大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

版権モノ(二次創作)

もうひとつのSHIROBAKO(SHIROBAKO二次創作)

※アニメ『SHIROBAKO』二次創作。クールな総務・興津由佳の枕営業モノ。
 独自設定・オリキャラありのため注意。



「ふう……。これで音響の人は終わりだから、後は、えっと…………」
宮森あおいは呟きながら、手にしたリストに目を通す。
武蔵野アニメーションに制作進行として入社し、半年あまり。
初の担当作である『えくそだすっ!』が先日無事に納品となり、今は関係各所に挨拶回りの最中だ。
製作進行中は、日々トラブルの連続だった。その事に対して侘び、感謝し、今後の協力を願う。
そうしたコミュニケーションこそ、製作進行の肝なのだと、今のあおいは身に染みて感じる。
「次は、美術さんかな」
あおいが考えを纏め、唇からペンを離したその時。
彼女の乗る営業者の窓が軽く叩かれる。視線を向けると、一人の中年男が立っていた。
佐野という、広告代理店の中堅社員だ。

「こんにちは!」
あおいはドアウィンドーを下げて笑顔を見せる。つられるように佐野も笑った。
「相変わらず忙しそうだね、宮森さん」
「いえ……あ、確かに忙しいのは忙しいんですけど、山場は乗り切りましたから!」
「そっか。ホント台風一過って感じだね。聞く所じゃ、今回もトラブル続きだったらしいじゃない、“ムサニ”さん」
「いやー…………お恥ずかしい限りです」
あおいはバツが悪そうに頬を掻いた。
武蔵野アニメーション、通称“ムサニ”の動向は、やはり同業者から注目されているようだ。
無理もない。前作で『ぷるんぷるん天国』という、アニメ史に残る作画崩壊をやらかしたばかりなのだから。
その汚名返上をモットーに始動した『えくそだすっ!』でまた進行トラブルとくれば、業界人にとってさぞや良いネタになろう。
「業界一年目でいきなり火事場に放り込まれるなんて、大変だったね」
佐野は瞳に同情の色を含んで尋ねた。
アニメーション業界において、対岸の火事などというものはない。慢性的に人手が足りず、常にどこかの現場が阿鼻叫喚の中にある世界だ。
よって他所の惨状を笑っていても、そこには少なからず自虐的な意味合いが含まれている。

「正直、毎日いっぱいいっぱいでした。特に4話の最後の方は、私、完全にショートしちゃって。
 まさか最後の最後でサーバートラブルが来るなんて思いもしませんでした。
 まさに『万策尽きたー!』って感じです」
「ああ、あのFTPサーバー止まった時でしょ? あれ、影響ヤバそうだなーって皆で噂してたんだよ」
「危うく、4話で早くも総集編になっちゃう所でした。
 何とかなったのは、先輩の矢野さんが状況を整理してくれたり、興津さんが私の抱えてたもう一件を引き継いでくれたおかげです」
あおいがそう告げた瞬間、佐野は目を丸くする。

「興津って、あのムサニの興津由佳!?」
「え、はいっ、そうです!」
あおいはたじろぐ。何の気なしに出した言葉であり、そこに食いつかれるとは思いもよらなかった。
「彼女、まだ現場やってたんだ」
「あ、いえ、今回だけは特別なんです。多分私が、本当に余裕がなかったから……」
「お、そか。そうだよな……あんな事があっちゃ、そうそう現場復帰しないよな」
ぽつりと佐野の口から零れた一言が、あおいの心に絡みついた。
「何か、ご存知なんですか?」
あおいはドアウィンドーから身を乗り出して尋ねる。
佐野は“しまった”という表情を見せた。
「あ、ああ、何でもない何でもない」
そうはぐらかそうとするが、あおいは手を伸ばして佐野の袖を掴んだ。
「気になります、教えてください佐野さん!」
喰らい付くようにしてさらに問うと、佐野はひとつ溜め息をついた。
「いや……でもコレはさ、君に言っちゃうと、セクハラとかって問題になるかもしれないんだよ。つまり、そっち系の話ってこと」
「っ!!」
佐野の言葉に、あおいは目を見開く。
枕営業。咄嗟にその言葉が脳裏を過ぎった。あのクールな興津がそんな事をするとは思えないが、それでもだ。
「詳しく教えてください。セクハラなんて、絶対に言いません!」
あおいは佐野の瞳を覗きこみながら告げる。
佐野はその後もしばし逡巡していたが、やがて諦めたように肩の力を抜いた。
「……くぅー、解ったよ、降参! ホント、ムサニの女子って強いよな。
 じゃあ夜になったら俺のマンションに来て。今はまだ仕事中でしょ」
佐野は住所をメモ帳に記すと、ページを千切ってあおいに渡す。

そこからの午後の仕事は、あおいにとっていつになく長いものに思えた。
会社での由佳は普段と変わらず、淡々と伝票整理を行っている。
何かあったようには見えない。しかし仮に何かあったとしても、それを社員に見せるような女性でもない。
「どうかしましたか」
あおいの視線に気付き、由佳がクールな美貌を向ける。
「あ、いえ!」
あおいは慌ててスケジュール表に視線を移した。
(あんまり見るのはまずいよ。さっきのだって、ただの噂かもしれないし)
(そう思うなら、さっさと聞けばいいじゃん。枕したんですかー、って)
(そんな事、訊ける訳ないよ。誰にでも、踏み込んじゃいけないラインはあるよ)
あおいの心中で、2つの人形が会話を交わす。精神的に余裕がない時の癖だ。
あおいはそれを振り払い、得意先に電話をかける。仕事に没頭するしか、逃げの道がなかった。


興津由佳。
武蔵野アニメーションの総務を務める彼女は、あおいから見ても魅力的な女性だ。
片目を隠すようなショートヘアに、あまり表情を変えない整った顔立ち。
総務らしくカッチリと着こなしたスーツも相まり、まさしくクールビューティといった雰囲気を持つ。
仕事面は極めて有能であり、個人の担当業務を完璧にこなす一方で、全体をよく見てもいる。
社内が浮ついた雰囲気になった時、一喝して場を鎮めるのは主に彼女だ。
あおいの先輩である矢野や落合が由佳の現場復帰を促した事から考えて、制作進行時代から優秀であったと判る。
新米のあおいからすれば、まさしく『大人の女性』という印象があった。

「その興津さんが、枕営業なんて…………ちょっと信じられません」
佐野のマンションで正座しながら告げるあおい。
佐野は、2つのマグカップにコーヒーを注ぎながら苦笑した。
「俺は、枕営業なんて言ってないでしょ。……ま、実際はそうなんだけどさ」
あおいの前にカップを置き、その対面に座り込んでから、佐野はふと表情を固くする。

「一応彼女にフォローを入れとくとね、仕方がないんだ。
 君の世代は知らないだろうけど、この業界もちょっと前までは暗黒時代でさ。
 その時代の制作進行なんていったら、それこそ何でもしなきゃいけなかった。
 調べたら判るけど、その頃の制作の自殺率ってハンパじゃないぞ。俺の知り合いも2人死んでる。
 興津さんも、その生き馬の目を抜くような時代の制作だからね。枕をしてたとしても変じゃない。
 自分から提案しないにしても、この人こそと決めた相手から条件を出されれば、断り切れない状況だってある」
「それは、確かに……そうかもしれません」
わずか一年足らずの経験ながら、佐野の語る理屈はあおいにも理解できる。
外注業者には癖のある人間が多くいた。理屈屋や金に煩い人間、サボり癖のある人間。
その中に、日々のカンヅメ作業で性欲を溜め込み、肉体を求めてくる男がいても何ら不思議ではない。
他に宛てがなく、時間的余裕もない状況下で、一度抱かれれば請けてやると迫られれば…………あおいには、断固拒絶する自信がない。
「じゃあ、その事を理解した上で……というより、興津さんの『ムサニを護る』って覚悟を汲んだ上で、コレを見てくれ」
そう言って佐野は、ラックから一枚のDVDを抜き取った。
シンプルな白いパッケージ。
「白箱……?」
あおいは思わずそう呟いた。それは、作品が完成したときにスタッフに配られる、白い箱に入ったDVDとよく似ていた。
つい数日前、『えくそだすっ!』の白箱を手にして感極まったばかりなだけに、あおいにとっては印象深い。
「その発想になる辺り、宮森さんもすっかり業界人だね。これは、ただ映像を焼いただけのヤツだよ」
佐野はそう言いながら、ひらひらとDVDを翳す。ケースの表面には、マジックで殴り書きがなされていた。
『興津 由佳 (武蔵野アニメーション) 200× 11/12』
所々が掠れているが、紛れもなく由佳の名前と所属、日付が記されている。
「本当に……興津さん…………!?」
あおいの心臓が強く脈打った。



DVDがデッキに飲み込まれてからしばし。
テレビの画面に、薄暗い室内が映し出される。妙に生活観のあるアパートのリビングだ。
部屋の至る所に男性用衣類が散乱し、フィギュアや成人指定らしきゲームソフト、丸めたティッシュペーパーが転がっている。
漫画ばかりを収納した棚や、パソコン・ステレオセットなどの機器が壁を埋め尽くし、床には配線が踊る。
典型的な『オタク』と呼ばれる人間の部屋だ、とあおいは感じた。
そしてその部屋の中央、薄汚れた敷布団の上に、一人の女性が映し出されている。
端整な顔立ちと、金のリングピアス。白い肌に、スレンダーなボディライン。
見間違えよう筈もない。それは先ほどまで会社で目にしていた興津由佳当人だ。
彼女は丸裸に剥かれ、華奢ともいえる肢体を露わにされいた。
脚をMの字に大きく開き、後方へもたれかかる格好だ。
後ろには冴えない容姿の肥満男が座り、もたれかかる由佳をたるんだ胸板で受け止めていた。
(テンプレートな『オタク』だね)
(ウチの監督に無精髭生やして、10倍不潔にしたようなブタね。見てるだけで匂ってきそう)
あおいの脳内で、再び2つの人形が会話を始める。

映像を見る限り、挿入はなされていない。
代わりに由佳の身体には、男の太い指が這い回っている。
愛撫……と言えるのかすら曖昧な、触れるか触れないかというソフトタッチだ。
「色んな意味でいやらしいよな。ああいうフェザータッチってのは、女性の感度を飛躍的に上げるらしい。
 好きな相手と見つめあいながらああされると、普段以上に濡れるんだとさ。
 …………っと、余計な情報だったな」
佐野は興奮気味に語りつつ、傍にいるのが年頃の女である事に気付いて口を噤む。
(はい、セクハラ一回目。最低だね)
(それは言わない約束じゃないか。それに、状況を解説して貰えるのは有り難いよ。ボクらには経験がないんだから)
あおいの脳内の人形劇が活気を増していく。
それは逆に、あおい本人がいよいよ余裕を無くしている事を意味した。
同じ女である以上、あおいには本能で理解できる。男のタッチが、どれだけ堪らないかが。
『はっ…………あっ、はぁっ……』
映像は、由佳が熱い吐息を吐き出す音までを拾っていた。
演技か素なのかは判らない。しかし、妙に真に迫っているように思える。
『ウヒヒ、感じてきた?』
『…………はい…………』
男の問いに、由佳が答える。
『そうかそうか。今日は由佳のオマンコを、指と舌だけでドロドロにしてあげるからね』
男は由佳の耳を舐めながら囁きかけた。その間も5本の指先での愛撫は止めない。
じっくりと時間をかけて乳房を下から撫で回し、乳輪をくすぐり。
そしてその末に、とうとう胸の先が震えるほどになった瞬間、狙い澄ましたように乳頭を摘み潰す。
『あっ…!』
由佳の唇から吐息が漏れた。かすかだが、発情の色がある。

(あの声は、完全に感じてるよね)
(そんなの見れば解るじゃん。胸の先がもう四角くなってるんだから。勃起よ、勃起)
(あの男の人、意外に上手いよね。興津さんの体の事を、よく知ってる感じがするよ)
(普通の女のコに相手にされないから、こういう時に発散するしかないんでしょ。情けないヤツ!)
(興津さんは可哀想だよね。あんな男の良いようにされるなんて、堪らないよ)
(あのデブにだって、枕を迫れるだけの実力があるんでしょ。力のある人間にはハイハイって従うしかないの、制作は)
あおいの2つの心が討論を続ける。
その間も、由佳は男のねっとりとした責めを受け続けていた。
様々に姿勢を変えながら、全身を這う指先。それはとうとう、由佳の内腿を重点的に責め始める。
『ふんん……っ』
由佳は両脚をM字に開く格好を取らされながら、小さく喘ぐ。
撫でられている太腿はともかく、腹部や肩、頭の先までもがむず痒そうにさわさわと動いている。
それは、微弱な電流が彼女の体の内を貫いている事を示すかのようだった。
顔もそうだ。瞳こそまだ冷静さを保っているものの、眉は常に垂れ下がり、口は半開きのまま閉じない。
自慰をはじめてから10分以上が経ったころ、鏡の中のあおいが見せる表情と同じだ。
『良い表情になってきたじゃないか、由佳』
男は肥満体を揺らしながら由佳の顎を掴み、キスを強いる。
『んっ……んっ……はっ、んむぁっ…………ん』
由佳は抵抗しない。それどころか、自らたっぷりと舌を絡め、唾液を交し合う。まるで本物の恋人にするかのように。
「ううっ……」
あおいは思わず眉を顰める。
「凄い根性だよねぇ、ここ。中々できる事じゃないよ」
あおいの横で、佐野も苦い表情を作った。

男は濃厚なキスを交わしながら、太い手を少しずつ由佳の股座へと近づけていく。
2本指が薄い茂みを越えた所で、ぐちゅりと音が立った。
『ぷはっ。はは、よく濡れてる。ちょっと淫乱過ぎるんじゃないか』
『……すみません』
男の煽りに、由佳は静かな瞳で謝罪する。見た目には依然としてクールだ。女を濡らしているとは、とても思えないほどに。
しかしそのクールさこそが、男の嗜虐心を焚き付けるのだろう。
『まあいい。もっと、嬲ってやる』
男はそう言うと、由佳の体を押し倒した。そして仰臥した由佳の足の間に顔を埋める。
『さあ由佳、いつものをしてやるよ。しっかり踏ん張れよ』
『わかりました』
股座に鼻を埋めているせいでくぐもった男の声と、銀行員のように明瞭な由佳の声。
対照的なそれらに続き、何かを啜る音が動画内に響いた。
何か。状況からして考えるまでもない。男が由佳の愛液を啜っている音だ。
「ひっ!!」
これには、見ているあおいの方が悲鳴を上げた。生理的な嫌悪感から、背筋が粟立つのが解った。
映像内の由佳は悲鳴を上げない。
けれども、男の視線がなくなったせいか、先ほどまでとは反応が違っていた。
瞳は先ほどまでとは違い、かすかに潤みを帯び始めている。
頬を赤らめ、視線を小さく彷徨わせるその姿は、大人の女性どころか少女のようだ。
あおいは知っている。由佳はクールに振舞う反面、可愛らしい女性の一面も持っている事を。
社内のデスクは誰よりも少女趣味で、愛らしいぬいぐるみや小物が並んでいる。
打ち上げでは意外にも高揚してよく話す。自社のアニメが好評と聞くと、一瞬とはいえ目を輝かせて喜ぶ。
そうした愛らしさが興津由佳という女性の素であり、普段は努めて鉄の女を演じているのだろう。

男は、飽くことなく由佳の秘裂を舐め続けていた。
女に飢えているらしい露骨さだ。
くの字に折れた由佳の伸びやかな脚……その両膝の下を押し込むようにして脚を開かせ、秘部を舐めしゃぶる。
柑橘系の果実に直接口をつけて貪るかのような、品のない音で。
ムードも何もあったものではなく、あおいならば堪らず悲鳴を上げている所だ。
『あっ、あっ……はぁっ、あ…………!!』
由佳は規則正しく喘ぎ声を発していた。同じ女であるあおいには、演技だとすぐに解る。
しかし男は、下卑た笑みを浮かべている所からして、その演技を真に受けているようだ。
『どう由佳、気持ちいい?』
『はい……とても気持ちいいです』
男が顔を上げて問うと、由佳は相手の望む通りに答えを返す。男の笑みが深まる。
『グフフ、ならもっとしてあげるよ』
男はそう告げ、由佳の膝下をやや上方向へと持ち上げた。
くの字を描いていた由佳の両脚が、揃えられたまま天井を向く。
男はその脚線をしばし堪能し、やがて上向きになった秘裂へ、覆い被さるようにして口をつけ始めた。
ずずっ、じゅるるっ、と水音が再開する。
『自分で脚、押さえといて。もっと情熱的にしてあげる』
男が命じると、由佳は細い腕を伸ばし、自らの膝裏を抱え込んだ。
両手が自由になった男は、舌だけでなく指も用いて秘裂を責め立てる。
秘裂を舐めながら、その上方……おそらくはクリトリスを指で捏ね回し。
舌と指の両方で穴を弄くり。
あるいは、10本指を用いて夢中で膣の中を拡げ、観察し続ける事もある。

(まるで人形遊びみたいな熱心さだね)
(本当に、人形相手で満足してればいいのに。相手する女の気持ちにもなれっての)
(でも……あれだけ色々とされたら、女の子の方も感じちゃうんじゃないかな)
(なワケないじゃん。防衛本能で濡れるだけ!)

