大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

調教

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.7(前半)

Part.6(後編)の続きで、最終章最終話の前半です。
後半については、もうしばらくお待ちください。



 審査会がすべて終わった後、端塚は俺に自由行動を許した。倶楽部の施設内に限れば、いつどこへ行ってもいい。地下20階のVIPルームで過ごしてもいいし、レストランや大浴場でリラックスもできる。
 とはいえ、そんなもの嬉しくも何ともなかった。沙綾香のあんなシーンを目撃しておいて、呑気に娯楽を楽しめるはずもない。レストランの料理を噛み締めれば、奥歯の噛み合わせの悪さに苛立つ。風呂に浸かれば心地良くはなるが、そのせいで沙綾香の蕩けた顔がフラッシュバックして、逆に気分が悪くなる。
 それに、気が滅入る要因は他にもあった。施設内の至るところで、沙綾香の友人4人が犯されていることだ。

 倶楽部の奴隷となったあの子達は、それぞれに違う役割を与えられたらしい。

 祐希は、俺が通っているVIP用レストランのウェイター。いつも黒いタキシード姿で働かされているが、中性的な王子様タイプの子だから、男装が本当によく似合う。女性客からも黄色い声を浴びている。
 だが、この倶楽部の客が賞賛だけで済ませるわけがない。女性客の歓声がいよいよ大きくなり、祐希が照れ臭そうに笑うそのタイミングで、男の客が祐希を抱きすくめる。そして強引に机に突っ伏させ、乱暴にタキシードの下を脱がせて挿入するんだ。黄色い声を上げていた女達は、その憧れの対象が無惨に犯される様を見て歪んだ笑みを浮かべる。男は性欲を満たしつつ、祐希に気持ちがいいか、どんな風に感じるのかを実況させる。声が小さいからと何度も言い直させ、最終的にはレストラン中に響き渡るほどの声量を強いるのが常だ。
 祐希は、哀れなものだった。自らに好意的だった女の前であえなく犯され、性奴隷としての浅ましい善がりぶりを宣言させられ、屈辱に咽び泣く。挙句、その姿すらも酒の肴として愉しまれるんだから、どうにも救いのない話だ。

 千代里は、エレベーターガール。声楽をやっているおかげで声の通りがいいため、エレベーターへ乗った客に各フロアの説明をしているようだ。とはいえ、客が大人しく説明を聞くはずもない。この倶楽部において、女性従業員は漏れなく『性欲処理の道具』扱いだ。千代里も当然、フロア説明の最中だろうと犯される。壁に背中をつけ、片足を上げる格好で。あるいは壁に手をつき、背後から。千代里はそんな状況でも、仕事としてフロア説明を続けなければならない。羞恥と快感で声が震えるのを、客に嗤われながら。
 一人相手でも辛い状況だが、エレベーターに大勢の客が乗り込んできた時などは地獄だ。その場合、密室内は完全な『ヤリ部屋』と化す。無駄に昇降を繰り返していたエレベーターの扉が開き、客がゾロゾロと降りた後には、口からも膣からも精液をあふれさせた少女が一人、へたり込んだ状態で放置されることになる。

 藤花は、『公衆便所』。彼女は毎日違うフロアの男子便所に“設置”され、男性客の排泄後の処理をしていた。小便を終えた客のペニスを咥え、大便を終えた後の肛門を舐めしゃぶる。客は、そのサービスに興奮を隠せない様子だった。藤花の大立ち回りは客の間にも知れ渡っているらしく、そんなじゃじゃ馬娘に奉仕させている状況が征服欲を満たすようだ。
 結果として連中は、前や後ろを舐められる中で隆々と逸物を勃起させ、その猛りのままに藤花を犯す。しかも、ただのレイプじゃない。俺が目にしただけでも、便器に顔を突っ込ませたまま犯したり、ホースで腸内に水を入れた上で犯していた。そうして事が済めば、最後は申し合わせたように小便を浴びせかける。犯されている間は大人しい藤花も、さすがに小便を引っ掛けられるのは度し難いのか、以前の鋭い眼光を一瞬覗かせることがある。客はそれこそが狙いらしく、悪戯の成功した悪童のように笑いながら、次第に責めをエスカレートさせていく。
 3日目に覗いた時、藤花は頭から端を切ったビニール袋を被せられ、首元にテープで固定された上で、袋の中に数人分の小便を注がれていた。小便の色は見事に黄色だ。いかに被虐慣れしているとはいえ、濃いアンモニアの味は耐え難いらしく、藤花はうがいのような音を立てながら暴れまわる。客はそんな藤花の手足を掴んで自由を奪いつつ、順番に尻を犯した。
 藤花は哀れなものだ。女性的でありつつも筋肉質な身体を強張らせ、抑え役の大の男を振り回しながらタイルの上を歩き回る。その果てにあえなくアナルセックスで絶頂させられ、口を開いた拍子にゴクゴクと小便を飲み下してしまう。客はそれを見て、一斉に嘲笑を浴びせかけた。その嘲笑が、藤花に膝をつかせる。そうなっても、アナルセックスは終わらない。人を代え、時には道具やペニスサックも使って腸内を蹂躙する。すでに心が折れている藤花は、もう立ちあがることもできない。床についた両膝を陸上競技者顔負けに膨れさせ、神に祈るように天井を仰ぎながら、おおおお、という快感の呻きを絞り出す。その果てに、とうとう涙を流しながら噎せ返り、黄色い水と唾液の混じった液体をビニール袋に吐き戻す。それを待っていたとばかりに沸き起こる嘲笑は、聴いているだけで胸がむかつくほどだった。

 桜織は、湯女。地下20階の大浴場で、入浴客の体を洗うのが仕事だ。とはいえ、実際に客の体を洗っているのは見たことがない。中学生と見紛う華奢な体躯は、変態客のウケがいい。いつ見ても彼女は、大勢の客に泡まみれで犯されている。
 そして桜織自身も、その不特定多数とのセックスを望んでいた。祐希達のように恥じらう様子はない。肥大した割れ目を詰られようが、潮とも小便ともつかない液体を撒き散らそうが、愉快そうに笑うばかり。むしろ自分から大股を開き、黒人共に匹敵する刺激を求めて『二輪挿し』を乞うほどだ。客達はその挑発に嬉々として乗り、逸物に石鹸を塗りたくった上で、膣へ同時に挿入する。ひどい時には、石鹸をそのまま膣に突っ込んだ上で挿入することもあった。そうされても、やはり桜織は笑顔を絶やさない。未成熟な身体を弓なりに反らせ、足の先までを痙攣させてケダモノの声を上げる。浴室だけにその淫らな声はよく響き、隣の女湯から笑い声が聞こえてくるほどだった。

 レストラン、大浴場、トイレ、そしてエレベーター。倶楽部内での生活で避けては通れない場所にあの4人が配置されているのは、「現実を直視しろ」という端塚のメッセージか。奴は未だ、俺に固執している節がある。この倶楽部の王としての目覚めを期待しているようだ。もちろん、俺にそんな気はない。性行為を見れば勃起こそするが、実質的な強姦を進んで見る気にはなれない。砂糖に群がる蟻を醜いと思う、その気持ちは今も変わっていない。
 ただ、それでも俺は、毎日のように地下19階に足を運んでいた。例の『檻』を眺めるために。


                 ※


 『檻』の中は、今や愛の巣と化している。10人のオスと1人のメスが、欲望のままに共同生活を送る空間。鉄格子に近づくだけで、腐りきった生肉の匂いが鼻にこびりつく。ガラステーブルの灰皿は煙草の吸殻で満たされ、ビールの空き缶がその周りを埋め尽くす。ソファやベッド、便器周り、そして床のあちこちに、体液の名残が白い結晶としてこびりついている。何百回のセックスが行われたのかを、嫌でも考えさせられる痕跡だ。

「……んっ、ああ…あ、はあっ…………あ、あ…んふっ、えあっ…………!」
 艶めかしい喘ぎ声がする。その声色と息継ぎの仕方だけで、沙綾香だとはっきり判ってしまう。
 彼女はベッドの上で、8人に群がられていた。床に寝転がって鼾を掻いているドミニク、ダリー以外の全員が、沙綾香に密着している。
 膝立ちになった沙綾香に対し、背後から抱きすくめる形で割れ目を刺激しているのがトラバン。両手で沙綾香の頭を掴み、執拗にキスを求めているのがジャマール。両腋を舐めるのがマーキスとタイロン。乳首を口に含むのがダーナルとアンドレ。太腿に舌を這わせるのがレジャナルドとモーリス。
 揃ってゴリラ並みの巨躯を誇る男共が、満員電車さながらの密度で沙綾香の肉体にむしゃぶりついている。そしてそれは、性欲を持て余した結果というわけでもなさそうだ。
 触れ方が、舐め方が、前とは明らかに違う。
 たとえば、トラバンの愛撫だ。奴に限らず、黒人共の前戯は雑な印象が強い。クリトリスを捻り上げ、性器全体を指の腹で擦りまくり、激しく『手マン』をし……そういう、何かしらの液さえ滲ませればいいというものだった。それが今は、全く違う。無骨なトラバンの指は、宝石でも扱うような繊細さでもって、沙綾香の割れ目を刺激していた。左手の指でクリトリスの皮を押さえたまま、右中指の腹で陰核亀頭を捏ねまわす。少なくとも10分以上、そのソフトな刺激を続けていた。それがどれだけ気持ちいいのかは、筋肉を波打たせながら開閉する太腿が物語っている。
 割れ目に指を挿入する段階になっても、やはり激しさはない。性器全体を手のひらで包み込み、中指と薬指の二本を中に差し込んだまま、ゆっくりと何かを探る。沙綾香が自発的に腰を浮かせるスポットがあれば、そこで初めて指を蠢かしはじめる。沙綾香の欲求に肌で寄り添うような愛撫だ、効果的に決まっている。沙綾香の太腿は肩幅以上に開き、一切の『角』を消失させる。筋肉の隆起もなく、かといって弛緩しきっている様子もない。木材を丁寧にヤスリ掛けしたような、なめらかな曲線のみで象られた脚線。芸術的なほど美しいが、一方でその合間からは、これ以上ないほど浅ましい水音がしている。絶世の美女が、その美貌を崩さぬままに涙を流しているようだ。良し悪しを超え、息を呑むような迫力がそこにはあった。
 キスを求めるジャマールも、10番勝負でいがみ合っていたのが嘘のように穏やかだ。顔を密着させ、舌を絡め合うディープキス。数十秒を頬を蠢かせてから顔を離せば、舌の間には濃厚な唾液の糸が引く。ジャマールは呼吸を整えつつ、上気した沙綾香の顔を見つめ、また唇を奪う。そして沙綾香は、それを少しも嫌がらない。目を逸らさずにジャマールの瞳を見つめている。その視線交換は、深く愛しあう人間同士のそれにしか思えない。
 腋、胸、太腿への愛撫にも、同じく粗暴さはない。氷を少しずつ舐め溶かすように、ゆっくりと、じっくりと舌を這わせている。特に、胸を責める2人の入念さには寒気さえ覚えた。右胸のダーナルは、乳房全体をバランスよく責めている。焼きたてのパンのように膨らんだ乳房を優しく揉みしだきながら、乳首を舌で転がす。一方で左胸のアンドレは、先端に特化した愛撫だ。興奮でぷっくりと盛り上がった乳輪を口に含み、時には吸い、時には舐め回し、時には甘噛みで刺激する。方法こそ違うものの、おそろしく繊細な乳責めだ。口が離れた瞬間に覗く沙綾香の乳首は、すでに小指の先ほどの大きさに屹立している。そこまでになった性感帯に、あの愛撫……。少し前の沙綾香でも、首に筋を立てて天を仰ぎ、胸への刺激だけで何度も何度も達している姿が容易に想像できる。だったら、今は一体どれほどの快感を味わっているのか。恐ろしくて想像もしたくない。

 どこまでも甘く、だからこそ単純な加虐などより遥かに毒性の強い愛撫。それは俺が観始めてから、少なくとも30分以上に渡って続けられた。
「んふふふ。ねえ……今日は沙綾香を、どんな風にいじめてくれるの?」
 沙綾香は気持ちよさそうに身体をうねらせつつ、甘えた声で囁く。濃密なキスを交わすジャマールに対してはもちろん、それ以外の連中に対しても順番に目を合わせながら。淫靡で、可憐。その姿を前に、黒人共はわかりやすく息を呑む。憧れのお姉さんから額にキスをされた、純朴な少年のように。
「ひひひっ。そうだな、そろそろおっ始めるか!」
「オウ。今日もたーっぷり悦ばせてやるぜ、サヤカぁ!!」
 連中は顔を見合わせ、沙綾香を連れてベッドを降りる。当然だが、沙綾香は自力では立てない。執拗すぎる愛撫で、完全に膝が笑っている。黒人共はそんな沙綾香を支えつつ、ジャンケンで犯すポジションを決めた。挿入の権利を勝ち取ったのは、ジャマールだ。
「へっへ。女神の加護だな、こりゃ」
 奴は、沙綾香の尻を撫でながらそう呟いた。沙綾香を女神として見ているようだ。その女神を犯そうという奴の逸物は、最大級に勃起していた。カリ首から先、亀頭の膨らみが尋常でなく、竿も見事に反り上がっている。まさしく、性に目覚めはじめた少年の勃起そのものだ。
「挿れるぜ、サヤカ。」
 突き出させた尻に逸物を宛がい、挿入の確認を取るジャマール。
「うん……もう我慢できないよ。はやく来て……」
 うっとりとした表情で振り返り、挿入を乞う沙綾香。
 互いの気持ちが一致したところで、雌雄のフェロモンを放つ性器も一つに溶け合う。
「んあああああああっ!!!」
 挿入の瞬間、沙綾香の口から出た声は大きかった。単なる快感だけでなく、悦び……待ち望んでいた黒人ペニスの挿入が、嬉しくて堪らないという風だ。
「へっへ、嬉しそうな声出しやがって。こっちまで滾ってくんぜ!」
 ジャマールも笑みを深め、ピストンを始める。パンパンという音が鳴るたび、沙綾香から甘い吐息が漏れる。その仲睦まじさは観ていてつらい。心臓が締めつけられるようだ。立ち去りたい気持ちは当然あるが、檻の中で新しい動きがあれば、つい目で追ってしまう。
「俺は、口でしてもらおうか」
 沙綾香の前に立つトラバンが、勃起しきった逸物を突き出した。恐ろしい大きさだ。だが沙綾香は、躊躇なく口を開いた。
「オオォウ……!!」
 怒張が桜色の唇に隠れてすぐ、トラバンから快感の溜息が漏れる。沙綾香はそんなトラバンを見上げて目を細めつつ、じゅぶじゅぶと音を立てて口を蠢かす。
「ひひ、見せつけやがって。俺も、そのやわっこい手で気持ちよくしてくれよ!」
「こっちも、頼む」
 横からダーナルとアンドレが奉仕を求めれば、沙綾香はやはり嬉々として応じた。竿を扱きつつも、親指で裏筋を刺激したり、鈴口を指で刺激する。そのテクニックが的を得たものだと、黒人共の反応が物語る。
 4対1の輪姦。絵面としてはそうだが、雰囲気は数日前までとはまるで違った。今の黒人共から、沙綾香を害そうという気配は感じない。強姦魔というより、初夜に挑む新郎のようだ。
「いいぜサヤカ、お前のプッシーは最高だ。吸って、舐めて……10枚ぐれぇの分厚い舌でフェラされてる気分だぜ!」
 そう言いながら腰を振るジャマールに、荒々しさはない。ストロークを長めに取り、パンパンと音を響かせてはいるが、それは膣奥をいじめ抜くためではなく、純粋に快感を求めてのことだろう。
 それを受け止める沙綾香もまた、見るからに気持ちがよさそうだった。がに股のまま両脚を痙攣させ、奥を叩かれるたびに腰全体を浮き上がらせる。スタンガンを膣に押し込まれ、一秒ごとにスイッチを入れられているかのような反応。それは挿入している雄にとって、さぞ面白い光景だろう。
「あああ……出るぜ、出るぜえっ……!!」
 気構えがないせいか、あるいは単に快感が強いせいか。ジャマールは、挿入してから3分ともたない。沙綾香の尻肉を鷲掴みにし、深く突きこんで腰を止める。
「んっ、あんっ……いいよ、膣内に出してっ! 膣内出しされると気持ちいいの。もう気持ちいいことだけしか考えたくないのっ!」
 沙綾香はジャマールを振り返りながら、甘えた声を出す。嬉々として汚辱を求めるその姿は、いつか見た百合や桜織の映像とそっくりだ。


                 ※


 汚れを落とすために連れ込まれたシャワー室でも、沙綾香は休むことなどできなかった。
「おーおー、俺らのザーメンがどんどん溢れてくるぜ。こりゃ、中からキレイにしねえとな!」
 マーキスがゲラゲラと笑い、シャワーヘッドを割れ目に押し込む。
「はぐうっ!? ほおお゛っ、お゛……おお゛ほぉ゛お゛っ!!!」
 沙綾香から獣のような呻き声が漏れた。膣内へのシャワー圧だけで絶頂してしまっているらしい。
「いひひひっ、中イキに慣れちまうと大変だなあ? プッシーを洗われるだけでイキっぱなしとはよ!」
 マーキスは震える沙綾香を抱きすくめながら、レバーを押し上げて水勢を強めていく。
「おっ、おッ、おおおッ……んんおお゛お゛お゛っ!!!!」
 沙綾香は白目を剥き、排便を思わせる呻きを漏らす。そして直後、膣内の容量を超えたんだろう、シャワーノズルが勢いよく飛び出した。
「はああっ、おっ、ほおおっ、あ……お、おっおっ……!!」
 身体を震わせ、割れ目から水を噴き出させる沙綾香。延々と潮を噴いているようなその姿に、マーキスが喉を鳴らす。
「ハァ、ハァ……が、我慢できねぇ……!」
 奴は沙綾香を壁際に追い込むと、そのまま背後から挿入を果たした。
「おっ、おい、オメエ何抜け駆けしてんだ!」
「ざけんじゃねぇぞ、身体洗うためにそこ入ったんだろうが!」
 他の黒人共が非難しても、マーキスの動きは止まらない。しっかりと沙綾香の腰を掴み、ぶしゃぶしゃと水を散らしながら股間を打ちつける。シャワーだけで達してしまう沙綾香が、それに耐えられるはずもない。
「あっ、あっあ……はぁああお゛っ! お、おくっ、んんん゛う゛っ!!」
「へへへへ、そうだろ。水なんぞより、硬くて太いディックの方が美味いよなあ? その感じてる顔、もっと見せてくれよ!」
 震える沙綾香を抱きすくめ、キスを強いるマーキス。沙綾香は喘ぎながらもそれに応じる。仲睦まじいカップルのように。
 マーキスが射精してからも、その関係は変わらなかった。沙綾香は、汗に濡れ光るマーキスの体を甲斐甲斐しく洗う。石鹸を塗りつけた股座で腕を洗い、同じく胸や腹に石鹸をつけて背中に擦りつける。
「ははっ。お前の肌は、スベスベで柔らかくて最高だな。俺ァもう、アジアンしか抱けねぇかもしれねえや」
 マーキスはおどけるように身を捩らせて喜ぶ。沙綾香はそれを見て目を細め、満を持して逸物に触れた。
「ふふふ。さっき出したばっかりなのに、もう硬くなってる」
 沙綾香は逸物をたっぷりの泡で包み、優しく上下に擦る。その泡を洗い流してからは、口で丁寧に舐めしゃぶる。
「くううっ……最高だぜ!!」
 マーキスは心底気持ちよさそうな呻きを漏らし、二度目の射精へと追い込まれていく。

 こうした愛の営みは、マーキス相手に限らない。シャワー室から出た沙綾香は、外で待ち構える他の黒人共にも、やはり積極的に奉仕した。
「へへへへ、まるでオレの方がレイプされてるみてえだ。こういうのも悪くねぇなあ、惚れた女相手ならよ」
 床に押し倒されたトラバンが、沙綾香を見上げて笑う。
「あっ、ああぁはんんっ! ふ、太くて……き、気持ちいい……っ!!」
 水滴を散らしながら、一心不乱に腰を振る沙綾香。それを見上げるトラバンも、周りで見守る他の黒人共も、口元が緩みっぱなしだ。
「へっ、エッロい顔しやがって。ジャパニーズってのはどいつも同じ顔に見えるもんだが、お前は違うな。その蕩けたツラ見てっと、それだけで、気持ちよくなって…………ぐう、うっ!? ああやべえ、出ちまうっ!!」
 至福の感情が射精を早めたのか。トラバンは、挿入から僅か2分で腰を震わせる。
「あはっ、出して、中に出してえっ!!」
 沙綾香は身を深く沈め、膣内への精を余さず受け止める。そして射精が終われば、浮かせた腰の下に手を差し入れ、溢れ出す精液を受け止めた。
「おいおい、何する気だ……?」
 黒人共が見守る前で、沙綾香は掌に溜まった精液を口へ運び、ごくりと喉を鳴らした。
「ははははっ! こいつ、命令もされてねぇのにザーメン呑みやがった!!」
「ああ、わざわざ手で受けてな! 何遍も飲まされるうちに、すっかり俺らのザーメンが好きになっちまったってか!?」
 歓声が上がる。あの沙綾香が、自ら精液を呑んだ……それが嬉しくて堪らないらしい。
「よーし、次は俺だ!」
 レジャナルドが沙綾香を抱え上げ、膝の上に乗せる。他の連中に見せつけるような背面座位だ。
「んはあっ!? お、おほぉ、お……っ!!!」
 沙綾香は、挿入だけで深く絶頂してしまう。下半身は大股開きで痙攣し、上半身は膨らんだ乳房をアピールするかのように反り、顔は天を仰ぐ。自然な動さではあるが、俺から視線を逸らすための動作にも思える。
「ははっ、すげぇイキっぷりだな。フェロモンみてぇな匂いもしやがる。ますますビンビンになっちまうぜ」
 レジャナルドは、沙綾香のうなじを嗅ぎながら、力強く腰を突き上げた。
「いあっ、はっ、はあああっ!! いぎっ、ぎもぢいいっ……! 沙綾香の気持ちいい゛とこっ、知られちゃってるう゛っ!!」
 天を仰いで以来、沙綾香の喘ぎは『お』行から『あ』行に変わった。だが、快感の質が軽くなったわけではなさそうだ。亀頭の位置を知らせる膨らみが、下から上へと移動するたび、沙綾香の下半身は震えあがる。
「うっ、ふぐっ……うっ、あっ!! な、内臓、押し上げられて、お腹、ボコってでてる……。あ、ああ、あ、あっ……ねえ、レジャナルド……そろそろイキそう。いいよね……?」
「ああ、俺もそろそろ出そうだ。一緒にイこうぜ!!」
「あああレジャナルド……い、イキそう、イキそう……イクっう゛っ!!」
「俺もだサヤカ……イクぞ、イクぞおっ!!!」
 沙綾香の絶頂にレジャナルドが影響されたのか。あるいはレジャナルドの絶頂に沙綾香が引っ張られたのか。いずれにせよ、2人は同時に極まった。沙綾香の身体が揺れ、割れ目から腐ったヨーグルトのようなものがドロドロと伝い落ちる。
「おっと、プッシーから大好きなザーメンが垂れちまってるぜ。次は俺が栓してやるよ!」
 レジャナルドより一回り太い逸物を扱きつつ、モーリスが沙綾香を組み伏せた。
「んんあああっ!! あん、あっ、あ、イク、またイクッ……!! だめっ、ま、まださっきのが残ってて、イクのが繋がっちゃってる……止まんないいっ!!」
 沙綾香はまた絶頂へと追い込まれていく。虚空を眺め、舌を突き出して自ら腰を振るその姿は、快楽を貪るケダモノそのものだ。
「はははっ、気持ちよさそうにしやがって!」
「ようサヤカ、次は俺様だぜ。早くヤリてぇなあ!」
 黒人共の馬鹿笑いが響き、沙綾香の嬌声がそれに混じる。



「くそっ……!」
 オスとメスの交わりを前に、俺はすっかり蚊帳の外だ。ひとり歯噛みする俺に、1人の女が歩み寄ってくる。ロシア人を思わせる風貌と、真っ白な髪──百合か。
「先生。宜しければ、わたくしがお相手をさせていただきます。ただご覧になっているだけではお暇でしょうから」
 百合の口調は、相も変わらず事務的だった。
「端塚の命令か?」
 俺が尋ねると、百合は静かに頷く。
 余計な計らいだ。沙綾香以外の女を抱いたところで、心の喪失感が埋まるはずもない。第一、この百合にも思うところはある。沙綾香の調教に加担し、快楽に堕ちる手助けをした。こいつが入念な性感開発を行わなければ、沙綾香が快感に狂うことなどなかったかもしれない。そんな奴が、沙綾香の代わりだと?
 ……考えているうちに、だんだんと腹が立ってきた。後ろめたさを感じさせない涼しげな顔が、余計に感情を逆撫でする。
「そうか。なら、相手をしてもらおうか」
 俺はズボンを脱ぎ捨て、百合に向き直った。心は鬱々としていても、男女の行為を見続けた結果、分身はしっかりと隆起している。
「承知しました」
 百合は俺の足元に跪くなり、躊躇なく逸物を咥え込んだ。生ぬるい口内に分身が包まれる感触は、震えがくるほど気持ちがいい。おまけに、百合のテクニックは相当なものだ。見た目以上にしっとりと厚みのある唇で幹を扱き、巧みな舌遣いで亀頭を舐め回す。気を抜いていると、射精まで1分ともちそうにない。
「くっ、あ……ぐうっ……っ」
 内腿に力を篭め、顎を浮かせて射精を堪える。すると、ふいに視線を感じた。左の方……鉄格子の向こうからだ。
「…………っ!!」
 沙綾香と目が合った。彼女は、百合に奉仕される俺を見ていた。ダリーに荒々しく突き上げられながら、泣きそうな表情で。
 なんだ、あの表情は?
 俺が他の女と『している』ことを、悲しんでいるのか?
 それとも、嫉妬しているのか?
 彼女は、黒人共とのセックスに溺れきっているはずなのに。
「さ──!」
 俺が声を上げかけたその瞬間、ダリーが沙綾香の唇を奪う。『よそ見をするな』とばかりに舌を絡めるディープキスだ。沙綾香もそれを受けて、蕩けるような視線をダリーに注ぐ。はっと我に返れば、目の前にあるのは、やはり色に狂ったケダモノの姿だった。
 気のせいか。沙綾香への未練が、幻を見せたのか。
「先生、どうかなさいました? ……ああ、キスをなさりたいのですね」
 百合が俺の視線を追い、唇を重ねようとしてくる。だが、とても応じる気にはなれない。
「尻を向けろ」
 百合の肩を掴み、やや乱暴にベッドへ手をつかせる。そしてその背後から、荒々しく突き入れる。百合の割れ目は、すでにしっとりと濡れていた。
「はっん!!」
 百合から声が漏れる。俺のペニスも、挿入で音を上げさせるだけの大きさはあるらしい。あの黒人共には、及ぶべくもないが。
「フッ、フウッ……!!」
「はんっ、あ、はっ! あああんっ、あっあ……! 先生、よ、良うございますっ……!!」
 百合の尻を両手で掴み、煮え滾る想いを叩きつける。よく濡れた粘膜が絡みついてくる感覚は、おそろしく気持ちがいい。だが、沙綾香と交わっていた時ほどじゃない。百合も善がってはいるが、本当かどうか怪しいものだ。
「ハハッ。あいつら、ジャパニーズ同士で“セックスごっこ”を始めやがったぜ?」
「あの女も可哀想になあ。あんな粗末なウィンナーじゃ、腹は満たされねぇだろうに。なあ沙綾香。咥え込むなら、太いフランクフルトに限るだろ?」
 黒人共が野次を飛ばしてくる。奴らは直立したまま、沙綾香を挟み込む形で犯していた。沙綾香は、返事をしない。だが、甘い声を漏らしながらジャマールと舌を絡め合っているのは、事実上の肯定だ。
「ハアッ、ハアッ……!!」
 俺は百合の尻を掴み、激しく腰を振る。その効果は絶大だった。
「はんっ、あっ、ひいいっ!! は、激しい……いいイクッ!!!」
 百合が身を震わせ、ベッドシーツを握りしめる。さらに膣内を蹂躙してやれば、両脚の震えが刻一刻と酷くなっていく。
「す、凄い……が、我慢がっ、できな……っ……!!!」
 百合はそう哀願しながら、全身を震わせた。同時に、割れ目からぶじゅっと水が溢れ、床に滴り落ちていく。『ハメ潮』というやつか。
 相手の陥落を肌で感じても、滾りは収まらない。ベッドに突っ伏した百合の肩を掴み、さらに腰を打ちつける。無意識に選んだ体位だが、これはいい。肩を掴むことで俺の姿勢は安定するし、相手が前に逃げるのも封じられる。結果として、突きこみの威力を余すところなく伝えることが可能だ。
「くはっ!! あああ、深いいッ!! あああっ、せ、先生、だめ、だめエエエ゛っ……んんあああ゛あ゛あ゛あ゛っ! いやあ゛っ、いやあああ゛あ゛っっ!」
 百合の反応は凄まじい。背中を弓なりに反らせ、白い髪を振り乱す。腰を左右に逃がそうともするから、その動きを利用して『効きそう』な場所を抉り込んでやれば、電流でも流したかのように脚が震え上がる。セックス慣れした性奴隷とは思えないほど、余裕のなさそうな反応だ。
「ほおー、流石は“先生”だな。ツボを押さえてやがる」
「脳の記憶が無くても、体が女の狂わせ方を憶えてるってか。おっそろしいねえ」
 手越とロドニーが遠くから茶化してくるが、もはやどうでもいい。

 ひたすらに、百合の肉体を貪った。
「はあ、はああっ……はあっ……や、やふまへて…………」
 百合が腰砕けになっても、抱くのはやめない。汗に塗れた身体をベッドの上に放り投げ、覆いかぶさる形で挿入する。ひらすらに、がむしゃらに。
 気がつけば、周りは静かになっていた。黒人共も手越達も、俺達のセックスに飽き、それぞれの世界に戻っているようだ。ちょうどそのタイミングで、百合が俺の耳元に口を寄せた。
「……先生」
 また快感を訴えるのか、あるいは音を上げるのか。そう決めつけていた俺は、続く言葉で虚を突かれる。
「落ち着いてお聞きください。沙綾香は、堕ちてはいませんわ」
 予想外の一言。俺は、その言葉の意味を理解するのに数秒を要した。ようやく脳が処理を終え、はっとして百合を見れば、その瞳はしっかりと俺を見つめていた。瞳以外のあらゆるパーツは、快感に溺れるメスのそれだというのに。
「んっ、どうしたんです先生ぇ。もっと、動いてぇ……っ!!」
 俺が固まっていると、百合は甘えた声と共に足を絡ませてくる。周りに気取られないよう演技を続けろ、ということか。
「……はっ、この変態め!」
 俺は笑い返してみせ、百合の唇を奪った。激しく口内を貪っては口を離し、また舌を絡ませあう。そうして息を弾ませた状態で言葉を交わせば、傍目には愛の囁きにしか思えまい。
「……はぁ、はぁ……どういうことだ」
「……はっ、はっ……審査会で沙綾香に呑ませた錠剤は、ドラッグなどではありません。私がすり替えた『抑制剤』です」
「『抑制剤』?」
「……はい。服用直後は興奮作用がありますが、しばらくすれば鎮静作用が働きます。沙綾香は……あの子は、まだ快楽に溺れきってはいません。そういう演技をしているだけです。私との、打ち合わせ通りに」
 囁きかける百合の瞳は、真剣そのものだ。隙を見て、密かに沙綾香とやり取りしていたということか。確かに、可能といえば可能だ。百合が沙綾香と2人きりになる場面は多かった。マッサージや愛撫をしながら囁きかければ、遠目には快感の確認としか思えない。
 いや。それよりも、沙綾香が快楽に溺れていないというのは本当なのか?
 こっそりと鉄格子に視線を向ける。沙綾香は、前後から挟まれ、右膝を担ぎ上げられたまま挿入を受けていた。
「ふわあああっ、きっ、気持ちいいいっ!! 前も、後ろもおぉっ……んああああっっ!!」
 沙綾香は大声で快感を訴えながら、太腿の筋肉を強張らせる。
「ぐおおおっ、締まるっ……!!」
「ぎゃははははっ、まさに咥え込んで離さねぇってやつだな!」
 膣を犯すジャマールも、肛門を犯すトラバンも、顔を歪めて笑う。
 どう見ても、黒人セックスに耽る一匹のメスだ。あれが芝居だとすれば、その演技力は一流の女優に匹敵する。
 だが、よくよく考えてみれば、沙綾香に高い演技力があってもおかしくはない。あの子はずっと、財閥令嬢としての振る舞いを強いられてきた。つまり、令嬢の演技をして生きてきたわけだ。だとすれば、『別人』を演じることに長けている可能性はある。加えて言えば、親や資産家連中との付き合いの中で、気難しい相手の喜ばせ方も知り尽くしているはずだ。元より女好きな黒人共の篭絡など、難しいことではないのかもしれない。
「先生、沙綾香を信じてあげてください。貴方に見限られては、それこそ心が折れてしまいます」
 百合が囁いてくる。
 俺は──信じたい。沙綾香がまだ沙綾香であることを。
 それに、さっきの視線も忘れられない。俺と百合との交わりを、泣きそうな目で見ていたあれは、間違いなく正気の目だ。


                 ※


 沙綾香が演技をしているという前提で見れば、檻の中の光景は違って見えた。

 沙綾香は今、目隠しをした状態で黒人共の逸物をしゃぶらされ、誰の物かを当てるゲームをさせられている。沙綾香の『忠誠心』のテストだろう。
「んふっ。この匂いは……レジャナルドでしょ?」
「この味は、モーリスだよね?」
 沙綾香は、百発百中で相手を当てた。10人のペニスの匂いと味を、全員分覚えたという証だ。
「正解。ちっと簡単すぎたか? 毎晩しゃぶらせてるもんなあ」
「かもな。だったら今度は、下の口で当ててもらおうか!」
 黒人共は勝ち誇ったように笑い、次のプレイに移る。
「んンンン゛ぉおお゛お゛お゛っ!!! お、おっきい……わかった、タイロン、タイロンでしょ!?」
 一番手のタイロンが挿入した途端、沙綾香の背は弓なりに仰け反った。他の9人とは別格のサイズだけに、外しようがない。しかしタイロンは、当てられても腰を止めようとはしなかった。
「おー、いいぜぇ。ねっとり絡まって、締めつけて……目隠しでヤると具合が良くなんな!!」
 上機嫌で腰を叩きつけ、しっかりと膣内出しまでもっていく。そのせいで膣が緩まり、一気にクイズのハードルが上がってしまう。
「んっ、これ、誰だろ……。ちょっと右上に沿ってて、カリが……張ってる? んんっ、よく、わかんない……」
 2人目のドミニクを当てるのに、沙綾香は大苦戦していた。あえて言葉にはしないが、タイロンとのサイズ差のせいで、挿入感すら薄いんだろう。ドミニクがにやけるタイロンを睨みつけ、不愉快そうに舌打ちする。
「待ってね、今当てるから……ん、んっ……あ、わかった! この形、ドミニクだよね?」
 舌打ちを耳にした沙綾香は、必死に腰を蠢かして感触を探り、見事に正解する。その健気さは、苛立ちに歪むドミニクの顔を一瞬にして氷解させた。
「おっ、大正解だぜ。ハハハッ、そうだよな。毎晩抱え上げて、ヨガらせてやってんだ、わからねえ訳がねえよなあ!!」
 完全にオスの自信を取り戻したドミニクは、愉快そうに笑いながら沙綾香の割れ目を抉り回す。
「ふあっ、あ、あっ!! ド、ドミニクのその角度っ、すごいよおっ!!!」
 沙綾香は悦びの声を上げ、思わずといった様子で股を開きながら痙攣する。ドミニクが最も得意とする、小便スタイルに近い脚の形だ。
「よーし、ご褒美だ。大好きなこれでフィニッシュさせてやるよ!!」
 ドミニクが沙綾香を抱え上げ、得意の体位に持ち込んだ。
「あああいいっ、好きっ、これ好きいいっ!! あイクっ、イックうううっっ!!」
 沙綾香は大声で快感を訴えながら、身を震わせた。そしてその直後、挿入部分から潮を噴き散らす。好き、という言葉を証明するかのように。
「へへ、へへへへ……!!!」
 ドミニクは、夢見心地という様子だった。俺に見せつけるという目的すら忘れ、頬を緩ませたまま沙綾香に口づけを求める。沙綾香もそれに応じ、結果として仲睦まじさをこれでもかと披露する。
 3人目のマーキスも、4人目のモーリスも、5人目のレジャナルドも同じ展開だった。沙綾香は必死に相手を探り、それに感極まった黒人共が全力で愛する。何度も何度も肉をぶつけ合い、愛液と精液を散らせながら。

「ハッ、ハアッ、ハアッ、ハアーッ…………!!」

 全問正解で10人の相手を終えた頃、沙綾香の息は乱れきっていた。かろうじて這う格好を取ってはいるが、全身の痙攣が止まらない。やたら肉感的に見える体からは、滝のように汗が流れ、垂れ下がった乳房から滴っていく。外された目隠しの下では、黒目がほぼ完全に上瞼に隠れていて、意識があるのかも怪しい状態だ。
「ひひひっ、トんでんなあ!」
「ああ。必死にコックの形を探ったせいで、感じすぎちまったみてぇだな!」
 黒人共は沙綾香の反応を見て笑い合う。その笑い方さえ、以前の下卑た嘲笑とは違った。スポーツで快勝した後のような笑みだ。

「ハーッ、ハアーッ、ハアーーッ、ハアーーッ…………!!」

 沙綾香の息はまだ収まらない。少し前までは一休みすれば回復していたのに、もう時間が経っても緩んだ表情が治らなくなっている。あるいは、迫真の演技で“そう見せている”。
「見ろよ。さんざっぱらファックされまくって、すっかりバカ面だぜ」
「ああ。余韻に浸りまくってやがるな」
 少し離れたソファから、ロドニーと手越の声がした。
「あはっ……もっと、もっろしてぇ……。ねえ、マーキスぅ、アンドレ……トラバン……」
 沙綾香はだらしない笑みを浮かべながら、目につく黒人共の名前を呼ぶ。
「へへへ、まさに底なしだな。いいぜえ、今夜も足が立たなくなるまで可愛がってやる!」
 黒人共は白い歯を剥き出しにし、我先にと沙綾香に群がっていく。

 全てが演技だとするなら、沙綾香の狙いは黒人共の篭絡だろう。そしてそれは、順調に進んでいる。
 黒人共が沙綾香に絆されているのは間違いない。『ジャパニーズ』呼びが、いつからか『サヤカ』に変わった。髪を掴んだり、腰を叩きつけたりという乱暴なプレイも減った。
「ふうっ……なんか疲れちゃった。甘い物食べたいなあ」
 プレイの合間に沙綾香がそう呟けば、すぐに何人かが反応する。
「へへへ。そう言うと思ってよ、ハニードーナツ用意してるぜ!」
「バカ、カロリー高ぇよ。サヤカが太っちまうだろうが。よう姫、こんな奴ほっといてよ、ミルクプディングはどうだ。冷蔵庫で冷やしてんだよ」
「ああ? 馬鹿はテメエだ。甘いモンが欲しい時ってなあ、糖分が足りてねぇんだよ!」
 沙綾香の前で、ダーナルとジャマールがいがみ合う。沙綾香はソファに腰掛けたまま、そんな2人に微笑みかけた。
「もう、喧嘩しないで。んー、でも、ドーナツにプディングかぁ。どっちもいいな~、どっちも食べようかな。その代わり、食後の運動に付き合ってよ?」
 沙綾香のこの一言で、ジャマールとレジャナルドは目を輝かせ、ハードファックでのカロリー消費を約束する。こんな光景は、今や珍しくもない。
 まるで、共通の恋人を持つ10人の男の同棲だ。奪い合いという状況ではあるが、同棲生活はおおむね上手くいっていた。

 ところが、5日目の朝。その蜜月の日々は、突如として崩れ去る。それまで監視役に徹していたロドニーと手越が、満を持して調教に加わったからだ。
 倶楽部の目的は、沙綾香を調教師の傀儡とすること。であれば、最終段階で調教師の頭が出てくるのは当然ではある。黒人共もそれは理解しているらしく、ロドニーが沙綾香の引き渡しを要求した時、反抗する人間はいなかった。だが、完全に納得しているわけでもなさそうだ。曲がりなりにも“一妻多夫”を許容しているのは、それまで共に調教してきた間柄だからこそ。たとえボスといえども、後から割り入ってくる人間を快く思うはずもない。愛した女が別の人間に調教される光景は、血の涙が出そうなほどつらい。それは、俺も黒人連中も同じなんだ。


                 ※


 鉄格子から連れ出したばかりの沙綾香の前で、ロドニーがトランクスを脱ぎ捨てる。
「………………ッ!!」
 露わになった怒張を前に、沙綾香は凍りついた。無理もない。ビール缶を3つ繋げたようなタイロンの逸物より、さらに輪をかけて凶悪。亀頭からして手で掴めるか怪しい大きさだが、何より、幹の膨らみ具合が尋常じゃない。まるで、女の性器を確実に破壊するために作られた拷問具のようだ。逸物の大きさに自信を持つ黒人共すら、言葉もなく“ボス”の下半身を見つめている。
「…………あはっ、ほんと大きい。こんなの、入るかなあ」
 沈黙を破ったのは、沙綾香だった。彼女は頬を赤らめ、期待感に満ちた表情でロドニーの足元に跪く。どう見ても、更なる刺激を待ち望んでいるようにしか思えない。その迫真の演技に、ロドニーは笑みを浮かべ、逸物を沙綾香の乳房に乗せる。
「あんっ、重いよぉ……」
 沙綾香はケラケラと笑いながら、乳房で異形を挟み込み、先端へ口をつける。
「んっ……むっ、はン……はっん、んん、あっ……んちゅっ、れあっ……」
 艶めかしい声と共に、赤い舌が亀頭を舐め回し、唇が先端を包み込む。
「しゃぶるのにもすっかり慣れたな。最初の頃のカマトトぶりが懐かしいぜ」
 ロドニーは感心した様子で笑いながら、沙綾香の後頭部に手を当てた。そして一気に引き寄せる。太すぎる剛直が3割ほど口内に隠れ、沙綾香の頬が歪に引き攣る。
「ふもおごぇああ゛あ゛っ!?」
 壮絶なえずき声も漏れるが、予想通りだ。あんなサイズの逸物を強引に押し込まれて、声が出ないはずもない。
「オイ、乱暴にすんじゃねぇよ! サヤカの口が裂けちまうだろうが!!」
 鉄格子を揺らしながら、タイロンが非難の声を上げる。奴自身、以前はかなり乱暴なプレイをしていたというのに。
「ぶはっ、あはっ……はぁ、はぁ……お、おっきい……。顎、外れちゃうかと思った……」
 怒張を吐き出した沙綾香は、激しく喘ぎながら笑う。そして、今度は自ら深く咥え込み、なおかつ割れ目を弄りはじめる。規格外のペニスを前に、興奮を抑えきれないというアピールか。
「ハッ、よく言うぜド変態が」
 ロドニーは鼻で笑いつつも、沙綾香の奉仕を堪能する。沙綾香の演技は真に迫っていた。整った顔を崩しながら、口いっぱいに極太を頬張り、咀嚼するように舐め回す。
「ほおー、大したもんだ。調教に手間ァかけた甲斐があったな」
 怒張の表面の血管が、さらにくっきりと浮かび上がった頃。ロドニーは沙綾香の頭を押しやり、奉仕をやめさせる。そして近くのソファに沙綾香を座らせると、サイズをさらに増した怒張を宛がった。
「挿れるぜ。キツいから覚悟しとけよ」
 ロドニーは、亀頭で割れ目を擦りながら宣言する。
「……っ」
 俺の横に座る百合が、顔を強張らせた。百合は奴隷調教の経験者だ。過去、ロドニーに犯された経験がフラッシュバックしたか。
 一方の沙綾香は、挿入を前にしても薄笑みを湛えたままだ。だが、下を向く目には、ほんの僅かに怯えが見える。

 ( ──頑張れ、沙綾香! )

 俺が心の中で声援を送った、その瞬間。ロドニーが腰を突きだし、剛直が割れ目に入り込む。
「……ん、あああああああっ!!!!」
 挿入の瞬間、沙綾香は絶叫した。おそらくは、演技の余地もない本気の叫びだ。挿入部分に視線をやれば、絶叫の理由がよくわかった。サボテンを思わせる肉の塊に入り込まれ、陰唇は不自然な形に歪みきっている。中に異物を抱える下腹部は、それこそ七面鳥のように盛り上がっている。
 何か、トリックがあるんじゃないか。人を驚かせるために演出された、マジックショーなんじゃないか。そう考えたくなるほど、現実離れした現象が、沙綾香の身体に起きている。
「くくくっ、いい悲鳴だぜ。俺にレイプされた奴は、皆そうやって叫ぶんだ。アイドルだろうが、婦警だろうが、少年兵のリーダーだろうがな。……いや、お前のお友達のサムライガールだけは耐えてやがったか。背中から冷てぇ汗垂らして、下半身ガクガク震わせちゃいたがな。ありゃ大したモンだった。お前も負けんじゃねえぞ。そのダチに勝って、ここにいるんだからよ!!」
 ロドニーは、下卑た笑いと共に沙綾香の腰を掴み、さらに深く挿入する。
「んはっ、お……おっほ、ほっ……く、苦し、い……!!」
 沙綾香は顔を引き攣らせ、苦悶を訴えた。その反応が、ロドニーの笑みをさらに深める。
「だろうな。『アソコが裂ける』『骨盤が外れそう』『初めての時より痛い』あたりは、俺に犯される女の常套句だ。そこにいるお前の先輩なんぞ、傑作だったぜ。3つ全部言ってギャンギャン泣いた挙句、クソまで漏らしやがった」
 ロドニーの目が百合を向いた。
「…………その節は、失礼をいたしました」
 百合は淡々と謝罪し、頭を下げる。その能面じみた顔つきとは裏腹に、シーツを掴む手は震えっぱなしだ。ロドニーに犯された経験が、よほど深くトラウマになってしまっているらしい。
「はぁっ、はぁっ……わかるよ。これ、凄いもん……。今までのどのセックスより、痺れちゃう…………!」
 沙綾香は汗まみれの顔でロドニーを見上げ、囁いてみせる。その一言で、黒人共が一斉に騒ぎ出した。口汚い言葉を交えつつ、返せ、戻せの大コールだ。ロドニーはそんな黒人共へ見せつけるように、大きく腰を使いはじめる。
 他人が行うピストンを、これまで何千回見てきたことだろう。だがロドニーのそれは、過去のどれとも違っていた。ロドニーが腰を前後に動かすたび、バカげたサイズの怒張が割れ目から出入りする。その衝撃に、じっと耐えることなど不可能だ。沙綾香の手は忙しなく動いた。ソファの座部を掴み、下腹を押さえ、骨盤に指を添え……そうして彷徨った挙句に、背もたれを強く握りしめる。
「ひいいあ、ふぇっ……ぎあはっ、ぃふあっ……ひゅごい、凄いいっ…………!!」
 沙綾香の声は、今までに耳にしたことがないものだった。極度の苦しみに呻き、時に声を裏返らせてもいるが、艶めかしさがある。どこまでが演技で、どこまでが本音か、全く判別不能なレベルだ。
「ほぉ、もうヨガってやがんのか。貧相なアジアンのくせに、大したタマだ!」
 ロドニーは嬉しそうに笑い、沙綾香の両足首を掴みながら腰を突き込む。
「きゃはっ、はっ、はがぁがっぐ!!」
 また、妙な声が漏れた。よほどの苦しさなのか、Vの字に持ち上げられた美脚がブルブルと痙攣している。
「すげぇだろ。キツくって、筋肉の痙攣が止まらねぇよなあ。だが、じきに病みつきになるぜ?」
 ロドニーの黒い腰が、前後に揺れる。沙綾香を載せたソファそのものが揺れ、騒々しい音を立てる。
「ふっぐ、あぐっ、んんはぐっ!!! んはっ、あ、あぐうっ……は、はああっ、あっぐ!!!」
 沙綾香の声は苦しそうだ。巨体の陰からたまに覗く顔は、常に歯を食いしばっている。背もたれを掴む手も、V字の脚も、痙攣が止まらない。
「へへへ、なかなか具合がいいじゃねぇか。そろそろ一発目いくぞ!!」
 ロドニーが叫び、スパートを掛ける。あらゆる音がペースを増し、殺害現場さながらの不穏な空気が満ちていく。
「ああああすご、すごい、すごぉおいいい゛い゛い゛い゛っ!!!!」
 沙綾香は、絶叫した。何もしなければ純粋な悲鳴になるものを、無理矢理喜びの言葉に変えているような、異様な叫びだ。その最中、ロドニーが腰を止めた。奥深くまで捻じ込んだまま、注ぎ込む。ペニスサイズに自信を持つ連中特有の、征服的な射精だ。

 射精を終えた後、ようやくロドニーがソファから離れる。その陰から現れた沙綾香の姿は、悲惨の一言だ。陰唇は外へ捲れ返り、膣粘膜の一部も引きずり出されている。腰は深くソファへめり込み、脚は痙攣を続けている。中でも正視に耐えないのが顔で、虚ろな目と涎を垂らす口は、絞殺された直後のようだ。
 それでも、沙綾香は自我を失ってなどいなかった。
「どうだ、刺激的だったろ?」
 ロドニーが汗を拭いながら声を掛ければ、沙綾香の瞳に光が戻る。
「ハッ……ハァッ……ハァッ……うん、最高……デスソース、スプーン一杯舐めさせられた感じ……」
「そりゃ良かった。気に入ったんなら、もっと飲ませてやるよ。スプーン一杯なんていわず、バケツでな!」
 気を良くしたロドニーは、沙綾香の腕を掴んでソファから起き上がらせる。だが、沙綾香は自立できなかった。
「ま、待って、立てない……膝、笑っちゃって……」
 沙綾香自身の言う通り、脚の震えが止まらない。黒人共から、数時間ぶっ通しで輪姦された直後のように。
「ったく、しょうがねぇな」
 ロドニーは嘆息しつつも、笑みは消さない。一度のセックスで腰砕けにした事が誇らしいんだろう。実際、並大抵の事じゃない。しかも奴は、そんなセックスをまだ続けようとしている。
 奴は、沙綾香を抱え上げた。両脚を抱えての対面立位……『駅弁』の体位だ。大きな手が尻肉を掴み、割りひらく。そしてその隙間に、パイナップル大の逸物が入り込んでいく。
「んあっ、あぐっ……あ、あ……はくああああっ!!」
 今度も、挿入だけで悲鳴が上がった。さらにロドニーの手が動き、強引に腰を上下させはじめれば、声はさらに悲痛さを増す。
 ソファでの体位の方が、ずっとマシだった。剛直のバカげたサイズがそのまま見えるこの状況は、直視が辛い。あんな挿入を何度も受けて、無事でいられるはずがない──嫌でもそう思えてしまう。
 幸いにというべきか、股が裂けて血が噴き出すようなことはなかった。足首から先はそれこそ突き込みのたびに跳ね上がるが、決定的な損傷は見られない。
 危険なのは、むしろ上半身の方だ。
「あああ……ふ、太いのが、奥まで、ぇ……こ、壊れ、ちゃ…………!!」
 うわ言のようにそう呟く沙綾香の顔は、意識が定まっているようには見えない。長湯で上せたように締まりがない。両手でロドニーの肩を掴んでいなければ、そのまま後ろに倒れそうだ。
「いいツラだな。ケツにしろマンコにしろ、ここまで押し拡げられちまうと、身体の芯に力が入らねぇだろ? だが、まだ“底”じゃねぇぞ。もっと下を見せてやる」
 ロドニーはそう告げ、ソファ前から移動する。その最中にも手と腰の上下運動は止まらず、沙綾香から声を絞り出す。そしてその歩みは、ベッド横で止まった。
「さあて、いくぜ」
 その一言と共に、ロドニーは腰を下ろした。すぐ傍のベッドへ、思いっきり。剛直を挿入したままで。
 バフンッ、という音がした直後、沙綾香の顎が浮いた。
「ふぎいぃぃううぃいぃいっ!!」
 直後、鼓膜を震わせた音は、普通なら人の声とは思えない。『きっと悲鳴が上がる』と予測していたから、かろうじて判別できただけだ。
 そんな声が上がる状況となれば、肉体の反応も普通じゃない。沙綾香の足先は、ロドニーの肩の高さにまで上がっている。上体は大きく後ろに傾ぎ、かろうじてロドニーにしがみついているだけだ。その異様な反応に、黒人共が鉄格子を揺らしながら叫ぶ。キッチンフロアでグラスを傾ける手越さえ、苦笑いを浮かべている。
「んはっ、はあっ、はあっ……!! い、今の、ダメ……ほ、本当に、壊れちゃうっ!!」
 ロドニーの顔を見つめ、必死に訴える沙綾香。だが、ロドニーは聞き入れない。
「生憎俺は、尋問の手段としてファックを覚えたもんでよ。“ブッ壊す”やり方しか知らねえんだ」
 ロドニーの腰が浮き上がり、また寝台へと落ちる。浮き上がっては、落ちる。バスンバスンというベッドの音が耳障りだ。
「んぎぃっ……いっ、ふぅぎぃいっ! ぼお、ほ、ごっ!! な、内臓が、づぶ、れ……ッ!!」
 沙綾香の有り様は、悲惨だった。歯茎を露出させるほど歯を食いしばったかと思えば、舌を突き出して空嘔吐を見せる。
「ハッハ、すげぇツラだ。こうなっちまうと、元のルックスなんざ関係ねえな!」
 ロドニーは笑いながら立ち上がり、沙綾香の尻を掴んで、強引な抜き差しを繰り返す。普通なら激しい水音がする場面だが、今は音らしい音がしない。ペニスが割れ目を埋め尽くしていて、音が漏れる隙間すらないのか。
「はっ、はっ、はっ……!!」
 沙綾香は、ロドニーの首にしがみついて喘いでいた。見開かれたその眼は、目の前のベッドに注がれたまま動かない。だが、さらに数分が経てば、また反応が変わる。
「ひいいーーーっ!! こ、これ、イッちゃう!イッちゃうの、イっちゃうっ!! 頭のなかっ、バリバリするうううっ!!!」
 沙綾香は天を仰いで叫び、歯を食いしばる。顔に浮かぶのは、『目の前に火花が散る』時の表情だ。もう何度となく拝まされた表情だが、今のそれは、いつになく病的に思えた。
「……可哀想に。あれは、地獄ですわ」
 隣で百合が呟く。経験者の噛み締めるような一言は、重い。
「気合入れろよ、俺は3時間は余裕でファックできるんだ」
 沙綾香の変化を感じ取ったのか。ロドニーは中腰の姿勢を取り、尻肉を掴み直す。

 そして、悪夢のセックスが始まった。巨木を思わせる剛腕は、沙綾香の体重をものともしない。尻肉を両手で掴んで持ち上げては、自分の腰に叩きつける。その辛さとなれば、もはや想像するまでもない。
「んぐっ、ぐう゛う゛っ……ん゛っ、ン゛!! んぎっ、ふぎぃいい……あ、あ゛ああ゛…あ゛!!」
 沙綾香の口からは、いかにも苦しげな呻きばかりが漏れている。
 一分後、ロドニーの腰に絡みついていた足が外れ、だらんと下に垂れた。そのさらに数秒後、ロドニーの首を抱え込んでいた腕も離れ、背中側に垂れ下がった。そして最後に、首が後ろに倒れる。口を開いたまま痙攣する顔は、明らかに失神した時のものだ。
「沙綾香っ!」
 俺は、考えるより前に叫んでいた。鉄格子の向こうでも、黒人連中が同じく騒いでいた。誰が見ても危険な状態なんだから、当然だ。だが失神に追い込んだ当人だけは、涼しい顔を崩さない。
「気絶したら止めてもらえるとでも思ったか? 甘ェ甘ェ。俺のファックは戦場仕込みだ。呑気に気ィ失ってッと、殺されちまうぜ!」
 ロドニーは唸るように叫び、すでに反応のない沙綾香を嬲りはじめた。尻肉を掴んだまま、上半身の傾いだ沙綾香を何度も突き上げる。それでも意識が戻らないとなれば、今度は片手ずつ尻から手を離し、乳房を鷲掴みにする。まずは左手、続いて右手。
「ひぎいっ、いいい痛いっ!!!」
 両乳房に黒い手がめり込んだところで、沙綾香が目を見開いた。
「グッモーニン。天国は堪能できたか?」
 ロドニーは嘲りながら、荒々しく乳房を揉みしだく。全体の形が変わり、指の合間に柔肉が盛り上がる揉み方だ。いかに脂肪の塊とはいえ、あんなやり方では痛いに決まっている。
「やあ゛っ、ちぎれる゛、ちぎれぢゃう゛う゛ッ!!」
「なーに、千切れやしねぇよ。それに、こうやって乱暴に犯されるのも好きなんだろ? あのケダモノ共と毎晩ハメまくって、ヨガってんだからよ!」
 涙を零す沙綾香を前に、ロドニーの顔が凶悪さを増す。奴は沙綾香を一旦下ろし、ベッドに手をつかせた。そして、背後から挿入する。それまで以上に力強く、深く。
「んお゛っ、お゛っ、おほっ!! ああ゛っ、はっ、はっ、はぉおお゛っ!! んくっ、苦しい、苦じい゛い゛……っ!!!」
 ロドニーの腰が打ち込まれるたび、沙綾香の下腹部がぼこりと膨らむ。そんな状況で発される呻きは、濁りきった『お』行だ。どう見ても本気で苦しんでいるが、ロドニーは責めの手を緩めない。沙綾香の腰が前に逃げれば、太腿を掴んで引き付け、グリグリと奥を苛め抜く。
 その暴力的なピストンに晒されながら、沙綾香は激しい反応を見せていた。彼女がまともだという前提で考えれば、その意図にも察しがつく。
 黒髪を振り乱しているのは、脳内の『何か』を振り払おうとしているからだろう。足を大きく開き、時々足の裏を地面から浮かせているのは、挿入の刺激を少しでも和らげるために違いない。
 そしてその目的は、ロドニーにも伝わったようだ。
「フッ。未知の刺激が怖ぇのは解るがな、お前にゃこの味を覚えて貰わなきゃなんねぇんだ。腰据えて、じっくり味わえよ」
 ロドニーはそう囁き、沙綾香の両脚を強引に閉じにかかる。
「んっ!! あ、や゛っ……!!」
 悲鳴が上がった。脹脛の膨らみを見る限り、沙綾香は全力で抵抗しているようだ。だがそれも虚しく、両脚の距離は肩幅より狭くなる。その状態で腰が打ち込まれれば、沙綾香の顔は一瞬で歪んだ。
「おおお゛っ!! ンおッ、ほ…っほおっ、おお゛っん、ぉはっあ゛……っ!!」
 苦しみに満ちた喘ぎ。床に対して垂直に伸びた二本足は、自分にはこれだけの筋肉があるんだと主張するかのように、壮絶に蠢く。ダリーの後背位でも、タイロンの立位でも、あそこまで肉が隆起していたことはない。
 だが、俺はそれに既視感があった。まだ『日本男児』であった頃の藤花が、水責めを受けながらロドニーに犯されていた時。あの時の、はち切れそうな脚の膨らみと同じなんだ。
「あ゛っ、はっ、はっ、ぉおお゛……くはっ、く、ぁ、はっ…………ぉ、あ゛っ、ア゛……!!」
 沙綾香の喘ぎが、少しずつ変わっていく。『お』行の苦しそうな喘ぎに、艶めかしい『あ』の音が混じりはじめる。そしてその比率は、刻一刻と増していく。
 まさか……感じているのか。あんな酷いセックスで。
 俺のその疑問には、すぐに答えが返ってくる。
「イ゛っ、いぐッ、いぐっ、イぃぃぐッ!!!」
 沙綾香は小さく、だがはっきりとそう言った。しかも、立て続けに。それを聞いたロドニーが鼻で笑う。
「ようやく白状しやがったか、さっきからイキまくってるくせによ。お前のカラダは、刺激が強いほどイキやすくなってんだ。そうなるように調教してやったんだからな!!」
 その言葉と共に、ピストンが速さを増す。パンッ、パンッ、パンッ、という音が響き、沙綾香の喘ぎが泣き声に近くなる。
 それでも沙綾香は、最後の抵抗を続けていた。後ろに手を伸ばし、ロドニーの腕を掴む。左右には開けない脚を上げ、ベッドに乗せて、少しでも体位を変えようと足掻く。
 だが、その抵抗も数分とはもたなかった。
 まず最初に、ベッドに載せた脚が滑り落ち、つま先立ちの状態になる。
 続いて顔が項垂れ、舌を突き出したまま涎を垂らすばかりとなる。
 そして最後に、爪を立てる勢いでロドニーの腕を掴んでいた手が、ぶらんと頭の横に垂れ下がった。
「フッ、まーたヘバりやがったか。とことん平和ボケしてやがる。こんな状況で気絶したら、やられたい放題にされちまうってのによ!」
 ロドニーは満面の笑みを浮かべ、両手で沙綾香の腰を掴み上げる。沙綾香の脚は男顔負けに長いが、2メートルの巨躯を誇るロドニーには及ばない。爪先は完全に床から浮き、挿入箇所を支えに垂れ下がった。そんな沙綾香を、ロドニーはさらに犯す。力強く、念入りに。
「おうおう、いいぜお嬢様。具合のいい『チンポサック』だ。飽きるまで、しばらく愛用してやるよ」
 犯すロドニーの言葉は、下劣そのものだ。だが、沙綾香はその最低な扱いに反応できない。憤ることは勿論、嘆くことすら──。


 ロドニーに失神させられた後、沙綾香は『檻』の中に戻された。
「サヤカ、おいサヤカ!!」
「しっかりしろよ、おい!!」
 黒人共は甲斐甲斐しく沙綾香の世話を焼いた。濡れタオルで汚れを拭ったり、額を冷やしたり、ミネラルウォーターを飲ませたり。そうして沙綾香が意識を取り戻せば、歓声が上がる。まるきりお姫様扱いだ。そして連中は、回復した姫とのセックスを望んだ。
「ロドニーの野郎相手じゃ、痛いばっかりだったろ。俺らが気持ちよくしてやるからな?」
「俺達の味を思い出させてやるよ。お前が大好きな“フランクフルト”だぜ!」
 マーキスが、タイロンが、沙綾香に見せつけるようにコックを扱き上げる。いずれも人類全体で上位数パーセントに入るだろう巨根揃いだが、ロドニーの凶器を拝んだ直後では、随分と控えめに思えてしまう。
 おそらく、黒人共もそれを自覚しているんだろう。奴らは組み伏せた沙綾香を相手に、念入りなセックスを繰り返した。ロドニーの記憶を上書きするつもりだろう。沙綾香は、そのセックスで一応は甘い声を漏らす。だが。
「んっ……あ、入ってるの……? ごめんね、ぼーっとしてて……」
「はあっ、はあ……っ、ねえ、もっとイジメてよ。刺激が、足りないの……」
 沙綾香は、折に触れて物足りなさを訴えた。あくまで自然に、時には申し訳なさそうに。
 黒人共のあのペニスで苛め抜かれて、刺激が足りないことなど有り得ない。だが、ロドニーのセックスを目の当たりにした後なら、その主張がいかにも本当らしく思えてしまう。そんな沙綾香の絶妙な演技が、黒人共を阿鼻叫喚に陥れた。
「ファアックッッ!!!!」
 何人もが声を張り上げ、壁を殴る。沙綾香に怒るつもりなど毛頭ないが、ロドニーを殴りにもいけない。その行き場のない怒りを持て余しているようだ。
 その不穏な光景を見ながら、ロドニーはゲラゲラと笑っていた。ひとしきり面白がると、今度は視線を手越に向ける。
「よう手越のダンナ、次はアンタの番だぜ。連中のビッグコックでさえ物足りねぇって宣うあの嬢ちゃんを、アンタのその粗チンで満足させられんのか?」
 普段以上に棘のある軽口だ。だが、手越は動じない。
「なぁに、デカけりゃあいいってもんじゃねぇ。それをじっくり教えてやるよ。お前らにも、あのお嬢様にもな」
 手越はそう言って煙草を揉み消し、ゆっくりと立ち上がった。
 服を着ていると飄々とした中年男という風だが、シャツやズボンを脱ぎ捨てて素肌を晒せば、一気に雰囲気が変わる。太腿と脚、尻……至るところが刺青で覆われている。肌に墨が入っているというより、柄物を全身に着込んでいるに等しい。間近で拝むその威圧感は、桜織のビデオで目にした時の比じゃない。酸いも甘いも嚙み分けた、裏社会の古強者……そんな相手に調教される沙綾香が、心配で堪らない。
 そしてその心配は、杞憂では済まなかった。俺はこの後、熟練の『スケコマシ』の技に、一度ならず戦慄することとなる。


