると、入宮は必死に歯を噛み合わせて耐えようとする。だがそんな入宮の顎を、劉の大きな手が押し上げた。
背中をぐうっと反らせつつ、恥骨側を擦るように怒張を突き入れる。
「っつふぅっ!?」
顎を手の平に包まれた入宮は、声にならない声と共に目を見開いた。
そのまま何秒か恥骨側をついた所で、劉は入宮の顎を解放した。反動で入宮の身体は前傾となる。
すると劉は、その姿勢を利用し、今度は背骨側を抉るような動きを見せた。
「あっ、うあ!!」
入宮からはっきりとした声が漏れ、瞳が閉じられる。
何度も突き上げられるうち、瞼はうっすらと開いていくが、その泣き出す寸前のような瞳に強さはない。
「また逝たな。臍側と尻側、2つのGスポットを刺激したら、女は逝く。そして今からは、ポルチオを責める。徹底的に、俺の味憶え込ませる!!」
劉は残酷な宣言と共に、入宮の太腿を鷲掴みにした。
そうして逃げ場を潰した上で、震える入宮の膣を真上に深く突き上げる。
「んくぅうう゛っっ!!!」
一瞬だがはっきりと、入宮の細い身体が宙に浮いた。その衝撃の強さは明らかで、喉元から金属を掻くような音が漏れるのも納得できてしまう。
そこから劉は、ベッドのスプリングを凄まじく軋ませながら、入宮のポルチオを突きはじめた。
「やっ……やめてっ!!やめてえぇっ!!!」
入宮は叫びながら首を振る。そうやって彼女が乱れているうちは、まだマシだった。
本当に俺の心が締め付けられるのは、動きが止まっている時。目が虚ろになり、半開きの口の端から唾液が零れ、濁ったような嬌声が上がっている間だ。
脳髄にまで快楽の電流が走り、馬鹿になっている――そういう風に、見える。
入宮が僅かでも自失すれば、状況は転がり落ちるように悪化した。
劉はしっかりと入宮の脚を掴み、ずちゅっずちゅっという音がはっきり聴こえるほどの力強い抽迭を繰り返す。
自失している入宮は、脚を踏ん張って衝撃を軽減することができない。ぐったりとした様子で怒張の上に崩れ落ち、膣奥で余すところなく突き上げを受けてしまう。
もはや深い絶頂だけが、入宮の意識を引き戻すキーだ。
「いっぐぅうううっっ…………!!」
前傾気味になり、腹筋を痛めそうな低い声で絶頂を宣言する入宮。
そこで一旦意識を取り戻すが、本格的な絶頂を貪る体勢に入っている肉体はどうしようもない。
結局彼女ははっきりとした意識のまま、下半身が病的に痙攣し、全身に雷が突き抜けるような状態を味わう事になる。
「んひぃいっイグっ!! ふぅっ、ふーっ、駄目っ、こんな…………んはっ、はっ、はっはっ……いく、いくっ……いっでるんぅうう゛…………!!!」
肺すら痙攣しているらしく、小刻みに荒い息を吐きながら絶頂を口にする。
逃れようとしているのか、入宮の手足は絶頂の来ない僅かな時間に、劉の太腿を支えにして力む兆候を見せる。
しかしすぐに絶頂に襲われ、電流を受けたようにピンと伸びきってから脱力する。
細い身体がわずかに浮いては沈み込む様は、自分からストロークをねだるかのようだ。

奥を突かれる時のみならず、怒張が抜き出されていく瞬間にすら、入宮の美脚が痙攣を示す。
怒張がほぼ丸見えになるような状態から一気に奥を貫かれれば、その衝撃が身体を突き抜けたかのように肩が跳ねる。
さらにぐりぐりと奥を捏ね回されれば、たまらず顔が天を仰ぎ、肩が震え、ぴんと伸びた両手の先が空を掻く。
「んんんんん゛ぅーーーーーっっ!!!!」
こういう時に入宮が発する嬌声は、もはや声にすらなっていない。絞った喉からそれでもあふれ出た、快楽の叫び……そういう風だ。
そこを、さらに劉が追いこんでいく。
抽迭の音が早いペースで繰り返される。太腿同士がぶつかる音もしているが、劉の肉が多すぎるせいか響きは鈍い。むしろ汗が肉同士の間で練られる、つぱっ、つぱっ、という音の方が印象的だ。
汗も、愛液も。かなりの量の体液が、入宮から搾り出されていた。
「くるっ、くるっ…………ま、またっ、すごっ…………んふっ、ふうっ…………く、くっ…………!!!」
「おお、すごい締め付けだっ…………こっちも、そろそろ逝くぞ!!」
入宮が呻くようにそう呟く最中、劉が腰の動きを早めた。
「だ、だめっ、それは駄目……っ!! なかになんて、出さ……な、で…………っ!!」
激しい抽迭に呼吸を乱されながら、入宮は哀願する。だが、劉がそれを聞き届ける筈もない。むしろその哀願を待ち構えていたように、最奥まで貫いたままで腰を震わせはじめた。
「い、いやああぁあっ!!」
入宮は嫌悪感に顔を歪ませる。その入宮の表情を愉しみつつ、劉はたっぷりと精を注ぎ込んだ。
そうして射精を終えた怒張が抜け出る、まさにその瞬間。今度は入宮の秘裂から、少量の潮が飛び散る。
その潮が切れたと思ったところで、引き続き本格的な潮吹きが始まった。
瀬川とのアナルセックスでも目にしたような、放物線を描く盛大な潮吹き。いや、失禁かもしれない。
「おーおー。そろそろ出すとは思たが、予想以上ね。結局また舌使って掃除するのに、バカな娘よ」
劉は入宮の太腿を引きつけながら、可笑しそうに嘲笑った。
「ふっ……ふざけないで! こんなに、しといて…………が、我慢なんて、できるわけ…………!!」
入宮は肩で息をしながら、劉に怨嗟の言葉を投げかける。

二度目の潮吹きがようやく収まったところで、入宮の脚の間を覗き込んでいた劉が薄ら笑みを浮かべた。そしてカメラに向けて手招きする。
カメラが近づく中で、劉は入宮の秘裂に手を掻けて押し開いた。
秘裂の中から大量の精液があふれ出し、潮で濡れきっているシーツへと零れていく。
しかし、シーツのある部分……ちょうど入宮が座る場所の真下に、白濁でも愛液のシミでもない色が見えた。
赤。
紛れもなく処女であったという証が、そこに数滴染み込んでいる。
入宮自身が暗い瞳でそれを見下ろしているのと同様、俺の心も沈みきっていた。
入宮の純潔が奪われた。それが白いシーツに咲く紅い華は、その象徴として鮮やかすぎた。
「よかたな、これでオマエも大人の仲間入りだ。ここからもっともっと、大人の愉しみを教えてやる」
劉はそう言って口の端を吊り上げた。

初夜の映像はここで終わる。
画面がようやく暗転したことに、俺は心底安堵した。これ以上は見ていられない。
そう思いながら動画ページを閉じようとした瞬間、俺は見てしまう。今再生していた動画の上に、もう一つ動画があるのを。
更新時間がさらに新しいもの……アップされたばかりの映像だ。
嫌な予感がする。だが、見るしかない。じっとりと手に汗を掻きながら、恐る恐る再生ボタンをクリックする。


また、地獄が始まった。





映像の中では、劉が入宮にフェラチオをさせていた。
這う格好の入宮に対し、劉が中腰の姿勢で腰を突き出すやり方だ。
遠くで祭のような音がしているのは、テレビの中の音声か。
「中々いいぞ」
怒張を掴みつつ、腰を前後させながら劉が笑う。
奴の怒張のサイズが異常なせいで、入宮は顎が外れそうなほど口を開かなければならない。
当然、目は固く閉じられ、口の端からは泡立つ唾液が零れている。
やがて劉は腰を引き、口内から怒張を引きずり出した。本当に凄まじいサイズだ。
蛇のようにずるずると引き出された逸物は、妙な粘液に塗れつつ、天を突く勢いで勃起していた。
それをさらに扱きながら、劉は入宮の背後に回る。
「はぁっ、はぁっ…………もうちょっとぐらい、待ってよ。まだ、ヒリヒリしてる…………」
入宮は手の甲で口を拭いながら、後ろの劉に声をかけた。
しかし、劉は応じない。ベッドのスプリングを軋ませながら腰を落とすと、逸物に手を添えたまま腰の位置を調整する。
交渉の余地なし。入宮はそう悟ったのか、這う格好のまま左右の膝を横にずらして開脚する。
その尻肉に手を添えながら、劉が腰を押し進めた。
「ぅうう……ぐっ、ぅううあああ…………!!」
俯く入宮の口が開き、悲鳴が漏れた。声を殺す余裕もないほど、劉の剛直はサイズが違いすぎるのだろう。
劉と入宮、両方の身体が痙攣しながら少しずつ挿入されていく様を見ていると、ミチミチという軋轢の音が聴こえてきそうだ。
入宮の指がシーツを弱弱しく握り込むのは、骨盤が割れそうな恐怖のせいか。
だが入りさえすれば、圧迫は快楽に直結する。剛直が膣内を目一杯に拡げたまま、奥までを隙間なく貫き、抜かれる際には雁首で膣壁を掻きむしる。それが狂おしいほどに良いようだ。
入宮もそうだ。
「あぁあ、あああぁっ!! ふぁあっ、あふ……っ!! あふぁ……ああ゛――ぅ、うあ……あ゛っ!!!」
体全体が揺れるほど激しく突かれると、甘い声を殺せない。
ベッドについていた手からは力が抜け、肘を支えにかろうじて上半身を浮かせているだけの格好になる。
そうして俯く入宮の髪を、取り巻きの女の一人が掴み上げた。
カメラ中央に映し出された顔は……蕩けている。潤んだ瞳から幾筋も涙が零れ、半開きになった唇からは涎が零れ。
中華女達が詰るような口調で何かを告げると、劉が反応を示した。
結合したままで入宮の足首を掴み、強引に対面へ移行する。
「っ!!」
息を呑むような声と共に、入宮の表情が強張った。
顔を真正面から見られる状態では、もう蕩けた表情は晒せない。
それを知りつつ、劉は腰を打ちつける。ぶよぶよとした毛むくじゃらの太腿と、桜色のすらっとした太腿が触れ合う。犯罪的な絵面だ。
「ふーっ…………ふーっ……ふぃ、いーっ…………!!」
正常位で挿入を受けながらも、入宮はしばらく歯を閉じ合わせて耐えていた。
だが劉が巨体を反らして奥深くを突くと、その余裕もなくなってしまう。Mの字に開いた膝下が跳ね上がり、目と口が開ききる。
「あ゛、あ゛…………っ!!!」
「また逝たか。オマエ、本当にすぐ逝く。いいぞ、このまま何度でも逝かせてやる」
劉の言葉に、一瞬だけ鋭い目を取り戻す入宮。しかしそれでも、太腿を抱え上げられるようにして何度も強く突きこまれると、
「んああああぁ、あ……っあ!!!」
背中を完全にシーツから浮かすような勢いで、反りかえって絶頂してしまう。
ぼすっと背中が落ちた後でも、全身を駆け巡る電流はそのままらしい。細かに痙攣しながら握り込まれる足指が、生々しくそれを物語る。
本当に、雷に打たれたような……これがポルチオでの絶頂なのか。
「どうだ。絶頂の最中に、また絶頂する気分は」
入宮がまだ絶頂の余韻に浸っている中、劉はさらに腰を打ち込み続ける。タパンッ、タパンッ、という水袋を打ち付けるような音が響く。
「うあッ…………ぅうう、ふうっあぁあ゛っっ!!」
入宮は、頭上に投げ出した両手で必死にベッドシーツを掴み、大口を開けて喘ぐしかない。
ほんの少しでも余裕ができるたびに劉を睨みはするものの、その間隔は刻一刻と短くなっていく。
「さぁ、そろそろ出すぞっ!!!」
延々と突き続ける中、劉が頬を緩ませながら宣言する。蕩けていた入宮の目が瞬き、見開かれた。
「本当にやめて! あんたの精子なんか、欲しくないっ!!」
そう叫びながら劉の胸板を押し返そうとうするが、それで巨体が動くことはない。
むしろ劉はさらに前傾を深め、圧し掛かるようにして長大な怒張のほぼ全てを膣に沈み込ませる。多分、子宮を無理矢理潰すようにして。
「いや、深いっ!!やめてっ、いやぁいやーーっ!!!」
入宮は頭を激しく振りながら叫ぶ。その一方で彼女のぴんと伸びきった両脚は、これ以上ないほどに快感を訴えていた。
そして、射精が始まる。
むせび泣く入宮と、満足げな溜め息を吐く劉。悲喜の対照的な二人の結合部に、精が吐き出されていく。

怒張が引き抜かれると、開ききった陰唇からはすぐに白濁があふれ出した。
それを受けた入宮は…………ショックのあまりか茫然自失の状態だ。大股を開いて恥部をさらしたまま、全身を細かに痙攣させている。
目線はどこへ焦点を結ぶでもなく宙を彷徨い、口の端からは涎のようなものが垂れている。
「だらしのない格好だ。日本人は慎ましいというが、所詮は噂だたか」
劉が嘲り笑うと、かろうじて睨み上げこそするものの、その眼力は教室にいた頃の彼女とはまるで違っていた。





入宮と劉のセックス動画は、それからも細切れにアップされ続けた。
入宮は、日本でいう三が日をセックス漬けで過ごしたらしい。
映像の背景は常に入宮が破瓜を迎えた部屋で、ガラステーブルに並ぶ食べ残しの食事や酒瓶も同じ。
いや。正確には、料理や酒は動画を跨ぐたびに少しずつ増えていく。動画が連続して撮られているという証拠だ。

見れば見るほど、劉という男は醜悪だった。
肉体のだらしなさは伊田の数倍ひどく、下卑たケダモノぶりはあの瀬川以上かもしれない。
セックスの合間合間に、劉は入宮の身体中を嘗め回す。唇を、首筋を、鎖骨を、乳房を、腋を、臍を、内腿を……そして、前後の孔を。
入宮は可哀想なほど顔を歪めながら、されるがままになっていた。
豚が美女を嘗め回す。その地獄絵図が数十分続いた果てに、場面が切り替わって結合シーンが映し出される。

今回の映像は屈曲位。それも、両の足首を劉の肩に埋もれさせる、深々としたものだ。
肥え太った巨体が真上から圧し掛かる様からは、嫌でも深い結合がイメージできてしまう。
その体勢で劉は、遠慮なく腰を打ち込んでいた。小刻みに、しかし間違いなく深く。
入宮の首辺りに枕が敷かれ、その枕が加重で跳ね上がっているせいで、入宮自身の表情は窺い知れない。
それでも上がる声と脚の動きだけで、相当感じている事がわかってしまう。
そして、手だ。
結合シーンの開始から僅か10分足らずの間に、入宮の手は様々な表情を見せた。
シーンの最初の頃、入宮の手は必死に劉の太腿を押し返そうとしている。手の甲に刻まれた隆起から、相当な力が入っている事が見て取れる。
だがそれが、3分ほどでずり落ちていく。手の甲の隆起は消え、シーツに沈む劉の膝付近に添えられているだけという状態になる。
さらにそこから3分ほど経てば、今度は逆に劉の膝を思い切り掴むようになる。まるで、川の流れの中で縋りつくように。
ちょうどこの辺りで、劉の動きも変わった。
荒い息を吐きながら腰の振りを緩め、ぐっ、ぐっ、と膣奥を臍の方へ押し上げるような動きをはじめる。
それを受ける入宮もまた、荒い息を吐いていた。はぁーっ、はぁーっ、という吐息の中、劉がぐうっと腰を押し込むタイミングで、んぁあっ、という偽りのない喘ぎが漏れる。
頭上の足指は透明な棚に引っ掛かるような動きを見せ続ける。
そうしてしばし汗まみれで蠢きあった後、劉は緩やかに責めを再開した。
両膝を片方ずつ前に進めてより密着し、入宮と胸板を触れさせるほどの前傾で挿入を続けていく。
醜悪だ。それでも、効いている。
結合が深まってから1分と経たないうちに、劉の両肩から入宮の足首がずり落ちた。ピンク色の脚は大股開きのまま、劉の脇腹の横で蠢き始める。
その両脚の中心では、いよいよ劉が激しく腰を振り始めていた。膨れ上がった太腿にさざ波が立つような、小さく鋭い打ち込みだ。
「んああ、ぁぁ、あっ…………!?」
ここで入宮から漏れた声は、信じられない、という色を含んでいた。俺の勘違いであって欲しいが、未曾有の快楽に戸惑う喘ぎにしか聴こえなかった。
そしてどうやら、それは杞憂では済まない。
「あぁ……っ!!」
甘い喘ぎ声と共に、入宮の両足のつま先がぴぃんと一直線に天を向いた。スラッとした膝下の足がさらに細く見える。“引き締まっている”んだ。まず間違いなく、極度の快感で。
そしてその緊張は、ある瞬間にふうっとほぐれる。足裏は扁平に90度を保つようになる。しかしそこから何度も膣奥への突き込みを受けると、またつま先が伸びきった。
何度も、何度も。間隔を次第に狭めながら。
「逝き続けになてきたな。ポルチオでそうなれば、もう抜け出せない。特に、私のモノで覚えこまされたらな」
劉はベッドに沈み込むような入宮を見下ろしながら、満面の笑みでそう囁いていた。そして、容赦なく腰を打ちつける。
激しく、深く、緩く、浅く。前後左右に様々な角度をつけて。
やがて入宮の脚の動きが乏しくなり、彷徨っていた手がシーツに落ちた頃。
劉はさらに前傾を深め、ぶちゅっ、ぶちゅっ、と音をさせ始めた。無理矢理に入宮の口内を貪っているんだろう。
「んむっ、おもぉおっ!!」
直後、入宮の驚いたような声が響いた。唇を奪われた瞬間より、ややタイミングが遅い。おそらく入宮は、気絶していたんだろう。劉に深々と貫かれながら。
「オマエは、休ませない。気ぃ失ても、起こして快感で狂わせる。徹底的にここでの逝く癖、つけてやる」
口元に笑みを浮かべ、目は笑っていない状態で宣告する劉。
その悪魔じみた言葉を受ける入宮の顔は、どんなものだっただろう。それは知る由もない。
「あぁ、はあっ…………か、ってに、すれ…………ぁっ、ああ…………ふんっ、んあっ、ぁあっ、あっ…………!!!」
映像の中にはただ、強がりすら無慈悲に掻き消す甘い喘ぎが繰り返されるばかりだ。
「おおお凄い、痙攣続きだ。もうオマエ、逝てない時がないな」
劉の言葉も胸を抉る。
再生時間119:58のこの動画の中で、入宮はどれだけの恐怖を覚え、何度失神したことだろう。

“快楽の沼へ引きずり込まれる”……そういう表現のしっくりくるこの手の映像が、数時間に一度という頻度でアップされていく。
映像はここぞという山場を編集している訳ではなく、ドキュメンタリーのように淡々と情景の一部を切り取っている。それが逆に、彼女の生き地獄を生々しく伝えた。
おそらく入宮は、カメラの回っていない場面でも何度となく辱められ、悶え狂わされている事だろう。
今、この瞬間にも。
何本かの動画を見た時点で、俺はもうまともに画面を見ていられなくなった。
入宮の表情が歪むたび、細い手足が気持ち良さそうに痙攣するたび、胸が締め付けられる感じがする。
腹が減りすぎた時のように、肋骨の間がしくしくと痛む。吐きそうにすらなる。

 ――強いて言やぁ、あのガキがぶっ壊れるまでを見届けるのがお前のケジメだ。

板間さんはそう言った。俺自身、そうかもしれないとは思う。
自業自得だ。
今まで何人もの女が自我を崩壊させ、狂っていく様を傍観してきた人間には似合いの末路だろう。
調教対象が好きな女だからといって、今更心を痛ませるなんて虫のいい話というものだ。
そう心に整理をつけ、再び適当な動画を再生する。
劉に背後から覆い被さられ、入宮が犯されていた。異常なほどの水音を結合部から響かせながら。
「あぁ、くぁああ……っ!! ぁああ、ふああ、あぅふ…………!!」
抑えきれない、という風な甘い声。上下に小刻みな痙攣を見せる黒髪。
それを見るうち、胸の奥から黒い物が逆流する。
「くっ…………そおおぉぉあ゛っ!!!!」
堪らず声を上げ、握った拳を近くの壁に叩きつける。直後、鈍い痛みが走った。
手に視線を落とすと、小指の付け根辺りが破れて血にまみれている。

こんな馬鹿をやったのは生まれて初めてだ。
俺はあまり感情を爆発させる性質じゃない。仮に怒ったとしても胸中で燻らせるタイプで、物に当たる事などなかった。
そういう俺らしさが、崩れ始めている。
でも、虫のいい話でも、筋が通らなくとも、今度ばかりは黙って耐えられそうもない。
入宮が壊されていくのをこれ以上見るぐらいなら、命を捨てたほうがマシだ。本気でそう思う。





「テメェ……その要求を、俺が呑むとでも思ってんのか」

床に頭を擦りつける俺に、板間さんの声が突き刺さる。
今まで聞いた事もないほどドスの利いた声だ。普段は飄々としている人だけに、心臓が凍りつく。だが、引けない。

「お願いします!!!」

馬鹿の一つ覚えのように額を床につけ、同じ懇願を繰り返す。
組の仕事を回してほしい。俺の要求はそれだ。
入宮を地獄から救い出すには、兎にも角にも金が要る。少なくとも、劉が入宮を買い取るために使っただけの額は必要だ。
つまり、2000万。
高校生のガキに過ぎない俺が、真っ当なやり方で稼げる金額じゃない。実入りのいい裏の仕事で作るしかない。
だから、頼み込む。無理を承知でも。
「こっちは、あのガキに組の面子潰されてんだぞ? そんな女ァ助けるための金策になんぞ、手ェ貸す訳ねぇだろうがッ!!」
板間さんの怒号で、部屋の全てが揺れる。窓も、床も……そして、俺自身の体も。
それでも、引けない。今度ばかりは引かない。それこそ、死んでも。
「何だってやります。やらせてくださいッッ!!!」
声の大きさが主張の強さ。そう思っている訳じゃないが、俺は板間さんの怒声を食う勢いで叫ぶ。
「チッ」
頭上で一度、舌打ちが聴こえた。板間さんの舌打ちは、困った事態に手を焼いている時の癖だ。
普段は『はい』という返事しか返さない俺の粘りが想定外なのだろう。
「何でもやる、だァ……!? 俺ぁなあ、オイ。そういう、半端な覚悟で吐く言葉が一番嫌えなんだよッ!!」
板間さんの叫びと共に床が揺れる。巨大な観葉植物が倒れ、土が散乱する。
小便でも漏らしそうな怖さだ。それでも。
「半端な覚悟じゃありません。金になるんなら、臓器だって売ります!!」
拳を握り込みながら声を絞り出す。実際、やるつもりはある。少しでも早く纏まった金が欲しい状況だ。
リスクは重々承知だが、2つある腎臓のどちらかを売る覚悟は決めてきた。
板間さんはまた一つ舌打ちし、それから大きく息を吐き出した。
「顔を上げろ」
その言葉で、俺は頭を持ち上げた。そして、思わず息を呑む。
板間さんの、本気の凄みを受けてしまったから。
「お前は今、何でもやるといった。二言はないな?」
獰猛な獣のような瞳で、板間さんは問う。俺とは違う世界に棲む人の眼だ。
俺は、あえてその視線を真正面から受け止めた。
「ありません」
「…………上等だ。なら、その“覚悟”を試してやる」
俺の返事に、板間さんは唇だけで笑い、静かに電話を取り出した。

板間さんのベンツに揺られて、数十分。着いた先は、ネオン街の片隅にある怪しい雑居ビルだ。
制服姿でうろついていれば、まず補導を受けるだろう場所。その4階にある扉を開けた先に、その人はいた。
180ほどの筋肉質な体つきに、スキンヘッド、肩にはペガサスのタトゥー。一見すると厳つい男という風だが、顔には厚い化粧が施されている。
そしてなぜか右耳にだけ、銀色のピアスが光ってもいた。
「いらっしゃーい。って、あら…………あらあら! 話に聞いてた通り、可愛い感じのコじゃないの。本当にこんなコに、ウチの『通過儀礼』しちゃってもいいのね?」
その人は、俺を見るなり驚きの声を上げる。褒められているにも関わらず、背筋が寒くなる。
「ああ、頼むぜノリちゃん。遠慮なくやってくれ」
板間さんはそう言って、俺を扉の中に突き飛ばした。ノリちゃんと呼ばれた『男』の硬い胸板で頬が潰れる。
「お前も、せいぜい踏ん張れよ。そこらでコーヒーでも飲みながら、何時間もつか楽しみに待っててやる」
最後に俺の方へそう言葉が掛けられ、ドアは強く閉められた。

急に、怖くなる。自分よりガタイが良く、恵体の知れない人間と密室で二人きりなんて。
そう考え、ふと気付いた。入宮だって、この状況に耐えたんじゃないか。伊田・瀬川の二人と地下室に閉じ込められた時。そして、劉の慰み者になっている今。
入宮はこの恐怖を味わって、その上で気を強く持っていた。だったら、俺がめげていられるか。
そう思って顔を上げると、ノリちゃんという男が口元を緩ませた。
「覚悟を決めた、って顔に見えるわねぇ。まだボウヤなのに」
そう言って俺の顎を掴み、持ち上げる。間近で見る『男』の顔は、正直怖い。
「ふふ、怯えた顔も可愛い。でもごめんねぇ。多分これから、もっと怯えさせちゃう。
 板間ちゃんからお願いされてるの。一晩かけてアナタに、この世界の怖さを教えてやれって」
『男』はそう言いつつ、俺の羽織るパーカーに手を掛けた。
パーカーに次いでシャツやズボンまですっかり脱がされ、丸裸を見知らぬ人間相手に晒す……これは酷く屈辱的だ。
「うん、いい感じいい感じ。平均的な男子高校生のカラダって感じ」
化粧台から小さな容器を拾い上げ、蓋を開ける『男』。そして中の白い何かを指で掬い取り、その指を俺の肛門に近づけていく。
ひやり、とした感触が俺の肛門を襲った。
「うわっ、な、何!?」
反射的に怯えた声が漏れる。上ずった声なのは情けないが、いざこういう状況になると怖くて、どうしてもそういう声になる。
「ワセリンよ。ローションより長持ちするの。今日の夜は長いからね」
面白がるようなその声と共に、肛門の中に深く指が入ってくる。中指か、人差し指か。
「やめてください!!」
その叫びが、意識するより前に口をついていた。耳元で笑う声がする。
「あら、初々しい反応。そういう反応って大好きだけど、次からはよく考えた方がいいわよ。
 あなたが一度でも音を上げた時点で、このテストは終わりなの。そうなったら最後、あなたに組の仕事は回せない。日の当たる堅気に逆戻りよ。
 それを覚悟の上で、それでもどうしても堪らなくなったら言って頂戴。『ノリコさん、もうやめて下さい』って」
囁きかけられたその言葉に、俺は固まった。
許しを乞うなというのか。ただ指入れをされただけで、意識よりも先に悲鳴が上がったというのに。
出来るわけがない。思わずそう返しかけたが、かろうじて思いとどまる。
できる、できないじゃない。『やる』しかないんだ。入宮を助けるにはそのぐらいの意気でないと、それこそ無理だ。
「…………わかりました」
俺はそう答えて体の力を抜く。ノリコと名乗った相手の笑みが、視界の端に映った。

脚を開いて壁に手をついたまま、肛門を指で弄くられ続ける。
その不快感は想像を遥かに超えるものだった。
「いい? ここが、前立腺…………男の一番の泣き所よ」
そう解説されながら腸奥のある一点を指先で掻かれ続けると、思わず裏返ったような声が漏れてしまう。
嫌で堪らないのに、体が心を裏切って生理的な反応を示していく。逸物が意思とはまったく無関係に勃ち上がってしまう。
「ふふ、肛門が指をきゅうきゅう締め付けて…………気持ちいいのねぇ。アソコも勃ってきてるし」
脳内で嫌というほど自覚していることを、改めて言葉で指摘されるのが堪らなくつらい。恥辱と悔しさで泣きたくなってくる。

入宮はこんな想いを、何ヶ月も続けてきたっていうのか。
純粋に凄いと思う。そして同時に、彼女にこれ以上そんな想いをさせたくないとも。

たっぷりと肛門への指責めを受けた後には、当然ながら挿入が待っていた。
壁に手を突いたまま腰を落とし、これ以上ない恐怖と恥辱に備える。
「さぁ、いくわよ」
その言葉と共に、硬い感触が肛門に宛がわれる。
「ふ…………ぅうううう゛う゛っっ!!!!」
肛門が割り開かれて熱い物が入ってくる時には、濁った呻きが喉から迸った。
 ――やめてくれ、勘弁してくれ!!
その叫びを、上下の歯を食い縛ることでかろうじて抑え込む。
それでも、ギリギリだった。少しでも歯と歯の間に隙間を作れば、弱音が零れだしてしまいそうだ。
ショックな事はもう一つ。
苦痛は凄まじいのに、体がなぜか性的に反応している。
逸物が勃起しきり、鈴口からは先走りどころか、はっきりと色のついた白濁が溢れて幹を伝っていく。
犯されて気持ちいいんじゃない。前立腺を何度も扱かれて、あくまで生理的にそうなっているだけだ。
頭ではそう思っても、肉体に裏切られたように思えてしまう。
「気持ち良さそう。白いのが床にどんどん垂れてるねぇ? ま、こっちとしても凄く具合がいいけど」
ノリコからの指摘も、一々胸を抉る。情けなくて悔しくて、泣きそうになる。
入宮も、きっとそうだったに違いない。
丁寧に拡張を受けたとはいえ、肛門を犯される嫌悪感そのものは同じ……いや、彼女のプライドの高さを考えれば、俺以上だろう。
モニターの中で見た、彼女の表情が脳裏に浮かぶ。
苦しそうな表情。
悔しそうな表情。
今にも泣き出しそうな表情……。
これ以上そんな顔を、入宮にさせるもんか。
俺はそう心に誓い、壁についた手に一層の力をこめる。

「へぇ……ボウヤ本当に頑張るのねぇ。相当気合の入ったヤクザでも、こうしてお尻犯されると泣き喚いて折れるのに」
どのくらい時間が経った頃だろうか。ノリコが感心したような口ぶりで語りかけてきた。
俺はただ歯を噛み合わせて耐える。俺自身ギリギリもいいところだ。とても返答の余裕なんてない。
入宮は、会話どころか伊田や瀬川を相手取って挑発すらしていたんだから、改めてその精神力に惚れ直してしまう。
ただ、そうして呑気に凄いなどと感心する余裕もない。腸奥を突かれるたび、ありとあらゆるネガティブな感情があふれ出す。
それを内に留めなければならない。まずは俺自身が、この一夜限りの地獄を耐え抜かなければ。
「そんなに頑張れるのは、あの……入宮ってコのため?」
不意にノリコの口から出たその言葉に、俺は思わず目を見開いた。
返事こそ返せなかったが、向こうはそれだけで察しがついたらしい。
「そっか。どうやら、本気みたいねぇ」
ノリコはそう呟くと、俺の腰に手を当ててぴたりと腰を止めた。そして、ゆっくりと肛門から怒張を抜き出していく。
まだ射精はしていないはずだ。体勢でも変えるのか。今の、壁に手を突く受け方でも、かろうじて耐えられているだけなのに。
そう怯える俺を他所に、ノリコは静かな足音で俺から離れていく。そしてなぜか、冷蔵庫を開いて水のペットボトルを取り出した。
そのペットボトルは、なおも警戒したままの俺に差し出される。
「ほーら、いつまでそうしてるの。飲みなさい、ノド乾いたでしょ?」
体格からは考えられないほど優しい声で、俺の手にペットボトルを握らせるノリコ。
「え?」
俺は状況が呑み込めず、呆然と立ち尽くす。すると額を指で弾かれた。
「だから、合格よ!」
「え……で、でもまだ、朝までには…………」
俺は窓の外を見ながら問いを投げた。部屋の窓から覗く空は、まだ明け方とすらいえない黒一色なんだから。
「そんなのはいいの。このテストはねぇ、アタシが相手の根性を見極めて合否を出すの。
 いくら朝まで言葉を発さなくたって、実質的に心の折れてるような人間はダメ。
 逆にタイムリミット前でも、鋼の信念さえ感じ取れればOK。
 要はこのアタシが、ビジネスパートナーとして惚れ込む器かって話よ」
ノリコさんはそう言って笑った。最初とは明らかに違う、情の深い笑みで。
「じゃ、じゃあ!!」
「ええ、板間ちゃんには話をつけとくわ。それからアタシ自身も、美味しい話はあんたに回したげる」
ノリコ……いや、“ノリコさん”のその言葉を聞いて、俺は思わずその場にへたり込む。
安心して腰が抜けた、という奴だろう。
「ちょ、ょっと大丈夫!? もう、人が褒めた直後に!
 ま、でも初めてのアナルセックスじゃしょうがないか。そこにソファあるから休んでなさい。朝になったら板間ちゃんが迎えにくるから」
ノリコさんの声が、枯れ果てたような心に優しく響いた。