あおいは映像を眺めながら、いよいよ精神的に余裕がなくなっていくのを感じていた。
女の地獄……まさしく、それを目にしている気分になった。
「大丈夫、宮森さん? やっぱもう、止めようか」
顔色の悪さを案じたのか、佐野が尋ねる。
「大丈夫です。続けてください」
あおいはきっぱりと答えた。
確かに直視に耐えがたい代物だ。けれどもせめて、由佳に何が起こったかだけでも把握しておきたかった。


『ウヒヒヒ……すっかりトロトロになった』
呆れるほど執拗な秘所責めの後、男が呟いた。
由佳は恥じらいを隠し切れずにいる。目を泣いたように潤ませ、頬を赤らめ、口元を噤み。
『いい顔だ、可愛いよ。じゃあそろそろ、挿れてあげる』
男はそう言って、由佳の体を反転させた。光の角度が変わり、由佳の背中から脇腹にかけての汗がよく見えるようになる。
常にクールな印象のある興津由佳ながら、その汗はひどく生々しい。
『あああ、いいよ由佳。やっぱりこの視点が一番そそるよ』
男は、由佳の背を見下ろして涎を啜った。
確かに由佳の這う格好は、仰臥とはまた雰囲気が違う。
仰臥ではすらりと長い脚が目を引くが、這う格好では華奢なボディラインが印象的だ。
黒いショートカットと金のピアス、すっきりとしたうなじまでは大人の女という風だが、その下のラインはひどく細い。
そのアンバランスさは、異様な魅力を放っていた。
映像を見るだけでは解らないが、由佳の汗の量からして、映像内には濛々としたおんなの匂いが立ち込めてもいるのだろう。
これだけ条件が揃っていて、女に飢えたオスが猛らぬはずもない。

『さ、さぁ、挿れるぞ由佳!』
男は息遣いも荒く由佳の腰を掴む。由佳は素早く後方を振り返った。
『ゴムを付けて下さい』
『あ、ああ、そっか。君は、ナマ嫌いだったっけ。…………でもさコレ、結構面倒なんだよね』
男は傍らからコンドームの袋を拾い上げて開封し、拙い手つきで隆起した逸物に被せていく。
そして、改めて由佳の腰を掴んだ。
隆起した逸物の先端が、由佳のヒップラインの中ほどを数度ほど擦る。
そして動きが止まると、少しずつ逸物の輪郭がヒップラインに隠れ始めた。
『んっ…………』
艶かしい動きは、間違いなく挿入がなされている事の証明だ。
「………っ!!」
あおいは、正座した膝の上で手の平を握り締めた。
こうした知識がない訳では勿論ない。しかし見知った人間が挿入される映像を見るのは、なんとも妙な感覚だった。
『ううううっ……相変わらず、締まるなぁ。幼女の処女マンコみたいだよ』
男は挿入を深めながら呻いた。
たるみきった腿を前に突き出し、掴んだ腰を引き付け、とうとう陰毛付近までの全てを由佳の体内に埋め込んでしまう。
『さぁ、一番奥まで入ったぞ。これから、動くからな』
舐めるように由佳の耳元へ囁きかける男。由佳は半ばほど振り返り、薄い笑みを浮かべてみせた。

一度男の腰が引かれてから、たんったんったんっとリズミカルに肉の弾ける音が響き始めた。
次いで大きいのが、シーツの擦れる音。そしてそれらに混じり、かすかに粘ついた水音も聴こえている。
男の過分な脂肪の乗った下腹や腿が脈打ち、華奢な由佳の身体へと圧し掛かる様は、ひどく犯罪的だ。
間違いなく根元まで入っているだろう。そう考えた時、あおいにはひとつ疑問が浮かんだ。
「あの…………佐野さん」
どうしても気になり、隣でやや気まずそうにしている佐野に声を掛ける。
「ん?」
「あの、この人のあそこって…………その、大きいん……ですか?」
頬を赤らめ、やや上目遣い気味に尋ねるあおい。佐野はそれに一瞬虚を突かれ、破顔する。
「ははっ。宮森さんは、まだ詳しくないってわけか! そうだなぁ。まぁ、平均よりちょっと大きめ、ってところかな」
「ちょっと大きめ……ですか。あ、ありがとうございますっ!」
あおいは、耳まで赤らめて佐野に頭を下げた。しかしその最中にも、映像内の腰を打ちつける光景が脳裏に浮かんでいる。
男の物は、傍目にもひどく大きく思えた。それを後ろから受け入れる、それも、自ら望まぬままに……。
あおいは今一度、膝の上で手を握り締めた。言葉に出来ない思いが渦巻いていた。

愛のないセックスに、気持ちよさなどある筈はない。それが、年頃の女としてあおいが持つ考えだ。
しかし、映像を見ているとその考えが揺らぎそうになってくる。
『ヒヒ、凄い愛液だ』
男は腰を打ちつけながら呟いた。事実、水音や由佳の内腿のてかりから、かなりの愛液が分泌されているとわかる。
それは果たして、ただの防衛反応からか?
『ああ、あっ……はっ、あ、あっ…………あ、ああっ…………』
由佳は深く挿入を受けながら、絶え間なく喘いでいた。
枕営業をかけている以上、相手を悦ばせるために演技するのは自然なことだ。
しかし、その喘ぎに妙に熱が篭もっているように思えて仕方がない。
挿入を受けて微妙に震える左脚の動きや、シーツを掴む右手の動きは、明らかに感じた女の反応に思える。
『ううっ。この奥のうねり、最高だっ!!』
男は挿入を繰り返しながら、かなり深い部分に挿入したまま、腰を留める事がある。
それどころか由佳の細い腰を両手で掴み、グリグリと円を描くように押し付ける動きさえする始末。
『くあっ!!』
そうした時の由佳の声は異質だ。鋭く、そして甘い。由佳という女性を体現するように。
俯いていた顔も、この時ばかりは前方に持ち上がる。細目を開き、唇の真ん中だけを噛みしめ。
女が本当にたまらないときに見せる顔だ。
「………………」
あおいは、正座のまま内股を狭める。
由佳の性的な反応を見るうちに、いつしか妙な気分が湧き上がってしまっていた。
もし隣に佐野という異性がいなければ、秘部への刺激を始めているほどに。

官能からくる様々な反応を表しつつ、雄と雌の激しい交わりは続く。
それはやがて、汗を散らしながらのスパートに至った。
『あ、いくっ!! いくよ由佳、射精るよっ!!!』
男は由佳の腰を掴みながら叫ぶ。
『は、はい、下さい……奥に、下さい!』
由佳も同じ調子で男に応えた。
その2秒後。男は奥深くまで結合したまま腰を留める。お、おうっ、という呻きと共に、由佳の腰を掴む手に力が篭められる。
射精しているのは明らかだった。
やがて男が逸物を抜き出すと、被さったコンドームの先端は呆れるほど膨らんでいた。
本来であればそれが由佳の膣内に浴びせられていたという事で、妊娠の危険性はかなり高かっただろう。
『ふいいーー、出た出た。一週間ぶりだったからなぁ』
男が腰を下ろすと、由佳も両脚を揃えたまま向き直る。
『お粗末様でした』
横髪をかき上げながらそう告げると、男の逸物からコンドームを外して咥えこむ。
『うっ! へへ、相変わらず、上手いお掃除フェラだよ。ここまでされちゃあ断れない。仕事はキッチリさせてもらうよ』
『ふぁい……ありがとうございます』
男は由佳の髪を撫でながら満足げに告げ、由佳は逸物をしゃぶりながら上目遣いに笑みを見せる。
そこには間違いなく、2人のプロの姿があった。


「どうだった、宮森さん?」
映像の消えたテレビから視線を外し、佐野が問う。
「あ、え!? ええっと……」
茫然自失という様子のあおいは、慌てて佐野の方を向いた。
しかし、どう、と言われてすぐに答えられそうもない。
「ああ、いいよいいよ。女の子にこんな映像見せて、どうだったもないよな。忘れてくれ」
佐野は苦笑しつつ、デッキからDVDを取り出す。そしてあおいに背を向けたまま、ふと動きを止めた。
「…………ひとつ言っておくとね、これを参考にはしない方がいいよ。
 枕なんてのは、すぐに噂になる。これは本当に、そうするしかなかった時代の最終手段だ。
 ただ、彼女……興津さんは、そうしてでもムサニを守りたかったんだと思う。
 どうかその意思だけは、知っておいてほしい」
「ムサニを、守る…………」
佐野の言葉に、あおいは胸に手を当てた。
確かにそうだ。興津由佳は、誰よりも武蔵野アニメーションを大切に思っている。たとえ泥を被ってでも、守ろうとするほどに。
「わかりました!」
あおいは、佐野に向かって笑顔で告げた。

翌日も、その笑顔は変わらない。
(興津さん……ありがとうございます!)
淡々とパソコンに向かう由佳をちらりと見やり、心の中で深く感謝する。
「よーしっ、今日もどーんと行きますか!!」
「おっ、みゃーもり気合入ってるねぇ」
「万馬券でも当たったかぁ?」
矢野や高梨といった同僚に驚かれるほど、あおいは強い決意を口にする。
その様を見て、由佳もかすかな笑みを浮かべた。
年が明ければ、また新たな企画がスタートするはずだ。制作進行の新人も入社し、いよいよ忙しくなるだろう。
しかし、それでもあおいは進む。
かつて由佳がそうしていたように、武蔵野アニメーションを守っていく。

『もうひとつの白箱』の事だけは、誰にも明かさないままに……。



                                終わり

苦楽の果てに (フェアリーテイル二次創作)

※フェアリーテイル365-366話にかけての、エルザ全裸拷問を読んで衝動的に。


キョウカは腰に手を添えたまま、囚われのエルザを眺めていた。
冥府の門(タルタロス)の地下。
石壁は苔生し、柱の合間には蜘蛛が巣を張る。
さほど頻繁に使われる訳でもなく、また使われるべきでもない階層の最奥……
二重の錠が護る石牢に、エルザは繋がれていた。

身に纏うものは何もなく、生まれたままの姿を晒している。
服を剥がれた理由は、一つには彼女が鎧を換装して戦う魔導士である事が関係していた。
とはいえ、彼女を繋ぐ拘束具はあらゆる魔法を封じる鉱石でできている。
それを手足に嵌めている以上、魔法の使用を危惧する必要などない。
すなわちこれは建前。
真の理由は、何といってもエルザの羞恥心を煽る事にある。
今からキョウカが行おうとしているのは尋問だ。
尋問において、相手が服を纏っているにも関わらず、自分だけが裸を晒すという状況は耐え難い。
無意識のうちに相手との格差を感じ、屈服しやすくなる。
特に、対象が美しく誇り高い女であればあるほど、劇的な効果が期待できた。

「……これが、妖精女王(ティターニア)か」
獲物の目覚めを待つ間、キョウカは誰にともなく呟く。
最強ギルドである事を改めて世に知らしめた『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の中でも、
さらに頭一つ抜きん出たS級魔導士。
パンデモニウムにて、100の魔物をたった1人で倒しきったその実力を、もはや疑う者はいないだろう。
「なるほど」
エルザの裸体に今一度視線を這わせ、キョウカは続ける。
成熟と若々しさが絶妙に入り混じる肉体だ。
凛然と整った顔立ち。
スカーレット(緋色)の名に恥じぬ、紅蓮のような長い赤髪。
零れるほどによく実った乳房、肉の張りと筋肉の締まりの申し分ない脚線。
妖精女王の名にこれほど相応しい女も他に居まい。
「!」
その妖精女王が、ついに眠りから目覚める。
「目が覚めたかな」
キョウカは間髪を入れず告げた。
相手の意識も定まらぬ内に存在を示し、主導権を握る。些細ではあるが重要だ。
ギシッ、とエルザを拘束する頭上の鎖が軋む。続いて、両足首の鎖も。
「これは……!」
エルザは鎖を軋ませながら、己の置かれた状況を把握しつつあるようだった。
「ようこそ 冥府の門(タルタロス)へ」
淡々とした口調で、相手に現状把握のための材料を与えるキョウカ。
エルザの目を見開く様が滑稽だ。
いかな妖精女王とて、この急転直下の窮地は受け入れ難いらしい。
特に、その原因が意外な人間の裏切りとあれば。
「バカな!!!!元議長が裏切るハズなどっ!!!!」
ギシギシと激しく鎖を揺らすエルザに、キョウカは冷笑を投げかける。
魔法を封じられた魔導士は無力。それが世の理だ。
たとえ、噂に聞くS級魔導士であろうとも。

  
「そなたには聞きたい事がある」
キョウカはエルザの顎を掴みあげながら、静かに告げた。
「ジェラールの居場所だ」
尋問の意図を明らかにした瞬間、エルザの顔色が一変する。蒼白、と言うべきか。
そしてその反応は、キョウカが期待した通りのものでもあった。
「そなた等が親密な関係なのは知っている」
エルザの戸惑いを覗き込むように、キョウカは追求を続ける。
「な…なぜジェラールを?」
顎を引き、敵意を剥き出しにしながら問うエルザ。
しかし、キョウカに答えるつもりはない。
問うのは自分で、相手は答えを返すだけの木偶。その逆は赦さない。

エルザの顎先から離された指が、そのまま彼女の身体を滑る。
「どこにいるか言え」
キョウカはエルザの急所を摘み上げた。
狙うは女の芯。女性器の上端に息づく、小さな肉の芽だ。
「あ あ ぁ あ ぁ !!!」
気丈だったエルザの相好が瞬時に崩れ、苦悶の叫びを上げ始める。
「 あ あ 、 あ …… あ  !!!! 」
ぐっ、ぐっ、とキョウカが指先へ力を込めるたび、悲痛な叫びが石壁に響く。
「此方の“魔”は人の感覚を変化させる。
 そなたの痛覚は今、限界まで敏感になっている」
肉体の現状を知らしめつつ、今一度陰核を捻り上げるキョウカ。
「ふぐ…… ん!!」
エルザは歯を食い縛って悲鳴を堪えるが、波打つ身体が如実に痛みを訴えていた。
激痛が脊髄を駆け上っているのが見て取れる。
陰核を捻り潰されたのだから当然の反応だ。
薄皮の下に無数の神経が張り巡らされた陰核は、人体の中で最も敏感な箇所といえる。
しかし、エルザは理解しているだろうか。
たった今キョウカが明かした事実、“痛覚が極限まで敏感になっている”ということの意味を。
それはすなわち、エルザの皮膚という皮膚……顔に手足、腹部に乳房、そのすべてが陰核と化したも同然なのだと。
「言え」
今一度、キョウカが問う。軽い問いであった。キョウカはこの問いで、エルザが折れることを望んでいない。
「知ら……ない……」
眼に大粒の涙を湛え、唇の端から唾液の線を垂らし、汗に塗れ。
その状態でなお、エルザは毅然とした態度で答える。
これこそがキョウカの望み。エルザに本当の意味で現状を教えるための、最後の条件がクリアされた。

 
キョウカは薄い笑みを浮かべながら、人差し指を変質させて一振りの鞭を形作る。
太さはわずかに女の指ほど。
しかし鞭とは、操り方次第で容易く人間の肉を裂く凶器だ。
こと、皮膚とその直下に対する痛みにかけては人類史上あらゆる武器にも並ぶものはない。
ヒュン、と風を切りながら、キョウカの指先が宙を舞う。
竜の尾が巻くように一度円転させ、その運動エネルギーを余さず乗せて指を振り抜く。

スパァンッ!!