                 ※


 年季が入っている。手越の印象は、その一言に尽きた。黒人共は勿論、ロドニーも、女に不自由していない颯汰でさえ、沙綾香の裸を前にすれば『雄』の気配を漂わせる。今すぐに抱きすくめ、犯したい──そういう欲情の気配だ。だが、手越にそれはない。
「最初っから妙な色気のあるガキだったが、ますます良い女になりやがったな。淫魔だなんだと騒がれんのも納得だぜ」
 沙綾香を観察しながらそう呟くのも、あくまで客観的な分析だろう。

 手越は、沙綾香を仰向けでベッドに寝かせ、足を開かせた。
「だいぶ伸びたな」
 股座を覗き込んでそう呟くと、手元の袋からシェービングブラシと石鹸ボウル、剃刀を取り出す。アンダーヘアの処理をするんだろうが、除毛クリームを使わないのは、奴なりの拘りか。
「あれ、手越さんパイパン好きっすか?」
 調教を見にきた颯汰が、意外そうに訊ねる。手越はブラシで泡を立てつつ、鼻で笑った。
「タコ、好き嫌いの問題じゃねえ。ヴァギナの感度を上げる意味と、“宣言”だ」
 手越の手が止まり、ブラシにたっぷりと纏いついた柔らかな泡を、沙綾香の割れ目に塗り込めていく。肛門の方にまで、丁寧に。沙綾香の太腿がぴくりと反応した。
「一旦無垢な状態にしておいて、改めて自分色に染める……初っ端に毛を剃ることで、それを宣告すんだよ。俺ァ古い人間なんでな、まずは形から入りてぇんだ」
 手越はそう言いながら、空いた左手で沙綾香の手を掴み、ポーズを変えさせる。寝転んだままVの字に足を開き、その足首を自ら支える、恥辱の格好だ。
「やだぁ……こんなカッコ、恥ずかしいよお」
 沙綾香はそう言って笑ってみせるが、本当は顔が歪むのを必死に耐えているんだろう。そんな沙綾香を見下ろしながら、手越は念入りに泡を塗りたくる。
「なんだ、ブラシで感じてんのか? 泡が汁で流れちまってんぜ」
 割れ目を見ながら、手越が笑う。その言葉の真偽は判らないが、執拗に快感調教を繰り返された今の沙綾香なら、有り得なくもないと思えてしまう。
「んふふふっ、なんか、くすぐったい」
 沙綾香は甘えた声を出し、妖しく腰をうねらせていた。だが、剃刀で毛を剃り上げられる段階になれば、その態度がほんの僅かに硬くなる。
「また汁が溢れてきやがった。ヨガるのは結構だが、暴れんなよ。大事な所に傷がつくぜ」
 そう嘲る手越に対し、沙綾香は肩を竦めて笑ってみせた。しかし、手越が毛を剃ることに集中しはじめれば、沙綾香の目尻は僅かに上がる。腰を浮かされ、尻周りの毛を剃られる段階ともなれば、唇まで歪む。よくよく見なければわからない変化だ。だが俺には、そこに痛々しいほどの羞恥が感じられた。

「良い眺めだ。全部丸見えだぜ」
 毛をすべて剃り終え、手越は改めて沙綾香の秘部を眺める。Vの字に開かれた足の間は、肌色と朱色しかない。確かに綺麗だ。沙綾香はそもそも薄毛な方で、それほど意識したことはなかったが、毛の有無というのは大きいらしい。
「なんか、スース―する……」
「だろうな。剃る前との感度の違いを、よく味わえ」
 困ったように眉を下げる沙綾香。手越はそんな沙綾香に一声かけ、諸々の道具を脇へよけると、ゆっくりと秘部へ顔を近づける。
「お。手越さんのクンニって、直で見んの初めてかもしんないっす」
 面白そうに笑う颯汰に一瞬笑い返してみせ、手越は舌を這わせはじめた。まずは、鼠径部から。
「んはっ、はぁ……んっ!!」
 沙綾香が甘い声を出し、腰から下を波打たせる。演技と思いたいが、あまりにも自然な動きだ。
 鼠径部の舐めは、念入りだった。左右から交互に舐め上げ、沙綾香を悶えさせる。そして、腰がぶるるっと震えたのを確認したところで、とうとう舌が割れ目に近づいた。
「あ、あぁ……きっ、気持ちいいっ……ふんぅ、あ、あっ……!!」
 舌が動き、ちゅ、ちゅっ、と音がするたび、沙綾香から切ない声が上がる。腹筋と太腿が激しく強張り、足指の先が反り返る。そしてある瞬間、両足首は手の間から滑り落ちた。手越の頭を挟み込んだまま、三角座りするような格好だ。
 ふっ、というせせら笑いが聞こえた気がした。
 手越は、沙綾香の脚の隙間から手を回し、乳首に触れる。そしてその乳首を指で転がすのと同じペースで、割れ目に舌を這わせていく。
「はぁっ!? あっふ、あふ、んっ……んあああっ……!!」
 沙綾香は目を見開いた。口から漏れる吐息がペースを増す。気持ちいいという言葉は出なかったが、そう口にする余裕すらないという様子だ。そしてその余裕のなさは、秒単位で増していく。電気でも流されたように腹部が引き攣り、腰が動く。上半身はベッドに肘をついて起き上がり、『どうしよう』と言わんばかりの表情で下腹部を見下ろす。そんな状況を知ってか知らずか、手越は一旦口を離した。
「どうだ、だいぶ昂ぶってきただろ。なるべく息んでヒダを開いてみろ、もっと良くなるぜ」
 そう宣言して、また秘部に顔を近づける。
「こ、これ以上なんて……あはっ、ヘンになっちゃうよぉ……」
 沙綾香の言葉は、おそらく本音交じりだ。手が、足指が、シーツを強く握りしめる。次の『未知』に耐えられるように。
「あっ……あはぁはっ……んはっ、き、気持ちいい…………んはああっはっ!!! ああぁ、あ……っう、あ、あっ……ひもひっ、はっん、あ、はっ、はっ…………!!」
 たかが前戯。たかがクンニリングス。だというのに沙綾香の息遣いは、膣でのセックスが佳境に差し掛かった時のようだ。激しく喘ぎ、甘い吐息を吐き出し、時には泣いているような響きさえ混じる。当然ながら腰周りの反応も大きくなり、三角座りが崩れていく。外へ外へ、徐々に股を開く形で。
「おいおい。ヒダを開けとは言ったが、浅ましく股を開けとは言ってねぇぞ。それともなんだ、俺の舌があんまりにも気持ちよくて、股座引き締める筋まで蕩けちまったか?」
 手越にそう茶化されると、沙綾香は歪んだ笑みを浮かべながら脚を閉じる。だが、それもその時限りだ。手越が丹念に割れ目を舐め上げ、同時に胸を刺激すれば、また甘い声と共に脚が開いていく。そして、さらに数分後。
「あ、あぁぁ……あっ、あいく……い、くっ…………!!」
 沙綾香は、うわ言のように絶頂を宣言した。手足の指でベッドを掴んだまま天を仰ぎ、より目のまま全身を痙攣させる。紛うことなき絶頂だ。
 手越は一瞬顔を上げ、相手の反応を確認した。だが、やめない。じゅばっ、じゅるっ、とそれまで以上の音を立てて、クンニリングスを再開する。
「あはんっ、んああっ……やめ、感じ、すぎちゃう……は、はっ、ああ……んはっあああっ……!!」
 沙綾香の反応は大きい。激しく腰を震わせ、踵を浮かせ、足裏をビンと反らせる。
「すげぇ、中イキしてるみてぇ」
 颯汰がぼそりと呟いた通り、まだ前戯の段階とは思えない反応だ。


                 ※


 ようやく手越が顔を離した頃、沙綾香の割れ目は変わり果てていた。陰唇は充血して膨らんだまま花開き、激しく開閉を繰り返している。毛がすべて剃られているため、中の襞まで丸見えだ。クリトリスも小豆大に勃起しきり、包皮をほぼ完全に捲り上げていた。
 どう見ても『出来上がっている』状態。にもかかわらず、手越は挿入には移らなかった。奴が始めたのは、指での刺激だ。左手でデルタゾーンを覆いながら、二本指でクリトリスを挟み込む。右手の3本指の腹で、充血した割れ目を擦る。
「まだ焦らすんすか。徹底的っすねー」
「乳房で感じさせたいなら外から責めろって、前に教えたろ。ヴァギナも同じだ。中に指突っ込む前に、徹底的に外をほぐしてやるんだよ」
 颯汰に反応する間にも、手越の指は滑らかに動き続けた。さっきの舌遣いにしてもそうだが、円熟の技が見て取れる。一つ一つの動きだけを追えば、そこまで特殊なことをやっているようには見えないのに。
「んあっ、か、感じる! すごい敏感になってるうっ!!」
 沙綾香はますます顎を浮かせ、腰を震わせた。大きく開いた太腿が何度も筋張り、尻がベッドから浮き上がる。そして、数秒後。動き続ける指の間から、ぷしゅうっと潮が噴き出した。
「ひぅ……っ!!」
 沙綾香の喉から漏れた声も、その潮噴きとよく似ている。出したくなかったのに、我慢が利かずに漏れた、という感じだ。
「どうだ、外側を擦られただけで潮を噴いた感想は。恥ずかしくて泣いちまう女もいるんだぜ」
 手越は薄笑みを浮かべながら、割れ目に二本指を滑り込ませた。沙綾香の口が開き、あ、と声が漏れる。
「いい濡れ具合だ。ぬるくてトロトロの襞が、指に絡みついてきやがる」
 手越は探るように指を蠢かし、ある場所で関節を曲げる。
「ひっ!」
「おうおう、蜂にでも刺されたみてぇにプックリ膨らんでやがる。ここまでになると、上手く料理するにゃあ相応の腕が要るが……安心しろ。今までで一番気持ちよく、潮を噴かせてやる」
 手越は余裕を態度を崩さず、右手で潮噴きの形を作り、左手を下腹に添える。そして、グッ、グッ、と手首に力を篭めはじめた。黒人共がやる『手マン』のような激しさはない。ただ、脈拍と同じペースでスポットを圧迫しているだけだ。だというのに、沙綾香の反応はいつになく大きかった。
「あ、だめえっ!! おしっこ出ちゃうっ!!」
 上半身を跳ね起こし、目を見開いて下腹を見下ろす。すぐにへらっとした笑いを浮かべてみせるが、最初の一瞬はどう見ても演技じゃない。
「こういう潮の噴かされ方は初めてだろ? 力の入れ方やスポットの捉え方、指先の鍛え方にコツがあんだ。若い連中にゃ出せねぇ味よ」
 手越の言葉には、説得力があった。グッ、グッ、と手首が動くたび、沙綾香の全身が大きく反応する。腰は痙攣し、足先は空を蹴る。中でも異様なのは、汗をダラダラとたらしながら歯を食いしばる表情だ。
「ひっ、ひいいっ!! こ、こんなの、こんなの初めて!! し、痺れるっ……い、イッちゃいそう!! おしっこも、もお我慢できないっ!!」
「いいぜ、思いっきりイけ! 尿道もマンコも開いて、垂れ流せ!!」
 お互いが絶叫するような会話。それが終わるか終わらないかといううちに、沙綾香の震えが激しくなる。
「いぎゅうぅぅうっ!!!」
 呻きとも悲鳴ともつかない声と共に、沙綾香の腰が震え上がる。そして、勢いよく潮が噴き出した。あの子の潮噴きはもう何十度と見てきたが、その中でも一番と思えるような飛距離と飛び散り方だ。ベッドシーツが、床が、次々と愛液の雫で濡れていく。そんな中、俺は沙綾香の顔を見て息を呑んだ。白目を剥きかけ、舌を突き出した、壮絶な表情をしていたからだ。その顔は、飛沫が止まってからもしばらく戻らなかった。
「すげー。もう丸一晩可愛がった後って感じっすね」
「んな大したもんじゃねぇ。まだまだ挨拶代わりだ」
 感服する颯汰を前に、手越はベッドから降りて煙草に火を点ける。そして近くのガラステーブルから水のボトルを拾い上げ、未だ放心状態の沙綾香の近くに放った。
「水分摂っとけ。この後は『本番』だ」
 さらりと言い放ったその一言は、これから大量の愛液を搾り取るという宣言だ。ハッタリとは思えない。
 トランクスを脱ぎ捨てて露わになった逸物は、黒人共に迫る大きさだった。包皮が剥けきり、血のように赤い亀頭が露出しているさま、幹全体が黒柿色に変色しているさまは、長年に渡って『使い込まれた』道具である事を嫌でも感じさせる。挙句そのカリ首周りや幹は、瘤のような突起で凶悪に補強されてもいる。同じアジア人のペニスといっても、審査会で目にした客のそれとは根本的に別物だ。
「コイツの味を知ると、他の逸物じゃ満足できなくなるぞ。真珠を10個も入れてるからな」
 ベッドに戻った手越は、亀頭で割れ目を擦りはじめた。沙綾香は声を上げ、腰をうねらせる。
「力抜けよ」
 手越は両手で沙綾香の太腿を押さえ、狙いを定めた。そして、一拍置き……一気に突き込む。
「んぎっ!!」
 沙綾香は、備えていたはずだ。世の女子高生など比較にもならない性経験を元に、万全の覚悟を決めていたはずだ。それでも彼女が漏らしたのは、情けない悲鳴だった。
「あ、あ゛……なにこれ、なにこれっ……!?」
 挿入が深まるにつれ、沙綾香の顔が引き攣っていく。対照的に手越の笑みは、狙い通りという風だ。
「言ったろ? コイツの味を知ると、他の逸物じゃ満足できなくなるってよ」
 手越は改めてそう宣言し、さらに腰を押し進めていく。

 正常位で根元まで挿入した後、手越は腰の動きを止めた。
「よう、颯汰。この嬢ちゃんとヤってる映像観てたがよ、お前、挿入した後にいきなり奥を突いてたろ」
 圧し掛かる格好で静止したまま、手越が颯汰の方を振り返る。
「え? あ……ああ、はい」
「いいか、挿入後は動くな。こうやってじっとしてりゃあ、女の膣は勝手に逸物を迎え入れる準備を整えるんだ。なあ、俺の逸物の形を感じるだろ?」
 手越は颯汰に教え諭しつつ、沙綾香に問いかけた。沙綾香の表情は、手越の体に隠れて見えない。それでも、段々と息が荒くなっているのがわかった。
「はっ、はっ……か、感じる……。イボイボが、襞に当たって……こんなの、初めて……!!」
 答える声も震え気味だ。挙句には、両の足指まで堪らなそうに握り込まれる。手越はまだ、一切腰を遣っていないのに。
「ほーう、こいつはなかなかの名器だな。しっとり絡みついて、吸いつく感じだ。黒人共が夢中になるわけだぜ」
 手越は驚きを口にしながら、ようやく腰を浮かせた。だが、すぐにまた腰を落とす。また浮かせては、落とす。颯汰がやっていた、『奥をトントン叩く』ポルチオマッサージだ。
「はッ、んんっ、はっ、はっ……ん、んッ!! はッ、はんッ、フッ……!!」
 沙綾香の吐息は、苦しげだった。膣奥への圧迫に加え、真珠が擦れる刺激まで来るせいだろう。出入りする突起だらけの怒張を見れば、その刺激のほども容易に想像がついた。
 まだセックスの序盤だというのに、割れ目のひくつき方が尋常じゃない。しかも手越は、沙綾香の弱みをすべて把握しているようだった。膣奥をリズミカルに叩きながら、両手で沙綾香の尻を掴み、ぐうっと持ち上げる。膣の傾きを調整し、より致命的な角度で、より強く、イボつきの怒張が擦れるように。
「んうぃいぃっ!?」
 沙綾香の喉から、また聴き慣れない悲鳴が絞り出される。両脚も火がついたようにバタバタと暴れる。まさに、相手の掌で転がされている状態だ。
 沙綾香の激しい反応を前に、俺は息を呑む。するとそんな俺の手を、百合が握りしめてきた。
「……先生、どうか見守ってあげてください。ここが、あの子の正念場なんです」
 百合は、俺にだけ聴こえる声で囁く。
「手越は、裏でも名の通った『スケコマシ』です。あの男の手にかかれば、どれほど我の強い女性でも、二日足らずでその肉棒の虜になったといいます」
 続くその言葉で、背筋を冷たい汗が伝った。きっと、俺自身も手越の危険性を感じ取っているからだ。

 一体、何十回膣奥を『叩いた』のか。呆れるほど入念に奥をほぐしてから、手越は腰のストロークを少しずつ大きくしていく。パン、パンと音の鳴る、本格的なセックスだ。
「あっ、あっあ、あぁあああっ!!」
 沙綾香の声は、いきなり大きい。絶叫と表現してもいいぐらいに。
「へッ、こりゃあいい。グチャグチャにこなれてやがる。いよいよ出来上がってるなお前ェさん」
 手越の言葉が、いちいち胸をざわつかせる。
「はっ、はぁっ……だって、手越さんの、気持ちいいもん。おまんこの奥がっ、しっ、痺れる……。ねえ、もっと滅茶苦茶にして。真珠入りのアレで奥まで突いて!」
 沙綾香の言葉も、演技だと信じてはいるが、胸のざわつきを酷くする。
 思わず、百合の手を握った。演技だよな、という確認だ。百合もすぐに握り返してくる。しっとりと汗を掻いた、震える手で。
「そうか。なら、激しくするぞ」
 手越が沙綾香の太腿を押さえ、180度近い開脚を強いる。その上で背中を反らし、逸物を深く押し込んだ。角度がついているぶん、怒張の出っ張りがこれでもかと膣壁を擦ることだろう。
「あっああっ、ぎふぃうっ……う、うっ、ふうう゛っ!!」
 沙綾香の反応は激しい。両腕で顔を隠し、腹部をぶるぶると震わせる。
「はっ、えげつねぇ痙攣っぷりだな。まあ、そりゃそうか。お前ほど頑張った奴も久方ぶりなら、お前ほど追い込んだ奴も久方ぶりだからな!」
 手越は嘲笑しつつ沙綾香の太腿を抱え込み、腰を前後させる。奥深くまで挿入し、一気に引き抜く。ただそれだけの動きでも、真珠が10個も入った剛直が与える快感は生半可じゃないだろう。
「んんんっ、はっく、ああっ!! い、いくっ……んぁっああ、んはあああっ!!」
 肺の空気を絞り出すような喘ぎは、深く絶頂している証拠だ。手越はその様子を見ても、ピストンをまったく緩めない。
「や、やだ、やすませへっ……い、イってるって、ばっ……!!」
「まだまだ、イってからが本番だ。お前は計画の本丸だからな、手加減はしねえ。真珠入りの逸物の味を、骨抜きになるまで教えこんでやる」
 手越は、暴れる沙綾香の足首を掴み、コントロールを奪ったまま突き続ける。両足首を真上に揃えたまま突きこまれた瞬間、沙綾香は悲鳴を上げて震えた。
「んんんああああッ!! ま、まらイクっ、まだイクううッ!!!」
 頭上のシーツを掴み、大きく腰を上下させる。足の暴れ方も激しくなり、右足首が拘束から外れる。だが、手越は狼狽えない。掴んだ左脚を肩に担ぎ、松葉崩しの体位でピストンを継続する。
「きひいんっ!! よ、横に擦れる……っ! 違うとこで、イッちゃ……!!!」
 抉られる場所が膣側面に変わったらしく、沙綾香はまた新鮮な絶頂に呑まれた。抱え上げられた太腿を強張らせ、狂ったようにベッドを叩く。固く閉じられた目からは涙が、食いしばられた歯の間からは唾液が伝っていく。
「手越さんの『追撃ピストン』、半端ねー。そいつ、明らか俺ん時よりヨガってますもん。オレも真珠入れよっかなあ」
「ハッ。止めはしねぇが、奨めもしねぇぞ。入れる時ゃ痛ぇし、金はかかるし、何より味を占めたオンナ共の求愛が鬱陶しくてしょうがねぇ。調教を終えてソープに売り飛ばしてからも、抱いてくれ抱いてくれって群がってきてよ、乾く暇もねぇってヤツだ。若ぇうちはともかく、歳食ってくるとウンザリするぜ」
 手越は颯汰と会話を交わしつつ、沙綾香の腰を掴んだ。そして完全に腰を浮かせると、引き付けながらのピストンを繰り返す。何人もの女を狂わせてきた怒張が、沙綾香の下腹を膨らませる。
「んふあああっ、いっ、いくっ、ひくぅう゛う゛っ!!!」
 沙綾香は目を見開き、大口を開けた。溺れている人間が水面から出した顔のようだ。手越は相手のそんな状態を知りつつ、より深い場所に引きずり込んでいく。
「そら、ここか? ここが弱ェのか?」
 掴んだ沙綾香の腰が、反射的に逃げる方向の“逆”……つまり、その時々でのクリティカルな急所。そこに狙いを定め、グリグリと抉り回す。お互いの内腿の筋肉が、硬く硬く盛り上がるまで。
「んんいいっ、え、えぇぐっ!! ぇぐ、えぐえぐえぐうう゛っっ!!?」
 沙綾香は、もう「いく」という言葉さえ明瞭に発せない。やがて彼女は、海老のように背中を反らし、全身を痙攣させながら目を閉じた。
「いひいっ、んっい、ひぃぃいいいっ…ん……」
 食いしばった口の間から、発声の邪魔をしていた唾液がダラダラと溢れ出す。どうやら気を失ったらしい。
「すーげぇ、もうオチた。オレん時、マジで手こずったのに」
 颯汰は唖然としている。確かにあいつは、数時間かけてようやく沙綾香を失神に追い込んでいた。対して手越は、挿入からまだ30分と経っていない。
「そりゃ経験の差だ。セフレとイチャついてばっかりのお前と違って、俺は生意気な女をぶっ壊してメシ食ってきたんだぜ。ガキの意識飛ばすぐらい、なんてこたあねぇ」
 手越は誇らしげに笑いながら、右手を沙綾香の腰の下に添えた。骨盤を下から支える形だ。その状態でグッと指が曲がれば、沙綾香の腰が跳ね上がる。
「ひあっ!?」
「どうだ、効くだろう。仙骨を刺激してやってんだ。ここらにゃ神経が集まってるからな。こうして圧迫してやりゃ、子宮が揺れた時とおんなじ快感が来て、アソコがギュウーッと締まんだよ」
 手越はそう言いながら、さらにグリグリと指を押し込む。
「ひ、ひっ!?」
 沙綾香の腰がさらに浮き上がり、代わりに肩から首にかけてがベッドに落ちる。
「どうだ、感じるか?」
 手越がさらに問い詰める。沙綾香は何度か口を開閉させてから、その端を引き上げた。強引に筋肉を歪めたような、妙な笑みだ。
「あ、はは……か、感じるっ。あそこが、勝手に締まって……イボイボのアレが、襞に、めり込んでくる……。中の敏感なとこが全部刺激されて、腰が、動いちゃうの……こんなの、初めてっ……!!」
「だろうな。女の泣き所に当たるように真珠を入れてんだ。デケェだけの逸物なんぞ、コイツとは比べモンにならねぇよ」
 手越はロドニーや黒人共に目を向け、見せつけるように腰を動かした。膣の中では、10個の突起が性感スポットをゾリゾリと擦り上げていることだろう。そう考えれば、沙綾香の反応も当然のことに思える。
「ぃいいいイっくぅうう゛ッッッ!!!!」
 全力で歯を食いしばり、つま先でシーツを抉り込み、ほとんど45度に傾いた身体をガクガクと痙攣させる。絶頂そのものの波が過ぎ去っても、あああ、あああ、と艶めかしい声を漏らしながら、腰を痙攣させて余韻を訴える。今の彼女の状態、今の彼女の状況なら、そうなって当然だ。
「はっ、随分なイキっぷりだなぁお嬢様。なら、こういうのはどうだ?」
 手越は右手で腰を支えたまま、左手でクリトリスに触れる。圧迫したまま捏ねるようなソフトな動きだが、刺激としては充分だ。仙骨からの刺激と合わさり、膣はますます収縮することだろう。
「あああっ、く、クリはあっ!! あああ、し、締まっちゃう! ゴリゴリ擦れてっ……んはああっ、し、痺れるうっ……!!」
 沙綾香の尻肉が引き締まり、太腿の痙攣が増す。尋常な力の入り方じゃない。ひょっとすると、クリトリス、Gスポット、ポルチオの3ヶ所で同時に絶頂させられているのか。
 手越は笑みを浮かべながら、しばらくクリトリスを弄り回していた。そして沙綾香が息も絶え絶えになる頃合いで、また手の位置を変える。今度の狙いは、子宮の真上。そこを左手の付け根でグリグリと刺激する。体外式のポルチオ刺激だ。何度となくイかされつづけ、子宮口が蕩けきっている沙綾香が、それに耐えられるはずもない。
「んああお゛っ!? んお、んおおお゛っ!! し、子宮っ、子宮んうううっ!! ぃイグっ、イグイグッイグッッ!! そごだめ、いまそこだめえええ゛え゛っっ!!!」
 沙綾香は、さらに人らしさを失った。腹の底から『お』という呻きを響かせながら、腰を浮かせ、脚を震わせる。それでも快感を殺しきれないらしく、寝台を抉る勢いで後頭部を埋め、グリグリと頭を振りながら泣き叫ぶ。
「そうだ、たっぷり味わえ。俺の逸物の虜になるまでな!」
 手越は、相手がどれだけ暴れようが動じない。何かの生地でも捏ねるように、徹底的に下腹を圧迫し、同時に右手で仙骨を刺激する。
 沙綾香の腰の痙攣が止まらない。泣き叫びも、頭の振りも。ただ一点だけ変わったのは、足指がつま先立ちをやめ、しっかりとシーツを掴んだことだ。その動きとアキレス腱の強張りが、『決壊』のサインだった。

「んほおおろぉろおお゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」

 絶叫が響き渡る。ただし、実際には耳で聴き分けられる類の声じゃない。悲痛な叫びと、腹の底からの呻き、うがいをするような音……それが入り混じったものだ。
 上がる声も異常なら、沙綾香の反応そのものも普通じゃなかった。足指でシーツを噛んだ長い脚が、少女の物とは思えないほど硬い筋肉を浮き立たせ、高々と腰を突き上げる。その結果、深々と突き刺さっていた強直も不自然な角度で抜け、四方に愛液を散らす。そして直後、抜けた怒張へ追いすがるように潮が噴き出した。びしゃっ、と亀頭に浴びせかかったかと思えば止まり、またびしゃっと浴びせかかる。それが、5回も6回も続いた。数えきれないほど絶頂シーンを見てきたが、こんな光景は初めてだ。
「すげー、ブッ飛んでる……」
 颯汰が逸物を握りしめたまま、言葉に詰まる様子で呟いた。百合もまた俺の横で、口に手を当てて絶句している。快楽調教を受けた同性だけに、今の沙綾香がどんな状態にあるのか、嫌でも実感できてしまうんだろう。
 どっ、という音を立てて、沙綾香の腰がベッドに落ちる。それでもまだ、震えは止まらない。
「あ、ああ゛……なんで……!? イくの、止まんない……とまん、ないいィ゛っ……っ!!」
 仰向けになった沙綾香の肉体は、絶頂の反応を続けていた。舌を突き出し、目を見開いたまま、全身が痙攣を繰り返す。痙攣というより、ベッドから風でも吹きあがっていて、身体が不規則に浮いているような状態というべきか。
 潮噴きも続いている。腰がぶるぶると震えたあと、さすがに量こそ減ったものの、小さな飛沫が上がる。
 颯汰も、俺も、百合も、その異様さに言葉がない。ロドニーさえ葉巻を咥えたまま、訝しげに目を細めている。それでも手越だけは想定通りらしく、煙草を一本咥えて火を点け、沙綾香の頭上に腰を下ろした。疲労困憊の沙綾香が上を向く。
「しゃぶって綺麗にしろ。死ぬほど気持ちよくしてもらった感謝を篭めてな」
 手越のその言葉に、沙綾香は一瞬固まった。だがすぐに、涙と涎に塗れた顔に笑みを広げる。
「……あはっ……」
 嬉しそうに笑いながら身を起こし、手越の怒張に舌を這わせていく。俺の方に晒された割れ目は、真っ赤に充血して開ききっていた。絶頂続きであふれた本気汁か、あるいは過剰な刺激で分泌された保護液か。妙にとろみのある液が、糸を引きながら滴り落ちていく。散々掻き回されて白く濁ってもいるため、中出しされた精子に見えるほどだ。
 じゅるっ、じゅばっ、という音が響く。沙綾香は、媚びるような上目遣いのまま、むしゃぶりつくような奉仕を続けているようだ。手越は煙草をふかしながら、その姿を眺め下ろしていた。演技を見破っているようには見えないが、妙に隙がない。常に万が一を想定していそうだ。
「よし、もういいぜ」
 灰皿で煙草を揉み消し、手越が立ち上がる。ちょうど沙綾香の鼻先に突き立った怒張は、明らかに大きさを増していた。セックスの快感と口での奉仕のせいだろう。いよいよ凶悪さを増した『名器』を目の当たりにして、沙綾香の喉が鳴る。
「ははっ、ガン見。カンペキ夢中じゃん」
 颯汰が笑い飛ばす。そうとも見えるだろう。だが俺には、緊張によるものだとしか思えない。


                 ※


 セックスの二回戦は、キッチンフロアで行われた。手越は対面立位で繋がりながら、キッチンに置いてあるボトルを煽り、口移しで沙綾香に呑ませる。勿論、腰を振りながらだ。
 2人の身体は、汗で濡れていた。和彫りに覆われた物々しい肉体も、染みひとつない純白の裸体も、共にオイルを塗りたくったような有様だ。
「掴まってろ」
 手越がボトルを脇に置き、沙綾香に囁きかける。沙綾香が言われた通りに肩を掴むと、手越は沙綾香の左腿を抱え上げ、右手で尻の肉を掴んだ。
「あんっ、擦れる……」
 沙綾香がそう甘い声を漏らしたように、膣襞への逸物の触れ方も変わったはずだ。
 手越は一度沙綾香を抱えなおし、改めて腰を遣いはじめる。奴は沙綾香の脚を掴むことで、自分に都合のいい……つまり、沙綾香にとって“まずい”角度をキープしているようだった。
「は……あうっ、はうっ! おっ、おほっ、ほっ……お、んおっ……!!」
 突起だらけの逸物が割れ目へ沈むたび、沙綾香の背中が震える。漏れる声も、可愛さを捨て去った本気の呻きだ。
「ナカがいやらしく絡みついてくるぜ。俺の息子をしゃぶりつくすつもりかよ」
 手越はそう嘲ったかと思えば、愛人にするように沙綾香の唇を奪う。舌をねっとりと絡ませる、大人のキスだ。それと挿入が同時にくれば、沙綾香は口内に切ない呻きを響かせ、脚の付け根をぶるっと震わせる。
「え、えくっ、えくっ!!」
 腰が打ち込まれる中、沙綾香は舌を奪われたまま、何度も絶頂を宣言した。本気で感じているのは間違いない。抱え上げられた左脚の先は、万力にでも締められたように強張っている。軸足である右の太腿にも、どろどろと愛液が滴り落ちている。
 手越は、その全てを肌で感じていることだろう。それでも、責めは緩めない。

 何度となく達し、沙綾香が右足で立つこともままならなくなった頃、手越は沙綾香の両脚を抱え上げた。向かい合う形での『駅弁』。ロドニーもやった体位だ。
 ロドニーの時のように、痛い痛いと叫ぶことはない。だが、あの時より楽というわけでもなさそうだ。
 沙綾香は、手越の首に縋りつく格好のまま、俯いていた。沙綾香自身の腕に隠れてよく見えないが、その口の辺りから、頻繁に雫が滴っているようだ。
「だいぶバカ面になってきたな、財閥令嬢サマよ。中イキの状態をずっとキープさせられて、脳味噌が茹だっちまったか?」
 しがみつく沙綾香を見下ろし、手越が笑う。その言葉に、沙綾香がゆっくりと顔を上げる。その顔を目にして、俺はまた息を呑む羽目になった。
 ヤバい。直感でそう感じる顔つきだ。
 瞳は手越の顔を向いているが、どこに焦点が結んでいるのかわからない。
 綺麗な三角形の鼻の穴は、大きく開いては閉じてを繰り返す。
 口はだらしなく舌をはみ出させたまま、一瞬たりとも閉じることがない。
 極めつけは、顔の下半分を滝汗のように覆い尽くす、涙と鼻水と涎だ。
 もはや、溺れかけなんてレベルじゃない。ギリギリ死なない程度に首を絞められ続け、今まさに意識を手放そうとしている人間……そういう感じだ。
 ロドニーの時のような派手さこそないが、絶頂しつづける状況はそれほどに苦しいんだろう。今更ながらに意識を向ければ、沙綾香の肉体は苦しげだ。
 手越が腰を打ち込めば、背中がぶるっと震え上がる。同時に腹筋も引き攣り、くの字に曲がった左右の脚も引き締まる。結合部からは絶えず愛液が滴り続け、直下の床はもはや完全な水溜まりだ。
「俺の真珠チンポは、そんなに気持ちいいか?」
 沙綾香の耳元に口を寄せ、手越が問いかける。意地の悪い問いだ。訊くまでもなく明らかな事実を、あえて語らせる。そうやって、何人もの女を服従させてきたんだろう。
「はーっ、はーっ、はーっ……い、いいっ……! ゴリゴリが、擦れて……奥っ、突き上げられて……。もう、ずっとイキっぱなしなの! はあっ、はあっ……おねがい、降ろして……もう、しがみついてるの、限界っ……!!!」
 沙綾香の声は、泣き声に近い。気力も体力も尽き果てた人間が、救いを求める時のものだ。それはあまりにも自然で、作った声には思えない。
「ったく、しょうがねぇな」
 手越は溜息交じりに沙綾香の脚を離した。しばらくぶりに沙綾香の足裏が地面につくが、とても自立できる状態にはない。
「きゃっ、あ……んぐうッッ!!!」
 あっという間に体勢を崩して尻餅をつき、その衝撃でまた絶頂する。キッチンカウンターに肘をつく颯汰が、それを見てゲラゲラ笑う。
「何やってんだ」
 手越もまたニヤけながら、沙綾香の腕を取って近くのソファへ引き寄せた。深く腰掛けた手越の膝の上に、沙綾香を抱え上げる格好だ。
「特別に座らせてやったんだ。今度は自分で動け」
 手越がそう命じ、沙綾香の太腿をぴしゃりと叩く。
「はぁっ、はぁっ……」
 沙綾香は、何か話すのも辛いんだろう。荒い息を吐きながらソファに手をつき、腰を持ち上げる。ただ、すでに疲れ果てている状態だ。腕は数秒と自重を支えきれず、あえなく腰が落ちる。
「あひいっ!!!」
 絶叫が響き渡った。ここしばらく喘ぎや囁きばかりだったから、突然の大声に鼓膜がバリバリと鳴る。
 耳鳴りが収まってから沙綾香を見れば、彼女は顎を浮かせたまま歯を食いしばり、絶頂していた。硬直した全身がビクンビクンと痙攣している。生半可な逝き方ではなさそうだ。
「おーおー、重てぇ重てぇ。自分から奥まで突っ込んでイッちまったか? いいぜ、その調子で快楽を貪れ。何人もの女が目の色変えて欲しがる逸物を、好きなだけ味わえるんだ。幸せだぜオメェは」
 手越が沙綾香の乳房を揉みしだき、嘲るように笑う。沙綾香はその刺激にまた声を上げながら、腰を上下させた。ぬちゅっ、ぬちゅっ、という音がしはじめる。
「あ、あ、あ、イク……おくで、いくっ…………し、子宮で…イッて、るうっ……!」
「ほう。で、どんな感じだ。言ってみろ」
「し、痺れるの…………あそこの、奥から、頭、まで……。ち、チカチカするし、フワフワも、してる…………」
 手越に促され、沙綾香は快感を言葉にする。思考力はだいぶ鈍っているように思えるが、演技だと信じたい。
「そうか。なら、もっと良くなれる方法を教えてやる。そのまま頭下げてみろ、感覚がブッ壊れるぞ」
 手越はそう言って、沙綾香の背中を押さえつけた。上半身が大きく倒れ、乳房が太腿と腹に圧し潰され、手の先が床につくまで。傍から見てもわかる。あれは、極限まで腹圧を強める体位だ。
「あっ、は……!? こ、これ────」
 沙綾香が何かを言いかけた、その瞬間。手越は沙綾香の尻を掴み、自分の腰にグリグリと押し付ける。
「んっおおお゛お゛っっ!?」
 沙綾香は目を見開き、口を尖らせたまま呻きを上げた。呻きの種類は、藤花が後ろの穴を犯されながら上げていた類のもの。腹の底から絞り出した、重苦しい、そして嘘のない呻きだ。
「くくくっ、すげえなこりゃ! ムスコがねじ切れちまいそうだ。だが、こんだけギュウーッと締め付けてるってこたぁ、お前も堪らんだろ。襞に肉と真珠が食い込んでよぉ!」
 手越は珍しく顔を歪めつつ、円を描くように腰をうねらせる。沙綾香の前腿が張り、ますます乳房を圧し潰す。
 手越が腰を回すたび、あるいは尻を掴んで揺らすたび、沙綾香の力みは酷くなった。手越はそんな反応を眺めつつ、さらに追い込みをかける。
「ほら、起きろ」
 奴は沙綾香の顎を手で包むと、背筋が垂直になるまで引き起こした。そして一般的な背面座位で、さらに沙綾香を突き上げる。
「くはあああっ!! こ、今度は、奥に…くる……奥まで、入ってくる゛……っ」
 俯きながら涎を垂らす沙綾香。だが、ソファが軋み、突き上げが回数を増すごとに、その顎が少しずつ浮いてくる。
「あ、あっ……あっ……んはっ、はっ、はっ、はっ、はっ!!」
 10秒もすれば、天を仰ぎ、目と口を開く姿が出来上がった。何度となく目にした、溺れる人間の顔。苦しいのか、気持ちいいのか。あるいは、気持ちがよすぎて苦しいのか。
「う、動か、ないで……」
 沙綾香は震える指で手越の太腿を掴み、膝を閉じはじめた。少しでも相手の動きを阻もうとしているんだろう。
 だが、逆効果だ。小さな手で掴んだぐらいでは、紋入りの古木のような脚は止まらない。そして膝を閉じる行為は、膣を狭める行為に繋がる。真珠入りの逸物の刺激に苦しんでいる中、そんな真似をすれば……
「ぁィっ、ぐッ!」
 沙綾香は悲鳴を上げ、触れかけていた左右の膝を離す。膝頭は上下にガクガクと揺れている。そして顔には、『しまった』という感情が貼りついている。そんな明らかな“弱み”を、手越が見逃すはずもない。
「そーら。もう一遍、極楽に行ってこい」
 年季を感じさせる腕が、沙綾香の背中を前へ押し込む。
「あああ゛あ゛あ゛……っ!!!」
 か細い悲鳴が漏れる中、乳房がまた平らに押しつぶされ、足の指が床から浮いた。

 腹圧のかかる前傾で膣壁をいじめ抜き、背面座位に戻して子宮口を突きまわす。手越は、この性質の悪いループを繰り返した。そしてそれは、着実に沙綾香を追い詰めていく。
「もぉやめっ……!」
 3回目に前傾姿勢を取らされてから、一分後。沙綾香は後ろに手を伸ばし、手越の腕を掴む。自分の限界を悟っての行為だろう。沙綾香はそのすぐ後、膝をブルブルと震わせ、ぶしゅっと潮を噴いた。ソファの前、数メートルに飛び散るほどの勢いだ。
「ふはっ、すっげぇハメ潮。どんだけ気持ちいいんだよ」
 颯汰はさも可笑しそうに笑うが、限界のサインを目の当たりにした俺は、とても平静ではいられない。鼓動が早まる。瞼を閉じ、この後の光景を拒絶したくなる。だが結局俺は、瞬きすら忘れ、ソファの方を見続けた。
 幸せはあっさり崩れるのに、嫌な予感だけは、どうして外れることがないんだろう。
 沙綾香の反応は、刻一刻と激しくなっていく。
 今は、背面座位の6度目。沙綾香は腰を掴まれた状態で突き上げられ、天を仰いでいた。首元は異常なほど筋張り、ああああ、という絶叫もその力みぶりと吊りあっている。
「……ふう」
 手越が息を吐き、腰を止めた。それを受けて、喘ぐ沙綾香の顔も降りていく。瞳孔はほとんど上瞼に隠れていた。顔の汗もひどい。いや、顔どころか、首も、胸も、シャワーを浴びた直後のように雫まみれだ。また前傾姿勢を取らされれば、その雫が次々に滴り、影の中で光を放つ。
「んぐっう゛、お゛っ、ほっ、ほっ……いぃおお゛っお゛、オ゛っ、おほっ……!!」
 濁りきった呻きは、年頃の、それも最高レベルの美少女が発しているものとは到底思えない。
「へッ、すげぇ声出してやがる。いいぜ、どんどん搾り出せ。本気汁と一緒にな」
 手越は沙綾香の腰を押さえつつ、ソファに深々と背を預ける。膣内では、あの凸凹だらけの凶器が、臍側の襞にめり込んでいることだろう。
「ぎぃいぐいぐっ、ッぐっっ!!!」
 沙綾香は悲鳴を上げ、顔を跳ね上げた。その顔は少し沈むが、また跳ね上がる。しかもそれは、一回ではすまない。
「アッハ。すげー、バンギャのヘドバンみてえ! ポイント押さえたら、あの生意気な女がここまで狂うんすね。勉強になるわー」
 颯汰は手を叩いて笑っている。悶え狂う沙綾香が面白くて仕方ないらしい。奴の笑いは、沙綾香が追い詰められるほどに大きくなっていく。

 この辺りから俺は、直視が苦しくて、あまり前を観なくなった。だがたまに顔を上げれば、いつでも沙綾香の悲惨な姿が見えた。
 黒髪を振り乱して頭を上下させ。
 苦痛と快楽で歪みきった顔を晒し。
 潮を噴き散らし。
 失神し。
 覚醒し。
 そして最後には、俯いたまま痙攣するばかりになった。
「おおろろろっ……」
 妙な声と共に、俯いた顔から何かが垂れる。唾液にしては質量のありすぎる、糸を引く粘液だ。
「おっと、流石にイジメすぎちまったか」
 手越は吐き戻した沙綾香に気付き、一仕事終えた顔で前髪を撫でつけてから、沙綾香の尻を持ち上げる。怒張が空気に晒されるのは、実に1時間半ぶりだ。だから、俺の見間違いかもしれない。手越の怒張が、挿入前より膨らんでいるのは。
 黒柿色の幹は逞しく膨らみ、10個の真珠を囲むように太い血管が浮き立っている。赤い亀頭は、もはや子供の握り拳ほどの大きさだ。あんな物で膣内のスポットをいじめ抜かれたとしたら、沙綾香のあの狂いぶりにも納得がいってしまう。
「舐って綺麗にしろ」
 ソファ下へ崩れ落ちた沙綾香に対し、手越が命じる。悪びれもしない、まるで子を躾ける父親の顔だ。
 沙綾香は、拒否をしなかった。意識があるのかも怪しい動きで、手越の逸物を咥え込む。
「れあっ、あむっ……ん、んっ……あ、えあっ……あ」
 艶めかしい声がする。そして同時に、沙綾香は妙な反応を示してもいた。
 黒人共に奉仕してきた彼女が、手越相手のフェラチオを苦にするはずもない。なのにあの子は、苦しそうだ。突起だらけの幹を舐め上げながら、視線を細める。亀頭周りを口に含みながら、手越の下半身を凝視する。下の方では、へたり込んだ腰がヒクヒクと動いてもいるようだ。
「どうした?」
 手越が口を開いた。沙綾香の肩が跳ねる。
「……ふぇ? どうって、なにが……?」
 沙綾香は逸物を吐き出し、締まりのない笑いを浮かべた。色狂いの女らしい顔ともいえるが、肉体の緊張ぶりとはやや不釣り合いな気がする。
「惚けんじゃねぇよ。自分の愛液塗れのイボマラ舐めながら、さっきのセックスを思い出してんだろ? 真珠に舌が触れるたんびに、パンパンに張った亀頭をしゃぶるたんびに、強烈な快感がを思い出しちまうんだろ?」
 手越は薄ら笑みを浮かべ、沙綾香のうなじに触れる。その指が下から上に動けば、それだけで沙綾香の背中が弓なりに反った。
「俺に抱かれた女は、皆そうなる。真珠入りのマラってのは刺激が強烈なぶん、条件付けがしやすいからな。一遍この味を覚えちまうと、忘れられねぇんだ。特にお前さんにゃ、普通の女を5回は堕とせるぐらいの熱を注いでやったからな。腰周りの神経全部に、俺の感触が釘みてぇに打ち込まれてる筈だぜ」
 手越はそう言って沙綾香の頭を掴み、強引に上下させはじめた。
「も゛っ、おごっ……ほごっ、もおおおお゛ッッ!!」
 沙綾香は驚き、凄まじいえずき声を上げる。散々暴れた挙句、片膝をつき……そしてそのまま、ぶしゅっと潮を噴いた。それは、あまりにもメッセージ性の強い光景だ。鉄格子を掴む黒人共が、悲鳴に近い声を上げるほどに。
 その状況のすべてを愉しみながら、手越はとうとう射精に至る。黒人共ほど長くはないが、どくっ、どくっ、と喉奥へ注ぎ込んでいるのが実感できる射精だ。
「そう物欲しそうにすんな。次も、たっぷりと可愛がってやるよ。『今日以上に』な」
 最後の最後。精液まみれで呆ける沙綾香に対し、手越は絶望的な一言を囁きかけた。

                 ※

 鉄格子の中に戻されてから、沙綾香はまた黒人共から手厚い介護を受けた。黒人共は下心を隠そうともせず、散々に沙綾香を甘やかす。そして体力が回復してくれば、1人1人交代で抱きはじめた。何度もキスを交わしあう、甘く蕩けるようなセックスだが、腰の振りは激しい。
「どうだサヤカ、感じてるか。ジャパニーズの粗末なウインナーより、俺らのマグナムコックの方が気持ちいいだろ。俺のコックが一番好きなんだろ、ええ!?」
 何度もそう訊ねているところを見ると、手越とのセックスの記憶を上書きするつもりなんだろう。実際手越の逸物は、長さや幹の太さでいえばマーキスと大差ない。黒人共はその大半が、ペニスサイズでは勝っているはずだ。
 なのに、誰一人として、手越のセックスを超えることはできなかった。
「うん、好き、好きいっ! だから、もっとして! もっと激しく、感じさせてっ!!」
 沙綾香は、何度も愛を叫び、黒人共を求める。剛直で突かれれば快感の声を上げ、ピストンが佳境に入れば潮を噴くことすらある。だがそのどれもが、手越とのセックスで見せた反応には及ばない。あの、気が触れたかと思えるほどの狂乱には。
 黒人共はそんな沙綾香を相手に、複雑な表情を見せていた。沙綾香が愛おしくて堪らない。だからこそ、満たしきれない現状が歯痒い。そんなところだろう。
「ハハハッ、だんだん『ラッシュ』みてぇになってきたな。あの嬢ちゃん、アワ噴きかけてんぜ。ガツガツ突いたって、俺のメガディックとアンタのテクにゃ敵わねぇのによ!」
 鉄格子に視線を向けながら、グラス片手にロドニーが笑う。その対面に座る手越も、ふっと笑いを漏らす。今となっては、その余裕ぶりにも納得だ。あの2人の調教は、今まで観てきたどれよりもヤバい。

「……はぁ、はぁ……沙綾香は、いつまで耐えればいい。何か、手はないのか……?」
 獣のように求め合うセックスを演じながら、百合に問いかける。
「あ、んはっ、んっ……あ、あと、少しです……。私の、仲間が、この倶楽部の場所を探っています。セキュリティが厳重で、手間取っているようですが……もう、間もなくのはずです。それまでは、時間を、稼ぐしか……!」
 百合は、演技とも本気ともつかない様子で喘ぎながら、そう囁き返してくる。
 百合は、この倶楽部を捜査している組織の一員ということか。その仲間が、もうすぐ助けに来る。今はそれを信じるしかないが、問題は、それまで沙綾香がもつかという一点に尽きる。

 ( 耐えてくれ、沙綾香──! )

 祈りを篭めてそう念じる。だが、そんな俺の想いをあざ笑うかのように、ロドニーと手越の調教は激しさを増していく。


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二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.6(後編)

Part.6(中編)の続きで、『審査会後のドラッグセックス』シーンです。


 
 フロア中から、男女の行為の音が響いてくる。興奮した客が、百合・祐希・千代里・藤花と桜織を相手に、性欲を発散しているせいだ。
 連中の熱意は凄まじい。黒人共の『ラッシュ』さながらに、5人の少女に群がり、犯し抜く。100人を超える数がいるだけに、百合達は休む暇もない。

 そして沙綾香は、ステージからその光景を見下ろしていた。『審査会』が終わった時点で制服は脱がされ、頭の装置も取り去られ、生まれたままの姿で黒人共に囲まれている。
「そら、もう一錠くれてやるよ」
 口に錠剤を放り込んだダーナルが、沙綾香の唇を奪う。
「う……っぐ」
 沙綾香は嫌そうに眉を顰めるが、唇を奪われている以上、最後には薬を飲み下すしかない。その効果は、すぐに表れた。
「……あ、はっ……はっ……! あ、へぁあ…………っ!!」
 沙綾香の目が開き、天井のライトを見つめる。額からは汗が吹き出し、口はパクパクと開閉する。
「なんだそりゃ、エサ欲しがる鯉のマネか?」
「しゃあねえ、刺激をくれてやるか。ちっとだけな!」
 沙綾香の左右を固めるダリーとジャマールが、笑いながら沙綾香の乳首に吸いついた。
「んはあああっ!!!」
 沙綾香は肩を跳ね上げ、目を泳がせる。
「おっ、可愛い反応しやがって。よーしご褒美だ、こっちも舐めてやる」
 正面のトラバンも、沙綾香の脚を押し開いて秘部に口をつけた。
「あヤッ……やっあ、んんっ、くふんんんっ!!!!」
 沙綾香の脚は、最初こそ暴れたが、すぐに大股開きで静止する。腿の肉が弾む形。両脚の付け根を起点に、快感が走りつづけてるんだろう。
 じゅぱじゅぱと品のない音をさせて、三つの口が性感帯をしゃぶり回す。荒々しくはあっても、特に激しい責めでもない。けれどもそれは、着実に沙綾香の反応を変えていった。
「…………あふっ、ふあ、ぃふっ……ひっは、はっ……はっ…………」
 沙綾香の表情が、緩んでいく。眼球は虚ろなまま上を向き、半開きの口からは涎が垂れていく。
「段々と、トリップまでの時間が短くなってきましたな」 
 俺の横で、端塚が呟く。奴が口を開くのは、決まって目論見通りに事が進んでいる時だ。
 確かに、あの表情になるまでの時間は短くなっている。常に絶頂近くをキープさせられているのか、あるいは快感の耐性が下がっているのか。いずれにしても、まずい傾向だ。
「見てみろよ、お友達がガンガン犯されてんぜ。気持ちよさそうだなあ?」
 ダーナルが沙綾香の頭を掴み、強引に祐希達の方を向かせる。
 ステージ下のプレイは、タガが外れたように激しさを増していた。
 前後左右から手足を掴み、物のように扱いながら犯したり。
 マングリ返しの恰好をさせ、膣に挿入したバイブを踏みつけたり。
 2人の膣を双頭バイブで連結させたまま、イラマチオを仕掛けて腰を振らせたり。
 こうした責めに、5人はそれぞれ違う反応を見せた。百合は粛々と道具を演じ、千代里は羞恥に泣き、藤花と祐希は戸惑いながらも快感に狂う。そして桜織は、逆に客を涸れさせるような勢いで逸物にむしゃぶりつく。
 欲望と感情が渦巻く、酒池肉林とでも呼ぶべきその空間を、沙綾香は蕩けた瞳で見下ろしていた。呼吸が荒くなり、白い身体がぶるっと震え上がる。
「あ、ああ、あ…………んっふ、ぁあああああっ!!!」
 そして、沙綾香は潮を噴いた。割れ目に口をつけていたトラバンが笑いながら仰け反ると、噴き出した潮はステージ下にまで飛び散っていく。
「はっ、はっ…ほっ、ほおっ……お、はほっ…………!!」
 潮噴きの勢いも相当だが、その後の反応も普通じゃない。割れ目を痙攣させ、腰を上下に揺らし、呆然とした表情で腹部を見つめる。その様子に、黒人共と客が一斉に噴き出した。
「アハハハハ!! なんだよ、腰ヘコヘコさせて! 舌でベロベロ舐められたのが、そんなに気持ちよかったか!? ほんとにスケベなんだな!」
「クリの勃起もやばいね。吸引器しまくった後みたいになってんじゃん!」
 羞恥心を煽る言葉が次々に浴びせられるが、沙綾香はその言葉も、視線もかわせない。
「いい具合に出来上がってんな。二本挿しでユルくなった穴も、そろそろ締まりが戻っるだろうしよ、そろそろ二回戦始めようぜ!」
 トラバンが焦れた様子でロドニーの方を見る。ロドニーもまた手越と顔を見合わせ、頷いてみせた。
「よし、いくか!」
「ああ、思いっきりやるぜ。休憩挟んだおかげで、ミルクもたっぷり溜まったからよお!」
 黒人共は歓声を上げ、客も宴の始まりを察して歓喜する。そんな中、沙綾香の表情だけが暗い。今犯されたらどうなるか。彼女はそれを、一番切実に感じていることだろう。



「へへへ、一番手ってのは久しぶりだ。中途半端にモノがでけぇと、大抵後回しになっちまうからなあ」
 トラバンは沙綾香の股を開かせると、腹の上に逸物を置いた。連中がここぞという挿入前に好んでやる、サイズのアピールだ。モーリス・ダリー・タイロンのトップ3に次ぐ剛直、その先端は悠に臍を超える。
「ふーっ、ふーっ……!」
 沙綾香には緊張が見えた。息は乱れ気味で、視線は恐ろしそうに下腹部を彷徨う。だがトラバンが笑い声を漏らせば、不服そうにその顔を睨み上げた。その強気な姿勢が、また黒人共の笑みを深める。
「ほお、まだ睨む気力が残ってんのか。今こいつを咥え込めばどんなにヤバイか、自分でも解ってるだろうによお」
 トラバンは沙綾香の視線を受け止めたまま、怒張をひくつく割れ目へと宛がった。そして、一気に腰を沈める。
「ふっ……あああっっ!!」
 挿入されたその瞬間、沙綾香は大きな反応を示した。顎が浮き、視線が情報に投げ出され、舌が突き出る。腹を思いっきり殴られでもしたような、激しい反応だ。
「ひひひひっ、こりゃすげぇ!! 締まりが戻ってるどころか、いつも以上にギュウーッと吸いついてくるぜ!?」
 トラバンは大喜びで腰を振る。奴が深く突きこむたびに、沙綾香からは悲鳴のような声が漏れた。両脚は挿入を嫌って内に閉じようとするが、トラバンは膝を掴んで180度近い開脚を強制し、これでもかと腰を突きこむ。
「んぎぃいいっ!!!」
 開脚時の絶頂の声はすごかった。俺からは見えない位置の内股が、思いっきり強張っているのが目に浮かぶようだ。
「沙綾香っ!!」
 祐希と藤花が、ほぼ同時に声を上げた。あの子達も意思に反した深い絶頂経験があるだけに、見ていられなくなったんだろう。友情という、純粋な想いからの行動。だが今の沙綾香にとって、それは逆効果だったようだ。
「はっ、はあっ、はあっ……み、見ないで……っ!!」
 沙綾香は消え入るような声でそう言うと、両腕で顔を覆う。
「おいおい、お友達相手になに顔隠してんだ!? 見せてやろうぜ、全部よお!」
 トラバンはますます調子に乗り、挿入したまま沙綾香の腰を持ち上げた。奴の言葉通り、ステージ下から“全部”が見えるようになる。出入りする黒い剛直も、痙攣しながら上下に揺れる腰も。
「んんっ、や、いやっ! あっ、はあっ……んくっ、お、ほおっ……!!」
 沙綾香は、かなり感じているようだった。奥を突かれるたびに絶頂しているのかと思えるほど、腰がカクカクと動いていた。
「ハハハハッ、気持ちよさそうに腰うねらせやがって!」
 トラバンは沙綾香を嘲笑いながら、さらに腰の振りを激しくする。腰を思いっきり引き、カリ首が覗くほど怒張を引き抜いてから、一気に奥まで挿入する。それを繰り返し始めたんだ。パァンパァンという凄まじい音が響き渡り、沙綾香の声もトーンを増す。
「んほおおおっ、お、奥……奥いやあっ!! あああ゛い゛や゛っ、い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
 沙綾香の示す反応は、どれもが異常だった。後頭部をステージ端ギリギリに擦り付け、首に筋を浮かせながら大口を開ける頭部も。顔から離れ、腰を掴むトラバンの腕を握りしめる手も。ブリッジの体勢のまま、筋肉の形をそのまま浮き立たせて痙攣する脚も。
「んふっ、すっごいイってる。羨ましー」
 桜織が半笑いで呟いた通り、半端ではない絶頂が見てとれる。
「いいぜ、いいぜぇ!! プッシーが、先走り汁飲み干す勢いでヒクつきっぱなしだ。つい何日か前までヴァージン同然だったガキが、エロくなったもんだなあ、ったくよお!!」
 トラバンは具合の良さを叫び、激しく腰を打ちつけ続ける。その度に少しずつ沙綾香の身体がずれ、ある時ついに頭がステージからはみ出した。汗に濡れた髪を海藻のように垂らしたその顔は、やはり普通のものじゃない。
 見開いた眼は客席の方を向いているが、焦点が定まっていないのは明らかだ。口も開いたまま、酸素を求めるようにパクパクと開閉している。トラバンが腰を打ち込むほどに、痙攣も激しく、細かになっているようだ。
「うあっ、ああはああぁっ!! いやっ、どうにかなっちゃう……なにも、考えられない……あ、あイクッ、いくっ……うあああああっ、あああああああっ!!!!!」
 沙綾香は痙攣しながら異変を訴え、更には狂ったように叫びはじめた。どう楽観的に見ても、異常な反応だ。
「さ……!」
 思わず声を掛けたくなるが、さっきの祐希達の行動が脳裏を過ぎり、声が途切れる。
「おーすげぇすげぇ、プッシーがヒクヒクして止まんねぇな。奥のこの、コリコリした子宮を刺激されるのが良くてたまんねぇか!? いいぜ、たっぷり刺激してやるよ。ジャパニーズなんぞじゃ及びもつかねぇ、俺のこのディックでよ!!」
 追い詰められる沙綾香を見て、トラバンはいよいよ調子に乗りはじめた。持ち上げていた腰を下ろすと、沙綾香に上から覆いかぶさる。より体が密着するように。より深くを犯しやすいように。今の沙綾香にとっては最悪の体位だ。
「かはっ、あ゛……!! ッううう、うう……っは、っは、っは……イクッ、イクッ、ッあああーーー!!!」
 彼女は、顔を左右に振りながら絶叫し、手足をトラバンに絡みつかせる。
「くひひっ、必死にしがみついて……まるで恋人じゃねぇか!」
「ああ。身体は正直だな、ホントによ!」
 客は茶化すが、あれはトラバンが愛おしくて抱きついているわけじゃない。相手の動きを鈍らせるためだ。そしてそれを、他の黒人共も見抜いたらしい。
「こうすると、もっと気持ちいいぜ?」
 口元を吊り上げたダーナルが、沙綾香の右足首を掴み上げる。同じくアンドレも左足首を掴み上げ、マーキスの背中より高く掲げさせた。ただ、脚の形を変えさせただけ。しかしそれが、今の状況での決定打となった。
「くぁあああああっ!!!」
 沙綾香の口から悲鳴が上がる。Vの字に持ち上げられた脚は激しく震え、5本の足指をそれぞれ別方向に開いたまま、付け根にくっきりと骨を浮かせる。よほどの痛みか快楽がなければ起きない反応だ。
「ひはははははっ、ますます締まりがよくなったぜ! ジムでインストラクターの女を犯した時以来だ! よし、いい機会だ。あのギャンギャン煩ぇ女に泣き入れさせたヤり方してみっか!」
 トラバンは碌でもないことを口走りながら、腰の動かし方を変えた。上下に打ちつけるのをやめ、腰を密着させたままグリグリと円を描きはじめる。ポルチオ刺激を目的とするなら、おそらく最も効率のいい責め方だ。日本人のペニスでやっても相当に響くだろうが、25センチはあろうかというトラバンの逸物でそんなことをやられれば、『刺激的』などではすまない。
「っぉ、ほおおおおっ!! やあっ、奥、奥ゥうう゛ッッ!? だめ、だめこれ……いきっ、イキすぎる!!! お、お願いやめて、許……ん゛お゛っ!! あああ、おしっこ出るっ、おしっこでちゃうっ!!!」
 沙綾香は叫び、暴れ、脚を震わせながら失禁する。
「おーおー、いい狂いっぷりだ。マジであの女思い出して興奮してきたぜ。ご褒美だ、濃いのをたっぷりくれてやるよ!!」
 トラバンはゲラゲラと笑いながら腰をうねらせ、密着状態で射精に入る。
「あ、あああっ!?」
「へへへへ、解るか? 子宮口グリグリこじ開けて、子宮ン中に直で精子を送り込んでんだ。惚れた男の前で受精すんのは気持ちいいだろ、ファッキンビッチ!」
 犯し方も意地が悪ければ、吐く言葉も最低だ。目を瞑って射精に耐えていた沙綾香は、その一言で目を見開き、泣きそうな顔になる。俺はそれを見て、我慢ならなくなった。
「心配するな沙綾香、そいつらに妊娠させる能力はない!!」
 俺がそう叫んだ瞬間、視線が俺に集まった。沙綾香も、客も、調教師連中も。
「…………勝手は困りますな、先生」
 端塚が露骨に迷惑そうな顔を見せるが、それは俺の狙い通りだ。
「え、そうなのか……?」
「あんなに濃いのを、大量に出してんのに?」
 客も戸惑いを見せている。場は少し盛り下がったのがわかる。
 だが、肝心の黒人共の表情は変わらなかった。相も変わらず目を血走らせ、沙綾香を犯すことだけを考えている。
「へへへ、バレちまったか。ああそうだ、俺らのザーメンにゃガキを孕ませる力はねぇ。だがな、俺らが膣内に出すのは、そもそも妊娠させてぇからじゃねぇ。俺らのコックの味を覚え込ませるのが目的よ。プッシーを思いっきり突きまくって、奥に射精してな。実際アンタの彼女は、もう俺らとのセックスにメロメロだぜ?」
 トラバンは相も変わらず笑みを湛えたまま、精液まみれの逸物を引き抜いた。そしてそのトラバンと入れ替わる形で、アンドレが沙綾香の前に立つ。
「ああ、やだ……まだ、痺れが……!!」
 両脚を痙攣させたままの沙綾香が首を振るが、アンドレは聞き入れない。

 そこからは、立て続けだった。10人の黒人共が順に入れ替わり、覆いかぶさる格好で沙綾香を犯す。前の奴の精液を掻き出す勢いでピストンを繰り返してから、腰を密着させて円を描く。確実に効くと判っているからか、あるいは嫌がらせなのか、全員がそのセックススタイルだ。
 その中で沙綾香は、着実に追い詰められていった。
「いっ、イグっ、イグイグううっ!! もお無理っ、もお無理いいっ!! イキすぎて、頭溶けちゃう……お願い、抜いてえっ!! あああ゛っまたイグッ、ぃグッ!!……まだイギすぎてっ、あそこっ、バカになるうう゛っ!!!」
 知性を感じさせない、けれども危機感だけは生々しく伝わってくる絶叫。それが延々と続いていた。客や黒人共は、それを大いに笑い飛ばす。俺は何度も沙綾香の名前を呼んだが、彼女に反応する余裕はないようだった。