それから俺は、ノリコさんの肝煎りで様々な仕事を回して貰えるようになった。
ウチは歴史ある組織だけに、フロント企業も多岐に渡る。
建築、不動産、金融、貿易、映画、スポーツ、芸能……こういった業界では、ウチの息のかかった会社が昔から幅を利かせている。だから仕事には困らない。
組の舎弟企業が行う交渉事に同席し、胸に録音機を忍ばせたまま新入社員のふりを続けたり。
海外から運ばれてきた謎の荷物を港で直に受け取り、原付でどこかの会社まで送り届けたり。
学校に通う間さえ惜しんで、そういう仕事をひたすらにこなした。
どの仕事も、結局はヤクザのシノギだ。いつか回りまわって他人を不幸にするような仕事だらけだろう。
それでも救いなのは、目の前で女の子が泣くような仕事がないことだ。
ノリコさんが、その類の仕事を間引いてくれている。
『念願叶ってお姫様を抱き上げようって時に、女の子の涙を搾り取った手じゃあマズイでしょ?』
ノリコさんは理由をそう語った。本当にこの人には、足を向けて寝られない。

少しずつ、少しずつ、金は積み重なっていく。それでも、2000万という目標額の麓すら見えない。
当然だ。何千万なんて金は、サラリーマンが数十年を掛けてようやく積み立てるような額。それをわずか数ヶ月そこらで稼ぐというのが無謀な話なんだ。
臓器を売る話は、今日びリスクが高すぎると板間さんに却下された。だから、がむしゃらに稼ぐしかない。
あまり時間に猶予があるとも思えなかった。
仕事の合間を縫って例のサイトをチェックすると、そのたびに入宮が追い込まれていく様が映っていた。
現時点でも心が折れてはいないらしい。
どういう内容かは解らないが、劉の意に反する事をし、折檻を受けている動画がたまにアップされるからだ。
それでもその折檻自体が、直視し難いほどにきつい。入宮の中の何かが日々削ぎ落とされているのは間違いない。
俺自身が恥辱と苦痛を味わって以来、余計にそう思えてしまう。

たとえば、ある日の動画の内容はこうだ。



映像は、逆さ吊りを施された入宮と、それを囲む4人の女を映し出していた。
いかにもきつそうな緊縛だ。折り曲げた膝の裏に細い竹を通され、なおかつ右膝を吊るされる。
開脚を強いられた股座には、2本の責め具が突き立っていた。
膣に極太の1本。そしてそれより茂みに近い方――尿道と思わしき場所にも1本。
肛門に異物は見当たらないが、代わりに床の一面に、茶色い液に塗れたディルドウや球状の小物が散乱している。
さらには陰核の根元と両の乳首にも紐が結わえ付けられ、女達に引かれて歪な形に変形していた。

「……どうだ。いい加減に反省したか?」
劉の冷ややかな声が響いた。入宮の顔が僅かに持ち上がる。
「反省って…………なんの反省? ずっと言ってるでしょ。あんたの子供なんて、欲しくないって」
入宮のその答えに、小さな唸りのようなものが続く。おそらくは劉が不快感を露わにした声だ。
「これだけやられて、まだ言うか。なぜ強情だ、誰の精なら欲しい。まさかお前……あの島に、惚れた相手でもいるのか?」
劉の言葉に、胸がざわつく。
入宮は何も答えないまま、ふっと劉から視線を外した。
否定は、ない。
「…………なるほど。何となくそういう感じはしたが、案の定か。だが残念だたな、お前はもう俺の所有物だ。
 それをどうしても認めないなら、素直になるまで可愛がてやる」
劉のその宣言に続き、中国語で何かを呟いた。すると入宮を囲む女達が頷き、緊縛を解きにかかる。
しゅる、しゅると縄の擦れる音と共に、入宮の身体が床に崩れ落ちる。責め続けられたせいだろう、かなり疲弊している様子だ。
そしてその最中、どこかで扉の開くような音も聴こえた。
続いて何人もの荒々しい足音が映像に近づき、画面内に男の姿が入り込んでくる。
ここでようやく事態を察した入宮が顔を上げ、そのまま固まった。

ぞろぞろと現れた人間は、全員が黒人だった。
間違いなく10人以上いるだろう。比較的大柄な劉と比べても、さらに頭一つ以上でかい。
2mを超えそうな長身に加え、さすがに筋肉のつき方がアジア系とまるで違う。
「い、いや……こないでっ!!」
黒人に取り囲まれた瞬間には、あの入宮でさえ明らかな怯えを見せた。
当然だ。あんなガタイの人間に群がられて、恐怖を感じない人間などいない。
おまけに黒人達は、1人残らず目の前にいる入宮の獣そのものの視線を向けながらズボンを膨らませている。
劉はそうした入宮の窮状を愉しむように頬を歪める。
「その連中は、人一倍性欲強い。おまけに一週間以上セックスを禁じているせいで、はち切れる寸前だ。
 今のこいつらの相手をすれば、いくらお前でも耐え切れんだろう」
劉の言葉に、入宮の顔が引き攣る。劉を睨みたいが、威圧する周囲の男から視線が外せない。そういう風だ。
劉は怯える入宮をやはりにやけ顔で観察しつつ、指を1本立てた。
「だから、ひとつ。お前にチャンスを与える」
「……チャンス?」
「そうだ。聞くところによると、お前はバスケットが得意らしいな。日本の全国大会にまで出たと聞いたぞ」
バスケット。そのワードが劉の口から発された瞬間、入宮の表情が険しくなる。
それは、彼女にとって最もセンシティブな話題だ。劉は、表情からしてまず間違いなく、知っていてその禁忌に踏み込んでいる。
「…………だから、なに?」
「はは、まぁそう睨むな。なに、お前にとて分のいい賭けだ。
 これからそいつらの1人と、バスケットで1on1の練習試合する。その得点差で、犯される時間決まる。
 点差が10なら10時間、20なら20時間。逆にお前勝たら、その時間分だけ自由に遊んでいい。
 もし100点差つけられたら100時間。この辺り一帯観光できる。素敵、素敵」
劉はそう言って可笑しそうに笑う。
言葉が通じているのか、それとも劉に合わせているのか、黒人連中も歯を剥きだして肩を揺らし始める。
その中で入宮だけが、真逆の意図で顔を歪ませていた。
スポーツに疎い俺でも解る。
バスケットに限らず、あらゆる運動はプレイヤーの身体能力がモノを言う。陸上でもサッカーでも、オリンピックで活躍するのは天性の筋肉のバネを持つ黒人ばかりだ。
いくら入宮が県内トップクラスの実力者とはいえ、2m超えの黒人とやって勝負になるとは思えない。
おまけに今の入宮は、ベストコンディションですらない。激しい責めを受けたばかりなのだから。
そういう悪条件は、入宮自身が一番良く理解しているだろう。
だが、それでも彼女は顔を上げ、真っ直ぐに劉を睨み据えながら宣言する。
「…………上等。やってやる!!」


広い庭に拵えられた専用のストリートコートで、悲劇の幕は開いた。

序盤は、意外にも入宮の1人勝ち状態だった。
全国大会準優勝校のエースをして『バケモノ』と言わしめた彼女だ。本気になるとやはり凄い。
「はぁっ!!」
鋭いドライブで相手の虚を突き、短期決戦とばかりに猛然と得点を重ねていく。
「Terribly cool girl……!」
相手の黒人は目を剥きながら口笛を鳴らしていた。想像以上、という風だ。
しかし妙に余裕のあるその態度からは、嫌な予感しかしない。
観戦している他の黒人が、先制されているにもかかわらず笑いながら野次を飛ばしているのも不気味だ。
まさか、あれでも手を抜いているのか。これまで見た入宮のどの試合より、ハイレベルな駆け引きがされているのに。
そしてその予感は、インターバルを挟んだ第2クォーターで的中する。
明らかに、黒人の動きが変わった。
巨体からは想像もできない俊敏さで簡単にボールを奪い、そのまま得点に直結させる。
一度黒人の手にボールが渡れば、あの入宮ですら奪い返す事はできなかった。足の速さがまるで違う。駆け引きの巧さも違う。
いや、それ以前の問題かもしれない。
コートの半ばでボールを保持する黒人に対し、入宮が奪取の為に必死に足掻いている最中。
いきなり黒人がその場でジャンプし、笑いながらシュートを放つ事がある。
放たれたボールは綺麗な弧を描いてゴールへ吸い込まれていく。リングへ当たる気配すらない、芸術的なシュートだ。
俺にはそれが、どれほど難易度の高いプレイかは解らない。
ただ入宮は、ボールの吸い込まれたコートを振り返りながら、愕然とした表情をしていた。
「うそ、でしょ…………!? あ、ありえ、ない…………!!」
彼女がそう言う以上、生半なプレイではないらしい。そしてそれを涼しい顔でやってのける黒人のレベルは、間違いなく飛びぬけている。

必死の入宮とは対照的に、黒人にとってこの試合はあくまで遊びなんだろう。
奴は余裕綽々でワンサイドゲームを維持しながら、入宮のプライドを虚仮にし続けた。
わざとボールを奪わせておき、ゴール前で追い詰めて不安定な体勢でシュートを打たせる。当然、ゴールは決まらない。
そのリバウンドを圧倒的な身長差で悠々と奪い、そのままドリブルからの鮮やかなシュートを決める。
入宮はその光景を汗まみれで見つめながら、目を細めた。
「くそぉーーっ!!!」
悲痛な声で叫びながら、両の手の平を膝に叩き付ける。
プライドの高さから来るその慟哭は、黒人達と劉に散々笑い者にされていた。対戦相手の黒人もまた、指を自分の方に曲げて挑発している。
入宮はそうした状況に怒りを露わにし、叫びながら黒人に向かっていく。
それでも、実力差は覆らない。
入宮はいつになく必死にやっているんだろう。第三クォーター終了後のインターバルでは激しく息を切らし、水を飲むことすらままならないような有様だった。
それでも、敵わない。あえて現実を言えば、プロ選手と小学生ほどの差がある。
黒人がゴールを決め、コート中央で仕切りなおされ、あっという間にボールが黒人の手に渡ってまたゴールが決まる。
まるでループしているように、この展開が延々と続いた。
そして、試合終了の笛が鳴る。

結果は、184-12。

終了の笛を聴き、絶望的なスコアの示されたボードを目にした瞬間、入宮はその場に崩れ落ちた。
そして、ぽろぽろと涙を溢す。太腿に水滴が弾けては伝い落ちていく。悔しさの言葉さえ出ないのが、ひどく危険に思える。
「おーおー、ひどい点差だ。分換算ですら地獄だな。お前達、遠慮はいらんぞ。どうやらあの娘、よほど黒人のコックを味わい尽くしたいらしい」
劉はあえて日本語で煽り、入宮に顔を上げさせる。
その顔を待ち受けるのは、下穿きすら脱ぎ捨てて凶器を露出させた黒人達だ。
連中の股間にぶら下がる逸物を見たとき、俺は思わず目を疑った。
劉は金に飽かせて、黒人の中でも特に凶悪な物を持った人間を集めたらしい。揃いも揃って規格外だ 
太さは入宮が両手で掴んでちょうどいいぐらい。長さとなれば、ぶらりと垂れ下がった状態で入り宮の頭から顎までの長さと大差ない。
それが、あくまで『平均』だ。中には当然それ以上も存在する。特に第二陣で待機している連中の中には、ペットボトル大の物をぶら下げている奴までいた。
「ひ、ひっ…………!!」
入宮は恐怖一色だ。その哀れな獲物に、黒人達が一斉に飛び掛る。
「やめてぇえっ、はなしてーっ!!! せめて、ひとりずつにして! 全員でなんて、怖いっ!!!」
絶叫しながら暴れる入宮。だがそれが、抵抗にすらならない。
あっという間に手首や腿が掴まれ、ユニフォームの下がずり下げられ、真正面から圧し掛かるように挿入を受ける。
一番手は入宮をワンサイドゲームで下した男だ。
「いやぁああっ!!!」
入宮が拒んでも、男は挿入を止めない。ひたすら興奮気味に何かを叫んでいる。表情からして、具合の良さを訴えているのか。
そうなれば、他の黒人も黙っていない。自分も自分もとアピールを始める。
最初に挿入した男はそれを受け、入宮の身体ごと体勢を入れ替える。ピンク色をした入宮の尻肉を、黒い指で割開きながら。
「ま、まさか……!?」
苦しむ入宮が状況を察した時には、すでに2本目が彼女の肛門に宛がわれていた。そして直後、強引に挿入されていく。
「っあぁああ゛あ゛っ!! むりっ、無理ぃぃいっっ!」
入宮は目と口をこれ以上はないというほどに開いて叫ぶ。
2本挿しは初めての経験なんだろう。それが黒人のおかしいサイズの怒張となれば、悲鳴が上がっても仕方ない。
さらには、その悲鳴すらいつまでも上げていられる訳ではなかった。待ちきれない人間が、横から怒張を咥え込ませにかかるからだ。
よほど気持ちいいのだろう。黒人達は嬉々として叫びながら腰を振りたくる。
溜まっているというのも本当らしく、1サイクルは短かった。
それでも、終わりはない。一人が射精すれば、入れ替わりでまた別の一人が挿入する。三穴が1分以上空いている事がない。
「ぶぁっ……! や、やすませ、てっ…………!!」
1人に口内で射精された直後、かろうじて口が自由になった入宮が哀願した。それでも、すぐに口は怒張で塞がれてしまう。
ちょうどバスケットボールを掴むように、両手でがっしりと後頭部を押さえ込むイラマチオだ。
入宮は相当嫌がっているようだが、逃れられるはずもない。

やがて、膣を使っていた1人も腰を震わせながら射精に至る。それを受け、次の一人が入れ替わりで挿入準備に入った。
今度の1人は…………あの、ペットボトル大の剛直を誇る男だ。
入宮の視線が見下ろす中、その規格外の剛直が強引に挿入される。
「むごぅおおおぅうおーーーっ!!!」
悲痛な声が上がった。桜色の綺麗な脚も狂ったように暴れていた。
人間の生殖器とはとても思えないサイズ。それが力任せで強引に捻じ込まれていくさまは、性質の悪い悪夢のようだ。
最奥まで怒張を入れ込むと、黒人は一切の遠慮なく腰を打ちつける。細い両足首を鷲掴みにしながら。
体格差がひどい。入宮と男で、筋量がどれだけ違うんだろう。
仮にあの黒人の体格を俺と同サイズに置き換えたなら、細身の入宮など小学生も同然になってしまう。
小学生が大人の逸物を迎え入れるのは無理がある。
「っぎゃああああっ!!」
口から逸物を引き抜かれた瞬間、入宮の苦しみの声が聴こえてきた。その決死の悲鳴が、また怒張で殺される。
この時の怒張は大きかったのか、形がまずかったのか、それとも膣の剛直で入宮自身に余裕のない状態だったからか。
入宮は、ぶほっという音であっという間に嘔吐してしまう。
しかし、誰も責めの手を止めない。相手の身体を押しやろうとする入宮の手を掴み、強引に輪姦を繰り返す。
その暴虐性は瀬川ですらかわいく思えるレベルだ。

その地獄を、劉だけがリラックスしきって観察していた。取り巻きの女にレモネードを掲げさせながら。

172時間にもおよぶ輪姦は、場所をストリートコートから各所に移しつつ、延々と繰り返されたらしい。
その部分部分が切り取られ、映像としてサイトにアップされ続けていた。
その全てを見る勇気はない。たまに途中を見るだけでも、入宮はボロボロに成り果てているのが良く解った。

映像の背景として一番多いのは、最初に入宮が逆さ吊りされていた拷問部屋のような一室だ。
天井に二箇所あるライトを光源に、黒山のような男達と色白な入宮が蠢きあう。
股座に当たる部分が変色した三角木馬。
汚れた開口具。
乱雑にうち捨てられたアームバインダー。
搾乳機。
薄黄色い液体入りのボウルに立てかけられた浣腸器。
黒人達がカメラの前からどくたびにそうした道具が映りこみ、過ぎ去った受難を静かに訴えてくる。
その前面で、入宮はいつも犯しぬかれていた。
髪から爪先までが白濁に塗れ、穴という穴からも精液を垂れ流し。
特に胃には相当な量が注がれているようで、イラマチオを受けて物凄い声で嘔吐した時には、一回の食事量に近いほどのザーメンが吐き出される。
ごえっ、お゛えぇっ、というえづきと共に白濁の奔流を吐きこぼし、一旦収まったかと思えばまた喉が蠢いて大量に逆流し。それが10秒以上も続く。
足の踏み場もないほど大量に吐ききった後には、下腹の影の差し具合が明らかに変わっているほどだった。
当然入宮は、苦痛のあまりボロボロと大粒の涙を溢している。
しかしそんな状態ですら、黒人達は入宮を休ませようとしない。劉とそのような契約を交わしているのか、それとも単に外道の集まりなのか。
手首を掴み、足首を掴み、喉元を掴み、腰を掴み。
筋力にモノを言わせて強引に望む体位を作り上げ、入宮の『穴を使う』。
これは俺の見間違いであってほしいが、左膝を肩の高さにまで抱え上げられつつ前後から挿入された時には、二本ともが膣に入っているように見えた。
それぞれ日本人の平均より2回りは大きい怒張だ。入る訳がないし、いくらなんでも滅茶苦茶だ。
ただ実際、それを受けた入宮の反応も滅茶苦茶だった。
大口を開けたまま、これ以上はないというほど顎に力を込め。かろうじて床につく右脚が、病気かと思えるほど激しく痙攣し。
男達がそれぞれ射精して白濁まみれの怒張を抜き出すまでに、2回小水を漏らした。

あまりにも酷い光景。映像として公開されていない部分でも、これと同等以上の責めが続いている事は想像に難くない。
俺よりずっと心が強い入宮といえど、こんな仕打ちを受けて耐え続ける事は不可能だ。
たぶん、もってあと数週間。
時間がない。俺は改めてそう感じ、ひたすら仕事をこなし続けた。
時には稼ぎを優先して、やばい橋を渡る事もあった。殴られもしたし、額に銃を突きつけて脅されもした。ゴミ以下の扱いを受けて屈辱に泣くこともあった。
そうまで金をかき集めても、2000万という額はあまりに遠すぎる。


「で、いくら溜まった」
組の応接室で、板間さんが煙草をふかしながら問う。
「…………300万です」
俺はそう答えて肩を落とす。
気分が沈んでいることもあるが、とにかく眠かった。しばらく、まともに寝ていない。昼も夜も何かしらの仕事をやって、時間が空いたときに仮眠を取るだけだ。
そこまでやっても、300万がやっと。
残り1700万を稼ぐのに、どれだけかかるのだろう。早くて5年か、下手を打てば10年か。そんな時間が経ってから入宮を迎えに行っても、もう遅い。
精神崩壊した挙句に劉には飽きて捨てられ、場末の売春宿を転々として……その暗い未来が見えるようだ。
どうすればいい。どうすれば。
俺は頭を押さえて思案を巡らせる。その間、なぜか板間さんの視線を強く感じた。
やがて、一服が終わった頃。
板間さんは立ち上がり、おもむろに窓際の金庫を空けて帯封のついた札束をつかみ出す。
その紙の塊……100万円の20束が、俺の前に積み上げられた意味は何だろう。
「っ……なんですか、これ?」
俺は困惑しながら問いかけた。
普通に考えれば貸付けだ。ヤクザの基本的なシノギの一つ。
でも妙だ。額がおかしい。いくら顔見知りとはいえ、高飛びされるリスクを考えれば、いきなりポンと貸せる額じゃない。
第一、仮にやるにしてもフロント企業を間に挟むはずだ。何かと煩いこの時代に、舎弟頭の板間さんが事務所で直接金を貸し出すなんてありえない。
何かある。普通じゃない何かが。
首筋に冷たい汗を感じながら、板間さんの返答を待つ。
板間さんは窓際に戻り、夕暮れを眺めながら2本目の煙草に火を点けた。
「やるよ」
短く呟かれたその一言を、俺はすぐには理解できなかった。
「……えっ!?」
「やる、っつったんだ。欲しいのか、欲しくねぇのか!!」
煙草を咥えたままの怒鳴り声。俺は反射的に、欲しいです、と答える。
なぜ。なぜ。頭一杯にその疑問を浮かべながら。
「古い知り合いに、お前そっくりの間抜け面がいてな。そいつへの手向け代わりだ」
板間さんはそこで大きく煙を吸った。そして、肺を空にするかのように長々と吐く。
「奴も、昔馴染みの女に惚れてやがった。さんざウジウジした挙句、高校にもなってようやく告ってな。両想いと解った途端、この世の春とばかりに浮かれてたぜ。
 だが、奴ぁ馬鹿だったからな。当時俺らみてぇなのをバックに粋がってたんだが、そこの組長に女ァ取られやがった。
 女さえ差し出せば、良いクルマに高ぇマンション、何でも好きな事ができるって持ちかけられてな。最初こそ断ったが、薬指ヘシ折られてからは言うなりよ。
 ヘラヘラ薄笑い浮かべて、組長の犬に成り下がりやがった。テメェの女が、泣き喚いて助け求めてるってのにだ」
板間さんの傷に塗れた手が、荒々しく煙草の火を揉み消す。
細く真っ直ぐだった筒は、瞬く間に幾重にも屈折した。
「その人は、今…………?」
俺が恐る恐る聞くと、板間さんの涙袋が厚みを増す。
「気楽にやってるよ。良いクルマに乗って、高ぇマンションに住んで、そこそこの地位も得た。よっぽどの高望みを別にすりゃあ、望みは何でも叶う。
 ………だがその実、奴はもう死んでんだ。何をしても、心から楽しいと思えねぇ。女一人しか持っちゃいなかった頃の方が、よっぽど気持ちよく笑えてた」
間違いない。
今の話に出てきた男とは、板間さん自身のことだ。
聞いた事がある。ウチの組長が昔、当時まだ高校生だった女の子を無理矢理手篭めにした話を。
何度も犯され、シャブ漬けにされた女の子は、やがて寝室で首を吊った。
それとほぼ同時期に盃を受けた末端構成員は今、本家の次期若頭……つまり実質的な組の運営役を狙える地位にまで上り詰めていると。
板間さんは、俺に昔の自分を重ねているんだ。
俺の覚悟を問う一方で、この目の前に詰まれた2000万という大金を、必死にかき集めてくれたんだ。
「あ……ありがとうございます!!!」
その言葉しかない。俺は、ガラスのテーブルに額を付ける勢いで頭を下げる。
「意味が解らねぇ。俺ァお前みてぇに、現実の見えてねぇガキは大嫌ェだ。船用意してやっから、とっとと海の向こうに消えやがれ。
 バカへの手向けに、せいぜいド派手な花でも買ってよ」
板間さんは、そう言って片目を顰めてみせる。何度も目にした事のある癖だ。
だがこの人の挙動を、今ほど格好良く感じた事はない。





初めて海を渡った。
偽の船に、偽のパスポート。まともなやり方じゃないが、とうに汚れている俺には今更だ。
まったく知らない街でまず俺がしたのは、花束を買うことだった。
入宮を迎えに行くんだ。ずいぶん遅くはなったけど、プレゼントの約束は守る。
ジェスチャーを交えての買い物をなんとか終えれば、後は板間さんから渡された地図を頼りにバスを乗り継いでいく。
目指す先は、当然劉の屋敷だ。
着実に近づいている――俺はその事実を肌で感じることができた。奴が屋敷を構える場所に近づけば近づくほど、雰囲気が怪しくなっていく。
3台目のバスを降りた時点で、怪しさは決定的になった。
道端にずらりと小屋が並んでいる。ベッドと風呂しかない事から、明らかに“そういう場所”だ。
カーテンすらない明け透けな構造からして、客が直に嬢を選んで抱くタイプだろう。
小屋には、目の死んだ女性が一室につき一人ずつ待機していた。目の形からして9割方が日本人だ。
まさか、この中に入宮が。俺はそう思って一人一人の顔を観察して回ったが、それらしき子はいない。
俺はひとまず安心した。この一帯にいる女性は、全員が異様な雰囲気を漂わせている。入宮がそうなっていないのは救いではある。
「……ねぇ、あんた」
急にそう声を掛けられ、俺は思わず背筋を伸ばした。心の声を見透かされたようで、冷や汗が出る。
声の出所に視線を向ければ、客の付いていない女の一人が、退屈そうに煙草をふかしながら俺を見ていた。
正確には、俺が握りしめた花束を。
「そんなモン持って、どこ行くのさ」
馬鹿にしたようなただの興味本位のような、感情の読めない喋りだ。
「劉って奴の所だ。買い戻したい子がいる」
俺はそう断言した。相手に聞かせる意味もあり、改めて決意を固める意味もあってだ。
すると女は、乾いた嘲笑を俺に浴びせた。
「アハハ、劉様に? そりゃお気の毒。悪い事言わないから、諦めた方がいいよ。
 あの人は凄いんだ。一度あの凄さを味わったら最後、もう忘れられない。
 ここにいるのはみーんなそう。劉様に捨てられた後も未練を断てない人間揃いだよ。
 こうやって劉様の屋敷から見える場所で交わって、もしかするともう一度、可愛がって貰えるかもって夢を見てる。
 まぁ結局屋敷に戻れたコなんていないし、もう何人も病気で死んだけどね」
淡々と告げられるその言葉に、俺は声を出す事も出来なかった。業が深い、とでも言うんだろうか。
「ここにあたしらが張り付いてるくらい、劉様に愛を注がれるってのは良いんだ。
 買い戻したい相手ってのが彼女か血縁かは知らないけど、そのコだってきっと、劉様の元から離れたいなんて思ってない。
 それが解ったら、さっさと帰りなよ。大体、劉様の屋敷には怖い見張りがいるんだ。あんたみたいなガキなんて、叩き返されて終わりだよ」
女は目をギラつかせてそう訴えていた。その瞳の異様さは、競りの映像で見た劉によく似ている。
入宮のそれとはまったく違う目だ。こいつらと入宮とではタイプが違う。入宮なら大丈夫だ。
俺はそう自分に言い聞かせながら、女の横を通り過ぎた。

劉様の屋敷から見える場所。
その言葉通り、売春小屋の通りを抜けるとすぐに館が見えてくる。いかにも中華の権力者が住んでいそうな屋敷。
花束とトランクケースを手に正門へ近づくと、すぐに物騒な見た目の男が二人近づいてくる。
最初は何か中国語で話しかけられた。俺が聴き取りに難儀していると、別の一人が口を開く。顔の造りがやや日本人寄りの男だ。
「お前、もしかして日本人か?」
聞き慣れた言葉に、俺は強く頷いた。男達は一瞬眉を顰め、俺の様子を改めて観察した後に、嘲りの表情を浮かべた。
「なるほど、女でも迎えに来たか。だが生憎、大哥から誰かを通せとは言われてねぇ。帰んな」
「通して下さい! 金なら持ってきました。あいつが……入宮が買われた時と、そっくり同じ額です!!」
「そりゃいい。なら、そのバッグだけ置いて帰んな。話は上げてやる」
男達はそう言ってトランクケースに手を掛けたが、信用できるはずもない。劉に話などせず、金だけを懐にしまうに決まっている。
「直接会って、話をさせて下さい!」
俺はトランクケースと花束を抱えながら、それだけを訴え続けた。
「駄目だ。ケースを置いて帰れ!!」
一人が俺の胸倉を掴み上げて凄む。正直、恐ろしくてたまらない。だが、ここまで来て退けない。
「嫌です!」
「ほう。……なら、帰りたくしてやる!!」
その言葉の直後、右頬に痛みが走った。そして呻く間もなく、今度は脇腹に鋭い痛み。さらに、肩にも。
そこから俺は、膝から崩れ落ちた状態で暴力に晒され続けた。体中が軋み、恐怖で震む。ノリコさんに犯された時の苦痛すら生易しく思えるほどだ。
それでも、意思は曲げない。入宮がこれまでに受けた恐怖や苦痛は、こんなものじゃないはずだ。俺もまさに今、入宮の受けた苦しみを味わっている。
これは必要不可欠な受難だ。この苦痛が積み重なって、入宮の分と並んだ時にようやく、彼女と顔を合わせる権利を得られるんだ。
そう信じて必死に耐える。口の中に血の味が広がっても。瞼が腫れて塞がっても。折れた歯が石畳を転がっても。
どれだけの時間、そうしていたんだろう。
いよいよ意識が朦朧とし、死を色濃く感じ始めた頃になって、攻撃の手が止まった。腫れた瞼や血で覆われてよく見えないが、二人共が息を切らしているようだった。
「て、テメェ、いい加減にしろ! そのまま死にてぇのかッ!!」
汗を垂らしながらそう恫喝してくる。
「い、入……宮に、会わふぇて……くりゃ、さい…………」
俺は、ほとんど力の入らない顎を無理矢理に上下させて訴えた。
門番二人の顔がますます引き攣っていく。視線が俺の口の辺りに集中している所を見ると、かなり酷い有様なんだろう。
連中は互いに顔を見合わせ、中国語で何かを囁き合った。そして渋々といった様子で頷くと、俺の方に顔を戻す。
「わかった。会って話くらいはさせてやる。ま、無駄だとは思うがな」
2人はそう言って俺に肩を貸した。
髪も服もボロボロになり、花束も血に塗れてしまったが、これでようやく次に進める。
肥え太った憎い面を、ビデオ越しじゃなく、生で拝めるんだ。
 

幕を引くのは(後編-前)

※かなり長いため、後編を3つに分けます。
 相変わらずアナル・スカトロ・NTRにご注意下さい。



入宮が陰核での『イキ癖』を付けられたのが9月の第二週目。
彼女はそれから実に一ヶ月以上に渡り、入念に恥辱と快楽を刷り込まれ続けた。
人一倍反骨心の強い入宮だけに、課せられる羞恥責めも通り一遍のものでは済まない。

学校から帰り次第、制服姿のまま壁に手をつかされ、貞操帯の鍵を外された上でアナル栓を引き抜かれる。
そのアナル栓の匂いをわざとらしく嗅がれ、開いたアナルをさらに指で拡げられての言葉責め。
これが調教前のお約束のようなもので、その後に日替わりの責めが待っている。

中でも忘れられないのは、16日目のプレイだ。
この日入宮は、先端にCCDカメラが内蔵されたスティックを洗浄前の肛門に挿入され、大写しになった腸内の映像を自ら実況させられた。
透明な液を纏ったピンクの内臓が押し拡げられ、一日分の汚物が攪拌される様を、だ。
およそスポーツ一筋に生きてきた女子高生が正視できる代物ではない。
当然、最初の数分はそのような責めを行う伊田達への罵詈雑言が続く。だが、実況しない限り責めは終わらない。そのため、やがてはトーンの落ちた声での解説が始まる。
もっと声を張れと何度も命じられ、最後には入宮も半ば自棄で恥辱の言葉を吐き出すようになる。勿論と言うべきか、悲痛に顔を歪めながら。
その後に待つのは浣腸だ。
瀬川がガラス浣腸器で腹が膨れるまで液を注ぐ傍ら、伊田が録音してあった入宮自身による腸内実況を再生する。
入宮が目を見開いて嫌がっても再生は止まらず、地獄のような時間を過ごした末に、片足を掴み上げられた状態で排便を晒す。
挙句にはその惨めな姿を、二人がかりで言葉を尽くして詰られるのだ。
そんな事をされた人間の心境など、同じ状況にならなければ想像すら及ばない。
ただ、あの気丈な入宮が涙を流す様を目の当たりにすると、俺の胸まで締め付けられる。



24日目には不意打ちで、帰宅前に調教が始まった。
俺と歩きながら他愛もない雑談をしつつ、帰宅後の調教への覚悟を少しずつ固めていく。それが人懐こい入宮のペースだ。
しかしその日に限っては、伊田と瀬川が学校帰りの俺達を待ち構えていた。
「!!」
俺が息を呑む横で、入宮も表情を強張らせる。
「よう。いつも門限通りのマジメな帰宅じゃ、つまらねぇ大人になっちまうぜ。たまにゃあ寄り道して遊ばねぇとな」
瀬川達はニヤケ面のまま歩み寄り、俺には目もくれずに入宮を公園の方へと歩かせはじめた。
「そう怖ェ顔すんなって。陽も落ちて薄暗ぇんだ、見つかりゃしねぇよ」
瀬川に肩を抱かれて自転車除けの脇を通り過ぎる時点では、入宮は怒りも露わに前を睨み据えている。
しかし二時間ほど後に帰宅した時、彼女は俯いたまま鼻を啜っていた。
前髪に白濁がこびりついている。
さらには学校指定の制服から、生足にコートという格好に変わってもいる。
玄関が閉められ、コートが剥ぎ取られれば、亀甲縛りの上で股縄を打たれた裸が露わになった。
「………………っ!!」
入宮の視線が一瞬俺の足元に移り、唇が引き結ばれる。あられもない姿をクラスメイトに見られるのが辛いんだろう。
俺は黙って背を向け、すでに乾かしの段階に入っていた食器を意味もなく濯ぎはじめた。
それでもやはり、“音”は意識から外せない。
くちゅり、という水音。
「また随分と濡れているな。その歳で被虐の快感に目覚めたか」
伊田の嬉しげな囁き。
「そりゃそうだ。誰が通るかも解らねぇあんな茂みで、そこらのヘルス嬢よりよっぽど気ィ入れてしゃぶるド変態だぜ。
 いくらクソが漏れそうだからっつっても、あんなにジュボジュボやれらちゃあもたねぇよ」
瀬川がそう言いながら、机の上に何かを置いた。
乱雑に畳まれた制服と、スーパーの袋だ。中には押し潰された無数のイチジク浣腸と、太めのアナルプラグ、そして粘液に塗れたいくつもの道具が見て取れる。
俺はそれを目にした瞬間、入宮に降りかかった不幸を理解した。
公園に連れ込まれた入宮は、茂みの陰で何本もイチジク浣腸を入れられ、排泄の条件としてフェラチオを強いられたのだろう。
いかに辛抱強い人間だろうと、原始的な欲求に抗い続ける事は不可能だ。
入宮も最初は拒んだだろうが、排泄欲に脳を灼かれてからは、不本意ながら懸命に奉仕したに違いない。
そして、どのタイミングかは不明だが制服を剥ぎ取られ、緊縛と辱めを受けた。2時間という長さや瀬川の置いた道具から考えて、おそらく相当な辱めを。
「テメェも幸せな痴女だぜ。露出プレイでいい具合に火照った挙句に、これからタップリと楽しめるんだ。俺らプロを二人もつけてな。
 そこらの淫乱OLが半年かけて堪能する喜びを、一晩で味わわせてやるぜ」
股縄を引き絞りながら瀬川が笑い、歯軋りの音が続く。
俺の耳に生で届く音はそれだけで、そこからはいつも通り、別世界のようなモニター越しにプレイを見守るしかない。