肉の爆ぜる音がした。狭い石牢に、けたたましくその鋭い音が反響した。
しかし余韻には浸れない。
「う あ あ あ ぁ あ あ あ あ ! ! ! ! 」
絶叫。
まさしくそうとしか形容しえない声が、エルザの喉奥から迸る。
鳩尾に一筋走った鞭痕を晒すように仰け反り、髪を振り乱して叫ぶ。
その様は歴戦の戦士ではない、紛れもなく一人のおんなだ。
クス、とキョウカから笑いが零れる。
彼女は今、狂おしい激痛の最中に知っただろう。
己の総身が、先ほど挟み潰された陰核と同質のものになっている事実を。
何があっても秘匿されるべき神経の塊を、無防備にもキョウカに晒している恐怖を。
「ハア、ハア、ハア……ハア、ハア……ハア…ハア…………」
下方の一点を見つめたまま、エルザの視線は凍り付いている。
肺は逆に暴れ狂っているのか、長時間疾走を続けたような荒い息が途切れない。
内股になったその脚には尿さえ伝い、排泄用に設けられた足元の溝へと流れ落ちていく。
ただ一度の笞打ち。されど全身が陰核化された身を打たれれば、ただの一度で失禁に至るのだ。
かの妖精女王(ティターニア)が。

「フェイスの封印を解く為、我々は元評議員を皆殺しにするつもりだった」
喘ぐエルザの耳元へ、キョウカはジェラールを捜す理由を囁きかける。
そして前髪を掴んで無理矢理に顔を上げさせた。
「……うち二人はすでに死んでいた。残る一人は…」
「まさ…か…」
エルザが朧に事実を把握する。その顎を掴み、キョウカは吐息も掛かろうかという距離に詰め寄る。
決定的な事実を告げるために。
「ジェラールが死ねばフェイスの封印が解ける」
「!!」
キョウカの言葉に、再び顔面を蒼白にするエルザ。
ジェラールに想いを寄せていることが、これほど解りやすい反応もない。
「おっと…少し口が滑ったな。これでは知ってても教えられんか」
キョウカは迂闊さを悔いる素振りを見せる。しかしその口調にはあくまで余裕が感じられた。
それもそのはずだ。キョウカには、まだ手の内にカードがある。
 
「知らん!!本当にジェラールの居場所は……」
「こうしよう」
エルザの声を遮り、キョウカはその横顔を覗き込む。
「ジェラールの居場所を言えば、ミラジェーンを返そう」
ミラジェーン。エルザと共に捕らえたギルド仲間だ。
彼女はキョウカの下僕とする為の肉体改造を施すつもりである事を、すでにエルザには伝えてある。
共に死線をくぐり抜けたギルドの仲間同士は、固い絆で結ばれているのが常だ。
特にエルザのような義に厚い人間が、仲間を見捨てる筈はない。
想い人か。ギルドの仲間か。エルザにすれば片方を見殺しにする、究極の選択といえる。
「…………!」
絶句するエルザを、キョウカは背後から静かに見つめる。
そして判断を急くが如く、素早く指先を降り抜いてエルザの尻肉を打ち据えた。
「言わねば……そなたもミラジェーンも死ぬ」
改めて置かれた状態を確認させる。
エルザは身を揺らして苦悶しながら、呻くように口を開いた。
「本当に……知らない…… ……んだ。………頼む…ミラを助けて…くれ」
真に迫った様子で哀願するエルザ。

あるいはエルザは、本当にジェラールの居場所を知らないのかもしれない。
確率は五分五分とキョウカは読んでいた。
一見して竹を割ったような性格に見えるエルザだが、歴戦の猛者である事も事実。
それなりの処世術は身に着けている筈であり、巧妙に白を切り通している可能性は捨てきれない。
しかし実のところ、エルザが情報を知っているのか否かはさして問題ではなかった。
情報を知っているならば、吐くまで甚振り続ければよし。
逆に本当に知らなかったとしても、この冥府の門(タルタロス)に連れ込んだ以上、生かして返す事は有り得ない。
キョウカは生粋の拷問好きだ。
彼女の拷問にかかれば、囚われた者は例外なく惨めな最期を迎える事となる。
エルザが情報を持っていようがいまいが、キョウカがその身をしゃぶれるだけしゃぶり尽くして愉悦に浸る事には変わりない。

「そうか……もう少し此方を楽しませてくれるのか」
キョウカは指先の鞭を引き絞りながら、湧き出る愉悦を噛み殺しつつエルザに告げる。
エルザの顔が恐怖に歪むさまを、この部屋で彼女だけが堪能できた。





「うぐあぁああっ!!」
キョウカの鞭が脇腹に巻きついた瞬間、エルザは天を仰いで絶叫する。
そして視線を虚空へと彷徨わせた後、力なく項垂れた。
気絶。
拷問が始まってから、一体何度目になるだろう。
痛覚が限界まで研ぎ澄まされた身だ。脳が過剰に危険を察し、意識を断ち切ろうとするのも無理はない。
しかし、キョウカは相手が休むことを赦さなかった。
ある時は頬を張り、ある時は赤髪を根元から掴みあげて、気を失うたびに覚醒させている。
「休ませぬぞ」
キョウカはやはりそう呟くと、俯くエルザの眼前で指を引き絞る。
狙う先は、エルザの肉感的な両脚の合間。
男女を問わず、下方からの打撃に耐えるよう作られてはいない場所だ。
キョウカの指が手招きをするように折られ、鞭の先端が風を切る。
ピシィッ、と鋭い音が響き渡った。
「っ!?……ぐぁああぁあああっっ!!!!!」
不意に訪れた衝撃に、エルザは身を捩らせながら悶え狂う。
気絶前は時の経つほどに反応が鈍くなっていたが、寝起きの一撃はやはり鮮度がいい。
「うぅ、うううぅうっ……!!」
閉じた目から涙を流し、内股に膝をすり合わせて苦しむエルザ。
それをさも可笑しそうに眺めながら、キョウカはエルザの背後に回る。
相手の周囲を巡りながら嬲るのがキョウカの常だった。

「痛かったか。では慰めてやろう」
嘲笑いを含む口調で告げながら、キョウカはエルザの脇下へと手を回す。
五指に長い爪を有する手が掴むのは、豊かに揺れる乳房だ。
静かに掌で包み込んだ次の瞬間、痛烈に力を込めて揉み潰す。
エルザの乳肉は容易く変形し、指と指の合間に白い隆起を見せた。
「うぐぐぐ、ぐっ……!!」
当然ながら、エルザからは苦悶の声が上がる。
痛覚を活性化されたエルザの側は、針山を押し付けられているようなものだろう。
「そなたの乳は底無しの柔らかさだな。極上の揉み心地だぞ」
キョウカは獲物の悲鳴に目を細めつつ、ゆったりと乳房を刺激し続ける。
そして存分に堪能した後、とうとう指先は頂にある蕾へと至る。
「気のせいか?ここも、反応しているようだが」
爪先が乳房を掴み、容赦なく引き絞る。
形のいい乳房は一瞬にして三角に尖り、その鋭利さで無理な力の込められ具合を示す。
普通の人間でいうならば、乳頭にピアス穴を開けられ、それを滑車で巻き上げられるに等しい苦痛か。
「いぎぃあああぁぁああっ!!!」
エルザから絶叫が搾り出された。
「いい声だ。耳を通り抜け、此方の心さえ震わせる。
 かの大魔闘演武でさえ、ここまでの叫びは聞けなかった」
キョウカはさらに乳頭の引き絞りを繰り返す。
「あぁあっ、あ……うああああっ!!!!」
その都度、エルザからは絶叫が迸った。全身を覆う脂汗が、さらにじっとりと濃さを増していく。
「そなたの汗は不思議と甘い匂いがするな、妖精女王。部屋中に充満しているぞ」
キョウカは粘ついた声をエルザの耳元に囁きかけ、そのまま鎖骨を舐めた。
「く……!!」
眉根を寄せるエルザ。痛みではなく、望まぬレズビアン行為に対する精神的屈辱からだろう。
エルザ自身にその気が有るにせよ無いにせよ、同性からの愛撫を強要される状況は耐え難い。
キョウカはそれをよく知っている。
 
「あ、あっ、ああ…………!!」
乳房と鎖骨への刺激で、エルザの身体は艶かしく踊る。
その末に内股の力が緩む瞬間を、キョウカは見逃さない。
蛇が木を滑り降りるような素早さで、しなやかな指先が股座へ入り込む。
「ここは小便まみれだ」
指先を浅く女の部分へ沈み込ませながら、キョウカが呟いた。
「よ、よせっ!!」
エルザは目を見開き、反射的に叫ぶ。
「よせ?そなた、誰に口を利いている。今すぐミラジェーンを改造してやっても良いのだぞ」
キョウカが気分を害された様子で凄むと、エルザの顔が驚愕に染まった。
「や、やめて…………くれ」
一転して弱気な哀願となり、秘裂への刺激を拒む。
しかし、相手の弱みを見つけたサディストが手を緩めることなど有り得ない。
キョウカは存分にエルザの秘裂の感触を堪能した後、引き抜いた指を太腿に這わせる。
その指先が次に狙うのは、より一層恥じらいの大きい部分。
尻肉の合間に息づく、排泄の穴だ。
「い゛っ!!!」
指先が入り込んだ瞬間、エルザの喉元から濁った叫びが漏れる。
「ほう、きついな。こちらは未使用か」
キョウカは口端を吊り上げた。
2本の指を重ねてより深くへと送り込み、指が握り潰されるような感触を味わう。
片やエルザは後方へと視線を投げかけたまま、ガチガチと奥歯を鳴らし始めていた。
出す事しか意識したことのない穴へ、異物の挿入を受けるおぞましさ。
それが勇ましい彼女の心に喰い付いている。
「ああぁ、あ……あああっ…………!!」
キョウカはしばし、腸内で指を蠢かしながらエルザの苦悶する様を眺め続けた。
そしてそれに飽きると、再び距離を取って鞭を浴びせる。
「あ あ ァあ あ あ あ っ!!!!」
久しく忘れていた皮膚の痛みに、新鮮な叫び声を上げてのた打ち回るエルザ。
キョウカはクスリと笑みを漏らす。
秘所の粘膜をくじり、辱めるのも一興。
しかしせっかく痛覚を鋭敏にさせている以上は、やはり鞭が一番面白い。
眼からも、耳からも、感触からも、狂おしいまでの痛々しさが伝わってくる。
涙を流し、涎を垂らし、汗を光らせて踊る獲物は滑稽だ。
特にそれが、勇猛で気高い女であればあるほど。
「まだだ、まだ足りぬ。この程度で壊れては、そなたである意味がない。
 そなたの堅強さには期待しているのだ。叫び、悶えて、時を忘れるほどに此方を楽しませてくれ」
エルザの身の至るところへ鞭を浴びせながら、キョウカは告げる。
まるで瞬きをしないその眼は病的であり、底知れぬ嗜虐性を感じさせた。


  
囚われてから、どれだけの時間が経ったのだろう。
エルザの身体は、傷のない箇所を探す方が困難なほどの裂傷に覆われていた。
上腕、下腕、肩口、乳房、脇腹、鳩尾、臀部、腿、足首……あらゆる場所がだ。
鞭が直に舐めた体の前面よりも、巻きつく形で叩きつけられた背面の方が、ことさら傷が深かった。
また、派手な鞭傷が目を引くが、よく目を凝らせば殴打痕と見られる痣や、爪を立てられたと思しき微細な切り傷も存在する。
白い柔肌を覆い尽くすそれらの痕は、エルザがどれだけ執拗に嬲り続けられたかを察するに余りある。

「騒がしいな」
エルザの十数度目の気絶を確認した直後、キョウカは異変に気がついた。
地震が訪れたように石牢が揺れ、地上階の方からは人の騒ぐ声も漏れ聴こえている。
苦しげに項垂れるエルザを一瞥した後、キョウカは口を開いた。
「ヤクドリガ、女を見張っていろ。此方は様子を見てくる」
まるでその呼びかけを心待ちにしていたが如く、石牢上部の天井に影が蠢く。
エルザの肢体に触手の束を垂らしながら現れたのは、異形の魔物だ。
ガマガエルの頭を有し、蟲を思わせる触覚を携え、手足の先は繊毛の生えたヒレ状のもの。
まさに今エルザに触れんとするそのヒレ先からは、微弱な電流さえ確認できる。
「手は出すな」
キョウカは鋭く忠告した。
ヤクドリガと呼ばれた魔物は、その声に反応してビクリと触手を引く。
「此方の拷問の楽しみがなくなる」
冷ややかな視線を投げかけながら釘を刺し、キョウカは石牢を後にした。

石牢の扉へ二重の錠を下ろしながら、キョウカはふと笑う。
「手を出すな……か。無駄な事だろうな」
覗き窓から見えるヤクドリガは、エルザを凝視しながらもキョウカを恐れて控えている。
しかし、それもキョウカの姿が見えるうちだ。
ヤクドリガはさして頭の良い魔物でもなく、またそれ以上に女好きが過ぎる。
特にエルザのような凜とした美女が好みらしい。
その好物と共に石牢へ残せば、いずれ手をつけることは目に見えていた。
むしろキョウカの制止が背徳感を煽り、より倒錯的な行為に走る可能性さえある。
「しかし、痛覚が極限まで高まった状態でアレの相手とは……哀れなものだ。
 戻った時には、果たしてどれほどの無様を晒していることか」
キョウカは後の楽しみに眼を光らせながら、異変を速やかに処理すべく歩を進めた。



 


 (ナツ……ルーシィ…………グレイ)

灰色に淀む脳裏に、ギルド仲間達の面影が浮かぶ。
焚き火を囲むようにして大所帯が集い、一様にエルザの方へ笑顔を見せる。
一度瞬きして目を開けば、その奥にはさらに、ミラジェーンやジェラールの姿も加わっていた。

 (皆、無事なんだな、良かった! すぐに私も、そこに……)