                 ※


 10人全員が射精し終えた頃、沙綾香はもうボロボロだった。Vの字に掴み上げられた両脚は、いつまで経っても痙攣が収まらない。顔は高熱に浮かされながら長距離を走らされたような有様で、汗はもちろん、涙と唾液の量が凄まじい。粘液でパックでもしているような有様だ。
「いいツラになったなぁ、サヤカ。俺らとのセックスは病みつきになんだろ。他の奴とのじゃれ合いなんざ、思い出せねぇぐらいによ?」
 黒人共は、濡れ光る怒張を誇示して俺を見下ろす。俺を狙い撃ちにした挑発。腸が煮えくり返りそうだ。
「もう、やだよ……。審査会、全部やったよ。あたし、疲れた……センセの所に、帰りたいよぉ……!」
 沙綾香が身を掻き抱いてしゃくり上げる。その姿に、その言葉に、ますます胸が苦しくなる。
 俺もそうだ。沙綾香と幸せに暮らしたい。時にはふざけながら愛し合い、一緒に年を取っていきたい。だが、そんなささやかな願いは叶わない。
「イカせ続けろ。徹底的にメスの悦びを教えてやれ」
 手越は、薄ら笑いを消さずにそう命じる。その命令がなくとも、黒人共に獲物を解放する気などなさそうだ。奴らは同情するどころか、縮こまって泣く沙綾香を見て、ますます怒張をいきり勃たせているんだから。
「あ、いやっ、いやあっ!!」
 必死に逃げようとする沙綾香が捕らえられ、這う格好を取らされる。そしてそのまま、背後からジャマールが腰を突き入れた。
「んあああ゛っ!!!」
「へへへ。俺のはちっと下反りだから、正常位よりバックの方が気持ちいいだろ。このままズルーッと、子宮口の方まで満たしてやるぜ」
 奴は沙綾香の太腿を掴み、さらに腰を押し進めていく。そして根元まで挿入しきると、そこで腰を止めた。
「おーお、きたきた。コックにフィットするどころか、もうグニグニ蠢いて咀嚼してやがる。もっと刺激してくれって催促か? 可愛いプッシーになったもんだな」
 ジャマールは心底嬉しそうに笑う。沙綾香は首を振って否定しようとするが、腰が使われはじめれば、その余裕すらなくなってしまう。
 ジャマールの挿入は真横ではなく、やや斜め下……臍側を狙うものだ。蕩けた子宮口を狙い撃ちにしているんだろう。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!」
 短く重苦しい沙綾香の呼吸、その手足の張り具合からしても、急所を叩かれ続けているのは間違いない。
「はっは、気持ちよさそうですなあ!」
「ええ。ドラッグで発情させられたまま、黒人のペニスを後ろから嵌められるんですからね。あんな快楽を味わったことのある日本人の女は、ほんの一握りでしょう。ましてやそれを十代で覚えてしまったら、もう真っ当な道には戻れませんよ!」
 客は鼻息荒く語り合う。そんな中、ステージではダーナルが沙綾香の前に立った。いや、ダーナルだけじゃない。アンドレも、ドミニクも同じく仁王立ちしている。
「上の口が寂しいだろ? くれてやるよ!」
 ダーナルは、沙綾香の髪を掴んで強引に顔を上げさせ、水平にいきり勃った怒張を咥え込ませる。
「んごぉおっ!? おごっ、あがっ!!」
 沙綾香は当然パニックを起こす。今あの子は、肉体的にも精神的にも余裕がない。背後から犯されるだけでも、全身を強張らせて耐えるのがやっとだろう。だが、ダーナルはそんな事情を酌みはしない。性欲を優先してか、あるいはトドメを刺すつもりなのか。大きな手で後ろ髪と顎を鷲掴みにして、口一杯に頬張らせる。
「ううわ、容赦なーい!」
「あんなペットボトルみたいなのを、前からも後ろからも……地獄だね。あたしなら気絶しそう!」
 甲高い声で笑うのは、女性客のグループだ。煌びやかなドレスに身を包んでいるが、同性の悲劇を嘲笑うその性格は極めてどす黒い。
「そら。舌も喉も使って、たっぷり味わえよ。大好きな“フランクフルト”だぜ!」
 ダーナルはますます腰の振りを早めていく。完全に膣を犯す時のスピードだ。早いが、だからといって浅い抜き差しじゃない。沙綾香の白い喉は、秒単位で膨れては凹んでいるんだから。それを受ける沙綾香に、余裕はなかった。
「んぼっ、ふぶっ!! んぼおおっ、お゛っ、お゛ッろエおお゛えおッ!!!」
 眉を垂れ下げ、鼻の穴を膨らませ、涙と涎を垂れ流しながら、壮絶にえずき続ける。いつになく苛烈なその反応に、ステージ下からは笑い声が途絶えない。
「うははははっ、こりゃいい! 喉がよく狭まって、奥まで突っ込むたびにカリ首がコリコリ扱かれるぜ! 舌の動きもすげぇな。出鱈目に暴れながら、竿をベロンベロン舐め回してきやがる!!」
 口を犯すダーナルは大喜びだ。それを聞いて、後ろから膣を犯すジャマールも笑みを浮かべた。
「ほお、前もか。プッシーもだいぶ様子が変わってるぜ。ヌルヌルの襞が愛おしそうに絡みついたまんま、奥に奥にって呑み込んできやがる。掃除機の先っぽで吸われてるみてぇだ!」
 奴もまた歓喜の声を上げながら、激しく腰を打ちつける。

 俺には、奴らの言葉が恐ろしくて堪らない。口も、膣も、反応が変わっているという。それが誇張でもハッタリでもないのは、満面の笑みで猿のように腰を振っている姿からも明らかだ。
 そして俺自身、沙綾香に異常が起きているのは見て取れた。犯されて苦しんだり、嫌がっている姿は散々見てきたが、今の反応はそのどれとも違う。

『悦び』

 そんな単語が、真っ先に思い浮かんだ。
 彼女は黒人共に犯されながら、それを悦んでいるように見える。
 例えば、喉奥まで突っ込まれている時、彼女の顔は苦悶一辺倒だ。だがそのペニスが引き抜かれ、口内にまで戻った途端、沙綾香の舌はその亀頭を舐め回しているようだった。最初は見間違いかとも思ったが、毎度のように口から舌が覗き、頬が蠢くんだから間違いない。
 膣の方も同じくだ。ヒクヒクと上下に蠢き、うねる腰つきは、どう見たって甘い。奥へ奥へと呑み込んでいるというジャマールの言葉が、はっきり信じられてしまうほどに。
 そしてそれらは、ダーナルやジャマール相手に限らなかった。口や膣を埋める相手が変わっても、沙綾香は同じ動作をする。
「おいおいおい、マジかよ。こいつ、本当にベロベロ舐めてくるじゃねぇか!!」
「はははははっ!! 確かにこりゃ、たいしたバキュームプッシーだな。娼婦も顔負けだぜ!」
 黒人共からは、次々に驚きの声が漏れた。それこそ、誰に対しても沙綾香が『悦んで』いる証拠だ。
 当然というべきか、沙綾香はそうした反応を止めようと足掻いてもいた。口を犯す相手の太腿を押しのけたり、背後から犯す相手の手を握りしめたり。そしてほんの少しでも口が自由になる時があれば、頭を激しく振って、必死に何かを振り払おうとしていた。
「あーあ、あんなに頭振っちゃって」
「気持ちはわかるけど、あんなことしたって無駄だよねー。だって、脳味噌自体が溶けてるんだから」
 客の女が、経験を交えて嘲笑する。そして黒人共もまた、沙綾香の必死ぶりに笑みを深めながら、ダメ押しとばかりに怒張を舐めさせる。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!」
 鼻先に怒張を押し付けられ、沙綾香は激しく息を乱していた。怒張を見下ろす眼も、開いた鼻孔も、開いたまま涎を垂らす口も……そのどれもが、愛らしい彼女のイメージと決定的に違う。
「見たまえ、あの顔を。完全にトリップしているようだ」
「もうエロいっつーより、怖いぐらいだな……」
 客の指摘通り、異常としか思えない顔。
 駄目だ。
 俺は、その顔を見て直感した。あれは、本当に駄目だ。ここでどうにかしないと、本当に取り返しのつかないことになる。

「さ、沙綾香あああああああっ!!!!!!」

 俺は、無意識に椅子を蹴って飛び出していた。全力疾走でステージに駆け寄り、沙綾香の方に手を伸ばす。
「せん、せ……? センセ、センセ!!」
 沙綾香も一瞬虚ろな視線を向けた後、わずかに眼力を取り戻して手を伸ばしてくる。
 だが、その手が触れ合うことはなかった。
 あと数センチで沙綾香に触れられるという、その瞬間。強烈な痺れが全身に走った。
「あがああっ!!!」
 悲鳴を漏らしながら、あえなくその場に崩れ落ちる。
 痛い。とんでもなく痛い。あまりの痛みで、体のどこにも力が入らない。
「いやあっ、センセ!!」
 沙綾香の叫び声が聞こえるが、顔を上げることすら不可能だ。
「はっ、はっ、はっ……!!」
 閉じない口から唾液が垂れていく。手足が痙攣して、言う事を聞かない。
 ああ、そうか。沙綾香も、こんな風なのか。肉体が自分の意思とは無関係に反応するというのは、こんなに心細く、恐ろしいものなのか。
「なに、アイツ?」
「“先生”とか呼ばれてたな。もしかして、学校の教師か?」
「はは、すげえ痙攣してる。よかったな先生、生徒と同じ気分味わえてよお!!」
 客も俺に注目し、一斉に罵声を浴びせはじめた。これもまた屈辱的だ。沙綾香の苦しみが、本当の意味で実感できた。こんな、最後の最後で。
「……貴方にこんな物を使うなど、心苦しい限りですよ」
 硬い足音を響かせながら、端塚が声を掛けてくる。かろうじて視線を上げると、警棒式のスタンガンを握る白手袋が見えた。そして直後、俺はスーツ姿のセキュリティに肩を掴まれ、椅子に引きずり戻される。

「お触りはなしだぜ、先生。アンタはそこで寛ぎながら、ただ眺めてりゃあいい。このお嬢ちゃんが俺らの物になるのをな」
 ダリーが俺を見下ろして笑いながら、沙綾香の割れ目に怒張の先を宛がった。
「ふっぎいい、いいい……っ!!」
 最大級の太さを挿入され、沙綾香は声を上げる。掠れた悲鳴のようなそれは、苦しみの呻きにも、快感の喘ぎにも感じられた。
「ほら、言ってやれサヤカ。俺らのコックが、好きで仕方ねぇんだろ? もう離れられなくなっちまってんだろ?」
 ダリーはそう言いながら、背後から沙綾香の胸を揉みしだく。半分以上が入り込み、確実に膣奥まで届いているだろう剛直をゆっくりと前後させてもいる。
「あああ……いや、いやああ……っ!! み、見ないでぇっ、センセ……!!」
 沙綾香は顔を背け、ステージ下の俺から表情を隠す。
「沙綾香っ!!」
 俺が叫んでも、聴こえているのかいないのか、沙綾香の様子に変化はない。
 そして俺のこの叫びは、沙綾香以外の人間の興味を惹いたようだ。
「……ねえ。あんた、“先生”だっけ。ずいぶん必死じゃない。そんなに大事なの? あの子のこと」
 群青色のドレスに身を包んだショートヘアの女が、俺に近づいてくる。俺は返事をしない。まだ全身が痺れていて、うまく舌が回らないのもある。だがそれ以上に、沙綾香が心配で目を離せない。
「ふーん、そんなに気になるんだ? でも、諦めた方がいいよ。もうあの子、黒人にメロメロだもん。っていうか、そのアソコにかな。もう、アソコの匂い嗅がされただけで女の顔になってる」
 女はそう言って俺の近くに膝をつき、ステージの沙綾香を見上げた。やっぱり、この女の目にもそう映るのか。
「可哀想だから、あの女の代わりにアタシが慰めてあげる。お兄さん、結構イケてるし」
 女はそう言って俺の館内着をはだけさせる。
「やめろ!!」
 反射的に叫ぶが、手足がうまく動かない。おまけにすぐ後ろの席のセキュリティが、背中にスタンガンを宛がってくる。抵抗できる状況にはなさそうだ。
「うわ、おっきい。あの黒人さん達に比べたら、子供みたいだけど」
 女は俺の下着をずり降ろし、露出した逸物を見て笑う。俺のそれは、恐ろしいほどに勃起していた。先走り汁も溢れているようだ。
「へっへ。ビンビンじゃねぇかよ、“先生”!」
「いやいや、解るぞ。あんなステージを観て、勃たん男などおらんよ」
「確かに、エロいもんなあ。それに、恋人が穢される場面に興奮する奴もいるらしいしな!」
 客から嘲笑が起きるが、それ自体の恥ずかしさより、沙綾香に嫌われることの方が遥かに怖い。視線は自然とステージを向く。
 沙綾香と、目が合った。あの目は……どういう感情だろう。俺の窮状を悲しんでいるのか。他の女のいいようにされている姿を怒っているのか。あるいは、無力さを軽蔑しているのか。どれも有り得そうに思える。あるいは、その全てが正解にも思える。
 今考えれば、俺が沙綾香の事をじっと見ていたのは、この上なく残酷だったかもしれない。俺はずっと、沙綾香にこんな不安を抱かせていたのかもしれない。だとしたら、俺は最低だ。
「随分とご無沙汰みたいねぇ。たっぷり楽しみましょ。私のおまんこで、あの子の記憶を上書きしてあげる」
 女はそう言いながら逸物を掴み、ルージュの光る口で咥え込んだ。
「よせ……っ!!」
 言葉で拒絶してみせるが、一方で俺は、異様なほどの快感を味わってもいた。性的な刺激は久しぶりで、舌がねっとりと絡みつく感触が気持ちよくて仕方ない。腰が意思とは無関係に浮いてしまう。
「んふっ。硬いのが口の中で暴れてる。私のフェラ、気持ちいいでしょ?」
 女は唾液の糸を引きながら口を離し、妖しい笑みを浮かべた。逆光で顔に影がかかっているが、よくよく見ればいい女だ。フェラチオの技術も申し分ない。俺の中の『男』が満たされてしまう。公然での逆レイプ──こんな状況で感じては恥だと、頭では理解しているのに。
「んぐううっ!!」
 歯を食いしばり、かろうじて絶頂を堪える。危ないところだった。射精管が痺れている。精子はおそらく、管の途中まで上がっていることだろう。
「へーえ、頑張っちゃうんだ? 可愛い。でも、いつまでもつかな」
 女はほくそ笑み、上目遣いでジュボジュボと音を立てる。意地の悪いことだ。目の前で恋人の心を奪われ、さらには行きずりの女に屈服させられた男。そんな哀れなピエロを作り上げる魂胆か。
 冗談じゃない。そこまでコケにされて堪るものか。他ならぬ沙綾香の見ている前で。
 俺は顎を引き、唇を噛む。沙綾香が何度となくしていたこれは、なるほどよく堪えられそうだ。そうして覚悟を決めた上で、改めてステージを見上げる。

「見ろよ、先生もお楽しみだぜ。だったらこっちも、見せつけてやろうじゃねぇか。とびっきりハードで刺激的なファックをよ!!」
 ダリーがまっすぐ俺を見下ろしながら宣言し、ドラム缶のような腕で沙綾香の身体を持ち上げた。そうして四つ足をつく格好を取らせてから、ダリーは沙綾香の腰を掴む。
「お、思いっきりは突かないで……!」
 沙綾香は明らかに怯えた様子で、背後のダリーを振り返った。
「へっへ。俺の“突っ張り”は腹の底に響くから、今のコンディションで受けるのは怖いってか? そりゃ聞けねぇな!」
 ダリーに容赦はない。しっかりと沙綾香の腰を掴んだまま、激しく腰を打ちつけはじめる。もう何度となく目にした、超重量のピストン。バンッ、バンッ、という鈍い音が響き、沙綾香の尻肉が波打つ。
「ほおお……聞いたこともない音だ!」
「完全に関取体型だしな、アイツ。180キロぐらいあるんじゃねぇか? しんどいぞー、あんなのにガン突きされたら」
 客がざわつきはじめた。実際あの光景は、何度も目にしている俺でさえ息を呑む。おまけに沙綾香の反応は、過去のどれよりも激しかった。
「お゛っ、お゛……お゛ん゛っ!! うぎいいっ、おお゛っ、お゛イグッ、おおイグッ、お、お゛う゛っ、お"んんん゛っおお゛!!! だ、だめっ、声……とえらんない゛っ!! ぎがな…っで、ごえ、聴かないで……おおお゛お゛っ!!!」
 沙綾香は、見開いた眼から水平に涙を飛ばし、舌を前に突き出し、『お』行の喘ぎを上げ続けていた。歯を食いしばって声を殺そうともしているらしいが、ダリーが腰を打ちつければ、その努力はすべて消し飛ぶ。
「いひひひっ、すんげぇ声だな! おーおー言ってんぞ!?」
「完全に女捨ててんな。あんだけ恵まれたルックスしといてよ!」
「聴かないでっつっても、聴こえちまうよ。そんだけ喚き散らしてりゃあな!」
 叩きがいのあるネタを得て、客は一斉に下卑た言葉を投げかける。
「あはは、男ってバカだよね。可愛い子が何か言うと、すぐ自分が言われたって思い込むんだから。聴かないでっていうのは、アンタ向けの言葉に決まってるのに。ね、“センセ”?」
 ドレス女は、そう言いながら唾液塗れの逸物を扱き上げた。今にも暴発しそうという状況で、その責めはあまりにきつい。
「ふぎきうう゛う゛っ!!」
 歯を食いしばらなければ、到底射精を堪えきれない。そして必死に堪えようとすれば、どうしたってひどい声が出る。
「おっと、彼氏の方も妙な声で鳴いてやがるぜ?」
「ある意味、似合いのカップルだな。動物同士でよ!」
 余裕などない状況なのに、客の罵倒はよく聞き取れた。苦しさと情けなさが胸の辺りで混ざり合い、揮発性の吐き気になって口から出ていく。人の目さえなければ、なりふり構わず泣き喚きたい。それぐらいの状況だ。
 沙綾香もきっと、そうだったんだろう。一週間以上にも渡る恥辱の中、何度となくこういう気持ちになったに違いない。そして、それを発散できる機会などなかった。いつでも人の目とカメラに晒されていた沙綾香は、意地を張り続けるしかなかった。それで彼女の心は、どれほど磨り減ったことだろう。
「あ゛ーーっ、あ゛っあ゛!! あう゛っ、お゛っ、お゛ん゛ぉおお゛っ!! あ゛あ゛あ゛だめっ、しきゅっ、子宮が、痙攣して、る……っ!!」
 沙綾香の様子が、また変わった。口から涎を垂らしたまま、ほとんど白目を剥きかけている。這う格好を維持できなくなり、力なく床に突っ伏す。
「どうした、ツラぐらい拝ませてやれ。お前の女の部分を余さず味わえる俺と違って、奴はイキ顔を見て楽しむしかねぇんだからよ!」
 ダリーは俺を見下ろして挑発しながら、沙綾香の頭を掴んで顔を上げさせる。床から離れた沙綾香の顔は、壮絶だった。両目の眼球は内に寄り、頬は膨らんでいる。まるでそのまま嘔吐でもしそうな顔だ。とはいえ、吐瀉物は出ない。代わりに、濁った重苦しい喘ぎが漏れている。ダリーは、そんな沙綾香を容赦なく責めた。這い蹲る沙綾香に、その巨体で覆い被さり、ひたすらに腰を打ちつける。
「っん、ぐうっ!? ぁああ゛、あ゛っ!! ひいいっ、いぐ、いくっ……ぃああ゛っ!!」
 沙綾香の寄り目が上を向いた。目尻の形も口の形も完全に崩れた、壮絶な顔だ。
「あっは、すごい。ねぇ先生、女の子があんな顔になる時って、どんな時か解る? 女ってね、顔が命だから、男よりずっと表情を崩さないように頑張るの。それでもあんな顔になっちゃうのは、もう頭が真っ白になって、自分が何をしてるのかも、誰を好きだったかも、何もわかんなくなっちゃう時なのよ」
 ドレス女が俺に向き直り、囁きかける。こういう時は、性別の壁が厄介だ。異性が言う事は、何でも本当らしく思えてしまう。それに、今に限って言えば、ドレス女の言葉はおそらく真実だ。
「あかはっ、あ゛、あ゛っ……ほおあ゛っ……あ゛」
 沙綾香は、顔こそこっちを向いているが、俺を見てはいなかった。上空に視線を向けたまま、口を縦に開いて放心している。
「はっはっは、すげぇすげぇ、どうなってんだこりゃあ! アソコがうねって吸い上げて、渦潮みてぇになってんぜ!」
 ダリーはゲラゲラ笑いながら腰を打ちつけ、ダメ押しに腰を震わせてたっぷりと射精する。そうして奴がようやく腰を引いた直後、ビシャビシャと水音がしはじめた。目を凝らせば、開いた沙綾香の股の間に一筋の輝きが見える。
「おいおい、漏らすんじゃねーよ。犬じゃあるめぇし!」
 ダリーが日本語で茶化して客の笑いを誘うが、沙綾香に反応はない。脱力した顔のまま、小さく呻きを漏らし、完全に床へ突っ伏してしまう。哀れすぎる姿だ。それでも黒人共は、そんな沙綾香を休ませようとはしない。ダリーが退いた場所に、今度はタイロンが入り、馬並みのペニスを沙綾香の股座へと押し込んでいく。その無理のありすぎる挿入は、十分に気付けの効果があったようだ。
「あっ…ぐ、はああっ!?」
 沙綾香の黒目が戻り、形を失くした口から悲鳴が上がる。
「ヘバッたら休ませてもらえるとでも思ったか? まだまだ、こっからだぜ!」
 目を細めたタイロンが、沙綾香の胸に手を伸ばし、強引に上半身を起こさせる。膣を極太で杭打ちしたまま、背中を弓なりに反らせる形だ。
「あはあああっ!!?」
 沙綾香は、目を見開きながら顔を歪める。未知の、かつ圧倒的な感覚を怖がっているらしい。
「ううわあ、えっぐい。あんなおっきいの、普通に寝バックで挿入されるだけでもキツイのに、あんな不自然なカッコまでさせられたら堪んないって。彼女さんの子宮、ペチャンコになってるよ、きっと。ま、クスリでラリッてる状態なら、そういう苦しさも全部快感になっちゃうかもだけど」
 ドレス女が、鈴口を指で弄りながら囁いてくる。言われなくても、あれがやばいのは察しがつく。
「俺のコックを、たっぷりと感じさせてやる」
 タイロンは沙綾香の上半身を反らせたまま、少し腰を引いた。さらに、自分の膝で沙綾香の脚を挟み込んで閉じさせると、改めて腰を沈めていく。
 沙綾香は、反射的に顎を跳ね上げた。
「ーーーーーっっ!!!」
 声は、音にならない。だが、目を剥き、口を開いた顔を見れば、それが我慢の結果ではないことがわかる。あまりにも刺激が強すぎて、声にならなかった……それが正解だろう。
「うは、すげぇ。足ブルブルしてる!」
「いや、ああなるよ。だってあの黒人の、足首ぐらいの太さじゃん。そんなのメリメリ突っ込まれて、無反応は無理だって」
「ふふ、足首か。確かにそんな感じだな。じゃああれは、自分の脚を大事な場所に突っ込まれているも同然というわけか。ははは、可哀想なことだ!!」
 客は目をギラつかせてステージを凝視し、興奮気味に意見を交わし合う。タイロンは、そんな客を自慢げに見下ろし、見せつけるように腰を上下させる。
 沙綾香は、それに必死で抵抗していた。タイロンを揺り落とそうとしてか、腰を左右に振る。汗に濡れたステージ床と太腿が擦れ、キュッ、キュッ、と音を立てる。それでも相手が落ちないとなれば、伸ばした脚の踵を振り上げ、タイロンの尻を叩いてもいるらしい。だが、タイロンはそれを笑うばかりだ。
「いいねぇ。犯してるって感じがするぜ!!」
 タイロンはそう言って、それまでの倍ほど腰を引いた。そうしてたっぷりと溜めを作ってから、一気に腰を沈める。鞭を入れるようなこの突きが、沙綾香の抵抗を消し飛ばした。
「ろぉおおおお゛お゛っ!?」
 濁りきった喘ぎが漏れる。意思ではコントロールできない、不意をつかれた時の奇声だ。可愛そうに、上半身はさらに反り、後頭部がタイロンの鎖骨を叩く。ドン、という音がしたのは、踵を上げていた脚が床に落ちたからか。
「どうした、もっと抵抗してもいいんだぜ。じゃじゃ馬の方が犯し甲斐があるからな。まあ、強いオスに甘えたくなったってんなら、歓迎するがよ」
 タイロンは、すぐ傍に来た沙綾香の顔を舐めながら囁く。随分と沙綾香を気に入っているようだ。
 そして奴は、また腰を使いはじめた。奴自身も動きづらい体位だろうに、それを感じさせない力強い抜き差しだ。しかも、腰遣いだけに専念しているわけじゃない。奴は、沙綾香に上半身の反りをキープさせながら、しっかりと胸を刺激していた。円錐状に尖った乳首を、指で転がし、挟み、捻り潰す。それだけで絶頂を迎えてもおかしくないほど、苛烈で入念な乳首責め。
 それを受ける沙綾香は、余裕など全くなかった。右手で口を押さえ、目に涙を溜めて必死に声を堪えている。それでも、殺しきれない。指の間からははっきりと、「おおお」という声が漏れている。挙句、さらに時間が進めば、そうして口を押さえることさえできなくなった。
「おっほ、おぉほっ!! んんんおお゛お゛お゛っっ!!!」
 際立って酷い声が漏れた直後、沙綾香の手はだらんと垂れた。そしてその後は、床にべったりとついたまま、上半身の安定に専念するようになる。そうなってしまえば、漏れる声を遮るものはない。
「おっほぉっ、んほっ、んほおおおっ!! んっぐ、んぐ、いんぐんんぐううっ!! ほお、お゛っ、おほお゛おお゛っいぐっう゛っっ!!!」
 苦しそうな、そして、心底気持ちよさそうな声が響き渡る。眼の焦点も合っていないようだ。目の前に火花が散る、というあれか。
「へへへへ、またイッたのか。何回目だ?」
 タイロンが心から嬉しそうに問いかけると、沙綾香の瞳孔が中央に戻った。
「わ、わ……わかん、ないっ……んあ゛っっ!! しゃべってるときに、動かないで……い゛ああ゛ぁ゛ッ!! んぐ、んぐっ、ふぐううっ!! あああいぐっ、いっぢゃうううう゛っ!!!」
 沙綾香は、タイロンの問いに答えることすらままならない。むしろ、答えようと意識を向けたことで、膣の我慢が利かなくなったらしい。
 そして直後、沙綾香の身体の下から、ぶじゅうっという音が漏れる。俺の位置からは状況が判らないが、ステージに張りついている客にはよく見えたようだ。
「はははっ!! 良すぎて、とうとうションベン漏らしちまったか!!」
「まあ、当然だろ。あの杭みてぇな極太で、ポルチオ突かれまくっちゃあな!」
 客は沙綾香の失禁を散々に笑う。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!!!」
 沙綾香は涙を流しながら、舌を突き出して喘いでいた。まだ絶頂の余韻が続いてゐる感じだ。するとその顎を、横に立つレジャナルドが掴んだ。
「派手に漏らしやがって。おら、水分補給だ。口開けろサヤカ」
 奴は勃起した怒張を扱きながらそう命じた。沙綾香が息を呑んで口を閉じようとすれば、指の力で強引に顎をこじ開け、開いた口に向けて精を浴びせる。
「んあ゛っ、あああ゛っ!!!」
 呻き声が上がる中、白濁は沙綾香の顔を汚しながら、その口内へと注がれていく。相も変わらず驚くほどの量で、しかも匂いが凄まじい。圧倒的なまでの雄臭だ。
 沙綾香はあの鉄格子の部屋で、毎晩のようにそれを嗅いできた。そして今、薬に感覚を狂わされた状態で、さらに嗅がされている。となれば、脳がその匂いに支配されてもおかしくない。というより、そうなるのが自然だ。
「あ゛っ、あ゛……」
 短く声が漏れ、段々と握られた指が力を失っていく。
「沙綾香っ!!!」
 俺は、叫んだ。声掛けの良し悪しを考える前に、肺から叫びが飛び出した。多分、俺は直感したんだ。今ここで沙綾香の意識を戻さなければ、取り返しのつかないことになると。
 果たして沙綾香は、俺の方を見た。目に涙を浮かべ、白濁に満たされた口をパクパクと開閉しながら。

 ────おねがい、みないで────

 彼女の目は、そして口は、間違いなくそう言っていた。
 見ないで? 何故だ。恥ずかしいのか、それとも辛くなってしまうからか。それならまだいい。でも俺は、もっと最悪な予感がしてしまっている。
 もう、耐えられない。
 彼女は最後に、そう伝えてきたんじゃないか。

「んあああああっ!! あっ、いい、いいッ!」
 沙綾香は俺から視線を離し、口内射精したレジャナルドの方を見上げる。レジャナルドにとっても、その反応は予想外だったらしい。奴は一瞬固まり、それから顔中に笑みを拡げた。いつもの獣じみた笑みとは少し違う。達成感に満ちた顔だ。
「へへへ、なんだよ甘えたツラみせやがって。俺のザーメンでトリップしちまったか?」
 奴はそう言葉をかけても、沙綾香は否定しない。上体を反らせたまま、細かな痙攣を続けるばかりだ。
「ぁいくっ、イクッ……あらま、とけ、ちゃう……!!」
 白濁を絡ませた口から声が漏れ、同時にタイロンが小さく呻く。
「グウッ……こいつまた、締まりが良くなりやがった。俺のがヘシ折られそうだ。よーし、そんなに欲しがるんならくれてやる。こっちも気持ちよさが溜まってんだ。思いっきり濃いのを注いでやるからよ、好きなだけ子宮で味わえや!!」
 タイロンはそう叫び、素早く腰を前後させる。そして、根元3割ほどを残して奥の奥まで挿入しきると、尻の筋肉を引き締めた。
「おおお……おおお、すげぇ出るぜ。射精感が焼ききれちまいそうだ!!」
 奴自身が驚いた様子でそう実況するんだから、射精の量も勢いも普段以上だろう。以前の沙綾香なら、それを嫌がったはずだ。首を振り、嫌だ嫌だと絶叫していたはずだ。
 それが、今は。
「あああ……きてる、きてる……! あああ、これイク……また、イクっ!! ヌルヌルで、イッてるうっ!!」
 幸せそうに囁きながら、緩んだ目元から涙を伝わせ、全身を震わせる。タイロンがようやく射精を終え、三本目の足のような怒張を引き抜いた直後には、それに追いすがるように精液交じりの潮を噴き上げた。俺の位置からでも見えるほど、盛大に。
「ひゃっひゃっ!! こいつ、膣内出しでイってやがる!!」
「ああ。最初はあんなにギャアギャア喚いて嫌がってたのにな。コックの味もザーメンの味も、しっかり身体が覚えちまったってわけか」
 黒人共は沙綾香を見下ろし、驚きながらも笑っていた。
 全ては、倶楽部の目論見通りに進んでいるわけだ。度重なる薬物投与で感覚を狂わせ、極限の羞恥と快楽責めで自我を削り取る。その上で、調教師共の虜にさせる。俺に代わる依存対象となるように。

「おいおい、どうしたんだこいつ。いつになく積極的じゃねぇか!」
 仁王立ちでフェラチオを求めるマーキスが、驚きの声を上げた。それもそのはず、沙綾香は命じられる前に逸物に吸いつき、上目遣いで強く吸引しはじめたからだ。
「ひひひっ、たまんねぇ! ようサヤカ、コツを掴んできたじゃねえかお前」
 マーキスは大喜びだ。
 沙綾香は覚えが早い。俺もどんどん上達していくあの子の奉仕に、腰砕けになった覚えがある。もし沙綾香が、その技巧をマーキス相手に使っているなら、それを躊躇していないなら、それは気持ちがいいことだろう。
 というより、もはやそんなレベルではないらしい。
「ん、んおっ……!? お、オイオイ、そんな強くしゃぶったら……うあっ!!」
 快楽に浸っていたマーキスが、急に焦りを見せはじめた。
「おおい、ちょっ、やめ……ぐっ……ぬぐおおおっ!!!!」
 奴は沙綾香の頭を掴むが、それでもフェラチオが止まらない。じゅばっ、じゅぼっ、と水気のある音がさらに繰り返され、とうとうマーキスは天を仰ぐ。
「オオオゥ、シィット!! シィィイイット!!!!」
 恨み言を吐きながら腰を震えさせるのは、主導権を奪われていた証だ。そしてそのマーキスの射精を、沙綾香はゴクゴクと喉を鳴らして飲み下す。窄めた口で強く吸ってもいるようで、結果この時のマーキスの射精は、わずか5秒で終わりを迎えた。
「くあああっ!!」
 沙綾香の口が離れた瞬間、マーキスが後ろに倒れて尻餅をつく。
 端塚の言っていた通り、奴らはフィジカルエリートだ。樹齢数十年の樹を思わせる太腿は強靭で、数時間に及ぶ『駅弁』セックスすら可能にしてしまう。そんなマーキスが、たった一回のフェラチオで腰を抜かすとは。
「おいおい、何すっ転んでんだマヌケ!」
「汗とザーメンで滑ったか!?」
 他の黒人共が笑いながら茶化すが、マーキスだけは『信じられない』という顔で痙攣する太腿を見つめていた。
「…………俺は、転んでねぇ」
 ぽつりと呟かれたその一言で、黒人共の嘲笑が止まる。
「ねぇ、もっとちょうだい」
 そのわずかな静寂に、沙綾香の声が割り込んだ。
「心臓が、ドキドキして止まらないの……身体が熱い。ねえ、早く……太いのちょうだい」
 白濁の絡む口が開閉し、淫らな言葉が紡がれる。さらに沙綾香は、自ら床に寝そべり、黒人共に向かって股を開いた。『マングリ返し』の恰好だ。毎度毎度、やられる度に羞恥で顔を歪めていた、最も屈辱的な体位の一つ。それを、彼女自身の意思でやっている。まるで、犬が腹を見せて降伏するように。
 それを前にして、黒人共が反応しないはずがない。
「ああ、そうかよ……ようし、ヤッてやるぜ。後悔すんなよ、俺らを誘惑なんぞしやがってよお!!」
 サディストとしてのプライドか、あるいは純粋な性欲からか。まずはレジャナルドが沙綾香に覆い被さる。
 つい1時間ほど前と同じ、正常位でのセックス。ただし、その実態はまるで違う。あの時は耐えるばかりだった沙綾香が、今では積極的に黒人共を迎えている。同じ大股開きでも、今は沙綾香が膣を締め付けているのが感じ取れた。
「うおおおっ、なんだこりゃ……締まるなんてもんじゃねぇ! 搾り、取られる……っ!?」
 レジャナルドは目を見開き、腰を引こうとする。だが、沙綾香がそれを許さない。恋人相手にそうするように、背中に足を絡めてしまう。
「ほら、もっと味わってレジャナルド。沙綾香のあそこ、気持ちいいでしょ……?」
「おいバカ、やめ……んくあっ、あ、あっ……駄目だ、もたねぇっ!!」
 相手の名前を呼び、微笑みながら腰を蠢かす沙綾香。顔を引き攣らせ、必死に逃れようとするレジャナルド。その優劣は誰の目にも明らかだ。
「くああああっ!!」
 沙綾香が足を絡めてからわずか数十秒後、レジャナルドが顎を浮かせた。奴の少年時代を思わせる面影が、なすすべなく震え、脱力する。
「へ、へへへ……この、ファッキンビッチが……っ!!」
 レジャナルドは捨て台詞を吐きながら、精液の滴る逸物をぶら下げて後退していく。
 マーキス、そしてレジャナルド。性欲も、嗜虐心も強い2人が、あっという間に『搾り尽くされた』。その事実を前に、フロアの空気が一変する。
 客は、まったく野次など飛ばさなかった。まだ何が起きているか把握しきれていない様子で、黒人共と沙綾香を交互に眺めている。ドレス女も、俺への奉仕をすっかり忘れ、逸物を握りしめたままステージを振り返っている。
「はは、すげぇなこりゃ。マジでサキュバスみてぇだ。今10番勝負やったら、お嬢ちゃんの総勝ちだろうぜ」
「ああ。腰振るしか能のねぇケダモノ連中にゃ荷が重いか?」
 ロドニーと手越だけは流石に余裕があり、軽口を叩き合っている。わざわざステージ横で、かつ英語で話しているのは、黒人共に奮起を促すためか。
「荷が重いだと? 舐めてもらっちゃあ困るぜボス。俺らは、百戦錬磨の売女だってぶっ壊してきたんだ。このコックでな!!」
 黒人共は怒張を誇示しながら、凶悪な笑みを浮かべてみせる。そして、我先にと沙綾香に襲い掛かりはじめた。

 黒人共は、全力で沙綾香を犯す。
 ドミニクは、十八番である背面立位でステージを歩き周り。
 ジャマールは、沙綾香の頬を叩き、あるいは首を絞めながら犯し。
 サイズに自信を持つモーリスは、腹を抱え込んでの後背位と、それに続く凶悪な寝バックを繰り返す。
 そのどれもが、沙綾香を数えきれないほどの絶頂に導いた。潮噴きや失禁も何度も起きた。だが、先に音を上げるのはいつも黒人共だ。何度でも絶頂できる女と、いかに絶倫とはいえ数度の射精が限界の男……その差が出てしまう。

 そのハードなプレイに、呆然としていた客も熱狂しはじめた。黒人と沙綾香の両方に声援を送りながら、百合達5人を相手に性欲を満たす。客の数は100人に迫る勢いで、百合達には休む暇もない。最も体力のなさそうな千代里は、閉じなくなった口から精液を吐き零し、へたり込む格好で気を失っている。逆に一番体力のありそうな藤花ですら、数限りなく肛門絶頂を極めさせられ、ここ一時間は「堪忍してくれ」という哀願しか発していない。
 だが、そのどれもが、沙綾香に比べれば平和的だ。

 沙綾香は今、ステージの上で二穴を犯されていた。寝そべったアンドレに尻穴を、正面のトラバンに膣を犯される形だ。愛液と空気の入り混じった、グチュ、グポッ、という音は、一瞬も途切れない。
「あっ、あ゛っ!! すごいっ、奥……硬いのが、ゴンゴン当たってる……あはああっ!!」
 沙綾香の口から漏れるのは、歓喜の声ばかり。表情は泣いているようにも見えるが、口角は常に上がったままだ。そんな沙綾香の傍に、ダーナルが膝をついた。そして奴は、ステージ下の俺に笑みを向けながら、沙綾香の唇を奪う。
「んむっ、むれあっ……えろっ、ああ……れあっ」
 舌を絡ませあう、恋人のようなディープキス。それを受けても、沙綾香は嫌がらない。口角を下げもしない。そして、興奮してもいるようだ。
 キスの最中、沙綾香が何かを呻きはじめる。ダーナルが唇を解放すると、すぐに沙綾香は激しい反応を見せた。
「んぐっ、んんも、もお゛ッ! んはっ、ああおお゛お゛っ!! んお゛お゛っ、いぐうう゛っ!!」
 身体をガクガクと揺らし、歯を食いしばる。かと思えばその口を開き、意思を感じさせない顔で絶頂を叫ぶ。
「へっへ。キスでトんじまったか」
 ダーナルが満足そうに笑い、二穴を抉るアンドレとトラバンも笑みを浮かべた。結合部からの音が、バチュッ、ドチュッ、というものに変わり、割れ目から飛沫が飛び散る。
「おおお゛ぉおお゛っ、イ゛ぐう゛うう゛っ!! おっ、お゛ほっ、お゛お゛おお゛お゛、お゛お゛おっ!! んお゛お゛お゛おお゛お゛っっ!!!!」
 白目を剥き、口を尖らせて、濃厚な快感の声を上げる沙綾香。それは、これ以上ないほどに幸せそうで、同時にひどく遠い存在に思える。

 ────おねがい、みないで────

 あの言葉は、自分がこうなってしまう事を悟ってのものか。
「仕上がりましたな。八金 沙綾香はもう、調教師とのセックスから離れられない。こちらの言う事ならなんでも聞く、マゾ奴隷の完成です」
 端塚が淡々と告げ、俺に微笑みかける。
「あーあ、彼女さん壊れちゃった。可哀想。あたしが慰めてあげる」
 俺は、再び始まったドレス女の奉仕に呑み込まれた。痺れが射精管を通り抜け、直後、快楽の塊を迸らせる。
 なるほど、この快楽には抗えない。呑まれたら終わりだ。
 蕩けた頭でそう考え、どうしようもない虚無感に浸りながら……。




                            続く



 

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.6(中編)

Part.6(前編)の続きで、桜織との審査会のシーンです。


 
 審査会は、制服を着た状態での愛撫から始まった。10人の黒人はちょうど半々に分かれ、桜織と沙綾香の身を弄る。
 その愛撫に対し、桜織はなんら抵抗を見せない。ブレザーを脱がされ、ブラウスのボタンを外されて乳房を露出させられても。ショーツをずり下げられ、割れ目を舐められても。
「あはっ、気持ちいい……。もっと激しくしてぇ、いいよお……?」
 うっとりとした様子でそう呟きつつ、黒人共のゴムパンツを撫でまわす。自ら快感を欲しているのは明らかだ。
 一方、沙綾香は対照的だった。抵抗こそしないものの、黒人共に媚びる素振りは見せない。完全にされるがままの状態だ。
「へへへ、客の前だからって澄ましてやがる!」
「下手な演技はやめろって。知ってんだぜ? 散々焦らされて、欲求不満だってのはよお!」
 サドの気が強いジャマールとレジャナルドは、沙綾香の仮面を嬉々として剥がしに掛かった。マイクロミニのスカートを捲り上げつつ、ショーツの上部を引き絞って、股布を股間に密着させる。すでに濡れきっているんだろう。薄い布地は一瞬にして透け、赤い割れ目を覗かせる。
「おおっ……!!」
「はっはっは、肉厚のヴァギナが丸見えだ!!」
「いいねいいねぇ。顔もスタイルも二重丸な女子高生のオマンコが、いきなり拝めるなんてな!」
 客は大いに喜び、投票ボタンを押し込む。だが、それを見つめる沙綾香の表情は険しい。それは、彼女がまだ羞恥心を失っていない証拠だ。
「どうした、笑えよサヤカ。ジャパニーズのお仲間があんなに喜んでんだぜ。お前だって嬉しいだろ?」
 ジャマールが沙綾香の耳元で囁きつつ、ショーツに手を差し入れた。岩のような手の甲がショーツを盛り上げ、割れ目を包み込む。
「んあ゛!」
 沙綾香の小さな声が、指の挿入タイミングをはっきりと伝えてくる。
 ジャマールに遠慮はなかった。ショーツを変形させながら、中指と薬指を蠢かす。数秒と経たないうちに、『グチョグチョ』とも『ヌチョヌチョ』ともつかない音がし、ショーツの端から愛液が垂れはじめる。
「おいおいおい、すげぇ汁の量だな! 入口から奥の方まで、トロトロに蕩けきってやがるしよぉ、とんでもねぇ淫乱プッシーだ!」
 下劣な言葉を吐きながら、指を蠢かしつづけるジャマール。
「ううう゛……あ゛!!」
 沙綾香が足を強張らせながら呻くと同時に、リン、と鈴の音が鳴った。
「おっ、イッたぜあの子!」
 絶頂モニターのカウントが増え、客からまた歓声が上がる。
 絶頂が記録され、不特定多数に公開されるなど恥辱の極みだ。
「……っ!」
 沙綾香は眉を顰め、股を閉じ合わせて抵抗を示す。だが、黒人共がそれを許すはずもない。
「今さら恥ずかしがる事もねぇだろ、なあ!」
 右手に控えるレジャナルドが膝を掴み、一気に足を開かせる。それに合わせてジャマールもブレザーに腕を突っ込み、ブラウス越しに胸を揉みしだきはじめる。もちろん、腰を抱え込むような指責めも続けつつ、だ。
 繰り返し性感開発を施され、焦らし責めまで受けた沙綾香には、それに抗う術などない。
「うう……あ、あ、あっ!」
 ジャマールの節ばった指が蠢くたび、沙綾香の太腿が強張る。鈴の音が鳴り、ステージの床にポタポタと雫が落ちていく。それに耐え切れず、また沙綾香の脚が内へ閉じた、その直後。
「無駄だ、つってんだろ?」
 ジャマールの手がショーツの奥側へ進み、ぎゅじゅっ、ぎゅじゅっ、という音をさせはじめる。そこが、ターニングポイントだった。
「あ゛っ、あ゛んっ、あ、ああ゛っ!!」
 半開きだった口が大きく開き、はっきりとした喘ぎを漏らしはじめる。上半身は前に傾き、ニーソックス上部の肉が盛り上がり、腰が痙攣する。鈴の音も煩いほどに鳴り響く。
 そして、匂い。これまでと一番違うのはここだ。依然として漂う黒人共の獣臭に混じり、汗と、愛液の匂いがする。懐かしい、懐かしい、沙綾香の匂いだ。
「うはは、イってるイってる!」
「エッロい腰つきしとんのぉ。ストリップ嬢にでもなったらどうや? そのスタイルなら、ようけオヒネリ貰えんで!」
 ようやくの激しい反応に、客は沸き立つ。そしてその反響は、責め手をますます滾らせた。レジャナルドは両膝を割りひらき、沙綾香の脚に菱形を作らせる。ジャマールはますます指の動きを早め、ショーツから愛液を四散させる。
「ああ、あっあ゛! くうっ、あぁ、あ……っ!!」
 哀れなのは沙綾香だ。彼女は全身で拒絶の意を示しているが、大股を開かされたまま前傾する状態では、抵抗も逃亡も叶わない。
 だから彼女は、唯一できることとして、方々に腹立たしげな視線を向けていた。
 何かを囁きかけるジャマールに。
 両膝を押さえるレジャナルドに。
 得票数の光るモニターに。
 絶頂回数が表示されるモニターに。
 舞台近くに群がる立ち見客に。
 そして最後に沙綾香の目は、ふっと客席を眺めた。遠くへ目をやるついでの、流し見という感じだった。
 だがその結果、彼女は、居並ぶ立ち見客の間に俺を見つける。
「えっ……!?」
 驚きの声が、表情が、俺に向く。その異常さに、客が俺の方を振り返り、ジャマール達もこっちを向く。
「……へッ、これはこれは!」
 ジャマールは、満面の笑みを浮かべながら仲間たちに合図を送った。すると、10人の黒人共が俺の方を向く。
「え、何?」
「なんだ……?」
 ステージ前の人垣も、不審がりながら左右へと分かれていく。
「おや。期せずして特等席になりましたな」
 俺の端塚が呑気に呟くが、そんなものに構っている余裕はない。

 目の前だ。
 すぐ目の前に、沙綾香がいる。
 ガラスの床にも、無機質なモニターにも遮られていない、生の沙綾香だ。
 顔は上せたように赤く、汗もひどいが、俺の愛してやまない面立ちはそのままに残っている。
 叶うなら、今すぐ立ち上がり、彼女の元に走り寄りたい。邪魔するものは全て殴り倒し、彼女を連れてこの地獄から逃げたい。
 だが、それは叶わぬ夢だ。俺へ釘を刺すように、後ろのセキュリティが警棒の先を背中に宛がってくる。壁際の用心棒共も得物を握り直した。第一、この部屋には祐希も、千代里も、藤花も、桜織もいる。彼女達は舞台の見届け人であると同時に、人質でもあるわけだ。なるほど、よく考えられている。
 ギリッ、と音がした。舞台の上で、沙綾香が歯ぎしりした音だ。
「…………ッ!!!」
 彼女は、本気で怒っていた。燃えるような瞳が、俺の背後のセキュリティと、隣に座る端塚を睨み据える。その迫力に、客の何人かが落ち着きを失くす。
 だが、彼女にできるのはそこまでだ。
「何してる、続けろ!」
 ステージ下に控える手越が、黒人共に檄を飛ばした。その一言で、停滞していた空気が一変する。
「オーライ、ボス。」
 ジャマールはおどけた様子で答え、ショーツから手を引き抜いた。そして愛液塗れの手をこれ見よがしに振って水気を切ると、今度はショーツを脱がしにかかる。
「あ、やっ……!!」
 沙綾香は目を丸くし、俺の方を覗き見ながら抵抗する。だがその手はあっさりとレジャナルドに掴まれ、あっという間に足首までショーツがずり下ろされてしまう。
「そら、とびっきりのプレゼントだ!」
 ジャマールが足首から引き抜いたショーツを翳し、ステージ左手の空中に放り投げる。
「うおおおっ!!」
「どけ、寄越せっ!!」
「ひひひ、こりゃすげぇ! 一晩水に漬けといたみてぇにグショグショだぜ!? これが全部、S級美少女のマン汁なんてよお、贅沢なオカズじゃねえか!!」
 ショーツが落ちた周囲で、醜い争いと興奮気味の声が上がる。それを横目に楽しみながら、ジャマールは沙綾香の右膝を抱え上げた。
「いやあっ!!」
 悲鳴が上がる。右足を90度以上に持ち上げられた沙綾香の声だ。
「今更イヤもねぇだろう。あいつだって、モニター越しにお前のやってきたことを全部観てたんだぜ。なあ“先生”、そうだろ? 俺らのコックでグチャグチャにされたプッシーなんざ、見慣れたもんだよなあ!?」
 ジャマールはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の恥じらいの部分を見せつけてくる。
 改めて目の当たりにするそこは、俺の過去の記憶とは別物だった。ピンクの割れ目の名残もない。黒ずみ、赤く腫れ、上下左右すべて非対称に歪んでいる。だが、別に俺は、それに幻滅することもない。そうなるに至った事情も、変えられていく最中の苦悩も、すべてを見てきたんだから。
「ああ。肉厚で、よく熟した女性器だ。いい女になったじゃないか」
 俺はふてぶてしい笑みを意識しながら、そう言い放ってやる。外道共への当てつけと、沙綾香への慰撫。その両方を意識してのことだ。
「っ!」
 沙綾香が顔を上げた。今にも泣きそうな目尻から、本当に涙が零れていく。
「……ハッ、相変わらずのキザ野郎だな。どういたしまして、だ!」
 ジャマールは不愉快そうに鼻で笑い、傍のレジャナルドとモーリスに目配せする。そして、3人ががりで沙綾香を抱え上げた。両の膝裏に腕を通して持ち上げ、腕を掴み、背中と尻を支える形だ。その状態で、今度はモーリスが秘部に指を挿し入れる。濡れきった割れ目は、太い指3本を簡単に呑み込んだ。
「くっ……あはっ!! あああ゛、あ゛! や゛ああ゛あ゛っ!!」
 割れ目から水音がしはじめると、沙綾香は顔を左右に振って叫ぶ。そんな顔は何度も見たが、この間近で、肉声で聴く泣き声は、鼓膜を通り抜けて心臓を突き刺すかのようだ。
「この、クソ野郎ッ!!!」
 俺は、思わず叫んでいた。存在がバレた以上、もう我慢している必要もない。千代里や藤花が同情的な視線を向けてくるのが、視界の端に見えた。
「ああそうさ、俺はクソ野郎だ。散々そう言われてきたぜ。レイプした女、その親兄弟、そして情けねぇツラで喚き散らす恋人からよお!!」
 モーリスはますます激しく指を動かす。
「やあ、やああっ!!!」
 沙綾香がそう叫んだ直後、抱え上げられた脚がぶるっと震え、鈴の音が響き渡る。どんな喧騒の中でもよく通るその音は、沙綾香自身に絶望的な表情をさせ、それ以外の全員に歪んだ笑みを浮かべさせる。
「そら、俺の指で逝っちまいやがったぜ。きっと、細めのペニスだと思ってんだろうな。懐かしいアンタのサイズでも思い出してるんじゃねえか?」
 モーリスは悪意に満ちた台詞を吐きながら、白い歯を覗かせる。その隣で首を振りながら、嘆きの言葉を連呼するジャマールも実に憎らしい。だが、それ以上に気がかりなのが沙綾香だ。彼女は、どう見てももう限界近い。
「そら、イけ、イッちまえサヤカ!!」
 モーリスがさらに指の動きを早める。沙綾香の痙攣もみるみる激しくなり、首が狂ったように左右に振られる。
「いや、いやあ! んんンっ……くう、う…………あああああっ!!」
 呻きと、叫び。それが何度も繰り返された果てに、絶叫になる。それと同時に、沙綾香の下半身すべてが震え上がり、割れ目からぶしゅっと飛沫が上がった。それは真っ直ぐに前へ飛び、人垣の合間を抜けて、俺の顔に浴びせかかる。
 どっ、と笑いが起きた。客のものか、黒人共のものか。
 前髪から雫が滴る。さっきまで以上に濃い沙綾香の匂いがする。好意的な相手のものだからか、不快感は全くない。こんなひどい状況なのに、下半身に血が巡る。
「はぁ、はぁ、はぁっ……。ああ、やだ…………センセ………………!!」
 沙綾香は激しく喘ぎながら、俺を見て目を細める。俺は、ただその視線を受け止めるしかなかった。この僅かな意思の疎通が、あの子の力となることを祈りながら。


                 ※


 公然で潮を噴かされ、ぐったりとした沙綾香の向こうでは、桜織が5人の黒人共に取り囲まれていた。
 2メートル級の巨躯を前にしても、桜織に尻込みする様子はない。むしろ、露わになった巨根を見て目を輝かせるほどだ。
「んむっ、んちゅうっ……ちゅうっ……れあ、あえっ……はっ、はっ、はっ…………」
 自分の腕と大差ないトラバンの怒張を手のひらで支えつつ、丁寧に竿に舌を這わせ、裏筋を舐め上げていく。モーリス・ダリー・タイロンのトップ3には及ばないものの、顔半分を覆おうかという質量だ。そのインパクトは壮絶だった。
「ははは、あのビッグサイズを大事そうに舐めしゃぶるものだ。可愛い顔をして、中々の変態ぶりじゃないか」
「ええ、全く。すでに息が荒いですからな、よっぽど興奮してるんでしょう」
 客はそんな桜織の様子を見てほくそ笑み、次々に投票ボタンを押し込んでいく。
「えへっ……」
 桜織はマゾという評価を素直に喜び、客の方に目線を向けつつ、ペニスを握り直した。見ていろ、と言わんばかりのその仕草に、何人もの客がステージ上を凝視する。その視線の中心で、桜織はトラバンのペニスを口に含んだ。
「えあっ、あ……あはっ、顎外れちゃう」
 かなり口を開けても咥えきれず、一旦は笑いながら吐き出すが、諦めない。2回目は、肉に食らいつく虎のような大口を開き、巨大な亀頭を一気に咥え込む。挙句そのまま頭を前後させ、本格的にしゃぶりにかかる。
「おおお、すげえ……あのデカブツを一気かよ。しかし、音えっぐいな」
 客が指摘する通り、じゅばっ、じゅばっ、という音がここまで聴こえてくる。下品な音だ。初日のエレベーターに乗り合わせた5人の中で、桜織は最もそのイメージから遠かったというのに。
「ううおおおっ、吸いつきがやべえ……ダメだ出ちまうっ!!!」
 トラバンは、桜織の奉仕に3分と耐えられなかった。呻きながら桜織の額を突き放すと、その鼻先で逸物を扱きだす。それを見て桜織は、舌を突き出して受精に備えた。
「うおおお出るぞっ、出るぞっ!!!」
 トラバンが腰を震わせ、勢いよく精を放つ。相も変わらず凄まじい射精だ。真っ白い粘液が、桜織の舌を一瞬にして覆い尽くす。一般的な人間の10倍、いや20倍は量がありそうだ。
「あんっ、ふふ」
 桜織は笑いながらそれをすべて受け止め、頬を膨らませながら口を閉じる。そして、ごっくん、と音を立てて飲み下した。
「おおお、すげぇ……!」
「あの量を一気かよ……よっぽど飲ザーに慣れてんだな」
 その凄まじいパフォーマンスに、客から感嘆の声が上がる。そんな中、さらに桜織は、射精したばかりのトラバンの鈴口周りへ舌を這わせはじめた。
「おっ!? おいおい、自分からお掃除フェラかよ。できた奴隷だな、ったく」
 トラバンは嬉しそうに笑いながら、腰に手を当てて奉仕を堪能する。
 桜織の後処理は、実に丁寧だ。鈴口に始まり、カリ首、裏筋を、時には舌先でくすぐり、時には舌全体で舐め回すようにして清めていく。見ているだけで下半身が反応する類の奉仕。
「あああ、やべええ……また出る、また出ちまうっ!!」
 性欲の権化のようなトラバンは、たちまち二度目の射精へと導かれた。桜織の小さな手で根元を握られた怒張が、ピクピクと跳ねる。そこをひと舐めされれば、暴発するように精液が噴き出した。直線的だった一回目とは違い、今度はホースの先を握り潰したように四散し、桜織の目元や鼻先、顎へと浴びせかかる。
「ひゃんっ、すごい……」
 桜織は顔中に精液を浴びながらも、嫌がる素振りを見せない。むしろ相手の元気の良さを喜び、顔に掛かった精液を指で掬い取っては、舌先でその味を堪能する。普通の女子高生が、蜂蜜を舐めるような表情で。
「へへへ、そんなにザーメンが好きか。なら、もっとくれてやるぜ。今日一発目の、濃厚なやつをよ!!」
 満足げなトラバンを押しのけ、今度はマーキスが勃起しきった逸物を突きつける。すると、桜織は何の躊躇もなくしゃぶりついた。
「ひひ、夢中だな。どうだ美味ぇか?」
「んぶっ……んぐっ。あはっ、おいひい……おいひぃい……」
 マーキスの問いかけに答えつつ、むしゃぶりつく。剛直を両手で大事そうに握りしめる仕草に、かつての品の良さの名残が感じられて、かえって痛々しい。


                 ※


「へへへ、あっちはずいぶん盛り上がってんじゃねぇか。こっちも始めようぜ」
 モーリスは桜織達のプレイを見て笑い、ゴムパンツをずり下げた。
「おお、お……!」
「うわっ……!?」
 その途端、客から驚きとも悲鳴ともつかない声が上がる。そのはずだ。丸一晩女を抱いていない奴の逸物は、ほぼ真上にいきり勃っている。亀頭が臍を越え、割れた腹筋に届くほどの長さを間近に見れば、誰でも目を疑うだろう。映像越しに何度も見ている俺でさえ、その凶悪さに戦慄しているんだから。
 モーリスはギャラリーの反応に気分を良くしながら、沙綾香の顔に逸物を近づける。
「…………ッ!!」
 沙綾香は、表情を強張らせた。かすかに横へ動き、俺の視線とぶつかる寸前で引き返した眼球が、躊躇の理由を物語っている。
 愛した女性が、他の男……それも、ケダモノのような服役囚の逸物を舐めしゃぶる様など、俺だって見たくはない。とはいえ、俺達に選択権などないのも事実だ。
「早くしろ」
 モーリスと客が、行為を促す。右側モニターの数字も刻一刻と変わり、桜織がポイントを積み上げているのが解る。まごついている暇はない。
 沙綾香が諦めて跪くと、モーリスは腕を組んで仁王立ちになった。いつもなら、沙綾香の頭を掴んでディープスロートを強いるのに、それをしない。
『お友達みたいに、自分で咥えろ』
 その宣言だろう。沙綾香もそれを察したのか、眉の角度を吊り上げる。だが、今さら抵抗しても仕方がない。彼女は大きく息を吐き、逸物を掴んで口を開く。
「んあ、がっ……」
 『あ』と絶叫する口の形。それでも、モーリスの亀頭の直径にはわずかに届かない。そこからさらに口を開き、頬肉が目元を押し上げる角度になったところで、ようやく亀頭を呑み込めるようになる。
「くくくっ、よく顎が外れないものだ」
「本当に、凄い角度だ。あー、ああーっ……うはっ、これはきつい。マネするだけで、吐き気を覚えましたよ」
 客の言う通り、常識外の開口。それですら、沙綾香が味わってきた地獄の片鱗でしかないんだから、気が遠くなる。

 真横アングルでのフェラチオ。飽きるほど目にした光景だ。なのに、2メートル強しか離れていない場所でのそれは、格別に胸に刺さった。
 沙綾香の口や頬が蠢くたび、実に色々な音が鳴る。普段は大半の音がマイクに拾われていなかったらしい。聴き慣れた音に関しても、音質が段違いだ。頬を窄めて顔を前後させるときの、じゅばっ、ちゅばっ、という音は恐ろしくクリアで、鼓膜に粘りつくようだった。
「もっといやらしい音立てろよ、ビッチ!」
「ツバも思いっきり出せ。口ン中に溜めて、チンポに絡めんだよ!」
 必死に奉仕する沙綾香を前に、客が野次を飛ばす。沙綾香は、一瞬相手を睨むものの、その言葉に従った。完全に顔の形が変わるほど頬を狭めると、モーリスの太腿を掴み直し、頭ひとつ分のストロークで顔を前後させる。途端に、音の下品さが増した。じゅばじゅばというフェラチオ音の水気が増し、ぐちゅぐちゅという、口を水でゆすぐような音もしている。
「いひひひっ、すげぇな! とびっきりの美少女のひょっとこフェラはよお!」
「ふふふ、この惨めな顔がたまらんね。街一番、県一番というレベルの女子高生が、こんな……!」
 客は、自分達がさせたパフォーマンスに大喜びだ。何人もがステージ端に張りつき、沙綾香の顔を覗き込みながら逸物を扱きはじめる。沙綾香が眉を顰めても、客は喜ぶばかり。
 激しいストロークに加え、口を目一杯開いているため、時々口の端から唾液が垂れるが、沙綾香はそれをすぐ右手で拭い、その手ごと身体の脇に隠した。手の位置は俺の逆側。俺にだけは惨めなところを見せたくない、という気持ちの顕れだろう。客もそれを察したらしく、俺の意味深な視線を寄越しながら、さらに過激な要求を投げる。
「ほら沙綾香ちゃんよ、お上品に足閉じてんじゃねえぞ。性奴隷がフェラするときはおっぴろげだ」
 その一言で、沙綾香の肩がぴくりと跳ねた。今度は、すぐには反応しない。
「どうした、早くしろ。足開かねぇと、ポイントやらねぇぞ」
 客は沙綾香の羞恥心を愉しみながら、投票ボタンを翳してさらに命じる。卑劣な脅し方だ。だが、沙綾香はそれに従うしかない。この倶楽部の外道共は、義理も人情もない連中だ。もし沙綾香が審査会で勝てなければ、目の前で桜織を責め殺すことだって十分に考えられる。
 沙綾香が足を開けば、すぐに何人もの客が姿勢を低くする。マイクロミニのスカートと黒いハイソックスに囲まれた空間に、生々しい性器が覗く。
「おーっ、見えた見えた。いひひひっ、まったく堪らんのぉ。こんな別嬪が、ワシらのために、“自分から”オメコを見せつけてくるんやから!」
 下劣な行為を求める客の野次は、やはり最低だ。俺ですら腸の煮えくり返るその言葉は、どれだけ沙綾香の心を抉る事だろう。
 それでも沙綾香は、奉仕をやめない。仁王立ちで見下ろすモーリスを睨み上げながら、激しく顔を前後させる。唾液は拭っても拭いきれないほどに滴り、白いブラウスを透けさせていく。