この晩は徹底してSMが行われた。
陰核を始めとする性感帯を、延々と筆先で刺激したり。
縄で縛めたまま、桜色の肌を覆い尽くすほどに溶けた蝋を垂らしたり。
乳房を鉄板で挟み潰しつつ、乳頭に何本もの針を刺し通したり。
片足吊りにした上で、尻と太腿にバラ鞭を浴びせ続けたり。
カテーテルで膀胱に塩水を溜めては放尿させたり。
鼻フックと開口具で整った顔を歪めたまま、鼻腔をこよりで責め、舌をペンチ状の道具で引き出し、喉にアナルディルドウを押し込んで、鼻水や唾液、えづき汁をコップ半分ほども“採取”したり。
プライドの高い入宮にとって、これらを受けるストレスは相当なものだろう。
事実彼女は、これらのプレイの合間合間に、何度も本気の怒号を散らしていた。相当な剣幕だった。
しかし、秘裂に指を差し入れた伊田によれば、彼女はそうして怒りを露わにした時に限って、『浅ましく濡れて』いたらしい。



33日目には、俺に見せ付けるようにリビングでの喉奥凌辱が行われた。
学校帰りの制服姿のまま、ソファに腰掛けた瀬川に奉仕を強いられる。開口具を嵌められ、後ろ手に縛られ、ひたすら頭を押さえ込まれて。
「お、喉がピクピクしてきたな、吐くのか? このまま吐いたら大変だぞぉ。テメェ制服、夏冬一着ずつしか持ってきてねぇんだろ。ゲロ引っ掛けたら最後、学校行けねぇぞ。
 まぁ休むなら休むでいいんだがな、丸一日調教してやるだけよ。学校への連絡は俺がしてやっから安心しろや。
 娘は今ケツに浣腸ぶち込まれてて、これから下痢便ぶちまけるんで学校にゃ行けませんってよォ!!」
そう瀬川に煽られれば、入宮も黙っていない。力の限り瀬川を睨み上げる。口の動きも変わる。しかし、無力なものは無力だ。
「へっ何だ、必死にモゴモゴしやがって。口枷ごと噛み切ろうってか? 馬鹿が。ンな事したってこっちゃあ、ヌルヌルの喉粘膜が纏わりついて気持ちいいだけだぜ。
 おら、もっと奥まで挿れてやるよ。ギュゥーッと締めて鬱血でもさせてみな」
瀬川はそう言って入宮の頭を掴み直し、腕に筋を浮かせながら腰に押し付ける。奥の奥、入宮の整った顔が、瀬川の腰で潰されるまで。
「んもっごぉおお゛お゛っ!!!」
入宮から物凄い声が上がった。鋭い眼は一瞬にしてぐるりと上向き、目尻からも目頭からも、涙がボロボロと零れだす。まるで初めてのイラマチオといった体だ。
彼女が瀬川の物を最奥まで咥え込んだ経験は何度もある。だがそれはあくまで、ある程度調教がなされ、興奮や叫びという形である種のウォームアップが済んでからのことだ。
だが今は違う。学校という憩いの場から帰宅したばかりで、被虐への備えができていない。そこへ来ての食道凌辱は、あまりにもきついのだろう。
恐らく今回も、入宮は嘔吐する。瀬川の逸物はエラが発達していて、快感を得て勃起が強まれば、いよいよキノコのように笠を張る。
そんな物で喉奥を掻きだされるようにされては、嘔吐せずにいる事など不可能だ。
「ああぁぁ最っ高だ、カリ首に粘膜が引っ掛かる感触が堪んねぇ。えづき汁でズルズルだしよぉ、マジでアソコに突っ込んでるみてぇだ。
 この気持ちよさを知らねぇなんざ一生の損だぜ、なぁ伊の字?」
瀬川は満足げな笑みを漏らしつつ、伊田に向けて言う。傍観者である俺への当てつけだろう。
ヤクザ社会の末席に連なる立場上、俺はそんな態度を取られても、兄貴分同然の瀬川を殴ることはできない。それどころか、不快感を顔に表す事すら許されない。
だから俺は、瀬川達に見えないように、机の下で拳を握りしめた。
せいぜい下に見ていろ。たとえ入宮が吐いたって、俺がその日の内に綺麗にしてやる。
伊達に雑用係をやってきたわけじゃない。手洗いで丁寧に汚れを落として、隅から隅までアイロンを掛けて、新品同様に戻してやる。
そう心に誓った。
しかし、いくら外見上の汚れを落とせても、中身となればそうもいかない。


「ねぇ、岡野。最近……あたしのこと、臭いって思うことない?」


10月の半ば。やや肌寒くなりつつある屋上で、入宮はふと俺にそう尋ねた。
「えっ……。い、いや、どうだろ」
俺は突然の質問に戸惑いつつ、控えめに入宮の纏う空気を吸う。すると臭いどころか、胸が躍るような芳香が鼻腔を抜けた。
まずはシャンプーの薫り。俺が彼女の為に、自腹を切って用意したものだ。
そしてそれに混じり、ほのかに甘い香りもあった。性感スプレーの類かもしれないし、ひょっとすると、女子特有のいい匂いがあるのかもしれない。
そもそも、最近の入宮は俺よりも早く起きて、毎朝1時間程もシャワーを浴びている。
風呂場から聞こえる音やスポンジの消耗具合からして、何度も何度も執拗に肌を擦っているらしい。受けた恥辱を洗い流すかのように。
そんな入宮から、嫌な臭いなどするはずもない。
「すげぇいい匂いだ。これを臭いって言う奴なんて、居ないって」
素直にそう告げると、入宮は安堵したような、しかしどこか納得していないような、複雑な表情を作る。
「……そっか。気のせい、なのかな」
「気のせい?」
俺が思わず訊き返すと、入宮はしばらく黙り込んでから続けた。
「あたしさ、毎晩、瀬川の“あれ”……しゃぶらされてるんだ。嫌で堪らないんだけど、しないと寝られなかったり、トイレとか……行けなくて。
 で、さんざん苦しめられた挙句に、すごい量の精液飲まされるの。その匂いが、ずっと……鼻の奥から消えないんだよね」
入宮はそこで言葉を切り、それ以上は語らなかった。だが、その寂しげな横顔は雄弁だ。
俺も瀬川の異様なほどの射精量は知っている。毎日出しているくせに、高校生の俺が3日溜めた分より多い。
そんな量を飲まされ続ければ、何かの拍子に匂いが感じられるのも当然だ。
内面の穢れとなれば、俺でも濯ぎようがない。入宮自身に踏ん張っていて貰うしかない。
しかし。
「んくっ!!…………あ、お、岡野、いつもごめん。ちょっと、向こうむいてて」
入宮は急に屋上のフェンスを握りしめ、小刻みに震えながら訴えた。
貞操帯のアナルバイブが振動を始めたのだろう。俺の勃起時より一回り小さいだけの異物が。
「あ、ああ!」
俺は入宮が望む通りに背を向けるが、その途中、彼女の様子がちらりと視界の端に映る。
頬を染めたまま、蕩けた眼で虚空を見つめる、『雌豚』の顔。以前の彼女なら、間違ってもしなかった筈の表情。

調教は順調だ。どれほど否定的に見ようと、そう認めざるを得ない。
ピンク色の身体に深々と刻まれた傷口は、素人の俺から見ても痛々しいほどだ。
瀬川達はその傷口に指をかけ、強引に引き裂いて入宮から涙と悲鳴を搾り出す。何度も、何度も。
どれほど心が強かろうが、そんな地獄に耐え続けられる人間はいない。いつかは狂う。
そう、いつかは。



調教51日目。
入宮はマッサージチェアに深く腰掛け、電極責めを受けていた。
乳房や脇腹、太腿、仙骨、恥骨といった場所に電極を取り付け、電気によるマッサージを行う。
電気を流すことによって性感帯が活性化し、感度が飛躍的に上昇する。
元より感度のいい入宮がそれを受ければ、素肌を撫でられただけでごく軽い絶頂状態に至ってしまう。
その危険性を誰よりも認識しているのは、他ならぬ入宮自身だろう。
「…………うう、くっ…………はぁ、はぁ、はあっ…………!!!」
入宮の表情は固い。身体の各所に電気が流されるたびに筋肉が強張り、呼吸が荒くなっていく。
刺激のためではなく、刻一刻と感度が上がっていく事そのものを恐れているらしい。
それは一旦電流が切られ、瀬川が下卑た笑みで太腿を撫ではじめた直後に証明される。

「触らないでっ!!」

必死。
まさにそういった様子の金切り声を上げながら、入宮の手が瀬川の腕を払いのける。
瀬川が短く舌打ちをし、しばしの無音が場を支配する。
「負債21個目だ。今日も寝れねぇな、テメェ」
瀬川の静かな宣告を耳にした瞬間、入宮の顔が歪んだ。嫌悪の表情ではなく、泣き出す瞬間のそれに。
「負債負債って……もう、いい加減にして! 嫌なものは嫌なのっ!!」
入宮は喚くようにそう叫び、耳を塞ぎながら顔を伏せる。肉感的な太腿に次々と水滴が落ちていく。
それを見た瞬間俺は、とうとうこの時が来たか、と思った。
限界だ。いくらクラス一芯が強いと言われ、カリスマ的な部長として尊敬を集めていても、俺と同い年の女の子である事に変わりはない。
悪魔じみた調教師二人の手練手管で追い詰められ続ければ、早晩潰れるのは避けようのない事実だ。
そんな事は初めから解っていたんだ。
モニター前の安穏とした場所に居ながら、涙が出そうになる。傍観しかしない第三者の分際で、叫びたくなる。
子供のように小さくなって肩を震わせる入宮を見ていられない。

まるでそんな俺の想いと同調したかのように、瀬川が深く溜め息をつく。
「チッ、これだからガキは……。わーったわーった。今のは見なかったことにしてやるよ」
瀬川はそうぼやきながら、入宮の肩に手を置いた。入宮の肩の震えが一瞬止まり、涙に濡れた瞳が瀬川を見上げる。
「俺の言うことを、たった一つだけ聞きゃあな」
いつになく優しい声。それを耳にした瞬間に俺は、思わず拳を握りしめていた。
外面だけは、まるで俺の心がモニターの中に顕現したかのようにも思える。だが、罠だ。
こいつらヤクザに限って、情に絆される事など有り得ない。もうじき堕とせる。そう確信を得た上で、あえて飴を与えているだけだ。
追い詰められた人間の心理は幼児に極めて近い。親との喧嘩終わりに飴を与えられると、子供は満面の笑みを見せる。
効くんだ、こういう時の甘言は。どれほど気丈な人間にでも。
「俺のケツを舐めな、嬢ちゃん」
かつてないほど醜悪な笑みと共に、瀬川は入宮に囁きかける。
入宮の目が見開かれた。
究極的な選択だ。単なる行為の問題ではない。ここまで示し続けてきた矜持を捨て去るか、否か。それが問われている。
一度この要求を呑んだが最後、『奴隷』としての格付けが定まってしまう。
「………………っ!!」
入宮は吹雪の中で凍えるように青ざめた表情をしていた。何度も唾を飲み込み、口元を震わせる。
「いつも散々テメェのケツを舐めてやってんだ。たった一度、その恩返しをすりゃいいだけよ。その従順さを見せりゃ、負債なんぞチャラにしてやる」
瀬川はさらに選択を迫った。湧き出る笑いを噛み殺すようなその口調は、九分九厘要求が通ると思ってのものだろう。
だからこそ、だろうか。
入宮は、一度固く目を瞑った後に、くっきりと見開いた。
「そんなに負債を負わせたいなら、何十でも何百でも負わせればいい。あたしは、あんた達の掌の上じゃ踊らないっ!!」
炎が燃えるような虹彩の中には、薄汚れた瀬川の姿がくっきりと映し出されているに違いない。
モニターの中にいるのは、やはり俺の知る入宮知佳なんだ。改めてそう感じさせるような、懐かしい瞳。
伊田も瀬川も、その輝きに当てられたように、しばし言葉を失う。
ただ、それでも数秒後には、その口元に笑みが戻った。
結局のところ、先程の悪魔じみた二択で困窮するのは入宮だけでしかない。伊田と瀬川にしてみれば、どちらでも同じ事だ。
ここで服従し、奴隷への道を転がり落ちるも良し。
常人の限界を超えてなお踏み留める極上の獲物を、さらに追い込むも良し。
いやむしろ、後者こそが望まれたものであった可能性すらある。
「ヘッ、そうかよ。そりゃあ、残念だ」
瀬川はそう言いながら、わざとらしく口元を舐め回す。伊田もまた、大黒天じみた笑みの裏に底知れない黒さを覗かせる。
悪意の夜は終わらない。入宮が本当に潰れる、その時まで。

「さて、ではそろそろ今日の調教に入ろうか。あれだけの啖呵を切ったのだから必要もあるまいが、念の為に縛るぞ」
伊田が4本の縄を扱きながら告げると、入宮の表情が強張った。奴が緊縛を行う時は、大抵ろくでもない責めが待っているからだ。
「おう。どうやっても動けねぇように、ギッチリとふん縛ってやんな」
入宮の肩を掴む瀬川も、嬉々とした声を上げる。
そこから伊田によって、憎らしいほど手馴れた緊縛が始まった。
まずは乳房を搾り出すような後手縛り。そしてその縄と、腿に回した縄とを結び合わせた開脚縛り。
「またこんな格好? いい大人の男が二人もいて、よっぱどあたしに暴れられるのが怖いんだね」
そう毒づいてみせる入宮の頬は、赤く染まっていた。
いくら連日のように受けているとはいえ、Mの字に大股を開く羞恥には慣れないようだ。
「怖がってんのはテメェだけだ。俺らはむしろ、楽しみだぜ?」
瀬川のその言葉に、伊田もまた頷いてみせる。両手にマッサージ器と、アナルバルーンを携えながら。
入宮は下唇を噛みしめる動きを見せた。怯えているらしい。
彼女の忍耐が最も容易く破られるのが、マッサージ器――スライヴによる陰核責めだ。
それに加えてアナルバルーンは、調教の最初、浣腸による排泄を阻んだ悪夢の象徴。
特に伊田が今手にしているものは、アナル栓とは違う。調教用の特注品だ。長さは実に30cm、直腸はおろか悠にS字結腸にまで達する。
恐怖心が湧き上がるのも当然だった。
「これまで、指やディルドウばかりで悪かったな。こいつを使ったが最後、おまえの決意が砕けるかと思って躊躇していたのだ。
 だが……先程の気概を見て安心できたよ。おまえはまだまだ、私達を愉しませてくれるらしい」
伊田は白々しく告げながら、ハンドポンプを握りしめる。
シューッ、シューッ、と空気の送り込まれる音がしはじめ、垂れ下がったバルーン本体が膨らんでいく。
黒い蛇のようなゴムが太さを増し、あらゆる責め具の直径を凌駕していく様は、入宮の目にどれほど異様なものと映るだろう。
入宮の恐怖を存分に堪能した後、瀬川は親指で開放ボタンを押し込んだ。すると、ペットボトルほどにも膨らんだバルーンが一瞬にして萎びていく。
「ご覧の通り、この道具ならばいくらでも苛烈な責めが楽しめる。これまでの責めの記憶を一新するほどにな。では、始めようか」
瀬川は笑みを見せ、バルーンにたっぷりとローションを塗りこめて責めの準備を整える。
その奥では、入宮もまた唇を引き結び、耐える覚悟を固めていた。



「どうした、まだ半分だぞ」
伊田がそう言いながらハンドポンプを握りこむと、入宮の足指が縮こまる。
伊田はさらにシュッ、シュッと二度空気を送り込み、様子見に入った。
早くも勃ち上がりつつある陰核を人差し指で押し込みながら、やや濃さを増した陰毛を指先で弄ぶ。
「大分伸びてきたな。ここも、腋の下も。華の女子高生……それも学年一の人気を誇る器量良しとは到底思えん」
恥辱の言葉。それは容赦なく入宮の表情を歪ませる。
そう。伊田達は『負債』を理由に、入宮に様々な嫌がらせを課した。睡眠妨害、排泄管理、露出、そして無駄毛処理の禁止。
いかに女子とはいえ、人体構造上、守るべき場所には毛が生える。
その処理を一ヶ月余りも禁じられれば、相応に伸びるものだ。文句のつけようもない美少女である入宮であろうと。
「あんた達が、そうさせてるんでしょ……!! あ、あたしだって、剃りたくて堪んないよっ!!!」
無駄毛の伸びを野次られるのは、入宮が最も嫌う事のひとつだ。当然この時も怒りを露わにする。
しかしまさにその瞬間、伊田が勢いよくアナルバルーンを引き抜いた。計6回分空気を入れた状態で。
「っんああああ゛っ!!」
入宮の表情が、憤怒から驚愕にすり替わる。
括約筋が痛まないよう計算はしているのだろう。だがバルーンが抜き出される瞬間、その縁にあたる菊輪は一瞬ながら明らかに捲れ上がっていた。
透明な汁を撒き散らしながら、ぐっぱりと開いた腸内が空気に晒される。
「良い啼き声だな。すっかり快便の虜というわけか」
さも可笑しそうに笑う伊田を、入宮は息を荒げつつ睨み下ろした。
「む……無茶苦茶しないで!!」
「なに、そろそろ無茶が出来る頃合いだ。そのために今日まで、括約筋を伸ばす調教に徹してきたのだからな。
 その証拠に、見ろ。バルーンがもうおまえの腸液塗れだ」
伊田は落ち着き払って入宮の怒りを受け止めつつ、その鋭い視線の先までバルーンを持ち上げる。
奴の言う通り、バルーンからは今も透明な雫が滴り落ち続けている。明らかにローションの粘りとは別物だ。
「く、うっ…………!!」
腸液。その決定的な証拠を持ち出されたが最後、入宮はそれ以上反論を持ち得ない。ただ心から口惜しそうに、怨敵を睨み続けるしかない。

「いい眼だ。どれ……次はまた、腸の奥まで入れてやろう」
伊田はそう言い、アナルバルーンを開いた肛門の中へ挿入しはじめる。全長の約三分の二、20センチの辺りまで。
シュッ、シュッ、と音がするたび、厳しい入宮の表情に不安が混じった。
今度の空気入れは7回。入宮の鼻頭の皺が、腸内の相当な圧迫感を物語る。
「どうだ、奥の奥までみっしりと埋め尽くされた感覚は。バイブにディルドウ、玉蒟蒻にピンポン玉、茄子……色々と入れてきたが、腸壁に張り付いたゴムが拡がる圧迫感は格別だろう。
 腹にグッと力を込めて息んでみろ。腸の中身を感じろ」
伊田は再び入宮の茂みを弄びながら命じた。入宮はその伊田をただ睨み据えている。
伊田の口角が上がった。
「出来ぬのなら……私が息ませてやる」
その言葉と共に、伊田の親指と人差し指が陰核を捉えた。そして、ごく軽く剥くような動作をする。その瞬間。
「んくっ!!」
入宮の右膝が跳ね、目が固く瞑られる。伊田の指がくり、くりと動きを見せれば、白い歯まで覗くようになる。
信じがたい事ながら、完全にクリトリスでの絶頂をコントロールされているようだ。
そして入宮がいよいよ絶頂に至ろうとしたその瞬間、伊田の手首に筋が浮き、一気にバルーンが引き抜かれる。
「ふわぁあぁああああうっ!!?」
一瞬にして入宮の目が見開かれ、絶叫が響きわたる。
肛門はバルーンを惜しむように火山口の如く捲れ上がり、内に引き込まれてからも、喘ぐような開閉を繰り返す。
そしてある程度の張りを備えたまま垂れ下がるバルーンの先からは、やはり透明な汁が垂れていた。
「おまえに憧れる男子高校生にも教えてやりたいものだ。おまえ達の惚れた相手は、擬似的に一本糞をひり出すだけで絶叫するような女だとな」
調教師二人のうち口が減らないのは瀬川だが、伊田もまた言葉責めに容赦はない。相手の嫌がる部分を的確に突いてくる。
「はぁ、はぁっ……皆、あんたが考えるほど馬鹿じゃない。あたしの状況くらい、解ってくれる!」
肩で息を吐きながら、入宮は必死で反論を口にした。
「ヘッ、花畑なコト抜かしやがる。マン毛伸ばして腋毛も生やして、ケツ穴ヒクつかせて。傍から見りゃ今のテメェは、オツムのいかれた痴女でしかねぇんだよ!!」
傍らで様子を見ていた瀬川が、下劣極まりない横槍を入れる。
勝手を言いやがって――! 俺は思わずそう憤り、モニターの乗った机に拳を叩きつけてしまう。
「好き勝手言わないで! 全部、全部あんた達がそうした事でしょ!?」
当然、入宮も声を張り上げた。当然だ。いくら追い込まれているとはいえ、こんな理不尽を黙って受け入れる入宮である筈がない。
だが、所詮俺達はただの子供だ。権力もなければ自由もない。心の限りを叫んだところで、悪意ある大人相手では嘲笑われて終わりだ。
「そうだな。ルビーのように一際の輝きを放っていたおまえを、こうも浅ましく成り果てさせたのは私達だ。
 今のおまえは最早、ひび割れたガラス玉が赤い染料を纏っているだけに過ぎん。半端は惨めだ。その染料も、ここで洗い流してやろう」
伊田は笑みを浮かべながら、バルーンを肛門内に押し込んでいく。
深く、深く。先程直腸奥と言っていた20cmを超えても、なお。
「あっ!? ちょ、ちょっと!!」
バルーンが根元まで到達しようという頃、入宮が声を上げた。呼吸の感覚が妙に短くなり、視線が惑い、明らかに様子がおかしい。
それは伊田にも伝わっている筈だが、奴はただ淡々とハンドポンプを握りつぶしにかかる。
「い、いやーっ! は、入ってるっ、変なところに入ってるってば!! 一回抜いてよ、やっ、やだああっ!!」
錯乱したような入宮の発言で、事情が判った。どうやらバルーンの先が、結腸の方に入り込んだらしい。
正確には、伊田によって『入れられた』というべきか。
「そう喚くな。玉蒟蒻が入ったこともあっただろう。深いアナル性感を得るためには、欠かせぬ場所だ」
伊田はハンドポンプを握り込んでいく。6回、7回、8回…………11回。
「やっ…………く、苦しっ……お、お腹、破れちゃう!!」
「この程度では破れん。そのまま、グッ、グッ、と括約筋を締めてみろ。腸の奥まで詰まった感触を味わえ」
諭すような伊田の言葉と共に、さらにポンプが握られる。入宮から悲鳴が上がる。
そして数秒後、伊田の親指が空気を抜くスイッチを押し込んだ。
「はぁっ、はぁっ……はあっ、はーっ、はーーっ………」
入宮の呼吸は乱れていた。顔の汗もひどい。そして何より俺を不安にさせるのは、瞳だ。
まだ調教が始まってそこまで時間は経っていない。にもかかわらず、入宮の瞳に燃えるような力強さはない。その瞳の動きはむしろ、危うい童女を思わせる。
いつになく追い詰められているのは間違いない。
伊田の手の平が、再びハンドポンプを握りつぶす。10回、11回……12回。
「んぐぅううう゛っ!!!!」
入宮の表情は本当に辛そうだ。バスケの試合で負傷した時でさえ、部員の前で不敵に笑ってみせたあの入宮が、顔をぐしゃぐしゃに歪めている。
「どうだ、感じるだろう。男なら前立腺が刺激され、ドライオーガズムを迎える頃だ。今のおまえなら、その気分も理解できるだろう」
伊田の手が握り込まれる。シュッと音がする。
「はぐっ……!!」
入宮の鼻腔は開き、白い歯が再び噛み合わされた。
「ははっ、情けねぇツラしてやがる。ケツメドアクメを迎える寸前ってぇ感じだな」
瀬川の煽りで薄らと眼を開くものの、苦しげな表情は変わらない。
伊田の指が動き、シューッと空気が抜けると、
「ああぁあぁ…………!」
そこでようやく、涎すら垂らしかねないほどの安堵の表情が浮かんだ。しかし、その束の間の平穏はすぐに破られる。
「さて、『慣らし』はこのぐらいにしておくか」
伊田ははっきりとそう告げ、腸液に塗れたアナルバルーンを引き抜いていく。
「慣らし……?」
入宮の声と、俺の心に浮かんだ言葉が重なり合う。
「そうだ。おまえには今日、随分と格好をつけられてしまったからな。調教師の面子にかけて、恥を晒して貰わなければならん。なぁ、瀬川よ」
伊田は老獪な笑みを浮かべつつ、スライヴを手にした瀬川を振り仰いだ。
「だな。音頭は任せるぜ」
瀬川も心得た様子でスライヴの電源を入れる。
心臓まで震わせるような重い振動音が響きはじめ、入宮の美貌が歪んでいく。
その様子を楽しみながら瀬川は、床からアイマスクを拾い上げ、悪魔じみた笑みで入宮の視界を塞いだ。
「あっ!!」
驚く入宮の声は悲鳴に近い。
「今更脅えることもなかろう。この一ヶ月、何度か目隠しでのプレイはしてきたはずだ。
 いや……だからこそか? 視界を奪われる――ただそれだけで、人間の感度は跳ね上がる。
 二度目に蝋を垂らした時も、六度目に陰核での絶頂を覚えこませた時も、おまえの反応はそれは凄まじかったからな」
わざとらしい気付きの演技を交えつつ、瀬川はボールギャグを手にする。そしてそれを、恐怖で強張る入宮の唇に咥えこませた。
幼少期の俺でさえ惚れた、桜色の上品そうな唇。それが穴のあいた球体によって、ひどく下品に開く。
「はも゛っ、ほお゛ぉも゛っっ!!」
入宮は何かを叫んでいた。だがその意思はもう、俺や伊田という“外の人間”には届かない。
目隠しとボールギャグ。そのたった二つをつけただけで、誰よりも人間らしいはずの入宮が、異形の生物に見えてしまう。
伊田はそんな入宮を満足げに見下ろしつつ、瀬川に何か耳打ちする。
「ヘッ、そりゃいい。テメェも大したゲスだぜ、相棒」
瀬川の賞賛するような表情が、不安を煽って仕方がない。
そして気に入らない事はしない主義の瀬川は、嬉々として準備に入る。椅子の裏に小さなプレイヤーのようなものを置き、そこから伸びるヘッドホンで入宮の耳を覆い。
「んもぅっ!?」
ボールギャグ越しに入宮が呻き、瀬川の笑みが深まった。
「聞き覚えあんだろ? なんせテメェ自身の声だからな。クリにスライブ当てられて、何遍も気絶しながらイキまくってた時のよォ!」
瀬川が哄笑する中で、伊田も含み笑いを漏らす。
そして伊田はアナルバルーンを肛門に捩じ込み、瀬川はスライヴのスイッチを改めて入れた上で、入宮の開いた脚の間に触れさせる。
「おもぉぉおオっっ!!」
ギャグに阻まれた悲鳴が必死さを増し、そこから地獄が始まった。

責めの手法は多岐に渡った。
獣じみた荒々しい責めを好む瀬川だが、当然ながらローターやマッサージ器を用いた細やかな責めにも精通している。
スライヴの先や側面を、微妙に変化をつけつつ陰核に陰唇、太腿に這わせ、幾度となく絶頂させていく。
その傍らで瀬川も、アナルバルーンで肛門を苛め抜いていた。
ごく浅く、腸の半ばまで、深く、それ以上に深く。様々にバルーンの挿入深度を変えつつ、限界まで膨らませては萎ませ、最後には腸壁を捲り上げる勢いで引き抜く。
どうしても気になってネット検索をかけたが、結論は変わらない。
成人女性の直腸の長さが約20cm、バルーンの長さは30cm。つまりどう考えても、20cm以上バルーンが侵入している時は、直腸の先……S字結腸にまで入り込んでいる事になる。
日常生活では、まず刺激を受ける事がありえない場所。
スポーツ一筋に生き、爽やかなスポーツマンと結婚していたはずの入宮には、生涯無縁であったはずの刺激。
そう考えると、入宮の狂乱が本当に居たたまれない。

「うむぉおおあううーーっ!! おおぅああああぅうおぉうーーーーーっ!!!」
入宮はニ所責めを受けながら、悲痛な叫びを上げ続けていた。責めそのものがつらいのか、それともイヤホンから漏れる自身の嬌声に狂わされているのか。
「本当にどこまでも素直な雌だ、よくあふれる。なぁ瀬川」
伊田はそうした呟きを漏らしながら、嬉々として責めを続けた。
「オウ。小便漏らしてるみてぇに駄々漏れだ」
瀬川もそう返し、濡れそぼった秘裂にスライヴを宛がっては水しぶきを散らす。
入宮の反応は刻一刻と酷くなっていく。
「うむぅうーうーっ、ほぁむぉおおうおーーーっ!! おもぁあおお、あおおーっ、おもおおーーーーっ!!」
そうした不自由な嬌声が、絶え間なく上がった。
両腿の筋肉を隆起させながら何度も何度も内股に閉じようとし、縄の巻かれた際の部分に濃い紅白のコントラストを作る。
膝から下は地団太でも踏むように暴れては足裏をマットに叩きつけ、ぴしゃっぴしゃっと水溜りを叩くような音を立てる。
胸の上下幅も只事ではなく、背中が完全に椅子から浮く事が何度もあった。
イヤホンを嵌められた頭は何度も天を仰ぎ、ぐぐぅーと白い首を突き出しては、脱力するように顎が引かれた。
9月第一週の土曜を思わせる……いや、明らかにそれ以上の絶頂状態だ。
俺からすれば痛々しいその反応を、伊田達はただ愉しむ。
「おほっ、すげぇすげぇ。すまねぇな伊の字、また腕に掛かっちまった。こいつがあんまりにも潮噴くんでよ」
「なに、むしろ本望だ。こうして美少女の汁に塗れる瞬間にこそ、生きている実感を得られる」
瀬川は目元の液体を拭いながら、恐ろしいほどのハイペースでハンドポンプを握りつぶしていく。
「うう“-っう“、ほぉお゛ぉお゛おおお、ああっお゛っっ!!」
ボールギャグの脇から涎を垂らしつつ、くぐもった悲鳴が発せられる。まず間違いなく、伊田の無茶のせいだろう。
凌辱。
もはやその言葉しか浮かばない。
そしてその凌辱が30分あまりも続いた頃、伊田と瀬川は頷きあい、ボールギャグの留め具を外しに掛かった。
さらに指で、口内の球体部分を取り出す……までもなく、入宮自身の舌が堰を切ったようにボールギャグを押し出す。
信じがたい量の唾液が入宮の顎を伝っていく。しかし、その衝撃はすぐに上書きされた。
「あああぁいくっ、いくいくいくぅっ!! わぁあああああいぐうっ、いぐぅいぐいくぅぅううーーっ!!!」
そうした叫び――まさに絶叫が、桜色の唇から放たれたからだ。
断続的に絶頂を訴える様は土曜日と同じだが、声量がまるで違う。多少は声を抑えようという意思も感じられた前回に比べ、今は声にセーブが掛かっていない。
「おー、うるせぇうるせぇ。耳が塞がってるもんで、ボリュームがバカになってやがら。
 この調子じゃあ、イヤホンから聴こえる音か、自分が喚いてる声かの判別すら付いてねぇな、このガキ」
蔑みの表情を浮かべる瀬川。その傍に膝をつく伊田の眼もまた、冷酷な筋者のそれだ。
「だろうな」
短い呟きの後、限界まで膨らまされていたと思しきバルーンの空気が抜けていく。
同時に瀬川の手がアイマスクを取り去ると、その入宮の瞳が露わになった。
一変していた。
普段の溌剌とした光はない。大粒の涙を溢しながら、眩しそうに瞬きを繰り返す様は、まるで無力な子供のようだ。