エルザは仲間の下へ歩み寄ろうとする。しかし、前進ができない。
両腕は頭上で一纏めに拘束され、足首は股を開いた状態で固定されている。
そして、次の瞬間。
彼女は腰の辺りから閃光を感じた。
その閃光はすぐに身を震わせる電流となり、彼女の意識を闇から引きずり出す。

「うああっ!!」
叫び声と共に、エルザは意識を取り戻した。
幾度も覚醒のたびに目にした、蝋燭の立ち並ぶ石牢。
仮面をつけた女の姿は見えないが、代わりに、自らの身体に何かが触れている事に気付く。
「なっ……!」
エルザは目を見開いた。
乳房に腰、そして大腿部に、得体の知れないものが張り付いていたからだ。
妙な生臭さを放つそれは、繊毛と吸盤上の皮膚でエルザの肌にぴとりと密着している。
繊毛からは涎のように粘液が分泌されてもおり、エルザのボディラインに沿って床へと滴り落ちていた。
さらには微弱な電流さえ帯びているようで、密着される皮膚はピリピリと痛む。
先ほど感じた電流の正体はこれのようだ。
「ギ、ギ」
触手の根元から奇声が発せられる。
見上げてその異形の頭を確認したエルザは、静かに喉を鳴らした。
魔物としての怖さは感じない。
彼女が100の魔物を屠ったパンデモニウムでいえば、せいぜいがB級モンスターといったところだ。
まともな状態で戦えば、もののついでで斬り捨てられる。
しかし、この状況での遭遇はまるで意味が違った。
今のエルザは手足を拘束され、魔法を封じられている。
挙句には、キョウカの能力で痛覚を極限まで高められている状態だ。
ほとんど村娘に等しい……否、それ以上に無力なこの状態で遭う魔物は、エルザの心臓に最大級の警鐘を打ち鳴らす。
「ギギィ」
エルザのその心境を読み取ったのだろうか。
ヤクドリガは明らかに喜色を浮かべた泣き声を発しながら、エルザの身に触手を巻きつけていく。
そして触手が身体の各部を一回りした段階になると、静かに頬袋を膨らませる。
何らかの攻撃を仕掛ける前兆だ。
エルザは豊富な戦闘経験からそれを感じ取ったが、しかし何ができるわけでもない。
かくしてエルザは、ヤクドリガの攻撃を為すすべなく受ける事となる。
それまでの微電流とは比較にならないほどの、痛烈な電流を。

 
「うぁああぁあぁあああ゛あ゛っ!!!!」
地下の石室に叫び声が響き渡る。
わずか数秒の間隔だけを置いて、もう幾度も立て続けに上がっている悲鳴だ。
「あ゛あぁああああ゛っっ!!!!!」
再び悲鳴が喉から迸るのを、エルザは遠くに感じていた。
地獄の電流拷問だ。
ただでさえつらい電流責めに加え、今は痛覚が過敏になりすぎている。
あまりに痺れが強いため、いつしか皮膚という皮膚が分厚いゴムになったように触感を失っていた。
代わりに、くすぐられるような狂おしいもどかしさが身の内を這い回る。
手足は意思とはまったく無関係に病的な痙攣を繰り返す。
挙句には自律神経さえ一時的に機能しなくなるため、ありとあらゆる体液が垂れ流しの状態だ。
涙に涎、汗、さらには愛液さえもが止め処なく溢れていく。
白目を剥いてもいるようだ。
しかし、止めようがない。
電流が流れる間は醜態を晒し続け、電流の止まるタイミングで脱力して酸素を求め、また醜態を晒すデスマーチ。
「ギギ、ギギギィ」
もはや疑う余地もなく、魔物はエルザを嬲る事を楽しんでいた。
「やぇっ、やぇろ………。……もぉ、やぇえ……くぇ…………」
呂律の回らない口調でエルザがいくら中断を訴えても、応じる気配がない。

それをどれだけ繰り返されたのか、やがてエルザは完全な脱力に至った。
「あ……あぅ………あぅぅう………………あ」
涙の滲む視線は虚空を彷徨い、閉じない口からは涎が垂れ続けている。
筋肉は弛緩しきって張りを失い、脚は内股に折れて、頭上の鎖を支えにかろうじて直立を保っている状態だ。
「ギィイッ」
獲物が完全に無力化する瞬間を待ち望んでいたのだろうか。
ヤクドリガは短く啼くと、いよいよエルザの肉体へと強く纏いつき始める。
それまでは触手だけを絡めていたものが、とうとう胴体さえ密着させ、抱きつくように肌を合わせて。
「……は、離せ!」
エルザは顔を引き攣らせる。その表情は嫌悪ゆえか、あるいは恐怖ゆえか。
いずれにせよ、もはや彼女にヤクドリガを振るい落とせる力はない。何をされてもされるがままだ。
ひた、ひた、と肌に触れていた触手が、とうとう産道の入り口に至っても。
「ギ」
ヤクドリガは一度啼いてエルザの注意を引き、彼女の視界端で触手の一本を収縮させる。
普段はイカやタコのそれを思わせる形状だったものが、収縮させる事で一本の太い枝のように変質していく。
「まさ……か」
それは女の本能だったのだろうか。瞬間的に、エルザは魔物の意図を理解した。
そしてその理解通り、ヤクドリガは陰唇に触れる触手の方も硬く握り込む。
そしてエルザの恐怖を楽しむようにゆっくりと秘裂の表面を撫で回すと、狙いを定めたように押し付ける。
「や、やめっ……!」
エルザが叫んだ時には、既にすべてが遅かった。
ヤクドリガの触手は深々と秘裂に突き刺さり、電流責めで愛液に塗れている内部を滑るように進む。
「ああああぁあっ!!!!」
エルザは叫び声を上げた。
女性器への侵入は、ただでさえ強い痛みや異物感があるものだ。
それに加え、今の彼女は身体中の痛覚が極限まで研ぎ澄まされた状態にある。
硬く太い触手が陰唇を擦る感触、襞の一つ一つに擦れていく感触、膣の拡張に伴って隣接する筋肉が蠢く感触。
それらが膨大な情報となって、焼き鏝を当てるように脳裏に刻み付けられていく。
どぐり、どぐり、どぐりと、血脈のリズムに合わせて、幾度でも。
「うぁあ、ああ……あ…………っ!!」
気絶できればまだ楽だ。しかしこの膣への挿入は、痛みの総量が膨大すぎて気絶すらままならない。
ゆえにエルザは、あくまで意識を保ったまま、己の秘匿すべき部分が蹂躙される痛みに耐えるしかなかった。




数知れぬ絶叫を吸収してきた石壁が、今は艶かしい音を啜っている。
ぬちゃ、にちゃっ、ぬちゅ、ぬちゃっ、にちゃっ……。
脚の合間から漏れるそうした音を、エルザは喘ぎながら耳にしていた。
音の元は、ヤクドリガの触手から滲む粘液か、それともエルザの零す蜜か。
膣の中の異物感は相当に強い。
収縮したとはいえ、ヤクドリガの触手はエルザが作る指の輪ほどの直径を誇る。
それが抜き差しされる苦痛はかなりのものだ。
「う、ああぁっ……!!」
触手の先端が子宮口を叩いた瞬間、エルザは呻きを上げた。
出産経験のない女性の場合、子宮口は硬く閉じており、突かれれば強い痛みを伴う。
痛覚が増幅している今のエルザには、身を揺さぶるほどの衝撃だ。
幾度もゴリゴリと奥を削られれば、涙を零さずにはいられない。
さらに触手は、不意に膣内へ電流を流すこともある。
身の内から痛烈に痺れさせられては、もはや悲鳴さえ上げられない。
「……………………っ!!」
エルザは目を見開き、瞳孔を収縮させて痙攣する。
そして電流が止めば、溺死からかろうじて助かったかのように激しく喘ぐ。
「ギギッ」
ヤクドリガは、そうしたエルザの苦悶を楽しんでいるようだった。
「ぐっ……!!」
エルザは奥歯を噛みしめる。
たかだかBランク程度の魔物に、いいように扱われる恥辱。
『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』最強のS級魔導士としての誇りが汚されていくようだ。
否、恥辱だけならばまだいい。
気がかりなのは、同じく囚われている仲間のミラジェーンだ。
助けに行きたいが、動けない。その焦りがエルザの情緒を不安定にし、感じやすくしていく。

そうして延々と苦悶に悶えるうち、やがてエルザは自らの小さな異変に気がついた。
膣奥を貫かれる狂おしい痛みが、10度に1度ほどの割合ではあるが、快感に変わりはじめているのだ。
 (バカな……!)
エルザは身の異変を否定しようとする。しかしその間にも、快感の頻度は増していく。
気付けばいつしか、否定しきれないほど明白な快感が脊髄を駆けていた。
「あっ、あ……あ、あああっ…………あっ!」
喘ぎにさえ甘い響きが含まれていると悟り、エルザは愕然とする。
妙なことではない。
人間の脳は、苦痛のレベルがある一線を超えた時、自衛本能からその苦痛を快楽と誤認させる。
いわゆるランナーズ・ハイと呼ばれる類の現象が、エルザにも起こっているだけだ。
しかし生真面目な彼女は、それを受け入れられない。
 (ありえない……下劣な魔物に嬲られて、快感を得るなど…………!)
歯を食い縛り、頭を振って正気に戻ろうとする。
その気丈さこそ、サディストにとっての責め甲斐であるとも知らずに。



触手に大きく突き上げられ、足の鎖が音を立てる。
足裏が床から浮き上がる瞬間さえあり、その瞬間は触手の突き上げを膣奥の一点で受け止めていることになる。
「くぅあっ……ああぁああっっ!!!!!」
普通であれば即座に失神してもおかしくない激痛が、エルザの脊髄を焼き焦がした。
しかし。今のエルザの脳は、その激痛をも未曾有の快楽にすり替える。
あるいは優れた魔導士として活性化した脳を持つゆえに、苦楽の変換効率も並外れて高いのかもしれない。
「あ……あぁっ…………あは、あっ…………」
エルザの毅然とした瞳が、一瞬精彩を欠く。
強靭な意志の力ですぐに正気に戻りはするが、幾度も秘所を突かれればまた快楽が勝る。
喘ぎ続ける口はいつしか閉じることを忘れ、だらしなく涎を垂らし続けていた。
そこへ、ヤクドリガの触手が近づく。
「よ、せ……」
エルザは反射的にそう呟いた。しかしそれが空しい事であると、彼女自身も理解している。
異形の魔物は、嘲るように触手をエルザの口内に侵入させた。
「ぐっ……ん、むぅっ!…………む、うむうぅっ!」
頬肉を突かれ、舌を掬い上げられ。
触手によって口内を貪られながら、エルザは呻き続ける。
苦味のある粘液が唾液と混ざるたびに、いよいよエルザの頭が霞んでいく。
神経毒か、あるいは催淫効果があるのか。いや、そのどちらであっても、今のエルザには変わりない。
身体中至る所を触手に巻きつかれ、秘裂を穿たれる。その状況から逃れる術などないのだから。
ヤクドリガの触手が、いよいよエルザの尻穴に宛がわれた。
「!!」
エルザは見開いた瞳で後方を振り返るが、それ以上何もできない。
ただ己の排泄の穴へ、キョウカの指よりも太いものが侵入する感触を味わうだけだ。
「むぉあああっ…………!!」
目一杯に括約筋が押し広げられたその瞬間、触手を咥える口から声が漏れた。
直腸を強引に奥までこじ開けられ、蹂躙される。
腸壁自体に神経はないが、腸に連なる筋肉が金切り声で異常を訴えていた。
快便の感覚を数十回分凝縮したようなものだ。数分ともたず、強靭なエルザの足腰が震え始める。

「うむうっ、ああうっ、あぁっ!!ああっ、うあぁああううあっ!!!!」
敏感な三穴を魔物に蹂躙されながら、エルザはただ悶え狂った。
緋色の髪を振り乱し、艶かしい身をうねらせて。
いつ終わるとも知れない快楽地獄は、刻一刻と人の心を絶望に染める。
どれほど甘い菓子であっても、絶え間なく与えられては恐怖しか生まれない。
キョウカに鞭で甚振られていた間のほうが、まだ生きた心地がしていたものだ。

救いの来ない地下牢の中。
あとどれだけの時間、エルザは正気を保てるのだろう。
「あ……あぁうあ………………っあ………………!!」
泥酔したように蕩けた表情で、堪らず吐息を漏らすエルザ。
その痴態は、高貴なる妖精女王の、そう遠からぬ陥落を仄めかしていた……。


                         終
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晒し屋本舗

※漫画『怨み屋本舗』二次創作、オリキャラありオリ設定ありのパラレルアナル物。
  スカトロ(排泄)成分を割と容赦なく入れているので、ご注意を。



“あなたの怨み晴らします。社会的抹殺・人探し・実質的殺害(価格応談)”

そう記された名刺が渡された時……それは『怨み屋本舗』が、相手を依頼人として認めた時だ。
現代の仕置き人。
怨みを抱く人間に成り代わり、金銭と引き換えに復讐を代行する者。
少人数ながら極めて優秀な人材の揃う怨み屋は、これまで幾多の復讐を粛々とこなしてきた。
しかし……今回ばかりは、その怨み屋も行き詰まりを見せている。

依頼を受けた当初は、ごく単純な案件と思われた。
依頼人が相手から公衆の面前で辱められ、それに対する復讐。
怨み屋がもっとも多く依頼され、また得意とする類のものだ。
情報屋である獅堂の調べにより、3日とかからず加害者の身元は割れる。
ところが、この後から調査は難航し始めた。
その加害者もまた『被害者であった』からだ。
怨み屋の追求を受けた加害者は、金を積まれて何者かに頼まれたのだと自白する。
しかし誰に頼まれたのかが判らない。加害者は、ネットを通じた匿名のやり取りでしか相手を知らなかった。

人探しは振り出しに戻る。
そしてまさにその日の夜、怨み屋を嘲笑うような出来事が起きた。
復讐の依頼人が、またしても被害を被ったのだ。
夜遅く帰宅した依頼者の部屋には、一面にカラスの死体が散らばっていた。
そしてテーブルの上には、新聞記事を切り貼りした一枚のメモが残されていたという。

“あナ た の 怨 ミ 晴 ラし ま ス”

明らかに『怨み屋』への挑戦状だ。
これに怯えた依頼人は復讐依頼の撤回を申し出たが、怨み屋側は頑としてそれを認めなかった。
ここで手を引けば負け逃げだ。
切った張ったの裏社会において、負け逃げは信用の失墜を意味する。
『怨み屋本舗』の威信に賭けて、この依頼を投げ出すわけにはいかない。

「とはいえ……手詰まりな状況には変わりないな。
 このまま依頼人が自殺にでも追い込まれれば、それはそれでマズイ」
獅堂が眉を顰めながら呟く。
机を叩く指の動きが、かなりの苛立ちを表していた。
「相手はこっちの存在に気付いている、という事しか手がかりがありませんね。
 仕事柄、怨みなんていくらでも買いますし……」
工作員の1人である里奈も、苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
「非道ッチュ!連中、許せないッチュ!!」
もう1人の工作員である十二月田も、特有の口調で怒りを露わにする。
その中で、『怨み屋本舗』社長である宝条 栞だけは、冷静な面持ちで思案を巡らせていた。