                 ※


 ハードプレイの甲斐あって、沙綾香の周囲はそれなりに盛り上がりはじめた。それでも、モニターの得票数にはかなりの開きがある。沙綾香の27票に比べ、桜織は54……いや、55。刻一刻と数字が変化し、ポイント差が広がっていく。
 差がつく理由として、『空気』の違いもあるだろう。羞恥心や反抗心を保っている沙綾香に対し、客はサディスティックに楽しんでいる。客の要求に従えばある程度のポイントが入るが、そうでない場合は誰もボタンを押そうとしない。一方で桜織の方は、桜織自身がプレイに積極的なせいで、良いと思えばポイントを与える流れができている。だから、桜織の方がポイントが入りやすい。
 ただ、もしポイントの付与ルールが同じでも、やはり桜織の方が抜きんでることになるだろう。理由は単純。桜織のプレイの方が、沙綾香のそれより煽情的だからだ。
 彼女は2人目のマーキスをも果てさせたらしく、今はアンドレを相手にしていた。10人中真ん中のサイズを誇るアンドレの逸物は、けっして小さくない。それでも、桜織は奉仕を苦にするどころか、余裕綽々で様々な技巧を使いこなしていた。
 亀頭周りを舌で舐め回したり、カリ首を舌先で刺激したり。
 奥まで一気に咥え込みながら、顔を左右に傾けたり。
 幹に唇を纏わりつかせ、口を窄めて強烈に吸い上げたり。
 見ているだけで、快感が確信できるテクニックの数々。実際奉仕を受けるアンドレも、目を閉じて天を仰ぎ、体中で心地よさをアピールしている。ただ、本当に衝撃的なのはテクニックの高さじゃない。間違いなく、そこに真心があること──桜織が心の底から、男への奉仕を望んでいること。それが伝わってくるから、余計につらい。
 だが客にしてみれば、それらすべてが興奮材料となるようだ。
「くくくっ。『プロペラ』に『ローリングフェラ』、そして『バキュームフェラ』ときたか。いやあ、気持ちよさそうだねぇ!」
「このサイズの逸物相手に、このスムーズさとは。完全にベテラン娼婦の貫禄ですな!」
「くうっ、見てるだけで射精しそうだ! おい奴隷、アレを真似ろ。この俺を、思いっきり気持ちよく抜いてみせろ!」
 食い入るように桜織の行為を見つめながら、館内着の前をはだけて逸物を扱く。あるいは祐希達を足元に侍らせ、桜織と同じプレイを強要している奴もいた。いずれにせよ、その熱気は相当なものだ。
「すげぇな、あっち……」
「ああ。ひょっとこフェラは結構エロかったけど、あれと比べると見劣りするよなあ」
 沙綾香を囲む客は、桜織の方を見ながら首を振った。モーリスもまた、桜織から視線を戻し、沙綾香に挑むような視線を投げる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」
 沙綾香は一旦怒張を口から出し、モーリスを見上げた。そしてそのまま、ほんの僅かに顔の角度を俺の方に向け、喉を鳴らす。
「どうした、早く」
 客に急かされ、沙綾香は舌を出して鈴口周りを舐めはじめる。さらには亀頭全体を舌全体で上下に舐め、雁首を舌先でなぞる。
「オオウ……!」
 モーリスの口から溜息が漏れた。沙綾香の技巧は、決して低くはない。だが。
「……んー。なんか、違うんだよなぁ」
「下手というわけではないんだがなあ。今ひとつ、迫ってくるものがないな」
 客は微妙な感想だ。そして俺自身、沙綾香の奉仕に桜織ほどのインパクトを感じられない。
 桜織と沙綾香の違いは、熱意だ。桜織は、黒人共への奉仕を心から望んでいるように見える。だが逆に沙綾香は、強いられてやっているだけだ。その積極性の差は、見ている人間にはすぐに解る。同じように舌を動かしていても、伝わってくるものが違う。
「ダメだな。これでは、ポイントはやれんよ」
 客の1人が、首を振りながら投票ボタンを押した。桜織に一票を投じたようだ。
「!!」
 沙綾香がモニターを見上げる。ポイント差はとうとう30を超えた。まだ開始から10分ほどしか経っていないというのに。
「舌が使えないんなら、もうディープスロートでも見せてもらうしかねぇな」
「お、そりゃいいな! あのデカチンを自力で喉奥まで咥えこむとなりゃ、見ものだぜ!」
 客は沙綾香を見下ろし、実質的な命令を下す。モーリスも逸物を口から引き抜き、先端で頬を叩いて挑発する。横顔の一部しか見えない俺にも、沙綾香の表情が曇ったのがわかった。だがその間にも、モニターの得票数は開いていく。悠長に迷っている時間はない。
 沙綾香はまた大口を開け、モーリスの亀頭を咥え込んだ。そして今度は、そこからさらに顎を開く。鼻がほとんど真上を向き、頬に縦線が走る、異常なまでの開口。さっきの沙綾香の迷いは、俺にその顔を見せるのを渋っていたんだと、直感的に理解した。
 俺は、その顔を嫌ったりはしない。苦境に必死で抗う姿が、どんなに惨めだろうが、軽蔑するわけがない。俺はそんな想いを篭めて、沙綾香を見守る。
「おごっ、ご……お゛っ! んごぉ、ほご、ご……おオ゛エ゛ッ!!」
 顔が数センチ前に進むたび、えずき声が漏れた。おおよそ半分ほどを飲み込んだところで、一際ひどい声が漏れ、沙綾香の眼球が俺の方を向く。

 ──幻滅しないで。嫌わないで。

 そんな声が聴こえるようだ。その視線を受け止め、俺は反応に困った。顔を顰めるなど論外だが、笑うのもおかしい。だから、黙って見つめ返すしかない。
「どうした。毎晩咥え込んでるモンだろ、もっと思いきりよくいけよ」
 モーリスは腕を組んだまま俺を見下ろす。勝ち誇った、憎らしい顔だ。
 沙綾香は俺から視線を離すと、震える手でモーリスの腰を掴み、引き付けるようにして顔を進めていく。
「お、おごっ……えおええおえ゛っ!! オ゛う゛っ、もおおええ゛え゛っ!!!」
 抵抗感が強いせいで、喉が開きづらいんだろうか。無理矢理咥えさせられている時より苦しそうだ。
「凄いな。あの小さな口で、黒人の物をあんな深くまで……」
「ディープスロートも仕込み済みだそうですからね。だとしても、衝撃的な画であることには変わりありませんが」
 客の言葉通りだ。制服に身を包んだ美少女が、2メートル級の黒人の足元に跪き、バットの先のような怒張を自ら咥え込む。異常そのものの光景だ。俺は眩暈がしてくるが、客共は随分と楽しんでいるらしい。
「そら、もっと深く咥えろ。お友達がしているようにな!」
 舞台下では、4人の客が仁王立ちで並び、百合・祐希・千代里・藤花の4人に逸物を咥えさせていた。
「う゛っ、お゛え゛っ……!!」
「おエエ゛っ、もぐぉおお゛っ!!」
 4人からはえずきが漏れている。客のペニスサイズはごく常識的なレベルだが、根元まで咥えさせられれば、さすがに苦しいようだ。あるいは、知り合いと横並びで凌辱される羞恥のせいかもしれないが。
「ごおっ、んぼぇっ!! ウ゛ォエ゛っ、お゛っ、おぶぇえ゛っ!!」
 それでもやはり、沙綾香の反応は一際大きい。えずき上げる瞬間には、百合達4人の声が完全に掻き消される。
「ひひひっ、苦しそうだな。今にも吐きそうじゃねえか!」
「まあ、なんつってもあのサイズだからな。飲み込むたんびに、喉がボッコリ膨らんでっしよ。普通なら吐く吐かねぇ以前に、気絶してるかアゴ外れてんぜ。よく調教されてるもんだよ、まったく」
「いや、まだまだ。VIPエリアの奴隷なら、もっと楽しませてもらわんと。そら奴隷、もっとえずけ。いい声を聞かせたらポイントをやるぞ!」
 客は沙綾香の苦しみぶりを茶化しつつ、よりハードな奉仕を求めていた。沙綾香はそんな客を嫌そうに見下ろしつつも、その言葉に従うしかない。モーリスの太腿付け根を腕で抱え込み、抱きつくようにして顔を前後させる。
「おう゛っ、オオ゛っ、んもおおえっ!! ごぼっ、んぼぉお゛えっ!!」
 声が、より酷さを増した。喉が詰まって息ができないせいか、鼻水も噴き出しはじめた。やがて、深く腰を落とした足がプルプルと震え、堪らずといった様子で逸物が吐き出される。
「おえ゛ぅあ゛っ!! んォおぼっ、ごほっ……こぽっ!!」
 悲痛な声と共に、粘液の塊が吐き出される。嘔吐と見紛うような量だ。
「はっはっはっは、あのツラ! 最高だな!!」
「いやまったく。あの上等そうな娘が、こうも惨めになるとは!」
 客は、そうした沙綾香の反応すべてをあげつらい、物笑いの種にした。
「…………ッ!!」
 ひとしきり粘液を吐き出した沙綾香は、野次を飛ばした客に鋭い眼を向ける。だが、桜織側のポイントが次々と積み上がっていく中では、すぐに行為に戻るしかない。
 剛直を呑み込む過程で美貌が歪み、えずき声が漏れはじめる。客共は、睨まれた報復か、そんな沙綾香へ容赦なく野次を飛ばした。それは容赦なく沙綾香の心を抉っただろうが、中でも厄介なのは、同性の女から発された、この一言だ。
「ねえ。この子、イラマチオで感じてない? 腰ヒクヒクしてるけど」
 男性客が沙綾香の歪んだ美貌に執着している中、その女は中腰になり、沙綾香のスカートの中を凝視していた。
「え、まさか……」
 別の客が目を凝らす。その反応を見て取ったモーリスは、沙綾香の奉仕を受けながら立ち位置を変える。沙綾香の尻が、ステージの端ぎりぎり……客の目の前へ来るように。ハードプレイのため、蹲踞に近い格好を取っている今、マイクロミニのスカートの中身が良く見える。
「もお゛ぐっ!?」
 沙綾香が目を剥きながら後ろを見やる。一方で、客は嬉々として食いついた。
「おおお、本当だ! ヴァギナが物欲しそうに蠢いているぞ!」
「ははははっ、やらしい動きだな! チンポが欲しくって仕方ないらしいぜ!」
 恥じらいの場所に、脂ぎった視線が集中し、悪意に満ちた言葉が浴びせられる。その状況は、多感な時期の少女にとって、どれほど辛いことだろう。無反応ではいられない。怒張を呑み込む動きを続けつつも、踵が浮き上がり、割れ目がより激しくひくつく。
 そして、数秒後。

 ────リン────

 通りの良い鈴の音が、鳴り響く。桜織の方からは何度となく聴こえている音だが、今の発信源はあっちじゃない。
「あはっ……」
 桜織が音に気付き、面白そうに沙綾香を見たのが、何よりの証拠だ。
「うははははっ!! この娘、イキおった!!」
「おいおいおい、マジかよ!? あんな、喉が膨れ上がるぐらいのデカマラ咥え込んで感じるとか、信じらんねぇ!!」
「えげつねぇ変態っぷりだ! もし俺の彼女がこんなになっちまったら、自殺モンだぜ!!」
 客は、ここぞとばかりに悪意を爆発させた。腹の底から嘲笑し、嘲り、俺の方にまで侮蔑の言葉を投げかける。こういう連中の嗅覚には恐れ入る。獣が血の匂いを嗅ぎつけるように、俺と沙綾香の心を一番抉るやり口を、直感的に理解している。
 俺の心も痛むが、それより沙綾香が心配でならない。俺の位置からは背中側しか見えないが、それでも彼女の手が、脚が、嘆いているように思えてならない。
「へへへ、セルフイラマで絶頂とはな。オイ、お前も口マンコ調教されたんだろ? 喉奥だけでイクなんてこと、あると思うか?」
 客の1人が千代里に問いかける。口調こそ疑問形だが、すでに答えを確信しているに違いない。
「ぶはっ、んはぁ、はぁ……あ、あると、思います。私も、沙綾香も、喉で感じるように調教されましたから……」
 逸物を引き抜かれた千代里は、息を荒げたままそう答える。赤らんだ頬、潤んだ瞳。明らかに発情している表情だ。
「そうかそうか。カワイイ顔して、喉マンコで感じるのか、この変態が!」
 色気のある童顔にあてられたのか、男の1人が千代里の腰を掴み、ショーツをずらして挿入を果たす。声楽家らしい千代里の喉から、ソプラノの悲鳴が上がる。
 その少し上では、依然として沙綾香の被虐が続いていた。
「おーおー。鼻水も涎も、すげぇ量になってきたな」
「マンコがクパクパ開いてんぜ。上が詰まってるもんで、下のお口から酸素補給してるってかあ!?」
 ごえっ、おえっ、というえずきと、鼻水を噴き出す音。それと呼応するような割れ目のひくつき。それらは全て近くの客に指摘され、嘲笑される。
 そうした悪意は、沙綾香に対して有効だ。あの子は、性に奔放そうな見た目とは裏腹に、どこまでも純真で、繊細だから。
「うぐっ、ぶふっ!! んっぐ、んべえっ……ふごおおお゛っ!!!」
 沙綾香は、息を乱れさせ、何度も噎せ返った末に、太腿を病的に強張らせた。そして直後、割れ目からぷしゃっと飛沫が散る。同時に、リン、と鈴の音も鳴った。
「ぎゃっはっはっ!! こいつ、とうとう潮噴きやがった!!」
「しかも、イキながらな。俺らの言葉責めで興奮しちまったか、このドマゾが!!」
 客はゲラゲラと笑いながら、ステージに手を伸ばして沙綾香の尻を叩く。ステージの内外に存在する一線を越える行為。それを見ても、立会人である手越とロドニーは口を挟まない。となれば、客が図に乗るのは明白だった。
「うひひ、凄いな……愛液がトロトロ出っぱなしだ」
「陰唇は黒ずんでいるが、中は綺麗なピンクだな。フフフ、悪くないじゃないか」
 客の指が、沙綾香の秘所を割りひらく。嘲笑を伴う視線が、その奥を覗き込む。
「もごっ、えあ゛っ……!!」
 沙綾香は怒張を半ば吐き出しつつ抗議するが、モーリスはそれを許さない。大きな掌で沙綾香の後頭部を抱え込み、ディープスロートを続行させる。
 3人の客が、沙綾香の割れ目に指を差し込んだ。奴ら自身の体が邪魔で、指の動かし方は見えない。だが、ああいった手合いのやる事は決まっている。割れ目の中を押し開きながら、膣内のスポットを刺激しているに違いない。
「んぐっ、もごおお゛っ!!」
 沙綾香の口から呻きが漏れ、腰が左右に揺れる。リン、リン、と鈴の音が鳴る。そんな状態でさらに、指入れしている3人のうちで一番年長の男が、他2人を下がらせた。そして押し開いた割れ目へと口をつけ、全体を舐め回す。
「おほほ、旨い旨い! さすが極上美少女のツユだ、格別に下半身に響くぞ!!」
 奴の興奮ぶりは相当だ。禿げ上がった頭にミニスカートの一部を被せ、腿の肉を鷲掴みにしたまま、無我夢中で割れ目を舐め回す。とはいえ、その心情自体は理解できる。ニーソックスに引き締められた美脚は、あまりにも妖艶だ。俺が奴の立場でも、理性を保てるかはわからない。
「くそ、いいなあSさん……!」
「会員番号振りかざされちゃ譲るしかねぇが、俺も舐めたいぜ!」
「気持ちよさそうに腰揺らしやがって。父親みたいな歳の親父に、マンコ舐められて興奮すんのかよ!?」
 他の客は、男の行為を羨みつつ、せめてもの憂さ晴らしに沙綾香を野次る。男の舐りで鈴の音が鳴り響けば、大いに笑い飛ばす。

「……あはっ。あっち、盛り上がってる」
 沙綾香の状況に気づき、桜織が笑みを浮かべた。彼女は、翻弄されるばかりの沙綾香とは違い、明らかに場を支配している。今はダーナル相手に口で奉仕しているが、当のダーナルは床に腰を下ろし、両脚を投げ出して身を委ねきっている状態だ。
「ヘイ、プリティガール。やめないでくれよ、もう少しで気持ちよくなれるんだ」
 顔中から汗を垂らしつつ、ダーナルが囁く。すると桜織はダーナルに向き直り、スカートをたくし上げながらその上に跨った。
「いいよ。そろそろ、こっちにちょうだい」
 頬を紅潮させてそう囁き返す姿に、清楚さなど影もない。
 桜織の小さな手が剛直を支え、未熟な尻が沈んでいく。桜織は、沙綾香以上に小柄だ。マーキスとの体格差となれば、成人と小学校低学年のそれに近い。普通に考えるなら、性器の挿入など無謀だ。だが、それは果たされる。桜織自身の意思と、その数十キロの自重でもって。
「おおお゛お゛お゛お゛っ!!!!!」
 怒張が半ばほど入り込んだ時点で、桜織は凄まじい声を漏らした。咆哮、と表現した方が近いかもしれない。俺に背を向ける格好だから顔は見えないが、どういう表情をしているのかは想像がついた。
「ひいっ、すごい、すごいっ!! 太くて、おっきくて、こんなに硬い! もう、一番奥まで届いちゃった!!」
 桜織は興奮気味に訴えながら、腰を上下に打ちつける。黒い極太が白い尻肉の中へと、より深く入り込んでいく。
「あはっ、あんっ、あんっ!! エラの張ったカリ首が、奥の襞をゾリゾリ擦るのっ!! こんなの、日本人じゃ味わえない……気持ちいいよおっ!! だめだめイキそうっ、あ゛ァあ゛イグぅううっ!!!!」
 桜織の興奮は止まらない。汁を飛ばしながら腰を上下させ、絶頂を訴える。その言葉を裏付けるかのように、リン、リン、リン、リン、と鈴の音が鳴り響く。
「がはははっ、こりゃあ堪らんぜ! プッシーは小ぶりだが、よく濡れてやがる!」
 マーキスも大笑いだ。何度も膝が浮いているところからも、相当な快感が伝わってくる。
「そりゃいいな。お前でそれなら、俺らのコックだとさらにキツく思えるわけだ!」
「いいねえ、早く替わってくれよ!」
 他の黒人共も、桜織のセックスを前に興奮を隠せない。そして、その願いはすぐに果たされることになった。
「んあ゛ァっ、あん、あ゛んっ!! また、中で大きく……ほぁああ゛っ!!! おっ、奥に当たるっ、あ゛っ、あああ゛っ、い゛いいっ!!」
 桜織は、自らの意思で膣奥を虐め抜く。マーキスの肩に両手をつき、腰を上下に振る様子は、完全に逆レイプの有り様だ。
「ぬぐうううっ……おいおいおい、マジかよ!! この俺が、こんなガキに……ファアックッ!!!!」
 マーキスは、さっきの喜びぶりから一転、屈辱に顔を歪めていた。連中は強姦魔だ。女性に主導権を握られ、絶頂させられるのを屈辱と感じるんだろう。だが、そんな抵抗も長くは続かない。歯を食いしばって上半身を起こしたところへ抱きつかれ、そのまま強烈な腰遣いで絶頂へと導かれる。
「あ、あ、きた、きたあっ!! すごい、ああ、すごい量!! なにこれえっ!?」
 桜織の言葉を聞けば、射精が始まったことがすぐに判った。
「ぬぐうう、ぐうあああっ……!!」
 マーキスの反応は珍しいものだ。いつもケダモノじみた笑みと共に精を注ぎ込むあの男が、床の上で拳を握りしめている。
 そのまま数十秒が経過したところで、ようやく桜織が腰を浮かせた。開ききった割れ目から、次々に精液があふれ出し、マーキスの脚を白く染めていく。
「すっげぇ……!!」
「いや、本当にこれは……!!」
 客はその一連のプレイを前に、言葉を失くし、操られたように投票ボタンを叩くばかりだ。

「大したもんだな、お前のお友達は。俺もイキたくなっちまった。そろそろ、ラストスパートといこうぜ!」
 モーリスが沙綾香の頭を掴み、前後に動かす。
「んぶオ゛っ!? ヴォエ゛ッ、うお゛、んぐっ、うぉお゛ええエ゛ッ!!」
 沙綾香は目を見開き、苦しそうな声を漏らす。奉仕を突然強要される事への困惑。公然で大股を開かされたまま、秘部を舐められる恥辱。その両方が原因だろう。だがその反応が、結果としてモーリスを満足させる。
「おおおいいぞ! 喉がいつもより窄まって、カリ首にコリコリ擦れやがる! いいぞ、イクぞ! 全部呑み込めよっ!!」
 モーリスは吼えるように叫ぶと、沙綾香の頭を引き付けたまま射精に入る。至近距離で見れば、どくっ、どくっ、と精液が送り込まれているのが感覚でわかった。それが数十秒たっぷり続くんだから、人間離れも甚だしい。
「ぶはっ!!」
 ようやく怒張が引き抜かれた時、沙綾香の口内は白濁で満たされていた。栗の花とも形容される独特の精液臭が、猛烈に臭ってくる。それを口一杯に注がれば、精液以外の情報を脳が処理してくれないだろう。
 しかし、周囲はいつもそんな沙綾香に、新たな情報を与えていく。
「ふふふ。口にザーメンを注がれた途端、また愛液があふれてきたぞ。もうチンポが欲しくて仕方ないんだろう?」
 沙綾香の割れ目に舌を這わせていた男が、醜悪な笑みを浮かべた。
「マンコがヒクヒクしてるもんな、ヤリてぇんだろ? だったら、お願いしてみろよ。犯してください、お願いしますってよ!!」
 他の客も便乗し、沙綾香に恥辱の仕草を迫る。
「そ、そんな……の……っ!」
 沙綾香は、露骨に戸惑いを見せた。また、瞳が揺れている。決断の枷になっているのは、俺の存在らしい。
 だが、彼女が欲求不満なのは事実だ。彼女はここへ来るまで、何時間にも渡って焦らされつづけている。思いきり快感を得たいという気持ちが、ないはずがない。
「どうした、早くしろよ!」
 客の指が勃起したクリトリスを圧し潰し、割れ目に沈み込むだけで、沙綾香の喉から悲痛な声が漏れる。
 さらに、沙綾香が視線を逃がした先には、投票ボタンの結果を反映するモニターがあった。沙綾香は現在36票、対する桜織は100の大台に乗っている。トリプルスコア……もはや、迷っている暇はない。
「ぷ……プリーズ、ファッ、ク……ミー……」
 沙綾香は顔を赤らめながら、黒人共に向けて懇願する。黒人共は笑った。だから、聞こえてはいるはずなんだ。それでも奴らは、頷かない。
「ああん? なんだ、よく聴こえねぇぞ」
 レジャナルドがわざとらしく耳に手を当て、沙綾香の方に身を傾ける。
「それじゃ聴こえんだろう。もっと大きい声で言いなさい!」
「姿勢もなってねえなあ。奴隷の懇願っつったら、土下座だろ!?」
 サディズムに国境はない。ステージを見上げる客の笑みもまた、黒人共に瓜二つだ。
 ギリッ、と奥歯を鳴らす音がする。ミニスカートの横で、二つの拳が握りしめられる。
 そして沙綾香は、床に膝をついたまま頭を下げ、すうっと息を吸い込む。
「…………プリーズ、ファック、ミーッ!!」
 強いられた渾身の叫び。それは、フロア内に響き渡った。桜織に夢中だった連中すら振り返ったほどだ。
 そして、笑いが沸き起こる。ゲラゲラと、心底楽しげに。一生で何度出遭えるかという美少女に、生まれたままの姿で土下座させ、セックスを懇願させるんだ。性癖の歪んだ人間にとっては、さぞや愉快なショーだろう。
「おーおー、あんな大声で! まったく、今どきの女子は恥じらいというものがないな!」
「ですなあ。ウチの娘があんなことをしたら、情けなくて泣けてきますよ!」
「まあまあ。色狂いの“ビッチ”なんですから、仕方ないでしょう。我々はせいぜい、愛する人間がこの倶楽部の標的にならないよう、うまく立ち回っていきましょう」
 飛び交う野次にも、いつも以上の悪意が篭もっている。微かに震える沙綾香の背中や、握り込まれる足指も、連中にしてみれば興奮を煽る材料だろう。
 もちろん、嬉しそうにしているのは黒人共も同じだ。見開いた目を血走らせ、鼻息を荒げ、そり勃った怒張を震わせている。数時間で禁断症状が出るほどの絶倫連中が、丸一日お預けを喰らってるんだ。すでに性欲は限界だろう。それでも沙綾香に飛び掛からないのは、性欲をも上回る嗜虐心からか。
「オーケイ」
 レジャナルドが沙綾香に近づき、腕を取って立ち上がらせる。わざとだろうが、俺の方に顔が向く形でだ。
「…………っ!」
 沙綾香は、一瞬俺と合いそうになる視線を逸らした。その眼元から続く、涙の線が痛々しい。レジャナルドはそんな沙綾香に中腰の姿勢を取らせ、背後に回った。
「へへへ、すげぇな。プッシーが充血しきって、膨らんでやがる」
 奴は、掴んだ逸物を割れ目に押し付けているようだが、なかなか挿入しない。腰を進めるフリはするが、逸物は尻や股の方に逸れていく。
 とはいえ、それが見所になってしまうのが巨根の恐ろしいところだ。尻側に逸れる時、怒張の先端は尻肉の膨らみを越え、背筋にまで達する。股座から黒い棒が覗く様は、沙綾香から逸物が生えているかのようだ。客はそのジョーク行動を笑いながらも、これから挿入されるペニスの大きさを、改めて思い知ったに違いない。
「……早くしてよ……」
 沙綾香は、両手を膝に置いて姿勢を安定させながら、苛立たしげに後ろを振り返る。するとレジャナルドは、それを待っていたと言わんばかりに動きを変えた。片手で逸物を掴み、片手で沙綾香の腰を掴んだまま、ゆっくりと腰を進める。
 今度こそは、間違いなく挿入されているらしい。それは、沙綾香の顔を見れば明らかだ。
「あ……っあ」
 開いた口から声を漏らし、斜め上を凝視する。初めて黒人のペニスを味わうかのような反応だ。レジャナルドはその反応に笑みを浮かべつつ、両手を腰に添えた。そしてその手を引きつけつつ、一気に腰を送り込む。
「はアアァッッ!?」
 沙綾香の反応は、激しかった。目と口を大きく開き、腰を震わせる。リン、と鳴り響く鈴の音に、何の違和感も抱けない。
「ひひひっ! あいつ、挿れられただけでイキやがった! まだ二十歳にもなってねぇガキのくせに、ポルチオが開発されきってるらしいな?」
「ああ。音が無くても判るイキっぷりだな。気持ちよさそうな顔しやがって!」
 客の言葉は腹立たしいが、納得してしまう。確かに、沙綾香は気持ちがよさそうだ。眉を垂れ下げて「本意ではない」と訴えているのが、せめてもの救いか。
 挿入を果たしたレジャナルドは、意外にもすぐには動かない。腰から手を離し、沙綾香の胸をブレザー越しに揉みしだきながら、密着状態を保っている。俺も沙綾香とセックスした時、よくやった。挿入後にああしてじっとしていると、膣がペニスに纏わりついてくるんだ。
「クククッ、締まってきた、締まってきた! ヒクヒクしながら吸いついてくるこの感じ、最高だぜ!」
 数秒経って、レジャナルドが嬉しそうな声を上げた。俺でさえ、あのフィット感には歓喜したものだ。奴ほどのサイズとなれば、なおさら気持ち良いだろう。
 
 レジャナルドは、本格的に腰を使いはじめた。沙綾香の下腹を抱え込み、腰を思いきり打ちつける。パァンパァンという音が響き渡る。
「や……そこ掴むの、やめっ……んぐうう゛っ!!」
 沙綾香はレジャナルドの手を掴んで抵抗するが、それも数秒のこと。
「ぃッ、うぐぅうーーッ!!!」
 レジャナルドがグッグッと腰を押し込む中で、歯を食いしばりながら痙攣する。鈴の音で絶頂を明かされながら。
 俺は、思わず生唾を呑んだ。他人の手による沙綾香の絶頂は、これまで嫌と言うほど見てきた。ただしそれは、常にモニターや、分厚いガラス越しでのことだ。匂いも、熱気すら伝わってくるこの距離で目の当たりにすると、本当に胸が締め付けられる。動悸が激しく、心臓が爆発しそうだ。
 その緊張が伝わったのか。沙綾香が一瞬、俺を見る。恥辱に歪んではいるが、俺のよく知る彼女の顔だ。愛おしい。今すぐ彼女を抱きすくめたい。だが、それは叶わぬ夢。
 そんな俺に向け、レジャナルドは舌を出した。
「ひっひっ、きたきた。この、イった時の締め付けがまた堪んねぇや。だがようサヤカ、お前だってもう俺のコックから離れらんねえだろ? ジャパニーズの短小じゃ、“ここ”をカリで抉るのは無理だろうからな!」
 当てつけがましくそう言いながら、より激しく沙綾香を犯す。肉のぶつかる音と、攪拌される水音が秒以下の速さで繰り返される。
「んう゛ぃっ!! はっ、はぁっぐ、うっ……っふうっ、ひっ! ぅうう゛、うう゛う゛っ!!」
 沙綾香は必死に声を殺そうとするが、絶頂直後の敏感な状態では耐えきれない。太腿は痙攣し、腰は激しくうねる。突き込みを嫌がっているのか、あるいは無意識に迎える動きをしているのか。
 リン、リン、と鈴の音が鳴り、とうとう沙綾香の上体が崩れかかった。だが、レジャナルドはその下腕を掴んで突き続ける。無理を押し通してのセックス。当然、変化が起きないはずがない。
「ああぁダメ、無理……無理ぃい…………っ!!」
 沙綾香は俯き、長い髪の中に顔を隠した。
「んだよ、おい。顔が見えねぇぞ!」
「まあまあ、そのうち頭を上げるでしょう。それより今は、カラダの方を堪能しましょう。乳房が揺れて、肋骨が浮いて……絶品ですよ?」
「確かに、これは凄い。こういう安易な表現は嫌いですが、完璧なスタイルとしか言いようがないですなあ!」
「同感だ。めちゃくちゃ細ぇのに柔らかそうで、出るトコは出てよ。男を発情させるためのカラダって感じだぜ!」
 客は今にも涎を垂らしそうだ。その視線に晒される沙綾香の喘ぎは、刻一刻と激しくなっていく。よく聴けば、ピストン音も変わっているようだ。さっきまではブチュブチュ、という感じだったものが、グプグプという響きに変わっている。その意味はわからないが、沙綾香を追い詰める結果に繋がっているのは間違いない。
「はぁ、はぁっ……あ、あっあ……ぐっ、んぐっ……ああああっ!!」
 沙綾香の我慢も限界のようだ。中腰が深まり、脚の震えが酷くなる。腕を引き絞られていなければ、そのまま崩れ落ちているに違いない。
「いつも以上に感じまくってんな。大好きな先生と、同郷のサルに観られながらよ!!」
 レジャナルドはそう茶化しながら、ここで最後の追い込みに掛かった。掴む場所を上腕に変え、強引に沙綾香の背を反らせた上で、思いきり腰を叩き込む。一時的に聞こえづらくなっていたパンパンという音が、再び大音量で響きはじめる。
「はああぁっ!? やめ、激し……っ!!」
 沙綾香は目を見開き、レジャナルドの下腹を手で押しやるが、ピストンは一切緩まらない。
「くあっ、ああっ!! あーっ、あーーーっ!!!」
 喘ぎ声が、泣き声に変わる。華奢な腰からつま先にかけてが、絶頂へ向けて一直線に進んでいくのがわかる。
「…………みな……ぃ、で…………」
 最後の最後、かろうじて聴きとれる声でそう囁いた直後、沙綾香は震え上がった。
「はァ……んっ!!!」
 顔が天井を向くほどに背を反らし、全身で大きな弧を描きながら、ブルブルと痙攣しつづける。股間から流れ出る体液の量から見て、潮も噴いたのか。リン、という澄んだ鈴の音が白々しく聴こえるほど、深い絶頂だ。
「はははははっ! すんげぇイキ方してんな、キメセクの最後の方みてぇだ!」
「立ちバックでハメ潮とか、よっぽど気持ちよかったんだな!」
 客は投票ボタンを押し込みながら、沙綾香の絶頂を口々に揶揄する。
「深く絶頂したものですね。溜まりに溜まった肉欲を一気に解放した時の快感は、他に並ぶものがございません」
 俺の横でも、端塚がワイングラス片手に笑みを浮かべていた。すべては計画通り、と言わんばかりだ。
「どうだ、俺のコックは格別だろ? 昨日お預けされてた分、余計に感じちまうんだよな? いいぜ、たっぷり味わわせてやる。好きなだけイけ!!」
 レジャナルドはそう叫びながら沙綾香の肩を掴み、激しいピストンを再開する。
「あああぁ……まぁ……待って、ぇ……い、いまっ……イッたばっか……んはっ、ああああっ!! あッ、あッ、あッ、あッ!!!」
 沙綾香は明らかに嫌がっていたが、太い腕で両肩を掴まれては逃げられない。歯並びが見えるほど口を開き、視線を上空に投げたまま汗を垂らす。リン、リン、と鈴の音も鳴っていた。さっきは白々しく思えたのに、今はその音が恐ろしい。その音が鳴るたび、沙綾香の絶頂を理解してしまう。
 レジャナルドは、気持ちよさそうにセックスをこなしていた。長大な逸物をたっぷりと引き抜き、叩き込む。ブジュウッ、ブジュウッ、と凄まじい音をさせながら。
「いいぜ、いいぜ……そろそろだ。フーッ、フーッ……おおぉし来たぁっ!! たっぷり注ぎ込んでやるからなッ!!」
 奴は喚きながら腰を打ちつけ、腰を密着させて射精に入った。黒い肌の中、よく目立つ白い眼が俺を見て笑う。
「ううう゛……!!」
 沙綾香は俯きがちになり、歯を食いしばっていた。
 サイズ違いの剛直を奥まで突っ込まれ、おそらく子宮口に密着した状態で、好きでもない男の子種を注がれる。しかもそれを、ほんの数メートルという距離で俺に見られるんだ。どんな気分になることだろう。

「おいおい……まだ出してんのか、アレ?」
「ウシか何かみたいだな……」
「よく見りゃ、チンポだけじゃなくて、タマもエグイほどでけぇからな。そりゃ量出るわ」
 5秒経っても射精しつづけるレジャナルドを見て、客がどよめきだす。そんな中、たっぷり10秒以上が経ったところで、ようやく腰が引かれた。同時に肩も解放され、沙綾香はその場にへたり込む。
「おい。ザーメンどんだけ出されたか、見せてみろよ!」
 客は、僅かな休息さえ許さない。想像を超える射精量を見たい一心で、疲労困憊の沙綾香に無理を強いる。
「…………っ。」
 沙綾香は震えながら中腰に戻り、スカートをたくし上げた。すぐに人垣ができ、肝心な部分は俺の視界から隠れるが、沙綾香にとってはむしろ救いだろう。
「うおおお、すげぇ!!」
「量もやべえけど、濃さも半端ねぇな。ヨーグルトみてぇだ」
「うほほ、これは! 一度で妊娠確実だな」
 客から驚きの声が上がる。その好奇の視線を受けながら目を閉じる沙綾香は、ひどく令嬢らしい。元々が上品な顔の作りだし、汗の滴る様子が奥ゆかしさを増している。そんな令嬢を前に……いや、だからこそか、客はより一層の無様さを求めた。
「よお、コッチよく見えねぇぞ!」
「もっと良く見えるように、ケツ向けて穴拡げろ!」
 沙綾香の正面から離れた場所にいる客が、不満を口にする。沙綾香は迷惑そうに眼を開くが、便乗して大勢の客が騒ぎ出すと、その要求に従わざるを得なくなる。
 膝立ちになり、尻を向け。
「もっとケツ上げろ!」
「もっと指で、グバーッと拡げんだよ!!」
 客の命令通りに、あられもない姿を晒す。
「ぎゃはははっ! すげぇなこの絵面よ!!」
「脚の形はサイコーなのに、マンコはグチャグチャ、ケツはガバガバ。調教ってこえー」
「おっ、見ろよ。また奥から垂れてきたぜ!」
「うっへえ、また結構出るな。グラス半分ぐらいねーか、この量……」
 客は、野次を自重しない。思いついたままに感想をぶつけ、沙綾香の心を抉っていく。
 ひどい状況だ。ピンクの粘膜からぽたりぽたりと滴る粘液が、俺には沙綾香の涙に思えた。


                 ※


 恥辱に震える沙綾香の背後で、モニターの数字が変わっていく。沙綾香側の投票数も増えてはいるが、桜織の伸びには届かない。
 桜織は、黒人とのセックスを堪能していた。どう見ても無理のあるサイズのペニスに跨り、笑顔で腰を振っている。
「あはっ、すごぉい……子宮、ジンジンする……っ!」
 桜織が自ら下腹を刺激しながら、さらに腰の上下運動を早めた。パンパンパンパンという音が響き、乗られる側のジャマールが顔を顰める。
「ぐうううっ!! すっげぇ、搾り取られる……!!」
 その悲鳴に近い声を聴き、桜織は笑みを深めた。そして、さらに激しく責めたてる。暴れるジャマールの足首を抱え上げ、完全優位の格好で腰を振る。
「ジーザスッ!!」
 ジャマールはまた呻いた。歪んだ顔は、悲壮とも歓喜とも取れるものだ。
「へへへ、ビッチここに極まれりってか」
「よう。まるで逆レイプされてるみてぇだぜ、兄弟!」
 ダーナルやダリーからそう茶化されても、ジャマールに反論する余裕はない。桜織が、目を見開き、舌を突き出し、いよいよ無我夢中という表情で『犯し』にかかったからだ。
「お゛っ、お゛、お゛っ!! ほおおおっ、ふおおお゛っ……!!」
 声にも、顔にも、腰の振り方にも、正気が感じられない。その小さなモンスターの性器に捉えられたまま、ジャマールが白い歯を食いしばる。
「アアアアオウッ、出る、出るぞっ!! このリトルプッシーの中に、思いっきりぶちまけるぞ、いいんだな!?」
 最後の矜持か、恫喝に近い口調でそう叫ぶが、貪欲な桜織が今さら嫌がるはずもない。
「いいよ、来て……私もイクから、一緒にイこっ!! んっ、ふ……あっ、ビクビクしてる……出して、出して!! 中に、濃いの全部注いでえっ!!! ……あはっ、出てるっ! ドクドク、こんなに……あ、あ゛、あ゛っ、すごおいいっ!!!」
 桜織は中出しを望み、いざ射精の時が来れば、腰を落として深い結合をキープしてみせる。小柄な子だけに、ジャマールの怒張すべては呑み込めない。3割ほどは外に余っている。それでも、膣奥まで届いているのは疑いようもなかった。正真正銘の膣奥射精だ。
 桜織は、ジャマールが息を吐ききってからも1分以上余韻を楽しんでから、ようやく腰を浮かせはじめる。肉付きのあまい尻の間からは、すぐに白い物が零れ落ちた。
「おおっ……!」
 背徳的な光景に、客から溜息が漏れる。すると桜織は、そんな客の方を振り返りつつ、尻だけを高く浮かせてみせた。より割れ目が客の目に入りやすいように。僅かに強まった腹圧で、膣を満たす精液があふれ出すように。
「エロいな……」
「ああ、身体つきはまるっきりガキなのに。なんでこんなにエロいんだ!」
 客は桜織を見ながら、前傾姿勢になっていた。今にも飛び掛かりそうな勢いだ。そしてその空気は、沙綾香を囲む客にも伝播していく。
「せっかくだしよ、横並びにして比べようぜ!」
 誰からともなく、そういう意見が出た。恥じ入る沙綾香と、奔放な桜織。タイプの違う少女が2人いれば、当然の流れではあるが。

 沙綾香と桜織が、ステージ外周……客の方を向いて這う格好を取らされる。
「ああして並んでるとよ、姉妹みてぇだな」
 客の1人が、ステージを見上げてそんな感想を漏らした。確かに、そういう感じがする。高給取りの親を持つ、仲良し姉妹。妹の方は気楽に笑みを振りまき、姉の方は唇を引き結んで涙を堪えている、というところか。
 そんな2人の背後に、山のような巨躯が迫る。“妹”の背後についたのはアンドレ。“姉”の背後についたのはドミニクだ。連中は怒張を扱き上げてアピールしてから、目の前の腰を掴み、尻を掲げさせる。そして、一気に突き込んだ。
「ほおおお゛っああ゛ッ!!!」
 桜織から、凄まじい声が上がった。表情も普通じゃない。目を細め、縦に開いた口から舌を飛び出させる。周りの視線など一切気にせず、ただ黒人のペニスを受け入れた快感をそのままに表している風だ。
 一方、沙綾香は露骨に周りの目を気にしていた。極太が挿入されるその瞬間も、結んだ唇を開かない。眉間に皺を寄せたまま、床だけを睨みつけている。
 まさに、対照的。そんな2人が横並びで犯される様に、客は大喜びだ。
「おいおい“妹ちゃん”、すげぇツラしてんな! ちょっとは“お姉ちゃん”を見習えよ!」
「いやいや。“お姉ちゃん”こそ、“妹ちゃん”みてぇに楽しめって。黒人のぶっといの突っ込まれて、気持ちよくって仕方ねぇんだろ?」
 2人の関係を姉妹と見立てて野次を飛ばす。それを聞いて桜織が笑い、沙綾香を見た。逆に沙綾香は、俯いて床だけを見つめている。ただ、それで視線は隠せても、絶頂までは隠せない。ドミニクが7度目に腰を打ちつけた直後、リン、と鈴の音が鳴る。そしてちょうどその辺りから、彼女の反応が変わりはじめた。
「フーッ、フーッ……んんっ、ふっ、んっ……!!」
 口を閉じたまま視線を揺らし、歯を食いしばったまま顔を振り……そうして、少しずつ追い込まれていく。
「ひひひっ、そろそろ我慢の限界か?」
 反応の変化に気付いてか、ドミニクはより激しく腰を打ちつけはじめた。
「んぐ、あ、あ゛っ!!」
 沙綾香が顎を浮かせたと同時に、鈴の音が絶頂を知らしめる。
「へへへ、出来上がってきたな!!」
 ドミニクは、待っていたとばかりに腰を掴み直し、膝立ちから中腰へ体勢を変える。当然、沙綾香も腰を浮かせる格好となる。何度も絶頂させられている状態で、それは辛い。
「やっ、やめ、て……!!」
 沙綾香は消え入るような声で呻きながら、震える脚を閉じ合わせた。女の子らしいその仕草には、彼女の羞恥がよく表れている。そして、ドミニクがそれを茶化さないはずもない。
「おら、もっと足開けよ。いつもハメてるみてぇによ!」
 口汚く叫びながら、沙綾香の腿をがに股になるまで割りひらく。
「ははははっ、いい格好だぜ!」
「どれだけスタイルのいい美少女でも、ああなっては形無しだな!」
「ああ、スラムのストリップ嬢以下だ!」
 客の野次に、沙綾香は歯を食いしばる。だがそれも、やはり数分ともたない。当然だろう。ドミニクが膝立ちから直立に変わり、腰を使いやすくなったせいで、セックスのハードさが増しているんだから。
「あ、はっ、あっ……あああっ、ああああいや、いやあっ!!」
 沙綾香は脚をバタつかせはじめた。片足の踵で空を蹴り上げる形だ。その激しい抵抗を受けても、ドミニクは動きを止めない。勝利を確信したような顔のまま、沙綾香の細い腰を犯し続ける。
「んっ、んぐっ……んんん゛ん゛ん゛っ!!!」
 沙綾香の喉から悲鳴が上がり、床についた両脚がビンと伸びる。そして同時に、鈴の音が鳴り響いた。誰の目にも明らかな、深い絶頂だ。
 客から嘲笑が沸き起こり、ドミニクも鼻で笑い飛ばす。
「気持ちよさそうにイキやがって、そんなに俺のコックがお気に入りかよ? いいぜ、なら大好きなザーメンをくれてやらあ!!」
 奴がそう宣言してスパートを掛けると、アンドレもまた責めを強めた。肉のぶつかる音が鳴り響き、沙綾香の目元が激しく引き攣る。桜織の声も狂気じみてくる。
「おら、いくぞ! プッシー締めて、最後の一滴まで搾り取れよ!」
 そして、黒人2人は射精に入った。大木の幹のような腰が震え、ドクドクと精液を注ぎ込んでいくのがわかる。
「あ、あ、あああ……っ!」
 桜織と沙綾香の発した声は、よく似ていた。そして、表情も。
「はっはっは、いい顔してやがんなあ!」
「ああ。特に右の女よ、あれ、中出しされながらイってんじゃねぇか?」
「やっぱそうだよな。あんなに渋るポーズしてたくせに、実は気持ちよくて仕方なかったってか!」
 喜びを露わにする桜織と、脱力したような沙綾香。客はそのどちらにも興味を示すが、野次は沙綾香にばかり飛ぶ。そうすれば沙綾香が顔を歪めると解っているからだろう。
 そして、沙綾香を追い詰めようとするのは黒人共も同じだ。ドミニク・アンドレと交代したジャマールとトラバンは、背後から挿入しつつ互いに横を向く。沙綾香と桜織が向かい合うように。
「……ッ!!」
 沙綾香の顔が強張った。彼女にしてみれば、たとえ野次を受けたとしても、客に顔を見られていた方がマシだろう。
「ふーっ、ふーっ……お、う゛っ! んふっ、あ、ああ……ッ!!!」
 最初こそ耐えていた沙綾香も、ジャマールがサディスティックな表情で腰を打ちつける中で、次第に表情を崩していく。何度も絶頂して、敏感さが増しているせいだろう。
「やあっ、あ、あ……んっくううう゛っ!!」
 沙綾香の歯が食いしばられた直後、鈴の音が鳴り、客からまた笑いが起きる。
「今のは本気でイッたな。さ、今度はお前の番だ。お友達以上のイキ顔を見せてみろ!」
 トラバンもほくそ笑み、桜織の腕を掴みながら腰を打ちつける。沙綾香と違い、桜織には感情を隠す気もない。
「おお゛っ、深いィ゛っ!! お゛っ、おおお゛っ、ほお……おっおお゛おぅ゛っ、そこ、そこおぉっ!! んほぉっ、ほおおおおっ!!!」
 大口を開け、満面の笑みで快感を訴える桜織。彼女は小柄なため、犯すトラバンと全く体格が合っていない。今はローファーでかろうじてつま先立ちしている状態だが、その伸びた脚を震わせながら、全身で快感を貪っている。それを目の当たりにして、沙綾香の表情が強張った。
「エロい面ァしやがって。だが、ああなるよなあ。どんな女でも、最後にゃ俺らのコックから離れられなくなるんだ。なあ? お前だって、もう中毒なんだろ?」
 ジャマールが沙綾香の耳元でそう囁きながら、一歩前に出る。それを見てトラバンも前へ歩を進め、沙綾香と桜織の距離が縮まっていく。女性らしい沙綾香の胸の膨らみを、平坦な桜織の胸板が圧し潰す。
「あんっ……!」
「ふう、あ……っ!?」
 甘い声が上がり、鈴の音がフロアに響いた。
「ははははっ、乳首が擦れただけでイっちまってやがる!」
「ああ、とんだ変態ぶりだぜ!」
 客からすかさず野次が飛ぶ。
「ふふふ、変態だって。でも、しょうがないよね。気持ちいいんだもん」
 桜織はその野次を気にも留めず、沙綾香に囁きかける。さらに彼女は、突かれた拍子に開いた沙綾香を唇を奪ってみせた。
「ん、れあっ……あ、あえ、えああ……っ!!」
 沙綾香は驚いて口を離そうとするが、密着した状態では逃げ場がない。一方の桜織は、積極的に舌を絡ませ、ディープキスを強いる。
「おっ、今度はレズかよ!」
「ほほ、極上美少女の絡みは見栄えがいいな!」
「しかも、ゴリラみてぇな黒人に挟みつぶされながらだぜ。画のインパクトがすげぇや!」
 客は大いに盛り上がり、沙綾香と桜織の両方にポイントを加算していく。
 リン、と鈴の音が鳴った。沙綾香と桜織の頭は密着しているため、どっちの機械から鳴った音なのか判別はつかない。だが、目を見開く沙綾香と、そんな沙綾香を前に目を細める桜織の反応を見れば、答えは明示されているようなものだ。
「へへへ。こいつ、レズプレイで感じてやがる」
「そっちもか? このガキもだぜ、膣のうねり具合が一段とエロくなりやがった」
 犯し役のジャマールとトラバンが顔を見合わせて笑い、沙綾香達の腰を掴み直す。すると桜織は、自由になった左手を沙綾香の股座へと伸ばした。場所的にクリトリスを弄っているのか。
「れあっ!!?」
 沙綾香は不自由な悲鳴とと共に腰を震わせ、鈴の音を鳴り響かせる。明らかに桜織を上回る絶頂ペースだ。
「ふはっ、はぁっ、はあ……い、委員長、やめて。こんな、足引っ張るようなこと……。2人で4000回以上イッたら、罰ゲームなんだよ……?」
 唇が離された瞬間、沙綾香が桜織に哀願する。だが、桜織は薄笑みを湛えたまま、沙綾香のクリトリスから手を離さない。
「別にいいじゃない。罰ゲームが何かは知らないけど、きっと興奮できる事でしょ。思いっきり犯されるのか、モノ扱いされるのか……どっちにしても興奮するわ。沙綾香だってそうでしょ?」
「ち、違っ……!」
「うそ」
 沙綾香の否定を、桜織が切って捨てる。
「沙綾香。前から思っていたけれど、貴女って嘘が下手よ。本当の気持ちがすぐ顔に出る。もっと犯されたい、もっと辱められたい、もっと快楽に溺れたい──そう、顔に書いてあるじゃない」
 諭すように語る桜織の顔は、エレベーターで初めて見た時のイメージに近い。
「ちっ、違う、犯されるのは嫌! こんなトコ、今すぐ出たいよ!!」
 沙綾香は目を剥き、必死になって否定する。だが皮肉なことに、まさにその瞬間、ジャマールの逸物がひときわ力強く捻じ込まれた。
「……くんんッ!!!」
 沙綾香の背中が弓なりに反り、ぶるっと震え上がる。そして、当然の事のように、鈴の音が鳴り響く。桜織が、ギャラリーが、『それ見たことか』という笑みを漏らす。
「ち、違う、違うっ!!」
 沙綾香は叫び、顔を振る。痛々しい姿だ。心がいくら踏みとどまろうと、肉体に裏切られてはどうしようもない。それを身を以って知っているからか、祐希、千代里、藤花の3人も、苦い顔で舞台を見上げている。
「素直になればいいのに。こんな幸せ、他にないわよ?」
 桜織は続けてそう囁き、自ら腰を振りはじめる。より深く、より強く、黒人の剛直を膣で呑み込めるように。
「ふ、あ、あっ……あああ゛あ゛きたああ゛っ!! おっおっ、奥っ、ゴリゴリ……きひいいい゛っ!!!」
 桜織の品ある顔はみるみる歪み、快楽の叫びを迸らせる。リン、リン、と鈴の音が断続的に鳴り、立て続けの絶頂を証明する。それを間近で見せつけられる沙綾香は、凍りついていた。唖然とする気持ちもあるだろう。だが同時に、羨む気持ちもあるように思えてしまう。少なくとも彼女の肉体は、快感を求める動きをはじめていた。少しずつ、少しずつ蠢き、絶頂へと近づいていく。鈴の音が桜織のそれと重なるのに、長くはかからない。
「あ、あ、あ……だめっ、いっちゃ……!!」
「あはあっ、ああおおお゛っ!! いいくっ、いくっ、あああああ゛っ!!!」
 2人の美少女が、不似合いなほど大口を開け、快感を訴える。鏡写しのように指を絡ませ、腰をうねらせながら。


                 ※


 親友2人を向かい合わせで犯す。その悪質なやり口が気に入ったのか、黒人共は犯し役が交代しても、体位を変えようとはしなかった。一人が射精すれば、また別の1人が背後から挿入し、沙綾香と桜織を密着させる。
 3人目のレジャナルドは、特に悪質だった。奴は思うさま沙綾香の膣を堪能しながら、血走った眼で尻の穴を凝視していた。
「へへへ。俺のを突っ込まれるたびに、ケツがヒクヒクしてるじゃねぇか」
 奴はそう言うが早いか、沙綾香の尻穴に指を突っ込んだ。中指と人差し指の二本だ。
「ふぁああっ!?」
 完全に不意打ちだったんだろう。沙綾香は目を見開き、背後を振り返る。その初々しさの残る反応は、客にとって格好の笑いの種だ。たちまち投票ボタンが押し込まれ、沙綾香の得票数が伸びていく。だがそれは、沙綾香の顔を屈辱に歪ませるだけだ。
「おうおう、美味そうに指を締め付けやがって。いいぜ、アヌスにもくれてやるよ!」
 レジャナルドは大声でそう宣言し、割れ目から逸物を引き抜いた。そして滴るほどの粘液に塗れたそれを、躊躇なく肛門にねじり込む。
「ふッ、ぐううんんんっ……!!」
 後ろに挿れられた瞬間、沙綾香は伸びあがった。漏れた声も妙だった。嫌がってみせようとするも、甘い声を隠しきれなかった……そんな感じだ。
「あはっ、気持ちよさそう。お尻に入ってるんでしょう?」
 薄い胸で沙綾香の乳房を潰しながら、桜織が囁く。子供が親相手に去勢を張るような構図だが、圧されているのは明らかに沙綾香だ。
「後ろって、そんなにいいの?」
 続けて桜織が囁くと、沙綾香は大きく首を振る。年頃の女の子が、それも友人に向かって、『肛門で感じる』などと告白できるはずもない。だが、レジャナルドはその想いを嘲笑うように挿入を深めた。20センチを悠に超える怒張が、根元まで肛門に入り込む。直腸奥のさらに先まで入り込んでいるのは間違いない。
「ひひひっ、えらくスムーズだ。すっかり結腸に嵌まり込むルートが出来ちまってらあ」
 レジャナルドの発言で、場がざわついた。
「結腸……まさか、直腸から繋がるS字結腸か!?」
「うっへえ。そんなとこ、よく生のチンポで届くな。ま、あのデカチンなら有り得るか」
「いやいや。届くのも驚きですが、問題はあの太さですよ。あの調教師、亀頭なんかテニスボース大じゃないですか。そんな物を結腸に嵌め込まれるなんて……」
「た、確かに!」
 客が興奮気味に言葉を交わす中、レジャナルドは入念に結腸を犯す。沙綾香の肩を鷲掴みにして固定し、中腰の姿勢で数センチ尻を引き、斜め下からぐうっと押し込んでいく。
「……ッ、…………ッッ!!」
 沙綾香は最初、声を完全に殺して耐えていた。目の前……桜織の前髪辺りに睨むような視線を向けたまま、じっとしていた。だが、それも数十秒が限界だ。
 しっかりと床を踏みしめていたローファーが、つま先立ちになっていく。そして、先端が完全に踏みつぶされた瞬間。リン、と鈴の音が鳴った。誰もが固唾を呑んで見守る中、それは嫌になるほどよく通る。桜織を抱くダーナルも、今はわざと腰を止めているため、絶頂したのは沙綾香以外には有り得ない。
「いひひひっ! あいつ、ケツでイキやがった!」
 客の1人が声を上げ、それをきっかけに笑いが起こる。沙綾香は顔を歪めるが、その表情はすぐに絶頂の色に染まった。
「っぉ、おほっ……お、お…………っ!!」
 沙綾香の口が開き、呻き声が漏れる。ニーソックスに包まれていない生足部分に、くっきりと筋肉の筋が浮く。
「ははは、凄い力みぶりだな! アナルレイプらしくなってきたじゃないか」
「アナルどころか、厳密には結腸レイプですからね。結腸って便意を知らせるセンサーが山ほどあるそうですよ。そんな場所をこじ開けられたら、あんな反応にもなるでしょう」
 客が囁き合う中、沙綾香の反応はより激しくなっていく。息は乱れ、全身が震え、そして沙綾香は顔を伏せた。だがその顔を、目の前にいる桜織が両手で持ち上げる。
「うっ!?」
 強引に顎を浮かされて戸惑う沙綾香に、桜織は笑みを向けた。
「顔を見せて、沙綾香。私、知りたいの。結腸で絶頂させられる時、女の子がどんな顔になるのか」
 笑みこそ浮かんでいるが、桜織の目は真剣だ。彼女は学業優秀な生徒らしい。当然、知識欲も旺盛だろう。それが、最悪な形で顕れているらしい。
「い、委員長……や、やめ、て……っ!!」
 桜織に顔を掴まれた沙綾香は、苦しそうに顔を振る。そんな中、レジャナルドが体位を変えた。桜織が沙綾香の顔を掴んでいるのをいいことに、完全な後背位の形で尻を犯す。“突き上げ”よりも遥かにスムーズに動かせる、“突き込み”。膣を使ったセックスと何ら変わらない速度で、剛直が根元まで入り込んでいく。
「ぃあ゛あ゛っ!?」
 沙綾香が悲鳴を上げ、目だけで背後を振り返る。鈴の音が鳴るペースが上がる。
 そして、彼女は震える手でスカートを掴んだ。どんな気持ちでそうしたのか、はっきりとはわからない。だが多分、彼女は拠り所が欲しかったんだ。事実、彼女の表情は、その直後に正気を失った。瞳が焦点を結ばなくなり、熱に浮かされたように上空を見上げる。口から漏れる「おおお」という声も、芯がなくなったようだ。
「うわぁ……」
 桜織は、そんな沙綾香の顔を両側から掴み、見入っていた。口元に湛えた笑みは、嘲笑か、あるいはもっと純粋なものか。
「へへへへ、この窄まりは格別だな。筋かなにか知んねーが、コリコリした輪っかが裏筋を刺激して最高だぜ。喉奥ともまた違う感触だ。もう……出るぞッ!!!」
 好き放題にアナルを犯すレジャナルドは、そう言って射精に入る。腰を密着させた、結腸内部への直射精だ。
「最高だぜサヤカ、お前のアヌスは」
 数十秒後、心地よさそうな溜息と共に射精を終えたレジャナルドが、ようやく腰を引く。極太の栓が外れた肛門からは、すぐに精液があふれ出す。
「すげぇ、まるで白いクソだ!」
「へへへへ、すげぇな。おい、こっち来てよ、自分でケツ開いて見せてみろ!」
 すかさず客から浴びせられる罵声に、沙綾香の眉が吊り上がる。だが、逆らったところで仕方がない。彼女は憮然とした表情のまま、ステージ端まで移動すると、客に尻を向けた。震える指が尻肉に食い込み、左右へと割りひらく。黒人ペニスで拡げられた肛門が、より鮮やかな華を咲かせる。白い蜜を零す紅い華。
「はははっ! 中からどんどんザーメンが溢れてきやがる!」
「っていうか、開きっぱなしね。戻りおっそー。あの巨根にこじ開けられて、括約筋がバカになってるのかしら」
「いや案外、見られたくてわざと開きっぱなしにしてるのかもしんねーぞ?」
「ありえるありえる、ケツでイキまくる変態だもんな! 今のアナルハメで、何回イッたんだ!?」
 客の罵りは止まらない。沙綾香がどれほど顔を歪めようと……いや、その恥じらいがあればこそ、か。


                 ※


 沙綾香はその後も、俺達の目の前で後ろの穴を犯された。沙綾香の長い脚をがに股に開いたまま、立ちバックでのアナルセックス。ステージの外周をその状態で歩き回り、ランダムな位置で立ち止まっては、客のすぐ目の前でセックスを見せつける。
「ほっほ、いやらしい。犯されているのはあくまで尻だというのに、陰唇のヒクつきが止まらんじゃないか!」
「ザーメンに混じって、マン汁が垂れてやがる。マジで感じてやがんだな、ケツでよ!」
 客は沙綾香の恥じらいの部分を凝視し、無遠慮に詰りつづけていた。
「み、見ないで、よ……っ!!!」
 沙綾香は割れ目を手で隠そうとするが、黒人共がそれを許すはずもない。手はすぐに横の誰かに掴み上げられてしまう。さらに犯しているトラバンも、沙綾香の右腿を掴み上げ、大きく股を開かせに掛かった。間違いなくアナルを犯している、と客へ見せつけるように。
「何度拝んでもすげぇな。あんなデカマラが、よくもまぁケツに入るもんだ!」
「ああ。便秘の時のクソ以上だ!」
「いいぜいいぜぇ、もっと浅ましく善がれ! 俺達を愉しませりゃ、ポイントをくれてやるよ!」
 客は手を叩いて笑い、極上の美少女を貶める。悪夢のような状況だが、皮肉なことにポイントの伸びは悪くない。最初の頃の停滞具合が嘘のようだ。

 だが、桜織のハードさはもっと上だった。彼女は今、吊り橋のように担ぎ上げられて犯されている。華奢な身体が、大柄な黒人に前後から犯される──露骨に危機的な状態だ。だが、彼女はそのハードさを喜んでいた。
「んぶはっ……きゃん、はあうんっ、んんっ!! すごっ……そこ、そこおおっ!! こ、これすごい……頭もカラダも、フワフワして……わ、私、どうなっちゃうの……っ!?」
 口が自由になるたび、桜織はそんな言葉を叫ぶ。状況を愉しんでいるとしか思えない言葉だ。
「何叫んでっかわかんねぇが、スゲェだろ。たっぷり咥えろよ、前も後ろもよぉ!」
 マーキスが桜織の顔を掴み直し、逸物を小さな口に押し込んでいく。
「んぶうっ、ん゛ぐっ!! も゛え゛、ほも゛ぉお゛お゛え゛……る゛ぉ゛お゛え゛っ!!」
 身体が未成熟だからか、単に喉がこなれていないからか。桜織がディープスロートで発する声は、沙綾香や千代里のそれ以上に異質だった。口から内臓でも吐き出しているかのような響きだ。実際、彼女の目頭からは反射で涙が零れているし、限界まで開いた口からも、泡に塗れた唾液が滴っている。額にびっしりと浮く汗の量も普通じゃない。
 それでも彼女は、明らかにその地獄を望んでいた。前にいるドミニクの腰に手を当てているが、押しのける様子はない。むしろ腰を掴むことで、宙吊りの姿勢を安定させている。えずき声と共に白目を剥き、手がダラリと垂れ下がることもあるが、客が反応を求めればすぐに手を振ってみせる。
「はあ、はあ……はあ、はあっ……お、犯して!! もっと、もっと!!!」
 床へ下ろされてからも、桜織は更なる刺激を求めた。自ら大股を拡げ、病的に瞳を開かせて。
「ククッ、呆れるぜ。底なしの性欲だな!」
「ああ。俺らにこんだけ犯されて、まだ欲しがるなんてよ。上等だぜ、ぶっ壊れるまで可愛がってやる!!」
 黒人共にも意地があるらしく、顎の汗を拭って桜織に襲い掛かる。正常位で壊れそうなほど腰を打ちつけ、目を疑うほどの剛直を根元まで咥えさせ。それでも、桜織は性に貪欲な姿勢を崩さない。自ら頭を前後させ、唾液を泡立てながら、グジュグジュと凄まじい音を立ててのディープスロートを繰り返す。手は近くにいる黒人の逸物を扱いていたかと思えば、脹脛を抱えて自ら『マングリ返し』の恰好を作り上げ、犯される刺激を強める。
「ひゃははははっ!! すげえ、すんげえ!!」
「見ろよあれ、自分から……!」
「ふむう、なんという変態ぶりだ……!!」
 桜織側のギャラリーは、もはや茶化してすらいない。自分達が求める以上の変態行為を、桜織自身がやってしまうものだから、ただただ堪能するばかりだ。当然、その指は投票ボタンを押し込み続ける。調子のいい沙綾香を遥かに凌駕するペースで、モニターの数字が伸びていく。
 今、沙綾香は62票、桜織は実に170票超。
「あーあー、ここで100票差がついちまったか。こりゃあもう、結果は見えたな!」
「ああ、こっから巻き返すのは無理だ。よほどの事が起きなきゃあな!」
 ステージ下に控える手越とロドニーが、時計を見ながら思わせぶりに語る。明らかに聞かせることが目的の声量だ。それは当然、沙綾香の耳にも届く。
「っ……!!」
 沙綾香は唇を噛んだ。このままではまずい、とは彼女も思っているんだろう。
 桜織は最強のライバルだ。彼女の言動は、変態客の需要と合致しすぎている。そんな相手と渡り合うには、羞恥心を完全に捨て去るしかないが、それには俺の存在が邪魔だ。
 今日の沙綾香は、調教初日に戻ったかのように初々しい。膣内射精をされれば眉を顰める。股を拡げられれば秘部を隠そうとする。俺という足枷があるせいで。
「とうとう負けちまうなあ、お嬢ちゃんよう」
 手越はステージの際まで歩み寄り、沙綾香に呼びかけた。
「う、くっ……!!」
 沙綾香の顔がますます歪む。そんな沙綾香を面白そうに見つめ返してから、手越は俺の方を振り返った。いや、俺じゃない。奴が目線を送っているのは、俺の隣にいる端塚だ。
 端塚は、ゆっくりと頷いた。それを受けて手越が笑みを浮かべ、胸元に手を入れる。そうして取り出したのは、袋入りの錠剤だ。
「な、なに、それ……?」
 目の前に袋を翳され、沙綾香が呻く。
「倶楽部特製のクスリだ。これ単体でもどんなシャブよりキマるが、お前がいつも吸ってるガスとの相互作用も当然ある。これを使ったセックスを一度覚えちまうと、もうコレなしじゃ居られなくなるぜ」
 手越の答えは、説得力があった。沙綾香が規格外の黒人ペニスを受け入れ、狂わされたのは、偏に媚薬ガスの効果だ。それを生み出した技術力でなら、どんな凶悪なドラッグを作れても不思議はない。
「最悪……!」
 沙綾香は呻くように声を絞り出し、錠剤を見つめる。焦りと躊躇が鬩ぎ合っているのが見て取れる。
「怖いか? まあ、そうだろうな。お前は、ガスの効果を身を以って知ってる。幸運状態で黒人共にマワされた時の“ブッ飛ぶ”感覚を、何度も味わっちまってる。コイツを使えば、それ以上になるのも理解してるだろ。お前に多少の根性があろうが、コレを使っちまえば終いだ」
 手越は手にした袋を振り、沙綾香を煽った。その言葉は沙綾香の眉を引き攣らせ、客に嗜虐的な笑みを浮かべさせる。
「ま、使わないってんならそれでもいいぜ。どうせこの審査会でお前が負けても、桜織がセックス地獄に堕ちるだけだ。アイツはむしろ、それを望むだろうぜ」
 続く手越の言葉に、沙綾香は目元と口元を引き締めた。覚悟を決めたらしい。
 桜織は今でも壊れかけに見えるが、あの黒人共に毎日輪姦されるようになれば、それこそ確実に終わる。たとえ助け出されたとしても、二度と元の彼女には戻れなくなる。悲劇に巻き込んだ身として、それだけは絶対に許せないんだろう。
「…………ちょうだい」
 沙綾香は手越を見下ろし、はっきりとそう告げた。客が歓声を上げ、その言葉を待っていたらしい手越も、錠剤を乗せた手を沙綾香に差し出す。
「…………はあ、はあ…………」
 錠剤を受け取った沙綾香は、息を荒げはじめた。
「おいおい、呑んでもねぇのにもう興奮してんのか!?」
「すっかりクスリの中毒だな、お嬢ちゃんよぉ!!」
 客は的外れな野次を飛ばすが、俺には判る。沙綾香の不安が、恐怖が、そして覚悟が。
 と、ここで沙綾香は、俺の方を向いた。これまで不自然なほどに俺から顔を背けていたというのに、真っ直ぐに俺を見つめる。
『私の顔を忘れないで』
 そう訴えるような、強い光を宿す眼で。
「沙綾香……!!」
 俺は、思わず声を漏らす。身体も勝手に前のめりになるが、同時に背後からスタンガンを押し当てられた。
 ステージまでおよそ4メートル。走り出せばものの数秒で抱きしめられる距離。だが、その距離を詰めることは許されない。こんなに近いのに、生々しい匂いさえ嗅げる距離なのに、今までで一番沙綾香が遠く思える。