「自分の状態が解るか? 中々に酷い有様だぞ。男勝りも結構だが、そこまで女を捨てる事もあるまい」
伊田はそう言いながら、責め具の入ったバッグから手鏡を取り出して入宮に見せ付ける。
さすがにそれを見れば、入宮も表情を凍りつかせた。
確かに無惨だ。
艶のある黒髪は汗を吸って額や肩に張り付き、鼻腔からは汁が垂れ、口元にも涎の跡がある。
乳首は常に捻り上げられるような形に尖り、秘裂から内腿にかけてはぬらぬらと濡れ光る。
陰唇も肛門もぱっくりと口を開き、喘ぐように開閉する。
「っ………………!!!」
自らのその惨状に、入宮は言葉もない。
「ひひっ、こりゃまるでヤク中の娼婦だぜ。それもスラムの路地裏で、一回2,3ドルで股を開いてるような底辺の類だ」
瀬川にそう嘲笑われては、入宮もさすがに黙っていない。目元を震わせながら、瀬川と伊田を睨みあげる。
「馬鹿にしないで! あんた達がそうやって偉ぶれるのは、この狭い部屋の中でだけでしょ!?
 外に……日の当たる場所に出れば、あんた達なんて皆に気持ち悪がられるだけ。あたしより上なんて、誰も認めない!!」
いかにも入宮らしい、強い眼だ。だがそこには、芯の通った決意ではなく、必死さしか感じられない。
蝋燭の最後の一本にかろうじて火を灯し、獣を近づけまいと振り回しているような。
だが彼女を囲む二匹の獣は、火を恐れない。そして何より、ヒトの肉の旨さをよく知っている。
「ほう、おまえは私達よりも上等なつもりか。では、ぜひ見せてくれ」
瀬川はその言葉を待っていたとばかりに、入宮の手足の縄を解きにかかる。
「おら、しゃんと立て!」
絶頂と緊縛のせいで足元のおぼつかない入宮を、瀬川が抱えるようにして立たせた。
そしてこの後、俺と入宮は思い知る。地獄には、さらにその下があるのだと。



「さてと。んじゃあこれから、テメェがどんだけ価値のある人間が拝ませて貰うわけだがよぉ。
 その前にひとつ、面白ェもんを見つけちまったぜ?」
瀬川はそう言って、折り畳まれた白い布を傍の箱から取り出す。
その物体に目を凝らし、何なのかを理解した瞬間、俺は頭を殴られたような衝撃を受けた。
それは、ユニフォームだった。入宮が3年間着続けていた、白いバスケットユニフォーム。
当然それは、誰よりも入宮自身が見慣れたものだ。俺が意識を向けた時には、当然ながら彼女も硬直していた。
「これよぉ、どこにあったと思う? ここの上にガキが住んでるだろうが、奴のタンスの中よ。裁縫でもしようと開けたらビビったぜ。あんな人畜無害そうな顔して、とんだフェチ野郎だぜ奴ァ」
瀬川は額を抱えて笑う。入宮の俺への評価を落とすのが、よほど嬉しいらしい。
奴は二つ許せない事をした。
一つは、嘘をついたこと。あいつが自分で裁縫をする訳がない。何もかも俺にやらせている奴だ、家捜しの理由は他にあるに違いない。
そしてその目的とは恐らく、許せない理由のもう一つ、入宮のユニフォームの奪取だ。

『あたし今、後悔は一杯あるけどさ。それでもバスケやってた事だけは、誇って生きてくつもりなんだ』

ある日入宮は、真剣な表情で俺にそう告げた。バスケットに出会って、心身ともに成長して、仲間が出来て、後輩が出来て。その思い出は宝物だと。
だから、その思い出の詰まったユニフォームだけは、瀬川達の手が届かない場所に隠しておいてほしい。
うなじまで見えるぐらいに深々と頭を下げて、入宮は俺にそう頼み込んだ。
俺はそれを請け負い、自宅のタンスの奥に大切にしまったと伝えた時には、感動のあまり頬にキスまでくれた。
俺はその幸せにしばし酔いしれた。まさか、俺の生活空間にまで踏み込まれるとは思いもせず。
いくら兄貴分とはいえ、非常識にも程がある。だが……だからといって、訴える先はない。
舎弟頭の板間さんに密告しても、兄貴分のやる事にケチをつけるなと釘を刺されるに決まっている。
では窃盗罪として警察かといえば、これは論外だ。女子高生への奴隷調教。人身売買。そもそもそれらに加担する俺自身が未成年と来ては、痛い腹が多すぎる。
だから俺は、決定的な証拠を前にして、泣き寝入りするしかない。
「あ、あんた達、どこまで最低なの……? やっていい事と悪い事も判んないの!?」
入宮はそう一喝した。さすがに彼女の怒りは凄まじい。だが、瀬川の笑みは消えなかった。
「テメェ自身も言ってたじゃねぇか。この狭い部屋の中じゃ、俺達が偉いってよ。
 ここにいる限り、テメェに何をしたって悪いコトにゃならねぇんだよ」
そう言って瀬川は、入宮の耳を舐め上げた。
「ち、ちょっ!!」
入宮は露骨に嫌がる。だがそれと同時に、瀬川達が理屈の通用する相手ではないと改めて悟ったらしい。
モニター越しにも怒気が見て取れる動作でユニフォームを引ったくり、命じられるままに着用しようとし、はたと止まる。
「…………その、あれは?」
入宮の視線の先は、自らのデルタゾーンに落ちている。瀬川が目を細めた。
「言っとくが、ブラもパンティもなしだ。その方が動きやすかろうよ」
嘲るようなその物言いに、入宮の表情が心底嫌そうなものに変わる。
「スポーツ舐めてるよ、あんた達」
穿き捨てるようにそう言い、ズボンを履きかける入宮。しかしそれを、今度は伊田が止めた。
「何なの?」
「いや、なに。少しスパイスを加えようと思ってな」
そう言って伊田が手にしたのは、先刻散々に入宮を苦しめたアナルバルーンだ。入宮の目が怒りに見開かれる。
「そう怒るな、ほんの余興だ」
伊田はそう言いながら、乾いたアナルバルーンに改めてローションを塗りたくり、入宮の肛門に挿入していく。嫌な予感はしたが、やはりS字結腸にまでだ。
「な、深っ…………ふざっ、けないで…………!!」
「何を言う、お前ならば問題なかろう。そら、いくぞ」
その言葉と共に、空気が送り込まれ始めた。シュッ、シュッ、という音が続き、その度に入宮の顔が僅かに歪む。
「あまり限界までという訳にもいかんからな、この辺りか」
伊田はユニフォームのズボンを入宮の腰まで引き上げつつ、動きやすいよう広く作られた裾からコードを垂らす。
「はははっ、まるでシッポだぜ。格好だけは早くもイヌってか!」
瀬川が嘲笑う中、入宮は終始憮然とした表情で着替えを進める。

数分後には、俺の見慣れた姿がそこにあった。
深めのVネックが、胸の谷間が覗くかもしれない、という淡い期待を抱かせ。
鎖骨から胸の頂点、そして腹直筋をなぞるように走る二本のラインが、抜群のスタイルをさらに際立たせ。
膝上丈の余裕のあるズボンが、かえって膝から下の脚線美を強く印象付ける。
白ソックスや赤と白のバッシュも懐かしい。
入宮に惚れていた俺は、その姿を目当てに何度も試合会場へ足を運び、そのたび下心を忘れて純粋に熱狂した。
コートを縦横無尽に駆ける入宮は、紛れもなくスターだ。
試合終了直前、ゴール下で強豪校のエース二人に阻まれて逆転の目が潰えたかに思えても、入宮はけして諦めない。
振り返って完全なパスの動きを見せ、体育館中を騙しながら、素早くボールを手の内に引き戻す。
そして電光石火のバックロールターンで敵ディフェンスの脇をすり抜けて、シュートを放つ。
信じられない、という顔に見守られながらのブザービーター、奇跡の逆転。県大会優勝候補筆頭からの大金星。
俺はその姿に思わず涙を流し、入宮の名を叫び続けた。俺だけじゃない。クラスメイト全員……いや、違うクラスの奴らさえ、同じように泣いていた。
最後の戦いとなった全国大会2回戦でも、結果的に敗退こそしたが、後に準優勝する敵チームのエースをして『あの化け物がもう一人いたら勝てなかった』と言わしめる活躍ぶりだった。
学年中を探せば、入宮より可愛い女子や、性格のいい女子だっているだろう。だがそんなものとは比較にならないぐらい、入宮は俺達、桂眞高校男子にとっての憧れなんだ。

その彼女は今も、下劣な男達の手で穢され続けている。

「どうした、たったのスクワット100回だぜ。まさかバスケ部の部長ともあろうお方が、こなせねえ訳ァねえよなあ?」
瀬川が煽る前で、入宮は両手を頭の後ろに組み、膝を落としては伸ばしている。
本来の入宮なら、100回のスクワットなど問題にならない。
体育館近くを通ると、たまに女子バスケ部の練習風景が見えたが、そこでの入宮はいつも軽々とスクワットをこなしていた。
後輩と同じセットをこなしながら、『もっと膝曲げて』、『あと20回、声上げていくよ!!』などと、体育館に響く声量で号令をかけていたものだ。
そもそも陸上に打ち込んでいた中学時代から、野球部やサッカー部の男子とスクワット対決をやり、軽く汗しながら悠々と勝利していた。
そのせいで入宮には、スレンダーな美人にも関わらず『雌ゴリラ』などという不名誉な渾名がついたぐらいだ。
だが。その入宮が今は、40回の時点で足が錆付いたように動きを鈍らせていた。
「ほらどうした、しっかり立ってろや。俺らとは違って、スポーツで鍛えた健康な脚なんだろ。
 それとも俺らの尻穴調教があんまりにも善すぎて、脚の髄までトロけちまったかよ?」
瀬川はなおも煽りながら、内股になりかけた入宮の太腿を平手で打つ。
「痛い、って……!!」
入宮は不服そうに口をゆがめながら、少しずつ脚を開いていく。
顎から汗の粒を垂らし、床を見つめながら必死に呼吸を整え。そんな彼女を見るのは初めてだ。
だが、無理もない。入宮はつい10分ほど前まで、両脚に本格的な緊縛を受けた上で、何十回と絶頂を迎えさせられていた。
驚異的な意地を見せてはいるが、立っているのもやっとだろう。
「ヘッ、すげぇ汗だ。足もガクついてっしよぉ。テメェそれで本当にバスケ部か? こうなりゃ部長様どころか、スタメンだったのかも怪しいぜ。
 しかしあれだ。一ヶ月も剃らねぇと、さすがに腋毛の黒さも目立ってくるもんだな。テメェみてえなド直球の美形にも容赦なく毛を生やすなんざ、神さんもイイ趣味してるぜ。
 ンな睨むなって、元はテメェ自身が撒いたタネだぜ。テメェが大人しくしてりゃあ、毎日8時間は眠らせてやるし、毛の処理もさせてやるぜ。
 オラどうした。俺を睨む元気があんなら、さっさと立て。そうやって屈んでっと、ズボンの端からマンコが見えちまうぜ?」
瀬川は煽り続ける。入宮の恨みを買えば買うほど、愉快そうに。
入宮は歯噛みしながら、必死にスクワットをこなしていく。
「あ……ぁああっ…………あ、ああっ………………ん、くうっ…………」
腰を落とすたび、入宮から声が漏れた。普通スクワットといえば、身を起こす時にこそ苦しいもののはずだ。
つまりこの入宮の呻きは、スクワットの苦しさが主因ではない。恐らくはアナルバルーンの圧迫のせいだ。
スクワットで腰を下ろした状態は、和式便所に腰掛ける姿勢に近い。つまり、最も強く腹圧がかかる姿勢だ。
腰を落とすにつれ、入宮から漏れる声が大きくなる事実を鑑みても、まず間違いない。
しかしそうなれば、バルーンによる圧迫を受けただけで動けなくなるほどに、入宮のアナル性感が開発されきっている事になる。

「どうした、まだ38回分残ってんだぜ。いつまでそうして浸ってるつもりだ、腋毛女」
瀬川がさらに追い込むと、入宮が顔を上げた。
「くそ、ぅ……っ!!」
汗まみれで歯を食い縛り、手首や内腿にに筋を浮かせながら、決死の様子で腰を持ち上げる。しかし、捗らない。
そもそも彼女の今のコンディションで、62回をこなしている事自体が異常といってもいい。すでに常人の限界は遥かに超過しているのだろう。
「遅々として進まんな。どれ、気合を入れてやろう」
伊田がそう言いながら、入宮のズボンから垂れ下がるハンドポンプを手に取った。そして、シュウッ、シュウッ、と空気を送り込む。
「いやあっ、やめて!!!」
入宮はぞっとした様子で背後を振り向いた。その様子を見る限り、やはり腸の圧迫が最大の壁らしい。
「さあ、再開だ」
伊田に文字通り尻を叩かれ、入宮は渋々ながらスクワットを再開させる。だがそれ以降、腰の重さはさらに増していた。
下半身を痙攣させながら汗まみれで腰を上げ、10回分ほど呼吸を整えてから、唇を引き結んだ覚悟の表情で腰を落としていく。
「あぁ……ぁああ、あ…………ぁあああ、ぁああっ…………っく、はっ…………ぁ………………っ!!」
腰が深く落ちるにつれ、熱い吐息が吐き出され、最後には泣くような声になる。
腹圧が増し、腸を満たすバルーンの圧迫を強く感じてしまうせいだろう。
ともすればペットボトルほどにまで膨らんだ風船が、結腸に至るまでギッチリと詰まった状態。確かにそれは辛いだろう。だがその事実に思い至った時、俺には別の考えも浮かんでいた。
腰を降ろすたびに声が漏れ、深々と降りきったところでぶるぶると打ち震える。これはまるで――
「まるで、アナルセックスに浸る豚だな」
俺の考えを、まさに瀬川が言ってのけた。入宮の肩が跳ね、頭が持ち上がる。その驚愕の表情は、図星と白状しているも同然だ。
「ち、違っ……!!」
「違わねぇ。テメェはケツで感じてんだ。生意気通そうってんなら、もう少し駆け引きってもんを身につけな。今のテメェは、誰がどう見ても、ゴム風船相手のアナルセックスに浸ってたぜ」
俺は瀬川が心底嫌いだが、今の発言に限っていえば、奴の言う通りだ。
「あ、あたし…………あたしは、お尻で、感じて……なんか………………」
入宮はうわ言のようにそう呟き、意地を見せてスクワットを続けようとする。しかし立ち上がり切れず、尻から地面に崩れ落ちてしまう。
その瞬間。
「おお゛お゛ぉっ!!!」
物凄い声がした。俺は最初その声が、瀬川の呻きなのかと思った。そのぐらい、女らしさのない低い呻きだった。
入宮がはっとした表情で口を押さえるも、もう遅い。
「おいおいおい、何だ今の声は? 今のが女の出す声かよ!!  くくひっ、いや、いや良い。確かに色気はあった。えっらく気持ち良さそうなのが伝わってきたぜ。
 だがな。あんな露骨なヨガり声、俺だって恥ずかしくて出さねぇよ!!」
瀬川がまず嬉々として嘲る。
「ああ、今の声は良い。アナル性感が極まり、腹の底から搾り出された声だ。これが自然と出るようなら、『完成』も近いな」
一方の伊田の発言は、嫌味がないだけに恐ろしい。
「ち、ちがっ、違うっ!!」
入宮は泣きそうな表情で否定の言葉だけを繰り返すが、何がどう違うという論理的な説明はできていない。
そして俺も、今の声は快感からのものだと思う。推論ではなく、知識として知っている。
俺が今までのこの屋敷で見てきた奴隷は皆、アナル調教の終盤であの『お』行の声を出しはじめるんだ。
女の子に本来求められる愛らしい喘ぎの対極。ぶりっ子の演技や虚飾、強がり。それら一切が取り払われ、純粋な快楽を喉から漏らすときの声。
仮にも女性として生きてきた人間だ。ともすれば男のそれにも思える低い喘ぎを、わざと発する事などありえない。
つまりそれは、出すのではなく、“出てしまう”のだろう。アナル性感が本当に極まった時には、自然に。
「ちがうっ……違う、ちがう違うちがうっ、違う…………!!!」
動揺を隠せず、狂ったように同じ言葉を繰り返す入宮。
だが、瀬川と伊田が責めの手を緩める事はない。あと半歩で相手が落ちると解っている崖際で、躊躇なく突き飛ばせる無情さ。それが、調教師の調教師たる所以だ。

入宮が驚異的な粘りを見せて100回のスクワットを達成し、その場に項垂れた後。
今度は水分補給とわずか10分の休憩を挟み、地下10周分のうさぎ跳びが命じられる。
意地を見せている入宮は、当然これを拒めない。
うさぎ跳び。これは飛び上がっての着地が繰り返される分、スクワット以上に腸への加圧が高くなる。そのため、入宮の苦しみぶりも大変なものだった。
しかしそれでも、入宮はあくまで根性を見せつける。
「桂高……女バス部をっ、甘く…………見るな………………っ!!!」
額からの珠の汗が涙のように目元を流れ落ちる中、入宮は眼前だけを見据え、歯を食い縛りながら地下を円周する。
その鬼気迫る様は、皮肉屋の瀬川にすら口笛を吹かせるほどのものだった。
病的なほどの意地。それは恐らく、部活の思い出の詰まったユニフォームのせいだろう。
何かに一心で打ち込んだ人間は、その思い出の品に仲間の影を見るという。
『自分達が力及ばないばかりに、主将を優勝台へ連れて行けなかった』
そう嘆くチームメイトを、入宮は一人一人抱き寄せ、皆が居てくれてよかった、皆と戦えたから悔いはない、と胸を張っていた。
そんな入宮だからこそ、ユニフォームを着た姿での屈服は許されない。身を切ってでも要求を呑みきろうとする。
感動的な姿だ。もしも俺がそんな入宮の調教役なら、どんな事情があろうと思わず情が湧いてしまう。
そういう意味で伊田と瀬川は、やはりある種のプロといえる。
奴らはバスケ部主将の燦爛と輝く意地を目の当たりにしてもなお、微塵もぶれない。
伊田は入宮が少しでも止まるたび、気合を入れると称して空気を注入したり、またはわざと空気を抜き、限界まで入れ、を繰り返す。
一見意味のない行動だが、入宮が顎を持ち上げながら必死に再開した直後、意図が明らかになる。

ぶっ、ぶうっ。

跳躍を前に力んだ直後、入宮のズボンから放屁の音がする。
「あっ!?」
今もって純情な入宮は、顔を赤らめて泣きそうに恥じ入り、逆に伊田達は大いに笑う。
明らかに、伊田がわざと空気を入れ、放屁をしてしまうように仕向けたのだろう。
「おいおい腋毛女、そりゃいくら何でも女を捨てすぎだぜ。確かにンな事されちゃこっちも萎えて、無意識に調教も手抜きになるかもしれんがよぉ。そこまでやるか?」
口の減らない瀬川は、当然ながら言葉責めを加えた。
「バカじゃないの。本当、あんた達って子供みたい…………うちの一年の方が、よっぽどしっかりしてるよ」
入宮は反論しつつも、よほどの恥なのか涙ぐんでいた。

その恥辱を経て、さらに自重による恥辱を数十も越え、ついに入宮は10周のうさぎ跳びを完遂する。
本当によくやった。まるで足を怪我した人間がフルマラソンを走りきったような感動がある。
ただ、やはり瀬川達にそれはない。
「はぁっ、はぁーーっ、はぁあっ、はーっ、はーーっ…………」
うさぎ跳びの着地姿勢のまま、肩で息をする入宮。瀬川がその前に屈みこむ。
「うーい、お疲れ」
何の感動もないその言葉と共に手を伸ばし、入宮のズボンに潜らせる。
「あ、ゃっ…………!」
入宮は当然拒絶するが、疲労困憊の彼女では瀬川の手を止めきる事はできない。そして直後、瀬川はしてやったりとばかりに顔を輝かせる。
「うおっ…………オイオイオイオイ、何だよこりゃ! オウ伊の字、すっげぇぞこれ。ドロドロなんてモンじゃねぇ、グショグショだ!!
 スライヴん時の汁ならもうとっくに乾いてる筈だからよぉ、こりゃ完全に、ケツで濡れた分だぜ!!
 はははっ! あの声聴いた時にもしやとは思ったがよぉ。このガキ、完璧にアナル性感に目覚めやがった!!」
喜怒哀楽を隠さない瀬川だが、ここまで激しく感情を出す機会は多くない。
そして、その言葉自体はおおよそ真実なのだろう。節張った指が膣内を掻き回すたび、かなりの液体がズボンの裾から飛び散っていくのが見える。
伊田もそれを前に、したり顔で頷いていた。
悪意ある調教師二人が揃って満足する状況――それが俺達にとって、喜ばしいものである筈がない。
俺が鳥肌の立つような悪寒を覚え始めたまさにその瞬間、入宮も恐怖の只中にいたのだろう。
そして。
「離せっ!!」
入宮はついに激昂し、秘裂をくじり回す瀬川の頬を叩く。
「ぐっ!」
瀬川が小さく呻き、その瞬間、入宮がはっとした表情になる。
入宮の悪い癖だ。あまりに感情が昂ぶると、対異性に限ってらしいが、手を出してしまう。そしてこの部屋で調教師に手を出すと、碌な事にならない。
入宮は頬を押さえる瀬川に、一瞬謝罪しようとする素振りを見せた。しかしその必要なしと思ったか、堂々と胸を張り直す。
「このユニフォームは、あたしたち女バス部員の魂なんだ。あんたなんかが、軽々しく触っていい物じゃない!」
あくまで真っ直ぐに己の信念を叩きつける入宮。
瀬川はその入宮に、ひどく静かな瞳を返した。瀬川との付き合いが浅くない俺でも、あまり見た事のない眼だ。
「一度のみならず、二度までも……ってか」
瀬川はそう告げると、手を後ろに伸ばして何かを手にする。その腕がゆっくりと戻り、入宮の前で止まる。
幾度となく入宮を泣かせてきた責め具――スライヴを手にした手が。
「立ちな」
瀬川がそう言って、入宮の顎を軽くスライヴで叩く。入宮はその瀬川を真正面から睨み据えたまま、ゆっくりと立ち上がる。
さすがにまだ足腰が万全ではないらしく、数歩よろけ、それを背後から伊田が止めた。
「頭の後ろで手を組め。スクワットん時と同じだ」
背面の塞がった入宮に対し、瀬川が言う。入宮が言葉に従うと、いよいよ瀬川は距離を詰め、スライヴを入宮の股間に宛がった。ユニフォーム越しに。
「手では触らねぇぜ。代わりにまたコイツで楽しませてやる。たっぷりとな」
「…………ほんと最低だね、あんた」
これから受ける責めを察した入宮が、それでもあえて顔を上げ、胸を張って瀬川に対峙する。
粗暴な瀬川に対し、ここまで真正面から対峙する『奴隷』は初めてだ。改めて入宮は、気が強く、芯の強い女性だったのだと思う。
だが、それもここまででは。その予感が、どうしても離れない。
「テメェだ。最低になんのは」
瀬川はそう言ってスライヴのスイッチに指をかけつつ、入宮の太腿を叩いて脚を開かせる。
その対面で伊田もまた、アナルバルーンから伸びるポンプを握りしめる。
入宮が瀬川を睨み据え、奥歯を噛みしめた直後。二つの責め具が彼女を苦しめはじめた。



30分は過ぎただろうか。
モニター内から漏れる音の大半は、変わり映えのしないものだった。
ヴヴーンというスライヴの駆動音と、衣擦れの音。アナルバルーンに空気が入っていく鋭い音と、解放の音。はあー、はあーっ、という乱れきった呼吸音。
だが、それらに混じる“あえぎ声”は刻一刻と変わっている。
ああ、ああ、と女の子らしい透明感があったのはすでに過去の話。
今、入宮の血色のいい唇から漏れる声には、かなりの頻度で『お』行の声が混じっている。

「おら、まーた腰が引けてンぜ。体育会系の意地とやらはどうしたんだ?」
スライヴを操りながら、瀬川が舐めるような声を出す。
そう言われては入宮も、瀬川を睨みつつ、歯を食い縛って腰を押し出すしかない。スライヴを自ら秘裂へ押し付けるように。
その状態が4秒ほど続いた、直後。
「お“、おっ、お“!!………っっお゛お゛おお“ぉお゛っっっ!!!!」
何度か喉で堰き止められた末に、またしても純粋な快楽だけを帯びた嬌声が迸る。
「ハハハッ、また出たぜ。ほんとに女のガキが出す声かよ!?
 いくら今の女子高生にゃ品がないっつっても、ンな男みてぇな声出してんのはテメェだけだぜ、女子憧れの部長サマよぉ!」
濃厚な嬌声が出るたび、瀬川は大いに入宮を嘲った。伊田もほくそ笑みつつ、駄目押しとばかりにバルーンを膨らませて苦しめる。
対する入宮は、それ以上恥を晒すまいとまた必死に堪え始めた。
しかしそれはつまり、スライヴとアナルバルーンから齎される快感を余さず受け止めることを意味する。
それを散々繰り返した果てに、入宮の足元にはバケツを倒した時のような液溜まりができていた。
スライヴが唸るたび、ズボンの広い裾から液体が漏れ出しては、がに股を作る両腿を伝って滴り落ちる。その結晶としての液溜まりだ。
当然、ズボンの股布部分は小便を漏らしたように変色し、裾の前部分は筋張った太腿にぴっちりと貼りついている。
コートの上ではあれほど格好良かったユニフォームが、今では性的なイメージしか訴えてこない。
そしてそれは、服の主も同じだ。
「そら。テメェの一番好きな角度行くぜ。正気保ってろや」
瀬川はそう囁きながら、スライヴに角度をつける。秘裂の上側を覆いつつ、クリトリスを下から舐め上げるような形に。
これが効いた。
「んぐぅううう゛っ!! お゛、お゛っ……っほぉおお゛お゛お゛お゛っっ!!!!」
下半身を激しく痙攣させ、夥しい量の愛液を散らしながら、天を仰いで絶叫する入宮。
相当絶頂の根が深い。多分一度きりではなく、我慢していた二度分、三度分を含んだ絶頂だ。なまじ快感を抑えようとしているせいで、反動が凄まじいんだろう。

「ひひ、出た出た。……っと、うへぇ、これじゃ足の踏み場もねぇや。身体中の水を愛液にしちまった感じだな。
 一旦補給させてやる。飲め」
瀬川は近くの床にあった瓶を拾い上げ、入宮の口に含ませる。そうして水分補給をさせてから、改めて責めの仕上げをするのが常だ。
「ぶ、ぶはっ。はぁっ、はぁ、はあっ……」
入宮はもう、水さえまともに飲めるコンディションになかった。息切れが激しい他に、動悸の乱れもあるのだろう。
そんな彼女に瀬川は、アイマスクを見せ付けた。
入宮の顔が一瞬驚愕の色に染まり、瀬川を見上げる。
「第二ラウンドはこいつを使う。アイマスクと、ボールギャグ、イヤホン。要はさっきと同じ五感封じよ。
 ただし、今テメェ自身が体感した通り、立った状態での責めってのは座った状態で受けるより遥かにキツい。こりゃ効くぜぇ」
瀬川はそう言いながら、黒いアイマスクで入宮の刺し貫くような視線を覆い隠す。
「………………っ!!!」
入宮の肩が強張り、唇が引き結ばれる。その唇を指でなぞりながら、瀬川はさらに畳み掛けた。
「ここまで来たら認めてやるよ。確かにテメェの意地は凄ぇ。高校の部活仕切ってるだけじゃ勿体ねぇ位よ。
 でも、悲しいよなぁ。最初はスジ肉みてぇに手のつけられなかったテメェも、コトコト弱火で煮込まれ続けて、今じゃ菜箸が簡単に通るほど柔くなっちまった。
 今からも、やる事自体は変わらねぇ。十分蕩けたスジ肉に、圧力鍋でさらに2時間ほど念を入れるってだけよ」
瀬川はそう囁きかけながら、入宮の白い歯の合間に球体を押し込む。同時に伊田も、ヘッドホンで彼女の頭を挟み込んだ。
「これは俺からの頼みだがよ、せいぜいシャンとしててくれや。
 鍋の蓋開けたら最後、煮崩れきってて原型がねぇ……ンな悲しい光景は嫌なんだよ」
音の届かない入宮の前で呟く瀬川。その顔はいよいよ悪魔じみた笑みに満ちている。無論、伊田も。

そこからまた、地獄が始まった。
ボールギャグからは何度も何度も切ない呻きが響き渡り、入宮の全身が痙攣する。
陰核と陰唇、直腸に結腸。そこでの快感を『徹底的』という言葉すら生ぬるく思える執拗さで刻み込まれ、彼女はモニターの中で狂った。何度も、何度も。
朝になり、貞操帯を嵌められる時には嫌そうにしていたから、心が屈した訳でもなさそうだ。
それでも身体の方は、すでに快楽に染まりきっているらしい。



「すみません。トイレ……行ってきます」
入宮はここ最近毎日そうであるように、授業中にもかかわらず教室を出て行く。
もはや日課となった今は、騒ぐ奴もいない。そもそも高3の11月も目前の今、教師も生徒も受験一色で、非進学組である俺達に意識が向く事自体がほとんどない。
ただその日に限っては、入宮の戻りが妙に遅かった。20分以上が経っても、戻ってくる気配がない。
「……すんません。俺もトイレ、行かせてもらいます!」
俺は嫌な予感がして、入宮と同じく席を外した。
教室から程近い女子トイレは、全て個室が開いている。ここにはいない。ならばと俺は階段を上がり、音楽室の横にあるトイレへ急いだ。
すると案の定、声が聴こえてくる。あっ、あっ、という、妙に色っぽい声が。
「入宮。大丈夫か?」
俺がそう声を掛けると、声がはたと止んだ。そして、数秒してからゆっくりと扉が開く。中に居たのは、やはり入宮だ。
「岡野…………!」
頬を赤らめ、スカートの裾を乱したまま、入宮は泣きそうな声を出した。

入宮は教室を出てからずっと、トイレの個室で自慰に耽っていたらしい。股座を貞操帯ごと便器に擦りつけて。
8週に渡って絶頂の味を覚え込まされた弊害は大きい。完全に快楽中毒で、達している時だけ、水中から顔を出すように楽になる。
誰も訪れる事のない屋上で、入宮はそう語った。
俺は返答に悩む。想い人が快楽中毒になっている……それを認めたくはなく、しかし否定のしようもない。
そう悩んでいると、ふと視界の端に、こちらを凝視する入宮の姿が映った。
半端を嫌い、相手の顔を見るなら真正面から、というタイプの入宮にしては珍しい行動だ。
「入宮? どうかした――」
俺がそう言いかけた瞬間、それ以上の言葉が出なくなる。
唇を奪われた。そう理解したのは、たっぷり数秒が経ってからのことだった。
ぷはっ、という声で、俺と入宮は空気を求める。
「え……え、えっ!?」
訳が解らない。なんだ、急に。
そうか、これは夢だ。俺が入宮にキスするならまだしも、入宮からなんて都合のいい展開は、夢以外にありえない。
そう結論付けつつも俺は、これが現実である事も認識していた。
首筋に触れる風が冷たい。11月になろうという時期の風は、リアルすぎる冷気を吹きつけてくる。
ただ、寒くはなかった。全身が火照るようだし、頬も間違いなく赤い。
そんな俺を今度こそ真正面から見据え、入宮が口を開いた。

「岡野はさ。今でもあたしのこと、好き?」
妙に真剣な瞳。澄んだ虹彩の中に、戸惑う俺の姿が映りこんでいる。
ああ、入宮だ。俺は改めてそう実感した。そして相手が入宮である以上、答えに迷いはない。
「ああ、好きだ」
ハッキリと、そう言葉に出した。一生一度の勇気を振り絞った中三の時より、しっかりとした声が出た。
「よかった」
頬を緩ませながら、俺に歩み寄る入宮。シャンプーのいい香りが鼻腔を満たす。
「ねぇ、岡野…………抱いて」
「なっ!?」
入宮から発せられた言葉に、思わず動揺してしまう。
抱いてと言ったのか、今。あの入宮が。
「な、何言って……!?」
混乱する俺に、入宮が身体を密着させてくる。そしてそのまま、フェンスに追い詰められた。
「無理しなくていいのに。興奮してるんでしょ」
入宮はそう言いながら、俺の制服のズボンを弄る。確かに俺は勃起している。
ベルトが外され、チャックが下ろされ、トランクスがずらされた。入宮の手で。
逸物が露出し、冷たい外気に冷やされる。だがその冷たさは、一瞬にして消えた。
咥え込まれたんだ。俺の物を。
「うあっ!」
思わず声が漏れた。
あの入宮の口の中に、俺の物が入っている……そう思うだけでも心臓が破裂しそうだが、その巧みさにも驚かされる。
裏スジを舐め上げ、カリ首を舌の先で刺激し、尿道から滲む先走り汁を啜り上げ。
時に睡眠の条件として、時に排泄の許可を得る手段として瀬川に仕込まれ続けた舌遣いは、3分と経たないうちに俺の物を痛いほどに勃起させる。
ある程度逸物が固くなれば、亀頭丸ごとがぬめった喉奥に迎え入れられることもあり、こうなれば女のような喘ぎが抑えきれなくなる。
挙句に顔が映りこむほど澄んだ瞳で、キリリと見上げられるんだから、この興奮は只事じゃない。
俺は瀬川が死ぬほど嫌いだが、この快感を知っては、奴がイラマチオに拘る理由も解らなくはなかった。
「れあっ……ふふ、大きくなった。やっぱりこれぐらいのサイズが一番舐めやすいよ」
瀬川達より2周りは小さい俺の逸物を握りながら、入宮は笑う。
この状況は反則的だった。普通じゃない。そう思ってはいても、思わず没頭してしまう。
気付けば俺は、フェンスを背に腰砕けになり、されるがままに下を脱がされていた。そして、入宮自身もスカートを脱ぎ捨てる。