「……やれやれ。流石に今度ばかりは、万策尽きたか?」
獅堂がそうぼやいた直後。それまで沈黙を守っていた栞が、不意に口を挟む。
「1つだけ、この難局を乗り切れるカードがあるわ」
その一言に、場の3人が目を見開いた。
「マジかよ! しかしそんな切り札があるなら、何でもっと早く出さなかったんだ」
獅堂が問うと、栞は珍しく返答に窮する様子を見せる。
しかしすぐに表情を引き締めた。
「彼と私とは、少し複雑な関係でね。なるべく関わり合いにはなりたくなかったのよ。
 とはいえ、今さら背に腹は変えられないわ。
 明日……ひょっとしたらその次の日も、私は彼との交渉で戻れないと思うけど、
 その間に少しでも情報を集めておいて。いいわね?」
有無を言わせぬその語調に、獅堂達はそれ以上の追求が出来ない。
しかし栞の言う『相手』が、ただ交渉の難しいだけの相手ではない事は、3人共が感じ取っていた。





「相変わらず美しいな。『怨み屋』……いや、栞。」
紅いソファに腰掛けた男が、直立した栞を見上げながら言う。
栞は一糸纏わぬ丸裸だ。
そのモデルのように均整の取れた裸体を、男に晒すがままにしている。
「これだけ無沙汰をしておいて、急に連絡を取ってくるということは……
 私の情報網を頼るしかない苦境に立たされた、という所か」
「ええ、ご明察の通りよ」
栞は男に鋭い視線を向けたままで答えた。
知己を見る眼ではない。まるで、敵対者を警戒するような眼だ。
その視線を受けながらも、男に感情の波立つ様子は見られない。

男……伊形は情報屋だ。
怨み屋の協力者である獅堂も優秀な情報屋ではあるが、伊形の情報網はその上を行く。
道路の脇に生えている雑草の種類から、警察庁で今日迷宮入りとされた事件まで、
首都圏のありとあらゆる情報がこの伊形の下に収束すると言っても過言ではない。
そしてそれと同時に、伊形は栞の『女を目覚めさせた』人間でもある。
栞を女にしたのがかつての恋人である鎧塚であるならば、女の悦びを教え込んだのはこの伊形だ。
『怨み屋』を営む女にとって、ハニートラップの経験はあるに越した事はない。
多少男を覚えた程度ではなく、あらゆる性の知識を身をもって習得しておく事が望ましい。
そこで栞は、ある一定の期間、この伊形の元に預けられた。

伊形による肉体開発の日々は、今でも栞の記憶に深く根付いている。
連日連夜、くすぐるような刺激で身体中のあらゆる性感帯を目覚めさせられた。
規格外の大きさを誇る伊形の物を、暇があればしゃぶらされた。
騎乗位での腰使いを執拗に仕込まれ、正常位・後背位などあらゆる体位での快感を刷り込まれた。
クリトリス、Gスポット、ポルチオのすべての性感覚を徹底的に憶えこまされ、
疲労と快感で意識を失っても、すぐに頬を張って再開された。
何より忘れがたいのが、後孔の開発だ。
毎晩のように様々な浣腸を施され、伊形の見守る前で排泄を強いられる。
そして様々な道具を用いて拡張を施され、後孔だけで達するようになるまでアナルセックスを繰り返された。
当時まだ少女であった栞は、嫌だ、嫌だと泣き喚いたが、聞き入れられる事はない。
むしろ騒げば騒ぐほど、伊形は脂汗に塗れた栞へ覆い被さるように突き込みを深めた。

「どうかしたかね?」
伊形の言葉で、栞は自分が知らず過去の回想に浸っていたのだと気付く。
「いいえ。ただ……懐かしく思えまして」
「なるほど、確かに懐かしいな。だがお互いに時間は貴重だ、ビジネスの話に入ろうか」
伊形はそう言い、ソファの上で脚を組み替えた。
「解っていると思うが、私は金には興味がない。腐るほどあるからな。
 私の生き甲斐は、気高く美しい女が浅ましく乱れる姿を鑑賞することだ。
 ちょうど今のおまえなどは、程よく青臭さが消えて“美味そう”だよ」
伊形の言葉に、栞は解りやすいほど不快感を露わにする。
それを見やりながら、伊形は栞の足元を指差した。
透明な液体の湛えられた洗面器に、オレンジ色のゴムでできたチューブが浸されている。
見覚えがあるのだろうか。栞の眉がいよいよ顰められた。

「その洗面器には、ドナン浣腸液が作ってある。
 あれだけやったんだ、今でも憶えているだろう。一番キツイ浣腸だ。
 注入した瞬間、ウォッカを飲み干したように肛門がカアッと熱くなる……とはおまえの言葉だったな。
 実際、イチジク浣腸を10分耐えるようになったおまえが、ドナンでは3分ともたずに泣きを入れたものだ」
伊形は笑みを浮かべ、盥の横に転がったゴム製の道具を指す。
「おまえは、そのエネマシリンジを使って、自分の手で洗面器一杯のドナン浣腸を注入するんだ。
 その上で私に奉仕し、見事射精にまで導ければ排泄を許そう。
 こちらも命の一部に等しい情報をくれてやるんだ、相応の誠意は示して貰わんとな。
 なに。心配せずとも、肛門栓ぐらいは嵌めさせてやる。
 どうだ、受ける度胸はあるかね、『怨み屋』?」
挑発するように問いかける伊形。
その提案は、およそ女には耐え難い恥辱の内容だ。
しかし、栞はなおも強い瞳を伊形に向けていた。
そこには、裏社会で生き抜いてきた人間特有の芯の強さが見て取れる。
「しかるべく。」
依頼を受けた際の常套句を口にしつつ、栞は不敵に微笑んでみせた。



「お゛っ……ごぉお゛っ、もぉお゛お゛お゛ぇ゛っ!! おごごっ、むごお゛ぁ゛っ…………!!」
部屋には苦しげなえづき声が繰り返されていた。
栞は伊形の足元に、蹲踞のような姿勢で屈みこんでいる。
「ふふ……歳を重ねても、喉奥の狭さというものは変わらんらしい。
 むしろ間が空いただけに、より締まりが増したか」
伊形は栞の頭を掴み、イラマチオを強要しながら告げた。
彼の持ち物は途方もない太さを誇り、麗人とも言うべき栞の顔を無残に歪ませる。
逸物の長さからして、蹂躙は喉の奥深くまで及んでいる事だろう。
栞の喉元から乳房にかけては、異様に泡立つえづき汁で濡れ光っていた。
本来であればとうに嘔吐していてもおかしくない。
しかし伊形の言う通り、『慣れている』のだろうか。どれほど苦しげでも、嘔吐には至らない。
栞は伊形の毛深い脚を掴みながら、喉奥への蹂躙を懸命に凌いでいるらしかった。

栞の苦しみはイラマチオばかりではない。
彼女の肛門には極太の栓が嵌め込まれており、それが肛門の蠢きに合わせて揺れていた。
蹲踞の格好を取る太腿の震えといい、尻肉の細かな収縮といい、排泄欲の限界が見て取れる。
腹部からの腹鳴りも尋常ではない。
肛門栓の周りには、栓でも留めきれない汚液が不定期に噴き出してもいた。
「ぶはっ!!」
伊形がようやく栞の後頭部を放し、息継ぎを可能にする。
長大な剛直がずるりと栞の口内から抜き出された。
唾液の飛沫が宙を舞い、唇と剛直の間に濃密な糸が引く。
「……はっ! はぁっ、はあっ……は、はぁっ……はぁ、ああっ……!!」
栞は涎を床に滴らせながら、苦しそうに息をする。
酸素不足と、極限の便意。その両方の苦しみが、彼女の脳髄を焦がしている筈だ。
「どうだ栞、懐かしかろう。まだ生娘にも等しいおまえに、何十回何百回と咥えさせた逸物だ。
 カウパーから恥垢の匂いまで、脳髄の記憶に染み付いている事だろうな」
伊形は反り立つ剛直を誇りながら栞を見下ろす。
「……はぁっ、はぁ……た、確かに、この鼻をつく酷い匂いは久々だわ。
 それより、まだ出ないなんて遅漏なんじゃない? 亜鉛を摂った方が良いわよ」
対する栞は、負けじと伊形を睨み上げて憎まれ口を叩く。
並ならぬ精神力といえた。
ドナン浣腸を受けてから数分は経つ。まともに言葉が紡げるだけでも、驚嘆に値する。
しかし伊形に容赦はない。再び栞の頭を掴み、剛直を麗しい唇の合間にねじ込んでいく。
「う゛っ、う゛こ゛っ……! っごぉお゛おおお゛ぅう゛え゛え゛っっ!!!」
インターバルを経た事で、新鮮さを増したえづき声が響き渡る。
喰う者と、喰われる者。いかに栞が気丈に振舞おうが、その力関係は変わらない。


「さすがに、限界のようだな……『怨み屋』」
怒張を引き抜いた伊形が、蔑むように栞を見下ろす。
酷い有様だった。
裸体は至るところが脂汗に塗れ、猛烈な女の体臭を放っている。
顔色は蒼白そのもので、汗と涙、鼻水、涎の判別さえ困難な状態だ。
蹲踞の姿勢を取る伸びやかな脚は、爪先立ちになり、堪らない様子で腰を上下に揺らしていた。
腹の鳴りもいよいよ深刻になり、引き締まった腹筋は秒刻みで収縮を繰り返している。
まさしく限界。
ドナン浣腸による便意が、人間の意志で抑えられる臨界点を突破している状態だ。
「くっ……くく、くっ…………!!」
流石の栞とて、もはや憎まれ口を叩く余裕などない。
ただ奥歯までを噛みしめ、鼻頭に尋常でない皺を刻みながら極感を耐える他ない。
そしてその数秒後、ついに決壊の時が訪れる。
栞の慎ましい蕾から、数度放屁が漏れた。
それは次第に水音を含んでいき、ついに濁流と共に肛門栓を噴き飛ばす。

下劣な音が響いた。

勢いよく噴出した汚液は、時に飛沫を上げながら股下の洗面器に叩きつけられていく。
「く、ううううっ…………!!」
栞はその整った顔を恥辱に歪ませ、しかし抗う術もなく排泄の快感に浸りはじめた。
到底、普通の排便音ではない。
これほど悪質な下痢があろうかという噴射の音に、品のない破裂音。それが呆れるほど延々と続く。
「変わらんな。この排泄音に、この匂い……まるで変わっていない。
 あの頃の純朴なおまえが帰ってきたようで、嬉しいぞ」
伊形は口端を緩めながら栞に囁きかけた。
「うっ……ううっ! うはっ……あふぅっ…………!!」
留めようもない排泄の最中、栞は幾度か声を漏らす。
口惜しさから漏れた声もあっただろう。だがそれ以上に、快感の色が強かった。
堪えに堪えたこの排便が、堪らなく心地よいのだ。たとえ、人前に晒す最低な排泄であっても。
洗面器一杯に汚液が溜まり、出るものがなくなった後も、栞の桜色の蕾は開閉を続けていた。
無論、ドナン浣腸の後遺症なのだろう。
だが見ようによっては、それは固形物の挿入を誘っているかのようにも映った。
「さぁ、栞。次の段階だ。
 おまえは残念ながら、排泄までに私を射精へと導けなかった。
 ゆえに罰を受けて貰う。その、堪え性のない肛門にな」
伊形は肩で息をする栞を見下ろし、満面の笑みで言い放った。


  
「ではまず、腸の中を余さず掃除するとしよう。
 おまえは昔から、一度の浣腸ではスッキリと出きらない腸の形をしているからな」
伊形は一口ブランデーを含み、咀嚼して飲み込んだ。
「さぁ、どうだったかしら。もう憶えていないわ」
「白々しい事を言うな。おまえのように頭の回る女が、あれだけ繰り返した事を忘れるものか。
 ……まぁいい。前屈みになって尻を突き出せ。“いつもの”ポーズだ」
伊形に命じられ、栞は小さく歯噛みしながらその言葉に従う。
細身が前傾の姿勢を取り、豊かな乳房が揺れた。
伊形は棚から銀色の道具を取り出す。
肛門鏡。肛門へ挿入してから開く事により、腸奥までを覗けるようにする医療器具だ。
伊形はその烏口にローションを垂らし、栞の背後に立つ。
ドナン浣腸の効果により、緩みきった桜色の蕾。
そこへ烏口がねじ込まれる。肉を挟まないよう小さく開いたまま、ずぶずぶと奥まで。
「っ!!」
腸内の冷たい感触に、栞は思わず顎を浮かせた。

伊形は栞の反応を愉しみつつ、奥まで挿入された肛門鏡を開きにかかる。
次第に露わになる、宝条 栞という人間の体内。
奥の奥までが鮮やかな紅色に染まっている。
「相変わらず綺麗なものだ」
伊形は呟くと、開ききった肛門鏡から手を離し、ガラス製のディルドウを手に取った。
太さはさほどないが、代わりに長く、左向きに湾曲した独特の形状をしている。
「腰を下げるんだ」
伊形が栞の尻を叩いて命じた。
栞は四股を踏むような姿勢を取り、左右の掌をそれぞれ膝に重ねて安定させる。
力士がすれば様になるだろうが、裸の若い女性となれば滑稽そのものだ。
無論、そうした精神的な苦痛も伊形の望むところなのだろう。
排泄物の湛えられた洗面器を、改めて栞の尻の下へとずらし、伊形は準備を整えた。

「さて、では挿入するぞ。久方振りだ。括約筋を緊張させて、しっかりと味わいなさい」
伊形は栞に囁きかけ、肛門鏡の中へとガラス製のディルドウを送り込んでいく。
冷たいガラスが腸壁の合わさりを掻き分ける。
「んっ……」
その折に栞が発した吐息は、ひどく艶かしいものに聞こえた。
あるいは無意識の内に、これから起こる事に対しての期待を含ませているのか。
伊形は微細に角度を調整しながら、右向きにガラスディルドウを沈めていく。
「おまえはいつも、S字結腸下側に排泄物の残りを溜めている。
 こうして角度を持たせたディルドウで、耳掻きのようにこすってやれば……
 どうだ、残留物に当たっているのが解るだろう」
伊形はそう囁きながら、ディルドウの根元を少し回転させた。
構造からして、栞の腸内ではその先端が大きく円を描いているだろう。
「うん!」
瞬間、栞の腰がびくりと跳ね上がった。伊形が嬉しげに目を細める。
「みろ。今、感じたな?」
「……まさか」
必死に冷静を取り繕う栞だが、伊形の手がさらにディルドウを根元を操ると、
それに応じて腰を蠢かせてしまう。
そして、しばらくの後。栞の腸から、不意に小さな放屁の音が漏れる。
さらにはそれに続くようにして、どろりと汚液の残りがディルドウを伝った。
「おうおう、気持ち良さそうに出てきよったわ。
 おまえのように上等な女が、私の導きで糞を垂らす様は……いつ見ても堪らん。
 やはり中には、まだかなり残っているようだな、栞?」
伊形が勝ち誇ったように告げる。
「クッ!」
栞は後ろに視線を投げながら、不快さを露わにしている。
かつて『怨み屋』たる彼女が、ここまで良い様にされた事があっただろうか。
しかし、伊形ならばそれができる。

伊形はさらにガラスディルドウを操り、栞を責め立てた。
一度排泄が為された後は、ディルドウを動きに合わせて腸奥から水音が立ち始めた。
粘り気のある、何ともいえず淫靡な音だ。
そして伊形の手首が小刻みに動き、水音が断続的になった直後、決まって排泄が起こる。
黄みがかった汚液が、洗面器の中にまたひとつ飛沫をあげた。
「……はっ、はっ……はぁっー、はーっ、はっ…………!」
いつしか栞の唇からは、熱い吐息が吐かれるようになっていた。
頬の紅潮といい、明らかに性感の表れだ。
「おまえは昔から、この浣腸の後の摘便に弱かったな。
 自らの意思でなく、他人の手で無理に排泄させられる感覚が良いのか?
 それとも大股開きという、腸奥の狭まりやすい状態で『こじ開けられる』快感か?」
伊形はいやらしく問い続ける。
答えを期待してのものではないのだろう。ただ当人の耳に入るだけで、自尊心が削れる類の言葉だ。