 そして沙綾香は、薬を呑み込んだ。喉が動き、錠剤が通り抜けたのがわかる。
 嫌な予感が止まらない。ここまで温存されてきた薬物ということは、ヘロイン以上の催淫効果がある例のガスより、さらに強力なんだろう。
「…………はぁ、はぁ……は、はっ、はっ……あっ、あ、は、はあっ……!!!」
 もともと乱れがちだった呼吸が、さらに荒くなっていく。瞳孔が開き、汗が噴き出す。
「ヒューッ、キマってんなあ!」
「クスリって怖ぇな。さっきまであんな気ィ強そうな目してたのに、一瞬でボーッとした感じになって……」
「確かにな。熱出してぶっ倒れる寸前って感じだ」
 客は、薬に侵される沙綾香を見て笑みを浮かべる。そして、沙綾香を取り囲む黒人共も同じくだ。
「ひひひっ、この顔この顔! 昨夜はこの顔が頭に浮かんでよ、ウズウズして寝られなかったぜ!!」
「俺もだ。睨み顔もいいが、このエロい表情が堪んねぇ! 見慣れねぇジャップだから可愛く見えるのかと思ってたが、違うな。ジャップの中でもこいつは別格だ!」
 黒人共は白い歯を剥き出して笑い、沙綾香との距離を詰めた。背後に回ったレジャナルドは、耳元に息を吹きかけもする。
「んひいっ!?」
 沙綾香の反応は露骨だった。肩を跳ねさせ、目を見開いて叫ぶ。空気の流れだけで感じてしまうほど、感度が上がってるらしい。
「可愛いぜぇサヤカ。お前は良いペットだよ」
 レジャナルドはそう囁きながら、今度は沙綾香の胸を揉みしだく。ブレザーとブラウス腰の愛撫だが、今の沙綾香には強すぎる刺激だ。
「ハッ、ハッ……やめ、て……!!」
 嫌がる中でも声が震え、やがて鈴の音が鳴り響く。
「いひひ、敏感になってやがんぜ! スクールガールコスもそそるんだが、ファックにゃ邪魔だな。そろそろ上脱がしちまうか」
 レジャナルドは笑みを深めつつ、沙綾香のブレザーを脱がしに掛かった。
「ちょっ、そんな乱暴に……!!」
 沙綾香は抵抗するが、それによって前が無防備になる。その隙をついて、今度はトラバンがブラウスに手を掛けた。
「そぅーら、御開帳だ!」
 岩肌のような前腕がさらに盛り上がれば、バツンッと音を立ててブラウスのボタンが弾け飛ぶ。そして、乳房が零れ出した。十分に実った果実と、桜色の乳輪、勃起しきった乳首が衆目に晒される。
「おおっ、ノーブラかよ!? お嬢様学校の制服きっちり着といて下着は無しとか、すげえ変態プレイだな!」
「別に、イメージ通りでしょ。学校でもやってたんじゃないの? 女子高だとさぁ、ブラウス越しに勃起乳首見せつけて、男の教師に媚び売るコってたまにいるんだよね。アンタもそうやってたんでしょ、エロガキ!」
「しかし、良い乳だな。乳首は淡いピンクで、あのサイズで垂れていないとは。ティーンの裸はやはり最高だ!」
 客から一斉に罵声を浴びせられ、沙綾香は俯く。悔しそうに唇を噛み締めるのは、薬で朦朧としながらも羞恥心を失っていない証拠だ。そしてその気高さを、また黒人が弄ぶ。トラバンの指先が割れ目に沈み込めば、沙綾香の顎はあっさりと浮いた。
「はああぁうっ!!」
 口が大きく開き、虚ろな瞳が宙を漂う。その結果、彼女の視線は、桜織の方を向いた。
「ひ、ひいっ、気持ちいいっ!! いっ、イクイクっ! し、死ぬううーっ!!」
 桜織のプレイは、さらにハードさを増していた。床に寝そべるアンドレに跨り、なおかつ背後からダーナルに圧し掛かられる形だ。肉が密集していて挿入部分は良く見えないが、前後の穴に入っているのは間違いない。
 桜織にアナルの経験がどれだけあるのかは知らないが、黒人相手のアナルセックスは初めてのはずだ。にもかかわらず、彼女は喜んでいた。舌を突き出し、涎を垂らして。誰がどう見ようと、心地良さしか感じられない顔。
「委員長……」
 沙綾香は、桜織の表情を見て眉を顰める。しかし同時に、その顔つきに見入ってもいるようだった。
「気持ちよさそうだなあ、お前のお友達はよ。お前もああされてえんだろ?」
 トラバンはそう言って、割れ目の中で指を蠢かす。沙綾香を囲む他の連中もそれに倣った。口の中に二本指を捻じ込み、両の乳首を摘んで引き絞り、尻穴にまで指を沈め。
 黒人共の指は太いが、ペニスの代わりには程遠い。それでも沙綾香は、その指責めに翻弄されていた。
「あ、れあっ、あえっ! ああえあっ、えくっ……!!」
 不自由な悲鳴を上げつつ、腰をガクガクと前後させる。乳首を弾き絞られるたび、前後の穴で指が曲がるたび、鈴の音が鳴る。とはいえ、それが聴こえるのも時々だ。桜織の頭部からは、さらにハイペースで音が鳴っているんだから。
「おおお゛お゛お゛っおかしくなる゛う゛う゛っ!!! おっおひりもっ、おまんこもっ、こあれちゃう゛う゛う゛っ!」
 喉へ極度の負担が掛かりそうな絶叫と共に、背を仰け反らせる桜織。沙綾香は、その姿から視線を外せない。親友の姿を視界に捉えたまま、指の刺激に悶えつづける。唾液も愛液の量も尋常じゃなく、鈴の音の間隔も短くなってきた。
「はははっ! あいつ、絶対自分が犯されてる妄想してんぜ!」
「完全に指をチンポだと思ってんな、ありゃあ!」
 客にまで見透かされた、その瞬間。
「れえああああっ!!」
沙綾香は呻きながら震え上がる。あまりにも解りやすい絶頂だ。
「ひひっ、思いっきりイキやがって」
 黒人共が満足そうに笑いながら指を抜けば、その指には光る糸が絡みついていた。
「ハーッ、ハーッ、ハッ、ハッ……だ、だめ、頭、しびぇるっ……ないも、考えらえない…………」
 沙綾香の顔は、異様だった。見開いた眼から涙を零し、開いた口から涎を零す。呂律も回っていないため、まるで失禁した泥酔者のそれだ。
「だいぶクスリが回ってきたな。俺らの指はそんなに美味かったか? なら、次はもっとトべるぜ」
 黒人共は沙綾香の反応を喜びながら、完全に回復した逸物を扱き上げる。
 ドラッグセックスの本番は、ここからだ。


                 ※


「自分で腰を下ろしてみろ」
 床に寝転がったトラバンからそう命じられ、沙綾香が固まる。トラバンの逸物は、『剛直』と呼ぶべき圧倒的なサイズだ。幹には恐ろしいほど血管が浮き立っていて、相当な硬さも見て取れる。クスリの効いている今、そんなものを受け入れるリスクは、沙綾香自身が一番理解しているだろう。
 とはいえ、迷っている時間はない。今この瞬間にも、桜織は身を削るようなハードプレイで点数を稼いでいる。沙綾香とのポイント差は開く一方だ。
 沙綾香は唇を引き結び、トラバンを跨ぐ形で中腰になる。上はブラウス、下はミニスカート姿の女子高生がそんな格好をすること自体、禁忌というべきだ。だが客は、“さらに下”を求め続ける。
「もっと尻突き上げろ、変態らしくよ!」
「スカートも邪魔だな。挿入するところが良く見えるように、上げておきなさい」
 百合や藤花を犯しながらの、高圧的な命令。沙綾香は一瞬それに不快そうな顔を見せるが、結局は命じられた通りに尻を浮かせ、スカートをたくし上げる。
 そして、膝が曲げられた。腰が沈むたびに、太腿の形が変わり、ハイソックスが肉に食い込んでいく。
 鉄球を思わせる亀頭が割れ目に触れた瞬間、沙綾香は一瞬動きを止めた。そして、周りに聴こえるほど大きく喉を鳴らしてから、さらに深く腰を落とす。割れ目が圧縮されたゴムのように左右に広がり、『剛直』を呑み込んでいく。いやというほど見慣れた、日常の光景だ。
 だが。
「はあああっううう!!?」
 逸物が半分ほど入ったところで、沙綾香はいきなり悲鳴を上げた。火に触れたような勢いで腰を浮かせるが、亀頭が抜けた瞬間に響く鈴の音は、動かぬ絶頂の証だ。
「おいおい、どうした? 気持ち良すぎたか?」
「ばっちりイッたもんな、痛いってことはねえよな!」
 客からすかさず罵声が浴びせられる。そんな中、沙綾香は腰を浮かせたまま膝を擦り合わせ、下腹部を見下ろしていた。処女を失ったばかりの時に、股の違和感を探っていた時の反応とそっくりだ。
「よお、どうした。俺の息子が寂しがってるぜ?」
 トラバンは沙綾香を見上げて煽りながら、いきり勃った逸物を振ってみせる。
「はあ、はあっ、はあっ…………!」
 沙綾香は荒い呼吸のままモニターを睨み、姿勢を変えた。今まではトラバンと向き合い、客に尻を向ける格好だったが、今度はその逆……トラバンに尻を向け、客の方を向く形で腰を下ろしていく。なるべく顔を見られない方法を取りたかったが、さっきのやり方では感じすぎてしまうんだろう。
 腰はゆっくりと沈み、また怒張を半分咥え込んだところで止まった。膣奥に達したのかもしれない。昂ったことで子宮が下りているなら、トラバンの巨根を半分も咥え込めば、充分に奥まで届いてしまう。だとすれば、そこから先は地獄だ。肉体的な意味でも感覚的な意味でも、限界の先に行かなければならない。それも、自分の意思で。
「は……はっ、はっ……はっ…………」
 沙綾香は汗まみれのまま俯き、両手を床についた。そしてその手を支えに、大股開きの腰を沈めはじめる。白い下腹と黒い腰を繋ぐ支柱が、僅かずつ短くなっていく。
「んぐっ……はぅウっ……!!!」
 艶やかな黒髪に隠れた顔からは、呻き声も聴こえてくる。
「すげぇ気張ってんな。和式の便所で一週間分のクソひり出してるように見えてきたぜ!」
「確かに。飲み込んでんのも、チンポっつーより、極太のクソって方が近いサイズだしな!」
 客の野次にも、反応する余裕などないだろう。
「うひゃひゃっ、こりゃすげぇ。肉がみっしり詰まって、バージンのプッシーみてぇだ! まあ本物のバージンと違って、中はドロドロに蕩けてるがな!」
 ミリ単位での挿入が続く中、トラバンが喜びの声を上げた。薬の効果で、膣の締まりが一変しているらしい。そしてそれは、沙綾香自身の快感が増しているという意味でもある。
 長く感じる挿入の果てに、とうとうペニスの8割方が挿入された頃。
「──っあああああッッ!!!」
 沙綾香が悲鳴に近い声と共に、顎を跳ね上げた。眉根を寄せ、目を固く瞑っての絶叫。それこそ性経験のない処女が、黒人ペニスを挿入されて泣き叫ぶ姿を思わせる。だが、彼女が味わっているのは苦痛じゃない。糖蜜のような甘さだ。激しく左右に振られる頭からは、リン、リン、と何度も鈴の音が鳴っている。
「オゥ、シィット……なんて締まりだ!!」
 一方のトラバンは顔を歪めながら笑い、ちょうど宙を彷徨っていた沙綾香の手首を引き絞る。
「あああっだめ、だめやめていくううっ!!!」
 背中を反らしたことで、沙綾香の顔は完全に天井を向いた。そしてその姿勢のまま、彼女は痙攣と共に絶頂する。鈴の音はいつもと変わらない響きだが、今度の絶頂は相当深いに違いない。
「ぬうっ……ぐおおおお、搾り…取られるっ!!」
 トラバンも歯を食いしばって呻き、あえなく射精に入った。それを受けて、沙綾香が背後を振り返る。
「え、いやっ、出さないでっ!! 妊娠しちゃう……今、子供出来ちゃうからあっ!!」
 沙綾香は、トラバンが無精子症にされていることを知らない。もし精子が活きているなら、妊娠が確信できてしまう状態、ということか。
 沙綾香のこの発言は、当然ながら客を沸かせた。
「ははははっ、今更何言ってんだ。妊娠なんざ確実だろ、あんなコップ一杯の量をドバドバ注がれてんだから!!」
「まあでも、気持ちはわかるよ。女って中出しされた時に、『あ、これ妊娠するな』ってタイミングあるんだよ。子宮が相手の子供欲しがって疼いて、卵子吐き出しまくるの。まあそういうのって、普通は彼氏以外には起きないんだけどね。あんなゴリラみたいな黒人にレイプされながらとか、ちょっと考えらんない!」
 同性異性を問わず蔑みの言葉が投げ込まれ、沙綾香の心を抉る。
「ふう、う……う、くっ…………!!」
 沙綾香は、頬に涙を伝わせながら膝をついた。そして、根元まで入り込んだ剛直をゆっくりと引き抜いていく。太腿だけが張った華奢な身体はぶるぶると震え、鈴の音も鳴る。そうしてようやく怒張が抜け切っても、悲劇は終わらない。
「くんんんっ!!!」
 テニスボール大の亀頭が外へ弾け飛んだその瞬間、また甘い声が漏れた。そして同時に、開ききった割れ目から飛沫が上がる。精液と愛液の混じった液だ。噴き方はやや不自然だった。勢いよく噴くわけじゃなく、出の悪い小便のように、ぷしゅっ、ぷしゅっ、と小さな飛沫が何度も上がる。その原因は、沙綾香を見ればなんとなく見当がついた。
「あっ、あっ、ああああっ……!!」
 沙綾香は、怒張が完全に抜けた今も、腰を痙攣させつづけている。鈴の音こそしないが、小さく絶頂しているのは明らかだ。その絶頂のせいで膣周りの筋肉が収縮し、潮の出を邪魔しているんだろう。
「はははっ! あのガキ、まーだイってやがる。余韻長ぇな!!」
「ザーメンマンコを見せつけやがって、そうまでしてポイントが欲しいか? いいぜ、ならくれてやるよ。その代わり、もっと楽しませろよ!」
 客は口々に沙綾香を辱め、投票ボタンを押しこむ。一気にポイントが加算されたが、まだまだ桜織との差は大きい。今の沙綾香には、未知の感覚を消化する暇さえなかった。


                 ※


 自分から腰を振る。いかにも変態めいたこの行為を、客は大いに喜んだ。そしてその方向で、次のプレイが指定される。
 あくまで沙綾香が主体となり、騎乗位で奉仕する。黒人を一人射精に導くごとに30票を得る。
 これが、客の提示した条件だ。ロドニー経由で条件を伝えられた黒人共は、面白そうだと快諾した。そして沙綾香もまた、この条件を呑んだ。射精一回で30票は破格の条件だ。残り時間は1時間あまり。それぐらいでなければ、桜織に追い付くことなどできそうにない。

 桜織に掛かりきりの3人を除いた、7人がステージ外周に足を向けて寝転がる。歪な黒い丸太が並ぶような光景は、相当なインパクトだ。
「さあ、とっとと始めろ。時間ねーんだろ?」
 客がそう声を掛けると、沙綾香は7人の左端に歩み寄る。一番左に寝ているのは、タイロン。よりにもよって、10人の中でも最大のペニスサイズを誇る奴だ。
「カモ―ン」
 タイロンは薄ら笑みと共に手招きするが、その馬を思わせるペニスは半勃ちというところだ。タイロンに限らず、他の連中も。ここまでハイペースにセックスを繰り返し、全員が5、6発は射精している。いかに絶倫とはいえ、回復までに時間が掛かようだ。だからこそ、黒人共はこのプレイを歓迎したのか。
「あーら、竿役が元気ないわねえ。こういう時は、女が口で勃たせるのよ?」
「たっぷりしゃぶってやれ。ケツこっちに向けてな!」
「股もちゃんと開いとけよ。ザーメン壷みてぇになってるJKマンコを、たっぷり拝んでやるからよ!」
 客から下劣な命令が飛ぶ。そうでなくても、今のままでは挿入ができないんだから、沙綾香に選択肢はない。
「肝心な時に……!」
 沙綾香は恨めしそうにタイロンを睨みながら、その腰の両側に手をついた。客の命令通り、蹲踞を思わせる大股開きでだ。その状態で頭を下げて剛直を咥え込めば、直視も憚られるほど無様な格好ができあがる。ギリギリ肛門を隠せていないマイクロミニのスカートが、かえって惨めさを強調している。
「ぶっ、あっははははっ!! 見て、すっごい格好!」
「うそー、あそこまでやるんだ。しかも、丸見えとかってレベルじゃないし。尻穴もオマンコも開きっぱなしで、ザーメンが零れてるじゃない」
「終わってるねー。この人数の前であんなカッコするぐらいなら、死んだ方がマシだわ!」
 客はこぞって罵詈雑言を浴びせるが、同性からの言葉は特に辛辣だった。沙綾香もやはり堪えるのか、詰られるたびに前後の穴をひくつかせ、そのことでまた笑いの的となってしまう。
「う、くううっ……!!」
 沙綾香は恥じ入りながらも、大蛇のような怒張へ舌を這わせる。裏筋、カリ首へと、丹念に。その甲斐あって、怒張に張りが戻りはじめた。
「なかなかいいぜ……よーし、そのまま咥えこめ」
 タイロンが命じると、沙綾香は限界まで大口を開け、傘の開いたキノコのような亀頭を口に収める。
「んごっ、はごごっ……うぉも゛あっ、もっがおああ゛っ!!!」
「いひひひっ、こりゃあいい。200ドルで買った娼婦より気持ちいいぜ!」
 サイズがサイズだけに、えずき声が凄まじい。タイロンの逸物は刻一刻と大きさを増し、沙綾香の顔をさらに歪ませる。
「ぷはっ!!」
 沙綾香は怒張を吐き出した。張りを取り戻したペニスは、彼女の顎から額にかけての長さを超えている。それを目の当たりにして、沙綾香は息を呑んだ。自分がこれから、薬に侵された身で受け入れる凶器……しかもそれが頭部以上の長さとなれば、どれだけ恐ろしいことか。それでも、彼女には恐れている時間すらない。モニターを見上げ、強い瞬きで涙を切ると、客の方へと向き直った。
「へっへ、よく解ってるじゃねぇか!」
「いいぜぇ。テメェで腰振りながらイキまくる面ァ、たっぷり拝ませてくれよ!」
 客から好奇の視線を浴びつつ、腰を沈める。亀頭が触れると一瞬動きが止まるが、大きく息を吐いて呑み込んでいく。
「うおお、確かにネットリ絡みついてくるな。こりゃ堪らんぜ」
 タイロンは余裕そのものだ。寝転がったまま口笛を吹きながら、沙綾香の尻を眺めている。勃起こそしたが、まだまだ射精感は薄いらしい。それを絶頂へ導くとなれば、並大抵のことじゃない。
「んっ、ぐ……くあっ、は、あ……うくっ…………あはっ……!!」
 沙綾香の顔は様々に変わった。剛直を呑み込む時には歯を食いしばり、抜く時には大きく口を開く。いかにも辛そうに見えるが、たまに鈴の音が鳴るところからして、実際には気持ちいいんだろう。この倶楽部のドラッグは、拷問のような苦痛をそっくり快楽に変えてしまうらしい。
「やっ、また大きく……だめ、あ………おお゛……ぐうううっ!!」
 沙綾香はまた絶頂した。しかも今度は、格別に深いようだ。顎を浮かせ、薄笑みを浮かべたまま静止する。腰を深く下ろし、膝を掴んだまま震えるその姿は、快便の心地よさに酔いしれているかのようだ。
「おおお、良い顔だ。快感でトロけとるわ!」
「うへぇ。あんな、鉄杭みたいなの自分から咥え込んでアへるとか、頭オカシイ変態ぶりだな。100年の恋も冷めんだろこれ」
 客から待っていたとばかりに罵声を浴びせられ、沙綾香が意識を取り戻す。
「くうっ……!」
 悲痛に顔を歪め、表情筋を引き締める沙綾香。だが、腰を上下させはじめれば、すぐに口が開いてしまう。
「おお゛っ、あぐっ……はああうぐっ!! んあっ、はっぐ、あ、やあ゛っ!!!」
「ひっひ。まるで強姦でもされてるみてぇな声だな」
「なあ。自分から跨って、逆レイプしてるくせによお!」
 規格外の怒張を咥え込む苦しさ。早く絶頂へ導かなければという焦り。そして客からの、容赦のない謗り。それらは確実に、沙綾香の心を抉ることだろう。
「うっへっへ、いいぜいいぜ! ここらが出し時だな。腰を振れサヤカ。思いっきり中に出してやる!!」
 タイロンが足を震わせ、ようやく絶頂を宣言する。それを受けて、沙綾香も腰の動きを早めた。ぐぽっ、ぐぽっ、という音が響き、鈴の音が鳴る。
 そして、射精が始まった。剛直が根元から蠢く大量射精を、沙綾香は腰を深く沈めたまま受ける。射精後に腰が浮けば、割れ目から土砂降りのように白濁が滴り落ちた。
「くくっ。なかなか見応えのある逆レイプだったぜ!」
 客は30回分ボタンを押しながらも嘲り、沙綾香の顔を曇らせる。
 観ていてつらい。だがともかく、これで最大のペニスサイズを誇るタイロンを果てさせた。後はサイズに劣る調教師ばかりだから、刺激は少なくて済むだろう。俺はそう考えた。だが、それは大きな間違いだった。

 二人目の相手はマーキス。タイロンとは逆で、10人中最もペニスの小さい男だ。この男の相手で、沙綾香は大苦戦することになる。
「おーおー、ユルユルじゃねぇか。これじゃ何時間擦られても、イケそうにねぇなあ!」
 沙綾香が腰を下ろした瞬間、マーキスは勝ち誇ったように笑う。
 そう。誇張でなく馬並みのサイズを誇るタイロンのペニスを受け入れれば、膣の筋肉は伸び切ってしまう。そうなったらもう、マーキスの逸物を締めつけることなど不可能だ。多分それを見越して、タイロンが一番手を、マーキスが二番手を選んだんだろう。女を辱めることにかけては、本当によく頭の回る連中だ。
 膣を締められないとなれば、膣奥を擦りつけて絶頂させるしかない。沙綾香は大きく尻を振り上げては落とし、パァンパァンと音を響かせる。それは、子宮口という最大の弱点を自らいじめ抜く行為だ。
「んぐっう、んあァっ、あ゛っ、お、おく奥ぅ゛ッ!! んんん深いっ……お尻に、響いて……あふうっ、あ゛っあ゛! んううう゛う゛っ!!」
 文字通りの肉弾戦を挑む沙綾香は、刻一刻と追い詰められていく。床につく両手と弾む脚は、岩でも支えるかのような力みぶりだ。目は天井を向き、快感で泳いでいる。それだけでも恥ずかしい行為ではあるが、少し時が経てば、状況はさらに悪くなかった。腰を上下させるたび、結合部から放屁のような音がしはじめたんだ。
「ぎゃはははっ、すげぇ“マン屁”だ! 本物のオナラよりひでー音だな」
「ホント、ブリブリ音させて。笑えるー!」
「さっきのでマンコが広がって、空気が入りまくってるわけか!」
 格好の口撃材料を、客が見逃すはずもない。嘲笑と罵声はさらに酷くなり、沙綾香の心をかき乱す。
「ふ、ぐっ……んぐっ、ふうんんっ!! は、早くイって……早く、イってよお……っ!!」
 沙綾香は、羞恥と快感で涙しながら腰を振る。それでも、マーキスは達しそうな気配すらない。笑みを浮かべ、沙綾香の尻穴を指で弄るほどの余裕ぶりだ。
 そんなマーキスをなんとか絶頂させようと、沙綾香は懸命に腰を振り続けた。黒人共の中で最小とはいえ、20センチを超えようという逸物を根元まで咥え込む。それが生半可な刺激であろうはずもない。
「あ゛アぁっあ、イクッいくっ、いッ!! ひっ、ん゛あ……っお、おーーっ……ん゛あっ、あ!!」
 奮闘の中、沙綾香は何度も喘ぎ、絶頂していた。鈴の音が鳴り響き、目はとろんとし、口は開いたまま閉じなくなる。腰は狂ったようなハイペースで上下するが、上半身は前傾したままガクガクと痙攣するばかり。ステージ上のその顔が、ちょうど客の目の高さにあるのが最悪だ。
「おー、すげー……」
「イッてるなあ、これ……」
 客は沙綾香の顔に見入り、ただただ純粋な感嘆の声を漏らしていた。


                 ※


 マーキスが射精に至っても、まだ終わらない。3人目のトラバン、4人目のドミニク……それら全員を射精に導かなければならない。自分から腰を振り、何度も絶頂しながら射精に導く。肉体的にも精神的にも消耗するこの行為を続ける中で、沙綾香は疲れ果てていった。7人目……最後の1人であるダリーとのセックスともなれば、正直見ていられない。
「あ゛、あ! オ、お……オ゛っ!! あっあ……あ゛あんっオオ゛っ、ほおお……っ!!」
 涎の滴る口から、絶え間なく喘ぎが吐き出される。音が濁っている理由はいくつも思い当たった。
 体力的に限界であること。
 力士体型のダリーには普通に跨ることができず、過剰な開脚を強いられること。
 怒張自体の太さが、タイロンと並んで規格外であること。
 その理由全てが沙綾香を蝕み、秒単位で追い込んでいく。
「あはっ、あ、あっ……き、キちゃうっ……だめっ、イク、イクーーーっ!!!」
 沙綾香は天井を仰ぎ、背中を弓なりに反らしながら痙攣する。鈴の音がリンと鳴り響くが、それが白々しく感じられるほど、絶頂の度合いは深い。下腹は意思を持つかのように痙攣し、かろうじてつま先立ちしている脚の震え方も半端じゃない。肉に圧迫されたハイソックスは、今にもはち切れそうだ。
「んおおおおっ……!! へへへ、思いっきりイキやがって。お前はアレだな。イカそうと全力で頑張ってる時より、自分がイッてからの方が具合がいいな。マンコ全体が蠢いてよ、極太のストロー啜るみてぇに、ギュウギュウ搾り上げてきやがる。いいぜ、こいつはとんでもねぇ名器だよ。その甘えっぷりに免じて、濃いのをたっぷりくれてやるぜ!!」
 ダリーはあえて日本語で実況してみせ、客を沸かせながら射精に至る。
「あ、ああ゛……あああ゛ア゛ァァーーっっ!!!」
 沙綾香は、されるがままだった。ダリーの肩に頭を預け、腹部に背を預けたまま、射精を受け入れている。また鈴の音が鳴っているのは、さっきの絶頂の余韻だと信じたい。子宮口に勢いよく精液を浴びせられ、その刺激で新たに絶頂してしまっているなどとは、考えたくもない。
 だがどうやら、その悪い予想が正解のようだ。
 7人を騎乗位で射精させた後、沙綾香は再び輪姦されはじめた。一人が下から挿入し、他の人間が左右から逸物を舐めしゃぶらせるやり方だ。その状況下でも沙綾香は、明らかに膣内射精に反応していた。

「すげー、ずっと“ハメ潮”してる。音エッロ!」
 客の1人が、結合部を凝視して呟く。今はレジャナルドが下になり、沙綾香を突き上げているところだ。客の指摘通り、密着した性器からはずっと水音がしている。逸物が上下に動くたび、あるいは奥深く挿入された状態で円を描くたび、潮を噴いていそうな感じだ。そしてそれを誰より喜んでいるのは、言うまでもなくレジャナルドだった。
「くっは、気持ちいいぜぇ! とろけたプッシーが、舌の塊みてぇに絡みついてきやがる!」
 レジャナルドは上機嫌で笑いながら、沙綾香の太腿を押さえつけて密着させる。亀頭がより深く入り込むようにだ。今の沙綾香にとって、それはクリティカルな行動すぎた。
「うあああっ!! だめ、だめ、だめ……! し、子宮が、痙攣してるの……痙攣、とまんないぃ……!!」
 泣くような声を漏らし、脚を内股に閉じる沙綾香。だが、筋金入りの強姦魔共がそれを許すはずがない。
「おら、しっかり股ァ開いとけ!」
「なに無駄な抵抗してんだよ。こうやって突き上げられんのが、好きでたまんねぇんだろうが!?」
 左右から伸びた手が沙綾香の膝を掴み、力ずくでこじ開ける。
「やあ、いやああっ!!」
「ハッハッハッ、そう喜ぶなって。こっちも、ちゃんとしゃぶってろよ!」
 本気で嫌がる沙綾香の口に、トラバンが逸物を捻じ込んだ。並みのフェラチオじゃない。口を限界まで開かせ、顔の肉をへし曲げ、喉を盛り上げるディープスロートだ。
「あぐっ、おぶっ!! おごぉうっ、ほもごおおお゛お゛っ!!!」
 沙綾香は呻き、激しく身を捩る。だが黒人共は、そんな沙綾香を逃さない。逃げ出そうという本能を強引に抑えつづければ、その末路は内部での爆発しかない。
「んはああああっ!!!」
 沙綾香は、痙攣しながら後ろに仰け反った。これまでにも見せた動きではあるが、今のそれは特に危険そうだ。
「沙綾香っ!!!」
 俺は、不安になって叫ぶ。だがその声は彼女に届かない。
「いやあ、あ……目の前、チカチカって…………あ、頭、があ…………!!」
 沙綾香は痙攣を続けながら、うわ言のように呟く。
「へへへ、また一段とイイ顔になりやがった。オーガズム持続中ってか。いいぜ、もっと浸らせてやれ。醒めるのが早ェと、脳ミソが充分快感を吸わねぇぞ」
 手越がステージ下から指示を飛ばすが、そもそも黒人共に手を緩めるつもりなどなさそうだ。仰け反ったままの沙綾香を抱きすくめるようにしながら、念入りに膣奥を犯し抜く。
「んあああっ、まっ、また奥っ……!! い゛っ、ぐううっ……んんぉおおお゛っ!! おっ、おっ、ほおおっ! いいいくイク、ックイクイクイクイク!!!」
 沙綾香は、ますます正気から遠ざかった。目を見開いた壮絶な顔のまま、卑猥な言葉を叫び散らす。そしてついには、両手で左右の床を叩きはじめた。ピストン音や鈴の音を掻き消す勢いで、バーン、バーン、という音が響きわたる。なぜそんな事をするのか、正確な所は彼女自身にしかわからない。だがおそらくは、そうでもしないと自我が保てないと直感したんだろう。
 そんな壊れかけのサインを前に、さすがの客達も静まり返った。逆に黒人共はゲラゲラと笑い、数人がかりで沙綾香を抱え上げる。
「そんなに奥が好きなら、もっと感じるやり方で可愛がってやるよ!」
 ドミニクがそう言って、背後から挿入を果たした。女児に小便をさせる時の体位……奴が最も好む『逆駅弁』だ。足が宙に浮くあの体位では、踏ん張りが利かない。太い杭のような黒人ペニスを、緩衝なしで受け止めることになる。
「んがっ、あ゛……ッ!!!」
 挿入された瞬間、沙綾香の瞳孔が開いた。正体を失くした顔。『目の前がチカチカする』時のそれだ。
「そーら、たっぷり味わえ。俺様のウルトラコックをよ!!」
 ドミニクは声高に叫びながら、ステージの外周に近づいた。客の前に立ち、結合部を見せつける形でピストンを披露する。
「うひぃっ、あがああっ!! あああ゛、ア……あ、あああああ゛っ!!!」
 沙綾香は、されるがままだった。脚を抱えるドミニクの手を握ってはいるが、振り払うような力はない。相手の意思の通りに膣奥を突き上げられ、透明な雫を飛ばすばかりだ。
 ドミニクは一歩ずつ横に移動しながら披露を続け、とうとう俺の近くに立つ。
「どうだ先生、アンタはこのファックしたことあるか?」
 ステージ上の勝ち誇ったような顔が、憎らしくて仕方ない。
「さぁな、覚えてない」
「そうかい。ま、仮にあったとしても同じだがな。アンタの貧相な息子と、俺達のコックじゃモノが違う。サヤカは、俺らとこの姿勢でするのが好きなんだよ」
 ドミニクは、沙綾香の首筋を舐め上げながら宣言する。沙綾香は上を向き、決して俺と目を合わさないようにしていた。それでも、身体の方は雄弁だ。狂ったようにひくつく陰唇、強張る脚の筋肉、滴る愛液……そのどれもが、女の性感反応の典型だった。
 腹が立つ。俺が握りこぶしを作れば、ドミニクの笑いが深くなる。ピストンの速度も上がっていく。
「あっは……はああ、あ、あがっ……!!」
 激しい突き込みの果てに、沙綾香は激しく痙攣した。鈴の音が鳴り、汗まみれの身体が脱力する。
 腸が煮えくり返りそうだ。自分の愛した女の絶頂を見せつけられるのが、こんなに苦しいとは。
「ひひひ。あんたも災難だねぇ。相手があんな雄の中の雄じゃ、セックスでは勝ち目がないぜ。ま、殴り合いでも勝てっこねぇだろうけどよ」
「気にすんなって、女なんざ星の数ほどいるんだからよ。せめてもの慰みに、めいっぱいポイント入れといてやるから!」
 近くにいる客が、表面上の憐れみと共に投票ボタンを押し込んだ。それを聞いて、はっと気づく。勝負は今、どうなっているのか。
 モニターを見れば、票差はかなり縮まっていた。桜織が527票、沙綾香が515票。さんざん恥を晒した甲斐あって、もう一息で並べそうな勢いだ。それについては嬉しいことだが、もう一つのモニターに視線を移せば、一気に動悸が早まった。
 絶頂回数モニターは、現在カウント3858。4000回まであと142回の猶予しかない。残り20分で140回以上の絶頂など普通はありえないが、今の沙綾香と桜織なら安心はできない。そして当然、それは黒人共も承知していることだ。
「時間も残り少ねぇし、ラストスパートといこうじゃねぇか。ポイントも絶頂回数も、まとめてぶっちぎらせてやるぜ!」
 モーリスが逸物を扱きながら沙綾香に近づく。
「ああ、思いっきり喜ばせてやろうぜ!」
 ドミニクも横へ向き、モーリスの挿入を助ける。すでに背後から膣へ挿入している以上、二穴責めはありえない。とすれば残る可能性は、膣への二本挿ししかない。
「あ゛あ゛っ……やあ、今二本なんて……あ、がっ、んああああ゛あ゛っ!!!!」
 沙綾香は顔を歪ませ、モーリスの肩を掴んで静止を求める。だが、モーリスが止まるはずもない。
「うーっし、カリ首通過だッ! へへへ、コックがゴリゴリ擦れてたまんねーな!!」
「い、ひぎいいっ!! あああ゛さけるっ、裂けるうっ!」
 獣じみた笑みと共に腰が進み、沙綾香の手が強張る。
「ほおお、あの巨根で二本挿しか! 洋物のAVではたまに見かけるが、日本人の子相手となると新鮮だな!」
「こりゃすげぇ。マジでぶっ壊れちまうかもな!」
 客は目をギラつかせて沙綾香を凝視し、次々に投票ボタンを押し込む。
「凄い……気持ちよさそう」
 やや離れた場所で犯されている桜織も、沙綾香を見て興味を示した。
「ああ、アイツはあの二本挿しが大好きだからな。お前もやってみるか? とんでもなくハードだがよ」
「あはっ、したい!!」
 より刺激の強い行為と聞いて、桜織が断るはずもない。
「あああああっ!! あはっ、こっ、壊れちゃう!! くはっ、あ、あああ゛凄いいいいっ!!!」
 ジャマールとアンドレから二本挿しを受け、桜織が歓喜の声を上げる。顔は痛みで引き攣っているのに、口から漏れる声はひたすら甘い。それは、彼女の異常性を嫌でも認識させるものだ。

 そこから桜織と沙綾香は、横並びで犯され続けた。
「そら、気持ちいいだろ!? イケっ、イッちまえ!!」
「くくくっ、すげえ締めつけだ! はち切れる寸前の輪ゴムみてぇだぜ!」
 2人一組になった黒人共に、一切の容赦はない。鍛え込んだ分厚いガタイで獲物を挟み込み、黒い凶器を突き立てる。小柄な桜織などは、身体のほとんどが黒人共に隠され、手のひらと膝下だけしか見えない。
「ああがあああっ、はああうっう゛っ!! おっ、おちんぽでっ、おちんちんで浮かされてるううっ!! んはあうううぐっ、はあああおおお゛あう゛っ!!!」
 彼女は悲鳴を上げ、手足を暴れさせていた。痛みで泣き叫んでいるようにしか見えないが、頭のカチューシャからは音が鳴り続けている。むしろ絶頂のペースが速すぎて、モニターの表示が追いついていない有り様だ。
 そして、余裕がないのは沙綾香も同じ。彼女の場合は太腿まで見えているが、それだけに脚の強張りが一層判りやすい。
 何度も経験があるせいか、ドミニクとモーリスは二本挿しに慣れていた。たとえばある時は、呼吸を合わせ、交互に膣の深い部分を突き上げる。
「はあう、いぎいいっ!! んぐ、ぃいいっ!! い、あ、あああうぐうっ!!」
 サイズ違いの逸物を交互に突っ込まれるせいで、挿入感に慣れることができないのか。沙綾香の反応は、どちらか単体を相手にするより明らかに激しい。脹脛の肉は横に張りっぱなしで、ローファーを履いた足はずっと垂直の位置を保っている。
 だが、沙綾香が一番追い込まれるのは、交互に突きこまれる時じゃない。
「よーし、だいぶこなれてきたな。そろそろ“アレ”いくぜ?」
 モーリスが周りに聴こえる声で囁きながら、ドミニクとアイコンタクトを交わし合う。そして奴らは、円を描くように腰を動かしはじめた。黒人特有のしなやかなバネを存分に生かした、横方向の突き。それを2人同時にやれば、巨大なペニスが膣内を蹂躙し、出鱈目にこじ開ける結果となる。そして沙綾香は、これに一番弱かった。
「はあああっ!? や、やめ、これだめえ゛っ!! あそこが、あそこが開いちゃ……はああう゛う゛っ!! だ、だめイクっ、いくいくイクイクッ!!!」
 大口を開き、ローファーをモーリスの肩より高く掲げたまま痙攣させる。二本の剛直にこじ開けられた割れ目からは、白く濁った雫が雨垂れのように滴っていく。壮絶な逝きぶりだ。
 それでも、沙綾香は踏ん張っていた。同じような責めを受けている桜織より、明らかに絶頂のペースが緩い。気を抜けば絶頂し続けてしまうところを、必死で堪えているに違いない。
「へっへ、頑張りやがって。耐えきれると思ってんのか!?」
 モーリス達は沙綾香を嘲笑い、より激しく腰を使いはじめた。射精すればすぐに別の人間に入れ替わり、徹底して追い込んでいく。
「ああああ゛っ、あはあああ゛っ!! あ゛、あ゛お゛っ、ひいく、イ……ックぅ……う゛っ!!!」
 沙綾香は絶頂に追い込まれながらも、モニターを睨み上げながら死に物狂いで耐えた。
「すげぇな、意地のぶつかり合いだ!」
「根性あんな、あのお嬢ちゃん!」
 クライマックスの攻防を、客は興奮気味に見守る。

 そして、終了のブザーが鳴り響いた。
 最後の最後まで票が投げられていたその結果は、桜織が654票、沙綾香が662票。終盤のハードプレイがだいぶ票を伸ばしたらしく、僅差で沙綾香の勝ちだ。そして、絶頂カウントも3996で止まっている。デッドラインの4000回まで、ほんの4回分。死に物狂いで耐えていた沙綾香の頑張りが、見事に効いた形だ。
「すげー。あのエロいガキ、勝ちやがった!」
「途中までリードされてたが、最後で一気に捲ったな。根性勝ちってやつか」
「しかし、あの桜織という娘も大したものだよ。あの体格差の相手に輪姦されて、最後まで失神しないとは。大したマゾ奴隷ぶりだ」
「いやー、見応えのあるショーだったぜ!」
 客は興奮冷めやらぬ様子で感想を語り合う。そんな中、怒張を引き抜いた黒人共が、改めて沙綾香達を抱え上げた。親指で割れ目を、その他の指で肛門を割りひらき、輪姦の結果を見せつける。
「うっは、すげぇ! 粘膜が捲れかえって……アナルローズにマンコローズってか!?」
「前の穴が特にひでぇな。まあ、あの極太を二本も突っ込まれりゃ当然か」
 客は沙綾香達の性器を見上げ、下卑た笑みを浮かべる。
「えへっ、めくれちゃったぁ……」
 桜織にも、似た笑みが浮かんでいた。視線に晒される状況に興奮しているようだ。
 一方の沙綾香は、顔を横に向けてぐったりとしていた。呼吸は荒く、汗もひどい。指の一本も動かせないほど疲れきっているようだ。審査会で勝つために、力という力を振り絞ったんだろう。
 そして彼女は、見事にやってのけた。彼女の意地を通しきってみせた。

 ただ、その代償は大きい。俺はこの後、それを思い知らされることになる。審査会後の恒例である、夜通しの輪姦の中で……。


 

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.6(前編)

毎度ながら、更新遅くてすみません……。
文字数が非常に多いため、前編・中編・後編に分割して投稿します。
前編は『焦らし責め・マジックミラー声我慢セックス』、
中編は『桜織との審査会』
後編は『審査会後のドラッグセックス』シーンとなります。
残りは最終話とエピローグのみとなります。長すぎる話ですが、何卒、お付き合いください。




 藤花との審査会で勝ち残った沙綾香は、朝の6時まで黒人共に犯され続けた。前日の晩にセックスの機会を得られず、性欲が溜まっていたのもあるだろうが、それだけではなさそうだ。
 あの黒人共は、沙綾香に惹かれはじめている。セックスの内容を見ればそれは明らかだ。性欲ありきのセックスなら、興味は性器だけに向く。事実、最初の頃のあいつらはそうだった。集団で沙綾香の手足を掴み、口と膣と肛門を荒々しく犯し、射精する。それを何度か繰り返して性欲を発散しきれば、ボロ雑巾のような獲物を放り出してビールを煽り、ピザを食い、カードゲームやダーツに興じる。そうして精子が溜まってきたところで、また襲い掛かる。その繰り返しだった。
 だが、今は違う。貪るように性器を犯すのは同じだが、ひとしきり性欲を発散した後も、沙綾香を離さない。両手で顔を掴んでキスを強要したり、手で怒張を扱くように求めたり、内腿の汗を舐めたり……そうやって、休憩しながらも沙綾香と関係を持ちたがる。
 沙綾香からすれば地獄だろう。挿入されていない間も、何らかの形で刺激を与えられる。朝が来て引き剥がされるその瞬間まで、休んでいられる時間など1秒もない。
「んっ……んんふっ、ふっ…………ん…………」
 桃色のネグリジェを着せられ、ベッドで眠りはじめてからも、沙綾香の顔からは悩ましい表情が消えなかった。見えない何かに愛撫されるかのように、身悶えつづける。ここのところ、意識のない間はずっとそうだ。

「オーガズム中毒に陥っているのは、もはや確実ですね。肉体が快楽に依存し、自ら絶頂を求める……あれで、よく狂わずにいられるものです。公安のネズミ以来のしぶとさだ」
 腰に手を当てた端塚が、下のフロアを見下ろしながら呟く。
「公安? そんなものに潜り込まれたのか」
「以前、私の秘書を務めていた女ですよ。有能でしたが、そつが無さすぎるのが逆に怪しく、別の者に命じて密かに動向を監視させていたのです。結果、ある日とうとうボロを出した」
 端塚はそこで言葉を切り、苦い記憶だとばかりに首を振る。公安のスパイに潜り込まれたとなれば、喉元に刃を突きつけられたも同然。この鉄面皮の男も、さぞや肝を冷やしたことだろう。厳重なセキュリティや、従業員の女すべてを奴隷に貶めているのも、そのせいか。
「そいつは、その後どうしたんだ」
「もちろん、倶楽部の奴隷にしました。薬物や拷問に耐性があったため、少々手こずりましたが、結果としてそれが技術の進歩に繋がったのですから、皮肉なものです。特に、この部屋に充満させていたガスと、八金沙綾香に吸わせているガスのかけ合わせは、あの女の強情さがなければ生まれなかったでしょう。今でも鮮明に思い出せますよ。それまで余裕を残していたあの女が、二種類のガスを立て続けに吸引した直後、絶望的な表情に変わった瞬間を。あの女ですら耐えられなかった薬と責めを、財閥令嬢ごときが耐えきれるはずもない」
 端塚は肩を揺らして笑い、俺の方を振り返る。
「先生が、未だにあの娘に同情的である事は察しております。しかし、八金沙綾香の崩壊、これはもう避けられません。審査会もこの4回目で最後です、今夜ですべてを終わらせましょう」
 皺だらけの顔に、より深く溝が刻まれる。悪意のある笑みは散々目にしてきたが、この男ほどおぞましい表情は他にない。セキュリティに肩を掴まれているのを抜きにしても、窒息しそうな圧を感じる。
 以前の俺は、本当にこの男を従えていたんだろうか。この、狂気そのもののような男を……。


                 ※


 昼になれば、また百合のマッサージが始まる。最初は勿論、催淫ガスの吸引からだ。
「……っ! …っ、…………ッ!!!」
 吸引器を口に押し当てられながら、沙綾香は痙攣し、何度も百合に視線を送る。だが百合は首を振り、沙綾香の口を覆い続けた。沙綾香の眼が力を失い、泥酔したようになるのに、そこから1分と掛からない。
 5分間の吸引が終わる頃には、沙綾香は座る姿勢すら保てなかった。タオルの敷き詰められた寝台へと、力なく倒れ伏す。
「はっ、はっ、はっ……。せ、先輩……熱い。熱い、です…………」
 息を乱し、珠の汗を流しながら、百合に訴えかける沙綾香。その体は震え続け、熱湯に浸かりながら凍えるような有様だ。
「…………沙綾香」
 変わっていく後輩を見て、百合はどう感じているんだろう。憐れんでいるのか、それとも予定通りとほくそ笑んでいるのか。能面のような顔からは、感情が読み取れない。
 ただ、ひとつ確かな事がある。彼女は、倶楽部の方針には逆らえないということだ。
「まずは、たっぷりとマッサージしてやれ」
 手越がそう言って、オイルのボトルを投げ渡す。百合はそれを受け取ると、たっぷりと手に出して塗り伸ばし、沙綾香の身体に触れはじめた。ただし、ネグリジェの上からだ。
「あ、あああ……っ!!」
 間接的なオイルマッサージだというのに、沙綾香は甘い喘ぎを殺せない。
「感覚が研ぎ澄まされていると、素肌に触れられるより、薄布越しの方が感じやすいでしょう」
 百合はそう囁きながら、丹念に沙綾香の全身を揉みほぐしていく。胸、腕、腰、太腿……そう言った場所を百合の白い指が撫でるたび、沙綾香はゾクゾクと震え上がる。
「いい反応だな。もうどう足掻いても、快感が抑えきれねぇか」
「ああ、悦楽の虜ってやつだ。おい百合、道具も使ってやれ」
 ソファから眺めていたロドニーが笑い、手越が指示を飛ばす。百合はその言葉に従い、バッグからマッサージ器を取り出した。
「や……今、そんなの……!」
 沙綾香は引き攣った顔で首を振るが、百合の手は無慈悲にもスイッチを入れる。ごめんね、と唇を動かしながら。
「ふぁああああっ!!」
 マッサージ器が股間に触れたその瞬間から、沙綾香は悲鳴を上げた。背後に手をつき、股を広げたまま、びくびくと身体を痙攣させる。5秒と経たず刺激に耐え切れなくなり、身を捩って逃げようとする。だが、百合はそれを許さない。
「大人しくなさい」
 やや語気を強めて叱責しながら、沙綾香の膝をこじ開けて刺激を与え続ける。
「んんんんっ、んああああっ!! い、いくっ、イクぅっ!! イクのっ、止まんないいっ!!!」
 沙綾香の反応は激しい。首筋を晒し、腰を浮き上がらせて痙攣する。ほんの一瞬ではあるものの、白目を剥いてもいるようだ。
「凄ぇな、まるでポルチオ逝きの反応だ」
「中イキが癖になりすぎて、クリやヴァギナ刺激されるだけでキマっちまうのかもな。あそこまでになって、まだ自我保ってるオンナも珍しいぜ。普通、とうに頭が焼き切れてるだろ」
「ああ。次の審査会で相手する、桜織みてぇにな。ありゃあもう駄目だ。昨夜、一週間ぶりに様子を見に行ったんだがよ、コッチの話なんぞ聞きゃあしねぇ。俺がヤリ部屋に入った途端、ズボン脱がしてしゃぶりに来やがった」
「ハハハッ、まるで動物だな! 特にアンタの真珠入りのブツは、快楽中毒の女にとっちゃ最高の馳走だからよ。バージン奪われた時の刺激が忘れられなくて、むしゃぶりついたんだろうぜ。だが、そんなザマで『審査会』がやれんのか?」
「ああ。それについちゃ、考えがあってよ」
「ほう……ほう……はっ、なるほどな。そりゃ面白そうだ! あの嬢ちゃんにとっちゃ、その路線が一番キツイだろうしな」
 沙綾香の反応を眺めながら、手越とロドニーが会話を交わす。その最中にも、沙綾香は機械の無機質な振動で、絶頂に追い込まれていた。
「あ、あ、あっ……もうだめ、もうだめ! 出ちゃう、出ちゃううっ!!」
 沙綾香がシーツを掴みながら声を震わせた直後、割れ目から飛沫が上がる。
「すっかり、潮噴きしやすい体質になったのね」
 百合はまた囁きかけながら、マッサージ器を宛がう角度を変え、さらに沙綾香を身悶えさせる。
「ぃ、くううっ……!! んぐっ、いく、いく、うううっ!!!」
 沙綾香の左手はシーツを握りしめ、右手は必死に百合の腕を掴んでいた。歯を食いしばって堪えているが、絶頂を止めることができないらしい。
「おいおい、そんなに景気よくイキまくってて大丈夫か? 次の審査会は、んな調子じゃ乗り切れねぇぜ」
 びくびくと震える沙綾香に、手越が語り掛ける。沙綾香の視線が右を向いた。
「最後の『審査会』は、ちと趣向を変える。お前と桜織で4時間客の相手して、合計4,000回以上イッたら、2人まとめて失格だ」
「はぁっ、はぁっ……なにそれ、それのどこが審査なの!?」
「立派な審査だろ。これまでは、お前と相手のどっちがマゾ奴隷らしいかの勝負だったが、桜織のザマを見てるとそれすら疑問に思えてな。果たしてこいつは、奴隷うんぬん以前に、ヒトと呼んでいいものか……ってよ」
「……っ!!」
 手越の言葉に、沙綾香が声を詰まらせる。俺があの問答をしても、やはり言葉を失っただろう。俺も、沙綾香も、桜織が壊された記録を観ている。記録の最後、快楽の叫びを上げ続ける桜織は、確かにケダモノそのものだった。
「そして今となっちゃ、お前も“そっち”に片足突っ込んでる状態だ。だから、審査すんだよ。お前らが人間なのか、そうでないのか」
 沙綾香の顔が歪む。彼女自身、自分の変化は嫌というほど感じているだろう。まさに今、絶頂を止められずに叫んでいたところなんだから。
「ペアで4,000回って条件は、せめてもの温情なんだぜ。各自2,000回なんてすりゃ、今の桜織は軽々と超えちまうだろうからな。お前がグッと我慢すりゃ、お友達を救い上げられるってわけだ。だったら、アソコに電マ当てられたぐらいで、呑気に絶頂してる場合じゃねえだろ?」
 手越の口にする悪魔じみた理屈が、沙綾香を追い詰める。
 4時間で2000回。普通なら狙っても越えられないような回数だが、執拗に逝き癖をつけられた人間なら、越えてしまいそうな気がする。桜織は勿論、沙綾香でさえ。
「……ッ!! …………ッ!!」
 彼女は手足に力を篭め、口を引き結んで絶頂を堪えようとしはじめた。そんな健気さを前にして、百合は目を細め、手越はほくそ笑む。
「そう、その調子だ。お前さえ頑張れるってんなら、イクのを我慢する特訓にも協力するぜ」
 悪意に満ちた提案だ。絶頂に抗おうとすればずるほど、快楽の沼に深く沈み込む……そう確信しているからこその誘導だろう。そして沙綾香は、その提案に乗るしかない。たとえその先に、地獄の苦しみが待っているとしても。


                 ※


「そう難しいお顔をなさらず。ハーブティーのお替わりはいかかですか」
 ティーポットを手にした橋塚が、そう声を掛けてくる。その呑気さが腹立たしい。愛した女が今夜にも狂うかという状況で、リラックスができるものか。

 沙綾香がこの地下19階のフロアから連れ出されてから、もう小一時間が経つ。
『桜織に会わせてやる』
 手越がそう言ったことを踏まえれば、向かった先は地下18階だろうが、一体何をされているのか。
 不安ばかりが募る中、モニターの映像が切り替わった。いつもの4画面とは違い、左右に分割された2画面だ。映しているのは、左右で違う場所。そして、それぞれ違う意味でインパクトが強い。
 画面左側は、どこかの休憩エリアだろうか。自販機やテーブル、観葉植物が映り込んでいる。ごく普通に見かける光景ではあるが、一つだけ異質なものがあった。画面中央に設置された、2メートル四方ほどの巨大な箱だ。
 箱の正面には大きい穴が一つ、その左右に小さい穴が二つ空いていて、そこから若い女の顔と両手首が、横並びになって突き出ていた。女の顔には栓付きの開口マスクが取り付けられ、顔の下半分と鼻の周りがラバーに覆われているが、涼やかな目元だけで沙綾香だと判る。本物の美少女は、どれだけパーツが隠れていようと、やはり可愛い。
 だが、繋がれた女の質とは裏腹に、箱そのものは粗末極まりなかった。さすがに段ボール製ということはないだろうが、それに近い、薄汚れた厚紙のような表面をしている。そして、粗悪な印象を際立たせるのが、その表面に書きなぐられたラクガキ跡だ。
『オールフリー口マン便器』
『ディープスロートOK』
『オレのお下がりです。ご自由にお使いください(笑)』
『ゲロらせて放置したやつ 死ね!!!』
 そんな、繁華街の路地裏で見かけるような下卑た文句が、マジックか何かでびっしりと書き込まれている。その中には人名らしきものもあり、大半は二重線で上から消されていた。おそらく、過去に何人もの女性がこの箱に繋がれ、性欲処理の道具として使用されてきたんだろう。そう思ってよく見れば、沙綾香の顔が嵌まっている穴の直下には、何かが伝い落ちた跡が染みになっているのがわかる。
 その異様な光景に比べれば、モニターの右画面はまだ普通だ。こっちは、箱の内側を、床に近い場所から映しているものらしい。映り込んでいるのは、頭と首を除く沙綾香の裸体。中腰に近い格好だが、スタイルが抜群なだけに、彫刻のような見栄えの良さがある。その少し後ろには百合が、耳にイヤホンをつけたまま正座で待機していた。

 しばらく、その状態が続く。モニターの中では、左画面の沙綾香の目だけが動いていた。何か気がかりな事でもあるのか、フロアの様子を必死に探っているようだ。
 そんな状態のまま数分が過ぎたころ、俄かに画面内が騒がしくなる。
『さーて、今日もヤルか!』
『元気だねぇお前。俺ァもういい加減飽きてきたぜ。締まりもあんま良くねえし、もう何やっても嫌がらねぇしよ』
『嫌がらねぇのは結構なことじゃねえか。まあ確かに最初ん頃の、清楚そうなツラが引き攣るのは興奮したがな』
『今じゃ顔が引き攣るどころか、部屋入った時点で腕掴んできて離さねぇもんな。正直、ちょっと怖ェ時もあるわ。ま、ハメだしたら気になんねーけど』
『お前ら贅沢すぎだろ。現役の女子高生で、しかも相当可愛い方のと好きなだけヤレてんだぜ?』
『その通り。オレなんか、ここ来るまで42年間童貞だったのによ、今じゃ経験回数数百回の大ベテランだ。ありがてーありがてー!』
『そう考えるとすげーよな。俺もあんま経験ある方じゃなかったけど、もう目ェつぶってても絶頂にもってけるぜ。あー、早ぇとこシャバに戻って、別の女をヒィヒィ言わせてぇもんだ!』
 何人もの男の声で、下世話な会話が交わされる。人数はかなり多く、日本語以外の言葉も混じっているようだ。その情報と会話の内容を照らし合わせれば、誰なのかはすぐに解る。桜織を犯しぬいて壊した、50人のタコ部屋労働者達だ。

『…………あれ。何だあの箱?』
 1人が異変に気づいたらしく、疑問を口にした。すると、他の連中も何だ何だとざわつきはじめる。声はどんどんマイクに近づき、画面端にいくつもの人影が映り込んでいく。
『女が繋がれてんぜ。ほんと、何だこれ?』
『こういうプレイだろ。ここって、変態向けの倶楽部らしいし』
『口使ってヌクとか、そういう公衆便器みたいなやつってことか?』
『多分な。口マン便器とか、ご自由にお使いくださいとか書いてあるし』
 男共がさらに輪を狭め、画面に毛深い脚が映り込む。一方で沙綾香の瞳も、斜め上を向いたまま、右から左へと動いた。男共の顔を眺めまわしているようだ。
『結構若いな。桜織と同じぐらい?』
『ああ、この肌ツヤはティーンだろ。しかもよ、こいつ結構可愛くねぇか?』
『バーカ。お前、風俗のパネルマジックに引っかかるタイプだろ? 女なんてもんはな、口元隠しゃあ、大概の奴が可愛く見えんだよ。大体、若くてルックスもいいなら、こんな雑な扱いされねえだろ』
『それ言ったら、桜織だって俺らのオモチャにしちゃ上等すぎたぜ。あのルックスで、お嬢様学校通ってて、全国模試1位の優等生ってんだから』
『こいつも訳アリかな。ハードプレイでマンコぶっ壊れて、フェラ専用に払い下げられたとか。まあ仮にそうでも、オレ余裕でいけるわ、コイツ』
『つーか、仮にこれが“そういうの”だとしてさぁ、俺らが使っていいわけ?』
『んー、どうだろうな……』
『ここに置いてあるってことは、使っていいんじゃね? このフロアって、俺らしか出入りしねーじゃん』
『いや、あの手越とかいうヤーさんが使うのかもしんねーぞ』
『だとしたら、それこそこんな、俺らが使いそうな場所に置かねぇだろ。大体あの人、もうほとんど顔出さねぇじゃん。昨日は久しぶりに来てたけど』
『もういいや、ヤッちまおうぜ! 俺らの休憩所に置いてあんだ、大丈夫だって!』
 騒々しく議論が交わされる中、男の1人が箱に近づき、沙綾香の口枷に嵌まっている栓を外した。その途端、沙綾香の口から唾液が垂れる。
『おっ、なんだよ。俺らのチンポ見て、ヨダレ出ちまったか?』
『キラキラした眼ェしてるくせに、いやらしいこった。まぁこんな扱いされてんだ、だいぶ仕込まれてんだろうな』
 また別の男が、逸物を扱き上げた。皮が剥けきり、赤い亀頭が露わになったそれは、相当に使い込まれていることが伺える。サイズも日本人にしては大きめだ。
『へへへ、デケェだろ。前はそうでもなかったんだが、毎日毎日ハメてるうちに、勃起力が増してきやがった。2センチは増したんじゃねぇかな』
 男はそう言って、自慢げに竿を見せつける。毎日毎日ハメてる──その相手が誰なのかは、考えるまでもない。
『…………!』
 沙綾香の目尻が吊り上がる。級友をセックス漬けにした憎い相手が、すぐ目の前にいるんだ。友人想いな沙綾香が激情を押さえられるはずもない。
『おっ。なんかコイツ、睨んでねぇか?』
『はっ。ブスな上にマンコも使いモンになんねー無価値オンナの分際で、一丁前にプライド持ってるタイプか? 救えねーな』
『ゴミだな。身の程弁えさせてやっか。桜織をヒンヒン言わせる、俺らのデカマラでよ』
 沙綾香の目つきに一瞬動揺が走るが、身動きの取れない少女が恐れられるはずもない。さっきの男がさらに2歩踏み出し、開口具の中に亀頭を押し込んだ。
『うう、ウグウウ゛ッ……!!』
 沙綾香が全力で睨み上げても、男の笑みは消えない。
『うっへへ。ツバの量がすげぇな、ヌルヌルだ。お前、すげえ睨んでるけど、実は咥えさせられんの期待してんじゃねぇの? なんかマゾっぽいぜ、それ。ほら、どうした。舌使ってみろよ。ほら』
 男は詰りながら、半勃ちの逸物を送り込んでいく。舌使いを促しているところを見ると、沙綾香は口の中を一切動かしていないようだ。せめてもの抵抗か、男が何度催促しようと、頬も顎も動かない。

「ハッハッハ、頑張ってるな。お友達をぶっ壊した相手に、奉仕なんぞするかってか!?」
 モニターを見上げて、ロドニーが笑う。逆に手越は苦々しい表情だ。
「ンなとこで頑張られちゃ困るんだよ。……百合、始めろ」
 吐き捨てるように呟いてから、インカム越しに指示を出す。それを受けて、モニターの右画面で百合が動きを見せた。両手に薄いゴム手袋を嵌めて立ち上がり、沙綾香の下半身に近づくと、剥き出しの割れ目に触れる。
『!?』
 右画面で腰が跳ね、左画面では眼球が横を向いた。そんな中、百合はさらに割れ目へと指を沈め、クリトリスとGスポットを刺激していく。
『おっ……へへへ、舌が動き出したぜ。ようやっと観念したらしいな。そうだ、そうやって舐め回せ。こびり付いたカスも丁寧に舐めとれよ』
 一人目の男が、嬉しそうに声を上げた。
『うア゛、アア゛ウ゛……ッ!』
 沙綾香の目尻は吊り上がったままだ。親友の仇の汚いペニスを咥えさせられ、性器への刺激で強制的に舐めさせられる。その屈辱は想像を絶するものだろう。逆に利用している側は、目元も口元も緩みっぱなしだ。
『いいねぇ、この拙い感じ。桜織に初めてしゃぶらせた時を思い出すぜ』
『ああ、あの腹タプタプになるまでザーメン飲ました時か。懐かしいな、もう何年も前って気がすんぜ。……ああヤベ、なんか思い出したら勃ってきちまった。あん時のこと思い出して、新鮮な気分で可愛がってやるか!』
『だな。アイツも待ち焦がれてることだろうしよ!』
 一人目の男の言葉をきっかけに、他の男も鼻息を荒くする。カメラにこそ映らないが、音を聞けば、何人かが移動を始め、どこかの扉を開けたのがわかる。
『あはっ、いらっしゃあい!!』
『クククッ、嬉しそうな顔しやがる。今日は久々にヤル気満々だからよ、たっぷり可愛がってやるぜ!』
 甘えるような女の声と、興奮気味な男の声。女の声は桜織のものだろう。エレベーターで級友にぴしゃりと注意していたそれとは、まるっきり別物だが。