目の前に現れるのは、正真正銘、あの入宮の生足だ。
すらっとしていて、シミ一つ見当たらない桃色の脚。本当に宝物のようだ。逆に秘裂を覆う貞操帯は実に無機質で、憎らしくさえある。
と、その貞操帯を疎むうちに、俺はある疑問を抱いた。
「……抱くって、どうやって?」
そう、彼女の性器は貞操帯に守られている。その鍵を開けない限り、抱きようがない。
すると入宮は、スカートのポケットを弄りはじめた。
「大丈夫、鍵あるから。この貞操帯って何種類かあるんだけど、鍵穴は全部共通でさ。鍵も同じのが一杯あって、こっそり一つ持ってきた。
 たぶんバレないよ。道具の管理なんてまともにしてないから、あいつら」
そう言って小さな鍵を取り出し、貞操帯の鍵を開ける。そしてショーツ部分をずり下げつつ、太い肛門栓を抜いていく。
「ふんんっ…………」
鼻から抜ける声は本当に気持ち良さそうだ。やはりアナル性感が目覚めきっているらしい。
びちゃり、という音を立てて貞操帯が落ち、いよいよ入宮の秘部が目の前に現れた。
毎日モニター越しに見ているから、色や形は知っている。それでも、実物を目の当たりにする衝撃は想像以上だ。
黒々とした茂みが妙に生々しく、さらにその中に、屹立した陰核が見える。茹で小豆を思わせるそれは、最初の頃とはまるで別物だ。
秘裂を見上げて呆然とする俺を前に、入宮は喉を鳴らす。
そして覚悟を決めたような表情で、俺の上に跨った。
「本当は、前でしたいんだけどね……だめなんだ。だから、お尻でしよ」
入宮自身の指で開かれた肛門は、最初の頃のような可憐な窄まりとは違う。
度重なる調教で口を開き、紅い菊輪の一つ一つが確かな膨らみを見せている。挿入に問題はなさそうだ。
だが、俺は迷った。
「い、入宮。でも……!」
監視役である俺が、『奴隷』と肉体関係を持つなんて――俺のその現実的な考えは、次の瞬間に吹き飛んだ。
唇のような触感の肛門に、亀頭が触れ、包まれる。
その感覚はすぐにカリ首、そして幹に移り、根元まで一気に進む。
締め付けは相当だ。肛門に咥え込まれた部分には、何重にもゴムが巻かれたような感触がある。スポーツ少女だけあって、本当に括約筋が強い。じんわりとした痛みすら覚えるほどに。肛門に指入れをする際、瀬川も伊田も締まる締まると喜んでいたが、それがようやく理解できた。
そして、腸内の感触もまた絶妙だった。肛門に比べれば刺激は緩いものの、塗れた粘液がしっとりと絡み付いてくる感触は只事じゃない。入宮自身の呼吸にあわせて腸壁の圧迫も変わり、まるで四方八方から緩やかに舌で舐められているようだ。
「あぁぁあ…………!!」
俺は思わず声を上げ、入宮も喘ぐ。挿入を果たした事で感じたのか。
「すごい、中で脈打ってる……本当に入ったんだ」
入宮は強張った表情で呟きながら、俺の手を握ってくる。
「強引で、ごめん。後ろの処女、無理矢理あげちゃった。いくら違う穴でも、あいつらが最初なんて嫌なんだ。せめて少しでもあたしの事、想ってくれる相手としたくて……」
その言葉が、俺の心を変に暖かくする。外気の冷たささえ忘れさせるほどに。

そして、入宮は腰を遣い始めた。
ただでさえはち切れそうに勃起した逸物に、ゴム束で扱くような刺激が延々と往復して、堪らない。
俺の太腿と入宮の尻肉が当たるパンパンという音は、まさにセックスそのものだ。
生々しい匂いもする。愛液の匂い。シャンプーの爽やかな香り。そして、それともまた違う甘い芳香。
俺の目の前で弾む、健康的な美脚。
そして何より、あの入宮と『一つになっている』という事実。
それらが凄まじい快感となって、脊髄を駆け抜けていく。
これが『セックス』か。溺れる人間も多いわけだ。入宮もまた、この快感に浸っているのか。
「あ、ああ、ぁあぁっ、岡野っ…………!!」
入宮は激しく腰を叩きつけていた。汗を滴らせ、歯を食い縛り、まるで壊れろと言わんばかりの激しさで。
 ――壊れろと、言わんばかり?
事実、そうなんじゃないか。入宮は今、俺の上で壊れようとしているんじゃないのか。瀬川達の責めに、もう耐え切れないという確信があって。
「岡野、岡野、いいよ岡野っ!! もっと、もっと滅茶苦茶にして。何も考えられないぐらい!
 今日帰ったら、きっと、あいつらにお尻でされる。そしたら、あたし……耐えられない!!
 あいつらに壊されるのはいや! ねぇっ、岡野、ここであたしを壊して!!
 どうせおかしくなるなら……こんなあたしを、まだ好きって言ってくれる岡野がいいのっっ!!」
思った通りだ。俺の名を連呼しながら、入宮は必死にそう叫ぶ。

その悲痛なまでの思いに応えたい、とは思う。だがそれには、相応の覚悟が必要だ。
屋敷には戻れない。貞操帯のGPSを囮に時間を稼ぎ、どこかのATMで金を下ろしての逃避行しかないが、至難の業だろう。
精神崩壊した入宮をつれて、ヤクザから逃げ続けるのは無理がある。そして掴まったが最後、俺にも入宮にも、死んだほうがマシと思えるようなリンチが待っている。
さらに言えば、周りにも不幸が降りかかるだろう。俺の親父や、入宮の両親……その身柄は組に押さえられている。
逃避行の最中には、まず間違いなく、親父達の無惨な末路を新聞やニュースで目にする事になる。

そういった現実を考え始めたが最後、俺は射精したくてもできなくなった。
その変化は、粘膜で繋がりあった入宮にも伝わったのか。必死に腰を使っていた入宮が、俺の顔を見た。
しばし目を見合わせる。

そのまま、何分が経っただろうか。

「…………ごめん、勝手言って」
入宮はやがて動きを止め、ゆっくりと腰を浮かせた。肛門から勃起状態を保った逸物が抜ける。
入宮の表情は複雑だった。
部長として、俺よりずっとしっかりとした考え方をしてきた彼女のことだ。ここで俺相手に狂ってもどうにもならない事ぐらい、理解しているに違いない。
それでも衝動的にこんな行動を取ってしまうほど、追い詰められているのだろう。
本当に、その彼女の思いを汲まなくていいのか。
散々傍観者をやって、それを後悔して。そしていざ入宮本人から助けを求められても、見殺しにするのか。
よくもそれで、入宮が好きだなどと言えるものだ。
「い、入宮、俺っ!!」
そう言いかけた俺の唇に、入宮は指を触れさせる。
「今のは、あたしのワガママ。忘れて」
指先で念を押すように唇を押さえてから、入宮は立ち上がり、貞操帯を拾い上げた。
「やっぱり、岡野って優しいよ。あたしが凄い無茶言ってるのに、さっき本気で悩んでくれてたよね。
 おかげで何か吹っ切れた。あたし、調教は受けるけどさ。あいつらの手で狂ったりしない。
 身体をどれだけ変えられても、心はあたしのままでいる。約束するよ」
呟くように言いながら、貞操帯を自ら嵌めていく入宮。地下へ戻る決意をしたんだ。素面のままで。
「ね。岡野。もし、あたしがあたしのままで調教に耐えきれたら…………その時は、花でもちょうだい。
 あたしバカだからさ。今までいろんな男の子がプレゼントくれたけど、一回も受け取った事ないんだよね。
 最後の最後くらい、女の子っぽい体験してみたくてさ」
その言葉と共に入宮が浮かべた笑みは、爽やかでとても格好がいい。見ているだけで安心感が湧いてくる。
「あ……ああ。任せろよ。すげーの持っていくからさ!」
俺は渦巻く不安を振り切るように、力一杯頷いた。
友人との約束は必ず守る。それが、入宮知佳という女の子だから。





「ふん、相変わらず強情だな。一言『挿れて下さい』って言やぁ、楽になれるのによ」
ベッドに這う入宮を見下ろし、瀬川が溜め息をつく。
逆に入宮は荒い息を吐き出しながら、汗まみれの顔を横向けた。
「……あんた達が、挿れたくて我慢できないだけでしょ。あたしは、このまま……朝になってもいいよ」
入宮の言葉は、無論強がりだ。本当のところ彼女は、すぐにでも肛門を刺激して貰いたくて堪らないに違いない。

肛門を突き出す格好でベッドにうつ伏せになり、後手に革手錠を嵌められた入宮。
その菊輪は痛々しいほど紅く膨れ上がっている。最初の頃の愛らしい窄まりが見る影もない。
原因は、瀬川の右手手袋に付着したクリームだ。
山芋の5倍の痛痒感を与えるという悪趣味な代物で、以前そうとは知らずにクリーム付きのバイブを素手で触った時には、親指と人差し指の間から半日以上も痒みが取れなかった。
入宮はそれを嫌というほど塗り込められ、普通であればあまりの痒さに泣き叫ぶところを、歯を食い縛って耐えていた。
俺との約束のせいだろうか。
調教初日の夜を思い出す。あの日も入宮は、俺の下手糞なエールに応えて耐え忍んでいた。
複雑な気分だ。それでも、応援せずにはおれない。
「……ったく。こんだけマンコ濡らしといて、今更格好付ける理由もねぇだろうが」
瀬川はそう言いながら、左手を秘裂に潜り込ませる。
「はぐっ」
入宮から小さく声が漏れた。理由は、瀬川の指の動きと同調する水音から推して知れる。
「グチョグチョだぜ。今日はまだ尻しか可愛がってねぇのによお? 子宮もすっかり下りてきてんじゃねぇか」
瀬川が言葉責めを繰り返す中で、入宮は腰を跳ねさせた。
シーツに顔を埋めているにも関わらず、ふむぅーっという声が漏れている。痒みと心地良さの相乗効果で、叫びを抑えきれないのだろう。
「ほう、子宮が下りているか」
マッサージチェアに腰掛けて見守っていた伊田が、瀬川に問いかける。
「おお、ちっと指入れりゃあ簡単に触れんぜ。おまけに処女の癖に、もうグニグニに柔らかくなってやがらぁ」
上機嫌に応じる瀬川。ただ伊田の問いに答えているだけではなく、入宮自身にも言い聞かせているのだろう。
痛がる人間に切り傷を見せつけるように、現状を自覚させる。
受ける側にしてみれば、これを無視はしきれない。入宮もまた、不安げな表情で後方に目を向けた。
その視線を待ち構えるのは、伊田と瀬川の獣の眼。入宮の表情が強張る。

「いいぜ。テメェの粘り勝ちだ。こんなエロい濡れよう見せられちゃあ堪らねぇ……ぶち込みたくて、ぶち込みたくてよぉ!!」
瀬川は唸りながら、怒張を握りしめた。
俺の勃起時より二周り……いや、それ以上に大きいかもしれない。幹には太い血管が浮き、何よりカリ首の張り具合が異常だ。
これから入宮に挿入されると思うと、いよいよその凶悪さが脳裏に焼きついてしまう。
「すげぇぜ、こうも勃起すんのは久しぶりだ。毎晩毎晩テメェのケツを舐めながら、この瞬間を妄想してたんだよ俺ぁ!!
 今からコイツを御馳走してやる。一番槍は貰うぜ伊田!!」
浅黒い手に入宮の尻肉が鷲掴みにされ、怒張の先が開いた肛門に宛がわれる。
「ゼリー付きのアヌスだぞ。ゴムは要らんのか」
「バカヤロウ、貫通記念だぜ? ナマ以外は有り得ねぇ。痒くなったらなったで、擦り切れるまでケツ穴でコクまでよ!!」
伊田の忠告も、今の瀬川には通じない。
鶏ガラのような腕にまで血管を浮き立たせ、肛門の結合部に力を込めていく。
メリメリと音でもしそうな挿入。菊輪がぴっちりと伸びきり、笠の張った亀頭部分を迎え入れていく。
やがて最も太いカリ首が通り抜けると、菊輪がちょうど唇が窄まるように幹部分へ吸い付いた。
「いや、太い……っ!!」
入宮から悲鳴のような声が漏れる。
瀬川の怒張のサイズはどうやら未経験らしい。直径だけであればアナルバルーンの方が上だろうが、挿入物の硬度は圧迫感に大きく影響する。逆に同じ硬度なら、単純に太さが物を言う。
入宮はほんの数時間前、俺の逸物を迎え入れた。つまり瀬川が意気揚々と謳う『開通記念』は幻だ。しかし、なぜかそれを手放しで喜べない。
「き、きつい……! 一度抜いて、裂けちゃうっ!!」
瀬川の剛直を挿入されて苦しむ入宮の姿は、どう見てもアナルセックス未経験のそれだ。実は俺とも経験があるなどと主張したところで、虚しさしか生まれない。
「裂けるかよバカ。しかし、こりゃすげぇ。入口は食い千切りそうに締めるくせに、奥までみっしり絡み付いてきやがる。
 普通は入口が締まる代わりに奥が緩いか、入口から奥まで一貫して密着するかのどっちかなのによ。マジで名器だぜこりゃあ!
 おらっ、そろそろ直腸の奥に届くぜ!!」
入宮の細い腰を掴んだまま、強引な挿入を果たす瀬川。入宮は目を硬く瞑り、シーツを掴んでそれに耐えていた。
しかし。瀬川の怒張が根元近くまで入り込んだその瞬間、彼女の様子が変わる。
「っは…………!!」
鋭く息を吐き出しながら、入宮は急に顔を上げた。その瞳は“信じられない”とでも言いたげに見開かれている。
「どうした、まさかケツで感じたのか?」
瀬川が勝ち誇ったような表情で囁きかけると、入宮の瞳は睨みを返す。
「そうだ、そのまま意地を張ってろ。クソガキらしくな」
瀬川は歯を剥き出して笑いつつ、大きく腰を引き、本格的に入宮を犯し始めた。

瀬川と、入宮のセックス。斜め上から見下ろす形のカメラは、その全てを捉えていた。
ベッドに広がる艶やかな黒髪。
普通の女子よりも明らかに発達した、肩甲骨周りの肉の盛り上がり。
すっと筋の走る背中。
桜色の裸体の中で一際目立つ黒の革手錠。
革手錠の下にはくびれた腰があり、そこを瀬川の両手が力強く鷲掴みにしている。
その掴みを支えに、瀬川の腰が入宮の尻肉へと叩きつけられる。
およそ尻穴に入るとは思えないほど太い怒張が、腰のグラインドで深々と入宮の内側へ隠れていく。
パンッ、パンッ、パンッ、という肉と肉の弾ける音が響き渡る。
瀬川が入宮を犯している。その残酷な現実を裏付けるかのように。
「ひひひ、締まる締まる。待ち侘びた甲斐があったぜ!」
瀬川は満面の笑みを浮かべて腰を打ちつける。たまに映る背中の般若すら笑っているようだ。
受ける側の入宮は、顔を僅かに横向けながら耐えていた。
「や……ぁあ、あ、あっ…………」
呻くようなそうした声以外は、はっ、はっ、と短い呼吸だけが繰り返される。
細身はただ震えていた。肉感的な太腿だけが、突き込みの度に筋肉を隆起させている。
「大分感じてきたようだな」
アナルセックスを見守っていた伊田がそう呟くと、入宮の顔がさらに横を向く。
「感じてなんか……ない…………!!」
あくまでも入宮は否定する。たとえその強がりが、調教師を悦ばせるだけだと知っていても。
「だ、そうだ」
伊田が笑みを湛えて瀬川を見やると、瀬川も口端を吊り上げる。
「ほお……なら、もっとキツくしてやるか」
その言葉と共に、瀬川は入宮の腰を掴み直した。そしてそのまま上へと持ち上げていく。這う形だった入宮の足を、直線に伸ばすように。
「いやっ! やめてよ、こんな格好!!」
入宮が拒絶しても、瀬川は止まらない。さっきと同じ、いやそれ以上に力強く腰を打ちつけていく。
ここで初めて、入宮の反応の全てが露わになった。
「あぁぁああ…………ああ!! んくぅ、くふぅ…………はぁああっ、はぁ、はっ…………ああああ…………」
剛直が入り込む動きと共に声が漏れ、奥深くを突かれたところで一際高い声が出る。
逆に剛直が引き抜かれる際には、歯を閉じ合わせたまま耐えるような声に混じり、心地良さそうな息が漏れていく。
乱れた黒髪から時折り覗く顔には、明らかに快感の色が混じっていた。
そして何より、すらっとした足の合間からは、しきりに光る雫が散っていた。愛液だ。
「股座から何かあふれているぞ」
「…………!!」
伊田に事実を指摘された入宮は、口惜しそうに唇を噛む。
入宮は感じている。感じない筈がないんだ。
2ヶ月もの間絶えず絶頂を覚えこまされれば、ポルチオ……つまりは子宮口は蕩けきる。その蕩けたポルチオを直腸側から薄皮越しに刺激されては、感じない道理がない。
特にカリ首の発達した瀬川の怒張は、子宮の裏をさぞ効率よく潰すことだろう。
「はぁああっ……!!」
また入宮の甲高い声が上がった。見れば、瀬川の剛直が根元の根元まで尻の合間に消えている。
まさに今、入宮はポルチオを直腸側から突き上げられ、確かな絶頂の中にいるのだろう。
尻肉を頂点に折れ曲がった入宮の身体が力む。肩周りが盛り上がり、ハの字に開いた脚にも筋が浮き……そして、脱力する。
「くぅうううはっ…………あはあぁうあっ…………!!」
怒張が引き抜かれる時にもやはり太腿は痙攣し、その最中、股座から雫が滴り落ちていく。
奥を突かれる時だけではない。怒張が抜かれる瞬間も、入宮は間違いなく感じている。
それはそうだ。あれだけエラの張った極太が強引に引き抜かれるのだから、平然としていられる筈もない。
「あああ…………最高だぜ。テメェの糞の穴は最高だ! こんなモン、そうそう我慢できやしねぇ!!」
瀬川は吠えるように叫び、涎さえ垂らしながら夢中に腰を打ちつける。
そのケダモノのような蹂躙を受けて、入宮もまた高まっていく。
「あ、あ、あ、あっ、あ゛っ!! くひゅっ、あくゅっ……う、うあ、うあああっ…………ああ、あっ、はああああ゛あ゛っ!!!」
頬をシーツに擦り付けるようにしながら、早く短い息を吐き続ける入宮。
最初こそ声を抑えようという気配が見えるものの、次第に『なまの声』がそのまま迸る機会が増えていく。
脚の合間に飛び散る汁気も量を増し、特にボディラインに隠されていない右の内腿には、どろどろと愛液が伝っているのも見えた。
「うう、出るっ、出るぞっ!!!!」
数十に及ぶ凄まじい抽迭の末に、瀬川ががなり立てた。汗を散らしながら入宮の脇腹を掴み、腰を震わせはじめる。
「い、いやぁ! せめて、せめて外に出してよっ…………!!」
完全に息を上げながら、入宮は頭を振っていた。しかし、瀬川の射精を止める術はない。
たっぷり数秒をかけた射精の後、ようやく怒張が引き抜かれる。異様なほどの粘液と白濁に塗れた怒張は、いよいよ眼を見張るほどの大きさに変貌していた。
これまでに見せた完全勃起状態をさらに上回るそのサイズは、入宮との肛門性交がどれほど心地良かったのかを端的に表している。
明らかに、俺よりも入宮との接触を楽しんでいる。
あんなに入宮に嫌われているくせに。愛情の欠片すらない交わりなのに。俺以上にの快楽を貪り尽くしたんだ。
「チッ。ケツ穴でコいてる間は気にならなかったが、人心地つくと痒ぃなこりゃ。その分、このガキも感じまくってたみてぇだがよ。
 伊の字、やるんなら洗ってからにした方がいいぜ」
瀬川は入宮の身体を横倒しにしながら告げる。
入宮の肛門部分がカメラに映った。病的なほど赤らんで開き、恐ろしい量の白濁があふれ出している。その様を見下ろしながら、伊田は当然とばかりに頷いた。
「これだけ盛大に出されては、続けて使う気にもなれん。私としても待望の時間だ。最高の状態で愉しませてもらう」



シャワー浣腸で肛門と腸内の洗浄を終えた後に、伊田のアナルセックスが始まった。
「確かにこれは凄いな、アスリートの中でも最上の部類だ。子宮もいい具合の位置にあって、堪らんな」
冷静に入宮の腸内を分析する伊田。
獣のように荒々しく犯す瀬川とは対照的に、伊田は技巧派だ。今も、Mの字に足を開かせた入宮に正常位で挿入し、同時にスライヴで陰核を責めている。
ピストンの速度は遅く、スライヴの駆動音から判断できる出力はごく弱い。にもかかわらず、入宮は相当に感じているようだった。
挿入された直後は、気丈に伊田を睨み上げている。
しかし、最奥まで挿入した伊田がゆっくりと腰を蠢かせれば、鋭い眼光が勢いを失い、横に視線が投げられる。
さらに低出力のスライヴが陰核に触れれば、5秒もしないうちに声までもが変わった。
「あぁ……ぁああ、あはあっ、はあああ、あ……ぉ、おお゛っ…………!!!!」
腹筋を収縮させながら低く呻いた末に、『お』の音で呻く。
1秒の間もなく濃厚な快感の声が漏れ続ける様は、入宮が常に浅い絶頂状態に留められている事を意味する。
当然、入宮にも緩やかに変化が起きていった。
伊田の怒張が緩やかに抜き差しされるたび、内腿に筋が浮き、足指がたまらなそうに折れ曲がる。
声にこそ出ないが、下唇の噛まれるたび、『いく』という言葉が殺されたのが解る。

入宮の変化を充分に認めた上で、やがて伊田は体勢を変えた。
広げさせていた入宮の両脚を閉じさせ、ほぼ真上から肛門へ圧し掛かるように挿入する格好だ。
「くぁっ、あはあああっ…………!!」
一度目の挿入時点で、入宮から声が漏れる。驚きか、苦痛か、それとも快楽か。最初の一声では判断が付きづらいが、伊田が腰を動かし始めればすぐに明らかになる。
「くぁあああっ、はぁっ、はぁっ……んぁあああっ!!!」
狭まった肛門を穿たれ、入宮は何度も声を上げた。明らかに心地良いという響きの声。脚を閉じた事で、肛門や子宮口への刺激が強まったのだろう。
瀬川はそんな入宮を淡々と追い詰める。
瀬川はとにかく射精が遅い。生来の遅漏なのか技術なのか、挿入から小一時間以上は嬲り続けるのが常だ。
射精しない最大限の勃起状態で、じっくりと肛門を穿たれ続ける。これは入宮にしてみれば、地獄以外の何物でもない。
時間をかけて入宮の肛門を堪能した伊田は、実に40分後、ようやく射精に至る。
瀬川のような腸内射精ではない。一旦怒張を引き抜き、自ら扱きながら入宮の足を開かせ、顔に向かって白濁を散らす。
「あっ、ぷぶっ!!」
入宮は前髪といい鼻といい、顔中に白濁を浴びる事となった。瀬川に比べれば白濁の色も量も少ないとはいえ、明らかに俺以上の量だ。
伊田にすら精力で劣る。その事実が、俺の雄としての心を掻き毟る。
「くさい……最低っ!」
精液を浴びた入宮は、伊田へ鋭い視線を向け、そのまま固まる。原因は、伊田の後ろで再び剛直を反り立たせている瀬川だ。
「ちょ、ちょっと待って……い、今終わったばっかりなんだから、少しぐらい休ませてよ」
入宮は震える声でそう願った。しかし瀬川は、背中の般若を歪ませながら入宮ににじり寄る。
「い、今は、今はいやっ! 絶対いやあっ!!」
切ない叫びも虚しく、入宮は組み伏せられ、強引に肛門を貫かれる。
合意など一切ない蹂躙。伊田によって嫌になるほど丹念に昂ぶらされた直後のアナルセックス。これは入宮を追い詰めた。
「あぁあああっ、くぅはあああっ……はあっ!! ああっ、あッ…………んあああおおお゛っっ!!!!」
狂ったように脚をバタつかせ、シーツを掻き毟り、荒い呼吸と快感の呻きを上げ続ける。
その地獄は延々と……少なくとも俺が精神的に疲弊し、知らぬ間に眠りに落ちるその瞬間まで続いていた。



この日を最後に、入宮は学校に通う事がなくなった。
地下に事実上監禁され、伊田と瀬川から絶えず責めを受け続けるのだ。
いわゆるラストスパート――連中は、入宮を間もなく堕とせるという確信を得たのだろう。

俺は、学校にいる間ですら気が休まらなくなった。
こうしている間も、入宮はあいつらに犯されているのか。
今はどんな変態的な事をやらされているのだろう。
まさに今この瞬間にも、彼女の自我は崩壊しつつあるのでは。
そう考えると気が狂いそうになる。
憧れの入宮と束の間の談笑を楽しむ時間だった下校は、肺が破れそうになるほど全力で疾走する時間に変わった。
そして家に戻るなり、鞄を抱えたまま親父の部屋に飛び込み、モニターに齧りつく。
入宮の芯の強さを信じてはいる。それでも現実的に考えれば考えるほど、いつ折れてもおかしくはなかった。
薄暗い地下に閉じ込められ、悪臭を放つ伊田や瀬川の慰み者になる。このストレスは計り知れない。
さらには最後の追い込みだけあり、責めそのものも陰湿かつ徹底したものに変わっている。

伊田と瀬川は仮眠を取り合いながら交代で責める事が多いが、二人が揃っていると凶悪だ。
片方に尻穴を犯されつつ、もう片方に口での奉仕を強いられるのだから。
バックスタイルを好む瀬川が肛門を『使っている』時には、伊田が這う格好でのイラマチオを強いる。
正常位を多用する伊田が犯している時には、瀬川がマウントイラマチオを強いる。
そんな事をされては入宮も堪らない。
「んも゛ぉっ、はおお゛ごもぉっ!? ごぉっ、お゛-ーっ、む゛おお゛っ!!! お゛も゛おぉおお゛ーーーーっっ!!!!」
過去のイラマチオと比べても、格別に悲愴なえづき声。それを何度も喉奥から迸らせ、細腕で必死に瀬川達の腰を押し戻そうとする。
しかし現実は無情だ。女子の必死さは、男の力で簡単に封じられてしまう。時には手首を掴み上げられ、時には腰の力だけで、強引にディープスロートが敢行される。
やがて入宮の抵抗が弱まり、腕が相手の腰に添えられるだけになった頃、瀬川達は喉奥から怒張を引きずり出してほくそ笑むのだ。
『見ろよコイツ。また“飛んじまった”ぜ』
その言葉の後でカメラに映る入宮の顔は、白目を剥いているか、泥酔したように精気がないかのどちらかだった。
入宮が必死に瀬川達の腰を押し戻そうとするのは、二所責めが苦しいからじゃない。
アブノーマルなセックスで心身ともに余裕のない中、イラマチオで醜悪な男の匂いを刷り込まれる……それを恐れるせいだ。
皮肉にも彼女自身の失神によって、その危険性が証明されたことになる。
たとえ意識を失っても、入宮がただで休める事はない。意識の朦朧とした彼女に対し、伊田達は肉体改造を施し続ける。
おそらくは肛門を犯されながら眠る一時が、今の入宮にとって最も楽な時間だ。
「んあぁあ……くふあああ、あうふあぁっっ…………!!」
まどろんだ状態で犯される時、入宮の声量はかなり増した。バスケット部の部長として声を張る日々だっただけに、元々声のボリュームが大きいのだろう。
そして嬌声の大きさは、快感の大きさでもある。眠りながら犯される入宮は、『起きている時以上に、簡単に蜜を吐く』らしい。

こういう事もあった。
学校から飛んで帰ってモニターに齧りつくと、畳敷きの空間を映す一台に男女の結合シーンが映っている。
ここのカメラには死角があり、画面に二人いる人間の胸から上は映っていない。それでも脚の形だけで、誰なのかは特定できた。
畳の上に仰向けに寝そべった、鶏ガラのような毛深い脚は瀬川のもの。その上に乗る形で、やはり仰向けになった美脚は入宮のもの。
瀬川の脚は膝を頂点に三角を作るように曲がり、上になった入宮を細かに突き上げる動きを続けていた。
受ける側の入宮は、両膝を纏めて胸の方へ引き寄せたまま、膝下をしっかりと瀬川に掴まれている。
その状態で、二組の脚が前後に揺れるのだ。
瀬川の腰が動くたび、畳から、にちっ、にちっ、と湿った音が立つ。
そしてそれを掻き消すように、荒い息遣いと入宮の嬌声が響いていた。
そう、入宮は声を上げている。あああ、ああああ、と相当な明瞭さで。
確かに今の彼女の体勢は、腹圧が強まってかなりきつい事だろう。しかし、それにしても普段必死に声を抑えようとする彼女らしくない。
「おいおい、さっきせっかくシャワー浴びたばっかだっつぅのに、もう濡れまくりじゃねぇか。俺のケツにまで垂れてきてんぜ。本当にテメェは、この責めに弱ェなあ?」
腰を揺らしながら瀬川が煽る。となれば当然、入宮からは猛反論があるものと思われた。
しかし。
「やめて…………いい加減、出させて。こんなの、お、おかしくなっちゃう…………!!」
入宮から発されたのは、その哀願だった。
顔が映っていないため、表情は解らない。しかし声色を聴くだけで、かなり参っていることが痛いほどに伝わってくる。
出させて。彼女はそう言った。浣腸をされているのか。それとも逆に、浣腸すらされないまま犯されているのか。
俺はその二つを考えたが、後に明らかになる事実は、このおぞましい想像をさらに超えるものだった。
「バカヤロウ、俺らはテメェのクソみてぇなプライドをブチ折りに掛かってんだぜ? 参りそうな責めが判ってて容赦するかよ。
 大体おかしくなるっつっても、テメェの快楽中枢はとうにイカれてんだろうが。
 昨日は何遍気ィ失ったか覚えてっか? しまいにゃあ、伊の字に乳首捻り上げられただけでスゲェ声出しながら気絶しやがって。
 もう普通じゃねぇんだ、テメェは。浅ましい雌豚だよ」
瀬川はそう言いながら、入宮の膝下から手を離した。そのまま数度突き上げれば、入宮の脚は膝を曲げた形でゆっくりと降り、ちょうど瀬川の脚と重なる形となる。
そこで、瀬川の責めが再開された。
脚を密着させたまま、小刻みに、しかし入宮の腰周辺が浮くほど力強く突き上げる。その上で、子宮の辺りを撫で回したり、指先でトントンと叩きはじめる。
この威力は格別だった。すぐに入宮の身体が暴れ始める。
「あああっ、くあああーーっ!! いやっ、これっ、これやめてえっ!! くるっ、すごいきちゃうからぁっ!!」
「何も縛ってる訳じゃねぇんだ、逃げたきゃあそうしても構わねぇぜ。だが本当は、コイツが好きで堪らねぇんだろ?
 ここんとこ毎晩、テメェが寝てる間にしてやってる事だ。テメェ自身は知らねぇだろうが、舌ァ出して涎垂らしながら、何十篇もイキまくるんだぜ」
そう言って瀬川が一際角度をつけて抉ると、あぐうっ、という呻きが迸った。
入宮の脚は瀬川のそれの間で、しきりに暴れていた。快感が耐え難いのか、それとも逃げようと足掻いているのか。
いずれにせよ、逃げ遂せる事はできない。彼女は恐らく腰が抜けている。それを知っているからこそ、瀬川も責めに専念しているのだろう。