どれだけ排泄の残滓が吐き出された事だろう。
すでに洗面器に滴る汚液は、ほとんど色のついていない液ばかりだ。
しかしながら、伊形の手首は緩急をつけて蠢き、ガラス越しに栞の腸内を嘗め回した。
それは恐ろしいほど巧みなのだろう。
栞は言葉の上でこそ否定するが、その腰は緩やかに踊るようにうねり続けている。
幾度も内股に折れかけてはがに股に戻し、足の裏が汗で滑っては引き戻す。
そうして、かろうじて蹲踞の形を保っている状態だ。
あるいは今ディルドウから滴っている透明な液は、大半が腸液なのかもしれない。

「ふふ、また腰が跳ねよったわ。いよいよアナル性感も芽吹いてきたらしい」
伊形はそう言いながら、ここで一際手首の繰りを早めた。
強く、早く、残酷なほどに角度をつけて。
その結果、栞の伸びやかな両脚は解りやすいほどに筋張った。
腸の奥の奥から幾度か破裂音が響き、その直後。
「おおお゛ぉ゛お゛っ…………!!!」
ついに、と言うべきか。
栞は背を反らして天を仰ぎ、濃厚な快感の呻きを漏らした。
直後、はっとしたように口を押さえるが、すでに遅い。
伊形がそれを聞き逃すはずがない。
「おまえがここまで耐える事も、しかしここで極まる事も、すべて計算通りだ。
 まぁ無理もなかろう。
 ドナンは格別に浸透圧が高いからな、浣腸後のアナルの敏感さも、他の浣腸の非ではない。
 放っておけば浅ましくヒクつき続けるアナルを、これだけ丹念に可愛がっているのだ。
 腹の中にズンと来るものがあるのも、当然だろう」
全てを見透かすかのようなその言葉に、栞は下唇を噛んだ。
「あ、アナルで感じる訳がないでしょ。今のは少し、咳き込んだだけよ」
あくまで肛門性感を否定する栞に対し、伊形は笑みを崩さない。
「ほう……では」
そう囁きながら、彼の指は栞の腰を回り込む。
茂みを指の腹でまさぐり、隠された蕾を探り当てる。
「これは何だ。クリトリスをこれだけ“しこり勃たせて”おいて、まだ感じていないとでも?
 この部屋に来て以降、おまえは浣腸とアナル責めしか受けていない筈だがな」
伊形に決定的な証拠を突きつけられ、栞は黙るしかない。
伊形はその彼女の耳を甘噛みし、洗脳するかのように囁きかけた。
「いい加減に諦めろ。私にすべてを委ねるんだ。
 おまえの身体を開発したのは私だ。私はおまえの生理を良く理解している。
 おまえ自身よりも……な」
伊形の言葉は、栞の瞳に燃える憤りの炎を、一瞬ながら揺るがせる。
その一瞬、栞の横顔は世間を知らない少女のものに変わっていた。




人を呪わば穴2つ。
誰かを貶める人間は、同じく貶められる事を覚悟せねばならない。
『怨み屋』として数多くの人間を貶めてきた栞もまた、その因果の中にあった。

一体何時間に渡って、調教が続けられたのだろう。
30帖のリビングには、至るところに調教の跡が残されていた。
牛乳の吸い上げられた浣腸器。
艶かしい粘液に包まれたままボウルに山盛りになった玉蒟蒻。
同じく粘液に塗れながら床へ転がる、無数のゴルフボール。
床には他にも、サイズ違いのアナルパールやディルドウが所狭しと放りだされている。

4人掛けの紅いソファにも情交の痕跡が見られた。
ソファの座部は夥しいほどの汗と愛液、精液で変色している。
そこを結合部とするならば、ちょうど頭に当たる部分にあるクッションもひどく濡れていた。
もしもそれが涎の跡だとするならば、尋常な量ではない。
合間合間に水分補給を入れなければ、確実に脱水症状を起こしていると思わしき濡れ具合だ。
よくよく見れば、座部の側面にも爪で掻いたような跡が見られる。
片方がよほど激しい反応を見せたのだろうか。
一体、人間どれほどの状況に追い込まれれば、ここまでソファの記事を掻き毟れるのだろう。

さて、その人間は今、どこにいるのか。
寝ているのではない。外出もしていない。
彼女は今も、マンションの一室……特別室に拘束されている。

栞は特製の革椅子に腰掛けていた。
大股を開き、座部に深く腰を沈める格好だ。
肘掛に乗せられた両腿には、まるで腰が浮き上がるのを防ぐかのように拘束帯が巻かれている。
そしてその茂みの下……肛門には、眼を疑うほどの太さのバイブがねじ込まれていた。
長さの程は解らないが、たとえ短かったとしても直径が半端ではない。
到底、軽い気持ちで受け入れられるものではなかった。
さらにそのバイブは、腹に響くような重低音を伴って激しく上下している。

「どうだ、直腸一杯に呑み込んだ極太の味は?
 憶えているだろう。昔、君に使った様々なアナルバイブの中で、一番君の反応が良かったものだ。
 太さ、固さ、反り具合、凹凸……全てが君の腸内構造にマッチしていたようだね。
 腸内深く抉りこまれると、先端で子宮の裏が押し上げられて堪らない。
 かつての君は、そう涙ながらに訴えていたね。
 今の成長した君なら、そのバイブによる快感をどこまで受け入れられるのか……楽しみだよ」

伊形はリクライニングチェアに腰掛け、ブランデーグラスを弄びながら優雅に見守る。
その視界の中で、栞は乱れに乱れていた。
「はっ、はおっ、はおおお゛お゛お゛っ!!!!」
口の端から止め処なく涎を垂らしながら、白目を剥いて叫ぶ栞。
髪は乱れ、美脚は椅子の脇で艶かしく揺れる。
『怨み屋本舗』社員の前では絶対に見せない姿。伊形の前でだけの姿だ。
「ほお、またきたな。」
伊形は痙攣を繰り返しながら悶え狂う栞を、愛おしそうに見つめていた。
やがて、栞の秘所から透明な飛沫が噴き上がる。
「ほぉおああぁぁあ゛あ゛あ゛っっ!!!!」
それと同時に上がった歓声は、思わずぞくりとするほどに精気に満ち満ちたものだった。

このマンションを出た後、宝条 栞はまた涼しげな顔で『怨み屋』の仕事に戻るだろう。
しかし今この瞬間は、彼女は肛門で数限りなく達する、低俗な家畜に過ぎない。
身の内に秘めた汚い部分を、全て曝け出すだけの。


                      終わり
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キルアナル

※現在放送中のアニメ『キルラキル』二次創作。
 若干ながら、排便・嘔吐要素が含まれてます。



「お、憶えてやがれ!」

二流の悪役が発するような叫びを残し、纏 流子(まといりゅうこ)は脱兎の如く逃げ出した。
逃げる他なかった。
父親の仇、『片太刀鋏』の謎を求めて本能字学園へと転入した流子。
その頂点に君臨する鬼龍院 皐月を追い詰める一歩として、敵対する運動部員を叩き伏せた所まではいい。
しかし、仮にも相手は身体強化服……『極制服』を着用した強者揃い。
勝ちこそしたが、体力を消耗しすぎた。ゆえに彼女は逃走する。
「逃げられると思うかッ!!」
風紀部委員長・蟇郡 苛(がまごおり いら)の荒々しい怒声が流子の背に浴びせかかった。
その風圧に一瞬眉を顰めつつも、流子の顔に焦りはない。
過去に幾度も、同じ光景があった。
流子が逃げ、生徒会四天王が怒号を散らす。
しかしその直後、眩いばかりの後光を纏って鬼龍院 皐月が姿を現すのだ。

 ――放っておけ、些細な勝ち逃げだ。

荘厳な声色を以って、そのように皐月は告げるだろう。
闘いの勝者に敬意を表してか。あるいは再戦のその時まで、あえて泳がせているだけか。
いずれにせよ、流子はこれまでその鶴の一言に救われてきた。
幾度となく繰り返された光景。
当然今度もそうなるものと、流子は予想していた。あるいは、怒声を放った蟇郡さえも。
しかし。
 
「……追え」
皐月が静かに放った一言は、大衆の予想とは異なっていた。
「あの逆賊を捕らえろ!」
二言目が紡がれた瞬間、場が一瞬静止する。
思考停止。
「………………なっ………………!?」
いの一番にそこから立ち直ったのは、窮地に立たされた流子。
そしてそれに次いだのは、皐月に深い忠誠心を示す運動部委員長、猿投山 渦(さなげやま うず)であった。
「承知!」
凛とした声で呼応し、配下の運動部員達に指令を飛ばす。
「クッ!」
流子は必死に学園の門からまろび出る。
しかし『鮮血』の恩恵はすでになく、疲労によりバランスさえ保てない。
本能字学園の運動部員が本気になれば、その流子を追い詰める事など造作もなかった。
「なろ……捕まってたまるかっ!」
流子も負けん気の強い女だ。周囲を取り囲まれ、窮地に陥っても諦めはしない。
片太刀鋏を手に、爽快なまでに暴れ回り、幾人もの運動部員を弾き飛ばしていく。

しかし……及ばない。
やがてその獲物は、『極制服』を来た一人に易々と弾かれる。
「袋田部長の、……仇だッッ!!」
ボクシング部であるらしきその男は、流子の腹部へ目掛けて鋭いストレートを叩き込む。
ドンッ、という衝撃の突き抜ける音が、人垣の外からですら確認できた。
「ごは……っ!!」
極制服で強化された一撃を、ほぼ生身で受けた流子は堪らない。
一瞬にして目を剥き、開いた口から唾液を吐き零す。肉感的な太腿が内股に折れる。
「こっちは臣子センパイの仇!」
「仇!」
「仇!」
その流子を、さらに女生徒達がラケットで殴りつけた。
前後左右、あらゆる方面からの袋叩き。
流子の痩身は錐揉みするように宙を泳ぎ、たちまち血に塗れていく。
「ふっわぁあー、流子ちゃん、何かすっごい事に! 皆、ちょっとやり過ぎだよぉ!?」
流子の自称親友である満艦飾 マコが気の抜けた解説をする中で、痛烈な打撃が打ち込まれた。
「コっ…………あ゛…………」
綺麗に顎に入ったその一撃により、流子の瞳孔はぐるりと上を向く。
力無く崩れ落ちる動きを止める余力も、意識も――――彼女にはもはや無かった。





「…………んっ…………」
流子は目を覚ます。
鈍く痛む頭に顔を顰め、薄目を開けて周囲を見回す。
そして、気がついた。
自らの境遇……服を取り去られた丸裸のまま、大の字を描いて磔になっている様に。
「なっ……!」
言動こそ男らしいが、意外に純情な所のある流子だ。
頬はたちまち紅潮し、目元を押し上げんばかりに膨らむ。
何もかもが見えているはずだ。
女子校生らしく、ほどよく肉感的な手足の肉付き、
膨らみかけの乳房に先端の尖り、
ほとんど無毛と言っていいつるりとした恥丘に、その下に慎ましく収まった秘所……。
そう考えていくうち、頬の赤らみはいよいよ鮮やかさを増していく。

その流子を、幾人もの男達が薄笑いを湛えて眺めていた。
流子の視線がそれを捉え、鋭い睨みを利かせる。
「ッ……てめぇら、何ジロジロ見てんだ! 放せよ、ギッタンギッタンにしてやるっ!!」
そう叫ぶと共に、流子は暴れ始めた。
生身の状態で数人の男を事もなく叩き伏せる肉体だ。
その手足が力を込めると、拘束具である磔台が大きく軋みを上げる。
無理を通して道理を蹴っ飛ばし、金属を引き千切りかねないほどの迫力。
しかし……千切れない。
「っは、はぁっ……はぁ、はぁっ…………クソッ…………!」
流子はやがて、力を使い果たしたかのように項垂れた。
そして汗みずくのまま、肩で息をしはじめる。

「ふ……少しばかり驚かされたが、無駄な足掻きだったな。
 その磔台は超合金製だ。この妙な服も着ていないお前に、破壊できるシロモノではない」
男の一人が、丈の短いセーラー服を摘み上げながら告げた。
「せ、『鮮血』ッ!」
流子が目を見開く。
自身の切り札……強化服が敵の手にある事実は、彼女にとって絶望的だろう。
しかし、纏 流子は簡単に諦めるような女ではない。
「その服渡せ、てめぇら…………!!」
火のつくような、男気すら感じさせる強い瞳で以って、流子は男達に凄んだ。
幾人かがその迫力に生唾を呑む。
しかし……集団の先頭にいる男、唯一『極制服』を纏う男は反応が違った。
 
「その気の強さ……流石と言っておこう。それでこそ、我が部の生贄に相応しい。
 我が『アナルファック部』の生贄にな!!」
声高に宣誓されたその言葉に、流子は丸く目を剥く。
「ア……アナル、ファック…………!?」
「いかにも、アナル・ファックだ。肛門性交とも呼ぶ!」
堂々と繰り返す極制服の男。
ようやく白く戻りつつあった流子の頬が、再び熟れたように赤くなる。
「な、な……何が『アナルファック部』だ! んーなモン、学校の部活として認められる訳ねぇだろうが!」
「いや。この学園では許される。鬼龍院 皐月様さえお認めになればな」
流子の叫びを制するように、極制服の男は静かに告げた。
言葉に詰まる流子を、野性味を帯びた瞳がギラリと睨みつける。

「…………お前を捕らえた後、その処遇をどうするかを決める会議が開かれた。
 すなわち、我が本能字学園の敵であるお前をいかにして辱めようか、という会議だ。
 生徒会主催の会議には我々も参加し……そして力一杯に主張した。
 アナルファックの重要性をな。
 その結果、皐月様より勅命を賜って急遽結成されたのがこの部だ」
「…………ど、どうやったらそんな結論になるんだよ…………!?」
もはや呆れ半分の流子。
しかし男は、不気味なまでの真剣さでもって論を続けた。
「どうして、か。その理由は実に明快。
 我らが主張の根底にはひとつの絶対的な真理があった……すなわち」
男はそこで一旦息を止め、瞳をギラつかせながら吼える。

「気の強い女は!」
「「「「「「 ア ナ ル が 弱 い !! 」」」」」」

男の掛け声に応じるが如く、背後の無星の学生達から唱和の嵐が放たれる。
髪を靡かせんばかりのその風圧を受けながら、さしもの流子もただ呆然とするばかり。
元より常識的な娘だ。常軌を逸して脱線し続ける人間に対しては、為されるがままになる傾向があった。
目を見開いたまま硬直する流子を面白そうに眺めつつ、男は続けた。
「お前のようにひたすら強気で強情な女のアナルは、二番目に責め甲斐がある。
 一番はもちろん皐月様……長い黒髪で、清楚高潔なご令嬢のアナルだ。
 しかしそのアナルを愛でるなど、口にするだに畏れ多い行為……ゆえに我々は、お前で“我慢”してやる」
その物言いに、自失していた流子も憤慨の意識を取り戻す。
「ふ、ふざけるなっ!!」
かろうじてそう叫ぶが、射殺すような眼光の数ミリ下は、もう不安に満ちて震えている。
「ふざけてなどいない。俺達はこれから、本気でお前のアナルを開発していくのだ。
 このたび皐月様より一ツ星極制服を賜った、この俺…………鬼頭 猛(きとうたける)を筆頭としてな!」
極制服を纏った男が、爛々と目を光らせる。配下の部員達も、また同じく。
その動物じみた視線に為すすべなく晒されながら、流子はただ、その凜とした顔を顰める他なかった。