                 ※


『ああああいく、イクッ!! イクぅうううんんっ!!!!』
 男が別の部屋に入ってから、わずか3分後。音割れしそうなほどの絶叫が響き渡った。大怪我でもしないと発さないほどの声量だ。
『相変わらず、バカでけぇイキ声だな』
『正直、やめて欲しいよなアレ。手と足でぎゅーってしがみつきながら、耳元で喚くじゃん。耳おかしくなりそうなんだよなー』
『正常位で犯るからだろ。俺は常にバックでハメてよ、喚きだしたらシーツに顔押し付けてんぜ。声出せねえと、その分腰がビックンビックン動くからおもしれーんだ』
 男共が苦笑しながら、桜織の叫びについて語り合う。それを耳にする沙綾香は、内心穏やかではないだろう。だが彼女は、遠くへ意識を向けてばかりもいられない。
『……なあ。なんかよ、中から音しねーか?』
『ああ、俺も気になってた。バイブみたいな音してんな』
『もしかして、ファッキングマシーンでも動いてんのかな。こいつの姿勢的に、中で腰突き出す感じだし』
 箱を取り囲む何人かが、眉を顰めて言葉を交わす。その指摘通り、箱の内部……モニター右画面では、百合がマッサージ器を沙綾香の割れ目へと宛がっていた。
 刺激は与えるが、絶頂はさせない。がに股に開いた沙綾香の太腿が強張り、膝が揺れ、腰が上下に揺れた辺りで、すっと器具の先端が外される。そして、名残惜しそうにひくつく割れ目を数秒放置し、またマッサージ器を押し当てる。その繰り返しだ。
 その生殺しは、沙綾香にしてみれば当然つらい。おまけに今や、逸物を咥えさせる一人目の男も、沙綾香の頭を抱え込んでの挿入に移っている。
『うおおおお、ズルーッと奥まで入るぜ! おまけにエグつかねぇ。相当調教されてんな、こりゃあ』
 男は嬉しそうに言いながら、毛深い腹を前後させた。動きはひどくスムーズだが、玉袋が開口具の輪に触れる、根元までの挿入だ。喉奥が攪拌されている時特有の、カコッカコッという音も聴こえている。
『ああああ、気持ちええ……歯ァ立てられる心配がねぇから、思いっきり奥まで突っ込めるぜ』
 男はうっとりと息を吐きながら、腰の振りをさらに早める。
『ゥウ゛ウ゛……ウウ゛』
 沙綾香は呻きを漏らし、男を睨み上げた。同時にモニター右画面でも、太腿がぶるるっと震える。
『あああ、出る……出るぞおっ!!!』
 男が叫んだのは、その直後だった。腰を突き出す姿勢で下半身を震わせ、気持ちよさそうに射精する。黒人共には遠く及ばないものの、数秒に及ぶ射精は特筆に値する。
『ふうう……』
 男が腰を引くと、逸物が久々にリングから抜け出した。最初より明らかにサイズの増したそれは、男の得た快感をよく物語っている。そんな物を咥え込まされたせいか、それとも開口マスクでの奉仕のせいか、唾液の量はいつになく多い。男のペニス全体が粘液に塗れているのはもちろん、開口具のリングと亀頭も太い糸で結ばれている。
『へへへ、こんなに出たのは久々だ。使い古したマンコより、モゴモゴ動く喉の方がよっぽどイイぜ』
 男はそう言いながら、沙綾香の顎を持ち上げた。開口具のリングの中に、白いものがちらりと見える。上方のカメラにすら映るんだから、正面からなら、舌を覆い尽くす精液が丸見えだろう。
『れあっ……はっ、はっ、はっ……』
 沙綾香は、上気したような顔で喘ぎながら、精を注ぎ込んだ相手に鋭い眼を向けていた。男はそれを見て、歪んだ笑みを浮かべる。
『よーし、飲め』
 残酷な要求だ。だが、性欲に滾るケダモノが頻繁に求める行為でもある。
『えあ、ああえ、あ……!!』
『こら、出すんじゃない』
 沙綾香が舌で精液を追い出そうとするのを見て、男は唾液に塗れた開口具の蓋を拾い上げ、リングに嵌め込んでしまう。ちょうどその瞬間、モニター右側のマッサージ器が割れ目へと押し当てられた。
『ムぐウウッ!!!』 
 最悪なタイミングだ。沙綾香は目を見開き、首を反らし、足を内股に閉じる。だが、彼女にできることはそこまでだ。百合がぐいっと膝を押し開き、なぞり上げるように割れ目を刺激すれば、ごくんっと喉が鳴る。
『はははっ、飲みやがった!!』
『よーしよし、それでいい。よく味わえよ、男のザーメンの味を!』
 男共は手を叩いて笑いながら、怒張を指で弄ぶ。
 過去の映像通りなら、タコ部屋労働者の数は50人。恥辱の奉仕は、ここからが本番だ。


                 ※


『あっ、ああああっ!! きてえ、赤ちゃんの種、奥に注いでえっ!!!』
 舌ったらずにも思える声が響き渡る。声量は相変わらず大きい。映像内の音に優先順位をつけるなら、その叫びが1番で、パンパンという性行為特有の音が2番といったところだろう。それに比べれば、他の音など些細なノイズに過ぎない。だが俺は、そのノイズこそが気がかりだ。

『う゛っ、ぶぐっ……んんう゛っ、んええ゛っ!』
 中年男の逸物を代わる代わる口に突っ込まれながら、沙綾香はえずき続けていた。ディープスロートの最中にサイズが増していくとはいえ、射精直後に抜き出されるペニスのサイズは、せいぜい16か17センチといったところ。20センチ台半ばの黒人ペニスを何度も咥え込まされている沙綾香にとっては、余裕のあるサイズだろう。にもかかわらずえずくのは、下半身の疼きのせいだろう。
 百合による責めは、徹底していた。彼女は、沙綾香が絶頂するタイミングを読みきっているらしい。ある時は斜め方向から、ある時は真下から上に向かって、毎回違う角度でマッサージ器を押し当てる。愛液が次々に溢れ、機械の振動で四方八方に飛び散っていく。
 そうして十分に昂らせたところで、百合はすっとマッサージ器を離す。激しく開閉を繰り返す割れ目は、「あと数秒で気持ちよくなれたのに、どうして」と泣き叫ぶかのようだ。時にはマッサージ器が離された瞬間、追いすがるように腰が下がり、手越達の大笑いを誘うことすらあった。

 そんなことを30分あまりも繰り返し、がに股に開かれた脚が病的に震えだした頃、百合はなぜかマッサージ器のスイッチを切った。そして泣き叫ぶような割れ目を、両手の親指でぐうっと押しひらく。赤い粘膜が開けば、とろとろと肉汁が滴り落ち、子宮口までが丸見えになった。何も刺激を受けていないのに、割れ目は喘ぐように開閉し、愛液を垂らす。それをじっくりと観察してから、百合は再びマッサージ器のスイッチを入れた。条件反射というものは恐ろしい。重苦しい重低音が響きはじめれば、それだけで割れ目のひくつきが早くなる。愛液もどろっ、どろっ、と溢れ出す。その状況で、百合はまたマッサージ器を触れさせた。ただし、割れ目にじゃない。下腹部……子宮付近にだ。これは完全に予想外だったらしく、沙綾香の腹筋が激しく動く。もごっ、というくぐもった呻き声も漏れる。

 こうした一連の責めは、当然ながら画面左側にも変化を及ぼした。
『んむっ、むっ、むぐっ……ぉ゛え゛っ!! もぼっ、おも゛っ、ごもおっ……ん、ぐっ……んぉ゛お゛ええ゛っ!! ぶふっ、おえ゛っ!!』
 タコ部屋男達の逸物を根元まで押し込まれても、沙綾香にはなお睨む余裕がある。だが、百合の手で絶頂に際に追い込まれている間は、その余裕が消え失せた。瞳孔が開くと同時に、激しくえずき、噎せる。
『お、また苦しい感じになってきやがった!』
 男共は沙綾香の反応を面白がり、さらに追い詰めようとする。後頭部を抱え込んだまま、グリグリと腰を押し付けたり。鼻を指で摘まみ、呼吸を遮ったり。その果てに射精する際にも、喉奥へ突っ込んだまま直接胃に流し込む奴もいれば、顔に勢いよく掛ける奴や、わざわざ鼻の中に注ぎ込もうとする奴もいる。そうして嫌がらせをし、沙綾香が睨んでくるのを楽しむわけだ。

 そして、ある程度時間が経てば、状況はさらに悪くなる。
『おーい、ちょっと使わせてくれ』
 遠くからそう声がし、一人の男が画面内に姿を表す。沙綾香を取り囲む輪に加わろうとするそいつの逸物は、何かの粘液に塗れていた。
『おいおい。桜織相手に楽しんどいて、この便器まで堪能しようってか? 贅沢な野郎だな』
『んなこと言ってもよぉ、マン汁でベタベタに汚れてんだぜ。せっかく洗える設備があるんだ、有効活用しねぇとだろ。ほら、どいてくれ。乾いちまう』
 男は仲間に非難されながらも、濡れ光る逸物を沙綾香の口元に近づける。
『もごっ!? も゛ーーっ、お゛ーーっ!!』
 繰り返しの奉仕で朦朧としていた沙綾香が、眼を剥いて喚きはじめた。つい今の今まで親友の性器に入っていた物を咥えさせられるなど、強い抵抗があって当然だ。だが、開口具で口を開かされた沙綾香に拒む術はない。
『桜織は可愛いからな。爪の垢ならぬマンコの汁を飲みゃあ、オメーはちっとは見れる顔になるかもなあ』
 男がさらに腰を押し出せば、目元を引き攣らせた顔に、妖しく濡れ光る逸物が入り込んでいく。
 逸物を押し込まれてからも、沙綾香の抵抗は激しかった。
『もごっ、ごおっ!! もごっお、おごも゛、おおお゛っ!!!』
 喉を突かれながら、えずきとはまた違う、何かの言葉を発し続けている。
『へへへっ、すげぇ嫌がりようだ』
『ずーっとなんか不満垂れてるな。まあ女同士って、表面上仲良くしてても、裏じゃすげえ嫌い合ってるらしいからよ。他の女のマン汁舐めるのが嫌でしょうがねえんだろ』
 男共は沙綾香の思惑など知らず、勝手な解釈で笑い合う。そんな中、沙綾香は顔を歪め続ける。
『ぶ、ぶふっ!!!』
 愛液まみれの怒張を突っ込まれてから、1分あまり。沙綾香はとうとう噎せ返り、鼻から精液を溢れさせる。
『はははっ、なんか噴いたぞおい!!』
『これまでに飲まされたザーメンが逆流してんのか? もう結構飲んでるもんな』
 男共はそれをも嘲笑い、さらに口の蹂躙を続ける。
 桜織とのセックス後に咥えさせる男は、もちろんこの一人だけじゃない。
『おい、そろそろ射精さねぇか? 後が詰まってんぜ』
『こっちも頼むわ!』
 一人また一人と、桜織相手に射精した男共が列を作る。こういう桜織の相手を終えた連中は、一度射精しているため、達するのに時間が掛かるというデメリットもあった。初めて射精する奴が平均十数ピストンで達するのに対し、30回も40回も喉奥を凌辱しつづける。沙綾香にとっては、最悪な相手だろう。

 前では50人の男の薄汚いペニスを順番に咥えさせられ、後ろでは百合による過酷な寸止めが続く。
 沙綾香の目からは、とうとう涙が零れはじめていた。顔の左右に突き出た両手は固く握りしめられ、足はがに股のまま、激しく踏み変えられる。
『えぐっ、えぐっ!! えきあい、えきあいっ!!』
 男が射精し、ほんの僅かに口が自由になれば、開口具から呻きが漏れる。
『あ? 何言ってんだ、こいつ』
『もしかして、「イキたい」つってんじゃねえのか?』
『はぁ? 俺らのチンポしゃぶりながらか? 気持ち悪りー女だな』
 その呻きは男共に気味悪いがられ、嘲笑の的になる。肉体的にも精神的にも、ヤスリがけされるような状況だ。
「クククッ。地獄だな、ありゃ」
 ソファに腰掛けたロドニーが、葉巻をふかしながら呟いた。
「ああ、生殺しの極致ってやつだ。思いっきりの一突きが欲しくって欲しくって、砂漠で水を求めるような心境だろうぜ。……百合、そろそろケツも弄ってやれ。軽くなら、イカせてもいいぜ」
 手越も真新しい煙草に火を点けつつ、百合に指示を飛ばす。百合はそれを受け、肛門に2本指を差し入れた。そしてマッサージ器の先端を下腹部に押し当てつつ、指先を腹側に曲げる。
『んも゛おおええ゛エ゛エ゛ッ!!!』
 直後、沙綾香の口から凄まじいえずき声が漏れ、両脚の踵が浮いた。百合がマッサージ器を引き、恥骨の辺りをうっすらと撫でるようにすれば、下半身は完全なつま先立ちで震えたあと、ぷしゅっと潮を噴く。
「クククッ。すっかりアナルアクメが癖になってんな」
「どの穴も、開発は充分。あとは中毒にするだけだ。焦らしに焦らした上で、極上の快楽を与えまくってよ」
「その割にゃあ、潮噴かせてんじゃねぇか。ささやかとはいえ、あれも解放だろ?」
「いいや。ああやって潮を噴いたところで、ちいとも楽にゃならねぇよ。むしろ、乾ききった喉に一滴だけの水は、何も与えられねぇ以上に酷だ。もっとくれもっとくれって、身体が訴えやがるからな」
 手越が語る通り、沙綾香の下半身は、さっきよりも余裕を失っていた。肛門は百合の指を締め付け、割れ目は狂ったように痙攣しながら雫を垂らし、足先は指の腹しか床と接していない。そしてそれは、またしても上半身に影響を及ぼした。
『うっひょおっ、すーげぇコイツの口! ツバと、えずき汁か胃液かわかんねーもんが混ざり合ってよ、トロットロになってやがる! このヌメり、たまんねぇや。マンコより気持ちいいぜ!』
 沙綾香の口を『使って』いる男が、興奮した様子で叫んだ。その心地よさそうな声と表情に、他の男も鼻息を荒くする。
『マジかよそれ……気になんじゃねえか。早く替われよ!』
『俺も、2周目やらせてくれ。最初の方だったからよ、そこまでトロトロじゃなかったんだ!』
 50人もの男が色めき立ち、一つしかない穴を奪い合う。それも、一人一回では済まない。2回も3回も、嗜虐心と肉欲を満たそうとする。

 全員が人心地つき、誰も開口具に挿入しなくなったのは、実に5時間後のことだった。
『ふーっ、やったやった! 何回出したんだ? このブスの口に』
『知らね。100回ちょいじゃねーか?』
『かーっ、幸せな女だな。デカチンの雄にハーレム状態で可愛がられて、精子までハラ一杯ご馳走してもらえんだからよ』
『ああ、奴隷冥利に尽きるってもんだ。箱ン中じゃ、マンコがトロトロになってるに違いねぇ』
 男共は、唾液の滴る逸物をぶらつかせながら、沙綾香を取り囲む。
 沙綾香は、気を失っていた。顔は力なく俯き、開口具の蓋に繋がる鎖には、泡立つ粘液が絡みついている。
『……すげぇことになってんな、しかし』
 一人が顎を持ち上げると、精液で覆われた顔が露わになった。
『うっへ。ぶっかけまくったザーメンが固まって、顔中パキパキじゃねーか』
『公衆便器だな、完全に』
『いや。公園の便器でも、ここまで汚くねーだろ』
 何人かが呟き、また別の人間が、沙綾香の口に指を突っ込む。喉奥にまで指先を突っ込めば、沙綾香の首がぼこりと波打った。
『ごぼっ、ごほっ!!』
 苦しそうな咳と共に、白濁があふれ出していく。50人分の精液となれば、さすがに量が凄まじい。蛇口を開け放った時のように、びしゃびしゃと床に音が立つ。
『うおー、ヤッベエ!』
『ほんと、桜織にやったアレ思い出すな。いくらか飲ませたら、全員の借金帳消しとかいうやつ』
『俺もそれ思い出してた。すげー懐かしいわ』
『桜織がまだ可愛かった頃だよなあ。大和撫子って感じでよ』
『言うなって、虚しくなるだけだから』
『そうそう。それによ、そんなのを俺らでブッ壊したんだぜ、すげえじゃん。俺、シャバで自慢しまくるわ』
『俺も俺も。さって、帰るか』
『ああ。じゃあな便器。明日もそこにいりゃあ、使ってやんよ。今度は小便飲ましてやる』
 男共は下劣な会話を交わしながら、カメラの外へ消えていく。やるだけやって満足し、どこかへ帰っていくようだ。

 広い部屋の中、精液に塗れた沙綾香だけが取り残される。

『ひゃ………………お……ぃ…………』

 沙綾香は力を振り絞って顔を上げ、不自由な口で反対側に声を掛ける。だが、返事はない。少なくとも、“人間の言葉”では。

 沙綾香の頬を涙が伝い、白濁の広がる床に弾けた。



                 ※



 タコ部屋労働者が部屋を去った後、ようやく沙綾香の拘束が解かれる。
『えあ、あ゛……!』
 開口マスクを外された瞬間、沙綾香は顎を押さえて呻いた。顎が外れそうに痛むんだろうが、それだけじゃない。
『せ、先輩……お願いします、イカせてください! もう、我慢できないっ!!』
 百合の手を掴み、必死に乞う沙綾香。その必死さに、百合はカメラの方を見上げる。だが、手越が同情などするはずもない。
「駄目だ。例の部屋に連れていけ」
 それを受けて百合は、沙綾香の顔を濡れ布巾で拭い、ふらつく彼女を立ち上がらせる。
『……ごめんなさい』
 一言、小さく謝罪しながら。


 モニターから2人の姿が消えてから、少し後。下のフロアのセンサーが反応した。沙綾香達が帰ってきたのかと思ったが、開いた扉から姿を現したのは、意外な人間だった。
「あ? どうしたよ、颯汰(そうた)」
 入口を振り返った手越が、意外そうに声を掛ける。
 入ってきたのは、颯汰。ボーイッシュな少女だった祐希を女に変え、沙綾香に快楽責めで泣きを入れさせた若い調教師だ。
「やー別に、大した用はないんすけど。手越さんでしょ? ウチの祐希連れ出させたの」
「ウチの、か。随分と入れ込んでるじゃねえか」
「そっすよ。あいつ、強豪ソフト部のエースってだけあって、めっちゃ締まりいいし、体力もあるんです。8時間ヤリまくってもヘバんねぇんすよ、凄くないっすか? オレ、一人の娘とずーっと抱き合ってんの好きなんで、フェイバリットなセフレです。それだけに、沙綾香とかいうビッチに『審査会』で負けたのはショックでしたけど」
「なるほどな。お気に入りのオンナを盗られちまったんで、暇つぶしがてら文句垂れに来たってか」
 鼻息荒く捲し立てる颯汰に、手越が煙草を咥えさせ、ダンヒルライターで火を点ける。理想的な上下関係だ。あの二人が、女を壊す外道でさえなければ。
「しかし、妙な因果だな。その憎き沙綾香だがよ。ちょうど今、お前に縁のある人間と合流してる頃だろうぜ」
 手越はそう言ってロドニーの方を見る。ロドニーは口笛を吹きながらリモコンを拾い上げ、モニターの画面を切り替えた。

 今度は、分割されていない一画面だ。奥の壁一杯に、ある風景が俯瞰視点で映し出される。
 映っているのは、ガラスを隔てた2つの部屋。いや……手前側は、果たして部屋と言っていいものか。
 人ひとりがかろうじて寝転がれる程度のスペースに、縦長の寝台が設けられている。端にいくつかタオルが重ねられている他は、粗末な枕が一つと、コンドームの袋、ローションのボトルしかない。
「うわ、狭ぇ! これアレでしょ。あんまし金ない客用の、最低ランクの『ヤリ部屋』っしょ」
 颯汰の指摘通り、かろうじてセックスができるだけの個室だ。その狭さときたら、カプセルホテルの寝床か、あるいは和室の押し入れ程度しかない。
「まあな。だが、需要はあるんだぜ。覗き部屋としてよ」
 手越は、颯汰に視線を向けて答える。
「覗き部屋?」
「ああ。部屋の間がガラスで仕切られてんだろ、ありゃあマジックミラーだ。照明が暗めのヤリ部屋からは、蛍光灯で照らされた奥の部屋が丸見えだが、奥っ側からヤリ部屋を見ても、壁の一面が鏡張りになってるようにしか見えねえ。そのシチュエーションを利用して楽しむわけだ。奥っ側もヤリ部屋だから、そこで誰かがヤッてんのを覗きつつ、堂々とセンズリこくも良し。あるいはスワッピングの一環として、奥の部屋で旦那が呆けてんのを一方的に見ながら、手前側で嫁をハメるもよし……ってな」
 手越がモニターを指し示しながら、自慢げに語る。
 俺がさっき『和室の押し入れ』という印象を受けたのは、ガラスで仕切られた向こうの部屋にも、布団が敷かれているからだ。縦に二つ、横に一つ。広さにして六畳間というところか。
 秘密の覗き部屋……何とも変態じみたギミックだが、いかにもこの倶楽部らしい。実際、俺が監禁されているこの地下19階も、外から覗き放題のマジックミラールームだ。俺からは認識できないが、きっと今この瞬間も、苦悶する俺の反応を誰かが楽しんでいるに違いない。
「へぇー、面白いっすねそれ! そういうシチュなら、あの狭さも納得っす。こっそりハメるんなら、狭いとこの方が興奮しますもんね。あ、じゃあもしかして、あの沙綾香って子にもそういう感じのプレイさせるんすか?」
 颯汰がケラケラと笑いながら手越に問いかける。気安く発されたその一言が、他人事でない俺にとってはひどく重い。
「ああ、そうだ。おっと、ちょうど来たらしいな」
 手越がそう言った直後、モニターに動きがあった。狭い方の部屋に設けられたドアが開き、誰かが入ってくる。それを見て、颯汰が驚きの声を上げた。
「あれ、健二?」
 画面に映る男は、颯汰の知り合いらしい。その反応を見て手越も、だから言ったろ、と笑う。
 俺も、その男の姿には見覚えがあった。どこかで目にした顔だ。
 桜織を犯していたタコ部屋連中の1人……じゃない。
 藤花を弄んでいた客の1人……でもない。
 そんな具合に記憶を遡りつつ、手越と颯汰の言葉を踏まえてよくよく思い返せば、ふっと記憶が蘇る。
 俺が最初に観た、祐希の調教。そこで颯汰と組んでいた、もう一人だ。
 いかにも今風の若者である颯汰に比べ、あの健二という男は髪も染めておらず、どちらかと言えば真面目寄りの大学生に見える。だが、祐希の調教で見せた言動は、遊び人そのもの。外見に反して、中身は颯汰と同じ人種だろう。

『ほら、何つっ立ってんの。早く入んなよ』
 健二が開いたままのドアに向けて手招きすると、もう一人が姿を現した。顔を見なくても、並外れたスタイルだけで沙綾香だと判る。
「やっぱ背ぇ高いなーあの子。健二のやつ、タッパ負けてんじゃねぇの」
 颯汰が茶化す通り、沙綾香の背丈は健二とほぼ変わらない。
 シャワーを浴びた後なのか、2人は体にバスタオルを巻いていた。健二は腰に、沙綾香は全身に。その恰好を見ていると、今から起こることを嫌でも想像してしまい、落ち着かない気分になる。いっそ、丸裸でいてくれた方がマシだ。
 健二と沙綾香は寝台に上がり、距離を空けて座る。ちょうどそこで、映像内がまた騒がしくなりはじめた。
「“向こう”のメンツも、ご到着らしいな」
 手越がそう呟いた直後、沙綾香達とガラスを隔てた、奥の部屋の扉が開く。
『ここ……だよね?』
『たぶん。ていうか、狭っ! ここに5人で待機すんの?』
 そんな会話を交わしながら入ってきたのは、5人の女だ。いや、少女と呼ぶべき年齢か。先頭の2人は高校生ぐらいに見える。そして後ろの3人は、間違いなく高校生と断言できる。なぜならその3人は、俺のよく知っている子……祐希と、千代里と、藤花だからだ。
『!!』
 級友の姿を目の当たりにして、沙綾香が目を見開く。逆に祐希達は、沙綾香の方に視線を向けても特に反応しない。マジックミラーというのは本当らしい。
 5人は、薄桃色のネグリジェを身に着け、それぞれ違う色の首輪を嵌められていた。首輪にはプレートが提げられ、それぞれ違う文字が刻まれている。祐希は『口』『膣』『肛門』、千代里は『口』、藤花は『口』『肛門』と書かれているところを見ると、表記はセックス時の使用可能部位か。まさしく性交用の奴隷という扱い。たぶんこれから、あの部屋で客を取らされるんだろう。
 5人とも客を取るのは初めてではないのか、落ち着いた様子で布団に腰を下ろし、持参したバッグから櫛やリップクリームを取り出しはじめる。一方で沙綾香は、拳を握りしめていた。友人に負い目に感じている彼女にとって、性奴隷の成れの果てともいえるこの光景は、見るに堪えないものだろう。
 そんな沙綾香の様子を眺めながら、健二が密かに距離を詰めはじめた。そして沙綾香のすぐ横までくると、彼女が胸に巻いたバスタオルをいきなり引き下げる。
『あっ!!』
 乳房が露出し、沙綾香から声が漏れた。年頃の少女として、それは当然の反応だ。だが。
『え? 誰か、なんか言った?』
 奥の部屋にいる5人は、不思議そうに顔を見合わせる。叫びは聴こえるものの、ミラー向こうが見えないからこその疑問だ。
『何も言ってないけど?』
『んー、気のせいかな。……ゴメン、やっぱ何でもない』
 やや腑に落ちない雰囲気ながらも、疑惑は流される。だがそれは、最初の一回だからこそだ。同じような事が何度も続けば、彼女達は不審がり、本格的な原因究明に入るだろう。そうすれば、マジックミラーの仕掛けに気付かないとも限らない。
 外に出て廊下を回り、沙綾香達が入った方のドアを開ければ。あるいはもっと単純に、六畳間側の電気を消して、手前の部屋よりも暗くしてしまえば、沙綾香の姿は丸見えになってしまう。どう見てもセックスをするためだけの部屋に、若い男と2人きり。その、あられもない状況がだ。
『…っ!』
 沙綾香は、口を手で覆い、みるみる顔を青ざめさせる。片や健二は、唇に人差し指を宛がって念を押しつつ、ゆっくりと乳房に手を触れた。


                 ※


 颯汰の相方を務めていただけあって、健二の愛撫は手慣れていた。乳房と腋の下の境目部分に手を宛がい、寄せて上げるように揉みしだく。乳腺をじっくりと刺激するやり方だ。
『…………。』
 沙綾香は愛撫を嫌がり、健二の手を払い落とそうとしていた。だが音を立てられないということは、大っぴらな抵抗もできないということだ。抵抗というより、乳房を揉みしだく腕に手を添える程度のことしかできない。加えて、彼女は抵抗ばかりに集中できる状況でもない。その視線は頻繁に、マジックミラーの方を向いた。
 沙綾香から見れば透明なガラスでも、向こうからすれば巨大な鏡。唇にリップを塗ったり、アイメイクをする間、彼女達はマジックミラーをじっと見つめている。まるで、沙綾香を真正面から観察するように。そんな露骨な視線を、意識せずにいられるはずもない。
 恥じ入る沙綾香を面白がりつつ、健二は胸の先端に触れはじめた。とはいえ、いきなり乳首にはいかない。ほんのりと膨らんだ乳輪を指で挟み、何度も前に絞り出す。
『……っ! ……っっ!!』
 沙綾香は、それだけで感じてしまうらしい。唇を噛んだまま、胸をせり出し、背中をピクピクと前後させる。さらに親指や中指で乳首を弄りまわされれば、シーツを握りしめて必死に堪える。
 健二は、そんな沙綾香の耳元に口を寄せ、何かを囁きかけた。その結果、沙綾香に睨みつけられても、動じる様子はない。むしろ、行動はますます大胆になった。
 右乳首を指で転がしつつ、左手でバスタオルの裾をまくり上げ、クリトリスを指で捉える。さらには、首筋に舌まで這わせていく。
「お、首舐め。あれ、可愛いと思った女にしかやんないんすよ。だいぶ気に入られてますね、あの沙綾香って子」
 モニターを見て颯汰が笑う。調教師に気に入られるなど、不都合しかない。

『なんか、肌ガサガサになってきた。化粧水合わないのかなぁ』
『食事のせいじゃない? ここって、精力つける系のばっかじゃん。アザラシのステーキとか、ホルモンスープとか。ビタミンが足りてないんだよ』
 2人の少女がマジックミラーに顔を近づけ、頬や首を観察する。見ようによっては、隣の部屋を覗き込もうとするような動きだ。それとわずか数十センチしか離れていない位置で、沙綾香は、少しずつ足を開かされていた。首筋と乳首、クリトリスの同時責めで、どんどん力が抜けているようだ。そして健二は、その脱力を見逃さない。沙綾香の脚が十分に開けば、自分の脚を絡ませて閉じないようにしつつ、割れ目に指を差し入れる。
 沙綾香の口が、「あ」の形に開いた。指が中で曲げられ、グッグッとどこかを刺激しはじめれば、その度に声を伴わない「あ」の叫びが漏れる。
 六畳間側でも布団が敷かれた上で5人が動いているため、シーツが擦れる音は不審がられない。だが、誤魔化せる音はそれぐらいだ。5人が化粧直しに集中し、押し黙っている今、鏡の向こうから声がすれば確実に察知される。そのため沙綾香は、両手で口を押さえ、必死に声を殺すしかなかった。
 健二にも無音という制約がある以上、激しく責めることはできない。乳首を刺激しつつ、割れ目に沈み込ませた二本指でスポットを押し込み、同時に親指でクリトリスを擦る。できるのはその辺りが限度だ。だが奴には、それで充分らしい。
『っ!! ッッ!!!』
 両手で口を押さえる沙綾香の目が、事故でも目にした時のように見開かれている。大きく開かされた足の指も握り込まれ、リラックスできていないのは確実だ。
「やるな、あいつ。若ェのに、じっくり腰据えた前戯をしやがる」
 モニターを見上げる手越が、感心した様子で呟いた。それを聞いて、颯汰はどこか誇らしげな顔になる。
「アイツは前戯上手いっすよ。中イキさせるテクはオレのが上っすけど、前戯だとアイツには敵わないっす。オレ、ゆーて飽きっぽいんで」
 颯汰はたぶん、かなりの自信家だ。師匠筋の手越ならともかく、年の近い人間を自分より上と認めることは滅多にないだろう。その颯汰をして敵わないと言わしめるテクニックは、その後も存分に披露された。
 例えば、顎を持ち上げるやり方だ。健二は割れ目への刺激を続けながら、乳房から手を離し、沙綾香の顎を手の平で押し上げはじめる。人間は耐えようとする時に自然と顎を引くが、それを阻害しているんだろう。必死で耐えたい沙綾香は、それを嫌がった。顎を浮かされたまま割れ目を刺激されれば、そのうち沙綾香の身体がガクガクと痙攣しはじめる。そうなれば、もう余裕など一切ない。口から手を離し、健二の腕を掴んで、悲痛な顔を何度も横に振る。
 ( だめ、だめっ!! )
 そんな心の叫びが聴こえるようだ。だが、健二は取り合わない。効くとわかれば、余計に顎を浮かせ、沙綾香の身体そのものを後ろへ倒す。沙綾香は、それに抗いきれなかった。健二の太腿へ背を預け、絡めとられた右足を真横に投げ出す格好になってしまう。
「すーげぇ。友達にマンコ見せつける形じゃん」
 颯汰の言葉通り、恥じらいの部分をそのままに晒す格好だ。もし今、何らかの形でマジックミラーの効果がなくなれば、一巻の終わりと言っても過言じゃない。
『…………!!』
 沙綾香の頬がみるみる紅潮し、必死に秘部を手で隠そうとする。乙女そのものの顔、乙女そのものの行動。だが、健二はそれを許さない。すぐに沙綾香の手首を掴んで膝上に戻させ、人畜無害そうな微笑みを見せる。
 俺は正直、沙綾香にまだあれほどの羞恥心が残っていることが嬉しかった。だが、同時に不安も増した。あの状況は、羞恥心が強ければ強いほど、心に深刻なダメージを受けるだろうから。


                 ※


 指で散々に昂らせた後は、とうとう完全にバスタオルを取り去り、口での責めが始まった。羞恥心を煽るためか、寝台に手足をつかせ、腰を高く掲げさせてのクンニリングスだ。
 たかが舌……それも大きな音が立てられず、そっと舐めるか、舌を中に入れる程度しかできない責め。にもかかわらず、沙綾香を襲う快感は生半可なものではないようだ。それは、彼女の反応を見ていればはっきり解る。
『っ……ッッ、…、……っ!!!』
 沙綾香は、必死に歯を食いしばっていた。ベッドについた両手は、何度もシーツを握りしめた。肩幅以上に開いた脚はガクガクと震え、絶え間なく愛液を滴らせる。
 六畳間の方で何か物音がするたび、沙綾香の顔はそっちを振り向いた。そして大抵は、その直後にぶるっと腰が震え上がる。
 健二は、淡々としたものだ。沙綾香の左右の太腿をそれぞれ抱え込み、尻肉の合間に顔を埋めて離さない。一点、人間らしい所を挙げるとすれば、腰に巻いたバスタオルの股間部分が、テントを張ったように盛り上がっていることだけだ。
 音もなく、動きも乏しい責め。だが、静止画とは違う。沙綾香の女の子らしい、柔らかそうな肉体は、鼓動と同じリズムで筋肉を浮き出させている。やがて、寝台へのつま先のめり込みが深まり、腰がくっくっと浮いたところで、急に健二が顔を離した。その直後、割れ目から潮が噴き出る。
『…………ん、ぅうう…………っ!!!』
 沙綾香の眼球がぐるっと上を向き、食いしばった歯の間から呻きが漏れた。愛液が両脚と、傾斜のついた腹部を伝って滴り落ちる。
 六畳間の方を見る限り、今の呻きが声と認識されることはなかったようだ。だが、傷痕は大きい。
『ふーーーっ…………ふーーーーっ…………』
 おおっぴらに喘げない沙綾香は、唇を閉じたまま、鼻だけで乱れた呼吸を整えなければならなかった。そしてそのせいで、膝が笑うのを止められなくなる。当然、ガクッと腰が落ちた。
 だが、奴隷が弱ったと見れば、さらに追い込むのがここの調教師だ。健二も例外じゃない。美味そうに口周りの愛液を舐め取りながら、崩れ落ちる沙綾香を立たせに掛かる。しかも、さっきまでの四つ足じゃない。まずは右手を、続いて左手をガラスにつかせ、マジックミラーに寄りかかる形で立ち上がらせる。
『…………っ!!』
 沙綾香の唇が縦に開いた。読唇術の心得がなくても、「いや」という言葉が読み取れる。だが、健二はあくまで譲らない。沙綾香が激しく抵抗できないのをいいことに、両脚を掴んで少しずつ股を開かせ、胡坐を掻くような格好でクンニリングスを再開する。
 沙綾香の口が引き攣った。今にも泣きそうだ。だが、彼女に抵抗する術はない。ガラスに手をついたまま、せめて向こうに気取られないように、じっと耐え凌ぐしかない。

 ガラスはかなり厚みがあるのか、沙綾香が寄りかかっても軋んだりはしない。映像内に、しばし無音の状態が訪れる。だが、それも僅かな間だけだった。
『…………ねえ、アンタらさあ』
 六畳間で黙りこくっていた5人のうち、赤いリボンをつけた1人が、祐希達に向かって話しかけた。正確には、祐希……千代里……藤花を順に見ながらだ。
『ずっと気になってたんだけど、アンタら、なんでこんなとこで客取ってんの? 3人とも、このフロアに来そうな感じじゃないじゃん。顔もスタイルもいいし、そこの2人なんてまだバージンでしょ? どう考えても、VIPエリアに行ってないとおかしいんだけど』
 彼女は、千代里と藤花の首輪から提げられたプレートを指して眉を顰める。
『それ、あたしも思った。なんでVIPエリアじゃないんだろーって』
 隣の、後ろ髪をシュシュで纏めている子も同意を示した。
 この2人は、こう言っては可哀想だが、ごく平凡な見た目だ。現在彼女達がいるフロアには、そういう“上玉”とされていない奴隷が集められているんだろう。そこへアイドル級のルックスを誇る人間が混ざれば、変に感じて当然だ。
『それは……『審査会』で負けたから、だろうね』
 訝しむ2人の視線を受け、祐希がやや寂しげに答えた。
『審査会って、奴隷のランク付けするイベントとか?』
『そうだ。最下層エリアで、VIP客相手にショーをして、どっちがマゾ奴隷として上等かを競うんだよ。勝てばVIPエリアに残留、負ければ格下げになる』
 祐希はそこで言葉を切り、押し黙る。するとそれを引き継ぐように、藤花が口を開いた。
『俺は……勝つべきだった。俺が、あそこに残るべきだった!!』
 藤花は絞り出すようにそう言うと、壁に拳を叩きつける。
『ちょっ、落ち着きなって。別にVIPエリアなら良いって訳じゃないよ? ここのVIPって、脂ぎったオッサンばっかじゃん。変態っぽいのも多いしさぁ。だったら、ここでイケメンに逢えるのを祈った方が……』
『そうじゃない、沙綾香をあそこに残しておくのがまずいんだ! あそこは、他のフロアとは次元が違う。筋骨逞しい黒人が10人もいるんだ。そいつらは全員、日本人の二倍も三倍も大きいペニスを持っている。俺は、ほんの数時間その相手をしただけだったが、心底震えたよ。身体の中が丸ごと作り変えられて、有無を言わさず雌にされる感じがした。すでにだいぶ狂わされている身だが、そこからさらにもう一段、壊される感じがした。沙綾香は、毎日そんな相手に輪姦されているんだ。そんなもの、いつまでも耐えられるわけがない!』
 藤花は叫び、呻き、髪を掻きむしった。祐希と千代里も浮かない顔だ。
 彼女達は全員、あの黒人共に犯される刺激の強さを体感している。あの黒人共に夜通し犯され、快楽に泣き叫ぶ沙綾香の姿を見ている。その上で、沙綾香を案じてくれているらしい。
『……そっか。その沙綾香って子が、アンタらの友達なんだね。確かに可哀想だけど、誰かがそのフロアにいなきゃなんでしょ? だったら、諦めるしかないじゃん。審査会ってのの結果を受け入れてさ』
 赤リボンの子が、いくぶん同情的な声色で藤花を宥める。だが、藤花は首を振った。
『沙綾香は、幸せになるべきだ。高校へ入学したばかりの頃のあいつは、今にも死にそうな顔をしていた。あいつが中学を卒業するまでの15年間は、文字通りの地獄だったんだ。俺も、家庭の事情で娯楽などとは無縁だったが、それすらマシに思えるぐらいにな。そんなあいつを見かねて、そこの千代里が声をかけて、委員長が親身に接して、そこに俺や祐希が混ざった。そうして何か月かして、ようやくあいつは笑えるようになったんだ……』
 藤花の声は、震えていた。最後の方は、もはや消え入りそうな声色だ。
『そだったね。最初は、ほんとに見てらんなかった。そこから、せっかく笑えるようになったのに、またこんな目になんて……酷すぎるよ』
『うん。あの子は、もっと幸せになるべきだ。今まで笑えなかった分も。そういう意味じゃ、やっぱり私たちは、審査会で勝つべきだったね……』
 千代里と祐希も声を震わせ、涙を滲ませる。沙綾香への慈しみが、ひしひしと感じられる涙だ。
『………………。』
 沙綾香も、ガラスに隔てられた向かい側で、やはり涙ぐんでいた。友人達の熱い想いを聞いて、こみ上げるものがあったんだろう。
 互いを犠牲にしても助けたいと想い合う、掛け値なしの友情。この上なく美しい光景だが、見方を変えれば、それだけ穢し甲斐もあるということだ。

 沙綾香の現状は、惨めなものだった。がに股のまま腰を深く落とす格好を強要され、秘部を休まず舐め回されている。万が一にでもミラー越しにそんな姿を見られれば、沙綾香に非があるか否かにかかわらず、印象は極めて悪い。ゆえに沙綾香は、罷り間違っても声を出すわけにはいかなかった。
 とはいえ、健二の愛撫は執拗で丹念だ。舌先で包皮からほじくり出すようにクリトリスを刺激し、割れ目がひくついたところで、平らにした舌全体を使ってべろりと舐め上げる。会陰部までをしっかりとなぞりきるあの動きは、女性器周りに密集する性感スポットを嫌というほど刺激することだろう。度重なるガスと調教で感度を研ぎ澄まされ、直前に数時間もの焦らし責めを受けた身なら、なおさらだ。
『…………っっ、ッッ、…………っっ!!!』
 沙綾香の反応は、大きかった。健二の舌が秘部を舐め上げるたび、顎が浮く。唇をへし曲げて堪えることもあれば、開いた口から舌先を覗かせ、『おおお』と声もなく呻くこともあった。といっても、それぐらいの反応は当然だろう。身体の反応となればもっと顕著だ。腹筋の浮き方、大腿部の張り、滴り落ちる愛液の頻度。それらは、ごく一般的なセックスにおける女の絶頂反応を、遥かに凌駕している。
 その様子を見て、手越が煙草を揉み消した。そして新しい煙草に火をつけながら、インカム越しに指示を出す。
「そろそろいいぜ、ハメても」
 健二はイヤホンでその指示を受け取ったらしい。沙綾香の割れ目へ舌を這わせつつ、右手で逸物を扱きながら腰を上げる。手に握られた逸物は、石のように硬く勃起していた。少し離れたカメラからさえ、血管が浮いているのが見てとれる。
「うっは、でけー! アイツ、あんなでかいんだ。祐希とやってた時より、一回り以上膨らんでますよ。相手がよっぽど好みなのか、シチュで興奮してんのか……どっちもありそうだな、面食いで変態だし」
 見慣れているはずの颯汰さえ、驚きの声を上げるほどの勃起具合。健二はそれをぶら下げながら身を屈め、ベッド脇に散乱するコンドームの袋を拾い上げた。そして袋を破ると、淀みない動きで勃起した逸物に被せる。沙綾香は、腋の下からそれを見ていた。視線を悟られたくない、でも気にせずにはいられない──そんな仕草だ。健二はそれに気づくと、笑みを湛えながら立ちあがった。そして沙綾香に背後から密着しつつ、耳元へ何かを囁きかける。沙綾香は何も答えない。いや、答えられない。唇を噛み締めたまま、ガラスに触れる手を握りしめるだけだ。健二は、そんな沙綾香の手首を掴んだ。そうして緩く姿勢を制御しつつ、逸物を割れ目に擦りつける。これが欲しいんだろ、と無言で語るように、何度も。
 沙綾香の目つきが鋭くなり、背後を睨みつける。だがそれは、健二の笑みを深めるだけだ。奴はまた耳元に口を寄せ、一言を囁くと、腰の角度を変えた。それまでより少し上の場所に、腰が密着する。ずるりと逸物が入り込んだのがわかる。

『………………~ッッッ!!!!!』

 声など一切発されていないのに、絶叫が聴こえた。挿入の瞬間、沙綾香の喉から漏れたモスキート音だ。その声といい、背中を反らせてぶるぶると震える様といい、凄まじい快感が見て取れる。
「クククッ。挿れられただけでイキやがった」
 手越のしてやったりという笑いが、不愉快で仕方ない。モニターに大きく写し出されている光景は、そのぐらい象徴的だ。
「そのまま動くなよ。イキたい、突いて欲しいってフラストレーションを溜め込ませろ」
 手越がそう指示を飛ばすと、健二は頷き、動きを止めた。とはいえ、肩幅に開いた太腿の動きを見れば、グッグッと膣内で逸物に力を入れているのが解る。
『……ぁっ、……っ!!』
 今の沙綾香には、そんな刺激ですら無視できないものらしい。激しく喘がないことを第一に心がけつつ、口を開いて舌を突き出し、“顔で喘ぐ”。そしてその顔は、ガラスの反射で健二にも見えているらしい。健二はガラス面を凝視しながら、ゆっくりと腰を引いた。そして、ゆっくりと挿入する。ほんの僅かに寝台が軋む程度の、無音の挿入。それでまた、沙綾香の頬肉が泣きそうに引き攣る。
「スゲーっすね、あの顔。どんな調教したら、あんなヌルい挿入であの顔になんすか?」
「どんなって、他人事みてぇに。あのガキを中イキ開発したのは、お前さんとあの連中だぜ」
 呆れた様子の颯汰に、手越が苦笑しながら黒人共を指で示す。颯汰自身にも自覚はあったのか、ゲラゲラと笑い転げた。


                 ※


 無音のセックスは粛々と続く。
 健二は、腰を使えない代わりに、様々な方法で沙綾香を追い詰めていた。乳房を揉みしだいたり、下腹を揉み込んだり、鼠径部をマッサージしたり。そしてその全てが、かなり効いているようだ。
『…ッ!!!』
 沙綾香は、左手をガラスについたまま、右手の指を噛んでいた。だが、胸や下腹部を刺激されるうち、両手をガラスへつくようになる。そのままさらに数秒経てば、後ろへ突き出した尻がぶるっと震え、多めの水分が滴り落ちていく。
「お、ハメ潮。動かずに噴かせるとか、やるなーあいつ」
 颯汰が呟いたように、どうやら潮を噴かされたらしい。健二もそれを察したようで、責め方を変えはじめた。股間を密着させたまま、沙綾香の腰を掴み、グリグリと捻りながら、自分の方に引き付ける。颯汰がやっていた、膣の一番奥を『練る』やり方だ。その効果は、絶大だった。
『っ!!』
 沙綾香の肩と腰がビクンと跳ね、背中を反らせたまま痙攣する。その波をかろうじて乗り切ったところで、沙綾香は後ろを振り向いた。
 ( 何てことするの!? )
 吊り上がった目尻を見れば、そう言いたいのは明らかだ。だが健二は、すでに沙綾香を落とした気でいるのか、上体を傾けてキスを迫ろうとする。沙綾香は今一度目を見開き、顔を横に振ってキスから逃れる。健二は残念、とばかりに肩を竦め、奥への刺激を再開する。グリグリと、丹念に。
 声こそ殺しているが、沙綾香の反応は刻一刻と激しくなっていく。ぶるっ、ぶるっ、と腰が震え、右手がガラスから離れて、「もうやめて」とばかりに健二の腕を掴む。その状態でさらに刺激を続けられれば、口が大きく開きはじめた。喘ぐよりもっと大きく、縦に開いたり閉じたりする。声を殺すのが限界に近いのかと思ったが、手越と颯汰は別の見方をしているらしい。
「イってんなあ」
「リップスマッキングでしたっけ、ああやって口パクパクさせんの。猿がイク時にやるやつっすよね。あいつも余裕が剥げて、動物化してるってことですかねえ。見た目だけなら、どんな女より女らしいのに」
 手越と颯汰の言葉に、悪意は感じられない。見たまま、感じたままを呟いている風だ。だからこそ、余計に恐ろしかった。あいつらが順調だとほくそ笑むたび、沙綾香が決定的に壊れていく気がする。

 口の開閉が始まっても、健二は容赦などしない。むしろ、その行為は余計に大胆になった。沙綾香の両手を壁につかせたまま、右脚を思いきり抱え上げる。そして、ほとんど上下に180度近くまで開脚させたまま、腰を密着させはじめた。
『っ!?』
 沙綾香からすれば、とんでもないことだ。立ちバックでも腰砕けになりかけているところへ、一本足で立たされて、姿勢が安定するはずがない。
『…………っ! …………っ!!』
 軸足の左脚を震わせ、健二の目を見つめながら、何度も首を振る。だが、健二は考えを改めない。子供が母親にしがみつくように右脚を抱え込み、最奥への圧迫を継続する。
 動きはない。動きはないのに、沙綾香は激しく反応した。左脚は何度も膝から崩れかけ、内腿に溝が刻まれる。ガラスにつく両手は、何度も場所を変える。
 やがて、沙綾香は今一度健二の顔を覗き込んだ。声はまったく聴こえないから、その時彼女が目で何を語ったかは、想像するしかない。だが、その後の展開を踏まえれば、彼女はこう訴えたんだろう。

 ( やめて……なんでもするから )

 条件付きの哀願。目尻を垂らして見つめれば、その意思はすぐに通じたことだろう。なぜならそれは、健二自身がしきりに求めていた事でもあるからだ。
 その次の流れは、スムーズだった。健二は、沙綾香の右脚を抱えたまま、彼女の背中をガラスにつけさせる。そうして姿勢を安定させてから、唇を奪った。
 沙綾香は、その口づけを拒まない。性器で繋がり合ったまま、静かに舌を絡ませる。握りしめた手が、心からの合意ではないと語っているのが、せめてもの救いか。「望みが叶った」と言わんばかりの健二の横顔を見ると、泥を呑まされる気分になるが。


                 ※


 沙綾香の唾液と屈辱感をひとしきり味わった後、健二は沙綾香の腕を後ろに引き絞り、狭い個室の中を歩かせはじめた。音を立てられない状況下で、信じがたい蛮行だ。
 だが考えてみれば、奴は行為が露見してもいいんだろう。沙綾香ほどの美少女を良いように扱っている姿など、調教師としてむしろ誇らしいに違いない。逆に沙綾香は、絶対に知られたくない行為だ。そのため彼女は、抜き足差し足で寝台を移動しつつ、怯えるようにガラスの外を見下ろしつづけていた。
 ちょうど、そんな中だ。六畳間側の廊下に、いくつもの足音が響きはじめたのは。
『……客、来たっぽい』
 髪をシュシュで纏めた子が呟き、赤リボンの子が溜息をつく。祐希、千代里、藤花の3人も、表情を強張らせる。直後、ギイッと音を立てて、錆びついた扉が開いた。
『お、マジでここだぜ?』
『ホンマか、リネン室か思うたわ!』
『つうか、狭ぇな! ここで10人がヤルんだろ?』
 口々に疑問や不満を漏らしながら、何人もの男が入ってくる。合計5人。年の頃は40前後というところだが、年相応の落ち着きは感じられない。来ている館内着も『審査会』の客が来ている物よりグレードが低く、まるで安宿の浴衣だ。
「うわ、ダセェ親父ばっか。レベル低そうな客っすね」
 颯汰が吐き捨てるように言う。
「客は客だ。年会費をギリギリ払えてる程度の“小金持ち”でもな」
 手越もフォローしてこそいるが、見下す態度を隠さない。
 そんな5人の客は部屋に入るなり、祐希達の顔を舐めるように観察する。そして、一様に驚きの表情を浮かべた。
『オイオイオイ……マジで良いのがいるじゃねぇか。3人もよお!』
『この倶楽部は騙しが少ねぇと聞いてたが、ここまでとはな! 芸能人レベルじゃねえか』
『ハハハハハッ、ようけカネ払ろとる甲斐があるってもんやな!』
 連中は品のない笑みを浮かべ、祐希達を褒め称える。見た目の冴えない⒉人には完全に背を向け、視線を向けもしないデリカシーの無さだ。無視された2人は眉を顰め、千代里も一瞬表情を曇らせた。
 だが、続けて発された一言で、また空気が一変する。
『しかし、信じられねぇなあ。こんな上玉のバージンを、俺らが貰えるなんてよお!』
 その言葉で、少女5人が全員目を見開いた。そして、もう一人。ガラスの向こうにいる沙綾香もだ。
『え……?』
『なっ……!!』
 千代里と藤花が、それぞれ声を詰まらせる。その様子からして、彼女達自身も聞かされていないらしい。
『え、じゃねえよ。ビンゴ大会の景品だよ。処女2人を含む、美少女JK5人との乱交パーティーってな。ま、美少女5人ってのはちと盛ってるが』
 客の1人が、ちらりと後ろの2人を振り返りながら笑う。
『お前らだろ? 首輪の調教済み項目に、“膣”って無ぇもんな』
 また別の1人は、少女5人の首輪に提げられたプレートを眺めながら舌なめずりする。
「え、ちょっ……マジっすか手越さん! あんなのに処女やるとか……あの子ら、Sランクの奴隷でしょ!?」
 颯汰でさえ動揺を隠せず、手越に食って掛かる。だが、手越は涼しい顔だ。
「どこぞでVIP客相手にくれてやってもよかったんだがよ、これはこれで面白くねぇか? 沙綾香の立場になってみな。大事な友達が、あんな雑魚みてぇな連中に膜を破られるんだぜ。それも、テメェのすぐ目の前でだ」
 手越のこの言葉に、颯汰が固まり、一拍置いて面白そうに笑みを浮かべる。
「……なーーるほど。うわぁ、えげつねぇ!」
 颯汰でも理解するのに時間のかかる、悪魔の筋書き。沙綾香達がそれを容易く呑み込めるはずもなく、呆然としている。そんな中、男共は手に持ったクジの色と、少女5人の首輪の色を見比べていた。クジと同じ色の首輪をつけた相手をだろう。
『青、ああああっ、畜生ッ!!』
『黄色は……おおーっしゃ! 日頃の行いだな、こりゃあ!』
 5人の男は、それぞれに一喜一憂しながら、粗末な館内着を脱ぎ捨てる。シミだらけで、毛むくじゃらの体。年頃の少女が生理的に嫌悪する類のものだ。
『さて、楽しませてもらおうか』
 手早くコンドームを装着すると、5人それぞれが決められた相手の前に陣取る。
『やっ、ま、待ってください!』
 最初に布団へ組み敷かれたのは、千代里だ。中学生と言ってもおかしくない顔つきと体格の彼女は、子ウサギのような眼で客を見つめる。だがそれは、相手の嗜虐心を煽る行為でしかない。
 男は荒々しく千代里の脚を押し開き、鼻息荒く舌を這わせる。
『ウヒヒヒ、甘露、甘露ってなあ!』
 嬉しそうに笑いながらひとしきり舐め回すと、前戯もそこそこに太った身体を沈み込ませた。手越と颯汰が揃って舌打ちするほどの、雑な挿入だ。
『いいいっ!!!』
 老若男女、誰にでも愛されそうな童顔が、一瞬にして歪む。
『千代ぉっ!!』
 藤花が横を向いて叫ぶが、彼女もまた処女として、獣欲の的にされていた。剣道で鍛え上げた彼女は、男相手でもそうそう力負けはしない。強引に膝を割ろうとしても、びくともしていないようだ。だが。
『ええい。抵抗すな、“犬”ッ!!』
 客が激昂してそう叫んだ瞬間、藤花は条件反射か、びくっと身を竦めた。そしてその後は、噓のようにあっさりと足を開く。
『まったく、手こずらせよって……罰としてお前は、前戯なしや!!』
 客は苛立ちもそのままに藤花の肩を押さえつけ、一気に腰を突き入れる。
『くぅううああっ!!!』
 精悍な藤花の美貌が、やはり一瞬にして歪む。客はその反応を見て意地の悪い笑みを浮かべ、腰を遣いはじめた。
『千代里っ! 藤花っ!』
 今まさに純潔を奪われている友人2人を見て、祐希が叫ぶ。だがそんな祐希の前にも、また別の男が立ちはだかった。
『他所は気にすんなって。お前は、俺が可愛がってやるよ』
 勃起した逸物を近づけられ、祐希は一瞬戸惑いを見せるものの、結局は自ら口を開く。残る2人もすでに奉仕を始めているため、これで5人全員が客を取らされたことになる。
『…………ッ!!』
 沙綾香は、その様子を苦々しい顔で見つめていた。諸々のしがらみがなければ、友人を犯す男共に掴みかかっていきそうな眼だ。だが、今の彼女にそれはできない。
『う、うああ……あう、うう゛っ……!!』
『はぁ、はぁっ……く、う゛っ……!!』
 純潔を失ったばかりの千代里と藤花は、当然ながら辛そうだ。男共が腰を突き入れるたび、きつく目を閉じて呻きを漏らす。
 だが、その状態は長くは続かなかった。
『おいおい……お前、ホントに処女か?』
『お、そっちもか? この女もや、もうアソコが濡れてきよった』
 千代里と藤花を犯す男が、驚きの声を上げる。まだ挿入から数分と経っていない。にもかかわらず、2人の膣からは愛液が溢れているらしい。
『うううう……』
『くっ……!』
 千代里も藤花も恥ずかしそうにするが、濡れるのは当然のことだろう。この倶楽部に連れてこられてから、彼女達はずっと調教を受けてきた。千代里は喉奥を、藤花は肛門を。そのどちらにも性感帯は存在するため、刺激され続ければ感じてしまう。あの2人は、処女でありながら、“女”としては十分に熟しているに違いない。
『ケッ、拍子抜けだぜ!』
『せやなぁ。バージンっちゅうから初々しさを期待しとったのに、奴隷は奴隷っちゅうわけか!』
 男2人は毒づくが、その口元は緩んでいた。言葉責めは、相手の羞恥心を煽るため。極上の美少女とセックスができる時点で、本当は不満などないんだろう。


                 ※


『はっ、はっ、はっ、はっ……』
『あ、ああ……あああ、ああ、あ…………』
 六畳間に、荒い呼吸と喘ぎが満ちている。最初こそ相手選びに一喜一憂したり、処女喪失絡みで騒いでいたが、今や5組すべてがセックスに没頭している状態だ。
『へっへ……初物のくせに、濡れがよくていい具合だぜ。こりゃ、俺のが一番の当たりかもな』
『そりゃどうだか。こいつのこそヌルピタで、最高だぜ?』
 男共のうち2人が、汗まみれで喘ぎつつ、自分の相手こそ極上だと主張しあう。そんな会話へ、さらにもう一人が割り込んだ。
『バカ言ってんじゃねぇよ、お前ら。こいつの脚の筋肉見てからモノ言えってんだ!』
 奴の相手は祐希だ。背面騎乗位で腰を遣わせているから、下半身の筋肉がよく見える。ソフトボール部エースの脚は、確かに機能的で美しい。
『なんや、脚の筋肉言うたか? せやったら、こっちも負けとれんのぉ。どっちが凄いか、横に並べて白黒つけよか』
 藤花を抱いていた男も興味を示し、わざわざ祐希達の横へ移動すると、同じく背面騎乗位へ移行する。剣道で鍛え上げた藤花の脚も、やはり引き締まっていて美しい。
 男に跨ったまま、Mの字に足を開く祐希と藤花。その姿は、マジックミラーにしっかりと反射していることだろう。
『どうや、見比べてみて。そっちの体育会系の姉ちゃんもエエ大腿四頭筋しとるが、この子は太腿裏のハムストリングス筋の発達がえげつないやろ。これはスポーツやない。足の裏全体でギュウーッと床を掴む、武術をやっとる人間の肉や。こんな筋肉した子ぉのアソコに突っ込んでみぃ、締まりが良ぅて脳天まで痺れるで』
 関西弁の男が藤花の尻を撫でながら語れば、祐希を抱く男の喉がゴクリと鳴った。
『へ、へへ、そりゃなんだか痛そうだな、ご愁傷様。アソコってなぁ、締まりゃいいってモンでもねぇだろ。その点こっちは、ちょうどいい塩梅だぜ。入口から奥の方まで、みっちり吸いついてきやがる』
 祐希を抱く男が反論すれば、今度は関西弁の男が露骨な視線を隣に向ける。
 つまらないプライドを賭けた自慢合戦だ。そのネタにされている祐希と藤花は、恥じ入るような表情で下を向いていた。だが、その状態も長くは続かない。
『あ、あ……ああ!』
『ふぁあ、ああ……んあ、ああ……っ!!』
 騎乗位で腰を振らされるうち、2人の口から甘い声が漏れはじめる。顎も持ち上がり、快感に酔う表情を周囲に晒すようになる。刻一刻と絶頂へ近づいているのは明らかだ。ミラーに正対する形で披露されるその反応は、沙綾香達にも丸見えだろう。その証拠に、健二は沙綾香に対して、祐希達とよく似た体位を求めていた。騎乗位。ただし、脚を横に開いて跨る形じゃない。足を投げ出した健二の上に、中腰の姿勢で乗る形だ。膣への挿入だけを目的とする体位、と言い換えてもいい。
『…………っ、…………っ、…………っ!』
 口を開き、荒い息を逃がす沙綾香。その身体は六畳間の方を向いていた。横並びで犯される祐希や藤花と、ミラーを挟んで向かい合う形だ。その視線は、友人2人をじっと見つめていた。健二が薄笑いを浮かべながら沙綾香の腰を押し下げれば、視線は一瞬横に向くが、すぐにまた前へと戻る。
「クククッ。羨ましそうにしやがって」
 モニターに映る沙綾香を見て、手越が笑った。
「っすね。目の前の友達みたいに、思いっきり突かれたいって気持ちが丸出し」
 颯汰も同じく笑い飛ばす。
 不愉快だ。だが俺から見ても、祐希達を羨む気持ちは有るように思えた。なぜなら、沙綾香の視線が捉えているのは、祐希達の顔じゃない。激しくピストンを繰り返し、愛液を散らす結合部だ。
 健二もそれに気づいているようで、沙綾香が結合部に見入っているその最中、腰を掴んで押し下げる。逸物が根元まで入り込むように。
『っっ!!!!』
 沙綾香の顎が、また浮いた。中腰の姿勢を保つ脚が強張り、寝台についた両手も痙攣する。快感に震えているのは間違いない。だが、絶頂までは達せていないようだ。
『………………。』
 沙綾香の視線がまた横を向くが、それも止めろという意思表示というよりは、別の感情を伺わせる。

 ( どうせなら、思いっきりして。すっきりイカせてよ! )

 そう、眼で訴えているようだ。
 だが、健二はそれに応じない。沙綾香の腰を掴んだまま、あくまで中途半端な刺激に終始する。それを何十分も続けられるとなれば、生殺しもいいところだ。
『……ッ!』
 沙綾香の唇が噛み締められ、泣きそうな顔になるのも無理はなかった。


                 ※


 5人の中年男は、娘と変わらない年頃の少女相手に、脂ぎった欲望を満たし続ける。何度となくキスを迫り、女性器を舐め、男性器を咥えさせながら、色々な体位で犯しぬく。
 そして健二は、5ヶ所で繰り広げられるセックスのうち、最も印象的なものを模倣し続けていた。
 例えば今は、マジックミラーのすぐ前で、赤リボンの子が犯されている。
『ああああっ、だめ、ダメいきそうっ!』
 彼女も奴隷として、かなりセックスに慣らされているんだろう。ベッドに這いつくばるような後背位で突かれながら、快感の声を響かせる。スレた感じのする子だが、演技には到底思えない。
 そのセックスを、わずか数十センチ横で健二が真似る。這いつくばる沙綾香に、後ろから覆いかぶさる形での挿入。ただし、こちらは腰がほとんど動かない。寝台へ突き立てた両拳を支えに、腰をグリグリと押し付けるばかりだ。
『……~ッッッ!!!』
 かなりの刺激があるんだろう。沙綾香は震えながらシーツを握りしめ、歯を食いしばっている。それでも、十分な満足には程遠いらしい。
『あああ奥、ゴリゴリ来てるうっ! い、いくっ、イクううっ!!』
 赤リボンの子が幸せそうに絶頂へ追い込まれると、沙綾香の顔は横を向き、苦しそうな表情を浮かべる。だが、健二はそんな沙綾香を楽にはしない。物欲しそうな顔を前に、じっと腰を留めている。沙綾香が恨めしそうに視線を上げても、一切腰は動かさない。
 かといって、完全にクールダウンさせるわけでもなかった。沙綾香が諦めたように俯けば、一度浅く抜いてから改めて奥まで挿入し、上下に腰を揺らす。ポルチオをぐりぐりと虐めるやり口だ。ギリギリまで昂らされた沙綾香が、それに無反応を貫けるわけもない。
『…………ッ!!!』
 目を見開き、拳が入りそうなほど大口を開けた後、慌てて右手で口を覆う。直後にブルブルと痙攣したところを見ると、本当にすんでのところで喘ぎを押さえ込んだんだとわかる。
 そこまでの必死さを目の当たりにしても、健二に同情心などないようだ。ヘラヘラと笑いながら、必死に口を押さえる沙綾香の右手をどけようとする。沙綾香が左手でそれに抗えば、その左手までもを押さえつけ、力づくで右手を引き剥がしていく。もちろん、腰は沙綾香に密着させたままでだ。
『ッッー、ッッッ!!!』
 覆いが無くなった沙綾香の唇には、血が出そうなほど歯が食い込んでいた。いつにも増して悲壮なその顔は、見ていて本当に辛い。
「うははっ、スゲー顔。ああやって奥をコツコツ小刻みに揺らしつづけんのって、快楽漬けにする近道っすよね」
「ポルチオの開発具合にもよるがな。とはいえ、今のアイツの場合なら、いっそガンガン突かれた方がよっぽどマシだろ。ハードなプレイほど、すぐに感覚が麻痺するからな」
 漏れ聞こえてくる調教師師弟の言葉も、俺の不安を増大させる。
 胸が、息が苦しい。陸に居ながらにして溺れている気分だ。