一定のペースで丹念に腸奥を突く瀬川。こうした責めは、普通であれば伊田の専売特許だ。
しかし、だからこそ奴らはたまに逆タイプの責めをする。
調教が長引くほど、『奴隷』は誰に抱かれている時にどういう責めがくるかを無意識に覚悟するものだ。
瀬川であれば荒い責め。伊田であれば粘ついた責め。
各々の体臭が鼻をついた時点で、自動的に脳が刷り込まれたパターンを選び、耐えられるようにコンディションを整える。
そこへ来てまったく逆の責めが課せられれば、不意打ちで余すところなく恥辱や快楽を浴びる事となる。
これが効く。
「あぁぁ……あっ、はぁあ、ぁあ……あぁぁあ、あひ、ひ…………くっ、くるっ、きちゃう……っ!!!」
入宮は延々と心地の良さそうな吐息を吐きながら、悔しそうに絶頂に至っていた。僅か20分足らずの間に、6度は大きく達しただろう。
6度目の絶頂後、瀬川は腰を止めた。これで終わり……の筈はない。奴は入宮の太腿を掴み上げて脚を上げさせ、膝下を引きつけて元の姿勢に戻す。
体位は巻き戻っても、入宮の状態は別物だ。
「ああ……あっあっあっ、くああっ!! くぅああああ、ああぅふああっっーーーー!!!」
抑えきれないという様子で叫びながら、脛を強張らせる。その直後、脚の間からぷしゃっと体液が迸った。
「ひひ、すっかり潮吹きが癖になっちまったなぁクソガキ。せっかくだ。今日はこのまま、あと4回は噴かせてやる」
瀬川はそう宣言し、膝下を掴む腕に筋を浮かせた。
いつもの脅しや大言であれば良かった。しかし今日の奴は、それを着実に実現へ近づけていく。
自らの上で脚を上げさせ、腹圧を最大限に高めた状態でのアナルファック。
脚を降ろしてリラックスさせ、子宮を撫で回しながらの緩やかな連続絶頂。
瀬川はこの2パターンを何度も繰り返し、入宮を3度の潮噴きに追い込んだ。
特に3度目……最後の潮吹きは衝撃的だ。
それまでと違って両脚をピンと伸ばし、子宮口付近をトントンと叩かれる中で、入宮の爪が畳を掻き毟る。そして。
「んおおお゛お゛っっ!!!!」
入宮自身が何より嫌う、純粋な快感の呻きが迸る。その直後、黒い茂みの下から大量に液体が噴き出したのだ。
相変わらず首から上はカメラに入っていない。しかし背中の角度を見るだけでも、入宮がすっかり脱力し、瀬川の胸に身を預けている事が見て取れた。
「ひひひっ、すげぇすげぇ。腸の中がぐ脈打つみてぇに動いてやがる。こりゃ相当深くイッたなテメェ」
瀬川はそう言って入宮に小さな呻きを上げさせてから、改めて耳元にこう吹き込んだ。

  ――まだまだ、終わりじゃねぇぞ。

その言葉は事実だ。

互いに水分を補給してから、這う格好の後背位で調教が再開された。
今度はいかにも瀬川らしい、獣欲を剥き出しにしたアナルセックスだ。パンッ、パンッ、パンッ、と肉のぶつかり合う音がハイペースで響き渡る。
「さっきも中がえれぇ事になってたが、こっちはこっちで堪らねぇ。オラ、どうだ気分は?」
瀬川にそう問われても、入宮は前髪を畳につけるほどに項垂れるばかりだ。
「こ、こんなの……お、おかしくなっちゃう。ほ、本当に…………!!」
熱い吐息と共に吐き出すようにして、かろうじてその言葉が紡がれる。普段のよく通る声とはまるで別物だ。
「なれよ。ブッ壊れちまえ」
瀬川は満面の笑みを浮かべながら、片手で入宮の乳房を揉みしだく。その瞬間入宮の背中が震え、とうとう畳へ倒れ込むようになってしまう。
それでもまだ、瀬川は止まらない。倒れこんだ入宮の上にぴったりと重なったまま、尻穴へ上から叩き込む形で腰を振る。
「くうううっ!!」
入宮は歯を食い縛って呻いた。一見すれば口惜しさに歪む顔のようだが、よくよく見れば違うと解る。
彼女の表情筋を歪ませているのは、快感だ。どれだけ抑え込もうとしても留めきれない、溢れんばかりの快感。
「やめて、やめて! こんなのいやっ!!!」
激しく腸奥を穿たれながら、入宮は脚をばたつかせて叫んだ。瀬川はその脚に自分の足を絡ませるようにして封じつつ、徹底的に尻穴を凌辱する。
そこから導かれる未来は一つだ。
「ああぁあ…………ぁあぁあああ…………!! んはっ、はぁああぁあ、ぁぁぁ…………ぁああおおおお゛っ!!!」
組み敷かれた入宮が発する喘ぎは、次第に快感の濃度が増していく。
瀬川がぐりりと奥まった部分で腰を捻れば、入宮の腰も堪らないという様子で震える。
それはやがて、瀬川の動きと連動しなくなっていく。瀬川が腰を打ちつけるペースとは全く関係なく、入宮の腰が激しくうねる。
彼女自身が腰を遣っている――疑う余地もなく。
「おらっ、そろそろいくぜ。全部注ぎ込んでやるからな!!!」
瀬川がそう言いながら激しく腰を打ちつけると、入宮は激しく畳を掻き毟った。
「いやっ、あ、あ……あああおおお゛っっ!!!」
瀬川の野生が伝播したかのような低い呻きと共に、入宮の腰が跳ねる。そして、畳の上に飛沫が飛び散り始めた。
潮吹きだ、小水と見分けがつかないほどの。
その最中、瀬川も絶頂に達しているようだった。流石に奴も体力の限界らしく、汗まみれで声すら出さず、入宮の背筋を凝視しながら腰を震わせている。
長い射精を終えて瀬川が怒張を抜き出すと、後を追うように白濁が零れ落ちた。
そしてその直後、このセックスの真実が転がり出てくる。
玉蒟蒻だ。白濁と粘液に塗れた玉蒟蒻が、瀬川の怒張と同じサイズに開いた肛門から転がり出てくる。
「へへ、すっかりザーメンまみれだ」
瀬川がそう言って肛門に指を入れると、さらに幾つかが零れだした。
合計6つ。6つの玉蒟蒻を腸奥に詰め込んだまま、瀬川の怒張でアナルセックスを強いられていたのだ。
それはどれほどきついことだろう。そして、どれほど腸奥や子宮に対する圧が高まっていた事だろう。
絶頂するのも当然だ。潮を吹くのも無理はない。狂ったとしても……おかしくない。
「どうだ、気分は?」
つぶれた蛙のような格好の入宮を見下ろし、瀬川が満面の笑みで訊ねる。
入宮の口からは、しばらくは荒い息が吐かれるばかりだった。しかし息が整い始めると、入宮の瞳はしっかりと瀬川を睨み据える。
「最低」
その一言で、瀬川の顔が引き攣る。
少し前の奴であれば、その気丈さにほくそ笑む余裕もあっただろう。だが11月も半ば近くまで進んだ今、リミットは着実に迫っている。
肉体開発という目標は達成できても、服従させられなければ調教師の名折れ――連中はそう考えているはずだった。
「クソが……とうに狂ってるくせに強がりやがって。伊の字ッ、いつまで眠りこけてやがる、次ァてめぇの番だぜ!?
 このメスガキは限界寸前だ、キッチリ追い込んで潰してやれや!!」
瀬川は部屋に響き渡る怒声を散らし、マッサージチェアで眠る伊田を現実に呼び戻す。
伊田は一つ欠伸をした後、入宮の惨状を見下ろして目を細めた。



入宮の心は、まだ折れていない。
それでも肉体の方は、すでに後戻りできない領域にまで堕ちきっているようだ。
『自分から腰を振る』
この現象はこれ以降のセックスでも、度々見受けられた。


「あああーーーっ、んはああああーーーっ!!!」

天を仰いだ入宮の絶叫が響きわたる。
ベッドの上で騎乗位の姿勢を取り、伊田から強烈なアナルファックを受けてのことだ。
ぎしっ、ぎしっというスプリングの軋みも相当な音だが、それを入宮の声が完全に掻き消している。
当然、それには理由がある。
入宮はこのセックスが始まるほんの数分前まで、実に7時間以上に及ぶ焦らし責めを受けていたのだ。
壁に下がった手錠で爪先立ちを強制されたまま、クリトリスと陰唇にスライヴを宛がわれ続ける。時に大股を開かされ、時に片方の膝裏を吊り上げられて。
そのまま絶頂続きとなるならばもはや日常の光景だが、絶対に達する事は許されない。
絶頂に至ろうと身が強張るその瞬間、残酷にもスライヴが離されるのだ。
後に残るのは、達する事が出来なかったというもどかしさのみ。
伊田と瀬川は交代しながら、延々とこの焦らしを続けた。初めこそ唇を噛んで耐えていた入宮だが、半端を嫌う彼女にこの責めは辛すぎる。
一時間が経つ頃には、言葉を尽くして伊田達を罵り、ボロボロと大粒の涙さえ零しはじめた。
それでも寸止めが止むことはない。
やがて、瀬川達がいくら股を開かせようとしても、内股で力なく項垂れるばかりとなった頃。満を持して伊田のアナルセックスが始まったのだ。

狂おしいほど快感に飢え、ポルチオが蕩けきった状態でのアナルセックス。
これで声を抑えられるわけがなかった。天を仰ぎ、喉が裂けんばかりの嬌声を上げるのも当然だ。
伊田は入宮の細い腰を鷲掴みにし、瀬川を思わせるような荒々しい突き上げで入宮を追い込んでいく。
相手の弱点を見つけるのが悪魔的に上手いのが伊田だ。傍目には些細に思える突き込みの変化や腰遣いが、入宮当人には致命的なのだろう。
「あぁ、はあぁああっ……はああああ、あ、あ、あ…………くる゛ぅっ……くる、また…………くる゛っ…………!!!」
伊田の胸板に手をつき、180度近い開脚のままスプリングを揺らす入宮。その全身は汗で濡れ光っており、相当な興奮が見て取れる。
しばらくは俯きながら苦しそうに呟いていたが、伊田の突き上げがさらに激しさを増すと、再び天を仰ぎ始めた。
「はっ、はっ、はっ…………ふくっ、んぐぐぅっ…………!! くふっ、あお゛っ、おっ…………んんんんおおおおお゛お゛っっ!!!!」
右手で必死に口を押さえるも、声を殺しきるには至らない。
目を見開くと同時に、彼女が必死に隠したがっている呻きが響き渡る。
「くくくっ、出たぜ出たぜ。学年一番人気の女子高生が、女ァ捨てた声だ。もうまるで隠しきれてねぇじゃねぇか?
 ンな声出しといて人間気取りたぁいかねぇよな。認めろよ、テメェが浅ましい豚だって現実をよ!!」
瀬川の煽りを受け、入宮は必死に声を殺そうとする。しかし、出来ない。
「ああううおお゛っ、おはあぅう……あああおお゛っっ!!!」
乳房を上下に揺らし、スプリングを軋ませながら、入宮は悶え狂う。伊田のたるんだ腹部と接する茂みから、潮が吹き散らされる。
しかし、どこか変だ。
そうした入宮の乱れように比べ、伊田が静か過ぎる。入宮の太腿の下に手を添えたまま…………動きを、止めている。
つまり今の入宮は、伊田に犯されて乱れているわけではない。快感のあまり前後不覚になり、彼女自身が腰を振り続けて快感を貪っているだけだ。
俺はモニター前で拳を握りしめた。テレパシーでも何でもいい、入宮に事実を伝えたかった。
しかし、それは叶わない。
「いつまで、そうしているつもりだ?」
入宮に現実を知らしめるのは、冷ややかな伊田の一言。それを耳にして、入宮が目を見開く。
そして陶然とした瞳で、自らの身体を見下ろした。静止した伊田の腰。今の今までベッドのスプリングを軋ませていたのは、伊田ではない。入宮自身だ。
「健気なことだ。私に快感を与えるために、そうまで腰を振りたくるとは」
伊田の一言で、入宮の顔が歪む。
「いやあああああっ!!!!」
入宮は顔を覆って叫んだ。プライドの高い彼女には、到底受け入れがたい現実だろう。
そうして泣き崩れる入宮を、調教師2人はただ放ってはおかない。
入宮の髪を掴んで強引にベッドに這わせ、伊田が背後から挿入し、瀬川が怒張を咥えさせる。
ドギースタイル。犬が交尾する格好で奉仕を強い、自らが雌犬であると刷り込む気だ。限界の限界でこれをやられれば、『奴隷』は折れる。
「やめろ、やめてくれ!!」
誰も聞く者のいない空間で、俺は虚しく叫んだ。
今まで何年も地下を監視してきた身だけに、肌で解る。モニターに映っている女性は、もう限界だ。
瀬川達に計算づくで性感を開発され、羞恥に晒され、犯され抜いた。その上で自分の身体が心を裏切ったという事実を突きつけられて、耐えられた例はない――。

「 ………… やく …………そ、く ………… 」

頭を抱える俺の耳元に、か細い声が届く。
モニターを見れば、瀬川の怒張を吐き出した入宮が、唾液を溢しながら唇を動かしていた。

「約束…………こんなんじゃ、折れない…………………」

彼女は確かにそう告げた。途切れ途切れの言葉に、虚ろな瞳。だが、意味ははっきりと伝わってくる。
「ンだこいつ、まだ頑張る気かよ!? クソッ、もっと激しくすんぞ!!」
瀬川は激昂し、入宮の喉奥まで剛直を咥え込ませる。伊田もまた、尻肉を両側から押さえ込みながら挿入を深める。
それでも、入宮は耐え続けた。モニターの中で、いつまでも。

悪夢のような11月が終わりに差し掛かる頃、俺は板間さんから電話を受けた。
吉報か、凶報か。そのどちらとも言い難い。
入宮のオークションの日程が決まった。12月7日の夜。
その日が調教のリミットだ。そして、入宮が決定的に遠いところに行ってしまう日でもある。

この情報を聞いて以来、調教師2人はいよいよ躍起になって入宮を責め立てた。
特に瀬川は、『奴隷』に嘗められたまま逃げられるという事実が耐え難いらしく、陰湿な責めを繰り返した。
イラマチオで何度も吐かせた挙句に、小便を飲ませたり。木枷で首と手の動きを封じた上で、強制的にアナルを嘗めさせたり。
それでも入宮は最後まで、瞳に炎を宿したままで悪態をついてみせた。
伊田と瀬川の手では堕ちない。それを、見事に達成したんだ。

12月7日。俺は学校帰りに、生まれて初めての花束を買った。
かなり財布に厳しかったが、豪華で可愛い花ばかりを選んでもらった。
今までの労いと、新たな旅立ちの祝福。少々恥ずかしいが、それを伝えるために。
だが。
家に帰ったとき、すでに地下には誰もいなかった。
入宮の姿がない。伊田も、瀬川すらいない。
何故だ。何故いない。瀬川達が自棄を起こして、入宮をどこかに連れ去ったのか?
動転する気をかろうじて落ち着かせ、板間さんに連絡する。
何度掛けても不通だったが、4度目でようやく繋がる。
「急な話だったんでな、伝える暇がなかった。前にチラッと話したろ、買い手の最右翼、中国のお大尽がいるってよ。奴さんが気まぐれを起こしてな、深夜まで待てん、夕方から始めろなんて言い出しやがった。おかげでこっちゃあてんてこ舞いだ。伊田と瀬川にゃもう伝えてこっち向かわせてるが、ったく参るぜ。得意客だから無碍にもできねぇしよ。
 ……っと、愚痴になって悪ぃな。ともかく、お前の仕事はひと段落だ。金はいつもん所に振り込んどく。世話かけたな」
それだけを捲し立て、板間さんは電話を切った。

携帯を片手に、俺はただ呆然と立ち尽くす。
確かに今日、入宮と別れる事は覚悟していた。でもまさか、一言も交わせずになんて。最後に彼女の姿を眼に焼き付ける暇もないなんて。
せっかく入宮が楽しみにしてくれていた花束を、渡せず仕舞いだなんて。

がらんとした家の中のどこを見ても、虚しさしかない。
俺と朝飯を食っていた頃、入宮が使っていた箸に茶碗、湯飲み。
リビングの端に折り畳んで置かれている、入宮の制服とユニフォーム。
無人の空間だけを映すモニター。
そして地下の随所に生々しく残る、彼女の残滓。
そのどれもが過去のものだ。
もう二度と、彼女を見ることはないのか。俺は変色した畳に膝をつき、拳を握りしめながら嘆いた。

俺には知る由もなかった。
俺のこの考えが後に、想定外の形で否定されるなどとは――。



                                 続く


幕を引くのは(中編)

※前回前後編に分けると約束したな。アレは嘘だ
 アナル・スカトロ・NTR要素にご注意下さい




五時半ごろ、外で時間を潰していた伊田と瀬川が屋敷に戻ってきた。
乱暴に玄関の戸を開けて上がりこみ、勝手にテレビを点けた上で煙草をふかし始める。
完全に自分の家気取りだ。
「これから地下の清掃に入りますから、調教再開は6時からでお願いします」
俺がそう声を掛けても返事はなかった。伊田はソファで欠伸交じりに背中を掻き、瀬川はリビングのガラステーブルに足を乗せたままだ。
男と話すつもりがないのか、それともガキと思って舐めているのか。
調教師という人種には7人ほど出会ったが、ここまで傍若無人な連中は他にいない。

俺は苛立ち混じりに地下へ下り、扉を開け放った。途端に、むっとする匂いが漏れ出してくる。
しとどな汗に、愛液、精液……それらを分泌した中にどれだけの美少女がいたとしても、饐えた臭いが緩和される事はない。アイドルだろうが令嬢だろうが、臭いものはやはり臭い。この仕事を続けていると、その事実を痛感する。

手探りで電気を点けると、散らかった部屋の中が一望できた。
入口にほど近い場所にあるベッドは、シーツが見事なほどに乱れている。
一番皺がひどいのは中央左側。そこだけは乱れるどころか、シーツが握られた形のままで隆起している。
イラマチオを受けた入宮が、その未曾有の苦しみに耐えるべく必死で掴んでいた場所だ。
その場所から少し下部に視線を移すと、広範囲にシーツのごわつきが“見て取れた”。体液が染み込んだまま固まった時の特徴だ。毎日ベッドメイクをやっていると、シーツの色合いだけで触感が判ってしまう。
ごわつきの周りには色々な道具が散らばっていた。
ローションボトルに、ローター、3種類の太さのアナルディルドウ、ビー玉大のものが数珠繋ぎとなったアナルパール。
あの畜生共は、意識を失った入宮の初々しい肛門に、こんな物まで使ったのか。
そう思いながらよく見れば、アナルパールの先にはかすかに黄色い汚れが付着している。ベッドシーツを注視すれば、そこにも薄茶色いシミがある。執拗に肛門責めをされ過ぎて、宿便でも漏れたのだろうか。
入宮自身が気付いていなければいいが。そう考えた直後に、そんなはずはないと思い直す。
彼女は起きてすぐに、自分の状態に気付いただろう。
伊田の肩に担ぎ上げられていた右脚を下ろし、肛門へ入り込んだディルドウを抜き出した後で、ベッドの惨状を必ず見たはずだ。
その時の彼女の心境はどんなものだったろう。そして連中は、どこまで辱めれば気が済むんだ。
俺は怒りに任せて一気にシーツを取り替えた。

ベッドの上が整えば、次はその周りだ。
ベッド脇……昨日入宮が洋物AVさながらのイラマチオを受けていた場所を覗くと、やはりここも汚れていた。
床の上に、夥しい精液が広がったまま乾いている。そしてそれより一層下に、やはり乾燥した黄色い物が見える。
吐瀉物だ。それに気付いた瞬間、また胸が締め付けられる。
モニター内の映像では必死に耐えていたように見えたが、やはり入宮は相当吐いてしまっていたらしい。
それはそうだ、あんな目茶苦茶をやられて耐え切れるわけがない。
じゃあ、何だ。昨日見たイラマチオの終盤、剛直の抜き差しされる中で入宮の髪から垂れていた光る液体は、ほとんどが吐瀉物だったのか。
何とか耐えている。俺がそんな間の抜けた判断をしていたまさにその最中、入宮は地獄の苦しみの中で何度も嘔吐していたのか。すると、あの時瀬川が必死に嘔吐させようとあの手この手を使っていた、という推測もまるで見当違いということになる。
恐らくは、ベッドの脇から頭を垂らさせるようなイラマチオに移行してから程なくして、入宮は陥落……つまり『吐いた』。
しかし、その瞬間に勝ち誇った表情を浮かべたであろう瀬川の変化を、カメラの角度的にか俺の不注意からか見落としてしまい、かろうじて勝負が続いているなどという空想をしていた事になる。
どこまで愚かなんだ、俺は。



畳敷きのエリアからも道具を回収し、洗い場で洗浄していく。
調教師には、自らの使う道具は手入れも絶対に自分でやるという拘りを持つ人間も多いが、その点でも伊田と瀬川は異端だ。
仕事道具をローションや汚物に塗れさせたまま、平然と放置する。その消毒や洗浄、手入れを行うのはすべて俺だった。
すっかり慣れたはずの作業に、今日はやたらと動揺してしまう。
これが今朝まで、入宮の肛門に入り込んでいたんだ。
これが昨日、入宮の膣を拡げていたんだ。
道具を手に取るたびにそんな事を考えては、頭を振って邪な考えを振り払う。
偽善でもいい。初恋の相手だけは、能動的に穢すことはしたくなかった。

地下牢を出てリビングに向かうにつれ、何かの音が聴こえ始める。
ぬちゃっ、にちゃっ。そういう粘った水音のようなものだ。
歩みを速めながら飛び込むようにしてリビングを覗けば、昨日とよく似た光景が繰り広げられていた。
ソファに腰掛けた制服姿の入宮が、醜悪な男二人に纏いつかれている。
ただし昨日とは逆で、瀬川は上半身、伊田は下半身だ。
違っている場所は他にもある。例えば昨日夏服だった入宮が今日は冬服であること。
校則通りリボンまで着けた固い格好だけに、シャツをたくし上げて乳房を揉まれる、という状況が昨日以上に背徳的だった。
下半身の状況もやや異なる。
昨日は大きく脚を開いたまま、ショーツの中に指を潜り込ませる責めだった。
それが今日は、開脚の度合いこそ同じでありながら、ショーツが左腿に絡みつくようにして垂れている。
そして完全に曝け出された秘部には、容赦なく伊田の5本指が入り込んでいた。
小指と薬指を肛門に潜り込ませ、中指と人差し指で膣の浅い部分を捉え、親指を陰核に宛がっての三所責め。
瀬川が舌での嬲りにおいて抜きん出ているように、、伊田もまた細やかな指遣いに長けた調教師だ。
10分か、20分か。たかだかその程度の責めで、入宮はもう濡れていることが音で判った。
伊田の中指と薬指が膣内をかき回すたび、チュクッチュクッチュクッチュクッと、ひどく水気のある音が立つ。
ひょっとして、もう何度か潮を噴いているのでは。そう思えるほどの水っぽさだ。

下半身がそれだけの状態にも関わらず、喘ぎは一切聴こえない。理由は入宮の顔を見ればわかる。
「くひひっ。これで2日目だが、相変わらず現役女子高生のおクチは甘くてうんめぇなあ?
 高校で他の女子高生の股ぐら通った空気を腹いっぱい吸って、未熟なガキ特有の甘さが戻った感じだぜ」
吐き気を催すような言葉と共に、瀬川は延々と入宮の口を貪っていた。唾液まみれ、涎まみれで。本当に獣のような男だ。
その獣に執拗なキスを強いられる入宮は、まともに息ができていないように見えた。
伊田の指でまた絶頂させられたのか、細い身体がびくりと痙攣する。だが声は聴こえない。ちゅうー、ちゅるっ、という貪りの音に塗り潰されている。
入宮がかろうじて酸素を吸えるのは、瀬川自身も息継ぎをする数秒のみ。
2,3秒というごく短い間だけ、はぁーっはーあと湯気がでそうなほどに熱い喘ぎを発し、またすぐに唇を塞がれる。
「んんっ、いや…………ってばっ…………!!」
入宮は、口づけに明らかな抵抗を示していた。瀬川と唇が触れ合おうとする瞬間、大きく頭を振って阻止を試みる。
だが、抵抗を続けるには相応の体力が必要だ。そして今の彼女に、それはもう残っていないらしい。
「…………は、はっ………ぁ、はぁっ…………」
苦しげな喘ぎの中で、ある時ついに否定の首振りが止まる。その瞬間、瀬川がすかさず唇を奪う。
呼吸を遮られた直後だけは、むぐぅーっという声が上がるものの、その声すらもやがて瀬川の口で封じられてしまう。

汚辱と快感。伊田と瀬川は、それを徹底的に入宮に刷り込むつもりのようだった。
普段は地下という隔離空間でのみ行われる調教が、入宮に限っては日常空間であるリビングから始まる。
それは彼女の反抗心が強いことの証明なのだろうか。あの伊田と瀬川がスタイルを変えざるを得ないほどの難敵という事だろうか。
どうかそうであってほしい。彼女だけは最後まで、彼女のままでいてほしい。思わずそう願ってしまう。
それが虚しい願いである事は、奴らの調教を見続けてきた俺が、一番解っているはずなのに。



ヤクザという人種は、獲物についたほんの小さな傷口に吸い付き、肉を食い破りながら生血を吸い尽くすヒルのような生物だ。
だとすれば、女の調教こそまさに最もヤクザらしい所業といえるだろう。
奴らは相手の弱い責めを見つければ、それだけを執拗に繰り返す。親父がすぐに飽きると言っていたのはまさにこの事だ。
AVならば長くても数十分で責めが切り替わるが、ヤクザの調教では女が音を上げやすい責めを、何時間でも、何日でも繰り返す事がままある。
3時に見ても5時に見ても10時に見ても同じ光景が続いていたら、監視も嫌になるというものだ。
入宮への調教にも、やはりその兆候が見える。

丸裸に剥かれた入宮にまず施されたのは、瀬川によるアナル舐めだ。
主に電極責めを行うための特殊なマッサージチェアに深く掛け、命じられるままMの字に脚を開く入宮。
するとその足元に瀬川が跪き、肛門を両の親指で開く。
「んっ! …………まさかまた、お尻舐めるの? 可笑しい。これじゃまるで、あんたの方が奴隷みたい」
入宮は瀬川を睨み下ろして強がるが、瀬川の薄ら笑みは消えない。
「ほぉ、この俺を奴隷扱いたぁ言うじゃねぇか。うし、なら一つ下克上ゴッコとしゃれ込もうぜ。
 俺が奴隷なら、テメェは女王だ。まさか女王様ともあろうお方が、奴隷に尻の穴舐められて感じるなんて事ァねぇよなぁ。
 昨日と同じくグイグイ行くぜ。しっかり声抑えろや、女王様?」
そう前置きしつつ、瀬川は桜色の肛門にむしゃぶりつく。
「…………っ!!」
入宮は怨みのこもった視線で瀬川を睨みつつ、唇を引き結んで耐え始めた。

アナル舐めという責めは、効果はともかく見た目の変化に乏しい。
モニター越しに目を凝らせば様々な情報が存在するものの、固唾を呑んで見守るようなものではない。
そしてその変化の乏しい映像は、瀬川の性格からしてあと数十分は続くはずだ。
俺はそう判断してモニターを離れ、屋敷の管理人としての仕事に取り掛かる。
まずは洗い物だ。
地下室の清掃の際に回収した洗濯籠を持って、洗い場へ。
洗濯籠には入宮と男二人の脱いだ服が入っている。何を置いてもまずは、入宮と男二人の服を分けていく。
間違っても女の子の服を、野生動物のような匂いを放つ連中の物と一緒に洗うわけにはいかない。
夏用制服の上下と、靴下、Tシャツ…………そして、ショーツ。
赤いレース柄の入った、桜色の下着。間違いなく昨日入宮が穿いていたものだ。
鼓動が早まる。クリトリスを嬲られた事で散々愛液に塗れ、肌色を透けさせていた光景が脳裏に浮かぶ。
恐る恐る裏返してみると、やはりクロッチ部分に白くパリパリとした物がこびり付いていた。
乾いた愛液だろう。中学の頃には寝ても覚めても想い続けていた彼女の、愛液。

 どんな匂いがするんだろう。

ショーツを握りしめたまま、生唾を呑み込む。手が震え、鼻先にクロッチ部分を近づけようと動く。
「…………やめろッッ!!」
しかし、すんでのところで床を殴りつけて耐えた。いくら思春期の衝動とはいえ、これじゃ伊田と瀬川を笑えない。
俺は洗面所で顔を洗い、頭を切り替えて黙々と洗濯を進めた。一段落して時計を見ると、まだ20分しか経っていない。
あれから20分。地下では今、何が行われているんだろう。さすがにまだアナル舐めの最中か。
入宮は今も肛門を舐めしゃぶられ、その汚辱にじっと耐えている事だろう。
そう考えながら親父の部屋のドアに手を掛けた、その瞬間。

『だらしねぇなあ女王様よ。声が出まくってんじゃねぇか』

瀬川の下卑た声が聴こえてくる。俺は思わず硬直した。
馬鹿な。まだ、たったの20分だ。いくら瀬川のアナル舐めが巧みでも、あの我慢強い入宮がこんなに早く声を漏らす筈がない。
そう自分に言い聞かせながら、俺は部屋の扉を開く。
喘ぎが、耳に飛び込んできた。
あっ、ああっ、という女の声。この屋敷に女は入宮一人。ゆえにその声は、入宮以外のものではありえない。

映像に目をやると、その推理は強烈に裏付けられた。
入宮の引き締まった太腿を浅黒い手が掴み、その合間に顔が埋められている。
顔がかすかに蠢く間、入宮は歯を食い縛って耐えていた。日常的に筋トレをする人間特有の、強く我慢ができそうな歯の噛み方だ。
だが、足の合間の顔が『舌を捻じ込む』動きを見せた途端、閉じ合わされた白い歯は簡単に開いてしまう。
「あぁあ…………ああああぁ………………!!」
喘ぐ時の入宮の顔は悔しそうだ。だがその声色は、“たまらない”という本音を訴えていた。
それからさらに10分程が経った頃、ようやく瀬川は肛門から口を離す。
「今日のアナルの味も最高だったぜ、嬢ちゃんよ。おまけに昨日より充血が早ぇし、ヒクつきもすげぇ。すっかり俺の舌に慣れちまったみてぇだな」
瀬川は言葉責めを交えながら、両の親指で肛門を左右に押し開く。
唾液でぬらぬらと濡れ光り、かすかに口を開いた肛門が楕円形に伸びていく。確かに昨日よりも伸びがいい。
入宮はぐったりとしていた。
ようやくアナル舐めから開放され、椅子に後頭部を預けてはぁはぁと喘いでいる。白い喉が妙に色っぽい。
情のある人間ならそれを見て小休止を取る所だが、歪みきったサディストである瀬川達は逆に燃え上がったようだ。
「さて。前戯はここまでだ」
瀬川はそう言って立ち上がった。
「ぜん、ぎ…………?」
瀬川の言葉を繰り返す入宮の声には、信じられない、という色が見える。
入宮は今のアナル舐めで、何度も達したんだろう。だから息を荒げている。それを前戯と断じられては、狼狽するのも当然だ。
「そうだ。瀬川の舌ばかりではつまらんだろう。これからは、こういう道具で楽しませてやる」
伊田はそう言って入宮の注意を引きつつ、鞄から道具を取り出しては床に並べていく。
長さ、太さ、材質、凹凸のそれぞれ異なる、計32種類のアナルディルドウ。
使い込まれて黒いゴム部分が波打つようなアナルバルーン。
鳥のクチバシに似た銀色の肛門鏡。
大小様々な玉が数珠繋ぎになったアナルパール。
卵形、あるいは細長い楕円形のカラフルなローター。
スライヴと呼ばれる強力な電気マッサージ器。
さらにはボールギャグにスパイダーギャグ、ノーズフック、ラバーマスクに、アームバインダー。
「……………………っ!!!!」
責め具の数が増えるにつれ、入宮の表情は青ざめていく。スポーツ一筋に生きてきた彼女からすれば、初めて見る物ばかりだろう。
伊田はくっくっと笑った。
「そう固くなるな、何もこの全てを使おうという訳ではない。今のおまえのアヌスには、到底入らんだろうからな。
 だが、近い将来には迎え入れる事になる道具達だ。顔見せしておいて損はあるまい」
そう言いながら、伊田は黒いベルト状のものを拾い上げる。
手足を固定する為の、拘束帯と呼ばれる道具だ。
「さて。これから本格的な調教に入るわけだが、その前にこれで、太腿から下を固定させて貰おうか。
 これからやる調教は少々刺激が強くてな。大抵の奴隷が暴れるのだ」
伊田はわざとらしく言い聞かせながら、瀬川と入れ替わる形で入宮の足元に屈みこむ。
そしてさも愛おしそうに桜色の太腿を撫ぜてから、拘束帯を巻きに掛かった。
「……今まで一体何人の子を、こうやって辱めてきたの? 相当恨み買ってるよ、あんた達。もう地獄にも行けないんじゃない?」
入宮の渾身の毒舌を受けてもなお、伊田の笑みは消えない。
「なるほど。確かに私達の末路としては、地獄ですら生ぬるいな。何しろ私達は、地獄の先を知りすぎた。
 おまえにも教えてやる。自我の崩壊や、脳を焼き切る快楽……そういった苦しみの果てに辿り着く『恭順』こそ、女にとっての至福だと」
もはや宗教じみた持論を述べつつ、伊田の手は手際よく拘束を進めていく。
膝を折った状態で腿と脹脛を密着させ、腿の半ば辺りをぐるりと帯で巻いてからベルトで締める。まずは右脚、次に左脚。
さらにそれらの帯と鎖で繋がった手枷を入宮の両手首に嵌めれば、拘束の完成だ。
「くくっ。いいカッコだなぁおい、まるで潰れたカエルだぜ。マンコもケツの穴も丸見えで惨めこの上ねぇ。
 このザマをテメェの知り合いにも見せてぇもんだな。お前が振った男やら、バスケ部の可愛い後輩やらによォ」
瀬川の悪意をたっぷり込めた言葉責めに、入宮の表情が険しくなる。
「さて。では、楽しませて貰うとするか」
そう言ってアナルディルドウを拾い上げる伊田の顔には、対照的に満面の笑みが浮かんでいた。