  


「…………ふふふ、どうかな?
 普段のお前ならば事もなく蹴散らす、最底辺の『無星』から浣腸を受ける気分は」
鬼頭の粘つくような語りかけが、流子の耳を撫でる。
流子は不愉快そうに片目を吊り上げた。
彼女を大の字に拘束していた磔台はやや変形し、今は分娩台の相を呈している。
「さて、もう一本だ」
流子を取り囲む男の1人が、ガラス製の浣腸器を携えて告げた。
狙うは、流子の慎ましい肛門。
すでに数度の浣腸でわずかに開いたそこへ、男は浣腸器の嘴管を咥え込ませる。
「くっ……!」
流子が呻く。その声に続くのは、溶液の注ぎ込まれる異音。
ガラス容器から細い管を通り抜ける時特有の、きゅううっ、と絞られるような音が続く。
18本目……一本当たり100mlは入るため、都合1.8リットルが流子の細身に注ぎ込まれた計算になる。
「……はぁっ、はぁっ…………はっ…………」
ようやく18本目の浣腸器を引き抜かれたとき、流子は荒い息を吐いていた。
素人が浣腸に耐えられる限界は、500ml程度だという。
流子はそれを遥かに超える量を強いられながらも、並ならぬ精神力と括約筋の強さでもって耐え忍んでいた。
しかし、限界は明らかに近い。
全身が湯を浴びたような汗に塗れ、肩で息をしている状態だ。
細く引き締まっていた流子の腹部は、すでに凹凸すら見当たらない。
妊婦のように前面に張り出し、横腹もだらしなく緩んでいる。

「おい、用意しろ」
さすがに限界と見た鬼頭が、傍らの無星生徒に命じた。
彼らは流子の股の間に器具を設置し始める。
中の見えないセラミック式の、排泄部分までをすっぽりと覆う器具だ。
「はぁっ、はぁっ……へっ、わざわざ覆いをしてくれるとは、お優しいこった」
流子は方眉を顰め、精一杯の皮肉を口にする。
しかし鬼頭は、それ以上に皮肉めいた笑みを浮かべるばかりだ。
「当然だ。視聴者の皆々様……特に皐月様に、お前の粗相をじかに晒す訳にはいかんからな」
「何っ!?」
鬼頭の言葉に、流子が驚愕する。鬼頭はいよいよ笑みを深めた。
 
「我がアナルファック部の活動内容は、学校内に全て公開されている。
 まさしく公開処刑というやつだ。
 もっと後でバラして絶望の表情を愉しもうかとも思ったが、もう辛抱堪らんのでな。
 公衆の面前で排泄を晒すお前の顔を、見たくなった」
「……ふ、ふざけ……やがって…………!!」
いよいよ額に青筋を立てて堪えようとする流子だが、便意ばかりは耐え難い。
「う、ぐぐっ……!!うぐぐっぐぐぐ、うっっ…………!
 ううう、うう……ぐぐ、く……ぅ、うっ…………!」
歯を食い縛れど、足に力を込めようとも、生理現象は止まらない。
「流石の我慢強さだな。だが、もう終わりだ」
鬼頭がそう告げた、まさにその直後……慎ましい蕾から破裂音が響いた。
極限の排泄欲が、流子の忍耐力を突き破った瞬間だ。
となれば、もはや止まらない。
白い太腿の合間から、セラミックで覆い隠された器具の中へと、汚辱の音が垂れ流される。
「やめろぉっ! 聞くなっ、聞くなぁっ!!」
流子は耳までを赤く染め、公衆の面前での排泄を恥じていた。
蓮っ葉な態度を見せる娘ながら、その実、貞操観念は人並み以上に強い娘だ。
どれほどの恥辱を受けている事だろう。
しかしそれゆえに、見守る人間にとっては極上の娯楽だった。
「ふふふ、ひどい音だぞ、纏流子! 実際に排泄する所が見られないのは少々残念だが、仕方ない。
 この学園の2つ星・3つ星極制服の方々にも、さぞやお悦び頂けているだろう!」
鬼頭は愉しげに言い放つ。
大量の溶液をなお排泄しながら、流子が苦しげにそれを睨みあげた。
その視線を受け、鬼頭は言葉を次ぐ。
「……だが、本番はこれからだ。腸内をすっかり綺麗にした所で、アナルを徹底的に開発してやる。
 ケツだけで浅ましく絶頂するようになるまでな」
その狂気染みた笑みは、流子から言葉を失わせるのに十分な異常性があった。


 


「やめろ…………ちゅ、注射は、苦手って言ってるだろ…………!」
「バーカ。だから、あえてヤってるんだよ。
 本当は浣腸の方が吸収率が良いんだが、お前の苦しむ顔を、少しでも引き出したくてなぁ」
無星の生徒が、拘束された流子の腕に注射針を突き刺す。
流子はとかく注射を苦手としていた。
針が送り出される瞬間には、童女のごとく目を瞑り、唇を震わせて終わりの時を待つばかりだ。
ピストンが押し出され、薬液が流子の体内に取り込まれる。
液の中身は、科学部が開発した特製の媚薬だ。動物の交配実験に用いられる薬の効果を、数倍に高めたもの。
全く性経験のない女生徒に対する実験では、2時間で着衣が困難になるほど乳房が張り、愛液が隠し切れないほどに溢れ出た。
流子はそれを、日に幾度も投与されている。
そのためか、彼女の頬は常に赤らみ、瞳は熱を持ったように潤んでいた。

「ふふふ、凄い反応になってきたな」
無星の生徒が、流子の足元で銀のトレイを掲げながら嗤う。
トレイの中には、妙なてかりを帯びた卵状の器具がいくつも転がっている。
今その中に、新たなひとつが産み落とされた。
産卵箇所は、すっかり赤く色づいた後孔の蕾。そこから腸液に塗れた卵状のものが、ぬるりと産み落とされる。
物体がまさに菊輪を通り抜けるその瞬間、流子のむちりとした太腿が堪らなそうに震えた。
がに股の姿勢を取るよう拘束されているため、大きな動きはできない。それでもなお、痙攣を続ける。
苦痛もあるだろう。しかしそれ以上に、快感が色濃く見て取れた。
卵を産み落とした後、なおもヒクつく肛門などは、艶かしく喘ぐ唇がごとくだ。
「これで22回目……いい加減排泄の快感を、脳ミソの奥まで憶え込んだ頃だろう?」
部員達の言葉に、流子は鋭く瞳を光らせる。
「なわけ……はっ、はぁっ……ねぇ、だろ…………!!」
発情からか荒い息を吐いたまま、かろうじての反論を試みる。
しかしそれも見慣れた光景だ。
部員達はあくまで強気な獲物に満足そうな笑みを浮かべつつ、肛虐のための道具を持ち出し始める。
「そうかそうか、なら今日も、しっかりと開発してやるよ。
 確か昨日は、ようやっと4番のディルドウを咥え込める様になったんだっけか。
 となると今日も、2番、3番でしっぽり慣らしてから、4番の特訓だ。奥の奥まで咥えこんで、動かせるようになるまでな。
 昨日はあんまりにも惨めなザマだったから勘弁してやったが、今日は泣いても漏らしても……やめねぇぞ?」
その冷徹な言葉を聞き、流子の眉がかすかに下がる。
今日もまた、悪夢の肉体開発が始まるのだ。



その人物が姿を現した瞬間、周囲は眩い光に包まれる。
並ならぬほどのオーラが醸し出す凄みだろうか。
鬼龍院 皐月。彼女の前では、一般人、いや3ツ星極制服を纏う生徒ですら平伏する他はない。
それに抗いうる唯一の存在こそが、纏 流子であったのだが。
「調教は順調に進んでいるか」
皐月は、やはり平伏する鬼頭に向けて問うた。
強固な意志を感じさせる太い眉に、心まで鷲掴みにするほどの瞳、そして厳かに通る声。
征服者という言葉が、これほどに似合う女性は他にいまい。
「……はっ」
鬼頭は汗を滲ませながら短く答え、かろうじて頭をもたげながらガラス戸の向こうを見やった。
厚いガラスで覆われたその向こうでは、今もなお纏 流子が、数名の部員から嬲り者にされている。

まず目に入るのは、男の怒張を喉奥深くまで咥え込まされる姿だった。
後頭部を両手で掴まれたまま、長いストロークで前後に頭を揺さぶられる。
流子の白い喉は、その半ばまでが抽迭に合わせて蠢いており、少なくとも食道まで怒張が入り込んでいる事が窺えた。
首と横並びになるよう、木枷で両手首を拘束されているため、ろくな抵抗も敵わない。
さらには口に円形の穴が空いたギャグを噛まされているために、口を閉じる事さえ出来ない状況だ。
もっとも、それは一概に残酷とは言えない。
流子の瞳は、喉奥の蹂躙を受けながらもなお、陵辱者を射殺さんばかりに睨みあげている。
ギャグで固定されていなければ、確実に男の逸物を噛み千切っているだろう。
「口枷を嵌められたまま、勃起した男の物を咥えさせられるのか…………たまらんな」
皐月は口元に薄笑みを湛えながら、哀れな流子の姿を見下ろす。
「皐月様に楯突くだけあって、気の強い女ですからね。しかし、口さえ開かせればコチラのものです」
皐月と鬼頭の視線が、再び流子の口元へと注がれた。

引き抜かれる怒張からは、まるで蝶の羽のごとくに唾液の膜が垂れ下がっている。
それとはまた別に、口元からも数筋の糸。
中には明らかに唾液の透明とは違う、やや黄色めいたものもあり、流子が幾度か嘔吐を経験している事を示唆していた。
皐月は目敏くそれを見て取り、口元を綻ばせる。
「……ふん。似合いの姿だな」
さらに皐月の視線は、流子の身体を流れ、その臀部へと標的を定めた。
 
流子の肛門は、今もなお様々な器具を用いての開発を進められている。
ペットボトルほどの太さを持ち、随所に突起の設けられた凶器のようなディルドー。
今はそれが、延々と腸奥へと叩き込まれている。
歳相応といった肉付きの流子の臀部が、尾骨部分に深い溝を刻んでいる。
それは、現時点での限界近い太さを肛門へ咥えこんでいる事をありありと物語っていた。
ディルドーが引き抜かれるたび、液が滴る。
潤滑剤として用いられているローションか、さもなくば流子自身の分泌した腸液か。
遠目にはそれを判別する事は難しい。
しかしディルドーを引き抜かれるたび、ぞくりとしたように跳ね上がる腰、
ディルドーを深く押し込まれるたび、堪らなそうに床を掴む足指を見れば、
いかにも腸液を滴らせていそうに思えるのもまた事実だ。

「なるほど……男の物を咥えるばかりでなく、肛門も同時に開発しているのか」
流子の姿を見下ろしながら、皐月が面白そうに呟く。
鬼頭がそれに応じた。
「ええ。もっともフェラチオの方は、暇さえあれば常にさせているんですがね」
「ほう……常に?」
「はい。女のアナル性感というものは通常、容易く憶えこませられる物ではありません。
 ムードを重視する女にとって、当初嫌悪感の高いアナル責めは濡れにくいプレイなのです。
 しかし、媚薬をたっぷりと注入した上でフェラチオを仕込めば話は別。
 薬で発情している所に、男の匂いを鼻腔へ覚えこませれば、すぐに理性などドロドロに溶けてしまいます。
 そうした性経験と常に絡ませる事で、アナルの学習効率が飛躍的に上がるのです」
「なるほど、脳が快感の出所を錯覚するわけか。……あの単細胞には、殊更に効果的だろうな」
皐月は今一度可笑しそうに口元を歪める。
そして、鞘に収まった刀をやおら床に打ち付けた。鬼頭を初め、周囲のものが肩を震わせる。
「今後も、その調子で調教を進めろ。あの女の理性を、一片残さず崩壊させるまでな。
 『神衣を持つ人間』は、この私一人であるべきだ。
 だが言い方を変えれば、他に神衣を所有するものが『人間でなければ』問題はない。
 ケダモノは衣を纏わんからな」
そう言い残し、硬い音を立てて踵を返す。
鬼頭達はその後ろで平伏しながら、額に滲む汗を拭い去った。
 
「つくづく恐ろしいお人だ。……おい、様子はどうなっている」
鬼頭はガラス戸を開け放ち、部室内に足を踏み入れる。
途端に鼻を突く異臭。男女のかく汗の匂いに、他の生々しい芳香が混じっている。
「ほーっ……ほっ、ほぁっ……ほーっ、っお……」
流子は入り口を睨みつけながら、荒い呼吸を繰り返していた。
ギャグを咥えさせられている影響で、やや普通の息遣いとは違っている。
その流子の頬を1人が掴み、隆々と勃起しきった逸物を咥え込ませた。
痴態を眺めているうちに滾ったのか、荒々しい腰つきでイラマチオを強要する。
「お゛ごっ!?……ごっ、ごぼぉごっ……ごぁあぐぅおお゛っっ…………!!」
流子の瞳が見開かれ、喉奥からえづき声が発せられる。
細身がこまかに痙攣をはじめる。
そして驚くべき事には、ディルドーを抜かれた肛門もまた、喘ぐように開閉を始めているのだった。
「ふん、浅ましい。完全に思考がメスになっている証拠だな」
鬼頭は流子の尻肉を叩きながら嘲笑った。
「……おはっ! ぉ、おんなあけ、えぇあろ…………!!」
流子はギャグを咥えさせられたままで反論する。
しかし鬼頭は、全てを理解しているかのごとく首を振るばかりだった。
「ならば、証明してみせよう。我がアナルファック部の本分を以ってな」
鬼頭のその言葉に、部員達の目の色が変わる。
咥えさせるばかりで生殺しだった逸物を反り立てながら、男達は怯える流子を取り囲んだ。


 


「うっへぇ。あそこから、まだやってるよ」
本能字学園、校舎内。
廊下のモニターに写された映像を見上げながら、学生達が呆れた声を出す。
そこには、様々な体位で犯される纏 流子の姿があった。
後ろ手に拘束されたまま、背面騎乗位で力強く突き上げられる。
顔を見合わせる正常位で、太腿の裏を掴まれたまま抉り込まれる。
駅弁と呼ばれる体位で、秘部を晒すがままにしつつ肛門から飛沫を上げる。
それら一つ一つの最後には、怒張を抜き出した直後の菊輪が接写で映し出された。
ぽっかりと口を開き、白濁をドロリと吐き出す淫靡な後孔。
それが幾度となく全校生徒に晒される。
「う……ああ…………」
始めこそ赤面して騒ぎ立てていた流子も、さすがに56回目からは言葉を失った。
虚ろな瞳でカメラを眺め、肛門性交の余韻に浸っていると思える場面も散見された。