 六畳間のセックスは、2時間以上が過ぎても終わらない。それどころか、ますます熱を帯びていく。
 正常位、側位、屈曲位……色々と体位を変えて交わるうち、5人の客は相手が一番喜ぶ行為を見つけ出し、それに専念しはじめる。
 赤リボンの子は、犬のように這いつくばっての後背位。
 後ろ髪をシュシュで纏めた子は屈曲位。
 祐希は、濃厚に舌を絡めつつの対面座位。
 ここまでは通常のセックスの範疇だが、千代里と藤花の2人はかなりマニアックだ。
『んぶっ……んごっ、んぶ、ぶっ……ぶはぁっ! はぁ、はっ……ングッう゛!!』
 千代里は壁際に追い込まれ、怒張を喉奥まで咥え込まされている。低いえずき声といい、逸物を抜かれた際の唾液の量といい、なんとも苦しげだ。だが、そんな目に遭いながらも、彼女の腰は艶めかしく踊りながら潮を噴き散らしていた。すっかり喉奥蹂躙で絶頂する癖がついているようだ。
 そしてそれは、藤花も似たようなものだった。
『ああっ! こ、この体位は……っ!!』
 足首を重ね合わせた、胡坐を掻く体勢。偶然その体位を取らされた瞬間、藤花は情けない笑みを浮かべた。
『なんや。お前、これが好きなんか』
 客はその反応を見て弱点と見抜き、足首を掴んだまま肛門に挿入する。
『ぁあああああっ!!!』
 藤花の反応は、いつになく大きかった。その体位が彼女の弱点だと、誰が見ても判るほどに。ドナンを限界まで我慢させられた時か、あるいは客の前で晒し者になっていた時か。その辺りがトラウマとなって、あの体位で犯されるだけで異常に感じてしまうんだろう。
『ッがあああああっ! あああお゛、アアお゛っ、おおお゛お゛っ!!』
 肛門にペニスを送り込まれるたび、藤花は痙攣しながらあられもない声を張り上げる。
 その壮絶な声が響き渡る中、健二は“松葉崩し”に移った。沙綾香と求め合っていた時に、俺も好んで選んだ体位だ。やや腰を遣いづらいものの、密着感は抜群で、逸物がGスポットに触れやすいという特徴もある。
『……っ!!』
 体位が変わった瞬間、沙綾香は目を見開いた。胸をやや反らし、カクカクと揺れているのは、軽い絶頂の兆しか。
 快楽の水面を漂う沙綾香に対して、藤花は深みへ嵌まりきっている。自ら膝を押さえ込んで胡坐の姿勢を保ち、肛門を抉られるたびに満面の笑みを浮かべる様は、まさしく快楽中毒者のそれだ。
『んんおおお゛お゛お゛っ!!!!』
 緩んだ口から発される嬌声も悦び一色で、だからこそ、今の沙綾香にとっては毒でしかない。
 さながら、減量中の人間の前で菓子とジュースを貪るような所業。耐えている方としては堪らない。どれだけの自制心をもってしても、涎が出るのを止められない。
 健二の逸物ではなく、藤花の悦びの声が、沙綾香を蝕む。
『……~~~~~っ!!!』
 沙綾香は、後頭部をシーツに押し付けながら、激しく頭を揺り動かしはじめた。その動きを見た瞬間、颯汰が手を叩いて笑う。
「あれ、ガチで限界ん時の首の動きっすね。お願いだからイカせてーっつって、涙目で訴えてくる直前のやつだ。ま、焦らされまくって限界ってところに、あんなヨガリ声聞かされちゃな。カワイソー」
 本音か嫌味か、憐れんでみせる颯汰。その相方である健二も、同じように薄笑いを浮かべながら沙綾香を追い詰める。抱え上げた左脚を横へ倒し、さらに股の密着度を上げれば、沙綾香の背中がまた反った。
『っっっ!!!』
 上せたような沙綾香の顔が、ぐらぐらと揺れる。後頭部がシーツに着いてからも、表情に平穏は戻らない。とろんとした目から涙を流し、ハッハッと短く喘ぐ様は、限界をありありと感じさせる。
 それでも、健二は休ませようとはしない。震え続ける沙綾香の脚を改めて肩に担ぎ上げ、太腿を引き付けて焦らしを継続する。
 今、沙綾香がどれだけ辛いのか。それは沙綾香本人にしか解り得ない。それでも、あらゆる情報から推測ができてしまう。沙綾香の表情。割れ目の痙攣。太腿の動き。腹筋の動き。どこを見ても、“限界”というワードが頭にちらつく。
 そんな中、健二はさらに体位を変えた。今度は屈曲位。沙綾香の両足首を肩に担ぎ上げたまま、斜め上からの挿入。腰を沈めながら、上体も沈めていく健二は、明らかにキスを求めていた。本当に沙綾香を気に入っているらしい。
『っ!』
 沙綾香は顔を横向け、せめてもの抵抗を試みる。だが、健二にしつこく迫られると拒みきれない。
 音もなく、唇が合わさった。密室の中、2度目のディープキス。
 心臓が痛くなる。思わず視線を外すが、他のどこを見たところで救いはない。健二の肩に添えられた手。健二の手が添えられた尻。真上に伸びた足指。どれも苦しそうに、そして心地よさそうに震えている。
『ああああっ! い、いくっ、いくううっ!! ほおお゛お゛イグウウううぅ゛ッ!!!』
 六畳間から絶頂の声が響けば、健二と抱き合う沙綾香も身を震わせた。だがそれは、おそらく絶頂には達していない。ギリギリで届いていない。
 一方、口を貪りながら密着する健二は、その中でついに満たされたらしい。奴は気持ちよさそうに尻を震わせてから、ゆっくりと逸物を抜き去った。そして、その瞬間。

『あああああ…………っ!!!!』

 声が漏れた。六畳間からじゃない。その声を発したのは、ゴム付きの逸物を引き抜かれた沙綾香だ。
『え……?』
 マジックミラーに最も近い千代里が、不思議そうに横を向く。今度こそは完全に聞こえたらしい。だが今の沙綾香には、ショックを受ける余裕すらない。
『はっ、はあっ、はっ…………』
 彼女は腹部に手を当て、顎をピクピクと動かしていた。
 絶頂したのか。だが、そうだとしても、相当浅い絶頂に違いない。男が自慰の最中、我慢しきれず暴発してしまった時のように。
 その沙綾香を見下ろして、健二が笑う。そして奴は、先の膨らんだゴムを外して口を閉じると、また新しい袋を拾い上げる。まだまだ焦らしセックスを終えるつもりはないらしい。
『ほら、ぼーっとすんな』
 横を向いていた千代里も、すぐにまた逸物をしゃぶらされはじめた。

 片や、絶叫の絶えない、快楽漬けのセックス。
 片や、自由に声さえ出せない、焦らしのセックス。
 歪なこの2つの行為は、マジックミラーを間に挟み、延々と続けられた。すっかり夜が更け、最後の『審査会』が幕を開ける、その直前まで。



                 ※



「とうとう最後ですね。よもや、温室育ちの令嬢に『審査会』がやり遂せるとは」
 モニターを眺める俺に、端塚が語り掛けてくる。いつにも増して落ち着き払った、苛立たしい声色だ。
「『審査会』とやらが終わった後は、何をさせるつもりだ?」
「快楽に溺れさせてしまえば、後は“仕上げる”だけです。セックス漬けにして、倶楽部への服従を心の底から望ませます」
 端塚の言葉で、百合の映像が脳裏を過ぎる。あれほど自我が強そうな少女でも、倶楽部の調教には耐えられなかった。連中の目論見通りに狂わされた。その事実を受け止めてはいるが、同時に、認めたくない自分もいる。
「快楽に溺れる、となぜ決めつける。沙綾香は今日まで、ずっと責めに耐えてきた。なら今日だって、耐えきるかもしれないだろう!?」
 俺の訴えは、祈りに近い。そして端塚は、そんな俺の祈りを一笑に付した。
「先生ともあろうお方が、異なことを仰る。八金沙綾香は、すでに堕ちる寸前。ボクシングで言えば、ロープにしがみついているのがやっとという状態です。対してこちらの駒は、世界チャンプクラスの10人。凌ぎ切れる筈がありません」
 嫌味たらしい言い方だ。だが、その言葉はたぶん正しい。今日までの沙綾香を見てきて、それでも乗り切れると考えるのは、よほどの楽観主義者か、奇跡を信じる人間だけだ。
 返事に詰まる俺を、端塚はじっと観察していた。そして、髭を撫でながら口を開く。
「……先生。八金沙綾香の最期を、近くで見ますか?」
 その一言に、俺は虚を突かれた。
「近くで?」
「はい。貴方の記憶を呼び戻すには、ショックを受けていただくのが一番と思っております。しかし、この部屋では遠すぎる。モニター越しではなく、すぐ傍で、想い人の最期を見届けるのです。如何ですか」
 想い人の、最期──つまり、沙綾香がヒトでなくなる瞬間。それを目の当たりにする。怖気が走るシチュエーションだ。
 だが、この部屋に閉じこもっていたところで、何が解決するわけでもない。沙綾香の傍に行くことで、何かが変わるかもしれない。何も変わらなかったとしても、ここで無機質なモニター越しに見るよりは、傍で見届けた方がマシだ。

 俺は、端塚の提案を受け入れた。黒々と伸びた髭を剃り、VIP用の館内着を身に纏って、久しぶりに鏡張りの部屋から外へ出る。
 薄暗い部屋の外には、ギャラリーの痕跡が残っていた。折り畳み式のロッキングチェアに腰掛け、苦悩する俺や沙綾香を優雅に眺めていたらしい。すでに全員が撤収済みで、空の食器やカクテルグラスが残されているだけだが。
 セキュリティの連中に警棒式スタンガンを突きつけられたまま、エレベーターで地下10階に向かう。
 地下10階は、ストリップ劇場のようだった。フロア全体がやや薄暗く、流れているBGMもムーディーなものだ。中央には円形のステージがあり、カーテンで仕切られた奥の空間に通路が伸びている。
「入りましょう」
 端塚が俺の先に立って歩き出す。同時に、俺に張りついているセキュリティの男が、背中に尖った物を押し当ててきた。警棒式のスタンガンだろう。
「妙な真似はせんでくださいよ、先生。“急病人の手当て”は面倒ですから」
 奴はご丁寧に念を押してくるが、言われずとも抵抗できる状況にはない。タキシードの下は完全武装であろうコイツをどうにかできたとしても、出入口付近は何人もの用心棒が固めている。口惜しいが、大人しくギャラリーの1人になる他なさそうだ。
「さあ、先生」
 端塚に促され、お立ち台を囲むパイプ椅子のひとつに腰を下ろす。高級倶楽部の備品にしては粗末なものだが、基本的にここは座ることを想定していないんだろう。実際、集まっている客のほとんどは席につかず、落ち着きなく何かを待ちわびている。
 客層は色々だ。いかにも裕福そうな高齢層、野心に満ちた若手実業家風の男、スポーツ選手と思しき男……。
「まだ始まらねぇのか? ったく、待ちきれねえよ。おい、そこの女!」
 俺の右にいる客が、痺れを切らして従業員を呼びつけ、館内着の前をはだける。その意図するところは一つだ。
「承知いたしました」
 恭しく傅くバニーガール姿の女性には、見覚えがあった。モデルがやれそうなほどのスタイルに、北欧系の血が混じっていそうな涼やかな顔立ち、そして特徴的な白い髪……百合だ。
「こっちもだ、奉仕しろ!」
「私にも頼むよ、君!」
 他の場所でも、同じく女を呼びつける声と、それに応じる声がする。そして俺は、その返事の声すべてに聞き覚えがあった。
 祐希。千代里。藤花。沙綾香の親友である3人が、客の足元に這いつくばって奉仕している。わざわざ蒼蘭女学院の制服に身を包んだままで、だ。
「……悪趣味だな」
 思わず、隣の端塚を睨みつける。沙綾香にとっての大一番となるこの催しに、彼女と親しい4人をわざわざ集める。これが悪意でなくてなんだ。
「そうでしょうか。今日が、八金沙綾香という少女の“命日”なのです。せめて知己に看取らせてやろうという、温情のつもりなのですが」
 端塚は、やはり悪びれる様子もない。碌でもない言葉を吐いて笑う様は、不快を通り越して不気味だ。


 祐希達が奉仕を始めてから、数分が経った頃。シャッと音を立てて通路奥のカーテンが開いた。それぞれに騒いでいた客が言葉を途切れさせ、一斉にお立ち台の向こうを見る。
 姿を現したのは、手越と桜織だ。桜織は、きっちりと制服を身に着けていた。首元の赤いネクタイに、校章の入ったワインレッドのブレザー、チャコールグレーのチェックスカート、紺のハイソックス。その装いは、小顔で三つ編みの桜織に一番よく似う。清楚そうだ。あるいはセックス地獄から解放され、正気を取り戻せたのでは──そう思えるほどに。
 だが。
「あは…………おとこのひと、いっぱぁい…………」
 開口一番の言葉で、俺の淡い希望は打ち砕かれた。理性を感じさせない言葉、虚ろな目、緩んだ口元。そのどれもが、絶望的なまでに“まともさ”と乖離している。
「なっ……!」
「……委員、長……?」
「一体、何が……」
 祐希、千代里、藤花の3人は、桜織の変わりように絶句していた。彼女達にとって、桜織は口煩くも頼りになる存在だったことだろう。今の桜織のイメージから、最も遠い存在だったに違いない。
「ほっほっほ、凄い顔をして! あれが元、学科試験全国トップの秀才とはな」
「無理もないでしょう。四六時中ドラッグセックスをさせられていたそうですから。脳が快感で焼き切れたんですよ。よく言うじゃないですか、精密機器ほど壊れやすいって!」
「ちっちゃくてカワイイなあ。雰囲気は、なんか若妻感あるけど!」
 客共は、楽しげに桜織を品評する。
 そうして場が沸いたところで、また北の扉が開いた。続いて入ってきたのは、沙綾香とロドニーだ。
「おっ、来た来た来たぁ! 噂の8頭身!」
「すっげぇ……なんて脚の長さだ!」
「エロいよお、サヤちゃあん!」
 客が歓声を浴びせても、沙綾香は反応しない。まっすぐ前を見つめて歩いていく。だが、そのトップモデルを思わせる颯爽とした歩きが、また変態共の鼻息を荒くさせた。
「ウヒヒ、見えた見えた! こいつ、白パンだ!」
 客の何人かは、通路の左右で身を屈め、沙綾香の下着を覗き込んでいる。ただでさえ脚が抜群に長い上、スカートをマイクロミニにしている沙綾香相手なら、覗くのは簡単だろう。沙綾香はそうした連中に冷ややかな視線を向けるが、変態共はそのツンとした態度を喜ぶばかりだ。
 ステージ中央で、2組の男女が顔を合わせる。手越とロドニー、そして沙綾香と桜織が。
 桜織は本当に小柄だ。ロドニーはもちろん、沙綾香と比べても相当な身長差があって、正直同い年には思えない。もっとも、長い脚をニーソックスで際立たせた沙綾香より大人びている女子高生など、そうそう居はしないだろうが。
「久々の再会だな。どうだ、お互いのツラぁ拝んだ感想は?」
 手越が問うと、沙綾香は桜織の方を向いた。
「……委員長?」
 控えめにそう声をかける。以前の桜織なら、それに対して常識的な反応を返したことだろう。級友の失敗を落ち着いてフォローするような、母親のような雰囲気を持っていたのが桜織という子だ。
 だが、今の桜織を見て、常識的と思う人間はいないだろう。彼女は、沙綾香の方を向かない。返事もしない。ぼんやりとした視線を彷徨わせ、すぐ近くにいる『雄』……手越とロドニーを見つけると、薄ら笑みを浮かべながら近づいていく。特にロドニーがお気に入りらしく、胸板に身を擦りつけながら甘えた声を漏らす。
「おいおい、俺は立会人だぜ。そういう事は、この後に来る“主役”の連中にやってやんな」
 ロドニーは可笑しそうに笑いながら桜織を引き剥がす。桜織はそれを嫌がり、手を伸ばしてズボン越しにロドニーの逸物を撫でる。それを目にした瞬間、沙綾香が桜織の肩を掴んだ。
「やめて、委員長っ!!」
 その叫びに、ようやく桜織の目が沙綾香の方を向く。
「……あー。いたんだあ、沙綾香」
 緩んだ笑みを浮かべ、桜織が呟く。沙綾香を認識できたのは、喜ばしいことだ。だがそれは、同時に残酷でもある。あれは、桜織によく似た別人じゃない。沙綾香の事を知っている、桜織本人の成れの果てだ。いやでも、そう理解してしまうから。
「そう、沙綾香だよ。ねえ、委員長、そんな顔しないで、シャンとして! みんなで、一緒に帰ろうよっ!!」
 沙綾香は桜織の肩を掴み、悲痛な声で叫ぶ。ボロボロと涙が零しながら。3人の級友も、舞台下から涙まじりの声を上げる。だが、その4つの想いは届かない。
「いいよぉ、ここで。ここにいると、気持ちいいもん。おまんこを奥まで突かれるとね、頭がまっしろになって、フワフワして、ビリビリして、幸せなの。沙綾香もそうでしょ?」
 知性の感じられない言葉を発しながら、ただ幸せそうに笑う桜織。その姿に、沙綾香を含む同級生4人が言葉を失う。
「へへへ。見た目通り、完全に理性がフッ飛んでやがんな!」
「もうチンポの事しか考えられねえってか? いいねえ、奴隷らしいぜ!」
 逆に客は、変わり果てた桜織を見て騒ぎ立てる。今にも舞台へ上がり、襲い掛からんばかりの勢いだ。実際、ステージは膝丈の高さしかなく、客席との間にロープの仕切りさえないため、その気になれば容易に襲い掛かれるだろう。
 だが、その流れを断ち切るかのように、また通路奥でカーテンが開く。騒々しい足音を立てながら姿を現すのは、10人の黒人共だ。
「うおっ!?」
「で、でけぇ……!!」
 2メートルを超す身長、プロレスラーかラガーマンかという筋肉量。そして身に着けたゴムパンツ越しにも、はっきりと見て取れる規格外の剛直。それが群を為して歩み寄れば、どんな客も凍りつく。俺は、その理由が今ようやく実感できた。遠くから見下ろすのではなく、近くで目の当たりにするそれは、迫力が凄まじい。複雑に隆起した鋼鉄の壁が迫ってくるようだ。首を70度ほど上に向けなければ、黒人共の表情を確認することさえできない。
 そして、匂いのインパクトも強かった。巨体が近づくほどに、体臭が鼻を突く。連中の雄度を象徴するようなそれは、容易に脳を侵食する。ほんの数呼吸しただけで、連中の存在を無視できなくなる。
 そこまで考えて、俺はゾッとした。
 呼吸だけでこのザマなら、そんな連中とセックスをしたらどうなる?
 一晩中犯され、逸物を咥え込まされ、精液を浴びせかけられたら?
 決まっている。連中という存在が、深く脳髄に刻み付けられるはずだ。普通の倍はあるペニスで性器をこじ開けられ、絶頂させられるという体験も合わされば、その記憶はより強固に根付く。一晩眠った程度では払拭しきれないほどに。ましてや、それを毎晩続けられれば……。
 気付かなかった。檻の中の輪姦を遠くから眺め、そのハードさを解ったつもりでいたが、現実にはその何倍も性質が悪いものだったんだ。

「今日のはまた小せぇなあ。ミドルスクールのガキか?」
「サヤカと同じ制服だからそりゃねぇだろ。それに、ジャパニーズのガキなんざこんなもんだぜ。サヤカが例外なんだよ」
「あいつ、俺らのコックを凝視してやがんぜ。早くヤリたくて仕方ねぇらしいな」
 ステージに辿り着いた黒人共は、獲物を取り囲みながら騒ぎ立てる。
「あはっ、すごい匂い……濡れてきちゃう」
 桜織は、強烈な体臭にうっとりとした表情を浮かべつつ、ゴムパンツを盛り上げる巨根を眺め回す。一方の沙綾香は動じない。モデルのように腰に手を当てたまま、不機嫌そうにそっぽを向いている。だが、よく見れば鼻がひくついているのが見てとれた。胸の上下するペースも、微かに早まったように思える。黒人共の匂いを捉え、無意識に反応しているらしい。そうなるのも当然のことだ。そう理解はしている。なのに、胸がしめつけられるように苦しい。
「なあ、もうヤッていいか?」
 ドミニクが桜織の頬を舐めながら問いかける。鼻息は荒く、ゴムパンツには幅広の亀頭の形がくっきりと浮き出ている。すでに我慢の限界という様子だ。桜織もすっかり乗り気で、その浮き出た部分を手のひらで撫でるものだから、ドミニクは獣のような雄叫びを上げた。
「待て、もうちっとだ!」
 ロドニーが制止しつつ、手越に視線を向ける。すると手越は、苦笑しながらマイクを手に取った。
「お集りの皆様、お待たせしました。これより、『審査会』を開始します」
 そのアナウンスが流れた瞬間、フロア中から歓声が上がる。客の数は多い。前の審査会の倍、40人はいるだろうか。手越はその盛況ぶりに頬を緩めつつ、壁際に控えるセキュリティへ合図を送る。するとセキュリティの連中は、傍の紙袋を拾い上げ、その中身を客に配りはじめた。赤と青の押しボタンがついた、小さな箱。祐希との審査会でも配られた、投票ボタンだ。
「お客様にしていただきたいのは、ただ一つ。この2人のプレイを見て、いいと思った方のボタンを押してください。ちっこい方の女にそそられたなら青ボタン。でかい方の女なら赤ボタンです」
 手越がそう言うと同時に、フロア右手側から音が響く。今まではシャットダウン状態で気付かなかったが、床から2メートルほどの位置にモニターが設置されているようだ。モニターは青と赤で色分けされ、どちらにも『0』と表示されている。これも、祐希の時と同じ方式らしい。
「皆様のボタン投票は、全てあのモニターに記録されます。その得票数で最終的に上回った方が、審査会の勝者となるわけです。ただし、今回はもう一つ。この審査会そのもののクリア条件を設けます」
 手越はそこで言葉を切り、セキュリティの1人から何かを受け取る。カチューシャのような二つの器具だ。奴はそれを桜織と沙綾香の頭に嵌め込み、両端のクリップ部分で耳輪を挟んで固定する。
「おっ、何だそれ? どっちもお嬢様っぽいから似合っちゃいるが、ただの飾りってわけじゃねぇだろ」
 見慣れない器具に興味を惹かれ、客が問いかける。だが俺は、その機械に見覚えがあった。桜織の調教で、絶頂回数をカウントしていたものだ。
「ええ、もちろん。これは脳波を計る機械でしてね。着けた女が絶頂するたびに音が鳴るようになってるんです」
 手越は客向けに解説しつつ、ドミニクに何かを囁く。ドミニクは頷いて桜織に近づき、ワインレッドのブレザー越しに胸を揉みしだいた。身長差50センチの愛撫は、いつにも増して犯罪的だ。
「ひゃぁん!!」
 桜織が叫ぶと同時に、リン、と聞き覚えのある音が鳴った。直後、今度はフロアの左手側が光る。やはり2メートルほどの高さに掲げられたモニターに、『1』の文字が光っている。
「ご覧の通り、絶頂回数はあちらのモニターに表示されます。審査会が終わるまでの4時間で、1人あたり2,000回、合計4,000以上絶頂しないこと……これが、当審査会のクリア条件です」
 手越がそう告げると、多くの客が怪訝な顔を見せた。
「2,000回? ずいぶんとまた、余裕のある条件じゃないか」
「4時間で2,000回ってことは、1時間あたり500回だろう。分刻みなら、ええと……8回強だ。7秒に1回未満のペースで絶頂する計算だぞ?」
「ははっ、いくらなんでも無理だろう。20年調教しているウチの奴隷でも、そんなペースでは逝かれんよ。こんな青臭い子供らが、熟しきった奴隷よりも達しやすいとは思えんがね」
 それぞれに計算し、手越の目標設定を笑い飛ばす。だが、手越もまた薄ら笑みを浮かべつつ、ドミニクに何かを囁く。すると、ドミニクの愛撫が激しさを増した。唇を奪い、胸を揉みしだき、スカートとハイソックスに挟まれた太腿を撫でまわす。
「ふあ、あっ、あふぁぁっ……!!」
 桜織から鼻にかかったような声が漏れた。そして華奢な身体が震え上がり、リン、リン、と2回音が鳴る。モニターの数字も3に変わり、客がどよめきだす。
「なっ!?」
「馬鹿な。もう、3回達したのか!? 制服の上から弄られただけだぞ!」
「うううむ……これは確かに、大した淫乱ぶりだ」
 一方で観客は、桜織の達しやすさに驚きを隠せない様子だ。手越はその反応にほくそ笑みつつ、マイクを握り直す。
「皆様の仰る通りです。4時間で4,000回の絶頂は有り得ない。無いに等しいリミットラインです。だが、もし。万が一、そのラインを越えてしまうようなら、そんな女をヒトと認めていいものでしょうか?」
 手越の視線は、桜織を向いていた。視線も虚ろに笑みを浮かべる姿は、人とは違う何かに見える。桜織に好意的な俺ですらそう思うんだから、客の判断はもっとシビアだろう。
「確かにそれは、もう人間ではないかもしれんな」
「ああ。性欲に溺れた、ただのケダモノだ」
 客の何人かが呟いた言葉に、手越が頷いた。
「その通り、ケダモノです。そして、ケダモノに当倶楽部の奴隷は務まりません。もしそうと判った場合、審査会は双方失格とした上、相応に『処分』します」
 処分。その言葉に、一瞬場が静まり返る。この倶楽部で発されるその言葉が、軽いはずもない。誰もがそれを理解しているから、深くは訊かない。客は目を爛々と輝かせ、沙綾香は喉を鳴らす。ただ一人、本来なら誰よりも心を律するべき桜織だけが、呑気にドミニクとキスを交わしている。
「……では、皆様。お楽しみください」
 手越は一礼し、ロドニーと共に舞台から降りる。

 最後の審査会の、始まりだ。

二度と出られぬ部屋 最終章 オーバードーズ Part.5(後編)

Part.5(中編)の続きです。
文字数が多すぎるため、Part.5は前・中・後編に分割します。
こちらはアナル調教パートの後編となります。





 およそ1時間ぶりに足の結束を解かれた時、藤花も沙綾香も自力では立てなかった。特に酷かったのは沙綾香だ。藤花は膝立ちで済んだが、沙綾香は完全にへたりこんでしまう。
「どうした、ちゃんと立てよ!」
「ケツが良すぎて腰抜かしてんのか? 変態が!」
 客からそんな罵倒が飛べば、震える脚を叱咤して立ち上がろうとするが、結局は尻餅をついてしまう。それがまた客の大笑いを誘うんだから、残酷なものだ。

 腰を抜かした状態でも、『審査会』は続く。
 まずはロドニーの指示で、黒人共が沙綾香達の腋を抱え、強引に立ちあがらせた。その上で、迷彩ズボンと剃り込み男が藤花と沙綾香にそれぞれ近づき、指で割れ目を押しひらく。
「すっげー、グチョグチョ」
 連中は、後ろで見ている客にわざと聞かせるようにそう言いながら、手にしたピンクローターを割れ目に埋め込んだ。
「なるほど、そのローターを落とした方が負けだな? 会の趣向からして、黒人にアナルを犯されながらキープしろ、というところか」
 客の一人が指摘すると、ロドニーが頷く。
「鋭いねぇ旦那、その通りだ。真っ当な女なら、あのデカマラでケツをファックされりゃ、自然とアソコ周りに力が入っちまう。ローターが抜けることなんざ有り得ねぇ。落としちまうような女は、よっぽどの変態ってことだ」
 ロドニーはそう煽りながら、黒人共に目で合図を送った。それを受けて、藤花の背後にダリーが、沙綾香の背後にトラバンが近づく。
「よう、サムライガール。元力士の俺の“突っ張り”に、どこまで耐えられるか見せてもらおう」
 ダリーは藤花の顎を大きな掌で包み、日本語で語り掛ける。
「元、力士だと……?」
「そうだ。俺の体重乗っけた突きは強烈だからな。さっきの態勢じゃ、オメェのこの細い腰がヘシ折れるだろうと思って、我慢してやったんだぜ」
 驚愕する藤花の反応を楽しみながら、ダリーはテニスボールより巨大な亀頭を肛門に押し当て、一気に腰を押し込んだ。
「っく、ああああ゛……ッ!?」
 藤花は目を見開き、背後を振り返る。ダリーの逸物は、さっき藤花に挿入したモーリスより長さこそ劣るが、太さでは勝る。それを挿入される刺激は、彼女の常識を遥かに超えているんだろう。
「ひひひ。良い声出すなあ、お前のお友達はよ!」
 隣の痴態を眺めながら、トラバンが沙綾香の胸を揉みしだく。乳房の形を完全に変形させるような荒々しい愛撫だが、沙綾香はそれだけで肩を震わせて反応してしまう。トラバンはその反応の良さを面白がりつつ、亀頭で割れ目をなぞり、愛液を纏いつかせてから肛門へと押し込む。
 トラバンの逸物はタイロンより細く、挿入はスムーズだ。
「すげぇな。あの硬ぇ輪っかだったアナルが、プッシーみてぇにねっとり締め付けるようになってやがる。何されたらこうなるんだよ、ええ?」
 トラバンは、沙綾香の肛門の熟しぶりを喜びながら、さらに腰を進める。怒張がすっかり腸内に隠れるまで。
「ふぅぎぃ……ッ!?」
 トラバンの腰が、尻肉と密着した瞬間。沙綾香から妙な声が漏れた。トラバンが笑みを深める。
「オーウ、嵌まった嵌まった。ここが結腸ってやつか。前にケツ犯した時にゃ、こっちは固く閉じてて入らなかったが、こなれたもんだぜ」
 トラバンは舐めるような口調で言いながら、少し腰を引く。そして角度を調節しながら、くいくいと腰を前後させた。その瞬間、沙綾香が目を見開く。
「っひ、イ゛イ゛ッッッー!!!」
 嚙み合わされた歯の間から、かろうじて声らしきものが漏れる。普通の声じゃない。身体の反応も異常だ。腰をヒクヒクと上下させたかと思えば、膝から崩れ落ちそうになる。トラバンが咄嗟に手首を掴まなければ、そのままへたり込んでいただろう。
「うお、っと。へへへ、ここはマジで感じるらしいな。俺のコックで、ちょうどこの穴のギリギリ一杯ってとこか。タイロンの野郎はなまじ物がデカすぎて、入口を突っつくぐらいしかできなかっただろ? 俺は違うぜ。この奥の穴に亀頭を丸ごとハメ込んで、キッチリ犯してやる」
 トラバンはそう宣言し、浅いピストンで肛門内を犯しはじめる。

 モニター前、横並びになってのアナルセックス。その様子はだいぶ違った。

 ダリーと藤花のペアは、とにかく激しい。ダリーは藤花の腰を掴み、後背位で腰を叩きつけている。沙綾香よりさらに脂肪の少ない、筋肉質な藤花の下半身でも、この突き込みを受ければしっかりと皮膚が波打った。小ぶりなスイカを思わせる乳房は、その激しい突き込みを受けて前後に揺れ、肋骨の辺りにぶつかっては母乳を垂らす。
「おお゛お゛っ、お゛ーっォ゛っ!! くほっ、おおお゛っ、おーお゛っ!!!」
 舌を突き出した口からは、『お』行の呻きが漏れつづけていた。ただしこれは、ダリーの超重量ピストンを受けた人間全てに共通することだ。百合も、沙綾香も、あの惨めな反応を抑えることはできなかった。藤花にとっての不幸は、それを客に見られ、散々に嗤われてしまうことだ。
 ただ、彼女は、嘲笑を気にする余裕などないのかもしれない。なんといってもダリーの突き込みが強烈すぎる。彼女は両脚を肩幅以上に開き、足指で床を掴むようにして、かろうじて姿勢を保っている状態だった。前方からのカメラには、大腿部外側の筋肉の盛り上がりが、後方からのカメラには、脹脛の強張りが、しっかりと映し出されている。

 一方で沙綾香とトラバンのペアは静かだ。トラバンは沙綾香の脇腹を掴み、ごく浅く腰を出し入れしている。ピストンというより、腸の奥の奥を『練る』ような動き。それを受ける沙綾香は、やはり静かに、しかし確実に昂らされていた。
 一番解りやすいのは、やはり脚だ。藤花が短足に見えるほどのすらりと長い脚は、ちょうど肩幅ぐらいに開いたまま、やや内股気味でアナルセックスに耐えている。だが、トラバンの指が脇腹に食い込み、ぐりぐりと『練る』ように腰を押し込めば、そのたび足の裏が浮く。2、3秒も爪先立ちの状態を保ち、トラバンが腰を引いたタイミングで、ぶるぶると痙攣しながらまた床につく。その繰り返しだ。
「ぃきっ……いぃいひっ、ひ、ひ……ぐっ……ぉ、っく!!」
 爪先立ちになっている間、沙綾香の食いしばった歯の間からは、なんとも切ない声が漏れた。その状態では鼻でしか呼吸ができないが、そのせいでやがて鼻水が滴りはじめ、客からしっかりと笑いものにされる。
 だが沙綾香も、嘲笑を気にする余裕はなさそうだ。彼女はまず間違いなく、結腸で達している。結腸逝きは静かだが、深い。脚の動きや呼吸を見てもそれは判るし、あの沙綾香がたびたびトラバンの首に手を回し、「しがみつきたい」という想いを露わにするのは、余程のことだ。

「おら、気合入れろ奴隷共! マンコのローター落とすんじゃねーぞ」
 客の野次が飛ぶ。その視線に晒される2人は、どちらも余裕がない。だが、沙綾香の方が若干不利だ。理由は単純。藤花の割れ目は未開の花だが、沙綾香の方は調教されすぎている。異物を挟み込む力の強さで、差がつくのは当然だ。
 何度目かのつま先立ちが終わり、足裏が床についた瞬間。弛緩した沙綾香の割れ目から、ローターが頭を覗かせる。
「あっ!!」
 沙綾香はすぐに気づき、下腹に力を込めた。だがその力みのせいで、腰がぶるっと震え上がる。そしてそんな反応を、トラバンが見逃すはずもない。
「なんだ、締めつけやがって。おねだりか!?」
 そう叫びつつ、深々と腰を突き込む。それまで10回以上繰り返された抜き差しのリズムと、ワンテンポ外れた挿入。しかも、8の字筋を緊張させた状態だ。
「………………はッ!!!!」
 ここで沙綾香の口から漏れたのは、声じゃなかった。息を呑む音。それは状況次第で、絶叫よりも見る人間を不安にする。
 急所に針を打てば、人はあっさりと自由を奪われるらしい。この時の沙綾香も、そんな風だった。見えない糸に引かれるように、左足が持ち上がる。これまでは左右同時につま先立ちになっていたが、今度は左だけだ。
 右足が床を踏みしめる中、土踏まずを完全に晒した左足がガクガクと震える。
「……ぁ、……ぁ、…………あ」
 沙綾香は、3回掠れた声を漏らし、ふうっと全身を弛緩させた。
 全てがスローモーションに見える世界で、抜け落ちたローターが床に弾かれる動きだけが、やけに早く見えた。
「あーあ、やりやがった」
 主犯であるトラバンが鼻で笑いながら、沙綾香の腰を離す。支えのなくなった沙綾香は、成すすべなく床に崩れ落ちた。横ざまに倒れてもまだ、その左足は痙攣していた。
 客から、どっと笑いが起きる。黒人共やロドニーも、手を叩いて喜ぶ。
「……沙綾香……」
 ただ一人、藤花だけが笑わず、眉を垂れ下げた瞳で親友を見下ろしていた。

                 ※

 審査会は続く。ルールは変わらず、膣の異物を落とした方の負けだ。今度はピンポン玉5個を膣に入れての勝負。ただし、前の戦いで負けた沙綾香には、罰ゲームという名の嫌がらせが与えられた。
 フックで鼻を吊り上げられたまま、アナルを犯される──それが、沙綾香という極上の美少女に与えられた罰だ。
「ふふふ、良い顔だ!」
「よく似合ってんぜ、マゾ豚!」
 透明な壁越しに、客が罵声を浴びせる。その眼の前では、沙綾香が壁に手をつき、レジャナルドにアナルを犯されていた。しかも、ただの後背位じゃない。彼女はがに股の姿勢を強要されてもいる。
「へへへ、よく熟れてやがる。食べ頃ってやつだ。未熟な果実って感じの固さも悪かぁなかったが、こっちのがエロいぜ!」
 レジャナルドが上機嫌に語りながら、横向きに怒張を叩き込む。深く入るたびに割れ目がひくつき、透明な雫を垂らす。
「マン汁の量すげーな。あんなデカチン尻に突っ込まれて、よくもまぁ濡れるもんだぜ。信じらんねぇ」
「理解する必要もないだろ、マゾ奴隷の心情なんて」
「だな。ああいう奴ってのは、異常なんだ。どんだけ顔とスタイルがよくっても、絶対彼女にはしたくねーわ」
 客はカクテルグラスを片手に、安全圏から野次を飛ばす。
「く、ううっ……!」
 容赦のない悪態に、沙綾香は唇を噛み締めた。彼女は、凛としていたいことだろう。だが、そうはできない。
「おら、腰落とせ!」
 アナルファックの辛さか、格好の惨めさか、沙綾香の腰はたびたび浮くが、そのたびにレジャナルドが腰を押し下げる。
「ぁっ、ぁっ……んぁっ、あっ! くはっく、ぁはっ…………!」
 沙綾香は、壁に手をついて犯されながら、ただ喘ぎ続けるしかない。がに股の脚がつま先立ちで震え、肛門はぶじゅぶじゅと水音を立てて剛直を受け入れる。
「あっ、あ!」
 ある瞬間、沙綾香の叫びが大きさを増した。同時に彼女は上体を起こし、壁の高い位置にしがみつく。凍り付いたような顔を見れば、何らかの『まずさ』を察知しての回避行動だと判る。それを知ってか、知らずか。
「伏せ、だ。バカ犬」
 レジャナルドは沙綾香の肩を掴み、ぐうっと押し下げる。水面から必死に顔を出した人間を、無理矢理引き戻すような行為。引き戻された人間は、当然、“溺れる”しかない。
「ひぎゅううぃいっ!!」
 がに股に戻った直後、沙綾香の肛門からぶりいっと破裂音がした。直後、床に雫が滴り落ちる。
「おおっ、何か出たぞ!?」
「ドナンの残りでは? さっきもブシュブシュと飛沫いていたようだが」
「それにしちゃ透明すぎねぇか? 俺は腸液だと思うがな。さっきの顔といい、またケツアクメしたんだろ」
「ふふ、あの量の腸液か。だとすれば、すっかり肛門が第二の性器になってしまっているな!」
 客が目敏く雫を見つけ、笑い合う。その目の前で、沙綾香の腕から力が抜けた。頬と乳房が、透明な壁に密着して潰れる。
「はっ、良すぎてヘバったか。前より根性なくなっちまったなあ」
 レジャナルドはほくそ笑みながら、沙綾香の腰を両手で掴み、それまで以上に丁寧に腰を使う。肉のぶつかる音が小さくなり、代わりにぐちゅか、ぬじゅう、という、やけに湿り気のある音が聴こえてくる。トラバンと同じように、結腸付近を『練って』いるのか。
「くッ、は……ぁ!! はぁっ、ああッ……やめ…そこ、嵌めこま、な……っで……く、うううくッ………!!」
 沙綾香は大きく口を開き、眉を垂れ下げてレジャナルドを見上げる。だが、超長期刑のレイプ魔が、そんな懇願で動きを止めるはずもない。むしろ、より丁寧に、ぐじゅぐじゅと腸の奥を掻き回しにかかる。
「あッ! あッ!! んやあぁああっ、んふぅううう゛、うう゛……かはッ、おおぉほ…………っ!!」
 沙綾香は、悲鳴を上げ、歯を食いしばって耐えようとし、また悲鳴を上げた。顔は熱に浮かされたようになり、睫毛の長い眼が閉じる。
「すーげぇ。ケツのディープスロートだぜ、こりゃ」
 レジャナルドの言葉が、やけによく聴こえた。
 そして、苦難はそこで終わりじゃない。離れた場所で藤花を犯していたアンドレが、沙綾香の脱力を見て笑みを浮かべた。寡黙でありながら、同時に陰湿な男だ。奴は、わざわざ沙綾香の真正面に藤花を連れ出し、壁に手をつかせる。
「はぁ、はぁ……」
 力なく喘ぐばかりだった沙綾香は、薄目を開けて状況を確認し、息を呑む。親友と呼べる相手に、だらしなく喘ぐ様を至近距離で見られているんだ。動揺しないわけがない。
「……ッ!」
 沙綾香は壁から身を引き剥がし、藤花を正面から見つめる。
「……しゃ、しゃあか…………」
 藤花は、沙綾香の名前を呼んだ。だが、その表情は壮絶だ。舌を突き出し、涎を垂らし。三白眼のような瞳は、果たして沙綾香の顔に焦点を結んでいるだろうか。黒人相手のアナルセックスに、酔っている。そうとしか見えない。
「と、藤花、藤花っ! しっかりしてよ!!」
 変わり果てた親友を前に、沙綾香は泣き叫ぶような声を上げた。だが、彼女もまた他人に構っている余裕はない。背後では、レイプ魔が腰を掴み直し、怒張で貫き通すルートを見定めている。
 パン、パン、パン、パン、と小気味良い音が響いた。張りのある肉がぶつかる音だ。そのやや内側からは、妙にはっきりと水音も立っている。
「んほっ、お゛、ふ……っ!!」
 力強いピストンは、明瞭な快感の声を引きずり出した。口を尖らせた、『お』行の呻き。客が待っていたとばかりに拍手する。歓声に気を良くしながら、レジャナルドはさらに腰を遣った。バチン、バチン、バチン、と腰がぶつかる。
「お゛おっ!!」
 沙綾香は、海老のように背を反らせて絶頂した。上を向く黒目、尖った口。深い絶頂なのは疑うべくもない。
「はははっ、イったぞ! よりにもよって、友人の前で絶頂とは!」
「よりにもよってっつーか、ダチにイクとこ見られて興奮したんじゃねーの? ド変態だし」
 客はここぞとばかりに沙綾香の反応を笑い飛ばす。不愉快な流れだ。だが、ここで沙綾香に起こっていた変化は、俺の想像以上に深刻だったらしい。
「もうやめて……お尻の穴、ヘンになるっ!!」
 沙綾香は後ろを振り返り、レジャナルドの手を握って叫ぶ。だが、日本語では通じるはずもなく、仮に英語で話せていたとしても、聞き入れられるはずがない。レジャナルドはただ笑みを浮かべ、ピストンを続行する。
「やだ、やだ、またくるっ……! うんちする時の、おっきい波……これ、もう嫌なのっ!! もうこれでイキたくない、バカになっちゃうっ!!!」
 沙綾香が顔を引き攣らせて叫んでも、状況は何ら変わらない。力強いピストンで、怒張が叩き込まれていく。駄々洩れの蛇口の水が、コップを満たす。
「だめ、だめだめ、きちゃうっ!! いぎいぃいっいっイグッ、いいぐウウーーーッ!!!」
 沙綾香は、歯を食いしばりながら叫んだ。その直後、内股になった足の合間から飛沫が上がり、ピンポン玉が飛び出していく。
「あーあ、まーた負けた!」
「ふはははっ! へっぴり腰で、情けなく絶頂してますよ!」
 客の気楽な声は、涙を伝わせる沙綾香の姿と、あまりにも不釣り合いだった。

                 ※

 3戦目は趣向が変わり、肛門に玉蒟蒻を詰め込んでのアナルセックスとなった。アジア人より数周り大きい黒人ペニスに加え、10個の玉蒟蒻。その圧迫感は想像に余りある。2人の反応が激しくなっても、納得しかない。

「はっ、ん、んんっ……!! あ゛っ、あ゛ん、はーっ……あ゛! すごい、すごい、すごいいっっ!! こんな、快感が、あ、あったとは……!!」
「くああああっ!! くう、んぐううっ!! お腹が、詰まって……く、苦しいっ……!!」
 藤花と沙綾香は、膝裏を抱え上げられ、背面立位で犯されながら悲鳴を上げる。その表情は対照的だ。笑みを堪えきれないという様子の藤花に対し、沙綾香の顔は苦痛に歪んでいる。
 ただし、2人に共通することもあった。瑞々しい肉体が、強い快感を訴えている点だ。
「そーら、どうだ! 『フロリダの暴れ馬』の異名を取る、ドミニク様のファックは!」
「腹ン中がパンパンに詰まってよお、気持ちいいだろ!」
 ドミニクとジャマールが、幼児に小便をさせるポーズのまま、剛直を肛門へと叩き込む。何度もアナル絶頂に追い込まれている沙綾香達は、その刺激に耐え切れない。全身をガクガクと震わせ、足で空を蹴るばかりだ。
「感じまくってるな、どっちも。乳首が摘まれたみたいにピンピンだ」
「マン汁もダダ漏れだしな。青くせぇガキの身体で、ここまでアナルアクメキメれるとはよ。ここの調教師ってすげーわ」
 客は興奮しながらも、2人の変わりように圧倒されているようだ。
「あああ、ドミニク、ドミニクっ……!!」
 藤花が甘い声を出しながら、背後を振り返ってキスをねだる。
「ああっ、いく、後ろでイクううっ!!!」
 沙綾香は左右に首を振りながら、激しく足をばたつかせる。
 どっちも異常だ。元々のあの子達のイメージと、あまりにも遠すぎる。
「よーし。そろそろ、出させてやれ!」
 ロドニーが手を叩いて命じると、ドミニクとジャマールは笑みを浮かべ、足の抱え方を変えた。膝裏から、脹脛へ。相手の脚がVの字を作るように。腹圧を強めて、玉蒟蒻を強引に排泄させようというんだろう。
「うあああっ! あああ゛だめっ、でちゃっ……あ゛、あ゛ーーーっ!!」
 沙綾香も、藤花も悲鳴を上げる。その直後、肛門から灰色の粒が弾け飛んだ。一粒が出てしまえば、それをきっかけとしたように、また一つ、また一つとペニスの脇から飛び出していく。
「ふぐううう゛っっ!!!」
 排泄の瞬間、沙綾香と藤花の表情は完全に一致した。瞳を上向け、唇をへし曲げる。究極的な快便の表情。
「うっはははははっ、すんげー締め付けだ!!」
「かあああっ、たまんねえぜっ!!」
 ドミニクとジャマールは、肛門の締まりを喜び、それぞれのタイミングで射精に入る。
「やあああっ、入ってくる、入ってくるうっ!!!」
 玉蒟蒻の排泄に逆らう腸内射精。それを味わって、藤花達は高らかに叫ぶ。悲鳴にも悦びの声にも聴こえるが、白濁と共に玉蒟蒻を弾き飛ばした瞬間、2人の足指が見せた動きは、いかにも気持ちよさそうなものだ。
 十秒にもおよぶ射精。その末に白濁液をこぼしながら怒張が引き抜かれれば、そこには弛緩した空気だけがあった。
「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ…………」
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ…………」
 射精の余韻に浸る黒人2人。絶頂の余韻に浸る少女2人。それぞれが下半身を痙攣させながら、幸せそうにしている。
「…………すげえ…………」
 客から漏れた、嘲笑でも罵声でもない一言が、やけに俺の心を抉った。

                 ※

 『審査会』という名の勝負は続いている。だが実際のところ、場の誰もが、そんな事情などどうでもよくなっていることだろう。沙綾香と藤花が、アナルセックスで示す反応。それこそが、客の一番の関心事だ。

 5戦目は、ベッドの上で始まった。
「はぁ、はぁ……今度の相手は、お前か。お前の名前は、何というんだ」
 右側のベッドに組み敷かれた藤花が、潤んだ瞳で問いかける。
「マーキスだ」
「そうか……なあマーキス。俺を、気持ちよくしてくれ。昂っているんだ。今、思いっきり腸を突いてくれれば、すごく良い気分になれそうなんだ……」
 藤花はそう囁きかけ、マーキスの顔を抱き寄せる。
「……オーライ」
 マーキスは嬉しそうな笑みを浮かべ、藤花の唇を奪う。
「へへへ、お熱いこったな。俺らもやるか?」
 口づけを交わす藤花達を見て、左のベッドでダーナルが笑う。その正面に横たわる沙綾香は、返事もしない。甘える藤花とは対照的に、目尻を吊り上げてダーナルを見つめている。
「やれやれ、懐きの悪いイヌだぜ」
 ダーナルは首を振りながら、沙綾香の足を大きく開かせる。5戦目ともなれば、緩みきっていた括約筋も締まりを取り戻している。ついさっきまでジャマールに犯されていたため、完全に閉じてはいないが、指3本が入ろうかという程度の隙間だ。
「いい具合に穴のサイズが戻ってんな。これなら、俺の“ポークビッツ”でも、楽しませてやれそうだぜ」
 ダーナルは逸物を握りしめながら囁く。10人の中で2番目に小さい事への自虐だろう。すでに事を終えた8人の黒人共は、それを聞いてゲラゲラと笑う。それに比べて、客は随分と控えめな笑い方だ。
 それはそうだろう。10人中最も小ぶりなマーキスのペニスでさえ、長さ20センチ、直径5センチは下らない。ダーナルの物となれば、それよりさらに一回り上だ。黒人特有の、節くれだった木の根のような剛直……それを粗末と笑い飛ばせる日本人など、どれだけいることか。
 ダーナルは逸物に唾液を塗り込め、怒張の先を沙綾香の肛門へと宛がう。そして、ゆっくりと腰を進めた。
「ん……っ!!」
 沙綾香が眉を顰める。小さく声も漏れた。
「なるほど。アナルファック用の、エロい肛門になってやがる。天使にキスされてる気分だぜ」
 亀頭が菊輪を押し開いた時点で、ダーナルは笑みを浮かべた。そして奴は、ベッドを軋ませながら腰を引く。
「……?」
 沙綾香は、怪訝な顔をした。血管も浮き立つほど怒張を勃起させた、性欲滾る野獣。それがあの連中のイメージだ。実際、他の奴らは、獣のように沙綾香達の肛門を貪った。右のベッドでは今まさに、マーキスが藤花と濃厚なキスを交わしながら、圧し潰すような体位でアナルを犯し抜いている。
 だが、ダーナルはそうしない。一度完全に亀頭を抜いた後、再び口を開いた肛門に嵌め込み、また抜く。そのごく浅い挿入だけを、ゆっくりと繰り返す。
「……最後の奴は、随分と紳士的だな」
「おいおいおい……マジかよ。さっきまで、あんだけハードに結腸アクメさせてたのによ。あれじゃせっかくの熱が冷めちまうぜ」
 客の反応は悪い。ある客は戸惑いを口にし、ある人間は不満を露わにする。だが、そんな客の後ろに控えるロドニーだけは、ダーナルの責めに興味深そうな視線を向けていた。

 ベッドの軋み方が、左右でまったく違う。藤花のいる右側は、ギシギシギシギシと壊れそうに軋み続けている。一方で沙綾香のいる左側は、ほとんど軋む音が聴こえない。明白な動と静だ。
 客は見応えのある方を好むため、次第に藤花の方へ意識を向けはじめる。5分もすれば、沙綾香を見ている客は2人だけになった。
 だから、気付く人間は少なかったろう。
「あっ、あ、あっ……」
 肛門の入口を拡げられるだけの沙綾香が、声を出しはじめた事実に。
 声だけじゃない。大股開きで横たわる全身が、ピクピクと反応している。モニターに大きく映る桜色に肌には、今も汗が流れていた。それは、沙綾香が『冷めて』などいない証拠だ。
「どうだ、想像以上に感じちまうだろ? 浣腸で緩んで、真っ赤になるまで使い回されたアヌスを、こうやってじっくりと愛してやる……そうすりゃ、パン屋のジェニーも、従妹のサラも、シーツの替えがいるぐらい蜜を吐いたもんだ」
 ダーナルは昔を懐かしむように語りながら、腰を動かし続ける。今度は亀頭のやや下、カリ首までが通り抜けるまで挿入し、一気に引き抜く。モニター画面には、引き抜かれる瞬間、沙綾香の肛門が火山のように盛り上がる様子が映っていた。
「すげぇな。抜く時には盛り上がって……エッロ!」
「あれは挿入する方も気持ちいいでしょうなあ。肛門で搾り取るように扱かれるわけですから」
 モニターを見て、客がざわつく。ほとんど藤花にしか向いていなかった興味が、沙綾香に向きはじめる。非常にまずい展開だ。ダーナルの責めが一段階進んだ、このタイミングでとは。
「くっ……は、はぁ……っ。はっ、ああっ、あ!」
 カリ首までを嵌め込まれ、引き抜かれる。嵌め込まれ、引き抜かれる。その責めを受けながら、沙綾香は声を殺しきれずにいた。
「あれは……まさか、感じているのか?」
「いや、俺もそうかなと思ったけど……ありえるか? あんな浅い挿入で」
「さっきまでと比べると、刺激が弱すぎると思うが、あれは……」
 客も、すぐに沙綾香の反応に気付く。沙綾香はそれを耳にしたのか、すぐに口を閉じた。だがダーナルはそれを見て、挿入をやや深める。そして4割ほど挿入したところで、一気に引き抜いた。
「くひぃいっ!?」
 沙綾香の目が開き、声が漏れる。注意を向けなくとも耳に入る音量。客の視線が、次々と左のベッドへ向く。
「もっと深く挿れてほしいか?」
 ダーナルは余裕の笑みを浮かべながら、沙綾香に問いかける。
「……い、挿れられること自体、嫌だってば……」
 沙綾香は憂鬱そうにダーナルを見上げ、なるべく平静を装おうとする。だが、ダーナルが同じ責めを繰り返せば、澄まし顔ではいられない。
「ひっ、ああっ、は……はっ! んひっ、ぐ…………!!!」
 大股を開いた足が震え、腰が浮く。顎が持ち上がり、唾液の糸を引きながら口が開く。
「いや、やはり感じているぞ、あれは……!」
 さっきは懐疑的だった客さえ、沙綾香の昂ぶりを確信していく。
 そんな空気を感じ取ったのか、それとも下準備が整ったのか。ダーナルは、ここから本腰を入れて責めはじめた。沙綾香の腿を抱え込み、ベッドを軋ませて、大きく腰を進める。今度はいきなり、竿の7割ほどが入り込んだ。
「んひぃいっ!!!」
 沙綾香が仰け反り、シーツを掴む。
「ぃ、いっ!! ふぃいっ、んぐっ、んぐううっ!!!」
 歯が強く噛み合わされ、仰け反りのせいで乳房が左右に零れる。今のこの反応で『感じていない』と判断する人間はいないだろう。
「どうだ。浅い部分でじっくり焦らされてから、深ぇトコまで一気に満たされた気分は。クソと浣腸を同時に味わってる感じだろ? 入口の快感が目覚めてなきゃ、そのエクスタシーはねぇんだぜ。ついでに言やぁ、コックがデカすぎてもダメだ。苦しくって快感どころじゃねぇからな。お前にこの快感を教え込めるのは、このタイミングの、この俺だけだ」
 ダーナルは、さっきの自虐とは打って変わり、誇らしげに胸を張る。黒人英語のその語りは、調教師仲間とロドニーから苦笑と拍手を引き出した。その反応を見て、客達もダーナルが何かを成し遂げた事実に気付いたようだ。

 半端者から一転、英雄のような扱いを受けるダーナルは、さらに勢いづいて沙綾香を責めたてる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋み、節くれだった木の根のような剛直が、ふっくらとした赤い輪の中を前後する。
「んぐううっ、くああっ……!! やだ、やだやだぁっ!! 入ってくる、奥まで入ってくるぅぅっ!!」
 沙綾香は頭上のシーツを掴んだまま、幼子のように首を振った。
「何を今さら……と言いてぇとこだが、そんな反応にもなるわなぁ。さっきまでハードに犯られてたっつっても、アヌスの感覚はドナンでボヤけてたんだ。ハンバーガーを口に頬張りながらコーラを流し込んだようなもんよ。それじゃ、コーラの味は判らねぇ。その点今は、俺がしっかりマウスウォッシュしてやったからな。コーラってのがどんだけ美味ェもんか、しみじみ理解できんだろ。別の言い方すりゃあよ、テメェはアナルのセカンドバージンを、この俺に捧げてるわけだ。嬉しいだろ? なあッ!?」
 ダーナルは、野獣の本性を露わにし、沙綾香の太腿を外から抱え込んだ。そしてその太腿を引き付けつつ、深々と腰を突き入れる。
「んぐううっ!!?」
 肉のぶつかる音がした瞬間、沙綾香は呻きを上げた。膝立ちになったダーナルが、黒人のバネを活かして滑らかに腰を前後させれば、沙綾香の反応もそれに引っ張られる。
「んぐっ! んぐっ! んぐっ! んぐっ!!」
 沙綾香の上げる声は単調だ。だが、セックスにおける単調さは、時として最適解にもなり得る。コップを快感という水で満たす時、蛇口を揺らす必要などない。ただただ単調に、水を注ぎ続けるのが一番早い。
「んぐっ!」
 7度目に同じ呻きを発した直後、沙綾香は背中を浮かせた。
「…………い、い…くっ…………!!」
 はっきりとマイクに拾われたその声に、客が息を呑み、顔を見合わせる。
「……今あいつ、イク、つった……?」
「おお、聞こえたな。イッた……んだな」
 はっきりと耳にしたはずの言葉を、改めて確認し合う客達。それは今の絶頂が、これまでとは別物と捉えられた証だ。
「日本のお仲間が注目してるぜ。お前のエクスタシーによ」
 脱力した沙綾香に、ダーナルが囁きかける。沙綾香はそれを耳にすると、白目を剥きかけていた目を瞬かせ、歯を食いしばってダーナルに向き合った。
「健気なやつだな。犯し甲斐があるぜ」
 ダーナルは嬉しそうに笑いながら、ぐいっと太腿を引きつけ、沙綾香の内腿にくっきりとした溝を刻ませる。
「んんぐっ、ぐひぃっ!! ア゛、ああっ……ひ、ひっ……!」
 ピストンが再開した後、沙綾香が目を見開いていられたのは、ほんの数秒だった。そのうち目は細まり、閉じ合わされ、顔全体で我慢できないという表情を作る。手も足も、何かにしがみつくので精一杯という風だ。
 それを見て、ダーナルがまた体位を変えた。太腿から手を離し、膝裏を一気に抱え上げる。そうしてマングリ返しの恰好を作り上げてから、圧し掛かるように挿入していく。
「んあああ゛あ゛あ゛っ! だ、だめ、お尻が、拡がっちゃう!!」
 沙綾香の反応は大きい。足全体がぶるぶると震え、切ない声が上がる。
「はははははっ! こうやると、腸の壁がキュウキュウ吸いついてきて最高だぜ!」
 ダーナルはほくそ笑み、沙綾香の膝裏を押さえつけながら腰を振る。
「くはっ、あ、あがっ!! し、子宮っ……子宮が、ああ……っ!」
 沙綾香は余裕のない様子で、子宮という言葉を繰り返していた。ほぼ真上から挿入されると、横向きに挿入されるより、子宮を強く刺激するんだろう。
 ベッドが軋む。沙綾香の反応が、さらに大きくなっていく。掴まれた両脚が暴れ、両手は強くシーツを握りしめる。
「んぐっ、う゛っ、ぐひいいっ!! んぐうう、はぐぃんゆううっ!!!」
 白い歯が噛み合わされ、全身が震えた、次の瞬間。割れ目から、勢いよく飛沫が上がる。潮噴きだ。体勢が体勢だけに、飛沫は容赦なく沙綾香の顔に浴びせかかる。だが、沙綾香はそれをよけようともしない。後頭部をベッドにめり込ませ、顎を浮かせたまま、ガクガクと痙攣している。
「あいつ、どんどんイキ方酷くなってんな……」
 客の一人が、ぽつりと呟いた。悪意ある野次ではなく、客観的な分析なだけに性質が悪い。確かに、沙綾香の絶頂は回数を経るごとに深くなっている気がする。今も彼女は、シーツを掴み、胸をせり出したような格好のまま、全身をピクピクと震わせて余韻に浸っている。
「おいおい、ヘバんのは早いぜ。まだ始まったばっかだろうが」
 ダーナルはそう言いながら前傾を深め、沙綾香の唇を奪いにかかる。
「んや、あっ!!」
 沙綾香は顎をうねらせるようにして口づけを避けるが、そこに注意を向けたぶん、足の震えが余計に酷くなった。
「んあっ、あああが、はあ…っぉ! ほぉっ、ほおっ……これだめ、だめ、っんひいいっ!! おねがい、だめ、もうダメ……っ!!」
 沙綾香は必死だ。圧し掛かるダーナルと視線を合わせ、必死の形相で訴えかける。だがダーナルは、それを見ても笑みを深めるだけだ。
 ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「あかはっ……!? あがっあ、あ゛……ハッ、ハッ、んむれぁあっっ!!」
 沙綾香は、ダーナルの鎖骨を掴んだまま、あえなく身を震わせる。そして最後の最後には潮を噴き散らし、脱力した隙に唇を奪われる。
 おーっ、という声が、客から起きた。笑っている人間もいるが、驚いている声の方が多いようだ。それは、沙綾香への調教が着実に進んでいる証のようで、気味が悪い。
「ふひゃははははっ!! 唾が美味えなぁ、屈服させた女だとよお!」
 ダーナルは望むままに沙綾香の唇を貪り、腸内を蹂躙し続けた。そして、たっぷり40回以上もピストンを繰り返した果てに、腰を震わせながら精液を注ぎ込む。その量と濃さは凄まじく、沙綾香の背中の筋に沿って、くっきりと白い雫が滴り落ちるほどだった。

                 ※

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……っ!!」
 沙綾香の呼吸はまだ荒い。彼女はベッドの上で横向きに倒れたまま、シーツにしがみつくようにして震えていた。重ね合わされた脚の間では、白い精液が割れ目を覆い尽くし、前と後ろのどっちを使われたのか判別できないほどだ。
「あああマーキス、マーキスっ!! もっとだ、もっと奥まで突いてくれっ!! 頭が真っ白になって、ビリビリする感覚をもっとくれっ!!」
 右側のベッドでは、藤花がマーキスと正面から抱き合いながら、自ら刺激を欲していた。
「参ったなこりゃ。タマの中身、根こそぎ搾り取るつもりかよ? おーいお前ら、そろそろ加勢してくれや。もう一巡したこったし、いいだろ? このままだと乾涸びちまうぜ!」
 マーキスは顎の汗を拭いながら苦笑し、仲間とロドニーに視線を向ける。
「完全に一巡したらと思ってたが、まあいいぜ。早ェモン勝ち、どっちを犯しても良し。好きにしろ。ただ、前は使うんじゃねーぞ」
 ロドニーが許可を出すと、黒人共の顔に笑みが拡がった。
「っしゃあ、待ってたぜ!」」
「どっちを味わったもんかな。サムライガールはあの下半身の筋肉だ、ケツの締まりも良さそうだが……サヤカの方も、昨日抱いてねぇからな。昨夜一晩、あのガキのヨガり顔が頭に浮かんで悶々としててよ、今日は目いっぱい犯し抜くって決めてんだ。だが、タイロンの野郎にでも先越されちゃ、せっかくのサムライガールの穴がガバガバになっちまうし……くうーっ、悩むぜ!」
「ヘッヘ、解るぜ兄弟。スパイシーとスウィート、どっちも美味そうだ!」
 連中は唇を舐め回し、臨戦態勢の逸物を扱きながら沙綾香と藤花を見比べる。最初に動き出したのはダリーとドミニクで、どちらも沙綾香のベッドを選択した。
「きゃ、やめっ……! 今はダメっ!!」
 絶頂の余韻から抜け出せていない沙綾香は、這って逃げようとする。だがダリーは素早くその足首を捉え、自分の方へと引き寄せた。
「そう身構えんなよ。なにも泡姫をやれってんじゃねぇ。ケツの穴だけ引き締めて、付属品みてぇにじっとしてりゃ済むハナシだ」
 ダリーは沙綾香の腰を掴むと、肛門から漏れるザーメンを亀頭に塗りつけ、狙い定めて挿し貫く。
「は、んお……っ!!!」
 沙綾香は、凄まじい表情をした。顎が浮き、足の十本指がシーツを掻く。タイロンに次いで二番目に太い怒張だ、刺激も生半可じゃないんだろう。
「おおっ、すっかり締まりが戻ってやがんな。絶妙の吸いつきとトロトロ加減がたまらんぜ!」
 ダリーは嬉々として腰を掴み直し、本格的なピストンを開始する。這いつくばる沙綾香の、尻だけを高く掲げさせる格好だ。
「んんっ、ふーっ、ふーっ……あっぐ、う゛!!」
 沙綾香は、シーツに口を押し付けて声を殺す。ダーナル相手の時よりずいぶんと苦しげだ。だが、犯すダリーはそんな事を気にもしない。
「へへへ、腰が気持ちよさそうにうねってるじゃねぇか」
「ふッ、ふッ……ち、違、う……!」
「何が違うんだ。お前、ダーナルにアナルセックスの良さを教え込まれたんだろ? アイツの“ポークビッツ”でヨガるような女が、俺の極太で感じねぇはずねえだろうが!」
 沙綾香が否定しようと聞き入れず、あばらの辺りを腕で掬い上げ、四つん這いの体勢を取らせる。そこから始まるのは、奴が得意とする、横方向の突き込みだ。
「んおお゛っ!!」
 4段腹が叩きつけられた直後、沙綾香から濁った声が漏れた。涙は水平に飛び、舌は前に突き出る。
「おこほ゛っ、んお゛っ! おお゛っ、お、ほおお゛っ!!!」
 ピストンを受けて漏れる声は、すべてが濁った『お』行だ。壊れそうなベッドの軋みは、沙綾香から余裕が剥ぎ取られる音に思える。
「お゛おお゛っ、ほおお゛お゛っ!! んあ゛お゛っ、おお゛っお゛お゛ーっ!!!」
 肉を波打たせ、悲痛な声を上げる沙綾香。彼女は、汗でダリーの手が滑った一瞬の隙をついて、かろうじて拘束から抜け出した。だが、希望が見えたのもほんの一瞬だ。
「くくくっ。待ってたぜぇ、子猫ちゃんよお!」
 這って逃げる沙綾香を、今度はドミニクが捕まえる。奴はダリーの失敗を踏まえてか、しっかりと沙綾香の下腹部を抱え込んで挿入を果たした。
「んああッ!!」
 怒張が入り込んだ瞬間、沙綾香の上げた切ない声は、凌辱者の心をさぞ満たしたことだろう。ドミニクは笑みを浮かべ、沙綾香の腰を引きつけはじめる。ギシッ、ギシッ、とベッドが軋む。
「んッ……んくっ、ぐ……んんんっ! んんっ、くうんんんっ!」
 ダーナルの肛門開発は、想像以上に沙綾香を毒したらしい。彼女はドミニクの突き込みに、快感を隠せない。手がシーツを掴み、顎が寝台に沈み込む。
「おら、おら! ケツが吸いついてくるぜ、気持ちいいんだろ!?」
 ドミニクが叫んだ、ちょうどその直後、沙綾香の腰がぶるっと震えあがった。
「んむううぅうんんん゛っ!!!」
 口と喉を閉じたまま、快楽を叫ぶような声。それも異様だったが、同時に足の間から噴き出した潮の量も、見過ごせるレベルじゃない。
「うっわ、すっげぇ噴いたな……」
「もうほとんど小便だな。マンコでイカせたって、あそこまで噴くのってそうそうねぇぞ」
「女とは、肛門でああも感じられるものなのか……」
 客は、唖然とした様子で沙綾香を観ていた。あれだけ事あるごとに野次を飛ばしていた客が、茶化さない。茶化せるほど身近な存在だった沙綾香が、刻一刻と変わっていく……その事実に、笑いを引っ込めた感じだ。
 胸がざわつく。いっそ馬鹿騒ぎでもしてくれていた方が、まだ救いがある。