このまま、映像を見続けていいのか。俺は迷った。
あの入宮が裸を晒し、禁忌である肛門性感を目覚めさせられていく。
それに興奮するのは事実だ。実際昨日はモニターの映像を見守りながら、痛いぐらいに勃起していた。
だが、同時に胸が苦しい。伊田と瀬川に初恋の相手が堕とされていくのを見るのはつらい。
俺はその葛藤と戦った。だが、結局は悩むまでもない。
たとえ映像を見なくても、彼女はいま何をされているんだろうと常に考えてしまう。ならばいっそ、事実を把握できたほうがマシだった。

「どうだ、この味は。覚えているか? 昨日の晩、眠りこけるおまえにたっぷりと御馳走してやったのだがな」
桜色の肛門にアナルディルドウを抜き差ししつつ、伊田が囁く。
直径は俺の中指より少し太く、螺旋型にソフトシリコンの溝が彫られている。
菊輪を刺激する事を目的とするなら、かなり効果的と思える一本だ。
「やっぱり。退屈で、このまま寝ちゃいそう」
入宮は冷たい目で伊田を見下ろして挑発する。
強がりであることは明らかだ。ディルドウが挿入され、引き抜かれるたびに、腰がぴくりと反応する。
加えて彼女は今、アナル責めと同時にクリトリスにローターを宛がわれてもいた。
陰核と肛門の同時責め。これは本格的にアナル調教を始めた時、伊田がいつも使う手だ。
複数箇所から同時に快楽を受けると、脳内の処理が追いつかず、一箇所のみを責めるよりも明らかに堕ちが早いらしい。
となれば入宮も、言葉通り平然としていられる筈がなかった。

「なるほど、このサイズはもう余裕か。ではお言葉に甘えて、もう一段階進めさせてもらうとしよう」
伊田はほくそ笑みながらアナルディルドウを床に置き、その近くの一本を拾い上げる。
アナルパール……昨日ベッドで使われていたビー玉大の物よりも、さらに一回り太さのある代物だ。
「どうだ、この太さは。次はコイツをくれてやろう」
伊田は責め具を入宮に見せつけながら、たっぷりとローションを垂らしていく。そして入宮の尻肉を掴み、先端を肛門に宛がう。
先ほどの責めでローションの入り込んでいる肛門が、ひくりと反応した。
「…………っ!!」
ずぐり、とアナルパールが入りこんだ瞬間、入宮は顔を横向け、歯を食い縛って声を堪えていた。
「ほう、悠々と入るな。もっと肛門を締めろ。……もっとだ!」
伊田は低い声で命じ、尻肉を平手で打ち据えながらさらに命じる。
桜色の肛門はきゅ、きゅっと窄まり、アナルパールの玉へやや膨らんだ菊輪が吸い付く状態になった。
その瞬間、アナルパールが一気に引き抜かれる。
「っっ!!」
入宮は一瞬口を開きかけたが、すぐに歯を噛みあわせて持ち直した。
「ふむ、流石に我慢強いな」
伊田が感心したように言う。だが、それも最初に限った話だ。二度目にアナルパールが潜り込んだ時には、陰核責めも再開された。
「では、抜くぞ」
そう宣告された時点で、入宮は耐える準備を整えただろう。だがその瞬間、ローターに陰核を舐められて守りが崩れる。
その最中にアナルパールの引き抜きを受ければ、声は抑えきれない。
「ああああ…………っ!!!」
瀬川に舌入れをされた時と同じ……あるいはそれ以上に甘たるい声が吐き出される。
自分の出した声に気付いたのだろう。すぐに入宮ははっとした表情で口を閉じるが、すでに遅い。
「良ーい声だ。血の巡りがいいせいか、おまえは本当にアヌスの感度がいい。だからこそ、人並み以上に感じるだろう。
 普通であればせいぜい数ヶ月に一度しか得られん快便の感覚……今のはそれだ。
 まずはその感覚を、徹底的に身体に覚えこませてやる。今日も、明日も、その次もだ」
その言葉と共に、肉厚な手がアナルパールの柄を握り直した。



改めて観れば、伊田の責めは実に巧みだ。
一見するとただ陰核にローターを這わせているだけだが、ローターを押し付ける強さや角度を微妙に変え、刺激に慣れることなく絶頂に追い込んでいく。
そしてまさに陰核で絶頂を迎えるというその瞬間、アナルパールを引きずり出す。
こういう玄人技を使われては、性的に未熟な人間は耐えられない。
「あああっ……!!」
何十回と抜き差しを経た今でも入宮から声が上がるのは、そういう理屈からだろう。
「色々と奴隷を調教してきたが、おまえほど思惑通りに絶頂する豚は初めてだ。口の減らない娘らしからぬ、素直なカラダだ」
伊田はそう言いながら、右手でゆっくりとアナルパールを引き抜いていく。
左手にはローションボトルを握っているのだから、本来であればローションを追加して責めを続行するつもりだったのだろう。
だが、アナルパールが完全に穴から抜け出た瞬間、伊田が動きを止める。
「…………おや」
奴はそう言って、ゆっくりとアナルパールを掲げてみせた。入宮の視界へ入るように。
「何か付いているな。何だこれは?」
入宮の顔がゆっくりと起き上がり、伊田の手を見やる。そして、大きく眼を見開いた。
「あっ!!」
彼女の澄んだ虹彩は、はっきりと映し出した事だろう。銀色をしたアナルパールの先端に、汚物が纏いついている事に。
「昨日あれだけ洗浄してやったというのに……下品な豚だ」
「…………っ!! あ、当たり前でしょ。あ、あんた達が弄くってるのは、そ、そういう、場所なんだから。
 あたしは最初っから、そんな所やだって言った。それを無理矢理したのは…………!!」
伊田の詰りに、入宮は泣くような震え声で返す。だがそうして弱みを見せたが最後、調教師はさらに攻め込んでくる。

「しゃあねぇ。なら、改めて綺麗にするしかねぇな」
映像の端に、瀬川の鶏ガラの様な足が映る。その足がさらに一歩進めば、奴の手にした物も映りこんだ。
洗面器、ガラス瓶、そして浣腸器。
奴は洗面器を入宮の座る椅子の傍に置き、怯えるような視線に見守られながらガラス瓶の蓋を開ける。
「ほう、いきなり酢か」
伊田が鼻をヒクつかせて言う。
酢浣腸。その言葉に、思わず冷や汗が出る。過去の調教映像でも、何度もそれを目にした事がある。
「お、お酢……? そ、そんなのお尻に入れるなんて、頭おかしいんじゃないのあんた!!」
入宮は不甲斐ない後輩を叱咤する時以上の声量で怒鳴る。
だが椅子に深く腰掛けたまま、大股開きで腿を拘束された女子高生が何を叫ぼうが、大の男の脅威にはなりえない。ただ、玩具にしか。
「ああ、うるせぇうるせぇ。その声量、後に取っとけや。どうせクソ生意気なテメェも、こいつにゃびーびー泣き喚くんだからよ」
洗面器に張られた酢の中で、浣腸器の空気を追い出しながら瀬川が言う。
「え……?」
入宮の顔が強張った。

「酢ってなぁ、昨日のグリセリンとはまた違う刺激なのよ。入れたその瞬間からカーッと来る類でな、中々我慢ができねぇ。2週間グリセリンに慣らしたガキでも、こいつをぶち込んだ瞬間から騒ぎ出して、こんなの我慢ができませんってボロボロ涙を溢したもんだ。
 負債持ちのテメェにゃ、いきなりコイツで泣いて貰うぜ。なーに3.5倍に薄めてやってんだ、腸は荒れねぇよ。
 今のテメェじゃ、死ぬほど辛ぇがな」
瀬川は浣腸器を引き上げ、雫を垂らしながら桜色の肛門に宛がった。
「つめたっ……!」
ガラスで出来た浣腸器の先端が入り込んだ瞬間、入宮が小さく呻く。
「ひひ、冷たいのはこっからよ。おら」
瀬川は浣腸器の尻部分を押し込むと、シリンダーに詰まった黄色い液体が肛門の中に追いやられていく。
「あ……ぁ、はあ、ぐうっ!!!」
酢が腸を灼くのか、入宮から小さな呻きが漏れる。
瀬川はそれを楽しみつつ、じっくりと時間を掛けて一本目を空にし、再び洗面器の中身を吸い上げ始めた。
「さぁ、2杯目だ。酢は体にいいからなぁ。育ち盛りのスポーツ少女にゃあ、たーっぷりと飲ませてやんねぇとな」
そう言って注入する瀬川を、入宮はなおも睨み据えている。早くも額に汗を掻きながら。
「なに、教育者気取り? だったら馬鹿丸出し。嫌がってる相手に無理矢理飲ませるのは、虐待っていうんだよ」
入宮の嫌味も、妙なスイッチの入った瀬川には通じない。
「いいや、躾さ。テメェは俺に躾けられるんだ。下さい下さいっつってシッポ振るような忠犬にな」
さらに3本目を注入した後、床からアナルプラグを摘み上げて肛門へとねじり込む。
「はぐう゛っ!!」
浣腸のつらさか、腸内の圧か、それともプラグの太さゆえか。入宮からかなり低い呻きが漏れた。
伊田と瀬川がゆっくりと立ち上がり、惨めな姿となった入宮を見下ろす。
入宮は睨み上げようとするが、その瞬間に下腹が切なく鳴り、固く目を瞑りながら歯を食い縛る。
「さて、我慢強さを見せてもらおうか豚。いや、今日のテメェは女王気取りだったな。
 早くも脂汗塗れだが……日に二度も無様を晒すなよ、女王様?」
瀬川はそう言いながら、余裕たっぷりに腕を組んだ。



「どうした、いつ出しても構わんぞ。そのためにビニールシートを敷いているんだからな」
伊田が、入宮の陰核にローターを宛がいながら囁いた。
「ふぐっ……ぐっ、くふっぅ…………ッく…………!!」
入宮は顔中にじっとりと脂汗を掻きながら、歯を食い縛って耐えていた。
その腹部からは、腹を下した時特有の、遠雷のような音が絶え間なく続いている。
しかしどれだけ暴れたくとも、拘束帯でがっちりと両腿を固めていては姿勢を変える事ができない。
伊田はそうした入宮の苦悶を楽しみながら、なおも陰核をローターで舐め続けていた。
伊田だけではない。瀬川もまた醜悪な笑みを浮かべながら、入念な乳房責めを繰り返している。
屹立しきった乳首が挟み潰される様には、今にも母乳が噴出しそうな程のインパクトがあった。
「あうぐぅううっ…………!!」
気持ちいいのに苦しい。もう我慢ができない。そういう本音を眉とへの字の唇に表しながら、入宮は身を震わせる。
狂ったようにひくつく肛門のアナルプラグは、昨日のバルーン栓と違ってひり出せない代物ではない。
むしろ入宮が我慢を諦めれば、今すぐにでも弾け飛ぶだろう。
その栓としての頼りなさは、プラグの周囲から次々と汚液が吹きだし、入宮の理想的な尻肉の合間を伝っていく事実から見て取れる。
ぐぉるるるる、とまた一際大きな腹の鳴りが響き渡った。
「へへへ、またすげぇ音させてやがる、完全に下痢便だぜこの音ァ。……にしても、不思議なもんだよなぁ。
 汗まみれとはいえまだまだ清楚って感じのテメェが、その薄皮一枚下じゃあ、下痢便に腸をかき回されてんだからよ!」
瀬川が詰りながら乳首を捻り上げた瞬間、入宮の細身がガクガクと痙攣する。
そしてその痙攣は、直前までと違い、しばらくすれば収まるものではなかった。
「……お…………おね、がい……もう、我慢できなっ…………とっトイレに、トイレにいかせてっっ!!」
細目を開き、入宮がついに懇願を口にする。浣腸から10分あまり、本当に限界なんだろう。
だが伊田と瀬川は、あくまで嘲笑混じりに見下ろすだけだ。
「駄目だ。そのままここで、惨めったらしく排便しろ」
どうあっても公然での排泄を強いるつもりらしい。調教主の意向には逆らえない、それを身に染みて理解させるためだろう。
目の前で排尿と排便を繰り返させる。下劣極まりない行為だが、実際、人間のプライドを折るという意味ではこの上なく効果的だ。

去年の今頃に伊田と瀬川が陥落させた『奴隷』は、ヤクザ6人を半殺しにして調教を受ける羽目になったレディースだった。
狂っているのかと思えるほど気が強く、常に大声で恫喝していて、伊田の丸一日かけたGスポット責めで都合70回以上潮を噴いても、
まだしゃがれ声で悪態をつき続けているような有様だった。
さすがに伊田達もその声量に辟易し、途中からは常にボールギャグを噛まされていたものだ。
その彼女を壊したのも、強制排泄だった。入宮が今座っている椅子に前後逆で縛り付けられ、突き出した肛門に様々な浣腸が施された。
イチジクを100本用いたり、、イルリガートルでゆっくりと3リットルを注いだり、、洗面器に作った薬液をエネマシリンジで送り込んだり、
浣腸器でコーヒーを、牛乳を、トマトジュースを注ぎ込んだり……。
多種多様な浣腸が繰り返されたが、一点だけ共通する事があった。排便するその瞬間には、必ず肛門に指が入っていたことだ。
まるで摘便のように、指で肛門内を蹂躙されながら便を排出する。
これを何時間か続けた末、ようやくボールギャグが取り去られた時には、あのレディースの顔が別人のように変わっていた。
幼児のように泣きじゃくりながら、堪忍してください、もうお尻に触れないでください、と哀願し続けるばかりだった。
人前で排泄を晒すっていうのはそういう事だ。
伊田と瀬川は、その威力をよく知っている。そして奴隷が反抗的となれば、容赦なくやるだろう。多分そのうち、入宮にも。


「もうぉ…………もぉ、本当にだめっ…………ぁ、ふぁああ゛あ゛っ…………!!!」
いよいよ余裕のない様子で痙攣しはじめる入宮を見下ろしながら、伊田は陰核の裏筋にローターを触れさせる。駄目押しだ。
「だめっ、だめだめ、あああああッッだッめぇぇえ゛ぇ゛ーーーーっっ!!!!!」
入宮は歯をむき出しにする必死の表情で叫んだ。その直後、ぶぼっという音と共にアナルプラグが吹き飛んでいく。
決壊が始まった。入宮にとって絶望的な、調教師二人にとっては垂涎の排泄が。
ざばばばばば、と音を立てて噴出液がビニールシートに広がっていく。
「おほーっ、酸っぺぇ匂いだ。おいクソガキ、人様の屋敷に何てぇ臭い充満させやがんだ、ええオラッ!」
瀬川の笑いつつの怒声が響き渡る。
何が人様の屋敷だ、俺の家だぞ。許す許さないを決めるのは俺だ。俺は彼女を責めない、責めるもんか。
そう思いながら入宮に視線を戻すと、狂ったように黒髪を振り乱す彼女の姿があった。これもまた、見たことのない姿かもしれない。
「いやあああっやめてぇえやめてぇーーーっ、おねがいっみないでーーーーっっっおねがぁぁあぁーーーーいっっっ!!!!!」
裏声というんだろうか。方言じみても聴こえる出鱈目な抑揚で、入宮は絶叫し続けていた。
物凄い声だ。女子バスケの県代表決定戦で、キャプテンとして『これまでの成果見せるよっ!!』と叫んでいた時には、大声でも澄んでいたのに。
「ぎはははっ、ひっでぇザマだぜ。これが本当にあの、見るだけでおっ勃ちそうだったバスケ部キャプテン様かよ!?」
瀬川の声はさらに大きさを増す。伊田も歯を剥き出しにして笑っている。
美しい物を崩壊させ、在りし日の姿を重ねて倒錯感に浸る。そういうアブノーマル性に浸っているんだろう。
勝手にすればいい。入宮さえ……あの入宮さえ、ターゲットにしないのであれば。

「…………おーおー、またすげぇ飛ばしたもんだなぁ。さすがは陸上とバスケで鍛えた下半身だ」
地下室の壁際にまで飛んだ汚液を見ながら、瀬川が嘲った。
「どうだ。大嫌いな俺らに見られながら、惨めったらしくクソした感想は?
 やめてやめてって喚いてた割にゃあ、えらく長ぇことブリブリブリブリとひり出しまくってたよな。
 正直に言えや嬢ちゃん。浸ってたんだろ? 俺らに見られて惨めにクソ漏らすのが気持ちよかったんだろ?」
瀬川は聞き逃せないようはっきりとした口調で、入宮に詰りの言葉を吹き込む。
入宮は正面が向けないのか、俯いたままで歯軋りの音を立てた。
「あたしが……したんじゃない。あんた達が、普通にさせなかった…………あんなの、我慢できるわけ、なかった…………」
ボソボソとそう呟いている。正論だ。だが調教師が、『奴隷』の正論に付き合うことはない。


「さて、んじゃあ恥の掻きついでだ。もっと惨めな姿を晒してもらうとしようか。ちっと待ってろや」
瀬川はそう言って映像から姿を消す。
不思議に思って親父の部屋を出て屋敷を探すと、キッチンに瀬川の姿があった。
冷蔵庫から何かを取り出し、ボウルに湯を注いでいる。
「あの、何か手伝いましょうか」
調教師のサポートを任されている立場上、そう声を掛けざるを得ない。しかし、いつもの如く返事はない。
近づいて手元を見ると、ボウルの湯に山盛りの玉蒟蒻が浸されていた。
それを見た瞬間、その用途がわかってしまう。これを肛門に入れるんだ。適度な質量と弾力を持つこれを直腸に詰め、排泄させる。
そうした擬似排便を繰り返し強いることで、排泄の快感を目覚めさせるつもりらしい。
「チッ」
俺の姿が視界に入った瞬間、瀬川は露骨に舌打ちする。相変わらず目は合わせないが、歓迎されている風ではない。
そして湯がある程度冷めた頃、水滴を撒き散らしながら乱雑にボウルの水を切る。

 ――クソガキが

ボウルを手にキッチンを後にする瞬間、奴はボソリと呟いた。
何なんだ、何がそんなに不満なんだ。確かに若輩も甚だしいが、一応は舎弟頭の板間さん直々に屋敷を任された身だ。
サポートの仕事だって手を抜いた事はないし、少なくとも表面上は先生と呼んで顔を立てている。それで何故、目の敵にされるんだ。
まさか、若さに嫉妬しているのか?
入宮や、その他同年代の女子と恋仲になれる可能性のある若さが嫉ましいのか?
まさかそんな、大人気ない。そうは思うが、女子中高生に限って異様なまでの執着を見せる奴だ、有り得なくもない。
あんな奴が今まさに入宮に近づいていっているなんて、気が狂いそうだ。
でもだからといって、俺に何ができるんだろう。
ない。『クソガキ』にできる事なんてない。親父の部屋に戻り、惚れた女が穢されていくのを見る以外には。



瀬川が手にしたボウルの中身に見上げ、映像内の入宮が訝しげに眉を顰める。
そう、普通は解らない。ボウル一杯に盛った、玉蒟蒻の用途など。
「そんなの、生じゃきついよ」
ボウルを手に屈みこむ瀬川に対して、入宮は戸惑いながら続けた。
その純朴さがひどく哀れだ。彼女は玉蒟蒻を、与えられる食事だと思ってしまっているらしい。
いや、ある意味で彼女はそれを“食べさせられる”。まさに腹がはち切れそうになるほど、山のように。
「安心しろ、食べやすくしてやる」
瀬川はそう言って、玉蒟蒻の山にローションをぶちまけた。そしてそれを山全体に塗り拡げた後、一粒を拾い上げる。
与える先は、不気味そうに肩を縮こめる入宮の口じゃない。その口から続く先の出口……直腸だ。
「えっ、な、何してるの!? まさかっ!!」
ようやく事情を察した時にはもう遅い。玉蒟蒻の一つ目は、浣腸で口を開いた肛門内へつるりと飲み込まれてしまう。
「い、いやああっ、何これっ、やだっ!!!」
入宮は半狂乱だ。無理もない。これまで彼女の肛門が受け入れてきたのは、舌と細い棒だけ。
対して今度は、玉蒟蒻という丸みを帯びた異物だ。固形便を想起させるその汚辱感は、これまでとは比にならないはずだった。
嫌がる入宮をよそに、瀬川はひとつ、またひとつと玉蒟蒻を拾い上げては、肛門へと咥え込ませていく。
時間が経って、良い具合に人肌まで冷めているだろう異物を。

「やめて、待って…………くるしい………………」
10個目を押し込もうとしたところで、入宮が音を上げた。我慢した方ではあるが、瀬川達に容赦する気配はない。
直腸が膨らみきるまで異物を詰め込み、我慢させ、一気に排泄させる。そうして排便の快感を教え込むのが目的だろう。
「我慢しろ」
瀬川は淡々とそう命じながら、肛門内へ玉蒟蒻を強く押し込んでいく。明らかに最初より入りづらくなっているようだが、力技で押し込む。
「おら、入るじゃねぇか。直腸の入口に溜まっていただけよ。今奥へ崩れたからな、まだまだ行けるぜ」
瀬川の声がそう告げる。
「やめて…………く、苦しいってばっ!!」
額に脂汗を滲ませながら叫ぶ入宮。未知の苦痛は耐え難いのか、物凄い声量だ。
だがその苦悶の声を耳にしても、瀬川と伊田は笑みを浮かべるばかりだ。
「まだまだあるんだ。我慢しろ」
ボウルに盛った玉蒟蒻はあと半分以上も残っている。当然責めの手は緩まず、より強引に肛門へ玉蒟蒻を押し込んでいく。
だが、相当に腹圧が高まってきたのだろう。12個目は、瀬川が力を込めた瞬間、肛門と親指の間から弾け飛んでしまう。
顔を覗かせた入宮の肛門は、親指がそのまま入りそうなほど口を開いていた。
「おーおー、中で灰色がひしめき合ってんぜ。どうやら12個で、ひとまずの限界らしいな。
 もっとも、最初からいきなり25個全部呑み込めるたぁ思ってねぇがよ」
「うむ。呑み込めない理由は容量ではなく、あくまで異物に慣れていないがゆえの力みだ。
 力みをなくすには、目的とする行為を繰り返させて慣らすのが一番いい。
 今回の場合、限界まで目一杯に玉蒟蒻を呑み込ませ、ひり出させることを繰り返せば、呑み込める数は増えていくはずだ」
「ンな事ァわぁってるっつーの。任せろや」
伊田の解説に苛立ちを露わにしつつ、瀬川は肛門をつつきはじめた。

「まだ出すんじゃねぇぞ」
今にも玉蒟蒻の飛び出しそうな肛門を左手親指で押さえながら、瀬川は入宮の下腹を揉みしだく。
蠕動運動を促すためだ。腸のうねりに伴って、今にも出口から噴出そうとする蒟蒻の群が崩れ、圧が減る。
その後、瀬川はローターを手に取った。宛がう先は勿論クリトリスだ。
「んぐうっ!!」
振動がクリトリスの頭を舐めた瞬間、入宮からいかにも苦しそうな声が漏れる。
さらにローターで円を描くようにすると、腰がピクピクと動き出す。
「なんだお前、感じてるのか? 玉蒟蒻を腸詰めされてよ」
瀬川が煽ると、入宮は唇を噛みしめる。
「……こんな事ばっかりしてると、いつか罰が当たるよ」
恨みのこもった入宮の言葉も、けだもの連中には甘い囁きと変わらないのだろう。

それからしばらく瀬川は、親指で肛門を押さえながらクリトリスを刺激し続けた。
2度か3度は小さくイッたんだろう。瀬川自身の細かな状況解説によれば、肛門は何度もヒクつき、そのたび腰も小さく震えるらしい。
そしてまた絶頂の気配がし始めたところで、ついに入宮が口を開いた。
「い、一回、出させて…………お願い」
見ると、瀬川の親指を押しのけるような勢いで、入宮のピンク色の肛門が盛り上がっている。
いかにも辛そうだ。だが、だからこそ焦らされる。
「駄目だ」
瀬川はそう言いながらローターを置き、別の道具を拾い上げた。
スパンキングラケット。硬質の革で出来た、『奴隷』の尻を叩く為の道具だ。
それが、容赦なく入宮の尻を打ち据える。
パシィンッという凄まじい音が響いた。俺がこれまで耳にしたスパンキングの音の中でも、最もよく通る類の音だ。
「あう゛っ!?」
入宮が目を見開いて狼狽し、逆に瀬川は笑みを浮かべた。
「ひひっ、さすがに良い音するな。尻の肉が引き締まってる証拠だ。たまんねぇや」
そう言いながら、さらに尻を打ち据える。
無駄な肉のない入宮の尻肉は、打たれた肉が波打つ事はほとんどない。それでも筋肉の強張り具合から、痛みがひしひしと伝わってくる。
執拗なスパンキングを受け、桜色の尻肉はその右側だけが瞬く間に赤く腫れていった。見るからに痛そうだ。
そういう激しい痛みを受けた時、人は2通りの反応を見せる。萎縮するか、激昂するか。そして入宮は、後者だった。
「い……ったい、いたいってばっ!! 殺されたいの、あんたっ!?」
三白眼で瀬川を睨み据え、怒号を飛ばす。およそ俺の周りにいる奴で、その剣幕に逆らえる生徒はいない。無頼を気取る不良でさえ、入宮にこうして食って掛かられれば、数分後には気まずそうに頭を掻きながら煙草を揉み消すものだった。
だが、瀬川には通じない。
「当たり前ェだろ、こりゃ豚の躾だ。わざと痛ェようにしてんだよッ!!」
そう言いながら、さらにスパンキングを激化する。鋭い音が断続的に響き渡り、入宮の悲鳴がそれに混じった。

やがて右の尻肉がすっかり赤く染まる頃。
「んくぅううっ!!」
一際辛そうなうめきと共に、とうとう秘裂から透明な液体があふれ出す。椅子から次々と流れていくそれは、愛液ではない。失禁だ。
「お、お、こいつ小便まで漏らしやがった! 今日びの甘ったれたガキにゃあ、オチオチ折檻もできねぇってか!?」
瀬川がねっとりとした口調で煽ると、入宮は一筋の涙を溢しながら目を見開いた。
「…………死ねばいいのに。あんたなんか」
涙を流し、激しく呼吸を乱しながら、それでも入宮の闘争心は萎えていない。本当に強く、本当にプライドが高い。女子でなくとも憧れるほどに。
「ほう。こんだけシバかれて、小便まで漏らして、まだ恨み言が出るかよ。見上げたサドだなテメェも。
 だが、だからこそ良いマゾになる。元がサドに振り切れてる奴ほど、心の壁を崩したら最後、いきなりマゾの深層へドボンだ。
 断言してやる。テメェは一度崩れたら最後、もうマゾの呪縛からは戻れねぇ。
 それが嫌なら、せいぜい心が折れねぇように歯ァ食い縛って耐えな。24時間、2対1の状況でボコられ続けて、一度もダウンしねぇように。
 ま、無理だろうがよ」
瀬川はそう言いながら、長らく肛門を押さえていた左手親指を離す。その瞬間、数個の玉蒟蒻が飛び出していく。
「あっ!?」
入宮が状況を察した時にはもう遅い。腹圧に圧され、入口付近に溜まっていたと思しき玉蒟蒻が、ぼとぼととビニールシートの上に落ちていく。
「はははっ、これはまた勢いのいい排便だな!」
「ああ。品性のカケラもねぇ、惨めなクソだ!!」
伊田と瀬川がそれを大いに嘲笑い、入宮の顔を歪めさせた。
さらに瀬川は、シート上を転がる玉蒟蒻の一粒を拾い上げ、わざわざ入宮本人に見せつけもする。
「見ろ、お前の腸液だ。こんなにヌルヌルと纏いついていやがる。お前まさか、もうケツで感じてんのか?
2日目でここまでになる奴隷はお前が始めてだぜ。これでよくもまぁ他人のことを変態扱いできたもんだよなぁ、ええオイ」
確かに瀬川が摘む玉蒟蒻は、妙なテカリを帯びていた。おそらくはローションのせいだ。
たとえ腸液がついていたとしても、それは異物を詰め込まれたために腸が取った防衛手段に過ぎない。
だが瀬川の言葉を真に受けたのか、入宮の視線は粘液の滴る異物に縫い付けられていた。
それをじっくり楽しんだ後、瀬川は手にした一粒をボウルに戻し、さらに一粒、また一粒と拾い上げてはボウルに移していく。
2個、3個、4個、と口に出しながら。そしてそのカウントは、9で止まった。
「んん?おかしいな。きっちり数えたのに、9個しかねぇや。さっきは間違いなく12個入れたのによ。
 おい、未練たらしく咥え込んでねぇで、さっさと全部吐き出せ」
瀬川のわざとらしい物言いに、いよいよ入宮の顔が赤らんでいく。
「そんなの、言われなくても…………ん、んん、く…………っ!!」
目を固く閉じて息む入宮。盛り上がってはへこむ桜色の肛門が、その力みようを物語る。しかし、残る3粒が出ない。
「どうした、出てこねぇぞ」
瀬川が肛門を突きながら嘲った。
「はぁ、はぁっ…………こ、この姿勢じゃ無理。せめて、立たせてよ」
疲労困憊という様子で告げる入宮に対し、瀬川が大仰に溜め息をつく。
「ったく、自力でクソひり出す事もできねぇのかよ。しょうがねぇ、手伝ってやるよ」
そう言いながら中指と人差し指にローションを振りかけ、肛門へと挿し入れる。
「ちょっ、ちょっと! 姿勢変えれば自分で出すから、やめてっ!!」
入宮が叫んでも、瀬川の指は止まらない。
「おっ、指先に触れたぜ。かなり深いな。だがこうして刺激してやりゃあ……ははっ、何だよオイ、菊輪がえれぇヒクつくじゃねぇか。感じてんのか?」
言葉責めを交えながら、二本指が肛門の中で回り続ける。
「おら、出てきた、出てきたぜぇ。ほら、テメェももっと力入れてひり出せよ。俺の指の付け根ばっかり、美味そうにパクついてねぇでよ」
そう瀬川が囁いた直後、まず一粒が瀬川の手の平の上を滑るようにして排泄された。
「ひぅっ……!?」
入宮が叫ぶ。その表情は戸惑いに満ちていた。指でかき回されながらの排泄が、それほど異様だったのだろうか。
さらに二粒目、三粒目と続けてひりだしていく中で、入宮の顔の引き攣りも酷くなっていく。
「うへぇ、こーりゃすげぇ。さっき以上にヌルヌルだぜ」
そう言って瀬川が3粒の内の一つを摘み上げると、床に幾筋も糸が垂れていく。
確かに今度は、単なるローションのヌメリじゃない。明らかに腸液が表面全てに絡み付いている。
モニター越しでさえそれが見て取れるのだから、目の前に突きつけられた入宮には、さらに詳細な『現実』が見えていることだろう。
「腸液ってなぁケツの愛液だぜ。つまりテメェは、ケツで感じたんだよ。蒟蒻なんぞ詰め込まれてよ」
腸液塗れの異物を晒しながら瀬川が囁きかける。
入宮は、一瞬視線を泳がせた。明らかに動揺した。だが流石に気丈だ。ひとつ瞬きする間には、もう表情を引き締めている。
「あたしは……感じてなんかいない。快感なんて、ないっ!!」
俺の初恋相手は、あくまで毅然とした態度でそう断言した。瀬川が、ほー、と感心したような声を出す。
だが、奴は『奴隷』に格好をつけさせたままでは終わらない。獲物の顔が涙や涎でグズグズになるまでは、調教をやめない。
「そうか。なら、まだまだ続けねぇとな」
そう言いながら、満面の笑みで玉蒟蒻の一粒を摘み上げた。


玉蒟蒻を限界まで詰め込み、ひり出させ。また詰め込み、ひり出させ。モニターの中では、それが繰り返されていた。
回を追うごとに、詰め込む数は増える。12個から15個、19個……そして今は、『今度こそ全て押し込む』という宣告から始まった。
「本当に、くるしい…………お腹の奥まで、詰まっちゃってる…………こ、こんなの、もう、出なくなっちゃう…………!!」
21個目で、入宮が呻いた。
汗がひどく、表情も苦しげだ。限界と言うのは本当なのかもしれない。だが、瀬川に容赦はなかった。
「あとたったの4つだ。我慢しろ!」
そう言いながら、親指で強引に22個目を押し込む。しかしまた、その一粒が弾き出される。
「出すな、ケツ締めてろ!!!」
瀬川は怒鳴りながら、零れた一粒を拾って肛門に宛がった。そして粘土へめり込ませるように、両手の親指を重ねて親指で強引に捻じ込んでいく。
「いやあぁっ!! 奥に来た、ねぇっ、今、本当に奥に入っちゃったの、もうやめてよ!!」
入宮は悲鳴を上げた。瀬川がかすかに笑みを見せる。
「また随分とパニくった声だな。大方、直腸の奥にまで玉蒟蒻の塊が届いてて、今のでS字結腸へ入り込んだか? なーにそう焦るな、感触ほどヤベェ事態じゃねぇよ。ひり出すのに、ちっと……直腸の三倍ぐれぇの気合が必要になるだけだ」
悪魔的なその言葉の最中、瀬川の背後で般若が歪み、25個全てが力尽くで押し込まれてしまう。
「やっ、くるしっ、くるしいっ! 出させて、ねぇっ出させてっ!!!!」
入宮は、恥も外聞もなく哀願を始めた。
無理もない。浣腸にしてもそうだが、人は本来保護されているべき粘膜を責められると弱い。そういう風に出来ている。加えて、直腸すべてとS字結腸にまで異物が詰まる状況など、日常生活ではまず有り得ないことだ。
入宮の脳内では今、彼女がかつて味わった事もない、最大級の警鐘が打ち鳴らされているに違いなかった。
だからこそ、伊田も瀬川も容赦はしない。
肛門に親指ごと捻じ込むようにして蓋をしつつ、陰湿に入宮を嬲る。
陰核をローターで嘗め、膣に指を入れ、乳房を揉みしだき、その上で下腹を撫で回す。逐一言葉責めを交えながら。
一方の入宮には余裕がない。
「ださせて、ださせておねがい…………っっ!!………………くぅしい、くるしい、くるしい…………!!!」
ひとつ呟いた言葉を繰り返す形で、何度も解放を乞う。たまに絶頂時の息が詰まったような反応が混じるものの、またすぐに哀願に戻る。