それらの中でも一際目を惹くのが、部長である鬼頭 猛とのアナルセックスだ。
彼と繋がる時ばかりは、流子は常に新鮮な反応を見せた。否、反応せざるを得なかった。
「ははははは、どうだ、皐月様に賜った1つ星極制服の力は!
 お前の腸のつくりに合わせ、突き込むたびに丁度フィットするように変形する。
 世界中でもただひとつ、お前のアナル専用のペニスという訳だ!」
後背位で犬のように流子を犯しながら、鬼頭は叫んだ。
その下半身を覆うような極制服は、凶悪な太さと長さをもって流子の腸内を蹂躙していく。
顎が外れそうなほど口を開いた流子の表情が、その肛門性交の凄まじさをよく物語った。
「やめろぉっ、もうやめろぉっ! わ、私のお腹が、埋め尽くされるっ…………!
 凄い深くまれぇ、ゴリゴリっ……きて、薄皮越しに、子宮までっ………………!!」
「ふふふ、そうだ。限界一杯の太さがお前の骨盤を抉っている!
 さらにはカリ首が、子宮の裏を絶妙にこすり上げてもいる!
 今のお前には、もう堪らんのだろう!!」
鬼頭は怒声を浴びせながら、強かに腰を打ちつけ続けた。
「だめぇっ、だめっ! もう、やめろ……ぉっ!!」
流子は幾度も首を振り、頭を満たす何かの意識を振り払おうとしている。
鬼頭はそこで、一旦身を引いた。
それと入れ替わるような形で、1人の男が流子に覆い被さる。
一瞬だけモニターに映った男の逸物は、完全に常軌を逸した持ち物だった。
2リットル入りのペットボトル……それに匹敵する大きさが、無理矢理に流子の体内へと押し込まれる。
「ひぃいいっ!?」
流子は恐怖に顔を引き攣らせ、限界以上の挿入に怯える。
あまりにも太さがありすぎるため、挿入は困難を極めた。
結局は半ばほども入らず、浅い部分での抜き差しに留まる。
それでもなお、流子は目を見開き、ガクガクと身を震わせながら耐えるほかなかった。
 
やがて巨根の持ち主が射精に至り、流子の臀部に多量の白濁が撒き散らされる。
その流子に、再び鬼頭が覆い被さった。
「デカすぎるのはまだ慣れないらしいな。まぁ、完全にお前の許容量を超えてるだろうからな。
 あれは、あくまでショックを与えるための余興だ。
 お前の本命は、やはりこれ……サイズ違いの物を経験した後だと、余計にこれが愛おしくなるはずだ。
 こいつなら、ちょうど一番の奥まで入る。自由に動いて、何度でも奥を……子宮の裏を抉り回せる」
鬼頭は流子の耳に囁きかけながら、後背位での肛門性交を再開する。
その言葉通り、流子はすぐに快感を示し始めた。
「あっ、ああっ、あっ……!! ふぁあ、ああう、ああっ……あっ…………!!」
艶やかな黒髪に混じり、燃えるような赤髪が宙に揺れる。
それだけがかつての流子の面影を残していた。
あまりの快感の前に、その凛々しかった瞳は虚空を見上げるようになり、口元からは涎が垂れていく。
言葉ももはやうわ言でしかなく、理性はほとんど感じられない。
そしてその頻度は、日を追うごとに増している。

 (流子! ああっ……、流子ォッ…………!!)

壁に掛けられた丈の短いセーラー服が、空しい叫びを繰り返していた。
今その声を聞いている者は、誰もいない。
唯一その言葉が届くはずの人間も、彼の言葉を言葉として認識できていないはずだ。

もはや、彼女が『キル』もの、彼女に『キラレル』もの……
纏 流子を護るものは、何も、ない。



                  終
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サシャへの厳罰

※『進撃の巨人』サシャ・ブラウスの陵辱イラマチオ物。嘔吐注意。
 アニメ3話の、口元に白いパン滓付けて白目剥いてぶっ倒れるシーンから妄想したので、
 当該シーンをご覧になるとより楽しめるかと思うます。



  
「……あれ。あの芋女、まだ帰ってきてねぇの?」

坊主頭のコニー・スプリンガーが、呆れを滲ませた口調で告げる。
宿舎の面々は、それに苦笑を返した。

「ああ。『ぶっ倒れる寸前まで走れ』って言われてから、実際に何時間かは走ってたんだけどな。
 気がついたら姿が消えてたんだ。
 まぁ最後の方は走るフォームも保てないくらいヘロヘロだったし、今頃どっかで伸びてるんだろうぜ」
「でもよ。噂じゃ、へばった所で教官連中に腕掴まれて、どっかの小屋へ引きずり込まれてたって話もあるらしいぞ」
「無理もねぇ。厨房から勝手に芋盗んできた挙句、あの鬼教官の前で舐めきった態度で喰ってたんだ。
 教官共にも面子はあるだろうし、二度と舐めた態度取れないように絞り上げるだろ」
「ああ。徹底的に人格否定してきたもんな、あのハゲ……」

苦い思い出を笑いの種に変え、『第104期訓練兵団』の新兵達は各々の方法で寛ぎ始める。
話の発端となった芋女とは、彼らの同期生であるサシャ・ブラウスに早くも付けられた渾名だ。
新兵への“洗礼”として恫喝を繰り返す訓練教官の眼前で、
豪胆にも厨房からくすねたふかし芋を貪り喰っていた事がその由来だった。
当然その行為は訓練教官の逆鱗に触れ、サシャはその後数時間が経つ現在もなお罰を受けている。
しかしその内容たるや、同期生達が思い描くよりも遥かに過酷なものだった。





「ほら、たっぷり喰えよ。パンを恵んでやった上に、極上のソーセージまで喰わせてやってるんだぜ?
 もうちっと旨そうに喰えって」
駐屯兵の一人が、鷲掴みにした少女の頭を自らの腰へと引きつける。
「ごぁっ……!!お、ごぉっ!!」
少女は栗色の瞳を見開き、目一杯に開いた唇を震わせて呻いた。
物置小屋を照らす蝋燭の灯が揺れる。男と、その足元に跪く少女の影も揺らぐ。

少女は、かのサシャ・ブラウスだ。
真新しい制服に身を包んだまま、屈強な兵士への奉仕を強いられている。
場には跪くサシャを囲むようにして、他に数名の男の姿があった。
いずれも好色そうな笑みを浮かべ、ズボンを脱ぎ捨てた下半身に滾る怒張を誇示している。

少女新兵に対する、口腔奉仕の強制。
これは城郭都市の兵団内において、珍しい話ではない。
巨人の侵入を防ぐべく築かれた城壁内部は、ある意味で閉鎖空間にも等しい。
その中で治安維持を司る兵団員には、それなりの威厳が求められる。
いわゆる娼婦を買うことすら、民間人からの信頼を損ねるとして固く禁じられていた。
とはいえ、兵士達も男だ。性欲は溜まる。
そこで新米女性兵士への懲罰として、口腔を用いた性欲処理をさせる事が水面下で慣例化しているのだった。

いかに懲罰を建前とするとはいえ、膣での性行為に及ぶのは様々な面から具合が悪い。
しかし口を用いるだけならば大きな問題とはならない、との考えだ。
実際、過去にこの懲罰を受けた女性兵士がその事を口外したという例はない。
この時世に兵士を志願するような者は、皆なにかしら退くに退けない事情を抱えている事が理由の一つ。
また、汚されたのが口のみという、恥でありながらも辛うじて許せる範疇である事も一つだろう。
そうした歴代少女達の忍耐こそが、陵辱の連鎖を生んでいるとは皮肉な話だが。

「オラ、ボケッとしてんじゃねぇ!朝まで掛かっても終わんねぇぞ!!」
別の一人が、サシャの瞳と同じく栗色をした髪を掴み、横向かせた鼻先へと怒張を突きつける。
「う、うっ……!!」
サシャは怯えの表情を浮かべていた。
細い眉は垂れ下がり、アーモンド型に開かれた瞳は横向きに凍りつき、白い歯を覗かせる口は震える息を吐くままにして。
しかし男は、そんなサシャに情けをかけない。
顎を掴んで顔を自らの陰部に正対させる。
サシャが薄い唇を引き結んで抵抗を見せると、鼻をきつく摘みあげて呼吸を絶ち、堪らず開かれた口に怒張を捻じ込む。

男はよく鍛えられた二の腕を持っていた。
その腕力でサシャのポニーテールに結わえられた髪の根元を掴み、引き寄せるのだ。
当然、少女の口内にはいきなり逸物が深く入り込む事となる。
「ご……っ!!」
生理的な反応として少女が呻くが、男は引きつけを緩めない。

成人男子として恥のない直径と長さを持つ逸物が、半ば以上、口内へと埋没しては抜かれる。
口腔奉仕に不慣れな少女にとっては、それだけでも充分につらいようだ。
「おえ、うぉえお゛っ、ぇ、おも゛っ…………!!」
唾液の攪拌される音と、舌を丸めたまま呻く独特の呻きが小屋に響く。
サシャの手は苦しさのあまり男の脛を掴み、小指の爪は浅く突き立ってすらいるが、男にはやはり容赦がない。
「もっと顎を下げろ、舌を引っ込めろ!この俺を見上げて奉仕するんだ!!」
男は恫喝するような口調でサシャに叫んでいた。
サシャは、そう強制されているのだろうか、それら一つ一つに返事を示す。
しかしなにぶん口内を突かれている最中であるため、ぁい、ぁい、という情けない響きだ。
それは彼女の立場の惨めさを、よく表す返答だった。


幾度も幾度もサシャの口内を出入りするうち、男の逸物はやがて艶やかに濡れ光りはじめる。
逸物と口の接合部にあたる部分から、時おり艶めく糸が滴り落ちるのも見て取れる。
息継ぎのために逸物が一旦引き抜かれた際には、その先端部と口内に太い唾液の線が結ばれている事もあった。
伸びきった唾液の線はやがて自重に負けて切れ、サシャの容のいい顎から垂れ下がる。
汗に濡れた前髪、恐れに見開いた瞳、荒い息を吐いたまま唾液を垂らす口。
それは年頃の少女が見せるには、余りにも惨めな顔といえる。
だが男達にしてみれば、そのあられもない表情にかえって嗜虐心を煽られるようだった。

「もう一度だ」
震えるサシャに、先の男が再度逸物を咥え込ませる。
パンを咥える時のように口を大きく開けさせ、半ばまで。
そして今度は、さらにその奥にまで先端を押し進める。
「んう゛っ……!!」
未知の部分への侵入に、強い嘔吐感を覚えたサシャが抵抗を示した。
唇をすぼめ、細腕で必死に男の膝を押しやろうとする。
しかし、仮にも対巨人の駐屯兵として訓練を積んできた男に力で敵う筈もない。
むしろより一層の力で腰を押し進められ、無理矢理に深くまで侵入される事となる。

男の陰毛がサシャの鼻先に触れた。
太い逸物が、根元まで口内に入り込んだ事になる。
「うむ、おごっっ……!!!」
サシャは目を硬く瞑り、頬を膨らませて苦悶の表情を作っていた。
無理もない。逸物の先端は彼女の口腔を席巻し、その喉奥にまで入り込んでいるのだから。
「へへへ、喉奥がヒクついてやがる。
 吐くんじゃねぇぞ。お前が盗んで喰いやがった芋も、今の俺達にゃあ貴重な食料なんだからな」
男は諭すようにそう言いながらも、一方ではまるで容赦なくサシャの喉奥を抉り回す。
人間の身体構造からして、そうされれば嘔吐を誘発すると解ろうものだが。

「お゛っ、おおぉ゛えっ!!!おごっ、ごぇ、えええ゛っっ!!!」
濁った呻きが漏れる。
太い怒張で喉奥深くを抉られ、いよいよ水音が強まっていく。
サシャ・ブラウスの表情は悲壮なものだ。
眉は鋭く顰められ、見開かれた瞳には涙袋が隈のような濃い陰影を形作っている。
かつて、巨人と遭遇したシガンシナ区の住民達の表情がそうであったように。
生命の危機を感じるという点では、同じかもしれない。
喉奥を異物に埋め尽くされ、こじ開けられる。その未知の感覚に、サシャは心底から恐怖しているようだった。

数分に及ぶ攪拌。その間ただ一度たりとも、逸物が口から抜かれる事はない。
喉を塞がれて思うように酸素を取り込めないサシャは、次第に苦しみを訴えて身を捩りはじめる。
「苦しいか。なら舌を使ってアレを押し上げてみろ、少しは気道が確保できるぞ。
 娼婦どもも使う、ディープスロートのコツだ」
男は嘲るように告げ、文字通り必死でそれを実践する少女を嗤った。

喉奥に達して以来、逸物には単なる唾液とは明らかに異なるものがこびり付きはじめていた。
唾液、涎、あるいは痰……そのようなものがない交ぜになり、粘液の膜となって陰茎に絡み付いている。
それは激しい前後運動の中で白い氷柱のように垂れ下がり、石床にぴちりと音を立てて滴っていく。
「お゛っ、ろえ゛っ、ろ゛っ、おお゛っ……お゛っっ!!」
本当に少女のものか疑わしいほどの低いえづきが、短いスパンで繰り返されていた。
濡れ光る赤黒い怒張が、残酷なまでのストロークで前後する。
湿ったものが激しく攪拌される音……男女の交わりが深まった時に聞かれる音。

一体どれだけ、そのような事が繰り返されたのか。
サシャの顔は汗と涙に塗れ、延々と走らされ続けた時と同じようになっていく。
そしていよいよ、嘔吐の予兆を見せ始めるようになっていた。
男はそれを待ちわびていたかのように責めを強める。
喉のもっとも深くまでを亀頭で押し開いたまま、サシャの後頭部を押さえ込むのだ。
苦しみの頂点で姿勢を維持される。
これに平気でいられる道理もなく、サシャは目を見開いたままで激しく背中を震わせる。
そして六度目にこの固着を為された時、ついに彼女は喉奥を開いたままで胃液を溢れさせた。
「ご、んごえええ゛え゛っ!!!!」
顔中を苦悶に歪め、逸物に開かれた口の端から白い液が迸る。
普通の少女であれば、そこで大きく口を開き、さらなる本格的な嘔吐へ向かうだろう。
しかし、サシャは違った。
「も、もぉ゛っ、おうっ!!」
一度自らが溢れさせんとしたものを啜り上げ、無理矢理に呑み込む。
その瞳には狩猟民族特有の前を射抜く鋭さがある。
「ほぉ、面白い娘だ」
兵士達はこれに感嘆を示す。食い意地の張っている新米だとは思っていたが、これほどとは。
しかしその気丈さを見たがゆえに、屈服させたいという欲求も強まるのだった。





夜はすっかり更けていた。
サシャ・ブラウスへの懲罰は今もなお続いている。
もう何人もの兵士が彼女の喉奥を蹂躙し、その喉奥へ精を放った。
サシャはその全てを無理矢理に飲み込まされ、十分な休息もなしに更なる喉奥への陵辱を受け続ける。

口元からは様々な粘液が漏れ、白い首を伝って制服の襟元へと垂れ落ちていた。
すでに抵抗をやめ、力なく床についた両手の間には、いかな彼女とて救いきれなかった白い吐瀉物が液だまりを作っている。
少女は明らかに疲弊しきっていた。
目元には幾筋もの涙の跡が見られる。
アーモンド型に爛々と開いていた瞳は、いつしか半開きになり、時おり瞳孔が瞼へ隠れるかのように上向く。

「…………も、もう…………許して ください…………。」

濡れ光る逸物を一旦引き抜かれた所で、サシャは力なく訴えた。
虚ろな瞳はかろうじて白目を剥くのを堪えている状態であり、白い吐瀉物を残す口元にも張りはない。
限界なのは誰の目にも明らかだ。
しかし、男達に容赦はない。
「まだだ、続けるぞ」
兵士の一人は威圧するような口調で言い、サシャを顎を掴み上げる。
本当に骨の髄まで、灸を据える腹積もりでいるらしい。
「う、ぁ…………」
臭気を放つ怒張が鼻先に突きつけられ、何度も味わった地獄が再び繰り返されると少女の脳裏に告げる。
その絶望的な現実を前に、サシャはただ、為されるがままになるしかなかった……。



                         終
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