 藤花のいる右のベッドは、まさに馬鹿騒ぎだ。
「あっ、はぁっ、はぁっ……あ、あ、んっ……!!」
 藤花は、胡坐を掻いたレジャナルドに抱えられる形で肛門を犯されていた。太い怒張が出入りするたび、艶めかしい吐息が漏れる。指が荒々しく乳房を揉みしだけば、ドクドクと母乳があふれ出る。気持ちが良さそうだ。そしてそれは、犯しているレジャナルドも同じだった。
「へへへ、括約筋の強ぇガキだな。食い千切られそうだぜ。入口はギュウギュウ締まって、中もねっとり纏わりついてきて……。お前のお友達もだがよ、日本人のアナルってのは名器揃いか?」
 レジャナルドが上機嫌に語りながら、リズミカルに肛門を突き上げる。
「んッ、あ…あ、あッ……! いい、いい……もう、い、イキそうだ……!!」
「ほぉ。なら、スパートかけるか!」
 藤花の言葉で、レジャナルドはさらにペースを上げた。ベッドが騒々しく軋み、左右についた藤花の脚が強張る。
「あ、あああ……あああっ来たぁっ!! んいっ、ひっぎ……あォぉお゛っ!!!」
 藤花は、歯を食いしばりながら笑みを浮かべた。そして次の瞬間、大きく背を仰け反らせる。
「ぬうううっ!!!」
 後ろのレジャナルドが顔を顰めたのは、肛門の締まりが強くなりすぎたせいか。
「あ゛アッ、んあ゛っ……はあ、はあ……はあっ……」
「ククッ、気持ちよくイキやがって。俺もそろそろだ、しっかり受け止めてくれよ!」
 ぐったりとした藤花を支えつつ、レジャナルドが追い込みを掛けた。藤花の頭と乳房が揺れる。
「オラッ、いくぞおっ!!」
「っひ、あがっ! くああああ゛あッ!!!」
 レジャナルドと藤花が身を震わせ、同時に絶頂する。だが、その後の反応は全く違った。満足げに息を吐くレジャナルドに対し、藤花はなおも物欲しげだ。
「はっ、はっ、はっ、はっ……す、凄い……黒人のペニスが、こんなに気持ちいいとは! なあ、もっとだ、もっと突いてくれ! その硬くて熱い物で、腹の奥から子宮を刺激してくれ! もっと痺れたいんだ! 刺激が欲しいんだ!!」
 レジャナルドの首を抱え込み、口を吸いながらねだる藤花。
「オイオイオイ、マジかよ。マーキスだけじゃ飽き足らず、俺まで搾り尽くす気か? ったく、ハングリーな女だな。いいぜ、なら死ぬほど食わせてやるよ。泣いて後悔すんじゃねぇぞ!」
 レジャナルドは苦笑するが、奴としても吝かではないらしい。胡坐を崩し、両足でしっかりとベッドを踏みしめると、腰ごと叩きつけるようにして藤花を突き上げる。
「んがっ、おごぉぉっ!? んごっ、ほおおっ!!! ふ、深い! いい、良いっ! ほっ、ほおっ……もっと、もっとだ、もっと刺激してくれっ!!」
 藤花は満面の笑みを浮かべながら、自ら腰を上下させ、レジャナルドの剛直を深々と受け入れる。
「くーっすげえ、コックがヒリヒリすらぁ! ホントにジャパニーズかよお前? ギリシャ女みてぇな貪欲さだな!」
 レジャナルドは驚きつつも、負けじと腰を突き上げる。筋肉質な男女が争うように腰を叩きつける様は、スポーツの試合でも観ているようだ。だが、それがセックスであることは紛れもない事実。鍛え抜かれた男と女の肉体が、刻一刻と快感の反応を大きくしていく。
「そうだ、そこがいいっ!! そこ……ん、あ、あああイグッ、イグうッ!! ふううっ、はお、ほおおぉぉっ!! し、痺れるッ……頭から、つま先まで……っ!!!」
 藤花は生き生きとしていた。かつての剣道の稽古を想像させるほど、一心不乱にセックスに打ち込み、快感を追及している。アナルセックスが正式なスポーツと認められる世界なら、彼女はその道でも栄光を掴むことだろう。
 一度価値観が反転してしまえば、被虐の道に猛進してしまう……それがあの藤花という子のようだ。
「オメーらもやるじゃねぇか。あの剣姫が、すっかり立派なマゾ奴隷だ」
 ロドニーが感心した様子で、迷彩ズボン達を褒め称える。確かに今の藤花は、疑う余地なく倶楽部好みの『マゾ奴隷』だ。となれば当然、場の意識は、その競争相手に向く。

 沙綾香は今、ドミニクとトラバンの相手を同時にさせられていた。ドミニクは大きく開かせた脚の間に腰を打ちつけ、トラバンは顔に覆いかぶさったまま、腕立ての体勢でペニスを咥え込ませている。
「おお゛ゥエ゛ッ! オオえ゛え゛っ! お゛ううぇ゛え゛エ゛エ゛ッ!!!」
 沙綾香の口からは、濁りきった呻き声が漏れていた。巨根を喉奥まで突っ込まれた時特有のものだ。見慣れた俺はすぐにそう理解できるが、黒人相手のディープスロートを初めて見る客達は、しきりに沙綾香の喉元を覗き込んでいる。モニターを振り返り、より詳細な情報を求める客もいた。
「すっげぇ……喉を完全にマンコ扱いしてんぜ、あの黒人野郎」
 一人がようやく状況を呑み込み、信じがたいという様子で呟く。
「あの、喉がボコーって盛り上がってんの、チンコの形だよな。全部入ってんだな、あのデカチンが」
「ああ。アレ根元まで咥え込まされて、挙句尻まで犯されるとか、どんな気分なんだろうな」
「あたし、あそこまで太いのは経験ないけど、3Pやったことあるからなんとなく解るよ。怖くって苦しくって、心折れるよ、あんなの……」
 他の客も、時間差で目の前の現実を受け入れはじめる。
 連中が目を疑うのも、仕方ないといえば仕方ない。沙綾香の顔の半分はあろうかという巨根が、割れ目や肛門ならともかく、喉へ入り込むなんて。何度もそれを現実として目にしていなければ、俺だって『有り得ない』と切り捨てるだろう。

 今や客の中で、椅子に座って寛いでいる人間はいない。皆が皆、左右のベッドのどちらかに近づき、異人種間のアナルセックスに見入っている。ロドニーはそれを眺め、頃合いや良しとばかりに手を叩いた。肉厚な掌は響きのよい音を立て、20人の客を一斉に振り返らせる。
「さて、審査員のダンナ方。そろそろ決まったか? どっちが本当の『マゾ奴隷』と呼ぶに相応しいか」
 その言葉を聞き、客が表情を曇らせる。
「んー。どっちが、っつってもなあ……」
「ううむ……本当のマゾ、か……」
 茶化す時の饒舌ぶりとは打って変わって、歯切れが悪い。
「はっ、はぁっ……。もっとだ。もっと、この刺激をくれ……!」
 藤花から熱い囁きが漏れれば、客の視線は右のベッドに集まる。
「へへへ。トローンとした目ェしやがって。喉奥と尻を同時に犯されて、脳味噌がピンク色になっちまったか?」
 トラバンがえずき汁を滴らせながら怒張を引き抜けば、客は羞恥と陶酔がない交ぜになった沙綾香の表情に見入る。
 どちらがマゾ奴隷らしいか。シンプルに考えるなら藤花一択だ。そうならないのは、『審査会』が始まる前にロドニーが放った、この言葉のせいだろう。

 ──マゾ奴隷ってのは何も、従順ならいいってもんじゃねえ。口でいくら拒もうが、アソコが濡れてりゃあ、そいつは紛うことなきマゾ奴隷だ。肉体的に屈服してるわけだからな。違うかい?

 ロドニーにしてみれば、これは苦し紛れの詭弁だったに違いない。だがその詭弁は、客を納得させてしまった。だからこそ、客は迷う。
 従順なマゾ奴隷として完成されている藤花か。
 反骨心を保ちながらも、肉体が快楽に屈しつつある沙綾香か。
 連中にとっては、そのどちらもがマゾ奴隷として魅力的なんだろう。
「サクッとは決まらねぇか。いい勝負じゃねぇか」
 ロドニーはふてぶてしく葉巻をふかす。自分のせいで客が迷っているというのに、その状況を楽しんでいる様子だ。そして奴は、指を曲げて迷彩ズボンと剃り込み男を呼びつけ、小声で何か指示を出す。
「はっは。面白ェっすね、それ!」
 指示の内容は聞き取れないが、剃り込み男が愉快そうに笑っている時点で、碌な内容でないことだけは理解できた。

                 ※

 ロドニーは、黒人共に一旦プレイをやめさせ、沙綾香と藤花を壁際に並ばせる。
「今度は何させる気?」
 沙綾香が問うと、それに応えるように、迷彩ズボンと剃り込み男が背後につく。連中はバケツとモップを手にしていた。バケツには、とろみのある液体が入っているようだ。
「何だ、そのバケツの中身は……?」
 今度は、藤花が問いかける。
「お前らの大好きなドナンだよ。つっても、さっきの浣腸とは違うがな。塩化マグネシウムと強壮剤、アレな薬もちょいと混ぜ合わせて、ゼリー状にしたもんだ。こいつをケツに塗り込められると、最大級の便意と快楽が味わえるらしいぜ」
 迷彩ズボンの男がそう答え、少女2人の顔を引き攣らせる。一方、遠巻きに見守る客は、期待感のある顔になった。 
「おら、ケツの穴開け!」
 剃り込み男が藤花の尻を叩くと、藤花は素直に脚を開き、肛門に自らの手を添える。
「ほら、お前もだ。それとも何だ、お友達にだけ恥掻かせる気かよ」
 沙綾香はやや躊躇っていたが、結局は同じポーズを取らされる。
 肛門が横向きに割りひらかれた瞬間、真っ白な精液がボトボトと滴り落ちた。
「すげぇ濃さだ……」
「量もやべえよ。俺なんか、1回の発射がスプーン一杯分ぐらいだぞ。100発出しても、あんな量にならねぇわ」
 薬で増強された黒人共の精液に、客が唸る。オスとしての劣等感を感じたのか、その表情は曇りがちだ。
「うっは、どんどん垂れてくんな。気持ち悪りーだろ、掃除してやるよ」
 剃り込み男と迷彩ズボンは笑いながら、モップをバケツに浸す。モップと言っても、床を掃除するための、横長のヘッドから繊維が垂れ下がるタイプじゃない。縦長のヘッドを、放射状に繊維が覆っているタイプ……つまり、大型のハンディモップという風だ。それがバケツに浸されれば、たっぷりとゼリーが絡みつく。
「さて、いくぜ」
 調教師2人が、眼を見開いて振り返る少女2人の肛門へ、ゼリーの滴るモップをねじり込む。腸のかなり奥まで入り込んでいるようだ。
「……ん、くううああっ!! ず、随分と、深くまで塗るな……!」
「あ、あ……やだ、またジンジンして……っ!!」
 効果はすぐに表れた。藤花は半笑いを、沙綾香は苦悶の表情を浮かべ、腰を揺らす。
「どうだ、2回目のドナンは。1回目より蕩けちまうだろ? おまけに今は、出すモン出しきった後だからな。便意が少ねぇ分、ドナンの味が存分に味わえるぜ」
 剃り込み男がそう言い聞かせつつ、藤花の肛門からモップを引き抜く。そして精液まみれのモップをまたバケツに浸し、ゼリーを纏わせると、もう一度肛門へと押し込んでいく。迷彩ズボンの奴も当然、沙綾香に同じことをする。
「くはっ……! た、確かにこれは、純粋なドナンとは違うな……。熱くて、痺れるようだ……!!」
 藤花は壁に手をつきながら、ぶるっと震えて笑みを浮かべた。
「こ、こんなの、もう一度なんてダメっ! 2回も、堪えきれない……!!」
 沙綾香の方は、恐怖一色だ。汗の滲む顔を歪ませ、不安を顔に表している。

 結局、藤花と沙綾香は、4回に渡ってゼリーを腸内に塗り込められた。モップが引き抜かれれば、外側へ捲れた肛門が露わになる。
「何度見ても、凄いな……俺の腕突っ込んでも、まだまだ余裕がありそうだ」
「ああなっちゃ、もう排泄器官じゃねえ。ただのトンネルだ」
 ドナンの効果に客がざわつく中、ロドニーが沙綾香達に歩み寄った。
「確かに、こりゃトンネルみてぇなもんだな。これをペニスで埋めるとなりゃ、出来る奴は限られる。タイロンか……俺ぐらいのもんだ」
 ロドニーはそう言いながら、クロップド丈のテーパードパンツを脱ぎ去った。露わになるのは、あのローストターキーを思わせるペニスだ。根元のサイズはタイロンと大差ないが、真ん中がその太い根元よりもさらに膨らんでいる。
「きゃっ!?」
 客の女が悲鳴を上げた。黒人のペニスを一通り見届けてきた男連中も、口をあんぐりと開けている。
「むううう……! ビデオで目にしてはいたが、生で目にすると……」
「ご、拷問の道具だな、まるで……!」
 絶句する客と同じく、沙綾香と藤花も視線を剛直に縫い付けられている。
「懐かしいだろ、サムライガール。水責めん時にハメてやって以来だ。あの感覚……忘れられねぇんじゃねえか?」
 ロドニーは、黒光りする凶器を藤花の鼻先に近づけた。藤花がごくりと喉を鳴らす。過去の記憶が蘇ったんだろう。小便入りの水へ顔を漬けられる苦痛を二の次にしてでも、抜いてくれと哀願した、あの記憶が。
「あの時は心を折るのが目的だったが、今度は違うぜ。熟しきったそのアナルに吊りあった刺激をくれてやる」
 亀頭で鼻を突き上げながらロドニーがそう語れば、藤花の口の端が緩んだ。ただ、隣で顔面を蒼白にしている沙綾香に気付くと、急いで表情を戻す。
「わかった、相手をしよう。今度は俺がお前に、音を上げさせる番だ」
 キリリとした瞳でロドニーを見据え、啖呵を切る藤花。かつての雰囲気を感じさせるその姿に、沙綾香の表情がかすかに明るくなる。だが、ロドニーはその沙綾香に顔を向けた。
「おっと、気ィ緩めてんじゃねえぞ。お前も一緒に犯されるんだ……コイツでな」
 ロドニーはそう言って、剃り込み男の方に手を翳す。するとその手に、ある物が手渡された。双頭ディルドーのついた、黒いゴム製の下着……ペニスバンドだ。

「さあ、来い」
 20人の客と12人の調教師が見守る前で、椅子へ深く腰掛けたロドニーが藤花を呼ぶ。
「ああ」
 藤花は、それを受けてロドニーの前に立った。そして、ゆっくりとロドニーの上に腰を下ろしていく。下着は肛門部分に穴が開いているため、挿入を妨げない。ドナンの効果で緩みきった肛門が、拷問器具のようなペニスを迎え入れていく。
「ぐっ……!」
 3割ほど飲み込んだ時点で、藤花が小さく呻いた。他の黒人共を相手にした時のような、表情の緩みはない。調教前に巻き戻ったかのような、精悍な顔つきだ。
「へへへ、ドナンはすげぇよな。俺のがズルズル入っていくんだからよ」
 ロドニーがそう呟く間にも、さらに腰が沈み、怒張の中ほど……瘤のように膨らんだ部分が肛門に入り込む。その瞬間、藤花の腰が止まった。
「ッ!? うあ、うわあああああああっっ!!!」
 藤花は急に叫ぶと、腰を浮かせた。半ばまで入り込んでいた怒張が抜け、ロドニーの腰を跨ぐ形で開かれた筋肉質な脚がガクガクと痙攣する。
「おいおい、どうした?」
「なにビビってんだ、アナルビッチ!」
 客と調教師から野次が飛ぶが、藤花は虚空を見つめたまま震えるばかり。
「と、藤花、どうしたの!?」
 沙綾香が藤花に駆け寄ると、凍り付いたような視線が横を向く。
「わ、わから、ない……。頭の、天辺まで……痺れが、突き抜けた……」
 藤花の吐く言葉は途切れがちだった。便意や快感で余裕のない時の反応だ。
「だろうな。俺のペニスの刺激は、他の連中の比じゃねえ。アナル性感が目覚めた状態で受け入れりゃあ、脳天まで痺れて当然だ」
 ロドニーは浮いた藤花の腰を捕まえ、強引に押し下げる。
「んああああ゛っ!! や、やめろっ、沙綾香の前だぞ……ん、くっ、ふぐううう゛っ!!」
 藤花の背中が仰け反り、両脚で腰を浮かそうとしても、ロドニーは押し下げる力を緩めない。
「おーお、いい具合だ。ドナンで蕩けた腸壁が纏わりついてきて、最高にエロいぜ!」
 嬉しそうに語りながら、あらゆる限界反応を無視して、8割ほどを強引に押し込んでしまう。根元まで挿入しないのは、すでに腸の奥にまで届いてしまっているせいだろう。
「あ、かはっ…あ、オあっ………ア゛ッ」
 藤花の脚は、力んだまま宙に浮いていた。代わりに両手がロドニーの腰を押し下げ、少しでも腰を離そうとしているが、強靭な脚の力で無理なことが腕で成し得るはずもない。
「ここまで入るとは大したもんだ。どうだ、極太を丸ごと飲み込まされた気分は。ああ、言わなくてもいいぜ。括約筋の動きで本音は解るからな」
 ロドニーは藤花の太腿を押さえつつ、激しく腰を突き上げる。挿入箇所が肛門なんだから、当然直腸を突いているはずだ。だというのに、ロドニーの規格外の巨根は、藤花の下腹をぼこりと膨らませた。肛門壁と膣を丸ごと貫通して。
「くほっ、ほおおお゛お゛っ!!」
 あまりの刺激に耐え切れず、高く腰を跳ね上げる藤花。その反応を確認して、ロドニーが沙綾香に視線を向けた。
「今度はお前だ、藤花の上に乗って、だらしなく開いたケツにオモチャを嵌め込め」
 有無を言わせぬ口調でそう命じられたところで、抵抗なく従えるはずもない。沙綾香は胸を掻き抱くような仕草で立ち尽くす。
「早くしろ。従わねぇってんなら、コイツをどうするかわかんねぇぞ?」
 ロドニーは語気を強め、藤花の下腹に手を宛がった。そして、まずいという顔をする藤花の腰を、また突き上げる。今度は、さっきより性質が悪い。直腸からの突き上げでぼこりと膨らんだ下腹を、腹の上から巨大な手で握りしめる。子宮を上下から挟みつぶすような行為だ。
「……ぉっ、ぉ……っ……!?」
 可哀想に。藤花は、声さえ出せなかった。反射的に両の太腿を跳ね上げたまま、顎を浮かせ、唇を尖らせ、視線を上空に泳がせる。沙綾香が『十番勝負』でドミニクに犯された時の、目の前に火花が散るという反応にそっくりだ。だが、似ているだけで違う。あの時の沙綾香は一瞬意識を飛ばすだけだったが、今の藤花は、蕩けるような笑みを顔中に広げていく。まともじゃない──そう直感する表情だ。
「やめて! わかった、言われた通りやるから!!」
 沙綾香も危険を察したんだろう。慌てた様子で叫ぶと、ロドニーの前で背を向ける。
「さや、か……」
 掠れたような声で呻く藤花を、一瞬振り返ってから、沙綾香は藤花の上に乗る。
「はぁ、はぁ、はぁ……っぐ、んん……んあぁっ、あ…………」
 腰を沈めるにつれ、沙綾香の息が詰まっていく。藤花に装着されたペニスバンドは、藤花の割れ目の部分はさほどでもないが、外に出ている部分はかなり太く、表面には凹凸も多い。それがドナンゼリーを塗り込められた肛門を抉るとなれば、その刺激はかなりのものだろう。
「ハハハハッ! モデルみてぇな娘っ子っつっても、2人分だとなかなか重いな。だが、重量感のある女は嫌いじゃねぇぜ!」
 ロドニーは笑いながら藤花の肩を掴み、下へと引き込んだ。挿入の速度が増し、ペニスバンドが一気に根元まで入り込む。
「っぎぐううううっ!!?」
 沙綾香の顔が歪む。口の右半分は閉じ合わせ、左半分は歯を食いしばるような非対称。瞬間的に激痛か、それに近い刺激を受けた証拠だ。そして、反応したのは沙綾香だけじゃない。
「ああああ゛あ゛っ!! 入る、入るううう゛う゛っ!!!!」
 沙綾香の下にいる藤花もまた、壮絶な顔を晒し、床についた両脚をぶるぶると震わせる。沙綾香が力んだことで上から圧が掛かり、ロドニーの物が深く腸内に入り込んだらしい。
「あっ!? ご、ごめん、藤花!」
「フーッ、フーッ……き、気にするな、沙綾香……。俺は、大丈夫だ……」
 すぐに振り返って謝る沙綾香と、そんな沙綾香を安心させようとする藤花。その涙ぐましい友情を、ロドニーが鼻で笑う。
「ほぉ、大丈夫なのか。なら、遠慮はいらねえな!」
 奴はそう言うと、激しく腰を突き上げはじめた。
「こっ、ほ!? おほっ、んおおお゛っ!!!」
 藤花が唇を尖らせ、『お』行の呻きを漏らしながら仰け反る。そうすると今度は、彼女の腰の疑似ペニスが沙綾香の腸内を抉ることになる。
「くはっ、あ゛っ!! んん、んくうお゛……っ!!」
 沙綾香は切なそうに身を捩り、腰を震わせた。
「ハッハッハ、これは面白い。まるでドミノ倒しだな!」
「ふふ、確かに。2人纏めてあの黒人に貫かれている感じで、興奮するよ!」
 ロドニーが腰を動かす度に恥辱の連鎖が起き、客はそれを見て満足そうに笑う。
「まだまだ、こっからだぜ!」
 ロドニーは客の方へ向けて叫ぶと、さらに腰の振りを激しくした。
「っがぁ、ん゛あ゛あああお゛っ!! ハッハッハッ……んひっい゛、お゛ごっ、ううぐう゛あ゛ッ!!」
 藤花は口を尖らせて悲鳴を上げる。完全に快楽で蕩けた顔だ。肛門からぶじゅっぶじゅっと水音がするたび、かろうじて床に接している脚の筋肉が浮き彫りになった。
 しかも彼女は、ただ受動的に犯されているだけじゃない。意識的にか無意識にか、自ら腰を沈め、足の裏をべったりと床につける。そして一秒後、ぶるっと全身を震わせながら息を吐き出すんだ。
「あの藤花って子、自分から腰押し付けてるよな、アレ」
「ああ。あんな、岩の塊のような物をよくもまあ……」
「完璧にアナルアクメに溺れてるんだろうな。いかにもマゾ奴隷って感じだ」
 客は藤花を見て囁き合う。どうやら『藤花こそがマゾ奴隷』という確信を固めつつあるらしい。とはいえ、まだ決めてはいないようだ。その証拠に奴らは、沙綾香にも注意を向けていた。
「ひい゛っ、はううう゛っ!! ぃいああぐっ、んはううう゛っ!!!」
 沙綾香にも、やはり余裕というものはない。無機質な黒い疑似ペニスで肛門を抉られながら、歯を食いしばって声を絞り出す。藤花に比べて、こっちは羞恥の割合が多いようだ。
 実際、苦しい状況だろう。ロドニーの突き上げの余波だけでなく、藤花自分も不定期に腰を跳ねさせるため、肛門を犯されるのにリズムも何もない。結果、不意打ちに近い形で腸奥を貫かれ、狂ったように腰を上下させることになる。
「うははははっ、凄い腰つきだ! ストリップでもあそこまで露骨に下品な動きはしないぞ!」
「なまじスタイルが良いせいで、余計惨めたらしく見えるな。うまく生きられれば、一生周りから持て囃されて、こんな恥を晒さずにいられただろうに」
「どうかな。結局はこの美貌のせいで、倶楽部に目をつけられたんだろう? これがこの娘の運命だよ。天は二物を与えずと言うだろう。女の誰もが羨む器量を与えられながら、女の誰からも軽蔑されるマゾ奴隷に貶められる。それでこそ、均衡が取れるというものだ」
「ほう、面白い考え方だ。そうだな……確かにこの娘は、ギフトに恵まれすぎている。帳尻合わせが必要かもしれんな」
 客は沙綾香を眺めつつ、勝手なことを口走る。『貶められる沙綾香が観たい』──その想いが滲み出ている。藤花をマゾ奴隷と認めた時と同じか、それ以上に強く。

                 ※

 肉のぶつかる音が響き、汗が飛び散る。
 3人の動きは変わらない。ロドニーが藤花を力強く犯し、藤花はそれを能動的に受け入れ、沙綾香が叫びながら腰を上下させる。その動きは刻一刻と激しさを増し、ある時ついにロドニーが笑い声を上げた。
「おいおい沙綾香、そんなに腰振んなよ。お前がそうやってケツ叩きつけてっと、藤花のマンコのディルドーが奥に入り込むだろ。せっかく処女膜には届かない大きさのを選んでやったのによ、今の調子だと玩具でバージン失っちまうぞ?」
 ロドニーのその言葉で、沙綾香が表情を変えた。悪趣味なことだ。藤花の純潔を脅迫材料に、沙綾香の行動を縛るとは。
「……!」
 沙綾香は顔を傾け、横目に藤花の顔を伺う。逆に藤花は、自分が観られていることに気づき、だらしなく開いた口を閉じ合わせる。
「さ、沙綾香、気にするな。勝手に腰が動いてしまうんだろう? 無理に抑えることはない、無理をすると気が触れるぞ。お前に処女を捧げるというなら、それもいい……」
 そう囁く藤花の口には、薄笑みすら浮かんでいた。幼い弟達から慕われる彼女らしい、思いやりに溢れる言葉だ。だが、ただでさえ藤花に負い目を感じている彼女が、そんな言葉に甘えることはない。
「んぐぐ、ぐ……っ!!」
 沙綾香は手足に力を篭め、藤花に密着したまま動きを止めた。ロドニーは遠慮なく突き込み、それを受けて藤花も腰を揺らすが、沙綾香はじっと踏ん張る。藤花の方へ体重をかけないように。だがそれは、ペニスバンドの刺激を余さず受け止めることを意味する。沙綾香の肛門はドナンゼリーで火照りきった状態だ。そんな場所で凶悪な責め具を迎え入れれば、平静ではいられない。
「ッあは、あおッ、あああおッ、うあ……っく、はあっ……!!」
 乳房を跳ね上げながら、沙綾香の上半身が弓なりに仰け反る。内腿が三角に窪み、足指が反る。開いた口から唾液が零れ、濡れ光る割れ目からも液が滴り落ちる。
「おら、おら! どうだ!!」
 ロドニーが沙綾香の反応をモニターで確かめつつ、入念に腰を遣う。今度は突き上げるのではなく、藤花の太腿を押さえ込んだまま、グリグリと横方向に腰を捻るやり方だ。ロドニーほど太さのある巨根でそうされれば、腸をこじ開けられる感覚は洒落にならないことだろう。
「っこほおお゛お゛っ!? やえろっ、やめてくれええ゛っ!! 拡がる、拡がる拡がる゛う゛ーーーーッッ!!!!!!」
 案の定、藤花は全身を震わせて絶叫する。そしてロドニーが太腿から手を離すや否や、解放されたバネのように腰を跳ね上げた。その結果、沙綾香の肛門に浅く嵌まっていた巨大ディルドーが、根元まで沙綾香に突き刺さる。
「うくお゛ほっ……!?」
 急所を突かれた。沙綾香の反応は、そういう風だった。見開かれた眼の中で、瞳孔が開く。両手は力なく空を掴む。そして、反射で180度開いた足の合間から、ぶしゅっと潮が噴き出した。透明な液は、何にも阻害されず、まっすぐ客の足元にまで浴びせかかる。

「…………エッロ…………。」

 客の一人が、感情を篭めて呟いた。手を握りしめ、前傾姿勢で沙綾香に見入る他の客も、無言で賛同しているようなものだ。
 そして、沙綾香の極限の反応に魅せられた人間は他にもいる。
「あああもう我慢できねぇ! おいロドニーさんよ、俺らも混ぜてくれや。クチなら使ってもいいだろ?」
「頼むぜ。まだ全員1回しか射精してねぇのに、こんなモン見せつけられちゃ生殺しだ。コックが破裂しちまうぜ!」
 やや離れて様子を伺っていた黒人共が、沙綾香達を取り囲んで騒ぎ立てる。
「へッ、そういやそうか。わかった、いいぜ。喉でも気持ちよくしてやれ!」
 ロドニーからはあっさりと許可が下り、黒人共が喜び勇む。何本もの剛直が準備を整えるが、黒人共の腰の高さや、折り重なった体勢の関係から、藤花の口に咥えさせるのは難しい。そこで必然的に、沙綾香がターゲットになった。
「しゃぶれ!」
 いつになく荒々しい口調でジャマールががなり立て、沙綾香の口に横から怒張を捻じ込んだ。
「んぐっ……!!」
 日本人平均の倍は太さのあるペニスだ。口に押し込まれた瞬間、沙綾香の顔が歪む。だが、性欲の滾った獣は配慮などしない。沙綾香の頭を抱え込み、思うがままに口内を蹂躙する。
「んぶっ、ぼうっ!! んぶうっ!!」
 紅潮した頬は、何度も亀頭の形に盛り上がった。
「ん゛お゛っ、ん゛ぉ゛う゛っ! おぉ゛う゛え゛っ!」
 たまに挿入方向がずれ、喉元が盛り上がると、短い嘔吐のようなえずきが漏れる。
「ああああダメだ、もたねえっ!!!」
 ジャマールは唸りながら腰を震わせた。沙綾香が呻きを漏らし、2秒後、口に収まりきらない精液がどろりと垂れる。本来ならこの射精をもって一区切りだが、今は相手が1人じゃない。
「よし、今度はオレだ!!」
 2人目にはレジャナルドが名乗りを上げる。奴は沙綾香の額と顎を掴み、顔を完全に自分の方に向けさせてから、深々と怒張を咥え込ませた。
「っふぅ゛ううう゛う゛おお゛オ゛オエ゛エ゛エ゛エ゛ッッ!!!」
 ただでさえ息の切れた状態で、ジャマール以上の太さを咥えさせられては堪らない。一瞬にして沙綾香の頬が膨らみ、見開かれた目から涙が伝う。それを見ても、レジャナルドはやはり同情などしない。脚を後方に踏ん張り、腰をやや押し出し気味にしながら、掴んだ沙綾香の口を『使う』。
「ん゛ごぉ゛うっ、オエ゛ッ!! ぉほも゛ろ゛ぉうええ゛ッ!!!」
 腰がぶつかるたび潰れる鼻の横を、次々に新しい涙が零れ落ちる。口からは普段以上に唾液や胃液が滲み、さっきの精液と混ざり合って、牛乳のような白さの泡を剛直の周りにびっちりと生み出していく。
 そして当然ながら、苦しいのは口だけじゃない。今の沙綾香にとっては、その地獄の苦しみですら副次的なものだろう。刺激のメインは言うまでもなく、腸を深々と抉る異物だ。
 彼女の脚はもう、180度の開脚から戻らない。大股を開いた藤花の脚が邪魔なのもあるだろうが、自らその角度を保っているように見えた。
 見事なスタイルだ。細く引き締まった腰から、思い切ったようにむちりと肉感的な太腿が広がっていく。だが、内腿の窪み具合は、その麗しいイメージとは正反対だ。彼女の中を巡る快感がどれほどのものか、考えずにはいられない。
「あはっ、ああははアおお゛っ!! さ、ささ、沙綾っ香、大丈夫、か……っ!!」
 藤花は沙綾香を案じて声を掛けるが、彼女にも余裕はない。ロドニーは藤花の責め方を見抜いたらしく、横に縦にと緩急をつけて腰を蠢かしていた。そのせいで、藤花の足先は床から離れている。肛門を貫くロドニーの剛直だけを支点にして、腰が完全に浮いてしまっている状態だ。
 その串刺し刑にも等しい状況に、藤花は余裕を残せない。黒目はほとんど上瞼に隠れ、口は涎を垂らしながら、笑みを完成させている。意味のある言葉を発せているのが、奇跡としか思えないレベルだ。
「そうーらサムライガール、またいくぜ。大好きな大好きな、この角度だ!」
 ロドニーがそう言いながら、奥まで入り込んだ怒張をグッグッと突き上げる。
「っあおオオオ゛ーーっ!!!!」
 藤花の微笑む口が縦に歪み、奥歯までを覗かせた。同時に腰も跳ね上がり、沙綾香の細身を宙へ浮かせる。
「うも゛ごっ、けェエ゛…………っ!!!」
 沙綾香は、えずき損ねたような呻きを漏らし、下半身を震えさせる。そして直後、肛門からぶちっと破裂音が響いた。続いて尻肉がヒクヒクと痙攣し、透明な液が細い奔流となって、藤花の腿を流れ落ちていく。
「おいおい、友達の上でクソすんじゃねぇよ。いくらアナル性感がバカになってるからってよぉ!」
 モニターを見上げたロドニーが大いに嘲笑い、その嘲笑をもって、凍り付いていたフロアの空気が動き出す。

「……すんげぇな」
 客から最初に漏れた一言は、やはりシンプルなものだった。それは、言語化できないほどの感情を抱えた証でもある。
「ああ。どちらも凄まじい……これは、決められんぞ」
「さっきは藤花の方に一票と思ってたが、あの沙綾香の反応はヤバイって」
「俺、逆だ。さっき沙綾香にしようと思ってたけど、藤花にド肝抜かれたわ」
 客がざわつく。最後の判断材料として催されたこの見世物が、かえって客の迷いを深くしたようだ。
 俺が客の立場だったとしても、今の一連の流れを観た上で、どちらかを切り捨てるのは難しい。少し思い返すだけでも、網膜に焼き付くレベルの衝撃的な場面が、まざまざと浮かぶ。沙綾香のものも、藤花のものも。
「おい、やっぱり決まらねぇじゃねぇか」
 ソファで一人煙草をふかしていた手越が、ロドニーに苛立ちの声を上げる。何か案でもあるのかと好きにさせたが、結局は遊びたかっただけか──そういう非難を孕んだ声色だ。
「カッハッハッ! 2発目のドナンかましてハメりゃ、どっちかヘバると思ってたが、結局見せ場を作っちまったぜ。女の友情ってのは紙切れみてぇなもんだと思ってたが、案外強ェな。ま、こうなっちゃしょうがねぇ。どっちをマゾ奴隷らしいと思ったか、インスピレーションで答えてくれ」
 ロドニーは可笑しそうに笑い、並み居る客の顔を見回した。腐っても元軍人。いかに態度が軽くとも、そうしてギョロリと一瞥するだけで、客に不満を呑み込ませる眼力がある。
「ま、強いて言うとな。マゾ奴隷と認められた女は、この後ここにいる黒人共に、朝まで可愛がられることになる。アンタらはそれを好きに見学したらいい」
 ロドニーはそこで言葉を切り、客を焦らす。
「ええっと、つまり……?」
 1人の客が待ちきれずに問うと、ロドニーは唇を吊り上げた。
「つまり、こういう考え方もアリってことだ。『延々とヤられまくる姿を見たいのは、どっちか』。完熟した実が、果汁を噴き出しながら貪られるのを観たいか? 熟れかけの実が、甘ーく熟していくのが観たいか? それで決めりゃあいい」
 ロドニーは諭すようにそう語り、藤花と沙綾香の脚を叩く。
「んっ……!!」
「くあっ、はああっ……!!」
 沙綾香と藤花は、その刺激だけで震えた。苦痛と快楽が混ざり合った、やや青い呻き。快楽が前面に出た、完熟の喘ぎ。それを耳にして、客が生唾を呑む。

 そこからは、喧々諤々の議論が繰り広げられた。沙綾香に魅力を感じる人間、藤花に魅力を感じる人間。それぞれにかなりの数がいた。だが最終的には、すでに完成されているものより、変わっていく姿が見たいという声が大勢を占める。
「俺達が選ぶのは……サヤカだ」
 20人の代表として、初老の男がロドニーにそう告げた。それを以って、3度目の『審査会』も沙綾香の勝ちで幕を閉じる。だがそれは、いつにも増して苦い勝利だった。
「アハハハハッ!! だってよ沙綾香、良かったなあ!? 尻穴専用の奴隷として、2週間以上も調教されまくったこの剣姫様より、お前の方がもっとマゾで変態らしいって認められたんだぜ? ったく、天才的だよなあ、“お嬢ちゃん”よう!」
 ロドニーはゲラゲラと笑いながら、沙綾香の耳元に悪意を噴き込む。明らかに最後の一言は、明らかに財閥令嬢としての出自を茶化すものだ。
「…………ッ!」
 沙綾香の顔が歪む。
「…………くそっ! 俺が、身代わりになれていれば…………!!」
 藤花もまた、悔しげに唇を噛み締めていた。

 恥辱と後悔に彩られた幕引き。しかも、それで終わりじゃない。
「さあ、楽しもうぜぇ。“いつもみたいに”よぉ!」
 黒人共が沙綾香の腕を掴み、体液を滴らせながら立ち上がらせる。
 夜が更けた今から始まるのは、血だらけの身に塩を塗り込む、悪夢の宴だ。


                 ※


「くはっ、ああああ゛ッぐ!! はぁあっ、ひ、いひぎいいい゛っっ!!」
 ベッドにうつ伏せになった沙綾香が、悲痛な声を響かせる。そんな声が出るのに、何の不思議もない。
 『審査会』よりも盛り上げろ。ロドニーがそう命じたことで、黒人共は使えそうな道具や薬液をすべてかき集め、遠慮のないハードプレイを繰り広げた。
 モップで都合3度目になるドナン液を塗り込んでから、肛門に玉蒟蒻を10個詰め込み、ペニスサックを装着した状態で犯す。それが今のプレイだ。
 表面に凹凸や突起があり、長さも太さも増強するペニスサックは、日本人のペニスをも凶器に変える。それを黒人共がつければ、それはもう完全な拷問具だ。
「うははっ、すんげぇうねりだな。ちょっと落ち着けよ」
 背後から犯すマーキスが、沙綾香の反応を嘲笑う。奴は肉厚のペニスサックを選んだため、肛門から覗く逸物は、モーリスのそれをも上回る直径を備えている。
「ち、違うの! 私じゃない! もう自分じゃどうしようもないの、お願い、突かないでっ!!」
 沙綾香は喘ぐような口調でマーキスに乞う。だが、マーキスに哀願は通じない。
「馬っ鹿だなオメー。それ聞いて、俺がやめると思うか?」
 マーキスは沙綾香の肩を押さえ込み、顔面をシーツに押し付けながら腰を遣う。巨木のような太腿が沙綾香の上で踊り、バンバンと凄まじい音を立てる。
「うぎゅうぃいい゛い゛っ!!!! いいいイグッ、イグっいぐッッ!! し、子宮とお尻の奥で、どっちもイってるのぉ゛っ!!」
 沙綾香は無理矢理顔を持ち上げ、絶叫する。膝から下は狂ったように暴れ、何度も足の甲をシーツに叩きつけて、寝台そのものを弾ませる。それでも、マーキスは責めを緩めない。むしろ嗜虐の笑みを顔中に広げ、沙綾香の上腕を握りこみながら腰を落とし込む。今の沙綾香がもっとも嫌がるだろう、全体重を掛けて肛門を杭打ちするやり方だ。
「ふわぁわあああああ゛あ゛っっ!!!!」
 レイプ魔が確信をもって打ち込んだ毒は、細い身体へすぐに回った。普段ならまず出ない、幾重にも重なったような絶叫が絞り出される。
「あだま゛、真っ白になっちゃう゛っ!! お願いやめて、お願いお願いお願いいい゛っ!!!」
 沙綾香は泣き声を漏らしながら、せめてもの抵抗か、踵でマーキスの尻を蹴りつける。
「おーいおい、痛ぇなあ!」
 マーキスはどこか嬉しそうな声色を出しながら、制裁とばかりに前傾姿勢を深めた。膝を深々とシーツに沈み込ませ、グリグリと腰を回転させて、沙綾香の下腹部をベッドに圧し埋める。
「ッーーーーー!!!!!」
 沙綾香から、声にならない声が漏れた。マーキスに掴まれた腕の先がびくんっと強張る。抵抗を続けていた足も力を失くし、シーツへと落ちた左足だけが、病的なつま先立ちで脹脛を盛り上げる。
「おおおおおおっ、締まる、締まる! すっげえええっ!!!!」
 マーキスが驚きの声を上げながら、太腿を筋張らせた。どうやら射精に入るようだ。オーウ、オーウとマーキスが喘ぐ中、ふっと沙綾香の全身が弛緩する。女子高生らしい、むちむちとした肉感を取り戻した足の間から、水音が漏れた。カメラの角度的に直接は確認できないが、次々に変色していくシーツを見れば、何が起きたかは明白だ。

「ははは、また潮を噴いたぞ」
「いや、流石に今度のはションベンしょ。量すげぇし」
「潮もおしっこも大差ないって。にしてもあの子、ホントよく噴くよね。お尻の奥刺激されると、尿道も刺激されるからかな。膣挟んでるだけで、近いといえば近いし」
 客はワイン片手に、黒人と沙綾香のセックスを堪能している。空いた手で自ら慰める人間もいれば、百合で溜まりきった性欲を処理している奴もいる。20人近い男から順番に犯されるとなれば、彼女もだいぶ参っているようだ。とはいえ、沙綾香に比べればマシだろう。
「ふーっ、良かったぜぇ最後の締まりは。スーパーウーマンのバキュームフェラかと思ったぜ」
 マーキスは満足げに息を吐きながら、肛門の異物を引きずり出す。緩んだ肛門からは、コロコロと玉蒟蒻が転げ出た。マーキスはそれを笑いながらペニスサックを外し、沙綾香の口を開かせる。
「ほら、エクササイズ後のタンパク質と水分補給だ。いつもみてぇにちゃんと飲み込めよ」
 ペニスサックからこぼれ出た精液は、沙綾香の舌を覆い尽くす。ヨーグルトのような濃さがある上、普段に輪を掛けて凄まじい量だ。それを飲み込まされるというだけで、並の女子高生ならトラウマものだ。だが今の沙綾香にとっては、ささやかな不幸でしかないだろう。彼女には、感傷に浸っていられる時間などない。

 次番を勝ち取ったアンドレが、のっそりとベッドに上がる。奴はうつ伏せのまま放心する沙綾香の傍に膝をつくと、転げ出た玉蒟蒻をもう一度肛門へと詰め直す。そして沙綾香を仰向けにひっくり返すと、その両脚を掴み上げた。屈曲位だ。
 アンドレは寡黙だが陰湿だ。奴が装着するペニスサックは、先端がテニスボール大のシリコン球で補強されていた。奴はそれを、いきなり奥の奥まで潜り込ませる。
「おっぐぅううぅ!!」
 沙綾香の反応は大きい。つま先までが震え上がり、さっきの出し残しらしき液体が割れ目から流れ出る。顎を浮かせた顔は、その表情をしっかりと客に観られてしまい、局所的な大笑いを巻き起こした。
「いーい顔をしますなぁ、この子は……!」
「ええ。やはり“こっち”を選んで正解でしたね。凛々しい娘が惨めな顔になるのも面白いですが、トップアイドル級の美少女がこんな顔を晒すとなれば、もう一種の奇跡ですよ」
「うううむ……いかん、疼いてきた。おい、その給仕の穴はまだ空かんのか!? 緩いなら手なり口なり使って、さっさと済ませたまえ!」
 客が沙綾香の表情に鼻息を荒くする中、アンドレも獣じみた息遣いで腰を上下させる。膝裏を押さえ込みつつ、ぐうっぐうっと一突きずつ入念に押し込む責めだ。
「ォォ゛っ……ォ゛ッ!!! ォっお、ほおォ゛っ……ォ゛、おおっ……!!」
 声の出しづらい体勢だけに、沙綾香の呻きが小さく、低い。だが、彼女が感じているという情報は無数にあった。痙攣する太腿もそう。外側に反り返る十本の足指もそうだ。
 中でも、斜め上からのカメラに捉えられた表情は印象的だった。アンドレの肩を通して虚空を見つめるその顔は、田舎娘が初めて恋を知った時のように純粋だった。たまたま、呆然とした顔がそう見えるんだと信じたい。意味があってほしくない。特に、快感に骨抜きにされた顔というのは──。
「凄いな、お前。一人でイキっぱなしだ」
 ぼそりと、呟きが聞こえる。アンドレのものらしい。寡黙な男に言葉を漏らさせるほど、沙綾香は奴の望み通りの状態にあるらしい。
 アンドレは笑みを浮かべながら、ゆっくりと腰を沈めては浮かす。ぎしっ、ぎしっ、とベッドが軋み、初恋の少女の顔が、感動で笑うような顔に変わる。
「っ!?」
 沙綾香はすぐに意識を取り戻し、アンドレの肩を押し返す抵抗を見せた。だが、アンドレは止まらない。淡々と、しかし力強く腰を遣い、刻一刻と脆くなっていく沙綾香に同量の無理を強い続ける。
 木板に圧を掛け続ければ、ある瞬間にいきなり砕けるように、沙綾香はある瞬間、許容量を超えた。
「…………だめ……だめ、だめ…………っ!!」
 囁くような声が前兆となり、沙綾香の肛門からぶりゅっと音が鳴る。根元の太さは補強されていないペニスサックの脇から、玉蒟蒻が4個顔を出し、ボトボトと濡れたシーツに零れていく。静かな決壊だったが、だからといってショックが小さいとは限らない。
 アンドレが思うさま腰を遣い、射精し終えて足を解放した後、沙綾香は仰向けのまま伸びていた。
「ぉ……っふ、ぉぉお……。っうふ、ぉ……ッ……ほーーーっ…………」
 手足を大の字に開き、腰をヒクつかせて気絶したように喘ぐその様は、彼女がどれだけ深く達したのかを生々しく物語る。そしてもちろん、その休息すら十分には行えない。すぐに次のドミニクが沙綾香を抱え上げ、大得意の背面立位を客に見せつける。


                 ※


 床に崩れ落ちた沙綾香の髪を、モーリスが掴んで引き起こす。
「…………おら、シャンとしろ。寝てる暇なんかねぇぞ?」
 奴はそう言って、ザーメンまみれの怒張を咥えさせる。半勃ちとはいえ十分な張りを持った、ゴム管のような逸物。それを口で清めさせられる沙綾香は、今にも気絶しそうな有り様だった。顔は青ざめて汗に塗れ、眼にも口にも力がない。それはそうだ。つい今しがたのモーリスで、連続37回目のアナルセックス。フロアの至る所に、彼女から汗と涙を奪ったプレイの痕跡が残っている。
 そして、夜はまだ終わらない。
 口移しで水分を補給させられた後、沙綾香は強引に立たされ、背後からタイロンに挿入される。
「はっ、はがっ……あ、あ゛っ……っ!!!」
 ペニスサックも異物挿入もない、ナチュラルなアナルへの挿入。だが今の沙綾香は、それだけで顔に恐怖を浮かべて腹部を見下ろす。
「ははははっ、解りやすい反応だ。子宮が疼いて堪らんのだろうなあ」
「いや。それどころか、挿入されただけで子宮イキしたんでしょう。ほら見てください、膝に来ていますよ」
 客は沙綾香の反応を見て、すぐに絶頂を指摘する。多分、それは当たっているだろう。そして、ギャラリーにすら即座に看破できる状態が、挿入しているタイロンに判らないはずもない。
「おうおう、締まる締まる。吸いつく感じが戻ってきたじゃねぇか」
 タイロンは嬉しそうに囁きながら、沙綾香の割れ目に指をくぐらせる。
「あ、やあっ!! やめてよ、前はっ……!!」
「何がやめてだ、ケツに入れられてる間じゅうヒクヒクさせっぱなしのくせによ。ようお前ら、お嬢ちゃんが口寂しいってよ。前にオモチャでも当ててやれ!」
 タイロンが沙綾香を羽交い絞めにしながらそう言うと、他の黒人共も笑みを浮かべた。ドミニクが近くのマッサージ器を拾い上げ、スイッチを入れて、身動きの叶わない沙綾香の下腹へと宛がう。
「あ゛っ、あ゛ーーっ!! や゛っ、だめっ……んっ、んぐうっ!! はぁ、はぁ゛……っ!!」
 沙綾香は焦りを隠せない。ドミニクの顔を睨みながら、脚を内股に閉じる。
「どうした、隠すなよ。皆に見てもらえ!」
 ドミニクは沙綾香の脚を手で押し開き、強引に開脚させながらマッサージ器を宛がい続ける。
「んぐっう! おっ、おぉ゛っ、ぉお゛っ、ぉおお゛っ…………あ゛、ああ゛ーっ、あ゛ーーっ……」
 沙綾香の喘ぎが変わった。はっきりとした音を発しながら、足を菱形に開いて腰を前後させる。
「おーっ、イッてるイッてる。めっちゃ腹筋ヒクヒクすんのな」
「すげーっ。こんな可愛い子が、ケツハメ電マであっさり子宮イキとか!」
「それもガニ股でな。すげー絵面だわ、ホント」
 客が面白がる間にも、ドミニクはマッサージ器をグリグリと押し付け、沙綾香を追い込んでいく。雑な責めではあるが、今日一日で数えきれないほど達している沙綾香には、力押しの刺激でも十分に効くようだ。
「アアア゛っもう無理、もう無理ぃっ!! 見ないで、見ないでよぉっ!!」
 快感より、羞恥心の限界が先に来たんだろう。沙綾香は涙ながらに叫びながら、必死に脚を閉じ合わせる。だが、タイロンがそれを許すはずもない。
「そら、暴れんなって!!」
 タイロンは肛門に挿入したまま、沙綾香の太腿に手を掛ける。だが沙綾香が必死に抵抗するのを見て取ると、一旦下腹を抱え込み、グリグリと腰を押し込んだ。
「ひっぐ!?」
 沙綾香が顎を浮かせ、膝を震えさせる。
「くっくっ、便利だなここは。『開けゴマ(オープン・セサミ)』ならぬ、『開け結腸(オープン・コロン)』ってとこか」
 タイロンは笑いながら、力の抜けた沙綾香の膝を簡単に割りひらいた。すかさずその隙間へ、ドミニクのマッサージ器が入り込む。
「やああああっ!! お願いやめてっ! もうイキたくないっ!! お尻と子宮でイくのも、笑われるのも、もお嫌なのおっ!!」
 沙綾香はほとんど半狂乱になり、膝を上げて激しく暴れる。だが肛門を拡げられて力も入らないまま、黒人2人に抗いきるなど無理な話だ。
「やあっ、また……ふ、深いい゛っ!! ァあいく、イックうぅんッ!!」
 愛液を散らしながら狂ったように腰を振った挙句、強引に脚を開かされた体勢で公開絶頂を晒すしかない。
「はっはっは、また無様なイキ方だなぁオイ! 名付けてガマガエルアクメってとこか?」
「面白ェけど、ちょっと怖くもなるわ。人間って、こうやって壊れてくんだなーって」
「そうだな。つい2、3時間前までは、強気に睨みつけていたというのに」
「やー、でもしょうがないんじゃない? 俺らがあの立場でも、頑張りきるの無理っしょ。あのガタイの黒人とか、背後取られて腰掴まれた時点で心折れるわ」
 客は沙綾香の変化を可笑しがり、あるいは冷ややかに見ながら、それぞれに時間を楽しむ。わずか数十センチほどしか離れていないのに、沙綾香とは別世界の気楽さだ。

 その後も沙綾香は、客の目の前に晒されたまま、立ちバックの姿勢で犯され続ける。黒人とは精を放っては次々に入れ替わるが、沙綾香だけは休めない。
 自分の親と変わらない歳をした、20人の客……その眼前で、延々と恥を晒し、延々と肛門を犯し抜かれる。それは、どんな気分になることだろう。

「ぉっ、ぉおっ……おッ! ほッ、ッ、ォ、ォおっ……!」

 ある時点から、沙綾香の喘ぎが明らかに変わった。はっ、はっ、という喘ぎに混じって、『お』行の喘ぎが漏れはじめる。それまでにも突発的に発されることはあったが、出続けるのは初めてだ。
「どうしたんだろ、あれ」
「今まではなんとか我慢してたけど、諦めたんじゃない?」
「アッハ、女捨てたってこと? 笑えるー」
 客は当然変化に気付いて茶化すが、沙綾香は声を殺さない。顎を浮かせ、背中を弓なりに反らせたまま、肛門からの刺激に打ち震える。

 どうやらこれは、なんとかアナルセックス地獄へ耐え抜くための、苦肉の策だったらしい。次に沙綾香に表れた変化で、それが明らかになった。
「いや、もうお尻いやっ!! へ、ヘンになっちゃう! これなら、アソコ犯されてた方がマシ!」
 両手を背後に引き絞られたまま犯されていた沙綾香が、我慢の限界とばかりに涙を零す。客と黒人共は、この発言を予想していたのか、待ちわびたという顔で身を起こす。
「アソコってなんだよ、オマンコの事か?」
「そ、そうっ! オマンコなら犯していいから、お尻はもうやめて!」
 ロドニーが問うと、沙綾香はそれに引きずられて下卑た表現を口にする。それを聞いた客はどっと噴き出し、沙綾香も失態に気付いて顔を歪めた。だがそれも一瞬だけで、すぐに肛門の快感に吞まれていく。
「なるほど、よーくわかったぜ。だが、日本語で言ってもそいつらにゃ通じねえよなあ」
 ロドニーの言葉で、沙綾香がハッとした表情になる。彼女は声を震わせながら、黒人共相手に恥辱の哀願を繰り返す羽目になった。
「くっははは! そうかそうか、プッシーが恋しいってか。そりゃ奇遇だな、俺のコックもそう言ってんぜ。たっぷり前を可愛がってやるよ」
 黒人共は嬉々として提案を呑み、沙綾香をベッドへと連れ上げる。
 珍しくスムーズに要求が通った理由は、決まっている。調教師側にとって、都合のいい展開だからだ。

 ベッドに上げられた沙綾香は、トラバンに抱え上げられ、アナルに挿入される。
「あっ!? なんで、お尻はやめてって……!」
「後ろではやらないなんて言ってねぇぜ。前を可愛がるって言っただけだ。こんな風にな!」
 戸惑う沙綾香の股に割り入ったダーナルが、逸物の先を割れ目に宛がう。そして、嫌という叫びを聞きながら突き入れた。
「ひぃああああっ!! こ、こんな、こんな…………!!」
「おいおい、なんてツラしてやがる。二穴が初めてって訳じゃねぇだろ。毎晩やってんじゃねぇか」
 ダーナルは沙綾香の反応を笑い飛ばすが、肛門開発後の二穴責めが、前と同じであるはずがない。
「ああ、あああっ!! ひいっ、だめっ……あっ、あっ、あ、あああっ……!!」
 前後の穴に挿入され、腰を遣われて間もなく、沙綾香は喘ぎはじめた。数日前とは違う。肛門が未開発だった頃は、膣で大きな快感を得ても、それを肛門の異物感が阻害していたはずだ。ところが今は、後ろだけで悶絶するレベルにまで開発が進んでいる。となれば二穴責めの快感は、2倍どころでは済まない。
 上下から黒人二人に挟み込まれ、沙綾香の足裏が浮き上がる。足指が握り込まれ、快感で細かに震えだす。
「へへへ、プルプル震えてやがる。まるでバージンみてぇだ」
 ダーナルがそう茶化すが、沙綾香に取り合う余裕はない。
「こ、こんなの覚えたら……癖に、なる……。もう普通のセックスできなくなるっ……!!」
 沙綾香は、確かにそう言った。普通のセックスができなくなる、と。
 普通のセックスとは、俺との行為のことか?
 俺との思い出では、物足りなくなりそうだ……そう感じているということか?
「しなくていい。俺らのペットになれ。お前はいい女だ、一生可愛がってやる」
 トラバンがそう答え、下から肛門を突き上げる。
「あぐっ!!」
「そーら。ヨダレ垂らした、プッシーにもご馳走してやるぜ。熱々のフランクフルトをよ!」
 ダーナルも浮いた沙綾香の腰を掴み、パンパンと音を立てて膣を犯す。
「あ゛ッ、おひっ……んぐっ、んぐっ!!」
 上からも下からも逃れるように横を向いた沙綾香の顔が、モニターに映る。前髪が乱れ、汗と鼻水、涎に塗れたその顔は、とても未成年のそれには見えない。ベテランの娼婦……そういう艶を備えている。
「いいぜ、いいぜえ! アナルの壁がうねって、吸いついてきやがる!!」
「プッシーも最高だぜ。ヌルヌルトロトロで、柔らかくほぐれてよぉ。名器が、もっと極上の穴になっちまったぜ!!」
 トラバンとダーナルが歓喜の声を上げながら、沙綾香の二穴を蹂躙する。沙綾香は大股を開いてベッドを踏みしめ、快感に身を震わせ……最後には、トラバンに乳首を掴まれながら絶頂する。
「ん゛あああぁあああっ!!!!」
 全身を震わせての絶叫。それは今までのどんな声より、通りがいいように聴こえ、マイク越しに俺の鼓膜を痺れさせた。
 前後の穴から怒張が引き抜かれれば、どろりと白い液が流れ出し、穴周りがひくつく。今までは痛々しく思えたそれが、今は違って見える。
「はっ、はぁっ……はぁっ……はあっ…………」
 頬を上気させ、潤んだ瞳を見せる沙綾香は果たして、あの体内射精を嫌がっているんだろうか?
 ──なにを、馬鹿な。嫌がっているはずだ。俺はそう信じる。

 そう、信じたい。


                 ※


 2人一組で、五組。計10人全員がベッドで沙綾香を悶絶させた後、場所が変わる。客が寛ぐソファの前で、直立したまま挟み込む形での二穴責め。
「ほっお……! ごっ、おごっ、ごおお゛……っお゛……!!」
 今や沙綾香の喘ぎは、『お』の音ばかりだ。我慢を諦めたのか、それとも声など気にしている余裕がすでにないのか。
 少なくとも、余裕があるようには見えない。彼女の全身が、とてつもなく深い快楽を訴えている。前にいるモーリスの肩を掴む手も、抱え上げられた脚も、丸まった背中も、浮きっぱなしの顎も。
 延々と抜き差しの音が繰り返される中、沙綾香の痙攣の間隔が短くなっていく。コップが満ち、溢れるイメージが脳裏に浮かぶ。
「おほっぉ、お、お゛っ……お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!!!」
 俺のイメージ通り、沙綾香は絶頂した。とはいえ、俺の予想など何も凄くない。
「はははっ、イッたイッた!!」
「この子の反応も、だいぶ解ってきましたな。意地が剥がれれば、存外に素直といいますか」
 俺に限らず、客も皆、沙綾香の絶頂のタイミングを読み切っている。
 抱え上げられた沙綾香の秘部から、びちゃっと音を立てて何かが落ちた。
「なんか出たぞオイ。腸液?」
「いや、腸液ってもっとサラサラしたやつだろ」
「じゃあ透明なクソか?」
「腸の本気汁なんじゃねーの」
「そんなんあるのか?」
「さあな、本人に訊けば?」
「いやいや。答え返ってくる感じじゃねーだろ、アレ」
 客としても、もはや食い入るように見てはいない。何度も見返した映画を観るように、リラックスした様子で眺めているだけだ。
 答えが返ってくる感じじゃない。その言葉通り、沙綾香の瞳にはすでに光がなかった。腕もぶらりと垂れ下がり、意識を失っているのが明らかだ。
「おいおい、ヘバんじゃねぇよ」
「俺らがまだ楽しんでる最中だろうが!」
 沙綾香の失神に気付き、モーリスとジャマールが前後から腰を入れる。
「ぉほっ!! お゛お゛お゛ぉ゛!!!」
 奥への挿入効果は覿面で、沙綾香はすぐに覚醒し、両脚を跳ね上げる。だがそれは、せっかく夢の世界に逃げられた彼女が、地獄へ舞い戻っただけのことだ。
「……ぉ、おねがい、ぁすませ……て…………。あたま、チカチカ、する…………お、おかひくなっちゃう…………」
 唾液を垂らしながら、か弱い声で哀願する沙綾香。だがもちろん、調教側に利のない願いなど聞き届けられない。
「そーら、そら!」
「どんどんイケ、どんどん狂っちまえー」
 モーリスとジャマールは疲れを感じさせない軽快さで腰を遣う。軽快だが、体格が体格だけに突き込み自体は重い。前と後ろから衝突を受け、沙綾香の下半身の肉が出鱈目に波打つ。
 あらゆる体液で汚れた足の裏が、黒人の脚に掴まろうとしては、うっすらと白い液を塗り付けながら滑り落ちていく。あの子が何らかの意思を見せ、それがあえなく剥がれ落ちる時……俺は、何とも言えない気持ちになる。

「ぉ…っほ、ぉおお゛……っ!! ほお、お、お゛ーっ、お゛ーー……っ!!」

 前と後ろから犯され続け、唇を奪われ、全身を震わせて呻く沙綾香。それを見守る客は、見届けるものを見届けたという面持ちだ。
「ほほ、凄い凄い……理性は残っているのですかね、あれは?」
「なんというか、下半身が丸ごと性感帯になっている感じだな」
「下半身で済みますか? あそこまでいくと、もう全身でしょう。子宮を裏と表から突つかれて、脳天からつま先まで感電してる感じだと思いますよ」
「あー、感電。確かにそんな感じだな。触るとヤバそう、色んな意味で」
 思いやりのない言葉がフロアを飛び交う。どいつもこいつも眼は冷たい。ただ一人違うのは、部屋の隅で首輪をつけ、深く腰を落としている藤花だけだ。
「よかったなぁお前。もし勝負に勝ってたら、お前が“ああ”なってたんだぜ?」
 迷彩ズボンの男が、藤花の胸を揉みしだきながら笑う。
「どうかな。実は、アレ見て羨ましいと思ってんじゃねぇか? 緩くケツ弄ってるだけなのに、マンコがヨダレ垂らしまくりじゃねぇか。お前も、ああしてほしいのか? どうなんだ、ええ?」
 剃り込み男が肛門のアナルプラグを抜き差しすれば、藤花の身体が震え上がった。だが、彼女は答えない。
「沙綾香……!」
 悲痛な声と共に、級友の姿を見守るばかりだ。

 そしてそれは、俺も同じ。変わっていく最愛の女性の姿を、歯噛みして見ていることしかできない。
 刻一刻と増していく不安に、心臓を凍り付かせながら……。



                         続く


 
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