その状況がたっぷり10分は続いた所で、ようやく瀬川が許可を出す。
「ったく、うるせぇガキだ。しゃあねぇ、ぶち撒けさせてやる。ひり出す感覚を意識しろよ」
節張った親指が肛門から引き抜かれた瞬間、怒涛のように灰色の玉蒟蒻があふれ出した。
十を超える異物が、マッサージチェアの座部を滑り落ちては床に転がっていく。
その第一波の後、入宮の必死の息みに応えてさらに3個。さらに2個。
しかし、そこで止まった。計25個のうち、18個しか出ないまま。
「どうした、もう出ねぇのか」
「……はぁーっ、はーっ、はーっ…………だ、だから、この姿勢じゃ、お腹に力が、入れにくいんだって。姿勢、変えさせてよ」
激しく喘ぎながら抗議する入宮。
瀬川はここまで数度、入宮の姿勢変更の要望を聞き流していた。しかし、今回に限っては違う。
「いいぜ、最後だ。思いっきり踏ん張らせてやる」
そう言って伊田と目配せをし、入宮の腕と脛の辺りを抱えてひっくり返す。
大股開きで椅子に腰掛ける姿勢から、その逆……曲げた両膝を肘掛けに乗せ、座部に爪先立ちになる格好へ。
「どうだ。和式便器スタイル、一番ひり出しやすいカッコだぜ?」
瀬川が入宮の尻を撫でながら笑った。確かに排泄はしやすいが、相当な恥を伴う格好だ。何しろ肛門を突き出す形なんだから。
当然、入宮も表情を変える。
「い、いやっ、何これっ!!」
「ゴチャゴチャうるせぇな。姿勢変えろっつったのはテメェだろ。おら、さっさとひり出せよ」
瀬川はそう詰りながら、肛門に二本指を突き入れた。そして指を開閉させながら回転させ、腸内を攪拌する。
腹圧が強まった為だろう。たちまち数個の玉蒟蒻が排泄され、びちゃっ、ぼとっ、という音を立ててシートの上に落ちていく。
「いやぁーーっ!!」
入宮は枷のついた手で肘掛けを握りながら絶叫した。その羞恥の声を心地良さげに聞きながら、瀬川は二本指での蹂躙を続ける。
「くくっ。こんだけ色々やっても、まだ力むたびに俺の指を食い千切りそうな按配だ。ほんっとに良い括約筋してんなあテメェはよ。早くこのアナルにブチ込みてぇ……っと、そら、また1個出てきたぜ。どんどんひり出せや、ヨガりながらよ!」
「う……く、くぅ…………くぅう、んん、んっ…………!!!」
入宮は必死に振り返って後方を睨みつつも、異物が肛門を通り抜けるたびにびくりと腰を震わせていた。
「ひぃ、ふぅ、みぃ…………ふむ、あと6つが出ねぇな。しゃあねぇ、コイツで掻きだしてやるか」
指では残りが出ないと見るや、瀬川は細めのディルドウを手に取り、肛門に宛がう。
「えっ……!? ちょっ、ちょっと、まだ中に入っ…………!!!」
抗議の声はディルドウの挿入であえなく途切れ、入宮は口を開いたまま硬直する。
「ひひっ、どうした。玉蒟蒻が奥にある状態で突かれて、脳がフリーズしちまったか? これだから汚れ知らずのガキは。こんなモンはまだ、序の口も序の口だぜ。テメェはこれから3ヵ月かけて、排便の快楽を徹底的に脳髄へ叩き込まれるんだからよ!!」
ディルドウが往復した後に引き抜かれると、奥に残った玉蒟蒻が転がり出す。何とも惨めな“排泄”だ。
「ああ、あぁああぁ゛ーっっ!!!」
入宮の叫びが胸に痛い。その悲痛な声が出るたび、矜持という殻が削がれていくのが感じ取れた。





月曜から木曜までは、こうして夜間に調教が行われ、朝からは高校へ通う、というサイクルが繰り返された。
貞操帯という邪魔はあるものの、学校にいる間は調教から逃れられる。あまり褒められた事じゃないが、睡眠という休息も取れる。
ゆえに金曜の夜からが、入宮にとっての本当の地獄だ。

さすがに一週間全てを肛虐に充てるともたないため、土曜はアナルを休ませる日と定まった。
しかし、だからといって土曜が休息日になるかといえば、そんな事はまるでない。
何故ならこの日には、入宮のアナルを除く全身に対して、徹底的な性感開発が行われるからだ。

「今日はおまえの身体に、イキ癖をつけてやる」

9月の第2週……つまり初めての土曜日の朝、伊田が改まった口調でそう告げた。
瀬川の獣のような性欲も厄介だが、頭脳派の伊田による理詰めの調教にはまた違った危険さがある。
まず入宮は、久々にゆっくりと風呂に入るよう命じられた。
男二人による監視つきとはいえ、地下室のバスタブにたっぷりと湯を張って浸かれば、必然的に身体はリラックスする。
そうして身体がほぐれれば、次はマットの上でのオイルマッサージだ。
肩から背中、腰、乳房から太腿、足指の先に至るまでを、時間をかけて入念に揉みほぐしていく。
伊田も瀬川もこれが上手い。最初は警戒していた『奴隷』が皆、自然と眉を下げるほどに。
しかし、だからこそ危険だ。
胸を開発する時は乳房から責める方法が最上であるように、他の性感帯もまた、外堀から迫るやり方が一番効く。
特に太腿。全身をくまなくほぐして血流を高めた上で太腿を丹念に揉みほぐせば、それだけでごく軽い絶頂に至る事すらあるらしい。
ただでさえ敏感な入宮が、それを凌げるはずもない。
「ん、んんっ…………んああ、ああ…………あああっ………………」
伊田と瀬川の二人がかりで太腿を撫で回され、入宮から甘い声が漏れる。苦しさは微塵もない、太腿の色と同じピンクの吐息という風だ。
にもかかわらず、彼女の顔には恐怖が見て取れる。
「や、やめて。もう触らないで。さっきから、何か、変…………っ!!」
マッサージ開始から30分が過ぎた頃、入宮はかすかに震える声でそう訴え始めた。
瀬川の手が大腿部を擦るたび、伊田の手が内腿を撫でるたび、想像を超える快感が走るのだろう。
しかし、伊田と瀬川が手を休める事はない。休める訳がない。獲物に間違いなく毒が回っていると知れたのだから。

こうして実に1時間以上に渡って性感を研ぎ澄まされた後に待つのは、容赦のない快楽地獄だ。
ベッドの上に大股を開いた状態で座らされ、背後から瀬川に羽交い絞めにされる。
そして執拗な乳房責めを受けながら、陰核をマッサージ器で責められ続ける。
マッサージ器はスライヴと呼ばれる強烈な奴だ。血の巡りがいい状態のクリトリスにそれを宛がわれれば、まず誰でも10秒ともたない。
「あぁあっ!!!」
入宮も僅か8秒で、内腿に筋を浮かせる絶頂の様子を見せた。
そして、絶頂は一度では終わらない。そこからは嫌になるほど徹底的に、クリトリスでの絶頂を迎えさせられる事になる。
細やかな責めに長けた伊田のこと、マッサージ器の扱いひとつを取っても寒気が走る。
マッサージ器は刺激が強烈なだけに、下手に扱えばやがて陰核が麻痺してしまう。
しかし、伊田に限ってそれはない。マッサージ器を押し当てる秒数やタイミングを絶妙にコントロールし、常に刺激に変化をつける。
その結果『奴隷』は、常に絶頂の高原状態を彷徨うことになる。
そしてそれは、入宮とて例外ではない。
「ん、んんんっ……ふ、ふぅっ…………だめ、く、くるっ!! また、くるぅっ…………!!!」
唇を引き結んで必死に耐えていた彼女は、やがて唇を開いて絶頂を口にした。
「くる、じゃない、『イク』だ。絶頂する時には『イク』と言え。必ずだ」
マッサージ器を微妙に傾けながら、伊田が命じる。多少は対話をする瀬川に比べ、伊田は自分のルールを『奴隷』に強要する傾向にあった。
「ああぁあぁああっ!! っく、いくっ、いくいくいくっっ!!!!」
陰核にマッサージ器を押し当てられたまま叫ぶ入宮。それを見て瀬川が笑う。
「ひひひ、すげぇすげぇ、イキまくりだ。プライドの高いガキと思ったが、こんなアクメ面を俺らに晒しても平気なんだな」
「…………っ!!」
瀬川の挑発を受け、入宮は表情を凍りつかせる。そしてそこから数十秒は、歯を噛みあわせて耐えていた。目の前の瀬川を睨み据えながら。
しかし、その状態でさらに絶頂を続けると、次第にその視線が上方を彷徨いはじめる。
そして5回ほど絶頂と思しき反応を見せた辺りからは、また目を固く閉じてしまう。
「へへっ、また逆戻りってか?」
「そう意地の悪い事を言うな、瀬川。あれだけ入念なオイルマッサージで性感を目覚めさせられたんだ。逝き通しにもなる」
伊田は瀬川を制しつつ、入宮の膣の中に指を挿し入れる。そして、ゆっくりと指を蠢かせた。
「んぐぅううっ!!!」
噛み合わされた歯の合間から、たまらないという響きの声が上がる。
さらにマッサージ器が再び陰核に宛がわれると、歯の合間からの声は、んぐぅっ、ぎぅうっ、と断続的に続くようになった。
「絶頂する時には『イク』と言え――そう教えたはずだ!」
伊川は厳しい表情でマッサージ器の角度を変える。その些細な変化で、入宮の意地は突き崩された。
「あぁぁ…………ああっ、ああああっ“イク”っ!!! いくっ、いくぅいくっ、いくぅううっ!!!!」
上下の歯が離れ、はっきりとした絶頂宣言が為されはじめる。従順というよりは、極限状態で強く命じられたことを無意識に行っているという風だ。
そしてその極限状態は維持される。意図的に、熟練の技でもって。

ちょうどこの頃から、映像内に変化があった。マッサージ器が宛がわれている入宮の脚の合間から、飛沫が飛び散りはじめたんだ。
ライトを受けて煌めくその飛沫は中々量が多く、最初は潮吹きかとも思った。しかしマッサージ器が宛がわれている限り、断続的に数分も続くことからして、そうではない。
愛液だ。入宮の秘裂からあふれた愛液が、マッサージ器の振動で四散しているんだ。
ローターによる陰核責めでは見られなかった現象。あらためて、あのスライヴという器具の強烈さを思い知る。それで陰核を責められては、絶頂続きになっても無理はない。
そう。入宮が悶え狂っているのは、意思ではどうにもならないレベルの摂理なんだ。
「あっ、あぁー…………あぁっ、う、あっ、イクっ!! ああ、ぁぁぁ…………はぁっ、ああぁ…………くぅううっ、んんっ…………いっ……く…………!! はぁっ、はーっ、はぁーっ…………ふんんんんっ………………ふぁぁあああっいっ、イグぅうううっ!!!!」

シャトルランを繰り返すような激しい呼吸の中、必死に快感に耐えようとし、しかし堪えきれずに絶頂に至る。
その恥辱が延々と続いていた。
20回目の絶頂時から、入宮の両手が背後の瀬川の左右の腕を掴むようになったのは、乳房責めを嫌ってのことか、それとも何かに掴まらなければ自我が保てないと感じてのことのか。
絶頂が30回を超えたころには、命じられた大股開きを閉じようとする気配も見せていた。
「脚を閉じるな。浅ましく開いていろ!!」
伊田がそう言って脚を押し戻すが、さらに数度絶頂するたび、また脚が閉じかけてしまう。明らかにそれ以上の絶頂を嫌がっている反応だ。それでも伊田は、責めの手を緩めない。それどころかむしろ、マッサージ器を長時間宛がう頻度が高くなっていく。
絶頂40回目からの入宮は、ほとんど泣き叫んでいると言うべき状態だった。
「やめてーーっ、とめてえーーっ!! イクっ、イクよぉっ、いってる、まらいってるぅっ!!! おねがいとめてっ!! ああぁあぁああっイグーーーーッ!!!!」
唾液をたっぷりと含んだ怪しい呂律で、体育館に響きわたりそうな声量を発し続ける。
大きく開いたがに股の脚が何度も浮き上がり、ガクガクと痙攣する。
それでも、伊田は止めなかった。奴がようやくマッサージ器の電源を切ったのは、絶頂70回あまり。入宮から声が発されなくなった後だ。
伊田はベッドに膝をついたまま前へ詰め、ぐったりと項垂れた入宮の瞼を開いた。そしてじっくりと観察し、ほくそ笑む。
「ふふ、これはまた……早くも快感で脳がドロドロらしい。良かろう、しばし休憩だ。今日は長いからな」
その呟きは、果たして入宮の耳に届いたのか。少なくとも俺はそれを聞き、底知れない恐怖を感じていた。



「やめてっ、いやーーっ!! やめてよっ、ふざけないでっ!!!」
休憩後に響き渡った入宮の叫びは、金切り声というのか、日常生活では滅多に耳にしない類のものだった。
彼女が今行われようとしているのは尿道開発。文字通り尿道に異物を差し入れ、拡張していく責めだ。
床の上で“マングリ返し”と呼ばれる格好を取らされつつ足首を掴まれた時、入宮は、またクリトリス責めかと思ったことだろう。
だからこそ、尿道の入口に綿棒が宛がわれて初めて驚愕する。
今までの『奴隷』も皆そうだった。当然だ。アナルにしてもそうだが、排泄の穴を開発されるなど、予めの知識がなければ予想すらできない。
俺も最初に尿道責めの映像を見た時には、綿棒が入り込んでいるのが膣ではなく尿道なのだと理解するのにかなり掛かった。
正確には言えば、見抜けはしなかった。ただ『奴隷』が、「そんな所に挿れてはいけない」「垂れ流しになる」と、普段の文学少女然とした雰囲気をかなぐり捨てて叫んでいたから察せただけだ。
「ふふ、存外に愛らしい反応をするものだな。瀬川よ、この様を見てもこの娘をサディストだと思うか?
 本当のSであればこうした苦境にも、グッと歯を食い縛って耐えるものだが」
「ああ、どうやら俺の勘違いらしい。こいつの矜持は紛いモンだ」
伊田と瀬川は入宮の顔を覗きこみながら煽る。そう言われては入宮も、続く非難を呑みこむしかない。
心身共に束縛された入宮は、自らの尿道へ異物が入り込む様を黙って睨み上げていた。
まさに挿入というその瞬間には、瀬川が押さえ込む足首に深く溝が入った。
「安心しなさい。キシロカイン――麻酔薬を含んだゼリーをたっぷりと付けてある。痛みは直に消える」
伊田はそう諭しながら、改めて指で秘裂を拡げなおした。
太い指に押し拡げられた鮮やかなピンクの中へ、再び純白の棒の頭が押し付けられる。
「…………い、ぃきっ………………!!」
入宮の眉が顰められ、歯が食い縛られる。痛みのせいか、恐怖のせいか。どちらに起因しているにせよ、伊田の手が止まることはない。
尿道開発はじっくりと進んだ。
綿棒の先を押し当てては離し、押し当てては離し、を数度に渡って続けた後に、ごく浅く挿入する。
先端の膨らみの半ばほどまでを呑み込ませてから、一旦引き抜き、再び呑み込ませる。
その次は、半ばほど呑み込ませた状態から、捻るようにしてさらに深く沈めていく。
そうして少しずつ少しずつ、尿道の奥へと進んでいくやり方だ。
入宮の表情は複雑だ。睨むような瞳の裏には、恐怖か戸惑いのどちらかがある。
痛みはなさそうだ。時折り眉を顰める事はあるが、後は綿棒が進んだ時や捻られた時に、あ、と小さく声を上げるばかり。
綿棒がスムーズな前後移動を始めた段階でも、それは変わらなかった。
「どうだ。尿道をこうして擦られるのは。思った以上に心地いいだろう」
尿道へ突き刺さった綿棒から一旦手を離しつつ、伊田が問う。
「……自分にもあるんだから、実践してみれば? あたしが割り箸でもぶっ刺してあげるよ」
当然、入宮は反抗の意思を見せる。伊田はその反応を想定していたのか表情を崩さず、ローターを拾い上げてスイッチを入れた。
そして、突き立った綿棒に触れさせる。
「あ、ああっくっ!?」
入宮は声を上げた。ローターの振動が綿棒を介して、直に尿道へと響いたのだろう。
「忘れていたよ。おまえの口は嘘をつく。不必要に自分を飾る。ここはやはり……素直な身体の方に訊くとしよう」
伊田はそう告げて尿道責めを再開する。
尿道へ嵌まり込んだ綿棒を前後に揺らし、捻り、ローターを触れさせ。
半ばほど埋没させた状態で一旦放置し、人差し指を膣に入れて膣壁越しに綿棒を回転させる。
これらの責めは、確実に入宮に変化をもたらしていた。
声は出ない。だが抑えきれないという様子で、熱い吐息が少しずつ早まりながら繰り返し吐かれる。
その責めが五分ほど続いた後。
「だめ…………で、でちゃう………脚離して……………!」
必死に何かを耐える様子を見せていた入宮が、頭上の瀬川を見上げながら乞う。
だが瀬川は薄ら笑みを浮かべているだけだ。
人差し指で膣内にちゅくちゅくと水音を立てていた伊田もまた、待ち侘びていたとばかりに頬を緩めながら指を抜く。
そして、かなり深く入り込んでいた綿棒が引き抜かれた瞬間。まるで異物との別れを惜しむかのように、秘裂の上から液体があふれ出す。
液体は一度低い放物線を描いてから途切れ、再度少し高い軌道でやはり放物線を描いて途切れ、
「んん、んやぁーーっ!!!」
妙に幼さを感じさせる入宮の息みと共に、三度目で本格的な放尿となる。
小さな黒点から発された液体が、まず透明な三角の膜を作り、それが収束して高らかな放物線を描いた後に四散する。
入宮自身が“マングリ返し”の格好を取らされている以上、その飛沫のかかる先は当然――彼女自身の顔付近となる。
「ぶはっ、ぷあっ!! ちょ、ちょっと……あぶふっ!!!」
自らの小便を顔に受けるうち、少なからぬ量が口に入ってしまっているようだ。
よほど溜まっていたのだろうか、放尿はかなり長く続いていた。放物線が形を保てなくなるまでには、10秒は掛かっていただろう。
恥辱の後には、入宮の無惨な姿があった。今ようやく海から陸へ上がってきたばかりという風に、濡れた髪が顔や首に貼りついている。
「おーおー、まさに小便臭いガキってやつだなこりゃ!!」
足首を掴む瀬川が嘲笑うと、入宮の目が見開かれ、殺意すら感じる視線を投げかけた。
「誰のせいで、こんなっ…………!!」
「おまえ自身のせいだ」
入宮の怒声を、冷静な伊田の声が遮る。虚を突かれたのか、入宮が言葉を止めた。
「は、はぁっ?」
「忘れたのか。おまえは負債持ちの身だ。今で3つ……いや、4つか。そうして小便を浴びているのは、おまえ自身が築いた負債のせいだ。
 おまえの不誠実な態度は、やがて恥辱となっておまえ自身に返ってくる。少しでも快適に過ごしたいのなら、大人しくしておくことだ」
冷ややかに見下ろす伊田に対し、それでも入宮は睨むことをやめない。誇り高く生きてきた彼女の矜持が、退くことを許さない。
「まぁ、こちらとしては……歯ごたえのある方が好みだがな」
伊田はそう言って、新たな道具を拾い上げる。緩やかなカーブを描いた、サージカルステンレス製の尿道ブジー。
「や、いや。やだっ…………!!」
それがゆっくりと尿道に近づけられるにつれ、入宮の目元が引き攣っていく。

ああああ、という声が上がったのは、その数秒後のことだった。



尿道ブジーが使われはじめてから、何分が経っただろう。
映像の中では、伊田と瀬川の手により、より入念な尿道責めを行う体制が出来上がっていた。
屈辱的な“マングリ返し”の姿勢はそのままに、膣が器具で大きく開かれている。
伊田はその状態で尿道にブジーを前後させつつ、陰核を指で刺激し続けていた。
激しさはまったくない。
尿道ブジーは激しく抽迭される訳ではなく、傍からは、尿道から伸びた細い糸をクイクイと指で手繰っているようにしか見えない。
陰核を責める指もまた、陰唇の上端を優しく左右に弾いたり、親指と人差し指を使って摘み上げている程度のものだ。
にもかかわらず、入宮は今や完全に感じている時の反応を示していた。
歯を閉じて、シーッと違和感に耐えるような息を吐き出したかと思えば、その直後には、ああぁ、ぁぁぁーっ、と、本当に気持ちの良さそうな声を漏らす。
そして5回に一度は、『あ』と『お』の間のような、濃厚に絶頂の気配を匂わせる吐息を吐く。
快感は身体的特徴としても表れていた。
伊田が様々に弄くり回す陰核……それがもう、ハッキリと見て取れるほどに勃起しきっているからだ。
ぼうっと見ていても、最初の頃のように大陰唇の皺の一部などとはもう思えない。それほどの尖りを見せている。
陰核は神経の塊だ。そこが極限まで研ぎ澄まされている状態で、親指と人差し指に挟まれて扱き上げられれば、たまらない。
「ぉおおあぁああぉっっ…………!!」
そうした快感の凝縮した喘ぎを漏らすのも、仕方のないことだ。たとえ、憎い男に見られながらでも。
伊田はじっくりと責めを続けながら、なぜそれほどに感じてしまうのか、そのメカニズムを入宮に対して説いていた。
外から見えているクリトリスと呼ばれる部分は、陰核亀頭と呼ばれ、陰核体という組織のごく表面的な部分に過ぎない。
ちょうど男の陰核と同じで、そこだけを刺激しても絶頂には達するが、根元からじっくりと目覚めさせた時の快感には遠く及ばない。
その根元を目覚めさせる最も効果的な方法が、尿道を責めることだ。
尿道と薄皮一枚で接する陰核客を丹念に擦り上げ、神経を研ぎ澄ませた状態で陰核亀頭を刺激すれば、この通りだ。
そうして現状を認識させつつ、さらに陰核を昂ぶらせていく。
「知らない、そんなの、知らないっ!!」
入宮は何度も首を振り、伊田の囁きを耳に入れないようにしているようだった。脳が仕組みを理解したが最後、快感の質が変わると察したからだろう。
だがいずれにせよ彼女は、快感から逃れられない。
「おーっ、見ろよ伊の字。このガキ、気持ちよすぎてヨダレ垂らしてやがんぜ!?」
入宮の顔を飽きずに観察していた瀬川が、嬉しそうに言う。画面を凝視すると、確かに入宮のだらしなく開いた口の端に何かが見えた。
はっとした様子で表情を引き締める入宮だが、もう遅い。
「出来上がったな。ちょうど陰核も、これ以上はないというほどに固くなっていることだ。そろそろベッドに戻ろうか」
伊田のその一言で、入宮の顔がゆっくりと上を向く。
「え…………?」
その表情をにこやかに受け止めながら、伊田は続けた。
「ベッドへ戻るんだ、豚。改めて、マッサージ器で可愛がってやる」
伊田の太い指が陰核を摘むと、ただそれだけで入宮の腰が跳ねる。そんな状態で、またマッサージ器を使われれば……。


「いやああぁーーーーっ、やめてやめてっ、やめてよ、とめてーーーーっ!!!!」


映像の中に悲鳴が響きわたる。
ベッドに戻された入宮は、瀬川に太腿を抱え込まれながら陰核にスライヴを宛がわれていた。
あえて拘束はされていない。瀬川共々汗まみれになったまま、格闘でもするように刻一刻と姿勢を変える。
入宮は、明らかに陰核への刺激を嫌がっていた。
性器の状態も異常だ。一度目の終盤に見られたような愛液の飛沫が、もう起きている。
スライヴが陰核へ宛がわれるたびにブジュブジュと透明な汁が飛び散り、見た目にはほぼ小便と変わらない。
「おーおー暴れやがる。やっぱすげぇ脚の力だぜこいつ」
暴れる入宮の太腿が一旦瀬川の拘束を振り切るが、瀬川は冷静に膝裏を掬い上げて大股を開かせる。
そこへスライヴが押し付けられる。
「あああぁ“--っ、いやぁーっ、いや゛ぁああ“っっっ!!!!!」
顔まで噴き上がるほどの飛沫の中で入宮が激しく首を振る。
「絶頂する時は『イク』と宣言しろ。同じ事を何度も言わせるな!」
伊田が恫喝する前で、入宮は全身を痙攣させる。
「あああ……あ゛ぁああ゛っ!! だ、だってあらし、さきからずっといってる、いきっ、できなっくらい…………!!
 だからとめてって、ああ、あぁああぁあいくーっいくーーーっ!!またイグぅぅうううっっ!!!!」
入宮の垂れ下がった目からは涙が零れ、鼻からは鼻水が、口からは牛のように涎が出続けている。
あの凛とした入宮と同じ人物だとは、到底思えないほどに。
だが、紛れもなく彼女だ。変わっていく様をずっと見続けてきた俺には解る。あれは入宮なんだ。
暴れる中でとうとう入宮はうつ伏せの姿勢になり、瀬川に覆い被さられたまま、突き出した尻にスライヴが宛がわれる。
獣同然の惨めな格好だ。前方のシーツをガリガリと掻き毟りながら、いくぅいぐぅー、と繰り返す様は品性の欠片すらない。

『イキ癖をつける』
伊田が一日の初めに宣告した目的は、見事に達せられたと言えるだろう。
事実、入宮はこの土曜以来、明らかに陰核責めに弱くなった。
翌日の日曜には、畳の上で這う格好のまま、瀬川にアナル舐めを受けながら陰核を弄られる責めを受けたが、
その時に彼女が上げた声は、聞いているだけで変な気持ちになるようなものだった。
「おーおーおーおー、なんだこりゃ。ドロッドロじゃねぇか」
アナル舐めを中断した瀬川が秘裂の辺りをまさぐると、入宮のスレンダーな身体がぞくっと跳ねる。
この時の入宮は、煽られたにも関わらず後ろを睨むことをしなかった。
それどころか、顔を見られたくないという風に、肘を突いた両手で頭を挟み込んでいた。

アナル舐めの後、道具を使った肛門拡張が始まってからも様子がおかしいのは変わらない。
アナルパールやアナルディルドウを用いられると同時に陰核を刺激されると、即座に細い腰が震える。
真正面から顔を見られる格好のため、入宮も最初は睨むような瞳で凛としていた。
だが5分が経つ頃には、右手の甲で口を押さえ、視線を脇に逸らすようになる。
そしてそこから時が経つにつれ、表情が苦しそうなものに変わっていく。
眉が顰められ、横へ投げ出した視線が鋭さを増し、口元は手の甲を噛むような形になり。
そして最後には額にじっとりと汗を掻いたまま、瞼が固く閉じられてしまう。
基本的に表情が強張ったまま変わらないが、時折り、ぴくっ、ぴくっ、と口元が動いていた。
ごく短い一言。多分、『いく』と繰り返していたんだろうが、俺には真実は解らない。同じ場所にいる伊田や瀬川と違って。



月曜の朝になってもなお、入宮の様子はおかしいままだった。
睡眠が足りていないという事もある。
入宮の反抗心を削ぐためか、伊田と瀬川は入宮に充分な睡眠を与えない。
まったく眠らせない訳ではないが、眠る入宮には必ず嫌がらせが加えられた。
身体中を舐め回したり。乳首をクリップで挟み潰したり。鼻をフックで吊り上げられたり。逸物をしゃぶらされたり。
「いいかげんに、してよ………………!!」
心の底から迷惑そうにする入宮の態度も、瀬川達には興奮材料にしかならないらしい。
ただこの月曜に限っては、単なる睡眠不足とは雰囲気が違った。
寝惚けているのではなく、蕩けている、と表現すればいいのか。
「んっ!?」
キッチンの椅子に腰掛けた瞬間、彼女は小さく呻いて背筋を伸ばした。
そしてしばらく目の前を見つめ、困惑した表情で顔に手を当てる。
「あれ……何か、ふわふわする………………なんだろ、これ………………?」
そんな事を呟いている。
朝食の間もぼうっとし続けで、危うく手にした汁椀を落としそうな有様だった。
もはや恒例となった瀬川による貞操帯取り付けの際も、普段とは違う。
股座を濡れタオルで拭く、という時、んっ、という声の後に乾いた音がした。多分、入宮が瀬川の腕を掴んだ音だ。
「今日は、ほんとにやめて…………!!」
そんな事を口走りもする。入宮だって馬鹿じゃない。弱みを見せれば、瀬川を付け上がらせるだけだと理解しているだろうに。

結局入宮はこの日、腕を掴んだ罰と称して、貞操帯以上の恥を課せられる事となった。
通学途中は常にスカートを鞄で隠し、教室の中では常に脚を閉じ合わせ。
昼休みに旧校舎の屋上へ辿り着いて初めて、普通に歩けるようになる。
「ほんと、最悪……」
フェンスに寄りかかって頭を抱えながら、入宮は溜め息をついた。
事情を知っているだけに、何と声を掛けていいか悩む。
この日の入宮の太腿には、制服のスカートでかろうじて隠せる範囲に、びっしりと淫猥な言葉が書き連ねられている。
『ジジイに奪われる予定の処女マンコ』
『ユルユルの小便穴』
『ズル剥けのデカクリ。クリ逝きで失神経験有り』
『現在拡張中。アナルパール深さ24cm、アナルプラグ直径6cmまで入ります』
性器を指す矢印と共に、そうした言葉がピンク色の肌を覆い隠す。
クールなカリスマとして学年中から注目される入宮のこと、どれを読まれても一大事というものだ。
だが、フェンスに寄りかかる入宮の頬が赤い理由は、その羞恥ばかりでもないらしい。

「ねぇ、岡野。あたしのこと……褒めてよ。何でもいいからさ」
グラウンドからの風に黒髪を靡かせながら、入宮が呟いた。かける言葉を探していた俺は、思わずその横顔を見上げる。
「な、何だよ。どうしたんだ?」
妙な胸騒ぎと共にそう訊ねると、入宮はしばし黙り込んだ。そして、ふっと口元を緩める。
「冗談、冗談。」
そう呟いて、また遠くへ視線を投げる。明らかにおかしい。
「その、入宮…………」
居たたまれずにそう切り出しはするものの、続く言葉がわからない。
入宮は一瞬俺の方に視線を落とし、またフェンスの先に視線を戻す。
「…………ごめんね。なんか朝から、変な事ばっかり言ってる。今のも別に、深い意味とかないんだ。
 ただ、岡野に励まされると、あたしすっごい元気出るからさ。ちょっと聞きたかっただけ」
その言葉が、俺の胸に刺さる。
つまりそれは、励まされないと無理なぐらいに参ってるって事じゃないのか。
「そんなに……やばいのか?」
俺は入宮を見上げた。多分苦い表情で。入宮は、またちらっと俺に視線を寄越した。
「どうかな……。精神的には、まだ大丈夫。あたしのままで居ようって気持ちは変わんないよ。
 でも、身体の方がさ。なんか、変なんだ」
ローファーが踏みかえられ、入宮の身体が俺の方を向く。
フェンスに片手を掛けたその姿は、シルエットだけなら先月までの彼女と変わりない。
でも、何故だろう。雰囲気がまるで違う。どこか…………娼婦のような。
「ごめん、ちょっと吐き出させて」
入宮は憂いを帯びた瞳でそう前置きし、手を握り締めながら語り始めた。

土曜日にクリトリスを調教されたこと。
伊田達の責めには屈するかと頑張ったものの、無理だったこと。
快感が強すぎて、何度か失神したこと。
今も勃起状態が続いていて、歩いたり座ったりするたびにショーツに擦れて感じてしまうこと……。

「多分今も、その……濡れてる、と思う。それ知られたらまた、鬼の首取ったように淫乱だとか言われるんだよ」
毒を吐き出すようにそう告げてから、入宮は深呼吸を始めた。
制服のブレザーを上下させながら。気のせいかまた、胸が育ったような気もする。
「ふーーっ、よし、弱音終了っ! ごめん、愚痴に付きあわせちゃって!」
爽やかな笑みを浮かべ、パンと手を合わせる入宮。
少しは元気になったようだ。さすがにスポーツで結果を残してきただけあり、自分なりの気の持ち直し方があるらしい。
そしてその発散対象に選ばれた事が、素直に嬉しかった。
こんな事を言える立場にない事は重々承知だが、それでも俺は、入宮に笑顔でいてほしい。
「全然。キツくなったら、またいつでも言ってくれ」
俺はそう言って笑った。
頑張れ、頑張ってくれ――――心の中で、切実にそう叫びながら。


                               続く
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